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ガバペンチン、難治性慢性咳嗽の治療に有効/Lancet

 難治性慢性咳嗽の治療として、抗てんかん薬ガバペンチンが有効なことが、オーストラリア・ニューカッスル大学のNicole M Ryan氏らの検討で示された。難治性の慢性咳嗽は重篤な症状やQOL障害を引き起こす。難治性咳嗽には中枢性感作に関連する疾患(神経因性疼痛など)との類似性がみられ、神経因性疼痛にはガバペンチンが有効とされる。また、慢性咳嗽に対するガバペンチンの効果を示唆する2つの症例シリーズ研究が知られている。Lancet誌2012年11月3日号(オンライン版2012年8月28日号)掲載の報告。ガバペンチンの効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、難治性慢性咳嗽患者に対するガバペンチンの有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。 2008年10月~2010年9月までJohn Hunter病院呼吸器外来(オーストラリア、ニューランブトン)で患者登録を行った。対象は、治療にもかかわらず咳嗽が8週以上持続し、活動性の呼吸器疾患(COPD、未治療の喘息など)や呼吸器感染症がない非喫煙患者とした。 これらの患者が、ガバペンチン(最大1,800mg/日)を投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。治療期間は10週で、治療開始前に6日かけて増量し、終了後6日かけて減量を行った。 主要評価項目は、治療8週時の咳嗽特異的QOLのベースラインからの変化とし、Leicester咳嗽質問票(LCQ)スコアで評価した(1.3ポイント以上の変化を「臨床的に意義あり」と判定)。LCQスコアの変化の差は1.80 62例が登録され、ガバペンチン群に32例(平均年齢62.7歳、女性63%、平均咳嗽持続期間36ヵ月)、プラセボ群には30例(60.9歳、67%、48ヵ月)が割り付けられた。試験中に10例が脱落し、治療を完遂したのは両群26例ずつだった。 治療8週時のLCQスコアの臨床的な改善率は、ガバペンチン群が74.1%(20/27例)と、プラセボ群の46.2%(12/26例)に比べ有意に良好であった(p=0.038)。ベースラインからの平均LCQスコアの変化の差は1.80(95%信頼区間:0.56~3.04、p=0.004)で、1例で臨床的改善効果を得るのに要する治療例数[治療必要数(NNT)]は3.58だった。 副作用はガバペンチン群で10例(31%)、プラセボ群では3例(10%)に認められた。ガバペンチン群は、悪心・胃痛(4例)、めまい(3例)、疲労感(3例)が多かった。 著者は、「難治性慢性咳嗽の治療として、ガバペンチンは有効性、忍容性ともに良好だった」と結論し、「これらの優れた効果は、難治性慢性咳嗽の発症機序には咳嗽反射に対する中枢性感作の関与があることを示唆する」と指摘する。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(33)〕 末梢動脈疾患(PAD)も、喫煙とリスク因子の重複が大きく関与

米国男性では、冠動脈疾患と同様に末梢動脈疾患(PAD)の発現率が喫煙、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病といった4大リスク因子の重複(clustering)によって増加することを約4万5千人での25年間の前向き追跡調査での結果で示した報告である。 中でも喫煙は、喫煙本数と喫煙歴が多くなるほど指数関数的にPADのリスクが上昇することを示している。 ただし、本研究は、フラミンガム研究などのように血圧値や血糖値を実際に測定しているわけではなく、担当医の診断や自己申告に基づいた追跡調査であり、またエンドポイントであるPADも症状が発現した、顕性の症例のみに限られている。したがって、どのレベルの血圧値あるいは血糖値がリスクなのかは明らかにされていない。 また、今日のようにスタチン薬や抗血小板薬が広く処方されており、かつ血圧コントロールも良好になっている状況でも同様な結果は出るかどうかは不明である。とはいえ、本研究は本来のPADのリスク因子を知るうえで貴重なデータといえる。

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喫煙、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病、いずれも男性PAD発症の高リスク因子

 末梢動脈疾患(PAD)の発症リスクについて、男性で一般的によくみられる4つの因子(喫煙、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病)について検討した結果、各因子が独立した高リスク因子であり、また因子が併存するほど発症リスクが増大すること(因子が1つ増えるごとに発症リスクは2.06倍)が明らかになった。米国・ハーバードメディカルスクールのMichel M. Joosten氏らが米国男性約4万5千人を25年間追跡した前向き研究の結果、報告した。先行研究においてリスク因子個々とPAD発症との関連は明らかにされていたが、因子が併存している場合の発症との関連は検討されていなかった。JAMA誌2012年10月24・30日号掲載より。10万人・年当たりでみた発症率、因子0では9例、1つでは23例、4つある場合は186例 研究グループは、1986年時点で心血管疾患の既往がない米国男性4万4,985例(Health Professionals Follow-up Studyの参加者)を、2011年まで25年間前向きに追跡した。 追跡期間中2年ごとに、リスク因子の発現について更新し、臨床的に有意なPAD発症(肢切断、血管再生、血管造影で50%以上の狭窄、ABI指標0.90未満、または医師がPADと診断)を主要評価項目とした。 追跡期間中央値24.2年(範囲:20.8~24.7)で、PAD発症は537例であった。 各因子についてその他3つの因子や交絡因子で補正後、独立したPAD発症のリスク因子であることが確認された。 リスク因子の併存数別にみた年齢補正後PAD発症率(10万人・年当たり)は、0の場合は9例(95%信頼区間:6~14)、1つの場合は23例(同:18~28)、2つの場合は47例(同:39~56)、3つの場合は92例(同:76~111)、4つの場合は186例(同:141~246)であった。4つのリスク因子を有する男性の絶対発症率は3.5/1,000人・年 リスク因子が1つ加わることに関する多変量補正後ハザード比は、2.06(95%信頼区間:1.88~2.26、線形傾向p<0.001)であった。 また、4つのリスク因子をいずれも有していない男性のPAD発症に関するハザード比は、4つすべてを有している男性との比較で、0.23(同:0.14~0.36)であった。 96%(95%信頼区間:94~98)のPAD症例で、診断時に4つのリスク因子のうち少なくとも1つの因子を有していた。これら4つのリスク因子の集団寄与危険度は75%(同:64~87)であり、4つのリスク因子すべてを有する男性のPAD絶対発症率は、3.5/1,000人・年であった。

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うつ病の既往歴がある患者に対する禁煙治療は難しい?!

