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禁煙意思のない喫煙者での減煙治療の効果~最新のメタ解析

 禁煙意思のない喫煙者において、減煙治療は長期禁煙率を増加させるだろうか。中国人民解放軍総合病院のLei Wu氏らは、無作為化試験の論文を系統的にレビューしメタ解析を行った。その結果、禁煙意思のない喫煙者における完全な禁煙達成に、ニコチン置換療法(NRT)やバレニクリンの補助による減煙治療が有効であることが示唆された。International journal of environmental research and public health誌2015年8月25日号に掲載。 著者らは、PubMed、EMBASE、CENTRAL(Cochrane Central Register of Controlled Trials)で、禁煙意思のない喫煙者を対象とし、長期禁煙における減煙治療の効果を検討した無作為化比較試験を検索した。主要アウトカムは追跡期間最終時点の禁煙率である。ランダム効果モデルを用いて、プールした相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・14試験7,981人の喫煙者を解析した。・禁煙意思のない喫煙者の長期禁煙率について、減煙支援+薬物治療では、減煙支援+プラセボ(RR:1.97、95%CI:1.44~2.7、I2:52%)や介入なし(RR:1.93、95%CI:1.41~2.64、I2:46%)に比べ、有意に増加したことがプール解析で示唆された。・バレニクリンまたはNRTを受けた喫煙者のサブグループにおいても、統計的に有意な差がみられた。・非NRT群(バレニクリン群、ブプロピオン群)において、中止に至った重篤な有害事象を認めた喫煙者の割合は、わずかな有意差であるが対照群よりも多かった。

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わかる統計教室 第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比 セクション2

インデックスページへ戻る第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション2 よくあるオッズ比の間違った解釈セクション1はじめに、簡単な事例でオッズ比を勉強していきましょう。オッズは、競馬など賭け事でよく使われますので、勝負事の例で解説していきましょう。たとえば、スマホやパソコンにあるゲームを何でも良いので、5セットを1回として計2回やったとします。下の表5は、1回目と2回目のゲームの勝敗の成績を示したものです。ゲームの勝敗の成績を、仮に、セクション1で学んだ喫煙の有無と不整脈の有無との関係と同じ結果になるようにしました。では、オッズの説明をする前に、リスク比についてもう一度おさらいしておきましょう。この表5についてリスク比を求めて、表6でリスク比から何がいえるかを考えてみます。1回目の勝率は60%、2回目の勝率は20%、勝率の比、すなわちリスク比は、60%÷20%により3となります。リスク比から、1回目の勝率は2回目に比べ3倍であり、勝率をゲームの強さと考えると、1回目のゲームの強さは2回目に比べ3倍強いといえます。それでは、この成績表を用いてオッズ比について説明していきます。まず、1回目の勝数を2回目の勝数で割った値を「オッズ(Odds)」といいます。そして、1回目の負数を2回目の負数で割った値もオッズといいます。どちらもオッズというので混乱しそうになりますね。もう少し説明を続けます。勝数に着目すると、1回目の勝数(3勝)は2回目(1勝)に比べ3倍、すなわち、勝数オッズは3です。負数に着目すると、1回目の負数(2敗)は2回目(4敗)に比べ半分、すなわち、負数オッズは0.5となります。そして、ここからが大切なところですが、勝数オッズと負数オッズの比を「オッズ比(Odds Ratio)」というのです。オッズ比は3÷0.5で算出しますので、6となります。では、このオッズ比から、1回目の勝率が2回目に比べ6倍、1回目のゲームの強さは2回目の6倍だといってよいでしょうか?答えは間違い! 絶対ダメです。大間違いとなります! ここが、多くの方が陥るオッズ比の典型的な間違った解釈です。勝率(強さ)の比較は、リスク比でしかできないのです。では、オッズ比から何がわかるのでしょうか。実は、オッズ比の値が大きいとか、小さいといったことがわかるだけなのです。ですからオッズ比は、リスク比に比べ理解しにくく、そのため使い方に注意がとても必要となるのです。■オッズ比でわかるのは影響要因かどうかということ前回の表3の分割表を用い、喫煙の有無と不整脈の有無の事例について、リスク比とオッズ比を求めて、解釈してみましょう。リスク比とオッズ比を、下の表7にまとめてみました。喫煙者の不整脈のリスクが60%、非喫煙者の不整脈のリスクは20%、リスク比は60%÷ 20%で3となります。ですから、喫煙者が不整脈となるリスクは非喫煙者に比べ3倍であるといえます。次に、オッズ比を計算してみましょう。不整脈があるケースのオッズは、喫煙者が3、非喫煙者が1ですから、3÷1からオッズは3。不整脈がないケースのオッズは、喫煙者が2、非喫煙者が4のため、2÷4からオッズは0.5。これより、オッズ比は3÷0.5 で6となります。オッズ比の値は6と大きいので喫煙の有無は、不整脈の影響要因といえそうですが、絶対に間違ってはいけないのは、「喫煙者が不整脈となるリスクは、非喫煙者に比べ6倍だといってはいけない!」ということです。このように解説していくと、オッズ比はリスク比と比べるとあまり使い道がないように思われるかもしれません。しかし、実際の臨床研究の論文では、オッズ比はよく使われています。このように理解しにくいオッズ比が、なぜ臨床研究で使われているのか。それはそれなりに、オッズ比の活用法があるからということです。次回は、オッズ比を使うシーンを踏まえながら学習していきます。■今回のポイント1)オッズやオッズ比を算出して、「喫煙者は非喫煙者に比べ●倍、不整脈につながる」ということはいえない!2)オッズ比でわかるのは、影響要因かどうか、ということ!インデックスページへ戻る

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ニコチンガムの使い方

ニコチンガムの使い方ニコチンガムなんて効果がないと思い込んでいませんか?正しく使えば、禁煙成功率はニコチンパッチと比べても遜色がありません。 ニコチンガムは、普通のガムのようにかんではいけません。口の中に貼る「ニコチンパッチ」と考えてください。 口の中で何回かつぶして、柔らかくなったら頬の内側に貼り付けるイメージで口の中に残し、口の粘膜からニコチンを吸収させます。 添付文書に詳しい説明が書かれています。よく読んでから使い始めましょう。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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習慣飲酒が血糖状態を改善-日本の中年女性

