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AZ製ワクチン接種後の血栓症の診療の手引き・第2版/日本脳卒中学会・日本血栓止血学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まり、全国で一般市民に対しても接種が急速に進んでいる。その一方で、2021年3月以降、アストラゼネカ社アデノウイルスベクターワクチン(商品名:バキスゼブリア)接種後に、異常な血栓性イベントおよび血小板減少症を来すことが報道され、4月に欧州医薬品庁(EMA)は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態とした。また、ドイツとノルウェー、イギリスなどからもバキスゼブリア接種後に生じた血栓症のケースシリーズが相次いで報告され、ワクチン接種後の副反応として血小板減少を伴う血栓症が問題となった。この血栓症は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と類似した病態と捉えられ、VITTやVIPITという名称が用いられた(本手引きでは血小板減少症を伴う血栓症[TTS]を用いる)が、本症の医学的に適切な名称についてはいまだ議論があるところである。 海外では、国際血栓止血学会、米国血液学会などからTTSに関する診断や治療の手引きが公開されており、WHOからも暫定ガイドラインが発表された。海外と医療事情が異なるわが国には、これまで本疾患に対する診療の手引きは存在しなかったため、日本脳卒中学会と日本血栓止血学会は、COVID-19ワクチンに関連した疾患に対する診断や治療をまとめ、日常診療で遭遇した場合の対応方法を提言するために2021年6月に「アストラゼネカ社COVID-19ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第2版」(2021年6月)を作成、公開した。まれだが発症すると致死的なTTS TTSの特徴は1)ワクチン接種後4~28日に発症する、2)血栓症(脳静脈血栓症、内臓静脈血栓症など通常とは異なる部位に生じる)、3)血小板減少(中等度〜重度)、4)凝固線溶系マーカー異常(D-ダイマー著増など)、5)抗血小板第4因子抗体(ELISA法)が陽性となる、が挙げられる。TTSの頻度は1万人~10万人に1人以下と極めて低いが、これまでに報告されたTTSの症例は、出血や著明な脳浮腫を伴う重症脳静脈血栓症が多く、致死率も高い。また、脳静脈血栓症以外の血栓症も報告されているので、極めてまれな副反応であるが、臨床医はTTSによる血栓症を熟知しておく必要がある。目次はじめに1 TTSの診断と治療の手引きサマリー 1)診断から治療までのフローチャート 2)候補となる治療法2 TTSの概要 1)TTSとは 2)ワクチン接種後TTSの発症時期と血栓症の発症部位3 TTSとHITとの関連4 TTSの診断 1)TTSを疑う臨床所見  2)検査 3)診断手順 4)鑑別すべき疾患と見分けるポイント5 TTSの治療 1)免疫グロブリン静注療法 2)ヘパリン類 3)ヘパリン以外の抗凝固薬 4)ステロイド 5)抗血小板薬 6)血小板輸血 7)新鮮凍結血漿 8)血漿交換 9)慢性期の治療おわりに 付1)血栓症の診断 付2)脳静脈血栓症の治療 血栓溶解療法(局所および全身投与)/血栓回収療法/開頭減圧術/抗痙攣薬 付3)COVID-19ワクチンとは 文献 同手引きでは「おわりに」で「TTSは新しい概念の病態であり、確定診断のための抗体検査(ELISA法)の導入、治療の候補薬の保険収載、さらにはワクチンとの因果関係の解明など、多くの課題が残されている。今後、新たな知見が加わる度に、本手引きは改訂していく予定」と今後の方針を記している。

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世界の喫煙率減少も、人口増で喫煙者数は増加:GBD 2019/Lancet

 世界的な15歳以上の喫煙率は、1990年以降、男女とも大幅に減少したが、国によって減少の程度やタバコ対策への取り組みにかなりの違いがあり、喫煙者の総数は人口の増加に伴って1990年以降大きく上昇したことが、米国・ワシントン大学のEmmanuela Gakidou氏らGBD 2019 Tobacco Collaboratorsの調査で明らかとなった。研究の詳細は、Lancet誌2021年6月19日号で報告された。1990~2019年の204の国・地域における喫煙率と疾病負担を評価 研究グループは、世界の疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study[GBD])の一環として、1990~2019年の期間に204の国と地域で、年齢別、性別の喫煙率と喫煙に起因する疾病負担について検討を行った(Bloomberg PhilanthropiesとBill & Melinda Gates財団の助成を受けた)。 本研究では、3,625件の全国的な調査から得られた喫煙関連指標がモデル化された。また、因果関係のある36の健康アウトカムについて系統的レビューとベイズ流メタ解析が行われ、現喫煙者と元喫煙者の非線形用量反応リスク曲線の推定が実施された。 さらに、この研究では、直接的な推定法を用いて寄与負担を評価することで、喫煙の健康への影響について、以前のGBDよりも包括的な推定値が得られた。2019年の男性の死因の約2割が喫煙 2019年の世界の喫煙者数は11億4,000万人(95%不確実性区間[UI]:11億3,000万~11億6,000万)で、15歳以上の年齢標準化喫煙率は男性が32.7%(32.3~33.0)、女性は6.62%(6.43~6.83)であった。また、同年の紙巻きタバコ換算のタバコ類の消費量は7兆4,100億本だった。 15歳以上の喫煙率は、1990年以降、男性で27.5%(95%UI:26.5~28.5)、女性で37.7%(35.4~39.9)減少したが、喫煙者数は人口の増加によって1990年の9億9,000万人から顕著に増加した。 2019年の世界における喫煙による死亡数は769万人(95%UI:716万~820万)で、障害調整生命年(DALY)は2億年であり、男性の死亡の最も重大なリスク因子(20.2%、19.3~21.1)であった。769万人の喫煙に起因する死亡者のうち、668万人(86.9%)が現喫煙者だった。 なお、2019年の日本における15歳以上の喫煙率は、男性が33.4%(95%UI:31.4~35.5)、女性は10.2%(8.71~11.9)と、いずれも世界平均を上回っていた。また、1990~2019年の喫煙率の減少幅は、男性では41.7%(38.0~45.3)と世界平均よりも大きかったが、女性では23.6%(9.65~35.2)と世界平均に比べ小さかった。 著者は、「介入がなければ、喫煙に起因する死亡数769万人とDALY 2億年は、今後、数十年にわたって増加するだろう。すべての地域、すべての発展段階の国で、喫煙率の低減において実質的な進展が認められたものの、タバコ規制の推進には大きな隔たりがみられた」とまとめ、「喫煙率の減少を加速させ、国民の健康に多大な恩恵をもたらすために、各国は、エビデンスに基づく強力な施策を承認する明確で緊急性の高い機会を手にしている」と指摘している。

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KRASG12C変異がんのKRAS阻害薬への耐性機序が明らかに/NEJM

