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新規統合失調症患者に使用される抗精神病薬の有効性と忍容性~メタ解析

 英国・ウルバーハンプトン大学のZina Sherzad Qadir氏らは、PRISMA-P声明に従って、統合失調症治療に使用される経口抗精神病薬の有効性および忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Pharmacy(Basel、Switzerland)誌2023年11月10日号の報告。 主要アウトカムは、症状の改善、副作用に対する忍容性、治療中止理由により測定された臨床反応とした。 主な結果は以下のとおり。・21件の研究を分析に含めた。・個々の患者における治療反応は、アリピプラゾールvs.ziprasidoneおよびクエチアピン(CDSS:p=0.04、BPRS:p=0.02、YMRS:p=0.001)、ziprasidone vs.クエチアピン(CGI:p=0.02、CDSS:p=0.02)で認められた。・アリピプラゾールは、リスペリドン、ziprasidone、クエチアピンよりも忍容性が高かった(p<0.05)。・クエチアピンは、アリピプラゾール、ziprasidone、リスペリドンよりも忍容性が高かった(p<0.05)。・ziprasidoneは、クエチアピン、ハロペリドール、オランザピンよりも忍容性が高かった(p<0.05)。・リスペリドンは、オランザピンよりも忍容性が高かった(p=0.03)。・ハロペリドールは、オランザピン、クエチアピンよりも忍容性が高かった(p<0.05)。・オランザピンは、クエチアピンよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。・クエチアピンは、ziprasidone、アリピプラゾール、ハロペリドールよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。・ziprasidoneは、クエチアピン、アリピプラゾール、ハロペリドールよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。・アリピプラゾールは、クエチアピン、ziprasidone、オランザピンよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。・オランザピンは、ziprasidone、ハロペリドールよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。 著者らは「個々の患者の臨床反応、副作用に対する忍容性、生命を脅かす可能性のある副作用は、経口抗精神病薬の選択および継続において最も信頼できる根拠であると結論付けられる」としている。

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腎移植患者に対する帯状疱疹ワクチン接種の推奨/日本臨床腎移植学会

 日本臨床腎移植学会は、2023年11月7日付の「腎移植患者における帯状疱疹予防に関するお知らせ」にて、腎移植患者に対する帯状疱疹発症予防のための乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(商品名:シングリックス筋注用、製造販売元:グラクソ・スミスクライン)の接種を積極的に検討するよう同学会の会員に向けて通達した。 米国疾病予防管理センター(CDC)の勧告や海外の最新のガイドラインにおいて、固形臓器移植患者に対するワクチンの接種は、原則、移植前に接種するよう推奨されており、移植前にワクチン接種が不可能な場合は、移植後少なくとも6~12ヵ月後に接種することが望ましいとされている1,2)。 2023年6月に本ワクチンの適応が「帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の者」へ拡大された。本ワクチンは、50歳以上を対象とした臨床試験において、2回の接種による帯状疱疹への高い予防効果と、約10年間にわたる予防効果の持続が確認されている3-5)。 接種対象者拡大の追加承認は、腎移植患者や自家造血幹細胞移植患者における臨床試験結果6,7)に基づいており、本ワクチンは不活化ワクチンのため生ワクチンが禁忌となる免疫抑制剤使用中の患者でも接種が可能とされる。現時点で、腎移植患者における帯状疱疹発症予防を検証したデータはないが、腎移植患者を対象とした臨床試験6)において免疫原性が確認されている。問題となる副反応や、拒絶反応を増加させる報告はない。また、同学会は通達の中で、自家造血幹細胞移植患者を対象とした臨床試験7)で検証された予防効果(約2年間の観察期間において68.2%)は、腎移植患者においても参考になりうるデータと考えている、としている。■参考文献・参考サイト1)CDC, Clinical Considerations for Use of Recombinant Zoster Vaccine (RZV, Shingrix) in Immunocompromised Adults Aged ≧19 Years. Last Reviewed: January 20, 2022.2)カナダ・アルバータ州予防接種方針|予防接種の特別な状況(2023年12月4日改訂)3)Lal H, et al. N Engl J Med. 2015;372:2087-2096.4)Cunningham AL, et al. N Engl J Med. 2016;375:1019-1032.5)Strezova A, et al. Open Forum Infect Dis. 2022;9:ofac485.6)Vink P, et al. Clin Infect Dis. 2020;70:181-190.7)Bastidas A, et al. JAMA. 2019;322:123-133.

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小児の消化管アレルギー患者の約半数は新生児期に発症/国立成育医療研究センター

 新生児、小児では消化管は発達途上であり、アレルギーを発症しやすいことが知られている。一方でわが国には、新生児、乳児の消化管アレルギーについて全国を対象にした疫学研究は行われていなかった。そこで、国立成育医療研究センター研究所 好酸球性消化管疾患研究室の鈴木 啓子氏らの研究グループは、日本で初めて2歳未満の新生児、乳児の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)に関する全国疫学調査を実施。その結果、新生児、乳児の消化管アレルギーの約半数は生後1ヵ月までの新生児期に発症していることが判明した。Allergology International誌オンライン版2023年10月30日号からの報告。消化管アレルギーの原因食物の1位は牛乳由来ミルク 鈴木氏らは、2015年4月~2016年3月に消化管アレルギーを発症した2歳未満の新生児、乳児の患者について、日本全国の病院および診療所に質問票を送付(アンケート回答率は病院67.6%、診療所47.4%)。医師が診断した2歳未満の消化管アレルギーの患者数、パウエルの診断基準への該当状況、初期症状に基づき4つのグループへの分類、発症日齢、合併症、原因食物について集計、解析した。 分析対象はパウエルの基準のステップ3までを満たした「本症の可能性が高い」患者群402例と、そのうち「経口食物負荷試験などで診断が確定した」患者群80例。 主な結果は以下のとおり。・新生児、乳児の消化管アレルギー患者の約半数は新生児期に発症している(発症の中央値が生後30日)ことが確認された。・グループ1(嘔吐あり、血便あり)の発症は出生後7日目(中央値)と、4つのグループの中で最も早いことが確認された。・グループ1(嘔吐あり、血便あり)とグループ3(嘔吐なし、血便なし、一方で慢性下痢や体重増加不良を起こす)は重症が多く(それぞれ約25%と約23%)、腸閉塞(それぞれ約16%と約11%)、深刻な体重減少(それぞれ約14%と約23%)などもみられ、とくに注意が必要と考えられた。・原因食物は牛乳由来ミルクが最も多くみられたが、母乳、治療用ミルク、大豆、鶏卵、米により発症した患者もいた。 本結果から、胎児期および新生児期における早期診断のシステム構築、病態の研究が重要と考えられる。

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潰瘍性大腸炎リスクがコーヒーや炭酸飲料の摂取で減少/日本人での研究

 食事は潰瘍性大腸炎リスクに影響する可能性があるが、日本人でのエビデンスは乏しい。今回、日本潰瘍性大腸炎研究グループが、コーヒーやその他のカフェインを含む飲料・食品の摂取、カフェインの総摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を症例対照研究で検討した。その結果、欧米よりコーヒーの摂取量が少ない日本においても、コーヒーやカフェインの摂取が潰瘍性大腸炎リスクの低下と関連することが示された。愛媛大学の田中 景子氏らがJournal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年12月10日号で報告。潰瘍性大腸炎リスクはカフェインの総摂取量と逆相関 本研究では、潰瘍性大腸炎の症例群として384人、対照群として665人が参加した。コーヒー、カフェインレスコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、炭酸飲料、チョコレート菓子の摂取量について半定量的食物摂取頻度調査票を用いて調査し、性別、年齢、喫煙、飲酒量、虫垂炎既往、潰瘍性大腸炎の家族歴、学歴、BMI、ビタミンC、レチノール、総エネルギー摂取量で調整した。なお、本研究は厚生労働科学研究費補助金の「潰瘍性大腸炎の発症関連及び予防要因解明を目的とした症例対照研究」班として実施された。 コーヒーやその他のカフェインを含む飲料・食品の摂取、カフェインの総摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を検討した主な結果は以下のとおり。・コーヒーと炭酸飲料の摂取量が多いほど潰瘍性大腸炎リスクが減少し、有意な用量反応関係が認められた。一方、チョコレート菓子の摂取量が多いほど潰瘍性大腸炎リスクが有意に高かった。・カフェインレスコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶の摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連は認められなかった。・カフェインの総摂取量は潰瘍性大腸炎リスクと逆相関し、両極の四分位間の調整オッズ比は0.44(95%信頼区間:0.29~0.67)であった。

