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ワクチン副反応疑い、リンパ節腫脹や消化器症状など多様/厚労省

 新型コロナワクチン接種後、倦怠感や頭痛、発熱などのほかに、稀ではあるもののリンパ節腫脹や消化器症状など多様な症状がみられていることが報告された。4月23日に開催された厚生労働省第56回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で1)、ファイザー社製ワクチン接種者の安全性を調査する前向き観察研究の更新データを、伊藤 澄信氏(順天堂大学医学部臨床研究・治験センター)が報告した2)。 この観察研究は、先行接種が行われた医療従事者を対象に、ワクチン接種者の最終接種4週後までの安全性を調査するコホート研究。体温のほか疼痛や発赤などの接種部位反応、倦怠感や頭痛などの全身反応の有無が報告され、それらの集計結果概要は既報の通り。 本稿では、健康観察日誌の自由記載欄の中間集計結果を以下に抜粋する(1回目/2回目)。なお、同集計データのデータカットオフは4月14日、1回目は1万9,162例、2回目は1万6,907例が集計対象となっている。筋肉痛:412例(2.15%)/559例(3.31%)悪寒:361例(1.88%)/1,758例(10.40%)関節痛:272例(1.42%)/1,709例(10.11%)ワクチン接種部位運動障害:245例(1.28%)/93例(0.55%)悪心:231例(1.21%)/629例(3.72%)下痢:200例(1.04%)/277例(1.64%)四肢不快感:193例(1.01%)/84例(0.50%)口腔咽頭痛:166例(0.87%)/211例(1.25%)傾眠:160例(0.83%)/95例(0.56%)疼痛:134例(0.70%)/161例(0.95%)浮動性めまい:133例(0.69%)/189例(1.12%)ワクチン接種部位疼痛:121例(0.63%)/-感覚鈍麻:119例(0.62%)/97例(0.57%)頭痛:97例(0.51%)/143例(0.85%)咳嗽:95例(0.50%)/154例(0.91%)背部痛:84例(0.44%)/364例(2.15%)発疹:76例(0.40%)/-筋骨格硬直:74例(0.39%)/100例(0.59%)腹痛:73例(0.38%)/117例(0.69%)異常感:72例(0.38%)/64例(0.38%)ワクチン接種部位内出血:72例(0.38%)/-四肢痛:68例(0.35%)/81例(0.48%)熱感:59例(0.31%)/-口腔咽頭不快感:59例(0.31%)/-そう痒症:57例(0.30%)/-筋力低下:53例(0.28%)/-発熱:46例(0.24%)/313例(1.85%)腹部不快感:45例(0.23%)/85例(0.50%)蕁麻疹:44例(0.23%)/56例(0.33%)腋窩痛:-/207例(1.22%)食欲減退:-/143例(0.85%)リンパ節症:-/120例(0.71%)嘔吐:-/101例(0.60%)リンパ節痛:-/68例(0.40%)倦怠感:-/68例(0.40%)頚部痛:-/66例(0.39%)  なお、1回目接種後49例(0.26%)、2回目接種後1,093例(6.46%)が翌日病休していることも報告された。伊藤氏は、とくに2回目接種後に腋窩リンパ節腫大を含む反応性リンパ節腫脹が2%強みられている点について、通常のワクチン接種ではあまりみられないと指摘。消化器症状なども含め、このように多様な症状がみられる可能性があるということを、あらかじめ知っておくことが重要ではないかと話した。

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レンバチニブ+ペムブロリズマブ、子宮体がんに国内申請

 エーザイとMDSは、2021年4月23日、マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用療法について、日本において進行性子宮体がんに係る適応追加を申請したと発表。 この申請は、プラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がん(日本においては子宮体がん)を対象とした臨床第III相試験(309/KEYNOTE-775試験)の結果に基づいたもの。この試験結果は、2021年3月に開催された米国婦人科腫瘍学会(SGO)で発表された。 同試験において、レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)、副次評価項目である奏効率(ORR)について、治験医師選択化学療法(ドキソルビシンまたはパクリタキセル)に対して統計学的有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目および副次評価項目を達成した。なお、同併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されているものと同様であった。 レンバチニブとペムブロリズマブは、子宮体がんを予定される効能又は効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されており、この申請は優先審査の対象となる。 子宮体がんの罹患者数は、2020年には世界で41万7,000人以上と推定され、約9万7,000人が亡くなったとされている。日本では2020年に1万7,000人以上が新たに罹患し、3,000人以上が亡くなったと推定される。子宮内膜がんは、子宮体がんの9割以上を占める。予後は悪く、転移のある子宮内膜がんの5年生存率は17%である。

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全がん・がん種別の10年生存率を初集計/国立がん研究センター

 国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院等から収集した院内がん登録情報を用いて、2008年に診断された患者の10年生存率を発表した。がん診療連携拠点病院等をはじめとする国内240施設約24万例の登録データを集計したもので、10年生存率が発表されるのは初、既存の10年生存率集計としては最大規模となる。 がん種別には、胃がん、大腸がん、肝細胞がん・肝内胆管がん、小細胞肺がん・非小細胞肺がん、女性乳がん、食道がん、膵臓がん、前立腺がん、子宮頸がん・子宮内膜がん、膀胱がん。肺がんや子宮がんをさらに分類した上で、Stage別のデータも集計された。 全がんの10年相対生存率は59.4%、がん種別で最も10年生存率が高かったのは前立腺がん(98.7%)、女性の乳がん(87.5%)、子宮内膜がん(83.0%)が続いた。最も低かったのは膵臓がん(6.5%)、続いて小細胞肺がん(9.1%)、肝内胆管がん(10.9%)となった。 リリースでは、これまで治癒の目安として5年生存率が用いられることが多かったが、肝細胞がんなど、がんによっては5年以降も長期的にフォローアップしていくことが必要、としている。誰もが使える「がん登録生存率集計結果閲覧システム」を公開 あわせて、3年・5年生存率データを簡易に検索できる「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」が公開された。 このシステムでは、胃がん、大腸がん、結腸がん、直腸がん、肝がん(肝細胞がん・肝内胆管)、肺がん(小細胞肺がん・非小細胞肺がん)、乳がん、食道がん、膵臓がん、前立腺がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、膀胱がん、甲状腺乳頭・濾胞がん、甲状腺未分化がん、甲状腺髄様がん、胆嚢がん、喉頭がん、腎がん、腎盂尿管がん、卵巣がんについてがん種類の生存率を検索できる。さらに詳細条件として性別、Stage(全体or Ⅳ期)、年齢、手術の有無の条件を設定したうえで、細かく調べることもできる。

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南アフリカ株(B.1.351)の遺伝子変異とワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏)-1381

