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日本人医師の飲酒量に関連する因子

 日本医師会会員の男女7,500人に飲酒習慣に関するアンケートを実施したところ、喫煙、運動、睡眠障害が、飲酒もしくは大量飲酒習慣と相関していることが示された。日本大学医学部公衆衛生学の大井田 隆教授らの研究グループが報告した。Asia-Pacific Journal of Public Health誌オンライン版2018年2月1日号に掲載。 本研究では、日本医師会会員の中から、男性医師6,000人および女性医師1,500人に自記式アンケートを送付し、年齢、診療科、喫煙状況、運動状況、職場環境、睡眠障害、メンタルヘルスと飲酒習慣との相関を調べた。 主な結果は以下のとおり。・回答率は79.4%であった。・大量飲酒の習慣がある医師は、60代男性および20~50代女性で最も多かった。・飲酒もしくは大量飲酒の傾向は、年齢が上がると減少した。・喫煙は大量飲酒と相関していた。・運動は男性の飲酒、女性の飲酒/大量飲酒と相関していた。・メンタルヘルスは飲酒習慣と相関していなかった。・睡眠障害は大量飲酒習慣と相関していた。 著者らは、これらの結果は医師の飲酒率を低下させるための対策を講ずる必要があることを示唆する、としている。

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夢遊病に関するシステマティックレビュー

 夢遊病を誘発する薬剤は、患者自身だけでなく他人に対しても傷害のリスクをもたらし、服薬アドヒアランスに対しても影響を及ぼす。オーストラリア・南オーストラリア大学のHelen M. Stallman氏らは、夢遊病リスクを高める可能性のある薬剤を特定するため、文献のシステマティックレビューを行った。Sleep medicine reviews誌2018年2月号の報告。 夢遊病(「sleepwalking」「somnambulism」)をキーワードとして、CINAHL、EMBASE、PsycINFO、PubMed、ScienceDirectより検索を行った。83件が抽出され、そのうち基準を満たした62件をレビュー対象とした。 主な結果は以下のとおり。・主に以下の4クラス(29薬剤)が、夢遊病のトリガーであると同定された。 (1)ベンゾジアゼピン受容体アゴニストおよび他のGABAモジュレーター (2)抗うつ薬および他のセロトニン作動薬 (3)抗精神病薬 (4)β遮断薬・薬剤誘発性夢遊病の最も強力なエビデンスは、ゾルピデムとsodium oxybateであった。・その他すべての関連は、症例報告に基づいていた。 著者らは「本研究は、臨床試験のリスクプロファイルにおける夢遊病の重要性を示唆しており、とくにGABAA受容体でのGABA活性およびセロトニン作動活性の増強、β遮断薬によるノルアドレナリン活性の遮断を伴う薬剤で注意が必要である。薬剤による夢遊病リスクの懸念がある場合には、患者に対し安全な睡眠環境についての教育を行い、夢遊病の発症または悪化を報告することが推奨され、発症した際の代替治療の検討を行うべきである」としている。■関連記事夢遊病にビペリデンは有望!?がん患者の悪夢に有効な治療法はベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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がん患者の生命予後改善で、どうなる脳転移全脳照射

 都内で2月に行われたエレクタ株式会社主催のプレスセミナーにて、東京大学医学部附属病院 放射線治療部門の中川 恵一氏が「脳転移をめぐるパラダイムシフト」と題して講演を行った。日本人の脳転移にはEGFR変異陽性が大きく寄与 日本人がん患者の10人に1人が転移性脳腫瘍を発症する。転移性脳腫瘍で最も多い原発巣は肺がんで、46%を占める。その中でもEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)が30%を占めており、日本人の転移性脳腫瘍の約14%はEGFR変異が原因となっている。 EGFR変異陽性NSCLCでは、脳転移の発現リスクが高い。この患者集団の脳転移の特徴は、腫瘍周囲の浮腫が少なく、小さな転移が多数あることだ。従来、このような多発脳転移は、全脳照射(WBRT)が適応である。しかし、近年、WBRTに問題が指摘され出しているという。浮かび始めたWBRTの問題点 転移性脳腫瘍で、定位放射線治療(SRS)とSRS+WBRTを比較した無作為化試験をみると、頭蓋内増悪率ではSRS+WBRTが優れているものの、全生存期間(OS)はSRS単独でも変わらない。さらに、主要評価項目である3ヵ月後の認知機能増悪は、SRS単独の63.5%に対し、SRS+WBRTでは91.7%であり、SRS+WBRTで有意に増悪していた(p=0.0007)。つまり、WBRTは延命効果を示さず、認知機能を低下させてしまうこととなる。EGFR-TKIが実現した長期生存が、放射線療法の選択基準を変える 薬物療法に目を向けてみると、EGFR変異陽性NSCLCにはEGFR-TKIが非常に良く奏効する。本邦でも4つのEGFR-TKIが使用できる。種類を変えながら、これらの薬を使い続けていくことで、今まででは考えられなかった長期成績が実現している。本邦の脳転移を有するNSCLCについての試験では、第1世代EGFR-TKIであるゲフィチニブとエルロチニブを連続して使用することで21.9ヵ月、脳転移があっても約2年のOSが得られた。さらに、第3世代EGFR-TKIのオシメルチニブを脳転移NSCLCの初回治療に単剤で使った試験においては、15.2ヵ月のPFSを達成した。このような薬が、これからも次々と開発されていくことで、脳転移があっても5年、10年生存する患者がますます増えていくと予想される。 一方、WBRTによる認知機能低下は、治療後数年経って現れる。脳転移患者の長期生存が実現できない時代には顕在化されなかった認知機能低下という弊害が、長期生存が可能となる今後は、より大きな問題となることは間違いない。まして、若年者、女性に多いEGFR変異肺がんではなおさらである。 日本肺学会ガイドラインでも、「手術やSRSにWBRTの併用を行わないことを勧める」としているなど、WBRTの役割が少なくなりつつあると中川氏は述べる。SRSとEGFR-TKIの応用 SRSであるガンマナイフは従来、単発の脳転移を適応としていたが、複数の転移があっても一つひとつつぶしていくという有効活用法が考えられている。では、SRSとEGFR-TKIの共存についてはどうか。NSCLCの脳転移例でEGFR-TKIと放射線照射の順序を検討した後ろ向き試験で、SRS先行群(SRS→EGFR-TKI)、WBRT先行群(WBRT→EGFR-TKI)、EGFR-TKI先行群(EGFR-TKI→SRSまたはWBRT)を比較している。結果は、SRS先行群が、WBRT先行群、EGFR-TKI先行群に比べ、有意にOSを延長した。本邦の臨床現場では、EGFR-TKIから始めるという施設が圧倒的に多いと思われるが、SRSを先行し、EGFR-TKIを続けることで、今以上の良好な生存ベネフィットが得られることになる。 「脳転移イコール死」は過去の図式となりつつある。脳は人間にとって一番守りたい臓器である。そのためにWBRT一辺倒ではなく、SRSと薬剤の有効活用で、正常の脳組織を守りながら治療していくという動きになっていくであろうと中川氏は述べた。

