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ミドル~シニアの女性臨床医が直面するジェンダーの障壁とは?

 米国のミドルからシニアクラスの女性臨床研究医を対象とした定性的インタビュー調査によると、アカデミックな医学界は男性中心的な制度であり、構造的不公平が女性のキャリア全体にわたって持続し、キャリアアップにおけるジェンダー格差のパターンに陥っていることが示唆された。本研究は、米国・ミシガン大学のLauren A. Szczygiel氏らによって実施された。JAMA Network Open誌2024年4月11日号に掲載。 本研究は、ミドルからシニアのキャリアを有する女性臨床研究医の日常的な職業経験において、キャリアを通じて経験したジェンダーに関連する障壁についての認識を調査することを目的とした。2006~09年に米国国立衛生研究所の若手臨床研究医のキャリア支援のグラントであるK08またはK23を受賞した女性臨床研究医で、調査に同意した60人のうち、無作為選択的サンプリングで31人が選ばれた。2022年1~5月に半構造化面接を実施し、テーマ分析のフレームワークアプローチを用いて2023年8~10月に解析した。 主な結果は以下のとおり。・女性臨床研究医31人の人種は、白人14人(45.2%)、アジア系8人(25.8%)、自身を医学界でマイノリティと認識している者9人(29.0%)。・年齢は、40代14人(45.2%)、50代14人(45.2%)、60代3人(9.7%)。・17人(54.8%)はケアが必要な子供がおり、7人(22.6%)はケアが不要な子供がおり、6人(19.4%)は子供がいなかった。・参加者は、助教授1人(3.2%)、准教授11人(35.5%)、教授14人(45.2%)、名誉教授1人(3.2%)、医学研究を辞めた者4人(12.9%)であった。・調査で得られた回答には、以下の4つの主なテーマが確認された。(1)職場と家庭におけるジェンダー化された期待による精神的負担 時間の不足と精神的負荷による、キャリアと家庭生活のトレードオフという考えが最も言及された。子育てが生産性への大きな打撃を伴い、キャリアに長期的な影響を与えると認識していた。(2)官僚的プロセスにおける女性の不公平な扱い 資源配分、補助金の申請と授与方針、昇進と在職期間のプロセスにおける不平等が原因で、キャリアの復帰や維持が困難であることが挙げられた。厳格な資金調達や昇進のスケジュールと、出産や子育ての責任との間に矛盾が生じていることが指摘された。(3)些細または些細でない女性に対する職業上の排除 組織内の専門家や社会的サークルから排除され、権力、指導、専門的昇進へのアクセスに影響を与えた例として、男性と女性が同じ指導者と交わす会話の種類に違いがあり、男性は科学的なトレーニングに基づいた指導を受けていたのに対し、女性は仕事と生活のバランスに重点が置かれていたことなどが挙げられた。また、女性には、組織内で報酬や権限と結びつかない奉仕指向の役割を果たすことへの高い期待を持たれたことが挙げられた。(4)共有されたアイデンティティ、経験、連帯感に基づいて構築されたコミュニティの価値 試験参加者が女性へのバイアスに直面した際、他の女性と経験を共有することが、ジェンダーバイアスに対処する重要な方法であり、他の女性から同様の経験を聞くことで「孤立感」が軽減され、女性たちが直面する課題は、女性自身の欠陥ではなくシステムレベルの不平等を表していることを理解するのに重要だったことが述べられた。同性のコミュニティにより解決への戦略的アドバイスがもたらされた。一方で、このようなネットワークを見つけ、維持することの難しさも指摘された。 本研究の結果、女性は医学界が女性のニーズに合わない男性中心のシステムであると認識し、それに伴う排除感、幻滅感、組織に対する信頼の喪失を感じていることが判明した。この調査結果は、家庭内での義務と、不寛容な組織環境とが重なり合うことで、女性臨床研究医がキャリアアップを達成することが困難になっている可能性を示唆している。著者は本結果について、医学界における女性の幸福やキャリアの維持に長期的な影響を及ぼしうるという見解を示し、教育機関などが現在の構造に対する取り組みを検討しなければならないと述べている。

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迅速承認の抗がん剤の臨床的有用性/JAMA

 米国では、食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の多くは、承認から5年以内に全生存期間(OS)または生活の質(QOL)に関して有益性を示せず、確認試験で臨床的有用性を示したのは半数に満たないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のIan T. T. Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月7日号で報告された。米国FDAが2013~23年に迅速承認したがん治療薬を調査 研究グループは、FDAによる迅速承認を受けたがん治療薬が最終的に臨床的有用性を示すかを確認し、通常承認への転換の根拠を評価する目的でコホート研究を行った(Arnold Ventures and the Commonwealth Fundの助成を受けた)。 迅速承認は、満たされない医療ニーズのある重篤な疾患の特定の治療薬について、代替評価項目の改善に基づいて承認を許可する優先審査制度。迅速承認を受けた医薬品の製造企業は、有効性を確認するために臨床評価項目の評価を行う承認後臨床試験の実施を求められる。 本研究では、公開されているFDAのデータを用いて、2013~23年に迅速承認されたがん治療薬を特定し検証した。確認試験で臨床的有用性を示したのは43% 2013~23年に129件のがん治療薬とその適応症の組み合わせが迅速承認を受けた。このうちQOLとOSの解析を行い、追跡期間が5年以上(2013~17年に承認)の適応症は46件(1次解析)で、そのうち通常承認へ変更された適応症は約3分の2(29件[63%])であり、10件(22%)は取り下げとなり、7件(15%)は6.3年(中央値)の時点で追跡を継続中であった。 確認試験で臨床的有用性を示したのは46件中20件(43%)であり、半数に満たなかった。取り下げまでの期間は9.9年から3.6年に短縮し、通常承認までの期間は1.6年から3.6年に延長した。患者に明確な情報提供を 通常承認への変更の決定を支持するエビデンスに焦点を当てた2次解析では、2013~23年に迅速承認を受けたがん治療薬と適応症の組み合わせは66件で、このうち48件(73%)が通常承認へ変更され、18件(27%)は取り上げられた。 通常承認へ変更された48件のうち、19件(40%)はOSを根拠とし、21件(44%)は無増悪生存期間、5件(10%)は奏効率(ORR)+奏効期間、2件(4%)はORRに基づくものであり、残りの1件(2%)は確認試験で有効性が示されなかったにもかかわらず通常承認を受けていた。 また、迅速承認と通常承認の適応症を比較すると、48件中18件(38%)は変更がなかったが、30件(63%)は適応症が異なっていた(たとえば、より早期の治療ラインへの変更など)。 著者は、「迅速承認は有用と考えられるが、がん治療薬の中には患者の延命やQOLの改善という有益性を示すことができないものもある。患者には、迅速承認制度の利用や患者中心の臨床アウトカムにおいて、有益性を示さないがん治療薬について明確に情報提供を行うべきである」としている。

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第191回 医師の地域偏在解消へ、財務省の提案に日医が反発/財政制度分科会

