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慢性硬膜下血腫に対するデキサメタゾンの有効性(解説:中川原譲二氏)-1388

 慢性硬膜下血腫は、とくに高齢者に多い通常の神経疾患である。慢性硬膜下血腫患者のアウトカムに対するデキサメタゾンの有効性は、これまで十分な検討がなされていなかった。そこで著者らは、英国の23施設で、無作為化試験「Dexamethasone for Adult Patients with a Symptomatic Chronic Subdural Haematoma trial:Dex-CSDH試験」を実施し、デキサメタゾンの有効性を検討した。主要評価項目は6ヵ月後の修正Rankinスコアで比較 著者らは、18歳以上の慢性硬膜下血腫患者を、デキサメタゾン群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。デキサメタゾン群では、1~3日目に8mg、4~6日目に6mg、7~9日目に4mg、10~12日目に2mgをそれぞれ1日2回、13~14日目に2mgを1日1回と、2週間漸減経口投与した。外科的血腫除去術は、主治医の判断により実施された。主要評価項目は無作為化後6ヵ月時の修正Rankinスケール(mRS)スコア(0:症状なし~6:死亡)で、0~3をアウトカム良好と定義し、修正intention-to-treat解析を行った。デキサメタゾン群でアウトカム良好の割合は減少、再手術率は低下 2015年8月~2019年11月の期間に、748例が無作為化後組み入れられた(デキサメタゾン群375例、プラセボ群373例)。患者の平均年齢は74歳で、94%が入院中に血腫除去術を受けた。入院時のmRSスコアが1~3の患者の割合は、両群とも60%であった。同意撤回または追跡調査から脱落した患者を除外した修正intention-to-treat解析の結果、解析対象680例において、mRSスコア0~3のアウトカム良好の患者の割合は、デキサメタゾン群83.9%(286/341例)、プラセボ群90.3%(306/339例)であった(群間差:-6.4ポイント、95%信頼区間[CI]:-11.4~-1.4、p=0.01)。血腫再発に対する再手術は、デキサメタゾン群で349例中6例(1.7%)、プラセボ群で350例中25例(7.1%)に実施された。有害事象は、デキサメタゾン群のほうがプラセボ群と比較してより多く発生した。慢性硬膜下血腫に対するデキサメタゾンの有効性は限定的 本研究では、症候性慢性硬膜下血腫の成人患者において、デキサメタゾンによる治療はプラセボと比較して、6ヵ月後の良好なアウトカムは少なく、有害事象が多かった。しかし、再手術に関する評価についてはデキサメタゾン群で少ないことが示された。 慢性硬膜下血腫に対するデキサメタゾンの有効性に関するシステマティックレビューでは、再発リスクを減じる目的で外科治療とともに使用する場合、あるいは外科治療を避ける目的で単独で使用する場合に安全で有効であるとされてきたが、今回の試験では、6ヵ月後のアウトカムの改善には結び付かず、有害事象も多いことが判明した。再手術がデキサメタゾン群で少なかったとはいえ、6ヵ月後のアウトカムの改善が得られなかったことから、デキサメタゾンの有効性はきわめて限定的である。

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感動ミステリー系脳外科マンガ【Dr.倉原の“俺の本棚”】第42回

【第42回】感動ミステリー系脳外科マンガ2021年3月に第1巻が刊行された、できたてホヤホヤの脳外科のマンガです。なかなかお目にかかれないジャンルです。個人的には脳神経外科と呼んでいるのですが、診療科目の通称名としては脳外科とも呼ぶらしいですね。原作は元脳外科医の子鹿ゆずる氏です。話の内容がとても練りこまれていて、数話に一度「えっ」という驚きが出てきます。1巻では失語をテーマにした話がかなりを占めるのですが、運動失語がどういうものなのかが実臨床的によくわかる構成になっています。『アンメット』原作:子鹿 ゆずる 漫画:大槻 閑人. 講談社. 2021年そういえば、研修医時代にラーメンや四川料理をよく一緒に食べに行っていた先輩がいました。ニンニク料理を食べた後、風呂に入らずに病棟に現れて「先生クサイ!」と言われている場面を何回か見ていたのですが、そんなニンニク先輩の「失語」に関する伝説がありまして。夜中に、2人でニンニク料理を食べに行った翌朝の話です。私はお風呂に入り、ブレスケアを大量に飲んで、マスクを装着して登院しましたが、ニンニク先輩は強烈なニオイで病棟に出勤してきました。その先輩が受け持っていた運動失語が著明な脳梗塞患者さんがいまして。「おはおう」「おんにちは」などの言葉が出るようになってきました。ニンニク先輩が聴診器をその患者さんの胸にあてて、「息を吸って―!吐いてー!はい、もっと大きく吸って―!」とやっていると、鼻から息を吸い込んだ患者さんが叫びました。「先生!ニンニククサイ!」と。あれだけ目の前で息を吸わされたらクサイよなあ……と横で笑いながら見ていたのですが、「ニンニクで失語が治った」と病院の伝説になりました。――失語というだけでエライ話が脱線しましたが、このマンガの1つひとつのエピソードはかなり涙にじむ話になっていて、背景にある「大きな謎」は結構ミステリーに近いものがあります。脳神経外科をテーマにしつつも、今後どういう展開になっていくのか楽しみです。ほとんどニンニクの話で終わってしまった……。『アンメット』原作:子鹿 ゆずる 漫画:大槻 閑人出版社名講談社定価本体650円+税サイズB6判刊行年2021年

