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dMMR大腸がん術前療法としてニボルマブとイピリムマブの併用が有用な可能性(NICHE-2)/ESMO2022

 DNAミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の大腸がんに対する術前療法としてのニボルマブ・イピリムマブ併用療法の有用性が、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMyriam Chalabi氏から、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表された。 2020年にNICHE-1試験において両剤併用の術前療法としての有用性は報告されている。今回は同様にオランダ国内で実施されたNICHE-2試験の結果も統合しての解析結果発表である。・対象:他臓器転移のないdMMR大腸がん(T3以上またはN+)(112例)・試験群:ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kgを1回投与、その2週間後にニボルマブ3mg/kgを1回投与初回投薬から6週以内に手術を施行・評価項目:[主要評価項目]安全性、忍容性、3年無病生存率(DFS)[副次評価項目]病理学的効果、ctDNA解析など病理学的奏効率(pRR:原発巣の残存腫瘍が50%以下)、主要病理学的奏効率(mPR:原発巣の残存腫瘍が10%以下)、病理学的完全奏効率(pCR:原発巣とリンパ節の両方共に残存腫瘍が0%) 主な結果は以下のとおり。・NICHE-1試験からの32例とNICHE-2試験からの80験の全症例が安全性解析の対象となり、5例が除かれた107例が有効性判定に用いられた。・症例背景は、年齢中央値が60歳、病期分類は高リスクIII期が74%であった。高リスクの内訳はT4aが35%、T4bが28%、N2が62%、T4かつN2だったのが48%だった。・免疫関連性有害事象については61%の症例に認められ、Grade3以上の事象は膵臓機能障害、肝炎、筋炎、皮膚障害などで4%に発現した。・全症例で中央値5.4週間以内にR0切除術が施行された。・各奏効率はpRRが99%、mPRが95%、pCRは67%と高率であった。とくにリンチ症候群症例ではpCRが78%であった。・14例で術後化学療法が追加され、追跡期間中央値13.1ヵ月時点で、1例も再発の報告は無かった。 演者は「dMMR大腸がんに対する術前の免疫チェックポイント阻害薬の使用は、今後の標準治療となる可能性を示した」と結んだ。

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乳房温存手術後の遠隔再発と局所再発を最小にするマージンを検討/BMJ

 早期浸潤性乳がんの乳房温存手術においてマージン状態が遠隔再発と関連するかどうか、また局所再発リスクと遠隔再発リスクの両方を最小にするために必要なマージンについて、英国・リーズ大学のJames R. Bundred氏らが系統的レビューとメタ解析により検討し報告した。BMJ誌2022年9月21日号に掲載。 本研究では、Medline(PubMed)、Embase、Proquestのデータベースから、乳房温存手術(StageI~III)を受けた乳がん患者を対象にマージン状況との関連でアウトカムを推定可能な追跡期間60ヵ月以上の研究を検索した。非浸潤性乳管がん(DCIS)の患者、術前化学療法を受けた患者、乳房切除術を受けた患者を除外し、断端陽性(tumour on ink)、断端近接(no tumour on inkだが2mm未満)、断端陰性(2mm以上)に分類した。 主な結果は以下のとおり。・1980年1月1日~2021年12月31日の68研究、11万2,140例の乳がん患者が適格とされた。・これらの研究全体では、患者の9.4%(95%信頼区間[CI]:6.8~12.8)が断端陽性、17.8%(同:13.0~23.9)が断端陽性または断端近接であった。・遠隔再発率は、断端陽性で25.4%(同:14.5~40.6)、断端陽性または断端近接で8.4%(同:4.4~15.5)、断端陰性で7.4%(同:3.9~13.6)であった。・断端陽性は断端陰性と比較して、遠隔再発リスク(ハザード比[HR]:2.10、95%CI:1.65~2.69、p<0.001)および局所再発リスク(HR:1.98、95%CI:1.66~2.36、p<0.001)とも高かった。・術後化学療法および放射線療法の調整後、断端近接は断端陰性と比較して遠隔再発リスク(HR:1.38、95%CI:1.13~1.69、p<0.001)および局所再発リスク(HR:2.09、95%CI:1.39~3.13、p<0.001)とも高かった。・2010年以降に発表された5研究では、遠隔再発リスクは断端陰性と比べて、断端陽性(HR:2.41、95%CI:1.81~3.21、p<0.001)および断端陽性または断端近接(HR:1.44、95%CI:1.22~1.71、p<0.001)で高かった。 今回のメタ解析の結果、早期浸潤性乳がんの乳房温存術後の患者において、断端陽性または断端近接の場合は遠隔再発リスクおよび局所再発リスクが高かった。著者らは「外科医は、1mm以上で最小のクリアマージンを達成することを目指すべき」としている。

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認知症リスク低下に寄与する1日当たりの歩数

 認知症予防ガイドラインでは身体活動を推奨しているが、認知症の発症と歩数やその強度との関連は明らかになっていない。南デンマーク大学のBorja Del Pozo Cruz氏らは、英国成人を対象に毎日の歩数やその強度とすべての原因による認知症発症との関連を調査した。その結果、歩数が多いほどすべての原因による認知症発症リスクが低く、1日当たり1万歩を少し下回る程度の歩数が、最も効果的であることが示唆された。JAMA Neurology誌オンライン版2022年9月6日号の報告。 UK Biobankの集団ベース・プロスペクティブコホート研究(2013年2月~2015年12月)を実施し、フォローアップ期間は6.9年、データ分析は2022年5月に行った。10万3,684人中、有効な歩数データを有する40~79歳の成人7万8,430人を分析対象に含め、認知症発症はレジストリベースで2021年10月までに確認した。歩数計から得られた1日の歩数、1分当たり40歩未満の偶発的な歩数、1分当たり40歩以上の意図的な歩数、1日の最も歩数の多い30分間(ピーク30分間)における1分当たりの歩数(必ずしも連続とは限らない)を分析した。主要アウトカムは、致死的および非致死的な認知症の発症とし、入院記録またはプライマリケア記録と関連付けて収集するか、死亡記録の死因を参照した。歩数との用量反応関連を評価するため、Spline Cox回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象者は、平均年齢61.1±7.9歳、男性3万5,040人(44.7%)、女性4万3,390人(55.3%)、アジア人881人(1.1%)、黒人641人(0.8%)、混合人種427人(0.5%)、白人7万5,852人(96.7%)、その他または特定不能629人(0.8%)。・7万8,430人中866人が認知症を発症した(フォローアップ期間中央値:6.9年[6.4~7.5年]、平均年齢:68.3±5.6歳、男性:480人[55.4%]、女性:386人[44.6%]、アジア人:5人[0.6%]、黒人:6人[0.7%]、混合人種:4人[0.4%]、白人:821人[97.6%]、その他:6人[0.7%])。・分析では、1日の歩数と認知症発症との間に非線形の関連が認められた。・最大のリスク低下が認められた歩数は9,826歩(ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.39~0.62)であり、リスクの低下が認められた最小の歩数は3,826歩(HR:0.75、95%CI:0.67~0.83)で、リスク低下は最大のリスク低下の50%であった。・偶発的な歩数で最もリスク低下が認められたのは3,677歩(HR:0.58、95%CI:0.44~0.72)、同じく意図的な歩数では6,315歩(HR:0.43、95%CI:0.32~0.58)、ピーク30分間の歩数では1分当たり112歩(HR:0.38、95%CI:0.24~0.60)であった。

