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STEMIへの線溶療法、薬剤により死亡リスクに差/Lancet

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する線溶療法では、薬剤などによって重要な相違点があり、アルテプラーゼ急速投与、テネクテプラーゼ(tenecteplase)およびレテプラーゼ(reteplase)は、ストレプトキナーゼ(streptokinase)やアルテプラーゼ非急速投与より優先して考慮されるべきで、線溶療法への糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の追加は避けるべきである。タイ・ウボンラーチャターニー大学のPeerawat Jinatongthai氏らが、無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。線溶療法は、医療資源が乏しい環境下のSTEMI患者に対する、機械的再灌流に代わる治療法であるが、各種線溶療法を比較した包括的なエビデンスは不足していた。Lancet誌2017年8月19日号掲載の報告。約13万例を含む計40試験をネットワークメタ解析 研究グループは、PubMed、Embase、the Cochrane Library、ClinicalTrials.gov、WHO-ICTRPを用い、2017年2月28日までに発表された、成人STEMI患者の再灌流療法としての線溶薬の無作為化比較試験(対照は他の線溶薬、プラセボまたは無治療。単独投与または補助的な抗血栓療法との併用投与は問わず)を検索。STEMIに対する再灌流療法の適応が承認されている線溶薬(ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、アルテプラーゼ、レテプラーゼ)を検証した試験のみを対象に、ネットワークメタ解析を行った。 主要評価項目は、30~35日以内の全死因死亡率、安全性評価項目は大出血(BARC基準の3a、3b、3c)。 選択基準を満たした試験は40件で、12種類の異なる線溶療法を受けた12万8,071例が解析に組み込まれた。死亡リスク増加、出血リスク増加の種類別特性が明らかに アルテプラーゼ急速投与(tPA_acc)+非経口抗凝固薬(PAC)と比較し、ストレプトキナーゼ+PACおよびアルテプラーゼ非急速投与(tPA)+PACは、全死因死亡のリスク増加と有意な関連が認められた。リスク比(RR)は、ストレプトキナーゼ+PACが1.14(95%信頼区間[CI]:1.05~1.24)、tPA+PACが1.26(同:1.10~1.45)であった。一方、tPA_acc+PACと、テネクテプラーゼ+PACおよびレテプラーゼ+PACは、死亡リスクに差はなかった。 大出血に関しては、テネクテプラーゼ+PACは、他のレジメンと比較して出血リスクの低下と関連している傾向があった(RR:0.79、95%CI:0.63~1.00)。一方、線溶薬+PACへの糖蛋白IIb/IIIa阻害薬(GP)の追加は、tPA_acc+PACと比較して、大出血リスクの増加がみられた。RRは、tPA+PAC+GPが1.27(95%CI:0.64~2.53)、テネクテプラーゼ+PAC+GPが1.47(同:1.10~1.98)、レテプラーゼ+PAC+GPが1.88(同:1.24~2.86)、ストレプトキナーゼ+GPが8.82(同:0.52~151.04)であった。 なお著者は、大出血の定義の異質性や、観察期間が短いこと、脳卒中の診断法に関する詳細が不明などを研究の限界として指摘し、「脳卒中の転帰に対する線溶薬の有効性については解釈に注意が必要である」と述べている。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第39回

第39回:眠れない≠睡眠導入剤監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 眠れないという患者の訴えに対し、睡眠導入剤を処方する医師が多いと思いますが、本当にそれだけでよいのでしょうか?睡眠導入剤内服を開始して、どんどん薬が効かなくなっていって、どんどんお薬の強さや量が増えていって……というケースをよく見ます。 今回取り上げるarticleは、慢性の不眠症に対する薬物療法以外のマネジメントについてです。睡眠導入剤以外の治療について非常に勉強になったため、ご紹介いたします。また本邦でも厚生労働科学研究班 日本睡眠学会のワーキンググループによる「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」が閲覧できるので、ご一読をお勧めします。 以下、American family physician 2015年12月15日号1) より不眠症は、人口の10~30%に影響を与え、年間925~1,075億ドルの医療費が掛かっている。睡眠障害国際分類第3版では、不眠症の診断の基準として、(1)入眠障害、(2)睡眠の維持の障害、(3)早朝覚醒、(4)日中の機能障害―の4項目について、週に3回以上、1ヵ月以上続くこととしている。また、日中の機能障害としては、(1)疲労や倦怠感、(2)注意力や集中力の低下、(3)社会的または職業的・教育的障害、(4)気分障害や過敏症、(5)日中の眠気、(6)モチベーションやエネルギーの低下、(7)エラーや事故の増加、(8)多動性・衝動性または攻撃性などの行動上の問題、(9)睡眠に関する継続的な心配―があり、いずれか1つを満たせばよい。不眠症に寄与する要因として、精神疾患、医学的な問題、薬物の使用、薬物の乱用は除外されるべきである。また、不眠症の非薬理学的療法には、睡眠衛生、認知行動療法、リラクゼーションセラピーなどがある。アメリカ睡眠医療学会によると、慢性の不眠症に対しては、初期治療として睡眠導入剤の使用は避けることが推奨されており、認知行動療法等の非薬物療法の提供を推奨している。またアメリカ老年医学会は、不眠症、せん妄等に対しての初期治療として、ベンゾジアゼピンやその他の鎮静作用のある睡眠薬の使用をしないよう推奨している。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Am Fam Physician. 2015 Dec 15;92:1058-1064. 2) International Classification of Sleep Disorders, 3rd ed. Darien, Ill.: American Academy of Sleep Medicine; 2014. 3) 睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドライン―出口を見据えた不眠医療マニュアル―

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バンクーバーの医療安全国際学会【Dr. 中島の 新・徒然草】(185)