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超加工食品の摂取量、全がんリスク上昇と関連/BMJ

 食事における超加工食品(ultra-processed food)の割合が10%上昇すると、全がんリスクおよび乳がんリスクが10%以上有意に上昇することを、フランス・パリ第13大学のThibault Fiolet氏らが、前向き大規模コホート研究の結果で報告した。超加工食品は、低栄養価、添加物、食品と接触するパッケージの材質、製造・加工・貯蔵で生成される化合物によって特徴付けられる。がんリスクとの関連についての疫学データは不足しているが、これまでの研究では、一般に超加工食品と認識される特徴要素の中に発がん作用がある可能性が示唆されていた。BMJ誌2018年2月14日号掲載の報告。超加工食品とがんリスクとの関連性を18歳以上の約10万人を対象に評価 研究グループは、フランスのNutriNet-Santeコホート(2009~17年)に参加した、18歳以上の10万4,980例(年齢中央値42.8歳)を対象に、前向きコホート研究を実施した。 さまざまな食品3,300種類について、24時間の食事記録(通常摂取量の記録)を繰り返し使用することで食事摂取量を収集し、NOVA分類による食品加工の程度に従って4つのカテゴリーに分類した。 超加工食品と全がんリスク、乳がんリスク、前立腺がんリスク、大腸がんリスクとの関連を、既知のリスク因子で補正した多変量Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。超加工食品の割合が10%増で、全がんリスクが12%、乳がんリスクは11%上昇 超加工食品の摂取量は、全がんリスクの上昇と関連していた(2,228例、超加工食品の割合の10%増加に対するハザード比[HR]:1.12[95%信頼区間[CI]:1.06~1.18]、傾向のp<0.001)。また、乳がんリスクの上昇との関連も認められた(739例、HR:1.11[95%CI:1.02~1.22]、傾向のp=0.02)。食事の栄養価(脂質、ナトリウム、炭水化物の摂取量、または西洋型の食事)を調整後も、同様に統計的有意差が認められた。前立腺がん、大腸がんとの関連性は確認されなかった。 著者は研究の限界として、志願者に基づいたコホートであること、超加工食品への誤分類や残余交絡の可能性、追跡調査期間が比較的制限されたことなどを挙げたうえで、今後の課題として、「さまざまな加工の程度(栄養成分、食品添加物、接触物質、熱処理された加工食品中にある発がん性物質)による相対的影響を明らかにするため、さらなる研究が必要である」と述べている。

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抗うつ薬21種の有効性と忍容性を検討~522試験のメタ解析/Lancet

 うつ病(大うつ病性障害)成人患者において、検討した21種の抗うつ薬は、すべてプラセボより有効であることが確認された。ただし、プラセボに対するオッズ比は有効性が2.13~1.37、忍容性(中止率)が0.84~1.30と幅があった。英国・オックスフォード大学のAndrea Cipriani氏らが、これまでに実施された抗うつ薬21種に関する比較臨床試験計522件のシステマティックレビューとメタ解析で明らかにした。うつ病は、世界的に最も頻度が高く、疾病負荷が大きな、医療費がかかる精神障害の1つで、一般的に心理学的介入よりも抗うつ薬による治療が行われている。新規抗うつ薬の増加に伴い、個々の患者に最善の治療薬を選択するためのエビデンスが必要とされていた。著者は、「今回の結果は、エビデンスに基づいた治療を行ううえで患者と医師にとって重要なものであり、ガイドラインや医療政策の策定においてもさまざまな抗うつ薬の相対的なメリットを参照すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版、2018年2月21日号掲載の報告。抗うつ薬の無作為化二重盲検比較試験のデータを統合 研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials、CINAHL、EMBASE、LILACS database、MEDLINE、MEDLINE In-Process、PsycINFO、規制当局のウェブサイトにて、2016年1月8日までに報告された抗うつ薬の無作為化二重盲検比較試験(非公表も含む)について検索し、うつ病成人患者(18歳以上の男女)の急性期治療として使用された第1および第2世代の抗うつ薬21種に関するプラセボまたは実薬対照比較試験を解析に組み込んだ。準ランダム化試験や、双極性障害、精神病性うつ病または治療抵抗性うつ病患者を20%以上組み込んだ試験などは除外した。 Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsに従い試験のバイアスリスクを評価するとともに、GRADE frameworkを用いてエビデンスの質を評価した。主要評価項目は、有効性(奏効率)と忍容性(治療中止率:あらゆる理由で治療を中止した患者の割合)とし、ランダム効果モデルによるペアワイズおよびネットワーク・メタ解析を用い、要約オッズ比(ORs)を算出した。21種の抗うつ薬すべてがプラセボと比較すると有効 検索した論文2万8,552報から、適格試験522件(計11万6,477例)が解析に組み込まれた。有効性については、ネットワーク・メタ解析の結果、プラセボと比較すると21種の抗うつ薬すべてが有効であった。ORsはアミトリプチリンの2.13(95%確信区間[CrI]:1.89~2.41)が最も高く、reboxetineの1.37(95%CrI:1.16~1.63)が最も低かった。忍容性については、agomelatine(0.84、95%CrI:0.72~0.97)とfluoxetine(0.88、0.80~0.96)のみがプラセボより有意に中止が少なく、クロミプラミン(1.30、95%CrI:1.01~1.68)はプラセボより有意に中止が多かった。 実薬の直接比較では、agomelatine、アミトリプチリン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシン、vortioxetineは他の抗うつ薬よりも有効であったが(ORs範囲:1.19~1.96)、fluoxetine、フルボキサミン、reboxetine、トラゾドンは効果が低かった(ORs範囲:0.51~0.84)。 忍容性については、agomelatine、シタロプラム、エスシタロプラム、fluoxetine、セルトラリン、vortioxetineは他の抗うつ薬よりも良好であったが(ORs範囲:0.43~0.77)、アミトリプチリン、クロミプラミン、デュロキセチン、フルボキサミン、reboxetine、トラゾドン、ベンラファキシンは中止率が高かった(ORs範囲 1.30~2.32)。 522試験中、46試験(9%)はバイアスリスクが高く、エビデンスの質は「非常に低い」~「中」にわたるもので、380試験(73%)が「中」、96試験(18%)が「低」であった。

