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日本人EGFR陽性NSCLC、アファチニブvs.オシメルチニブ(Heat on Beat)/日本肺学会

 オシメルチニブは、EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の標準治療として用いられている。ただし日本人では、オシメルチニブの有用性をゲフィチニブまたはエルロチニブと比較検証した「FLAURA試験」1,2)において、有効性が対照群と拮抗していたことも報告されている。そこで、1次治療にアファチニブを用いた際のシークエンス治療の有用性について、1次治療でオシメルチニブを用いる治療法と比較する国内第II相試験「Heat on Beat試験」が実施された。第66回日本肺学会学術集会において、本試験の結果を森川 慶氏(聖マリアンナ医科大学 呼吸器内科)が報告した。なお、本試験の結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)でも報告されている(PI:帝京大学腫瘍内科 関 順彦氏)。・試験デザイン:国内第II相無作為化比較試験・対象:未治療のStageIIIB/IIIC/IVのEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者100例・試験群(アファチニブ群):アファチニブ→病勢進行時の再生検でEGFR T790M変異が認められた場合にオシメルチニブ 50例(解析対象:47例)・対照群(オシメルチニブ群):オシメルチニブ 50例(解析対象:48例)・評価項目:[共主要評価項目]3年全生存(OS)率、免疫学的バイオマーカー探索[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、OSなど 主な結果は以下のとおり。・解析対象患者の年齢中央値は、アファチニブ群70歳(範囲:43~87)、オシメルチニブ群72歳(48~88)、非喫煙者の割合はそれぞれ46.8%、45.8%であった。EGFR exon21 L858R変異がそれぞれ48.9%、47.9%であった。・ORRはアファチニブ群63.8%(CR:1例)、オシメルチニブ群62.5%(CR:3例)であった。・3年OS率はアファチニブ群54.7%、オシメルチニブ群57.5%であり、主要評価項目は達成されなかった(p=0.64)。・OS中央値はアファチニブ群38.8ヵ月、オシメルチニブ群未到達であった(ハザード比[HR]:1.15、95%信頼区間[CI]:0.64~2.05)。・PFS中央値はアファチニブ群16.7ヵ月、オシメルチニブ群14.5ヵ月であった(HR:1.17、95%CI:0.72~1.90)。・EGFR遺伝子変異の種類別にみたPFS中央値、OS中央値は以下のとおりであった(アファチニブ群vs.オシメルチニブ群[HR、95%CI]を示す)。【exon19欠失変異】 PFS中央値:18.3ヵ月vs.33.6ヵ月(HR:1.62、95%CI:0.75~3.48) OS中央値:未到達vs.未到達(HR:1.16、95%CI:0.42~3.20)【exon21 L858R変異】 PFS中央値:13.9ヵ月vs.10.6ヵ月(HR:0.88、95%CI:0.43~1.79) OS中央値:35.9ヵ月vs.未到達(HR:1.21、95%CI:0.54~2.70)・有害事象は、アファチニブ群では下痢、ざ瘡様皮膚が多かった。下痢の発現割合(全Grade/Grade3以上)はアファチニブ群91.5%/29.8%、オシメルチニブ群31.3%/6.3%であり、ざ瘡様皮膚はそれぞれ68.1%/10.6%、43.8%/2.1%であった。一方、オシメルチニブ群では肺臓炎が多く、発現割合はそれぞれ10.6%/2.1%、20.8%/6.3%(オシメルチニブ群のGrade3以上はいずれもGrade5)であった。・有害事象で1次治療が治療中止に至った患者のうち、2次治療に移行した患者の割合はアファチニブ群70.0%(7/10例)、オシメルチニブ群35.7%(5/14例)であった。・2次治療を受けた患者の割合は、アファチニブ群74.5%、オシメルチニブ群54.2%であった。2次治療の内訳は以下のとおりであった。【アファチニブ群】 化学療法20.0% 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)±化学療法42.9% オシメルチニブ±化学療法31.4% オシメルチニブ以外のEGFR-TKI±化学療法5.7%【オシメルチニブ群】 化学療法23.1% ICI±化学療法53.8% オシメルチニブ±化学療法3.8% オシメルチニブ以外のEGFR-TKI±化学療法19.3%・アファチニブ群の病勢進行時の再生検検体でEGFR T790M変異が認められた割合は、組織検体19.2%(5/26件)、リキッドバイオプシー検体20%(4/20件)であった。・末梢血中の種々の免疫細胞を評価し、Th7RおよびTh2フラクションのみがPFSおよびOSとの相関を認めた。オシメルチニブ群では、Th7R高値、Th2低値で予後が良好な傾向にあったが、この傾向はアファチニブ群では認められなかった。バイオマーカー別のオシメルチニブ群のPFS中央値、OS中央値は以下のとおり。【免疫バイオマーカー:Th7R高値vs.低値】 PFS中央値:33.1ヵ月vs.6.7ヵ月(p<0.01) OS中央値:未到達vs.40.5ヵ月(p=0.29)【免疫バイオマーカー:Th2高値vs.低値】 PFS中央値:6.0ヵ月vs.30.6ヵ月(p=0.02) OS中央値:30.2ヵ月vs.未到達(p<0.01) 本結果について、森川氏は「主要評価項目の3年OS率は達成されなかった。その要因の1つとして、EGFR T790M変異の検出が低く、かつT790M変異陽性症例でのオシメルチニブ投与期間も想定より短かったため、シークエンス治療(アファチニブ→オシメルチニブ)が有効であった症例が少なかったことが考えられる」と考察した。また「オシメルチニブはホストの免疫状態によって治療効果が大きく影響を受ける可能性があり、Th7Rなどの免疫バイオマーカーがオシメルチニブの治療効果予測に関与する可能性がある」と述べた。

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アルツハイマー病に伴うアジテーションを軽減する修正可能な要因は

 アルツハイマー病患者の興奮症状に影響を与える介護者、環境、個々の因子を包括的に評価し、修正可能な因子を特定するため、中国・上海交通大学のXinyi Qian氏らは、本研究を実施した。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2025年9月22日号の報告。 対象は、2022年10月〜2023年6月に上海精神衛生センターより募集した、参加者220例(アルツハイマー病患者110例とその介護者)。対象患者から、人口統計学的情報、生活習慣、病歴、ミニメンタルステート検査(MMSE)や老年期うつ病評価尺度(GDS)などの神経心理学的検査のデータを収集した。介護者から、Neuropsychiatric Inventory Questionnaire(NPI)、環境要因に関する質問票、ハミルトンうつ病評価尺度およびハミルトン不安評価尺度などの感情状態の評価に関するデータを収集した。アジテーション症状の重症度評価には、Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いた。グループ間の差および潜在的な要因と興奮症状との関連性についても分析した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病患者110例のうち、アジテーション症状を示した患者は56.36%であった。・アジテーション症状を有する患者は、男性患者が多い(p=0.012)、女性介護者が多い(p=0.003)、中庭や庭園が見える部屋へのアクセスが少ない(p=0.007)、MMSEスコアが低い(p=0.005)、GDSスコアが低い(p=0.012)といった特徴が認められた。・変数調整後、アジテーション症状に対する保護因子として、中庭や庭園が見える部屋へのアクセス(オッズ比[OR]=0.256、p=0.042)、男性介護者(OR=0.246、p=0.005)、MMSEスコアが高い(OR=0.194、p=0.007)であることが示唆された。・男性介護者の存在は、アジテーション症状の発生率の低下との関連が認められた。 著者らは「生活環境の改善、男性介護者の増加、介護者支援の強化、早期認知機能介入は、アルツハイマー病に伴うアジテーションを軽減する可能性がある」と結論付けている。

