サイト内検索|page:1362

検索結果 合計:35155件 表示位置:27221 - 27240

27221.

日本初かつ唯一の医療用まつ毛育毛剤が発売

 2014年10月15日、睫毛貧毛症治療薬「グラッシュビスタ外用液剤0.03%5mL(一般名:ビマトプロスト)」の発売記者発表会が都内にて行われた。 アラガン・ジャパン株式会社と塩野義製薬株式会社の担当者、および東京ミッドタウン皮膚科形成外科Noage(ノアージュ)院長 今泉 明子氏により製品概要が紹介された。 本剤は、アラガン・ジャパン株式会社が医療用医薬品として製造販売承認を受けた、国内初かつ唯一の睫毛貧毛症治療薬で、9月29日に発売された。共同販売契約を締結している塩野義製薬株式会社は10月20日より発売を開始する。睫毛貧毛症とは 睫毛貧毛症とは、睫毛が不足または不十分な状態であることを特徴とする疾患である。原因は多岐にわたるが、加齢などの特発性要因、アトピー性皮膚炎などの眼周囲の皮膚炎や感染症、自己免疫疾患、抗がん剤などの薬剤により誘発されて生じる。 これまで、日本国内では適応を有する医療用医薬品はなく、個人輸入などによって未承認の薬剤を購入して使用することがあった。承認を取得した睫毛育毛剤 グラッシュビスタは保険適用外医薬品となるが、医師の処方箋が必要な医療用医薬品である。価格は各医療機関で設定できる。 有効成分であるビマトプロスト(Prostaglandin F2α誘導体)が睫毛の毛包に作用し、毛周期における成長期を延長することにより、睫毛の成長を促進する。その結果、睫毛の長さ、太さ、濃さを改善すると考えられている。 ただし、発毛可能な毛包が存在しない場合は、本来の効果が得られない。 なお、このビマトプロストは緑内障・高眼圧症治療薬の開発中に、有害事象として睫毛の成長が報告されたことから、睫毛貧毛症治療薬として着目、開発された。臨床試験●国内第III相試験デザイン 方法:多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験 対象:特発性睫毛貧毛症患者(173例) 評価:GEA-J評価(日本人用画像数値化付き総合的睫毛評価スケール)による睫毛の全般的な「際立ち度」、デジタル画像による長さ・太さ・色の濃さの解析、9項目の睫毛満足度質問票(ESQ-9)●有効性(4ヵ月時点) GEA-J評価:1段階以上の改善の割合は、ビマトプロスト群77.3%、プラセボ群17.6%(p<0.01) デジタル画像解析:長さ/太さ/濃さの変化量は、ビマトプロスト群1.62mm/0.35mm2/-12.02(明度単位※)、プラセボ群-0.04mm/-0.03mm2/1.38(明度単位)(各々p

27222.

人工膝関節全置換術後の電気刺激の効果は?

 人工膝関節全置換術(TKA)後のリハビリにおける疼痛に対し、経皮的電気刺激(TENS)は有効なのか?米国・アイオワ大学のBarbara Rakel氏らは、評価者盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行い、鎮痛剤+TENS併用のほうが術後運動時の疼痛が少ないことを明らかにした。ただし、その効果はプラセボでもみられ、6週間で消失したという。また、術後の不安あるいは疼痛に対する破局的思考が少ない患者で、より大きな効果が得られることも判明した。Pain誌オンライン版2014年9月27日号の掲載報告。 研究グループは、TKA後の疼痛、痛覚過敏ならびに機能に対するTENSの有効性を評価する目的で、初回片側TKAを受けた317例を対象に前向き無作為化試験を行った。 術後および手術から6週後に、割り付けを知らない評価者が疼痛、機能(関節可動域、歩行速度)および痛覚過敏(定量的感覚試験による)について測定。また、鎮痛薬の摂取量、不安、うつ、疼痛に対する破局的思考についても調査した。 主な結果は以下のとおり。・TENS群(1~2回/日、平均42mAを使用)は、標準治療群と比較して術後の膝伸展運動時(p=0.019)ならびに速歩時(p=0.006)の疼痛が少なかった。 ・TENS群とプラセボTENS群との間に、有意差は認められなかった。・不安ならびに疼痛に対する破局的思考のスコアが低いTENS群の患者は、同スコアが高い患者に比べ、6週後の関節可動域痛が大きく改善していた。・TENS群およびプラセボTENS群はいずれも、標準治療群より術後の機械刺激性痛覚過敏が少なかった(p=0.03~0.01)。

27223.