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男女別、心血管イベントのリスク因子は/Lancet

 脂質マーカーとうつ病は、女性より男性で心血管リスクとの関連が強く、食事は男性よりも女性で心血管リスクとの関連が強いことが、カナダ・マックマスター大学のMarjan Walli-Attaei氏らによる大規模前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiological:PURE研究」の解析の結果、示された。ただし、他のリスク因子と心血管リスクとの関連は女性と男性で類似していたことから、著者は、「男性と女性で同様の心血管疾患予防戦略をとることが重要である」とまとめている。Lancet誌2022年9月10日号掲載の報告。35~70歳の約15万6,000例で、各種リスク因子と主要心血管イベントの関連を解析 研究グループは、現在進行中のPURE研究における、高所得国(11%)および低・中所得国(89%)を含む21ヵ国のデータを用いて解析した。 解析対象は、2005年1日5日~2021年9月13日に登録され、ベースラインで35~70歳の心血管疾患既往がなく、少なくとも1回の追跡調査(3年時)を受けた参加者15万5,724例であった。 主要評価項目は、主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全の複合)とした。代謝リスク因子(収縮期血圧、空腹時血糖値、ウエスト対ヒップ率、非HDLコレステロール)、血中脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール、総コレステロール/HDLコレステロール比、ApoA1、ApoB、ApoB/ApoA1比)、行動的リスク因子(喫煙、飲酒、身体活動、食事[PURE食事スコア])および心理社会的リスク因子(うつ症状、教育)と主要心血管イベントとの関連を男女別に解析し、ハザード比(HR)ならびに人口寄与割合(PAF)を算出した。脂質マーカーとうつ症状は、女性より男性で心血管リスク上昇 解析対象15万5,724例の内訳は、女性9万934例(58.4%)、男性6万4,790例(41.6%)、ベースラインの平均(±SD)年齢はそれぞれ49.8±9.7歳、男性50.8±9.8歳で、追跡期間中央値は10.1年(四分位範囲[IQR]:8.5~12.0)であった。 データカットオフ(2021年9月13日)時点で、主要心血管イベントは女性で4,280件(年齢調整罹患率は1,000人年当たり5.0件[95%信頼区間[CI]:4.9~5.2])、男性で4,911件(8.2件[8.0~8.4])発生した。男性と比較して、女性はとくに若年で心血管リスクプロファイルがより良好であった。 代謝リスク因子と主要心血管イベントとの関連は、非HDLコレステロールを除き、女性と男性で同様であった。非HDLコレステロール高値のHRは、女性で1.11(95%CI:1.01~1.21)、男性で1.28(1.19~1.39)であった。また、他の脂質マーカーも女性よりも男性のほうが一貫してHR値が高かった。 うつ症状と主要心血管イベントとの関連を示すHRは、女性で1.09(95%CI:0.98~1.21)、男性で1.42(1.25~1.60)であった。一方、PUREスコア(スコア範囲:0~8)が4以下の食事の摂取は、男性(HR:1.07[95%CI:0.99~1.15])よりも女性(1.17[1.08~1.26])で主要心血管イベントと関連していた。 主要心血管イベントに対する行動的および心理社会的リスク因子(合計)のPAFは、女性(8.4%)よりも男性(15.7%)で大きく、これは主に現在喫煙のPAFが男性で大きいためであった(女性1.3%[95%CI:0.5~2.1]、男性10.7%[95%CI:8.8~12.6])。

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塩野義の経口コロナ治療薬、第II/III相Phase 3 partで主要評価項目を達成

 塩野義製薬は9月28日付のプレスリリースにて、同社が開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬のensitrelvir(S-217622)について、第II/III相臨床試験Phase 3 partにおいて良好な結果を得たことを発表した。主な結果として、軽症/中等症患者において、重症化リスク因子の有無にかかわらず、オミクロン株に特徴的なCOVID-19の5症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、倦怠感[疲労感])が消失するまでの時間(発症前の状態に戻るまでの時間)を、プラセボに対して有意に短縮することなどが認められたという。 プレスリリースによると、今回のPhase 3 partの臨床試験では、本剤(低用量、高用量の2用量)を1日1回、5日間経口投与した際の臨床症状の改善効果を検証することを主な目的として、日本、韓国、ベトナムの1,821例の患者が、重症化リスク因子の有無、またワクチン接種の有無にかかわらず登録され、軽症/中等症患者を対象に実施された。本試験における主要評価項目は、発症から72時間未満の患者集団における、オミクロン株流行期に特徴的な5症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、倦怠感 [疲労感])の消失までの時間が設定された。 主な結果は以下のとおり。・申請用量(低用量)の本剤投与により、対象患者集団においてCOVID-19の5症状が消失するまでの時間は、プラセボ群と比較して約24時間短縮され、統計学的に有意な症状改善効果が確認された(p=0.04)。症状消失までの時間の中央値は、本剤の申請用量投与群167.9時間vs.プラセボ群192.2時間。・同患者集団における投与4日目(3回投与後)のベースラインからのウイルスRNA変化量は、プラセボ群と比較して1.4 log10コピー/mL以上大きく(p<0.0001)、これまでに実施された臨床試験と同様に優れた抗ウイルス効果が示された。・いずれの用量においても、本剤の投与による重篤な副作用や死亡例の報告はなく、これまでの試験と同様の良好な忍容性と安全性が確認されている。・比較的高頻度に見られた副作用は、これまでの試験でも観察された高比重リポ蛋白の減少および血中トリグリセリドの上昇であった。 同社によると、本結果は、厚生労働省と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)とすでに共有されており、今後の承認審査ならびに審議について、協議が開始されたという。

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鼻腔ぬぐい液を用いた新型コロナウイルス検査-自己採取と医療従事者採取の比較-(解説:小金丸博氏)

 4~14歳の小児において、鼻腔ぬぐい液を用いた新型コロナウイルスの検出率を自己採取と医療従事者採取で比較した横断研究がJAMA誌オンライン版2022年8月26日号に報告された。自己採取は簡単な説明資材(ビデオと印刷物)を見た後に行い、その次に医療従事者が2回目の検体を採取した。その結果、陽性一致率は97.8%(95%信頼区間[CI]:94.7~100.0)、陰性一致率は98.1%(同:95.6~100.0)と高率だった。陽性検体のCt値も検討されているが、両群間で同等の結果であった。検査結果が不一致となったのが4例あったが、陽性検体において比較的高いCt値を示しており、ウイルスの排出量が少ない場合に一致率が低下する可能性が示唆された。 自己検体採取に関しては、過去に性感染症や呼吸器系ウイルス感染症で検討されており、成人において高い一致率が示されてきた。本研究では、小児において自己採取の高い精度を示しており、学校等におけるマススクリーニングで活用できる可能性がある。医療従事者が検体採取を行う場合、自己採取と比較して時間と費用がかかり、加えて、医療従事者は常に患者からの感染リスクを伴う。これらの観点から自己採取のメリットは大きく、自己採取と医療従事者採取で検査結果の一致率が高いのであれば、今後さらに自己採取による検査が広がる可能性がある。 本研究のLimitationとして以下のようなことが挙げられる。第1に、本研究の参加者はすべて有症状者であり、無症状の小児において同等の結果が得られるかは不明である。自己採取のメリットのひとつは、学校などの集団環境でのスクリーニング検査で用いることであるが、多くの人が無症候性であることが想定される場面での使用には大きな懸念事項がある。第2に、本研究は 2021年7月~8月のデルタ変異株の流行期に行われたことであり、変異株の違いがテスト結果に与える影響は不明である。第3に、不快感を伴う研究への自発的な参加においては、とくに子供が関与している場合、より協力的な子供だけが登録され、テストに消極的な子供の親は参加を辞退する可能性があるため、選択バイアスにつながる可能性がある。 新型コロナウイルス感染症は、早期に診断することによって重症化の防止や感染拡大の抑制につながる。自己検体採取はさまざまな場面で早期診断のための重要なツールとなりうるため、今後、無症候者や変異株の違いが検査結果に与える影響が検証され、検査方法として確立することを期待したい。

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高大連携で将来の外科医の種を蒔きました!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第52回

第52回 高大連携で将来の外科医の種を蒔きました!先日、高校生に講義をする機会がありました。高校と大学が共同して教育を行う「高大連携」という取り組みです。高大連携とはその名の通り「高校と大学が連携して教育を行う」ことで、基本的には大学の講義を高校生のうちから体験できるというものです。大学受験では、行きたい学科を深く考えることなく選んでしまい、行ってみたら想像と違って後悔することも多いようです。高校生のうちに高大連携により大学の講義を受講すれば、学科で何をやっているかきちんと理解することができます。医学部医学科は、高校生にとって将来像がイメージしやすい学科といえるでしょう。大学にとっては、高校と連携して直接大学の魅力を知ってもらい、優秀な人材を集めることを期待できます。小生の場合は、地域の進学校といわれる高校で循環器内科領域の講義をしました。地域医療に貢献してくれる人材を滋賀医科大学にゲットすることが目標です。模擬講義として簡易な内容ではなく、実際に医学生に講義するレベルで真剣勝負してみました。実際に心臓が拍動する様子や、心臓カテーテル治療の様子、さらには心臓外科手術の様子など動画を交えて紹介しました。医療もののドラマが人気を博しているとはいえ、所詮はつくりものです。生の現場の醸し出す緊張感に高校生たちは目を凝らして聴講してくれました。講義の後に質疑応答の時間がありました。「医学部に進学し将来は外科医になりたいです。手が不器用なのですが大丈夫ですか?」「大丈夫! トレーニングすればOKです!」自分は外科医ではないのですが、勝手に自信をもって返答しました。不満に感じる外科医の方々もおられるかもしれません。小生も心臓カテーテル治療という手先の細かな動きが要求される手技をこなしてきた立場から、返答する資格はあるものとお許しください。そもそも、器用・不器用とは何なのでしょうか。手術は手品ではありません。1つ1つの手順を確実に間違うことなく積み重ねていくことによって手術が達成されます。アクロバティックなイチかバチかの手技をマジシャンのように行うわけではありません。むしろアクロバティックな手技を操ることができる術者は、どこかで大失敗しそうで怖いように思います。心臓外科では1つの手術に千以上の手順があるとされます。1つの手順の成功率が99.99%であったとします。つまり1万回に1回のミスしかしないということで、素晴らしく上手に感じます。99.99%つまり0.9999の1,000乗は90.4%と計算されます。1,000の手順をすべてミスなく順調に完遂する確率は約9割、1割はどこかで不都合が起きることになります。1割もの手術中の合併症発生率が容認されるはずがありません。それも術者1人ではなくチーム全体で全手順を完璧に行う必要があります。外科手術は、チームとして愚直なまでに個々の手順を確実に重ねていくことが大切なのです。トレーニングを積み重ね、個々の手順の手技を確実に遂行することが肝要で、逆説的にいうと個々の手順は神業的な手先の器用さを要求されるものではありません。トレーニングに邁進することができる能力がプロフェッショナルなのかもしれません。そうです、外科医に限らず医師はプロでなければならないのです。手術中に想定外に大出血しても淡々と血を止める動揺しない精神の強さや、スタッフをチームとして統率するコミュニケーション能力、イライラしたりしてスタッフに当たり散らかすことのない忍耐力などなど、外科医として、医師として必要な能力は多々あります。この完成の域に遠く及ばない自分ですが、いつかは極めてみたいプロフェッショナルの境地です。さきほどの高大連携の講義での質問の件に戻ります。不器用でも大丈夫と大見えを切ったのちに次の解説を加えました。外科医は、メスという刃物を凶器としてではなく治療器具として使います。「外科医は唯一人間を刃物で傷つけても許される職業」という言葉があります。自分自身は内科医ですが、外科医は誇りと責任感を常に持ち続けながら手術に臨んでいることが伝わってきます。今回の受講生から、医師となり循環器内科医や外科医を志す人材が登場することを願うばかりです。

