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鳥インフルエンザA(H7N9)患者の約8割がICU、死亡は約3割/NEJM

 中国で2013年春に流行した鳥インフルエンザA(H7N9)の感染者111例について、診療記録を基に行った調査の結果、ICUで治療を受けたのは約77%、死亡は27%であったことを、北京大学のHai-Nv Gao氏らが報告した。また、患者の大半は入院時に肺炎と同様な症状を呈し、患者の年齢中央値は61歳であったという。NEJM誌オンライン版2013年5月22日号掲載の報告より。最も多い症状は発熱と咳、典型的X線所見はGGOと浸潤影 研究グループは、2013年5月10日までにH7N9ウイルス感染が確認された111例について、その臨床的な特徴を調べた。 その結果、111例のうちICUで治療を受けていたのは76.6%で、死亡したのは27.0%だった。 111例の年齢中央値は61歳で、65歳以上は42.3%、女性は31.5%であり、61.3%の患者が1つ以上の基礎疾患があった。 最も多く認められた症状は、発熱と咳だった。入院時に108例(97.3%)が、肺炎と一致する症状が認められた。典型的なX線所見は、両側性スリガラス状陰影(GGO)と浸潤影だった。 リンパ球減少症が認められたのは88.3%、血小板減少症は73.0%だった。共存症があるとARDSリスクが3.4倍に 患者のうち108例(97.3%)に抗ウイルス薬による治療が行われ、治療開始の中央値は発症後7日目だった。 RT-PCR法によって、ウイルス試験の結果が陰性であることが明らかになるまでの日数の中央値は、発症から11日(四分位範囲:9~16)、抗ウイルス薬投与開始から6日(同:4~7)だった。 多変量解析の結果、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のリスク因子は、共存症のみであったことも明らかになった(オッズ比:3.42、95%信頼区間:1.21~9.70、p=0.02)。

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新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染による死亡3例の臨床像/NEJM

 中国・疾病管理予防センターのRongbao Gao氏らは、2013年3月に新型の鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染していることが同定された3例の患者について、臨床像、患者背景、ウイルス学的情報について報告した。3例は上海および安徽の住民で、いずれも死亡に至った感染例である。NEJM誌オンライン版2013年4月11日号掲載の報告より。N9亜型のヒトへの感染報告は初めて H7ウイルスの鳥への感染はこれまでにも世界各国で報告されているが、同型のヒトへの感染が報告された高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルス例の報告は、オランダで急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を併発し死亡に至ったH7N7ウイルスのみであったという。その発症も1例のみで、H5N1ウイルス感染による累積死亡率約60%(2003年以降)とは対照的であった。アジアではH7ウイルスの哺乳類への感染報告はほとんどなく、N9亜型のヒトへの感染報告はこれまで世界中どこからもなかったという。高熱、咳、呼吸困難の症状が共通 中国でH7N9ウイルス感染が同定された3例は、いずれも急速に進行した下気道感染症がみられ、発熱、咳、呼吸困難の症状が共通していた。具体的には、患者1(上海87歳男性、COPD・高血圧)は、初期には咳と痰の症状を報告し、その1週間後に高熱と呼吸困難を発症。患者2(上海27歳男性、HBs抗原陽性B型肝炎歴)は高熱と咳で入院。患者3(安徽35歳女性、うつ病・B型肝炎感染症・肥満歴)も高熱と咳を呈した。患者1は症状発現前2週間に生きた鳥と接した痕跡はなかったが、患者2は鳥を含む屠殺処理場のある食肉市場で働く豚肉販売業者で、患者3は発症1週間前に鳥肉市場を訪れていた。 その他の特徴的な臨床像としては、胸部X線検査で、びまん性の陰影および浸潤影が認められたこと、合併症としては3例ともにARDSを呈し、患者3は敗血症性ショックと急性腎障害を呈している。 3例には、抗菌薬併用療法、糖質コルチコイド、免疫グロブリン静注が行われた。抗ウイルス薬治療は発症後6~7日後に開始された。しかし患者1はICU搬送後に挿管、発症から13日後に難治性低酸素血症で死亡。患者2はICU入室後48時間後にARDSの進行で挿管となり4日後に難治性低酸素血症で死亡した。患者3は発症後6日後にARDSと敗血症性ショックを発症し、ICU入室後ECMO(体外式膜型人工肺)が開始されたがその後死亡(4月9日)に至ったという。ウイルスはヒトに感染しやすく変化? 3例の感染ウイルス同定は、咽頭スワブ法で入手した検体を用いて、リアルタイムRT-PCR法、ウイルス培養、塩基配列解析にて行われた。その結果、3例ともに共通した新型の再集合体鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが同定された。また、塩基配列解析により、3例のウイルスとも鳥由来のものであること、内部遺伝子として鳥インフルエンザA(H9N2)由来の6つの遺伝子を有していることが明らかになり、3例のウイルスからは赤血球凝集素(HA)遺伝子に突然変異体や5つのアミノ酸欠損が認められたことなども報告されている。

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ソホスブビル+リバビリン併用12週治療で、慢性HCV患者のSVR24達成/Lancet

 肝硬変のない未治療の慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1の患者に対する、NS5Bポリメラーゼ選択的阻害薬ソホスブビルのペグインターフェロンα-2a+抗ウイルス薬リバビリン(商品名:レベトールほか)との併用12週間治療の有効性と安全性を検討した第2相試験「ATOMIC」の結果が報告された。本試験は、同患者に対する標準療法の24週間治療法(ポリメラーゼ阻害薬+リバビリン)と同等の効果が、ソホスブビルレジメンの12週間治療法で認められるか、また同レジメン12週投与後にソホスブビル単独療法もしくはソホスブビル+リバビリン併用投与を12週間追加した場合のあらゆるベネフィットを調べることが目的であった。Lancet誌オンライン版2013年3月14日号掲載の報告より。12週治療、24週治療、12週+単独等の3つのコホートで検証 ATOMIC試験は、2011年3月23日~2011年9月21日に、米国、プエルトリコの医療施設42ヵ所で患者を登録して行われたオープンラベル無作為化第2相試験であった。慢性HCV感染症(遺伝子型1、4、5、6)で18歳以上、HCV感染症未治療の患者を適格とした。 研究グループは、遺伝子1型を有するHCV患者を無作為に1対2対3の割合で、ABCの3つのコホートに割り付けた。また、IL28B遺伝子型タイプ別(CC対非CC)、HCV RNA別(<800000 IU/mL対≧800000 IU/mL)での階層化も行った。 コホートAはソホスブビル400mgとペグインターフェロン+リバビリンの12週間投与、コホートBは同24週間投与を、コホートCは同12週間投与後ソホスブビル単独12週間投与もしくはソホスブビル+リバビリン12週間投与を受けた。 コホートBには遺伝子型1以外を有する患者も登録した。 主要有効性エンドポイントは、intention-to-treat解析にて評価した24週時点の持続的ウイルス学的著効(SVR24)の達成とした。3コホートのSVR24達成患者の割合に有意差なし HCV遺伝子1型の患者は316例が登録された(Aコホート52例、Bコホート109例、Cコホート155例)。またBコホートには、遺伝子型4の患者11例、同6の患者5例の患者が割り付けられた(遺伝子型5の患者は非検出)。 HCV遺伝子1型の患者において、SVR24の達成は、Aコホート46例(89%、95%信頼区間:77~96)、Bコホート97例(89%、同:82~94)、Cコホート135例(87%、同:81~92)であった。3群間のSVR24達成患者の割合に有意差は認められなかった(AコホートとBコホートの比較p=0.94、同Cコホートp=0.78)。 遺伝子型4の患者11例のうち9例(82%)および遺伝子型6の5例全員が、SVR24を達成した。 割り付けられた治療終了後の再発は7例(全例が遺伝子型1)だった。 試験中止となった最も頻度の高かった有害事象は、貧血と好中球減少症であり、ペグインターフェロン+リバビリン治療と関連していた。試験中止となったのは、Aコホート3例(6%)、Bコホート18例(14%)、Cコホート3例(2%)であった。 以上の結果を踏まえて著者は、「ソホスブビルの忍容性は良好であることが示された。また、12週以上治療を延長することのベネフィットは認められなかったが、これらの所見については第3相試験で実証する必要がある」と述べた上で、「本試験の結果は、ソホスブビルレジメン12週間治療について、肝硬変のある患者を含むなどより広範な遺伝子型1の慢性HCV患者においてさらなる評価を行うことを支持するものである」とまとめている。

