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回復期リハ退院後の30日再入院率は11.8%/JAMA

 米国でメディケア受給者の急性期後(回復期)リハビリテーション(postacute inpatient rehabilitation)後の30日再入院率を調べた結果、最も低かったのが下肢関節置換術後の患者で5.8%、最も高かったのが患者の衰弱の18.8%であったことなどが、テキサス・メディカル・ブランチ大学のKenneth J. Ottenbacher氏らによる調査の結果、明らかにされた。米国のメディケア・メディケイドサービスセンターでは最近、リハビリテーション施設に対して、医療の質の評価指標として30日再入院率を定義づけた。Ottenbacher氏らは、この動きを受けて同施設の再入院率とその因子を明らかにするため、メディケア受給者73万6,536例を対象とした後ろ向きコホート研究を行った。JAMA誌2014年2月12日号掲載の報告より。リハ施設から地域へ退院した73万6,536例の再入院率を6診断群別に評価 対象者は2006~2011年に、1,365ヵ所のリハビリテーション施設から地域へ退院したメディケア受給者73万6,536例(平均年齢78.0[SD 7.3]歳)であった。63%が女性で、85.1%は非ヒスパニック系白人だった。 これら対象者について、6つの診断群(脳卒中、下肢骨折、下肢関節置換、衰弱、神経障害、脳の障害)別にみた30日再入院率を主要評価項目として評価した。最小は下肢関節置換5.8%、最大は衰弱18.8% 全体の平均入院期間は12.4(SD 5.3)日、全30日再入院率は11.8%(95%信頼区間[CI]: 11.7~11.8%)だった。 再入院率は、最小5.8%(下肢関節置換)から最大18.8%(衰弱)にわたった。その他はそれぞれ脳卒中12.7%、下肢骨折9.4%、神経障害、17.4%、脳の障害16.4%だった。 再入院率は、男性が女性よりも高く(13.0%vs. 11.0%)、人種別では非ヒスパニック系黒人が最も高かった。また、メディケイドとの複合受給者がメディケアのみ受給者よりも高い(15.1%vs. 11.1%)、共存症が1つの患者(25.6%)が2つ(18.9%)、3つ(15.1%)、なし(9.9%)の患者よりも高いなどの特徴も明らかになった。 6診断群では、運動および認知機能が高いと再入院率は低かった。 州で補正後の再入院率は、最小9.2%(アイダホ州、オレゴン州)から最大13.6%(ミシガン州)にわたった。 30日以内に再入院した患者の約50%は11日以内で退院に至った。再入院の理由(Medicare Severity Diagnosis-Related Groupコードによる)は、心不全、尿路感染症、肺炎、敗血症、栄養・代謝障害、食道炎、胃腸炎、消化不良などが一般的であった。 著者は、「再入院の原因を明らかにするためにさらなる研究が必要だ」とまとめている。

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血管撮影終了後の止血不十分で大腿神経麻痺を来したケース

循環器最終判決判例時報 1737号110-118頁概要心筋梗塞の疑いで心臓カテーテル検査を受けた61歳女性。カテーテル抜去後合計して約1時間の圧迫止血を行ったが、右大腿鼠径部に広範囲の内出血を来たし、翌日には右足の麻痺が明らかとなった。リハビリテーションによっても麻痺の回復は思わしくなく、2ヵ月後に大腿部神経剥離術を行ったところ、鼠径靱帯遠位部に約1cmにわたる神経の変性壊死が認められた。詳細な経過患者情報近所のかかりつけ医から心筋梗塞の疑いがあると指摘された61歳女性経過1989年8月28日A総合病院循環器内科を受診、心電図で異常所見がみられたため、精査目的で入院となった。なお検査前には、出血傾向、腎機能不全、感染症、発熱などはみられなかった。8月30日14:05心臓カテーテル検査開始(ヘパリン使用)。右大腿静脈:7フレンチ穿刺針に引き続き、シースを挿入。右大腿動脈:5フレンチ穿刺針に引き続き、シースを挿入。右心、左心の順に検査を進め、左右冠動脈造影、薬物負荷試験を行った。この間、右大腿動脈には2本目のシース(8フレンチ穿刺針使用)が挿入された。なお検査の結果肥大型心筋症と診断された。14:48体動が激しいためジアゼパム静注。15:00一連の検査終了が終了し、シースを抜去して用手圧迫による止血開始。10~15分間圧迫し、止血完了を確認後消毒、枕子をのせて圧迫帯を巻いた。ところがその直後に穿刺部周辺の大量出血を来たし、ソフトボール大の血腫を形成した。15:20一時的に血圧低下(77/58mmHg)がみられたため、昇圧剤を投与しながら30~40分用手圧迫を続けた。16:00ようやく止血完了。穿刺部に枕子を当て、圧迫帯を巻いて穿刺部を固定。16:20病室へ戻る。約8~9時間ベッド上の安静を指示された。8月31日右足が麻痺していることに気付く。9月11日別病院の整形外科を受診、右大腿神経の部分壊死と診断された。リハビリテーションが行われたものの満足のいく改善は得られなかった。10月30日別病院の整形外科で右大腿部神経剥離術施行。術中所見では、鼠径靱帯遠位5cmの部位で、大腿神経が約1cmにわたり、暗赤色軟性瘢痕組織に締扼されていて、壊死しているのが確認された。術後の回復は順調であり、筋力は正常近くまで回復し、知覚鈍麻も消失した。しかし、大腿神経損傷後に生じた右膝周囲のカウザルギー(頑固な疼痛)、右下肢のしびれが残存し、歩行時には杖が必要となった。1995年3月7日身体障害者第4級の認定。当事者の主張患者側(原告)の主張1.穿刺部の止血不十分のため大量出血を来し、さらに大腿神経を1時間にわたり強く圧迫したことが原因で神経が損傷、麻痺が生じた2.大出血による右大腿部の麻痺を確認しておきながら、専門医と相談したり転医措置をとらなかった病院側(被告)の主張1.穿刺部からの出血により広範囲の内出血が起きたことは認めるが、これは原告の体動によりいったん止血に成功したあとの再出血である。歩行障害はもともと患っていた腰椎疾患が原因である2.