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1型糖尿病妊婦、クローズドループ療法は有効/JAMA

 1型糖尿病の妊婦において、クローズドループ型インスリン注入システムの利用(クローズドループ療法)は標準治療と比較して、妊娠中の目標血糖値(63~140mg/dL)達成時間の割合(TIR)を有意に改善させたことが、カナダ・カルガリー大学のLois E. Donovan氏らCIRCUIT Collaborative Groupが行った非盲検無作為化試験「CIRCUIT試験」の結果で示された。高血糖に関連した妊娠合併症は、1型糖尿病妊婦では発生が半数に上る。クローズドループ療法による血糖コントロールの改善は妊娠中以外では確認されているが、妊娠中の試験は限られていた。著者は、「今回の結果は、1型糖尿病妊婦へのクローズドループ療法の実施を支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年10月24日号掲載の報告。妊娠16~34週における妊娠特異的TIRを評価 CIRCUIT試験は、妊娠中のクローズドループ療法の有効性の評価を目的とし、2021年6月~2024年7月に、カナダとオーストラリアにある妊娠糖尿病専門クリニック14施設で1型糖尿病妊婦を登録して行われた(追跡調査は2025年3月に完了)。 被験者は、クローズドループ療法群または標準治療群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 クローズドループ療法群には、Control-IQインスリンポンプ(Tandem製)が提供され、妊娠中の使用の推奨事項(1日24時間の最低目標血糖値[112.5~120mg/dL:睡眠時]の使用、運動時のより高値のオプション値の使用など)が提示された。妊娠20週後は、それより1~2週間前の平均的な自動基礎インスリン投与量よりも約20%高い基礎インスリン投与量をプログラムすることが推奨された。 標準治療群には、持続血糖モニタリングに関する教育と機器が提供され、無作為化前のインスリン投与法(従来インスリンポンプ[Medtronic製MiniMed、Tandem製Basal-IQ]やインスリン頻回注射療法)が継続された。 両群の被験者は全員、妊娠糖尿病ケアチームからインスリン投与量に関するサポートを、試験地の標準治療に従って受けた。 主要アウトカムは、妊娠16~34週に持続血糖モニタリングで計測された妊娠特異的TIR(目標血糖値は63~140mg/dL)とした。クローズドループ療法群65.4%、標準治療群50.3%で有意差 94例が登録され、無作為化前に妊娠喪失を経験した3例を除く91例が無作為化された。主要解析には、クローズドループ療法に割り付けられた2例(妊娠20週未満で流産)と標準治療群に割り付けられた1例(無作為化後に試験離脱・データ提出拒否)を除く88例(平均年齢31.7[SD 5.2]歳、妊娠初期のHbA1c値7.4%[SD 1.0])が包含された。 妊娠16~34週における妊娠特異的TIR(平均値)は、クローズドループ療法群65.4%、標準治療群50.3%であった(補正後平均群間差:12.5%ポイント、95%信頼区間:9.5~15.6、p<0.001)。 妊娠中の重症低血糖エピソードはクローズドループ療法群1例で報告された。糖尿病性ケトアシドーシスはクローズドループ療法群で2例、標準治療群で1例が報告された。

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開発中の経口パラチフスA菌ワクチン、有効性・安全性を確認/NEJM

 パラチフスA菌(Salmonella enterica serovar Paratyphi A[S. Paratyphi A])は年間200万例を超える腸チフスの原因となっている。現在承認されたワクチンはなく、いくつかのワクチンが開発中である。その1つ、経口投与型の弱毒生パラチフスA菌ワクチン(CVD 1902)について、英国・オックスフォードワクチングループのNaina McCann氏らVASP Study Teamは、同国の健康ボランティア成人を集めて、制御されたヒト感染モデル(controlled human infection model)を用いた第II相の二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行い、CVD 1902の2回投与により、安全性への懸念を伴うことなくパラチフスA菌に対する防御能獲得に結び付いたことを報告した。NEJM誌2025年10月29日号掲載の報告。CVD 1902を14日間隔で2回投与、チャレンジ試験で有効性、安全性などを評価 試験は英国内6ヵ所(オックスフォード、バーミンガム、サウサンプトン、ブリストル、シェフィールド、リバプール)の研究センターで、腸チフスの既往がない18~55歳の健康ボランティアを集めて行われた。ボランティアにはオンライン質問票への回答が求められ、電話インタビューで受診歴が確認された後、対面調査で詳細な参加資格の評価が行われた。参加者の募集と追跡調査は各センターで行われ、パラチフスA菌の経口チャレンジ試験はオックスフォードで行われた。 被験者は、CVD 1902を14日間隔で2回投与を受ける群またはプラセボの投与を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。2回目の投与から28日後に、パラチフスA菌の経口チャレンジ試験が行われた。 主要エンドポイントは、チャレンジ試験後14日以内のパラチフスA菌感染症の診断とされた。副次エンドポイントは、安全性および免疫原性などであった。O抗原に対する血清IgG、IgA反応を誘導、ワクチンの有効率は69% 2022年4月~2023年11月に健康ボランティア1,589例が適格性について評価された。うち171例が対面調査でスクリーニングを受け、72例が無作為化された(CVD 1902群35例、プラセボ群37例)。被験者の年齢中央値は32歳(範囲:20~54)、46%が女性であった。チャレンジ試験は、CVD 1902群34例、プラセボ群36例が受けた(各群1例が初回投与後に試験を離脱)。 有害事象の発現数は両群で類似しており、ワクチン関連の重篤な有害事象は確認されなかった。 CVD 1902は、パラチフスA菌のO抗原に対する血清IgG反応および血清IgA反応を誘導したことが認められた。プラセボ群では、血清IgGおよびIgAの力価上昇は認められなかった。 ITT集団(70例)において、チャレンジ試験後14日以内のパラチフスA菌感染症の診断率は、CVD 1902群21%、プラセボ群75%であり(p<0.001)、ワクチンの有効率は73%(95%信頼区間[CI]:46~86)であった。per-protocol解析(プラセボ群に割り付けられたがワクチン2回投与を受けた1例をCVD 1902群に組み込み解析)では、ワクチンの有効率は69%(95%CI:42~84)であった。

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筋力が強ければ肥満による健康への悪影響を抑制できる可能性

 肥満による健康への悪影響を、筋力を鍛えることで抑制できる可能性を示唆するデータが報告された。米ペニントン・バイオメディカル研究センターのYun Shen氏らの研究の結果であり、詳細は「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に10月15日掲載された。 この研究からは、肥満関連の健康障害の発生リスクだけでなく早期死亡リスクも、握力が高いほど低いことが示された。Shen氏は、「握力は測定が容易であり、リスクのある介入すべき対象者を早期に低コストで見いだすことができる。そしてわれわれの研究の結果は、握力に基づき評価した筋力の低下が、肥満関連健康障害の鋭敏な指標であることを示している」と語っている。 Shen氏らの研究は、英国の一般住民対象大規模疫学研究であるUKバイオバンクのデータを用いて行われた。UKバイオバンク参加者のうち、BMI30以上(アジア人は28以上)であり、かつウエスト周囲長や体脂肪率などのBMI以外の肥満関連指標に異常がありながら、肥満関連健康障害は生じていない人を「前臨床的肥満」と定義。これに該当する9万3,275人を握力の三分位数に基づき3群に分類したうえで、平均13.4年間追跡して、肥満関連健康障害の発症や死亡のリスクを比較した。解析に際しては、交絡因子(年齢、性別、人種、血清脂質、血圧、HbA1c、eGFR、CRP、喫煙・飲酒・食事・運動・睡眠習慣、教育歴、雇用状況、高血圧・高血糖・脂質異常症治療薬、糖尿病家族歴など)の影響を統計学的に調整した。 握力の最も弱い第1三分位群を基準とする解析の結果、握力が高い群は肥満関連健康障害や死亡リスクが有意に低いことが示された。例えば、追跡期間中の最初の肥満関連健康障害の発症リスクは、握力の最も高い第3三分位群は調整ハザード比(aHR)0.80(95%信頼区間0.79~0.82)、握力が中程度の第2三分位群もaHR0.88(同0.87~0.90)であり、それぞれ20%、12%のリスク低下が認められた。また、追跡期間中に二つ目の肥満関連健康障害が発症するリスク、その後に死亡するリスクなどについても、握力が高いほど有意に低かった。 さらに、握力の1標準偏差(SD)の差とそれらのリスクとの関連を検討した結果、やはり握力が高いことによるリスク低下が認められた。例えば、肥満関連健康障害の発症を経ずに死亡するリスクは、1SD高いごとに9%有意に低下していた(aHR0.91〔0.85~0.97〕)。 これらを性別や喫煙状況、人種で層別化した解析の結果、握力が高いことによるリスク低下は、女性、非喫煙者、黒人でより顕著に認められた。 研究者らは、「過剰な脂肪蓄積に伴う慢性炎症の影響が、筋肉量が多いことによって抑制される可能性がある。われわれの研究結果は、前臨床的肥満において筋肉量と筋力を向上することの重要性を強調するものと言える」と述べている。ただし本研究は関連性のみを示すものであり、因果関係の存在を示すものでないことから、「この知見の検証のため、さらなる研究が必要」と付け加えている。

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がん患者の死亡の要因は大血管への腫瘍の浸潤?

