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白内障術後眼内炎、効果の高い予防的抗菌薬投与は?

 白内障の術後眼内炎予防を目的とした抗菌薬投与は、前房内注射が点眼よりも効果が高く、また、注射+点眼は注射単独よりも効果が増すことは示されなかった。米国の北カリフォルニア・カイザーパーマネンテのLisa J. Herrinton氏らが、同加入者で白内障手術を受けた31万5,246例を対象に行った観察縦断的コホート研究の結果、報告した。なお、同コホートの眼内炎発症率は0.07%で、後嚢破損が依然として重大なリスク増大因子(3.68倍)であったという。Ophthalmology誌2016年2月号(オンライン版2015年10月14日号)の掲載報告。 検討は、抗菌薬の点眼または注射投与による白内障の術後眼内炎予防効果を調べることを目的とし、北カリフォルニア・カイザーパーマネンテの加入者で、2005~12年に白内障手術を受けたことが確認できた31万5,246例を対象に行われた。 電子医療記録から、被験者特性、医療・服薬・手術記録の情報を入手し、予防的抗菌薬投与(ルートと薬剤)と眼内炎リスクとの関連を調べた。ロジスティック回帰分析法を用いて、補正後オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・確認された眼内炎は215例(0.07%、0.7/1,000)であった。・後嚢破損による眼内炎リスク増大は3.68倍(95%CI:1.89~7.20)であり、術中合併症が依然として眼内炎リスクのキー因子であった。・予防的抗菌薬投与は、前房内注射が点眼単独よりも効果が高かった(OR:0.58、95%CI:0.38~0.91)。・前房内注射+ガチフロキサシンまたはオフロキサシン点眼は、前房内注射単独よりも効果が高いとはいえなかった(OR:1.63、95%CI:0.48~5.47)。・ガチフロキサシン点眼と比較して、アミノグリコシド点眼は効果が低かった(OR:1.97、95%CI:1.17~3.31)。【訂正のお知らせ】最終行の表記に誤りがあったため、下記のように訂正いたしました(2016年2月23日)。「ガチフロキサシン点眼と比較して、アミノグリコシド点眼は効果が低かった~」

42.

ソフトコンタクトレンズトラブルへの角膜再生医療、予後良好

 ソフトコンタクトレンズの長期装用により、角膜輪部に存在する角膜上皮幹細胞が消失する角膜上皮幹細胞疲弊症(LSCD)を来すことがある。カナダ・University of Toronto Medical SchoolのCarl Shen氏らは、こうした患者に対する角膜上皮幹細胞(角膜輪部)移植の予後を後ろ向きに調査し、本移植術は若年のhealthy patients(健康な患者)におけるLSCD治療の有力な選択肢であることを明らかにした。著者は、「上皮下線維形成以前の早期介入が、角膜移植を必要とすることなく良好な視力予後につながる」としたうえで、「固形臓器移植の専門家と協力することで免疫抑制薬による有害事象を管理できる」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌2015年12月号(オンライン版2015年8月20日号)の掲載報告。 研究グループは、ソフトコンタクトレンズ装用に関連した角膜上皮幹細胞疲弊症に対する角膜輪部移植の予後を明らかにする目的で、Cincinnati Eye Instituteのデータベースを検索し、該当患者9例14眼を同定し後ろ向きに調査した。 評価項目は患者背景、症状、最高矯正視力(BVCA)、眼表面安定性、有害事象、追加手術の有無であった。 主な結果は以下のとおり。・手術時の患者の平均年齢は46.6±11.1歳(範囲20~60歳)であった。・追跡調査期間は平均28±19.1ヵ月(範囲12~70ヵ月)であった。・術前BCVAはすべての眼で20/40より悪く(平均:20/70、範囲:20/40~20/250)、異物感、流涙、充血、眼痛などの症状が認められた。・14眼中、4眼(29%)は生体結膜角膜輪部同種移植、10眼(71%)は死体角膜輪部同種移植で、全例に局所および全身性免疫抑制薬が用いられていた。・移植後の最終追跡調査時において、14眼中12眼(86%)は眼表面が安定しており、BCVAが20/30以上に改善し、1例を除き全例で症状が完全に消失していた。なお、その1例は、重度の酒さ性眼瞼角結膜炎が残存しており、BCVAは右眼20/150、左眼20/60であった。・最も頻度が高い有害事象は眼圧上昇で、14眼中8眼(57%)にみられ、抗緑内障薬の点眼を必要とした。・14眼中10眼(71%)は、局所ステロイド使用に関連した白内障摘出を受けた。・角膜輪部移植後に全層角膜移植を必要とした眼はなかった。

43.

新規インテグリン拮抗薬、ドライアイ症状を有意に改善

 lifitegrastは、ドライアイに関与するT細胞を介した炎症を抑制するインテグリン拮抗薬である。米国・Tauber Eye CenterのJoseph Tauber氏らによる12週間の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験(OPUS-2試験)の結果、lifitegrastはドライアイ症状を有意に改善し、主要評価項目を達成した。ただし、もう1つの主要評価項目である角膜下側染色スコアについては有意な改善を認めなかった。眼の有害事象はほとんどが軽度~中等度であり、予期しない有害事象はなかった。結果を踏まえて著者は、「lifitegrastはドライアイ治療薬としてさらなる検討が必要である」とまとめている。Ophthalmology誌2015年12月号(オンライン版2015年9月11日号)の掲載報告。 試験は、18歳以上の成人ドライアイ患者で、30日以上人工涙液を用いるも角膜下側染色スコア(0~4)が0.5以上、無麻酔下シルマーテストで1以上10mm以下、ドライアイ症状スコア(視覚的アナログスケール[VAS]:0~100)が40以上の基準を満たした718例を対象とした。 14日間の導入期(プラセボ投与)の後、lifitegrast点眼液5.0%投与群(358例)またはプラセボ群(360例)に無作為化し、1日2回84日間投与した。 主要評価項目は、ドライアイ症状スコアならびに角膜下側染色スコアのベースラインから84日目までの変化量。副次評価項目は、試験眼の不快感スコア、眼不快感スコア、試験眼の角膜染色スコア、および試験眼の鼻側結膜リサミングリーン染色スコアのベースラインから84日目までの変化量で、治療下で発現した有害事象についても記録した。 主な結果は以下のとおり。・lifitegrast群では、プラセボ群と比較してドライアイ症状が有意に改善した(治療効果[変化量の群間差]:12.61、95%信頼区間[CI]:8.51~16.70、p<0.0001)。・角膜下側染色スコアは、両群間で差はなかった(治療効果:0.03、95%CI:-0.10~0.17、p=0.6186)。・副次評価項目についても、症状改善はlifitegrast群が優れていた(試験眼の不快感:名目上の(nominal)p=0.0005、眼不快感:名目上のp<0.0001)が、角膜染色スコアおよび鼻側結膜染色スコアは両群間で差はなかった。・眼の有害事象は、lifitegrast群(33.7%)がプラセボ群(16.4%)より多かったが、重篤な有害事象はなかった。

44.

原発開放隅角緑内障へのファーストライン、効果が高いのは?

 原発開放隅角緑内障(POAG)は世界的に罹患率が高く、不可逆的な視力喪失の原因で最も多い。米国・ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部のTianjing Li氏らは、POAGに対するファーストライン(第1選択薬)の効果についてシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。その結果、ビマトプロスト、ラタノプロストおよびトラボプロストで有効性が高いことを報告した。ただし、「薬剤の選択にあたっては、副作用や患者の好み、あるいは医療費などすべての因子を考慮しなければならない」と著者はまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2015年10月31日号の掲載報告。 研究グループは、POAGまたは高眼圧患者に対する第1選択薬の有効性を比較検討し、相対的な順位を明らかにする目的で、実薬点眼単剤治療と無治療/プラセボまたは他の実薬点眼単剤治療と比較した無作為化比較試験をCENTRAL、MEDLINE、EMBASEおよびFDAのWEBサイトから検索した。 2人の研究者が独立して試験の適格性を評価し、データをまとめ、バイアスリスクを評価するとともに、ベイジアン・ネットワークメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・無作為化比較試験114件(計2万275例)をレビューに組み込んだ。・バイアスリスクは全体的に混在していた。・すべての第1選択薬は、治療3ヵ月時の眼圧低下の点で、プラセボより有効であった。・治療3ヵ月時の眼圧低下平均値(95%信頼区間)[mmHg]が大きい薬剤から順に並べると以下のとおり。  ビマトプロスト5.61(4.94~6.29)  ラタノプロスト4.85(4.24~5.46)  トラボプロスト4.83(4.12~5.54)  レボブノロール4.51(3.85~5.24)  タフルプロスト4.37(2.94~5.83)  チモロール3.70(3.16~4.24)  ブリモニジン3.59(2.89~ 4.29)  カルテオロール3.44(2.42~4.46)  レボベタキソロール2.56(1.52~3.62)  アプラクロニジン2.52(0.94~4.11)  ドルゾラミド2.49(1.85~3.13)  ブリンゾールアミド 2.42(1.62~3.23)  ベタキソロール2.24(1.59~2.88)  ウノプロストン1.91(1.15~2.67)・上位3剤(ビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト)は、同一種類で差は少なく、順位に臨床的な意義はないと思われる。

45.