 KRAS阻害薬adagrasibおよびsotorasibの臨床試験では、KRASの12番目のコドンにグリシンからシステインへのアミノ酸置換(KRASG12C)が発現しているがんに対する有望な抗腫瘍活性が確認されている。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMark M. Awad氏らは、これらのKRAS阻害薬に対する耐性獲得の機序について検討し、多様なゲノム機序および組織学的機序によって耐性がもたらされており、この薬剤耐性の発現の遅延や克服には、新たな治療戦略を要することを示した。NEJM誌2021年6月24日号掲載の報告。adagrasib投与KRASG12C変異陽性がん患者38例を解析 研究グループは、KRYSTAL-1試験に参加しadagrasib単剤療法を受けたKRASG12C変異陽性がん患者から治療前と耐性発現後に採取した検体を用い、adagrasib耐性の機序を解明する目的で、組織学的解析およびゲノム解析を行った(米国・Mirati Therapeuticsなどの助成による)。 また、KRASG12C阻害薬への耐性を付与する可能性のある第2変異(second-site mutation)を系統的に明らかにするために、KRASG12Cミスセンス変異のライブラリを用い、網羅的突然変異スキャニング法(deep mutational scanning)によるスクリーニングを実施した。 38例が解析に含まれた。このうち27例が非小細胞肺がん、10例が大腸がん、1例が虫垂がんであった。7例で、複数の耐性機序が同時に存在 adagrasibに対する推定上の耐性機序は17例(コホートの45%)で検出され、このうち7例(同18%)に複数の機序が同時に存在した。獲得されたKRAS変異は、G12D/R/V/W、G13D、Q61H、R68S、H95D/Q/R、Y96C、およびKRASG12C対立遺伝子の高度な増幅などであった。 また、獲得されたバイパス経路による耐性機序は、MET増幅、NRAS・BRAF・MAP2K1・RETの活性化変異、ALK・RET・BRAF・RAF1・FGFR3のがん遺伝子融合、NF1およびPTENの機能喪失型変異などであった。 ペア検体が得られた肺腺がん患者の組織生検では、9例中2例で扁平上皮がんへの組織学的な形質転換がみられたが、これ以外の耐性機序は同定されなかった。さらに、in vitroの網羅的突然変異スキャニング法によるスクリーニングでは、KRASG12C阻害薬に耐性を示すKRAS変異の状況が明らかとなり、耐性変異の明確な機序のクラスと、薬剤特異的な耐性パターンが確認された。 著者は、「この研究で得られたデータは、オンターゲットおよびオフターゲットの多様な機序が、KRASG12C阻害薬への耐性をもたらす可能性があることを示しており、別の結合様式や異なる対立遺伝子特異性を有する新たなKRAS阻害薬を開発する必要があると考えられる。また、adagrasibやsotorasibによる治療中に発現する耐性機序に十分に対抗するには、効果的な併用療法レジメンの開発が求められる」としている。

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第64回 オリンピック入国者のコロナ“ザル検疫”、関係者が語る意外な事実と驚愕の見通し

東京オリンピックが今月末から開催される。続々と各国選手団や関係者が入国する中、6月19日、事前合宿のために来日したアフリカのウガンダ選手団9人のうち1人が成田空港検疫で新型コロナのPCR検査で陽性となったことはすでに報じられているとおりだ。該当の選手は検疫による隔離が行われたが、驚くべきことに残り8人はそのままバスで事前合宿地の大阪府泉佐野市に移動。その中からさらに1人の陽性が判明し、泉佐野市職員までもが濃厚接触者に認定されるに至った。ちなみに最初に空港検疫で陽性が判明した選手は、国の療養解除基準を満たしたことから、7月1日未明、泉佐野市の宿舎に到着したと発表されている。濃厚接触の疑いがある選手に移動を許してしまう「ザル検疫」にはかなり驚きだが、実は濃厚接触の判断は自治体(ウガンダ選手団の場合はホストタウンの泉佐野市)が行うとの方針に基づくもの。ただ、残りの選手の移動を許し、移動地で新たな陽性者が発生したことには批判が多く、今後は空港段階で濃厚接触者の特定を行う方針を検討しているという。やや口汚い言い方かもしれないが、この検討そのものが何とも間の抜けたレベルにしか思えない。もっとも空港検疫に限界があることも事実だ。たとえば今回のウガンダ選手団の場合、全員がアストラゼネカ社製ワクチンの2回接種を済ませ、出国96時間以内に2回のPCR検査を受けて陰性だったとの証明書を持参していたという。ここではまず科学的な限界がある。ワクチンで十分な抗体価を獲得できるのは接種完了から1~2週間後で、その効果も100%ではないこと。また、感染から4日後までは感染者の半数以上がPCR検査で偽陰性になってしまう。さらに空港検疫でスクリーニングに使われている抗原検査は、PCR検査と比べれば感度は落ちる。今回のケースはたまたま抗原検査で結果が出なかった選手に念押しのPCR検査を行った結果、陽性になったという結果論から言えば「不幸中の幸い」のようなケースだ。一方、実務上も限界がある。来日する外国人が提示するワクチンの接種証明書やPCR検査の陰性証明書に実施医療機関が記載されていても、空港検疫の窓口ではその医療機関が実在するのか否かを確認している余裕はない。それ以上にそれらの証明書の真贋を判断しきれないのが現実だ。約1ヵ月前、偶然にも検疫業務関係者と話す機会があった。その時この関係者が語っていたのは「陰性証明書を有していても入国時の抗原検査で陽性になるケースは一定程度あり、とくに航空機の場合、この陽性率は到着便の離陸国によって明らかに違う」ということだった。端的に言えば、法制度の運用が先進国ほど厳格ではない国からの到着便の搭乗客が提示する陰性証明書には、偽造が疑われるものが紛れ込んでいる可能性が高いということだ。しかし、この関係者が最も懸念していたことはほかにもあった。たとえば空港検疫で陽性が判明した入国者は、検疫所が用意した宿泊施設で経過観察が行われる。こうした宿泊施設は各入国ポイント近くに存在する。成田空港ならばその周辺すなわち千葉県内である。そしてこの経過観察中に重症化すれば千葉県内の新型コロナ病床に収容される。この現実が意味することは次のようなことだ。10万人程度が来日すると言われる今回のオリンピックでは、主な入国ポイントは成田空港、羽田空港になると思われるが、この水際で感染者を捕捉できたとしても、そこから発生する重症者は東京都、千葉県の新型コロナ病床に入院し、結果的に地域の病床ひっ迫に影響しかねないのである。そして場合によっては地域住民から発生するであろう新型コロナ重症者と病床を取り合ってしまうことさえ想定できるというのだ。ここでやや荒っぽい試算をしてみる。オリンピック関係の想定入国者は10万人と言われる。このうち1%から陽性者が見つかったとしよう。その数は1,000人。感染者のおおむね2割が重症化するのでその数は200人。そしてこちらのデータからは、新型コロナの重症者対応病床は千葉県が101床、東京都が1,207床となっている。2019年出入国管理統計によれば、同年に日本に入国した外国人は3,118万7,179人、うち成田空港からが897万8,773人、羽田空港からが 428万8,078人である。1年間に日本に入国する外国人は成田空港からが29%、羽田空港からが14%を占める。つまり前述の重症者試算にこの割合を加味すると、成田空港からのオリンピック関係入国者からは58人、羽田空港から28人の重症者が出ることになる。試算した成田空港での発生重症者が千葉県の新型コロナ重症者対応病床に入院することになれば、なんとその50%以上を占有することになる。東京都は幸い2%強で済む。ちなみに2019年出入国管理統計での成田空港、羽田空港の入国者がわりに少ないと思った人も多いだろう。これ以外で入国者が多いのは関西国際空港の837万8,039人で、割合にして27%。前述の試算と同様の計算を行えば、このルートで発生する重症者は54人。大阪府の重症者対応病床数は841床で、その7%弱に当たる。もっとも今回のオリンピックはあくまで開催地が東京であることを考えれば、過去の出入国管理統計データで示されるよりも成田空港、羽田空港からの関係者入国割合は多くなるはずだ。しかも、いま首都圏では東京都を中心に感染の再拡大傾向が見え始めている。6月30日時点の新規感染者の前週比は東京都が1.20倍、千葉県が1.09倍。そしてこの傾向が続けば東京オリンピックの開会式の頃に緊急事態宣言発出となる可能性がある。ここにオリンピック関連入国者から見つかる陽性者、そこから引き続く重症者が前述のように発生したらどうなるだろうか?何とも嫌な時期にオリンピックを開催するのだと、正直溜息しか出てこない今日この頃である。

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統合失調症の再発に対する抗精神病薬の減量リスク~メタ解析

