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FDA、pembrolizumabを非小細胞肺がんに承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2015年10月2日、抗PD-1抗体pembrolizumab(Keyrtruda, Merck&Co.)を進行非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬として迅速承認した。PDL-L1のコンパニオン診断キットPD-L1 IHC 22C3 pharmDx(Daco North America Inc.)とともに用いることとなっている。 pembrolizumabの有効性は、550例の進行NSCLC患者による多施設、オープンラベル試験Keynote001のサブグループ解析として61例の患者で評価された。対象はプラチナベースの化学療法治療によって、またALKやEGFRなどの遺伝子変異がある場合は適切な分子標的薬によって治療されたにもかかわらず進行したNSCLCで、PD-L1発現陽性の患者。被験者はpembrolizumab10mg/kgを2週または3週ごとに投与された。その結果、患者の41%に腫瘍縮小がみられ、効果は2.1~9.1ヵ月持続した。 安全性は、Keynote001に登録された550例で評価された。頻度の高い有害事象は疲労感、食欲減退、息切れ、呼吸困難、咳であった。免疫関連有害事象の発症は肺、結腸、内分泌腺にみられ、まれなものとして皮疹、血管炎などがあった。また、発育中の胎児、新生児の影響から、妊娠中および授乳中の患者への投与は避けることとなっている。 pembrolizumabは当該適応のブレークスルー治療薬に指定され、優先審査の対象となっていた。FDAのプレスリリースはこちら

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認知症に対する回想法、そのメリットは

 台湾大学のHui-Chuan Huang氏らは、認知症高齢者に対する回想法の有用性を明らかにすることを目的にメタ解析を行った。その結果、回想法の実施により認知機能および抑うつ症状の改善が認められ、その効果は地域で居住する患者よりも施設に入所している患者で大きいことを報告した。認知機能障害および抑うつ症状は認知症高齢者に一般的な症状である。過去に実施されたメタ解析は、解析対象とした試験のデータが古く、研究規模も小さかったため、認知機能および抑うつ症状に対する回想法の効果に関して一貫した結果が得られなかった。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2015年9月1日号の掲載報告。 研究グループは、最近の大規模無作為化対照試験(RCT)を含めたメタ解析を実施し、認知症高齢者における認知機能および抑うつ症状に対する回想法の即時効果と長期(6~10ヵ月)効果を検討した。PubMed、Medline、CINAHL、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、ProQuest、 Google Scholar、中国データベース等の電子データベースを検索し、適格文献を選択した。主要アウトカムは、認知機能および抑うつ症状のスコアとした。認知症高齢者における認知機能と抑うつ症状に対する回想法の効果を検討している合計12件のRCTを解析対象とし、2人のレビュワーが独立してデータを抽出した。解析はすべてランダム効果モデルを用いて行った。 主な結果は以下のとおり。・認知症高齢者に対する回想法は、認知機能に対し効果量は小さく(g=0.18、95%信頼区間[CI]:0.05~0.30)、抑うつ症状に対しては中等度の効果量(g=-0.49、95%CI:-0.70~-0.28)を示した。・認知機能および抑うつ症状に対する回想法の長期効果は確認されなかった。・Moderator(変数)解析により、施設に入所している認知症高齢者は地域在住の認知症高齢者に比べ、抑うつ症状の改善が大きかった(g=-0.59 vs.-0.16、p=0.003)。・以上のように、回想法は認知症高齢者における認知機能および抑うつ症状の改善に有効であることが確認された・結果は、定期的な回想法の実施が認知症高齢者、とくに施設に入所している認知症患者の認知機能および抑うつ症状改善のためのルーティン・ケアに組み込む必要性を示唆するものであった。関連医療ニュース 重度アルツハイマー病に心理社会的介入は有効か:東北大 認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か 認知症への運動療法、効果はあるのか  担当者へのご意見箱はこちら

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子供の近視、外で遊ばせると予防できる?/JAMA

 東アジアや東南アジアでは近視が増加しているが、中国・中山大学のMingguang He氏らは、小学1年生を対象としたクラスター無作為化試験により、小児の近視は屋外活動を増やすことで予防できる可能性があることを明らかにした。学校での屋外活動時間を1日40分追加することで、対照に比べ近視の累積発症率が有意に低下したという。著者は、「本研究に参加した小児の長期追跡調査と、今回の知見が一般化できるかさらなる試験が必要」とまとめている。JAMA誌2015年9月15日号の掲載報告。 研究グループは、2010年10月~13年10月に、中国・広州の小学校12校の1年生を対象にクラスター無作為化試験を行った。12校を介入群6校(計952例)、対照群6校(計951例)に分け、介入群では授業がある日は屋外活動の授業(40分)を追加するとともに、保護者に対して、放課後、とくに週末と休日は子供を屋外で活動させることを奨励した。一方、対照群では通常の活動パターンを続けてもらった。 主要評価項目は、ベースラインでは近視でなかった児童における近視の3年累積発症率で、副次的評価項目は、すべての児童における等価球面屈折度の変化量および眼軸長の変化量であった。右眼のデータを分析に用いた。 主な結果は以下のとおり。・近視の3年累積発症率は、介入群30.4%(259/853例)、対照群39.5%(287/726例)であった(群間差:-9.1%、95%信頼区間[CI]:-14.1~-4.1%、p<0.001)。・3年間の等価球面屈折度変化量も、介入群(-1.42D)と対照群(-1.59D)で有意差が認められた(群間差:0.17D、95%CI:0.01~0.33D、p=0.04)。・眼軸長の伸長は、介入群(0.95mm)と対照群(0.98mm)で差はなかった(群間差:-0.03mm、95%CI:-0.07~0.003mm、p=0.07)。

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Dr.香坂のすぐ行動できる心電図 ECG for the Action!

