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うつ病にダンスセラピー、その効果は

 英国・リーズ大学のBonnie Meekums氏らは、うつ病に対するダンス・ムーブメントセラピー(DMT)の効果を明らかにするため、3件の無作為化対照試験(RCT)の解析を行った。その結果、DMTのうつ病に対する確実な効果は認められなかったことを報告した。DMTは広範囲の文化的、知的バックグランドを持つ人が活用しているが、その効果は十分にわかっていなかった。Cochrane Database Systematic Reviews2015年2月19日号の掲載報告。 研究グループは、うつ病に対するDMTの効果を調べるため、未治療、標準治療単独、精神療法、薬物治療、その他の身体的介入と比較した。また、異なるDMTアプローチについてもその効果を比較検討した。Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialised Register (CCDANCTR-Studies and CCDANCTR-References)およびCINAHLを、WHO International Clinical Trials Registry Platform(WHO ICTRP)および ClinicalTrials.govと合わせて検索した(2014年10月2日時点)。さらに、Allied and Complementary Medicine Database(AMED)、Education Resources Information Center(ERIC)、Dissertation Abstractsを検索し(2013年8月まで)、手動による検索で、関連する研究者、教育プログラム、世界的ダンスセラピーの専門家を調査した。 試験適格基準は、少なくとも1群をDMT群として設定し、年齢にかかわらずうつ病患者に対するアウトカムを検討しているRCTとした。DMTの定義としては、精神療法を目的としていることが明確な一般参加型のダンスで、試験実施国において承認されるレベルの訓練を経た個人により進められているものとした。国において承認される訓練を経た個人とは、たとえば米国では、American Dance Therapy Association (ADTA)のトレーナーあるいは資格認定者、英国では、Association for Dance Movement Psychotherapy(ADMP)のトレーナーあるいは認定を受けた者とした。同様の専門機関がヨーロッパには存在するが、このような専門分野がまだ発展途上であるいくつかの国(たとえば中国)では、その質の低さが米国や英国における数十年前の状況だとして、レビュワーは、関連する専門的資格(たとえば看護や精神力動療法)や、Levy 1992、ADMP UK 2015、Meekums 2002、Karkou 2006といった、公表されているガイドラインに準ずる療法であることが明記されていれば組み入れることとした。試験の方法論的な質を評価し、3人のレビュアーのうち2人がデータ抽出フォームを用いてデータを抽出した。残りの1人は判定者としての役割を担った。 主な結果は以下のとおり。・3件の試験の被験者合計147例(成人107例、未成年40例)が包含基準を満たした。DMT療法群74例、対照群は73例であった。・2件の試験は、成人男性と成人女性のうつ病患者を対象としていた。そのうち1試験は外来患者も対象としていたが、もう一方の試験は都市部の病院の入院患者のみを対象としていた。・3件目の試験は、中学校に通う未成年女子を対象とした調査結果を報告していた。・これらの試験はすべて、2種類のうつ病評価基準、すなわち医師によるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)およびSymptom Checklist-90-R(SCL-90-R)(自己評価スケール)を用いて、継続的なデータ収集が行われていた。・3件の試験の間に統計学的な不均一性が確認された。・DMTのうつ病に対する確実な効果は認められなかった(SMD:-0.67、95%CI:-1.40~0.05、エビデンスの質は非常に低い)。・予定されたサブグループ解析において、2件の試験の成人107例において好ましい効果が示されたが、臨床的有意差を認めるに至らなかった(SMD:-7.33、95%CI:-9.92~-4.73)。・成人を対象とした1件の試験は脱落率を報告しており、そのオッズ比は1.82(95%CI:0.35~9.45)で有意差なしと判断された(エビデンスの質は低い)。・社会的機能を評価した1件の試験において、非常に有効な結果が認められたが(MD:-6.80、95%CI:-11.44~-2.16、エビデンスの質は非常に低い)、結果の正確性に問題があった。・1件の試験において、QOL(同:0.30、-0.60~1.20、エビデンスの質は低い)あるいは自尊感情(1.70、-2.36~5.76、エビデンスの質は低い)に関して好ましい影響、悪影響のいずれもみられなかった。・3件の小規模試験の147例で得られたエビデンスは質が低かったため、うつ病に対するDMTの効果に関して確固たる結論を導くことはできなかった。・うつ病に対するDMTの効果を評価するには、より大規模で方法論的に質の高い試験が必要である。その際には、経済的分析および受容性についても評価し、あらゆる年齢群を対象とすることも必要である。関連医療ニュース ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 高齢者うつ病患者への運動療法は有効  担当者へのご意見箱はこちら

