サイト内検索|page:3

検索結果 合計:77件 表示位置:41 - 60

41.

緑内障の長期点眼、マイボーム腺機能に注意を

 抗緑内障薬の負荷が高い緑内障患者は、涙液層が不安定で、重度のマイボーム腺脱落が認められることを、台湾・Kaohsiung Chang Gung Memorial Hospital/長庚大学のWan-Hua Cho氏らが報告した。著者は、「眼圧降下薬の長期点眼を行っている緑内障患者では、マイボーム腺疾患の観察がとくに必要である」とまとめている。Journal of Glaucoma誌オンライン版2017年12月13日号掲載の報告。 研究グループは、眼圧降下薬の長期点眼を行う緑内障患者におけるマイボーム腺の機能を調査する目的で、横断的症例対照研究を行った。対象は、眼圧降下薬の点眼(用量と期間は異なる)を行っている緑内障患者85例85眼と、健常者30例30眼。 緑内障患者では、使用している眼圧降下薬の数、処方、点眼回数および期間に基づき、各患者について抗緑内障薬点眼の負荷を簡単にスコア化した(BAGスコア)。 全例、Standard Patient Evaluation of Eye Dryness(SPEED)質問票、涙液油層の厚み、マイボーム腺分泌・脱落度(マイボスコア)、シルマー試験、涙液層破壊時間および目の瞬きパターンを含むマイボーム腺および涙液の評価を完遂した。 主な結果は以下のとおり。・緑内障患者は健常者と比較して、有意にSPEEDスコアが低く、涙液油層の厚みが薄く、マイボーム腺分泌物の質が悪く、マイボーム腺分泌が低下していた。・緑内障患者においては、マイボーム腺消失率(p=0.006)とマイボスコア(p=0.017)がBAGスコアと有意に相関していた。・BAGスコアが低い(<80)群と比較して高い群(≧80)では、有意に涙液層破壊時間が短く(p=0.047)、マイボーム腺密度が低く(p=0.032)、マイボーム腺消失率が高く(p=0.011)、マイボスコアが高かった(p=0.036)。

42.

シェーグレン症候群〔SS:Sjogren's syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義眼・口腔乾燥を主症状とし、多彩な全身臓器症状を呈し、慢性に経過する全身性自己免疫疾患である。疾患名は1933年に報告したスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレン(Henrik Sjogren *oはウムラウト)に由来する。■ 疫学中年以降の女性に好発(女性 vs.男性 14 vs.1)し、国内に少なくとも数万人(厚生労働省研究班推定)の罹患数とされ、潜在例はさらに多いと推定されている。■ 病因病理学的には、涙腺・唾液腺などの外分泌腺にリンパ球浸潤とそれに伴う腺構造破壊、線維化が認められる。免疫学的には、リンパ球・サイトカイン・ケモカイン異常、高IgG血症、多彩な自己抗体産生が認められる。■ 症状1)腺症状ドライアイ(眼乾燥)、ドライマウス(口腔乾燥)が二大症状である。気道粘膜、胃腸、膣、汗腺などの分泌腺障害に起因する乾燥症状を認める例もある。2)全身症状・腺外臓器病変(1)全身:微熱、倦怠感(2)甲状腺:慢性甲状腺炎(3)心血管:肺高血圧症(4)肺:間質性肺疾患(5)消化器:慢性胃炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変(6)腎臓:間質性腎炎、腎尿細管性アシドーシス(7)神経:末梢神経障害(三叉神経障害)、中枢神経障害(無菌性髄膜炎、横断性脊髄炎)(8)関節:多関節炎(9)皮膚:環状紅斑(疾患特異性が高い)、高ガンマグロブリン性紫斑(下腿点状出血斑)、薬疹(10)リンパ:単クローン性病変、悪性リンパ腫(11)精神:うつ病■ 分類本疾患のみを認める一次性(原発性)とほかの膠原病を合併する二次性(続発性)に分類される。■ 予後腺症状のみであれば生命予後は一般に良好である。腺外症状、とくに悪性リンパ腫を認める例では予後が不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査所見1)血液検査異常(1)腺障害:血清唾液腺アミラーゼ上昇(2)免疫異常:疾患標識自己抗体(抗SSA抗体、抗SSB抗体)・リウマトイド因子・抗核抗体陽性、高ガンマグロブリン血症、末梢リンパ球数減少を認める。2)腺機能検査異常涙液分泌低下は、シルマーテスト、涙液層破壊時間(BUT)により評価する。乾燥性角結膜炎は、ローズベンガル染色、フルオレセイン染色、リサミングリーン染色を用いて評価する。唾液分泌低下は、ガムテスト、サクソンテストにより評価、より客観的には唾液腺シンチグラフィーが用いられる。涙腺、唾液腺の形態は、超音波あるいはMRI検査により評価される。3)腺外臓器病変に応じた各種検査肺野およびリンパ節の評価についてはCT検査が有用である。また、間質性腎炎の評価には尿検査が行われる。● 診断で考慮すべき点潜在例も多く、その可能性を疑うことが診断への第一歩である。ドライアイ、ドライマウスの有無を問診し、典型例では問診のみで診断がつくこともある。本疾患が疑われた際は、診断基準に沿って確定診断を行うことが望ましい。しばしば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)などの他の自己免疫疾患を合併する。診断のための検査が困難である場合には、専門施設への紹介を考慮する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 腺症状1)眼点眼薬(人工涙液、ムチン/水分分泌促進薬、自己血清)、涙点プラグ挿入術、ドライアイ保護眼鏡装用2)口腔催唾薬(M3ムスカリン作動性アセチルコリン受容体刺激薬)、唾液噴霧薬がそれぞれ用いられる。■ 腺外症状 全身症状に対しては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられる。免疫学的な活動性が高く、臓器障害を呈する症例では、ステロイドおよび免疫抑制薬が用いられる。● 治療で考慮すべき点眼症状に対しては治療が比較的奏功する一方で、口腔乾燥症状は改善が乏しい例も多い。腺症状に対するステロイドの有用性は否定的である。リンパ増殖性疾患、悪性リンパ腫を含む腺外症状もまれではないため、注意深く経過観察する。腺外臓器病変、ほかの膠原病を有する例は、リウマチ内科専門医へのコンサルトを考慮する。不定愁訴が多い例もあるが、本疾患を正しく理解をしてもらえるようによく患者に説明する。4 今後の展望欧米では、抗CD20モノクローナル抗体の臨床試験が報告されているが、その有用性については十分確立されていない。リンパ球などの免疫担当細胞を標的とした新規治療薬の臨床試験が国際的に進められている。5 主たる診療科リウマチ科(全身倦怠感、関節痛、リンパ節腫脹)、眼科(眼乾燥症状)耳鼻咽喉科(リンパ節腫脹、唾液腺症状)、歯科・口腔外科(口腔・乾燥症状)、小児科(小児例)6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働省難病情報センター シェーグレン症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本シェーグレン症候群学会(医療従事者向けのまとまった情報)シェーグレン症候群財団ホームページ(米国)(医療従事者向けのまとまった情報)Up to date(医療従事者向けのまとまった情報)1)Firestein GS, et al. Kelley and Firestein’s Textbook of Rheumatology 10th edition.Philadelphia;Elsevier Saunders:2016.2)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究班 編集. シェーグレン症候群診療ガイドライン2017年版.診断と治療社;2017.3)日本シェーグレン症候群学会 編集.シェーグレン症候群の診断と治療マニュアル 改訂第2版.診断と治療社;2014.公開履歴初回2017年12月12日

43.