<先週の動き>1.医師の地域偏在解消へ、財務省の提案に日医が反発/財政制度分科会2.急増する医療機関の倒産・休廃業、背景に後継者問題/帝国データバンク3.退院前の指導不足で市民病院が逆転敗訴、約7,500万円の賠償命令/名古屋高裁4.患者受診せずがん告知が1年以上遅れ、大腸がんステージ進行/神戸市立医療センター5.医療機器メーカーとの癒着疑惑、整形外科医逮捕/東京労災病院6.元理事長への不正な麻薬処方、元副学長が医師法違反の疑い/日本大学1.医師の地域偏在解消へ、財務省の提案に日医が反発/財政制度分科会財務省は、4月16日に財政制度分科会を開き、この中で少子化対策のほか医師の偏在問題について議論を行った。2020年の医学部定員を前提とした厚生労働省の将来推計では、2029年ごろにマクロでは医師需給が均衡し、医師の供給過剰が見込まれ、今後は医学部の定員の適正化が必要と指摘された。現状のままでは大都市部において、医師や診療所数が過剰となり、地方はそれらが過小のまま続くとして、診療所の偏在是正のために都市部での新規開業を規制し、診療所が不足している地域での診療報酬の単価を引き上げることを提案した。これは地域や診療科ごとに医師の定員があるヨーロッパのシステムを参考にしている。武見 敬三厚労大臣は、今後の医師の偏在対策を「骨太の方針」に組み込み、具体的な方向性を年末までに示すと述べた。日本医師会は財務省提案に強く反対しており、医師の偏在は人口分布に起因する問題であり、診療報酬での調整は不適切であると主張している。さらに医師会は、地域枠など既存の対策を強化することが先決であるとしている。また、厚労省も地域医療の将来の姿や偏りの見直しを議論するために「新たな地域医療構想等に関する検討会」(座長:遠藤 久夫氏[学習院大学長])を立ち上げて議論を開始している。文部科学省も、医学部の特別枠を通じて医師を地方に派遣する新たなプログラムを提案し、これにより地域医療に貢献する医師の養成を目指している。これにより大学病院から地域への医師派遣を容易にし、地域医療の充実を図りたいとしている。これらの提案と議論は、わが国の医療システムの将来に重大な影響を与える可能性があり、医師の偏在解消を目指す一連の施策が、どのように進展するかが注目されている。参考1)こども・高齢化 財政制度分科会(財務省)2)第2回新たな地域医療構想等に関する検討会 資料(厚労省)3)医師の都市集中、解消探る 過剰地域の報酬下げ/開業規制 財制審提言(日経新聞)4)過剰地域の診療報酬下げ「受け入れられない」 医師会長(同)5)医師偏在問題、「都市部で開業規制を」と財務省提言 医師会は反発(朝日新聞)6)医師の偏在解消で「大学特別枠」、文科省が試案 大学病院から地域への派遣強化(CB news)2.急増する医療機関の倒産・休廃業、背景に後継者問題/帝国データバンクわが国の医療機関の休廃業・解散件数が2023年度(2023年4月~2024年3月)に過去最多の709件に達し、過去10年で2.3倍となった。そのうち診療所が23年度は580件と全体の8割超を占めていることが帝国データバンクの調査で明らかになった。医療機関の倒産・休廃業数は前年の517件から大幅に増加していた。同様に、歯科医院も110件と過去最多を記録。同社によれば、経営者の高齢化と後継者不在が主な原因であり、今後もこの傾向は続くと予測されている。また、2023年度には医療機関の倒産件数も過去最多を更新し、55件が報告された。これは2009年度の45件を上回る数であり、診療所と歯科医院がそれぞれ28件と24件で過去最多を更新している。これらの倒産は法的な手続きを経て確認されたもので、高齢経営者の健康問題などが倒産につながるケースもみられている。日本医師会の「医業承継実態調査」では、診療所の約半数が後継者不在と答えており、帝国データバンクの企業概要ファイルによると、2024年には診療所経営者のボリュームゾーンが65~77歳となっている。この高齢化が顕著な中で、診療所はコンビニの約2倍の数が存在し、狭い市場での競争が熾烈を極めている。こうした状況は、医療機関の持続可能性に深刻な影響を及ぼしており、とくに地域医療にも影響が出ている可能性がある。今後、後継者問題の解決や高齢経営者の支援策を強化することが急務となる。参考1)医療機関の「休廃業・解散」 動向調査(2023年度)(帝国データバンク)2)医療機関の休廃業・解散が過去最多、昨年度 計709件、診療所が8割超(CB news)3.退院前の指導不足で市民病院が逆転敗訴、約7,500万円の賠償命令/名古屋高裁気道確保のため「カニューレ」を装着していた6ヵ月の女児が、退院後に低酸素脳症を発症し、3歳で亡くなった事件について、名古屋高等裁判所は1審の判決を覆し、一宮市に約7,500万円の賠償支払いを命じた。裁判では、一宮市立市民病院が退院時の必要な救命処置の指導を怠ったことが問題視された。女児は、喉頭の組織が軟弱で、気管が塞がりやすく呼吸がしづらい「喉頭軟化症」であり、気管カニューレを必要としていた。入院中には装着器具が外れる事故が3回発生していたが、これについて病院側から十分な説明や指導が行われていなかったとされている。両親は当初、原因を自分たちに求めていたが、裁判を通じて同病院の責任が明らかになり、「娘の無念を晴らせた」と安堵の声を上げた。同病院は「判決文が届いていないので、現時点ではコメントを差し控える」と述べている。この判決は、医師の指導義務違反を問題視した点で重要な意義を持つ。代理人弁護士の森下 泰幸氏は、「気管カニューレが外れる事故は全国で相次いでおり、今回の判決を受け、退院時には必ず救命方法などの指導を全国の病院で徹底してもらいたい」と訴えている。この判決により、今後の医療機関における指導・教育のあり方に影響を与えると考えられる。参考1)“医師は指導義務怠る” 1審と逆 市に賠償命令 名古屋高裁(NHK)2)愛知・一宮市に7,400万円賠償命令 呼吸用器具の事故後に女児死亡(朝日新聞)3)気道確保の重要性など説明せず、3歳女児死亡 遺族が逆転勝訴(毎日新聞)4.患者受診せずがん告知が1年以上遅れ、大腸がんステージ進行/神戸市立医療センター神戸市立医療センター中央市民病院は、60代の男性患者が大腸がんと診断されたにもかかわらず、診断結果の告知が1年2ヵ月遅れるという重大なミスを病院側が公表した。2022年8月に内視鏡検査を受けた男性は、翌月に大腸がんと診断されたが、結果を説明するために予定していた受診日に来院しなかったため告知が行われなかった。その後も男性は、別の科で定期的に通院していたが、告知されなかったため治療開始が遅れ、男性のがんはステージ1からステージ3bまで進行していた。この事実が明らかになったのは、男性が2023年11月に別の疾患で入院し、脳神経内科の医師がカルテを確認したときであった。同病院では、未受診患者を管理するリストがあり、通常は診療終了後にリストから外されるが、今回の重大案件では、男性がリストから誤って外されていた可能性が指摘されている。この案件を受け、同病院では未受診の患者の管理方法を見直し、ルールの明文化を進めている。この重大案件は、病院内の情報管理システムの改善の必要性を浮き彫りにした。同病院は男性と補償についての協議を行っており、病院側は公式に謝罪している。参考1)大腸がんと診断された患者に1年2ヵ月告知忘れる…その間にステージ「1」から「3b」に進行(読売新聞)2)がん告知日に患者来院せず…そのまま1年超、ステージ3に 病院謝罪(朝日新聞)5.医療機器メーカーとの癒着疑惑、整形外科医逮捕/東京労災病院東京労災病院の整形外科副部長の医師(41歳)が、特定の医療機器メーカーの製品を使用することで現金約50万円の賄賂を受け取ったとして逮捕された。この事件では、逮捕された医師が同僚にも同じメーカーの製品の使用を勧め、それにより得たポイントを自身の利益に変換していたことが判明している。また、医師は医療機器の選定に影響を与えたとされ、医師が受け取ったポイントは現金に交換可能で、飲食代などの領収書を提出することで換金されていたと報じられている。警視庁は、このほかにも余罪があるか捜査を進めており、このスキームがどれほど広範に及んでいたのか、また、その影響についても調べている。贈収賄に関与したHOYA Technosurgical社および親会社HOYA社は、捜査に協力する姿勢を示している。同病院は再発防止策を講じ、職員の倫理教育を強化すると公表している。参考1)東京労災病院 医師を収賄容疑で逮捕 製品巡り50万円受け取りか(NHK)2)他の医師使用分も見返り収受 部下に贈賄側企業製品を推奨か 東京労災病院の汚職事件・警視庁(時事通信)3)東京労災病院副部長を収賄容疑で逮捕 「ポイント制」で業者から現金(朝日新聞)4)当院職員の逮捕について(東京労災病院)6.元理事長への不正な麻薬処方、元副学長が医師法違反の疑い/日本大学日本大学の「不正事案洗い出しのための特別調査委員会」は、元理事長の田中 英寿氏(故人)への医療用麻薬モルヒネを含む痛み止めの不正処方について報告した。田中氏は2021年8月~2022年4月にかけて、元副学長だった主治医により、医師3人を介して7回にわたり痛み止めが処方された。しかし、これらの処方はいずれも診療記録がなく、実際の診察は行われていなかった。調査委員会によれば、田中氏に処方された薬の診療記録は電子カルテシステムに一切残されておらず、元副学長は診療の有無について守秘義務を理由に説明を拒否。また、元副学長や関連医師は、田中氏の自宅で診療行為を行っていたが、これに関する記録も存在しなかった。医師法では、診療行為を行った場合、病名や治療内容をカルテに記載することが義務付けられており、違反した場合には罰則が科されている。調査委は元副学長の医師法違反の可能性が高いと結論付け、「厳格に管理すべき医療用麻薬が不適切に処方されていた悪質性は高い」と指摘している。同大学は監督官庁との協議を待っている状態で、元副学長からの回答は得られていない。参考1)日大の田中英寿・元理事長にモルヒネ処方、診察記録なし…主治医の元副学長は守秘義務理由に説明せず(読売新聞)

