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大豆製品の摂取は、乳がん患者の総死亡率を約3割削減

大豆製品の摂取は、乳がん患者の総死亡率を約3割削減する可能性があるようだ。以前から大豆製品に含まれるイソフラボンは、エストロゲン受容体調節因子として乳がんリスクの削減効果があると予想されていた。一方で、イソフラボンにはエストロゲン類似作用があり、乳がんを促進するのではないかとの懸念、さらにはイソフラボンとタモキシフェン(商品名:ノルバデックスなど)の相互作用可能性に関する心配もあった。報告は、米国Vanderbilt大学疫学センターのXiao Ou Shu氏らが、中国人の乳がん患者5,000人超について前向きに調べた大規模住民ベースコホート試験「Shanghai Breast Cancer Survival Study」の結果で、JAMA誌2009年12月9日号で発表されている。大豆摂取の最多四分位範囲群、最小四分位範囲群に比べ死亡ハザード比は0.71研究グループは2002年3月~2006年4月にかけて、20~75歳の乳がん患者、合わせて5,042人に対し調査を開始し、2009年まで追跡した。乳がんの診断後6ヵ月、18ヵ月、36ヵ月、60ヵ月のそれぞれの時点で、治療法や生活習慣、病気の進行度などについて調査を行った。被験者のうち、切除術を行わなかった9人を除く、5,033人について分析を行った。追跡期間の中央値は3.9年(0.5~6.2年)で、その間の死亡は444人、乳がんの再発または乳がんによる死亡は534人だった。その結果、大豆製品の摂取が最も多い四分位範囲群は、最も少ない四分位範囲群に比べ、総死亡に関するハザード比は0.71(95%信頼区間:0.54~0.92)、再発または乳がんによる死亡に関するハザード比は0.68(同:0.54~0.87)だった。エストロゲン受容体陽性・陰性やタモキシフェン服用にかかわらず、死亡リスク減補正後4年生存率は、大豆製品摂取が最も多い四分位範囲群が7.4%、最も少ない四分位範囲群が10.3%だった。再発または乳がんによる死亡の発生率は、同摂取の最多四分位範囲群が8.0%、最小四分位範囲群が11.2%だった。また、こうした傾向は、エストロゲン受容体陽性・陰性にかかわらず、認められた。さらに、タモキシフェンの服用・非服用者の両方で、同傾向が見られた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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群発頭痛の症状緩和に高流量酸素治療が有効

群発頭痛の症状緩和には、高流量酸素治療が有効であることが、英国ロンドンNational Hospital for Neurology and NeurosurgeryのAnna S. Cohen氏らの調べで明らかにされた。現在、急性の群発頭痛に対して公認されている治療法は、スマトリプタン(商品名:イミグラン)の皮下注射のみである。JAMA誌2009年12月9日号で発表された。高流量酸素100%を12L/分で吸入研究グループはロンドンにあるNational Hospital for Neurology and Neurosurgeryで2002~2007年にかけて、国際頭痛学会(International Headache Society)の基準で群発性頭痛の認められた、109人(18~70歳)について、二重盲無作為化プラセボ対照交差試験を行った。被験者はそれぞれ4回の頭痛について、高流量酸素治療とプラセボ治療を交互に受けた。高流量酸素群は、群発頭痛の発症時に、高流量酸素100%を12L/分の割合で顔マスクから吸入した。15分後の痛み消失は、高流量酸素群で78%、プラセボ群は20%分析対象としたのは、反復発作性群発頭痛の57人、慢性群発頭痛の19人だった。第1エンドポイントの、治療開始後15分の痛みの消失が認められた割合は、プラセボ群が20%(95%信頼区間:14~26%、148発作)だったのに対し、高流量酸素群では78%(同:71~85%、150発作)と有意差が見られた(p

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肝細胞がん治療剤「ミリプラ」1月発売

大日本住友製薬株式会社は12月21日、肝細胞がん治療剤「ミリプラ動注用70mg」(一般名:ミリプラチン水和物)を、2010年1月20日付で発売すると発表した。同剤専用の懸濁用液として「ミリプラ用懸濁用液4mL」(一般名:ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル)も同時に発売するとのこと。「ミリプラ動注用70mg」は、「ミリプラ用懸濁用液4mL」に懸濁して肝動脈内に投与する。ミリプラは、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルへの懸濁性に優れている。また、肝動脈内投与後は腫瘍局所に滞留し、長期間に渡って白金成分が徐放され、全身への曝露は少ないという。同社の臨床試験では、再発率の高い肝細胞において、初回治療だけでなく、肝切除等の他の治療後に再発した患者に対しても良好な抗腫瘍効果を示したとのこと。また、本治療法で知られている一般的な副作用が認められたが、本治療法に精通した施設においては忍容可能なものであったという。本剤投与による肝動脈の血管障害の報告もなかったとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20091215.pdf

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塩分の摂り過ぎで脳卒中と心血管疾患リスクが増大、メタ解析で明らかに

