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子宮内膜症、レルゴリクス併用療法が有効か/Lancet

 経口ゴナドトロピン放出ホルモン受容体拮抗薬レルゴリクス+エストラジオール+酢酸ノルエチステロン併用療法は、子宮内膜症関連疼痛を有意に改善し、忍容性も良好であることが、米国・カリフォルニア大学のLinda C. Giudice氏らが実施した2つの多施設共同無作為化二重盲検第III相試験「SPIRIT 1試験」と「SPIRIT 2試験」の結果、示された。著者は、「この経口療法は、オピオイドの使用や外科的治療の必要性を減らし、子宮内膜症の長期薬物療法に対するアンメットニーズを解決する可能性がある」とまとめている。子宮内膜症は女性の骨盤痛でよくみられる原因であり、現状では最適な治療選択肢がない。Lancet誌2022年6月18日号掲載の報告。レルゴリクス併用療法vs.プラセボvs.遅延レルゴリクス併用療法を比較検討 SPIRIT 1試験およびSPIRIT 2試験は、アフリカ、オーストララシア、欧州、北米、南米の計219施設で、組織学的確定診断の有無にかかわらず外科的または視診により診断された子宮内膜症、または組織学的確定診断のみの子宮内膜症を有する18~50歳の女性を対象に実施された。被験者の適格基準は、35日間の導入期間に月経困難症の数値的評価スケール(NRS)スコア4点以上が2日以上、非月経性骨盤痛のNRS平均スコアが2.5以上、または平均スコア1.25以上(スコア5以上を含む)が4日以上の中等度~重度の子宮内膜症関連疼痛を有する患者とした。 研究グループは被験者を、プラセボ群、レルゴリクス併用療法群(レルゴリクス40mg、エストラジオール1mg、酢酸ノルエチステロン0.5mg)、遅延レルゴリクス併用療法群(レルゴリクス40mg単剤を12週間後にレルゴリクス併用療法を12週間)の3群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回24週間経口投与した。二重盲検無作為化治療期間およびフォローアップ期間中、全患者、研究者およびスポンサーのスタッフ/代表者は、治療の割付をマスキングされた。 主要評価項目は、治療終了時(24週時)における月経困難症および非月経性骨盤痛それぞれの、NRSスコアと鎮痛剤使用に基づく奏効患者の割合(奏効率)であった。 SPRIT 1試験では、2017年12月7日~2019年12月4日の期間に638例が登録され、レルゴリクス併用療法群212例(33%)、プラセボ群213例(33%)、遅延レルゴリクス併用療法群213例(33%)に無作為化された。SPRIT 2試験では2017年11月1日~2019年10月4日の期間に623例が登録され、レルゴリクス併用療法群208例(33%)、プラセボ群208例(33%)、遅延レルゴリクス併用療法群207例(33%)に無作為化された。SPIRIT 1試験で98例(15%)、SPIRIT 2試験で115例(18%)が早期に試験を中止した。レルゴリクス併用療法で月経困難症および非月経性骨盤痛が有意に改善 月経困難症に対する奏効率は、SPIRIT 1試験でレルゴリクス併用療法群75%(158/212例)、プラセボ群27%(57/212例)(群間差:47.6%、95%信頼区間[CI]:39.3~56.0、p<0.0001)、SPIRIT 2試験でそれぞれ75%(155/206例)および30%(62/204例)(44.9%、36.2~53.5、p<0.0001)であった。 非月経性骨盤痛に対する奏効率は、SPIRIT 1試験でレルゴリクス併用療法群58%(124/212例)、プラセボ群40%(84/212例)(群間差:18.9%、95%CI:9.5~28.2、p<0.0001)、SPIRIT 2試験でそれぞれ66%(136/206例)、43%(87/204例)(23.4%、13.9~32.8、p<0.0001)であった。 最も頻度の高い有害事象は頭痛、鼻咽頭炎、ホットフラッシュであった。自殺企図は両試験で9例(プラセボ導入期2例、プラセボ群2例、レルゴリクス併用療法群2例、遅延レルゴリクス併用療法群3例)が報告されたが、死亡の報告はなかった。 腰椎骨密度の最小二乗平均変化率(レルゴリクス併用療法群vs.プラセボ群)は、SPIRIT 1試験で-0.70% vs.0.21%、SPIRIT 2試験で-0.78% vs.0.02%であった。また、遅延レルゴリクス併用療法群では、SPIRIT 1試験で-2.0%、SPIRIT 2試験で-1.9%であった。 プラセボ群と比較してレルゴリクス併用療法の2群で、オピオイド使用の減少が認められた。

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梅雨が明けた?【Dr. 中島の 新・徒然草】(432)

四百三十二の段 梅雨が明けた?気象庁「ごめん。もう梅雨明けかもしれない…」そういうタイトルが、6月24日のネットニュースにありました。ほんまかいな。確かに日中は異常な暑さで、太陽がギラギラ照りつけています。病院の冷房も効きが悪い。が、一方で異論を唱える人もいます。ウチの女房がそうです。「蝉が鳴いていないぞ」「まだ空気がジメッとしている」そう言われりゃ確かにそうです。晴れていても中途半端な天気。で、実際には、近畿地方は6月28日に梅雨明け宣言がされました。例年は7月19日頃になる梅雨明け宣言が、6月になされたのは観測史上初。遅く始まった梅雨が早く終わったということで、実に14日間だけの梅雨でした。普通は44日間程度なのに、観測史上最短の梅雨になってしまったそうです。私が子供の頃は、毎日雨が降っていた梅雨の記憶しかありません。一体全体、日本はどうなってしまったのでしょうか。蝉といえば、日本に住んだ外国人の3大ビックリというのがあるそうです。外国人といっても地球の裏側から来た人たちではありません。大陸や半島のような、日本に近いところの出身者です。彼らにとっては、同じ東アジアだから大きな違いはないと思っていたのでしょう。しか~し。蝉がうるさい。カラスがでかい。料理が塩辛い。日本人の立場から見ると、一々心当たりがあります。夏の朝は、蝉が目覚まし時計代わり。カラスがでかくて、戦っても勝てる気がしません。塩分5グラム制限なんか無理無理。どうもすみません。さて、梅雨が明けたらいよいよ熱中症の季節。暑い日の救急外来は、常に点滴セットを準備しておかなくてはなりません。高齢者が、高校生が、サラリーマンが、際限なく担ぎ込まれてきます。皆さん、迎え撃つ覚悟はよろしいでしょうか。最後に1句梅雨明けて 熱中症よ かかってこい★スマホで読む人のために、最近は改行を多めにしています。自分で試した結果では、こちらのほうがスマホでもPCでも読みやすい気がします。

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「S状結腸切除術」をいろんな画風で描いてみた【誰も教えてくれない手術記録 】第16回

第16回 「S状結腸切除術」をいろんな画風で描いてみたこんにちは! 手術を描く外科医おぺなかです。皆さんは普段、どんなスタイル(画風)でオペレコを描いていますか? 僕が本連載でお見せしているのはカラーのデジタルオペレコが中心ですが、世の中にはデジタルでも色を入れないモノクロ派や、紙とペンで手書きのアナログ派も大勢いることでしょう。デジタルの利点を幅広く活かして、かつ時短につながるオペレコ作成術をどんどん広めたいところですが、オペレコの描き方にはそれぞれ描き慣れたスタイルがあって当然です。オペレコの正しい描き方は決まっていませんし、オペレコとしての役割が十分に果たせていれば、どんなスタイルでも問題ないと思います。とはいえ、まだ自身のスタイルが定まっていない先生もいるかと思いますので、今回は、僕がさまざまなデジタルのスタイルで「S状結腸切除術」の一場面を描いてみました。それぞれのイラストを見比べて、好みのスタイルを見つけてくださいね。参考に、それぞれにかかった時間も付記しておきます。※今回紹介するイラストは、すべてペイントアプリProcreateを使用して描きました。(1)ラフ画(モノクロ)こちらは「鉛筆ツール」で描いたラフスケッチです。ササっと描けるので、腫瘍の位置や血管の走行、切離部など、最低限の情報は伝えられますが、あまり“映える”イラストではないですね。ちなみに、アナログでもデジタルでも使えるスタイルです。[所要時間:2分](2)鉛筆画(モノクロ)鉛筆ツールで影の濃淡を描き込んで描写しました。ペイントアプリには線をぼかす機能があるので、それで陰影をつけました。モノクロならではの画風で、臓器の質感が表現できているでしょうか? 見栄えは良いですが、少々時間がかかるのが難点です。[30分](3)太さが均一な線画(モノクロ)「モノライン」というペンを使用して描きました。均一な線が引けるので、柔らかいカーブの描写に優れています。細かな線や文字を描く場合は手ぶれ補正機能をオフにしたほうがよいです。[5分](4)筆圧が反映された線画(モノクロ)僕が最も頻用する「製図ペン」という種類を使用しています。筆圧や筆致が正確に反映されるので、細かな描写に優れています。[10分](5)円ブラシのみ(カラー)スタイルを大きく変えて、カラーの円ブラシで色を塗りながら描写し、線画なしで描いてみました。少し影をつけるだけでも立体的に見えるので、まるでCGのようで、まさしくデジタルイラストらしい印象です。[10分](6)線画+塗りつぶし(カラー)(3)の「モノライン」で書いた線画をベースに着色しました。ペイントアプリの「カラードロップ(塗りつぶし)機能」を用いています。簡便かつキレイに着色が可能で、均質で視認性に優れたイラストに仕上がります。ただし、塗りつぶしだけでは立体感や臓器の質感まで表現しきれません。[10分](7)線画+着色(カラー)(4)の「製図ペン」で描いた線画をベースに「ソフトエアーブラシ」を用いて着色しました。僕が一番愛用している方法で、この連載で紹介したイラストの大半はこの描き方をしています。少々慣れが必要ですが、簡単に立体感のあるイラストが描けますよ。[20分]まとめ今回、7パターンのスタイルをご紹介しましたが、気に入ったものはありましたか? 冒頭でお伝えしたように、手術イラストに正解はありません。手術イラストの目的、すなわち「手術を正確に記録でき、自身の振り返りにつながり、他者が見て伝わるイラスト」が果たせていれば、どんなスタイルでも問題ないと思います。自身の気に入ったスタイルを突き詰めて、早く正確にわかりやすいイラストが描けるようになると良いですね。一点注意しておきたいのは、手術イラスト作成はあくまで手術上達における1つの手段にすぎないという点です。手術イラストの作成にこだわるあまり、ほかのトレーニング(手術ビデオの振り返り/手術手技シミュレーションなど)をおろそかにしては、手術の上達は見込めないでしょう。何事もバランスが大切です。オペレコにおける手術イラストの意義、手術上達における立ち位置を十分に理解し、自身のスタイルを確立してくださいね!