百八十五の段 バンクーバーの医療安全国際学会今回はカナダ・バンクーバーの医療安全関連の学会で、先日、我々が発表した内容を紹介いたします。この学会はレジリエント・ヘルス・ケア・ネットワーク・ミーティングというもので、新たな考え方に立って医療安全を推進するものです。つまり、従来の安全の考え方(Safety-I)というのは「物事がうまくいかないのは、正しく行わなかったからだ」という単純な因果律に縛られており、犯人探しに終始してしまっています。現実の世界はそんなに単純なものではなく、因果関係のはっきりしない複雑適応系を前提とした物の見方が重要になってきます。そこでレジリエント・ヘルス・ケア・ネットワーク・ミーティングでは、常にあらゆるものが変動している中で、現在や未来をうまく制御しよう(Safety-II)としているのです。提唱者のエリック・ホルナゲル教授は原子力発電所の安全マネジメントなどで有名な人で、医療にも同じ考え方を応用できるはずだ、ということでずっと活動をしてきました。さて、この学会における日本からの我々の発表は、某病院の薬剤取り違え事件をキッカケにしたものです。薬剤取り違えを起こした某病院院内調剤部門では、(1)2つの薬剤を離して配置する(2)ダブルチェックではなく、トリプルチェックを行う(3)バーコードリーダーを導入するという、極めて Safety-I 的な再発予防策を考えました。このような力業ではなかなかうまくいかない、というのは読者の皆様も薄々感じておられることと思います。そこで、その某病院の医療安全部門が院内調剤部門の日常業務の観察を行いました。その結果分かった事は、膨大な数の院内処方があり、調剤(ピッキング)や鑑査の件数は時間帯によって変動する。その状況に対応するために院内調剤室だけではなく、化学療法室や病棟の薬剤師に応援を要請している。1日3便あるトレインで薬剤を病棟に搬送するため、これに間に合わせる形で業務を行っている。調剤、鑑査の合間に平均3分毎に電話が鳴り、平均11分毎にカウンター業務が割り込む。加えて新人薬剤師への指導や実習薬学生への教育がある。ということで、常に変動する状況の中でも薬剤師さん達はスーパーマンのように働き、また薬剤部の中でのマンパワーのやりくりで何とか凌いでいることが分かりました。で、この観察で我々が潜在的脅威として見出したのは電話への応答とカウンター業務です。院内調剤部門では、電話での問い合わせに対してはテキパキと即答、カウンターもニコニコ対応をしていました。そのこと自体は立派ですが、歯止めのないポジティブフィードバックは得てして暴走しがちです。頻繁にかかってくる電話の内容は、処方した薬剤はいつくるのか、取りに行ってもいいのか、といったものばかりで、薬学の知識を要するものはほとんどありません。その一方、薬剤師さん達はいつも爽やか対応なので、皆が気軽に頼ります。結局、電話とカウンター業務が暴走し、いつしか院内調剤部門が破綻してしまうのではないか、ということが懸念されました。薬剤部もこの状況をよく理解しており、薬剤師をもっと増やして下さい不要不急の電話はやめて下さいというアピールをしているのですが、当然のことながら全く効果はありません。これに対し、Safety-II の観点からの観察を終えた我々は以下の2つの対策を提案しました。処方した薬剤の状況の「見える化」を図る:薬剤の調剤・搬送状況を電子カルテで見ることのできるシステムがサードパーティーから市販されているので、それを利用する。これがあれば、院内調剤部門に電話をかける必要がなくなります。1日3便のトレイン搬送をもっと増やす:担当の業者さんによれば、トレインの便数にはまだまだ余裕があるのだとか。配送の便数が増えれば、病棟から薬をとりにくる必要がなくなり、カウンター業務が激減するはずです。このような考えのもと、試しに医療安全部門所属の薬剤師が院内調剤部門に1週間出向いて、電話対応とカウンター業務をすべて肩代わりしたところ、「なんだか今日は凄く気持ち良く仕事ができた!」と現場の薬剤師さんたちに感謝されたそうです。それなら薬剤師を1人増やせば解決するのかというと、そうではありません。潜在的脅威がなくならない限り、これが暴走して部門が破綻する危険性が残っているからです。したがって、薬剤部だけで何とかしようとするのではなく、薬剤部の業務に影響を与える他部門とともに全体最適化を図りつつ解決するべきだと思います。ということで、英語の苦手な日本人が4人がかりでやった発表が会場から万雷の拍手をいただきました。前夜までスライドを修正し、当日朝まで英語の練習をした甲斐があったというものです。そして、なんと2年後の学会は日本で開催されることになりました。それまでに、英語でのやりとりもスムーズにできるようになっておきたいものです。帰国後の1句ニコニコと 爽やか対応 自滅する

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米国の開業皮膚科医、グループ診療が増加

 米国皮膚科学会(AAD)では、皮膚科医の労働力需給の傾向を評価する目的で診療プロファイル調査を10年以上行っている。米国・ジョージ・ワシントン大学のAlison Ehrlich氏らは最新の解析結果として、新たな技術に基づいた医療記録の実現による部分的な間接費の増大に関連して診療環境の変化がみられ、電子カルテの普及とともに遠隔診療の実施が進んでいることを示した。著者は、「回答バイアスや報告の曖昧さがある可能性があり、調査で得られた回答がすべての地域を代表するわけではない」と調査の限界を述べたうえで、「皮膚科医療への需要は高いままである」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年8月4日号掲載の報告。 研究グループは、皮膚科診療の実態と傾向を調べる目的で、無作為に抽出したAAD会員の皮膚科医を対象に、電子メールおよび郵送でアンケート調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・プライマリケアでは、以前より個人開業の皮膚科医が少なくグループ診療を行う皮膚科医が多い、という変化がみられた。・皮膚科遠隔診療の実施は、2012~14年の間に7%から11%まで増加した。・電子カルテの導入は、2011年の51%から2014年には70%まで増加した。

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妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは

