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飲酒をする人は緑内障になりやすい?Unsplashより使用緑内障は、人間ドックで眼底や眼圧をみてもらわないとなかなか発見できない病気なので、定期的にチェックする必要があります。さて、日本から新たなエビデンスが発出されました。飲酒と緑内障の関係についてです。Sano K, et al.Association Between Alcohol Consumption Patterns and Glaucoma in Japan.J Glaucoma. 2023 Nov 1;32(11):968-975.これは、緑内障3,207例、マッチコホート3,207例を含んだ日本人の症例対照研究です。アルコールの摂取量が多いと緑内障の有病率が増えるのではないかという関連を検証したものです。詳細な飲酒パターンのほか、喫煙歴や生活習慣に関連する併存疾患など、さまざまな交絡因子を登録し、条件付きロジスティック回帰モデルを用いて、緑内障有病率のオッズ比を算出しました。その結果、男性においては、1週間当たり数日(オッズ比:1.19、95%信頼区間[CI]:1.03~1.38)、1週間当たりほぼ毎日(オッズ比:1.40、95%CI:1.18~1.66)の飲酒頻度は緑内障のリスクであることが示されました。生涯の総飲酒量でみると、1年当たり60杯超90杯以下(オッズ比:1.23、95%CI:1.01~1.49)、1年当たり90杯超(オッズ比:1.23、95%CI:1.05~1.44)で有意な関連が示されています。反面、女性においては、これらの因子とは有意な関連がみられませんでした。最近のメタアナリシスでは、アジア人はアルコール摂取と緑内障との間に強い関連があることが示されています1)。アルコールによって誘発される緑内障の感受性に人種差があるのかもしれません。というわけで、飲酒習慣がある男性は、メタボ、肝炎、そのほかの生活習慣病だけでなく、緑内障にも気を付けながら生活する必要があるかもしれません。ちなみに、緑内障と診断された後にアルコールをやめることで、視力障害や失明のリスクを減らすことができるという報告もあります2)。1)Stuart KV, et al. Alcohol, Intraocular Pressure, and Open-Angle Glaucoma: A Systematic Review and Meta-analysis. Ophthalmology. 2022;129:637-652.2)Jeong Y, et al. Visual Impairment Risk After Alcohol Abstinence in Patients With Newly Diagnosed Open-Angle Glaucoma. JAMA Netw Open. 2023 Oct 2;6(10):e2338526.