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C型慢性肝炎治療薬「シメプレビル」の製造販売承認を申請

 ヤンセンファーマは22日、C型慢性肝炎治療薬として開発したシメプレビル(TMC435)を、世界に先駆けて日本で製造販売承認申請を行ったと発表した。 シメプレビルは、新たな直接作用型抗ウイルス剤(DAAs:Direct-acting Antiviral Agents)の1つであり 、C型肝炎ウイルスの複製に関与するセリン・プロテアーゼを直接阻害することによって、ウイルスの増殖を抑える機序を有する経口薬である。同社は国内で4つの第III相臨床試験を実施し、ジェノタイプ1型のC型肝炎患者における、シメプレビルとペグインターフェロン(α-2aまたはα-2b)とリバビリンの3剤併用療法において得られた治療効果と安全性、治療への忍容性などを示す結果をもとに、国内での製造販売申請に至ったという。 現在、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した患者は日本で約150~200万人存在していると推定され、約70%の割合で感染の持続による慢性肝炎へと移行する。さらに炎症の持続により肝線維化が進むと肝硬変や肝がんへと進展します 。現在、わが国では1年に約3万5000人が肝がんで死亡していおり、肝がんの原因の約80%がC型肝炎であるといわれている。同社は、「C型肝炎の治療は進化を続けており、治療薬の効果は著しく向上している一方で、副作用のマネジメントなど、治療に対する課題の解決が期待されている」と述べている。詳細はプレスリリースへhttp://www.janssen.co.jp/public/rls/news/4132

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医療施設におけるインフルエンザの予防と治療

1 流行に備えた感染対策インフルエンザ対策は、本格的な流行が始まる前に開始する。平素の感染対策活動に加え、流行前に職員に対するインフルエンザ感染対策に関する啓発活動を強化する。また、施設内で患者発生を早期に探知できる体制を構築しておく。職員もインフルエンザ様症状を認めた場合はただちに当該部署に届けて欠勤するなどのルールを作っておく。その他重要な点を以下に示す。(1)ワクチン接種ワクチン接種はインフルエンザ感染対策の基本である。患者に対し、予防接種の意義、有効性、副反応の可能性を十分に説明して同意を得たうえで、禁忌者を除き積極的にワクチンを接種する。とくに65歳以上の者、および60歳以上65歳未満の者であって心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能またはHIV感染による免疫機能障害を有する者に対するワクチン接種は、予防接種法上定期接種と位置付けられている。医療施設の職員にも、禁忌者を除き積極的にワクチン接種を勧める。(2)ウイルスの持ち込みリスクの低減流行期間中、ウイルスは医療施設外からもたらされるため、ウイルス持ち込みのリスクを低減する工夫が必要となる。インフルエンザ様症状を呈する者が面会などの目的で施設内に入ることは、必要に応じて制限する。そのため施設の入口にポスターを掲示したり、家族等にはあらかじめ説明しておくなどして、事前に理解を得ておく。施設に入る前に擦り込み式アルコール消毒薬の使用を求めることも必要である。2 流行開始後の感染対策インフルエンザ患者に対しては、まず良質かつ適切な医療の提供が基本となる。治療については後述するので、ここでは医療施設内でインフルエンザが発生した後の対応について述べる。(1)速やかな患者の隔離施設内でインフルエンザ様患者が発生した場合は、迅速診断キットを活用して診断を行う。発症早期には偽陰性となる場合があるので、キットの結果が陰性であっても、臨床的に疑われる場合はインフルエンザとして扱う。患者はただちに個室に隔離し、できるだけ個室内で過ごすように指示する。個室が確保できない場合は、患者とその他の患者をカーテン等で遮蔽する、ベッド等の間隔を2メートル程度空ける、患者との同室者について、入居者の全身状態を考慮しつつサージカルマスクの着用を勧める、といった次善の策も提案されている。患者が複数いる場合は、同型のインフルエンザ患者を同室に集めることも検討する。(2)飛沫感染予防策とその他の予防策職員が患者の部屋に入る場合はサージカルマスクを着用する。インフルエンザ患者がやむを得ず部屋を出る場合は、サージカルマスクを着用させる。インフルエンザの感染対策では通常、空気予防対策は不要であるが、サクションチューブで喀痰を吸引する時や、緊急で心肺蘇生を行う場合などは、N95マスクなどの高性能マスクの着用も勧められる。飛沫予防策として、インフルエンザを発症してから7日間もしくは発熱や呼吸器症状が消散してから24時間のどちらか長い方が経過するまで継続することが推奨されている。(3)患者への抗ウイルス薬の予防投与CDCは、施設内で72時間以内に2名以上のインフルエンザ様患者が発生した場合や、1名のインフルエンザ確定患者が発生した場合は、入所者への抗ウイルス薬の予防投与を勧めている。日本感染症学会は、インフルエンザ患者に接触した患者には、承諾を得たうえで、ワクチン接種歴にかかわらずオセルタミビルかザナミビルによる予防投与を開始すべきであるとしている。予防投与の範囲は、原則的にはインフルエンザ発症者の同室者とする。なお、現時点でペラミビルとラニナミビルには予防投与の適応は無い。(4)職員への予防投与CDCは、医療施設の職員についても、ワクチン未接種者については抗ウイルス薬の予防投与を検討すべきであるとしている。日本感染症学会は、職員は本来健康なので抗ウイルス薬の予防投与は原則として必要ではなく、発症した場合の早期治療開始でよいとしている。しかし、施設内での流行伝搬に職員が関与していると考えられる場合、とくに職員の間でインフルエンザ発症が続く場合は、職員にも予防投与が必要であるとしている。3 インフルエンザの治療-抗インフルエンザウイルス薬-ここでは主に抗ウイルス薬について述べる。現在わが国で使用可能な抗インフルエンザウイルス薬は、アマンタジン、ザナミビル水和物、オセルタミビルリン酸塩、ペラミビル水和物、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の5種類である。そのうちアマンタジンはA型ウイルスにのみ有効であることと、ほとんどの流行株が耐性化していること、ならびに副作用の問題などから使用機会は少なく、現在は主としてノイラミニダーゼ阻害薬が使用される。以下に各薬の特徴をまとめた。ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)は、吸入で用いるノイラミニダーゼ阻害薬である。通常インフルエンザウイルスは主に上気道~気管で増殖するため、非常に高濃度のザナミビルが感染局所に到達する。副作用として、まれではあるが吸入に伴い気道攣縮を誘発する可能性がある。これまでにザナミビルでは耐性ウイルスの出現はほとんど報告されていない。オセルタミビルリン酸塩(同:タミフル)は、内服のノイラミニダーゼ阻害薬である。消化管から吸収され、肝でエステラーゼにより加水分解され活性体に変換される。ペラミビル水和物(同:ラピアクタ点滴用)は、1回の点滴静注でA型およびB型インフルエンザウイルス感染症に対して有効性を示す。点滴静注であるため確実に血中に移行し長時間効果を表す。ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(同:イナビル吸入粉末剤)の特徴は、初回の吸入のみで完結する点で、服薬中断や服薬忘れの懸念が無い。以上の薬剤をどのように使い分けるかは、臨床的に大きな課題である。社団法人日本感染症学会の提言などが参考になる。文献(1)CDC. Prevention strategies for seasonal influenza in healthcare settings. http://www.cdc.gov/flu/professionals/infectioncontrol/healthcaresettings.htm(2)CDC. Interim guidance for influenza outbreak management in long-term care facilities. http://www.cdc.gov/flu/professionals/infectioncontrol/ltc-facility-guidance.htm(3)厚生労働省健康局結核感染症課、日本医師会感染症危機管理対策室.インフルエンザ施設内感染予防の手引き 平成23年11月改訂.http://dl.med.or.jp/dl-med/influenza/infl_tebiki23.pdf(4)社団法人日本感染症学会.社団法人日本感染症学会提言2012~インフルエンザ病院内感染対策の考え方について~(高齢者施設を含めて).http://www.kansensho.or.jp/influenza/pdf/1208_teigen.pdf(5)Fiore AE, et al. MMWR.Recomm Rep.2011;60 : 1-24.