ベンザルコニウム低濃度タフルプロスト、緑内障治療中の点状表層角膜炎を軽減

 緑内障点眼治療では点状表層角膜炎(SPK)などの眼表面障害がみられることがある。山口大学医学部眼科 准教授の鈴木 克佳氏らは、ベンザルコニウム塩化物(BAC)濃度を0.01%から0.001%へ低濃度に最適化したタフルプロスト(商品名:タプロス)の安全性および有効性を評価する多施設非盲検試験を行った。その結果、BAC最適化タフルプロストは眼圧下降効果を維持しつつSPKを軽減することが示され、著者は「BAC最適化タフルプロストは、プロスタグランジン関連点眼薬で治療中にSPKが認められた緑内障患者に対する治療選択肢となりうる」と報告している。Journal of Glaucoma誌2015年8月号の掲載報告。 試験は、他のプロスタグランジン関連薬による点眼加療中の緑内障患者のうちSPKが認められ、1眼のAD(area-density)スコアが6ポイント未満の患者30例を対象とした。BAC濃度最適化タフルプロストに変更して12週間投与し、前治療と比較した。  主要評価項目は、点眼変更後12週における変更前からのADスコアの変化、副次的評価項目は涙液層破壊時間(TBUT)、充血スコア、眼圧とした。 主な結果は以下のとおり。・治療中断のため、4例が解析から除外された。・ADスコア(平均±標準偏差[SD])は、変更後3.4±0.9から1.8±1.8に有意に低下した(p<0.0001)・涙液層破壊時間は、6.3±3.3秒から8.0±4.2秒に有意に増加した(p<0.01)。・充血スコアに変化はなかったが、眼圧は15.6±2.6mmHgから14.4±2.0mmHgに有意に下降した(p<0.01)。・前治療がBAC含有ラタノプロスト(17例)またはビマトプロスト(2例)の患者では、ADスコアは3.4±0.9から1.8±1.8へ有意に低下した(p<0.01)。TBUTは、6.4±3.6秒から8.2±4.3秒へ有意に増加した(p<0.01)。前治療がsofZia含有トラボプロスト(7例)の患者ではそのような変化はみられなかった。

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リパスジル、既存薬との併用療法の有効性確認

 新規Rhoキナーゼ阻害薬のリパスジル塩酸塩水和物(K-115)(商品名:グラナテック)は、単独療法において眼圧下降効果と良好な安全性プロファイルが認められている。熊本大学 眼科学分野教授の谷原 秀信氏らは、他の緑内障治療薬との併用療法を検討する2件の多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検群間比較試験を行い、チモロールまたはラタノプロストへの併用においても眼圧下降効果が認められることを示した。ただし、ラタノプロストへの併用の効果は朝点眼直前(トラフ値)ではみられなかった。JAMA Ophthalmology誌2015年7月1日号の掲載報告。 研究グループは、原発開放隅角緑内障(POAG)または高眼圧症(OH)患者においてリパスジル0.4%をチモロール0.5%またはラタノプロスト0.005%と併用点眼したときの眼圧下降効果と安全性を検討した。 対象は、チモロールまたはラタノプロスト単独療法を行っても眼圧18mmHg以上のPOAGまたはOH患者それぞれ208例および205例。どちらもリパスジル併用群またはプラセボ併用群に無作為化し、リパスジルまたはプラセボを1日2回、チモロールまたはラタノプロストに追加して8週間点眼した 朝点眼直前(午前9時)と点眼2時間後(午前11時)のベースラインからの眼圧変化量を、リパスジル併用群とプラセボ併用群とで比較し、4、6、8週の3時点を繰り返し時点とした反復測定分散分析を行った。主な結果は以下のとおり。・リパスジル+チモロール併用試験:平均眼圧変化量は、朝点眼直前がリパスジル併用群-2.4mmHg、プラセボ併用群-1.5mmHg、群間差0.9mmHg(95%信頼区間[CI]:0.4~1.3、p<0.001)、点眼2時間後がそれぞれ-2.9mmHgおよび-1.3mmHg、群間差1.6mmHg(同:1.1~2.1、p<0.001)であった。・リパスジル+ラタノプロスト併用試験:平均眼圧変化量は、朝点眼直前がリパスジル併用群-2.2mmHg、プラセボ併用群-1.8mmHg、群間差0.4mmHg(同:0.0~0.9、p=0.06)、点眼2時間後がそれぞれ-3.2mmHgおよび-1.8mmHg、群間差1.4mmHg(同:0.9~1.9mmHg、p<0.001)であった。・最も頻度の高かった副作用は結膜充血であったが、すべて軽度であり、ほとんどが次の点眼前に無処置にて回復した。

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事例45 レボフロキサシン(商品名: クラビット)点眼液の査定【斬らレセプト】

解説事例では、レボフロキサシン(クラビット®)点眼液を外用投与したところA事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に査定となった。「全身アトピー性皮膚炎であり、同皮膚炎による眼瞼部の炎症に対して処方したが、なぜ査定となったのか」と問い合わせがあった。同点眼液の添付文書を見てみる。適応症に、「眼瞼炎、涙嚢炎、麦粒腫、結膜炎、瞼板腺炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、眼科周術期の無菌化療法」とある。薬効は広範囲抗菌点眼薬に分類される。感染が明らかか、著しく疑われる傷病名の記載が必要な薬剤である。全身アトピー性皮膚炎の病名では、炎症はあるが感染を来しているかの判断はできない。また、保険診療では予防投与はできない。したがって、適応外使用もしくは不適当使用と判断されて査定となったものであろう。このことを説明し、必要を認めて投与した場合には、全身アトピー性皮膚炎の他に感染性眼瞼炎などの感染が読みとれる傷病名もしくはコメントを付与していただくようにお願いした。

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ラタノプロスト、緑内障の視野維持期間を延長/Lancet

 開放隅角緑内障の患者に対し、眼圧降下薬ラタノプロスト(商品名:キサラタンほか)の点眼は、視野の維持期間を有意に延長することが、初のプラセボ対照無作為化比較試験で明らかになった。英国・ムーアフィールド眼科病院のDavid F Garway-Heath氏らが、516例について行った試験の結果、報告した。開放隅角緑内障治療では、視覚機能喪失の回避を目的に眼圧低下治療が行われるが、プラセボ対照試験は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2014年12月18日号掲載の報告より。 ラタノプロスト0.005%を1日1回両眼点眼 Garway-Heath氏らは2006年12月1日~2010年3月16日にかけて、新たに開放隅角緑内障の診断を受けた516例を対象に、プラセボ対照無作為化三重盲検試験を行った。同グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはラタノプロスト0.005%を、もう一方にはプラセボをそれぞれ1日1回、両眼に点眼した。 主要評価項目は、24ヵ月以内の視野低下までの期間だった。ラタノプロスト群の視野低下に関するハザード比0.44 被験者のラタノプロスト群(258例)のベースライン時平均眼圧は19.6mmHg、プラセボ群(258例)は20.1mmHgだった。 24ヵ月後の追跡評価が可能だった被験者のうち、ラタノプロスト群(231例)の平均眼圧減少幅は3.8mmHg、プラセボ群(230例)は0.9mmHgだった。 視野の維持期間については、ラタノプロスト群でプラセボ群に比べ有意に長かった(補正後ハザード比:0.44、95%信頼区間:0.28~0.69)。 重篤な有害事象は18例でみられたが、試験薬に関する報告はなかった。

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加算導入後1年超、半数以上の医師は現在も”一般名処方”を行っていない