 日本の中年女性において、アルコール摂取量と血糖状態は肥満症とは無関係に逆相関を示すことが、兵庫医科大学の下村 智子氏らによる研究で明らかになった。日本の中年女性は、飲酒することで心血管疾患の既知のリスク低下につながる可能性がある。Canadian journal of diabetes care誌オンライン版2015年8月12日号の報告。 最近の研究で、習慣飲酒は糖尿病のリスクを軽減することが示されている。しかし、アルコールと糖尿病の関係が肥満症の影響を受けるかどうかについては、いまだ明らかにされていない。本研究では、女性のアルコール摂取が血糖状態に影響を及ぼすのかについて検討した。 対象は、健康診断を受けた35~60歳の日本人女性1万8,352人。対象を、飲酒しない群、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群(エタノール 22g以下/日)、毎日大量に飲む群(エタノール22g以上/日)の4群に分けて検討した。アルコール消費量とHbA1c値の関連は、年齢、喫煙歴、運動習慣で調整後、共分散およびロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・HbA1c値は、飲酒しない群と比べて、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群、毎日大量に飲む群で有意に低かった。・これらの逆相関は、肥満状態(BMI、ウエスト身長比)によって変化しなかった。・飲酒しない群に対する高血糖のオッズ比は、ときどき飲む群で0.82 [95%CI:0.73~0.92]と1.00の基準値よりも有意に低かった(p<0.01)。毎日軽く飲む群のオッズ比は0.61 [95%CI:0.44~0.85]、毎日大量に飲む群は0.66 [95%CI:0.50~0.88]であった。・以上のことから、35~60歳の日本人女性において、アルコール摂取は肥満状態と独立しており、アルコール摂取量と血糖状態は逆相関を示すことが示唆された。

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エストロゲン受容体の遺伝子多型と肺がんは関係するのか?

 エストロゲン受容体(ER)遺伝子の一塩基多型(SNP)は、非喫煙女性における肺腺がんリスクと関係することを、国立台湾大学医学院附属病院のKuan-Yu Chen氏らが報告した。Journal of thoracic oncology誌オンライン版2015年8月21日号の掲載報告。 これまでERの遺伝子多型と肺がんのリスクとの関係は、ほとんど研究されてこなかった。本研究の目的は、非喫煙女性における肺腺がんと関係するERの遺伝子多型を見つけることである。 本研究の対象は肺腺がんに罹患している非喫煙女性532人と健常女性532人。ESR1とESR2のSNPのデータはゲノムワイド関連解析により収集し、多変量補正ロジスティック回帰分析により、ESR1、ESR2のSNPと肺腺がんリスクとの関係性を調べた。発現量的形質遺伝子座(eQTL)分析により、エストロゲン受容体(ER)のSNPの機能的な役割を検討した。 主な結果は以下のとおり。・ESR1では、7 種類のSNPが同定され、このうちrs7753153 と rs985192 が肺腺がんリスクと関係していた。それぞれ、rs7753153(オッズ比[OR]:1.509、95%CI:1.168~1.950)、rs985192(OR:1.309、95%CI:1.001~1.712)。・ESR2では、 rs3020450のみが肺腺がんリスクと関係していた(OR:2.110、95%CI:1.007~4.422)。・ホルモン補充療法を受けたことがなく、肺腺がんリスクの高い遺伝子型を有する患者は、ホルモン補充療法を受けたことがあり、同遺伝子型を持たない患者と比べて、肺腺がんリスクが有意に高かった。rs7753153 GG(OR:2.133、95%CI:1.415~3.216)、rs985192 AA/AC (1.752、95%CI:1.109~2.768)、rs3020450 AG/GG(7.162、95%CI:1.608~31.90)。・rs7753153とrs9479122のリスク遺伝子型はESR1発現の減少と関連していた(それぞれ、p=0.0248、p=0.0251) 本研究結果より、非喫煙女性ではER遺伝子のSNPと肺腺がんリスクが関連していることがわかった。肺腺がんの発症には、ER遺伝子のSNPとホルモン補充療法の2つの因子が複合的に影響しており、このことは肺がんの発症における遺伝子環境の相互影響の重要性を示唆している。

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タバコの原材料は輸入品ばかり?!

タバコの原材料は輸入品ばかり?! 国内で流通しているタバコの日本のタバコ産業6割を占める国産タバコです国内の葉タバコ生産輸入の葉タバコが、原材料の2/3は輸入した(平成26年度)(平成26年度)葉タバコを使用しています。(平成26年度) たばこ規制枠組み条約(FCTC)17条では、政府によるタバコ農家の転業支援を義務付けています。 タバコ農家の生活守りたいのであれば、タバコの購入・喫煙を続けるのではなく、輸入制限と転業・転作支援を推進しましょう。耕作者:5,911戸生産高:約1.9万t輸入量:約5.8万t国産タバコ(JTによる製造独占)販売数量国内シェア1,074億本(平成26年度)59.9% (平成26年度)財務省資料より一部改変社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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タバコとPM2.5

タバコとPM2.5PM2.5(μg/m3)【タバコによるPM2.5の汚染度合】1600… タバコは国内最大級のPM2.5発生源です700自由喫煙の居酒屋喫煙室不完全分煙の居酒屋(喫煙席)600 喫煙居酒屋のPM2.5濃度はもっとも数値が高かったときの北京なみタクシー内喫煙2人喫茶店500喫煙室緊急事態駅喫煙コーナー不完全分煙の居酒屋(禁煙席)400場外券売所 さらに、タバコの煙には人体に有害なガス成分が含まれています。完全分煙のファストフード店(喫煙席)300ファストフード店200大いに危険パチンコ店喫茶店PM2.5+有毒ガス100危険完全分煙のファストフード店(禁煙席)全面禁煙のコーヒー店日本禁煙学会資料より一部改変0社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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「受動喫煙は有害ではない」その論文、本当?

「受動喫煙は有害ではない」その論文、本当?タバコ産業から金をもらっている研究者タバコ産業から金をもらっていない研究者受動喫煙は有害だという論文2編(6%)65編(87%)受動喫煙は有害とはいえないという論文29編(94%)10編(13%)調査期間 1980年~1995年Barnes DE, et al. JAMA.1998;279:1566-1570.タバコ産業から研究資金をもらっている学者が受動喫煙の害を否定する論文を書いている!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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思春期の電子タバコ使用が喫煙開始年齢を早める?/JAMA

