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脾腫の鑑別診断(2)[感染症編]【1分間で学べる感染症】第10回

画像を拡大するTake home message脾腫の感染症の鑑別診断は「MESHBELT」で覚えよう。今回は脾腫の鑑別診断、とくに感染症に焦点を当てて学んでいきましょう。前回は脾腫の鑑別診断を「CHINA」で覚えました。脾腫を来した患者を診る場合には、この「CHINA」に加えて感染症疾患の多様な鑑別診断を念頭に置いて、精査やリスクに応じた治療を開始することが重要です。脾腫を来す感染症で頻度が高いものとしては、EBウイルスやCMVなどによる伝染性単核球症が重要です。また、海外からの渡航者であれば渡航地域のリスクによって、マラリアや腸チフスなど、地域特有の疾患を考える必要があります。さらには、ネコの曝露によりバルトネラやトキソプラズマ、ネズミや汚染された土壌・淡水などの曝露によりレプトスピラが考えられます。レプトスピラは農業従事者、下水管作業従事者、食肉処理業者だけではなく健常者でも報告があります。最後に、感染性心内膜炎の合併症としては、免疫複合体による脾梗塞の機序や菌体そのものが脾膿瘍を引き起こして脾腫を来すこともあるため、注意が必要です。脾腫を来した患者を診る場合、まずは感染症の診断・除外が重要になります。それぞれの疾患に対してのリスクを問診や身体所見、そのほかの他覚的所見で絞り込むようにしましょう。1)Aldulaimi S, et al. Am Fam Physician. 2021;104:271-276.

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高身長とがんリスク~東アジア人での関連

 身長とがんリスクの関連が示唆されているが、ほとんどの研究は欧米人を対象としておりアジア人を対象とした研究は少ない。今回、中国・Fudan UniversityのYougen Wu氏らが中国人の前向きコホートで解析したところ、高身長ががん全体、肺がん、食道がん、乳がん、子宮頸がんのリスクと有意に関連していた。さらに、中国・日本・韓国のデータを用いたメンデルランダム化解析により、高身長が肺がんおよび胃がんのリスク因子である可能性が示唆された。Cancer Epidemiology誌2024年10月号に掲載。 本研究では、中国のChina Kadoorie Biobank(CKB)前向きコホートのデータを用いて観察的解析を実施し、調整後のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)をCox比例ハザードモデルを用いて推定した。また、CKB、日本のBiobank Japan、韓国のKorean Genome and Epidemiology Studyのデータを用いた2標本メンデルランダム化解析により身長とがんの因果関係を検討した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値10.1年で2万2,731例にがんが発生した。・観察的解析では、ボンフェローニ補正後、身長10cm増加当たりのHRは、がん全体で1.16(95%CI:1.14~1.19、p<0.001)、肺がんで1.18(同:1.12~1.24、p<0.001)、食道がんで1.21(同:1.12~1.30、p<0.001)、乳がんで1.41(同:1.31~1.53、p<0.001)、子宮頸がんで1.29(同:1.15~1.45、p<0.001)で、身長が高いとリスクが有意に上昇した。また、悪性リンパ腫で1.18(同:1.04~1.34、p=0.010)、大腸がんで1.09(同:1.02~1.16、p=0.010)、胃がんで1.07(同:1.00~1.14、p=0.044)で、リスク上昇が示唆された。・メンデルランダム化解析では、遺伝的に予測される身長の1標準偏差(8.07cm)増加当たりのオッズ比は、肺がんで1.17(95%CI:1.02~1.35、p=0.0244)、胃がんで1.14(同:1.02~1.29、p=0.0233)で、高身長でリスク上昇が示唆された。

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アレクチニブ、ALK陽性非小細胞肺がんの術後補助療法に承認/中外

 中外製薬は2024年8月28日、ALK阻害薬アレクチニブ(商品名:アレセンサ)について、「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺における術後補助療法」に対する適応追加承認を取得したと発表。 今回の承認はIB期(腫瘍径4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に実施されたグローバル第III相臨床試験であるALINA試験の成績に基づいている。同試験において、アレクチニブはプラチナベースの化学療法と比較して、対象患者の再発または死亡リスクを76%低下させた(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.13〜0.43、p<0.0001)1)。また、アレクチニブの安全性および忍容性は、転移のあるALK陽性NSCLCを対象とした過去の試験と同様であり、新たな所見は認められなかった。 なお、同療法において化学療法の併用は義務付けられておらず、アレクチニブの用量は600mg×2/日、投与期間は24ヵ月までとされている。電子化添付文書情報 ※下線部について変更・追加販売名:アレセンサ カプセル150mg一般名:アレクチニブ塩酸塩カプセル効能又は効果:ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺における術後補助療法用法及び用量:〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺における術後補助療法〉通常、成人にはアレクチニブとして1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。ただし、投与期間は24ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

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ドナー心臓の低温酸素化灌流で心臓移植は改善するか/Lancet