2012年4月に新設された“一般名処方加算”。導入後1年以上が経過した今、実施率はどんな状況なのでしょうか?行わない先生、その理由は?「一般名は長い!覚えられない!書けない!」「後発品の銘柄をいちいち覚えられない、いっそ全て一般名で」といった“名前問題“から、「成分が同じでも効果はどうなの?」「どの製品が出されるのかわからないのに責任持てないよ」などの“後発品って…問題”まで、一般名処方をめぐるあれこれを伺ってみました!コメントはこちら結果概要昨年より比率は高まったものの、半数以上の医師は現在も一般名処方を行っていない一般名処方の実施有無について前回調査(2012年6月)と同様に尋ねたところ、『行っている』との回答が17.4%(前回15.1%)、『一部行っている』が25.4%(同19.3%)であり、何らかの形で行っている医師は全体で42.8%(同34.4%)。診療報酬改定前後で17.2%→34.4%と倍増した前回結果と比較すると実施率はゆるやかな伸びに留まった。『行っていない』とした医師を施設別に見ると、診療所・クリニックでは39.4%、一般病院では62.9%、大学病院では71.4%に上った。(回答医師単位の集計であり、処方箋枚数および金額は加味していません)行っていない医師、最大の理由は「一般名を調べるのが手間」。煩雑さに加え、処方ミスを不安視『行っていない』とした医師に理由を尋ねると、『一般名を調べる手間がかかるため』で42.1%、『電子カルテに一般名処方のサポート機能がなく煩雑』29.7%、『紙カルテで煩雑』10.1%と、一般名の長さ・複雑さによる処方(事務作業含む)の手間を挙げた回答が多く見られた。その点に関連して『処方ミスを起こす不安がある』も24.0%に上り、「一般名は"うろ覚え"が現実。いつでも・どこでも事故が起こる可能性がある」「専門外では覚える余裕はない」などのコメントが寄せられた。「後発品の効果・供給体制に懸念」、「処方はするがどれでも良いわけではない」後発品に対して懸念点がある医師からは『後発品の効果に疑問があるため』24.0%、『供給体制に不安があるため』8.2%といった回答が挙がった。その他『後発品も銘柄指定で処方するため』21.0%との意見があり、「後発品にも良いものや粗悪なもの、作用の強いもの弱いもの様々で、成分では怖くて(処方箋を)書けない」といったコメントが寄せられるなど、既に後発品を処方している医師にとっても、製品を指定できない一般名処方へのハードルは高いことが明らかとなった。設問詳細一般名処方についてお尋ねします。2012年4月の診療報酬改定で“一般名処方加算”が新設されるなど、医療費削減策の一環として、後発医薬品の使用促進策がさまざまな形で検討・実施されています。厚労省は今年4月5日、「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を公表。普及に関する目標値の算出方法をこれまでの“全ての医療用医薬品に占める後発品のシェア”から“後発品に置き換え可能な医薬品(長期収載品と後発品を含める)に占める後発品のシェア”に変更し、2018年3月末までにシェア60%(現在約45%)を達成するという数値目標を掲げました。そこで先生にお尋ねします。Q1.先生は一般名処方を行っていますか?行っている一部行っている行っていないQ2.Q1で「行っていない」と回答した先生にお尋ねします。一般名処方を行わない理由として当てはまるものを全てお選びください。(複数回答可)後発品に関しても銘柄指定で処方するため後発品の効果に疑問があるため後発品の供給体制に不安があるため後発品を患者が嫌がるため慣れた薬が変更となるのを患者が嫌がるため一般名を調べる手間がかかるため処方ミスを起こす不安があるため紙カルテで処方が煩雑なため電子カルテだが一般名処方のサポート機能がなく煩雑なため院内処方のためその他Q3.コメントをお願いします。2013年6月6日(木)~7日(金)実施有効回答数1,000件調査対象CareNet.com会員コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「専門外領域の一般名処方は、調べることが多く面倒だ。」(一般病院,内科,60代)「後発薬には、明らかに効果に疑問符のつくものがある。思いもかけない副作用が出ることもあり、 後発薬なら何でもOKというわけにはいかないのが実情。一般名とする場合、慣れるまで相当に処方に余計な時間を要し、診療にも支障が出る。事務・薬局の混乱も避けられない。何が何でも後発薬に・・という風潮はいただけない。」(診療所・クリニック,内科,40代)「間違いのない処方をおこなうためには、慣れた、性質、データの良くわかった先発品が優先になります。後発品はやはりばらつきがあり、副作用データもよくわからず使いにくいです。」(診療所・クリニック,内科,40代)「ジェネリックの場合はジェネリック可としてその薬剤名を書いています」(診療所・クリニック,耳鼻咽喉科,50代)「まだコンピューターのシステムが対応していないので難しい。個人的には一般名でかまわないが・・・」(診療所・クリニック,精神科,40代)「一般名処方が基本だと思う。同じ薬剤で異なる商品名を覚えること、同じ薬剤で違った名前があることは安全管理の面から好ましくない。しかし、当院では一般名処方がサポートされておらず残念」(大学病院,麻酔科,60代)「一般名が多すぎて、他院で処方されている薬の手帳を 見せてもらっても、何の薬か分からない。調べる手間がかかり迷惑以外のなにものでもない。いかにも現場のわかっていない役人が考えた事だというのがよくわかります」(診療所・クリニック,皮膚科,70代以上)「一般名で処方することは医師の義務と考えており、厚労省の方針は妥当と思う。」(一般病院,消化器内科,50代)「一般名にすると、胃腸薬など処方ごとに薬が変わり患者に不信感を与えたことがある。効果に私自身も疑問がある。」(一般病院,小児科,60代)「後発品のエビデンスがはっきりしないのにそっちへ強引に切り替えさせようとする厚労省の方針には呆れます」(診療所・クリニック,循環器内科,40代)「専門領域では商品名と一般名の両方を憶えられますが、専門外ではそんな余裕はありません」(一般病院,糖尿病・代謝・内分泌内科,30代以下)「ただでさえ忙しい中、いちいち一般名を調べていたら堪りません」(診療所・クリニック,内科,70代以上)「一般名で処方しても薬局から先発品が出ることもある。意味がないような気がする」(診療所・クリニック,皮膚科,50代)「後発品も先発品と同じPK/PDの試験が義務付けられ、同等と判断できれば積極的に使います。最大の欠陥はこれが行われていないこと。試薬ではないので、同一成分同一効果ではない。有効成分に添加剤や賦形剤などを加えている。例えるなら、同じ材料で料理を作っても、味も栄養の吸収も料理人の腕で変わるということと同じ」(一般病院,呼吸器内科,40代)「商品名で入力して、自動的に一般名になるようなシステムがあれば一番良いのでは」(診療所・クリニック,呼吸器内科,40代)「後発薬の名前が長すぎて処方箋に記載するのが大変。(当院は手書きのため)また、覚えていないものもある」(一般病院,泌尿器科,30代以下)「当初は行っていたが、薬局が患者さんの希望を聞かず処方し、大混乱になり中止した。また、処方した薬をきちんと報告する薬局としない薬局まちまちで カルテがメチャメチャになってしまった」(診療所・クリニック,心療内科,50代)「後発品の臨床成績を、先発品から独立して示してほしい」(診療所・クリニック,内科,50代)「一般名のほうが判りやすいし、迷わない」(一般病院,麻酔科,50代)「後発品にも良いもの、粗悪なものと様々で、mgをそろえても作用の強いものや弱いものもある。処方に関して責任を医師に求めるならば成分では怖くて書けない。副作用が出てから動いても遅い。チェックは厚労省主導でないと何も始まらないので粗悪なジェネリックを締め出してほしい」(診療所・クリニック,内科,50代)「先発品は純度99.5~99.9%に対して、後発品の純度は98%前後です。不純物の比較だと、4~20倍 の差があります。私自身も、ある日突然、病院の方針で抗生剤が後発品に変わっていて、心肺停止を起こした症例を経験しています。余程患者が望まない限り、後発品は使用しません」(診療所・クリニック,糖尿病・代謝・内分泌内科,50代)「後発薬の名前が、他の成分の先発品などと似ていた為 誤処方、誤薬が起きかけたことが何度かある。後発品の商品名はリスク要因である」(診療所・クリニック,内科,40代)「電子カルテに一般名処方の機能がなくできません」(大学病院,呼吸器内科,50代)「レセコン(電カル)なので、設定すればストレスなし」(診療所・クリニック,内科,60代)「ジェネリックを積極的に採用、使用している」(大学病院,泌尿器科,40代)「医師免許を取得した20年以上前には今ほど後発品は無く、当時の厚生省としても、一般名処方に関しては何の方針も有していなかったと思うが、先発品の一部は複数社から異なる薬品名で販売されており、『同一成分なのに複数の製品名を知っておかねばならない」ことに煩わしさを感じていたので、当時から『処方は一般名で良い」と思っていた。その考えは今も変わらないが、後発品の中には薬効が不確かな製品もあり、流通する製品の効果・副作用や安全性に対する保証が不十分なまま、医療費削減を動機に政策を推進しようとする厚労省の姿勢はいただけない。」(一般病院,整形外科,50代)「後発品の選択については患者が望むならそうすべき。効果の同等性については一般医が結論づけることは困難。厚労省が推進するかぎり、齟齬が生じた場合には厚労省が責任をとるのだろう」(一般病院,麻酔科,50代)「後発品はメーカーにより品質がまちまちで、全く先発品に劣ってしまっているものも多い。でも薬局は後発品比率を上げるために必死で質の良くない後発品を勧めてしまっている。患者が迷惑だと思う」(診療所・クリニック,内科,40代)「一般名処方は考え方としては妥当であろうが、医療現場で実際に対応するには甚だしく準備不足であると考えます。実務上、最大の障害は電子カルテの対応が追いつかないことにありますが、そもそも後発薬一般について、基剤成分が先発薬と違うのか否か等の情報が不十分であると感じてもいます」(診療所・クリニック,放射線科,40代)「薬局でジェネリックに変更された際にこちらに届く、処方変更の書類の束の処理が困る」(大学病院,血液内科,50代)「やらなければいけないのか、やらなくても良いのか、中途半端な方針が多すぎる。監督省庁として適切な方針を責任を持って立てて頂きたい。明確に出されないと、システム更新のための予算手配もできない」(大学病院,その他,40代)「一般名処方をしても院外薬局に先発薬を出されるケースが多く困っています」(診療所・クリニック,内科,40代)「医師も混乱するが、看護師はほとんど一般名を知らないので全銘柄覚えられるとは思えない。外来時は先発品を、入院後は後発品を投与していた患者がいたが、同一成分薬とは知らず重複投与していたということに。」(一般病院,泌尿器科,50代)「成分が同じだけで、効果は明らかに違うように実感している。目先の安さに飛びつき、効果不十分であれば結局医療費は長期的には増大するし、また先発の製薬会社を窮地に追いやることで新薬の開発が鈍ると危惧している。ジェネリックが素晴らしいように煽るCMなど、やめてほしい」(大学病院,精神科,30代以下)「電子カルテで、商品名を入力すれば、一般名に変換できるシステムがあれば、先発品・後発品にはこだわらない。手書き処方箋の場合は厳しい」(一般病院,精神科,40代)「一時期混乱致しましたが、現在ではもう慣れました」(一般病院,整形外科,40代)「商品名:エコリシン点眼液 一般名:エリスロマイシンラクトビオン酸塩・コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム点眼液。こんな長い薬名、処方箋に書けるわけがない」(診療所・クリニック,皮膚科,60代)「抗アレルギー薬の後発品にアレルギーを起こした症例を見ました。他の薬に対するアレルギーならまだしも、抗アレルギーに対するアレルギーは少し後発品の怖さを感じます」(一般病院,呼吸器内科,30代以下)「後発品を使うことで後発品の品質向上がもたらされることはいいことです。先発メーカーの利益が損なわれることによる創薬へのマイナス面が気になります」(診療所・クリニック,小児科,50代)「後でどこの会社の薬を処方したか確認しないといけないから大変!」(診療所・クリニック,消化器内科,40代)「厚労省がジェネリックや一般名処方を強力に推進する意図は、唯一「医療費の削減」ですが、それによって果たして医療費の削減がなされているかのしっかりしたデータはあるのでしょうか?その処方をする事により、病状がかえって改善するのに時間が掛かり服薬期間が長くなったり、本来なされない検査が追加される事になったり、本来の効能が十分発揮されなかったりした事例が数多く臨床現場で発生しているのを聞きますし、それで来院した症例も数多く経験しています」(診療所・クリニック,循環器内科,60代)「医療費が0割の方には、後発薬がある薬剤に関してはその使用を義務化して頂きたい」(大学病院,神経内科,30代以下)「レセコンの性能の問題かもしれませんが、一般名処方も覚えなくてはならないのが困ります。後でカルテを見る時に、この薬は何の薬?と思ってしまう事が多々あり、いずれ医療事故を招きかねない感じがします」(診療所・クリニック,内科,50代)「どんな後発品でも良いから変更させて医療費削減しか考えない厚労省、突然『その薬剤はうちでは生産中止になりました』という製薬会社、自分に都合の良いように処方を変える調剤薬局。病院(医師)側だけが面倒な一般名処方をする必要はない」(一般病院,内科,50代)「処方箋に一般名を書くのは、調べるのと書くのに手間がかかる。また覚えにくいので歓迎できない。仕方なく実施している」(診療所・クリニック,内科,60代)「推進したいのであれば『自己負担のない方は、原則的に後発品処方』くらいの姿勢が必要と思います」(一般病院,循環器内科,30代以下)「一般名の管理番号(厚労省のコード)が振り当てられていないものが多く、一般名処方が適宜、状況に応じてになってしまっている」(診療所・クリニック,耳鼻咽喉科,50代)「門前薬局と事前に打ち合わせて、一般名だが先発品を使うもの、後発品でも構わないものを分けている。何が出されているか分からないのは避けるようにしている。降圧剤等循環器系の薬は出来るだけ先発を使っているが、痛み止め、胃薬などはゾロでも構わないかもと考えている」(診療所・クリニック,腎臓内科,40代)「後発品は多くの会社が生産しているが、調剤薬局では一般名だとどこの会社が選ばれているのかが分からない。後発品の一般名がまだ手書き処方をしているため、一診察に時間がかかっている」(診療所・クリニック,内科,40代)「長い名前を書くのが大変なので最初の4文字だけにして欲しい。錠とかの材形は省略可にして欲しい。余計な手間がかかって診療に集中できない」(一般病院,整形外科,40代)「合剤やらいろいろ出ている中、一般名で全て済ませるのは無理がある」(大学病院,膠原病・リウマチ科,40代)「医療費抑制のため後発品を推進するのは仕方ないとしても、生活保護受給者が『どうせお金がかからないから先発品で』と言ったり、生活保護こそ後発品にすべきだという意見に『差別するのか』と言うのはけしからんと思う。厚労省は強い態度で臨んでほしい」(一般病院,外科,50代)「後発品は使用したくないが、点数のためにしています。やむをえず・・・」(診療所・クリニック,皮膚科,30代以下)「後発品使用についてはやむをえないと思うが、ころころ政策を変えすぎで混乱しやすい」(診療所・クリニック,整形外科,40代)「厚労省の方針や後発薬について思うこと 1)抗痙攣薬では、先発品と後発品の間で明らかに効果に差があります。2)医師のみならず、レセコン入力の事務職員、薬局のレベルでも仕事が煩雑となり、ミスが起きやすくなります。3)医療費の削減に際しては、根幹の、終末期医療をどうするのか、先端医療の費用は、国民皆保険制度はどうするのかを議論せず、後発薬の普及は枝葉末節の話だと思っています」(診療所・クリニック,小児科,50代)「このたびの一般名処方加算は、なんとも下らないものである。後発品への移行を促すならば、もっと抜本的なインセンティブを考えるべきである」(診療所・クリニック,糖尿病・代謝・内分泌内科,40代)「後発品の名称は、先発品名の後ろに後発品であることがわかる記号や製造会社名を付加する形式にすれば良かったのです。なぜこんなに単純なことが素直にできなかったのか。また後発品メーカーには、医薬品費低減目的のためにも広告は一切禁止すべき」(一般病院,内科,50代)「すべて一般名処方とするのがふさわしいと思う」(一般病院,精神科,30代以下)「院内で先発薬を処方するのと、処方箋を出し後発薬を薬局で処方してもらうのとでは、患者からみたトータルコストはほぼ変わらない。こんな薬局寄りの保険点数配分はおかしい」(診療所・クリニック,内科,40代)「ほとんどの医師は一般名は"うる覚え"が現実です。いつでも・どこでも事故が起こる可能性があります、が、事故が起こっても厚労省は隠す(積極的な公表はしない)でしょうが…」(一般病院,小児科,30代以下)「今後発売する後発品はいわゆる商品名はつけず、すべて一般名での発売としてもらいたい。先発品ならいざ知らず、売れなければいつ撤退し手に入らなくなるかも知れない後発品にまで商品名がつけられ、それをその都度覚え直すという全く価値のない作業にこれまでどれほどの労力を割いたことか」(一般病院,整形外科,50代)「①後発品使用を推進するのは、財政上もっともかと思います。一部の循環器系薬などは、後発品が先発品と同等の効果を持っていないようですが、私が関係する領域では概ね『後発品で効かなくなった』『効き方が先発品と違う』等のクレームは経験していません。②そもそも日本では先発品の薬価が高すぎるのが問題。日本の薬剤費の高さは異常です」(一般病院,精神科,50代)「医療費削減のために後発品を推奨するなら、先発品の特許が切れたのち先発品の値段を後発品並みに下げればよいと思う」(一般病院,消化器内科,60代)「後発薬の有無が分かりにくいときがある」(一般病院,呼吸器内科,40代)「後発品の中にはいまだ品質などが安定しないものも多く、基本的には先発品の使用を行いたいが、受けてくれている薬局などに対し後発品の使用割合による支払額の差などがつくため『やむを得ず』一般名処方を行っているのが本心である」(診療所・クリニック,小児科,50代)「しくみをよくわからず、電子カルテのなすがままに任せています。今のところ、トラブルはないようですが・・・」(大学病院,産婦人科,30代以下)「先発品と後発品の保険適応を一致させるべき」(一般病院,内科,40代)

