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「暑くて運動できない」と嘆く患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第21回

■外来NGワード「涼しい時間帯に運動しなさい!」(患者の生活リズムを配慮しない)「プールで運動しなさい」(周辺の運動施設を確認しない)「家の中で何か運動しなさい!」(あいまいな運動指導)■解説 「暑くて運動できない」と嘆く患者さんがいます。こういった患者さんは、比較的長時間の有酸素運動だけが運動療法だと思い込んでいるかもしれません。ウォーキングなどの有酸素運動以外では、スクワットなどの筋力トレーニングも糖尿病に有効な運動療法の1つです。筋トレをすることで、インスリンのシグナル伝達・ミトコンドリア機能の改善、体脂肪の減少などにより、インスリン感受性がよくなります1,2)。その結果、血糖コントロールと筋力の改善効果がみられます3,4)。ただし、息を止めた筋トレで血圧が上昇しないように、注意を促しておきましょう。ジムなどで専門家の管理下に行う筋トレが最も効果が高いのですが、自宅で自分の体重を用いて筋トレを行うこともできます。まずは、過去の運動歴を聞いてみましょう。運動部などで筋トレの経験がある人ならいいですが、そうでない場合は自己流の筋トレになっている可能性があるので注意が必要です。正しいやり方をロールプレイングすることで、モチベーションを上げてもらいましょう。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近、運動はできていますか?患者頑張って歩いていたんですが、最近は暑くてなかなかできなくて…。医師確かに、夏は暑いですからね。無理に運動して熱中症になっても困りますし。患者そうなんです。どうしたものかと…(悩んでいる顔)。医師涼しい時間帯に外を歩いたり、プールを利用している人もいるんですが…(第三者の話として紹介し、患者の反応をみる)。患者そうしたいんですが、近くにプールがないんです(抵抗)。医師なるほど。若い頃はどんなスポーツや運動をされていましたか(過去の運動歴の確認)?患者学生時代は柔道をしていました。黒帯まで取ったんです。医師それはすごいですね。それなら、涼しい家の中でできる、いい運動がありますよ!患者それは何ですか(興味津々)?医師そこで立ち上がって、膝を軽く曲げてみて下さい。膝が爪先より先に出ると、太腿の後ろの筋肉は緩んでしまいますね(正しいスクワットの姿勢を説明)。患者スクワットですね! …本当だ。だけど、このままだと後ろに倒れそうです。医師そこで、バランスを取るために腕を前に出します。そして、ゆっくりと腰を落としてみましょう。血圧を上げないために、声を出しながらやるといいですね。1、2、3、…(10までゆっくりと数え、血圧が上がらない工夫を説明)。患者1、2、3…。医師膝を痛めますから、90度より曲げる必要はありません。110度くらいで2秒キープして、立ち上がります。患者1、2でキープ、3で立ち上がるですね。何回くらいやったらいいんですか?医師1セット10回程度ですね。少し休んで、合計3セットが目標です。これを週に2、3回やってみましょう。患者これなら家でもできそうです(うれしそうな顔)。■医師へのお勧めの言葉「涼しい家の中でできる、いい運動がありますよ!」(筋トレを説明)1)American Diabetes Association. Diabetes Care 2018;41:S38-S50.2)Strasser B, et al. Biomed Res Int. 2013;2013:805217.3)Irvine C, et al. Aust J Physiother. 2009;55:237-246.4)McGinley SK, et al. Acta Diabetol. 2015;52:221-230.

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セマグルチド 、非糖尿病肥満の減量に有効/Lancet

 非糖尿病の肥満者(BMI 30以上)に対し、食事および運動療法に加えたセマグルチドの投与は、体重減少に有効かつ安全であることが示された。米国・サウスカロライナ医科大学のPatrick M. O’Neil氏らによる、リラグルチドおよびプラセボと比較した52週間にわたる第II相の無作為化二重盲検用量範囲探索試験の結果で、Lancet誌2018年8月25日号で発表された。肥満は、重大な公衆衛生上の問題となっており、体重管理のための新たな医薬品が求められていた。研究グループは、減量推奨時にGLP-1アナログ製剤セマグルチドを投与する有効性と安全性について、リラグルチドおよびプラセボと比較する検討を行った。リラグルチド、プラセボと比較する用量範囲探索無作為化試験 試験は、8ヵ国71施設(オーストラリア5、ベルギー5、カナダ9、ドイツ6、イスラエル7、ロシア10、英国8、米国21)で、18歳以上、非糖尿病、BMI 30以上の参加者を集めて行われた。 被験者を無作為に6対1の割合で、試験薬群(セマグルチド:5群、リラグルチド:1群)と適合プラセボ群に割り付けられた。具体的に、セマグルチド群には0.05mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mgの5用量(いずれも0.05mg/日で開始し4週間ごとに漸増)、リラグルチド群には3.0mg(0.6mg/日で開始し0.6mg/週で漸増)の投与(プラセボを含めすべて1日1回の皮下注)が行われた。被験者および研究者は、割り付けられた試験治療(試験薬かプラセボか)についてはマスキングされたが、目標用量については知らされていた。 主要エンドポイントは、52週時点の体重減少割合。主要解析は、プラセボプールから派生した喪失データを含めintention-to-treat ANCOVA評価を用いて行われた。セマグルチド投与の有意な体重減少効果を確認 2015年10月1日~2016年2月11日に957例が無作為化を受けた(試験薬が投与された6群はそれぞれ102または103例、プラセボ群136例)。ベースライン特性(平均値)は、年齢47歳、体重111.5kg、BMI 39.3であった。 52週時点の体重データは、891/957例(93%)で入手できた。解析の結果、推定体重減少割合は、プラセボ群が-2.3%に対し、セマグルチド0.05mg群:-6.0%、0.1mg群:-8.6%、0.2mg群:-11.6%、0.3mg群:-11.2%、0.4mg群:-13.8%と、セマグルチド全用量群で、プラセボ群と比較して有意な効果が認められ(補正前p≦0.0010)、多重検定による補正後も有意なままであった(p≦0.0055)。 リラグルチド群の体重減少割合は-7.8%で、セマグルチド2.0mg以上の用量群(-13.8~-11.6%)で有意な差が認められた。 10%以上の体重減少が認められた被験者の割合は、プラセボ群で10%であったのに対し、セマグルチド0.1mg以上の用量群では37~65%と有意に多かった(対プラセボp<0.0001)。 セマグルチドの全用量群で概して忍容性は良好であり、新たな安全性の問題は報告されなかった。共通してみられた最も頻度の高い有害事象は、GLP-1受容体作動薬で既知の、用量に関連した消化器症状(主に悪心)であった。