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悪化するその慢性頭痛、MOHの可能性は?【知って得する!?医療略語】第20回

第20回 悪化するその慢性頭痛、MOHの可能性は?薬が原因になる頭痛があると聞きました。鎮痛薬の過剰な使用による頭痛があり、MOHと呼ばれています。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】MOH【日本語】鎮痛薬使用過多による頭痛 (薬物乱用頭痛)【英字】medication-overuse headache【分野】脳神経【診療科】脳神経外科【関連】慢性片頭痛実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。外来で慢性片頭痛患者の求めに応じて鎮痛薬を処方していると、いつの間にか鎮痛薬の処方量や処方頻度が増えていることがあります。そのような時、薬剤の使用過多による頭痛(MOH:medical-overuse headache)の可能性を疑う必要があります。MOHは国際頭痛分類(ICHD)では、物質またはその離脱による頭痛として二次性頭痛に分類されます。同分類は第2版(ICHD-2)までは「薬物乱用頭痛」と訳されていました。しかし、「薬物乱用頭痛」は、まるで非合法な薬剤を乱用しているようなイメージが連想されるため、第3版(ICHD-3)からは「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」に翻訳が変更されています。MOHは片頭痛や緊張型頭痛で市販薬を含む鎮痛薬を過剰に服用することで生じる頭痛です。最初は月に数回程度の頭痛で鎮痛薬を服用していたものが、気付いたらほぼ連日にわたり頭痛薬を服用しているというものです。薬剤の使用過多は、薬の鎮痛効果の減弱を招き、さらに服用量が増えるという悪循環を招きます。MOHが生じるメカニズムは、痛みの調節系の異常だけではなく、薬物依存を形成する神経系と類似した機序の関与も推定されています。日本では市販の複合鎮痛薬によるMOHが主流を占める一方で、近年はトリプタン乱用頭痛の増加が指摘されています。ICHD-3によれば、MOHの診断基準は、慢性的な頭痛が月に15日以上存在し、1種類以上の治療薬を3ヵ月以上にわたり定期的に乱用し、ほかに最適なICHD-3の診断がないこと、となっています。MOHの治療原則は、使用過多になっている鎮痛薬の中止です。MOHが疑われる場合、患者さんにMOHの可能性を伝え、乱用している薬剤を中止し離脱を試みます。まずは患者さんにMOHについて説明し、使用過多の薬剤中止と予防薬を含めた代替薬の提案をします。MOH患者は、患者自身も薬が効かなくなっていることに薄々気付いていることも多く、中止に向けて努力してくれる方も少なくありません。しかし、筆者の経験上は多用していた鎮痛薬をスパッと止められないケースも多いのが現状です。軽い頭痛による鎮痛薬の使用を控え、「頭痛になるのでは…」という予期不安での薬剤使用を控えることから始めてもらう場合もあります。なお、うまく鎮痛薬の使用から離脱できても慢性頭痛が増悪する場合は、MOHは否定的となり、診断を考え直す必要があります。片頭痛に緩徐進行性(たとえば、肥厚性硬膜炎など)の二次性頭痛が併存する可能性も念頭に置く必要があると考えられ、必要に応じて画像のフォローも必要だと考えます。1)国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版:二次性頭痛2)五十嵐 久佳.神経治療. 2019;36:229-232.3)濱田 潤一. 臨床神経. 2011;51:1150-1152.

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第128回 厚労省有識者検討会で珍事、会の名称変更と第1回やり直しの背景に「薬価差益」

医薬品に関する有職者検討会が突如廃止こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末も、前半は台風が首都圏を直撃、屋外の遊びが難しい天候となりました。することもないので、再び映画館に「トップガン」を観に出かけました。「トップガン マーヴェリック」については、「第112回 規制改革推進会議答申で気になったこと(前編)タスクシフトへの踏み込みが甘かった背景」でも少し書きましたが、今回は、36年前の1986年に公開された「トップガン」第1作と、今年公開の「トップガン マーヴェリック」の連続上映です。大ヒットの「マーヴェリック」に気を良くしたパラマウント・ピクチャーズが、9月中旬から全国の主要映画館で上映しています。2作続けて観ると、最新作がいかに第1作をリスペクトして作られ、さまざまな伏線を見事に回収しているかがわかります。トム・クルーズの絶妙の老け具合や、前作では主役機だったF-14トムキャットの描かれ方。さらには、かつてマーヴェリックのライバルだった、ヴァル・キルマー演ずるアイスマンとのやり取りの意味などは、連続上映だからこそより深く伝わってくると言えるでしょう。ただ、続けて観ると上映時間は4時間を超えます(2本の間に休憩あり)ので、鑑賞前にビールはあまり飲まないほうがいいかもしれません。さて、今回は厚生労働省が開いた有識者検討会での珍事について書いてみたいと思います。8月31日に第1回が開かれたばかりの「医薬品の迅速かつ安定的な供給のための流通・薬価制度に関する有職者検討会」が突如廃止に追い込まれ、9月22日には「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」と名称が改められ、構成員も増員して再度仕切り直しの第1回が開催されたのです。会の名称自体は大して変わっていないのに、一体何が起こったのでしょう。この珍事の背景には、薬価差の議論のあり方を巡って、厚労省と日本医師会との間で激しいやりとりがあったようです。利害関係者を入れずに学識経験者のみで構成8月31日に開かれた第1回の「医薬品の迅速かつ安定的な供給のための流通・薬価制度に関する有識者検討会」では、冒頭、厚労省が国内市場の動向、国内未承認薬の状況、新薬創出等加算の状況、薬価改定の概要、後発医薬品の使用促進施策、後発品企業の不祥事やそれに伴う供給不足、流通改善に向けた課題などについて説明し、その後8人の構成員がそれぞれの問題意識を発表しました。この有識者検討会は利害関係者を入れずに大学教授など学識経験者のみで構成したのがポイントで、利害から離れた自由な議論の中から薬価制度の今後の方向性を導きたい、というのが厚労省の狙いでもありました。日医が「『診療側抜き』での薬価差論議に反発」と報道しかし、この動きに敏感に反応したのが日本医師会でした。そのあたりの裏事情を9月21日付のRISFAXは、「業界期待の有識者検討会、たった1回で廃止 厚労省『診療側抜き』での薬価差論議に反発、“あるべき論”の理想崩れる」というタイトルで詳報しています。同記事は、有識者検討会は「初会合終了後にはさっそく、日本医師会周辺から厚生労働省に対して強烈な“横やり”が入り、病院経営に不可欠な薬価差のあり方にも踏み込んだ議論を『診療側抜きで進めようとしているのはけしからん』との圧力がかか」って、「異例の『廃止』に追い込まれた」と報じています。有識者検討会は9月8日に第2回が開催予定でしたが、開催案内が一向に公表されず、20日になってようやく、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」と名称を変えて、22日に改めて初会合が開かれることが公表されました。RISFAXは、「8月の内閣改造で、日医の組織内候補である羽生田 俊参院議員が副大臣に就くといった状況もあり、独立した議論を行うという厚労省の理想が崩れてしまった」と書いています。“外野”では製薬団体も市場実勢価格に基づく薬価改定方式の見直しを主張実はこの有識者会議と並行する形で、“外野”ではこんな議論も行われていました。ミクスOnlineなどの報道によれば、日本製薬工業協会の岡田 安史会長(エーザイ代表執行役COO)は8月30日の記者会見で、「医療機関や薬局にとっては薬価差から得られる収益が経営の極めて重要な要素となっている現状だ。一方で、その薬価差に関する“透明性・妥当性には課題がある”」との問題意識を示したうえで、「薬価差は国民負担となっている」とし、「現行の市場実勢価格に基づく薬価改定方式の抜本的見直しを検討する時期にまさしく来ている」と強調、8月31日から開かれる「医薬品の迅速かつ安定的な供給のための流通・薬価制度に関する有識者検討会」での議論への期待を語っていました。また、日本製薬団体連合会の眞鍋 淳会長(第一三共代表取締役社長兼CEO)も有識者検討会が開かれた後の9月1日、日刊薬業の取材に対し、市場実勢価に基づく薬価改定方式の抜本的見直しについて、「製薬企業や卸、薬局・医療機関がそれぞれ適切なマージンを取った上で余った薬価差を国民に還元する」という具体案を示しています(9月2日付日刊薬業)。このような、製薬企業側から薬価制度見直しに向けた発言が活発化している背景には、市場実勢価格に基づく薬価引き下げが長年行われてきたことで、薬価が限界近くまで下がりきってしまい、製薬企業の経営や新薬開発などにも影響が及んでいることや、日本市場の魅力低下や、ドラッグラグの発生をも招いていることが挙げられます。薬価差を手放したくない医療機関ただ一方で、公定価格である薬価と、医療機関が薬を実際に購入する価格の差である薬価差は、医療機関にとっても経営的に手放したくない部分であるのは確かです。こうした“外野”からの発言に対し、就任後はあまり表に出てこなかった日医の松本 吉郎会長が動きました。9月7日の定例会見で、「薬価差は、あくまで市場が決めるということが基本的な考えだ」と語るとともに、現行の市場実勢価格に基づく薬価改定方式について、「ある程度の薬価差益はやむを得ないものと考える。これを急に変えることは、かえって混乱を起こす」と見直しに慎重な姿勢を表明したのです。4人の構成員を追加して再スタートといった流れの後、9月22日に初会合が開かれた第1回「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」では、INCJ(旧:産業革新機構)役員や医療コンサルタント会社社長など、4人が構成員に加わりました。また、開催要項の中の検討事項には、それまでの「医療用医薬品の流通・薬価に関する現状の課題」「現状の課題を踏まえた医療用医薬品の目指すべき流通や薬価制度の在り方」に加えて、「産業構造の検証」も入ることになりました。この日は、最初の第1回にあったような厚労省からの状況説明はなく、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会等からのヒアリングが行われました。「薬価差」が議論の焦点となり、日刊薬業などの報道によれば、日本製薬団体連合会の眞鍋会長は薬価差について「医療機関や薬局の経営原資の一部となっており、薬価が引き下げられても同程度の薬価差は再び発生する」として、「現行の市場実勢価格に基づく薬価改定方式の継続は新薬アクセスや医薬品の安定供給に影響を及ぼす」と主張、薬価改定方式のあり方を検討する際は「薬価差について関係者が共通の認識を持つ必要がある」と述べたとのことです。そして、共通認識の論点として「薬価差を是とするか非とするか」「医療機関や薬局の経営原資の一部になっているということでよいか」などを挙げたとのことです。全体、内容的には第1回というより、第2回の体裁と言えそうです1)。検討会の名称を変え、メンバーを追加し、「産業構造の検証」を検討事項に追加した以外に、厚労省が日本医師会と裏でどういった“手打ち”を行ったのかは不明です。薬価差益をひたすら追い求める経営姿勢は改められるべきこの20年ほどで医薬分業が急速に進みました。医療機関にとって薬価差益はあまり関係ない(むしろ薬局の問題だ)と見る向きもありますが、2021年社会医療診療行為別統計の概況によれば、院外処方を採用している病院は病院81.1%、診療所は77.6%で、以前2割近くの病院・診療所が院内処方のままで、薬価差の収入をあてにした経営を行っています。しかし、製薬協の岡田会長も述べたように、最終的に「薬価差は国民負担となっている」のです。後発品使用が推進される中でも、薬価差が大きい先発品を使い続ける医療機関、同じく薬価差目当てでバイオシミラーではなく、先行バイオ医薬品だけを使い続ける医療機関など、国の医療費増大は他人事として、経営のため薬価差益をひたすら追い求める姿勢はやはり改められるべきでしょう。新しい有識者検討会では、医療機関への影響が最低限となるような制度改革の提言に落ち着きそうな予感もしますが、せめて、薬価差が医療機関や薬局を必要以上に潤す構造にはメスを入れてほしいと思います。参考1)医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会/厚生労働省