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HIV 感染症を難病指定に

神戸大学感染症内科岩田 健太郎2012年11月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。厚生労働省によると、これまで56しかなかった難病指定疾患を300以上に増やす予定だという。この難病にHIV感染症および後天性免疫不全症候群(エイズ)(以下、HIV感染症とまとめる)を含めるべきだ、というのが本論の主旨である。以下にその理由を示す。難病対策委員会によると、難病の選定基準は1. 患者数が人口の0.1%程度以下2. 病気が未解明3. 治療法がないか、治療法があっても症状が良くなったり悪くなったりする4. 生活への支障が生涯にわたる5. 診断基準か客観的な指標があるの全てを満たす場合に対象となるという(朝日新聞2012年10月31日朝刊より)。HIV感染症は現在482あるという難病研究事業の対象にはなっていないが、患者は現在分かっているだけで数万人規模であり(1)、条件1は満たす。条件2と3についてはどうだろうか。エイズはヒト免疫不全ウイルス(HIV)が原因の細胞性免疫不全である。病気のメカニズムはある程度分かっており、抗ウイルス療法も存在する。しかし、この疾患はいまだ治癒に至る方法は解明されていない。「解明」がどの程度を意味するものなのかは分からないが、難病指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)などもスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)の遺伝子異常など、病態生理はある程度「解明」されているので、HIV感染症を除外する根拠には乏しいと考える(2)。抗ウイルス療法を用いて患者の予後は劇的に改善したが、症状が悪くなる場合も少なくない。治療は生涯にわたり、生活への支障は続く(条件4)。診断基準は明確だ(HIVの各種検査を行う、条件5)。難病指定してはいけない、という根拠は乏しい。現在、HIV感染患者には診療費の公費助成がある。その主たるものは免疫不全の程度に応じて得られる身体障害者認定と自立支援医療である(3、4)。もともと、薬害エイズ事件など「薬害」の要素が大きかったこの感染症患者の救済の手段として身体障害者制度は活用された(5)。しかし、現実には多くの患者には「身体障害」は存在せず、そういう患者では日常生活を送ったり仕事をすることも可能であるから、この制度をアプライするには若干の無理がある。また、「症状の固定」まで4週間の経過を見なければ障害者認定は受けられないため、その分、治療が遅れたり余分な(そして高額な)治療費がかかる。近年のHIV感染治療は激変している。以前は免疫抑制がかなり進んでから抗ウイルス療法を開始していたが、治療薬の進歩と臨床試験データの蓄積から、治療はどんどん前倒しするようになった。日和見感染症があっても早期(2週間以内。ただし結核などを除く)に治療を始めたほうが予後が良いケースも多いことが分かっている。障害者認定にかかる「4週間の遅れ」は無視できない遅れなのである。今年発表された診療ガイドライン(International Antiviral Society-USA, IAS-USA)では、すべてのHIV感染者に抗ウイルス療法を提供するよう推奨されている(6)。しかし、免疫不全が進んでいない患者では低い等級の身体障害者認定しか得られないため、十分な診療支援はかなわない。感染早期に治療を始めれば、体内にあるウイルスの量を減らし、さらなる感染者発生防止にも役に立つ。日本は先進国でも新規発生患者が増加している稀有な国の一つである。HIV感染の診療費は生涯1億円程度かかると言われる(7)。患者の早期発見、早期治療、そして予防は医療費の有効活用という観点からも重要である。(免疫不全の程度にかかわらず)すべてのHIV感染者を速やかに難病指定し、適切な治療を提供できるようにする必要がある。患者救済という目的のもと、HIV患者の身体障害者認定は一定の成果を上げてきた。しかし、その成果は「歴史的成果」と称すべきで、現状維持を正当化する根拠にしてはならない。厚生労働省は現状を鑑み、HIV感染者を難病指定に切り替えるべきである。1. 日本のHIV感染者・AIDS患者の状況(平成23年12月26日~平成24年3月25日) IASR Vol. 33 P. 171-173 http://www.nih.go.jp/niid/ja/aids-m/aids-iasrd/2274-kj3888.html2. 筋萎縮性側索硬化症(公費対象) 難病情報センター http://www.nih.go.jp/niid/ja/aids-m/aids-iasrd/2274-kj3888.html3. HIV感染者の身体障害者認定について 厚生労働省 http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0912/h1216-1.html4. 自立支援医療(更生医療)の概要 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/kousei.html5. HIV感染者が免疫機能障害として、身体障害者認定を受けるまでの経緯をご存知ですか? はばたき福祉事業団 http://old.habatakifukushi.jp/hiv_medical_welfare/medical_treatment_welfare_system/hiv_55.html6. Lawn SD,Antiretroviral Treatment of Adult HIV Infection. IAS-USA. https://www.iasusa.org/content/antiretroviral-treatment-adult-hiv-infection-07. 世界は減少、日本は増加…1人に約1億円医療費必要なHIV感染症を知る 日経トレンディネット 2011年2月28日 http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20110224/1034622/