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第57回 ワクチンの優先接種を強要する人、廃棄対策員に廻ればいいのに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下、新型コロナ)のワクチン接種が徐々に本格化している。医療従事者を除く一般国民で最も優先順位が高い接種対象者である高齢者(約3,600万人)への接種がゴールデンウイーク明けから始まった。一個人としても実家で暮らす80代の両親が5月10日に1回目の接種を終え、ほっとしているところだ。そんな最中、嫌なニュースが飛び込んできた。「何とかならないのか」愛知県西尾市の副市長、スギ薬局創業者夫妻の新型コロナワクチン予約枠の優先確保を指示(東京新聞)ドラッグストア業界で売上高国内トップ10に入るスギ薬局創業者で、そのホールディングスカンパニーであるスギHDの会長夫妻の秘書が、夫妻が優先的にワクチン接種できるよう地元の愛知県西尾市に再三要請。最終的に副市長と健康福祉部長が通常の予約申し込み電話とはまったく別に、健康福祉部健康課に電話をすることで予約が成立する便宜を図っていたことが発覚したというものだ。前述の第一報でスギHD広報室は「市に問い合わせは何度かしたが、便宜を図ってもらうよう依頼したことは一切ない」とコメントしていたが、その後の西尾市による記者会見の内容、またスギHDが公表したお詫びコメントを合わせて考えれば、第一報でのスギHD広報室のコメントは虚偽となる。記者目線で見ると、お詫びコメントも非常に往生際の悪いものとなっている。明らかに便宜供与を要求しているにも関わらず、最後まで「問い合わせ」という言葉で誤魔化しているからだ。ちなみにやや口酸っぱく言うと、医療関係の上場企業の中でもこうした往生際の悪さは製薬企業以外ではよく見かける。要は上場企業としての情報開示や危機管理の経験が浅いため、外向き発信(対外的謝罪)であるはずなのに内向き発信(会社防衛・社内への忖度)の姿勢が露骨に滲んでしまうのである。さて今回の一件、正直本当に厄介なことをしてくれたものだと思っている。今後のワクチン接種を推進していく際のイレギュラー時の対応に少なからぬ影響を及ぼしてしまうと個人的には危惧している。そもそも今回のワクチン接種がこれほど注目を集め、さらに現場からさまざまな混乱が伝えられるのには訳がある。医療従事者の皆さんには釈迦に説法だが、第一に必要性が非常に高いにもかかわらず現時点では供給量が限定的なことが挙げられる。が、それ以上にこのワクチンの保管管理が非常に面倒なことが混乱に拍車をかけている。当初の保管管理温度は-70℃前後とされた。もはやホッキョクグマですら生存可能かどうかわからないのではないかと思える温度であり、現在では-20℃前後に緩和されたとはいえ、それでも通常の医療機関で保管管理が容易なものではない。また、1バイアル当たりの接種可能回数は半端な6回(注射器によっては5回)。解凍後の冷蔵保存期間は5日間で再冷凍は不可。接種の準備のため生理食塩水で希釈後は室温では6時間しかもたない。つまるところ、この特性ゆえに何らかの予定変更や接種予定者の体調不良で直前のキャンセルなどが発生すれば、せっかく用意したワクチンが無駄になる可能性が少なからずあるのだ。しかも、現在の優先接種対象である高齢者の場合、若年者と比べれば突発的な体調不良が発生する蓋然性は高い。とにもかくにも、ワクチンの無駄を発生させることなく接種するのは相当大変なことである。すでに予定していた接種のキャンセルなどで余ったワクチンを廃棄した事例も報じられている。そして、こうした場合の対応についてワクチン接種担当を務める河野 太郎・内閣府特命担当大臣は4月13日の記者会見で次のように発言している。「それから、昨日、高齢者の接種の中で、余ったワクチンが若干ではありますが廃棄されることがあったようでございます。余ったワクチンが廃棄されないようにということはお願いしてまいりまして、できれば接種券を持っている高齢者がいれば打っていただき、接種券がなくても年齢的に対象になる方がいれば打っていただき、高齢者がいらっしゃらなければそれ以外の方という、できればそういう順番で対応していただきたいと思っております。他市・他県の方でも一向に構いません。まったく制約はございませんので、ワクチンが破棄されないように現場対応でしっかりと打っていただきたいとお願いをしたいと思います。また、接種券がなくて打った場合には、しっかりと記録をしておいていただきたいと思います。」これに関しては記者会見での質疑応答でも次のようなやり取りがある。質問ワクチンの廃棄に関してなんですが。接種券を持っている人がいればその辺りということなんですが、それはどういうことを想定しているのか。要は近くにいる人に役所が電話して呼び寄せろということなのか、たまたまその辺を接種券を持って歩いている奇特な人を探してくださいということなのか、もう少しわかりやすくイメージできることを教えてください。回答もう現場対応で結構です。質問ワクチンの廃棄に関して、他市・他県の方にも誰にでも現場判断で打って構わないということだったんですが、これは高齢者で接種券を持っている方であれば他市・他県の方でもという意味なのか。それとも、極端に言えば、医療従事者でもないし高齢者でもないという若い方がいて、それでも本当に余っていたらワクチンの廃棄を回避するという観点から希望者は誰にでも打って、現場判断で構わないということですか。回答それで結構です。優先順位から言えば、医療従事者ですとか高齢者、高齢者の中でも接種券を持っている方がいればその方を優先していただきたいと思っておりますが、若い方でもそこで予診をやっていただいて、打って問題ないということであれば打っていただいて、どなたに打ったかしっかり記録すると。ですから、身分証をしっかり確認していただくということは必要になるのかもしれませんけれども、廃棄せずにきちんと対応していただきたいと思います。地方自治体の関係者からすれば「丸投げ」と言えるかもしれないが、いずれにせよ読めば分かる通り、非常時は「無駄にするくらいならば、身分確認の上で誰に接種しても良い」ということなのだ。ただ、規則に従って業務を遂行することが何事でも基本のお役所の担当者はこうした時の柔軟な対応が苦手だ。それに加え今回のスギHD会長夫妻の接種順位割り込み事例のようなケースが明るみに出ると、局面が異なることにもかかわらず、不測の事態でワクチンが余っても公平性の担保について過剰に気を使うプレッシャーがこれまで以上に働く可能性が否定できない。結果、(1)ワクチンが急遽余った→(2)接種券を持つ接種待機高齢者を探せ→(3)基礎疾患を有する人を探せ、という経過をたどり、せっかく河野大臣が「余ったら誰に打っても良い」と公言してくれているのに、タイムオーバーあるいは過剰な懸念でワクチンが廃棄となる可能性がある。ここで原点に戻って考えたい。そもそも今回のワクチン接種は、多くの人に免疫を獲得してもらうことで少しでも早く社会機能を回復するために血税が投入され、全員が無料で接種できる。ただ、現時点では供給量に限りがあることや、マンパワーに基づく接種回数の限界もあるため、便宜上優先接種順位が設定されているに過ぎないと言っても過言ではない。総合的に考えれば、優先順位の順守よりも廃棄を防ぐことのほうがプライオリティーが高いのは明らかである。現在のヒトと新型コロナウイルスの戦いは、まさに囲碁の戦いのようなもの。囲碁では自分が持つ白・黒いずれかの碁石で、相手の碁並べ(連絡網)を分断しながら、自分側の碁並べをつないで相手が入れない自分の陣地を数多く作ることが勝利へとつながる。これをより具体的に例えるならば、ワクチン接種者という白い碁石でつながった陣地が増えれば、ウイルスの伝播と言う黒い碁石の繋がりは切断され、白い碁石の勝利が近づく。白い碁石がつながった陣地が増えることは、集団免疫の獲得に例えられるだろう。とにかく誰であれ接種者を増やすことは、接種者本人だけでなく、非接種者も守られることを意味し、それだけ集団免疫に向かって一歩前進することになる。だからこそ、廃棄が発生する非常時なら、接種を行う自治体担当者や医療従事者の家族やそれらの人とたまたま連絡が付きやすい知人を呼び寄せるなど誰でもいいから接種すべきだ。そのほうが明らかに公益に適っている。とにかく接種を担当する医療従事者や自治体関係者にはそのことを肝に銘じてほしいと思う。もっとも、こうした非常時の対応はどんなに理論武装してもあれこれ言う人はいる。だからこそ、非常時ではない正規の機会が均等に保証されるべき接種予約段階で、冒頭のような残念なケースが発生したことの影響は少なくないと感じてしまうのだ。いずれにせよ非常時にたまたま接種できる人に接種することを医療従事者も自治体関係者も臆する必要はないし、たまたま繰り上がりで接種を受けた人もコソコソする必要はない。その意味でも社会全体として幸運にして接種順位が繰り上がった人が堂々と「たまたま打てたよ」と言え、周囲も「良かったね」と言ってあげられる社会であってほしいと思う。