うつ病治療の新展開、ミトコンドリア生体エネルギー

 大うつ病性障害(MDD)の新たなエビデンスが発表された。米国のメリーランド・スクール・オブ・ナーシング大学N. Jennifer Klinedinst氏らは、MDDとミトコンドリア生体エネルギー機能障害との関連についてレビューを行った。その結果、ミトコンドリア生体エネルギーとMDDとの関連を示す証拠はあったものの、治療には応用されていない現状を指摘し、さらなる研究の必要性を指摘した。Journal of Bioenergetics and Biomembranes誌オンライン版2014年9月28日号の掲載報告。 MDDは重大な公衆衛生問題であり、世界中で約3億5,000万人が影響を受けている。数十年にわたり研究が行われているが、MDDの病態生理は未確認のままであり、治療の効果は30~60%に限られている。研究グループは、MDDとミトコンドリア生体エネルギー機能障害との関連をレビューした。 主な内容は以下のとおり。・MDDの病態生理学に関与するミトコンドリア生体エネルギー機能障害として、いくつかの経路の関与が示唆された。すなわち、遺伝的性質/ゲノム、炎症、酸化ストレス、神経可塑性の変化などである。・ミトコンドリア生体エネルギー経路とMDDに関する議論は、散見されている。・エビデンスは、現在使用されているさまざまな抗うつ薬のmito-toxicまたはmito-protectiveな影響に関してレビューされていた。・一方で、単独または補助的なうつ軽減治療としてのミトコンドリア・モジュレーターなどについて、さらなる治療アプローチについて研究することへの示唆もみられた。・ミトコンドリア生体エネルギー機能とMDDを結び付けるエビデンスは確実に存在するが、現状では、MDDをターゲットとした治療ガイドとして用いるための表現型またはバイオマーカーとしての研究は行われていない。また、MDD集団に関するミトコンドリア生体エネルギー機能の障害も判明していないことが明らかになった。関連医療ニュース ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに うつ寛解のポイントは疲労感  担当者へのご意見箱はこちら

27224.

1型糖尿病へのインスリン、長時間型 vs. 中時間型/BMJ

 成人1型糖尿病向けには、長時間作用型(持効型溶解)インスリンが中時間作用型(中間型)インスリンに比べ、血糖コントロール効果が高く、重度低血糖症といった有害事象も少なく、有効性、安全性に優れることが示された。ただし、HbA1c値の差はわずかであった。カナダのセント・マイケルズ病院Andrea C. Tricco氏らが、39件の試験について行ったシステマティック・レビューとネットワーク・メタ解析の結果、報告した。結果を踏まえて著者は「患者および担当医は、インスリン製剤の選択を、好み、コストそして入手のしやすさで見直すべきであろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年10月1日号掲載の報告より。2013年1月までの無作為化試験やコホート試験などを再調査 研究グループは、Medline、Cochrane Central Register of Controlled Trialsなどを基に、2013年1月までに発表された成人1型糖尿病向けの持効型溶解インスリン(グラルギン、デテミル)と、中間型インスリン(NPH、レンテ)に関する無作為化試験やコホート試験、費用対効果を検討した試験について、システマチック・レビューとネットワーク・メタ解析を行った。 両者の安全性、有効性、費用対効果について比較した。持効型はNPH 1日1回と比べてHbA1c値を有意に低下 6,501件の試験タイトルや抄録、190試験の論文全文をスクリーニングにかけ、39試験について分析を行った。そのうち、無作為化試験は27件(被験者総数:7,496例)だった。 ネットワーク・メタ解析の結果、グラルギン(1日1回)、デテミル(1日1回)、デテミル(1日1~2回)の投与は、NPH(1日1回)の投与に比べてHbA1c値を有意に低下した。無作為化試験26件を含んだ同解析における平均差はそれぞれ-0.39%、-0.26%、-0.36%だった。 重度低血糖症については、無作為化試験16件を含む同解析の結果、デテミル(1日1~2回)がNPH(1日1~2回)に比べ、発症リスクが有意に低かった(オッズ比:0.62、95%信頼区間:0.42~0.91)。 体重増については、無作為化試験13件を含む同解析の結果、デテミル(1日1回)はNPH(1日1~2回)に比べ増加幅が大きかった(平均差:4.04kg)。一方で、デテミル(1日1~2回)vs. NPH(1日1回)、またグラルギン(1日1回)vs. NPH(1日1回)では、いずれもNPH群の体重増加幅が大きかった(それぞれの平均差:-5.51kg、-5.14kg)。 費用対効果については、14件のデテミルvs. NPH試験のうち3件でデテミルが、8件のグラルギンvs. NPH試験のうち2件でグラルギンが、費用対効果が高いという結果であった。費用対効果の解析からは、デテミルとグラルギンはNPHよりも費用が高く、効果も優れるというものだった。またグラルギンvs. デテミルの費用対効果は検討した2試験ともグラルギンのほうが優れないというものだった。

27225.

ROS1陽性NSCLCへのクリゾチニブ、奏効率72%/NEJM

 ROS1遺伝子再構成陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)の投与は、奏効率は72%、期間中央値は17.6ヵ月であった。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAlice T. Shaw氏らが、患者50例について行った試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「クリゾチニブは、ROS1遺伝子再構成陽性NSCLCに対し、顕著な奏効を示した」とまとめている。また、本検討で新たに2種を含む7種のクリゾチニブが奏効する遺伝子サブグループが判明した。NEJM誌オンライン版2014年9月27日号掲載の報告より。クリゾチニブ250mgを1日2回投与 研究グループは、クリゾチニブの第I相臨床試験の拡大コホートとして、ROS1遺伝子再構成陽性進行NSCLC患者50例を対象に試験を行った。 被験者に対し、クリゾチニブ250mgを1日2回経口投与し、安全性や薬物動態、治療反応性などを調べた。 また、ROS1融合パートナー遺伝子について、次世代シークエンシングまたは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応分析法により特定した。無増悪生存期間の中央値は19ヵ月 その結果、客観的奏効率は72%(95%信頼区間:58~84%)で、完全奏効が3例、部分寛解が33例だった。 奏効期間の中央値は17.6ヵ月、無増悪生存期間の中央値は19.2ヵ月だった。なお25例(50%)の被験者については、無増悪期間の追跡が継続していた。 また、30の腫瘍について分析を行った結果、新たに見つかった2種を含む7種のROS1融合パートナーが特定された。 なお、ROS1遺伝子再構成のタイプとクリゾチニブへの臨床反応性との間に、関連性は見つからなかった。

27227.