 前回の論評で考察したように、コロナウイルスは間断なく進化/変異を遂げ、世界に流布するウイルスは武漢原株からD614G株(S蛋白614位のアミノ酸がアスパラギン酸[D]からグリシン[G]に置換)へ、さらには、N501Y株(S蛋白501位のアミノ酸がアスパラギン[N]からチロシン[Y]に置換)に変化しつつある。2021年度には、N501Y変異株が世界に流布するウイルスの主流を占めるようになるものと予測される。本論評ではD614G株を“従来株”と定義し論を進める。 N501Y株に分類される変異株の主たるものとして、英国株(B.1.1.7)、南アフリカ株(B.1.351)、ブラジル株(P.1)の3種類が存在するが、これらの変異株の実効再生産数(R)は、英国株、南アフリカ株、ブラジル株の順であり、英国株が最も高い値を示す(WHO 2021年3月21日)。それ故、現時点では、英国株が流布する地域が最も多く、4月13日現在、世界132ヵ国/地域に及ぶ。次いで、南アフリカ株の流布する地域が多く世界82ヵ国、R値が最も小さいブラジル株の播種領域は少なく、世界52ヵ国で検出されている。これら3種類のN501Y変異株は1つの国/地域で1種類の変異株が流布しているわけではなく、3種類の変異株が共存していることが多い。本邦においては、2020年12月末より、検疫での検出を含めN501Y株の国内播種が始まっており、2021年4月13日現在、1,341名(検疫:200名、国内事例:1,141名)のN501Y変異株感染者が同定されている。国内事例のうち、英国株が94%、南アフリカ株が1.3%、ブラジル株が4.4%を占める(厚労省 2021年4月13日)。本邦での南アフリカ株の発生頻度は低いが世界的には英国株に次いで重要であり、本論評では南アフリカ株の特徴、とくに、武漢原株のS蛋白遺伝子配列を基に作成された種々のワクチンの効果について考察する。 南アフリカ株の遺伝子配列上の特徴に関する詳細は他紙(山口. 日本医事新報. 2021;5053:32-38.)に譲るが、S蛋白の構造を規定する遺伝子配列としてD614G変異を除いて9個の非同義変異が確認されている。これらの変異にあって重要なものは、ACE2との親和性を増強しウイルスの生体への侵入を助長、播種性を増加させるS1蛋白の受容体結合ドメイン(RBD)におけるN501Y変異と“免疫回避反応”を惹起するE484K変異(S蛋白484位においてグルタミン酸[E]がリシン[K]に置換)である(Tegally H, et al. medRxiv. December 22, 2020. [Epub ahead of print])。この2つの遺伝子変異はブラジル株でも認められる(Sabino EC, et al. Lancet. 2021;397:452-455.)。英国株ではE484K変異を認めないが、代わりに69~70位と144位におけるアミノ酸欠損が“免疫回避反応”を惹起する。 以上のような遺伝子変異の結果として、従来株感染後の回復期血漿に含まれるS蛋白特異的IgG抗体による液性中和作用は、南アフリカ株に対して11~33倍低下していた(Wang P, et al. bioRxiv. January 26, 2021. [Epub ahead of print])。同時に、南アフリカ株に対する液性中和作用は、Pfizer社のBNT162b2で8.8~14倍(Liu Y, et al. N Engl J Med. 2021 Mar 8. [Epub ahead of print])、Moderna社のmRNA-1273で6.4倍(Wu K, et al. N Engl J Med. 2021 Mar 17. [Epub ahead of print])、AstraZeneca社のChAdOx1で8.9倍(Emary KRW, et al. Lancet. 2021;397:1351-1362.)低下していることが報告された。その他、南アフリカ株に対する液性中和作用は、Novavax社のNVX-CoV2373で14.5倍、ロシアのGam-Covid-Vac(Sputnik V)で6.8倍、中国Sinovac社のCoronaVacならびにSinopharm社のBBIBP-CorVで2.4~3.3倍低下していた(WHO 2021年4月13日; Wang GL, et al. N Engl J Med. 2021 Apr 6. [Epub ahead of print])。従来株感染後あるいはワクチン接種後に得られた血漿の南アフリカ株に対する液性中和作用の減弱は主としてE484K変異によってもたらされるが、その他、K417N変異(S蛋白417位でリシン[K]がアスパラギン[N]に置換)、242~244位のアミノ酸欠損も関与するとされている。一方、BNT162b2の英国株、ブラジル株に対する液性中和作用は維持されていた(Liu Y, et al. N Engl J Med. 2021 Mar 8. [Epub ahead of print])。すなわち、南アフリカ株に対するワクチンの液性中和作用は、mRNAワクチン(BNT162b2、mRNA-1273)、Adenovirus (Ad)-vectoredワクチン(ChAdOx1、Gam-Covid-Vac)、蛋白ワクチン(NVX-CoV2373)、不活化ワクチン(CoronaVac、BBIBP-CorV)とワクチンの種類によらず減弱しているものと考えなければならない。 南アフリカ株感染に対するワクチンの実際の予防効果を検討した報告は多くないが、Madhiらは、AstraZeneca社のAd-vectoredワクチンであるChAdOx1は南アフリカ株感染に対して有効な発症予防効果を示さないことを明らかにした(Madhi SA, et al. N Engl J Med. 2021 Mar 16. [Epub ahead of print])。彼らの報告によると、南アフリカ株に対するChAdOx1の発症予防効果は、1回の接種後で33.5%(95%信頼限界[CI]:-13.4~+61.7%で非有意)、2回接種後で10.4%(95%CI:-76.8~+54.8%で非有意)でともに有意な予防効果ではなかった。一方、1回接種のAd-vectoredワクチンとして開発されたJohnson & Johnson社のAd26.COV2.Sの発症予防効果は、従来株に対して72%、南アフリカ株に対して57%であった(ENSEMBLE Study, PRNewswire. 2021年1月29日)。興味深い事実として、Ad26.COV2.Sのブラジルを中心とした南米での発症予防効果は66%で、従来株と南アフリカ株に対する予防効果の中間に位置した。Novavax社の蛋白ワクチンNVX-CoV2373の2回接種後の発症予防効果は、英国株(従来株を含む)に対して85.6%、南アフリカ株(対象はHIV陰性者)に対して55%であった(Brown. Evaluate Vantage. 2021年1月29日)。以上の結果を総括すると、武漢原株のS蛋白遺伝子情報を基に作成された種々のワクチンの変異株に対する液性中和作用は著明に減弱しているにもかかわらず、発症予防効果は英国株に対してはほぼ維持、南アフリカ株に対しては低下(しかし、有効)、ブラジル株に対しては両者の中間(有効)に位置するものと考えられる。以上の事実は、ワクチン接種後の液性中和作用の減弱がT細胞由来の細胞性免疫の賦活によって補完されていることを示唆する。 現状のワクチン接種が世界的に推進されていくと、従来株に加え変異株の中心的存在である英国株に対しても、今年中に集団免疫が確立されるものと予測される。その結果、コロナウイルスは集団免疫を回避するため、現状のワクチンに対して英国株より強い免疫回避作用を有する南アフリカ株、ブラジル株を近未来のウイルスとして選択する可能性がある。あるいは、現在の変異株と質的に異なる免疫回避作用を有する強力な新規変異株が形成される可能性も否定できない。ワクチン接種による従来株、英国株に対する集団免疫の確立は人類にとって必要不可欠な事項であるが、それでコロナ感染症が終焉を迎えるわけではなく、その先には、新たな未知の闘いが待っている可能性を念頭に置く必要がある。

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049)コロナワクチン、インフルワクチンとの違いは?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第49回 コロナワクチン、インフルワクチンとの違いは?ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆いよいよ、医療従事者に加えて高齢者への新型コロナワクチン接種が始まりましたね。私の勤める病院でも職員への集団接種が始まり、先日1回目の接種を受けました。医局でも、やはりワクチン接種の話題で持ち切りで、筋注のこと、副反応のことなど情報が飛び交っています。周囲の人たちは、だいたい3割くらいが1回目の接種を受け終わっているような印象で、まだの人も予定はちらほらと決まってきました。なかには2回目の接種が終わっている医師も。よく耳にする副反応は、接種翌日の刺入部の筋肉痛。腕を動かさなければ気にならない程度という医師が多く、私自身も確かにそのような感じでした。(しかし、刺入部をうっかり壁にぶつけてしまうと、なかなかの痛みが……)私の周囲では、今のところ1回目の接種が終わったばかりの医師が多いため、2回目接種の副反応についてはまだあまり耳にしません。発熱、頭痛、全身倦怠感など、つらいのは2回目という話も聞くので、3週間後の2回目の接種も、心して挑みたいです。なお、肩の筋肉注射を受けたのは今回が初めてでしたが、想像以上に痛みが少なかったです。刺すときにわずかな痛みがあるのと、注入時に奥のほうが少し痛い気がする程度。インフルエンザワクチンの皮下注射のときのような、指の爪の先で思いっきり皮膚をつねるかのような注入時の痛みと比べれば、本当にごくわずか。皮下注射後によくある刺入部の腫脹発赤、痛痒さもなく、筋肉注射のほうが快適かもしれないという事実に気が付きました。施術者が筋注に慣れている人だったら、今後のインフルエンザワクチンもぜひ筋肉注射でお願いしたいくらいです。以上、コロナワクチン接種にまつわるあれこれでした。それでは、また~!