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日本におけるアルツハイマー型認知症に伴う経済損失

 アルツハイマー型認知症は、日本における介護の主要な原因の1つである。国際医療福祉大学の池田 俊也氏らは、65歳以上の日本のアルツハイマー型認知症患者を対象に、2018年度の年間医療費や介護費、さらに家族による個人的な介護ケアの費用や生産性の損失がどの程度かについて調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年3月23日号の報告。アルツハイマー型認知症家族の介護による経済損失は1兆5,470億円 文献レビューによるレポートを用いて、臨床的認知症尺度(CDR)スコアにより疾患重症度で分類したうえで、アルツハイマー型認知症の医療費と介護費を推定した。介護に費やされた時間的コストは、20~69歳のアルツハイマー型認知症家族の介護による生産性の損失とすべての個人的な介護ケアの費用として算出した。 アルツハイマー型認知症に伴う経済損失を推定した主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー型認知症の総医療費は、1兆730億円であった。そのうち86%に当たる9,230億円は、アルツハイマー型認知症の治療薬(1,510億円)以外の医療費であった。・重症度別のアルツハイマー型認知症の治療薬以外の医療費は、CDR-0.5(認知症疑い)、CDR-1(軽度)、CDR-2(中等度)では2,000億円未満であったが、CDR-3(高度)では4,470億円(48%)に増加した。・公的介護費は、4兆7,830億円と推定され、重症度に応じて増加が認められた。・20~69歳のアルツハイマー型認知症家族の介護による生産性の損失は、1兆5,470億円であり、すべての個人的な介護ケアの費用は、6兆7,720億円であった。 著者らは「アルツハイマー病によるコストは、日本における公的医療費、介護システム、その家族に対し、多大な影響を及ぼしている。アルツハイマー病による経済的負担を最小限に抑えるために、健康寿命を延ばすための取り組みが重要となる」としている。

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「高齢者糖尿病の血糖管理目標(HbA1c値)」と死亡リスクの関係

 日本糖尿病学会と日本老年医学会は「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」を公表し、患者を3つのカテゴリーに分類している。しかしその妥当性に関して本邦の縦断研究に基づくエビデンスは不足していた。東京都健康長寿医療センターの荒木 厚氏・大村 卓也氏らはJ-EDIT研究のデータを用い、認知機能、手段的ADL、基本的ADL、併存疾患による種々のカテゴリー分類と死亡リスクとの関連を検討。身体機能と認知機能に基づく分類および併存疾患数に基づく分類が死亡リスクの予測因子となることに加え、8つの簡便な質問項目でカテゴリー分類が可能となることが明らかとなった。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版4月22日号の報告より。 J-EDIT研究で6年間追跡した高齢糖尿病患者843例(平均年齢71.9±4.7歳、男性384例/女性459例)を対象に、カテゴリーと全死亡との関連を評価した。認知機能はベースラインのMMSE(カットオフ値27/26~22/21)、手段的ADLは老研式活動能力指標(カットオフ値12/11)、基本的ADLはBarthel Index(カットオフ値19/18)の各質問票を用いて評価し、カテゴリーI~IIIに分類した(モデル1)。 モデル1の分類に加えて、網膜症、腎症、神経障害、虚血心性疾患、脳血管障害、悪性疾患、肝疾患、うつの8個の併存疾患の中から4個以上を有する場合にはカテゴリーIIIとする分類でも同様に解析を行った(モデル2)。さらに因子分析により老研式活動能力指標とBarthel Indexから抽出した8項目(買い物、食事の支度、預金管理、新聞を読む、友人の訪問、食事、トイレ使用、歩行)からなる「生活機能質問票8」の点数で3つのカテゴリーに分類し、死亡との関連を評価した(モデル3)。 ハザード比と95%信頼区間は、年齢、性別、体格指数、HbA1c、総コレステロール、推定糸球体濾過量、重度低血糖の頻度を共変量として使用し、Cox回帰分析により算出された。 主な結果は以下のとおり。・6年間のフォローアップ中に、64件の全死因死亡が発生した。・カテゴリーIに対するカテゴリーIIの死亡率のハザード比(共変数で調整後)は1.8(95%信頼区間[CI]:1.1~3.1)、カテゴリーIIIは3.1(95%CI:1.1~8.3)であった(モデル1)。・併存疾患数を考慮したモデル2でも、カテゴリーが進むにつれてハザード比が上昇した。・「生活機能質問票8」を用いたモデル3でも同様の結果が得られた。・層別解析では低血糖をきたす可能性のある薬剤(SU薬、インスリン)の使用群でとくに、カテゴリーが進むほど死亡リスクが上昇した。

