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2061.

心筋梗塞後の高齢患者、多領域リハビリで予後改善/NEJM

 心筋梗塞で入院し退院後1ヵ月時点の受診時評価で身体機能が低下した65歳以上の高齢患者において、多領域(multidomain)リハビリテーションによる介入は通常ケアと比較し、1年以内の心血管死または心血管疾患による予定外入院(複合アウトカム)の発生を有意に減少させた。イタリア・フェラーラ大学病院のElisabetta Tonet氏らが、同国で行われた研究者主導の多施設共同優越性試験「Physical Activity Intervention in Elderly Patients with Myocardial Infarction trial:PIpELINe試験」の結果を報告した。心筋梗塞後に身体機能が低下した65歳以上の高齢患者に対する、リハビリテーション介入の有益性は明らかになっていなかった。NEJM誌2025年9月11日号掲載の報告。心筋梗塞で入院、退院後1ヵ月時点のSPPBスコア4~9の65歳以上が対象 研究グループは、ST上昇型または非ST上昇型心筋梗塞で入院し、冠動脈血行再建が成功裏に行われた65歳以上の患者のうち、退院後1ヵ月時点のShort Physical Performance Battery(SPPB)スコアが4~9の患者を、介入群と対照群に2対1の割合で無作為に割り付けた。 介入群では、心血管リスク因子の管理(禁煙、血圧・脂質・血糖コントロール)、食事指導、運動トレーニング(退院後30日ごとに3回、その後は90日ごとに3回、計6回の監督下個別セッション、ならびに自宅での個別運動処方)が行われた。 対照群では、退院1ヵ月後に30分の対面カウンセリング(食事・禁煙・身体活動に関する教育資料付き)を1回のみ実施した。 主要アウトカムは、1年以内の心血管死または心血管疾患による予定外の入院の複合とした。多領域リハビリテーション介入で1年後の複合アウトカム43%減少 2020年3月27日~2023年11月30日に計512例が無作為化された(介入群342例、対照群170例)。患者背景は、年齢中央値が80歳、女性が36%であった。 主要アウトカムのイベントは、介入群で43例(12.6%)、対照群で35例(20.6%)に発生した(ハザード比[HR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.36~0.89、p=0.01)。 心血管死は介入群で14例(4.1%)、対照群で10例(5.9%)(HR:0.69、95%CI:0.31~1.55)に、心血管疾患による予定外の入院はそれぞれ31例(9.1%)、30例(17.6%)(0.48、0.29~0.79)に発生した。 介入に関連する重篤な有害事象は認められなかった。

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60歳以上への2価RSVワクチン、RSV関連呼吸器疾患による入院を抑制/NEJM

 60歳以上の高齢者に対する呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価RSV融合前Fタンパク(RSVpreF)ワクチン接種は、同ワクチンを接種しなかった場合と比較し、RSV関連呼吸器疾患による入院が減少したことが示された。デンマーク・Copenhagen University HospitalのMats C. Hojbjerg Lassen氏らが、研究者主導のプラグマティックな第IV相無作為化非盲検並行群間比較試験の結果を報告した。RSVは、高齢者において重篤な疾患を引き起こす可能性がある。RSVpreFは、RSV関連呼吸器疾患を予防することが示されているが、入院に関連するアウトカムへの有効性に関する無作為化試験のデータは限られていた。NEJM誌オンライン版2025年8月30日号掲載の報告。デンマークの60歳以上、約13万例をRSVpreFワクチン接種群と未接種群に無作為化 研究グループは、2024~25年冬季シーズンにデンマーク在住で市民登録番号を有する60歳以上の高齢者を募集し、参加者を1対1の割合でRSVpreFワクチン接種群(RSVpreF群、単回筋肉内投与)またはワクチン未接種群(対照群)に無作為に割り付け追跡評価した。 ベースラインデータおよびアウトカムデータは、デンマーク登録番号を介して各種の全国医療レジストリーから収集した。追跡調査期間は、初回試験来院予定日(接種日の変更にかかわらず)の14日後から2025年5月31日までとした。 主要エンドポイントはRSV関連呼吸器疾患による入院、主な副次エンドポイントはRSV関連下気道疾患による入院、およびあらゆる原因による呼吸器疾患による入院であった。解析はITT集団を対象とし、主要エンドポイントおよびRSV関連の副次エンドポイントの成功基準は「ワクチン有効率>20%」と事前に規定した。 2024年11月18日~12月28日に、本試験に招待された139万9,220例のうち13万1,379例(60歳以上のデンマーク人口の約8.6%)が無作為化され、このうち13万1,276例がITT集団に組み込まれた。RSV関連呼吸器疾患による入院の発生率は0.11 vs.0.66、有効率は83.3% 追跡調査期間中のRSV関連呼吸器疾患による入院はRSVpreF群で6万5,642例中3例、対照群で6万5,634例中18例に発生し、発生率は1,000人年当たり0.11 vs.0.66であった。ワクチン有効率は83.3%(95%信頼区間[CI]:42.9~96.9)であり、事前に規定された基準(最小有効率>20%)を満たした(p=0.007)。 RSVpreF群では、対照群と比較しRSV関連下気道疾患による入院も少なく(1件vs.12件、ワクチン有効率:91.7%、95%CI:43.7~99.8、最小有効率>20%のp=0.009)、あらゆる原因による呼吸器疾患による入院も少なかった(284件vs.335件、有効率:15.2%、95%CI:0.5~27.9、有効率>0%のp=0.04)。 重篤な有害事象の発現率は、RSVpreF群2.1%(1,341/6万3,045例)、対照群2.4%(1,669/6万8,326例)であり、両群で同程度であった。

2063.

隠れた脂肪の蓄積が心臓の老化を加速させる

 腸の周りや肝臓、筋肉などに溜まった脂肪が心臓の老化を速めるとする、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のDeclan O’Regan氏らの研究結果が、「European Heart Journal」に8月22日掲載された。異所性脂肪と呼ばれるそれらの脂肪の蓄積は体型からは判別しにくく、たとえ体重は健康的とされる範囲であっても、そのような脂肪が蓄積していることがあるという。一方、全身の脂肪蓄積の分布とその影響には性差があり、論文の上席著者であるO’Regan氏は、「ある種の脂肪、特に女性の腰や太ももの周りの脂肪は、老化を抑制する可能性がある」と述べている。 この研究では、英国で行われている住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」の参加者2万1,241人のデータが用いられた。MRI画像データから、血管や心臓の機能などに関連のある126種類の指標を特定し、機械学習により参加者それぞれの心臓年齢を算出。実際の年齢との差を割り出した上で、さまざまな部位に蓄積している脂肪の量との関連を検討した。すると、内臓脂肪などの異所性脂肪が多いほど、実際の年齢と心臓年齢との乖離が大きいことが明らかになった。 O’Regan氏は今回の研究結果を、「健康な人でも隠れた脂肪が有害となり得ることが分かった」と総括している。研究結果を詳しく見ると、内臓脂肪の量は、実際の年齢と心臓年齢との乖離の大きさと有意な関連があった(β=0.656〔95%信頼区間0.537〜0.775〕)。また、筋肉に浸潤している脂肪の量(β=0.183〔同0.122〜0.244〕)や肝臓内の脂肪の量(β=1.066〔0.835〜1.298〕)も、同様の関連が認められた。さらに、血液検査の結果と照らし合わせて解析すると、内臓脂肪の蓄積は全身の炎症と関連があり、そのことが心臓の老化を速めている可能性が示唆された。 一方、脂肪の分布と心臓年齢との関連に、男性と女性の間で差が存在することも示唆された。例えば男性では、いわゆる“リンゴ型肥満”と呼ばれるようなお腹周りへの脂肪の分布が、心臓の老化と強く関連していた。その一方で女性では、“洋ナシ型肥満”と呼ばれるような腰や太ももへの脂肪の分布が、心臓の老化を防ぐような関連が見られた。研究者によると、腰や太ももへの脂肪蓄積は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量と関連しており、エストロゲンは女性の心臓の老化を防ぐように働くという。「脂肪の分布の違いによって、リンゴ型肥満と洋ナシ型肥満に分類され、健康への影響が異なることは以前から知られていたが、なぜその差が生じるのかは、これまで明らかでない点があった」とO’Regan氏は語っている。 この研究からはまた、身長と体重に基づき算出され、肥満や痩せを判定する指標として広く用いられているBMIが、心臓の健康状態を推測する指標としては十分に機能しないことも示された。O’Regan氏は、「BMIでは体のどの部分に脂肪が蓄積しているかを知ることができない。しかしわれわれの研究は、それを知ることの重要性を示している」と強調している。 なお、同氏らの研究グループでは今後、GLP-1受容体作動薬を用いた減量が、内臓脂肪の蓄積や心臓の健康に及ぼす影響を調査することを計画している。

2064.