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低用量メトトレキサート、悪性黒色腫リスク増大と関連?

 メトトレキサート(MTX)は関節リウマチを含む炎症性疾患の治療で幅広く使用されているが、低用量MTX曝露は悪性黒色腫のリスク増大と関連することが、オーストラリア・アルフレッド病院のMabel K. Yan氏らが行ったシステマティック・レビューとメタ解析の結果、示された。ただし、著者は結果を踏まえて、「リスク増大の絶対値は取るに足らないもので、現実的な影響は無視できるものだ」としている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年8月31日号掲載の報告。 研究グループは、MTX曝露が悪性黒色腫のリスク増大と関連するかをシステマティック・レビューとメタ解析で調べた。 創刊~2022年5月12日のMEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、ClinicalTrials.govを検索して、適格試験を特定。低用量MTX曝露被験者と非曝露被験者を比較して悪性黒色腫のオッズ比(OR)またはリスク比(RR)を評価していたケースコントロール試験、コホート試験、無作為化臨床試験(RCT)を適格試験とした。言語については限定しなかった。 2人のレビュアーがそれぞれ試験特性とアウトカムデータを抽出。Meta-analysis of Observational Studies in Epidemiology(MOOSE)ガイドラインを用いて解析を行い、試験の質の評価は、RCTはコクランバイアスリスクツールを用い、コホート試験とケースコントロール試験についてはJoanna Briggs Institute Checklistを用いた。 ケースコントロール試験からのオッズ比と、コホート試験またはRCTからの相対リスクまたはハザード比(HR)をプールし、ランダム効果モデルメタ解析を行った。 事前に規定したアウトカムは、低用量MTX曝露被験者と非曝露被験者を比較した悪性黒色腫のオッズ比、ハザード比、リスク比であった。 主な結果は以下のとおり。・検索により、17試験(RCT 8、コホート試験5、ケースコントロール試験4)が適格として包含された。・主要解析には、12試験・悪性黒色腫1万6,642例がプールされた。MTXの適応症は、関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患であった。残りの5試験は不明であった。・曝露群は非曝露群と比較して、悪性黒色腫のリスクがわずかに増大した(プール相対リスク:1.15、95%信頼区間[CI]:1.08~1.22)。しかし、この関連は、最大規模の試験を除外して行った感度解析では維持されなかった(1.11、1.00~1.24)。・類似のリスク推定値は、MTX曝露群vs.免疫調節薬単独群または免疫調節薬+MTX群を比較群とするサブグループ解析や、MTXの適応症が関節リウマチの場合に示唆された。・悪性黒色腫の地理的罹患率を用いて算出した有害必要数(number needed to harm:NNH)は、オーストラリアでは1万8,630例、北米では4万1,425例であった。■関連記事メトトレキサート、重症円形脱毛症に有効

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第2世代抗精神病薬のLAIによる日本人統合失調症入院患者の身体拘束リスクへの影響

 第2世代抗精神病薬(SGA)の長時間作用型注射剤(LAI)が、経口抗精神病薬と比較し、再発時の精神症状の軽減に有用であるかは、よくわかっていない。福島県立医科大学の堀越 翔氏らは、日本の単一医療施設における4年間のレトロスペクティブミラーイメージ観察研究を実施し、統合失調症入院患者への隔離・身体拘束といった制限的介入の頻度(時間)に対するSGA-LAIの有用性を検討した。その結果、SGA-LAI使用により制限的介入の頻度および措置入院回数の減少が認められ、著者らは、SGA-LAIは再発時の精神症状の軽減につながる可能性があることを報告した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2022年9月5日号の報告。 2013年11月~2018年1月にレトロスペクティブミラーイメージ観察研究を実施した。最初に101例からデータを収集し、包括基準を満たした統合失調症患者38例を分析に含めた。主要アウトカムは、SGA-LAI使用開始前後2年間の制限的介入の頻度(時間)とし、副次的アウトカムは、入院回数(合計、任意入院、措置入院)、在院日数とした。制限的介入の定義は、隔離および身体拘束とした。 主な結果は以下のとおり。・制限的介入の平均時間は、SGA-LAI使用前の43.7時間から使用後の3.03時間へ有意な減少が認められた(p=0.021)。・SGA-LAI使用前後で、入院回数および在院日数は、以下のように有意な減少が認められた。 ●入院回数:1.03回→0.61回(p=0.011) ●在院日数:130日→39.3日(p=0.003)・とくに、措置入院回数(0.50回→0.26回)の有意な減少が認められた(p=0.039)。

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FTD/TPI+BEV、切除不能大腸がんのOS延長(SUNLIGHT)/大鵬

 大鵬薬品工業、米国・大鵬オンコロジー、セルヴィエ社は、切除不能な進行・再発の大腸がん患者を対象とした第III相臨床試験SUNLIGHTの結果、トリフルリジン・チピラシル(商品名:ロンサーフ、以下FTD/TPI)とベバシズマブの併用群が、主要評価項目である全生存期間(OS)を延長したことを発表。 SUNLIGHT 試験は、2つの前治療を行った切除不能な進行・再発の大腸がんを対象に、FTD/TPI+BEVとFTD/TPI単剤を比較した国際第III相試験である。492例がFTD/TPI+BEVあるいはFTD/TPI単剤に1対1に無作為に割り付けられ、主要評価項目であるOSの優越性の検証を目的に試験を実施した。 その他、重要な副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、病勢コントロー ル率(DCR)となっており、安全性、忍容性、生活の質(QOL)に与える影響についても評価している。 SUNLIGHT試験の主解析結果については、今後の国際学会での発表を予定している。