 がん患者の命を奪う要因は、がんそのものではなく、腫瘍細胞や腫瘍が体内のどこに広がるかであることを示した研究結果が報告された。腫瘍が主要な血管に浸潤すると血液凝固が起こり、それが臓器不全につながる可能性のあることが明らかになったという。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのMatteo Ligorio氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に10月16日掲載された。 Ligorio氏らは、これが、がんが進行するとすぐに死亡する患者がいる一方で、がんが全身に転移していても生き続ける人がいる理由だと述べている。Ligorio氏は、「われわれが解明しようとしていた大きな疑問は、がん患者の命を奪うものは何なのか。なぜがん患者は、6カ月前でも6カ月後でもなく、特定の日に死亡するのかということだった」と同医療センターのニュースリリースの中で述べている。 米国では毎年約60万人ががんで命を落としている。Ligorio氏は、「だが実際のところ、何が彼らの命を奪うのかは不明だ」と語る。今回の研究でLigorio氏らは、大腸がん、肺がん、卵巣がん、肝臓がん、膵臓がんにより死亡した108人の患者の症例を分析した。そのうちの92人から採取した3,382枚のスライドを調査した結果、81人(88%)で、静脈や動脈、心腔内に腫瘍塞栓が確認された。また、有効なCT画像が入手できた101人(93%)の画像の解析から、60人(59%)で大血管浸潤の兆候が確認された。 次に、ホスピスに入院している末期患者31人(固形がん患者21人、その他の疾患の患者10人)を対象に、患者の健康状態の変化に応じて血液を採取しながら追跡し(平均追跡期間37.8日)、死亡時に剖検で大血管を検査した。その結果、他の原因で死亡した患者と比べて、がんで死亡した患者では、血管壁や内腔へ腫瘍が浸潤していた人が多いことが明らかになった。CT検査も実施された数例では、これらの悪性腫瘍は患者が死亡する数週間または数カ月前から存在していたことが示された。さらに、血液サンプルの解析からは、死の直前に血流中のがん細胞の数が急増していたことも明らかになった。 以上の結果から研究グループは、がん患者が死亡する理由として、腫瘍が大血管に浸潤すると、腫瘍片が血流に放出され、血液が凝固しやすくなって血栓が形成され、それが臓器への血流を遮断して多臓器不全を引き起こし、最終的には死に至るという新たな理論を打ち立てた。この理論を検証するため、Ligorio氏らは1,250人のドイツ人がん患者のCT画像を解析した。その結果、患者のほとんどにおいて、腫瘍が大血管に浸潤していることが確認された。 Ligorio氏らは現在、腫瘍の血管への広がりを抑制する治療ががん患者の生存期間の延長につながるのかどうかを調べる臨床試験を準備しているところだという。本論文の筆頭著者であるサウスウェスタン医療センターのKelley Newcomer氏は、「大血管に近付いている腫瘍を治療するための手術や放射線治療が、がん患者の診断、管理、治療の方法を一変させる可能性がある」とニュースリリースの中で述べている。

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第288回 日本で異常事態の “ある感染症”、その理由と対策法とは

INDEXつい気になった別の感染症の発生動向流行ウイルスは輸入型、ワクチン対象者拡大がカギ?つい気になった別の感染症の発生動向先日、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関する記事を執筆した際、国立健康危機管理研究機構が発表している感染症発生動向調査週報を参照したのだが、その際、ちょっと気になることがあったので、今回はそのことについて触れてみたい。私個人は仕事柄というか生まれつき、さまざまなことに興味を持つ性分である。悪く言えば「熱しやすく冷めやすい」、酷評すれば「何かをやらねばならない時につい横道に逸れてしまいがち」だ。前述の時もついついSFTS以外の全数報告感染症のデータをまじまじと眺めてしまった。その時に気になったのが、今年の麻疹の発生動向である。最新の第44週(10月27日~11月2日)までの全国での累計感染者数は232例。コロナ禍前年の2019年の流行時に年間744例が報告されたこともがあったが、それ以後の最多は2024年の45例であり、今年は明らかに異常事態である。第44週までの感染者報告の多い地域は、神奈川県の40例、東京都の30例、茨城県・千葉県・福岡県の各22例などである。厚生労働省もこの点に危機感を持ったのか、健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課長と予防接種課長の連名通知(感感発1003第1号、感予発1003第1号)「麻しん及び風しんの定期接種対象者に対する積極的な接種勧奨等について(依頼)」1)を10月3日付で発出した。同通知では令和6年度(2024年4月1日~2025年3月31日)のワクチン定期接種対象者の接種率が第1期は92.7%、第2期は91.0%であることにも言及している。ご存じのように感染力が強い麻疹の基本再生産数から算出される集団免疫獲得に必要なワクチン接種率は95%以上であり、厚生労働省の「麻しんに関する特定感染症予防指針」2)でもこの目標を掲げているが、現時点では達成できていない。都道府県別の接種率を見ると、95%以上を達成しているのは第1期で福島県の95.1%のみ。感染報告数トップ2の神奈川県は94.8%、東京都は94.3%とわずかに届かない。第2期では95%以上の都道府県はなく、最高でも94.2%にとどまる。全国的な動向を俯瞰すると、東高西低で九州・沖縄地方では第1期段階でも接種率90%未満の県が散見される。そして前出の通知では、厚生労働省側が文部科学省を通じ学校などでの接種勧奨に注力していることもわかる。率直に言って、95%という目標を実現するのは並大抵の労力では実現しえない。たとえて言うならば、100点満点のテストで平均50点の人を平均60点に引き上げるよりも、平均90点の人を平均95点に引き上げるほうが実際にはかなり困難なのと同じだ。各方面から接種勧奨という、半ば砂地に水をまくような努力を繰り返してようやく達成できるかどうかと言える。ただ、これをやらねば現状の維持すら難しいのは、多くの人が理解できるだろう。流行ウイルスは輸入型、ワクチン対象者拡大がカギ?一方、東京都感染症情報センターが公表している最新の麻疹流行状況3)を参照すると、麻疹流行のセキュリティーホールらしきモノが見えてくる。それを端的に示しているのが、推定感染地域も含む遺伝子型検査結果だ。麻疹ウイルスは20種類以上の遺伝子型が知られており、日本の土着株は遺伝子型D5だが、この結果を見れば現在D5は検出されていない。そもそも長きにわたって国内でD5検出事例はなく、それがゆえに日本は世界保健機関(WHO)から麻疹排除国として認定されている。そして東京都の遺伝子型検査結果からは、今の国内流行の主流となっているのは、アフリカや欧州を中心に確認されている遺伝子型B3と南アジア・東南アジアを中心に確認されている遺伝子型D8、つまり輸入例である。加えて推定感染地域として目立つのがベトナムだ。現在、日本とベトナムの人的交流はかなり活発である。日本政府観光局の公表データによると、2024年の訪日ベトナム人推計値は62万1,100人、これに対しベトナムを訪れた日本人は約70万人である。また、訪日ベトナム人は観光や商用目的の一時滞在ばかりではなく、技能実習や特定技能での労働目的も多いことは周知の事実である。出入国在留管理庁の公表数字では、2024年末現在、技能実習21万2,141人、特定技能13万3,478人を含む63万4,361人の在留ベトナム人がいる。この人数は在留外国人の国籍別で第2位だ。そのベトナムだが、WHOの報告では約5年おきに麻疹の流行が起き、最新の流行は昨年から今年にかけてである。この背景にはコロナ禍中のワクチンの在庫不足で小児の麻疹ワクチン接種率が2023年には82%まで落ち込んだことが大きく影響しているようだ。また、ベトナム国内では年齢層や居住地域によるワクチンギャップも指摘されている。このような事情や、ベトナム人に限らず日本国内で就労する外国人は当面増えることはあっても減ることはないことを考え合わせれば、従来の枠にとどまらない麻疹流行対策も浮かんでくるはずだ。具体的には技能実習や特定技能での来日者やその雇用主へのワクチン接種の積極的勧奨、さらにはそうした労働者が多い企業に関わる産業医などへの啓発である。場合によっては、雇用主に対しこうした来日者へのワクチン接種費用の一部公的助成などの施策も考えられる。このように書くと、いわゆる「日本人ファースト」的な人たちからは「公費で外国人に…」とお叱りを受けそうだが、これは日本の公衆衛生のためでもあり、また来日した人たちの母国への国際貢献や意識改革などにもつながる良策だと思うのだが。 1) 厚生労働省:麻しん及び風しんの定期接種対象者に対する積極的な接種勧奨等について(依頼) 2) 厚生労働省:麻しんに関する特定感染症予防指針 3) 東京都感染症情報センター:麻しんの流行状況(東京都 2025年)