1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第41回

第41回:終末期を支える5つの薬剤監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 終末期を過ごす形態は、大きく分けて4種類あると思います。入院医療では、一般病棟か緩和ケア病棟か。在宅医療では、自宅か施設か。緩和ケア病棟やDPC病棟は包括医療費なので、呼吸困難に対するオプソ内服や口腔内分泌に対するアトロピン点眼薬など、日本では保険外使用になっている下記に述べるような医薬品が比較的使いやすい環境です。一方、在宅の看取りに関しては、ケア提供者の経験や熱意が大きく影響します。家族にとっては初めての体験ばかりなので、現状に対する不安よりも、見えない今後に対する不安が大きいことが多いです。こうした点で、実際に身内を自宅で看取ったことのある家族は、大きな力になります。これからの時代は、政策的に施設看取りが求められている印象です。非DPC病棟や在宅医療でも、終末期医療に対する薬が「保険外使用だから」と使いにくい状況が改善されることを望みます。 以下、Am Fam Physician.3月15日号1)より終末期に関わる症状は、急性症状を治療するよりも予防するほうが容易であることが多いため、症状を予防する対策を立てるべきである。嚥下機能が低下してきたら、薬剤は舌下や皮下、直腸坐薬に切り替える。薬は少量から開始し、目的の効果が出るまで増量すべきである。適切な症状コントロールにより、終末期を安静にかつ尊厳を持って、快適に過ごすことができる。疼痛は、最期の1ヵ月頃に50%程度の人に現れる。身体的な痛みだけでなく、精神的、社会的、スピリチュアル面も考慮に入れるべきである。オピオイドは終末期の呼吸困難感や痛みを緩和に用いられる(Evidence rating B:オピオイドを呼吸困難に使用すべき)。せん妄は治療しうる病態により起こることもあり、その病態を特定して治療可能なら治療すべきである。せん妄に対しては、ハロペリドールやリスペリドンが効果的である(Evidence rating C)。嘔気・嘔吐に対しては、原因に即した薬物治療が行われるべきである。予期できる嘔気に対してはベンゾジアゼピンが効果的で、とくにオンダンセトロンは化学療法や放射線治療に伴う嘔気に対し効果的であり、消化管通過障害による嘔気にはデキサメサゾンやハロペリドールを使用すべき(Evidence rating B)であるが、オクトレオチド酢酸塩の効果は限定的である。便秘は痛みや吐き気、不安感、せん妄を引き起こすので、便秘の予防は終末期ケアのとても大切な部分であり、緩下剤を大腸刺激性下剤と併用して使うのが望ましい。熱を下げることは、患者の要望とケアの目標に基づいて行うべきである。口腔内の唾液分泌があると、呼吸する時に呼吸音が大きくなることがあり、死期喘鳴といわれる終末期によくみられる症状である。このことを事前に伝えておくと、家族や介護者の不安は軽減する。また、抗コリン薬は口腔内の分泌を緩やかにするといわれているが、質の高い研究はない。アトロピン点眼薬は、口腔気道分泌液を抑えることができる(Evidence rating C)。終末期を支える代表的な5つの薬剤を以下に挙げる。焦燥感や嘔気を抑えるハロペリドールの舌下熱を下げるアセトアミノフェンの坐薬不安を抑えるロラゼパムの舌下痛みや呼吸困難を抑えるモルヒネの舌下口腔内分泌を抑えるアトロピン点眼薬の舌下※Evidence rating B=inconsistent or limited quality patient-oriented evidence、Evidence rating C=consensus, disease-oriented evidence, usual practice, expert opinion, or case series.※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Albert RH. “End-of-Life Care: Managing Common Symptoms” Am Fam Physician. 2017 Mar 15;95:356-361.

44.

