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毎日のナッツ摂取は男性の生殖能力を上げる効果があるのか

 ナッツ類には、オメガ3系多価不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールが豊富に含まれているため、定期的な摂取は健康に良いとされている。では、ナッツは生殖機能の改善にも貢献するのであろうか。オーストラリア・モナシュ大学栄養・栄養摂取・食物学科のBarbara R. Cardoso氏らの研究グループは、ナッツ類の摂取と生殖能力の系統的レビューおよびメタ解析を行った。その結果、栄養学的にナッツの摂取が生殖能力を高めることが示唆された。Advances in Nutrition誌オンライン版2023年11月17日号に掲載。毎日60gのナッツ摂取で男性の精子の運動率が増加 本研究は、Ovid MEDLINE、Embase、CINAHL、Scopusを2023年6月30日まで検索。対象とした論文は、生殖可能年齢(18~49歳)の男女を対象とした介入研究または観察研究で、食事からのナッツ摂取(最低3ヵ月)が妊孕性に関連する転帰に及ぼす影響・関連を評価したもの。 ナッツ類の摂取と生殖能力の系統的レビューおよびメタ解析を行った主な結果は以下のとおり。・健康な男性における精子の総運動率、活力、形態、濃度に対するナッツ摂取のプール効果推定値を算出するために、ランダム効果メタ解析を実施した。・875例(男性646例、女性229例)が参加した4件の研究がこのレビューに含まれた。・健康な男性223例が参加した2件のランダム化比較試験のメタ解析では、60g/日以上のナッツの摂取は対照群と比較して精子の運動率、活力、形態を増加させるが、精子濃度には影響を及ぼさないことが示された。・非ランダム化研究では、食事からのナッツ摂取と男性における従来の精子パラメーター、あるいは生殖補助医療を受けている男女における胚着床、臨床妊娠、生児出生との関連は報告されていない。 本研究では、健康な男性において、欧米式の食事の一部として毎日少なくとも60gのナッツを摂取することが、男性の受胎可能性の予測因子である精子パラメーターを改善することを示していた。ナッツ摂取は、その栄養学的内容から生殖を成功に導く可能性があることが示唆された。

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精神科医の統合失調症薬物治療ガイドライン順守と患者の労働時間

 統合失調症は社会的機能不全を伴う精神障害であり、患者の労働時間の短縮などさまざまな課題を引き起こす。国立精神・神経医療研究センターの伊藤 颯姫氏らは、精神科医のガイドライン順守と統合失調症患者の労働時間との関連を調査した。統合失調症の薬物治療ガイドラインを精神科医がどの程度順守しているかを測定するため、本研究の研究者らは患者ごとの精神科医のアドヒアランスに関する治療適合度(individual fitness score:IFS)を最近開発した。しかし、精神科医のアドヒアランス向上が、労働時間などの患者の社会的機能アウトカムの改善にどの程度関連しているかは、依然としてよくわかっていなかった。Schizophrenia (Heidelberg, Germany)誌2023年11月7日号の報告。 自身が治療中の統合失調症患者に対する精神科医の統合失調症薬物治療ガイドライン順守と、同患者の労働時間との関連を評価するため、研究者らは統合失調症患者286例を対象に、IFSと社会的活動評価を用いてデータを収集し、IFS値と労働時間との相関関係を調査した。 主な結果は以下のとおり。・精神科医のガイドライン順守は、統合失調症患者の労働時間との有意かつ正の相関を示した(rho=0.18、p=0.00215)。・患者を治療抵抗性統合失調症(TRS)群(40例)と非TRS群(246例)に分類した場合、TRS群の多くで労働時間の短縮が認められた(1週間当たり0~15時間)。・TRS患者を除外した後でも、非TRS患者における精神科医のガイドライン順守と患者の労働時間との間には正の相関が認められ、依然として有意なままであった(rho=0.19、p=0.00332)。・ガイドラインで推奨されている薬物治療が実施されていた患者では、より長い労働時間が認められた。 結果を踏まえ、著者らは「統合失調症患者の機能的アウトカムを改善するためには、精神科医に対する広範な教育およびトレーニングが必要である可能性が示唆された」とまとめている。

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EGFR変異陽性NSCLC脳転移例、ダコミチニブの奏効率97%

 ダコミチニブは第2世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であり、進行または転移を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、第1世代EGFR-TKIのゲフィチニブと比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を改善したことが報告されている1,2)。しかし、脳転移を有するNSCLC患者に対するダコミチニブの有用性は明らかになっていない。そこで韓国・成均館大学のHyun Ae Jung氏らの研究グループは脳転移を有するEGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者におけるダコミチニブの有用性を検討した。その結果、ダコミチニブの頭蓋内奏効率(iORR)およびORRは共に96.7%であり、無増悪生存期間(PFS)中央値も17.5ヵ月と良好であった。本研究結果は、ESMO Open誌2023年11月27日号で報告された。・試験デザイン:単施設海外第II相単群試験・対象:未治療の脳転移(5mm以上)を有するEGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)進行NSCLC患者30例・投与方法:ダコミチニブ45mg(1日1回)を病勢進行または許容できない毒性の発現まで(75歳超またはBSA 1.5m2未満の場合は開始用量を30mg[1日1回]とすることを許容)・評価項目[主要評価項目]iORR[副次評価項目]頭蓋内PFS(iPFS)、ORR、PFS、安全性など・データカットオフ日:2023年2月28日 主な結果は以下のとおり。・対象患者のEGFR遺伝子変異の内訳は、ex19delが46.7%、L858Rが53.3%であった。また、65歳以上の割合は36.7%、女性の割合は70%であった。・データカットオフ時点の追跡期間中央値は25.6ヵ月(範囲:8.6~26.1)であった。・iORRは96.7%(CR:19例、PR:10例)であった。・iPFS中央値は未到達で、12ヵ月iPFS率は78.6%、18ヵ月iPFS率は70.4%であった。・ORRは96.7%(CR:1例、PR:28例)であった。・PFS中央値は17.5ヵ月であった。・Grade3の治療関連有害事象が16.7%に認められたが(下痢[10%]、ざ瘡様皮膚炎[6.7%]など)、Grade4以上は認められなかった。ダコミチニブの減量を要した患者の割合は83.3%であったが、ダコミチニブによる治療を完全に中止した患者はいなかった。

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コロナ罹患後症状におけるワクチン有効性、3回接種で73%/BMJ

 感染前の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種と、罹患後症状(Post-COVID-19 Condition:PCC)の診断を受けるリスクの低下には強い関連性があることが、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLisa Lundberg-Morris氏らが、スウェーデン住民約59万例を対象に行った住民ベースコホート試験「Swedish Covid-19 Investigation for Future Insights-a Population Epidemiology Approach using Register Linkage:SCIFI-PEARLプロジェクト」の結果で示された。著者は「試験の結果は、PCCの集団的負荷を軽減するために、ワクチン接種の重要性を強調するものである」と述べている。BMJ誌2023年11月22日号掲載の報告。ワクチンのPCC有効性、年齢、性別、合併症など補正して推定 COVID-19ワクチンの初回接種(2回)+ブースター接種の計3回の接種によるPCCへの有効性を調べる試験は、2020年12月~2022年2月にスウェーデンで最も大きな2地域(ストックホルム地域[県]、ヴェストラ イェータランド地域[県])で登録された18歳以上のCOVID-19患者58万9,722例を対象に行われた。 被験者について、初回感染から死亡、国外への移住、ワクチン接種、再感染、PCCの診断(ICD-10診断コードU09.9)のいずれかのイベントが発生するまで、またはコホート試験終了(2022年11月末)まで追跡した。感染前にCOVID-19ワクチン接種を1回以上受けた人は、ワクチン接種済みとみなした。 主要アウトカムは、PCCの臨床診断。PCCに対するワクチンの有効性は、年齢、性別、併存疾患(糖尿病、心血管疾患、呼吸器疾患、精神疾患)、2019年の医療サービス利用回数、社会経済的要因、感染時の優勢ウイルス変異で調整したCox回帰分析で推定した。ワクチン3回以上接種者のPCC有効性は73% COVID-19を発症して追跡期間中にPCCと診断されたのは、ワクチン接種者29万9,692例のうち1,201例(0.4%)だったのに対し、ワクチン未接種者29万30例では4,118例(1.4%)だった。 感染前のCOVID-19ワクチン1回以上接種者は、未接種者に比べ、PCC発症リスクが低かった(補正後ハザード比:0.42、95%信頼区間:0.38~0.46)。PCC発症予防に関するCOVID-19ワクチン有効性は58%だった。 感染前のワクチン接種者のうち、1回接種者は2万1,111例、2回接種者は20万5,650例、3回以上接種者は7万2,931例だった。PCCに対するワクチン有効性は、1回接種者21%、2回接種者59%、3回以上接種者73%だった。