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高リスクHER2+乳がん、術前療法へのアテゾリズマブ追加でpCR改善は(APTneo)/SABCS2023

 HER2陽性高リスク乳がんに対する術前補助療法として、トラスツズマブ(H)+ペルツズマブ(P)+化学療法は標準治療となっている。また、抗HER2療法に対する免疫系の寄与を示すデータが報告され、免疫チェックポイント阻害薬と抗HER2抗体の組み合わせが裏付けられている。イタリア・Fondazione MichelangeloのLuca Gianni氏らは、HP+化学療法へのアテゾリズマブ(±アントラサイクリン)の追加を評価することを目的として、第III相APTneo試験を実施。サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で病理学的完全奏効(pCR)についてのデータを報告した。・対象:HER2陽性の切除可能または局所進行乳がん患者(化学療法未治療)・試験群AC+アテゾリズマブ併用群:AC(ドキソルビシン+シクロホスファミド)+アテゾリズマブ(1,200mg 3週ごと静脈内投与)×3サイクル→HPCT(トラスツズマブ+ペルツズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル)+アテゾリズマブ×3サイクル→手術→HP+アテゾリズマブ 218例アテゾリズマブ併用群:HPCT+アテゾリズマブ×6サイクル→手術→HP+アテゾリズマブ 220例・対照群:HPCT×6サイクル→手術→HP 223例・評価項目:[主要評価項目]試験群vs.対照群の無イベント生存期間(EFS)[副次評価項目]pCR、忍容性、予測マーカーの評価など 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおける患者特性は3群でバランスがとれており、年齢中央値は49~50歳、局所進行乳がんは44.1~45.3%、PD-L1陽性は29.8~30.9%、ホルモン受容体陽性は61.0~69.1%であった。・副次評価項目のpCR率は、対照群52.0%に対し試験群57.8%で有意な改善はみられなかった(p=0.091)。AC+アテゾリズマブ併用群のpCR率は61.9%で対照群と比較して有意に改善したが(p=0.022)、アテゾリズマブ併用群のpCR率(53.6%)と比較して有意な差はみられなかった(p=0.089)。・重篤な有害事象(SAE)は、対照群で6.8%、試験群で14.1%に発生した。AC療法による血液毒性のため、アテゾリズマブ併用群(11.6%)よりもAC+アテゾリズマブ併用群(16.7%)で頻度が高かった。・免疫関連のSAEはAC+アテゾリズマブ併用群で4.7%、アテゾリズマブ併用群で7.8%と頻度が高いわけではなく、臨床的にコントロール可能なものであった。 Gianni氏は、「HER2陽性の早期高リスクおよび局所進行乳がん患者において、HP+化学療法へのアテゾリズマブの追加は、数値としてpCR率の5.8%増加が確認されたものの統計学的有意差は得られなかった。探索的解析において、AC+アテゾリズマブ併用群におけるpCR率は統計学的に有意に高いことが示されており、アントラサイクリンの直接効果あるいはアテゾリズマブによるAC療法の機構的増強のいずれかが示唆されるのではないか」と結論付けている。同試験はEFSの解析まで現在も進行中。

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遺伝性血管性浮腫治療薬のホームデリバリーでQOL向上を目指す/CSLベーリング

 2023年12月5日、CSLベーリング主催による「遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんのQOL向上をめざして」と題したプレスセミナーが開催された。同セミナーでは、広島市民病院 病院長の秀 道広氏による「HAE病態解明と治療法の進歩について」の講演が行われたほか、NPO法人遺伝性血管性浮腫患者会(HAEJ)理事長の松山 真樹子氏が患者の家族として、日常の苦労やHAE患者の今後の課題を述べた。 また、CSLベーリングは同日付のプレスリリースで、2022年11月に発売されたHAE急性発作発症抑制薬「乾燥濃縮人C1-インアクチベーター(商品名:ベリナート皮下注用2000)」による在宅治療を行っている患者に対して、医薬品配送サービス「CSLホームデリバリー」を2023年12月1日より全国で開始したと発表した。命に関わることもある指定難病のHAE HAEは、主に遺伝子の変異により血液中のC1インアクチベーターの低下もしくは機能異常により起こる疾患である。皮膚や腹部(腸)、手足や唇、喉など、体中のさまざまな部位に繰り返し腫れが起こり、とくに喉が腫れると気道をふさいで呼吸困難に陥り、命に関わる場合もある。HAEは、国の指定難病「原発性免疫不全症候群」の疾患の1つに認定されている。海外のデータでは人口の5万人に1人の割合で患者がいるといわれており1)、日本には約2,500例の患者がいると推定されている2)。しかし、日本では診断・治療中の患者は約430例にとどまるという報告3)があることから、診断に至っていない患者が国内に多くいる可能性が高いと、秀氏は講演の中で指摘した。多岐にわたる症状により診断が困難 症状が多岐にわたるため、患者は内科や胃腸科、婦人科などを受診することもある。HAEの認知度は皮膚科の医師においては高くなってきているものの、他科では低い状況もあって診断に至らず、実際、確定診断までにかかる年数は発症から14.8年という報告もある4)。長期予防薬にて治療可能だが、薬を持ち帰ることが負担 診断に至った後でも、患者の悩みは続く。急性発作を予防するために、自己注射にて長期予防薬を投与する必要があるが、その治療薬の1つである「乾燥濃縮人C1-インアクチベーター」は30℃以下での保存が必須である。保冷バッグに入れる必要があり、「大きな荷物となるため持ち帰ることが大変困難」と、松山氏は患者家族の苦労を語った。ホームデリバリーシステムにより患者負担の軽減を目指す 「CSLホームデリバリー」は、薬を自宅に持ち帰る患者の負担軽減を目的に、定期受診の際に処方される医薬品、医療材料を患者の自宅に安全・確実に配送する、CSLベーリングが提供する医薬品宅配サービスだ。輸送時は適切な温度管理(保冷かつ凍結を避けて30℃以下で保存)ができるよう同社が開発した専用の輸送ボックスを用いる。また、物流面の安全確保措置として、佐川急便が所有するチャーターサービス(貸し切り)を患者ごとに手配することで、他の荷物と区別して届けることを可能とした。さらに患者の自宅に指定時間に配達後、佐川急便が配達完了の報告を保険薬局に行うことで、集荷から完了まで適切に追跡を管理する。 同社は、「本取り組みが患者にとってより満足度の高い在宅治療につながり、適正治療および患者のQOLの向上に寄与できるよう今後も尽力していく」としている。