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緩和ケアでも身体疾患を考える重要性【非専門医のための緩和ケアTips】第74回

第74回 緩和ケアでも身体疾患を考える重要性緩和ケアって「コミュニケーション」や「スピリチュアルペイン」など、ほかの診療領域には、あまりない分野が注目されがちです。診療領域の特徴の1つなので当然のことではあるのですが、そうした面ばかりに目を向けると危険もあります。今回の質問在宅療養している患者の訪問診療に行った際のこと。高齢の認知症患者なのですが、いつもよりも元気がないように感じました。「もう生きているのがつらい」と話すので、スピリチュアルペインかと思い、いろいろ話を聞きました。時間をかけて話を聞いた後にバイタル測定をすると38℃の発熱があり、尿路感染症が生じていました。今回は発熱があったため気付いたものの、つらさの原因を気持ちやスピリチュアルにばかり向けていたら、疾患を見逃していたかもしれません…。こうしたことはありますか?はい、めちゃくちゃあります。心理的なつらさだと思ったら根底には身体疾患があった、というケースはよくありますし、私自身も身体疾患を見逃して反省したことがあります。緩和ケアを受けるがん患者が発熱した場合、その原因の多くが感染症だとされています。そうした意味では、「腫瘍熱」という診断に飛びつくのも危険です。がん患者の発熱で、腫瘍熱の頻度は5~10%ともいわれています1)。こうした「何となく」が原因と思いがちな病名には、注意が必要です。私自身が心掛けていることを紹介します。それは「それって本当?」と自問自答する、というやり方です。「うーん、がん患者だし、腫瘍熱かなぁ」と思った時に、「それって本当?」と別の私が問い掛けるという感じです。「気持ちのつらさが原因だろうなあ。しっかり傾聴しよう…」と思った時にも、一度立ち止まって「それって本当?」という思考を挟むようにしていると、身体疾患を疑うクセが身に付きました。実はこの技、救急でも活用できます。「軽症だから入院は必要ないな。帰宅させて経過観察で大丈夫」と思った時、「それって本当?」と「もう1人の自分」がささやきます。もちろん、たいていは元の判断で問題ないのですが、いったん立ち止まって慎重に検討できます。何度かこの作業に助けられたこともあります。この手法の注意点は、あくまでも「自分に対して行う」ことです。他者に「それって本当?」とやっては単なる「嫌なヤツ」ですからね。まして研修医など、若手指導の際は控えたほうがよいでしょう。ぜひ、自問自答で見逃しを防ぎましょう。今回のTips今回のTips患者のつらさは精神的なものとは限らない。身体疾患を見逃さないよう「それって本当?」と自問自答しよう。1)Toussaint E, et al. Support Care Cancer. 2006;14:763-9.

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事例046 特定薬剤治療管理料の算定漏れ【斬らレセプト シーズン3】

解説ある診療所のレセプト点検において、抗てんかん薬が2剤処方されている患者に、B001「2」特定薬剤治療管理料1(以下「同管理料1」)」が、1回のみ算定されている事例を数件確認しました。紙カルテを拝見したところ、2剤以上投与の患者に対しては、抗てんかん薬ごとに血中濃度を測定され、薬剤の投与量の判定が記録されていました。同管理料1の注4・注5とその留意事項には、「2種類以上の抗てんかん剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき投与量を決定する管理をしている場合、同管理料を同月内に2回まで算定できる。4月目からの減額も不要」との趣旨の記載があります。抗てんかん薬2種類分まで同管理料が算定できることがわかります。事例では、1種類分のみの算定でした。診察室では抗てんかん薬2剤以上投与の場合には、それぞれの薬剤の血中濃度測定値と簡潔な治療方針をSOAP記録にて記載していただくようにお願いしました。また、レセプト作成担当者には、同管理料の規程を説明し、抗てんかん薬が複数剤処方されている場合には、処方の種類と血中濃度について、必ず紙カルテを確認して算定することをお願いして対策としています。なお、各種のレセプトチェックシステムでは対応済みの項目ですが、警告の解消に手が回らず、算定漏れを来している事例も散見されています。

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脳卒中への酸素投与【日常診療アップグレード】第2回

脳卒中への酸素投与問題77歳男性。起床時から右上下肢の脱力と構音障害があり、救急室を受診した。意識は清明。血圧180/90mmHg以外のバイタルサインは正常である。酸素飽和度は97%(室内気)である。頭部CT検査を施行予定である。経鼻酸素を2L/分で開始した。

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乳がん患者のQOLと死亡リスクの関係

 乳がん患者は生活の質(QOL)に悪影響を及ぼすさまざまな問題を抱えているが、乳がん患者のQOLと死亡リスクとの関連については議論の余地がある。静岡県立静岡がんセンターの鈴木 克喜氏らは、QOLが乳がん患者の予後に与える影響についてシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、結果をBreast Cancer誌オンライン版2024年4月9日号で報告した。 本研究では、CINAHL、Scopus、PubMedのデータベースを用いて、2022年12月までに発表された乳がん患者のQOLと死亡リスクを評価した観察研究が検索された。 主な結果は以下のとおり。・11万9,061件の論文が検索され、6件の観察研究がメタ解析に含まれた。・身体機能QOL(ハザード比[HR]:1.04、95%信頼区間[CI]:1.01~1.07、p=0.003)、情緒機能QOL(HR:1.01、95%CI:1.00~1.03、p=0.05)、および役割機能QOL(HR:1.01、95%CI:1.00~1.01、p=0.007)は、死亡リスクとの有意な関連が示された。・一方で、全般的QOL、認知機能QOL、および社会機能QOLは、死亡リスクとの関連が示されなかった。・治療時点に従い行われたサブグループ解析によると、治療後の身体機能QOLが死亡リスクと関連していた。 著者らは、身体機能QOL、情緒機能QOL、および役割機能QOLが乳がん患者の死亡リスクと関連したとし、治療後の身体機能QOLは、治療前の身体機能QOLよりも生存期間延長とより有意な関連を示したとまとめている。

