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繊維摂取と大腸がんの関連~性別や部位で異なる

 これまでの研究において、繊維摂取量と大腸がん発症の間に負の相関が認められているが、がんのステージによる違いは検討されていない。スウェーデン・ルンド大学のAlexandra Vulcan氏らは、The Malmo Diet and Cancer Studyで、繊維摂取量とその供給源、および大腸がん発症との関連を、性別、腫瘍部位、TNM分類ごとに検討した。その結果、繊維摂取量と大腸がんの間に、性別、腫瘍部位、繊維供給源により異なる関連が認められた。とくに果物やベリー類からの高い繊維摂取は、女性において大腸がん発症を防ぐ可能性があるという。The British journal of nutrition誌オンライン版2015年8月18日号に掲載。 The Malmo Diet and Cancer Studyは45~74歳の集団ベースのコホート研究である。著者らは、食事データは改変食事歴法で収集し、TNM分類は病理/臨床記録から取得、再評価した。 主な結果は以下のとおり。・2万7,931人(女性が60%)における42万8,924人年の間に大腸がん728例が認められた。・繊維摂取量と大腸がんリスクとの間に負の相関がみられた(傾向のp=0.026)。・結腸がんに関しては、繊維摂取量と性別の交互作用はボーダーライン上であり(p=0.052)、女性に限れば有意な負の相関(傾向のp=0.013)が認められた。・果物とベリー類の摂取量は、女性において結腸がんと負の相関がみられた(傾向のp=0.022)。・直腸がんにおいて、繊維(p=0.048)および野菜(p=0.039)の摂取量と性別との間に有意な交互作用が認められたが、男女とも繊維摂取量やその供給源の間に有意な関連はみられなかった。・繊維豊富な穀物製品の摂取量とN0M0腫瘍における負の相関を除いて、異なったTNMステージでは有意な関連は認められなかった。

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統合失調症の同胞研究、発症と関連する脳の異常

 先行研究において、統合失調症における構造的な脳結合性の異常が観察されている。それら異常の長期的なマッピングと、同胞研究による遺伝的リスクの理解は、統合失調症に関連する漸進的な発達的変化について重要な見識を与えてくれる。オーストラリア・メルボルン大学のAndrew Zalesky氏らは、小児期発症統合失調症(COS)の青年において発達過程の変化を示す皮質間結合を確認し、類似の変化が非罹患同胞にみられるかどうかを検討する前向き研究を行った。その結果、非罹患同胞の統合失調症発症に対するレジリエンスと関連する中間表現型を伴う後頭側頭部の結合性の成熟遅延が、COS患者の特徴的なマーカーであることが示唆されたことを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年7月15日号掲の載報告。 今回研究グループが行った検討は、米国立精神衛生研究所(NIMH)の進行中のCOS研究の一部として、1991年1月1日から2011年4月30日まで20年以上にわたって行われたものであった。12~24歳のCOS患者109例(画像272枚)、非罹患同胞86例(画像184枚)、健常対照102例(画像262枚)において、皮質間結合性のマップを作成。皮質領域間の構造的結合性を、MRIから得られた皮質厚値等を用いて推定して検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・健常対照群と比較しCOS患者および非罹患同胞では、左後頭側頭部における皮質厚低下と結合性低下の有意な相関が認められた(p<0.05)。・非罹患同胞における皮質厚低下は青年期中期までに正常化したが、COS患者では明らかに長い成熟遅延を示した。・COS患者において、年齢に伴う皮質厚低下の正常化が症状改善と関連していた。・健常対照群と比較して、患者群のうち陽性症状が高度なサブグループ群では、14歳から18歳にかけて左後頭側頭部における皮質厚の相関が有意に減少したが(p<0.05)、陽性症状が低度の患者群では認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「これらの知見は、統合失調症の神経回路マップにおける遺伝的影響および結合性特異的発達異常を示しており、COS患者の幻視は後頭葉と側頭葉を結ぶ下縦束の発達遅延に起因している可能性があるという仮説につながる」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定 統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学 うつ病のリスク遺伝子判明:藤田保健衛生大  担当者へのご意見箱はこちら

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巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)〔GCA : giant cell arteritis〕

