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低用量アスピリン、流産とは関連みられず/Lancet

 低用量アスピリンは、妊娠転帰に影響があるのではないかとされていたが、米国・国立小児保健人間発達研究所(NICHD)のEnrique F Schisterman氏らによる検討の結果、出産または流産のいずれとも有意な関連はみられなかったことが明らかにされた。ただし試験では、被験者のうち、前年に20週未満で流産したとの記録が1回ある女性では、生児出生率が有意に高かったことが示された。これらの結果を踏まえて著者は「低用量アスピリンは流産予防には推奨されない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年4月1日号掲載の報告より。流産経験がある妊娠を望む女性を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験 試験は、2007年6月15日~2011年7月15日に米国内4施設で、18~40歳の妊娠を望む女性を対象に行われた多施設共同二重盲検ブロック無作為化プラセボ対照試験であった。試験参加者は、当初は前年に20週未満で流産した女性のみを適格としたが、その後、適格条件を拡大し、1~2回の流産経験がある女性とした。 被験者は施設および適格条件ごとに1対1の割合で2群に割り付けられ、一方には、毎日最長6ヵ月(月経周期)の間、低用量アスピリン(81mg/日)+葉酸が、もう一方にはプラセボ+葉酸が投与された。妊娠した女性には妊娠36週まで試験薬投与が続けられた。なお、被験者、試験スタッフおよび試験担当医は、投与の割り付けについては知らされなかった。 主要アウトカムは生児出生率で、intention to treatにて評価した。出産、流産ともに有意な関連はみられなかったが… 試験期間中に1,228例の女性が無作為化を受け、1,078例が試験を完了した。そのうち低用量アスピリン群は535例、プラセボ群は543例だった。 結果、生児出生率は、低用量アスピリン群309例(58%)、プラセボ群286例(53%)だった。絶対差は5.09ポイント(95%信頼区間[CI]:-0.84~11.02)で、有意差はみられなかった(p=0.0984)。 流産をした人についても、それぞれ68例(13%)、65例(12%)で、有意差はみられなかった(p=0.7812)。 一方、前年に20週未満で流産した女性群における生児出生率は、それぞれ151/242例(62%)、133/250例(53%)で、有意差がみられた(p=0.0446)。しかし、拡大適格条件群では、それぞれ158/293例(54%)、153/293例(52%)で、有意差はみられなかった(p=0.7406)。 主要有害イベントの発生は、両群で同程度であった。低用量アスピリンは、膣出血と関係していたが、流産とは関連していなかった。

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コルヒチン追加で心膜炎の再発が半減/Lancet

 再発を繰り返す心膜炎患者に対し、従来の抗炎症治療にコルヒチンを追加することで、以降の再発が大きく低下したことが、イタリア・マリア・ヴィットーリア病院のMassimo Imazio氏らにより行われた「CORP2」試験の結果、示された。著者は、「他の無作為化試験の結果と合わせて、今回の所見は、コルヒチンが禁忌あるいは適応とならない場合を除いて、急性および再発性の心膜炎いずれにもファースト治療とみなすべきであろうことを示唆している」とまとめている。コルヒチンは急性心膜炎および再発の初回では有効だが、複数回の再発例に対する有効性、安全性に関するデータはこれまで得られていなかった。Lancet誌オンライン版2014年3月28日号掲載の報告より。2回以上再発を繰り返す心膜炎を対象に無作為化試験 CORP2は、北イタリア4施設で2005年11月~2012年1月に行われた多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、2回以上再発を繰り返す心膜炎成人患者を対象とした。被験者を無作為に1対1の割合で、従来の抗炎症治療に加えて、コルヒチンを投与する群(体重70kg超患者には0.5mgを1日2回、70kg未満患者には同1日1回を投与)またはプラセボを追加する群に割り付けて、6ヵ月間治療を行った。 被験者および試験関係者は全員、治療割り付けについて知らされなかった。主要アウトカムは、intention-to-treatで評価した心膜炎の再発率とした。従来抗炎症治療+コルヒチン群の再発の相対リスクは0.49に 試験には240例の患者が登録され、各群に120例ずつが割り付けられた。 結果、心膜炎を再発した患者の割合は、コルヒチン追加群21.6%(26/120例)、プラセボ群42.5%(51/120例)であり、相対リスクは0.49(95%信頼区間[CI]:0.24~0.65)と、コルヒチン追加による有意な低下が認められた(p=0.0009)。NNT(治療必要数)は5例であった。 治療薬の副作用および試験薬中断の発生は、両群で同程度だった。最も頻度が高かった有害事象は、胃腸障害(コルヒチン群9例、プラセボ群9例)、肝障害(それぞれ3例、1例)で、重大な有害事象の報告はなかった。