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AZ製ワクチン、血栓症の絶対リスクは?/BMJ

 Oxford-AstraZeneca製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「ChAdOx1-S」の接種を受けた人では、脳静脈血栓症を含む静脈血栓塞栓症の発生がわずかに増加することが確認された。他の安全性については、血小板減少症/凝固異常と出血イベントの発生がわずかに高かったが、ワクチン接種を受けた人のサーベイランスが強化された影響のためか、大部分は安心してよい結果であったという。デンマーク・南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らが、同国とノルウェーで実施したコホート研究の結果を報告した。自発的な有害事象の報告や臨床のケースシリーズにおいて、ChAdOx1-S接種後数日から数週間以内に血小板減少症、出血、動脈/静脈血栓症が発生したことが確認されているが、これらの発生について一般集団での自然発生に基づく予想より過剰かどうかは不明であった。BMJ誌2021年5月5日号掲載の報告。デンマークとノルウェーで初回ワクチン接種者約28万人について、一般集団と比較 研究グループは、2021年2月9日~3月11日にChAdOx1-Sの初回接種を受けた18~65歳の全員(ワクチン接種コホート)と、デンマーク(2016~18年)およびノルウェー(2018~19年)の一般集団を比較コホートとして検討した。 デンマークおよびノルウェーにおける全国患者登録(すべての病院をカバー)からデータを抽出。主要評価項目は、ワクチン接種後28日までに観察された動脈イベント、静脈血栓塞栓症、血小板減少症/凝固異常および出血イベントの発生で、両国の一般集団における年齢別および性別特異的自然発生率に基づく期待数と比較した。 ワクチン接種コホートには、デンマークからの14万8,792例(年齢中央値:45歳、女性80%)と、ノルウェーからの13万2,472例(44歳、78%)の計28万1,264例が含まれた。静脈血栓塞栓症の過剰発生は、ワクチン接種10万人当たり11人 ワクチン接種コホート28万1,264例において、動脈イベントの標準化罹患率比は0.97(95%信頼区間[CI]:0.77~1.20)であった。 静脈血栓塞栓症は、ワクチン接種コホートで59件観察されたのに対し、一般集団の発生率に基づく期待数は30件であり、標準化罹患率比は1.97(95%CI:1.50~2.54)、ワクチン接種10万回当たりの過剰イベント数は11件(95%CI:5.6~17.0)であった。 脳静脈血栓症の発生も期待数より高く、標準化罹患率比は20.25(95%CI:8.14~41.73)で、ワクチン接種10万回当たりの過剰イベント数は2.5件であった。血小板減少症/凝固異常の標準化罹患率比は1.52(0.97~2.25)、出血イベントは1.23(0.97~1.55)であった。死亡は、ワクチン接種コホートで15例確認されたが、予測数は44例であった。 結果を踏まえて著者は、「ChAdOx1-S初回接種後28日間において、静脈血栓塞栓症発生増大のエビデンスは示されたが、絶対リスクは小さかった。示された絶対リスクについては、ワクチンの有効性が実証されていることや、特定の国の一般化には限定的な研究結果であることを考慮して解釈すべきであろう」とまとめている。

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バダデュスタットvs.ダルベポエチン、保存期CKDのMACEへの有効性/NEJM

 保存期慢性腎臓病(NDD-CKD)患者において、バダデュスタットはダルベポエチン アルファと比較し、血液学的有効性に関しては事前に設定した非劣性マージンを満たしたが、主要安全性評価項目である主要有害心血管イベント(MACE)については非劣性マージンを満たさなかった。米国・スタンフォード大学のGlenn M. Chertow氏らが、バダデュスタットの有効性を評価した2件の第III相無作為化非盲検実薬対照非劣性試験の結果を報告した。バダデュスタットは、経口投与の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬で、HIFを安定化してエリスロポエチンおよび赤血球の産生を刺激することから、腎性貧血の治療薬として開発された。NEJM誌2021年4月29日号掲載の報告。バダデュスタットの安全性と有効性をダルベポエチンを対照に比較 研究グループは、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療歴がなくヘモグロビン(Hb)値10g/dL未満のNDD-CKD患者、およびESA治療歴がありHb値8~11g/dL(米国)または9~12g/dL(米国以外)のNDD-CKD患者を、バダデュスタット群またはESAダルベポエチン アルファ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要安全性評価項目は、初発のMACE(全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)で、2件の試験を統合しtime-to-event解析により評価した。副次安全性評価項目には、拡張MACE(MACE+心不全あるいは血栓塞栓イベントによる入院)などを組み込んだ。 各試験における有効性に関する主要評価項目および主要副次評価項目は、24~36週および40~52週の2つの評価期間におけるHb値のベースラインからの平均変化量とした。バダデュスタットは血液学的有効性では非劣性を達成 2試験において、ESA未治療のNDD-CKD患者1,751例、ESA既治療のNDD-CKD患者1,725例が無作為化された。 統合解析において、バダデュスタット群(1,739例)のダルベポエチン アルファ群(1,732例)に対するMACEのハザード比は1.17(95%信頼区間[CI]:1.01~1.36)で、バダデュスタットに事前に設定された非劣性マージン1.25を満たさなかった。 24~36週のHb値の平均変化量のバダデュスタット群とダルベポエチン アルファ群との群間差は、ESA未治療患者で0.05g/dL(95%CI:-0.04~0.15)、ESA既治療患者で-0.01g/dL(95%CI:-0.09~0.07)であり、バダデュスタットに事前に設定した非劣性マージン(-0.75g/dL)を満たした。

