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患者からの「心付け」、角が立たない断り方は?/医師1,000人アンケート

 患者さんがお世話になった医師に診療対価のほかに金銭や物品などを渡すという慣習に対して、受け取りたくない/受け取ることができない医師が断り方に苦慮するという話を聞く。そこで、CareNet.comでは、患者さんやそのご家族からの感謝の気持ちとして、診療対価のほかに「お礼(心付け)」を受け取った経験や、申し出を断る言葉や方法に関するアンケートを実施した。その結果、内科系・外科系診療科を問わず80%超の医師がお礼を受け取った経験があるが、もはや過去の慣習と考えている医師が多く、さらに、何とかして渡したい患者vs.受け取りたくない医師のやり取りも明らかになった(2023年6月22日実施)。お礼を受け取ったことがある医師は84.2% Q1では、これまで診療の対価のほかに、患者さんやそのご家族から金銭・物品を問わずお礼(心付け)を受け取ったことがあるかどうかを聞いた。その結果、受け取ったことがある医師は全体で84.2%であった。手術を伴う外科系診療科のほうが多いかと思ったが、内科系83.2%、外科系86.4%で大きな差はみられなかった。年齢別では、受け取ったことがある20代は66.7%、30代は77.8%、40代は82.0%、50代は87.4%、60代は91.8%、70代以上は89.7%と、おおむね年代が上がるにつれ割合が増加した。最も多いのはお菓子などの飲食物 Q2では、上記Q1でお礼を受け取ったことがある場合に、何を受け取ったかを聞いた(複数回答)。最も多かったのはお菓子などの飲食物で、順に現金、商品券などの金券、手紙、似顔絵や小物などの手作りの品、お花と続いた。 自由記入の「その他」ではなぜか靴下が多数寄せられていた。現金は1万円くらいが半数、16万円以上も Q3では、お礼を現金または金券を受け取ったことがある場合、患者さん1人当たりの平均金額について聞いた。「1万円くらい」が49.9%と半数を占め、「2万円くらい」が8%。「3万円くらい」が11.7%、「5万円以上」が1.9%であった。「6万円以上」は0.7%であったが、16万円以上を受け取っていたという回答もあった。渡したい患者vs.受け取りたくない医師 Q4ではフリーコメントとして、お礼に対する考え、患者さんがお礼を申し出た際に断る言葉・方法を聞いたところ、何とかして渡したい患者と受け取りたくない医師のやり取りが興味深かった。「結構ですと断るが、無理やり白衣のポケットに突っ込まれた」「後日郵送される」など強硬手段に出る患者もいて、「断ると角が立つこともあり悩ましい」「断るとご立腹される方もいて難しい」「古い患者さんは断るのが難しい」「お礼を頂かないのは失礼になるのではないかと不安になる」など苦労する医師の声が寄せられた。また、やはり断れないのか、いったん受け取った後、「現金、金券は私からの快気祝いですと言って返す」「退院祝いとしてそのまま返す」などもあった。受け取る、受け取ることがある派のご意見・素直に受け取ります。・常識範囲内での礼節であれば問題ないと考える。・断り続けるのも、ある意味失礼。・お礼は気持ちの問題ですので、無理に断る必要はないと思っています。ただし、患者のキャラクターで後々問題になりそうな人であれば、丁重に断ったほうがよいと思います。・良くない習慣ではあると思うが、感謝の気持ちを示す1つの方法だとは思う。・最近では少なくなりましたが高齢の患者さんが感謝の気持ちで用意されているので持ち帰らせるのも心苦しく積極的に頂いています。・成功報酬としてなら頂く。受け取らない派のご意見・受け取ると気を遣ってしまいそうで、受け取っていない。・平成初期のころはまだ普通にお礼を頂いていましたが、最近は頂くこと自体ほとんどありませんが、申し出があったとしても丁重にお断りしています。・最近は生活に困ってる方が多くなった気がするので、基本お断りしています。・お礼をもらうことで患者の診療に差がつくと思われたくないので極力もらわないようにしている。・受け取ったのはずっと以前です。最近はお礼は古い風習ですのでやめましょうと言って断ります。・お礼がなくとも誠心誠意診療することを伝えてお断りしています。・昔はよくありましたが、最近はお礼がないので気が楽です。申し出を断る言葉・「お気持ちだけで。一番頑張ったのは患者さんご自身ですよ」・「診療はお礼にかかわらず最善を尽くします」・「そのお気持ちだけで私は医師として最高に幸せです」・「礼など結構です。当然のことをしたまでです」・「お気持ちだけで十分です。現金は教室の寄付でお願いします」・「診療に対する報酬は病院から受け取っていますので、今後の治療のために取っておいてください」・「十分に給与をいただいています」アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。患者からの「心付け」は受け取る?断る?/医師1,000人アンケート

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中年のコーヒーや紅茶の摂取と将来の認知症リスク~HUNT研究

 認知症予防に対するコーヒーおよび紅茶の摂取の可能性について調査した研究結果は、現状では一貫性が得られていない。ノルウェー科学技術大学のDenise Abbel氏らは、中年成人を対象に紅茶または各種コーヒーの摂取とその後の認知症リスクとの関連およびこの関連に性別、ApoE4が及ぼす影響を調査するため、本研究を実施した。その結果、コーヒー摂取の習慣とその後の認知症リスクとの関連に対し、摂取するコーヒーの種類が影響を及ぼしている可能性が示唆された。Nutrients誌2023年5月25日号の報告。 対象は、ノルウェーHUNT研究の参加者7,381人。ベースライン時の毎日のコーヒーおよび紅茶の摂取量は、自己報告アンケートにより収集した。22年後、70歳以上の対象者に対し、認知機能検査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・コーヒーおよび紅茶の摂取量が一般的な場合、認知症リスクとの関連は認められなかった。・コーヒーの摂取量が0~1cup/日の場合と比較し、煮出しコーヒーを8cup/日以上摂取した女性では認知症リスクの上昇が認められ(オッズ比[OR]、95%信頼区間[CI]:1.10~3.04、p for trend=0.03)、他の種類のコーヒーを4~5cup/日摂取した男性では認知症リスクの低下が認められた(OR:0.48、95%CI:0.32~0.72、p for trend=0.05)。・煮出しコーヒーと認知症リスク上昇との関連性は、ApoE4非キャリアのみで認められた。・性別またはApoE4キャリアの違いは、相互作用に関する強い統計学的エビデンスとはいえなかった。・紅茶の摂取と認知症リスクとの関連は認められなかった。

