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事例50 ヘモグロビンA1C(HbA1c)の査定【斬らレセプト】

解説事例の検査が、「縦覧点検(複数月にわたるレセプトの通覧点検により補正・査定された内容のこと)」のコメント付きでB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を理由に査定となった。最近増えている査定なので原因を調べてみた。診療報酬点数表には、「同検査はグリコアルブミン他の類似する検査と併せて月1回に限り算定する」とあった。それ以外の記載はない。縦覧点検のコメントをヒントに事例に対する過去の検査歴を見てみた。慢性C型肝炎の患者であってHbA1c値が上限に近いことを理由に、連月の同検査実施と併せて「糖尿病疑い」の病名開始日の変更と中止が行なわれていた。医師からは「日本糖尿病学会の『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』と関係があるのではないか」とあった。同診療ガイドラインには「血糖値のみ糖尿病型であって典型症状もしくは確実な糖尿病網膜症を認める場合及びHbA1cのみ糖尿病型の場合は、なるべく1か月以内に血糖値とHbA1cをセットで再検査、糖尿病疑いの場合は、3~6ヵ月以内に同セットで再検査」と図示があった。糖尿病疑いの場合には、当初の再検査を除き、3~6ヵ月以降の再検査実施が推奨されていた。この基準で査定となったものと推測できる。この期間以前や連月の実施には、医学的に必要とした症状詳記をお願いしている。

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麻疹ワクチン、エアロゾルは皮下注に劣性/NEJM

 麻疹予防ワクチンの接種について、吸入タイプのエアロゾルワクチン接種は、従来タイプの皮下注ワクチン接種と比べて、免疫原性は認められたが、事前規定マージンに基づき評価した血清陽性率については劣性であったことが、WHOのNicola Low氏らによる非盲検無作為化非劣性試験の結果、示された。エアロゾル麻疹ワクチンはメキシコで開発され、1980年代以降400万人以上の子供たちに接種されている。臨床的な訓練を要さず注射関連の感染症の懸念もないことから、医療資源の乏しい発展途上国での使用拡大が期待されている。しかし、これまで有効性に関して相反するデータが示されてきたという。NEJM誌2015年4月16日号掲載の報告より。2,004例対象に、接種後91日時点のエアロゾルワクチンの非劣性を評価 検討はインドで、麻疹ワクチンの初回接種が適格な生後9.0~11.9ヵ月児を集めて行われた。2009年12月20日~2010年4月5日に、ワクチン接種をエアロゾル吸入で行う群と皮下注射で行う群に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、ワクチン接種後91日時点の、抗麻疹抗体の血清陽性率および有害事象とした。非劣性のマージンは5ポイントとした。 合計2,004例が、エアロゾルワクチン群(1,001例)と皮下注ワクチン群(1,003例)に無作為に割り付けられた。接種を受け91日時点のフォローアップを受けたのは1,956例(各群775例、785例)であった。しかし、そのうち331例(17%)のデータは、検体輸送時の解凍によりアウトカムデータを得ることができなかった。 per-protocol集団解析は、2,004例中の1,560例(77.8%)について行われた。血清陽性率85%超だが非劣性マージン未達成 結果、91日時点の血清陽性児は、エアロゾルワクチン群662/775例(85.4%、95%信頼区間[CI]:82.5~88.0%)、皮下注ワクチン群743/785例(94.6%、同:92.7~96.1%)で、エアロゾルワクチン群のほうが血清陽性率は低く、両群差は9.2ポイント(95%CI:-12.2~-6.3ポイント)であった。 同様の所見は、全解析(エアロゾルワクチン群673/788例[85.4%]、皮下注ワクチン群754/796例[94.7%]、差:-9.3ポイント、95%CI:-12.3~-6.4ポイント)や、欠測データの多重代入後においても認められた。 麻疹ワクチン接種による重大有害事象は報告されなかった。また、有害事象は両群で同程度の報告であった。

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妊娠糖尿病は子供の自閉スペクトラム症のリスク/JAMA

 妊娠26週までに妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親から出生した子供は、母親が糖尿病でない場合に比べ自閉スペクトラム症(ASD)を発症するリスクが高いことが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のAnny H Xiang氏らの検討で示された。胎児における母親の高血糖への曝露は、臓器の発達や機能に長期に影響を及ぼす可能性が示唆され、妊娠前の糖尿病だけでなく妊娠期間中の高血糖(=GDM)と、子供の肥満や代謝異常の長期的リスクとの関連が確認されている。一方、母親の糖尿病と子供のASDとの関連を検討した研究は少なく、GDMの発症時期を重視した報告はこれまでなかったという。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。診断時期を妊娠26週前後で分けて後ろ向きに評価 研究グループは、子供のASDのリスクと、子宮内での2型糖尿病やGDMへの曝露、妊娠中のGDM診断時期との関連について検討する目的で、レトロスペクティブな縦断的コホート研究を実施した。対象は、1995年1月1日~2009年12月31日までにKPSCで単胎妊娠、妊娠期間28~44週で出生した子供32万2,323例であった。 子供は、出生から以下のいずれかの日まで追跡された。ASDの診断、KPSC健康計画の登録期限、全死因による死亡、2012年12月31日。出生年で補正したCox回帰モデルを用いてハザード比(HR)を算出し、ASDの相対リスクを推定した。 母親を既存の2型糖尿病(6,496例[2.0%]、平均年齢32.7歳)、GDM(2万5,035例[7.8%]、32.4歳、妊娠期間26週までに診断:7,456例、26週以降に診断:1万7,579例)、非糖尿病(29万792例[90.2%]、29.2歳)に分けて解析した。 主要評価項目は子供の臨床的なASDの診断であった。母親、兄/姉のASDや、母親の喫煙、体重の影響はない 出生後のフォローアップ期間中央値は5.5年で、この間に3,388例の子供がASDと診断された。そのうち、既存の2型糖尿病の母親から生まれた子供が115例、26週までにGDMと診断された母親の子供が130例、26週以降に診断された母親の子供が180例であり、非糖尿病の母親の子供は2,963例であった。 1,000人当たりの非補正年間ASD発症率は、既存2型糖尿病群が3.26件、26週以内診断GDM群が3.02件、26週以降診断GDM群が1.77件、非糖尿病群は1.77件であった。出生年で補正したHR(非糖尿病群との比較)は、既存2型糖尿病群が1.59(95%信頼区間[CI]:1.29~1.95)、26週以内診断GDM群が1.63(95%CI:1.35~1.97)、26週以降診断GDM群は0.98(0.84~1.15)であった。 母親の出産年齢、経産回数、教育歴、世帯収入、人種/民族、併存疾患歴および子供の性別で補正後の子供のASDリスクは、母親の既存の2型糖尿病とは関連がなかった(HR:1.21、95%CI:0.97~1.52、p=0.09)が、26週以内のGDM診断とは有意な関連がみられた(HR:1.42、95%CI:1.15~1.74、p<0.001)。抗糖尿病薬の投与はASDのリスクとは関連がなかった。 全コホートでは、母親または兄/姉のASD診断で補正しても結果に影響はなく、またデータが得られた6万8,512例においては、母親の喫煙、妊娠前のBMI、妊娠中の体重増加で補正しても結果は変わらなかった。 著者は、「多彩な民族からなる集団において、母親の既存の2型糖尿病は子供のASDとは関連がないが、妊娠26週までにGDMと診断された母親の子供のASDリスクは共変量で補正後も有意に高いことが示された」とまとめ、「本研究では、すべてのデータが統合された患者ケアシステムから得られ、子供は1歳までにKPSC健康計画に登録されて電子カルテにより継続的にフォローアップが行われたため、スクリーニングバイアスや診断バイアスが回避されたと考えられる」と考察している。