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骨粗鬆症治療薬、いつまで続ける?【こんなときどうする?高齢者診療】第15回

CareNeTVスクール「Dr.樋口の老年医学オンラインサロンアーカイブズ」から、高齢者診療に役立つトピックをお届けします。今回は薬の中止・漸減について、サロンメンバーの質問に答える形で一緒に学んでいきましょう。高齢者施設で働いている医師です。施設入所のタイミングで内服薬を整理するようにしています。骨粗鬆症治療薬を中止するか、入所後も継続するか判断に迷うことが多いです。どのように考えるとよいでしょうか?骨粗鬆症治療薬を服用している高齢者は多く、外来・入院などどのセッティングでも悩ましいものです。今回は、使用頻度の高いビスホスホネート製剤を想定して考えてみましょう。ビスホスホネート、中止か継続か?判断するための情報を集める高齢者が、長期間にわたって同じ薬を服用していることは多いものです。今の患者の状態から継続や中止の判断をするために、3つのアセスメントをおすすめします。1:骨折リスク骨粗鬆症治療薬は、骨折歴のみで処方開始されていることもまれではありません。しかし、骨折リスクが低い場合や、すでに5年以上服用している場合は、薬を一定期間中断し骨密度をモニターする期間を作るdrug holidayも考慮すべきです。施設入所時のカルテでは、どのような背景で処方されたのかわからないことも多いはずです。ですから、改めてDXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)やFRAX®(Fracture Risk Assessment Tool)などを使って、骨折リスクを定量的に評価しなおすこと(例:FRAX®による10年間の骨折確率算出、腰椎・大腿骨近位部のDXA測定によるT値評価)で、今後もこの患者に薬が必要なのかを検討する信頼度の高い情報になります。2:予後ビスホスホネート製剤は効果発現まで約12カ月を要するため、最低でも1年以上の生命予後が見込めるかどうかの評価が重要です。1)その方の生命予後および身体機能予後の評価なくして、骨粗鬆症薬を飲み続けるメリットを推定することはできません。3:アドヒアランス、腎機能、そして副作用ビスホスホネート製剤は空腹時に多量の水で服用し、服用後30分~1時間は横にならないなどの制約があるため、認知機能が正常な方でも服薬アドヒアランスが低下しやすい薬です。施設入所に伴って環境が変わっても服用を続けられるのか。継続するとしたら患者の認知機能や服薬アドヒアランスに関するアセスメントが必要です。また腎機能(一般的にeGFR 35 mL/min/1.73m2未満では投与禁忌)や胃の逆流症状の有無といった内服を継続できる身体的な条件が揃っているのかも確認しなければ、継続がかえって害になる可能性があります。また、長期使用に伴う副作用(顎骨壊死、非定型大腿骨骨折など)のリスクも評価する必要があります。がんの骨転移やカルシウム血症など個別に考慮が必要な場合はありますが、ここに挙げたポイントを評価すると、継続か中止かの判断が容易になるでしょう。内服薬の重要度を整理するビスホスホネートに限らず減薬を考えるタイミングでは、必要な薬と、中止してもいい薬、中止すべき薬を整理することが必要です。ここで、薬の重要度・必要度を分類するツール「VIONE」2)を紹介しましょう。薬を5つのクラスに分けることで、減らす/中止する薬を選ぶときの目安になります。VIONE画像を拡大する今回のケースでいうと、この患者にとってビスホスホネートがI(骨粗鬆症による骨折を防ぐことによる身体機能維持・QOLの維持向上に重要な薬)にあてはまるのか、あるいはE(診断や使用理由が不明瞭な薬)に該当するのかを考えるために、骨折リスク評価をおすすめしたということです。ちなみに、漸減/中止する際も、Start low(少量減量),Go slow(ゆっくり、漸減),Stand by(様子を見てみる、経過をよく観察)の原則は変わりません。(第5回)一度に減量するのは1剤か2剤までと考えて、このツールで内服薬を整理することで、どの薬を減量するのか優先順位を決めやすくなります。どのような薬でも、処方されたときと中止・漸減を考慮するときでは、患者の身体的条件、予後、環境条件のすべてが変わっています。VIONEを使って、ターゲットを絞って効果的な減薬・中止につなげましょう。 ※今回のトピックは、2022年8月度、2024年度3月度の講義・ディスカッションをまとめたものです。CareNeTVスクール「Dr.樋口の老年医学オンラインサロンアーカイブズ」でより詳しい解説やディスカッションをご覧ください。 1) Deardorff WJ, et al. JAMA Intern Med. 2022;182(1):33-41. 2) Constantino-Corpuz JK, et al. Fed Pract. 2021;38(7):332-336.

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11月14日 アンチエイジングの日【今日は何の日?】

【11月14日 アンチエイジングの日】 〔由来〕 「いい(11)とし(14)」(良い歳)と読む語呂合わせから、アンチエイジングネットワークが2007年に制定。生活習慣病を予防する予防医学の定着と、年齢を経ても「見た目の若さ」を保ち続ける方法の認知拡大が目的。関連コンテンツ 継続のコツ ~筋トレ編~【Dr. 中島の 新・徒然草】 未来の自分への最高の投資は「食事」にあり!科学が解き明かす“健康的な加齢”の秘訣【NYから木曜日】 治療ワクチンで超高齢社会を乗り越える!~医療の2050年問題解決に向けて 眠気の正体とは?昼間の眠気は異常?/日本抗加齢医学会 世界初の軟骨伝導集音器、補聴器との違いや利便性とは

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高齢者機能評価は負担ばかりで利益がない!? 【高齢者がん治療 虎の巻】第4回