大腿神経麻痺が疑われた場合、とくに手術的措置をとらなくても自然に麻痺が回復することもあるので、経過観察したことに過失はない裁判所の判断1.心臓カテーテル検査終了後の止血措置を誤って大量出血させ大きな血腫ができ、右大腿神経麻痺が発症した2.担当医師は、「いったん止血に成功した後に激しく体動したため再出血した」と主張するが、入院カルテには「圧迫するも止血不完全、再圧迫」と記載されているのみ心臓カテーテル検査記録、報告書、看護記録にも体動に関する記載なし同僚医師・看護師の証言も曖昧で採用できない紹介もとの医師へは(検査終了後の圧迫の際に血腫を形成して大腿神経麻痺を来したことに対して)「どうもすみませんでした」と記載して謝罪しているなどの理由により、患者が動いたために再出血を来したとは到底考えることができない原告側1,778万円の請求に対し、1,144万円の判決考察セルジンガー法の血管撮影においては、大腿動脈に比較的太いシースを挿入するのが普通ですので、検査終了後の圧迫止血を慎重に行わないと本件のように大変な紛争へと発展することがあります。多くの先生方にも経験があると思いますが、ヘパリン使用下に検査を施行することもあって、細心の注意にもかかわらず穿刺部皮下に血液が漏れだし、あとで広範囲にわたる皮下出血となってしまうことがあります。その多くは数日で消退すると思いますが、場合によっては大腿神経に多大な圧迫が及んで下肢の麻痺にまで発展することがある、という重要な教訓を示唆しているケースです。ただし本件の裁判経過をみると、さまざまな問題点を指摘することができます。まず第一に、自分の関与した医療行為の結果、予期せぬ事態が発生し、患者さんに何らかの症状が残遺した場合には、その経過を詳細にカルテに記載しなければならない、という当たり前ではありますがけっして忘れてはならない重要な点です。今回の検査担当医は、「検査中からあまりにも体動が激しいので、心臓カテーテル検査では通常使用しないジアゼパムを静注したが、それでも体動は止まらずに本来施行するべき生検も断念した」、「検査終了後きちんと圧迫止血したけれども、止血完了直後に患者さんが動いたためにひどい出血を来した」と裁判で証言しました。それ以外に検査にかかわったスタッフは曖昧な証言に終始しているため、真相がどうであったのかはよくわかりません。しかし肝心のカルテには、「圧迫するも止血不完全、再圧迫」というたった一行の記載があるだけですので、「そんな重大な事実がありながら記録をまったく残していないのはきわめて不自然である。ということはそのような事実はなかったのだろう」と裁判官は判断しました。このように、医事紛争に巻き込まれた時に自らの正当性を証明する唯一ともいってよい手段は「きちんとカルテに記載を残す」ことにつきると思います。もし本件で、「カテーテル抜去後、約15分間慎重に圧迫止血を行ったが、止血確認直後患者が制止にもかかわらず起きてしまい、穿刺部にソフトボール大の血腫が生じた。その後圧迫止血を1時間追加してようやく止血を完了した」と記載していれば、おそらくここまで一方的な判断にはならなかったかもしれません。なお、本件の医学鑑定を行った専門医は、「カテーテル検査後の止血中には多少の体動はあり得ることであり、それを念頭において止血すべきであって、そのために出血を来すようであれば止血措置としては十分とはいえない」と判断しています。つまり、止血不十分で紛争に至ると、「止血中に動いた患者が悪い」という主張は難しいということになります。さらに本件では、循環器チームの医師、看護師数名が関与していたのに、誰一人として検査担当医をかばうような記録、証言を残しませんでした。おそらく、チーム内のコミュニケーションが相当悪かったことに起因しているのではないかと思いますが、それ以前の問題として、「この患者の主治医は誰であったのか」と首をかしげたくなるような状況でした。具体的に関与した医師は、A医師心臓カテーテル担当医師、検査当日にはじめて患者と会う。B医師主治医。ただし証言では「名目上の主治医」と主張し、検査前のカルテには直接診察していないものの一応主治医ということで記載したので、事前の説明はしていないし、検査中はモニター室に待機、検査終了後に患者を診察した。C、D医師おそらくオーベン医師E、F医師血腫形成後に交代で止血を担当した医師という6名です。このうち、裁判で「けしからん」とやり玉に挙げられたのがA医師ですが、この医師は検査前には一切患者と接することはなく、検査当日にはじめて患者と会い、心臓カテーテル検査を行いましたので、少々気の毒な気さえします。そして、名目とはいっても主治医はB医師であり、この患者を紹介してきたかかりつけ医へは、「大腿神経麻痺を来してどうもすみませんでした」という返事をD医師との連名で記載しています。つまり、はたからみるとB医師が主治医として責任を持つべきかと思うのですが、「主治医でありながら検査中に生じた大きな血腫の形成という異常な事態について原因の究明など十分な事実関係の確認をしなかった」と裁判官は判断し、さらに「被告病院の医療管理上の責任体制や診療録、看護記録の記載のあり方は疑問」という問題点も指摘しています。すなわち、いったいこの病院では誰がこの患者の主治医であったのか、と、きわめて不自然な印象を受けるばかりか、A医師が孤立してしまうような言動をくり返しています。そのためもあってか、大腿血腫に対しては対応が遅れがちとなり、整形外科を受診したのが検査後12日目であったのも、訴訟にまで発展した一因になっていると思います。また、唯一のカルテ記載である「圧迫するも止血不完全、再圧迫」というのは、もしかしたら名目上の主治医B医師が記載したのかもしれず、A医師は検査を担当しただけであったのでカルテ記載をする機会すら逸してしまったのかもしれません。このように本件では6名もの医師が関与していながら、主治医不在のまま紛争に発展したということがいえるのではないでしょうか。いくら複数の専門医チームで患者を担当するといっても、一歩間違えると無責任体制に陥る危険がありますので、侵襲を伴う医療行為をする際にはきちんと主治医を明確にして責任もった対応をする必要があると思います。循環器

