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第23回 高齢糖尿病患者の骨折リスク、骨粗鬆症にどう対応する?【高齢者糖尿病診療のコツ】

第23回 高齢糖尿病患者の骨折リスク、骨粗鬆症にどう対応する?Q1 糖尿病患者で骨折リスクが高くなる要因は?糖尿病患者では、糖尿病のない人と比べて骨折のリスクが高くなります。インスリン作用不足や糖化最終産物の蓄積による骨質の低下や、バランス感覚の悪化や視力低下による易転倒性などが要因として考えられています。血糖コントロール不良で推移している人は骨粗鬆症を併発しやすくなります。HbA1c値が7.5~8.0%以上のコントロール不良の糖尿病患者では、HbA1c値が7.5%未満のコントロール良好群と比較して骨折のリスクが1.6倍上昇していました。インスリン使用者では1.8倍上昇していたと報告されています1)。HbA1c 値が7.5%以上のコントロール不良の状態で、腎症や網膜症などの合併症を有し、さらにインスリン治療を必要とする糖尿病患者では骨折リスクが上昇すると考えられ、骨粗鬆症の検査を行うことが推奨されます。Q2 どのように骨折リスクを判定しますか?自分でできる骨折リスクの判定方法として、FRAX®(fracture risk assessment tool)があります(表)。この評価法は、2008年2月にWHO(世界保健機関)が発表しました。インターネットでアクセスし、指定された質問項目に答えると自動的に算出されます。今後10年以内に骨粗鬆症による主要骨折を起こす可能性が15%以上の場合には、リスク大と判断し薬物治療の開始が推奨されます。この評価法は40~90歳の方を対象としていますが、75歳以上の方は、年齢のみで高リスクと判断されてしまうため、参考程度とします。なお、罹病期間が5~10年の2型糖尿病患者では、実際の骨粗鬆症性骨折の発生はFRAX®値の1.2倍、10年以上の罹病期間を有する場合には1.5倍を呈していました。大腿骨近位部骨折の発症は5年未満でも1.4倍、10年以上では2.1倍と報告されています2)。罹病期間の長い2型糖尿病患者は、FRAX®で算出された骨折リスクよりもさらに骨折しやすいと考えられます。画像を拡大するQ3 どのように骨粗鬆症を診断しますか?骨粗鬆症の診断には骨密度検査が必須であり、さらに測定部位と方法が重要です。通常は大腿骨近位部(頚部または全体)と腰椎(L2-L4)の骨密度をDXA法(dual-energy X-ray absorptiometry)で測定して判断します。しかし、DXA装置を有する医療機関は限られており、手軽に計測できない場合も多いです。そのため、手を用いたMD(microdensitometry)法や、踵で測定する定量的超音波測定法、小型のDXA装置で橈骨のみ測定する検査などが利用されています。ただしこれらはあくまでもスクリーニング検査であり、実際の体幹部DXAでの診断と乖離を認める場合も少なくありません。リスクを要する患者さんに対しまずは簡易的な検査を行い、異常を指摘された場合にさらなる精査としてDXAを施行することが望ましいでしょう。治療効果の判定は、6ヵ月~1年に一度、体幹部DXAによる骨密度測定を施行します。機種により若干の誤差が生じるため、同一の装置・機種で追跡し、同一部位による判定が望ましいです。高齢糖尿病患者では動脈硬化による腹部大動脈の石灰化や椎体の変形等が椎体骨密度に反映されてしまい、実際より高い骨密度の計測値を示すことがあるため、DXAを施行すると同時に椎体のX線撮像を行うことも重要です。無症状の新規椎体骨折、いわゆる「いつのまにか骨折」の出現がないか確認することも必要です。Q4 どのように骨粗鬆症の薬物療法の開始を判断し、治療薬を選択しますか? 糖尿病患者において骨折予防のための薬物治療を開始する場合は、原発性骨粗鬆症に対する薬物治療開始基準(図)を参考にします。骨折の既往が無くても、1)大腿骨近位部骨折の家族歴を有すること、2)FRAX®での10年以内の骨折(主要骨折)確率が15%以上であることの2項目を満たす時には薬物治療開始が推奨されます。これに加え、「糖尿病の罹病期間が長く、HbA1c 値が7.5%以上のコントロール不良の状態を呈し、インスリン治療を必要とする場合」は薬物治療の開始を考慮して良いと考えます。画像を拡大するポリファーマシーの患者さんに骨粗鬆症治療薬を追加する場合には、慎重に検討する必要があります。ADLが低下し寝たきり状態の方や、認知症の合併により服薬管理が困難な方は、原則として新規導入を見合わせています。ただし、ADLが良好ならば、年齢に関係なく、転倒や骨折のリスクが高い場合は積極的に骨粗鬆症治療を行うべきと考えます。1年に一度のビスホスホネート注射製剤や、6ヵ月に一度の抗RANKL(receptor activator of nuclear factor κB ligand)抗体製剤などの導入は、ポリファーマシー対策にもなります。なお、ビスホスホネート製剤や抗RANKL抗体製剤等は、腎機能低下例や透析施行例では使用できない場合があるため、薬剤開始前に腎機能評価を行います。高齢者糖尿病の腎機能評価は、筋肉量の影響を受けにくい血清シスタチンC値を参考にします。シスタチンC値>1.5 mg/Lを呈する場合は、ビスホスホネート製剤の新規導入は原則禁忌と考えています。その場合には選択的エストロゲン受容体調節薬(SERMs:Selective Estrogen Receptor Modulators)等の使用を検討します。活性型ビタミンD3製剤は、転倒予防効果が期待できる上、比較的管理しやすいため広く使用されています。既存骨折を認めずADLの良好な方であれば良い適応と考えられますが、腎機能の低下した患者さんでは用量の調整が必要です。尿中Ca/Cr比>0.3の場合には減量を考慮します。スポット尿で簡単に計測できるため、6ヵ月に一度程度確認することを推奨しています。ビスホスホネート製剤の長期臨床投与成績を示した報告では、6~9年程度継続しても安全性には問題がないとされています3, 4)。しかし、ビスホスホネート製剤による骨密度増加効果は、腰椎では長期に持続するものの、大腿骨近位部では3~5年でプラトーに達すると言われています。そのため、まずは5年くらい経過観察し、加療中に大腿骨近位部骨折や椎体骨折などを来たした時や、骨量の増加が期待できない時は抗RANKL抗体製剤などへの変更を考えるのが良いでしょう。一方、アメリカのガイドラインでは、既存の骨折がなく大腿骨近位部の骨密度が骨粗鬆症領域を脱した場合には、ビスホスホネート製剤を休薬して経過観察し、2~3年毎に再評価するよう提示しています5)。骨吸収抑制薬のビスホスホネート製剤や抗RANKL抗体製剤などは、長期使用によって顎骨壊死や非定型骨折のリスクが増加することが指摘されています。ただし骨粗鬆症に対する経口ビスホスホネート治療に関連する顎骨壊死の発生率は1年間で人口10万人当たり0.2人程度とも言われます。しかも口腔衛生管理を適切に行うことで発症を予防できます。抜歯やインプラントなど顎骨に直接影響を及ぼす処置をする場合には、処置前後2~3ヵ月休薬して様子を見ます。非定型骨折は、ビスホスホネート製剤の使用にてその発症の相対リスクが上昇するといわれています。しかし、非定型骨折の頻度は、大腿骨近位部骨折の1%程度にとどまり、その絶対リスクはビスホスホネート製剤投与に伴う大腿骨近位部骨折およびその他の骨折リスクの減少と比較して、非常に小さいとも報告されています6)。薬物使用による骨折発症予防のベネフィットと、有害事象発症のリスクのバランスを考えながら、個々の患者さんにとって適正な治療方針を選択すべきと考えます。1)Schneider AL, et al. Diabetes Care 2013; 36: 1153-1158.2)Leslie WD, et al. J Bone Miner Res 2018; 33: 1923-1930.3)Eriksen EF, et al. Bone 2014; 58: 126-135.4)Black DM, et al. J Bone Miner Res 2015; 30: 934-944.5)Alder RA, et al. J Bone Miner Res 2016; 31: 16-35.6)Black DM, et al. N Eng J Med 2020; 383: 743-753.