 統合失調症の維持療法において抗精神病薬の減量は、副作用発現を最小限にとどめるという点で望ましい方法であると考えられるが、この戦略に対するエビデンスは十分ではない。デンマーク・University of Southern DenmarkのMikkel Hojlund氏らは、抗精神病薬の標準用量での治療と減量によるリスクとベネフィットの比較を行った。The Lancet. Psychiatry誌2021年6月号の報告。 2020年6月17日までの成人の統合失調症または統合失調感情障害患者を対象とした24週以上のランダム化比較試験をEmbase、Medline、PsycINFO、Cochrane Libraryより検索した。ベースライン時に臨床的に安定している患者および同一抗精神病薬を2回以上投与し比較した研究を含めた。初回エピソードまたは治療抵抗性統合失調症を対象とした試験は除外した。標準用量は、国際コンセンサス研究によって推奨されている治療用量の下限よりも高用量と定義した。低用量(標準用量の下限の50~99%)および超低用量(標準用量の下限の50%未満)と標準用量との比較を行った。患者数、治療、性別、年齢、イベント数、精神病理学的スコアの変化に関する文献データは、2人以上の著者により独立して抽出した。不足しているデータを収集するため、研究者またはスポンサーに電子メールで連絡した。共通の主要アウトカムは、再発およびすべての原因による中止とした。研究レベルのデータは、ランダム効果モデルを用いてメタ解析し、二値データではリスク比(RR)、連続データではHedges' gを算出した。プロトコールは、OSF registriesに登録した。 主な結果は以下のとおり。・参考文献は、データベース検索で7,853件、関連研究のマニュアルレビューより1件を特定した。・5,744件のアブストラクトの適格性を評価し、そのうち101件をフルテキストレビューにより評価した。・適格基準を満たした22件(24試験、3,282例)をメタ解析に含めた。・対象患者の年齢中央値は38歳(四分位範囲:36~40歳)、男性患者2,166例(65.9%)、女性患者1,116例(34.0%)であった。・標準用量での治療と比較し、低用量では、再発リスクが44%上昇し(16試験、1,920例、RR:1.44、95%CI:1.10~1.87、p=0.0076、I2=46%)、すべての原因による中止リスクが12%上昇した(16試験、1,932例、RR:1.12、95%CI:1.03~1.22、p=0.0085、I2=0%)。・標準用量での治療と比較し、超低用量では、再発リスクが72%上昇し(13試験、2,058例、RR:1.72、95%CI:1.29~2.29、p=0.0002、I2=70%)、すべての原因による中止リスクが31%上昇した(11試験、1,866例、RR:1.31、95%CI:1.11~1.54、p=0.0011、I2=63%)。・低用量での治療と比較し、超低用量では、再発リスク(5試験、686例、RR:1.31、95%CI:0.96~1.79、p=0.092、I2=51%)およびすべての原因による中止(5試験、686例、RR:1.11、95%CI:0.95~1.30、p=0.18、I2=43%)に有意な差は認められなかった。・二重盲検試験と非盲検試験、第1世代抗精神病薬と第2世代抗精神病薬、経口抗精神病薬と長時間作用型注射用抗精神病薬を比較したサブグループ解析においても、全体的な結果は同様であった。・ほとんどの研究において、主に公的に入手可能な研究登録がないため、バイアスリスクはsome concerns(3段階の2)と分類された。 著者らは「複数エピソードの統合失調症患者の維持療法における抗精神病薬の投与量は、急性期で推奨されている標準用量の範囲を下回るべきではない。このような患者における投与量の減量は、再発やすべての原因による中止リスクを高める可能性がある」としている。

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片頭痛日数減少に対する抗CGRP抗体の有効性~ネットワークメタ解析

 2016年のGlobal burden of disease研究によると、片頭痛は世界の一般的な疾患の第6位にランキングされており、重大な社会的および経済的な影響を及ぼす。エジプト・Fayoum UniversityのAhmed Taher Masoud氏らは、片頭痛に対する潜在的な薬理学的アプローチとしてのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体遮断薬の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌オンライン版2021年5月21日号の報告。 2019年1月までに公表された反復性片頭痛および慢性片頭痛患者に対するerenumab、eptinezumab、fremanezumab、ガルカネズマブを用いたランダム化比較試験(RCT)を各種データベース(SCOPUS、PubMed、Cochrane Central、Embase)より検索した。 主な結果は以下のとおり。・複合分析では、プラセボと比較し、介入6、8、12週間後に最も強力な効果が認められた薬剤は、それぞれ以下のとおりであった。●6週間後:fremanezumab 900mg(SMD:-0.55、95%CI:-0.97~-0.12)●8週間後:erenumab 140mg(SMD:-0.51、95%CI:-0.61~0.41)●12週間後:erenumab 140mg(SMD:-0.48、95%CI:-0.571~0.39)・慢性片頭痛では、介入6、8、12週間後に最も有効性が高かった薬剤は、それぞれfremanezumab 900mg、erenumab 140mg、erenumab 70mgであった。・反復性片頭痛と慢性片頭痛を複合した分析では、介入6週間後に最も効果的な薬剤は、fremanezumabであり、介入8および12週間後に最も効果的な薬剤は、erenumabであることが示唆された。 著者らは「現在のエビデンスによると、反復性片頭痛および慢性片頭痛患者に対する治療において、fremanezumabは介入6週間後の1ヵ月当たりの片頭痛日数減少に対し最も効果的な薬剤であることが示唆された」としている。

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臓器移植患者、ワクチン3回接種で抗体価が大幅上昇/NEJM

 固形臓器移植を受けた患者は、新型コロナワクチンを2回接種しても免疫応答が弱いことが報告されている1,2)。そして、移植患者はワクチン2回接種後であっても感染後の重症化リスクが高いことが報告されている3)。これらを受け、フランス公衆衛生庁は、免疫抑制状態の患者に3回目の接種を行うことを推奨している4)。NEJM誌オンライン版2021年6月23日号「CORRESPONDENCE」では、3回接種した臓器移植患者の抗体価が報告された。 臓器移植を受けた101例が、mRNAワクチンBNT162b2(ファイザー製)を3回接種した(平均年齢±SD:58±2歳、男性69%)。移植臓器の内訳は、腎臓78例、肝臓12例、肺または心臓8例、膵臓3例だった。最初の2回の接種は1ヵ月間隔、3回目の接種は2回目から61±1日後に行われた。移植からワクチン接種開始までの期間は97±8ヵ月だった。免疫抑制は、糖質コルチコイド(87%)、カルシニューリン阻害薬(79%)、ミコフェノール酸(63%)、mTOR阻害薬(30%)、belatacept(12%)の使用によるものだった。 主な結果は以下のとおり。・抗SARS-CoV-2抗体血清有病率は、初回接種前0%(95%信頼区間[CI]:0~4、0/101)、2回目接種前4%(1~10、4/101)、3回目接種前40%(31~51、40/99)、3回目接種から4週間後68%(58~77、67/99)だった。・3回目接種前に血清陰性だった59例のうち26例(44%)が3回目接種から4週間後に陽性となった(平均信号対カットオフ比±SD:690±293)。・3回目接種前に血清陽性だった40例全員が4週間後にも血清陽性であり、抗体価は3回目接種前の36±12から、3回目接種1ヵ月後には2,676±350に上昇した(p<0.001)。 抗体反応を示さなかった患者は年齢が高く、免疫抑制度が高く、推定糸球体濾過量が低かった。3回接種後にCOVID-19を発症した例はなかった。また、3回目接種後に重篤な有害事象は報告されず、急性拒絶反応のエピソードも発生しなかった。 研究者らは、臓器移植患者にBNT162b2ワクチンの3回接種を行うことで、ワクチンの免疫原性が大幅に改善され、全例に発症が報告されなかった、とまとめている。