 米国ロサンゼルスの高校生(14歳)を対象とした追跡調査の結果、eシガレット(電子タバコ)を吸ったことがあると回答した学生は、吸ったことがないと回答した学生と比べて、翌年中にタバコ(葉巻、水タバコを含む可燃性のもの)を吸い始める人が多い傾向が明らかになった。南カリフォルニア大学のAdam M. Leventhal氏らによる報告で、著者は「電子タバコ使用がタバコを吸い始めることと関連しているのかについて、さらなる調査研究が必要だ」と述べている。米国の若者の間では、電子タバコによるニコチン曝露がますます一般的になってきているという。JAMA誌2015年8月18日号掲載の報告より。ロサンゼルスの高校生2,530例を2年間追跡 検討は、タバコを吸ったことのない14歳の青少年の電子タバコ使用と、3つの可燃性タバコ製品(タバコ、葉巻、水タバコなど)の使用開始リスクとの関連を調べることが目的であった。 ロサンゼルスの高校40校が参加する学校ベースの長期追跡研究参加者の一部を対象に追跡調査を行い、ベースライン(2013年秋、9年生、平均年齢14.1歳)、6ヵ月後(2014年春、9年生)、12ヵ月後(2014年秋、10年生)に評価を行った。 ベースラインで可燃性タバコを吸ったことがないと報告し、6ヵ月、12ヵ月時点のフォローアップ評価が完了したロサンゼルスの公立高校10校2,530例(男子学生46.8%)のデータが分析に含まれた。 学生らは、各評価時点で自己報告サーベイを受け、学校内でのタバコ使用有無について報告。ベースラインでは、電子タバコの使用有無について報告した。 主要評価項目は、6ヵ月、12ヵ月時点の自己報告による、前6ヵ月間のあらゆるタバコの使用で、下記のように分類評価した。(1)あらゆる可燃性タバコ製品を使用(イエスorノー)、(2)可燃性のタバコを使用(イエスorノー)、(3)葉巻(イエスorノー)、(4)水タバコ(イエスorノー)、(5)何種類の可燃性タバコを使用したか(範囲:0~3)。電子タバコ使用者は、非使用者と比べて翌年のタバコ使用4.27倍 前6ヵ月間のあらゆる可燃性タバコ製品の使用は、ベースラインで電子タバコを吸ったことがあると回答した学生(222例)のほうが、吸わなかったと回答した学生(2,308例)よりも多く認められた。フォローアップ6ヵ月時の使用率は30.7% vs.8.1%、同群間差は22.7%(95%信頼区間[CI]:16.4~28.9%)であり、12ヵ月時は25.2% vs. 9.3%、群間差15.9%(同:10.0~21.8%)であった。 2年間の追跡期間において、ベースラインの電子タバコ使用は、あらゆる可燃性タバコ商品使用との関連尤度が高かった。非補正分析でのオッズ比(OR)は4.27(95%CI:3.19~5.71)であり、社会人口統計学的・環境リスク因子・喫煙の個人内リスク因子で補正後のORは2.73(95%CI:2.00~3.73)であった。 また、製品特異的分析の結果、ベースラインの電子タバコ使用との正の関連が、可燃性タバコ使用(OR:2.65、95%CI:1.73~4.05)、葉巻使用(4.85、3.38~6.96)、水タバコ使用(3.25、2.29~4.62)でみられた。複数種類使用との関連も強かった(4.26、3.16~5.74)。

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少量飲酒でも発がんリスクは上昇する?/BMJ

 米国人では、大量飲酒は何種かのがんリスクを上昇することが知られている。ハーバードTHチャン公衆衛生大学院のYin Cao氏らは今回、少量~中等量の飲酒(女性1日1杯、男性1日1~2杯)により、有意差はないものの発がんリスクがわずかに上昇することを確認した。一方で、喫煙と独立した飲酒の役割は明らかになっていない。米国では非喫煙者が増加しているが、先行研究で喫煙は、飲酒ががんに及ぼす影響を部分的に促進する可能性があることが示されているものの、非喫煙者に喫煙者に関する知見をそのまま当てはめることはできないという。BMJ誌オンライン版2015年8月18日号掲載の報告より。少量~中等量飲酒の非喫煙者のリスクを2つのコホート試験で検討 研究グループは、アルコール摂取量が少量~中等量の非喫煙者の発がんリスクを定量化し、飲酒パターンが発がんリスクに及ぼす影響を評価するために、米国で進行中の2つの前向きコホート試験のデータを解析した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 米国看護師健康調査(Nurses’ Health Study:登録時30~55歳、1980年以降)および医療従事者追跡調査(Professionals Follow-up Study:登録時40~75歳、1986年以降)の参加者(女性:8万8,084例、男性:4万7,881例)の2010年までの追跡データを使用した。 1日アルコール摂取量(g/日)は、アルコール飲料のタイプ別に計算して合計量を算出し、6段階に分けた(非飲酒、0.1~4.9g/日、5~14.9g/日、15~29.9g/日、30~44.9g/日、45g以上/日)。少量~中等量のアルコール摂取とは、女性の場合は0.1~14.9g/日、男性は0.1~29.9g/日と定義した。 ビールは12オンス(355mL)でアルコール12.8g、ライト・ビールは12オンスで同11.3g、ワインは4オンス(118mL)で同11.0g(2006年に1杯分5オンス[148mL]に増量)、蒸留酒は標準量(44mL)で同14.0gとした。 がん全体のリスクのほか、アルコール関連がん(大腸がん、乳がん[女性]、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、肝がん、食道がん)のリスクについて評価を行った。 最長30年のフォローアップ期間中に、女性1万9,269例、男性7,571例(非進行性の前立腺がんを除く)ががんを発症した。ベースラインのアルコール摂取量中央値は、女性が1.8g/日、男性は5.6g/日であった。生涯非喫煙女性は1日1杯の飲酒で乳がんリスクが上昇 非飲酒群に比べ、女性の少量~中等量群のがん全体の相対リスク(RR)は、0.1~4.9g/日群が1.02(95%信頼区間[CI]:0.98~1.06)、5~14.9g/日群は1.04(95%CI:1.00~1.09)であった(傾向検定:p=0.12)。 同様に、男性では、0.1~4.9g/日群のRRが1.03(95%CI:0.96~1.11)、5~14.9g/日群が1.05(95%CI:0.97~1.12)、15~29.9g/日群は1.06(0.98~1.15)だった(傾向検定:p=0.31)。 少量~中等量群とがん全体の関連は、元喫煙者や生涯非喫煙者で類似していたが、中等量以上(30g/日以上)のアルコールを摂取する群では生涯非喫煙者よりも元喫煙者でがん全体のリスクがより高かった。 事前に定義されたアルコール関連がんのリスク上昇は、少量~中等量群の生涯非喫煙者の男性では明確ではなかった(傾向検定:p=0.18)が、5~14.9g/日群の生涯非喫煙女性ではアルコール関連がんのリスクが有意に上昇しており(RR:1.13、95%CI:1.06~1.20)、とくに乳がんのリスクが高かった。 より頻回の飲酒をする群や大量飲酒のエピソードのある群では、全体のアルコール摂取で補正後のがん全体のリスクは、男女ともにそれ以上増大することはなかった。 著者は、「少量~中等量のアルコール摂取者は男女ともに、がん全体のリスクがわずかに上昇していたが、有意ではなかった。1日に1~2杯の飲酒をする男性では、アルコール関連がんは主に喫煙者で発症しており、生涯非喫煙者のリスクははっきりしなかった。これに対し、1日に1杯の飲酒をする非喫煙女性ではアルコール関連がん(主に乳がん)のリスクが上昇していた」とまとめている。