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出生前検査、胎児異常例対応に医療者の75%が「葛藤」

 妊娠後に胎児の染色体異常を調べる「出生前検査」は手軽になり、多くの妊婦が受けるようになった一方で、検査を手掛ける医療機関が増え、適切な検査前の説明や遺伝カウンセリングがされないなどの問題が生じていた。これを受け、2022年に日本医学会による新たな「出生前検査認証制度」がスタートし、こども家庭庁は啓発事業によって、正しい知識の啓蒙と認証を得た医療機関での受診を呼びかけている。 この活動の一環として2024年3月に「『出生前検査』シンポジウム」と題したメディアセミナーが開催された。本シンポジウムにおける、聖マリアンナ医科大学・臨床検査医学・遺伝解析学の右田 王介氏と昭和大学・産婦人科の白土 なほ子氏の講演内容を紹介する。右田氏講演「出生前検査に関する基本情報と取り巻く環境」――出生前検査にはさまざまな種類がある。なかでも、2010年代に母体の採血のみで実施可能な「母体血中遊離核酸によるNIPT(Non-Invasive Prenatal Testing:非侵襲的出生前検査)」の受検が広がり、注目を集めている。このNIPTは妊娠9または10週以降に採血を行い、胎児の21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの可能性を判断するものだ。 検査が広がった背景の1つに、染色体数に伴う疾患と出産年齢との関係がある。新生児の染色体異数性の頻度は妊婦の年齢と共にわずかずつだが増加する。一般に母体が35歳以上の出産を高年出産と呼ぶが、2000年頃には1割とされていた高年での出産は、2022年には約30%となった。母親の年齢によって染色体異常が急増するわけではないものの、不安を感じる妊婦が増えている。 NIPTは、母の採血のみで実施でき、検査としての安全性や検査特性が優れている。妊婦やその家族は胎児の健康を願い、検査から安心を得たいと考えているが、NIPTは胎児の疾患診断につながる検査であることに注意が必要だ。結果には偽陰性や偽陽性も含まれ、その確定には羊水穿刺など侵襲的検査が必要となる。 また、NIPTは羊水穿刺や母体血清マーカーといった検査に比べ、より早い妊娠週数で検査が実施される。検査実施には十分な情報提供と熟考が必須であるにもかかわらず、妊婦や家族が意思決定に掛けられる時間は短い。 加えて、NIPTの原理は将来さまざまな遺伝性疾患に応用される可能性があり、このことで遺伝的な個性を排除するという社会の動きが加速する可能性がある。出生前検査の実施や選択に、女性の生殖に関する自己決定権が強調されることもあるが、検査を検討し選択する責任は母親だけが負うべきものではない。より広く議論することが必要である。 NIPTについての意思決定は時間を掛け、慎重に行われるべきだ。出生前検査の施設認証では専門外来で検査前から十分な遺伝カウンセリングを行うことを求めている。また日本小児科学会では2022年4月に出生前コンサルト小児科医の認証制度をスタートさせた。妊婦やその家族の希望に応じ、検査実施前から小児科医の立場からの情報提供を行うことができる。このような支援制度もぜひ活用いただきたい。白土氏講演「出生前検査に対する支援体制における現状とこれから」――認証制度の前身となる日本医学会の「出生前検査認定施設」は2013年の制度スタート時は15施設だった。2022年7月に要件を緩和した「出生前検査認証制度」となってから登録施設数は急増し、2023年10月時点の認証施設は478施設となっている。認証施設は遺伝カウンセリングができる体制にあり、出生前コンサルタント小児科医との連携、検査についての情報提供と意思決定支援、検査後のフォロー体制を持つことなどが条件となっている。 白土氏らが認証制度開始前後にNIPT受検者を対象とした調査を行ったところ、「どこで検査を受けたか」という質問に対し、「認定・認証施設」が50%強、「非認定・認証施設」が20~30%、残りは不明という回答分布で、これは制度開始前後で大きな変化はなかった。「何を重視してNIPTを受ける施設を決めたか」という質問に対しては、「認定・認証施設」の受検者は「検査前のカウンセリングがある」「かかりつけ医の紹介」といった回答が多かった。一方で、「非認定・認証施設」の受検者は「口コミがよい」「ネット予約が可能」「アクセスがよい」といった回答が目立った。 同時期に、NIPTを提供する医療機関と医療者個人(医師、看護師・助産師、遺伝カウンセラー等)へのアンケート調査も行った。1次調査として医療機関に対してハード面に関するアンケートを行い、同意が取れた施設に2次調査として医療者個人にNIPTへの対応経験を聞いた。調査は2021年10~12月に行い、1次調査は316施設、2次調査は204人が回答した。 出生前検査で陽性になった症例について、「自施設で対応しているか」という設問に対し「対応している」と回答したのは316施設中71%、うち半数強の57%が「自施設内で決めた基本的な対応方針やルールがある」とした。「対応している」施設では妊娠を継続した場合の実施項目として「NICU/小児科との連携」「院内カンファでの症例共有・検討」「自治体・行例との連携」などの項目に「必ず行う」「症例によって行う」とした施設が多かった。一方で、「患者会・当事者会の紹介」「精神科/心療内科との連携」は「必ず行う」「症例によっては行う」とした施設数が少なかった。 中絶を選択した場合、「助産師との面談」は9割近くの施設が「必ず行う」「症例によっては行う」と回答し、「産婦人科の臨床遺伝専門医の診察」も7割程度が「必ず行う」「症例によっては行う」と回答したが、中絶時は妊娠継続時より全体として実施項目が少ない傾向にあった。 医療者個人へのアンケート調査では、「陽性例の対応業務」は「自身の職種として当然の業務」とした回答が99%を占めたが、「できれば避けたい業務」と考える回答者も3割程度存在した。さらに「検査陽性例についての自身の業務」について「葛藤がある」とした医療者が75%に上り、その要因として「時間的な制約がある」「予後予測が困難」「個別化した対応が必要」といった理由を挙げる人が多かった。 総合して、2021年10月時点では出生前検査を行っているものの陽性例には対応していない施設が3割あり、陽性例対応施設においても一定の方針を定めていない施設が半数程度あることがわかった。検査へのアクセス強化のために受検施設を増やすと同時に、地域連携の充実、基幹施設における他診療科を含めた連携による支援体制の強化が望まれる。 また、施設での支援者が葛藤(精神的負担など)を抱いている実態もわかった。ケアが担当医療者個人の努力に依存して行われている状況がうかがえた。医療者の心のケアも含めたサポート体制の充実が必要であるとともに、ケアを担う医療スタッフの負担軽減策も必要だと考えられる。 本調査の結果は「出生前検査に関する支援体制構築のための研究」報告書として、事例の紹介とともにサイトで公開されている。