講師紹介<今回のPoint>GAは、入退院支援加算+総合機能評価加算の枠組みで診療報酬に組み込める多職種連携を広げることでほかの加算と組み合わせが可能診療報酬は、GAを評価・活用し“行動につなげる”ことではじめて得られる―診療報酬という視点から考えるGAの価値―高齢者機能評価(Geriatric Assessment:GA)に関する講演をすると、毎回のように次の質問をいただきます。「どれくらい時間がかかるのか?」「誰が、いつ行うべきか?」「評価結果をどう活かすのか?」そして―「診療報酬になるのか?」GAを実施していない施設では、「たとえ評価表への記載だけなら数分で終了します」と言われても、結果の評価・記録・共有・多職種連携のすべてが現場にとって“負担増”に見えるのが現実です。そのため、「もし診療報酬で評価されるなら…」と考えるのは自然なことかもしれません。今回は、GAがどのように診療報酬上の加算として位置付けられるか、実例を交えて私見をご紹介します。GA評価の基本は「入退院支援加算+総合機能評価加算」令和6年度診療報酬改定1)では、GAとの親和性が高い以下の加算が整理されています。●入退院支援加算・入院時支援加算・入退院支援加算1(700点)「退院困難な要因(悪性腫瘍含む)を有する入院中の患者であって、在宅での療養を希望するもの」に対して入退院支援を行った場合。・入院時支援加算1(240点)/ 入院時支援加算2(200点)入院前に患者の栄養状態・併用薬などを確認し、療養支援計画書を作成した場合。これらは、すでに多くの急性期病院で標準的に運用されている加算です。さらにこれらの加算に追加してGAを行うことで、以下の算定が可能です。・総合機能評価加算(50点)65歳以上、もしくは40~64歳の悪性腫瘍の患者に対し「身体機能や退院後に必要となりうる介護サービス等について総合的に評価を行った上で、当該評価の結果を入院中の診療や適切な退院支援に活用する」場合この加算の要件としては、GAで得られた情報を患者および家族に説明し、診療録に記載する必要がありますが、日常的にGAを導入している施設では、すでにこれらを満たす体制が整っていることが多いはずです。「たった50点」で終わらせない多職種連携ここで、「50点だけ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際にはGAを起点に多職種の支援に展開することで、ほかの加算の可能性も大きく広がります。たとえば、日本老年医学会のCGA72)では、評価で「否」と答えた項目に対して、次のアクションが提示されており、評価から介入への流れが可視化されています(表1)。GAという“点”を多職種につなげて“線”にすることで、より価値が出る、ということですね。(表1)画像を拡大する症例で考える:実際にどこまで加算できるか?第1、2回提示の症例をもとに、加算の可能性を検討してみます。<症例>(第1回、第2回と同じ患者)88歳、女性。進行肺がんと診断され、本人は『できることがあるなら治療したい』と希望。既往に高血圧、糖尿病、軽度の認知機能低下があり、PSは1〜2。診察には娘が同席し、『年齢的にも無理はさせたくない。でも本人が治療を望んでいるなら…』と戸惑いを見せる。遺伝子変異検査ではドライバー変異なし、PD-L1発現25%。告知後、看護師が待合でG8(Geriatric8)を実施したところ、スコアは10.5点(失点項目:年齢、併用薬数、外出の制限など)。改訂長谷川式簡易知能評価(HDS-R)は20点で認知症の可能性あり。多職種カンファレンスでは、免疫チェックポイント阻害薬の単剤投与を提案。薬剤師には併用薬の整理を、MSWには家庭環境の支援を依頼し、チームで治療準備を整えることとした。(表2)画像を拡大する表2を踏まえ、本症例で実際に見込める加算「入退院支援加算」+「入院時支援加算」+「総合機能評価加算」GAの結果をもとに入院診療計画書・療養計画書を作成する→計950~990点 上記を基本とし、GAM(GA guided management)として多職種連携することで、本症例は下記について追加で算定できる可能性があります。 多職種カンファレンスを実施し意思決定支援等を行う→「がん患者指導管理料 (イ) 500点」 薬剤師に併用薬の整理を依頼→「薬剤総合評価調整加算 100点」(退院時1回)および「薬剤調整加算 150点」 外出の制限がありリハビリテーション依頼→「がん患者リハビリテーション料(1単位)205点」 G8の点数が低く、栄養状態に脆弱性あり→「栄養食事指導料1 260点」合計:2,165~2,205点いかがでしょうか。単体の50点加算にとどまらず、GA結果を起点にGAMを展開すれば、複数の加算を組み合わせることが可能です。総合機能評価加算は入退院支援加算への追加であり、その内容が入院もしくは退院支援に使用されることが必要です。よって、少なくとも関係学会でのガイドラインに則して評価ツールが利用され、その結果に応じた対応をすることで入院中もしくは退院後の生活支援につながることが期待されています。重要なのは、「GAを実施して記録した」だけでは加算にはならないということです。なお、診療報酬の算定については施設によって要件が異なることをご理解いただくとともに、各評価の算定要件は必ずご確認のうえ運用ください 。1)厚生労働省:令和6年度診療報酬改定について 2)日本老年医学会:高齢者診療におけるお役立ちツール

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2型糖尿病の低血糖入院が減少傾向、その背景を紐解く

 近年、2型糖尿病患者の低血糖入院が漸減傾向であることが明らかになった―。2017年に日本糖尿病学会の糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会が調査報告1)を行ってから8年、この間に低血糖による入院が減少したのには、いったいどんな対策や社会変化が功を奏したのだろうか。今回、この研究結果を報告し、日本糖尿病学会第9回医療スタッフ優秀演題賞を受賞した社会人大学院生の影山 美穂氏(東京薬科大学薬学部 医療薬物薬学科)と指導教官の堀井 剛史氏(武蔵野大学薬学部臨床薬学センター)から研究に至った経緯や考察などを聞いた。重症低血糖の現状、患者指導の影響は? 本研究のきっかけについて、影山氏は「薬剤師として糖尿病患者への低血糖予防指導はごく当たり前のこと。だがその一方で、低血糖発症リスクの現状や日頃の患者指導の効果が不明瞭であったため、薬剤師をはじめ医療者が頑張っている患者指導の可視化を目指した」と説明した。 実際、この20年における2型糖尿病治療薬や血糖コントロール目標値の変化は著しい。たとえば、治療薬に関しては、2009年よりDPP-4阻害薬が、2014年よりSGLT2阻害薬が発売され、2021年以降はGLP-1受容体作動薬の経口薬発売や肥満症治療薬としての適応拡大などが糖尿病治療薬市場の地殻変動を起こしている。それ故、低血糖リスクが高いとされるスルホニル尿素(SU)などの処方率は減少傾向にある。血糖目標値においては、2013年の糖尿病合併症予防のための血糖コントロール目標値に関する「熊本宣言」(HbA1c 7%未満)や2017年の高齢者糖尿病ガイドライン発刊(高齢者糖尿病の目標値が患者の特徴や健康状態を考慮した目標値「7.0~8.5%未満」)、「重症低血糖への提言」が周知されてきたことで、非専門医にも血糖値を下げ過ぎるリスクへの理解が進んできている。これについて堀井氏は「高齢者糖尿病ガイドライン2)において、HbA1cの具体的数値のみならず下限値も示されたことで糖尿病専門医ではなくても、患者へリスクをわかりやすく伝えることができるようになったのではないか。さらに、2024年の診療報酬改定では糖尿病治療薬の適正使用推進の観点から“調剤後薬剤管理指導加算”が新設されたことで、薬剤師の立場からもインスリンやSU薬服用中のフォローアップが手厚くなり、重症低血糖の減少につながっている可能性がある」と推測した。 ここで補足するが、「重症低血糖」とは、“回復に他者の援助を必要とする低血糖”と定義され、70歳以上、慢性腎臓病(CKD)ステージ3~5、SU薬内服中などの特徴を有する患者で発症しやすいとされる。その発症は主要心血管イベントや認知症の発症リスク増加にも関連することから、以前より日本糖尿病学会は警鐘を鳴らし、前述の調査委員会報告でも重症低血糖で救急搬送されるのは2型糖尿病が60%を占め、1型糖尿病患者よりも多く、処方薬剤別では、インスリン使用が約60%、SU薬使用が約30%であった3)。重症低血糖の患者推移、影響度が高い因子とは そこで、治療薬や血糖目標値の変遷、薬剤師指導の教育変化による“低血糖入院患者数推移や患者像”を捉えるために、同氏らはメディカル・データ・ビジョンの2009年1月1日~2022年12月31日までの診療データベースを活用し、2型糖尿病かつ初発低血糖患者を対象とした入院加療が必要な低血糖の発症リスクや使用薬剤について調査。主要評価項目は入院を必要とする低血糖発症に関連する要因の探索で、副次評価項目は夜間・早朝低血糖入院に関する要因、救急搬送による低血糖入院に関連する要因であった。 その結果、入院加療を必要とする低血糖発症率は、2型糖尿病患者全体では0.4→0.2%、75歳以上では0.85→0.3%、75歳未満では約0.2%微減、で推移していることが明らかになった。とはいえ、とくに高齢者では長期にDo処方が継続され、SU剤を使用している患者も一定数みられる。HBA1cが悪化すると他剤併用よりSU薬の増量が検討されるケースもあるため、「薬剤師も患者の低血糖リスクを意識して対応することで、重症低血糖の回避につながるのではないか」と影山氏はコメントした。 そして、低血糖入院の約6割が75歳以上であったことや低BMI患者(18.5kg/m2未満)での発症率の高さも示唆された。これについて、同氏は「低BMI患者にはインスリン分泌能低下者が多い、糖尿病歴が長い、グルカゴンの働きが悪くなっていることなどが推測される」と述べ、「高齢により低血糖の対応を自身ができない」「糖尿病歴が長くなることで痩せが生じ、インスリン分泌能が低下する。加えてフレイルにより低血糖を来しやすい」ことなどを挙げ、低BMI・低体重の関連性を考察した。 なお、本研究にはDPCデータを活用していることから、患者を夜間入院や救急入院などで層別化をすることができたものの、研究限界として「継続性が長くない、施設が代わると患者を追えなくなる」などを示し、「入院前データがない患者は除外」などの注意を払ったと堀井氏は説明した。 最後に両氏は「将来的に低血糖入院の因果関係を統計学的に示していきたい。そして、在宅ケアを受けている患者、低血糖を訴えられないような患者まで研究対象を掘り下げて解析していきたい」と今後の展望を語った。

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EGFR陽性NSCLCへのオシメルチニブ+化学療法、日本人でもOS良好(FLAURA2)/日本肺学会