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糖尿病予防の介入、リスク別が効果的/BMJ

 先行研究の無作為化試験で、メトホルミンと生活習慣改善の介入による糖尿病予防プログラムは糖尿病の発症を減少することが示されていたが、その介入効果は糖尿病発症リスクが高い人と低い人では異なることが明らかにされた。米国・ミシガン大学のJeremy B Sussman氏らによる事後分析の結果、メトホルミンの介入効果は高リスクの人に集中してみられること、また生活習慣への介入は高・低リスク群を問わず効果がみられるが、糖尿病発症リスクの最高四分位群で最低四分位群の6倍だった。結果を踏まえて著者は、「予防的治療はリスク層別化をすることで、より効果的に行うことができる」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年2月19日号掲載の報告より。糖尿病予防プログラム試験データを事後分析 糖尿病ではないが糖代謝異常が認められる外来治療中の患者が参加した糖尿病予防プログラムの無作為化試験の事後分析を行い、プログラムで行われたメトホルミンまたは生活習慣改善の介入のベネフィットが被験者により異なるかを調べた。 主要評価項目は、糖尿病リスク予測モデルで発症リスクについて層別化したうえで評価した、糖尿病の発症であった。メトホルミン介入は高リスク群のみで有効、生活習慣改善介入は全リスク群に有効 ベースライン時の被験者3,081例のうち、追跡期間中央値2.8年の間に655例(21%)が糖尿病へと進行した。 糖尿病リスク予測モデルの識別能(C統計量0.73)と検定能は良好であった。四分位範囲で最低リスク群に分類された人が3年間で糖尿病を発症すると予測された確率は1.1~9.5%(平均6.9%)、最高リスク群の人は27~99%(同45%)であった。すなわち、最高リスク群は最低リスク群の6.5倍リスクが高いことを意味するものであった。 分析の結果、生活習慣改善介入による絶対リスク低下は、最高四分位群が最低四分位群より6倍大きかった。しかし、最低リスク群における絶対リスク低下もかなり大きく、それぞれ4.9% vs. 28.3%で、必要治療数(NNT)は20.4、3.5であった。 一方、メトホルミン介入のベネフィットは、最高リスク群に集中していた(対プラセボのハザード比0.44)。最高リスク群の3年間の絶対リスク低下は21.4%(NTT 4.6)であった。一方、第3四分位リスク群(同0.82)、第2四分位リスク群(同0.79)では低下がみられたもののわずかで、最低リスク群では介入のベネフィットがみられなかった(同1.07)。 著者は、「この知見を生かすことで、また、正確なリスク予測ツールに基づく意思決定により、過剰治療を減らすことができ、より効率的、効果的で患者中心の予防治療ができるだろう」とまとめている。

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5歳までのピーナッツ摂取でアレルギー回避?/NEJM

 ピーナッツアレルギー高リスクの小児は、早期よりピーナッツに曝露されたほうが、同アレルギー発症頻度が有意に低減することが、英国キングス・カレッジ・ロンドンのGeorge Du Toit氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。西欧諸国では、ピーナッツアレルギーの子供の有病率は、過去10年間で2倍になっており、またアフリカやアジアでも出現してきているという。研究グループは、アレルギーリスクが高い乳児でピーナッツアレルギーを発症させないための最も効果的な戦略を確立するために、ピーナッツの摂取と回避の戦略を検討した。NEJM誌2015年2月26日号(オンライン版2015年2月23日)掲載の報告より。乳児640例をSPT陽性・陰性に分類し、無作為化試験 試験は、重症の湿疹、卵アレルギーのいずれかまたは両方を有する640例の乳児を対象とした。無作為化時点の被験児の年齢は、生後4ヵ月以上、11ヵ月未満であった。 皮膚プリックテスト(SPT)でピーナッツに対する感受性を調べ、SPT陰性(測定できる膨疹がなかった)コホート(542例)と、SPT陽性(直径1~4mmの膨疹が認められた)コホート(98例)に分類し、60ヵ月齢までピーナッツを摂取する群と回避する群に無作為に割り付けて評価が行われた。 主要アウトカムは、各コホートにおける、60ヵ月齢時点でのピーナッツアレルギー発症者の割合とした。ピーナッツ摂取群のほうがアレルギー発症が有意に低下 intention-to-treatに含まれたSPT陰性コホートは530例であった。そのうち、60ヵ月齢時のピーナッツアレルギー有病率は、回避群13.7%に対し摂取群1.9%であった(p<0.001)。 一方、intention-to-treatに含まれたSPT陽性コホート98例についても、有病率は回避群35.3%、摂取群10.6%であった(p=0.004)。 主に摂取群では、ピーナッツ特異的IgG4抗体値の上昇がみられ、回避群ではピーナッツ特異的IgE抗体価の上昇がみられた。 ピーナッツアレルギーは、SPTにおいて大きな膨疹がみられたこと、ピーナッツ特異的IgG4:IgEの率比の低下と関連していた。 著者は結果を踏まえて、「ピーナッツの早期曝露はアレルギーリスクの高い小児での発症頻度を有意に低下し、ピーナッツに対する免疫応答を変化させた」とまとめている。

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医療事故調査報告書が裁判で使われたら!? 第5回 医療法学シンポジウム開催(前編)