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オシメルチニブ耐性肺がんに対するamivantamab+化学療法はPD後も生存ベネフィットを示す(MARIPOSA-2)/ELCC2024

 amivantamab+化学療法は化学療法単独と比べ、オシメルチニブ耐性のEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療進行後の有意な生存ベネフィットを示した。 MARIPOSA-2試験における、amivantamabと化学療法の併用はオシメルチニブ耐性EGFR変異陽性NSCLC の無増悪生存期間 (PFS)を有意に延長している1)。・対象:オシメルチニブ単剤療法耐性のEGFR変異(exon19 delまたはL858R)NSCLC・試験群1:amivantamab+lazertinib+化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)(ALC群、n=263)・試験群2:amivantamab+化学療法(同上)(AC群、n=131)・対照群:化学療法(同上)(C群、n=263)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価によるPFS[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、PFS2、安全性、治療開始から後治療までの期間(TTST)など[探索的研究]治療開始から中止までの期間(TTD) 主な結果は以下のとおり。・BICR評価のPFS中央値はAC群6.3ヵ月、C群4.2ヵ月でAC群で有意に改善した(HR:0.48、95%信頼区間[CI]:0.36~0.64、p<0.001。・TTD中央値はAC群11.0ヵ月、C群4.5ヵ月でAC群で有意に改善した(HR:0.37、95% CI:0.28〜0.50、P

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統合失調症における安静状態と作業状態の機能的接続異常

 統合失調症の主な病理学的仮説として、聴覚処理障害と大脳ネットワーク内の接続不全が挙げられる。しかし、多くの神経画像研究では、統合失調症患者の安静状態またはタスクに関連した機能接続障害に焦点が当てられている。九州大学の高井 善文氏らは、統合失調症患者の聴覚定常状態応答(ASSR)タスク中の血中酸素濃度依存性(BOLD)シグナル、安静状態およびASSRタスク中の機能的接続性、安静状態とASSRタスクの状態変化について、検討を行った。The European Journal of Neuroscience誌2024年4月号の報告。 対象は、統合失調症患者25例および健康対照者25例。スキャナーノイズによる機能への影響を軽減するため、安静状態およびスパースサンプリング聴覚fMRIパラダイムを採用した。聴覚刺激は、周波数20、30、40、80Hzのバイノーラルクリックトレインとした。検出されたASSR誘発性BOLDシグナルに基づき、安静状態とASSRタスク状態における視床と両側聴覚皮質の機能接続およびそれらの変化を調査した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者では、80HzでASSRタスク中に視床および両側聴覚皮質でBOLDシグナルの有意な減少が認められた(補正済みp<0.05)。・統合失調症患者の視床聴覚ネットワーク内の機能的接続の変化において、安静状態とASSRタスク状態とでは、有意な逆相関が認められた。・統合失調症患者では、安静状態の機能接続性がより強く(p<0.004)、ASSRタスク中の機能的接続性の低下が認められ(p=0.048)、これは異常な状態変化により媒介されることが示唆された。 著者らは、「統合失調症患者における安静状態と作業状態との移行の欠陥に関連する異常な視床皮質接続の存在が示唆された」としている。

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PNHに対するC5阻害薬と併用する世界初の経口薬、ボイデヤ発売/アレクシオン

 アレクシオンファーマは2024年4月17日、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬としてボイデヤ(一般名:ダニコパン)を同日より発売開始したことを発表した。 PNHは、血管内溶血として知られる血管内の赤血球破壊と、白血球および血小板の活性化を特徴とするまれで重度の血液疾患であり、血栓症を引き起こし、臓器障害や早期死亡に至る可能性がある。C5阻害薬のユルトミリス(一般名:ラブリズマブ[遺伝子組換え])またはソリリス(一般名:エクリズマブ[遺伝子組換え])は、補体C5を阻害して終末補体を抑制することで症状および合併症を軽減し、PNH患者の生存率への影響が期待できる薬剤である。C5阻害薬を投与下のPNH患者の約10~20%に臨床的に問題となる血管外溶血が顕在化し、持続的な貧血症状や定期的な輸血が必要となるケースがある。 本剤は、「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を効能または効果とし、C5阻害薬による適切な治療を行っても十分な効果が得られない場合にC5阻害薬と併用して投与される。C5阻害薬のユルトミリスまたはソリリスと併用投与する薬剤として開発されたファースト・イン・クラスの経口補体D因子阻害薬である本剤は、C5阻害薬の治療中に臨床的に問題となる血管外溶血が生じる特定のPNH患者(約10~20%)のニーズに対応する。 本剤の承認は、国際共同第III相臨床試験(ALPHA試験)から得られた肯定的な結果に基づく。同試験における12週間の主要評価期間の結果については、Lancet Haematology誌に掲載されている1)。ALPHA試験では、ヘモグロビンが9.5g/dL以下かつ網状赤血球数が120×109/L以上と定義した臨床的に問題となる血管外溶血を示すPNH患者を対象に、ユルトミリスまたはソリリスに本剤を併用した際の有効性および安全性を評価した。その結果、プラセボ群と比較した投与12週時点のヘモグロビンのベースラインからの変化量という主要評価項目を達成したほか、輸血回避および慢性疾患治療の機能的評価-疲労(FACIT-Fatigue)スコアの変化量を含む主な副次評価項目を達成した。ALPHA試験の結果において、安全性と忍容性に新たな懸念は認められず、本試験で最も多く報告された有害事象は頭痛、悪心、関節痛および下痢であった。 アレクシオンファーマ社長の笠茂 公弘氏は、「当社は『すべての希少疾患をもつ人々に人生を変える治療法と希望を届ける』というパーパスを掲げ、より早く、より多くの患者さんのニーズに応えるよう務めている。ボイデヤが、これまで以上にPNHをもつ患者さんとそのご家族のより良い生活に寄与できることを願っている」としている。

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がんスクリーニング試験の主要評価項目、StageIII/IVがん罹患で代替可能か/JAMA

 がんスクリーニングに関する無作為化試験では一般的に、がん特異的死亡が主要評価項目として用いられている。その代替評価項目としてStageIII~IVのがん罹患を用いるのは、一部のがん種については適切ではないことが、フランス・国際がん研究機関(IARC)のXiaoshuang Feng氏らによる検討で示された。StageIII~IVのがん罹患を代替評価項目として用いると、がんスクリーニング無作為化試験をより早期に終了できる可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、多がんスクリーニング検査の臨床試験に影響を及ぼすだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2024年4月7日号掲載の報告。介入群と比較群との間の減少率を評価 研究グループは、メタ解析およびシステマティックレビューにて、がんスクリーニング無作為化試験の評価項目としてのがん特異的死亡とStageIII~IVのがん罹患を比較した。 検討には、2024年2月19日までに出版された欧州、北米およびアジアで行われた41の無作為化試験の論文を包含した。介入群(がんスクリーニングに関する臨床試験でスクリーニング検査が実施された群)と比較群(がんスクリーニングに関する臨床試験の比較群)の参加者数、がん種、がん死者数のデータを抽出し、各臨床試験におけるスクリーニング効果について、がん特異的死亡およびStageIII~IVのがん罹患の介入群と比較群との間の減少率を算出して評価した。 評価項目としてのがん特異的死亡とStageIII~IVのがん罹患を、ピアソン相関係数(95%信頼区間[CI])、線形回帰および固定効果メタ解析を用いて比較した。減少率の相関関係、がん種によりばらつき 解析対象は、乳がん(6件)、大腸がん(11件)、肺がん(12件)、卵巣がん(4件)、前立腺がん(4件)およびその他のがん(4件)のスクリーニングの有益性を検討した無作為化試験であった。 がん特異的死亡とStageIII~IVがん罹患の減少率の相関関係は、がん種によってばらつきが認められた。 相関関係は、卵巣がん(ピアソン相関係数p=0.99[95%CI:0.51~1.00])、肺がん(p=0.92[0.72~0.98])で最も強く認められたが、乳がん(p=0.70[-0.26~0.96])は中程度であり、大腸がん(p=0.39[-0.27~0.80])、前立腺がん(p=-0.69[-0.99~0.81])では弱かった。 線形回帰スロープ(LRS)推定値は、卵巣がん1.15、肺がん0.75、大腸がん0.40、乳がん0.28、また前立腺がんは-3.58であり、StageIII~IVがん罹患の減少の大きさが、がん特異的死亡の発生に異なる大きさの変化をもたらすことが示唆された(不均一性のp=0.004)。