 うつ病は、妊娠中にみられる一般的な合併症である。うつ病と診断されれば、医師は治療計画を作成し、妊婦を援助しなければならない。米国・ノースウェスタン大学のCara Angelotta氏らは、妊娠中のうつ病治療について、検討を行った。Birth defects research誌2017年7月17日号の報告。妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際の根拠 妊娠中のうつ病治療について検討した主な内容は以下のとおり。・抗うつ薬を検討する際には、妊婦の疾患管理のための薬物治療のメリットと胎児への薬物療法のリスクのバランスをとることが求められる。・これは、疾患の特徴、妊婦のうつ病への治療反応の可能性、胎児への悪影響の可能性、患者の特性や価値観に応じて、個別に決定しなければならない。・妊娠中のうつ病に対する治療を行う際、リスクをゼロにする解決策はなく、疾患と薬物治療のどちらも、妊婦および胎児へのリスクを伴う。・妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際には、疾患リスクが治療リスクよりも大きいことが根拠となる。・妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状緩和が目的となる。 妊婦に対するSSRI使用の最適化には、以下のような治療ゴールが必要である。(1)妊婦にとって、許容できる副作用とともに最良の治療反応が得られる最適な用量でなければならない。(2)妊娠中の薬物動態の変化を考慮し、症状の継続的な測定を繰り返し、最適な抗うつ効果を維持するための調整が必要となる。(3)出産後、女性が非妊娠期(母乳育児状態)に移行した際には、用量調節が必要である。■関連記事日本人妊婦のうつ病診断、適切なカットオフ値はいくつか母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中、血中濃度変化に注意が必要な抗精神病薬は

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強化降圧 vs.標準降圧、患者にとって差は?/NEJM

 収縮期血圧の目標値を120mmHgとした強化治療を行っても、同目標を140mmHgとした標準治療を行った場合に比べ、患者報告による健康アウトカムや、降圧治療の満足度、降圧薬アドヒランスには有意差がないことが示された。米国・ベッドフォード退役軍人(VA)病院のDan R. Berlowitz氏らが、9,361例を対象に行った無作為化比較試験の結果明らかにし、NEJM誌2017年8月24日号で発表した。これまでに発表されたSystolic Blood Pressure Intervention Trial(SPRINT試験)の結果では、非糖尿病の心血管リスクが高い高血圧症患者において、強化治療のほうが標準治療に比べ、心血管イベントリスクが低いことが示されていた。一方で、そのような強化治療が、患者報告アウトカムにどのような影響を与えるかは不明であった。 PCS、MCS、PHQ-9スコアを比較 研究グループは、高血圧症の患者9,361例を無作為に2群に分け、一方は収縮期血圧目標値を120mmHg(強化治療群)、もう一方は同目標値を140mmHg(標準治療群)とした降圧治療を行った。 患者報告によるアウトカムの指標としては、退役軍人RAND 12項目健康調査票の身体的サマリー(PCS)スコアと、精神的サマリー(MCS)スコア、患者健康質問票の9項目のうつ病評価尺度(PHQ-9)スコア、患者報告による血圧治療と降圧薬に関する満足度、降圧薬のアドヒランスとした。 強化治療群と標準治療群について、全被験者でスコアを比較したほか、身体・認知機能で層別化したグループ間の比較も行った。患者満足度は両群で同程度に高い 強化治療群は標準治療群に比べ、平均1種の降圧薬を多く服用しており、収縮期血圧値は14.8mmHg(95%信頼区間:14.3~15.4)低かった。 中央値3年の追跡期間中、患者報告によるPCS、MCS、PHQ-9のスコア平均値は相対的に安定しており、両群で有意差は認められなかった。ベースライン時の身体・認知機能で階層化したグループで比較しても、同スコアに有意差はなかった。 降圧治療の満足度は両群ともに高く、また降圧薬アドヒランスについても、両群で有意差はなかった。

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世界のリウマチ性心疾患死、25年で半減/NEJM

 1990~2015年の25年間で、世界のリウマチ性心疾患・年齢標準化死亡率は、約48%も減少したことが明らかになった。一方で、同死亡率には地域により大きな差が認められ、オセアニアや南アジア、サハラ以南の中央アフリカは高率だった。リウマチ性心疾患は、とくに低・中所得国では依然として心血管系の障害・死亡の、重要かつ予防可能な原因とされている。米国・ワシントン大学のDavid A.Watkins氏らは、2015年世界疾病負担(GBD)研究の一環として、世界、各地域、各国のリウマチ性心疾患有病率や死亡率を推定、分析し、NEJM誌2017年8月24日号で発表した。132ヵ国からのリウマチ性心疾患データを分析 研究グループは、132ヵ国から集めた1990~2015年の致死的・非致死的リウマチ性心疾患データについて、システマティック・レビューを行った。GBD試験の分析ツールである、CDE(Cause of Death Ensemble)モデルとDisMod-MR 2.1を用いて、死亡率と有病率を、不確実性の評価とともに推定した。リウマチ性心疾患により失われた障害調整生存年数は1,050万年 2015年のリウマチ性心疾患による推定死亡数は、31万9,400例(95%不確実性区間:29万7,300~33万7,300)だった。 1990~2015年の間に、世界のリウマチ性心疾患・年齢標準化死亡率は、9.2/10万(同:8.7~9.7)から4.8/10万(同:4.4~5.1)へと、47.8%(同:44.7~50.9)減少した。一方で、地域による大きな格差が認められ、2015年に、とくにオセアニア、南アジア、サハラ以南の中央アフリカで、リウマチ性心疾患の年齢標準化死亡率や有病率が高かった。 2015年の世界のリウマチ性心疾患の症例数は3,340万例(同:2,970万~4,310万)、またリウマチ性心疾患により失われた障害調整生存年数は1,050万(同:960万~1,150万)と推定された。

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前立腺全摘は意味のない治療?(解説:榎本 裕 氏)-724