第1回  左室肥大の真実 第2回  縁の下の力持ち 心房の心電図変化 第3回  脚ブロックを使いこなすには 第4回  外科医と内科医の心電図 第5回  心電図の本丸 STの上昇 第6回  ST低下はどこまで信用できる? 第7回  上室性頻拍(1) 心房粗動から紐解く不整脈へのアプローチ 第8回  上室性頻拍(2) 本当に必要か?AVRTとAVNRTの鑑別 第9回  なぜ心室から来る不整脈は怖いのか?VTとVFへの対応 第10回 5分で語る心房細動のエッセンス 第11回 心電図最後の山場 QT部分 第12回 声に出して読みたい心電図 心電図の目的は、波形から所見を読み取ることだけではありません。いま心臓に何が起こっているかを把握し、次の行動へとつなげ、患者にその情報を還元することができてはじめて心電図を十全に活用できたと言えるでしょう。本DVDでは、Dr.香坂のこだわりである、「読める」だけでなく「次のアクションにつなげる」ことに徹底フォーカス。心電図から読み取る所見をどう診療に役立てていくか?大切なのは、読影の先にあります。第1回 左室肥大の真実 心電図をどう次のアクションにつなげるか?まずは、心電図からわかる左室肥大の算出方法をDr.香坂が詳しくレクチャーします。心臓の大きさを見るときに、どことどこに注目するべきか?そういった基準は実ははっきりしてきています。でもそこで満足してはいけません。左室肥大の所見をどう役に立てていくか。大切なのはその先にあります。第2回 縁の下の力持ち 心房の心電図変化 今回は、心房拡大のメカニズムをP波の第2誘導を通してレクチャーしていきます。P波が120sec(3マス)以上伸びていると左房の拡大所見です。なぜそうなるのか、Dr.香坂の解説を聞くと、左房の拡大所見は、「実は伝導異常と言った方が正確だ」ということがわかります。左房の大きさを見ることで、心臓にかかっている負荷の経年的な評価をすることができます。左室異常よりも左房異常の患者の方が将来心不全になっていく可能性が高いので、きめ細かくみていく必要があるでしょう。第3回 脚ブロックを使いこなすには 心電図上で脚ブロックを見破るためには、V1誘導に注目します。深い谷のように切れ込んだパターンが出たら左脚ブロック、大きな「M」のような形で現れたら右脚ブロックの心電図パターンです。今回はさらに突っ込んで、不完全ブロックのパターンである「左脚前枝・後枝ブロック」についても細かく解説していきます。予後の指標になりにくい脚ブロックですが、限られた状況ではかなりの力を発揮します。そういった状況を的確にピックアップしていく力を身に着けましょう。第4回 外科医と内科医の心電図 今回は箸休めの話題です。日本は年に1回健康診断を行わなければならないと労働安全衛生法で定められており、その検査の中に心電図が必須項目として含まれています。ただしそれは世界的には例外なことで、アメリカやカナダなどのガイドラインではルーチーンの心電図を推奨していません。それはなぜなのでしょうか?また、横の変化に強いが縦の変化には弱い機械読みの話、内科医と外科医心電図の読み方の違いなど、ちょっと知っておきたい話題について解説します。第5回 心電図の本丸 STの上昇今回のテーマは心電図の中でもっとも注目を集める“ST”部分についてです。STは心筋の虚血や心筋梗塞に鋭敏に反映する指標となり、心電図の本丸と言っても過言ではありません。STが上昇している心電図は、ほぼ間違いなく急性心筋梗塞ということができます。ではなぜSTが上がるのか?そのメカニズムはもちろん、さらにもっと詳細に心電図を読み解き、波形と梗塞している箇所についてのつながりなど、徹底的に解説します。第6回 ST低下はどこまで信用できる?今回は、臨床的な状況判断が求められる“ST低下”“T波変化”“異常Q波”について取り上げます。Dr.香坂曰く 「ST低下は嘘ばかり」、「T波変化はもっと嘘ばかり」、「時代遅れの異常Q波」。さてその真意とは?そして臨床的な状況判断と言っても具体的にどう行動すればよいか。現在の支流について語ります。第7回 上室性頻拍(1) 心房粗動から紐解く不整脈へのアプローチ不整脈のパターンにはいくつかありますが、分類するとMacro-ReentryとMicro-Reentryに分けられます。Macro-Reentryの大きな特徴は「肉眼的に目で見える」「カテーテルで灼ける」。今回はMacro-Reentryの理解を深めるための題材として、心房粗動を取り上げます。これらは心電図のパターン認識だけでなく、患者の治療にも結びつくので、ぜひ押さえておいてください。第8回 上室性頻拍(2) 本当に必要か?AVRTとAVNRTの鑑別今回は、AVNRTとAVRTのエッセンスをお教えします。AVNRTの特徴はP波が見えにくい、AVRTはQ波とP波が離れているということが挙げられますが、それぞれがなぜそのような波形を示すのか、その原理をわかりやすい図解を用いて解説。Dr.香坂いわく、「心電図を深読みすることが重要ではなく、“治療にどうつなげるべきか”が大切」です。Macro-Reentry型不整脈の治療についての理解が深まります。第9回 なぜ心室から来る不整脈は怖いのか?VTとVFへの対応今回は心室頻拍(VT)と心室細動(VF)について解説します。これらはポンプである“心室”に直接影響します。そのため、不安定徴候を来しやすく、すぐに、直接的に、対応することが必要となります。ゆっくり考えながら、心電図を読んでいる時間はありません。短時間で見るポイントと、その対応について学んでください。第10回 5分で語る心房細動のエッセンス今回は心房細動(AF)の解説です。心房細動は診療の中で一番多く見かける不整脈ではないでしょうか。心房細動は一言で言えば、「絶対的に不整」。QRSのリズムにパターンがないことが特徴です。この心電図を見たら、次のアクションは?!他の不整脈とは異なる対応が必要となる心房細動のエッセンスを5分でお教えします。第11回 心電図最後の山場 QT部分今回はQTについての解説です。QT間隔は実は測定が難しく、循環器の専門医であっても正確に測れるのは半分ほどと言われています。「QT間隔の基準値」というのもありますが、人種差や個人差があって非常に難しいところです。Dr.香坂が勧めるのは、「過去の心電図と見比べる」こと。QTが過去と比べて延長していたら、非常に重篤な不整脈を起こす恐れがあります。機械読みも必ずしも正確ではないので、重篤な不整脈を避けるためにも、QTの計測は正確に確実に行う必要があります。第12回 声に出して読みたい心電図最終回は「心電図一発診断!」。心電図から“カッコよく”診断を導き出していきましょう。でもちょっと待って!それは本当に臨床現場で役立つ読み方なのでしょうか?現実的な心電図の読み方はまず、「その心電図を読んで何の役に立つのか」を考えることです。パッとみて決めない。自分なりの見る順番を作ってきちんと守ること。過去の心電図があったら必ず見比べる。臨床の現場で心電図を読むときの心がけとポイントを、Dr.香坂が熱く語ります。

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事例73 摂食機能療法の査定【斬らレセプト】

解説事例では、脳出血後遺症と片麻痺で受診した患者に対して、H004 摂食機能療法を算定したところ、「原疾患名もしくは廃用症候群にて算定する場合には、実施理由の記載が必要」とD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)を理由に査定となった。摂食機能療法の注には、「摂食機能障害者に対して、1月に4回を限度。ただし、治療開始日から起算して3月以内は、1日につき」とある。事例もこの規定に基づき算定されていた。摂食機能障害者にも基準があり、「顎及び舌の手術等又は脳血管疾患等による後遺症等により摂食機能に障害があるもの」とあった。事例の病名には、「脳出血後遺症」としかない。この病名のみでは、摂食機能に障害があり、摂食機能療法が必要かどうかの判断はつかないことを理由に査定対象となったのであろう。医学上では当たり前であっても、保険診療上ではその診療がなぜ必要であったかを示さなければ、査定となってしまうのである。

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医薬品適応拡大申請時のエビデンス提示内容にばらつき/BMJ

 米国FDAに対し医薬品の適応拡大を申請する際、その有効性に関するエビデンスとして提出した臨床試験の内容は、適応拡大申請の内容によってばらつきがあることが明らかになった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBo Wang氏らがシステマティックレビューの結果、明らかにした。具体的には、有効性について既存薬との比較を行っていたものは、新たな適応症を追加申請していたものでは30%、多剤併用から単独投与などへの変更では51%、適応対象集団の拡大では11%などだった。また、エンドポイントとして、臨床的アウトカムを採用した試験の割合にもばらつきが認められたという。BMJ誌オンライン版2015年9月23日号掲載の報告。2005~14年の適応拡大のFDA承認薬について調査 研究グループは、2005~14年にFDAから適応拡大の承認を受けた処方薬について、システマティックレビューを行い、適応拡大の際に用いた試験と、最初の承認を受けた際の試験について比較を行った。 主要アウトカムは、比較対照薬(既存薬、プラセボ、歴史的対照、なし)、試験のエンドポイント(臨床的アウトカム、臨床スケール、代用エンドポイント)の種類だった。臨床的アウトカムを示した試験、適応症の追加では32% 解析に組み込まれた適応拡大は、295件だった。 このうち、承認申請に当たり既存薬との有効性を比較した試験結果を提出していたのは、適応症の追加に関する申請では30%(136件中41件)、多剤併用投与から単剤投与などへの変更といった適応変更申請では51%(93件中47件)。また、適応対象集団の拡大申請では11%(65件中7件)と最も低く、このうち94%(65件中61件)は、適応拡大集団を小児患者とするものだった。 申請試験で、臨床アウトカムをエンドポイントとして採用していたのは、適応症の追加に関する申請では32%(137件中44件)、適応変更では30%(93件中28件)、適応集団の拡大では22%(65件中14件)だった。 一方、希少疾病用医薬品について、希少疾病以外への適応拡大を申請したものは40件あった。このうち、既存薬との比較を行っていたものは28%(40件中11件)で、当初の希少疾病用医薬品申請時(オリジナル試験時)の同24%(42件中10件)と同程度だった(p=0.70)。また、臨床的アウトカムをエンドポイントとした割合もそれぞれ、25%(40件中10件)と31%(42件中13件)と同程度だった(p=0.55)。

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乾癬へのアダリムマブの有効性 ―米国市販後10年調査の中間報告

