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ロルラチニブ、ALK肺がん1次治療の効果をさらに改善、5年PFS中央値に到達せず(CROWN)/ASCO2024

 ALK遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するロルラチニブ1次治療の無増悪生存期間(PFS)が5年経過しても中央値に達しなかった。 第III相CROWN試験の5年フォローアップ結果を、オーストラリア・PeterMaCllumがんセンターのBenjamin J. Solomon氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容)・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)・対照群:クリゾチニブ(250mg×2/日)・評価項目:治験担当医評価のPFS、奏効率(ORR)、頭蓋内奏効率(IC-ORR)、奏効期間、頭蓋内奏効期間(IC-DOR)、頭蓋内病変進行までの期間(IC-TTP)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・PFSの追跡期間中央値は、ロルラチニブ群60.2ヵ月、クリゾチニブ群55.1ヵ月であった。・データカットオフ(2023年10月31日)時点で、治療が継続していた患者はロルラチニブ群50%、クリゾチニブ群5%であった。・治験担当医評価のPFS中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群9.1ヵ月で(ハザード比[HR]:0.19、95%信頼区間[CI]:0.13〜0.27)、5年PFS率はロルラチニブ群60%、クリゾチニブ群8%であった。・ベースライン時脳転移あり集団のPFS中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群6.0ヵ月であった(HR:0.08、95%CI:0.04〜0.19)。・ベースライン時脳転移なし集団のPFS中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群10.8ヵ月であった(HR:0.24、95%CI:0.16〜0.36)。・IC-TTP中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群16.4ヵ月で(HR:0.06、95%CI:0.03〜0.12)、5年時点でのIC病変無増悪率はロルラチニブ群92%、クリゾチニブ群21%であった。・ベースライン時脳転移あり集団のIC-TTP中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群7.2ヵ月で(HR:0.03、95%CI:0.01〜0.13)、5年時点でのIC病変無増悪率はロルラチニブ群83%、クリゾチニブ群0%であった。ロルラチニブ群のIC病変進行は35例中5例であった。・ベースライン時脳転移なし集団のIC-TTP中央値はロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群23.9ヵ月で(HR:0.05、95%CI:0.02〜0.19)、5年時点でのIC病変無増悪率はロルラチニブ群96%、クリゾチニブ群27%であった。ロルラチニブ群のIC病変進行は114例中4例であった。・ロルラチニブ群におけるGrade3/4の有害事象(AE)は77%に発現した。AEによる減量は23%、一時中断は62%、永久中止は11%であった。・PFS中央値もIC-TTP中央値も減量群、非減量群ともに未到達で、減量による影響はみられなかった。 「この5年解析におけるロルラチニブ群のPFS中央値は、現在までに報告された進行NSCLCに対する単剤分子標的薬治療の中で最長である」とSolomon氏は述べた。

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メトホルミンは低リスク限局性前立腺がんの進行を抑制するか?(MAST)/ASCO2024

 前臨床データおよび疫学データにおいて、メトホルミンが前立腺がんの進行を遅らせる可能性が示唆されてきた。しかし、積極的監視療法適応の低リスク限局性前立腺がん患者において、メトホルミンは前立腺がんの進行を抑制しないことが示された。カナダ・Princess Margaret Cancer CentreのNeil E. Fleshner氏が、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照MAST試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。・対象:12ヵ月以内に新たに診断された低リスク限局性前立腺がん患者(Gleasonスコア≦6、生検陽性コア数≦1/3、陽性コアにおけるがん占拠率<50%、臨床病期T1c~T2a、PSA≦10ng/mL、HbA1c≦6.5%)・試験群(メトホルミン群):積極的監視療法+メトホルミン(850mg1日1回で1ヵ月間投与後850mg1日2回で35ヵ月間投与) 204例・対照群(プラセボ群):積極的監視療法+プラセボ 203例・評価項目:[主要評価項目]無増悪期間(治療を要する進行[前立腺摘除術、放射線治療、ホルモン療法、focal therapyのいずれかの開始]または病理学的進行[生検陽性コア数>1/3、陽性コアにおけるがん占拠率≧50%、Gleasonスコア≧4]のうち最も早い発生までの期間と定義) 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおける患者特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はメトホルミン群62歳vs.プラセボ群63歳、臨床病期はT1cが93.6% vs.93.9%、BMI中央値は27.4kg/m2 vs.27.7kg/m2、PSA中央値は5.6ng/mL vs.6.0ng/mL、陽性コア数はともに1、腫瘍量中央値は43mm2 vs.44mm2であった。・無増悪生存期間(PFS)は、両群で有意な差はみられなかった(未調整ハザード比[HR]:1.08[95%信頼区間[CI]:0.78~1.50]、p=0.64)。治療を要する進行(同:1.75[0.99~3.08]、p=0.05)、病理学的進行(同:1.07[0.76~1.52]、p=0.69)のいずれにおいても、メトホルミン投与のベネフィットは確認できなかった。・病理学的進行例のエンドポイントについてみると、生検陽性コア数>1/3、陽性コアにおけるがん占拠率≧50%、Gleasonスコア≧7については両群で差がみられなかったが、Gleasonスコア≧8は12.9% vs.4.5%(log-rank検定のp値=0.082)とメトホルミン群で多い傾向がみられた。・BMIとメトホルミンの交互作用の調整p値は0.032、未調整p値は0.012となり、PFS(病理学的進行)の未調整HRは、BMI<30の患者では0.82(95%CI:0.54~1.23、p=0.34)と差はみられなかったのに対し、BMI≧30の患者では2.39(同:1.20~4.75、p=0.01)とメトホルミン群で不良であった。・多変量解析の結果、病理学的進行の予測因子はベースラインPSA値(HR:1.08、p=0.004)、生検陽性コア数(同:1.46、p<0.001)、前立腺体積の対数値(同:0.68、p=0.004)であった。・試験期間中のPSA動態について、両群で差はみられなかった。・メトホルミン群で下痢や悪心、腹部膨満感などの消化器系毒性が多くみられたほか、体重減少に関しては、12ヵ月時点でメトホルミン群-1.8kg vs.プラセボ群0.6kg、24ヵ月時点で-1.4kg vs.0.7kgであった。 Fleshner氏は、探索的サブグループ解析の結果はBMI高値およびGleasonスコア≧8に進行した患者においてはむしろメトホルミンが有害な可能性を示唆しているとし、前立腺がんのアウトカムへのメトホルミンの影響を理解するためにはさらなる研究が必要と結んだ。