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Real World Evidenceからみたカナグリフロジンの有用性(解説:吉岡成人 氏)-819

カナグリフロジンの新たなエビデンス ADA(American Diabetes Association)のガイドラインでは心血管リスクを持つ2型糖尿病患者に、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンやカナグリフロジンの積極的な使用を推奨している。その根拠となる臨床試験は、EMPA-REG OUTCOME試験およびCANVASプログラムである。これらの臨床試験における主要評価項目は心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合イベントの発生率であり、対象となった患者も心血管疾患のハイリスクグループであった。今回紹介するのは、米国における民間の医療データベースを基に、2型糖尿病患者における投与薬剤と心血管イベントについて検討したReal World Evidenceとしてのデータである。医療データベースを基に検証 今回の研究は、米国の民間の医療データベースOptum Clinformatics Datamartを基に、18歳以上の2型糖尿病の患者で、2013年4月から2015年9月までにSGLT2阻害薬であるカナグリフロジンまたはDPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SU薬の使用を開始したものを対象として、心血管イベントの発症を比較したものである。処方データを抽出し、患者の背景をマッチさせ、イベントの発症を検討する後ろ向きコホート試験である。 主要評価項目は心不全による入院と複合心血管イベント(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中、出血性脳卒中による入院)となっている。カナグリフロジンは心不全の入院を減らすが、心筋梗塞や脳卒中は抑制しない Real world dataを基にした30ヵ月間の観察において、カナグリフロジンが他の薬剤に比較して心不全による入院のリスクを有意に低下させることが確認された。カナグリフロジンンとDPP-4阻害薬を比較した場合、イベントの発生頻度はそれぞれ8.9/1,000人年、12.8/1,000人年であり、ハザード比は0.70(95%信頼区間[CI]:0.54~0.92)。GLP-1アナログ、SU薬と比較したハザード比も0.61(95%CI:0.47~0.78)、0.51(95%CI:0.38~0.67)であった。しかし、複合心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中による入院)については、抑制効果は認められず、ハザード比はDPP-4阻害薬と比較して0.89(95%CI:0.68~1.17)、GLP-1アナログでは1.03(95%CI:0.79~1.35)、SU薬でも0.86(95%CI:0.65~1.13)であった。この傾向は、ベースラインにおけるHbA1c値や心疾患や心不全の既往の有無によってサブグループ解析を行っても同様であったと報告されている。 心疾患の既往の有無などを問わず、カナグリフロジンは心不全による入院を他の薬剤に比較して有意に30~49%抑制するものの、心筋梗塞や脳卒中による入院は抑制し得ないことになる。とはいえ、解析の対象となった患者の平均年齢はおよそ57±10歳前後と若く、観察期間も各群でマッチさせることができたのは0.6±0.5年ほどでしかない。これらの点を勘案すると、SGLT2阻害薬であるカナグリフロジンは、患者の年齢を問わず、投与開始後早い時期から、心不全による入院を抑制する効果を持っているといえる。 SGLT2阻害薬が新たなカテゴリーの利尿薬として心不全を抑制しているのか、それとも、利尿効果を超えた心血管イベント抑制の効果があるのか、今後の展開に期待したい。

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名著、名言【Dr. 中島の 新・徒然草】(210)

二百十の段 名著、名言医学小説というのは多々ありますが、最もリアルなものの1つに「脳外科医になって見えてきたこと」という本があります。著者のフランク・ヴァートシック・ジュニアの脳外科レジデント生活を描いたものです。著者はレジデント生活初日の午前5時にチーフ・レジデントのゲーリーから「ルール」を伝授されます。ゲーリーによれば、ユーマンズの教科書全6巻のどこにも書いていないルールだそうです。全部で5つあって、どれも「なるほど」と思わされるのですが、特によくできているのがルール2とルール4でした。原文から引用しましょう。ルール2:「小さな手術ってのは、自分以外のだれかがやる手術だけだ。もし自分がやれば、そいつはみんな大手術になる。このことは忘れるなよ」外科医にもいろいろな人がいると思いますが、私の場合、自分が術者の時には頭の中で何度もシミュレーションした上で、思いつくかぎりの神仏に祈ってから臨みます。当然のことながら、助手の時にはもっとあっさりしています。「どんな単純な手術でも、自分がやる時は大手術」、名言ですね。ルール4:「患者がなぜくたばりかかっているのかを知ろうとするなら、ナースから1,000回電話で話を聞くより本人を1回見るほうがいい」百聞は一見に如かず、とはまさにこのことです。いわゆる重症感というのは言葉では伝わりにくく、自分で見た時の印象こそが最も大切なのです。自分の目で見たら「思ったより重症だった、すぐに何とかしないと!」と思ったり、「なんだ大したことないじゃないか」と思ったりすることがよくあります。とにかく看護師さんに「急変です」「すぐ来てください」と言われた時にはもちろんのこと、「ちょっと見てもらえませんか」と言われた時にもすぐにベッドサイドに行った方がいいですね。「結局はその方が省エネである」とも言えます。私は読んだ本はすぐに捨ててしまうほうですが、この本だけはずっと本棚に置いています。脳外科医の頭の中をあますことなく描いており、何度読んでも感心させられます。最後にもう1つだけ名言を挙げておきましょう。自分の手術で患者を死なせてしまい辞職願を書いた著者に、ゲーリーが言った台詞です。「しっかりしろ! とっとと自分をかわいそうがるのはやめて、助けを求めてくる連中相手にベストを尽くせ」泣ける・・・最後に1句ゲーリーよ あんたは偉い! その通り

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第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会 会長インタビュー 総会を振り返って