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片頭痛予防にSSRIやSNRIは支持されない

 うつ病および抗うつ薬の使用がそれぞれ乳がんのリスクを高めるという仮説2005年に発表した、片頭痛および緊張型頭痛の予防のためのSSRIに関するコクランレビューを、イタリア・Laboratory of Regulatory PoliciesのRita Banzi氏らはアップデートした。今回のレビューでは、SSRIやセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるベンラファキシン(国内未承認)を片頭痛の予防として用いることを支持するエビデンスは得られなかった。また、2~3ヵ月超の治療でSSRIやベンラファキシンがプラセボやアミトリプチリンより片頭痛の頻度、重症度および持続期間を減少させるというエビデンスも示されなかった。これらの結果を踏まえて著者は、「片頭痛の予防にSSRIやSNRIの使用は支持されない」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月1日号の掲載報告。 今回研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2014年第10号)、MEDLINE(1946年~2014年11月)、EMBASE(1980年~2014年11月)、PsycINFO(1987年~2014年11月)を用い、18歳以上の片頭痛を有する男女を対象としたSSRI/SNRIとあらゆるタイプの介入との無作為化比較試験を検索するとともに、検索した論文の参照文献リストや進行中の臨床試験も調査した。2人の研究者が独立してデータ(片頭痛の頻度、インデックス、重症度、持続期間、対症療法あるいは鎮痛薬の使用、休業日数、QOL、気分の改善、費用対効果、有害事象)を抽出し、試験のバイアスリスクを評価した。なお、本レビューでの主要アウトカムは片頭痛の頻度とした。 結果は以下のとおり。・本レビューには、5種類のSSRIおよび1種類のSNRIを用いた11件(被験者合計585例)の試験が含まれた(プラセボ対照試験6件、SSRIまたはSNRIとアミトリプチリンとの比較試験4件、エスシタロプラムとベンラファキシンの比較試験1件)。・大半の試験は、方法論や報告(もしくはその両方)が不十分であった。すなわち、すべての試験が選択および報告バイアスのリスクがはっきりしておらず、また、追跡調査が3ヵ月を超える試験はまれであった。・大半の試験は十分な検出力もなく、片頭痛の頻度を主要評価項目としてSSRIまたはSNRIの効果を検討した試験は、ほとんどなかった。・プラセボ対照試験のうち2件の試験は、SSRIおよびSNRIとプラセボとの差についてエビデンスがないことを示唆する曖昧な報告であった。・アミトリプチリンとの比較試験のうち2件の研究では、SSRIやSNRIとアミトリプチリンとの間で片頭痛の頻度に差があるというエビデンスは見出されず(標準化平均差:0.04、95%信頼区間[CI]:-0.72~0.80、I2=72%)、片頭痛の重症度や持続期間などの副次的評価項目にも差はなかった。・SSRIやSNRIは、三環系抗うつ薬よりも全般的に忍容性が良好であった。しかし、有害事象または他の理由のために試験を中止した患者数に差はなかった(1件の研究で、オッズ比[OR]:0.39、95%CI:0.10~1.50、およびOR:0.42、95%CI:0.13~1.34)。・SSRIまたはSNRIと抗うつ薬以外の薬物治療(たとえば抗てんかん薬や降圧薬)とを比較した研究はなかった。関連医療ニュース 片頭痛の予防に抗てんかん薬、どの程度有用か なぜSSRIの投与量は増えてしまうのか SSRI中止は離脱症状に注意を  担当者へのご意見箱はこちら

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SFTSに気を付けろッ!その2【新興再興感染症に気を付けろッ!】