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7つの生活習慣、心血管にも認知機能にも好影響/JAMA

 フランス・ボルドー大学のCecilia Samieri氏らは、米国心臓協会(AHA)が推奨する7つの生活習慣(ライフ シンプル7)を用いて定義した心血管の健康レベルと、高齢者の認知症および認知機能低下のリスクとの関連性を検証する65歳以上の地域住民を対象としたコホート研究(The Three-City[3C] Study:3C研究)において、ライフ シンプル7の実行項目数の多さと心血管健康スコア高値は、認知症リスクおよび認知機能低下率の低さと関連していることを明らかにした。著者は、「認知機能低下や認知症と関連するリスク因子を予防するため、心血管の健康増進が望まれる」とまとめている。これまで、心血管の健康レベルと認知症リスクとの関連に関するエビデンスは限られていた。JAMA誌2018年8月21日号掲載の報告。65歳以上対象に、心血管健康レベルと認知症/認知機能との関連を評価3C研究は、フランスのボルドー、ディジョンおよびモンペリエの3都市で行われた。対象は、ベースラインで心血管疾患または認知症の既往がなく、1999年1月~2016年7月に、神経心理学検査と認知症発症の系統的検出を複数回受けた65歳以上の高齢者(最終追跡日は2016年7月26日)。 心血管健康レベルについて、推奨される最適水準でのライフ シンプル7(非喫煙、BMI<25、運動習慣あり、魚を週2回以上および野菜や果物を1日3回以上摂取、コレステロール値<200mg/dL[未治療]、空腹時血糖<100mg/dL[未治療]、血圧<120/80mmHg[未治療]:スコア範囲は0~7)の実行項目数と、心血管健康スコア(範囲:0~14点、7項目の測定レベルで不良[0]、中程度[1]、最適[2])で評価した。 主要評価項目は、専門委員会によって確認された認知症発症、ならびに全認知機能の複合スコアの変化(4つの認知機能検査のzスコアの平均値として計算、母集団平均と等しい場合を0、平均より1SD高値を+1、1SD低値を-1と表記)とした。心血管健康レベルが高いと、認知症発症リスクが低く認知機能低下が少ない 解析対象は6,626例(平均年齢73.7歳、女性4,200例[63.4%])で、ベースラインでライフ シンプル7の実行項目数が0~2は2,412例(36.5%)、3~4が3,781例(57.1%)、5~7が433例(6.5%)であった。 平均追跡期間8.5年(範囲:0.6~16.6)において、745例が認知症を発症した。ライフ シンプル7の実行項目数が0~1の場合の100人年当たり認知症発症率は1.76であったのに対し、2項目の場合の認知症発症率絶対差は100人年当たり-0.26(95%信頼区間[CI]:-0.48~-0.04)、3項目で-0.59(95%CI:-0.80~-0.38)、4項目で-0.43(95%CI:-0.65~-0.21)、5項目で-0.93(95%CI:-1.18~-0.68)、6~7項目で-0.96(95%CI:-1.37~-0.56)であった。 多変量モデル解析の結果、認知症発症のハザード比は、ライフ シンプル7の1項目追加当たり0.90(95%CI:0.84~0.97)、全認知機能スコアの1点増加当たり0.92(95%CI:0.89~0.96)であった。また、全認知機能スコアはライフ シンプル7の実行項目数が1追加ごとに、ベースラインで0.031(95%CI:0.009~0.053)、6年時で0.068(95%CI:0.045~0.092)、12年時で0.072(95%CI:0.042~0.102)高かった。〔9月3日 記事の一部を修正いたしました〕

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尿崩症の診断におけるコペプチンの測定(解説:吉岡成人氏)-906

中枢性尿崩症とバゾプレッシン 中枢性尿崩症は、バゾプレッシン(arginine vasopressin:AVP)の分泌障害によって腎臓の集合管における水の再吸収が障害され、多尿をきたす疾患である。検査所見では、尿浸透圧/血漿浸透圧比は1未満であり、血漿AVP濃度は血漿浸透圧に比較して低値となる。水制限試験、高張食塩水負荷試験、ピトレッシン(DDAVP)負荷試験などの負荷試験を行い、最終的な診断を下すこととなる。 臨床の現場において血漿AVPを測定する際にはいくつかの問題がある。まず、AVPはアミノ酸9個からなる分子量約1,000の小さなペプチドホルモンであり抗体の作成が難しく、構造の類似したオキシトシンと交差反応を引き起こす。また、プロテアーゼによる分解を受けやすく、EDTA入りの採血管で採血を行い、採血後の検体は氷冷のうえ、速やかに血漿分離を行い冷凍保存する必要がある。さらに、血中AVPは半減期が短く、その約90%は血小板と結合しているため、採血後、検体を長時間放置すると血小板と結合したAVPが血漿中に遊離して見かけ上の高値を呈する。コペプチンとは AVPの前駆体であるプロバゾプレッシンはバゾプレッシン、ニューロフィジンII、コペプチンの3つのタンパク物質からなるホルモンであり、下垂体後葉の分泌顆粒の成熟に伴いプロセッシング、末端修飾を受けて、分泌刺激に応じて放出される。AVPが放出される際には同時に等モル(1:1の割合)でコペプチンが放出される。コペプチンは安定性が高く、2006年にドイツのBRAHMS社でEIAによる測定系が確立されており、血漿AVP濃度と良好な相関があること、血漿浸透圧の変動に対しても生理的な応答を示すことが確認されている。しかし、水代謝異状における血漿コペプチン測定の意義は確立されていない。中枢性尿崩症におけるコペプチン測定の意義 NEJM誌に発表された論文では、尿崩症が疑われる患者141名に対して水制限試験、高張食塩水負荷試験を実施し、中枢性尿崩症、心因性多飲、腎性尿崩症の鑑別を行っている。水制限試験で鑑別ができた症例は108例(診断精度76.6%)、高張食塩水負荷試験を行い、コペプチン濃度のカットオフ値を>4.9pmol/Lとした際に正確に鑑別診断ができたのは136例(診断精度96.5%)であった。また、コペプチンのカットオフ値を6.5pmol/Lとすると感度は94.9%、特異度100%で診断精度は97.9%となっている。時間のかかる水制限試験よりも、高張食塩水負荷試験を行い血漿コペプチン濃度を測定することで、尿崩症が疑われる患者に対してより正確な診断を行うことができるという報告である。 コペプチン濃度を心不全患者や肺塞栓患者の予後予測のマーカーとして測定するなどの臨床的な研究報告が散見されるが、診断の場でコペプチンが応用されるかどうか今後のさらなる検討が待たれる。

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配合錠、後発品への変更で可能となる節約額/JAMA

 2016年において、米国で販売される先発品の配合錠29種のメディケア支出額は、同用量の後発品と比べて9億2,500万ドル高かったことが、米国・ハーバード・メディカル・スクールのChana A. Sacks氏らにより明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「処方者への教育を通じた後発品使用や変更を推進すること、および合理的な変更の指針が、メディケアにおける医薬品支出を抑えるために重要である」と述べている。JAMA誌2018年8月21日号掲載の報告。2011~16年のメディケア支出額を検証 研究グループは、後発品配合錠が先発品に置き換わることで、どのくらいメディケア支出が増えるのかを推定するため、2011~16年のメディケアパートDで使用された医薬品1,500種について後ろ向きに解析した。これらの医薬品支出は2015年に最高額に達している。 検証したのは、経口薬で、同一または効能効果が同等の後発品が入手可能な先発品配合錠で、主要評価項目は、先発品と後発品のメディケア支出額の推定差であった。2016年、29種の先発品と後発品の支出額差は9億2,500万ドル 1,500種の医薬品において、先発品配合錠は29種で、次の3つに分類された。1)配合量同一の後発品が入手可能(20種)、2)配合量が異なる後発品が入手可能(3種)、3)効能効果が同等の後発品が入手可能(6種)。 1)配合量同一の後発品が入手可能な先発品の2016年におけるメディケア支出額は3億300万ドル、後発品は6,800万ドルで、両者の推定差は2億3,500万ドルであった。2)の配合量が異なる後発品が入手可能な先発品については2億3,200万ドル、後発品1,300万ドルで、2億1,900万ドルの差があった。3)の効能効果が同等の後発品が入手可能な先発品については4億9,100万ドル、後発品は2,000万ドルで、4億7,100万ドルの差があった。 2016年の29種の医薬品に関して、後発品は先発品よりも、9億2,500万ドル支出が少なかった。試験期間中に入手できた最も費用を要した配合錠10種についてみると、2011~16年の間に後発品が処方されていれば、約27億ドルの費用を削減できた可能性があった。

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第5回 意識障害 その4 それって本当に脳卒中?【救急診療の基礎知識】

