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つらい咳症状への対応【非専門医のための緩和ケアTips】第68回

第68回 つらい咳症状への対応肺がんや呼吸器疾患などの代表的な症状である咳。ご本人のつらさはもちろん、周りで見ているのもつらい症状です。緩和するために、どういったことができるのでしょうか?今日の質問外来の肺がん終末期患者さん、咳が最もつらい症状のようです。咳込み始めるとなかなか止まらず、眠れないときもあるそうです。一般的な咳止め薬は処方しているのですが、ほかにできることはないでしょうか?緩和ケアの専門家として、もう少し症状の和らぐ薬ができてほしいと思う症状の1つが咳です。私も時々、上気道炎などの後に咳が長引くことがありますが、本当につらいものです。日中の咳は、仕事にまったく集中できなくなってしまいますし、夜間に咳がでると眠れないですよね。慢性の呼吸器疾患や肺がんのような病態による咳の苦しさは、想像もしたくないです。また、咳の難しい点が、ご質問のように咳止め薬を処方しても症状の改善が乏しいところです。細菌性肺炎のような感染症や、心不全のような病態であれば、それぞれに合わせた治療が基本となります。一方、進行した肺がんのように治療が難しい場合は、対症療法としての薬物療法やケアが中心になります。薬物療法は、デキストロメトルファンのような鎮咳薬を用いますが、効果が十分でない場合は、悪性腫瘍が原因であればオピオイドを用いる場合も多いです。コデイン、モルヒネを中心に使っていることが多いと思います。オピオイドの適切な投与量は確立していないものの、呼吸困難に準じて投与するエキスパートが多いでしょう。薬以外の対処としては、呼吸リハビリテーションが1つの選択肢です。気道を刺激しないように呼吸をゆっくり行う練習や、咳き込んだ後の息を整える練習などが効果を発揮する場合があります。そのほか、乾性咳嗽はアメやハチミツなどの甘いものを摂取したり、吸入などで喉などが乾燥しないようにしたりします。「何かをしたらすぐ改善した」というケースはあまりないのですが、いろいろな対処法を知っておくことは重要です。患者や家族にとって、医療者が悩みながら一緒に対処を考えてくれた、ということも大切なのだと思います。私も悩みながら対応しています。難しい症状である咳、皆さんはどのようにされているでしょうか?今回のTips今回のTips咳は難しい症状の1つ。薬が効きにくいので、薬以外の対応も工夫しながら取り組みましょう。

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小児双極性障害患者の診断ミスに関するシステマティックレビュー

 双極性障害は、複雑な症状を呈する精神疾患の1つである。カナダ・Brock UniversityのTabeer Afzal氏らは、DSM-IVおよびDSM-V基準を用いた小児双極性障害の診断ミスに関するエビデンスを要約し、未治療の双極性障害患者の生命アウトカムに及ぼす影響を検討した。さらに、小児双極性障害の診断精度向上につながる可能性のある推奨事項の概要および要約も試みた。Research on Child and Adolescent Psychopathology誌オンライン版2023年12月18日号の報告。 2023年3月21日までに公表された文献を、Scholars Portal Journal、PsychINFO、MEDLINEデータベースより検索した。レビュー対象基準に従い、18歳未満の小児サンプルを用い、1995~2022年に出版された文献に限定した。除外基準は、自己申告による診断を伴うサンプルを含む文献とした。 主な結果は以下のとおり。・本レビューには、15件の文献を含めた。・研究結果は、ナラティブサマリーを用いて合成した。・小児双極性障害は、注意欠如多動症(ADHD)、統合失調症、うつ病と診断されることが最も多かった。・診断ミスは、不適切な治療計画や適切な治療の遅れにつながる可能性があり、社会的、職業的、経済的な課題により、小児双極性障害患者のQOLに悪影響を及ぼす可能性が示唆された。

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地中海食のCVD予防、睡眠不足だと効果が低減

 地中海食は心血管疾患(CVD)の1次予防および2次予防に有効であることが報告されている。しかし、地中海食を遵守していても、睡眠時間が不足していた場合はCVDの予防効果が低減することを、ギリシャ・Harokopio大学のEvangelia Damigou氏らが明らかにした。Nutrients誌2023年12月20日号掲載の報告。 研究グループは、ギリシャの前向きコホート研究であるATTICA研究(2002~22年、3,042人)のデータを用いた。解析には、CVDの既往がなく、睡眠習慣のデータがある成人313人が含まれた。食習慣は食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価し、地中海食の遵守は11種類の食品群による地中海食スコア(範囲:1~55、値が高いほど遵守率が高い)を用いて評価した。睡眠習慣は、7時間未満を不十分な睡眠時間、7時間以上を十分な睡眠時間とした(昼寝は除く)。 主な結果は以下のとおり。・20年間の追跡調査中、全体の31.6%にCVDイベントが発生した。地中海食の遵守率が高い群では19.9%、遵守率が低い群では44.1%であった。・多変量調整モデルにおいて、地中海食の遵守は、睡眠時間が十分な群ではCVDリスクが有意に低減して予防効果を示した(地中海食スコアの1/55増加当たりのハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.65~0.98)。しかし、睡眠時間が不十分な群では有意ではなかった(HR:0.95、95%CI:0.82~1.09)。・地中海食の遵守率が高く、かつ十分な睡眠時間の群は、地中海食の遵守率が低く、かつ不十分な睡眠時間の群と比べて、20年間のCVDリスクが有意に70%低減した。 -遵守率低/不十分な睡眠群―基準 -遵守率低/十分な睡眠群―HR:1.31(95%CI:0.58~2.96) -遵守率高/不十分な睡眠群―HR:0.90(95%CI:0.39~2.06) -遵守率高/十分な睡眠群―HR:0.30(95%CI:0.11~0.80) これらの結果より、研究グループは「地中海食とCVDリスクとの関係において、睡眠時間が調節因子であることが判明した。心血管のより良い健康状態を獲得・維持するためには、ほかの生活習慣よりも睡眠が重要視されるべきである」とまとめた。

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市中肺炎、β-ラクタム系薬へのクラリスロマイシン上乗せの意義は?