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効かないGERD治療は日本人の労働生産性低下と有意に関連

 胃食道逆流症(GERD)は、仕事や日常生活の労働生産性に大きな負荷をかける疾患であり、効果のないGERDの治療は、労働生産性のより大きな損失と有意な関連があることが、慶應義塾大学の鈴木 秀和氏らによる研究で明らかになった。Neurogastroenterology and motility誌オンライン版 2014年2月25日号の報告。 GERDは生活の質を損なう。しかし、日本におけるGERDと労働生産性との関連については、十分に調査されていない。本研究では、日本の労働者を対象にWEBベースの横断研究を行い、治療によりGERDの症状が軽減した群と、なお症状が持続している群とで労働生産性に対する影響を比較した。GERDの労働生産性への影響は、WEB上のWPAI問診票(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire)およびGERD臨床徴候重症度アンケートにより評価した。人口統計情報、病歴、薬物療法に対する満足度も調査した。 主な結果は以下のとおり。・研究に登録された2万例のうち、胃腸の悪性腫瘍、消化性潰瘍、上部消化管手術の既往がある患者、就労していない人を除外した650例について分析した。・治療してもGERDの症状が持続している群は、症状が軽減した群と比較し、労働生産性(11.4±13.4時間/週)が有意に低く、absenteeism※1(0.7±3.1時間/週)、presenteeism※2(10.7±12.6時間/週)、コスト(2万100±2万6,800円/週)、日常生活の労働生産性(71.3% [95%CI: 69.0~73.7])の面でも劣っていた。・GERD症状が持続している群におけるGERD治療に対する不満レベルは、仕事および日常生活の労働生産性の低下と有意な相関を認めた(p <0.001)。※1 absenteeism:就業中の患者が、障害が原因で休業をすることにより生じる生産性の損失※2 presenteeism:就業中の患者が、就業はしているものの、障害がない状態と比べて生産性が落ちていることによってもたらされる生産性の損失

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急性喉頭蓋炎を風邪と診断して死亡に至ったケース(2)