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PD-L1高発現の進行NSCLCに対する1次治療として、3年間にわたり抗PD-1抗体cemiplimabが有効(EMPOWER-Lung1試験)/ESMO2022

 PD-L1発現50%以上の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する抗PD-1抗体cemiplimabの1次治療は、3年間の追跡期間においてもプラチナダブレットと比べ、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意な改善を示した。トルコ・Istanbul University-CerrahpasaのMustafa Ozguroglu氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)で報告した。・対象:PD-L1(TPS)≧50%の未治療のStageIIIB/CおよびStageIV扁平上皮/非扁平上皮NSCLC・試験群:cemiplimab 350mgを3週ごとに最大108週間または増悪まで投与。増悪した場合は、cemiplimib継続かつ化学療法4サイクル追加のオプション・対照群:プラチナダブレット化学療法4〜6サイクル投与。増悪した場合は、cemiplimab単剤投与へのクロスオーバーのオプション・評価項目:[主要評価項目]OS、PFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、健康関連QOL、安全性 主な結果は以下のとおり。・ITT解析対象は試験群357例、対照群355例であり、対照群のcemiplimabへのクロスオーバー率は75%であった。・3年間フォローにおいて、試験群の対照群に対するOSおよびPFSのハザード比[HR](95%信頼区間[CI])はそれぞれ0.63(0.52~0.77、p=0.0001)、0.56(0.47~0.67、p=0.0001)であり、対照群での高いクロスオーバー率にもかかわらず、OS、PFSともに試験群での有意な改善効果が認められた。・PD-L1 50%以上のITT解析対象は、試験群284例、対照群281例であり、3年間フォローにおいて、試験群の対照群に対するOS、PFSのHR(95%CI)はそれぞれ0.57(0.46~0.71、p=0.0001)、0.51(0.42~0.62、p=0.0001)であった。・Grade3以上の有害事象の発現率は、試験群が45.8%、対照群が51.6%であった。 以上の結果を受け、Ozguroglu氏は「PD-L1が50%以上の進行期および転移のあるNSCLCに対して、cemiplimab単剤療法は1次治療の新たな選択肢になる」とまとめた。

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人工甘味料の種類別、心血管疾患リスクとの関連は/BMJ

 人工甘味料の摂取量の増加に伴って心血管疾患のリスクが上昇し、なかでもアスパルテームは脳血管疾患、アセスルファムカリウムとスクラロースは冠動脈性心疾患のリスクと関連することが、フランス・ソルボンヌ パリ北大学のCharlotte Debras氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年9月7日号に掲載された。NutriNet-Sante研究のデータを用いた前向きコホート研究 研究グループは、あらゆる食事(飲料、卓上甘味料、乳製品など)由来の人工甘味料(全体、種類別[アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース])と、心血管疾患(全体、脳血管疾患、冠動脈性心疾患)の関連の評価を目的に、住民ベースの前向きコホート研究を行った。 解析には、ウェブベースのNutriNet-Sante研究(2009~21年)の参加者(10万3,388人、平均[±SD]年42.2±14.4歳、女性79.8%、追跡期間中央値9.0年[90万4,206人年])のデータが用いられた(NutriNet-Sante研究はフランス保健省などの支援を受けた)。 人工甘味料の消費量で、非消費(6万5,028人[62.90%])、低消費量(1万9,221人[18.59%])、高消費量(1万9,139人[18.51%])の3つの群に分けられた。低消費量と高消費量は、男女別の中央値(男性16.44mg/日、女性18.46mg/日)を基準に分類された。 主要アウトカムは、人工甘味料と心血管疾患リスクの関連とされ、多変量補正後Coxハザードモデルを用いて評価が行われた。砂糖に代わる健康的で安全な物質とはいえない 人工甘味料の総摂取量の増加に伴い、心血管疾患のリスクが有意に上昇した(イベント数1,502件、ハザード比[HR]:1.09、95%信頼区間[CI]:1.01~1.18、p=0.03)。心血管疾患の絶対罹患率は、10万人年当たり高消費量群が346件、非消費群は314件だった。 また、とくに人工甘味料の総摂取量は脳血管疾患リスクと強い関連を示した(イベント数777件、HR:1.18、95%CI:1.06~1.31、p=0.002)。脳血管疾患の罹患率は、10万人年当たり高消費量群が195件、非消費群は150件だった。 人工甘味料の種類別では、アスパルテームの摂取が脳血管疾患リスクの増加と関連し(HR:1.17、95%CI:1.03~1.33、p=0.02)、罹患率は10万人年当たり高消費量群が186件、非消費群は151件であった。 また、アセスルファムカリウム(HR:1.40、95%CI:1.06~1.84、p=0.02)とスクラロース(1.31、1.00~1.71、p=0.05)は冠動脈性心疾患(イベント数730件)のリスクの増加をもたらし、アセスルファムカリウムの罹患率は10万人年当たり高消費量群が167件、非消費群は164件で、スクラロースはそれぞれ271件および161件だった。 著者は、「これらの結果は、人工甘味料が心血管疾患の予防のための修正可能なリスク因子である可能性を示唆する。多くの食品や飲料に含まれ、多くの人びとが毎日消費しているこれらの食品添加物は、砂糖に代わる健康的で安全な物質と考えるべきではなく、これはいくつかの保健機関の現時点での見解と合致する」としている。

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オープンソースの自動インスリン伝達システム、1型DM血糖コントロールを改善/NEJM

 7~70歳の1型糖尿病患者において、オープンソースの自動インスリン伝達(AID)システムはセンサー付きインスリンポンプと比較して、24週時に血糖値が目標範囲にある時間の割合が有意に高く、1日のうち血糖値が目標範囲内である時間は3時間21分延長したとの研究結果が、ニュージーランド・オタゴ大学のMercedes J. Burnside氏らが実施した「CREATE試験」で示された。研究結果は、NEJM誌2022年9月8日号で報告された。ニュージーランドの無作為化対照比較試験 CREATE試験は、1型糖尿病患者におけるオープンソースAIDシステムの有効性と安全性のデータの収集を目的とする非盲検無作為化対照比較試験であり、2020年9月~2021年5月の期間に、ニュージーランドの4施設で参加者の登録が行われた(ニュージーランド保健研究会議[HRC]の支援を受けた)。 対象は、年齢7~70歳、1型糖尿病の診断を受けてから1年以上が経過し、インスリンポンプ療法を6ヵ月以上受け、糖化ヘモグロビンの平均値<10.5%(91mmol/mol)の患者であった。 被験者は、オープンソースAIDシステムまたはセンサー付きインスリンポンプ(対照)を使用する群に無作為に割り付けられた。また、年齢7~15歳が小児、16~70歳は成人と定義された。 AIDシステムは、AndroidAPS 2.8(標準的なOpenAPS 0.7.0アルゴリズムを使用)の修正版で、試作段階のDANA-iインスリンポンプとDexcom G6持続血糖モニター(CGM)を組み合わせて用いた。ユーザーインターフェースは、Androidスマートフォンアプリケーション(AnyDANA-Loop)だった。 主要アウトカムは、155~168日目(試験の最後の2週間[23~24週])に、血糖値が目標範囲(70~180mg/dL[3.9~10.0mmol/L])にある時間の割合とされた。年齢による治療効果に差はない 97例が登録され、AID群に44例(小児21例[年齢中央値14.0歳、女児11例]、成人23例[40.0歳、15例])、対照群に53例(27例[11.0歳、13例]、26例[38.0歳、15例])が割り付けられた。ベースラインの平均糖化ヘモグロビン値は小児が7.5%、成人は7.7%だった。 血糖値が目標範囲にある時間の割合の平均値(±SD)は、AID群がベースラインの61.2±12.3%から24週時には71.2±12.1%へ上昇し、これに対し対照群は57.7±14.3%から54.5±16.0%へと低下しており、有意な差が認められた(補正後平均群間差:14.0ポイント、95%信頼区間[CI]:9.2~18.8、p<0.001)。また、AID群は、1日のうち血糖値が目標範囲内である時間が、対照群よりも3時間21分長かった。 血糖値が目標範囲にある時間の割合が70%以上で、かつ範囲外(<70mg/dL)にある時間の割合が4%未満の患者は、AID群が52.0%であったのに対し、対照群は11.0%であった(補正後平均群間差:36.9ポイント、95%CI:25.9~48.5)。また、年齢による治療効果の差はみられなかった(p=0.56)。 小児では、AID開始から2週間以内には介入効果が認められ、24週の試験期間中も維持された。また、AID群は、夜間(午前0時~午前6時)の血糖値が目標範囲にある時間の割合が76.8±15.8%と、日中(午前6時~午後12時)の64.3±11.7%に比べて高かった。対照群は、それぞれ57.2±21.4%および50.9±17.4%であった。成人のAID群も小児と同様に、夜間が85.2±12.7%と高かったのに対し日中は70.9±12.7%であった。対照群は、それぞれ53.5±20.1%および57.5±14.4%であり、夜間と日中で同程度だった。 重度の低血糖および糖尿病性ケトアシドーシスは両群とも発現せず、インスリン投与のアルゴリズムおよび自動制御に関連した有害事象もみられなかった。また、重篤な有害事象は、AID群で2件(輸液セットの不具合に起因する高血糖による入院と、糖尿病とは無関係の入院)、対照群で5件(インスリンポンプの不具合による高血糖が1件、糖尿病とは無関係のイベントが4件)認められた(いずれも小児)。 著者は、「この試験の参加者は、多くの実臨床研究に比べ、より典型的な1型糖尿病であり、オープンソースAIDの使用経験がなかったことから、さまざまな1型糖尿病患者が、このシステムから利益を得る可能性があることが示唆される」としている。