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合併症のない症候性胆石症、手術は省略可能?/BMJ

 合併症のない症候性胆石症患者の症状再発と合併症の予防において、保存的治療は標準治療である腹腔鏡下胆嚢摘出術と比較して、QOLに関して差はないものの短期的(18ヵ月)には有効で、費用対効果が優れることから、手術に代わる治療法となる可能性があることが、英国・NHS GrampianのIrfan Ahmed氏らが実施した「C-GALL試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年12月6日号に掲載された。英国20施設の実践的な無作為化対照比較試験 C-GALL試験は、英国の20の2次医療施設が参加した実践的な無作為化対照比較試験であり、2016年8月~2019年11月に患者の適格性の評価を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムなどの助成を受けた)。 年齢18歳以上で、2次医療施設に紹介された合併症のない症候性胆石症(胆石発作または急性胆嚢炎)で、胆嚢摘出術の適応と判定された患者を、保存的治療または腹腔鏡下胆嚢摘出術を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 保存的治療では、経過観察と痛みを緩和するための鎮痛薬の処方が行われた(主に地域のプライマリケアで行われているもの)。 主要アウトカムはQOLとした。QOLは、short form 36(SF-36)の「体の痛み」ドメイン(平均50[SD 10]点の一般集団に合わせて変換したスコア)を用いて18ヵ月間の曲線下面積(AUC)で評価した(スコア[0~100点]が高いほどQOLが良好)。24ヵ月時のAUCにも差はない 434例を登録し、保存的治療群に217例(平均年齢50.4[SD 15.1]歳、女性78%)、胆嚢摘出術群にも217例(50.5[15.3]歳、78%)を割り付けた。18ヵ月後までに、保存的治療群の54例(25%)、胆嚢摘出術群の146例(67%)が手術を受けた。 18ヵ月の時点でのSF-36の体の痛みの平均スコアは、保存的治療群が49.4(SD 11.7)点、胆嚢摘出術群は50.4(11.6)点であった。18ヵ月までのSF-36の体の痛みのAUCは、保存的治療群が46.8(SD 8.8)、胆嚢摘出術群も46.8(8.7)であり、両群間に差を認めなかった(平均差:0.0、95%信頼区間[CI]:-1.7~1.7、p=1.00)。 また、24ヵ月までのSF-36の体の痛みのAUCにも両群間に差はなかった(47.2[SD 8.6]vs.46.8[8.7]、平均差:-0.1、95%信用区間[CrI]:-1.8~1.6、p=0.94)。費用が1,033ポンド低い、QALYと合併症には差がない 1例当たりの平均費用は、胆嚢摘出術群が2,510ポンドであったのに対し、保存的治療群は1,477ポンドと安価であった(補正後群間平均差:-1,033ポンド[-1,334ドル、-1,205ユーロ]、95%CrI:-1,413~-632ポンド)。 また、1例当たりの平均補正質調整生存年(QALY)は、保存的治療群が1.395、胆嚢摘出術群は1.413で、補正後群間平均差は-0.019(95%CrI:-0.06~0.02)であり、両群間に差を認めなかった。 18ヵ月の時点で、合併症は、保存的治療群が32例(15%)、胆嚢摘出術群は44例(20%)で発生した(相対リスク:0.72、95%CI:0.46~1.14、p=0.17)。また、18ヵ月までに少なくとも1つの追加治療を要した患者は、保存的治療群が9例(5%)、胆嚢摘出術群は12例(6%)だった(相対リスク:0.75、95%CI:0.31~1.78、p=0.51)。 著者は、「両群とも、18ヵ月以降も費用、合併症、有益性は発生し続けるため、今後は、有効性と生涯の費用対効果を確立し、通常治療として手術を行うべき患者コホートを特定するために、より長期のフォローアップに注目した研究が求められる」としている。

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LVADにおいても抗血栓療法の常識を疑う時代(解説:絹川弘一郎氏)

 最近ステントの抗血栓療法について、相次いでDAPTの常識が緩和される方向にデータが出てきている。その流れはLVADにも及んできた。このMandeep R. Mehra氏のJAMA誌の論文は、HeartMate3新規植込み患者において通常の抗血栓療法(ワルファリン[INR:2~3]と低用量アスピリン)とアスピリンなしの抗血栓療法(ワルファリン[INR:2~3]とプラセボ)をダブルブラインドで割り付けし、その後の有害事象フリーの生存率をprimary endpointとして12ヵ月間比較したものである。ここで言う有害事象は、LVADの場合、とくにhemocompatibility-related adverse eventと呼ばれ、脳卒中・ポンプ血栓・大出血・末梢塞栓症が含まれる。 そもそも前世代のHeartMate IIとHeartMate3を比較した MOMENTUM3試験で、HeartMate3のポンプ血栓はほとんどゼロの発症率であり、おそらくポンプ内血栓に起因すると考えられる脳卒中も激減していた。出血の中でもLVAD特有の合併症として知られる消化管出血(Angiopoietin-2活性化からくる血管新生による動静脈奇形などが原因とされるが、その限りではない)も減っており、HeartMate3のポンプ構造自体が進化したことがhemocompatibilityを増加させ、俗な言い方であるが、血球や凝固因子にfriendlyになったとも考えられてきた。その中で、ここまでポンプ血栓が生じないなら、抗血栓療法を甘くしてもいいのではないかと考えるのは必然であり、また依然としてHeartMate3でも一定の消化管出血は生じることから、アスピリンを除外したレシピが望まれたことも当然である。 もともと抗血小板薬は速い血流を有する動脈性の血栓予防に対する薬剤であり、LVADの中の血流は静脈系よりは速いものの、真に動脈系かというと微妙である。結論から言えば、アスピリンなしでも脳卒中や塞栓症はまったく増えず、大出血は有意に減少した。 Primary endpointは優越性検定をするとp=0.03でアスピリンなし群が優れているのだが、もともと非劣性試験として計画された関係上、一応アスピリンなしでも大丈夫ですよ、という言い方しかできないが、結果を見ればむしろアスピリンは切るべきといえる。試験プロトコルに忠実な姿勢ならばアスピリンフリーのレジメンで良いのは新規植込み患者においての話と限定的に捉えることもできるが、消化管出血をすでに合併した患者において日常臨床においてアスピリンをやめて管理している例は、実際は多いかと思われる。私自身は少なくとも出血の合併症を生じた場合には、遠隔期においてもアスピリンを中止することがむしろ望ましいと読める結果と解釈する。 Mandeep氏に聞いたところ、彼の属するBrigham & Women’s Hospitalには、かのEugene Braunwald先生が健在で週に1~2回話をするそうであるが、この結果を見てBraunwald先生は、「世の中にはエキスパートコンセンサスといって、検証されずになんとなく入っている薬剤が、まだたくさんある。ぜひそういう事例を見つけて、どんどん検証試験をやってほしい」と言われたそうである。Braunwald先生には何かしら念頭にあるんでしょう。私たちも探しましょう、そういう都市伝説的な薬剤使用を。

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英語で「(病欠で)シフトを休みます」は?【1分★医療英語】第110回

第110回 英語で「(病欠で)シフトを休みます」は?《例文》医師AI might need to call out tomorrow because of family emergency.(家族の急用で、明日シフトを休まなければならないかもしれません)医師BNo problem, there is a sick-call.(待機の人[シックコール]がいるので、問題ないですよ。)《解説》今回の表現は、病欠や緊急で休まなければならない際の表現です。“call out”という表現は「緊急事態(主に病気)によって、シフトを離脱する」という意味になります。日本の医療現場でどれほど病欠が発生しているのかはわかりませんが、米国の勤務では良くも悪くもしばしば起こることです。このため、米国の病院では、「誰かが病欠のときに呼ばれる人」用のスケジュールが作られています。この「代役」の呼び方は、病院や地域によってさまざまですが、私の病院ではそのようなシフトを“sick-call”と呼んでいます。そして、その“sick-call”が急遽代役として呼ばれる際には、“He/She was called in.”(彼/彼女が代役に呼ばれた)と表現します。“call out”、“call in”、セットで覚えておくとよいですね。講師紹介

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神経細胞死の病因を取り除くアルツハイマー病治療薬「レケンビ点滴静注」【最新!DI情報】第6回