 心臓移植において、ドナー心臓の持続的低温酸素化機械灌流(hypothermic oxygenated machine perfusion:HOPE)は単純冷却保存(static cold storage:SCS)と比較して、主要エンドポイントに有意差はなかったものの、1次エンドポイントのイベントリスクを44%減少させ、移植後合併症が減少するとともに原発性移植片機能不全(primary graft dysfunction:PGD)の低減に有益であることが示唆された。ベルギー・University Hospitals LeuvenのFilip Rega氏らNIHP2019 investigatorsが、欧州8ヵ国(ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、英国、スペイン、オーストリア、スウェーデン)の移植センター15施設で実施した国際共同無作為化非盲検比較試験「NIHP2019試験」の結果を報告した。SCSは、ドナー心臓保存のゴールドスタンダードであるが、虚血、嫌気的代謝、臓器損傷を伴い、患者の合併症と死亡につながっていた。著者は、「HOPEによるドナー心臓の保存は、移植片保存に関連する既存の課題と、ドナーおよび心移植レシピエントにおける複雑性の増大に対処するもので、今後の研究によりHOPEの有益性がさらに明らかになるであろう」とまとめている。Lancet誌2024年8月17日号掲載の報告。ドナー心臓の保存法、HOPE vs.SCSに無作為化 研究グループは、欧州8ヵ国の移植センター15施設において、心臓移植の候補となる18歳以上の成人を登録し、移植の直前に治療群と対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 治療群(HOPE群)では、保存プロトコールとして、安静時のドナー心臓のHOPEを確保するポータブル機械灌流システムを使用した。対照群(SCS群)のドナー心臓は、標準的な方法により虚血下SCSを行った。 ドナーは、年齢18~70歳で、過去に胸骨切開手術を受けたことがなく、脳死後にドナーとなったことを適格基準として、試験とは無関係に、地域のシステムに従いレシピエントとマッチングされた。 1次エンドポイントは、移植後30日以内の心臓関連死、左心室の中等度または重度の原発性移植片機能不全(primary graft dysfunction:PGD)、右心室のPGD、grade 2R以上の急性細胞性拒絶反応、または生着不全(機械的循環補助の使用または再移植を伴う)のいずれかが最初に発生するまでの時間で、主要解析対象集団(mITT集団)は、無作為化され適格基準と除外基準を満たし、移植を受けた全患者とした。また、無作為化され移植を受けた全患者を対象に安全性について評価した。SCSと比較しイベントリスクは44%減少 2020年11月25日~2023年5月19日に、計229例の患者が登録され(HOPE群119例、SCS群110例)、このうち204例(それぞれ101例、103例)がmITT集団に組み入れられた。また、HOPE群に割り付けられた患者で、装置等の問題によりSCSを用いて移植を受けた患者があり、安全性解析対象集団はHOPE群97例、SCS群125例であった。装置に関連した問題により廃棄されたドナー心臓はなかった。また、移植を受けたが追跡不能となった患者はいなかった。 1次エンドポイントのイベントは、HOPE群で101例中19例(19%)、SCS群で103例中31例(30%)に認められ、HOPEによりイベントリスクが44%減少した(ハザード比:0.56、95%信頼区間[CI]:0.32~0.99、log-rank検定のp=0.059)。1次エンドポイントのイベントのうち、PGDの発生はHOPE群11例(11%)、SCS群29例(28%)であった(リスク比:0.39、95%CI:0.20~0.73)。 重篤な有害事象は、HOPE群では63例(65%)に158件、SCS群では87例(70%)に222件報告された。2次エンドポイントである主要有害心臓移植イベント(MACTE)は、HOPE群で18例(18%)、SCS群で33例(32%)に認められた(リスク比:0.56、95%CI 0.34~0.92)。

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子宮移植、成功率は70%で全例生児出産/JAMA

 子宮移植は技術的に可能であり、移植子宮生着後の生児出産率は高かった。米国・ベイラー大学医療センターのGiuliano Testa氏らが、「Dallas Uterus Transplant Study:DUETS試験」の結果を報告した。有害事象は一般的で、医学的および外科的リスクはドナーだけでなくレシピエントにも影響を及ぼしたが、現在までのところ出生児に先天異常や発育遅延は発生していないという。絶対的子宮性不妊症は500人に1人の割合で発生し、生殖医療における障壁となっているが、子宮移植により妊娠・出産できる可能性が示されている。JAMA誌オンライン版2024年8月15日号掲載の報告。少なくとも1回の生児出産を伴う移植子宮生着と安全性を評価 研究グループは、2016年9月14日~2019年8月23日に子宮移植を行った。レシピエントの適格基準は、絶対的子宮性不妊症で、少なくとも1つの卵巣は機能しており、体外受精を受ける意思があり、医学的・心理学的基準を満たした20~40歳の女性であった。ドナーは、25~65歳で少なくとも1回の正期産の出産経験があり、医学的・心理学的合併症がないこととした。 ドナー子宮の摘出は、生体ドナー18例のうち最初の13例は開腹手術、5例は低侵襲ロボット支援経膣的子宮摘出術、死亡ドナー2例は開腹手術にて行われた。 レシピエントは、移植前に良質な正倍数性受精卵を2個以上(11例目以降のレシピエントは4個)得ている必要があった。 子宮移植は、子宮静脈と両側外腸骨血管の血管吻合を行い、同所的に行われた。移植後は、1~2回の生児出産後まで、または移植が失敗し移植された子宮が摘出されるまで免疫抑制薬を投与した。 主要アウトカムは、子宮移植の有効性(少なくとも1回の生児出産を伴う移植子宮生着)、副次アウトカムは安全性とした。20例中14例、70%で子宮移植に成功 移植を希望した701例中、適格基準を満たした20例(年齢中央値30歳[範囲:20~36]、アジア人2例、黒人1例、白人16例)がレシピエントとして登録された。うち18例は先天性子宮欠損症、2例は良性疾患による子宮摘出の既往であった。生体ドナー18例の年齢中央値は37歳(範囲:30~56)であった。 20例中14例(70%)で子宮移植が成功し、14例全例が少なくとも1回、生児出産した。移植に失敗した6例(死亡ドナー2例中1例、生体ドナー18例中5例)のうち、1例は移植後数時間以内の動脈出血による出血性ショックが原因で、5例は血管吻合部の血栓、あるいは子宮微小血管系の既存のアテローム性動脈硬化性変化に起因し、いずれも移植後2週間以内に生じた。 レシピエント20例中11例に少なくとも1件の合併症がみられた。母体および/または産科合併症は、成功した妊娠の50%で発生し、主なものは妊娠高血圧(Gestational hypertension)、子宮頸管無力症、早産(各2例[14%])であった。出生児16例に先天性奇形は認められなかった。生体ドナー18例中4例にGrade3の合併症がみられた。

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限界に近いトレーニングは筋肥大に有効?

 ウェイトリフティングをする人の間で人気のあるトレーニングは、「training to failure(失敗するまでトレーニングする)」、つまり、エクササイズでそれ以上おもり(ウェイト)を持ち上げられなくなるまでレップ(動作の反復の1回が1レップ)を繰り返す方法である。このトレーニング方法は、筋肉を大きくするのには役立つが、筋力の増強にとっては限界までやるかやらないかは関係しない可能性のあることが新たな研究で明らかになった。米フロリダ・アトランティック大学(FAU)生体医科学部(Charles E. Schmidt College of Biomedical Sciences)のMichael Zourdos氏らによるこの研究の詳細は、「Sports Medicine」に7月6日掲載された。 この研究では、55件の先行研究のデータを分析して、限界に近いレップ数で行うトレーニングが、主に、エクササイズで使用される主要な筋肉の肥大と筋力増強にどのような影響を及ぼすのかが検討された。その結果、トレーニングをまだ余力のあるレップ数でやめても、限界に近いレップ数で行っても、筋力増強の程度は同様であることが明らかになった。その一方で、筋肥大については、限界に近いレップ数でトレーニングを行う方が効果の大きいことも示された。 Zourdos氏は、「筋肉を大きくしたいのであれば、トレーニングを限界に近いレップ数で行う方が効果的だろう。言い換えると、セット数やレップ数の変更によりトレーニングのボリュームを変えても、自分の限界に近いトレーニングと筋肥大との関連には影響しないということだ」と述べている。 研究グループは、筋肉を大きくしたい人に対しては、怪我を防ぐためにも、限界よりも0〜5回少ないレップ数でトレーニングを実施するべきだとアドバイスしている。また、筋力を増強させたい人に対しては、限界に近い状態まで行うのではなく、負荷を大きくしてトレーニングを行い、レップ数を限界よりも3〜5回少なくすると良いと述べている。 論文の筆頭著者である、FAU運動科学・健康増進学科分野のZac Robinson氏は、「限界に近いトレーニングは、自分があと何レップできるかに関する自己報告の精度を高める。あと何レップできるのかの見積もりは選ぶウェイトに影響を与える。見積もりが外れると、本来必要とされるよりも軽いウェイトを使用することも考えられ、そうなると、筋力の向上も制限される可能性がある。その一方で、本研究では、限界に近いトレーニングがより大きな筋肉の成長につながることも示された。よって、平均的な人にとっては、体力に対する感覚の精度と筋肉のサイズの向上の両方を改善する限界に近いトレーニングが最適な選択肢なのかもしれない」と述べている。

