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ビタミンDによるうつ症状軽減の可能性は

 大うつ病性障害(MDD)患者に対する8週間のビタミンD投与は、プラセボと比較してうつ症状を改善し、インスリン抵抗性や酸化ストレスに対しても好影響を及ぼすことが、イラン・カシュハン医科大学のZahra Sepehrmanesh氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、報告された。ビタミンDについては、神経伝達物質、代謝プロファイル、炎症性バイオマーカーおよび酸化ストレスに有益な影響を及ぼし、うつ症状を軽減させる可能性が示唆されていた。The Journal of nutrition誌オンライン版2015年11月25日号掲載の報告。 研究グループは、MDD患者へのビタミンD投与が、うつ症状、代謝プロファイル、血清中高感度C反応性蛋白(hs-CRP)、酸化ストレスのバイオマーカーを減少させうるか否かを評価する、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を実施した。被験者は、DSM診断基準でMDDと診断された18~65歳の患者40例。ビタミンD 1カプセル(50kIU)/週群(20例)またはプラセボ群(20例)に無作為に割り付け、8週間投与した。 ベースラインと介入後に、空腹時血液サンプルを採取し、関連項目を測定した。主要アウトカムは、ベックうつ病評価尺度(BDI)で評価したうつ症状とした。副次的アウトカムは、グルコースホメオスタシス変数、脂質プロファイル、hs-CRP、酸化ストレスのバイオマーカーなどであった。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおいて、2群間の平均血清25-ヒドロキシビタミンD濃度は、有意な差が認められた(それぞれ9.2±6.0、13.6±7.9μg/L、p=0.02)。・介入8週後における血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の変化は、ビタミンD群(+20.4μg/L)のほうが、プラセボ群(-0.9μg/L)と比べて有意に大きかった(p<0.001)。・ビタミンD群はプラセボ群に比べ、BDIのより大幅な減少傾向が認められた(それぞれ-8.0、-3.3、p=0.06)。・ビタミンD群とプラセボ群の間で、血清インスリン変化(-3.6 vs.+2.9μIU/mL、p=0.02)、ホメオスタシスモデルで推定したインスリン抵抗性(-1.0 vs.+0.6、p=0.01)、同推定のβ細胞機能(-13.9 vs.+10.3、p=0.03)、血漿中総抗酸化能(+63.1 vs.-23.4mmol/L、p=0.04)、グルタチオン(+170 vs.-213μmol/L、p=0.04)について有意差が認められた。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news

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非浸潤性乳管がんでもアロマターゼ阻害薬は術後の選択肢に/Lancet

 非浸潤性乳管がん(DCIS)の閉経後女性における術後の再発予防では、アナストロゾールとタモキシフェンの効果に明確な差はなく、アナストロゾールは治療選択肢となりうることが、オーストラリア・ニューカッスル大学のJohn F Forbes氏らが行ったIBIS-II DCIS試験で示された。マンモグラフィ検診導入後の数十年間で、DCISの診断率は実質的に上昇しており、検診で検出される乳がんの約5分の1を占めるという。浸潤性乳がんの術後の再発予防では、第3世代アロマターゼ阻害薬はタモキシフェンよりも有効性が高いとされるが、DCISにおけるアナストロゾールの優越性は確証されていなかった。Lancet誌オンライン版2015年12月11日号掲載の報告。2剤の再発予防効果をプラセボ対照試験で比較 IBIS-II DCIS試験は、閉経後DCIS女性に対する術後の再発予防におけるアナストロゾールとタモキシフェンの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験(英国がん研究所などの助成による)。 対象は、年齢40~70歳、エストロゲンもしくはプロゲステロン受容体が陽性で、割り付け前の6ヵ月以内にDCISと診断され、乳房温存術を施行された閉経後女性であった。1mm以内の微小浸潤がんは許容された。 被験者は、アナストロゾール(1mg/日)+プラセボ、またはタモキシフェン(20mg/日)+プラセボを5年間経口投与する群に無作為に割り付けられた。放射線照射は各施設の基準に従って施行することとした。 主要評価項目は、DCISの再発、対側乳房の新規病変などを含むすべての再発とした。治療割り付け情報は統計解析者だけに知らされ、データを解析に含めることへの同意を取り消した患者を除く、全割り付け対象患者を解析の対象とする修正ITT解析が行われた。 2003年3月3日~12年2月8日に、14ヵ国236施設に2,980例が登録され、アナストロゾール群に1,449例、タモキシフェン群には1,489例が割り付けられた。NSABP B-35試験と一致する結果 年齢はアナストロゾール群が60.4歳、タモキシフェン群は60.3歳、BMIは両群とも26.7、初潮年齢は両群とも13.0歳、第1子出産年齢は両群とも24.0歳であった(いずれも中央値)。喫煙者はそれぞれ34%、33%で、ホルモン補充療法は47%、44%、子宮摘出術は21%、22%が受けており、放射線照射は両群とも71%に施行された。腫瘍径は両群とも13mmだった。 フォローアップ期間中央値は7.2年(四分位範囲:5.6~8.9)であり、この間に144例(アナストロゾール群:67例[5%]、タモキシフェン群:77例[5%])が再発した。 年間再発率は、アナストロゾール群が0.64%、タモキシフェン群は0.72%であった(ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.64~1.23、p=0.49)。アナストロゾール群はタモキシフェン群に対し非劣性であった(95%CIの上限値<1.25)が、優越性は認めなかった(p=0.49)。 Kaplan-Meier法による解析では、5年再発率はアナストロゾール群が2.5%、タモキシフェン群は3.0%、フォローアップ期間終了から10年後の再発率はそれぞれ6.6%、7.3%であった。 カットオフ日までに69例が死亡した(アナストロゾール群:33例、タモキシフェン群:36例)。死亡率に差はなく(HR:0.93、95%CI:0.58~1.50、p=0.78)、特定の死因の差も認めなかった。乳がん死は4例のみで、それぞれ1例、3例であった。 有害事象の発現率は、アナストロゾール群が91%(1,323例)、タモキシフェン群は93%(1,379例)であり、両群で類似していたが、副作用プロファイルには以下のような違いがみられた。 アナストロゾール群では、骨折(9 vs.7%、p=0.027)、筋骨格系イベント(64 vs.54%、p<0.0001)、脂質異常症(3 vs.1%、p<0.0001)、脳卒中(脳血管障害:1 vs.<1%、p=0.025、一過性脳虚血発作:1 vs.<1%、p=0.05)の頻度が高かった。 タモキシフェン群では、筋痙攣(2 vs.7%、p<0.0001)、婦人科がん(子宮内膜がん:1 vs.11例、p=0.0044、子宮がん:0 vs.5例、p=0.027)、婦人科症状/血管運動症状(ホットフラッシュ、膣乾燥など、61 vs.69%、p<0.0001)、深部静脈血栓(肺塞栓症は除外、<1 vs.1%、p=0.0011)が多くみられた。 著者は、「これらの結果は、類似の試験であるNSABP B-35試験と一致する。アナストロゾールはホルモン受容体陽性閉経後DCIS女性の治療選択肢であり、タモキシフェンが禁忌の場合は適切な治療法と考えられる」としている。

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難治性クローン病への造血幹細胞移植、効果認められず/JAMA

