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20歳前後のBMIで、乳がんリスク4倍以上の差

 BMIと乳がんリスクの間には、閉経前女性では逆相関、閉経後女性では正相関がみられる。今回、閉経前女性のBMIと乳がんリスクの逆相関がこれまで報告されていたよりも強く、成人初期(18~24歳)で最も強く関連することが、米国・国立がん研究所コホートコンソーシアムが推進するPremenopausal Breast Cancer Collaborative Groupの研究で示唆された。JAMA oncology誌オンライン版2018年6月21日号に掲載。 本研究では、BMIと閉経前乳がんリスクの逆相関について年代ごとに調査し、現在の年齢、乳がんリスク因子、ホルモン受容体の状態についても検討した。研究グループは、19件の前向きコホートにおける閉経前女性75万8,592人の個々のデータをプールし、18~24歳、25~34歳、35~44歳、45~54歳でのBMIについて閉経前乳がんのハザード比(HR)を、Cox比例ハザード回帰分析を用いて推定した。追跡期間中央値は9.3年(四分位範囲:4.9~13.5年)、1万3,082例で浸潤性もしくは非浸潤性乳がんが発症した。参加者のリクルートは1963年1月1日~2013年12月31日、分析は2013年9月1日~2017年12月31日に実施した。 主な結果は以下のとおり。・75万8,592人の閉経前女性(年齢中央値:40.6歳、四分位範囲:35.2~45.5歳)のデータを分析したところ、BMIと乳がんリスクとの線形の逆相関は、45~54歳のBMI(5kg/m2当たりのHR:0.88、95%CI:0.86~0.91)に比べ、18~24歳のBMI(同:0.77、95%CI:0.73~0.80)で強かった。・この逆相関は、過体重ではない女性でも観察された。・18~24歳において、BMIが最低(17.0未満)の群では最高(35.0以上)の群に比べ、乳がんリスクが4.2倍であった(HR:0.24、95%CI:0.14~0.40)。・現在の年齢や他の乳がんリスク因子の群間で、HRに大きな差はなかった。・ホルモン受容体陰性乳がんよりも、エストロゲン受容体(ER)陽性および/またはプロゲステロン受容体(PR)陽性乳がんのほうが、すべての年齢層でBMIと強い相関を示した。たとえば、18~24歳のBMIについて5kg/m2当たりのHRは、ER陽性およびPR陽性乳がんでは0.76(95%CI:0.70~0.81)、ホルモン受容体陰性乳がんでは0.85(95%CI:0.76~0.95)であった。・25~54歳でのBMIは、トリプルネガティブまたはホルモン受容体陰性の乳がんと関連はみられなかった。

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重症だからこそ…重要度増す非専門機関の役割【東大心不全】

急増する心不全。なかでもいまだ課題が残る重症心不全治療の現状と今後の展開について東京大学循環器内科/重症心不全治療開発講座 波多野 将氏に聞いた。重症心不全治療の現状について教えてください。国内での重症心不全は主に拡張型心筋症を基礎疾患としたケースが多いのが特徴です。これらの患者さんは、内科的治療では完全にコントロールしきれず、最終的には心臓移植が必要となります。国内の心臓移植の最新待機患者数(2018年4月末現在)は674人となっています。最近は新規待機登録患者は毎年150人以上増加していますが、ドナーの数が追い付かず、結果として待機患者数そのものが右肩上がりで増加しています。とはいえ、ドナーも年々増加しています。約20年前の臓器移植法制定当時は提供者本人の生前の書面意思表示と遺族の同意を必須としていたため、心臓移植件数は最大でも年間10件超でした。しかし、2010年の臓器移植法改正で本人の生前の意思が不明確な場合は遺族の同意のみでドナーとなれるようになり、過去2年の心臓移植は年間50件超となりました。限界があるとおっしゃった内科治療の現状について教えてください。日本での重症心不全の内科的治療に関しては、専門施設であっても世界的レベルからはやや距離があると個人的には考えています。欧米での重症心不全の内科的治療は、確固たるエビデンスに基づき、早期に患者の忍容性がある限り高用量のβ遮断薬を投与することが標準治療ですが、日本ではこの考え方が十分に浸透していません。この原因はいくつかあります。1つは欧米人に比べて日本人は小柄であるため、薬物治療全体として高用量投与に慎重な傾向があります。2つ目には重症心不全でのβ遮断薬の投与の仕方次第では、導入初期に逆に悪化させることもあり、そのような経験のある医師は高用量投与に消極的になりがちになります。3つ目として日本でのβ遮断薬の承認用量が欧米の半量以下という点も見逃せないと思います。当院の重症心不全例の基礎疾患で最も多い拡張型心筋症に関して言えば、心不全の病期で最重症のステージDの患者さんの7割は即座に移植待機登録をし、移植までの期間は補助人工心臓を使用します。残る3割は補助人工心臓を用いずに移植待機登録をする場合と移植待機登録しない場合に分けられ、その中でβ遮断薬に反応性がある患者さんでは内科的治療を行います。実際、諦めずに内科的治療を行うことでコントロール可能なケースも存在します。一方、移植待機患者の増加などもあって、近年では植込型補助人工心臓の永久使用に関する是非も検討にあげられているようです。そもそも現在の心臓移植の年齢基準や適応基準などで移植対象外の患者さんもいるため、現在臨床試験も行われています。欧米での重症心不全の内科的治療は、確固たるエビデンスに基づき、早期に患者の忍容性がある限り高用量のβ遮断薬を投与することが標準治療ですが、日本ではこの考え方が十分に浸透していません。当院の事例を説明すると、心臓移植を前提とした植込型補助人工心臓の使用例だけでも現時点で60例超で、その対応だけでも相当なマンパワーを要します。これに加え、将来的に永久使用の患者さんが加わると、新たなマンパワー確保という課題が浮上します。また、マンパワーの視点とは別に、永久使用では医療経済的な観点からも賛否両論があります。ただ、海外ですでに永久使用が認められている現実を考えれば、これを日本でどのように導入していくかという現実的な議論と対策が必要だと思います。やはりドナー不足も含めた心臓移植の現状改善が課題のようですが、その点について改善策があれば教えてください。心臓移植では循環器専門医の中でさえ、現実的治療選択肢と認識されていないことが少なくありません。そのため心臓移植が適応となる潜在患者さんは、現状の移植待機患者さんの数倍は存在すると見込んでいます。心臓移植は適応基準や除外基準がありますが、すでに立派な保険診療で重症心不全患者さんは等しくこの治療を受ける権利があります。まずは、多くの医師にそのことを知っていただきたいと思っています。この認識が広まることは一方で、移植待機患者数の増加をもたらし、ひいてはドナー不足をより深刻化させるのではないかとの懸念もあります。しかし、医師の間で心臓移植が現実的治療選択肢との認識を浸透させることは、実はドナー不足の解消にも貢献すると考えています。というのも、心臓移植の適応となるかもしれない重症心不全患者さんを初めてご紹介いただいた医療機関、ドナーを初めて紹介いただいた医療機関共に一度そのような経験をすると、以後立て続けに患者さんやドナーをご紹介いただけることが多いのです。心臓移植ではドナーからの提供の際、脳死判定が必須で提供医療機関は脳死判定委員会設置などの事前体制の整備が必要です。このため、院内体制が未整備の場合、臨床的脳死例が発生しても脳死判定という次のステップに進めません。ただ、逆に一旦判定の仕組みが整備されれば、その後も継続的に運用ができます。その意味でもやはり心臓移植が重症心不全の治療の1つであり、そのためにはドナーが必要になるという認識が広まることが心臓移植の現状改善のカギになると考えています。最も、そうした認識は、ここ4~5年でかなり浸透してきていると個人的には感じています。実際、心臓移植実施件数も昨年、一昨年とほぼ同じペースです。将来的には心臓移植が年間100件を超える日もそう遠いことではないだろうと考えています。東京大学では今年1月から「高度心不全治療センター」がオープンしましたが、その詳細について教えてください。当院では心臓移植開始後、心臓外科と循環器内科の医師とそれぞれの病棟看護師、移植コーディネーター、薬剤師、理学療法士などによる専任のハートチームができ、これまでさまざまなカンファランスを行うなど、良好な関係は築いてきました。新たに発足したセンターでは、循環器内科20床、心臓外科14床という病床区分はあるものの、このチームが1ヵ所に集約され、理想に近い形になったと考えています。従来は循環器内科で管理している植込型補助人工心臓患者さんのジェネレーター交換が循環器内科の病棟看護師では対応できないため、心臓外科病棟に患者さんを移動させて対応するということなどもありました。また、重症心不全では心臓移植後も免疫抑制薬の服用という新たな治療が始まり、事実上一生治療が続きます。そうした状況を考えれば、センターで一貫した治療を提供できることは患者さんの安心感にはつながると思います。重症心不全治療に当たって専門医以外の先生方にお伝えしたいメッセージがあれば教えてください。重症心不全では、心臓移植実施施設は全国で11施設、成人の植込型補助人工心臓実施施設は2018年5月現在で48施設と限定されています。また、各施設のキャパシティーには限界があり、患者さんの治療や日常管理は1施設で完結できません。実際、当院のような心臓移植施設では、待機患者さんの植込型補助人工心臓の管理などでは他の医療機関と協力していますし、新たな心臓移植施設の立ち上げ時の支援をすることもあります。現在、国内では植込型補助人工心臓患者さんの2年生存率、心臓移植患者さんの10年生存率共に90%を超え、移植手術時の周術期死亡率は5%未満と良好な臨床成績を実現していますが、これを維持・向上させるためには適切な時期での介入を強化することにつきます。重症心不全ではある程度を超えてしまうと、元の状態に戻すことは難しくなるというのが実状なのです。その意味では専門医、非専門医共に植込型補助人工心臓、心臓移植という治療の現状をご理解いただき、各地域内での連携を進めていただきたいと思います。講師紹介