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関節リウマチ診療ガイドライン改訂、新導入の治療アルゴリズムとは

 2014年に初版が発刊された関節リウマチ診療ガイドライン。その後、新たな生物学的製剤やJAK阻害薬などが発売され、治療方法も大きく変遷を遂げている。今回、6年ぶりに改訂された本ガイドライン(GL)のポイントや活用法について、編集を担った針谷 正祥氏(東京女子医科大学医学部内科学講座膠原病リウマチ内科学分野)にインタビューした。日本独自の薬物治療、非薬物治療・外科的治療アルゴリズムを掲載 本GLは4つの章で構成されている。主軸となる第3章には治療方針と題し治療目標や治療アルゴリズム、55のクリニカルクエスチョン(CQ)と推奨が掲載。第4章では高額医療費による長期治療を余儀なくされる疾患ならではの医療経済的な側面について触れられている。 関節リウマチ(RA)の薬物治療はこの20年で大きく様変わりし、80年代のピラミッド方式、90年代の逆ピラミッド方式を経て、本編にて新たな治療アルゴリズム「T2T(Treat to Target)の治療概念である“6ヵ月以内に治療目標にある『臨床的寛解もしくは低疾患活動性』が達成できない場合には、次のフェーズに進む”を原則にし、フェーズIからフェーズIIIまで順に治療を進める」が確立された。 薬物治療アルゴリズムの概略は以下のとおり。<薬物治療アルゴリズム>(対象者:RAと診断された患者)◯フェーズI(CQ:1~4、26~28、34を参照)メトトレキサート(MTX)の使用を検討、年齢や合併症などを考慮し使用量を決定。MTXの使用が不可の場合はMTX以外の従来型抗リウマチ薬(csDMARD)を使用。また、MTX単剤で効果不十分の場合は他のcsDMARDを追加・併用を検討する。◯フェーズII(CQ:8~13、18、19、35を参照)フェーズIで治療目標非達成の場合。MTX併用・非併用いずれでの場合も生物学的製剤(bDMARD)またはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の使用を検討する。ただし、長期安全性や医療経済の観点からbDMARDを優先する。また、MTX非併用の場合はbDMARD(非TNF阻害薬>TNF阻害薬)またはJAK阻害薬の単剤療法も考慮できる。◯フェーズIII(CQ:14を参照)フェーズIIでbDMARDまたはJAK阻害薬の使用で効果不十分だった場合、ほかのbDMARDまたはJAK阻害薬への変更を検討する。TNF阻害薬が効果不十分の場合は非TNF阻害薬への切り替えを優先するが、その他の薬剤については、変更薬のエビデンスが不足しているため、future questionとしている。 このほか、各フェーズにて治療目標達成、関節破壊進行抑制、身体機能維持が得られれば薬物の減量を考慮する仕組みになっている。過去にピラミッドの下部層だったNSAIDや副腎皮質ステロイド、そして新しい治療薬である抗RANKL抗体は補助的治療の位置付けになっているが、「このアルゴリズムは単にエビデンスだけではなく、リウマチ専門医の意見、患者代表の価値観・意向、医療経済面などを考慮して作成した推奨を基に出来上がったものである」と同氏は特徴を示した。新参者のJAK阻害薬、高齢者でとくに注意したいのは感染症 今回の改訂で治療のスタンダードとして新たに仲間入りしたJAK阻害薬。ただし、高齢者では一般的に有害事象の頻度が高いことも問題視されており、導入の際には個々の背景の考慮が必要である。同氏は、「RA患者の60%は65歳以上が占める。もはやこの疾患では高齢者がマジョリティ」と話し、「その上で注意すべきは、肝・腎機能の低下による薬物血中濃度の上昇だ。処方可能な5つのJAK阻害薬はそれぞれ肝代謝、腎排泄が異なるので、しっかり理解した上で処方しなければならない」と強調した。また、高齢者の場合は感染症リスクにも注意が必要で、なかでも帯状疱疹は頻度が高く、日本人RA患者の発症率は4~6倍とも報告されている。「JAK阻害薬へ切り替える際にはリコンビナントワクチンである帯状疱疹ワクチンの接種も同時に検討する必要がある。これ以外にも肺炎、尿路感染症、足裏の皮下膿瘍、蜂窩織炎などが報告されている」と具体的な感染症を列挙し、注意を促した。非薬物療法や外科的治療―患者は積極的?手術前後の休薬は? RAはQOLにも支障を与える疾患であることから、薬物治療だけで解決しない場合には外科的治療などの検討が必要になる。そこで、同氏らは“世界初”の試みとして、非薬物治療・外科的治療のアルゴリズムも作成した。これについては「RAは治療の4本柱(薬物療法、手術療法、リハビリテーション、患者教育・ケア)を集学的に使うことが推奨されてきた。今もその状況は変わっていない」と述べた。 非薬物治療・外科的治療アルゴリズムの概略は以下のとおり。< 非薬物治療・外科的治療アルゴリズム>◯フェーズI慎重な身体機能評価(画像診断による関節破壊の評価など)を行ったうえで、包括的な保存的治療(装具療法、生活指導を含むリハビリテーション治療、短期的ステロイド関節内注射)を決定・実行する。◯フェーズII保存的治療を十分に行っても無効ないし不十分な場合に実施。とくに機能障害や変形が重度の場合、または薬物治療抵抗性の少数の関節炎が残存する場合は、関節機能再建手術(人工関節置換術、関節[温存]形成術、関節固定術など)を検討する。場合によっては手術不適応とし、可能な限りの保存的治療を検討。 患者の手術に対する意識については「罹病期間が短い患者さんのほうが手術をためらう傾向はあるが、患者同士の情報交換や『日本リウマチ友の会』などの患者コミュニティを活用して情報入手することで、われわれ医療者の意見にも納得されている。また、手術によって関節機能やQOLが改善するメリットを想像できるので、手術を躊躇する人は少ない」とも話した。 このほか、CQ37では「整形外科手術の周術期にMTXの休薬は必要か?」と記載があるが、他科の大手術に関する記述はない。これについては、「エビデンス不足により盛り込むことができなかった。個人的見解としては、大腸がんや肺がんなどの大手術の場合は1週間の休薬を行っている。一方、腹腔鏡のような侵襲が少ない手術では休薬しない場合もある。全身麻酔か否か、手術時間、合併症の有無などを踏まえ、ケース・バイ・ケースで対応してもらうのが望ましい」とコメントした。患者も手に取りやすいガイドライン 近年、ガイドラインは患者意見も取り入れた作成を求められるが、本GLは非常に患者に寄り添ったものになっている。たとえば、巻頭のクイックリファレンスには“患者さんとそのご家族の方も利用できます”と説明書きがあったり、第4章『多様な患者背景に対応するために』では、患者会が主導で行った患者アンケート調査結果(本診療ガイドライン作成のための患者の価値観の評価~患者アンケート調査~)が掲載されていたりする。患者アンケートの結果は医師による一方的な治療方針決定を食い止め、患者やその家族と医師が共に治療方針を決定していく上でも参考になるばかりか、患者会に参加できない全国の患者へのアドバイスとしての効力も大きいのではないだろうか。このようなガイドラインがこれからも増えることを願うばかりである。今後の課題、RA患者のコロナワクチン副反応データは? 最後に食事療法や医学的に問題になっているフレイル・サルコペニアの影響について、同氏は「RA患者には身体負荷や生命予後への影響を考慮し、肥満、骨粗鬆症、心血管疾患の3つの予防を掲げて日常生活指導を行っているが、この点に関する具体的な食事療法についてはデータが乏しい。また、フレイル・サルコペニアに関しては高齢RA患者の研究データが3年後に揃う予定なので、今後のガイドラインへ反映させたい」と次回へバトンをつないだ。 なお、日本リウマチ学会ではリウマチ患者に対する新型コロナワクチン接種の影響を調査しており、副反応で一般的に報告されている症状(発熱、全身倦怠感、局所反応[腫れ・痛み・痒み]など)に加えて、関節リウマチ症状の悪化有無などのデータを収集している。現段階で公表時期は未定だが、データ収集・解析が完了次第、速やかに公表される予定だ。