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新クラスの抗菌薬、「人喰いバクテリア」にも有効か

 新たな抗菌性化合物により、マウスに感染した化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)を効果的に除去できることを示した研究成果が報告された。S. pyogenesは「人喰いバクテリア(劇症型溶血性レンサ球菌感染症)」の主な原因菌であり、この細菌による感染症により毎年50万人が死亡している。研究グループは、「この化合物は、薬剤耐性菌との闘いにおいて貴重な存在となり得る、新規クラスの抗菌薬の第1号となる可能性がある」と述べている。米セントルイス・ワシントン大学医学部分子微生物学分野のScott Hultgren氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に8月2日掲載された。 ペプチドミメティックなジヒドロチアゾロ環縮合2-ピリドンという分子構造を持つこの新しい化合物は、「GmPcides」と名付けられている。当初、Hultgren氏らは、共同研究者であるウメオ大学(スウェーデン)化学分野のFredrik Almqvist氏に、尿道カテーテルの表面に細菌のバイオフィルムが付着するのを防ぐ化合物の開発を依頼したが、結果的に、この化合物が複数の種類の細菌に対して感染防止効果を持っていることが判明したという。 論文の上席著者である、セントルイス・ワシントン大学医学部分子微生物学分野のMichael Caparon氏は、「エンテロコッカス属やブドウ球菌、クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)など、われわれがテストした全てのグラム陽性菌がこの化合物に対して感受性を示した」と話す。グラム陽性菌は細胞壁が厚く、感染時にさまざまな毒素を放出する傾向があり、薬剤耐性の黄色ブドウ球菌感染症、中毒性ショック症候群、その他の致命的な感染症の原因となっていると研究グループは説明する。 今回の研究では、S. pyogenesに感染させたマウスを用いて、皮膚軟部組織感染症(SSTI)に対するGmPcidesの効果が検討された。壊死性筋膜炎などで知られる皮膚軟部組織感染症には複数の細菌が関与し、症状の進行が早く、感染の広がりを抑えるために肢の切断を要する場合もあり、罹患者の約20%が死亡する。 その結果、GmPcidesを投与されたマウスでは未治療のマウスに比べて、体重減少が少なく、感染による症状として現れる潰瘍が小さく、感染からの回復も速いことが示された。 ただし、GmPcidesがどのようにしてこのような効果をもたらすのかは明確になっていない。しかし、顕微鏡による観察からは、GmPcidesが細菌の細胞膜に重要な影響を与えていることが示されている。Caparon氏は、「細胞膜の機能の1つは、外部からの物質を排除することだ。GmPcidesによる処理後5〜10分以内に膜が透過性を持ち始め、通常は排除されるべきものが細菌の中に入り込むようになることが分かっている」と説明する。GmPcidesによる細胞膜の損傷は、細菌が宿主に対して損傷を引き起こす機能や、宿主の免疫応答に対抗する能力を低下させることが考えられるという。 さらにGmPcidesによる治療では、薬剤耐性菌の発生が少ない可能性も示された。薬剤耐性菌を作成する実験では、治療に耐えられる細胞はごくわずかであり、そのため耐性を持つ菌が次世代に引き継がれることはほとんどなかった。 以上のように有望な結果が得られたとはいえ、Caparon氏は、GmPcidesが病院や薬局で入手できるようになるまでには、まだ時間がかかると話す。同氏らは、この研究で使用された化合物の特許を取得し、彼らが所有権を持つ企業QureTech Bio社にライセンスを供与した。同氏らはこの企業と協力して製薬開発や臨床試験を進め、GmPcidesを市場に出すことを計画している。

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アートやクラフトの制作は心の健康に良い影響を与える

 絵画や彫刻、陶芸のような創造的・創作的な趣味は、心の健康を維持するという点では仕事と同等以上の効果を持つ可能性のあることが、英国の新たな研究で明らかになった。論文の筆頭著者である英アングリア・ラスキン大学のHelen Keyes氏は、「クラフト制作やアーティスティックな活動は、人々の人生に対する価値観を予測する上で有意に影響することが示された」と述べている。この研究の詳細は、「Frontiers in Public Health」に8月16日掲載された。 この研究では、英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省が毎年実施している調査「Taking Part Survey」への2019〜2020年の参加者7,182人のデータが解析された。調査参加者は年齢、性別、居住地の郵便番号(重複剥奪指標〔IMD〕を調べるため)、健康状態、雇用状況などのほか、過去12カ月間に絵画やドローイング、彫刻、写真撮影、刺繍、パソコンでの音楽やアートの制作、陶芸などのアートやクラフトの制作(creating arts and crafting;CAC)を行ったか否かを尋ねられていた。また、4つの質問で構成された評価尺度により主観的なウェルビーイング(人生に対する満足度・価値観、幸福感、不安)、1項目の質問により孤独感の評価が行われていた。 対象者の37.4%が過去12カ月の間にCACを1種類以上行っていた。解析の結果、過去12カ月間におけるCACの実施、健康状態、年齢増加、居住地域の豊かさは人生に対する満足度を予測する重要な因子であり、中でもCACは居住地域の豊かさよりも強く影響することが明らかになった。また、CACは人生に対する価値観や幸福感にも有意な影響を与え、人生に対する価値観に対しては雇用状況と同等以上の影響を及ぼすことが示された。一方で、CACは孤独感や不安には有意な影響を与えていなかった。 Keyes氏はこれらの結果について、「CACが主観的ウェルビーイングにもたらす影響は、雇用状況や貧困レベルなどを考慮した後でも確認された。つまりCACは、雇用状況などの他の側面を超えて、幸福感にプラスの影響を与える可能性がある」と「Frontiers in Public Health」誌のニュースリリースの中で述べている。また同氏は、「CACの影響は雇用状況が与える影響よりも強かった。これは、CACが達成感をもたらすだけでなく、自己表現への有意義な手段でもあるためだろう。仕事は、必ずしも自己表現の手段となるわけではない」と述べている。 ただし、本研究は関連性を示すことのみを目的として設計されているため、CACと主観的ウェルビーイングの因果関係が証明されたわけではない。 Keyes氏は、自身の生活の中でも熱心にアート制作やDIYを行っているとし、「自分の仕事の成果が目の前に現れるのは、確かに大きな満足感をもたらす。一つの作業に集中し、創造的に頭を働かせるのは素晴らしい体験だ」と話す。そして、「本研究の結果を受け、政府や国の保健サービスは、ウェルビーイングとメンタルヘルスの促進と予防のアプローチの一環として、クラフト活動への資金提供とその促進、あるいはリスクのある人々へのこうした活動の社会的処方を検討するかもしれない」と話している。