COVID-19罹患は喘息やアレルギー性鼻炎の発症と関連

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患により、喘息、アレルギー性鼻炎、長期にわたる慢性副鼻腔炎の発症リスクが高まる可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。一方で、ワクチン接種により喘息と慢性副鼻腔炎のリスクは低下することも示された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のPhilip Curman氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」に8月12日掲載された。 Curman氏は、「ワクチン接種が感染そのものを防ぐだけでなく、特定の呼吸器合併症に対しても優れた予防効果をもたらす可能性のあることが興味深い」と同研究所のニュースリリースの中で述べている。 この研究でCurman氏らは、米国の電子健康記録のデータベースを用いて後ろ向きコホート研究を実施し、COVID-19罹患後における2型炎症性疾患(喘息、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、アトピー性皮膚炎、好酸球性食道炎)のリスクを評価した。対象者は、COVID-19に罹患した97万3,794人、新型コロナワクチン接種者69万1,270人、新型コロナウイルスに感染しておらず、ワクチンも未接種の対照群438万8,409人である。 解析の結果、COVID-19罹患群では対照群に比べて、喘息のリスクが65.6%(ハザード比1.656、95%信頼区間1.590〜1.725)、アレルギー性鼻炎のリスクが27.2%(同1.272、1.214〜1.333)、慢性副鼻腔炎のリスクが74.4%(同1.744、1.671〜1.821)、有意に高いことが明らかになった。アトピー性皮膚炎と好酸球性食道炎のリスクについては変化が見られなかった。その一方で、ワクチン接種者ではむしろリスク低下が見られ、喘息リスクは32.2%(同0.678、0.636〜0.722)、慢性副鼻腔炎リスクは20.1%(同0.799、0.752〜0.850)低下していた。直接比較からは、COVID-19罹患群ではワクチン接種群に比べて呼吸器系の2型炎症性疾患リスクが 2〜3倍高いことが示された。 これらの結果を踏まえてCurman氏は、「本研究結果は、COVID-19への罹患は気道に2型炎症性疾患を引き起こす可能性があるものの、他の臓器には影響しないことを示唆している」と述べている。 ただし研究グループは、本研究は観察研究であり、COVID-19罹患と気道の2型炎症性疾患との間に関連が示されたに過ぎないとして、慎重な解釈を求めている。

2065.

人生における目的意識は脳の健康を守る?

 人生に目的意識を持つことは、充実感をもたらすだけでなく、認知症から脳を守る可能性もあることが新たな研究で明らかになった。人生に高い目的意識を持っている人では、目的意識の低い人と比べて軽度認知障害(MCI)または認知症を発症する可能性が28%低いことが示されたという。米カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)精神医学および行動科学教授のAliza Wingo氏らによるこの研究結果は、「The American Journal of Geriatric Psychiatry」10月号に掲載された。Wingo氏は、「われわれの研究結果は、目的意識を持つことが、年を重ねても脳の回復力を維持するのに役立つことを示している」と話している。 この研究では、2006年から2020年の間に米連邦政府のHealth and Retirement Study(健康と退職に関する調査)に参加した45歳以上の米国成人1万3,765人を追跡調査し、目的意識と認知障害の発症リスクの低下や認知障害発症の遅延との関連を検討した。この調査には、人生における目的意識を評価するウェルビーイングに関する7項目の質問票が含まれていた。質問の例は、「自分で立てた計画を積極的に実行するタイプだ」や「人生において進むべき方向性や目的意識を持っている」などで、回答者は、それぞれの質問に対してどの程度強く同意/反対するかを回答していた。 中央値8年(最長15年)に及ぶ追跡期間中に1,820人(13%)が認知障害を発症していた。性別、ベースライン時の年齢、学歴、抑うつ症状の平均スコア、人種・民族を調整して解析した結果、人生における目的意識が高い群では、低い群に比べて認知障害の発症リスクが28%有意に低いことが示された(ハザード比0.72、95%信頼区間0.63〜0.82)。この関連は、遺伝子型データを有するサブグループにおいて、共変量としてアルツハイマー病のリスク因子であるAPOE e4アリルを調整後も有意なままであった。さらに、目的意識の高い群では低い群に比べて認知障害の発症年齢が高いことも示された。 Wingo氏は、「アルツハイマー病の遺伝的リスクを持つ人でも、目的意識を持つことは認知障害の発症の遅延やリスク低下につながり得ることが示された」とUC Davisのニュースリリースの中で述べている。 研究グループはまた、目的意識が高い群では8年間で認知機能の低下が約1.4カ月遅い傾向が認められたと話す。これは年齢、学歴、抑うつ症状、遺伝的リスクを考慮した上でも認められた差であり、現在の治療と比べると意味のある結果だと研究グループは述べている。論文の筆頭著者であるUC DavisのNicholas Howard氏は、「レカネマブやドナネマブのような薬は、アルツハイマー病の認知障害の症状をやや遅らせることはできるが、リスクを伴う上に費用もかかる。一方で、人生における目的は、無料で安全、かつ誰でも手に入れられる。それは、人間関係、目標、そして意義のある活動を通して築き上げられるものだ」と述べている。 研究グループによると、目的意識を高めることができる活動の例は、家族や友人との関係を育むこと、仕事やボランティア、精神性や信仰の探求、趣味や新しいスキルなどの個人的な目標の追求、親切な行為・介護・アドボカシー活動などを通じて他人を助けることなどであるという。 論文の共著者であるUC DavisのThomas Wingo氏は、「この研究の素晴らしい点は、人々が『考える』ことで健康状態を改善できる可能性があることだ。人生の目的は、自分で育むことができる。人生に意味を与えるものについて考え始めるのに、早過ぎることも遅過ぎることもない」と述べている。

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スマホ断ちの効能【Dr. 中島の 新・徒然草】(598)

五百九十八の段 スマホ断ちの効能突然、秋になりましたね。私の予定表のカレンダーには9月11日のところに「秋が来た!」とあります。この日から急に空気がサラサラになり、朝夕が過ごしやすくなりました。とはいえ、暑さが戻ってくる日もあり、外来の患者さんたちも汗だく。冷房の効いた診察室にいると外の状況が分からないので、つい「そんなに暑いのですか?」と間抜けな対応をしてしまいがちです。さて、外を見ていると歩きスマホの人が多いですね。中にはスマホを見ながら自転車に乗っている人すらいます。先日などは、車で狭い道をすれ違うときに、対向車のドライバーがスマホを見ながらの運転だったのには呆れてしまいました。もう日本中の人がスマホの呪縛に縛られてしまっているのでしょうか。まさか「歩きスマホ」や「ながら運転」をすることはないにしても、私もついスマホを眺めて無為な時間を過ごしてしまうことがあります。そこで、最近は意識して「スマホ断ち」をするようにしました。といっても、まったく使わないわけではありません。メールのチェックや調べ物など、生活や仕事に必要な範囲での使用はしています。が、意味もなくダラダラと眺めることはやめました。これだけでも、生活の質が大きく変わった気がします。まず実感するのは、睡眠。質・量ともに向上した気がします。以前は寝床の中でスマホを手に取り、ニュースや動画を見ているうちに寝落ち……すればいいのですが、実際には眠れないまま1時間以上経っていることがありました。横たわりながらスマホを眺める姿勢も悪いのかもしれません。その結果、寝つきは悪くなり、翌朝に疲れが残ることもしばしばでした。しかし、スマホを隣の部屋に置いて充電し、ただ寝ることに専念するようにすると、不思議なほど深く眠れるのです。昼寝についても同じで、横になったときにスマホを手にしなければ、すぐに眠れるようになりました。さらに、日常生活の中でも疲れにくくなったと感じています。スマホを見ているときには、常に目から情報が入り続けているので、脳が休めていません。とくにYouTubeのショート動画などは要注意。数十秒ごとに映像が切り替わってキリがなく、内容もネガティブなものばかり。いつも患者さんに「明るく楽しく前向きに!」とアドバイスしている自分が「暗く悲しく後ろ向き」になってしまったら話になりません。もちろん、時にはついうっかりスマホに釘付けになっていることもあります。それでも、以前に比べると、はるかにその回数は減りました。ちょっとした心掛けで大きな違いです。逆に、何か単純作業をしている時には、積極的にスマホを活用しています。イヤホンでニュースを聴きながら皿を洗ったり、洗濯物を畳んだり。ニュースを聴くと自動的に家事を始めてしまうので、もはやパブロフの犬と化しています。英語を聴き流しながら散歩をするのもいいですね。とくに最近は、BBCの“6 Minute English”をよく聴いています。さほど難しい英語ではなく、何とか理解できるスピードなので、私にはちょうどいいレベル。聞くところによると、自分にとって易しい英語を大量に聴くのが第二言語習得論的には効果的なのだとか。それはそれとして。スマホ断ちには思ったよりも効能を感じています。私にとっては、とくにYouTubeと「まとめサイト」が毒ですね。小説とか漫画を読むのはさほど害はなさそうです。ということで、スマホは生活に欠かせない便利な道具ではありますが、距離感が大切。私自身はスマホ断ちで自分の体調が良くなり、生活が改善したと実感しています。「自分はちょっとスマホ中毒かも」と感じている読者の皆さま、よかったら私の経験を参考にしてください。最後に1句 秋来たる スマホの呪縛に さようなら

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胆道系疾患へのエコー(3):肝外胆管の描出【Dr.わへいのポケットエコーのいろは】第6回

尿路感染症へのエコー(3):肝外胆管の描出前回、エコーでの胆嚢の観察方法について解説しました。今回は、応用編として「閉塞性黄疸を疑える(肝内胆管の拡張がわかる)」「閉塞起点がわかる(肝外胆管を見分ける)」という目標を設定して、ポケットエコーで肝外胆管を描出する手技を解説していきます。これについては、ポケットエコーで観察するのは難しいことも多いのですが、条件が揃えば観察することができます。肝外胆管を描出するそれでは、早速手技を見ていきましょう。大事なことは、肝内の脈管をしっかりと見ることです。いかがでしょうか。ポケットエコーでも意外と脈管が見られるのがわかったのではないでしょうか。復習として、エコー像を動画でまとめます。基本は短軸像で観察し、観察したい箇所を特定したら、長軸像に切り替えていくことでポケットエコーでも観察できます。肝内胆管を見分けて、閉塞起点までわかると良いですね。