 市中肺炎に対するβ-ラクタム系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用の有効性が報告されているが、これらは観察研究やメタ解析によるものであった。そこで、ギリシャ・National and Kapodistrian University of AthensのEvangelos J. Giamarellos-Bourboulis氏らは、無作為化比較試験により、β-ラクタム系抗菌薬へのクラリスロマイシン上乗せの効果を検討した。その結果、クラリスロマイシン上乗せにより、近年導入された評価基準である早期臨床反応が有意に改善した。本研究結果は、Lancet Respiratory Medicine誌オンライン版2024年1月3日号で報告された。 本研究の対象は、18歳以上の市中肺炎患者278例であった。主な適格基準は、敗血症の評価に用いられるSOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコア2点以上、プロカルシトニン値0.25ng/mL以上などであった。対象患者を標準治療薬(第3世代セファロスポリン静注またはβ-ラクタム系薬+β-ラクタマーゼ阻害薬静注)で治療を行うプラセボ群、標準治療薬にクラリスロマイシン(500mgを1日2回)を併用するクラリスロマイシン群に1対1に無作為に割り付け、7日間投与した。主要評価項目は、早期臨床反応※であった。※:治療開始から72時間後において、以下の(1)と(2)を両方満たすこと。(1)呼吸器症状の重症度スコアが50%以上低下(2)SOFAスコアが30%以上低下またはプロカルシトニン値が良好(ベースラインから80%以上低下または0.25ng/mg未満) 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目の解析には、プラセボ群133例、クラリスロマイシン群134例が組み入れられた。・主要評価項目の早期臨床反応を達成した患者の割合は、プラセボ群が38%であったのに対し、クラリスロマイシン群は68%であり、クラリスロマイシン群が有意に改善した(群間差:29.6%、オッズ比[OR]:3.40、95%信頼区間[CI]:2.06~5.63)。・新たな敗血症はプラセボ群24%、クラリスロマイシン群13%に認められ、クラリスロマイシン群で有意に少なかった(ハザード比:0.52、95%CI:0.29~0.93、p=0.026)。・重篤な有害事象はプラセボ群53%、クラリスロマイシン群43%に発現した(群間差:9.4%、OR:1.46、95%CI:0.89~2.35)。重篤な有害事象は、いずれも治療薬との関連は認められなかった。

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米国の乳がん死亡率の低下、治療の変化との関連は?/JAMA

 米国の乳がん死亡率は、乳がんのスクリーニングと治療の改善によって、1975年から2019年までに58%低下したことが、米国・スタンフォード大学のJennifer L. Caswell-Jin氏らによるシミュレーションモデル研究で示された。シミュレーションでは、StageI~IIIの乳がんの治療が、47%の低下に寄与していることが示された一方で、転移のある乳がんについては、治療の寄与は29%、スクリーニングの寄与は25%であった。米国における乳がん死亡率は、1975年から2019年の間に減少したことが報告されていたが、転移のある乳がん治療の変化と乳がん死亡率低下との関連はわかっていなかった。JAMA誌2024年1月16日号掲載の報告。CISNETの4つのモデルで乳がん死亡率をシミュレーション 研究グループは、本研究のためにCancer Intervention and Surveillance Modeling Network (CISNET)が開発した4つのモデルを用い、マンモグラフィーによるスクリーニングと治療(StageI~IIIの乳がん治療、転移のある乳がん治療)の普及および効果に関する観察研究ならびに臨床試験のデータを集約し、1975~2019年の米国における30~79歳の女性の乳がん死亡率を、全体およびエストロゲン受容体(ER)およびERBB2(HER2)状態別にシミュレーションした。 主要アウトカムは、乳がんの年齢調整死亡率で、スクリーニング、StageI~IIIの治療および転移のある乳がん治療の介入がない場合と比較した。また、乳がんの転移再発後の生存期間中央値についてもモデルで推定した。1975年から2019年に乳がん死亡率は58%低下、転移治療の寄与は29% 米国における乳がんの年齢調整死亡率は、1975年が女性10万人当たり48、2019年は同27であった。 スクリーニング、StageI~IIIの乳がん治療および転移のある乳がん治療の3つすべての介入を反映したモデルでは、1975年に比べて2019年の乳がん死亡率は58%低下(モデル範囲:55~61)した。この低下について、転移のある乳がん治療の介入だけを反映したモデルでは29%(モデル範囲:19~33)、StageI~IIIの乳がん治療のみだけの場合は47%(35~60)、マンモグラフィー検査のみだけの場合は25%(21~33)の低下であった。 シミュレーションに基づくと、転移再発後の生存の最も大きな変化は2000年から2019年の間に起きており、生存期間中央値は1.9年(モデル範囲:1.0~2.7)から3.2年(2.0~4.9)に延長していた。また、ER陽性/ERBB2陽性乳がんの生存期間中央値は2.5年(2.0~3.4)延長していた一方で、ER陰性/ERBB2陰性乳がんの生存期間中央値の延長は0.5年(0.3~0.8)であった。 なお著者は、モデルの精度は実施された仮定に依存していること、モデルにはスクリーニングや治療の普及と有効性における年齢、人種、民族などによる潜在的な格差や、治療費やアウトカムとの関連性は組み込まれていないことなどを研究の限界として挙げている。

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性腺機能低下症のテストステロン補充、骨折リスクを増大/NEJM

 性腺機能低下症の中年以上の男性において、テストステロン補充療法はプラセボと比較し臨床的骨折の発生率を低下させることはなく、むしろ同発生率は数値的には増加していた。米国・ペンシルベニア大学のPeter J. Snyder氏らが、テストステロン補充療法の心血管安全性を評価した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TRAVERSE試験」のサブ試験の結果を報告した。性腺機能低下症の男性におけるテストステロン補充療法は、骨密度や骨質を改善することが報告されているが、骨折リスクを減少させるかどうかの判断には十分な症例数と期間による試験が必要であることから、TRAVERSE試験のサブ試験として検討が行われていた。NEJM誌2024年1月18日号掲載の報告。TRAVERSE試験のサブ試験で臨床的骨折リスクを評価 TRAVERSE試験の対象は、心血管疾患を有するかそのリスクが高い45~80歳の男性で、性腺機能低下症の症状を1つ以上有し、早朝空腹時に48時間以上の間隔で2回採取した血漿中のテストステロン濃度が300ng/dL(10.4nmol/L)未満の患者を適格とした。 研究グループは、適格患者を1.62%テストステロンゲル群またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回塗布してもらい、受診(対面または電話)のたびに前回の受診以降骨折したかどうかを質問し、骨折があった場合は医療記録を入手した。 主要アウトカムは、初回の臨床的骨折(画像診断または手術記録で確認された臨床的な脊椎または非脊椎骨折で、胸骨、手足の指骨、顔面骨、頭蓋骨の骨折は除く)で、ITT集団を対象に層別Cox比例ハザードモデルを用いたtime-to-even解析を行い評価した。臨床的骨折の発生は、テストステロン群3.50% vs.プラセボ群2.46% 2018年5月23日~2022年2月1日に被験者の登録が行われ、最大解析対象集団に5,204例が組み込まれた(テストステロン群2,601例、プラセボ群2,603例)。 追跡期間中央値3.19年(四分位範囲:1.96~3.53)において、テストステロン群では91例(3.50%)、プラセボ群では64例(2.46%)に臨床的骨折が認められた(ハザード比:1.43、95%信頼区間:1.04~1.97)。 他の骨折エンドポイント(骨粗鬆症治療薬非服用者における臨床的骨折、除外した骨折を含むすべての臨床的骨折、主要骨粗鬆症性骨折など)についても、テストステロン群で発生率が高かった。

