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事例001 ユビデカレノン錠の査定【斬らレセプト シーズン4】

解説高血圧症の患者に虚血性心疾患の症状が発現したためユビデカレノン錠を処方したところ、A事由(医学的に適応と認められないもの)が適用されて査定となりました。ユビデカレノン錠の添付文書の効果・効能には、「基礎治療施行中の軽度及び中等度のうっ血性心不全症状」と記載があります。レセプトに表示された「虚血性心疾患」は、心不全を来たす基礎疾患も含まれた総称的な病名とされており、確実に心不全を伴っていることを表す病名ではありません。したがって、「効果・効能に記載された要件を満たしていない」と判断され、病名不足を表すA事由が適用されたものと推測ができます。医師には、軽度であっても確実に心不全状態であることが伝わる病名もしくはコメントをいただけるようにお願いしました。レセプトチェックシステムにて、「病名不足」の指摘はありましたが、そのまま提出されてしまったようです。レセプト担当には、添付文書の要件を確認して修正が行われるように指導をして査定対策としました。

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小児急性中耳炎診療ガイドライン 2024年版 第5版

大幅アップデートの最新版登場!6年ぶりの改訂となる2024年版では、以下多くのアップデートがなされています。肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)のエビデンスの強化や、従来からの抗菌薬適正使用に基づいた一部抗菌薬の用量・選択候補薬の見直し、軽症・中等症・重症のアルゴリズムを合体した「アルゴリズムのまとめ」の追加、重症度判定などの参考用の鼓膜画像の更新など、本ガイドラインの「中耳炎診療の基本を伝える」使命に則った大改訂版となりました。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する小児急性中耳炎診療ガイドライン 2024年版 第5版定価2,860円(税込)判型B5判頁数116頁(図数:4枚、カラー図数:2枚)発行2024年5月編集日本耳科学会日本小児耳鼻咽喉科学会日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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日本における市中感染と院内感染の罹患率と死亡率~全国7千万例超のデータ

 細菌および真菌感染症の罹患率や死亡率の現状と年次傾向について、市中感染と院内感染の観点から報告した研究はほとんどない。今回、千葉大学の高橋 希氏らが日本の全国保険請求データベースに登録された7千万例超の入院患者のデータを調べたところ、院内死亡率は院内感染のほうが市中感染よりも有意に高かったが、両群とも死亡率は低下傾向であることが示された。BMC Infectious Diseases誌2024年5月23日号に掲載。 著者らは、全国保険請求データベースから、2010年1月~2019年12月に入院し培養検査が実施され抗菌薬が投与された患者を抽出し、罹患率と院内死亡率の年次推移を患者の年齢で4群に分けて算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・7,396万2,409例の入院患者のうち、市中感染は9.7%、院内感染は4.7%であった。これらの罹患率は両群とも経年的に増加する傾向にあった。・感染症で入院した患者のうち、85歳以上では有意な増加(市中感染:+1.04%/年、院内感染:+0.94%/年、p<0.001)がみられたが、64歳以下では有意な減少(市中感染:-1.63%/年、院内感染:-0.94%/年、p<0.001)がみられた。・院内死亡率は、市中感染より院内感染で有意に高かった(市中感染:8.3%、院内感染:14.5%、調整平均差:4.7%)。・院内感染群は、臓器サポートや患者当たりの医療費が高く、入院期間も長かった。・死亡率は両群で減少傾向が認められた(市中感染:-0.53%/年、院内感染:-0.72%/年、p<0.001)。 今回の日本の大規模請求データベースの解析から、とくに85 歳以上において市中感染と院内感染の両方で入院が増加傾向にあること、院内感染は高齢社会の入院患者にとって大きな負担となっていることが示された。

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NSCLCにおけるamivantamabの皮下投与、静脈内投与との違いは?(PALOMA-3)/ASCO2024

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するamivantamabの皮下投与と静脈内投与を比較するPALOMA-3試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で、カナダ・Princess Margaret Cancer CentreのNatasha B. Leighl氏より発表された。 amivantamabは静脈内投与製剤として米国で開発されているが、投与時間の短縮などを目的として皮下投与における有用性が検討されている。本試験では、lazertinib併用下で、amivantamabの静脈内投与に対する皮下投与の薬物動態の非劣性などが確認された。・対象:EGFR変異陽性(ex19delまたはL858R)で、オシメルチニブとプラチナベースの化学療法後に進行したNSCLC患者・試験群(SC群、n=206):amivantamab皮下投与(体重に応じ1,600mgまたは2,240mg、最初の4週間は週1回、それ以降は隔週)+lazertinib経口投与(240mg、1日1回)・対照群(IV群、n=212):amivantamab静脈内投与(体重に応じ1,050mgまたは1,400mg、最初の4週間は週1回、それ以降は隔週)+lazertinib経口投与(240mg、1日1回)・評価項目:[主要評価項目]2サイクル目1日目もしくは4サイクル目1日目のトラフ濃度(Ctrough)、2サイクル目の血中濃度曲線下面積(AUCD1-D15)[副次評価項目]奏効率 (ORR) 、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間 (PFS) 、患者満足度、安全性[探索的評価項目]全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・薬物動態の評価項目(Ctrough、AUCD1-D15)は非劣性基準を満たした。・ORRはSC群30%(95%信頼区間[CI]:24〜37)、IV群33%(95%CI:26〜39)で、非劣性基準を満たした(相対リスク:0.92、95%CI:0.70〜1.23、非劣性のp=0.001)。・DOR中央値はSC群11.2ヵ月、IV群8.3ヵ月であった。・PFS中央値はSC群6.1ヵ月、IV群4.3ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.84、95%CI:0.64〜1.10、p=0.20)。・OSはSC群で長く(HR:0.62、95%CI:0.42〜0.92、名目上のp=0.02)、1年OS率はSC群65%、IV群51%であった。・インフュージョンリアクションの発現率はSC群で13%(Grade3以上0.5%)、IV群で66%(Grade3以上4%)と、SC群における発現率はIV群の約5分の1であった。・静脈血栓塞栓症(VTE)の発現率はSC群で9%、IV群で14%であった。・投与時間はSC群で中央値5分未満、IV群で2~5時間であった。 Natasha氏は本試験の結果を「amivantamabの静脈内投与と比較した場合の皮下投与の非劣性が示され、インフュージョンリアクションとVTEの発現率の低下が認められた」とまとめ、皮下投与への期待を述べた。

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sacituzumab tirumotecan、複数の治療歴のあるTN乳がんのPFSとOSを改善(OptiTROP-Breast01)/ASCO2024