過去40年に実施されたプロスペクティブ試験のメタ解析の結果、塩分摂取量が多いと、少ない場合に比べ脳血管および心血管イベントの発生リスクが増大することが確認された。実験的研究、疫学調査、そして介入試験によっても、習慣的な塩分摂取量と血圧の間の因果関係が示され、減塩により高血圧患者だけでなく正常血圧者においても有意な降圧が得られることが報告されている。しかし、これらのうち十分な統計学的なパワーを持つ臨床試験はほとんどなく、また現状では同様の臨床試験を行うには大きな困難が伴うという。そこで、イタリア・ナポリ大学医学部臨床・実験医学科のPasquale Strazzullo氏らは過去の臨床試験のメタ解析を行い、BMJ誌2009年12月5日号(オンライン版2009年11月24日号)で報告した。塩分摂取量の多寡と脳卒中、心血管疾患リスクの関連を検討した前向き試験のメタ解析研究グループは、習慣的な塩分摂取と脳卒中、心血管疾患のアウトカムの関連について評価するために、プロスペクティブ試験に関する系統的なレビューを行い、メタ解析を実施した。1966~2008年までの医学関連データベースを検索した。適格基準を満たした論文から相対リスクおよび95%信頼区間(95%CI)を抽出し、分散逆数で重み付けした変量効果モデルを用いてプールした。不均一性および出版バイアスを評価し、サブグループ解析、メタ回帰解析を行った。適格基準には、1)成人を対象としたプロスペクティブな試験、2)ベースラインにおける塩分摂取の評価、3)アウトカムとしての脳卒中あるいは心血管疾患の評価、4)少なくとも3年以上のフォローアップ、5)個々の塩分摂取量別の対象人数およびイベント発生数の記述があることなどが含まれた。1日の塩分摂取量が5g多いと脳卒中が23%、心血管疾患が17%増える13の試験から19の独立コホートのサンプルが得られ、17万7,025人が解析の対象となった。フォローアップ期間は3.5~19年、脳血管および心血管のイベント数は1万1,000件以上にのぼった。塩分摂取量が多い群は、少ない群よりも脳卒中のリスクが有意に高く(相対リスク:1.23、95%CI:1.06~1.43、p=0.007)、心血管疾患リスクは有意差はないものの高い傾向が見られた(相対リスク:1.14、95%CI:0.99~1.32、p=0.07)。有意な出版バイアスは認めなかった。心血管疾患について感受性解析を行ったところ、1つの試験を除外するとプールされた相対リスクの推定値が1.17(95%CI:1.02~1.34)となり、有意な差が示された(p=0.02)。これら関連性は、塩分摂取量の差が大きくなるほど、またフォローアップ期間が長くなるにしたがって増強した。本試験における塩分摂取量の多い群と少ない群の摂取量の差の平均値は約5g/日(小さじ1杯分)であった。西欧諸国の習慣的な1日塩分摂取量は約10gである(東欧やアジア諸国はさらに多い)が、この5g分を減塩するとWHOの推奨摂取量である5g/日となる。著者は、「塩分摂取量が多いと、脳卒中および心血管疾患のリスクが有意に増大し、このリスクは摂取量依存性に上昇することが示された」と結論し、「塩分摂取量の測定の不正確さゆえに、効果量(effect size)が過小評価されている可能性がある」としたうえで、「心血管疾患を予防するには、一般人口における実質的な減塩の役割が大きいことが示唆される」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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パンデミックの経済への影響、疾患そのもの以上に大きな要因が