 根治的前立腺全摘術(RP)は、無治療経過観察(watchful waiting:WW)あるいは監視療法(active surveillance:AS)と比較して生存ベネフィットがあるのか? この問いに対して、これまで3つのRCTが報告されている。SPCG-4(N Engl J Med, 2014)ではRPはWWに対してOS、CSSの改善を示した。ただし、PSA検診が本格導入される前の研究であり、非触知がんは12%に過ぎなかった。ProtecT(N Engl J Med, 2016)ではRPはASに対して生存ベネフィットを示すことができなかった。今回の研究(PIVOT)は、PSA検診導入後に開始されたRCTで、RPのWWに対する生存ベネフィットを調べたものである。今回の報告は、2012年の報告(N Engl J Med, 2012)の続報であるが、前回同様、RPはWWに対する優位性を示すことができなかった。 今回の結果を基に、直ちにRPの治療意義全般を否定することはできない。第一の問題は、全生存率という主要評価項目の設定である。本研究の参加者の平均年齢は67歳であるが、今回の研究期間中に両群とも50%以上が前立腺がん以外の原因で死亡している。早期前立腺がんという、もともと致死的になりにくい疾患の早期介入の効果を全生存率で検証しようという設定に無理がないだろうか。 そもそもPIVOTは2,000名の登録を目指していたが、患者登録が進まず740名に登録規模を縮小している。この研究規模では25%の死亡リスク低減が検出可能と予測されていたが、実際に観測された死亡リスク低下は12~16%で有意差なしという結果に終わった。より大きなコホートを構築できれば有意な差を導けたかもしれない。サロゲートエンドポイントとして、転移がんの発生(systemic failure)が挙げられるが、これは有意差をもってRPによる予防効果が示されている。 第二の問題はリスク分類の診断である。本研究では各施設の病理診断に基づくリスク分類によって割り付けがなされているが、中央病理判定とずれがある。そのため、施設判定による各リスク群の前立腺がん死亡の相対リスクは、より正確な中央病理判定による相対リスクと大きなずれを生じている。本研究では施設判定によるリスク分類を最終的な結果に採用しているが、妥当性には疑問がある。 現状では、早期前立腺がんに対する非侵襲的管理戦略はASが主流であり、今回の報告をもとにWWを組み込むのは実臨床の感覚にはなじまないのではないだろうか。

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PARP阻害薬olaparib、卵巣がんの適応を拡大/FDA

 AstraZeneca(本社:英国ロンドン、CEO:Pascal Soriot)およびMerck&Co., Inc.,(本社:米国ニュージャージー)は2017年8月17日、米国食品医薬品局(FDA)が PARP阻害剤olaparibに対し下記の通り承認を付与したことを発表した。・BRCA遺伝子変異の有無を問わず、プラチナ製剤ベースの化学療法後に奏効を示している再発上皮性卵巣がん、卵管がんあるいは原発性腹膜がん成人患者に対する維持療法。・olaparib錠の新たな承認(従来はカプセル)。・olaparib錠が3レジメン以上の化学療法治療歴を有する病的変異または病的変異疑いに分類される生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん患者の治療薬としても正式に承認された(現在の迅速承認からの変更)。 今回の新規承認および当初単群試験に基づく迅速承認から正式承認への変更は、SOLO-2 試験、19試験の2つの無作為化試験に基づいている。 SOLO-2試験はgBRCA遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がん、卵管がんおよび原発性腹膜がん患者を対象としたolaparib錠の単剤維持療法の有効性をプラセボと比較した無作為化二重盲検多施設共同第III相試験。患者は2レジメン以上のプラチナベース化学療法でCRおよびPRを示したBRCA1または2遺伝子変異を有する295例。結果、olaparibのベネフィットが確認され、olaparibは病勢進行あるいは死亡リスクを70%低減し(治験担当医師評価、HR:0.30、95%CI: 0.22~0.41、p<0.0001)、無増悪生存期間(PFS)をプラセボ群の5.5ヵ月に対し、19.1ヵ月に改善した。 19試験は16ヵ国82施設における高悪性度再発卵巣がん患者を対象としてolaparibの有効性と安全性を比較した無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験。結果、olaparibはBRCA遺伝子変異状況を問わず、病勢進行あるいは死亡リスクを65%低減した。PFSをプラセボ群の4.8ヵ月に対しolaparib群8.4ヵ月と有意に改善した(HR:0.35、95%CI:0.25~0.49、p<0.0001)。さらに、全生存期間(OS)の中央値は、プラセボの27.8ヵ月に対し、29.8ヵ月を示した (HR:0.73、95% C:0.55~0.95)。■参考アストラゼネカ株式会社プレスリリースAstraZeneca(米国)プレスリリースFDAニュースリリースSOLO-2試験■関連記事遺伝性の卵巣がん治療とPARP阻害薬の可能性オラパリブ、BRCA変異陽性卵巣がんの病勢進行リスクを70%低減:アストラゼネカ

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会員医師37%の金融資産が1,000万円未満

CareNet.comでは、過日、会員医師の方々に金融資産に関するアンケートへのご協力をお願いしました。今回、その結果がまとまりましたので、3回に分けて報告いたします。2017年8月3日にCareNet.comの会員医師を対象にインターネット上でアンケートを実施、回答者総数は324名でした。第1回は、先生の金融資産についての結果です。結果概要金融資産は安全な預貯金が主流設問1「金融資産合計(負債を含まない)について」の回答では、1,000万円未満:37%、1,000~3,000万円:26%、3,000~6,000万円:19%、6,000万円~1億円:8%、1~3億円:7%、3~5億円:1%、5億以上:2%という結果となり、金融資産が3,000万円以下という回答が全体の約6割を占めました。その一方で、10%の方が金融資産1億円以上を保有するという結果も得ました。■設問1 先生の金融資産合計(負債を含みません)についてご教示ください。1) 1,000万円未満2) 1,000万円~3,000万円3) 3,000万円~6,000万円4) 6,000万円~1億円5) 1億円~3億円6) 3億円~5億円7) 5億以上設問2「資産の内訳について、持っている資産の項目(複数回答)」では、円建て預貯金(258回答)が最も多く、次いで生命保険・個人年金(110回答)、株券(76回答)、不動産(73回答)、投資信託(54回答)、外貨建て預貯金(47回答)、国債・債権(27回答)、金などの実物資産(24回答)、その他(8回答)という順になりました。比較的安全な金融商品を選択し、銀行などへの預貯金や生命保険などが過半数を占めるなど、会員の方々の安全志向が見受けられました。■設問2 資産の内訳についてお持ちの資産の項目をすべてお選びください。(複数回答)1) 円建て預貯金2) 外貨建て預貯金3) 株券4) 国債/債権5) 投資信託6) 生命保険/個人年金7) 金などの実物資産8) 不動産9) その他資産形成への関心は低い傾向設問3の「資産形成で実践したいと思っている内容について(複数回答)」の質問では、「とくに何もない」が104回答で最も多く、次いで円建て預貯金(101回答)、株式投資(87回答)、外貨建て預貯金、投資信託が同数(各50回答)、不動産経営(32回答)、FX[外国為替証拠金取引](31回答)、生命保険、金などの実物資産への投資が同数(各27回答)、国債・債権投資(24回答)、ビットコインなどの仮想通貨への投資(12回答)という順番になりました。「とくに何もない」の回答が多いことから、資産形成にはあまり関心がないという傾向が読み取れる一方で、安全な預貯金のほかに株式投資への意欲もあり、比較的リスクの低い金融商品への関心もうかがえました。■設問3 先生が、資産形成で実践したいと思っている内容をご教示ください。(複数回答)1) 円建て預貯金2) 外貨建て預貯金3) FX4) 株式投資5) 国債/債権投資6) 投資信託 7) 生命保険 8) 金などの実物資産への投資 9) ビットコインなどの仮想通貨への投資10) 不動産経営11) とくに何もない12) 上記以外