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色々襲来!【Dr. 中島の 新・徒然草】(513)

五百十三の段 色々襲来!寒くなりました。ニュースでは今季1番の寒波とか、10年に1度の寒波だとか報道されています。今朝起きてカーテンを開けたら窓ガラス越しの冷気にやられて、慌ててカーテンを閉めました。さて、襲来しているのは寒波だけではありません。第10波と正式に呼ばれているのか否かは知りませんが、新型コロナも増えつつあります。ERでも外来でも、ちょっとでも疑いのありそうな患者さんを検査すると軒並みコロナ陽性!受診時には平熱でも「実は2~3日前に38度台の熱が……」と切り出されたら、即座に発熱外来に行って検査をしてもらっています。しばらくすると検査科から電話がかかってきて「○○さん、コロナ陽性でした」という結果が知らされるわけです。もう1つコロナを肌で感じるのは入院患者数の多さ。いつもは会議等で「先生方、もう少し入院患者数を増やしていただいて……」などと事務方から言われているのですが、今は満床が続いてしまって、新たな患者さんが入院する余地がありません。満床の原因として、近隣医療機関で軒並みコロナクラスターが発生して新入院を停止しているからではないか、という説があります。真偽不明の単なる憶測に過ぎませんが……ではデータ的に、コロナはどうなっているのでしょうか。2023年5月8日以降にコロナが第5類になってから、すっかり報道が減ってしまい、数値的に実態を把握することが難しくなっています。調べた範囲内では、厚生労働省からのプレスリリース「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」が、数字だけでなくグラフも表示されていてわかりやすいものでした。この中で「新型コロナウイルス感染症入院患者数の推移」というグラフを見ると、第8波のピークが2023年1月2日~8日の週で、その後に3月末から4月初め頃に底を打っていたものの、再び増えて、2023年8月21~27日の週にピークとなっています。これを第9波とすると、その後は減って11月半ばに底を打ってから再び増加し、現在も恐ろしい勢いで増加中です。全体を俯瞰すると、大体1年間に2回、冬と夏にピークがありそうに見えます。画像を拡大する図. 厚生労働省:2024年1月19日 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について 資料よりいずれウチの病院でもクラスターが発生したり、大勢の職員が罹患したりして大変なことになるかもしれません。コロナの報道がされなくなるとともに、世間ではマスクをしていない人たちばかりになってしまいましたが、やはりマスクと手洗いは欠かせませんね。読者の皆さんも、くれぐれもお気を付けください。最後に1句辰年に 寒波とコロナ 襲来す

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止まらない咳、でもどの検査にも異常がない!?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第16回

止まらない咳、でもどの検査にも異常がない!?講師獨協医科大学医学部 小児科学 助教 高柳 文貴 氏獨協医科大学医学部 小児科学 教授 吉原 重美 氏【今回の症例】14歳女子。長引く咳嗽を主訴に受診した。咳嗽は昼間に多く、夜間の睡眠中は咳嗽を認めない。胸部、副鼻腔レントゲン検査は異常なし。血液検査ではWBC、CRP、IgEの上昇は認めない。FeNO測定は10ppb。スパイログラム(呼吸機能検査)で肺活量、一秒率の低下は認めなかった。今までに、吸入ステロイド薬(ICS)の定期吸入、ロイコトリエン受容体拮抗薬、抗ヒスタミン薬の定期内服などを行ったが効果はなし。同居の祖母との折り合いが悪いとの訴えあり。

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サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)レポート