 大うつ病の既往は、禁煙治療中あるいは治療後の禁煙継続に悪影響を及ぼすことが報告された。米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学校のHitsman氏らによるメタ解析の結果で、以前(2003年)の解析のアップデート報告。当時の報告では、大うつ病既往は禁煙治療に影響しないことが示されていた。今回の解析結果を受けて著者は、大うつ病喫煙患者には、この点に注目した効果的な治療もしくは適切な治療を見極めることが必要だと提言している。Addiction誌オンライン版2012年10月16日号の報告。 以前のレビュー対象14試験と、2000~2009年に発表された論文で適格であった28試験を対象に組み込み、過去の大うつ病、最近(≦6ヵ月)の大うつ病エピソード、認知行動療法(対面法vs.自己療法)の継続期間と種類、その他の因子をコード化した。解析は、大うつ病喫煙患者に選択的ベネフィットを与える可能性がある実験的治療の影響を極力排除するため、プラセボ/最小強度対照試験のみとした。短期間(≦3ヵ月)および長期間(≧6ヵ月)の禁煙における過去の大うつ病の影響に関する試験特異的オッズ比(OR)を算出した(ランダム効果モデルを用いて統合)。試験方法論と治療因子を用いて、禁煙に関する評価を行った。主な結果は以下のとおり。・非大うつ病喫煙者よりも、大うつ病喫煙者では、短期禁煙のオッズ比が17%低く(評価対象35例、OR:0.83、95%CI:0.72~0.95、p=0.009)、長期禁煙は19%低かった(同38例、0.81、0.67~0.97、p=0.023)(この評価ではバレニクリン単独試験は抗うつ作用を有するので除外した)。・過去の大うつ病と禁煙との関連は、試験方法論(最近の大うつ病患者は除外、大うつ病評価の種類によるなど)や、治療(認知行動療法)によって異なることが認められた。関連医療ニュース ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・喫煙+糖尿病はうつ病リスクを高めるのか?! ・認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認

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抗結核薬耐性の最大リスク因子は「2次抗結核薬の投与歴」

 超多剤耐性結核(XDR-TB)を含む抗結核薬耐性の最大のリスク因子は、「2次抗結核薬の投与歴」であることが、米国疾病対策予防センター(CDC)のTracy Dalton氏らの調査(Global PETTS)で示された。多剤耐性結核(MDR-TB)は、Mycobacterium tuberculosisを原因菌とし、少なくともイソニアジドとリファンピシンに対する耐性を獲得した結核で、XDR-TBはこれら2つの1次抗結核薬に加え、2次抗結核薬であるフルオロキノロン系抗菌薬および注射薬の各1剤以上に耐性となった結核と定義される。XDR-TBの世界的発生は実質的に治療不能な結核の到来を告げるものとされ、MDR-TBに対する2次抗結核薬の使用拡大によりXDR-TBの有病率が増大しつつあるという。Lancet誌2012年10月20日号(オンライン版2012年8月30日号)掲載の報告。2次抗結核薬の耐性を前向きコホート試験で評価Global PETTS(Preserving Effective TB Treatment Study)の研究グループは、8ヵ国における2次抗結核薬に対する耐性の発現状況を評価するプロスペクティブなコホート試験を実施した。2005年1月1日~2008年12月31日までに、エストニア、ラトビア、ペルー、フィリピン、ロシア、南アフリカ、韓国、タイにおいて、MDR-TBが確認され、2次抗結核薬治療を開始した成人患者を登録した。CDCの中央検査室で、以下の11種の抗結核薬の薬剤感受性試験を行った。1次抗結核薬であるエタンブトール、ストレプトマイシン、イソニアジド、リファンピシン、2次抗結核薬としてのフルオロキノロン系経口薬(オフロキサシン、シプロフロキサシン)、注射薬(カナマイシン、カプレオマイシン、アミカシン)、その他の経口薬(アミノサリチル酸、エチオナミド)。2次抗結核薬に対する耐性のリスク因子およびXDR-TBを同定するために、得られた結果を臨床データや疫学データと比較した。2次抗結核薬耐性率43.7%、XDR-TB感染率6.7%解析の対象となった1,278例のうち、1つ以上の2次抗結核薬に耐性を示したのは43.7%(559例)であった。20.0%(255例)が1つ以上の注射薬に、12.9%(165例)は1つ以上のフルオロキノロン系経口抗結核薬に耐性を示した。XDR-TBの感染率は6.7%(86例)だった。これらの薬剤に対する耐性発現の最大のリスク因子は「2次抗結核薬の投与歴」で、XDR-TB感染のリスクが4倍以上に増大した(フルオロキノロン系経口薬:リスク比4.21、p<0.0001、注射薬:4.75、p<0.0001、その他の経口薬:4.05、p<0.0001)。フルオロキノロン系抗菌薬耐性(p<0.0072)およびXDR-TB感染(p<0.0002)は男性よりも女性で高頻度であった。2次抗結核注射薬に対する耐性は、失業、アルコール依存、喫煙との間に関連を認めた。その他のリスク因子については、各薬剤間、各国間でばらつきがみられた。著者は、「XDR-TBを含む抗結核薬耐性の一貫性のある最大のリスク因子は、2次抗結核薬の投与歴であった」と結論し、「今回の特定の国における調査結果は、検査体制に関する国内的な施策や、MDR-TBの効果的な治療に関する勧告の策定の参考として他国にも外挿が可能と考えられる」と考察している。

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仕事上でストレスを感じていると、冠動脈疾患を発症しやすいのか?