神経細胞死の病因を取り除くアルツハイマー病治療薬「レケンビ点滴静注」今回は、ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体「レカネマブ(遺伝子組換え)製剤(商品名:レケンビ点滴静注200mg/500mg、製造販売元:エーザイ)」を紹介します。本剤は、アルツハイマー病の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを実証した世界初かつ唯一の薬剤で、医療者のみならず患者・介護者からも注目されています。<効能・効果>アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制の適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得しました。本剤は承認を受けた診断方法(例:アミロイドPET、脳脊髄液[CSF]検査または同等の診断法)によりアミロイドβ病理を示唆する所見が確認され、アルツハイマー病と診断された患者のみに使用することができます。<用法・用量>通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として、10mg/kgを2週間に1回、約1時間かけて点滴静注します。<安全性>本剤の使用により、副作用としてアミロイド関連画像異常(ARIA[アリア]が現れることがあります。ARIAの多くは無症状ですが、頻度は低いものの重篤な神経症状(脳症、局所神経症状、痙攣、てんかん重積状態など)が起こることがあります。ARIAには、MRIで脳実質の脳浮腫または滲出液貯留として観察されるARIA-E、微小出血または脳表ヘモジデリン沈着が認められるARIA-Hがあります。アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度認知症患者を対象とした国際共同第III相試験(301試験)において、本剤群で発現した主な副作用は、注入に伴う反応(26.1%)、ARIA-H(16.5%)、ARIA-E(12.6%)、頭痛(1.8%)、過敏症(1.7%)などでした。<患者さんへの指導例>1.この薬は、アルツハイマー型認知症になる前の段階や軽度の認知症の進行を遅らせる薬です。症状の進行を完全に止める、または治癒させるものではありません。2.2週間に1回、約1時間かけて点滴で投与します。3.この薬を使用しているときは、薬の効果や副作用を確認するために、定期的にMRI検査が行われます。4.顔や手足の筋肉がぴくつく、一時的にボーっとする、手足の筋肉が硬直しガクガクと震えるなどの症状が現れた場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。5.妊婦または妊娠している可能性のある人、授乳中の人は、必ず医師または薬剤師に相談してください。<ここがポイント!>アルツハイマー病患者の脳では、アミロイドβ(Aβ)が老人斑と呼ばれる水に溶けない線維状の凝集体を形成しています。以前から老人斑が神経細胞の死を引き起こし、認知症を発症すると考えられていました(アミロイド仮説)。しかし、最近、不溶性Aβ凝集体(Aβフィブリル)が神経毒性を引き起こすのではなく、その前段階である可溶性Aβ凝集体(Aβプロトフィブリル)が神経細胞死の原因であることが明らかになりました(オリゴマー仮説)。レカネマブは、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、Aβプロトフィブリルに選択的に結合して脳内から除去することで、アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度認知症の進行を抑制します。従来の治療で用いられているアセチルコリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬は認知症の臨床症状を緩和することが狙いでしたが、本剤は神経細胞死の病因を取り除くことで臨床症状の進行抑制が期待できます。アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度認知症を対象とした国際共同第III相試験において、18ヵ月(隔週)の静脈内投与で臨床認知症尺度(CDR-SB)のスコア悪化を、プラセボ群に対して本剤投与群では27.1%抑制しました。また、CDR-SBのベースラインからの変化量は、本剤群とプラセボ群で-0.45の群間差がありました。また、ADAS-Cog14、ADCOMS、日常生活動作評価指標ADCS MCI-ADLを指標とした臨床症状の悪化抑制も認められ、本剤群における悪化抑制率はそれぞれ25.8%、23.5%、36.6%でした。なお、Science誌に2022年7月22日に掲載された記事で、Aβオリゴマーの一種である「Aβ*56」の神経細胞毒性に関する論文の捏造疑惑が報じられ、アミロイド仮説およびオリゴマー仮説への懐疑的な意見が出ていました。しかし、エーザイはAβプロトフィブリルとAβ*56は異なるため、このAβ*56論文の問題と本剤とは「一切関係がない」とするコメントを発表しています。参考エーザイ:米国科学誌Scienceに掲載されたAβ関連論文について 

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第194回 妊娠中のつわり症状の原因を同定

妊娠中のつわり症状の原因を同定妊婦の10人に7人ほどに悪心や嘔吐などの「つわり」が生じます。それらの症状が極めて強い場合が妊娠悪阻として知られ、そうなると食べたり飲んだりできなくなって脱水、体重減少、ケトン尿症、栄養欠乏、電解質異常が生じ、徐々に体の自由も効かなくなっていきます。妊娠悪阻は多ければ妊婦の10人に1人ほどが被り1)、ケンブリッジ公爵夫人のころのキャサリン妃もそうであった2)ように妊婦の入院の多くの原因となっています。下手をすると致命的でもあり、「ジェーン・エア」の著者として有名なブロンテ姉妹の1人シャーロット・ブロンテ(Charlotte Bronte)は妊娠悪阻のせいで命を落としたとされています。自身も妊娠悪阻となり、そのせいで妊娠が絶たれた経験がある南カリフォルニア大学のMarlena Fejzo氏らの一連の研究がひとまずの集大成を迎え、GDF15として知られるホルモンがその原因であることを裏付ける結果が先週Nature誌に掲載されました3)。Fejzo氏らは胎盤で盛んに発現することが知られるGDF15遺伝子や脳に限って発現するその受容体GFRALと妊娠悪阻の関連を見出した全ゲノム関連解析(GWAS)結果を2018年に報告します4)。その翌年2019年の報告では妊娠悪阻の妊婦の血中のGDF15が有意に多いことが判明しました5)。続いて昨春2022年3月には2018年の報告を強化する事実として別の女性集団の全エクソーム解析によってGDF15遺伝子の変化と妊娠悪阻の関連が示されました6)。そしてNature誌に掲載された今回の報告でFejzo氏らは胎児がGDF15をどれだけ作っていて、妊婦が妊娠前にGDF15にどれだけ接していたかが妊娠悪阻の生じやすさと関連することを示し、GDF15と妊娠悪阻が単なる関連にとどまらず、どうやら因果関係を有することを裏付けました。まずFejzo氏らは2019年の報告の確認として血中のGDF15が多い妊婦ほど嘔吐や妊娠悪阻をより被っていることを改めて示し、続いてそのほとんどが胎児(胎盤の胎児の領分)を出どころとすることを突き止めました。また、妊娠していないときのGDF15が少ない女性ほど妊娠悪阻を生じ易く、逆にGDF15が多いことと関連する病気であるβサラセミアの女性には妊娠時の悪心や嘔吐がほとんど認められませんでした(わずか5%の女性のみに発生7))。このことは妊娠前にGDF15により馴染んでいた女性ほど妊娠悪阻をどうやら生じ難いことを示唆しています。妊娠前にGDF15により慣れていると妊娠中にGDF15が上昇してもどうやらより平気でいられることはマウス実験でも示されています。GDF15の大量投与で妊娠中のGDF15上昇を模すようにしたマウスは食が細くなりました。それは不調の印です。一方、ゆっくり放出されるGDF15を先立ってあらかじめ与えてからGDF15を大量投与したマウスは不調を被らずに済みました。今回の研究によると妊娠中のGDF15を減らすことが妊娠悪阻の予防法になるかもしれません。幸い、今回の報告での観察によると母親と胎児のどちらもGDF15を少なくする変異を有していても赤ちゃんは大事に至らず健康に生まれており8)、GDF15抑制の害は心配いらないかもしれません。妊娠前にGDF15にあらかじめ慣れてもらうことで妊娠中のつわり、さらには妊娠悪阻を防げるかどうかをFejzo氏らは調べるつもりです。手始めに、妊娠悪阻の経験がある女性にGDF15を増やす薬メトホルミンが安全かどうかを調べる検討の助成金をFejzo氏は申請中です8)。脳の受容体へのGDF15の結合を阻止する薬の検討も目指しています。そういう薬のいくつかがすでに悪液質やがん患者の悪心や嘔吐の治療として臨床試験段階に至っています。参考1)Fejzo MS, et al. Nat Rev Dis Primers. 2019;5:62.2)Why seven in ten women experience pregnancy sickness / University of Cambridge3)Fejzo M, et al. Nature. 2023 Dec 13. [Epub ahead of print] 4)Fejzo MS, et al. Nat Commun. 2018;9:1178. 5)Fejzo MS, et al. Geburtshilfe Frauenheilkd. 2019;79:382-388. 6)Fejzo MS, et al. BJOG. 2022;129:1845-1852. 7)Sensitivity to hormone made by fetus may drive severe pregnancy sickness / Science8)Researchers identify key cause of pregnancy sickness and a potential way to prevent it University of Cambridge