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第56回 コロナ変異株巡る国の対応に喝、塩崎元厚労相の忖度なき発言

新型コロナウイルスの感染拡大の要因の1つである変異ウイルス。英国型や南ア型、ブラジル型に共通の変異株N501Yや、南ア型やブラジル型にもある変異株E484Kに加え、最近では東京などで確認されている日本型変異株も現れた。さらにインドでは、感染力や免疫効果に影響を与える恐れのある遺伝子変異を2つ以上併せ持つ変異株も登場し、日本でも確認されている状況だ。およそ2週間ごとに変異するコロナウイルスだけに、変異株に関する状況把握や分析が喫緊の課題になってきた。日本でもようやくワクチン接種がスタートしたものの、こうした変異ウイルスが再感染の可能性を高めたり、ワクチンの効果を低下させたりすることが懸念されている。変異株への警戒が高まる中、N501Yは変異株PCR検査で探し出すことができるが、E484Kを探し出す変異株PCR検査は地方衛生研究所(地衛研)などでは運用されていないという。しかも、ゲノム解析の対象はN501Yで変異株陽性になった場合だけだ。E484KのPCR検査法を導入しない不思議これに対し、新型コロナに関する情報をSNSやブログで積極的に発信している塩崎 恭久・元厚生労働大臣は、歯に衣着せぬ物言いをしている。まず、国立感染症研究所(感染研)と一部の地衛研に集中されているゲノム解析のプロトコルと体制の抜本的見直しが必要だと指摘。第2次緊急事態宣言の解除の際、変異株PCR検査の実施率をPCR陽性者対比で40%とするという目標が決められただけで、ゲノム解析の数値目標が設けられていないことを問題視している。実際、E484Kをスクリーニングする変異株PCR検査は存在する。塩崎氏は、海外のみならず国内でも実用化され、流通していると指摘した上で、なぜスピーディに導入しないのか理解に苦しむと述べている。データベースの構築・公開・活用をまた、変異株の地域性は臨床上、極めて有益な情報だが、感染研が積極的に示していないと批判。大学などの病院ネットワークを通じたゲノム解析を格段に増やし、解析結果を臨床医療に還元すべきだと提言している。さらに、ゲノム解析結果は国際的なウイルスゲノム解析結果公開サイト「GISAID」では、厚労省・感染研の方針で、採取地を「JAPAN」としか登録していないため、国内の分布がわからないと指摘。どの地域に変異株が流行しているのか拡散状況が正確に把握できるようにすれば、国内外の研究者が分析できるようになり、実態解明が加速すると提案している。ウイルスゲノム・サーベイランス体制の強化塩崎氏は具体的な施策として、官民合同のゲノム解析チームによるゲノム解析体制の構築、公衆衛生によるサーベイランス、そして地域臨床医療との有機的一体化を早急に実現することで世界に遅れをとることのない科学を実践すると共に、コロナウイルスの変化のスピードに負けない迅速性をもって対応し、変異株問題でも先端を行く覚悟が必要だ、と提言する。政権が変異株に対する具体的な施策を示せない中、塩崎氏の提言は具体的であり、納得できるものがある。政府には専門家による分科会などが複数あるが、政治に忖度した発言が目に付く一方、政権与党の一議員である塩崎氏が忖度なき発言をしているのがなんとも皮肉だ。

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うつ病の薬理学的介入に対する肥満の影響~メタ解析

 うつ病と肥満との関連は、ベースライン時のBMIがうつ病に対する薬理学的治療の寛解率に影響を及ぼす可能性を示唆している。ブラジル・サンパウロ連邦大学のRuth Bartelli Grigolon氏らは、抗うつ薬を投与したうつ病患者の寛解に対し、ベースラインのBMIが影響するかについて、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年3月15日号の報告。 PRISMAガイドラインに基づいて、PubMed、Cochrane、Embaseよりシステマティックレビューを実施し、メタ解析およびメタ回帰を行った。抗うつ薬単剤療法または併用療法の有効性を評価したランダム化比較試験のうち、ベースライン時のBMIを収集した研究をメタ解析に含めた。ベースライン時のBMIと寛解率との線形関係を説明するモデルを作成した。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューにより、アクティブ群9,779例、プラセボ群7,136例を含む70研究が抽出された。・プラセボ対照試験では、BMIはアクティブ群の寛解率に影響を及ぼすことが示唆された。・抗うつ薬単剤療法における寛解率は、肥満患者(12%)よりも、正常体重から過体重の患者(33%)で高かった。・単剤療法では、ベースライン時のBMIが低いと、寛解率が高かった(p=0.029)。・併用療法では、プールされた寛解率は、正常体重から過体重の患者(17%)よりも、肥満患者(75%)のほうが高かった。・本研究の限界として、BMIが体組織の関連する情報を提供していない点、肥満が寛解率に影響を及ぼす可能性のある他の潜在的な交絡因子と関連している可能性がある点が挙げられる。 著者らは「これまで十分に検討されていなかったが、うつ病患者に対する抗うつ薬治療の寛解率は、ベースライン時のBMIと関連している可能性がある」としている。