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脳死ドナーへのレボチロキシン投与、心臓移植後の生着率や安全性は?/NEJM

 血行動態が不安定な潜在的心ドナーにおいて、脳死判定後のレボチロキシン投与はプラセボ投与と比較して、心臓移植の有意な増加には結び付かなかった。米国・セントルイス・ワシントン大学のRajat Dhar氏らが、852例の脳死心ドナーを対象に行ったプラセボ対照無作為化非盲検試験の結果で示された。血行動態不安定と心機能障害は、脳死臓器提供者からの心臓移植を妨げる主な要因となっている。先行研究で、ホルモン補充療法を受けたドナーから、より多くの臓器移植が可能であることを示唆する観察データが示され、ドナーのケアではレボチロキシンの静脈内投与が広く行われている。NEJM誌2023年11月30日号掲載の報告。米国15ヵ所の臓器調達機関を通じて無作為化試験 研究グループは米国15ヵ所の臓器調達機関を通じ、血行動態が不安定な心臓提供の可能性のあるドナーを対象に試験を行った。神経学的基準に基づく死亡宣告後24時間以内に、対象者をレボチロキシンを投与(30μg/時、12時間以上)する群、プラセボ(生理食塩水)を投与する群に1対1の割合で無作為に割り付け、非盲検下で静脈内投与した。 主要アウトカムはドナー心移植。事前に規定したレシピエントの主要安全性アウトカムは、移植後30日時点の移植心生着とした。 副次アウトカムは、昇圧薬治療からの離脱、ドナーの駆出率、ドナー1例当たりの移植臓器数などだった。心移植率は両群ともに53~55%、移植心生着率も96~97%と同等 脳死ドナー852例が無作為化され、このうち838例(両群ともに419例)が主要解析に包含された。 心移植は、レボチロキシン群230例(54.9%)、プラセボ群223例(53.2%)で行われた(補正後リスク比:1.01、95%信頼区間[CI]:0.97~1.07、p=0.57)。 移植後30日時点の移植心生着は、レボチロキシン群の移植心臓224個(97.4%)、プラセボ群の移植心臓213個(95.5%)で認められた(群間差:1.9ポイント、95%CI:-2.3~6.0、非劣性のマージン6ポイントについてp<0.001)。 昇圧薬治療からの離脱や心エコーによるドナーの駆出率、ドナー1例当たりの移植臓器数について明らかな群間差はなかった。一方で、レボチロキシン群では、重症高血圧と頻拍の症例がプラセボ群より多く認められた。

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現代の血管インターベンション治療のレベルを無視しているのではないか(解説:野間重孝氏)

 この論文(ORBITA-2試験)の評価には、まず2017年に同グループによってLancet誌に発表されたORBITA試験について知っておく必要がある。同論文はジャーナル四天王で紹介されたのでお読みになった方も多いかと思う(「PCIで運動時間が改善するか?プラセボとのDBT:ORBITA試験/Lancet」)。また、奇縁にもその論文評を評者らが担当していた(下地 顕一郎君との共著)(「ORBITA試験:冷静な判断を求む」)。その関係から、以下前回の論文評と内容に一部重複する部分も見られると思うがご容赦願いたい。 ORBITA試験は至適薬物治療を受けている重症一枝病変の安定狭心症患者200例を対象とし、PCIが行われた群とプラセボ手術が行われた群とに分け、運動時間増加量を無作為化二重盲検試験で比較検討した試験である。この結果は大きな議論の対象となった。両群で運動時間増加量に差が認められなかったからである。つまり、少し乱暴な言い方をすれば、PCIなどやってもやらなくても同じだという結果が出されたのである。これを受けてLancet誌同号のeditorialで「薬物療法に対して不応な症例ですらPCIは無益」で「すべてのガイドラインでPCIを格下げすべきである」といった感情的な議論がなされ、これに対しこの論文の筆頭著者だったAl-Lameeが反論するといった、一種のドタバタ喜劇が演じられるという一幕もあった。 こうした議論のそもそもの背景には、2007年にNEJM誌に発表されたCOURAGE試験があった。この試験により、安定狭心症に対するPCIは薬物療法に比して心筋梗塞や死亡の発生率を減らすことができないことが示されたのである。以後、PCIはもっぱら症状の改善を目的として行われるようになっていた。ところがORBITA試験は、PCIでは肝心の症状の改善すら明確には望めないと断じたのである。 ただし、こうした結果を重症虚血症例にまで拡大適応してはならないことは、他ならぬCOURAGE試験のサブ解析によって示された。サブ解析については紙面の関係から深入りしないが、これはORBITA試験についてもいえることで、この試験では重症虚血例は除外されていた。 ORBITA試験の研究グループは、今回大きく視点を変えてPCI単独の効果の検討を試みた。抗狭心症薬による治療をほぼ受けておらず、かつ客観的虚血が認められる安定狭心症の患者に対してPCIを施行し、PCIにより狭心症症状スコアが有意に改善することを無作為化検定で証明したのである。発想の転換というか、「では薬物の影響を極力排除した場合、PCIは本当に単独で症状改善効果を期待できるのか?」という設問を立てたもので、PCIに対して疫学的観点から評価を与えたものといえるだろう。しかし、ORBITA試験の結果との関係を論じるとなると、難しいものがあるのが事実である。PCIが単独で症状改善効果を持つとして、ではなぜ薬物治療下では追加的な効果が期待できないのか? この疑問には何も答えていないからである。 本試験の問題点としてまず指摘されるのは、前回と同様に、重症患者が試験対象から除外されていることだろう。論文中には明記されてはいないが、血小板機能阻害薬とスタチン以外のすべての薬剤を中止することが医学的にも倫理的にも許容される安定狭心症とはどの程度の重症度であるかは、臨床に携わる医師ならば誰でもわかることである。 しかし、そうした除外規定を容認するとしても残るのが、症状を主要エンドポイントに据えたことであると思う。PCIを実際に施行されたグループでは、複数ある狭窄を含めてすべてを完全に治療されたのである。それでもプラセボ群と大きな差がついたとはいえ、無視できない数の患者が症状を訴えているのである。 こうした現象を評者はよく狭心症・心筋梗塞と脳虚血の違いを例にとって説明している。脳虚血発作の症状は傷害部位によって特徴的かつ明確であり、また発症時期も明らかである。それに対して虚血性心疾患の場合は、心筋梗塞の場合といえども症状は必ずしも典型的なものとは限らず、また発症時期も明らかにすることは難しい。心筋梗塞の治療成績の検討にdoor-to-balloon timeが用いられ、onset-to-balloon timeが用いられないのはonset timeが明確に決められないからである。狭心症についてはさらに難しい。狭心症状はある意味、大変に主観的なものなのである。虚血の発生を客観的に明示できる方法を用いない限り、この種の研究には常に限界が付きまとうのである。これはORBITA試験についてもいえることで、運動時間といっても息切れの発生や動悸の発生で運動を止めているのか、明確なST-T変化によって運動を止めているのかで意味はまったく異なってくる。両論文には、少なくとも明確なST-T変化が見られるまで続行したという、はっきりした記述は見られない。 PCIはすでに成熟した治療法である。一時は確かに業績欲しさに不必要なPCIが行われた嘆かわしい時期があったことは事実であるが、それは過去のことである。現在、冠動脈の形態は造影CTで無侵襲で見ることができ、虚血の評価はMRIだけでなく、最近はFFR-CTなどの技術も実用化している。ワイヤを冠動脈内に入れれば病変形態は冠動脈エコーにより観察できるし、OCTを用いれば石灰化の厚さ・形態、粥腫の安定性の評価も可能である。さらに、治療の必要性についてはFFR/iFRにより的確に判断できる。評者は、当たり前のことであってもきちんと証明することには常に価値があると、日頃より発言してきた。その意味からこの研究を評価するかと聞かれたとするなら、残念ながら現代の技術レベルを無視した研究には、どれだけ多くの人が関わり手間をかけたとしても、評価することはできないとお答えするしかない。この論文評を書いている2023年現在、PCIの効果をこうした疫学的手法から検討しようという時代は終わっているとしかいえないと考えるからである。