 国際共同第III相無作為化比較試験「FLAURA2試験」において、EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、オシメルチニブ+化学療法はオシメルチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善したことが報告されている1)。ただし、本試験のサブグループ解析において、中国人を除くアジア人集団のOSのハザード比(HR)は1.00(95%信頼区間[CI]:0.71~1.40)であったことから、日本人集団の結果が待ち望まれていた。そこで、第66回日本肺学会学術集会において、小林 国彦氏(埼玉医科大学国際医療センター)が本試験の結果を報告するとともに、日本人集団のOS解析結果を報告した。また、本報告の追加資料において、日本人集団の患者背景とPFS解析結果も示された。試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験対象:EGFR遺伝子変異陽性(exon19欠失/L858R)でStageIIIB、IIIC、IVの未治療の非扁平上皮NSCLC成人患者557例試験群:オシメルチニブ(80mg/日)+化学療法(ペメトレキセド[500mg/m2]+シスプラチン[75mg/m2]またはカルボプラチン[AUC 5]を3週ごと4サイクル)→オシメルチニブ(80mg/日)+ペメトレキセド(500mg/m2)を3週ごと(併用群、279例)対照群:オシメルチニブ(80mg/日)(単独群、278例)評価項目:[主要評価項目]RECIST 1.1を用いた治験担当医師評価に基づくPFS[副次評価項目]OSなど 既報の主要な結果は以下のとおり。・OS中央値(併用群vs.単独群)47.5ヵ月vs.37.6ヵ月(HR:0.77、95%CI:0.61〜0.96、p=0.02)・2/3/4年OS率(同上)80%/63%/49%vs.72%/51%/41%・PFS中央値(同上)25.5ヵ月vs.16.7ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.49〜0.79、p<0.001)・1/2年PFS率(同上)80%/57%vs.66%/41% 日本人集団の解析結果は以下のとおり。・解析対象は併用群47例、単独群47例であった。男性の割合はそれぞれ34%、51%であり、年齢中央値はそれぞれ68歳(範囲:39~83)、65歳(同:33~79)であった。EGFR遺伝子変異の内訳は、exon19欠失変異/L858R変異が、併用群49%/51%、単独群66%/34%であった。・OS中央値は併用群48.3ヵ月、単独群34.3ヵ月であり、日本人集団でも併用群が良好であった(HR:0.60、95%CI:0.36~1.03)。・2年、3年、4年時のOS率は、併用群がそれぞれ85%、65%、52%であり、単独群がそれぞれ65%、41%、33%であった。・PFS中央値は併用群24.8ヵ月、単独群16.4ヵ月であり、日本人集団でも併用群が良好であった(HR:0.49、95%CI:0.28~0.86)。・1年、2年時のPFS率は、併用群がそれぞれ83%、64%であり、単独群がそれぞれ63%、30%であった。

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ROS1陽性NSCLCに対するタレトレクチニブを発売/日本化薬

 日本化薬は「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺(NSCLC)」の適応で、厚生労働省より製造販売承認を取得したタレトレクチニブ(商品名:イブトロジー)について、2025年11月12日に発売したことを発表した。タレトレクチニブは、同適応症に対する薬剤として4剤目となる。 ROS1を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を用いた治療において、耐性変異としてG2032R変異などが発現することが報告されている。そこで、これらの耐性変異体への活性を有する薬剤の開発が望まれていた。 タレトレクチニブは、ROS1変異体(G2032R、L2026M、L1951Rなど)に対しても阻害活性を有するTKIである。タレトレクチニブの承認は、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発NSCLCを対象とした2つの第II相試験(TRUST-I試験[中国]およびTRUST-II試験[国際共同])などに基づく。2試験の統合解析1)において、未治療集団および既治療集団の確定奏効率は、それぞれ88.8%、55.8%であった。また、未治療集団および既治療集団の頭蓋内奏効率は、それぞれ76.5%、65.6%であった。 なお、タレトレクチニブのコンパニオン診断としては、AmoyDx肺マルチ遺伝子PCRパネルが承認されている。<製品概要>販売名:イブトロジーカプセル200mg一般名:タレトレクチニブアジピン酸塩製造販売承認日:2025年9月19日薬価基準収載日:2025年11月12日効能又は効果:ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺用法及び用量:通常、成人にはタレトレクチニブとして1日1回600mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。薬価:9,711.20円(200mg 1カプセル)製造販売元:日本化薬株式会社

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夜間照明が心疾患リスク上昇に影響

 夜間の光曝露は概日リズムの乱れを引き起こし、心血管疾患における予後不良の危険因子として知られている。今回、オーストラリア・フリンダース大学のDaniel P. Windred氏らの研究で、夜間の光曝露は40歳以上の心血管疾患発症の有意な危険因子であることが示唆された。JAMA Network Open誌2025年10月23日号掲載の報告。 研究者らは、昼夜の光曝露による心血管疾患発症の関連、および光曝露と心血管疾患関連に影響する因子(遺伝的感受性、性別、年齢など)を評価するため、前向きコホート研究を実施。UKバイオバンク参加者の心血管疾患の記録を9.5年間(2013年6月~2022年11月)にわたり追跡調査し、2024年9月~2025年7月にデータ解析を行った。 光センサーは手首に装着するタイプで、約1,300万時間(各参加者の1週間分)から得られたデータを基に、光曝露環境をパーセンタイルで4グループに分類した(最も暗い:0~50、やや明るい:51~70、比較的明るい:71~90、非常に明るい:91~100)。また、各疾患(冠動脈疾患、心筋梗塞、心不全、心房細動、脳卒中)の発症率データは、英国・国民保健サービス(NHS)より得たもので、疾患リスクをCox比例ハザードモデルで評価し、ハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・研究参加者は、40代以上の成人8万8,905人(平均年齢±SD:62.4±7.8歳、女性:5万577例[56.9%])であった。・夜間照明が非常に明るい環境の人(91~100パーセンタイル)は、最も暗い人(0~50パーセンタイル)と比較して、さまざまな疾患発症リスクが有意に高かった。 ●冠動脈疾患…調整ハザード比(aHR):1.32、95%信頼区間(CI):1.18~1.46 ●心筋梗塞…aHR:1.47、95%CI:1.26~1.71 ●心不全…aHR:1.56、95%CI:1.34~1.81 ●心房細動…aHR:1.32、95%CI:1.18~1.46 ●脳卒中…aHR:1.28、95%CI:1.06~1.55・これらの関連性は、既存の心血管リスク因子(身体活動、喫煙、アルコール、食事、睡眠時間、社会経済的地位、多遺伝子リスク)調整後も有意であった。・夜間の光曝露と心不全(交互作用のp=0.006)および冠動脈疾患(交互作用のp=0.02)リスクとの関連は女性でより大きかった。また、参加者のうち若年者では、夜間の光曝露と心不全(交互作用のp=0.04)および心房細動(交互作用のp=0.02)リスクとの関連が大きかった。 同氏らは「既存の予防対策に加え、夜間の光曝露を避けることが心血管疾患リスクを低減するための有用な戦略となる可能性がある」としている。 なお、11月7~10日に米国・ニューオリンズで開催されたAmerican Heart Association Scientific Sessions 2025(AHA2025、米国心臓学会)でも米国・ハーバード大学のShady Abohashem氏らにより同様の報告がなされた。

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頭痛は妊娠計画に影響を及ぼすのか?