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片頭痛予防のための抗CGRPモノクローナル抗体による治療のベネフィット

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体モノクローナル抗体(抗CGRP抗体)は、反復性および慢性の片頭痛の予防に対するランダム化比較試験において有効性が示されているが、現在確立されている治療方法と直接比較した研究は行われていない。ギリシャ・General Hospital of AigioのKonstantina Drellia氏らは、反復性片頭痛の予防に対する抗CGRP抗体、トピラマート、プロプラノロールおよび慢性片頭痛の予防に対する抗CGRP抗体、トピラマート、onabotulinumtoxinAのベネフィット・リスク比の違いについて検討を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年2月10日号の報告。 有効性の効果指標として、片頭痛日数を50%以上減少させるために必要な患者数(NNTB50%)を用いた。リスクの指標として、治療中止につながる有害事象を経験するために必要な患者数(NNTHD-AE)を用いた。likelihood to help versus harm values(LHH:NNTH/NNTB)は、第III相ランダム化比較試験のデータを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・検討したすべての薬剤のうち、トピラマート200mg/日を除いて、反復性片頭痛予防に対するベネフィットがリスクを上回っていた(LHH>1)。・検討したすべての用量の抗CGRP抗体は、反復性片頭痛予防に対しプロプラノロール、トピラマートよりも、慢性片頭痛予防に対しonabotulinumtoxinA、トピラマートよりも、高いLHH値を示した。・最も高いLHH比が認められた抗CGRP抗体は、反復性片頭痛予防ではfremanezumab、慢性片頭痛予防ではガルカネズマブであった。 著者らは「抗CGRP抗体は、反復性および慢性の片頭痛に対し、これまで確立されていた治療法よりもより有用なベネフィット・リスク比を示すことが明らかとなった。さらにこれらの結果を確認するためにも、直接比較研究が求められる」としている。

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アトピー性皮膚炎に正しい理解を―患者1,000人への意識調査

 アトピー性皮膚炎は、罹患率だけでなく認知度も高い疾患でありながら、その疾患特性、患者に及ぼす影響、治療法などについての理解は十分ではない。 4月16日、アッヴィ合同会社は、『アトピー性皮膚炎による患者さんの生活や対人関係への影響~患者さん1,000人を対象にした疾病負荷 調査結果を発表~』と題したセミナーを開催した。 本セミナーでは、片岡 葉子氏(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター 副院長兼主任部長 アトピー・アレルギーセンター長)と江藤 隆史氏(東京逓信病院皮膚科客員部長、あたご皮フ科副院長)が、アトピー性皮膚炎の正しい理解をテーマに講演を行った。単純なアレルギー反応? 薬は塗り続ける? 疾患への誤解 片岡氏は「成人アトピー性皮膚炎 疾患の理解・社会の理解」と題して講演を行った。同氏は、疾患に関するさまざまな誤解が、アトピー性皮膚炎を治りにくくする可能性があることを語り、病態、病気、患者の全体像についてポイントを解説した。1)病態:アトピー性皮膚炎は、単純なアレルゲン除去で治る疾患ではなく、患者の遺伝的因子に環境因子が刺激を与えて引き起こされる疾患である。遺伝的因子としては、皮膚のバリア機能障害や免疫学的素因などがあり、とくにTh2型リンパ球の増殖とそれに伴うIgE抗体産生の促進が、炎症の悪循環を引き起こすポイントとなる。2)病気:抗炎症外用薬の使用で、見た目には炎症が抑えられても、Th2型リンパ球は増殖した状態であることが多い。そのため、薬を早期に中止することで再び炎症が現れ、症状を繰り返す患者が多い。3)患者の全体像:成長とともに寛解する小児患者もいるが、全例が寛解するわけではない。また、セルフケアが適切に出来ていないために、寛解に至らない患者も多い。 アトピー性皮膚炎は増悪・軽快を繰り返す慢性の疾患だが、疾患の特性を正しく理解し、適切に治療することで症状のない状態を長く保つことが期待できる。片岡氏は「(適切な治療で症状を抑えることで)患者の疾病負荷を減らし、今まで理解されていなかった患者を救い出すことが可能になる」と語った。アトピー性皮膚炎の「疾病負荷」 日常生活へのさまざまな影響 アッヴィ合同会社が実施した『アトピー性皮膚炎が生活に与えている影響に関する意識調査』の結果について、片岡氏が紹介した。この結果から、疾病が患者の生活に大きな負荷をかけており、社会の正しい理解が求められることが明らかになった。・7割以上の患者が「症状が繰り返されること」に対して不安や悩みを抱えており、「治らないと諦めている」患者が約5割であった。・3割以上の患者が「アトピー性皮膚炎に由来する、日常生活での負担やストレス」について周囲の理解が十分ではないと感じると回答した。・患者の約10人に1人が「アトピー性皮膚炎が原因で学業や仕事を中断、断念せざるを得なかった経験」があると回答した。・5割以上の患者が「周囲から掛けられた言葉に傷ついた、または嫌な思いをした経験」があると回答した。その時期については「社会人時代」(53.5%)が最も多かった。・6割以上の患者が「アトピー性皮膚炎が原因で、恋愛・結婚・子供を持つことに対し不安・悩みを感じる、または感じたこと」があると回答した。ステロイドは怖い薬? 治療への誤解 江藤氏は「患者さんの苦しみや患者さんとの関わり方を体験談から学ぶ」と題して講演を行った。同氏は、自身が顧問を務めるNPO法人 日本アレルギー友の会に寄せられた患者の体験談を通して、眼合併症やカポジ水痘様発疹症などを解説した。 これらの合併症の背景には、誤った治療の選択、とくにステロイドに対する誤解があるという。「ステロイドはなるべく使わないほうがいい」「ステロイドは効かない」と考える患者は少なくない。治療を続けてもらうためには、患者会など、正しい知識を持ち、相談できる人が周囲にいることも重要となる。江藤氏は「患者さんにとっては適切な治療にたどり着くこと、周囲の人にとっては正しい疾患の知識を持つことが、引き続き課題である」と締めくくった。