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13)夜間のこむら返りで悩んでいる人へのアドバイス【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者夜中に「足がつる」ことがあるんですけど、これは糖尿病の合併症ですか?医師こむら返りですね。これは糖尿病や肝臓が悪い人、肝硬変の人ではよく起こることが知られています。患者そうすると、糖尿病が悪くなっているということですか?医師そうですね。・・・もちろん、運動不足もあるかもしれませんが、運動神経に障害が出ると起こりやすいことが知られています。患者どうしたら、よくなりますか?医師まずは血糖コントロールをよくすること、次が運動ですね。患者わかりました。明日から運動してみます。医師とくに、寝る前にやるといいストレッチがありますから、ぜひ、試してみてください。患者どんな方法ですか? 教えてください。(興味津々)●ポイント自覚症状のある「こむら返り」から、運動療法に話が発展するといいですね

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睡眠検査の最新技術 睡眠の質を手軽に可視化

小さなデバイスが、睡眠へのアプローチに大きな変化をもたらす小型睡眠脳波測定器「スリープスコープ」医療機器として認証された、手の平に納まる小型睡眠脳波測定器があることを、ご存知だろうか。日常生活の中で手軽に測定できるというだけでなく、様々な可能性がそこにあった。この小型睡眠脳波測定器「スリープスコープ」を開発したスリープウェル株式会社代表 吉田政樹氏に聞いた。睡眠の質の客観的評価へのニーズが増加近年、睡眠は医療・健康分野において、その重要性が大いに注目されている。従来、睡眠の質を客観的に捉えるには終夜睡眠ポリグラフ(以下 PSG)を行う必要あった。しかし、この検査が実施可能なのは少数の専門機関に限られ、またその実施には多くの制約があった。そのため、ニーズはあるもののエビデンスが取得しにくく、なかなか研究が進まない状況であった。このようななか、小型で高性能のスリープスコープが開発され、睡眠の質を容易に可視化できるようなった。睡眠の質の客観的評価へのニーズが増加スリープウェル株式会社の出発点は、大阪市などが母体となる公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所(以下OBI)。同研究所の研究者たちが小型脳波計の製品化を目的に設立した睡眠基礎研究発のベンチャー企業である。つまり、スリープスコープは睡眠研究の専門家が開発した機器である。ヒトでは30カ所以上の電極を付けPSGを行う。OBIではマウス、ラットの睡眠実験をしていたが、マウスの脳は小さく2つの電極で睡眠を評価していた。睡眠の実態を考えると、大脳の活動レベルは全体に低下する。大脳全体の活動さえ拾い上げられれば、2つの電極で、睡眠情報は正確にわかるという考えのもと、スリープスコープは開発された。スリープスコープの特徴と精度スリープスコープは小型脳波計では初めて、高度管理医療機器(クラスⅡ)に認証された。10x6cmの小さなボディで、睡眠時の脳波を計測し、その脳波の状況から、睡眠に関する客観的、定量的アウトプットを提供する。具体的には、就床時間、睡眠潜時、熟眠度、中途覚醒、睡眠効率、睡眠リズム、デルタ波*量の推移も測定可能である。精度も高く、スリープスコープとPSGを同時計測して性能検証を行った結果、PSGで取得したものと同様の脳波形を各睡眠ステージで示し、PSGとのステージ判定一致率は86.89%であった。さらに、装着も簡単で、特殊なトレーニングも必要ない。自宅で被験者本人が計測できる。*デルタ波:周波数の低い脳波で、深い睡眠時に出現、成長ホルモンとも相関する。スリープスコープとPSGの睡眠グラフ比較スリープスコープの現在の用途は、研究開発と実臨床スリープスコープの現在の用途は、研究開発と実臨床である。研究開発では、医薬品・医療機器企業、食品企業の活用が多い。たとえば、睡眠薬、快眠食品、快眠グッズなどの効果検証などに用いられる。また、医学研究では、睡眠を悪化させる原疾患や症状(GERD、睡眠時無呼吸症候群、痒み、痛みetc)と睡眠の相関についての研究に活用されている。実臨床においても人間ドッグや、一般臨床科で徐々に使われるようになってきている。とくに、人間ドックでは、検査項目のオプションとして、スリープスコープを活用した睡眠検査を行い、睡眠検査報告書で睡眠の質をわかりやすく説明するサービスを導入している施設もある。睡眠検査報告書では、スリープウェルが有する2万例の健康成人の睡眠データを利用した熟眠年齢(睡眠時に出現するデルタ波量年齢平均値から算出)という指標を提供している。スリープスコープでわかる「睡眠脳波検査結果」スリープスコープの持つ可能性スリープスコープはPSGと異なり、日常の睡眠状態を長期間連続して計測できる。その特性が簡便さ以外のさまざまな可能性をもたらす。その一つが、睡眠脳波と精神疾患の関係解明である。睡眠時の脳波は夜間の無自覚・無意識下の神経活動である。実際、スリープスコープを用いて精神疾患患者の脳波を測定したところ、うつ病をはじめとする精神疾患患者には徐波睡眠がほとんどみられず、入眠潜時、中途覚醒、睡眠効率に関しても大きな差異がみられることがわかった。また、精神疾患患者では、健康成人と異なる特徴的な脳波を示すことも判明した。そこで、スリープスコープ社では、うつ病や双極性障害の診断についての脳波形データ解析の特許を、2013年5月に取得した。さらに、滋賀医大と共同で臨床試験を行い、精神疾患の診断マーカーとしての臨床での実用化を目指している。精神疾患の診断は医師の問診による判断に委ねられており、客観的データとしてはやや乏しい。脳波分析による客観的データが早期診断に貢献できれば画期的だといえよう。また、古川飛行士、星出飛行士の二人が国際宇宙ステーション滞在中にスリープスコープを使用し実験データをとるなど宇宙医療研究にも応用されている。スリープスコープの登場により、今まで特定の施設でしかとれなかった睡眠脳波が多くの医療機関で測定可能となった。今後、睡眠脳波を用いた研究は加速化し、多くのデータが臨床に応用される日も遠くはないであろう。スリープスコープについての問い合わせはスリープウェル株式会社へhttp://sleepwell.co.jp/スリープスコープの取り扱い方法http://sleepwell.co.jp/411/テレビ東京ワールドビジネスサテライト「拡大する快眠ビジネス」http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/feature/post_52627

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C型慢性肝炎に対する治療法の開発は最終段階へ!―IFN freeの経口薬併用療法の報告―(コメンテーター:中村 郁夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(175)より-

C型慢性肝炎のうち、1型高ウイルス量の患者に対する現時点での標準治療はPEG-InterferonとRibavirin・Protease阻害薬(Telaprevir またはSimeprevir)の併用療法(24週)である。この治療法により、Sustained Virological Response(SVR:治療終了後6ヵ月の時点での血中HCV陰性化)を得られる頻度は、初回治療例、前治療無効例で約80~90%とされている。 さらなる治療効果の向上、患者の負担軽減のために、さまざまな取り組みが進められている。その1つが、IFN freeの経口薬のみの併用療法の開発である。有用な薬剤として、(1) NS3 Protease阻害薬、(2) NS5B Polymerase 阻害薬(核酸型・非核酸型)、(3) NS5A阻害薬などが挙げられる。 一方、経口薬の併用療法の問題点の1つとして、薬剤に対する耐性変異の出現がある。核酸型のNS5B Polymerase 阻害薬に属するSofosbuvir(GS-7977, PSI-7977)は、どのgenotypeのHCVに対しても耐性ウイルスの出現率が低いことが報告されている。 本論文は米国におけるC型慢性肝炎に対するDaclatasvir(NS5A阻害薬)、 Sofosbuvir併用療法のopen-label studyに関する報告である。対象は、genotype1型167例(ナイーブ例(未治療例)126例、前治療無効例 41例)、genotype2型26例(ナイーブ例)、genotype 3型18例(ナイーブ例)とし、Daclatasvir(60mg)、Sofosbuvir(400mg)の1日1回の経口(Ribavirinの有無は無作為に割り付け)を12週、ないし、24週の10投与群に割り付けた(うち、2群でSofosbuvirのlead-inあり)。 治療終了後12週時点のSVR(SVR12)は、genotype 1型では未治療例・前治療無効例とも98%と高率であった。また、IFN・Ribavirin併用療法による治療効果が低いとされるIL28BのSNPが非CCの例においても98%と、CC例(93%)と同等の効果が認められた。 本邦においても同様の治験が進められており、その結果が注目される。いよいよ、C型慢性肝炎の治療法の開発は最後のステップに入ったと考えらえる。