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医師が選ぶ「2023年の漢字」TOP10を発表!【CareNet.com会員アンケート】

12月12日は漢字の日。毎年年末に1年の世相を表す漢字1字が募集され、最も応募数の多かった漢字が「今年の漢字」として発表されます(主催:日本漢字能力検定協会)。本家の発表に先立ち、CareNet.com医師会員の皆さんに選ばれた「2023年の漢字」TOP10を発表します。2023年を表す漢字として、どのような漢字をイメージしましたか?第1位「戦」(155票)第1位は、昨年に引き続き「戦」が選ばれました。2022年に始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻に加え、2023年10月7日にはイスラム組織ハマスによるイスラエル急襲が発生し、戦争状態となっています。戦争に関するニュースを目にすることも多く、戦争に関するコメントが多く寄せられました。一方、野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表「侍ジャパン」が優勝したことなど、ポジティブな「戦」に関するコメントもみられました。「戦」を選んだ理由(コメント抜粋)ウクライナ‐ロシア間の戦争、パレスチナでのイスラエルの無差別攻撃、中国の海洋進出、北朝鮮の弾道ミサイルなど戦争につながる事態が多かった。(60代 外科/群馬)コロナとの戦い、ガザ地区やウクライナの戦争などがあるから。(50代 耳鼻咽喉科/北海道)争いが絶えない。(70代以上 内科/宮城)良い戦いから悪い戦いまで、いろいろな戦いがあった。(70代以上 内科/大阪)WBC優勝。(20代 整形外科/長野)第2位「税」(62票)第2位には、「税」がランクイン。物価上昇や増税、減税に関する報道が多く、票を集めました。税負担の大きさを感じているというコメントもみられました。岸田 文雄総理大臣がインターネット上などで「増税メガネ」と揶揄され、話題となったことも理由に挙げられました。2023年10月にインボイス制度が始まったことも記憶に新しいのではないでしょうか。 「税」を選んだ理由(コメント抜粋)税金が増える話ばかりで嫌になった1年だった。(30代 神経内科/福岡)今年は税負担の大きさを強く感じたため。(50代 小児科/群馬)増税、減税など税に関わる報道が多く、値上げなどにも関連しているため。(30代 小児科/宮城)「増税メガネ」の言葉が話題になった。(30代 内科/北海道)政府の税金対策、インボイスなど。(40代 内科/東京)■第3位「争」(46票)第3位は「争」。第1位の「戦」と同様に戦争に関するコメントが多く寄せられました。ロサンゼルス・エンジェルスの大谷 翔平選手についての話題など、スポーツの「争い」に言及するコメント、個人的な「争い」に関するコメントもみられました。 「争」を選んだ理由(コメント抜粋)ウクライナに続いてパレスチナでも戦争が始まり、争いが絶えなくなり今後が不安な世の中になってきた。(50代 その他/茨城)世界的な紛争。スポーツ界でも良い意味での争い(大谷選手のホームラン王、MVPなど)がみられたように思う。(40代 小児科/鹿児島)世界のあちこちで紛争があり、さまざまなスポーツで勝利を目指して争われ、メジャーリーグでは大谷選手の争奪戦が始まりそう。(50代 放射線科/福岡)争いが絶えない1年であった。(60代 小児科/福島)第4位「高」(43票)第4位は「高」。今年は、物価や気温など「高い」ものが多く、話題となった1年でした。生活に直結するものが多かったため、票を集めたのではないでしょうか。皆さんは「高」といえばどのようなものを思い浮かべますか? 「高」を選んだ理由(コメント抜粋)物価が高い、株価が高い、気温が高い。(50代 内科/滋賀)商品の値段が次々値上げ。価格を見て「高っ」と何度つぶやいたか。(50代 眼科/福岡)物価高、賃金上昇、金高騰など、なにかと高くなる出来事が多い1年でした。(40代 整形外科/徳島)高齢化、高税率など。(40代 小児科/静岡)医療費高騰のため。(30代 血液内科/東京)第5位「暑」(42票)第5位は「暑」。気象庁は、2023年の夏(6~8月)の全国の平均気温が、1898年の統計開始以来最高となったことを発表しています。この記録的な暑さは、印象的だったのではないでしょうか。また、アンケートを実施した11月上旬も季節外れの暑さとなり、夏日を記録した地域があったことに言及するコメントも複数寄せられました。 「暑」を選んだ理由(コメント抜粋)記録的な夏の暑さだったから。(60代 内科/三重)夏自体も暑かったが、東京では11月に夏日が3日もあってなかなか暑さがおさまらないから。(40代 消化器内科/東京)歴史的な猛暑の夏と暖冬。(40代 内科/奈良)第6~10位惜しくも第5位と1票差で第6位となった漢字は「虎」。阪神タイガースが1985年以来38年ぶりとなる日本一を達成したことで票が集まりました。第6~10位は以下のとおりでした。第6位:「虎」(41票)「言うまでもなく、阪神タイガースの38年ぶりの日本一!」など第7位:「乱」(40票)「混乱、戦乱、乱暴、騒乱、落ち着きの無い年だった。」など第8位:「明」(21票)「コロナが明けて、生活スタイルがもとに戻ったから。」など第9位:「変」(18票)「いろいろな価値観、常識、観念の変化が見え出した。」など第10位:「貧」(16票)「物価上昇が著しく、国民生活は苦しくなるばかり。」など アンケート概要アンケート名『2023年を総まとめ!今年の漢字と他の医師にも薦めたい今年の購入品をお聞かせください』実施日   2023年11月8日~15日調査方法  インターネット対象    CareNet.com医師会員有効回答数 1,029件

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第190回 財務省調査に続き医療経済実態調査も診療所黒字の結果に、病院・診療所の「分断」をここまで広げてしまった張本人とは?

