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コロナによる認知障害、症状持続期間による違いは?/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)へ感染し、症状が消失・回復しても、症状の持続期間にかかわらず軽度の認知機能障害が認められた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAdam Hampshire氏らが、オンライン評価による大規模コミュニティのサンプル調査(14万例超)の結果を報告した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の認知機能障害はよく知られているが、客観的に測定可能な認知機能障害が存在するか、またどのくらいの期間持続するかは不明だった。NEJM誌2024年2月29日号掲載の報告。イングランドの成人を対象に認知機能のオンライン評価を実施 研究グループは、イングランドの試験に参加した成人80万例に対し、認知機能のオンライン評価の実施を依頼し、8タスクの全般的認知機能スコアを推定した。 感染発症後に12週間以上持続する症状を有した患者は、客観的に測定可能な全般的認知機能障害があり、とくに直近の記憶力低下または思考や集中困難(ブレインフォグ)を報告した患者では、実行機能と記憶の障害が観察されるだろうと仮説を立て、検証した。起源株感染者は、変異株感染者より認知機能障害の程度が大きい オンライン認知機能評価を開始した14万1,583例のうち、11万2,964例が評価を完了した。重回帰分析の結果、COVID-19症状が4週間未満で消失・回復した患者や12週以上症状が持続するも消失・回復した患者は、非COVID-19群(SARS-CoV-2に非感染または感染が不確定)と比較し、同程度に軽度の全般的認知機能障害を有していた(それぞれ、-0.23 SD[95%信頼区間[CI]:-0.33~-0.13]、-0.24 SD[-0.36~-0.12])。 一方、12週以上症状が持続し、認知機能評価時点においても消失していなかった患者は、非COVID-19群と比較し、認知機能障害の程度が大きかった(-0.42 SD、95%CI:-0.53~-0.31)。 起源株やB.1.1.7変異株が優勢の期間にSARS-CoV-2に感染した患者は、その後の変異株感染者より認知機能障害の程度が大きかった(たとえばB.1.1.7変異株vs.B.1.1.529変異株:-0.17 SD、95%CI:-0.20~-0.13)。また、入院した患者のほうが、入院しなかった患者より認知機能障害の程度が大きかった(たとえばICU入院患者:-0.35 SD、95%CI:-0.49~-0.20)。 解析結果は傾向スコアマッチング解析を実施しても同様だった。症状が持続する患者は非COVID-19群に比べて、記憶、推理、実行機能のタスクで障害が大きく(-0.33~-0.20 SD)、これらのタスクは、記憶力低下、ブレインフォグなどの最近の症状と弱い相関が認められた。 今回の結果を踏まえて著者は、「認知機能障害の長期的な持続の有無および臨床的影響は、依然として不明である」と述べている。

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認知症になる前に頭の中で何が起きているのか(解説:岡村毅氏)

 アルツハイマー型認知症になる前に頭の中で何が起きているのだろうか? もうすぐ新学期だから、医学生・看護学生に話すつもりでわかりやすく説明しよう。 かつてはアルツハイマー型認知症のことは何もわかっていなかったが、亡くなった人の脳を調べることで、重症になればなるほどアミロイドが溜まり、タウが溜まり、脳が小さくなっている(萎縮という)ということがわかっていた。しかし脳は、たとえば肝臓のように、バイオプシーができないため、実際に生きている人の脳の中で何が起きているのかはわからないという大問題があった。診断に関しても、血液検査や画像検査(こういうのをバイオマーカーという)ではわからないので、臨床診断しかなかったのだ。われわれがいつも使ってきたDSM4やICD10はバイオマーカーを用いない臨床診断である。 しかしアミロイドペットによってアミロイドを見える化できるようになったことで、革命的な変化が始まった。第一にバイオマーカーを用いた新たな診断体系が出来上がった。National Institute on Aging-Alzheimer’s Association group(NIA/AA)の診断基準である。新しい「望遠鏡」ができたのだ。第二に脳の画像やバイオマーカーを追っていく大規模研究が世界規模で行われた。これがAlzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)であり、わが国のADNIはJ-ADNIという。これにより脳内に何が起きているのかが「見えてきた」。第三にバイオマーカーについてさらにわかってきた、アミロイド⇒タウ⇒神経損傷という順番がわかり、がんのTNM分類のようにATN分類が出来上がった。アミロイド(A)タウ(T)神経損傷(N)である。見えるだけではなく「わかってきた」といったところか。 という大きな流れを見てみると、中国で上記のバイオマーカーの進展を調べたというのがこの研究である。やはりアミロイドが先に動いていることがわかる。この論文の価値は十分に認めたうえで記載するが、大局的には「追試」を行ったともいえる。 さて、時代はすでにアミロイドへの先制介入へと移っている。初期のアルツハイマー型認知症に抗体が進展抑制効果を持つことがわかり、今後はプレクリニカル期へと延びていくだろう。この後の未来のシナリオは3つある。 シナリオ1は、アルツハイマー型認知症が完全に予防できるようになり、認知症の人が減るという未来だ。もし認知症が完全に発症予防できるようになれば人間は神に近づいていくともいえよう。シナリオ2は、アルツハイマー型認知症はある程度ゆっくりになるので、逆に患者が増えていくという未来である。共生がより重要になる。シナリオ3は、実はアルツハイマー型認知症以外にも多数の認知症が隠れており(専門家ならよく知っているのだが)、アルツハイマー型認知症の薬剤が社会に広がることで、むしろ他の治らない認知症が増えていくように見えるという未来である。共生は重要だが、予防もまだまだ最先端課題だ。 どのシナリオになりそうかはここでは私はあえて述べない。私のような精神科医ではなく脳神経内科医なら、もっと正確な未来予測もできるかもしれないことも付記しておく。

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医師の働き方改革に必須なのは財源の確保、米国の医療保険制度から考える(1)【臨床留学通信 from NY】第57回