 2月15日、東京都内にて第5回医療法学シンポジウムが「医療事故調査報告書、及び、聞き取り調査書等内部資料と文書提出命令等証拠開示手続との関係」をテーマに開催された。今回は前編として、レクチャーを中心にお届けする。 2014年6月に「医療事故調査制度」が創設され、本年(2015年)10月の施行に伴い「医療事故調査・支援センター」において事故調査が行われることが決定した。この制度の目的は、あくまでも「医療安全の確保」であるが、その事故調査報告書が、医療訴訟で証拠として使用され、医師などへの個人責任追及につながるとも限らない。そうなると医師、医療関係者が、事故調査で真実を語ることが期待できず、制度自体の崩壊を招くと危惧されている。 今回のシンポジウムは、こうした背景の下、事故調査報告書の取り扱いと医療訴訟との接点について、医師と弁護士が今後予想される問題点を浮き彫りにし、理解を深めるために開催されたものである。カルテはもう開示の時代へ 小島 崇宏氏(大阪A&M法律事務所/医師・弁護士)は、「個人情報保護法に基づく開示手続」をテーマに、個人情報保護法の観点から患者などより医療機関に開示請求があった場合の問題点についてレクチャーを行った。 医療機関などで関係する個人情報としては、診療録(以下「カルテ」とする)、処方箋、手術記録、画像所見などが挙げられる。そして、個人情報保護法25条では、3つの例外規定を設け、開示しないことができる場合を定めている。しかし、医療機関などが完全に開示拒否を行うことは難しく、たとえば国公立病院などは、行政手続きに関連して裁判上で開示が命令される場合も予想される。そのため、日常より開示を前提に、たとえばカルテには事実関係だけの記載を行い、主観的な内容は記載しないなどの作成時の意識付けが重要であると語った。加害医師などの保護、ケアも重要 山田 奈美恵氏(東京大学医学部附属病院総合研修センター 特任助教/医師)は、「医療事故調査の実際 医療安全を目指す上で必要な事項」をテーマに、実際に医療機関で医療事故が発生した場合の事後対応とフォロー体制について説明を行った。 事故が発生した場合、大切なことは患者の救命と健康被害拡大を阻止することであり、同時に「誰が、誰に、どのような事故が発生したか」複数のラインからの連絡・報告が一元化されることが重要と語る。次に、患者および患者家族へ経緯の説明と謝罪などが行われるが、その際、医療メディエーターなどの活用が期待される。さらに、必要によりマスコミ、メディアへの説明、警察や保健所などへの報告が行われる場合があり、そこで混乱が起きないよう、院内で報告範囲について事前に話し合い、決めておくことが求められる。その他、事故当事者には、保護を含めたケアとフォローが必要であり、関係者における事故の経緯聴取後の検討会と事故調査報告書の作成も必要、と具体的な流れについて説明した。文書提出命令で全部開示しなくていい場合とは 山崎 祥光氏(井上法律事務所/弁護士・医師)は、「民事訴訟・保全において用いられる開示手続」をテーマにレクチャーを行った。 医療訴訟で証拠の乏しい原告(患者)側が、医療機関が持つカルテや関係する書類を手元で調べて、証拠とするために裁判所を通じて被告(医療)側に関係書類を提出させるのが証拠保全・文書提出命令である。 過去の裁判例では、「医師賠償責任保険事故・紛争通知書」について、秘密性・内部性、開示による重大な不利益を理由に開示を否定した裁判例や、院内の「医療事故報告書」について全部を開示するのではなく、提言部分だけの部分開示を命じた裁判例などを紹介するとともに、実務では文書開示に関して、裁判所も文書の性質とその内容をよく考慮して判断をしていると説明された。刑事事件化すると抵抗のすべがない 大滝 恭弘氏(帝京大学医学部 准教授/医師・弁護士)は、「刑事捜査・訴訟において用いられる開示手続」をテーマにレクチャーを行った。 はじめに刑事における医療事件の概要を説明し、2000年以降急激に増加、現在も年間70件程度あること、患者からの訴えが依然として多いことを報告した。 そして、業務上過失致死傷など刑事事件となった場合、刑事訴訟法上の強制捜査による捜索・差押えでは、関係するカルテ、処方せん(電子画像があればそのサーバー一式)などすべてが有無を言わさず押収される。これにより、事故調査と刑事捜査が並行して行われることで、事故調査は萎縮したものとなり、医療事故調査制度そのものが危うくなるおそれがあると、日航機ニアミスによる業務上過失傷害事件の裁判例を基に、予想される問題点を指摘した。 今後、医療事故調査の制度構築に当たっては、制度が形骸化しないよう明らかな犯罪行為による医療事件を除き、「医療事故調査が優先」、「刑事介入の排除」、「医療事故調査報告書の目的外使用の禁止」などが必要と提言が行われた。(後編へ続く)参考 厚生労働省 医療事故調査制度について関連コンテンツ MediLegal 医療従事者のためのワンポイント・リーガルレッスン

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整形外科医はオペ室での携帯電話使用に注意

 昨今、携帯電話は病院内で一般的に使われるようになった。 そこで、セントルイス大学のShakir IA氏らが整形外科医が手術室で使用している携帯電話の病原菌汚染について調査したところ、携帯電話は高確率で汚染されており、殺菌した後も多くの場合、再汚染することがわかった。そのため、手術室には携帯電話を持ち込まないか、持ち込む場合には1週間に1度以上定期的に殺菌することを勧めている。J Bone Joint Surg Am誌 2015年2月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・整形外科医が手術室内に持ち込んだ携帯電話53台を対象とした。・全体の83%に病原菌が検出され、殺菌後も8%で病原菌が検出された。・殺菌1週間後に再度病原菌の有無を調べたところ、75%で病原菌が検出された。