厚労省改定骨子案、「医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者」の賃上げの必要性を強調こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。厚生労働省は11月29日、2024年度診療報酬改定の基本方針の骨子案を社会保障審議会の医療部会と医療保険部会に示しました。両部会で出た意見を踏まえ、同省はまもなく年内にも基本方針案を提出する予定です。厚労省の骨子案では、24年度改定の基本的視点として次の4つが挙げられました。(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進(2)「ポスト2025」を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進と、医療DXを含む医療機能の分化・強化、連携の推進(3)安心・安全で質の高い医療の推進(4)効率化・適正化による医療保険制度の安定性・持続可能性の向上このうち、1)の「人材確保・働き方改革等の推進」が重点課題に位置付けられています。「医療分野では賃上げが他の産業に追い付いていない状況にある」として、「医療現場を支えている医療従事者の人材確保のための取組を進めることが急務」と指摘、「その際、特に医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者の賃金の平均は全産業平均を下回っており、また、このうち看護補助者については介護職員の平均よりも下回っていることに留意した対応が必要」としました。「医師、歯科医師、薬剤師及び看護師“以外”の医療従事者」の賃上げを特に強調した点は画期的だと言えます。世間では医療業界全体を高給と捉えがちですが、看護助手や放射線技師、理学療法士・作業療法士などの給与水準は決して高くはなく、それが人材不足にもつながっているからです。12月3日付の日本経済新聞朝刊は、「医療従事者の賃上げ促す」という記事で、厚労省と財務省が医師・看護師・薬剤師以外のコメディカルの賃上げに向けて調整に入ったと報じています。 医療経済実態調査においても「診療所が儲かっている」実態が明らかにというわけで、来年の診療報酬改定を巡っては、財務省と日本医師会をはじめとする医療関係団体とのバトルが日に日に激しさを増しています。その経緯は本連載の「第187回 診療報酬改定シリーズ本格化(前編)」、「第188回 同(後編)」でも詳しく書きました。11月24日には診療報酬の改定に合わせて2年に1度行われる医療経済実態調査の結果も公表され、さらに混迷の度合いが増しています。財務省の調査と同様、医療経済実態調査においても「診療所が儲かっている」実態が明らかになったためです。財務省調査では診療所の経常利益率2022年度8.8%で他産業を大きく上回る先に公表された財務省の数字をおさらいしておきましょう。11月1日の財政制度等審議会・財政制度分科会で財務省が示したのは、全国38都道府県のおよそ2万2,000の医療法人における2020〜2022年度の経営状況を、財務局を活用して調査した結果です。病床を持たず診療所のみを運営する1万8,207の医療法人の平均の経常利益率は20年度3.0%、21年度7.4%、22年度8.8%と改善が目立っており、全産業3.4%、サービス産業3.1%を大きく上回る、としました。こうした実情を踏まえ、財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会は、11月20日に2024年度の予算編成に向けた意見書(令和6年度予算の編成等に関する建議、通称「秋の建議」)をとりまとめ、鈴木 俊一財務相に提出しました。その中で診療報酬の改定については11月1日の主張と同様「本体マイナス改定」が適当だとし、とくに診療所に入る報酬単価を5.5%程度引き下げるよう求めました。医療経済実態調査では一般診療所の2022年度の利益率は8.3%の黒字一方、11月24日に公表された医療経済実態調査では、医療法人の一般診療所の2022年度の利益率は8.3%の黒字で、コロナ補助金を含めると9.7%の黒字でした(ちなみに個人の診療所の利益率は32.0%の黒字)。財務省が示した数字とほぼ同じ結果です。コロナ報酬特例やワクチン接種による収益が大きく影響したとみられています。かたや病院ですが、国公立を含む一般病院の2022年度の利益率は6.7%の赤字で、新型コロナ関連の補助金を含めてやっと1.4%の黒字でした。うち公立病院は19.9%の赤字でした。水道代、光熱費など物価の高騰が影響したとしています。2020年度についてもコロナ補助金を除くと6.9%の赤字となっていました。「収益が下がれば赤字施設の割合がさらに増え、地域の医療提供体制が維持できなくなる」と日医財務省の調査結果に対して、日本医師会の松本 吉郎会長は11月2日の記者会見で、「この3年間はコロナ禍の変動が顕著であり、とくにコロナ特例による上振れ分が含まれている。そもそもコロナ禍で一番落ち込みが厳しかった2020年をベースに比較すること自体がミスリードであり、儲かっているという印象を与える恣意的なものである」と反論しました。しかし、医療経済実態調査においても同様の結果が出てしまっては、政府も改定財源の配分について相応の考慮が必要になりそうです。なお、12月1日に開かれた中央社会保険医療協議会総会では、支払側と診療側が医療経済実態調査の結果に対する見解を示しています。m3.comなどの報道によれば、支払側(健康保険組合連合会理事の松本 真人氏)は「医療機関の経営は総じて堅調だ」と述べたのに対し、診療側(日本医師会常任理事の長島 公之氏)は「医療機関等はコロナ前と比較しても厳しい経営を強いられている。2024年度診療報酬改定が担う役割は非常に重要。さらに収益が下がることがあれば、赤字施設の割合がさらに増え、地域の医療提供体制が維持できなくなる。経営基盤が脆弱な診療所の倒産が相次ぐ恐れがある」と述べています。病院と診療所の利益率の違いこそが「分断」そのものでは?ところで、日本医師会の松本会長は、11月15日に四病院団体の幹部とともに合同記者会見に臨んだ際、「財務省による医療界を分断するような動きがある」と述べていますが、そもそも、現在の病院と診療所の利益率の大きな違いこそが「分断」そのものといえるのではないでしょうか。財政審分科会長代理の増田 寛也氏は、秋の建議公表後の11月20日の記者会見で「日本医師会と財務省の戦いだと矮小化して捉えられると本質を見誤る。足元の経営状況が良好な診療所の収益を守るのか、それとも勤労者の賃上げやそれに伴う生活を守るのかという大きな文脈の中で検討する必要がある」と語りました。診療報酬には国民が払った保険料と税金が入っています。診療報酬を上げるということは、そのまま国民に負担増を強いることでもあります。診療所院長の平均年俸は2,500〜3,000万円と言われていますが、国民に負担増を強いつつその年俸レベルを上げるというのはいかがなものでしょう。増田氏の指摘は正鵠を得たものと言えるでしょうか。病院を二の次に、中医協で診療所を最優先してきた日医診療所と病院の間になぜこのような「分断」が起きてしまっているのでしょうか。振り返ってみると、そもそも中医協の診療側委員に病院代表者が日医の推薦に関係なく入ることになったのが2007年と非常に遅かったことが多分に影響しているでしょう。今でこそ、日本医師会と病院団体は仲が良い関係と言われていますが、2007年以前は、中医協の診療側委員の病院代表者は日医の推薦がなければなれませんでした。つまり、それまでの中医協の診療側の意向は、日医(主として診療所経営者)の考えが最優先されていたのです。さらに言えば、そのもう一昔前は、公立・公的病院が会員病院に多かった日本病院会は日本医師会と仲が悪く、病院の診療報酬が割りを食っていた時代もありました。分断はそのころからじわりじわりと進み、今の利益率の大きな差に至っているわけです。医療関係団体は物価高騰と賃上げの動きを背景に、診療所、病院関係なく診療報酬の大幅引き上げを求めていますが、今こそ、長年の「分断」解消に向けて、診療所は下げ、病院は上げる、さらには医師・看護師・薬剤師以外のコメディカルを大幅に賃上げする、といった、“メリハリ”のついた改定が求められているのではないでしょうか。