第57回:医師の働き方改革に必須なのは財源の確保、米国の医療保険制度から考える(1)医師の働き方改革が2024年4月から施行されます。私は米国にいるため情報に疎いのですが、働き方のみの形状を変えたところで、当直を働く時間にカウントしないといった姑息な手段が取られるのみではないかと危惧します。形だけの働き方改革にならないために、医者の働く時間を少なくしても同等の給料が得られるような、財源の確保が必要です。今回から3回にわたって、医師の働き方改革と財源確保について、米国の医療保険制度から考えてみたいと思います。日本とは対照的な米国の医療システム日本の国民皆保険は世界がうらやむ制度です。誰もが平等に最良の医療を受けられ、それが同じ価格で、かつ1人当たりの負担額も安いからです。それとは対照的な米国の医療システム。貧富の差が激しい米国においては、ある一定の収入以下の人が入れるMedicaid(メディケイド)という保険がありますが、それがカバーする内容はかなり制限されています。具体的に挙げるのは難しいのですが、たとえば今話題のセマグルチドを肥満症に処方するのは、新しい薬で高額であるためできないと思います。同様に、65歳以上が入れる保険のMedicare(メディケア)も一見よさそうなのですが、それだけしか入っていない場合、セマグルチドはカバーされないでしょう。そのため、いろいろな会社が提供するプライベート保険などに入らなければなりませんが、プランはさまざまです。といっても、たとえば4人家族で保険料を払おうとすると年間100万~150万円以上は必至。よく聞くポスドク留学は最低賃金が一般的に5万ドル(約740万円)程度といわれていますが、それに保険のプランを追加するかどうかもよく交渉しないと大変になってしまいます。その点、臨床留学は病院勤めのため、当初の給料は6万ドル(約890万円)余りでしたが、かかれる病院の縛りはあれど(このプランでは自分が所属する病院のみにしかかかれない)、保険もカバーされていたため、家族帯同の渡米には一定の安心がありました。無保険者も一定数いる米国5万~6万ドル程度の収入の場合、Medicaidには入れず、年間1万ドル(約150万円)近くかかる健康保険にも入らない人がいるため、米国には無保険の人がいることになります。予防医療を声高に叫んでいる米国において、そもそも病院に行けない未治療高血圧、脂質異常症、糖尿病の人が、心筋梗塞になって病院に来て、命は助かったがお金がない、ということもあります。実際には緊急Medicaidに入ってなんとかなるようなのですが、詳しくはちょっとわかりません。また、私が働いている病院の1つであるJacobi Medical Centerはニューヨーク市の公的病院であるため、無保険でも最低限の治療や投薬は受けられるようになっています。米国のそんな医療を受けたくはない、というのも日本人なら感じることですが、日本人が今まで受けてきた恩恵も、医師の働き方改革と並行して変えていく必要がありそうです。次回には、米国で行われている医療費を制限するための膨大な方法を説明したいと思います。Column先月、子供の冬休みに合わせて、4泊5日でアリゾナ州のグランドキャニオン国立公園とセドナに行ってきました。アメリカの国立公園はすごいと聞いておりましたが、西側にたくさんあるため、訪れたのは今回が初めてでした。壮大で息を呑むような景色でした。2009年発売のLeica M9で撮影した写真ですが、綺麗に撮れました。画像を拡大する画像を拡大する

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gout(痛風)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第1回

言葉の由来痛風は英語にすると“gout”です。この“gout”、語源は諸説あるようですが、フランス語の“goute”ないし、中世ラテン語の“gutta”という言葉から来ているようです。これらの言葉にはともに“drop”(落とす)という意味があるそうです。「痛風」と「落とす」…。一瞬つながりがわかりにくいですが、痛風という病気は、古くは「血液中の原因物質が関節に“落っこちる”」ことで起きると信じられてきたそうです。ここから、この言葉が当てられたようです。そして、この由来は当たらずといえども遠からずで、痛風とは、尿酸が結晶となって関節内に“落っこちる”ことで起こるのですよね。実際に、“gout”を“drop”(落とす、滴る)という古典的な意味合いで用いるケースも、読み書きでは残っているようです。口語で耳にすることはありませんが、“gouts of phlegm”と言うと、「痰の塊」の意味となり、“drop”に近い意味合いだと思われます。日本語の「痛風」という病名の由来も諸説あるようですが、「風が当たっただけでも痛い」ところから来ている、というのが定説ですね。そう考えると、痛風は英語と日本語でまったく語源が異なるようです。併せて覚えよう! 周辺単語痛風発作gout attack尿酸urate/uric acid結晶crystalプリン体purine関節炎arthritisこの病気、英語で説明できますか?Gout is a common, painful form of arthritis. It causes swollen, red, and stiff joints. It occurs when uric acid builds up in the blood and causes inflammation in the joints.講師紹介

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第203回 薬局薬剤師の反感を招いたかまいたち・山内氏の“失言”、国の制度をうまく使いこなせていない薬局、日本薬剤師会の不甲斐なさも背景に