 「仕事上でストレスを感じていると、冠動脈疾患を発症しやすいのでしょうか?」このような患者さんからの質問にどのように回答するか? これまで職場でのストレスが冠動脈疾患の発症リスクを高めるかについては、出版バイアスや因果の逆転等によって異なる結果が発表されてきた。英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのKivimäki氏らはメタアナリシスの結果、仕事上のストレスを感じている人では冠動脈疾患の発症率が高くなることを明らかにした。Lancet誌2012年10月27日号の掲載報告。 厚生労働省の2010年度国民生活基礎調査によると、12歳以上の日本人では46.5%が「悩みやストレスがある」と回答している。その割合は男女とも40代が最も高く、その原因として男性30−40代の7割が「自分の仕事」を挙げている。仕事上のストレスが冠動脈疾患発症に関係があることは想像できるが、これを科学的に証明した研究はそれほど多くない。論文発表されていない研究も含めると、証明できなかったものの方が多いくらいである。仕事上のストレスを感じている人では冠動脈疾患の発症率が有意に上昇 メタアナリシスには欧州における13のコホート研究(1985~2006年)が用いられ、これらのコホートには登録時に雇用者であり、かつ冠動脈疾患の既往がない男女が含まれていた。仕事上のストレスは、職業性ストレスの調査票(job-content questionnaire)と、要求度-コントロール調査票(demand-control questionnaire)を用いて測定した。冠動脈疾患は初回の心筋梗塞発症または冠動脈疾患死と定義した。主な結果は下記のとおり。・197,473名中30,214名(15%)が仕事上のストレスを報告した。・149万人・年(平均7.5年)の追跡において2,358名が冠動脈疾患を発症した。・仕事上のストレスがあった人では、冠動脈疾患の発症リスクはストレスがなかった人の1.23倍であった(ハザード比 1.23、95%信頼区間:1.10~1.37)であった(性・年齢調整後)。・初回3年間および初回5年間の発症を除外した場合も、同様に職場ストレスがあった人で、冠動脈疾患の発症率が有意に高かった。 ―初回3年間の発症を除外した場合のハザード比 1.31(95%信頼区間:1.15~1.48) ―初回5年間の発症を除外した場合のハザード比 1.30(95%信頼区間:1.13~1.50)・性別、年齢層、社会経済的階層によって群を分けた場合でも同様の結果が認められた。・仕事上のストレスの絶対リスクは3.4%であった。 著者らは職場ストレスの予防は疾患発症を減少させるかもしれないとしながらも、この戦略は喫煙などの標準的な危険因子の管理に比べるとその効果ははるかに小さいと結論づけている。 昨今は若年者の生活習慣病が増えてきており、このような患者さんでは通院や服薬が不規則なケースが多い。そして半数以上は職場でのストレスを抱えており、これは冠動脈疾患の有意な危険因子である。しかし、高血圧、高LDLコレステロール血症、喫煙など従来の危険因子の方がはるかに危険度は高く、治療によるリスク減少も証明されている。患者さんには現在の治療を続けることの重要性を再認識いただく機会に成りうるのではないだろうか。

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統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響

これまで多くの研究者が、統合失調症などの精神疾患患者における不規則な生活がその後の症状や治療と関連しているかどうかを検討している。Cerimele氏らは統合失調症や双極性障害患者における健康リスク行動(health risk behaviors)が、その後の症状や機能レベルに関連づけられるかを検証するため、システマティックレビューを行った。Gen Hosp Psychiatry誌オンライン版2012年10月5日号の報告。 PRISMA系統的レビュー法を用いPubMed、Cochrane、PsychInfo、EMBASEのデータベースで検索した。検索ワードは「健康リスク行動、ダイエット、肥満、過体重、BMI、喫煙、たばこの使用、座りがちな生活や行動、運動不足、活動レベル、フィットネス、座っていること」、および「統合失調症、双極性障害、双極性疾患、統合失調感情障害、重度かつ持続的な精神症状・精神病」であり、6ヵ月以上の前向き対照研究を対象とした。この情報から、「座りがちな生活、喫煙、肥満、運動不足」が統合失調症および双極性障害患者の症状重症度や機能障害に影響を与えるかを検討した。主な結果は以下のとおり。・2,130報中8報が基準を満たし、健康リスク行動を有する508例とコントロール群825例が抽出された。・たばこの使用との関係を検討した報告が6報、体重増加/肥満との関係を検討した報告が2報であった。・7報から、たばこの使用や体重増加/肥満などの健康リスク行動を1つ以上有する統合失調症患者および双極性障害患者は、その後のより重度な症状悪化や機能レベルの低下(両方またはいずれか一方)が認められた。関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺、とくに若者で

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喫煙者のほうが頭頸部の悪性黒色腫リスクが低い!?

 喫煙と皮膚がんのリスクの関連性は、十分に解明されていない。今回、Fengju Song氏らは、米国における2つの大規模コホートにおいて、悪性黒色腫、基底細胞がん(BCC)、扁平上皮がん(SCC)のリスクをプロスペクティブに検討し、頭頸部における悪性黒色腫のリスクと喫煙とは逆相関していることを報告した。International Journal of Epidemiology誌オンライン版2012年10月11日号に掲載。 主な結果は以下のとおり。<男性>・喫煙者の悪性黒色腫のリスクが、非喫煙者より有意に低かった(相対リスク[RR]=0.72、95%信頼区間[CI]:0.58~0.86)。 -30年間以上の喫煙:RR=0.65、95%CI:0.48~0.89、傾向性p=0.003 -1日15本以上の喫煙:RR=0.32、95%CI:0.13~0.78、傾向性p=0.006 -年間45パックより多い喫煙:RR=0.66、95%CI:0.45~0.97、傾向性p=0.03・BCCのリスクも、喫煙者で若干低かった(RR=0.94、95%CI:0.90~0.98)。・SCCにおいては有意な関連性は認められなかった(RR=0.99、95%CI:0.89~1.12)。<女性>・悪性黒色腫では有意な関連性は認められなかった(RR=0.96、95%CI:0.83~1.10)。・喫煙者は、非喫煙者よりBCCのリスクが若干高く(RR=1.06、95%CI:1.03~1.08)、SCCのリスクは高かった(RR=1.19、95%CI:1.08~1.31)。なお、喫煙と悪性黒色腫の間の有意な逆相関は、頭頸部に限られていた(RR=0.65、95%CI:0.42~0.89)。