皮膚症状関連の死亡率 ―過去20年間のデータ比較

 米国・ジョージタウン大学のLindsay N. Boyers氏らは、過去約20年間の発展途上国137ヵ国と先進国50ヵ国における皮膚症状に関連した死亡率を調べた。その結果、発展途上国と先進国では皮膚症状関連の死亡負荷が異なり、メラノーマ、はしか、梅毒の格差が最も大きいことが明らかにされた。著者は、「この結果は、予防や治療において何を優先かつ最適化すべきかについて役立つだろう」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年10月2日号の掲載報告。 疾病負荷研究は、系統的に編集された動態統計情報や疫学研究論文、政策および各種リソースなどを含むデータベース研究である。 研究グループは、1990~2010年の発展途上国137ヵ国と先進国50ヵ国における皮膚疾病に関連した死亡率を調べた。 断面調査にて、10カテゴリーの皮膚症状について対象国の平均年齢標準化死亡率(10万人当たり)を算出。同皮膚障害からの死亡格差を1990年と2010年で比較し、また発展途上国と先進国で比較した。 主な結果は以下のとおり。・メラノーマの死亡率は、発展途上国と比べて先進国は、1990年時点では5.6倍、2010年時点では4.7倍高かった。・一方で、はしかの死亡率は、先進国と比べて発展途上国が1990年時点で345倍、2010年時点で197倍高かった。・また梅毒の死亡率は、発展途上国がそれぞれ33倍、45倍高かった。・本検討は、患者、医療提供者、地理的レベルの交絡因子補正に限界があり、結果の精度および普遍化には限りがある。

27228.

統合失調症と利き手に関するメタ解析

 統合失調症は右利きでない例が多いことを特徴とするという概念は、統合失調症が異常な脳側性化により発症、そして遺伝的に関連しているという理論の基礎となっている。レビューおよびメタ解析により、統合失調症患者では右利きでない者が高率であることが報告されている。ただし、これらの結果は、性別の問題あるいは自己報告に基づく利き手に関する質問票に潜むバイアスによるものではないかとの指摘があった。 ノルウェー・ベルゲン大学のMarco Hirnstein氏らは、統合失調症では右利き以外の患者が多いという概念を検証するメタ解析を行った。その結果、性別および質問票にかかわらず、右利きではない患者が多かったことを報告した。結果を踏まえて著者は、「所見は真の意味で経験的な知見であり、統合失調症と脳側方化との遺伝的な関連を実際に反映している可能性がある」とまとめている。British Journal of Psychiatry誌2014年10月号の掲載報告。 研究グループは、性別を問わず右利きでない患者が高率にみられるのか、そして行動的評価における利き手が右利きではない頻度を明らかにすることを目的に、メタ解析を行った。電子データベースを用い、(a)統合失調症における男女別の右利き以外の頻度を対照と比較した研究、(b)統合失調症患者の利き手を行動的に評価した際の右利き以外の頻度(性別を問わず)を検討した研究、以上を検索した。  主な結果は以下のとおり。・女性におけるオッズ比(OR)は1.63(患者621例、対照3,747例)、男性におけるORは1.50(患者1,213例、対照3,800例)であった。1.0超の有意な差を認め、男女ともに対照と比べて右利き以外の例が多いことが示唆された。・さらに、行動的に利き手を評価した結果、ORは1.84(患者1,255例、対照6,260例)であり、統合失調症患者では右利き以外の例が多かった。・性別と行動的利き手評価を同時補正後も、右利き以外の例が多いという結果が確認された。・以上より、統合失調症患者において右利き以外が多いことは、性別の問題あるいは利き手質問票のバイアスによるものではないことが明らかとなった。関連医療ニュース 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 6分間歩行で統合失調症患者の身体評価 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター  担当者へのご意見箱はこちら

27229.