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陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は

 統合失調症でみられる陰性症状(無気力や表出の減少など)は、健康上の重大な懸念事項である。陰性症状の適切な治療は、QOLや社会参加に向け、重要な進歩を意味している。陰性症状は、統合失調症の主症状である。その陰性症状を主要な症状と副次的な症状に区別することで、治療選択肢が得られる可能性がある。よく知られている副次的な陰性症状の原因は、精神症状、解体、不安、抑うつ、違法薬物やアルコールの慢性的な乱用、過度に高用量の抗精神病薬、社会的貧困、刺激の欠如、入院である。オランダ・ノールトホラント州地域精神保健局のSelene R. T. Veerman氏らは、二重盲検無作為化対照試験のレビューおよびメタ解析を行い、陰性症状に対する薬理学的および非薬理学的介入の有効性を評価した。Drugs誌オンライン版2017年8月3日号の報告。陰性症状に対する短期的な有効性のエビデンスは存在 陰性症状に対する薬理学的および非薬理学的介入の有効性評価の主な結果は以下のとおり。・残念ながら、主要な陰性症状に焦点を当て、主要な持続的な陰性症状を有する慢性期患者を対象とした臨床試験はごくわずかであった。・これらの研究における重大な制限は、副次的な陰性症状の潜在的な原因を適切に評価できない点である。・現時点では、主要な持続的陰性症状に対する治療の有効性に関する納得できるエビデンスはない。・しかし、いくつかの介入において、陰性症状に対する短期的な有効性のエビデンスは存在する。・このエビデンスは、残存症状を有する慢性期患者を対象とした研究と、急性期と慢性期の両方の患者における異種研究集団を用いた研究から得られたものであった。・残念なことに、主要な陰性症状と副次的な陰性症状を区別する信頼できるデータは不足していた。・現在、精神症状の早期治療において、アリピプラゾール追加療法、抗うつ薬追加療法、トピラマート追加療法、音楽療法、運動療法は、不特定の陰性症状に有効であることが判明している。・これらの介入は、患者との共通の意思決定プロセスにおいて慎重に検討することが可能で、主要な陰性症状に焦点を当てた、よくデザインされた長期的な大規模調査に有望である。・この分野における研究は不十分であるため、将来の研究では、主要な陰性症状に対する潜在的な治療介入を目指すべきである。

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視力低下が認知機能の低下に関連か

 視力障害と認知機能低下は高齢者によくみられるが、両者の関係はよくわかっていない。米国・スタンフォード大学のStephanie P. Chen氏らは、米国の国民健康栄養調査(NHANES)および国民健康加齢傾向調査(NHATS)のデータを解析し、遠見視力障害と主観的視力障害は、認知機能低下と関連していることを示した。著者は今回の結果について、「自己申告の視力を用いている米国のメディケア受益者集団で確認されており、視力障害を有する患者を確認することの重要性を強調するものである。視力と認知機能との間の長期的な相互作用についてさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年8月17日号掲載の報告。 研究グループは、米国の高齢者における自己申告の視力障害と認知機能との関連を評価する目的で、1999~2002年のNHANESならびに2011~15年のNHATSの2つのデータを解析した。NHANESは一般人の非入院集団、NHATSは米国本土におけるメディケア受益者が含まれる。 視力は、NHANESでは近見および遠見視力測定と、自己申告の視力が用いられ、NHATSでは自己申告に基づいた。 認知機能は、NHANESではDigit Symbol Substitution Test(DSST)が用いられ、DSSTスコア28以下(下位1/4)を認知機能障害とした。また。NHATSでは、NHATSプロトコールによる分類が用いられた(probableおよびpossible認知症)。 主な結果は以下のとおり。・回答が得られた調査参加者で解析対象となったのは、NHANES集団ではDSSTを完遂した60歳以上の2,975例、NHATS集団では認知症を評価し得た65歳以上の3万202例であった。・参加者背景は、NHANES集団が年齢(平均±SD)72±8歳、女性52%(1,527例)、非ヒスパニック系白人61%(1,818例)、NHATS集団は75~84歳が最も多く(40%、1万2,212例)、58%は女性(1万7,659例)、69%は非ヒスパニック系白人(2万842例)であった。・NHANES集団において、DSSTスコア低値は遠見視力障害(β=-5.1[95%信頼区間[CI]:-8.6~-1.6]、オッズ比[OR]:2.8[95%CI:1.1~6.7])と主観的視力障害(β=-5.3[95%CI:-8.0~-2.6]、OR:2.7[95%CI:1.6~4.8])のいずれとも関連しており、共変量を完全に調整後も認知機能障害のオッズ比が高かった。・一方、近見視力障害は、認知機能障害のオッズ比上昇はなかったが、DSSTスコア低値と関連していた。・NHATS集団では、すべての視力の指標は、共変量を完全に調整後も認知症と関連しており(遠見視力障害のOR:1.9[95%CI:1.6~2.2]、近見視力障害のOR:2.6[95%CI:2.2~3.1]、遠見または近見視力障害のいずれかのOR:2.1[95%CI:1.8~2.4])、NHANES集団での結果が裏付けられた。

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CABG後5年転帰、off-pumpはon-pumpより優れるか/NEJM