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エキスパートに聞く!「花粉症」Q&A part2

CareNet.comでは1月の花粉症特集を配信するにあたって、事前に会員の先生より花粉症診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、後藤 穣先生にご回答いただきました。今回は残りの5問について回答を掲載します。点鼻用抗ヒスタミン薬の有効性について教えてください。使用するのはどのような症例でしょうか?一般的に、薬剤の即効性を高め副作用発現を減少させるためには、局所投与が必要です。抗ヒスタミン薬の内服によって副作用の問題がある症例では、点鼻抗ヒスタミン薬を使用します。内服薬や点鼻薬で効果が不十分な場合、どのような治療をすればよいでしょうか?薬物療法で効果不十分の場合、レーザー治療を含めた手術療法やアレルゲン免疫療法を考慮します。高度の鼻中隔弯曲症や鼻粘膜腫脹があると、薬剤の無効例が増えてきます。専門医で鼻腔内の診察を受け、他疾患の合併も含めて評価すべきです。初期治療はいつから開始すればよいのでしょうか? また、花粉症予防のための点鼻薬、点眼薬は有効でしょうか?これまで初期療法は、花粉飛散開始日の2週間前からという方法が長く行われてきました。一般的にはそれで間違いないと思います。しかし、近年発売されている抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬では即効性が向上しているので、必ずしも一律に2週間にこだわらず、花粉症症状が少し出始めてからでも、十分効果があると考えられています。初期療法は内服薬だけでなく、点鼻薬、点眼薬でも同様に有効だと考えます。レーザー治療、アレルゲン免疫療法(減感作療法)を適応する症例の選択基準について教えてください。 また、それぞれ何歳から実施可能でしょうか?レーザー治療は、外科手術のひとつですので、薬物療法無効例や鼻粘膜腫脹が高度な症例に行います。また、薬物の副作用があった方や、妊娠中で薬物療法を行えないケースも対象です。免疫療法は、軽症例から重症例まで適応になるので、薬物療法の効果が不十分で、定期的な治療が可能であれば適応になります。手術、注射に耐えられる年齢に行っているので、おおむねレーザーでは10歳以降、皮下免疫療法では4~5歳以降なら実施可能です。ステロイド筋注の是非について教えてください。ステロイド筋注は、決して推奨できる治療方法ではありません。正確な臨床的有効性のデータが少なく、薬剤の特性から副作用が発現した場合にはそれ自体も長く続きます。ステロイド筋注による訴訟のケースも散見されています。

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花粉症の治療薬剤に関するアンケート結果

対象ケアネット会員の医師 耳鼻咽喉科101名、内科690名方法インターネット調査実施期間2013年1月8日~1月15日Q1花粉症治療で処方している薬剤の種類をお聞かせください(点眼剤を除く)。(複数回答)Q2花粉症患者への薬剤処方のうち、単剤処方の割合はどれくらいですか?(点眼剤を除く)Q3花粉症治療薬の種類の中で、最も効果が高いと実感しているものから上位2つをお選びください (点眼剤を除く)。2013年1月ケアネット調べ

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鼻噴霧用ステロイド薬による花粉症初期療法の検討~日本アレルギー学会秋季学術大会

花粉症の初期療法に使用する薬剤として、「鼻アレルギー診療ガイドライン」では以下の5種類の薬剤が推奨されており、鼻噴霧用ステロイド薬は含まれていない。1) 第2世代抗ヒスタミン薬2) ケミカルメディエーター遊離抑制薬3) Th2サイトカイン阻害薬4) 抗ロイコトリエン薬5) 抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬しかしながら、海外の花粉症では鼻噴霧用ステロイド薬による季節前投与の有用性が報告され、スギ花粉症においてもプラセボ対照無作為化比較試験によるエビデンスの蓄積が待たれている。このような背景のもと、2012年11月29日~12月1日に開催された第62回日本アレルギー学会秋季学術大会では、鼻噴霧用ステロイド薬による初期療法の有用性を検討した複数のプラセボ対照無作為化比較試験のデータが報告された。スギ花粉飛散開始前または翌日から鼻噴霧用ステロイド薬を投与し、有用性を検討山梨大学大学院医学工学総合研究部耳鼻咽喉科・頭頸部外科の増山敬祐氏は、スギ花粉症に対する鼻噴霧用ステロイド薬(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)の初期療法の有用性を検討したプラセボ対照無作為化比較試験を報告した。増山氏らは、2011年の花粉症シーズンにおいて、適格性の評価を受けたスギ花粉症患者150例(うち妊娠と抗ヒスタミン薬使用の2例除外)を鼻噴霧用ステロイド薬群(75例)とプラセボ群(73例)の2群に無作為に割り付け、症状自覚時またはスギ花粉飛散開始翌日から投与を開始した。その結果、総鼻症状は、スギ花粉飛散開始後第2、第3、第4、第5週に、鼻噴霧用ステロイド薬群で有意に増悪が抑制され、くしゃみ、鼻漏、鼻閉の各症状についても同様であった。総眼症状は、第3、第4、第5週に鼻噴霧用ステロイド薬群で有意に増悪が抑制された。レスキュー薬の使用については、抗ヒスタミン薬の使用は鼻噴霧用ステロイド薬群で有意に少なかったが、点眼薬の使用は両群間で有意差はなかった。QOLスコアは、飛散ピーク時とシーズン後半に、鼻噴霧用ステロイド薬群で有意にスコアの悪化が抑制された。一方、副作用は両群とも軽微であり、有意差が認められなかった。これらの結果から、増山氏は、スギ花粉症に対する鼻噴霧用ステロイド薬による初期療法の有用性が示唆されると結んだ。スギ花粉飛散3週間前から鼻噴霧用ステロイド薬を投与し、有用性を検討岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学の岡野光博氏は、鼻噴霧用ステロイド薬を花粉飛散前から投与する群とプラセボ群の2群間における無作為化二重盲検比較試験と、鼻噴霧用ステロイド薬を花粉飛散前から投与開始する群、花粉飛散後にプラセボから鼻噴霧用ステロイド薬に切り替える群、プラセボ群の3群間による無作為化二重盲検比較試験を報告した。2群間における無作為化二重盲検比較試験は、スギ・ヒノキ花粉症患者50例を鼻噴霧用ステロイド薬(モメタゾンフランカルボン酸エステル)群(25例)とプラセボ群(25例)の2群に無作為に割り付け、スギ花粉飛散前(2010年2月1日)から投与開始し、スギ・ヒノキ花粉飛散期における有効性と安全性を検討した。なお、2010年のスギ花粉の本格飛散開始日は2月22日であったことから、スギ花粉飛散開始3週間前に投与を開始したことになる。その結果、鼻噴霧用ステロイド薬投与群では、鼻症状スコア、眼症状スコア、総鼻眼症状スコアにおいて抑制が認められた。QOLスコアも、スギ花粉飛散開始後、プラセボ群に比べて有意に良好であり、有害事象はプラセボ群と同等であった。この結果から、岡野氏は、鼻噴霧用ステロイド薬はスギ・ヒノキ花粉症に対する初期治療薬として有効かつ安全であることが示唆される、と述べた。次に、鼻噴霧用ステロイド薬による初期治療の開始時期を検討するために、スギ・ヒノキ花粉症患者75例を、鼻噴霧用ステロイド薬(モメタゾンフランカルボン酸エステル)をスギ花粉飛散前から投与開始する群(以下、飛散前投与開始群、25例)、スギ花粉飛散後にプラセボから鼻噴霧用ステロイド薬に切り替えた群(以下、飛散後投与開始群、25例)、プラセボ群(25例)の3群に無作為に割り付けた。3群ともスギ花粉飛散前(2011年2月1日)から投与開始し、飛散後投与開始群はその4週後にプラセボから鼻噴霧用ステロイド薬に切り替えた。2011年のスギ花粉の本格飛散開始日は2月23日であったことから、飛散前投与開始群では飛散開始のほぼ3週間前に投与開始、飛散後投与開始群では飛散開始からほぼ1週間後に投与開始したことになる。この結果、飛散前投与開始群、飛散後投与開始群ともにプラセボ群に比べて、スギ・ヒノキ花粉飛散期の鼻症状の増悪を有意に抑制した。眼症状については、スギ・ヒノキ花粉飛散期に、飛散前投与開始群がプラセボ群に比べ有意に増悪を抑制したが、飛散後投与開始群では有意な効果はみられなかった。総鼻眼症状は、スギ花粉飛散期に、飛散後投与開始群に比べて飛散前投与開始群が有意に増悪を抑制し、くしゃみと眼掻痒感について顕著であった。これらの結果から、岡野氏は、鼻噴霧用ステロイド薬によるスギ・ヒノキ花粉症に対する初期療法は、花粉飛散後より花粉飛散前に投与開始するほうが、より高い症状緩和効果が得られることが示唆されると述べた。

