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アジア人の加齢黄斑変性、視機能低下に民族性が関与

 加齢黄斑変性(AMD)と視機能(vision-specific functioning:VSF)に、民族性が関与していることが示唆された。シンガポール・国立眼科センターのEva K Fenwick氏らによる中国人、マレー人およびインド人を対象とした住民ベースの横断研究において、中国人ではAMDがVSFに負の影響を及ぼしたが、マレー人およびインド人では影響がみられなかったという。今回の結果は多民族的なアジア人において、民族性が疾患とVSFとの関連に影響する独立した因子であることを示唆するものであり、著者は、「AMDの発症や進行を遅らせるためには、民族性に基づいた戦略が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年3月30日号掲載の報告。 本研究には、中国人、マレー人およびインド人の成人計1万33例が参加し、このうちグレード分類が可能な眼底像およびVisual Function Index(VF-11)のデータがあった9,962例(99.3%)が解析対象となった(平均[±SD]年齢:58.8±10.4歳、男性4,909例[49.3%])。 単眼の遠見視力はlogMAR視力表を用いて測定し、3つの民族群におけるAMDとVSFとの関連を、年齢、性別、良いほうの眼の視力、教育水準、収入、喫煙状況、高血圧、糖尿病、心血管疾患、総コレステロール値およびその他の眼の状態で調整した、重回帰モデルで分析した。 データは2004年1月20日~2011年12月19日に収集され、2015年11月12日~2016年12月28日に解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・解析対象9,962例中、初期AMDが590例(5.9%)(中国人241例、マレー人161例、インド人188例)、後期AMDが60例(0.6%)(それぞれ25例、21例、14例)であった。・調整モデルにおいて、中国人では非AMD例と比較し初期AMD例でVSFの低下が認められたが(2.9%、β=-0.12、95%CI:-0.23~-0.00、p=0.046)、マレー人とインド人では関連は認められなかった。・中国人において、後期AMD例は非AMD例と比較しVSFの低下が19.1%と臨床的に著しかった(β=-0.78、95%CI:-1.13~-0.43、p

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2型糖尿病と部位別がん死亡リスク~アジア人77万人の解析

 東アジアと南アジアの約77万人のデータ解析から、2型糖尿病患者ではがん死亡リスクが26%高いことを、ニューヨーク州立大学のYu Chen氏らが報告した。また、部位別のがん死亡リスクも評価し、その結果から「がん死亡率を減少させるために、肥満と同様、糖尿病の蔓延をコントロール(予防、発見、管理)する必要性が示唆される」と結論している。Diabetologia誌オンライン版2017年3月7日号に掲載。 Asia Cohort Consortiumに含まれる19の前向き集団コホートにおける、東アジア人65万8,611人および南アジア人11万2,686人のデータについて、プール解析を実施した。ベースライン時に糖尿病であった場合の全がん死亡リスクおよび部位別のがん死亡リスクについて、糖尿病でなかった場合に対するハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間12.7年で、がんにより3万7,343人が死亡した(東アジア人3万6,667人、南アジア人676人)。・ベースライン時に糖尿病であった場合、全がん死亡リスクが有意に高かった(HR:1.26、95%CI:1.21~1.31)。・以下のがんでは、糖尿病との有意な正相関が認められた。  大腸がん(HR:1.41、95%CI:1.26~1.57)  肝がん(HR:2.05、95%CI:1.77~2.38)  胆管がん(HR:1.41、95%CI:1.04~1.92)  胆嚢がん(HR:1.33、95%CI:1.10~1.61)  膵臓がん(HR:1.53、95%CI:1.32~1.77)  乳がん(HR:1.72、95%CI:1.34~2.19)  子宮体がん(HR:2.73、95%CI:1.53~4.85)  卵巣がん(HR:1.60、95%CI:1.06~2.42)  前立腺がん(HR:1.41、95%CI:1.09~1.82)  腎がん(HR:1.84、95%CI:1.28~2.64)  甲状腺がん(HR:1.99、95%CI:1.03~3.86)  悪性リンパ腫(HR:1.39、95%CI:1.04~1.86)・白血病、膀胱がん、子宮頸がん、食道がん、胃がん、肺がんによる死亡リスクは、糖尿病との有意な関連は認められなかった。

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PCSK9阻害薬bococizumab、抗薬物抗体発現で効果減/NEJM

 抗PCSK9(前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9型)モノクローナル抗体製剤bococizumabは、多くの患者で抗薬物抗体(ADA)の発現がみられ、そのためLDLコレステロール(LDL-C)の低下効果が経時的に減弱することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M Ridker氏らが行ったSPIREプログラムと呼ばれる6件の国際的な臨床試験の統合解析で明らかとなった。ADA陰性例にも、相対的なLDL-C低下効果に大きなばらつきを認めたという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。完全ヒト型抗体であるアリロクマブやエボロクマブとは異なり、bococizumabはヒト型抗体であり、抗原と結合する相補性決定領域に約3%のネズミ由来のアミノ酸配列が残存するため、ADAの発現を誘導する可能性が指摘されている。bococizumabとプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された4,300例を対象 本研究は、bococizumab(150mgを2週ごとに皮下投与)とプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された脂質異常症患者4,300例を対象とした(Pfizer社の助成による)。6試験には、プラセボの代わりにアトルバスタチンを用いた試験が1件、bococizumabの用量が75mgの患者を含む試験が1件含まれた。 ベースラインの全体の平均年齢は61歳で、42%が女性であった。糖尿病が53%、喫煙者が18%、家族性高コレステロール血症が12%含まれた。99%がスタチン治療を受けていた。治療期間中に検出されたADAの有無別に、12週および52週時に脂質値の経時的な変化の評価を行った。1年時のbococizumab群はADA陽性率48%、16%を占めた高力価の患者は平均変化率が低かった 12週時に、bococizumab群のLDL-C値はベースラインに比べ54.2%低下、プラセボ群は1.0%増加し、群間の絶対差は-55.2%(95%信頼区間[CI]:-57.9~-52.6)と、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)。 12週時の総コレステロール(TC)値のベースラインからの変化の群間絶対差は-36.0%、非HDL-C値は-50.2%、トリグリセライド(TG)値は-14.2%、アポリポ蛋白B値は-49.5%、リポ蛋白(a)値は-28.9%と有意に低下し、HDL-C値は6.2%と有意に増加しており、いずれもbococizumab群が良好だった(すべてp<0.001)。 52週時のLDL-C値のベースラインからの変化の群間絶対差は-42.5%(95%CI:-47.3~-37.8)であり、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)が、12週時に比べるとLDL-C低下効果が減弱した。また、TC値(群間絶対差:-27.1%)、非HDL-C値(-37.7%)、TG値(-10.9%)、アポリポ蛋白B値(-37.3%)、リポ蛋白(a)値(-20.6%)、HDL-C値(4.6%)も、bococizumab群が有意に良好だった(すべてp<0.001)が、いずれも12週時に比し効果は減弱した。 一方、1年時にbococizumab群の48%にADAが検出され、そのほとんどが12週以降に発現していた。52週時のADAが低~中力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-43.1%)は、ADA陰性例(-42.5%)とほぼ同じであった。これに対し、ADA陽性例の16%を占めた高力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-30.7%)は低く、力価最高位10%の患者(-12.3%)では著明に低かった。また、ADA陽性例は力価が高い患者ほど、PCSK9値およびbococizumab濃度が経時的に減衰した。 12週時のbococizumab群のLDL-C値の低下効果は全体として大きかったが、まったく低下しなかった患者が4%、低下率50%未満が28%、50%以上は68%とばらつきが認められた。52週時には、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、52%であったが、ADA陰性例にも9%、31%、60%と同様のばらつきがみられた。 重大な心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死、血行再建術)の発生率は、bococizumab群が2.5%(57例)、プラセボ群は2.7%(55例)であった(ハザード比[HR]:0.96、95%CI:0.66~1.39、p=0.83)。bococizumab群の最も頻度の高い有害事象は、注射部位反応(12.7/100人年)であり、次いで関節痛(4.4/100人年)、頭痛(3.0/100人年)であった。 著者は、「bococizumabの有害事象には免疫原性の影響があり、有効性に関する生物学的な反応は一定ではなく個々の患者での予測は困難である」としている。これらの知見に基づき、2016年11月1日、bococizumabの開発は中止となった。