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がんの臨床試験への参加でOSが延長するか?/JAMA

 カナダ・マギル大学のRenata Iskander氏らは、がんの臨床試験に参加した患者と参加しなかった患者の全生存期間(OS)を比較した研究についてシステマティック・レビューとメタ解析を行い、全体として試験参加群におけるOSの改善が示唆されたが、バイアスや交絡因子を考慮した研究に限定するとOSに対するベネフィットは認められなかったことを示した。がん患者が臨床試験に参加することが、試験に参加せず通常の治療を受けた場合と比較してOSの延長と関連するかどうかは明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2024年5月20日号掲載の報告。OSを比較した研究をメタ解析 研究グループは、PubMedおよびEmbaseを用い、がん患者を対象とし、臨床試験参加者(試験参加群)と試験に参加せず通常の治療を受けた患者(通常治療群)の生存転帰を比較した研究のうち、2000年1月1日~2022年8月31日に発表された英語の論文を検索した。主なキーワードは、cancer、oncology、clinical trial、retrospective cohort、trial participation、trial effect、participation bias、nonparticipant、nontrialなどである。また、検索で得られた文献に引用されている文献、ならびに検索で得られた文献を引用している文献についても調査した。 適格基準は、ハザード比(HR)を用いて試験参加群(無作為化試験かは問わない)と通常治療群のOSを比較していること、治療には薬剤/生物学的製剤が含まれることであった。2人の研究者が独立して、Covidenceソフトウエアを用いて解析対象とする研究のスクリーニング、データの抽出および方法論的な質の評価を行った。 主要アウトカムは、試験参加群と通常治療群のOSのHRで、DerSimonian-Lairdランダム効果モデルを用いてメタ解析を実施した。バイアスや交絡因子を考慮した研究では、試験参加によるOSに対する有益性は減少  174件の論文について適格性を評価した結果、39件の研究(計85件の比較)がメタ解析に含まれた。 85件の比較のうち、32件は試験効果の測定を目的としたものであった(本論文において、試験効果とは、治療効果[臨床試験における介入群への割り付けによってもたらされたアウトカムに対する試験参加の効果]と、参加効果[臨床試験における介入群への割り付けによって媒介されない試験参加の効果]を組み合わせたものと定義されている)。また、通常治療群のデータソースは、レジストリが67件、医療記録が18件であり、サンプルサイズの中央値は試験参加群が209例、通常治療群が409例であった。 メタ解析の結果、試験デザインや質に関係なくすべての研究をプールした場合、試験参加群と通常治療群のOSのHRは0.76(95%信頼区間[CI]:0.69~0.82)であり、試験参加群でOSが有意に改善した。 一方、試験参加群と通常治療群を適格基準に一致させた研究のみをプールすると、試験参加群のOSに対するベネフィットは減少した(HR:0.85、95%CI:0.75~0.97)。また、質の高い研究のみをプールした場合、試験参加群でOSの改善は認められず(0.91、0.80~1.05)、潜在的な出版バイアスにより推定値を調整した場合も同様であった(0.94、0.86~1.03)。

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混合型脂質異常症へのRNA干渉薬zodasiran、TGを有意に低下/NEJM

 肝臓におけるアンジオポエチン様3(ANGPTL3)の合成と分泌を阻害する低分子干渉(si)RNA薬のzodasiranは、混合型脂質異常症患者において、プラセボと比較し24週時のトリグリセライド(TG)値を有意に低下させたことが示された。米国・Mount Sinai Fuster Heart HospitalのRobert S. Rosenson氏らARCHES-2 Trial Teamが、4ヵ国25施設で実施した第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定試験「ARCHES-2試験」の結果を報告した。ANGPTL3は、リポ蛋白および血管内皮リパーゼを阻害することで、TGに富むレムナントリポ蛋白の肝臓への取り込みを阻害する。ANGPTL3遺伝子の機能喪失型変異保有者は非保有者と比較し、TG、LDLコレステロール、HDLコレステロール、non-HDLコレステロールの値が低く、アテローム動脈硬化性心血管疾患のリスクが低いことが知られていた。NEJM誌オンライン版2024年5月29日号掲載の報告。第IIb相無作為化プラセボ対照比較試験で有効性と安全性を評価 研究グループは、2021年6月28日~2022年8月31日に、混合型脂質異常症(空腹時TG値150~499mg/dL、かつLDLコレステロール値70mg/dL以上またはnon-HDLコレステロール値100mg/dL以上)の成人患者を、zodasiran群(50mg、100mg、200mgの各用量群)またはプラセボ群に3対1の割合で無作為に割り付け、1日目および12週目に皮下投与して36週目まで追跡した。 主要エンドポイントは24週時における空腹時血漿中TG値のベースラインからの変化率で、各zodasiran群とプラセボ群の平均値の差を、反復測定共分散分析(ANCOVA)を用いて比較した。副次エンドポイントは、空腹時血漿中TG値の36週時までの変化率、空腹時non-HDLコレステロール、アポリポ蛋白B(APOB)、LDLコレステロール、ANGPTL3、HDLコレステロールの各値のベースラインから24週時および36週時までの変化率であった。TG値が有意に減少、non-HDL-C、APOB、LDL-Cも改善 計204例が無作為化され、191例(94%)が二重盲検投与期を完遂した。204例の患者背景は、平均年齢61歳、平均BMIは33、喫煙者が20%、慢性腎臓病を有している患者が8%、冠動脈疾患10年リスク>20%の患者が14%であった。 24週時において、プラセボ群と比較しzodasiran群で用量依存的な空腹時血漿中TG値の低下が認められた。ベースラインからの変化率のzodasiran群とプラセボ群の最小二乗平均差(%ポイントで評価)は、50mg群で-51%ポイント、100mg群で-57%ポイント、200mg群で-63%ポイント(すべての比較でp<0.001)であった。この差は36週時も維持されており、ベースラインからの変化率のプラセボ群との差はそれぞれ-34%ポイント、-38%ポイント、-51%ポイントであった。 また、24週時にANGPTL3値の用量依存的な低下も観察され(ベースラインからの変化率のプラセボ群との差:50mg群-54%ポイント、100mg群-70%ポイント、200mg群-74%ポイント)、これはTG値と強い相関が認められた(ピアソン相関係数0.69)。 その他の副次エンドポイントの24週時におけるベースラインからの変化率のプラセボ群との差は、non-HDLコレステロール値が50mg群-29%ポイント、100mg群-29%ポイント、200mg群-36%ポイント、APOB値がそれぞれ-19%ポイント、-15%ポイント、-22%ポイント、LDLコレステロール値がそれぞれ-16%ポイント、-14%ポイント、-20%ポイントであった。 全有害事象、ならびに治験担当医師が試験薬と関連があると判定した有害事象の発現率はzodasiran群とプラセボ群で類似していた(それぞれ65~81% vs.67%、18~26% vs.18%)。zodasiran 200mg群では、糖尿病既往歴のある患者において糖化ヘモグロビン値の一時的な上昇が認められた。