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PCI患者の抗血小板療法、ガイド下 vs.標準治療/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者の抗血小板療法は、血小板機能検査等に基づいた選択により、標準治療と比較して複合および個々のイベントに対する有効性が改善され、安全性についても良好な結果を得られることが、米国・フロリダ大学のMattia Galli氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにされた。PCIを受ける患者の抗血小板療法については、検査等に基づいた抗血小板療法の選択が標準治療と比較して転帰の改善に有用かどうか、依然として議論の余地があった。Lancet誌2021年4月17日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析で有効性および安全性を評価 研究グループは、2020年8月20日~10月25日の期間に、MEDLINE(PubMed経由)、Cochrane、EmbaseおよびWeb of Scienceを用い、PCIを受ける患者において血小板機能検査または遺伝子検査に基づいた(ガイド下)抗血小板療法と標準抗血小板療法を比較した無作為化比較試験および観察研究を、言語は問わず検索した。2人の研究者が独立して研究の適格性を評価し、データを抽出するとともにバイアスリスクを評価した。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)は、研究間の不均一性(I2)に従い、ランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いて算出した。 主要評価項目は、試験で定義された主要有害心血管イベント(MACE)および、あらゆる出血であった。主な副次評価項目は、全死因死亡、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、probable/definiteステント血栓症、および大出血/小出血とした。約2万例のデータの解析で、ガイド下抗血小板療法は予後改善に関与 3,656報がスクリーニングされ、無作為化比較試験11件および観察研究3件、計2万743例が解析対象となった。 標準抗血小板療法と比較してガイド下抗血小板療法は、統計学的に有意ではないものの、MACE(RR:0.78、95%CI:0.63~0.95、p=0.015)および出血(0.88、0.77~1.01、p=0.069)の減少と関連していた。 また、心血管死(RR:0.77、95%CI:0.59~1.00、p=0.049)、心筋梗塞(0.76、0.60~0.96、p=0.021)、ステント血栓症(0.64、0.46~0.89、p=0.011)、脳卒中(0.66、0.48~0.91、p=0.010)、および小出血(0.78、0.67~0.92、p=0.0030)は、標準抗血小板療法と比較し、ガイド下抗血小板療法で減少した。 全死因死亡および大出血のリスクは、ガイド下抗血小板療法と標準抗血小板療法の間に差はなかった。治療成績は治療法によって異なり、escalation治療では安全性が低下することなく虚血性イベントが有意に減少し、de-escalation治療では有効性が低下することなく出血が有意に減少した。

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転移乳がんのOS、サブタイプ別の経年変化/ESMO Open

 転移を有する乳がん(MBC)の治療はこの10年で大きく進歩している。フランス・Gustave RoussyのThomas Grinda氏らが、全国的コホートであるESME(Epidemio-Strategy-Medico-Economical)-MBCのデータを用いて、2008~17年におけるMBCの全生存期間(OS)の変化をサブタイプ別に評価した結果、HER2陽性患者では改善し続けていることが示された。ESMO Open誌2021年4月22日号に掲載。 ESME-MBCでは、フランスのがんセンター18施設で2008年以降に治療を開始したすべてのMBC患者のデータを収集している。この研究では、全体(2万446例)およびサブタイプごとのOSを調査した。サブタイプ別の患者数は、ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)患者が1万3,590例、HER2陽性(HER2+)患者が3,919例、トリプルネガティブ(TNBC)患者が2,937例。MBC診断年などの共変量で多変量解析を実施し、経年的なOS改善の可能性、MBC診断後に新規上市薬剤が投与された割合を評価した。 主な結果は以下のとおり。・コホート全体の追跡期間中央値は65.5ヵ月(95%CI:64.6~66.7)だった。・MBC診断年は、OSにおける強力な独立予後因子であった(2008年に対する2016年のハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.82~0.97、p=0.009)。この効果はHER2+患者(同HR:0.52、95%CI:0.42~0.66、p<0.001)の改善の影響が大きく、TNBC患者(同HR:0.93、95%CI:0.77~1.11、p=0.41)やHR+/HER2-患者(同HR:1.02、95%CI:0.91~1.13、p=0.41)においては持続的な効果はなかった。・MBC診断年にかかわらず、HER2+患者における新規抗HER2薬が投与された割合は非常に大きかったが(2016年以降、患者の70%超がペルツズマブを投与されていた)、HR+/HER2-患者におけるエベロリムスとエリブリン、TNBC患者におけるエリブリンが投与された割合はどれも3分の1未満だった。 著者らは「おそらく、実臨床への浸透度が高い主要な抗HER2薬の上市に関連してHER2+MBC患者のOSが劇的に改善したが、他のサブタイプでは改善はみられなかった」と述べている。なお、CDK4/6阻害薬が投与された割合は急速に増加しているが、このコホートではまだその影響を評価できないという。

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オニマツ現る! ぶった斬りダメ処方せん

あのDr.國松淳和がついに「コモン」を「治療」を語る!前代未聞!同一人物による共著!?頭痛やめまい、腹痛など7つの症状・テーマ別に國松とオニマツのコンビがガチレビュー。オニマツパートでは具体的なカルテ・処方せんを例に出して超毒舌の痛快ダメ出し!國松パートでは薬の選び方・使い方を丁寧に解説。症状ごとに処方の考えかたを楽しく習得できる。片頭痛にトリプタン? 咳に気管支拡張薬? そんな「常識」は打ち破れ! こんな医学書、ほかにない! 神出鬼没のオニマツが本当に"効く"一流臨床医の処方せん、教えます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    オニマツ現る! ぶった斬りダメ処方せん定価3,300円(税込)判型A5判頁数210頁発行2021年4月著者國松 淳和、オニマツ・ザ・ショーグン電子版でご購入の場合はこちら

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第56回 コロナで“焼け太り”病院続出? 厚労省通知、財務省資料から見えてくるもの(後編)