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トランスジェンダーは自殺死が多いか/JAMA

 トランスジェンダーの人々は自殺企図や死亡のリスクが高い可能性が示唆されている。デンマーク・Mental Health Centre CopenhagenのAnnette Erlangsen氏らは、今回、トランスジェンダーは非トランスジェンダーと比較して、最近42年間における自殺企図、自殺による死亡、自殺と関連のない死亡、あらゆる原因による死亡のいずれもが、有意に高頻度であることを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年6月27日号で報告された。デンマークの後ろ向きコホート研究 研究グループは、デンマークにおけるトランスジェンダーの自殺企図、死亡の頻度を評価する目的で、全国規模の登録ベースの後ろ向きコホート研究を行った(Danish Health Foundationの助成を受けた)。 対象は、デンマークで生まれで、1980年1月1日~2021年12月31日に同国に居住していた15歳以上。トランスジェンダーを自認する人々の確認は、全国の病院記録と法的な性別変更の行政記録で行った。 全国入院・死因登録のデータを用いて、1980~2021年の自殺企図、自殺死(自殺既遂)、自殺以外による死亡、全死因死亡を同定した。暦年、出生時に割り当てられた性別、年齢で調整し、トランスジェンダーと非トランスジェンダーにおけるこれらのアウトカムの補正後発生率比(aIRR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 665万7,456人(出生時に割り当てられた性別は男女とも50.0%ずつ)が解析に含まれ、フォローアップ期間は1億7,102万3,873人年であった。このうち3,759人(0.06%)がトランスジェンダーと判定され、判定時の年齢中央値は22歳(四分位範囲[IQR]:18~31)だった。1,975人(52.5%)は出生時に男性、1,784人(47.5%)は女性に割り当てられていた。42年で企図、死亡は低下したが、aIRRは有意に高い 自殺企図は、トランスジェンダー群では92件(初回自殺企図年齢中央値27歳[IQR:19~40])、非トランスジェンダー群では11万9,093件(36歳[23~50])発生した。10万人年当たりの標準化自殺企図率は、トランスジェンダー群が498件、非トランスジェンダー群は71件で、10万人年当たりの標準化発生率の差は428件(95%CI:393~463)であり、aIRRは7.7(95%CI:5.9~10.2)とトランスジェンダー群で自殺企図率が有意に高かった。 また、10万人当たりの標準化自殺死亡率は、トランスジェンダー群が75件、非トランスジェンダー群は21件であり、aIRRは3.5(95%CI:2.0~6.3)とトランスジェンダー群で自殺死亡率が有意に高かった。 10万人年当たりの標準化非自殺性死亡率は、トランスジェンダー群が2,380件、非トランスジェンダー群は1,310件(aIRR:1.9、95%CI:1.6~2.2)、10万人年当たりの標準化全死因死亡率はそれぞれ2,559件、1,331件(2.0、1.7~2.4)であり、いずれもトランスジェンダー群で有意に高率だった。 42年の対象期間中に、自殺企図と死亡の割合は低下したにもかかわらず、いずれのアウトカムも最近のaIRRが有意に高く、2021年のaIRRは自殺企図が6.6(95%CI:4.5~9.5)、自殺死亡が2.8(1.3~5.9)、非自殺性死亡が1.7(1.5~2.1)、全死因死亡が1.7(1.4~2.1)と、いずれもトランスジェンダー群で高かった。これは、トランスジェンダーでは自殺企図と死亡のリスクが継続的に高いことを反映している。 著者は、「トランスジェンダーは、いじめ、差別、排除、偏見といった形で、トランスであることに関する組織的な否定にさらされる可能性があり、少なくとも部分的には、このようなマイノリティストレスの結果として、疎外感や内面化されたスティグマ、精神衛生上の問題、ひいては自殺行動につながる可能性がある」と指摘し、「トランスジェンダーの自殺を減らすための取り組みが求められ、これには個人的な苦悩がある場合に助けを求めるよう促すといった直接的な対策が含まれるほか、医療専門家による研修や最善の診療ガイドラインの実施、性別にとらわれない公衆浴場や更衣室の普及といった、構造的な差別を減らすための一般的な対策も提言されている」としている。

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経口セマグルチド50mg、肥満非2型糖尿病の体重減を確認/Lancet

 2型糖尿病を伴わない過体重または肥満の成人において、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチド50mgの68週間の1日1回経口投与は、平均15%の体重減少をもたらし、参加者の85%で臨床的に意義のある体重減少(5%以上)を達成し、安全性プロファイルは同薬2.4mgの皮下投与やGLP-1受容体作動薬クラス全体のデータとほぼ一致することが、デンマーク・コペンハーゲン大学のFilip K. Knop氏らが実施した「OASIS 1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年6月25日号に掲載された。9ヵ国50施設の無作為化プラセボ対照比較試験 OASIS 1試験は、日本を含む9ヵ国50施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2021年9月13日~11月22日の期間に参加者の登録が行われた(Novo Nordiskの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上(日本では20歳以上)、BMI値が30以上、またはBMI値27以上で少なくとも1つの体重関連の合併症または併存疾患(高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症、心血管疾患)を有し、2型糖尿病のない患者であった。 被験者は、生活様式への介入に加え、セマグルチド(3mgから開始し、16週で維持用量の50mgまで増量)またはプラセボを、68週間1日1回経口投与する群に無作為に割り付けられた。治療終了後は7週間のフォローアップが行われた。 複合主要エンドポイントは、68週時の体重の変化率と5%以上の体重減少の達成であった。3分の2で10%以上、半数で15%以上、3分の1で20%以上の減量 667例が登録され、セマグルチド群に334例、プラセボ群に333例が割り付けられた。全体の平均年齢は50(SD 13)歳で、485例(73%)が女性であった。平均体重は105.4kg、BMI値37.5、ウエスト周囲長113.6cmであり、494例(74%)が白人だった。 ベースラインから68週までの体重の平均変化率は、プラセボ群が-2.4%(平均変化値[SE]:0.5)であったのに対し、セマグルチド群は-15.1%(SE:0.5)と、減量効果が有意に優れた(推定治療群間差:-12.7ポイント、95%信頼区間[CI]:-14.2~-11.3、p<0.0001)。 また、68週時における5%以上の体重減少の達成割合は、セマグルチド群が85%(269/317例)、プラセボ群は26%(76/295例)であり、セマグルチド群で有意に優れた(オッズ比[OR]:12.6、95%CI:8.5~18.7、p<0.0001)。 同様に、10%以上の体重減少はセマグルチド群が69%(220例)、プラセボ群は12%(35例)(OR:14.7、95%CI:9.6~22.6、p<0.0001)、15%以上はそれぞれ54%(170例)、6%(17例)(17.9、10.4~30.7、p<0.0001)、20%以上は34%(107例)、3%(8例)(18.5、8.8~38.9、p<0.0001)で達成され、いずれもセマグルチド群で良好だった。 有害事象は、セマグルチド群が92%(307/334例)、プラセボ群は86%(285/333例)で発現した。重篤な有害事象は、それぞれ10%(32例)、9%(29例)で、試験薬の投与中止をもたらした有害事象は、6%(19例)、4%(12例)で報告された。消化器系の有害事象(ほとんどが軽度または中等度)は、80%(268例)、46%(154例)で認められた。 著者は、「セマグルチド50mgの経口投与により、多くの参加者で臨床的に意義のある体重減少が誘導され、これに伴い心代謝リスク因子が改善することが示された。したがって、セマグルチド50mgの経口投与は、肥満治療の有効な選択肢となる可能性がある」としている。

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リアルワールドエビデンス、高カリウム血症が心腎疾患患者の転帰におよぼす影響/AZ