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糖尿病患者のトータルケアを考える

 2014年2月19日(水)都内にて、糖尿病患者の意識と行動についての調査「T-CARE Survey」を題材にセミナーが開かれた(塩野義製薬株式会社 開催)。演者である横浜市立大学の寺内 康夫氏(分子内分泌・糖尿病内科学 教授)は、患者が治療に前向きに取り組むためには「治療効果の認識」「症状の理解」が重要と述べ、患者の認知・理解度に応じて個々に合ったアプローチをすべき、と述べた。 T-CAREとは 「塩野義製薬が考える“糖尿病患者さまのトータルケア”」を意味する名称とのこと。以下、セミナーの内容を記載する。【糖尿病患者の3割が治療ストレスを感じている】 『糖尿病患者の約30%が治療を続けることにストレスを感じている』これは、糖尿病患者の意識と行動を把握するためのインターネット調査「T-CARE Survey」の結果である。「T-CARE Survey」は全国の20代~60代の男女を対象に2013年10月に実施されたインターネット調査で、一般回答者2万254名、糖尿病患者3,437名の回答が得られている。その結果、糖尿病患者は高血圧や脂質異常症と比較してストレスを感じやすく、そのストレス度合いは、喘息やアレルギーなどの自覚症状がある疾患と同程度であることが明らかになった。糖尿病は症状が少ないにもかかわらず、患者さんはストレスや不安を感じやすいことから、リスクケアのみならず、生活環境や心理的不安も見据えたトータルケアが必要と考えられる。【心配事・不満の上位は、『合併症の不安』】 糖尿病患者は何に不安を感じているのだろうか。患者さんの心配事や不満の上位は「透析になるのが怖い」「失明するのが怖い」といった「合併症の不安」であった。また約1割が「足のしびれや痛みが我慢できない」と感じていることも明らかにされた。寺内氏は、この結果を基に「患者さんに医療機関との接点を持ち続けてもらう、つまり続けて通ってもらうことが不安解消にも重要」と述べた。【治療継続には『病状理解』と『治療効果の認識』】 では、患者さんに治療を続けてもらうにはどうすべきか。今回の調査では「糖尿病患者の治療モチベーションに関する検証」も行われた。糖尿病の知識、治療への評価、周囲との関係性といったいくつかの項目を仮説として設定し、重回帰分析等を用いて検証を行った結果、「自分の病状の理解」「治療効果の認識・理解」の2項目が治療モチベーション向上に寄与していることが明らかになった。医師やスタッフの説明を通じて患者さんに病状を理解してもらい、効果を認識させることが治療にも有用なようだ。【メディカルスタッフへの相談も有用】 患者さんが糖尿病疾患について相談する相手をみると、医師が83%、配偶者・パートナーが52.8%であった。一方、看護師・薬剤師・管理栄養士といったメディカルスタッフへの相談はいずれも30%未満であり、まだまだ少ないといえる。しかし、メディカルスタッフに相談している患者は相談していない患者に比べ、前向きに治療に取り組む割合が高いこともわかっており、チームサポートの重要性がうかがえる。【糖尿病療養指導士を要としたコミュニティサポート推進が望まれる】 患者さんの家庭環境はどうだろうか。「家族が治療やケアに協力してくれる」という回答は56.4%であった。家族ケア有りの場合、前向きに治療に取り組む割合は高く、医療従事者側も家族によるサポートを促すことができる。しかし、一人暮らしの高齢世帯の増加を鑑みると、今後は家族のみならず、地域のコミュニティによるサポートが推進されていくことを期待したい。自身が日本糖尿病療養指導士認定機構の役員を務める寺内氏は、今後、介護施設や在宅医療スタッフの中に糖尿病療養指導士の資格を持つ方が増え、地域のコミュニティサポートが推進されていくことを期待したい、と述べた。【編集後記】 講演の最後に寺内氏は、「トータルケアの実践には患者をタイプ分類し、タイプ別のアプローチを工夫することが有用」と述べた。タイプ別アプローチ方法が確立し、治療に不満を抱く方や疾患を放置する患者さんが、治療に前向きに取り組めるようになることを期待したい。

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双極性障害、男女間で肥満割合に違いあり

 カナダ・クイーンズ大学のAnusha Baskaran氏らは、双極性障害(BD)における肥満の性差とその背景因子について、論文レビューを行った。その結果、BD女性は、BD男性および一般集団の男女と比較して、腹部肥満の割合が高いことを報告した。性別に基づく多彩な要因が、BD女性の肥満を促進していたことも判明した。Bipolar Disorders誌2014年2月号の掲載報告。 双極性障害(BD)の女性は、BDの男性および一般集団の男女に比較して心血管疾患(CVD)による標準化死亡比(SMR)が高い。本研究では、このような差異に寄与する要因について検討を行った。1990年9月~2012年6月までに英語で発表された論文について、「双極性障害」「メタボリックシンドローム(性別、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症を参考)」をキーワードとしてPubMedにて検索を行った。リファレンスリスト中の代表的な論文については、手動でレビューを行って補足した。論文の選択は、著者のコンセンサス、標準化された経験的手法の使用、確証されている評価項目の設定および論文全体の質に基づいた。 主な結果は以下のとおり。・成人BDは一般集団と比較して、メタボリックシンドロームの割合が高かった。・BD女性は、BD男性および一般集団の男女と比較して腹部肥満の割合が高かった。・BDの臨床経過と所見に性差が認められ、女性では、うつ優位な病状の頻度が高く、より晩期のBD発症、気分障害の季節性がみられ、再発しやすいことが判明した。・現象的な要因は、BD患者における合併症の性差にまで拡大する可能性があった。・BD女性の腹部肥満のリスクに寄与し得るその他の因子として、生殖に関する出来事、性的・身体的虐待などの経験、ライフスタイル、医原性などが考えられた。・上記を踏まえて著者は、「BD女性の肥満は、性別に基づく多彩な要因により促進されていることが判明した。一方で、BD女性の腹部肥満の増加が、CVDによるSMRの増加に関与するか否かは、引き続き検討すべき課題である」と結論したうえで、「本レビューから得られた臨床的推奨は、BD女性の肥満増加に関わる因子の現病歴や既往歴に主眼を置くということである」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 双極性障害患者の長期健康状態の独立予測因子は肥満 うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は

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膵NETが1.2倍、消化管NETが1.8倍に~神経内分泌腫瘍の全国疫学調査

 神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)はまれな腫瘍であるが、患者数は増加している。しかしながら、わが国では2005年からNETの疫学的研究はなされておらず、有病率は不明である。今回、膵および消化管NETの2005年の疫学データを報告している九州大学の伊藤鉄英氏らが、2010年における受療者の全国調査を実施し、疫学的変化を報告した。Journal of gastroenterology誌オンライン版2014年2月6日号に掲載。 主な結果は以下のとおり。■膵NET・2010年の年間受療者数は3,379例で、2005年から1.2倍増加した。・人口10万人当たりの有病患者数は2.69人/年、2010年における新規発症率は10万人当たり1.27人/年と推定された。・非機能性膵NETが65.5%を占め、インスリノーマ(20.9%)とガストリノーマ(8.2%)が続いた。非機能性膵NETの患者数は、2005年から1.8倍に増加した。・最初の診断時、遠隔転移が19.9%に認められた。多発性内分泌腫瘍症1型(MEN-1)との合併が4.3%に認められ、4.0%がMEN-1と合併した非機能性膵NETであった。■消化管NET・2010年の年間推定受療者数は8,088例で、2005年から1.8倍増加した。・人口10万人当たりの有病患者数は6.42人/年、新規発症率は10万人当たり3.51人/年と推定された。・部位は、前腸26.1%、中腸3.6%、後腸70.3%であった。・最初の診断時、遠隔転移が6.0%、MEN-1との合併が0.42%に認められた。・消化管NET症例におけるカルチノイド症候群の頻度は3.2%であった。

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マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ

 40~59歳の女性に対するマンモグラフィ検診は、乳房触診検査や通常診療のみの場合に比べ乳がん死を低減しないことが、Canadian National Breast Screening Studyの最長25年に及ぶ追跡調査で示された。検診から15年後も、22%が過剰診断である可能性も示唆された。カナダ・トロント大学のAnthony B Miller氏らが発表したもの。BMJ誌オンライン版2014年2月11日号掲載の報告より。一般に、触知不能でマンモグラフィで検出された乳がん患者の生存期間は、触診で病変が見つかった患者よりも長期に及ぶ。これには、組織型検診(organized screening)やリードタイム・バイアス、過剰診断の影響があると考えられるが、その影響の程度は正確には知られていないという。マンモグラフィ検診の乳がん死への影響を無作為化試験で評価 Canadian National Breast Screening Studyは、マンモグラフィ検診が乳がんの発症率および死亡率に及ぼす影響の評価を目的とする無作為化試験である。1980~1985年に、カナダの6つの州の検診センターを受診した40~59歳の女性を対象とした。 これらの女性が、年1回のマンモグラフィ検診を5年間受ける群またはマンモグラフィ検診を受けない群(対照群)に無作為に割り付けられた。マンモグラフィ群の全員と対照群の50~59歳の女性は毎年、乳房触診検査を受けた。一方、対照群の40~49歳の女性は、1回のみ乳房触診検査を受けたのち、地域のプライマリ・ケア医による通常診療が行われた。最長で25年のフォローアップが実施された。乳がん死に差なし、検診424件に1件が過剰診断 本試験には8万9,835例(40~49歳:5万430例、50~59歳:3万9,405例)が登録された。マンモグラフィ群に4万4,925例(40~49歳:2万5,214例、50~59歳:1万9,711例)が、対照群には4万4,910例(乳房触診:1万9,694例、通常診療:2万5,216例)が割り付けられた。平均フォローアップ期間は21.9年であった。 フォローアップ期間中の全死因死亡率は10.6%(9,477例)で、両群間に差を認めなかった(ハザード比[HR]:1.02、95%信頼区間[CI]:0.98~1.06、p=0.28)。 5年間の検診期間中に浸潤性乳がんと診断されたのは、マンモグラフィ群が666例(454例(68.2%)が触知可能、中間期がん176例を含む)、対照群は524例であった。その後の乳がん死はそれぞれ180例、171例であり、両群間で乳がん特異的死亡率に差はみられなかった(HR:1.05、95%CI:0.85~1.30、p=0.63)。また、登録時年齢40~49歳(HR:1.09、95%CI:0.80~1.49、p=0.58)および50~59歳(HR:1.02、95%CI:0.77~1.36、p=0.88)の女性にも差は認めなかった。 全試験期間中にマンモグラフィ群の3,250例、対照群の3,133例が乳がんと診断された。フォローアップ期間中の乳がん死はそれぞれ500例、505例であり、両群間で累積乳がん死亡率に有意な差は認めなかった(HR:0.99、95%CI:0.88~1.12、p=0.87)。 検診期間終了時の乳がん診断件数はマンモグラフィ群が142件多く(666 vs. 524件)、フォローアップ期間15年時にもマンモグラフィ群で106件(22%)多かった。乳がん死亡率に差を認めなかったことから、これはマンモグラフィ検診による過剰診断と考えられ、検診424件に1件の割合で過剰診断が発生したことになる。また、過剰診断された乳がんはほぼすべてが触知不能と仮定すると、マンモグラフィ検診のみで検出された乳がんの半数(106/212例)が過剰診断と推察された。 著者は、「40~59歳の女性に対する毎年のマンモグラフィ検診は、乳房触診検査や通常診療のみの場合に比べ乳がん死を低減しなかった」とし、「マンモグラフィ検診の価値の再評価が求められる」と指摘している。

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レストレスレッグス症候群におけるプレガバリンの可能性/NEJM

 レストレスレッグス症候群(RLS、むずむず脚症候群、Willis–Ekbom病)の治療薬として、プレガバリン(商品名:リリカ)はプラセボよりも有意に治療アウトカムを改善し、プラミペキソール(同:ビ・シフロールほか)に比べ症状の増強(augmentation)が少ないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRichard P Allen氏らの検討で確認された。RLSの症状はプラミペキソールなどの短時間作用型ドパミン作動薬によって軽減するが、長期間投与すると医原性の悪化(症状の増強)の原因となる可能性がある。プレガバリンは、鎮痛作用および抗痙攣作用を有する非ドパミン作動性の薬剤であり、最近、無作為化試験でRLSに対する効果が示されている。NEJM誌2014年2月13日号掲載の報告。プレガバリンの有用性を無作為化試験で評価 研究グループは、RLSに対するプレガバリンの有用性を評価する二重盲検無作為化試験を実施した。対象は、年齢18歳以上、国際RLS(IRLS)研究グループ判定基準で中等度~重度のRLSと診断され、主に夜間に発現する症状が月に15日以上みられ、6ヵ月以上持続している患者とした。 これらの患者が、プレガバリン300mg/日(52週)群、プラミペキソール0.25mg/日(52週)群、プラミペキソール0.5mg/日(52週)群、またはプラセボを12週間投与後に無作為に割り付けた実薬を40週投与する群のいずれかに無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、1)12週投与後のプレガバリンとプラセボのIRLS研究グループ評価スケール(0~40点、スコアが高いほど症状が重度)、2)改善度の臨床全般印象(Clinical Global Impression of Improvement; CGI-I)の「きわめて大きく改善(very much improved)」または「大きく改善(much improved)」の割合、3)プレガバリンとプラミペキソールの40週または52週投与後の症状増強の発現であった。主要評価項目がすべて改善、長期投与の制限因子も 2008年12月~2011年6月に、欧米の102施設から719例が登録され、プレガバリン群に182例、プラミペキソール0.25mg群に178例、同0.5mg群に180例、プラセボ群には179例が割り付けられた。ベースラインの患者背景や治療完遂率は、各群間に差はみられなかった。 12週の投与後のIRLSスケールの平均スコアは、プレガバリン群がプラセボ群に比べ4.5点低下し、有意な改善効果が認められた(p<0.001)。プラミペキソール0.5mg群も、プラセボ群より3.2点低下したが(p<0.001)、0.25mg群では改善効果はみられなかった(p=0.36)。 CGI-Iで症状が「きわめて大きく改善」「大きく改善」の患者の割合も、プレガバリン群がプラセボ群よりも有意に良好であった(71.4 vs. 46.8%、p<0.001)。プラミペキソール0.5mg群も、プラセボ群に比べ有意に改善したが(p=0.002)、0.25mg群では改善効果は認めなかった(p=0.439)。 40週または52週投与後の全体の症状増強率は、プレガバリン群がプラミペキソール0.5mg群よりも有意に低かったが(2.1 vs. 7.7%、p=0.001)、0.25mg群との間には有意差はなかった(2.1 vs. 5.3%、p=0.08)。 治療中止の理由となった有害事象の発現率は、プレガバリン群(27.5%)がプラミペキソール群(0.25mg群18.5%、0.5mg群23.9%)よりも高かった。頻度の高い有害事象として、プレガバリン群でめまい(21.4%)、眠気(17.6%)、疲労(12.6%)、頭痛(12.1%)が、プラミペキソール群では頭痛、悪心、疲労、鼻咽頭炎が認められた。 有害事象の94.0%が軽度~中等度であり、重篤な有害事象は37例(50件)にみられた(プレガバリン群11件、プラミペキソール0.25mg群20件、0.5mg群12件、プラセボ群7件)。また、自殺念慮が11例に認められた(プレガバリン群6例、プラミペキソール0.25mg群3例、0.5mg群2例)。 著者は、「プレガバリンは、プラセボに比べ治療アウトカムを有意に改善し、症状増強率はプラミペキソール0.5mgよりも有意に低かった」とまとめ、「自殺念慮や眩暈、眠気が、プレガバリンの長期投与の制限因子となる可能性もある」と指摘している。

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たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる

 心理社会的要因はしばしば慢性腰痛発症のリスク因子となり、また治療の予測因子ともなることから、その要因を明らかにする目的で質問票が用いられることがあるが、日常診療ではより簡単な質問票が使いやすい。ノルウェー・Uni Research のSilje Endresen Reme氏らは、うつや不安の評価について、単一質問によるスクリーニングと、一般によく用いられているHospital Anxiety and Depression scale(HADS)やHopkins Symptom Checklist(HSCL)とを比較した。その結果、うつ病性障害に対しては、単一質問によるスクリーニングのほうが、感度が高かったことを報告した。Spine誌オンライン版2014年1月29日号の掲載報告。 研究グループは、慢性腰痛患者におけるうつ病性障害と不安障害の評価における質問票の感度について検討した。 対象は過去2~10ヵ月のうち半分以上を非特異的腰痛で病欠した腰痛患者であった。 検討はまず精神疾患簡易構造化面接法(MINI)を行い、次いで主観的健康不満尺度(Subjective Health Complaint Inventory)の中のうつおよび不安に関する単一質問、ならびに2つのより長い質問票(HADS、HSCL)の結果とMINIの結果を比較し、ROC曲線より感度と特異度を求めた。 主な結果は以下のとおり。・対象被験者は564例であった。・MINIにおいて、うつ病性障害の有病率は4%、不安障害の有病率は12%であった。・単一質問によるスクリーニングの感度および特異度は、うつ病性障害がそれぞれ95%および56%、不安障害が68%および85%であった。・HADSの感度および特異度は、うつ病性障害が91%および85%、不安障害が58%および83%であった。・HSCLの感度および特異度は、うつ病性障害が86%および74%、不安障害が67%および87%であった。・不安障害のうち3つ(パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害)、うつ病性障害のうち2つ(大うつ病性障害、気分変調性障害)に関しては、単一質問によるスクリーニングの感度は100%であった。