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「痛み」の診療に関する緊急アンケート その2 ~「痛み」の評価、どうしてますか?~

対象ケアネット会員の内科医師244名方法インターネット調査実施期間2012年8月7日~8月13日Q1.痛みの強さに関して、客観的な指標を用いて評価していますか?Q2.帯状疱疹を発症し、皮膚科で抗ウィルス薬を処方されていた患者さん(60代、女性)が、発症後4日目で痛みを訴えて受診してきました。この患者さんの痛みに対し、どのような治療を行いますか?Q3.2011年7月に発刊された神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン(日本ペインクリニック学会神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン作成ワーキンググループ編集)をご存じですか?

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高用量抗ウイルス薬治療、HSV-2再活性化の抑制効果は不十分

単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)は、高用量抗ウイルス薬治療中にも潜在性の再活性化を認めることが、米国・ワシントン大学のChristine Johnston氏らの検討で示された。同氏は「HSV感染の除去には、より強力な抗ウイルス薬治療を要する」と指摘している。HSV-2感染は世界的に蔓延し、HIV-1感染リスクを増大させることが示されている。抗ウイルス薬の連日投与は性器病変を減少させ、性器粘膜表面へのHSV排出を抑制するが、性感染リスクの改善効果は十分ではないという。Lancet誌2012年2月18日号(オンライン版2012年1月5日号)掲載の報告。3つの相補的試験でウイルス排出を評価研究グループは、標準用量および高用量の抗ウイルス薬治療によるHSV-2ウイルス排出頻度の低減効果を評価するために、3つの非盲検無作為化クロスオーバー試験のデータを解析した。ワシントン大学ウイルス学研究クリニックでHSV-2の血清反応陽性/陰性者を登録し、3つの相補的なクロスオーバー試験を実施した。1)無治療とアシクロビル(商品名:ゾビラックスなど)400mg×2回/日(標準用量)の比較、2)バラシクロビル(商品名:バルトレックス)500mg/日(標準用量)とアシクロビル800mg×3回/日(高用量)の比較、3)標準用量バラシクロビルとバラシクロビル1g×3回/日(高用量)を比較した。試験期間は4~7週で、wash-out期間は1週間とした。性器スワブを1日4回採取し、real-time PCR法でHSV DNAを定量。検査室要員には臨床データがマスクされた。主要評価項目は、個人内ウイルス排出率とし、per protocol解析を行った。再活性化は高用量群で低いが十分でない2006年11月~2010年7月までに113例が登録され90例が評価可能であった。採取された2万3,605スワブのうち1,272例(5.4%)がHSV陽性だった。HSV-2ウイルス排出頻度は、無治療群が18.1%と標準用量アシクロビル群の1.2%に比べ有意に高かった(罹患率比[IRR]:0.05、95%信頼区間[CI]:0.03~0.08)。高用量アシクロビル群のウイルス排出頻度は4.2%と、標準用量バラシクロビル群の4.5%よりも低かった(IRR:0.79、95%CI:0.63~1.00)。高用量バラシクロビル群は3.3%と、標準用量バラシクロビル群の5.8%よりも低頻度だった(IRR:0.54、95%CI:0.44~0.66)。人・年当たりのウイルス排出頻度は、標準用量バラシクロビル群(22.6)と高用量アシクロビル群(20.2)、標準用量バラシクロビル群(14.9)と高用量バラシクロビル群(16.5)の比較では両群で同等だった(それぞれ、p=0.54、p=0.34)が、無治療群(28.7)と標準用量アシクロビル群(10.0)には有意な差が認められた(p=0.001)。ウイルス排出期間中央値は、無治療群が13時間と標準用量アシクロビル群の7時間よりも長く(p=0.01)、標準用量バラシクロビル群は10時間と高用量バラシクロビル群の7時間に比べ長かった(0=0.03)。一方、標準用量バラシクロビル群(8時間)と高用量アシクロビル群(8時間)には差を認めなかった(p=0.23)。HSVのlog10コピー数/mLにも同様の傾向が認められた。著者は、「高用量抗ウイルス薬治療中にも潜在性のHSVの再活性化が認められた。HSV感染の除去には、より強力な抗ウイルス薬治療を要する」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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慢性C型肝炎標準療法無効例への直接作用型抗ウイルス薬のベネフィット

慢性C型肝炎の標準療法であるインターフェロン併用療法(ペグインターフェロン+リバビリン)が無効であった患者に対し、直接作用型抗ウイルス薬を追加投与することのベネフィットについて検討された予備的試験の結果、2つの抗ウイルス薬のみ投与でもウイルス持続陰性化(SVR)が得られることが示され、追加併用投与では高率のSVRが得られることが示された。米国・ミシガン大学医療センターのAnna S. Lok氏らによるオープンラベル第2a相無作為試験の予備的試験報告で、NEJM誌2012年1月19日号で発表された。慢性HCV遺伝子型1型感染患者21例を対象に予備的試験研究グループは、12週間以上のペグインターフェロン+リバビリン併用療法が無効[HCV RNAが2 log(10)以上にならなかった]であった慢性HCV遺伝子型1型感染患者21例の予備的コホートを対象とする試験を行った。被験者は無作為に、2つの直接作用型抗ウイルス薬であるNS5A複製複合阻害薬daclatasvir(60mgを1日1回)とNS3プロテアーゼ阻害薬asunaprevirのみを投与する群(グループA、11例)と、これら2つの抗ウイルス薬を前治療に追加して併用投与する群(グループB、10例)に割り付けられ、24週間投与された。主要エンドポイントは、治療期間終了後12週間のSVRを得られた患者の割合であった。抗ウイルス薬投与群のみでもSVR達成、併用投与群では高いSVR達成結果、抗ウイルス薬2剤のみ投与のA群において、12週時点でSVRを得ていたのは4例(36%)で、これらは24週時点でもSVRが認められた。4例を詳細な遺伝子型別にみると、HCV遺伝子型1a型9例中の2例と同1b型2例中の2例であった。SVRが得られなかった遺伝子型1a型の7例のうち、6例は24週の治療期間中にウイルス再燃(VBT)をきたし、2つの抗ウイルス薬に対する耐性変異の発生がみつかった。残る1例は治療期間終了時点ではSVRが得られていたが、その後再発に至った。一方、抗ウイルス薬2剤をインターフェロン併用療法に追加して投与したB群では、12週時点で全10例がSVRを得ており、9例は24週時点でもSVRを持続していた。有害事象については、最も頻度が高かったのは両群ともに下痢であった。また、6例(A:4例、B:2例)に、アラニンアミノトランスフェラーゼが正常上限値の3倍超となる一過性の上昇が認めれた。(武藤まき:医療ライター) ※ペグインターフェロン(商品名:ペガシス、ペグイントロン)+リバビリン(商品名:コベガス、レベトールほか)。本試験ではペガシス+コベガスで検討されている。