 AstraZeneca(英国、CEO:Pascal Soriot氏)は、同社のリアルワールドエビデンス(RWE)に基づくZORA研究(以下、本研究)の解析から、高カリウム血症を発症している患者において、レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系阻害薬(RAASi)の投与量減量または中止による影響が示されたと発表した。 イタリアのミラノで開催された欧州腎臓学会(ERA)2023総会で発表された本研究の解析の1つより、慢性腎臓病(CKD)および/または心不全(HF)を患う心腎疾患患者におけるRAASi治療の継続を提案する複数のガイドラインがある一方で、米国および日本の臨床現場では、高カリウム血症発症後にRAASi治療の中止が依然行われていることが示された。また、RAASi治療を中止した患者のうち、6ヵ月以内に再開した割合は、米国では10~15%、日本では6~8%で、RAASi治療を再開した少ない患者の中で、米国および日本ともにその17~37%の患者において投与量が25%を超えて減量されていた。 本研究における別の解析では、スウェーデン(6,998例)と日本(2,092例)の心腎疾患患者において、高カリウム血症発症後にRAASi治療を中断した場合、発症から6ヵ月までと発症の6ヵ月前までを比べると、スウェーデンでは18.2日、日本では17.9日、全原因の入院日数が増加することが明らかになった。一方、高カリウム血症発症から6ヵ月後までRAASi治療を維持した患者の入院日数の増加は、スウェーデンと日本でそれぞれ9.4日と8.5日であり、CKDおよびHF関連の原因による入院日数についても同様の傾向が観察された。 今回発表された2つの解析は、BMC Nephrology誌に掲載された本研究結果に基づいており、この論文では米国および日本のCKDまたはHF患者において、高カリウム血症に関連してRAASi治療を中止または漸減した患者では、RAASi治療を維持または漸増した患者と比較して、心腎イベントのリスクが高いことが明らかになった。 UCLA Healthの腎臓内科主任であるAnjay Rastogi氏は、「心腎疾患患者には、心疾患のリスクや入院率の上昇につながる高カリウム血症の管理という深刻なアンメットニーズがある。今回発表されたリアルワールドデータにより、心腎疾患患者においてRAASi治療がガイドラインで推奨されているにもかかわらず、高カリウム血症の発症によって投与量の減量が一般的に行われていることが示された。ガイドラインに基づいてRAASi治療を受けているCKDやHFの患者において、とくに、この慢性病態をよりよく管理できる可能性のあるカリウム吸着薬などの治療選択肢がある場合には、高カリウム血症の発症によってRAASi治療が妨げられるべきではない」と述べた。 また、同社のエグゼクティブバイスプレジデント兼バイオファーマビジネスユニットの責任者であるRuud Dobber氏は、「ガイドラインに沿ったRAASi治療を行わなかった場合、心腎疾患患者の転帰に影響をもたらす可能性がある。しかし、今回の知見は、これらの患者が高カリウム血症の発症によってRAASi治療を中止した場合、RAASi治療を再開することはまれであり、再開を可能にするためには高カリウム血症管理におけるプラクティスチェンジが急務であることを浮き彫りにしている。私たちは、高カリウム血症に対する治療を通じてこの疾患を改善し、よりよく心腎保護の機会を患者に届けられるよう、一層広く医療従事者と協力していく」としている。

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重症度や地域、剤形によって患者の治療選好性が異なる?中等症~重症乾癬

 2023年6月5日、ブリストル マイヤーズ スクイブは、日本における「乾癬」の治療選好に関する、離散選択実験(Discrete choice experiment:以下、DCE)手法を用いた観察研究の結果を発表した。本研究の結果から、乾癬患者が治療を選択するうえで、有効性と同じく治療費や投与方法も重要な要素であることが、自治医科大学医学部 皮膚科学講座 小宮根 真弓氏らによって示された。結果は、2月20日付でJournal of Dermatology誌に掲載された。広がる乾癬の治療選択 皮膚の炎症性疾患である乾癬の治療は、ここ十数年で大きな進展を遂げてきた。その転機は、2010年に生物学的製剤の使用が初めて承認されたことにあり、最も患者数の多い尋常性乾癬では現在11製剤が臨床で使用されている。加えて最近は、経口剤の選択肢も増えている。乾癬治療の基本となる外用剤だけでなく、経口剤や生物学的製剤などのさまざまな選択肢の中から、患者に最適な治療法を選ぶことが重要だ。 しかし、治療効果、費用、投与方法が異なるこれらの治療選択肢に対する中等症~重症乾癬患者の嗜好性は十分に理解されていない。中等症~重症乾癬患者の選好性は? DCE手法は、複数の選択肢の中から最も好ましい選択を繰り返すアンケート調査によって、その選択における回答者の選好度を統計学的に算出する方法である。商品やサービスに対して人々が持つ多様な価値を相対的に評価でき、さまざまな業界で応用される。本研究では、20歳以上の生物学的製剤または経口剤による乾癬の全身療法を受けている中等症から重症の日本人乾癬患者222例(滴状乾癬、逆乾癬、膿胞性乾癬、乾癬性紅皮症、薬剤性乾癬を除く)を対象に、治療薬の有効性、安全性、投与方法、投与頻度、利便性、治療費などの治療因子に対する治療選択時の選好度についてオンラインによる定量調査が行われた。結果は以下のとおり。・乾癬治療を受ける際の重要な要素として、「長期有効性」に対する相対的重要度(RI)が最も高く(42%)、2番目が「費用」(24%)、3番目が「投与方法」(13%)だった。・患者選好度の感度分析において、「投与方法」では皮下注射剤よりも経口剤を好む傾向がみられた。・サブグループ解析により、乾癬患者の重症度や居住地域によって異なる傾向がみられた。すなわち、中等症の乾癬患者(191例)と重症の乾癬患者(31例)では、重症度に関係なくいずれも「長期有効性」のRIが最も高値だった(中等症:48%、重症:42%)が、2番目は、中等症患者では「費用」(21%)、重症患者では「短期有効性」(21%)だった。また、政令指定都市の乾癬患者(106例)と非政令指定都市の乾癬患者(116例)を比較したところ、居住地域に関係なく「長期有効性」のRIが最も高値だった(政令指定都市:56%、非政令指定都市:42%)。一方、2番目に高い値を示した特性は、政令指定都市の患者では「副作用(消化器系関連)」(14%)、非政令指定都市の患者では「費用」(28%)だった。 小宮根氏は結果を振り返り、「乾癬治療の好みは患者特性や臨床的特性によって異なり、実臨床で治療を決定する際には、患者さんの声を考慮した共有意思決定が必要であることが示唆されたことは、乾癬治療を行う医療従事者や患者さんにとって意義があるもの」と述べている。 今回得られた知見が、乾癬の全身療法における治療決定の一助になることが期待される。

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バイアグラと酒の併用が生んだ悲劇【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第237回