 難治性クローン病患者に対する自家造血幹細胞移植(HSCT)は通常療法と比較して、1年時点の寛解維持でみた有効性について統計的有意差は認められず、むしろ顕著な毒性との関連が示されたことを、英国・ノッティンガム大学クイーンズメディカルセンターのChristopher J. Hawkey氏らが、無作為化試験の結果、報告した。症例/シリーズ報告では、難治性クローン病患者に対してHSCTが有望である可能性が示されていたが、著者は「試験の結果、難治性クローン病患者へのHSCTの広範な適用を裏付ける所見は示されなかった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2015年12月15日号の掲載報告。1年時点の寛解維持を評価 研究グループは、並行群間無作為化試験にて、難治性クローン病患者に対するHSCTの有効性を検討した。試験は2007年7月~11年9月に欧州11ヵ所の移植ユニットで実行され、最終フォローアップは13年3月であった。 被験者は、18~50歳の難治性クローン病患者で、QOLが損なわれているが手術不適応であり、免疫抑制薬または生物学的製剤およびコルチコステロイドによる治療を3回以上受けていた。 被験者全員に幹細胞動員を行った後、免疫アブレーション+HSCTを受ける群(HSCT群)または対照群(HSCTの施術を1年後とする)に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。両群には必要に応じて、クローン病の標準治療が行われた。 主要アウトカムは寛解維持で、「3ヵ月間以上臨床的寛解を維持(クローン病活動指数[CDAI;範囲0~600]が150未満)」「3ヵ月間以上積極的治療なし(コルチコステロイドまたは免疫抑制薬もしくは生物学的製剤を未使用)」「1年時点で病勢の活動性なし[消化管に疾患活動性(びらん)を認める内視鏡的または画像検査上のエビデンスが認められない]」からなる複合主要エンドポイントで評価した。副次アウトカムは、個別にみた主要エンドポイント、その他の疾患活動性の評価、ラボ検査の結果、QOLや機能的評価の結果、消化管画像検査結果などであった。通常療法と比較して有意差みられず 被験者数はHSCT群23例、通常療法(対照)群22例であった。結果、1年時点の寛解維持が認められたのは、HSCT群2例(8.7%) vs.対照群1例(4.5%)で、両群間に統計的有意差はみられなかった(絶対差:4.2%、95%信頼区間[CI]:-14.2~22.6%、p=0.60)。 主要エンドポイントを個別にみると、「積極的治療なし」はHSCT群14例(60.9%) vs.対照群5例(22.7%)で両群間に統計的有意差がみられた(同:38.1%、9.3~59.3%、p=0.01)。しかし、「臨床的寛解」はHSCT群8例(34.8%) vs.対照群2例(9.1%)で統計的有意差はみられず(同:25.7%、1.1~47.1%、p=0.52)、「病勢の活動性なし」も、HSCT群8例(34.8%) vs.対照群2例(9.1%)で有意差はみられなかった(同:25.7%、1.1~47.1%、p=0.54)。 重篤有害事象は、HSCT群76件(患者19例)、対照群38件(15例)。HSCT群では1例の死亡が報告されている。

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Dr.林の笑劇的救急問答11 ショック編

第1回 低循環性ショック!「大量吐血の47歳男性」第2回 閉塞性ショック!「数日前から呼吸苦・動悸の80歳男性」第3回 心原性ショック!「呼吸苦を訴える67歳女性」第4回 分配性ショック!「造影CT実施中に咳込みと意識低下の30歳女性」 第11シーズン下巻は「ショック編」。ショック状態で患者が搬送!さあ、どう対応しますか?ショックは原因によって対応や処置が異なってきます。そのためにはまずは素早い診断が必要です。そう!慌てずに「サルも聴診器」。ショックを診断するために本当に必要なことをDr.林の目利きでお教えします。役に立たないものは、バッサリ切り捨てていきましょう。講師・研修医らが演じる爆笑症例ドラマもますますパワーアップ!笑って、泣いて、重要なポイントを身につけてください!第1回 低循環性ショック!「大量吐血の47歳男性」ショック編第1回は低循環性ショック!SHOCK INDEX、血圧、ATLSのショッククラス分類、US・・・など。ショックを診断するには、本当に何が有用なのか?役に立たないものに関しては、役に立たない!不要!と一刀両断!ほんとうに必要なことをDr.林の目利きでお教えします。第2回 閉塞性ショック!「数日前から呼吸苦・動悸の80歳男性」ショック編第2回は閉塞性ショックです。閉塞性ショックは、心臓へ戻る血液の流れが止まることによって起こるショックのことで、疑ってかからないと原因疾患を見逃してしまいがちです。代表的な原因疾患としては、緊張性気胸、心タンポナーデ、肺塞栓などがあげられます。今回は、心タンポナーデを中心に、その診断と治療について、詳しく解説します。身体所見と検査をうまく組み合わせて原因を検索していきましょう。(肺塞栓は、Season11心臓以外の胸痛編、緊張性気胸はSeason6(CareNeTVでは、Season1~6「第23回 気胸に絶叫!」)をご覧ください)第3回 心原性ショック!「呼吸苦を訴える67歳女性」急性心不全から起こる心原性ショックは、予後が悪いため、早めに原因を見つけ、その原因疾患の治療をできるだけ早期に開始することが重要です。ショックで来た患者にまずすべきことは何か、そして、心原性ショックとわかった場合に対処方法はどう変えるのか。まずは初期対応を確認しましょう。その上で、原因疾患の探索方法はと治療方法を見ていきます。エコーの「ABC」や 心不全悪化要因「FAILUTIRES」など、Dr.林ならでは。来院から治療までの一連の流れをスッキリと整理し、バッチリわかりやすく解説します。第4回 分配性ショック!「造影CT実施中に咳込みと意識低下の30歳女性」分配性ショックは、血液が再分配されることによって起こるショックで、血管の過度な拡張により生じます。敗血症ショック、ション軽減性ショック、アナフィラキシーショックが該当します。これらの分配性ショックは、ほかのショックと異なり、皮膚が温かいのが特徴です。

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ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか

 デンマーク・南デンマーク大学のOle Jakob Storeboe氏らは、小児および青少年の注意欠陥・多動性障害(ADHD)に対するメチルフェニデートの有益性と有害性を調査するため、コクラン・システマティックレビューを実施した。その結果、ADHDと診断された小児および青少年において、メチルフェニデートは教師の評価によるADHD症状と一般行動、ならびに保護者の評価による患児のQOLを改善する可能性があることが示唆された。しかし、解析に組み込まれた試験はバイアスリスクが高くエビデンスの質は非常に低かったことから、著者らは「メチルフェニデートの効果の大きさについてはまだ不明である」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年11月25日号の掲載報告。 レビューは、ADHDの小児および青少年を対象に、メチルフェニデート群とプラセボ群または無治療群を比較した並行群間比較試験ならびにクロスオーバー無作為化比較試験を対象とした。2015年2月までに発表された論文を電子データベースで検索し、メタ解析と逐次解析(TSA)を実施した。GRADEシステムを使用しエビデンスの質を評価し、教師、保護者、観察者がADHD症状と一般行動を評価した。 主な結果は以下のとおり。・並行群間比較試験38件(5,111例、平均治療期間49日間)と、クロスオーバー試験147件(7,134例、同14日間)が解析に組み込まれた。・試験全体の平均年齢は9.7歳であった。・並行群間比較試験19件において、教師による症状の評価においてメチルフェニルデートの有効性が示唆された(標準化平均差[SMD]:-0.77、1,698例)。これはADHD評価スケールでは、平均差-9.6に相当する。・メチルフェニデートは、重篤な有害事象の増加との関連は認められなかったが(リスク比:0.98、9件、1,532例、TSA補正リスク比:0.91)、非重篤有害事象のリスク増加と関連していた(リスク比:1.29、21件、3,132例、TSA補正リスク比:1.29)。・教師による一般行動の評価は、メチルフェニデートによる改善を示唆するものであった(SMD:-0.87、5件、668例)。・小児健康調査票(Child Health Questionnaire:CHQ)において、変化量7点が臨床的に重要な差の最小値と考えられた。・3件のメタ解析で報告された変化は、CHQ(範囲0~100)で平均差8.0点に相当し、このことがメチルフェニデートは親によるQOLの評価を改善する可能性があることを示唆した(SMD:0.61、3件、514例)。・コクランのガイドラインに基づき、分析対象の臨床試験の96.8%はバイアスリスクが高いと考えられた。また、GRADEシステムにより、すべてのアウトカムの質が非常に低かった。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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非浸潤性乳管がん、術後ホルモン療法の5年QOL評価/Lancet