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スポーツによる脂肪腫【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第38回

スポーツによる脂肪腫 (>足成より使用) ご存じの通り、脂肪腫は最もよくみられる軟部組織の良性腫瘍です。脂肪腫は体のありとあらゆる部位にできることが知られています。スポーツが脂肪腫に関連しているのではないかとする報告があります。 Copcu E. Sport-induced lipoma. Int J Sports Med. 2004;25:182-185. この文献の冒頭に書かれているように、脂肪腫の原因はいまだによくわかっていません。しかし、外傷がその原因になっているのではないかと考える研究者もいます。この症例報告では、2人のアスリートに発生した急速に増大する脂肪腫が報告されました。1人はプロのバレーボール選手で、もう1人は卓球選手でした。いずれも肩甲部の脂肪腫を指摘されました。実はスポーツに限らず、慢性的な機械的ストレスを受けることで脂肪腫が発生するのではないかとする知見は有名で、いくつか報告があります(Copcu E and Sivrioglu NS. Dermatol Surg. 2003; 29: 215-220.)。主な機序として、外傷によって放出されたサイトカインが前脂肪細胞の分化や増殖を促進させることで、脂肪腫になるのではないかと考えられています。しかしこれには異論もあり、脂肪腫のようにみえる偽脂肪腫(良性腫瘍のようにカプセル化されていない脂肪組織)をみているだけではないかという議論もなされています(Aust MC et al. Skinmed. 2007; 6: 266-270.、Sah K et al. J Oral Maxillofac Pathol. 2011; 15: 113–115.)。そもそも外傷後の脂肪腫とされるものは、基本的に偽脂肪腫だろうと考えるグループもありますので、いまだに境界線がはっきりしない領域のようです。ただ、外傷後に脂肪腫様の変化を来すことは少なくなく、とくにスポーツをしている女性の方はコスメティックな観点からも注意が必要とされています。ボールが当たったからハイ脂肪腫、という簡単なものではないので、予防しようがないのですが……。ちなみに私も首の後ろに小さな脂肪腫のようなものがありますが、子供の寝相が悪くてケリを入れられたことくらいしか首の外傷の記憶はありません。インデックスページへ戻る

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FDA、ニボルマブの扁平上皮NSCLCへの追加適応承認

 2015年3月4日、米国FDAは、完全ヒト型抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、プラチナ製剤による化学療法での治療中または治療後に進行が認められた転移性の扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する治療への適応拡大を承認した。 扁平上皮NSCLCに対するニボルマブの有効性は無作為比較試験で確認されている。試験対象患者272例をニボルマブ群135例、およびドセタキセル群137例に無作為に割り付け、比較分析した。その結果、ニボルマブ群の全生存期間平均値はドセタキセル群に比べ3.2ヵ月長かった。 また、ニボルマブの安全性および有効性は、プラチナベースの化学療法を含む複数の全身療法後にもかかわらず進行した117例に対する単群試験で確認された。結果、ニボルマブ奏効率(ORR)は15%であり、そのうち59%で6ヵ月以上の奏効期間が認められた。詳しくはFDA Press Announcementsへ