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情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重を増加:オランザピンのメタ解析

 カナダ・モントリオール大学のMoteshafi H氏らは、オランザピンの忍容性[心血管代謝系の有害反応と錐体外路症状(EPS)]について、統合失調症患者と情動障害患者を比較するメタ解析を行った。その結果、統合失調症患者は体重増加を引き起こしやすい可能性が示された。著者は「この結果は、統合失調症患者ではメタボリック症候群になりやすいという遺伝的素因に加えて、とくに心血管疾患に対する生活習慣リスク(食生活の乱れ、運動不足、ストレス、喫煙など)を有する割合が高いという事実の裏付けとなるのではないか」と述べている。Drug Saf誌2012年10月1日号の報告。 PsycINFO(1967~2010年)、PubMed(MEDLINE)、EMBASE(1980~2010年)などのデータソースを用いて、(1)統合失調症と情動障害の成人患者に関するオランザピンの有害反応(代謝あるいはEPS)、(2)試験期間中のオランザピン単独療法 を評価していた無作為化試験を検索し、解析に組み込んだ。2人の独立したレビュワーが論文選定のためアブストラクトをスクリーニングし、レビュワー1人が事前に決めていた除外・包含基準に基づき関連データを抽出した。主要アウトカムは代謝有害反応(体重変化、血糖値、LDL-C、総コレステロール、トリグリセリド)、副次アウトカムはEPS(パーキンソン症候群、静座不能、抗パーキンソン病薬の服用)の発生率であった。主な結果は以下のとおり。・33試験(4,831例)を解析に組み込んだ。・忍容性アウトカム(統合失調症群と情動障害群で個別に算出しメタ解析に組み込んだ)は、統合失調症患者および情動障害患者いずれにおいても、オランザピンが体重増加に関与し、トリグリセリド値、血糖値、総コレステロール値を上昇することを示した。・オランザピン治療によって、情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重が増加した。・血糖値、総コレステロール、トリグリセリド値の上昇について、統計的有意差はみられなかったものの、統合失調症群が情動障害群よりも高値であった。・パーキンソン症候群の発症率は、統合失調症群が情動障害群よりも有意に高値であった。関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・治療抵抗性統合失調症へのクロザピン投与「3つのポイント」

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2型糖尿病患者に対する厳格な降圧、全死因死亡のリスクを低下させない

 新規診断2型糖尿病患者に対する厳格な降圧(<130/80mmHg)は、心血管疾患合併の有無にかかわらず全死因死亡のリスクを低下させず、低血圧は不良な予後のリスクを増大させることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのEszter Panna Vamos氏らの検討で確認された。欧米のガイドラインでは、心血管疾患のリスクが高い患者の血圧は<130/85mmHgに維持することが推奨されている。一方、糖尿病患者における正常血圧の維持が、心血管リスクにベネフィットをもたらすことを示す信頼性の高いエビデンスはなく、積極的な降圧の有害性を示唆する知見もあるという。BMJ誌2012年9月22日号(オンライン版8月30日号)掲載の報告。全死因死亡に及ぼす血圧の影響を後ろ向きコホート試験で評価研究グループは、新規に診断された2型糖尿病患者において血圧が全死因死亡に及ぼす影響を評価するために、レトロスペクティブなコホート試験を行った。1990~2005年にUnited Kingdom General Practice Research Databaseに登録された治療期間1年以上の新規診断2型糖尿病患者(18歳以上)12万6,092例を対象とした。“the lower the better”の指針は適用されない可能性が2型糖尿病の診断時に、1万2,379例(9.8%)が心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中)を合併していた。フォローアップ期間中央値3.5年の時点における全体の死亡率は20.2%(2万5,495例)で、心血管疾患合併患者の死亡率は28.6%(3,535例)、非合併患者は19.3%(2万1,960例)だった。心血管疾患合併糖尿病患者に対する厳格な降圧(<130/80mmHg)は、ベースラインの背景因子(診断時年齢、性別、BMI、喫煙状況、HbA1c、コレステロール値、血圧など)で調整すると生存を改善しなかった。低血圧は全死因死亡のリスクを増大させた。すなわち、収縮期血圧を130~139mmHgでコントロールされた患者に比べ、110mmHgで維持された患者の全死因死亡のハザード比(HR)は2.79(95%信頼区間[CI]:1.74~4.48、p<0.001)であった。また、拡張期血圧を80~84mmHgでコントロールされた患者に比し、70~74mmHgに維持された患者のHRは1.32(95%CI:1.02~1.78、p=0.04)、70mmHg未満に維持された患者のHRは1.89(95%CI:1.40~2.56、p<0.001)と、やはり有意な差を認めた。同様の関連が、心血管疾患を合併していない2型糖尿病患者にもみられた。ベースライン時に高血圧と診断され、降圧治療を受けている患者においても同様の関連を認めた。著者は、「新規診断2型糖尿病患者に対する<130/80mmHgの降圧治療は、心血管疾患合併の有無にかかわらず、全死因死亡のリスクを低下させなかった。低血圧(とくに、<110/75mmHg)は不良な予後のリスクを増大させた」と結論し、「これらの知見により、高リスク患者の血圧コントロールでは“the lower the better”の指針は適用されない可能性が示唆される。現時点では、糖尿病患者における<130/80mmHgの降圧治療を支持する頑健なエビデンスが存在しないため、血圧を130~139/80~85mmHgにコントロールしつつ、他の治療法やライフスタイル介入を併用するアプローチが、糖尿病患者の心血管疾患アウトカムの改善につながると考えられる」と指摘する。