 閉経後の非浸潤性乳管がん(DCIS)の術後の再発予防において、タモキシフェン(商品名:ノルバデックスほか)とアナストロゾール(同:アリミデックスほか)のQOL(身体機能、心の健康)に差はないが、薬剤関連症状には違いがみられることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のPatricia A Ganz氏らが実施したNSABP B-35試験で示された。2002年に本試験が立案された時点のDCISの標準治療はタモキシフェンの5年投与であったが、同年、ATAC試験により、浸潤性乳がんの術後補助療法ではアナストロゾールがタモキシフェンに比べ無病生存期間を延長し、毒性も良好であることが明らかにされた。NSABP B-35試験では、最近、60歳未満の患者においてアナストロゾール5年投与による無乳がん期間の、わずかだが有意な改善効果が確認されている(非浸潤性乳管がん、アナストロゾールの再発予防効果を確認/Lancet)。Lancet誌オンライン版2015年12月10日号掲載の報告。約1,200例で5年投与期間中のQOLを評価 NSABP B-35試験は、閉経後DCISの再発予防(局所、領域、遠隔部位、対側乳房)におけるタモキシフェンとアナストロゾールの効果を比較する二重盲検無作為化第III相試験(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、乳房温存術+全乳房照射療法を受けたエストロゲンもしくはプロゲステロン受容体陽性の閉経後DCIS女性であった。 被験者は、タモキシフェン(20mg/日)またはアナストロゾール(1mg/日)を5年間投与する群に無作為に割り付けられた。また、ベースラインおよびその後は6ヵ月ごとに5年間、QOLに関する質問票に回答した。 主要評価項目は、SF-12の身体機能と心の健康のスコアおよび血管運動症状(Breast Cancer Prevention Trial[BCPT]の症状スケール)とした。副次評価項目は、膣症状および性交機能であった。 2003年1月6日~2006年6月15日に北米の333施設に3,104例が登録され、このうち1,193例(タモキシフェン群:601例、アナストロゾール群:592例)でQOL評価が行われた。5年時まで質問票への回答を完遂したのは、それぞれ393例、380例だった。60歳以上が54%、52%含まれた。タモキシフェンで相対的に血管運動症状が不良、膣症状は良好 身体機能の平均重症度スコアは、タモキシフェン群が46.72点、アナストロゾール群は45.85点であり、有意な差は認めなかった(p=0.20)。心の健康はそれぞれ52.38点、51.48点であり、やはり有意差はみられなかった(p=0.38)。 SF-36の活力スケールのエネルギー/疲労(58.34 vs.57.54点、p=0.86)および疫学研究用うつ病尺度(CES-D)によるうつ状態(6.19 vs.6.39点、p=0.46)にも有意な差はなかった。 血管運動症状(1.33 vs.1.17点、p=0.011)、排尿制御困難(0.96 vs.0.80点、p=0.0002)、婦人科症状(0.29 vs.0.18点、p=0.0001)は、タモキシフェン群で有意に重症度が高かった。 一方、筋骨格系の疼痛(1.50 vs.1.72点、p=0.0006)および膣症状(0.76 vs.0.86点、p=0.035)は、アナストロゾール群で有意に重症度が高かった。 認知機能(0.89 vs.0.92点、p=0.72)、体重問題(1.15 vs.1.17点、p=0.48)、性交機能(43.65 vs.45.29点、p=0.56)は、両群間に有意な差はなかった。 60歳未満の患者は60歳以上に比べ、血管運動症状の重症度スコア(1.45 vs.0.65点、p=0.0006)、膣症状(0.98 vs.0.65点、p<0.0001)、体重問題(1.32 vs.1.02点、p<0.0001)、婦人科症状(0.26 vs. 0.22点、p=0.014)が不良であった。 著者は、「60歳以上の女性では両薬剤の効果は同等であり、薬剤の選択は重篤な有害事象(血栓塞栓症、子宮がん、骨量減少)や薬剤関連症状のリスクのほか、患者の好みを考慮して決めるべきである。一方、60歳未満では、効果がより良好なアナストロゾールを選ぶべきと考えられるが、血管運動症状や膣症状、婦人科症状などの副作用が耐容不能な場合はタモキシフェンに変更するのがよいだろう」と指摘している。

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尿もれ治療の経口抗コリン薬、ドライアイの原因に

 切迫性尿失禁や過活動膀胱の主たる治療薬である経口抗コリン薬は、排尿筋以外に眼や唾液腺などのムスカリン受容体も阻害する。トルコ・Zekai Tahir Burak Women's Health Education and Research HospitalのZuhal Ozen Tunay氏らは、過活動膀胱の女性患者において前向き研究を行い、経口抗コリン薬が涙液分泌に対し有意な悪影響を及ぼし、投与期間が長いほどその影響が大きくなる可能性があることを報告した。International Urogynecology Journal誌オンライン版12月7日号の掲載報告。 研究グループは、過活動膀胱と診断された女性108例(平均51.8±9.2歳、範囲30~69歳)を対象に抗コリン薬で治療を行うとともに、抗コリン薬投与開始時、投与30日後および90日後に眼科検査、涙液層破壊時間(BUT)の測定およびシルマー試験(1法)を実施し、自覚症状(口乾、眼の灼熱感・乾燥・異物感)を調査した。 主な結果は以下のとおり。・最も頻度の高かった自覚症状は、口渇と眼の乾燥で、いずれも投与30日後および90日後ともに有意であった。・BUTおよびシルマー試験値は、いずれも投与30日後および90日後ともに有意に低下した。・ドライアイ評価項目(BUTおよびシルマー試験値)は、抗コリン薬の投与期間に伴って悪化した(BUT:投与30日後p=0.037、90日後p=0.012、シルマー試験:それぞれp=0.046およびp=0.035)。

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皮膚T細胞リンパ腫〔CTCL : cutaneous T cell lymphoma〕