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患者さんの自己流運動へのチェックも大事(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者医師患者医師最近、足腰が弱ってきて…。立ち上がるときに「よっこいしょ!」なんてかけ声が必要だったりして…。ハハハ…。それ、私です。何か、対策はされていますか?たまに、スクワットをしているんですが…。どんな風にされていますか?こんな感じです(実演)…回数は50回くらいです。なるほど。…もっと効果的な「7秒スクワット」というのがありますよ。患者 7秒スクワット、どんなスクワットなんですか?(興味津々)画 いわみせいじ医師 ちょっと、やってみましょうか。(実演)5秒かけてゆっくりと腰を落としていきます(伸張性収縮)。そのあと2秒間キープします(等尺性収縮)。そして、反動をつけずに立ち上がります(短縮性収縮)。患者 これ結構、効きますね。今までの私がやっていたスクワットとは全然、違いますね。どのくらいの回数をやったらいいですか?医師 1セット10回を3回。これを週に2回からスタートしてみてください。患者 はい、わかりました。頑張ってやってみます(嬉しそうな顔)ポイント自己流ではなく、筋グリコーゲンを使い切る効果的なスクワットの方法について実演を交えながら説明します。Copyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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アポを取るべし【Dr. 中島の 新・徒然草】(544)

五百四十四の段 アポを取るべし台風の季節になりました。まだ遠くの海上にいても、何かと影響があるのでしょうか。大阪でも突然の激しい夕立に見舞われたりします。進路も気まぐれで、いつ来るかわかったもんじゃありません。困ったものです。さて、先日の総合診療科外来にやってきた男性。年齢は75歳くらいだったかな。3ヵ月ごとの通院患者さんです。患者「気がついたら首を吊っていて」中島「でも……生きてますよね」患者「紐が切れましてん」これはご本人に原因を語ってもらう必要がありそうです。中島「何でまた首なんか吊るんですか?」患者「どうも人と喋ることがないんで」この方は独居です。患者「誰かと喋るのは3ヵ月に1回、中島先生の外来に来たときだけですねん」そうでしたか。患者「それでワシは施設に入ったほうが、ええのとちゃうやろか」中島「……」患者「担当者に中島先生から電話してくれまへんか?」中島「電話ですか。担当者のお名前は何と仰るのでしょうか」そうすると何やら黄色いカードが出てきました。ケースワーカー○○と書いてあります。「この○○さんが担当で、電話番号はこれこれ」××区福祉課とあります。中島「なるほど」患者「ほな、電話してくれまっか?」中島「いやいや、電話はご本人がしたほうがいいですね」患者「ワシがやるんでっか」中島「そうです。ご自分で○○さんに電話して、何月何日何時に会うという約束をするんですよ」本当は「アポを取る」と言うべきなんでしょうけど、この患者さんに通じるかどうかわからないので、わかりやすく言いました。患者「いつも『忙しい、忙しい』と言われるからなあ」中島「そりゃあ忙しいでしょう。○○さんは、たぶん100人も200人も担当しているはずだし」患者「そんなにでっか!」中島「当たり前じゃないですか。だから電話した時には『15分で済みます』と言ってください。じゃないと、会ってくれないかもしれませんよ」患者「それで、この前に首を吊って、中島先生に『人と喋らなあかん』と言われた、と言ったらええんでっか?」中島「『首を吊った』とか『中島先生に言われた』とかは、やめておいたほうがいいですね」そんな話を○○さんが聞かされて「そりゃ大変だ!」となるとは思えません。それよりも端的に「人と話す機会が欲しい」と言うべきでしょう。中島「それと『施設に入れてくれ』というよりも、今の家に住んだままで参加できるような活動のほうがいいと思いますけど」患者「サークルとかそんなものでっか?」中島「そうそう、サークルみたいなのがあったら一番いいと思いますよ」患者「サークルかあ」この人、誰かと会うときはアポを取るという社会人としての振る舞いを、学ぶ機会がなかったのかもしれません。でも、そういった機会がなかったのなら、この場で学んだらいいことです。たとえ75歳であったとしても。とにかく、ケースワーカーの○○さんに相談する場合、電話でアポを取ること手短に用件を言って話を15分で終わらせること提案してもらった事には積極的に挑戦することを繰り返し強調しました。その上で、もし中島が支援することができるとしたら、○○さんが中島に連絡してきたら状況を説明する診断書など必要な書類があれば作成するということも説明しました。実際、私との会話を通じて、多少は前向きになってくれるのか、ちゃんと言われたことを実行したのか。それは次回に確認したいと思います。最後に1句台風と ともに学ぼう アポ取りを

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ジャガイモ料理を食べて嘔吐・下痢、対処法は?【これって「食」中毒?】第4回

今回の症例年齢・性別34歳・男性、28歳・女性患者情報新婚の夫婦は新居の庭に菜園を作り、手始めにジャガイモを栽培した。7月上旬に地上の茎の刈り取り(写真1)を行った後、イモ堀りをしてジャガイモをたくさん収穫した(写真2)。画像を拡大する早速、ジャガイモを煮たり、茹でたりして肉じゃがやポテトサラダにして夕食で食べた(写真3、4)。画像を拡大する夫はビールによる酔いも手伝って、妻よりも多量に摂取した。翌朝、激しい嘔気で目が覚め、トイレで嘔吐した。その後も嘔吐、下痢を繰り返し、腹痛や強い倦怠感も生じたため救急要請し、嘔気を訴えていた妻と一緒に某病院救急センターに搬送された。初診時は気道開通、呼吸数24/分、SpO2 98%(室内気)、血圧92/60mmHg、心拍数120bpm(整)、意識レベルJCS 0、体温37.8℃であった。頭痛、嘔気、腹痛、強い倦怠感を訴えていた。検査値・画像所見血液検査では白血球増多(8,900/µL)以外に特記すべき異常を認めなかった。胸腹部造影CTでは腸管の浮腫を認めた。問題