 頭痛は、生殖年齢の人にとって社会経済的な負担となる一般的な神経疾患である。しかし、妊娠計画への影響についてはほとんど知られていない。埼玉医科大学の勝木 将人氏らは、日本における学齢期の子供を持つ保護者を対象に、頭痛の特徴と妊娠計画との関連性を調査した。The Journal of Headache and Pain誌2025年7月4日号の報告。 2024年に新潟県燕市の学校に通う生徒の保護者を対象に、学校を拠点としたオンライン調査をプロスペクティブコホートに実施した。調査項目には、年齢、性別、頭痛の特徴、急性期治療薬および予防薬の使用状況、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、1ヵ月当たりの急性期治療薬の使用日数(AMD)、頭痛影響テスト(HIT-6)、Migraine Interictal Burden Scale(MIBS-4)、子供の数を含めた。また、「頭痛のために妊娠を避けているまたは避けたことがありますか」という質問を通して、頭痛が妊娠計画に及ぼす影響についても調査した。この質問に対し「はい」と回答した人は、妊娠回避群と定義された。 主な結果は以下のとおり。・5,227世帯のうち1,127世帯(21.6%)から回答が得られ、そのうち頭痛を有する保護者からの回答599件を分析した。・回答者の年齢中央値は43歳(第1四分位数~第3四分位数:40~48歳)、562例(93.8%)が女性であった。・回答者は、MHD中央値が3日(第1四分位数~第3四分位数:1~4日)、AMD中央値が3日(1~6)、HIT-6中央値が60(58~68)、MIBS-4中央値が4(2~8)であった。・50例(8.3%)が予防薬を使用しており、492例(82.1%)が頭痛発作時に急性期治療薬を使用していると回答した。・子供の数の中央値は2人(第1四分位数~第3四分位数:2~2)。・女性回答者562例のうち、22例(3.9%)が、頭痛のために妊娠を避けている、または避けていたと回答した。・妊娠回避群では、HIT-6スコア(中央値:58[第1四分位数~第3四分位数:53~64]vs.63[59~66]、p=0.033)、MIBS-4スコア(4[2~7]vs.6[4~7]、p=0.012)が有意に高かった。・多変量解析では、妊娠回避群は、高齢(オッズ比[OR]:1.16、95%信頼区間[CI]:1.05~1.29、p=0.004)、頭痛持続時間の短さ(OR:0.91、95%CI:0.85~0.98、p=0.016)、MHDの多さ(OR:1.08、95%CI:1.01~1.16、p=0.031)、悪心または嘔吐(OR:6.11、95%CI:1.46~25.60、p=0.013)、音過敏(OR:6.40、95%CI:1.71~23.99、p=0.006)との有意な関連が認められた。・妊娠回避群では、妊娠中、育児、薬剤による潜在的リスクに関する懸念がより多かった。 著者らは「頭痛のために妊娠を避けているまたは避けたことがある女性は、一部であった。しかし、このような女性は、発作時および発作間欠期共に重度の頭痛負担を抱えており、頭痛疾患が妊娠計画に悪影響を及ぼしていると感じていた」とまとめている。

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中等症~重症シェーグレン病、ニポカリマブが有用/Lancet

 中等症~重症の活動期シェーグレン病患者において、ニポカリマブ(本邦では全身型重症筋無力症の適応で承認)の15mg/kgの投与はプラセボと比較して臨床疾患活動性を有意に改善し、安全かつ良好な忍容性が認められた。米国・カンザス大学のGhaith Noaiseh氏らが、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スペイン、台湾および米国の69施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「DAHLIAS試験」の結果を報告した。ニポカリマブは、自己抗体を含む循環IgGを減少させる胎児性Fc受容体(FcRn)阻害薬である。シェーグレン病は、粘膜乾燥、疲労、慢性疼痛、全身臓器病変、自己反応性IgG抗体の上昇を特徴とし、これまでに承認された疾患修飾薬はなかった。Lancet誌オンライン版2025年10月24日号掲載の報告。ニポカリマブ2用量とプラセボで、24週時のClinESSDAIスコア変化量を比較 研究グループは、ACR/EULAR分類基準(2016)で定義された診断基準を満たし、疾患活動性指標(Clinical European League Against Rheumatism Sjogren's Syndrome Disease Activity Index:ClinESSDAI)が6以上で、抗Ro60抗体および/または抗Ro52抗体が血清学的陽性のシェーグレン病患者を、ニポカリマブ5mg/kg群、15mg/kg群、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、2週ごと22週間にわたり静脈内投与した。 主要エンドポイントは、24週時のClinESSDAIスコアのベースラインからの変化であった。有効性および安全性の解析対象集団は無作為化され治験薬を少なくとも1回投与された患者とし、主要エンドポイントの主要解析には反復測定混合モデルを用いた。ニポカリマブ15mg/kgは、プラセボと比較して疾患活動性を有意に改善 2021年9月21日~2023年4月3日に、361例がスクリーニングを受け、適格患者163例が無作為化された(ニポカリマブ5mg/kg群53例、15mg/kg群54例、プラセボ群56例)。患者背景は、平均年齢48.1歳(SD 12.12、範囲:20~73)、女性が151例(93%)、男性が12例(7%)であった。 24週時におけるClinESSDAIスコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、ニポカリマブ15mg/kg群-6.40(90%信頼区間[CI]:-7.43~-5.36)、ニポカリマブ5mg/kg群-4.08(-5.10~-3.07)、プラセボ群-3.74(-4.74~-2.75)であり、ニポカリマブ15mg/kg群ではプラセボ群と比較して減少量が有意に大きかったが(最小二乗平均群間差:-2.65、90%CI:-4.03~-1.28、p=0.0018)、ニポカリマブ5mg/kg群ではプラセボ群との間に有意差は認められなかった(-0.34、-1.71~1.03、p=0.68)。 ニポカリマブ群は良好な忍容性を示し、重大な安全性シグナルは認められなかった。最も発現頻度の高い有害事象は感染症および寄生虫症であった(ニポカリマブ5mg/kg群32例[60%]、15mg/kg群28例[52%]、プラセボ群24例[43%])。 また、ニポカリマブ治療中にIgG自己抗体の減少がみられたことについて、著者は「IgG自己抗体のシェーグレン病の病態形成への関与を裏付けるものである」と述べている。

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敗血症性ショック、CRTに基づく個別化蘇生法が有用/JAMA

 敗血症性ショックの初期治療に、毛細血管再充満時間(CRT)を目標とした個別化血行動態蘇生プロトコール(CRT-PHR)を用いることで、全死因死亡、バイタルサポート継続期間および入院期間の複合アウトカムが通常ケアより優れることが示された。チリ・Pontificia Universidad Catolica de ChileのGlenn Hernandez氏らが、北米・南米、欧州およびアジアの19ヵ国86施設で実施した無作為化試験「ANDROMEDA-SHOCK-2試験」の結果を報告した。敗血症性ショックに対する血行動態蘇生の最適な戦略は依然として明らかではないが、ANDROMEDA-SHOCK試験では、CRTを目標とした蘇生は乳酸値に基づく蘇生と比較し、臓器機能障害の回復が速く、蘇生輸液量が少なく、生存率が高いことが示唆されていた。JAMA誌オンライン版2025年10月29日号掲載の報告。敗血症性ショック発症後4時間以内の患者が対象、CRT-PHRと通常ケアを比較 研究グループ(ANDROMEDA-SHOCK-2 Investigators:ANDROMEDA Research Network、Spanish Society of Anesthesiology、Reanimation and Pain Therapy[SEDAR]、Latin American Intensive Care Network[LIVEN])は、2022年3月~2025年4月に、敗血症性ショック発症後4時間以内(敗血症性ショックは、疑いまたは確定された感染症に加え、≧2.0mmol/Lの高乳酸血症、1,000mL以上の輸液負荷後も平均動脈圧65mmHg以上維持のためノルエピネフリンを必要とする状態と定義)の患者を、CRT-PHR群または通常ケア群に1対1の割合で無作為に割り付けた(最終追跡調査は2025年7月)。 CRT-PHR群では、6時間の試験期間中に、CRT正常化を目標とした循環動態蘇生、脈圧・拡張期血圧とベッドサイド心エコーによる心機能障害の同定とそれに続く特定介入、輸液蘇生前の輸液反応性評価、2種類の急性(1時間)血行動態試験による段階的および多層的な個別化蘇生を実施した。 通常ケア群では、各施設のプロトコールまたは国際ガイドラインに従って治療し、CRT測定はベースラインと6時間後のみ実施した。 主要アウトカムは、28日時点の全死因死亡、バイタルサポート(血管作動薬投与、人工換気、腎代替療法)の継続期間、および入院期間の階層的複合アウトカムとし、APACHE(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)IIスコア中央値で層別化したwin ratioで解析した。複合アウトカムに関してCRT-PHRは通常ケアと比較し優れる 1,501例が登録され、CRT-PHR群744例、通常ケア群757例に無作為化された。このうち、同意撤回などを除く1,467例が解析対象集団となった。平均年齢66歳、女性が43.3%であった。 階層的複合主要アウトカムについて、CRT-PHR群は13万1,131勝(48.9%)、通常ケア群は11万2,787勝(42.1%)、win ratioは1.16(95%信頼区間:1.02~1.33、p=0.04)であった。 個々のアウトカムにおける勝率は、CRT-PHR群vs.通常ケア群でそれぞれ、全死因死亡が19.1%vs.17.8%、バイタルサポート継続期間が26.4%vs.21.1%、入院期間が3.4%vs.3.2%であった。