 中等症~重症の尋常性乾癬患者を対象としたアダリムマブ(商品名:ヒュミラ)の実臨床における長期安全性と有効性を評価する10年間の市販後調査(ESPRIT)が進行中であるが、最初の5年間において未知の有害事象は認められず、死亡者数も予想を下回っており、安定した有効性が得られていることが、米国・ベイラー大学のAlan Menter氏らによる中間解析で明らかになった。Journal of the American Academy of Dermatology誌2015年9月号の掲載報告。 市販後調査の登録は2008年9月26日に開始され、2013年11月30日時点のデータについて解析が行われた。 解析対象は、市販後調査開始前の臨床試験も含めたすべてのアダリムマブ投与患者(全投与群)。すなわち、承認前の臨床試験から継続してアダリムマブが投与され、登録開始後にアダリムマブを少なくとも1回は投与された患者と、市販後調査の登録開始前4週間以内にアダリムマブの投与が開始された新規投与患者群であった。 主な結果は以下のとおり。・全投与患者群は6,059例、このうち新規投与患者群は2,580例であった。・登録期間中央値は全投与患者群765日、新規投与患者群677日であった。・全投与患者群において、重篤な治療関連有害事象の発現頻度(登録期間外も含む)は4.3件/100人年で、重篤な感染症は1.0件/100人年、悪性腫瘍0.9件/100人年、非黒色腫皮膚がん0.6件/100人年、黒色腫0.1件未満/100人年であった。・標準化死亡比は、0.30(95%信頼区間:0.19~0.44)であった。・医師の総合評価(PGA)で、消失またはほぼ消失と判定された患者の割合は、全投与患者群において12ヵ月後57.0%、60ヵ月後64.7%であった。

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生命を脅かす疾患 「低ホスファターゼ症」に光明

 アレクシオンファーマ合同会社(以下、アレクシオン)の主催により、「周産期・乳児期で生命を脅かす危険性が高い“低ホスファターゼ症”初の治療薬登場で変わる治療現場」をテーマに、メディアセミナーが2015年9月17日、東京都千代田区で開催された。冒頭で、同社社長ヘルマン・ストレンガー氏より低ホスファターゼ症(Hypophosphatasia:HPP)治療薬、ストレンジックの日本における開発経緯について説明が行われた。日本におけるストレンジックの開発経緯 同社が先月発売したストレンジックの日本における開発は、2012年、日本でHPP患者を持つ母親からアレクシオンに、薬の必要性を切実に願う手紙が届いたことがきっかけであった。これにより、日本人HPP患者の国際共同治験参加が実現し、2015年8月、世界に先駆けて日本で発売されることとなった。HPPとは? 次に、藤原 幾磨氏(東北大学大学院 医学系研究科 環境遺伝医学総合研究センター 小児環境医学分野 教授)より、「低ホスファターゼ症とストレンジック」と題した講演が行われた。 HPPは、アルカリホスファターゼ(以下、ALP)をコードするALPL遺伝子の変異により、ALP活性が低下することが原因のきわめてまれで重篤な、進行性、全身性代謝性疾患である。日本における患者数は100~200人1)で、「小児慢性特定疾病」、「指定難病」に認定されている。HPPの症状と病型 HPPでは、ALPの活性低下に伴い、その基質であるPPiの蓄積による骨石灰化障害、PLPの蓄積によるビタミンB6依存性痙攣など、生命に関わる症状が引き起こされる。HPPは、「周産期型」、「乳児型」、「小児型」、「成人型」、「歯限局型」に加え、「周産期良性型」(周産期型で従来よりも症状が軽度で予後良好な例)を含めた6病型に分類されている。病型によって特徴的かつ多彩な臨床症状(骨石灰化障害に伴う呼吸不全、頭蓋骨早期癒合症、腎石灰化や重度の腎不全、筋肉/関節痛、運動機能障害など)を全身に発現し、最も重篤な周産期重症型では、生存期間の中央値が4ヵ月であったという報告もある2)。HPPの診断 これらの臨床症状を回避し、予防するためには、早期かつ正確にHPPを診断することが重要である。その際、「ALP活性値の低下」を確認することが、HPPの診断、類似疾患との鑑別に不可欠だが、藤原氏は、「患者の年齢や検査施設によってALP基準値が異なるため、配慮が必要だ」と注意を促した。HPP治療薬、ストレンジックとは? ストレンジックは、HPP患者に対する初めての治療薬で、HPPの原因であるALP活性の低下に対する酵素補充療法である。本剤の投与により、HPP患者の生存率(投与168週時)84%、24週という早期にくる病様症状や、胸郭石灰化促進による肺機能の改善、運動能力や身体機能の改善が認められ、身体障害、疼痛の軽減によるADL、QOLの改善が示唆された。 藤原氏は、「当院で実施した治験でも、著明な長管骨彎曲や骨化不全がみられた患者に、ストレンジックを投与したところ、骨病変の著しい改善がみられ、現在では歩くことができるようになっている」、「ストレンジック発売前は、HPP患者を発見しても辛く、悔しい思いをすることが多かったが、心待ちにしていた薬剤の登場と、その効果に喜んでいる」と述べた。HPP患者家族、喜びの声 最後に、原 弘樹氏(低フォスファターゼ症の会 代表)より「患者会の紹介と、ご家族の闘病」についての講演が行われた。 「低フォスファターゼ症の会」は、大阪大学の大薗 恵一氏が会の顧問を務めており、2008年より患者、医師、製薬会社、行政の架け橋として、精力的に活動を続けている。今回、患者家族を代表して、ハウ氏(低フォスファターゼ症の会 副代表)夫妻から闘病の様子が語られた。 ハウ氏の子息は、1997年に生まれた。先天性代謝異常スクリーニングでは、異常が見つからず、翌年、発熱した際に血液検査をしたところカルシウム高値であることが発覚し、その後「低ホスファターゼ症の乳児型」と診断された。首、腰がなかなかすわらないという悩みから始まり、気管支炎や肺炎による入院、乳歯早期脱落による入れ歯、頭蓋骨早期癒合症の手術、歩行困難のため車いす移動など、大変な日々だった、とハウ氏は当時を振り返った。 昨年、治験に参加し、ストレンジックを投与したところ、2ヵ月ほどで運動能力の向上がみられ、腰の痛みも治まってきたという。ハウ氏は、「現在、息子は高校3年生となり、力をつけたいという本人の要望から、親子で筋肉トレーニングを始め、今では家の手伝いができるほど力がついてきた、今後は、持久力をつけて自転車に挑戦するのが目標。頑張る息子の姿を大変うれしく思う」と喜びを語った。 原氏は、「会の結成当時は治療法がなく、自分たちの無力さ、無念さで苦しい思いをたくさんしてきた」、「世界に先駆けて日本で承認、販売されたことに対して、感謝の気持ちでいっぱい。ここまで成し遂げられたのは、“日本人の魂”だと感じた」と述べ、会を締めくくった。 ストレンジックによって、1人でも多くの“幼い命”が救われることを期待したい。参考文献1) 難病情報センター. 低ホスファターゼ症. (参照2015.9.30)2) Taketani T, et al. Arch Dis Child. 2014; 99: 211-215.

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統合失調症スペクトラム障害と感情精神病の発症リスク要因は