●今回のpoint1)発症時間を正確に把握せよ!2)頭部CTは病巣を推定し撮影せよ!3)適切な連携をとり、早期治療介入を!72歳男性の意識障害:典型的なあの疾患の症例72歳男性。友人と食事中に、椅子から崩れるようにして倒れた。友人が呼び掛けると開眼はあるものの、反応が乏しく救急車を要請した。救急隊到着時、失語、右上下肢の麻痺を認め、脳卒中選定で当院へ要請があった。救急隊接触時のバイタルサインは以下のとおり。どのようにアプローチするべきだろうか?●搬送時のバイタルサイン意識:3/JCS、E4V2M5/GCS血圧:188/102mmHg 脈拍:98回/分(不整) 呼吸:18回/分SpO2:95%(RA) 体温:36.2℃ 瞳孔:3/3mm+/+脳出血か、脳梗塞か、画像診断が有効だけど…「脳卒中かな?」と思っても、頭部CTを撮影する前にバイタルサインを安定させること、低血糖か否かを瞬時に判断することが重要であることは理解できたと思います(表)。今回はその後、すなわち具体的に脳卒中か否かを画像を撮影して判断する際の注意点を整理しておきましょう。「CT、MRIを撮影すれば脳卒中の診断なんて簡単!」なんて考えてはいけませんよ。画像を拡大する●Rule6 出血か梗塞か、それが問題だ!脳出血か脳梗塞か、画像を撮らずに判断可能でしょうか? 臨床の現場で、脳神経内科や脳神経外科の先生が、「この患者さんは出血っぽいなぁ」とCTを撮る前につぶやいているのを聞いたことはありませんか? 結論から言えば、出血らしい、梗塞らしい所見は存在するものの、画像を撮らずに判断することは困難です。一般的に痙攣、意識障害、嘔吐を認める場合には脳出血らしいとは言われます1)。私は初療の際、40~50歳代では梗塞よりも出血らしく、とくに収縮期血圧が200mmHgを越えるような場合にはその可能性は高いなと考え、高齢者、さらに心房細動を認める場合には、十中八九その原因は「心原性脳塞栓症」だろうと考えています。みなさんもこのようなイメージを持っているのではないでしょうか?!頭部CTをまずは撮影脳出血よりも脳梗塞らしければ、CTではなく、はじめからMRIを撮影すればよいのではないでしょうか? 脳梗塞であれば血栓溶解療法という時間の制約のある有効な治療法が存在するため、より早く診断をつけることができるに越したことはありません。血栓溶解療法を行う場合には、来院から1時間以内にrt-PA(アルテプラーゼ)を静注することが推奨されています(Time is Brain!)。しかし、MRIをまず撮影することは以下の理由からお勧めしません。・頭部CTはMRIと比較して迅速に撮影可能かつ原則禁忌なし・大動脈解離の否定は絶対(1)迅速かつ安全頭部CTの撮影時間は数分です。それに対してMRIは、撮影画像を選択しても10分以上かかります。梗塞巣が広範囲の場合や、嘔吐に伴う誤嚥性肺炎併発症例においては、呼吸のサポートが必要な場合もあり、極力診断に時間がかからず、安全に施行可能な検査を選択すべきでしょう。また、MRIはペースメーカー留置患者など撮影することができない患者群がいるのに対して、CTはほぼ全例施行可能です。私が経験した唯一撮影できなかった患者は、体重が200kgあり、CTの台におさまらなかった患者さんですが、まれですよね…。(2)大動脈解離の否定脳梗塞患者では、必ず大動脈解離の可能性も意識して対応するようにしましょう。とくに左半身の麻痺を認める場合には要注意です。当たり前ですが、血栓溶解療法を大動脈解離症例に行えばとんでもないことが起こります。大動脈解離が脳卒中様症状で来院する頻度は決して高くはありませんが、忘れた頃に遭遇します。そのため、血栓溶解療法を行うことを考慮している症例では、頭部CTで出血を認めない場合には、胸部CTも併せて行い大動脈解離の評価を行います。これは施設によっては異なり、胸部CTではなく、胸部X線、またはエコーで確認している施設もあるとは思いますが、病院の導線などの問題から、頭部CT撮影時に胸部CTも併せて評価している施設が多いのではないでしょうか。大動脈解離の確定診断は通常単純ではなく造影CTですが、脳卒中疑い症例では単純CTで評価しています。もちろん検査前確率で脳卒中よりも大動脈解離の可能性が高い場合には造影CTを撮影しますが、あくまで脳卒中を疑っている中で、大動脈解離の否定も忘れないというスタンスでの話です。大動脈解離の検査前確率を上げる因子として、意識障害のアプローチの中では、バイタルサイン、発症時の様子を意識するとよいでしょう。バイタルサインでは、脳卒中では通常血圧は上昇します。それに対して、身体所見上は脳卒中を疑わせるものの血圧が正常ないし低い場合には、大動脈解離に代表される“stroke mimics”を考える必要があります(参照 意識障害 その2)。この場合には積極的に血圧の左右差を確認しましょう。Stroke mimicsは、大動脈解離以外に、低血糖、痙攣・痙攣後、頭部外傷、髄膜炎、感染性心内膜炎でしたね。また、発症時に胸背部痛に代表される何らかの痛みを認めた場合にも、大動脈解離を考えます。意識障害を認める場合には、本人に確認することが困難な場合も少なくなく、その場合には家族など目撃者に必ず確認するようにしましょう。以上から、意識障害患者では低血糖否定後、速やかに頭部CTを撮影するのがお勧めです。CT撮影時の注意事項頭部CTを撮影するにあたり、注意する事項を冒頭のpointに沿って解説してきます。1)発症時間を正確に把握せよ!血栓溶解療法は脳梗塞発症から4.5時間以内に可能な治療です。血栓回収療法は、近年可能な時間は延びつつありますが、どちらも時間的制約がある治療であることは間違いありません。麻痺や構音障害がいつから始まったのか、言い換えればいつまで普段と変わらぬ状態であったのかを必ず意識して病歴を聴取しましょう。発見時間ではなく、「発症時間」です。“Wake up stroke”といって、前日就寝時までは問題なく、当日の起床時に麻痺を認め来院する患者は少なくありません。以前は発症時間が不明ないし、就寝時と考えると4.5時間以上経過している(たとえば前日22時に就寝し、当日5時半に麻痺を認める場合など)場合には、その段階で適応外とすることが多かったと思います。しかし、最近では、発症時間が不明な場合でも、頭部MRIの画像を利用して発症時間を推定し、血栓溶解療法を行うメリットも報告されています2)。現段階では、わが国では限られた施設のみが行っている戦略と考えられているため、病歴聴取よりも画像を優先することはありませんが、「寝て起きたときには脳梗塞が起こっていた症例は血栓溶解療法の適応なし」と瞬時に判断するのは早すぎるとは思っています。60歳以上では夜間に1回以上排尿のために起きていることが多く、就寝時間を確認するだけでなく、夜間トイレにいった形跡があるか(家族が物音を聞いているなど)は確認するべきでしょう。3時頃にいったという確認がとれれば、5時半の起床時に脳梗塞症状を認めた場合、血栓溶解療法の適応内ということになるのです。なんとか目の前の脳梗塞患者の予後を良くする術はないか(血栓溶解療法、血栓回収療法の適応はないのか)を常に意識して対応しましょう。2)頭部CTは病巣を意識して撮影を!血栓溶解療法の適応のある患者では、頭部CTは迅速に撮影しますが、低血糖の除外とともに最低限確認しておくべきことがあります。バイタルサインは当たり前として、ざっとで構わないので神経所見を確認し、脳卒中だとすると頭蓋内のどの辺に病巣がありそうかを頭にイメージする癖をもちましょう。「失語+右上下肢の運動麻痺→左中大脳動脈領域?」など、異常所見を推定し、画像評価をする必要があります。たとえば、左放線冠のラクナ梗塞を認めた症例において、重度の意識障害を認める、右だけでなく左半身の運動麻痺を認めるような場合には、痙攣の合併などを考慮する必要があります。麻痺がてんかんによるものであれば、血栓溶解療法は禁忌、脳梗塞に伴う急性症候性発作であれば禁忌ではありません。3)適切な連携をとり、早期治療介入を!急性期脳梗塞は“Time is Brain!”と言われ、より早期に治療介入することが重要です。血栓溶解療法適応症例は60分以内のrt-PA静注が理想とされていますが、これを実現するのは簡単ではありません。症例のように、現場から脳梗塞疑いの患者の要請が入ったら、その段階で人を集め、CT、MRI室へ一報し、スタンバイしておく必要があります。また、採血では凝固関連(PT-INRなど)が最も時間がかかり、早く結果を出してほしい旨を検査室に伝えて対応してもらいましょう。また、患者、家族に対する病状説明も重要であり、初療にあたる医師と病状説明する医師の2名は最低限確保し、対応するとよいでしょう。実際、この症例では、要請時の段階で医師を集め、来院後迅速に所見をとりつつ低血糖を否定しました。その後、頭部CT、胸部CTを撮影し、early CT signsや大動脈解離は認めませんでした。突然発症であり発症時間が明確であったため、急性期脳梗塞を疑いrt-PAの準備、家族への病状説明を行いつつ頭部MRIとMRAを撮影しました。結果、左中大脳動脈領域の急性期脳梗塞と診断し、血栓溶解療法を行う方針となりました。脳梗塞を疑うことはそれほど難しくありませんが、短時間で診断し、適切な診療を行うことは容易ではありません。Stroke mimicsを常に意識しながら対応すること、役割分担を行い皆で協力して対応しましょう!次回は「Rule 7 菌血症・敗血症が疑われたfever work up!」、高齢者の意識障害で多い感染症の診るべきポイントを解説します。1)Runchey S, et al. JAMA. 2010;303:2280-2286.2)Thomalla G, et al. NEJM. 2018;379:611-622.