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糖尿病患者支援に地域版新資格制度発足

 2017年3月29日、都内において東京糖尿病療養指導士認定機構設立準備委員会は、今夏より発足する「東京糖尿病療養指導士(東京CDE)」「東京糖尿病療養支援士(東京CDS)」に関するプレスセミナーを開催した。 糖尿病療養指導士(CDE)とは、糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識を持ち、医師の指示の下、患者に療養指導を行うことができる熟練した経験を持ち、試験に合格した一定の医療スタッフ(看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士)のことで、患者の生活指導のエキスパートである(平成28年6月時点で全国に19,062名)。今回の資格制度発足は、東京地域に特化した新しい認定資格制度となる。 はじめに東京糖尿病療養指導推進機構の代表理事である本田 正志氏(西川クリニック)が、「糖尿病の臨床現場では、合併症など病状が進行してから受診する患者もいる。そのため患者が重症化する前に身近な人に相談できる、支援できて発症予防に役立つ組織があればと考え、今回資格制度発足となった。今後、糖尿病患者(予備群も含め)2,000万人のために組織を発展させ、糖尿病の重症化を予防できるように支援をお願いしたい」とあいさつを行った。医療スタッフのスキルアップが糖尿病診療体制を強化する 次に東京糖尿病療養指導士認定機構の代表幹事である菅原 正弘氏(菅原医院 院長)が、「東京における糖尿病患者の増加と治療の実態」と題して基調講演を行った。 講演では、東京都の糖尿病患者の動向について全国と比較し、男女ともに糖尿病患者が全国平均より増えていることを指摘した。また、糖尿病の合併症について触れ、以前から知られている網膜症や腎症などに加え、最近では、歯周病、がん、認知症などが糖尿病関連とも報告されている。なかでも介護原因となる疾患の脳卒中(1位)、認知症(2位)が糖尿病に絡む疾患であることから、「介護者にも糖尿病の知識が必要な時代が来た」と警鐘を鳴らす。 糖尿病合併症の数が増えると、その医療費も増える。たとえば腎症を発症し透析まで進展した場合、1人年間500万円以上の医療費が必要なことを考えると、医療経済の面からも早期受診、診療介入によるサポートが必要となる。そのためにも、医療スタッフ、とくにクリニックなどのスタッフのスキルアップが望まれ、「こうした新資格制度の活用で層の厚い診療体制が構築されることを希望する」と抱負を語った。52万人の専門職が糖尿病の発症、重症化を防ぐ 続いて同機構の事務局長である内潟 安子氏(東京女子医科大学 糖尿病センター長)が、「東京糖尿病療養指導士とは」と題し、その発足の意義と活動、今後の展望について説明した。 全国版である日本糖尿病療養指導士(CDEJ)は、臨床現場でよく認知されているが、今回の資格は、全国的にみて患者数が多い東京地域に特化し、地域の事情や問題を加味し、自己管理を指導する医療スタッフを育成するものであるという。 具体的に「東京CDE」は、医療専門職として主に糖尿病患者の指導にあたるスタッフで、CDEJの職種に加え保健師、准看護師、健康運動指導士、作業療法士などを対象に資格の取得を目指すとする。 また、「東京CDS」は幅広い職種から成り、主に健康増進・糖尿病発症予防や福祉、介護など、患者よりも予備群、一般生活者を対象に疾患啓発、予防にあたるスタッフである。対象は、栄養士、介護支援専門員、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士、歯科衛生士、登録販売者、保健・健康増進担当の自治体職員などが想定されている。両方の有資格者は東京都だけで約52万人以上と予想されている。 資格取得者は、糖尿病の病態と療養に関する体系的な知識を、職域で専門的に活かせ、医師やCDEJなどの指導対象者にとっては信頼して患者指導を任すことができる。また、資格者が施設にいることで、クリニックならばスタッフの再教育、継続教育につながるほか、健保組合なら糖尿病発症予防、重症化予防に最新の疾患知識を指導に役立てることができるという。 内潟氏は説明の中で、「臨床現場では、患者は医師に直接聞けないことを周りの看護師などのスタッフに尋ねている。そのときに答えられないと、患者の信頼を得ることはできない。糖尿病診療では、日ごろのコミュニケーションが大事であり、スタッフがこの資格を通じてスキルアップすることで、患者への適切な指導ができるようになってもらいたい」と新資格の意義を強調した。 今後の予定として8、9月に受験者用研修会の実施、10月に認定試験が開催され、2018年初頭には第1号の資格者が誕生する(資格更新は5年ごとの予定)。 両資格に関する詳しい内容は、下記のサイトを参考にしていただきたい。関連サイト東京糖尿病療養指導士認定機構東京糖尿病療養指導推進機構