スタージ・ウェーバー症候群〔SWS:Sturge-Weber syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義スタージ・ウェーバー症候群(Sturge-Weber syndrome:SWS)は、顔面におけるポートワイン母斑(2014年、国際的に共通認識となっているISSVA分類において、「ポートワイン母斑」は「毛細血管奇形」へと名称変更された)、頭蓋内の軟膜血管腫、眼の脈絡膜血管腫これを起因とした緑内障を3主徴とする疾患である。本症は、神経皮膚症候群の範疇とされている。■ 疫学23万人に1人の発症といわれる。遺伝性はない。ほとんどの症状が出生時から認められる。■病因顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と頭蓋内軟膜血管腫の病理組織標本の検討から、Gタンパク質のαサブユニットをコードするGNAQ遺伝子の異常が証明された。GNAQ遺伝子異常は、一塩基変異体(p.Arg183Glnをコードするc.548G→A)である。すなわち、GNAQ遺伝子の体細胞モザイク変異が原因と同定された。脳、皮膚、眼での特定の血管領域が障害される。脳では頭蓋内血流が障害され、脳機能低下や脳萎縮に陥り、精神運動や発達遅滞を発症する。皮膚では真皮毛細血管が障害され、皮膚に血管腫を思わせる赤い“ポートワイン”色の母斑(毛細血管奇形)を発症する。眼では脈絡膜血管が障害され、血流うっ滞から緑内障を発症する。■ 症状1)脳(頭蓋内)頭蓋内軟膜に血管奇形が生じ、うっ滞から軟膜血管虚血となり、局所の石灰化や壊死に至る。さまざまな障害となるので、臨床経過も多様である。痙攣、精神運動発達遅滞、運動片麻痺、片頭痛などが知られる。障害される脳の部位では、頭頂葉、後頭葉、前頭葉の頻度となっている。病変範囲が広いほど、てんかん発症年齢も早く難治化する。運動麻痺は、顔面皮疹と反対側の半身麻痺が多い。2)皮膚顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)は、その名のとおりポートワインのような色をした“赤あざ”と呼ばれる斑点である。時に薄ピンク色から深紫色まで個人差がある。部位は、三叉神経第1枝、第2枝領域が多い。3)眼脈絡膜血管腫は、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と同側である。そして緑内障を発症する。当然、視力・視野障害が発症してしまう。■ 分類定義で示した顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)、頭蓋内の軟膜血管腫、眼の脈絡膜血管腫の3主徴が必ずしも、すべてでみられるわけではない。1型:顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と頭蓋内の軟膜血管腫の両方が認められるタイプ2型:顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)は認められるが、頭蓋内の軟膜血管腫がないタイプ3型:頭蓋内の軟膜血管腫は認められるが、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)がないタイプに分類される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)厚生労働省では、スタージ・ウェーバー症候群関連研究班が3つ存在することに着目し、その統一を図っている。以下に、改正された診断基準・重症度分類を表に示す。脳症状に関する検査には、脳MRIでガドリニウム増強において明瞭となる頭蓋内軟膜血管腫、罹患部位の脳萎縮、患側脈絡叢の腫大、白質内横断静脈の拡張がある。脳CTで頭蓋内石灰化、Single photon emission computed tomography(SPECT:単一光子放射断層撮影)で頭蓋内軟膜血管腫部位の低血流域、Positron emission tomography(FDG-PET:陽電子放出断層撮影)で頭蓋内軟膜血管腫部位の糖低代謝がある。また、脳波は患側の低電位徐波、発作時の律動性棘波または鋭波が知られている。表 スタージ・ウェーバー症候群の新規診断基準・重症度分類<診断基準>A 基本所見1頭蓋内軟膜血管腫2顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)3脈絡膜血管腫または緑内障B 症状1てんかん2精神運動発達遅滞3運動麻痺4視力・視野障害5片頭痛C 検査所見1 画像検査所見MRI:ガドリニウム増強において明瞭となる頭蓋内軟膜血管腫、罹患部位の脳萎縮、患側脈絡叢の腫大、白質内横断静脈の拡張CT:頭蓋内石灰化を認めるSPECT:頭蓋内軟膜血管腫部位の低血流域FDG-PET:頭蓋内軟膜血管腫部位の糖低代謝2 生理学的所見脳波:患側の低電位徐波、発作時の律動性棘波または鋭波D 鑑別診断その他の神経皮膚症候群E 遺伝学的検査GNAQ遺伝子の変異頭蓋内軟膜血管腫と顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)に関して<診断のカテゴリー>以下の場合に確定診断される。Aの1項目以上を満たし、かつBの2項目以上を有するもの<臨床所見(該当する項目の□にレ印を記入する)>てんかん発作型(複数選択可)□全般発作 □単純部分発作 □複雑部分発作 □二次性全般化発作 □てんかん重積状態頭蓋内軟膜血管腫の脳内局在□前頭葉 □側頭葉 □頭頂葉 □後頭葉 □その他 □両側てんかん外科治療□焦点切除術 □脳梁離断術 □多脳葉手術 □半球離断術 □迷走神経刺激療法顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)□顔面の5%以下 □顔面の5~30% □顔面の30%以上運動麻痺□なし □あり視力・視野障害□なし □あり片頭痛□なし □あり<重症度分類>●てんかんおよび精神運動発達遅滞精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、障害者総合支援法における障害支援区分、精神症状・能力障害二軸評価を用いて、以下のいずれかに該当する患者を対象とする。「G40てんかん」の障害等級の能力評価区分「G40てんかん」の障害等級判定区分*「てんかん発作のタイプ」イ 意識障害はないが、随意運動が失われる発作ロ 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作ハ 意識障害の有無を問わず、転倒する発作ニ 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作●能力障害評価判定に当たっては、以下のことを考慮する。1)日常生活あるいは社会生活において必要な「支援」とは、助言、指導、介助などをいう。2)保護的な環境(たとえば入院・施設入所しているような状態)ではなく、たとえばアパートなどで単身生活を行った場合を想定して、その場合の生活能力の障害の状態を判定する。(1)精神障害や知的障害を認めないか、または、精神障害、知的障害を認めるが、日常生活および社会生活は普通にできる。適切な食事摂取、身辺の清潔保持、金銭管理や買い物、通院や服薬、適切な対人交流、身辺の安全保持や危機対応、社会的手続きや公共施設の利用、趣味や娯楽あるいは文化的・社会的活動への参加などが自発的にできる、あるいは適切にできる。精神障害を持たない人と同じように、日常生活および社会生活を送ることができる。(2)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に一定の制限を受ける。(1)に記載のことが自発的あるいはおおむねできるが、一部支援を必要とする場合がある。たとえば、1人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難である。デイケアや就労継続支援事業などに参加するもの、あるいは保護的配慮のある事業所で、雇用契約による一般就労をしている者も含まれる。日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じることがある。清潔保持は困難が少ない。対人交流は乏しくない。引きこもりがちではない。自発的な行動や、社会生活の中で発言が適切にできないことがある。行動のテンポはほぼ他の人に合わせることができる。普通のストレスでは症状の再燃や悪化が起きにくい。金銭管理はおおむねできる。社会生活の中で不適切な行動をとってしまうことは少ない。(3)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて支援を必要とする。(1)に記載のことがおおむねできるが、支援を必要とする場合が多い。たとえば、付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である。医療機関などに行くなどの習慣化された外出はできる。また、デイケアや就労継続支援事業などに参加することができる。食事をバランスよく用意するなどの家事をこなすために、助言などの支援を必要とする。清潔保持が自発的かつ適切にはできない。社会的な対人交流は乏しいが、引きこもりは顕著ではない。自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある。行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。ストレスが大きいと症状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理ができない場合がある。社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。(4)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、常時支援を要する。(1)に記載のことは常時支援がなければできない。たとえば、親しい人との交流も乏しく引きこもりがちである、自発性が著しく乏しい。自発的な発言が少なく発言内容が不適切であったり、不明瞭であったりする。日常生活において行動のテンポが他の人のペースと大きく隔たってしまう。些細な出来事で、病状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理は困難である。日常生活の中でその場に適さない行動をとってしまいがちである。(5)精神障害、知的障害を認め、身の回りのことはほとんどできない。(1)に記載のことは支援があってもほとんどできない。入院・入所施設などの患者においては、院内・施設内などの生活に常時支援を必要とする。在宅患者においては、医療機関などへの外出も自発的にできず、付き添いが必要である。家庭生活においても、適切な食事を用意したり、後片付けなどの家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時支援を必要とする。●運動麻痺下記の“Modified Rankin Scale”を用いて、中等症以上に該当する患者を対象とする。軽症 :0~2中等症:3~4重症 :5Modified Rankin Scale0まったく症候がない。1症候があっても明らかな障害はない。日常の勤めや活動は行える。2軽度の障害:発症以前の活動がすべて行えるわけではないが、自分の身の回りのことは介助なしに行える。3中等度の障害:何らかの介助を必要とするが、歩行は介助なしに行える。4中等度から重度の障害:歩行や身体的要求には介助が必要である。5寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りを必要とする。参考0自覚症状および他覚徴候がともにない状態である。1自覚症状および他覚徴候はあるが、発症以前から行っていた仕事や活動に制限はない状態である。2発症以前から行っていた仕事や活動に制限はあるが、日常生活は自立している状態である。3買い物や公共交通機関を利用した外出などには介助を必要とするが、通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要としない状態である。4通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要とするが、持続的な介護は必要としない状態である。5常に誰かの介助を必要とする状態である。●視力・視野障害下記の尺度を用いて、中等症以上に該当する患者を対象とする。軽症 :1中等症:2重症 :3~4判定に当たっては、矯正視力、視野ともに良好な眼の測定値を用いる。1矯正視力0.7以上かつ視野狭窄なし2矯正視力0.7以上、視野狭窄あり3矯正視力0.2~0.74矯正視力0.2未満3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■脳(頭蓋内)症状てんかん発作を抑制し、精神運動発達障害を未然に防ぐ必要がある。まず、抗てんかん薬による治療が行われ、約50%の症例で効果が認められる。しかし、残りの約50%は、抗てんかん薬でコントロール不良であり、外科的治療が考慮される。広範囲に病変がある症例、すなわち半球性および両側性の軟膜血管腫を持つ症例は、内科的治療でのてんかん発作とそれによる精神運動発達障害が回避できないので、早期の脳梁離断術、多脳葉切除(離断)術、迷走神経刺激療法などが考慮される。しかし、術後には運動麻痺、視野欠損、言語障害といった副作用が十分起こりうる。患児の脳可塑性に期待しなければならないことも多い。部分的な軟膜血管腫を持つ症例は、手術適応の判断が困難であるが、早期手術のほうが術後の発達改善効果は高いので、判断を先延ばしにしてはならない。1歳までが手術治療の適応を決める最初のポイントになる。■皮膚症状顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)に伴う外見上の問題は、内面的な苦痛を生み出しQOLの著しい低下を招いている。1980年代からPDL(flashlamp pumped-pulsed dye laser)が使用されてきた。しかし、施術後の浮腫や色調の残存から、患者のニーズに十分応えられていない。1990年代後半、皮膚冷却を装備したパルス可変式のレーザー機器が開発され、深部の血管および血管径が大きい血管への治療が可能になった。■眼症状眼圧を下げるために点眼薬をまず使用する。効果が乏しいときは、隅角切開術や線維柱帯切開術が行われる。4 今後の展望皮膚と脳組織からGNAQ遺伝子の異常が証明されたので、血液検査のみでGNAQ遺伝子異常を検出可能か否かが、今後の検討課題となる。すなわち、血液で診断ができれば、早期発見・早期介入さらに出生前診断へと展望が開けてくる。この点を踏まえて厚生労働省関係3班を中心に多施設共同の臨床研究が開始された。また、脳(頭蓋内)症状に対する外科的治療をどう選択するか、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)に対するレーザー治療をいかに有効に施術していくのかなど、治療にはまだまだ難渋している。5 主たる診療科皮膚科、小児科、脳外科、形成外科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報難病情報センター スタージ・ウェーバー症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)希少疾患患者情報登録システム(J-RARE)※現在、「J-RARE」という希少疾患患者情報登録システムが開設され、本症の登録に向けて準備が進んでいる(2017年10月現在未登録)。患者会情報スタージ・ウェーバー家族会(患者とその家族の会)1)Shirley MD, et al. New Engl J Med. 2013;368:1971-1979.公開履歴初回2017年10月10日

45.

眼圧と心血管薬の使用、関連せず

 眼圧は、血圧やほかの心血管リスク因子と関連していることがよく知られている。眼圧に対する全身性の心血管薬、とくに降圧薬の影響はいまだ論争の的であるが、非緑内障者では眼圧と心血管薬(とくにβ遮断薬)との間に関連はないことを、ドイツ・マインツ大学のRene Hohn氏らが、コホート研究にて明らかにした。著者は、「局所および全身性β遮断薬の長期のドリフト現象(drift phenomenon)が、この結果を説明するかもしれない」とまとめている。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年4月12日号掲載の報告。 研究グループは、ドイツ中西部の住民1万3,527例を対象とした前向き観察コホート研究(グーテンベルク健康研究)において、全身性の心血管薬の使用と眼圧との関連について検討した。 眼圧は、非接触圧平眼圧計で測定された。調査した薬剤の種類は、末梢血管拡張薬、利尿薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、レニン・アンジオテンシン系阻害薬、硝酸薬、ほかの降圧薬、アスピリンおよびスタチンである。薬剤の使用と眼圧との関連について、多変量線形回帰分析を用いて解析した(p<0.0038)。なお、眼圧欠測例、眼圧低下点眼薬使用歴または眼手術既往歴のある参加者は解析から除外された。 主な結果は以下のとおり。・選択的β遮断薬も非選択的β遮断薬も、眼圧低下との間に統計学的に有意な関連は認められなかった(それぞれ、−0.12mmHg、p=0.054および−0.70mmHg、p=0.037)。・BMI、収縮期血圧および中心角膜厚を調整後、ACE阻害薬の使用と眼圧は関連しなかった(0.11mmHg、p=0.07)。

46.