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特発性肺線維症の死亡率は悪性腫瘍よりも高い

 日本ベーリンガーインゲルハイムは、特定疾患治療研究事業の対象疾患である「特発性肺線維症」(IPF)の治療薬ニンテダニブ(商品名:オフェブ)の製品記者発表会を、8月20日都内において行った。 ニンテダニブは、本年7月に製造販売を取得、今秋にも発売が予定されている治療薬で、特発性肺線維症では初めての分子標的薬となる。特発性肺線維症は特徴的な所見で気付 はじめに本間 栄氏(東邦大学医学部医学科 内科学講座呼吸器内科学分野 教授)が、「特発性肺線維症 -病態・疫学-」と題してレクチャーを行った。 特発性肺線維症は、肺胞壁などに炎症ができるため抗生物質、ステロイド、免疫抑制薬が効果を発揮しない治療抵抗性の難病である。 画像所見による診断では、X線単純所見で横隔膜の拳上が確認され、HRCT(高分解能胸部断層撮影)で胸膜下に蜂巣肺が確認されるのが特徴となる。また、臨床症状としては、慢性型労作性呼吸困難、乾性咳嗽、捻髪音(ベルクロ・ラ音)、ばち状指、胃食道酸逆流などが認められる。臨床経過で注意するポイントは、本症では急性増悪がみられ、わずか1年で呼吸不全に至る点である。 確定診断では、「特発性間質性肺炎診断のためのフローチャート」が使用され、原因不明のびまん性肺疾患をみたら、特発性肺線維症を疑いHRCT検査の施行、専門施設での診断などが望まれる。特発性肺線維症に喫煙をする高齢の男性は注意 特発性肺線維症の疫学として「北海道スタディ」より有病率は10万人当たり10.0人、わが国での推定患者数は1万3,000人程度と推定されている。男性に多く、中年以降の発症が多いのが特徴で、高齢化社会を背景に患者数は増加している。 予後について5年生存率でみた場合、肺がん(20%未満)に次いで悪く(20~40%未満)、死亡者数も増えている。また、わが国では患者の40%が「急性増悪」で亡くなっているほか、特発性肺線維症は発がん母地ともなり、30%程度の患者が肺がんへと進行する。 特発性肺線維症のリスクファクターは、患者関連因子と環境関連因子に分けられ、前者では、男性、高齢、喫煙、特定のウイルス(例:EBウイルス)、遺伝的素因、胃食道逆流などが挙げられ、後者では動物の粉塵曝露、鳥の飼育、理髪、金属や木材、石などの粉塵が挙げられる。問診などで社会歴も含め、よく聴取することが診断の助けとなる。特発性肺線維症治療の歴史 続いて、杉山 幸比古氏(自治医科大学 呼吸器内科 教授)が、「特発性肺線維症治療の現状と将来展望」と題して、解説を行った。 はじめに特発性肺線維症の病因として慢性的な刺激による肺胞上皮細胞傷害が、傷害の修復異常・線維化を引き起こすという考えに基づき、抗線維化薬の開発が行われた経緯などを説明した。 効果的な治療薬がない中で、吸入薬であるアセチルシステイン(商品名:ムコフィリン)は、導入薬としてながらく、安全かつ有害事象が少ない、安価な治療薬として使用されてきたことを紹介する一方で、経口薬で行われた海外の試験では効果が否定的とされたことと、ネブライザーでの吸入が必要なことで、コンプライアンスに問題があることを指摘した。 次に2008年に初めての抗線維化薬として登場したのが、ピルフェニドン(同:ピレスパ)であり、欧米で広く使用され、無増悪生存期間を延長し、呼吸機能の低下を抑制することが知られていると説明した。本剤の開発がきっかけとなり、世界的に抗線維化薬の開発が進んだ。特発性肺線維症に抗線維化薬で初めての分子標的薬 次に登場したのが、ニンテダニブ(同:オフェブ)である。ニンテダニブは、肺の線維化に関与する分子群受容体チロシンキナーゼを選択的に阻害する分子標的薬で、25ヵ国が参加した第II相試験では、用量依存的に努力性肺活量(FVC)の低下率を68.4%抑制し、急性増悪を有意に低下させたほか、QOLの有意な改善を認めたとする結果が報告された。また、第III相試験では、40歳以上の軽症~中等の特発性肺線維症患者、約1,000例について観察した結果、プラセボとの比較でFVCの年間減少率を約半分に抑える結果となった(-113.6% vs. -225.5%)。また、373日間の期間で初回急性増悪発現までの割合を観察した結果、ニンテダニブが1.9%(n=638)であるのに対し、プラセボでは5.7%(n=423)と急性増悪の発生を抑えることも報告された。 主な有害事象としては、下痢(62.4%)、悪心(24.5%)、鼻咽頭炎(13.6%)などが報告されている(n=638)。とくに下痢に関しては、対症療法として補液や止瀉薬の併用を行うか、さらに下痢が高度な場合は、ニンテダニブの中断または中止が考慮される。 今後は、国際ガイドラインでも推奨されているように広く適用があれば使用すべきと考えられるほか、がんとの併用療法も視野に入れた治療も考える必要がある。 最後に特発性肺線維症治療の展望と課題として、「線維化の機序のさらなる解明、急性増悪因子の解明とその予防、患者ごとに治療薬の使い分けと併用療法の研究、再生医療への取り組みなどが必要と考えられる」とレクチャーを終えた。

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わかる統計教室 第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比 セクション1

