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きわめて高いHDL-Cは心血管死リスク? EPOCH-JAPAN

 心血管疾患(CVD)に対するvery highやextremely highレベルの HDLコレステロール(HDL-C)の影響は十分にわかっていない。最近のいくつかの研究では、extremely highレベルのHDL-CのCVDイベントへの悪影響が報告されているが、原因別CVD死亡率との間に有意な関連はみられておらず、またアジア人集団では研究されていない。今回、日本の主要な循環器疫学コホート研究の統合データベース共同研究であるEPOCH-JAPANにおける大規模なプール解析により、extremely highレベルの HDL-Cがアテローム性CVDによる死亡率に悪影響を及ぼすことを示した。Journal of clinical lipidology誌オンライン版2018年2月8日号に掲載。 本研究では、9つの日本人コホート(40~89歳、4万3,407人)において大規模なプール解析を行った。参加者をHDL-C値により5群に分け、2.33mmol/L以上(90mg/dL以上)をextremely highとした。コホート層別Cox比例ハザードモデルを用いて、全死因死亡および原因別死亡について、1.04~1.55mmol/L(40~59mg/dL)の群と比較した各群の調整ハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・12.1年の追跡期間中に、全死因死亡が4,995人、CVDによる死亡が1,280人確認された。・extremely highレベルのHDL-Cは、アテローム性CVDによる死亡リスクの増加(ハザード比:2.37、95%信頼区間:1.37~4.09)、冠動脈疾患および脳梗塞リスクの増加と有意に関連していた。・extremely highレベルのHDL-Cのリスクは、現飲酒者でより顕著であった。

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低用量スタチンでの糖尿病リスク~日本のコホート研究

 低用量スタチンを服用している日本人の糖尿病新規発症リスクはこれまで検討されていない。今回、秋田大学医学部附属病院薬剤部の加藤 正太郎氏らは、低用量スタチン服用患者を、高力価スタチン群と低力価スタチン群に分けて糖尿病新規発症リスクを評価した。その結果、高力価スタチン群では低力価スタチン群と比べ有意に発症リスクが高かった。さらに、ステロイドや免疫抑制薬との併用で発症リスクが上昇するため、注意が必要と指摘している。Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics誌オンライン版2018年2月26日号に掲載。 本研究は、スタチン治療を開始した日本人患者2,554例の後ろ向きコホート研究である。同じスタチンの同じ用量を服用している患者のみ登録し、高力価スタチン群と低力価スタチン群に分けた。アウトカムはスタチン治療中の糖尿病新規発症率とした。 主な結果は以下のとおり。・本コホートにおける糖尿病新規発症率は7.4%(n=190)であった。・カプランマイヤー生存曲線により、低力価スタチン服用患者に比べ高力価スタチン服用患者において糖尿病新規発症率が有意に高いことが示された(p<0.001、log-rank検定)。・Cox比例ハザード回帰分析により、糖尿病新規発症リスクを有意に増加させる因子として、ベースライン時の空腹時血糖、高力価スタチン使用、男性、Ca拮抗薬・免疫抑制薬・ステロイドとの併用が特定された。

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多枝・左主幹部冠動脈疾患の死亡率、CABG vs.PCI/Lancet

 多枝冠動脈疾患患者では、冠動脈バイパス術(CABG)が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)よりも、死亡に関してベネフィットがあることが示された。とくに、糖尿病の併存や冠動脈の病変が複雑な患者ほど、その傾向は強かった。一方、左主幹部冠動脈疾患患者では、CABGがPCIよりもベネフィットがあることは示されなかった。オランダ・エラスムス大学医療センターのStuart J. Head氏らが、11の無作為化比較試験、被験者総数約1万1,500例を対象に行ったプール解析の結果で、Lancet誌オンライン版2018年2月22日号で発表した。これまで多くの無作為化試験で、冠動脈疾患患者についてCABGとPCIの比較が行われているが、血行再建術の戦略間で死亡の差を評価した試験はなかったという。2017年7月19日時点でレビュー、1年超の死亡転帰を含むRCTを特定 研究グループは、2017年7月19日時点でシステマティック・レビューを行い、CABGおよびステントを用いたPCIに関する無作為化比較試験を特定した。その中で、対象が多枝または左主幹部の冠動脈疾患を有する急性心筋梗塞歴のない患者、ステント(ベアメタルまたは薬剤溶出型)を用いたPCIを実施、全死因死亡について1年超のフォローアップを行っていた試験を適格として解析に含んだ。 対象試験のプール解析では、Kaplan-Meier法を用いて5年全死因死亡率を推算、ランダム効果Cox比例ハザードモデルで各試験を階層化し、CABGとPCIのアウトカムを比較した。また、治療効果の整合性について、ベースライン時の臨床・解剖学的特徴で定義したサブグループで、探索的解析を行った。多枝患者ではPCIとCABGで有意な差、左主幹部疾患では介入の違いで差はみられず 解析には11の無作為化試験、被験者総数1万1,518例(PCI群5,753例、CABG群5,765例)を包含した。平均追跡期間3.8年(SD 1.4)において、976例の死亡が報告された。 平均SYNTAXスコアは26.0(SD 9.5)であり、8,138例中1,798例(22.1%)が同スコア33以上だった。 5年全死因死亡率は、PCI群11.2%に対しCABG群9.2%だった(ハザード比[HR]:1.20、95%信頼区間[CI]:1.06~1.37、p=0.0038)。 多枝患者では、治療介入の違いによる5年全死因死亡率の有意差が認められた(PCI群11.5% vs.CABG群8.9%、HR:1.28[95%CI:1.09~1.49]、p=0.0019)。さらに多枝患者では、糖尿病の併存の有無による違いも認められた。多枝糖尿病群では、PCI群15.5% vs.CABG群10.0%(HR:1.48、95%CI:1.19~1.84、p=0.0004)であったが、多枝非糖尿病患者群では、8.7% vs.8.0%で有意な差は認められなかった(HR:1.08、95%CI:0.86~1.36、p=0.49)。多枝患者ではSYNTAXスコアによる違いもみられ、低スコア群では有意差はみられなかったが(スコア0~22の患者群、p=0.57)、高スコアになると有意差が認められた。スコア23~32の多枝患者群はp=0.0129、スコア33以上の多枝患者群では、PCI群17.7% vs.CABG群10.9%(HR:1.70、95%CI:1.13~2.55、p=0.0094)だった。 一方、左主幹部患者の5年全死因死亡率は、PCI群10.7% vs.CABG群10.5%で、有意差はなかった(HR:1.07、95%CI:0.87~1.33、p=0.52)。糖尿病の有無やSYNTAXスコアの違いによる差も認められなかった。