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ファイザー製ワクチン、2回接種で種々の変異株に有効か?/横浜市立大

 横浜市立大学の山中 竹春氏(学術院医学群 臨床統計学)らの研究チームは、ファイザー製新型コロナウイルスワクチンが、従来株のほか流行中のさまざまな変異株に対しても中和抗体の産生を誘導し、液性免疫の観点から効果が期待できることを明らかにした。この研究成果について、同研究者らは5月12日の記者会見で報告した。なお、本研究成果はプレプリント段階であり、今後、学術雑誌に投稿される見込み。 本研究は、日本人のワクチン接種者111例(未感染:105例、既感染6例)を対象に、ファイザー製ワクチンの有効性を中和抗体(液性免疫)の保有率という観点から調査。独自の迅速抗体測定システム『hiVNT 新型コロナ変異株パネル』1)を活用して、従来株(D614G)および変異株7種(英国株:B.1.1.7、南アフリカ株:B.1.351、ブラジル株:P.1、インド株:B.1.617、カルフォルニア株:B.1.429、ニューヨーク株:B.1.526、由来不明株:R.1)の計8株に対する中和抗体を測定した。この株の選定理由はCDC(米国疾病予防管理センター)が注意すべき変異株として公表していることに基づく。 今回利用した『hiVNT』システムは、複数の変異株をとりそろえて(パネル化)、それらに対する中和抗体を一括して評価するもの。元来の方法では中和抗体測定に長時間(通常72時間~1週間)を要するが、このシステムが開発されたことで、3時間で測定可能になった。 主な結果は以下のとおり。・評価対象の未感染105例の平均年齢は42歳だった(範囲:24~67歳)。・未感染者でワクチンを2回接種した人のうち、99%の人が従来株に対して中和抗体を保 有していた。また、流行中のN501Y変異を有する3つのウイルス株(英国、南アフリカ、ブラジルで初めて確認された株)に対しても、90〜94%の人が中和抗体を有していた(従来株[1回目接種後の陽性割合:57%、2回目接種後の陽性割合:99%]、英国株[同:18%、同:94%]、南アフリカ株[同:21%、同:90%]、ブラジル株[同:16%、同:94%]、カルフォルニア株[同:39%、同:97%]、ニューヨーク株[同:55%、同:98%]、由来不明株[同:34%、同:97%])。 ・現在懸念されているインド由来の株に対しても、中和抗体の陽性率が低下するような傾向は見られなかった(同:37%、同:97%)。・未感染者において、計8株すべてが中和抗体陽性であった人は、全体の89%(93/105)だった。・中和抗体の上がり方については個人差が見られた。とくに1回接種のみでは、変異株に 対して中和抗体が産生されない人が一定数存在した。・既感染者は1回目の接種後すぐに十分な量の中和抗体が産生される可能性があるが、追加データによる検証が必要である。 今後も変異株のさらなる出現が予想される。そのため、新たな変異株が登場した際に、それらに対する中和抗体の保有状況を集団レベルですみやかに調べ、既存ワクチンの有効性を評価できる手法が求められる。研究者らは「本研究で使用した中和抗体の迅速測定システム『hiVNT』を社会実装に繋げられるよう、さらなるデータの蓄積を進める予定」とコメントした。

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高リスク早期乳がん術後内分泌療法へのアベマシクリブ追加、アジア人での解析(monarchE)/ESMO BREAST 2021

 高リスクのホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)早期乳がんの術後補助療法において、CDK4/6阻害薬アベマシクリブと内分泌療法(ET)併用は、アジア人集団においても無浸潤疾患生存期間(iDFS)と遠隔無転移生存期間(DRFS)を有意に改善することが認められた。monarchE試験におけるアジア人での解析結果を、シンガポール国立がんセンターのYoon-Sim Yap氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で発表した。 monarchE試験は、再発リスクの高いHR+/HER2-の早期乳がん患者を対象に、術後補助療法としてアベマシクリブ+ET群とET単独群に1:1に無作為に割り付けた第III相試験で、主要評価項目はiDFS、副次評価項目はDRFS、全生存期間(OS)、安全性、患者報告アウトカム、薬物動態。すでにITT集団で、アベマシクリブ+ET群におけるiDFS(HR:0.713、95%CI:0.583~0.871、p=0.0009)およびDRFS(HR:0.687、95%CI:0.551~0.858、p=0.0009)の有意な改善が報告されている。今回、ITT集団5,637例のうちアジア(中国、香港、日本、韓国、シンガポール、台湾)の患者1,155例(アベマシクリブ+ET群:573例、ET単独群:582例)について有効性と安全性を解析、アジア以外の患者4,482例(アベマシクリブ+ET群:2,235例、ET単独群:2,247例)でのデータと共に発表した。 主な結果は以下のとおり。・iDFSはアベマシクリブ+ET群で有意に改善し(HR:0.777、95%CI:0.493~1.227)、2年iDFS率はアベマシクリブ+ET群93.2%、ET単独群90.1%で、非アジア人と同等だった。・DRFSも有意な改善が認められ(HR:0.758、95%CI:0.455~1.264)、2年DRFS率はアベマシクリブ+ET群94.4%、ET単独群91.7%で、非アジア人と同等だった。・アベマシクリブ+ET群において最も多かった有害事象は下痢(89.5%)で、ほとんどがGrade1(55.8%)もしくはGrade2(28.7%)だった。下痢のために用量調節した患者の割合はアジア人のほうが非アジア人より低かった。・アベマシクリブ+ET群におけるGrade3以上の有害事象および重篤な有害事象の発現率は、53.5%および12.1%だった(ET単独群:10.5%および6.3%)。アジア人は非アジア人と比べて、Geade3以上の好中球減少症(31.5% vs.15.5%)および白血球減少症(21.2% vs.8.3%)の発現率が高く、用量調節した患者の割合が高かった。・アベマシクリブ+ET群における間質性肺疾患の発現率は、全Gradeではアジア人(6.6%)が非アジア人(2.0%)より高かったが、Grade3以上ではアジア人(0.3%)と非アジア人(0.4%)でほぼ同等だった。・アベマシクリブ+ET群の14.5%の患者が、有害事象のためにアベマシクリブまたはすべての治療を中止した。・ITT集団と同様、用量調節したほとんどの患者が治療継続可能だった。 本試験はOSの最終評価まで継続されており、アジア人でのさらなるフォローアップが求められる。