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高齢者がん診療のキホン【高齢者がん治療 虎の巻】第2回

講師紹介(2)高齢者がん診療のキホン、治療開始前に患者を評価―GAの実際と活用―<今回のPoint>高齢者がん患者にはGAMが推奨されているGAは初回薬物療法前に、スタッフ誰でもが実施できる体制作りが理想GAの結果は、治療方針や介入の判断に役立つ前回は、構造化された意思決定プロセスを辿ることで、Shared Decision-Making(SDM)の質が高まり、さらにGeriatric Assessment(GA)の実施や結果の解釈にもつながることをお伝えしました。今回は、がん薬物療法を予定する高齢患者に対するGAの実際について解説したいと思います。GAはニューノーマルになっている薬物療法を予定する高齢がん患者に対するGAおよびその結果に基づく介入(GA-guided management:GAM)は、すでに国内外のガイドラインで強く推奨されています。たとえば、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のガイドラインでは、「65歳以上のすべてのがん患者に対して、PSなどの従来の腫瘍学的評価だけでは把握しきれない問題点をGAで明らかにし、その結果に応じた介入を行い、意思決定に反映させるべきである」と記載されています(Evidence quality:High / Strength of recommendation:Strong)1)。また日本でも、「高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024」において、薬物療法を予定する高齢悪性腫瘍患者へのCGAの実施は、「エビデンスの強さA、推奨度1、合意率100%」で推奨されています(図1)2)。これは、GAMによって患者のアウトカムが改善されたとするランダム化比較試験が多数報告されていることが背景にあります。(図1)画像を拡大する加えて、令和5年度からはがん診療連携拠点病院の施設要件3)に「意思決定能力を含む機能評価を実施すること」という項目が追加されており、GAを導入する施設は着実に増加しています。2024年秋の調査(日本臨床腫瘍学会老年腫瘍WG)では約40%の施設がGAを実施していると報告されています。GAはいつ・誰が・どう使う?GAツールとしては、Geriatric8(G8)とCGA7が代表的です。とくにG8は栄養状態に関する評価に優れており、ある程度包括的な機能評価も可能なことから、スクリーニング目的で広く用いられている印象があります(表1)。(表1)G8スクリーニングシート画像を拡大するそして、現場でよく聞かれるのが、「GAはいつ、誰が、どのように評価し、どう活用するのか?」という点です。●いつ?GAMの有効性を示した臨床試験の多くは、初回薬物療法の前にGAを実施しています。したがって、外来または入院時にGAを行い、カンファレンスで結果を共有し、治療レジメンを検討する流れが望まれます。私自身は、病理診断確定後に患者さんへ告知したタイミングで、いったん待合へ移動していただき、その場でGAを実施することが多くあります。●誰が?GAは、医師・看護師・薬剤師など多職種で柔軟に実施できる体制を整えることが理想です。2024年のCGAに基づく診療・ケアガイドラインでは、とくに看護師による実施が強く推奨されています(図2)が、特定の職種に限定されるものではなく、関わるすべての医療者が一定のスキルをもって対応できる環境づくりが重要です。その上で、医師はGAの構成項目や評価の意義を理解しておくことが不可欠です。治療方針を決定する際に、GAの結果がどう活用できるかを判断する力は、まさに医師の重要な役割となります。●どう使う?たとえばG8で15点以上であれば「perfect health」と判断し、標準治療も検討可能です。一方、14点未満であれば、どの項目でスコアを失点しているかを確認し、追加の詳細なGAを行うか、必要な介入を検討する流れとなります。以上の話を踏まえ、前回の症例にGAを実施してみましょう。<症例>(第1回と同じ患者)88歳、女性。進行肺がんと診断され、本人は『できることがあるなら治療したい』と希望している。既往に高血圧症、糖尿病と軽度の認知機能低下があり、パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は1〜2。診察には娘が同席し、『年齢的にも無理はさせたくない。でも本人が治療を望んでいるなら…』と戸惑いを見せる。遺伝子変異検査ではドライバー変異なし、PD-L1発現25%。告知後、看護師が待合でG8を実施したところ、スコアは10.5点(失点項目:年齢、併用薬数、外出の制限など)。改訂長谷川式簡易知能評価(HDS-R)は20点で認知症の可能性あり。多職種カンファレンスでは、免疫チェックポイント阻害薬の単剤投与を提案。薬剤師には併用薬の整理を、MSWには家庭環境の支援を依頼し、チームで治療準備を整えることとした(次回に続く)。GAの結果がカンファレンスで患者情報の一部として共有されるだけでも、必要な介入が可視化され、治療方針の検討がスムーズになることが実感できたのではないでしょうか。次回は、老年医学の視点から見た高齢者がん診療の考え方について、さらに深掘りしてお伝えします。高齢者がん診療でよく登場するGeriatric-8(G8)とは何か?G8はもともと栄養状態の評価を目的に開発されたMNA(Mini Nutritional Assessment)をベースに、Belleraら4)により2005年に開発された高齢がん患者向けの簡便なスクリーニングツールです。CGAで2項目以上の脆弱性のある項目を有する高齢がん患者を感度82%・特異度63%で識別できると報告されており5)、簡便で臨床現場で扱いやすいことから広く用いられています。一方で、日本人やがん種別でのカットオフ値の適正化や、得られた結果をどのように利用すべきかなど、現場での課題も少なくありません。たとえば、日本人の75歳以上の高齢肺がん患者におけるG8陽性率は80%を超えるとの報告もあります。私自身は、G8スコアが15点以上の患者は“perfect health”と判断し、若年者と同様の治療を検討可能と考えています。一方、14点以下の場合は失点項目を確認し、必要な介入を加えたうえで、高齢者に特化したエビデンスのあるレジメンの選択や、full doseで若年者と同様のレジメンを選択する場合には十分な支持療法を必ず併用するなど、対応を検討するようにしています。1)Dale W, et al. J Clin Oncol. 2023;41:4293-4312.2)老年医学会ほか編. 高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024. 2024. 南山堂.3)厚生労働省:がん診療連携拠点病院等の整備について4)Bellera CA, et al. Ann Oncol. 2012;23:2166-2172.5)Bruijnen CP, et al. J Geriatr Oncol. 2021;12:793-798.

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第28回 脳や胎盤からも…体内に侵入するマイクロプラスチックの脅威

私たちが日常的に使うペットボトル、食品トレイ、合成繊維の衣類。便利さの裏側で、これらのプラスチック製品が劣化して生まれる微小な粒子「マイクロ・ナノプラスチック(MNP)」が、地球環境だけでなく、私たちの体内にまで侵入していることが、科学的に明らかになってきました。医学界で最も権威のある学術誌の一つのNature Medicine誌に掲載された最新のレビュー論文1)は、この見えない脅威に関する世界中の研究をまとめ、その健康への影響について深刻な警鐘を鳴らしています。この記事では、この論文で示された科学の最前線をわかりやすく解説し、不確実な時代の中で私たちが今日から実践できることを探ります。私たちの体はどこまで汚染されているのか?かつて、マイクロプラスチックは主に海の問題だと考えられていました。しかし、研究が進むにつれ、事態はより深刻であることがわかってきました。マイクロプラスチックは空気、水、食物を通じて私たちの体内に侵入し、もはや体の「どこにでも存在する」汚染物質となりつつあります。実際に、これまでに行われた調査では、体内の以下のような場所からマイクロプラスチックが検出されています。血液肺胎盤脳肝臓、腎臓生殖器(精巣など)実験室レベルの研究では、マイクロプラスチックが肺や腸の細胞バリアを通過し、血流に乗って全身に運ばれることが示されています。母親が曝露することで、胎盤を通じて胎児にまで到達する可能性も指摘されており、次世代への影響も懸念されているのです。これらの粒子は、自動車のタイヤの摩耗、合成繊維の衣類の洗濯、そして街に捨てられたプラスチックごみの劣化など、ごくありふれた日常の中から絶えず発生しています。私たちは、呼吸をし、食事をするだけで、知らず知らずのうちにこれらの微小なプラスチックを体内に取り込んでいるのです。健康への影響は?科学が示す「懸念すべき兆候」では、体内に侵入したマイクロプラスチックは、私たちの健康にどのような影響を与えるのでしょうか? 論文では、断定的な結論を出すのはまだ時期尚早としながらも、世界中の研究が示す「懸念すべき兆候」をいくつか挙げています。これまでの研究の中では、マイクロプラスチックの体内濃度が高い人で、特定の健康問題との関連が報告され始めています。たとえば、アテローム性動脈硬化症の患者の血管プラークからマイクロプラスチックが検出され、その存在が心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中)のリスク上昇と関連していたという報告があります。そのほかにも、免疫系や生殖能力への影響などが示唆されています。動物や細胞を用いた実験レベルでは、より具体的な有害性が観察されています。酸化ストレスと炎症多くの実験で、マイクロプラスチックが細胞に酸化ストレス(体のサビ)を引き起こし、炎症反応を誘発することが確認されています。これは、さまざまな慢性疾患の引き金となりうる反応です。細胞機能の阻害細胞のエネルギー産生工場であるミトコンドリアの活動を低下させたり、細胞死を引き起こしたりする可能性が報告されています。バリア機能の破壊腸や肺のバリア機能を損なう可能性が指摘されています。バリアが壊れると、有害物質が血中に侵入しやすくなり、全身の健康に影響が及ぶ恐れがあります。ただし、これらの結果の受け止めには慎重でなければなりません。なぜなら、人を対象とした研究はまだ参加者数が少なく、分析方法が不十分な場合があると指摘されているからです。また、病気の組織で多くのプラスチックが見つかったとしても、それが「原因」なのか、あるいは病気によって組織がもろくなった「結果」なのかを判断するのは難しいという点も考慮する必要があります。不確実な時代だからこそ、私たちができること科学的な最終結論が出るまでには、まだ数年かかるかもしれません。しかし、論文の著者らは、健康への影響が不確実であるからといって、対策を待つべきではないと強調しています。なぜなら、プラスチック汚染が地球環境や野生生物に与える悪影響は、すでに疑いようのない事実だからです。環境と私たちの健康、今すぐ行動を起こすことには二重のメリットがあるのです。推奨される具体的なアクションは、マイクロプラスチックの発生源を生活から少しずつ減らしていくことです。1.衣類の見直しフリースのジャケットやポリエステルのシャツなど、合成繊維の衣類は洗濯のたびに大量のマイクロファイバーを放出します。洗濯の際は、マイクロファイバーの流出を抑える専用の洗濯ネットを使用したり、可能な範囲で綿やウールなどの天然繊維製品を選んだりすることが有効かもしれません。2.使い捨てプラスチックを減らすペットボトル飲料やテイクアウト容器の使用を減らすことは、新たなプラスチックごみを削減する上で最も基本的な一歩です。マイボトルやマイバッグを習慣づけるのもいいでしょう。3.プラスチック容器での加熱を避けるプラスチック容器に入った食品を電子レンジで加熱すると、容器の劣化が進み、食品へのマイクロプラスチックの移行を増やす可能性があります。できるだけ陶器やガラスの器に移し替えてから加熱しましょう。4.室内の掃除をこまめに室内のホコリには、カーペットや衣類、家具などから発生したマイクロプラスチックが豊富に含まれています。定期的な拭き掃除や、HEPAフィルター付きの掃除機での清掃は、粒子を吸い込むリスクを減らすのに役立ちます。これらの対策は、曝露をゼロにするものではありませんが、私たちの体に入るマイクロプラスチックの総量を減らすための、現実的で意味のある行動だと考えられます。実際には、それらがどこまで私たちの体に影響をもたらすのかについてはまだよくわかっていませんが、がんや認知症といった病気から身を守ることにつながるのかもしれません。参考文献・参考サイト1)Lamoree MH, et al. Health impacts of microplastic and nanoplastic exposure. Nat Med. 2025 Sep 11. [Epub ahead of print]