レポーター紹介新年早々暗いニュースが続いた2024年であるが、毎年恒例のSan Antonio Breast Cancer Symposiumレポートをお送りする。2023年12月5日から12月9日まで5日間にわたり、SABCS2023がハイブリッド形式で実施された。COVID - 19が5類となりさまざまな制約がなくなったこともあってか、日本からも多くの乳がん専門医が参加していた。私も現地で参加、発表させていただいた。学会外での会議や勉強会なども以前と同様実施されていた。以前との違いは、会議なども基本はハイブリッドで行われるようになったことであろうか。集合形式は活発なディスカッションができるものの、どうしても都合がつかない場合もある。ハイブリッド形式が会議を最大限に充実させる形式なのかもしれない。SABCS2023では日常臨床にインパクトを与える、あるいは今後の治療開発において重要な試験がいくつも発表された。多くの演題の中から、転移乳がんに対する演題を4つ紹介する。MONARCH3試験MONARCH3試験は、閉経後ホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)転移乳がんの1次治療におけるアロマターゼ阻害薬へのアベマシクリブの有効性を評価した試験である。アベマシクリブの上乗せは無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長し、すでに実臨床では1次治療でも積極的に使用されている。今回は待望の全生存期間(OS)の結果が公表された。ITT集団におけるOS中央値は、アベマシクリブ群で66.8ヵ月、プラセボ群で53.7ヵ月(ハザード比[HR]:0.804、95%信頼区間[CI]:0.637~1.015、p=0.0664)であり、p値は有意水準である0.034を上回り統計学的有意差は証明されなかった。内臓転移を有するサブグループにおけるOS中央値は、アベマシクリブ群で63.7ヵ月、プラセボ群で48.8ヵ月(HR:0.758、95%CI:0.558~1.030、p=0.0757)であり、こちらも統計学的有意差は示されなかった。数値としてアベマシクリブ群でOSが有効である期待は残されるものの、有意差がつかなかったということはかなり大きな衝撃であった。なお、後治療としてパルボシクリブを実施した患者はアベマシクリブ群で8%、プラセボ群で25%であり、この差がOSにどの程度インパクトを与えたかは今後の詳細な解析に期待したい。この結果により、世界的に広く用いられているパルボシクリブ、アベマシクリブ、ribociclibのうち、1次治療におけるOSがポジティブなのはribociclibだけとなった。すなわち、日本で処方可能なパルボシクリブ、アベマシクリブはいずれもOSにおけるベネフィットを示せなかったことになる。ただ、だからといってCDK4/6阻害薬をより後ろの治療で用いるべきものになるかというと、そうではない。alpelisib、capivasertibなどSERDとの併用で用いられる別の機序の分子標的薬、あるいはPADA-1試験のような、1次治療、2次治療でCDK4/6阻害薬をbeyondで用いる戦略など、2次治療にCDK4/6阻害薬を“とっておく”と実施できなくなる治療/治療戦略が多数開発されている。現在行われている試験の多くもCDK4/6阻害薬を原則として1次治療で用いることが前提となっており、HR+HER2-転移乳がんの治療シークエンスを考えるうえで、1次治療におけるCDK4/6阻害薬の併用は変わらずスタンダードであると言えよう。INAVO120試験INAVO120試験はPIK3CA変異のあるHR+HER2-転移乳がんの2次治療において、フルベストラント+パルボシクリブによる治療にPI3K阻害薬であるinavolisibを併用することの有効性を評価した第III相試験である。本試験でPIK3CA変異はctDNAの中央判定もしくは各施設における組織/ctDNAの評価によって定義されていた。主要評価項目はPFSが設定された。325例がinavolisib群とプラセボ群に1:1に割り付けられた。両群間のバランスはよく、95%以上の症例で内臓転移を有した。主要評価項目のPFSはinavolisib群15.0ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月(HR:0.43、95%CI:0.32~0.59、p<0.0001)とinavolisib群で有意に長かった。OSはHR:0.64、95%CI:0.43~0.97、p=0.0338とinavolisib群で良好な傾向を認めたが、中間解析に割り当てられた有意水準は超えなかった。G3以上の有害事象としては血小板減少(14.3% vs.4.3%)、口内炎(5.6% vs.0%)、貧血(6.2% vs.1.9%)、高血糖(5.6% vs.0%)、下痢(3.6% vs.16.0%)とinavolisib群で血液毒性、非血液毒性のいずれも増加した。 HR+HER2-乳がんの治療を考えるうえで、3剤併用療法が良いのか、2剤までの併用をシークエンスで使用していくのか、なかなか悩ましいところであるが、OSを延長する可能性が示されたことは大きなインパクトであった。これまでに実施された、あるいは現在進行中の2次治療以降の併用試験などの結果も踏まえた治療シークエンスの議論が必要であろう。また、残念ながら本剤は現在のところ国内では開発されていない。HER2CLIMB-02試験HER2CLIMB-02試験は、すでにHER2陽性(HER2+)転移乳がんの3次治療においてトラスツズマブ+カペシタビンとの併用の有効性が示されているtucatinibの、T-DM1との併用の有効性を検証した第III相試験である。トラスツズマブならびにタキサンによる治療歴のあるHER2+転移乳がん460例が、tucatinib群とプラセボ群に1:1に割り付けられた。主要評価項目はPFSであった。転移乳がんに対する前治療歴が1ラインの症例が64%、ペルツズマブの投与歴のある症例が約90%であった。主要評価項目のPFSはtucatinib群で9.5ヵ月、プラセボ群では7.4ヵ月(HR:0.76、95%CI:0.61~0.95、p=0.0163)とtucatinib群で有意に長かった。奏効割合は42.0% vs.36.1%とtucatinib群で良い傾向を認めた。tucatinibは脳転移に対する有効性が示されているが(HER2CLIMB試験)、本試験の脳転移を有する症例に対するPFSは7.8ヵ月vs.5.7ヵ月(HR:0.64、95%CI:0.46~0.89)とtucatinib群で良好な可能性が示された。OSはHR:1.23とtucatinib群で良い可能性は示されなかった。G3以上の有害事象の中で重要なものはAST増加(16.5% vs. 2.6%)、ALT増加(16.5% vs.2.6%)、倦怠感(6.1% vs.3.0%)、下痢(4.8% vs.0.9%)、悪心(3.5% vs.2.1%)などであった。tucatinibはT-DM1との併用における有効性を示したわけであるが、今後この試験結果を基にT-DM1+tucatinibがよりアップフロントに用いられるかというと疑問が残る。T-DXdの2次治療における有効性を証明したDESTINY Breast-03試験では、T-DXdのPFS中央値は28.8ヵ月である。試験間の比較で治療の優劣は付けられないが、かといってT-DXdよりもT-DM1+tucatinibを優先するのは難しい。今後はT-DXdによる治療歴のある患者に対するT-DM1+tucatinibのデータを創出することが必要であろう。JCOG1607試験JCOG1607 HERB TEA試験は、JCOGで行われた高齢者HER2+転移乳がん1次治療における、T-DM1のペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル(HPD)療法への非劣性を検証した第III相試験である。不肖下村が、今回から新設されたRapid Fire Mini Oral Sessionで(なんとメイン会場で)発表させていただいた。本試験は、65歳以上の高齢者HER2+転移乳がんを対象に、OSを主要評価項目として実施された。250例の予定登録数で行われたが、148例が登録された時点で実施された1回目の中間解析で、OSハザード比の点推定値が非劣性マージンの1.35を超えたため無効中止となった。患者背景は両群間でバランスが取れており、年齢の中央値は71歳ならびに72歳、75歳以上が約35%を占めた。PS 0が75%、HR+が約半数、初発StageIVが65%、脳転移を有する症例はまれであり、内臓転移は65%に認められた。主要評価項目のOSは両群ともに中央値に到達しなかったが、HR:1.263、95%CI:0.677~2.357、p=0.95322とT-DM1のHPD療法に対する非劣性は示されなかった。PFSはHPD療法で15.6ヵ月、T-DM1で11.3ヵ月(HR:0.358、 95%CI:0.907~2.033、p=0.1236)とHPDで良い傾向を認めた。有害事象はG3以上がHPD療法で多く(56.8% vs.34.7%)、HPD療法では白血球減少(26.0% vs.0%)、好中球減少(30.1% vs. 0%)、倦怠感(21.6% vs.5.6%)、下痢(12.2% vs.0%)、食欲低下(10.8% vs.8.3%)が多く、T-DM1療法では血小板減少(0% vs.16.7%)、AST増加(0% vs.15.3%)、ALT増加(2.7% vs.16.7%)が多かった。本試験は高齢者に対するless toxicな治療の開発を期待して開始したが、高齢者においてもpivotal studyで示された標準治療を実施すべきという結論となった。一方、高齢者は年齢のみで定義される均一な集団ではなく、ASCOガイドラインなどで示されているように、高齢者機能評価などを適切に実施したうえで治療方針を決めていくことが重要である。今後より詳細な結果を発表していきたい。

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第81回 三重県でついに救急車有料化を導入!