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僕、死ぬんですかね【Dr. 中島の 新・徒然草】(372)

三百七十二の段 僕、死ぬんですかねタイトルの「僕、死ぬんですかね」というのは、某クリニックの先生のセリフ。実はコロナにかかって自宅待機になっていました。酸素飽和度が下がってくると共に呼吸が苦しくなり、冒頭の発言が出たのです。でも、保健所からは引き続き待機を指示されてしまいました。読者の皆さん御存知のように、大阪は大変なことになっています。すでに重症病床は満杯。軽症、中等症病床も数字上は80%程度ですが、救急車を呼んでもなかなか搬送先が見つかりません。ニュースでは救急車内で24時間以上の待機が3例、そして47時間の待機!というのも報道されています。この世の出来事とは思えませんが、知り合いの先生方の話では、患者さんの搬送先が見つからずに4時間待機とか7時間待機とか、中には28時間待機まであったということなので、本当のことなのでしょう。私の勤務する大阪医療センターでも、府からの要請を受けてコロナ患者さん受け入れ態勢を拡大しつつあるものの、口で言うほど簡単ではありません。第3波収束直後に、空調設備や病室などを改修して受け入れ可能数を増やしていたのですが、第4波が想像以上の勢いだからです。救急医はもとより内科系、外科系のほとんどの診療科の医師がローテーションを組んでコロナ対応に当たっています。コロナの治療にはやたらマンパワーが食われるので、もしコロナ病床を増やそうと思えば一般病床にして2倍分の看護師を配置しなくてはなりません。つまり10人のコロナ患者に対応するためには、脳卒中、心疾患やがんなど、急を要する患者さん20人の治療が後回しになってしまうのです。もちろん後回しにしていい病気ではないので、この患者さん達も何とかしなくてはなりません。このあたりの苦況を一般の人々が想像するのは難しいのでしょうかね。コロナ流行の帰趨こそ、国民1人ひとりの行動にかかっているというのに。PPEを着て汗だく対応の脳外科レジデントも憤懣やるかたなし、といったところ。レジ「この期に及んで宴会とか歓送迎会とかしている人の気が知れませんね」中島「まったく」レジ「『もしコロナにかかっても治療は要らん!』というのだったら、それはそれで立派なんですけど」中島「自分がかかるだけじゃなくて他人にまで拡げるから、立派とは言えんぞ」私なんか宴会には恐ろしくて近寄れません。でも、日本各地のお役所での歓送迎会のニュースが報じられています。正気か?もしかして、宴会しないと死ぬ病気にでもかかっているんでしょうか。いくら医療機関が治療を頑張っても、それ以上に患者数が増えたらどうにもなりません。コロナとの戦いで最も単純かつ効果的なのは、感染予防なのは言うまでもないことです。中島「動物園からヒョウがさあ」レジ「ええ」中島「逃げ出した、というフェイクニュースを流したらどうかな」レジ「何を言いだすんですか!」中島「血まみれの顔のオッサンが出てきて『や、やられた』とか言うわけよ」きっと皆が勝手に誤解して、町には人っ子ひとりいなくなるでしょう。中島「公園で酒盛りしている連中の横にね」レジ「何ですか、今度は?」中島「『マムシ注意』という看板を立てるのはどうかな」レジ「そんな馬鹿な!」中島「ただの親切なアドバイスやろ」実際、大阪の公園でマムシに噛まれたという患者さんを治療したことがあります。もっとも、琉球大学構内では「ハブ注意」という看板を見かけました。上には上がいるもんです。10年以上前のことですけど今でも残っているのかな、あの看板。さて最初に述べたコロナの先生。数時間後に府内の病院に収容されました。詳細な経緯は不明ですが、運が良かったとしかいいようがありません。なんとか回復していただきたいものです。読者の皆様も明日は我が身です。くれぐれも気をつけましょう。最後に1句コロナには ヒョウもマムシも 総動員

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全身性アミロイドーシス〔amyloidosis〕

1 疾患概要アミロイドーシスとは、通常は可溶性である蛋白質が、さまざまな要因により不溶性の線維状構造物であるアミロイドヘと変性し、諸臓器に沈着することで種々の機能障害を来す疾患群である1)。全身の諸臓器にアミロイド沈着が起こり臓器障害を引き起こす全身性アミロイドーシス、1つの臓器に限局してアミロイド沈着を起こす限局性アミロイドーシスに分類されるが、これまで42のアミロイド前駆蛋白質が明らかになっている(表)。表 主なアミロイドーシスの分類画像を拡大する(Buxbaum JN, et al. Amyloid. 2022;29:213-219.より引用作成)その中で患者数も多く、治療できる疾患は以下の通りである。ALアミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー([familial amyloid polyneuropathy:FAP]、ATTRv)、老人性全身性アミロイドーシス(ATTRwt)は厚生労働省に難病指定されている。1)ALアミロイドーシス異常形質細胞が単クローン性に増殖し、その産物である免疫グロブリン(M蛋白)の軽鎖(L鎖)がアミロイドを形成する。まれに重鎖(H鎖)が前駆蛋白質となるAHアミロイドーシスもある。2)ATTRvアミロイドーシス遺伝的に変異を起こしたトランスサイレチン(transthyretin:TTR)が前駆蛋白となり末梢神経、自律神経系、心、腎、消化管、眼などの臓器に沈着する常染色体顕性遺伝形式のアミロイドーシスを言う。3)AAアミロイドーシス関節リウマチ(RA)など慢性炎症に続発し、血清アミロイドA蛋白が原因蛋白質となる。4)ATTRwtアミロイドーシスTTRが前駆蛋白となり、70歳代以降に発症しやすく、主に心臓や運動器に疾患を来す。5)透析アミロイドーシス長期の透析に伴いβ2ミクログロブリンが前駆蛋白となり、 手根管や運動器に沈着する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)アミロイド蛋白質の沈着臓器は、心臓、腎臓、消化管、神経、眼、運動器など多臓器にわたり、臨床症状は多彩である。初期にはALアミロイドーシスでは全身倦怠感、体重減少、浮腫、貧血などの非特異的症状があるが他の病型では特徴的な症状がない。経過中にうっ血他心不全、蛋白尿、吸収不良症候群、末梢神経障害、起立性低血圧、手根管症候群、肝腫大、巨舌、皮下出血などを呈する。1)心アミロイドーシス超音波エコーや心電図、MRI、血清NT-proBNPなどでスクリーニングができるが、ピロリン酸心筋シンチを行うと90%以上の感度でATTRvやATTRwt症例では陽性になることが明らかになっている。本症は最も生命予後を左右する。2)末梢神経障害ATTRvやATTRwtアミロイドーシス、ALアミロイドーシスなどで認められるが、皮膚パンチ生検、神経伝導速度、SudoScanなどで小径線維の障害を証明することが重要である。3)腎アミロイドーシスしばしばネフローゼ症候群を呈し、蛋白尿や浮腫、 低アルブミン血症を呈する。胸水や心嚢液貯留をみることもある。4)消化管胃および十二指腸に沈着しやすい。交替性下痢便秘が起こり吸収不良症候群や下痢がみられる。血管周囲へのアミロイドの沈着が起こり 消化管出血が起こることもある。■ 診断全身性アミロイドーシスの診断には、 少なくとも2臓器にわたる病変を認めることが重要であり、限局性アミロイドーシスと鑑別する必要がある。確定診断は病理検査が必要で、アミロイドーシス全般のスクリーニングとしては腹壁脂肪生検が広く行われている。低侵襲性で簡便であるが、ATTRv以外では感度が低いため、複数の臓器(消化管[とくに胃・十二指腸]、口唇、皮膚、唾液腺、歯肉生検など)での生検を行いコンゴレッド染色で陽性を確認する必要がある。その後、前駆蛋白を免疫組織染色で決定し(決定できないときは質量分析装置を使用する)、各種検査により病変臓器の範囲を決定し、治療の方針を決めていく。ALアミロイドーシスではM蛋白の検出には、血清・尿の電気泳動が行われてきたが、遊離軽鎖(free light chain:FLC)が保険適用となり感度が98%と高いことから、広く行われるようになっている。アミロイドーシスでは疾患特異的なマーカーがないので、既存の疾患に該当しない場合、まず本症を疑うことが重要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)ALアミロイドーシスボルテゾミブ、サリドマイドなどの化学療法薬も用いられるが、ダラツムマブ+ボルテゾミブ+シクロフォスファミド+デキサメタゾン(DCyBorD)療法が保険適用となっている。2)ATTRvアミロイドーシス(1)肝移植アミロイド原因蛋白質である異型TTRの95%以上が肝臓で産生されることから、1990年以来、世界各国で肝移植が試みられてきたが治療薬剤の登場と共に行われなくなった。(2)薬剤療法TTRの四量体を安定化させアミロイド沈着を防ぐdiflunisal(外国購入で使われている)、タファミジス(商品名:ビンダケル)が使用可能になり、ニューロパチー、心機能悪化が抑制されている。また、RNAi治療薬パチシランナトリウムを改良し3ヵ月に1回の皮下注射製剤、ブトリシラン(同:アムヴトラ)が開発され、ニューロパチーには改善効果が認められている(海外ではすでに心アミロイドーシスにも使用されている)。(3)眼科的治療緑内障や硝子体混濁に関しては手術を行う。3)ATTRwtアミロイドーシスタファミジスが心不全の改善効果を示し、死亡率を抑制することが明らかになっている。siRNA TTR製剤もATTRvに伴う心不全に対し改善効果があることが明らかになっている。4)AAアミロイドーシス本症を引き起こす原疾患はRAが大多数であるため、リウマチ治療薬が結果として本症の治療になる。抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(同:アクテムラ)投与によりアミロイド沈着が完全に消失したとする報告もある。5)透析アミロイドーシス透析膜の改良により発症頻度が低下している。透析にアミロイド吸着カラム(リクセル)を用いることがある。6)その他の対症療法心アミロイドーシスは利尿薬による対症療法が中心となる。ジギタリスやカルシウム拮抗薬はアミロイド線維と結合し感受性が高まるため、中毒のリスクや血行動態悪化の危険があるので、注意が必要である。腎アミロイドーシス蛋白尿の減少にACE阻害薬が有効であることもある。末期の腎不全に関しては腹膜透析、血液透析を行う。腎移植は腎以外のアミロイドの沈着がない場合に考慮する。消化管アミロイドーシスでは下痢に注意が必要である。低栄養状態の患者には十分な栄養を経口、経静脈的に補給する。4 今後の展望ALアミロイドーシスでは、ミエローマ細胞に対する治療薬の開発が進んでいる。ATTRvアミロイドーシスではgene silencing治療に加え、CRISPR-Cas9システムによるゲノム編集治療がPhase studyIIに入っている。AAアミロイドーシスは原因疾患としては最も多いRAの生物製剤治療が進み、今後さらに患者数は減っていくものと思われる。透析アミロイドーシスは透析膜の改良によりさらに患者数が減少している。ALアミロイドーシスとATTRvの組織沈着アミロイドをターゲットとした抗体治療の開発が進みPhase studyに入っている。5 主たる診療科ALアミロイドーシスは血液内科、ATTRvアミロイドーシスは神経内科、循環器内科、消化器内科、整形外科、ATTRwtアミロイドーシスは循環器内科、神経内科、整形外科、AAアミロイドーシスはリウマチ科、透析アミロイドーシスは腎臓内科などの診療科が、これまで主に診療にあたってきたが、アミロイドーシス全体の啓発活動が活発化し、横断的な診療が行われるようになった。心アミロイドーシスを来すのはAL 、ATTRv、ATTRwt アミロイドーシスなどで高率にみられる。どの全身性アミロイドーシスも腎にアミロイド沈着がみられるので腎臓内科の関与が必要である。また、ATTRvアミロイドーシスにおいては眼アミロイドーシスを呈するため、眼科の関与が必要となる。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報「アミロイドーシス調査研究班」(厚生労働省)ホームページ(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報道しるべの会(FAP患者家族会)(患者とその家族および支援者の会)1)植田光晴 編集、安東由喜雄 監修. 21世紀の疾患:神経関連アミロイドーシス. 2020;医学と看護社.2)Kastritis E, et al. N Engl J Med. 2021;385:46-58.3)Ando Y, et al. Amyloid. 2022;29:143-155.4)Frederick L. et al. J Am Coll Cardiol. 2019;73:2872-2891.5)Buxbaum JN, et al. Amyloid. 2022;29:213-219.公開履歴初回2021年4月28日更新2024年6月21日