1 疾患概要■ 概念・定義巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)は、大動脈とその分枝の中~大型動脈に起こる肉芽腫性血管炎である。頸動脈の頭蓋外の動脈(とくに側頭動脈)が好発部位のため、以前は、側頭動脈炎(temporal arteritis:TA)といわれた。発症年齢の多くは50歳より高齢であり、しばしばリウマチ性多発筋痛症(PMR)を合併する。1890年HunchingtonらがTAの症例を報告し、1931年にHortonらがTAの臨床像や病理学的特徴を発表したことからTAとしての古い臨床概念が確立し、また、TAは“Horton’s disease”とも呼ばれてきた。その後1941年Gilmoreが病理学上、巨細胞を認めることから“giant cell chronic arteritis”の名称が提唱された。この報告により「巨細胞性動脈炎(GCA)」の概念が確立された。GCAは側頭動脈にも病変を認めるが、GCAのすべての症例が側頭動脈を傷害するものではない。また、他の血管炎であっても側頭動脈を障害することがある。このためTAよりもGCAの名称を使用することが推奨されている。■ 疫学 1997年の厚生省研究班の疫学調査の報告は、TA(GCA)の患者は人口10万人当たり、690人(95%CI:400~980)しか存在せず、50歳以上では1.48人(95%CI: 0.86~2.10)である。人口10万人当たりの50歳以上の住民のGCA発症率は、米国で200人、スペインで60人であり、わが国ではTA(GCA)は少ない。このときの本邦のTA(GCA)の臨床症状は欧米の症例と比べ、PMRは28.2%(欧米40~80%)、顎跛行は14.8%(8~50%)、失明は6.5%(15~27%)、脳梗塞は12.1%(27.4%)と重篤な症状はやや少ない傾向であった。米国カリフォルニア州での報告では、コーカシアンは31症例に対して、アジア人は1例しか検出されなかった。中国やアラブ民族でもGCAはまれである。スカンジナビアや北欧出身の家系に多いことが知られている。■ 病因病因は不明であるが、環境因子よりも遺伝因子が強く関与するものと考えられる。GCAと関連が深い遺伝子は、HLA-DRB1*0401、HLA-DRB1*0404が報告され、約60%のGCA症例においてどちらかの遺伝子を有する。わが国の一般人口にはこの2つの遺伝子保持者は少ないため、GCAが少ないことが推定される。■ 症状全身の炎症によって起こる症状と、個別の血管が詰まって起こる症状の2つに分けられる。 1)全身炎症症状発熱、倦怠感、易疲労感、体重減少、筋肉痛、関節痛などの非特異的な全身症状を伴うので、高齢者の鑑別診断には注意を要する。2)血管症状(1)頸部動脈:片側の頭痛、これまでに経験したことがないタイプの頭痛、食べ物を噛んでいるうちに、顎が痛くなって噛み続けられなくなる(間歇性下顎痛:jaw claudication)、側頭動脈の圧痛や拍動頸部痛、下顎痛、舌潰瘍など。(2)眼動脈:複視、片側(両側)の視力低下・失明など。(3)脳動脈:めまい、半身の麻痺、脳梗塞など。(4)大動脈:背部痛、解離性大動脈瘤など。(5)鎖骨下動脈:脈が触れにくい、血圧に左右差、腕の痛みなど。(6)冠動脈:狭心症、胸部痛、心筋梗塞など。(7)大腿・下腿動脈:間歇性跛行、下腿潰瘍など。3)合併症約30%にPMRを合併する。高齢者に起こる急性発症型の両側性の頸・肩、腰の硬直感、疼痛を示す。■ 分類側頭動脈や頭蓋内動脈の血管炎を呈する従来の側頭動脈炎を“Cranial GCA”、大型動脈に病変が認められるGCAを“Large-vessel GCA”とする分類法が提唱されている。大動脈を侵襲するGCAは、以前、高安動脈炎の高齢化発症として報告されていた経緯がある。GCA全体では“Cranial GCA”が75%である。“Large-vessel GCA”の中では、大動脈を罹患する型が57%、大腿動脈を罹患する型が43%と報告されている(図)。画像を拡大する■ 予後1998年の厚生省全国疫学調査では、治癒・軽快例は87.9%であり、生命予後は不良ではない。しかし、下記のように患者のQOLを著しく阻害する合併症がある。1)各血管の虚血による後遺症:失明(約10%)、脳梗塞、心筋梗塞など。2)大動脈瘤、その他の動脈瘤:解離・破裂の危険性に注意を要する。3)治療関連合併症:活動性制御に難渋する例では、ステロイドなどの免疫抑制療法を反復せねばならず、治療関連合併症(感染症、病的骨折、骨壊死など)で臓器や関連の合併症にてQOLが不良になる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)1990年米国リウマチ学会分類基準に準じる。5項目のうち3項目を満足する場合、GCAと分類する(感度93.5、特異度91.2%)。厚生労働省の特定疾患個人調査票(2015年1月)は、この基準にほぼ準拠している。5項目のうち3項目を満足する場合に、GCAと診断される(表1)。画像を拡大する■ 検査1)血液検査炎症データ:白血球増加、赤沈亢進、CRP上昇、症候性貧血など。CRP赤沈は疾患活動性を反映する。2)眼底検査必須である。虚血性視神経症では、視神経乳頭の虚血性混濁浮腫と、網膜の綿花様白斑(軟性白斑)を認める。3)動脈生検適応:大量ステロイドなどのリスクの高い免疫抑制治療の適応を決めるために、病理学的検討を行うべきである。ただし、進行性の視力障害など、臨床経過から治療を急ぐべきと判断される場合は、ステロイド治療開始を優先し、側頭動脈生検が治療開始の後でもかまわない。側頭動脈生検の実際:症状が強いほうの側頭動脈を局所麻酔下で2cm以上切除する。0.5mmの連続切片を観察する。病理組織像:中型・大型動脈における(1)肉芽腫性動脈炎(炎症細胞浸潤+多核巨細胞+壊死像)、(2)中膜と内膜を画する内弾性板の破壊、(3)著明な内膜肥厚、(4)進行期には内腔の血栓性閉塞を認める。病変は分節状に分布する(skip lesion)。動脈生検で巨細胞を認めないこともある。4)画像検査(1)血管エコー:側頭動脈周囲の“dark halo”(浮腫性変化)はGCAに特異的である。(2)MRアンギオグラフィー(MRA):非侵襲的である。頭蓋領域および頭蓋領域外の中型・大型動脈の評価が可能である。(3)造影CT/3D-CT:解像度でMRAに優る。全身の血管の評価が可能である。3次元構築により病変の把握が容易である。高齢者・腎機能低下者には注意すること。(4)血管造影:最も解像度が高いが、侵襲的である。高齢者・腎機能低下者には注意すること。(5)PET-CT(2015年1月現在、保険適用なし):質的検査である。血管壁への18FDGの取り込みは、血管の炎症を反映する。ただし動脈硬化性病変でもhotになることがある。5)心エコー・心電図など:心合併症のスクリーニングを要する。■ 鑑別診断1)高安動脈炎(Takayasu arteritis:TAK)欧米では高安動脈炎とGCAを1つのスペクトラムの中にある疾患で、発症年齢の約50歳という違いだけで分類するという考えが提案されている。しかし、両疾患の臨床的特徴は、高安動脈炎がより若年発症で、女性の比率が高く(約1:9)、肺動脈病変・腎動脈病変・大動脈の狭窄病変が高頻度にみられ、PMRの合併はみられず、潰瘍性大腸炎の合併が多く、HLA-B*52と関連する。また、受診時年齢と真の発症年齢に開きがある症例もあるので注意を要する。現時点では発症年齢のみで分けるのではなく、それぞれGCAとTAKは1990年米国リウマチ学会分類基準を参考にすることになる。2)動脈硬化症動脈硬化症は、各動脈の閉塞・虚血を来しうる。しかし、新規頭痛、顎跛行、血液炎症データなどの臨床的特徴が異なる。GCAと動脈硬化症は共存しうる。3)感染性大動脈瘤(サルモネラ、ブドウ球菌、結核など)、心血管梅毒細菌学的検査などの感染症の検索を十分に行う。4)膠原病に合併する大動脈炎など(表2)画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療の目標は、(1)全身炎症症状の改善、(2)臓器不全の抑制、(3)血管病変の進展抑制である。ステロイド(PSL)は強い抗炎症作用を有し、GCAにおいて最も確実な治療効果を示す標準治療薬である。■ 急性期ステロイド初期量:PSL 1mg/kg/日が標準とされるが、症状・合併症に応じて適切な投与量を選択すること。2006~2007年度の診療ガイドラインでは、下記のように推奨されている。とくに、高齢者には圧迫骨折合併に注意する必要がある。1)眼症状・中枢神経症状・脳神経症状がない場合:PSL 30~40 mg/日。2)上記のいずれかがある場合:PSL 1mg/kg/日。■ 慢性期ステロイド漸減:初期量のステロイドにより症状・所見の改善を認めたら、初期量をトータルで2~4週間継続したのちに、症状・赤沈・CRPなどを指標として、ステロイドを漸減する。2006~2007年度の診療ガイドラインにおける漸減速度を示す。1)PSL換算20mg/日以上のとき:2週ごとに10mgずつ漸減する。2)PSL換算10~20mg/日のとき:2週ごとに2.5mgずつ漸減する。3)PSL換算10mg/日以下のとき:4週ごとに1mgずつ、維持量まで漸減する。重症例や活動性マーカーが遷延する例では、もう少しゆっくり漸減する。■ 寛解期ステロイド維持量:維持量とは、疾患の再燃を抑制する必要最小限の用量である。2006~2007年度の診療ガイドラインでは、GCAへのステロイド維持量はPSL換算10mg/日以下とし、通常、ステロイドは中止できるとされている。しかし、GCAの再燃例がみられる場合もあり、GCAに合併するPMRはステロイド減量により再燃しやすい。■ 増悪期ステロイドの再増量:再燃を認めたら、通常、ステロイドを再増量する。標的となる臓器病変、血管病変の進展度、炎症所見の強度を検討し、(1)初期量でやり直す、(2)50%増量、(3)わずかな増量から選択する。免疫抑制薬併用の適応:免疫抑制薬はステロイドとの併用によって相乗効果を発揮するため、下記の場合に免疫抑制薬をステロイドと併用する。1)ステロイド効果が不十分な場合2)易再燃性によりステロイド減量が困難な場合免疫抑制薬の種類:メトトレキサート、アザチオプリン、シクロスポリン、シクロホスファミドなど。■ 経過中に注意すべき合併症予後に関わる虚血性視神経症、脳動脈病変、冠動脈病変、大動脈瘤などに注意する。1)抗血小板薬脳心血管病変を伴うGCA患者の病変進展の予防目的で抗血小板薬が用いられる。少量アスピリンがGCA患者の脳血管イベントおよび失明のリスクを低下させたという報告がある。禁忌事項がない限り併用する。2)血管内治療/血管外科手術(1)各動脈の高度狭窄ないし閉塞により、重度の虚血症状を来す場合、血管内治療によるステント術か、バイパスグラフトなどによる血管外科手術が適応となる。(2)大動脈瘤やその他の動脈瘤に破裂・解離の危険がある場合も、血管外科手術の適応となる。4 今後の展望関節リウマチに保険適用がある生物学的製剤を、GCAに応用する試みがなされている(2015年1月現在、保険適用なし)。米国GiACTA試験(トシリズマブ)、米国AGATA試験(アバタセプト)などの治験が行われている。わが国では、トシリズマブの大型血管炎に対する治験が進行している。5 主たる診療科リウマチ科・膠原病内科、循環器内科、眼科、脳神経外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 巨細胞性動脈炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)今日の臨床サポート 巨細胞性動脈炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)J-STAGE(日本臨床免疫学会会誌) 巨細胞性動脈炎(医療従事者向けのまとまった情報)2006-2007年度合同研究班による血管炎症候群の診療ガイドライン(GCAについては1285~1288参照)(医療従事者向けのまとまった情報)1)Jennette JC, et al. Arthritis Rheum. 2013;65:1-11.2)Grayson PC, et al. Ann Rheum Dis. 2012;71:1329-1334.3)Maksimowicz-Mckinnon k,et al. Medicine. 2009;88:221-226.4)Luqmani R. Curr Opin Cardiol. 2012;27:578-584.5)Kermani TA, et al. Curr Opin Rheumatol. 2011;23:38-42.