photoACより使用三重県で救急搬送された後に「入院に至らなかった患者」に関して、1人当たり選定療養費7,700円を支払うことが決定されました。「選定療養費」は、本来、紹介状を持たずに外来受診する患者さんなどから、初診料・診察料等とは別に負担してもらう特別料金のことです。これをいわば救急車利用料として支払うよう制度化してしまうわけです。三重県松阪市で、2024年6月から本格稼働とのことです。この理由は、「軽症例の搬送が多いこと」に尽きます。三重県に限ったことではなく、「移動手段がないため」という理由で救急車を要請した患者さんがたまに搬送されてきますが、さすがにそれはやり過ぎちゃいますか、ということです。ひどい事例では、「寒くて公共交通機関の移動が大変だった」という理由で救急車を要請した事例を目の当たりにしたことがあります。市民から反対意見が出ると思われますが、三重県松阪市ではしっかりとデータを出していて、平日の昼間に救急搬送された患者のうち入院した患者さんが入院に至ったのは50.6%、休日・夜間ではたった37.1%であったと説明しています。ところで、知り合いのアメリカ人医師に聞いたところ、そもそもアメリカでは救急搬送に20万円くらいかかるのが普通だそうです。基本料金は約8~10万円で、救急救命士が同乗している場合は、料金が2倍くらいになり、搬送距離や酸素投与の有無によって、さらに値段が上がっていきます。そう考えると、選定療養費だけで済むとしても、そもそも日本の救急医療は恵まれ過ぎなのかもしれません。日本全体では、消防庁の「令和4年版 救急救助の現況」によると、全体の44.8%が軽症者とされています(図)1)。搬送者の61.9%は高齢者で、この割合は年々増加傾向にあります。画像を拡大する図. 傷病程度別の搬送人員構成比(参考資料1より引用)ちなみに、救急車有料化についてアンケートをしている団体がいくつかありますが、生命保険会社の調査では賛成がだいたい4割、反対が6割といったところです。これが医療従事者を対象にすると、(条件付きも含めて)賛成8割、反対2割という逆転現象がみられます。松阪市の事案を踏まえて、全国的に広がりをみせると思われますが、有料化に踏み切る自治体が増えてくると予想されます。参考文献・参考サイト1)総務庁消防庁 令和4年版 救急救助の現況

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過去1年に転倒、骨折リスクがより高いのは男性?女性?

 転倒するとその後の骨折リスクが上昇することはよく知られている。今回、オーストラリア・Australian Catholic UniversityのLiesbeth Vandenput氏らが、日本のコホートを含む46の前向きコホートにおけるデータの国際的なメタ解析で、転倒歴とその後の骨折リスクとの関連、性別、年齢、追跡期間、骨密度との関連について評価した。その結果、男女とも骨密度にかかわらず、過去1年間の転倒歴が骨折リスクを上昇させ、また女性より男性のほうがリスクが高まることが示唆された。Osteoporosis International誌オンライン版2024年1月17日号に掲載。 本研究は、46の前向きコホートから得られた90万6,359人の男女(女性が66.9%)を対象とした。転倒歴は、43コホートでは過去1年間の転倒と定義され、残りの3コホートでは質問構成が異なっていた。転倒歴と骨折(すべての臨床的骨折、骨粗鬆症性骨折、主要骨粗鬆症性骨折、大腿骨近位部骨折)リスクとの関連は、各コホートで性別ごとにポアソン回帰モデルの拡張を用いて検討し、次いで重み付けベータ係数のランダム効果メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・過去1年間の転倒は21.4%で報告された。910万2,207人年の追跡期間中に8万7,352件の臨床的骨折が発生し、うち1万9,509件は大腿骨近位部骨折であった。・転倒歴は、女性(ハザード比[HR]:1.42、95%信頼区間[CI]:1.33~1.51)と男性(HR:1.53、95%CI:1.41~1.67)のいずれにおいても、すべての臨床的骨折のリスク増加と有意に関連していた。骨粗鬆症性骨折、主要骨粗鬆症性骨折、大腿骨近位部骨折についてもHRは同程度であった。・転倒歴と骨折リスクとの関連は男女で有意に異なり、男性のほうが女性より予測値が高かった。たとえば、骨粗鬆症性骨折のHRは、男性が1.53(95%CI:1.27~1.84)、女性が1.32(95%CI:1.20~1.45)だった(交互作用のp=0.013)。・骨折リスクにおける転倒と骨密度との交互作用は認められなかった。・男女とも転倒歴が増えるごとに主要骨粗鬆症性骨折のリスクが増加した。

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うつ病や不安症などの診療におけるライブ双方向ビデオ治療~24週間のランダム化対照試験

 スマートフォンやその他のデバイスを用いて自宅から簡単にアクセス可能な双方向ライブビデオは、精神科治療における新たな医療アクセスになりつつある。しかし、実臨床現場では、その有効性を示すエビデンスが限られており、一部の国において保険診療による承認の妨げとなっている。慶應義塾大学の岸本 泰士郎氏らは、現在の主な通信手段となっているスマートフォンおよびその他のデバイスを用いた双方向ビデオのさまざまな精神疾患に対する長期治療の有効性を評価するため、実用的な大規模ランダム化比較試験を初めて実施した。その結果から、スマートフォンやその他のデバイスを用いた双方向ビデオによる治療は、実臨床における対面治療と比較し、劣っていないことが明らかとなった。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年12月15日号の報告。 亜急性期およびまたは維持期のうつ病、不安症、強迫症患者を対象に、双方向ビデを用いた治療と対面治療の有効性を比較するために24週間のランダム化対照試験を実施した。対象患者は、双方向ビデオ群(50%以上のビデオセッション)または対面群(100%対面セッション)にランダムに割り付けられ、公的医療保険が適用となる標準治療を実施した。主要アウトカムは、健康関連QOL尺度36-Item Short-Form Health Survey Mental Component Summa(SF-36 MCS)スコアとした。副次的アウトカムは、すべての原因による中止、作業同盟、有害事象、各疾患の重症度評価スケールを含めた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は199例。・双方向ビデオ群105例(うつ病:53例、不安症:34例、強迫症:18例)、対面群94例(うつ病:45例、不安症:32例、強迫症:17例)にランダムに割り付けられた。・24週間の治療後、双方向ビデオ群のSF-36 MCSスコアは、対面群と比較し、劣っていなかった(48.50 vs. 46.68、p<0.001)。・すべての原因による中止、治療効果、満足度など、ほとんどの副次的アウトカムにおいて、両群間に有意な差は認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「自宅から簡単にアクセス可能な最新の遠隔医療は、ヘルスケア診療の1つの手段として利用可能であろう」としている。

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経口PNH治療薬ボイデヤ、C5阻害薬との併用で製造販売承認を取得/アレクシオン