インデックスページへ戻る第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比皆さんは、以下のような調査データをみたとき、この調査の結果をどのように解釈していますか。シリーズ第2回では、ある状況下に置かれた人と置かれなかった人で、ある疾患と診断されるリスク比(相対危険度)と、リスク比とよく似た指標として用いられるオッズ比を取り上げます。リスク比、オッズ比とは何か、そしてその違いは何か、さらに有意差の算出方法をマスターし、データを正しく理解することを目標に、5つのセクションに分けて学習します。セクション1 分割表とリスク比■分割表を作るリスク比やオッズ比、そして有意差を算出するには、分割表を作成するところから始まります。今回も、「簡単」な事例で覚えていきましょう。それがマスターへの近道です。下表1は、10例の患者について、「不整脈の有無」「喫煙の有無」を調べたものです。データは、「喫煙」を1、「非喫煙」を0、不整脈が「ある」を1、「ない」を0としています。この表1から、不整脈について喫煙者と非喫煙者を比較したとき、両者に差があるかどうかを明らかにしてみましょう。この表1をただ眺めていても傾向がわからないので、まずは、このデータを喫煙の有無別、不整脈の有無別に並べ替えてみましょう。次に、この表2から何がわかるのかを考えてみましょう。まず喫煙者が5例、そのうち不整脈があるのは3例です。そして、非喫煙者は5例、そのうち不整脈があるのは1例です。次に、喫煙者の有無別に、不整脈のある割合を計算してみましょう。喫煙者における不整脈のある割合は3÷5で60%、非喫煙者における不整脈のある割合は1÷5で20%です。すると、不整脈のある割合は、喫煙者が60%、非喫煙者が20%で、喫煙者のほうが40%高いことがわかります。このことから、「喫煙者と非喫煙者を比較したとき、不整脈において差があるといえる」ということがわかるのです。ただし「差がある」かどうかは、有意差検定をする必要がありますが、それはこれからの話にしておきましょう。■分割表では左側に原因(喫煙など)、上側に結果(不整脈など)を書く!それでは、先ほど集計した結果を表にしてみてみましょう。下の表3のような表を分割表(contingency table)といいます。分割表を作成するときに大事なのは、行と列に入れる項目です。表3では、表の行(左側)に喫煙の有無、列(上側)に不整脈の有無としていますが、行と列を入れ替えて、表の行(左側)に不整脈の有無、列(上側)に喫煙の有無にすると表4になります。実は、この表4はダメな分割表です。なぜダメなのでしょう。因果関係を考える場合、原因と結果があります。原因と結果の関係を調べるために分割表を作る場合、行(左側)に原因、列(上側)に結果の項目を置くというルールがあります。この例では、最初の表3が正しい分割表ですので、注意してください!■リスク比とは?しっかり理解してほしい点は、この表3の「ある」を横計で割って得られた「割合」がリスクだということです。リスクとは、そのままの意味で「危険」や「恐れ」ということです。今回のケースでの“リスク”は、不整脈になる“危険”や“恐れ”が喫煙の有無によって、どの程度あるのかがわかる、ということです。では、リスクを喫煙者、非喫煙者でそれぞれ計算してみましょう。喫煙者が不整脈となるリスクは3÷5で60%、同様に非喫煙者が不整脈となるリスクは20%です。次に、リスクの差を計算してみましょう。60%-20%で40%なので、「リスクは喫煙者が非喫煙者を40%上回っている」ということがわかります。今度は、喫煙者のリスクを非喫煙者のリスクで割ってみましょう。60%÷20%で3になります。この値が「リスク比(Risk Ratio)」です。このようにリスク比は、とても簡単に求められますが、大切なことはリスク比の求め方ではなく、その解釈の仕方です。この例では、リスク比3ということから、「喫煙者が不整脈となるリスク(割合)は非喫煙者に比べ3倍である」と解釈できるということです。次回は、同じく簡単な事例を基に、間違った解釈をされることの多い「オッズ比」について解説します。今回のポイント1)分割表は左側に原因(喫煙など)、上側に結果(不整脈など)を書く!2)リスク比で大切なことは、その解釈の仕方!インデックスページへ戻る

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Stage IIIA/N2のNSCLC、術前化学放射線療法は有用か/Lancet

 Stage IIIA/N2の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療では、術前の化学療法に放射線療法を併用しても、さらなるベネフィットは得られないことが、スイス・Kantonsspital WinterthurのMiklos Pless氏らSAKK Lung Cancer Project Groupの検討で示された。局所進行Stage III病変は治癒の達成が可能な最も進行したNSCLCであるが、最終的に患者の60%以上ががんで死亡する。Stage IIIA/N2の標準治療は同時併用化学放射線療法と手術+化学療法で、後者については術後または術前化学療法+手術が、手術単独よりも生存期間において優れることが示されているが、術前化学放射線療法+手術の第III相試験はこれまで行われていなかった。Lancet誌オンライン版2015年8月11日号掲載の報告より。術前放射線療法の逐次的追加の有用性を評価 研究グループは、術前放射線療法の追加により局所病変の奏効率や完全切除率が改善することで、無イベント生存期間(EFS)が延長し、全生存期間(OS)の延長の可能性もあるとの仮説を立て、これを検証するために無作為化第III相試験を行った(Swiss State Secretariat for Education, Research and Innovation[SERI]などの助成による)。 対象は、年齢18~75歳、T1~3N2M0、Stage IIIA/N2の局所進行NSCLCであり、全身状態が良好(ECOG PS:0、1)で、主要臓器機能が正常な患者であった。 被験者は、術前化学療法(シスプラチン100mg/m2+ドセタキセル85mg/m2、3週ごと)を3サイクル施行後に、術前放射線療法(総線量44Gy、22分割、3週間)を行う群(化学放射線療法群)、または同一レジメンの術前化学療法のみを行う群(化学療法単独群)に無作為に割り付けられた。術前化学放射線療法群は終了後21~28日に、術前化学療法単独群は21日に手術が予定された。 主要評価項目はEFS(割り付け時から再発、進行、2次がん、死亡のうち最初のイベント発生までの期間)とし、intention-to-treat解析を行った。 2001~2012年までに、スイス、ドイツ、セルビアの23施設に232例が登録され、化学放射線療法群に117例(年齢中央値60.0歳、女性33%、PS0 71%、喫煙者91%)が、化学療法単独群には115例(59.0歳、33%、69%、96%)が割り付けられた。フォローアップ期間中央値は52.4ヵ月だった。 本試験は、3回目の中間解析(イベント発生数134件)の結果を踏まえ、独立データ監視委員会の勧告により無効中止となった。奏効率は優れたが、EFSとOSに差なし 化学療法の完遂率は、化学放射線療法群が92%(108/117例)、化学療法単独群は90%(103/115例)であり、比較的高かった。化学放射線療法群の16%(19/117例)が放射線療法を開始できなかったが、予定線量の完遂率は96%(94/98例)だった。 化学療法を受けた患者では毒性作用が高頻度にみられ、Grade 3/4の発現率は化学放射線療法群が45%(49/110例)、化学療法単独群は60%(73/121例)であった。しかし、治療関連有害事象で化学療法が永続的に中止となった患者はそれぞれ4%(5/117例)、6%(7/115例)のみであった。放射線誘発性のGrade 3の嚥下障害が7%(7/98例)に認められた。 抗腫瘍効果は、化学放射線療法群で完全奏効(CR)が4例(3%)、部分奏効(PR)が67例(57%)にみられ、客観的奏効率は61%であったのに対し、化学療法単独群ではCRが2例(2%)、PRが48例(42%)で客観的奏効率は44%であり、両群間に有意な差が認められた(p=0.012)。 手術は、化学放射線療法群が85%(99/117例)、化学療法単独群は82%(94/115例)で行われた。完全切除率は両群間に有意な差はなく(p=0.06)、病理学的完全奏効(16 vs. 12%)やリンパ節転移のdownstaging(N2からN1/N0へ)(64 vs. 53%)も同等であった。術後30日以内に、化学療法単独群の3例が死亡した。 EFS中央値は、化学放射線療法群が12.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.7~22.9)、化学療法単独群は11.6ヵ月(95%CI:8.4~15.2)であり、両群間に差を認めなかった(ハザード比[HR]:1.1、95%CI:0.8~1.4、p=0.67)。また、OS中央値も、化学放射線療法群が37.1ヵ月(95%CI:22.6~50.0)、化学療法単独群は26.2ヵ月(95%CI:19.9~52.1)と、両群間に差はなかった(HR:1.0、95%CI:0.7~1.4)。 著者は、「Stage IIIA/N2 NSCLCに対する術前化学療法+手術はきわめて良好な予後をもたらし、術前放射線療法を追加してもそれ以上のベネフィットは得られなかった」とまとめ、「これまでの知見も考慮すると、放射線療法と手術のいずれか1つの局所治療と化学療法の組み合わせは、Stage IIIA/N2 NSCLCの患者に施行可能であり、標準治療とみなすべきと考えられる」と指摘している。