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「血圧の薬を止めたい」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第16回

■外来NGワード「飲まないと、大変なことになりますよ!」(医学的な怖がらせ)「どうして、私の言うことが聞けないんですか!」(憤りをそのまま伝達)「それなら、好きなようにしなさい!」(患者を見放す)■解説 雑誌やインターネットなどの情報を信じて、今まで飲んでいた「血圧の薬」を止めたいという患者さんがいます。なかには、医師に相談もせず、勝手に降圧薬を止めてしまう患者さんもいます。そういった患者さんに、上から目線で一方的に降圧薬を飲むように指示しても、納得されないことがよくあります。降圧薬の休薬に関する調査によると、休薬後に正常血圧が維持できている率は報告により幅があり異なりますが3~74%だそうです。その特徴として、治療前がI度高血圧(140~159/90~99)、若年者、正常体重、塩分摂取量が少ない、非飲酒者、降圧剤1剤のみの服用、臓器障害がなかったことでありました1)。また、血圧は、冬場には高く、夏場には低くなるという季節変動があることが知られています。降圧薬を減量もしくは中止すると、冬場に血圧が上昇して、脳卒中などのリスクが上昇する危険性があります。中止や減量ができる患者さんは、自分で血圧管理ができていることが条件となります。患者さんの「降圧薬を飲みたくないという気持ち」を理解した後に、降圧薬を飲む意義を患者さんに説明して、心血管疾患や認知症リスクを下げるために何ができるかを一緒に考えられるといいですね2)。 ■患者さんとの会話でロールプレイ患者先生、家で測ってみても血圧が今下がっていて、いい数値だと思うんですけど、この血圧の薬、いつまで飲まなければいけないですか?医師そういう質問、よく受けますよ。患者血圧の薬を止めることはできませんか?医師もちろん、止めることができる人も中にはいますよ!(前置きする)患者えっ、そうなんですか! どんな人なんですか?医師元々、血圧がそれほど高くなくて、動脈硬化がなくて、塩分や運動に気を付けていて、肥満が解消できた人です。患者なるほど。やっぱり、生活習慣に気を付けておかないとだめなんですね(気付きの言葉)。医師それに、もし止めるとするとしても、冬場は止めておいた方がいいですね。寒さで急に血圧が上がる場合もありますし…(身ぶり手ぶりを交えながら)。患者なるほど。今は寒くて、運動できていないし、なかなか痩せられなくて…。医師冬場は鍋物が多くなりますので、塩分の摂取量も夏場に比べると、多くなりがちですからね。患者確かに。医師血圧の薬を飲む目的は、血圧を下げることではなく、脳卒中や認知症などを防ぐことですからね(降圧薬服用の目的を再確認)。患者なるほど。運動して、体重を減らすよう頑張ってみます(嬉しそうな顔)。■医師へのお勧めの言葉「血圧の薬を止めることができる人も中にはいますよ!」「血圧の薬を飲む目的は、血圧を下げることだけではなく、寝たきりや認知症の予防のためですよ」■資料 休薬の目安とは?1)元々、I度の高血圧2)臓器障害がない3)減量、減塩、節酒など生活習慣を改善4)1つの降圧薬で良好の血圧コントロール5)自分で血圧管理ができている1)Sugiyama T, et al. Hypertens Res. 1998;21:103-108.2)坂根直樹. クイズでわかる保健指導のエビデンス50. 中央法規出版;2013.p52-53.

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肥満と肺がんの関連~プール解析

 肥満は肺がんにおける潜在的な防御因子とされている。今回、パリ第11大学のHarinakshi Sanikini氏らによる、4件のコホート研究におけるコホート内ケースコントロール研究のプール解析により、過体重・肥満が肺がんリスク低下に関連するというエビデンスが追加された。BMC cancer誌2018年2月23日号に掲載。 著者らは、ケースコントロール研究を米国、欧州、中国、シンガポールの4コホート(ケース4,172例、コントロール8,471例)の中に組み込んだ。ベースライン時のBMIにより、低体重(18.5未満)、正常体重(18.5以上25未満)、過体重(25以上30未満)、肥満(30以上)の4カテゴリーに分類した。BMIと肺がんの関連については、潜在的な交絡因子を調整し、無条件ロジスティック回帰を用いてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・参加者全体において、標準体重群を基準とすると、過体重群(OR:0.77、95%CI:0.68~0.86)と肥満群(OR:0.69、95%CI:0.59~0.82)で肺がんリスクの低下が認められた。・喫煙状況による層別解析において、現喫煙者・元喫煙者・非喫煙者の各群で、過体重群と肥満群での肺がんリスクの低下が認められた(相互作用のp=0.002)。・過体重群と肥満群の調整ORはそれぞれ、現喫煙者では0.79(95%CI:0.68~0.92)、0.75(95%CI:0.60~0.93)、元喫煙者では0.70(95%CI:0.53~0.93)、0.55(95%CI:0.37~0.80)、非喫煙者では0.77(95%CI:0.59~0.99)、0.71(95%CI:0.44~1.14)であった。・低体重群では、統計学的に有意な関連は認められなかった(現喫煙者におけるOR:1.24、95%CI:0.98~1.58、元喫煙者におけるOR:0.27、95%CI:0.12~0.61、非喫煙者におけるOR:0.83、95%CI:0.53~1.28)。