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リラグルチドの糖尿病発症予防効果は160週にわたって持続する(解説:住谷 哲 氏)-660

 リラグルチドが、肥満合併前糖尿病患者の糖尿病への進展を56週にわたって抑制することはすでに報告されていた1)。本論文は、その試験の160週にわたる結果であり、56週でみられた糖尿病発症予防効果は、160週にわたって持続することが明らかとなった。肥満合併前糖尿病患者は年々増加しており、生活習慣への介入のみでは減量に難渋することが多い。わが国でもリラグルチドがこの目的で使用可能となれば朗報であろう。 リラグルチドがどのようなメカニズムで前糖尿病から糖尿病への進展を抑制したのかは本試験からは明らかではない。1つには体重減少による内臓脂肪量の減少がインスリン抵抗性を改善した可能性、もう1つはGLP-1受容体作動薬の主作用であるインスリン分泌能の改善による可能性が考えられる。しかし、現実的には両者が相互に作用した結果と考えるのが妥当だろう。 本試験でのリラグルチドの投与量は3.0mgであり、現在のわが国での投与上限の約3.3倍に相当する。当然のことながら種々の副作用が生じることが予想される。以前から指摘されている胆石を含む胆道疾患もリラグルチド群で増加していた。その他の注意すべき副作用としては、リラグルチド投与群で乳腺悪性腫瘍の発症が有意ではないが増加傾向にあった点であろう。 最後に医療費についても考慮する必要があるだろう。本試験でもリラグルチド投与を中止すると12週で体重が増加していた。つまり、糖尿病発症を予防するためにはリラグルチドを半永久的に投与しつづける必要があることになる。これは、cost-benefitを考えると非現実的といわざるを得ない。この点では、手術が成功すれば長期間にわたり糖尿病発症予防が期待できるbariatric surgeryに分があるように思われる。 肥満の治療は難しい。摂取カロリーを減らすか、消費カロリーを増やすかすれば肥満は解消できるという単純な物理法則が日常臨床で現実化しないのがもどかしい。ここに薬物療法やbariatric surgeryの介入する余地があることになる。しかし副作用もなく、費用もかからないのはやはり食事運動に注意して定期的に体重計(SCALE)に乗ることだろう。

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SGLT2阻害薬のCVイベント抑制効果、リアルワールドで示される:ACC.17

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ)は、SGLT2阻害薬の治療を受けた2型糖尿病患者の、心不全による入院ならびに総死亡のリスクを評価した、初の大規模リアルワールドエビデンス試験CVD-REALの結果を、2017年3月19日、第66回米国心臓病学会年次学術集会(ACC.17 )で発表した。 成人糖尿病患者は、世界中で4億1,500万人にのぼり、2040年までには6億4,200万人(成人の10人に1人)に増加すると推定されている。2型糖尿病患者の心不全のリスクは通常人より2~3倍高く、また、心臓発作および脳卒中の高いリスクにさらされており、死因の約50%が心血管疾患である。 CVD-REAL試験は、世界6ヵ国30万例超の2型糖尿病患者を対象として行われた(患者の87%は心血管系疾患の既往歴なし)。同試験では、広範な2型糖尿病患者集団全体において、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジンは、他の糖尿病治療薬と比較して、心不全による入院率を39%(p<0.001)、総死亡率を51%(p<0.001)減少したことが示された。また、心不全による入院と総死亡の複合評価項目の減少率は46%(p<0.001)であった。 心不全による入院率の解析は、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者の匿名データを用いたもので、データの内訳は、ダパグリフロジン投与が全患者の41.8%、カナグリフロジン投与が52.7%、エンパグリフロジン投与が5.5%であった。一方、総死亡率の解析は、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者の匿名データを用い、データの内訳は、ダパグリフロジン投与が全患者の51.0%、カナグリフロジン投与が42.3%、エンパグリフロジン投与が6.7%であった。  今回の解析結果は、CVD-REAL試験の最初の比較解析結果。データの収集は継続しており、今後は今回の対象国だけでなく、他国のデータを加え、複数の解析が実施される予定である。本試験に用いられる解析データは、診療記録、苦情データベースおよび国内登録など、実臨床の情報源から入手された非特定化データ。本解析は、St. Luke’s Mid America Heart Institute(米国、カンザスシティ)の独立研究機関の統計グループにより検証された。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリースCVD-REAL試験(Clinical Trials.gov)■「SGLT2阻害薬」関連記事SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

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キノコ摂取頻度が高いほど認知症リスク低い~大崎コホート研究

 in vivoやin vitroの研究においてキノコの神経保護作用や認知症を予防する可能性が示されているが、キノコと認知機能低下の関連について調べたコホート研究は少なく、関連が明らかになっていなかった。今回、一般住民を対象とした大規模前向きコホートである大崎コホート研究2006において、キノコの摂取頻度が高い高齢者では認知症発症のリスクが低いことが、世界で初めて明らかになった。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2017年3月13日号に掲載。 本研究の対象は、調査開始時点で65歳以上であった宮城県大崎市の住民1万3,230 人。ベースライン時のアンケート調査により、キノコの摂取頻度で「1回未満/週」「1~2回/週」「3回以上/週」の3群に分け、「1回未満/週」群を基準として、認知症発症との関連を検討した。ハザード比は、性別、年齢、BMI、既往歴(脳卒中、高血圧、心筋梗塞、糖尿病、高脂血症)、教育、喫煙、飲酒、歩行時間、心理的ストレス、食物摂取量などの因子を調整し算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は5.7年間で、認知症発症率は8.7%であった。・キノコの摂取頻度が1回未満/週の群と比べた認知症発症の調整ハザード比(95%信頼区間)は、1~2回/週では0.95(0.81~1.10)、3回以上/週は 0.81(0.69~0.95)であった(傾向のp<0.01)。・この逆相関は、最初の2年間で認知症を発症した参加者と、ベースライン時に認知機能が低下していた参加者を除外した場合も同様であった。 なお、本研究の限界として、認知症の臨床診断データがなくアウトカムに誤分類が含まれていた可能性がある点、キノコ摂取頻度をベースライン調査のみで評価しているため頻度の変化が考慮されていない点、キノコの種類が不明である点などがある。

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やはりthe lower the betterだった(解説:興梠 貴英 氏)-659