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事例67 クリンダマイシンリン酸エステルゲル(商品名:ダラシンTゲル)の査定【斬らレセプト】

解説事例では、ニキビの腫れ、痛みで受診、鼻周囲膿瘍と鼻腔への浸出液がみられたため「毛包炎」と診断、クリンダマイシン酸エステルゲル(ダラシンTゲル®)を処方したところ、C事由(医学的理由による不適当)として査定となった。その理由を調べてほしいと連絡があった。使用されたクリンダマイシン酸エステルゲル(ダラシンTゲル®)の添付文書をみてみる。抗菌薬に分類され、適応菌種は「クリンダマイシンに感性のブドウ球菌属、アクネ菌」に限定されている。適応疾患は「ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)」のみであった。毛包炎に適応はなかった。医師は「毛包炎とざ瘡は同じような疾患であって、事例の場合は薬剤が著効した」と説明した。しかし、レセプトの実日数は1日であり、細菌検査のコメントもなく、医師の説明を読み取るすべがない。その旨を説明し、適応疾患のない薬剤投与は原則として査定されるので、添付文書を意識した投与をお願いした。

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結節性硬化症の白斑、mTOR阻害薬の有効性を確認

 結節性硬化症(TSC)の白斑病変に対する、局所ラパマイシン(mTOR阻害薬、別名:シロリムス)治療の有効性と安全性が確認された。大阪大学医学部皮膚科 講師/医局長の金田 眞理氏らが患者6例について行った前向きベースライン対照試験の結果、報告した。著者はその改善機序として、「今回示された効果は、TSCメラニン形成細胞におけるメラニン形成障害の改善によりもたらされることを強く支持するものであった」と述べている。これまでTSC患者の、腫瘍に対する哺乳類ラパマイシン標的蛋白質複合体1(mTORC1)の効果については多くの検討が行われてきたが、白斑への効果については不明であった。JAMA Dermatology誌2015年7月号の掲載報告。 研究グループは、TSC白斑に対する局所ラパマイシンの有効性について、客観的に評価し、またラパマイシンによる白斑の改善機序を明らかにする検討を行った。 対象は、2011年8月4日~2012年9月27日に大阪大学医学部皮膚科で、太陽光の曝露、非曝露を問わずTSC患者で白斑が認められた6例であった。1日2回、12週にわたってラパマイシンゲル0.2%を病変部に塗布。治療開始時と終了時にそれぞれ組織学的検査と血液検査を行い、また完了時に血中ラパマイシン値を分析した。 TSC白斑に対するラパマイシン治療の客観的評価を、分光測色計によるδ-L(Lは色の明るさを示す)で行った。評価は、治療開始時と終了時(12週)、終了後4週(16週)および12週(24週)に行った。 主な結果は以下のとおり。・白斑の改善(δ-Lで評価)は、有意に認められた。12週時点(平均[SD]:2.501[1.694]、p<0.05)、16週時点(1.956[1.567]、p<0.01)、24週時点(1.836[1.638]、p<0.001)であった。・効果は、太陽光曝露群で顕著に認められたように思われたが、非曝露群と比較して有意な差(δ-Lで評価)は観察されなかった。12週時点(平均[SD]:1.859[0.629]と3.142[2.221])、16週時点(1.372[0.660]と2.539[2.037])、24週時点(1.201[0.821]と2.471[2.064])。・有害事象はみられず、血中にラパマイシンが検出された患者は1例もなかった。・白斑の電子顕微鏡分析で、局所ラパマイシン治療がTSCメラニン形成細胞におけるメラノソーム数を均一とする有意な改善が認められた。治療前の斑平均値[SD]:25.71[21.90](範囲:5~63)、治療後:42.43[3.60](範囲:38~49)、p<0.001)。・さらにラパマイシン治療は、TSCメラニン形成ノックダウン細胞におけるメラノソームを、減少していた値(平均値[SD]:16.43[11.84])から正常値(42.83 [14.39]、p<0.001)へと有意な回復をもたらした。

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2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは

 統合失調症患者に対する2つの持効性注射剤の有用性を評価するため、ドイツ・ハンブルク大学エッペンドルフメディカルセンターのDieter Naber氏らは直接比較試験を行った。アリピプラゾール400mg/月1回(AOM400)とパリペリドンパルミチン酸エステル月1回(PP)について、Heinrichs-Carpenter QOL評価尺度(QLS)、健康関連QOL、機能尺度を用いて検討した結果、AOM400はPPと比較し、健康関連QOLの優れた改善や良好な忍容性プロファイルにより、高い全般的有効性が示唆された。Schizophrenia research誌オンライン版2015年7月28日号の報告。 成人統合失調症患者(18~60歳)を対象に、経口薬からAOM400またはPP(筋肉内注射を4週間以上継続)への変更を行った。試験デザインは、28週間、無作為化、非劣性、オープンラベル、評価者盲検、直接比較にて実施した。主要評価項目は、混合モデルを用いた反復測定分析で評価した、QLS合計スコアの非劣性および優越性である。 主な結果は以下のとおり。・対象患者295例は、AOM400群(148例)、PP群(147例)に無作為に割り付けられ、それぞれ67.6%(100/148例)、56.5%(83/147例)が28週間の治療を完了した。・ベースラインから28週後のQLS合計スコアの変化における統計学的に有意な最小二乗平均値の差(4.67、95%CI:0.32~9.02、p=0.036)により、PP群に対するAOM400群の非劣性、ならびに優越性が認められた。・臨床全般印象・重症度尺度(CGI-S)スコアおよび治験責任医師による問診において、PP群に対するAOM400群の有意な改善が認められた。また、事前に定義したサブグループ解析では、35歳以下のAOM400群の患者において有意に良好な一貫したパターンが認められた。・治療継続期において治療下で発現した一般的な有害事象は、AOM400群と比較しPP群でより多く認められた。また、有害事象は継続中止の最も多い理由であった(PP群:19.7%[27/137例]、AOM400群:11.1%[16/144例])。・すべての理由による中止件数は、AOM400群で少なかった。関連医療ニュース アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大 初回エピソード統合失調症、LAIは経口薬より優る 経口抗精神病薬とLAI併用の実態調査  担当者へのご意見箱はこちら

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ハイリスク医療機器の臨床試験の質・量、市販前後で変化/JAMA