 統合失調症スペクトラム障害(SSD)と感情精神病(AP)には、特徴的で共通の発症前リスク要因として、産科合併症、小児期の精神病理、認知障害、運動障害などがあることが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のKristin R. Laurens氏らが、システマティックレビューにより明らかにした。こうした共通の発症前リスクを特定することは、病因学的仮説を改良し、ターゲットを絞った予防的介入に実行に役立つ可能性がある。BMC Psychiatry誌2015年8月25日号の掲載報告。 検討では、SSDおよびAP発症のリスク要因および先行条件に関する利用可能なエビデンスを統合し、最も強く支持する要因を特定し、残存するエビデンスギャップに注目した。Medlineを用いて、プロスペクティブな出生、集団、ハイリスク、ケースコントロールコホートについて系統的に文献検索を実施するとともに、全文が入手可能な英語の発表済み論文について、補足的に手動検索を行った。適格/除外の判断とデータ抽出は2名が並行して実施した。成人精神科診断により確定診断された症例および対照群の曝露因子に3つのリスク要因カテゴリー、4つの先行条件カテゴリーを採用。利用可能なデータからエフェクトサイズおよび発生頻度を抽出し、試験デザインにかかわらずエビデンスの強さを総合して質的評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・検索で特定された1,775試験のうち、127試験がレビューの対象となった。・SSD発症例は、胎児期から青年期にわたり、さまざまな種類の軽微な発病前発達不全とリスク曝露を認めた。・最も重大なもの(あるいは最も一貫して認められたもの)として、産科合併症、妊娠中の疾患(とくに感染症)、他の母体の身体的要因、情緒発達に負の影響のある家庭環境、精神病理および精神症状、認知および運動障害が挙げられた。・APにおいて、このような曝露因子の多様性を関連付けるエビデンスの蓄積は相対的に少なく、いまだ検証されていない事項も多いが、これまでに最も一貫性のある、または強いエビデンスは産科合併症、精神病理、認知指標、運動障害であった。・SSDとAPの直接比較を行っているいくつかの検討において、SSDはAPに比べてエフェクトサイズが大きく、有意な関連を示す報告がより多かった。・SSDとAPに共通するリスク要因は、産科合併症、小児期の精神病理、認知指標および運動障害などであったが、リスク要因および先行条件について一般的なものと特別なものとを識別するには、APに関する利用可能な前向きデータが不足しており限定的であった。 結果を踏まえ、著者らは「さらなる検討が必要だが、明らかになったリスク要因の存在は、SSDやAPに対する予防的介入に活用可能な目標の明確化に役立つ」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症の同胞研究、発症と関連する脳の異常 統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター  担当者へのご意見箱はこちら

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脳出血再発抑制に降圧は有効。それでもRCTは必要(解説:石上 友章 氏)-425

 マサチューセッツ総合病院のAlessandro Biffi氏らは、脳出血のサバイバー(90日以上生存者)を対象にして、その再発抑制に関する降圧治療の影響を調べて報告した。その結果、『降圧治療』および『血圧管理の質』が、脳葉型(lobular type)脳出血、非脳葉型(non-lobular type)脳出血のいずれのタイプの脳出血においても、再発抑制に有効であることが明らかになった。『血圧管理の質』については、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)による脳出血の2次予防の推奨血圧(非糖尿病者:SBP<140mmHg、DBP<90mmHg、糖尿病者:SBP<130mmHg、DBP<80mmHg)を基準にして、二項変数として「適切」、「不十分」とした。 この結果は、ガイドライン遵守による降圧治療の正当性をリアルワールドの実臨床データで証明するとともに、細動脈硬化によらない脳葉型の脳アミロイド血管障害(Cerebral Amyloid Angiopathy:CAA)によるとされる脳出血であっても、降圧治療が有効であることを示すことができた。 脳内出血サバイバーを対象にした単施設のコホート試験であることから、本研究は著者らが本文中に明言するように、試験結果の解釈は仮説提示に留まっている。観察研究は、さまざまなバイアスリスク(選択バイアス、実行バイアス、検出バイアス、症例減少バイアス)を持っている。本研究では、『小脳出血』を脳葉型、非脳葉型に分類できないという理由から除外しているが、もしデータ化しているのであれば、重要な情報となりうることから、解析に含めることが望ましかった。量反応関係の証明については、『降圧・アウトカム』間に、図に示すような関係が認められているが、降圧に限定した解析では、交絡因子をどれだけ解消することができたのか疑問が残る。本研究を仮説提示に留めるとするのであれば、より多くの情報を用いて仮説化していく試みがあってもよかった。本邦でも、MINDSの診療ガイドライン作成マニュアルでは、観察研究のエビデンスの強さの評価にあたっては、『弱(C)』から始めることが推奨されている。したがって、本研究によって明らかにされたCQに対する回答は、本論文の掉尾を飾る下記の一文に集約されるだろう。“These data suggest that randomized clinical trials are needed to address the benefits and risks of stricter BP control in ICH survivor.”画像を拡大する