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「一般名処方加算」新設、その後の実施率は

今回の「医師1,000人に聞きました」、テーマは “一般名処方”。2012年4月より、2012年4月の診療報酬改定における後発医薬品使用促進策の一つとして「一般名処方加算」が新設されたことは先生方ご存知の通りです。この改定を受けて先生方の意識はどう変化したのか?「4月以降実施するようになった」医師は全体でどれくらい?病院と診療所、実施率はどう違う?CareNet.comで2011年12月に実施した一般名処方の実施率調査も比較しながらご覧ください。結果概要はこちらコメントはこちら設問詳細「一般名処方」についてお尋ねします。4月6日付の『日刊薬業』によると、『4月の診療報酬改定で加算点数が新設されたことをきっかけに、全国各地で一般名処方を含む処方箋が増加している。当初は加算新設の効果に懐疑的な見方もあったが、改定施行直後からクリニックを中心に一般名処方が広がっているもようだ。この急増ぶりに東京都薬剤師会は3日付で、処方医や薬局薬剤師が一般名処方に不慣れな中では調剤過誤につながる恐れもあることから、傘下薬局に注意喚起の事務連絡を出した。4月の診療報酬改定では後発医薬品使用促進策の一つとして「一般名処方加算」が新設。医師が一般名処方を含む処方箋を発行した場合、交付1回当たり2点を保険請求できるようになった。一般名処方を含む処方箋について全国の調剤薬局からは、「前年に比べ2割ほど増加した」(札幌市の調剤薬局)、「すごく多い。混乱している」(広島県の調剤薬局チェーン)との声が出ている。大阪府薬剤師会の乾英夫副会長は「府内でも増えている。混乱しているのは確か」と話す。東京都薬は「一般名記載の処方薬を含む処方箋がかなり多い。ここまで来るとは思っていなかった」(事務局)と、予想以上の急増を指摘している。台東区の薬局の薬剤師は「一般名処方の処方箋は全体の25~30%。処方箋発行元医療機関の約9割が一般名処方を出している」と説明する。(略)』とのこと。そこで先生にお尋ねします。Q1. 先生の勤務施設では、一般名処方を行なっていますか?1.行なっている2.一部行なっている3.行なっていないQ2. Q1で「行なっている」「一部行なっている」と回答した先生にお尋ねします。一般名処方に関して、以下当てはまるものを全てお答え下さい。これまで行なっていなかったが、4月以降行なうようになった以前から行なっていたが、4月以降増えたレセコンの設定で自動的に一般名処方となる後発薬のある薬剤はほぼ全てを一般名処方としている処方薬のうち少なくとも1種類は一般名処方としている処方箋の書き方に難しさを感じるどの後発薬を調剤するかは調剤薬局に任せる調剤薬局からの問合せが増えた当てはまるものはないQ3. Q1で「行なっていない」と回答した先生にお尋ねします。今後一般名処方を行なう予定はありますか?1.行いたい2.薬剤によっては一般名処方でも良い3.行いたくないQ4.コメントをお願いします。今回の診療報酬改定、ご勤務施設の方針、処方箋を書く際やレセコンについて感じること、一般名処方の浸透に対してのお考えなど、一般名処方に関することでしたらどういったことでも結構です。アンケート結果Q1. 先生の勤務施設では、一般名処方を行なっていますか?Q1で「行なっている」「一部行なっている」と回答した先生にお尋ねします。一般名処方に関して、以下当てはまるものを全てお答え下さい。Q3. Q1で「行なっていない」と回答した先生にお尋ねします。今後一般名処方を行なう予定はありますか?2012年6月15日(金)~20日(水)実施有効回答数:1,000件調査対象:CareNet.com医師会員結果概要一般名処方を行なっている医師は3割超、前回調査時より倍増 診療所医師では半数を超える勤務施設での現在の実施状況では、「行なっている」との回答が15.1%(昨年5.7%)、「一部行なっている」が19.3%(同11.5%)。何らかの形で実施している医師は17.2%から34.4%と、昨年12月の調査時と比較すると倍増した結果になった。また、そうした医師に状況を尋ね「これまで行なっていなかったが、4月以降行なうようになった」との回答が60.8%。「以前から行なっていたが4月以降増えた」が14.8%であった。また施設規模別で見ると、病院医師で合計30.1%、診療所医師で56.0%の実施率となった。今後について、現在行なっていない医師の6割が「行いたい」「薬剤によっては」と回答一方、現在「行なっていない」と回答した医師に今後の意向を尋ねたところ、「薬剤によっては一般名処方でも良い」51.4%、「行いたくない」40.5%、「行いたい」8.1%という結果となった。『後発薬の信頼性に問題がある』『商品名で覚えていたものを新たに覚えなおすのは難しい』といった回答が多く見られた。「行いたい」とした中では、『自動変換してくれるなら』『面倒なので』など、レセコンに関するコメントを寄せた医師が多かった。「後発薬のある薬剤はほぼ全て一般名処方」としている医師は11.6%その他、現在行なっている医師の状況として「レセコンの設定で自動的に一般名処方となる」との回答が16.3%いる一方で、「処方箋の書き方に難しさを感じる」との回答が16.0%とほぼ同程度となった。「処方箋のうち少なくとも1種類は一般名処方としている」は15.7%、「後発薬のある薬剤はほぼ全てを一般名処方としている」との回答が11.6%。CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「成分・効能が同じでも患者さんの方からすれば違ったものと捉えることが多いようです。医療費高騰の観点からのみでジェネリックにするのは考え物です。」(60代,病院勤務,リハビリテーション科)「後発品と先発品で適応疾患が異なるのが問題。当院では一般名では印字できないのですべて手書きになります。一般名処方は現状では普及しないと思います。」(50代,病院勤務,精神・神経科)「後発品の数が多すぎて、後発品の商品名で処方しても薬局によっておいているものが違い、その度変更可かどうかと問い合わせがくる。それも面倒なのだが、一般名はなじみがなく処方する際に手間がかかる。先発品の名称で処方しても、「変更可」とチェックを入れれば一般名処方と意味は同じになると思うので、かならずしも一般名でなくていいと思う。もう少し現場のことを考えてほしい。」(30代,病院勤務,外科)「仕事が煩雑になり大変迷惑。」(40代,病院勤務,精神・神経科)「処方された薬剤名を電子カルテに残したほうが良いと思うので手間が増えている。」(50代,その他,内科)「処方箋が長くなるので、印刷されているとはいえ、見づらい。コンピューター入力できない項目(例えば、不均等な服用、汎用しない頓服項目)など、つい書き加えるのを忘れる。医療機関はたいへんな思いをして2点しか加算されない。薬局ばかりが得をしていると感じている。」(40代,診療所勤務,精神・神経科)「移行期は作業が増えるが、将来的には効率的かと思う。」(30代,病院勤務,精神・神経科)「病院全体の問題なので当科の一存では決められない。やるならやるでいいし、やらなくても良い。」(50代,病院勤務,泌尿器科)「一般名処方をしてでも2点を稼がなければいけない保険制度に問題あり。一般名処方が一般化すればやがては2点加算も無くなり、逆に商品名処方だと減点される方向に動くだろう。製薬メーカーのMR活動は消滅。対薬局MS活動が中心になるだろう。医薬品の精度、安全性はどのように担保し、薬害時の補償はどうするのだろうか。」(50代,病院勤務,泌尿器科)「一般名を調べるのに時間をとられて、業務に支障あり。 」(50代,病院勤務,整形外科)「血圧関係では、慣れたARBを使用したいので一般名処方はしたくない。」(60代,その他,産婦人科)「一般名で構わないと思うが、この無理やりなやり方には反発を感じる」(40代,診療所勤務,精神・神経科)「点眼ビンの使いやすさや点眼時の刺激などが各薬剤にて全く異なるので、眼科的にはなじまない」(40代,診療所勤務,眼科)「調剤薬局からの問い合わせが多く、非常に手間を感じている」(30代,診療所勤務,腎臓内科)「一般名処方出来る薬と出来ない薬があるので、混乱している。4月に入って直ぐに後発薬のあるものすべてを一般名処方に変えたが月の半ばでレセコン会社から半分以上出来無いとの連絡があり戻して混乱した。その根拠が分からない。」(50代,その他,眼科)「加算につながることなので、経営上やらざるを得ないが、露骨なジェネリックへの誘導措置であり、気分はあまりよくない。」(40代,診療所勤務,内科)「電子カルテが、製品名を入力しても一般名が選べるとか、サポート機能が充実すれば一般名処方はやぶさかではない」(50代,病院勤務,外科)「自分がわざと安いジェネリック薬を選んで処方しても,薬局で高いジェネリックに変更されている.これまでと逆のことがおこっている.」(30代,病院勤務,神経内科)「いままでよりわかりやすくていいです。ただ、患者さんに商品名を伝えるべきなのか、一般名にするのかは、どちらにしても名前が変わってくることが多いため、患者がどう感じているか心配ではある。」(30代,診療所勤務,膠原病科)「商品名に慣れ親しんだ患者さんやベテラン医師に受け入れられるまで時間はかかると思うが、一般名処方をすると、先発品と後発品を同じ名前で処方できる、一般名で学んだ薬学の知識を新人医師がそのまま使えるというメリットがある。いずれ世間は一般名処方に移行していくと思う。」(30代,病院勤務,呼吸器科)「他の医療機関から来た患者の処方を見るときは、一般名処方の方が、聞いたこともないジェネリック薬品の製品名よりはるかに良いと思います。」(50代,診療所勤務,代謝・内分泌科)「電子カルテの動きが遅くなるため実施していない。」(40代,診療所勤務,耳鼻咽喉科)「いちいち薬局からこの薬にしましたと連絡を受けるのは面倒」(60代,その他,泌尿器科)「後発品の普及をさせたい意図はわかるが 現場の状況を厚生省はよく検討して欲しい」(30代,病院勤務,麻酔科)「いろいろな医療機関で様々な薬を処方されていてその患者が入院した場合何の薬を処方されていたのか調べるのが大変な労力がいる。またすべて同じ効果があるのか疑問。」(60代,病院勤務,外科)「レセコンでは一般名→商品名、商品名→一般名いずれも変換できますので、特に困ることはないのですが、保険点数2点ですからねえ、労力の割には報われないような気がします。」(50代,病院勤務,外科)「一般名が複雑な名称の場合があり(例えばxxxxリン酸塩、など)、また馴染みの少ない名称の場合も少なくなく、処方ミスに繋がる可能性がある。」(50代,病院勤務,代謝・内分泌科)「アップデートの必要がある情報が山のように有るので、覚えないですむ情報に時間を費やすのはさけたい」(40代,病院勤務,外科)「他施設から紹介されてくるケースで、後発品の処方がなされているケースだと何が投与されているのか一々調べなければならない。それなら一般名処方のほうがましに感じる。 」(40代,病院勤務,整形外科)「電子カルテのソフトで対応していかないと,何の薬が出ているのかわからないので,医療事故の原因になるはず…」(50代,病院勤務,呼吸器科)「薬剤師、医師とも不慣れな一般名より、商品名での処方が良いと考えている。現状の「どちらでも良い」という中途半端な状態がもっとも危険。」(50代,その他,外科)「当院の処方は全て自動的に(変更不可)になっている」(50代,診療所勤務,整形外科)「いまだ過渡期になるのでしょうか?かなり前から議論されていますが、いまだに統一した見解、取り決めがなされていないのは疑問に思います」(40代,病院勤務,麻酔科)「これだけ医療ミスが問題とされているのに、 わざわざ一般名にしてミスをするリスクをあげる必要性があるのだろうか?」(40代,病院勤務,膠原病科)「医師になったばかりの頃は、一般名の処方の方が判りやすかったが、段々、経験を積むにつれて、メーカーごとに違う薬剤名の方に慣れ親しんで行った。だから、これから医師になる人々にとっては一般名処方は良い傾向だと思う。」(50代,病院勤務,産婦人科)「一般名のほうがよいが、コメディカル(看護師など)の方々にも浸透するにはまだまだ時間が掛かると思う」(30代,病院勤務,その他)「コンピュータで一般名が選択できるので処方は簡単。」(30代,診療所勤務,産婦人科)「院内処方なので、一般名にするメリットは感じない。制度でそうするというのなら従うが、慣れるまではしんどいな。」(40代,病院勤務,精神・神経科)「処方された薬剤に関する責任の所在を明確にしてほしい」(40代,病院勤務,精神・神経科)「長い目で見れば、製品名と一般名の2種類を記憶する必要がなくなるので、一般名処方は推進されるべきと思います。 」(30代,病院勤務,腎臓内科)「今から、以前覚えた商品名に対する一般名を覚える余力がない。」(40代,病院勤務,血液内科)「後発薬の場合、実際に効果が違うように思うものがあるのも確かであり、指定が必要なものもあるかと思います。 また、患者さん側も薬の名前が違うことに不安を感じるのでは。 混乱を招かないためにも後発薬は一般名そのものや一般名をもじったものにして欲しいものです。」(30代,病院勤務,整形外科)「現場が混乱し、インシデントの原因となるので、一般名処方が必要だとか一般名が定着しているものに限って行なうべきと思います。」(30代,病院勤務,整形外科)「この制度はおかしい。「後発品への変更可」から、「後発品への変更不可」に変化し、ここで一般名にしたところで、現場が混乱するだけ。後発品変更不可としない処方箋に2点つくようにしさえすればよかったのに」(40代,病院勤務,内科)「先発薬にこだわりたい。」(40代,病院勤務,内科)「たった2点のためやるかと思うと、情けないです。」(40代,診療所勤務,産婦人科)「昔ながらによく使用している薬剤を、一般名でいまさら覚えるのがおっくうです。」(40代,病院勤務,呼吸器科)「電子カルテのオプション整備費としてかなりの金額が必要ですので、考慮中です。」(60代,病院勤務,消化器科)「一般名をすぐに連想させるような商品名であると覚えやすいため使用してもよいと考える」(20代,病院勤務,産婦人科)「以前は紛らわしい名前の薬の書き間違いによる医療事故が取りざたされていましたが、ジェネリックや一般名処方ではますます間違いが増えることが明らかです。(処方している医師仲間が言っているので間違いないです。)今は患者の命よりも医療費の抑制が優先される時代なんだと理解しています。」(50代,病院勤務,呼吸器科)「とくに勤務施設からの指示はありませんが、ジェネリック医薬品の採用品がころころ変わるこの頃、一般名での処方のほうが便利かもしれない」(40代,病院勤務,内科)