 米国FDAの市販前承認(PMA)を受け上市したハイリスク医療機器の臨床試験は、市販前と市販後では量・質ともに変化がみられ、承認後3~5年で市販後試験を完了していたのは約13%であったことなどが明らかにされた。イェール大学医学部のVinay K. Rathi氏らが、2010~2011年に承認されたハイリスク(生命補助・維持または不当なリスクをもたらしうる)医療機器について調べ、報告した。JAMA誌2015年8月11日号掲載の報告より。2010~2011年にPMAで上市したハイリスク医療機器を評価 研究グループは、製品ライフサイクルにおける、ハイリスク医療機器の臨床エビデンス生成の特徴を明らかにする検討を行った。2014年10月時点でClinicalTrials.govを検索して、2010~2011年にPMAで上市したハイリスク医療機器のすべての臨床試験を特定し、FDA文書についても可能な限り入手した。 試験をタイプ別(FDA承認のための試験[市販前試験重視]、FDAが要請した市販後臨床試験[PAS]、メーカー/研究者主導型)、市販前または市販後試験それぞれの状況(完了、進行中、中止/不明)、試験デザイン(試験の登録、比較対照、主要有効性エンドポイントの追跡期間など)で特徴付けて評価した。試験の質・量が市販前と市販後で変化 2010~2011年にPMAで上市したハイリスク医療機器は28個あり、それらに関する286件の臨床試験を特定した。そのうち市販前試験が82件(28.7%)、市販後試験は204件(71.3%)であった。 全試験286件をタイプ別に分類すると、市販前試験非重視タイプは52件(18.2%)、市販前試験重視は30件(10.5%)、PASが33件(11.5%)、FDA非要請PAS(メーカー/研究者主導型市販後試験)は171件(59.8%)であった。 試験状況は、PASを要請されていた33件のうち完了は6件(18.2%)、メーカー/研究者主導型市販後試験171件のうち完了は20件(11.7%)であった。 また、市販後調査が特定できなかった装置は5個(17.9%)、3件以下であった装置は13個(46.4%)あった。 被験者登録中央値は、市販前試験非重視タイプの試験で65例(四分位範囲[IQR]:25~111)、市販前試験重視タイプで241例(147~415)、PASでは222例(119~640)、メーカー/研究者主導型市販後試験タイプは250例(60~800)であった。 全試験のうち約半分が比較対照を設定していなかった。市販前試験重視タイプで13/30件(43.3%)、市販後試験完了タイプ16/26件(61.5%)、市販後試験継続中タイプ70/153例(45.8%)であった。 主要有効性エンドポイント追跡期間中央値は、市販前試験重視タイプで3.0ヵ月(IQR:3.0~12.0)、市販後試験完了タイプ9.0ヵ月(0.3~12.0)、市販後試験継続中タイプは12.0ヵ月(7.0~24.0)であった。 なお、市販前試験非重視タイプ52件を除外した209件で試験の特徴付けを行った場合、市販前試験重視タイプの試験は30件(14.4%)、市販後試験完了タイプは26件(12.4%)、市販後試験進行中タイプは153件(73.2%)であった。 著者は、「ハイリスク医療機器の安全性や有効性を明らかにする臨床エビデンスの生成は、主として市販前に試験されていた状況から、製品ライフサイクルを通しての継続的な試験にシフトしている」と述べている。

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早期乳がんにおける術後補助療法としてのビスホスホネート:無作為化試験からの個々のデータのメタ分析(解説:矢形 寛 氏)-402

 ビスホスホネートは、転移抑制、とくに骨転移の予防に効果を示す可能性が指摘されているが、臨床試験によって結果が一定していない。しかし、サブセット解析では、閉経後または高齢女性に対してはベネフィットが示唆されている。そこで、術後補助療法としてのビスホスホネートのリスクとベネフィットを明らかにするため、Early Breast Cancer Trialists’Collaborative Group(EBCTCG)のグループによってメタ分析が行われた。主要評価項目は、再発、遠隔再発と乳がん死である。主要サブグループ調査項目は、遠隔転移部位(骨とそれ以外)、閉経状態(閉経後[自然および人工]とそれ以外)、ビスホスホネートのクラス(アミノ基を含有するもの[ゾレドロン酸、イバンドロン酸、パミドロン酸]とそれ以外[クロドロン酸])である。 26試験の参加女性1万8,766例のうち、2~5年のビスホスホネートの試験1万8,206例(97%)のデータが得られ、中央観察期間(5.6年)で3,453例の初回再発と、その後の2,106例の死亡が確認された。全体として、再発減少は(RR 0.94、95%[CI]:0.87~1.01、2p=0.08)、遠隔再発は(0.92、0.85~0.99、2p=0.03)、乳がん死は(0.91、0.83~0.99、2p=0.04)と、わずかに有意差が認められたのみであったが、骨転移の減少は明らかであった(0.83、0.73~0.94、2p=0.004)。 閉経前ではいずれも治療効果が認められなかったが、閉経後女性(1万1,767例)では、再発(RR 0.86、95%[CI]:0.78~0.94、2p=0.002)、遠隔再発(0.82、0.74~0.92、2p=0.0003)、骨転移(0.72、0.60~0.86、2p=0.0002)、乳がん死(0.82、0.73~0.93、2p=0.002)ともに大きな減少効果が認められた。絶対的な効果の違い(10年)は、骨転移2.2%、乳がん死3.3%である。 年齢でみると、45歳未満では効果がなく、55歳以上では明らかに有効であった。閉経状態と年齢による差は類似しており、どちらがより有意かは明らかにできなかった。ビスホスホネートのクラス、治療のスケジュール(治療の強度や期間)、エストロゲン受容体の状態、リンパ節、腫瘍グレード、化学療法の併用による効果の違いはなかった。乳がん以外のがん死は有意差が認められなかった。骨折の情報は1万3,341例(71%)からのみ得られ、5年の骨折リスクは6.3%から5.1%にわずかに減少した(RR 0.85、95%[CI]:0.75~0.97、2p=0.02)。最も効果がみられたのは2~4年の間であった。5年以降での効果はあまりないようであるが、情報が不完全であるためかもしれない。対側乳がんの発生率は疫学データとは異なり、無作為化試験では有意差がみられなかった。 ビスホスホネートは、治療開始時に閉経後(自然閉経と人工閉経)であった女性にのみ、転移抑制効果と乳がん死の抑制に明らかな効果が認められることが示された。今までも複数のメタ分析の報告がみられ、結果がまちまちであったが、本研究は最も信頼性の高いものと思われる。まず、ビスホスホネート開始時に閉経後であることが重要である。次に、乳がんの進行度やサブグループには関係なく、効果は一定であることから、再発リスクの低い乳がんではビスホスホネートの効果はきわめて小さく、逆にリスクの高い乳がんでは、それだけ絶対的な有効性が高まるであろう。さらに、顎骨壊死などの有害事象は、より強力なビスホスホネートの使い方で頻度が上がるため、内服治療や6ヵ月ごとのゾレドロン酸投与が推奨され、期間もやみくもに長く行われるべきではない。ビスホスホネートのレジメンによる違いについては、今後進行中の試験によって、より明確になってくるであろう(SWOG0307、SUCCESS、HOBOE-premenopausal、TEAM-IIb)。

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わかる統計教室 第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比 セクション1