一般人が薬剤師に対して抱いているイメージを正直に話してしまった山内氏こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、新宿に映画を観に行ってきました。スキャンダル後、関東近辺の山奥に引っ込んだ俳優・東出 昌大氏の狩猟の日々を追ったドキュメンタリー映画「WILL」(監督・エリザベス宮地)です。水道もガスもない山小屋で、淡々と狩猟を行い、鹿やイノシシを見事なナイフ捌きで解体し、食する姿はワイルドかつ修行僧のようで、友人として登場する“サバイバル登山家”服部 文祥氏の生と死、命に関する哲学的な発言と相まって、なかなか見応えのある映画でした。東出氏は山小屋の場所を明かしておらず、映画の中では「北関東」と紹介されています。しかし、映画に映っている山並みや木々、岩の感じからは、奥多摩から大菩薩嶺、奥秩父にかけてのあたりに見えました。東京、山梨の県境付近ではないか、と勝手に予想した次第です。甲州ワインも飲んでいましたし…。さて、今回は、お笑い芸人、かまいたちの山内 健司氏(背の低いほうです)が、関西ローカルのテレビ番組で薬剤師軽視ともとれる発言をした、という話題を取り上げます。”失言”のように聞こえますが、一般人が薬剤師に対して抱いているイメージを正直に話してしまったもので、薬剤師のつらいところを突いてもおり、医療関係者から見てもなかなか興味深いニュースです。「お熱、今あるんですか?」と医療機関での診察時と同じように症状を尋ねられイライラしてしまった大阪のテレビ局、朝日放送(ABCテレビ)は3月5日、同局のトークバラエティ番組『これ余談なんですけど…』で、一部不適切な内容があったとして以下のような謝罪文を同社の公式サイトに掲載しました。「2月28日(水)の放送における薬剤師の業務に関する発言で、一部不適切な内容がありました。窓口で薬剤師が症状等の確認をすることは、法律(薬剤師法)に基づいた適正な業務であることなど、薬剤師に関する番組側の認識が不足していました。また医師と薬剤師との関係について、薬剤師の方々および関係する皆様にご不快な思いをおかけした内容もありました。謹んでお詫びいたします」「不適切な内容」とは、どんなものだったのでしょうか。3月6日付の「女性自身」などの報道によれば、同日の放送では「せっかち関西人200人に聞いた『あの瞬間イライラするわぁ~』ランキングトップ10」を紹介し、出演者たちがテーマにちなんだトークを展開する中、MCの山内氏が自身の薬局での体験を話したそうです。その体験とは、医療機関でもらった処方箋を薬局に持っていったところ、薬剤師から「どうされたんですか?」「お熱、今あるんですか?」と医療機関での診察時と同じように症状を尋ねられイライラしてしまった、というものです。山内氏は「それ(診察)はもうしてきた。その結果、これ(処方箋)もらって渡してるねんから。さっさと薬もらって帰りたいのに。“どうされたんですか?いつから熱出てるんですか?”って、あれもう全然要らん時間やなって思っちゃう。しんどいから、はよ薬渡して帰らせてほしいのに」と不満を漏らしたとのことです。相方の濱家 隆一氏(背が高いほうです)もこの意見に同意し、「薬剤師さんも医療に携わってるから、一応、“医者憧れ”みたいなのがあるんちゃう」と語り、共演していたお笑い芸人の馬場園 梓氏も「だってそいつ(薬剤師)が見たって、薬変わらへんからな」と話したとのことです。こうした会話がネットニュースなどで報じられると、そのコメント欄に「全然要らない時間ではありません」「自分の仕事を否定されている気分です」といった薬剤師などからの批判が相次ぎました。濱家氏は1日に自身のXを更新し、「処方箋の件、考えなしに失礼な事言ってしまいました 薬剤師の皆さん、本当にすみませんでした」と謝罪、馬場園氏も2月29日にInstagramストーリーズに「全然知らんかった!アホですいません!」「薬剤師の皆様、すいません!」と謝罪、5日には朝日放送の謝罪となったわけです。処方箋の内容や症状を問うちょっとした会話から病名を類推して服薬指導を行うネット上では、かまいたちの2人や馬場園氏ら(とテレビ局スタッフ)が薬剤師の業務の意味や重要性を知らなかったことに批判が集まったようです。ただ、私自身は、山内氏は“素人”だからこそ感じた、薬局薬剤師の「つらいところ」を突いたのではないか、と思いました。「つらいところ」とは、「薬剤師は病名を知らない」という点です。処方箋には患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量の記載はありますが、病名は記されていません。というわけで、薬局の薬剤師は処方箋の内容や症状を問うちょっとした会話から病名を類推して服薬指導を行うことになります。山内氏も含め、自分に服薬指導をする薬局薬剤師のほとんどが病名を知らない、知り得ないことを理解している人はどれくらいいるでしょうか。ICT化が進んだ一部の地域では薬局にも病名が公開されているところがありますが、まだまだ限られています。マイナ保険証や電子処方箋の普及によって、複数の医療機関の間での医療情報の共有が進むと言われていますが、病名の薬剤師への通知については従前通りです。電子処方箋の時代になっても、病状(あるいは病名)を把握したいと考える薬剤師は、リアルな会話の中で聞き出さなければなりません。その是非はともかく、医療DXからはほど遠い世界と言えます。5期10年も務めたにもかかわらず、これからの薬剤師の職能を確立できなかった日薬会長国は、調剤など対物業務に偏ってきた薬剤師の働き方を見直し、服薬指導などの対人業務を充実させる方向で検討を進めています。その背景には、薬局や薬剤師の仕事が(今回の山内氏も含め)一般の人には見えづらく、その役割・意義も明確ではないことが挙げられます。厚生労働省は2023年12月25日、「第1回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開きました。検討会での優先的検討課題としては、(1)夜間・休日および離島・へき地での外来・在宅医療における薬剤提供の在り方、(2)認定薬局、健康サポート薬局など薬局の機能の在り方で、2024年夏頃までに取りまとめる予定としています。そもそも、「認定薬局」、「健康サポート薬局」と言われても、どれくらいの人が知っているでしょう。「かかりつけ薬剤師」がいる人はどれくらいいるでしょう。いろいろな仕組みや制度を厚労省に用意してもらっても、それをうまく使いこなせていない薬局、ひいて言えば日本薬剤師会の不甲斐なさがこの検討会を開かせた、とも言えるでしょう。この春、日本薬剤師会の会長が変わります。5期10年務めた山本 信夫会長が勇退し、3月9、10日に開催された日本薬剤師会臨時総会の次期会長候補者選挙で当選した岩月 進氏(日本薬剤師会常務理事、愛知県薬剤師会会長)が6月の代議員会総会の承認を経て、新会長になる予定です。かまいたちの山内氏が薬局で感じたイライラや“失言”には、5期10年(最近の日本医師会会長の最長任期は、先々代の横倉 義武氏で4期8年でした)も務めたにもかかわらず、日本におけるこれからの薬剤師の職能を確立できず、一般人のイメージもなんら変革できなかった山本会長にも責任の一端があるのではないでしょうか。山内氏にはコンプライアンスに縛られずテレビやネットの世界でビシバシと発信してもらいたいところで、かまいたちの山内氏は、薬に関連して昨年もちょっとした騒動を起こしています。2023年4月16日に公開したYouTube動画において「お腹に注射を打つダイエット」で8キロの減量に成功したと報告、それが話題の「GLP-1ダイエット」だったのです。動画には「今回の動画は山内個人の体験談・見解になります」という注意書きがありましたが、日本医師会や日本糖尿病学会などがすでにGLP-1ダイエットに警告を発していたことに加え、ネット上などで多くの批判が寄せられたことなどから、4月18日には動画は非公開となりました。山内氏の今回の薬剤師に対する発言やGLP-1ダイエット体験のネット発信は、一般人の薬や医療に対する本当の意識、考え、理解レベルを知る貴重な場であるとも言えます。個人的には、山内氏には変なコンプライアンスに縛られず、これからもテレビやネットの世界で自身の体験で感じたことをビシバシと発信してもらいたいと思います。