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皮膚疾患へのJAK阻害薬、心血管リスクを増加させず

 無作為化比較試験35件の皮膚疾患患者2万例超を対象としたメタ解析において、JAK阻害薬の使用はプラセボ/実薬対照と比較して、主要心血管イベント(MACE)および全死亡、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク増加と関連しなかった。米国・New York University Grossman School of MedicineのJenne P. Ingrassia氏らが報告した。JAK阻害薬は、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などの皮膚疾患に対する有効な治療選択肢であるが、米国食品医薬品局(FDA)が経口・外用JAK阻害薬について、MACE、VTE、重篤な感染症、悪性新生物、死亡のリスク増加に関する枠囲み警告(boxed warning)を付している。しかし、この枠囲み警告は関節リウマチ患者を対象とした「Oral Rheumatoid Arthritis Trial(ORAL)Surveillance試験」の結果に基づくもので、皮膚疾患患者で同様の関連が観察されるかは明らかになっていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年11月1日号掲載の報告。 研究グループは、皮膚疾患患者におけるJAK阻害薬とMACE、全死亡、VTEの関連を評価するシステマティック・レビューおよびメタ解析を実施した。 データベース開始日~2023年4月1日の期間にPubMed、ClinicalTrials.govに登録された研究を検索し、皮膚疾患に対してJAK阻害薬を用いた第III相無作為化比較試験を抽出した。JAK阻害薬はFDA承認または承認申請中、あるいはEUや日本で承認されている薬剤とした。対照群の設定されていない試験、ケースレポート、観察研究、レビューに関する論文は除外した。 システマティック・レビューおよびメタ解析は、PRISMAガイドラインに則って実施した。有害事象はランダム効果モデルとDerSimonian-Laird法を用いてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出して評価した。2人の独立した著者によりデータの抽出と質的評価が行われた。 主要アウトカムは、MACEおよび全死亡の複合、VTEであった。 主な結果は以下のとおり。・システマティック・レビューおよびメタ解析は、無作為化比較試験35件とその参加者2万651例を対象とした。・対象患者の平均年齢(標準偏差[SD])は38.5(10.1)歳、男性は54%であった。・平均追跡期間(SD)は、4.9(2.68)ヵ月であった。・MACEおよび全死亡の複合(OR:0.83、95%CI:0.44~1.57)、VTE(同:0.52、0.26~1.04)について、JAK阻害薬とプラセボ/実薬対照に有意差は認められなかった。

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片頭痛の隠れた経済的影響~英国政府のコスト分析

 片頭痛は、15~49歳の人々において世界的に最も高い疾患負担をもたらす疾患であり、行動不能に陥る可能性のある精神疾患である。欧州における片頭痛有病率は、北米、南米、中央アフリカに次いで4番目に高く、アジアやアフリカよりも高いといわれている。片頭痛による直接的な医療費は比較的少額であるものの、生産性の低下による間接的な経済的影響は大きい。オランダ・フローニンゲン大学のRui Martins氏らは、片頭痛の経済的負担について、政府のコストの観点から検討を行った。Journal of Health Economics and Outcomes Research誌2023年10月3日号の報告。 片頭痛の経済的負担は、政府コストの観点を適用した分析財政モデリングのフレームワークを用いて、英国一般人口と比較し、推定した。就労に対する片頭痛の影響に関する公表された測定値は、一般人口の経済活動率/非活動率を用いた。本モデルでは、ライフコースにわたる雇用からの収入、負担した直接税および間接税、財政的支援の生涯にわたる変化を推定した。片頭痛の影響を受ける人とそうでない人における差異は、純財政上の影響としての公的会計に、財政コストは、20年にわたる英国の年間コホート全体の1人当たりの割引平均として報告されている。 主な結果は以下のとおり。・片頭痛の影響を受けている人は、欠勤、失業、障害者、早期退職となる可能性が高かった。・44歳の片頭痛患者は、非片頭痛患者と比較し、英国政府に対し1万9,823ポンドの過剰な財政コストをもたらしており、片頭痛を抱えながらの生活は、年間1,379ポンド相当の影響を及ぼしていることが推定された。・片頭痛は、公共経済に対し年間122憶ポンドの影響を及ぼしており、これは片頭痛1件当たり約130.63ポンドであると推定された。・本モデルでは、医療および社会福祉労働者の年間生産性損失を20億5,000万ポンド、年間生産性損失の合計は58憶1,000万ポンドを超えると推定した。 著者らは「本財政分析により、税収の損失と支出の両方の観点から、英国政府のコストにおける片頭痛に関連する就労上の影響が明らかとなった。本結果は、疾患重症度を特徴づけ、医療技術の費用対効果を評価検討するうえで、意思決定者にとって役立つであろう」としている。

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男性の下部尿路症状、情報冊子の活用でQOLや失禁が改善/BMJ

 プライマリケアにおける男性の下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)の治療で、標準化およびマニュアル化された情報冊子を用いたケアによる介入は通常ケアと比較して、症状を持続的に改善し、有害事象の発現は同程度であることが、英国・インペリアル・カレッジ・ハマースミス病院のMarcus J. Drake氏らが実施した「TRIUMPH研究」で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2023年11月15日号に掲載された。イングランドのクラスター無作為化対照比較試験 TRIUMPH試験は、イングランドの国民保健サービス(NHS)の一般診療所30施設が参加したクラスター無作為化対照比較試験であり、2018年6月~2019年8月の期間に患者を募集した(英国国立健康研究所[NIHR]の医療技術評価プログラムなどの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上の男性で、過去5年以内にLUTSでプライマリケア施設を受診し、最近になって、不快感を伴うLUTSを1回以上経験した患者であった。 参加施設を、介入群または通常ケア群に無作為に割り付けた。介入群には、患者と専門家の意見を取り入れて作成した標準化された情報冊子を用いて、男性のLUTSに対する保存的介入と生活習慣への介入のガイダンスを提供した。 泌尿器症状の評価を行った後、看護師らが12週間にわたって患者と連絡を取り、マニュアルの指定項目のアドヒアランスの保持を支援した。 主要アウトカムは、12ヵ月後の患者報告による国際前立腺症状スコア(IPSS、0~7点:軽度、8~19点:中等度、20~35点:重度)に基づくLUTSとし、通常ケアに比べ2.0点の低下(ベースラインのIPSSが20点未満の場合の臨床的に意義のある最小差を反映した値)を目標とした。QOLや失禁も改善、女性患者向けの開発の可能性も 30施設(1,077例)のうち、17施設を介入群(524例、平均年齢68.9[SD 9.3]歳、白人98.3%)、13施設を通常ケア群(553例、68.4[9.2]歳、98.6%)に割り付けた。 12ヵ月後の時点で、両群ともLUTSのいくつかの症状の改善がみられたが、補正後のIPSSの改善効果は介入群で有意に良好であった(IPSS:介入群11.6点vs.通常ケア群13.9点、補正後群間差:-1.81点、95%信頼区間[CI]:-2.66~-0.95、p<0.001)。事前に規定した改善の目標値である-2.0点には届かなかった。 また、12ヵ月時のLUTS特異的な生活の質(QOL)(IPSS quality of life score:介入群2.9点vs.通常ケア群3.3点、補正後群間差:-0.34点、95%CI:-0.50~-0.18、p<0.001)、失禁(ICIQ-UI-SF score:3.7点vs.4.5点、-0.74点、-1.15~-0.33、p<0.001)、LUTSの認知と情緒的な感覚(B-IPQ score:33.8点vs.38.4点、-4.78点、-6.31~-3.25、p<0.001)も、介入群で優れた。 一方、泌尿器科への紹介の割合(介入群7.3%vs.通常ケア群7.9%)および有害事象の発生数(7件vs.8件)は、両群で同程度だった。 著者は、「今後の研究では、(1)TRIUMPH研究の介入を総合診療の基盤となる施設に統合すること、(2)訓練教材や翻訳、標準化された冊子の入手を含め、識字能力の低い患者や英語を母国語としない患者向けにこの介入を適応させることが求められる」とし、「この方法で管理できる症状の多くは女性も経験するものであることから、女性患者のLUTSを管理するための、同様に標準化およびマニュアル化された方法を開発する可能性が高まっている」と指摘している。

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ドイツでの医学博士号取得に向けて【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第31回