 複数の治療歴がある進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、抗TROP2抗体薬物複合体sacituzumab tirumotecan(sac-TMT)が、医師選択による化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善した。無作為化第III相OptiTROP-Breast01試験の中間解析結果について、中国・Cancer Hospital Chinese Academy of Medical SciencesのBinghe Xu氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。・対象:転移に対する治療を含む2ライン以上の化学療法歴(タキサン含む)のある局所再発/転移を有するTNBC・試験群(sac-TMT群):sac-TMT(5mg/kg静注)2週ごと 130例・対照群(化学療法群):医師選択の化学療法(エリブリン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン)133例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[副次評価項目]OS、治験責任医師評価によるPFS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・年齢中央値は両群とも51歳、内臓転移ありはsac-TMT群88.5%/化学療法群85.0%、PD-1/PD-L1阻害薬による治療歴ありはsac-TMT群24.6%/化学療法群27.1%、前治療のライン数(中央値)はsac-TMT群3.0/化学療法群2.0であった。・BICRによるPFSは、追跡期間中央値5.1ヵ月(データカットオフ:2023年6月21日)での中間解析において、sac-TMT群で有意な改善がみられ、進行/死亡のリスクは69%低下した(ハザード比[HR]:0.31、95%信頼区間[CI]:0.22~0.45、p<0.00001)。中央値は、sac-TMT群で5.7ヵ月(95%CI:4.3~7.2)、化学療法群で2.3ヵ月(同:1.6~2.7)であった。また、すべてのサブグループにおいてsac-TMT群で改善していた。・TROP2高発現(Hスコア>200)患者において、BICRによるPFS中央値はsac-TMT群で8.3ヵ月、化学療法群で2.3ヵ月であった(HR:0.29、95%CI:0.19~0.46)。・OSは、追跡期間中央値10.4ヵ月(データカットオフ:2023年11月30日)での最初の中間解析において、sac-TMT群で有意な改善がみられ、死亡リスクが47%低下した(HR:0.53、95%CI:0.36~0.78、p=0.0005)。中央値はsac-TMT群は未到達(95%CI:11.2~NE)、化学療法群は9.4ヵ月(同:8.5~11.7)であった。・BICRによるORRは、sac-TMT群45.4%、化学療法群12.0%であった。・sac-TMTは管理可能な安全性プロファイルを示し、治療関連有害事象(TRAE)による投与中止例は1.5%だった。主なGrade3以上のTRAEは両群ともに血液毒性で、Sac-TMT群において、好中球数減少は32%(化学療法群47%)、貧血は28%(同6%)、白血球数減少は25%(同36%)に発現した。 Xu氏は、「本試験は、既治療のTNBCにおいてsac-TMTが有効な治療選択肢であることを示している」とした。現在、PD-L1陰性TNBCの1次治療におけるsac-TMT単剤での第III相試験、早期TNBCの術後補助療法におけるsac-TMT+ペムブロリズマブの第III相試験が進行中である。

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KRAS G12C変異大腸がんへのソトラシブ+パニツムマブ、OS最終解析(CodeBreaK 300)/ASCO2024

 前治療歴のあるKRAS G12C変異を有する転移大腸がん患者に対するソトラシブ+パニツムマブの有用性を検証するCodeBreaK 300試験。昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)では、本レジメンが医師選択化学療法群と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことが報告されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのMarwan Fakih氏が、全生存期間(OS)データを含む本試験の最終解析結果を発表した。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:化学療法抵抗性KRAS G12C変異を有する転移大腸がん患者、PS 0~2・試験群1:ソトラシブ960mgを1日1回+パニツムマブ6mg/kg(ソトラシブ960mg群)53例・試験群2:ソトラシブ240mgを1日1回+パニツムマブ6mg/kg(ソトラシブ240mg群)53例・対照群:治験責任医師が選択したTAS-102またはレゴラフェニブ(選択治療群)54例・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]OS、奏効率(ORR) 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値13.6ヵ月時点で82例が死亡した(ソトラシブ960mg群24例、ソトラシブ240mg群28例、選択治療群30例)。・OS中央値はソトラシブ960mg群で推定不能(95%信頼区間[CI]:8.6~推定不能)、ソトラシブ240mg群で11.9ヵ月(7.5~推定不能)、選択治療群で10.3ヵ月(7.0~推定不能)だった。・ソトラシブ960mg群の選択治療群に対するハザード比(HR)は0.70(95%CI:0.41~1.18)、ソトラシブ240mg群の選択治療群に対するHRは0.83(0.49~1.39)であった。・アップデートされたORRは、ソトラシブ960mg群30.2%、ソトラシブ240mg群7.5%、選択治療群1.9%だった。・奏効期間(DOR)中央値は、ソトラシブ960mg群10.1ヵ月、ほか2群は未達だった。 Fakih氏は「本試験においてOSは有意差を検出できなかったものの、ソトラシブ960mg群はOSが改善する傾向が示された。PFSおよびORRとともに、これらの結果は化学療法抵抗性KRAS G12C変異転移大腸がんに対するソトラシブ960mg+パニツムマブの使用を支持するものである」とした。

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日本人における頭痛で受診する患者としない患者の特徴

 富士通クリニックの五十嵐 久佳氏らは、頭痛で医療機関を受診した患者と受診しなかった患者の特徴を明らかにするため、観察研究を実施した。BMJ Open誌2024年4月29日号の報告。 横断的なオンライン調査および医療請求データを用いて、観察研究を実施した。オンライン調査は、2020年11月に自己記入式アンケートで実施し、2017年12月〜2020年11月の医療請求データは、DeSCヘルスケアより提供された。性別と年齢が請求データと一致した19〜74歳の回答者2万1,480人のうち、頭痛を経験した人は7,311人であった。アウトカムは、参加者の特徴、医療機関の受診状況、薬物療法、片頭痛のQOLアンケート(MSQ)Ver.2.1より測定したQOL、頭痛重症度とした。 主な結果は以下のとおり。・頭痛を経験した7,311人のうち、医療機関を受診した人は735人、6,576人は受診しなかった。・医療機関を受診した人は、受診しなかった人と比較し、次の特徴が認められた。 ●頭痛頻度が高い(頭痛頻度中央値:3ヵ月当たり10日vs.5日) ●MSQスコアが低い(MSQスコア平均値:77.1±18.1 vs.87.6±13.0) ●薬物治療なしでは頭痛重症度の中〜重度が多い(41.2%[735人中303人]vs.19.0%[6,576人中1,252人])・医師の診察を求める最も一般的な理由は、頭痛に耐えられないためであった(36.5%[735人中268人])。・痛みがひどくなかったため、医師の診察を受けなかった人は、35.3%(6,576人中2,323人)であった。・1ヵ月当たり15日以上頭痛を経験した人は、どの病院、あるいはどの診療科を受診すべきかを迷っていた。 著者らは「患者は、痛みに耐えられない場合に助けを求めるが、1ヵ月当たり15日以上の頭痛を経験してもなお、診察を受けなかった人も存在する。そのため、症状やそれに伴う負担が増大し、効果的な頭痛のマネジメントができなくなる前に、意識を高めて早期の医療機関の受診を推奨することが重要である」としている。

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閉塞性CADのない患者の予後予測、冠動脈周囲脂肪減衰指数が有用/Lancet