バイアグラと酒の併用が生んだ悲劇illust ACより使用シルデナフィル(商品名:バイアグラ)は、海綿体の血管系に存在するホスホジエステラーゼ5を阻害することで陰茎の勃起を助ける働きがあります。シルデナフィルとアルコールを併用しても、ネットでは「とくに相互作用があるわけではないため安全」という見解が主流で、適度の飲酒の内服は可能と書いているウェブサイトのほうが多いと思います。Pandit JN, et al.Rare fatal effect of combined use of sildenafil and alcohol leading to Cerebrovascular Accident.J Forensic Leg Med. 2023;95:102504.これはインドから報告された法医学の症例報告です。インドでは、とくに若年層におけるシルデナフィルの無認可の流通が増えており、不適切な使用が懸念されています。シルデナフィルの副作用として、頭痛、顔面紅潮、鼻づまり、血圧低下などが報告されています。軽度の頭痛であれば心配不要ですが、今回紹介するのは脳出血によって死亡した症例です。とくに既往歴のない41歳男性が、女性とホテルの一室に宿泊していました。夜にシルデナフィル50mgを2錠、そしてアルコールを摂取していました。翌朝、彼は気分不良を訴え病院に搬送されましたが、残念ながら到着時にはもう死亡していました。解剖では、右大脳基底核から両側脳室、大脳皮質にかけて約300gの凝血塊を伴う脳浮腫が観察されました。ミクロでは、心室壁の肥大、肝臓の脂肪変性、急性尿細管壊死、高血圧性変化などが確認されました。40代の男性がシルデナフィルとアルコールを併用して、脳出血を起こし搬送された症例がトルコからも報告されています1)。こちらの症例は一命を取りとめています。シルデナフィルをアルコールと併用することはそもそも推奨されているわけではありませんが、常識的な低量アルコールによる大きな副作用は報告されていません。本当に両者の併用に何らかのリスク上昇はないのか、規模の大きな検討が必要かと思われます。1)Antar V, et al. Subarachnoid and intracerebral hemorrhage after alcohol ingestion and illicit use of sildenafil. Turk Neurosurg. 2015;25(3):485-487.

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第167回 首都圏に漂う“コロナ第9波は沖縄県特有”という幻想

非常に嫌な雰囲気だと思う。全国での新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染者が増加傾向にある件だ。感染症法上の5類移行により、現在の新型コロナ感染者報告は定点医療機関で行われているのは周知のこと。その数字を参照すると、全国の定点当たりの感染者報告数は、5類移行直後の5月8~14日の2.63人以降はじわじわと増加を続け、最新の6月19~25日では6.13人にまで達している。とりわけ増加傾向が顕著なのは沖縄県。同県の定点当たりの感染者数は、6月19~25日は39.48人で全国平均(6.13人)の6倍以上、すでに第8波のピークを越えたとの指摘もある。一部の民間検査センターでは、検査陽性率が5割に達するとも報じられており、この数字すら氷山の一角に過ぎないことがわかる。これまでのコロナ禍を振り返っても、沖縄県は日本国内でも最も新型コロナが流行しやすい地域の1つだが、その背景には活動性の高い若年人口比率が都道府県別で最も高く、これに対しワクチン接種率は都道府県別で最低などの事情があると思われる。以下は私個人の感覚に過ぎないのだが、コロナ禍の中で沖縄県での感染流行を話題にすると、友人・知人の多くはそれを「沖縄県特有のこと」と捉えがちと感じている。数日前にも友人との会話で今の感染状況が話題になったが、彼は「まあ、沖縄県とは距離があるし、即座に本州には波及しないでしょう」と言ってのけた。確かに前述のような人口構成比などに限らず、これまで抱えてきた歴史や風俗習慣の点でも沖縄県は独特である。これに加え、とくに首都圏在住者からすれば、物理的に離れていることも「沖縄県特有」との言葉で片付けられがちな大きな理由なのだろう。さらに友人は「そもそもたくさんの島が散らばっていて人口規模も小さいからさ」と言っていた。確かにこの友人が言うとおり、沖縄県の人口は約143万人で、都道府県別人口順位では真ん中より下の第25位。ただ、人口密度で見ると、全国第8位となる。ちなみに人口密度第10位までの都府県で、政令指定都市を含まないのは沖縄県だけである。その意味ではこの辺も沖縄県で新型コロナの感染が拡大しやすい要因の1つだろう。そして同じく友人が口にした「距離がある」のもそのとおりだが、今や一般人が「高嶺の花」と思わないコストで足を運べる時代だ。その証拠に沖縄県文化観光スポーツ部 観光政策課が公表している同県年間入域観光客数は、コロナ禍前の2019年度が1,016万3,900人。同県人口の約8倍で、うち7割以上が日本人である。コロナ禍でこの数字は大きく減ったとはいえ、2022年度は677万4,600人まで回復している。2022年度は外国人観光客数があまり回復していないため、このうちの97%が日本人、なおかつ半数弱が東京方面からである。この状況で、容易に時空を超える性質が最大の特徴である感染症が紛れ込めば、どうなるかは少し想像力を働かせればわかることだ。さらに付け加えれば、沖縄県外との行き来は多くが3密空間の代表格と言える航空機である。その意味で、沖縄県での感染流行を対岸の火事と思って眺めている間に、いきなり自分の背後から火の手が上がるというシナリオは、「とりあえず可能性がある」という程度の確率の低いものではないはず。少なくとも私自身、この状況を受けて行動制限まではしていないが、マスクを着用する局面(現在屋外では原則外している)は増やして対応している。

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がん医療におけるコミュニケーションのガイドライン【非専門医のための緩和ケアTips】第55回

第55回 がん医療におけるコミュニケーションのガイドライン緩和ケアの臨床を構成する要素のうち、かなりの部分を占めるのがコミュニケーションです。大きなテーマとしては「病名告知などの悪い知らせをどう伝えるか」というものがありますし、日々の業務では「さりげない言葉掛けがケアにつながる」ことを実感します。コミュニケーションの重要性は誰しも認めるところですが、自分でスキルアップするのが難しい分野でもあります。今日の質問緩和ケアに取り組んでいて、日々難しく感じるのがコミュニケーションです。自分なりに工夫はしてきたのですが、系統的に勉強したことがありません。臨床に即した、参考になるものはないでしょうか?最近は医学部教育においてもコミュニケーションについて学ぶ機会が増えているようですが、やはり臨床経験を通じて学ぶことが多いのは、この領域です。一方、ある程度経験を積むとフィードバックをくれる人がいなくなり、独り善がりになりがちな部分でもあります。そんなときに参考になるのが、『がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン2022年版』です。日本サイコオンコロジー学会と日本がんサポーティブケア学会が編集し、2022年に初めて出版されました。「コミュニケーションにもガイドラインがあるの?」と思った方がいるかもしれません。緩和ケアの分野ではコミュニケーションに関する研究は重要で、コミュニケーション技法の開発も行われています。このガイドラインでは、臨床疑問(CQ)に対する推奨がエビデンスと共に明示されています。がん診療におけるコミュニケーションにおけるCQとは、どのようなものがあるのでしょうか? ガイドラインから一部を抜粋してみましょう。根治不能のがん患者に対して抗がん治療の話をするのに、「根治不能である」ことを患者が認識できるようはっきりと伝えることは推奨されるか?進行・再発がん患者に、予測される余命を伝えることは推奨されるか?医師ががんに関連する重要な話し合いのコミュニケーション技術研修(CST)を受けることは推奨されるか?こういったCQに対し、現状のエビデンスの紹介と、それに基づく推奨が示されます。遭遇するであろう難しい状況に対するCQから、コミュニケーション技術に対する教育・研修の効果に関するCQまで、幅広く扱われています。がん疾患を持つ患者さんを対象としていますが、非がん疾患の患者さんのケアにも使える部分が大きいと思います。気になった方はぜひ手に取ってみてください。今回のTips今回のTips患者コミュニケーションに悩んだら、ガイドラインを見てみましょう。