インフルエンザによるパンデミックのイギリス経済への影響については、疾患そのものよりも、学校閉鎖と「普段の生活」とのバランス、および有効なワクチンの十分な備蓄が重大な決定要因であることが、イギリス・ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のRichard D Smith氏らによる推計で示された。パンデミックへの備えとして、経済的損失を最小限に止めるための「普段の生活(business as usual)」の維持と、健康への悪影響を最小限にするための「社会距離戦略(social distancing、感染者と非感染者の接触を減少させる方策、学校や職場の閉鎖など)」とのバランスをとることが重要とされる。しかし、不安による行動の変化や政府による職場および学校の閉鎖が経済に実質的なインパクトを及ぼし、経済的損失と健康上のベネフィットのバランスが崩れる可能性があるという。BMJ誌2009年12月5日号(オンライン版2009年11月19日号)掲載の報告。パンデミックの深刻度別のシナリオにおける経済的インパクトを評価研究グループは、公表されたデータを用いて、インフルエンザによるパンデミック、ワクチンの効果、学校閉鎖、予防的欠勤がイギリス経済に及ぼすインパクトについて一般均衡モデルによる推計を行った。最新の適切なイギリス経済データとして2004年度のデータを用い、国内総生産(GDP)、各経済セクターの生産高、等価変分(equivalent variation)に関して、パンデミックの深刻度別のシナリオ(3段階の発病率と3段階の致死率の組み合わせ)におけるワクチン接種、学校閉鎖、予防的欠勤の経済的インパクトを評価した。学校閉鎖と予防的欠勤は大きな経済的損失をもたらし、有効なワクチンは損失を軽減する疾患のみに関連したコストは、低致死率のシナリオの場合はGDPの0.5~1.0%に相当し、高致死率のシナリオでは3.3~4.3%、極度の致死率では6.0~9.6%に達した。学校閉鎖の経済的インパクトは、軽度のパンデミックのシナリオの場合に特に大きかった。広範な行動の変化が起き、大規模な予防的欠勤が生じた場合には、経済的損失は著明に増大し、健康上のベネフィットはほとんど得られなかった。パンデミック前にワクチン接種を行った場合は、GDPの0.13~2.3%に相当する額が損失されずに済んだ。適合ワクチンの1回接種ではGDPの0.3~4.3%が損失されずに済み、2回接種では全シナリオを通じて経済的損失はGDPの約1%にまで抑制された。著者は、「インフルエンザによるパンデミックのイギリス経済への影響については、疾患そのものよりも、学校閉鎖と“普段の生活”とのバランス、および有効なワクチンの十分な備蓄が重大な決定要因であり、感染への不安による予防的欠勤はかなりの経済的損失をもたらす可能性がある」と結論している。また、「パンデミックの深刻度が最も低い場合でも、ワクチン接種に要するコストよりも、それによって得られる経済的恩恵の方が大きい。高~極度のパンデミックの場合は、適合ワクチン接種が、不安による行動変化がもたらす未曾有の経済的損失を回避する唯一の方法となる可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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抗凝固薬「ダビガトラン」へ期待高まる

2009年12月、急性静脈血栓塞栓症(VTE)に対する新規経口トロンビン阻害薬ダビガトランの有用性を検討した大規模臨床試験RE-COVERがNew England Journal of Medicineオンライン版に発表された。【RE-COVER試験】RE-COVER試験は、二重盲検並行群間無作為化比較試験で、非経口抗凝固剤を用いた初期治療(5~11日間)後、6ヵ月の急性症候性VTE治療期間中に、ダビガトラン群(1回150mg、1日2回投与)(1,274例)の有効性が、治療域に維持されたワルファリン群(1,265例)に非劣性であるかを調べた非劣性試験である。主要評価項目は、症候性VTE再発と全死亡の複合評価項目が設定された。RE-COVER試験の結果、ダビガトラン群のVTE再発率は2.4%、治療域に維持されたワルファリン群は2.1%となり、ダビガトランのワルファリンに対する非劣性が認められた(ハザード比1.10、95%CI 0.65~1.84、p

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退職は健康の素?

現役期間中の主観的に不良な健康状態は、退職によって実質的に改善されることが、スウェーデンStockholm大学ストレス研究所のHugo Westerlund氏らが行ったGAZELコホートに関する調査で明らかとなった。人口の高齢化が進み、多くの先進国政府は定年延長による労働力人口の増加を模索しているが、低年齢化の傾向にある引退年齢を逆行させるのは難しく、特に健康状態が不良で退職後の健康的な生活に期待を寄せながら働いている高齢の労働者の場合はそうである。「健康意識」は罹病率や死亡率とともに早期退職率の強力な予測因子であるが、仕事と退職が高齢勤労者の健康意識に及ぼす影響についてはほとんど知られていないという。Lancet誌2009年12月5日号(オンライン版2009年11月9日号)掲載の報告。退職の前後で自己評価による健康状態を調査研究グループは、高齢労働者において仕事および退職が自己評価による主観的な健康に及ぼす影響について検討する縦断的なコホート研究を実施した。1989~2007年まで毎年、GAZELコホートの労働者1万4,714人を対象に、最長で退職前7年~退職後7年までの14年にわたって自己評価による健康状態を調査した。GAZELコホートは、フランス電力・ガス公社(EDF-GDF)の労働者で構成される。彼らは公務員に準じる地位にあり、典型的には20歳代に雇用されて定年まで勤める終身雇用である。参加者の健康やライフスタイル、家族や仕事の背景に関する情報はフランス国立衛生研究所(INSERM)によって収集された。解析には、一般化推定方程式(GEE)による反復測定ロジスティック回帰を用いた。退職により不良な健康状態が有意に5%低減、労働生活を再設計すべき全体として、自己評価による不良な健康状態は加齢とともに増加した。一方、退職前後の8~10年間で主観的な健康が増進し、退職前と退職後では不良な健康状態の推定有病率が19.2%から14.3%へと低減した。この退職による主観的な健康の改善は男女ともに、また職能等級の高い者、低い者ともに有意であり、その効果は退職後7年間を通じて持続した。退職前の劣悪な労働環境および健康上の愁訴は、不良な健康状態有病率の急峻な年次増加を現役期間中持続的に促進し、退職による健康改善効果はさらに増大した。その一方で、職能等級が高くて需要が低く、かつ仕事に対する満足度の高い労働者においては、このような退職関連の改善効果は示されなかった。これらの知見は、「主観的な健康問題に関しては、理想的な就労環境にある者は別にして、すべての労働者が退職によって実質的に不健康の負担から解放されることを示唆する」と著者は結論し、「労働力人口を増やすには、高齢勤労者がより高度な労働市場へ参画できるよう、労働生活(working life)を再設計する必要がある」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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頸部痛の緩和に低出力レーザー治療が有効