インデックスページへ戻る第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比皆さんは、以下のような調査データをみたとき、この調査の結果をどのように解釈していますか。シリーズ第2回では、ある状況下に置かれた人と置かれなかった人で、ある疾患と診断されるリスク比(相対危険度)と、リスク比とよく似た指標として用いられるオッズ比を取り上げます。リスク比、オッズ比とは何か、そしてその違いは何か、さらに有意差の算出方法をマスターし、データを正しく理解することを目標に、5つのセクションに分けて学習します。セクション1 分割表とリスク比■分割表を作るリスク比やオッズ比、そして有意差を算出するには、分割表を作成するところから始まります。今回も、「簡単」な事例で覚えていきましょう。それがマスターへの近道です。下表1は、10例の患者について、「不整脈の有無」「喫煙の有無」を調べたものです。データは、「喫煙」を1、「非喫煙」を0、不整脈が「ある」を1、「ない」を0としています。この表1から、不整脈について喫煙者と非喫煙者を比較したとき、両者に差があるかどうかを明らかにしてみましょう。この表1をただ眺めていても傾向がわからないので、まずは、このデータを喫煙の有無別、不整脈の有無別に並べ替えてみましょう。次に、この表2から何がわかるのかを考えてみましょう。まず喫煙者が5例、そのうち不整脈があるのは3例です。そして、非喫煙者は5例、そのうち不整脈があるのは1例です。次に、喫煙者の有無別に、不整脈のある割合を計算してみましょう。喫煙者における不整脈のある割合は3÷5で60%、非喫煙者における不整脈のある割合は1÷5で20%です。すると、不整脈のある割合は、喫煙者が60%、非喫煙者が20%で、喫煙者のほうが40%高いことがわかります。このことから、「喫煙者と非喫煙者を比較したとき、不整脈において差があるといえる」ということがわかるのです。ただし「差がある」かどうかは、有意差検定をする必要がありますが、それはこれからの話にしておきましょう。■分割表では左側に原因(喫煙など)、上側に結果(不整脈など)を書く!それでは、先ほど集計した結果を表にしてみてみましょう。下の表3のような表を分割表(contingency table)といいます。分割表を作成するときに大事なのは、行と列に入れる項目です。表3では、表の行(左側)に喫煙の有無、列(上側)に不整脈の有無としていますが、行と列を入れ替えて、表の行(左側)に不整脈の有無、列(上側)に喫煙の有無にすると表4になります。実は、この表4はダメな分割表です。なぜダメなのでしょう。因果関係を考える場合、原因と結果があります。原因と結果の関係を調べるために分割表を作る場合、行(左側)に原因、列(上側)に結果の項目を置くというルールがあります。この例では、最初の表3が正しい分割表ですので、注意してください!■リスク比とは?しっかり理解してほしい点は、この表3の「ある」を横計で割って得られた「割合」がリスクだということです。リスクとは、そのままの意味で「危険」や「恐れ」ということです。今回のケースでの“リスク”は、不整脈になる“危険”や“恐れ”が喫煙の有無によって、どの程度あるのかがわかる、ということです。では、リスクを喫煙者、非喫煙者でそれぞれ計算してみましょう。喫煙者が不整脈となるリスクは3÷5で60%、同様に非喫煙者が不整脈となるリスクは20%です。次に、リスクの差を計算してみましょう。60%-20%で40%なので、「リスクは喫煙者が非喫煙者を40%上回っている」ということがわかります。今度は、喫煙者のリスクを非喫煙者のリスクで割ってみましょう。60%÷20%で3になります。この値が「リスク比(Risk Ratio)」です。このようにリスク比は、とても簡単に求められますが、大切なことはリスク比の求め方ではなく、その解釈の仕方です。この例では、リスク比3ということから、「喫煙者が不整脈となるリスク(割合)は非喫煙者に比べ3倍である」と解釈できるということです。次回は、同じく簡単な事例を基に、間違った解釈をされることの多い「オッズ比」について解説します。今回のポイント1)分割表は左側に原因(喫煙など)、上側に結果(不整脈など)を書く!2)リスク比で大切なことは、その解釈の仕方!インデックスページへ戻る

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104)脱水予防は、「水」か「お茶」で!【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師この新しい薬(SGLT2阻害薬)の副作用として、膀胱炎など尿路感染症になるリスクが高まることが報告されています。患者他にはどんな副作用がありますか?医師糖分とともに水分も身体から出ていきます。つまり、脱水予防が大切です。とくに、薬を飲み始めてから最初の1ヵ月間は、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まることも報告されていますので、水分を積極的に摂取するように注意してください。患者はい。水分なら、何でもいいですか?医師いいえ。糖分が入っているコーラ、ジュース、砂糖入りの缶コーヒーやスポーツドリンクは控えてください。患者血糖値も上がりますしね。医師そうです。それに、ナトリウムを含んでいるダイエット飲料ではなく、できればお茶か水にしてください。患者はい。わかりました。●ポイントSGLT2阻害薬投与時には、脱水予防のためにお茶か水を積極的に摂取することを上手に説明します※お茶については、緑茶や紅茶以外のカフェインのないものを選ぶようにしましょう。1)Chao EC, et al. Nat Rev Drug Discov. 2010; 9: 551-559.

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コーヒー4杯/日以上で結腸がんの再発が減少?

 座りがちな生活や肥満、食事による糖負荷増大などの相対的インスリン過剰状態では、結腸がんの再発が増加することが観察研究で示されている。一方、コーヒーの高摂取が、2型糖尿病リスクの減少とインスリン感受性の増大と関連しているが、結腸がんの再発と生存率に対するコーヒーの影響は不明である。米国・ハーバード大学のBrendan J. Guercio氏らは、コーヒー摂取量とステージIII結腸がん患者の再発および死亡との関連を検討し、コーヒーの高摂取が結腸がんの再発や死亡の減少に関連する可能性を報告した。Journal of clinical oncology誌オンライン版2015 年8月17日号に掲載。 著者らは、ステージIII結腸がん953例について、術後化学療法中および終了後6ヵ月間におけるカフェイン入りコーヒー、カフェイン抜きコーヒー、ハーブティー以外の紅茶、その他128種類の摂取量を前向きに調査した。がんの再発率や死亡率におけるコーヒー、ハーブティー以外の紅茶、カフェインの影響についてCox比例ハザード回帰を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。・コーヒー(カフェイン入りおよびカフェイン抜き)を4杯/日以上を摂取する患者の結腸がん再発または死亡の調整ハザード比(HR)は、まったく飲まない患者に比べ、0.58(95%CI:0.34~0.99)であった(傾向のp=0.002)。・カフェイン入りコーヒーを4杯/日以上摂取する患者では、がんの再発または死亡リスクがまったく飲まない人と比べて有意に減少し(HR:0.48、95%CI:0.25~0.91、傾向のp=0.002)、カフェイン摂取量の増加もがんの再発または死亡を有意に減少させた(HR:5分位の両端で0.66、95%CI:0.47~0.93、傾向のp=0.006)。・ハーブティー以外の紅茶とカフェイン抜きコーヒーの摂取量は患者の転帰と関連していなかった。・コーヒー摂取量と転帰改善の関連は、他の再発や死亡の予測因子を通じて一貫しているようにみえる。