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片頭痛治療薬抗CGRP抗体の比較~メタ解析

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体は、新しい片頭痛予防薬である。また、米国においてCGRP受容体拮抗薬であるatogepantが片頭痛予防薬として承認された。中国・首都医科大学のWenfang Sun氏らは、将来の臨床試験の参考となるよう、さまざまな用量の抗CGRPモノクローナル抗体およびatogepantを含む片頭痛治療に対する有効性および安全性を評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。その結果、すべての抗CGRP薬は片頭痛予防に効果的であり、とくにフレマネズマブ225mg/月、エレヌマブ140mg/月、atogepant 60mg/日は、副作用リスクが低く、効果的な介入であることが示唆された。The Clinical Journal of Pain誌オンライン版2023年6月2日号の報告。 2022年5月までに公表された文献をPubMed、Embase、およびコクランライブラリーより検索した。対象には、反復性または慢性片頭痛患者を対象にエレヌマブ、フレマネズマブ、eptinezumab、ガルカネズマブ、atogepantまたはプラセボによる治療を評価したランダム化比較試験(RCT)を含めた。主要アウトカムは、1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少、50%治療反応率、有害事象数とした。バイアスリスクの評価には、Cochrane Collaboration toolを用いた。 主な結果は以下のとおり。・24件の文献を分析対象に含めた。・有効性に関しては、すべての介入がプラセボよりも優れており、統計学的に有意な差が認められた。・もっとも効果的な介入は、以下のとおりであった。【1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少】 フレマネズマブ225mg/月(標準化平均差[SMD]:-0.49、95%信頼区間[CI]:-0.62~-0.37)【50%治療反応率】 フレマネズマブ225mg/月(相対リスク:2.98、95%CI:2.16~4.10)【急性投薬日数の減少】 エレヌマブ140mg/月(SMD:-0.68、95%CI:-0.79~-0.58)・有害事象に関しては、ガルカネズマブ240mg/月およびフレマネズマブ675mg/四半期を除き、すべての治療においてプラセボとの統計学的な優位性は認められなかった。・有害事象による治療中止に関しては、介入群とプラセボ群との間に有意な差は認められなかった。

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新型コロナ、軽症でも精子に長期ダメージ

 欧州ヒト生殖医学会(European Society of Human Reproduction and Embryology:ESHRE)第39回年次総会で発表された新たな知見によると、COVID-19に感染した男性は、3ヵ月以上が経過しても精子の濃度が低下し、泳ぐことのできる精子も減少していたという。同学会が2023年6月26日付のプレスリリースで発表した。 スペイン・IERA財団の生殖専門家であるRocio Nunez-Calonge氏は、COVID-19感染後、平均100日が経過しても精子の質と濃度に改善はみられなかった、と述べた。 「COVID-19感染後、短期的に精液の質が影響を受けることを示した研究は過去にあるが、私たちが知る限り、長期間追跡調査した研究はなかった。新しい精子が生成されれば、精液の質は改善すると考えられていたがそうではなかった。精液の質が回復するのにどれくらい時間がかかるかは不明であり、たとえ軽症の感染であっても、永久的なダメージを受けた可能性もある。」 Nunez-Calonge氏は、生殖補助医療のためにスペインのクリニックに通院している一部の男性において、COVID-19感染後に回復し、軽症であったにもかかわらず、精液の質が悪化している患者がいることを確認していた。そこで、COVID-19感染が精液の質の低下に影響しているかどうかを調査した。 「新しい精子を作るまで 約78日かかるので、COVID-19から回復して少なくとも3ヵ月後に精液の質を評価するのが適切だと考えた」とNunez-Calonge氏は述べた 2020年2月~2022年10月、スペインの6つの生殖クリニックに通う男性45例が組み入れられた。全員が軽症のCOVID-19と診断されており、クリニックには感染前に採取された精液サンプルの分析データがあった。感染後17~516日に別の精液サンプルを採取した。患者の平均年齢は31歳、感染前と感染後のサンプル採取の経過日数中央値は238日だった。研究者らは、感染後100日以内の全サンプルを分析し、その後100日以上が経過したサンプルのサブセットを分析した。 その結果、精液量:2.5mL→2mL(20%減)、精子濃度:射精液1mLあたり6,800万→5,000万(26.5%減)、精子数:精液1mLあたり1億6,000万→1億(37.5%減)、総運動率:49%→45%(9.1%減)、生きた精子の数:80%→76%(5%減)に統計学的有意差を認めた。 Nunez-Calonge氏によれば、運動性と総精子数が最も深刻な影響を受けたという。半数の男性の総精子数は、感染前後で57%減少していた。そして、感染後100日以上経過してサンプルを提供した男性グループを調査したところ、精子の濃度と運動性は依然として改善されていなかった。 「軽度の感染であっても、ウイルスによる永続的なダメージが原因である可能性がある。臨床医はSARS-CoV-2が男性の生殖能力に及ぼす有害な影響について認識すべきだ。」 SARS-CoV-2が睾丸や精子に影響を与えることは知られているが、そのメカニズムはまだわかっていない。Calonge氏によれば、Long COVID患者にみられる炎症や免疫系の損傷が関与している可能性があるという。 本研究に関与していない、ESHRE委員長であるリスボン北部病院センターのCarlos Calhaz-Jorge 氏は「本研究はCOVID-19感染後の不妊患者の長期フォローアップの重要性を示している。しかし、感染後の患者の精液の質は、世界保健機関(WHO)が定める『正常な』精液と精子の基準内であることに注意する必要がある。COVID-19感染後の精液の質の低下が生殖能力の低下につながるかどうかは不明であり、さらなる研究の対象とすべきである」とコメントしている。

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irAEに対するIL-6R阻害薬の有効性とICIの効果への影響