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中高生の最適な眼鏡作成に、自己調整型の油圧式視力検査用眼鏡が有用:中国

中高生の眼鏡を作成する際に行う視力検査について、従来法と、屈折矯正を自己調整で行う方法との比較検討が行われた。中国・広東省汕頭共同国際視力センターのMingzhi Zhang氏らが、中国南部の地方都市在住の12~18歳648例を対象に断面研究にて行った。結果、自己調整法のほうが従来法よりも視力結果は悪かったが、鋭敏さに優れ、眼鏡をかけても視力が十分に得られないという頻度が少なかった。Zhang氏は「自己調整型の視力検査用眼鏡は、訓練を十分に受けていない検査要員や高価な視力測定器、点眼による毛様体筋麻痺といった必要条件を減らすことが可能である」と結論している。BMJ誌2011年8月20日号(オンライン版2011年8月9日号)掲載報告より。自分で度を調整できる油圧式眼鏡が、視力検査に有用か648例の若者を対象に検討中国地方都市の中高生では約60%が屈折矯正を必要とする。しかし、その3分の2は適正な視力矯正を手にすることができておらず、視力不良の状況にあるという。Zhang氏らは、2010年3月末~5月末に、両眼視力が6/12以下の12~18歳(中央値14.9、SD 0.98)の若者648例について、毛様体筋麻痺なしの自己調整型屈折矯正、毛様体筋麻痺なしの自動視力検眼器による屈折矯正、毛様体筋麻痺ありの検眼医による屈折矯正を行った。この研究で用いられた自己調整型の視力検査用眼鏡は、「Adspecs」(英国、Adaptive Eyecare社)というレンズを変えることなく、自分で屈折率を油圧によって変えることができるというものである。調整に難があるのは近視、遠視、乱視がより強い人被験者のうち、女子が59%(384例)、眼鏡着用者は44%(288例)、右目が2.00ジオプター以上の近視であった者が61%(393/648)だった。自己調整型屈折矯正は全員に行われた。視力が良好な≧6/7.5の割合は、視力非矯正においては5.2%(95%信頼区間:3.6~6.9)、使い込んだ眼鏡を着用していた人では30.2%(同:25.7~34.8)、自己屈折矯正においては96.9%(同:95.5~98.3)、自動屈折矯正では98.4%(同:97.4~99.5)、検眼医屈折矯正では99.1%(同:98.3~99.9%)であった(自己屈折矯正vs. 自動屈折矯正のp=0.033、自己屈折矯正vs. 検眼医屈折矯正のp=0.001)。自己屈折矯正と検眼医屈折矯正での視力改善は、被験者の98%で視力検査表の1ライン上で認められた。ロジスティック回帰モデル分析の結果では、自己屈折矯正で右目の視力6/7.5に達しなかったことに関連していたのは、近視/遠視がより強いこと(p<0.001)、乱視がより強いこと(p=0.001)、現に使っている眼鏡を使っていないこと(p=0.002)で、年齢や性別との関連は認められなかった。有意な不正確さ(≧1.00ジオプター)は、自動屈折矯正よりも自己屈折矯正で頻度が少なかった(5%対11%、p<0.001)。