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スタチンによる糖尿病発症の危険因子~日本のPMSデータ

 スタチン使用と糖尿病や高血糖症リスクの増加との関連について、慶應義塾大学薬学部の橋口 正行氏らが、日本の市販後調査(PMS)データベースを使用したコホート内ケースコントロール研究で検討した。その結果、脂肪肝および高尿酸血症を併存している患者で、スタチン使用により糖尿病や高血糖症の発症が増加する可能性が示唆された。Clinical Pharmacology in Drug Development誌オンライン版2018年2月20日号に掲載。 データベースには、スタチンを使用している2万6,849例と他の脂質降下薬を使用している5,308例の高脂血症患者が含まれていた。本研究には、1種類以上のスタチンを使用し、スタチンの明確な投薬歴があり、糖尿病ではない患者が参加した。ケースは、スタチン使用中に糖尿病もしくは高血糖症が発症した患者で、各ケースに対して20例のコントロールを無作為に選択しマッチさせた。スタチン使用中の糖尿病および高血糖症のリスク上昇に関連する因子として、性別、年齢、BMI、スタチン使用期間、併存疾患、併用薬、臨床検査値などを検討した。スタチンに関連する糖尿病もしくは高血糖症は、基準範囲を超える異常な血糖値上昇により同定した。 主な結果は以下のとおり。・1万9,868例が試験対象基準を満たし、そのうち24例がケース(スタチン使用中に糖尿病もしくは高血糖症を発症)群の患者であった。・糖尿病もしくは高血糖症の発症について、脂肪肝(調整オッズ比:16.10)および高尿酸血症(調整オッズ比:28.96)の2つの併存疾患因子が抽出された。・非アルコール性脂肪肝は、糖尿病、肥満、インスリン抵抗性と関連し、高尿酸血症は生活習慣と関連していた。

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リアルタイムCGMはハイリスク1型DM患者に有益/Lancet

 インスリン頻回注射(MDI)治療を受けており、低血糖症による意識障害または重症低血糖症を呈したことがある1型糖尿病患者において、リアルタイム持続血糖モニタリング(rtCGM)システムは低血糖症のイベント件数を減らすことが、多施設共同無作為化試験で示された。ドイツ・Science-Consulting in Diabetes GmbHのLutz Heinemann氏らが報告した。これまで、MDI治療を受けるハイリスクの1型糖尿病患者において、低血糖症の回避にrtCGMが有効であるのかは不明であった。Lancet誌オンライン版2018年2月15日号掲載の報告。無作為化試験で自己血糖モニタリングの場合と比較 rtCGMシステムの使用が、低血糖症の発生や重症度を抑制するかどうかを確認するため、ドイツ国内の糖尿病診療施設12ヵ所で、6ヵ月間の非盲検並行群比較による無作為化対照試験を行った。1型糖尿病で、前年に低血糖症による意識障害または重症低血糖症歴がある患者を適格とした。 全患者は、盲検下でrtCGMシステムを28日間装着・使用し(ベースライン)、その後、ブロック無作為化法を用い、試験地を層別化変数として1対1の割合で、非盲検rtCGM(Dexcom G5モバイルシステム)群または対照(連続自己血糖モニタリング:連続SMBG)群に無作為に割り付けられ、26週間の介入を受けた。対照群はフォローアップ期間中(22~26週)、盲検下でrtCGMシステムを使用した。 主要アウトカムは、フォローアップ期間中に発生した、ベースライン補正後の低血糖症イベント(グルコース値3.0mmol/L以下が20分以上と定義)の回数とした。 全データセットには、ベースラインとフォローアップの期間中にrtCGMシステムを使用した被験者が包含された。低血糖症の発生率比、rtCGM群は72%減少 2016年3月4日~2017年1月12日に、149例が無作為化を受け(対照群74例、rtCGM群75例)、141例がフォローアップ期間を完遂した(対照群66例、rtCGM群75例)。 低血糖症イベント回数(/28日間)は、rtCGM群では10.8回(SD 10.0)から3.5回(4.7)と、減少が認められた。一方、対照群では減少と呼べる回数減は認められなかった(14.4回[12.4]から13.7回[11.6])。 低血糖症イベントは、rtCGM群では有意に72%減少したことが認められた(発生率比:0.28[95%信頼区間[CI]:0.20~0.39]、p<0.0001)。 重篤有害事象は18件報告された。うち7件は対照群での報告(重症低血糖症2件、腎移植1件、心筋梗塞1件、大腸ポリープ2件、痙攣1件)で、10件はrtCGM群(重症低血糖症4件、糖尿病性足潰瘍2件、スズメバチ刺傷後のアレルギー反応1件、骨折2件、腎腫瘍切除1件)、1件は無作為化前の報告であった。試験デバイスに関連した報告例はなかった。

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Real World Evidenceからみたカナグリフロジンの有用性(解説:吉岡成人 氏)-819