救急医療最終判決判例時報 1510号144-150頁概要発熱、喉の痛みを主訴に内科開業医を受診した45歳男性。急性気管支炎、扁桃腺炎と診断して解熱鎮痛薬などを投与した。帰宅後状態は改善せず息苦しくなり、薬も喉をつかえて飲み込むことができないため約2時間後に再度受診、ネブライザーなどの処置が行われた。しかし、病状は急激に進行性のため救急センターへの転院を手配し、約10分後に到着したものの、その時点で心肺停止状態。救急蘇生には反応せず、死亡確認となった。詳細な経過患者情報45歳男性経過1986年5月8日17:3045歳男性、3日前からの37℃程度の発熱、喉の痛み、易疲労感を主訴に救急指定の内科開業医を受診。診察の結果、体温37.0℃、扁桃腺が赤く腫れていたが、呼吸音には異常はなく、急性気管支炎、扁桃腺炎と診断し、扁桃へのルゴール®塗布、解熱消炎薬プラノプロフェン(商品名:ニフラン)などの内服を3日分投与し帰宅させた。19:30帰宅後も症状は改善せず、薬も喉をつかえて飲み込めず、息が苦しくなり、妻が開業医へ電話したところ、看護師からすぐに来院するようにいわれた。19:55再度診察。問診に対し「息苦しい」と答えるのがやっとであり、聴診の結果弱い乾性ラ音を聴取した。呼吸は荒く起座呼吸であったので、ネブライザー(イソプレナリン 同:アスプール2mL、チロキサポール 同:アレベール1mL)吸入をしたが改善なし。そのため肺水腫、咽後膿瘍、喉頭浮腫などの重篤な疾患を疑い、救急センターへの転院を手配した。その際、救急車の利用は時間がかかる恐れがあったので、妻の運転する乗用車で搬送することにし、担当医は自ら自動車を運転して同行した。20:25約10分で救急センターに到着。搬入時意識はなく心肺停止状態。ただちに気管内挿管などの救急蘇生術が行われたが効果なし。21:30死亡確認。当事者の主張患者側(原告)の主張1.呼吸困難、起座呼吸の患者に対し、十分な問診・全身状態の観察を行わなかった2.咽頭や喉頭を喉頭鏡などを用いて観察しなかったため重症度・緊急度を判断できず、放置すれば搬送中に気道閉塞・窒息する危険があることを予知できなかったその結果、自ら気管内挿管を行うか、救急車に同上して気道確保の措置をするべきであったのに、漫然と患者を搬送させたために死亡に至った。病院側(被告)の主張1.救急車を呼んで搬送するよりも、ただちに自家用車で出発したほうが救急センターへの到着が早いと判断したのは、医師の裁量範囲に属することである2.内科医師に耳鼻咽喉科医師が扱う間接喉頭鏡や喉頭ファイバースコープの使用を期待するのは医療水準を越えている3.当時喉頭展開用の喉頭鏡はあったが、人的物的設備を備えていない状況では使用困難であった4.独歩で来院し、意識障害やチアノーゼがない患者が、その後30分以内に喉頭浮腫による気道閉塞・窒息となることを予見するのは不可能であった裁判所の判断2回目の受診の際に、呼吸困難を訴える患者に当然要求される診察(呼吸、脈拍、血圧、意識状態やチアノーゼの有無など)を怠ったため、患者の重症度や緊急性の判定ができず、呼吸困難の急激な進行により窒息状態に陥る可能性を予見できなかった注意義務違反がある。しかも、気道確保の準備をして救急車を要請し自ら同乗していれば救命の可能性があったため、死亡という結果に対する過失があるといわざるを得ない。原告側合計1億2,009万円の請求に対し、7,282万円の判決考察このケースは前出の「急性喉頭蓋炎を風邪と診断して死亡に至ったケース(1)」と同様、一見「単なる風邪だろう」という印象を受けても、なかには急激に死亡に至るきわめて危険なケースがあることを示す教訓的な事例だと思います。本件の担当医師は、「自分の手には負えない」ということを察知して救急センターに電話を入れ、受け入れ体制を確認したところまでは適切でしたが、救急車を要請しなかった点が最大の問題点でした。もし、その当時ほかの患者さんが大勢待っていて、医院を空けることがためらわれたのであればまだしも、わざわざ自らの自動車を運転して「一刻も早く患者を救急センターに転送するため、患者の妻が運転する自動車のあとを追尾した」ということでしたので、どちらかというととても親切な医師という印象さえ受けます。しかし、せっかく患者に付き添って転送するのであれば、自家用車で搬送するよりも救急車を要請した方が酸素、吸引装置などの設備の面からいって有利なのはいうまでもありません。そして、もし救急車を要請して自らが気管内挿管などの救急蘇生を行っていれば、たとえ最悪の結果になろうとも、これほど高額の判決には至らなかった可能性が考えられます。今回のケースから得られる教訓としては、(1)一見風邪と思われる症例にも、急死に至る危険なケースが含まれていること(2)患者を搬送する場合には、可能な限り救急車を要請することと思われます。救急医療