国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。この「新興再興感染症に気を付けろッ!」は、新興再興感染症への適切な気を付け方について、まったりと学ぶコーナーです。前回は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)についての概説をさせていただきましたが、今回はSFTSに潜む謎に迫りたいと思います。SFTSの謎(1)高い致死率SFTSの日本での致死率は29%と非常に高いのですが、一方で中国のSFTS症例の致死率は12~15%程度であり、日本のおよそ半分程度です。同じSFTSなのに、なぜこのような致死率の違いが生まれるのでしょうか?まず、ウイルスの病原性の違いについて、中国のSFTSウイルスと日本のSFTSウイルスは、遺伝子学的にはかなり昔に分かれているということが判明しています1)。つまり、最近になって中国から日本にやって来たというわけではなく、おそらくかなり昔から日本に潜んでいたウイルスということになります。しかし、この中国のSFTSウイルスと日本のSFTSウイルスの病原性についての違いは、これまでのところ明らかではありませんので、致死率の違いは、ウイルスの病原性の違いによるものとは言いにくいと思われます。では、人種間の違いでしょうか? その可能性はあるかもしれませんが、遺伝子が比較的近い日本人と中国人で死亡率に大きく違いがあるとは思えません。では、なぜ日本ではSFTSの致死率が高いのでしょうか。もしかしたら日本では、重症症例のみが診断されているという可能性があるかもしれません。中国でも当初は致死率が30%程度とされていましたが、現在の致死率まで下がっており、軽症例が診断されるようになったことが、原因の1つと考えられます。日本でも当初は厚生労働省の提示した症例定義(前回の表をご参考ください)というものがあり、これに該当しない軽症例は検査されなかったために、死亡率が高く出ているということなのかもしれません。SFTSは、高齢者で致死率が高いとされています。現在、日本では農村部の高齢者を中心に症例が報告されていますが(図1)、実際には若年者もSFTSに感染しているけれど、診断されていないだけなのかもしれません。今後、軽症の若年者も診断されるようになり、致死率が下がってくる、という可能性はあるかと思います。画像を拡大するSFTSの謎(2)発生地域の分布前述のように西日本で感染が見られていますが、東日本ではまったく感染者は報告されていません。SFTSは、主にタカサゴキララマダニとフタトゲチマダニによって媒介されるダニ媒介感染症と考えられています。タカサゴキララマダニは、西日本に多く分布していますが、フタトゲチマダニは日本全域に見られるマダニです。実際にSFTSウイルスは、北海道や宮城県など東日本でも遺伝子が検出されています(図2)2)。また、SFTS抗体を持つ動物も、東日本で見つかっています。しかし、実際に感染者が出ているのは西日本に限局しており、最東端は和歌山県です。なぜこのような偏りが生まれるのか……。画像を拡大する考えられる原因としては、ダニのSFTSウイルス保有率の違いでしょうか。SFTSウイルスを持つダニの比率が、西日本のほうが高いのかもしれません。現にシカのSFTSウイルス抗体陽性率は西高東低といわれており、ダニのウイルス保有率を反映しているのでしょうか。このマダニのSFTSウイルス保有率については、今後サーベイランスの結果が待たれるところです。東日本でもマダニからSFTSウイルスの遺伝子が検出されているということから、まれであるかもしれませんが、東日本でもSFTSが発生するかもしれません。東日本で勤務する医療従事者も、白血球と血小板減少を伴う発熱疾患ではSFTSを鑑別に挙げるようにしましょう(あとデング熱も)。SFTSの謎(3)適切な感染対策SFTSは広義のウイルス性出血熱であり、エボラ出血熱と同様に、血液・体液を介してヒト-ヒト感染が起こりうると考えられています。実際に、患者家族や医療従事者でのヒト-ヒト感染事例も複数報告されています3)。しかし、SFTS疑い(あるいは確定例)でどのような感染対策を行えばよいのかについては、まだきちんとした方針がありません。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの作成した『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き』2)を一例として公開しておりますので、ご参考ください。これまでにSFTS患者から感染した医療従事者は、採血の介助や気管挿管をした際に感染したと考えられており、また、ご遺体に触れた家族や納棺師も感染しています4)。診療の際には標準予防策を徹底する必要がありますし、SFTSの患者さんは亡くなられた際にウイルス量が最も多くなっているため、亡くなられた際の埋葬の方法についても注意が必要です。というわけで、とくに解決策を提示することなくお送りした「SFTSに気を付けろッ!」ですが、いかがでしたでしょうか。次回は、個人的な激アツトピックである「Borrelia miyamotoi感染症の気を付け方」について取り上げたいと思います。1)Takahashi T, et al. J Infect Dis. 2014;209:816-827.2)国立国際医療研究センター 国際感染症センター. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き. 第3 版. 2014. (参照2015.3.27)3)Kim WY, et al. Clin Infect Dis. 2015 Feb 18. [Epub ahead of print]4)Gai Z, et al. Clin Infect Dis. 2012;54:249-252.

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87)ラーメンに、餃子、チャーハンは確かにおいしいけれど……【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師体重コントロールの方は、いかがですか? 患者はい。難しくて、なかなかうまくいっていません。 医師お昼はどんなものを食べていますか? 患者近所のラーメン屋や牛丼屋で食べることが多いです。 医師ラーメンに半チャーハンに餃子だったりして……。 患者ハハハ、その通りです。炭水化物が好きで……つい食べちゃうんです。 医師なるほど。炭水化物の重ね食いが、内臓脂肪を増やしている原因かもしれませんね。サラリーマンの方は昼食を軽めにとることで、減量に成功されている人が多くいますよ。 患者そうなんですか。 医師特に、野菜がたっぷりの食事は、血糖上昇を抑えるので、さらにいいかもしれませんね。 患者それじゃあ、昼は定食とか健康的なものにしようかな(気づきの言葉)。●ポイントお昼の炭水化物の重ね食いに気づかせ、健康的な食事にする気づきを促進 1) Levitsky DA, et al. Appetite. 2011; 57: 311-317.

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ヒトとペット類の花粉症、類似点と相違点

 オーストリア・ウィーン大学のErika Jensen-Jarolim氏らは、ヒト、イヌ、ネコおよびウマのアレルギーに関する論文についてレビューし、これらにおけるトランスレーショナル研究が動物のアレルギーの治療に役立つと同時に、ヒトに関連する知識の収集にも役立つことを報告した。著者は、「自然発症アレルギーを有するイヌ、ネコおよびウマはトランスレーショナル研究の魅力的なモデル患者であることが示唆された」とまとめている。Clinical and Translational Allergy誌オンライン版2015年4月7日号の掲載報告。 研究グループは、ヒト、イヌ、ネコ、ウマの花粉症について、相違点と類似点を検討した。 主な概要は以下のとおり。・ヒトおよびヒトの大切なペットや家畜はともに、IgEおよび類似IgE受容体のレパートリーと発現パターンを保有している。・また同じ細胞型がアレルギーの誘発または調節(たとえば肥満細胞、好酸球または制御性T細胞)に関係している。・イヌ、ネコおよびウマは、花粉アレルゲンへの即時型症状を自発的かつ異なる程度で発症する可能性がある。・これらにおける花粉による皮膚、鼻および気管支症状、ならびに慢性皮膚病変は、ヒトとおおむね類似している。・さまざまな種の花粉は、ヒトにおいては多くの場合アレルギー性鼻炎を引き起こすが、イヌにおいては主に湿疹様病変(イヌのアトピー性皮膚炎)を、ウマにおいては再発性気道閉塞、蕁麻疹、そう痒性皮膚炎を、ネコにおいては気管支喘息と皮膚症状(好酸球性肉芽腫症候群、頭頸部そう痒症、対称性の自己誘発性脱毛症)を誘発する。・ヒトにおいて、アレルギー特異的IgE検出、皮膚テストまたは他のアレルゲン誘発試験はすべて行われる。・対照的に動物において、IgE検出と皮膚テストの重要性は同等と考えられており、それぞれが他方にとって代わることがある。しかしながら、実用的および経済的な理由で、皮内テストが最も一般的に行われている。・ヒトと同様、イヌ、ネコおよびウマにおいても、アレルゲン免疫療法は臨床症状を有意に改善する。