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ツレがうつになりまして。【うつ病】

今回のキーワード診断基準危険因子進化医学偏桃体社会脳かかわり方うつ病とは?皆さんの周りに、うつ病で休んでいる人はいますか? またはみなさんの中にうつ病で休んだ人はいますか? 今やうつは、日本だけでなく、世界的にも広がりを見せています。「なぜ現代にうつ病は増えているの?」「なぜうつ病になるの?」という疑問を率直に持つ人も多いでしょう。今回は、さらに踏み込んで、そもそも「なぜうつ病は『ある』の?」というところまで迫ってみたいと思います。そして、そこから、うつ病を良くして、防ぐヒントを探っていきましょう。今回、取り上げるのは、2011年の映画「ツレがうつになりまして。」です。ほのぼのとした絵のタッチの原作マンガのカットが映画の要所で織り交ぜられ、とても心温まる夫婦の愛と成長が描かれています。また、うつ病の人へのかかわり方のエッセンスが詰まっていて、とても勉強になります。うつ病にはどんな症状がある?―診断基準(表1)主人公のハルさんは売れない漫画家で、そのツレ(夫)の幹男はサラリーマン。この夫婦とペットのイグアナとの3人で暮らしています。結婚5年目のある時、ツレの様子が変わっていきます。ツレは「何だか食欲がないんだ」「体がダルいし」「何もできない」と打ち明けます。促されてようやく受診した病院では、医師からうつ病と診断されます。「うつとは気分が落ち込んだ状態」「普通は気持ちを切り替えたり割り切ったりして、落ち込んだ状態から脱するわけですが、それを自力ではできなくなってしまっている状態」と説明されます。薬の治療が始まりますが、その後、良くなったり悪くなったりを繰り返します。「こんな飼い主でイグ(ペット)に申し訳ないよ」「ハルさんのマンガが売れないのも全て僕のせいだ」と言い出します(罪業妄想)。そして、涙を流し、自殺を試みるのです。ツレの様子は、以下のうつ病の診断基準に照らし合わせると、9項目のほとんどを満たしています。表1 うつ病の診断基準(DSM-5) 感情意欲思考項目(1)抑うつ気分(2)無関心(興味・喜びの喪失)(3)体重変化(食欲)>5%/月(4)睡眠障害(不眠or過眠)(5)精神運動焦燥or精神運動制止(6)疲労感(無気力)(7)無価値感、罪責感(8)思考抑制(思考制止)(9)自殺念慮、自殺企図備考(1)か(2)必須9項目中5項目以上がほとんど毎日(ほとんど1日中)(9)については反復するだけで満たされる症状の持続は2週間以上なぜうつ病になるの?―危険因子(表2)(1)環境因子ツレは、外資系のパソコンサポートセンターに勤務しています。仕事をバリバリこなすデキるサラリーマンで、最近のリストラで生き残った数少ない1人でした。もともとの仕事の激務に加え、リストラ後の職場環境の変化、毎日の満員電車での通勤などストレス負荷が強まっていることが分かります。また、ツレは、パソコン操作に苦労する顧客の「できないさん」から度々、理不尽なクレームを付けられます。さらには、「できないさん」からツレの応対へのクレームの手紙が社長にまで行ってしまい、ツレは上司から「センター全体の査定に響く」と理不尽に問い詰められます。上司は、クレームの詳細を確認せず、一方的に部下のツレのせいにします。けっきょく、ツレは上司にも顧客にも謝罪しています。これは、人間関係のストレスです。職場で、競争や評価にさらされて味方や頼れる人がいない中、家でも、当初ハルさんはツレがうつうつとしていても、寄り添う雰囲気にはなっていません。食欲がないツレに「どうせ私の料理はまずいよ」とふてくされたり、「治す気がないから治んない」と言い捨てています。ツレは周りの助け(ソーシャルサポート)がないまま孤立していました。(2)個体因子ツレは、毎朝、自分でお弁当を作ります。入れるお気に入りのチーズは曜日によってあらかじめ決めています。締めるネクタイも曜日によって決まっています。「できないさん」のクレームの文書にツレの名前が間違って表記されていた時、ツレは「人の名前ですから間違ってもらったら困ります」と「できないさん」につい言ってしまいます。同僚の若者が、仕事や人間関係の愚痴を吐いていると「お客様の悪口は言わない」「適当じゃだめだよ」とたしなめます。ツレのもともとの性格(病前性格)は、一言で言えば、生真面目で几帳面すぎます(執着器質)。いつもきっちりしていないと気がすまないのです。その性格で、仕事を抱え込み、責任を全てかぶり、自分で自分を追い込んでもいます。物事のとらえかたが偏っていると言えます(認知の偏り)。一方、同僚の若者は、「(クレームの顧客は)何でもすぐに分からない、できないって電話する前に自分の頭で考えろって」「(退職する同僚の送別会は)マジかったるくないですか」と愚痴を吐きます。ツレが食べないお弁当をもらっておきながら、チーズは苦手だと言い、端に避けています。彼は、おおざっぱで図々しくもあります。ツレとは性格が対照的です。うつ病の危険因子として、認知の偏り(病前性格)を挙げました。性格(パーソナリティ)は厳密には生育環境因子も絡んでいますが、ここではこれを除いた遺伝的要素に注目してみましょう。そもそも多くの病気には複数の遺伝子(多因子)が絡んでいます。1つ1つは生存に有利でも、それらが組み合わされると、生存に不利になりえます。例えば、「真面目な遺伝子」「敏感な遺伝子」「慎重な遺伝子」のそれぞれは生存に有利ですが、これらの遺伝子が集積すると、まさにこの映画のツレのようになり、生存に不利になってしまいます。つまり、うつ病になりやすい人となりにくい人が遺伝的にいるということです。その他、ホルモン変化があげられます。ライフサイクルにおいて、特に女性は、妊娠や出産で女性ホルモンが劇的に変化して、マタニティブルーズからの産後うつ病になるリスクがあります。また、男性も含めて、更年期や加齢によるホルモンの減少から、うつ病のリスクが高まります。表2 うつ病の危険因子個体因子環境因子遺伝的要素認知の偏り(病前性格)ホルモン変化妊娠、出産、更年期、加齢などストレス負荷過重労働、環境変化、人間関係など周りの助け(ソーシャルサポート)の乏しさ(孤立)なぜうつ病は「ある」の?―進化の代償これまで、「なぜうつ病になるのか?」といううつ病の直接的な危険因子(直接要因)を見てきました。それでは、そもそもなぜうつ病は「ある」のでしょうか? その答えは、うつ病は、私たちが進化の過程で手に入れた脳の働きの負の側面であるからです。つまり、進化の代償です。これから、このうつ病の起源(究極要因)である主に4つの脳の働き(能力)を、進化医学的に詳しく探っていきましょう。(1)無理にがんばる能力―「がんばりすぎ脳」1つ目は、無理にがんばる能力です。その起源は、5億年前に遡ります。当時、まだ魚であった私たちの祖先に、「危険感知センサー」(偏桃体)が進化しました。これは、天敵がやってきたり環境が変わるなどで身に危険が及びそうになった時に、作動(興奮)します。すると、危険から逃げたり敵と戦ったりするために体を活性化させるストレスホルモン(コルチゾールなど)が分泌されます。そして、交感神経が高まり、攻撃性(不安)や活動性(焦燥)が増えるのです。しかし、このストレスホルモンには、欠点がありました。それは、分泌がある一定期間なら、いつもよりも脳は働き続けるのですが、分泌が長期間続くと、脳の神経ネットワーク(樹状突起)が消耗してしまい(BDHF生成の減少)、逆に脳が働かなくなるのです。例えるなら、脳が全速力で走り続けて息切れをしている状態です。実験的に、魚(ゼブラフィッシュ)がずっと天敵(リーフフィッシュ)に食べられることなく追われ続けるという特殊な生態環境をつくったところ、最初は必至に逃げ回っていたのに、やがて、じっとして動かなくなる様子、つまり魚のうつ状態が確認されています。現代の私たち人間に当てはめれば、ノルマ(過重労働)や環境変化という「敵」に対して、疲れても休めず、無理にがんばり続けると(過剰適応)、不安や焦燥が強まります。そして、その後に力尽きて、うつ病になってしまうということです。本来は、無理にがんばる能力が進化したわけで、それ自体は適応的なのですが、問題はその能力に期限があり、その期限を超えると、その後に長期間、普通にがんばれなくなってしまうということです。つまり、うつ病は、一時的に無理にがんばることができるようになった進化の代償と言えます。また、このストレスホルモンの分泌には、遺伝的な個人差があるようで、特にそれほどストレスがないのに、ストレスホルモンが誤作動を起こして分泌される場合もあります。だから、明らかなストレスがないのに、うつ病になる患者もいるというわけです(内因性)。(2)群れ(集団)をつくる能力―「上下関係脳」2つ目は、群れ(集団)をつくる能力です。その起源は、2000万年前に遡ります。当時、類人猿となった私たちの祖先は、天敵から身を守るなど個体の生存に有利になるため、群れ(集団)をつくるように進化しました。この時、集団としてより機能的になるために、ヒエラルキー(上下関係)を築く心理(習性)も同時にできました。例えば、猿山の猿たちをイメージしてみましょう。ボス猿は、大きな態度をとり、下っ端の猿にひれ伏す態度を求め、地位を維持しようとします(進軍戦略)。一方、下っ端の猿は、目線を合わせずにひれ伏し、こわばらせて大人しい態度をとり、被害を最小にしようとします(退却戦略)。また、自分よりも強い猿によってボスの座を奪われた元ボス猿は、態度が急変して元気がなくなります。体力が残っていても、もはや再び反撃することはありません。このように、集団において、より優位な個体はより高揚的(支配的)になり、より劣位な個体はより抑うつ的(服従的)になります(ランク理論)。言い換えるなら、集団の中で、食糧や繁殖パートナーなどの自分のなわばり(資源)が奪われ不利になった時に、大人しくして歯向かわない自分を周りに見せること(服従の信号)、これがうつとも言えます。うつは地位(資源)の喪失によって生じるストレス反応でもあります。現代の私たち人間に当てはめれば、命令をされ続けたり、謝罪をさせられ続けたりするなどの人間関係のストレスによって自己評価(地位)が低まります(自尊心の喪失)。すると、意識せず意図せずに、抑うつ(服従)の心理が高まるわけです。例えば、現代で一番価値が置かれる資源はお金です。よって、「(ある程度あるはずなのに)お金がない」と思い込むこともあります(貧困妄想)。また、その次に価値の置かれる資源は、人にもよりますが健康が多いでしょうか。そこで、「(特に大病があるわけではないのに)不治の病にかかっている」と思い込むこともあります(心気妄想)。さらに、現代の人間関係は、常に評価にさらされ、より競争的で勝ち負けや格差がはっきりしていたり、また職業的に気を使ったり謝ることが増えています。「上下関係」脳が刺激されやすくなっており、うつ病を引き起こしやすいのです。つまり、うつ病は、集団をつくることができるようになった進化の代償と言えます。特に、男女差で見た場合、男性の方が女性よりもうつ病による自殺既遂率が高いです。この理由は、男性の方が、地位(仕事)や繁殖のパートナー(恋愛)などの資源の奪い合いで闘争をより行うため、上下関係をより意識して、その地位の喪失をより感じる傾向があるからではないでしょうか。例えば、退職後にうつ病のリスクが高まります。(3)集団でうまくやっていく能力―「つながり脳」3つ目は、集団でうまくやっていく能力です。その起源は、300万年以上前に遡ります。当時、ようやく人類となった私たちの祖先は、草原で天敵から身を守ると同時に、食糧を手に入れるなどして協力して生き残るために、より大きな集団をつくるように脳が進化しました。この時、集団でうまくやっていく能力(社会脳)が進化しました。それは、周り(相手)を打ち負かそうとするもともとの競争の心理だけでなく、周り(相手)と仲良くなろうとする協力の心理でもあります。そしてこの2つの心理をうまく使い分け、バランスをとることです。例えば、協力するために、周りと同じ動きをすることで心地良くなります(同調)。また、周り(相手)の気持ちを察することです(心の理論)。さらには、集団の一員として認められるために、役割を全うして役に立とうとすることです(承認)。そのために、集団で価値の置かれること(集団規範)を重んじる性格傾向になることです。それが極端なのが、映画のツレの性格でもある「真面目で几帳面」です(執着気質)。逆に言えば、周りから相手にされなかったり、一人ぼっちになると、ストレスを感じることでもあります。その感覚が、「自分はだめだ」「自分は役立たずだ」という無価値感や自責感です。そこから「周り(社会)に迷惑をかけている」と極端に思い込むこともあります(罪業妄想)。このように、集団において、つながりが強まるとより心地良く感じ、つながりが弱まったりなくなるとより心地悪くなります(愛着理論)。この心地悪さを、私たちは悲しみと呼んでいます。このつながる先は、心のよりどころ(愛着対象)であり、一番は家族です。言い換えるなら、家族を初めとする集団のつながりを失った時に、その人が悲しみ続けること、これもうつと言えます。うつはつながり(人間関係)の喪失によって生じるストレス反応でもあります。このストレスを感じなかった種は、一人ぼっちのままで、生存率や繁殖率を極端に低め、子孫を残せません。現代の私たちに当てはめると、家族を含む自分の味方(仲間)がいることに安心する一方、逆にその味方がいなくなったり(死別反応)、自分が仲間外れにされると、悲しみを感じます。例えば、いじめ自殺への介入が難しい点は、いじめ被害者が抑うつ的になり、「疎外は嫌だ」「孤独は嫌だ」と思い、必死になっていじめ加害者の言いなりになり、いじめを被害者が隠そうとしてしまうことです。そして、いじめがますますエスカレートしてしまうことです。また、現代は、都市化や核家族化が進み、その人間関係は希薄化や孤立化が進んでいるとよく言われます。「つながり」脳が満たされなくなってきており、うつ病を引き起こしやすいのです。つまり、うつ病は、集団でうまくやっていくようになった進化の代償と言えます。特に、男女差で見た場合、女性の方が男性よりもうつ病の発症率が高いです。さきほど男性の方が女性よりも自殺既遂率は高いとご紹介しましたが、この違いは、女性はうつ病になりやすいですが、なっても軽いのに対して、男性はうつ病になりにくいですが、なったら重いということです。この理由は、ホルモン変化による発症を差し引いても、女性の方が、共感性が高く、言い換えれば傷付きやすいため、つながりをより意識して、その喪失をより感じる傾向があるからではないでしょうか。例えば、情緒不安定な人(情緒不安定性パーソナリティ障害)はうつ病の合併率が高いです。(4)自分自身を振り返る能力―「先読み脳」4つ目は、自分自身を振り返る能力です。その起源は、10万年から20万年前に遡ります。当時、ついに現生人類(ホモ・サピエンス)となった私たちの祖先は、喉の構造が進化して、複雑な発声ができるようになり、言葉を使う脳が進化しました。そして、言葉によって抽象的思考もできるようになりました。それは、相手の視点に立つ心理から(メタ認知)、自分自身を振り返る心理、さらには過去、現在、未来の時間軸で自分を俯瞰(ふかん)して見る心理です。例えば、私たちは、過去から現在までの流れから、未来に見通しを立てます。その時、望ましいことが起こるなら、私たちは希望を持ちます。一方、全く望ましくないことが起こるなら、私たちは絶望します。「このつらさはこれからも続く」「これから生きていく意味がない」「死んだら楽になる」と考えれば考えるほど、うつの心理は増幅して自殺のリスクが高まります。よくよく考えると、人間だけが唯一自殺ができる生き物です。つまり、うつ病は、自分自身を振り返り、先が読めるようになった進化の代償と言えます。私たちは、希望を抱くようになったと同時に、絶望も抱くようにもなってしまったのです。うつ病にはどうしたらいいの?-それぞれの「脳」へのアプローチ(表3)うつ病を治すには、まず薬の治療が効果的です。特に、抗うつ薬は、ストレスホルモンによって傷付いた脳の神経ネットワークを修復したり、興奮した偏桃体を鎮める働きがあります。ただ、これまで明らかにしてきたうつ病の起源を理解することで、薬だけではなく、うつ病へのより良いアプローチが理解できます。それでは、うつ病を引き起こすさきほどの4つの「脳」に分けて見てみましょう。(1)がんばりすぎない―環境調整「がんばりすぎ」脳に対しては、がんばりすぎ(過剰適応)の予防やがんばりすぎた後の休養の徹底(環境調整)が重要であることが分かります。訪ねてきたツレの兄は、「こいつちっちゃい頃から細かいこと気にするたちでさあ。だからうつ病になっちまうんだよっ」「がんばって早く治さないとな」「男ってのはさ、一家の大黒柱なんだよ」「だからどんなに辛くても家族のためだと思えばがんばれるもんなんだよ」と説教をします。すると、その後にツレは「何をどうがんばればいいんだよぉ・・・」「今の僕には無理だよ」とさらに症状を悪化させています。うつ病の人には「がんばれ」と励ますのではなく、「よくがんばったね」と受容するのがポイントです。ツレは、徐々に回復していく中、「自分のために治りたいんです」「他の誰かのためじゃなくて」と言うようになります。そして、招待された講演で「あ・と・で」という3つのうつ病への心のあり方を紹介します。それは、「焦らない、焦らせない」「特別扱いしない」「できることとできないことを見分けよう」です。一方、ハルさんは離婚して焦っている友達に「がんばらなくていいんです」「そのまんまでいいんです」と言うようになります。まさに、がんばりすぎない心のあり方が描かれています。(2)自尊心を保つ―アサーション「上下関係脳」に対しては、自尊心を保つために感謝し合うポジティブなコミュニケーション(アサーション)が重要であることが分かります。謝罪を求めてばかりいたかつての顧客の「できないさん」は、ツレの講演の参加者として最後にツレに対して「ありがとう」と感謝したことで、ツレが報われていました。コミュニケーションのコツとしては、「困るじゃないか」「だめじゃないの」と単にネガティブに叱るのではなく、「こうしたら良くなる」とポジティブに伝えることです。さらに、前後に「いつもよくがんばってる」「これからも頼もしく思う」というほめ言葉や感謝の言葉で挟むのです。ツレは、講演で「人は誰でもどんな時でも自分の生きている姿を誇りに思うことができる」「恥ずかしいとか情けないとか思ってしまった自分も含めてちょっと誇らしく思っています」と言い、自尊心を保つ心のあり方が描かれています。(3)周りとつながる―ソーシャルサポート「つながり脳」に対しては、家族を初めとする周りとつながっていること(ソーシャルサポート)が重要であることが分かります。ツレが自殺未遂をした直後に「僕なんていなくても誰も困らない」「僕はここにいていいのかな?」とハルさんに漏らします。「つながり脳」が危うくなっている瞬間です。ハルさんは、「ツレはここにいていいんだよ」と優しく受け止め、寄り添います。ハルさんは、ツレにさりげなく「はい、これ。消しゴムかけて」とマンガのアシスタントを任せるようになります。あえて本人に役割を持たせるのです。「夫婦で助け合っている」「夫婦としてどんな時も味方である」「自分には居場所がある」というつながりの心理を強めています。ただ、説教臭いツレの兄に対してハルさんが「静かに見守ってほしい」と心の中でつぶやいているように、過干渉にならずにほど良い心の間合い(心理的距離)を保つことへの注意も必要です(温かい無関心)。役割や居場所を実感する心のあり方が描かれています。(4)バランスよくものごとをとらえる―認知行動療法「先読み脳」に対しては、バランスよくものごとをとらえること(認知行動療法)が重要であることが分かります。ハルさんは、自分の母親に「私、最近思うんだ」「ツレがうつ病になった原因じゃなくて、うつ病になった意味は何かって?」と言うようになっています。ツレには「そのうちできるようになるよ」「またすぐ良くなるよ」「できないんじゃなくて、しないって思えばいいんだよ」と言っています。一方のツレは、結婚の同窓会で「この1年は、(自分がうつ病になって)私たちにとって苦しい年でした」「でも、夫婦としていろいろなことを得た1年でもありました」と言い、状況のポジティブな面に目を向けています。うつ病という試練を通して、夫婦の絆が深まり、ハルさんもツレも人間的に成長している様子がうかがえます。ものごとをバランスよくとらえ、絶望ではなく希望を抱く心のあり方が描かれています。表3 うつ病を引き起こすそれぞれの「脳」へのアプローチ アプローチ「がんばりすぎ脳」がんばりすぎ(過剰適応)の予防やがんばりすぎた後の休養の徹底(環境調整)「上下関係脳」自尊心を保つために感謝し合うコミュニケーション(アサーション)「つながり脳」家族を初めとする周りとつながっていること(ソーシャルサポート)「先読み脳」バランスよくものごとをとらえる(認知行動療法)うつ病とは?―かかわり方のポイント(表4)うつ病を単なる病気の1つとしてとらえるのではなく、私たちの心の進化の産物ととらえることができた時、なぜそのかかわり方が望ましいのかということに納得できるようになります。その時、私たちはうつ病をより身近にそしてより温かみを持って感じることができるのではないでしょうか? そして、うつ病の人たちへのより良い理解とかかわり方をすることができるようではないでしょうか?表4 かかわり方のポイント(精神療法)望ましい望ましくない「何か困っていますか」(探索、傾聴)「どうなの?」(質問攻め)「つらいのですね」(共感)「その気持ち分かります」(受容)「だめじゃない!」(説教、批判、非難、叱責)「その考え方いいですね」(支持、肯定)「あなたは間違っています」(否定、議論)「誰でもそうですよ」(標準化)「家族を悲しませますよ」(審判)「(こうすれば)大丈夫です」(保証)「がんばれ!」(叱咤激励)「困ったら言ってください」(温かい無関心)「○○しなさい」「△△してあげます」(過干渉)1)アンソニー・スティーブンズほか:進化精神医学、世論時報社、20112)井村裕夫:進化医学、羊土社、20133)NHK取材班:病の起源、うつ病と心臓病、宝島社、20144)北村英哉・大坪康介:進化と感情から解き明かす社会心理学、有斐閣アルマ、2012

