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患者・家族とのトラブル、どう解決すべき!? 2017年“モンスターペイシェント”事情

“モンスターペイシェント”という言葉が使われるようになって久しいですが、診療で対応した患者やその家族とのトラブルや事件は後を絶ちません。「モンスター化させないことが大切」とは言うものの、実際皆さんどのように対応していますか? 医師1,000人から聞いたその実態と、対応策とは…。結果概要2人に1人以上が暴言や暴力、“通常の域を超え、診察に著しい影響を及ぼすレベル”の要求やクレーム経験あり全体では55.1%の医師が「経験がある」と回答した。2013年にケアネットが行った同調査では67.1%であったのと比較してやや減少したものの、依然として2人に1人以上が何らかの経験があることがわかった。経験の頻度は、1年に1度以下が最も多かったが、「月に1度」以上の人があわせて11.5%にのぼり、わずかではあるが「週に2~3度以上」(1.3%)と答えた人も。暴言、ネットへの誹謗中傷の書き込み、なかには立件レベルの事案も内容としては、「スタッフの対応が気に食わないなどのクレーム」が最も多く(47.2%)、「自分を優先した診療ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く」(33.4%)、「治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張」(30.3%)、「不要な投薬・過剰な投薬を要求」(23.6%)などが続いた。とくに悪質なケースとしては、「『訴える』『殺す』『暴力団関係者を連れてくる』『マスコミに流す』などと脅迫」(18.3%)や、「自身やスタッフに暴力を振るう」(15.1%)などがあり、「看護師の首を跡が残るくらい絞めた」「病室で拳銃を発砲」といったエピソードも寄せられた。3割超で対応マニュアル・ガイドライン整備。現場では警察OBが活躍、悪質なケースでは110番通報も患者やその家族とトラブルになった場合の最終的な対応として、およそ3人に1人が「以後の診察を拒否した」と回答。以下、「他の医師と担当を交代」(18.7%)「転院させた」(17.8%)などが続いた。一方、「とくに対応はしなかった」人は33.4%にのぼり、全選択肢の中で最も多い回答だった。「なるべく話を妨げずに聞き、嵐が去るのを待つ」など、ひたすら傾聴するというコメントも少なくなかったが、「カルテに詳細を記録する」「ICレコーダーは必須」などの証拠保全策、「すぐに対応部署に介入してもらう」「警察への通報を躊躇してはいけない」などの回避策も挙がった。また、「警察OBを雇用している」との回答は14.0%で、対応を一任できる安心感があるとのコメントが多かった。このほか、ネットの掲示板への誹謗中傷の書き込みや、患者のストーカー化など、精神的負担を強いられるエピソードも複数見られた。設問詳細診療で関わった患者・家族とのトラブルが発端となった事件が後を絶ちません。医療現場では今、何が起こっているのでしょうか。そこで、患者・家族からの暴言や暴力、通常の域を超えた要求やクレームにまつわる経験や対応について、皆さんが日常診療の中で遭遇した実例や対応策を、ぜひお聞かせください。Q1.患者・家族から暴言・暴力、その他“通常の域を超えている、診察に著しく影響を及ぼすレベル”の行動や要求、クレームを受けたことがありますかあるないQ2.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その頻度について最も近いものをお答え下さい週に2~3度以上週に1度半月に1度月に1度2~3ヵ月に1度半年に1度1年に1度それ以下Q3.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その内容について当てはまるものをすべてお答え下さい(複数回答可)自分を優先した診察ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く「空いている」などの理由で、時間外・夜間診療を繰り返す診察を受けずに投薬のみ要求不要な投薬・過剰な投薬を要求治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張検査・診察・食事・内服等を拒否入院を強要退院を拒否治療費・入院費を払わない「スタッフの対応が気に食わない」などのクレーム事実と異なることを吹聴(SNSへの書き込みなども含む)土下座など度を越した謝罪を要求「訴える」「殺す」「暴力団関係者を連れてくる」「マスコミに流す」などと脅迫自身やスタッフに暴力を振るうQ4.(Q1で「ある」と回答した方のみ)上記の患者・家族への対応で、ご経験があるものをお答え下さい(複数回答可)他の医師と担当を交代転院させた以後の診察を拒否弁護士・司法書士等に相談警察に相談警察に通報、出動を要請した患者の対応に参って体調を崩した退職したとくに対応はしなかったQ5.院内で設けられている対応策について当てはまるものをお答え下さい(複数回答可)対応マニュアルやガイドラインがある対策システムがある防犯・対策セミナーや訓練を実施している院内で事例を共有している対応担当者を決めている担当部署を設置している警察OBを雇用している弁護士・司法書士に相談する体制をとっている「警察官立寄所」のステッカー・看板等を掲示しているICレコーダー・カメラ等を設置しているとくに対応策をとっていないQ6.コメントをお願いします(具体的なエピソードや解決方法、対策ノウハウ、院内体制など何でも結構です)コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)エピソード夫が暴力団関係者であると脅され、患者に有利になるよう診断書を書くことを強要された(50代、整形外科)。ほか、診断書の内容についてのクレーム・過度の要求2件。入院中に無断外出しアルコールを飲んだうえ、暴言をはかれた。スタッフの協力によって解決したが、そのために使った時間と体力、精神力は大きなものだった(30代、神経内科)。ほか、無断外出によるトラブル2件。酔っ払い相手で困った経験がある。殴られ、刑事事件とした(40代、消化器内科)。ほか、直接暴力を受けたというコメント2件。救急外来での対応に不満を持ち、いったん帰宅して包丁を持って来院した患者がおり、以来救急外来に監視カメラが設置された(50代、麻酔科)。ほか、救急・夜間診療でのトラブル5件。ミュンヒハウゼン症候群の患者への対応に苦慮。精神神経科医や臨床心理士のサポートが不足している病院が少なくないように感じる(50代、内科)。ほか、精神疾患や認知症患者への対応についてのコメント7件。生活保護受給者が、売買目的で不必要な薬を大量に要求してくることが毎日のようにある(50代、泌尿器科)。ほか、生活保護受給者に関するトラブル4件。治療が家族の見立て通りに進まないことへの苦言から、威嚇行為に発展したことがある(30代、膠原病・リウマチ科)。ほか、家族への対応でのトラブル7件。患者にストーカー状態でつきまとわれ、病棟まで追いかけてこられた(30代、皮膚科)。ほか、ストーカーまがいのトラブル1件。ネット上の口コミで辛辣な書き込みをされて困っている(50代、内科)。ほか、ネット上での誹謗中傷1件。対策<複数での対応>問題がありそうな患者に対応するときは医師以外に看護師、事務スタッフを横に置き、必ずメモを取り、カルテにも記載する(60代、産婦人科)。基本的には別のスタッフが対応したり、複数で対応することで鎮静化することが多い(50代、循環器内科)。ほか、複数での対応が有効というコメント46件。<情報共有・専任部署の設置>上位の責任者を決めておくことは必須(50代、神経内科)。ほか、上司・院長などへの報告システムが重要とのコメント12件。日ごろから問題に発展しそうな事例についての情報共有と対策検討が不可欠(40代、精神科)。ほか、情報共有が重要というコメント34件。専任の医療安全部看護師が対応する(40代、内科)。ほか、クレーム対応部署等専任者・部署の設置39件。医療安全カンファレンスを定期的に開催している(20代、臨床研修医)。ほか、研修会等の開催5件。院内放送で、職員が集まるシステムになっている(50代、糖尿病・代謝・内分泌内科)、ほか、院内放送の活用5件。<接遇・態度>理不尽な要求は対応できないとはっきり伝え、以後は警察等を通すように言う(50代、内科)。ほか、毅然とした態度が重要というコメント23件。できるだけ入院や手術治療前に対応する(40代、消化器外科)。ほか、早め早めの対応が重要というコメント7件。患者が興奮している時は、なるべく刺激するようなことを言わない(60代、リハビリテーション科)、なるべく話しを妨げずに聞いて落ち着くのを待つ(50代、皮膚科)。ほか、まずは傾聴・丁寧な姿勢で臨むというコメント30件。<記録・録音>目の前でICレコーダーで記録を取っていることを見せている(40代、腎臓内科)。ほか、ICレコーダーが有効とのコメント3件。言葉を選んで話し、カルテに詳細に記録を残す。カルテ開示を念頭に置き、冷静に記載する(50代、皮膚科)。ほか、カルテへの詳細記録が有効とのコメント6件。<マニュアル・ガイドライン>マニュアルを各部署に配布し、理不尽な要求には応じないよう徹底している(50代、消化器内科)。ほか、マニュアルについてのコメント21件。<弁護士・警察・警備会社>トラブルが起こりそうな場合は、弁護士に連絡する体制をとっている(40代、消化器内科)。ほか、弁護士への相談体制が重要とのコメント5件。病院が警察OBと契約し、暴力事例への不安が軽減された(50代、循環器内科)。ほか、警察OBの雇用・常駐が有効とのコメント15件。違法な行為があればすぐに通報する(40代、小児科)。ほか、躊躇せず、すばやい通報が重要とのコメント6件。警備会社の自動通報システムが有効(60代、精神科)。ほか、民間警備会社の活用4件。