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ムコ多糖症II型〔MPS II : Mucopolysaccharidosis II〕

ムコ多糖症II型のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■ 概念・定義ムコ多糖症(Mucopolysaccharidosis: MPS)は、細胞内小器官のリソゾーム内でムコ多糖の一種であるグリコサミノグリカン(GAG)を加水分解する酵素の異常により、リソゾーム内にGAGが蓄積し、種々の臨床症状を引き起こす先天代謝異常症である。ムコ多糖症II型(MPSII型)は、1917年にCharles A. Hunterにより報告されハンター症候群と呼ばれていたが、1973年Bachらにより欠損酵素がイズロン酸-2-スルファターゼ(Iduronate-2-sulfatase)であることが明らかとなり、さらに1990年にはWilsonらにより本酵素がクローニングされ、遺伝子配列が明らかとなった。MPSII型は、リソゾーム酵素の1つであるイズロン酸-2-スルファターゼの異常によりリソゾーム内にGAGの一種であるデルマタン硫酸とヘパラン硫酸が異常に蓄積するため、慢性で進行性の多様な臨床症状を呈する。MPSII型は他のムコ多糖症と異なりX染色体潜性(劣性)遺伝形式をとる。■ 疫学MPSの頻度は人種により異なり、欧米では2万4,000人に1人と多いが、わが国では5~6万人に1人とされる。しかし日本、韓国などの東アジアでは、II型が多く、その頻度はMPSの過半数を占める。■ 病因リソゾーム酵素の1つである、イズロン酸-2-スルファターゼをコードする遺伝子の変異に基づく遺伝性の疾患で、この酵素の欠損はリソゾーム内にGAGの一種であるデルマタン硫酸とヘパラン硫酸が異常に蓄積するため、MPSII型でもI型と同様、慢性で進行性の多様な臨床症状を呈する。デルマタン硫酸の蓄積は骨の変形に関与し、ヘパラン硫酸の蓄積は精神運動発達遅滞の原因となることはI型と同様である。■ 症状画像を拡大するリソゾームはほとんどすべての細胞に存在するため、障害も多臓器に及び、I型のハーラー症候群に類似した症状であるが、角膜混濁はなく皮膚に特徴的丘疹を認めることが多い。新生児期からヘルニアや蒙古斑の多発が認められる。その後、ガルゴイ様と呼ばれる粗な顔貌、関節拘縮、骨変形、肝脾腫、心弁膜症、精神運動発達遅滞、網膜変性、滲出性中耳炎、難聴、閉塞性呼吸障害、低身長などが出現する。重症型では、6ヵ月頃から胸腰椎移行部の突出が出現するが、関節拘縮は明らかではなく、3歳頃までは過成長(+2SD)が続く。それ以後、身長は横ばいとなり、関節拘縮が始まり、軽症型でも学童期までに気づかれるようになる。眼窩が浅く遠視となり、眼圧が上昇する症例では網膜変性が認められることもあるが、角膜混濁は来さない。■ 予後無治療の場合、重症型では小児期に死亡することが多いが、治療法の進歩により、生命予後はかなり改善している。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床診断1)胸部X線正面画像:肋骨のオール状変形が認められる。2)腰部X線側面画像:上部腰椎の卵形化、下部腰椎の椎体の下部が前方に突出する所見が認められる。3)手のX線画像:指の骨の弾丸状変形が認められる。4)頭部CT:水頭症5)眼科受診:角膜混濁は認めないが、眼圧の上昇による緑内障や網膜変性を引き起こすことがある。6)耳鼻科受診:滲出性中耳炎■ 生化学診断:尿中ムコ多糖分析1)尿中GAG定量値が高値である。2)GAG分画:デルマタン硫酸とヘパラン硫酸の増加が認められる。■ 酵素診断:イズロン酸-2-スルファターゼ活性の測定白血球のイズロン酸-2-スルファターゼ活性の低下を認める。■ 遺伝子診断確定診断に必須の検査ではないが、保因者診断や出生前診断には有用である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 対症療法1)中耳炎・難聴:鼓膜チューブ挿入や補聴器など耳鼻科的処置を行う。2)緑内障・網膜変性:眼圧を下げる眼科的処置を行う。3)骨変形:整形外科的手術を行う。4)睡眠時無呼吸:耳鼻咽喉科的手術や経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行う。5)心弁膜症:弁置換術など心臓外科的手術を行う。6)水頭症:シャント術など脳外科的手術を行う。■ 造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation:HSCT)1)移植によるリスクがかなり軽減しているため、最も勧められる治療法である。2)肝脾腫の縮小、関節拘縮の軽度改善、心弁膜症の進行抑制、粘膜の肥厚の改善などが認められるが、骨変形や精神発達の退行を防ぐことは難しい。3)酵素補充療法の治療効果が減弱するような重症型症例では、早期の造血幹細胞移植を積極的に考慮すべきである。■ 酵素補充療法(Enzyme replacement therapy:ERT)1)遺伝子組み換えにより人工的に合成されたイズロン酸-2-スルファターゼ酵素を静脈内、あるいは脳室内に注射により補充する治療法で、以下の3製剤が薬価収載されている。(1)イデュルスルファーゼ(商品名:エラプレース)毎週点滴静注により酵素補充を行うが、血液脳関門(BBB)により酵素が中枢神経系に到達できないため中枢神経障害に対する効果は望めない。(2)イデュルスルファーゼベータ(同:ヒュンタラーゼ)4週に1回脳室内投与により髄液中に直接酵素補充を行うことで中枢神経症状の進行を抑制する効果が期待できる。この治療にはOmmayaリザーバーを頭皮下に設置し、脳室内にカテーテルを留置する外科的処置が必要である。また、脳以外の組織については(1)のイデュルスルファーゼの毎週点滴静注を併用する必要がある。造血幹細胞移植と併用することで中枢神経症状の治療効果を補強することが推奨されている。(3)パビナフスプアルファ(同:イズカーゴ)毎週点滴静注により酵素補充を行うBBB通過型酵素製剤である。トランスフェリンが脳内に取り込まれる経路を利用し、トランスフェリン受容体抗体と薬剤を融合させることでBBBを通過し脳内に酵素が届くため全身症状に加え中枢神経系に対する効果が望める。2)診断後すぐに治療が開始できるため、HSCTを施行するまでの繋ぎの治療として有効であるとされてきたが、HSCTよりも中枢神経系に対する効果が期待できる製剤が開発されたことによりERTが継続されるようになっている。3)血流が豊富な組織:粘膜の肥厚の改善による呼吸状態の改善、肝臓や脾臓の縮小、皮膚・関節拘縮の軽減などの効果が認められる。4)血流が豊富でない組織:骨の改善は困難である。5)酵素製剤の効果を減弱させるような高い抗体産生を認める症例では、早期の造血幹細胞移植を積極的に考慮すべきである。4 今後の展望リソゾーム酵素は、作られた細胞からいったん分泌され、血流により全身の臓器に運ばれた後、各臓器組織に取り込まれリソゾームに移行し、作用する性質がある。このため、移植された細胞から分泌された正常な酵素、あるいは人工的に作られた酵素を点滴で血液中に注入すると、各臓器組織に取り込まれて症状の改善が認められる。しかし、この治療法は各臓器組織における血流に依存するため、血流の豊富でない骨などの重要な臓器での症状の改善が認められない問題点がある。今後、これらの臓器組織への移行を改善した酵素製剤の開発が期待される。5 主たる診療科先天代謝異常症であるため、主たる診療科は小児科であるが、全身の臓器に異常が生じるため、該当するいくつかの診療科と並行して受診と治療が必要である。また、20歳を超えた成人症例には、小児科の入院は難しいため、必要となる診療科に入院し、小児科が共同で観察することが重要である。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾病情報センター 76 ムコ多糖症II型(医療従事者向けのまとまった情報)ムコ多糖症Pro(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報日本ムコ多糖症患者家族の会(患者とその家族の会)LysoLife ムコ多糖症(患者とその家族向けの情報)1)先天代謝異常学会編集. ムコ多糖症(MPS)II型 診療ガイドライン2019. 診断と治療社;2019.2)日本造血細胞移植学会編集. 造血細胞移植ガイドライン 先天代謝異常症(第2版). 日本造血細胞移植学会発行;2019.3)厚生労働省難治性疾患頭政策研究事業編集. 診断の手引きに準拠したムコ多糖症診療マニュアル. 診断と治療社;2016.4)折居忠夫総監修. ムコ多糖症UPDATE. イーエヌメディックス;2011.公開履歴初回2014年2月20日更新2024年6月19日