実は、私はドイツのGreifswald大学の大学院に現在所属しております。ドイツで博士号を取りたいな~と思い、日本へ帰国する前に大学院へ入学手続きを済ませておいたからです。大学院の学生証の画像です。日本国内で何度か学割を申請しましたが、認可されたことはありませんでした…。ドイツでは医学に関してのみ、大学で研究せずとも論文を書くことのみで博士号を取得することができる、“Promotion”という制度があります。以前、「空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅」第30回で書かせていただいた“Habilitation”と基本的には同じシステムとなります。自分の書いた論文を教授陣の質問から“Verteidigung”(防御)することで博士号取得の流れになります。Habilitationは、相手も本気で潰すつもりで質問してくるそうですが、Promotionはもっとアットホームな空気で、指導してもらいながら進んでいくとのことです(友人談)。博士号取得の暁には役所でも手続きドイツでは博士号を取得すると、名前に“Dr.”として“Titel”が付くことになります。役所にいってちゃんと申請して、住民票からパスポートまで、すべての自分の名前にDr.を付けるくらい、公式なイベントとなります。この博士号をですね、ぜひ取得したいと思い、ベースとなる論文はドイツにいる間に完成させてあったのですが…。実はまだ、患者データを使用することに対する倫理委員会への申請すら済んでいません。倫理委員会に提出用の書類もだいぶ前に完成しているのですが、その添削が終わらないのです。大学院の指導教官も、実際にデータを使用した病院のデータ管理部門も、とにかく誰も親身になってくれません。メールの返事は下手したら20回くらいメールを送ってやっと返ってくる始末です。倫理委員会の申請の後、まず英語で書いてある論文を雑誌に投稿して、それから論文をドイツ語に翻訳して、いろいろと肉付けして100ページくらいの冊子に仕上げ、それからVerteidigungに移るのですが…。死ぬまでに達成できるかどうかわかりません。しかし、諦めずに今日も催促のメールを送り続けようと思っています。

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生成AIと医療の未来【医療者のためのAI活用術】第10回

(1)ChatGPTに医師の仕事は奪われるのか?2023年上旬にChatGPTの流行が始まってから、「ChatGPTに医師の仕事が奪われるのでは?」という議論がしばしば出てくるようになりました。さらに、ChatGPTが米国や日本の医師国家試験に合格するレベルであることを示す論文が発表されてからは、ますますその議論が現実味を帯びてきました1,2)。さらに恐ろしい点は、「ChatGPTは医療に特化した学習をしているわけではない」ということです。日本のAI研究の第一人者である東京大学の松尾 豊教授は、「医学的な見地から正しいコメントをするようなChatGPTも作っていける」「ホワイトカラーの仕事のほぼすべてに非常に大きな影響があるのではないか。高賃金の職業、参入障壁の高い業界ほど影響が大きいと予想されている」と述べています3)。またChatGPTを開発したOpenAIの創業者であるサム・アルトマン氏はニュースメディアのインタビューで「数年のうちに、質の高い医療アドバイスができるAI医療アドバイザーが登場するだろう」と答えています4)。(2)AIに医療のアドバイスはできる?実は医療に特化したChatGPTのような生成AIはすでに生まれています。たとえば、「Glass AI」は医療分野に特化した大規模言語モデルを用いたツールで、米国の一部の医療機関では試用されています。簡潔に言うと、臨床情報を入力すると、それに基づいた鑑別診断や診断のための検査、治療法を提案してくれるというものです。具体例を見ていきましょう。「心筋梗塞の既往がある71歳男性が亜急性の労作性呼吸苦と両側下腿浮腫で来院した。聴診でIII音を聴取し、頸静脈怒張を認める。左室駆出率は30%である」と入力し、診断のための検査と治療法について聞いてみます。すると以下のような答えが返ってきます(回答は英語を日本語訳しています)。診断厳重なIn/Out管理、毎日の体重測定心電図モニター心電図BNPもしくはNT-proBNP、±トロポニン電解質、Mgを1日2回測定、K>4.0、Mg>2.0に補正心エコー脂質検査、HbA1c鉄、総鉄結合能(TIBC)、フェリチン新規の心不全の精査として、ANA、リウマトイド因子、HIV、血清タンパク電気泳動/尿タンパク電気泳動、遊離軽鎖検査、TSH、遊離T4新規の心不全に関して虚血評価を検討(冠動脈CT、冠動脈造影、負荷検査)治療慢性心不全の既往があれば、普段内服している利尿薬の2.5倍の静注利尿薬。もしくは0.5~1mg/kgのフロセミド静注フロセミド300mg/日の相当量まで利尿薬の増量を検討し、合計で1.5~2L/日のマイナスバランスを目標にする利尿の目標を達成するために、metolazone 2.5~5.0mgもしくはchlorothiazide 500mg静注の追加を考慮する体液過剰が利尿薬の定期投与に抵抗性の場合は、フロセミド持続静注を検討する(フロセミド0~20mg/h)(続く)いかがでしょうか。日本語に和訳すると違和感があるかもしれませんが、米国では多くの循環器内科医がカルテに書きそうな内容、という印象です。このように、臨床情報をもとにAIが医療のアドバイスをするようなシステムはすでに登場しているのです。(3)医師よりもChatGPTの方が患者への共感力が高い?医師としての重要な能力の1つがコミュニケーションスキルです。とくに、共感的な態度で話を聞くことの重要性は明白で、患者さんの満足度に大きな影響を与えます。「医師の共感力がChatGPTに負けることなどあり得ない」と思うかもしれませんが、はたして本当にそうでしょうか?JAMA Internal Medicine誌で発表された研究では、ソーシャルメディアフォーラムに投稿された195件の医学的な質問に対して、医師とChatGPTがそれぞれ回答し、その内容を比較しています5)。回答は医療専門家チームによって評価され、「回答の質」や「回答の共感性」について判断しました。その結果、回答の質、回答の共感性いずれにおいてもChatGPTの回答のほうが医師の回答を上回ることが示されました。つまり、少なくとも文面上の回答ではChatGPTが患者さんの質問に答えたほうが、医学的な妥当性も患者さんの満足度も高い可能性があるということです。(4)未来の内科医の役割医学知識の面でも共感力の面でもAIのほうが医師を上回るとなると、それでは、将来の内科医の役割はどのようになるのでしょうか。上記の技術がすでに利用可能であることを考慮して、ここからは私の妄想ですが将来の内科診療の流れは以下のようになるのではと想像します。1)AIによる事前問診をもとに、AIが鑑別診断を提案する2)医師が追加の問診と身体診察を行う3)上記の情報や過去のデータからお勧めの検査プランをAIが提案する4)検査結果からAIがアセスメントとお勧めの治療プランを作成する5)医師は患者の好みや、社会的背景、全体像を考慮して治療プランを修正する6)患者への共感的な態度を示す説明文をAIが提案し、医師はそれをもとに患者に説明するこのように医師はAIが考えた内容の修正や調整、患者さんや家族への説明責任などが主な役割になるのではないかと思います。「医師vs.AI」ではどちらが優れているかケースバイケースだと思いますが、「医師vs.AIを活用する医師」ではAIを活用する医師のパフォーマンスが優れることは明白になりつつあります。これからは、生成AIを活用することが医師の重要なスキルの1つとなり、さらには患者さんへ提供する医療の質の向上に繋がるのではないかと考えています。1)Kung TH, et al. PLOS Digit Health. 2023;2:e0000198.2)Takagi S, et al. JMIR Med Educ. 2023;9:e48002.3)医事新報社.「NEWS「ChatGPT」などの進展がもたらす医療への効果強調─医学会総会で松尾豊東大院教授が講演」.(2023年9月20日参照)4)Newspicks. 「【サム・アルトマン】人間にできないことを、僕らは創りたい。」. (2023年9月20日参照)5)Ayers JW, et al. JAMA Intern Med. 2023;183:589-596.