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教授 富田剛司 先生の答え

緑内障手術を受けた患者さんの細菌感染について日本緑内障学会からの災害時の注意を読みました。緑内障手術を受けた患者様では、衛生環境の悪化や抵抗力の低下によって細菌感染(濾過胞炎・眼内炎)を生じる危険があります。とありますが、術後どのくらいの期間までを指すのでしょうか?術後1年以上であれば危険がないのか、そもそも緑内障手術を受けた患者さんは常に細菌感染のリスクがあるのか?教えていただけると助かります。私の地域でも被災地からの避難者(疎開?)が増えてきました。整形外科(クリニック)をやっていますが、できることは全てやって差し上げようと他の領域についても勉強を始めた次第です。初歩的なことかとは思いますが宜しくお願いします。緑内障手術の中でも術部位に濾過胞が形成される線維柱帯切除手術後の、濾過胞関連感染症の発症頻度は、報告にもよりますが、1から3%とされており、感染のリスクは濾過胞が形成されている限り(これがあるために眼圧が下がるのですが)続きます。濾過胞の壁(結膜)が非常に薄くそこから房水が漏出しているような状況の場合、濾過胞が眼球下方に形成されている場合は、特に感染のリスクは高くなります。逆に、十分に壁の厚い(厚い結膜で覆われている)濾過胞の場合はリスクはほとんど無くなります。眼科医にすぐ診察を受けられないような状況下で緑内障術後の患者さんがいらした場合は、点眼中止が可能かどうかの判断は難しいと思いますので、念のため抗生物質の点眼薬を継続して使用していただく方がよいと思います。 眼底三次元画像解析装置について眼底三次元画像解析装置については3,4年前に記事を読んだ記憶があります。(確か富田先生の記事でした。)まだ完成に至ってないとのことですが、完成度としてはどの程度まできているのか教えてください。眼底三次元画像解析装置は、すでに検査技術料が保険収載されており、そういう意味では眼科診療に一般的に受け入れられています。完成に至っていないとの記事内容ですが、画像解析装置のみを用いて緑内障を100%自動診断するには至っていない、という意味で書きました。画像解析装置の使用目的として、健康診断などで眼科医がいないような状況下においても緑内障を早期に自動診断することが究極的な目標の一つに挙げられています。しかし、今のところ装置のみによる診断精度は80%から90%くらいであり、現時点では画像解析結果の最終判断は眼科専門医に委ねられるべきであると考えています。心身不安からくる疾患(眼科領域)について災害時などでは心身不安から急性緑内障発作をおこす方がいるとのことですが、他にも気をつけるべき疾患はありますでしょうか?眼科分野において、緑内障の急性発作以外に急激に発症し早急な治療を要する疾患としては、網膜剥離、網膜中心動脈あるいは静脈閉塞症、視神経炎(眼を動かすと眼の奥が痛いなどの症状を伴って、強い視力低下を自覚する)、ぶどう膜炎の発作(ベーチェット病など)等々がありますが、自覚症状としては通常、眼の症状に限定されるので、少なくとも眼疾患であることは比較的分かりやすいと思います。災害時の心身不安ということを考えた場合、逆に目に関する不定愁訴のようなものが増える可能性もあると思います。緊急性を見分ける検査としては、やはり視力検査が重要と思いますので、どこかに視力表があるとよいと思います。この場合、メガネを掛けた状態で矯正視力を評価するのが重要な点です。急性緑内障先生の記事大変勉強になりました。大橋病院さんで、救急に運ばれてきて、結果、急性緑内障だったケースは年間何例くらいあるのでしょうか?私は、強い頭痛、吐き気を訴えてきた患者さんは、まず近くの脳神経外科に直ぐ行かせていました。今のところ、結果急性緑内障と診断されたことはないのですが、先生の記事を拝見する限りでは、眼科もある病院を紹介した方がよいのでは?と考え直しているところです。緑内障の発作であると最初はわからなくて体調不良として救急を受診される方はさすがに少なくて、ほとんどがすでに眼科医を受診された上で緊急紹介されるか、救急で受診されても眼の症状ということで最初から眼科に廻されてくることが多いです。大橋病院で救急に運ばれてきて、最初はわからなくて脳外科的検査も受けた後、結果、急性緑内障だったケースは私の記憶では、この5年間でお一人くらいだったと思います。なので、ほとんどの場合は問題とはならないと思いますが、眼科医が眼をみて初めて、「あ、緑内障の発作だ」という事例はありますので、やはり、可能であれば眼科もある施設にご紹介されるのがベストと考えます。40歳からの眼科健診先生が推奨されている「40歳からの眼科健診」は私も賛成です。先生も他でご指摘されているように、生活習慣病に焦点があてられている住民健診では眼科健診を取り入れることは難しい、と考えますが…。しかし一方で、全ての自治体が動き、住民健診の中に眼科健診が取り入れられた場合、現状の眼科医でさばけるのでしょうか?緑内障の診断は難しいと聞きます。健診を標準化できるように眼底三次元画像解析装置など開発されているかと思いますが、住民健診の場全てにその装置を配備することは難しいのでは?と思います。この点について先生の見解をお聞かせいただければと思います。先生のご指摘はまったくその通りだと思います。先の眼底画像解析装置のご質問にもお答えしましたが、画像解析装置での眼底スクリーニングには限界がありますので、住民健診の場で使用できる現状にはまだ至っていません。現時点で私が考える最も効率的な緑内障を含めての眼底疾患スクリーニング法は、無散瞳眼底写真撮影です。考え方としては、胸部レ線による疾患のスクリーニングに近いと思います。眼底カメラの価格は300から500万円くらい。熟練した技師であれば眼底写真撮影は数分ですみますので、畳一畳分くらいの暗室があればOKです。写真はカラープリント(あるはスライド)にして眼底読影医(眼科専門医が望ましい)が判定することになります。したがって、健診の場に眼科医がかならずしも常駐する必要はありません。問題は、先生もご指摘のように、眼科医が対応できるのか、ということです。眼底読影という点については、各健診地区で読影の拠点施設(眼科医会の協力が必要か)を確立できれば良いように思いますが、スクリーニングで精密検査が必要となった場合が問題となります。緑内障で言うと有病率は5%であり、おそらく日本人全体で350万人くらいの緑内障が患者いると想定されます。日本眼科学会に登録している眼科医は現在1万5千名くらいですので、単純計算で眼科医すべて(後期研修医も含め)が200人強の緑内障患者を受け持つことになります。残念ながらこれは眼科医からみれば無理な数字です。誰が緑内障を診るのか、ということについては今後の議論を待たねばなりませんが、"40歳以降の目の健診"については、現在は会社の健康診断や各病院の人間ドックメニューに眼底写真撮影を取り入れてもらうようにすることから健診者を増やしていければと思っています。手術時の患者さん対応について目の手術となると患者さんの不安は大きく(当然ながらメスが近づいてくるのが見えるんですよね?)、しかも局所麻酔なので、周囲の音も聞こえ、ますます不安が大きくなるのかと想像します。手術の時に患者さんをリラックスさせるために行っていることや、気をつけていることがあればご教示ください。大変重要なご質問です。手術前の患者さんをリラックスさせるための手段として、多くの眼科施設でBGMを流しています。私の施設でもクラッシックやヒーリング系の音楽を流すようにしています。子供や若い患者さんには、あらかじめ自分の好きなCDなどを持ってきてもらって、それを流しています。また、洗眼などの手術準備中はできるだけ声を掛けながら、場合によっては世間話をしながら、患者さんの緊張をほぐすようにしています。富田先生は最初から眼科医を目指していたのでしょうか?富田先生は最初から眼科医を目指していたのでしょうか?また眼科医を目指そうと思ったきっかけなどあれば教えていただければと思います。私は学生の頃は、循環器内科に興味を持っていました。心電図を読むのが好きで、先生に褒められたのも一因です。ただ、眼科のポリクリの時に、アメリカのNIHでの留学から帰ってきたばかりの講師の先生が、眼科の疾患の説明はそっちのけで、人間の眼と、魚やカタツムリの眼の構造上の違いや類似点を楽しそうに話してくれたのが強い印象となって、父が眼科医であることもありましたが、眼科医の道を選びました。日本人と欧米人の眼の違い外科系の先生からは日本人と欧米人では体質が違う(肉食系の欧米人は血がドロドロ、でも止まりやすい、日本人は臓器が小ぶりなので欧米人よりも手術に気を遣う)ので、注意するようにと教わりました。眼もそのような質の違いがあるのでしょうか?(医学生)確かに日本人の眼と欧米人の眼で違いがあるように感じます。眼球は、眼窩という頭蓋骨のくぼみの中に収まっていますが、欧米人の眼窩は広くゆったりしており、日本人の眼窩はそれよりは狭い感じがあります。眼球の大きさはさほど違わないので、日本人の眼は眼窩周囲の組織に圧迫されているような感じがあります。したがって、硝子体圧が高めです。これは、白内障手術などをする場合、水晶体がせりあがってくる感覚があり、やや、手術がやりにくいと感じる場合があります。ただ、日本人の眼で慣れてしまうと、逆に白人の手術をする場合、眼球内がふにゃふにゃしている感じがあります。したがって、白人の眼はそっと丁寧に扱う必要性があるように思います。ただ、これは微妙な違いなので、ものすごく問題になることはありません。眼科医以外が眼科のことを学べる取り組み「どの科の専門であっても医師ならば必ず眼科の講義は受けているはずですが、眼の疾患がおざなりになっている現状を危惧せずにはいられません。」全くその通りです。私も講義を受けた記憶はありますが…。数年前から大学を離れ、診療所で患者を診るようになり、今更ながら後悔しています。プライマリー・ケア医に役立つ眼科セミナーや、勉強会など、眼科医以外が眼科のことを学べる取り組みがあれば参加したいと思います。もしご存知でしたらご教示お願いします。真摯なご姿勢に敬意を表します。大変重要なポイントをご指摘いただいたと思います。残念ながら、日本眼科学会や眼科医会には、他科の医師を対象とした眼科プライマリー・ケアに関する講習プログラムはこれまで存在しておりません。今回のような大震災を経験しますと、専門科を超えて医師が最低限知っておくべきプライマリー・ケアの知識と技量の生涯教育の必要性を痛感します。他科医師を対象とした眼科のプライマリー・ケア―のセミナーに関して、一度、学会に提言してみたいと思います。海外と日本の違い富田先生は海外留学のご経験も豊富とのこと。富田先生が思う、世界で一番眼科医療が進んでいる国はどこでしょうか?またその理由もご教示ください。失明率(一定人口中の失明者の数)や人口あたりの眼科医の数、眼科診療器械の普及度、眼科手術の件数、等々でその国の眼科医療を評価した場合、日本の眼科医療が実は世界一という結果が出ています。これは、日本の保険医療制度が大きく貢献しているとも言われていますが、日本の眼科医の質の高さを示す、誇るべきことであると思っています。近年、岐阜県の多治見市と沖縄の久米島で緑内障に関する疫学調査が行われましたが、それに付随するデーターとして、両地域間の失明率に違いはないことが明らかになりました。このことは、すくなくとも眼科医療に関しては、日本のどの地域であっても遜色なく普遍的に行われていることが示されており、日本の眼科医療が世界一であることを裏付けるものであると思います。総括大変多くの方からご質問をいただき感激しました。今回の質問にもありましたが、何と言っても、東日本大震災に関することで、眼科医療の重要性が再認識されていることをお伝えしたいと思います。今回、被災地から点眼薬やコンタクトレンズ用品、眼科医の不足を訴える声が大きいと聞きます。災害地が広範囲にわたるため、とりあえず近隣の眼科医を受診するということが出来なくなっているのです。災害では救急救命が重要なことは言うまでもありませんが、避難生活が長期化しだすと、やはり慢性疾患や、視覚などの生活の質を左右する要素に関するする対応も重要であることが痛切に感じられました。現在、産科医や小児科医の不足が問題になっていますが、実は、眼科医の数も年々減っています。今後日本が超高齢化社会を迎えるにあたり、物がみえているという最低限の生活のクオリティーを守るべき人がもっと増えてもいいのではないかと思っています。教授 富田剛司 先生「全身の疾患が眼に現れることは明確 眼を診るのは診断の第一歩である」