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抗不安薬の有効性と受容性の比較〜ネットワークメタ解析

 抗不安薬の副作用と依存リスクを考えると、治療方針の決定においては、その有効性と受容性を詳細に検討する必要がある。スイス・ベルン大学のThomas J. Muller氏らは、不安症治療における抗不安薬の有効性と受容性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析(NMA)を実施した。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2025年8月11日号の報告。 3つのデータベースを用いて抽出した1980〜2020年の研究を対象に、システマティックレビューおよびNMAを実施した。対象患者は、全般性不安症(GAD)または関連する不安症と診断された成人、ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)データが利用可能な成人とし、比較対照群(プラセボ/実薬群)も含めた。主要アウトカムは、有効性(HAM-A合計スコアのベースラインからの変化量の平均差)と受容性(すべての原因による研究中止)とした。 主な結果は以下のとおり。・100件の研究(2万8,637例)を解析した結果、ほとんどの有効薬剤がプラセボよりも不安軽減に有効であることが示唆された。・silexanは、NMAに含まれた唯一の植物性医薬品であった。・有効性が最も高かった薬剤はクロミプラミン、最も低かった薬剤はボルチオキセチンであった。・受容性に関しては、クロミプラミンは研究中止率が最も高く、クロバザムの中止率が最も低かったことから、有効性と受容性は必ずしも一致しないことが示唆された。・特筆すべきは、silexanは非常に有効でありながら、プラセボと同等の受容性を示したことである。・プラセボよりも有害事象が少なかった薬剤は、ジアゼパム、agomelatine、クロバザム、silexanの4剤のみであった。 著者らは「本NMAにより、抗不安薬の有効性と受容性に関する比較が明らかとなった。この結果は、最も包括的な報告であり、不安症成人患者の第1選択治療を導くために利用可能であろう」とまとめている。

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インフルワクチンの効果、若年には有意だが80歳以上で認められず/日本臨床内科医会

 日本臨床内科医会が毎年実施しているインフルエンザに関する前向き多施設コホート研究の統合解析が行われ、インフルエンザワクチンは40歳未満の若年層や基礎疾患のない人々において中等度の有効性を示す一方で、高齢者や基礎疾患を持つ人々では有効性が低下することが明らかになった。日本臨床内科医会 インフルエンザ研究班の河合 直樹氏らによる本研究はJournal of Infection and Public Health誌2025年11月号に掲載された。 研究班は、2002~03年から2018~19年までの17シーズンにわたり、全国543施設から14万8,108例の外来患者を登録した。シーズン前に接種状況を登録、シーズン中にはインフルエンザ様症状で受診した患者の迅速抗原検査結果を登録、シーズン終了後に接種群と非接種群(対照群)における罹患率から毎年の発症予防効果(有効率)を算出した。2002~14年は3価、2015~19年は4価の不活化ワクチンが使用された。ロジスティック回帰分析による調整後、17年間におけるワクチンの発症予防効果を推定した。本解析にはCOVID-19パンデミック前のデータが使われており、超高齢化とCOVID-19後のインフルエンザ再興を背景に、年齢層、基礎疾患、ウイルスタイプ、シーズンごとのワクチン有効性評価を目的としていた。 主な結果は以下のとおり。・14万8,108例の参加者の年齢中央値は58歳、女性が58.7%だった。解析の結果、発症予防におけるワクチン有効率(調整後のシーズン別プール解析)は0~15歳で56%、16~65歳で51%と有意な有効性が示されたが、50歳以上では有効性が徐々に低下し、とくに80歳以上では有意な発症予防効果は確認されなかった。・基礎疾患を有する未接種者の罹患率は、15歳以下では基礎疾患のない患者よりも有意に高かった(p<0.001)。未接種の気管支喘息患者のインフルエンザ罹患率は、疾患なし患者より高く(10.9%対4.0%)、とくに15歳以下の小児(24.2%対12.9%)で顕著であった。気管支喘息小児における調整後ワクチン有効率は60%と疾患なし小児(47%)よりも高かった。・インフルエンザAに対する調整後のワクチンの有効性は40代まで有意であり、インフルエンザBに対しては20代まで有意であった。また、インフルエンザAの未調整のワクチン有効性は40%から15%まで低下(2002~09年と2010~19年の比較)しており、これは近年のA香港型における抗原変異や卵馴化による可能性が示唆された。 研究者らは「本研究は、季節性インフルエンザワクチンが40歳未満の若年層や基礎疾患のない人々において中等度の有効性を示す一方、年齢とともに有効性が低下し、80歳、とくに90歳以上では有意な発症予防効果は確認されないことを示した。これらの知見は、ワクチン応答が低下する可能性のある高齢者に対する高用量やアジュバント添加ワクチンの開発や、標的を絞った戦略の必要性を明らかにしている。とはいえ、そのメカニズムは完全には解明されておらず、今回はクリニックを受診した軽症患者を対象とした解析であることからも、ワクチン接種は依然として入院や重症化リスクを低下させる可能性がある。また、基礎疾患の有無によるワクチン有効性の差は、リスク集団に対する特別な予防戦略の必要性を示している。COVID-19パンデミック後のインフルエンザ再興を見据え、年齢層や基礎疾患に応じたワクチン接種戦略の最適化が求められる」としている。

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医療費適正効果額は1千億円以上、あらためて確認したいバイオシミラーの有効性・安全性