低出力レーザー治療(low-level laser therapy:LLLT)は、急性期および慢性期の頸部痛の治療法として有効なことが、オーストラリアSydney大学脳・精神研究所のRoberta T Chow氏らによる系統的レビューとメタ解析の結果から判明した。人口の高齢化が進む先進諸国では、今後30年間で慢性疼痛が蔓延(まんえん)すると予測されている。なかでも慢性頸部痛は発症率が10~24%と高頻度に見られるが、薬物療法の効果および副作用に関するエビデンスは限定的で費用がかさむ病態である。頸部痛には非温熱レーザー照射が適用とされ、非侵襲的治療法であるLLLTは相対的に一般的ではないのが現状だという。Lancet誌2009年12月5日号(オンライン版2009年11月13日号)掲載の報告。LLLTとプラセボあるいは実薬対照の比較試験に関するメタ解析研究グループは、頸部痛に対するLLLTの有効性を評価した無作為化対照比較試験について系統的なレビューを行うとともにメタ解析を実施した。急性および慢性頸部痛を対象に、LLLTとプラセボあるいは実薬対照を比較した試験をデータベースで検索した。疼痛の強度を主要評価項目とした試験を抽出し、その効果量(effect size)は100mm視覚アナログスケール(VAS)の変化の差をプールした平均推定値と定義された。急性頸部痛を直ちに軽減、慢性頸部痛を最長22週にわたり緩和16の無作為化対照比較試験に登録された820例が解析の対象となった。急性頸部痛については、2つの試験でプラセボに比べLLLTの疼痛改善効果が有意に優れた(相対リスク:1.69)。カテゴリーデータが提示された5つの試験では、慢性頸部痛に対してプラセボに比しLLLTが有意に疼痛を改善した(相対リスク:4.05)。VASの変化を報告した11の試験では、疼痛強度が19.86mm低減した。7つの試験が治療終了後1~22週のフォローアップデータを記載しており、短期的な疼痛緩和とともに中期的にはVASによる疼痛強度が22.07mm低減していた。LLLTによる有害事象は軽度であり、プラセボとの差は認めなかった。著者は、「LLLTにより急性頸部痛は即座に軽減され、慢性頸部痛は最長で治療終了後22週にわたり緩和された」と結論し、「LLLTは運動と併用するといっそう効果的な可能性がある。また、広範に使用されている既存の治療法、特に薬物療法に匹敵する治療アプローチであることが示された」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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CTを用いた肺がん検診で肺がんをどこまで見つけられるか

解像度の高いマルチスライス・コンピューター断層撮影(CT)の、肺がんリスクの高い人への肺がんスクリーニング活用で、非石灰化肺結節が見つかる機会が増えている。しかし、そうした場合に臨床家が取るべき最善の行動指針(有病誤診率を増すことなく安価で手間のかからないフォローアップのあり方)に関しては明確になっておらず、各国で無作為化試験による模索が進められている。オランダ・エラスムス医療センターのRob J. van Klaveren氏らは、同国で行われている無作為化試験「NELSON」について、さらに詳細な基準(非石灰化肺結節の体積と体積倍加時間)規定のための無作為化試験評価を行い発表した。NEJM誌2009年12月3日号報告より。非石灰化肺結節の体積と体積倍加時間を評価Klaveren氏らは、全体で7,557例の参加者を、第1回CTスクリーニング(基線試験)、第2回CTスクリーニング(第1回後1年後に実施)、第3回CTスクリーニング(第2回後2年後に実施)に無作為化した試験を行った。被験者は、第1回で非石灰化肺結節発見有無にかかわらず最終的に肺がんと診断されなかった場合は、2回目以降にも参加した。本試験で評価したのは、非石灰化肺結節の体積と体積倍加時間で、2回のCT検査の間に体積が25%以上増加した場合、増大したと定義した。第1回CTスクリーニングでは、結節が見つかった場合も50立方mm未満なら陰性と診断され、50~500立方mmでも3ヵ月後のフォローアップCTで増大していなかったら陰性と、さらに増大していた場合でも体積倍加時間が400日以上である場合は陰性と診断された。その結果、陽性だったのは2.6%(196例)だった。なお最終的に肺がんと診断されたのは0.9%(70例)。第2回CTスクリーニング(7,289例が参加)では、陽性との診断に至ったのは1.8%(128例)だった。陰性で2年後に肺がんが見つかるのは3/1,000第1回CTスクリーニングの精度は94.6%(95%信頼区間:86.5~98.0)、陰性検出率は99.9%(同:99.9~100.0)だった。第1回CTスクリーニングの結果、陰性だった7,361例の被験者のうち、フォローアップ2年後に行ったCTスキャンで20例に肺がんが検出された。Klaveren氏は、1回目のCTスクリーニングで陰性だった人で、1年後に肺がんが見つかる可能性は1/1,000、2年後に見つかる可能性は3/1,000だったと報告している。(医療ライター:朝田哲明)