接触性皮膚炎(かぶれ)

【皮膚疾患】接触性皮膚炎(かぶれ)◆症状痒みを伴う赤い斑、ぶつぶつ、腫れるなどの症状が、原因物質が接触した皮膚に出現します。◆原因アレルギーによるもの(植物、金属、化粧品、外用薬、ゴムなど)と、刺激によるもの(繰り返しの水仕事など)に大別されます。◆治療と予防・ステロイド外用薬で治療します。症状が重い場合はステロイドの内服薬を服用する場合もあります。・原因をつきとめて接触しないようにすることが大切です。点眼薬によるかぶれ●一言アドバイス皮膚科専門医にパッチテストで、原因検索をしてもらうことで将来の予防につながります。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.袋 秀平氏

47.

近見視力障害の非矯正者は35歳以上で約半数:中国

 中国・中山大学のXiaotong Han氏らは35歳以上の中国人成人について、近見視力低下・障害の進行および発生率を前向き試験で調査した。その結果、非矯正の両眼近見視力障害(UCNVI)の人は6年で約半数であったこと、その大半は眼鏡で矯正可能などの実態を報告した。検討結果を踏まえて著者は、「これらリスク集団に眼鏡を提供するという費用対効果が高いと考えられる戦略について、さらに検討する必要がある」と述べている。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月20日号掲載の報告。 研究グループは、広州市越秀区の35歳以上の住民を対象に、都市部住民の初回視力検査後6年間の近見視力低下の進行、および近見視力障害(NVI)の累積発生率を調べた。被験者は、検査をベースラインで受け、2年後(2010年)、6年後(2014年)にフォローアップ検査を受けた。 検査は、非調節麻痺薬点眼によるオートレフラクトメーター測定と、LogMAR ETDRS(Eチャート表使用)を用いて40cmの距離で両眼近見視力(NVA)を測定した。非矯正両眼近見視力(UCNVA)が20/40以下であった人は、両眼最高矯正近見視力(BCNVA)を得る自覚的屈折矯正を受けた。 主要評価項目は、ベースラインと2014年フォローアップ時のUCNVAの変化、および3つの視力障害区分(20/40以下、20/50以下、20/63以下)ごとの6年間の視力障害の累積発生率とした。 主な結果は以下のとおり。・被験者は1,817例であった。このうちフォローアップ検査を2010年に受けたのは1,595例(87.8%)、2014年は1,427例(78.5%)であった。・ベースライン時から2014年までの平均視力低下は、UCNVAで1.54(±1.74)linesであった。・視力低下は、80歳以上、低学歴、ベースラインのUCNVA良好と関連した。・3区分別にみた6年間のUCNVI累積発生率は、20/40以下群が55.2%(95%信頼区間[CI]:46.1~64.3)、20/50以下群51.3%(同:44.0~58.7)、20/63以下群42.4%(同:35.5~49.3)であった。・また、両眼の最高矯正NVI(BCNVI)の発生率は、それぞれ6.89%(95%CI:4.28~9.50)、5.17%(同:2.89~7.44)、2.62%(同:1.11~4.12)であった。・UCNVIの発生率の高さは、3区分ともにベースラインのUCNVAが不良であることと関連していた。同様に、BCNVIの発生率は、ベースラインのBCNVA不良と関連していた。また、高年齢や初等教育またはそれ以下の就学状況とも関連していた。性別は、UCNVIおよびBCNVIともに有意な関連はみられなかった。

48.

糖尿病網膜症の白内障手術後、ネパフェナクが有用

 糖尿病網膜症を有する患者における白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与は、予期せぬ安全性に関わるイベントの発生を伴うことなく、術後黄斑浮腫のリスクを低下し、視力改善にも寄与することが示された。米国・クリーブランドクリニックのRishi P Singh氏らが、2件の第III相無作為化臨床試験の結果を分析し報告した。「試験の結果は、同患者の白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与について、臨床的ベネフィットがあることを示すものであった」と報告している。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月4日号掲載の報告。 糖尿病患者の白内障手術後の臨床的アウトカムについて、1日1回のネパフェナク0.3%点眼投与の有効性と安全性を溶媒と比較する検討が、2件の前向き無作為化多施設共同二重盲検溶媒対照試験にて行われた。試験1には615例が、試験2には605例が参加。被験者は、1日1回のネパフェナク0.3%投与または溶媒投与群に1対1の割合で割り付けられ、手術前日から90日間にわたって投与を受けた。 有効性の主要評価項目は、白内障手術後90日以内の、黄斑浮腫(ME:中心領域網膜厚が術前ベースラインから30%以上増加)発症患者の割合(%)と、最高矯正視力(BCVA:術前ベースラインから14日間で15 letter以上改善し、90日間改善が継続)を達成した患者の割合(%)とした。副次評価項目は、術前ベースラインから90日間および60日間での15 letter以上の改善や3ヵ月間の安全性の確認などとした。 主な結果は以下のとおり。・ネパフェナク0.3%投与群は溶媒投与群と比べて、術後90日間のME発症率が有意に低かった。試験1(2.3% vs.17.3%、p<0.001)、試験2(5.9% vs.14.3%、p=0.001)、プール解析(4.1% vs.15.9%、p<0.001)。・ネパフェナク0.3%投与群は溶媒投与群と比べて、ベースラインから14日間で15 letter以上改善し90日間継続したBCVA達成患者の割合も有意に高かった。試験1では61.7% vs.43.0%(p<0.001)、試験2は48.8% vs.50.5%(p=0.671)、プール解析では55.4% vs.46.7%(p=0.003)であった。・90日間で15 letter以上改善のBCVA達成患者の割合は、試験1ではネパフェナク0.3%投与群が有意に高かった(77.2% vs.67.7%、p=0.009)が、試験2では同程度であった(65.4% vs.65.9%、p=0.888)。60日間で同改善の患者の割合も、同様の傾向が示された(試験1:76.2% vs.64.7%[p=0.002]、試験2:68.9% vs.62.1%[p=0.092])。・予期せぬ有害イベントは観察されなかった。

50.

緑内障治療に革新、ラタノプロスト持続溶出コンタクトレンズ

 ラタノプロスト持続溶出コンタクトレンズの開発が進められている。米国ハーバード・メディカル・スクールのJoseph B. Ciolino氏らは、カニクイザル緑内障モデルを用いて薬効薬理試験を行い、コンタクトレンズを介したラタノプロストの持続送達は、毎日点眼と比較して同等以上の眼圧低下効果があることを明らかにした。今後、忍容性良好かつ最大効果が得られる至適持続放出量を決定するため、さらなる研究が必要ではあるが、「コンタクトレンズによる薬物送達は、緑内障治療の選択肢ならびに眼薬物送達のプラットフォームになる可能性がある」と著者はまとめている。Ophthalmology誌2016年10月号(オンライン版2016年8月29日号)掲載の報告。 研究グループは、アルゴンレーザー線維柱帯形成術によって片眼に緑内障を誘発した雌のカニクイザルを用い、ラタノプロスト溶出コンタクトレンズの眼圧低下効果を評価する3群クロスオーバー試験を行った。ラタノプロスト溶出コンタクトレンズ(低用量溶出および高用量溶出)は、メタフィルコンハイドロゲルの表面に薄いラタノプロスト・ポリマー膜を封入したものをコンタクトレンズ(CL)に加工した。 各サルに、1週間低用量溶出CL装着、5日間ラタノプロスト点眼および1週間高用量溶出CL装着の3群の治療を3週間間隔で順次行った。各試験群の開始前連続2日間、1時間ごとに連続7回眼圧を測定してベースラインの眼圧とし、開始後は3日目、5日目および8日目に眼圧を測定した。 主な結果は以下のとおり。・点眼群では、ベースラインからの眼圧低下が3日目で5.4±1.0mmHg、最大低下は5日目で6.6±1.3 mmHgであった。・低用量溶出CL群では、3日目、5日および8日目のベースラインからの眼圧低下はそれぞれ6.3±1.0mmHg、6.7±0.3mmHgおよび6.7±0.3mmHgであった。・高用量溶出CL群では、同様にそれぞれ10.5±1.4、11.1±4.0と10.0±2.5mmHgであった。・低用量溶出CL群と高用量溶出CL群の眼圧は、ほとんどの測定ポイントで未治療時のベースラインの眼圧より有意に低かった。・高用量溶出CL群では、3日目、5日目、および8日目のいくつかの測定ポイントで、点眼群より眼圧低下が大きかった(それぞれp=0.001、p=0.015、p<0.05)。

51.