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低リスク高血圧患者、「血圧の下げすぎ」による心血管リスクは

 高リスクの高血圧患者において、治療中の収縮期血圧(SBP)が120mmHg未満および拡張期血圧(DBP)が70mmHg未満の場合は心血管リスクが増加することが報告され、欧州心臓病学会/欧州高血圧学会による高血圧治療ガイドライン2018年版では高血圧患者全般に対してSBPを120mmHg以上に維持することを提案している。しかし、低リスク患者におけるデータは十分ではない。京都大学の森 雄一郎氏らの研究グループは、全国健康保険協会のデータベースを用いたコホート研究を実施。結果をHypertension Research誌オンライン版2024年2月14日号に報告した。 本研究は、3,000万人の生産年齢人口をカバーする全国健康保険協会のレセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて行われた。10年間の心血管リスクが10%未満で降圧薬を継続的に使用している患者が特定され、治療中のSBPとDBPによってカテゴリー分類された。主要アウトカムは心筋梗塞、脳卒中、心不全、末梢動脈疾患の新規発症の複合であった。 主な結果は以下のとおり。・92万533例の心血管低リスク患者が対象とされた(平均年齢:57.3歳、女性:48.3%、平均追跡期間:2.75年)。・SBPごとの主要アウトカムの調整後ハザード比(95%信頼区間)は、<110mmHg:1.05(0.99~1.12)110~119mmHg:0.97(0.93~1.02)120~129mmHg:1(参照)130~139mmHg:1.05(1.01~1.09)140~149mmHg:1.15(1.11~1.20)150~159mmHg:1.30(1.23~1.37)≧160mmHg:1.76(1.66~1.86)・DBPごとの主要アウトカムの調整後ハザード比は、<60mmHg:1.25(1.14~1.38)60~69mmHg:0.99(0.95~1.04)70~79mmHg:1(参照)80~89mmHg:1.00(0.96~1.03)90~99mmHg:1.13(1.09~1.18)≧100mmHg:1.66(1.58~1.76) 著者らは、「低リスクの高血圧患者において、治療中のDBPが60mmHg未満の場合に心血管イベント増加と関連していたが、治療中のSBPが110mmHg未満の場合には関連していなかった。高リスク患者を対象としたこれまでの研究結果と比較して、低リスク患者では、血圧を下げすぎることが有害となる可能性はそれほど顕著ではないことが明らかとなった」としている。

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de novo転移乳がん、治療を受けない場合の生存期間

 新規に転移のある乳がん(dnMBC)と診断され、その後治療を受けなかった患者の全生存期間(OS)中央値は2.5ヵ月と、1回以上治療を受けた患者の36.4ヵ月に比べて有意に短かったことが、米国・Duke University Medical CenterのJennifer K. Plichta氏らの研究でわかった。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2024年3月5日号に掲載。 本研究では、2010~16年における成人dnMBC患者を米国・National Cancer Databaseから抽出し、1回以上治療受けた患者(治療あり群)と理由にかかわらず治療を受けなかった患者(治療なし群)に層別化した。OSはKaplan-Meier法を用いて推定し、OSに関連する因子はCox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・5万3,240例のdnMBC患者のうち、治療ありが92.1%、治療なしが7.9%だった。・治療なし群は、年齢が高く(中央値:68歳vs.61歳、p<0.001)、合併症スコアが高く(p<0.001)、トリプルネガティブの割合が高く(17.8% vs.12.6%)、疾病負荷が高かった(転移部位2ヵ所以上:未治療38.2% vs.既治療29.2%、p<0.001)。・OS中央値は治療あり群が36.4ヵ月、治療なし群が2.5ヵ月であった(p<0.001)。・治療なし群のOS悪化に関連する因子は調整後、高齢、高い合併症スコア、高い腫瘍悪性度、トリプルネガティブ(vs.HR+/HER2-)が挙げられた(すべてp<0.05)。 本研究の結果、治療を受けなかったdnMBC患者は、高齢で、合併症があり、臨床的にアグレッシブながんが多く、治療なし患者の予後は治療あり患者と同様、選択された患者および疾患特性と関連していた。著者らは「治療しなかったdnMBCの予後は悲惨」としている。

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高齢者の睡眠の質改善に対するバイノーラルビートの効果

 バイノーラルビートとは、人間の耳では聞くことのできない脳に効果のある低い周波数を、特別な方法で聞こえるようにしたものであり、脳波をコントロールし、集中力や睡眠に影響を及ぼすことが期待される。高齢者の睡眠の質改善に対するバイノーラルビートの影響を明らかにするため、台湾・Shu Zen Junior College of Medicine and ManagementのPin-Hsuan Lin氏らは、単盲検ランダム化対照試験を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌2024年3月号の報告。 対象は、台湾の長期介護施設に入居している睡眠の質の低下が認められる高齢者64例。対象患者は、14日間のバイノーラルビートミュージック(BBM)介入を行ったBBM群と対照群にランダムに割り付けた。介入期間中、BBM群は、週3回、朝と午後に20分間、BBMを組み込んだTaiwanese Hokkien oldiesをリスニングした。対照群は、BBMを組み込んでいないTaiwanese Hokkien oldiesをリスニングした。アンケートや心拍変動分析により、対象者の睡眠の質、心拍変動、抑うつ症状を評価した。 主な結果は以下のとおり。・介入後、BBM群では、心拍数と正常な洞拍動の心拍数変動平均値の増加、低周波正規化単位と抑うつ症状の重症度の減少とともに、睡眠の質の有意な改善が認められた。・対照群では、睡眠の質に対する影響に一貫性がなかったが、心拍変動の一部の自律神経調節における有意な改善、抑うつ症状重症度の有意な減少が認められた。・BBM群は、対照群と比較し、睡眠の質の有意な向上が認められ、交感神経活動の有意な低下が認められた。 著者らは「睡眠の質が低下している長期介護施設入所の高齢者に対し、非侵襲的なBBM介入を14日間実施することで、睡眠の質や抑うつ症状を改善できる可能性が示唆された」とまとめている。