 アレクシオンファーマは1月19日付のプレスリリースで、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として、経口補体D因子阻害薬ボイデヤ(一般名:ダニコパン)の製造販売承認を取得したことを発表した。本剤の効能または効果は「発作性夜間ヘモグロビン尿症」であり、「補体(C5)阻害剤による適切な治療を行っても十分な効果が得られない場合に、補体(C5)阻害剤と併用して投与すること」としている1)。 PNHは、血管内溶血(IVH)として知られる血管内の赤血球破壊を主な病態とする重度の希少血液疾患であり、臓器障害や早期死亡に至る可能性がある2-4)。治療においては、C5阻害薬であるユルトミリス(一般名:ラブリズマブ)またはソリリス(同:エクリズマブ)が終末補体を抑制することで、症状および合併症を軽減し、患者の生存率に影響することが期待されている4-7)。しかし、C5阻害薬を投与中のPNH患者の約10~20%には、臨床的に問題となる血管外溶血(EVH)が顕在化し、持続的な貧血症状から定期的な輸血が必要となることがある2, 8-11)。ボイデヤは、このような特定のPNH患者のニーズに対応すべく、ユルトミリスまたはソリリスと併用投与する薬剤として開発されたファースト・イン・クラスの薬剤である。 今回の承認は、Lancet Haematology誌に掲載された、成人PNH患者を対象とした国際共同第III相試験「ALPHA試験」(検証的試験)から得られた肯定的な結果に基づく12)。 ALPHA試験において、臨床的に問題となるEVHを示す成人PNH患者※を対象に、ユルトミリスまたはソリリスにボイデヤを併用した際の有効性および安全性が評価された。その結果、プラセボ群と比較した投与12週時点のヘモグロビンのベースラインからの変化量という主要評価項目の達成のほか、輸血回避および慢性疾患治療の機能的評価-疲労(FACIT-Fatigueスケール)スコアの変化量を含む、主な副次評価項目を達成した。ボイデヤは概して良好な忍容性を示し、新たな安全性の懸念は示されなかった。本試験で最も多く報告された有害事象は、頭痛、悪心、関節痛および下痢だった12)。※ヘモグロビンが9.5g/dL以下かつ網状赤血球数が120×109/L以上と定義 大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 招聘教授の西村 純一氏は、「ALPHA試験では、ボイデヤをユルトミリスまたはソリリスと併用投与することで、IVHを抑制しながらヘモグロビン値が改善され、輸血の必要性が軽減されました。今回の承認取得により、C5阻害薬を継続しながら、体へ負担のかかるEVH症状を呈する患者さんの転帰を改善することが期待されます」と述べている。 また、Alexion(米国)のマーク・デュノワイエ最高経営責任者(CEO)は、次のように述べている。「20年を超えるPNH研究により、この希少疾患を効果的に治療するうえでのC5阻害薬の役割が強固なものとなり、私たちはこの疾患を持つ患者さんのために引き続き革新を起こしてまいります。C5阻害薬へ追加投与されるボイデヤは、すでに確立されている治療を中断することなく、臨床的に問題となるEVHの影響を受けている患者さんのニーズに対応するという当社の決意を示しています。日本において、この症状を有するPNH患者さんに新たな進展をお届けできると期待しています」。 ボイデヤは、米国食品医薬品局よりブレークスルーセラピーの指定を、欧州医薬品庁よりPRIority MEdicines(PRIME)の指定を受けている。また、本剤は米国、欧州、日本において、PNHの治療薬として希少疾病用医薬品の指定を受けている。■参考文献1)電子添付文書「ボイデヤ錠50mg」2024年1月作成(第1版)2)Brodsky RA. Blood. 2014;124:2804-2811.3)Griffin M, et al. Haematologica. 2019;104:e94-e96.4)Hillmen P, et al. N Engl J Med. 2006;355:1233-1243.5)Lee JW, et al. Expert Rev Clin Pharmacol. 2022;15:851-861.6)Kulasekararaj AG, et al. Eur J Haematol. 2022;109:205-214.7)Kulasekararaj A, et al. Hemasphere. 2022;6(Suppl):706-707. 8)Kulasekararaj AG, et al. Presented at: European Hematology Association (EHA) Hybrid Congress. 8-11 Jun 2023; Frankfurt, Germany. Abs PB2056.9)Kulasekararaj AG, et al. Blood. 2019;133:540-549.10)Lee JW, et al. Blood. 2019;133:530-539.11)Roth A, et al. ECTH 2019. 2-4 Oct 2019; Glasgow, UK.12)Lee JW, et al. Lancet Haematol. 2023;10:e955-e965.

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NYHA分類II/III心不全への除細動の長期転帰、CRT-D vs.ICD/NEJM

 駆出率低下、QRS幅延長を認めるニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類II/III度の心不全患者は、植込み型除細動器(ICD)と比べて両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の治療を受けたほうが、追跡期間中央値約14年時点においても、生存ベネフィットが維持されていたことが示された。カナダ・アルバータ大学のJohn L. Sapp氏らが、「Resynchronization-Defibrillation for Ambulatory Heart Failure Trial(RAFT)」の長期アウトカムの結果を報告した。RAFT試験では、CRT-D治療を受けた患者のほうがICD治療を患者と比べて、5年時点で、死亡率に関するベネフィットが大きかったことが示されていたが、長期生存へのCRT-D治療の効果は明らかになっていなかった。NEJM誌2024年1月18日号掲載の報告。RAFT試験参加の8施設被験者1,050例を長期追跡 RAFT試験では、NYHA心機能分類II/III度の心不全を有し、左室駆出率30%以下、内因性QRS幅120msec以上(またはペーシングQRS幅200msec以上)の患者が、ICD治療群とCRT-D治療群に無作為に割り付けられ追跡評価を受けた。試験登録は2009年に完了し、登録被験者1,798例について、平均追跡期間40±20ヵ月時点で、CRT-D治療群がICD治療群よりも死亡または心不全によるあらゆる入院(主要アウトカム)についてリスクが有意に低かったことが示された(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.64~0.87、p<0.001)。 研究グループは、RAFT試験に参加した施設のうち、被験者数が多かった8施設の患者(計1,050例[CRT-D治療群520例、ICD治療群530例])を対象に、長期アウトカムを評価した。主要アウトカムは全死因死亡で、副次アウトカムは全死因死亡、心移植、補助人工心臓の植え込みの複合とした。追跡期間中央値13.9年、死亡までの期間はCRT-D治療群で長い傾向 長期生存試験の被験者1,050例の追跡期間中央値は7.7年(四分位範囲[IQR]:3.9~12.8)で、生存患者の同中央値は13.9年(12.8~15.7)だった。 死亡は、CRT-D治療群520例中370例(71.2%)、ICD治療群530例中405例(76.4%)に発生した。死亡までの期間は、CRT-D治療群がICD治療群より長い傾向が認められた(加速係数:0.80、95%CI:0.69~0.92、p=0.002)。 副次アウトカムは、CRT-D治療群392例(75.4%)、ICD治療群412例(77.7%)の発生が報告された。

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軽症~中等症の新型コロナ、経口simnotrelvirの早期投与は?/NEJM