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MBA的医療経営 目指せ!!メディカルエグゼブティブ

医学と経営学の究極の共通点は「人間とはいかなる存在か」という本質的な課題に取り組むこと病院経営は、営利を目的とした企業の経営とは多くの点で異なります。診療や看護、医療技術や医療事務などの特定分野の管理能力、そして「全体最適」の視点が必要です。本書はメディカルエグゼクティブとなって医療管理職を目指す人のために、経営学の基本的な知識を理解しやすく解説したものです。また、医療職でない人には、医療現場の現状と課題を知り、医療界に貢献がきるかといった視点で読み進めることが可能です。本書は三部構成になっています。第Ⅰ部は古典的な経営戦略論から最新の経営戦略論までを網羅し、企業経営と医療経営の共通点と相違点を明らかにします。第Ⅱ部は人と組織の問題を、第Ⅲ部は医療マネジメントとして、実際のマネジメントと今後の医療経営の課題や展望を論じています。医学と経営学の究極の共通点は「人間とはいかなる存在か」という本質的な課題に取り組むことです。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    MBA的医療経営 目指せ!!メディカルエグゼブティブ定価1,980円(税込)判型四六判頁数267頁発行2017年12月著者角田 圭雄

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添付文書改訂:オルミエント錠に新型コロナ肺炎追加/イグザレルトがDOACで初の小児適応追加/オキシコンチンTR錠に慢性疼痛追加【下平博士のDIノート】第73回

オルミエント錠に新型コロナ肺炎の適応追加<対象薬剤>バリシチニブ錠(商品名:オルミエント錠2mg/4mg、製造販売元:日本イーライリリー)<承認年月>2021年4月<改訂項目>[追加]効能または効果SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)<Shimo's eyes>ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬バリシチニブ(商品名:オルミエント錠)の効能または効果に、新型コロナウイルスによる肺炎が追加されました。わが国では、レムデシビル、デキサメタゾンに続いて3剤目の新型コロナウイルス感染症治療薬となります。現在、新型コロナウイルス感染症に係る入院加療は全額公費負担となっており、本剤もその対象となります。投与対象は、入院下で酸素吸入、人工呼吸管理、体外式膜型人工肺(ECMO)の導入が必要な中等症から重症の患者で、レムデシビルとの併用で最長14日間投与することができます。経口投与ができない患者には、同剤を粉砕・懸濁して、胃ろうや経鼻移管などの方法で投与します。使用にあたっては、RMP資材である、「適正使用ガイド SARS-CoV-2による肺炎」を参照してください。バリシチニブの主な排泄経路は腎臓のため、透析患者または末期腎不全の患者は禁忌です。また、リンパ球数が200/mm3未満の患者にも禁忌となっています。治療成績としては、1,033人の患者が登録された国際共同第III相試験で回復までの期間を比較した結果、バリシチニブ+レムデシビルの併用群(バリシチニブ群)は7日、レムデシビル単独群(対照群)は8日と有意差がありました。また、重症患者216人に絞って評価したところ、回復までの期間は、バリシチニブ群で10日、対照群は18日とより大きな差が見られました。なお、本剤は2020年12月にアトピー性皮膚炎の追加適応も得ています。参考日本イーライリリー プレスリリースイグザレルトがDOACで初の小児適応追加<対象薬剤>リバーロキサバン(商品名:イグザレルト錠・OD錠・細粒分包10mg/15mg、製造販売元:バイエル薬品)<改訂年月>2021年1月<改訂項目>[追加]効能または効果小児:静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制<Shimo's eyes>抗凝固薬のリバーロキサバン(商品名:イグザレルト錠・OD錠・細粒分包)の効能または効果に、小児に対する「静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制」が追加され、小児適応を持つ唯一の直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)となりました。また、新生児や乳幼児の服用にも適した剤型であるドライシロップ(同:イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg/103.4mg)も承認されました。本剤は、エドキサバン(同:リクシアナ錠・OD錠)、アピキサバン(同:エリキュース錠)とともに経口活性化凝固第Xa因子阻害薬に分類されます。血液凝固系におけるXa因子の活性化部位を直接的に阻害することで、トロンビンの生成を阻害して抗凝固作用を発揮します。近年の疾患に関する認知や診断技術の向上により、静脈血栓塞栓症(VTE)と診断される小児患者数は増加しています。小児における従来のVTE治療では、ワルファリンのみが適応を持っていたため、採血による定期的な凝固系のモニタリングだけでなく、薬物相互作用や食事など多方面で配慮が必要でしたが、本剤の適応追加により、患児および介助者の負担を軽減できることが期待されています。参考バイエル薬品 プレスリリース同 イグザレルト.jp 小児:静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制(小児VTE)オキシコンチンTR錠の適応に慢性疼痛<対象薬剤>オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠(商品名:オキシコンチンTR錠5mg/10mg/20mg/40mg、製造販売元:シオノギファーマ)<改訂年月>2020年10月<改訂項目>[追加]警告慢性疼痛に対しては、本剤は、慢性疼痛の診断、治療に精通した医師のみが処方・使用するとともに、本剤のリスクなどについても十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いること。また、それら薬局においては、調剤前に当該医師・医療機関を確認したうえで調剤を行うこと。[追加]効能・効果非オピオイド鎮痛薬またはほかのオピオイド鎮痛薬で治療困難な中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛[追加]用法・用量慢性疼痛に用いる場合:通常、成人にはオキシコドン塩酸塩(無水物)として1日10~60mgを2回に分割経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。<Shimo's eyes>オピオイド鎮痛薬のオキシコドン塩酸塩水和物徐放錠(商品名:オキシコンチンTR錠)の効能・効果に、慢性疼痛が追加されました。本剤は容易に砕けない硬さと、水分を含むとゲル化するという乱用防止特性を有する徐放性製剤です。本剤は、依存や不適正使用につながる潜在的なリスクがあるため、今回の適応追加に際しては、医薬品リスク管理計画を策定して適切に実施するなどの承認条件が付され、医療機関・医師・薬剤師による厳重な管理が求められています。【オキシコンチンTR錠を慢性疼痛で使用する際の確認事項】<処方する医師>1.製造販売業者が提供するeラーニングを受講し、確認テストに合格し、確認書をダウンロードする。2.処方時に確認書の内容を患者に説明し、医師・患者ともに署名をして確認書を患者に交付する。3.確認書の控えを医療機関で保管する。<調剤する薬剤師>1.患者が持参した麻薬処方箋と確認書について、処方医名、施設名、交付日が一致していることを確認する。なお、患者が確認書を持参しておらず、がん疼痛か慢性疼痛か判断できない場合は、処方医に患者の適応を問い合わせる。2.確認書の患者確認事項を説明し、患者の理解を確認し、確認書にチェックを入れ、調剤する。近年、がん患者だけでなく、非がん患者の痛みに関する身体的症状と精神症状のケアが課題となっています。このような背景から、非がん性疼痛に適応を持つオピオイド鎮痛薬が増えてきました。すでに、トラマドール、コデインリン酸塩、ブプレノルフィン貼付薬、モルヒネ塩酸塩、フェンタニル貼付薬がありますが、今回、オキシコドン製剤として初めて本剤が慢性疼痛への適応を取得しました。参考PMDA「オキシコドン塩酸塩水和物徐放製剤の使用に当たっての留意事項について」同「確認書を用いた管理体制の全体図」シオノギ製薬「オキシコンチンTR錠で慢性疼痛の治療を受けられる患者さまへ」