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第115回 日医の一致団結と信頼回復に期待、松本新会長のミッション

日本医師会(日医)が6月25日に行った役員選挙で、常任理事の松本 吉郎氏が会長に初当選した。松本キャビネットの副会長3人、常任理事10人の候補者も全員当選。大方の予想通りの結果となった。2年前の前回選挙では中川 俊男氏と横倉 義武氏が日医内を二分し、遺恨が残ったが、今回は松本キャビネットが圧倒的な支持を得たことで、日医の一致団結、信頼回復が期待される。松本キャビネットは全員当選会長選では松本氏と、副会長の松原 謙二氏の一騎打ちとなった。松本氏310票、松原氏は64票で、松本氏の圧勝だった。無効と白票は各1票。副会長選(定員3人)では、茂松 茂人氏(大阪府医師会会長、265票)、猪口 雄二氏(全日本病院協会〈全日病〉会長、262票)、角田 徹氏(東京都医師会副会長、250票)と松本キャビネットの3人が当選した。現職の副会長の今村 聡氏(227票)も200票を超える票を集めたが、敗れた。投票総数は1,125票。無効0票、白票121票だった。常任理事選(定員10人)には11人が立候補したが、松本氏の当選に伴い、新人で松原キャビネットの玉元 弘次氏(千葉)が立候補を辞退したため、松本キャビネットの10人が無投票で当選した。常任理事は以下の通りだ。▽釜萢 敏氏(群馬県)▽城守 国斗氏(京都府)▽長島 公之氏(栃木県)▽江澤 和彦氏(岡山県)▽宮川 政昭氏(神奈川県)▽渡辺 弘司氏(広島県)▽神村 裕子氏(山形県)▽細川 秀一氏(愛知県、新人)▽今村 英仁氏(鹿児島県、新人)▽黒瀬 巌氏(東京都、新人)。ちなみに、代議員会議長は愛知県医師会会長の柵木 充明氏、副議長は栃木県医師会会長の太田 照男氏がそれぞれ無投票で選ばれた。また、監事には河野 雅行氏(宮崎県医師会会長)、馬瀬 大助氏(富山県医師会会長)、平川 博之氏(日本精神神経科診療所協会副会長、東京都医師会副会長)が就いた。以上、会長以下執行部19人の出身を都道府県別に見ると、以下の14に分かれる。東京4人(猪口氏を含む)、栃木2人、愛知2人、大阪2人、山形、富山、群馬、埼玉、神奈川、京都、岡山、広島、宮崎、鹿児島各1人。「国民の信頼」を盛り込んだ柱と公約と初記者会見話を松本氏に戻す。松本氏は1954年山口県生まれ。1980年浜松医科大学卒業。1988年松本皮膚科形成外科医院(埼玉県現・さいたま市)開業、理事長・院長。埼玉県医師会常任理事や大宮医師会長などを歴任。2016年から日医常任理事。2017年7月~21年10月まで中央社会保険医療協議会委員を務めた。松本氏が選挙時に掲げた医師会運営の4つの柱と8つの公約を改めて見てみる。医師会運営の柱(1)地域から中央へ(2)国民の信頼を得られる医師会へ(3)医師の期待に応えられる医師会へ(4)一致団結する強い医師会へ公約(1)国民の健康と生命を守る(2)現場からの情報収集と連携(3)組織力強化(4)新興感染症および新型コロナウイルス感染症への対応(5)国民皆保険制度と医療提供体制の堅持と持続性の確保(6)超高齢社会への対応(7)医師の働き方改革(8)国民の信頼回復のための情報発信医師会会員や医師だけでなく、国民としても覚えておきたい。松本氏は当選後の記者会見で、「日本医師会の役割は国民の命と健康をしっかりと守っていくことだと考えている。そのためには、やはり現場の意見を汲み取り、地域社会のいろいろなご提言、ご意見を賜りながら、日医で検討し、いろいろな選択につなげていくことが大事だと思っている」と述べた。そのうえで、「それにはまず会員、医師の方々の信頼に応えることができる医師会になるように努力していきたい。それがひいては、国民の皆さん方の信頼を得ることにつながると思っている。行政、政界、財界、いろいろな関係職種の方々も含めて、連携し、コミュニケーションを取って、日医の使命を果たすべく努力していきたい」と「信頼」を強調した。医療現場の声に基づいた情報発信を筆者は昨年春、ある医療情報誌のインタビュー記事で松本氏を取材している。コロナ禍で医療従事者や労働者のメンタルヘルスに影響が出ていることや、女性を中心に自殺者が増えていること、対策として産業医活動の重要性などの話を伺った。その時は、医療現場の実態を把握していると感じた。日医の会長になっても、政治的な思惑や私利私欲ではなく、医療現場の声に基づいた状況を国に伝えていってもらいたい。追伸 私の連載はこの回が最後になります。スタートから2年間はあっという間でした。これまでお読みいただきましてありがとうございました。またどこかで皆様とご縁がいただければと思っています。皆様のご健康とご発展をお祈りしております。

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多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性(MajesTEC-1)/ASCO2022

 再発難治の多発性骨髄腫(RR/MM)に対してBCMAとCD3に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性を見た第I/II相MajesTEC-1試験。昨年のASH2021(米国血液学会)で発表された本試験の最新データを、米国エモリー大学のAjay K. Nooka氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表し、同日にNEJM誌に掲載された。・対象:プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38抗体の3剤併用を含む3ライン以上の治療歴のあるRR/MM患者・試験群:teclistamab:0.06と0.3mg/kgのステップアップ投与後、1.5mg/kgの皮下注・評価項目:[主要評価項目]全奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DOR)、微小残存病変(MRD)の有無、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・165例が組み入れられた。年齢中央値は64(33〜84)歳、うち75歳以上が14.5%、58%が男性で、前治療回数の中央値は5(2〜14)だった。・追跡期間中央値14.1ヵ月におけるORRは63.0%(95%信頼区間[CI]:55.2~70.4)、65例(39.4%)が完全奏効(CR)以上だった。44例(26.7%)はMRD陰性で、CR以上におけるMRD陰性率は46.2%だった。・DOR中央値は18.4ヵ月(95%CI:14.9~推定不能)、PFS中央値は11.3ヵ月(95%CI:8.8~17.1)だった。・主な有害事象は、サイトカイン放出症候群(CRS)が72.1%(Grade3が0.6%、Grade4なし)、好中球減少症が70.9%(Grade3/4が64.2%)、貧血が52.1%(Grade3/4、37.0%)、血小板減少症が40.0%(Grade3/4が21.2%)などだった。感染症は76.4%(Grade3/4が44.8%)で発生し、有害事象による試験中止は2例、減量が1例だった。 著者らは「teclistamabはRR/MM患者において高い確率で持続的で深い奏効をもたらした。好中球減少症と感染症が多くみられたが、T細胞応答に一致する毒性作用はほとんどがGrade1/2で、新たな毒性は見られなかった。現在第III相試験に向けた準備が進んでいる」としている。