カナグリフロジンの新たなエビデンス ADA(American Diabetes Association)のガイドラインでは心血管リスクを持つ2型糖尿病患者に、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンやカナグリフロジンの積極的な使用を推奨している。その根拠となる臨床試験は、EMPA-REG OUTCOME試験およびCANVASプログラムである。これらの臨床試験における主要評価項目は心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合イベントの発生率であり、対象となった患者も心血管疾患のハイリスクグループであった。今回紹介するのは、米国における民間の医療データベースを基に、2型糖尿病患者における投与薬剤と心血管イベントについて検討したReal World Evidenceとしてのデータである。医療データベースを基に検証 今回の研究は、米国の民間の医療データベースOptum Clinformatics Datamartを基に、18歳以上の2型糖尿病の患者で、2013年4月から2015年9月までにSGLT2阻害薬であるカナグリフロジンまたはDPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SU薬の使用を開始したものを対象として、心血管イベントの発症を比較したものである。処方データを抽出し、患者の背景をマッチさせ、イベントの発症を検討する後ろ向きコホート試験である。 主要評価項目は心不全による入院と複合心血管イベント(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中による入院)となっている。カナグリフロジンは心不全の入院を減らすが、心筋梗塞や脳卒中は抑制しない Real world dataを基にした30ヵ月間の観察において、カナグリフロジンが他の薬剤に比較して心不全による入院のリスクを有意に低下させることが確認された。カナグリフロジンンとDPP-4阻害薬を比較した場合、イベントの発生頻度はそれぞれ8.9/1,000人年、12.8/1,000人年であり、ハザード比は0.70(95%信頼区間[CI]:0.54~0.92)。GLP-1アナログ、SU薬と比較したハザード比も0.61(95%CI:0.47~0.78)、0.51(95%CI:0.38~0.67)であった。しかし、複合心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中による入院)については、抑制効果は認められず、ハザード比はDPP-4阻害薬と比較して0.89(95%CI:0.68~1.17)、GLP-1アナログでは1.03(95%CI:0.79~1.35)、SU薬でも0.86(95%CI:0.65~1.13)であった。この傾向は、ベースラインにおけるHbA1c値や心疾患や心不全の既往の有無によってサブグループ解析を行っても同様であったと報告されている。 心疾患の既往の有無などを問わず、カナグリフロジンは心不全による入院を他の薬剤に比較して有意に30~49%抑制するものの、心筋梗塞や脳卒中による入院は抑制し得ないことになる。とはいえ、解析の対象となった患者の平均年齢はおよそ57±10歳前後と若く、観察期間も各群でマッチさせることができたのは0.6±0.5年ほどでしかない。これらの点を勘案すると、SGLT2阻害薬であるカナグリフロジンは、患者の年齢を問わず、投与開始後早い時期から、心不全による入院を抑制する効果を持っているといえる。 SGLT2阻害薬が新たなカテゴリーの利尿薬として心不全を抑制しているのか、それとも、利尿効果を超えた心血管イベント抑制の効果があるのか、今後の展開に期待したい。

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低脂肪vs.低炭水化物ダイエット、体重減効果は?/JAMA

 健康的低脂肪(HLF)ダイエットと健康的低炭水化物(HLC)ダイエットについて、12ヵ月後の体重減効果は同等であることが、米国・スタンフォード大学のChristopher D.Gardner氏らが、609例を対象に行った無作為化比較試験で示された。また遺伝子型やダイエット開始前のインスリン分泌能は、いずれの食事療法の体重減効果とも関連がみられなかったという。結果を踏まえて著者は、「疾病の素因と仮定される遺伝子型およびインスリン分泌能は、HLFとHLCのどちらが至適な食事療法かを識別するのには役立たないようだ」とまとめている。JAMA誌2018年2月20日号掲載の報告。非糖尿病18~50歳を対象に無作為化試験、1年後の体重減を比較 研究グループは、2013年1月29日~2015年4月14日にかけて、BMI値28~40、非糖尿病の18~50歳、609例を対象に、無作為化試験「DIETFITS」(The Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success)を開始し、2016年5月16日まで追跡した。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはHLFダイエットを、もう一方にはHLCダイエットをそれぞれ12ヵ月間行った。具体的には健康教育者が、ダイエットに特異的な少人数セッション(12ヵ月間で22回)を通じて、行動変容を促す介入を行った。 試験では、3つの代表的な一塩基多型(SNP)反応パターンまたはインスリン分泌能(糖負荷後30分の血中インスリン濃度:INS-30)と、体重減との関連についても検証した。体重減は同程度、遺伝子型やインスリン分泌能との関連は認められず 被験者609例の平均年齢は40歳(SD 7)、女性は57%、平均BMI値は33(SD 3)、低脂肪遺伝子型は244例(40%)、低炭水化物遺伝子型は180例(30%)、INS-30平均値は93μIU/mLだった。試験完遂者は481例(79%)だった。 12ヵ月間の多量栄養素の平均分布値は、炭水化物はHLF群48%、HLC群30%、脂肪はそれぞれ29%、45%、蛋白質は21%、23%だった。 12ヵ月時点の体重変化の平均値は、HLF群-5.3kg、HLC群-6.0kgだった(群間差平均:0.7kg、95%信頼区間[CI]:-0.2~1.6kg)。 12ヵ月の体重減について、ダイエットの種類と遺伝子型に相互関連はみられず(p=0.20)、ダイエットの種類とインスリン分泌能(INS-30)にも相互関連は認められなかった(p=0.47)。 なお、18件の有害事象が認められたが、発生の割合は両群で同程度だった。

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てんかん患者の傷害・事故リスクに関するコホート研究

 てんかんの診断を新規に受けた患者における、合併症関連の傷害・事故リスクについて、スウェーデン・カロリンスカ研究所のBenno Mahler氏らが検討を行った。Neurology誌オンライン版2018年1月31日号の報告。 対象はストックホルム北部のてんかん患者で、2001年9月~2008年8月に非誘発性発作を起こした2,130例。すべてのてんかん患者につき、集水域の人口から性別および包含年に一致した8個体をランダムに抽出し、対照群(16,992例)とした。傷害・事故の発生は、スウェーデン患者レジストリおよび死亡原因レジストリの2013年12月までのデータより収集した。また、これらのレジストリから、併存疾患(脳腫瘍、脳卒中、精神医学的疾患、糖尿病など)に関する情報も収集した。 主な結果は以下のとおり。・傷害・事故は、てんかん患者1,033例、対照群6,202例において認められた(HR:1.71、95%CI:1.60~1.83)。・てんかんの診断から最初の2年間におけるリスクが高かった。・性別および教育状況は、ハザード比に有意な影響を及ぼさなかった。・そのリスクは、小児では正常であったが、成人では増加した。・溺水、中毒、服薬による有害事象、重篤な外傷性脳損傷で、ハザード比が最も高かった。・併存疾患のない対照群と比較したハザード比は、併存疾患のないてんかん患者1.17(95%CI:1.07~1.28)、併存疾患のある対照群4.52(95%CI:4.18~4.88)、併存疾患のあるてんかん患者7.15(95%CI:6.49~7.87)であった。 著者らは「新規てんかん患者において、傷害・事故リスクに関するカウンセリングを行う際には、併存疾患の有無を考慮する必要がある。てんかん診断から最初の2年間のリスクが最も高いため、早期の情報提供が重要である」としている。■関連記事てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきかADHDの小児および青年における意図しない怪我のリスクとADHD薬の影響