 日本国内で承認されているバイオシミラーは19成分となり、医療費適正化の観点から活用が期待されるが、患者調査における認知度は依然として低く、医療者においても品質に対する理解が十分に定着していない。2025年8月29日、日本バイオシミラー協議会主催のメディアセミナーが開催され、原 文堅氏(愛知県がんセンター乳腺科部)、桜井 なおみ氏(一般社団法人CSRプロジェクト)が、専門医・患者それぞれの立場からみたバイオシミラーの役割について講演した。医師がバイオシミラー使用をためらう理由で最も多いのは「同等性/同質性への懸念」 化学合成医薬品の後発品であるジェネリック医薬品で有効成分の「同一性」の証明が求められるのに対し、分子構造が複雑なバイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーでは同一性を示すことが困難なために、「同等性/同質性」を示すことが求められる。 原氏は「同一性」が証明されたジェネリック医薬品が比較的受け入れられやすいのに対し、バイオシミラーでは「同等性/同質性」という言葉がわかりにくく、意味が浸透していないことが普及の障害になっていると指摘。実際に日本乳学会が会員医師を対象に実施したバイオシミラーに関する意識調査において、使用をためらう理由として最も多かったのは「先発品との製剤の同等性/同質性に懸念があるため(53.7%)」で、「臨床試験で評価していない有効性に対する懸念があるため(46.3%)」との回答が続いた。 「同等性/同質性」とは、「先行バイオ医薬品に対して、バイオシミラーの品質特性がまったく同一であるということを意味するのではなく、品質特性において類似性が高く、かつ、品質特性に何らかの差異があったとしても、最終製品の安全性や有効性に有害な影響を及ぼさないと科学的に判断できること」と定義されている1)。先行バイオ医薬品にも品質の「ばらつき」はある バイオ医薬品は、化学合成医薬品より複雑で巨大な分子を持ち、動物細胞を用いて生産されるために、同じ医薬品でも製品ごとにばらつきが生じる可能性がある。そのため先行バイオ医薬品においても、そのばらつきが有効性や安全性に影響を与えない範囲内に収まるように、ICH(日米欧医薬品規制調和国際会議)のガイドライン(ICH-Q5E)により厳格に管理されている。同じガイドラインがバイオシミラーの同等性/同質性評価にも適用されており、「先発品も後発品も品質特性について一定のばらつき・ブレ幅の中で管理されている」と原氏は解説した。 がん治療においてバイオ医薬品である抗体医薬品はもはや欠かせない存在であり、今後も承認の増加が見込まれ、医療費増加の一因となることは間違いない。バイオシミラーの薬価は先行バイオ医薬品の70%とされており、バイオシミラー全体の2024年度の医療費適正効果額は1,103億円に上る。原氏は、「日本の医療保険制度を持続可能なものとするために、バイオシミラーの普及・啓発はますます重要」として講演を締めくくった。高額療養費制度の見直し議論とバイオシミラー 続いて登壇した桜井氏は、持続可能な社会保障制度におけるバイオシミラーの位置付けについて講演した。大きな議論となった高額療養費制度見直し案は「負担能力に応じた負担」を患者側に求めるものであり、一部の層(70歳未満で年収約1,650万円以上および年収約650~770万円)では現行と比較して70%以上も負担限度額が大きくなるものであった。さらに、これらの案を適用した場合、WHOが定義する破滅的医療支出(catastrophic health expenditure:自己負担額が医療費支払い能力の40%以上の状態)に全体で17.0%、年収550万円未満の世帯では36.4%が該当するという推計データを紹介した。 全国がん患者団体連合会として「高額療養費制度における負担上限額引き上げの検討に関する要望書」2)を提出した背景に、ここに手を入れる前に他にやるべきことはないのかを提起する意図があったと説明。社会保障制度を持続可能なものとしていくためには、OTC類似薬やバイオシミラーの活用も含め、さまざまな視点から国民的な議論が必要とした。 バイオシミラーに関しては、今後何も対策を講じない場合には「バイオシミラーのラグ・ロス」が起こる可能性に懸念を示し、「学会がガイドラインなどでバイオシミラーをもっと明確に位置付けていくこと」「バイオシミラーを製造する企業に対するインセンティブの仕組みなどについて議論していくこと」が必要ではないかと提起した。 なお、日本バイオシミラー協議会のホームページでは、「バイオシミラーの市販後の臨床研究に関する論文情報」や、患者説明用の動画などが公開されている。

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「また、にしない。まだ、にしない。」認知症早期対応のための合言葉を発表/リリー

 近年、認知症基本法の施行や、アルツハイマー病(AD)疾患修飾薬の登場などを背景として認知症診療は大きな転換期を迎え、かつての「症状が進行した後のケア」から、「MCI(軽度認知障害)を含む早期段階からの介入」へと、臨床現場の役割は大きく変化しつつある。こうした中、認知症月間である9月10日に、日本イーライリリーの主催で「『認知症に早めに対応するための合言葉』および『MCI/認知症当事者等への意識調査』に関するメディア発表会」が開催された。 本セミナーでは、古和 久朋氏(神戸大学大学院保健学研究科リハビリテーション科学領域 教授)が、「MCIまたは認知症当事者・家族および一般生活者を対象に実施した意識調査」で明らかになった実態を踏まえ、認知症に早期に対応する重要性について解説し、続いて、井原 涼子氏(東京都健康長寿医療センター 健康長寿イノベーションセンター 臨床開発ユニット長)が、臨床現場での経験を踏まえ、このたび発表された合言葉「また、にしない。まだ、にしない。」の考案経緯について語った。早期受診の重要性、当事者と一般生活者の認識のギャップ 古和氏が監修した今回の意識調査は、MCIまたはアルツハイマー型認知症と診断された55~79歳の当事者とその家族190人、および20~79歳の一般生活者1,053人を対象に、2025年6月に実施された。 本調査の主な結果を古和氏は以下のように挙げた。・MCI/軽度認知症の当事者・家族の92%が「自分のことは自分でできる」または「誰かが支援すれば自立できる」と回答し、診断後も自立した生活をおおむね維持できていることが示された。また、45%が趣味や仕事を含めて生活を維持できていると回答した。・認知症を疑ったタイミングについて、認知症中等度以上の当事者・家族の34%(最多値)が「仕事や家事のミスが増え、同僚・家族には認知機能低下がわかる」段階であったのに対し、MCI/軽度認知症の当事者・家族の34%(最多値)が、「たまにものを置き忘れる、有名人の名前が出てこない」というより早期の段階で積極的に疑っていた。・「もの忘れ」の違和感で受診するタイミングについて、「すぐに」または「しばらく続いたら」受診すると回答したのは、MCI/軽度認知症の当事者・家族では77%だったのに対して、一般生活者では48%と低かった。もの忘れ以外の健康全般の違和感で受診するタイミングは、MCI/軽度認知症の当事者・家族では75%、一般生活者でも67%と高い水準であり、一般生活者の認知症・もの忘れに関する危機感の低さが顕著に表れた。・MCI/軽度認知症の当事者・家族の76%が、早い段階で受診できてよかったと回答した。 古和氏は本結果について、MCI/認知症の早期の気付き・対応は、当事者が「自分らしい暮らし」を維持する可能性を高める重要な要素であり、ちょっとしたもの忘れを自覚したり周囲の人が気付いたら、年のせい・気のせいにしたりせず、早めに受診することが「当たり前」となる社会を作っていくことが、認知症共生社会を目指すうえでも重要だとまとめた。40%以上が「初診の遅れ」で治療の好機を逃す 続いて登壇した井原氏は、同意識調査の結果において、臨床現場の厳しい現実を示すデータとして、MCIまたはアルツハイマー型認知症当事者・家族が、症状の異変に気付いてから初診までに1年以上を要した人が41%に上ることを提示した。井原氏は「認知症の新薬は早期のほうが効果が高いこともあり、より良い医療を提供したい思いからも早期受診をしてほしい」と述べた。認知症早期発見・対応のための新たな「合言葉」 MCI/認知症に関する異変を感じたとき、受診が面倒、あるいは、認知症と診断されてしまうのが怖いという思いから、多くの人が相談をためらい、そのまま放置してしまう現状に対して、そのような認知症のイメージを変え、誰もが早めの一歩を踏み出せるように、新たな合言葉が考案された。【認知症に早めに対応するための合言葉】『また、にしない。まだ、にしない。』“また”疲れのせい、にしない。“また”年のせい、にしない。“まだ”早い、と思わない。“まだ”大丈夫、と思わない。ご自身も、ご家族も、このように“また”、“まだ”、と気のせいにしないでください。 井原氏は、合言葉の考案プロセスについて、当事者・家族、専門医、賛同企業が協力し、多様な観点を取り入れた「インクルーシブデザイン」の手法を採用し、一般の人にもより浸透しやすい言葉になるように配慮されていることを説明した。 当事者や家族が異変を感じても、「また疲れのせい」「また年のせい」として自身を納得させて受診を先延ばしすることが問題の中心にあり、それに直接働きかけることを意図して、この合言葉が考案されている。井原氏は、誰にでもMCI/認知症の当事者になる可能性があり、それを皆が意識することで「早期の気付き・早期対応が当たり前の社会」の実現につなげていきたいと語った。また、プライマリケア医は患者が訴える些細な変化を「年のせい」と見過ごすことなく、必要に応じて検査や専門医への紹介につなげる初期対応の重要性を訴えた。絶望ではなく、希望と準備へつなげる 講演後のトークセッションでは、古和氏、井原氏に加え、花俣 ふみ代氏(認知症の人と家族の会 副代表理事/介護福祉士)、平井 正明氏(同会理事/当事者)、俳優の高畑 淳子氏が登壇した。 高畑氏は、昨年亡くなった自身の母親の認知症のサインとして「お皿がヌメヌメしていた」「几帳面な母なのに部屋が埃っぽく汚れていた」という、見過ごされがちなADL低下の具体例を挙げた。当時は母が「心臓が苦しい」と訴えていたためその受診を優先したが、今振り返るとアルツハイマー病の受診は後回しにしてしまっていたと語った。さらに、「ほかの病気は人間ドックで早期発見することが『良いこと』と認識されているのに、認知症にはその感覚が浸透していない」と指摘した。 56歳でMCIと診断された平井氏は、当事者同士で交流を持ち活動する中で、「もっと早く気付いていれば、と後悔する人がほとんど」であり、早く向き合うことで、仕事や生活を維持する環境を整えられるなど、後の人生にとって大きなプラスとなると、早期診断の重要性を語った。 支援者の花俣氏は、受診が遅れる根本的な原因として、社会に根強く残る「認知症に対する偏見や誤解」を挙げた。「認知症になったら終わり」というイメージが、本人や家族が現実から目をそむけ、受診を先送りさせてしまう。診断後の孤立を防ぎ、支援の輪につながることこそが、早期診断の最大のメリットであると強調した。【調査概要】調査主体:日本イーライリリー株式会社実査:株式会社メディリード調査手法:インターネット調査調査地域:日本全国実施期間:2025年6月13日~6月24日調査対象:【MCIまたは認知症の当事者・家族】55~79歳のMCIまたは認知症(アルツハイマー型/アルツハイマー病による認知症)と診断されている当事者もしくは家族【一般生活者】20~79歳有効回答数:MCIまたは認知症当事者・家族190人(うち、MCIまたは軽度認知症は94人)、一般生活者1,053人監修:神戸大学大学院保健学研究科リハビリテーション科学領域 教授 同認知症予防推進センター長 古和 久朋氏