「まさにコロナ・バブルです」こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。4都府県緊急事態宣言下のゴールデンウイーク、皆さんはどうお過ごしですか。私は仕方がないので、BS放送でのメジャーリーグ観戦とインターネットでの日本選手権競輪(通称:競輪ダービー)観戦で時間を潰しています。競輪ダービーは東京都調布市の京王閣競輪場で無観客で開かれています。オリンピックのケイリン代表候補の脇本 雄太、新田祐大両選手が出場しないのが少々残念ですが、2月の全日本選抜競輪を優勝し好調をキープしている郡司 浩平選手を今回はしっかり応援しようかと思っています。さて、前回記事の執筆後、知人の記者がこんな情報を寄せてくれました。「ある病院長が『首都圏の基幹病院なのに、コロナ患者を受け入れていないところがある』と話していた。補助金でウハウハな病院は結構あるようだ」。また、首都圏のある基幹病院の事務方の人は「積極的に受け入れてきた基幹病院は令和2年度の利益がすごいことになっています。民間なら税金で持っていかれますが、国公立・公的だと相当な内部留保ができるのでは。まさにコロナ・バブルです」と伝えてきました。「支援金が入金されればマイナスを補うことができる」と財務省「とにかくコロナ病床を増やせ!」という司令の下、展開されたさまざまな施策の結果、“焼け太り”とまで言われるまでになった医療機関の状況を、国の財政を司る財務省はどう見ているのでしょうか。“焼け太り”の病院があることや、補助金などで“ジャブジャブ”になっていることを認識しているのでしょうか。それを伺い知ることができる資料が4月、財務省から出ています。財務省主計局は4月15日、社会保障制度の見直しについて議論する財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=榊原 定征・前経団連会長)において、2022年度診療報酬改定に向けての方針を説明、「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」との方向性を資料と共に示しました1)。この中で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と医療機関経営についても、その見解と今後の対応策を示しています。それによれば、新型コロナの感染拡大の影響で、医療機関経営が厳しさを増すなか、病床確保料や緊急支援事業補助金など補助金を手当てしていることから、「マクロとしては、新型コロナ患者に対応する医療機関の減収を補い得る額が措置されている」との見方です。そして、「支援金が入金されれば医業利益の前年からのマイナスを補うことができる」としています。さらに、新型コロナウイルス感染患者を受け入れた医療機関へのさらなる支援として、「一定の条件を満たせば、前年や前々年の同じ月と同水準の診療報酬を支払う臨時的な措置を検討すべき」としています。一方で、「新型コロナに対応しない医療機関にも講じてきた多額の支援については、新型コロナへの対応に限られた財政資源を集中的に投入するという観点から、これまでの財政支援についてその目的及び効果にさかのぼった見直しが必要」と、コロナ未対応の病院には厳しい見方を示しました。端的に言えば、“ジャブジャブ”お金を投入した結果、マクロ的には医療機関の経営が苦境に陥らないようにしてはあるが、コロナ対応をしていない医療機関への多額の支援については今後見直す、ということです。1年前は「コロナで病院経営が大変」が大半一方、医療機関側はこれまでの巨額な財政支援をどう見ているのでしょうか。さすがに世間の手前、「コロナで儲かってます!」とは言えないので、そこはこそっとデータを示すに留めている印象です。日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会は共同で、定期的に「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査」の結果を公表しています。昨年の緊急事態宣言による医療機関への影響は、8月に公表された同調査の2020年度第1四半期分2)で明らかになっています。それによれば、全病院の外来患者・入院患者共に4月は大幅に減少、5月にはさらに悪化しました。6月には入院・外来患者数は、わずかに回復の兆しは見えたものの、医業損益は大幅な赤字が継続していました。コロナ未受け入れ病院と、コロナ受け入れ病院で比較した結果、2020年4月~6月はどちらの病院も業績は前年に比べ悪化していましたが、特にコロナ受け入れ病院では、医業利益率が-12.5%と悪い結果となっていました。このように、1年前は「コロナで経営が大変」という声が非常に大きかったのです。第3四半期は、支援金加味で業績改善「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査」の最新の調査結果は2021年2月に公表された2020年度第3四半期分3)です。その第3四半期においても前年同期と比較し、外来患者数、入院患者数の減少が継続していることが明らかとなっています。なお、この時は2020年の4月〜12月までの経営指標も公表されています。それによれば、医業収益の前年度との比較では、コロナ患者受け入れありが-5.1%、コロナ患者受け入れなしが-2.1%と、やはりコロナ受け入れ病院のほうが悪い業績でした。ただ、支援金(医療従事者への慰労金除く)を加味した場合の、医業収益の前年度との比較を見ると、コロナ患者受け入れありが-1.0%、コロナ患者受け入れなしが-1.4%と、受け入れた方が若干良好な業績でした。緊急包括支援交付金の入金時期については、都道府県によってばらつきがあり、この数値は改善する可能性があるとのことでした。つまり、病院のほとんどが、医業収益的には補助金等のおかげでほぼ前年並みを達成できているのです。財務省の見立てと同じです。コロナ禍の中、他の多くの産業の事業者が羨む数字と言えるでしょう。コロナ以前よりも厳しい医療機関のリストラへこの調査、まだ2020年度第4四半期分と、1年通した数字が公表されていないのでなんとも言えませんが、ひょっとしたら年間では相当なプラスになっている可能性もあります。医療関係団体は、経営が悪い時は「診療報酬を上げてくれ!」と叫びますが、儲かっている時は静かに目立たないようにしているものです。この1年間に投入されたコロナ関連の補助金が病院経営にどう影響したか、そこは正確なデータを公表してもらいたいものです。大学病院の数字も気になるところです。コロナ対応という大義名分のもと、補助金でほぼ平等に生きながらえることができた日本の病院ですが、この先はコロナ以前よりもはるかに厳しい、医療機関のリストラが待っていると覚悟しておいたほうがいでしょう。先の財政制度等審議会・財政制度分科会で財務省は、新型コロナウイルス感染症をきっかけに、「日本の医療提供体制の脆弱さが浮彫りになった」と指摘、医療機関相互の役割分担や連携体制の構築などにより、人的資源の効率的な配置・活用を行うことが必要だと説いています。そして、病院数の8割、病床数の7割を占める民間病院への対応が重要との観点から、診療報酬の役割が舵取り役として極めて重要になると強調、「2022年診療報酬改定においては『医療提供体制の改革なくしては診療報酬改定なし』と考えるべき」としています。財務省の考え方(いつも少し尖っています)がそのまま医療行政に反映されるとは限りませんが、医療提供体制を集約、効率化するという方向性は厚労省と同じで、その中心となる施策は地域医療構想を確実に進めていくことに他なりません。コロナ以前よりも厳しい医療機関のリストラが始まると覚悟しておいたほうがいいでしょう。病院経営者は、2020年度決算の数字を見て喜んでいる場合ではないと思われます。コロナ対応で明らかになった自院の実力、弱点を分析した上で、ポスト・コロナの時代を見据えた現実的な経営戦略の立案が求められます。参考1)財政制度分科会(令和3年4月15日開催)資料一覧/財務省2)新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査(2020年度第1四半期)3)新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査(2020年度第3四半期)