1 疾患概要■ 概念・定義皮膚T細胞リンパ腫は、菌状息肉症、セザリー症侯群、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫など、皮膚を主座とするすべてのT細胞リンパ腫を指す。リンパ節に原発する全身性リンパ腫との鑑別が重要であるが、診断時に皮膚外病変を認めた場合でも、病歴や臨床像から皮膚T細胞リンパ腫と判断することもある。■ 疫学1)皮膚T細胞リンパ腫の発症数日本皮膚悪性腫瘍学会 皮膚がん予後統計委員会によると、2007~2011年における皮膚T細胞リンパ腫の新規発症は年間約260例であった。2)皮膚T細胞リンパ腫の病型皮膚T細胞リンパ腫の病型分類では、菌状息肉症が約50%、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫とリンパ腫様丘疹症からなる原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症は約10%、皮膚病変が主である成人T細胞白血病・リンパ腫が約7.5%であった。■ 病因皮膚に親和性の高いTリンパ球が悪性化し、主に皮膚で増殖している状態である。成人T細胞白血病・リンパ腫は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)が発症に関与していると考えられている。菌状息肉症は、成人T細胞白血病・リンパ腫と類似した臨床・組織像を取ることが多いため、以前よりウイルス病因説があるが、今のところ原因といえるウイルスは同定されていない。それ以外の皮膚T細胞リンパ腫についても、明らかな病因は不明であるが、免疫抑制状態が病勢の増悪に寄与していると考えられている。■ 症状1)皮膚症状紅斑、局面、腫瘤、紅皮症(全身が紅斑で覆われた状態)、皮下結節、潰瘍、紫斑などを呈する。2)リンパ節腫脹表在リンパ節が腫脹する。腫瘍細胞の増殖によるものと、反応性のものがある。3)末梢血中異型細胞成人T細胞白血病・リンパ腫やセザリー症候群では、末梢血液中に腫瘍細胞が検出されることがある。4)生化学的異常LDH、可溶性IL-2受容体など、悪性リンパ腫のマーカーが高値を示す。菌状息肉症・セザリー症候群では、血清中のTARC(thymus and activation-regulated chemokine)が病勢を反映することが知られている。5)発熱・体重減少・盗汗(B症状)B症状を示すことは、皮膚T細胞リンパ腫では一般的にまれであるが、進行例で陽性になることがある。■ 分類菌状息肉症、セザリー症候群、原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症(原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫とリンパ腫様丘疹症)、成人T細胞白血病・リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(非特定)、原発性皮膚γδT細胞リンパ腫、原発性皮膚CD4陽性小・中細胞型T細胞リンパ腫、原発性皮膚CD8陽性進行性表皮向性細胞傷害性T細胞リンパ腫などがある。■ 予後予後は病型分類と病期によって異なる。菌状息肉症全体の5年生存率は約90%であるが、早期例(病期 IA)の疾患特異的5年生存率は98%である。一方、リンパ節病変もしくは内臓病変を有する病期IVでは、5年生存率が約20%である。セザリー症候群の5年生存率は約25%であり、成人T細胞白血病・リンパ腫、原発性皮膚γδT細胞リンパ腫では、5年生存率が算出不能なほど予後不良である。原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症は、5年生存率が90%以上であるという報告が多く、生命予後良好な病型である。皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、原発性皮膚CD4陽性小・中細胞型T細胞リンパ腫なども予後良好であるが、これらは疾患概念の変遷があり、過去の論文を読む際は注意を要する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)身体診察、皮膚生検・リンパ節生検(HE染色、免疫染色、サザンブロットまたはPCRによるモノクロナリティの検索)、血液検査(血算、目視による血液像、LDH、可溶性IL-2受容体、フローサイトメトリー)、骨髄穿刺、画像検査(胸部X線、腹部エコー、胸腹骨盤部CT、FDG-PET)などから総合的に判断する。紅斑、局面が主体の皮膚T細胞リンパ腫の鑑別診断としては、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、扁平苔癬などの皮膚疾患や薬疹などが挙げられる。腫瘤や皮下結節が主体のものは、有棘細胞がんや悪性腫瘍の皮膚転移などが鑑別となる。潰瘍や紫斑を主症状とする皮膚T細胞リンパ腫では、血管炎が鑑別疾患となる。いずれも病理組織が診断の決め手となる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療は病型分類と病期によって異なる。一般的に予後良好な皮膚T細胞リンパ腫では、ステロイド外用、紫外線、外科的切除、放射線療法などの局所療法が主体となる。予後不良な病型では全身化学療法、骨髄移植などの治療が選択される。■ 菌状息肉症・セザリー症候群(図1)菌状息肉症とセザリー症候群が同一の疾患であるか、いまだに議論があるが、病期分類は同じものが使用されており、治療法も基本的には共通である。紅斑、局面が主体の早期の症例では、ステロイド外用、紫外線を中心に治療するが、治療抵抗例ではレチノイドやインターフェロンを併用する。局所的に放射線療法を用いることもある。腫瘤が多発している症例では、当初からこれらの治療を組み合わせた集学的治療を行う。紅皮症では体外光化学療法が推奨されるが、わが国で行っている施設はほとんどない。リンパ節や内臓病変を伴う場合は、化学療法がメインとなる。若年者の場合は同種造血幹細胞移植も考慮する。画像を拡大する■ 原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(図2)皮膚病変が限局している場合は、外科的切除や放射線療法を検討する。これらの治療が有効でない場合、単剤化学療法を考える。皮膚病変が広範囲に多発している場合、出現消退を繰り返しているか否かが重要となる。皮疹の出現消退があれば、リンパ腫様丘疹症と考えられるため、経過観察や紫外線照射を行う。症状が増悪する場合、単剤化学療法を考える。広範囲に多発している皮膚病変に消退傾向がなければ、最初から単剤化学療法を考える。単剤化学療法の実施が難しい場合、あるいは効果が不十分な病変に対し、放射線療法を考慮してよい。皮膚外病変がある場合は、多剤併用化学療法を行う。実施が困難な場合、あるいは効果が不十分な病変に対し、放射線療法を考慮する。画像を拡大する■ 成人T細胞白血病・リンパ腫(図3)ここでは、予後不良因子のない慢性型もしくはくすぶり型で、皮膚病変があるものに対する治療法を述べる。一般的に、紫外線もしくは放射線療法を用いる。これらが無効の場合、レチノイド、インターフェロン、単剤化学療法の併用を考慮する。定期的に採血を行い、急性転化を見逃さないように注意する。画像を拡大する■ それ以外の病型病変が皮膚に限局している場合、ステロイド外用、紫外線、外科的切除、放射線療法などの局所療法が主体となる。皮膚外病変がある場合は、全身化学療法、造血幹細胞移植などの治療が選択される。予後不良な病型では、皮膚外病変がなくても化学療法を検討してもよいが、マイナーな病型の場合は経過の予測が難しく、症例ごとに治療法を検討する姿勢が望ましい。4 今後の展望菌状息肉症に対する治療については、レチノイドの一種であるベキサロテン(商品名:タルグレチン)が臨床試験を終了し、現在承認申請中である。また、CCR4陽性の成人T細胞白血病・リンパ腫、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫および皮膚T細胞リンパ腫に保険適用となっている抗CCR4抗体について、CCR4の発現の有無を問わない治験が、菌状息肉症に対して行われている。成人T細胞白血病・リンパ腫については、予後不良因子を持たない慢性型およびくすぶり型を対象に、インターフェロン-αとジドブジン(AZT 同:レトロビル)の併用療法の臨床試験が行われている。5 主たる診療科皮膚科を中心に血液内科、放射線科と相談して治療を進めていく。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報National Cancer Institute, Mycosis Fungoides and the Sezary Syndrome Treatment(PDQ®).(米国がん研究所の同疾患の診療情報)National Comprehensive Cancer Network (NCCN), NCCN Practice Guidelines in Oncology: Mycosis Fungoides/Sezary syndrome of the cutaneous T-cell lymphomas.(NCCN提供の同疾患のガイドライン: 視聴には会員登録必要)1)Swerdlow SH, et al,editors. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues ,4th ed.Lyon:IARC Press;2008.2)Sugaya M, et al. J Dermatol.2013;40:2-14.3)日本皮膚科学会/日本皮膚悪性腫瘍学会編. 科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第2版.金原出版;2015.公開履歴初回2013年08月01日更新2016年01月05日