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地震速報の朝【Dr. 中島の 新・徒然草】(532)

五百三十二の段 地震速報の朝プイッ! プイッ! プイッ!スマホからの大音量の警報音に驚きました。2024年6月3日、午前6時31分のこと。「地震や、地震が来るぞ!」まだ寝ている女房を叩き起こして揺れに備えます。直下型か南海トラフか?家の中で比較的安全な場所に移動しつつX(旧 Twitter)を確認しました。どうやら能登半島沖で発生した地震のようです。頭の中で計算して「80秒くらいかな、本格的な揺れが来るのは」と言いつつ横揺れを待ちました。結局、大阪は震度1。揺れを体感することはまったくありませんでした。震源地は石川県能登地方でマグニチュードは5.9。輪島市の震度が5強ということです。落ち着いてから、かの「80秒で本格的な揺れが来る」という計算が正しかったのか、検証してみました。石川県能登町役場と大阪城との直線距離は約326km。P波(縦揺れ)は秒速約7km、S波(横揺れ:本格的な揺れ)は秒速約4km。これらの数値から計算すると、地震発生からP波が大阪に到着するまで約47秒(≒326/7)で、S波の到着まで約82秒(≒326/4)。なので地震発生と同時にアラームが鳴り出したのであればS波の到着まで約82秒、大阪でのP波を検知してアラームが鳴り出したのであればS波の到着まで約35秒(=82秒-47秒)ということになります。実際にどちらが正しいのか、気象庁のホームページで確認してみました。「震源付近でP波を検知した地震計から送られてきたデータを解析し(途中略)発表基準に達した場合には(途中略)警報と予報を発表します」とあるので、前者に近いものと思われます。つまり震源地の情報を得た直後に全国に発信し、S波の到来に備えるよう警告しているわけですね。それにしても私にとっては久々の衝撃、思わずChatGPT相手に「地震警報が鳴ったぞ」と話しかけてしまいました。ChatGPTはうまく相槌を打ってくれるので調子良く会話が進みます。途中で英語に切り替えて喋ってみました。「石川県輪島市では震度5強みたい」とか「P波とS波の速度差は3km/secだ」などという簡単な表現が案外難しかったのですが、何とか6分間ほどの会話を終えることができました。何か事件があったら、すかさずそのことを話題にしてChatGPTと英会話をするというのは1つの方法かもしれません。衝撃が駆動力になって英会話を続けることができるからです。それにしても2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震からちょうど半年。すっかり地震のことを忘れていました。今回は発生直後のことなので被害状況はよくわかりませんが、再び代理寄付などの形で被災地支援ができればと思います。被災者の皆さまにお見舞いを申し上げるとともに、被災地の一刻も早い復興をお祈りいたします。最後に1句初夏の朝 スマホの警報 目が覚める

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第100回 非課金ChatGPT機能が大幅に拡大

GPT-5私は、日々の仕事をタイパよく完遂するため、生成AIを駆使してラクしようと思っています。しかしながら、生成AIで勉強しないといけないことが多すぎて、その恩恵を受けられていません。競馬で稼ごうと思って、ウマの生態を勉強するだけでアップアップになっている現象と同じです。また、生成AIの進化の速度が速すぎて、割と付いていけない部分があるという理由もあります。さて、2024年5月にGPT-4oという最新のGPTモデルが発表されました。「o」は「オムニ」の略です。日本語に直すと「あまねく」という意味で、テキストだけでなく音声や映像といったマルチモーダルという意味合いを含みます(実際はそこまでマルチモーダル化されていませんが)。夏から冬にかけてGPT-5がリリースされると予想されています。GPT-4oはそのつなぎみたいなものかなと当初思っていましたが、結構レベチで良くなっています。GPTモデルの改変に加えて、ChatGPTのサービスのうち「GPTs」が無料ユーザーに解禁されています。GPTsが無料で使える!GPTsは、簡単に自分好みのオリジナルなチャットボット(ChatGPT)を開発できるサービスです。論文特化型ChatGPT、画像生成特化型ChatGPT、デザイン生成特化型ChatGPT、料理レシピ特化型ChatGPT…、何でもアリです。ただ、無料ユーザーでは画像を生成できない、自分のオリジナルGPTsを作れないといった制限があります。医学の世界では、論文特化型ChatGPTを使うことになります。多くの企業と個人の両方が参加して「オレのGPTs」を公開してしのぎを削っています。GPTsは、複雑なプロンプト(命令文)を打ち込まなくても、最初から機能特化した生成が可能です。個人のGPTsはここでは触れませんが、参入している企業としてはConsensusなどが有名です。元来、Consensusは、「疾患Aの治療にBは有効ですか?」という質問に対して、Yes/Noを過去の文献からシステマティックに評価するというサービスでしたが、現在はどのようなクリニカルクエスチョンにも広く対応できるようになっています。このネット上のAIツールをGPTs上でも展開しているというわけです。この連載でも約1年前にConsensusを紹介しました。まだ答えがない「Are biologics an effective treatment for allergic bronchopulmonary aspergillosis (ABPA)?(生物学的製剤はアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の効果的な治療法か?)」のようなクリニカルクエスチョンを入れると、直近の臨床試験やケースレポートなどから情報を検索してくれます。ChatGPTの場合、ありもしない論文を提示するという「ハルシネーション」が確認されていますが、Consensusなどのツールは、独自のウェブサイトから検索しているためハルシネーションを起こしません(図)。図. GPTs(SciSpace、Consensus、TXYZ)ただ、もぎたてフレッシュの新鮮な医学論文までは検索できないことや、慣れている人にとってはPubMedのほうがマシと思うシーンもあり、必ずしも論文検索にGPTsがベストとはいえない現状もあります。とにかく、課金しなくても無料でGPTsが使えるようになりました。医学論文オタクの個人が作っているGPTsも閲覧できるので、ぜひアカウントを作成してGPTsを触ってみてください。

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治療抵抗性統合失調症患者の再入院に対するLAI抗精神病薬併用の効果