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慢性疾患でがん罹患・死亡リスクが大幅増/BMJ

 糖尿病などの慢性疾患への既往や、血圧・コレステロールといった心血管疾患などのマーカーの異常は、がん罹患リスク、がん死亡リスクの増大と関連することが明らかにされた。慢性疾患は、がん罹患の5分の1以上を、がん死亡の3分の1以上を占めることも示された。一方でこうした慢性疾患に関連したがんリスクは、適度な運動により、40%近く低下することも示されたという。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHuakang Tu氏らが、40万例超を対象に行った前向きコホート試験の結果で、BMJ誌2018年1月31日号で発表された。40万例超を8.7年間追跡 研究グループは1996~2007年に、米国で総合的な健康診断を受けた18歳以上の40万5,878例を対象にコホート試験を行い、平均8.7年間追跡した。健診では、心血管疾患マーカー(血圧、総コレステロール、心拍数)、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)マーカー(蛋白尿、糸球体濾過量)、肺疾患、痛風性関節炎マーカー(尿酸)について、標準的な方法による測定または診断が行われた。 主要評価項目は、がん罹患率とがん死亡率だった。慢性疾患・マーカーによるがん罹患・死亡リスク、運動で約3~5割低減 8種の疾患・マーカーのうち、血圧値の異常と肺疾患既往以外は、がん罹患のリスクを有意に増大した(補正後ハザード比[HR]の範囲:1.07~1.44)。 がん死亡リスクについては、8種の疾患・マーカーすべてで有意な増加が認められた(HRの範囲:1.12~1.70)。 8種の疾患・マーカーを要約した慢性疾患リスクスコアは、その増大に伴いがん罹患リスクも上昇することが示された。同リスクの最高スコアは、がん罹患リスクを2.21倍(95%信頼区間[CI]:1.77~2.75)に、がん死亡リスクを4.00倍(95%CI:2.84~5.63)に、それぞれ増大した。 慢性疾患リスクの高スコアは、生存年数をかなり損失することと関連しており、同最高スコアによる損失生存年数は、男性は13.3年、女性は15.9年だった。 8種の疾患・マーカーすべてを合わせた、がん罹患率やがん死亡率の人口寄与割合は、それぞれ20.5%、38.9%であり、5つの主要生活習慣要因(喫煙、運動不足、果物や野菜の摂取不足、飲酒、肥満)を複合した場合の24.8%、39.7%に匹敵するものだった。 一方で、運動をすることで、8種の疾患・マーカーによるがん罹患・がん死亡リスクの上昇を減じることができた。身体的に活発な被験者は、運動不足の被験者と比べて、8種の疾患・マーカーによるがん罹患リスクは48%、がん死亡リスクは27%低かった。

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チョコが大好きな患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第15回

■外来NGワード「チョコは食べないようにしなさい!」(理想論の提示)「甘いものは食べないようにしなさい!」(あいまいな食事指導)「チョコは、これから買わないようにしなさい!」(無理な食事指導)■解説 最近、女性から男性だけでなく、女性から女性、さらには自分にチョコレートを贈るようになったバレンタインデー。バレンタインデーのシーズンになると、チョコレートはバカ売れで、消費量はチョコレートの年間消費量の1割強にもなるそうです。また、チョコレートが大好きな人は、他人に渡す分だけでなく、自分で食べる分も買っていたりします。ダークチョコレートには、ポリフェノールが含まれていることから、チョコレートには健康効果が高いとテレビや雑誌などで喧伝されています。しかし、そのエビデンスは限られています。確かに、観察研究を集めたメタ解析では、適度のチョコレートには心血管リスクを低下させる可能性があるのではないかと推察されています。しかし、肥満者を対象とした介入研究では、エネルギー制限をしていてもチョコレートだけでは、残念ながら脂質の改善は認められていません。患者さんの中には現在の食事にプラスして、チョコレートを食べることが健康につながると勘違いしている人がいます。介入研究では、チョコレート分のカロリーを減らして食べるように指導されたりしています。それらのチョコレートに関する研究情報を、患者さんに正しく伝えておくことが大切ですね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ患者コレステロールの値は大丈夫ですか? 卵を食べないようにして、食事には気を付けているのですが…。医師卵は控えられているということですか。実は、食事の中では卵というよりは「飽和脂肪酸」がコレステロールを上げないキーワードとなります。患者飽和脂肪酸って、どんなものに含まれているんですか?医師バター、マーガリンやショートニングなどに多く含まれていますので、お菓子や菓子パンには注意が必要ですね。患者あっ、それ大好きです。菓子パンがコレステロールを上げる原因だったんですね。医師あと、気を付けて欲しいのがチョコレート。チョコレートには飽和脂肪酸がたっぷり含まれていますからね。患者えっ、チョコレートは、健康にいいんじゃないんですか?医師確かに、苦いダークチョコにはポリフェノールが入っているので、コレステロールを上げないと期待されていたのですが、肥満の人ではあまり効果がないようです。患者えっ、そうなんですか。健康にいいと思って頑張って食べていたのに。医師それに、チョコを食べたら、その分のカロリーを減らさないといけないのですが、プラスされている人も多いですね。そのため、健康にいいと思って食べていて、体重が増えたという人もいますよ(第三者の話として伝える)。患者たとえば、どのくらいが適量なんですか?医師そうですね。難しいところですが、1枚=5gのチョコ5個で150kcalくらいありますから、ご飯軽く1杯分は減らさないといけないですね。患者それなら、私、チョコの食べすぎですね(気付きの言葉)。医師チョコは、頑張ったご褒美として食べてくださいね。患者わかりました。これからは、チョコは、チョコっとだけにします。■医師へのお勧めの言葉「チョコを食べるだけでは健康になりませんよ。ダークチョコレートを食べた分のカロリーを減らしておかないと、逆に、体重が増えてしまいますよ」1)Gianfredi V, et al. Nutrition.2018;46:103-114.2)Shah SR, et al. J Community Hosp Intern Med Perspect.2017;7:218-221.3)Lee Y, et al. J Am Heart Assoc.2017;12.