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糖尿病網膜症の白内障手術後、ネパフェナクが有用

 糖尿病網膜症を有する患者における白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与は、予期せぬ安全性に関わるイベントの発生を伴うことなく、術後黄斑浮腫のリスクを低下し、視力改善にも寄与することが示された。米国・クリーブランドクリニックのRishi P Singh氏らが、2件の第III相無作為化臨床試験の結果を分析し報告した。「試験の結果は、同患者の白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与について、臨床的ベネフィットがあることを示すものであった」と報告している。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月4日号掲載の報告。 糖尿病患者の白内障手術後の臨床的アウトカムについて、1日1回のネパフェナク0.3%点眼投与の有効性と安全性を溶媒と比較する検討が、2件の前向き無作為化多施設共同二重盲検溶媒対照試験にて行われた。試験1には615例が、試験2には605例が参加。被験者は、1日1回のネパフェナク0.3%投与または溶媒投与群に1対1の割合で割り付けられ、手術前日から90日間にわたって投与を受けた。 有効性の主要評価項目は、白内障手術後90日以内の、黄斑浮腫(ME:中心領域網膜厚が術前ベースラインから30%以上増加)発症患者の割合(%)と、最高矯正視力(BCVA:術前ベースラインから14日間で15 letter以上改善し、90日間改善が継続)を達成した患者の割合(%)とした。副次評価項目は、術前ベースラインから90日間および60日間での15 letter以上の改善や3ヵ月間の安全性の確認などとした。 主な結果は以下のとおり。・ネパフェナク0.3%投与群は溶媒投与群と比べて、術後90日間のME発症率が有意に低かった。試験1(2.3% vs.17.3%、p<0.001)、試験2(5.9% vs.14.3%、p=0.001)、プール解析(4.1% vs.15.9%、p<0.001)。・ネパフェナク0.3%投与群は溶媒投与群と比べて、ベースラインから14日間で15 letter以上改善し90日間継続したBCVA達成患者の割合も有意に高かった。試験1では61.7% vs.43.0%(p<0.001)、試験2は48.8% vs.50.5%(p=0.671)、プール解析では55.4% vs.46.7%(p=0.003)であった。・90日間で15 letter以上改善のBCVA達成患者の割合は、試験1ではネパフェナク0.3%投与群が有意に高かった(77.2% vs.67.7%、p=0.009)が、試験2では同程度であった(65.4% vs.65.9%、p=0.888)。60日間で同改善の患者の割合も、同様の傾向が示された(試験1:76.2% vs.64.7%[p=0.002]、試験2:68.9% vs.62.1%[p=0.092])。・予期せぬ有害イベントは観察されなかった。

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認知機能低下が懸念されるスタチン、運動併用が有効か

 スタチン使用と認知機能低下との関連が懸念されている。熊本大学循環器内科の研究グループでは、既に軽度の認知機能低下のある冠動脈疾患(CAD)患者におけるパイロット研究から、スタチンと定期的な運動の併用が認知機能障害の改善に役立つ可能性を報告した。Internal medicine誌オンライン版2017年3月17日号に掲載。 軽度の認知機能低下を伴うCAD患者43例を連続して登録し、スタチン治療と共に院内で週1回の有酸素運動を5ヵ月間実施した。血清脂質および運動能力を測定し、また、mini-mental state examination(MMSE)を用いて認知機能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・軽度の認知機能低下を伴うCAD患者において、治療後、LDLコレステロール値が有意に減少し、最大運動能力(負荷)が有意に増加した。・スタチンと運動の併用療法により、コホート全体でMMSEスコア中央値(範囲)が24(22~25)から25(23~27)に有意に増加した(p<0.01)。・BMIの変化とMMSEスコアの変化との間に有意な負の相関がみられた。・治療後、BMIが減少した群ではMMSEスコアが有意に改善したが、BMIが増加した群では改善しなかった。・試験開始時にすでにスタチンを投与されていた患者は、スタチンを投与されていなかった患者よりも有意にMMSEスコアが改善した。・65歳以上・性別・糖尿病の有無で調整された多変量ロジスティック回帰分析において、 スタチンと運動の併用療法期間におけるBMI減少はMMSEスコア上昇と有意に相関していた(オッズ比:4.57、95%信頼区間:1.05~20.0、p<0.05)。