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どうか許してください【Dr. 中島の 新・徒然草】(005)

五の段 どうか許してください中島「それで先生の lessons learned は?」知人「いやいや教訓云々の段階ではないです」中島「じゃあ今は単に驚いているとこ?」知人「まだびっくりフェーズですね」近隣病院の症例検討会の後。立ち話していると、外来フォローしていた患者さんが先日いきなり心肺停止で搬入されてきた、と知り合いの医師に打ち明けられました。何でも、いろいろと愁訴を並べる患者さんを、他に診る医師もいないので仕方なく対応していたのだそうです。こういう患者さんのお相手も難儀やなあ、と思っていたところに突然起こった心肺停止でした。後でわかってしまえば心停止の原因は単純そのもの。あの訴えもこの訴えも間違いなくたった1つの疾患を指し示していたという厳然たる事実に知人は反省することしきり。なんでもっと真剣に話を聴いてあげなかったのか、ちゃんと検査をしなかったのか、という後悔と申し訳なさ。中島「そこで先生はこう思った」知人「…」中島「『ごめんなさい、私が未熟者でした。偉そうに研修医を叱っている場合じゃありません』って」知人「やめてくださいよ」中島「いや、やめん。『改めて入門します。一から勉強し直しますから、どうか許してください』」知人「ひえーっ!」中島「参ったか」知人「降参です。もう人の心を読むのはやめてください」もちろん私自身にも経験のあることです。中島「でも同時に先生はこうも思うわけよ」知人「…」中島「『俺の仕事、奥が深すぎる』って」知人「ほんと…その通りですね」

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抗精神病薬非服用の統合失調症、認知療法で症状が軽減/Lancet

 抗精神病薬を服用していない統合失調症スペクトラム障害の患者に対し、標準治療に加えて認知療法を行うことで、短期~長期の症状軽減効果が認められることが示された。英国マンチェスター大学のAnthony P Morrison氏らが行った試験で明らかにした。薬物療法が統合失調症の第一選択療法であるものの、治療薬を服用しない選択をしたり、服用を中止してしまう患者が少なくないのが現状である。著者らは、抗精神病薬を服用しないことを選択した患者で認知療法が症状を軽減できるかについて明らかにするため、今回の検討を行った。Lancet誌オンライン版2014年2月6日号掲載の報告より。認知療法を標準治療に併用し、陽性・陰性症状評価尺度を比較 Morrison氏らは、2010年2月15日~2013年5月30日にかけて、16~65歳の抗精神病薬を服用していない統合失調症スペクトラム障害の患者74例について、単盲検無作為化比較試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方には認知療法と標準治療を(37例)、もう一方には標準治療のみを行い(37例)、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を比較した。PANSSは、ベースライン時、3、6、9、12、15、18ヵ月後に評価した。 共分散分析で、試験を実施した施設、年齢、性別、ベースライン時の症状について補正を行った。認知療法併用群でPANSSスコアが一貫して低値 その結果、認知療法併用群は標準治療単独群に比べ、PANSSスコアが一貫して有意に低く、症状軽減に効果があることが示された(効果量の群間格差:-6.52、95%信頼区間:-10.79~-2.25、p=0.003)。 試験期間中、重度有害事象が8例に認められたが、内訳は、認知療法併用群2例、標準治療単独群6例だった。認知療法併用群の2例の内訳は、1例はオーバードーズ、1例はその他リスクの発現だった。標準治療単独群は、2例が死亡(試験やメンタルヘルスとは無関係と考えられた)、3例はメンタルヘルスの問題による強制入院、残る1例はオーバードーズだった。 研究グループは、認知療法は症状軽減効果が有意で、安全で忍容性がある代替療法のようだとまとめ、「抗精神病薬を服用しないことを選択した統合失調症の人々のために、エビデンスベースの治療は活用されなければならない。抗精神病薬を服用しない統合失調症スペクトラム障害に対する認知療法併用の効果について、さらなる大規模試験が必要だ」とまとめている。

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HIV患者へのエファビレンツ、低用量でも/Lancet

 抗レトロウイルス未治療のHIV-1感染患者に対する、テノホビル+エムトリシタビン(商品名:ツルバダ)に加えたエファビレンツ(同:ストックリン)投与において、1日400mg(低用量)投与が600mg投与に対し非劣性であることが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のRebekah L. Puls氏らENCORE1試験グループが、13ヵ国38ヵ所の医療機関を通じて行った二重盲無作為化比較試験の結果、報告した。エファビレンツに関連した有害事象の発生は標準用量のほうが頻度が高く、著者は「低用量エファビレンツがルーチン治療の一部として推奨されるべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年2月10日号掲載の報告より。48週のHIV-RNA量200コピー/mL未満の割合を比較 研究グループは、抗レトロウイルス療法歴のないHIV-1感染患者630例を無作為に2群に分け、テノホビルとエムトリシタビンに加え、エファビレンツ1日400mg(321例)または標準用量の600mg(309例)をそれぞれ投与し、その安全性および有効性を比較した。 主要エンドポイントは、治療開始48週時点でのHIV-RNA量が200コピー/mL未満の人の割合だった。 被験者のうち、32%が女性で、人種別ではアフリカ系が37%、アジア系が33%、白人が30%だった。ベースライン時のCD4細胞数は平均273細胞/μL(標準偏差:99)、血漿HIV-RNA量の中央値4.75 log10コピー/mL(四分位範囲:0.88)だった。エファビレンツ関連の有害事象発生率、600mgで約10ポイント高率 治療開始48週時点でHIV-RNA量が200コピー/mL未満の人の割合は、400mg群が94.1%に対し、600mg群は92.2%と、両群で有意差はなかった(群間差:1.85%、95%信頼区間[CI]:-2.1~5.79%)。テノホビル+エムトリシタビンに加えたエファビレンツ1日400mg投与の、同600mg投与に対する非劣性が示された。 48週時点でのCD4細胞数は、400mg群で600mg群に比べ有意に高かった(平均群間差:25細胞/μL、95%CI:6~44、p=0.01)。 なお、試験薬に関連した有害事象の発生率は、400mg群が89.1%、600mg群が88.4%と両群で同等だった(p=0.77)。一方、エファビレンツに関連する有害事象の発生率は、400mg群で37%だったのに対し、600mg群では47%と、標準用量群が約10ポイント有意に高率だった(群間差:-10.5%、95%CI:-18.2~-2.8%、p=0.01)。また、それにより治療が中止となった人は、400m群6例(2%)、600mg群18例(6%)と両群とも少数だったが有意差が示された(同:-3.96%、-6.96~-0.95、p=0.01)。