 人工心肺装置を用いないoff-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、これを用いるon-pump CABGに比べ、術後5年の生存率と無イベント生存率が劣ることが、米国・ノースポート退役軍人局(VA)医療センターのA Laurie Shroyer氏らが行ったROOBY-FS試験で示された。研究の成果はNEJM誌2017年8月17日号に掲載された。2009年に発表された本試験の追跡期間1年時の結果では、1)短期の主要エンドポイント(CAGB施行後30日時の死亡および主な合併症[再手術、新規の機械的循環補助、心停止、昏睡、脳卒中、透析を要する腎不全]の複合)に有意な差はなく(off-pump群7.0% vs.on-pump群5.6%、p=0.19)、2)長期の主要エンドポイント(CAGB施行後1年時の全死亡、30日~1年の非致死性心筋梗塞、30日~1年の血行再建術再施行の複合)はoff-pump群で不良であった(9.9 vs.7.4%、p=0.04)。ROOBY-FS試験の術後5年時の臨床成績 研究グループは、off-pump CABGとon-pump CABGを比較するROOBY-FS試験の術後5年時の臨床成績を報告した(退役軍人省研究開発共同研究プログラムなどの助成による)。 2002年2月~2007年6月に、米国内18ヵ所のVA医療センターで2,203例が登録され、off-pump群に1,104例、on-pump群には1,099例が無作為に割り付けられた。術後1年の評価は2008年5月までに完了した。 術後5年時の主要評価項目は、全死因死亡および主要有害心血管イベント(MACE)の複合転帰の2つであった。MACEは、全死因死亡、血行再建術再施行(CABGまたは経皮的冠動脈インターベンション[PCI])、非致死的心筋梗塞と定義した。 術後5年時の副次評価項目は、心臓が原因の死亡、血行再建術再施行、非致死的心筋梗塞などであった。主要評価項目はp<0.05、副次評価項目はp<0.01の場合に有意差ありと判定した。off-pump群で優れる評価項目なし ベースラインの全体の平均年齢は62.7歳、男性が99.4%を占めた。2枝病変または3枝病変が94.1%、高血圧が86.2%、左室駆出率≧45%が82.3%の患者に認められた。 追跡期間5年の時点で299例(13.6%)が死亡し、心臓関連死が128例(5.8%)含まれた。非致死的心筋梗塞は239例(10.8%)で認められ、血行再建術再施行は276例(12.5%)(CABG再施行:21例、CABG後のPCI施行:258例)に行われた。 5年死亡率は、off-pump群が15.2%と、on-pump群の11.9%に比べ有意に高かった(相対リスク:1.28、95%信頼区間[CI]:1.03~1.58、p=0.02)。また、MACEの5年発生率は、off-pump群が31.0%であり、on-pump群の27.1%に比し有意に不良であった(相対リスク:1.14、95%CI:1.00~1.30、p=0.046)。 術後5年時の副次評価項目には有意な差を認めず、非致死的心筋梗塞の発生率はoff-pump群が12.1%、on-pump群は9.6%(p=0.05)、心臓が原因の死亡はそれぞれ6.3%、5.3%(p=0.29)、血行再建術再施行は13.1%、11.9%(p=0.39)、CABG再施行は1.4%、0.5%だった(p=0.02)。 著者は、「off-pumpのような技術的に高度で革新的な手術アプローチが、優れた臨床アウトカムをもたらすとは限らないことが明らかとなった」とし、「さらに追跡を行って、術後10年のアウトカムを厳格に評価する必要がある。今後は、長期的な無イベント生存率の改善を目標に、血行再建術の長期アウトカムに影響を及ぼす患者側および心臓手術手技のリスク因子を同定する必要がある」と指摘している。

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自宅に退院する急性脳卒中患者を予測する5つの因子

 急性期脳卒中入院患者の退院計画は、医療資源の合理的な利用を促進するとともに、臨床アウトカムを改善し患者の経済的負担を軽減する。とくに、退院先の予測は退院計画に重要であることから、京都大学の西垣 昌和氏らのグループは、急性脳卒中後に自宅に退院する可能性が高い患者を予測する5つの変数を特定し、評価モデルを開発した。本モデルは入院後早期に医療従事者が退院を適切に計画するのに役立つだろうと著者らは記している。Stroke誌オンライン版2017年8月25日号に掲載。 本研究は、2011年1月1日~2015年12月31日にわが国の脳卒中センターに入院した急性脳卒中患者3,200例の電子カルテをレビューした、後ろ向きコホート研究である。アウトカムの変数は発症後早期の脳卒中患者の退院先で、予測変数はロジスティック回帰分析により特定した。データは、このモデルを開発するための学習データ(n=2,240)およびモデルの予測能を評価するための試験データ(n=960)に分けた。 主な結果は以下のとおり。・全部で1,548人(48%)の患者が自宅に退院した。・複数のロジスティック回帰分析では、生活習慣、脳卒中のタイプ、入院時の機能的自立度評価運動スコア、入院時の機能自立度評価認知スコア、麻痺の5つの予測変数が特定された。・本評価モデルは、カットオフポイント10としたとき、感度85.0%、特異度75.3%を示し、曲線下面積は0.88(95%信頼区間:0.86~0.89)であった。・予測能の評価においては、感度88.0%、特異度68.7%で、曲線下面積は0.87(95%信頼区間:0.85~0.89)であった。

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現代でも通用する、「医食同源」のライフスタイル・健康長寿の秘訣は、食にあり(解説:石上友章氏)-723