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夜間高血圧に対するARB/CCB併用の効果をICTモニタリングで証明~日本循環器学会

 夜間血圧の上昇は心血管イベントの増加につながることから、近年、夜間血圧が注目されている。自治医科大学の星出 聡氏は、2017年3月17~19日に行われた第81回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Clinical Trialセッションにおいて、情報通信技術(ICT)による夜間血圧モニタリングによって、コントロール不能な夜間高血圧症に対する2パターンのアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)併用療法を評価したNOCTURNE試験の結果を報告した。この結果は、Circulation Journal誌に同時掲載された。 患者はARB療法(イルベサルタン100mg/日)を行ってもベースライン時の夜間血圧が120/70mmHg以上の患者411例。患者はARB/カルシウム拮抗薬(CCB)併用群(イルベサルタン100mg+アムロジピン5mg)とARB/利尿薬併用群(イルベサルタン100mg+トリクロルメチアジド1mg)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、試験開始4週後(ベースライン)と12週後の夜間家庭血圧の変化である。 主な結果は以下のとおり。・夜間収縮期血圧は、ARB/CCB群は128.3mmHgから113.9mmHgに(p<0.0001)、 ARB/利尿薬群は128.3から117.9mmHg(p<0.0001)に、両群とも有意に低下した。・両群間の変化を比較すると、ARB/CCB群-14.4 mmHg、 ARB/利尿薬群-10.5mmHgと、ARB/CCB群で有意に低下していた(p<0.0001)。・サブグループ解析では、糖尿病、慢性腎臓病、高齢者(65歳超)を除き、ARB/CCB群で優れていた。・ICTベースの夜間家庭血圧モニタリングは、睡眠中も患者の客観的な夜間血圧測定を把握することができ、臨床試験に実用可能であった。

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チョコレート好きな人は脳卒中になりにくい!?

 チョコレート摂取は心臓血管に有益な効果をもたらす可能性があるが、前向きコホート研究でのエビデンスは少ない。今回、わが国の大規模コホート研究であるJPHC study(主任研究者:国立がん研究センター 津金昌一郎氏)において、チョコレート摂取と脳卒中リスクの関連を前向きに調査したところ、女性でのみ有意な逆相関を支持する結果が報告された。Atherosclerosis誌オンライン版2017年3月4日号に掲載。 本研究では、1995年および1998年のベースライン時に、心血管疾患・糖尿病・がんではなかった44~76歳の男性3万8,182人と女性4万6,415人を、それぞれ2009年および2010年末まで追跡調査した。138種類の飲食品を含む自記式食物摂取頻度調査法を用いて、各参加者のチョコレート摂取に関するデータを入手した。また、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、チョコレート摂取に関連する脳卒中のハザード比(HR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値12.9年で、脳卒中の発症が3,558件にみられた(脳梗塞2,146件、出血性脳卒中1,396件)。・年齢・BMI・ライフスタイル・食事摂取量・他の危険因子の調整後、女性において、チョコレート摂取が脳卒中リスク低下に有意に関連していた(HR:0.84、95%CI:0.71~0.99)。・男性における関連は有意ではなかった(HR:0.94、95%CI:0.80~1.10)。・上記の関連性は、男女とも、脳卒中のサブタイプで同様であった。・しかしながら、残存交絡は除外できなかった。

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冠動脈疾患と脳卒中における危険因子の違い

 冠動脈疾患(CHD)と脳卒中には共通のリスク因子があるが、CHDと脳卒中との関連の大きさや向きが異なる因子がある。藤田保健衛生大学の松永 眞章氏らは、アジア人におけるCHDと脳卒中による死亡において、各リスク因子による影響が異なるかどうかを、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、高血圧との関連は一致したが、喫煙や糖尿病など他のリスク因子については一致しなかった。Atherosclerosis誌オンライン版2017年3月6日号に掲載。 本研究は、ベースライン時にがん、CHD、脳卒中の既往がない40~79歳の10万4,910人について、1988~2009年に追跡調査した。競合リスク分析を用いて、各リスク因子と2つのエンドポイント(CHDと脳卒中)との関連の違いを調べた。また、各リスク因子の集団での影響を推定するために、これらのエンドポイントにおける人口寄与割合も計算した。 主な結果は以下のとおり。・中央値19.1年間の追跡期間中、CHDにより1,554人が死亡し、脳卒中により3,163人が死亡した。・高血圧とCHDとの関連性は、大きさ・向きとも脳卒中と類似していた(多変量調整ハザード比におけるCHD vs.脳卒中:男性 1.63 vs.1.73、女性 1.70 vs.1.66)。・これらの関連の大きさは、喫煙(同:男性 1.95 vs.1.23、女性2.45 vs.1.35)および糖尿病(同:男性 1.49 vs.1.09、女性 2.08 vs.1.39)では異なっていた。・人口寄与割合は、CHDにおいては男性では喫煙、女性では高血圧が最も高く、脳卒中においては男女とも高血圧が最も高かった。

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RAS阻害薬によるクレアチニン値増加、30%未満でもリスク/BMJ

 RAS阻害薬(ACE阻害薬またはARB)服用開始後のクレアチニン値の上昇は、ガイドラインで閾値とされる増大幅が30%未満であっても、末期腎不全や心筋梗塞などの心・腎臓有害イベントや死亡リスクが漸増する関連があることが明らかにされた。クレアチニン値10%未満との比較で、10~19%の増加で死亡リスクは約1.2倍に、20~29%の増加で約1.4倍に増大することが示されたという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学校のMorten Schmidt氏らが、RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)の服用を開始した12万例超について行ったコホート試験の結果、明らかにした。BMJ誌2017年3月9日号掲載の報告。RAS阻害薬と末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連を検証 研究グループは1997~2014年の、英国プライマリケア医の電子診療録を含むデータベース「Clinical Practice Research Datalink」(CPRD)と病院エピソード統計「Hospital Episode Statistics」(HES)を基に、RAS阻害薬(ACE阻害薬またはARB)の服用を開始した12万2,363例を対象に、ACE・ARB開始後のクレアチニン値上昇と、心・腎臓アウトカムとの関連を調べた。 ポアソン回帰分析法を用いて、クレアチニン値30%以上の増加や10%増加ごとと、末期腎不全、心筋梗塞、心不全、死亡との関連についてそれぞれ検証した。解析では、年齢、性別、歴期間、社会経済状況、生活習慣、CKD、糖尿病、心血管の併存疾患、その他の降圧薬、NSAIDsの使用で補正を行った。RAS阻害薬服用後のクレアチニン値増加に伴い心・腎イベントリスクも段階的に増加 RAS阻害薬服用後にクレアチニン値が30%以上増加したのは、被験者の1.7%にあたる2,078例だった。クレアチニン値の30%以上の増加は、評価項目としたすべての心・腎イベントの発症と関連が認められた。 クレアチニン値の増加30%未満での発生と比較した補正後罹患率比は、末期腎不全については3.43(95%信頼区間[CI]:2.40~4.91)、心筋梗塞は1.46(同:1.16~1.84)、心不全は1.37(1.14~1.65)、死亡は1.84(1.65~2.05)だった。 クレアチニン値の増加幅に応じた心・腎アウトカムについて調べたところ、10%未満、10~19%、20~29%、30~39%、40%以上と段階的にすべての評価アウトカムについてリスクが増加する傾向が認められた(いずれも傾向のp<0.001)。 死亡に関する補正後罹患率比は、クレアチニン値10%未満の増加との比較で、10~19%の増加で1.15(1.09~1.22)、20~29%の増加で1.35(1.23~1.49)だった。 これらの結果は、歴期間、サブグループ、服用継続の有無などで検討した場合も一貫して認められた。

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インスリン療法の脱落理由、日本人における特徴は?