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エンパグリフロジン、急性心筋梗塞後には?/NEJM

 心不全リスクが高い急性心筋梗塞後の患者に対し、エンパグリフロジンによる治療はプラセボ治療との比較において、入院を要する初回心不全または全死因死亡リスクの有意な低下にはつながらなかった。米国・Baylor Scott and White Research InstituteのJaved Butler氏らが、無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究でエンパグリフロジンは、心不全を有する患者、心血管リスクの高い2型糖尿病患者、慢性腎臓病(CKD)患者において心血管アウトカムを改善することが示されていたが、急性心筋梗塞後の患者における安全性および有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2024年4月6日号掲載の報告。心不全による入院または全死因死亡の複合イベントを対プラセボで評価 本試験はevent-driven二重盲検法にて実施された。急性心筋梗塞を呈し入院中で心不全リスクの高い患者を、入院後14日以内に標準治療に加えてエンパグリフロジン10mg/日またはプラセボを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。なお、両群とも治験責任医師の判断により、非盲検下でエンパグリフロジンまたはほかのSGLT-2阻害薬への切り替えを可とした。 主要エンドポイントは心不全による入院または全死因死亡の複合で、time-to-first-event解析にて評価した。 2020年12月~2023年3月に、22ヵ国451施設で6,610例がスクリーニングを受け、6,522例(エンパグリフロジン群3,260例、プラセボ群3,262例)が無作為化された。 入院から無作為化までの期間中央値は5日(四分位範囲:3~8)。ベースラインにおける両群の患者特性は類似しており、65歳以上(患者の50.0%)、2型糖尿病(31.9%)、三枝冠動脈疾患(31.0%)の患者が多くみられた。約75%が無作為化時にST上昇型心筋梗塞(STEMI)を呈し、89.3%の患者に血行再建術が実施された。 エンパグリフロジン群で684例(21.2%)、プラセボ群で716例(22.2%)が死亡以外の理由で試験薬が中断された。試験期間中に436例(6.7%)が非盲検でSGLT2阻害薬の投与を開始した(エンパグリフロジン群201例[6.2%]、プラセボ群235例[7.2%])。 主要エンドポイントの発生について、6,328例(97.0%)を試験の最後まで追跡し、6,467例(99.2%)のバイタルデータを試験終了時に入手した。追跡期間中央値17.9ヵ月、ハザード比は0.90 追跡期間中央値17.9ヵ月において、心不全による初回入院または全死因死亡は、エンパグリフロジン群267例(8.2%)、プラセボ群298例(9.1%)で報告された。100患者年当たりのイベント数は、それぞれ5.9件と6.6件であった(ハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.76~1.06、p=0.21)。 主要エンドポイントの項目別にみると、心不全による初回入院は、エンパグリフロジン群118例(3.6%)、プラセボ群153例(4.7%)(HR:0.77、95%CI:0.60~0.98)、全死因死亡は、それぞれ169例(5.2%)、178例(5.5%)(0.96、0.78~1.19)であった。 有害事象は両群間で同程度に認められ、エンパグリフロジンの安全性プロファイルは既知のものと同様であった。

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CPRはいつまで続けるべきか? In-Hospital CPA レジストリからの報告(解説:香坂俊氏)

 レジストリデータとは臨床的なデータベースのうちで「特定の手技・手術や疾患イベント[診断確定や入院等]を起点として収集されるもの」と自分は考えていますが、本研究はこの特性をフルに活かした形で、心肺蘇生(CPR)に関する重要な情報の提供を行っています。研究の内容を非常に短く要約すると、「CPR開始から32分が経過すると神経学的に予後が良好な退院率は1%未満となり、39分が経過すると生存退院率そのものが1%未満となる」ということになりますが、この研究の長所としては、1. ランダム化を行いえない領域での研究である(例. 蘇生の現場で30分でCPRを止めるかどうかのランダム化など、倫理的にはほぼありえない)2. 特定のカットオフを追うのではなく、CPR実施時間と予後がLinearな関係であることを示したうえで、リーズナブルな閾値を提示した3. 比較的周辺の条件がそろっており、Onset(発症起点)なども同定しやすい「院内」のイベントのみを扱った ということになります。逆に短所としては、これも後ろ向き研究である以上避けることができないことではあるのですが、・CPR実施側に代表性バイアスが介在している可能性がある ということが挙げられるかと思います。つまり、いつまでCPRを続けるのかというのは、かなり「不確か」な状況で判断せざるを得ないことが多く、施行者側で単純なルールに収束させてしまっている可能性があります(例. その施設で20分というカットオフが暗黙のうちに設定されていたとすると、20分以降の蘇生成功率というのは過小評価されている可能性がでてくる)。 こうした限界はありますが、現場感覚としても冒頭に挙げたようなカットオフは多くの方が首肯される範囲内に入ってくるのではないでしょうか。32分や39分というのは絶対的なラインではありませんが、今後診療ガイドライン等で現場での「参考値」として取り入れられてくる可能性は高いのではないかと思われます。

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慢性腎臓病の入院抑制を意図した電子記録+診療推進者介入の効果は証明されず(解説:浦信行氏)

 慢性腎臓病(CKD)、2型糖尿病、高血圧は腎不全に至る3大疾患であるが、これらを合併した症例に1年間の電子記録+診療推進者介入が入院を減少させるかを、非盲検クラスター無作為化試験で検討した成績がNEJM誌に報告された。その結果は4月17日公開のジャーナル四天王に詳述されているが、主要アウトカムと副次アウトカムのいずれも通常ケア群に対して有意な効果を示さなかった。 結果は1年という比較的短期間の検討であることが影響した可能性は否定できない。加えて腎機能障害の程度もeGFRで49mL/min程度、HbA1cで7.5%前後、血圧は133/73mmHg前後といずれも比較的コントロールされており、また使用薬剤もRA系阻害薬が68%ほどの症例に使用されており、通常ケア群においても良好な治療がなされていることで差がつきにくかった要素もあると思われる。関与した診療推進者は看護師あるいは薬剤師であった点も介入の限界をうかがわせる。腎機能障害に対する運動療法の効果や栄養摂取バランスの効果も注目されるようになった昨今、介入者がリハビリ職や栄養士であればどうであったか。フレイルやサルコペニア、栄養バランスに介入する試みであれば、違った結果を見られたかもしれない。BMIは33と肥満者が多いが、サルコペニア肥満も機序は異なるが心血管疾患の有意なリスクである。 話は異なるが、腎不全に至る3大疾患としてこの対象を抽出しており、急性腎障害はいずれも10%以上と多いが、アウトカムとしての透析導入は0.6~0.7%と低値にとどまっていた。一方、心血管疾患は20%前後と比較的多く、これら3大疾患は心血管系の重要なリスクであることが改めて確認された。なお、退院後30日以内の再入院が37%と著明な高値であるが、米国とわが国の入院医療の基本的立ち位置の違いが顕著に現れたといえるであろう。