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【GET!ザ・トレンド】今後も拡大が予想される新たな疾患概念「IgG4関連疾患」

2015年、Lancet誌のReviewで取り上げられた、本邦発21世紀の新たな疾患概念「IgG4関連疾患」。疾患概念の提唱者であり同Reviewの筆頭著者である東京都立駒込病院 副院長 神澤 輝実氏に、非専門家に向けたIgG4関連疾患の解説をしていただいた。IgG4関連疾患はどのような疾患ですか?一言でいうと、リンパ球とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化によって、全身のさまざまな臓器に腫大や結節などが生じる原因不明の疾患です。膵臓、胆管、涙腺、唾液腺などでの発症が知られていますが、頭からつま先までほぼ全身の臓器や部位が冒されます。罹患した臓器によって症状は異なりますが、概してステロイドが奏効し、治療の第1選択薬はステロイド薬です。以前から存在が知られている疾患の中にも、IgG4関連疾患と判明した、代表的な疾患にはどのようなものがあるのでしょうか?まず、自己免疫性膵炎です。この疾患は以前から腫瘤形成性膵炎といわれ、特殊な膵炎として捉えられていましたが、IgG4関連疾患であることがわかりました。両側の涙腺や唾液腺が腫れるミクリッツ病、片側の唾液腺が腫れるキュットナー腫瘍、昔から知られているこれらの疾患も最近になってIgG4関連疾患であることがわかりました。また、原発性硬化性胆管炎(PSC)のうち高齢者が罹患するケース、以前から原因不明とされていた後腹膜線維症(オルモンド病)の一部もIgG4関連疾患だということがわかりました。さらに、未解明な部分も多いですが、橋本病、大動脈瘤、冠動脈瘤、下垂体炎の一部も、IgG4が関連しているのではないかといわれています。Lancet誌という高インパクトファクターの国際的医学誌にReviewが掲載されました。これは、世界的に意義が認められたということですね。世界的にみても、まさにトピックスだったのだと思います。Lancetに日本人の論文が載ることは少ないのですが、今回は多くのページを割いています。IgG4関連疾患は、新しい疾患概念であるとともに、全身の臓器に関連します。つまり、臓器横断的にすべての医療者に関係するのです。さらに、不要な医療が提供されていたことも1つの要因だと思います。米国では膵切除された2~2.5%が自己免疫性膵炎だったという報告があります。IgG4関連硬化性胆管炎などは、ステロイド以外の治療で臓器機能障害にまで悪化してしまう例もみられていました。このようなことから、世界的にも、広く知ってもらうべき疾患という判断から取り上げられたのだと思います。とはいえ、私がこの疾患概念が提唱したのが2003年、世界的に注目され出したのは2000年代後半からです。まだ発展途上の疾患だといえるでしょう。IgG4関連疾患は全身にわたる疾患ですので、非専門医の先生方も実地診療で遭遇することがあると思います。患者さんを見逃さないためのポイントを教えていただけますか?まず一般的に高齢者に多くみられることです。そのほか画像所見以外のポイントとしては、男女の罹患率がほぼ同じであるIgG4関連涙腺・唾液腺疾患以外のIgG4関連疾患では、男性の比率が高いIgG4関連疾患の結節は、あまり痛みがなく固い病変が多発するため、他臓器に発症していることもある血液検査では、約半分でIgGが高値となり、抗核抗体、リウマチ因子などが3~4割で陽性になる線維化、細胞浸潤があるが、生検してもがん細胞は出てこないといったことが特徴です。いくつかのIgG4 関連疾患で診断基準を設けていますので、ご参照いただきたいと思います(希少疾病ライブラリ「IgG4関連疾患」参照)。また、その際は、できる限り組織診断を加えて、類似疾患との鑑別をしていただきたいと思います。自己免疫膵炎の画像診断のポイントですが、自己免疫膵炎は膵臓がんと異なり、造影剤を用いたCTでは時間の経過により正常の膵臓と同様に染まってきます。ERP(内視鏡的逆行性膵管造影)所見も自己免疫膵炎に特徴的な主膵管不整狭細像を提示します。IgG4関連硬化性胆管炎では、原発性硬化性胆管炎が鑑別として重要となってきます。IgG4関連硬化性胆管炎では下部胆管の狭窄が多く、また限局した胆管の狭窄であり、その上流への胆管に拡張を認めるといった特徴があります。診断がついた後、非専門医がフォローするケースも多いと思いますが、その際役に立つポイントについて教えていただけますか?IgG4関連疾患におけるステロイド治療の適応は、一般的には有症状例です。しかし、悪化せず経過する例や自然に治癒する例もありますので、症状が軽い場合は経過観察するケースもあります。ステロイド治療についてですが、ほとんどの例が服薬でいったん改善します。しかし、ステロイドの減量中あるいは中止後に、2~3割の例が再燃します。再燃は、現病巣と違う臓器や部位に起こることもあります。そこで、再燃予防に少量のステロイドを比較的長期に服用していただきます。ステロイド治療開始後も画像上の改善が不十分な例や、血中IgG4の高値が持続する場合は、再燃することが多いため注意が必要です。こういったケースに遭遇した場合は、専門医に相談いただければと思います。ステロイド以外の治療法も開発されているのでしょうか?患者さんは高齢者が多いため、ステロイドを離脱する方向で治療していくのですが、再燃するとステロイド投与量が多くなりますし、離脱しにくくなってしまいます。欧米ではそういった例に対して、免疫抑制薬やリツキシマブを用いることもあります。日本では認可されていませんが、今後、検討されていくことになるでしょう。非専門医の先生方へメッセージをお願いします※IgG4関連疾患は2015年7月、医療費助成対象疾病の指定難病(指定難病300)となり、公費負担の対象となった。Kamisawa T, et al. IgG4-related disease. Lancet. 2015;385:1460-1471.

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統合失調症の遺伝的脆弱性を示す新たなマーカー

 統合失調症では構造的脳内ネットワークを構成する白質統合が不十分な状況が認められ、脳領域での情報伝達能を減弱させると考えられている。しかし、これらの異常が、統合失調症発症の遺伝的リスクに影響する程度については不明であった。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのMarc M. Bohlken氏らは、統合失調症発症の遺伝的リスクと脳内ネットワークを構成する白質統合性との関連について検討した結果、白質統合指標のMRI画像上のfractional anisotropy(FA)が、統合失調症発症リスクと関連する可能性を明らかにした。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年11月25日号の掲載報告。 検討は、統合失調症に関する状況が一致しない双生児70組、適合させた健常な双子(対照群)130組を対象とし、脳統合および疾患リスクに対する遺伝的、環境的要因の独立した寄与状況を構造方程式モデルを用いて定量化した。2008年10月1日~13年9月30日にデータを収集し、2013年11月1日~15年3月30日に解析を実施した。主要アウトカムは、拡散強調画像におけるfractional anisotropy(FA)とstreamlineにより評価した構造的結合性およびネットワーク機能とした。 主な結果は以下のとおり。・症例構成は、30組の一卵性双生児と72組の適合対照双生児、40組の二卵性双生児と58組の適合対照双生児であった。・FA値の低下は、統合失調症のリスク増大と有意に関連し(表現型相関:-0.25、95%信頼区間[CI]:-0.38~-0.10、p=0.001)、83.4%で共通の遺伝子が認められた。・全体として、FAにおける遺伝的変異の8.1%は、統合失調症リスクにおける遺伝的分散と共通であった。・ネットワーク統合における、前頭、線条体、視床領域の局所低下(FA-強調による局所への影響)は、遺伝的な影響を受ける部位の85.7%を占めていた。・多変量遺伝解析モデルにより、FAは白質量、皮質厚など他の遺伝的マーカーとは独立して統合失調症リスクに関与していることが示された。・以上のように、統合失調症患者における白質統合の異常は、主として疾患発症の遺伝的リスクであることを示すものであった。・ネットワーク解析で統合失調症の遺伝的リスクは、主として前頭部および皮質下部の結合性減少、すなわち同領域における白質神経線維の異常と関連することが示された。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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TAVR導入で既存臨床はどう変わったか/NEJM