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双極性障害の自殺予防、どうすべきか

 双極性障害は自殺企図および自殺死リスクの増加と関連している。国際双極性障害学会(ISBD)では、双極性障害における自殺企図・自殺死に関する疫学、神経生物学および薬物治療に関して現存の文献を検討し、タスクフォース報告書としてまとめた。その中で筆頭著者のカナダ・トロント大学のAyal Schaffer氏らは、推定自殺率が過去の報告よりも低かったことを報告した。そのほか、最も多い自殺の方法や全体的なリスクなどを明らかにしたうえで、「こうした理解が、双極性障害における自殺予防に対する認識の高まりや、より有効な治療法の開発につながる」と述べ、「リスク低減や治療進展のために、遺伝学的知見の再現研究や治療オプションの、より信頼できる前向きデータが必要である」と指摘している。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年7月16日号の掲載報告。 著者らは、1980年1月1日~2014年5月30日までの双極性障害患者における自殺企図または自殺死に関する論文を対象に、システマティックレビューを行った。対象とした研究は、双極性障害における自殺企図または自殺死の発生率、特徴、遺伝学的/非遺伝学的生物研究、双極性障害に特化した薬物療法の論文などで、自殺率について加重統合解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害における統合自殺率は、164/10万人年(95%信頼区間 :5~324)であった。・性別に特化した自殺率データにより、男女比は1.7対1と算出された。・双極性障害患者は全自殺の3.4~14%を占めていた。方法としては服薬自殺、首つり自殺が最も多かった。・疫学研究の報告によると、双極性障害患者の23~26%に自殺企図が認められ、臨床サンプルにおいてより高率であった。・双極性障害では自殺企図および自殺死における遺伝学的関連が多く認められるが、それを再現する研究はほとんど行われていなかった。・リチウムあるいは抗けいれん薬を用いた治療データにより、自殺企図および自殺死の予防効果が強く示唆された。ただし、自殺に対する相対的な効果の確定にはさらなるデータが必要である。・抗精神病薬あるいは抗うつ薬を用いた治療の、自殺予防効果の可能性に関するデータは限定的なものであった。関連医療ニュース 双極性障害の自殺、どの程度わかっているのか 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か  担当者へのご意見箱はこちら

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Stage IIIA/N2のNSCLC、術前化学放射線療法は有用か/Lancet

 Stage IIIA/N2の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療では、術前の化学療法に放射線療法を併用しても、さらなるベネフィットは得られないことが、スイス・Kantonsspital WinterthurのMiklos Pless氏らSAKK Lung Cancer Project Groupの検討で示された。局所進行Stage III病変は治癒の達成が可能な最も進行したNSCLCであるが、最終的に患者の60%以上ががんで死亡する。Stage IIIA/N2の標準治療は同時併用化学放射線療法と手術+化学療法で、後者については術後または術前化学療法+手術が、手術単独よりも生存期間において優れることが示されているが、術前化学放射線療法+手術の第III相試験はこれまで行われていなかった。Lancet誌オンライン版2015年8月11日号掲載の報告より。術前放射線療法の逐次的追加の有用性を評価 研究グループは、術前放射線療法の追加により局所病変の奏効率や完全切除率が改善することで、無イベント生存期間(EFS)が延長し、全生存期間(OS)の延長の可能性もあるとの仮説を立て、これを検証するために無作為化第III相試験を行った(Swiss State Secretariat for Education, Research and Innovation[SERI]などの助成による)。 対象は、年齢18~75歳、T1~3N2M0、Stage IIIA/N2の局所進行NSCLCであり、全身状態が良好(ECOG PS:0、1)で、主要臓器機能が正常な患者であった。 被験者は、術前化学療法(シスプラチン100mg/m2+ドセタキセル85mg/m2、3週ごと)を3サイクル施行後に、術前放射線療法(総線量44Gy、22分割、3週間)を行う群(化学放射線療法群)、または同一レジメンの術前化学療法のみを行う群(化学療法単独群)に無作為に割り付けられた。術前化学放射線療法群は終了後21~28日に、術前化学療法単独群は21日に手術が予定された。 主要評価項目はEFS(割り付け時から再発、進行、2次がん、死亡のうち最初のイベント発生までの期間)とし、intention-to-treat解析を行った。 2001~2012年までに、スイス、ドイツ、セルビアの23施設に232例が登録され、化学放射線療法群に117例(年齢中央値60.0歳、女性33%、PS0 71%、喫煙者91%)が、化学療法単独群には115例(59.0歳、33%、69%、96%)が割り付けられた。フォローアップ期間中央値は52.4ヵ月だった。 本試験は、3回目の中間解析(イベント発生数134件)の結果を踏まえ、独立データ監視委員会の勧告により無効中止となった。奏効率は優れたが、EFSとOSに差なし 化学療法の完遂率は、化学放射線療法群が92%(108/117例)、化学療法単独群は90%(103/115例)であり、比較的高かった。化学放射線療法群の16%(19/117例)が放射線療法を開始できなかったが、予定線量の完遂率は96%(94/98例)だった。 化学療法を受けた患者では毒性作用が高頻度にみられ、Grade 3/4の発現率は化学放射線療法群が45%(49/110例)、化学療法単独群は60%(73/121例)であった。しかし、治療関連有害事象で化学療法が永続的に中止となった患者はそれぞれ4%(5/117例)、6%(7/115例)のみであった。放射線誘発性のGrade 3の嚥下障害が7%(7/98例)に認められた。 抗腫瘍効果は、化学放射線療法群で完全奏効(CR)が4例(3%)、部分奏効(PR)が67例(57%)にみられ、客観的奏効率は61%であったのに対し、化学療法単独群ではCRが2例(2%)、PRが48例(42%)で客観的奏効率は44%であり、両群間に有意な差が認められた(p=0.012)。 手術は、化学放射線療法群が85%(99/117例)、化学療法単独群は82%(94/115例)で行われた。完全切除率は両群間に有意な差はなく(p=0.06)、病理学的完全奏効(16 vs. 12%)やリンパ節転移のdownstaging(N2からN1/N0へ)(64 vs. 53%)も同等であった。術後30日以内に、化学療法単独群の3例が死亡した。 EFS中央値は、化学放射線療法群が12.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.7~22.9)、化学療法単独群は11.6ヵ月(95%CI:8.4~15.2)であり、両群間に差を認めなかった(ハザード比[HR]:1.1、95%CI:0.8~1.4、p=0.67)。また、OS中央値も、化学放射線療法群が37.1ヵ月(95%CI:22.6~50.0)、化学療法単独群は26.2ヵ月(95%CI:19.9~52.1)と、両群間に差はなかった(HR:1.0、95%CI:0.7~1.4)。 著者は、「Stage IIIA/N2 NSCLCに対する術前化学療法+手術はきわめて良好な予後をもたらし、術前放射線療法を追加してもそれ以上のベネフィットは得られなかった」とまとめ、「これまでの知見も考慮すると、放射線療法と手術のいずれか1つの局所治療と化学療法の組み合わせは、Stage IIIA/N2 NSCLCの患者に施行可能であり、標準治療とみなすべきと考えられる」と指摘している。