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孤食は高齢者の自殺リスク【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第255回

孤食は高齢者の自殺リスクillustACより使用日本は比較的自殺が多い国であり、とくに高齢者の自殺が多いとされています。私は、独りで食事をすることはそんなに寂しいとは思いませんが、高齢になってくると、どうやら孤食は自殺のリスク要因になるようです。社会的孤立と高齢者の自殺リスクの関連を明らかにするため、日本の12の自治体に住む65歳以上の高齢者約4.6万人を対象に、7年間の追跡調査を行った大規模な前向きコホート研究を紹介しましょう。Saito M, et al.Social disconnection and suicide mortality among Japanese older adults: A seven-year follow-up study.Soc Sci Med. 2024 Mar 11;347:116778.この調査でわかったことは、孤食が自殺リスクを高めるということです。抑うつなどの交絡因子で調整しても、独りで食事をする高齢者は、誰かと一緒に食事をする高齢者と比べて、自殺リスクが2.81倍高いことが示されました(ハザード比:2.81、95%信頼区間:1.47~5.37)。社会的孤立の指標が重なるほど自殺リスクが上昇していき、複数項目が該当する孤立者は自殺リスクが非常に高いという結果になりました。このことから、日本では毎年約1,800人の高齢者が「孤食に関連した自殺」で亡くなっている可能性があると書かれています。社会のつながりが大事だよ、と言いながらも、お隣さんのことを気にかける人は減っており、マンションなどでは隣に誰が住んでいるか知らないこともある時代です。何か解決策があればよいのですが、SNSを使った試みや、体操・サロンなどの充実くらいしか思いつきません。ただ、「自宅に閉じこもっているほうが精神的にラクだ」と思っている人は、他者との関わりをそもそも持とうとしないので、根本的に行政などが解決策を講じることは難しいかもしれませんが…。

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第207回 消費者がいまだに不安抱える紅麹、医療者による適切な説明は?

小林製薬の紅麹サプリ問題はサプリそのものの服用者だけでなく、紅麹原料を染料に使う食品にまで不安が及んでいるのは周知のことだ。一部の食品会社では消費者からの問い合わせが殺到しているとも聞く。厚生労働省(以下、厚労省)は4月5日付1)で、小林製薬が紅麹原料を直接卸している52社、この当該企業52社などから小林製薬の紅麹原料を入手している173社の計225社について、健康被害の報告はないことを明らかにしている。しかし、やはり消費者の不安は尽きないようで、なぜか私個人にまで知人・友人から問い合わせがくる状況だ。先日はある医療従事者からまで「どう思う?」という連絡をもらった。実はこれらに対して私個人は「現時点ではこれ以上の健康被害が出る可能性は低いのではないか?」と回答している。なぜそう考えるかは過去2回、本連載(第205回、第206回)で触れた3月29日の小林製薬の記者会見で明らかにされた事実関係が「正しい」という前提に立って説明している。ある意味、性善説ではあるが、今はこれしか判断材料がないのが現実である。そこで記者会見で明らかにされた事実関係と、それをベースに私が“可能性が低い”と考える理由について、今回は述べておこうと思う。まず、問題になった紅麹原料について小林製薬が説明した製造過程は、米に水を加えて加熱をし、そこに紅麹菌を加えて培養する。培養終了時点で米、水、紅麹菌の混合物を再加熱し、それを粉砕してから一旦保管。この保管物は培養状態によって有効成分の含有量にバラツキがあるため、保管されたものを複数混合して濃度の均一化を図り、再度、加熱・殺菌し最終段階の紅麹原料が完成する。使う紅麹菌に関しては、親株と言われる菌株からその都度取り分けて培養しているという。この紅麹原料は、▽今回問題になった紅麹コレステヘルプなどに加工・販売(B to C:Business to Consumer)▽食品会社などへの出荷(B to B:Business to Business)、の2つの流通ルートに乗る。小林製薬によると、問題となっている2023年の製造分に関しては、紅麹菌の親株から2度取り分けて別々に培養してから紅麹原料の製造に使用。このうち一方をA株、もう一方をB株と仮定すると、A株からはB to Cが13ロット、B to Bが21ロットの合計34ロット、B株からはB to Bのみ54ロットの紅麹原料がそれぞれ製造され、全ロットのサンプルが残っており、小林製薬側では全サンプルの検査を終了した。この結果、A株のB to Cで4ロット、B to Bで6ロットからプベルル酸と思しき異常な物質が検出されたものの、B株では全サンプルから異常な物質は確認されなかったとしている。これらから、A株で製造された紅麹原料で問題が発生したことは一目瞭然といえる。つまり食品会社などへの販売用だったものはA株由来、B株由来が合計75ロットで、そのうちプベルル酸と思しきものが含まれていたのは6ロットと全体の12分の1未満に過ぎない。さてここで「6ロットもあるのだから健康被害が出る可能性は現時点では低いとは言えないのでは?」という意見もあるだろう。これについては(1)製品の性格上、サプリメントは原料を濃縮するため、有害物質が含まれていた場合はそれらも濃縮される恐れがある/食品用はごく一部を添加するため、含まれる紅麹原料は相対的にサプリメントよりも微量、(2)サプリメントの場合は健康状態の改善を期待して毎日摂取される可能性が高い/一般食品の場合は毎日食べ続ける食品はごく一部、で説明できる。現在、小林製薬から紅麹原料を購入して製品に使っていた食品会社などは、製品の自主回収を進めている。これは厚労省が平成16年に創設した「食品等の自主回収報告制度」に基づくもので、これら企業とその製品は厚労省のHPに一覧が掲載されている。これを見るとわかる通り、主な用途は食品の着色料としてで、毎日必ず摂取する可能性のある食品は少ない。ただし、よく見ると、味噌など食事に毎日使う可能性があるものも含まれている。これについての答えはまさに(1)となる。また、前述の一覧を見るとわかるが、そこには、健康への危険性の程度を示す「CLASS分類」が付記されている。それを見ると、ここに記載された一般食品について、行政側はすべてが「CLASSII(喫食により重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る可能性が低い場合)」あるいは「CLASSIII(喫食により健康被害の可能性が、ほとんど無い場合)」と評価している。これはまさに(1)が理由と考えられる。もちろんこの解釈の仕方には異議もあるかもしれない。だが、順当に考えるならばこうなるのではないだろうか。今回の一件、ともすると紅麹全体が悪のように考えられてしまいがちだが、小林製薬以外で製造されている紅麹では今のところ何も問題は指摘されていない。少なくとも私はこれらの点から「紅麹」という言葉を一括りにして過度に警戒しすぎるのは考えものと思っている。参考1)厚生労働省:小林製薬社製の紅麹を含む食品に係る確認結果について(令和6年4月5日)

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原因がわからなかったときに納得してもらうためには?【もったいない患者対応】第4回