第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会が本年(2018年)1月20日~21日に開催された。医療者や患者も含め全国から集まったさまざまな参加者がディスカッションを行い。盛会のうちに終了した。今総会を振り返るとともに、会長である聖路加国際病院 副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長の山内 英子氏に伺った。 第6回HBOCコンソーシアム学術総会の初日、聖路加国際病院に通院中の方々が登壇し、市民公開講座が開催されました。登壇した患者さんたちはそれぞれの決断を信じて、しっかりと一歩一歩を進んでいらっしゃると改めて感じました。もし医療チームとしっかり議論をしていなければ、これまでの決心も揺らぐと思います。予防的切除や遺伝性腫瘍以外でも、いろいろな治療方針を決めていくうえで「あなたの場合はどうしたいですか?」「このような選択をしたい」「じゃあ、こうしましょう」といういわゆるShared Decision Makingを、それぞれの不安を拾い上げながら当院の医療チームが実践してきました。患者さんたちは過去の治療歴も将来についても、ご自身の言葉で説明されていましたね。自分と違う選択をした方の経験談も冷静に受け止めて咀嚼し、次のステップに進んでいるのですね。違う立場の人たちがガールズトークをすることによって、お互いの成長をも促すのではないでしょうか。HBOCでは、患者さんが大変な不安に直面します。「怖い、お母さんも乳がんだし、私もいつなるのかしら…」と不安で暗い部屋に閉じこもっている人たちを、「大丈夫だから。こういう道だけど、一つひとつ選択しながら一緒に歩いて行きましょうね」と細い道を歩いて行くようなものでありながら、暗い部屋から手を引いて出して差し上げるようなものなのです。患者さんと家族のやり取りを、主治医や医療チームとしてどこまで把握すべきでしょうか?遺伝性腫瘍の場合、がんの人だけを家族歴からピックアップするだけではなく、どういうご家族がいらっしゃるかも重要です。その中で「この人には言わなくていいの?」とか「お姉さんは知っているの?」などを検査前から質問します。「うちの姉は病気のことを話すと、もうそれだけで絶対駄目なのです」という場合、「うまく私たちが説明するから、連れてきなさい」と医療チームが協力しながら対応することもあります。2日目の学術総会において、シンポジウム1の医療チームの各発表では、遺伝カウンセリングに主治医が加わるべきか否かが議論になりました。第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会のテーマは「実戦!THE NEXT STEP HBOC診療」主治医が遺伝カウンセリングに入ると、患者さんも必ず受けなければいけないと受け止めてしまうのではないか、という意見もあるでしょう。地域の家庭医やプライマリケア医である開業医の先生たちが、「遺伝子検査を受ける?」「遺伝カウンセリングは?」などと関わり、遺伝性腫瘍の専門医に紹介していく。欧米はすでにそのような状況です。どこまで二段階的なことができるか、たとえば主治医がある程度の説明はしても、もう一度、治療方針と関係なく第三者が、遺伝カウンセラーとして「本当に良いですか?」と聞く、二段階式の取り組みが必要かもしれません。そういった仕組みがあれば、医療機関ごとで独自に決めなければいけない現状も改善されると。主治医が遺伝カウンセリングに参加すべきではないとの理由が「主治医は忙しいから、やるべきではない」というのも、日本の医療現場ではあるかもしれない。「患者さんの自費負担になってはいけない」という経済的な理由も考えられます。遺伝子検査結果をカルテに記載するか、意図的に書き残さないかという議論もありました。遺伝子検査を行っている医療機関が増えています。10年前の「遺伝子検査なんてしないでしょう?」「遺伝子検査が陽性なのか」と珍しく見る社会から、今は「予防的切除をしました」「そうなんですね」と一般の反応もだいぶ変わってきています。これからBRCA遺伝子検査が陽性の人にしか使えない新薬が登場する場合、診療報酬請求で検査結果を明記しなければいけませんので、カルテ記載は避けられないでしょう。ただし検査陽性の人たちが不当な差別を受けないために、日本でも米国のような法整備を進めていく必要があります。シンポジウム2では、リスク低減卵巣卵管摘出術(RRSO)をしても原発性腹膜がんは完全には防ぎきれず、生涯の発症リスクは3~4%残るという発表がありました。RRSOは、かなりの確率で発症リスクを減らすことができます。ほとんどの方にRRSOの話をすると、「リスク低減手術後にも、いつか腹膜がんが見つかることがあります」と伝えても、それは恐怖と言うよりも「防ぎきれない限界がある」と認識していただくことが大事です。乳がんの発症リスクも減少するというデータもありますので、きちんとした知識をもって理解していただくようにしています。リスク低減乳房切除術(RRM)の標準術式についても、詳しい議論がありました。乳房の予防的切除の場合、どの程度の皮膚の厚さを残すべきか、どの範囲までを切除するか、乳腺外科医のさじ加減が大変重要です。RRMによる切除部位をどこまで薄い切片で病理検査すべきか、各施設の実例紹介がありました。これまでよりもいろいろな施設でリスク低減手術が実施されるようになったことで、標準となる術式についてもディスカッションができるようになってきたと思います。シンポジウム3で、乳房MRIは月経周期に合わせていつ撮影するか、その画像をどのように読影するかというサーベイランスの議論がありました。米国で保険適用になっているHBOCの乳房MRIサーベイランスも、わが国では自費となっています。そのため、超音波検査よりもはるかに高額の支出となります。しかも未発症ですから、若い人で「なぜこんな検査をしなければならないの? 休みもつぶして、子供も預けてきて、お金もかかって」と、結局ドロップアウトしていく人もいます。社会で行われていたりする30~40代の全員に超音波検査を行うのではなく、本当にリスクが高い人にはMRIまでの検診費用をカバーするなどの、新たなサポートが必要ではないかと思います。シンポジウム4では、HBOCの前立腺がんについて議論がありました。HBOCの比率は1~2%と推定されるとの意見もあり、泌尿器がんの中で、初めて遺伝子治療が実用化されるかもしれないとの意見も出ました。乳腺外科はこれまでも産婦人科との連携は良好です。シンポジウム1で産婦人科の先生方が登壇してくださり、こうした連携が各地に広がってきました。これからは、泌尿器科の先生たちとの連携も重要ですので、今回の学術総会がその第一歩になればと考えます。会場で聴講された方々も、泌尿器科の先生たちへHBOCについて声を掛けてくださればと思います。意識的に探すことで、前立腺がんの中でHBOCが見つかるとなれば、今後も泌尿器科で前立腺がんの患者さんがいれば、乳がんや卵巣がんの家族歴を聞くことが重要になります。HBOCは多診療科にわたる疾患につき、皆で取り組み、取り上げ、拾い上げていかなければいけない問題です。CareNet会員の皆様へメッセージをお願いします。日本でのHBOC診療は、実戦となるネクスト・ステップに入ったと考えています。すべての医師の前に、BRCA遺伝子検査が陽性と判明した患者さんやご家族が、今日にも現れるかもしれません。遺伝性腫瘍に直面した方々が抱える大きな不安がこぼれ落ちないように、すべての医師にはぜひ、ご一緒に手を差し伸べていただきたいと思います。引き続き、全国の医療機関には診療体制を整えていただき、HBOCコンソーシアムでも情報を更新しながらホームページを整備していきます。また、私自身も積極的に情報提供を続けていきたいと思います。