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左心耳閉鎖手技(LAAO)の行く末を占う(OPTION試験)(解説:香坂俊氏)

 このOPTION試験は、心房細動(AF)アブレーションを受け、かつCHA2DS2-VAScが高い患者を対象に、「その後もふつうに抗凝固薬を飲み続けるか」「左心耳閉鎖手技(LAAO)に切り替えるか」を1:1で比較した国際RCTとなります。1,600例を組み入れ、LAAO群はWATCHMANで閉鎖した後所定期間だけ抗血栓を行い、その後半年ほどで中止し、対照群はDOACを含む標準的な内服抗凝固薬を続けるという設計で行われました。結果として、主要安全エンドポイント(手技に直接関係しない大出血+臨床的に問題となる非大出血)は36ヵ月でLAAO 8.5%vs.OAC 18.1%でLAAO群に少なく(p<0.001)、主要有効性エンドポイント(全死亡・脳卒中・全身性塞栓の複合)は5.3%vs.5.8%で非劣性となりました。 アブレーション後にLAAOまで一緒にやってしまう発想は現実的です。ただ、自分が考える問題点は大きく2つあります。第一に、本試験のOAC群の出血率が実臨床のDOAC単剤よりやや高めで、近年のリアルワールドで見られる年間1%以下の大出血とは開きがあります。※OPTION試験の主要安全エンドポイントは「手技に関係しない大出血+臨床的に問題となる非大出血(CRNM)」で、36ヵ月でLAAO 8.5%vs.OAC 18.1%。一方、同試験での「大出血(手技関連も含めて)」という副次安全エンドポイントは3.9%vs.5.0%/36ヵ月で、これは年間に直すとおおむね1.3%/年vs.1.7%/年程度。 第二に、LAAOにはperidevice leak(閉じ残り)という固有の弱点が残ります。最近の報告でも、WATCHMANでも20〜30%、一部シリーズでは30〜40%近くで遅発性のリークが見つかり、このリークがあると脳梗塞・全身塞栓が増えるという相関がはっきりしてきています(このことはOPTION試験に関するNEJMのCorrespondenceでも強調されています)。OPTIONでは36ヵ月までで有効性はOACと同等でしたが、リークが増えてくるのはそれ以降となる可能性があり、すると「閉じたはずの左心耳からまた血栓が…」ということが起こりえます。また、第一の問題点と逆で、DOACのような「単純化された介入(ワルファリンと比較して)」に対して、LAAOのような「より複雑な介入」はRCTよりもリアルワールドでの成績が悪くなる傾向にある、というところも気掛かりな点となります。 この領域では今回のOPTION試験のほかに、PRAGUE-17(Osmancik P, et al. J Am Coll Cardiol. 2020;75:3122-3135.)という高出血リスクのAFでLAAOとOACを直接ぶつけた試験があります(4年フォローで非劣性)。このPRAGUE-17とOPTIONで少しずつ「どういう患者群にLAAO?」というところは埋まってきていますが、オーソドックスなコメントとなりますが、より大規模・長期の試験結果を待つ必要があるかと感じます(2026年以降、CHAMPION-AF試験など本当に大きな規模のRCTの結果が公表されてくる予定です。Rationale and design of a randomized study comparing the Watchman FLX device to DOACs in patients with atrial fibrillation - ScienceDirect)。それまでは、LAAOの実施に当たっては、(1)リークのリスク、(2)DOAC最適投与と比べたときの安全性、(3)高齢化・心不全合併などリアルな患者群でのpreference、というところがカギとなるでしょう。

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『赤毛のアン』を語る【Dr. 中島の 新・徒然草】(606)

六百六の段 『赤毛のアン』を語る先日、オンラインで参加した第84回日本脳神経外科学会総会。学会ではいろいろな先進技術が紹介されていましたが、とくに仰天したのはAIを使った手術支援システム EUREKA α です。リアルタイムの手術動画で剥離層の結合組織をブルー、臓器をとりまく自律神経をグリーンで表示するもの。術者がどこを剥離すべきかを正確に表示してくれます。膨大な手術動画をもとに、どれが結合織でどれが自律神経かを教え込まれたAIが偉くなって、逆に術者に教えるようになったのでしょう。AIの得意不得意をうまく利用したやり方に感心させられました。話は変わって、先日のこと。ちょっと女房に尋ねてみました。 中島 「つかぬことを伺いますけどね」 女房 「ん?」 中島 「『赤毛のアン』って読んだことあるかな」 女房 「読んだことあるけど、中身は忘れた」 実は最近、私は勉強のために英語の小説を読んでいるのです。が、やはり児童書といえども英語で読むのは難しいのが現実。最初に挑戦した『ハリー・ポッターと賢者の石』(Harry Potter and the Philosopher's Stone)は1ページの中に知らない単語がいくつも出てくるので、読み進めるのが難しくて挫折してしまいました。この小説については、あちこちの出版社に断られた持ち込み原稿を、ブルームスベリー社の会長の8歳の娘が読んで "I think it is possibly one of the best books an eight- or nine-year-old could read."(これは8歳か9歳の子供が読むのに最適な本の一つだと思うわ)と書いた父親宛のメモが残っているそうです。そういうエピソードを知ると「オレは8歳に負けたのか!」と思わざるを得ません。で、次に挑戦したのが『赤毛のアン』(Anne of Green Gables)です。なにしろ100年以上前、日本でいえば夏目 漱石の頃の作品なので、使われている言葉も現代とはずいぶん違っており、原書を読むのは最初から諦めて、1,600語の語彙の範囲でリライトされたものに挑戦しました。が、これまた知らない単語だらけ。1,600語といえば英語圏の8~10歳の子供を対象にしているとのことで、再び私は8歳に負けてしまいました。これに懲りずに、さらに700語の語彙の範囲でのリライト版(Oxford Bookworms Library: Level 2: 700-Word Vocabulary)に挑戦。さすがに6~7歳を対象にしているだけあって、今度はストレスなく読むことができました。しかし、大学受験を経験し医学論文も読んできた私が、英語圏の6~7歳と同じ程度とは!やはり子供といえども、母国語でのリーディング能力というのは大したものです。リライト版では、とくに捻った言い回しなどは見当たらないので、難しいと感じる要素はもっぱら馴染のない英単語によるものなのでしょう。それはさておき、100年以上も全世界の読者を引き付けてきただけあって「赤毛のアン」は面白い、面白過ぎる!小学生の頃に読書少年だった私が読んでいなかったのが残念です。その内容ですが、700語版では11歳の孤児であったアンが、カスバート家の養女になったところが物語の始まり。そして、泣いたり笑ったりの生活を送ったアンが、学校を卒業する16歳頃に物語が終わります。このような話を、英語では coming-of-age story(成長物語)と呼ぶそうで、「赤毛のアン」はその典型だといえましょう。で、この話を読みながら深く感動した私は、早速ChatGPTとその素晴らしさを語り合いました。ChatGPTによれば『赤毛のアン』は非常に巧妙に子供向けの構成がされているのだとか。たとえば時系列が一直線で行ったり来たりしないこと、降りかかってきた困難をアンが解決するたびに少しずつ成長することなどです。ところが……私が最後まで読んでいないのにもかかわらず、ChatGPTから爆弾発言が!「アンは最終章でxxxという選択をします。この自己決定によって物語は成長の円を閉じるのです」とChatGPTが口を滑らせてしまったのです。思わず私は「えっ、まだ最後まで読んでいないのに。それ、ネタバレじゃん(泣)」と抗議しました。すると「うわっ、それは申し訳ありません……! 思いがけずネタバレになってしまいましたね。でも安心してください――その選択に至るまでの過程こそ、この物語の一番の醍醐味です」とか何とか。結局、巧くごまかされてしまいました。というわけで、現在の私は700語のシリーズを次々に読んでいるところ。ある程度読めるようになったら、1,000語、1,600語と少しずつ読む範囲を広げたいと思っています。子供の頃に小学校の図書館で夢中になって読んだシャーロック・ホームズとか、トム・ソーヤとか。あの時の興奮を再び新鮮な気持ちで味わえるのですから、今からわくわくしているところです。定年後の趣味にはぴったりかもしれません。よかったら読者の皆さまも挑戦してみてください。最後に1句 行く秋に 赤毛のアンを 語り合う

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