糖尿病患者への意思決定支援ツールの効果/BMJ

 患者指向の治療意思決定支援(デシジョンエイド)の有用性について、相当量を投じても同ツールの使用で期待される患者のエンパワメント改善には結び付かないことが、オランダ・フローニンゲン大学医療センターのPetra Denig氏らによる、プラグマティック無作為化試験の結果、明らかにされた。原因として、大半の患者が、同ツールを完全には使いこなしていないことが判明したという。デシジョンエイドは、治療管理における患者と医師の意思疎通を助け、患者指向型の治療ゴール設定を促進することが可能とされる。本検討では複数の疾患を抱える糖尿病患者についての有用性を検討した。BMJ誌オンライン版2014年9月25日号掲載の報告より。デシジョンエイドの提供が患者のエンパワメントに与える影響を試験 検討は、オランダ北部の18人の一般医(GP)を介して行われた。2型糖尿病を有し、診断時の年齢は65歳以上で、プライマリケアで治療管理を受けている344例を対象とした。 試験期間は2011年4月~2012年8月で、225例を介入群に、119例を通常ケア群に割り付けた。 介入群には、糖尿病患者のためのデシジョンエイドを提供。デシジョンエイドは、臨床領域間の優先順位決定について患者をエンパワーし、治療意思決定の支援をすることが目的である。介入に用いられたデシジョンエイドは、それぞれ各人用に修正されたリスク情報と複数のリスク因子に対する治療選択肢が盛り込まれた。 同ツールを定期受診前に提供し、また診療中に担当医から提供してもらった。 検討では、4つの異なるフォーマットのデシジョンエイドを含んだ探索的分析も行われた。 主要アウトカムは、治療目標の設定および達成のエンパワメントに与えた影響だった。副次アウトカムは、血糖、血圧、脂質、蛋白尿を調整するための処方薬の変化とした。 データは、構造化質問票からと、介入前後6ヵ月間自動収集した電子ヘルスレコードを通じて収集した。脂質低下治療について変化、ただし有意な変化をもたらしたのは紙媒体 介入群で、介入の基本エレメントを受けていたのは103例(46%)だった。主要アウトカムの解析に十分なベースライン時とフォローアップデータを組み込めたのは、介入群199例、対照群107例だった。 分析の結果、介入群のエンパワメントスコアの増大は、5ポイント制において0.1で、対照群との有意差はみられなかった。ベースライン変数を補正後の平均差は0.039(95%信頼区間[CI]:-0.056~0.134)だった。 コレステロール値が高い被験者における脂質低下薬の投与について、介入群では25%が強化され、対照群では12%であった。しかし、有意差は認められなかった(オッズ比:2.54、95%CI:0.89~7.23)。事前規定の探索的分析により、介入群の処方強化の影響は、プリントされたデシジョンエイドによるものであることが示された(同:3.90、1.29~11.80)。 そのほかの治療について、重要または有意な変化は認められなかった。

27230.

若年者の大動脈弁置換、機械弁より生体弁/JAMA

 50~69歳の若年者大動脈弁置換における弁の選択は、生体弁のほうが機械弁よりも妥当(reasonable)な選択肢であることが明らかにされた。米国・マウントサイナイ医療センターのYuting P. Chiang氏らが、患者4,253例について後ろ向きコホート分析を行った結果、15年生存および脳卒中について両群間で有意差は認められなかった。生体弁患者のほうが再手術を受ける可能性が大きかったが、大出血を起こす可能性は低かったという。若年者大動脈弁置換における弁の選択は、長期生存や重大疾患の発生について明らかになっておらず、論争の的となっていた。JAMA誌2014年10月1日号掲載の報告より。50~69歳術後患者4,253例の生存や脳卒中発生などを後ろ向きに分析 分析は、Statewide Planning and Research Cooperative Systemで被験者を特定し、1997~2004年にニューヨーク州で生体弁もしくは機械弁による大動脈弁置換手術を受けた50~69歳の患者4,253例を対象に行われた。 追跡期間中央値は10.8年(範囲:0~16.9年)だった(死亡に関する最終フォローアップは2013年11月30日)。 傾向マッチング法で1,001組の患者ペアを作成し、分析を実施。主要アウトカムは、全死因死亡とし、副次アウトカムは脳卒中、再手術、大出血の発生などだった。生存、脳卒中発生に有意差はないが、妥当な選択肢は生体弁 生体弁置換を受けた患者は1,466例(34.5%)、機械弁は2,787例(65.5%)だった。 結果、両群患者間で、生存または脳卒中発生率について有意差は認められなかった。 15年生存率は、生体弁群60.6%(95%信頼区間[CI]:56.3~64.9%)、機械弁群62.1%(同:58.2~66.0%)だった(ハザード比[HR]:0.97、95%CI:0.83~1.14)。 15年脳卒中累積発生率は、それぞれ7.7%(95%CI:5.7~9.7%)、8.6%(同:6.2~11.0%)だった(HR:1.04、95%CI:0.75~1.43)。 15年再手術累積発生率は生体弁群が有意に高率だった(12.1%vs. 6.9%、HR:0.52、p=0.001)。一方、15年大出血累積発生率は、機械弁群が有意に高率であった(6.6%vs. 13.0%、HR:1.75、p=0.001)。 30日死亡率は、脳卒中後18.7%、再手術後9.0%、大出血後13.2%だった。 以上から著者は「若年患者では、生体弁が妥当な選択肢であることを示唆するものであった」とまとめている。

27231.

HARP-2試験:期待されていたスタチン、空振り(解説:倉原 優 氏)-262

スタチンがARDSの発症リスクを下げるのではないかと唱える研究者も少なからずいる。そのため、現在も世界各国でスタチンの研究が行われている。 スタチンが持つ抗炎症作用が注目され、数年前からあらゆる疾患においてトピックになった1)。 たとえば、私は呼吸器内科医でありCOPDを多数診療するが、COPD急性増悪の予防にも有効ではないかと考える医師も多かった。私が記憶する限りは、COPDの世界では5~6年前からスタチンが取り上げられる機会が増えてきた2)。分野を問わず、ビタミンDとスタチンの論文をやたら目にするようになったのだ。しかしながら、スタチンにはCOPD急性増悪を予防するパワーがないことがその後判明した3)。 そして、同時期に報告されたARDSに対するロスバスタチンのSAILS試験。この試験の結果も同様で、ロスバスタチンは敗血症に関連したARDSの予後を改善しなかった4)。 これらのNew England Journal of Medicine の臨床試験は、スタチンの抗炎症作用がCOPDやARDSに効く可能性があるとした複数の試験の結果をしっかりと検証することが目的だった。そのため、New England Journal of Medicineは論説の中で、世間で取り沙汰されているトピックが本当に正しいかどうか確認するために必要な試験だったと述べている5)。 今回のHARP-2試験も大方の予想通りの結果で、シンバスタチンは臨床アウトカムの改善をもたらさないことが明らかになった。ゆえに、現時点ではARDSに対するスタチンのルーチンの投与には臨床的な利益はないと考えられる。これでARDSに対するスタチンの過熱もいったんは収束するだろうか。

27232.