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ポケジェリ―AGS高齢者診療マニュアル

あなたのポケットにジェリアトリクス(老年医学)を!本書は、米国老年医学会(American Geriatrics Society)が刊行する、“Geriatrics At Your Fingertips”の翻訳版です。日本の超高齢社会において、すべての医師は老年医学のマインドセットを身につける必要があります。すなわち、内科学、総合診療を根幹におき、高齢者一人ひとりの尊厳を大切にする視点、特有の問題や複雑な症状を見極める洞察力、最適な薬剤・治療法を選択する判断力を加えた老年医学の考え方です。翻訳では全面的な薬剤監修も実施し、丁寧な日本化を試みました。実践で使いこなしながら学べる1冊になっています。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大するポケジェリ―AGS高齢者診療マニュアル定価6,930円(税込)判型B6変判頁数472頁発行2024年8月編著者山田 悠史(Brookdale Department of Geriatrics and Palliative Medicine, Icahn School of Medicine at Mount Sinai)原田 洸(Brookdale Department of Geriatrics and Palliative Medicine,  Icahn School of Medicine at Mount Sinai)榎本 貴一(練馬光が丘病院 薬剤室)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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第111回 増えるマイコプラズマ肺炎、今年のマクロライド耐性率は?

増えるマイコプラズマ肺炎マイコプラズマ肺炎は、基幹定点医療機関において週ごとに報告される5類感染症です。新型コロナやインフルエンザと比べると報告義務のある医療機関はかなり少なくなります。さて、感染症発生動向調査週報2024年第31・32週(第31・32合併号)において、2016年と同じくらいの流行に陥っていることが示されました(図1)1)。定点当たりの報告数としては新型コロナほどではないのですが、マイコプラズマ気管支炎や咽頭炎などは報告数に入っておらず、肺炎が対象となっているので、水面下にはそれなりの感染者数がいると認識したほうがよいでしょう。画像を拡大する図1. マイコプラズマ肺炎の定点医療機関当たりの報告数(参考文献1より引用)マクロライド耐性率15年ほど前に、マクロライド耐性マイコプラズマが流行したことを覚えているでしょうか2)。といっても、これを読んでいるのがアラフォー・アラフィフばかりとは限らないので、その事実を知らない読者のほうが多いかもしれません。私の研修医時代はあまりそういう話はなかったのですが、5年10年経つと「マクロライド耐性」がやたら騒がれるようになって、いつの間にか8割以上がマクロライド耐性になっていました。当時、時折開かれる感染症セミナーでも、専門家の方々が「耐性化がハンパない」と連呼していましたが、結局思ったほど流行せず、しかもその後は徐々に耐性率は下がっていきました3)。この背景として、遺伝子型の違いが挙げられます。Mycoplasma pneumoniaeの細胞接着タンパク(P1)の遺伝子型は1型と2型があり、この2つは10~20年ごとに交互に流行するという傾向があります(図2)4)。1990年代は2型が優勢で、マクロライド耐性率は低かったようです。2001~16年あたりまでは1型菌が優位になっていたのですが、マクロライドの曝露を受けたことによって、この1型菌たちが耐性化したのではないかと考えられています。最近、中国で分離されたM. pneumoniaeのp1遺伝子型の頻度が報告されています5)。この報告では、1型菌が明らかに優勢で、全体の約4分の3を占めていたとされています。1型菌は当然ながらマクロライド耐性遺伝子を有していたのですが、驚いたのは2型菌もすべてマクロライド耐性遺伝子を持っていたことです(1型:54株すべてがA2063G変異、2型:3株がA2063G変異陽性・1株がA2064G変異陽性、2c型:13株すべてA2063G変異陽性)。画像を拡大する図2. M. pneumoniae分離株の遺伝子型とマクロライド耐性率の年別推移(参考文献4より引用)日本では2017年以降、2型菌が優勢となっていて、M. pneumoniaeのマクロライド耐性率が低減したとされています。上述した中国の報告を考慮すると、2型菌とて安心できるわけではないのかもしれません。また、地域によって耐性率に差があります。米国疾病予防管理センター(CDC)のウェブサイトによると、マクロライド耐性率はカナダで12%、中国で80%(上記の研究は100%でしたが)、ヨーロッパは5%(イタリアは20%)、日本は50%以上(上述したように時期によって変動があります)、アメリカは10%と記載されています6)。とはいえ、日本呼吸器学会の『成人肺炎診療ガイドライン2024』7)の中には、「マイコプラズマ肺炎は軽症例が多く、マクロライド耐性株が数十パーセント存在するがマクロライド系薬の有効性は示されている」と書かれており、“初手アジスロマイシン”はとくに否定されるものではないと考えられます。各医療機関、コロナ禍で検査技術が進展し、蛍光標識プローブ(Qプローブ)などでマクロライド耐性遺伝子があるかどうか判定できるようになりました。成人の場合、最初からテトラサイクリンやキノロンを用いる戦法だけでなく、アジスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬の治療失敗を早めに判断してスイッチすることも検討されます。ただし小児においては、使用する必要があると判断される場合、トスフロキサシンあるいはテトラサイクリン系薬の投与を考慮しますが、8歳未満には、テトラサイクリン系薬は原則禁忌です。参考文献・参考サイト1)感染症発生動向調査週報2024年第31・32週(第31・32合併号)2)Kawai Y, et al. Nationwide Surveillance of Macrolide-Resistant Mycoplasma pneumoniae Infection in Pediatric Patients. Antimicrob Agents Chemother. 2013 Aug;57(8):4046-4049.3)Kenri T, et al. Periodic Genotype Shifts in Clinically Prevalent Mycoplasma pneumoniae Strains in Japan. Front Cell Infect Microbiol. 2020 Aug 6;10:385.4)見理剛. 肺炎マイコプラズマの遺伝子型別法と薬剤耐性の動向. IASR. 2024 Jan;45:6-8.5)Chen Y, et al. Increased macrolide resistance rate of Mycoplasma pneumoniae correlated with epidemic in Beijing, China in 2023. Front Microbiol. 2024 Aug 6;15:1449511.6)CDC. Mycoplasma pneumoniae Infection Surveillance and Trends7)日本呼吸器学会. 成人肺炎診療ガイドライン2024. メディカルレビュー社.