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第1回 高齢者糖尿病は何歳から? 何に注意が必要?【高齢者糖尿病診療のコツ】

第1回 高齢者糖尿病は何歳から? 何に注意が必要?Q1 加齢と糖尿病の関係とは?糖尿病の頻度は加齢とともに増加します。平成28年度の国民栄養調査によると、70歳以上の高齢者で糖尿病が疑われる頻度は男性で23.2%、女性で16.8%となっています(図1)。また、糖尿病患者の中で70歳以上の割合は31.9%を占めています。加齢に伴う糖尿病患者の増加は、加齢に伴うインスリン抵抗性の増加、インスリンの追加分泌の低下、身体活動量の低下などが関係していると考えられています。画像を拡大するQ2 何歳以上を「高齢者糖尿病」として注意すべきでしょうか?高齢者糖尿病は一般に65歳以上の糖尿病を指しますが、「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」では、75歳以上の後期高齢者と機能低下がある一部の前期高齢者が、「高齢者糖尿病」として、とくに注意すべき治療の対象とされています。これは、後期高齢者の糖尿病が前期高齢者の糖尿病と比較して、異なる特徴を示しているからです。第一に、高齢糖尿病患者を対象としたJ-EDIT研究における、MMSE(認知機能検査)の点数をみてみると、65~69歳の患者と比較して75歳以上の患者ではじめて有意に低下します(図2a)。また、日常生活動作であるADLも80歳以上で低下します。同じJ-EDIT研究で老研式活動能力指標を用いて、買い物、金銭管理などの手段的ADL、知的活動、社会的役割を含む高次ADLの障害数を評価したところ、80歳以上で有意に高次ADLの障害数が大きくなります(図2b)。画像を拡大するさらに、高齢者は加齢とともに体組成が大きく変化します。65歳以上の入院高齢糖尿病患者を対象に内臓脂肪面積100cm2以上の蓄積の頻度をみると、75歳以上で内臓脂肪蓄積が増加しています(図3a)。さらに、DEXA法で四肢の筋肉量(除脂肪量)をみると、男女ともに80歳以上で有意に低下しています(図3b)。この内臓脂肪の増加と筋肉量の低下は、インスリン抵抗性を大きくすることで、高齢者糖尿病の病態に大きく関わっています。画像を拡大する腎機能も75~80歳以上で有意に低下します。eGFRcreは筋肉量の影響を受けやすく、eGFRcysや血清シスタチンC濃度の加齢変化をみてみると、80歳以上で有意に増加しています(図4)。この腎機能障害は腎排泄性の薬剤(たとえばSU薬)の蓄積をもたらし、低血糖などの副作用を起こしやすくします。低血糖に関しても、80歳以上の患者で救急外来を受診する低血糖や重症低血糖が起こりやすいことが知られています。この重症低血糖の増加の原因は、上記の薬剤の蓄積しやすさに加えて、急性疾患によって食事摂取が低下しやすいこと、認知機能やADLの低下によって低血糖の対処能力が低下することが考えられます。合併症の中では、80歳以上の患者で脳卒中と心不全が起こりやすいことが知られています。上記に加えて、社会サポートが低下しやすいために、自立した生活を送ることが難しくなるだけでなく、インスリン注射などの糖尿病に関するセルフケアも困難になります。画像を拡大する Q3 「高齢者糖尿病」の治療目的・診断は若壮年者と違うのでしょうか?上記の理由から、「高齢者糖尿病」の治療目的は合併症の予防だけではなく、QOLの維持向上を目指し、さらに認知機能障害、ADL低下、サルコペニアなどの老年症候群を予防することにあります(図5)。また、QOLの維持・向上を図るためには、低血糖などを防ぎ、食のQOLを保つことも大切です。さらに、患者のみならず介護者の治療の負担を軽減することも大切です。なお、高齢者糖尿病の診断は若い人と同様に行います。画像を拡大する

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高血圧・高脂血症の治療は認知症を予防するか

 アルツハイマー病(AD)と血管リスク因子(VRF)の関連について疫学的エビデンスはあるが、VRFの治療が認知症やADの発症率を低下させるのか不明である。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C. Larsson氏らが、認知症およびADの発症におけるVRFの治療の影響について系統的レビューとメタ分析で検討した結果、降圧薬とスタチンが認知症やADの発症率を低下させる可能性が示唆された。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2018年6月9日号に掲載。 著者らは、PubMedで2018年1月1日までに公表された関連研究から、認知症とAD発症率に対するVRF治療の影響を調査した無作為化比較試験(RCT)と前向き研究を同定した。 主な結果は以下のとおり。・8件のRCTと52件の前向き研究が同定された。・降圧治療により、RCT(5件、相対リスク[RR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.69~1.02)および前向き研究(3件、RR:0.77、95%CI:0.58~1.01)では、有意ではないが認知症リスクが低下し、前向き研究(5件、RR:0.78、95%CI:0.66~0.91)ではADリスクが低下した。・前向き研究において、スタチンによる高脂血症治療により認知症(17件、RR:0.77、95%CI:0.63~0.95)およびAD(13件、RR:0.86、95%CI:0.80~0.92)のリスクが低下したが、スタチン以外の脂質降下薬では低下しなかった。1件のRCTで、スタチンと認知症発症との関連は示されなかった。・1件のRCTおよび6件の前向き研究のデータから、血糖降下薬またはインスリン療法による認知症リスクへの有益な影響は示されなかった。