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今年はどうなる?抗インフルエンザ薬

QLifeは18日、同社が行った調査『抗インフルエンザウイルス剤の処方動向調査2011』の結果を発表した。昨シーズンに抗インフルエンザイウルス剤を処方した全国の医師にアンケートを行い、内科・小児科を中心とする505人から回答を得た。今年のインフルエンザは、厚生労働省からワクチン供給予定量が当初見込みより下回ることが発表された直後に、例年よりも早い流行入りの可能性がマスコミによって報道されていた。2009~2010年の新型インフルエンザ(A/H1N1)発生以降、インフルエンザ情報に対して敏感になっている人も多いため、医師は、受診した患者や家族に対してインフルエンザの正しい対処法を説明することがより重要になっている。ところが、医師の間でも耐性ウイルスに関しては情報・認識が錯綜しているのが現状だ。「耐性ウイルスが市中で広く流行しているとお考えですか」との設問に対して、「流行している」「流行していない」の両回答が21%と拮抗した。また増殖性、病原性についても、「耐性ウイルスの方が強い」が18%と、「通常のウイルスの方が強い」回答12%を上回る結果となった。昨シーズンに処方した抗ウイルス剤の比率をきいたところ、タミフルが57%と最も多く、次いでイナビル20%、リレンザ19%、ラピアクタ2%の順であった。今後の処方意向に関しても「対成人」「対10歳未満」の両方でタミフルが最も多く、リレンザは対成人と対10歳未満とで大きく異なる結果となった。また、自由回答コメントのなかには「必要ないと思われる場合でも、薬を強く希望する人が増えた」という医師からの回答もあった。詳細はプレスリリースへhttp://www.qlife.co.jp/news/2417.html

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C型肝炎治療法をテレビ会議システムでプライマリ・ケア従事者に訓練:ECHOモデル

米国・ニューメキシコ大学で開発されたECHOモデル(Extension for Community Healthcare Outcomes model)は、必要な医療サービスを十分に受けられず、C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者のような複合的な健康問題を抱える集団へのケア提供改善を目的として開発されたもので、テレビ会議システムを用いて、現地のプライマリ・ケア従事者に複合疾患の治療技術訓練プログラムを提供する。その効果について、これまでプライマリ・ケア従事者への訓練不足のため治療が行われてこなかったという農村地帯と刑務所をプログラム対象として検討した、同大内科部門のSanjeev Arora氏らによる前向きコホート研究の結果、ECHOモデルはHCV感染治療を効果的に行ううえで有効であることが示されたという。NEJM誌2011年6月9日号(オンライン版2011年6月1日号)で掲載された。大学HCVクリニックでの治療とECHOプログラム実施施設での治療の成果を比較C型肝炎感染については治療の進展、治癒率の改善が著しいが(HCV遺伝子型1感染患者45%、2および3は75%)、米国では治療を受けている慢性C型肝炎感染患者は少なく、処方数は2002年から2007年に34%減少したという。抗ウイルス薬の投与は重大な副作用と関連しており、多くの専門家による積極的な管理が必要だが、訓練不足のためプライマリ・ケア従事者による治療は行われていなかったことが背景にあり、ECHOモデルが開発された。Arora氏らによる試験は、ニューメキシコ大学HCVクリニックでの治療と、ECHOプログラムによる訓練を受けたプライマリ・ケア従事者がいる21ヵ所の農村地帯および刑務所での治療を比較し行われた。被験者は、これまで治療を受けたことがない慢性HCV感染患者合計407例で、ウイルスが持続的陰性であることを示すSVRを主要エンドポイントとした。SVR率、大学治療群57.5%、ECHO施設治療群が58.2%結果、SVR率は、大学治療群が57.5%(84/146例)、ECHO施設治療群が58.2%(152/261例)だった(群間差:0.7ポイント、95%信頼区間:-9.2~10.7、P=0.89)。またHCV遺伝子型1感染患者におけるSVR率は、大学治療群が45.8%(38/83例)、ECHO施設治療群が49.7%(73/147例)だった(P=0.57)。重大な有害事象の発生率は、大学治療群で13.7%、ECHO施設治療群では6.9%だった。Arora氏は「サービスが不十分な地域におけるHCV感染治療に、ECHOモデルは効果的な方法であることが示された。このモデルを実施することで、他の州や米国以外でも、現在可能な患者数よりも多くのHCV感染患者を治療することが可能となるであろう」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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慢性C型肝炎、新規経口抗HCV薬2剤併用による非インターフェロン治療が有望

慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者に対する2つの新規経口抗HCV薬であるRG7128とdanoprevirの併用療法が、非インターフェロン治療として有望なことが、ニュージーランド・オークランド市民病院のEdward J Gane氏らが行った無作為試験(INFORM-1試験)で示された。HCV感染に対する現在の標準的なインターフェロンベースの治療法は、効果および耐用性の両面で限界があるという。RG7128はHCVのNS5B RNAポリメラーゼを阻害し、danoprevirはウイルスの複製に必須な酵素HCV NS3/4Aプロテアーゼの大環状阻害薬だ。Lancet誌2010年10月30日号(オンライン版2010年10月15日号)掲載の報告。7つの治療群とプラセボ群を比較INFORM-1試験の研究グループは、慢性HCV感染患者を対象に、いずれも経口投与が可能な2つの実験的な抗HCV薬(ヌクレオシドポリメラーゼ阻害薬RG7128とNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬danoprevir)の併用療法の安全性、耐用性、抗ウイルス効果を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化用量漸増試験を実施した。ニュージーランドおよびオーストラリアの6施設から登録されたHCV遺伝子型1型に慢性的に感染した患者が、RG7128(500mgあるいは1,000mg×2回/日)とdanoprevir(100mgあるいは200mgを8時間ごとに3回/日、または600mgあるいは900mg×2回/日)の併用療法、あるいはプラセボを投与され、最長で13日間の治療を受けた。適格例が7つの治療群の1つに登録され、実薬群あるいはプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。用量漸増試験は未治療例を対象とし、前治療無反応例を含む標準治療による既治療例は高用量danoprevir群に登録された。担当医、試験センター員、患者には治療割り付け情報は知らされなかったが、薬剤の調整を行う薬剤師、薬物動態サンプルの解析に携わる者、データの要約を作成する統計学者、次の治療群の初回用量決定前のデータをレビューする薬理学者にはマスクされなかった。主要評価項目は、13日間の治療を受けた患者のベースラインから14日目までのHCV RNA濃度の変化とし、治療を完遂した全症例について解析を行った。未治療例、既治療例ともにウイルスRNA濃度が低下、耐用性も良好登録された88例のうち、74例が7つの実薬群に割り付けられ73例が少なくとも1回の投与を受け、プラセボ群の14例もいずれも1回以上の投与を受けた。13日間の併用治療を受けた各群の、ベースラインから14日目までのHCV RNA濃度変化の中央値は、-3.7~-5.2(log10)IU/mLであった。最も高用量を投与された群(RG7128 1,000mg+danoprevir 900mg×2回/日)の、ベースラインから14日目までのHCV RNA濃度変化中央値は、プラセボ群が0.1(log10)IU/mL上昇したのに比べ、実薬群の未治療例では-5.1(log10)IU/mL(四分位数範囲:-5.6~-4.7)、標準治療で無反応であった既治療例では-4.9(log10)IU/mL(同:-5.2~-4.5)まで低下した。RG7128+danoprevir併用療法は良好な耐用性を示し、治療関連の重篤な有害事象は認めず、grade 3/4の検査値異常や有害事象による治療中止もみられなかった。著者は、「このヌクレオシドポリメラーゼ阻害薬とプロテアーゼ阻害薬の併用療法は、慢性HCV感染患者に対する非インターフェロン治療として有望と考えられる」と結論し、「最近、直接作用型抗ウイルス薬の単剤療法の有望な結果が報告されているが、今回の非インターフェロン直接作用型経口抗ウイルス薬の2剤併用療法は、今後のHCV感染の管理における重大な転換点であり、過去20年間で最も大きな治療上の進展を示すものである」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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boceprevir追加により、C型慢性肝炎の持続的ウイルス陰性化率が約2倍に

未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)ジェノタイプI型感染患者では、標準治療であるペグインターフェロンα-2b(商品名:ペグイントロン)+リバビリン(同:レベトール、コペガス)による導入療法後にboceprevirを追加する治療法が、標準治療単独に比べ持続的ウイルス陰性化率(SVR)を約2倍にまで改善することが、アメリカ・インディアナ大学医学校のPaul Y Kwo氏らが実施した無作為化第II相試験(SPRINT-1試験)で示された。標準治療は免疫系を刺激することで非特異的にウイルスの複製を抑制するもので、SVRは50%以下にすぎない。NS3プロテアーゼ阻害薬であるboceprevirはウイルス複製に重要な蛋白を阻害する「直接作用的抗ウイルス薬」と呼ばれる薬剤の一つであり、標準治療による導入療法の薬剤血中濃度が最適化された時点でこれを追加併用投与するアプローチの有用性に期待が集まっているという。Lancet誌2010年8月28日号(オンライン版2010年8月9日号)掲載の報告。boceprevirの4種類の投与法を標準治療と比較、低用量リバビリンも評価SPRINT-1試験の研究グループは、C型慢性肝炎に対する標準治療であるペグインターフェロンα-2b+リバビリン併用療法と、これにboceprevirを追加する治療法の有効性を比較する無作為化第II相試験を行った。試験にはアメリカ、カナダ、ヨーロッパの67施設から未治療のHCVジェノタイプ1感染患者595例が登録され、二つのパートに分けて実施された。パート1(520例)では、ペグインターフェロンα-2b 1.5μg/kg+リバビリン800~1,400mg/日を48週投与する群(PR48群:104例)を対照とし、同様の治療を4週施行後にboceprevir 800mg×3回/日を追加して24週投与する群(PR4/PRB24群:103例)あるいは44週投与する群(PR4/PRB44群:103例)、ペグインターフェロンα-2b 1.5μg/kg+リバビリン800~1,400mg/日+boceprevir 800mg×3回/日を28週投与する群(PRB28群:107例)あるいは48週投与する群(PRB48群:103例)の全5群に無作為に割り付けられた。パート2(75例)では、PRB48群(16例)あるいはリバビリンを400~1,000mgに減量した低用量PRB48群(59例)に無作為に割り付けられた。いずれのパートも、治療割り付け情報は試験関係者と患者に知らされた。主要評価項目は、治療終了後24週における持続的ウイルス陰性化率(sustained virological response:SVR、HCV RNA非検出例の割合)とした。対照群38%、PRB28群54%、PR4/PRB24群56%、PRB48群67%、PR4/PRB44群75%4つのboceprevir追加群は、いずれも対照群に比べSVRが有意に優れていた。すなわち、対照群(PR48群)のSVRが38%(39/104例、95%信頼区間:28~48%)であったのに対し、PRB28群は54%(58/107例、同:44~64%、p=0.013)、PR4/PRB24群は56%(58/103例、同:46~66%、p=0.005)、PRB48群は67%(69/103例、同:57~76%、p<0.0001)、PR4/PRB44群は75%(77/103例、同:65~83%、p<0.0001)であった。リバビリンを減量した低用量PRB48群では、ウイルス再燃(viral breakthrough、HCV RNAが最低値から≧2 log10上昇あるいは≧50,000IU/mL上昇)の割合が27%(16/59例)と高率であった。低用量PRB48群の再発(治療終了時にHCV RNA非検出で、24週のフォローアップ後に検出された例)の割合は22%(6/27例)であり、対照群の24%(12/51例)と同等であった。boceprevir追加群は、対照群に比べ貧血[55%(227/416例) vs. 34%(35/104例)]、味覚障害[27%(111/416例) vs. 9%(9/104例)]が多くみられた。著者は、「未治療のHCVジェノタイプ1感染患者においては、標準治療であるペグインターフェロンα-2b+リバビリンによる4週の導入療法後にboceprevirを追加する治療法が、標準治療単独に比べSVRを約2倍にまで改善する可能性が示唆される」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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妊娠初期の単純ヘルペスや帯状疱疹の治療薬服用、先天性欠損症リスクを増大せず