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抗うつ薬の違いによる自殺リスクを検討/BMJ

 うつ病患者の抗うつ薬使用と自殺、自殺企図・自傷行為リスクは、SSRIと三環系薬では有意な差はないことが、英国・ノッティンガム大学のCarol Coupland氏らによるコホート研究の結果、明らかにされた。また、服用開始後28日間および中止後の28日間にリスクが最も高いことも判明し、研究グループは、「同期間は注意深いモニタリングが必要である」と指摘している。うつ病患者における自殺・自殺企図について、これまで抗うつ薬の違いにより発生率にばらつきがあるのかどうかは不明であった。BMJ誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。抗うつ薬の違いによる自殺、自殺企図・自傷行為の発生について調査 検討は、英国一般医(GP)が関与するQResearchデータベースに登録され、2000年1月1日~2011年7月31日に初発のうつ病と診断された20~64歳の23万8,963例を対象に行われた。被験者は2012年8月1日まで追跡を受けた。 被験者が処方された抗うつ薬の種類(三環系薬、SSRI、その他)、用量、服用期間および指示投薬量、処方錠剤数を調べ、Cox比例ハザードモデルを用いて潜在的交絡因子で補正後、自殺、自殺企図・自傷行為の発生ハザード比を算出して評価した。 追跡期間中、コホートの87.7%(20万9,476例)が1つ以上の抗うつ薬の処方を受けており、治療期間の中央値は221日(四分位範囲:79~590日)であった。SSRIと三環系薬の有意差みられない 追跡開始5年間で、自殺198件、自殺企図または自傷行為5,243件が発生した。 SSRI使用者との比較において、三環系薬使用者の自殺発生率に有意な差はみられなかった(補正後ハザード比:0.84、95%信頼区間[CI]:0.47~1.50、p=0.6)。しかし、その他の抗うつ薬使用者では有意な増大が認められた(同:2.64、1.74~3.99、p<0.001)。また自殺発生率は、SSRIのシタロプラムとの比較において、その他抗うつ薬のミルタザピン(レメロン、リフレックス)で有意な増大がみられた(同:3.70、2.00~6.84、p<0.001)。薬剤別にみた1年間の自殺絶対リスクのばらつき範囲は、アミトリプチリン(トリプタノールほか)の0.02%からミルタザピンの0.19%であった。 同様に自殺企図・自傷行為発生率も、SSRI使用者との比較において三環系薬使用者に有意差はみられなかったが(同:0.96、0.87~1.08、p=0.5)、その他の抗うつ薬使用者では有意な増大が認められた(同:1.80、1.61~2.00、p<0.001)。また、SSRIのシタロプラムとの比較において、ベンラファキシン(国内未承認、同:1.85、1.61~2.13、p<0.001)、トラゾドン(レスリンほか、1.73、1.26~2.37、p=0.001)、ミルタザピン(1.70、1.44~2.02、p<0.001)で同発生率の有意な増大が認められた。一方、アミトリプチリンでは有意な減少が認められた(0.71、0.59~0.85、p<0.001)。薬剤別にみた1年間の自殺企図・自傷行為絶対リスクのばらつき範囲は、アミトリプチリンの1.02%からベンラファキシンの2.96%であった。 自殺、自殺企図・自傷行為の発生率は、治療開始後の28日間および治療中止後の28日間で最も高かった。 著者は、「自殺、自殺企図、自傷行為の発生率は、SSRIと三環系薬で同等であった。ミルタザピン、ベンラファキシン、トラゾドンで、同発生との高い関連が示されたが、自殺数はわずかで明言はできるものではなかった。また、本検討は観察研究であり、所見は処方バイアスやうつ病重症度からの残余交絡、処方を受けた患者特性などが反映されている可能性があった」と述べたうえで、「抗うつ薬の開始および中止後の28日間における発生率増大は、この期間は患者のモニタリングを注意深く行う必要性があることを強調するものである」と指摘している。

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糖尿病黄斑浮腫、VEGF阻害薬3剤を比較/NEJM

 糖尿病黄斑浮腫に対する、眼科用VEGF阻害薬のアフリベルセプト(商品名:アイリーア)、ベバシズマブ(アバスチン、日本では眼科用は未承認)、ラニビズマブ(ルセンティス)の有効性、安全性を比較する多施設共同無作為化試験が米国で行われた。Jaeb Center for Health ResearchのAdam R. Glassman氏ら研究グループ(Diabetic Retinopathy Clinical Research Network)が米国内89ヵ所の協力を得て行った同試験の結果、3剤ともに視力の改善効果は認められるが、相対的効果は治療開始時の視力に依存し、開始時の視力障害が軽度であれば改善効果は3剤間で明らかな差はないが、障害が重度の場合はアフリベルセプトの改善効果が有意に高かったことを報告した。NEJM誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。アフリベルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブの有効性、安全性を比較検討 試験は米国立衛生研究所(NIH)資金提供の下で行われた。89の医療機関で、糖尿病黄斑浮腫を有する患者660例(平均年齢61±10歳)を、アフリベルセプト2.0mg(224例、メディケア加入者の単回投与コスト1,950ドル)またはベバシズマブ1.25mg(218例、同50ドル)もしくはラニビズマブ0.3mg(218例、同1,200ドル)のいずれかの眼内注射治療を受ける群に無作為に割り付けて追跡した。試験薬は、プロトコル指定アルゴリズムに従い、4週ごとに投与された。 主要アウトカムは、1年時点の視力の変化で、視力letterスコア(範囲:0~100、高スコアほど良好な視力を示す、スコア85以上は約20/20[=日本で一般的な小数視力表記で1.0])で評価した。治療開始時の視力障害の程度により改善効果に差、安全性は同等 結果、ベースラインから1年時点までのスコア変化の平均値でみた視力の改善は、アフリベルセプト群で13.3、ベバシズマブ群で9.7、ラニビズマブ群は11.2であった。スコアの改善はアフリベルセプト群がその他2群よりも有意に大きかったが(対ベバシズマブ群のp<0.001、対ラニビズマブ群のp=0.03)、同改善はベースラインの視力障害の程度によって異なることがみられ(相互作用のp<0.001)、結果については臨床的に意味がなかった。 試験開始時の視力障害スコアが78(20/32;小数視力0.63)~69(20/40;0.5)の場合(被験者の51%が該当していた)は、平均改善スコアはアフリベルセプト群8.0、ベバシズマブ群7.5、ラニビズマブ群8.3で、3群間で有意な差はなかった(p>0.50)。一方、開始時の視力障害スコアが69未満(20/50;0.4未満)の場合、平均改善スコアはアフリベルセプト群18.9に対し、ベバシズマブ群は11.8、ラニビズマブ群は14.2で、アフリベルセプト群の視力改善効果が有意に高かった(対ベバシズマブ群のp<0.001、対ラニビズマブ群のp=0.003、ラニビズマブ群vs. ベバシズマブ群のp=0.21)。 なお、重度有害事象(p=0.40)、入院(p=0.51)、死亡(p=0.72)または重大心血管イベント(p=0.56)はいずれも3群間で有意差はみられなかった。