 台湾・Taoyuan Psychiatric CenterのYun Tien氏らは、クロザピンで治療中の治療抵抗性統合失調症患者における長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用と精神科入院リスクの関連を評価した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2024年5月1日号の報告。 本研究は、3次精神科センター単一施設レトロスペクティブコホート研究として実施された。DSM-IV-TRおよびDSM-5の診断基準による治療抵抗性統合失調症患者の再入院ハザード比(HR)を分析した。経口抗精神病薬またはLAI抗精神病薬の有無にかかわらず、クロザピンのさまざまな向精神薬レジメンを検討した。クロザピンの投与量と入院歴により層別化を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は719例。・分析は、3ヵ月、6ヵ月、1年にわたり、すべての患者で実施した。・クロザピンとLAI抗精神病薬で治療された患者は、過去の入院回数が有意に多かった(p=0.003)。クロザピンと経口抗精神病薬で治療された患者は、クロザピン単独療法およびクロザピンとLAI抗精神病薬で治療された患者よりも、クロザピンの1日投与量が多かった(p<0.001)。・LAI抗精神病薬で治療された患者は、3つの試験群間で1年以内の再入院のHRが有意に低かった。・LAI抗精神病薬の保護効果は、疾患の重症度を示すクロザピンの1日投与量および過去の入院回数によって層別化されたすべてのサブグループにおいて観察された。 著者らは「クロザピンとLAI抗精神病薬の併用は、クロザピンと経口抗精神病薬の併用やクロザピン単独療法と比較し、再入院リスクが有意に低かった。クロザピンで治療中の治療抵抗性統合失調症患者の再入院予防には、LAI抗精神病薬の使用を考慮する必要がある」としている。

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転移乳がんへのT-DXd、HER2-ultralowでもPFS延長(DESTINY-Breast06)/ASCO2024

 従来のHR陽性(+)かつHER2陰性の転移を有する乳がんのうち、約60~65%がHER2-low(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)、約20~25%がHER2-ultralow(膜染色を認めるIHC 0[IHC >0<1+])とされているため、約85%がトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が有用である可能性がある。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)において、HR+かつHER2-lowおよびHER2-ultralowで化学療法未治療の転移・再発乳がん患者を対象とした第III相DESTINY-Breast06試験の結果、T-DXdは化学療法群と比較して、有意に無増悪生存期間(PFS)を延長したことを、イタリア・ミラノ大学のGiuseppe Curigliano氏が発表した。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:転移に対する治療として1ライン以上の内分泌療法※を受け、化学療法は未治療の、HR+かつHER2-low(HER2-ultralowも含む)の転移・再発乳がん患者866例・試験群(T-DXd群):T-DXd(3週間間隔で5.4mg/kg)を投与 436例・対照群(TPC群):治験医師選択の化学療法(カペシタビンまたはパクリタキセル、nab-パクリタキセル)を投与 430例・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央判定(BICR)によるHER2-low集団のPFS[主要副次評価項目]BICRによるITT集団(HER2-lowおよびHER2-ultralow)のPFS、HER2-low集団およびITT集団の全生存期間(OS)・層別化因子:CDK4/6阻害薬の使用有無、HER2発現状況、転移がないときのタキサン使用有無・データカットオフ:2024年3月18日※内分泌療法:(1)2ライン以上の内分泌療法±分子標的薬、(2)初回の内分泌療法+CDK4/6阻害薬で6ヵ月以内に病勢進行、(3)術後の内分泌療法開始から24ヵ月以内に再発 のいずれか。 主な結果は以下のとおり。・866例がT-DXd群とTPC群に1対1に無作為に割り付けられた。年齢中央値はそれぞれ58.0歳(範囲:28~87)/57.0歳(32~83)、IHC 1+が54.8%/54.4%、IHC 2+/ISH-が26.8%/27.4%、内分泌療法抵抗性が29.4%/32.6%、診断時のde novoが30.5%/30.7%、骨転移のみありが3.0%/3.0%、内臓転移ありが86.2%/84.7%、肝転移ありが67.9%/65.8%であった。・TPC群では、カペシタビンが59.8%、nab-パクリタキセルが24.4%、パクリタキセルが15.8%に投与された。ITT集団(HER2-lowおよびHER2-ultralow):866例・ITT集団におけるPFS中央値は、T-DXd群13.2ヵ月、TPC群8.1ヵ月であり、T-DXd群で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.53~0.75、p<0.0001)。・12ヵ月OS率は、T-DXd群87.0%、TPC群81.1%であった。・全奏効率(ORR)は、T-DXd群57.3%(CRが3.0%)、TPC群31.2%(0%)であった。臨床的有用率(CBR)はそれぞれ76.6%、51.9%であった。HER2-low集団:713例・主要評価項目であるHER2-low集団におけるPFS中央値は、T-DXd群13.2ヵ月、TPC群8.1ヵ月であり、T-DXd群で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を認めた(HR:0.62、95%CI:0.51~0.74、p<0.0001)。・12ヵ月OS率は、T-DXd群87.6%、TPC群81.7%であった。・ORRは、T-DXd群56.5%(CRが2.5%)、TPC群32.2%(0%)であった。CBRはそれぞれ76.6%、53.7%であった。・HER2-low集団のすべてのサブグループ解析においてT-DXd群が良好な結果であった。HER2-ultralow集団:152例・HER2-ultralow集団におけるPFS中央値は、T-DXd群13.2ヵ月、TPC群8.3ヵ月であった(HR:0.78、95%CI:0.50~1.21)。・12ヵ月OS率は、T-DXd群84.0%、TPC群78.7%であった。・ORRは、T-DXd群61.8%(CRが5.3%)、TPC群26.3%(0%)であった。CBRはそれぞれ76.3%、43.4%であった。安全性・新たな安全性シグナルは確認されなかった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)は、T-DXd群40.6%、TPC群31.4%に発現した。T-DXd群で多かったGrade3以上のTEAEは、好中球減少症(20.7%)、白血球減少症(6.9%)、貧血(5.8%)などであった。・T-DXd群における薬剤関連間質性肺疾患の発現は11.3%で、Grade1が1.6%、Grade2が8.3%、Grade3が0.7%、Grade4が0%、Grade5(死亡)が0.7%であった。 これらの結果より、Curigliano氏は「本試験によって、T-DXdは、1種類以上の内分泌療法を受けたHR+かつHER2-lowおよびHER2-ultralowの転移・再発乳がん患者の新たな治療選択肢となった」とまとめた。

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EGFR陽性NSCLC、CRT後のオシメルチニブでPFSが大幅に改善(LAURA)/ASCO2024