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米国成人の肥満率、非都市圏で高率/JAMA

 2013~16年における米国成人の肥満および重症肥満の年齢調整有病率が、米国大都市統計地域(metropolitan statistical area:MSA)で示される都市化のレベルで異なっていること、また、MSAの都市圏に比べ非MSA地域で有意に高いことを、米国疾病予防管理センターのCraig M. Hales氏らが報告した。米国成人における肥満の有病率については、これまで性別、年齢層別、人種/ヒスパニック系別の報告はあったが、都市化のレベル別ではほとんど研究されていなかった。JAMA誌2018年6月19日号掲載の報告。2013~16年の肥満の有病率と、都市化レベル別での過去12年間における傾向を分析 研究グループは、20歳以上の米国成人を対象とした、身長と体重の測定値を含む米国民健康栄養調査(NHANES)の2001~16年のデータを用い、性別、年齢層、人種/ヒスパニック系、教育レベル、喫煙状況および都市化レベル別に肥満の有病率を解析した。 主要評価項目は、全体およびサブグループ別の2013~16年における肥満(BMI≧30)および重症肥満(BMI≧40)の有病率と、都市化レベル別の同有病率の2001~04年から2013~16年の傾向であった。 都市化レベルは、米国健康統計センター(NCHS)のMSA/非MSA分類に基づき、本検討では、1)大規模MSA(人口100万人以上)、2)中/小規模MSA(人口25万人以上100万人未満/人口25万人未満)、3)非MSA(人口2,500~5万未満などMSAに分類されない地域)に分けて評価した。 解析対象は、身長、体重および都市化レベルの完全なデータが得られた1万792例(平均年齢48歳、女性51%)であった。男女とも都市化レベルが低いほうが肥満の有病率は高い 2013~16年における米国成人の肥満の有病率は38.9%(95%信頼区間[CI]:37.0~40.7%)、重症肥満が7.6%(95%CI:6.8~8.6)であった。 都市化レベル別の肥満の年齢調整有病率は、男性の場合、大規模MSAが31.8%、中/小規模MSAが42.4%、非MSAが38.9%であり、大規模MSAと比較し中/小規模MSAで有意に高かったが(補正群間差:9.8ポイント、95%CI:5.1~14.5)、大規模MSAと非MSAに有意差はなかった(補正群間差:4.8ポイント、95%CI:-2.9~12.6)。女性の場合は、大規模MSA、中/小規模MSAおよび非MSAでそれぞれ38.1%、42.5%および47.2%であり、中/小規模MSA(4.3ポイント、95%CI:0.2~8.5)および非MSA(4.7ポイント、95%CI:0.2~9.3)のいずれも、大規模MSAより有意に高かった。 重症肥満の年齢調整有病率は、男女いずれの場合も、大規模MSAより中/小規模MSAならびに非MSAで高いことが認められた。 肥満/重症肥満の年齢調整有病率は、年齢層、人種/ヒスパニック系、教育レベルでも違いがみられ、そのパターンは男性と女性で異なっていた。 なお、都市化レベル別における肥満/重症肥満の年齢調整有病率は、全レベルとも、男女別ならびに全体のいずれの場合も、2001~04年から2013~16年にかけて有意に増加していることが認められた。

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第3回 意識障害 その3 低血糖の確定診断は?【救急診療の基礎知識】

72歳男性の意識障害:典型的なあの疾患の症例72歳男性。友人と食事中に、椅子から崩れるようにして倒れた。友人が呼び掛けると開眼はあるものの、反応が乏しく救急車を要請した。救急隊到着時、失語、右上下肢の麻痺を認め、脳卒中選定で当院へ要請があった。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:3/JCS、E4V2M5/GCS血圧:188/102mmHg 脈拍:98回/分(不整) 呼吸:18回/分SpO2:95%(RA) 体温:36.2℃ 瞳孔:3/3mm+/+10のルールのうち低血糖に注目この症例は前回お伝えしたとおり、左中大脳動脈領域の心原性脳塞栓症でした。誰もが納得する結果だと思いますが、脳梗塞には「血栓溶解療法(rt-PA療法)」、「血栓回収療法」という時間に制約のある治療法が存在します。つまり、迅速に、そして正確に診断し、有効な治療法を診断の遅れによって逃すことのないようにしなければなりません。頭部CT、MRIを撮影すれば簡単に診断できるでしょ?! と思うかもしれませんが、いくつかのpitfallsがあり、注意が必要です。今回も“10’s Rule”(表1)にのっとり、説明していきます1)。今回は5)からです。画像を拡大する●Rule5 何が何でも低血糖の否定から! デキスタ、血液ガスcheck!意識障害患者を診たら、まずは低血糖を除外しましょう。低血糖になりうる人はある程度決まっていますが、緊急性、簡便性の面からまず確認することをお勧めします。低血糖の時間が遷延すると、低血糖脳症という不可逆的な状況となってしまうため、迅速な対応が必要なのです。低血糖によって片麻痺や失語を認めることもあるため、侮ってはいけません2)。低血糖の診断基準:Whippleの3徴(表2)をcheck!画像を拡大する低血糖と診断するためには満たすべき条件が3つ存在します。陥りがちなエラーとして血糖は測定したものの、ブドウ糖投与後の症状の改善を怠ってしまうことです。血糖を測定し低いからといって、意識障害の原因が低血糖であるとは限りません。必ず血糖値が改善した際に、普段と同様の意識状態へ改善することを確認しなければなりません。血糖低値と低血糖は似て非なるものであることを理解しておきましょう。低血糖の原因:臭いものに蓋をするな!低血糖に陥るには必ず原因が存在します。“Whippleの3徴”を満たしたからといって安心してはいけません。原因に対する介入が行われなければ再度低血糖に陥ってしまいます。低血糖の原因は表3のとおりです。最も多い原因は、インスリンやスルホニルウレア薬(SU薬)など血糖降下作用の強い糖尿病薬によるものです。そのため使用薬剤は必ず確認しましょう。画像を拡大するるい痩を認める場合には低栄養、腹水貯留やクモ状血管腫、黄疸を認める場合には肝硬変(とくにアルコール性)を考え対応します。バイタルサインがSIRS(表4)やqSOFA(表5)の項目を満たす場合には感染症、とくに敗血症に伴う低血糖を考えフォーカス検索を行いましょう(次回以降で感染症×意識障害の詳細を説明する予定です)。画像を拡大する画像を拡大する低血糖の治療:ブドウ糖の投与で安心するな!低血糖の治療は、経口が可能であればブドウ糖の内服、意識障害を認め内服が困難な場合には経静脈的にブドウ糖を投与します。一般的には50%ブドウ糖を40mL静注することが多いと思います。ここで忘れてはいけないのはビタミンB1欠乏です。ビタミンB1が欠乏している状態でブドウ糖のみを投与すると、さらにビタミンB1は枯渇し、ウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群を起こしかねません。ビタミンB1が枯渇している状態が考えられる患者では、ブドウ糖と同時にビタミンB1の投与(最低でも100mg)を忘れずに行いましょう。ビタミンB1の成人の必要量は1~2mg/日であり、通常の食事を摂取していれば枯渇することはありません。しかし、アルコール依存患者のように慢性的な食の偏りがある場合には枯渇しえます。一般的にビタミンB1が枯渇するには2~3週間を要するといわれています。救急外来などの初療では、患者の背景が把握しきれないことも少なくないため、アルコール依存症以外に、低栄養状態が示唆される場合、妊娠悪阻を認める患者、さらにはビタミンB1が枯渇している可能性が否定できない場合には、ビタミンB1を躊躇することなく投与した方が良いでしょう。ウェルニッケ脳症はアルコール多飲患者にのみ発症するわけではないことは知っておきましょう(表6)。画像を拡大するそれでは、いよいよRule6「出血か梗塞か、それが問題だ!」です。やっと頭部CTを撮影…というところで今回も時間がきてしまいました。脳卒中や頭部外傷に伴う意識障害は頻度も高く、緊急性が高いため常に考えておく必要がありますが、頭部CTを撮影する前に必ずバイタルサインを安定させること、低血糖を除外することは忘れずに実践するようにしましょう。それではまた次回!1)坂本壮. 救急外来 ただいま診断中!. 中外医学社;2015.2)Foster JW, et al. Stroke. 1987;18:944-946.コラム(3) 「くすりもりすく」、内服薬は正確に把握を!高齢者の多くは、高血圧、糖尿病、認知症、不眠症などに対して定期的に薬を内服しています。高齢者の2人に1人はポリファーマシーといって5剤以上の薬を内服しています。ポリファーマシーが悪いというわけではありませんが、薬剤の影響でさまざまな症状が出現しうることを、常に意識しておく必要があります。意識障害、発熱、消化器症状、浮腫、アナフィラキシーなどは代表的であり救急外来でもしばしば経験します。「高齢者ではいかなる症状も1度は薬剤性を考える」という癖を持っておくとよいでしょう。また、内服薬はお薬手帳を確認することはもちろんのこと、漢方やサプリメント、さらには過去に処方された薬や家族や友人からもらった薬を内服していないかも、可能な限り確認するとよいでしょう。お薬手帳のみでは把握しきれないこともあるからです。(次回は7月25日の予定)