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糖尿病患者の死因1位は男女ともに悪性新生物/糖尿病学会

 従来、糖尿病患者は、大血管障害で亡くなる患者が多かった。最新の『糖尿病診療ガイド 2022-2023』では、糖尿病治療の目標を「健康な人と変わらない人生」と定義し、糖尿病合併症である糖尿病細小血管合併症や動脈硬化性疾患の発症、進展の阻止を治療の柱としている。 では現在、糖尿病患者はどのような原因で亡くなっているのだろうか。糖尿病学会では「アンケート調査による日本人糖尿病の死因に関する研究委員会」(委員長:中村 二郎氏[愛知医科大学医学部 先進糖尿病治療学寄附講座 教授])を設置し、全国の医療機関にアンケートを行い、死因の調査を行っている。 今回、本委員会による2011~20年の糖尿病患者の死因の調査結果が、日本糖尿病学会誌である「糖尿病」に掲載された。なお、この結果は、2023年に鹿児島で開催された第66回日本糖尿病学会年次学術集会で発表されている。日本人一般に近くなってきた糖尿病患者の死因 本委員会は、1971年から10年ごとの死因の調査を行っており、今回で5回目となる。今回の2011~20年の調査では、1,154施設にアンケートを依頼し、施設全体での死亡症例(糖尿病患者/非糖尿病患者)を収集。208施設より登録された23万3,176症例(糖尿病患者:6万8,555例、非糖尿病患者:16万4,621例)を解析した。 糖尿病患者の死因に関する結果は以下のとおり。・全体では、1位が悪性新生物(38.9%)、2位が感染症(17.0%)、3位が血管障害(10.9%)だった。・男女とも悪性新生物が1位だったが、男性(40.6%)は女性(35.4%)より比率が高かった。血管障害の比率は男性(10.3%)より女性(12.1%)が多く、性差がみられた。・糖尿病性昏睡は全体で0.3%、低血糖性昏睡は全体で0.1%と1%を切っていた。・血管障害の内訳は、脳血管障害は全体で5.2%、虚血性心疾患は全体で3.5%、慢性腎不全は全体で2.3%だった。・悪性新生物の内訳で男性に注目すると、肺がん9.6%、膵がん6.1%、肝臓がん4.6%の順に多かった。膵がんは女性が7.2%と多かった。・感染症では、肺炎が全体で11.4%と感染症全体の3分の2を占めた。・1971~80年の死因に比べ、血管障害(慢性腎不全、虚血性心疾患、脳血管障害)が減少し、悪性新生物と感染症での死亡が増加していた。

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日本人胃がんの最新治療情報/日本胃学会

 新薬の登場で変化する胃がん薬物療法の国内研究の最新情報が第96回日本胃学会総会で報告された。胃がん最新治療(1)~ペムブロリズマブ+化学療法による進行胃がん1次治療の日本人サブセット ペムブロリズマブと化学療法の併用は日本人胃・食道胃接合部がんの1次治療においてもグローバルと同様の結果を示した。 切除不能または転移を有するHER2陰性の胃・食道胃接合部腺がん1次治療で良好な結果を示したペムブロリズマブ+化学療法の第III相KEYNOTE-859試験における日本人サブセットの結果が示された。日本人サブセットは101例で、ペムブロリズマブ+化学療法群は48例、コントロールとなる化学療法群は53例であった。 追跡期間中央値28.9ヵ月における全生存期間(OS)中央値は、ペムブロリズマブ+化学療法群16.8ヵ月、化学療法群13.3ヵ月(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.44〜1.13)、無増悪生存期間(PFS)中央値はペムブロリズマブ+化学療法群6.8ヵ月、化学療法群6.7ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.49〜1.36)であった。奏効率(ORR)はペムブロリズマブ+化学療法群54.2%、化学療法群56.6%、奏効期間中央値はペムブロリズマブ+化学療法群18.4ヵ月、化学療法群5.4ヵ月であった。 Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はペムブロリズマブ+化学療法群の41.7%、化学療法群の39.6%に発現した。Grade3以上の免疫介在性有害事象はペムブロリズマブ+化学療法群の16.7%、化学療法群の3.8%に発現した。胃がん最新治療(2)~日本人MSI-H胃がんに対するニボルマブ+イピリムマブの1次治療 切除不能進行再発のマイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)胃がんの1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブの有効性と安全性を評価するNO LIMIT試験(WJOG13320G/CA209-7w7)の結果が発表された。 NO LIMIT試験は医師主導の第II相試験で、全国75施設935例の切除不能かつ化学療法未治療の胃がんからMSI-Hをスクリーニングし、ニボルマブ+イピリムマブの介入を行った。主要評価項目は盲検下独立中央判定(BICR)によるORRで、推定値を35~65%とした。 MSI-H陽性の割合は5.6%であった。対象は2022年8月29日までに試験に登録された29例。 BICR評価の確定ORRは62.1%(CRは10.3%)で主要評価項目を達成した。病勢コントロール率(DCR)は79.3%であった。Waterfallプロットでは深い奏効が示された。PFS中央値は13.8ヵ月、OS中央値は未達で12ヵ月OS率は80%であった。 Grade3以上のTRAEは41.3%で、安全性プロファイルは既報どおりであった。胃がん最新治療(3)~RINDBerG試験の進行胃がんにおけるラムシルマブのbeyond PD療法 進行胃がんにおいて血管新生阻害薬の継続療法を評価した第III相RINDBerG試験の結果が発表された。ラムシルマブのbeyond PD療法は主要評価項目であるOSを達成できなかった。 血管新生阻害薬のPD後の継続は、さまざまながんで有効性が報告されている。胃がんでもRAINFALL試験の事後解析で2次治療としてのラムシルマブのPD後投与が良好なOSに関連していると報告されている RINDBerG試験の対象はラムシルマブおよび化学療法抵抗性で既治療の切除不能胃・食道胃接合部腺がん。登録患者はラムシルマブ+イリノテカン(RAM+IRI)群とイリノテカン単剤(IRI)群に割り付けられた。主要評価項目はOS、副次評価項目はPFS、ORR、安全性などであった。 OS中央値はRAM+IRI群9.4ヵ月、IRI群8.5ヵ月で、調整HRは0.91、p値は0.37と主要評価項目は未達であった。PFS中央値はRAM+IRI群3.8ヵ月、IRI群2.8ヵ月で、HRは0.72、p値は0.001とRAM+IRI群で有意に優れていた。ORRはRAM+IRI群22.2%、IRI群15.0%であった。DCRはそれぞれ65.6%と52.7%で、オッズ比は1.71、p値は0.02とRAM+IRI群で有意に優れていた。 主な有害事象としては、両群とも好中球減少、白血球減少、食欲不振、倦怠感などが多くみられた。RAM+IRI群の26例、IRI群の32例が毒性中止となっている。