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新しいドパミン受容体パーシャルアゴニスト、ブレクスピプラゾール

 ブレクスピプラゾールは、アリピプラゾールと同クラスの新規ドパミン受容体パーシャルアゴニストの抗精神病薬である。オーストラリア・モナッシュ大学のJudy Hope氏らは、ブレクスピプラゾールについてのレビューを行い、アリピプラゾールとの比較を行った。Australasian psychiatry誌2018年2月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・ブレクスピプラゾールは、アリピプラゾールと同様に、ドパミンD2およびセロトニン5-HT1A受容体に対しパーシャルアゴニストとして作用し、セロトニン5-HT2Aおよびノルアドレナリンα1B受容体に対しアンタゴニスト作用を示す薬剤である。・しかし、ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールは、さまざまな受容体に対する作用の強さが有意に異なる。・ブレクスピプラゾールの抗精神病作用は、アリピプラゾールと同等であると予測されるが、アカシジア、錐体外路系副作用(EPS)、賦活化がより少ない可能性がある。・承認申請時の臨床試験において、ブレクスピプラゾールは、短期的および長期的な研究で、抗精神病作用が認められており、抗うつ薬治療抵抗性うつ病患者に対する補助療法として有効であることもわかっている。・アカシジアは、軽度の体重増加やプロラクチン上昇と同様に、治療早期に発現する。 著者らは「ブレクスピプラゾールは、承認申請時の臨床試験データから、アリピプラゾールと同等の有効性を有し、アカシジアを発現しづらいことが示唆されている。また、米国においては、アリピプラゾールと同様に、統合失調症および抗うつ薬治療抵抗性うつ病に対して承認されている。今後、より多くの臨床経験が必要ではあるが、ブレクスピプラゾールは、アリピプラゾールとは異なると考えられ、精神疾患や気分障害の治療における代謝機能への影響の少ない新たな抗精神病薬の治療選択肢となりうる」としている。■関連記事開発中のブレクスピプラゾール、その実力は本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか高プロラクチン血症、アリピプラゾール切り替えと追加はどちらが有効か

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低脂肪vs.低炭水化物ダイエット、体重減効果は?/JAMA

 健康的低脂肪(HLF)ダイエットと健康的低炭水化物(HLC)ダイエットについて、12ヵ月後の体重減効果は同等であることが、米国・スタンフォード大学のChristopher D.Gardner氏らが、609例を対象に行った無作為化比較試験で示された。また遺伝子型やダイエット開始前のインスリン分泌能は、いずれの食事療法の体重減効果とも関連がみられなかったという。結果を踏まえて著者は、「疾病の素因と仮定される遺伝子型およびインスリン分泌能は、HLFとHLCのどちらが至適な食事療法かを識別するのには役立たないようだ」とまとめている。JAMA誌2018年2月20日号掲載の報告。非糖尿病18~50歳を対象に無作為化試験、1年後の体重減を比較 研究グループは、2013年1月29日~2015年4月14日にかけて、BMI値28~40、非糖尿病の18~50歳、609例を対象に、無作為化試験「DIETFITS」(The Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success)を開始し、2016年5月16日まで追跡した。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはHLFダイエットを、もう一方にはHLCダイエットをそれぞれ12ヵ月間行った。具体的には健康教育者が、ダイエットに特異的な少人数セッション(12ヵ月間で22回)を通じて、行動変容を促す介入を行った。 試験では、3つの代表的な一塩基多型(SNP)反応パターンまたはインスリン分泌能(糖負荷後30分の血中インスリン濃度:INS-30)と、体重減との関連についても検証した。体重減は同程度、遺伝子型やインスリン分泌能との関連は認められず 被験者609例の平均年齢は40歳(SD 7)、女性は57%、平均BMI値は33(SD 3)、低脂肪遺伝子型は244例(40%)、低炭水化物遺伝子型は180例(30%)、INS-30平均値は93μIU/mLだった。試験完遂者は481例(79%)だった。 12ヵ月間の多量栄養素の平均分布値は、炭水化物はHLF群48%、HLC群30%、脂肪はそれぞれ29%、45%、蛋白質は21%、23%だった。 12ヵ月時点の体重変化の平均値は、HLF群-5.3kg、HLC群-6.0kgだった(群間差平均:0.7kg、95%信頼区間[CI]:-0.2~1.6kg)。 12ヵ月の体重減について、ダイエットの種類と遺伝子型に相互関連はみられず(p=0.20)、ダイエットの種類とインスリン分泌能(INS-30)にも相互関連は認められなかった(p=0.47)。 なお、18件の有害事象が認められたが、発生の割合は両群で同程度だった。

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CKDの高齢心房細動患者への抗凝固薬投与は?/BMJ

 慢性腎臓病(CKD)があり心房細動を呈した高齢者への抗凝固薬の投与で、虚血性脳卒中や脳・消化管出血リスクはおよそ2.5倍増大し、一方で全死因死亡リスクは約2割低減することが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのShankar Kumar氏らが、約273万人分の患者データベースを基に、傾向スコア適合住民ベースの後ろ向きコホート試験を行い明らかにした。現状では、透析不要のCKDで心房細動を呈した高齢患者について、信頼性の高い臨床ガイドラインや無作為化比較試験はないという。同研究グループは今回の逆説的な結果を受けて、「こうした患者を対象にした、適切な規模の無作為化試験の実施が急務である」と提言している。BMJ誌2018年2月14日号掲載の報告。CKDで心房細動の診断を受けた約7,000例を調査 研究グループは2006年1月~2016年12月にかけて、イングランドとウェールズの110ヵ所の一般診療所に通院する約273万人分を収載する、The Royal College of General Practitioners Research and Surveillance Centreのデータベースを基に検討を行った。このうち、推定糸球体濾過量(eGFR)が50mL/分/1.73m2未満のCKDで、新たに心房細動の診断を受けた、65歳以上の6,977例を対象にコホート試験を行った。 心房細動の診断後60日以内の抗凝固薬の処方と、虚血性脳卒中、脳・消化管出血、全死因死亡率の関連について評価した。抗凝固薬処方で死亡リスクは0.82倍に 心房細動の診断を受けた6,977例のうち、診断後60日以内に抗凝固薬を処方されたのは2,434例、処方されなかったのは4,543例だった。傾向スコアマッチングを行った2,434組について、中央値506日間追跡した。 抗凝固薬を処方された患者において、虚血性脳卒中の補正前発生率は4.6/100人年、脳・消化管出血は同1.2/100人年だった。これに対して、非処方の患者では、それぞれ1.5/100人年、0.4/100人年だった。 虚血性脳卒中発生に関する、抗凝固薬処方患者と非処方患者を比較したハザード比は2.60(95%信頼区間[CI]:2.00~3.38)、脳・消化管出血の同ハザード比は2.42(同:1.44~4.05)と、処方患者における増大が認められた。一方で、全死因死亡に関する同ハザード比は0.82(同:0.74~0.91)と、処方患者で低かった。