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1日1回の牛乳摂取がサルコペニア予防に有効か~鳩山/草津コホート研究

 毎日普通乳を飲む習慣が、高齢者におけるサルコペニアの予防につながる可能性が示唆された。東京都健康長寿医療センター研究所の成田 美紀氏らが、日本の地域在宅高齢者を対象に、牛乳の摂取頻度とサルコペニアの有無との関連を検討したコホート研究により明らかにしたもの。第60回日本老年医学会学術集会(2018年6月14日~16日)において発表された。 本研究の対象は、鳩山コホート研究の2012年追跡調査対象者、および草津町研究の2013年高齢者健診受診者のうち、70歳以上でかつ簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による食品摂取調査を行い、有効回答を得た810例(鳩山405例、草津405例)。牛乳の摂取状況は、普通乳あるいは低脂肪乳について、摂取頻度ごとに3群に分けて評価し、サルコペニアの診断にはAWGSの診断基準を用いた。 牛乳の摂取頻度とサルコペニアの有無との関連性は、多重ロジスティックモデルを用いて解析し、性、年齢、対象地域、総エネルギー摂取量(BDHQから推定)に加え、BMI(21.5未満、21.5以上25.0未満、25.0以上)、生活習慣(飲酒、喫煙および運動の習慣)、食品摂取の多様性スコア(牛乳の摂取頻度以外)および既往症(脊椎系疾患、骨粗鬆症の有無)について調整した。 主な結果は以下のとおり。・サルコペニア罹患者の割合は10.4%であった。・牛乳の摂取頻度(毎日1回以上、毎日1回未満、飲まない)の割合は、普通乳でそれぞれ52.9%、28.5%、18.6%、低脂肪乳で18.1%、16.4%、65.5%であった。・多変量解析の結果、普通乳を「飲まない」群に対する「毎日1回未満」と「毎日1回以上」の摂取群のサルコペニア保有リスク(多変量調整オッズ比)は、それぞれ0.47(95%信頼区間[CI]:0.22~1.03、p=0.059)、0.41(95%CI:0.20~0.83、p=0.013)となり、「毎日1回以上」摂取群で有意に低かった。・同じく低脂肪乳については、オッズ比はそれぞれ0.82(95%CI:0.36~1.85、p=0.627)、0.54(95%CI:0.20~1.47、p=0.225)であった。・サルコペニア罹患と有意な関連がみられたほかの要因は、高年齢1.16(95%CI:1.11~1.22、p<0.001)、BMI低値2.78(95%CI:1.56~4.96、p=0.001)、BMI高値0.41(95%CI:0.17~0.97、p=0.041)および脊椎系疾患の既往2.05(95%CI:1.08~3.91、p=0.029)であった。 発表者の成田氏は、「普通乳を飲む頻度が高い人では、総エネルギー摂取量や体重1kg当たりのタンパク質量が多く、PFC比におけるタンパク質・脂質比が上昇し、炭水化物比が減少している傾向がみられた。縦断研究で検証していく必要があるが、普通乳を毎日1回以上摂取することは、サルコペニア罹患に防御的であることが示唆された。高齢期における乳・乳製品の継続的な摂取は、筋肉量や身体機能の低下を抑制する可能性がある」とまとめた。

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医薬教育倫理協会(AMEE)が提案する新時代の医師継続教育

 医薬教育倫理協会(AMEE: Association of Medical Education and Ethics)が「AMEE医学継続教育プログラム」と銘打ったネット番組の配信を開始した。AMEEは2016年7月に設立された一般社団法人で、設立の目的は、医療倫理に基づき、高度な医学・薬学の継続教育を医師・薬剤師に提供することを通じて、医療の向上と国民の健康増進に寄与すること。AMEEの代表理事を務める、帝京大学臨床研究センター センター長 寺本 民生氏に、AMEEが推進する新しい医師継続教育について話を聞いた。―新しい医師継続教育の仕組みを立ち上げた経緯は? 私たち医師は生涯学びを続けなければならない存在です。しかしながら、多忙な日々を送る私たちが「学びの時間」を確保することはきわめて大変なことです。自分の専門領域に関連する学術集会に参加することでも、金銭的・時間的な負担はかなりのものです。日常診療で遭遇するご自分の専門外の疾患を学習する機会を得ることは、大変な困難だと思います。 「多忙な医師に限られた時間の中で、より効果的な医師継続教育を提供」することができないかと思案し、設立したのがAMEEなのです。―AMEEの医師継続教育が目指すものは? AMEEの医師継続教育サービスの構想の参考になったのが米国のCME(continuing medical education)制度です。 米国では医師免許更新制度があり、免許更新に必要な単位を取得できる生涯学習はCME制度の下で広く行われております。国土の広い米国では、インターネットを活用したe-learningの形式で多くのCME活動が行われています。その仕組みを日本版にアレンジしたのが、AMEEの医師継続教育サービスです。 e-learningの仕組みを活用し、受講した医師のコンピテンシーを向上させることで日本の医療に貢献する。それがAMEEの目指していることです。―なぜ名称に「倫理」という言葉が入っているのでしょうか? 広く医師継続教育サービスを展開していくうえで、やはり資金が必要となります。米国のCME制度では、医療に関連する企業などから教育資金の拠出を受け、それを原資に継続教育を行うことが認められています。その際に、資金を拠出する企業と医師との利益相反が課題となります。 そこで、米国ではACCME(Accreditation Council for Continuing Medical Education)という団体が「企業による資金提供の基準」を明確に定めており、CME制度参加者はこの基準に従って、制作過程の独立性を担保しながら資金を得て活動を続けています。AMEEも、このACCMEの基準に準拠した独立性基準を策定し、企業や団体などから資金の拠出を受け、事業を運営しています。 AMEEに倫理という言葉を盛り込んだのは、倫理感を持って適切に医師継続教育を行っていく決意でもあるわけです。―具体的な活動を教えてください 現時点で、AMEEの医師継続教育サービスでは、3本のプログラムが受講可能です。多くの医師に受講いただくために、ケアネットと提携して、医師へのプログラム案内をお願いしています。受講は無料です。ケアネット医師会員であれば、ケアネットのID/パスワードにて受講可能です。https://cme.amee.or.jp/rpv/openid/auth_request.aspx 現在配信されているのは、「心房細動による脳卒中予防」、「免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療」、「家族性高コレステロール血症」の3本です。いずれのプログラムも日本のおけるそれぞれの第一人者が、「わかりやすく」、「臨床医目線」で熱のこもった講義をしています。ご興味をお持ちの先生方はぜひ一度受講してみてください。 中でも私の専門でもある家族性高コレステロール血症は日本における診断率が1%と、ほとんどが見逃されている疾患です。このプログラムを通じ、一人でも多くの先生方がこの疾患に向き合っていただければと思います。―今後の展望をお聞かせください 企業との独立性を保ちながら教育プログラムを提供するという考え方が普及するには、もう少し時間が必要かもしれません。しかし、医師本位の教育的な内容であれば、たとえ企業の資金提供があったとしても、多くの先生方に受け入れていただけるものと考えています。AMEEは、各種学術団体や企業などへの理解を広げ、この新しい教育提供の方法を提案していきます。また、各種学術団体とのコラボレーションも企画していきます。 たとえば、インターネットで共催プログラムを視聴することで、学会の単位が獲得できれば、多忙な医師にとっては福音ではないしょうか? 今回の「家族性高コレステロール血症」のプログラムは、日本動脈硬化学会とAMEEの共催となっており、AMEEのプログラムを見ていただくことで動脈硬化専門医の単位が付与されます。AMEEの共催事業の第一歩です。今後のAMEEの活動にご期待ください。