 高血圧は、減塩だけではない。DASH食は、降圧だけでなく痛風・高尿酸血症にも効果的な、健康長寿食であった(DASHダイエットは、痛風・高尿酸血症にも有効な「長生きダイエット」!)。医食同源・薬食同源といわれ、経口摂取する食材のなかには、薬効があるものもあるとされている。東洋医学をひもとけば、草根木皮といわれる植物資源だけではなく、場合によっては、動物資源(庶虫、水蛭など)ですら特定の薬効があるといわれている。不老不死・健康長寿は、東洋医学の究極の課題であり、4大古典のひとつである薬学書の『神農本草経』では、薬物を上品・中品・下品の3種類に分けている。上品薬に分類される薬物は、無毒であり長期間服用可能で、生命を養う作用があるとされており、身を軽くし、体力を増し、不老長生を可能にする、とされている。医食同源・薬食同源の考え方は、食養生といわれて重要視されている。本邦でも、『養生訓』を残した貝原益軒は、記録によると1600年代に活躍し、84歳で天寿を全うしている。 今回、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のMercedes Sotos-Prieto氏らは、DASH食だけではなく、AHEI(Alternative Healthy Eating Index:代替健康食指数)、AMED(Alternative Mediterranean Diet:代替地中海食)で推奨されている食パターンをスコア化して評価し、その変化が、健康長寿に与える影響を検討した結果を公表した。Sotos-Prieto M, et al. N Engl J Med. 2017;377:143-153. その結果、図に示すように、心血管死亡率について、すべての健康食スコアの改善が、統計学的に有意に抑制することが明らかになった。 この結果は、網羅的な感受性分析によってrobustnessを証明していることから、十分支持される。全死亡についても同様の結果が得られているが、疾患別にするとがんについては必ずしも有意ではない。またDASH食については、AHE食・AMED食に比較すると、若干効果が劣る傾向にある。魚食と、ω3系脂肪酸および、ごく軽度のアルコール摂取に差があるとされている。 21世紀になって、どの先進国も増大する医療費に悩まされている。健康長寿は、人類共通の課題になっている。あらゆる世代が、恐怖と欠乏から自由でいられるために、食生活を見直すことが重要なのは間違いない。

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成人スティル病〔ASD: Adult Still's disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義「難病の患者に対する医療等に関する法律」(いわゆる難病法)の制定によってわが国の難病制度は大きく変化し、指定難病数は法制化前の56疾患から平成29年4月1日には330疾患へと大幅に増加した。多くの疾患とともに成人スティル病(ASD)も新たに難病として指定された。診療レベルの向上を目指して、厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業における自己免疫疾患に関する調査研究班(代表;住田孝之 筑波大学教授)で、住田氏と筆者が責任者としてエビデンスに基づいた本症の診療ガイドラインを作成した。関連学会にも承認され、現在書籍化を急ピッチで進めている。主症状として「繰り返す高熱(1日中に39℃まで達するが、その後平熱に戻る;弛張熱)」、「関節炎」、「皮疹」を示す原因不明の疾患で、小児慢性炎症性疾患のスティル病(Still's disease;現在の全身型若年性特発性関節炎〔sJIA〕)に、その臨床所見が類似している成人症例を成人発症スティル病(Adult Onset Still's Disease;AOSD)と称する1)。リウマトイド因子陰性で、通常は副腎皮質ステロイドに反応するが、再発・再燃を来すことが多い。広義の自己炎症性疾患に属する。不明熱の代表的疾患で鑑別診断が重要である。上記のとおりに成人発症例をAOSDと呼び、sJIA(16歳以上)になったものも合わせて、「成人スティル病」(Adult Still's Disease;ASD)と定義する。■ 疫学2011年の厚生労働省研究班(研究代表者;住田 孝之)による全国疫学調査では、罹病者は4,760人と推定され、人口10万人当たり3.9人である2)。発症は若年に多いが、高齢発症者もあり、発症平均年齢は 46歳±19、男女比ではやや女性に多い。家族内発症はない。■ 病因病因・原因は不明であるが、ウイルス感染などを契機とした単球・マクロファージの活性化により炎症性サイトカイン(インターロイキン[IL]-1、IL-2、IL-6、IL-18、腫瘍壊死因子[TNF]-α、インターフェロン-γなど)が、持続的かつ過剰に産生・放出されることが本態であると考えられている。自己抗体や自己反応性T細胞は認めず、自己免疫疾患というより、自然免疫系の制御異常による自己炎症性疾患に属すると理解される。■ 症状1)自覚症状発熱は94%にみられ、午前中は平熱で夕方から夜にかけて上昇し、39℃以上まで達する弛張熱となることが多い。関節痛は80%以上の頻度で主に手指、手、膝関節の多発関節炎で骨びらんや骨性強直を認める場合もある。皮疹は60%以上に典型的皮疹(サーモンピンク疹;四肢や体幹の淡いピンク色の平坦な皮疹で、掻痒感はほとんどなく平熱時には消褪する)を認める。ほかに咽頭痛(60%程度)などがある2)。2)他覚症状リンパ節腫脹、肝脾腫などが認められる。20%程度に薬剤アレルギーがあることに注意する。■ 分類臨床経過から病型は、(1)単周期性全身型(30~40%)(2)多周期性全身型(30~40%)(3)慢性関節型(20~30%)の3つに分類される。全身型は高熱など全身症状が強いのが特徴で、そのうち単周期型は自然軽快する場合もある。一方、慢性関節型は末梢関節炎が持続し、関節リウマチのように関節破壊(主に骨性強直)を来す場合がある。■ 予後一般的に重篤な合併症がなければ、予後は比較的良好と考えられるが、合併症によっては予後不良の可能性がある。重篤な合併症には、マクロファージ活性化症候群/反応性血球貪食症候群があり、その頻度は12~14%で通常の膠原病に比して多い。その他、播種性血管内凝固(DIC)や肺障害(急性肺障害、間質性肺炎)、漿膜炎(胸膜炎、心膜炎)、心筋炎などがある。長期間の炎症反応高値持続症例では、アミロイドーシスも合併し得る。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は、国際的にも頻用されている山口らの成人スティル病分類基準3)による(表1)。表1 ASD診断基準●大項目1.39℃以上の発熱が1週間以上持続2.関節痛が2週間以上持続3.定型的皮疹4.80%以上の好中球増加を伴う白血球増加(10,000/mL以上)●小項目1.咽頭痛2.リンパ節腫脹または脾腫3.肝機能異常4.リウマトイド因子陰性および抗核抗体陰性●除外項目I.  感染(とくに敗血症、伝染性単核球症)II. 悪性腫瘍(とくに悪性リンパ腫)III.膠原病(とくに結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ)除外診断に当たらないことを確認したうえで、大項目2つを含む5項目以上でAOSDと診断する。近年は、これに血清フェリチン高値(正常値の5倍以上)を参考値として加える場合がある。検査所見では、白血球増多、血小板増多、CRP高値、赤沈亢進、肝酵素上昇、フェリチン著増が認められる。保険適用外であるが血清IL-18も著増となる。鑑別診断では、除外診断にも挙げられている、感染症、悪性腫瘍および他の膠原病が重要である4)。1)感染症細菌感染症(とくに敗血症や感染性心内膜炎)やウイルス感染(Epstein-Barr[EB]ウイルス、パルボB19ウイルス、サイトメガロウイルスなど)の鑑別が必要。鑑別のポイントは、ウイルスの血清学的検査、ASDにおけるフェリチン異常高値である。2)悪性腫瘍悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫)、白血病が鑑別疾患として挙げられる。悪性疾患の可能性を否定できなければ、ガリウムシンチグラフィー、リンパ節生検、骨髄穿刺などのより高度・専門的な検査も必要となる。3)膠原病全身性エリテマトーデス(CRP陰性、抗核抗体陽性、低補体血症)、関節リウマチ(リウマトイド因子/抗CCP抗体陽性)、血管炎症候群、サルコイドーシス、キャッスルマン病やリウマチ性多発筋痛症などとの鑑別を要する。弛張熱、血清フェリチン著増、白血球高値、皮疹などが鑑別のポイントとなる。その他、自己炎症性疾患では家族歴が参考になる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)発症早期に寛解導入を目的として、主に副腎皮質ステロイド(CS)中等量(プレドニン換算で0.5mg/kg)以上を用いる。初期治療にて、解熱、炎症反応(CRP)陰性化、血清フェリチン値正常化がなければ、CSの増量(プレドニン換算で1mg/kgまで)、CSパルス療法、免疫抑制薬(メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムスなど)または生物学的抗リウマチ薬(トシリズマブ、TNF阻害薬など)の併用が一般的である。なお、海外も含めたエビデンスを基に作成した前記診療ガイドラインでは、表2のようにASD治療薬の推奨度を示している。CSは初期量にて反応があれば、通常の膠原病治療に準じて減量する。CSの減量困難時にも免疫抑制薬の併用が選択される。ただし、免疫抑制薬はASDには保険適用外である。CS不応、免疫抑制薬効果不十分例に関しては、生物学的抗リウマチ薬の使用を考慮する。IL-6刺激阻害薬(トシリズマブ;抗IL-6受容体抗体)の有効性が近年多数報告されている。とくに、sJIA(当初のスティル病)に対して保険適用もあり、セカンドライン治療薬として有効であるトシリズマブは、類似の病態があると想像されるAOSDに対しても有効な可能性がある。しかし、バイアスを排除したエビデンスレベルに基づく診療ガイドラインではIL-6刺激阻害薬はTNF阻害薬とともに弱い推奨度である。トシリズマブをはじめとした生物学的抗リウマチ薬は、ASDには保険適用外であることを理解し、安易な使用は避け、使用に際しては十分な対策が必要である。慢性関節型に対しては、経口抗リウマチ薬が有効である。画像を拡大する4 今後の展望生物学的抗リウマチ薬として、IL-6受容体抗体(TCZ)、およびIL-1受容体阻害薬(アナキンラ、カナキヌマブ)が有望視されていることから、今後保険適用を取得する可能性がある。また、海外では新規IL-1阻害薬やIL-18阻害薬が臨床研究段階にある。その他、自己炎症性疾患という見方をすれば、インフラマソームの制御異常が病態の中心に位置する可能性もあり、将来的にはインフラマソーム制御薬の応用も予想される。5 主たる診療科鑑別診断の複雑さや合併症発症時の重症度および治療難度から考えて、大学病院や総合病院の内科系リウマチ膠原病科に紹介されるべきである。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 成人スチル病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Bywaters EGL. Ann Rheu Dis.1971;30:121-133.2)Asanuma YF, et al. Mod Rheumatol. 2015;25:393-400.3)Yamaguchi M, et al. J Rheumatol.1992;19:424-430.4)Mahroum N, et al. J Autoimmunity.2014;2-3:48-49/34-37.公開履歴初回2015年6月23日更新2017年8月29日