 これまでコレステロール低下療法のエビデンスにおいて、スタチンが数の上で圧倒的に多かった。しかもezetimibeは試験デザイン上の問題から、なかなかthe lower the betterを示すことができなかった。そのため、PCSK9の機能喪失変異に伴う心血管リスク低減という疫学的な知見や、PCSK9阻害薬の第II相試験の予備的な結果で心血管リスクが低減することが示唆されたということはあったものの、PCSK9阻害薬による実際の介入で心血管系エビデンスを減らすのかについては、きちんと実施された臨床試験の結果を待たなくてはならなかった。 さて、本FOURIER試験では動脈硬化性心血管疾患を有しており、LDL-Cが70mg/dL以上ですでにスタチン治療を受けている2万7,564例の患者をエボロクマブ群、プラセボ群の2群にランダム割り付けして中央値2.2年間追跡した。患者背景で興味深いのは、8割以上が陳旧性心筋梗塞の患者であり、またそれにもかかわらず、喫煙者の割合が3割弱もいることである。つまり、心血管疾患の再発のリスクが高い集団であるが、結果は血清LDL-C濃度においてはエボロクマブ群でLDL-C 30mg/dL、プラセボ群で86mg/dLという差がつき、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイント発生をエボロクマブ群で有意に低下させたというものであった(NNT=67例)。また、開発段階で可能性が示唆された認知機能への影響を含む副作用には、両群間で差が認められなかった(注射部位の副反応を除く)。 本試験の結果は、2年余りという比較的短い期間ではあるが、LDL-Cを30mg/dLまで低下させても安全上の問題がないこと、またその範囲でPCSK9阻害薬でLDL-Cを下げても、心血管系イベントについてthe lower the betterであることを示すものであった。本試験には日本人も参加していたので、今後サブ解析で日本人に関する結果が出てくることにも期待したい。

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2型糖尿病患者、食事が頸動脈内膜中膜厚に関連

 カナダ・トロント大学のLaura Chiavaroli氏らが、2型糖尿病患者の食事と頸動脈超音波検査(CUS)による頸動脈内膜中膜厚(CIMT)との関連を調査したところ、CIMTの低値が、豆類・炭水化物の高い摂取量、総脂肪・飽和脂肪の低い摂取量と有意に関連していた。この結果は、2型糖尿病の心血管疾患リスク管理における食事の潜在的役割を示唆している。BMJ open誌2017年3月22日号に掲載。 本研究では、同様の方法で収集された3件の無作為化比較試験から、325例の2 型糖尿病患者(最近の心血管イベントなし、スクリーニング時にHbA1cが6.5~8.0%、経口糖尿病治療薬を服用中)について、CUSによるCIMT、7日間の食物記録による食物摂取量の登録時のデータを横断的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・CIMTは、豆類の摂取(β=-0.019、p=0.009)、糖質の摂取(β=-0.004、p=0.008)、グリセミック負荷(β=-0.001、p=0.007)、デンプンの摂取(β=-0.126、p=0.010)と有意に逆相関していた。・年齢・喫煙・心血管イベントの既往・降圧薬・糖尿病治療薬・超音波検査技師で調整した多変量回帰モデルにおいて、CIMTは総脂肪(β=0.004、p=0.028)と飽和脂肪(β=0.012、p=0.006)摂取量と直接関連していた。

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若年糖尿病の合併症は1型よりも2型のほうが多い(解説:小川 大輔 氏)-658

 世の中の関心は高齢者に向かっている。2017年1月、日本老年学会などが高齢者の定義を、現在の65歳以上から10歳引き上げて75歳以上に見直すよう提言した。また、3月12日から改正道路交通法がスタートし、75歳以上の高齢者が運転免許証を更新するときに認知機能検査が義務付けられ、認知症の恐れがあれば医師の診断が必要となった。 糖尿病関連でも2016年に高齢者糖尿病の血糖コントロール目標が発表され、認知機能やADLなどに応じて治療目標を設定することがようやく推奨されるようになった。ただ、合併症予防のための血糖コントロール目標はHbA1c 7.0%未満であり、さらに若年者などで血糖正常化を目指す際の目標は6.0%未満であることは現在も変わっていない1)。 合併症といえばつい高齢者を連想してしまうが、若年者でも発症することを忘れてはいけない。成人前に1型あるいは2型糖尿病と診断された患者の、合併症の頻度を比較した試験はこれまであまりないが、このたびJAMA誌に、若年発症の1型および2型糖尿病患者の合併症を比較した結果が報告された。 この試験は、米国で1型または2型糖尿病と診断された20歳未満の若年糖尿病患者を対象に、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害や高血圧症などの調査が行われた。解析対象は2,018例で、これまでに行われた若年糖尿病患者の試験より規模が大きい。糖尿病罹病期間は、1型および2型糖尿病とも平均7.9年であったが、糖尿病合併症の有病率は1型で32%、2型で72%と、2型糖尿病のほうがかなり高いという結果であった。また驚いたことに、種々のリスク因子で補正しても、2型のほうが1型よりも糖尿病合併症の有病率が高いことが示された。この差が病態の違いに起因するものかどうなのか、さらなる検討が必要である。 小児期や思春期に診断された若年糖尿病患者は、1型および2型糖尿病とも合併症の有病率が高く、早期からの合併症予防対策が必要であることはいうまでもない。そのためには高齢者と同様に、若年者にも関心を寄せることが大切であろう。

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喫煙者は末期腎不全リスクが約2倍

 喫煙は、糖尿病患者における慢性腎臓病(CKD)発症の主要な危険因子として確立されているが、CKDの独立した危険因子かどうかはエビデンスが一致していない。中国・上海中医薬大学のJia Xia氏らが、成人一般集団における前向きコホート研究をメタ解析したところ、喫煙がCKD発症の独立した危険因子であることが示唆された。Nephrology, dialysis, transplantation誌オンライン版2017年2月27日号に掲載。 著者らはMEDLINEとEmbaseにおいて2016年5月31日までの論文の中から、一般集団での喫煙状態とCKDの相対リスクを報告している前向きコホート研究を検索した。ランダム効果モデルを用いて、統合相対リスク(SRR)と95%信頼区間(CI)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・CKD発症例6万5,064例を含む、15件の前向きコホート研究を解析した。・生涯非喫煙者と比較して、CKD発症のSRRは、喫煙経験者で1.27(95%CI:1.19~1.35)、現在喫煙者で1.34(同:1.23~1.47)、過去喫煙者で1.15(同:1.08~1.23)であった。・末期腎不全のSRRは、喫煙経験者で1.51(95%CI:1.24~1.84)、過去喫煙者で1.44(同:1.00~2.09)、現在喫煙者で1.91(同:1.39~2.64)であった。・これらの研究にはかなりの異質性が認められた。・蛋白尿の5,747例を含む3件の前向きコホート研究を追加すると、一般集団における喫煙と蛋白尿の関連は認められなかった。