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PBCに対するベザフィブラートの有用性がフランスで証明された(解説:上村直実氏)-876

 原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、原因不明の胆管に対する自己免疫疾患で国の特定疾患に指定されており、現在、日本における患者数は5〜6万人で軽症の症例が増加している。男女比は約1:7であり、50~60歳の中年以降の女性に最も多くみられる疾患である。 PBCに対する根治的な治療法は確立しておらず、薬物療法が奏効せずに顕著な黄疸を伴う肝硬変へと進展して肝不全状態に至った場合に肝移植が考慮される。薬物療法に関しては1980年代から使用されているウルソデオキシコール酸(UDCA)が肝硬変への進展を遅くする成績を有して一定の評価を得ているが、UDCAが無効な患者に対して有効な薬剤に関するエビデンスはなかった。 今回NEJM誌に掲載された論文では、UDCAで効果不十分な患者100例を対象としてフランスで施行されたRCTの結果、ベザフィブラート併用群はプラセボと比較して、生化学的完全奏効(総ビリルビン、ALP、AST、アルブミンがいずれも正常値かつプロトロンビン指数が正常値を示す場合)が有意に高率であった。すなわち、24ヵ月後の完全奏効率はプラセボ群では皆無であったのに対して併用群31%であり、患者さんに勇気を与えるものである。なお、リスクに関しては有害事象として腎機能に対する悪影響が懸念されると考察されている。 高脂血症に使用されているベザフィブラートがPBCに対して有用である可能性については20年以上前に日本から報告1,2)されていた。PBC診療ガイドラインの2017年改定版では、UDCA無効例に対してベザフィブラートの使用を検討する旨が明記されている。すなわち、古くからある薬剤の意外な有用性に関して日本から発信された治療法がフランスで施行されたRCTにより証明されたものである。PBCは長期経過が重要な疾患であるので、今後、長期的な有用性と安全性に関するエビデンスはなんとしても日本から発信してもらいたいものである。さらにベザフィブラートが有効である患者を抽出可能な宿主因子を探求することも重要である3)。

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食事の速度や欠損歯の数、歯周病の重症度が肥満に影響する

 食事の速度と欠損歯の数、歯周病の重症度はそれぞれ独立に腹囲の増加に影響することが、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の園田 央亙氏らによる研究から明らかになった。Obesity Facts誌2018年4月18日号に掲載。 今回の研究では、海上自衛隊の男性863人を対象に食事の速度に関するアンケート調査を行い、食事の速度と欠損歯数や歯周病の程度が肥満とどのように関連しているかを調査した。 主な結果は以下のとおり。・食事の速度が「とても速い」群では、「遅い、とても遅い」群と比べて、腹囲が90cmを超えるリスクが5.22倍(95%CI:1.81~15.06)となった。・欠損歯が多い人、重度な歯周病に罹患している人では、腹囲が90cmを超えるリスクがそれぞれ1.14倍(95%CI:1.01~1.28)、2.74倍(95%CI:1.46~5.13)となった。

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地中海食は心血管イベントを抑制する/NEJM

 心血管リスクが高い集団を対象とした試験で、低脂肪食事療法に割り付けた群よりも、エキストラヴァージンオリーブオイル(EVOO)またはナッツを一緒に補充する地中海式食事療法に割り付けた群のほうが、主要心血管イベントの発生率は低いことが、スペイン・バルセロナ大学のRamon Estruch氏らによる多施設共同無作為化試験「PREDIMED試験」の結果、示された。これまで行われた観察コホート研究や2次予防試験では、地中海式食事療法の順守状況と心血管リスクについて負の相関が示されている。PREDIMED(Prevencion con Dieta Mediterranea)試験の結果は2013年にジャーナル発表されたが、無作為化割り付けに関する分析方法の不備から著者らが同論文を取り下げ、今回あらためて修正解析の結果を発表した。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。被験者の適格要件を厳格化し地中海食における心血管イベント発生を再解析 スペインで行われたPREDIMED試験は、地中海式食事療法による心血管イベントの1次予防効果を検証する多施設共同無作為化試験。心血管リスクが高いが登録時に心血管疾患を有していなかった7,447例の被験者(55~80歳、女性57%)を、地中海式食事療法+EVOO群(2,543例)、地中海式食事療法+ミックスナッツ群(2,454例)、対照食事療法群(食事性の脂肪を減らすようアドバイス、2,450例)の3つの食事療法群に割り付けて行われた。被験者は全員、年4回の教育セッションを受けるとともに、食事療法の経済的負担が生じないよう、地中海食+EVOO群には、1世帯1週当たり1LのEVOOを供与し、1人当たり大さじ4杯/日を消費することを勧告。地中海食+ミックスナッツ群には、1人当たり30g/日のミックスナッツ(くるみ15g、ヘーゼルナッツ7.5g、アーモンド7.5g)を供与した。対照群には、食品ではない小さな贈り物を与えた。 主要エンドポイントは、主要心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中または心血管系が原因の死亡)。フォローアップ中央値4.8年後に、事前規定の中間解析の結果に基づき試験は中止され、主要エンドポイントの結果は2013年にジャーナル報告されたが、その後、著者らが、非無作為化家族の登録、11試験地のうち1試験地(サイトD)の複数被験者が非無作為化試験群に割り付けられていたこと、その他試験地(サイトB)での乱数テーブルの明らかに一貫性のない使用といったプロトコール逸脱を認め、同報告を取り下げていた。今回、被験者が全員無作為に割り付けられたという前提に依らず解析を行い、修正した推定効果を発表した。地中海式食事療法群の主要心血管イベント発生のハザード比は0.70 主要エンドポイントは、288例に発生した。地中海食+EVOO群は96例(3.8%)、地中海食+ナッツ群83例(3.4%)、対照群109例(4.4)であった。 intention-to-treat解析(全被験者を包含およびベースライン特性、傾向スコアで補正後)の結果、対照群と比較した地中海食+EVOO群のハザード比(HR)は0.69(95%信頼区間[CI]:0.53~0.91)、地中海食+ナッツ群のHRは0.72(同:0.54~0.95)であった。地中海食+EVOO群と地中海食+ナッツ群を複合した地中海式食事療法群の対照群に対するHRは0.70(同:0.55~0.89)であった。 この結果は、参加試験地が判明しているか世帯家族であって被験者とは認められない1,588例を除外後の解析でも類似していた。サイトD被験者と世帯家族を除外した解析では、対照群と比較した地中海食+EVOO群のHRは0.66(95%CI:0.49~0.89)、地中海食+ナッツ群のHRは0.64(同:0.47~0.88)で、複合地中海式食事療法群の対照群に対するHRは0.65(同:0.50~0.85)であった。 著者は、「われわれが行った試験の結果は、地中海式食事療法が心血管疾患の1次予防効果があることを支持するものであった」とまとめている。