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統合失調症患者に対するVR介入の可能性

 統合失調症は、重度および障害を伴う精神疾患であり、社会的機能の持続困難と関連する。仕事の継続や社会的な関係を維持することは、患者にとって困難な場合もあり、限られた薬物療法の選択肢では、機能不全の治療が難しいことも少なくない。医学的な治療の限界に対処するため、心理療法の分野では、いくつかの革新的かつ興味深いアプローチが導入されている。ハンガリー・センメルワイス大学のEdit Vass氏らは、統合失調症患者に対するバーチャルリアリティー(VR)介入の可能性について、症例ベースの報告を行った。Frontiers in Psychology誌2021年2月26日号の報告。 VR治療の潜在的なベネフィットは、対人関係問題に対処する必要がある場合に、とくに有用である。たとえば、VRに基づく心理介入(VR-ToMIS)は、患者が実社会における負荷を感じることなく、複雑な社会的相互関係を実践できるように促す新しい手法である。本報告では、VR-ToMISを実施した統合失調症患者の経過について紹介された。 主な結果は以下のとおり。・罹病期間20年の統合失調症女性(50歳)。・長年コンプライアンスに関する問題は認められなかったが、社会的機能に関して深刻な問題を抱えていた。・VR-ToMISを用いて、ToMや実践的なコミュニケーションスキルの向上が認められた。・介入効果は、テスト時のスコア増加を上回っていた。・介入前は、相互コミュニケーションの主な原則に従うことができず、失業リスクが高かった。・対象患者に対するVR-ToMISは、想定以上の有益な効果が認められた。・介入後は、バランスの取れたコミュニケーションの実践が可能となり、仕事を継続することができた。 著者らは「VR-ToMISは、統合失調症患者の社会的機能障害を治療するための有望なツールである可能性が示唆された」としている。

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KRASG12C阻害薬ソトラシブ、KRAS G12C陽性肺がんに国内申請

 アムジェンは、2021年4月28日、KRAS G12C阻害薬ソトラシブについて、KRASG12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)を予定の効能又は効果として、日本国内で製造販売承認申請を行った。 KRAS G12C変異は、米国では肺腺がんの約13%、日本人では非扁平上皮がんの4.5%に認められると報告されている。しかし、KRASG12C変異を有するNSCLCに対する治療薬は承認されておらず、また既存の2次治療における転帰も不良である。 ソトラシブの日本における製造販売承認申請は、KRASG12C変異を有する進行NSCLC患者を対象とした、第I/II相多施設共同単群非盲検試験(CodeBreaK 100試験)から得られた結果に基づき行った。同試験では、ソトラシブ単独療法時の有効性および安全性を評価し、臨床的意義のある有効性並びに良好な忍容性が認められた。 ソトラシブは、2021年3月11日付で厚生労働省より希少疾病用医薬品指定を受けている。

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第58回 COVID-19後の脳のもやもやをゲームで治療する

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を切り抜けた人のいったいどれほどが認知機能障害を呈するかははっきりしていませんが、思考・集中・記憶が困難になることは確かにあり、そのような耐え難い尾を引く(long-haul)後遺症は悪くすると何ヵ月も続きます1)。退院に向けてリハビリに取り組むCOVID-19入院患者の神経や精神を検査した報告では調べた57人のほとんど46人(81%)に認知機能障害が認められ、計画や取り仕切ることなどに必要な遂行機能や注意の欠陥がとくに多く生じていました2)。認知機能障害は入院患者に限りません。米国のノースウェスタン大学病院にはCOVID-19神経副作用を専門とするNeuro COVID-19 Clinicと呼ばれる診療所があり、去年5月の開設以来400人以上を手当てしています1)。それらの外来データを調べたところ、神経症状が6週間以上続く100人目までの患者で不特定な認知異常“脳のもやもや(brain fog)”の訴えは最も多く81人(81%)に認められました3)。COVID-19に伴う認知機能障害の原因はわかっておらず、脊髄液やその他の検体を使って炎症やその他の異常の手がかりを探る研究が始まっています。原因の研究の一方で治療法の検討も始まっています。たとえば体を動かしたり頭を使うゲームがその一つで、COVID-19を経た患者48人の試験ではパズルのような頭脳ゲームが有望な成績を収めています1)。研究者は無作為化試験を始めるつもりです。ADHD(注意欠如・多動症)小児の治療に医師が処方するビデオゲームEndeavorRxの米国FDA承認4)を得たAkili Interactive社のデジタル治療の取り組みも進んでおり、COVID-19に伴う認知機能障害患者100人が参加する試験で検討されます1)。去年の6月に承認されたAkili 社のADHDゲーム治療は操作棒(マルチスティック)を使って障害物を避けつつ目標(アイテム)を回収することで注意の改善を目指します。その改善はADHD小児300人以上が参加した無作為化試験で裏付けられています5)。また、親や医師の評価も教育用の別のゲームをした対照群より良好でした。ゲームのようないわゆる脳トレは万能ではありませんが、注意や切り盛りする処理能力の構築に役立つことが裏付けられつつあります。注意や処理能力の障害はCOVID-19後遺症のどうやら核をなしており、インターネットやアプリを介したゲーム訓練は長引くCOVID-19症状でどうにもならないと悲観にくれる人の前途を照らすでしょう1)。参考1)COVID-19 ‘brain fog’ inspires search for causes and treatments / Science 2)Jaywant A,et al. Neuropsychopharmacol. 2021 Feb 15:1-6.[Epub ahead of print]3)Graham EL, et al. Ann Clin Transl Neurol. 2021 Mar 23.[Epub ahead of print]4)FDA Permits Marketing of First Game-Based Digital Therapeutic to Improve Attention Function in Children with ADHD / PRNewswire5)Kollins SH, et al. Lancet Digit Health. 2020 Apr;2:e168-e178.