母親が妊娠初期に、単純ヘルペスや帯状疱疹の治療薬である、アシクロビル(商品名:ゾビラックスなど)、バラシクロビル(同:バルトレックス)、ファムシクロビル(同:ファムビル)の抗ウイルス薬のいずれかを服用しても、出産児の先天性欠損症リスクは増大しないことが報告された。デンマークStatens Serum Institut疫学研究部門のBjorn Pasternak氏らが、約84万児を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月25日号で発表した。生後1年間の先天性欠損症発症を追跡同氏らは、1996年1月1日~2008年9月30日にデンマークで生まれた83万7,795児について、既往歴コホート研究を行った。染色体異常や遺伝的症候群、原因の明らかな先天異常症候群、先天的ウイルス感染症のいずれかが認められる乳児は、被験者から除外した。生後1年間で見つかった主な先天性欠損症と、母親の妊娠初期のアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルの服用について、その関連を分析した。抗ウイルス薬服用群と非服用群、先天性欠損症発症率はともに2.2~2.4%と同等母親が妊娠初期に、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルのいずれかを服用していた1,804件の妊娠のうち、主な先天性欠損症が認められたのは、40児(2.2%)だった。一方、母親が妊娠初期にいずれかの抗ウイルス薬も服用していなかった妊娠のうち、主な先天性欠損症が認められたのは1万9,920児(2.4%)で、服薬の有無間での発症リスクに、有意差はみられなかった[補正後罹患率オッズ比(POR):0.89、95%信頼区間:0.65~1.22]。3種の抗ウイルス薬別にみても、同発症リスクの増加は認められず、アシクロビル群(1,561児)のうち先天性欠損症は32児(2.0%)で補正後PORは0.82、バラシクロビル群(229児)は7児(3.1%)で補正後PORは1.21、服薬が稀だったファムシクロビル群(26児)は1児(3.8%)で補正後PORは1.63で、いずれも有意差は認められなかった。予備解析の結果でも、妊娠初期の抗ウイルス薬服用と13種の主な先天性欠損症の間には、有意な関連は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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新型インフル感染死亡率は予想よりも低い、イングランドの調査

2009年11月までにイングランドでは138人が新型インフルエンザウイルス(2009年汎発性インフルエンザA/H1N1)感染が原因で死亡し、推定死亡率(10万人当たり26人)は予想よりも低かったことが、イギリス保健省Richmond HouseのLiam J Donaldson氏らの調査で明らかとなった。イギリスでは、インフルエンザによる死亡率は伝統的に超過死亡(excess death)に基づいて算出されているが、死亡証明による予測であるため母集団が少ない場合は信頼性が低いとされる。この調査の初期報告は、検査で感染が確定された例を母集団としたため過小評価となった可能性があるが、今回は症状の見られる症例を母集団として推計したという。BMJ誌2010年1月9日号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。2009年11月8日までに報告されたデータを解析研究グループは、イングランドにおける新型インフルエンザによる死亡率の調査を行った。2009年11月8日までに、救急病院およびプライマリ・ケア施設の医師によって報告された新型インフルエンザに関するデータを解析した。推定感染者数や死亡数とともに年齢別の死亡率を算出し、基礎疾患、病態の経時的変化、抗ウイルス薬による治療状況を調べた。推定死亡率は、全体で0.026%、子どもが0.011%、高齢者は0.98%全体の推定死亡率は10万人当たり26(11~66)人であり、当初の予想よりも低かった。年齢別の解析では、5~14歳の子どもが最も低く[11(3~36)/10万人]、65歳以上の高齢者が最も高かった[980(300~3,200)/10万人]。子どもは高感染/低死亡率で、高齢者は低感染/高死亡率という傾向が見られた。死亡原因が新型インフルエンザ感染と確定されたのは138人で、年齢中央値は39歳であった。その2/3(92人、67%)が、現在であればイギリスのワクチン接種基準を満たしていた。50人(36%)は既存疾患がないか、あってもごく軽度であった。多くの患者(108人、78%)が抗ウイルス薬を処方されていたが、そのうち82例(76%)は発症後48時間以内の投与を受けていなかった。これらの知見を踏まえ、著者は「統計学的には、今回の新型インフルエンザのパンデミックは20世紀に起きた爆発的感染拡大に匹敵するものである。今回の方が感染者数は少ないが、これは対策を講じないことを正当化するものではない」としている。また、「高リスク例には優先的にワクチン接種を行うべきである。本研究には対照群がないため外挿するには限界があるが、死亡例の多くは抗ウイルス薬の投与が遅れていることから、適切な時期に投与すれば死亡率は低減できることが示唆される」「既存疾患のない健常者が感染した場合は実質的に死亡数が少なかったことから、ワクチン接種プログラムを拡大し、早期の抗ウイルス薬治療を広範に実施すべきと考えられる」と考察している。(医学ライター:菅野守)

316.

新型インフル迅速検査で陰性でも、妊産婦には抗ウイルス薬を

米国カリフォルニア州の公衆衛生局Janice K. Louie氏らは、州内の妊産婦の、2009新型インフル(H1N1インフルエンザ)による入院または死亡に関する報告データを精査した。その結果、2009新型インフルは妊産婦に、重症疾患および死亡をもたらすこと、2009年の州内妊産婦の死亡率は高まることが予想され、2009年の全米の妊産婦死亡率も高まる可能性が示されたことを報告した。NEJM誌2010年1月7日号(オンライン版2009年12月23日号)より。抗ウイルス薬服用開始が遅かった妊婦の重症化・死亡リスクは、早かった妊婦の4.3倍精査されたのは、2009年4月23日~8月11日までに報告された、15~44歳までの妊娠可能な年齢にいる女性で2009新型インフルに感染し入院した妊婦94例、出産後2週間以内の女性8例、非妊産婦137例について。このうち迅速抗原検査で偽陰性だったのは38%(58/153例)だった。妊婦の大半(95%、89/94例)は妊娠第二または第三期・後期にあり、約3分の1(34%、32/93例)に妊娠以外のインフルエンザによる合併症がリスクファクターとして認められた。妊婦で抗ウイルス薬服用開始が遅かった人の、ICU入室または死亡に関する相対リスクは、早かった人(症状発症後2日以内)と比べて4.3倍に上った。妊産婦102例のうち、妊婦18例、出産後女性4例の計22例(22%)が集中治療を受け、8例(8%)が死亡した。ICU入室中の出産例は6例で、そのうち4例は緊急帝王切開だった。カリフォルニア州の2009新型インフルに特異的な妊産婦死亡率(出生10万当たりの妊産婦死亡数)は、4.3だった。Louie氏は、妊産婦死亡統計では例年、インフルエンザによるものはほとんど見られず、2009年はカリフォルニア州のみならず全米で、2009新型インフルによる死亡率上昇が示される可能性が高いと結論した。また一方で今回の調査の結果から、妊産婦には迅速抗原検査の結果にかかわらず、迅速にインフルエンザ様疾患の評価と抗ウイルス薬投与を行わなくてはならないとも述べている。(医療ライター:武藤まき)

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2009新型インフル、治療の実態:アメリカの4~6月の入院患者