 冠動脈周囲脂肪減衰指数(FAI)は、とくに閉塞性冠動脈疾患(CAD)を持たない患者において、現在の臨床的リスク層別化や冠動脈コンピューター断層血管造影(CCTA)の解釈を超えた炎症リスクを捉えており、この情報を予後アルゴリズムに統合した人工知能(AI)支援リスク予測アルゴリズム(AI-Risk)とAI-Risk分類システムは、従来のリスク因子に基づくリスク評価の代替法となる可能性があることが、英国・オックスフォード大学のKenneth Chan氏らORFAN Consortiumが実施した「ORFAN試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年5月29日号に掲載された。英国8病院の縦断コホート研究 ORFAN試験は、英国の8つの病院で実施した縦断コホート研究であり、CCTAを受けた患者4万91例(コホートA:年齢中央値59歳[四分位範囲[IQR]:50~70]、女性46.7%)を対象とし、主要有害心イベント(MACE:心筋梗塞、新規発症心不全、心臓死)について追跡期間中央値2.7年(IQR:1.4~5.3)にわたる調査を行った(英国心臓財団[BHF]などの助成を受けた)。 追跡期間が最も長かった2施設(期間中央値7.7年[IQR:6.4~9.1])の患者3,393例(コホートB:年齢中央値62歳[IQR:50~73]、女性43.6%)において、閉塞性CADの有無別にFAIスコアの予後予測能を評価した。 次いで、同じ集団でFAIスコア、冠動脈プラーク指標、臨床的リスク因子を統合したAI強化による心臓リスク予測アルゴリズムであるAI-Riskの評価を行った。閉塞性CAD患者は18.9%のみ、心臓死、MACEとも予測能が向上 中央値2.7年の追跡期間中に、コホートAの4万91例のうち、追加の検査または介入を要した閉塞性CADは7,558例(18.9%)のみで、残りの3万2,533例(81.1%)は閉塞性CADのない患者であった。全体の心臓死数は1,754件で、このうち閉塞性CADのない患者では1,118件(63.7%)、また全体のMACE数は4,307件で、このうち閉塞性CADのない患者では2,857件(66.3%)発生した。 どの血管であれ、炎症を起こした冠動脈が1本あれば、FAIスコアの良好な予後予測能が確証された。閉塞性CADの有無にかかわらず、FAIスコアが75パーセンタイル(第3四分位数)以上の血管数が増加すると、3本の冠動脈すべてが25パーセンタイル(第1四分位数)未満の患者と比較して、心臓死(ハザード比[HR]:29.8、95%信頼区間[CI]:13.9~63.9、p<0.001)およびMACE(12.6、8.5~18.6、p<0.001)の双方のリスクが同様に上昇した。AI-Risk分類は、心臓死、MACEの発生と正の相関 AI-Risk分類システムは、心臓死(低および中リスク例と比較した超高リスク例のHR:6.75[95%CI:5.17~8.82]、p<0.001、低および中リスク例と比較した高リスク例のHR:2.47[1.77~3.45]、p<0.001)およびMACE(4.68[3.93~5.57]、p<0.001、2.33[1.89~2.87]、p<0.001)の発生と正の相関を示した。また、閉塞性CADの有無を問わず、同様の有意な結果を認めた。 著者は、「この結果は、閉塞性CADがない患者のリスク評価とその管理における、FAIスコアとAI支援リスクアルゴリズムの導入を支持し、実臨床を最適化するためのツールとしてのこれらの活用の可能性を示唆するものである」としている。

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抗ネフリン抗体、ネフローゼ症候群の活動性マーカーの可能性/NEJM

 成人の微小変化型と原発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、および小児の特発性ネフローゼ症候群は、ネフローゼ症候群を引き起こす免疫介在性のポドサイト障害(podocytopathy)とされる。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのFelicitas E. Hengel氏らは、循環血中の抗ネフリン抗体(自己抗体)は、微小変化型または特発性のネフローゼ症候群の患者に多くみられ、これらの疾患の活動性のマーカーと考えられるとともに、スリット膜でのこの抗体の結合がポドサイト(糸球体上皮細胞[足細胞])の機能障害とネフローゼ症候群を誘発し、これは病態生理学的な意義を示すものであることを明らかにした。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年5月25日号で報告された。抗ネフリン自己抗体を解析する多施設共同研究 研究グループは、糸球体疾患(微小変化型、FSGS、膜性腎症、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体[ANCA]関連糸球体腎炎、ループス腎炎など)の成人と特発性ネフローゼ症候群の小児、および対照群において、抗ネフリン自己抗体を解析する目的で多施設共同研究を行った(ドイツ研究振興協会[DFG]などの助成を受けた)。 また、遺伝子組み換えマウスネフリンを用いた能動免疫法により実験的マウスモデルを作製して解析を行った。 539例(成人357例、小児182例)の患者と117例の対照を解析の対象とした。成人微小変化型の44%、原発性FSGSの9%、小児特発性ネフローゼ症候群の52%で検出 成人患者では、微小変化型の105例中46例(44%)、および原発性FSGSの74例中7例(9%)で抗ネフリン自己抗体を検出したが、他の疾患の患者ではまれであった。 また、特発性ネフローゼ症候群の小児患者では、182例中94例(52%)で抗ネフリン自己抗体を検出した。 一方、免疫抑制療法を受けていない活動性の微小変化型および特発性ネフローゼ症候群のサブグループでは、それぞれ69%および90%と高い確率で抗ネフリン自己抗体を認めた。ネフリンを標的とした治療法開発の可能性も 抗ネフリン自己抗体の値は、成人、小児患者とも、試験開始時と追跡期間中に疾患活動性と相関を示した。 実験的な免疫法により、マウスにおいて、ネフローゼ症候群、微小変化型様の表現型、ポドサイトのスリット膜へのIgGの局在、ネフリンのリン酸化、重度の細胞骨格の変化を誘導することが示された。 著者は、「抗ネフリン自己抗体の測定は、微小変化型および特発性ネフローゼ症候群の診断、治療評価、予後予測において有用なツールになると考えられる。また、ネフリンを標的とした治療法の開発にも貢献する可能性がある」としている。

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90%近くの米国成人が心血管・腎・代謝(CKM)症候群に該当