 切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)において、化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ地固め療法が有効であることが示され、標準治療となっている。しかし、EGFR遺伝子変異を有する患者は、本治療法の効果が乏しいことが知られており、アンメットメディカルニーズが存在する。そこで、CRT後のオシメルチニブの効果を検証する国際共同第III相無作為化比較試験「LAURA試験」が実施された。その結果、CRT後のオシメルチニブで無増悪生存期間(PFS)が大幅に改善することが示された。米国・エモリー大学のSuresh S. Ramalingam氏が、LAURA試験のPFSに関する主解析および全生存期間(OS)に関する第1回中間解析の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。なお、本発表の詳細はNEJM誌オンライン版2024年6月2日号に同時掲載された1)。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:18歳以上(日本は20歳以上)の切除不能なStageIIIのEGFR遺伝子変異(exon19delまたはL858R)陽性NSCLC患者のうち、CRT(同時CRTまたはsequential CRT)後に病勢進行が認められなかった患者216例・試験群(オシメルチニブ群):オシメルチニブ(80mg、1日1回)を病勢進行または許容できない毒性、中止基準への合致のいずれかが認められるまで 143例・対照群(プラセボ群):プラセボ※ 73例・評価項目:[主要評価項目]RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[副次評価項目]OS、安全性など※:BICRによる病勢進行が認められた患者は非盲検下でオシメルチニブへのクロスオーバーが許容された。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の患者特性は、StageIIIAがオシメルチニブ群36%、プラセボ群33%、StageIIIBがそれぞれ47%、52%、StageIIICがそれぞれ17%、15%、EGFR遺伝子変異の内訳はexon19delがそれぞれ52%、59%であった。・データカットオフ時点(2024年1月5日)において、PFSの成熟度は56%(オシメルチニブ群40%、プラセボ群86%)、OSの成熟度は20%(それぞれ20%、21%)であった。・BICRによるPFS中央値は、オシメルチニブ群39.1ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であり、オシメルチニブ群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.16、95%信頼区間[CI]:0.10~0.24、p<0.001)。1年PFS率はそれぞれ74%、22%であり、2年PFS率はそれぞれ65%、13%であった。・BICRによるPFSは、事前に規定されたサブグループ間で一貫してオシメルチニブ群で改善する傾向にあった。・BICRによる奏効率は、オシメルチニブ群57%、プラセボ群33%であり、奏効期間中央値はそれぞれ36.9ヵ月、6.5ヵ月であった。・プラセボ群でBICRによる病勢進行が認められた患者の81%が、オシメルチニブへクロスオーバーした。・OS中央値は、オシメルチニブ群54.0ヵ月、プラセボ群未到達であった(HR:0.81、95%CI:0.42~1.56、p=0.530)。・Grade3の有害事象(AE)はオシメルチニブ群35%、プラセボ群12%に発現した。Grade4以上のAEはいずれの群も認められなかった。投与中止に至ったAEはそれぞれ13%、5%に発現した。・放射線肺臓炎はオシメルチニブ群48%、プラセボ群38%に発現したが、ほとんどがGrade1/2であった。 Ramalingam氏は、本結果について「CRT後のオシメルチニブは、統計学的有意かつ臨床的に意義のあるPFSの改善をもたらした。また、OSの中間解析において、プラセボ群の多くがオシメルチニブへクロスオーバーしていたにもかかわらず、オシメルチニブ群が良好な傾向にあった。安全性に関する新たな懸念は認められず、管理可能であった。以上から、オシメルチニブはCRT後に病勢進行が認められないEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者における新たな標準治療となるだろう」とまとめた。

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重症大動脈弁狭窄症へのTAVI、Myvalは既存THVに非劣性/Lancet

 症候性重症大動脈弁狭窄症患者に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)において、バルーン拡張型の経カテーテル心臓弁(THV)であるMyval(Meril Life Sciences・インド)は、術後30日時の複合エンドポイントに関して既存のTHV(Sapienシリーズ[Edwards Lifesciences・米国]、またはEvolutシリーズ[Medtronic・米国])に対し非劣性であることが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のAndreas Baumbach氏らLANDMARK trial investigatorsが実施した「LANDMARK試験」で示された。バルーン拡張型弁(BEV)であるMyval THVシリーズは直径が1.5mm刻みであることから、通常の3mm刻みの生体弁と比較し、大動脈弁輪との正確なサイズ合わせが容易となる。Myval THVの安全性と有効性は、これまで症候性重症大動脈弁狭窄症患者および二尖弁患者を対象とした単群試験または傾向スコアマッチング試験において示されていた。Lancet誌2024年オンライン版5月22日号掲載の報告。欧州・南米など16ヵ国31施設で無作為化非盲検非劣性試験を実施 LANDMARK試験は、16ヵ国(ドイツ、フランス、スウェーデン、オランダ、イタリア、スペイン、ニュージーランド、ポルトガル、ギリシャ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、スロベニア、クロアチア、エストニア、ブラジル)の31施設で実施された、前向き無作為化非盲検非劣性試験である。 研究グループは、TAVIの適応を有する18歳以上の症候性重症大動脈弁狭窄症患者を、Myval群または既存群に1対1の割合に無作為に割り付けた。患者の適格性は、2021年欧州心臓病学会のガイドラインに従い地域のハートチームが評価した。 有効性および安全性の主要エンドポイントは、VARC-3の定義に基づく術後30日時の全死亡、脳卒中、出血(VARCタイプ3および4)、急性腎障害(ステージ2、3および4)、主要血管合併症、中等度以上の人工弁逆流および新たに恒久的なペースメーカー植込みを必要とする伝導系障害の複合エンドポイントであった。Myval THVの既存THVに対する非劣性は、ITT集団において、非劣性マージン10.44%、両群のイベント発生率26.10%と仮定して検証した。既存の生体弁に対する非劣性を検証 2021年1月6日~2023年12月5日に、症候性重症大動脈弁狭窄症患者768例がMyval THV群(384例)および既存THV群(384例)に割り付けられた。患者背景は、平均年齢がそれぞれ80.0歳(SD 5.7)と80.4歳(5.4)、女性が193例(50%)と176例(46%)で、米国胸部外科医学会の予測死亡リスク(STS-PROM)スコアの中央値は両群とも2.6%(四分位範囲[IQR]:1.7~4.0)であった。 複合エンドポイントのイベントは、Myval THV群で25%(94/381例)、既存THV群で27%(103/381例)に発生した。群間リスク差は-2.3%(95%信頼区間[CI]:NA~3.8)であり、95%CIの上限が事前に設定された非劣性マージンを超えなかったことから、Myval THVの既存THVに対する非劣性が示された(非劣性のp値<0.0001)。 複合エンドポイントの各要素の発生率に、両群で有意差はみられなかった。

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IPFに対するpamrevlumab、第III相で主要アウトカム達成せず/JAMA