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高齢者の多疾患罹患とうつ病に関する性差

 これまでの研究では、多疾患罹患はうつ病リスクが高いといわれている。しかし、うつ病と多疾患罹患との関連において、性差を調査した研究はほとんどなかった。韓国・乙支大学校のSeoYeon Hwang氏らは、男女間でうつ病と多疾患罹患の関連に違いがあるかを調査した。その結果、韓国の高齢者において、多疾患罹患とうつ病との関連に性差が認められたとし、多疾患罹患の高齢者におけるうつ病の軽減には、性別ごとの適切なケアを提供する必要があることを報告した。Epidemiology and Health誌オンライン版2022年5月24日号の報告。 対象は、韓国の高齢者調査(2011~17年)より得られた65歳以上の3万138例。うつ病の評価には、老年期うつ病評価尺度の韓国語版(GDS-K)を用いた。多疾患罹患患者の定義は、関節炎、糖尿病、心臓病、高血圧、肺疾患、がん、脳卒中、骨粗鬆症のうち2つ以上の慢性疾患を有する患者とした。うつ病と多疾患罹患との関連を分析するため、多重ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・多疾患罹患患者のうつ病有病率は、男性で22.17%、女性で30.67%であった。・多疾患罹患患者は、そうでない人と比較し、うつ病リスクが高く、男性のリスク差は女性よりも大きかった。・とくに女性において、年齢はモデレーターである可能性が高かった。・統合分析では肺疾患、脳卒中、がんの影響が大きかったが、性差は、心臓病を有する患者の慢性疾患数で認められた。

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ガイドライン無料化を医師の3割が希望/1,000人アンケート

 診療の標準・均てん化とエビデンスに根ざした診療を普及させるために、さまざまな診療ガイドラインや診療の手引き、取り扱い規約などが作成され、日々の診療に活用されている。今春の学術集会でも新しいガイドラインの発表や改訂などが行なわれた。 実際、日常診療でガイドラインはどの程度活用され、医療者が望むガイドラインとはどのようなものなのか、今回医師会員1,000人にアンケートを行なった。 アンケートは、5月26日にCareNet.comはWEBアンケートで会員医師1,000人にその現況を調査。アンケートでは、0~19床と20床以上に分け、6つの質問に対して回答を募集した。【回答者内訳】・年代:20代(7%)、30代(17%)、40代(23%)、50代(26%)、60代(22%)、70代以上(5%)・病床数:0床(46%)、1~19床(4%)、20~99床(9%)、100~199床(3%)、200床以上(38%)・診療科[回答数の多い10診療科]:内科(247人)、外科・乳腺外科(76人)、研修医・その他(71人)、循環器内科・心臓血管外科(63人)、精神科(56人)、消化器内科(55人)、整形外科(40人)、皮膚科(39人)、小児科(37人)、糖尿病・代謝・内分泌科(32人)ガイドライン「無料化」「ダイジェスト版の作成」の声が多かった 質問1で「専門領域における日常診療でガイドラインなどを活用しているか」(単数回答)を尋ねたところ、回答者全体の集計では「部分的に活用」が51%、「大いに活用している」が40%、「あまり活用していない」が8%、「まったく活用していない」が1%の順だった。とくに19床未満と20床以上の比較では、20床以上所属の回答者の46%が「大いに活用している」に対し、19床未満では35%と医療機関の規模でガイドラインなどの活用の度合いが分かれた。 質問2で「ガイドラインなどの新規発行や改訂などの情報はどのように入手しているか」(複数回答)を尋ねたところ、全体で「所属学会の案内」が64%、「CareNet.comなどのWEB媒体」が52%、「学術集会の場」が18%の順だった。とくに規模別で「CareNet.comなどのWEB媒体」について、19床未満所属では59%であるのに対し、20床以上は45%といわゆるクリニックなどの医師会員ほどWEBなどをガイドラインの情報源にしていることがうかがわれた。 質問3で「ガイドラインなどはどの程度の領域を用意/集めているか」(単数回答)を尋ねたところ、回答者全体の集計では「自分の専門領域とその周辺領域すべて」が31%、「必要なときに入手」が27%、「自分の専門領域の一部」が20%の順だった。規模別に大きな違いはなかったが、診療で必要な都度にガイドラインを用意していることがうかがえた。 質問4で「ガイドラインなどで参考する項目について」(回答3つまで)を尋ねたところ、「治療(治療薬などの図表なども含む)」が75%、「診断(診断チャート含む)」が66%、「疾患概要(病態・疫学など)」が31%の順だった。とくに規模別でガイドラインの「クリニカルクエッション(CQ)」について全体では23%だったが、20床以上所属では27%であるのに対し、19床未満では19%と大きく差がひらいた。 質問5では「ガイドラインなどで今後改善すべきと思う点について」(複数回答)を尋ねたところ、「非学会員への配布無料化」が32%、「PDF・アプリなどへの電子化」が31%、「図表や臨床画像の多用」と「非専門医、一般向けのダイジェスト版の作成」がともに30%の順だった。とくに規模別では、「PDF・アプリなどへの電子化」について20床以上が36%と回答していたのに対し、19床未満は27%とガイドラインのデジタル化への要望につき差がでていた。 質問6では自由記載として「ガイドラインなどに関するエピソード」について尋ねたところ、ガイドラインの活用では、「診療で迷った際の指針」だけでなく、「患者への説明」や「後輩への指導の教材」などでの使用も多かった。また、ガイドラインなどの改善点として「無料化」「ダイジェスト版の作成」の声が多かった。参考診療ガイドラインを活用していますか?/会員医師1,000人アンケート

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熱中症の経験ありは35.7%、毎年経験は2.7%/アイスタット

 2022年の夏は、例年になく長く、猛暑になるとの予報がでている。そして、夏季に懸念される健康被害の代表として「熱中症」がある。厚生労働省から新型コロナウイルス感染症予防のマスクの着脱も夏を前に発表されたが、まだ時期早々という社会的な雰囲気からか浸透していない。実際、熱中症の経験や今夏のマスク着用の考え、熱中症の予防などについて、一般の人はどのよう考えているのだろうか。株式会社アイスタットは、6月13日にアンケートを実施した。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~69歳の有職者300人が対象。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2022年6月13日対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(20~69歳/全国の有職者)を対象アンケートの概要・熱中症の「経験あり」は35.7%、「経験なし」は64.3%。毎年経験は2.7%とわずか。・熱中症経験者の要因は、第1位「水分をこまめにとるのを忘れていた」の48.6%・熱中症の予防対策を行っている人は58%。熱中症の経験がある人ほど行っている。・「屋外でマスク着用を義務付けない」という新しい方針に対し、「常に着用する」が33%といまだ多い。・汗をかきやすいと回答した人の熱中症の経験有無は、大きな差がみられない。・熱中症の経験が「ある人」と「ない人」の飲みものの違い、第1位「麦茶」・熱中症の経験が「ある人」と「ない人」の生活習慣の違い、第1位「食欲不振が増える」・1年を通して健康障害が起りやすくなる時期は、第1位「8月」、第2位「7月」。熱中症経験者の夏季の水分補給は「麦茶」が人気 質問1で「今までに熱中症になったことがあるか」(単回答)を聞いたところ、「今までに一度もない」が64.3%、「今までに数回」が28.7%、「毎年ではないが経験したことは多い」が4.3%、「毎年、経験している」が2.7%の順だった。熱中症の経験の有無別に分類すると「経験あり」は35.7%、「経験なし」は64.3%で、3人に1人が熱中症を経験していた。また、「毎年、経験」を回答した人の属性をみると、「50代」「女性」「既婚」「関東地方」で多かった。一方、「今までに、一度もない」を回答した人の属性は、「60代」「男性」「未婚」「中国・四国・九州地方・沖縄」で多かった。 質問2で「(質問1で熱中症経験ありと回答した107名に対し)熱中症になったときの様子」(複数回答)を聞いたところ、「水分をこまめにとるのを忘れていた」が48.6%、同率で「寝不足や疲れなどで体調が悪かった」、「長時間、屋外にいた」、「真夏日・猛暑日であった」が41.1%だった。水分摂取不足だけでなく、複合的な要因で熱中症が起こることが示唆された。 質問3で「熱中症にならないように、毎年、予防対策を行っているか」(単回答)を聞いたところ、「どちらかといえば、行っている」が46.7%、「どちらかといえば、行っていない」が25.0%、「まったく行っていない」が17.0%、「常に行っている」が11.3%の順だった。熱中症の予防対策の有無別に分類すると、「行っている」は58%、「行っていない」は42%で、過半数を超える人が予防対策を行っている一方で、対策をしていない人も多く、これからの予防啓発の必要性をうかがわせる結果だった。 質問4で「夏シーズンが終わるまで、マスクの着用をどうするか」(単回答)を聞いたところ、「高温多湿の状況により、マスクの着用有無を使い分ける」が59%、「常にマスクを着用する」が33%、「常にマスクを着用しない」が8%の順だった。回答では状況を勘案して使い分ける人が多かったが、「常にマスクを着用」では、「熱中症経験なし」「20・30代」「男性」「北海道・東北地方」の回答者が多かった。その一方で「常にマスクを着用しない」では、「熱中症経験なし」「20・30代」「男性」「四国・中国・九州地方・沖縄」の回答者が多かったことから、回答に地域差がみられた。 質問5で「汗をかきやすいか」(単回答)を聞いたところ、「どちらかといえば、そう思う」が44.0%、「非常にそう思う」が28.0%、「どちらかといえば、そう思わない」が20.7%、「まったくそう思わない」が7.3%の順だった。汗のかきやすさ有無別に大きく分類すると、「そう思う」は72%、「そう思わない」は28%で回答者の約7割が「汗をかきやすい」と回答していた。 質問6で「夏の時期に毎日1回以上飲むもの」(複数回答)を聞いたところ、「水・ミネラルウォーター」が47.7%、「麦茶」、「緑茶・ウーロン茶など茶系統」が同率で35.7%だった。熱中症の経験が「ある人」と「ない人」の飲みものの主な違いは何かを「ある人」を基準に調べたところ8.5ポイントで「麦茶」、8.0ポイントで「アルコール」だった。「麦茶」は熱中症予防に良いと言われており、熱中症を経験したからこそ、リスク回避(予防)のために回答数が多いものと予想された。 質問7で「夏の生活習慣で、あてはまること」(複数回答)を聞いたところ、「冷たい物や飲み物をとる機会が増える」が63.0%、「入浴はシャワーですませることが多い」が37.0%、「運動不足がちとなる」の30.3%と続いた。なお、熱中症の経験が「ある人」と「ない人」の生活習慣の主な違いは何かを「ある人」を基準に調べたところ、「食欲不振が増える」が10.9ポイント、「シャワーや入浴の温度設定は平均39℃以下」が8.7ポイント、「寝不足・睡眠不足を感じる日が増える」が8.5ポイントの差であった。 質問8で「1年を通して、気圧・気温などの理由で、健康に障害が起りやすくなることがあるか。また、起りやすい月について」(複数回答)を聞いたところ、「なし」が42.3%、「8月」が20.0%、「7月」が18.7%、「6月」が15.7%の順だった。いずれも上位の月が暑い時期に集中し、夏季に健康障害が起りやすい傾向がうかがえた。