 米国の20歳以上の成人の10人中9人が、心血管・腎・代謝症候群(cardiovascular-kidney-metabolic syndrome;CKM症候群)の初期から後期の段階にあり、10%近くはすでに心血管疾患(CVD)を発症しているとする研究結果が報告された。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院とハーバード医学大学院のMuthiah Vaduganathan氏らによるこの研究は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に5月8日掲載された。 CKM症候群は、米国心臓協会(AHA)により新たに提唱された疾患概念で、肥満や糖尿病などの代謝リスク因子、慢性腎臓病(CKD)、および心不全・心房細動・冠動脈疾患・脳卒中・末梢動脈疾患などのCVDの関連に起因する健康障害と定義される。CKM症候群は、次の4つのステージに分けられる。・ステージ1:体内に健康不良のリスク因子である脂肪が過剰に蓄積する。・ステージ2:高血圧、高コレステロール、糖尿病などの代謝リスク因子が顕在化するとともに、CKDリスクが中等度から高度になる。・ステージ3:高度の腎臓病リスク、および/または、今後10年以内にCVDの診断を受けるリスクが高まる。・ステージ4:腎臓病の有無にかかわらずCVDの診断を受ける。 研究グループは今回の研究で、2011年から2020年までの米国全国健康栄養調査(NHANES)のデータを分析し、上記の4つのステージに該当する20歳以上の米国成人の数を概算した。対象者は1万762人(平均年齢47.3±17.0歳、女性51.8%)であった。 その結果、研究対象期間中にCKM症候群に該当しなかった(ステージ0)対象者の割合はわずか10.6%であり、25.9%がステージ1、49.0%がステージ2、5.4%がステージ3、9.2%がステージ4に該当することが明らかになった。これらの数値は、9年間の研究期間を通じてほぼ横ばいであったという。 また、想像される結果ではあるが、CKM症候群の重症度は年齢とともに上昇する傾向があることも示された。ステージ3とステージ4を合わせた「進行したCKM症候群」に該当する対象者の割合は、65歳以上では55.3%であったのに対し、45〜64歳では10.7%、20〜44歳では2.1%であった。ただし、20〜44歳の人でもリスクは高く、ほとんど(81.8%)が、すでにこれらの心臓と腎臓のリスク因子の影響を受けていることを意味するステージ1〜4に分類された(ステージ1:36.6%、ステージ2:43.2%、ステージ3:0.1%、ステージ4:1.9%)。さらに人種も重要な因子であり、黒人は白人に比べて進行したCKM症候群であるリスクが38%高かった。 研究グループは、黒人の間でCKM症候群が広がっていることを指摘し、「心血管、腎臓、代謝の健康を優先させる公平なヘルスケアアプローチが喫緊に必要とされている」と結論付けている。

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ハゲタカジャーナルの査読をしているのは誰?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第258回

ハゲタカジャーナルの査読をしているのは誰?世の中にはハゲタカジャーナルというものがあります。著者が論文投稿料を支払うことで、誰でも論文を読むことができるオープンジャーナルのモデルを悪用した医学雑誌のことで、すみやかに出版したい著者をだまして高額な投稿料をせしめるとんでもないジャーナル群のことを指します。ハゲタカジャーナルは、査読は形式的に行われるか、あるいはまったく行わないため、投稿された論文の質は極めて低いものが多いです。そんなハゲタカジャーナルにまつわる珍しい論文を紹介しましょう。Severin A, et al. Characteristics of scholars who review for predatory and legitimate journals: linkage study of Cabells Scholarly Analytics and Publons data.BMJ Open. 2021 Jul 21;11(7):e050270.この論文はPublonsに登録された査読が対象となっています。Publonsは世界における査読者の査読実績を集める事業を展開しています。Publonsのアカウントを取得した研究者は、Publonsに自分が担当した論文の査読歴を登録・管理することができます。まあ、この事業のことは今回の本旨とは異なりますので割愛します。この論文では、1万9,598人のレビュアーによってPublonsに投稿された18万3,743件の査読が分析対象となりました。このうち、67件のレビューがハゲタカジャーナル(1,160誌が該当)に対するもの(レビュー全体の3.31%)、1万7,766件のレビューが非ハゲタカジャーナル(6,403誌が該当)に対するもの(96.69%)であることがわかりました。全体の90%の査読者は、これまでハゲタカジャーナルに関与したことはない、と回答しています。ハゲタカジャーナルの査読を行っている人は、学歴が若く、研究・出版物や査読数自体も少ないということがわかりました。つまり、まだまだ研究の世界では未熟とされる若者たちが査読を行っているという現状が浮き彫りになったわけです。また、ハゲタカジャーナルの査読のほとんどが、アフリカから行われていることも示されています。査読というのは、闇が存在します、闇が。私のもとにもハゲタカジャーナルの査読依頼はよく来ますが、すべて断っています。というか、スパムメールフォルダに入っているので、基本的に無視しています。

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第214回 マダニ媒介感染症治療薬が承認!それは新型コロナで苦戦した“あの薬”