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エボロクマブ追加で心血管イベントリスクを有意に低減/NEJM

 前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬エボロクマブ(商品名:レパーサ)は、スタチン治療でLDLコレステロール(LDL-C)値のコントロールが不良なアテローム動脈硬化性心血管疾患患者のLDL-C値を30mg/dLまで低下させ、心血管イベントのリスクを有意に低減することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMarc S Sabatine氏らが行ったFOURIER試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。本薬は単剤でLDL-C値を約60%低下させることが報告されているが、心血管イベントを予防するかは不明であった。2万7,564例を対象とするプラセボ対照無作為化試験 FOURIER試験は、エボロクマブのスタチンへの上乗せによる心血管イベントの予防の改善効果を検証する国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化試験(Amgen社の助成による)。 対象は、年齢40~85歳、アテローム動脈硬化性心血管疾患でスタチンの投与を受けているが、LDL-C値が≧70mg/dLの患者であった。被験者は、エボロクマブ(患者の好みで、2週ごとに140mgまたは1ヵ月ごとに420mgから選択)またはプラセボを皮下投与する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院、冠動脈血行再建術の複合エンドポイントであった。主な副次評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントとした。 2013年2月~2015年6月に、49ヵ国1,242施設で2万7,564例が登録され、エボロクマブ群に1万3,784例、プラセボ群には1万3,780例が割り付けられた。追跡期間中央値は2.2年だった。LDL-C値が59%低下、主要評価項目が15%改善 ベースラインの全体の平均年齢は63歳、女性が24.6%含まれた。心筋梗塞の既往が81.1%、非出血性脳卒中の既往が19.4%、症候性末梢動脈疾患が13.2%に認められた。スタチン治療は、ACC/AHAガイドラインのhigh-intensityが69.3%、moderate-intensityが30.4%に行われ、5.2%にはエゼチミブも投与されていた。 ベースラインのLDL-C値中央値は92mg/dL(IQR:80~109)であった。48週時に、エボロクマブ群のLDL-C値中央値は30mg/dL(IQR:19~46)に低下し、プラセボ群との絶対差は56mg/dL(95%信頼区間[CI]:55~57)であった。LDL-C値の減少率の最小二乗平均値は59%(95%CI:58~60、p<0.001)であり、エボロクマブ群が有意に良好であった。 主要評価項目の発生は、エボロクマブ群が9.8%(1,344例)と、プラセボ群の11.3%(1,563例)に比べ有意に低かった(ハザード比[HR]:0.85、95%CI:0.79~0.92、p<0.001)。主な副次評価項目の発生も、エボロクマブ群が有意に良好だった(5.9%[816例] vs.7.4%[1,013例]、HR:0.80、95%CI:0.73~0.88、p<0.001)。 また、エボロクマブ群はプラセボ群に比し、心筋梗塞(3.4 vs.4.6%、HR:0.73、95%CI:0.65~0.82、p<0.001)、脳卒中(1.5 vs.1.9%、0.79、0.66~0.95、p=0.01)、冠動脈血行再建術(5.5 vs.7.0%、0.78、0.71~0.86、p<0.001)、虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作(1.7 vs.2.1%、0.77、0.65~0.92、p=0.003)を有意に改善した。一方、心血管死、全死因死亡、不安定狭心症による入院、心血管死/心不全の増悪による入院には差がなかった。 主要評価項目と主な副次評価項目に関するエボロクマブ群のベネフィットは、年齢、性、アテローム動脈硬化性血管疾患のタイプなどの主要なサブグループのほとんどに一貫して認められた。さらに、ベネフィットは、ベースラインのLDL-C値の最高四分位群(中央値:126mg/dL、IQR:116~143)から最低四分位群(74mg/dL、69~77)まで、一貫してみられた。 有害事象(77.4 vs.77.4%)、重篤な有害事象(24.8 vs.24.7%)、治験薬関連と考えられる有害事象の発現および治験レジメンの中止(1.6 vs.1.5%)は、両群に有意な差はなかった。また、筋関連イベント(5.0 vs.4.8%)、白内障(1.7 vs.1.8%)、新規糖尿病(8.1 vs.7.7%)、神経認知有害事象(1.6 vs.1.5%)にも、両群に差はなかったが、注射部位反応(2.1 vs.1.6%、p<0.001)はエボロクマブ群で有意に多くみられた。 著者は、「これらの知見は、アテローム動脈硬化性心血管疾患患者は、LDL-C値を現在の目標値よりも、さらに下げることでベネフィットが得られることを示すもの」と指摘している。

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患者・家族とのトラブル、どう解決すべき!? 2017年“モンスターペイシェント”事情