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メポリズマブは難病EGPAの治療を変えるか

 2018年6月6日、グラクソスミスクライン株式会社は、同社のメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)が、5月25日に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下「EGPA」と略す)の適応追加の承認を取得したことを期し、本症に関するメディアセミナーを都内で開催した。 セミナーでは、EGPAの診療概要ならびにメポリズマブの説明が行われた。EGPAの診断、喘息患者に神経症状が現れたら要注意 セミナーでは、石井 智徳氏(東北大学 血液免疫病学分野 特任教授)が、「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症について」をテーマにEGPAの最新の知見を講演した。 EGPAは、従来「チャーグ・ストラウス症候群」や「アレルギー性肉芽腫性血管炎」と呼ばれていたが、2012年より本症名で統一された。EGPAの病態は、気管支喘息というアレルギーの要素と種々の臓器障害という血管炎の要素を併せ持った疾患であり、自己抗体(ANCA:抗好中球細胞質抗体)が出現することで著明な好酸球増多を起こし、血管に炎症を起こすとされている。わが国のEGPAの患者像として、推定患者は約2,000例、男女比では女性が多く、その平均発症年齢は55歳、気管支喘息の既往歴のある患者が多いという。 EGPAの全身症状としては、発現頻度順にしびれ、感覚障害などの「神経症状」(93%)、発熱、関節痛などの「全身症状」(76%)、肺炎などの「呼吸器症状」(60%)、紫斑などの「皮膚症状」(51%)、糸球体腎炎などの「腎障害」(39%)、副鼻腔炎などの「耳鼻咽喉症状」(23%)、不整脈などの「心血管系症状」(16%)、腹痛、下痢などの「消化器症状」(16%)、強膜炎などの「粘膜・目の症状」(10%)が報告されている。 診断では、先行症状の喘息、副鼻腔炎などからEGPAに結びつけることは難しく、ANCAでは臨床検査を行っても陽性率が30~50%とあまり高くなく、診断では見逃されている可能性が高いという。石井氏は「EGPAの診断では、患者教育と丁寧な問診、診察が求められ、患者が『最近、喘息発作が多い』『手足がしびれた感じがする』『足首に力が入らず上げられない』など訴えた場合は、本症を疑うべき」と診療のポイントを示した。また、EGPAでは、血管炎による心血管症状が最も予後に関わることから息切れ、心電図異常、MRI・心エコー検査の結果に注目する必要があるという。メポリズマブによるEGPA治療でステロイドを減量できた EGPAの治療では、現在第1選択薬としてステロイドが使用されている。ステロイドは、効果が確実に、早く、広く作用する反面、易感染症、骨粗鬆症、糖尿病の発症、脂質異常症、肥満など副作用も多いことが知られている。そこでステロイド抵抗性例やステロイドの減量を目的に、シクロフォスファミド、アザチオプリン、タクロリムスなどの免疫抑制剤が治療で併用されている。効果はステロイドのように広くないものの、長期投与では副作用がでにくく、最初はステロイドで治療し、免疫抑制剤とともにステロイドを減量する治療も行われている。そして、今回登場した生物学的製剤メポリズマブは、好酸球を作るIL-5に結合することで、好酸球の増殖を阻止し、血管などでの炎症症状を抑える効果を持つ。副作用も注射部位反応はプラセボに比べて多いものの、重篤なものはないという。 最後に石井氏は、「本症のステロイド治療者で糖尿病を発症し、インスリン導入になった患者が、メポリズマブを使用したことでステロイドの減量が可能となり、インスリンを離脱、糖尿病のコントロールができるようになった」と具体的な症例を紹介するとともに、「メポリズマブは、好酸球浸潤のコントロールが難しかった症例への適用やステロイドが減量できなかった症例への効果が期待でき、さらに再燃を抑制し、寛解維持を目指すことができる」と希望を寄せ、講演を終えた。メポリズマブの製品概要 薬効分類名:ヒト化抗IL-5モノクロナール抗体 製品名:ヌーカラ皮下注 100mg 効能・効果:(追加として)既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 用法・容量:通常、成人にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間ごとに皮下に注射する

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新規作用機序SDAMが特徴的な統合失調症治療薬「レキサルティ錠1mg/2mg」【下平博士のDIノート】第3回

新規作用機序SDAMが特徴的な統合失調症治療薬「レキサルティ錠1mg/2mg」今回は、「ブレクスピプラゾール錠1mg/2mg(商品名:レキサルティ)」を紹介します。本剤は、セロトニン-ドパミン・アクティビティ・モデュレーター(SDAM)と呼ばれる新しいタイプの非定型抗精神病薬で、統合失調症の治療継続に影響を及ぼす代謝性障害や錐体外路系症状を軽減し、陽性症状・陰性症状・認知機能障害を改善することが期待されています。<効能・効果>統合失調症の適応で、2018年1月19日に承認され、2018年4月18日より販売されています。本剤は、セロトニン5-HT1A受容体およびドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして働き、またセロトニン5-HT2A受容体に対してはアンタゴニストとして働きます。<用法・用量>通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgから投与を開始した後、4日以上の間隔をあけて1日1回2mgへ増量します。なお、海外では1日4mgまで処方可能ですが、有効性は確立していないため、わが国においては2mgが維持量です。本剤は主にCYP2D6およびCYP3A4で代謝されますので、CYP2D6阻害薬(キニジン、パロキセチンなど)、強いCYP3A4阻害薬(イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど)を併用する場合や、CYP2D6の活性が欠損している患者では以下の用量調節が規定されています。《1回1mgを1日1回》CYP2D6阻害薬および強いCYP3A4阻害薬の両方を併用する場合CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者で、強いCYP3A4阻害薬を併用する場合<臨床効果>統合失調症患者458例を対象とした国内プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、本剤2mgを1日1回6週間投与した結果、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)総スコアのベースラインからの変化量は、プラセボが-7.63±2.11であったのに対し、本剤は-14.95±2.00と有意な改善を示しました(p=0.0124)。なお、日本人患者を対象とした長期投与試験において、52週にわたり精神病症状の改善が維持されました。<副作用>国内の臨床試験において、臨床検査値の異常を含む副作用が578例中233例(40.3%)に認められています。主な副作用は、アカシジア(5.7%)、高プロラクチン血症(4.0%)でした。<患者さんへの指導例>1.脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、気持ちの高ぶりや不安感を鎮めるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。2.治療を開始した直後や再開・増量したときに、めまい、立ちくらみなどが現れることがあります。症状が続く場合や、重度の場合は相談してください。3.血糖値が上がることがあるので、激しい喉の渇きを感じたり、尿の回数や量が増えたりしたら連絡してください。4.眠気、注意力の低下が起こる可能性があるので、自動車の運転など危険を伴う操作は行わないようにしてください。5.興奮しやすい、他人に敵意を持つ、自分がすごい人だと思うような気分になった場合は相談してください。<Shimo's eyes>第2世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)は、第1世代抗精神病薬(定型抗精神病薬)に比べて、アカシジアなどの錐体外路症状が比較的軽減されています。しかし、非定型抗精神病薬においても、体重増加、高脂血症や糖尿病などの代謝性障害などによって治療を中断せざるを得ないことがありました。セロトニン-ドパミン・アクティビティ・モデュレーター(SDAM)に分類されるブレクスピプラゾールは、セロトニン系の受容体へ強く作用することで、統合失調症における陰性症状(意欲減退、感情鈍麻など)の改善が期待できます。一方、ドパミンD2受容体には部分アゴニストとして働き、ドパミンを適度に調節することから、陽性症状(幻覚、妄想など)への効果も期待でき、 錐体外路症状の軽減が見込まれます。海外の製造販売後調査において、本剤服用中に賭博に対する激しい衝動が発現して制御できない可能性があると報告されています。頻度は低いですが、衝動的で強迫的な制御不能の性欲亢進、消費行動、暴食・過食などの報告もあります。患者さんには異常な行動であるという認識がない可能性があるので、薬剤師がこのような徴候を察知したら、すぐに医師に報告して今後の対応を相談しましょう。