久しぶりにあの薬の名前を聞いた。抗インフルエンザウイルス薬のファビピラビル(商品名:アビガン)のことである。本連載ではコロナ禍中にこの薬を核にした記事は2回執筆(第7回、第44回)し、そのほかの記事でも何度か触れたことがある。当時は新型コロナウイルス感染症に対してこの薬が有効ではないかと騒がれ、しかも一部報道やSNS上で過剰な期待が喧伝されていたため、それに苦言を呈する内容になったが、医療従事者内ではご承知の通り、結局、有効性が示されずに消え去る形となった。そのファビピラビルが5月24日に開催された厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会で「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症」を適応とする効能追加の承認が了承されたのだ。マダニに咬まれて感染、SFTSウイルス感染症とは一部にはSFTSウイルス感染症自体が聞き慣れない人もいるかもしれない。今回承認が了承された適応症のSFTSウイルス感染症はSFTSウイルスを保有するマダニ類に咬まれることで起こるダニ媒介感染症の1種である。6~14日の潜伏期間を経て38℃以上の発熱、吐き気・嘔吐、腹痛、下痢、下血などの出血症状、ときに神経症状、リンパ節腫脹なども伴う。臨床検査値では病名の通り、血小板減少(10万/mm2未満)をはじめ、白血球減少、AST、ALT、LDHの上昇などが認められる。致死率は10~30%程度というかなり恐ろしい感染症1)だ。もともとは2009年に中国の湖北省(ちなみに新型コロナウイルス感染症が初めて確認された武漢市は同省の省都)、河南省で謎の感染症らしき患者が多数発生し、中国疾病予防管理センター(中国CDC)が2011年にSFTSウイルスを同定した。日本では2013年に山口県で初めて確認され(患者は死亡)、この直後のレトロスペクティブな調査から2005年以降それまでに別の10例の存在が確認された(うち5例が死亡)2)。現在SFTSウイルス感染症は感染症法で4類感染症に分類され、初めて患者が確認された2013年は年間40例だったが、それ以降の報告数は年々増加傾向をたどり、最新の2023年は132例と過去最多だった。2013年以降の2023年までの累計報告数は942例で、うち死亡は101例。累計の致死率は10.7%。ただし、この致死率は見かけ上の数字である。というのもこの死亡例の数字は感染症法に基づく届け出時点までに死亡が確認されている例のみだからだ。国立感染症研究所などが中心となって2014年9月~2017年10月までのSFTS患者を報告した事例のうち、予後の追跡調査が可能だった事例では致死率27%との結果が明らかになっている。これまでの患者報告は、東は東京都から南は沖縄県まで30都県に及んでいるが、推定感染地域はこのうち28県で西日本に偏在しているのが特徴だ。西日本(近畿・中国・四国・九州)内でこれまで患者報告がないのは奈良県のみである。ただし、東日本での患者報告数は少ないものの、マダニ類が吸血する野生の哺乳類ではSFTS抗体陽性の個体も見つかっており、単に診断漏れになっている可能性がある。そもそも近年、国内でSFTS患者が増えている背景には、昨今のクマ出没の急増と同じく、マダニ類が吸血するシカやイノシシなどの野生の哺乳類が人家周辺まで生息域を広げたことが影響しているとの指摘は少なくない。こうした動物に接する機会が多い獣医療従事者では、動物のケアなどから感染した疑いがある報告例は11例あり、また愛玩動物である犬、猫がSFTSに感染し、そこから人への感染事例もある。ちなみに犬、猫から感染が確認された世界初の症例は、2017年に西日本で野良猫に咬まれ、SFTS発症後に死亡した日本での症例である。また、極めてまれだがSFTS患者の体液を通じて人から人へ感染する事例もあり、日本国内ではこの4月に初めてこうした症例が報告されたばかりだ。さてSFTSに関しては「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き 改定新版2019」が厚生労働省より発刊されている。現時点でSFTS感染症のワクチンはなく、これまでの治療も基本は発熱・頭痛・筋肉痛にはアセトアミノフェン(病態そのものに出血傾向があるためアスピリンやNSAIDsは使わない)、悪心・嘔吐には制吐薬、下痢にはロペラミド、消化管出血には輸血療法などの対症療法しかなかった。過去に中国ではウイルス性肝炎治療に使用する抗ウイルス薬であるリバビリンが使用されたことがあったが、1日500mgの低用量では致死率を下げないと考えられた3)ことから、前述の手引きでも推奨されていない。そうした中でSFTSウイルス感染マウスでより高い効果が示されていたのがファビピラビルである。ファビピラビル、承認までの紆余曲折これに対する企業治験が行われて今回晴れて承認となったわけだが、これが実は一筋縄ではいかなかったのが現実だ。そもそも前述したこの感染症の特徴を考慮すればわかるように、患者は突発的に発生するものであり、かつ致死率は高い。結局、製造販売元である富士フイルム富山化学が行った第III相試験は、多施設共同ながらも非盲検の既存比較対照試験、いわゆる従来の対症療法での自然経過の致死率との比較にならざるを得なかった。実質的には単群試験である。たとえ患者数が確保されたとしても、致死率の高さを考えれば対症療法の比較対照群を設定できたかどうかは微妙だ。そして今回の承認了承に先立つ5月9日の医薬品第二部会での審議では、「有効性が示されていると明確には言えない」として一旦は継続審議になった。これは第III相試験の結果から得られた致死率が15.8%で、事前に臨床試験の閾値とされた致死率12.5%を超えてしまったためである。ただ、現実の致死率よりもこれが低い可能性があるとして、再度検討した結果、既存論文などの情報も含めたメタアナリシスで得られたSFTSウイルス感染症の致死率が21~25%程度だったこと、それに加えて富士フイルム富山化学側が市販後臨床試験でウイルスゲノム量の評価で有効性を確認することを提案したため、承認了承となった。ちなみにこれに先立ってSFTSウイルス感染症に対してファビピラビルを投与した愛媛大学を中心に行われた医師主導治験での致死率は17.3%。こちらも前述のメタアナリシスよりは低率である。そしてファビピラビルと言えば、抗インフルエンザ薬として承認を受けた際に催奇形性を有する薬剤であることが問題になり、「厚生労働大臣の要請がない限りは、製造販売を行わないこと」といった前代未聞の条件が付いたことはよく知られている。承認されたが市中在庫はない異例の薬剤だった。しかし、今回のSFTSウイルス感染症については、▽原則入院管理下のみで投与▽原則患者発生後に納入▽研修を受けた登録医師のみで処方可能、という条件のもとにこの「大臣要請のみ」で製造という条件は緩和された。あるけどない謎の抗インフルエンザ薬。期待のみで終わった新型コロナ治療薬という苦難を経て、ファビピラビルが復活の兆しを見せるのか。個人的にはひそかに注目している。参考1)厚生労働省:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について2)Takahashi T, et al. J Infect Dis. 2014;209:816-827.3)Liu W, et al. Clin Infect Dis. 2013;57:1292-1299.

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治療方針をなかなか選んでくれない患者さんへの対応は?【もったいない患者対応】第7回

登場人物<今回の症例>20代女性右下腹部痛で来院腹部造影CTで軽度の虫垂腫大と周囲の脂肪織濃度上昇あり<軽症の急性虫垂炎を疑ったため、治療方針を相談することに>いかがでしょうか?虫垂が腫れているようです。急性虫垂炎、いわゆる「盲腸」ですね。盲腸ですか! どうすればいいんでしょう?軽い虫垂炎なので、手術で虫垂を切除する方法もありますし、抗菌薬で治療する方法もありますよ。どうしよう…悩みます。どちらがいいんでしょうか?どちらにもメリット、デメリットはありますから、どちらがいい、ということはないんです。治療を選択するのは患者さんですので、お好きなほうをお選びください。その選択を私たちは尊重しますよ。(こちらで誘導して何かあったらこっちの責任だしな…)うーん…。【POINT】軽症虫垂炎の患者さんに、手術と保存的治療(抗菌薬投与)の2つの選択肢を提案していますね。唐廻先生はインフォームドコンセントの重要性に思考を巡らせ、「患者さんが主体的に治療を選択すべき」という考えから、治療について十分な説明をしたうえで患者さんに選択を委ねています。ところが、患者さんは悩み込んでしまい、なかなか選べません。こんなとき、どうすればいいのでしょうか?“選択をお手伝いする”という意識をもつかつて、医師が主体的に治療方針を決め、患者はその判断にすべてを委ねればよい、という考え方が一般的な時代がありました。現在はこうした考え方は“医療パターナリズム”と揶揄されていますし、インフォームドコンセント、すなわち、患者は医療行為について十分な説明を受けたうえで、自由意志に基づいて治療方針について合意するのが大切だということは、大学の講義でも学んできたでしょう。ところが、こうした“患者主体”という考え方は、患者さんに選択を完全に委ね、医師はその選択に関して責任を負わない、といった間違った発想に行き着くことがあります。カルテでも、ことさらに「患者さんが希望したため、この治療を選択した」と強調するような記載を見ることもあります。しかし、医療の専門家ではない患者さんにとっては、「選択権があっても選択できない」というのが実情でしょう。逆に、専門的知識をもつ医師だからこそ、“選択のお手伝い”をする必要があります。患者さんの状況に応じて選択をサポートする治療選択肢が複数あり、どちらかが優れているという明らかなエビデンスがないときは、まずそれぞれのメリット、デメリットをきちんと説明し、「科学的データに照らすといずれにも優劣がない」ことを強調します。そのうえで患者さんに選択を委ねますが、選択に難渋しているときは、専門的知識を使ってその選択をサポートします。たとえば仕事や介護、子育てをしている人は時間的な制約があるので、通院期間や入院の有無などが気になるかと思います。費用を気にする患者さんもいますし、既往や服薬状況によって副作用などのリスクも変わります。また、時間的に余裕がある場合は、いますぐに決めずに少し考える時間を設けたり、ご家族と相談する機会を設けたりすることも可能であることを伝えます。このようにして、医療者と患者さんが価値観を共有し、一緒に治療方針を決めていく過程を、近年ではShared Decision Making(SDM)と呼ぶこともあります。今回の例で重要なのは、まずは各治療選択肢を完全に等価であるとして提示するのではなく、(1)総合的に判断して推奨できる案を提示したうえで、(2)その案を採用しなくてもよいことを明示し、代替案を提示するという方向性が望ましいと考えます。病態に応じてケースバイケースなので、こうした手法が適用できない場合もあるとは思いますが、たとえば今回のようなケースでは次のような説明がいいでしょう。これでワンランクアップ!いかがでしょうか?虫垂が腫れているようです。急性虫垂炎、いわゆる「盲腸」ですね。盲腸ですか!どうすればいいんでしょう?軽い虫垂炎なので、手術で虫垂を切除する方法もありますし、抗菌薬で治療する方法もありますよ(ここで両方のメリット、デメリットを説明)※1。※1:まずはここを丁寧にどうしよう……悩みます。どちらがいいんでしょうか?どちらにもメリット、デメリットがありますから、どちらがいい、という確実なデータはないんです。ただ、抗菌薬の効果が乏しかったときは、いずれにしても手術が必要になります※2。また、お仕事でお忙しい〇〇さんのような方の場合※3、抗菌薬治療だと通院期間が長引いて仕事を休まなければならない日が多くなる可能性があります。一方、手術だと何も問題なければ数日の入院で済みます。その点を考えると、手術のほうがメリットは大きいかもしれません※4。もちろん、手術をせずに抗菌薬で炎症を抑えることもできますし※5、リスクをご理解いただいたうえで抗菌薬治療を希望されるのであれば、それでもまったくかまいません。いかがでしょうか?※2:その治療方針を選んだときの具体的な見通しを伝える。※3:患者さんの生活スタイルを考慮した提案も大事。※4:まずは推奨できる案を提案する。※5:他の選択肢のフォローもあると、患者さんの意思が入りやすい。そうですか。それでしたら、手術をお願いしたいと思います。