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COVID-19後遺障害に関する実態調査/厚生労働省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として定期的に厚生労働省で開催されている「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の第39回(令和3年6月16日)において、「COVID-19 後遺障害に関する実態調査(中間集計報告)等」が報告された。 本報告は、2つの中間報告と1つの最終報告で構成され、(1)中等症以上を対象としたCOVID-19の後遺障害、(2)COVID-19の長期合併症の実態把握と病態理解解明、(3)COVID-19による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明の3つが報告された。 本稿ではその概要をお届けする。退院3ヵ月後でも「筋力低下」、「息苦しさ」、「倦怠感」を自覚 「COVID-19後遺障害に関する実態調査」〔中間集計報告〕(研究代表者:横山 彰仁氏)は、「中等症以上のCOVID-19の、とくに呼吸器関連における他覚・自覚症状の遷延(いわゆる後遺症)の実態とその予測因子を把握すること」を目的にCOVID-19で入院した967例(2020年9月~2021年5月)を調査している(ただし中間報告の対象は、512例)。 その結果、退院3ヵ月後の肺CT画像所見では54%に何らかの所見があった。また、重症度別入院時症状と3ヵ月後自覚症状の比較では、3ヵ月後にみられた自覚症状では「筋力低下」、「息苦しさ」、「倦怠感」が顕著にみられた。なかでも「筋力低下」、「息苦しさ」は重症度に依存するという。退院後もCOVID-19関連の自覚症状があると精神や社会活動に影響がある 「COVID-19長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究」〔中間報告〕(研究代表者:福永 興壱氏)は、「日本におけるCOVID-19の長期合併症の実態把握を行う」ことを目的に、COVID-19 PCR検査もしくは抗原検査陽性で入院した522例(2020年1月~2021年2月)を調査している。 その結果、疲労感・倦怠感、息苦しさ、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力低下、脱毛に関しては退院時までに認めた患者の3割以上が、診断6ヵ月後でも認めており、遷延する症状と考えられた。また、症状が精神的、社会的活動に与える影響については、前記の遷延する症状が1つでもあると、健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつおよびCOVID-19に対する恐怖の傾向は強まり、睡眠障害を自覚する傾向が強まった。一方で、診断6ヵ月後のアンケート結果から、約8割の対象者は罹患前の健康状態に戻ったと自覚していたと回答している。「嗅覚・味覚障害」について約6割の入院患者に症状あり 「COVID-19による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明に資する研究」〔最終報告〕(研究代表者:三輪 高喜氏)は、「わが国におけるCOVID-19による嗅覚障害、味覚障害の発生頻度や特徴を把握するとともに、どの程度の期間症状が持続するかおよびその予後を把握すること」を目的に、病院入院中、ホテル療養中の無症状・軽症・中等症のCOVID-19患者(20~59歳)の参加希望者を調査。これらのうちアンケート回答者の251例(内119例に嗅覚・味覚検査を実施)が対象(2021年2月18日~5月21日)。 その結果、入院・療養中に「嗅覚・味覚障害あり」が37%、「嗅覚障害のみ」が20%、「味覚障害のみ」が4%、「嗅覚・味覚障害なし」が39%だった。また、嗅覚障害を自覚する例の多くが嗅覚検査でも正常値以下を示したが、味覚障害を自覚する例の多くは味覚検査は正常だった。そのほか、1ヵ月後までの改善率は嗅覚障害が60%、味覚障害が84%であり、海外の報告とほぼ一致し、QOLの変化については、食事が楽しめなくなったことなどに嗅覚・味覚障害と強い相関を認めた。

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リアルタイムCGM導入によるDM患者の入院率は?/JAMA

 インスリン療法を受けている糖尿病患者で、医師によりリアルタイム持続血糖モニタリング(CGM)が導入された患者は、CGMを開始しなかった患者と比較し、HbA1cの有意な低下と低血糖による救急外来受診/入院率の減少を認めたが、高血糖または理由を問わない救急外来受診/入院に有意差はなかった。米国・カイザーパーマネンテのAndrew J. Karter氏らが、探索的後ろ向きコホート研究の結果を報告した。CGMは1型糖尿病患者に推奨されているが、インスリン療法を受けている2型糖尿病患者におけるCGMの観察的エビデンスは不足していた。なお、今回の結果について著者は、「観察研究の結果のため、選択バイアスの影響を受けている可能性がある」との指摘もしている。JAMA誌2021年6月8日号掲載の報告。リアルタイムCGMを開始した患者と開始しなかった患者を後ろ向きに比較 研究グループは、Northern California integrated health care delivery system(2014~19年)に登録されている、CGM使用歴のない血糖自己測定を行っているインスリン療法中の糖尿病患者4万1,753例(1型5,673例、2型3万6,080例)を対象に、リアルタイムCGMの導入による臨床アウトカムを、差分の差分法を用いて解析した。 評価項目は、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、低血糖(救急外来または病院利用)、高血糖(救急外来または病院利用)、HbA1c 7%未満、8%未満、9%以上、理由を問わない1回以上の救急外来受診、理由を問わない1回以上の入院、外来受診および電話受診回数の10項目とし、ベースラインの前後12ヵ月間で評価した。 リアルタイムCGMを開始した患者(CGM群)は3,806例(平均[±SD]年齢42.4±19.9歳、女性51%、1型91%、2型9%)、開始しなかった患者(対照群)は3万7,947例(63.4±13.4歳、女性49%、1型6%、2型94%)であった。リアルタイムCGMの導入で血糖コントロール、救急外来受診または入院を要した低血糖の発現が有意に改善 CGM群は、ベースライン前の平均HbA1cが対照群と比較して低値であったが、ベースライン前の低血糖および高血糖の発現率が高かった。 平均HbA1cは、CGM群で8.17%から7.76%まで低下し、対照群では8.28%から8.19%まで低下した(補正後の差分の差分推定値:-0.40%、95%信頼区間[CI]:-0.48~-0.32、p<0.001)。低血糖の発現率は、CGM群で5.1%から3.0%へ低下、対照群では1.9%から2.3%へ増加した(-2.7%、-4.4~-1.1、p=0.001)。 HbA1c 7%未満(補正後の差分の差分推定値:9.6%、95%CI:7.1~12.2、p<0.001)、HbA1c 8%未満(13.1%、10.2~16.1、p<0.001)、HbA1c 9%以上(-7.1%、-9.5~-4.6、p<0.001)の患者の割合、外来受診回数(-0.4、-0.6~-0.2、p<0.001)、電話受診回数(1.1、0.8~1.4、p<0.001)についても、補正後の純変化量に統計学的な有意差が確認された。 一方、高血糖、理由を問わない救急外来受診、理由を問わない入院の発生率については、いずれも統計学的に有意な変化は認められなかった。

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HIV陽性者の突然死発生率は?院外心停止の死亡例を全例調査/NEJM