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ASCO2022オンデマンド配信中、特設サイトで注目演題レビューを配信

 6月3日~7日(現地時間)まで、世界最大の腫瘍学会であるASCO2022(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催された。会期終了後の現在も、プレナリーセッションを含むほぼすべての演題のスライドと動画がASCOサイトで公開されている。 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」では、ASCO2022のスタートにあわせた特設サイトを公開。会期前にエキスパートから寄せられた「注目演題」を紹介するほか、会期終了後には各演題の結果を受けた追加コメントや、臓器別に結果をまとめたレビュー、ASCOでの発表と同時掲載された論文を紹介する記事などが集まっている。 現在までにアップされているエキスパート医師が解説する、臓器別の注目演題レビューはこちら(リンク先のDoctors’Picksは医師会員限定)。肺がん/国立がん研究センター中央病院・大熊 裕介氏肺がんエキスパート向け/埼玉医科大学国際医療センター・山口 央氏乳がん/国立がん研究センター中央病院・下井 辰徳氏下部消化管/高知大学・佐竹 悠良氏上部消化管/国立がん研究センター中央病院・加藤 健氏 ASCOは次回2023年6月も、シカゴとオンラインのハイブリッド開催が予定されている。

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持続性心房細動、線維化領域のアブレーション追加の有効性は?/JAMA

 持続性心房細動(AF)患者において、遅延造影MRIで検出された心房線維化領域のアブレーション+肺静脈隔離術(PVI)はPVIアブレーションのみと比較し、心房細動の再発に有意差はないことが、米国・テュレーン大学のNassir F. Marrouche氏が行った「DECAAF II試験」で示された。持続性AFに対するアブレーションは依然として困難である。左房の線維化は心房細動の病態生理に重要な役割を演じており、転帰不良と関連していることが示唆されていた。著者は、「今回の結果は、持続性AFの治療におけるMRIガイド下線維化領域のアブレーションの使用を支持しない」とまとめている。JAMA誌2022年6月21日号掲載の報告。遅延造影MRIガイド下線維化領域、アブレーション+PVI vs.PVI単独 DECAAF II試験は、医師主導の多施設共同無作為化臨床試験で、米国、欧州、オーストラリアなど10ヵ国の44施設が参加して行われた。研究グループは、2016年7月~2020年1月の間に、症候性または無症候性持続性AFを有し、初めてAFアブレーションを受ける患者843例を、遅延造影MRIで検出された線維化領域のアブレーション+PVI群(421例)またはPVI単独群(422例)に無作為に割り付け、2021年2月19日まで追跡した。両群ともアブレーション前に遅延造影MRIを行いベースラインの心房線維化を評価し(評価者盲検)、アブレーション後90~180日目に遅延造影MRIでアブレーション後の瘢痕を評価した。 主要評価項目は、アブレーション後90日間のブランキング期間後の初回心房性不整脈再発までの期間とした。安全性に関する主要複合アウトカムは、アブレーション後30日以内の1つ以上のイベント(脳卒中、PV狭窄、出血、心不全、死亡)の発生とした。両群でブランキング期間後の心房性不整脈再発に有意差なし 無作為化された843例(平均年齢62.7歳、女性178例[21.1%])のうち、90日間のブランキング期間を終了し追跡調査が継続された815例(96.9%)が有効性解析対象集団となった。 主要評価項目の心房性不整脈の再発は、線維化領域アブレーション+PVI群で175例(43.0%)、PVI単独群で188例(46.1%)に認められ、両群に有意差はなかった(ハザード比[HR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.77~1.17、p=0.63)。 安全性に関する主要複合イベントの発現は、線維化領域アブレーション+PVI群9例(2.2%)、PVI単独群0であり、前者で有意に高かった(p=0.001)。線維化領域アブレーション+PVI群では6例(1.5%)に虚血性脳卒中が発生したのに対し、PVI単独群では発生の報告はなかった。死亡は線維化領域アブレーション+PVI群で2例報告され、最初の1例は手技と関連している可能性があると判定された。

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妊娠中のコロナワクチン2回接種、生後6ヵ月未満児の入院を半減/NEJM

 妊娠中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチンを2回接種することにより、生後6ヵ月未満の乳児におけるCOVID-19による入院および重症化のリスクが低減することが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのNatasha B. Halasa氏らが実施した検査陰性デザインによる症例対照研究の結果、示された。生後6ヵ月未満児はCOVID-19の合併症のリスクが高いが、ワクチン接種の対象とはならない。妊娠中の母親がCOVID-19ワクチンを接種することで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体が経胎盤移行し、乳児にCOVID-19に対する防御を与える可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2022年6月22日号掲載の報告。COVID-19で入院した乳児とCOVID-19以外で入院した乳児を比較 研究グループは、Overcoming COVID-19ネットワークに登録されている米国22州30の小児病院において、2021年7月1日~2022年3月8日の期間に、SARS-CoV-2のPCR検査陽性または抗原検査陽性でCOVID-19により入院した生後6ヵ月未満の乳児(症例群)、ならびに症例群とマッチさせた(入院日が症例児の入院日の前後4週以内)SARS-CoV-2陰性でCOVID-19以外により入院した乳児(対照群)を特定し、母親のワクチン接種の有効性を解析した。 母親のワクチン接種は、妊娠中にBNT162b2(ファイザー製)またはmRNA-1273(モデルナ製)ワクチンを2回接種していることとした(妊娠前に1回目を接種し妊娠中に2回目を接種した母親は解析対象に含む)。 試験期間全体、B.1.617.2(デルタ)変異株の流行期(2021年7月1日~12月18日)およびB.1.1.259(オミクロン)変異株の流行期(2021年12月19日~2022年3月8日)に分け、乳児のCOVID-19による入院に対する母親のワクチン接種の有効性について、母親のワクチン接種のオッズ比を症例群と対照群とで比較することにより推定した。妊娠中のワクチン2回接種完了、乳児のCOVID-19入院に対する有効率は試験期間全体で52% 解析対象は、症例群537例(デルタ期181例、オミクロン期356例)、対照群512例(両群とも月齢中央値は2ヵ月)。妊娠中にワクチン2回接種を完了した母親から生まれた乳児は、症例群で16%(87/537例)、対照群で29%(147/512例)であった。 症例群では、113例(21%)がICUで治療を受け、そのうち64例(12%)は人工呼吸器装着または血管作動薬の投与を受けた。2例がCOVID-19により死亡したが、2例とも母親は妊娠中にワクチン接種を受けていなかった。 乳児のCOVID-19による入院に対する母親のワクチン接種の有効性は、試験期間全体で52%(95%信頼区間[CI]:33~65)、デルタ期で80%(95%CI:60~90)、オミクロン期で38%(95%CI:8~58)であった。母親のワクチン接種が妊娠20週以降に行われた場合の有効性は69%(95%CI:50~80)、妊娠初期(20週以前)の場合は38%(95%CI:3~60)であった。