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110)旅行で太らない10のヒント【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、この間、旅行にいって太ってしまって……。今度、友人と旅行しようと計画しているので、また、太っちゃうんじゃないかと心配で……。 医師なるほど。もうどこにいくか決められましたか? 患者いえ。まだ、これからなんです。 医師それなら、いい方法がありますよ。旅行にも太る旅行と太らない旅行があります。 患者確かに。あまり動かないバス旅行なんかは、体重が増えちゃいます。 医師それに対して、動き回ってあまりつまみ食いをしない旅行。これは体重があまり増えませんね。 患者確かに、T遊園地にいった時は広い敷地を歩き回って、中で食べると値段が高いかなと思って、あまり食べませんでした。そしたら、逆に、体重が減っていて……。 医師旅行でもいろいろありますね。ここに旅行で体重を増やさないヒントが、いくつか書いてありますので、参考にしてみてください。 患者はい。わかりました(うれしそうな顔)。●ポイント同じ旅行であっても、太る旅行と太らない旅行があることを上手に説明します●資料旅行で体重を増やさないヒント (1)歩き回る旅行を計画する (2)夕食は量より質のよいものを注文する (3)旅行前に体重計にのる (4)動きやすい服装にする (5)朝食のバイキングはいつも通りのものをチョイスする (6)昼は軽めにする (7)夕食は好きなものを食べて、後は残す (8)温泉に入ったら、体重計にのる (9)余分なものは食べずに早めに寝る (10)帰宅後に体重計にのり、翌日から普段の生活をする