 米国・カリフォルニア大学のZian H. Tseng氏らは、「Postmortem Systematic Investigation of Sudden Cardiac Death study:POST SCD研究」において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性者はHIV感染の非判明者と比べて、心臓突然死(推定)および心筋線維症の発生率が高いこと、また、HIV陽性者の心臓突然死(推定)の3分の1は潜在的な薬物過剰摂取に起因していたことを明らかにした。これまで、HIV感染者における心臓突然死および不整脈による突然死の発生率について、詳細は明らかになっていなかった。NEJM誌2021年6月17日号掲載の報告。HIV陽性の院外心停止による死亡例を全例調査 研究グループは、2011年2月1日~2016年9月16日の期間に、サンフランシスコで発生した、18~90歳のすべての院外心停止による死亡例(HIV感染判明の有無を問わず)を対象に、包括的な培検ならびに毒性学的・組織学的検査を行い、心臓突然死と不整脈による突然死の発生率を検討した。 対象期間にサンフランシスコで18~90歳のHIV陽性者の死亡は1,379例発生し、これらのうち予期せぬ死亡は610例であった。そのうち、救急医療サービス(EMS)の記録および現場調査により院外心停止と判断されたのは109例で、遺族が解剖を拒否した1例を除く108例で剖検が行われた。HIV陽性者は、心臓突然死と心筋線維症の発生率が高い 院外心停止109例中、WHOの心臓突然死(推定)の基準を満たしたのは48例(剖検実施47例)で、そのうち半数以下(22例)は不整脈が原因であった。 2011年2月1日~2014年3月1日の期間に、HIV感染が確認されておらず心臓突然死と推定された死亡は505例発生した。 心臓突然死(推定)による死亡の発生率は、HIV感染の判明者で53.3例/10万人年、非判明者で23.7例/10万人年であった(発生率比:2.25、95%信頼区間[CI]:1.37~3.70)。不整脈による突然死の発生率は、それぞれ25.0例/10万人年、13.3例/10万人年であった(1.87、0.93~3.78)。 心臓突然死(推定)のうち、潜在的な薬物過剰摂取に起因する死亡は、HIV感染の判明者が非判明者よりも多かった(34% vs.13%)。また、HIV陽性者では、感染の非判明者よりも、組織学的に間質性心筋線維化が高度であった。

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低リスク集団における卵巣がん検診は死亡率を低下させるか〜無作為割り付け後20年目の報告〜(解説:前田裕斗氏)

 卵巣がんの死亡率を検診で減らせるかどうかについては長らく議論が行われてきた。卵巣がんは発生率がそこまで高くない(2017年、日本では人口10万人対20.5人)が、一方でII期やIII期など進んだ状態で見つかることが多く、検診での早期発見、早期治療に結び付けにくいとされてきた。そんな中2016年に発表されたUKCTOCS試験では血液検査の値を経時的に評価する方法と超音波検査を組み合わせる検診を行うことで最終的に15%の相対的な死亡率低下を認め、これは有意ではなかったものの、試験後半で検診を行う群と行わない群で死亡率の差が開いてきていたことから追跡調査を行うことで有意な死亡率低下を見込めるのではないかと考えられた。今回の研究はこのUKCTOCS試験の追跡調査である。 2001~05年の間に卵巣がん高リスクではない約20万人をスクリーニングなし、超音波のみのスクリーニングを受ける群(USS)、血液検査と超音波検査を受ける群(MMS)に2対1対1でランダムに割り付け、2011年12月末までスクリーニングを行い、その後2020年6月まで追跡調査を行った。結果は、USS群、MMS群ともにスクリーニングなし群と比較して有意な死亡率減少を認めず(それぞれp値=0.36、0.58)、浸潤がんに限定しても結果は変わらなかった。一方発見されたがんのステージはMMS群でStage Iが有意に増加し(47.2%、95%信頼区間:19.7~81.1)、StageIVが有意に減少した(-24.5%、95%信頼区間:-41.8〜-2.0)。つまりより早期のがんとして発見されていた。 今回の結果は、これまでの先行研究では死亡率の低下はもちろん、卵巣がんの早期発見についても有意な変化を示せていなかったことから考えれば大きな進歩といえるだろう。一方で今回の研究では単に血液検査でCA125(卵巣がんの腫瘍マーカーの1つ)を測定するだけでなく、その結果からリスク判定を行い、次回の検査間隔を調整する、または超音波検査を組み合わせるなど独自のプロトコルを使用しているほか、このリスク判定は研究を行う部署が一元的に行っている。つまり、やや複雑なスクリーニング方法を1つの慣れた部署が行っているという点で一般化可能性に問題がある。よって本研究を一般臨床に適用することは難しいが、この結果自体は婦人科医が日常診療時に卵巣の確認を行いがんの有無を判定することを否定するものでもまたない。最後になるが、本研究が開始されたのはあくまで20年前であることから、今後新たな卵巣がんのスクリーニング方法が開発され、死亡率低下効果が見られるようになることを期待したい。

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舌ピアス虫垂炎の1例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第190回

舌ピアス虫垂炎の1例pixabayより使用もはや、おどろき医学論文屋たるもの、普通の虫垂炎では飽き足らない!レアな虫垂炎を探し求めて幾星霜!He R, et al.A case report of foreign body appendicitis caused by tongue piercing ingestion.Int J Surg Case Rep . 2021 Apr;81:105808.患者は32歳の女性で、右下腹部の痛みで来院しました。彼女は、くも膜下出血によるVPシャント留置のため、最近の気管挿管された病歴がありました。バイタルサインや血液検査には、とくに異常はみられませんでした。触診では、虫垂炎らしい所見が得られました。腹部単純X線写真を撮影したところ、虫垂近傍に金属異物が明らかになりました。腹部CTでも、盲腸内に金属構造物がはっきりと写っていました。彼女に病歴を聴取すると、どこかで外れた舌ピアスが虫垂に写っているのではないかという話になりました。気管挿管中に誤飲してしまったのかもしれません。内視鏡的に摘出できれば、と思って下部消化管内視鏡を試みましたが、舌ピアスがどこにも見当たりません。「これは手術しかないですね」「そうですね」ということになりました。腹腔鏡下虫垂切除術は、滞りなく行われました。標本を開くと、虫垂に絡まった舌ピアスがありました。「盲腸は腸の墓場や」と言ったのは、私が初めて虫垂炎の手術をしたときに、外科指導医の先生が放った言葉です。金属物の重量が重いと、盲腸でその動きが停滞して、重力に従って虫垂に向かって引き寄せられてしまいます。そうなってしまうと、蠕動運動では盲腸に異物を戻すことが不可能になり、結果的に虫垂炎を引き起こします1)。1)Larsen A, et al. Appendicitis due to bird shot ingestion: a case study. Am Surg. 2000 Jun;66(6):589-91.

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下手の横好き【Dr. 中島の 新・徒然草】(381)