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吸入器操作指導が予後を好転させる

 2015年4月17日より3日間、東京都内において第55回日本呼吸器学会学術講演会が開催された。近年のトピックであるCOPD、肺がんをはじめ、30以上の特別講演と1,200題を超える演題発表が行われた。 成人喘息患者の増加が懸念される中、日本アレルギー学会との共同企画として「包括的気管支喘息治療」というセッションが行われた。その中で、治療の要となる吸入療法について堀口 高彦氏(藤田保健衛生大学呼吸器内科学II 教授)より、失敗をさせない吸入指導の方法に関する発表が行われた。高齢者に多い手技ミス、誤操作 はじめに吸入薬の特性として、正確な吸入操作をしないと効果が十分に発揮されないことを指摘。最近、多くの新薬の登場とともにデバイスの数も増えたことから、その操作方法を患者さんのみならず、医療スタッフも把握しきれていないという現状を報告した。 外来で吸入薬を新たに処方した患者さんについて、次回の受診時に吸入操作を確認すると、誤操作をしている例を多く見かける。これは、とくに高齢者に顕著であり、具体的には手技や操作に問題がある場合が多いという。 加齢による筋力低下、吸入流速の低下などで定量噴霧式吸入器が上手く吸入できない場合は、スペーサーなどの補助器具を使用するなどフォローが必要となる。また、吸入で気を付けるポイントとしては、「吸入時の姿勢補正」、「舌を下げること」が挙げられ、「ドライマウスを防ぐための吸入後のうがいや飲水の実施」、「吸入器の衛生管理」も患者指導のうえで重要であると説明を行った。DVDで吸入指導 今後は、吸入方法の統一した啓発が必要となる。堀口氏は、各種デバイスの操作方法を解説し、間違えやすい点についてもやさしく解説したDVDを制作しており、実際に指導で効果を上げていることを紹介した。 外来では、吸入薬の処方前にこのDVDを患者さんに視聴してもらい、処方後はさらに薬剤師による吸入指導を実施。また、家庭用DVDも配布することで、自宅で繰り返し確認が行えるように工夫した。その結果、誤操作が少なくなり、吸入薬の遵守率が上昇したとのことである。堀口氏は「DVD導入により正確な吸入操作を普及させることで、より吸入療法の発展に期待をしたい」と発表を終えた。 なお、DVDおよびポスター(正しい吸入方法を身につけよう)は、独立行政法人 環境再生保全機構で配布、およびこのサイトで視聴できるため参考にされたい。

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成人発症精神疾患の背景に自閉スペクトラム症が関連

 国立精神・神経医療研究センターの松尾 淳子氏らは、成人発症精神障害患者における自閉症的特性/症状の存在について検討を行った。その結果、成人発症精神障害患者(大うつ病性障害[MDD]寛解例を除く)の約半数で高レベルの自閉症様特性/症状を有する割合が認められること、双極性障害および統合失調症患者では重症度と関係なく自閉症様特性/症状を認める割合が高かったこと、MDD患者ではうつ症状の重症度と自閉症様特性/症状の発生に関連を認めることなどを報告した。結果を踏まえて著者は、「最適な治療のためには、成人発症精神障害の背景にある自閉症様特性/症状を評価することの重要性が示された。前向きデザインの大規模集団によるさらなる研究が必要である」と述べている。PLoS One誌オンライン版2015年4月2日号の掲載報告。 自閉スペクトラム症は、しばしば他の精神疾患との同時発症がみられる。正常知能の小児精神疾患集団において自閉症様特性/症状が高頻度に発現することが確認されているが、成人精神疾患集団における報告はない。本研究では、成人発症のMDD、双極性障害、統合失調症等の精神障害患者において自閉症的特性/症状が高頻度に認められるか否か、そしてこうした関連が症状の重症度と独立してみられるのか否かを検討した。 対象は、25~59歳の正常知能の成人290例である(MDD125例、双極性障害56例、統合失調症44例、健常対照65例)。自閉症様特性/症状は成人用対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale:SRS)を用いて評価した。症状の重症度は陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Symptoms Scale)、ハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating Scale)やヤング躁病評価尺度(Young Mania Rating Scale)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・MDD寛解患者を除いた被験者の約半数は、自閉スペクトラム症の診断閾または診断閾下レベルの自閉症様特性/症状を示した。・さらに、精神疾患患者において自閉症様特性が高レベルを示した者の割合は健常対照と比べ有意に多く、双極性障害あるいは統合失調症の寛解または非寛解であるかによる差異はなかった。・一方、MDD寛解患者において、自閉症様特性が高レベルを示した者の発生率または程度において、健常対照と差はなかった。・双極性障害および統合失調症成人患者ではかなりの割合で、重症度と関係なく自閉症様特性/症状が認められたが、これは自閉スペクトラム症とこれら精神疾患との間に共通の病態生理が存在することを示唆するものである。・これに対し、MDD患者における自閉症様特性は、うつ症状の重症度と関連がみられた。関連医療ニュース 成人ADHDをどう見極める 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学

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未治療の高齢CLL、オファツムマブ併用でPFS延長/Lancet