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禁煙後の体重増加、死亡リスクへの影響は?/NEJM

 禁煙後の体重増加が、禁煙によるベネフィットを減弱させるかは不明とされる。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYang Hu氏らは、3つのコホート研究のデータを解析し、体重増加は短期的な2型糖尿病のリスクを増大させるものの、禁煙による心血管イベントや死亡の抑制効果には影響しないことを示した。研究の成果は、NEJM誌2018年8月16日号に掲載された。禁煙により主要な慢性疾患のリスクが軽減し、余命の延長がもたらされるが、顕著な体重増加を来す場合があり、食欲の増進やエネルギー消費の低下に起因する可能性が指摘されている。体重増加は、禁煙の意欲を失わせ、心血管代謝疾患や早期死亡のリスクが増加することで、禁煙の健康ベネフィットが減弱する可能性が示唆されている。禁煙後6年の体重増加の、糖尿病、死亡リスクへの影響を評価 研究グループは、禁煙後の体重の変化に伴う疾患や死亡のリスクの推移を検討した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 米国の男女を含む3つのコホート研究(Nurses' Health Study[NHS]、NHS II、Health Professionals Follow-up Study[HPFS])から、禁煙の報告のある参加者を同定し、喫煙状況と体重の変化を前向きに調査した。 被験者は、喫煙、禁煙(禁煙期間が2~6年)、長期禁煙(禁煙期間が6年超)、一過性禁煙、生涯非喫煙に分けられた。今回は、禁煙後6年間の体重の変化に焦点を当て、禁煙群を体重増加なし(不変および減少)、0.1~5.0kgの増加、5.1~10.0kgの増加、>10.0kgの増加に分類した。禁煙後の体重の変化の程度別に、2型糖尿病、心血管死、全死因死亡のリスクを評価した。体重増加がない禁煙者は、長期に死亡リスクが低下 ベースラインの喫煙群および4つの禁煙群の平均年齢は52.2~56.1歳、平均BMIは23.4~26.4であった。平均フォローアップ期間は19.6年で、この間に1万2,384例が2型糖尿病を発症し、2万3,867例が死亡(心血管死5,492例を含む)した。 全体の2型糖尿病のリスクは、禁煙群が喫煙群に比べ高かった(ハザード比[HR]:1.22、95%信頼区間[CI]:1.12~1.32)。2型糖尿病のリスクは禁煙後5~7年時にピークに達し、その後は徐々に低下した。この一時的なリスクの増加は、体重増加の程度と比例し、体重増加のない禁煙者ではリスクは増加しなかった(交互作用:p<0.001)。禁煙後6年間で2型糖尿病リスクは68.4%増加した。 これに対し、禁煙群では、禁煙後の体重の変化の程度にかかわらず、一時的な死亡リスクの増加は認めなかった。喫煙群と比較した心血管死のHRは、体重増加のない禁煙者が0.69(95%CI:0.54~0.88)、体重増加が0.1~5.0kgの禁煙者が0.47(0.35~0.63)、5.1~10.0kgの禁煙者が0.25(0.15~0.42)、>10.0kgの禁煙者が0.33(0.18~0.60)であり、長期禁煙者は0.50(0.46~0.55)だった。 喫煙群と比較した全死因死亡のHRには、心血管死とほぼ同様の関連が認められ、それぞれ0.81(95%CI:0.73~0.90)、0.52(0.46~0.59)、0.46(0.38~0.55)、0.50(0.40~0.63)、0.57(0.54~0.59)であった。 心血管死のリスクは、禁煙後持続的に低下し、10~15年後に最低値に達した後、緩徐に増加したが、喫煙者のレベルに到達することはなかった。このような関連のパターンが、体重が増加したすべての禁煙者にみられたが、体重が増加しなかった禁煙者は10~15年以降もリスクが低下し続け、その後、上昇傾向をみせずにプラトーに達した。 全死因死亡のリスクは、禁煙後5~7年まで単調に減少し、その後プラトーに達した。このパターンは、体重が増加したすべての禁煙者にみられたが、体重が増加しなかった禁煙者は、禁煙以降、直線的にリスクが低下した。 著者は、「以前の複数の研究で、禁煙後の2型糖尿病リスクの短期的な上昇を示唆する結果が示されており、今回の研究結果はこれらの知見と一致する」としている。

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糖尿病合併症リスクの啓発サイト開設

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社と日本イーライリリー株式会社は、日本糖尿病協会監修のもと、糖尿病の合併症のリスク啓発ウェブサイト(「どうなる? どうする? 糖尿病」:https://www.dounaru-dm.jp/)を2018年8月24日に開設した。 糖尿病では、食事・運動療法、服薬アドヒアランスなど、患者の主体的な取り組みが、治療目標達成の成否に関わるが、初期段階では自覚症状に乏しく、患者自身が主体性を持って治療に取り組みにくい傾向にある。また、患者の合併症の認知率や理解度についてもさまざまで、患者が合併症のリスクについて理解し、納得したうえで、主体的に治療に取り組むことが、糖尿病治療の目標達成に重要であると考えられている。 こうした現状を踏まえ、両社が日本糖尿病協会監修のもと、糖尿病患者やその家族が、糖尿病の合併症について正しい知識を身に付け、早期から合併症を見据えた治療に取り組み、糖尿病の治療目標達成をサポートすることを目的に、同ウェブサイトを開設したものである。 同ウェブサイトの監修を担当した日本糖尿病協会の清野 裕理事長は、「糖尿病の恐ろしさは、自覚症状がないまま合併症が静かに進んでしまうことです。逆に、合併症の発症を抑える事が出来れば必要以上に恐れることはありません。だからこそ、合併症のリスクを見据えて早期から血糖をコントロールすることが何よりも大事で、その後の合併症の予防につながります」とコメントを寄せている。 同ウェブサイトは、「糖尿病と血管の関係」「糖尿病の合併症って?」「リスクを数字で知ろう」「治療について知っておきたいこと」「自分と大切な人のために行動しよう!」と大きく5つのメニューに分かれ、糖尿病の合併症について、より理解を深めるとともに、食事・運動を基本として、治療に積極的に取り組むことによって合併症発症リスクの回避につながることを伝えている。また、患者が糖尿病合併症について主治医に相談する際のチェックシートも掲載し、合併症リスクに備えるため、主治医とともに前向きに取り組めるように工夫を凝らしている。■参考どうなる? どうする? 糖尿病■関連記事糖尿病診療コレクション