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進行心不全患者に対する新型の連続流型人工心臓の治療効果

進行心不全患者の生存率およびQOLは、内科的治療よりも、拍動流型左心補助人工心臓の植込み手術治療を受けた方が改善されることは知られているが、新型の連続流型人工心臓「HeartMate II」はこの拍動流型よりも小型で、拍動流型装置を上回る耐久性が期待されている。米国イリノイ州Advocate Christ Medical CenterのMark S. Slaughter氏ら新型人工心臓の研究グループが、無作為化試験を行い、その評価結果を、NEJM誌2009年12月3日号(オンライン版2009年11月17日号)で発表した。連続流型 vs. 拍動流型で2年生存率を検証試験は、心臓移植手術が不適格とされた進行心不全患者を登録し、新型の連続流型人工心臓群(134例)と、現在承認されている拍動流型人工心臓群(66例)に、2:1の比率で無作為に割り付け行われた。 主要複合エンドポイントは、植込み手術後2年時点の、障害が残る脳卒中、装置修理または交換のための再手術が行われていない生存率とした。副次エンドポイントは、生存率、有害事象の頻度、QOL、心機能とした。患者の術前特性は両群で同様だった。年齢中央値は64歳(範囲26~81歳)、平均左室駆出率17%、そして約80%の患者が強心薬の静脈内投与を受けていた。2年生存率は新型に軍配主要複合エンドポイントは、新型の連続流型群の方が134例中62例(46%)で、拍動流型群66例中7例(11%)より達成した患者が多かった(ハザード比:0.38、95%信頼区間0.27~0.54、P

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ICU患者の半数以上が感染症、75ヵ国の調査結果

集中治療室(ICU)で治療を受ける患者のおよそ半数以上が、感染症を発症していることが、75ヵ国の調査結果で明らかになった。ベルギーのErasme大学病院集中治療部門のJean-Louis Vincent氏らEPIC 2研究グループが、約1万4,000人のICU患者を調べた結果で、JAMA誌2009年12月2日号で発表された。ICU患者の感染症に関する、世界的な調査結果報告がほとんどない中、本試験は1992年に行われたEPIC研究(西欧17ヵ国、ICU 1,417ヵ所)データのup-to-dateを目的に行われた。感染者のうち気道感染が64%Vincent氏らは、2007年5月8日に、75ヵ国、1265ヵ所のICUで治療を受けていた、合わせて1万4,414人の患者について調査を行った。分析対象となったのは、そのうちの1万3,796人(18歳超)についてだった。被験者のうち、感染症が認められたのは、51%にあたる7,087人で、抗菌薬の投与を受けていたのは71%の9,084人だった。そのうち、気道感染は4,503人(感染者の64%)、微生物培養の結果が陽性だったのは4,947人(同70%)だった。分離菌がグラム陰性菌だったのは62%、グラム陽性菌は47%、また真菌への感染は19%だった。感染者の院内死亡率は、非感染者の1.51倍調査日までのICU滞在日数が長い患者の方が、感染率は高く、特に耐性ブドウ球菌、アシネトバクター、シュードモナス、カンジダへの感染が多かった。感染者のICU死亡率は25%で、非感染者の同率は11%、また院内死亡率も、感染者が33%に対し非感染者が15%と、それぞれ2倍以上だった(p

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大腸がん肝転移へのベバシズマブを含む化学療法、予後予測はCTがRECISTより適切

大腸がん肝転移に対するベバシズマブ(商品名:アバスチン)を含む化学療法について、コンピュータ断層撮影(CT)による形態学的判定の方が、固形がん治療効果判定基準(RECIST)よりも、病理学的所見や生存率予測に適切であることがわかった。米国テキサス大学腫瘍外科のYun Shin Chun氏らが、50人超の大腸がん肝転移患者について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年12月2日号で発表した。RECISTは、細胞毒性化学療法後の腫瘍縮小を判定するために作られたもので、ベバシズマブのような細胞分裂阻害薬の効果判定にも用いることができるのか疑問視されていた。CT形態学的判定は生存率や病理学的所見に相関ありChun氏らは、2004~2007年にかけて、大腸がん肝転移患者50人の234ヵ所の腫瘍について、試験を行った(追跡期間最終日は2008年3月)。被験者は、ベバシズマブを用いた化学療法を行った後、肝切除術を行った。また、化学療法実施の前後に、造影CTを行い、3人の放射線科医が形態学的判定を行った。なお、検証コホートとして、肝切除術が不適切で、ベバシズマブを用いた化学療法を行った大腸がん肝転移82人についても調査を行った。その結果、被験者を形態学的判定により3分類した場合の、形態学的反応「適正」群の腫瘍切除標本の残存腫瘍率中央値は20%(四分位範囲:10~30%)だった。次いで、形態学的反応「不完全」群が50%(同:30~60)、「無反応」群が70%(同:60~70、p