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周術期の音楽が術後の疼痛・不安を軽減/Lancet

 成人患者の手術後の疼痛や不安感の軽減を支援する手段として、音楽が有効であることが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のJenny Hole氏らの検討で明らかとなった。医療における音楽の使用の歴史は長く、19世紀半ばにはフローレンス・ナイチンゲールが入院患者の回復を目的に導入しており、周術期の患者支援としては1914年にEvan Kane氏が初めて報告した。音楽は、施行が簡便で失敗がほとんどなく、非侵襲的で安全かつ安価な介入法であるが、その有用性についてはこれまでに包括的なレビューがいくつかあるものの、メタ解析は行われていないという。Lancet誌2015年8月12日号掲載の報告。種々の対照と比較した73件の無作為化試験を解析 研究グループは、術後の回復における音楽の有効性を検討した無作為化対照比較試験の論文を系統的にレビューし、メタ解析を行った(研究助成なし)。 対象は、手術を受けた成人患者の術後の回復に関して、周術期の音楽による介入と、標準的なケアまたは薬物以外の介入(マッサージ、安静、リラクゼーションなど)を比較した試験とした。中枢神経系や頭頸部の手術は除外し(聴覚障害の可能性があるため)、英語以外の論文も可とした。 関連文献の検索には4つの医学関連データベースを用いた。2人の研究者が試験の適格性を評価し、別個にデータの抽出を行った。メタ解析にはReview Manager(version 5.2)を用いた。ランダム効果モデルで参加者や介入法の異質性を調整し、アウトカムの測定法の違いを調整するために標準化平均差(SMD)を算出した。 質的な統合解析は日本の試験を含む73試験で行われ、メタ解析はこのうち72試験で実施された。各試験の参加者は20~458例までの幅があり、手術手技は内視鏡による小手術から移植手術までさまざまで、ほとんどが待機的手術の試験であった。全身麻酔下でも有効、患者満足度が向上、施設で工夫も可 選曲は患者または研究者が行っていた。患者だけが聴く場合はヘッドホンや音楽枕(音楽の再生機能がある枕)を使用し、医療者も聴けるようにスピーカーを用いた試験もあった。介入時期は術前、術中、術後のほか、これらを組み合わせた試験もあった。 介入は覚醒下または麻酔下に行われ、音楽の再生時間は数分のものから一定時間を数日間にわたり繰り返す場合もあった。比較対照はさまざまで、通常のケアのほか、無音のヘッドホン装着、ホワイトノイズ、平静な床上安静などが含まれた。 メタ解析の結果、音楽は対照に比べ、術後の疼痛(SMD:-0.77、95%信頼区間[CI]:-0.99~-0.56)、不安感(-0.68、-0.95~-0.41)、鎮痛薬の使用頻度(-0.37、-0.54~-0.20)を有意に改善した。 疼痛と鎮痛薬の使用は、患者自身が選んだ音楽のほうが、患者の選択ではない場合よりも良好で、不安はむしろ患者が選んでいない音楽ほうが良好な傾向がみられたが、これらの差はいずれも小さかった。 また、音楽による介入の時期は、疼痛、不安、鎮痛薬の使用のいずれにおいても、術前が最も効果が高く、次いで術中、術後の順であったが、これらも差は大きくなかった。 一方、術中の音楽が患者の回復に及ぼす効果は、全身麻酔を用いない場合(疼痛:-1.05、-1.45~-0.64、不安感:-0.91、-1.33~-0.48、鎮痛薬の使用:-0.58、-1.05~-0.11)のほうが、全身麻酔を行った場合(-0.49、-0.74~-0.25、-0.48、-0.91~-0.05、-0.26、-0.44~-0.07)よりも優れたが、全身麻酔下の改善効果も対照に比べ有意に良好だった。 さらに、音楽は、対照に比べ患者満足度を有意に向上させた(1.09、0.51~1.68)。入院期間には差を認めなかった(-0.11、-0.35~0.12)が、入院期間の評価を行った試験は少なかった。また、音楽による介入が感染症や創傷治癒、医療費に及ぼす影響を評価した試験はなかった。 著者は、「音楽は術後の疼痛や不安感からの回復に有効であり、介入の時期や方法は個々の施設や医療チームの状況に合わせて変えてよいと考えられる」とまとめ、「実際に臨床の現場に導入するには、著作権や知的財産の問題などの障壁があり調査を要するが、個別の手術では患者向けの情報冊子や施設のガイドラインで患者に音楽を聴くよう薦めてよいと考えられる」と指摘している。

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骨粗鬆症の検査は何歳がベスト

検査は、いつ受ければいいですか?【骨粗鬆症】女性は50歳を過ぎたら、男性は70歳を過ぎたら、総合病院や整形外科クリニックで、骨密度検査を受けましょう!また、女性は、自治体の節目検診を上手に利用しましょう!!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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Vol. 4 No. 1 HFpEF駆出率の保たれた心不全に対する診断と治療を考える