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カナグリフロジン、心不全入院を低下も心血管系入院は同等/BMJ

 2型糖尿病の治療において、SGLT2阻害薬カナグリフロジンは、クラスが異なる他の3つの経口薬(DPP-4阻害薬[DPP-4i]、GLP-1受容体作動薬[GLP-1RA]、スルホニル尿素[SU]薬)と比べて、心不全による入院リスクは30~49%低いことが、また急性心筋梗塞/脳卒中による入院リスクは同程度であることが示された。米国・ハーバード大学医学大学院のElisabetta Patorno氏らが、大規模な住民ベースの後ろ向きコホート試験を行い明らかにしたもので、BMJ誌2018年2月6日号で発表した。これまで、カナグリフロジンの心血管安全性を評価した「CANVAS試験」などの結果において、同薬は心不全による入院リスクの低減効果を示しており、今回3種の糖尿病治療薬と直接比較を行うことで、その効果が確認された。米国の民間医療データベースで検証 研究グループは、米国の民間医療データベース「Optum Clinformatics Datamart」を基に、18歳以上の2型糖尿病の患者で、2013年4月~2015年9月にかけて、カナグリフロジンまたはDPP-4i、GLP-1RA、SU薬の服用を開始した患者を対象に、後ろ向きコホート試験を行った。 主要アウトカムは、心不全による入院と複合心血管エンドポイント(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中による入院)だった。100以上のベースライン特性を調整した傾向スコアでマッチング法を用い、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推算した。SU薬群との比較では、心不全入院リスクおよそ半減 30ヵ月の追跡期間中、カナグリフロジン群の心不全による入院に関するHRは、DPP-4i群との比較で0.70(95%CI:0.54~0.92、比較対象:1万7,667組)、GLP-1RA群との比較で0.61(0.47~0.78、2万539組)、SU薬群との比較で0.51(0.38~0.67、1万7,354組)だった。 複合心血管エンドポイントに関するカナグリフロジン群のHRは、DPP-4i群との比較で0.89(0.68~1.17)、GLP-1RA群との比較で1.03(0.79~1.35)、SU薬群との比較で0.86(0.65~1.13)だった。 なお、ベースライン時のHbA1c値による追加補正を行った感度分析や、心血管疾患または心不全の既往歴の有無によるサブグループ解析の結果も同様なものだった。

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敗血症性ショックに対するグルココルチコイドの投与:長い議論の転機となるか(解説:吉田 敦 氏)-813

 敗血症性ショックにおいてグルココルチコイドの投与が有効であるかについては、長い間議論が続いてきた。グルココルチコイドの種類・量・投与法のみならず、何をもって有効とするかなど、介入と評価法についてもばらつきがあり、一方でこのような重症病態での副腎機能の評価について限界があったことも根底にある。今回大規模なランダム化比較試験が行われ、その結果が報告された。 オーストラリア、英国、ニュージーランド、サウジアラビア、デンマークのICUに敗血症性ショックで入室し、人工呼吸器管理を受けた18歳以上の患者3,800例を、無作為にヒドロコルチゾン(200mg/日)投与群とプラセボ投与群とに割り付けた。この際、SIRSの基準を2項目以上満たすこと、昇圧薬ないし変力作用のある薬剤を4時間以上投与されたことを条件とした。ヒドロコルチゾンは200mgを24時間以上かけて持続静注し、最長で7日間あるいはICU退室ないしは死亡までの投与とした。ランダム化から90日までの死亡をプライマリーアウトカム、さらに28日までの死亡、ショックの再発、ICU入室期間、入院期間、人工呼吸器管理の回数と期間、腎代替療法の回数と期間、新規の菌血症・真菌血症発症、ICUでの輸血をセカンダリーアウトカムとし、原疾患による死亡は除いた。 患者の平均年齢は約62歳、外科手術が行われた後に入室した患者は約31%、感染巣は肺(35%)、腹部(25%)、血液(7%)、皮膚軟部組織(7%)、尿路(7%)の順であり、介入前の基礎パラメーターや各検査値に2群間で差はなかった。なおショック発症からランダム化までは平均約20時間、ランダム化から薬剤投与開始までは0.8時間(中央値)であり、ヒドロコルチゾンの投与期間は5.1日(中央値)であった。 まずプライマリーアウトカムとしての90日死亡率は、ヒドロコルチゾン投与群では27.9%(1,832例中511例)、プラセボ投与群では28.8%(1,826例中526例)であり、有意差はなかった。次いでセカンダリーアウトカムでは、ショックから回復するまでの期間も、ICU退室までの期間も、さらに1回目の人工呼吸器管理の期間もヒドロコルチゾン投与群で有意に短かった(それぞれ3日と4日、p<0.001、10日と12日、p<0.001、6日と7日、p<0.001)。ただし再度人工呼吸器管理が必要な患者もおり、人工呼吸器を要しなかった期間としてみると差はなかった。輸血を要した割合も前者で少なかったが(37.0%と41.7%、p=0.004)、その他、28日死亡率やショックの再発率、退院までの日数、ICU退室後の生存期間、人工呼吸器管理の再導入率、腎代替療法の施行率・期間、菌血症・真菌血症発生率に差はなかった。 これまでの検討では、グルココルチコイドは高用量よりは低用量のほうが成績がよかったものの、二重盲検ランダム化比較試験では一致した結果が得られなかった1,2)。現行のガイドラインでも“十分な輸液と昇圧薬の投与でも血行動態の安定が得られない例”に対し、エビデンスが弱い推奨として記載されている3)。本検討は、上記のランダム化比較試験よりも症例数がかなり増えているのが特徴であり、2群で比較が可能であった項目も多い。したがって、グルココルチコイド投与の目的—改善を目指す指標—をより詳しく評価できたともいえる。一方で21例対6例と少数ではあるが、グルココルチコイド群で副作用が多く、中にはミオパチーなど重症例も存在した。グルココルチコイドとの相関の可能性を含んで、この結果は解釈したほうがよいであろう。本検討は、これまでの議論の転機となり、マネジメントや指針の再考につながるであろうか。これからの動向に注目したい。