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英語で「そこからどうするか決めましょう」は?【1分★医療英語】第108回

第108回 英語で「そこからどうするか決めましょう」は?《例文1》Let’s have a meeting next week and we will take it from there.(来週ミーティングをして、そこからどうするか決めましょう)《例文2》Let’s cut down drinking and take it from there. One thing at a time, all right?(まずは飲酒量を減らして、そこからどうするか決めましょう。一度に1つずつやりましょう、いいですね?)《解説》現段階では十分に見通しが立たず、まだ具体的に物事を決められないときに使えるのが“We’ll take it from there.”という表現です。直訳すると「そこからそれを取りましょう」という意味ですが、現時点では判断材料が少ないため、「まず第一歩として何かを行って、そこからどうするか決めましょう」という文脈で使われます。医療現場では、まず侵襲性の低い検査や治療を行い、そこから得られた情報を基に追加の検査や治療を行うかどうか判断する場面が多いため、患者との会話や上司・同僚との会話で頻用される表現です。また、不安が強く、一度に多くのことを求める患者には“one thing at a time.”(一度に1つずつやりましょう)という表現も有効で、併せて覚えておくとよいと思います。講師紹介

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新規機序でリン吸収を阻害する高リン血症薬「フォゼベル錠」【最新!DI情報】第5回

新規機序でリン吸収を阻害する高リン血症薬「フォゼベル錠」今回は、高リン血症治療薬「テナパノル塩酸塩錠(商品名:フォゼベル錠5mg/10mg/20mg/30mg、製造販売元:協和キリン)」を紹介します。本剤は、腸管からのリン吸収を阻害することで高リン血症を改善する新たな作用機序の薬剤です。1日2回投与で服薬負荷を軽減し、長期的なリン管理が可能になると期待されています。<効能・効果>本剤は、透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善の適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得しました。なお、本剤は血中リンの排泄を促進する薬剤ではないので、食事療法などによるリン摂取の制限を考慮する必要があります。<用法・用量>通常、成人にはテナパノルとして1回5mgを開始用量として、1日2回、朝食および夕食直前に経口投与します。以後、症状や血清リン濃度の程度により適宜増減することができます。最高用量は1回30mgです。血液透析中に排便を催すことが懸念される患者では、透析直前での投与を控え、朝夕以外の食直前の投与も可能です。<安全性>透析中の慢性腎臓病患者を対象とした国内第III相臨床試験において、本剤投与群全体の76.6%(331/432例)に有害事象が発現しました。最も多く発現した有害事象は下痢で、61.3%(265/432例)に生じました。重症度は軽度のものが大半で、重篤な下痢は認められませんでしたが、下痢によって脱水に至る恐れがあるため注意が必要です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、食事に含まれるリンの吸収を抑制し、血中のリン濃度を低下させます。2.服用後に食事をとらなかった場合には、この薬の効果は期待できません。3.血中のリンの排泄を促す薬ではないので、リンを多く含む食事の制限が必要です。4.下痢に伴う口渇や手足のしびれ、強い倦怠感、血圧低下などが現れた場合は速やかにご連絡ください。5.透析中に排便を催す懸念があるときは、事前に申し出てください。<ここがポイント!>従来、透析患者における高リン血症の治療として、リン吸着薬が用いられてきました。リン吸着薬には、副作用として嘔気や下痢などの消化管障害、高カルシウム血症、鉄過剰症が現れることがあるため、リン輸送を阻害するリン吸収抑制薬が開発されました。本剤は腸管で局所的にナトリウム/プロトン交換輸送体3(NHE3)を阻害し、消化管からのNa+の吸収を低下させ、腸管上皮細胞内のH+濃度を上昇させます。細胞内のpHが低下するとリン吸収の主要経路である傍細胞経路(細胞間隙経路)からのリンの透過性が低下し、腸管からのリン吸収が低下します。本剤は、高リン血症治療に伴う既存のリン吸着薬による服薬負荷を軽減しつつ、長期間のリン管理が可能です。血液透析施行中の高リン血症患者を対象とした第III相プラセボ対照二重盲検ランダム化並行群間比較試験(試験番号:7791-004)において、主要評価項目である投与開始8週後の血清リン濃度のベースラインからの変化量の最小二乗平均値は、プラセボ群で0.05mg/dL(95%信頼区間:−0.25~0.36)、本剤群で−1.89mg/dL(同:−2.19~−1.60)でした。プラセボ群と本剤群との変化量の差(本剤群−プラセボ群)は、−1.95mg/dL(同:−2.37~−1.53)であり、本剤群ではプラセボ群に比べて血清リン濃度が有意に低下しました。なお、テナパノルは米国では便秘型の過敏性腸症候群(IBS-C)に対する治療薬として承認されていますが、わが国では未承認です。

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第192回 ヒト細胞の小さなロボットが神経損傷を修復

ヒト細胞の小さなロボットが神経損傷を修復小さなロボットのように動く有毛の細胞塊が神経損傷を治癒しました1)。ロボットのように動く細胞入りの構造物であるバイオボット(biobot)などの生きた機械を作る取り組みが近年盛んになっています。バイオボット作りの古くからの手段の1つは細胞とそれを支えるゲルや3Dプリンター印刷物などの不活性の物質を組み合わせることです。細菌、神経・筋肉・神経筋接合部などの哺乳類細胞、加工した細胞といった種々の細胞を慎重に手間ひまかけて細工する手順を経て生理機能を担う構造物が完成します。そういう手の込んだ手段のほかに、細胞がひとりでに集まるに任せて作られる多細胞構造のバイオボットの取り組みがあり、米国・タフツ大学のMichael Levin氏のチームは4年ほど前の2020年1月にそのような多細胞構造を実験動物としてよく知られるアフリカツメガエルの胚細胞から作ったことを報告しています2)。アフリカツメガエルの学名はXenopus laevis(ゼノパス レービス)で、同チームが作ったバイオボットはゼノボット(Xenobot)と呼ばれます。ゼノボットは船やカヌーのオールのような役割を担う繊毛で覆われており、そのおかげで這ったり泳いだりさえします。また多才で、通路を進んだり、物を集めたり、情報を記録したり、傷を自己治療したり、何回かの自己複製すらやってのけます3)。未経験の仕事を教えてできるようにすることも可能です4)。ゼノポットがヒトにもそのまま利用できればよいのですが、いかんせん両生類の細胞でできているのでヒトの免疫は受け入れずに拒絶してしまうでしょう。またゼノポットは削って目当ての形へ整える工程を要します。そこでLevin氏らのチームはヒトの細胞での取り組みを始めます。目をつけたのは繊毛を有する気道細胞です。その繊毛がゼノボットの繊毛と同様に機動力を担うことを研究チームは期待しました3)。まず気道細胞はヒトの気道に似せたゲルの環境で2週間を過ごして球状の小さな塊になります。続いてより粘性が低い環境に1週間置かれ5)、繊毛が外側を向いた球状の塊が完成します。人類(anthropos)起源で生物ロボット(biorobotics)として活用しうることからアンスロボット(anthrobot)とされたそれら球状の細胞塊は10~100個ほどの細胞で構成され、大きさも形もまちまちで、繊毛の配置も異なります。動きも異なり、まっすぐ進む、回転する、あるいはその両方の動きをするものもあれば、移動せず小刻みに動くものもありました。アンスロボットはそれら同士がひとりでに凝集して大型のスーパーボットを形成することができます。そのスーパーボットをあえて傷つけた神経細胞のシートに与えたところ、スーパーボットの下で神経が再び繋がって元どおりになりました。そのような治癒効果を得るにはアンスロボットにひと工夫必要だろうと考えられていましたが、驚いたことに手を加えていないアンスロボットがそれをやってのけました。研究チームはその意外な治癒効果がどういう仕組みによるのかを調べ始めています4)。アンスロボットの研究の資金の一部をLevin氏が設立者に名を連ねる企業Astonishing Labsが提供しています。同社はアンスロボット技術による神経疾患や脊髄損傷の治療を目指しています3)。また、同社の経営担当者の1人は熱傷治療への応用も想定しています。できそうなことはほかにも多くあり、人それぞれの組織から作ったアンスロボットでたとえば動脈の通りをよくしたり薬を届けたりすることが可能になるかもしれません5)。参考1)Gumuskaya G, et al. Adv Sci (Weinh). 2023 Nov 30. [Epub ahead of print] 2)Kriegman S, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2020;117:1853-1859. 3)Tiny ‘anthrobots’ built from human cells could help heal the body / Science 4)Scientists build tiny biological robots from human cells / Eurekalert5)Tiny robots made from human cells heal damaged tissue / Nature