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虚血性下肢症状がPADの歩行運動療法には必要(解説:中澤達氏)-1389

 末梢動脈疾患(PAD)患者への在宅歩行運動療法において、低強度の歩行運動は、高強度の歩行運動に比べ、12ヵ月後の6分間歩行距離の改善について有意に効果が低く、運動をしない場合と比べて有意な差はなかった。 虚血性下肢症状を感じる強度の歩行運動療法でなければ側副血行の発達、または閉塞にもかかわらず還流されている筋肉の代償運動による歩行距離延長は望めないということであろう。 そもそも、監視下歩行運動療法はその強度により効果が証明され保険償還されているので、本研究はそれ以下の強度では効果がないことが追認された。しかしながらこのような研究が複数行われるのは、虚血性下肢症状により施行率、達成率が低く、治療法として確立しているものの汎用性が低いからであろう。これは償還額が低いことと相まって普及を妨げる。 しかしこの研究がネガティブデータと私は考えない。虚血性下肢症状は患者にとって必要最小限の苦痛であると確認されたからである。これによって償還額が上昇することはないにせよ、施行実績が増加することを期待したい。

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大阪コロナ風景【Dr. 中島の 新・徒然草】(374)

三百七十四の段 大阪コロナ風景大阪ではコロナの新規感染者数が増えたり減ったり。でも、体感的にはどんどん状況が悪化しています。医療者の悲壮感と外来患者さんの悠長さとのギャップが悲しい!大阪の今の状態をランダムに報告いたします。(いろいろ差し障りのないよう、多少の設定変更あり)その1:老健施設長のA先生A先生「昨日の発熱外来なんか、10人中7人がPCR陽性でした」中島「えっ。先生のところは老健じゃなかったですか?」A先生「併設しているクリニックで発熱外来もやっているんですよ」中島「そりゃ大変ですね」A先生「以前はほとんど陽性が出なかったんでPPEも適当でしたけどね」中島「ウチも以前は滅多に陽性がありませんでした」A先生「今はもう完全武装で診察しています。危ないですから」10人中7人とは、あんまりですね。とはいえ、道を歩いている人の7割が陽性だというわけではなく、発熱や何らかの症状があって受診した人の7割が陽性だったという話です。その2:クリニックのB先生との世間話B先生「ウチの患者さん、もう中等症でも入院待ちの人が多いです」中島「先生は在宅もやっているんですか」B先生「ええ。重症化させないことが大事なんでね」中島「在宅の段階で介入するわけですね」B先生「酸素の手配をしつつ、コルヒチンとステロイド投与をしています」中島「コルヒチンって効くんですか?」B先生「エビデンスが固まるまで待つわけにいかないでしょう」中島「確かにそうですね」B先生「フサンを使っている先生もいるそうですよ」中島「フサン……って、家で点滴を?」B先生「経口の類似薬があるそうなんです」中島「皆さんいろいろ考えるもんですねえ」入院待機の間にもそれぞれに工夫しているのは立派です。その3:道でバッタリ出くわした某病院の看護師さん看護師「あら、中島先生!」中島「ありゃりゃ、何年ぶりかなあ」看護師「私、4月から兵庫県の〇〇病院勤務なんです」中島「コロナ対応はしているわけ?」看護師「中等症対応だったんですけど」中島「皆まで言うな! 重症化しても転送先がないので、なし崩し的に重症コロナ病棟ができてしまったんでしょ」看護師「そうなんですよ」中島「逆のパターンもあるそうよ。重症を治療して中等症に持っていっても転送先がないので、自分ところで中等症病棟を作ったという話」看護師「やっぱり!」中島「コロナ対応のお医者さんも、もう専門は関係なしよね」看護師「でも経営的にはコロナ対応のほうがいいと聞きましたけど」中島「兵庫県も?実は大阪府でもコロナ対応すると一気に黒字化するみたい」看護師「そうだったんですか」中島「あんまり長話するわけにもいかないのでこの辺で。じゃあ気をつけてね」看護師「先生も」地域によるのかもしれませんが、コロナ診療には少なからぬ加算が付きます。その4:同僚のC先生とのヒソヒソ話C先生「〇〇病院でクラスターが出たそうですよ」中島「あそこはコロナ対応していなかったんじゃ?」C先生「最近コロナ病棟を作ったんですけどね、今回の院内クラスターで一気に埋まってしまったようです」中島「あらま」C先生「スタッフにも陽性者が複数出たんですけど、全員ワクチン未接種だったそうです」中島「接種が間に合わなかったのかなあ」C先生「悲しいですね」はからずもワクチンの効果が証明されてしまいました。その5:開業医のD先生との久しぶりの会話D先生「この前、先生に相談させていただいたE先生のことですけど」中島「『僕、死ぬんですかね』って言っておられた先生ですよね。入院先が見つかったってところまでは聞きましたけど」D先生「そのあと重症化して挿管されたんですよ」中島「えええ!ダメじゃん、それ」(泣)D先生「でも、ついに抜管されたそうなんです。昨日メールが来ました」中島「よかったあ。もう他人事とは思えません、僕には!」D先生「明日は我が身です。お互い、気をつけましょう」中島「そうですね」話の流れからバッド・エンドかと心配しましたが、回復できて良かったですね。読者の皆様に私の経験談が少しでもお役に立てば幸いです。それはそうと、前々回に「動物園からヒョウが逃げ出した」というフェイクニュースを流したら人流が減るんじゃないかという提案をしたら、中国では本当に子供のヒョウが3頭、サファリパークから逃げ出したそうです。2頭は捕獲されましたが、1頭がまだ逃げたままなのだとか。パニックが起こることを心配してサファリパークはこのことを公表していませんでした。ひどい話ですね。子供とはいえ映像では結構大きなヒョウでした。一方、日本では横浜市のアパートから全長3.5メートルのアミメニシキヘビが逃走したというニュースが話題になっています。「怖くて外を歩けないじゃないか!」と、飼い主が近所の人に怒られていました。逃げたのは飼育している中で2番目に大きなヘビだそうです。ということは、もっとデカいのが家にいるということですかね。最後に1句ヒョウ逃げて フェイクが ホンマになってもた

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第57回 コロナ患者受け入れ巡り医療機関の怒りは頂点、どこでやり方を間違った?