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HbA1cと認知機能低下との関連~縦断研究

 HbA1c値および糖尿病の状況と、その後の10年間の認知機能低下について縦断的に調査したところ、これらの間に有意な関連が認められたことを中国科学院のFanfan Zheng氏らが報告した。Diabetologia誌オンライン版2018年1月25日号に掲載。 本研究では、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)のwave 2(2004~05年)からwave 7(2014~15年)のデータを分析した。認知機能をベースライン(wave 2)で評価し、wave 3~7で2年ごとに再評価した。線形混合モデルを使用して縦断的な関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は、ベースライン時のHbA1c値が15.9~126.3mmol/mol(3.6~13.7%)であった5,189人(女性55.1%、平均年齢65.6±9.4歳)。・平均追跡期間は8.1±2.8年、認知機能評価の平均回数は4.9±1.5回であった。・ベースライン時の年齢、性別、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、高感度CRP、BMI、教育、婚姻状況、うつ症状、現在の喫煙状況、飲酒、高血圧、CHD、脳卒中、慢性肺疾患、がんに関する調整後、HbA1cが1mmol/mol増加すると、認知機能全般のzスコア(-0.0009 SD/年、95%CI:-0.0014~-0.0003)、記憶のzスコア(-0.0005 SD/年、95%CI:-0.0009~-0.0001)、実行機能のzスコア(-0.0008 SD/年、95%CI:-0.0013~-0.0004)の低下速度が有意に増加した。・多変量調整された認知機能全般の低下速度は前糖尿病および糖尿病に関連して増加し、正常血糖の参加者と比べ、それぞれ-0.012 SD/年(95%CI:-0.022~-0.002)および-0.031 SD/年(95%CI:-0.046~-0.015)増加した(傾向のp<0.001)。・同様に、記憶、実行機能、見当識のzスコアから、糖尿病による認知機能低下速度の増加が示された。

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かかりつけ医の初診料に加算を新設:2018年度診療報酬改定 答申

 中央社会保険医療協議会(中医協)は、2月7日の総会で2018年度診療報酬改定案を了承し、加藤 勝信厚生労働相に答申した。今回の改定では、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据えて「地域包括ケアシステムの構築」が柱の1つとして掲げられ、外来医療の機能分化、歯科医・薬剤師との連携や生活習慣病の重症化予防を推進する項目が盛り込まれている。 外来医療の機能分化においては、かかりつけ医機能を持つ医療機関での初診料への加算(初診料 機能強化加算:80点)が新設される。大病院とかかりつけ医との役割分担を図り、専門医療機関への受診の要否判断を含めた、初診時におけるかかりつけ医の診療機能を評価することが目的だ。診療所または200床未満の保険医療機関における初診で、地域包括診療加算、地域包括診療料、認知症地域包括診療加算、認知症地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に限る)、施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に限る)の届け出等を行っていることが算定要件となる。 そのほか、かかりつけ歯科医との「診療情報連携共有料」や、かかりつけ医と認知症サポート医との連携による「認知症サポート指導料」の新設、「生活習慣病管理料」の算定要件への記載項目の追加(例:糖尿病患者では血糖値およびHbA1c、高血圧患者では血圧を必ず記載する)なども盛り込まれている。■参考中央社会保険医療協議会 総会(第389回) 議事次第

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男性のAGA、高血圧と有意に関連

 男性型脱毛症(AGA)については、これまでの研究で、メタボリック症候群に関連するさまざまな因子との関係が示されているが、一貫した結果は得られていない。韓国・延世大学校原州医科大学のBo-Kyung Kim氏らが、韓国の地域住民を対象とした断面調査を行った結果、AGAに関連のある因子には性差があり、男性では高血圧とAGAとの有意な関係が認められたことを報告した。著者は、「AGA発症のメカニズムに性差がある可能性があり、AGAの男性患者では血圧を評価し、高血圧の場合は介入したほうがよい」とまとめている。International Journal of Dermatology誌2018年2月号掲載の報告。 研究グループは、メタボリック症候群に関連するさまざまなリスク因子とAGAとの関連を、男性および女性において調査する目的で断面調査を行った。解析対象は韓国人2,028例(男性1,050例、女性978例)で、AGAの診断には基本的および特異的(BASP)分類を用い、質問票および診療記録よりリスク因子に関する情報を収集し解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・AGAは、男性および女性の両方において、年齢、AGAの家族歴、高血圧、糖尿病および胴囲と有意に関連していた。・AGAを有する女性は、脳血管障害、脂質異常および肥満が多い傾向にあったが、男性ではこのような関連は観察されなかった。・重回帰分析の結果、男性では高血圧とAGAとの間に有意な関連が認められ、女性では統計的に有意な関連はなかった。