 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)導入の臨床への影響を調べた結果、TAVRの施行増大に伴う外科的大動脈弁置換術(SAVR)の減少はわずかであった。また、TAVR患者はSAVR患者よりも高齢で手術リスクが高く、院内死亡率は両群ともに減少していたが、TAVRのほうが減少の程度が大きかったことなどが判明した。ドイツ・アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクのJochen Reinohl氏らが、同国における2007~13年の動向を調べ報告した。NEJM誌2015年12月17日号掲載の報告。2007~13年ドイツの、TAVRと外科的大動脈弁置換術の実施データを分析 TAVR導入以来、現在の標準治療とされているSAVRの効果との比較において、その臨床に与える効果については疑問符が呈されてきた。研究グループは、全国的な調査を行うことで、新規技術導入の既存臨床への影響を調べた。 2007~13年にドイツ全国で行われたTAVRとSAVRそれぞれについて、患者特性と院内アウトカムのデータを分析した。TAVRは144件→9,147件に、SAVRは8,622件→7,048件に 同期間の実施件数は、TAVRが3万2,581例、SAVRが5万5,992例であった。 TAVRの実施は2007年には144例であったが、13年は9,147件に増大した。一方で、SAVRの実施は、8,622件から7,048件に減少していた。 患者の特性をみたところ、TAVR患者の平均年齢は81.0±6.1歳、SAVR患者は70.2±10.0歳で、TAVR患者のほうが高齢であった。また、術前リスク(EuroSCOREで評価、尺度は0~100%で高率ほどリスクが高い、また20%以上は高リスクとされる)が22.4% vs.6.3%とTAVR患者で高かった。 院内死亡率は、両群とも減少していた。TAVR群は2007年13.2%、13年は5.4%に、SAVR群は同3.8%から2.2%への減少だった。 合併症の発生も両群ともに、概して減少の傾向が認められた。TAVR群では出血、ペースメーカー埋設は有意に減少し、脳卒中と急性腎不全も有意差はみられなかったが減少していた。SAVR群は、脳卒中、出血、ペースメーカー埋設が有意に減少していた。しかし、急性腎不全が有意に増大した。

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中国の大学生、性への意識が開放的に

 性感染症(STD)の蔓延と若年者における性行動の増加により、性・生殖健康に関する教育が注目されている。中国・上海交通大学のHongxiang Wang氏らは、大学生の性・生殖健康状況について調査を行い、2005年に比べ2013年は性に対する意識が開放的になっていることを明らかにした。ただし、性知識は増えているもののさらなる改善の余地があり、著者は「性教育は若者の実際のニーズに基づくべきであり、たとえばコンドームの正しい使用法など実践的な教育にとくに配慮しなければならない」とまとめている。International Journal of Clinical and Experimental Medicine誌2015年9月15日号の掲載報告。 研究グループは、2013年5月、上海交通大学に通う19~21歳の学生(1,000人)を対象に、性・生殖健康状況に関する調査票を配布した。調査へは自由参加で、記入は匿名とした。質問内容は、個人情報ならびに多肢選択質問(72項目)から成り、後者は次の4つのカテゴリーに分けられた。(1)性・生殖健康およびSTDに関する知識、(2)性行動に対する考え方、(3)ポルノ本/映画に対する考え方、(4)性/生殖健康教育(性教育)に関する希望。 なお、参加者は大学入学以後、性教育は受けていない。また、参加者の専攻科目は2005年4月の調査時とおおむね類似していた。 主な結果は以下のとおり。・調査票の回収率は、98%であった。・個人の衛生意識は、女性が男性より非常に高かった。・婚前交渉に肯定的な考えを示した学生は、2005年の36.2%に比べ、2013年は63.85%と有意に増加した(p<0.0001)(女性:24.9%→48.7%、男性:46.2%→67.9%、いずれもp<0.0001)。・一方、未婚の妊娠を容認できると回答した学生は約3分の1で、2005年と2013年でほとんど変化はなかった。・回答者の80%以上はコンドームの必要性を理解していたが、コンドームの使い方に関する知識はないと回答した学生の割合は高いままであった(2005年86%、2013年83%)。・AIDSの感染経路に関する知識は、2005年に比べ2013年は有意に増加していた(2005年83%、2013年90%、p<0.0001)。

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ジカウイルス感染症に気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。第16回となる今回は「ジカウイルス感染症」についてです。地域によっては小頭症例が例年の75倍まず、読者の皆さまはジカウイルス感染症という感染症をご存じでしょうか。おそらくご存じない方が多いのではないでしょうか。それもそのはず、ジカウイルス感染症はこれまでに日本国内でたった3例しか診断されたことのない感染症だからです(そして自慢ですが3例とも私忽那が診断しているのですッ!)。「そんなまれな感染症を取り上げやがって…忽那もついにネタ切れか…」と思われるかもしれませんが(そしてネタ切れというのは決して間違っていないのですが)、ジカウイルス感染症は今世界で注目を集めている感染症なのですッ! そして、この連載でジカウイルス感染症を扱うのは、今しかないのですッ!!2015年11月、ブラジルの保健省が「ジカウイルス感染症のせいで小頭症が増えているかもしれない」という驚愕の発表をしました。ブラジルで生まれてくる子どものうち、小頭症の子どもが例年の8倍も増えており、2015年11月28日時点で疑い例を含めブラジル14州で計1,248例の小頭症症例が報告されているというのです1)。とくにペルナンブコ州という地域では75倍にも激増しているといいます(図1)。画像を拡大するなぜこの小頭症患者の増加が、ジカウイルス感染症によるものと考えられているのかというと、一つはこの小頭症患者が増加している地域とジカウイルス感染症が流行している地域が一致しているということがあります。そして、もう一つは妊娠中にジカウイルス感染症に矛盾しない臨床症状を呈していた妊婦2人の羊水からジカウイルスが検出され、胎児が小頭症であることが確認されたということも、ジカウイルス感染症の関与を強く疑わせます。また、2013~14年とジカウイルス感染症が大流行していたフランス領ポリネシア(タヒチ)でも、小頭症患者が増加していることが報告されています。この小頭症患者の増加を受けて、ついにブラジル保健省は「ジカウイルス感染症の流行地域の女性は妊娠を控えてほしい」という声明を発表するに至ります。妊娠を控えろとは…これはもう完全に異常事態です。ジカウイルス感染症、急速に拡大中!では、ジカウイルス感染症はどのようにして、ここまでの広がりをみせたのでしょうか。ジカウイルス感染症はほんの10年前まで、ごく一部の地域でしかみられない感染症でした。症例報告数も数えるほどしかなく、希少感染症だったのです。しかし、2007年にオセアニア地域のミクロネシアにあるヤップ島という島でジカウイルス感染症のアウトブレイクが起き、300人の感染者が出て注目を集めました2)。ここで一部の感染症マニアの間で「なんかデング熱に似た変な感染症があるな」と認識されました。そして、さらに2013年9月よりフランス領ポリネシアで始まったジカウイルス感染症の大流行は、ニューカレドニア、クック諸島にも波及し、感染者は3万人以上に上りました3)。この段階で私も「おいおい、結構ジカウイルス感染症流行ってるなぁ」と思っていましたが「でも軽症の感染症だしなぁ…大したことにはなるまい」と甘く見ていたのでした。さらに2015年6月、ジカウイルス感染症がブラジルで報告されると、その後も中南米に飛び火しコロンビア、エルサルバドル、グアテマラ、メキシコ、パラグアイ、スリナムで国内感染例が報告されています(図2)。そして、次々に小頭症患者が報告され、現在の悪夢が起こっているというわけです。画像を拡大するチクングニア熱と酷似する感染拡大ところで、この流行の広がり方、どこかでみたことがありませんか? 熱心な「気を付けろッ!」読者の方(そんな人いるのかな)はお気付きでしょう。そう、チクングニア熱の広がり方にクリソツなのですッ(チクングニア熱に気を付けろッ!をご参照ください)!!最初にアフリカで発見され、東南アジアに流行が広がり、さらにオセアニア・中南米にまで広がるというこのストーリー、まさに「チクングニア熱物語」に瓜二つではないでしょうか。ジカウイルス感染症は、チクングニア熱が歩んだ階段を後から追いかけているのですッ!(われわれ人間にとってはホントに迷惑な話ですが)。というわけで、今ではこのジカウイルス感染症の流行地域は、チクングニア熱とほとんど同じになってしまいました。そして、ジカウイルス感染症と同じフラビウイルス科であり、同じ蚊媒介感染症であるデング熱とも、ほぼ同じ流行地域にまで広がっています。つまり、これからは海外渡航歴のある患者でデング熱を疑ったら、チクングニア熱、そして、ジカウイルス感染症も同時に疑う必要があるのですッ!それではどのようなときに、ジカウイルス感染症を疑えばいいのでしょうか? 次回は、ジカウイルス感染症の臨床像、日本国内での流行の可能性についてご紹介したいと思います。※本文中の「ジカ熱」の表記を「ジカウイルス感染症」に変更いたしました。1)European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). Epidemiological update: Evolution of the Zika virus global outbreaks and complications potentially linked to the Zika virus outbreaks. 04 Dec 2015.2)Duffy MR, et al. N Engl J Med.2009;360:2536-2543.3)Kutsuna S, et al. Euro Surveill.2014;19:20683.4)Centre for Disease Prevention and Control (CDC). Zika Fever. Geographic Distribution.