アリスミアのツボ 第3回

Q7症状のない上室・心室期外収縮は、どの程度まで経過観察すべきでしょうか。心機能が正常ならば経過観察しない、という考え方ではどうでしょうか。私は基本的に心機能が正常である限り、期外収縮の経過観察をしていません。これには異論や反論があるかもしれません。心房期外収縮の場合「心房期外収縮の頻発は、放置するとやがて無症状の心房細動に発展してしまうのではないか?」という不安。これはそのとおりだと思います。しかし、問題はその発生確率だと思うのです。一見健康者で、心房期外収縮頻発が見られた例での心房細動の発生確率は、年間約1.5%とされています。これをどう見るか……人によって異なるかもしれません。心房期外収縮例をすべて経過観察しようとするのは、間違いではないのですが効率性に劣る気がします。これを行うための外来診療の時間があれば、もっと有意義な(もっと重篤な疾患をもつ患者のケアに)使えばよいのではないでしょうか。もちろん例外があります。心原性脳梗塞のようだけれども心房細動が見つかっていない患者、心房細動がひとたびもし生じてしまえば脳梗塞のリスクがきわめて高いという患者では、心房期外収縮の頻発を経過観察する価値が高まるでしょう。ただし、これらの患者の経過観察としての適切な方法はまだ誰も知りません。心室期外収縮の場合「心室期外収縮の頻発は、やがて心機能低下を引き起こしてしまうのではないか?」という不安。これもその可能性はあると思います。ただし、どのような発生確率が見込めるのかという確かな数字がない以上、そして基本的に予後はよいという情報がある以上、効率性という意味で経過観察の価値が低いと感じてしまうのです。脳梗塞とは異なり、心機能低下はirreversibleではありません。健康診断をきちんと受けることを指導する、というような経過観察でもよいのではないでしょうか。Q8発作性心房細動に対する抗不整脈薬の用い方について教えてください。安全性重視という考え方で、患者の意向次第で減量や中止も随時可能専門家の現場での用い方「抗不整脈薬の使い方がわからない。ガイドラインや教科書と、循環器内科医の実臨床での使い方がかなり違う気がする」というご意見もありました。抗不整脈薬は諸刃の剣と言われることから、どうしても経験則が幅を利かせているのが実情です。ESCの心房細動ガイドラインで書かれていることESCの心房細動ガイドラインにはこの抗不整脈薬の使い方の原則が書かれているので、それを引用しておきましょう。1)抗不整脈薬治療は症状を軽減する目的で行うものである2)抗不整脈薬で洞調律を維持する効果は“modest”である3)抗不整脈薬治療は心房細動の再発をなくすものでなく、減らすことで臨床的には成功と考えるべきだろう4)1つの抗不整脈薬が効果のない場合、他の抗不整脈薬が効果を示すことがあるかもしれない5)抗不整脈薬による新たな不整脈の出現、心外性副作用はしばしば生じる6)抗不整脈薬の選別は効果よりもまず安全性を指針とすべきである私の使い方私の臨床現場での用い方はこれを基本にしています。たとえば、抗不整脈薬をいつ始めて、いつ中止するのかについての一定の見解はないのですが、患者が心房細動の症状で困っている時に開始し(1参照)、その際あらかじめ発作が完全に消失するものではないことを伝え(2、3参照)、症状が軽くなればいつでも薬物の減量をトライし、症状に困らなくなればいつでも中止をトライする(6参照)、ということを基本にしています。もちろん、減量や中止によって患者が困るようになれば、また再開することはたびたびです(むしろ、そのほうが多いかもしれません)。ただ、これを行うことで患者が薬物の効果を実感してくれることもアドヒアランスを高めると思っています。Q9NOACをどのように開始すべきでしょうか?ワルファリン時代とまったく異なる抗凝固療法のやり方を会得する必要がありますワルファリン時代に染みついた慣習心房細動の脳卒中予防には抗凝固療法が必要です。抗凝固療法の仕方…これについては、あまりにもワルファリンを使用してきた歴史が長く、ワルファリン時代のやり方が身に染みついてしまっていることを私自身が痛感しました。そこで、ワルファリン時代とは異なるNOACによる抗凝固療法の私のやり方をまとめておきます。1)心房細動初診患者では(脳卒中の一次予防ならば)その日のうちに抗凝固療法を始めない。ワルファリン時代は初診患者で脳卒中予防の説明をして、ワルファリン1.5~2mg/dayをその日から開始していました。しかし、NOACでは危なっかしくてできないですね。初診日は、脳卒中に関する啓蒙、年齢、体重の把握、血清Cr、Hbの採血をするだけにしています。クリアチニンクリアランスを把握してから抗凝固療法はするものと考え、次の外来から(つまりクレアチニンクリアランスが手に入ってから)NOACを処方します。次回の外来までに脳卒中になってしまうのでは……と不安に思う方がおられるかもしれませんが、所詮ワルファリン時代も初診時に処方する少量のワルファリン量ではそもそも効いていませんでした。NOACを初診日に処方すると禁忌症例に処方してしまう可能性があり、こちらのほうが危険でしょう。また、貧血のある患者にNOACを処方するのも危険です。今まさに、じわじわとどこからか出血しているのかもしれないからです。2)2週間以内の出血に関する問診とHbのチェックを忘れないワルファリン時代はゆっくりと抗凝固がなされ、しかもPT-INRによる処方量決定のためたびたび外来受診が行われるので、出血のケアは自然になされやすい環境にありました。しかし、長期処方が可能なNOACは大出血直前の気付きの機会を減らしています。そこで、私は、NOAC処方時には必ず2週間以内に受診してもらい、皮下出血、タール便の有無を聞き、必ずHbをチェックすることにしています。2週間でHbが明らかに減少していれば、どこからか出血していることになるからです。逆にHb値に変化がなければ安心できます。3)バイオマーカーはどうする?ワルファリン時代のPT-INRというモニタリングはなくなりました。では何もチェックしていないかというと、私は、ダビガトランではaPTT、リバーロキサバンとアピキサバンではPTをチェックしています。固定用量の薬物では必ず効きすぎの患者が、わずかといえども存在しているからです。ただし、これはモニタリングではありません。処方後2週間以内の外来で、Hbと一緒にバイオマーカーを一度採血するのです。バイオマーカーについては「あまり見かけないほど高い値である」ことがなければ、それで良しとしています。その後の採血ですが、クレアチニンクリアランスを高齢者では年に4回程度、若年者では年に1、2回チェックしますが、それと同時にこれらのバイオマーカーもチェックしています。NOACのバイオマーカーはモニタリングではなく、あくまでもチェックにすぎないのです。