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座りっぱなしの人の糖尿病対策あれこれ

 2018年1月23日、日本イーライリリー株式会社と日本交通株式会社は、共同で「ライフスタイルに合わせた糖尿病の治療と対策セミナー」を都内において開催した。セミナーには、糖尿病患者、糖尿病予備群、健康に興味がある日本交通株式会社のタクシードライバーが参加。医師、管理栄養士、フィジカルトレーナーの3人の専門家から糖尿病診療と対策についてレクチャーを受けた。就業に合った治療薬の選択が大事 はじめに石井 均氏(奈良県立医科大学 糖尿病学講座 教授)が「糖尿病『あなたにぴったりの治療』を見つけましょう」をテーマに、糖尿病診療の概要をコンパクトに説明した。 糖尿病は血液検査で診断すると説明し、「朝食前血糖値126mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、HbA1c6.5%以上のうち2つ以上が該当すれば糖尿病と診断され、項目が1つならば予備群として注意が必要だ」と警鐘を鳴らした。 また、糖尿病は、一度診断されると少数の例外を除いて現在の治療では治ることはなく、治療薬を使って一時的に血糖値を健康な人と同じように下げることができても、治療を中断するとまたぶり返すのが糖尿病であると治療継続の必要性を強調した。 糖尿病で怖いのが合併症の出現である。血糖値が高くなると血管が傷みやすく、神経や眼の障害のほか、最近では認知症、脂肪肝、がんの発症も報告されていると症例画像を示しつつ、説明を加えた。また、「“HbA1c6.5”という数字が合併症を予防するための1つの基準値である」としてDCCTとUKPDSのレポートを呈示し、注意を喚起した。 糖尿病の治療では、食事と運動、薬物療法が行われる。とくに薬物療法では、主治医と飲み方や回数をよく相談して決めてもらいたいと助言する。同時に副作用の情報もよく聞かれ、とくにドライバーが低血糖を起こすのは致命的となるので、治療薬選びには細心の注意を払ってほしいと述べた。最後に石井氏は、「最近では、医師と患者が相談しながら治療薬を決めていくようになっている。就業、生活状況に合わせた治療薬を選択してもらいたい」と説明を終えた。健康維持は自分で作るメニューから 次に浅野 まみこ氏(管理栄養士、株式会社エビータ代表取締役)が、「糖尿病の食事療法を考える 毎日簡単! 無理せずできる外食術」をテーマに、外食が多く、糖質・栄養面で偏りがちなドライバーに、簡単にできるメニュー作りを解説した。 問題のある食べ方として、「単品・シンプル」「食事時間が不規則」「炭水化物過多」を例に挙げ、さらに「食事の残念サイクル」として「早食い→満足度が低い→もっと食べたい→間食どか食い→血糖値が乱れる→栄養バランスが崩れる→早食い」を挙げ、注意を促した。 このサイクルを崩すためには、「(ポテト、マカロニ、春雨、マヨネーズ系サラダを除く)野菜を食事の最初に食べること」と助言。また、外食時は「(1)野菜を追加してベジファースト(2)単品よりも定食・おかず付き(3)調味料を追加しない」と3つのポイントを指導した。 次に、ドライバーの外食対策に触れ、たとえば立ち食いそば屋では、ワカメ、ネギ、卵のトッピングの追加、つゆと麺は半分残す覚悟で、おにぎり・いなり寿司の追加はダメ、麺はすすらずによく咀嚼するなど細かい点についてアドバイスを行った。同じく牛丼屋では、丼よりも定食を選択し、野菜、トロロなどの小皿を足すこと、小盛を注文することなどを指導した。コンビニでは、弁当ではなく、自分で定食メニューを作ることが提案され、一例としておにぎり、サラダセット、インスタントみそ汁で構成する工夫などが示された。そのほか、肉を食べる場合は揚物、ハンバーグなどの加工肉ではなく、焼肉などのシンプルなものを、間食はヨーグルトやナッツ、スティック野菜などが勧められ、飲み物では「みえない糖」に注意し、スポーツドリンクや缶コーヒーは控えてもらいたいとアドバイスを行った。 最後に浅野氏は外食5つのポイントとして、「(1)ダブル炭水化物はやめる(2)食事時間にリズムをつける(3)食事の最初に野菜を食べる(4)加工の少ない食材を選ぶ(5)間食は足りない栄養素を補給する時間」を示し、「食べないで我慢するのでなく、自分に合った食事を選ぶ力をつけてほしい」と説明を終えた。糖尿病予防には大きな筋肉と糖の効率的な使用で対応 次に「運動編」をテーマに、中野 ジェームズ 修一氏(フィジカルトレーナー)が、運動でできる糖尿病予防について、実技を交えレクチャーを行った。 糖尿病を運動で予防するためには、大きな筋肉で多くの糖を効率的に使うことが求められる。そのため考案された今回の運動では、負荷設定が少し高めにされ、筋肉量が多い太ももなど、下半身の筋肉を多く使用する。運動は、畳半畳程度で場所をとらず、5分程度ででき、スクワット、膝のアップを中心に9つの動作×10回で構成され、これを2セット行うものだという。実際、実技では、参加したドライバーが中野氏と同じ動作を行い、息を切らせながら汗を流していた。 最後に中野氏は、「運動は、一度習慣付けると長く続く。仕事の合間などにこの運動を行うことで、健康を維持してほしい」と期待を寄せ、終了した。■関連記事 eディテーリング(日本イーライリリー株式会社) 治療の継続と病診連携-トルリシティの優れた血糖低下効果と使いやすさを活かした診療-

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大腸がんの高齢者、心血管疾患発症率が約3倍

 大腸がんの高齢者は、心血管疾患(CVD、脳卒中および心筋梗塞)およびうっ血性心不全(CHF)を発症する危険性が高いことを、米国アラバマ大学のKelly M. Kenzik氏らが報告した。また、糖尿病や高血圧が化学療法と相互に影響し、心血管疾患の罹患リスクを高めることが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2018年1月16日号に掲載。 著者らは、SEER-Medicareデータベースから、2000年1月1日~2011年12月31日にStage I~IIIの大腸がんを発症した65 歳以上の7万2,408例を評価し、またメディケアのがん以外の患者コホートからマッチさせた7万2,408例と比較した。 主な結果は以下のとおり。・大腸がん診断時の年齢中央値は78歳(範囲:66~106歳)で、診断後の追跡期間中央値は8年であった。・新規のCVDおよびCHFの10年累積発症率は、対照群の22%および18%に対し、大腸がん患者群では57.4%および54.5%であった(p<0.001)。・CVDでは高血圧と化学療法との交互作用が有意であり(p<0.001)、CHFでは糖尿病と化学療法との交互作用が有意であった(p<0.001)。・CHFのハザードは、診断から2年以内で、カペシタビン単独治療がフルオロウラシル単独治療と比べて高かった(ハザード比[HR]:3.65、95%CI:2.76~4.38)。・一方、CVDのハザードは、診断から2年以内および2年超とも、フルオロウラシル単独治療がカペシタビン単独治療と比べて高かった(2年以下のHR:0.63、95%CI:0.53~0.75、2年超のHR:0.72、95%CI:0.62~0.84)。

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