 日本の糖尿病患者と医師が認識しているインスリン療法の障壁を調査するために、京都大学の原島 伸一氏らは、8ヵ国が参加したGlobal Attitude of Patients and Physicians in Insulin Therapy(GAPP)スタディのサブ解析を実施した。その結果、インスリン療法を受けている日本人患者の多くが、おそらく低血糖への恐れやライフスタイルのために脱落する、もしくは治療を順守しないことがわかった。著者らは「患者のライフスタイルを妨げず、低血糖リスクを減少させるインスリン療法が必要」としている。Expert opinion on pharmacotherapy誌2017年1月号に掲載。 GAPPスタディは2010年に実施され、1,250人の医師がインターネット調査に参加し、そのうち日本の医師が100人、また1,530人の患者がコンピュータ利用の電話調査で回答し、日本の患者は150人であった。著者らは、日本人参加者の結果を他の7ヵ国における結果と比較した。 主な結果は以下のとおり。・日本人患者の44%がインスリン療法から脱落または非順守を報告し、他の国より多かった。・日本人医師は、インスリン治療への非順守は患者のライフスタイルによって引き起こされたと報告している。・日本では他の国に比べて低血糖の既往のある患者が多かった。・日本の医師の94%および患者の84%が、現在使用できるインスリン療法のレジメンが患者の多様なライフスタイルに適合しないと回答した。

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妊婦の肥満、子の脳性麻痺と関連?/JAMA

 母親の過体重や肥満は、早産、新生児仮死関連合併症、先天奇形のリスクを増加させ、これらの病態が新生児の脳性麻痺と関連することが知られているが、母親の過体重、肥満の重症度と子の脳性麻痺の直接的な関連やそのメカニズムは不明とされる。この問題を解明するために、米国・ミシガン大学/スウェーデン・カロリンスカ研究所のEduardo Villamor氏ら研究グループは、地域住民をベースとするレトロスペクティブなコホート研究を実施した。研究の成果は、JAMA誌2017年3月7日号に掲載された。142万例以上の子で、脳性麻痺と母親のBMIの関連を評価 本研究では、妊娠早期のBMI値と、妊娠期間別の脳性麻痺発生率の関連が検討され、媒介因子の評価が行われた。1997~2011年にスウェーデンで単胎児として出生した子と母親の全国的な登録データが用いられた。子の脳性麻痺の追跡調査は2012年まで行われた。 妊娠早期のBMIは、妊娠中の初回受診時に妊婦によって報告された身長と体重から算出した。妊婦の90%は、妊娠14週以内に初回の受診をしていた。WHO基準に従い、低体重(BMI<18.5)、標準体重(同18.5~24.9)、過体重(同25.0~29.9)、肥満1度(同30.0~34.9)、肥満2度(同35.0~39.9)、肥満3度(同≧40.0)に分類した。妊娠期間は、正期産(≧37週)、中等度早産(32~36週)、超早産(28~31週)、極早産(22~27週)に分けて解析した。 主要評価項目は脳性麻痺の発生とした。妊婦の出産時年齢、出身国、学歴、パートナーとの同居、身長、妊娠中の喫煙、出産年で補正したハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 142万3,929人の子が解析の対象となった。平均妊娠期間は39.8(SD 1.8)週、51.4%が男児であった。母親の肥満度が上がるほど増加、早産児では関連なし フォローアップ期間中央値7.8年(IQR:4.3~11.7)の間に、3,029人の子が脳性麻痺と診断された(発生リスク:生児出生1,000人当たり2.13人、発生率:1万人年当たり2.63人)。 母親の脳性麻痺リスク因子として、低学歴、北欧以外の国の出身、パートナーと同居していない、初産および経産回数が4回以上、低身長、妊娠中の喫煙、糖尿病性疾患、高血圧性疾患が挙げられた。 また、子の脳性麻痺リスク因子は、男児、短い在胎週数、器械分娩、分娩時外傷、出生時体重が<10および>97パーセンタイル、新生児感染症、新生児仮死関連合併症(胎便吸引、低酸素性虚血性脳症と関連疾患、新生児発作)、Apgarスコアが<7点、先天奇形(染色体異常、心血管奇形、神経系奇形など)であった。 母親の妊娠早期の平均BMIは24.5(SD 4.4)であった。低体重が2.4%、標準体重が61.8%、過体重が24.8%、肥満1度が7.8%、肥満2度が2.4%、肥満3度は0.8%であった。母親のBMIカテゴリー別の脳性麻痺児の数は、低体重64人、標準体重1,487人、過体重728人、肥満1度239人、2度88人、3度38人であり、1万人年当たりの発生率は、それぞれ2.58、2.35、2.92、3.15、4.00、5.19人だった。 標準体重の母親の子との比較における脳性麻痺の補正HRは、低体重が1.09(95%CI:0.84~1.41)、過体重が1.22(同:1.11~1.33)、肥満1度が1.28(同:1.11~1.47)、2度が1.54(同:1.24~1.93)、3度は2.02(同:1.46~2.79)と、肥満度が上がるほど上昇し、有意な関連が認められた(傾向検定:p<0.001)。 脳性麻痺児のうち、正期産は71%、中等度早産は13%、超早産は10%、極早産は6%であった。脳性麻痺発生率が、母親の過体重、肥満の重症度が上がるにしたがって上昇したのは、正期産の子のみであり(傾向検定:p<0.001)、早産児では有意な関連を認めなかった。 媒介分析では、母親の肥満が正期産児の脳性麻痺を引き起こす可能性と最も関連の強い媒介因子は新生児仮死関連合併症(45%)であり、次いで低Apgarスコア(30%)、器械分娩(17%)、神経系奇形(13%)の順であった。 著者は、「母親の過体重、肥満は子の脳性麻痺の発生率と有意に関連するが、これは正期産児に限られ、新生児仮死関連合併症の寄与が大きいと考えられる」とまとめ、「高い肥満有病率と、最も重症度の高い肥満の持続的な増加を考慮すると、母親の肥満と子の脳性麻痺の用量-反応的な関連は、公衆衛生学上の深刻な問題となる可能性がある」と指摘している。