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、広範ながん種において生存率の向上をもたらし、使用が拡大している。しかし、ICIによって生じる免疫関連有害事象(irAE)が治療の中断・中止の原因となるため、その管理が重要である。irAEに対する標準治療は副腎皮質ステロイドであるが、高用量かつ長期間の使用は、抗腫瘍免疫の減弱や有害事象の原因となる可能性がある。そこで、米国・Laura and Isaac Perlmutter Cancer CenterのFaisal Fa'ak氏らは、後ろ向き研究によりIL-6受容体(IL-6R)阻害薬のirAEに対する有効性と、ICIの抗腫瘍効果への影響を検討した。その結果、IL-6R阻害薬は、ICIの抗腫瘍効果を減弱せずにirAEを改善することが示唆された。本研究結果は、Journal for ImmunoTherapy of Cancer誌2023年6月11日号で報告された。IL-6R阻害薬による治療開始からirAEの臨床的改善までの期間の中央値は2.0ヵ月 がん治療のためにICIを投与された患者のうち、ICI投与後にirAEが発現または自己免疫疾患が再燃し、IL-6R阻害薬(トシリズマブまたはサリルマブ)が投与された患者92例を対象に、後ろ向き解析を実施した。主要評価項目は、irAEの臨床的改善(irAEや自己免疫疾患の再燃の消失、またはGrade1以下への改善)であった。副次評価項目は、IL-6R阻害薬に関連する有害事象、RECIST v1.1に基づくICIの奏効率(ORR)であった。 irAEに対するIL-6R阻害薬の有効性とICIの抗腫瘍効果への影響を検討した主な結果は以下のとおり。・主な患者背景は、ICI投与開始時の年齢中央値61歳、男性63%で、ICIによる治療は抗PD-1抗体薬単剤が69%、抗CTLA-4抗体薬と抗PD-1抗体薬の併用療法が26%であった。主ながん種(5%以上)は、悪性黒色腫(46%)、泌尿生殖器がん(35%)、肺がん(8%)であった。・IL-6R阻害薬投与の理由となった主なirAE(2例以上に発現)は、炎症性関節炎(73%)、胆管炎/肝炎(7%)、筋炎/重症筋無力症/心筋炎(5%)、脳炎(5%)、リウマチ性多発筋痛症(4%)であった。・irAEの発現からIL-6R阻害薬投与開始までの期間の中央値は3ヵ月(範囲:0.03~51.0)であった。対象患者のうち91%は、副腎皮質ステロイドや疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)による十分な治療効果が得られなかったことから、IL-6R阻害薬が投与された。・IL-6R阻害薬によりirAEの臨床的改善に至った患者の割合は73%であり、IL-6R阻害薬による治療開始からirAEの臨床的改善までの期間の中央値は2.0ヵ月(範囲:0.03~23.0)であった。・ICIのORRは、IL-6R阻害薬投与前66%、投与後66%であったが、完全奏効の割合はIL-6R阻害薬投与後が投与前と比較して8%高かった。・IL-6R阻害薬投与後のICIのORRは、50歳超が50歳以下と比較して高かった(調整オッズ比:3.53、95%信頼区間:1.17~10.65、p=0.02)。同様に、IL-6R阻害薬を24週間以上投与した群は24週間未満の群と比較してICIのORRが高かった(同:3.21、1.03~9.96、p=0.04)・評価可能な病変を有する悪性黒色腫患者34例におけるICIのORRは、IL-6R阻害薬投与前56%から投与後68%に上昇した(p=0.04)。・IL-6R阻害薬の投与中止に至った有害事象は6例(7%)に認められた。 著者らは、「IL-6Rを標的としたアプローチは、抗腫瘍免疫を減弱させることなくirAEを効果的に治療することが可能な手法であると考えられる。本研究結果は、抗IL-6R抗体薬トシリズマブとICIの併用の有効性および安全性の評価を目的とした、現在進行中の臨床試験を支持するものである」とまとめた。

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既存の保険証の有効期限の延長も必要/日医

コロナ第9波に入ったと判断 日本医師会常任理事の釜萢 敏氏が、7月5日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の現在の感染状況について報告し、「現状は第9波に入ったと判断するのが妥当」との見解を示した。 「4月上旬から、緩やかではあるけれども新規感染者が増えているという状況が今日までずっと続いていて、今後も夏に向けて引き続き感染者が増える恐れがある。幸いに全国的には医療の逼迫はまだそれほど多くはなく、救急搬送困難事例は少し増えてはいるがまだそれほどではない」と述べた一方で、感染者が増加している沖縄県の状況について危機感を示した。 釜萢氏が個人的に沖縄の医師に聞いた話によると、医療の逼迫は明らかに強まっているという。「5類移行後は行政の関与が少なくなり、その結果として医療の逼迫状況が地域に十分周知されていないという現象がみられる。非常に逼迫している医療機関はとても大変な状況だが、その状況が地域で幅広く共有されておらず、協力が得られるという状況にはない」としたうえで、「今後の検討・改善の取り組みとして、5類移行後もなるべくその地域の感染状況を地域の関係者がしっかり共有し、適切に対応していく必要がある。医療の逼迫については、前兆を感じたところで情報共有し、どういう風に対応するかを考えていく。とくに入院の調整は行政の関わりが減ったので、速やかに入院の必要な方がきちんとベッドに割り振られるように、各地域において準備をしなければならない」とまとめた。既存の保険証の有効期限の延長も必要 常任理事の長島 公之氏は、現時点のマイナ保険証に関する日本医師会の見解を述べた。オンライン資格確認については、マイナ保険証のひも付けの誤りや資格確認ができない場合の対応方法が明確でなかったことにより、患者にも医療現場にも不安と混乱が生じている。 「6月29日に開催された社会保障審議会医療保険部会において、保険者による迅速かつ正確なデータ登録の確保のための取り組みと、マイナカードでオンライン資格確認を行うことができない場合の対応が示された。とくに資格確認ができない場合にも自己負担分で必要な保険診療を受けられるようにする、また医療機関には未収金と経済的負担が発生しないようにするための対応を明確化することは大きな前進である」と評価した。 さらに、「保険証が廃止された後も国民・患者や医療現場に混乱が生じないよう、資格確認書が必要な人全員に確実かつ迅速に、大きな負担なく交付される必要がある。そのための体制を保険証が廃止される2024年秋までに確実に整備するために、国として全力を尽くすことを要望した。万が一その整備が間に合わない場合には、国民・患者に不利益が生じないよう、また誰一人取り残されることのないよう、既存の保険証や資格確認書の有効期限の扱いについて、延長を含めて対応をお願いする必要がある」と見解を述べた。

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オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム、9月に保険適用へ/エグザクトサイエンス

 エグザクトサイエンスは、「オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム」の保険適用について、中央社会保険医療協議会が2023年7月5日付けで了承したことを発表した。9月1日に保険収載される見込みという。 オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムは、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査および日本向けに開発されたソフトウエアを組み合わせたプログラム医療機器。ホルモン受容体陽性HER2陰性で、リンパ節転移なし、もしくは3個以内の早期浸潤性乳がんを対象に、遠隔再発リスクを提示し、化学療法の要否の決定を補助するものとして、2021年8月に厚生労働省から薬事承認を受けている。 オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムの使用により、手術後にどの程度再発しやすいかの予測と併せて、術後薬物療法の検討時にホルモン療法に化学療法を追加するかどうかの意思決定の助けとなる情報を提供する。昭和大学の中村 清吾氏は「意思決定に有用な情報を提供することで、医療者と患者さんが話し合い、手術後の薬の治療をどうするかについて納得して治療方針を決める、いわゆるShared Decision Makingの一助になると期待している」と述べている。

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軽症脳梗塞、4.5時間以内DAPT vs.アルテプラーゼ/JAMA