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ペムブロリズマブ、高リスク早期TN乳がんへの術前・術後療法に適応拡大/MSD

 MSD株式会社は2022年9月26日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳における術前・術後薬物療法」の効能または効果で、国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。 今回の承認は、ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの周術期の乳がん患者1,174例(日本人76例を含む)を対象とし、術前薬物療法としてのペムブロリズマブと化学療法との併用療法、および術後薬物療法としてのペムブロリズマブ単独療法の有効性と安全性を、術前薬物療法としてのプラセボと化学療法との併用療法、および術後薬物療法としてのプラセボ投与を対照として評価した国際共同第III相試験(KEYNOTE-522試験)の結果に基づいている。 本試験において、術前のペムブロリズマブと化学療法との併用療法および術後のペムブロリズマブ単独投与は、術前のプラセボと化学療法との併用療法および術後のプラセボ投与と比較して主要評価項目の1つである無イベント生存期間(EFS)を有意に延長した(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.48~0.82、p=0.00031)。安全性については、安全性解析対象例783例中774例(98.9%)(日本人45例中45例を含む)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、悪心495例(63.2%)、脱毛症471例(60.2%)、貧血429例(54.8%)、好中球減少症367例(46.9%)、疲労330例(42.1%)、下痢238例(30.4%)、ALT増加204例(26.1%)、嘔吐200例(25.5%)、無力症198例(25.3%)、発疹196例(25.0%)、便秘188例(24.0%)、好中球数減少185例(23.6%)、AST増加157例(20.1%)だった。 <製品概要>・販売名:キイトルーダ点滴静注100mg・一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)・効能・効果:ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳における術前・術後薬物療法・用法・用量:通常、成人にはペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として1回200mgを3週間間隔または1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する。投与回数は、3週間間隔投与の場合、術前薬物療法は8回まで、術後薬物療法は9回まで、6週間間隔投与の場合、術前薬物療法は4回まで、術後薬物療法は5回までとする。・承認取得日:2022年9月26日

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「リフィル処方箋の手引き」公表 処方箋の紛失や期間切れに注意!【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第97回

リフィル処方箋の運用が始まってから半年が経ちました。皆さんの薬局では、リフィル処方箋を受け付けたらすぐに対応できるように、手順書の整備・共有が行われていますか?2022年9月8日に、日本保険薬局協会(NPhA)が「リフィル処方箋の手引き(薬局版)Ver.1」を公表しました。手引きというと、文字が多くて小難しいんでしょ…と想像されるかもしれませんが、全然そんなことはなく、非常にコンパクトで見やすくまとめられています。誤解を恐れずに言えば、まだ手順書を作成していない薬局はこれでいいんじゃ…と思うほどのわかりやすさです。しかも、リフィル処方箋の説明や次回来局日の案内リーフレット案が付いているのもありがたいポイントです。ぜひ使えるものは使っちゃいましょう!今回はこの手引きの内容を見ていきましょう。<受け取り時の確認>手引きは薬剤師が処方箋を受け取ったときの確認事項から始まっています。まずこれがとても実務的でありがたいなと思います。具体的には、「リフィル可」欄にレ点があるかどうか、ある場合は使用回数・総使用回数などを確認します。「リフィル可」欄に手書きの記載があった場合は偽造を疑って処方元に確認することや、投与量の限度が定められている新薬や向精神薬、湿布薬などはリフィル処方箋による投薬ができないことなどの注意点も記載されています。<妥当性判断・処方箋への記載>受け取り時の確認項目をクリアし、かつ有効期間内であった場合、リフィル処方箋による調剤が適切かどうかを確認する妥当性判断に移ります。副作用や体調変化などのため、リフィル処方箋による調剤が不適当と判断した場合は、受診勧奨および処方医への情報提供が必要になります。適切と判断した場合は、処方内容を確認し、処方箋に調剤日や次回調剤予定日、薬局の名称・薬剤師名を記載します。薬局が記載する内容および記載箇所は、処方箋のイラストを用いて図示されています。<服薬指導>手引きに記載されているリフィル処方箋の服薬指導のポイントは通常の調剤の場合と大きく異なることはありませんが、参考にする生活習慣病の療養計画書が添付されているところに優しさを感じます。リフィル処方箋ならではの説明事項として、口頭・文書で次回の調剤可能な期間の前日に電話などで連絡することや、処方箋の有効期間が過ぎた場合や紛失した場合は再受診が必要となること、経過確認のため同じ薬局の利用を勧めることなどが挙げられています。リフィル処方箋を4月初めに早速受け付けた薬剤師によると、次回の来局予定がまさにゴールデンウイーク真っただ中!ということがあり、かなり焦ったそうです。次回の予定の確認は、患者さんだけでなく薬局側も慣れていないことなので注意が必要です。リフィル処方箋、健康保険証・マイナンバーカード、お薬手帳を持ってきてもらうことも忘れずに伝えましょう。<服薬指導後の対応>服薬指導後は、処方箋原本を返却し、写しを保管します。処方箋の返却は薬局側も慣れていないことなので注意が必要です。医療機関への情報提供や服薬期間中のフォローも通常と大きく異なることはありませんが、ポイントがわかりやすく記載されています。この手引きを読み、リフィル処方箋による調剤を行う場合も、リフィル処方箋による調剤が不適当で受診勧奨を行う場合も、どちらも薬剤師の判断が必要になるということを再認識しました。薬局を信じてくれた処方医や患者さんを巻き込むことなので、誠実かつ専門知識をもって対応することが求められているということを改めて感じ、身の引き締まる思いです。そして、ようやくこういう時代が来たんだな、と武者震いのような感覚も感じています。

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ドラマ「ドラゴン桜」(後編)【そんなんで結婚相手も決めちゃうの? 教育政策としてどうする?(学歴への選り好み)】Part 1