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せん妄は超高齢者における認知症の強いリスク因子

 せん妄は85歳以上の超高齢者(oldest-old)における認知症の強いリスク因子であることが、英国・ケンブリッジ大学のDavis氏らによる集団コホート研究の結果、報告された。著者は、「適正な集団をサンプルとした初の知見である」と本研究の成果を強調している。これまでも、せん妄は認知症のリスクであり、認知症患者においては衰弱を加速することが示唆されていたが、先行研究ではベースラインでの認知機能状態の把握が完全ではなかった。Brain 誌2012年9月号(オンライン版2012年8月9日号)の掲載報告。 Vantaa 85+試験と命名された本研究は、ベースラインで85歳以上であった553例(適格者の92%)を3、5、8、10年時点で評価した。せん妄が認知症発症および認知機能低下のリスク因子であること、およびせん妄既往の有無を問わずに認知症と認知症の神経病理学的マーカーとの関連を評価して病理学的レベルでのせん妄の影響についても調べた。脳剖検は被験者の52%で行った。 固定および無作為化効果回帰モデルを用いて全被験者を対象に、1)せん妄と認知症発症との関連、2)MMSE(Mini-Mental State Examination)スコア減少との関連を評価した。認知症と一般的な神経病理学的マーカーとの関連(アルツハイマー型、梗塞型、レビー小体型)モデルを作成し、せん妄の既往で階層化した。主な結果は以下のとおり。・せん妄は、認知症発症リスクを増大した(オッズ比:8.7、95%CI:2.1~35)。・せん妄は、認知症重症度の増悪(同:3.1、1.5~6.3)、および全般的な認知機能スコアの低下とも関連した(同:2.8、1.4~5.5)。・試験集団全体で、せん妄のある人は、ない人よりもMMSEスコアが毎年1.0ポイント以上(95%CI:0.11~1.89)多く減少した。・認知症でせん妄歴のない高齢者(232例)は、すべての病理学的因子が認知症と有意に関連していた。・しかし、せん妄を有する認知症の高齢者(58例)は、認知症と病理学的マーカーとの関連は認められなかった。たとえば、神経原線維変化(Braak)ステージがより高いことと認知症との関連は、せん妄歴のない場合は有意であったが(オッズ比:2.0、95%CI:1.1~3.5、p=0.02)、せん妄歴がある場合は有意ではなかった(同:1.2、0.2~6.7、p=0.85)。・これらの傾向は、アミロイド斑、アポリポ蛋白ε、梗塞の存在、レビー小体に関連するα-synucleinopathy、および黒質におけるニューロン損失に関しても認められた。関連医療ニュース ・認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認 ・せん妄を有する高齢入院患者の死亡リスクは高い! ・せん妄の早期発見が可能に

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(24)〕 安定狭心症に対する最適治療法の決定に冠血流予備量比(FFR)は有用な検査法である

経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)が、急性冠症候群の予後改善に有効な治療法であることについては異論のないところである。しかしながら、安定狭心症に対するPCIの適用に関しては未解決な問題が多い。歴史的には選択的冠動脈造影手技が確立されたことにより、冠動脈疾患の診断・治療が長足の進歩を遂げたことは周知の事実である。しかし、冠動脈造影では、X線シネ血管撮影装置と造影剤を使用してイメージインテンシファイアー上に冠動脈イメージを映し出し、狭窄の程度を判読している。それゆえ、狭窄の程度を正確に評価するうえで、冠動脈造影だけでは必ずしも十分でない症例も存在する。 FFR測定は、冠動脈狭窄病変が心筋虚血を引き起こすか否かを機能的に評価することを可能にした有用な検査である。心筋虚血を生じない程度の狭窄病変に対して、むやみやたらにPCIを実施することの有害性を十分に認識することは、治療方針を正しく決定するために必要である。本研究では、安定狭心症で冠動脈造影所見からPCI治療が適用であると判断された患者について、FFR値が少なくとも1つの狭窄病変において0.80以下であれば無作為に対象症例を2群[薬物治療群(最適薬物療法のみ)、PCI群(PCI+最適薬物療法)]に振り分けた。すべての狭窄を有する冠動脈病変のFFR値が0.80を超えている症例については、PCIを実施せず最適薬物療法のみを行い、試験に登録のうえ、その50%が無作為に抽出された2群と同様にフォローアップされた。 倫理的理由により追跡期間が短いのが気になるが、この期間での一次複合エンドポイント発生率(死亡率、非致死性心筋梗塞発症、2年以内に起こる予期せぬ緊急血行再建のための入院)は薬物治療群で12.7%、PCI群で4.3%であり、PCI群で有意に低かった。とりわけ、緊急血行再建術実施率がPCI群で有意に低率であった(薬物治療群 11.1% vs PCI群 1.6%)。FFR値が0.80を超えていた群での複合イベント発生率は3.0%と最も低値であったが、PCI群との間には有意差はなかった。 短期のフォローアップのみの成績であるために、長期的PCI治療の成績を保証するデータでないことを考慮することも重要である。また、FFR値が0.80超の狭窄病変に対して、最適薬物療法のみで治療した群で複合イベント発生率が低かった事実は大きな意味を持つ。つまり、心筋虚血を引き起こさない程度の狭窄病変に対して、むやみやたらにPCIを実施すべきではないことを肝に銘じるべきである。本研究は、少なくとも1ヵ所以上の主冠動脈狭窄病変でFFR値が0.80以下である場合について、PCI施行後とりわけ8日以降から追跡終了までの期間で一次複合エンドポイント(とくに緊急血行再建)に関して、PCI+最適薬物療法の併用が最適薬物療法単独よりも優れているとの結果であった。安定狭心症では無用なPCIを行わないよう心がけることを頭に叩き込んでおいてほしい。メモ1.PCIには第2世代の薬物溶出ステントが使用された。2.最適薬物療法は、アスピリン、β遮断薬(メトプロロールほか)、Ca拮抗薬/長時間作用型亜硝酸製剤、RA系阻害薬(リシノプリルほかACE阻害薬、副作用があればARB)、スタチン(アトルバスタチン)、エゼチミブの多剤併用投与を意味していると理解できる。3.クロピドグレルはステントを植え込み群でのみ使用された。4.本研究では最適薬物療法の中に看護ケア、生活習慣の改善は含まれていなかった。5.すべての群で喫煙者は至適禁煙指導を受け、糖尿病を有する患者は専門的至適治療が行われた。