27233.

中国、日本は他国より疼痛有病率・治療率が低い

 米国・Kantar Healthが実施したNational Health and Wellness Survey(NHWS)によると、新興国と先進国のいずれにおいても、疼痛はQOLや機能、活動、労働生産性などすべての健康状態の評価項目に影響していることが明らかになった。また、新興国の中国、先進国の日本はともに、他の国よりも疼痛有病率と治療率が低いことも報告された。同社のAmir Goren氏は報告で、「今回の結果は世界における疼痛の疾病負荷を幅広く理解する助けになる」とまとめている。Pain Medicine誌オンライン版2014年9月12日号の掲載報告。 2011~2012年に実施されたNHWSのデータを用い、疼痛(神経障害性疼痛、線維筋痛、腰痛、手術痛、関節炎疼痛)の有無別に社会人口統計学的特性、QOL、労働生産性、活動機能障害および医療財源の使用について解析し、新興国(ブラジル、中国、ロシア)と先進国(EU、日本、米国)とで比較した。 主な結果は以下のとおり。・疼痛有無の回答は、先進国では、疼痛なし12万8,821例、疼痛あり2万9,848例、新興国では、疼痛なし3万7,244例、疼痛あり4,789例であった。・疼痛有病率および治療率は、中国がそれぞれ6.2%および28.3%、日本が4.4%および26.3%で、他の国々(≧14.3%および35.8%)と比べて低かった。・疼痛は先進国および新興国のいずれにおいても、QOLの重大な障害、生産性および医療財源使用と関連していた。・先進国では生産性と身体的な健康状態、新興国では精神的健康状態と医療財源使用に対する影響がより大きかった。

27234.

2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは

 米国・メルク社のAnthony L Gotter氏らは、睡眠導入について、標準ケアの非ベンゾジアゼピン系ガンマアミノ酪酸受容体A(GABAA)受容体モジュレーター、エスゾピクロンとデュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)であるスボレキサントを比較する前臨床試験を行った。結果、DORAはノンレム睡眠とレム睡眠の両方について、同程度の割合および大きさで促進することが示されたという。結果を踏まえて著者は、DORAは睡眠障害からの回復を楽にする効能がある可能性を報告した。BMC Neuroscience誌オンライン版2014年9月22日号の掲載報告。 現行の標準的な不眠症治療薬のGABAA受容体作動薬には、睡眠を促進する効果とともに、中枢神経系の抑うつを促すことが知られている。一方DORAは、オレキシン神経ペプチドの覚醒推進効果を阻害することで眠気を引き起こす、不眠症治療の新たな作用機序を有している。研究グループはさまざまな前臨床種試験により、両者の治療メカニズムの、睡眠構造への影響を調べ、定量的脳波スペクトルプロファイルを比較した。 主な所見は以下のとおり。・マウス、ラット、犬、アカゲザルにおいて、DORA-22を活動期に投与することによる睡眠構造への影響を確認した。それらの影響は、覚醒活性の減弱が、ノンレム睡眠とレム睡眠両方の増加とともに認められるというものであった。・エスゾピクロンは、ラットとアカゲザルにおいて睡眠を促進したが、レム睡眠の抑制が示された。しかし、マウスではレム睡眠の増加が示され、犬では反対に覚醒の促進が認められた。・DORA-12投与では、ラットにおいてノンレム睡眠とレム睡眠の促進が同様に認められた。その大きさはほぼ同一で、正常な睡眠期においてみられた。・一方でエスゾピクロンは、その活動期において認められるよりも低くレム睡眠を抑制した。・ラットへのDORA-12において示された定量的脳波の変化は、正常な睡眠パターンに似ていたが、エスゾピクロンでは、正常な活動期または非活動期(睡眠期)スペクトラムの異なる変化がみられた。・両薬とも、オレキシン神経系が欠損した遺伝子組み換えラットの試験では、オレキシンとGABAモジュレートによる睡眠促進機序(GABAA受容体モジュレーターに特異的なレム睡眠抑制を除く)で部分的な重複を示した。・レム欠損のマウスにおいて、エスゾピクロンはさらにレム睡眠を抑制したが、DORA-22はレム睡眠を増加するなど回復を助長した。・以上、DORAは非レム睡眠とさらに重要とされるレム睡眠を促進することが示された。その割合および大きさは同程度で、あらゆる哺乳類の動物モデルの正常睡眠期にみられた。・治療メカニズムの共通点は限定的であるが、オレキシンのシグナリングは、GABAA受容体モジュレーターによって示されるレム睡眠の抑制への関与がみられなかった。・著者は、「DORAの作用機序は、睡眠障害を楽に回復するのに効果的な可能性がある」とまとめている。関連医療ニュース 新規不眠症治療薬は安全に使用できるか 期待の新規不眠症治療薬、1年間の有効性・安全性は 不眠の薬物療法を減らすには  担当者へのご意見箱はこちら