今回のキーワード学歴社会シグナリングランナウェイ遺伝子進化文化進化共進化大学助成金大学無償化前編で、学歴によって収入の割り増し(シープスキン効果)が起きることをご説明しました。中編では、だからと言ってその学歴差(教育格差)を縮めようとしても収入格差は縮まらない理由をご説明しました。そして、収入格差は「遺伝格差」が原因となっていることもご説明しました。さらに、どうやらこの学歴は、就職だけでなく、結婚においても、重んじられるようになってきているようです。今回は、引き続きドラマ「ドラゴン桜」を通して、このような学歴社会になってしまうそもそものメカニズム、そしてその行き着く先を、文化進化の視点で解き明かします。そこから、「遺伝格差」も踏まえて、これからの教育政策は教育政策をしないことであるという仰天の逆説を導き、学歴社会への今後の真の対策を考えてみましょう。なんで学歴社会になるの?桜木先生は、全校生徒の前で「東大に行け!」と力説しておきながら、「東大みたいなブランド、ありがたがっている連中…(略)みんなゲス野郎だ」と言い切りました。すると、矢島から「じゃあ、なんで東大行けって言ってるんだよ?」と突っ込まれるのです。桜木先生は、おもむろに答えます。「それはな、今のおまえには分からんだろ」「おまえらガキは、社会について何も知らないからな。いや、知らないと言うより、大人たちがわざと教えないんだ。その代わり、未知の無限の可能性だなんて、何の根拠もない無責任な妄想をおまえたちに植えつける。そんなもんに踊らされて、個性生かして他人と違う人生を送れると思ったら、大間違いだ。社会はそういうシステムになっちゃいない。それを知らずに放り出されたおまえたちに待っているのは不満と後悔の渦巻く現実だけだ!」と。桜木先生が説く「社会」とは、何でしょうか? それは、学歴社会です。学歴社会とは、社会において相手への評価(選り好み)に学歴が重んじられることです。ここから、このような学歴社会になってしまうメカニズムを、進化心理学の視点を交えて、大きく2つ挙げてみましょう。(1)シグナリング1つ目はシグナリングです。シグナリングとは、相手に自分のある情報を知らせるためにシグナル(信号)を出すことです。たとえば、鹿の角や猪の牙などの「武器」の大きさは、求愛をめぐるオス同士の序列(マウンティング)のシグナルになっています。彼らは草食動物であるため、その「武器」が狩りに使われることは実はありません。また、クジャクの飾り羽やカナリアのさえずりなどの「装飾」の美しさはメスへの求愛の誇示(セックスアピール)のシグナルになっています。人間について言えば、男性の論理性などの「男らしさ」はもともと狩りをするうえでの生存能力の高さのシグナルになっています。また、女性の共感性などの「女らしさ」はもともと子育てをするうえでの生殖能力の高さのシグナルになっています。なお、「男らしさ」「女らしさ」という言い回しは、あくまで原始の時代に求められた特性を便宜的に言い表したものです。多様化する現代社会において推奨されるものではありません。同じように、学歴は、前編でご説明した通り、知能の高さと性格の望ましさを証明している点で、現代の社会で就職先(さらには結婚相手)に対して自分がうまくやっていく能力(適応度)の高さを示すシグナルになっていることが分かります。(2)ランナウェイ2つ目はランナウェイです5)。ランナウェイとは、もともとオスのある特徴(シグナル)がその集団のメスから広く好まれるようになると、その特徴が生存で適応度を高めるかどうかとは関係なく、好まれ続ける(暴走する)ようになることです。たとえば、先ほどのクジャクの飾り羽やカナリアのさえずりは、オスに特有で、メスを惹き付けるためだけの特徴です。最初、その特徴は比較的に目立たなかったと考えられますが、求愛の「競争」によって、とても目立つように進化したのでした。なお、これらの特徴は、メスを惹き付ける点で生殖の適応度を高めてはいますが、天敵までも寄せ付けるくらい極端に目立つようになってしまったり、その「装飾」のために動きが鈍くなることで天敵から狙われやすくなってしまったら、生存の適応度を下げてしまうという代償があります。人間について言えば、男性の論理性は極端になると、理屈っぽさやこだわり(自閉スペクトラム症)という代償があります。実際に、この発症率は男性が女性の数倍高いです。一方、女性の共感性は極端になると、情緒不安定(境界性パーソナリティ障害)という代償があります。実際に、この発症率は女性が男性の数倍高いです。同じように、学歴は、当初はそのまま教育効果を表し、職業的に役立ち、生存の適応度を高めていました。しかし、社会でより好まれるようになってしまったことで、まさに学歴への選り好みが独り「走り」(独り歩き)して広まってしまい、ランナウェイの現象が起きてしまっていることが分かります。もはや、学歴は、クジャクの飾り羽と同じ「装飾」になってしまい、教育効果そのもので生存の適応度を高めることはなくなってしまったのでした。次のページへ >>

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ドラマ「ドラゴン桜」(後編)【そんなんで結婚相手も決めちゃうの? 教育政策としてどうする?(学歴への選り好み)】Part 2

学歴社会を推し進めるのは?厳密に言えば、先ほどの動物の選り好みは、その遺伝子が集団に広がっていくために長い年月がかかります。一方で、人間の学歴への選り好みは、比較的短期間で広がっています。一体何が推し進めているのでしょうか?それは、文化です。人間がほかの動物と決定的に違うのは、環境を変えられることです。そして、変えられたその環境からまた影響を受けるという相互作用を起こすことです。その環境の代表が文化なのです。このようにある行動をする遺伝子がその集団に広がっていく遺伝子進化と同じように、ある行動をする文化がその集団に広がっていくことを、文化進化と呼んでいます6)。この文化の起源は、私たち人類が部族をつくった約300万年前です。当時から、人類は狩りや育児の仕方を次世代に伝えるようになりました。これは、部族(集団)としては文化であり教育です。部族メンバー(個人)としては経験であり学習です。そして、これが、行動遺伝学における「環境」の起源と言えるでしょう。つまり、約300万年前以降の人類のほとんどの行動は、本能(遺伝)+文化(環境)から成り立っていると言えます。逆に言えば、約300万年以前の人類やほかのすべての動物の行動は、ほぼ本能(遺伝)だけとも言えます。なお、定住して家を作るようになった約1万数千年前から、人類は、部族だけでなく、家族単位でも生活圏(縄張り)を区切るようになりました。こうして、コミュニケーションの癖、生活習慣、好みなどの嗜癖の多様化がさらに進んだのでした。これは、家族文化とも言えます。これが、行動遺伝学における「家庭環境」の起源と言えるでしょう。この点でも、飲酒習慣や素行などは、本能(遺伝)+家族文化(家庭環境)+文化(家庭外環境)と言えるでしょう。なお、中編でも触れましたが、家族文化(家庭環境)は知能と収入に当初は影響を与えます。しかし、その影響力は、成人して最終的になくなるか、あったとしてもとても限られたものになります。学歴社会の行き着く先は?人間は、環境を変え、そして変えられた環境(文化)から影響を受けると、今度は長い時間の中で、人間(遺伝子)が淘汰されていくという相互作用も起こります。つまり、遺伝子進化と文化進化は共進化しています。ここから、共進化の例を3つ挙げます。そして、学歴社会が私たち人間に与える影響、つまり学歴社会の行き着く先を予測してみましょう。(1)調理する文化数十万年前に、人類が火を使うようになってから、食べ物を調理することで、消化しやすくなりました。このような環境では、消化能力が強くない人も生き残れます。すると、消化能力が弱い人類が増えていき、ますます調理をする文化が広がっていきます。こうして、現在のほとんどの人間は、生肉や腐ったものを食べるとお腹を壊すようになったのです。言い換えれば、調理の文化(環境)から影響を受けて、消化能力が強い遺伝子が淘汰され、なくなっていったのでした。(2)牛乳を飲む文化実は、世界中の成人の70%近くは、牛乳を飲んでも吸収できないです。もちろん、母親のおっぱいを飲む乳児は、牛乳も吸収できます(ただし推奨年齢は1歳を過ぎてから)。しかし、5歳を過ぎると、母親のおっぱいに含まれる乳糖(牛乳の成分と同じ)を分解する酵素がつくられなくなるため、牛乳を飲んでも吸収できなくなるのです。場合によっては、腹痛や下痢を起こします(乳糖不耐症)。一方で、残りの30%強の人は、大人になっても牛乳を吸収できて栄養にすることができます。そのわけは、約1万数千年前に農耕牧畜が広がってから、その人たちの祖先が、その家畜の搾乳を栄養として利用する地域にいたからです。先ほどの調理をする文化と同じように、牛乳を飲んで栄養にして生きていく文化の淘汰圧がかかったために、大人になっても牛乳を飲んで吸収できる遺伝子を持つ人が増えていったのでした。なお、チーズやヨーグルトなどの乳製品は、加工の過程で乳糖の割合が減っていくため、食べて吸収できる人が増えます。これは、牛乳が飲めない人たちが生きて行くための新たな文化的な適応であったと言えます。(3)お酒を飲む文化哺乳類の多くは、腐った果実(=果実酒)を食べると、分解する能力が低いためすぐに酔っ払います。ところが、ゴリラとチンパンジーはなかなか酔っ払わないことが分かっています。このことから、もともとの約1千万年前のゴリラとチンパンジーと人類との共通の祖先は、当時から「アルコール」を分解して栄養にすることができたと考えられています。そのわけは、彼らは、木から下りて地上で長い間を過ごすようになっていたため、地上に落ちて腐った果実(アルコール)も貴重な食料源として分解して消化するような遺伝的な適応をしたからでしょう。その後、約数万年前に、人類はアルコールを作るようになりました。同時に、当時からアルコール依存症が問題になっていたことが考えられます。すると、アルコールを飲まない(あまり飲めない)人が仕事仲間として、そして結婚相手としてより選ばれていくことが推測されます。このような当時の文化の淘汰圧によって、飲んだアルコールを分解できない遺伝子を持つ人が再び増えていったのでしょう。実際に、お酒があまり飲めない人は、とくに東アジアで多いのです。お酒を飲んで出てくる赤ら顔は「オリエンタルフラッシュ(東洋人の赤ら顔)」とも呼ばれます。そのわけは、もともと東アジアで稲作が盛んで、早くから米酒が醸造されていたことで、アルコール依存症が当時から社会問題になっていたからであると考えることができます。この詳細については、関連記事をご参照ください。以上を踏まえて、学歴社会の行き着く先が見えてきます。それは、学歴を重んじる文化の淘汰圧がかかると、知能が高くなる遺伝子を持つ人が増えていくことです。そして、牛乳(またはお酒)が飲める人と飲めない人がそれぞれいるのと同じように、知能の高い人と高くない人の集団が二極化していくことです。これは、知能における「遺伝格差」が広がることを意味します。一見、知能が高い人が増えるのはそれ自体むしろ良いことのように思われます。しかし、その知能とは、試験問題を解くことに特化した「知能」(情報処理能力)です。何か新しいものを生み出す創造性ではありません。AI化が進む私たちの日常生活にも共感的なコミュニケーションが求められる社会生活にも役に立つとは限らない、時代遅れの「知能」です。さらに問題なのは、その知能の高い人が高くない人を搾取する社会の仕組み(学歴社会)は変わらないどころか、強化される危うさもあるということです。この状態を前編では学歴階級社会とご説明しました。これは、牛乳が飲める人が飲めない人を搾取するのと大差ないくらい、実は不公平なものに思えてきます。この点で、中編でも触れた教育格差の名の下に、これまでの大学への助成金に加えて今後の学生への大学無償化を進めてしまえば、国は教育をする側だけでなく受ける側も含めた両方に資金援助をして、ますます教育ビジネス(前編を参照)に加担することになります。そればかりか、このように収入格差を縮めようと良かれと思って教育格差を是正しようとする取り組みは、皮肉にも、逆に学歴インフレ(前編を参照)を引き起こし、学歴を重んじる文化の淘汰圧を高めることになります。こうして、知能における「遺伝格差」をますます広げ、結果的に収入格差が広がった学歴階級社会をさらに「発展」させてしまうことになります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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ドラマ「ドラゴン桜」(後編)【そんなんで結婚相手も決めちゃうの? 教育政策としてどうする?(学歴への選り好み)】Part 3