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悪性褐色細胞腫の治療に、スニチニブが有望/Lancet

 本試験(FIRSTMAPPP試験)以前に、転移のある褐色細胞腫および傍神経節腫(パラガングリオーマ)患者を対象とした無作為化対照比較試験は行われていないという。フランス・パリ・サクレー大学のEric Baudin氏らが、この腫瘍の治療において、プラセボと比較してスニチニブ(VEGFR、PDGFR、RETを標的とする受容体チロシンキナーゼ阻害薬)は、1年無増悪生存率を有意に改善し安全性に差はないことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年2月22日号で報告された。欧州4ヵ国のプラセボ対照無作為化第II相試験 FIRSTMAPPP試験は、欧州4ヵ国(フランス、ドイツ、イタリア、オランダ)の14施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2011年12月~2019年1月に、年齢18歳以上、散発性または遺伝性の転移を有する進行性褐色細胞腫およびパラガングリオーマの患者78例(年齢中央値54歳、男性59%)を登録した(フランス保健省などの助成を受けた)。 これらの患者を、スニチニブ(37.5mg/日、39例)またはプラセボ(39例)を経口投与する群に無作為に割り付けた。プラセボ群からスニチニブ群へのクロスオーバーは許容した。 主要評価項目は、中央判定による12ヵ月の時点での無増悪生存患者の割合とし、Simon two-step designに基づき解析を行った。69%で前治療、1年無増悪生存率は36% 78例中25例(32%)が生殖細胞系SDHx遺伝子変異を有しており、54例(69%)は前治療を受けていた。 12ヵ月の時点での無増悪生存は、プラセボ群が39例中7例(19%、90%信頼区間[CI]:11~31)であったのに対し、スニチニブ群は39例中14例(36%、23~50)であり、スニチニブ群の有効性に関する仮説の妥当性が確証された。 また、無増悪生存期間中央値は、スニチニブ群8.9ヵ月、プラセボ群3.6ヵ月、全生存期間中央値はそれぞれ26.1ヵ月および49.5ヵ月、奏効率は36.1%および8.3%(両群とも完全奏効例はなく、すべて部分奏効例)であり、スニチニブ群の奏効期間中央値は12.2ヵ月だった。有害事象の多くはGrade1/2 両群とも有害事象の多くはGrade1または2であった。最も頻度の高いGrade3または4の有害事象は、無力症(スニチニブ群7例[18%]、プラセボ群1例[3%])、高血圧(5例[13%]、4例[10%])、背部痛/骨痛(1例[3%]、3例[8%])だった。 スニチニブ群で3例(呼吸不全、筋萎縮性側索硬化症、直腸出血)が死亡し、直腸出血の1例は試験薬関連死と考えられた。プラセボ群では2例(誤嚥性肺炎、敗血症性ショック)が死亡した。 著者は、「この希少がんの初めての無作為化試験は、本症における抗腫瘍効果に関して、最も高い水準のエビデンスを持つ治療選択肢としてスニチニブの使用を支持するものである」と結論し、「スニチニブは、今後、他のすべての治療選択肢と比較すべき標準的な全身療法としての役割を果たす可能性がある」と指摘している。

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薬剤推奨不要を示す臨床試験(解説:後藤信哉氏)

 欧米人は各種疾病、合併症のリスク層別化がうまい。抗凝固薬は確実に重篤な出血合併症リスクを増加させるので、メリットの明確な症例に限局して使用することには価値がある。 私は、本研究のThrombosis Risk Prediction for Patients with Cast Immobilisation (TRiP)スコアを知らなかった。私同様知らないヒトはhttps://doi.org/10.1016/j.eclinm.2020.100270を読むとよい。臨床的に比較的簡便に血栓リスクの層別化が可能である。本研究では、急性期を過ぎたのちに、low risk群(TRiP(cast)スコア<7)には抗凝固薬療法を施行せず、high risk群に抗凝固薬療法を施行した。 静脈血栓症の世界の標準治療は、低分子ヘパリン自己皮下注射である。手技としては、それなりにうっとうしい。low riskであれば、抗凝固療法の継続が不要であることを示した本試験には、一定の意味がある。高価な薬剤が増え続ける現在、薬剤を使用するよりも、使用しない推奨のできる臨床研究は価値がある。

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調剤後薬剤管理指導が“格上げ”、対象の薬と患者が拡大【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第127回

2024年度の調剤報酬改定の内容が確定しました。これまでの改定は華々しく何かがスタートしたりしましたが、あまり浮足立った感じはなく、しっかりと地に足が着いた改定のように感じます。今回は2024年度の調剤報酬改定によって新設や変更となった加算を紹介します。「調剤後薬剤管理指導料」が加算→指導料に変更薬学管理料の「調剤後薬剤管理指導加算」が廃止され、「調剤後薬剤管理指導料」が新設されます。2020年度改定で新設された調剤後薬剤管理指導加算は、薬剤を服用中の患者に対する薬剤師のフォローアップを評価する目的で新設された点数でした。その基本的な考え方は受け継がれつつ加算から指導料へ変更されたということは、これらの指導が評価されて格上げされたと考えてよいでしょう。調剤後薬剤管理指導加算の対象となっていた糖尿病薬の範囲はインスリンとSU薬でしたが、「糖尿病用剤」に拡大され、また対象患者に慢性心不全患者が追加されました。調剤後薬剤管理指導加算では、かかりつけ薬剤師管理指導料の算定患者では算定できませんでしたが、調剤後薬剤管理指導料では算定患者に対してフォローアップを実施した場合でも算定ができるようになります。加算から指導料になっても60点という点数に変更はありません。しかし、この調剤後のフォローアップが踏襲され、しかも対象が広がったということは、これを積極的に取り組んでいる薬局が評価されたということでとてもうれしいです。調剤後薬剤管理指導料を算定できる薬局は、地域支援体制加算を算定可能として届出をしている薬局です。ベースが地域支援体制加算というのは、今後も基本要件になってくる可能性は高いでしょう。「在宅移行初期管理料」が新設在宅訪問を開始する際には、あらかじめ患者さん宅やケアマネジャーさんを訪問してさまざまな確認をすると思いますが、その加算や指導料はとくにありませんでした。今回、患者さんが病院から退院するときなど、在宅医療に移行する際の薬学管理に対する評価として、新たに「在宅移行初期管理料」が導入されます。退院直後などに薬局薬剤師が患者宅を訪問し、服薬状況の確認や薬剤の管理などの必要な指導を実施した場合に、1回に限り230点を算定できます。1回だけの算定とはいえ230点は大きいですし、その1回を確実に意味のあるものにしようという気合と責任が芽生えますよね。ただし、認知症や精神疾患、小児、末期がんなど条件を満たす患者さんのうち、とくに重点的な服薬支援を行う必要性があると判断された場合に限る、とされているので、対象となる患者さんの注意が必要です。私は、日々患者さんのために頑張っている薬局や薬剤師が報われてほしいと思ってこのコラムを書いていますが、今回の改定内容を読み込めば読み込むほど、薬局がどんどん増え、薬剤師は稼げると言われた時代は過ぎ去り、地域医療のために実績を上げている薬局や薬剤師が生き残る時代に突入したのだなという実感がします。今回新設・変更された項目に対する取り組みや実績が今後の報酬改定で評価されればよいなと思います。