 未治療の高齢者または併存疾患を有する慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療において、標準治療薬であるクロラムブシル(国内未承認)にオファツムマブ(商品名:アーゼラ)を併用すると、臨床転帰が大きく改善され副作用プロファイルは管理可能であることが、英国・セントジェームズ大学病院のPeter Hillmen氏らが行ったCOMPLEMENT 1試験で示された。若年者や他の疾患がみられないCLL患者の標準治療は、プリン類似体であるフルダラビンをベースとする多剤併用レジメンであるが、高齢者や併存疾患を有する患者の多くは耐用不能である。オファツムマブは、リツキシマブとは異なる作用機序を持つヒト型抗CD20モノクローナル抗体であり、臨床試験でフルダラビン抵抗性CLLへの有効性が確認されている。Lancet誌オンライン版2015年4月13日号掲載の報告より。併用の効果と安全性を無作為化試験で評価 COMPLEMENT 1試験は、クロラムブシルへのオファツムマブ追加の有用性を検証する無作為化第III相試験(GlaxoSmithKline社などの助成による)。対象は、未治療の活動性のCLLで、高齢や併存疾患を理由にフルダラビンベースのレジメンが不適応と判定された患者であった。年齢制限は設けなかった。 被験者は、クロラムブシルを経口投与する群またはクロラムブシルにオファツムマブの静脈内投与を併用する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であった。 2008年12月22日~2011年5月26日までに、16ヵ国109施設に447例が登録され、オファツムマブ併用群に221例、クロラムブシル単独群には226例が割り付けられた。PFSが9ヵ月以上延長、若年患者と同等 全体の年齢中央値は69(35~92)歳で、65歳以上が69%、70歳以上が49%、75歳以上は27%含まれ、63%が男性であった。また、65歳以上または併存疾患が2つ以上、クレアチニンクリアランスが70mL/分未満の患者が87%を占めた。 PFS中央値は、併用群が22.4ヵ月であり、単独群の13.1ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.45~0.72、p<0.0001)。ほとんどのサブグループで、併用群のほうがPFS中央値が長かった。 また、65歳未満のPFS中央値のHRは0.54(95%CI:0.34~0.85)であるのに対し、65歳以上は0.57(95%CI:0.43~0.76)、75歳以上は0.56(95%CI:0.35~0.89)であり、高齢患者でも若年患者と同等のPFSが達成された。 寛解率は併用群が82%、単独群は69%(オッズ比[OR]:2.16、95%CI:1.36~3.42、p=0.001)、完全寛解率はそれぞれ14%、1%であり、いずれも年齢、性別、Stage、予後因子にかかわらず併用群で良好であった。 一方、フォローアップ期間中央値28.9ヵ月の時点で、両群ともに全生存期間(OS)中央値には未到達で、有意な差は認めなかった(HR:0.91、95%CI:0.57~1.43、p=0.666)。2年OSは併用群が89%、単独群は87%、3年OSはそれぞれ85%、83%だった。 Grade 3以上の有害事象の頻度は、併用群が50%、単独群は43%であり、好中球減少(26 vs. 14%)の頻度が最も高く、感染症(9 vs. 12%)は両群で同等であった。また、併用群でGrade 3以上の注射関連有害事象が10%に発現した。治療期間中に10例が死亡し(両群5例ずつ)、このうち5例(併用群3例、単独群2例)が治療関連死と考えられた。 著者は、「これらの知見に加え、最近のオビヌツズマブやリツキシマブとクロラムブシルの併用に関するデータを考慮すると、抗CD20抗体薬とクロラムブシルによる免疫化学療法は、未治療の高齢CLL患者の重要な治療選択肢と考えられる」と指摘している。

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ベーチェット病の口腔潰瘍にアプレミラストが有効/NEJM

 ベーチェット症候群の特徴的な病変である口腔潰瘍の治療に、アプレミラスト(apremilast、国内未承認)が有効であることが、トルコ・イスタンブール大学のGulen Hatemi氏らの検討で明らかとなった。ベーチェット症候群の他の粘膜病変には、陰部潰瘍や丘疹膿疱性、結節性の病変などがあるが、再発を繰り返す口腔潰瘍は身体機能を損ない、QOLに多大な影響を及ぼす。従来薬の効果は十分ではないため新規薬剤の開発が求められており、口腔潰瘍に有効な薬剤は他の病変への効果も有する可能性が示唆されている。アプレミラストはホスホジエステラーゼ4を特異的に阻害する低分子量の経口薬で、とくに免疫細胞内のサイクリックAMPを上昇させることでさまざまな炎症経路に作用するという。NEJM誌2015年4月16日号掲載の報告。口腔潰瘍の抑制効果を検討する無作為化第II相試験 研究グループは、ベーチェット症候群の口腔潰瘍に対するアプレミラストの有効性と安全性の評価を目的に、二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験を実施した(Celgene社の助成による)。対象は、国際ベーチェット病研究グループの診断基準を満たし、年齢18歳以上、口腔に2ヵ所以上の潰瘍を有する患者であった。 被験者は、アプレミラスト30mgを1日2回投与する群またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、12週の治療が行われた。引き続き、プラセボ群をアプレミラストに切り替え、両群ともさらに12週の延長治療を行った。その後28日間、経過を観察した。 主要評価項目は12週時の口腔潰瘍の数とし、副次的評価項目は口腔潰瘍による痛み(100mm視覚アナログスケール[VAS]で評価、スコアが高いほど痛みが強い)、陰部潰瘍数、疾患活動性、QOLなどであった。 2009年10月~2011年10月の間に111例が登録され、アプレミラスト群に55例(年齢中央値34.0歳、女性71%、罹病期間中央値4.44年、平均口腔潰瘍数3.2±2.0ヵ所、VASスコア 54.3±26.2点)、プラセボ群には56例(34.0歳、68%、2.97年、3.1±1.3ヵ所、51.7±22.6点)が割り付けられた。それぞれ50例(91%)、45例(80%)が最初の12週の治療を完遂した。良好な有用性を確認、長期効果や他の症状は評価できず 12週時の平均口腔潰瘍数は、アプレミラスト群が0.5±1.0ヵ所であり、プラセボ群の2.1±2.6ヵ所に比べ有意に少なく(p<0.001)、中央値はそれぞれ0(0~6)ヵ所、2(0~13)ヵ所であった。 ベースラインから12週時までに、口腔潰瘍の平均疼痛スコアは、アプレミラスト群で44.7±24.3点減少したのに対し、プラセボ群では16.0±32.5点の減少であった(p<0.001)。また、24週時までの平均疼痛スコアの低下は、プラセボからアプレミラストへの切り替え群が42.2.±32.2点、アプレミラスト群は44.8±29.8点であり、24週時の平均スコアはそれぞれ9.6±21.1点、9.7±20.3点だった。 ベースライン時にアプレミラスト群の10例、プラセボ群の6例に陰部潰瘍がみられたが、12週時にはアプレミラスト群が0例となったのに対し、プラセボ群は3例に認められた(p=0.04)。 疾患活動性は、Behcet’s Disease Current Activity Form(0~12点、スコアが高いほど活動性が高い)のベースラインから12週時の平均変化は、アプレミラスト群が-1.5点、プラセボ群は-0.1点(p<0.001)、Behcet’s Syndrome Activity Score(0~100点、スコアが高いほど活動性が高い)の平均変化はそれぞれ-21.2点、-6.0点(p<0.001)であり、いずれもアプレミラスト群で有意に抑制されていた。 Behcet’s Disease Quality of Life Measure(0~30点、スコアが高いほどQOLの低下が大きい)によるQOL評価では、ベースラインから12週時の平均変化は、アプレミラスト群が−4.5点、プラセボ群は−1.6点(p=0.04)、SF-36(0~100点、スコアが低いほどQOLの低下が大きい)の身体機能の平均変化はそれぞれ4.7点、−1.7点(p=0.001)であり、いずれもアプレミラスト群で有意に良好だった。 12週までにみられた最も頻度の高い有害事象は両群とも頭痛であった(アプレミラスト群:47%、プラセボ群:45%)。アプレミラスト群で頻度の高い有害事象として、悪心(40 vs. 18%)、嘔吐(16 vs. 2%)、下痢(22 vs. 4%)が認められた。重篤な有害事象は、アプレミラスト群で2例、プラセボ群では1例にみられた。また、12週までに、ベースライン時にはみられなかったベーチェット症候群の症状を新たに発現した患者は、それぞれ22%、48%であった。 著者は、「この予備試験は、長期的な効果やベーチェット症候群の他の症状に対する効果、低頻度の重篤な有害事象のリスクを評価するには症例数および試験期間が十分でなかった」と指摘している。