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肺がん左上葉切除術は脳梗塞の危険因子か

 脳梗塞は肺切除術後のまれな合併症であるが、重度の後遺症をもたらしうる。千葉大学の山本 高義氏らが、肺がん術後に脳梗塞を発症した患者の特徴を検討したところ、脳梗塞が左上葉切除を受ける肺がん患者で高頻度に発症しており、左上肺静脈断端における血栓症がその原因となっている可能性が示唆された。Surgery Today誌オンライン版2015年8月14日号に掲載。 著者らは、自施設で2008年1月~2013年10月に葉切除以上を受けたすべての肺がん患者562例を後方視的に検討し、術後30日以内に脳梗塞を発症した患者としなかった患者を比較した。 主な結果は以下のとおり。・全562例のうち、男性5例と女性1例が脳梗塞を発症していた[平均66歳(55~72歳)、術後平均3.3日(1~9日)に発症]。・5例は左上葉切除が、1例は左下葉切除が施行された。・術後脳梗塞発症例6例と非発症例556例の間で、年齢、性別、BMI、喫煙指数、手術時間に有意差は認めなかったが、術式のみ左上葉切除術の割合が発症例で有意に高かった(p<0.001)。・術後脳梗塞例において、左上肺静脈断端に造影CTにて血栓が認められた。

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ビタミンEとセレニウムは喫煙者の前立腺がんリスクを下げるか

 ビタミンEとセレニウムの疫学研究において、これら抗酸化物質が前立腺がんリスクを下げるとの仮説があるが、明確なベネフィットは示されていない。また、喫煙がこれらの効果に影響する可能性も示唆されている。米国・エモリー大学のYeunjung Kim氏らはメタ解析により、ビタミンEおよびセレニウムの摂取と前立腺がんリスクとの関連性を非喫煙者と喫煙経験者(現喫煙者/元喫煙者)について比較検討した。Anticancer research誌2015年9月号の掲載報告。 メタ解析の対象は、適格基準に合致した21件の研究であった。著者らはランダム効果モデルを用い、全体および階層別メタリスク比(meta-RRs)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ビタミンE摂取と関連する前立腺がんのmeta-RRsは、非喫煙者で1.03(95%CI:0.95~1.11)、喫煙経験者で0.98(0.90~1.07)であった。・セレニウムについては、非喫煙者で1.09(0.78~1.52)、喫煙経験者で0.76(0.60~0.96)であった。しかし、現喫煙者における関連性は、元喫煙者におけるよりも弱かった。・異なる曝露の評価法とアウトカム定義に則ったサブ解析により、各層全体で類似した結果が出た。 以上の結果から、著者らは「ビタミンEと前立腺がんの関連性は、喫煙により変わらない。セレニウムの摂取は、喫煙経験者において前立腺がんリスクの低下と関連しているが、現喫煙者における関連性はないことから、本知見は注意深く解釈すべきである」としている。

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唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ

 香辛料入り食品を習慣的に摂取すると、あまり食べない集団に比べ、全死因死亡のほか、がん、虚血性心疾患、呼吸器疾患による死亡が減少することが、China Kadoorie Biobank collaborative groupのJun Lv氏らの調査で示された。香辛料は、世界の食文化に不可欠の要素であり、食品の味や風味付け、彩り、保存食のほか医療用としても長い歴史を持つ。最近は、とくに味付けのための使用が増加しており、中国では全国的に唐辛子の消費量が多いという。一方、カプサイシンなど、香辛料の主要な生理活性成分は、種々の慢性疾患において有益な役割を果たすことが、実験的研究や地域住民研究で報告されている。BMJ誌オンライン版2015年8月4日掲載の報告より。約49万人を約350万人年追跡した前向きコホート研究 研究グループは、香辛料入り食品の習慣的な摂取状況と、全死因および原因別の死亡との関連を評価する地域住民ベースの前向きコホート研究を実施した(National Natural Science Foundation of Chinaの助成による)。 2004~2008年に、中国の地理的に多様な10地域で50万人以上の参加者の登録を行ったChina Kadoorie Biobankのデータを用いた。ベースライン時にがん、心疾患、脳卒中に罹患していた参加者を除く、30~79歳の48万7,375人(男性19万9,293人、女性28万8,082人)が解析の対象となった。 ベースライン時に、参加者は「前月に、香辛料入り食品をどのくらい食べましたか」と質問され、「まったくあるいはほとんど食べない」「数日のみ」「週に1~2日」「週に3~5日」「週に6~7日」の中から1つを選んで回答した。 「週に1~2日」「週に3~5日」「週に6~7日」と答えた者は、さらに「あなたが食べた香辛料入り食品に使用された香辛料の主な原料は何ですか」との質問に対し、「生唐辛子」「乾燥唐辛子」「唐辛子ソース」「唐辛子油」「その他」「不明」の中から回答した(重複回答可)。 香辛料入り食品をほぼ毎日(週6~7日)摂取している集団は、それ以外の集団に比べ、農村地域居住者や喫煙者、アルコール摂取者が多く、赤身肉や野菜、果物の摂取頻度が高かった。また、全体で最も摂取頻度の高い香辛料のタイプは生唐辛子(約8割)であり、次いで乾燥唐辛子(約6割)であった。 フォローアップは2004~2013年に行われ、フォローアップ期間中央値は7.2年(350万4人年)であった。この間に、男性1万1,820人、女性8,404人が死亡した。ほぼ毎日食べると全死因死亡のリスクが14%減少 香辛料入り食品の摂取頻度別の絶対死亡率は、週1日未満の群が1,000人年当たり6.1であり、週1~2日の群が4.4/1,000人年、週3~5日の群が4.3/1,000人年、週6~7日の群は5.8/1,000人年であった。 既知のリスク因子や可能性のあるリスク因子で補正後の全死因死亡率は、男女ともに摂取頻度と強い逆相関の関係を示した。全体では、週1日未満と比較した死亡の補正ハザード比(HR)は、週1~2日が0.90(95%信頼区間[CI]:0.84~0.96)、週3~5日が0.86(95%CI:0.80~0.92)、週6~7日は0.86(95%CI:0.82~0.90)であった。 香辛料入りの食品を週に6~7日食べる集団は、週に1日も食べない集団に比べ、全死因死亡の相対的リスクが14%減少した。 また、全体では、香辛料入り食品を週に6~7日食べる集団は、週1回未満の集団に比べ、がん死、虚血性心疾患死、呼吸器疾患死のリスクが有意に低かったが、脳血管疾患死や糖尿病死、感染症死には差がなかった。感染症死は、女性では週に6~7回食べる集団で有意にリスクが抑制されていた。 週に6~7日食べる集団で、生唐辛子とそれ以外(乾燥唐辛子、唐辛子ソース、唐辛子油、その他の香辛料)に分けてリスクを比較したところ、生唐辛子で有意なリスク抑制効果がみられ、それ以外では有意差のない項目として、がん死、虚血性心疾患死、糖尿病死が挙げられた。全死因死亡と呼吸器疾患死は、生唐辛子とそれ以外の香辛料ともに、リスク抑制効果が有意だった。 摂取頻度と全死因死亡の逆相関の関係は、アルコール摂取者よりも非摂取者で、より強力であった(交互作用検定:p=0.033)。 著者は、「観察研究であるため、因果関係は確定できない。これらの知見の一般化可能性を示すには、別の集団においてさらなる前向き試験を行う必要がある」とし、「エビデンスが蓄積されれば、推奨食品に加えられたり、ハーブ系の補助食品などの機能性食品の開発につながる可能性がある」と指摘している。