“モンスターペイシェント”という言葉が使われるようになって久しいですが、診療で対応した患者やその家族とのトラブルや事件は後を絶ちません。「モンスター化させないことが大切」とは言うものの、実際皆さんどのように対応していますか? 医師1,000人から聞いたその実態と、対応策とは…。結果概要2人に1人以上が暴言や暴力、“通常の域を超え、診察に著しい影響を及ぼすレベル”の要求やクレーム経験あり全体では55.1%の医師が「経験がある」と回答した。2013年にケアネットが行った同調査では67.1%であったのと比較してやや減少したものの、依然として2人に1人以上が何らかの経験があることがわかった。経験の頻度は、1年に1度以下が最も多かったが、「月に1度」以上の人があわせて11.5%にのぼり、わずかではあるが「週に2~3度以上」(1.3%)と答えた人も。暴言、ネットへの誹謗中傷の書き込み、なかには立件レベルの事案も内容としては、「スタッフの対応が気に食わないなどのクレーム」が最も多く(47.2%)、「自分を優先した診療ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く」(33.4%)、「治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張」(30.3%)、「不要な投薬・過剰な投薬を要求」(23.6%)などが続いた。とくに悪質なケースとしては、「『訴える』『殺す』『暴力団関係者を連れてくる』『マスコミに流す』などと脅迫」(18.3%)や、「自身やスタッフに暴力を振るう」(15.1%)などがあり、「看護師の首を跡が残るくらい絞めた」「病室で拳銃を発砲」といったエピソードも寄せられた。3割超で対応マニュアル・ガイドライン整備。現場では警察OBが活躍、悪質なケースでは110番通報も患者やその家族とトラブルになった場合の最終的な対応として、およそ3人に1人が「以後の診察を拒否した」と回答。以下、「他の医師と担当を交代」(18.7%)「転院させた」(17.8%)などが続いた。一方、「とくに対応はしなかった」人は33.4%にのぼり、全選択肢の中で最も多い回答だった。「なるべく話を妨げずに聞き、嵐が去るのを待つ」など、ひたすら傾聴するというコメントも少なくなかったが、「カルテに詳細を記録する」「ICレコーダーは必須」などの証拠保全策、「すぐに対応部署に介入してもらう」「警察への通報を躊躇してはいけない」などの回避策も挙がった。また、「警察OBを雇用している」との回答は14.0%で、対応を一任できる安心感があるとのコメントが多かった。このほか、ネットの掲示板への誹謗中傷の書き込みや、患者のストーカー化など、精神的負担を強いられるエピソードも複数見られた。設問詳細診療で関わった患者・家族とのトラブルが発端となった事件が後を絶ちません。医療現場では今、何が起こっているのでしょうか。そこで、患者・家族からの暴言や暴力、通常の域を超えた要求やクレームにまつわる経験や対応について、皆さんが日常診療の中で遭遇した実例や対応策を、ぜひお聞かせください。Q1.患者・家族から暴言・暴力、その他“通常の域を超えている、診察に著しく影響を及ぼすレベル”の行動や要求、クレームを受けたことがありますかあるないQ2.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その頻度について最も近いものをお答え下さい週に2~3度以上週に1度半月に1度月に1度2~3ヵ月に1度半年に1度1年に1度それ以下Q3.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その内容について当てはまるものをすべてお答え下さい(複数回答可)自分を優先した診察ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く「空いている」などの理由で、時間外・夜間診療を繰り返す診察を受けずに投薬のみ要求不要な投薬・過剰な投薬を要求治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張検査・診察・食事・内服等を拒否入院を強要退院を拒否治療費・入院費を払わない「スタッフの対応が気に食わない」などのクレーム事実と異なることを吹聴(SNSへの書き込みなども含む)土下座など度を越した謝罪を要求「訴える」「殺す」「暴力団関係者を連れてくる」「マスコミに流す」などと脅迫自身やスタッフに暴力を振るうQ4.(Q1で「ある」と回答した方のみ)上記の患者・家族への対応で、ご経験があるものをお答え下さい(複数回答可)他の医師と担当を交代転院させた以後の診察を拒否弁護士・司法書士等に相談警察に相談警察に通報、出動を要請した患者の対応に参って体調を崩した退職したとくに対応はしなかったQ5.院内で設けられている対応策について当てはまるものをお答え下さい(複数回答可)対応マニュアルやガイドラインがある対策システムがある防犯・対策セミナーや訓練を実施している院内で事例を共有している対応担当者を決めている担当部署を設置している警察OBを雇用している弁護士・司法書士に相談する体制をとっている「警察官立寄所」のステッカー・看板等を掲示しているICレコーダー・カメラ等を設置しているとくに対応策をとっていないQ6.コメントをお願いします(具体的なエピソードや解決方法、対策ノウハウ、院内体制など何でも結構です)コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)エピソード夫が暴力団関係者であると脅され、患者に有利になるよう診断書を書くことを強要された(50代、整形外科)。ほか、診断書の内容についてのクレーム・過度の要求2件。入院中に無断外出しアルコールを飲んだうえ、暴言をはかれた。スタッフの協力によって解決したが、そのために使った時間と体力、精神力は大きなものだった(30代、神経内科)。ほか、無断外出によるトラブル2件。酔っ払い相手で困った経験がある。殴られ、刑事事件とした(40代、消化器内科)。ほか、直接暴力を受けたというコメント2件。救急外来での対応に不満を持ち、いったん帰宅して包丁を持って来院した患者がおり、以来救急外来に監視カメラが設置された(50代、麻酔科)。ほか、救急・夜間診療でのトラブル5件。ミュンヒハウゼン症候群の患者への対応に苦慮。精神神経科医や臨床心理士のサポートが不足している病院が少なくないように感じる(50代、内科)。ほか、精神疾患や認知症患者への対応についてのコメント7件。生活保護受給者が、売買目的で不必要な薬を大量に要求してくることが毎日のようにある(50代、泌尿器科)。ほか、生活保護受給者に関するトラブル4件。治療が家族の見立て通りに進まないことへの苦言から、威嚇行為に発展したことがある(30代、膠原病・リウマチ科)。ほか、家族への対応でのトラブル7件。患者にストーカー状態でつきまとわれ、病棟まで追いかけてこられた(30代、皮膚科)。ほか、ストーカーまがいのトラブル1件。ネット上の口コミで辛辣な書き込みをされて困っている(50代、内科)。ほか、ネット上での誹謗中傷1件。対策<複数での対応>問題がありそうな患者に対応するときは医師以外に看護師、事務スタッフを横に置き、必ずメモを取り、カルテにも記載する(60代、産婦人科)。基本的には別のスタッフが対応したり、複数で対応することで鎮静化することが多い(50代、循環器内科)。ほか、複数での対応が有効というコメント46件。<情報共有・専任部署の設置>上位の責任者を決めておくことは必須(50代、神経内科)。ほか、上司・院長などへの報告システムが重要とのコメント12件。日ごろから問題に発展しそうな事例についての情報共有と対策検討が不可欠(40代、精神科)。ほか、情報共有が重要というコメント34件。専任の医療安全部看護師が対応する(40代、内科)。ほか、クレーム対応部署等専任者・部署の設置39件。医療安全カンファレンスを定期的に開催している(20代、臨床研修医)。ほか、研修会等の開催5件。院内放送で、職員が集まるシステムになっている(50代、糖尿病・代謝・内分泌内科)、ほか、院内放送の活用5件。<接遇・態度>理不尽な要求は対応できないとはっきり伝え、以後は警察等を通すように言う(50代、内科)。ほか、毅然とした態度が重要というコメント23件。できるだけ入院や手術治療前に対応する(40代、消化器外科)。ほか、早め早めの対応が重要というコメント7件。患者が興奮している時は、なるべく刺激するようなことを言わない(60代、リハビリテーション科)、なるべく話しを妨げずに聞いて落ち着くのを待つ(50代、皮膚科)。ほか、まずは傾聴・丁寧な姿勢で臨むというコメント30件。<記録・録音>目の前でICレコーダーで記録を取っていることを見せている(40代、腎臓内科)。ほか、ICレコーダーが有効とのコメント3件。言葉を選んで話し、カルテに詳細に記録を残す。カルテ開示を念頭に置き、冷静に記載する(50代、皮膚科)。ほか、カルテへの詳細記録が有効とのコメント6件。<マニュアル・ガイドライン>マニュアルを各部署に配布し、理不尽な要求には応じないよう徹底している(50代、消化器内科)。ほか、マニュアルについてのコメント21件。<弁護士・警察・警備会社>トラブルが起こりそうな場合は、弁護士に連絡する体制をとっている(40代、消化器内科)。ほか、弁護士への相談体制が重要とのコメント5件。病院が警察OBと契約し、暴力事例への不安が軽減された(50代、循環器内科)。ほか、警察OBの雇用・常駐が有効とのコメント15件。違法な行為があればすぐに通報する(40代、小児科)。ほか、躊躇せず、すばやい通報が重要とのコメント6件。警備会社の自動通報システムが有効(60代、精神科)。ほか、民間警備会社の活用4件。