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アスピリンとNSAIDsの使用による大腸がんリスクと遺伝子型の関連(解説:上村 直実 氏)-354

 アスピリンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の常用により、大腸がんリスクが低下することが知られているが、どのようなヒトに有効かは不明であった。今回、ゲノムワイド(GWAS)を用いた遺伝子型と環境要因の相互作用を考慮したCase-Control研究により、アスピリンやNSAIDs使用が大腸がんの発症を減少させる一因として、染色体12番と15番の2つの一塩基多型(SNP)の遺伝子型と関連が深く、個別化医療への推進が期待される研究結果が報告された。すなわち、染色体12番と15番のSNPで、薬剤の常用と大腸がんリスクとの関連が異なることが示され、遺伝子型によってはリスクが高まるヒトもいる可能性が示唆された。 本研究のデザインは、1976~2003年までの米国、カナダ、オーストラリア、ドイツの10研究のデータを基に、大腸がん患者8,634例とマッチしたコントロール群8,553例を対象としたCase Control研究である。研究の結果、薬剤常用者はコントロール群と比較して31%の大腸がんリスク低下を認めた(オッズ比[OR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.64~0.74)。遺伝子変異との関連を検討したところ、染色体12と15のSNPがリスクの低下に影響していることが示唆されたが、染色体15の中の一部はリスクを増大させる可能性が示唆された。アスピリンとNSAIDsの常用は概して大腸がんのリスクを下げるが、少数ながらリスクを増加するヒトも存在するという研究結果である。 1976年から開始された大規模データベース(DB)を用いたCase-Controlであるが、大規模研究につきものの大腸がん診断法や薬剤常用の定義があいまいな部分も見受けられる。さらに、過去の欧米におけるGWAS研究の結果が、日本人での追試では異なる結果を示したことも注意すべきである。しかし、このような大規模研究は今後の疫学的な方向性を示してくれるものが多く、わが国でも国を挙げての対策が必要と思われる。

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心房細動の患者さんへの説明

心房細動監修:公益財団法人 心臓血管研究所 所長 山下 武志氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房細動とは?・洞結節由来の心房波が消え、複数あるいは単一の興奮波が心房の中を旋回しています。・肺静脈の開口部にある心筋細胞から生じる心房期外収縮が引き金になります。・心房細動が起こると、1分間に350回以上心房が興奮します。通常の心臓はこのように興奮が伝わりますが…①洞結節心房細動では、心房が速い速度で細かく収縮するため、外から見るとけいれんしているような状態になります。①洞結節②房室結節②房室結節③ヒス束③ヒス束④脚④右脚⑤プルキンエ線維プルキンエ線維Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房細動とは?◆通常の心臓は興奮が伝わり規則正しく収縮しますが…トントントントン◆心房細動では、心房が速い速度で細かく収縮しますが、収縮の一部は心室に伝わらないので、心室の収縮は不規則です。そのため、脈拍は1分間に50回前後のこともあれば、100回を超えるような方もいます。トントントントントン人によって脈の速さが大きく違うため、まったく無症状の方から、ひどい動悸、息切れ、脈が速くなる・でたらめになる、などの症状を訴える方までさまざまです。持続時間もまちまちで、発作的に数分から数時間起きる方(発作性心房細動)もいれば、慢性的に起きる方(慢性心房細動:1週間上持続するもの=持続性心房細動、1年以上持続しているもの=永続性心房細動)もいます。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房の収縮心室の収縮(脈)心房細動とは?・人口の1%と、比較的ありふれた不整脈ですが、加齢により増加し、80歳以上では5%の方がかかっています。・心房細動自体が直接命に関わることはありませんが、脳梗塞や心不全を引き起こす原因となるため、脳梗塞へのなりやすさなどを考え治療を決めます。血栓が血管を閉塞脳梗塞心房細動や心房粗動では、心房がけいれんするように小刻みに震えて、規則正しい心房の収縮ができなくなります。このため心房内 の血液の流れがよどみ、心房の壁の一部に血の固まり(血栓)ができ、これがはがれて心臓から動脈に沿って、脳 の中の大きな血管を突然閉塞するのが心原性脳塞栓症です。心房細動がある人は心房細動のない人と比べると、脳梗塞を発症する確率は約5倍といわれています。この塞栓症を予防することが心房細動や心房粗動治療の最も重要な目的です。血液がよどむ→血栓ができる→血栓が全身に飛ぶ(運ばれる)→脳梗塞、心筋梗塞などの塞栓症Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.心房細動の治療は・脳梗塞を起こす危険がある場合は、血栓が起きないように抗血栓薬を飲みます。・心房細動を止める必要がある場合は、薬(抗不整脈薬など)を服用するか、カテーテルアブレーションを行います。高周波通電カテーテルアブレーション高周波発生装置電極カテーテルアブレーション血管を通して心臓まで細い管(カテーテル)を入れ、不整脈の原因となっている場所を探して、その部位を低温やけどさせ、不整脈の原因を取り除くという治療です。心房細動では左心房にある肺静脈の血管内やその周囲から発生する異常な電気信号をきっかけに起こるため、肺静脈を囲むようにしてアブレーションの治療を行い、肺静脈からの異常電気信号が、心臓全体に伝わらないようにします。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.生活上の注意◆高血圧、糖尿病、心臓の病気などがあると脳梗塞を起こしやすくなるので、しっかり管理してください。◆睡眠不足、ストレス、アルコールは心房細動を起こしやすくしますので注意してください。◆生活改善を行っても症状が気になる場合は、薬物療法を行い、症状を少なくします。◆脳梗塞の危険性が高い場合は、脳梗塞予防薬を毎日忘れないように服用します。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.抗血栓薬による脳梗塞予防◆血栓の形成を抑制する薬剤を用いた治療です。◆ワルファリンは血液の凝固に必要なビタミンKを減らすことによって血栓ができるのを抑えます。◆薬の必要量には個人差があり、また他の薬剤や食事の内容に影響されるため、適正な量を決めるために受診のたびに血液検査を行う必要があります。◆ビタミンKを多く含む納豆や青汁、クロレラといった食品を食べると薬が効かなくなります。最近では、そのような食事制限の必要のない新しい抗凝固薬も使用できるようになっています。Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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巨大児出産、分娩誘発のほうが安全?/Lancet