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授業途中の退席についてモヤモヤしています【医学生お悩み相談ラヂオ】第22回

動画解説第22回は、医学部3年生の女性から、出席確認後に授業を受けずに堂々と退席してしまう同級生を見てモヤモヤしてしまうというお悩み。教える側、教わる側、両方を知りつくす民谷先生がお悩みの回答に加え、授業の在り方、授業の課題を語ります。

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アルツハイマー病リスクに対する身体活動の影響~メタ解析

 すべての原因による死亡率や認知症を減少させるために、身体活動(PA)は有用である。しかし、アルツハイマー病リスクに対するPAの影響については、議論の余地が残っている。中国医科大学付属第一医院のXiaoqian Zhang氏らは、アルツハイマー病発症とPAとの根本的な影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2023年12月号の報告。 2023年6月までに公表された研究をPubmed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceより検索した。ランダム効果モデルを用いて、エフェクトサイズ(ハザード比[HR]、95%信頼区間[CI])を算出した。 主な結果は以下のとおり。・29件のプロスペクティブコホート研究(206万8,519例)をメタ解析に含めた。・統合された推定値では、アルツハイマー病リスクの低下に対するPAの良好な効果を示唆していた(HR:0.72、95%CI:0.65~0.80)。・この関連性は、最大交絡因子で調整した後でも、良好であった(HR:0.85、95%CI:0.79~0.91)。・PA強度によるサブグループ解析では、PAとアルツハイマー病との間に逆用量反応関係が認められた。エフェクトサイズは、中程度PA(HR:0.85、95%CI:0.80~0.93)および高度PA(HR:0.56、95%CI:0.45~0.68)で有意だったが、軽度PA(HR:0.94、95%CI:0.77~1.15)では有意な差は認められなかった。・すべての参加者または中年コホートとは無関係に、アルツハイマー病に対するPAの保護作用は、長期フォローアップ(15年以上)よりも短期フォローアップ(15年未満)でより有効であった。・フォローアップ調査に加え、補足的なメタ解析、メタ回帰分析、感度分析においても、推定値の確実性が維持された。 著者らは「PA介入は、アルツハイマー病の発症リスクを減少させるが、フォローアップ期間が15年未満の中程度から高度なPAの場合において、その有効性が示されていることから、アルツハイマー病予防のための修正可能なライフスタイル因子として、条件付きでPAを普及させることが推奨される」としている。

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NAFLD、発症年齢が早いほどがんリスク上昇

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD、欧米では2023年6月より病名と分類法を変更)の発症年齢は低下傾向にあるが、年齢が異なる約6万4,000例を対象としたコホート研究において、NAFLDはがんリスク上昇と関連し、発症年齢が若いほどがんリスクが高いことが示された。中国・首都医科大学のChenan Liu氏らによる本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年9月25日号に掲載された。 2006~21年にKailuan Cohort Studyに参加した17万9,328例から、計4万6,100例のNAFLD発症例が同定された。各症例について、年齢および性別でマッチさせた参加者を無作為に選択して新たな研究コホートを作成、NAFLDの発症年齢とさまざまながん種のリスクとの関連を重み付けCox回帰モデルを用いて評価した。異なる年齢におけるNAFLDとがんリスクとの関連を定量化するため、人口寄与割合(Population Attributable Fraction:PAF)を用いた。データ解析は2022年12月~2023年4月に行われた。 主な結果は以下のとおり。・6万3,696例(平均年齢51.37[SD:12.43]歳、男性5万2,764例[82.8%])が組み入れられ、3万1,848例がNAFLD群、同数が対照群となった。・中央値10.16(四分位範囲[IQR]:7.89~11.67)年の追跡期間中に2,415例ががんと診断された。NAFLD発症時の年齢が45歳未満の患者は高いがんリスクを示し(調整ハザード比[aHR]:1.52、95%信頼区間[CI]:1.09~2.12)、NAFLDの発症年齢が高くなるにつれがんリスクは低下した(45~54歳のaHR:1.50、95%CI:1.15~1.97/55~64歳のaHR:1.13、95%CI:0.97~1.33/65歳以上のaHR:0.75、95%CI:0.45~1.27)。・NAFLD発症時の年齢が45歳未満の患者では、発症したがんは主に消化器がんと肺がんで、aHRは2.00(95%CI:1.08~3.47)と2.14(95%CI:1.05~4.36)であった。・NAFLD発症時の年齢が45歳未満の患者では、がんリスクの17.83%(95%CI:4.92~29.86)がNAFLDに起因することが示された。 著者らは、本研究により、早期発症NAFLDががんリスクの上昇と関連していることが明らかになり、NAFLDの進行に適時に介入することが、NAFLD関連がんの発生率の低下および公衆衛生上の負担の軽減と関連する可能性を示唆している、とした。

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TN乳がん術前免疫化療前・後のニボルマブ単剤、pCRに有意差なし(BCT1902/IBCSG 61-20 Neo-N)/SABCS2023

 StageI~IIBのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対して、12週間のニボルマブ+非アンスラサイクリン系抗がん剤の術前免疫化学療法の前または後にニボルマブ単剤治療を組み合わせた第II相BCT1902/IBCSG 61-20 Neo-N試験の結果、ニボルマブ単剤治療の順番にかかわらず有望な病理学的完全奏効(pCR)率を示したことを、オーストラリア・Newcastle大学のNicholas Zdenkowski氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023、12月5~9日)で発表した。 これまで、早期TNBC患者に対する抗PD-L1抗体薬+化学療法の術前免疫化学療法では、すべての薬剤を同時に開始するよりも、抗PD-L1抗体薬を先行して投与したほうがより良好なpCRが得られたという報告1)がある。pCRは良好な予後と関連し、化学療法の期間の短縮が期待されていることから、研究グループはTNBC患者に対するニボルマブ単剤とニボルマブ+化学療法併用の治療戦略を明らかにするために研究を行った。・対象:StageI~IIBのTNBC患者 108例・試験群:ニボルマブ(240mg、2週間)→ニボルマブ(360mg、21日ごと)+カルボプラチン(AUC5、21日ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、21日ごとの1・8・15日目)を4サイクル→手術【ニボ先行群:53例】・対照群:ニボルマブ(360mg、21日ごと)+カルボプラチン(AUC5、21日ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、21日ごとの1・8・15日目)を4サイクル→ニボルマブ(240mg)→手術【ニボ後行群:55例】・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)[副次評価項目]腫瘍残存率(RCB)、安全性、PD-L1陽性(≧1%)集団および腫瘍浸潤リンパ球(TIL)高値(≧30%)集団におけるpCR、無イベント生存期間(EFS)・層別化因子:年齢(40歳未満/以上) 主な結果は以下のとおり。・2020年7月~2022年4月に110例が両群に無作為に割り付けられ、治療を開始した108例が解析対象となった。追跡期間中央値は12ヵ月であった。・ベースライン時のニボ先行群およびニボ後行群の患者特性は、年齢40歳未満が26%/16%、閉経周辺期が53%/55%、StageIが34%/35%、TIL高値が34%/33%、PLD1陽性が43%/51%、Ki67中央値がそれぞれ70%であった。・pCR率は全体で53%(90%信頼区間:44~61)、ニボ先行群は51%(39~63)、ニボ後行群は55%(43~66)で、ニボルマブ単剤治療の先行によるpCRの優位性は認められなかった。・PD-L1発現状況によるpCR率は、陽性集団では71%、陰性集団では33%であった。・TIL値によるpCR率は、高値集団では67%、低値集団では47%であった。・全体のRCB 0~1の割合は69%で、ニボ先行群は64%、ニボ後行群は73%であった。・忍容性は良好で、新たな安全性シグナルは認められなかった。・EFSは未成熟であった。