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データ共有を宣言するも実が伴っていなかった(解説:折笠秀樹氏)-817

 データ共有の方針(Data sharing policy)をとると、他の研究者から依頼があれば著者は生データを提供しなければならない。BMJとPLOS Medicine誌は、早くからデータ共有を打ち出してきた臨床雑誌である。この方針が打ち出された以降(2013~16年)に出版された、37件のランダム化比較試験(RCT)を調査対象とした。これらの雑誌には臨床試験よりも観察研究が載りがちであるが、4年間でRCTが37件というのはちょっと少ないかと思われた。 電子メールで連絡をして依頼する方式が62%(BMJでは81%、PLOS Medicineでは38%)、データ検索用のプラットフォームなどが記載されているのが24%(BMJでは0%、PLOS Medicineでは56%)であり、両方で86%であった。雑誌自体がデータ共有方針を打ち出していることから、提供の手順もこのように明確に示されていた。それでは実態はどうだったのだろうか。調査対象である37件のRCTの著者にデータ提供を求めたところ、コード・ラベルなどが明記され解析に耐えられるデータセットが提供されたのは17件(17/37=46%)しかなかった。中にはデータの準備に対して、10万円程度の費用を請求するケースもあったようだ。データ提供方針とは口だけで、実が伴っていないことが浮き彫りになった。 次に、データ提供された17件に対して、データを再解析して結果の再現性を調べた。これについては、14件(82%)で再現性を確認した。つまり、それほど怪しげな解析を行っていたケースはなかった。 データ共有は捏造解析を暴くのが目的ではない。興味ある研究者に貴重なデータを提供し、別の角度から2次解析していただくのが主旨だと思う。昔は作った本人しか理解できないデータファイルが多かったが、最近はコードやラベルもファイル中に組み込まれていることが多い。車もカーシェアリングだが、データもデータシェアリングの時代なのだろうか。

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オシメルチニブ耐性後のMET増幅、NSCLCの予後を悪化?/Lung Cancer

 MET増幅はEGFR C797Sと並び、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブの代表的な体制機構である。過去の研究では、オシメルチニブ耐性の30%前後にMET増幅がみられるとの報告もある。しかし、オシメルチニブ耐性後のMET増幅に関するコホート研究はほとんど行われていない。本研究では、進行肺腺がん患者におけるオシメルチニブ耐性後のMET増幅の獲得について、またMET増幅と臨床予後との関係について調査した。 中国・重慶の第3軍医大学Daping病院に登録された、T790M発現肺腺がん患者の中からオシメルチニブの耐性を獲得した13例のNCSLCコホートを後ろ向きに解析した。オシメルチニブ治療前と耐性獲得後の血漿および組織サンプルで縦断的にターゲット・キャプチャー・シーケンスを行った。また、潜在的な耐性機構を検討するため、オシメルチニブ耐性後のMET増幅と予後との関係をKaplan-Meier解析で調べた。 主な結果は以下のとおり。・MET増幅は、オシメルチニブ耐性患者の30.8%(13例中4例)に確認された。・MET増幅患者の無増悪生存期間(PFS)は3.5ヵ月、MET増幅陰性患者のPFSは9.9ヵ月であり、MET増幅患者で短かった(p=0.117)。・MET増幅患者の全生存期間(OS)は15.6ヵ月、MET増幅陰性患者のOSは30.7ヵ月であり、MET増幅患者で短かった(p=0.885)。・MET増幅患者2例において、MET阻害薬クリゾチニブと、第1世代EGFR-TKI icotinib、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブとの併用治療をそれぞれ行った結果、両患者共に臨床的・放射線学的PRが得られた。■参考Wang Y, et al. Lung Cancer.2018;118:105-110.

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インフルエンザ感染後1週間以内は急性心筋梗塞が増える(解説:佐田政隆氏)-816

 特異度の高い検査でインフルエンザ感染が正確に確認された1万9,729人をフォローしたところ、感染1週間以内の急性心筋梗塞により入院する数が、それ以降の1年間に比較して、約6倍に増えるというカナダからの観察研究である。 動脈硬化プラークの進展と破綻の病態に、炎症が中心的な役割を担っていることが明らかになっている。インフルエンザ感染による急性炎症が、プラーク破裂とその後の血栓性閉塞の誘因になったと思われる。その原因としてはインフルエンザ感染とその後の強い炎症反応が、交感神経を活性化させ、凝固能を亢進させたり、内皮機能を低下させたり、血小板の活性化につながったのかもしれない。また、全身状態の悪化、飲水困難により、低酸素、脱水、低血圧などが冠動脈閉塞につながったのかもしれない。また、体調不良のため、スタチンやアスピリンを休薬してしまったことが発症につながった可能性もある。 しかし、ウイルスのサブタイプ別にみると、インフルエンザA型で5.17倍、インフルエンザB型で10.11倍、RSウイルスで3.51倍のリスク増加と違いがあり、ウイルス感染がプラーク破綻と閉塞の病態に何らかの生物学的影響をもたらしたことが考えられる。このような臨床データの科学的な根拠を明らかにするために、モデル動物を用いた基礎研究が望まれる。 いずれにせよ、インフルエンザ感染で自宅待機している時は、急性心筋梗塞の発症リスクが高いので、胸部症状などあったら、我慢せずに、救急車ですぐに医療機関を受診することが重要と思われる。

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双極性障害の補助治療オプションに関する情報のアップデート