三百八十一の段 下手の横好き一生懸命やっているのに下手なこと、下手なくせにはまっていること。誰もがあるかと思います。今回は、そんな「下手の横好き」に関するお話です。とある外来通院中の高齢御夫婦。御主人は最近、奥さんの物忘れがひどいと心配しています。御主人「通いなんか、どこへしまったか忘れてしまいまんねん」中島「通い?」奥さん「通帳ですがな、通帳」銀行の通帳のことを「通い」って呼ぶみたいですね、大阪では。奥さん「この前はタンスの奥の奥から出てきましてん」中島「そんな奥に隠してどうするんですか」奥さん「いやいや盗られるかもしれんから」中島「盗られるのと失くすのと、どっちが怖いんですか?」私、この質問をよくします。高齢の方は、盗られる確率より失くす確率のほうが高いと思うからですけど。奥さん「そら、盗られるほうが怖いに決まってまんがな」中島「何か泥棒に盗られたことあるんですか?」奥さん「この人が盗っていきまんねん!」奥さんの指さした先には真面目そうな御主人の顔が……。奥さん「全部パチンコにつぎこんでしまいますねん」中島「ええっ! 人は見かけによりませんねえ」御主人「昔のことでんがな」奥さん「今と違って、給料手渡しやったから」中島「まずいですよ、それ!」御主人「もうやってまへん」呆れた話です。70歳半ばまで職人としてコツコツと働いてきたという御主人のイメージがガラガラと崩れてしまいました。御主人「先生はパチンコやりまへんのか?」中島「やるわけないじゃないですか!」御主人「酒やタバコは?」中島「どっちもやりませんよ」とはいっても、アルコールのほうはたまに飲むかな。機会飲酒ってやつですね。中島「とにかく下手な人はパチンコやったらダメです」御主人「あきまへんか」パチンコに上手下手があるのかどうかは知りません。でも、ギャンブルとかゴルフとか、うまくない人ほどのめり込む傾向にあるように思います。下手の横好きってやつですね。かく言う私も不得手なものが沢山あります、言うのも恥ずかしいくらい。その最たるものは英会話です。というのも、いつぞやオンライン英会話25分間のレッスンを録音してみて自分の下手さを思い知らされました。復習しようと思って後で聴き直してみると、「なんじゃこりゃ。聞くに堪えん(泣)」の一言。だいたい、他人様が英語で話すのを横で聞いていて「もう一つだな」と思ったら、自分と同程度、「僕と同じレベルかな」と思う人は自分よりかなりうまい! そんな法則があるように思います。とにかく、客観的に自分のレベルを知ることが大切ということですね。ちなみにゴルフについては、初めてコースを回ったときのスコアが160だったか170だったかでヘロヘロになりました。見かけによらず途方もない体力が必要なスポーツだということを思い知ったので、それ以来、全くやっていません。任天堂のWii Sports Resortというゲームで時々やるくらいです。でも、我流のせいか、ゲームのゴルフもある程度のスコアで頭打ちになりました。話を英語に戻しますが、読者の中でペラペラを目指している方がおられましたら、一度は自分が喋っているのを録音してみることをお勧めします。「なんじゃ、この下手くそは!」と思うに違いありません。そのような現実に直面することは恐ろしいことではありますが、きっと勉強のモチベーションアップにつながることと思います。パチンコはともかく、ゴルフも英語も楽しむことが大切。それぞれの人生で「下手の横好き」を見つけることが大切なのかもしれませんね。最後に1句録音し あまりのひどさに 仰天す

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第64回 内憂外患に苦慮、初のオンライン代議員会で露呈した日医の内情

日本医師会(日医)から6月11日、定例代議員会に関する案内が送られてきた。「通常と異なる開催方法」と書かれていた。新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、テレビ会議システムを用いて開催するほか、中川 俊男会長の挨拶と議案審議のみを実施。また、代議員の質問に対する執行部からの回答は当日行わず、『日本医師会雑誌』8月号で誌面回答するという。週刊誌による中川会長のスキャンダル記事や日医への批判記事が相次ぐ中、執行部に不都合な質問がテレビ会議を通じて流れることを避けようとしたのかと勘繰りたくなった。外患には対処、しかし内憂には…『日本医師会雑誌』が会員制雑誌のため、後日、質疑応答を載せた同誌8月号か、該当ページのコピーを頂けないか、と日医広報課に尋ねたところ、役員に打診してみるとの回答だった。日医会館では昨年末、反マスク・反ウイルスを掲げる団体から抗議を受けると、敷地と道路の間にフェンスが置かれ、週刊誌報道が始まると、正面玄関内にセキュリティゲートが設けられた。週刊誌への情報提供の多くは、内部からの告発と見られる。“外堀”は物理的に固められても、内部に敵がいるのではどうしようもない。定例代議員会の案内が送られた前後から、臨時代議員会の開催や、中川会長の解任動議を求める動きが当日あるとの話が流れた。しかし、6月27日の定例代議員会当日に波乱はなかった。広報課に聞くと、前日26日の議事運営委員会において、急な動議などは受け付けないことを決めたという。質疑応答に関しては、『日本医師会雑誌』への掲載に加え、28日正午をめどに代表質問と回答を日医ホームページにアップするという。限定的な質問対応で定例代議員会を乗り切る執行部中川会長は冒頭の挨拶で、新型コロナウイルス感染症対応を中心とした日医のこれまでの取り組みや今後の方針を説明した。事前に寄せられた代表質問は16件あったという。池田 秀夫・定例代議員会議長(前佐賀県医師会会長)は質問に関して、6月30日までに書面で日医総務課宛に提出することを求めるとともに、「会長挨拶と事業報告に関連しないと判断した場合、取り上げない場合もあることを承知してほしい」と述べた。中川会長は挨拶の中で「開かれた医師会」を約束したと述べたが、例年のような活発な質疑応答はなくなり、事実上の“統制”を敷いたと感じた。定例代議員会は、予定通り約1時間で閉会した。日医と距離置く政治家とマイナス改定狙う財務省中川会長は、新型コロナに対する日医の成果をみずから評価し、総選挙を前に医療現場の声を国政に届けるため医政活動への協力を呼び掛けたりした。しかし、日医が支持する自民党国会議員らは冷ややかだ。というのも、会員医師に対し、日医がコロナ対策への協力を強く要請する様子が見られず、毎週のように週刊誌で報じられるスキャンダルや批判記事によるイメージダウンもあり、日医と距離を置く姿勢が出ているという。「医政活動への協力」を求めるのは、言うまでもなく2022年度の診療報酬のプラス改定が念頭にあるからだ。しかし財務省は、限られた財源を新型コロナ感染症に対応する医療機関に集中投入することを大義名分に、マイナス改定を目指しているという。医療政策会議も「内向き」の評中川会長は、挨拶の結びで「政府与党と緊密に連携し、あるべき医療政策を実現していきたい」と述べた。令和3年度日本医師会事業計画に書かれた重要課題20項目のトップにも「医療政策の提言と実行」が掲げられている。また、日医の中に「医療政策会議」があり、学術推進会議、生命倫理懇談会と並ぶ日医の「3大委員会」の1つに位置付けられている。委員は都道府県医師会長が多く、厚生労働省社会保障審議会委員を務めた田中 滋氏(慶應義塾大学名誉教授、埼玉県立大学理事長)や、中川氏の出身母体である北海道医師会の長瀬 清会長などが議長を務め、現在は権丈 善一氏(慶應義塾大学商学部教授)だ。ある医療政策の研究者は「中川会長は医療政策に関しては保守的だが、権丈氏も同様。医療政策会議の報告書もインパクトのある内容が少なく、内向きの会議にして見えない」と指摘する。これでは、医発の医療政策に存在感がないのも致し方ないのかもしれない。

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COVID-19に対する政府対応の質がメンタルヘルスに及ぼす影響

 COVID-19のパンデミックは、公衆衛生、経済、メンタルヘルスに深刻なダメージを与えている。カナダ・トロント大学のYena Lee氏らは、ウイルス感染を減少させるための政府の厳格な措置をタイムリーに実施することが、メンタルヘルスにベネフィットをもたらすと仮定し、抑うつ症状発現率の減少に影響するかを調査するためシステマティックレビューを行った。Journal of Affective Disorders誌2021年7月1日号の報告。 政府が実施したCOVID-19に対する対応の厳格さおよびタイムリーさの違いがうつ症状の発症をどの程度緩和するかを調査するため、33ヵ国の研究(114件、64万37例)のシステマティックレビューを実施した。高所得国18ヵ国、上位中所得国9ヵ国、下位中所得国6ヵ国からのデータが含まれた。政府が実施したCOVID-19に対する対応の厳格さおよびタイムリーさの評価には、Oxford COVID-19 Government Response("Stringency")Indexを用いた。うつ病の定義は、PHQ-9スコア10以上またはPHQ-2スコア3以上とした。 主な結果は以下のとおり。・臨床的に有意な抑うつ症状を有する参加者の割合は、21.39%(95%CI:19.37~23.47)であった。・臨床的に有意な抑うつ症状の有症率は、政府が厳格な政策をタイムリーに実施した国で有意に低かった。・政府の対応によるこの効果は、調査開始時のCOVID-19発生率、ヘルスケアへのアクセスと質の指標、研究にCOVID-19患者を含めた場合でも、有意なままであった。・本結果に影響を与える可能性のある因子として、ロックダウン期間の違い、研究参加者およびアウトカム評価者の盲検化の欠如、抑うつ症状の重症度に対するレトロスペクティブ評価などが考えられる。 著者らは「COVID-19の蔓延を封じ込めるために厳格な対応を講じた政府は、国民の身体的な健康だけでなく、メンタルヘルスに対してもベネフィットをもたらした」としている。