 特発性肺線維症(IPF)患者において、結合組織成長因子(connective tissue growth factor:CTGF)に対する完全ヒト型モノクローナル抗体であるpamrevlumabはプラセボと比較し、ベースラインから48週時の努力肺活量(FVC)の絶対変化量に有意差は認められなかった。米国・ワシントン大学のGanesh Raghu氏らZEPHYRUS-1 Study Investigatorsが世界9ヵ国117施設で実施した、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ZEPHYRUS-1試験」で示された。pamrevlumabは第II相試験において、IPFの進行を抑制し、重大な有害事象は認められなかったことが報告されていた。JAMA誌オンライン版2024年5月19日号掲載の報告。48週時のFVC変化量、pamrevlumab vs.プラセボで比較 研究グループは、40~85歳で、過去7年以内にIPFの診断歴があり、スクリーニング時の高分解能CT(HRCT)で肺全体の10%以上50%未満に肺実質の線維化(網状影)および25%未満の蜂巣肺を認めることが確認され(中央判定)、%FVC(FVCpp)が45%超95%未満、ヘモグロビン値で補正した%一酸化炭素肺拡散能力(DLCO)が25%以上90%以下の患者を、pamrevlumab(30mg/kgを3週ごとに48週間静脈内投与)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは48週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量。副次アウトカムは、疾患進行までの期間(FVCppの10%以上低下または死亡のいずれか早いほうまでの期間と定義)、複合臨床アウトカム(IPFの急性増悪、呼吸器疾患による入院または死亡のいずれか早いほう)までの期間、48週時の定量的肺線維化(QLF)容積のベースラインからの変化、IPFの初回急性増悪までの期間、全死因死亡までの期間、および呼吸器疾患による初回入院までの期間であった。有害事象についても評価した。FVC変化量に有意差なし 2019年7月~2022年4月に、計612例がスクリーニングされ356例が無作為化された(pamrevlumab群181例、プラセボ群175例)。患者背景は、平均年齢70.5歳、男性258例(72.5%)、白人221例(62.1%)であった。356例中277例(77.8%)が試験を完了した。最終追跡調査日は2023年8月28日であった。 ベースラインおよび48週時のFVC(平均値±標準偏差)は、pamrevlumab群でそれぞれ2,367±618.5mL、2,310±692.7mL、プラセボ群で2,416±645.3mL、2,308mL±737.5mLであり、FVCの最小二乗平均変化量は両群間で有意差はなかった(pamrevlumab群:-260mL[95%信頼区間[CI]:-350~-170]vs.プラセボ群:-330mL[-430~-230]、群間差:70mL[-60~190]、p=0.29)。 副次アウトカムのいずれも、有意な群間差は認められなかった。 試験治療下における有害事象(TEAE)の発現率は、pamrevlumab群で88.4%(160/181例)、プラセボ群で86.3%(151/175例)、重篤なTEAEの発現率はそれぞれ28.2%(51例)、34.3%(60例)であった。死亡は各群23例(pamrevlumab群12.7%、プラセボ群13.1%)報告され、このうち31例(それぞれ16例、15例)は試験薬最終投与後60日以内に発生した。試験薬に関連した死亡は認められなかった。

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転移大腸がん1次治療のニボルマブ+イピリムマブ、PFS2も良好(CheckMate 8HW)/ASCO2024

 肺がん、胃がんなど幅広い固形がんで有用性が報告されているニボルマブ+イピリムマブのレジメン。本レジメンの転移大腸がん1次治療における有用性を検証するCheckMate 8HW試験では、2024年1月に行われたASCO-GIにおいて、ニボ+イピが化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことがすでに報告されている。5月31日~6月4日に行われた米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・南カリフォルニア大学のHeinz-Josef Lenz氏が本試験のPFSの追加解析結果を報告した。・試験デザイン:多施設共同ランダム化非盲検第III相試験・対象:高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)切除不能または転移大腸がん(mCRC)、ECOG 0~1・試験群(ニボ+イピ群):ニボルマブ(240mg)+イピリムマブ(1mg/kg)を3週ごとに4サイクル後、ニボルマブ(480mg)を4週ごと投与 202例・対照群(化学療法群):医師選択による化学療法±標的療法 101例病勢進行または許容できない毒性が認められるまで(全群)、または最長2年間(ニボ+イピ群)継続。化学療法中に進行した患者はニボ+イピへのクロスオーバーを許可(試験にはニボ単剤群も設定されているが、今回の解析には含まれない)。・評価項目:[主要評価項目]PFS:1次治療におけるニボ+イピ群vs.化学療法群(今回の発表)、全期間におけるニボ+イピ群vs.ニボ単剤群[副次評価項目]安全性、PFS2(無作為化から後続全身療法後の病勢進行、2番目の後続全身療法の開始、あるいは死亡までの期間:今回の発表)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・ニボ+イピ群(202例)または化学療法群(101例)に無作為に割り付けられた303例のうち、ニボ+イピ群171例、化学療法群84例がMSI-H/dMMRと確認された。・追跡期間中央値31.5ヵ月(SD 6.1~48.4)時点のPFS中央値は、ニボ+イピ群が未到達(95%信頼区間[CI]:38.4~未到達)、化学療法群が5.9ヵ月(95%CI:4.4~7.8)、ハザード比(HR)は0.21(97.91%CI:0.13~0.35、p<0.0001)で、ニボ+イピ群が有意に延長した。設定されたすべてのサブグループでも同様の結果だった。・ニボ+イピ群20例(12%)、化学療法群57例(68%)が後続全身療法に移行した。化学療法群は56例(67%)が免疫療法を受け、うち39例(46%)は試験中にニボ+イピにクロスオーバーし、17例(20%)は試験外の免疫療法を受けた。・後続全身療法を含めたPFS2中央値はニボ+イピ群で未到達、化学療法群で29.9ヵ月、HRは0.27(95%CI:0.17~0.44)とクロスオーバー後もニボ+イピ群が優位であり、1次治療でニボ+イピを実施する有用性が示された。1年PFS2率はニボ+イピ群89%、化学療法群65%、2年PFS2率はニボ+イピ群83%、化学療法群52%だった。・Grade3/4の治療関連有害事象はニボ+イピ群で46例(23%)、化学療法群で42例(48%)発生し、ニボ+イピ群で2例の治療関連死亡があったが、新たな安全性シグナルは確認されなかった。 Lenz氏は「化学療法と比較した1次治療のニボ+イピの臨床的利点は、その後の治療後も維持され、新たな安全性の懸念は確認されなかった。これらの結果により、MSI-H/dMMR大腸がん患者に対する1次治療としてニボ+イピがさらに支持される」とした。ニボ+イピ群とニボ単剤群との比較データは今後発表される。