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非薬物的介入の併用で認知症への抗精神病薬使用が減らせるか

 英国・ロンドン大学のClive Ballard氏らは、介護施設に入居中の認知症患者を対象に、抗精神病薬の見直し、社会的交流、運動などの介入が、抗精神病薬の使用状況や興奮、うつなどの症状に及ぼす影響を評価した。その結果、抗精神病薬の見直しにより使用が減少したが、より高いベネフィットを期待するには、その他の非薬物的介入も併用することが望ましいと報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年11月20日号の掲載報告。 研究グループは、英国の介護施設16ヵ所に入居中の認知症患者を対象とし、2種のレプリケーションを用いたクラスター無作為化要因対照試験を実施した。全介護施設が、患者中心医療のトレーニングを受けた。8施設が「抗精神病薬の見直し」「社会的交流の介入」「運動介入」に割り付けられ、9ヵ月間の介入を実施した。なお、大半の施設が1つ以上の介入に割り付けられ実施した。主要アウトカムは、抗精神病薬の使用、興奮、うつとした。副次的アウトカムは、全般的神経精神症状および死亡率であった。 主な結果は以下のとおり・抗精神病薬の見直しは、抗精神病薬の使用を有意に50%減少させた(オッズ比:0.17、95%信頼区間[CI]:0.05~0.60)。・抗精神病薬の見直しと社会的交流介入の併用は、どちらも実施しなかったグループと比べ、死亡率を有意に減少させた(オッズ比:0.26、95%CI:0.13~0.51)。・抗精神病薬の見直しを受け、社会的交流の介入を受けなかったグループは、どちらも受けていないグループに比べ、神経精神症状のアウトカムが有意に不良であった(スコアの差:+7.37、95%CI:1.53~13.22)。・この負の影響は、社会的交流の併用により軽減された(-0.44、-4.39~3.52)。・運動介入は、神経精神症状を有意に改善したが(-3.59、95%CI:-7.08~-0.09)、うつに関しては改善が認められなかった(-1.21、-4.35~-1.93)。・興奮に対して有意な影響を及ぼす介入は確認されなかった。(ケアネット)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news

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非浸潤性乳管がん、アナストロゾールの再発予防効果を確認/Lancet

 閉経後のホルモン受容体陽性非浸潤性乳管がん(DCIS)で、乳腺腫瘤摘出術と放射線療法を行った患者に対するアナストロゾール(商品名:アリミデックスほか)投与は、タモキシフェン(同:ノルバデックスほか)投与に比べ、有意な再発予防効果が認められたことが報告された。両者の差は5年を過ぎてから確認され、また60歳未満患者に対してアナストロゾールの有意な治療効果が認められた。カナダ・マギル大学のRichard G. Margolese氏らが実施した無作為化二重盲検試験、National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project(NSABP)B-35試験の結果、示された。現在、DCISに対する標準治療は、腫瘤を切除後、放射線療法および補助療法(通常タモキシフェン)とされている。研究グループは、補助療法としてアナストロゾールがより安全で、効果があるのではないかとして、両者を比較する検討を行った。Lancet誌2015年12月10日号掲載の報告。3,104例を無作為化、タモキシフェンまたはアナストロゾールを5年投与 NSABP B-35試験は米国・カナダの333ヵ所の医療機関を通じて、閉経後ホルモン受容体陽性DCISで、十分な切除マージンによる乳腺腫瘤摘出術を行い全乳房照射の放射線療法を受けた患者を対象に実施された(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 2003年1月1日~06年6月15日にかけて、適格患者3,104例が登録された。被験者は、タモキシフェン20mg/日を(1,552例)、または経口アナストロゾール1mg/日を(1,552例)、それぞれ5年間投与する群に無作為に割り付けられた。また60歳未満、60歳以上に層別化された。 主要評価項目は、乳がん無発症期間で、無作為化からあらゆる乳がん(局所、領域、遠隔部位、対側乳房)再発までの期間と定義した。追跡期間9.0年、アナストロゾールの効果を確認、とくに60歳未満で有意差 2015年2月末の追跡期間中央値9.0年の時点で追跡可能だったのは、全生存率については3,083例、乳がん無発症期間については3,077例だった。 その間の乳がん再発例は合計212例で、タモキシフェン群122例、アナストロゾール群90例で、アナストロゾール群で有意に減少した(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.56~0.96、p=0.0234)。10年乳がん無発症だった患者の推定割合は、タモキシフェン群89.1%、アナストロゾール群93.1%で、こうした両群差がみられるようになったのは60ヵ月(5年)を過ぎてからで、有意な治療期間の相互作用が確認された(p=0.0410)。 また、治療と年齢間にも有意な相互作用が認められた。アナストロゾール治療は60歳未満(対タモキシフェン群のHR:0.53、95%CI:0.35~0.80、p=0.0026)に対するほうが、65歳以上(同:0.95、0.66~1.37、p=0.78)よりも優れることが判明した(p=0.0379)。 なお、有害事象の発生について全体では両群間で有意差はみられなかったが、タモキシフェンの有害作用として知られる血栓症や塞栓症について、総計では同等であったが(タモキシフェン群97%、アナストロゾール群99%)、命の危険に関わるGrade4以上の発生例はタモキシフェン群17例に対しアナストロゾール群は4例だった。