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メマンチンによるPTSD治療の有効性

 現在、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する薬理学的治療の選択肢は十分でなく、新たな薬物治療アプローチの開発が待たれている。国立精神・神経医療研究センターの堀 弘明氏らは、一般人のPTSDに対するNMDA受容体拮抗薬であるメマンチンの有効性および安全性を評価するため、12週間のオープンラベル臨床試験を実施した。European Journal of Psychotraumatology誌2021年1月15日号の報告。 対象は、一般人女性のPTSD成人患者13例(DSM-IV基準)。対象患者には、4週目までは毎週、その後は12週目まで4週間ごとに外来診療を行った。各患者の現在の治療薬に、メマンチン5mg/日を追加し、その後用量調整を行った。基本的に併用薬は、試験期間中に変更しなかった。主要アウトカムは、外傷後ストレス診断尺度(PDS)で評価したPTSD診断および重症度とした。 主な結果は以下のとおり。・13例中1例が脱落、2例がプロトコール逸脱のため試験を終了したため、10例について分析を行った。・平均PDS総スコアは、ベースライン時の32.3±9.7から12週目の12.2±7.9へ有意な改善が認められた(paired t検定:p=0.002、d=1.35)。侵入症状、逃避症状、過覚醒症状の有意な改善が認められた。・6例は、12週目にPTSD診断基準を満たさないまで回復がみられた。・睡眠障害、眠気、鎮静、体重変化、低血圧などメマンチンに関連する可能性のある有害事象が観察されたが、いずれも重篤ではなかった。 著者らは「メマンチン治療は、一般のPTSD女性の症状を有意に改善し、忍容性も良好であった。PTSDに対するメマンチンの有効性および安全性を検証するためにも、今後のランダム化比較試験が求められる」としている。

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IPDメタ解析、研究手法の質に課題/BMJ

 臨床試験の個別被験者データ(IPD)を用いたメタ解析について、現状ではその研究手法の質が、満足のいくレベルには達していないという。中国・中南大学のHuan Wang氏らが、323件のIPDメタ解析についてシステマティック・レビューを行い報告した。調査対象のIPDメタ解析のうち、事前にプロトコールの確立を行っていた試験は約3割にとどまり、バイアスリスクの評価を適切な方法で行っていたのは約4割だった。IPDメタ解析は、介入効果の推定に関してエビデンスを提供する理想的なアプローチと見なされているが、方法論の欠陥によるバイアスの影響を受けやすいとされている。IPDメタ解析が一貫性のない基準に基づいて行われているとのエビデンスも示されており、IPDメタ解析が増加しているにもかかわらず、研究手法の質の包括的な評価はこれまで行われていなかった。BMJ誌2021年4月19日号掲載の報告。Medline、EmbaseなどのIPDメタ解析をシステマティック・レビュー 研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviews(CDSR)を基に、無作為化比較試験についてIPDメタ解析を行い、英語で発表された試験について、システマティック・レビューを行った。 IPDメタ解析の研究手法について、その質を評価するとともに改善すべき領域を探った。IPD非取得率90%以上は39% レビューには、1991~2019年に発表された、21の臨床分野に関する323件のIPDメタ解析が含まれた。対象のうち270件(84%)はCDSRに非掲載で、インパクトファクターが高い雑誌(ランクは上位4分の1)に発表されたものは269件(84%)だった。 IPDメタ解析で、分析対象とした無作為化比較試験のバイアスリスクに関する評価を適切な方法で行っていたのは43%(95%信頼区間[CI]:38~48)と低かった。同様に、結果の解釈にバイアスリスクを考慮していたのは40%(同:34~45)、分析対象から除外した試験リストに正当な理由を付していたのは32%(同:27~37)であった。 また、事前プロトコールの確立も31%(95%CI:26~36)と低く、全般的効果や被験者と介入の相互関係に関する評価について事前にその方法を規定していたのは、それぞれ44%(同:39~50)と31%(同:26~36)だった。さらに、包括的な文献検索を実施していたのは19%(同:15~23)だった。 被験者や分析対象試験からIPDを得られなかった割合が90%以上だったIPDメタ解析は126件(39%)に上り、うち、その理由を示していたのは60件(48%)、入手できないIPDを補うために特定の戦略を行ったのは21件(17%)のみだった。 これらの結果を踏まえて著者は、「今後のIPDメタ解析では、事前プロトコールを確立して事前にデータ統合計画を規定し、文献の包括的な検索、適切な手法で包含した無作為化試験の批判的な評価、データ分析と解釈においてバイアスリスクを明らかにすること、入手できなかったIPDについての説明が必要である」と述べている。

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取扱い規約 第8版補訂版

手術記載・病理診断・肺がん検診の手引きをアップデート!主な改訂内容:1)肺手術記載;病理所見の記載を削除して簡潔化し、さまざまなリンパ節郭清のパターンに応じた記述法を新たに定義し、中葉・舌区についての系統的リンパ節郭清の定義変更を行った。2)病理診断;微少浸潤性腺非粘液性のICD-Oコードの変更を行った。また細部に実務上必要な補足を加えた。3)肺がん検診の手引き;加熱式タバコの取り扱い、読影医の条件などについて新たに説明を加えた。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    肺取扱い規約 第8版補訂版定価7,370円(税込)判型B5判頁数236頁・カラー図数:291枚発行2021年4月編集日本肺学会

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貧血と不眠症~メタ解析

 最近、いくつかのゲノムワイド研究において、不眠症と貧血に共通の遺伝的要素が関連している可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のSamantha N. Neumann氏らは、貧血を有する成人は、そうでない人と比較し、不眠症の有病率が高いかどうかを調査するため、横断的研究およびメタ解析を実施した。Chinese Medical Journal誌2020年12月21日号の報告。 対象は、進行中のコホート研究であるKailuan研究に参加した中国人成人1万2,614人。貧血の定義は、女性でヘモグロビンレベル12.0g/dL未満、男性で13.0g/dL未満とした。不眠症の評価には、アテネ不眠尺度(AIS)中国語版を用いた。不眠症の定義は、AIS総スコア6以上とした。貧血と不眠症との関連は、年齢、性別、慢性疾患の状態、血漿C反応タンパク質濃度などの潜在的な交絡因子で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。成人集団における貧血と不眠症の関連を評価するため、本横断研究と以前実施した3つの横断研究の結果をプールし、固定効果モデルを用いて、メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・貧血を有する成人は、そうでない人と比較し、不眠症の有病率が高かった(調整オッズ比[OR]:1.32、95%信頼区間[CI]:1.03~1.70)。・C反応性タンパク質レベルが1mg/L以上のような慢性炎症を有する患者を除外した後でも、貧血と不眠症の有意な関連が認められた(調整OR:1.68、95%CI:1.22~2.32)。・参加者2万2,134人を含むメタ解析においても、貧血と不眠症に正の関連が認められた(プールされたOR:1.39、95%CI:1.22~1.57)。 著者らは「横断研究デザインの性質上、結果の解釈には注意が必要である」としながらも「貧血を有する成人は、不眠症である可能性が有意に高いことが示唆された」としている。