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BPSDに対する第2世代抗精神病薬5剤の比較~ネットワークメタ解析

 認知症患者で頻繁にみられる認知症の行動・心理症状(BPSD)の治療において、第2世代抗精神病薬(SGA)がよく用いられるが、その相対的な有効性および忍容性は明らかになっていない。中国・四川大学のWenqi Lu氏らは、BPSDに対する5つのSGAの有効性、許容性、忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。BMJ Mental Health誌2024年7月30日号の報告。 標準平均差(SMD)を用いて、連続アウトカムの固定効果をプールした。カテゴリ変数に対応したオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。有効性の定義は、標準化された尺度によるスコア改善とした。許容性は、すべての原因による脱落率とし、忍容性は、有害事象による中止率と定義した。相対的な治療順位は、SUCRAにより評価した。有害事象アウトカムには、死亡率、脳血管有害事象、転倒、過鎮静、錐体外路症状、排尿症状を含めた。 主な結果は以下のとおり。・ネットワークメタ解析には、介入期間が6~36週で5つのSGA(クエチアピン、オランザピン、リスペリドン、ブレクスピプラゾール、アリピプラゾール)について検討を行ったランダム化比較試験20件、6,374例を含めた。・有効性アウトカムは、プラセボと比較し、ブレクスピプラゾールのほうが高かった(OR:−1.77、95%CI:−2.80~−0.74)。また、ブレクスピプラゾールは、クエチアピン、オランザピン、アリピプラゾールよりも優れていた。・許容性に関しては、アリピプラゾールのみがプラセボよりも良好であり(OR:0.72、95%CI:0.54~0.96)、アリピプラゾールはブレクスピプラゾールよりも優れていた(OR:0.61、95%CI:0.37~0.99)。・忍容性に関しては、オランザピンはプラセボ(OR:6.02、95%CI:2.87~12.66)、リスペリドン(OR:3.67、95%CI:1.66~8.11)、クエチアピン(OR:3.71、95%CI:1.46~9.42)よりも不良であり、アリピプラゾールはオランザピンよりも優れていた(OR:0.25、95%CI:0.08~0.78)。・クエチアピンは、脳血管有害事象について良好な安全性が示唆された。・ブレクスピプラゾールは、転倒についてより安全性が高く、過鎮静についても同様の安全性が示唆された。 著者らは「ブレクスピプラゾールは、BPSD治療において優れた有効性を示し、アリピプラゾールは最も許容性が高く、オランザピンは最も忍容性が低いことが示された。本結果は、意思決定の指針として利用可能であると考えられる」とまとめている。

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マイナ保険証にまだ不安があると回答した人は約半数/アイスタット

 マイナンバーカード(マイナカード)の活用場面が日々拡大している。最近では、役所の窓口だけでなく、医療機関や薬局でも健康保険証とマイナカードが一体化された「マイナ保険証」の利用も増えている。とくにマイナ保険証では、所持者の同意があれば診療・薬剤情報が提供されることもあり、今後、全国のどこの医療機関であってもそれらを基に正確な診療ができ、医療費控除の簡便化ができるなどのメリットが期待されている。その一方で、個人情報の流出や情報の悪用、デジタル機器の操作に慣れていない高齢者への対策など課題もある。 そこでアイスタットは、「マイナ保険証に関するアンケート」を8月に行った。調査概要形式:Webアンケート形式調査期間:2024年8月6日回答者:セルフ型アンケートツールFreeasyに登録している20~69歳の有職者の会員300人アンケート概要・今までにマイナ保険証を利用したことがある人は24.3%。「20代」「男性」で多い・次に医療機関・薬局へ行くとき、マイナ保険証を利用したいと思っている人は28.3%・定期的に医療機関・薬局にかかっている人はマイナ保険証の利用意向が高い・マイナ保険証のメリットを理解している人は31.3%・すでに開始しているマイナ保険証について賛成の人は28.3%・2024年12月2日からの健康保険証が新規発行されなくなる制度に賛成の人は26.3%・医療機関・薬局でのマイナ保険証の操作が簡単または簡単そうにみえると思う人は30.3%・マイナ保険証で個人情報の洩れや悪用されるといった不安がある人は85.0%・マイナンバーカードを常に持ち歩いている人は35.0%・医療機関・薬局にかかるとき、マイナンバーカードを用意するのが面倒な人は73.0%・マイナ保険証の利用者増加のためには、医療機関・薬局でのマイナ保険証の操作・手続きは「簡単だ」または「簡単そうにみえる」と思わせることマイナ保険証の携帯率は約35% 質問1で「マイナ保険証を利用したことがあるか」(単回答)を聞いたところ、「マイナンバーカードを所有しているが1度も利用したことがない」は45.0%、「マイナ保険証を1回以上利用したことがある」が24.3%、「マイナ保険証を作っていないので利用したことがない」が18.7%であった。属性別では、「利用あり」と回答した人は「20代」「男性」「関東地方」に多かった。 質問2で「次回、医療機関・薬局へ行くときはマイナ保険証を利用するか」(単回答)を聞いたところ、「そうは思わない(利用しない)」が37.0%、「どちらともいえない(わからない)」が34.7%、「そう思う(利用する)」が28.3%で、積極的な活用にはまだまだ時間を要することがうかがえた。属性別では、「そう思う(利用する)」と回答した人は「30代」「男性」に多かった。 質問3で「定期的に医療機関・薬局にかかっているか」(単回答)を聞いたところ、「そう思う(通っている)」が40.7%、「そうは思わない(通っていない)」が33.0%、「どちらともいえない(わからない)」が26.3%であった。属性別では、「そう思う(通っている)」と回答した人は「50・60代」「女性」に多く、一般的な医療機関への受診動向と一致していた。 質問4で「マイナ保険証のメリット(過去の個人データに基づく医療や医療費控除の簡便化など)を理解しているか」(単回答)を聞いたところ、「どちらともいえない(わからない)」が36.7%と一番多く、「そうは思わない(理解していない)」が32.0%、「そう思う(理解している)」が31.3%とほぼ同率の回答結果だった。属性別では、「そう思う(理解している)」と回答した人は「30代」「男性」に多かった。 質問5で「すでに開始しているマイナ保険証について賛成であるか」(単回答)を聞いたところ、「どちらともいえない(わからない)」が38.3%、「そうは思わない(賛成ではない)」が33.3%、「そう思う(賛成である)」が28.3%と多かった。属性別では、「そう思う(賛成である)」と回答した人は「40代」「男性」に多く、「そうは思わない(賛成ではない)」と回答した人は「50代」「女性」に多かった。 質問6で「2024年12月2日から現行の健康保険証は新規発行されなくなる制度に賛成であるか」(単回答)を聞いたところ、「どちらともいえない(わからない)」が38.3%、「そうは思わない(賛成ではない)」が35.3%、「そう思う(賛成である)」が26.3%と多かった。属性別では、「そう思う(賛成である)」と回答した人は「30代」「男性」に多く、「そうは思わない(賛成ではない)」と回答した人はこの質問でも「50代」「女性」に多かった。 質問7で「医療機関・薬局でのマイナ保険証の操作・手続きは『簡単だ』または『簡単そうにみえる』か」(単回答)を聞いたところ、「そうは思わない」が35.3%、「どちらともいえない」が34.3%、「そう思う」が30.3%と多かった。属性別では、「そう思う」を回答した人はこの質問でも「30代」「男性」に多く、「そうは思わない」を回答した人はこの質問でも「50代」「女性」に多かった。デジタル機器の操作に慣れているかどうかにより回答がわかれたと思われる。 質問8で「マイナ保険証は、個人情報の洩れや悪用されるのではないかといった不安を生じないか」(単回答)を聞いたところ、「そう思わない(不安である)」が49.3%、「どちらともいえない(わからない)」が35.7%、「そう思う(不安はない)」が15.0%と多かった。属性別では、「そう思う(不安はない)」と回答した人は「50代」「男性」に多く、「そうは思わない(不安である)」と回答した人は「60代」「女性」に多かった。 質問9で「マイナンバーカードを常に持ち歩いているか」(単回答)を聞いたところ、「そう思わない(携帯していない)」が49.3%、「そう思う(携帯している)」が35.0%、「どちらともいえない(わからない)」が15.7%と多かった。属性別では、「そう思う(携帯している)」と回答した人は「30代」「男性」に多く、「そうは思わない(携帯していない)」と回答した人は「50代」「女性」に多かった。 質問10で「医療機関・薬局にかかるとき、マイナンバーカードを用意するのは面倒でない」(単回答)を聞いたところ、「そう思わない(面倒である)」が39.0%、「どちらともいえない(わからない)」が34.0%、「そう思う(面倒ではない)」が27.0%と多かった。属性別では、「そう思う(面倒ではない)」と回答した人は「40代」「男性」に多く、「そうは思わない(面倒である)」と回答した人は「60代」「女性」に多かった。 今後の普及の取り組みとしては、マイナ保険証使用時の使いやすさや利便性の啓発がさらに必要とされる結果だった。