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の成人患者において、simnotrelvir+リトナビルの早期投与(発症後72時間以内)は、明らかな安全性の懸念はなく、症状消失までの時間を短縮したことが、中国・中日友好医院のBin Cao氏らが1,208例を対象に行った第II/III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で示された。simnotrelvirは、中国で開発中の経口3-キモトリプシン様プロテアーゼ阻害薬で、in vitroでSARS-CoV-2に対する活性を示すことが見いだされ、第Ib相試験で有用である可能性が示されていた。NEJM誌2024年1月18日号掲載の報告。11のCOVID-19関連症状が2日連続で認められない状態までの時間を比較 研究グループは中国の研究施設35ヵ所において、発症後3日以内の軽症~中等症のCOVID-19患者1,208例を、simnotrelvir 750mg+リトナビル100mgを投与する群(603例)、プラセボを投与する群(605例)に無作為に割り付け、1日2回5日間投与した。 有効性の主要エンドポイントは、持続的なCOVID-19症状消失までの時間とし、11のCOVID-19関連症状が2日連続で認められない状態と定義した。安全性と、ウイルス量の変化についても評価した。 発症後72時間以内に試験薬かプラセボを投与した患者について、修正ITT解析を行った。持続的な症状消失まで約1.5日短縮、ウイルス量もより減少 持続的なCOVID-19症状消失までの時間中央値は、プラセボ群216.0時間(95%信頼区間[CI]:203.4~228.1)に対し、simnotrelvir群は180.1時間(162.1~201.6)と有意に短かった(群間差中央値:-35.8時間、95%CI:-60.1~-12.4、Peto-Prentice検定のp=0.006)。 投与5日目の時点で、ウイルス量のベースラインからの減少量も、simnotrelvir群がプラセボ群より大きかった(平均群間差:-1.51log10コピー/mL、95%CI:-1.79~-1.24)。 初回投与から29日目までの有害事象の発現率は、simnotrelvir群(29.0%)がプラセボ群(21.6%)より高率だった。ほとんどの有害事象は軽度~中等度だった。

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症候性の重症大動脈弁狭窄症に対する新しい非侵襲的超音波治療(NIUT)の可能性(解説:原田和昌氏)

 TAVIが開発されたおかげで、手術困難な高齢者の大動脈弁狭窄症も治療が可能となったが、それでも重症大動脈弁狭窄症を有する高齢者の16%程度は治療対象から外れるといわれている。したがって、併存症の多い寿命の限られた高齢の石灰化大動脈弁狭窄症に対する真に非侵襲的な治療の開発が求められている。 非侵襲的超音波治療(NIUT)は、超音波を集中させて正確な位置に当て、石灰化した大動脈弁尖を軟らかくして大動脈弁の動きを良くするものである。Valvosoftデバイス(Cardiawave社、ルバロワ・ペレ、フランス)はリアルタイムの超音波画像で位置決めをし、泌尿器科で使う体外衝撃波結石破砕治療よりも低いエネルギー密度の超音波パルスで治療を行うものであり、これを用いたNIUTの安全性と実現可能性(有効性ではない)を多施設共同、シングルアームで検証した。新しいデバイスの少数例のパイロット試験である。 対象は平均年齢83.5歳、STSスコア5.6%。術後30日で治療関連死は発生しなかった。重症イベント、脳血管のイベントは報告されなかった。脳MRIを用いた別の論文でもこれは確認されており、TAVI後よりも少なかった。処置関連重篤有害事象は、SpO2の一過性低下が1例、非重篤有害事象には治療中の痛み、不快感、一過性不整脈があった。6ヵ月後の生存率は72.5%で、その後188日目にもう1例が死亡したが、リスクプロフィールからは妥当な値と考えられた。 6ヵ月で平均大動脈弁口面積はベースラインの0.58cm2から0.64cm2に、平均圧較差は41.9mmHgから38.8mmHgに減少した。6ヵ月後のNYHAスコアは96%の患者で改善または安定し、KCCQスコアも改善した。外来で繰り返しできる治療であり、臨床的ニーズも高いことから、複数回治療のプロトコールなども検討した、真に有効性を証明できるさらなる検証を期待したい。

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第196回 「医師の働き方改革」本格実施直前、大学病院勤務医、教育・研究の「研鑽」は労働に該当と厚労省が通知で明示