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J&Jの新型コロナワクチン、重症・重篤化に高い予防効果/NEJM

 Janssen(米国・Johnson & Johnsonグループの医薬品部門)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「Ad26.COV2.S」は、単回接種によりCOVID-19を予防し、とくに入院や死亡を含む重篤なCOVID-19に対する有効率が高いことが認められた。安全性は、他のCOVID-19ワクチンの第III相試験と同様であった。オランダ・Janssen Vaccines and PreventionのJerald Sadoff氏らが、Ad26.COV2.Sの国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「ENSEMBLE試験」の結果を報告した。Ad26.COV2.Sは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の完全長・安定化スパイク(S)タンパク質をコードする遺伝子組み換え非増殖型アデノウイルス血清型26(Ad26)ベクターである。NEJM誌オンライン版2021年4月21日号掲載の報告。米国、南米、南アフリカにおいて、約4万4,000人にワクチンまたはプラセボを接種 ENSEMBLE試験は、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、南アフリカおよび米国において実施された。研究グループは、18歳以上の成人をAd26.COV2.S(ウイルス粒子量5×1010/mL)群(以下ワクチン群)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、単回接種した。 主要評価項目は、per-protocol集団における接種後14日以降、および接種後28日以降の中等症~重症・重篤COVID-19発症で、安全性についても評価した。 2020年9月21日に登録を開始し、計4万4,325人が無作為化され、うち4万3,783人が接種を受けた(ワクチン群2万1,895人、プラセボ群2万1,888人)。per-protocol集団は、ワクチンまたはプラセボの接種を受け、接種時SARS-CoV-2血清陰性または不明でプロトコールの逸脱がなかった参加者と定義し、3万9,321人(ワクチン群1万9,630人、プラセボ群1万9,691人)が含まれた(データカットオフ日は2021年1月22日)。重症・重篤COVID-19予防の有効率は接種後14日以降で77%、28日以降で85% 接種後14日以降に発症した中等症~重症・重篤COVID-19症例は、ワクチン群116例、プラセボ群348例であり、有効率は66.9%(補正後95%信頼区間[CI]:59.0~73.4)であった。また、投与後28日以降の同症例はそれぞれ66例および193例で、有効率は66.1%(55.0~74.8)であった。 COVID-19重症度別の有効率は、接種後14日以降発症例で中等症64.8%(補正後95%CI:55.8~72.2)に対し重症・重篤76.7%(54.6~89.1)、接種後28日以降発症例でそれぞれ62.0%(48.7~72.2)および85.4%(54.2~96.9)であり、ワクチンは重症・重篤COVID-19の予防効果がより高いことが示された。 南アフリカでは、20H/501Y.V2変異株が高頻度に検出されたが(91配列中86配列、94.5%)、有効率は、接種後14日以降発症の中等症~重症・重篤COVID-19に対して52.0%(補正後95%CI:30.3~67.4)、重症・重篤COVID-19に対して73.1%(40.0~89.4)、接種後28日以降でそれぞれ64.0%(41.2~78.7)および81.7%(46.2~95.4)であった。 重篤な有害事象の発現率は、両群とも0.4%であった。静脈血栓塞栓症はワクチン群11例、プラセボ群3例に認められたが、多くは基礎疾患や素因に起因している可能性が考えられた。死亡例はワクチン群で3例(COVID-19との関連なし)、プラセボ群で16例(5例がCOVID-19関連死)であった。

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食道がんの治療にニボルマブが大きな影響を与える可能性が示された(解説:上村直実氏)-1382

 食道がんおよび胃食道接合部がんに対する治療は、進行度により内視鏡的切除術、外科的手術および化学放射線治療による集学的治療が行われる。Stage II/IIIすなわち外科的切除可能な食道がんおよび胃食道接合部がんに対する標準治療は、術前の化学放射線療法と根治的手術とされている。比較的予後が良いとされているStage II/IIIの食道がんであっても、術後に再発する症例が多く、補助療法が必要であるケースも多い。しかし、わが国の『食道診療ガイドライン』においても、術後再発予防を目的とした術後補助療法に関しては有用性を示すエビデンスが乏しいために推奨されていないのが現状である。 今回、このステージの食道がん治療において術後補助療法として免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(商品名:オプジーボ)単独療法の有用性を示す研究結果がNEJM誌に掲載された。無病生存期間をエンドポイントとした本研究の良好な結果は、ニボルマブ単独療法が食道がん治療を変える可能性を示唆するものである。すなわち、術前の化学放射線治療を行ったStage II/IIIの食道がんおよび胃食道接合部がん手術症例に対するニボルマブ単独投与が食道がんの再発遅延および予防に有用であることが明らかとなった。 この研究結果により術後の補助療法としてニボルマブが米国FDAにより承認されたが、わが国においても承認に向けて審査中であり、臨床現場で使用されることが期待される。さらに、食道がんに対する1次治療にニボルマブが組み込まれる可能性も期待される研究結果である。 最後に、食道がんに関する欧米の研究結果を参考にする際、日本と欧米の違いを理解しておく必要がある。一口に食道がんといっても、圧倒的に扁平上皮がんが多い日本と異なり、欧米では食道腺がんが多いことから研究対象の組織型に注意が必要である。さらに、日本の医療現場では、予後が悪い食道がんも内視鏡検査で早期発見が可能な時代になっている。内視鏡による小さながんの早期発見により、侵襲の大きい食道切除と異なりQOLが非常に高い内視鏡的切除術(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)で根治が可能な時代になっていることを忘れてはならない。

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