学歴社会にどうすればいいの?桜木先生は、全校生徒の前で「そういう世の中が気に入らねえんだったら、自分でルールを作る側に回れ」と言い放ちます。彼が言う「ルール」とは、まさに学歴社会という文化そのものでもあります。「ルールを作る側に回れ」とは、高い学歴を手に入れることであり、さらには学歴(知能)が高い人が高くない人から搾取しない新しい仕組みを作り直すことをほのめかしていると読み取ることもできます。それでは、そのためには、どうすればいいでしょうか? 文化的に促進したものは文化的に抑制できるという文化進化の特性を踏まえて、学歴社会への国家的な真の対策を大きく3つ挙げてみましょう。(1)収入格差そのものを縮める1つ目の取り組みは、収入格差そのものを縮めることです。なぜなら、問題なのは、中編でもご説明しましたが、教育格差ではなく、収入格差そのものだからです。そのための税制などの社会政策を進め、収入格差をコントロールすることです。実際に、高卒に対しての大卒の収入は、アメリカは1.7倍で、日本は1.4倍強でしたが、実はフィンランドは1.25倍です。フィンランドをはじめとする北欧諸国は、もともと福祉国家であり、収入格差が小さいことで有名です。このように、社会政策として、シープスキン効果を働きにくくすれば、学生が高い学歴に選り好みをすることは減るでしょう。(2)一般職の公務員は高卒者とする2つ目の取り組みは、一般職(専門職を除く)の公務員は高卒者とすることです。すでに、大学における教育効果はとても限定的であるとご説明してきました。一般職の公務員が大卒者である必要がないのです。能力(知能)や適正(性格)を知りたいのであれば、能力テストや適正テストを適宜すれば良いです。もちろん、大学教育がない分、職場教育を充実させることができます。大学教授による目的が曖昧な授業よりも、職場教育に特化した講師による目的がはっきりした研修講義のほうが、より実践的で教育効果が期待できるでしょう。このように、まず公的機関において、高卒者の採用の促進とその後の職場教育のモデルを示せば、一般企業においても高い学歴に選り好みをすることは減るでしょう。(3)大学教育への資金援助を減らす3つ目の取り組みは、大学教育(研究を除く)への資金援助を減らすことです。これは、教育政策として教育政策をしないという仰天の逆説です。たとえば、大学への助成金を段階的に減らしていくことです。また、学生への大学無償化などの政策はしないことです。結果的に、少子化のなか、大学はダウンサイジングを迫られるでしょう。しかし、これは、一般企業としてはごく当たり前のことです。効果が期待できないことに、投資することはできないからです。ただし、奨学金制度はむしろ充実させる必要があります。なぜなら、奨学金の対象は、もともと学力が高くて真面目な学生であるため、専門職や研究職においての教育の効果が期待できるからです。一方で、大学無償化の対象は、学力が高くて真面目な学生であるとは限らなくなるため、経営難の大学の延命に利用されるだけになってしまうからです。このように、大学は、「淘汰」されることで、専門職と研究職のための教育に特化した本来のあるべき姿に戻ることができます。大学は、国立研究所として位置付けられ、浮いた大学助成金は研究予算に回すことができます。そして、大卒者が減り、世の中の大半の人が高卒者になれば、社会において高い学歴に選り好みをすることは減るでしょう。すでに中編で、一般教養を学ぶ場が大学である必要がないことをご説明しました。そもそも大学の教育関係者は、実は研究職が専門で、教職を専門とはしておらず、教えることには実は長けているわけではないという現実もあります7)。もちろん、高校教育までは、職業訓練をしたり、社会性(社会適応能力)を高める場所として必要です。人生の正解とは?第1シリーズのラストシーン。桜木先生は、最後に東大特進クラスの生徒たちに言い残します。「入学試験の問題にはな、正解は常に1つしかない。その1つに辿り着けなかったら、不合格。こりゃ厳しいもんだ。だがな、人生は違う。人生には、正解はいくつもある。大学に進学するのも正解。行かないのも正解だ。スポーツに夢中になるのも、音楽に夢中になるのも、友達ととことん遊び尽くすのも、そして誰かのためにあえて遠回りするのも、これすべて正解だ。だからよ、おまえら生きることに臆病になるな」「おまえら、自分の可能性を否定するなよ。受かったやつも、落ちたやつもだ。おまえら、胸を張って堂々と生きろ」と。あれだけ最初に「東大に行け」と言っておきながら、最後は「(東大に)行かないのも正解だ」と言い切っています。また、彼自身が弁護士であり受験コンサルタントとして知能が高い側にいるはずなのに、「自分でルール(学歴社会にならない仕組み)を作る側に回れ」と言っていました。この点で、彼はトリックスターとも言えます。それを物語るのは、元暴走族上がりで東大に合格しながら進学しなかったという異色の経歴であり、弁護士として王道を歩まない彼自身の不器用な生き様であり、彼らしい世の中への反逆精神でしょう。しかし、現実的には、官僚や教育関係者など学歴(知能)が高い人たちは、その恩恵を受ける側なので、学歴社会の不公平さをうすうす分かっていたとしても、桜木先生のようにあえてその立場が危うくなることは言わないですし、あまり知りたいとも思わないでしょう。政治家も、今まで通り教育政策を充実させると言っておいたほうが聞こえが良くて支持が集まるので、その反対のことは言えないでしょう。では、このままの学歴社会でいいんでしょうか? 知能における「遺伝格差」によって、本人の努力ではどうしようもなく搾取される側になってしまっていいんでしょうか? その「遺伝格差」によって、親の「努力」(教育費をかけること)でもどうしようもなく自分の子どもが搾取される側になってしまっていいんでしょうか?もちろん、どんな社会にするかは政治が決めることです。しかし、政治をする政治家を決めるのは、やはり私たちです。となると、私たち一人一人がまず暴走(ランナウェイ)しつつある学歴社会という文化進化の危うさを理解することです。そして、逆にその文化(環境)を変えていくことで、知能における「遺伝格差」を広げないようにする必要があることを理解することです。すると、遺伝自体は変えられなくても、その遺伝と相互作用して顕在化させるかを左右する環境を変えることができます。これは、逆転の発想です。実際に福祉国家であるスウェーデンは、収入への遺伝の影響が小さいことが分かっています。つまり、収入格差の抑制が知能における「遺伝格差」の抑制につながっているというわけです。このような社会を実現するために、私たちは、遺伝と真摯に向き合う時期に来ています。貧富の差(収入格差)があるのは、「努力が足りなかったからだ」という自己責任論ばかりを唱えるのをそろそろやめる時期に来ています。遺伝の影響力はないとする考えほうが逆に遺伝の影響力を強める結果を招いているという逆説にそろそろ気付く時期に来ています。そして、遺伝の価値は、私たちの文化(環境)が決めているという側面に気付くことです。なぜなら、進化心理学の視点で考えれば、私たちの心は、学歴などによる不平等で不公平な社会ではなく、助け合いによるある程度平等で公平な社会をもともと望むからです。それは、私たちの心の原型が形づくられた原始の時代の部族社会をイメージすれば、分かるでしょう。もちろん、まったくの平等社会にはしないことです。なぜなら、旧ソ連がそうだったように、そんな社会は、こんどは努力をしなくなるという負の側面が出てくるからです。以上を踏まえて、桜木先生が最後に言い残したように、正解を求める生き方ではなく、どんな生き方でも正解と思えることが望ましいでしょう。そのために、私たち一人一人が、学歴という体裁ではなく、相性という中身によって、仕事もパートナー(結婚相手)も選んでいける時代にしていくことではないでしょうか? そんな心のあり方を育むことこそがこれからの教育であり、そんな生き方を促すことこそがこれからの社会と言えるのではないでしょうか?5)「進化と人間行動」P235:長谷川寿一ほか、東京大学出版会、20226)「文化がヒトを進化させた」P22:ジョセフ・ヘンリック、20197)「大学の常識は、世間の非常識」P119、P181:塚崎公義、祥伝社新書、2022<< 前のページへ■関連記事酔いがさめたら、うちに帰ろう。(前編)【アルコール依存症】

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