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脳卒中リスク、日本でも居住地の経済状況が影響

 地区の社会経済状況の水準を指標化したものを、地理的剥奪指標(areal deprivation index)という。これまで欧米の多くの研究で、この地理的剥奪が循環器疾患リスクに影響する因子であることが示されている。しかし、アジアにおける検討はこれまでなかった。今回、国立がん研究センターによる多目的コホート研究(JPHC研究)で、地理的剥奪指標と脳卒中死亡および発症リスクとの関連が前向き研究で検討された。その結果、居住地の剥奪指標が脳卒中の発症に影響することが明らかになった。著者らは「地区の社会経済状況は脳卒中リスクを減少する公衆衛生介入の潜在的なターゲットになりうる」としている。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年3月5日号掲載の報告。 対象となったのは、JPHC研究に参加した40~69歳の日本人男女9万843人。地理的剥奪指標に応じて、脳卒中の死亡率(平均追跡期間16.4年)、および発症率(同15.4年)の調整ハザード比を推定した。共用frailtyモデルを用いたCox比例ハザード回帰モデルを適用した。 主な結果は以下のとおり。・個人の社会経済的状況で調整後、脳卒中発症の調整ハザード比(95%CI)は剥奪指標の最低群(最も裕福な地区)を基準として、 低い順に1.16(1.04~1.29)、1.12(1.00~1.26)、1.18(1.02~1.35)、1.19(1.01~1.41)(最高群:最も貧しい地区)であった。・この関連性は、行動および心理社会的な因子(喫煙、飲酒量、身体活動、ストレス、婚姻状況)で減弱したものの、依然、有意であった。さらに、生物学的な心血管リスク因子(過体重、高血圧・糖尿病・高脂血症の既往歴)で調整することにより、この関連性は有意ではなくなった。・居住地の剥奪指標と脳卒中の死亡率には有意な関連性は認められなかった。

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ピオグリタゾンとがん(解説:吉岡 成人 氏)-397

日本人における糖尿病とがん 日本における糖尿病患者の死因の第1位は「がん」であり、糖尿病患者の高齢化と相まって、糖尿病患者の2人に1人はがんになり、3人に1人ががんで死亡する時代となっている。日本人の2型糖尿病患者におけるがん罹患のハザード比は1.20前後であり、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが増加することが、疫学調査によって確認されている。糖尿病によってがんの罹患リスクが上昇するメカニズムとしては、インスリン抵抗性、高インスリン血症の影響が大きいと考えられている。インスリンはインスリン受容体のみならず、インスリン様成長因子(IGF-1)の受容体とも結合することで細胞増殖を促し、がんの発生、増殖にも関連する。チアゾリジン薬であるピオグリタゾンとがん ピオグリタゾン(商品名:アクトス)は承認前の動物実験において、雄ラットにおける膀胱腫瘍の増加が確認されていた。そのため、欧米の規制当局により米国の医療保険組織であるKPNC(Kaiser Permanente North California)の医療保険加入者データベースを用いた前向きの観察研究が2004年から行われ、2011年に公表された5年時の中間報告で、ピオグリタゾンを2年間以上使用した患者において、膀胱がんのリスクが1.40倍(95%信頼区間:1.03~2.00)と、有意に上昇することが確認された。さらに、フランスでの保険データベースによる、糖尿病患者約150万例を対象とした後ろ向きコホート研究でも、膀胱がんのリスクが1.22倍(95%信頼区間:1.05~1.43)であることが報告され、フランスとドイツではピオグリタゾンが販売停止となった。また、日本においても、アクトスの添付文書における「重要な基本的注意」に、(1)膀胱がん治療中の患者には投与しないこと、(2)膀胱がんの既往がある患者には薬剤の有効性および危険性を十分に勘案したうえで、投与の可否を慎重に判断すること、(3)患者またはその家族に膀胱がん発症のリスクを十分に説明してから投与すること、(4)投与中は定期的な尿検査等を実施することなどが記載されるようになった。多国間における国際データでの評価 その後、欧州と北米の6つのコホート研究を対象に、100万例以上の糖尿病患者を対象として、割り付けバイアス(allocation bias)を最小化したモデルを用いた検討が2015年3月に報告された。その論文では、年齢、糖尿病の罹患期間、喫煙、ピオグリタゾンの使用歴で調整した後の100日間の累積使用当たりの発症率比は、男性で1.01(95%信頼区間:0.97~1.06)、女性で1.04(95%信頼区間:0.97~1.11)であり、ピオグリタゾンと膀胱がんのリスクは関連が認められないと報告された1)。KPNCの最終報告 今回、JAMA誌に報告されたのが、5年時の中間報告で物議を醸しだしたKPNCの10年時における最終解析である。ピオグリタゾンの使用と膀胱がんのみならず前立腺がん、乳がん、肺がん、子宮内膜がん、大腸がん、非ホジキンリンパ腫、膵臓がん、腎がん、直腸がん、悪性黒色腫の罹患リスクとの関連を、40歳以上の糖尿病患者約20万例のコホート分析およびコホート内症例対照分析で検証したものである。 その結果、ピオグリタゾン使用は、膀胱がんリスクの増加とは関連しなかった(調整後ハザード比1.06:95%信頼区間:0.89~1.26)と結論付けられた。 しかし、解析対象とした10種の悪性疾患中8種の悪性疾患とピオグリタゾンの関連は認められなかったものの、前立腺がんのハザード比は1.13(95%信頼区間:1.02~1.26)、膵がんのハザード比は1.41(95%信頼区間:1.16~1.71、10万例/年当たりの膵臓がんの粗発生率は、使用者で81.8例、非使用者で48.4例)であったことが報告されている。 チアゾリジンの膀胱がんを発症するリスクに対する懸念は払拭されたのか、前立腺がんと膵がんのリスクに関するデータは、偶然なのか、交絡因子の影響なのか、事実なのか……、また1つの問題が提示されたのかもしれない。