本論は、アメリカの「2009パンデミックインフルエンザA(H1N1)ウイルス入院医療調査チーム」からの報告で、米国で2009年4月1日~6月5日にかけて新型インフルに感染し入院治療を受けた患者(生後21日~86歳)の臨床上の特性について解説したものである。NEJM誌2009年11月12日号(オンライン版2009年10月8日号)に掲載された。入院患者272例のうち、ICU入院25%、死亡7%。ICU入院患者年齢中央値は29歳調査チームは患者カルテから、インフルエンザ様疾患で24時間以上入院し、リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法によって2009H1N1ウイルス陽性だった、272例の患者に関するデータを集め分析した。調査対象となった272例のうち集中治療室(ICU)に入院したのは67例(25%)、死亡は19例(7%)だった。ICU入院患者の年齢中央値は29歳(範囲:1~86)。またICUに入院した67例のうち42例(63%)が人工呼吸器を装着していた。24例が急性呼吸不全症候群(ARDS)、21例が敗血症と診断されている。ICUで治療を受けた65例のうち抗ウイルス薬治療を受けたのは56例(86%)で、発症から抗ウイルス薬治療開始までの時間の中央値は6日(範囲:0~24)、発症後48時間以内治療開始は23%だった。入院患者には抗ウイルス薬治療の早期開始が有益入院患者272例のうち、18歳未満の子どもは122例(45%)で、65歳以上の高齢者は14例(5%)だった。また、患者198例・73%(子ども60%、成人83%)は1つ以上の基礎疾患(喘息、糖尿病、心疾患、肺疾患、神経疾患、妊娠)を有していた。妊婦は18例(7%)だった。なお2つ以上の基礎疾患を有していたのは32%だった。入院時に胸部X線撮影を受けた249例のうち100例(40%)に、肺炎と同様の所見が見られた。抗ウイルス薬治療に関するデータが入手できた268例のうち、治療を受けたのは200例(75%)で、発症から治療開始までの時間の中央値は3日(範囲:0~29)、発症後48時間以内治療開始は39%だった。研究チームは、「評価期間中に、新型インフルは肺炎や死亡など入院を要する重度疾患を引き起こすこと、患者の約4分の3に1つ以上の基礎疾患があること、65歳以上では重症の報告が少ないことが確認された」と述べるとともに、「入院患者には早期からの抗ウイルス療法が有益なようだ」とまとめている。(医療ライター:朝田哲明)

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カリフォルニア、新型インフルの入院・死亡リスクは1歳未満が最大

米国カリフォルニア州の調査によると、新型(A/H1N1)インフルエンザで入院または死亡した割合は、年齢別では1歳未満の乳幼児が最大で、10万人中11.9人に上ることが報告された。入院または死亡した人の年齢中央値は27歳(範囲:1~92歳)と、通常のインフルエンザに比べて低年齢の傾向であることも確認された。米国カリフォルニア州公衆衛生局のJanice K. Louie氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年11月4日号で発表している。入院患者の7割に、通常インフルエンザ合併症のリスク因子Louie氏ら研究グループは、カリフォルニア州で2009年4月23日~8月11日にかけて報告された、A/H1N1インフルエンザで入院または死亡した計1,088人について調べた。被験者はすべて、検査によりA/H1N1インフルエンザ感染が確認された。このうち、68%(741/1,088人)が、通常のインフルエンザ合併症のリスク因子があった。また、胸部X線撮影を行った833人のうち、66%(547/833人)に肺浸潤が認められた。集中治療を要したのは、全体の31%(340/1,088人)だった。50歳以上死亡率は約20%と高率入院患者のうち死亡に至った割合は11%(118/1,088人)で、年齢別では50歳以上が18~20%と最も高率だった。最も多い死因は、ウイルス性肺炎と急性呼吸窮迫症候群だった。 また二次的な細菌感染が見られたのは、全体の4%(46/1,088人)だった。一方、A/H1N1インフルエンザの簡易抗原検査では、偽陰性率が34%(208/618人)に上ることが確認された。なお、884人中183人(21%)は、抗ウイルス薬を服用していなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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HIV抗薬「プリジスタナイーブ錠」新発売

ヤンセンファーマ株式会社は17日、HIV感染症に適応を有する抗ウイルス化学療法剤「プリジスタナイーブ錠400mg」(一般名:ダルナビル エタノール付加物、以下「プリジスタナイーブ錠」)を新発売したと発表した。「プリジスタナイーブ錠」はJ&J傘下の米ティボテック社(Tibotec Pharmaceuticals Ltd.)により開発された新規プロテアーゼ阻害剤(PI)。同剤は既治療の患者を対象とした「プリジスタ錠300mg」(発売済)とは異なり、抗HIV薬による治療経験のない未治療のHIV感染患者を対象とした薬剤。「プリジスタ錠300mg」は多剤耐性HIVに効果を示す新しい抗HIV薬として米国FDA、欧州EMEAの早期承認制度の適用を受け、2006年6月に米国、2007年2月には英国を含む欧州において既治療の患者に対する薬剤として承認され、日本においては、2007年1月に希少疾病用医薬品指定を受け、同年11月に承認を取得した。その後、未治療患者を対象とした海外第III相比較試験の結果によって、「プリジスタナイーブ錠」は治療経験のないHIV感染患者さんに対する薬剤として、米国で2008年10月に承認を取得し、日本においても、本年8月に承認を取得するに至った。「プリジスタナイーブ錠」は本年7月時点、米独はじめ、世界34の国又は地域で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.janssen.co.jp/inforest/public/home/?paf_gear_id=2100029&paf_gm=content&paf_dm=full&vid=v11&cid=cnt60964

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HIV感染患者における、S/GSK1265744の安全性について

塩野義製薬株式会社は15日、米国SHIONOGI-GlaxoSmithKline Pharmaceuticals、LLCを通じて開発中の次世代インテグレース阻害薬「S/GSK1265744(塩野義製薬 開発番号:S-265744)」について、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催されている第49回Annual Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy(ICAAC)において第1相および前期第2相臨床試験結果を公表した。試験では、S/GSK1265744は、HIV感染患者を対象とした試験においてウイルス量の有意な減少および、健常人およびHIV感染患者における良好な体内動態と短期間における安全性を示したという。第1相、前期第2相試験はプラセボをコントロールとして、被験者を、健常人48名を対象とした単回経口投与(パートA)または反復経口投与(パートB)、およびHIV感染患者11名を対象とした反復経口投与(パートC)3つのパートに無作為割付した二重盲検試験として行われた。被験者には、血圧、心拍数、心電図といった検査に加え、体内動態用の血液試料の採取を行った。試験結果からは、S/GSK1265744がS/GSK1349572と同様に、代謝酵素阻害剤の助けを必要とせず、1日1回投与による強力な抗ウイルス活性を示すとともに、体内動態の変動が小さいことを示すものであり、HIVの長期に渡る治療を行うにあたって重要な結果であることが示唆されたという。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/090915.pdf

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