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【日本発】ピロリ菌保菌者は骨粗鬆症に注意

 ピロリ菌感染や萎縮性胃炎が骨に与える影響について、海外ではいくつかの報告があるものの日本ではほとんど報告がない。 そこで、神戸薬科大学の水野 成人氏らは、50~60代の男性230人を対象とし、ピロリ菌感染や萎縮性胃炎が骨の状態を測るバイオマーカーとして有用かどうかを調べた。 その結果、ピロリ菌感染や萎縮性胃炎の血清学的診断は、骨粗鬆症のリスクアセスメントに有用であることがわかった。Digestive diseases and sciences誌オンライン版2015年2月8日の報告。 主な結果は以下の通り・ピロリ菌は有意に海綿骨密度低下のリスクを増加させた。(オッズ比:1.83、95%CI:1.04~3.21、p=0.03)・萎縮性胃炎は有意に海綿骨密度低下のリスクを増加させた。(同:2.22、1.17~4.22、0.01)・ピロリ菌抗体陽性かつ萎縮性胃炎ありの被験者では、そうでない被験者と比較して、有意に海綿骨密度低下のリスクが高かった。(同:2.65、1.27~5.55、0.01)

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心房細動による脳卒中での寝たきり予防に 提言書 第二版を発表

 公益社団法人日本脳卒中協会とバイエル薬品株式会が共同事業として展開する「心房細動による脳卒中を予防するプロジェクト」は3月4日、「脳卒中予防への提言 ―心原性脳塞栓症の制圧を目指して―(第二版)」を発表した。本提言書は、昨年5月に発表した「脳卒中予防への提言─心原性脳塞栓症の制圧を目指すために─初版」で示した提言について、どのように実行が可能なのかを、各地で進む事例を取り上げながら、具体的な実行策を示したもの。 提言書 第二版は同プロジェクトの過去1年間の活動成果、および各地域での先進的な取り組みなどを取り上げ、自治体、保険者、医療関係者などが、提言を実行に移すための具体的な施策について提示している。提言は、1)心房細動の早期発見 2)脳卒中予防のための適切な治療の推進 3)切れ目ない地域連携で乗り越える制度間の課題──の3部構成となっており、各項目について具体的な解決策や事例を紹介している(提言の要旨は別紙参照)。 心原性脳塞栓症の予防には、心房細動を早期に発見し、脳卒中予防のための治療(主に抗凝固療法)を適切に行うことが大切だが、現在は「発見」と「治療」の両方に多くの課題があるという。同プロジェクトでは、これら課題の解決には、自治体、保険者、医療関係者などの連携が鍵を握ると考え、昨年5月に、地域一体での取り組みの必要性を「初版」として提言していた。 なお、今回発表された提言書 第二版の全文は「心房細動による脳卒中を予防するプロジェクト」のウェブサイトに掲載されている(PDF)。詳細はプレスリリース(PDF)へ

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Vol. 3 No. 2 AF患者の脳卒中にどう対応するか? NOAC服用患者への対応を中心に