 双極性障害は、複雑な疾患であり、その治療においては、しばしば併用療法が必要となる。近年、双極性障害の治療法は、著しい進歩を遂げている。臨床医が患者に情報を提供し、最適な結果が得られるよう治療を行うために、オーストラリア・メルボルン大学のOlivia M. Dean氏らは、現在の補助療法の治療選択肢に関する概要をまとめた。Bipolar disorders誌オンライン版2018年1月25日号の報告。 双極性障害の薬物療法、栄養補助食品、ホルモン療法、心理教育、対人関係-社会リズム療法、認知矯正療法、マインドフルネス、e-ヘルス、脳刺激療法に関する文献を、PubMedより検索した。これらの分野における関連文献は、さらなるレビューのために抽出した。なお、本研究は、補助療法の治療選択肢に関する記述レビューであり、システマティックレビューではない。 主な結果は以下のとおり。・数多くの薬物療法、心理療法、神経調整治療オプションが利用可能であった。・これらの治療は、さまざまな効果を有するが、いずれも双極性障害患者に有益であることが示された。・双極性障害治療は複雑なため、しばしば併用療法が必要であった。・伝統的な薬理学的および心理学的治療に対する補助療法は、早期症状緩和と完全な機能回復のギャップを埋めるために有効であることが証明されていた。 著者らは「双極性障害の治療において、単独療法では効果が不十分なことが多い点を考慮すると、併用療法は一般的な治療である。これに対応し、精神医学的研究では、双極性障害の基礎となる生物学を、より深く理解するための取り組みが行われている。そのため、治療選択肢は変化しており、補助療法は、患者のアウトカムを改善するための重要なツールとして認識されている」としている。■関連記事双極性障害、リチウムは最良の選択か双極性障害に抗うつ薬は使うべきでないのか双極性障害に対するアリピプラゾールの評価~メタ解析

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直腸に泡で留まる潰瘍性大腸炎治療薬

 2018年2月8日、EAファーマ株式会社とキッセイ薬品工業株式会社は、2017年12月に潰瘍性大腸炎治療薬 ブデソニド(商品名:レクタブル 2mg注腸フォーム)が発売されたことを機に潰瘍性大腸炎(以下「UC」と略す)に関するメディアフォーラムを開催した。 フォーラムでは、「進歩し続ける潰瘍性大腸炎(UC)治療~病態に応じた適切な治療法の確立に向けて~」をテーマに日比 紀文氏(北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター センター長)を講師に迎え、同症の治療の最前線が講演された。増加し続ける炎症性腸疾患の患者 原因不明かつ根本的な治療法がない炎症性腸疾患(IBD)は、わが国では年々患者数が増加傾向にあり、2014年度で22万人超の患者がいるとされる(医療受給者証・登録者証交付件数より算出)。そのうち約18万人がUCの患者であり、アメリカに次いで多い患者数だという。また、UCは、患者に幅広い年齢分布を持つ疾患であり、近年では高齢の患者が増加している。 UCは、粘血便、下痢、腹痛を主症状とし、大腸をスポットにした疾患であり、寛解と再燃を繰り返すのが特徴である。そのため治療では、速やかに炎症を抑える寛解導入と長期間安全に再燃・炎症抑制を行う寛解維持が行われる。潰瘍性大腸炎の治療のポイント UCの治療薬は、1995年まで炎症抑制のために副腎皮質ステロイドと5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)のサラゾスルファピリジン、メサラジンが使われ、寛解の維持には5-ASA製剤と免疫調節薬のメルカプトプリン(6MP)/アザチオプリン(AZA)が使われてきた。その後、治療薬の進歩もあり、現在では抗TNFα抗体、CsA/FK506、白血球除去療法、ブデソニド、抗α4β7抗体、JAK阻害薬が寛解導入に、抗TNFα抗体、抗α4β7抗体、JAK阻害薬が寛解維持に使用されるようになっている。これらは、患者の重症度に応じて選択されるが、「UCの基本的治療薬は現在も5-ASA製剤であり、錠剤や坐剤などに進化した同剤をいかに的確に使用するかが重要だ」と同氏は指摘する。 また、「UCでは、ステロイドの有効性を高め、副作用をいかに軽減するかがポイントになる」と語る。とくに直腸の炎症の有無が、便回数や血便などの症状に大きく関与することから、「ブデソニドのような局所へのステロイド投与は、治療効果を高めることができる」と同氏は説明する。同剤は、有効成分が泡状となり腸内に長時間滞留することで効果を発揮し、肝臓ですぐに代謝されることで全身の副作用の低減が期待されている。また、立位でも投与可能で、持ち運びも便利なことから、症状悪化時の患者のADL改善に寄与すると期待が持たれている。 次に、長期間の寛解維持のためチオプリン剤の有効性、安全性の向上について説明。アジア人では、骨髄抑制や脱毛などが欧米人と比較し、多いことが報告されているが、NUDT15遺伝子の異常チェックにより、ある程度の副作用予測はできると語った。ステロイド抵抗例、依存例への治療では 治療患者全体の30%に起こるステロイド抵抗例、依存例への治療については、インフリキシマブやアダリムマブなどの抗TNFα抗体、タクロリムス、白血球除去療法の3つの対策が示され、治療時のポイントが説明された。とくに抗TNFα抗体では、中止後の再燃と再燃時の再投与の問題について、中止後の再燃は1年で40%以下であること、再開後も70~90%で有効であることが示された。タクロリムスとの薬剤選択では、有効性も安全性もほぼ同等だが、抗TNFα抗体では保険適用や高い薬価が、タクロリムスでは副作用の問題もあることなども付言された。また、白血球除去療法では、有効性と安全性の報告が出てきつつあるが、治療法の煩雑さや効果で薬剤よりも弱い点があるなど課題も指摘された。 最後に日比氏は、「2017年に登場した抗TNFα抗体であるゴリムマブ、1日1回服用の5-ASA製剤メサラジン、そして、今回のブデソニド注腸フォームと日々治療薬は進歩し、来年には免疫細胞の接着・浸潤を抑制する新しい形の治療薬の市販も予定されている」と新薬を紹介した後で、「こうした治療薬の進歩で、寛解導入も維持も以前と比べて容易となり、患者は通常の生活を送れるようになりつつある。今後は、根本治療も視野に入れていきたい」と希望を語り、レクチャーを終えた。

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尿路感染へのトリメトプリムで突然死リスクは増えるのか/BMJ