緑内障・高眼圧症治療の新規デバイス、ビマトプロスト徐放リングの効果

 高眼圧の治療において、アドヒアランスの改善はアンメットニーズのままである。この問題を解決するため、ビマトプロストを含むシリコンのマトリックスポリマーとポリプロピレンの支持構造物から成る柔らかいリングを眼の表面に留置する方法が開発された。米国・カリフォルニア大学デービス校のJames D. Brandt氏らは、開放隅角緑内障または高眼圧症患者を対象に、このビマトプロストリングとチモロール1日2回点眼を比較する多施設共同無作為化並行群間比較二重盲検第II相試験を行い、ビマトプロストリング留置により6ヵ月間にわたり平均眼圧の低下が観察され、安全性および忍容性は良好であることを明らかにした。著者は「ビマトプロストリング留置は、アドヒアランスを改善し、安定した薬物の送達により眼圧が低下することから、毎日の点眼に代わる治療法となり得るだろう」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年5月5日号の掲載の報告。 対象は、開放隅角緑内障または高眼圧症の成人患者130例であった。主な適格基準は、眼圧が午前8時で23mmHg以上34mmHg以下、午前10時および午後4時で20mmHg以上34mmHg以下、手術歴なし、プロスタグランジン関連薬に対する既知のノンレスポンダーではないなどであった。 被験者を、ビマトプロストリング留置+人工涙液1日2回点眼(ビマトプロスト群)、またはプラセボリング留置+チモロール0.5%液1日2回点眼(チモロール群)に1対1の割合で無作為に割り付け、6ヵ月間治療を行った。 ベースライン、2週後、6週後、12週後、4ヵ月後、5ヵ月後および6ヵ月後に、入院にて1日3回(午前8時、午前10時および午後4時)、眼圧を測定した。 有効性の主要評価項目は、2週後、6週後および12週後の計9回の各測定ポイントでのベースラインからの眼圧の変化量で、非劣性マージンを眼圧変化量のビマトプロスト群とチモロール群の差の95%信頼区間の上限が1.5mmHgとした。 主な結果は以下のとおり。・6ヵ月後のベースラインからの眼圧変化は、ビマトプロスト群で平均-3.2~-6.4mmHg、チモロール群で-4.2~-6.4mmHgであった。・主要評価項目については、非劣性が認められたのは9ポイントのうち2ポイントのみであった。・有害事象は、ビマトプロスト群とチモロール群で類似しており、予期しない眼の有害事象は観察されなかった。・6ヵ月間のリング保持率は、全体で88.5%であった。

52.

緑内障点眼治療の片眼トライアルは簡便で有効

 緑内障の薬物治療では、真の眼圧下降効果を評価することが重要となる。英国・ノッティンガム大学病院のAnthony J. King氏らは、プロスタグランジン関連薬による単剤治療について、片眼のみ1週間早く点眼を開始する片眼トライアルの前向き試験を行い、この方法は未治療眼の治療への反応の予測に有効であり、先行投与眼の効果が他眼への治療効果も予測できることを示した。著者は、「治療開始翌日にも同じ時間に眼圧を測定するなどの治療効果チェックのための追加受診は必要ない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2016年5月5日号の掲載報告。 研究グループは、異なる時点で緑内障点眼治療を開始する片眼トライアルの妥当性を調べる目的で、2008年10月1日~09年11月30日の間に、未治療の原発開放隅角緑内障または高眼圧症患者計30例を対象に前向きコホート試験を行った。 対象患者は、初回受診(V0)時に登録後、週1回、7週間受診し(V1~V7)、毎回、午前8時、午前11時、午後4時に両眼の眼圧を測定した。V3受診後に試験眼で、V4受診後に他眼で、トラボプロスト(0.004%)による治療を開始した。 評価項目は、試験眼に関する未調整眼圧下降幅(V0時の眼圧とV4時の眼圧の差:[V0-V4])、調整眼圧下降幅(試験眼[V0-V4]と他眼[V0-V4]の差)、および真の眼圧下降幅(試験眼のV1・2・3時の平均眼圧とV5・6・7時の平均眼圧の差)とした。 主な結果は以下のとおり。・30例の患者背景は、平均年齢64.4±12.6歳(範囲:42~88歳)、男性11例/女性19例、高眼圧症16例、原発開放隅角緑内障14例であった。・未調整眼圧下降幅は、真の眼圧下降幅より大きかった。両者の差(平均±標準偏差)は、午前8時、午前11時および午後4時においてそれぞれ2.5±4.8、3.1±3.8および4.9±4.4 mmHgであった。・調整眼圧下降幅は、真の眼圧下降幅とほぼ同じであった。両者の差は各測定時でそれぞれ0.43±3.87、0.02±2.82、-0.40±3.90mmHg。・未調整眼圧下降幅と真の眼圧下降幅との相関は、0.55(95%信頼区間[CI]:0.23~0.76)、片眼トライアルで調整した場合は0.72(95%CI:0.49~0.86)であった。・他眼の治療への反応は、すべての測定時で相関していた(r:範囲0.78~0.86)。・治療は、眼圧日内変動に影響しなかった。

53.