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syphilis(梅毒)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第6回

言葉の由来梅毒は英語で“syphilis”といい、「スィフィリス」という発音になります。近年、日本では感染者が急増していますが、その歴史や語源はご存じでしょうか?世界で初めて梅毒が確認されたのは15世紀の後半です。梅毒の起源については、コロンブスがアメリカ大陸から欧州に持ち帰ったなど諸説ありますが、15世紀末にフランス軍がイタリアに侵攻した際に、性的接触を介してイタリアで大流行が起こりました。このことからフランスでは「イタリア病」や「ナポリ病」、イタリアでは「フランス病」と呼ばれました。この呼び方は当時の国家間の政治的対立を反映したものであり、一種のプロパガンダとして利用されたともいえます。“syphilis”という名前は、イタリアの詩人、ジローラモ・フラカストロによって1530年に書かれたラテン語の詩「梅毒またはフランスの病」(Syphilis sive morbus gallicus)で初めて登場しました。この詩では、羊飼いの“syphilis”という英雄が、神を冒涜した罰としてこの病気に初めて感染した、と描かれています。このフラカストロは医師でもあり、新しい病気の名前をこの主人公からとって医学論文を発表したことから、“syphilis”という名前が広まったとされています。なお、日本で梅毒が最初に記録されたのは1512年といわれており、欧州での大流行から程なくして日本に伝わったことがわかります。日本語の「梅毒」という病名は症状として見られる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来しているという説が一般的です。併せて覚えよう! 周辺単語性感染症sexually transmitted diseases下疳chancre扁平コンジロームcondylomata lataゴム腫gumma神経梅毒neurosyphilisこの病気、英語で説明できますか?Syphilis is a sexually transmitted disease that can may lead to severe health complications if left untreated. Infection develops in stages, including primary, secondary, latent, and tertiary, and each stage can have different signs and symptoms.講師紹介

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寒がりですか? 体が冷えますか?【漢方カンファレンス】第2回