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“ベンザルコニウム塩化物”+“低濃度アルコール”の手指用消毒液、抗インフルエンザウイルス効果を確認

ライオン株式会社は9日、同社と財団法人北里環境科学センターが、手指用消毒液のインフルエンザウイルスに対する効果を確認する中で、「ベンザルコニウム塩化物に低濃度アルコールを組み合わせた手指用消毒液」に、インフルエンザウイルスに対して殺菌効果があることを確認したと発表した。厚生労働省の「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」によると、インフルエンザウイルスを殺菌するには、60~80vol%のアルコール濃度が有効であると言われている。今回の結果により、低濃度のアルコールでも殺菌成分を組み合わせることで、インフルエンザウイルスに対して、殺菌効果を発現することを確認したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.lion.co.jp/ja/company/press/2009/2009103.htm

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骨髄異形成症候群治療剤の製造販売承認申請

日本新薬株式会社は9日、2006年に米国ファーミオン社(現セルジーン社)より導入し、同社が国内で開発を進めていた骨髄異形成症候群治療剤(国内開発記号:NS-17、一般名:アザシチジン)について、同日、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表した。骨髄異形成症候群(MDS:Myelodysplastic syndromes)は、高率で白血病への移行がみられる予後不良の難治性疾患。主な症状には、貧血による全身倦怠感、白血球減少による易感染性、血小板減少による出血傾向、また合併症として、頻回輸血による鉄過剰症や多臓器障害等があげられる。同剤は、MDSの腫瘍細胞のDNAで高頻度にみられる異常なメチル化を阻害することで、正常な造血細胞の分化増殖を導き、併せて腫瘍細胞に対する殺細胞効果を有する。既に欧米をはじめとして20ヶ国以上で販売され、米国ではFAB分類における全てのMDS患者への治療薬として、Vidazaの商品名で販売されており、寛解をもたらすことが難しいMDS治療の第一選択薬として使用されている。高リスクMDS患者を対象とした海外臨床試験では、生存期間中央値が従来の治療群にて15.0ヶ月であったのに対し、アザシチジン群では24.5ヶ月と9.4ヶ月の有意な延長が確認されたとのこと。この承認申請については、同社が国内で実施した臨床試験、および海外で実施された臨床試験から得られた有効性および安全性データをもとに申請した。なお、同剤は、2008年11月に希少疾病用医薬品の指定を受けていて、優先審査の対象となっている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.nippon-shinyaku.co.jp/assets/files/pdfs/ir/ns2009/091209.pdf

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多彩な冠疾患のリスクマーカー、その強みと弱み

冠疾患との関連が指摘されるリスクマーカーは心理社会的、行動的、生物学的など多様である一方、それぞれが現にガイドラインに含まれている。そうした中で、これまでのシステマティックレビューは、1つのリスクマーカー、1つの研究デザインに焦点を合わせた「縦」の比較検討がされてきたが、異なるタイプのリスクマーカー、異なる固有の限界や不足を有する異なる研究デザインを組み込んでの「水平」比較が必要ではないかとの指摘が高まった。ロンドン大学衛生熱帯医学校のHannah Kuper氏らは、この「水平」比較に取り組み、BMJ誌2009年11月28日号(オンライン版2009年11月5日号)で結果を発表した。うつ、運動、CRP、2型糖尿病の4つのリスクマーカーを水平比較冠疾患の多様なリスクマーカーのエビデンスを系統的に比較するための新しい方法論を開発し、さらに求められたエビデンスとガイドラインにおける勧告とを比較するため、Kuper氏らは、Medlineとガイドラインを基に水平システマティックレビューを行った。2人のレビュアーにより、4つのリスクマーカー(うつ、運動、C反応性蛋白:CRP、2型糖尿病)のエビデンスを求めた3つの異なる試験デザイン(観察研究、遺伝子研究、無作為化試験)の適格性を判定。4つのリスクマーカーについて、観察研究の大規模メタ解析、遺伝学的研究、メタ解析と個々の無作為化試験の分析が行われた。現行ガイドラインは、うつとの関連に重きを置きすぎている観察研究のメタ解析による冠疾患の補正相対リスクは、うつが1.9(95%信頼区間:1.5~2.4)、運動の最高と最低との4分位の比較で0.7(0.5~1.0)、CRPの最高と最低との3分位の比較で1.6(1.5~1.7)、そして糖尿病では女性は3.0(2.4~3.7)、男性は2.0(1.8~2.3)だった。事前特定された試験の限界は、うつと運動で最も多く見られたという。遺伝的変化を用いて交絡因子を排除するメンデル無作為化試験のメタ解析では、CRPを特定することはできた(ただしそれがもたらす影響の裏づけはできなかった)が、運動、糖尿病、うつの影響については確認できなかった。無作為化試験の検討からは、冠疾患の発病率とうつ、運動、CRPとの関連を示すエビデンスは求められず、糖尿病患者の試験において、血糖コントロールが冠疾患リスクに対する予防効果があることがわずかに認められた。冠疾患患者にうつ病治療を行っていた4つの無作為化試験は、いずれも冠動脈イベントリスクの低下は示されていなかった。これらを踏まえ、2007年に公表された2つのガイドラインと今回の水平エビデンス・レビューとを比較した結果、ガイドラインではうつに重きを置きすぎているという点で明らかな食い違いが見られたという。研究グループは、今回の水平システマティックレビューによって、うつ、運動、CRP、糖尿病を冠疾患の原因とするエビデンスの弱みと強みを特定することができたと述べ、この新しい手法が、今後のガイドラインおよび研究開発に寄与するであろうと報告をまとめている。