能登半島地震、県内外の2次避難所に移ったのは避難者全体の17%にとどまるこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。能登半島地震から3週間が過ぎました。先週のこの連載では、被災者の地元外にある1.5次や2次避難所への移動が本格化してきたと書きましたが、1月22日付の日本経済新聞は、「進まぬ2次避難」というタイトルの記事で、「21日時点の県のまとめによると、県内外の2次避難所に移っているのは2,607人。徐々に増えているものの、避難者全体の17%にとどまる」と書いています。県などは2次避難所として約3万人分の受け入れ先を用意しているそうです。環境が整った避難所が用意されているのに移ろうとしない主な理由は、長年暮らした土地を離れたくない被災者が少なくない(高齢であればあるほど)のようです。テレビの報道でも、復旧の目処がまったく立たないのに、「ここを離れたくない」と語る被災者が多いことに驚きます。災害関連死を防ぐことは重要ですが、被災者の土地への強い愛着を無視しての移動要請は逆に大きなストレスの原因ともなります。被災地ではとても難しい選択が迫られているようです。「教育・研究のみならず、これらに不可欠な準備・後処理や直接関連性のある研鑽は労働時間」さて、今回は1月15日に厚生労働省が、医師の研鑽に係る労働時間に関する通知を一部改正しましたので、それについて書いてみたいと思います。今回の通知では、大学の附属病院等に勤務する教育・研究を本来業務とする医師について、教育・研究のみならず、これらに不可欠な準備・後処理や、直接関連性のある研鑽は、労働時間に含まれるとの見解が明示されました。「医師の働き方改革」の本格実施を直前に控えた昨年は、医師の教育や研究に携わる時間が労働時間に当たるかどうかの議論があちこちで沸き起こりました。神戸市の公益財団法人甲南会・甲南医療センターで勤務していた男性専攻医が昨年5月に自殺したことについて西宮労働基準監督署が労災認定した件や、名古屋大学病院が勤務医の時間外の教育・研究活動を労働ではない自己研鑽として原則扱っていた件などは、全国ニュースとなり、厚生労働省にも早急な対応が求められていました。「医師本人と上司の間で円滑なコミュニケーションを取り、理解の一致のために十分な確認を行うこと」1月15日に厚生労働省労働基準局監督課長名で発出された通知「『医師等の宿日直許可基準及び医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての運用に当たっての留意事項について』の一部改正について」1)によれば、今回の改正は「解釈の明確化を図ったものであり、これまでの労働基準法の取扱いを変更するものではない」と説明、その上で、新たな「留意事項」2)で、大学病院に勤務し、診療のほかに教育・研究も本来の業務としている医師については、教育・研究に直接関連性のある研鑽は労働時間に該当すると明示しました。また、2019年に通知と同時に出された「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について」3)に記述された「診療等の本来業務」について、大学病院の勤務医は「等」の中に教育・研究が含まれるとの見解を示しました。なお、大学病院の医師は研鑽と本来業務の明確な区分が困難な場合が多いことが考えられるため、研鑽の実施に当たっては、医師本人と上司の間で円滑なコミュニケーションを取り、双方の理解の一致のために十分な確認を行うことに特に留意する必要がある、としています。教育・研究活動を自己研鑽として原則扱っていた名古屋大学病院今回の通知改正のインパクトは、大学病院の勤務医に限って、教育・研究活動は本来業務として扱うことが明確化されたことでしょう。昨年11月、朝日新聞の報道等によって、名古屋大学病院が勤務医の時間外における教育・研究活動を、労働ではない自己研鑽として原則扱っていることが問題となりましたが、全国の大学病院における教育・研究に対する曖昧な取り扱いに、一定の方向性を示したものと言えます。2023年11月20日付の朝日新聞の報道によれば、名古屋大学病院では、病院に導入された勤怠管理システムにおいて、勤務時間内の行為はすべて業務として扱う一方、時間外の診療・教育・研究については業務か自己研鑽かを判断するための「区分表」をつくって、2022年11月から適用していたとのことです。たとえば、診療のうち、手術や患者対応は業務として認めていましたが、手術の練習、新薬の情報収集は自己研鑽としていました。一方で、教育と研究については、この時点では「大学院生・学部生への指導」「入試関係業務」「外部資金による研究業務」などが業務として認められており、また、休日の学会出席も業務として認められていたとのことです。しかし、こうした取り扱いをしたことで2022年11月~2023年3月、職員への時間外手当の支払いは月3,000万円ほど増えたそうです。朝日新聞によれば、2023年4月に名大病院は、このまま推移すれば「病院経営が立ちゆかなくなる」として時間外労働を減らす方針を打ち出し、勤怠管理システムの区分表から教育と研究に関する項目をすべて削除、業務とするには、上司の許可を得た上で、「その他」項目からしか申請できない仕様に変えたとのことです。教育と研究は自己研鑽に区分しておきながら論文数増加を要請していた名大こうした対応が朝日新聞等の記事になってしまったのには、また別の事情もからんでいたようです。私が同大の関係者から聞いた話では、勤怠管理システムの区分表から教育と研究に関する項目をすべて削除した直後、同病院の臨床研究中核病院(名古屋大学病院は全国に15ある臨床研究中核病院の一つです)の責任者から、医師宛に「論文数が減っているからもっと研究して論文を書くように」という趣旨のメールが届いたのだそうです。「勤怠システムで教育と研究は自己研鑽に区分しておきながら、もっと論文を書けとは何事か!と怒った誰かが新聞社にタレ混んだのではないでしょうか」とその人は話していました。専攻医が過労自殺した甲南医療センターは院長らが書類送検今回の通知は、教育・研究を本来業務として行う大学病院の勤務医の業務を対象とするもので、医局から派遣されて働く市中病院の勤務医は対象ではありません。そのため、市中病院では、自己研鑽か労働時間かの区分けについて、より実態に即した対応が求められることになります。本連載の「第177回 「令和の米騒動」と神戸・甲南医療センター専攻医自殺・労災認定で感じた共通する“病根”(前編)」、「第178回 同(後編)」で書いた専攻医が過労自殺した甲南医療センターについて、西宮労働基準監督署は12月19日、同センターを運営する公益財団法人甲南会と具 英成院長(代表理事・同法人の代表理事でもあります)、上司にあたる医師1人を、労働基準法違反容疑で神戸地検に書類送検しています。送検容疑は昨年4月、労使協定で定めた上限の95時間を超え、少なくとも113時間56分の時間外労働を専攻医にさせたというものです。各紙報道によれば、労基署はこの時間を「病院側の指揮命令下にあったと確実に認定できる時間」としているとのことです。なお、書類送検したことについて、武見 敬三厚生労働大臣は12月22日の閣議後会見で、「悪質な労基法違反は厳正に対処する」と述べています。自己研鑽か労働かの区分けは、病院がどこまで医師の人件費増に耐えられるかという経営の問題でもあります。2024年の診療報酬改定では、プラス部分の中に「40歳未満の勤務医師の賃上げに資する措置分」が含まれていると厚生労働省の文書に明記されていますが、医師の働き方改革の本格実施を前に、大学病院においても市中病院においても、経営の舵取りは今まで以上に難しくなりそうです。参考1)基監発0115第2号 令和6年1月15日/厚生労働省2)基監発0701第1号 令和元年7月1日、改正基監発0115第2号 令和6年1月15日/厚生労働省3)基発0701第9号 令和元年7月1日/厚生労働省

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コロナワクチンとインフルワクチンで異なる、接種を躊躇する理由とは?

 米国・ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院のGillian K. SteelFisher氏らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症ワクチンとインフルエンザワクチンに対して、人々の有効性や安全性の捉え方、接種の意向、躊躇する理由などについて調査した。その結果、有効性については両ワクチンとも40%の人が非常に効果的だと考える一方で、インフルワクチンのほうがコロナワクチンに比べて安全性への信頼度が高く、同様に接種の意向も高いことが示された。JAMA Network Open誌2023年12月21日号Research Letterでの報告。 本調査は2023年7月7~16日に、米国の18歳以上の成人の確率に基づくサンプルを対象にアンケート調査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・調査に招待された3,232人のうち、1,430人(44%)がアンケートに回答した。・ほぼ同数の割合が、ワクチン接種が重篤な症状や入院を防ぐのに非常に効果的であると回答した。コロナワクチン42% vs.インフルワクチン40%。・ワクチンの安全性については、コロナワクチンと比べてインフルワクチンは非常に安全だと思っている割合が高かった。コロナワクチン41% vs.インフルワクチン55%。・今シーズンにワクチンを接種する可能性が非常に高いと答えた割合も、コロナワクチンと比べてインフルワクチンのほうが多かった。コロナワクチン36% vs.インフルワクチン49%。・50歳以上(659人)に限っても、全年代と同様の傾向がみられた。・ワクチン接種を躊躇する人において、コロナワクチンとインフルワクチンで懸念する理由が異なっていた。・コロナワクチンを懸念する理由として最も多い順に、より多くの研究をしてほしい(60%)、ワクチンの安全性への懸念がある(51%)、政府機関によるワクチンの推進を信頼していない(45%)、ワクチンが予防に非常に有効だと思わない(40%)、ワクチンよりも感染して自然免疫を得たい(38%)、ワクチンの製薬企業を信頼していない(38%)が挙げられた。・インフルワクチンを懸念する理由として最も多い順に、ワクチンよりも感染して自然免疫を得たい(37%)、人々があまりにも多くのワクチンを接種することを期待されていると感じる(30%)、政府機関によるワクチンの推進を信頼していない(27%)、ワクチンが予防に非常に有効だと思わない(27%)、感染しても重症になると考えていない(27%)、ワクチンの安全性への懸念がある(25%)が挙げられた。 人々がインフルワクチンよりも新型コロナワクチンの接種に、より消極的であることが示された。著者は本結果を踏まえて、医療者がワクチンに関する情報提供などの患者とのコミュニケーションにおいて、同時接種が提案される際はより人気のあるインフルワクチンを先に始めたり、両ワクチンの安全性と有効性について一貫したメッセージを提供したりすることを勧めている。今シーズン以降のワクチンの普及を促進するためには、医療者やコミュニケーターが公衆の意見の微妙な違いに対応することが不可欠だとしている。

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