寒がりですか?体が冷えますか?以下の症例で考えられる処方をお答えください。(経過の項の「???」にあてはまる漢方薬を考えてみましょう)【今回の症例】70代女性主訴冷え症、下肢浮腫既往62歳:胃がん手術病歴胃がんの手術後から下痢をするようになり、冷えを自覚するようになった。また、65歳頃から両下肢の浮腫が出現、とくに外出後に増悪。外出すると両下肢の浮腫が増悪して下腿の筋肉がこわばってカチカチになり、数日間持続する。X年7月にS病院を受診し、心・肝・腎機能、甲状腺機能などの精査を受けたが異常なく、弾性ストッキングや塩分制限の指導を受けたが下肢浮腫は持続した。また、こむら返りもあり、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)の製剤で治療されたが効果がなかった。漢方治療目的に8月に当科を紹介受診。現症身長148cm、体重39.5kg。体温35.1℃、血圧99/59mmHg、脈拍66回/分 整、呼吸数12回/分。心音・呼吸音ともに異常なく、両下肢浮腫が軽度あり。経過初診時「???」エキス3包 分3で治療を開始。(解答は本ページ下部をチェック!)2週間後便に形が出てきた、こむら返りがなくなった。6週間後胃がん術後から長期間続いていた下痢が改善した。遠出をしたが、下肢の浮腫が増悪しなかった。以後、漢方治療を継続して経過良好である。問診・診察漢方医は以下に示す漢方診療のポイントに基づいて、今回の症例を以下のように考えます。【漢方診療のポイント】(1)病態は寒が主体(陰証)か、熱が主体(陽証)か?(冷えがあるか、温まると症状は改善するか、倦怠感は強いか、など)(2)虚実はどうか(症状の程度、脈・腹の力)(3)気血水の異常を考える(4)主症状や病名などのキーワードを手掛かりに絞り込む【問診】<冷えの確認>寒がりですか?体のどの部分が冷えますか?寒がりです。とくに下肢ですが、体全体が冷えますね。<温冷刺激に対する反応を確認>入浴で長くお湯に浸かるのが好きですか? 冷房は好きですか?はい、お風呂に長く入るのが好きです。冷房は嫌いです。飲み物は温かい物と冷たい物のどちらを好みますか?冷たい物を飲むと下痢が悪化するので夏でもあまり冷たい飲み物は飲みません。<ほかの随伴症状を確認>ほかに困っている症状はありますか?胃の手術後から下痢が始まりました。ほかには、長時間歩くと足がむくみます。倦怠感があったり、疲れやすかったりしませんか?外出するとすぐに疲れて座りたくなります。【診察】顔色は蒼白で、四肢を触ると冷感を感じた。※漢方の診察といえば脈、舌、腹の診察が特有ですが、今回はあえて省略します。しかし、患者の顔色や歩行の様子を診る(視診)、また実際に四肢や患部を触診して他覚的な温度を確認することも漢方治療では重要な診察です。カンファレンスまずは陰陽の判断が出発点ということですね。本症例では、主訴が冷え症なので陰証でよさそうです。冷えが主訴だからといって陰証とは限りませんよ。きちんと問診、診察をして総合的に陰陽の判断を行うことが大事です。漢方医の問診に注目してほしい。陰陽の判断のために、冷えの部位や温冷刺激に対する生体の反応を詳しく聞く必要があるんだ。本症例では冷えが体全体にあって、長湯が好きで、冷房や冷たい飲み物を好まないといった陰証の特徴が揃っているといえるよ。倦怠感を質問しているのはなぜですか?冷えの程度が強くなり全身に及んだ場合を陰証のなかでも、陰証の真っ只中である少陰病(しょういんびょう)と診断します。少陰病では生体の反応力の低下により、座りたい、横になりたいなどの倦怠感を伴います。そのため倦怠感の有無も冷えを確認するために着目する必要があります。本症例では、外出するとすぐに座りたくなるとあるので少陰病と考えてもよさそうです。また虚実に関しては、少陰病では闘病反応は乏しいため、虚実はすべて虚証になります。冷えと倦怠感の関係、少陰病は虚証であることがわかりました。実際に患者の腹部や四肢を触診して他覚的な冷感を確認することも大事だよ。私の診察では必ず靴下を脱いでもらって四肢の冷えを確認してるよ。下肢の足首から前脛骨部を触診すると、あたかも検者の体温が患者に吸われていくようにひんやりと感じる場合は、附子(ぶし)を含む漢方薬の適応になるといわれているよ1)。附子はトリカブトの根を減毒処理したもので、代表的な温める作用が強い生薬なんだ。陰証では寒があることから温める治療を行うのですね。本症例は冷え以外にも、下痢や浮腫などがありますね。いいところに気づきましたね。下痢や浮腫は漢方診療のポイント(3)の気血水の異常として、漢方医学的な水分バランスの異常である「水毒」と判断できます。本症例をまとめると以下のようになります。【漢方診療のポイント】(1)病態は寒が主体(陰証)か、熱が主体(陽証)か?体が冷える、冷房が嫌い、倦怠感→陰証(少陰病)(2)虚実はどうか少陰病は実証はなく虚証となる(脈と腹の診療は今回は省略)(3)気血水の異常を考える下痢、浮腫→水毒(4)主症状や病名などのキーワードを手掛かりに絞り込む冷え、下痢、浮腫、倦怠感解答・解説【解答】本症例は、陰証で、水毒を治療する真武湯(しんぶとう)で治療を行いました。【解説】真武湯は、陰証の葛根湯(かっこんとう)ともいわれ、陰証の代表的な漢方薬です。応用範囲の広い漢方薬で、新陳代謝の低下と胃腸機能の低下から生じる倦怠感、下痢、めまい、浮腫などのさまざまな症状に対して活用されます。真武湯は5つの生薬から構成されます(茯苓[ぶくりょう]、朮[じゅつ]、芍薬[しゃくやく]、生姜[しょうきょう]、附子)。茯苓と朮は水分代謝をよくして、尿量を増やして浮腫を改善します。附子や生姜は温めて冷えを改善させ、新陳代謝を活発にします。今回のポイント「陰陽」の解説漢方治療では、陰陽が一番基本的な考え方であり、診断の出発点です。生体に外来因子が加わった際の生体反応の形式であり、熱性の病態を「陽証」、寒性の病態を「陰証」の2型で捉えます。陽証では活動性、発揚性、陰証では非活動性、沈降性などの特徴があります。また多くの病気は、基本的には陽証で始まり、陰証に向かって進んでいきます。そのため、急性疾患では陽証であることが多く、虚弱者、高齢者、慢性疾患など、長期にわたる疾患では新陳代謝の低下などから冷えを伴って陰証になることが多い傾向にあります。陰陽の判定は、暑がり・寒がり、薄着・厚着の傾向、冷水・温かい湯茶を好む、長湯ができる・できない、冷房が好き・嫌い、症状が温まると改善する・冷えると悪化するなどの問診や、脈の浮沈、顔色(赤ら顔・顔面蒼白)、体や患部の熱感・冷感などの診察により総合的に判断します。陽証と陰証はさらに3つずつの病期に分類され、六病位(ろくびょうい)とよばれます。参考1)寺澤捷年, 花輪壽彦 編. 漢方診療二頁の秘訣. 冷えの診察法. 金原出版;2004:p.86-87.

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東日本大震災による住宅被害や精神的ダメージと修正可能な認知症リスクとの関連

 東北大学の千葉 一平氏らは、地域住民の高齢者における、東日本大震災による住宅被害および精神的ダメージと認知症の修正可能なリスク因子との関連を評価する目的で横断的研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2024年5月3日号の報告。 対象は、地域住民の高齢者2万9,039人(平均年齢:69.1±2.9歳、女性の割合:55.5%)。東日本大震災後の災害関連被害(住宅全壊または半壊)および精神的ダメージ(心的外傷後ストレス反応[PTSR])を、自己申告式アンケートを用いて収集し評価した。修正可能なリスク因子には、うつ病、社会的孤立、身体不活動、喫煙、糖尿病を含んだ。災害関連被害と修正可能なリスク因子との関連を評価するため、社会人口統計学的変数と健康状態変数を調整した後、最小二乗法および修正ポアソン回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・震災による住宅の全壊は2,704人(10.0%)、PTSRは855人(3.2%)で認められた。・修正可能なリスク因子の数は、住宅全壊者(β=0.23、95%信頼区間[CI]:0.19~0.27)およびPTSR者(β=0.60、95%CI:0.53~0.67)で有意に多かった。・住宅全壊者は、修正可能なリスク因子のうち、うつ病と身体的不活動の割合が高かった。・PTSR者は、修正可能なリスク因子のすべての分野で割合が有意に高かった。 著者らは「東日本大震災による住宅被害および精神的ダメージは、認知症のリスク因子増加と関連していることが示唆された。認知症リスク軽減については、とくに災害で住宅被害や精神的ダメージを経験した高齢の被災者に対し、修正可能なリスク因子のさまざまな側面に応じた多元的な支援が求められる」としている。

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“アルバイト代”の占める割合、収入・診療科による違いは?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2月20日(火)に会員医師1,004人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で昨年度のアルバイト代について尋ねたところ、全体の26%が200万円未満と回答、次いで13%が200~400万円未満、9%が300~600万円未満と回答した。一方で、34%はアルバイトをしていないことが明らかとなった。年収がアルバイト代に左右される層 アルバイト代を年収別に見ると、全体と比較して年収600~800万円未満の回答者では、アルバイト代が年収の半分以上を占めていた割合が高く、年収1,600万円以上の回答者はアルバイト収入の比率が低い傾向であった。また、各年収層の5~10%の回答者では年収とアルバイト代に差がなく、アルバイトで生計を立てていると推察された。 さらに年代別では、36~45歳ではアルバイト収入が多い傾向にあり、400~600万円未満が最多で13%、続いて600~800万円未満が10%、200~400万円未満が9%、そして1,000万円以上は10%にも上った。診療科別のアルバイト状況と年収 診療科別にアルバイトをしている回答者数を比較したところ、眼科(90%)、総合診療科(81%)、整形外科(78%)の順に多かった。また、アルバイト収入について400万円以上の回答者が多かった診療科は、整形外科が46%と圧倒的に多く、次いで血液内科(41%)、麻酔科(39%)、耳鼻科(38%)、消化器内科(37%)、眼科(37%)であった。大学病院の勤務医、アルバイト代400万円以上が62% アルバイト代の収入全体に占める割合は勤務先の傾向が強く反映しているようで、本調査結果によると、一般診療所や一般病院に勤務する医師の約半数のアルバイト代が400万円未満であるのに対し、大学病院に勤務する医師では、400~600万円未満が18%、600~800万円未満が15%、800~1000万円未満が13%、1,000万円以上が16%という結果であった。 しかし、本アンケートは昨年のアルバイト代の調査結果である。今年4月より始まった「医師の働き方改革」によって、これまでのような外勤がかなわずアルバイト代による収入アップを見込めない医師が出てくるのかもしれない。ケアネットでは働き方改革による影響についても、今後、検証していく予定だ。 その他、年代ごとの男女別、病床数別、勤務先別などの詳細な年収分布については、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2024【第2回】アルバイト代