今年2月の感染症法改正で、厚生労働大臣や知事が医療機関などに求める新型コロナウイルス感染症患者受け入れについて、「要請」から「勧告」に権限が強化された。正当な理由なく勧告に応じなかった場合には、医療機関名などを公表することもできる。感染者の増加で病床が逼迫する大阪府では4月、この改正法に基づき、府下の急性期医療機関に対し受け入れ病床の増床を求める通知を発出した。これを受けて大阪府保険医協会は4月23日、医療現場の実情を踏まえた運用を府に求めるため、府内全病院に対しコロナ病床の実態などを尋ねるアンケートを実施し、97病院から回答を得た(4月30日現在)。このうち42病院が病床確保要請を受けている病院だった。「できない」理由は人員不足と構造上の問題この42病院のうち、府のさらなる受け入れ要請に対し「できる」「一部できる」と回答したのは、24病院(約6割)で、「できない」は16病院(約4割)だった。受け入れ不可の理由としては、「医師・看護師などの人員不足」(16病院)、「個室や動線確保など病棟の構造上の問題」(14病院)が挙げられたほか、受け入れ病床数や通常医療の維持で「限界」との回答もあり、現場の人員不足はきわめて深刻だ。「勧告」「病院名公表」の前に病院の事情を聞くべき大阪府の通知にある「正当な理由」がない場合は「勧告」の対象になるということについての受け止めは、病床確保要請があった42病院のうちおよそ半数の20病院が「事前に病院の事情を聴くべき」と回答。「理由を明確にすべき」「納得いかない」を加えると24病院が府の要請について丁寧な対応を求めており、「“正当な理由”は誰が判断するのか」「病院にばかり負担を強いて現場は不満だらけ」といった意見が寄せられた。「勧告」に応じない場合の「病院名公表」などについては、前述の回答と同様、丁寧な対応を求める回答が半数以上を占めており、「人員の不足、病院の構造上の問題など、協力したいができない理由はさまざまで、それを一緒くたにすべきではない」「コロナ以外で、できるだけ対応するしか、貢献するしかない状況。各病院、それぞれの状況があり、それを否定することは許されない」といった意見が寄せられている。コロナ患者の転院調整が機能していない大阪府の入院調整のために、自院で発生したコロナ患者の受け入れが許可されない病院は8病院あり、条件付きは20病院。「転院調整が機能していない」との回答が多く、受け入れ病床の使用が制限された上に転院調整は受けてもらえないという進退窮まった現状にあることが伺える。また、「不急」の手術などに対して延期要請が出ているが、回答した97病院のうち18病院(うち病床確保要請を受けているのは15病院)は延期実施が「ある」と回答。主な事例としては「整形外科関係が多い」「良性の疾患、がん以外の症例は基本的に延期」「眼科や外科の急を要しない手術」などが挙げられた。コロナ患者の受け入れに加え、医師と看護師はワクチン接種にも対応しなければならず、医療現場の混乱は容易に予測できる。ワクチン接種を巡っては問い合わせが殺到し、すでに日常診療に影響が出ている病院もある。本稿で紹介したのは大阪府の事例だが、当然ながら同じ状況はいまや全国に起きており、喫緊の課題である。各自治体は、医療現場の現状をつぶさに把握した上で、速やかに明確なロードマップを示すことが求められている。これ以上の混乱に対処する時間や余力など、もはや医療者には残っていない。

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日本における双極性障害の治療パターンと服薬アドヒアランス

 東京医科大学の井上 猛氏らは、日本における双極性障害患者に対する治療パターンと服薬アドヒアランスについて調査を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年3月18日号の報告。 株式会社JMDCの雇用関連レセプトデータベースを用いて、2013年7月~2018年2月に双極性障害と診断された成人患者を特定した。気分安定薬または抗精神病薬の治療パターンとアドヒアランス(proportion of days covered:PDC[処方日数を調査対象期間の日数で除した割合]で測定)について、フォローアップ期間中の1~3年目に評価した。患者サブグループのアドヒアランスについても評価した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象の双極性障害患者数は、1万3,788例であった。・3年間のフォローアップ期間中に使用された主な治療薬は、バルプロ酸、リチウム、アリピプラゾール(各々、21.1~27.4%の範囲)、ラモトリギン(11.2~12.8%の範囲)であった。・ベンゾジアゼピン(70~87%の範囲)および抗うつ薬(52~71%の範囲)は、フォローアップ期間中に一般的に使用されていた。・すべての双極性障害患者における平均PDCは、1年目の0.51から3年目の0.61へと上昇していた。・1年目の平均PDCは、30歳未満の患者で0.42、30~40歳で0.49であった。・PDCは、薬剤によって異なるものの、単剤療法の患者で0.44~0.61、2剤併用の患者で0.68~0.83であった。 著者らは「双極性障害患者(とくに若い患者)では、服薬アドヒアランスが低いことが示唆されており、より注意深く観察する必要がある」としている。

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片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性と安全性~メタ解析