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上手に見える記帳のための5つのコツ【Dr. 中島の 新・徒然草】(013)

十三の段 上手に見える記帳のための5つのコツ知り合いの某先生。記帳するときに逡巡しきり。某先生「俺、字が下手だからさ。こういうの書くの嫌なんだよね」中島「早く書かないと、後ろがつかえますよ」某先生「そんなこと言わないでよ」中島「おっ、なかなか味わい深い字ですね」某先生「それ、褒めてくれているわけ?」研究会とか祝賀会とか、皆さんも色々な機会に記帳なるものを行うことがあるかと思います。たいていは筆ペンかボールペンを使って縦書きの氏名と所属ですが、お通夜、お葬式などは自宅住所まで書くことになります。記帳をどう書いても誰からも文句が出ることはありませんが、やはり無難にすませたいもの。そこで、上手に見える記帳のための5つのコツを考えました。すぐに実行できる簡単な順に紹介しましょう。1.左手を活用する立ったまま不安定な姿勢で書くこと自体、すでに相当不利な状況です。なので左手を台につけて、安定した姿勢を保つといいですね。2.筆ペンは3時の方向に寝かせる一般に、字の縦線を太く、横線を細く書くと字が美しく見えます。これを自然に実現するためには、向かって右側へ筆ペンを倒し、縦線を筆の腹で、横線を筆の先で書くのが簡単です。もちろん邪道であることは承知のうえ。3.自前の筆ペンを用意する筆ペンといえども1本ずつ癖があります。ところが記帳はぶっつけ本番なので、この癖を確認することができません。そこで使い慣れた自前の筆ペンを持っていくのが得策です。4.自分の使う少数の字だけを練習しておく何も2000字かそこらある当用漢字すべてを練習する必要はありません。自分の住所、氏名、所属だけを上手に書けるように練習しておけばいいのです。その際、なるべく画と画の間に隙間ができないように心掛けましょう。5.楷書より草書くずした字体である草書は、書の名人が使うものというイメージがありますが、実は画数が少ないので書きやすく、しかも達筆に見えます。むしろ楷書の方が上手下手がはっきりバレてしまうわけですね。可能なら住所、氏名、所属だけは草書を使えるようにしておきましょう。あと、草書はサラサラと書くより、一画一画を意識しながらゆっくり書いた方が綺麗にできるようです。ということで、皆さん、どうぞ参考にしてください。もちろん、日々こんなセコイことを考えている私自身、さほど字に自信がないのは言うまでもありません。そこは詮索しないようにお願いします。

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てんかん治療では、より高いゴール設定を!