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日本人の急性冠症候群と脳卒中、患者背景の違いは

 急性冠症候群(ACS)と虚血性脳卒中の患者の臨床的特徴の違いについて、順天堂大学の内藤 亮氏らが全国多施設レジストリのデータを分析したところ、患者背景の特性が有意に異なり、男女で違いがあることが認められた。Internal Medicine誌オンライン版2018年6月6日号に掲載。 著者らは、ACS(PACIFIC)および虚血性脳卒中(EVEREST)に関する2つの多施設レジストリのデータを分析し、臨床的特徴を調査した。 主な結果は以下のとおり。・計6,878例(PACIFIC:3,426例、EVEREST:3,452例)を評価した。・患者背景の特性は、2つの集団間で有意に異なっていた。・ACS患者のほうが脳卒中患者より若年傾向で、BMIが高く、糖尿病および脂質異常症の有病率が高く、現喫煙者が多く、虚血性心疾患の既往歴がある人が多かった。・高血圧の有病率は、ACS 患者より脳卒中患者で高かった。・男性ではACS患者と脳卒中患者の特性の違いはサンプル全体と同様であったが、女性における高血圧有病率は、サンプル全体とは異なりACS患者と脳卒中患者で同様であった。

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ウルソデオキシコール酸無効のPBCにベザフィブラートの追加投与/NEJM

 ウルソデオキシコール酸治療で効果不十分な原発性胆汁性胆管炎(PBC)の患者に対し、ベザフィブラートの追加投与はプラセボ追加投与と比較して、生化学的完全奏効率が有意に高いことが、フランス・Assistance Publique-Hopitaux de Paris(APHP)のChristophe Corpechot氏らによる第III相の二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、示された。ウルソデオキシコール酸治療で効果不十分なPBC患者は、病勢進行のリスクが高いが、PPAR(peroxisome proliferator-activated receptors)アゴニストのフィブラート系薬を併用することでベネフィットがもたらされる可能性が示唆されていた。NEJM誌2018年6月7日号掲載の報告。ウルソデオキシコール酸治療が効果不十分のPBC患者にベザフィブラートを投与 試験は、ウルソデオキシコール酸治療が効果不十分であるとParis 2基準(血清中ALPまたはAST値が正常上限値の1.5倍超、または総ビリルビン値が異常値を示すなど)に基づき確認されたPBC患者100例を対象に、24ヵ月間にわたり行われた。被験者は無作為に2群に割り付けられ、ウルソデオキシコール酸治療は継続したまま、ベザフィブラートを400mg/日(50例)、またはプラセボ(50例)を投与された。 主要評価項目は、24ヵ月時点で評価した生化学的完全奏効(総ビリルビン、ALP、AST、アルブミンがいずれも正常値、かつプロトロンビン指数[プロトロンビン時間の派生尺度]が正常値を示す場合と定義)であった。PBC患者の生化学的完全奏効率、ベザフィブラート併用群31% vs.プラセボ0% 24ヵ月時点で生化学的完全奏効が認められたPBC患者は、ベザフィブラート併用群31%、プラセボ群0%であった(群間差:31ポイント、95%信頼区間[CI]:10~50、p<0.001)。また、ALP正常値であった患者は、ベザフィブラート併用群67%、プラセボ群2%であった。掻痒、疲労感、非侵襲的評価(肝硬度やELF[Enhanced Liver Fibrosis]スコアなど)による肝線維化の変化に関する結果も、主要評価項目の結果と一致していた。 ベザフィブラート併用群、プラセボ群とも2例のPBC患者が、末期肝疾患から合併症を呈した。 クレアチニン値のベースラインからの変化は、ベザフィブラート併用群は5%上昇、プラセボ群は3%低下であった。筋痛は、ベザフィブラート併用群20%、プラセボ群10%でみられた。

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「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」5年ぶりの改訂

CKD診療ガイドラインが全面改訂 日本腎臓学会は6月、5年ぶりの改訂となる「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」を発行した。今回は専門医だけではなく、かかりつけ医や非専門医の利用を想定して制作されており、全面改訂する際に「CKD診療ガイド2012」と「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013」を一元化させている。 前回同様、全章がクリニカルクエスチョン(CQ)形式の構成。CKD診療ガイドライン2018の主な改訂ポイントとして“STOP-DKD宣言”で注目を集めた、糖尿病性腎臓病(DKD)が章立てられているほか、高血圧・心血管疾患(CVD)、高齢者CKDについても詳しく取り上げられている。CKD診療ガイドラインの役割 本ガイドラインはすべての重症度のCKD患者を対象とし、診療上で問題となる小児CKDの特徴と対処法、CKD患者の妊娠時についても簡潔に記載されている。ただし、末期腎不全(ESKD)に達した維持透析患者や急性腎障害(AKI)患者は除外されているため、必要に応じて他のガイドラインを参照する必要がある。本来であれば病診連携が必要とされる疾患だが、本ガイドラインは専門医が不在とする地域での、かかりつけ医によるCKD診療のサポートに配慮した構成となっている。CKD診療ガイドライン2018では75歳以上は150/90mmHg未満を推奨 CKD診療ガイドライン第4章の「高血圧・CVD」では、血圧基準値を「糖尿病の有無」「尿蛋白の有無(軽度尿蛋白[0.15g/gCr]以上を尿蛋白ありと判定)」「年齢(75歳で区分)」の3つのポイントで定めている。・75歳未満の場合 CKDステージを問わず、糖尿病および尿蛋白の有無で判定 糖尿病なし:尿蛋白(-)140/90mmHg未満、尿蛋白(+)130/80mmHg未満 糖尿病あり:尿蛋白(+)130/80mmHg未満・75歳以上の場合 糖尿病、尿蛋白の有無にかかわらず150/90mmHg未満 起立性低血圧やAKIなどの有害事象がなければ、140/90mmHg未満への降圧を目指すが、80歳以上の120/60mmHg以下での管理において、Jカーブ現象が見られたという研究報告もあることから過降圧への注意も提案されている。CKD診療ガイドライン2018では高齢者への対応に変化 CKD診療ガイドライン第12章「高齢者CKD」では、高齢者CKDの年齢が“75歳以上”と改訂されており、これは2017年に日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループ において、「75歳以上を高齢者」と定義付けたことが反映されている。また、同章にはフレイルに対する介入のCQが盛り込まれており、これは厚生労働省が今年度より本格実施を始めた「高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進」に沿った改訂であることが伺える。DKDの推奨検査項目と管理目標値 CKD診療ガイドライン第16章「糖尿病性腎臓病(DKD)」では4つのCQが挙げられており、「尿アルブミン尿の測定」「浮腫を伴うDKDへのループ利尿薬投与」「HbA1c7.0%未満」「集約的治療」を推奨している。とくに血管合併症の発症・進行抑制ならびに総死亡率抑制のために集約的治療が重要とされ、以下の管理目標値を推奨としている。・BMI 22(生活習慣の修正[適切な体重管理、運動、禁煙、塩分制限食など])・HbA1c7.0%未満(現行のガイドラインで推奨されている血糖)・収縮期血圧130mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満・LDLコレステロール120mg/dl、HDLコレステロール40mg/dl、中性脂肪150mg/dl未満(早朝空腹時) ただし、「多因子の厳格な治療を推奨することで、投与薬剤数の増加や薬剤に関連する低血糖、過降圧、浮腫、高カリウム血症などのリスクが高まることにも注意が必要であり、適切なモニタリングと患者背景や生活環境を十分に勘案するように」といった注意事項も明記されている。PKD病診連携の架け橋に 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は透析導入原因の第4位となる疾患であるが、指定難病のため腎臓専門医・専門医療機関への紹介が必要となる。CKD診療ガイドライン第17章-3には、かかりつけ医による診療ポイントとして「脳動脈瘤」「トルバプタンによる治療」「血圧管理」について記載されているが、詳細については「エビデンスに基づく多発性嚢胞腎(PKD)診療ガイドライン2017」を参照とされている。今後の方針 今後の方針として「同改訂委員会が継続しメディカルスタッフや患者を利用者に想定したCKD療養ガイド2018を作成、出版する」と記され、医療者と患者が一体となって治療に取り組むことで、透析導入予防や医療費抑制につながることが期待される。