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認知症発症の危険因子としてのコロナ罹患【外来で役立つ!認知症Topics】第15回

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まってから、コロナと認知症との関係という新たなテーマが生まれた。まず予防には3密だと喧伝された。その結果、孤独化する高齢者が増えたので、認知症の発症が増加しているという報告が相次いだ。つまり孤独という認知症の危険因子を、コロナが一気に後押ししたという考え方である。そうだろうなとは思いつつ、このエビデンスは乏しかった。それから次第に前向きの疫学研究から、コロナ罹患と認知症発症との関係を報告するものが出てきた。そして最近では、こうしたもののレビューも報告されるようになり、なるほど、こういうことかとポイントが見えてきた。そこで今回は、認知症発症の危険因子としてのコロナ罹患を中心にまとめてみたい。スペイン風邪と認知症の関連は?まず人畜共通感染症による第1のパンデミックとされる「スペイン風邪(Spanish Flu)」を連想した。というのは、コロナはスペイン風邪をしのぐ人畜共通感染症によるパンデミックをもたらしたからだ。スペイン風邪の原因は、トリインフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスの遺伝子が混ざり合った新型のウイルス(Influenza A virus subtype H1N1の亜系)だと考えられている。そこで1918年の第1次世界大戦当時に世界的に流行したこのスペイン風邪の認知症への影響はどうだったのかと調べてみた。説得力の強いものに、デンマークで1918年当時妊娠中の母親の胎内にあったヒトに注目し、対象とコントロールで合計28万人余りのデータを用いた研究がある1)。ここでは、該当者が62~92歳に達した期間において、あらゆる認知症性疾患についての発症に注目し、その相対危険度を調査している。その結果、スペイン風邪罹患と認知症発症の間には有意な関係はなかったとされる。この報告のように、どうも積極的に両者の関係を指摘する報告は乏しいようだ。コロナと認知症、追跡期間が長いほど発症率が上昇?さてコロナについて成された近年の報告のレビューが注目された2)。多くの研究結果からは、コロナに罹患することでアルツハイマー病を含むすべての認知症の発症率はおよそ2倍と考えられている。実際、これまでの報告の多くは、60歳以上のヒトにおいては、コロナに罹患することで、亜急性期、慢性期の認知症発症は確かに高まりそうだと報告している。もっとも、コロナ罹患による認知症発症への影響力は、他の呼吸器系のインフルエンザ感染や細菌感染と大差がないとの結論になっている。一方で興味深いのは、追跡期間の違いによる認知症の発症率の相違である。すなわち発症から3ヵ月間もしくは6ヵ月間追跡した研究に比べて、1年間追跡した研究では認知症の発症率が高くなっているのである。このことは、コロナによる認知症の発症は、罹患ののち長期間にわたって続くことを示唆している。また疫学から、なぜコロナが認知症とくにアルツハイマー病に関連するかについてのレビューも興味深い3)。まずコロナへの罹患しやすさについては、加齢が最大にして唯一の危険因子だとされる。そしてその背景として高血圧、糖尿病、心疾患など、いわゆる生活習慣病が考えられている。またこうした要因が、回復を遅くすることも事実である。さらに、最初に述べたような孤独化と普通の生活に戻れないことが高齢者においてうつ病や不安を生じる間接的な要因になることも関係しているだろうとされる。ところで、すでに認知症であった人が、パンデミックによって社会的な交流がなくなったり、ケアが手薄になったりしたことで死亡率が高まった可能性もあることが述べられている。実際、パンデミック時代になってから、コロナ感染の有無にかかわらず、認知症者の死亡率が25%も高まったことを報告したメタアナリシスもある4)。認知症発症の原因として注目される炎症こうしたコロナによる認知機能の低下や認知症発症の原因として最も注目されるのは炎症、とくにこれに関わるサイトカインであろう。このサイトカインとは、ある細胞から他の細胞に情報伝達するための物質である。その中でも有名なのは、インターフェロンやインターロイキンだろう。感染量が多くなるほど、サイトカインも大量に放出されるが、それが著しい場合はサイトカインストーム(免疫暴走)と呼ばれる。サイトカインストームが起こることで大脳組織の炎症が生じる結果、認知機能に障害が生じる。なお近年では、アルツハイマー病の病因仮説として、脳の炎症説は主流の1つとなっている。また別の説として、新型コロナウイルスは、微小血管に障害をもたらし、肺の組織を障害することによって、大脳への酸素の流れに支障を来すことに注目するものがある。さらには、新型コロナウイルスとアミロイドやタウとの関係にも注目するもの、あるいはアルツハイマー病の危険因子とされるAPOE4を介して発症に関係するという考えなどもある。いずれにせよ現時点において新型コロナウイルスと認知症の発症との関係について確立しているわけではない。今後の長期的なフォローアップにより、少しずつ解明が進んでいくと思われる。参考1)Cocoros NM, et al. In utero exposure to the 1918 pandemic influenza in Denmark and risk of dementia. Influenza Other Respir Viruses. 2018;12:314-318.2)Sidharthan C. COVID-19 linked to higher dementia risk in older adults, study finds. News-Medical.Net. 2024 Feb 9.3)Axenhus M, et al. Exploring the Impact of Coronavirus Disease 2019 on Dementia: A Review. touchREVIEWS in Neurology. 2023 Mar 24.4)Axenhus M, et al. The impact of the COVID-19 pandemic on mortality in people with dementia without COVID-19: a systematic review and meta-analysis. BMC Geriatr. 2022;22:878.