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これからのうつ病治療、どんな介入を行うべきか

 うつ病は、運動不足と関連しており慢性的な身体健康状態に影響を及ぼしている可能性があるが、うつ病に対する心理学的介入と、身体活動促進のための行動変容技術(たとえば行動活性化療法[BA]など)を組み合わせた介入は、ほとんど行われていない。英国・エクセター大学医学部のClaire Pentecost氏らは、心理療法アクセス改善(IAPT)プログラム内で予備的な無作為化比較試験を実施し、参加者の募集やデータ収集に困難はあったものの、被験者は概してBAおよび身体活動促進(BAcPAc)の自助パンフレットに関心を持ち、身体活動促進に意欲を示したことを明らかにした。無作為化比較試験の実施に当たってはいくつかの課題も浮き彫りとなり、著者らは「大規模臨床試験を行うためには、これらの課題をよく理解し解決する必要がある」とまとめている。Trials誌オンライン版2015年8月20日号の掲載報告。 研究グループは、成人うつ病患者60例を、BAのみまたはBA+身体活動促進(BAcPAc)のいずれかに基づいた自助プログラムに無作為化し、ベースラインおよび4ヵ月後に評価した。研究方法や介入方法の許容性および実現性を検討するため、参加者およびpsychological wellbeing practitioner(PWP)から質的データを収集するとともに、費用などに関するデータも収集した。 主な結果は以下のとおり。・4ヵ月後に評価し得た症例は、44例(73%)であった。・加速度計を用いた身体活動データは、44例中28例(64%)で収集された。・20例(33%)が少なくとも1回は治療を受けた。・インタビューデータは、参加者15例およびPWP9名について分析した。・既存のIAPTサービス内で無作為化比較試験を実施することの課題として、スタッフの高い離職率、参加者のスケジュール管理の問題、PWPおよび参加者が認知機能に関する治療を優先させること、BA実施プロトコルの逸脱が明らかになった。・BAcPAc療法は、概して患者とPWPに受け入れられた。関連医療ニュース うつ病へのボルダリング介入、8週間プログラムの成果は 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project 軽度うつ病患者の大うつ病予防効果を検証するRCTは実施可能か

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中心静脈カテーテル挿入、鎖骨下静脈が低リスク/NEJM

 中心静脈カテーテル(CVC)の挿入3部位別のリスクについて検討した結果、鎖骨下静脈へのカテーテル挿入が、内頸静脈または大腿静脈と比べて、血流感染および症候性血栓症のリスクが低いことが明らかにされた。気胸のリスクは高かった。フランス・CHU de CaenのJean-Jacques Parienti氏らが多施設共同無作為化試験の結果、報告した。CVCでは鎖骨下静脈、内頸静脈、大腿静脈の3部位への挿入が一般的に行われているが、いずれも重大合併症の可能性が指摘されていた。NEJM誌2015年9月24日号掲載の報告。血流感染・症候性血栓症の複合リスクを比較 試験は2011年12月~14年6月に、フランス国内の大学関連病院4施設、一般総合病院5施設、代表的な10ヵ所のICU施設で行われた。ICUで非留置型CVC受けた成人患者を、鎖骨下群、内頸静脈群、大腿群に無作為に割り付けて検討した。挿入が3部位とも検討可能であった患者は3部位選択肢比較で1対1対1の3群に、同2部位が可能であった患者は2部位選択肢比較で1対1の2群に、無作為に割り付けた。1部位のみの患者は試験に包含しなかった。 主要アウトカムは、カテーテル関連の血流感染、症候性深部静脈血栓症の複合とした。1,000カテーテル日当たり1.5 vs.3.6 vs.4.6(p=0.02)、ただし気胸発生が多い 3,027例の患者に3,471本のカテーテル挿入が行われた。 3部位選択肢比較の主要アウトカム発生は、鎖骨下群8例、内頸静脈群20例、大腿群22例であった。1,000カテーテル日あたりの発生はそれぞれ、1.5件、3.6件、4.6件であった(p=0.02)。 2部位選択肢比較では、鎖骨下群 vs.大腿群では後者の主要アウトカム発生リスクが有意に高いことが示された(ハザード比[HR]:3.5、95%信頼区間[CI]:1.5~7.8、p=0.003)。また、鎖骨下群 vs.内頸静脈群でも後者の同発生リスクが有意に高かった(HR:2.1、95%CI:1.0~4.3、p=0.04)。一方で、大腿群と内頸静脈群のリスクは同等だった(HR:1.3、95%CI:0.8~2.1、p=0.30)。 なお3部位選択肢比較において、胸腔チューブ挿入を要した気胸が鎖骨下群で13件(1.5%)、内頸静脈群で4件(0.5%)発生した。