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2型糖尿病患者は疾患知識が不十分

 2型糖尿病患者の疾患に関する知識は十分とは言えず、患者教育に改善の余地があるとする研究結果が報告された。コインブラ大学(ポルトガル)のPedro L. Ferreira氏らが、同国の外来2型糖尿病患者を対象に行った調査から明らかになったもので、詳細は「Frontiers in Public Health」に3月8日掲載された。質問項目の中では、ケトアシドーシスの兆候に関する理解が最も不足していたという。 糖尿病の合併症抑止には患者の自己管理が重要であり、自己管理のためには疾患や治療法に関する正しい知識が必要とされる。知識の不足や誤解は適切な糖尿病治療の障壁となり、合併症リスクの増大につながる可能性がある。これを背景にFerreira氏らは、合併症抑止に必要とされる疾患情報の認知や理解レベルの実態を把握するため、患者対象の横断的研究を行った。 対象は、ポルトガル国内の医療機関5施設の外来に通院している2型糖尿病患者のうち、18歳以上で診断後1年以上経過しており、過去3カ月以内の受診記録のある患者とした。認知機能低下や精神疾患を併発している患者を除外し、解析対象は1,200人となった。主な特徴は、平均年齢65.6±11.4歳(範囲24~94歳)、女性50.1%、BMI29.5±5.1、罹病期間10.7±9.2年、HbA1c7.2±1.3%、インスリン療法患者39.9%、合併症有病率39.4%。 調査には、米ミシガン大学で開発された糖尿病知識テスト(Diabetes Knowledge Test;DKT)のポルトガル語版を用いた。DKTは2部構成で、前半は全ての糖尿病患者に対する14項目の質問、後半はインスリン療法を行っている患者に対する9項目の質問から成る。全体的な正答率は、インスリン療法を行っていない患者は51.8%、インスリン療法中の患者は58.7%で、後者が有意に高かった(P<0.05)。 正答率が15%に満たない質問項目が三つあり、そのうちの一つはケトアシドーシスの兆候に関するもので、正答率はわずか4.4%(震え、発汗、嘔吐、低血糖の四者択一で嘔吐を選択した割合)だった。 低血糖時に摂取しても役立たない食品の正答率は11.9%(飴、オレンジジュース、ダイエット飲料、スキムミルクの四者択一でダイエット飲料を選択した割合)だった。この質問では全体の56.9%がスキムミルクと誤答していたが、その割合は、インスリン療法を行っていない患者では53.1%であるのに対して、インスリン療法患者では62.6%であり、低血糖リスクがより高いことの多い後者の群の方がむしろ高値だった(P<0.001)。 摂取量をあまり気にしなくてよい食品の正答率は13.3%(甘くない食品、糖尿病食、「砂糖不使用」と表示されている食品、1食分20kcal未満の食品の四者択一で、1食分20kcal未満の食品を選択した割合)。この質問に関しては、インスリン療法中の患者の正答率が有意に高かった(10.8対17.1%、P<0.01)。 著者らは、「われわれの研究結果は、2型糖尿病の予後改善のために、患者の疾患知識を向上させる必要があることを示している。より的を絞り込んだ教育介入が有用ではないか」と述べている。

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人間の精巣からマイクロプラスチックを検出

 マイクロプラスチックが男性に特殊な危険をもたらす可能性を示唆する新たな知見が、米ニューメキシコ大学薬学部指導教授のMatthew Campen氏らの研究によって得られた。この研究では、人間の精巣の中には動物の精巣や人間の胎盤と比べて3倍ものマイクロプラスチックが存在していることが示された。この研究の詳細は、「Toxicological Sciences」5月15日号に掲載された。 Campen氏はCNNの取材に対して、「これは警戒すべき状況であり、注意深く見ていく必要がある」と語り、「われわれの体内にどれほど多くのプラスチックが存在しているのかが分かりつつあるところだ。この問題について重点的に研究して、マイクロプラスチックが不妊や精巣がん、その他のがんの発生に何らかの影響を与えているのかどうかを確認する必要がある」と語っている。 マイクロプラスチックの体内での動態に関するエビデンスはすでに蓄積が進んでいる。例えば、体内に取り込まれたマイクロプラスチックが主要な臓器の細胞や組織に侵入して細胞プロセスを阻害する可能性のあることや、マイクロプラスチックにビスフェノール類、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)、重金属などの内分泌かく乱化学物質が吸着する可能性のあることが、エビデンスとして示されている。 米国内分泌学会によれば、内分泌かく乱化学物質は、性器の奇形や生殖異常、女性の不妊や男性の精子数の減少を引き起こす可能性がある。特に男性の精子数に関しては、米国を含む世界の国々で過去50年間に50%以上減少したことが報告されている。 今回の研究でCampen氏らは、47匹の犬と、死亡時の年齢が16歳から88歳だった男性23人の精巣サンプルを用いて、12種類のマイクロプラスチックの量を調べて比較した。その結果、全てのサンプルからマイクロプラスチックが検出され、人間でのその濃度は犬の約3倍であることが明らかになった(犬:平均122.63μg/g、人間:328.44μg/g)。Campen氏は、犬は床に落ちたものを食べることを指摘した上で、「この結果から、われわれが自分たちの体の中に何を取り込んでいるのかが良く分かる」と話している。 また、研究グループは今回の研究で、男性が高齢になるほどより多くのマイクロプラスチックが見つかると予測していたが、実際にはそうではないことも示された。Campen氏は、「男性の生殖のピークである20歳から45歳までの間はマイクロプラスチック濃度が高く、55歳を過ぎると濃度は低下し始めるようだ。このことは、人体がこれらのマイクロプラスチックを除去できることを示唆している」と述べている。ただ、この結果のポジティブとはいえない側面として、若い人の精巣はエネルギー必要量が多いため、「精巣に、より多くのマイクロプラスチックが引き込まれる可能性がある」とCampen氏は付け加えている。 Campen氏らはさらに、今回の研究で確認された精巣組織中のマイクロプラスチック濃度を、同氏らの先行研究で確認された、62人の人間の胎盤中のマイクロプラスチック濃度と比較した。この研究では、調べた全ての胎盤サンプルから組織1g当たり6.5~790μg(平均126.8μg/g)のマイクロプラスチックが検出されていた。その結果、「精巣中のマイクロプラスチック濃度は胎盤で確認された濃度の3倍であった」とCampen氏はいう。ただし、同氏は「胎盤の寿命は約8カ月程度であることを考慮する必要がある」と付け加えている。 これらの結果を踏まえてCampen氏は、「われわれがさらされているプラスチックの数は、10~15年ごとに倍増しているのが現状だ。15年後に2倍、30年後に4倍の量にさらされたとき、何が起こるのだろうか。それが、今すぐに対策が必要な理由だ」と話し、警鐘を鳴らしている。