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「最近、楽しいことがない」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第18回

■外来NGワード「何か、趣味を見つけなさい!」(患者に投げやりな言動)「何か、楽しいことをしなさい!」(具体的な解決方法がない言動)「人生、楽しいことばかりじゃありません」(説教とも捉えられる言動)■解説 国際連合が2012年から毎年発表している「世界幸福度報告書」の2018年版1)によると、156ヵ国中、幸福度ランキングの上位を占めたのはフィンランド、ノルウェー、デンマークなどの北欧で、日本は54位でした。この幸福度は、人口当たりのGDP、社会的支援、健康寿命、生き方の自由度、他者への寛容さ、社会への信頼感を主な指標として、過去3年間の平均値を算出しています。個人の幸福度は、「家族・友人・仲間がいる、仕事や役割がある、楽しみを持っている、健康である、運動習慣がある、経済的に余裕があること」などで左右されると言われています。最初のポジティブ心理学における強み研究では、「寝る前に3つの良いことを書き出す作業を1週間続けると、その後6ヵ月間にわたって幸福度が向上し、抑うつ度が低下した」と報告されました2)。その後の研究では、自分の強みを見つけ、それを活用することが幸福度を向上させることが明らかになりました3-5)。たとえば、向学心(知恵・知識)、熱意、他人から愛される人間性、チームワーク、謙虚さ、感謝、未来への希望など、自分の強みを見つけたら活用法を考えることができますが、そんな立派なもの持っていない…という患者さんには、日常の小さな幸せを見つけてもらいましょう。今日の朝ごはんがおいしかったとか、街中で見かけた花がきれいだったとか、今日はすっきり晴れて気持ちのいい天気だったとか、何でもよいのです。幸福度の向上作戦を、試してみてはいかがでしょうか。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近の調子はいかがですか?患者身体の方は大丈夫なんですが、昔ほど毎日が楽しくないんです。医師なるほど。(うつ病を除外したあとに)とくに、うつなどの症状はなさそうですし…。楽しくなる方法を、一緒に考えてみますか?患者よろしくお願いします。医師1週間だけ、寝る前に10分間やってほしいことがあるんです。患者それは何ですか?(興味津々)医師その日にあった良いこと、楽しいことなどを3つ思い出してみてください。患者えっ、それだけでいいんですか?医師はい。それをこの紙に書き出して、どのように感じたか、メモをしてみてください。患者なるほど。医師1週間続けると、その後半年もの期間、幸福度が増したという研究結果があるんです。患者すごいですね。それなら、ちょっとやってみようかな。医師やり方にも工夫がありますので、やってみた感想を次回、教えてもらえますか?患者はい。わかりました。(うれしそうな顔)■医師へのお勧めの言葉「1週間、寝る前に、その日あった良い出来事を3つ書き出してみませんか?」■参考スライド1)World Happiness Report20182)Seligman ME, et al. Am Psychol. 2005;60:410-421.3)Seligman ME, et al. Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. 2004;359:1379-1381.4)Tse S, et al. Int J Soc Psychiatry. 2016;62:281-291.5)Gander F, et al. Front Psychol. 2016;7:686.

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コントロール不良DMの血糖管理、 SMSによる介入で改善/BMJ

 テキストメッセージ(SMS:short message service)を活用した糖尿病自己管理サポートプログラムは、コントロール不良の成人糖尿病患者の血糖コントロールをわずかだが改善したことが、ニュージーランド・オークランド大学のRosie Dobson氏らによる無作為化試験の結果、示された。高コストで長期にわたる、コントロール不良の糖尿病関連の合併症が増大していることに対し、有効な糖尿病自己管理サポートが求められている。SMSは、自己管理サポートにおいて理想的なツールであるが、これまで糖尿病の自己管理サポートに対する有効性は不明であった。BMJ誌2018年5月17日号掲載の報告。通常ケアに加えてSMS送信介入、9ヵ月時点の血糖コントロールを評価 研究グループは、コントロール不良の成人糖尿病患者において、論理的かつ個別に調整されたテキストメッセージをベースとした、糖尿病自己管理サポート介入(SMS4BG)の有効性を調べるため、ニュージーランドの1次・2次医療サービスにおいて、2群平行群間比較の無作為化試験を9ヵ月間にわたり行った。 被験者は、16歳以上のコントロール不良(HbA1cが65mmol/molまたは8%以上)の1型もしくは2型糖尿病患者366例。2015年6月~2016年11月に、介入群(183例)または対照群(183例)に無作為に割り付けられ追跡を受けた。介入群は、通常ケアに加えて個別に調整されたテキストメッセージのパッケージ送信を9ヵ月間受けた。テキストメッセージで提供されたのは、糖尿病自己管理や生活スタイルに関する情報、サポート、動機付けおよびリマインダーであった。メッセージは、特別に設計された自動コンテンツ管理システムにより送信された。対照群は通常ケアのみを受けた。 主要評価項目は、血糖コントロール(HbA1c)のベースラインから9ヵ月時点での変化であった。副次評価項目は、3ヵ月、6ヵ月時点のHbA1cの変化、および9ヵ月時点の効果の自覚、糖尿病セルフケア行動、糖尿病に対する苦しみ、糖尿病に関する認識と信条、健康関連QOL、糖尿病管理に関する社会的サポートの認知などであった。 ベースラインアウトカム、健康状態カテゴリ、糖尿病タイプ、民族性で補正後の回帰モデルを用いて検討した。通常ケアのみ群と比べてHbA1cは統計的に有意に低下 HbA1cは9ヵ月時点で、介入群(平均-8.85mmol/mol[SD 14.84])が対照群(-3.96mmol/mol[17.02])よりも有意に低下したことが認められた(補正後平均差:-4.23[95%信頼区間[CI]:-7.30~-1.15]、p=0.007)。 21の副次アウトカムについて、9ヵ月時点で介入群の改善が統計的に有意に良好であったのは4つのみで、足のケア(補正後平均差:0.85[95%CI:0.40~1.29]、p<0.001)、全体的な糖尿病サポート(0.26、0.03~0.50、p=0.03)、EQ-5D評価による視覚アナログスケール(4.38、0.44~8.33、p=0.03)、糖尿病の症状の自覚(-0.54、-1.04~-0.03、p=0.04)であった。 SMS4BGに対する満足度は高く、169例中161例(95%)が役に立つと報告しており、164例(97%)が他の糖尿病患者にも勧めたいと思うと報告していた。 結果を踏まえて著者は、「臨床的意味は不明であるが、このような患者集団において、SMS4BGおよび他のテキストメッセージをベースとしたサポートの利用について、さらなる研究を支持する結果であった」とまとめている。

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