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米国住民の7.6%が食物アレルギー

 米国・マウントサイナイ医科大学のScott H. Sicherer氏らは、アレルギー性皮膚疾患とアナフィラキシーに関する最新の研究進捗状況を、2013年に発表された報告を基に概観した。食物アレルギーの研究から、米国住民の7.6%がその影響を受けていることが明らかになったこと、またアトピー性皮膚炎については、表皮細胞の分化における遺伝子や免疫メディエーターの欠損が重症度と関連していることが明らかになるなどの成果がみられたことを報告している。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌2014年2月号(オンライン版2013年12月27日号)の掲載報告。 Sicherer氏らは本レビューにおいて、アナフィラキシー(食物、薬物、昆虫に対する過敏反応)およびアレルギー性皮膚疾患研究の進捗状況を明らかにすることを目的とした。2013年に雑誌に発表された論文をレビューした。 主な内容は以下のとおり。・食物アレルギーに関する研究によって以下の7点が示唆された。(1)米国住民の7.6%が食物アレルギーをもっている。(2)“ヘルシー”な朝食は食物アレルギーを予防する可能性がある。(3)皮膚は重要な感作ルートの可能性がある。(4)アレルゲン成分テストは、診断に役立つ可能性がある。(5)牛乳アレルギーは、早めの検査により予測できる可能性がある。(6)経口あるいは舌下免疫療法は、有望であるが注意も必要である。(7)プレ臨床研究により免疫療法と減感作の有望な代替法が示唆された。・好酸球性食道炎の研究において、成人における結合組織疾患との関連および食事管理が治療に影響を与えることが示唆された。・アナフィラキシー重症度マーカーが明らかになり、潜在的な診断および治療ターゲットが判明する可能性が示唆された。・薬物、昆虫アレルギーの血清検査における洞察が、診断の改善に結びつく可能性が示唆された。・アトピー性皮膚炎の重症度に、表皮細胞の遺伝子および免疫メディエーターの欠損が関与していることが示唆された。

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農薬によるパーキンソン病発症リスクの高い遺伝子多型は

 環境毒物によるパーキンソン病発症機序を考えるうえで、アルデヒド脱水素酵素(以下ALDH)の阻害が、とくに遺伝的に脆弱な集団において重要であることが、米国・UCLAデイヴィッド・ゲフィン医科大学院のArthur G Fitzmaurice氏らによって明らかとなった。Fitzmaurice氏らは今回の結果から、パーキンソン病の発症率を減らす、もしくはその進行を遅らせるための潜在的な介入の可能性を示唆している。Neurology誌2014年2月4日号掲載の報告。 本研究の目的は、環境もしくは遺伝による神経細胞ALDHの変化が、疫学的研究においてパーキンソン病発症リスクの増加に関連しているかどうかを検討することであった。 神経細胞のALDH活性を阻害しうる農薬を同定するために、生体外(ex vivo)で実施する新しい分析法が開発された。同定された農薬は、集団ベースの症例対照研究であるParkinson's Environment & Genes (PEG) Studyにおいて、パーキンソン病との関連を調べるために用いられた。ミトコンドリアALDH2遺伝子における共通変異は、遺伝子多型による農薬の影響をみるための効果測定の調節(統計的な相互作用)を評価するための遺伝子型として用いられた。 ※PEG研究:UCLAを中心とした複数の研究グループが共同で実施している、農業用の化学物質とパーキンソン病との関連を調べるための臨床試験http://www.ph.ucla.edu/peg/index.html 主な結果は以下のとおり:・試験対象となった金属配位性ジチオカルバミン酸化合物のすべて(例:maneb、ziram)、2-イミダゾール化合物(benomyl、triflumizole)、2-ジカルボキシミド化合物(captan、folpet)、および1-有機塩素系化合物(dieldrin)が、おそらく代謝副産物(例:二硫化炭素、チオホスゲン)を経て、ALDH活性を阻害した。・スクリーニングした15種類の農薬は、ALDHを阻害しなかった。・ALDHを阻害する農薬への曝露は、パーキンソン病発症のリスクを2倍から6倍に増加させ、とくにALDH2の遺伝的変異をもつ群では、パーキンソン病発症リスクが高かった。

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病的なギャンブラーは、視床下部-下垂体-副腎系の反応が低下している【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第13回

病的なギャンブラーは、視床下部-下垂体-副腎系の反応が低下しているギャンブルといえば、カジノです。超党派の国会議員による国際観光産業振興議員連盟(IR議連=通称・カジノ議連)が、カジノ解禁推進法案を提出したことは知っている方も多いでしょう。ギャンブルには中毒性がありますが、その病態(病態と言っていいのか語弊がありますが)はいまだに詳しく解明されていません。Paris JJ, et al.Gambling pathology is associated with dampened cortisol response among men and women.Physiol Behav. 2010;99:230-233.病的なギャンブルは、薬物中毒と類似している点が多いとされています。そのため、ギャンブルに没頭する被験者に対して、これまで視床下部-下垂体-副腎系のさまざまな検査が行われてきました。この研究は、男女間においてこれらの機能に差がみられるかどうかを主に検証したものです。レクリエーションの一環としてギャンブルを好む21人と病的なギャンブラーである21人を集め(いずれも15人が男性、6人が女性)、彼らが好きなギャンブルのビデオ(スロットマシン、競馬、スクラッチ、ブラックジャックなど)を見せ、唾液中のコルチゾルを調べました。ギャンブル以外のジェットコースターのビデオも見せて、その差をみました。0点から10点までのスケールで興奮度合いをチェックすると、ギャンブルで勝つシーンを含むビデオとジェットコースターのビデオでは点数が高いという結果でした(負けるシナリオでは興奮しにくいようです)。ベースのコルチゾル値は、レクリエーションの一環としてギャンブルを好む人と病的なギャンブラーでは差はみられませんでした。しかしながら、ビデオを視聴し始めると、ギャンブラーの唾液中のコルチゾルは増加しました。しかし、病的なギャンブラーはさほど上昇しないという結果でした(図)。 画像を拡大する (文献より引用)著者らは、病的ギャンブラーは視床下部-下垂体-副腎系の反応が弱いということを指摘しています。すなわち、刺激が日常化しすぎて体が慣れてしまっているということでしょうか。かなり数が少ない被験者での検討ですので、これ以上は言及を避けますが。ベテランの競馬ファンがゴール前で「差せ!差せ!」と興奮して応援している姿もよくテレビで映っていますので、こればかりは個人の性格による差が大きいのではないかと思っています。

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