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2020年の米国平均余命、2018年から約2年短縮/BMJ

 米国では、2018~20年の平均余命(life expectancy)が他の高所得国よりもはるかに大きく短縮し、とくにヒスパニック系および非ヒスパニック系黒人集団で顕著であった。米国・バージニア・コモンウェルス大学のSteven H. Woolf氏らが、分析結果を報告した。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより世界中の人々が命を落としたが、米国では他の高所得国に比べ死亡者数が多かったことから、2020年の死亡者数が米国の平均余命や他国との差にどのような影響を与えたかを分析したもの。著者は、「長期にわたり拡大している米国の健康上の不利益、2020年の高い死亡率、持続的な人種・民族的マイノリティに対する不公平な影響は、長年の政策選択と組織的な人種差別の産物であると考えられる」と述べている。BMJ誌2021年6月23日号掲載の報告。米国と他の高所得国16ヵ国について分析 研究グループは、米国および他の高所得国16ヵ国(オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、イスラエル、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、韓国、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、英国)の2010~18年および2020年の平均余命を、米国は国立健康統計センター(NCHS)、その他の高所得国は死亡データベース(Human Mortality Database)のデータを用いて分析した。オーストラリア、カナダ、ドイツ、イタリア、日本は、死亡データが不完全であったため分析には含まなかったという。 評価項目は、男女別の出生時の平均余命ならびに25歳時と65歳時の平均余命で、米国のみ人種・民族別の平均余命も分析した。なお、対象国の多くで生命表データが入手できなかったため、2019年は分析から除外した。また、2020年の平均余命は、2020年の年齢別死亡率の推定値からシミュレーションし、確率的誤差を10%として算出した。米国は他高所得国の8.5倍となる1.87年短縮、人種・民族的な差も 米国と他高所得国の平均余命の差は、2010年の1.88年(米国の平均余命:78.66歳vs.他高所得国の同平均値:80.54歳)から、2018年には3.05年(78.74歳vs.81.78歳)に拡大していた。2020年では、米国の平均余命は76.87歳で、2018年から1.87年短縮していた。同値は、他高所得国の平均短縮幅(0.22年)の8.5倍で、両者の差は4.69年とさらに拡大した。 2018~20年の米国の平均余命の低下は、人種・民族的マイノリティにより差がみられ、ヒスパニック系では3.88年、非ヒスパニック系黒人では3.25年であったのに対して、非ヒスパニック系白人では1.36年であった。ヒスパニック系と非ヒスパニック系黒人の平均余命の短縮は、他高所得国のそれぞれ18倍および15倍に上った。 米国では2010年以降、黒人と白人の平均余命の差が縮まってきていたが、2018年から2020年にかけてその縮小は消失し、黒人男性の平均余命は1998年以来の最低水準となる67.73歳で、長年続いていたヒスパニック系の優位性もほぼなくなった。

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妊娠中のインフルワクチン接種と出生児の健康アウトカム/JAMA

 妊娠中の母親のインフルエンザワクチン接種は、生まれた子供の健康アウトカムに悪影響を及ぼすことはない。カナダ・ダルハウジー大学のAzar Mehrabadi氏らが、追跡期間平均3.6年間の後ろ向きコホート研究の結果を報告した。妊娠中に季節性インフルエンザワクチンを接種することで妊婦や新生児のインフルエンザ疾患を減らすことができるが、妊娠中のワクチン接種と小児期の有害な健康アウトカムとの関連については、報告が限られていた。JAMA誌2021年6月8日号掲載の報告。最長5.5歳、平均3.6歳までの健康アウトカムと母親のワクチン接種との関連を解析 研究グループは、出生登録および出生登録とリンクしている健康管理データを用い、2010年10月1日~2014年3月31日の間にカナダのノバスコシア州で生まれたすべての出生児を対象に、母親の妊娠中の季節性インフルエンザワクチン接種、ならびに出生児の免疫関連疾患(喘息、感染症など)、非免疫関連疾患(腫瘍、感覚障害など)、および非特異的事象(緊急または入院医療の利用など)について、2016年3月31日まで追跡調査を行った(最短2年、最長5.5年、平均[±SD]3.6±1.1年)。 母親のワクチン接種の有無と出生児の健康アウトカムについて、母親の病歴およびその他の交絡因子を調整し、逆確率重み付け(IPTW)法を用いてハザード比(HR)と発生率比(IRR)、ならびにその95%信頼区間(CI)を算出した。喘息、感染症、腫瘍、感覚障害などいずれも有意な関連なし 解析対象の出生児は、2万8,255例(女児49%、妊娠37週以上の出生児92%)であった。このうち、1万227例(36.2%)が、季節性インフルエンザワクチンの接種を妊娠中に受けた母親から生まれた。 追跡期間平均3.6年間において、母親のインフルエンザワクチン接種は小児喘息、腫瘍および感覚障害と有意な関連はないことが認められた。母親の接種ありと接種なしにおける出生児1,000人年当たりの発生率は、小児喘息が3.0 vs.2.5(群間差:0.53[95%CI:-0.15~1.21]、補正後HR:1.22[95%CI:0.94~1.59])、腫瘍が0.32 vs.0.26(0.06[-0.16~0.28]、1.26[0.57~2.78])、感覚障害が0.80 vs.0.97(-0.17[-0.54~0.21]、0.82[0.49~1.37])であった。 また、母親のインフルエンザワクチン接種は、小児期早期の感染症(発生率184.6 vs.179.1、群間差:5.44[95%CI:0.01~10.9]、補正後IRR:1.07[95%CI:0.99~1.15])や、緊急または入院医療の利用(511.7 vs.477.8、33.9[24.9~42.9]、1.05[0.99~1.16])とも有意な関連は認められなかった。

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新型コロナ治療に中和抗体カクテル療法を承認申請/中外

 中外製薬は6月29日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療のためのcasirivimabおよびimdevimabの抗体カクテル療法について、国内における製造販売の承認申請を行ったことを発表した。COVID-19患者を対象とした海外臨床第III相試験(REGN-COV 2067)の成績と、日本人における安全性・忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験の成績に基づき、厚生労働省に特例承認の適用を求めた。 本抗体カクテル療法は、SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体(casirivimab+imdevimab)を組み合わせ、COVID-19に対する治療および予防を目的として、米国・リジェネロン社などが開発したもの。先述のREGN-COV 2067においては、本抗体カクテル療法はプラセボと比較して、入院または死亡のリスクを70%(1,200mg静脈内投与)および71%(2,400mg静脈内投与)と有意に低下させた。米国では2020年11月、成人および小児患者(12歳以上で体重が40㎏以上)で軽度~中等度のCOVID-19外来患者への治療薬として、FDAから緊急使用の許可を取得している。 中外製薬は、本抗体カクテル療法の意義について「変異株の感染拡大など、COVID-19の流行は長期化しており、新たな治療選択肢が必要とされている。1日も早く患者さんに届けられるよう、規制当局と緊密に協働していきたい」とコメントしている。

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