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肥満外科手術患者の術後20年間の医療サービス利用コスト

 肥満外科手術を受けた患者の20年間の医療サービス利用について、従来療法を受けた対照群と比較した結果、手術群のほうが入院医療を多く利用しており、最初の6年間は外来利用も多かったが、それ以降の外来利用は両群で有意差はなかった。また、7~20年目の薬剤コストは手術群のほうが有意に低かったことが報告された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のMartin Neovius氏らによるSwedish Obese Subjects試験の結果で、肥満外科手術は体重減を維持し、糖尿病、心血管イベント、がんの発生率を低下し生存を改善することが示されていたが、長期にわたる医療サービス利用への影響については不明であった。JAMA誌2012年9月19日号の掲載報告。入院、外来、薬剤コストを従来療法群と比較Swedish Obese Subjects試験は、スウェーデンヘルスケアシステムで現在進行中の前向き非無作為化対照介入試験であり、1987~2001年に肥満外科手術を受けた2,010例と適合させた対照群2,037例を対象とした。被験者は、37~60歳、BMIが男性34以上、女性38以上を適格とした。手術群は、13%が胃バイパス術を、19%は胃バンディング術を、68%が垂直遮断胃形成術を受けた。対照群は従来肥満療法を受けた。主要評価項目は、年当たりの入院日数(追跡期間:1~20年、データ収集:1987~2009年、追跡期間中央値15年)と、非プライマリ・ケア外来受診回数(同:2~20年、2001~2009年、9年)、National Patient RegisterとPrescribed Drug Registerから入手した薬品コスト(同:7~20年、2005~2011年、6年)。レジストリデータは、99%以上の患者で完全に結合できた(4,047のうち4,044例)。平均差は、ベースラインでの年齢、性、喫煙、糖尿病ステータス、BMI、算入期間(入院治療解析のために)、試験開始前年の入院日について調整した。追跡7~20年の平均年間薬剤コスト、手術群930ドル、対照群1,123ドル追跡20年間の平均累積入院日数は、手術群54日に対し対照群は40日だった(平均差:15、95%信頼区間:2~27、p=0.03)。追跡2~6年の平均累積年間入院日数は、手術群1.7日に対し対照群は1.2日だった(同:0.5、0.2~0.7、p<0.001)。追跡7~20年の同値は両群とも1.8日だった(同:0.0、-0.3~0.3、p=0.95)。追跡2~6年の年間平均外来受診日数は、手術群1.3日に対し対照群は1.1日だった(同:0.3、0.1~0.4、p=0.003)。しかし7年目からは両群間の差は認められなかった(1.8日vs. 1.9日、同:-0.2、-0.4~0.1、p=0.12)。追跡7~20年の平均年間薬剤コストは、手術群930ドルに対し対照群1,123ドルだった(同:-228、-335~-121、p<0.001)。

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激辛 ! 伊賀流心臓塾≪増補改訂版≫

第0回「循環器非専門医の到達目標」第1回「安定性の労作性狭心症」第2回「日本人に多い異型狭心症」 2005年の発売以来ロングセラーを続けている「激辛 ! 伊賀流心臓塾」が7年ぶりに増補改訂。循環器診療の進歩は目覚ましく、心臓CTによるスクリーニング検査が一般的になったり、インターベンションの安全性も向上しました。しかし、伊賀先生の「診断を考えて行く」プロセスは、全く色あせていません。むしろ、より重要になったと言えるのではないでしょうか。初版収録番組の各シーンに伊賀先生が更なる解説を加えた本DVDは、循環器非専門医や一般内科開業医に、循環器診療における基本的な考え方、到達目標を明確に具体的に伝えてくれます !具体的な症例から難解な心臓疾患を分かりやすく解説します。第0回「循環器非専門医の到達目標」卒後臨床研修が行われている大病院の医師は、細分化された狭い専門領域以外のことを研修する時間も動機も消失しがちです。また初期2年間のスーパーローテート研修時に、各領域の“超専門家”に育てられた研修医は、高い診療レベルを要求されて燃え尽きてしまうことが多いようです。しかも“超専門家”自身、「診察後どういう思考過程で診断に行き着くか」という臨床医にとって真に重要なことを研修医にきちんと指導できないというのが実状です。医師(循環器非専門医)として患者に向かい合う前に身に付けておくべき循環器領域の基本的考え方や到達目標を解説していきます。第1回「安定性の労作性狭心症」 高度の血管狭窄病変を有することが多い安定性の労作性狭心症。明らかにこの症状を有する患者に対して、循環器非専門医が行うべきことは一体なんでしょうか ? 「ニトログリセリンを持たせて経過観察する?」 「全例、専門医の検査にまわす?」 「本人がまったく困ってなかったら?」狭心症から心筋梗塞にいたるメカニズムと医師のなすべきこと、ニトロやβブロッカーの正しい使い方など、最新のデータをもとに、伊賀先生が悩める医師の疑問にズバリお答えします。【症例】64歳 男性15年来の糖尿病患者。食事療法のみでHbA1c 6.6%前後で推移。61歳時より坂道を歩くと胸が圧迫され、少し休むと楽になる状態。運動をあまりしないため、本人はそれほど困っておらず、過去3年間、程度・頻度は変わらない。今回、検診でマスター二重運動負荷心電図が陽性であったため受診した。血圧、安静時心電図、胸部X線のいずれも正常、コレステロール値は220mg/dL。第2回「日本人に多い異型狭心症」欧米人には少ないが日本人には頻度の高い「異型狭心症」がテーマです。軽度の動脈硬化に血管攣縮が加味されることが多く、朝方の軽労作で狭心症症状が出現。心電図検査では正常とされる可能性も高く、その場合、病歴聴取のみが判断の根拠となります。今回は異型狭心症の病歴の取り方のコツを具体的に伝授します。そして、異型狭心症が疑われた場合、プライマリ・ケア医としてどのようにアプローチすべきか。「ホルター心電図を取るのか」、「それとも緊急入院させるべき?」など、よくあるケースのよくある悩みに達人が“ズバリ”お答えします。 【症例】1日20本×20年の喫煙者2ヶ月前から週2回ぐらい朝方の軽労作で数分間持続する胸部圧迫感があるため外来を受診。午後はかなり運動をしても症状はないと言う。診察では異常所見は無く、血糖・コレステロール値ともに正常。受診日の心電図と胸部X線も正常であった。