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英語で「いずれにしても」は?【1分★医療英語】第121回

第121回 英語で「いずれにしても」は?《例文1》医師Regardless of the results, you can go home today.(検査結果とは関係なく、今日退院できますよ)患者Okay. That sounds great!(良かったです!)《例文2》患者Regardless of my wish, please do whatever needs to be done.(私の希望にかかわらず、必要なことをしてください)医師I will certainly do.(わかりました)《解説》“regardless of”、この表現はあらゆる場面で非常に役に立ちます。例文に示したように、“regardless”、または“regardless of~”として「いずれにしても」や「~に関係なく」という意味で使われます。医療現場では、さまざまな要素が絡み合って物事が決定されます。その中でそういった要素に影響されることなく、意思決定をする場面があります。そのような場合にこの“regardless”を用いて決定事項を強調して伝えることができます。“R”と“L”が混じっているので発音は要注意です。初めは使うのがやや難しいかもしれませんが、ぜひ、ものにしてください。講師紹介

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第205回 コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる

コロナ感染で自己免疫性リウマチ性疾患が生じ易くなる日本と韓国のそれぞれ1,200万例強と1,000万例強のデータを使った試験で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と自己免疫性炎症性リウマチ性疾患(AIRD)のリスク上昇が関連しました1,2)。自己抗原の許容が損なわれて生じる慢性の全身性筋骨格系炎症疾患一揃いがAIRDに属します3)。具体的には、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎(AS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症(SSc)、シェーグレン症候群、特発性炎症性筋炎、全身性血管炎がAIRDに含まれます。COVID-19患者がAIRDに含まれるそれら自己免疫疾患をどうやらより生じ易いことが先立ついくつかの試験で示唆されています。それらの試験はいずれも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者と非感染者の比較に限られ、インフルエンザなどの他のウイルス感染ではどうかは調べられていません。また、COVID-19後の長期の合併症の予防に寄与しうるワクチン接種などの影響の検討もなされていません。今回新たに発表された試験では、COVID-19後のAIRD発生率が非感染者に加えてインフルエンザ感染者とも比較されました。COVID-19後のAIRD発生率上昇がもし認められたとして、それがCOVID-19に限ったことなのか呼吸器のウイルス感染症で一般的なことなのかをインフルエンザとの比較により推し量ることができるからです。また、COVID-19ワクチンにSARS-CoV-2感染後のAIRD予防効果があるかどうかも調べられました。試験ではCOVID-19かインフルエンザの患者のそれらの診断から12ヵ月までの経過とそれらのどちらも感染していない人(非感染者)の経過を追いました。その結果、先立つ試験と同様にCOVID-19患者は非感染者に比べてAIRDをより被っていました。また、COVID-19患者のAIRD発生率はインフルエンザ患者より高いことも示されました。韓国と日本のCOVID-19患者のAIRD発生リスクは非感染者をそれぞれ25%と79%上回りました。また、インフルエンザ患者との比較ではCOVID-19患者のAIRD発生率がそれぞれ30%と14%高いという結果となっています。軽症のCOVID-19患者ではワクチン接種とAIRD発生率低下の関連が認められましたが、中等症~重症のCOVID-19患者ではワクチン接種のAIRD抑制効果は認められませんでした。また、より重症のCOVID-19患者ほどAIRDをより被っていました。COVID-19を経た患者、とくに重症だった患者の診察ではAIRDの発生に注意する必要があると著者は言っています。参考1)Kim MS, et al. Ann Intern Med. 2024 Mar 5. [Epub ahead of print]2)COVID-19 associated with increased risk for autoimmune inflammatory rheumatic diseases up to a year after infection / Eurekalert3)Kim H, et al. Semin Arthritis Rheum. 2020;50:526-533.

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カペシタビンによる副作用、手足症候群は外用ジクロフェナクで対策?/JCO

 カペシタビンは、乳がんや消化管がんの治療に用いられるが、頻度の高い副作用の1つに手足症候群があり、減量が必要となることがある。ソラフェニブによる手足症候群の予防には尿素クリームが有用とされているが、カペシタビンによる手足症候群の予防への有用性は明らかになっていない。また、セレコキシブは手足症候群の予防効果があるが長期連用には副作用の懸念が存在する。そこで、全インド医科大学のAkhil Santhosh氏らが、外用ジクロフェナクの手足症候群予防効果を検証する第III相無作為化比較試験を実施した。その結果、外用ジクロフェナクはプラセボと比較して、カペシタビンによる手足症候群を有意に抑制することが示された。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年2月27日号で報告された。カペシタビンによる副作用の1つ、手足症候群はジクロフェナク群で有意に低率 本研究は、カペシタビンを用いた治療を受ける乳がんまたは消化管がん患者264例を対象とした。対象患者をジクロフェナク群(1%ジクロフェナクNaゲル1gを1日2回、131例)、プラセボ群(133例)に1対1の割合で無作為に割り付け、12週間または手足症候群の発現まで塗布した。主要評価項目はGrade2/3の手足症候群の発現率、副次評価項目は全Gradeの手足症候群の発現率、手足症候群によりカペシタビンの減量に至った患者の割合などであった。 カペシタビンによる手足症候群への外用ジクロフェナクの予防効果を検証した主な結果は以下のとおり。・Grade2/3の手足症候群はプラセボ群で15.0%に発現したのに対し、ジクロフェナク群では3.8%と有意に低率であった(絶対リスク差:11.2%、95%信頼区間[CI]:4.3~18.1、p=0.003)。・全Gradeの手足症候群はプラセボ群で18.1%に発現したのに対し、ジクロフェナク群では6.1%と有意に低率であった(絶対リスク差:11.9%、95%CI:4.1~19.6、p=0.002)。・手足症候群によりカペシタビンの減量に至った患者の割合はプラセボ群13.5%に対し、ジクロフェナク群では3.8%と低率であった(絶対リスク差:9.7%、95%CI:3.0~16.4、p=0.005)。

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