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「エアコン28℃設定」にこだわらないで!医師が患者に伝えたい熱中症対策

 日本救急医学会は熱中症予防の注意喚起を行うべく6月28日に緊急記者会見を実施した。今回、熱中症および低体温症に関する委員会の委員長を務める横堀 將司氏(日本医科大学大学院医学研究科 救急医学分野教授)らが2020年に発刊された「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」に記された5つの提言を踏まえ、適切なエアコンの温度設定の考え方などについて情報提供した。クールビズと節電が苦しめる“エアコンの温度調節” 人間の身体が暑さに慣れるのには数日から約2週間を要する。これを暑熱順化と言うが、身体が暑さに慣れる前に猛暑日が到来すると暑熱順化できていない人々の熱中症リスクが高まる。今年は6月27日に関東甲信・東海・九州南部で梅雨明けが宣言され、しばらく猛暑日が続くと言われ、横堀氏は「身体が暑さに慣れていない今が一番危険」だと話した。 そんな日本にさらなる追い打ちをかけるのが電力不足であり、“エアコンの温度設定は〇〇℃にしないといけない”“エアコンではなく扇風機を使う”といった話題がワイドショーでもちきりだ。これに同氏は「『エアコンを28℃に設定しましょう』と言うけれど、それはクールビズの視点であり、室温を28℃設定にしても快適に過ごせるような軽装や取り組みを促すためのもの。エアコンを28℃に設定することを推奨するものではない」と指摘。また、全国の熱中症の48%が屋内で発症していること、発症者の半数以上が体温調節機能の低下している高齢者であることから、「エアコンの節電は後回しに」するよう訴えた。 また、近年では、環境省が発表している暑さ指数(WBGT)*や熱中症警戒アラート**が熱中症対策にも有用で、テレビの情報番組でも紹介されるようになっているので、「それに基づいて外出の判断をしたり、暑熱順化の期間は無理をしないように体調管理をしたりして欲しい」と話した。*暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標。日常生活に関する指針の場合、31以上は危険、28~31未満は厳重警戒で「すべての生活活動でおこる危険性」に該当。**熱中症の危険性が極めて高くなると予測された際に、危険な暑さへの注意を呼びかけ、熱中症予防行動をとるよう促すための情報で、環境省と気象庁が発信。 さらに、コロナ禍ではこれまでの熱中症対策以外の問題も生じるため、2020年に「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」を日本救急医学会ほか3学会合同で発表している。これには予防のための5つの提言(1:換気と室内温度、2:マスクと水分摂取、3:暑熱順化、4:熱中症弱者への対応、5:日頃の体調管理)が記載されており、同氏はこれを踏まえ「家庭用エアコンには換気機能がないものが多いため、部屋の窓を風の流れができるようにし、毎時2回以上は開放(数分程度/回)して換気を確保1)すること。ただし、頻回に窓を開けることで室温が上昇するため、すだれやレースカーテンなどで直射日光の照射を避け、部屋の温度をこまめに確認して欲しい」とコメントした。マスク着用習慣、熱中症への影響は? 厚生労働省でもマスク着脱のタイミングを公表しているが、日本では屋外でのマスク不要論がなかなか浸透しないのが現状である。しかし、マスクをしていると熱中症リスクも上がるのではという問題もある。これについてガイドライン編集委員長の神田 潤氏(帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター)は、「多数の論文をレビューして検討しているが、マスク着用により熱中症の発症が増えたという報告は現時点ではない。しかし、マスク着用が熱中症リスクになる可能性はあるため、人混みの中ではマスクを着用し、屋外で運動を行う際はマスクを外すなどのメリハリのある行動が良い」と説明した。熱中症という災害の再来か 今年5月時点ですでに全国の熱中症による救急搬送患者は前年を約1,000人も上回る2,668人に上り、東京・大阪・福岡などの都心部では前年の約2倍もの人が発症している。コロナ流行前の2018年にも同様の気候条件で、日本救急医学会が緊急宣言を発令するほどの災害レベルの酷暑が続き全国の熱中症による死者数が1,288人に上った。今夏はそれに匹敵もしくは上回る可能性も指摘されており、「医療者から患者への啓発も重要」と横堀氏らは訴える。熱中症リスクの高い熱中症弱者には高齢者はもちろんのこと、「既往歴や経済状況なども視野に入れて注意すべきなので見逃さないで欲しい」と同氏は強調した。<熱中症弱者>・既往歴:高血圧症(利尿薬を服用者[脱水を招く]、降圧薬[心機能抑制]、糖尿病[尿糖による多尿])、脳卒中後遺症を有する者、認知症患者[対応しない/できない]・日常生活にハンディキャップを有する者(活動性が低く暑熱順化が不十分)、独居・経済的弱者(エアコン設置なし、電気代の支払い、悪い住居環境、低栄養状態) 日本救急医学会では医療者向けに、判定が難しかった熱中症の重症度を正確化する重症度予測スコアを救急搬送トリアージアプリ『Join Triage』に組み込んだ熱中症応急処置・診断支援アプリを開発しHP上に公開しているほか、前述で紹介した「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き」の作成や熱中症の実態調査を2005年より報告しているので、それらが診療時の一助になるのではないだろうか。

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高齢または中等度リスクAS患者のTAVIとSAVRの比較(解説:上妻謙氏)

 重症大動脈弁狭窄症(AS)に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は、低侵襲かつ有効な治療のため世界中で外科手術(Surgical AVR=SAVR)との無作為試験が行われ、手術高リスクのみならず低リスクの患者においても明確な安全性を示し、ほとんどすべてのAS単独手術患者に関して標準的な医療となってきた。そういった無作為試験はメーカー主導で行われたものと医師主導で行われたものがあるが、本論文は英国の34施設で行われたNYHA class II 以上の重症大動脈弁狭窄症を登録して行われた医師主導の試験である1)。 重症ASの基準は一般的なもので、80歳以上またはハートチームディスカッションで外科手術が中等度以上のリスクと考えられる70歳以上の患者を対象としている。人工弁はCEマークを取得しているものは何でもよく、SAPIEN 、SAPIEN XT、3とバルーン拡張型デバイスが半数強で、残りが自己拡張型デバイスであるCore Valve、Evolut-RまたはEvolut-Pro、Lotus、Symetis Accurate (Neo)、わずかではあるがDirect Flow MedicalやPorticoなども使用された。外科弁も標準的なエドワーズ、セントジュードメディカルの生体弁がほとんどの症例で使用された。プライマリーエンドポイントは1年の全死因死亡率で、非劣性検定のデザインで、1年のSAVRの死亡率が15%という2004~08年の英国データベースのデータに基づき、非劣性マージンが7.5%、検出力は80%で計算された。当初は808例と計算されていたが、中間解析で死亡率が7.5%と低下しており、890例と再計算された。 2014年4月から5年間かけて1,357例が対象となったうちの913例が登録され、ランダマイズされた。さらに無作為化されてからSAVR群のうち17例がTAVIへクロスオーバーし、19例が治療を受けず、それぞれ5例と3例であったTAVI群とくらべて治療を全うできた症例がだいぶ少なくなり、侵襲の大きく異なる治療のランダマイズのためエントリーとSAVR群においてその治療法の遂行に苦労したことが伺える。ITT解析だとTAVI群458例、SAVR群455例と均等だが、per-protocol解析では450例と416例とだいぶ差がついた。患者の年齢の中央値は81歳と高齢であったが、STSスコアの中央値は2.6~2.7と低く、低リスク患者が多かったことが伺える。フォローアップは99.9%で行われ、1年の死亡率はTAVI群4.6%、SAVR群6.6%と非劣性をp<0.001で達成した。優越性検定をするデザインとはなっていないが、数値的にはTAVIの方がSAVRに比べ死亡率が低い傾向がある。他のイベントの頻度をみると1年のイベント発生率はstrokeがTAVI群で5.2%とSAVR群2.6%に比べ高い傾向となり、ペースメーカー植え込みが14.2%と7.3%、血管合併症が10.3%と2.4%とTAVI群で有意に多かった。しかし大出血は20.2% vs.7.2%でSAVRが多くなった。 このスタディ結果は、他のTAVIに関する臨床試験と同様にSAVRに比べて安全性が劣ることがないことを証明しており、低リスク~中等度リスクの患者においてTAVIに対する安全性のエビデンスがより盤石となったといえる。すでに低リスク患者に対するTAVIとSAVRの無作為試験は本試験以外に4つpublishされており、メタ解析を行うと全死因死亡、心臓死ともに有意にTAVIの方が低いことが示されている2)。すべての手術リスクを含めた無作為試験のメタ解析でも、どの手術リスクにおいてもTAVIの方がSAVRよりも死亡率が低いことが示された3)。ASに対する生体弁を使用する単独手術であれば、TAVIが可能な患者については第1選択をTAVIとすべき時代になったといえる。今後はこのような無作為試験は倫理的に許されなくなったと考えられる。