27235.

ホモ型家族性高Chol血症、PCSK9阻害薬で改善/Lancet

 新規開発中のコレステロール低下薬エボロクマブ(AMG 145)について、ホモ接合型家族性高コレステロール血症でスタチン療法などの継続的な脂質低下療法を受けている患者に投与することで、LDLコレステロール(LDL-C)値が約3割低下することが示された。南アフリカ共和国・Witwatersrand大学のFrederick J Raal氏らが第III相無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、報告した。エボロクマブは、LDL-Cの能力を低下する前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)を阻害する。Lancet誌オンライン版2014年10月2日号掲載の報告。エボロクマブを4週間ごと12週投与 試験は、北米、欧州、中東、南アフリカの10ヵ国17ヵ所の医療機関を通じて行われ、12歳以上のホモ接合型家族性高コレステロール血症の患者を対象とした。被験者は、スタチン療法(全患者が受けていた)などの脂質低下療法を4週間以上受けており、LDL吸着療法を受けていた患者は登録時に除外された。 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、エボロクマブ 420mgまたはプラセボを、それぞれ4週間ごと12週にわたり皮下注で投与した。無作為化は、LDL-C値11mmol/L未満または以上で分類して行った。 主要エンドポイントは、12週時点におけるLDL-C値のベースラインからの変化だった。12週時点のLDL-C、エボロクマブ群でプラセボ群より30.9%減少 試験適格患者は50例、そのうち49例が試験を終了した(そのうちエボロクマブ群は33例)。 12週間時点のエボロクマブ群のLDL-C値は、プラセボ群に比べ30.9%減少した(95%信頼区間:-43.9~-18.0%、p<0.0001)。 治療下で発生した有害事象は、プラセボ群10例(63%)、エボロクマブ群12例(36%)だった。また、重大有害事象の発生や抗エボロクマブ抗体の発現は認められなかった。

27236.

ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM

 ICU入室の重症患者への早期栄養療法について、経静脈ルート(静脈栄養法)と経腸ルート(経腸栄養法)を比較した結果、30日全死亡率などのアウトカムは同等であることが示された。低血糖症と嘔吐の発生については、静脈栄養療法群で有意に低率だった。英国・Intensive Care National Audit and Research Centre(ICNARC)のSheila E. Harvey氏らが、ICU患者2,400例について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。同早期栄養療法については、いずれのルートが最も効果的かについて明らかとなっていなかった。NEJM誌オンライン版2014年10月1日号掲載の報告より。入院36時間以内~5日まで栄養療法を実施 検討は、英国33ヵ所のICUに緊急入室した成人重症患者2,400例を登録して行われた。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には早期静脈栄養を、もう一方には早期経腸栄養を、それぞれ入院36時間以内から行い最長5日まで継続した。 主要アウトカムは、30日後の全死亡率だった。30日全死亡率は両群とも33~34% 被験者のうちデータが得られた2,388例(99.5%、静脈栄養群1,191例、経腸栄養群1,197例)について分析を行った。 30日全死亡率は、静脈栄養群が33.1%(393/1,188例)、経腸栄養群が34.2%(409/1,195例)であり、両群で同等だった(静脈栄養群の相対リスク:0.97、95%信頼区間:0.86~1.08、p=0.57)。 低血糖症の発生率については、静脈栄養群が3.7%(44例)に対し経腸栄養群が6.2%(74例)、嘔吐はそれぞれ8.4%(100例)と16.2%(194例)と、いずれも静脈栄養群で有意に低率だった(それぞれp=0.006、p<0.001)。 しかしながら、平均治療感染性合併症件数(0.22vs. 0.21、p=0.72)や90日死亡率(37.3%[442/1,184例]vs. 39.1%[464/1,188例]、p=0.40)、およびその他14項目の副次アウトカム、有害事象発生率については、両群で有意差は認められなかった。 なお、両群のカロリー摂取量は類似しており、いずれもほとんどの患者で摂取目標値には達しなかった。

27237.