 日常生活や仕事上の障害につながらない(非障害性)軽症脳梗塞患者において、発症後4.5時間以内の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は90日後の機能的アウトカムに関して、アルテプラーゼ静注に対して非劣性であることが示された。中国・General Hospital of Northern Theatre CommandのHui-Sheng Chen氏らが、多施設共同無作為化非盲検評価者盲検非劣性試験「Antiplatelet vs R-tPA for Acute Mild Ischemic Stroke study:ARAMIS試験」の結果を報告した。軽症脳梗塞患者において、静脈内血栓溶解療法の使用が増加しているが、軽症非障害性脳梗塞患者における有用性は不明であった。JAMA誌2023年6月27日号掲載の報告。中国38施設で760例を、DAPT群とアルテプラーゼ群に無作為化 研究グループは中国の38施設において、18歳以上で発症後4.5時間以内、米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコア(範囲:0~42)が5以下およびNIHSSのいくつかの主要項目スコアが1以下、かつ無作為化時に意識項目スコアが0の軽症非障害性の急性脳梗塞患者を、DAPT群またはアルテプラーゼ群に1対1の割合で無作為に割り付け、追跡評価した。 DAPT群では、クロピドグレルを1日目に300mg負荷投与、その後75mgを1日1回12(±2)日間投与+アスピリンを1日目に100mg、その後100mgを12(±2)日間、以降90日目まではガイドラインに基づいた抗血小板薬単剤療法またはDAPTを行った。 アルテプラーゼ群では、ガイドラインに従いアルテプラーゼ0.9mg/kg、最大90mgを静脈内投与し、その24時間後からガイドラインに基づいた抗血小板療法を行った。 主要エンドポイントは、無作為化され1回以上の有効性評価を受けた全患者(full analysis set:FAS)における90日時点の修正Rankinスケール(mRS)スコア(範囲:0~6)が0~1で定義される優れた機能的アウトカムで、DAPT群のアルテプラーゼ群に対する非劣性マージンは群間リスク差の片側97.5%信頼区間(CI)下限値が-4.5%とした。 安全性エンドポイントは、90日間の症候性頭蓋内出血およびあらゆる出血とした。 2018年10月~2022年4月に760例がDAPT群(393例)またはアルテプラーゼ群(367例)に無作為化された。最終追跡調査日は2022年7月18日であった。mRSスコア0~1のアウトカム達成、DAPTの非劣性を確認 無作為化された適格患者760例(年齢中央値64歳[四分位範囲[IQR]:57~71]、女性223例[31.0%]、NIHSSスコア中央値2[IQR:1~3])で、同意撤回者などを除く719例(94.6%)が試験を完遂した。 90日時点で優れた機能的アウトカムを達成したのは、DAPT群93.8%(369例中346例)、アルテプラーゼ群91.4%(350例中320例)で、両群のリスク差は2.3%(95%CI:-1.5~6.2)、粗相対リスクは1.38(95%CI:0.81~2.32)であった。片側97.5%CI(両側95%CI)の補正前下限値は-1.5%で、非劣性マージン-4.5%を上回っていた(非劣性のp<0.001)。 90日時点での症候性頭蓋内出血の発現は、DAPT群で371例中1例(0.3%)、アルテプラーゼ群で351例中3例(0.9%)であった。

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肥満2型DMへの経口セマグルチド、最適な用量・期間は?/Lancet

 十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病成人患者において、経口セマグルチド25mgおよび50mgは糖化ヘモグロビン(HbA1c)値低下および体重減少に関して、同14mgに対する優越性が確認され、安全性に関して新たな懸念は認められなかった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のVanita R. Aroda氏らが、14ヵ国177施設で実施された第IIIb相多施設共同無作為化二重盲検比較試験「PIONEER PLUS試験」の結果を報告した。セマグルチド1日1回経口投与は2型糖尿病の有効な治療法であり、セマグルチドの経口投与および皮下投与試験の曝露-反応解析では、曝露量の増加に伴いHbA1c値の低下および体重減少が大きくなることが示されていた。Lancet誌オンライン版2023年6月26日号掲載の報告。BMI値25以上、HbA1c値8.0~10.5%の1,606例を対象 研究グループは、HbA1c値8.0~10.5%、BMI値25.0以上、メトホルミン、スルホニルウレア系薬、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬のうち1~3種類の経口血糖降下薬の安定用量を投与されている18歳以上の2型糖尿病患者を登録し、セマグルチド14mg群、25mg群または50mg群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回朝空腹時の経口投与を68週間にわたって行った。 いずれの投与群もセマグルチド3mgから投与を開始し、4週時に7mg、8週時に14mg、その後、25mg群では12週時に25mg、50mg群では12週時に25mg、16週時に50mgに漸増した。また、ベースラインで服用していた経口血糖降下薬は、DPP-4阻害薬のみ中止とし、それ以外は同一の用法・用量で継続した。 主要エンドポイントは、HbA1c値のベースラインから52週時までの変化、検証的副次エンドポイントは体重のベースラインから52週時までの変化とし、intention-to-treat集団を対象に治療指針に基づく推定使用量(試験薬の中止やレスキュー治療の有無を問わない用量)を用いて評価した。また、セマグルチドを1回以上服用した全患者を対象に安全性を評価した。 2021年1月15日~9月29日に2,294例がスクリーニングを受け、1,606例が無作為に割り付けられた(14mg群536例、25mg群535例、50mg群535例)。患者背景は、男性936例(58.3%)、女性670例(41.7%)、平均(±SD)年齢58.2±10.8歳、平均HbA1c値9.0±0.8%、平均体重96.4±21.6kgであった。52週時のHbA1c値と体重の低下、14mg群と比較し25mg群、50mg群が有意に優れる 52週時におけるHbA1cの平均変化値(SE)は、セマグルチド14mg群-1.5%(SE 0.05)、25mg群-1.8%(0.06)、50mg群-2.0%(0.06)であった。治療指針に基づく推定使用量での評価の結果、セマグルチド14mg群に対する推定治療差(ETD)は、セマグルチド25mg群で-0.27%(95%信頼区間[CI]:-0.42~-0.12、p=0.0006)、50mg群で-0.53%(-0.68~-0.38、p<0.0001)であり、セマグルチド14mg群に対する優越性が示された。 52週時における体重の平均変化値(SE)は、セマグルチド14mg群-4.4kg(SE 0.3)、25mg群-6.7kg(0.3)、50mg群-8.0kg(0.3)であった。セマグルチド14mg群に対するETDは、セマグルチド25mg群で-2.32kg(95%CI:-3.11~-1.53、p<0.0001)、50mg群で-3.63kg(-4.42~-2.84、p<0.0001)であり、セマグルチド14mg群に対して優越性が示された。 有害事象は、セマグルチド14mg群で404例(76%)、25mg群で422例(79%)、50mg群で428例(80%)報告された。ほとんどが軽度から中等度であったが、胃腸障害が14mg群と比較して25mg群および50mg群で高率であった。死亡は10例報告されたが、治療との関連はないと判断された。 なお、著者は、用量漸増期間が最大16週と短期間であったこと、セマグルチド25mg群と50mg群の差は検証されていないこと、対象患者の大部分が白人であったことなどを研究の限界として挙げている。

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英語勉強法1【Dr. 中島の 新・徒然草】(484)