2014年4月2日(水)、都内にて開催された、グラクソ・スミスクライン株式会社主催の第1回てんかんメディアセミナーにおいて、講師の東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野教授 中里 信和氏が「てんかん医療が抱える課題を解決するために」と題して講演を行った。まず冒頭に中里氏は、「てんかんでは本来、適切な診断と治療で7割以上の患者さんが発作をコントロールでき、普通の社会生活を営むことが可能だが、現状ではさまざまな課題によりあるべき医療が実現していない」ことを指摘した。その課題とは1)長時間ビデオ脳波同時記録の未普及2)診療ネットワークの未認知・未成熟3)医師患者間のコミュニケーション不足4)旧薬と新薬の使い分けの未周知5)公的支援制度の未活用に大別される。これらの課題について、グラクソ・スミスクライン株式会社が実施した「てんかん患者さんの意識調査」の結果を交えて解説が行われた。1)長時間ビデオ脳波同時記録の未普及てんかん発作が1年以上抑えられていない場合、長時間ビデオ脳波同時記録を受けることが推奨されるが、実際に検査を受けている患者さんは全体で7%、難治例でもわずか14.8%にとどまる。日本では先進諸外国と比較して本検査の診療報酬点数が著しく低いため、実施できる施設がきわめて限られていることが背景にある。本検査がもっと普及すれば、患者QOLが向上するだけでなく、不要な医療費の削減や、・生産性の向上で経済的利益がもたされ、わが国の財政に大きくプラスになる。2)診療ネットワークの未認知・未成熟日本全国には約100万人のてんかん患者がいるとされているが、専門医は400名あまりしかいないため、専門医とかかりつけ医との連携は欠かせない。現在わが国では「てんかん診療ネットワーク」の整備が進められているが、このネットワークの利用度・認知度を聞いたところ、「知らない」と答えた患者さんが7割以上を占めた。ここで重要なのは、主治医がもつ専門医資格の有無ではなく、患者にとって「発作ゼロ」「副作用ゼロ」「悩みゼロ」の治療ゴールをすべて達成できているかどうかである。患者は、てんかんをあきらめることなく、どれか1つでも欠けていたら、主治医に頼んで専門施設に紹介してもらうべきである。また医師の側にも、ひとりで診療せずネットワークを利用する必要性のあることを強く認識してもらいたい。3)医師患者間のコミュニケーション不足理想的な診察時間は初診の場合1時間、再診でも15分は必要だ。しかし本調査によると、初診時の診察時間は20分未満が半数以上を占め、再診時になると5分未満が半数近くを占める。多くの患者さんが発作以外にも悩みを抱えていることを考えると、現状の診察時間では医師が患者さんの悩みを十分に聞き取り、アドバイスを行うことは難しい。余裕をもった診療ができるよう、今後は医師以外の職種による診療補助や診療連携システムの充実を図るべきであろう。4)旧薬と新薬の使い分けの未周知多くは発作が消失している軽症例であっても、約4割の患者が副作用に悩んでいることが明らかになった。代表的な副作用である「眠気」「意欲の低下」「倦怠感」は従来の抗てんかん薬でとくに出現しやすい。主治医が副作用の少ない新規抗てんかん薬の知識を有し、かつ患者さんがこういった悩みを主治医に相談できていれば、副作用の少ない薬剤に切り替えていくことも可能であろう。なお、現在わが国では新規抗てんかん薬の単剤使用が保険診療上認められていないが、ラモトリギンをはじめとしたいくつかの新規抗てんかん薬においては、単剤使用が認められるよう申請が出されている。5)公的支援制度の未活用てんかん患者さんのための各種支援センターやさまざまな公的支援サービスがあるが、これらの認知・利用はほとんど進んでいない。各種支援センターに関しては、全体で約6割、難治例でも半数の患者さんがその存在を知らず、医師による情報提供が十分でない可能性があると中里氏は指摘した。なお、この調査の対象は現在てんかん治療中の20代以上の男女300例(うち8割が30~50代の働き盛りの年代)であることから、これまで述べたような課題が解決し、生産性が向上した場合の社会的インパクトは大きい。また、対象患者300例のうち8割が軽症例であるにもかかわらず、7割以上の患者が何らかの悩みを抱えている事実からも、医学的問題に加えて社会的問題の解決が重要であるという、てんかんの特殊性がわかる。最後に、「医学的な治療ゴールが達成できても、社会的な偏見を除去することは難しい。てんかんの多様性を理解してもらうためには、継続的な教育・啓発活動が重要である。」という、われわれメディアへのエールで講演は締めくくられた。