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急速な経年的1秒量低下はCOPD発症の必須要素か?(解説:小林 英夫 氏)-393

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、1秒量の経年的低下が正常者より急速であるという見解が従来の定説だった。1977年にFletcher氏によって報告され、その後、改変図がさまざまに引用されてきた1)。筆者もFletcher説を学び、厚労省サイトにも掲載されている。今回のLange論文は定説であったFletcher論文に一石を投じたもので、強い印象を与える。COPD発症には、当初からの1秒量(FEV1)低値も重要であって、急速なFEV1減少だけが必須の特性とは限らないと、コペンハーゲン大学 Peter Lange氏らは結論している。 Fletcher 論文を再検討すると、対象が全例「男性」で、年齢30~59歳の1,136例がエントリーされ、792例を8年間観察、25歳時の1秒量を100%として経時的低下をパーセント表示し、解析や算出方法の詳細は記載されていないのである。時代が異なるため、現在の推計学的基準からはいくつか問題点も指摘できよう。 そこで、Lange氏らは、FEV1の低下率が正常範囲であっても、成人早期の呼吸機能が低下していれば、加齢に伴いCOPDを発症する可能性がある、との仮説を前向き検証した。3つの別コホート研究(FOC、CCHS、LSC)のデータを用いたもので、3研究ともに1,000症例以上、また、FOCとCCHSは40歳以下の登録者を平均20年以上追跡している。LSCは50歳代の症例を平均5年追跡し、男性が2割しか含まれていないなど、前2者とは対象内容が大きく異なる。 登録開始時の%FEV1を2別化(80%以上、80%未満)し、最終受診時のCOPD有無でも2別化した全4群において、FEV1の経時的低下率を評価した。登録総数は4,397例、半数が喫煙者で最終観察時にも約2割が喫煙中だった。最終受診時のCOPD発症者は495例で、COPDの診断基準は、GOLD (Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)スコアで2以上、呼吸機能検査で%1秒量80%未満かつ1秒率70%未満である。また、1秒量低下が年40mL 以上を迅速低下、未満を正常低下と定義している。 主目的である1秒量経時的低下の解析は、FOCとCCHSから算出された。平均観察22年で、40歳以前のFEV1が予測値の80%未満であった657例中174例(26%)がCOPDを発症し、80%以上であった2,207例からのCOPD発症158例(7%)であり、“成人早期”のFEV1低値集団で発症が多かった(p<0.001)。COPD発症332例中、登録時1秒量正常の158例は、その後平均53±21mL/年で急速に1秒量が低下した。登録時1秒量低値174例は、喫煙曝露は同程度であったにもかかわらず、その後のFEV1低下は平均27±18mL/年で、FEV1正常集団よりも緩徐であった(p<0.001)。これらの結果に基づきLange氏らは、COPDの約半数はFEV1の低下速度が正常かつ成人早期のFEV1が低値であるので、FEV1の急速低下がCOPD発症の必須特性ではないと示唆された、と結論した。 本論文は、COPD発症には1秒量の「低下速度」と「初期値」の2要素が関係しており、COPD発症は単一機序によるものではないことを提示している。下の図はFletcher論文の図にLange論文の結果を追加したものである。 彼らの結果には類似論文が存在し、重篤なCOPD患者においてFEV1がばらつくことや、経年低下が予想より小さい場合があることが報告されている。本論文は症例数や追跡期間などは秀逸だが、3つの研究を検討しているのに2つだけを対象とした解析、対象母数が一定しない、“成人早期”と和訳した対象に20歳代を含まないなどの問題がある。また、1秒量40mL/年以上の低下を迅速と定義しているが、絶対的基準かどうかなど検討の余地はあるが、20歳代からの呼吸機能追跡が加わりlead-timeバイアスが解消されれば、新たな定説となりうるのではないだろうか。

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喫煙でCKD患者の死亡リスクが大幅に上昇

 慢性腎臓病(CKD)と喫煙が心血管疾患に及ぼす複合的な影響度や性質については、ほとんど知られていない。これらを日本人集団で検討するために、北海道大学の中村 幸志氏らは、8コホート研究に登録された40~89歳の男性1万5,468人および女性1万9,154人のプール分析を行った。その結果、CKDと喫煙が重なると、全死因および心血管疾患による死亡リスクが大幅に上昇する可能性が示唆された。Kidney International誌オンライン版2015年7月22日号に掲載。 全死因および心血管疾患による死亡リスクは、ベースライン時点におけるCKDの有無(非CKDまたはCKD)と喫煙習慣(非喫煙、元喫煙、現在喫煙)で、6つの性別特異的カテゴリーで比較した。CKDは推定糸球体濾過量が60mL/分/1.73m2未満あるいはdipstickで蛋白尿の場合と定義し、それぞれのカテゴリーで非CKDかつ非喫煙者と比べたハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間(平均14.8年)の間に6,771人が死亡し、そのうち心血管疾患によるものが1,975人であった。・全死因および心血管疾患による粗死亡率は、男女とも、「CKDかつ現喫煙者」が最も高く、「CKDかつ元喫煙者」が2番目に高かった。・年齢や他の主要心血管リスク因子について調整後、CKDかつ現喫煙者のハザード比は、全死因死亡では男性2.26(95%信頼区間:1.95~2.63)、女性1.78(同:1.36~2.32)、心血管疾患による死亡では男性2.66(同:2.04~3.47)、女性1.71(同:1.10~2.67)であった。

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