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「インチュニブ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第49回

第49回 「インチュニブ」の名称の由来は?販売名インチュニブ®錠1mgインチュニブ®錠3mg一般名(和名[命名法])グアンファシン塩酸塩(JAN)効能又は効果注意欠陥/多動性障害(AD/HD)用法及び用量〈18歳未満の患者〉通常、体重50kg未満の場合はグアンファシンとして1日1mg、体重50kg以上の場合はグアンファシンとして1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔をあけて1mgずつ、下表の維持用量まで増量する。なお、症状により適宜増減するが、下表の最高用量を超えないこととし、いずれも1日1回経口投与すること。画像を拡大する〈18歳以上の患者〉通常、グアンファシンとして1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔をあけて1mgずつ、1日4~6mgの維持用量まで増量する。なお、症状により適宜増減するが、1日用量は6mgを超えないこととし、いずれも1日1回経口投与すること。警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.妊婦又は妊娠している可能性のある女性3.房室ブロック(第二度、第三度)のある患者[本剤の中枢性の徐脈作用により症状が悪化するおそれがある。]※本内容は2021年4月28日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年7月改訂(改訂第4版)医薬品インタビューフォーム「インチュニブ®錠1mg・インチュニブ®錠3mg」2)シオノギ製薬:製品情報

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事例025 リンデロンVG軟膏の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説高血圧症にて継続療養中の患者に、リンデロン(一般名:ベタメタゾン吉草酸エステル/ゲンタマイシン硫酸塩)VG軟膏を治療にて処方したところ、皮膚病名があるにもかかわらずA事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定となりました。査定理由を調べるために、リンデロンVG軟膏の添付文書を確認してみました。適応と重要な基本的注意には、湿潤、びらん、結痂を伴うか、または二次感染を併発している湿疹、皮膚炎群のみに使用するとあります。「皮脂欠乏症」、「皮膚掻痒症」の病名では、適応にある皮膚の状態を表しておらず、投与理由の説明不足であると判断され査定となったものと考えられます。診療録には、「かゆみの強い部位にかきむしりによるびらんと結痂を認めた」ということが記載されていました。医師に、「診断病名だけで皮膚の状態が説明できるのでしょうか」と確認したところ、「記載された病名だけでは表現に不足があるかもしれない」との返答でした。次回の処方から添付文書に沿った皮膚状態を表す病名または皮膚状態のコメントを付加していただけるようにお願いし、さらに、薬剤投与時に留意事項が表示されるようにマスターを再設定して、査定対策としました。

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手術記録をデジタル化するメリットは何ですか?【誰も教えてくれない手術記録 】第2回

第2回 手術記録をデジタル化するメリットは何ですか?こんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。前回は「手術記録とは何か?」というテーマでお話ししました。提示した手術イラスト(幽門側胃切除術)について、記事中ではほとんど触れなかったので、「実際はどうやって描いているの?」と疑問に思った方もいらっしゃったかもしれません。今回からは、その疑問にお答えするべく、具体的な描き方を説明していこうと思います。タブレットと紙のギャップは「画面フィルム」で解消!デジタルイラストレーションを作成するうえで必要な機材は、タブレット&スタイラスペン(PCとペンタブレットでもOK)です。私は、iPadとApple Pencilを使用しています。アプリケーションは、レビュー評価が高かったProcreate(有料)を選びましたが、ほかにもさまざまなイラスト用アプリがありますので、自分に合ったものを探してみてください。実は、私が手術イラストのデジタル化に挑戦し始めたのはつい昨年のことで、外科医になってから4年ほどは、アナログ(紙とペンと色鉛筆)で手術イラストを描いていました。デジタルイラストの経験はまったくなかったので、タブレット導入前はうまく描けるか心配でしたし、当初は紙とは違う描き心地が不満で、デジタル化を諦めかけたこともありました。しかし、画面にペーパーライクフィルムを貼ってからは、描き心地が格段に良くなりました。その後も苦戦しながら描き続けたところ、試行錯誤を繰り返すうちに、だんだんとデジタル特有の操作方法や機能にも慣れてきて、ここまで習得できた形です。今では、デジタルの機能を駆使することで、アナログでは難しかった細やかな色彩や濃淡、奥行きなどを表現した手術イラストがようやく描けるようになったと感じています。デジタルイラストのメリット・デメリット私は、デジタルイラストに取り組んだこの1年あまりで、200枚以上のイラストを描き上げました。そこで、実際に感じたメリット・デメリットを記します。《メリット》書き損じの修正や変更が容易拡大・縮小が可能で、より精緻なイラストが描けるレイヤー機能や色彩パレットを用いた幅広い表現力がある過去のイラストを引用できる他者とイラストのデータ共有が可能画像を拡大する(左)過去のイラストを引用する様子/拡大して細かく描き込む様子(右)《デメリット》初期投資が必要(タブレット、スタイラスペン、アプリなどの購入費)慣れるまで少し時間がかかるかつての私と同じように、未経験の人がデジタルイラスト作成を始めるには少し勇気がいるかもしれません。でも、慣れたらこれほど快適なものはありませんよ。先述したように、効率化できるだけでなく、イラストの表現幅がぐっと広がるので、手術イラストをより細かく美しく描きたい人、より短時間で描きたい人、よりシンプルにわかりやすく描きたい人など、どんな人にもきっとメリットを感じてもらえることでしょう。この連載を読んで、少しでも「やってみようかな」と思った方は、ぜひ、デジタルイラストに挑戦してみてください!まとめ手術記録をデジタル化するメリットは何ですか?機材をそろえる必要があり、慣れるのに少々時間がかかるが、習得後は、効率的かつアナログでは描けないクオリティのイラスト作成が可能になる。デジタルイラストは、多忙な外科医にこそおすすめできる方法です! 次回は、実際のデジタルイラストの作成手順についてお伝えする予定です。お楽しみに~!