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159)肥満サイクルからの脱出に向けて【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者中性脂肪が、なかなか減らないんです。医師中性脂肪はエネルギー源ですから、まずは体を動かすことが大切ですね。患者動かすこと?医師そうです。家でゴロゴロしていると、何かをつまみたくなります。患者確かに。医師そうすると、体脂肪が増えて、動きたくなくなります。患者それ、私です!医師それが「肥満サイクル」です!ここから抜け出すためには、ゴロゴロしないことが大切です。患者はい。わかりました。なるべく外へ出かけるようにします。●ポイントフレイルサイクル(加齢による食欲・食事量低下→低栄養→サルコペニア→動かない→食欲低下)と比較しての説明もできます

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「コタツの守(もり)をしているんです」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第4回

■外来NGワード「外に出て、歩くようにしなさい!」「暖かくなったら、運動しなさい!」「家の中で、何か運動しなさい!」■解説 運動不足気味の患者さんの中には「コタツの守をしているんです」という人がいます。外に出て運動するのは気持ちもよく、減量に効果的です。しかし、寒い日に外に出て運動するとなると、寒さによる血圧上昇が気になります。「家の中で、何か運動しなさい!」と運動指導をしてみても、ほとんどの人は反応してくれません。そこで、「コタツの守をしているんです」という患者さんの行動パターンを振り返ってみましょう。たいていの患者さんはコタツに入って、テレビを見ながら過ごしています。テレビの視聴時間が長い人は、肥満や糖尿病になりやすいことがよく知られています。その理由として、「テレビを見ながらゴロゴロしている」、「ながら食いをしている」ことなどが考えられています。なかには料理番組やグルメ番組などを見て食欲に火がつき、何かをつまんでいる人もいます。「普段、どんなテレビ番組をよく見ますか?」と尋ねて、頭を使うクイズ番組やスポーツ番組などの視聴を勧めてみましょう。最もお勧めなのは「テレビ体操」です。テレビ体操の時間帯(早朝、午前中、午後)をテレビの脇に貼っておき、身体を動かしたくなる生活環境をつくっておくことが大切ですね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師普段、家の中ではどんな生活をされていますか?患者コタツの守をしています(照れながら)。医師コタツの守ですか…外に出られることはありますか?患者外は寒くて…血圧が上がりそうで、なかなか…(抵抗)。医師なるほど。確かに、急に外に出ると血圧が上がりそうですね。暖かい格好をして、家の中で準備体操などをして、身体を温めてから外に出たいものですね。患者そうですね(弱い返事)。医師その返事からすると、暖かくなるまで外での運動は無理そうですね。患者ホホホッ…(苦笑い)。医師外が寒い場合、家の中で、何か運動されることはありますか?患者たまに、掃除をしたりはするんですが…なかなか(抵抗)。医師そうすると、テレビを見ながらゴロゴロしていたり。患者そうなんです。ゴロゴロしていると、何か食べたくなって…。医師そんな悪循環から脱出する、いい方法がありますよ!患者それは何ですか?(興味津々)医師普段は、どんなテレビ番組をよく見ますか?患者ニュースやバラエティが多いです。医師お勧めは「テレビ体操」です。テレビ体操の時間になったら、番組にチャンネルを合わせることです。そうすると、音楽に合わせて身体を動かせるでしょ。患者確かに、昔はラジオ体操をよくやっていました。医師ラジオ体操も第2までやると6分以上になりますが、そのくらい運動すると食後血糖も下がってくるそうです。患者そうなんですか。ちょっと、テレビ体操、やってみようかな。医師1日に3回、テレビ体操の放送があるそうなので、これをテレビの脇に貼っておいてくださいね(メモを渡す)。患者はい、わかりました。頑張ってやってみます!(うれしそうな顔)■医師へのお勧めの言葉「普段、どんなテレビ番組をよく見ますか?」

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看護師主導のケアモデルがインスリン導入を促進/BMJ

 看護師主導の新たなケアモデル「Stepping Upモデル」により、プライマリケアにおけるインスリン導入率が増加し、精神的安定が維持されHbA1cが改善することが示された。オーストラリア・メルボルン大学のJohn Furler氏らが、2型糖尿病患者のインスリン導入標準化と血糖コントロール改善のため、Stepping Upモデルの有効性を通常ケアと比較した無作為化試験の結果、報告した。2型糖尿病において早期に血糖コントロール目標を達成し維持することは、長期予後を改善するが、プライマリケアにおいては段階的な治療の強化、とくにインスリン導入に対する障壁があり、介入には限界があった。BMJ誌2017年3月8日号掲載の報告。一般診療所74施設の2型糖尿病患者266例で検証 研究グループは、適格基準(1人以上の医師および診療所看護師が研究に同意しており、同意を得た適格患者が1人以上いること)を満たしたオーストラリア・ビクトリア州の一般診療所計74施設において、12ヵ月間のクラスター無作為化比較試験を実施した。 対象は、最大用量の経口血糖降下薬(2剤以上)で治療を行うも血糖コントロール不良(HbA1c≧7.5%)の2型糖尿病患者266例(平均クラスターサイズ4例[範囲:1~8例])を、ブロックランダム化法によりStepping Upモデルによる介入群(36施設、151例)と通常ケアを行う対照群(38施設、115例)に無作為に割り付けた。Stepping Upモデルには、理論に基づいた診療システムの施行や、プライマリケア糖尿病チームにおける医療従事者の役割再教育などが含まれた。中核を成したのは、インスリン導入における診療所看護師の役割強化と、糖尿病教育資格を持つ専門看護師による教育であった。 主要評価項目は、HbA1cの変化、副次評価項目は治療をインスリンに変更した患者割合、HbA1c目標値を達成した患者割合、抑うつ症状(患者健康質問票:PHQ-9)や糖尿病特異的心理負担(糖尿病問題領域質問票:PAID)および一般的健康状態(QOL評価法:AQoL-8D)の変化などであった。12ヵ月後のインスリン導入率は対照群22%、介入群70%、HbA1cも有意に改善 HbA1cは両群とも改善したが、臨床的に有意な群間差が認められ、介入群のほうが良好であった(平均差:-0.6%、95%信頼区間[CI]:-0.9~-0.3%、p<0.001)。12ヵ月時にインスリンを開始していた患者は、介入群が151例中105例(70%)、対照群が115例中25例(22%)であり(オッズ比[OR]:8.3、95%CI:4.5~15.4、p<0.001)、HbA1c7%以下目標を達成した患者は介入群54例(36%)に対し対照群22例(19%)であった(OR:2.2、1.2~4.3、p=0.02)。 両群とも12ヵ月時に抑うつ症状の悪化は認められなかった(PHQ-9変化量[平均±SD]:-1.1±3.5 vs.-0.1±2.9、p=0.05)。しかし、メンタルヘルスに関しては有意差が認められ、介入群のほうが良好であった(精神的側面のAQoLサマリースコア変化量:0.04±0.16 vs.-0.002±0.13、平均差:0.04[95%CI:0.002~0.08]、p=0.04)。 身体的健康(身体的側面のAQoLサマリースコア変化量:0.03±0.15 vs.0.02±0.13)、糖尿病特異的心理負担(5.6±15.5 vs.-2.4±15.4)に関しては、差は認められなかった。また、重度の低血糖イベントの報告はなかった。