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小児におけるレベチラセタム静注の有効性と安全性を確認

 小児における急性反復痙攣およびてんかん重積状態に対するレベチラセタム静注の有効性と安全性が、観察研究の結果、確認された。英国・Alder Hey小児病院のMcTague A氏らによる報告で、「長時間作用性抗痙攣薬としてフェニトイン静注にとって代わるものかを無作為化臨床試験で判定すべきである」と提言した。Seizure誌2012年9月号(オンライン版2012年6月19日号)掲載報告より。 観察研究は2年にわたって行われ、急性反復発作(ARS)あるいは痙攣性または非痙攣性てんかん重積状態(SE)の治療として、レベチラセタム静注を受けた全患者を評価した。発作タイプ、てんかん症候群と基礎原因、レベチラセタム静注の初期負荷投与量およびその有効性と安全性、また最終フォローアップ時の本剤投与状況について調べた。 主な結果は以下のとおり。・0.2~18.8(平均7.1)歳の51例が評価された。45例は急性ARSまたはSEを呈し、6例は通常の経口抗てんかん薬の継続投与ができなかった。・45例の急性ARSまたはSE患者における、レベチラセタム静注の初期投与量中央値は14.4(範囲5~30)mg/kgであった。・ARSを呈した39例のうち23例(59%)は、発作が抑制された(seizure-free)。・痙攣性を呈した4例のうち3例(75%)と非痙攣性を呈した2例は、レベチラセタムにより重積状態から脱した。・攻撃的行動が3例の患児でみられ、そのうち1例は投与継続が中断された。・ARSまたはSEを呈し治療を受けた45例のうちの34例(76%)を含む42例(81%)は、最終フォローアップ時点で本剤投与後2~18ヵ月にあり、レベチラセタム投与が継続されていた。■関連記事ADHDリスクファクターは「男児」「母親の就労」光療法は青年期うつ病の単独療法として有効か?メチルフェニデート使用で“喫煙”が加速抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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STEMI患者の死亡率低下、背景にプライマリPCI実施の増大

 フランス・パリ大学のEtienne Puymirat氏らは、フランスにおける1995~2010年のST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の死亡について調査した結果、STEMI患者の全心血管死は減少しており、その要因として、60歳未満の女性STEMI患者の増加、その他人口動態的特徴の変化および再灌流療法および推奨薬物療法の増加が挙げられたと報告した。本調査は、近年のSTEMI患者の死亡低下と、その主な改善要因として再灌流療法の実施が報告されていることを受けて行われた。JAMA誌2012年9月12日号掲載報告より。15年間のSTEMI患者生存改善の要因を調査調査は、15年間のSTEMI患者生存改善の背景要因としての、再灌流療法関連の可能性について評価を目的とした。各1ヵ月間、4期(1995年、2000年、2005年、2010年)にわたって・フランス国内から登録したSTEMI患者(集中治療室または冠動脈疾患集中治療病棟に入院)6,707例を対象とした。主要評価項目は、粗30日死亡率の経年変化。2010年の人口特性で標準化した死亡率についても評価した。15年間でプライマリPCIは11.9%→60.8%に結果、患者の平均年齢は66.2(SD 14.0)歳から63.3(14.5)歳まで低下していた。併せて、心血管イベント歴と共存症歴も低下していた。患者は若年化が認められ、とくに60歳未満の女性(11.8%→25.5%)、現喫煙者(37.3%→73.1%)、肥満(17.6%→27.1%)が増加していた。発症から入院までの時間は、発症から初回救急コールまでの時間が短縮したことで早まっており、集中治療室の利用も増えていた。再灌流療法はプライマリPCIの大幅な増加(11.9%→60.8%)によって、49.4%から74.7%に増加していた。推奨薬物療法(とくに低用量ヘパリンとスタチン)の早期適用も増加していた。粗30日死亡率は、13.7%(95%信頼区間:12.0~15.4)から4.4%(同:3.5~5.4)まで減少していた。一方、標準化死亡率は11.3%(同:9.5~13.2)から4.4%(同:3.5~5.4)まで減少した。多変量解析の結果、1995年から2010年の死亡率低下は、臨床特性に加えて初期の集団リスクスコアおよび再灌流療法利用について補正後も一貫して認められた。1995年に対する2010年の死亡オッズ比は0.39(95%信頼区間:0.29~0.53、p<0.001)であった。

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認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認