ニーマン・ピック病C型〔NPC : Niemann-Pick disease type C〕

1 疾患概要■ 概念・定義1, 2)ニーマン・ピック病は、多様な臨床症状と発病時期を示すがスフィンゴミエリンの蓄積する疾患として、1961年CrockerによりA型からD型に分類された。A型とB型はライソゾーム内の酸性スフィンゴミエリナーゼ遺伝子の欠陥による常染色体性劣性遺伝性疾患で、ニーマン・ピック病C型は細胞内脂質輸送に関与する分子の欠陥で起こる常染色体性劣性遺伝性疾患である。D型は、カナダのNova Scotia地方に集積するG992W変異を特徴とする若年型のC型である。■ 疫学C型の頻度は人種差がないといわれ、出生10~12万人に1人といわれている。発病時期は新生児期から成人期までと幅が広い。2015年12月の時点で日本では34例の患者の生存が確認されている。同時点での人口8,170万人のドイツでは101人、人口6,500万人の英国では86例で、人口比からすると日本では現在確認されている数の約5倍の患者が存在する可能性がある。■ 病因遺伝的原因は、細胞内脂質輸送小胞の膜タンパク質であるNPC1タンパク質をコードするNPC1遺伝子、またはライソゾーム内の可溶性たんぱく質でライソゾーム内のコレステロールと結合し、NPC1タンパク質に引き渡す機能を持つNPC2タンパク質をコードするNPC2遺伝子の欠陥による。その結果、細胞内の脂質輸送の障害を生じ、ライソゾーム/後期エンドソームにスフィンゴミエリン、コレステロールや糖脂質などの蓄積を起こし、内臓症状や神経症状を引き起こす。95%の患者はNPC1遺伝子変異による。NPC2遺伝子変異によるものは5%以下であり、わが国ではNPC2変異による患者はみつかっていない。■ 症状1)周産期型出生後まもなくから数週で、肝脾腫を伴う遷延性新生児胆汁うっ滞型の黄疸がみられる。通常は生後2~4ヵ月で改善するが、10%くらいでは、肝不全に移行し、6ヵ月までに死亡する例がある。2)乳児早期型生後間もなくか1ヵ月までに肝脾腫が気付かれ、6~8ヵ月頃に発達の遅れと筋緊張低下がみられる。1~2歳で発達の遅れが明らかになり、運動機能の退行、痙性麻痺が出現する。歩行を獲得できる例は少ない。眼球運動の異常は認められないことが多い。5歳以降まで生存することはまれである。3)乳児後期型通常は3~5歳ごろ、失調による転びやすさ、歩行障害で気付かれ、笑うと力が抜けるカタプレキシーが認められることが多い。神経症状が出る前に肝脾腫を指摘されていることがある。また、検査に協力できる場合には、垂直性核上性注視麻痺を認めることもある。知的な退行、けいれんを合併する。けいれんはコントロールしづらいこともある。その後、嚥下障害、構音障害、知的障害が進行し、痙性麻痺が進行して寝たきりになる。早期に嚥下障害が起こりやすく、胃瘻、気管切開を行うことが多い。7~15歳で死亡することが多い。わが国ではこの乳児後期型が比較的多い。また、この型では早期にまばたきが消失し、眼球の乾燥を防ぐケアが必要となる。4)若年型軽度の脾腫を乳幼児期に指摘されていることがあるが、神経症状が出現する6~15歳には脾腫を認めないこともある。書字困難や集中力の低下などによる学習面の困難さに気付かれ、発達障害や学習障害と診断されることもある。垂直性核上性注視麻痺はほとんどの例で認められ、初発症状のこともある。カタプレキシーを認めることもある。不器用さ、学習の困難さに続き、失調による歩行の不安定さがみられる。歩行が可能な時期に嚥下障害によるむせやすさ、構語障害を認めることが多く、発語が少なくなる。ジストニア、けいれんがみられることが多く、進行すると痙性麻痺を合併する。30歳かそれ以上まで生存することが多い。わが国でも比較的多く認められる。5)成人型成人になって神経症状がなく、脾腫のみで診断される例もまれながら存在するが、通常は脾腫はみられないことが多い。妄想、幻視、幻聴などの精神症状、攻撃性やひきこもりなどの行動異常を示すことが多い。精神症状や行動異常がみられ、数年後に小脳失調(76%)、垂直性核上性注視麻痺(75%)、構語障害(63%)、認知障害(61%)、運動障害(58%)、脾腫(54%)、精神症状(45%)、嚥下障害(37%)などがみられる。運動障害はジストニア、コレア(舞踏病)、パーキンソン症候群などを認める。■ 予後乳児早期型は5歳前後、乳児後期型は7~15歳、若年型は30~40歳、成人型は中年までの寿命といわれているが、気管切開、喉頭気管分離術などによる誤嚥性肺炎の防止と良好なケアで寿命は延長している。また、2012年に承認になったミグルスタット(商品名: ブレーザベス)によって予後が大きく変化する可能性がある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)ニーマン・ピック病C型の診断の補助のためにSuspicion Indexが開発されている。これらはC型とフィリピン染色で確定した71例、フィリピン染色が陰性であった64例、少なくとも症状が1つある対照群81例について、内臓症状、神経症状、精神症状について検討し、特異性の高い症状に高いスコアを与えたスクリーニングのための指標である。この指標は便利であるが、4歳以下で神経症状の出現の少ない例では誤診する可能性のあることに注意して使用していただきたい。現在、4歳以下で使えるSuspicion Indexが開発されつつある。このSuspicion Indexは、(http://www.npc-si.jp/public/)にアクセスして使用でき、評価が可能である。一般血液生化学で特異な異常所見はない。骨髄に泡沫細胞の出現をみることが多い。皮膚の培養線維芽細胞のフィリピン染色によって、細胞内の遊離型コレステロールの蓄積を明らかにすることで診断する。LDLコレステロールが多く含まれる血清(培地)を用いることが重要である。成人型では蓄積が少なく、明らかな蓄積があるようにみえない場合もあり注意が必要である。骨髄の泡沫細胞にも遊離型コレステロールの蓄積があり、フィリピン染色で遊離型コレステロールの蓄積が確認できれば診断できる。線維芽細胞のフィリピン染色は、秋田大学医学部附属病院小児科(担当:高橋 勉、tomy@med.akita-u.ac.jp)、大阪大学大学院医学系研究科生育小児科学(担当:酒井 規夫、norio@ped.med.osaka-u.ac.jp)、鳥取大学医学部附属病院脱神経小児科(担当:成田 綾、aya.luce@nifty.com)で対応が可能である。確定診断のためにはNPC1遺伝子、NPC2遺伝子の変異を同定する。95%以上の患者はNPC1遺伝子に変異があり、NPC2遺伝子に変異のある患者のわが国での報告はまだない。NPC1/NPC2遺伝子解析は鳥取大学生命機能研究支援エンター(担当:難波 栄二、ngmc@med.tottori-u.ac.jp)で対応が可能である。近年、遊離型コレステロールが非酵素反応で形成される酸化型ステロール(7-ケトコレステロール、コレスタン-3β、5α、6βトリオール)が、C型の血清で特異的に上昇していることが知られ、迅速な診断ができるようになっている1、2)。わが国では、一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療センター(担当者:藤崎 美和、衞藤 義勝、sentanken@mt.strins.or.jp、電話044-322-0654 電子音後、内線2758)で測定可能であり、連絡して承諾が得られるようであれば、凍結血清1~2mLを送る。さらに尿に異常な胆汁酸が出現することが東北大学医学部附属病院薬剤部から報告され9)、この異常も診断的価値が高い特異的な検査の可能性があり、現在精度の検証が進められている。診断的価値が高いと考えられる場合、また精度の検証のためにも、東北大学医学部附属病院へ連絡(担当者:前川 正充、m-maekawa@hosp.tohoku.ac.jp)して、凍結尿5mLを送っていただきたい。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ ミグルスタット の治療効果C型の肝臓や脾臓には、遊離型コレステロール、スフィンゴミエリン、糖脂質(グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド)、遊離スフィンゴシン、スフィンガニンが蓄積している。一方、脳では、コレステロールやスフィンゴミエリンの蓄積はほとんどなく、スフィンゴ糖脂質、とくにガングリオシッドGM2とGM3の蓄積が顕著である。このような背景から、グルコシルセラミド合成酵素の阻害剤であるn-butyl-deoxynojirimycin(ミグルスタット)を用いてグルコシルセラミド合成を可逆的に阻害し、中枢神経系のグルコシルセラミドを基質とする糖脂質の合成を減少させることで、治療効果があることが動物で確認された。さらに若年型と成人型のC型患者で、嚥下障害と眼球運動が改善することが報告され、2009年EUで、2012年わが国でC型の神経症状の治療薬として承認された。ミグルスタットは、乳児後期型、若年型、成人型の嚥下機能の改善・安定化に効果があり、誤嚥を少なくし、乳児後期型から成人型C型の延命効果に大きく影響することが報告されている。また、若年型のカタプレキシーや乳児後期型の発達の改善がみられ、歩行機能、上肢機能、言語機能、核上性注視麻痺の安定化がみられることが報告されている。乳児早期型では、神経症状の出現前の早い時期に治療を開始すると効果がある可能性が指摘されているが、乳児後期型、若年型、成人型の神経症状の安定化に比較して効果が乏しい。また、脾腫や肝腫大などの内臓症状には、効果がないと報告されている。ミグルスタットの副作用として、下痢、鼓腸、腹痛などの消化器症状が、とくに治療開始後の数週間に多いと報告されている。この副作用はミグルスタットによる二糖分解酵素の阻害によって、炭水化物の分解・吸収が障害され、浸透圧性下痢、結腸発酵の結果起こると考えられている。ほとんどの場合ミグルスタット継続中に軽快することが多く、ロペラミド塩酸塩(商品名:ロペミンほか)によく反応する。また、食事中の二糖(ショ糖、乳糖、麦芽糖)の摂取を減らすことでミグルスタットの副作用を減らすことができる。さらには、ミグルスタットを少量から開始して、増量していくことで副作用を軽減できる。■ ニーマン・ピック病C型患者のその他の治療について2)C型のモデルマウスでは、細菌内毒素受容体Toll様受容体4の恒常的活性化によって、IL-6やIL-8が過剰に産生され、脳内の炎症反応が起こり、IL-6を遺伝的に抑制することで、マウスの寿命が延長することが示唆されている5)。また、モデルマウスに非ステロイド性抗炎症薬を投与すると神経症状の発症が遅延し、寿命が延長することが報告されており6)、C型患者で細菌感染を予防し、感染時の早期の抗菌薬投与と抗炎症薬の投与によって炎症を抑えることが勧められる。また、教科書には記載されていないが、C型患者では早期に瞬目反射が減弱・消失し、まばたきが減少し、この結果眼球が乾燥する。この瞬目反射の異常に対するミグルスタットの効果は不明である。C型患者のケアにあたっては、瞬目反射の減弱に注意し、減弱がある場合には、眼球の乾燥を防ぐために点眼薬を使用することが大切である。4 今後の展望シクロデキストリンは、細胞内コレステロール輸送を改善し、遊離型コレステロールの蓄積を軽減させると、静脈投与での効果が報告されている3)。シクロデキストリンは、髄液の移行が乏しく、人道的使用で髄注を行っている家族もあるが、今後アメリカを中心に臨床試験が行われる可能性がある。また、組み換えヒト熱ショックタンパク質70がニーマン・ピック病C型治療薬として開発されている。そのほか、FDAで承認された薬剤のなかでヒストン脱アセチル化阻害剤(トリコスタチンやLBH589)が、細胞レベルでコレステロールの蓄積を軽減させること4, 7)や筋小胞体からCaの遊離を抑制し、筋弛緩剤として用いられているダントロレンが変異したNPCタンパク質を安定化する8)ことなどが報告され、ミグルスタット以外の治療薬の臨床試験が始まる可能性が高い。5 主たる診療科小児科(小児神経科)、神経内科、精神科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働省難治性疾患克服事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班 ライソゾーム病に関して(各論)ニーマン・ピック病C型(医療従事者向けのまとまった情報)鳥取大学医学部N教授Website(ニーマン・ピック病C型の研究情報を多数記載。医療従事者向けのまとまった情報)NP-C Suspicion Index ツール(NPCを疑う症状のスコア化ができる。提供: アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社)The NPC-info.com Information for healthcare professionals に入り、Symptoms of niemann pick type C diseaseにて動画公開(ニーマン・ピック病C型に特徴的な症状のビデオ視聴が可能。提供: アクテリオン株式会社)患者会情報ニーマン・ピック病C型患者家族の会(患者とその患者家族の情報)1)大野耕策(編). ニーマン・ピック病C型の診断と治療.医薬ジャーナル社;2015.2)Vanier MT. Orphanet J Rare Dis.2010;5:16.3)Matsuo M, et al. Mol Genet Metab.2013;108:76-81.4)Pipalia NH, et al. Proc Natl Acad Sci USA.2011;108:5620-5625.5)Suzuki M, et al. J Neurosci.2007;27:1879-1891.6)Smith D, et al. Neurobiol Dis.2009;36:242-251.7)Maceyka M, et al. FEBS J.2013;280:6367-6372.8)Yu T, et al. Hum Mol Genet.2012;21:3205-3214.9)Maekawa M, et al. Steroids.2013;78:967-972.公開履歴初回2013年10月10日更新2016年04月19日