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准教授 小早川信一郎先生の答え

アトピー性白内障手術時の注意点まだまだ駆け出しの眼科医なので、初歩的な質問で失礼します。アドピー性白内障手術の場合、網膜剥離を併発している可能性も念頭に入れて手術を行うことを指導されました。このような場合、小早川先生が特に意識していることや注意していること等がありましたら教えて頂きたく存じます。(1)術前に眼底が全く観察できない程度に白内障が進行していた場合、術前の超音波検査はもちろんですが、術中に網膜剥離の有無を直接観察することになると思います。私は術中に発見したことはありませんが、術後すぐに(1週間以内)剥離を起こされたことが出張中にありました。(2)手術においては、極力大きめのCCC(5.5-6ミリ程度)を狙います。レンズ選択は以前、PMMAでしたが、今はアクリルを入れています。1P、3Pは問いません。(3)若い方が当然多いので縫合します。私はすべての症例で基本的に上方強角膜切開、輪部後方からトンネルを1.5ミリ程度作成していますので、縫合は容易です。結膜は縫合したりしなかったりですが、終了時にうまく元に戻らなければ縫合します。(4)術前ムンテラはRDの話もします。(5)硝子体脱出は極力避けてください。脱出したらたぶん剥がれます。(6)予想外に炎症が強い時があります。そういう時はステロイドを点滴します(リンデロン4ミリ相当を2-3日間)。基本、入院して頂いています。眼内炎を疑うほどの炎症は経験ありません。加齢黄斑変性の研究動向加齢黄斑変性の治療方法についての最近の動向など、御存知でしたら教えて下さい。滲出型の場合は、第一選択ルセンティス、第二選択マクジェンを月一で3回投与し、経過を見て追加、維持療法が基本ではないでしょうか。蛍光眼底造影(必要ならICG造影)は必須と思います。OCTは治療効果判定に有用ですが、なくても視力やアムスラーチャートなどで大体把握できます。ドライタイプにアバスチンを試しましたが、効果はありませんでした。ドライタイプの方には、希望があればルセンティスをやっていますが、効果がない場合がほとんどなので、その時点でムンテラして止めています。レーザーは最近やっていません。レーザーはアーケード内ですと、暗点が出たり自覚的な見え方の質の低下を経験しています。硝子体手術は出血がなければしません。高齢者に手術を勧めるべきか在宅をやっている開業医です。白内障と思われる高齢者の方を見かけますが、90歳や100歳になる高齢者の方の場合、ご家族の心配もあり、白内障の手術を勧めるべきかどうか、よく悩みます。その辺の考え方を教えていただければと思います。3年ほど前までは、85歳以上の方の時は手術については積極的に勧めませんでした。もちろん過熟白内障の時はします。緑内障になるからです。最近は85歳以上の元気な方が増えてきて、本人の希望があり、家族も希望していればします。ただし、ムンテラとして、破嚢や核落下のリスクが上がること、感染リスクも高いこと、は必ず言います。それほど黄ばみの強くない核白内障であれば、たぶん勧めませんし、家族がやってくれと言っても最初は乗り気でない姿勢をみせます。90歳代は経験ありますが、100歳の方は手術の経験がありません。チン小体脆弱、前部硝子体膜剥離がある、は予測して手術に入ります。中には60-70代と変わらない方もいますが、弱い方がやはり多いと思います。また、きちんと手術が終了しても、0.7程度にとどまる方が多く、1.0はあまりいない印象です。レンズを選ぶ眼内レンズの種類が増えるにつれ治療後にピントが合わずに再手術をすることになる例が出ております。大森病院さんでは、レンズを選ぶ際の注意点、できれば個人の感覚に頼るのものではなく、科としてのガイドラインの様なものがあれば教えて頂きたいと思います。(1)-3.0D以上の近視がある方を除いて、基本的には-0.5から0Dを狙っています。乱視が強い場合、最近はトーリックです。以前は乱視の分を考慮して、少しプラス気味に球面を狙ったりして、等価球面ができるだけ-0.5から0程度になるようにしています。(2)中等度から高度近視の方の場合、コンタクトをしていて老眼鏡を使用という方は(1)と同じく狙います。(3)中等度から高度近視の方で術前眼鏡使用の場合、患者さんとお話をして、-2.5から3程度に等価球面がいくように選択します。必ずピントが合う距離が今よりも遠くなることをお話します。(4)(2)や(3)のような近視の方はメガネの必要性をお話しています。(5)一般の患者さんに多焦点の話はしていますが、自費で36万円ということを話すとその時点であきらめる方が多いです。ただ、考えてくると言った方の場合、一度手術の予約のみ取って、日を変えて多焦点IOLのお話を再度しています。乱視適応は原則1D以内です。80歳以上の方には積極的に勧めていません。(6)トーリックは、乱視が強いのでそれも少し治るようなIOLを入れますとだけ言い、過剰な期待は抱かせないようにしています。適応は積極的にしており、1D以上角膜乱視があればトーリックです。術後感染症差し支えなければ、眼科手術の術後感染症を防ぐために行っている貴院ならではの取組、工夫をご教授下さい。(1)術前に結膜嚢培養(2)(1)で腸球菌、MRSAが出たら告知して術前に抗菌薬点眼処方(3)全例、極力、術3日前からの抗菌薬点眼(クラビッド)(4)皮膚消毒したあと1分間放置(5)穴あきドレープをかけて洗眼したあともう一度露出した皮膚を消毒。(6)30秒間放置して、テガタームなどを皮膚に貼り付け、開瞼器をかける術後は極力(主治医が診察できない場合もあるので)、当日より眼帯を外して抗菌薬点眼を開始する。こんな感じです。糖尿病専門医との連携について眼科をやっている者です。糖尿病専門医との連携で気をつけているポイントがあれば教えて下さい。どこも同じ状況だとは思いますが、糖尿病白内障や糖尿病網膜症の患者さんが増えてきたため血糖コントロールなど、糖尿病専門医と連携をとる機会が増えてきました。宜しくお願いします。白内障は急ぎませんが、網膜症の場合、特に硝子体手術が必要な程度まで進行している場合は連携が必要と思います。急ぎでオペの時は、コントロールしながら、というスタイルとなります。どのぐらい急ぎなのか、をはっきり伝え、手術までの時間にレーザーは1週間に2回程度、同じ眼でもかけています。血糖コントロールを高めに、とか低めにとかそのような指示はしません。こちらの状況をはっきり伝えるのみです。コントロールは程ほどで手術に入るか、コントロール後手術なのかは一度話し合いを持たれた方がよいとおもいます。白内障手術前に行うリスク説明時に、何か工夫をされていることあればお教え下さい。実は最近、テレビや雑誌の影響なのか、「白内障手術は気軽で簡単!」「術後は、メガネなしで若い頃の視力が手に入る(レーシックと勘違いしているのでしょうか?)」とのイメージを持つ患者さんが増えてきたと感じます。このような場合、手術前にいくらリスクを説明しても、この先入観が邪魔しリスク内容を安易に捉えられてしまっているように感じます。実際、昔と比べて、術後に「こんなはずでは!」とのクレームが多くなったと感じます。小早川先生が術前のリスク説明時に何か工夫されていることがあれば是非教えて下さい。過度な期待は抱かせない、ということに留意はしています。ただし、眼内炎や核落下について必要以上にムンテラすることは避けています。手術ですからやってみるまでは分からない、という話もします。術者の技量、土地柄も影響していると思います。また特別な症例、水晶体揺れている、90歳以上、mature、ぶどう膜炎、などは自分でムンテラしています。通常の症例は主治医にお願いしています(白内障は入院ですので主治医が付きますので)。CCCのコツを伝授下さい先生も書いておられるように、手術時は局所麻酔で行うことが多く、こちらの動きが患者さんに伝わってしまいます。特に、CCCが上手く行かなかった時には大変焦ってしまい、「絶対患者さんが不安に思っているな。」と感じることがあります。上級医から、学会時に小早川先生からCCCでトラぶった時の対処方法を教えて頂いたと聞きました。もし宜しければそれを伝授願えないでしょうか。宜しくお願いします。(1)道具にこだわる セッシの積極的使用、いろいろなセッシを試してみる、針にこだわらない、(2)顕微鏡にこだわる ツァイスの一番新しいモデル、ルメラは見えます。視野の中心で見ることも忘れない(3)ビスコにこだわる ヒーロンVをすすめています。(4)染色 僕自身はめったにしませんが、見えなければ積極的に染めてもらっています。第一に前嚢が見えているかの確認です。次にヒーロンVを使用して確実に前房深度を保ちます。道具を厳選し、確実に前嚢を把持することに努めます。後は豚眼の練習通り、進めていきます。もし流れたらですが、下方で流れたら観音開きになるように逆回しでつなげるか、針を細かく動かしてカンオープナーにするか、を考えます。手前で流れたら、余分な前嚢を切除した後、前房虚脱に注意してオペを進めます。切開創の構築についてもセッシ使用の場合など考慮すべきでしょう。基本的には流さないように万全の準備をしてオペに臨み、流れたら、成書のごとく対処していくという指導をしています。糖尿病患者を診て頂く場合の注意点内科医です。糖尿病患者を眼科の先生に受診させる場合、どのような点に注意すべきでしょうか。また、東邦大学で内科・眼科の連携の際には、網膜症の分類をどのように使い分けていらっしゃいますか。白内障に関する質問でなくて恐縮ですが、よろしくお願いいたします。(1)血糖値、A1Cあたりがあれば十分と思います。通院歴がまじめ、ふまじめといった情報はさらにありがたいと思います。(2)網膜症は福田分類を使っています。AとBで大別し、レーザー治療は済でもう枯れてきた網膜症である、といった情報は内科に提供しています。逆に手術を急ぐべき、といったときはその旨明記します。コントロールについては原則お任せしています。海外留学について先生の記事、興味深く読ませて頂きました。現在初期研修中ですが、私も是非先生の様に研究発表もできる眼科医を目指したいと思っております。先生のプロフィールにも海外留学されたとありますが、やはり、基礎を習得するためには海外留学が必要なのでしょうか?症例の質問ではなくて恐縮ですが、実際に眼科の第一線で活躍されていて論文や発表も数多く出されている先生に伺う機会がないので教えて頂ければと願っています。また、大森病院のホームページには「積極的に海外留学も行えるようにしています。」とありましたが、具体的にどの様な支援をされていて、どの程度の方々が支援を受けているのでしょうか?色々と質問して申し訳ありませんがよろしくお願いします。海外留学で一番学んだことは問題解決能力でした。自分で解決する、その選択肢を多く持ったことです。基礎を習得するのは国内でも十分と思います。私は、知り合いの先生がいる微生物の教室で、実験をさせて頂いておりました。その後、眼内炎がやりたくなって、留学いたしました。日本でも実験はできますが、教室の垣根や動物センターの規約など、面倒くさいことが多いです。その点、システムがすでに出来上がったラボではそういった根回しにあまり力を入れなくて済みますので楽と思います。自分のやりたい研究ができる環境がアメリカだったとそのように考えてます。研究には臨床のような研修プログラムがなく、やりたい人間ができるようになればよい、というスタンスが多いと思います。もし、本気で考えていらっしゃるなら大学院という選択がよいと思います。眼内レンズの解析、微量検体の測定など、実験系を組むと費用がかかるものは企業のものも積極的に使用しています。SRL等、結構やってくれますし、仲良くなると研究員の方とお話しできることもあります。眼内レンズの解析は、旧メニコンにお願いすることも多いです。最近では電顕写真を外にお願いしたりもしています。わたくしたちの医局では、例えば大阪大学のように常に誰かがどこかに留学している状況ではないですから、留学希望者が順番待ちしているといったことはありません。研究が好きな人間や大学院生を中心に海外学会に連れて行って、雰囲気を味合わせ、少しやる気がある人に対しては、僕がもといたラボに連れて行って、ボスと話をさせたりします。で、行きたいとの希望が出れば、医局長に話をして人事面で考慮をしていくという状況です。僕は微生物でしたので、感染症のテーマでよいという人間を連れて出ています。東邦大学には給費留学制度(留学中助教の給料が保証)がありますので、教授とも話をしながら進めます。僕がもといたラボに行った人間はうちの医局からはまだいませんが、来年あたりに一人出せるかもしれない状況に来ています。海外留学は医局の責任者と十分に話し合い、穏便に行ける環境を作り、経済的な問題を解決してからが一番と思います。教室によっては定期的に人を出すシステムが作られているところもあるでしょうが、我々はまだまだです。なかなか、帝大クラスのようなシステムには到達できません。准教授 小早川信一郎先生「白内障手術の光と影」

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