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ヘムライブラ、重症血友病Aの乳児に対する早期予防投与でベネフィット/中外

 中外製薬は、未治療または治療歴の短い血液凝固第VIII因子に対するインヒビター非保有の重症血友病Aの乳児を対象とした第III相HAVEN 7試験の主要解析において、へムライブラ(一般名:エミシズマブ)の有効性および安全性が裏付けられたことを発表した。生後12ヵ月までの乳児において、ヘムライブラが臨床的意義のある出血コントロールを達成し、忍容性も良好であったことが示されたこの新しいデータは、2023年12月9日~12日にカリフォルニア州サンディエゴで開催された第65回米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)年次総会で発表され、プレスプログラムにも採択された。 重症血友病Aによる乳児とその保護者や介護者への負担は大きい。これまでに複数の臨床試験により、早期からの出血抑制を目的とする治療が、長期にわたり転帰を改善し、かつ頭蓋内出血のリスクを低下させることが示されている。このことから、世界血友病連盟(WFH:World Federation of Hemophilia)の治療ガイドラインでは、定期的な出血抑制を目的とする治療を低年齢で開始することが血友病の標準治療とされている。ところが、多くの血友病Aの乳児では、生後1年までは出血抑制を目的とする治療が開始されていない。ヘムライブラは、すでに乳児に対しても承認、使用されており、出生時から皮下投与が可能である。また、維持投与においては複数のさまざまな投与間隔レジメンにより柔軟な治療選択が可能な薬剤である。 本剤の有効性、安全性、薬物動態および薬力学を評価する記述的な第III相単群試験であるHAVEN 7試験は、血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有しない重症血友病Aの乳児を対象として、血友病Aコミュニティと協働して実施された。55例のデータを含む本解析結果において、追跡調査101.9週間(中央値)の時点で、治療を要する出血が認められなかった被験者の割合は54.5%(30例)、治療の要否にかかわらずすべての出血が認められなかった被験者の割合は16.4%(9例)であった。いずれの被験者でも治療を要する自然出血は認められず、治療を要した出血はすべて外傷性であった(46例[83.6%]で合計207件の出血が認められ、そのうち87.9%が外傷性)。治療を要する出血のモデルに基づく年間出血率(ABR:annualized bleeding rate)は0.4(95%信頼区間:0.30~0.63)であった。新たな安全性シグナルは認められず、本剤と関連のある重篤な有害事象、頭蓋内出血または死亡は報告されなかった。血液凝固第VIII因子インヒビター陽性となった被験者は3.6%(2例)であり、これは本剤の投与により第VIII因子製剤の使用が少なかったことが理由と推察された。また、抗薬物抗体陽性となった被験者はおらず、中間解析およびこれまでに実施された第III相HAVEN試験群の肯定的な結果と一致していた。 ASHでは、HAVEN 7試験におけるバイオマーカーの追加研究の結果も発表され、本試験の有効性に関する主要解析を支持するものであった。この追加研究により、乳児におけるヘムライブラの薬力学プロファイルは、これまでに、より年長の小児および成人の血友病Aで観察されたものと同様であることが示された。また、この年齢層においては本剤が結合する凝固因子の存在量が少ないものの、想定される薬力学的反応を示すことが明らかにされた。HAVEN 7試験の結果は、より広範に実施されたピボタルなHAVEN試験群から得られたデータを補完し、乳児における血友病A治療の進展、および出生時から予防投与を開始することの影響に関する洞察を提供するものである。主要解析後には7年間の追跡調査期間が設けられている。 中外製薬 代表取締役社長 CEOの奥田 修氏は、「重症血友病Aに対する出血抑制を目的とした治療において、静脈内投与が困難な乳児に対し、皮下投与可能なヘムライブラは治療負担を軽減する選択肢となります。今回の試験では、乳児に対して初めて、ヘムライブラが有効な出血コントロールを示しました。これは、これまでに実施された臨床試験において示された幅広い年齢層におけるデータを補完し、ヘムライブラによる乳児における出血抑制を目的とした治療をより早期に開始することを支持するものです。本剤を必要とする方々により安心してお使いいただけるよう、長期データの収集をはじめ、引き続きエビデンスの構築に努めてまいります」と語っている。

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低リスク骨髄異形成症候群、imetelstatが有望/Lancet

 赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が無効または適応とならない、多量の輸血を受けた低リスク骨髄異形成症候群(LR-MDS)の治療において、テロメラーゼ阻害薬imetelstatはプラセボと比較して、赤血球輸血非依存(RBC-TI)の割合が有意に優れ、Grade3、4の有害事象の頻度が高いものの管理可能であることが、ドイツ・ライプチヒ大学病院のUwe Platzbecker氏らが実施した「IMerge試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年12月1日号で報告された。国際的な無作為化プラセボ対照第III相試験 IMerge試験は、17ヵ国118施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年9月~2021年10月に患者の登録が行われた(Janssen Research & DevelopmentとGeronの助成を受けた)。 年齢18歳以上、ESA投与で再燃または不応、あるいはESAが非適応のLR-MDS(国際予後予測スコアリングシステム[IPSS]基準で病変のリスクが低[low]~中等度-1[intermediate-1])の患者を、imetelstat 7.5mg/kgまたはプラセボを4週ごとに2時間で静脈内投与する群に2対1の割合で無作為に割り付け、病勢進行、許容できない毒性、患者による同意の撤回のいずれかに至るまで投与を継続した。 主要エンドポイントは8週間のRBC-TIとし、ITT集団における無作為化の日から次のがん治療(治療法がある場合)の開始まで、少なくとも8週間連続して赤血球輸血を受けなかった患者の割合と定義した。RBC-TI期間、HI-Eも良好 178例(年齢中央値72歳[四分位範囲[IQR]:66~77]、男性62%)を登録し、imetelstat群に118例、プラセボ群に60例を割り付けた。全体で、過去8週間に受けていた赤血球輸血の中央値は6.0単位以上であった。また、160例(90%)がESA、11例(6%)が赤血球成熟促進薬luspaterceptの投与を受けていた。追跡期間中央値は、imetelstat群が19.5ヵ月(IQR:12.0~23.4)、プラセボ群は17.5ヵ月(12.1~22.7)だった。 RBC-TIが8週間以上持続した患者の割合は、プラセボ群が9例(15%、95%信頼区間[CI]:7.1~26.6)であったのに対し、imetelstat群は47例(40%、30.9~49.3)と有意に優れた(群間差:25%、95%CI:9.9~36.9、p=0.0008)。 RBC-TIが24週間以上持続した患者の割合(28% vs.3%、群間差:25%、95%CI:12.6~34.2、p=0.0001)、主要エンドポイントを満たした患者におけるRBC-TIの期間中央値(51.6週間 vs.13.3週間、ハザード比[HR]:0.23、95%CI:0.09~0.57、p=0.0007)は、いずれもimetelstat群で優れ、改訂IWG 2018基準による血液学的改善-赤血球反応[HI-E]に基づく血液学的奏効率(42% vs.13%、群間差:29%、95%CI:14.2~40.8)も、imetelstat群で良好だった。Grade3、4の好中球減少、血小板減少の頻度が高い 主要エンドポイントを満たした患者における血中ヘモグロビン値の試験薬投与前から最も長いRBC-TI期間までの増分の中央値は、imetelstat群が3.55g/dL、プラセボ群は0.80g/dLであった。また、試験期間中における経時的な赤血球輸血量の減少の平均値はimetelstat群で大きかった(最小二乗平均差:-1.0単位、95%CI:-1.91~-0.03)。 試験期間中のGrade3、4の有害事象は、imetelstat群で91%(107/118例)に発現し、プラセボ群の47%(28/59例)に比べ高率であった。プラセボ群と比較してimetelstat群で頻度の高かったGrade3、4の有害事象として、好中球減少(68% vs.3%)と血小板減少(62% vs.8%)を認めたが、これらは可逆的で管理可能であった。治療関連死の報告はなかった。 著者は、「imetelstatは、LR-MDS患者の幅広い集団において治療選択肢となる可能性があり、この集団にはESAが奏効しなかった環状鉄芽球陰性の患者や、ESAが非適応の患者も含まれる」としている。