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シフト勤務と認知症発症リスクに関するコホート研究

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のKathleen Bokenberger氏らは、Swedish Twin Registry(STR)より2つの集団ベースコホートにおけるシフト勤務と認知症との関連について調査を行った。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2018年8月3日号の報告。 対象は、STR1973サンプルおよびScreening Across the Lifespan Twin(SALT)サンプル。STR1973サンプルの参加者(1926~43年生まれの1万3,283人)には、1973年時点でのシフト勤務状況(経験あり/なし)と期間(年)について、郵送によるアンケートを実施した。SALTサンプルの参加者(1900~58年生まれの4万1,199人)に対しては、1998~2002年の夜間勤務状況と期間について、電話による聞き取りを行った。 認知症診断は、Swedish Patient Registerより行った。Cox比例ハザード回帰を用いて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。調整モデルには、年齢、性別、教育、糖尿病、心血管疾患、脳卒中などの潜在的交絡因子が含まれた。遺伝子型サブサンプル(STR1973:2,977例、SALT:1万366例)においては、APOEε4の状態を考慮した。 主な結果は以下のとおり。・STR1973サンプルでは、追跡中央期間41.2年後に983例(7.4%)の認知症症例が確認された。・SALTサンプルでは、追跡中央期間14.1年後に1,979例(4.8%)の認知症症例が確認された。・シフト勤務(HR:1.36、95%CI:1.15~1.60)および夜間勤務(HR:1.12、95%CI:1.01~1.23)は、認知症発症の上昇と関連が認められた。・用量反応関係がわずかに認められ、長期間のシフト勤務や夜間勤務により認知症リスクが増加することが予測された。・APOEε4キャリアでは、シフト勤務や夜間勤務を20年以上行った人は、日中勤務者と比較し、認知症リスクが高かった。 著者らは「夜間を含むシフト勤務を行っている人は、そうでない人と比較し、認知症発症リスクの増加と関連が認められた。本調査結果は、さらなる確認が必要である」としている。■関連記事長時間労働やシフト作業は認知症発症に影響するか小児期のストレスと将来の認知症発症との関連季節農家の労働者はうつ病になりやすいのか

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軽中等症の高血圧、低用量3剤配合剤vs.通常ケア/JAMA

 軽症~中等症の高血圧症患者において、低用量3剤配合降圧薬による治療は通常ケアと比較して、目標血圧を達成した患者の割合が有意に高かったことが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のRuth Webster氏らによる無作為化試験の結果、示された。著者は「低用量3剤配合を第一選択としたり、単剤治療と置き換えたりすることは、血圧コントロールを改善する有効な方法となる可能性がある」とまとめている。コントロール不良の高血圧症は世界的な公衆衛生上の問題となっており、新たな治療戦略が求められている。JAMA誌2018年8月14日号掲載の報告。テルミサルタン20mg/アムロジピン2.5mg/chlorthalidone 12.5mgの配合剤 研究グループは、低用量3剤配合降圧薬治療が通常ケアと比べて、より良好な血圧コントロールを達成するかを、無作為化非盲検試験にて検討した。被験者は、収縮期血圧>140mmHgおよび/または拡張期血圧>90mmHgの成人、および糖尿病/CKDで>130mmHgおよび/または>80mmHgの成人で、降圧治療の開始が必要(未治療)または漸増治療が必要(単剤療法を受けている)な患者とした。登録は、2016年2月~2017年5月までスリランカの11の市中病院で行われ、フォローアップは2017年10月に終了した。 被験者は、1日1回、固定用量の3剤配合降圧薬(テルミサルタン20mg量、アムロジピン2.5mg量、chlorthalidone 12.5mg量)治療を受ける群(349例)、通常ケア群(351例)に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、6ヵ月時点の目標収縮期/拡張期血圧(140/90mmHg未満、または糖尿病/CKD患者は130/80mmHg未満)を達成した患者割合とした。副次評価項目は、フォローアップ中の平均収縮期/拡張期血圧の差、有害事象による降圧治療の中断などであった。6ヵ月後の目標血圧達成患者、70% vs.55% 無作為化された患者700例(平均年齢56歳、男性42%、糖尿病29%、平均収縮期/拡張期血圧154/90mmHg)のうち、675例(96%)が試験を完了した。 6ヵ月時点の評価で、3剤配合降圧薬群の目標血圧達成割合は、通常ケア群に比べて有意に高かった(70% vs.55%、リスク差:12.7%[95%信頼区間[CI]:3.2~22.0]、p<0.001)。 また、6ヵ月時の平均収縮期/拡張期血圧は、3剤配合降圧薬群125/76mmHgに対し、通常ケア群134/81mmHgであった。フォローアップ中の無作為化後の血圧の補正後差は、収縮期血圧-9.8mmHg(95%CI:-7.9~-11.6)、拡張期血圧-5.0mmHg(-3.9~-6.1であった(いずれもp<0.001)。 有害事象は全体で、被験者255例(3剤配合降圧薬群38.1% vs.通常ケア群34.8%)で419件が報告された。最も多く共通して認められたのは、筋骨格系疼痛(それぞれ6.0%、8.0%)、めまい、意識障害(presyncope)、失神(5.2%、2.8%)であった。有害事象のため治療中止となった患者の割合は両群間で有意な差はなかった(6.6% vs.6.8%)。

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2型糖尿病の死亡リスクは高くない?/NEJM

 5つのリスク因子が、ガイドラインで定められた目標値の範囲内にある2型糖尿病患者は、死亡、心筋梗塞、脳卒中のリスクが一般人口とほとんど変わらず過剰ではないことが、スウェーデン・イエーテボリ大学のAidin Rawshani氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年8月16日号に掲載された。2型糖尿病患者は、死亡や心血管アウトカムのリスクが一般人口に比べ2~4倍高いとされる。この2型糖尿病に関連する過剰なリスクが、現行のエビデンスに基づく治療や複数のリスク因子の修正によって、どの程度軽減し、あるいは消失する可能性があるのかは不明であった。目標値範囲外のリスク因子数とアウトカムの関連を評価 研究グループは、2型糖尿病患者における死亡および心血管イベントの過剰リスクが低減あるいは消失するかを検討するコホート研究を行った(スウェーデン地方自治体協議会[SALAR]などの助成による)。 1998年1月1日~2012年12月31日の期間に、スウェーデンの全国糖尿病登録(Swedish National Diabetes Register)の2型糖尿病患者27万1,174例(糖尿病群)と、年齢、性別、地域(県)をマッチさせた非糖尿病の地域住民135万5,870例(対照群)を解析に含めた。 年齢別(≧80、≧65~<80、≧55~<65、<55歳)および5つのリスク因子(糖化ヘモグロビン値の上昇[≧7.0%]、LDLコレステロール値の上昇[≧97mg/dL]、アルブミン尿[微量・顕性アルブミン尿]、喫煙[試験登録時]、血圧の上昇[≧140/80mmHg])の有無別に解析を行った。 Cox回帰を用いて、目標値の範囲外のリスク因子の数と関連する4つのアウトカム(死亡、急性心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院)の過剰リスクを評価した。また、種々のリスク因子と心血管アウトカムとの関連も検討した。若年患者はリスク増分が大きい、死亡の最強予測因子は喫煙 フォローアップ期間中央値は5.7年で、この間に17万5,345例が死亡した。ベースライン時に5つのリスク因子の完全なデータが得られた2型糖尿病患者は9万6,673例(35.6%)であった。両群とも平均年齢は60.58歳で、女性が49.4%だった。 糖尿病群は対照群に比べ、目標値の範囲外のリスク因子の数が0から5つへと増加するに従って、4つのアウトカムのハザード比(HR)が段階的に上昇した。糖尿病に関連する死亡および心血管イベントのリスクの増分は、加齢に伴って段階的に減少し、<55歳の集団が最も大きく、≧80歳の集団が最も小さかった。また、急性心筋梗塞のHRは、目標値範囲外のリスク因子が1つもない≧80歳の患者が、対照群に比べ最も低かった(HR:0.72、95%信頼区間[CI]:0.49~1.07)。 5つのリスク因子がすべて目標値の範囲内の糖尿病患者は、対照群との比較における全死因死亡HRが1.06(95%CI:1.00~1.12)であり、わずかにリスクが高い傾向がみられたが、急性心筋梗塞のHRは0.84(95%CI:0.75~0.93)とむしろリスクは低く、脳卒中のHRは0.95(95%CI:0.84~1.07)と有意差を認めなかった。一方、目標値の範囲外のリスク因子がない糖尿病群の心不全による入院のリスクは、対照群よりも有意に高かった(HR:1.45、95%CI:1.34~1.57)。 死亡の最も強い予測因子は喫煙であり、次いで身体活動、婚姻状況、糖化ヘモグロビン値、スタチンの使用の順であった。同様に、急性心筋梗塞の予測因子は、糖化ヘモグロビン値、収縮期血圧、LDLコレステロール値、身体活動、喫煙の順で、脳卒中は糖化ヘモグロビン値、収縮期血圧、糖尿病罹患期間、身体活動、心房細動の順、心不全による入院は心房細動、BMI、身体活動、推定糸球体濾過量、糖化ヘモグロビン値の順だった。 著者は、「理論上、5つのリスク因子を目標値の範囲内に保持すれば、急性心筋梗塞の過剰リスクは消失するが、心不全による入院のリスクは実質的に過剰なまま残る」とまとめ、「若年患者では、目標値の範囲外のリスク因子の数が多いほど、有害な心血管アウトカムの相対的リスクが増大したことから、より積極的な治療が利益をもたらす可能性が示唆される」と指摘している。