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ミロガバリン、ペマフィブラートなど4剤に「重大な副作用」追加/厚労省

 厚生労働省は8月27日、ミロガバリン、ペマフィブラートなどの添付文書について、「重大な副作用」の新設などに伴い、使用上の注意改訂指示を発出した。タリージェ「腎機能障害」、パルモディア「肝機能障害、黄疸」が重大な副作用に追加 神経障害性疼痛治療薬であるミロガバリンベシル酸塩(商品名:タリージェ、タリージェOD)の重大な副作用として、新たに「腎機能障害」が新設された。これは、MID-NET(R)を用いた腎機能検査値異常リスクに関する調査結果の概要1,2)、市販後の腎機能障害関連症例および同作用機序を有する薬剤の国内外の注意喚起状況を踏まえ、当該リスクがあると判断されたためである。◯腎機能障害関連症例*†の国内症例の集積状況【転帰死亡症例】 26例(うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例3例)【死亡3例(うち、医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例0例)】 *:医薬品医療機器総合機構における副作用等報告データベースに登録された症例 †:以下の条件にて抽出した症例  ・MedDRA ver.27.0 SMQ「急性腎不全」(広域)またはSOC「腎および尿路障害」に該当する症例  ・本剤投与期間の記載がある症例  ・本剤投与開始後の血清クレアチニン値が男性1.07mg/dL、女性0.79mg/dL以上、GFR推定値/クレアチニンクリアランスが90mL/min/1.73m2未満、蛋白尿2+または尿蛋白/クレアチニン比>0.5(有害事象共通用語規準[CTCAE] ver.5.0のGrade1相当以上)に該当する症例 高脂血症治療薬のペマフィブラート(同:パルモディア、パルモディアXR)については、肝機能障害関連の症例を評価し、症例の因果関係評価および使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見を聴取。その結果、本剤と肝機能障害との因果関係が否定できない症例が集積し、当該症例に黄疸を認める症例が含まれていることから、使用上の注意を改訂し、「肝機能障害、黄疸」を追記することが適切と判断された。◯肝機能障害関連*†の国内症例の集積状況【転帰死亡症例】 25例(うち、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例9例。当該9例のうち3例は黄疸も認めた症例)【死亡0例】 *:医薬品医療機器総合機構における副作用等報告データベースに登録された症例 †:MedDRA ver.27.0 SMQ「薬剤に関連する肝障害-包括的検索(SMQ)」で抽出した症例のうち、CTCAE ver.5.0 Grade3以上に該当する症例を抽出 このほかに、パイナップル茎搾汁精製物(同:ネキソブリッド)には「適用部位出血」が、イオジキサノール(同:ビジパーク)には「急性汎発性発疹性膿疱症」が新たに重大な副作用として追加された。

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コロナ後遺症、6~11歳と12~17歳で症状は異なるか/JAMA

 米国・NYU Grossman School of MedicineのRachel S. Gross氏らは、RECOVER Pediatric Observational Cohort Study(RECOVER-Pediatrics)において、小児(6~11歳)と思春期児(12~17歳)の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の罹患後症状(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection:PASC)を特徴付ける研究指標を開発し、これらの年齢層で症状パターンは類似しているものの区別できることを示した。これまでPASC(またはlong COVID)に関する研究のほとんどは成人を対象としたもので、小児におけるPASCの病態についてはあまり知られていなかった。JAMA誌オンライン版2024年8月21日号掲載の報告。6~11歳の約900例と12~17歳の約4,500例について解析 RECOVER-Pediatricsコホート研究は、4つのコホートで構成され、前向き研究と後ろ向き研究を併合して解析した。今回は、SARS-CoV-2感染歴の有無にかかわらず医療機関および地域から新規に募集した0~25歳の参加者を含むde novo RECOVERコホートと、米国最大の思春期の脳の発達に関する長期研究であるAdolescent Brain Cognitive Development(ABCD)コホートのデータの解析結果が報告された。 対象は2022年3月~2023年12月に登録された6~17歳の、初感染日が明らかなSARS-CoV-2感染既往者(感染群)と、SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体陰性が確認された非感染者(非感染群)であった。 9つの症状領域にわたる89の遷延症状に関する包括的な症状調査を行った。 主要アウトカムは、COVID-19パンデミック以降に発症または悪化した、調査完了時(感染後少なくとも90日以上)の4週以上持続する症状とした。4週以上続く症状を有していたが調査完了時に症状がなかった場合は、対象に含まなかった。 小児898例(感染群751例、非感染群147例)および思春期児4,469例(感染群3,109例、非感染群1,360例)が解析対象集団となった。背景は、小児が平均年齢8.6歳、女性49%、黒人またはアフリカ系アメリカ人11%、ヒスパニック系、ラテン系またはスペイン人34%、白人60%、思春期児がそれぞれ14.8歳、48%、13%、21%、73%であった。初感染から症状調査までの期間の中央値は、小児で506日、思春期児で556日であった。小児は神経認知症状、疼痛、消化器症状、思春期児は嗅覚/味覚障害、疼痛、疲労が多い 小児では感染者の45%(338/751例)、非感染者の33%(48/147例)、思春期児ではそれぞれ39%(1,219/3,109例)、27%(372/1,369例)が、持続する症状を少なくとも1つ有していると報告した。 性別、人種、民族で調整したモデルにおいて、小児と思春期児の両方で非感染者と比較して感染者で多くみられた症状(オッズ比の95%信頼区間下限が1を超えるもの)は14個あり、さらに小児のみでみられた症状は4個、思春期児のみでみられた症状は3個であった。これらの症状はほとんどすべての臓器系に影響を及ぼしていた。 感染歴と最も関連の高い症状の組み合わせを特定し、小児と思春期児のPASC研究指標を作成した。いずれも、全体的に健康や生活の質の低下と相関していた。小児では神経認知症状、疼痛、消化器症状、思春期児では嗅覚や味覚の変化や消失、疼痛、疲労に関連する症状が多かった。 クラスタリング解析により、小児では4個、思春期児では3個のPASC症状表現型(クラスター)が同定された。両年齢群ともに症状の負荷が大きいクラスターが1個存在し(成人と同様)、疲労と疼痛の症状が優勢なクラスターも同定された。その他のクラスターは年齢群で異なり、小児では神経心理および睡眠への影響を有するクラスター、消化器症状が優勢なクラスターが、思春期児では、主に味覚と嗅覚の消失を有するクラスターが同定された。