矢坂 正弘 氏国立病院機構九州医療センター脳血管センター脳血管・神経内科はじめに非弁膜症性心房細動において新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant : NOAC)の「脳卒中と全身塞栓症予防」効果はワルファリンと同等かそれ以上である1-3)。大出血や頭蓋内出血が少なく、管理が容易であることを合わせて考慮し、ガイドラインではNOACでもワルファリンでも選択できる状況下では、まずNOACを考慮するように勧めている4)。しかし、NOACはワルファリンより脳梗塞や頭蓋内出血の発症頻度が低いとはいえ、その発症をゼロに封じ込める薬剤ではないため、治療中の脳梗塞や頭蓋内出血への対応を考慮しておく必要がある。本稿では、NOACの療法中の脳梗塞や頭蓋内出血時の現実的な対応を検討する。NOAC療法中の急性脳梗塞NOAC療法中の症例が脳梗塞を発症した場合、一般的な脳梗塞の治療に加えてNOAC療法中であるがゆえにさらに2つの点、rt-PA血栓溶解療法施行の可否と急性期抗凝固療法の実際を考慮しなくてはならない。(1) rt-PA血栓溶解療法の可否ワルファリン療法中は適正使用指針にしたがってPTINRが1.7以下であればrt-PA血栓溶解療法を考慮できる5)。しかし、ダビガトラン、リバーロキサバンおよびアピキサバン療法中の効果と安全性は確立しておらず、明確な指針はない。表1にこれまで発表されたダビガトラン療法中のrt-PA血栓溶解療法例を示す6-8)。ダビガトラン療法中の9例のうち中大脳動脈広範囲虚血で190分後にrt-PAが投与された1例を除き、8例で良い結果が得られている。それらに共通するのは、ダビガトラン内服から7時間以後でrt-PAが投与され、投与前APTTが40秒未満であった。ダビガトランの食後内服時のTmaxが4時間であることを考慮すると、rt-PA投与が内服後4時間以降であり、APTTが40秒以下(もしくは前値の1.5倍以下)であることがひとつの目安かもしれない。内服時間が不明な症例では来院時のAPTTと時間を空けてのAPTTを比較し、上昇傾向にあるか、低下傾向にあるかを見極めてTmaxを過ぎているかどうかを判断することも一法であろう。NOAC療法症例でrt-PA血栓溶解療法を考慮する場合は、少なくとも各薬剤のTmax 30分から4時間程度、ダビガトランではAPTTが40秒以下、抗Xa薬ではプロトロンビン時間が1.7以下であることを確認し、論文を含む最新情報に十分に精通した上で施設ごとに判断をせざるを得ないであろう5)。アピキサバンはAPTTやPT-INRと十分に相関しないことに注意する。抗Xa薬では、血中濃度と相関する抗Xa活性を図る方法も今後検討されるかもしれない。表1 ダビガトラン療法中のtPA血栓溶解療法に関する症例報告画像を拡大する(2) 急性期抗凝固療法心原性脳塞栓症急性期は脳塞栓症の再発率が高いため、この時期に抗凝固療法を行えば、再発率を低下させることが期待されるが、一方で栓子溶解による閉塞血管の再開通現象と関連した出血性梗塞もこの時期に高頻度にみられる。したがって、抗凝固療法がかえって病態を悪化させるのではないかという懸念もある。この問題はまだ解決されていないため、現時点では、脳塞栓症急性期の再発助長因子(発症後早期、脱水、利尿薬視床、人工弁、心内血栓、アンチトロンビン活性低下、D-dimer値上昇など)や、抗凝固療法による出血性合併症に関連する因子(高齢者、高血圧、大梗塞、過度の抗凝固療法など)を考慮して、個々の症例ごとに脳塞栓症急性期における抗凝固療法の適応を判断せざるを得ない。われわれの施設では症例ごとに再発の起こりやすさと出血性合併症の可能性を検討して、抗凝固療法の適応を決定している。具体的には感染性心内膜炎、著しい高血圧および出血性素因がないことを確認し、画像上の梗塞巣の大きさや部位で抗凝固療法開始時期を調整している(表2)9)。表2 脳塞栓症急性期の抗凝固療法マニュアル(九州医療センター2013年4月1日版)画像を拡大する(別タブが開きます)出血性梗塞の発現は神経所見とCTでモニタリングする。軽度の出血性梗塞では抗凝固療法を継続し、血腫型や広範囲な出血性梗塞では抗凝固薬投与量を減じたり、数日中止し、増悪がなければ再開する10)。新規経口抗凝固薬、ヘパリン、およびワルファリン(ワーファリン®)の投与量および切り替え方法の詳細も表2に示す。ワルファリンで開始する場合は即効性のヘパリンを必ず併用し、PT-INRが治療域に入ったらヘパリンを中止する。再発と出血のリスクがともに高い場合、心内血栓成長因子である脱水を避けること,低容量ヘパリンや出血性副作用がなく抗凝血作用のあるantithrombin III製剤の使用が考えられる11)。NOAC療法中に脳梗塞を発症した症例で、NOAC投与を考慮する場合、リバーロキサバンとアピキサバンは第III相試験が低用量選択基準を採用した一用量で実施されているので、脳梗塞を発症したからといって用量を増量したり、調節することは適切ではない2,3)。他剤に変更するか、脳梗塞が軽症であれば、あるいは不十分なアドヒアランスで発症したのであれば、継続を考慮することが現実的な対応であろう。一方ダビガトランは第III相試験が2用量で行われ、各々の用量がエビデンスを有しているので、低用量で脳梗塞を発症した場合、通常用量の可否を考慮することは可能である1)。NOAC療法中の頭蓋内出血ここではNOAC療法中の頭蓋内出血の発症頻度や特徴をグローバルやアジアでの解析結果を参照にワルファリン療法中のそれらと対比しながら概説する。(1) グローバルでの比較結果非弁膜症性心房細動を対象に脳梗塞の予防効果をワルファリンと対比したNOAC(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)の4つの研究(RE-LY、ROCKET AF、ARISTOTLE、ENGAGE-AF)においてワルファリン群と比較してNOAC群の頭蓋内出血は大幅に減少した(本誌p.24図1を参照)1-3,12)。(2) アジアでの比較結果各第III相試験サブ解析から読み取れるアジアや東アジアの人々の特徴は、小柄であり、それに伴いクレアチニンクリアランス値が低く、脳卒中の既往や脳卒中発症率が高いことである13-16)。またワルファリンコントロールにおけるtime in therapeutic range(TTR)が低く、PT-INRが低めで管理されている症例が多いにもかかわらず、ワルファリン療法中の頭蓋内出血発症率は極めて高い特徴がある(本誌p.24図2を参照)13-16)。