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【勤務医のアルバイト収入 2018】第3回 地方別・診療科別の時給編

ケアネットでは、会員の先生方から寄せられた「ほかの医師たちのアルバイト(非常勤)収入について知りたい」という声にお応えし、アンケートのご協力をお願いしました。今回は、前回に続き、アルバイト時給の集計結果についてご紹介いたします。地方の時給が高いとは限らない?「最も回数が多いアルバイト先の時給」について、1,000人の回答を地方別に見てみると、最も高い1万6,000円以上の割合は、1位が関東地方(16%)、2位が中部地方(15%)、3位が北海道(13%)だった。一方、最も安い8,000円未満の割合は、1位が北海道(38%)、2位が四国(34%)、3位が中国地方(32%)で、北海道は中間額の割合が少なく、両極端な結果であった。画像を拡大する診療科によって異なる時給分布月1回以上アルバイトを行っている医師602人を、メインの診療科別で見てみると、時給1万2,000円以上の割合が大きいのは、放射線科(63%)、麻酔科(58%)、総合診療科(47%)という結果だった。グラフを見ると、診療科による差が大きいことがわかる。画像を拡大する10~20%の医師が5軒以上のバイトを受け持っている月1回以上アルバイトを行っている医師602人のアルバイトの受け持ち件数を、医局所属別に見てみると、医局所属ありのほうが多い傾向にあり、全体では1~2軒の医師が半数以上だが、5軒以上の割合も10~20%存在した。画像を拡大する■Q .アルバイト先の医療機関は何軒ですか?※定期・スポットの合計をご回答ください。1) 1軒2) 2軒3) 3軒4) 4軒5) 5軒以上今回をもちまして、本アンケートに関する結果発表は最終回となります。アンケート調査へのご協力ありがとうございました。

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日本人2型糖尿病でのエンパグリフロジン+リナグリプチン合剤の上乗せ効果

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジンと、DPP-4阻害薬リナグリプチンの配合剤による併用療法が、エンパグリフロジン単剤による治療で効果不十分な日本人2型糖尿病患者における治療選択肢として有用であることが示された。川崎医科大学の加来 浩平氏らによる、Diabetes, obesity & metabolism誌オンライン版2018年8月9日号に掲載の報告。 本試験は、エンパグリフロジン10mgまたは25mgと、リナグリプチン5mgの用量固定配合剤(FDC)の有効性および安全性の評価を目的に実施された、2パートの無作為化二重盲検ダブルダミープラセボ対照試験(83施設)。 抗糖尿病薬未投与または、12週以上の経口抗糖尿病薬1剤の投与を受けた患者を対象に、オープンラベルの服用安定化期間(16週)として、エンパグリフロジン10mg[パートA]または25mg[パートB]がそれぞれ投与された。 その後、パートAではエンパグリフロジン10mg+プラセボが、パートBではエンパグリフロジン25mg +プラセボが2週間投与された。 HbA1c 7.5~10.0%の患者が、パートAではエンパグリフロジン10mg +リナグリプチン5mg群(107例)またはエンパグリフロジン10mg +プラセボ群(108例)に、パートBではエンパグリフロジン25mg +リナグリプチン5mg群(116例)またはエンパグリフロジン25mg +プラセボ群(116例)にそれぞれ1:1の割合で無作為に割り付けられた(24週の1日1回投与)。なお、パートBでは28週間投与期間が延長された。 主な結果は以下のとおり。・24週時点のHbA1cのベースラインからの変化は、プラセボ群と比較して、リナグリプチン群で大きかった(p<0.0001);エンパグリフロジン10mg +リナグリプチン5mg群:-0.94% vs.-0.12%(調整後の平均値の差:-0.82%)、エンパグリフロジン25mg+リナグリプチン5mg群:-0.91% vs.-0.33%(調整後の平均値の差:-0.59%)。・24週および52週後、プラセボ群と比較して、リナグリプチン群でHbA1c<7.0%および空腹時血糖の著明な減少がみられた患者の割合が高かった。・エンパグリフロジン+リナグリプチンFDCでは、予期せぬ有害事象や糖尿病性ケトアシドーシスの発症は確認されず、良好な忍容性を示した。エンパグリフロジン25mg +リナグリプチン5mg群で、低血糖症が1例報告された。 本邦では、2型糖尿病を適応として(エンパグリフロジンとリナグリプチンによる併用療法が適切と判断される場合に限る)、エンパグリフロジン10mg +リナグリプチン5mgとエンパグリフロジン25mg +リナグリプチン5mgの2種類の配合剤が、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会(2018年7月28日)を通過し、近く承認が見込まれている。

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米国1999~2016年の早期死亡率上昇、主因は薬物中毒/BMJ

 米国において若年~中年(25~46歳)の早期死亡率は、人種/民族集団を問わず全体的に増加していることが、米国・バージニア・コモンウェルス大学のSteven H. Woolf氏らによる、人口動態統計のシステマティックレビューの結果、示された。要因は多岐にわたり、とくに近年は後退現象のために長年にわたる死亡率の低下が相殺され、もともと死亡率が高い非ヒスパニック(NH)黒人、NH米国先住民/アラスカ先住民といった人種集団においては、さらなる上昇を生んでいた。著者は、「多数の要因として全身性要因が示されている。政策立案者は迅速に行動を起こし、米国における健康低下の原因に取り組まなくてはならない」と述べている。BMJ誌2018年8月15日号掲載の報告。早期死亡率はNH白人だけでなく非白人集団でも増加 研究グループは1999~2016年の期間で、25~64歳の米国成人を対象に、人種や民族集団における米国の人口動態統計の傾向を分析した。絶対的な死亡率変化を評価するため、1999~2016年と2012~16年における対前年変化の平均と、死亡率増加に起因する超過死亡率を算出するとともに、相対的な死亡率変化を評価するため、1999年vs.2016年と最低年vs.2016年の死亡率の相対差、ならびに1999~2016年およびjointpoint間の死亡率傾向モデルにおける相対的な変化率を算出した。 解析の結果、1999~2016年において、若年~中年期の全死因死亡率はNH白人だけでなく、NH米国先住民/アラスカ先住民でも同様に増加していた。NH黒人、ヒスパニック、NHアジア/太平洋諸島系の全死因死亡率は、当初は低下したが、この傾向は2009~2011年に終了した。 各集団での早期死亡率増加の原因の第1位は薬物過剰摂取であったが、アルコール関連障害、自殺、内臓疾患による死亡率も増加していた。NH白人の早期死亡率は多くの状況下で増加したが、同じような傾向は非白人集団にも影響を及ぼした。非白人集団における早期死亡率の増加は、とくに多くの死因で増加率が増した2012~16年において、NH白人を上回った。薬物過剰摂取・アルコール性肝疾患・自殺が主要死因だが、他要因でも死亡率上昇 1999~2016年において、NH米国先住民/アラスカ先住民では、12の死因で早期死亡率が増加し、薬物過剰摂取(411.4%)だけではなく、高血圧性疾患(269.3%)、肝臓がん(115.1%)、ウイルス性肝炎(112.1%)、神経系疾患(99.8%)でも増加していた。NH黒人では、薬物過剰摂取(149.6%)、殺人(21.4%)、高血圧性疾患(15.5%)、肥満(120.7%)、肝臓がん(49.5%)などの17の死因で早期死亡率が増加した。アルコール性肝疾患、慢性下気道疾患、自殺、糖尿病、膵臓がんは、早期死亡率が安定または低下した後に増加に転じた。 ヒスパニックでは、薬物過剰摂取(80.0%)、高血圧性疾患(40.6%)、肝臓がん(41.8%)、自殺(21.9%)、肥満(106.6%)、代謝性障害(60.0%)などの12の死因で早期死亡率が増加した。この集団でも、アルコール性肝疾患、精神および行動障害、殺人に関しては死亡率低下後に増加する後退現象が確認された。 NHアジア人/太平洋諸島の住人では、この後退現象は認められなかったが、薬物過剰摂取(300.6%)、アルコール性肝疾患(62.9%)、高血圧性疾患(28.3%)、脳腫瘍(56.6%)による早期死亡率は増加し、自殺率は2001年以降29.7%まで増加した。 米国の早期死亡率の相対増加率は、性別や地域で異なっており、致死的薬物過剰摂取の相対増加率は男性より女性が大きかった。非都市部のほうが死亡率の相対増加率は一般的に大きいが、NH白人とヒスパニックの薬物過剰摂取の相対増加率は大都市郊外周辺地域で最大であり、NH黒人では小規模都市で最大であった。