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遺伝子治療は間近に来ている、それは神の領域なのか?【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第67回

ゲノム編集技術、ヒトへの応用が始まる2023年11月12日にフィラデルフィアで開催されたAHA(米国心臓病協会学術集会)で「heart-1 trial」という遺伝子治療についての発表がありました1)。家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体の患者さんの遺伝情報(ゲノム)であるDNAを書き換えて治療したのです。「アデニン(A)」「グアニン(G)」「シトシン(C)」「チミン(T)」という4種類の塩基の無数の組み合わせで遺伝情報であるDNAはできています。生物の遺伝子情報を変化させるゲノム編集技術の中で、最も知られているのがCRISPR-Cas9です。「クリスパー・キャス・ナイン」と読みます。ゲノム上の特定の場所で遺伝子配列を「取り除く」、「付け加える」、「変化させる」ことを正確に可能にする技術です。DNAの組み合わせを狙い通りに書き換えることを可能にするこの技術を開発したJennifer A. Doudna氏とEmmanuelle M. Charpentier氏の2名の女性研究者は、2020年にノーベル化学賞を受賞しています。私は、このゲノム編集技術のことを知識として知っていましたが、実際のヒトへの応用は先のことで、細胞や動物を使って安全性を確認する段階にあると思っていました。ヒトへの実施報告であったので驚いたのです。抗体医薬からmRNA医薬へDNAの遺伝情報は、まずメッセンジャーRNA(mRNA)に転写され、次にタンパク質に翻訳されます。このDNA→mRNA→タンパク質の流れをセントラルドグマといい、分子生物学の根幹です。この過程のどこかを妨害すれば、遺伝子が機能しなくなります。LDLコレステロール(LDL-C)の調節に、PCSK9というタンパク質が重要な役割を果たしていることがわかっています。LDL-Cは動脈硬化を促進させる、いわゆる悪玉コレステロールです。このタンパク質を抑制すれば、LDL-Cを減少させることが可能となります。このPCSK9というタンパク質をターゲットにする抗体医薬品であるエボロクマブは商品化され実際に使用されています。2週間毎に抗体薬を注射する必要があります。PCSK9をコードするmRNAの働きを抑制する薬剤が、日本で最近使用が可能となりました。抗体医薬品がタンパク質をターゲットにするのに対し、セントラルドグマの1つ上流のmRNAをターゲットにします。インクリシランという薬剤で、標的タンパク質のmRNAに対して相補的な塩基配列を持つRNAを投与することによって、RNA干渉を誘発します。するとRNAどうしが邪魔し合って、標的タンパク質の発現を抑制し治療効果を発揮します。こちらは半年毎に注射する必要があります。このmRNAの作用薬については、この「論文・見聞・いい気分」の第26回で紹介しています。生涯に1度の治療で効果が永久に!?今回「heart-1 trial」で使用された遺伝子治療薬のVERVE-101は、セントラルドグマの究極の上流であるDNAそのものをターゲットとします。ゲノム編集でPCSK9遺伝子を不活化させた結果、下流にあるPCSK9が減少し、さらにLDL-C値も低下させることが報告されました。これは1度の投与で何年間にもわたって効果が持続するといいます。遺伝子治療は、究極的には生涯に1度の治療で永久に続く治療効果を目指しています。今回の報告は、実際に治療された患者数10人の第I相試験の中間解析報告です。遺伝子治療の概念を実証する研究で、今後10年以上にわたる長期追跡調査が予定されています。家族性高コレステロール血症への治療が進化したという意味よりも、CRISPR-Cas9という技術が開発されてから、あっという間にヒトに実際に応用されている事実が与えたインパクトのほうが大きいものでした。遺伝子治療はどこまで普及するか医療技術や科学技術による人の生命への介入を生命操作といいます。生命操作には、否定的でブレーキをかける立場から、技術の進化を礼賛する立場まで、幅広い考え方があります。また、時代によっても変化します。つい数十年前には、体外受精は新聞の一面でいっせいにセンセーショナルに報道された生命操作です。2018年のデータでは、体外受精児は16人に1人の割合にまで増加しているように、体外受精は日本の日常診療に組み込まれています。今後、DNAを操作する遺伝子治療が、どこまで普及するのかは不明ですが、もしかすると体外受精のように日常診療の一部となる日が来るのかもしれません。このような遺伝子治療は、人間の外見や能力を操作する「デザイナーベイビー」につながる懸念もあります。私は、髪を若年にして失うという外見的ハンディキャップ遺伝子を持っています。これを克服するには、髪を増やす遺伝子を導入するのか、髪を失わせる遺伝子を不活化するのかわかりませんが、そのような遺伝子操作技術も将来開発されるのでしょうか。そもそもすべての遺伝子が完璧な者などありえないのです。これは神の領域といってもいいかもしれません。神の領域の治療は怖い自分ですが、髪の領域の治療が待ち遠しい自分もいます。参考1)Science News from AHA2023

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第175回 研修医がGLP-1受容体作動薬を不正処方/東大病院