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認知症と犯罪【コロナ時代の認知症診療】第16回

老年医学の名著「最不適者の生き残り」「よもぎ」は雑草と思われがちだが、実はハーブの女王とも呼ばれる。国内のいたるところで見られ、若芽は食用として餅に入れられることから、餅草とも呼ばれる。筆者にとってよもぎが、馴染みの深いのも実はこの餅にある。子供の頃、祖母に言われて道端のよもぎを摘んできて、よもぎ餅を一緒に作った記憶がある。この話を生物学に造詣の深いシステムエンジニアにした。にんまりと笑って言うには、子供の頃に私が摘んだものは道端の犬の小水がかかった汚いものだった可能性が高いと言う。「どうしてか? を観察すると散歩が楽しくなるかも」といった。そして分布ぶりから植物の生存競争の一端がわかるからと加えた。確かに色々な観察をした。最も記憶に残ったのは、背丈はたかだか1m以内とされるのに2mを超えるよもぎがあることだ。それらには共通性がある。ネット状フェンスや金属の柵にぴったり沿って生えていることだ。高い丈は子孫を伝えていく上で花粉が広く飛散しやすく有利だ。生物の生存競争では、最も環境に適した形質をもつ個体が生き残るとしたダーウィンの「適者生存」の法則が有名だ。よもぎの成長にとって重要な日光だが、フェンスや柵に寄り添ったよもぎは日陰に覆われる時なく十二分に太陽の光を浴びられる。もっと大切なのは風雨でも支えてもらえることだろう。さて「適者生存」と聞くと思い出すのが、“Survival of the unfittest”(最不適者生存の生き残り)1)という書である。これはイギリス老年医学の黎明期1972年にアイザック医師によってなされた著作である。私はこの書が出てから、10余年の後に留学先の図書館で読んだ。隅々まで頭にしみて、老年医学・医療が生まれた背景を理解できた気になれた。さまざまな背景により、高齢に至って多くのハンディキャップを背負った人がいかに生きていくか?そこで医者は何ができるかを問うた名著として読んだ。「生老病死」の「老」についての宗教観さえ感じた。初版時から50年以上が経過したが、その内容は日本における現状との違和感がない。それも残念だが…。ピック病とは限らない? 高齢者犯罪と疾患先頃、ある区役所の職員に連れ添われて60代初めの身寄りのない女性が来院した。記憶力はそう悪くないし、若い頃には窃盗歴などなかったのに、数ヵ月の間に万引きを重ね反省の色もなくおかしい。認知症があるのではないか調べて欲しいという。すぐにピック病を疑い、精査の結果でもピック病と確認した。1年に数人はこうした犯罪絡みの受診がある。認知症の犯罪となるとピック病と誰もが連想する。けれども、当院での経験では、意外なほどレビー小体型認知症が多い。この病気における意識・注意の変動や、てんかんの合併しやすさ、また認知機能の統合能低下などもあるのではないかと考えている。また認知症と並んで複雑部分発作などてんかん性の疾患が多い。裁判官にわかってもらう難しさ中には複数の犯罪を重ねて刑事裁判に至るケースもある。そこで意見書を求められると、「かくかくの認知症疾患があり、犯行当時の責任能力に影響を及ぼしたと推測される症状があったと考える」と書くことが多い。重度の認知症であれば、裁判官も本人と面接して、「ああこれでは」と思ってくれる。しかし軽度認知障害から軽度の認知症、それも前頭側頭型認知症だと難しい。というのは裁判官の世界では、精神神経疾患の犯罪とくると、統合失調症における放火や殺人事件に対する責任能力という古典的な命題が今も中核になっているのではと思えるからである。当方のケースは、統合失調症による幻覚や妄想に支配されてやってしまったかと分かるというレベルではない。長谷川式やMMSEは20点以上が多いから、裁判所における質問への理解力や発言、態度には不自然さがない。だから裁判官が私に向ける視線には、「これでも責任能力がないのですか?」と言いたげな気持ちがこもっている。8.5%で認知症性疾患罹患中に犯罪歴認知症患者における犯罪実態の系統的報告がある2)。研究対象は1999~2012年の間に認知症と診断され、米国の記憶・加齢センターで診察された2,397人の認知症患者である。米国、オーストラリア、スウェーデンの専門家により認知症性疾患と犯罪の関係が回顧的に調査された。全対象のうちの8.5%に認知症性疾患罹患中に犯罪歴があった。2,397人中の545人を占めたアルツハイマー病では犯罪率は7.4%であったのに対し、171人と総数では少ない前頭側頭型認知症における犯罪率は37.4%であった。この数字は本研究で調査対象となった5つの認知症性疾患の中で最多であった。この本報告は従来の小報告の結果を確認したと言える。さて米国における認知症の人の裁判状況は、私の経験とあまり違わないもののように思われる。と言うのは、本研究の結論として、「中年期以降に変性性の疾患と診断され、従来のその人らしさを失ってしまった患者に遭遇した医師は、その人が法的処罰の対象にならないように擁護に尽力すべきだ」と強調しているからである。終わりに。最近の生物界では、「適者生存」でなく「運者生存」が正しいとされるそうだ。フェンスの横におちたよもぎの種子は、まさにそれだろう。件の連続万引きの独居女性は、この事件のおかげで認知症がわかり、役所から手厚い支援が差し伸べられるようになったばかりか、不起訴にもなった。ある意味、幸運であった彼女は、“Survival of the unfittest”を実現したかなと考える。参考1)B. Isaacs, et al. Survival of the Unfittest: A Study of Geriatric Patients in Glasgow. Routledge and K. Paul;1972.2)Liljegren M, et al. JAMA Neurol. 2015 Mar;72:295-300.

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第115回 医師不足の新潟県に大打撃!研修時間水増し発覚で新潟大教授に指導医資格停止処分