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1型糖尿病、若年発症で死亡・心血管リスク増大/Lancet

 1型糖尿病の発症時年齢は、生存および心血管系アウトカムの重要な決定因子であることが明らかにされた。0~10歳の人は26~30歳の人に比べ、死亡や心血管疾患などの過剰リスク差は最大で5倍に上り、同リスクは女性で高く、10歳未満時の発症は、男性が14.2生存年の損失に対し女性では17.7生存年の損失につながることが示された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のAraz Rawshani氏らが、スウェーデンの全国糖尿病患者登録者約2万7,200例と適合対照一般集団を対象に行ったコホート試験の結果で、Lancet誌2018年8月11日号で発表した。1型糖尿病患者の死亡および心血管疾患リスクの上昇は知られているが、現行ガイドラインでは、リスク層別化において診断時年齢は考慮されていなかった。診断時年齢を0~10歳と、11~30歳を5歳ごとに分類し検討 研究グループは、1型糖尿病の診断時年齢が、過剰な死亡・心血管リスクと関連するかを調べるため、1998年1月1日~2012年12月31日に、スウェーデン全国糖尿病レジスターに1回以上登録された1型糖尿病患者2万7,195例と、適合対照一般集団13万5,178例を対象に、コホート試験を行った。 糖尿病罹病期間を補正したCox回帰分析により、全死因死亡、心血管死、非心血管死、急性心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患(急性心筋梗塞と脳卒中の複合)、冠動脈性心疾患、心不全、心房細動の過剰リスクを推定した。 1型糖尿病患者は診断時の年齢により、0~10歳、11~15歳、16~20歳、21~25歳、26~30歳の5群に分類した。CHD・MIリスク、診断時年齢0~10歳が約31倍、26~30歳は約6倍 追跡期間中央値10年において、死亡は、1型糖尿病群959例と、対照群1,501例で報告された。 診断時年齢0~10歳群の、全死因死亡のハザード比(HR)は4.11(95%信頼区間[CI]:3.24~5.22)、心血管死HRは7.38(同:3.65~14.94)、非心血管死HRは3.96(同:3.06~5.11)、心血管疾患HRは11.44(同:7.95~16.44)、冠動脈性心疾患HRは30.50(同:19.98~46.57)、急性心筋梗塞HRは30.95(同:17.59~54.45)、脳卒中HRは6.45(同:4.04~10.31)、心不全HRは12.90(同:7.39~22.51)だった。 一方、診断時年齢が26~30歳群は、全死因死亡HRは2.83(同:2.38~3.37)、心血管死HRは3.64(同:2.34~5.66)、非心血管死HRは2.78(同:2.29~3.38)、心血管疾患HRは3.85(同:3.05~4.87)、冠動脈性心疾患HRは6.08(同:4.71~7.84)、急性心筋梗塞HRは5.77(同:4.08~8.16)、脳卒中HRは3.22(同:2.35~4.42)、心不全HRは5.07(同:3.55~7.22)だった。 診断時年齢が0~10歳群は、同26~30歳群に比べ、死亡や心血管疾患などの過剰リスクの差は最大で5倍に上った。 また、1型糖尿病群で罹患率が最も高値だったのは全死因死亡率で、1.9/10万人年だった。1型糖尿病の10歳未満の発症は、女性で17.7生存年(95%CI:14.5~20.4)の、男性では14.2生存年(12.1~18.2)の損失につながった。

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DPP-4阻害薬服用で、水疱性類天疱瘡リスクが3倍

 糖尿病患者におけるDPP-4阻害薬の服用と水疱性類天疱瘡(BP)との関連は、最近の話題となっている。リナグリプチンのような新しいDPP-4阻害薬については、BPの発症リスクが明らかになっておらず、DPP-4阻害薬によるBP患者の臨床的特徴や予後予測も確立されていない。イスラエル・Rambam Health Care CampusのKhalaf Kridin氏らはビルダグリプチンやリナグリプチンは、BPのリスク増加と関連していることを明らかにした。著者は、「今回の結果は、イスラエルにおけるBPの発症増加を部分的にだが説明できるものであった。BPと診断された糖尿病患者は、DPP-4阻害薬の治療中止を考慮すべきである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年8月8日号掲載の報告。 研究グループは、主要評価項目をDPP-4阻害薬の服用とBP発症との関連、副次評価項目をBPの発症にDPP-4阻害薬の服用が関連する患者の臨床的特徴や既往歴とし、北イスラエルにある自己免疫水疱性疾患における3次医療機関にて、糖尿病患者の各DPP-4阻害薬およびメトホルミンの服用量と、BPの発症について後ろ向き症例対照研究を行った。 対象は、2011年1月1日~2017年12月31日に、免疫病理学的にBPと確定診断された糖尿病の治療継続患者82例、ならびにこれらと年齢、性別および人種をマッチさせた非BPの糖尿病患者328例であった。 DPP-4阻害薬を服用しBPと診断された糖尿病患者と、DPP-4阻害薬を服用せずBPと診断された糖尿病患者について、臨床的および免疫学的特徴、臨床検査値、治療方法および臨床アウトカムを比較した。追跡期間中央値は2.0年であった。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別をマッチさせて登録したコントロール群328例は平均年齢(±SD)79.1±9.1歳、女性44例(53.7%)だった。・全体で、DPP-4阻害薬服用例はBPのリスクが3倍だった(補正後オッズ比[OR]:3.2、95%信頼区間[CI]:1.9~5.4)。・各補正後ORは、ビルダグリプチン10.7(95%CI:5.1~22.4)、リナグリプチン6.7(95%CI:2.2~19.7)であった。・DPP-4阻害薬の使用とBPとの関連は、メトホルミン服用とは独立して認められ、女性(OR:1.88、95%CI:0.92~3.86)より男性(OR:4.46、95%CI:2.11~9.40)で強く、70歳未満の患者において最も強かった(OR:5.59、95%CI:1.73~18.01)。・BPの発症にDPP-4阻害薬の服用が関連する患者は、未服用のBP患者と比較し、粘膜病変を有する割合が高く(22.2% vs.6.5%、p=0.04)、末梢血中の好酸球数が低かった(平均±SD:399.8±508.0 vs.1117.6±1847.6個/μL、p=0.01)。・DPP-4阻害薬の治療中止後、臨床アウトカムは改善した。