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新規ドライパウダー吸入器の特性および簡便性の質的評価

 喘息やCOPDなどの慢性呼吸器疾患では吸入療法による治療が行われる。そのため、吸入器の選択と患者の吸入手技は長期管理のアドヒアランスに影響し、さらに治療効果に影響を及ぼす。 喘息およびCOPD患者へのインタビュー調査の結果、新たなドライパウダー吸入器(DPI)「エリプタ」は、他の吸入器と比べて満足度が高く好ましいものと認知されていることが、Henrik Svedsater氏らにより報告された。著者は「使用が容易で直感的である吸入器の開発は、喘息やCOPD患者の治療アドヒアランスを向上させるだろう」とまとめている。エリプタDPIは、2種類のドライパウダー吸入薬を1回で同時に吸入できるようデザインされた吸入器で、操作が容易で目盛が読みやすいのが特徴である。新規のICS/LABA配合剤、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)(商品名:レルベア)のデバイスとして開発された。BMC Pulmonary Medicine誌2013年12月7日号掲載の報告。治験参加者に既存吸入器(ディスカス)と比較した使用感についてインタビュー調査 調査は、半構造化詳細質的面接法にて、エリプタが使用された6件のFF/VIについての第IIIa相臨床試験のいずれかに参加し完遂した患者を対象に、試験参加後2~4週間に行われた。 被験者に、吸入器のさまざまな特性の満足度について、また、現在使用している吸入器と比較した場合の好みについて質問した。回答は、帰納的内容分析アプローチにて検討され、また、主観的スケール(1~10)を用いた複数の基準で、被験者による吸入器の性能の評価も行われた。 対象者は、全米各地の試験サイト(喘息患者は3州、COPD患者は8州)から集められた。「デザイン」「フィット感」「みやすさ」「わかりやすさ」でエリプタを評価 結果、喘息患者33例、COPD患者42例から、エリプタの満足度が高いとの回答が得られた。回答者からは、操作が直感的で使いやすいとの声が聞かれる頻度が高かった。 現在使用している吸入器と比較してエリプタのほうが好ましい点としてしばしば引き合いに出されたのは、「人間工学的なデザイン」「マウスピースのフィット感」「ドーズカウンターのみやすさ」「わかりやすさ」であった。 喘息患者33例のうち、71%がディスカスと比較しエリプタがより好ましいと回答し、定量噴霧式吸入器(MDI)との比較では60%がエリプタがより好ましいと回答した。 またCOPD患者42例のうちでは、86%がディスカスよりも、95%がハンディヘラーよりも、また85%がMDIよりもエリプタが好ましいと回答した。 喘息およびCOPD患者における全体的な平均実行スコアは、9点以上(10点満点)であった。

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人種による褐色脂肪細胞量の違いが糖尿病発症に関与

 南アジア人は白人に比べ2型糖尿病になるリスクが高いことが知られている。こうしたことから、オランダ・ライデン大学医療センターのLeontine E H Bakker氏らは、褐色脂肪細胞※(BAT)の量と活動を評価し、人種間での2型糖尿病の発生の違いについて調査した。その結果、褐色脂肪細胞量が少なく、基礎代謝の低い南アジア人のほうが2型糖尿病になるリスクが高いということが示された。The Lancet Diabetes & Endocrinology誌2014 年3月号(オンライン版2013年11月12日号)の掲載報告。※褐色脂肪細胞(BAT):脂肪酸を燃焼させることによるエネルギー代謝や、グルコースによる熱生産の役割があるとされる。 研究グループは南アジア人を祖先に持つオランダ人(南アジア人)と、白人について調査を行った。被験者は18~28 歳の肥満でない健常者で、みな同等のBMIであった。PETスキャンを用いBAT量とその活動を測定し、また安静時エネルギー消費量、非ふるえ熱産生、血清パラメータを評価した。2013年3月からの3ヵ月間に、南アジア人12人および白人11人について調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・常温時の安静時エネルギー消費量は、南アジア人は1日当たり1,297±123(平均±標準偏差)kcal、白人は1日当たり1,689±193 kcalとなり、南アジア人は白人に比べ32%低かった(p=0.0008)。・寒冷曝露に対して、南アジア人患者のふるえ温度は2.0℃で白人患者よりも高かった。(p =0.0067)。また非ふるえ熱産生においては、白人で20%(p<0.0001)増加したが、南アジア人では増加はみられなかった。・BAT量の平均と最大値それぞれに群間差は認められなかったが、総BAT量は、南アジア人が188±81(平均±標準偏差)mL、白人が287±169 mLであり、南アジア人のほうが34%低かった(p=0.04)。・全体的にBAT量は、評価できたすべての個人における基礎安静時エネルギー消費量(β=0.44、p=0.04)と正の相関を示した。 研究グループは、「南アジア人患者の低い安静時のエネルギー消費、非ふるえ熱産生、BAT量は、2型糖尿病や肥満といった代謝障害に対する高い罹病性の基礎となっている可能性があり、BAT量や活性の増加方法の確立はこれらの障害を予防し治療に役立つだろう」と述べている。