 巨大児出産が疑われる場合には、自然分娩よりも分娩誘発を行うほうが肩甲難産や関連疾患のリスクを低下することが、スイス・ジュネーブ大学のMichel Boulvain氏による無作為化試験の結果、示された。分娩誘発は、帝王切開となるリスクを増大することなく自然経腟分娩の尤度を改善することも示されたという。結果を踏まえて著者は、「早期分娩誘発の影響とバランスをみながら検討すべきである」とまとめている。巨大児については、肩甲難産のリスクが高いことが知られている。Lancet誌オンライン版2015年4月8日号掲載の報告より。フランス、スイス、ベルギーの19施設で無作為化試験 研究グループは、妊娠期間に比して大きい過体重児(large-for-date fetuses)の出産について、肩甲難産およびその他の新生児および母体疾患の予防に関して、分娩誘発と自然分娩を比較した。 検討は2002年10月1日~2009年1月1日に、フランス、スイス、ベルギーの19ヵ所の3次医療機能センターで行われた。 対象は、単体児を妊娠しており、在胎児の体重が95パーセンタイル値(36週時3,500g、37週時3,700g、38週時3,900g)超と推定される妊婦を適格とし、妊娠期間37~38週目に3日以内に、分娩誘発を行う群または自然分娩とする群に、無作為に割り付けた。無作為化は施設単位で行われ、被験者と看護者には割り付け情報はマスクされなかった。 主要アウトカムは、臨床的に顕著であった肩甲難産、鎖骨骨折、腕神経叢損傷、頭蓋内出血、死亡の複合とした。分娩誘発群、肩甲難産発生が有意に低下、自然経腟分娩の可能性上昇 分娩誘発群に409例、自然分娩群に413例が割り付けられ、それぞれ、最終解析には407例、411例が組み込まれた。出生児の平均体重は、分娩誘発群3,831(SD 324)g、自然分娩群4,118(SD 392)gであった。 分析の結果、肩甲難産または関連疾患の発生は、分娩誘発群8例、自然分娩群25例で、前者の有意なリスク低下が認められた(相対リスク[RR]:0.32、95%信頼区間[CI]:0.15~0.71、p=0.004)。 腕神経叢損傷、頭蓋内出血、死亡については両群で発生がみられなかった。 自然経腟分娩の尤度は、分娩誘発群のほうが自然分娩群よりも高かった(59% vs. 52%、RR:1.14、95%CI:1.01~1.29)。なお、帝王切開(28% vs. 32%)や新生児罹患について、両群間で有意な差はみられなかった。

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身長とCADリスクとの関連が大規模研究で判明/NEJM

 遺伝的に低身長であることと冠動脈疾患(CAD)リスク増大との関連が、英国・レスター大学のChristopher P Nelson氏らによる大規模な調査の結果、明らかにされた。これまで、身長とCADリスクに負の相関があることは知られていたが、メカニズムについては不明であった。なお、関連の一部は低身長と脂質プロファイル異常との関連で説明されることも示され、著者は、成人身長と動脈硬化の進展プロセスを調べることで、関連の一部を説明できるのではないかと述べている。NEJM誌オンライン版2015年4月8日号掲載の報告より。身長6.5cm変化とCADリスクとの関連などを調査 身長とCADの関連を調べる研究は遺伝的アプローチにて、180の身長に関連する遺伝子型を用いて行われた。 まず、CAD症例6万5,066例と対照12万8,383例で、遺伝的身長1SD(6.5cm)変化ごとのCADリスクとの関連を調べた。また1万8,249人の遺伝子データを用いて、CADリスクと複数の身長関連変異型との関連についても調べた。 考えられるメカニズムを特定するために、遺伝的に確定されている身長と既知の心血管リスク因子との関連を調べ、身長関連遺伝子の経路分析(pathway analysis)を行った。6.5cm低下で13.5%リスク増大 結果、1-SD減少につきCADリスクが13.5%(95%信頼区間[CI]:5.4~22.1、p<0.001)増大することが明らかになった。 また、高身長遺伝子変異が多いほど、CADリスクは減少する段階的関連性があることも判明した(四分位範囲第4位群vs. 第1位群のオッズ比[OR]:0.74、95%CI:0.68~0.84、p<0.001)。 検討した12の心血管リスク因子のうち、LDLコレステロール値とトリグリセリド値のみで有意な関連(関連のうち約30%を占める)が観察された。 また、発育と動脈硬化の両者と関連する遺伝子を含む複数のオーバーラップする経路の特定に至った。

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精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか

 てんかん患者に精神障害(PD)が高頻度に認められることを受け、これらの患者、とくに手術適応となる難治性内側側頭葉硬化を伴う側頭葉てんかん(TLE-MTS)患者に対する精神的評価の必要性を示す研究がこれまでに行われてきた。近年のエビデンスは、TLE-MTS やPDの評価手段であるビデオ脳波(VEEG)の安全性を強調している。しかし、てんかんセンターの中には、PDがある場合は、陰性行動イベントのリスクがあることを主な理由として、VEEGによる術前評価を禁忌としているところが依然としてある。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio Preto(FAMERP)のGerardo Maria de Araujo Filho氏らは、精神障害を認める難治性てんかん患者において、PDの評価として施行する術前のVEEGが禁忌となりうるのかを明らかにするため、後ろ向きコホート研究を行った。Epilepsy & Behavior誌4月号(オンライン版2015年3月20日号)の掲載報告。 研究グループは、PDの存在が術前VEEGの禁忌となりうるか否かを明らかにするため、ブラジル内のてんかん専門センターの協力を得て、後ろ向きコホート研究を実施した。術前評価の1つとしてVEEGが施行された患者41例の臨床的、社会人口学的、精神医学的データを、VEEGを実施しなかった難治性TLE-MTS患者32例のデータと比較した。精神障害の診断はDSM-IV 分類および国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類を用いた。 主な結果は以下のとおり。・34例(46.6%)が精神障害ありと診断され、大うつ病性障害が最も高頻度で22例(30.1%)に、不安障害が14例(19.2%)に認められた。・術前VEEGを施行した41例のうち、術前精神評価でPDが確認されたのは12例(29.2%)にとどまった。一方、VEEG非施行例32例では22例(68.7%)にPDが確認された(p=0.001、RR:2.35)。・VEEG施行例に比べ、むしろVEEG非施行例でPDの割合が有意に高い結果が示された。 結果を踏まえ著者らは、「PDの存在のみで、VEEGモニタリングおよびてんかん手術が禁忌と考えるべきでないことが示唆された」と述べている。関連医療ニュース 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か 高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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葉酸補充で、脳卒中が減る-臨床試験デザインの重要さを、あらためて教えてくれたCSPPT試験(解説:石上 友章 氏)-352