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前立腺がん診断、bpMRIは標準検査になりうる/JAMA

 前立腺がんが疑われる男性において、短縮化されたバイパラメトリックMRI(bpMRI)検査は、提供された画像の質が十分であれば標的生検の有無にかかわらず、前立腺がん診断の新たな標準検査となりうることを、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAlexander B.C.D. Ng氏らPRIME Study Group Collaboratorsが示した。生検の有無を問わない臨床的に重要な前立腺がんの診断では、マルチパラメトリックMRI(mpMRI)が検査の標準となっているが、リソースのキャパシティが広範な導入を妨げている。ガドリニウム造影剤を使用しないbpMRIは、より短時間かつ安価な代替法で、世界中の医療システムにとって時間短縮によりキャパシティが改善される。著者は、「世界では年間400万件の前立腺MRI検査が行われていることから、bpMRIは、世界中の検査処理能力を大幅に増強しかつコスト削減を可能とするだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年9月10日号掲載の報告。bpMRIのmpMRIに対する非劣性を検証 研究グループは、臨床的に重要な前立腺がんの診断において、bpMRIのmpMRIに対する非劣性を前向き多施設共同within-patient試験にて検証した。 試験は、2022年4月~2023年9月に12ヵ国22施設で、臨床的に前立腺がんが疑われる(PSA上昇および/または直腸診で異常所見)、生検未経験の男性を対象に行われた。最終フォローアップは2024年12月3日。 被験者は、T2強調画像、拡散強調画像、およびダイナミック造影(DCE)シークエンスを含むmpMRIを受けた。放射線科医は、最初に短縮化されたbpMRI(T2強調画像、拡散強調画像)に基づく診断結果を報告し、DCEシークエンスは盲検化。盲検解除後に放射線科医はDCEシークエンスを含む完全なmpMRIに基づく診断結果を報告した。 患者は、bpMRIまたはmpMRIのいずれかにおいて、臨床的に重要な前立腺がんが疑われた場合、系統的な生検の有無を問わず標的生検を受けた。 主要アウトカムは、臨床的に重要な前立腺がん(Gleason Grade Group≧2と定義)であった男性の割合。副次アウトカムは、臨床的に重要でないがんを有する男性の割合などとした。非劣性マージンは5%と定義した。臨床的に重要な前立腺がんの検出、bpMRIで29.2%、mpMRIで29.6% 登録された男性555例のうち、490例が主要アウトカムの解析に含まれた。年齢中央値は65歳(四分位範囲[IQR]:59~70)、PSA中央値は5.6ng/mL(4.4~8.0)。直腸診で異常所見が認められた被験者の割合は12.7%であった。 bpMRIはmpMRIに対して非劣性であることが示された。臨床的に重要な前立腺がんが検出されたのは、bpMRIでは143/490例(29.2%)、mpMRIでは145/490例(29.6%)であった(群間差:-0.4%ポイント[95%信頼区間[CI]:-1.2~0.4]、p=0.50)。 臨床的に重要でないがんが検出されたのは、bpMRIでは45/490例(9.2%)、mpMRIでは47/490例(9.6%)であった(群間差:-0.4%ポイント[95%CI:-1.2~0.4])。 中央画像判定により、画像検査(スキャン)の99%が質的に十分であることが示された。

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LVEF保持/軽度低下例へのβ遮断薬、死亡・MACEの複合を抑制/NEJM

 ノルウェー・Drammen HospitalのJohn Munkhaugen氏らBETAMI-DANBLOCK Investigatorsは、左室駆出率(LVEF)が保持または軽度低下していた心筋梗塞後の患者において、β遮断薬の投与は非投与の場合と比較して、死亡または主要心血管イベント(MACE)のリスク低下に結びついたことを報告した。心筋梗塞後のβ遮断薬療法を支持するエビデンスは、現代の再灌流療法や2次予防戦略が導入される以前に確立されたものであり、研究グループは、「加えて、β遮断薬療法は狭心症症状の緩和、および心室性不整脈ならびに心不全の発症率の低下と関連している」として、類似するプロトコールが用いられていた心筋梗塞後のβ遮断薬療法に関する2つの試験(ノルウェー[BETAMI試験]とデンマーク[DANBLOCK試験])を統合評価した。NEJM誌オンライン版2025年8月30日号掲載の報告。β遮断薬療法適応あり患者を除外、長期β遮断薬療法vs.非β遮断薬療法を評価 2つの試験はいずれも非盲検無作為化エンドポイント評価者盲検にて行われ、被験者は、type 1心筋梗塞でLVEF≧40%、7日以内にインフォームド・コンセント(IC)を受けた患者(BETAMI試験)またはtype 1または2心筋梗塞でLVEF 40%超、14日以内にICを受けた患者(DANBLOCK試験)であった。両試験における主な除外基準は、心不全またはその他のβ遮断薬療法適応の診断を受けていたこと、ならびにβ遮断薬療法が禁忌であったこと。心筋梗塞前のβ遮断薬の投与は問われていなかった。 適格被験者は、1対1の割合で、イベント14日以内に長期β遮断薬療法群または非β遮断薬療法群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、全死因死亡またはMACE(再梗塞、予定外の冠動脈血行再建術、虚血性脳卒中、心不全、または悪性心室性不整脈)発生の複合であった。追跡期間中央値3.5年後、主要エンドポイント発生は14.2%vs.16.3%で有意差 計5,574例が無作為化を受け主要解析に含まれた(β遮断薬療法群2,783例、非β遮断薬療法群2,791例)。 追跡期間中央値3.5年(四分位範囲:2.2~4.6)後、主要エンドポイントのイベント発生は、β遮断薬療法群394例(14.2%)、非β遮断薬療法群454例(16.3%)であった(ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.75~0.98、p=0.03)。 エンドポイントを個別にみると、全死因死亡はそれぞれ4.2%と4.4%であり、再梗塞は5.0%と6.7%であった(HR:0.73、95%CI:0.59~0.92)。また、予定外の冠動脈血行再建術は3.9%と3.9%、虚血性脳卒中は1.6%と1.3%、心不全は1.5%と1.9%、悪性心室性不整脈は0.5%と0.6%であった。 安全性アウトカムに関する明らかな差は、両群間でみられなかった。 著者は、「本試験は、副次エンドポイントを統計学的に評価するようデザインされていなかったが、β遮断薬群に割り付けられた患者において再梗塞の発生率が低かったようであった」と考察している。

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タルラタマブ、サイトカイン放出症候群の警告追記/厚労省

 タルラタマブについて、サイトカイン放出症候群が生じて死亡に至った症例が3例(うち、医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は1例)報告されていることを受け、厚生労働省は2025年9月17日に添付文書の改訂指示を発出し、「警告」の項に追記がなされた1)。 改訂後の警告の記載は以下のとおり(下線部が変更箇所)。1. 警告1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。1.2 重度のサイトカイン放出症候群及び神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)があらわれることがあり、サイトカイン放出症候群では死亡に至った例も報告されているので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。1.2.1 特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。1.2.2 重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。1.2.3 重度の神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。 なお、サイトカイン放出症候群として報告された国内副作用症例が2025年8月15日時点で268例集積し(推定使用患者数848例)、うちGrade3が8例、Grade4が1例、転帰死亡が3例報告されていることを受け、アムジェンは「適正使用のお願い『サイトカイン放出症候群』について(第2版)」を発出した2)。投与中のモニタリング、サイトカイン放出症候群に対する対処に関して、サイトカイン放出症候群管理ガイダンスに従ってサイトカイン放出症候群の症状(体温、血圧、パルスオキシメトリー等)を定期的に確認すること、症状発現後は副腎皮質ホルモン(デキサメタゾン)、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与を検討すべきことが注意喚起されている。

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GLP-1受容体作動薬は気候変動対策にも有益

 肥満症治療薬として使用されているオゼンピックやゼップバウンドなどのGLP-1受容体作動薬は、単に体重を減らすだけでなく、地球環境の保護にも役立っている可能性のあることが、新たな研究で示された。これらの薬が心不全患者の減量目的で使用されると、温室効果ガス排出量の削減につながるという。米Lahey病院・医療センターのSarju Ganatra氏らによるこの研究結果は、欧州心臓病学会年次総会(ESC Congress 2025、8月29日~9月1日、スペイン・マドリード)で発表された。 Ganatra氏らは、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)患者(GLP-1受容体作動薬を投与された患者1,914人、プラセボを投与された患者1,829人)を対象とした4件の臨床試験のデータを統合して解析した。HFpEFとは、心臓の収縮機能は保たれているものの、心筋が硬いために十分に拡張できず、血液を十分に取り込めない状態を指す。米国心臓病学会(ACC)によれば、心不全患者のほぼ半数がこのタイプに分類される。 心不全悪化イベントの発生数は、GLP-1受容体作動薬を投与された患者では54件であったのに対し、プラセボを投与された患者では86件だった。心不全悪化イベントには入院と病院の往復を伴うと仮定して二酸化炭素(CO2)排出量を推算すると、GLP-1受容体作動薬を使用したHFpEF患者の年間CO2排出量は1人当たり9.45kgと推定され、プラセボ群の9.7kgと比べて少ないことが示された。 Ganatra氏は、「この数値をGLP-1受容体作動薬による治療の対象となる何百万人もの患者に当てはめると、20億kg以上のCO2換算量の削減につながる」と言う。同氏らによると、20億kgのCO2は、満席のボーイング747型機の長距離フライト2万便にほぼ相当し、また、この量のCO2を吸収するには、植えられてから10年が経過した約3,000万本の木が必要になるという。 Ganatra氏はさらに、ESCのニュースリリースの中で、医療廃棄物の発生量や水の使用量についても、同様の規模の削減が見られた」と述べている。その上で同氏は、「今回の研究は、個々の小さな改善の積み重ねが、集団全体として大きなインパクトをもたらすことを明確に示している」と説明している。 さらに、GLP-1受容体作動薬を使用した患者では食物の摂取量が減り、そのことが気候にも良い影響を与えると推定された。Ganatra氏らの推計によると、プラセボ群と比べてGLP-1受容体作動薬群では1日当たりの摂取カロリーが減少したことで年間およそ695kg分のCO2排出量の削減につながったという。 今回の研究結果についてGanatra氏は、「薬物治療から患者の健康状態の改善と地球環境の健全化という2つのメリットを得られる可能性を示した結果だといえる」と述べ、「将来的には政策立案者が医療技術の評価や医薬品の保険適用の決定、医薬品調達の枠組みなどにサステナビリティの指標を組み込むことを期待している」と付け加えた。 Ganatra氏らは次の段階として、実際の排出データと臨床アウトカムを用いてモデルを検証する予定だ。同氏は、「将来的には、臨床試験のデザインや医薬品の規制プロセス、処方の決定に環境への影響が組み込まれ、医療システムがプラネタリーヘルス(地球環境と人類の健康の両立)に関する目標と連携できるようになることを期待している」と話している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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アルドステロンの心血管系に対する直接作用は?(解説:浦信行氏)