原因がわからなかったときに納得してもらうためには?登場人物<今回の症例>30代男性2日前からの右下腹部痛を主訴に外来受診右下腹部に圧痛を認めるも、腹膜刺激兆候はなし<腹部造影CTでも、痛みの原因となりうる病変が認められませんでした>先生、いかがでしょうか?CT検査ではとくに異常はありません。そうですか…。じゃあこのお腹の痛みは何なんでしょうか?検査では異常はないので、何の痛みかははっきりしませんね。でもこんなに痛いんですよ。原因は何かあるんじゃないですか?CTでは何もないので、原因は不明ですね。大丈夫ですよ、緊急性はないので、まずは痛み止めで様子を見てみましょう。そうですか…。【POINT】右下腹部痛を訴える患者さんに、唐廻先生は腹部造影 CT で精査しましたが、異常所見は見当たりませんでした。痛みの原因がはっきりしないことを伝えたところ、どうやら患者さんは納得できない様子です。最後のセリフはもしかすると、「この先生は腹痛の原因を見つけてくれなかった。原因不明なのに薬だけ出された。頼りにならないから他の病院に行こう」という意味かもしれません。患者さんは「原因」が知りたくて受診する私たち医師は、患者さんの症状の原因が、診察や検査によって明らかにならないケースがしばしばあることに “慣れっこ”になっています。人間の体は複雑系ですから、痛みやつらさの原因がいつもクリアにわかるわけではありません。むしろ、「原因ははっきりしないが、緊急性はないので経過観察が可能である」という判断をする場面のほうが多いはずです。ところが、患者さんはこういう考え方には慣れていません。「腕の良い名医が診察すれば、あるいはしっかり精密検査をすれば、症状の原因は明らかになるものだ」と考えたり、「治療するなら症状の原因を明らかにし、その原因を取り除けるような対応策を提案してほしい」と考えたりする人も多いはずです。医師は原因がはっきりしなくても、「経過観察が可能である」「緊急性はない」「即座の治療介入は不要である」という事態をポジティブに捉えられますが、患者さん側は「自分の体に起こった異変の原因は不明なまま」とネガティブに捉えてしまいます。「他の医師なら原因を突き止めてくれるかもしれない」という思いで、別の医療機関を受診するかもしれません。こうした感情が、ドクターショッピングの原因になっている人もいます。いま考えられる「原因の可能性」を伝える「原因不明だ」という突き放した説明では、患者さんは納得しない可能性が高いでしょう。そこで、はっきりした原因はわからなくとも、医学的に考えうる可能性をいくつか提示するのが望ましいと考えます。「症状の原因として複数の可能性が浮上しているが、いずれも決め手がない」という方向性で説明するわけです。今後起こりうる「経過の可能性」を伝えるさらに、「いまは原因がはっきりしなくても、数日経って症状が変化してくれば、その時点で原因が明らかになる可能性もある」という点を伝えることも大切です。なぜなら、自院での診療に満足できなかった患者さんが他の病院を受診した時点で原因が明らかになると、ますます自院での診療クオリティに疑念を抱かれ、患者さんとの信頼関係が完全に崩れるおそれがあるためです。たとえば今回のケースで、もし他の病院で「虫垂炎」だと診断され、重症化してからの手術になって合併症を起こしたとしたらどうでしょう。場合によっては、「原因不明」だと言い放った唐廻先生が誤診したとして、訴訟問題に発展するおそれもあります。「原因不明」は、医師-患者間のコミュニケーションエラーの温床です。慎重な説明を心がけましょう。これでワンランクアップ!先生、いかがでしょうか?CT検査ではとくに異常はないようです。そうですか…。じゃあこのお腹の痛みは何なんでしょうか?右下腹部には、大腸や小腸、虫垂など、さまざまな臓器があります。たとえば、「憩室」という腸の壁にある窪みが炎症を起こす憩室炎や、いわゆる盲腸(虫垂炎)では、こういう痛みを生じることがあります※1。もしかすると、こういう炎症がわずかに起き始めていて、検査ではまだ捉えられない段階なのかもしれません※2。あるいは、腸が蠕動するときに起こる「蠕動痛」とよばれる痛みの可能性もありますね。それならしばらく何もせず様子を見ても大丈夫でしょう※3。さまざまな可能性が考えられますが、現時点では「これが原因だ」とははっきり言えない段階ですね※4。※1:まずは、いま考えられる可能性を伝える。※2:今後わかるかもしれない、という伝え方もよい。※3:経過観察でも大丈夫な場合があることを伝えると、より不安は和らぐ。※4:診断のプロセスをみせると納得してもらいやすい。なるほど、いろんな可能性があるわけですね。でも、本当に放置して大丈夫でしょうか?まずは痛み止めで様子を見てみましょう。それでも痛みが悪化するようなら※5、その時点でもう一度診察させていただく必要があります。そこで初めて異常が捉えられる可能性もありますからね※6。※5:再診の目安は必ず伝える※6:「経過の可能性」を伝える。

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大腸がん患者の死亡リスクが高くなる超加工食品は?

 大腸がんと診断された後の超加工食品摂取量と死亡率を調査した前向きコホート研究によって、アイスクリーム/シャーベットの摂取量が多いほど大腸がんによる死亡リスクが高く、超加工食品全体および油脂/調味料/ソースの摂取量が多いほど心血管疾患(CVD)による死亡リスクが高いことを、中国・南京医科大学のDong Hang氏らが明らかにした。eClinicalMedicine誌2024年3月号掲載の報告。 これまでの研究により、超加工食品の摂取が多い男性では大腸がんの発症リスクが約30%高いことが報告されている1)。しかし、大腸がんと診断された後の超加工食品摂取が大腸がんの予後にどのような影響を与えるかはまだ解明されていない。そこで研究グループは、米国のNurses’ Health Study(NHS)に参加した35~55歳の女性看護師と、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)に参加した40~75歳の男性医療者のデータを用いた前向きコホート研究を行った。 解析対象は、1980~2016年にStageI~IIIの大腸がんと診断された2,498例(NHS:1,764例、HPFS:734例)であった。約130品目の食物や飲料の摂取頻度の調査票から、診断後6ヵ月以上(積極的な治療期間を除外するため)4年未満における超加工食品の全体およびサブグループの摂取量(1食分として食べる量:サービング)を推定した。追跡調査は隔年に行われた。交絡因子で調整した逆確率重み付け法によるCoxモデルを用いて、超加工食品摂取に関連する全死因死亡率、大腸がんによる死亡率、CVDによる死亡率のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・大腸がん診断時の患者の平均年齢は68.5(SD 9.4)歳であった。追跡調査期間中央値11.0年で1,661例が死亡し、そのうち大腸がんによる死亡は321例(19.3%)、CVDによる死亡は335例(20.2%)であった。・診断後の超加工食品全体の摂取量の中央値は6.0(四分位範囲:4.6~7.8)サービング/日であった。摂取量の多かったサブグループは、超加工パン/朝食用食品(27%)、油脂/調味料/ソース(24%)、スナック菓子/デザート(17%)であった。・超加工食品の総摂取量が最も少ない五分位(中央値:3.6サービング/日)と比較して、最も多い五分位(中央値:10サービング/日)では、CVDによる死亡リスクが高かった(HR:1.65、95%CI:1.13~2.40、p for trend=0.01)。大腸がんによる死亡と全死因死亡では有意な関連はみられなかった。・超加工食品のサブグループ間では、アイスクリーム/シャーベットの摂取量が最も多い五分位では、大腸がんによる死亡リスクが高かった(HR:1.86、95%CI:1.33~2.61、p for trend=0.02)。・油脂/調味料/ソースの摂取量が最も多い五分位では、CVDによる死亡リスクが高かった(HR:1.96、95%CI:1.41~2.73、p for trend=0.001)。・超加工食品のサブグループと全死因死亡との間に有意な関連性はみられなかった。

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