しかし、NOACの頭蓋内出血発症率はワルファリン群より大幅に低く抑えられており、NOACはアジアや東アジアの人々には一層使いやすい抗凝固薬といえよう。(3) NOAC療法中に少ない理由NOACで頭蓋内出血が少ない一番の理由は、脳に組織因子が多いことと関連する16-18)。組織が損傷されると組織因子が血中に含まれる第VII因子と結びつき凝固カスケードが発動する。NOAC療法中の場合は第VII因子が血液中に十分にあるので、この反応は起こりやすい。しかし、ワルファリン療法中は第VII因子濃度が大幅に下がるのでこの反応は起こりにくくなり止血し難い。次にワルファリンと比較して凝固カスケードにおける凝固阻止ポイントが少ないことが挙げられる。ワルファリンは凝固第II、VII、IX、X因子の4つの凝固因子へ作用するが、抗トロンビン薬や抗Xa薬はひとつの凝固因子活性にのみ阻害作用を発揮するため、ワルファリンよりも出血が少ない可能性がある。さらに安全域の差異を考慮できる。ある薬剤が抗凝固作用を示す薬物血中濃度(A)と出血を示す薬剤の血中濃度(B)の比B/Aが大きければ安全域は広く、小さければ安全域は狭い。ワルファリンはこの比が小さく、NOACは大きいことが示されている19)。最後に薬物血中濃度の推移も影響するだろう。ワルファリンはその効果に大きな日内変動はみられないが、ダビガトランは半減期が12時間で血中濃度にピークとトラフがある。ピークではNOAC自身の薬理作用が、トラフでは生理的凝固阻止因子が主となり、2系統で抗凝固作用を発揮し、見事に病的血栓形成を抑制しているものと理解される(Hybrid Anticoagulation)(図)16,17)。トラフ時には生理的止血への抑制作用は強くないため、それが出血を減らすことと関連するものと推測される。図 ハイブリッド抗凝固療法画像を拡大する(4) 特徴NOAC療法中は頭蓋内出血の頻度が低いのみならず、一度出血した際に血腫が大きくなり難い傾向も有するようだ。われわれはダビガトラン療法中の頭蓋内出血8例9回を経験しケースシリーズ解析を行い報告した20)。対象者は高齢で9回中7回は外傷と関連する慢性硬膜下出血や外傷性くも膜下出血などで、脳内出血は2例のみであった。緊急開頭が必要な大出血はなく、入院後血腫が増大した例もなく、多くの転帰は良好であった。もちろん、大血腫の否定はできず、血圧、血糖、多量の飲酒、喫煙といった脳内出血関連因子の徹底的な管理は重要であるが、ダビガトラン療法中の頭蓋内出血が大きくなりにくい機序としては、前述の頻度が低い機序が同様に関連しているものと推定される。(5) 出血への対応1.必ず行うべき4項目基本的な対応として、まず(1)休薬を行うこと、そして外科的な手技を含めて(2)止血操作を行うことである。(3)点滴によるバイタルの安定は基本であるが、NOACでは点滴しバイタルを安定させることで、半日程度で相当量の薬物を代謝できるので極めて重要である。(4)脳内出血やくも膜下出血などの頭蓋内出血時には十分な降圧を行う。2.場合によって考慮すること急速是正が必要な場合、ワルファリンではビタミンK投与や新鮮凍結血漿投与が行われてきたが、第IX因子複合体500~1,000IU投与(保険適応外)が最も早くPT-INRを是正できる。NOACの場合は、食後のTmaxが最長で4時間程度なので、4時間以内の場合は胃洗浄や活性炭を投与し吸収を抑制する。ダビガトランは透析で除去されるが、リバーロキサバンやアピキサバンは蛋白結合率が高いため困難と予測される。NOAC療法中に第IX因子複合体を投与することで抗凝固作用が是正させる可能性が示されている21)。今後の症例の蓄積とデータ解析に基づく緊急是正方法の開発が急務である。抗体製剤や低分子化合物も緊急リバース方法の1つとして開発が進められている。おわりにNOACは非常に有用な抗凝固薬であるが、実臨床における諸問題も少なくない。登録研究や観察研究を積極的に行い、安全なNOAC療法を確立する必要があろう。文献1)Connolly SJ et al. Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2009; 361: 1139-1151 and Erratum in. N Engl J Med 2010; 363: 1877.2)Patel MR et al. Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2011;365: 883-891.3)Granger CB et al. Apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 981-992.4)http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_inoue_h.pdf5)日本脳卒中学会 脳卒中医療向上・社会保険委員会 rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法指針改訂部会: rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法 適正治療指針 第二版 http://www.jsts.gr.jp/img/rt-PA02.pdf6)矢坂正弘ほか. 新規経口抗凝固薬に関する諸問題.脳卒中2013; 35: 121-127.7)Tabata E et al. Recombinant tissue-type plasminogen activator (rt-PA) therapy in an acute stroke patient taking dabigatran etexilate: A case report and literature review, in press.8)稲石 淳ほか. ダビガトラン内服中に出血合併症なく血栓溶解療法を施行しえた心原性脳塞栓症の1例―症例報告と文献的考察. 臨床神経, 2014; 54:238-240.9)中西泰之ほか. 心房細動と脳梗塞. 臨牀と研究 2013;90: 1215-1220.10)Pessin MS et al. Safety of anticoagulation after hemorrhagic infarction. 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