 アルツハイマー型認知症治療薬ガランタミンに喫煙欲求を軽減する効果があることが、米国・ペンシルベニア大学のHopkins TJ氏らによるラット試験の結果、示された。現行の禁煙薬物療法では、喫煙再発予防や禁煙維持への効果に限界がある。ガランタミンはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の1つであり、ニコチン性アセチルコリンレセプターにpositive allosteric modulatorとして作用する。最近、マウスを用いた試験で、ガランタミンがニコチン中断による認知障害を改善したことが示され、ヒトでの喫煙再発予防に寄与する可能性が示唆されていた。Neuropsychopharmacology誌2012年9月号(オンライン版2012年6月6日号)の報告。 研究グループは、先行研究例のない、齧歯動物におけるガランタミン投与がニコチン自己摂取またはニコチン探索行動復活を調整するかについて検討した。また、ガランタミンの効果の普遍性およびその他の行動増強に対する影響についても調べた。主な結果は以下のとおり。・ラットのニコチン自己摂取単位量について、ニコチン0.03mg/kg静注を最大反応用量とする逆U字型用量反応曲線の関連が得られた。・急速ガランタミン投与(例5.0mg/kg)は、FR5(fixed-ratio 5)あるいはPR(progressive ratio)強化スケジュールいずれを維持した場合も、ニコチン自己摂取を軽減した。・ガランタミン投与は、ニコチン探索行動も軽減した。・ショ糖自己摂取または探索行動復活に関するガランタミンの有意な効果は認められなかった。・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、ヒトにおいて嘔気・嘔吐をもたらすことが示されている。しかしながら、ニコチン自己摂取を軽減するのに必要な用量の服用では、ガランタミンの嘔気や倦怠感への影響(ラットの異食行動を指標として評価)は認められなかった。関連医療ニュース ・AD患者におけるパッチ剤切替のメリットは? ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・喫煙+糖尿病はうつ病リスクを高めるのか?!

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喫煙者の非小細胞肺がんにおける予後予測因子

 非喫煙者における肺がん(LCINS)は、病因や臨床的特徴、予後の違いから、喫煙者における肺がんとは異なる疾患として認識されている。今回、LCINSにおける特異的予測マーカーの同定を目的とした米国MDアンダーソンがんセンターのXia Pu氏らの研究から、炎症関連遺伝子の変異がLCINSの臨床的転帰に影響する可能性があることが示唆された。Clinical Cancer Research誌オンライン版2012年 9月13日号に掲載された。 著者らはまず、904の炎症関連遺伝子において11,930の一塩基多型(SNP)の遺伝子型を同定し、MDアンダーソンがんセンターにおけるLCINS患者411例の全生存期間との関連を分析した。次に、メイヨークリニックにおけるLCINS患者311例におけるトップ27のSNPの検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・3つのSNP(IL17RA:rs879576、BMP8A:rs698141、STY:rs290229)が確認され(p

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CT検出の肺動脈拡張、COPDの重度増悪と関連

 CTによって検出される肺動脈拡張(PA:A比>1)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)重度増悪のリスク因子であることが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のJ. Michael Wells氏らによる多施設共同観察試験の結果、明らかにされた。COPDの増悪は、肺機能の急激な低下および死亡と関連し、それらイベントリスクのある、とくに入院を要するような患者を同定することは重要とされる。急性増悪の予測として重度肺高血圧症があるが、これは進行したCOPDの重大な合併症である。一方で、肺血管の異常はCOPD早期に発生する。そこで研究グループは、CTで検出した肺血管疾患とCOPDの重度増悪との関連について検討した。NEJM誌2012年9月6日号(オンライン版2012年9月3日号)掲載報告より。PA:A比>1と重度増悪入院歴との関連などを検証研究グループは、現在および元喫煙者のCOPD患者を米国内21医療機関から登録して、多施設共同観察試験を行った。被験者は、GOLDステージII~IVの3,690例が登録され、そのうち3,464例(94%)からCTスキャンデータを入手できた。被験者を、CT計測によるPA:A比(肺血管拡張:肺動脈径の大動脈径に対する比率)で、≦1の群(2,645例)と>1群(819例)に分類した。PA:A比>1と重度増悪による入院歴との関連について調べ、また患者コホート、外部検証コホートを長期に追跡しこれらイベントの予測に対する同比の有効性について検証した。増悪の既知のリスク因子は調整し検討された。検討したすべての変数の中でPA:A比>1が最も強い関連多変量ロジスティック回帰分析の結果、試験登録時のPA:A比>1と重度増悪歴の有意な関連が認められた(オッズ比:4.78、95%信頼区間:3.43~6.65、p<0.001)。PA:A比>1は、試験コホートでも(同:3.44、2.78~4.25、p<0.001)、外部検証コホートでも(同:2.80、2.11~3.71、p<0.001)、将来重度増悪リスク増大の独立因子だった。両コホートとも、検討したすべての変数の中で、PA:A比>1が最も強い重度増悪との関連因子だった。

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ADHDリスクファクターは「男児」「母親の就労」

 注意欠陥多動性障害(ADHD)は学習障害や自閉症などの他疾患を併発することが多く、ADHD単独の関連因子は明らかになっていない。Malek氏らはADHDの危険因子を調査し、Arch Iran Med誌オンライン版2012年9月号で報告した。 対象はタブリーズ大学(イラン)の児童思春期精神科クリニックを受診したADHD患児164例。コントロール群として健常な小中学生166名をランダムに抽出した。診断はK-SADSを用い、DSM-IV-TRに基づき行った。分析はカイ二乗検定、二項ロジスティック回帰分析を行った。主な結果は以下のとおり。・ADHDの罹患には、男児(OR 0.54、95%信頼区間: 0.34~0.86)と母親の就労(OR 0.16、95%信頼区間: 0.06~0.86)が関連していた。・出生季節、家族の人数、出生順位、親戚関係はADHDの危険因子とはいえなかった。関連医療ニュース ・メチルフェニデート使用で“喫煙”が加速 ・日本人薬物乱用者の自殺リスクファクターは「低年齢」「女性」 ・成人トゥレット症候群に対するアリピプラゾール治療成績(100例報告)

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