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糖尿病網膜症の白内障手術後、ネパフェナクが有用

 糖尿病網膜症を有する患者における白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与は、予期せぬ安全性に関わるイベントの発生を伴うことなく、術後黄斑浮腫のリスクを低下し、視力改善にも寄与することが示された。米国・クリーブランドクリニックのRishi P Singh氏らが、2件の第III相無作為化臨床試験の結果を分析し報告した。「試験の結果は、同患者の白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与について、臨床的ベネフィットがあることを示すものであった」と報告している。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月4日号掲載の報告。 糖尿病患者の白内障手術後の臨床的アウトカムについて、1日1回のネパフェナク0.3%点眼投与の有効性と安全性を溶媒と比較する検討が、2件の前向き無作為化多施設共同二重盲検溶媒対照試験にて行われた。試験1には615例が、試験2には605例が参加。被験者は、1日1回のネパフェナク0.3%投与または溶媒投与群に1対1の割合で割り付けられ、手術前日から90日間にわたって投与を受けた。 有効性の主要評価項目は、白内障手術後90日以内の、黄斑浮腫(ME:中心領域網膜厚が術前ベースラインから30%以上増加)発症患者の割合(%)と、最高矯正視力(BCVA:術前ベースラインから14日間で15 letter以上改善し、90日間改善が継続)を達成した患者の割合(%)とした。副次評価項目は、術前ベースラインから90日間および60日間での15 letter以上の改善や3ヵ月間の安全性の確認などとした。 主な結果は以下のとおり。・ネパフェナク0.3%投与群は溶媒投与群と比べて、術後90日間のME発症率が有意に低かった。試験1(2.3% vs.17.3%、p<0.001)、試験2(5.9% vs.14.3%、p=0.001)、プール解析(4.1% vs.15.9%、p<0.001)。・ネパフェナク0.3%投与群は溶媒投与群と比べて、ベースラインから14日間で15 letter以上改善し90日間継続したBCVA達成患者の割合も有意に高かった。試験1では61.7% vs.43.0%(p<0.001)、試験2は48.8% vs.50.5%(p=0.671)、プール解析では55.4% vs.46.7%(p=0.003)であった。・90日間で15 letter以上改善のBCVA達成患者の割合は、試験1ではネパフェナク0.3%投与群が有意に高かった(77.2% vs.67.7%、p=0.009)が、試験2では同程度であった(65.4% vs.65.9%、p=0.888)。60日間で同改善の患者の割合も、同様の傾向が示された(試験1:76.2% vs.64.7%[p=0.002]、試験2:68.9% vs.62.1%[p=0.092])。・予期せぬ有害イベントは観察されなかった。

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認知機能低下が懸念されるスタチン、運動併用が有効か

 スタチン使用と認知機能低下との関連が懸念されている。熊本大学循環器内科の研究グループでは、既に軽度の認知機能低下のある冠動脈疾患(CAD)患者におけるパイロット研究から、スタチンと定期的な運動の併用が認知機能障害の改善に役立つ可能性を報告した。Internal medicine誌オンライン版2017年3月17日号に掲載。 軽度の認知機能低下を伴うCAD患者43例を連続して登録し、スタチン治療と共に院内で週1回の有酸素運動を5ヵ月間実施した。血清脂質および運動能力を測定し、また、mini-mental state examination(MMSE)を用いて認知機能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・軽度の認知機能低下を伴うCAD患者において、治療後、LDLコレステロール値が有意に減少し、最大運動能力(負荷)が有意に増加した。・スタチンと運動の併用療法により、コホート全体でMMSEスコア中央値(範囲)が24(22~25)から25(23~27)に有意に増加した(p<0.01)。・BMIの変化とMMSEスコアの変化との間に有意な負の相関がみられた。・治療後、BMIが減少した群ではMMSEスコアが有意に改善したが、BMIが増加した群では改善しなかった。・試験開始時にすでにスタチンを投与されていた患者は、スタチンを投与されていなかった患者よりも有意にMMSEスコアが改善した。・65歳以上・性別・糖尿病の有無で調整された多変量ロジスティック回帰分析において、 スタチンと運動の併用療法期間におけるBMI減少はMMSEスコア上昇と有意に相関していた(オッズ比:4.57、95%信頼区間:1.05~20.0、p<0.05)。

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夜間高血圧に対するARB/CCB併用の効果をICTモニタリングで証明~日本循環器学会

 夜間血圧の上昇は心血管イベントの増加につながることから、近年、夜間血圧が注目されている。自治医科大学の星出 聡氏は、2017年3月17~19日に行われた第81回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Clinical Trialセッションにおいて、情報通信技術(ICT)による夜間血圧モニタリングによって、コントロール不能な夜間高血圧症に対する2パターンのアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)併用療法を評価したNOCTURNE試験の結果を報告した。この結果は、Circulation Journal誌に同時掲載された。 患者はARB療法(イルベサルタン100mg/日)を行ってもベースライン時の夜間血圧が120/70mmHg以上の患者411例。患者はARB/カルシウム拮抗薬(CCB)併用群(イルベサルタン100mg+アムロジピン5mg)とARB/利尿薬併用群(イルベサルタン100mg+トリクロルメチアジド1mg)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、試験開始4週後(ベースライン)と12週後の夜間家庭血圧の変化である。 主な結果は以下のとおり。・夜間収縮期血圧は、ARB/CCB群は128.3mmHgから113.9mmHgに(p<0.0001)、 ARB/利尿薬群は128.3から117.9mmHg(p<0.0001)に、両群とも有意に低下した。・両群間の変化を比較すると、ARB/CCB群-14.4 mmHg、 ARB/利尿薬群-10.5mmHgと、ARB/CCB群で有意に低下していた(p<0.0001)。・サブグループ解析では、糖尿病、慢性腎臓病、高齢者(65歳超)を除き、ARB/CCB群で優れていた。・ICTベースの夜間家庭血圧モニタリングは、睡眠中も患者の客観的な夜間血圧測定を把握することができ、臨床試験に実用可能であった。

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チョコレート好きな人は脳卒中になりにくい!?