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“看取り”に関わらないからといって、“緩和ケア”に関わらないわけではない!【非専門医のための緩和ケアTips】第2回

第2回 “看取り”に関わらないからといって、“緩和ケア”に関わらないわけではない!前回からスタートした「非専門医のための、明日から使える緩和ケアTips」です。「緩和ケア」というと、「緩和ケア病棟のような、専門病棟に入院する患者に提供される濃密なケア」というイメージを抱く方が多いようです。ですが、がん患者に限ってみても、緩和ケア病棟で亡くなるのは全体の12%程度です。では、残りの9割近くの方は、どこで人生の最終段階を過ごしているのでしょうか? そう、緩和ケア病棟以外の一般病床や施設、そしてご自宅です。つまり、緩和ケア病棟だけでなく、患者さんが過ごすさまざまな場で「緩和ケア」を提供する必要があるのです。「さまざまな場で緩和ケアを必要とする人に最適なケアを届けるため、緩和ケアを専門とする私や仲間たちが学び、使っているノウハウを共有しよう!」というのが、この連載のテーマです。今日の質問通院が困難となり、訪問診療をしている高齢患者さん。ご家族から、「最後まで自宅で過ごさせたいけれど、可能でしょうか?」と相談を受けました。今後どのような話し合いをするとよいでしょうか?皆さんは診療時に、どのように緩和ケアに取り組んでいますか? こんな風に聞くと、「いやいや、うちは訪問診療をしてはいるけど、看取りは対応していないので」なんて声も聞こえてきそうです。もちろん、看取りを視野に入れたケアは、比較的短期間に集中的な介入やコミュニケーションが要求される、緩和ケアにおけるメジャーな分野です。でも、緩和ケアはそこだけにとどまらず、普段外来に来ている患者さんに対しても意識することで、実践できることはたくさんあります。というか、そういった時期にこそ緊急性がない分、落ち着いた取り組みができるはずです。最近は、人生の最終段階に備えて、意向を共有しておくプロセスの重要性が増しているといわれています。いわゆる「アドバンス・ケア・プランニング(ACP:Advance Care Planning)」というやつですね。ACPのような取り組みも、病状が穏やかで、切迫した意思決定が必要ないときのほうが本質的な話ができます。病状が進行してからの話し合いでは、どうしても急いで決めないといけない重要なことに目が向いてしまいます。そうなると、ACPの重要なコンセプトである「前もって」「意向や価値観の共有」という2点が損なわれ、具体的な医療行為の決定のみに走る傾向になります。ここを何とかできるのが、普段の診療をしている医療者、主に開業医の先生方なのです。ここは急性期病院に勤める私としては、うらやましい限りです。とはいえ、実際に診療で何をするかとなると、「?」となる方がほとんどだと思います。「すべての医療現場に緩和ケアを」というコンセプトには賛同できても、具体的にどのように取り組めばよいかがわからない、というのも当然です。そのあたりをこの連載で順次お話しできればと思いますが、今回はまず、「“看取り”に関わらないからといって、“緩和ケア”に関わらないわけではない」ということを、ご理解いただければと思います。ここで1つ、コツを紹介です。患者さんと病気以外のことを話している瞬間ってありますよね? 私は高齢の方を診ることが多いので、これまで経験した職業や育った地域のことなど、雑談っぽく聞いています。実はこれ、その人の物語的(ナラティブ)なエピソードを理解するという点で、緩和ケア的なアプローチなんです。こういった話をすると、「診療時は時間がないから無理」なんて声も聞こえてきそうです。決して1人で取り組む必要はないですし、看護師さんの力を借りるのも有効かもしれません。こんなふうに「緩和ケア」を広く捉えていただくことが、緩和ケアを皆さんの診療に加えていく最初の一歩になります。次回以降、物語的(ナラティブ)な対話について、具体的にどのように取り組んでいるかを紹介しながら「時間がない」問題について考えていきましょう。今回のTips

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第55回 コロナで“焼け太り”病院続出? 厚労省通知、財務省資料から見えてくるもの(前編)

奈良県、感染症法で50床確保へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。ゴールデンウイークがやって来ます。私は、去年に断念した南会津の登山を計画していたのですが、再びの4都府県に対する緊急事態宣言で都道府県をまたぐ不要不急の移動の抑制が求められたことで、今年もどうやら行けそうにありません。「緊急事態宣言 3度目発令」を報じた4月24日付の日本経済新聞は朝刊一面で、論説委員が「1年間何をしていたのか」と国の医療提供体制の施策を厳しく批判していましたが、本当に1年間何をしていたのでしょう。今回の宣言発令でも、国の真剣さが感じられないのが気になります。「オリンピック止めます。だから…」くらいは言ってほしかった、と思う今日このごろです。前回(第54回 なぜ奈良県で?「県内全75病院に病床確保要請」をうがった見方をしてみれば…)で書いた奈良県の改正感染症法に基づく病床確保要請ですが、4月23日付の毎日新聞によれば、約15病院で計50数床確保できる見通しになった、とのことです。感染症法にも相応の効果があったということで、こうした要請は他の都道府県にも広がるかもしれません。さて、今回は厚労省が都道府県知事宛に発出していた通知について書いてみたいと思います。最近、複数の医療関係者と話していると、補助金がらみのややきな臭い話を聞くことがあります。曰く、「某大学病院はコロナの補助金で過去最高益になったらしい」「コロナ患者を受け入れていないのに、コロナで焼け太りしている病院がある」…。世の中、コロナ対応で医療現場は崩壊寸前という趣旨の報道が大半です。1年ほど前は、医療機関の患者が激減し、経営が大変だという報道もありました。しかし、ここに来て、あまり「経営が大変だ」という声が聞こえなくなってきたところに、この手の話です。現場は大変ですが、経営は良好なのでしょうか…。と首を傾げていたら、こんな厚労省通知に関する報道がありました。コロナ患者受け入れへ聴取、医療機関の状況確認へ4月20日付の産経新聞は、「コロナ患者受け入れへ聴取 医療機関の状況確認へ 厚労省が通知」という記事を掲載しました。それによれば、「厚生労働省が、正当な理由なく新型コロナウイルス感染症患者の入院を断っている医療機関に対し聴取を行い、受け入れを要請するよう求める通知を各都道府県に出したことが20日、分かった」とのことです。通知が発出されているのに「分かった」というのも変な話ですが、「感染拡大地域で病床が逼迫する中、すぐに受け入れが可能な『即応病床』を確保するのが狙い」と記事は書いています。なお、後追いする形で朝日新聞も4月23日付の朝刊で同内容の記事を掲載しています。今回取り上げられたのは、いったいどの通知だろうと調べてみました。コロナ関係の通知はそれこそ膨大にあるのと、通知したい内容とタイトルが微妙にズレているので、なかなか見つけ出すのが大変です。受け入れ困難と判断した場合は即応病床数見直しそんな中、多分、これだろうという通知が見つかりました。それは、2021年4月1日付けで、厚生労働省の医政局長 、健康局長、医薬・生活衛生局長連名で発せられた「令和3年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の実施について」です。内容的にはコロナ対策の支援事業の実施の概要を通知するものです。その中の病床確保料の補助対象について記述した部分がニュースになっていたのです。1日に発出され、20日に「分かった」と報道されたのは、記者たちは最初その意味が把握できなかったのかもしれません。「コロナ患者受け入れへ聴取、医療機関の状況確認対象」となる医療機関は、病床確保料の補助対象となる新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関です。具体的には、病棟単位で新型コロナ感染症患者、または、その疑いのある患者用の病床を確保している「重点医療機関」と、新型コロナ感染症の疑いのある患者専用の個室を持っている「協力医療機関」とのことです。通知では、各都道府県に対し、医療機関の稼働状況、病床や医療スタッフの状況、人工呼吸器などの医療機器の確保状況を一元的に把握する情報システム「G-MIS(ジーミス)」などを使って、患者の受け入れ状況を確認するよう求めています。その上でさらに、「適切に受入れを行っていない」「受入要請を正当な理由なく断っている」などの場合は、受け入れ体制について聴取し、受け入れるよう要請する。聴取の結果、受け入れるのが困難と判断した場合は、その医療機関の即応病床数(つまり、病床確保料の補助)を見直すと明記しています。厚労省によると、4月7日時点で全国に重点医療機関は1,058機関、協力医療機関は986機関あるとのことです。「手を挙げても受け入れない」病院の存在この通知の意味するところは明らかです。「コロナ病床確保します」と手を挙げて確保料をもらいながら、コロナ患者を受け入れていない病院が存在する、ということです。病床確保料の補助を見直す通知をわざわざ出すということは、そうした病院が相当数あるからでしょう。この連載でも、これまでに進まないコロナ患者受け入れ体制の原因として、コロナ受け入れに手を挙げない民間病院の消極性について書いてきましたが、「手を挙げても受け入れない」病院があるとは…。まさにコロナで“焼け太り”病院です。1床当たり最高1日43万6,000円現在、コロナ病床に対する診療報酬上の対応や国の補助は相当な金額となっています。病床に対する補助に限って言えば、病床が逼迫する都道府県において新型コロナの受入病床を割り当てられている医療機関に、重症者病床1床当たり1,500万円、その他の病床、および協力医療機関の疑い患者病床は1床当たり450万円を上限に補助が行われています。さらに、2020年12月25日~2021年2月28日に新たに割り当てられた確保病床については、緊急事態宣言が発令された都道府県では1床当たり450万円、それ以外の都道府県でも300万円が補助上限額に加算されています。つまり、最大で1床当たり1,950万円の補助を受けることができるのです。病床確保料はこれとは別に、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ態勢を確保するための確保病床および休止病床について補助されるものです。補助額の上限は、「重点医療機関」は1床当たり1日7万1,000円~43万6,000円、「協力医療機関」の疑い患者病床は5万2,000円~30万1,000円、「その他の医療機関」は1万6,000円~9万7,000円などとなっています。たとえば重点医療機関である一般病院でICU内の病床を1床確保すると、患者が入っているかどうかにかかわらず、1日30万1,000円が補助されます。「入院率」導入の意味そう考えてくると、感染状況を示す指標として4月16日から「入院率」が新たに加わったことにも納得が行きます。「入院率」とは、療養中の全感染者に対する入院者の割合です。これまで重視してきた「病床使用率」は各都道府県が確保した病床に占める入院患者の割合を示すものです。ただ、病床を(病院の都合等で)コロナに使用していないケースや、本来は入院の必要がない軽症者が入院しているケースなどを除外できず、病床の逼迫度を計るには不十分との指摘がありました。入院率という指標によって、国は病床数ではなく、無症状者も含む療養中の全感染者数に対する入院者数に着目することにしたわけです。数値が低くなるほど、入院できない人が増えている(病床が逼迫している)ことになります。入院率が25%以下だと最も深刻な「ステージ4」(感染爆発)、40%以下だと2番目に深刻な「ステージ3」(感染急増)に相当するとしています。ちなみに、4月23日更新のデータでは大阪府の入院率は12.0%、東京都は30.9%でした。「即応病床」として病床確保料をもらいながら、コロナ患者を避けてきた病院の存在は、税金の無駄遣いであるばかりでなく、病床逼迫度を推し量る上でも邪魔で困った存在だったわけです。今回の通知によって、そこにメスが入ることになったわけです。それにしても、ジャブジャブとも言われる医療機関に対するコロナ補助金を、国の財政を司る財務省はどう見ているのでしょう。次回は、それについて少し考えてみます(この項続く)。