四百八十四の段 英語勉強法1とうとう7月に入りました。朝からセミが鳴いています。チーーーという音なのでニイニイゼミかもしれません。8月後半になるとツクツクボウシが「オーシツクツク」と鳴き始めます。小学生の頃は、この鳴き声が「早く宿題やれよ」と聞こえてすごく嫌でした。さて、先日の会合でたまたま同じテーブルになった先生方と英語勉強法の話で盛り上がりました。私も含めて皆さん、それぞれに英語での苦労は尽きません。とくに、その場の瞬発力が問われる英会話が問題です。今回は私なりに工夫したり実行したりしている英語勉強法について述べましょう。これまでに何回も述べたことと重複する部分もあるかもしれませんが、ご容赦願います。その1 海外留学したら自然に英語ペラペラになる、ことは絶対にない子供であれば、海外に住んでいる間に自然に英語をしゃべるようになります。が、大人はそうはいきません。多少、外国人慣れするだけです。学問に王道なし、ひたすら勉強するのみ。その2 「聴く」技能が最も大切で最も難しい俗に英語4技能と言われるのが「読む」「書く」「話す」「聴く」です。これらの中で最も自分がコントロールできないのが「聴く」という状況です。なぜ聴いた英語が理解できないのか、それには多くの要因があるかと思います。音を拾えない知らない単語がある話すスピードが速すぎてついていけない会話が進むにつれて理解不十分なことが蓄積される文章構造や言い回しが難しすぎる最後のものは「仮に書かれていたとしても即座に理解できない」と言い換えることができます。こういった要因が少しずつ関与して「駄目だ、まったくわからん!」となるのでしょう。リスニングの技能不足を克服するのは地道な努力しかないと思います。YouTubeで教材を探すとすれば、ニック・ウィリアムソン先生の「ニック式英会話」ですね。第273の段や第280の段でも紹介いたしましたが、流暢な日本語でリスニングのコツを教えてくれます。とくに「リスニングトレーニング!」とか「聞き取れるかな?」とタイトルにあるものがお勧めです。一例を挙げると、「テリム」と聞こえたら“tell him”、「デュー」なら“do you”だとか。その3 リスニングの難しさにも段階があることを知っておこう初級対面の外国人との会話中級電話の応答上級洋画を字幕なしで見て理解する最上級外国人同士の超高速英会話を横で聴き取る対面の会話だと、相手もこちらの英語能力を察して、ゆっくりしゃべってくれます。頼めば繰り返し話してもらえることでしょう。因みに「もう一度ゆっくり言ってくれませんか?」という英語は“Could you repeat it slowly?”です。これまでに私が最もよく使ってきたフレーズの1つだと言っても過言ではありません。電話の応答は音だけの情報しか得られません。相手の表情とか身振り手振りがないので、それだけ難しくなるわけです。それでもホテルの宿泊予約なんかは決まり文句だけで済みます。でも、誰が何の用件で掛けてきたのかわからない電話を取るのは、在米中は恐怖そのものでした。上級と最上級については、これはもう自分が聴き取れなかった部分を1つずつつぶしていくしかありません。フィリピンやインドの人たちが普通にアメリカ人同士の会話に加わっているのを見ると、自分との差の大きさを思い知らされます。が、努力すれば出来るはず、と思って頑張りましょう。次回は「話す」技能について述べたいと思います。とりあえず1句蝉の声 同じに聞こえる 英会話

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NHKドラマ「フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話」(前編)【なんで嘘くさくても知りたがるの?(噂好きの心理)】Part 1

今回のキーワード承認プロパガンダ新奇性(サリエンス)確証バイアス同類性(集団極性化)フィルターバブルエコーチェンバーバッシング「フェイクニュース」という言葉は、2016年以降の米国やフランスの大統領選挙、英国のEU離脱の国民投票などにおいて、よく聞かれるようになりました。なぜフェイクニュースはつくられるのでしょうか? そもそも、私たちはなぜ不確かな情報でも知りたがるのでしょうか?今回は、NHKドラマ「フェイクニュース」1)を通して、噂好きの心理を解き明かし、私たちの心の本質に迫ります。なんでフェイクニュースをつくるの?ネットメディアの女性記者、樹(いつき)は、インスタントうどんに青虫が混入していた事件を担当します。取材を進めるうちに、この事件は企業間の紛争を招きます。と同時に、精巧なフェイクニュースも紛れ込んでおり、実は選挙戦に利用されていることに気付くのです。フェイクニュースとは、読んで字のごとく、偽のお知らせ、事実とは違う情報です。それでは、なぜフェイクニュースをつくるのでしょうか? まずは、その目的を大きく3つ挙げてみましょう。(1)金儲け樹は、インスタントうどんへの異物混入を訴えている3つのブログの主が同一人物であることを突き止めます。そして、その「潜伏場所」のアパートの一室に取材に行くと、なんと赤ちゃんを抱いた主婦が出てきて、拍子抜けします。その主婦は「これ全部、アフィリエイト(成功報酬型広告)用のブログなのね」「鶴亀うどんにゴミとか羽虫とか入れて…そしたらどーんと拡散されたよね」「ブログのアクセス数、過去最高だったの! 今月の広告料、全部合わせて4,821円!」と無邪気に話すのです。1つ目の目的は、単純な金儲けです。新聞社やテレビ局などの企業と違い、個人が情報を発信する場合、匿名にすることができます。すると、偽の情報を出す罪悪感も希薄になり、アクセス数を稼ぐために、嘘もつくという発想になるわけです。(2)承認樹は、青虫混入について最初にSNSに投稿した中年男性の猿滑(さるすべり)への取材を続けます。彼は、自分の主張を世間にわかってもらうため、先ほどの主婦によるブログをはじめ、ネットから真偽不明の情報をかき集めて、さらに投稿していたのでした。その後、取材に来た樹を目の敵にして、「女記者が圧力をかけてきた。消される」と発信します。騒動の末、彼はラストシーンで樹に「たぶん私は、誰かに味方になってほしかっただけなんだ」と打ち明けます。2つ目の目的は、承認です。当初は、「わかってほしい」という軽いガス抜きのつもりだったわけですが、曖昧なために発信者が意図していなかった誤った情報も拡散させてしまうことになります。それがやがてウケ狙いやいたずらになっていくのです。もちろん、それが常習的になる場合は愉快犯になります。これらはすべて、「自分を見てほしい」という承認の心理が根っこにあります。この詳細については、関連記事1をご覧ください。(3)プロパガンダ樹の上司は、主婦が見つけて猿滑が拡散させた「CSS」(※実在する米国のCNNをドラマ内でパロディ化)のネット記事が、フェイクニュースであることを見抜きます。それは、サイトアドレスが巧妙に違っていたのでした。このように、大手のネットメディアを騙(かた)り、ネットニュースを精巧に仕立て上げるのが、狭い意味でのフェイクニュースです。そのタイトルは「日本の奴隷労働の現状」で、本文は「日本で全国展開しているテイショー・フーズは、自社工場で多くの外国人労働者を雇っている。だが、その現状は奴隷労働に等しく、不当な搾取が行われている。待遇に不満を抱き、わざと異物を混入する者もいると、彼は語ってくれた」と書かれています。実は、ある県知事選の立候補者が、外国人労働者への不当搾取をでっち上げて対抗馬の評判を落とすために仕組んだものだったのでした。3つ目は、プロパガンダです。プロパガンダとは、政治的な宣伝です。これによって、選挙で特定の立候補者への投票を誘導することができます。最初にも触れましたが、実際に、2016年には米国やフランスの大統領選、英国のEU離脱の国民投票において、多くのフェイクニュースが出回っていたことが指摘されています2)。次のページへ >>

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