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院内でコーヒーを最もよく飲む診療科は?/BMJ

 院内で医師が飲むコーヒーの年間摂取量は、外科医が内科医より多い傾向があり、専門科医別にみると整形外科医が最も多く、最も少ないのは麻酔科医だった。また、若手医師よりも、経験5年超のベテラン医師のほうが摂取量は多いこと、部門トップが最も多くおごっていることなどが判明したという。スイス・Kantonsspital St. Gallen社のKarlmeinrad Giesinger氏らが、ある教育病院に所属する医師800人弱について、1年間の院内カフェテリアにおけるコーヒー購入状況を調べ報告した。BMJ誌オンライン版2015年12月16日号クリスマス特集号掲載の報告より。男性約400人、女性約300人を後ろ向きに追跡 Giesinger氏らは、2014年にスイスの教育病院に所属する766人(うち男性425人、女性341人)を対象に、後ろ向きコホート研究を行い、コーヒーの年間摂取量について分析を行った。 被験者の内訳は、内科医201人、一般外科医76人、麻酔科医67人、放射線科医54人、整形外科医48人、婦人科医43人、神経内科医36人、神経外科医23人、その他の診療科医96人だった。 主要評価項目は、1人当たりの年間コーヒー購入量だった。男性が女性より、上級医が下級医より多量 その結果、2014年に院内カフェテリアでコーヒーを購入したのは、被験者医師の84%にあたる644人で、合わせて7万772杯だった。 コーヒーの年間摂取量と医師の専門科の間には、有意な関連が認められた(F=12.45、p<0.01)。年間コーヒー摂取量が最も多かったのは整形外科医で189杯(標準偏差:136)、次いで放射線科医の177杯(同:191)、一般外科医167杯(同:138)だった。 一方、年間コーヒー摂取量が最少だったのは、麻酔科医の39杯(同:48)だった。 性別では、女性が年間86杯(同:86)に対し男性が年間128杯(同:140)と有意に多かった(t=-4.66、p<0.01)。エスプレッソの摂取量についても、女性が年間10杯(同:19)に対し男性が27杯(同:46)と2倍以上有意に多かった(t=-6.54、p<0.01)。 さらに、上級医のほうが下級医に比べ、摂取量が多い傾向が認められた(F=4.55、p=0.04)。若手医師や研修医は年間平均95杯(同:85)だったのに対し、経験5年超のシニアの医師は同140杯(同:169)だった。 また、コーヒーを同僚医師などにおごる回数も、上級医になるにつれて増加の傾向が認められた(x2=556.24、p<0.01)。1人当たりの年間摂取量における2杯以上の購入回数をみると、若手医師が15%に対し、5年超のシニアの医師は22%、所属部門トップでは年間摂取量はシニアの医師よりも少なかったが、2杯以上の購入回数が占めた割合は30%と最多だった。

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喫煙で死亡リスクが上がる疾患

喫煙する女性は、さまざまな疾患の死亡リスクが高くなります<喫煙経験のない女性の死亡確率を1としたときの値>110203035.3慢性肺疾患21.4肺がん大動脈瘤腸間膜虚血口腔・咽頭がんなど冠動脈性心疾患アルコール性肝硬変膀胱がん食道がん肺炎脳血管疾患406.325.584.834.473.353.293.103.093.06※3以上の疾患を抜粋Pirie K, et al. Lancet. 2013;381:133-141.Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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過去20年で健康寿命が4年前後増加/Lancet

 英国・ニューカッスル大学のCarol Jagger氏らは、イングランドにおける1991~2011年の高齢者の健康寿命(主観的健康感、認知機能、日常生活動作[ADL]障害で評価)の変化を調べた。10年ごと2回にわたったCognitive Function and Ageing Study IおよびIIの結果を分析した結果、認知機能障害のない期間と主観的健康感は増大、ADL障害についてはあまり変化していないことが明らかになったという。こうした結果の背景要因として著者は、「明らかではないが、先の10年に肥満者が増大したことが考えられる」と分析したうえで、「われわれの所見は、政府、雇用者そして個人に重要な示唆を与える。とくに勤続年齢の引き上げに関して、また地域医療サービスや軽症~中等度の障害者を支える家族介護者に対して重要な示唆を与える」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。イングランドの1991~2011年の健康寿命の変化を3指標で分析 研究グループは、イングランドの1991~2011年における健康寿命の変化について、同一の試験デザイン・方法を用いて10年ごとに比較する検討を行った。 検討には、イングランドの3地域(ケンブリッジシャー、ニューカッスル、ノッティンガム)で65歳以上の住民が参加したCognitive Function and Ageing Studyのベースラインデータを用い、3つの健康指標―主観的健康感(優良/良好、普通、不良)、認知機能障害(MMSE認知機能検査スコア評価で中等度、軽度、正常)、ADL障害(正常、軽度、中等度)について有病率を算出した。Sullivan法を用いて3地域統合の健康寿命を算出。同一期間の標準的生活テーブルに当てはめて年齢特異的また性特異的有病率を算出した。認知機能障害期間は短縮、主観的健康感の期間は延長、障害のない期間は微増 1991~2011年で、65歳時の健康寿命は男女とも増加していた(男性4.5年、女性3.6年)。あらゆる認知機能障害のない期間が延長(男性4.2年[95%信頼区間[CI]:4.2~4.3]、女性4.4年[同:4.3~4.5])し、軽度または中等度の認知障害を伴う期間は短縮していた。 同様に、主観的健康感が優良/良好であった期間が延長し(男性3.8年[95%CI:3.5~4.1]、女性3.1年[同:2.7~3.4])ていた。 一方で、障害のない期間の延長は、主観的健康感が優良/良好や認知障害のない期間の延長と比べてわずかで、とくに女性では軽度の障害期間の延長により、男性と比べてわずかであった(女性0.5年[95%CI:0.2~0.9]、男性2.6年[同:2.3~2.9])。

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新病型としてアトピー緑内障を提唱

 重篤なアトピー性皮膚炎に合併する開放隅角緑内障(アトピー緑内障)は、重度で眼表面や眼瞼の炎症を伴い治療に難渋する傾向にある。順天堂大学大学院 眼科学の高桑 加苗氏らは、後ろ向き解析と病理学的検討を行い、新しい臨床病型としてアトピー緑内障を提唱した。純粋アトピー緑内障から、アトピー眼性合併症の臨床像の1つといえる混合型アトピー/ステロイド誘発緑内障まで、幅広い疾患概念である。Journal of Glaucoma誌2015年12月号の掲載報告。 研究グループは、アトピー緑内障45例(62眼)について後ろ向きに解析し、外科的治療時に採取した眼房水のサイトカイン分析を行うとともに、線維柱帯切除標本を組織学的に検討した。 主な結果は以下のとおり。・アトピー白内障(43眼)および網膜剥離(19眼)の合併が多かった。・12例は、グルココルチコイド治療歴がなかった。・計50眼は、高度な視野欠損あるいは高眼圧のため外科的治療を要した。・術後濾過胞感染症は、7眼で観察された。・眼房水の炎症性サイトカイン(IL-8およびCCL2)濃度は、老人性白内障患者と比較してアトピー緑内障患者で高かった。・アトピー緑内障の線維柱帯組織に10~30nmファイバーの超微構造が確認された。

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