 尿路感染症(UTI)に対するトリメトプリムの使用は、他の抗菌薬使用と比べて、急性腎障害(AKI)および高カリウム血症のリスクは大きいが、死亡リスクは高くないことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のElizabeth Crellin氏らによるコホート研究の結果で示された。また、相対リスクの上昇は試験対象集団全体においては類似していたが、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬およびカリウム保持性利尿薬を服用していた群ではベースラインのリスクが高いほど、AKIや高カリウム血症の絶対リスク上昇がみられたという。BMJ誌2018年2月9日号掲載の報告。一般集団を対象に、AKI、高K血症、死亡の発生を他の抗菌薬と比較 合成抗菌薬のコトリモキサゾール(ST合剤:スルファメトキサゾールとトリメトプリムの合剤)は、突然死のリスク増大と関連しており、そのリスク増大は血清カリウム値の上昇による可能性が報告されている。しかし先行研究は、対象が特定集団(RAS阻害薬服用患者など)であり、交絡因子(感染症のタイプや重症度)の可能性が排除できず、結果は限定的であった。また、トリメトプリムとST合剤のリスクが同程度のものなのかについても、明らかになっていなかった。 研究グループは、一般集団においてUTIに対するトリメトプリム使用が、AKI、高カリウム血症、あるいは突然死のリスクを増大するかを検証した。 英国のClinical Practice Research Datalinkに集積されているプライマリ受診者の電子カルテ記録を用い、Hospital Episode Statisticsデータベースからの入院記録データと関連付けて解析を行った。 対象は、1997年4月~2015年9月に、プライマリケアでUTIの診断後に最長で3日間、トリメトプリム、アモキシシリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、またはnitrofurantoinのいずれかを処方されていた65歳以上の患者。UTIの抗菌薬治療14日間でのAKI、高カリウム血症、死亡の発生について評価した。RAS阻害薬とスピロノラクトンの使用群ではリスクが上昇 コホートには、65歳以上の患者119万1,905例が組み込まれた。このうち、17万8,238例がUTIの抗菌薬治療を1回以上受けており、UTIの抗菌薬治療エピソード総計42万2,514件が確認された。 抗菌薬投与開始後14日間のAKI発生のオッズ比(OR)は、アモキシシリン群との比較において、トリメトプリム群(補正後OR:1.72、95%信頼区間[CI]:1.31~2.24)およびシプロフロキサシン群(同:1.48、1.03~2.13)で高かった。 抗菌薬投与開始後14日間の高カリウム血症発生のORは、アモキシシリン群との比較において、トリメトプリム群(同:2.27、1.49~3.45)のみで高かった。 しかしながら、抗菌薬投与開始後14日間の死亡発生のORは、アモキシシリン群と比べてトリメトプリム群では高くなく、全集団における補正後ORは0.90(95%CI:0.76~1.07)であった。一方で、RAS阻害薬使用群における補正後ORは1.12(同:0.80~1.57)であった。 解析の結果、65歳以上で抗菌薬治療を受けた1,000UTIについて、RAS阻害薬使用の有無にかかわらず、アモキシシリンの代わりにトリメトプリムを用いた場合の高カリウム血症の追加症例は1~2例であり、AKIによる入院は2例であることが示唆された。一方で、RAS阻害薬およびスピロノラクトンの使用群では、アモキシシリンの代わりにトリメトプリムを用いた場合、高カリウム血症の追加症例は18例、AKIによる入院は11例であった。

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加齢黄斑変性への抗VEGF薬、長期投与は?

 米国・Retina Consultants of Orange CountyのSean D. Adrean氏らは、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬をtreat-extend-stop(TES)法で50回以上投与された、滲出型加齢黄斑変性(AMD)患者の臨床転帰を後ろ向きに調査した。その結果、50回の注射後にはETDRS視力表で平均2行視力が改善し、平均追跡期間8年で最終調査時には3行以上改善していた眼の割合が35.2%であったことを報告した。著者は、「長期にわたるTES法での抗VEGF治療を要する患者は、視力の維持または改善が可能である」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2018年2月10日号掲載の報告。 研究グループは、民間の診療所において滲出型AMDと診断され、かつ抗VEGF薬の硝子体内注射を50回以上受けた患者について、ベースラインの視力(スネレン視力表を用いETDRSに変換)、年齢、追跡期間、抗VEGF薬の使用および治療間隔のデータを得た。これらのデータは、51回目の治療時および最終調査時に調べられた。治療中におけるAMDと関連のない視力喪失例は、除外された。 主要評価項目は、視力と合併症であった。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は71例67眼であった(患者の平均年齢83.0歳、女性58.2%、男性41.8%)。・ベースラインの平均視力は55.6文字であった。・51回目の治療日までの平均追跡期間は6.4年、最終調査日までの平均追跡期間は8年であった。・最終調査までの平均注射回数は63.7回であった。・51回目の治療の時点で平均治療間隔は5.4週、最終調査までの平均治療間隔は6.4週であった。・51回目の治療時の平均視力は65.3文字で、ベースラインから平均9.7文字の改善が認められた(p<0.001、対応のあるt検定)。・最終調査時の平均視力は64.3文字、ベースラインからの平均変化は8.7文字であった(p<0.001)。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第54回

第54回:ペムブロ・化学療法併用の第III相試験KEYNOTE-189キーワード肺がんメラノーマペムブロリズマブ動画書き起こしはこちら<このビデオレターは侍オンコロジスト#52の続編です>FDAの認可というと面白いところはですね。カルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブ(という)、従来の抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用がアメリカで認可になったという話をしたと思うんですけど、これ実はFull Approvalではなくて、Conditional Approvalという形になっています。それはなぜかというと、臨床試験の結果はポジティブに出たけど、これはRandomized PhaseIIの結果であったからですね。(そのよう中)今回、メルクからのプレスリリースで、PhaseIIIでも同じようにポジティブなったという報告がありました。実際の数字はまだ見ていないので、PhaseIIと同じくらいポジティブな…StageIVの肺がん患者さんに対してカルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブを使った群のProgression Freee Survivalは13ヵ月を超えるという結果が出たんですけれども…これに準ずるぐらい凄い結果が出るのか、ちょっと覗いてみたいですね。Merck社プレスリリースMerck’s KEYTRUDA(pembrolizumab) Significantly Improved Overall Survival and Progression-Free Survival as First-Line Treatment in Combination with Pemetrexed and Platinum Chemotherapy for Patients with Metastatic Nonsquamous Non-Small Cell Lung Cancer (KEYNOTE-189)ペムブロリズマブ、化学療法併用でNSCLC1次治療のOS延長(第III相KEYNOTE-189)Langer CJ, et al. Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study. Lancet Oncol. 2016;17:1497-1508.

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