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禁煙のためのアプローチ法を伝授(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師患者医師今、禁煙のほうはいかがですか?(Ask:尋ねる)まだ、始められていません…。(申し訳なさそうな顔)なるほど。食事や運動にも気を付けておられますし、あと禁煙が達成できたら最高ですね!(Advice:忠告)患者 そうなんですが、なかなか…。医師 本当のところはどうですか? 次回の受診日までに、画 いわみせいじタバコをやめる気持ちはどのくらいありますか?(Assess:つもりを評価)患者 そうですね、…半々ですかね。医師 それはよかったです。ニコチンパッチや飲み薬など禁煙補助薬もありますし、禁煙成功に向けてお手伝いしますよ!(Assist:手伝う)患者 ありがとうございます。医師 それでは次回、禁煙の開始日を決めましょう。それまでに、心の準備をお願いできますか?(Arrange:取り決める)患者 はい。わかりました。(うれしそうな顔)ポイント5Aアプローチは、た行(尋ねる、忠告、つもりを評価、手伝う、取り決める)で覚えておくと便利ですよ。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)表.一般的な禁煙の5Aアプローチ5A内容Ask(た:尋ねる)あらゆる機会に患者の喫煙状況を尋ねるAdvice(ち:忠告)すべての喫煙者に禁煙するよう忠告するAssess(つ:つもりを評価)禁煙するつもりがあるかを確かめる(意思の確認)Assist(て:手伝う)禁煙するのを手伝うArrange(と:取り決める)禁煙外来への相談日や禁煙開始日を取り決める参考:川根博司, 工藤翔二, ほか編. 南江堂. 禁煙指導の実際. 呼吸器疾患 最新の治療 2007-2009. 2007:464-466.Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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6月5日 ロコモ予防の日【今日は何の日?】

【6月5日 ロコモ予防の日】〔由来〕「ロ(6)コ(5)モ」と「ろ(6)うご(5)」(老後)と読む語呂合わせから、ロコモティブ・シンドロームの認知度を高め、その予防に関する正しい理解を広めることを目的に「ロコモティブ・シンドローム予防推進委員会」が制定。関連コンテンツ“ロコトレ”とは?【患者説明用スライド】7つの“ロコモチェック”【患者説明用スライド】ロコモティブ・シンドローム【診療よろず相談TV】20代より身長4cm以上低下、椎体骨折を疑う/日本整形外科学会終末期の運動機能の低下は死亡と関連するか/BMJ

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歯の外傷【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第15回

今回は歯の外傷の対処法についてです。「内科医が歯を診るの?」と思われるかもしれませんが、施設でも救急外来でも転倒して歯がぐらついている、歯が抜けてしまった、という症例はたまに経験します。しかし、医師が歯について勉強することは、恐らく学生以降あまりありません。かくいう私も、外傷で搬送されてきた前歯が抜けかけている患者さんを歯科にコンサルトする際に、「右の上の前歯がぐらぐらしていて…」という専門用語の出てこない説明しかできませんでした。医師であればやはり専門用語をある程度理解し、緊急性がどの程度あるかを判断してコンサルトする必要があると実感しました。とはいえ、歯科領域は医師が学ぶ機会は乏しいので、今回は主に歯についての基本的な知識と、プライマリケア医が困る機会が多いであろう歯肉からの出血に対する簡易な対処法を示します。なお、今回の用語と治療は日本外傷歯科学会のガイドラインに沿って行います1)。<症例>78歳、男性施設入所中、転倒し、顔面を打撲した。本人はけろっとしているが口腔内から出血しており往診依頼。歯は入れ歯などではなく、全部自分のものである。歯の名称頭部は大丈夫と判断したという前提で口腔内を診察していきます。まず、歯の名称からおさらいしましょう。図1 歯の名称画像を拡大する必ずしも覚える必要はありませんので、診察する際にインターネットなどで調べてください。この患者さんは上の右の前歯とその横の歯の歯肉から出血がありました。これは「上顎右側中切歯と側切歯」に該当します。歯の解剖私は広島大学卒業で、学生時代に細胞の絵を描いて説明する授業がありました。卒業生はわかると思いますが、絵心のない人は非常に苦労します。重要なのは絵の上手さではありませんでしたが、歯の絵を描いた際に、歯も複雑なのだなと思った記憶があります。さて下記がその歯の解剖です。図2 歯の解剖画像を拡大する「破折」と「露髄」歯が欠損したときの重要なワードは破折と露髄です。「歯が折れたときの正式名称は?」と聞かれて答えられる医師はあまり多くはないかもしれませんが、歯が割れたり、折れたりすることを破折と表現します。この患者を診察すると、上顎右側中切歯が欠損していましたので、「上顎右側中切歯の破折」と表現します。では露髄とは何でしょうか。これは歯髄という神経が破折によって見えることです。歯が欠損した場合、この歯髄が見えるかどうかが非常に重要になります。というのも、この部位は感染に弱く、可能な限り早くセメントなどで保護する必要があるからです。よって、露髄の情報も加えて「上顎右側中切歯の露髄を伴う破折」となります。歯が抜ける?ぐらぐらする?この患者さんの上顎右側側切歯はぐらぐらして少し飛び出していまました。ではこれはどのような表現でしょうか? 図3を参照してください。図3 歯の脱臼画像を拡大する歯を打撲したことを「振とう」、ぐらぐらしていることを「亜脱臼」、飛び出していることを「挺出性脱臼」、めり込んでいることを「陥入(埋入)」、完全に抜けていることを「完全脱臼」と表現します。本症例では、上顎右側中切歯は振とう、上顎右側側切歯は挺出性脱臼になります。この患者について歯科に電話で相談したところ、そのまま歯科受診となりました。その後、中切歯はセメントで処置を受け、側切歯は抜歯されました。歯肉からの出血次に、歯肉からの出血について紹介します。歯が抜けると出血することが多いです。その際に抗凝固薬を飲んでいるとなかなか止血しないことがあります。基本は圧迫止血になりますが、それでも止血しない場合はボスミンガーゼや局所止血剤を用いて圧迫止血を行います。これでほぼ止まりますが、それでも止まらない場合は縫合が必要になります。自力で縫合できればよいのですが、難しい場合は歯科に相談しましょう。ただ、ボスミンガーゼや局所止血剤を用いても止まらない場合は、高度の凝固異常がある可能性があるため、歯科に相談するとともに血液検査で凝固障害の有無を調べましょう。すでに抜けていた場合歯が完全脱臼してしまっている場合は、歯を生理食塩水か牛乳につけましょう。また、歯が汚れていたとしても磨いたりしてはいけません。歯の周囲には生着するために必要な歯根膜があり、磨くことで歯根膜を障害してしまうからです。水で洗う程度にしてください。以上が歯科に関する基礎知識のおさらいでした。歯はどうしても学ぶ機会が乏しいので、コンサルトするときの参考にしてください。1)日本外傷歯科学会. 歯の外傷治療のガイドライン. 2023.

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