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睡眠不足だと認知症になりやすいのか

 米国・ミネソタ大学のPamela L. Lutsey氏らは、中年後期の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)や短時間、長時間睡眠が認知症リスクと関連しているかを、15年以上のフォローアップ期間で検討した。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年7月21日号の報告。 Atherosclerosis Risk in Communities研究に参加した1,667例を対象に、在宅終夜睡眠ポリグラフィー検査(1996~98年)を実施し、認知症発症のフォローアップを行った。認知症は、入院診断コード(1996~2012年)および包括的な神経認知検査(2011~13年)により定義した。 主な結果は以下のとおり。・OSAおよび睡眠時間は、認知症発症のリスクとの関連が認められなかった。・判定済みのアウトカムを用いた場合、重度のOSA(無呼吸低呼吸指数:30回以上/時間 vs. 5回未満/時間)は、すべての認知症リスク(RR:2.35、95%CI:1.06~5.18)およびアルツハイマー型認知症リスク(RR:1.66、95%CI:1.03~2.68)の高さと関連が認められたが、心血管のリスク因子の調整によりその関連性は弱まった。・判定済みのアウトカムを用いた場合、7時間未満の睡眠は、8~9時間の睡眠と比較し、すべての認知症リスクの高さと関連していた(RR:2.00、95%CI:1.03~3.86)。■関連記事「最近、睡眠時間が増えた」は認知症のサインかも不眠症になりやすい食事の傾向就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大

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口腔がんになりやすい職業

 フィンランド・ヘルシンキ大学のLaura Tarvainen氏らが、舌・口腔(oral cavity)・咽頭がんにおける職業別リスクについて、飲酒・喫煙を調整し評価したところ、歯科医師などいくつかの職業で舌がんの相対リスクが高いことがわかった。著者らは、職業的な化学物質への曝露、飲酒や喫煙の増加、ヒトパピローマウイルス感染が関連する可能性を示唆している。Anticancer research誌2017年6月号に掲載。 著者らは、1961~2005 年における北欧諸国の1,490万人と、舌・口腔・咽頭がん2万8,623例のデータを調査。職業別の飲酒については肝硬変による死亡率と肝臓がん発症率に基づいて推定し、職業別の喫煙については肺がん発症率に基づいて推定した。 飲酒・喫煙について調整後、舌・口腔・咽頭がんの相対リスクが1.5を超えた職業は、歯科医師、芸術系職、美容師、ジャーナリスト、司厨、船員、ウエイターなどであった。

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