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米国の心臓病・脳卒中・糖尿病死の5割が食事に問題/JAMA

 ナトリウムや多価不飽和脂肪酸、ナッツ類、砂糖入り飲料、赤身肉などの不適切量摂取が、心臓病や2型糖尿病といった心血管代謝疾患による死因の約45%を占めることが、米国成人を対象に行った大規模試験の国民健康・栄養調査(NHANES)の結果、明らかにされた。米国・タフツ大学のRenata Micha氏らによる検討で、JAMA誌2017年3月7日号で発表した。米国の個人レベルでの食事因子と特異的心臓病などとの関連については、これまで十分な検討は行われていなかった。 果物、野菜、ナッツ類、全粒穀物などの摂取と心血管代謝疾患死亡の関連を分析 研究グループは、NHANES試験の参加者合計1万6,000例超(1999~2002年が8,104例、2009~12年が8,516例)を対象に、食事因子と心血管代謝疾患による死亡との関連を検証した。調査対象とした食事因子は、果物、野菜、ナッツや種、全粒穀物、未加工の赤身肉(牛肉・羊肉など)、加工肉、砂糖入り飲料、多価不飽和脂肪酸、シーフード・オメガ3脂肪酸、ナトリウムだった。 主要評価項目は、2012年の心臓病、脳卒中、2型糖尿病による予測死亡率とした。疾患別や年齢・性別による死亡率や、2002~12年にかけての傾向などについても分析した。ナトリウムの多量摂取が心血管代謝疾患死因の9.5% 2012年の米国成人の心血管代謝疾患死亡者数は70万2,308例で、そのうち心臓病によるものは50万6,100例(冠動脈性心疾患37万1,266例、高血圧性心疾患3万5,019例、その他9万9,815例)、脳卒中は12万8,294例(虚血性1万6,125例、出血性3万2,591例、その他7万9,578例)、2型糖尿病は6万7,914例だった。 このうち45.4%にあたる31万8,656例については、食事因子摂取が最適ではなかったことと関連していると推定された。より詳しくみてみると、男性の心血管代謝疾患による死亡の48.6%、女性の41.8%、若年層(25~34歳)の64.2%、75歳以上の35.7%が食事因子との関連が推察された。また、人種別では、アフリカ系が53.1%、ヒスパニック系が50.0%、白人系が42.8%。さらに教育レベル別にみると、低:46.8%、中:45.7%、高:39.1%との結果が示された。 食事因子が原因と考えられる死亡数が最も多かったのは、ナトリウムの多量摂取で、2012年の死亡数は6万6,508例であり、心血管代謝疾患死の9.5%を占めていた。次いでナッツ・種の少量摂取が5万9,374例(8.5%)、加工肉の多量摂取が5万7,766例(8.2%)、シーフード・オメガ3脂肪酸の少量摂取は5万4,626例(7.8%)、野菜の少量摂取は5万3,410例(7.6%)、フルーツの少量摂取は5万2,547例(7.5%)、砂糖入り飲料の多量摂取は5万1,694(7.4%)だった。 また2002~12年にかけて、人口補正後の年間心血管代謝疾患死亡数は26.5%減少した。この減少の最大の要因は、多価不飽和脂肪酸少量摂取の減少(相対変化率:-20.8%)、ナッツ・種少量摂取の減少(同:-18.0%)、砂糖入り飲料の多量摂取の減少(同:-14.5%)だった。一方で、最大の増加要因は、未加工赤身肉の摂取だった(同:14.4%)。 研究グループは、「今回の結果は、プライオリティの確認、公衆衛生プランのガイドや、食習慣の変化や健康増進の戦略策定に役立つであろう」とまとめている。

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2型糖尿病患者の動脈壁硬化に関わる因子

 2型糖尿病患者において、従来の心血管リスク因子や生活習慣は動脈壁硬化と関連するが、それらの因子を調整後も実際に動脈壁硬化と関連するかどうかは不明である。順天堂大学代謝内分泌学講座の研究グループが、日本人の2型糖尿病外来患者で、上腕足首間脈波伝播速度(baPWV)に関連する因子を調べたところ、従来の心血管リスク因子と生活習慣を調整後も、年齢、2型糖尿病の罹病期間、収縮期血圧、血清尿酸、尿中アルブミン排泄、睡眠の質の低下がbaPWVと関連していた。Journal of clinical medicine research誌2017年4月号に掲載。 本研究には心血管疾患の既往のない日本人の2型糖尿病の外来患者724例が参加し、自記式質問票を用いて生活習慣を分析した。従来の心血管リスク因子・生活習慣のbaPWVとの関連性を多変量線形回帰分析によって調べた。 以下の結果は以下のとおり。・被験者の平均年齢は57.8±8.6歳、62.8%が男性であった。・平均HbA1cは7.0±1.0%、2型糖尿病の罹病期間は9.9±7.2年であった。・年齢および性別を含む重回帰分析により、年齢および男性がbaPWVと正の関連が示された。・数多い従来の心血管リスク因子および生活習慣を調整後も、年齢、2型糖尿病の罹病期間、収縮期血圧、血清尿酸、尿中アルブミン排泄、睡眠の質の低下がbaPWVと正の相関を示した。一方、BMIはbaPWVと負の相関を示した。

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妊娠中の潜在性甲状腺疾患治療は児のIQを改善するか/NEJM