 アルドステロンは腎臓におけるNa再吸収亢進作用などにより体液量増大、Na貯留、昇圧作用などを介して心臓を含む臓器障害を発症・増悪させる。重症腎機能障害を有さない症例において、スピロノラクトンを中心とした鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は心不全や心血管死を有意に減少させることが、いくつかの臨床試験で明らかになっている。 一方、透析療法を受けている症例での心保護作用は明らかではなく、安全性も確立されていない。本年8月号のLancet誌では同一研究グループの2つの論文が掲載された。1つは3,689例を対象とし、スピロノラクトン25mg使用群と対照群に2分したRCTのACHIEVE試験(Walsh M, et al. Lancet. 2025;406:695-704.)で、もう1つはこの試験を含む4,349例を対象としたメタ解析(Pyne L, et al. Lancet. 2025;406:811-820.)である。この2論文の解説はCareNet.com(ジャーナル四天王2025年8月28日配信、9月3日配信)に詳述されており、ぜひ一読願いたいが結果はいずれも有意な効果を示さなかった。また、安全性に関しては実薬群で高K血症と女性化乳房が有意に多かった。 腎作用を期待できない症例ではMRAの心保護効果は証明できなかったわけであるが、この研究グループは2016年に先行メタ解析研究(Quach K, et al. Am J Kidney Dis. 2016;68:591-598.)の結果を報告している。その結果は、実薬群の高K血症は有意に多かったが、心血管死や全死亡が対照群の34~40%に有意に抑えられていた。しかし採用された9試験の合計症例は829例にとどまっており、またバイアス・リスクが低いものは5〜6試験で、かつ半数以上の試験が1年以内の短期試験であり、著者らも小規模試験で質が高くないものであることから、より十分な試験期間と規模の大きい質の高い試験で再度検討する必要があるとの考察であった。 今回のACHIEVE試験は大規模で質の高い試験であり、メタ解析もACHIEVE試験に644症例で検討したALCHEMIST試験が加わっており、症例数や質の部分でも高い試験の解析であったが、MRAの有意性は示されなかった。MRは腎臓のみならず、心筋や血管にもあり、また心筋局所からアルドステロン生成・分泌が明らかとなっており、心肥大や線維化などの作用が報告されている。腎作用が期待できない透析例では心作用の意義は大きくないとの解釈もできるが、これらの成績はステロイド骨格を有するMRAでの検討である。これらのMRAは他のステロイド受容体への作用が無視できない。事実、女性化乳房の発症が有意に多かった。 また、ACHIEVE試験での1次エンドポイントは女性ではHR:1.23(0.91~1.67)、男性では0.81(0.66~0.99)で性差があり、かつ、男性では19%有意なイベント抑制効果の可能性も示された。今後は非ステロイド骨格MRAでの検討や、性別での検討も必要になろう。また、透析例の心機能の評価も、より厳密な評価条件が必要であろう。UCGでの評価は体液量の変化でEFは大きく異なる。2群間比較試験では、群分けの段階で一定の条件下での評価が必要である。

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米国ドラマ「24」【その1】なんでショックで記憶喪失になるの? なんで恐怖で腰が抜けるの?-「解離=ローカルスリープ」説

今回のキーワード全生活史健忘迷走神経反射ポリヴェーガル理論離人感・現実感消失症ローカルスリープ解離性神経学的症状症[目次]1.記憶喪失の特徴とは?2.なんでショックで失神するの?―ポリヴェーガル理論3.なんでショックで記憶喪失や腰抜けになるの?-「解離=ローカルスリープ」説ショックで自分が誰で今までどう生きてきたかの記憶すべてを急に思い出せなくなる…いわゆる記憶喪失は何とも不思議です。なぜショックで記憶喪失になるのでしょうか? また、恐怖で腰が抜けて立てなくなるのも、よくよく考えると、腰には医学的な問題はなく、脳の問題です。どうなっているのでしょうか?これらの謎を解き明かすために、今回は米国ドラマ「24(トゥエンティ・フォー)」のあるシーンを取り上げ、記憶喪失の特徴を説明します。そして、脳科学の視点から、ある仮説をこの記事で提唱し、記憶喪失や腰抜けをはじめとして意識から精神機能や身体機能が分離する病態(解離症)のメカニズムを解き明かします。さらに、進化医学の視点から、これらの病態の起源に迫ります。なお、記憶喪失の正式名称は解離性健忘です。ただ、この記事では、わかりやすさを優先して、よく使われる通称の「記憶喪失」で表記します。記憶喪失の特徴とは?主人公は、米国の連邦捜査官ジャック・バウアー。彼が、テロリストと戦う24時間を毎回1時間ずつのドラマに分けて、時間軸に沿ってそれぞれの登場人物の視点からリアルタイムで展開していくつくりになっています。毎回のエピソードではらはらさせられて「次はどうなるの?」と気になり、私たちも視聴者という立場で「24」になってしまいそうになります。そのなかのあるシーンで、彼の妻テリーが記憶喪失になりますが、とてもリアリティがありました。そこで、彼女の言動から、記憶喪失の特徴を大きく3つ挙げてみましょう。(1)直前にトラウマ体験がある-重度ストレステリーは、娘と一緒にテロリストの隠れ家に人質として誘拐されていました。そんななか、2人で脱出して山道を車で逃走するのですが、テリーは追っ手をまいたか確かめるために、途中で車を止めて出ます。その直後、まだ娘を乗せている車が崖から滑り落ちてしまい、爆発して炎に包まれるのです。テリーは、その瞬間、テリーは娘が死んだと思い、あまりのショックで気を失います。1つ目の特徴は、直前にトラウマ体験があることです。精神医学的には、重度ストレスと言い換えられます。実際に、記憶喪失の先行要因として、災害や戦争などが指摘されています1)。(2)自分についてすべて思い出せない-全生活史健忘テリーは、数分後に目を覚まし、車道をふらふらと歩き出します。たまたま車で通りがかった女性から不審がられて、「ねえ、大丈夫? どうしたの?」と声をかけられますが、テリーは何も言えません。「名前は?」と聞かれても、「思い出せない」としか答えないのです。こうして、近くの病院まで送ってもらうことになります。2つ目の特徴は、自分についてすべて思い出せないことです。精神医学的には、全生活史健忘(全般性健忘)と呼ばれます。自分の名前や生い立ちをすべて思い出せなくなるのですが、言葉自体や一般常識は覚えていて、話は通じます。つまり、記憶障害になるのは、エピソード記憶のみであり、意味記憶は保たれています。なお、すべてのエピソード(全生活史)ではなく、特定のエピソード(トラウマ体験)だけが思い出せない場合は、選択的健忘と呼ばれます。(3)ぼうっとしている-「美しき無関心」テリーは、車に乗せてくれた女性から、「記憶喪失の人、初めて見たわ」「つらいでしょ?」と言われても返事をせず、心ここにあらずです。3つ目の特徴は、ぼうっとしていることです。精神医学的には、従来から「美しき無関心」(もうろう状態)と呼ばれてきました。自分の記憶がないことに対して、戸惑うというよりも、むしろ無関心なのです。「ここはどこ? 私は誰?」とあわてふためくことは実はなく、むしろ清々しくも見えてしまうのです。なんでショックで失神するの?―ポリヴェーガル理論テリーは、「目の前で自分の娘が炎に包まれて死んだ」と思い、そのショックから気を失いました。このような失神は、実は私たちにも身近で、歯の治療や採血などでの痛みから極度の恐怖を感じた時にも見られます。これは、迷走神経反射(神経原性ショック)と呼ばれています。それでは、なぜショックで失神するのでしょうか?このメカニズムは、ポリヴェーガル理論(多層迷走理論)から説明することができます2)。この理論を簡単に言うと、私たちの体は、恐怖がなければ、副交感神経系(主に腹側迷走神経複合体)が働いて心拍や血圧が安定して、低活動の状態です。しかし、恐怖(ストレス)があれば、交感神経系(交換神経幹)が働いて心拍や血圧が上がり、過活動になります。そして、絶体絶命なほどの極度の恐怖(重度ストレス)になると、今度は副交感神経系(背側迷走神経複合体)がより働くように切り替わり、逆に心拍や血圧が下がり、不活性化します。このように、「第3の自律神経」(背側迷走神経複合体)を含んだ自律神経系は多層的に機能していると考えられています。イメージとしては、副交感神経優位は安静モード、交感神経優位は興奮モード、そして迷走神経反射は絶体絶命モードと言えます。とくに、興奮モードと絶体絶命モードは合わせて、「戦うか逃げるか、または固まるか(”fight, flight, or freeze”)」と呼ばれています。この現象は、体の反応であると同時に、その体をコントロールする脳の反応でもあります。体だけでなく脳も全体的に不活性化するので、意識レベル(覚醒水準)はやや下がり、低覚醒の状態になります。すると、五感や体感の感度が鈍くなり、現実感がなくなった病態(離人感・現実感消失症)になるでしょう。これは、先ほどの「美しき無関心」の症状にも重なります。実際の画像研究では、この離人感・現実感消失症の人は、嫌悪感を刺激する画像への反応において、扁桃体などがある大脳辺縁系の活動性の低下が確かめられています3)。なお、厳密には右前頭葉の一部(腹側前頭前野)は逆に活動性が亢進することも確かめられています。迷走神経反射は、脳全体の活動性が低下するイメージではあるのですが、この部位に限っては、扁桃体と拮抗関係にあることから、扁桃体の活動性が低下した結果、二次的にこの部位の活動性が亢進してしまったと理解することができます。そして、この部位は自己意識を司る脳領域であることから、この二次的な影響は、自分を俯瞰して上から見ているという離人感が出てくるメカニズムを説明することができます。さらには、同じく極限状態である臨死体験でいわゆる幽体離脱をしている感覚になるメカニズムも説明することができます。つまり、極限状況では、迷走神経反射によって逆説的にも変に冷静になってしまうのです。なんでショックで記憶喪失や腰抜けになるの?-「解離=ローカルスリープ」説テリーが記憶喪失になったのは、明らかに「目の前で自分の娘が炎に包まれて死んだ」という重度ストレスです。それでは、実際にどのようにして記憶喪失になるのでしょうか? また、どのようにして腰抜けになるのでしょうか?先ほどのポリヴェーガル理論から、意識からすべての精神機能と身体機能が不活性化する病態(離人感・現実感消失症)のメカニズムは説明できました。しかし、意識から特定の精神機能または身体機能だけが分離して不活性化する病態のメカニズムは説明できません。これを説明できる理論がさらに必要です。そこでご紹介したいのが、ローカルスリープという概念です。これを簡単に言うと、睡眠は脳全体で一様ではなく局所で多様に行われうるということです。実際の研究では、起きている時にストレスのかかった脳の領域ほど深い睡眠になることがわかっています4)。今回の記事で、このローカルスリープの概念を使って、以下の仮説を提唱します。それは、このローカルスリープによって、重度ストレス後に特定の脳領域のニューラルネットワークが文字どおり眠ってしまい完全に不活性化してしまう(機能不全になってしまう)ということです。名付けるなら、「解離=ローカルスリープ」説です。この不活性化という点で、先ほどのポリヴェーガル理論の局所モデルがローカルスリープであると言い換えることができます。たとえば、それぞれの体の部位を司る特定の脳領域のニューラルネットワークがローカルスリープを起こせば、腰を抜かす(脱力発作)、声が出なくなる(失声)、聞こえなくなる(突発性難聴)、喉にボールがあるように感じる(ストレス球)などのさまざまな病態(解離性神経学的症状症または変換症)になるでしょう。これが、腰抜けになるメカニズムです。同じように、記憶を司る特定の脳領域のニューラルネットワークがローカルスリープを起こせば、特定のエピソード(トラウマ体験)だけを思い出せない(選択的健忘)、または自分の名前や今まで自分がどう生きてきたかというすべてのエピソードを思い出せない(全般性健忘)という病態になるでしょう。そしてその後に、何かのきっかけで、または何のきっかけもなく、ようやくそのニューラルネットワークがローカルスリープから脱して(再活性化して)、トラウマ体験を含めて思い出すことができると説明することができます。これが、記憶喪失になるメカニズムです。ちなみに、起きている最中に脳が局所的に不活性化してしまうローカルスリープとは対照的に、深く眠っている最中(ノンレム睡眠中)に、脳が局所的に活性化してしまう「ローカル・アウェイクニング(局所覚醒)」の状態は、睡眠サイクルを含め脳がまだ未発達な子供に見られる「夜泣き」(睡眠時驚愕症)や「夢遊病」(睡眠時遊行症)が当てはまります。 1) DSM-5-TR、p330、p352:日本精神神経学会、医学書院、2023 2) ポリヴェーガル理論入門、p23:ステファン・W・ポージェス、春秋社、2018 3) 心の解離構造、p192、p198:エリザペス・F・ハウエル、金剛出版、2020 4) 睡眠科学、p10:三島和夫、化学同人、2016