 片頭痛に対して、いくつかの抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)モノクローナル抗体が承認されているが、どの抗CGRPモノクローナル抗体が最適なのかについては、よくわかっていない。中国・四川大学のXing Wang氏らは、片頭痛成人患者に対するCGRPまたはCGRP受容体に作用する各モノクローナル抗体の有効性および安全性を比較するため、ランダム化比較試験のネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2021年3月25日号の報告。 MEDILNE、Embase、ClinicalTrials.gov、Cochrane Libraryより、2020年10月30日までに公表された文献をシステマティックに検索した。片頭痛成人患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体を評価するため臨床的アウトカムを報告したランダム化比較試験をメタ解析に含めた。主要アウトカムは、毎月の片頭痛日数(MMD)の変化および治療に起因する有害事象(TEAE)の発生とした。 主な結果は以下のとおり。・2,070件の文献より、最終的に18件(8,926例)のランダム化比較試験を抽出した。・有効性に関しては、以下のとおりであり、プラセボと比較しMMDの有意な減少が認められた。●fremanezumab(MD:-2.19、95%CrI:-3.15~-1.25)●ガルカネズマブ(MD:-2.10、95%CrI:-2.76~-1.45)●erenumab(MD:-1.61、95%CrI:-2.40~-0.84)●eptinezumab(MD:-1.43、95%CrI:-2.59~-0.36)・安全性に関しては、ガルカネズマブのみが、プラセボと比較し、TEAE(RR:1.11、95%CrI:1.01~1.22)および重篤な有害事象(RR:2.95、95%CrI:1.41~6.87)の発生率が高かった。 著者らは「片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体は、プラセボと比較し、優れていることが示唆された。今後、さまざまなタイプのCGRPモノクローナル抗体の直接的な研究を通じて、検証されることが望まれる」としている。

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トシリズマブ、重症COVID-19肺炎患者の生存率改善/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重症肺炎で入院した患者の治療において、IL-6受容体モノクローナル抗体のトシリズマブ(商品名:アテムクラ)を投与することで臨床状態が改善し、28日以内の退院率が向上する、という結果が報告された。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY」によるもので、Lancet誌2021年5月1日号に掲載された。ただし、別の研究においては、トシリズマブは臨床状態改善や死亡率低下に寄与しないとの結果も報告されており、今後の詳細な分析とさらなる試験結果が待たれる。 2020年4月23日~2021年1月24日の間に、RECOVERY試験に登録された2万1,550例のCOVID-19患者のうち、低酸素状態(空気中の酸素飽和度が92%未満、または要酸素療法)かつ全身性炎症(C反応性タンパク質[CRP]が75mg/L以上)が認められた成人患者4,116例を対象とし、トシリズマブ群と標準治療群に1対1で無作為に割り付けた。 ベースライン時点で、4,116例中562例(14%)が侵襲的人工呼吸器を装着し、1,686例(41%)が非侵襲的呼吸サポート(高流量経鼻酸素、CPAP、非侵襲的換気を含む)を受けており、1,868例(45%)が単純酸素吸入だけを受けていた。 CRPの中央値は143(IQR:107~204)mg/Lで、3,385例(82%)の患者が全身性コルチコステロイドを投与されていた。主要評価項目は28日後の全死亡率、 副次評価項目は退院日数、およびベースライン時点で侵襲的人工呼吸器未装着だった患者の人工呼吸器装着または死亡だった。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は63.6(SD:13.6)歳であった。・無作為化後28日以内に死亡したのはトシリズマブ群2,022例中621例(31%)、標準治療群2,094例中729例(35%)だった。(発生率比:0.85、95%CI:0.76~0.94、p=0.0028)。・トシリズマブ群は、標準治療群に比べて28日以内の退院率が高かった(57%対50%、発生率比:1.22、95%CI:1.12~1.33、p<0.0001)。・ベースライン時点で侵襲的人工呼吸器未装着の患者において、トシリズマブ群では人工呼吸器装着または死亡という複合エンドポイントに到達する可能性が低かった(35%対42%、リスク比:0.84、95%CI:0.77~0.92、p<0.0001)。・全身性コルチコステロイド投与患者を含む、事前に規定されたすべてのサブグループで一貫した結果が得られた。

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HER2+進行乳がんへのT-DXdによるILDの特徴/ESMO BREAST 2021

 既治療のHER2陽性進行乳がんに高い有効性を示すトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のリスクとして間質性肺疾患(ILD)がある。本剤の第I/II相試験で発現したILDの特徴を解析したところ、承認用量ではほとんどの場合、低Gradeで、治療開始から12ヵ月以内に発現し、12ヵ月を超えるとリスクが低下することがわかった。米国・マウントサイナイ医科大学のCharles A. Powell氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で報告した。 本研究では、2015~18年に登録された2つの第I相試験(DS8201-A-J101、DS8201-A-A104)および第II相DESTINY-Breast01試験において、承認用法・用量でのT-DXd単剤療法(5.4mg/kg、3週間ごと)を受けたHER2陽性進行乳がん患者の胸部画像と臨床データを独立判定委員会が後ろ向きにレビューし、薬物関連と判定したILDを報告した(データカットオフ:2020年6月8日)。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は245例(第I相:61例、第II相:184例)、T-DXd治療期間中央値は9.7ヵ月(範囲:0.7〜40.3)だった。・38例(15.5%)に薬物関連ILDが発現し、ほとんどがGrade1または2(30例、12.2%)だった。Grade3および4が1例(0.4%)ずつ、Grade5が6例(2.4%)だった。・最初にILDが発現するまでの期間の中央値は5.6ヵ月(範囲:1.1〜20.8)で、38例中37例(97%)が12ヵ月以内に発現した。・患者の42%が12ヵ月以上治療されたが、12ヵ月以降にILDを新規に発現するリスクは低かった。・独立判定委員会の評価では、44件中27件(61%)のILDの発現時期は、治験医師による報告よりも早かった(中央値の差:52日、範囲:1〜288)。・Grade2~4の24件中14件(58.3%)、Grade5の6件中3件(50%)で全身性ステロイドを投与された。ILD発現から全身性ステロイドの投与開始までの期間の中央値は25.0日(範囲:1~87)だった。・44件中43件は、改訂された毒性管理ガイドラインを臨床試験で使用した2019年12月15日より前に発現していた。 これらの結果から、高GradeのILDを防ぐには、早期発見および最新のガイドラインによる適切な管理が重要であると結論した。

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