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産後うつ病ケアの利用と仕事に及ぼす影響

 オランダの産後うつ病女性に対するケアが、産後うつ病の症状、子供、仕事にどのような影響を及ぼすかについて、オランダ・Universiteit TwenteのA. I. van der Zee-van den Berg氏らが、検討を行った。Nederlands Tijdschrift voor Geneeskunde誌2021年3月11日号の報告。 子供のヘルスケア環境下における産後うつ病スクリーニングの有効性に関するプロスペクティブ比較試験の対照群よりデータを抽出した。2つのオンラインアンケートを用いてデータを収集した。出産3週間後における母親の特性を調査した。出産12ヵ月後、産後うつ病、うつ症状のケア、産後の母子に対する一般的なケア、産後12ヵ月以内の仕事復帰について調査した。違いを確認するために、カイ二乗検定とスチューデントt検定を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象女性1,049人のうち99人(9.4%)は、出産した年に産後うつ病の経験が認められた。・産後うつ病女性99人のうち71.0%は、産後うつ病軽減のために何かしらのケアを受けていた。・産後うつ病女性のうち31.3%はうつ病と診断され、37.7%は実際に治療を受けていた。・産後うつ病女性は、そうでない女性と比較し、自分自身または子供に対してより多くのケアを受けていた。・産後うつ病女性は、欠勤率が有意に高かった。 著者らは「産後うつ病ケアを受ける女性は限られていた。出産後の女性のための定期的なスクリーニングやカスタマイズされたケアへの社会的投資の必要性が示唆された」としている。

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片頭痛に対するeptinezumabの安全性・忍容性

 ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体の1つであるeptinezumabは、片頭痛患者を対象とした5つの大規模臨床試験により評価が行われている。米国・StudyMetrix ResearchのTimothy R. Smith氏らは、これらの研究結果を統合分析し、eptinezumabの包括的な安全性および忍容性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年3月30日号の報告。 4つのランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータおよび1つのオープンラベル試験における最初の1年間のデータをプールし、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・プールされた対象は、成人片頭痛患者2,867例。eptinezumab群2,076例(投与回数:4,797回)、プラセボ群791例(投与回数:1,675回)。・1回以上の治療に起因する有害事象(TEAE)が確認された患者の割合は、eptinezumab群で54.8%(1,137例)、プラセボ群で52.3%(414例)であり、eptinezumabの各用量(10~1,000mg)間でその割合は類似していた。・TEAEの重症度は、ほとんどが軽度または中等度であり、治験責任医師は、治療薬とは無関係であると判断していた。・注射部位の有害事象は、eptinezumab群では27例(1.3%)で30回認められ、プラセボ群では7例(0.9%)で7回認められた。・注射部位の有害事象による治療中断は、eptinezumab群で19例(0.9%)、プラセボ群で5例(0.6%)に認められた。・eptinezumab 300mg群において、鼻咽頭炎の発生率が2%以上認められており、プラセボ群と比較し、2%ポイント以上高い発生率であった。しかし、多くの患者(eptinezumab群:140例中139例、プラセボ群:41例中40例)において、その発生は治療とは無関係であると考えられていた。・過敏症は、eptinezumab群の23例(1.1%)で認められたが、プラセボ群では認められなかった。・蕁麻疹、紅潮・ほてり、発疹、そう痒感などの過敏症を示す可能性のあるTEAEを考慮した場合、2つのプラセボ対照第III相試験におけるeptinezumab 100mg群および300mg群の過敏症発生率は、2%以上であった。この発生率は、いずれかの群において、プラセボ群と比較し、2%ポイント以上高かった。・ほとんどの過敏症は、深刻ではなく、通常1日以内に標準的な治療または治療なしで改善した。 著者らは「成人片頭痛患者に対する12週ごとのeptinezumabによる静脈内投与は、良好な安全性と忍容性プロファイルを有していることが確認された」としている。

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アダリムマブ、バイオシミラーへの切り替えでアウトカムは?

 2021年4月現在、日本では15種のバイオシミラー(バイオ後続品)が承認されており1)、アダリムマブ(先発品:ヒュミラ)もその1つだが、アダリムマブバイオシミラーへの切り替え後のアウトカムについて、デンマークの乾癬患者に関するコホート研究の結果が、同国・コペンハーゲン大学のNikolai Loft氏らにより示された。切り替え群と非切り替え群の計726例を対象とした検討で、両群間の1年治療継続率の有意差はなかったという。アダリムマブバイオシミラーの有効性は、臨床試験で先発品と同等であることが示されているが、リアルワールドにおけるデータは限定的である。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年4月7日号掲載の報告。アダリムマブ先発品からバイオシミラーに切り替えた群とアダリムマブ先発品の治療群を比較 研究グループは、2007年以降のデンマーク国内全乾癬患者が登録されているBiological Treatment in Danish Dermatology(DERMBIO)レジストリを利用して、アダリムマブの先発品からバイオシミラーへの義務的な切り替え後のアウトカムを評価するコホート研究を行った。 2018年11月1日~2019年5月1日にアダリムマブを先発品からバイオシミラーに切り替えた全患者(バイオシミラー群)と、2017年5月1日~11月1日に受診し、アダリムマブ先発品で治療を受けていた全患者(先発品群)を比較した。データの解析は、2020年6月1日~10月10日に行われた。 主要アウトカムは、1年治療継続率で、バイオシミラー群と先発品群の治療継続率を粗率および補正後について算出し、ロバスト分散を用いたCox比例ハザード回帰法で比較した。 アダリムマブを先発品からバイオシミラーに切り替えたアウトカムを評価した主な結果は以下のとおり。・バイオシミラー群に計348例(平均年齢52.2[SD 13.6]歳、男性251例[72.1%])が、先発品群には378例(51.1[14.1]歳、男性272例[72.0%])が包含された。・1年治療継続率は、バイオシミラー群92.0%(95%信頼区間[CI]:89.0~94.9)、先発品群92.1%(89.4~94.8)であった。・両群間に観察されたハザード比(HR)は同等であった。・バイオシミラー群と先発品群を比較した、すべての治療中断に関する粗HRは1.02(95%CI:0.61~1.70、p=0.94)、効果不十分に関する粗HRは0.82(0.39~1.73、p=0.60)、有害事象に関する粗HRは1.41(0.52~3.77、p=0.50)であった。