山本 一博 氏鳥取大学医学部病態情報内科HFpEFとは左室駆出率が保持された心不全(HFpEF:heart failure with preserved ejection fraction)という概念が定着してきたのはこの10年程度と日が浅く、いまだ全容は明らかとなっていない。疫学調査の結果から明らかにされている特徴は、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF:heart failure with reduced ejection fraction)と比較して高齢者と女性の占める割合が高いことである。地域住民を対象とした調査のなかで心不全患者のEFの分布をみると二峰性を示し、2つの峰の間にある“谷”に当たる位置のEFの値は、HFrEFとHFpEFを臨床的に分けているEFのカットオフポイントにあたる1)。このような結果をみるとHFrEFとHFpEFは異なる病態として扱うべきと考えられる。HFpEFの診断HFpEF診断の基本は心不全であることの臨床診断左室駆出率が保持されているが、左室拡張機能障害が認められるである。1. 心不全の臨床診断心不全に伴う自覚症状や他覚所見には、心不全に特異的なものがない。現在のところ血中Bタイプナトリウム利尿ペプチド(BNPないしNT-proBNP)の濃度が上昇している場合は、心不全に基づく症状や所見の可能性が高いと判断することになる。この基準値であるが、BNPでは100pg/mL、NT-proBNPであれば400pg/mLが目安になると思われる。2. 左室流入血流速波形を用いた拡張機能評価に関する誤解以前より左室流入血流速波形が拡張機能の指標として用いられてきたが、ここに大きな認識の誤りがある。左室駆出率が低下している症例においてE/Aは左室充満圧と正比例しE波の減衰時間(DT)は左室充満圧と負の相関を示すことから2)、拡張機能障害のために二次的に生じている左室充満圧上昇の検出を通じて間接的に左室拡張機能障害の評価に左室流入血流速波形は用いうる。一方、HFpEFのように左室駆出率が保持されている症例では、E/AやDTは左室充満圧と相関しない2)。つまり、左室流入血流速波形をワンポイントで計測しても、拡張機能障害のために二次的に起きてくる左室充満圧上昇の有無を判断することは不可能である。では、左室流入血流速波形のみを用いて直接的に拡張機能を評価できるか? 答えは「NO」である。E/Aの低下は拡張機能障害を表すかのようにいわれているが、これを裏づけるデータはほとんどない。1980年代にKitabatakeらが心疾患患者においてE/Aの低下やDTの延長が認められることを報告し3)、その後、左室拡張機能障害、特に弛緩障害が起きるとE/Aが低下しDTが短縮するという研究結果が報告されたこともあり、E/Aの低下とDTの延長を認めれば左室弛緩障害を有していると判断できると信じ込まれてきた。確かに左室弛緩障害が起きるとE/Aは低下しDTは延長するとはいえるが、E/Aが低下しDTが延長していれば弛緩障害が存在するとはいえない。これまでに行われてきた多くの臨床研究の結果をみると、E/Aと左室弛緩評価のゴールドスタンダードである時定数Tauとの間には相関を認めないとする報告がほとんどである。最近わが国で集められた臨床データをみても、E/Aが低下している症例であってもTauは異常値ではない症例が少なくないことが示されている4)。3. 左室駆出率が保持された患者における拡張機能評価これについては、確立した指標がない。現段階で受け入れられている、左室充満圧上昇の検出に用いうる指標としてパルスドプラ法で記録する左室流入血流速波形のE波と、組織ドプラ法で記録する急速流入期の僧帽弁輪部運動のピーク速度e’の比(E/e’)の上昇肺静脈血流速波形および左室流入血流速波形の心房収縮期波の幅の差の増加左房径/容積の増加E波とe’波の開始時間の差であるTE-e’、連続波ドプラにおいて左室流入血流速波形と左室流出路波形を同時記録して求める等容性弛緩時間IVRTの比(IVRT/TE-e’)の低下Valsalva法により急速前負荷軽減を行った際のE/Aの過大な低下などが挙げられるが、いずれの指標も単独で用いうるほどの信頼性はない。また、心エコー図検査は安静時にデータ収集を行っているので、これらを用いて診断できるのは病期がある程度進行し安静時から左房圧が上昇している患者のみである。安静時に左房圧は上昇しておらず、労作時に拡張機能障害により急激な左房圧上昇を来すために運動耐容能が低下している患者も少なくなく(図1)、このような患者を診断するには左室拡張機能(主に左室弛緩とスティフネス)を直接的に評価する必要がある。図1 労作時の左室拡張末期容積および拡張末期圧の変化のシェーマ画像を拡大する左室弛緩を直接的に評価しうる指標としてe’が挙げられる。e’は左室弛緩障害により減高し、簡便に記録できるので臨床的にも有用性が高い。また、弛緩障害はe’波の開始を遅らせるため、E波の開始とe’波の開始の時間差であるTE-e’もTauと相関すると報告されている。左房容積は左房圧と相関をするので、純粋に拡張機能だけを反映しているとはいえないが、左室拡張機能障害による慢性的な左房負荷を反映して左房が拡大することから、拡張機能評価における左房容積は糖尿病評価におけるHbA1cのような位置づけにあるとも考えられている5)。American Society of Echocardiographyから出されているガイドラインにおいて、拡張機能障害の有無を検出するfirst lineの指標として用いられているのはe’と左房容積である6)。一方、HFpEF発症には左室弛緩障害以上に左室スティフネス亢進が寄与しており、その評価が重要であると考えているが、確立した非侵襲的評価法がない。われわれは拡張期の左室壁心外膜面の動きに着目した7)。線形弾性理論に基づくと、“やわらかい”物質と“硬い”物質に圧を加えた場合、圧を加えた面の反対面の動きが前者に比べ後者では大となる。この法則を左室自由壁の拡張期の動きに当てはめ(図2)、かつ簡便化した定量的指標がであり、心筋スティフネス係数と有意な負の相関関係にある。DWS低値は糖尿病患者においてHFpEF発症の独立した危険因子であること8)、HFpEF患者においてDWSは、年齢、性、E/e’、左室駆出率、左室重量係数、肺動脈圧、血中BNP濃度とは独立した予後規定因子であることも明らかにした9)。ただし、まだ広く受け入れられている指標ではないので、今後の検討が必要である。間接的に左室拡張機能障害の存在を示唆する形態的な異常所見が左室肥大である。ただし、HFpEF症例の60%では左室肥大は存在しないので、左室肥大が存在しないからといって拡張機能障害を否定することはできない。図2 「やわらかい」左室自由壁と「硬い」左室自由壁のM-モード画像を拡大するHFpEFの治療基礎疾患として高血圧を有する患者では血圧コントロールが必須である。虚血性心疾患患者では、虚血が自覚症状の原因と判断されれば血行再建を行う。心房細動で心室レートが過剰に亢進している場合には、これを抑える薬剤を用いる。このような基礎疾患に対する治療ないし対症療法を除き、HFpEFに特異的な治療として有効性が確立しているものは現段階ではない。1. 利尿薬HFpEFの自覚症状に体液貯留が関与している場合は、自覚症状軽減を目的として、つまり代表的な対症療法として利尿薬を用いる。利尿薬の選択については、わが国で実施したJ-MELODIC試験の結果を考慮すると、短時間作用型のフロセミドよりも長時間作用型のアゾセミドを選択するほうが好ましい10)。利尿薬は、現在認識されているように単に自覚症状を軽減することだけを目的として使用する薬剤なのか否かを検討する余地がある。心不全入院歴がなく、かつ心不全症状を認めない患者において利尿薬を中断すると、1年以内に再開せざるをえなくなる患者が少なくない11)。われわれの検討において、HFpEF患者を多く含むクリニカルシナリオ1の病態を呈する急性心不全は冬季発症が多く(本誌p.17図を参照)、冬季に発症が増える危険因子はループ利尿薬を服用していないことであるという結果が導かれた12)。心不全増悪のほとんどは心拍出量の低下ではなくうっ血によるものであり、その原因となる左室充満圧上昇はある程度進行しなければ臨床所見として捉えることができない13)。したがって、現在のように症状を基準として利尿薬の投与を中止した場合、まだ左室充満圧が上昇している状況、つまり心不全発症リスクが十分に低下していない状況での利尿薬中止に至る。心不全の増悪を繰り返すことが、結果的に病態の悪化を招くことは広く知られているところであり、このような病態の“揺れ”を招かない心不全コントロールを行うには、安易な利尿薬の中止は避けるべきかもしれない。2. レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の阻害これまでの介入試験の結果に基づき、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の阻害はHFpEFには有効性が期待できないと結論づけられているが、果たしてその結論を安易に受け入れてよいものであろうか?アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)はHFpEFに対して無効であるという結果を提示したI-PRESERVE試験のサブ解析は、投与開始前のNT-proBNP値が低い患者ではARBは有用であることを示唆している14)。I-PRESERVE試験より軽症の患者を多く含むCHARM-Preserved試験では、ARBは心不全悪化による入院リスクを有意に低下させている15)。PEP-CHF試験では追跡1年経過後に多くの症例が割付治療から逸脱していたため90%の症例が割付治療を行っていた割付後1年目の時点での解析を行うと、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)投与群で1次エンドポイント発生率は低下傾向を認め、心不全入院は有意に減少し、NYHA心不全機能分類および6分間歩行も有意に改善した16)。さらに最近発表された大規模観察研究では、ACEIないしARBの服用はHFpEFの予後改善に結びつくとの結果が示されている17)。アルドステロンの作用を抑制するミネラロコルチコイド受容体拮抗薬のHFpEFにおける有用性を検討したTOPCAT試験は2014年に結果が発表された18)。スピロノラクトンは設定された1次エンドポイント(心血管死、突然死、心不全入院)の低下をもたらさなかったが、心不全入院は有意に減少させている。TOPCAT試験の対象患者もNYHAⅡ度の比較的軽症の患者が多い。以上の介入試験の主論文の結論からは、ARB、ACEI、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬はHFpEFに無効という意見が導かれるが、日常診療においてHFpEF患者の抱える大きな問題の1つが高い再入院率であることなども念頭においたうえでこのようなサブ解析の結果を眺めると、これらの薬剤に効果を期待できる患者群が存在すると推察すべきではないかと考える。3. β遮断薬HFrEF治療で有用性が確立しているβ遮断薬のHFpEFにおける効果を検討した介入試験はほとんど行われていなかったが、わが国で実施したJ-DHF試験の結果を2013年に発表した。カルベジロール投与群と非投与群の比較ではイベント発生率に差異を認めなかったが、カルベジロール群をカルベジロール投与量中間値の7.5mg/日で分けて検討したところ、7.5mg/日より大の投与群では心血管死ないし心血管系の原因による入院という複合エンドポイント発生率を有意に低下させていた(本誌p.18図を参照)19)。この結論はDobreらの観察研究から導かれた結論とも一致しており20)、現在進行中のβ-PRESERVE試験の結果が待たれる。4. 非心臓因子に着目した薬物治療HFpEFの重症化には非心臓因子も関与しており、その点に焦点をあてる治療法の有用性にも期待がかかる。しかしこれまでのところ、肺血管抵抗低下作用のあるphosphodiesterase-5阻害薬のシルデナフィル、貧血改善目的で使用されるエリスロポエチンには有用性が確認されなかった。おわりに以上、HFpEFの診断と治療について概説した。治療法については、ARBとneprilysin阻害薬の作用を有するLCZ696、イバブラジンなどの効果を検討する臨床試験が進行中であり、それらの結果に期待したい。文献1)Dunlay SM et al. 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