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周囲の凄い人たちと比べてしまって不安です【医学生お悩み相談ラヂオ】第20回

動画解説第20回は、医学部4年生の女性から、周囲に成績上位で、しかも積極的に課外活動もこなす、すごい人たちと自分を比べてしまい不安になってしまうというお悩み。医学部に存在する体力・気力オバケのすごい人たちとの関わり方、考え方を同じような悩みをよく聞いてきた民谷先生がズバリ回答します。

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肉・卵をナッツに換えると心代謝系が健康に!

 近年、動物性食品を植物性食品に置き換えることで健康に良い影響があるという報告が増加している。そこで、ドイツ・ハインリッヒ・ハイネ大学のManuela Neuenschwander氏らは、動物性食品の植物性食品への置き換えと心血管疾患(CVD)、糖尿病、全死亡との関連について、システマティックレビューおよび37研究のメタ解析を実施した。その結果、加工肉や赤肉、卵、乳製品、家禽肉、バターといった動物性食品を植物性食品に置き換えることでCVD、糖尿病、全死亡のリスクが低下することが示唆された。本研究結果は、BMC Medicine誌2023年11月16日号で報告された。 MEDLINE、Embase、Web of Scienceを用いて、2023年3月までに登録された動物性食品を植物性食品へ置き換えた場合のCVD、糖尿病、全死亡リスクの変化を検討した前向き研究を検索した。その結果、37件の研究(24コホート)が抽出された。これらの研究について、ランダム効果メタ解析を用いて要約ハザード比(SHR)および95%信頼区間(CI)を推定した。GRADEシステムを用いてエビデンスの質を評価し、moderate(中)以上の場合は、メタ解析で推定された効果が真の効果と近い可能性が高いと判断した。 エビデンスの質がmoderate(中)以上と判断された結果は以下のとおり(置き換え対象食品→置き換え後の食品:SHR、95%CI)。<CVDの発症またはCVD死亡>加工肉→全粒穀物:0.64、0.54~0.75加工肉→ナッツ:0.73、0.59~0.91加工肉→豆類:0.77、0.68~0.87卵→ナッツ:0.83、0.78~0.89バター→オリーブオイル:0.96、0.94~0.98<2型糖尿病の発症または糖尿病死亡>バター→オリーブオイル:0.94、0.91~0.98<2型糖尿病の発症>加工肉→ナッツ:0.78、0.69~0.88卵→全粒穀物:0.79、0.76~0.83卵→ナッツ:0.82、0.79~0.86家禽肉→全粒穀物:0.87、0.84~0.91赤肉→全粒穀物/シリアル:0.90、0.84~0.96赤肉→ナッツ:0.92、0.90~0.94<全死亡>加工肉→ナッツ:0.79、0.71~0.88卵→ナッツ:0.85、0.82~0.89卵→豆類:0.90、0.89~0.91加工肉→豆類:0.91、0.85~0.98赤肉→ナッツ:0.93、0.91~0.95非加工赤肉→ナッツ:0.93、0.92~0.94乳製品→ナッツ:0.94、0.91~0.97バター→オリーブオイル:0.94、0.92~0.97赤肉→全粒穀物:0.96、0.95~0.98乳製品→ナッツ/豆類:0.96、0.94~0.99 本研究結果について、著者らはさらなる研究が必要としつつ「動物性食品(とくに赤肉や加工肉の多量摂取)から植物性食品(ナッツ、豆類、全粒穀物など)への置き換えにより、CVDや糖尿病、全死亡のリスクが低下することが示唆された。植物性食品の摂取を増やすことは、心代謝系の健康に重要であると考えられる」とまとめた。

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妊婦の不眠症に対する認知行動療法の有用性~メタ解析

 妊婦の不眠症を改善するために、第一選択治療として認知行動療法(CBT-I)を用いることは、有用である可能性がある。しかし、フォローアップ時における妊婦に対するCBT-Iのコンポーネント、方法、回数、有効性については、明らかになっていない。中国・香港大学のXingchen Shang氏らは、妊婦に対するCBT-Iの有効性を評価し、効果的な介入のためのコンポーネント、方法、回数を特定するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、妊婦に対するCBT-Iは、短期的な不眠症改善に有効である可能性が示唆されたものの、長期的な有効性は依然として不明なままであり、今後の長期フォローアップを伴う研究が必要であることを報告した。Sleep Medicine誌2023年12月号の報告。 2023年1月10日までに6つの英語データベース(PubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Science、PsycINFO、CINAHL)と4つの中国語データベース(CNKI、WanFang Data、SinoMed、CQVIP)より検索を行った。妊婦に対するCBT-Iについて、不眠症重症度指数(ISI)で測定した不眠症重症度またはピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)で測定した睡眠の質を、アウトカムとして評価したランダム化比較試験(RCT)を対象とした。2人の独立した査読者による選定、データ抽出、品質評価を行った。プール分析には、固定効果モデルまたは変量効果モデルを用いた。サブグループ解析は、各提供タイプと介入期間に基づき実施した。エビデンスの確実性の評価には、GRADEアプローチを用いた。メタ解析が適切でない場合には、ナラティブ分析を行った。主要アウトカムは、不眠症重症度および睡眠の質のスコアの95%信頼区間(CI)との平均差(MD)とした(高スコアほど重症度が高い)。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした9件のRCT(978例)をメタ解析に含めた。・研究の内訳は、個人ベース介入6件、グループベース介入3件であり、対面介入5件、デジタル介入3件、電話および電子メール介入3件であった。・妊婦に特有の介入コンポーネントについて検証された研究は、6件であった。・介入直後(1ヵ月未満)および短期(1ヵ月以上6ヵ月未満)のフォローアップにおいて、妊婦に対するCBT-Iは、不眠症の重症度と睡眠の質に対する改善を示した。●介入直後【不眠症重症度】MD:-2.69、95%CI:-3.41~-1.96、p<0.001、エビデンスの質:高【睡眠の質】MD:-2.85、95%CI:-4.73~-0.97、p=0.003、エビデンスの質:中程度●短期フォローアップ【不眠症重症度】MD:-3.69、95%CI:-5.91~-1.47、p=0.001、エビデンスの質:高【睡眠の質】MD:-1.88、95%CI:-2.89~-0.88、p<0.001、エビデンスの質:中程度・2件のRCTでは、中期(6ヵ月以上12ヵ月未満)フォローアップにおいて、不眠症重症度に対する有効性が報告されなかった。・長期(12ヵ月以上)のフォローアップにおいて、不眠症の軽減が認められた報告は1件のみであった。・1件のRCTでは、中期フォローアップでの睡眠の質の改善に対する有効性が報告されておらず、長期フォローアップでも有用性は報告されていなかった。

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