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取り下げ論文では矛盾点のみられる頻度が高い/BMJ

 英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのGraham D Cole氏らは、盲検化ケースコントロール試験により、取り下げ vs.非取り下げの臨床試験報告における矛盾点の出現頻度を調べた。その結果、取り下げ論文で、有意に多くの矛盾点が確認されたことを報告した。検討は取り下げの有無を知らされていない専門外のサイエンティストによって行われた。著者は「矛盾点は、信頼に値しない臨床試験報告を早期にかつすみやかに発見するシグナルといえそうだ」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年9月20日号掲載の報告。取り下げ論文と非取り下げ論文の矛盾点数を比較 研究グループは、PubMedで取り下げに分類された臨床試験報告50本を無作為に選択し、対となるようにそれぞれ同一のジャーナルから、先行の非取り下げ臨床試験報告を50本選び検討を行った。試験報告は、2012年12月以降のものを対象とした。 取り下げに関する情報をすべて削除した100本の論文の矛盾点を、取り下げ情報について伏せられた3人のサイエンティストが評価。矛盾点をプールし、クロスチェックを行い、あらかじめ規定したカテゴリでカウントした。その後、取り下げ情報を公開し分析した。 主要評価項目は、各論文の総矛盾点数(数学的、論理的な矛盾ステートメントで定義)とした。とくに多いのは、事実の食い違い、計算エラー、p値のミス 評価論文100本において、479件の矛盾点が発見された。348件は取り下げ論文で見つかり、非取り下げ論文では131件だった。 平均すると、取り下げ論文1本につき認められた矛盾点は、非取り下げ論文のそれよりも有意に多かった。中央値比較で4(四分位範囲:2~8.75) vs.0(0~5)であった(p<0.001)。 矛盾がみられたペーパーは、取り下げ論文のほうが有意に多いようであった(オッズ比:5.7、95%信頼区間[CI]:2.2~14.5、p<0.001)。とくに、非取り下げ論文と比べて取り下げ論文では次の3タイプの矛盾の発生頻度が有意に高かった。事実の食い違い(p=0.002)、計算エラー(p=0.01)、p値のミス(p=0.02)。 後ろ向き解析の結果、引用とジャーナルのインパクトファクターは、上記の結果には影響していないと思われた。 これらを踏まえて著者は、「発表試験報告における矛盾点は重要ではないと看過すべきではない。盲検化された専門外のサイエンティストでも、非取り下げ論文と比べて取り下げ論文で有意に多くの矛盾点を確認した。矛盾点は、信頼に値しない臨床試験報告を早期かつすみやかに発見するシグナルだといえる」とまとめている。

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AZ、2015年欧州がん学会においてオンコロジー研究の進展を発表

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、同社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンとともに、オーストリア、ウィーンで開催された2015年欧州がん学会(ECC)(2015年9月25~29日)において、AZD9291、durvalumab、olaparibのデータを含む19本の口頭およびポスター発表により、過去に発表された結果の確認・補完的解析ならびに新たなデータが提供されたと発表した。既治療NSCLC患者におけるAZD9291 既治療NSCLC患者を対象としたAURA第II相試験(AURA延長試験・AURA2試験)の解析データ(抄録 # 3113)により、過去の学会で報告されたAZD9291の結果が確認された。400超例の既治療EGFR T790M患者の統合データにより客観的奏効率 (ORR)は66%(95%信頼区間(CI): 61~71%)と示された。ORRは、人種、活性化変異タイプおよび脳転移の有無を問わずAZD9291治療を受けたすべてのサブグループにおいて概ね一貫していた。初期のPFS中央値は9.7ヵ月(95% CI: 8.3ヵ月~算出不能 [NC])、奏効期間(DoR)の中央値は算出不能であった(95% CI: 8.3ヵ月~NC)。 安全性プロファイルも過去のデータと合致していた。主な有害事象(AE)は下痢が42%(グレード3以上: 1%)および発疹が41%(グレード3以上: 1%)であった。高血糖、間質性肺疾患(ILD)およびQT延長の報告は過去に発表されたデータと合致していた。ILDおよび肺炎が3%(グレード3以上: 2%)、高血糖が1%(グレード3以上: 0%)、QT延長が4%(グレード3以上: 1%)であった。患者の4%が薬剤関連AEによりAZD9291を中止した(治験担当医による評価)。 AURA第II相試験の解析(抄録 # 3083)により、脳転移の有無を問わず、EGFR T790M変異陽性NSCLC患者におけるAZD9291の一貫した活性が示された。臨床症例によりAZD9291は脳における抗腫瘍活性を持つ可能性があることが示されている。BLOOM(NCT02228369)試験によりAZD9291が脳における抗腫瘍活性を有する可能性をさらに検討している。がん免疫治療プログラムの進展 メディミューンは、免疫治療が奏効する可能性が最も高い患者を同定するバイオマーカー研究の進展を明示。本研究は、腫瘍におけるPD-L1およびINF-γの発現増加と抗PD-L1抗体であるdurvalumabの効果に関連性があることを示している(抄録 # 15LBA)。この新研究はNSCLCに対するdurvalumab臨床開発プログラムの一環であり、本年のWCLCおよび他学会において検討されたPACIFIC(NCT02125461)、ATLANTIC(NCT02087423)、ARCTIC(NCT02352948)、MYSTIC (NCT02453282)およびNEPTUNE(NCT02542293)試験が含まれる。アストラゼネカ株式会社のプレスリリースはこちら

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なぜ心房細動ばかりが特別扱い?(解説:後藤 信哉 氏)-424

 脳卒中予防は重要である。Framingham研究は、地域住民の34年間という長期の観察により、脳卒中のリスク因子として、心房細動、心不全、冠動脈疾患、高血圧などの重要性を示した。近未来の脳卒中発症予測法は、近未来の心筋梗塞発症予測法よりも信頼性が高い。 実際、「非弁膜症心房細動」症例の、近未来の脳卒中リスク予測に用いるCHA2DS2-VASc scoreを構成する、心不全、高血圧、高齢、糖尿病、脳卒中の既往、血管病、性差のうち、心不全、血管病、高血圧が心房細動の有無にかかわらず脳卒中発症の独立した危険因子であることは、Framingham研究からも明らかにされていた。実際、脳卒中発症に関わる「心不全」の寄与は、「心房細動」の寄与に匹敵する。CHA2DS2-VASc scoreが心房細動を合併した症例の脳卒中予防のみでなく、一般的な脳卒中発症予測にも利用価値があるのではないかと考えるのは、きわめて自然である。Framingham研究が、脳卒中の発症における心房細動の重要性をすでに示しているので、予測因子に「心房細動」を含まないCHA2DS2-VASc scoreの脳卒中予測能力は、非心房細動例では心房細動例よりも不安定であろうという仮説も論理的である。 本研究は、およそ20%の心房細動例を含む4万2,987例の心不全症例を対象とした。抗凝固療法を受けている症例は除外されている。心不全発症後1年以内における虚血性脳卒中、全身塞栓症、死亡率と CHA2DS2-VASc scoreの関係が、心房細動例と非心房細動例において検証された。予想のとおりであるが、いずれのエンドポイントも心房細動の有無にかかわらず、CHA2DS2-VASc scoreの高い症例におけるイベント発症率が高かった。本研究は、新規発症の「心不全例」のうち、抗凝固療法を受けていない症例を対象としているが、CHA2DS2-VASc scoreは、脳卒中、全身塞栓症、死亡率の予測に、心房細動の有無にかかわらず役立つことを示して興味深い。 われわれは以前、日本において、心筋梗塞後、脳卒中後、心房細動の症例を登録して8,000例を超えるデータベースを構築した。CHADS 2 scoreは、1年間の観察期間内の心筋梗塞の発症予測には役立たなかったが、脳卒中、死亡率の予測には有用であることを示した1)。CHA2DS2-VASc scoreにしてもCHADS 2 scoreにしても、心房細動症例に限局せず、近未来の脳卒中、死亡率と関連していることは、臨床医は再認識すべきである。今回のJAMA誌の論文は、CHA2DS2-VASc scoreにかかわらず、脳卒中イベントよりも死亡率が近未来のイベントとしてインパクトが大きいことを示した。実際、過去のRE-LY試験、ENGAGE TIMI 48試験など、心房細動を対象としたNOAC開発試験においても、脳卒中発症率よりも近未来の死亡率が高かったことを再認識すべきである。新規開発された経口抗凝固薬が過剰宣伝されると「CHA2DS2-VASc scoreは心房細動症例以外の症例でも脳卒中予防に役立つ」、「CHA2DS2-VASc scoreは近未来の死亡予測に役立つ」など、いわゆるNOAC販売に繋がらない重要な臨床情報が十分に伝達されない。 ヒトの一生は「心房細動」の有無で大きな影響を受けるものではないことを再認識すべきである。

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