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国内の患者・市民参画(PPI)に光、「患医ねっと」がMade with Patients Award受賞

 欧州で患者中心の医療・医薬品開発に力を注いでいる組織PFMD、EUPATI、EPFが5月23日(日本時間)に開催したイベント『Patient Engagement Open Forum 2024』において、患医ねっと「くすりと生活プロジェクト」(代表:鈴木 信行氏)が、Made with Patients Awardsのファイナリストとしてノミネートされ、審査員特別賞を受賞した。 患医ねっとは2011年に鈴木氏が設立し、より良い患者協働の医療環境を目指し、患者と医療者がともにイベントや研修会の開催を通じて、お互いを深く知る場を作ることを目的として活動を行う団体である。生まれつき二分脊椎症を抱え、がんサバイバーでもある鈴木氏は「病気の先にあるその人らしい生活、皆で支えられる社会を求め、『患者と医療者をつなぎ、日本のより良い医療環境を実現させる』理念」を掲げ、医療にかかわる人々をつなげる機会や場を創出している。今回ノミネートされたMade with Patients Awardは、医療における患者参画の優れた模範となる個人や取り組みを表彰するもので、今年は世界中の110もの候補が審査され、日本人として唯一、鈴木氏が団体の代表として審査員特別賞を獲得した。なお、このAwardに「くすりと生活プロジェクト」を推薦したのは、患者中心の医療を共に考え共に実践する協議会(JPPaC)のPCMプロジェクト(PCM-PJ)である。PCM-PJはPFMDの取り組みを日本に紹介することで、患者視点からの患者参画を勧める活動をしている。 受賞を受け鈴木氏は「くすりと生活プロジェクトは、製薬企業で働く方々が患者さんの日常生活を知り、薬に対する期待を理解し、企業理念の実現に役立てることを目的としています。とても重要な取り組みだと思っています。本団体を多くの人に知ってもらうことで、このような取り組みが世界中に広がることを期待しています。そして、製薬企業が患者さんのより良い生活に役立つ薬やソリューションを開発する環境を整えてくれることを期待しています。これが私の心からの願いです」とメッセージを寄せている。 世界では臨床試験の計画段階、医薬品などの承認審査の段階での患者・市民参画(PPI:Patient & Public Involvement)が進んでいるのに対し、国内でのPPIは課題が山積みである。日本医療研究開発機構(AMED)は、2022年に実施したPPIに関するアンケート調査ならびにヒアリング調査結果を踏まえ、▽PPI に当たって求められる考え方は「患者のために」ではなく、「患者のために、そして、患者と共に」である、▽PPI において協働を目的としたコミュニケーションに求められているのは、対話であり、説得ではない、▽真の顧客は「患者」(疾患を抱えた人)であり、PPI 活動を企業のイメージ戦略とすることなく、地道ながら、持続可能なあり方、やり方を構築するべきである、などのアイデアをまとめている。このような現状からも、鈴木氏らの受賞の意義は非常に大きいと言えるのではないだろうか。

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HR+/HER2-転移乳がん、SG+ペムブロリズマブvs.SG(SACI-IO HR+)/ASCO2024

 既治療の切除不能な局所進行または転移を有するHR+/HER2-乳がんに対して、sacituzumab govitecan(SG)+ペムブロリズマブを、SG単独と比較した無作為化非盲検第II相SACI-IO HR+試験で、ペムブロリズマブ併用による無増悪生存期間(PFS)の有意な改善は認められなかった。米国・ダナファーバーがん研究所のAna Christina Garrido-Castro氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。 SGはトポイソメラーゼI阻害薬(SN-38)をペイロードとする抗TROP2抗体薬物複合体(ADC)で、その作用機序から抗PD-1抗体との相乗効果が期待されている。・対象:切除不能な局所進行または転移を有するHR+/HER2-乳がんで、転移後に1ライン以上の内分泌療法歴があるか、術後補助内分泌療法中もしくは12ヵ月以内に進行した患者(活動性脳転移のある患者、トポイソメラーゼI阻害薬ADC、イリノテカン、抗PD-1/L1抗体による治療歴のある患者は除外)・試験群(併用群):SG(1、8日目に10mg/kg静注)+ペムブロリズマブ(1日目に200mg静注)、21日ごと・対照群(SG群): SG単独・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]PD-L1陽性患者のPFS、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、奏効までの期間(TTOR)、臨床的有用率(CBR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・治療開始した104例(併用群52例、SG群52例)が解析に組み入れられた。・年齢中央値は57.0歳(範囲:27.0~81.0歳)、40例(38.5%)がPD-L1陽性(CPS≧1)、56例(69.1%)が術前/術後化学療法歴があり、51例(49.0%)が転移乳がんに対する1ラインの化学療法歴があった。・追跡期間中央値12.5ヵ月(データカットオフ:2024年3月9日)におけるPFS中央値は併用群が8.12ヵ月で、SG群の6.22ヵ月より数字上は延長したが、統計学的に有意ではなかった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.51~1.28、p=0.37)。・OSデータはimmatureであるが、OS中央値は併用群18.52ヵ月、SG群17.96ヵ月で有意な差は認められなかった(HR:0.65、95%CI:0.33~1.28、p=0.21)。・PD-L1陽性(CPS≧1)患者において、PFS中央値は併用群がSG群より4.4ヵ月長く(HR:0.62、95%CI:0.29~1.36、p=0.23)、OS中央値は6ヵ月長く(HR:0.61、95%CI:0.18~2.04、p=0.42)、どちらも有意ではないが併用群で改善傾向が認められた。・ORRは、併用群21.2%、SG群17.3%で有意な差はなかった(p=0.80)。また、CBR(p=0.84)、DOR(p=0.31)、TTOR(p=0.68)も有意な差は認められなかった。・主なGrade3以上のTEAE(治療中に発現した有害事象)は、併用群では好中球減少症(54%)、白血球減少症(23%)、リンパ球減少症(12%)、発熱性好中球減少症(6%)、貧血(6%)、下痢(6%)で、単独群では好中球減少症(44%)、貧血(10%)、悪心(10%)、下痢(8%)、白血球減少症(8%)、疲労(6%)、高血圧(6%)であった。 Garrido-Castro氏は、「これらの結果は、転移を有するPD-L1陽性HR+/HER2-乳がん患者におけるSG+ペムブロリズマブのさらなる検討を支持している。ADCと免疫チェックポイント阻害薬併用によりベネフィットが得られる予測因子を調査するために、追加の研究が必要である」と述べた。

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