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の内科的治療の選択について(解説:小林 英夫 氏)-261

まず、掲載された本論文の概略にお目通しいただきたい。本論文から読み取るべき点は、どのような薬剤が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として優れているかについてランダム化試験を実施すべきである、という記述に尽きるというのが筆者の印象である。 Gershon氏らが指摘するように、COPDの内科的治療法には複数の選択肢が存在し、いずれも有効性を支持する報告に裏付けられているものの、最適な治療法がどれなのかについては不明なままである。 本報告では長時間作用性β2刺激薬と吸入ステロイド薬(LABA+ICS)併用群とLABA単独群間で、死亡と入院の発生をアウトカムとして検討を行った。約2年半の追跡によりLABA+ICS併用群において軽度良好な結果が示されたが、この記述をそのまま受け入れるには少なからぬ問題点がある。 本論文は約1万2,000例という多数例を基にした解析であり、それなりの意義があることは間違いない。また、本邦で2薬剤の有効性比較試験を多数例で実行することの困難性を想定すれば、本研究から得られる示唆は重要であろう。しかし、本報告を根拠として今後のCOPD治療を変更することは早計に思う。本報告は薬剤効果を比較する試験デザインではないことを意識していただきたい。 以下、本論文の特徴を列記すると、まず、本研究は後ろ向き観察研究であり、2群の優劣を判定するためのランダム化比較試験ではない。次に、症例はadministrative databasesからの抽出であり、COPDの診断の妥当性や精度について検討できていない。その点について、同著者の既報(1 を引用し、診断精度はsensitivity、specificityともに80%以上としている。しかし、1秒量、1秒率、画像所見など検討されていないのである。さらに25%の症例は呼吸機能検査が実施されていない。 同著者は気管支喘息でも同登録データに基づく診断精度を報告し(2、そちらもsensitivity、specificityがそれぞれ約80%としている。この論文でもピークフロー値などの臨床検査は記述されていない。臨床で重要視する項目と疫学的観察における視点には少なからぬ差異が存在するようである。 上記2点に加え、対象COPD群には糖尿病が25%以上、気管支喘息が約30%、高血圧が70%以上に合併していた点は、本邦症例と比すると近似した集団なのであろうか。 4点目として、集計母集団がLABA単独群3,258例、併用群3万4,289例であり、propensity score matchingを導入した後でもLABA+ICS併用群8,712例、LABA単独群3,160例となっており、対等な2群とは評価しがたい大きな開きが存在している。当初から治療選択にバイアスが存在していることが想定される。 5点目として、サブグループとしての気管支喘息+COPD群はLABA+ICS併用により良好なアウトカムが得られたと報告している。そもそも、気管支喘息合併群をLABA単独で治療するという症例が含まれていることが、行政登録データに基づく症例選択の限界であろう。治療法の優劣を判定する目的では、本研究のような後ろ向き解析には限界があることを前提に、本論文を評価していただきたい。 しかし、疾患歴、入院歴、救急受診歴などの医療情報登録システムが構築され、疫学研究に活用できるカナダの体制を知らされると、本邦でも早急にこのような観察研究が可能となる日を願ってやまない。

27238.

未来を担う医療系学生(02)

山田 美砂さん船橋市立看護専門学校2年希望進路:産婦人科たくさんのありがとうを忘れない看護師になりたいです(^^)コメントおばが助産師をしていた影響でこの道に進みました。高校生のころは、女性のライフイベントに立ち会いたいという思いから、助産師かブライダルプランナーかで迷ったこともありましたが、出産を助ける方を選びました。今2年生で、脳神経外科や循環器科を実習で回ったのですが、想像以上に大変で、体調と精神面のコントロールが大事だなと思います。夢に向かってモチベーションをあげて、頑張っていきたいです。撮影:江上嘉郁

27239.

未来を担う医療系学生(03)

亀山 仁美さん日本獣医生命科学大学獣医学部 獣医学科 1年希望進路:獣医科獣医の仕事の幅広さを知ってもらえるような獣医になりたいです。コメント獣医を目指すきっかけになったのは、小学生のころに観た「動物のお医者さん」というテレビドラマです。獣医学部がドラマの舞台になっていて、すごく楽しそうで憧れましたね。動物の中で私が好きなのはヒヅメのある動物です。ひつじとか、やぎとか。実際に獣医になったら、楽しいことばかりじゃないだろうし、大変なことも多いでしょうが、動物に関わることに広く携わりたいです。撮影:田里弐裸衣

27240.

未来を担う医療系学生(04)

菅野 未知子さん千葉大学医学部 医学科 5年希望進路:精神科話のしやすい雰囲気のDr.を目指します。コメント元々、東大の大学院で基礎医学の研究をしていたのですが、臨床経験が必要だと考え、学士編入しました。目指しているのは精神科。人の心は難しいけれど研究のしがいがあります。また、これからの時代、認知症は大きなテーマになると考えますが、治療法が確立していない未知の領域が多いです。何といっても、私の名前は「未知子」ですから、臨床と研究とを地道に続けて行って、いつか「未知」を発見できるといいな。撮影:江上嘉郁

検索結果 合計:35155件 表示位置:27221 - 27240