日医新会長決まる、変革への意気込みが希薄だった所信表明こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。6月25日、日本医師会の会長選が行われ、常任理事だった松本 吉郎氏(埼玉県)が新会長に決まりました。中川 俊男前会長を公然と批判して話題となった松原 謙二氏(大阪府)との一騎打ちでしたが、有効投票数376票中、松本氏は310票、松原氏は64票(無効1票、白票1票)でした。一方、4人が立候補し、激しい選挙戦となった副会長選は茂松 茂人氏(大阪府)、猪口 雄二氏(東京都)、角田 徹氏(東京都)の3人が選出され、今村 聡氏(東京都)は落選となりました。松原氏、今村氏はともに中川前会長の下で副会長を務めていました。言うならば「トップ3」が去ることになったわけで、今更ながら伏魔殿・日本医師会の怖さを実感した次第です。新会長の松本氏は26日に開かれた臨時代議員会で所信を表明しましたが、これまでのコロナ対応や、かかりつけ医制度化の議論に関してその認識の甘さが少々気になりました。コロナ対応については、「医療現場はまさにぎりぎりの状態で逼迫しつつも、しっかりと患者さんを守ってまいりました。その結果、 G7 をはじめ世界的に見ても、人口当たりの新規感染者数や死亡者数は少なく、入院患者数も他国に引けをとらないなど、高水準の対応をしてまいりました」と、感染拡大時に問題視された診療所等、民間医療機関の対応のまずさにはほとんど触れませんでした。また、先週この連載で書いた、有事の病床確保のための協定についても、「公立・公的医療機関における協定を締結する義務については、行政との十分な協議・連携に基づいて実施されるのだろうと思います。他方、民間医療機関については地域ごとに医療機関それぞれの役割があります。地域の実情に応じ、医療機関の設備やスタッフの数等その機能を十分理解した上で、行政との協議を行い、協定の締結を含めて対応していただくことになると考えています。万一、医療機関が担える役割を超えるような協議が行われるような場合には、協定が結ばれる前に日本医師会に相談していただければ対応していく所存です」と、民間医療機関は逃げ腰で大丈夫と言っているように聞こえました。かねてから話題になっているかかりつけ医の制度化については、「政府与党の中から、財政再建を重視する立場からも特に厳しい意見が出されてくることが見込まれます」との認識を示しつつも、「かかりつけ医機能を発揮することは重要ですが、フリーアクセスが制限されるような制度化については阻止し、必要なときに適切な医療にアクセスできる現在の仕組みを守るよう、会内でしっかりと議論のうえ主張してまいる所存です。かかりつけ医はあくまで患者さんが選ぶものです。そして、かかりつけ医の機能を強化して、発揮しやすいような形にしていくことは大事だと思っています」と、中川前会長時代とほぼ変わらない主張を述べるに留まりました。「日本医師会の役割は、『国民の健康と生命を守る』ことだと考えております」と所信表明の冒頭で話した割には、そのための変化や変革に向けての覚悟は感じられませんでした。内紛が起きようが、執行部が変わろうが、日本医師会はやはり、何も変わらないのかもしれません……。さて、今回は6月11日の朝日新聞報道で明らかになった、新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科のT教授による、研修時間の不正申告事件について書いてみたいと思います。研修時間不正申告、研修医9人内科専門医試験を受験できず朝日新聞や新潟日報などの報道によれば、T教授は2021年2月、研修医9人に対し、本来は算入できない大学院での研究や当直勤務の時間を研修時間として不正に申告させ、内科専門医の試験を受けるよう指示していたとのことです。このことが昨年3月、日本内科学会への匿名の告発で発覚、日本内科学会は「指導する教授が不正を促し、制度への不信を招く重い事案だ」として昨年12月、T教授を3年間の指導医資格停止処分としました。また、同大病院の研修プログラムを統括していた別の医学部教授も半年間の指導医資格停止となりました。なお、研修医9人は要件を満たさず、内科専門医の試験を受験できませんでした。合格率94.4%の試験、受ければ受かっていた専門医は日本専門医機構が認定する制度です。従来は各学会が個別に認定していましたが、2018年度から第三者機関である同機構が基準を設け、統一して認定する新制度に移行しました。9人は新制度の認定対象となる初めての年次でした。内科専門医の認定を受けるには、医師免許取得後、2年間の初期研修と3年間の後期研修(常勤医が基本、週31時間以上で3年間、日宿直は研修時間と認められず)が必要です。しかし、新潟大消化器内科では、T教授の意向で後期研修の3年目は大学病院で月1回の日宿直だけを行い、ほかは研究に充てさせていたとのことです。研修医が昨年1月、受験用のシステムに実績を入力する際に時間不足が判明。この時、T教授が実態のない研修時間を水増しして申告するよう指示したとのことです。新潟日報の報道では、不安を抱えながら水増し申請した研修医がいた一方で、不正にかかわることを避けるため試験に申し込まなかった研修医もいたとのことです。ちなみに、2021年に行われた第1回内科専門医試験の合格率は、94.4%(合格者1,856名/受験者1,965名)でした。要件を満たして受けていればほぼ受かっていたわけで、9人プラスアルファの研修医たちは、T教授のせいで貴重な1年を棒に振ったとも言えるでしょう。さらに、今後の医局内での立ち位置も心配です。「悪質性の有無は、教授本人が一番わかっているはず」と内科学会新潟大の調査に対し、T教授は「新制度を正しく理解していなかった」と弁明したとのことですが、認定試験に必要な研修時間の不足していることは、消化器内科の医局内で2020年2月に把握されており、この時、新潟大は日本内科学会に問い合わせと確認を行っています。しかし、確認後もT教授は大学院生としての研究と大学病院での日宿直も研修時間として認定されると勝手に判断し、同年4月以降も研修体制を改めようとしませんでした。新潟日報の報道では、日本内科学会の担当者は「悪質性の有無は、教授本人が一番わかっているはず。問題の本質は消化器内科の指導体制にある」とコメントしたそうです。新潟大のプログラムの評判が下がれば地域の医師供給に支障もしかしなぜ、T教授は後期研修3年目の医師を、常勤の仕事ではなく、月1回の大学病院での日宿直のほかは、研究に充てさせていたのでしょう。何か研修医に任せなければならない実験や作業があったのでしょうか。そのあたりは謎のままですが、確かなのは、この事件によって新潟大の研修プログラムの評判が一気に下がってしまっただろうということです。新潟県自体が深刻な医師不足と言われている中、新潟県の臨床研修の中核とも言うべき新潟大の不祥事は、今後同県の医師供給に大きな影響を及ぼすかもしれません。ちなみに、2021年10月に公表された2021年度(2022年度研修開始)の医師臨床研修マッチング(初期研修)の結果では、新潟大学医歯学総合病院は募集定員45人に対しマッチ者20人で充足率44.4%。うち自大学出身者は10人(50%)でした。2020年度も募集定員60人に対しマッチ者13人(21.7%)と低調でした。初期研修プログラムの人気も今ひとつの中で起きた今回の不祥事、後期研修先を選ぼうと考える初期研修医には、相当なマイナスイメージが植え付けられたに違いありません。新潟大は今年2月、再発防止策をまとめ、研修プログラムを各診療科任せにせず、他の診療科の医師も関わるなどチェック体制の強化に取り組んでいるとのことです。ただ、新潟大で後期研修を受けようという研修医の信頼を取り戻すには、T教授に指導を受けていた研修医がその後どうなったかについても、ある程度の情報開示が必要だと思いますが、皆さんはどう思われますか。

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転移を有する無症状の結腸がんに対する化学療法前の原発巣切除の効果/ASCO2022

 転移巣切除不能で原発巣切除可能なStage IVの結腸がん患者に対し、化学療法実施前に原発巣を切除しても、全生存期間(OS)の延長は認められないことが無作為化比較試験の結果から示された。ドイツ・ハイデルベルグ大学のNuh N. Rahbari氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。 切除不能の遠隔臓器転移を有するStage IV大腸がんで、原発巣に起因する症状がない症例において、化学療法前の原発巣切除が生存率をさらに高めるかは、議論の余地が残る。同試験は、化学療法前の原発巣切除の効果を、化学療法のみと比較する多施設共同無作為化試験として実施された。・対象:切除不能な転移巣があり原発巣は切除可能な無症状のStage IV結腸がん(393例)・試験群:化学療法前に原発巣切除を実施(PTR-CTx群、187例)・対照群:化学療法のみ(CTx群、206例)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]局所腫瘍症状が現れるまでの時間(CTx群)、周術期の罹患および死亡率(PTR-CTx群)、化学療法の実施状況、有害事象(AE)など 主な結果は以下のとおり。・両群とも右側がんが45%前後、転移巣は95%が肝臓、転移部位数は1ヵ所が60%前後を占めた。・ITT解析におけるOS中央値はPTR-CTx群16.7ヵ月、CTx群18.6%であり、両群間に有意な差は示されなかった(ハザード比[HR]:0.946、95%CI:0.740~1.209、p=0.658)。・PTR-CTx群の24.1%、CTx群の6.4%では化学療法が投与されなかった。・Cox回帰分析では、化学療法投与なし(HR:5.32、95%CI:3.55~8.00、p<0.001)、高齢(HR:1.013、95%CI:1.001~1.026、p=0.033)がOSの不良因子であった。・重篤なAE(術後合併症を除く)の発現はPTR-CTx群10.2%、CTx群18.0%で両群間に差はなかったが、消化管関連の重篤なAEに関してはそれぞれ4.8%、10.7%であり、CTx群で有意に高い発現率を示していた(p=0.031)。

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感染2年後も55%がlong COVID~武漢の縦断コホート研究

 COVID-19の流行が続く中、COVID-19から回復した人のかなりの割合が、複数の臓器やシステムに長期的な影響を受けていることを示すエビデンスが増えている。初期にCOVID-19が流行した中国において、2年にわたって既感染者の健康状態を調べた研究結果がLancet Respiratory Medicine誌オンライン版2022年5月11日号に掲載された。 2020年1月7日~5月29日にCOVID-19によってJin Yin-tan Hospital(中国・武漢)に入退院した人を対象に縦断コホート研究を実施。症状発現後6ヵ月(2020年6月16日~9月3日)、12ヵ月(2020年12月16日~2021年2月7日)、2年(2021年11月16日~2022年1月10日)時点の健康状態を、6分間歩行距離(6MWD)検査、臨床検査、退院後の症状、メンタルヘルス、健康関連QOL、職場復帰、医療利用に関する一連の質問票を使用して測定した。各インタビュー時には肺機能検査と胸部画像診断を行った。 年齢、性別、合併症をマッチさせたCOVID-19非感染者(対照群)と比較し、試験群の2年後の回復状態を調べた。主要評価項目は、症状、mMRC呼吸困難尺度、健康関連QOL(HRQoL)、6MWD、職場復帰状況で、3回のフォローアップすべてに参加した人を対象に評価した。症状、mMRC呼吸困難尺度、HRQoLは対照群でも評価した。 主な結果は以下のとおり。・1,192例が3回のフォローアップを完了し、最終解析に含まれた。うち1,119例(94%)が2年後の対面インタビューに参加した。・退院時の年齢中央値は57.0(48.0~65.0)歳、551例(46%)が女性だった。症状発現後の追跡期間の中央値は、6ヵ月目が185(IQR:175~197)日、12ヵ月目が349(337~360)日、2年目が685(675~698)日だった。・少なくとも1つのlong COVID症状を持っていたのは、6ヵ月時点で777/1,149例(68%)から、2年時点で650/1,190例(55%)へと有意に減少した(p<0.0001)。疲労または筋力低下が最も多くみられた。・mMRCスコアが1以上だった人の割合は、6ヵ月時点で288/1,104例(26%)から、2年時点で168/1,191例(14%)へと有意に減少した(p<0.0001)。・HRQoLはほぼ全領域で改善を続け、とくに不安やうつ病の症状を持つ人の割合は、6ヵ月時点の256/1,105例(23%)から、2年時点で143/1,191例(12%)へと大きく減少した(p<0.0001)。・感染前に仕事に就いていた人のうち、2年後に元の仕事に復帰していたのは438/494例(89%)だった。・2年時点でlong COVID の症状が見られた参加者は、そうでない参加者に比べ、退院後のHRQoL低下、運動能力低下、メンタルヘルス異常の増加、医療利用の増加がみられた。・試験群は対照群に比べ、2年後においても、より多くの有病率、疼痛または不快感、不安またはうつ病の問題を有していた。・試験群のうち、入院中に高次の呼吸補助を受けていた人は対照群に比べ、肺拡散障害(65%対36%、p=0.0009)、残気量減少(62%対20%、p<0.0001)、総肺気量減少(39%対6%、p<0.0001)などが有意に多くみられた。 著者らは「初期の重症度にかかわらず、HRQoL、運動能力、精神衛生状態は2年間を通して改善し続けたが、約半数は2年後もlong COVIDが残っていた。long COVIDの要因をさらに研究し、症状を管理または緩和する治療の研究が必要だ」としている。