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低用量アスピリン、糖尿病患者の心血管イベント1次予防効果はメタ解析でもやはり不明

糖尿病患者の主要な心血管イベントの1次予防に、ほとんどのガイドラインで、低用量アスピリンの投与が推奨されている。しかし一方では、その効果については論争の的ともなっている。イタリアのConsorzio Mario Negri SudのGiorgia De Berardis氏らのグループは、最新の無作為化試験を含むメタ解析を行った結果、明白な利点は証明されなかったことを報告した。BMJ誌2009年11月28日号(オンライン版2009年11月6日号)掲載より。アスピリンとプラセボを比較した無作為化試験をメタ解析Berardis氏らは、心血管疾患のない糖尿病患者に対する低用量アスピリンの有効性と有害性を評価することを目的として、無作為化試験のメタ解析を行った。Medline(1966年~2008年11月)、コクランライブラリー2008にて文献検索を行い、データを収集・解析した。試験適格としたのは、糖尿病患者で心血管疾患の既往のない患者についてアスピリンとプラセボとの比較を無作為化試験で行っていたもので、文献検索された157試験のうち適格となったのは6試験だった(患者10,117例)。主要な心血管イベント(心血管系による死亡、非致死性の心筋梗塞、非致死性の脳卒中、全死因死亡)に関するデータを抽出し、ランダム影響モデルを用いて分析。結果は相対リスクで表し、95%信頼区間とともに報告された。明らかなベネフィットは見いだせず結果、アスピリン投与がプラセボと比べて、主要心血管イベントリスク(5研究:9,584例)の相対リスクは0.90(95%信頼区間:0.81~1.00)、心血管系による死亡(4研究:8,557例)は0.94(0.72~1.23)、全死因死亡(4研究:8,557例)は1.05(0.93~0.82)で、統計学的に有意に心血管イベントを減少することは見いだされなかった。心筋梗塞(I2=62.2%; P=0.02)と脳卒中(I2=52.5%; P=0.08)に関する解析では有意な不均一性が見つかった。アスピリンは男性で有意に心筋梗塞のリスクを低下させたが(0.57、0.34~0.94)、女性では認められなかった(1.08、0.71~1.65)。脳卒中では投与量(100mg/日以下と超)、投与期間(5年以下と超)の違いによる影響が見られた。有害関連エビデンスは一貫していなかった。Berardis氏は、糖尿病患者のアスピリンの主要な心血管イベントの1次予防に対するメリットは明らかにできなかったと述べ、男女差による効果の影響の可能性を指摘し、さらに毒性についてはさらなる調査が必要と述べている。

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Florbetaben(フロルベタベン)の第III相臨床試験を開始

独バイエル・シエーリング・ファーマ社(以下 BSP社)は11月30日(現地時間)、アルツハイマー病(AD)の診断を支援するflorbetaben(フロルベタベン)の臨床開発を前進させると報告した。BSP社は、第95回北米放射線学会(RSNA)で、脳内におけるベータアミロイドの沈着を検出するPETトレーサーとしてフロルベタベン(BAY94-9172)の有効性と安全性を評価する国際第III相臨床試験について、最初の患者が登録されたと発表した。試験には、明らかな認知症患者(例えばAD)とそうでない患者が登録される予定だという。フロルベタベンは先の第II相臨床試験で、AD患者の病理学的特徴である脳のベータアミロイド沈着が検出可能となることを成功裏に実証した。第III相臨床試験の主要評価項目と副次的評価項目は、フロルベタベンを投与したPET画像の局所的なフロルベタベンの取り込み状態の視覚的評価と定量的評価を病理組織標本と比較し、それぞれ感度と特異度を評価すること。試験の主要部分は2011年の終了が見込まれているが、病理組織学的検査が必要なため、完了は2014年以降になるという。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-12_07_2.html