 チョコレート摂取は心臓血管に有益な効果をもたらす可能性があるが、前向きコホート研究でのエビデンスは少ない。今回、わが国の大規模コホート研究であるJPHC study(主任研究者:国立がん研究センター 津金昌一郎氏)において、チョコレート摂取と脳卒中リスクの関連を前向きに調査したところ、女性でのみ有意な逆相関を支持する結果が報告された。Atherosclerosis誌オンライン版2017年3月4日号に掲載。 本研究では、1995年および1998年のベースライン時に、心血管疾患・糖尿病・がんではなかった44~76歳の男性3万8,182人と女性4万6,415人を、それぞれ2009年および2010年末まで追跡調査した。138種類の飲食品を含む自記式食物摂取頻度調査法を用いて、各参加者のチョコレート摂取に関するデータを入手した。また、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、チョコレート摂取に関連する脳卒中のハザード比(HR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値12.9年で、脳卒中の発症が3,558件にみられた(脳梗塞2,146件、出血性脳卒中1,396件)。・年齢・BMI・ライフスタイル・食事摂取量・他の危険因子の調整後、女性において、チョコレート摂取が脳卒中リスク低下に有意に関連していた(HR:0.84、95%CI:0.71~0.99)。・男性における関連は有意ではなかった(HR:0.94、95%CI:0.80~1.10)。・上記の関連性は、男女とも、脳卒中のサブタイプで同様であった。・しかしながら、残存交絡は除外できなかった。

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冠動脈疾患と脳卒中における危険因子の違い

 冠動脈疾患(CHD)と脳卒中には共通のリスク因子があるが、CHDと脳卒中との関連の大きさや向きが異なる因子がある。藤田保健衛生大学の松永 眞章氏らは、アジア人におけるCHDと脳卒中による死亡において、各リスク因子による影響が異なるかどうかを、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、高血圧との関連は一致したが、喫煙や糖尿病など他のリスク因子については一致しなかった。Atherosclerosis誌オンライン版2017年3月6日号に掲載。 本研究は、ベースライン時にがん、CHD、脳卒中の既往がない40~79歳の10万4,910人について、1988~2009年に追跡調査した。競合リスク分析を用いて、各リスク因子と2つのエンドポイント(CHDと脳卒中)との関連の違いを調べた。また、各リスク因子の集団での影響を推定するために、これらのエンドポイントにおける人口寄与割合も計算した。 主な結果は以下のとおり。・中央値19.1年間の追跡期間中、CHDにより1,554人が死亡し、脳卒中により3,163人が死亡した。・高血圧とCHDとの関連性は、大きさ・向きとも脳卒中と類似していた(多変量調整ハザード比におけるCHD vs.脳卒中:男性 1.63 vs.1.73、女性 1.70 vs.1.66)。・これらの関連の大きさは、喫煙(同:男性 1.95 vs.1.23、女性2.45 vs.1.35)および糖尿病(同:男性 1.49 vs.1.09、女性 2.08 vs.1.39)では異なっていた。・人口寄与割合は、CHDにおいては男性では喫煙、女性では高血圧が最も高く、脳卒中においては男女とも高血圧が最も高かった。

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RAS阻害薬によるクレアチニン値増加、30%未満でもリスク/BMJ

 RAS阻害薬(ACE阻害薬またはARB)服用開始後のクレアチニン値の上昇は、ガイドラインで閾値とされる増大幅が30%未満であっても、末期腎不全や心筋梗塞などの心・腎臓有害イベントや死亡リスクが漸増する関連があることが明らかにされた。クレアチニン値10%未満との比較で、10~19%の増加で死亡リスクは約1.2倍に、20~29%の増加で約1.4倍に増大することが示されたという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学校のMorten Schmidt氏らが、RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)の服用を開始した12万例超について行ったコホート試験の結果、明らかにした。BMJ誌2017年3月9日号掲載の報告。RAS阻害薬と末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連を検証 研究グループは1997~2014年の、英国プライマリケア医の電子診療録を含むデータベース「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)と病院エピソード統計「Hospital Episode Statistics」(HES)を基に、RAS阻害薬(ACE阻害薬またはARB)の服用を開始した12万2,363例を対象に、ACE・ARB開始後のクレアチニン値上昇と、心・腎臓アウトカムとの関連を調べた。 ポアソン回帰分析法を用いて、クレアチニン値30%以上の増加や10%増加ごとと、末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連についてそれぞれ検証した。解析では、年齢、性別、歴期間、社会経済状況、生活習慣、CKD、糖尿病、心血管の併存疾患、その他の降圧薬、NSAIDsの使用で補正を行った。RAS阻害薬服用後のクレアチニン値増加に伴い心・腎イベントリスクも段階的に増加 RAS阻害薬服用後にクレアチニン値が30%以上増加したのは、被験者の1.7%にあたる2,078例だった。クレアチニン値の30%以上の増加は、評価項目としたすべての心・腎イベントの発症と関連が認められた。 クレアチニン値の増加30%未満での発生と比較した補正後罹患率比は、末期腎不全については3.43(95%信頼区間[CI]:2.40~4.91)、心筋梗塞は1.46(同:1.16~1.84)、心不全は1.37(1.14~1.65)、死亡は1.84(1.65~2.05)だった。 クレアチニン値の増加幅に応じた心・腎アウトカムについて調べたところ、10%未満、10~19%、20~29%、30~39%、40%以上と段階的にすべての評価アウトカムについてリスクが増加する傾向が認められた(いずれも傾向のp<0.001)。 死亡に関する補正後罹患率比は、クレアチニン値10%未満の増加との比較で、10~19%の増加で1.15(1.09~1.22)、20~29%の増加で1.35(1.23~1.49)だった。 これらの結果は、歴期間、サブグループ、服用継続の有無などで検討した場合も一貫して認められた。

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