 妊娠8~20週の妊婦の潜在性甲状腺機能低下症または低サイロキシン血症に、甲状腺ホルモン補充療法を行っても、児の5歳までの認知アウトカムは改善しないことが、米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのBrian M Casey氏らの検討で示された。妊娠中の潜在性甲状腺疾患は、児のIQが正常値より低いなどの有害なアウトカムに関連する可能性が指摘されている。レボチロキシンは、3歳児の認知機能を改善しないとのエビデンス(CATS試験)があるにもかかわらず、欧米のいくつかのガイドラインではいまだに推奨されているという。NEJM誌2017年3月2日号掲載の報告。約1,200例の妊婦を疾患別の2つの試験で評価 研究グループは、児のIQに及ぼす妊娠中の潜在性甲状腺機能低下症と低サイロキシン血症のスクリーニング、およびサイロキシン補充療法の有効性を評価するために、2つの多施設共同プラセボ対照無作為化試験を実施した(Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Developmentなどの助成による)。 妊娠8~20週の単胎妊娠女性において、潜在性甲状腺機能低下症および低サイロキシン血症のスクリーニングを行った。潜在性甲状腺機能低下症は、甲状腺刺激ホルモンが≧4.00mU/L、遊離サイロキシン(T4)が正常値(0.86~1.90ng/dL[11~24pmol/L])と定義し、低サイロキシン血症は、甲状腺刺激ホルモンが正常値(0.08~3.99mU/L)、遊離T4が低値(<0.86ng/dL)と定義した。 試験は2つの疾患別に行い、被験者はレボチロキシンを投与する群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。甲状腺機能は毎月評価し、甲状腺刺激ホルモン(サイロトロピン)または遊離T4の正常値を達成するためにレボチロキシンの用量を調整し、プラセボは偽調整を行った。児には、発達および行動の評価が年1回、5年間行われた。 主要評価項目は、5歳時のIQスコア(検査データがない場合は3歳時)または3歳未満での死亡とした。IQの評価には、幼児版ウェクスラー知能検査(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence III[WPPSI-III])を用いた。 2006年10月~2009年10月に、潜在性甲状腺機能低下症677例(レボチロキシン群:339例、プラセボ群:338例)と、低サイロキシン血症526例(265例、261例)が登録された。割り付け時の平均妊娠週数は、それぞれ16.7週、17.8週であった。児のIQ、母子のアウトカムに差はない ベースラインの平均年齢は、潜在性甲状腺機能低下症のレボチロキシン群が27.7±5.7歳、プラセボ群は27.3±5.7歳、低サイロキシン血症はそれぞれ27.8±5.7歳、28.0±5.8歳であった。また、平均妊娠期間は、潜在性甲状腺機能低下症のレボチロキシン群が39.1±2.5週、プラセボ群は38.9±3.1週(p=0.57)、低サイロキシン血症はそれぞれ39.0±2.4週、38.8±3.1週(p=0.46)であった。 児の4%(47例、潜在性甲状腺機能低下症:28例、低サイロキシン血症:19例)で、IQのデータが得られなかった。妊婦および新生児の有害なアウトカムの頻度は低く、2つの試験とも2つの群に差はみられなかった。 潜在性甲状腺機能低下症の試験では、児のIQスコア中央値はレボチロキシン群が97(95%信頼区間[CI]:94~99)、プラセボ群は94(92~96)であり(差:0、95%CI:-3~2、p=0.71)、有意な差は認めなかった。また、低サイロキシン血症の試験では、レボチロキシン群が94(91~95)、プラセボ群は91(89~93)であり(-1、-4~1、p=0.30)、やはり有意差はなかった。 12、24ヵ月時のBayley乳幼児発達検査第3版(Bayley-III)の認知、運動、言語の各項目などを含む副次評価項目は、いずれも2つの試験の2つの群に差はみられなかった。 著者は、「本研究の結果は、英国とイタリアで2万1,846例の妊婦を対象に実施されたCATS試験と一致する」としている。

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158)「あぶら」の違いを漢字から解説【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、あぶらって2種類あるじゃないですか?医師2種類?患者「油」と「脂」です。これはどう違うんですか?医師まず、字が違いますね。「油」はさんずい偏だから、液体。オリーブ油や魚油は、室温では液体なので「油」です。それに対して。患者それに対して?医師バターやラードなど常温で固体となるものが「脂」です。患者なるほど。医師「月」(にくづき)のつく脂なので、魚の油と肉の脂と覚えておくとわかりやすいですよ。患者わかりました。頑張って体から脂を取るようにします!●ポイント「油」と「脂」の違いを融点(溶け出す温度)の差であることをわかりやすく説明します

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肥満と関連の強い11のがん種/BMJ

 肥満は、消化器系や女性のホルモン関連悪性腫瘍など11のがん種の発生およびがん死と強い関連があることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMaria Kyrgiou氏らの包括的な検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年2月28日号に掲載された。肥満といくつかのがん種の因果関係が、多くのメタ解析で示されているが、これらの関連を過大に評価する固有バイアスの影響が懸念されるという。このバイアスを回避するアプローチとして、近年、多くのメタ解析の全体に共通する主題のエビデンスを系統的に評価する包括的レビュー(umbrella review)が行われている。204件のメタ解析を包括的にレビュー 研究グループは、肥満と発がん・がん死リスクの関連のエビデンスの強度と妥当性を検証するために、系統的レビューとメタ解析の包括的レビューを行った(Genesis Research Trustなどの助成による)。 主解析は、肥満の連続測定値を用いたコホート研究を対象とした。これは、カテゴリカル測定値よりも、連続測定値を用いた研究のほうが、個々の試験の推定値の統合法の妥当性や標準化が優れると考えられるからである。 エビデンスは、ランダム効果を用いた要約推定量や、メタ解析の対象となった最大規模の研究などの統計的有意性から成る判定基準を適用し、4つのGrade(strong、highly suggestive、suggestive、weak)に分けた。エビデンスのGradeがstrongの場合に関連ありとした。 49編の論文に含まれた204件のメタ解析が解析の対象となった。これらのメタ解析は、507件の研究(コホート研究:371件[73.2%]、症例対照研究:134件[26.4%]、横断研究:2件[0.4%])を対象としていた。肥満の7つの指標(BMI、ウエスト周囲長、ヒップ周囲長、ウエスト-ヒップ比、体重、体重増加、肥満手術による体重減少)と、36の原発がんとそのサブタイプの発生、およびがん死との関連を解析した。リスク強度のエビデンスにより、個別化予防戦略の可能性 コホート研究を含み、肥満の測定に連続尺度を用いた95件のメタ解析のうち、がんとの関連のエビデンスがstrongと判定されたのは12件(13%)のみであった。10件がBMI、1件がウエスト-ヒップ比、1件が体重増加との関連を評価したものであった。 BMIの増加が、発症リスクの上昇と関連したがん種は、食道がん、男性の大腸がん(結腸、直腸)、胆道系および膵がん、閉経前女性の子宮内膜がん、腎がん、多発性骨髄腫の8種であった。また、体重増加およびウエスト-ヒップ比が発症リスクの上昇と関連したがん種は、ホルモン補充療法歴のない閉経後女性の乳がんおよび子宮内膜がんの2種であった。 BMIが5増加するごとの発がんリスクの上昇には、男性の大腸がんの9%(相対リスク[RR]:1.09、95%信頼区間[CI]:1.06~1.13)から胆道系がんの56%(1.56、1.34~1.81)までの幅がみられた。また、ホルモン補充療法歴のない閉経後女性の乳がんリスクは、体重増加5kgごとに11%上昇し(RR:1.11、95%CI:1.09~1.13)、子宮内膜がんのリスクは、ウエスト-ヒップ比が0.1増加するごとに21%上昇した(1.21、1.13~1.29)。 肥満の連続測定値に加え、カテゴリカル測定値を解析に含めると、体重増加と大腸がん、さらにBMIと胆嚢・胃噴門部・卵巣のがん、多発性骨髄腫による死亡との関連のエビデンスがstrongと判定された。したがって、全部で11のがん種が、肥満との関連のエビデンスがstrongであった。 一方、コホート研究だけでなく症例対照研究を含め、肥満の連続測定値とカテゴリカル測定値で評価すると、BMIは悪性黒色腫と髄膜腫との関連のエビデンスがstrongと判定されたが、コホート研究のみの評価によるエビデンスはweakであった。 著者は、「肥満は、世界的に公衆衛生の最も大きな問題の1つとされる。関連リスクの強度に関するエビデンスは、がんのリスクが高い集団を、高い精度で選択することを可能とし、これらの集団を対象とする個別化予防戦略の可能性も考えられる」と指摘している。