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思春期ADHDにおける物質使用障害の性差

 性差が精神疾患の病因および経過に重大な影響を及ぼすことは、脳解剖学、脳活動パターン研究、神経化学などのエビデンスで示されている。しかし、メンタルヘルス分野での性差に関する研究は十分ではない。スペイン・Universidad Cardenal Herrera-CEUのFrancisca Castellano-Garcia氏らは、物質使用障害(SUD)、有病率、薬物療法、メンタルヘルスの観点から、注意欠如多動症(ADHD)と診断された13~18歳の思春期患者における性差について検討を行った。その結果、思春期のADHDにおいて女性は男性よりも診断・治療が十分でない可能性があり、将来のさまざまな問題を予防するためにも、とくに思春期女性に対するADHDの早期診断は重要であることが示唆された。Brain Sciences誌2022年5月2日号の報告。 ADHDの診断にはDSM-IV、DSM-IV-TR、DSM-V基準を用いた。PubMed、Web of Science、Scopusより検索された21文献のナラティブレビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・思春期のADHDにおいて、女性は男性よりも物質使用のリスクが高いが、併存疾患の有病率についてのコンセンサスは得られなかった。・ADHD女性は、不注意症状が多く秩序破壊的行動が少ないため、診断が十分ではなく治療頻度も低かった。・ADHD女性では、認知機能および実行機能の低下が悪化することにより、とくに自傷行為の観点から物質使用の増加および機能低下を来している可能性がある。・ADHDの早期診断は、とくに思春期女性において重要であり、物質使用、SUDの進展、自殺行動の早期予防に不可欠である。

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ICUでのビタミンC投与は敗血症に有効か/NEJM

 敗血症では、ビタミンC投与による抗酸化作用が酸化ストレスによる組織障害を軽減すると考えられているが、集中治療室(ICU)で昇圧薬治療を受けている敗血症の成人患者への、ビタミンC静脈内投与を評価した先行研究の結果は、相反するものだという。カナダ・シャーブルック大学のFrancois Lamontagne氏らは今回「LOVIT試験」において、ICUでの敗血症患者へのビタミンC投与はプラセボと比較して、28日の時点での死亡または持続的な臓器障害のリスクが有意に高いという、予想外の結果を確認した。研究の詳細は、NEJM誌2022年6月23日号で報告された。3ヵ国35のICUで、プラセボ対照無作為化第III相試験 LOVIT試験は、ICUで昇圧薬治療を受けている敗血症の成人患者への高用量ビタミンC投与の有効性の評価を目的とする多施設共同プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2018年11月~2021年7月の期間に、3ヵ国(カナダ、フランス、ニュージーランド)の35ヵ所のICUで参加者の登録が行われた(カナダ・Lotte and John Hecht記念財団の助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、ICU入室から24時間以内で、主診断として感染症が証明または疑われ、昇圧薬の投与を受けている患者であった。被験者は、最長96時間にわたり6時間ごとに1回30~60分でビタミンC(50mg/kg)またはプラセボの静脈内投与を受ける群(すなわち200mg/kg/日、最大16回)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、28日の時点における死亡または持続的な臓器障害(昇圧薬、侵襲的人工呼吸器、腎代替療法の使用と定義)の複合とされた。主要アウトカム:44.5% vs.38.5% 863例が主解析の対象となり、ビタミンC群が429例(平均[±SD]年齢65.0±14.0歳、女性35.2%)、プラセボ群は434例(同意前に無作為化され、同意前に死亡した1例を除く433例で、65.2±13.8歳、40.0%)であった。全体の96.7%の患者が、予定された用量の90%以上の投与を受け、入室期間中央値は6日(IQR:3~12)、入院期間中央値は16日(IQR:8~32)だった。ICU入室中に併用された介入や生命維持療法の使用状況や期間は両群で同程度であった。 試験開始から28日の時点での複合アウトカム(死亡または持続的な臓器障害)の発現は、ビタミンC群が429例中191例(44.5%)で認められ、プラセボ群の434例中167例(38.5%)と比較して、リスクが有意に高かった(リスク比:1.21、95%信頼区間[CI]:1.04~1.40、p=0.01)。 複合アウトカムの個々の構成要素については、28日時点の死亡はビタミンC群が429例中152例(35.4%)、プラセボ群は434例中137例(31.6%)で発生し(リスク比:1.17、95%CI:0.98~1.40)、持続的な臓器障害はそれぞれ429例中39例(9.1%)および434例中30例(6.9%)でみられた(リスク比:1.30、95%CI:0.83~2.05)。 また、臓器障害スコア、バイオマーカー(組織低酸素症、炎症、血管内皮細胞傷害)、6ヵ月生存率、健康関連の生活の質(6ヵ月時のEQ-5D-5Lスコア)、ステージ3の急性腎障害、低血糖の発現に関しては、両群でほぼ同様であった。 事前に規定された安全性のアウトカムに、重大な群間差はなかった。有害事象は、ビタミンC群で4件、プラセボ群で1件みられた。ビタミンC群では、重篤なアナフィラキシーと重症低血糖が1例ずつ発現した。 著者は、「これらは予想外の知見であり、7日目までに測定された5つのバイオマーカーの評価を含む2次解析では、有害性について推定されるメカニズムは確認されなかった」としている。

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転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対するPSMA標的治療薬ルテチウム-177はPFSを延長(TheraP)/ASCO2022

 転移を有するドセタキセル既治療の去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的としたルテチウム177(Lu-PSMA-617)は、カバジタキセルと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのMichael Hofman氏から発表された。PSMA標的治療薬のLuPSMA群でPFSの有意な延長 今回のPSMA標的治療薬の効果の発表は、オーストラリアで実施されたオープンラベルの無作為化比較第II相TheraP試験の生存に関する解析結果である。・対象:ドセタキセル治療後に病勢進行を来したmCRPC症例200例(PETでPSMA高発現であり、同一の病変部位でFDG-PET陽性だがPSMA陰性といった不一致がない症例)・試験群:PSMA標的治療薬Lu-PSMA-617を6週間ごと6サイクル投与(LuPSMA群:99例)・対照群:カバジタキセル20mg/m2を3週間ごと10サイクル投与(Caba群:101例)・評価項目:[主要評価項目] PSA奏効率[副次的評価項目] PFS、奏効率、安全性など 転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対するPSMA標的治療薬の効果を解析した主な結果は下記のとおり。・既報では、PSA奏効率はLuPSMA群66%対Caba群37%、奏効率は49%対24%、Grade3/4の有害事象は33%対53%といずれもLuPSMA群で良好な結果となっていた。・データカットオフ2020年12月時点でのPFSは、ハザード比(HR)は0.62(95%信頼区間[CI]:0.45~0.85)、p=0.0028と、LuPSMA群で有意な延長が見られた。・データカットオフ2021年12月時点、観察期間中央値36ヵ月でのOSは、HR0.97(95%CI:0.70~1.4)、p=0.99と両群間に有意な差は認められなかった。・LuPSMA群の後治療には32%にカバジタキセルが、Caba群の後治療では20%にLu-PSMA-617が投与されていた。・画像診断のスクリーニング時にPSMA低発現などで除外された症例61例を加えて、探索的にOSを検討したが、除外症例群は試験登録群に比し、予後不良であった。・観察期間中央値3年時点においても、新たな安全性の懸念は出てこなかった。 演者は「Lu-PSMA-617は、カバジタキセルと同等のOSを示し、かつPSA奏功率、PFS、安全性ではカバジタキセルより優れる治療法である。」と結んだ。

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