 疫学や遺伝学研究から、MTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)遺伝子多型や高ホモシステイン血症が、心血管疾患の発症リスクになることが知られていたが、葉酸やビタミンB12を使った介入試験によって、予後の改善やnutrientの有効性が証明されることはなかった1)。 探索的(exploratory)・記述的(descriptive)な研究から、あるリスクが、ある疾病に因果関係があるとされたとしても、それは仮説提示にとどまる。検証的(confirmatory)な試験によって、リスクに対する介入による、リスクの修正や是正が予後を改善することで、初めて因果関係が証明される。したがって、これまで高ホモシステイン血症やMTHFR遺伝子多型が、心血管疾患の真のリスクであることには懐疑的な考えが支配的であった。 本研究に先行する、2011年のHolmes氏らの研究2)ならびに、2013年の著者らのメタ解析3)から、高ホモシステイン血症やMTHFR遺伝子多型による脳卒中リスクは、血中葉酸濃度に影響を受けることが明らかになっていた。 本研究は、こうした先行研究を基に、従来の試験になかったデザインでランダム化二重盲検試験を計画し、葉酸摂取による脳卒中抑制効果を証明し、葉酸、高ホモシステイン血症、MTHFR遺伝子多型の関係を明らかにすることに成功した4)。本研究は、研究途中でデータ安全性モニタリング委員会が、介入群と非介入群との間に、統計学上看過することのできない有意差を認めたことから、予定された試験期間の終了を待たずに中止されるほどであった。画像を拡大する このグラフからは、低リスクとされるCC/CT遺伝子型で、血中葉酸濃度に依存した脳卒中リスクがあること、高リスクとされるTT遺伝子型では葉酸濃度の閾値が上昇することが示されている。本試験の結果から、心血管リスクとされたMTHFR遺伝子多型、高ホモシステイン血症は、葉酸欠乏が本態であり、部分的には葉酸補充により解消できるといえる。先天性ホモシステイン尿症と、MTHFR遺伝子多型による高ホモシステイン血症は、必ずしも同一の病態ではなかった。nutrientである葉酸の効果は、葉酸欠乏と遺伝子多型の影響を受けており、ベースラインでの葉酸の血中濃度測定と遺伝子型判定が重要になる。 本研究の限界としては、プロトコル遵守率がやや低いこと(両群とも69%)、脱落例が14%であることが挙げられるが、ITT解析、per-protocol解析でも、有意差の傾向は変わらなかった。平均年齢60歳という、比較的若年集団でありながら、エナラプリル群で年間約1%の脳卒中発生率をどう考えるか、著者らの主張では、脂質異常改善薬、抗血小板薬の併用が少ないことで、この差が出やすくなったとしている点は興味深い。

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クローン病に対する経口SMAD7(モンジャーセン)の有用性(第II相試験)(解説:上村 直実 氏)-353

 クローン病は原因不明で根治的治療が確立していない炎症性腸疾患であり、わが国では医療費補助の対象である特定疾患に指定されている。抗菌薬、サリチル酸製剤、ステロイドや、従来型免疫抑制剤および腸管を安静に保つ栄養療法がわが国における治療の主体であったが、最近、顆粒球除去療法や生物学的製剤である抗TNF-α抗体が新たな治療法として注目されている。一方、クローン病の患者では、免疫抑制サイトカインであるトランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)のシグナル伝達を阻害する SMAD7 の発現量が増加することでTGF-β1の活性が低下して炎症が惹起されることが知られている。 今回、経口SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドであるモンジャーセン(Mongersen)のクローン病に対する有効性を検証した第II相試験(RCT)が報告された。対象患者は、炎症の活動指数であるCDAIが220から400までのクローン病患者166例を対象として、モンジャーセンの10mg、40mg、160mgおよびプラセボの4群における2週間後のCDAIに従った寛解(CDAI<150)率、ならびに服薬中止28日後の臨床経過について検討した結果、2週後の寛解導入率は40mgと160mg群で有意に高率であり、投与終了28日後時点での炎症鎮静化率(CDAIが100以上の減少)は、すべての実薬群がプラセボ群に比べて有意に高率であった。特記すべき有害事象は認められていなかった。 以上の結果より、モンジャーセンはクローン病に対する有用性の高い治療薬として期待されるが、本研究においては、研究期間の短さ、内視鏡的ないしは組織学的評価はなくCDAIによる評価法のみであることから、有効性の評価を確定することは時期尚早と思われる。さらに、TGF-β1は抗炎症のみでなく強力な創傷修復作用を有するが、この修復作用が過剰となると線維化を促進する可能性があり、腸管の狭窄につながる危険性も考慮しなければならない。したがって、クローン病治療薬としての期待は大きいものの、モンジャーセンの臨床的有用性を確認するためには長期間のリスク・ベネフィットを明らかにする臨床試験が必須である。

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結果が矛盾する論文をどう解釈すべきか【Dr.桑島が動画で解説】

プレゼント応募はこちら抽選の申し込みをする応募受付期間を終了いたしました。抽選で100名様に『脳・心・腎血管疾患クリニカル・トライアル Annual Overview 2015』を進呈!応募期間: 2015年4月24日~2015年5月25日 正午まで当選の通知方法 : プレゼントの発送をもって、当選のお知らせとさせていただきますプレゼント発送予定日 : 2015年6月上旬ごろ予定  3月4月に最も読まれたCLEAR!ジャーナル四天王 TOP51位)「エドキサバンは日本の薬なのに…」1~遺伝子型と抗血栓療法下の出血、血栓イベントの関係~:ENGAGE AF-TIMI 48試験(解説:後藤 信哉 氏)2位)DPP-4阻害薬の副作用としての心不全-アログリプチンは安全か…(解説:吉岡 成人 氏)3位)降圧は「The faster the better(速やかなほど、よし)」へ(解説:桑島 巌 氏)4位)ガイドラインでは薬物相互作用を強調すべき(解説:桑島 巌 氏)5位)COSIRA試験:血管を開けるのか?それとも、閉じるのか? 狭心症治療に新たな選択肢(解説:香坂 俊 氏)J-CLEARのメンバーが評論した論文を紹介したコーナー「CLEAR!ジャーナル四天王」最新記事一覧はこちらをクリック前回の動画はこちら第1回 Dr.桑島の動画でわかる「エビデンスの正しい解釈法」MRの話はどこまで信じていいのか・・・と感じた経験ありませんか?「適切なエンドポイントか」「実験の実施主体はどこか」など見極めるポイントをわかりやすく解説

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