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糖尿病の若年発症は合併症リスクを高める/JAMA

 小児期や思春期に糖尿病と診断された10代ならびに若年成人患者は、糖尿病合併症および併存症の有病率が高く、とくに1型と比較して2型糖尿病患者で高値であることが示された。米国・コロラド公衆衛生大学院のDana Dabelea氏らが、小児・思春期糖尿病患者を対象とした観察研究の結果を報告した。著者は、「若年糖尿病患者では、早期から合併症発症に関するモニタリングを行うことが重要である」とまとめている。小児や思春期の1型および2型糖尿病有病率は世界的にも増加しているが、直近の若年糖尿病患者で合併症や併存症に関与する因子や有病率は不明であった。JAMA誌2017年2月28日号掲載の報告。20歳未満で糖尿病と診断された若年糖尿病患者を追跡し、予後調査を実施 研究グループは、米国5地域で進行していた住民を対象とする発生率登録ネットワークから、2002~06年または2008年に1型糖尿病または2型糖尿病と新たに診断された20歳未満の若年糖尿病患者を特定し、ベースラインならびに追跡調査時(1、2および5年後)に糖尿病合併症のリスク因子について評価した。このうち、糖尿病罹病期間が5年以上で10歳以上の参加者を対象に、2011~15年の間に糖尿病関連合併症に関する予後調査を行った。 リスク因子の測定項目は、BMI、腹囲、腹囲身長比、血圧(収縮期、拡張期:3回の測定の平均)、平均動脈圧、HbA1c値、空腹時Cペプチド、脂質、クレアチニン、尿中アルブミン量などで、予後調査時の主要評価項目は、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、末梢神経障害、心血管自律神経障害ならびに併存疾患(動脈壁硬化、高血圧症)とした。糖尿病罹病期間が平均約8年で、1型は3分の1、2型は3分の2が合併症を有する 解析対象は2,018例で、このうち1型糖尿病が1,746例(平均[±SD]年齢17.9±4.1歳、非ヒスパニック系白人1,327例[76.0%]、女性867例[49.7%])、2型糖尿病が272例(平均22.1±3.5歳、非ヒスパニック系白人72例[26.5%]、女性181例[66.5%])であった。糖尿病罹病期間は、1型および2型ともに平均7.9年であった。 2型糖尿病患者は1型糖尿病患者に比べ、心血管自律神経障害を除いたすべての合併症に関して年齢補正後有病率が有意に高かった(心血管自律神経障害の絶対差は1.2%、p=0.62)。 糖尿病罹病期間平均7.9年、推定21歳時の糖尿病合併症または併存症の有病率は、1型で32%、2型で72%であった。 また、経年的に測定されたリスク因子で補正すると、2型糖尿病患者は1型糖尿病患者より、糖尿病腎症(補正後オッズ比2.58、p=0.003)、糖尿病網膜症(2.24、p=0.02)、末梢神経障害(2.52、p=0.001)の補正後オッズ比が有意に高かったが、動脈壁硬化(1.07、p=0.80)と高血圧症(0.85、p=0.55)では差は認められなかった。

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認知症リスクへの糖尿病・高血圧・脂質異常症の影響

 インスリン抵抗性に起因する高血圧症や脂質異常症の患者と、糖尿病ではない高血圧症や脂質異常症の患者では、認知症リスクが異なる可能性がある。今回、台北医学大学のYen-Chun Fan氏らによる全国的な集団コホート研究から、糖尿病の有無により高血圧症や脂質異常症による認知症リスクの増加に差があることがわかった。著者らは、「糖尿病発症に続く高血圧症や脂質異常症の発症は糖尿病発症の2次的なものでインスリン抵抗性を介在する可能性があり、認知症リスクをさらに高めることはない」と考察し、「糖尿病自体(高血糖の全身的な影響)が認知症リスク増加の主な原因かもしれない」としている。Alzheimer's research & therapy誌2017年2月6日号に掲載。 著者らは、台湾の国民健康保険研究データベースから、後ろ向きコホート研究を実施した。糖尿病コホートは、2000~02年に新たに糖尿病の診断を受けた1万316人を登録し、非糖尿病コホートは、同時期に糖尿病ではなかった4万1,264人を無作為に選択した(年齢および性別が一致した人を1:4の比率で登録)。両コホートをそれぞれ、高血圧症または脂質異常症の有無により4群に分けた。 主な結果は以下のとおり。・20~99歳の5万1,580人が登録された。・糖尿病コホートは非糖尿病コホートに比べて認知症リスクが高かった(調整ハザード比[HR]:1.47、95%CI:1.30~1.67、p<0.001)。・糖尿病コホートでは、高血圧症と脂質異常症の両方を有する群は、どちらもない群と比較して、認知症リスクの増加は有意ではなかった(p=0.529)。高血圧症のみ(p=0.341)または脂質異常症のみ(p=0.189)の群でも同様の結果がみられた。・非糖尿病コホートでは、高血圧症と脂質異常症の両方を有する群は、どちらもない群と比べて認知症リスクが高く(調整HR:1.33、95%CI:1.09~1.63、p=0.006)、高血圧症のみの群でも結果はほぼ変わらなかった(調整HR:1.22、95%CI:1.05~1.40、p=0.008)。脂質異常症のみの群では認知症リスクの増加は有意ではなかった(p=0.187)。

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