54.

0.01%アトロピンによる近視治療、白人でも忍容性と有効性を確認

 近視の進行を予防する最も有効な治療はアトロピンとされているが、調節麻痺作用と散瞳作用のため二重焦点眼鏡の使用が必要となり、現実的な選択肢とはなっていない。また、アトロピンの効果には、色素が濃いアジア人種の眼と白色人種の眼とで違いがあることがよく知られている。アイルランド・Dublin Institute of TechnologyのJames Loughman氏らは、白色人種における低用量アトロピンの安全性について評価した。その結果、概して0.01%アトロピンの忍容性は良好で、重篤な有害事象は認められないことが示された。著者は、「低用量アトロピンは、白色人種において近視をコントロールするための現実的な治療選択肢になりうるだろう」とまとめている。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年2月22日の掲載報告。 研究グループは、虹彩が明るい白色人種における近視の治療として0.01%アトロピンの受容性と忍容性を評価する目的で、18~27歳の大学生14人を対象に、0.01%アトロピンを1日1滴、5日間投与し、ベースライン、3日目および5日目に視機能とQOLを測定した。 主な結果は以下のとおり。・0.01%アトロピンの効果は、瞳孔サイズ(p=0.04)および反応(p<0.01)に関して統計学的に有意であった。・遠近調節力が減少したが、統計的に有意な変化ではなかった。・視力(遠見、近見)および読速度に悪影響はみられなかった。・羞明などの症状がわずかに増加したが、全体として0.01%アトロピンの使用に関連したQOLへの影響はなかった。

55.

白内障術後眼内炎、効果の高い予防的抗菌薬投与は?

 白内障の術後眼内炎予防を目的とした抗菌薬投与は、前房内注射が点眼よりも効果が高く、また、注射+点眼は注射単独よりも効果が増すことは示されなかった。米国の北カリフォルニア・カイザーパーマネンテのLisa J. Herrinton氏らが、同加入者で白内障手術を受けた31万5,246例を対象に行った観察縦断的コホート研究の結果、報告した。なお、同コホートの眼内炎発症率は0.07%で、後嚢破損が依然として重大なリスク増大因子(3.68倍)であったという。Ophthalmology誌2016年2月号(オンライン版2015年10月14日号)の掲載報告。 検討は、抗菌薬の点眼または注射投与による白内障の術後眼内炎予防効果を調べることを目的とし、北カリフォルニア・カイザーパーマネンテの加入者で、2005~12年に白内障手術を受けたことが確認できた31万5,246例を対象に行われた。 電子医療記録から、被験者特性、医療・服薬・手術記録の情報を入手し、予防的抗菌薬投与(ルートと薬剤)と眼内炎リスクとの関連を調べた。ロジスティック回帰分析法を用いて、補正後オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・確認された眼内炎は215例(0.07%、0.7/1,000)であった。・後嚢破損による眼内炎リスク増大は3.68倍(95%CI:1.89~7.20)であり、術中合併症が依然として眼内炎リスクのキー因子であった。・予防的抗菌薬投与は、前房内注射が点眼単独よりも効果が高かった(OR:0.58、95%CI:0.38~0.91)。・前房内注射+ガチフロキサシンまたはオフロキサシン点眼は、前房内注射単独よりも効果が高いとはいえなかった(OR:1.63、95%CI:0.48~5.47)。・ガチフロキサシン点眼と比較して、アミノグリコシド点眼は効果が低かった(OR:1.97、95%CI:1.17~3.31)。【訂正のお知らせ】最終行の表記に誤りがあったため、下記のように訂正いたしました(2016年2月23日)。「ガチフロキサシン点眼と比較して、アミノグリコシド点眼は効果が低かった~」

56.

ソフトコンタクトレンズトラブルへの角膜再生医療、予後良好

 ソフトコンタクトレンズの長期装用により、角膜輪部に存在する角膜上皮幹細胞が消失する角膜上皮幹細胞疲弊症(LSCD)を来すことがある。カナダ・University of Toronto Medical SchoolのCarl Shen氏らは、こうした患者に対する角膜上皮幹細胞(角膜輪部)移植の予後を後ろ向きに調査し、本移植術は若年のhealthy patients(健康な患者)におけるLSCD治療の有力な選択肢であることを明らかにした。著者は、「上皮下線維形成以前の早期介入が、角膜移植を必要とすることなく良好な視力予後につながる」としたうえで、「固形臓器移植の専門家と協力することで免疫抑制薬による有害事象を管理できる」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌2015年12月号(オンライン版2015年8月20日号)の掲載報告。 研究グループは、ソフトコンタクトレンズ装用に関連した角膜上皮幹細胞疲弊症に対する角膜輪部移植の予後を明らかにする目的で、Cincinnati Eye Instituteのデータベースを検索し、該当患者9例14眼を同定し後ろ向きに調査した。 評価項目は患者背景、症状、最高矯正視力(BVCA)、眼表面安定性、有害事象、追加手術の有無であった。 主な結果は以下のとおり。・手術時の患者の平均年齢は46.6±11.1歳(範囲20~60歳)であった。・追跡調査期間は平均28±19.1ヵ月(範囲12~70ヵ月)であった。・術前BCVAはすべての眼で20/40より悪く(平均:20/70、範囲:20/40~20/250)、異物感、流涙、充血、眼痛などの症状が認められた。・14眼中、4眼(29%)は生体結膜角膜輪部同種移植、10眼(71%)は死体角膜輪部同種移植で、全例に局所および全身性免疫抑制薬が用いられていた。・移植後の最終追跡調査時において、14眼中12眼(86%)は眼表面が安定しており、BCVAが20/30以上に改善し、1例を除き全例で症状が完全に消失していた。なお、その1例は、重度の酒さ性眼瞼角結膜炎が残存しており、BCVAは右眼20/150、左眼20/60であった。・最も頻度が高い有害事象は眼圧上昇で、14眼中8眼(57%)にみられ、抗緑内障薬の点眼を必要とした。・14眼中10眼(71%)は、局所ステロイド使用に関連した白内障摘出を受けた。・角膜輪部移植後に全層角膜移植を必要とした眼はなかった。

57.