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中等度リスク肺塞栓症への血栓溶解療法の臨床転帰は?/NEJM

 中等度リスクの肺塞栓症に対する血栓溶解療法は血行動態の代償不全を防止するが、大出血や脳卒中のリスクを増大させることが、フランス・ジョルジュ・ポンピドゥー・ヨーロッパ病院のGuy Meyer氏らが行ったPEITHO試験で示された。これまでの肺塞栓症の無作為化臨床試験では、血栓溶解療法による血行動態の迅速な改善効果は示されているものの、とくに発症時に血行動態の不安定がみられない患者では、臨床転帰への影響は確認されていなかったという。NEJM誌2014年4月10日号掲載の報告。血栓溶解薬の上乗せ効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 PEITHO(Pulmonary Embolism Thrombolysis)試験は、正常血圧の急性肺塞栓症で、不良な転帰のリスクが中等度の患者に対する、ヘパリンによる標準的な抗凝固療法とテネクテプラーゼによる血栓溶解療法の併用の、臨床的有効性および安全性を評価する多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験である。 対象は、年齢18歳以上で、右室機能不全(心電図またはスパイラルCT)とともに心筋梗塞(トロポニンIまたはTが陽性)が確証された発症後15日以内の患者とした。これらの患者が、テネクテプラーゼ+ヘパリンを投与する群またはプラセボ+ヘパリンを投与する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、無作為割り付け後7日以内の死亡または血行動態の代償不全(または虚脱)とした。安全性に関する主要評価項目は,無作為化割り付け後7日以内の頭蓋外大出血と、虚血性または出血性脳卒中の発症とした。主要評価項目は有意に良好だが、死亡率には差はない 2007年11月~2012年7月までに、13ヵ国76施設から1,006例が登録され、テネクテプラーゼ群に506例、プラセボ群には500例が割り付けられた。プラセボ群の1例を除く1,005例がintention-to-treat解析の対象となった。 ベースラインの年齢中央値は両群とも70.0歳、男性がテネクテプラーゼ群47.8%、プラセボ群46.3%、平均体重はそれぞれ82.5kg、82.6kg、平均収縮期血圧は130.8mmHg、131.3mmHg、心拍数は94.5/分、92.3/分、呼吸数は21.8/分、21.6/分であった。 死亡または血行動態の代償不全の発生率は、テネクテプラーゼ群が2.6%(13/506例)であり、プラセボ群の5.6%(28/499例)に比べ有意に低かった(オッズ比:0.44、95%信頼区間:0.23~0.87、p=0.02)。無作為割り付けから7日までに、テネクテプラーゼ群の6例(1.2%)およびプラセボ群の9例(1.8%)が死亡した(p=0.42)。 頭蓋外出血の発生率は、テネクテプラーゼ群が6.3%(32例)と、プラセボ群の1.2%(6例)に比べ有意に高かった(p<0.001)。脳卒中の発生率は、テネクテプラーゼ群が2.4%(12例、そのうち10例が出血性)であり、プラセボ群の0.2%(1例、出血性)に比し有意に高値を示した(p=0.003)。30日までに、テネクテプラーゼ群の12例(2.4%)およびプラセボ群の16例(3.2%)が死亡した(p=0.42)。 著者は、「中等度リスクの肺塞栓症患者では、テネクテプラーゼによる血栓溶解療法は、血行動態の代償不全を抑制したが、大出血や脳卒中のリスクを増大させた」とまとめ、「右室機能障害がみられ、心筋トロポニン検査陽性で、血行動態が安定した肺塞栓症に対し、血栓溶解療法を考慮する場合は十分に注意を払う必要がある」と指摘している。

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