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応答的子育て介入が、小児のBMIを改善/JAMA

 小児期早期の急速な成長や体重増加は、その後の肥満リスクを増加させるが、子供の成長軌跡(growth trajectory)を改善する介入は確立されていないという。米国・Penn State College of MedicineのIan M. Paul氏らは、両親への教育的介入により、3歳時の子供のBMIが改善することを示し、JAMA誌2018年8月7日号で報告した。幼児期の急速な体重増加や若年期の過体重の予防に関する研究の成果は少ないが、応答的養育(responsive parenting)の枠組みを用いた教育的戦略は、後年の肥満に寄与する幼児期の行動の是正に有望と考えられている。応答的養育は、「小児のニードに対する、発育上適切で迅速、かつ条件に応じた養育的な反応」と定義される。体重増加の抑制効果を評価する単施設の無作為化試験 本研究(INSIGHT試験)は、小児の体重増加の抑制における応答的養育の有効性を評価する、単施設(Penn State Milton S. Hershey Medical Center)で実施された無作為化試験(米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所[NIDDK]などの助成による)。 初産の母親と子供を1組とし、小児期の肥満の予防を目的とした応答的養育に関する介入を行う群(介入群)、または家庭での安全性介入を行う群(対照群)に無作為に割り付けた。応答的養育の介入では、食事(feeding)、睡眠(sleep)、ふれあい遊び(interactive play)、情動調節(emotion regulation)に関する反応の仕方について、両親に専門的な助言が行われた。 2012年1月~2014年3月の期間に登録され、初回の各家庭の訪問が行われた279組(介入群:140組、対照群:139組)を、子供が3歳になるまで追跡した(2017年4月に完了)。初回訪問以降、看護師が各家庭を4回訪問し、各家庭は年1回、計3回受診した(最後の3歳の受診時は介入を行わなかった)。 主要アウトカムは、3年時のBMIのzスコア(0:母平均、1:平均+1SD、-1:平均-1SD)であった。BMIパーセンタイル値には有意差なし ベースラインにおいて子供は男児が介入群54%、対照群50%で、出生時のBMIはそれぞれ13.1(SD 1.2)、13.3(1.3)であった。また、母親の平均年齢は、介入群が28.7歳(4.6)、対照群は28.7歳(4.9)で、白人がそれぞれ87.1%、91.4%を占め、妊娠前のBMIは25.5(5.0)、25.3(5.6)だった。232組(83.2%)が3年間の試験を完了した。 3歳時の平均BMIのzスコアは、介入群が-0.13と、対照群の0.15に比べ有意に低かった(絶対差:-0.28、95%信頼区間[CI]:-0.53~-0.01、p=0.04)。一方、平均BMIパーセンタイル値は、介入群が47、対照群は54であり、有意差を認めなかった(介入群で6.9ポイント低下、95%CI:-14.5~0.6、p=0.07)。 3歳時の過体重の割合は、介入群が11.2%(13/116例)、対照群は19.8%(23/116例)と、両群間に有意な差はなく(絶対差:-8.6%、95%CI:-17.9~0.0、オッズ比[OR]:0.51、95%CI:0.25~1.06、p=0.07)、肥満もそれぞれ2.6%(3例)、7.8%(9例)であり、有意差を認めなかった(-5.2%、-10.8~0.0、0.32、0.08~1.20、p=0.09)。 7回の評価時点でのBMIの平均差(介入群-対照群)は、-0.43(95%CI:-0.67~-0.19)であり、介入群で有意に低かった。 著者は、「介入の長期的な有効性を評価するために、さらなる検討を要する」としている。

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173)アルコールの糖質を気にしている患者さんへのアドバイス【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師普段、お酒はどんなものを飲んでいますか?患者なんでも飲みますけど、とりあえずビールですね。糖尿病には焼酎がいいんでしたっけ?医師この機会に、クイズをやってみましょうか。この8つの中で、血糖値を上げる糖質が1番多いお酒はどれだと思いますか?患者炭水化物選手権? 聞いたことないですね。うーん…、やっぱりビールですか?医師実は、違うんです。ビールにも糖質が含まれていますが、1番多いのは梅酒です。患者確かに、梅酒を作るときには氷砂糖をたくさん使いますし、すごく甘い…。医師糖尿病には糖質だけでなく、アルコールの量にも注目してください。“節度ある適度な飲酒”は「生ビール 中ジョッキ 1杯」、「日本酒 1合」、「缶チューハイ 350mL」、「ウイスキーダブル 1杯」程度までです。患者そうですよね。いろいろ飲んじゃだめですよね…。●ポイントアルコール飲料は糖質だけでなく、アルコール量に注目することを追加して説明します。患者さん用(解答):1番炭水化物の量が多いのはどれ?■解答1位:梅酒 250mL(炭水化物=23g)2位:発泡酒 350mL(22g)3位:缶チューハイ(7%) 350mL(14g)4位:生ビール 中ジョッキ 1杯(12g)5位:日本酒 1合(8g)6位:赤ワイン 100mL(2g)7位:ウイスキー、焼酎(0g)1)坂根直樹 監修,佐野喜子 著. 糖尿病の食事療法 カロリーつきカーボカウントナビ. エクスナレッジ;2010.

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174)イライラする待ち時間を解消してもらうひと工夫【糖尿病患者指導画集】

患者さん用:気になる腹文字説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、待合室に掲示してあった腹文字の答えを教えてください。医師ああ、あれですね。答えはわかりましたか?患者腹という漢字が2つに分かれているのは、「腹を割る」ですよね。医師そのとおり、正解です! ほかはいかがですか?患者時計の中に腹が入っているのは…、「腹時計」ですか?医師そうです。いい調子ですね。では、次もいってみましょう。患者大きな腹の横に小さな腹があるのは…、なんだろう。医師これは、小さな腹が別にあるということで「別腹」ですね。患者あぁ、なるほど! ちょっと難しいですね。あと、最後の1つ。これがよくわからないんです。腹が横になっているの…。医師これは腹が横になっている、すなわち立っていないので、「腹を立てない」が正解です。待ち時間が長いからといって腹を立てず、腹時計や別腹について、腹を割ってお話ししましょう。患者ハハハ、うまいこと言いますね。待合室にこんな掲示がしてあると、時間も忘れて楽しめますね(うれしそうな顔)。●ポイント待合室が楽しくなる工夫をすることで、イライラが少なくなります。患者さん用(解答):気になる腹文字■解答1.腹をわる2.腹どけい3.べつ腹4.腹をたてない

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第2回 プラバスタチンの処方/カモスタットの処方/クエチアピンの処方と検査/肝硬変での検査【レセプト査定の回避術 】

事例5 プラバスタチンの処方脂質異常症の重症患者に、プラバスタチン10mg 2錠を処方した。●査定点プラバスタチン10mg 1錠が査定された。解説を見る●解説添付文書で、年齢・症状により適宜増減し、重症の場合は1日20mgまで増量できることになっていましたが、レセプトに「重症」のコメントが追記されていませんでした。コメントとして「重症」が求められます。事例6 カモスタットの処方逆流性食道炎の患者に、カモスタット100mg 6錠を処方した。●査定点カモスタット100mg 6錠が査定された。解説を見る●解説(1)カモスタットの添付文書で「カモスタット100mg 6錠」の傷病名は「慢性膵炎における急性症状の緩解」のため査定されました。(2)「逆流性食道炎」では、カモスタットの処方は認められていません。「術後」の「逆流性食道炎」では認められています。なお、「術後逆流性食道炎」では、カモスタット100mg 3錠の処方となります。事例7 クエチアピンの処方と検査統合失調症でクエチアピン錠25mg 3錠を継続処方している患者に、HbA1c検査を施行した。●査定点HbA1c検査が査定された。解説を見る●解説統合失調症にクエチアピン錠を投与すると、添付文書の「重要な基本的注意」で「著しい血糖値の上昇から、糖尿病検査」が求められています。このような場合には、糖尿病の疑いを追記するのではなく、「患者は『クエチアピン錠投与により著しい血糖値の上昇』を受けやすく、添付文書の【重要な基本的注意】によりHbA1c検査施行を必要とした」と症状詳記することが望ましいといえます。事例8 肝硬変での検査肝硬変でヘパプラスチンテストを施行した。●査定点ヘパプラスチンテストが査定された。解説を見る●解説ヘパプラスチンテストの保険請求では、「他の検査で代替できない理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること」となっています。コメントの記載がないため査定されています。

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