<先週の動き>1.研修医がGLP-1受容体作動薬を不正処方/東大病院2.5シーズンぶりのインフルエンザ警報、早期対策を/厚労省3.オンライン診療、メリットあるも要件の厳格化へ/厚労省4.処方箋なしで医薬品を販売する「零売薬局」、規制強化へ/厚労省5.レカネマブが保険適用、1年間で298万円/厚労省6.来年度診療報酬改定、医療従事者の賃上げに本体は0.88%引き上げ/政府1.研修医がGLP-1受容体作動薬を不正処方/東大病院東京大学医学部付属病院の臨床研修医2人が、病気ではないにも関わらず、互いに処方箋を発行し、GLP-1受容体作動薬を入手していたことが明らかになった。この報道に対して、病院側は「自己使用目的であって転売目的ではなく、常習性もなかった」と判断し、病院長から厳正な指導を行ったことを明らかにした。GLP-1受容体作動薬は、インターネット上で「やせ薬」として紹介されており、自由診療目的で処方を行う医療機関が急増している。一方、日本糖尿病学会は、11月28日に「2型糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する見解」を発表しており、本来は糖尿病治療薬であるのに、美容、痩身、ダイエット目的での自由診療による処方が一部のクリニックで行われており、需要増加による供給不足が生じている。糖尿病治療薬の適切使用は重要であり、医療専門家による不適切な薬剤使用は、専門医の信頼を損なう行為であり、日本糖尿病学会はこれを厳しく警告している。参考1)GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解(日糖会)2)研修医、病気装い糖尿病薬入手=供給不足の「やせ薬」-東大病院(時事通信)3)東大病院の研修医2人、病気装って糖尿病薬を入手 「やせ薬」と話題(朝日新聞)2.5シーズンぶりのインフルエンザ警報、早期対策を/厚労省厚生労働省は、2023年12月15日に全国約5,000の定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数が1医療機関当たり33.72人となり、警報レベル(30人超)に達したことを発表した。警報は2019年1月以来、5シーズンぶりの事態で、とくに北海道では60.97人と最多。全国で33道県が警報レベルを超え、1週間で6,382ヵ所の保育所や学校が休校や学級閉鎖に追い込まれた。慶應義塾大学の菅谷 憲夫客員教授は、「新型コロナウイルス感染症の流行中にインフルエンザの流行が抑えられたことで、とくに子どもを中心に免疫が落ちている」と指摘。基本的な感染対策の継続と、症状があれば早期受診を呼びかけている。また、菅谷教授は、2つのタイプのA型インフルエンザウイルスが同時に流行していることや、約3年間に大規模な流行がなかったことを、早期警報の要因として挙げている。高齢者や妊婦、基礎疾患を持つ人は、とくに注意が必要であり、発熱などの異常を感じたら早期受診が推奨されている。冬休みに小児のピークが過ぎる可能性があるが、年末年始の休暇シーズンで全国的な感染拡大の恐れもあるため、手洗い、うがい、マスク着用などの基本的な感染対策の徹底が求められている。参考1)インフルエンザ、全国で「警報レベル」…コロナ禍の感染対策で識者「免疫落ちている」(読売新聞)2)インフルエンザ、今季初の警報レベル 1医療機関33.72人 厚労省(毎日新聞)3.オンライン診療、メリットあるも要件の厳格化へ/厚労省厚生労働省は、12月15日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、オンラインで患者を診療した際に医療機関が算定する初・再診料の要件を2024年度の診療報酬改定で厳格化する案を了承した。新たな要件には、「初診では向精神薬を処方しないこと」を医療機関のホームページに掲示することが含まれている。さらに、遠方の患者を多く診療する医療機関に対しては、対面診療の連携先を報告させることも検討されている。厚労省は、新型コロナウイルス禍を経て、オンライン診療は重要であるとして、保険診療だけでなく自由診療も対象にガイドラインを策定し、規制緩和を行なってきたが、初診時に向精神薬の処方を行ったり、メールやチャットだけで診察や薬の処方を行うなど、ガイドラインで認めていない方法で診療を行っている医療機関が問題視されてきた。今後、厚労省では、オンライン診療を行っている医療機関がガイドラインを遵守しているか実態調査を行うため、スケジュールや調査方法などを検討するほか、患者がオンライン診療を適切に行っている医療機関を選択できるよう、情報発信の強化に乗り出すことにした。一方、慶應義塾大学などの研究グループは、うつ病や不安症などの精神科診療において、オンライン診療が対面診療と同等の治療効果があることを発表した。この研究結果は、オンライン診療の普及に向けた政策的議論に貢献するもので、さらに、オンライン診療は、通院に要する時間の短縮や費用の削減といった副次的効果もあり、今後もデジタルトランスフォームを通して医療現場に浸透していくとみられる。参考1)オンラインの初・再診料要件、厳格化案を了承「向精神薬初診で処方せず」の掲示必須に(CB news)2)オンライン診療 不適切な医療機関の実態調査へ 厚労省(NHK)3)オンライン診療、対面と遜色なし 普及に弾み(日経新聞)4.処方箋なしで医薬品を販売する「零売薬局」、規制強化へ/厚労省厚生労働省は、処方箋なしで医療用医薬品を販売する「零売薬局」に対する規制を強化する方針を固めた。不適切な販売方法や広告が増加していることに対応するために打ち出されたもの。2022年時点で60店舗以上の零売薬局が存在し、例外的に処方箋なしで医療用医薬品を販売できるが、これまで大規模災害時など「正当な理由」がある場合に限られていた。しかし、一部の薬局が通知を逸脱し、やむを得ない状況ではないにも関わらず日常的に医療用医薬品を販売する薬局が増加していることや、不適切な広告などが確認されており、重大な疾患や副作用が見過ごされるリスクが高まっていた。厚労省は、処方箋に基づく販売を原則とし、やむを得ない場合に限って認めることを法令で明記する方針。また、医療用医薬品の販売を強調する広告も禁止する方向で調整している。厚労省は12月18日に開かれる医薬品の販売制度に関する検討会で取りまとめを行い、医薬品医療機器制度部会に報告した後、厚生労働省から正式に通知が発出される見込み。参考1)医薬品の販売制度に関する検討会(厚労省)2)「零売薬局」の販売規制へ 処方箋なしで医療用医薬品-認める条件明確化・厚労省(時事通信)3)特例のはずが…処方箋なし薬「零売」横行 副作用や疾患見逃す恐れ(毎日新聞)5.レカネマブが保険適用、1年間で298万円/厚労省厚生労働省は、アルツハイマー病の新薬「レカネマブ(商品名:レケンビ)」を公的医療保険の適用対象とし、体重50kgの患者の1回当たりの価格を約11万4千円、年間約298万円と設定した。この薬は、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドβ(Aβ)」を取り除くことを目的とした初の治療薬で、軽度認知障害や軽度の認知症の人が対象。投与は2週に1度の点滴で行われる。レカネマブの投与は、副作用のリスクを考慮し、限られた医療機関でのみ行われる予定で、副作用には脳内の微小出血やむくみが含まれ、安全性を重視するため、認知症専門医が複数いる施設でMRIやPETを備えていることなどの条件に合致する限られた医療機関で処方される。臨床治験では、レカネマブを1年半投与したグループは、偽薬を投与したグループより病気の悪化を27%抑える結果が得られた。レカネマブの市場規模は、ピーク時に年間986億円に上ると予測されており、医療保険財政への影響が懸念されている。また、薬価の決定に際しては、社会的価値の反映が議論されたが、最終的には製造費や薬の新規性を考慮した通常の算定方法で算出された。専門家や関係者からは、新薬の保険適用により治療が前進することへの期待とともに、検査費用や治療に関する不安の意見も上がっている。また、効果が見込める患者の適切な選別や、新しい治療薬に対応できる認知症医療システムの構築が今後の課題とされている。参考1)新医薬品の薬価収載について(厚労省)2)認知症薬エーザイ「レカネマブ」 年298万円 中医協、保険適用を承認(日経新聞)3)見えぬ全体像、処方可能な医療機関は限定的 アルツハイマー病新薬(毎日新聞)4)アルツハイマー病新薬 年間約298万円で保険適用対象に 中医協(NHK)6.来年度診療報酬改定、医療従事者の賃上げに本体は0.88%引き上げ/政府政府は来年度の診療報酬改定において、医療従事者の人件費に相当する「本体」部分を0.88%引き上げる方針を固めた。今回の診療報酬の改定をめぐっては、各医療団体から物価高騰や医療従事者の賃上げに対応する意見が上がっていた。一方、薬の公定価格である「薬価」は約1%引き下げとなり、全体としてはマイナス改定となる見通し。岸田 文雄首相は、財務省と厚生労働省の間での議論を経て、賃上げ方針を医療従事者にも波及させるために、最終的に引き上げを決定した。診療報酬改定は原則2年に1度行われ、今回の改定は前回2022年度の0.43%引き上げを上回る水準となる。今回の改定により、医療従事者の処遇改善が期待される一方で、国民の保険料負担の増加が懸念される。また、診療所の利益剰余金の増加や医療費の抑制が課題となっており、国民負担の抑制が今後の大きな課題になっている。参考1)「本体」0.88%引き上げ=賃上げ対応、全体ではマイナス-24年度診療報酬改定(時事通信)2)診療報酬「本体」0.88%上げ、政府方針…「薬価」は1%引き下げで調整し全体ではマイナス改定(読売新聞)3)診療報酬改定 人件費など「本体」0.88%引き上げで調整 政府(NHK)

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外傷の処置(7)消化管出血へのトラネキサム酸【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q97

外傷の処置(7)消化管出血へのトラネキサム酸Q97前回に続き、トラネキサム酸関連で話題をもう1つ。外勤先の診療所に黒色便を主訴として76歳男性が受診した。ピロリ菌除菌歴があるが、その後の内視鏡フォローはされていない。最近、元々の腰痛が増悪し、近医でNSAIDs定期内服が始まっていたようだ。粘膜保護薬程度で、制酸薬の内服はない。バイタルサインは安定しており、身体所見上貧血を示唆する所見はないようだ。後方医療機関に送る上で、前投薬はどうしようか。

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