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コロナの現状を鑑み、識者らが東京五輪の再考求め提言/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はここへ来て急拡大の様相を呈している。これに対し政府は、東京など4都府県に対し緊急事態宣言を発出。まん延防止等重点措置よりも強い規制力をもって感染拡大を抑え込みたい考えだ。それは今夏に延期・開催が予定されている東京オリンピックまで3ヵ月を切り、待ったなしの状況への強い憂慮にほかならない。そんな状況の中、4月14日付のBMJ誌に、「大会の安全管理には重大な疑問があり、再考すべき」と断じる論文(エディトリアル)が掲載された。 本稿は、英国・ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの清水 和希氏、同・エディンバラ大学メディカルスクールのDevi Sridhar氏、同・キングズカレッジロンドン人口衛生研究所の渋谷 健司氏、国立病院機構三重病院の谷口 清州氏の4人が連名で発表した。 著者らは、COVID-19の現状について「世界的に依然としてパンデミックの真っただ中にある。SARS-CoV-2変異種は国際的な関心事であり、公衆衛生および社会対策の維持、行動変化の促進、ワクチン普及、保健システムの強化により、パンデミックの封じ込めと終息に向けた取り組みを加速しなければならない」との認識を示した。さらに、「アジア太平洋地域諸国と異なり、日本はいまだCOVID-19の感染制御ができていない。日本における限られた試験能力とワクチン接種開始の遅れは、政治的リーダーシップの欠如に起因している」とし、「一般市民はいうまでもなく、医療従事者や高リスク人口に対してもオリンピック開始までにワクチンを接種できない」と指摘した。 その上で著者らは、「今夏のオリンピック・パラリンピック開催計画は、喫緊の課題として再考されるべきだ。国際社会全体が、コロナ・パンデミックを封じ込め、命を救う必要性を認識している。科学的・道徳的ルールを無視し、日本が自国の政治・経済目的で東京2020(オリンピック・パラリンピック)を開催することは、国際的な健康および安全保障に対する向き合い方と矛盾するものだ」と断じている。

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レベチラセタムは、全般/分類不能てんかんの第一選択薬か/Lancet

 全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療において、レベチラセタムにはバルプロ酸に匹敵する臨床効果はなく、質調整生存年(QALY)に基づく費用対効果もバルプロ酸のほうが良好であることが、英国・リバプール大学のAnthony Marson氏らが実施した「SANAD II試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月10日号で報告された。英国の全般/分類不能てんかんの無作為化第IV相非劣性試験 研究グループは、新たに診断された全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療におけるレベチラセタムの長期的な臨床的有効性と費用対効果を、バルプロ酸と比較する目的で、非盲検無作為化第IV相非劣性試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 2013年4月~2016年8月の期間に、英国国民保健サービス(NHS)の69施設で、年齢5歳以上(上限なし)、治療を要する非誘発性てんかん発作が少なくとも2回認められ、臨床的に全般てんかんまたは分類不能てんかんと診断され、登録前の2週間に緊急治療を除き抗けいれん薬治療を受けていない参加者の募集が行われた。 被験者は、レベチラセタムまたはバルプロ酸の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、2年間の追跡が行われた。参加者と担当医はマスクされず、試験薬の割り付け情報を認識していた。 520例が登録され、レベチラセタム群に260例、バルプロ酸群に260例が割り付けられた。全体の年齢中央値は13.9歳(範囲:5.0~94.4)、女性が183例(35%)で、397例が全般てんかん、123例は分類不能てんかんであった。全例がintention-to-treat(ITT)解析に含まれた。重大なプロトコル違反や、後にてんかんではないと診断された参加者を除外したper-protocol(PP)集団は、509例(レベチラセタム群254例、バルプロ酸群255例)だった。女性でのバルプロ酸回避の議論を進めるべき ITT解析では、12ヵ月の時点におけるてんかん発作の寛解(主要評価項目)に関して、レベチラセタム群はバルプロ酸群に対する非劣性の基準(非劣性マージン:1.314)を満たさなかった(ハザード比[HR]:1.19、95%信頼区間[CI]:0.96~1.47)。 一方、PP解析では、12ヵ月時の発作寛解について、バルプロ酸群のレベチラセタム群に対する優越性(HR:1.68、95%CI:1.30~2.15)が示された。この試験は非劣性を検出するものだが、優越性を示すようにもデザインされていた。 2例(両群1例ずつ)が死亡したが、いずれも試験薬との関連はなかった。有害事象は、バルプロ酸群が96例(37%)、レベチラセタム群は107例(42%)で報告された。レベチラセタム群で精神症状(14% vs.26%)が多く、バルプロ酸群では体重増加(10% vs.3%)が多くみられた。 費用効用分析では、バルプロ酸群が優位であった。すなわち、費用対効果の閾値を1 QALY当たり2万ポンドとした場合のレベチラセタム群の増分純健康便益は、-0.040 QALY(95%中央範囲[central range]:-0.175~0.037)とマイナスであり、この閾値でレベチラセタム群の費用対効果が優れる確率は0.17であった。 著者は、「男性では、全般てんかんの第一選択薬は引き続きバルプロ酸とすべきである。女性では、将来の妊娠における潜在的な有害性のリスクを最小化するために、最も有効な治療の回避に関して、実臨床と施策に有益な情報をもたらす議論をさらに進めるべきと考えられる」としている。

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COVID-19を経験した男性は勃起不全になりやすい?

 勃起不全(ED)は、COVID-19の短期的または長期的な合併症の可能性がある。今回、イタリア・ローマ大学のAndrea Sansone氏らが、COVID-19と診断された被験者におけるEDの有病率を調査し、COVID-19とEDの関連を検討した。Andrology誌オンライン版2021年3月20日号に掲載。 本研究では、2020年4月7日~5月4日、イタリアで実施されたSex@COVIDオンライン調査(心理的、社会的、性的健康を調査する匿名のWebアンケート)に参加した18歳以上6,821例(女性4,177例、男性2,644例、平均年齢32.83±11.24歳)のデータから、性的に活発なイタリア人男性985例が抽出され、そのうち25例(2.54%)がSARS-CoV-2陽性だった。 被験者は、GAD-7(Generalized Anxiety Disorder-7)とPHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)によって、心理的健康スコアが測定された。各テストでスコアが10以上の場合、全般性不安障害とうつ病性障害をそれぞれ示唆していると見なされた。勃起機能は、IIEF-5(国際勃起機能スコア)またはその簡易版SHIMによって測定された。スコア21以下はED、スコア22〜25は正常と見なされた。 主な結果は以下のとおり。・1:3の傾向スコアマッチングに従って、985例の性的に活発なイタリア人男性から、SARS-CoV-2陽性者25例(COVID+)とSARS-CoV-2感染歴のない75例(COVID-)がマッチングされた。・2つの群間の年齢、GAD-7およびPHQ-9スコア、BMIについて、統計的に有意な差は見られなかった。・EDの有病率は、COVID+群(7/25例、28%)のほうが、COVID-群(7/75例、9.33%)よりも高かった(p=0.0274)。・年齢、BMI、および心理的健康スコアを調整したロジスティック回帰モデルにより、SARS-CoV-2感染とED発症との関連を確認したところ、COVID-19既往歴を持つ男性におけるED発症のオッズ比は5.66(95%信頼区間[CI]:1.50~24.01)だった。・同じサンプルで、年齢とBMIを調整したロジスティック回帰モデルにより、ED診断後に SARS-CoV-2感染が発覚した場合を調査したところ、ED有病者におけるSARS-CoV-2感染のオッズ比は5.27(95%CI:1.49~20.09)で、有意な関連を示した。 研究者らは、「COVID-19発症リスクは、ED発症の危険因子と似ており、われわれの研究結果は、ED、血管内皮機能障害、およびCOVID-19に関連する病態生理学的メカニズムと一致している。ワクチンやマスクの着用は、おそらく性機能障害を防ぐという追加の利益をもたらす可能性がある」とコメントしている。

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