新規インテグリン拮抗薬、ドライアイ症状を有意に改善

 lifitegrastは、ドライアイに関与するT細胞を介した炎症を抑制するインテグリン拮抗薬である。米国・Tauber Eye CenterのJoseph Tauber氏らによる12週間の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験(OPUS-2試験)の結果、lifitegrastはドライアイ症状を有意に改善し、主要評価項目を達成した。ただし、もう1つの主要評価項目である角膜下側染色スコアについては有意な改善を認めなかった。眼の有害事象はほとんどが軽度~中等度であり、予期しない有害事象はなかった。結果を踏まえて著者は、「lifitegrastはドライアイ治療薬としてさらなる検討が必要である」とまとめている。Ophthalmology誌2015年12月号(オンライン版2015年9月11日号)の掲載報告。 試験は、18歳以上の成人ドライアイ患者で、30日以上人工涙液を用いるも角膜下側染色スコア(0~4)が0.5以上、無麻酔下シルマーテストで1以上10mm以下、ドライアイ症状スコア(視覚的アナログスケール[VAS]:0~100)が40以上の基準を満たした718例を対象とした。 14日間の導入期(プラセボ投与)の後、lifitegrast点眼液5.0%投与群(358例)またはプラセボ群(360例)に無作為化し、1日2回84日間投与した。 主要評価項目は、ドライアイ症状スコアならびに角膜下側染色スコアのベースラインから84日目までの変化量。副次評価項目は、試験眼の不快感スコア、眼不快感スコア、試験眼の角膜染色スコア、および試験眼の鼻側結膜リサミングリーン染色スコアのベースラインから84日目までの変化量で、治療下で発現した有害事象についても記録した。 主な結果は以下のとおり。・lifitegrast群では、プラセボ群と比較してドライアイ症状が有意に改善した(治療効果[変化量の群間差]:12.61、95%信頼区間[CI]:8.51~16.70、p<0.0001)。・角膜下側染色スコアは、両群間で差はなかった(治療効果:0.03、95%CI:-0.10~0.17、p=0.6186)。・副次評価項目についても、症状改善はlifitegrast群が優れていた(試験眼の不快感:名目上の(nominal)p=0.0005、眼不快感:名目上のp<0.0001)が、角膜染色スコアおよび鼻側結膜染色スコアは両群間で差はなかった。・眼の有害事象は、lifitegrast群(33.7%)がプラセボ群(16.4%)より多かったが、重篤な有害事象はなかった。

58.

原発開放隅角緑内障へのファーストライン、効果が高いのは?

 原発開放隅角緑内障(POAG)は世界的に罹患率が高く、不可逆的な視力喪失の原因で最も多い。米国・ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部のTianjing Li氏らは、POAGに対するファーストライン(第1選択薬)の効果についてシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。その結果、ビマトプロスト、ラタノプロストおよびトラボプロストで有効性が高いことを報告した。ただし、「薬剤の選択にあたっては、副作用や患者の好み、あるいは医療費などすべての因子を考慮しなければならない」と著者はまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2015年10月31日号の掲載報告。 研究グループは、POAGまたは高眼圧患者に対する第1選択薬の有効性を比較検討し、相対的な順位を明らかにする目的で、実薬点眼単剤治療と無治療/プラセボまたは他の実薬点眼単剤治療と比較した無作為化比較試験をCENTRAL、MEDLINE、EMBASEおよびFDAのWEBサイトから検索した。 2人の研究者が独立して試験の適格性を評価し、データをまとめ、バイアスリスクを評価するとともに、ベイジアン・ネットワークメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・無作為化比較試験114件(計2万275例)をレビューに組み込んだ。・バイアスリスクは全体的に混在していた。・すべての第1選択薬は、治療3ヵ月時の眼圧低下の点で、プラセボより有効であった。・治療3ヵ月時の眼圧低下平均値(95%信頼区間)[mmHg]が大きい薬剤から順に並べると以下のとおり。  ビマトプロスト5.61(4.94~6.29)  ラタノプロスト4.85(4.24~5.46)  トラボプロスト4.83(4.12~5.54)  レボブノロール4.51(3.85~5.24)  タフルプロスト4.37(2.94~5.83)  チモロール3.70(3.16~4.24)  ブリモニジン3.59(2.89~ 4.29)  カルテオロール3.44(2.42~4.46)  レボベタキソロール2.56(1.52~3.62)  アプラクロニジン2.52(0.94~4.11)  ドルゾラミド2.49(1.85~3.13)  ブリンゾールアミド 2.42(1.62~3.23)  ベタキソロール2.24(1.59~2.88)  ウノプロストン1.91(1.15~2.67)・上位3剤(ビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト)は、同一種類で差は少なく、順位に臨床的な意義はないと思われる。

59.

ベンザルコニウム低濃度タフルプロスト、緑内障治療中の点状表層角膜炎を軽減

 緑内障点眼治療では点状表層角膜炎(SPK)などの眼表面障害がみられることがある。山口大学医学部眼科 准教授の鈴木 克佳氏らは、ベンザルコニウム塩化物(BAC)濃度を0.01%から0.001%へ低濃度に最適化したタフルプロスト(商品名:タプロス)の安全性および有効性を評価する多施設非盲検試験を行った。その結果、BAC最適化タフルプロストは眼圧下降効果を維持しつつSPKを軽減することが示され、著者は「BAC最適化タフルプロストは、プロスタグランジン関連点眼薬で治療中にSPKが認められた緑内障患者に対する治療選択肢となりうる」と報告している。Journal of Glaucoma誌2015年8月号の掲載報告。 試験は、他のプロスタグランジン関連薬による点眼加療中の緑内障患者のうちSPKが認められ、1眼のAD(area-density)スコアが6ポイント未満の患者30例を対象とした。BAC濃度最適化タフルプロストに変更して12週間投与し、前治療と比較した。  主要評価項目は、点眼変更後12週における変更前からのADスコアの変化、副次的評価項目は涙液層破壊時間(TBUT)、充血スコア、眼圧とした。 主な結果は以下のとおり。・治療中断のため、4例が解析から除外された。・ADスコア(平均±標準偏差[SD])は、変更後3.4±0.9から1.8±1.8に有意に低下した(p<0.0001)・涙液層破壊時間は、6.3±3.3秒から8.0±4.2秒に有意に増加した(p<0.01)。・充血スコアに変化はなかったが、眼圧は15.6±2.6mmHgから14.4±2.0mmHgに有意に下降した(p<0.01)。・前治療がBAC含有ラタノプロスト(17例)またはビマトプロスト(2例)の患者では、ADスコアは3.4±0.9から1.8±1.8へ有意に低下した(p<0.01)。TBUTは、6.4±3.6秒から8.2±4.3秒へ有意に増加した(p<0.01)。前治療がsofZia含有トラボプロスト(7例)の患者ではそのような変化はみられなかった。

60.

リパスジル、既存薬との併用療法の有効性確認

 新規Rhoキナーゼ阻害薬のリパスジル塩酸塩水和物(K-115)(商品名:グラナテック)は、単独療法において眼圧下降効果と良好な安全性プロファイルが認められている。熊本大学 眼科学分野教授の谷原 秀信氏らは、他の緑内障治療薬との併用療法を検討する2件の多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検群間比較試験を行い、チモロールまたはラタノプロストへの併用においても眼圧下降効果が認められることを示した。ただし、ラタノプロストへの併用の効果は朝点眼直前(トラフ値)ではみられなかった。JAMA Ophthalmology誌2015年7月1日号の掲載報告。 研究グループは、原発開放隅角緑内障(POAG)または高眼圧症(OH)患者においてリパスジル0.4%をチモロール0.5%またはラタノプロスト0.005%と併用点眼したときの眼圧下降効果と安全性を検討した。 対象は、チモロールまたはラタノプロスト単独療法を行っても眼圧18mmHg以上のPOAGまたはOH患者それぞれ208例および205例。どちらもリパスジル併用群またはプラセボ併用群に無作為化し、リパスジルまたはプラセボを1日2回、チモロールまたはラタノプロストに追加して8週間点眼した 朝点眼直前(午前9時)と点眼2時間後(午前11時)のベースラインからの眼圧変化量を、リパスジル併用群とプラセボ併用群とで比較し、4、6、8週の3時点を繰り返し時点とした反復測定分散分析を行った。主な結果は以下のとおり。・リパスジル+チモロール併用試験:平均眼圧変化量は、朝点眼直前がリパスジル併用群-2.4mmHg、プラセボ併用群-1.5mmHg、群間差0.9mmHg(95%信頼区間[CI]:0.4~1.3、p<0.001)、点眼2時間後がそれぞれ-2.9mmHgおよび-1.3mmHg、群間差1.6mmHg(同:1.1~2.1、p<0.001)であった。・リパスジル+ラタノプロスト併用試験:平均眼圧変化量は、朝点眼直前がリパスジル併用群-2.2mmHg、プラセボ併用群-1.8mmHg、群間差0.4mmHg(同:0.0~0.9、p=0.06)、点眼2時間後がそれぞれ-3.2mmHgおよび-1.8mmHg、群間差1.4mmHg(同:0.9~1.9mmHg、p<0.001)であった。・最も頻度の高かった副作用は結膜充血であったが、すべて軽度であり、ほとんどが次の点眼前に無処置にて回復した。

検索結果 合計:77件 表示位置:41 - 60