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ChatGPTでロールプレイを行う【タイパ時代のAI英語革命】第6回

ChatGPTでロールプレイを行う学んだ英語を「使えるスキル」へと昇華させるためには、もう一歩進んだトレーニングが不可欠です。それが「ロールプレイ」です。ロールプレイは、特定の役割になりきって対話する練習法で、これにより、学んだ単語や表現を実際の文脈の中で使う練習ができ、英語での思考回路と瞬発力を効果的に鍛えることができます。何より、AIが相手であれば、失敗を恐れる必要はありません。納得がいくまで、何度でも同じ場面の練習を繰り返すことができます。ここでは、テキストベースで行う「チャット機能でのロールプレイ」と、より実践的な「音声モードでのロールプレイ」の2つの方法について、具体例を交えて解説します。チャット機能でロールプレイを行うまずは、キーボードで文字を打ち込みながら行う、テキストベースのロールプレイです。こちらは、自分のペースでじっくり考えながら、正確な語彙や文法を使って応答する練習に適しています。プロンプト例#役割あなたはレストランの店員です。#命令レストランの客である私と、英語でロールプレイを行ってください。すると、以下のようなロールプレイが可能です。ServerGood evening, and welcome! My name is Jamie, and I’ll be taking care of you tonight. Can I start you off with something to drink ― perhaps still or sparkling water, or would you like to see our wine list?自分Hi, Jamie. We would like to have still water.ServerAbsolutely, still water it is. I’ll bring that right out for you.In the meantime, would you like a few more minutes to look over the menu, or are you ready to hear about our chef’s specials for the evening?自分We'll look over the menu, thanks.ServerOf course ― take your time. If you have any questions about the menu or dietary preferences, just let me know.I’ll be back shortly with your water.このようにして会話を続けることで、よく使われる表現をインプット・アウトプットすることができます。もし、自分の返答に詰まったり迷ったりしたときは日本語で「答え方の例を教えてください」と質問したり、「『何がお勧めですか』と聞きたいのですが、英語で何と言えばいいですか?」と質問したりすれば、すぐに適切な表現を教えてくれます。また、前回紹介した“Read Aloud”の機能を使えば、ChatGPTが作成した英文を音読してくれるので、リスニング強化につながります。また、“Dictation”の機能を利用すれば音声で入力することができるため、スピーキングの練習を行うこともできます。さらに、一通りの会話が終わった後に、「文法ミスや、より適切な表現があればフィードバックしてください」と入力すれば、復習ができます。このようなやりとりを繰り返し、まずはよく使われる表現に慣れていきましょう。音声モードでロールプレイを行うテキストでのロールプレイに慣れてきたら、次はぜひ「音声モード」でのロールプレイに挑戦してみてください。前回紹介した音声会話機能を使うことで、よりリアルな会話に近い状況で瞬発力を鍛えるトレーニングが可能です。音声モードでのロールプレイは、その場で即座に聞き取り、応答する必要があるため、リスニング力とスピーキング力が同時に、そしてより実践的に鍛えられます。テキストベースで行っていたチャット画面で、音声モードのアイコンをタップし「最初から英語でロールプレイをしてください」などと話し掛けると、音声モードでの会話が可能です。英語のレベルを設定する音声モードで英会話の練習をすると、ChatGPTがネイティブスピーカーのペースで話すため、「英語が速すぎて聞き取れない」「話している途中に割り込まれる」といったストレスを感じることが少なくありません。そうした場合には、あらかじめ英語のレベルや話すスピードを指定しておくことをお勧めします。たとえば、「なるべくゆっくり話してください」「簡単な英語で話してください」などと伝えると、より自分に合ったペースで会話を進めることができます。また、自分の練習したい英語レベルについては、より客観的かつ明確に難易度を示すために、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages:ヨーロッパ言語共通参照枠)の基準を活用することをお勧めします。CEFRでは、英語力をA1(初心者)からC2(熟練者)まで6段階に分類しており、各レベルに応じた語彙や表現の難易度が定められています。現在の自分の実力に近いレベル、あるいは1つ上のレベルを指定することで、無理なく効率的に学習を進めることができます。以下にCEFRのレベルを簡単にまとめました。表:CEFRのレベル画像を拡大する以下は、音声モードでの練習時に活用できるプロンプトの例です。プロンプト例#役割あなたはレストランの店員です。#命令レストランの客である私と、英語でロールプレイを行ってください。#制約条件CEFR A2レベルの英語を使用してください。できるだけゆっくり、はっきり話してください。私が話し終わるまでは返答せず、待ってください。話が止まっている場合は相づちだけ打ってください。このように、役割やレベル、話す速度、会話のタイミングなどの詳細な指示をあらかじめ設定することで、より自分に合った練習ができる音声会話モードになります。ストレスなくリスニングやスピーキングのトレーニングを続けるために、ぜひ積極的に活用してください。

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