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医師の自殺率は高い?男女で違いは?/BMJ

 オーストリア・ウィーン医科大学のClaudia Zimmermann氏らは、医師の自殺による死亡を一般集団と比較した研究について、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、男性医師と女性医師の年齢調整自殺率比は時間の経過と共に減少したが、女性医師では高い水準のままであったことを報告した。著者は、「メタ解析に組み込まれた研究は主に欧州、米国、オーストラリア・ニュージーランドで行われたもので、これら以外の地域での研究が乏しいという限界はあるが、今回の結果は、とくに女性医師および高リスク群における、自殺による医師死亡の研究と予防について継続的な努力が求められることを示唆している」とまとめている。BMJ誌2024年8月21日号掲載の報告。1960年から2024年3月31日までに発表された研究をレビュー 研究グループは、Embase、Medline、PsycINFOを用い、1960年から2024年3月31日までに発表された研究を、言語を問わず検索した。 研究の適格基準は、医師の自殺による死亡の直接法または間接法による年齢調整死亡率比、医師および一般集団に類似した参照集団の10万人年当たりの自殺率、または自殺による医師死亡に関する死亡率比の計算に適した抽出可能なデータがある観察研究とした。選択された研究については引用および被引用文献のスクリーニングを行った。 2人の独立した評価者がデータを抽出し、有病率研究のためのJoanna Briggs Instituteチェックリスト改変版を用いてバイアスリスクを評価した。 男性医師と女性医師の平均効果推定値をランダム効果モデルに基づき算出し、地理的地域によるサブグループ解析および他の専門職との比較による医師の自殺による死亡の2次解析を行った。年齢調整自殺率比は男性医師1.05、女性医師1.76 最初の文献検索で得られた2万3,458件の研究から、重複の削除、タイトルと抄録のスクリーニングにより786件を選出し、このうち75件が適格基準を満たした。さらに、引用文献とレジストリの検索により、適格基準を満たした22件の研究が特定された。全文スクリーニングの結果、男性医師については38件、女性医師については26件の研究が解析対象となり、それぞれ42および27のデータセットをメタ解析に用いた。 男性医師の自殺は計3,303件、女性医師の自殺は合計587件であった(観察期間はそれぞれ1935~2020年、1960~2020年)。メタ解析の結果、自殺による死亡の平均効果推定値は男性医師で1.05(95%信頼区間[CI]:0.90~1.22)、女性医師で1.76(1.40~2.21)であり、女性医師は一般集団と比べて有意に高かった。 異質性はいずれの解析でも高く、メタ回帰分析の結果、研究観察期間の中間点が有意に影響しており、時間の経過と共に効果量は減少していることが示された。 他の専門職と比較した場合、男性医師の自殺による死亡の平均効果推定値は1.81(95%CI:1.55~2.12)であった。女性医師に関しては、適格研究が少なくランダム効果メタ解析は実施できなかった。

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歯の喪失は心血管疾患による死亡リスクと関連

 口腔の良好な健康は、心臓の良好な健康を意味するようだ。新たなシステマティックレビューとメタアナリシスにより、歯の喪失は心血管疾患(CVD)による死亡リスクと関連しており、失った歯の本数が多いほどそのリスクは高くなる可能性のあることが明らかになった。米ケース・ウェスタン・リザーブ大学歯学部教授のAnita Aminoshariae氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Endodontics」に6月28日掲載された。 Aminoshariae氏は、「本研究結果は、歯の喪失が単なる歯の問題ではなく、CVDによる死亡の重大な予測因子であることを明確に示すものだ」と述べている。 歯の喪失とCVDによる死亡の関連に関する過去の研究では、一致した見解が得られていない。Aminoshariae氏らは今回、論文データベースから選び出した12件の研究を対象にシステマティックレビューとメタアナリシスを実施し、歯の喪失とCVDによる死亡リスクとの関連について検討した。歯の喪失は、全歯欠損または残存歯が10本未満の場合と定義した。 その結果、歯を喪失した人では、歯を喪失していない人に比べてCVDによる死亡リスクが66%高いことが明らかになった(ハザード比1.66、95%信頼区間1.32〜2.09)。全歯欠損か残存歯が10本未満かで分けて解析すると、全歯欠損の人ではCVDによる死亡リスクが高く、この結果は研究間で一貫していた。同様に、残存歯が10本未満の人でも同リスクは増加していたが、研究間で結果にばらつきが認められた。さらに、主な交絡因子に基づく感度分析でも、歯の喪失がCVDによる死亡のリスク因子であることが確認された(ハザード比1.52、95%信頼区間1.28〜1.80)。 こうした結果を受けてAminoshariae氏は、「マジックナンバーは10本だ。残っている歯が10本未満になると、厄介な問題が起こり得る」と話す。また同氏は、「良好な口腔衛生を維持することは、健康的な笑顔のためだけでなく、健康的な心臓のためにも不可欠だ。この研究は、重篤な心血管イベントのリスクを低下させるためには、定期的な歯科検診と予防ケアが重要であることを強調している」と述べている。

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