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リアルタイムPCR 法による検出キットが発売

扶桑薬品工業株式会社は7日、同社と公立大学法人大阪府立大学が産学共同で開発し、タカラバイオ株式会社に実施許諾しているカンピロバクター検出のためのプライマー配列(細胞膨化致死毒素:Cytolethaldistending toxin 遺伝子のC サブユニットをターゲット)について、新たにタカラバイオ社より、リアルタイムPCR 技術を組み合わせたカンピロバクター属菌の2菌種を特異的かつ迅速に検出・同定する「CycleavePCR Campylobacter (jejuni/coli) Typing Kit」を発売すると発表した。新発売の同製品は、従来品に比べ、より迅速に(約1.5 時間)、また高感度にC. jejuni, C. coli の両菌種の同定が可能。1~2 日間程度増菌培養と組み合わせることにより、検体中に含まれるわずかな数の菌も短時間で検出できる。本菌によるアウトブレイク(集団事例)発生時の感染源の特定や食品等の製造工程管理、工場衛生管理などにおいて極めて有用性が高く、市場性が高いものと期待されるという。なお、同製品の製造販売は、タカラバイオ社が独占的に行うが扶桑薬品工業には販売額に応じてロイヤルティ収入が支払われるとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.fuso-pharm.co.jp/news_topics/pdf/2009_12_07.pdf

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疲れが取れていないと実感する人は85%!?

 ロート製薬株式会社は4日、インターネット調査で実施した「疲れに関する調査」の結果報告を発表した。調査によると、8割以上の人が「休んでもなかなか取れない疲れ」を実感していて、自分に合った疲労解消法を求めている人が多いことがわかったという。 調査は、一般成人男女(20代~60代)1,003名を対象に行われた。結果では、「しっかり休んでも、疲れが取れていない」と実感することが「よくある」人33.5%、「ときどきある」人51.3%と、約85%の成人男女が疲れがなかなか取れないことに日頃から悩まされていることがわかった。疲れが取れていないと実感するシーンとしては「しっかり寝ても朝だるくて起きるのが苦痛になるとき」という人が63.8%と最も多く、『疲れ⇔睡眠の質の低下⇔朝すっきり起きられない』の悪循環に陥る人が増えているようだという。 また、疲労を解消するために、「自宅でゆっくり過ごす」「とにかく睡眠をとる」「スポーツをする」など様々な方法を試みているようだが、「この方法がベストだと思わないが、他にこれといった方法が見つからない」と答えた人が41%、「とりあえずは解消するが、またすぐに疲れがたまる」と答えた人が 28.6%と、約70%の人が「疲労解消のベストな方法」を求めていることがわかったとのこと。

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認知症は失明よりも身体障害の重大な要因:低~中所得国の高齢者

 認知症は、低~中所得国の高齢者の身体障害に寄与する最大の要因であることが、イギリスKing’s College London精神研究所精神保健センターのRenata M Sousa氏らによる地域住民ベースの調査で明らかとなった。2004年の世界疾病負担(Global Burden of Disease)の推計では、身体障害を伴う生存年(YLD)は全世界で7億5,100万年であり、その68%は非伝染性の慢性疾患によるものだが、この慢性疾患に起因する身体障害の負担の84%は低~中所得国で発生している。しかし、特に低~中所得国の高齢者の身体障害について検討した調査はほとんどないという。Lancet誌2009年11月28日号掲載の報告。7ヵ国11地域に居住する高齢者1万5,000人を対象とした横断的調査 研究グループは、身体的、精神的、認知的な疾患が身体障害に及ぼす影響を評価し、健康に関する社会人口学的な特性によって身体障害の地理的分布の差をどの程度説明できるかについて検討するために横断的な調査を実施した。 低~中所得の7ヵ国(中国、インド、キューバ、ドミニカ、ベネズエラ、メキシコ、ペルー)の11地域に居住する65歳以上の高齢者1万5,022人が対象となった。身体障害の評価には、12項目からなるWHOの身体障害評価スケジュール2.0を使用した。認知症、うつ、高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を確認するための臨床評価として、種々の疾患について自己申告に基づく診断を行った。 人口寄与有病率分画(population-attributable prevalence fraction; PAPF)を算出するために、負の2項分布回帰およびPoisson回帰分析によって、身体障害スコアに対する独立の要因の評価を行った。認知症のPAPFが最も高い、慢性的な脳や心の疾患は優先順位を高くすべき インドとベネズエラの農村部を除き、身体障害に寄与する最大の要因は認知症であった(PAPF中央値:25.1%)。それ以外の実質的な要因としては、脳卒中(同:11.4%)、四肢障害(同:10.5%)、関節炎(同:9.9%)、うつ(同:8.3%)、視力障害(同:6.8%)、消化器障害(同:6.5%)が確認された。 身体障害の地域間差は、健康に関する社会人口学的な特性の構造的な差によるところが大きかった。 著者は、「世界疾病負担の解析では、低~中所得国の高齢者における身体障害の最大の要因は失明とされていたが、今回の実証的な調査では認知症の寄与が最も大きかった」と結論し、「慢性的な脳や心の疾患は優先順位を高くすべきである。身体障害に加え、介護者への依存にともない、ストレスの多い複雑で長期的な課題を介護者にもたらすことから、社会的なコストが膨大なものになる」と指摘する。

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