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aggressive ATLに対する同種造血幹細胞移植の有効性(JCOG0907)/ASCO2024

 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)のうち、急性型、リンパ腫型、予後不良因子を有する慢性型のATL(aggressive ATL)は予後不良で、化学療法による生存期間中央値は約1年と報告されている。一方、aggressive ATLへの同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)による3年全生存割合(OS)は約40%とされるが、その多くが後ろ向き解析に基づくものである。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)では、aggressive ATLに対するallo-HSCTの有効性と安全性を検証するため、第III相単群検証的試験(JCOG0907)を実施。琉球大学の福島 卓也氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で結果を発表した。・対象:allo-HSCTの実施に前向きな、未治療のaggressive ATL患者(血清抗HTLV-I抗体陽性、≦65歳[試験開始時は≦55歳に対する骨髄破壊的移植(MAST)のみであったが、2014 年9月にプロトコルを改訂し56~65歳に対する骨髄非破壊的移植(RIST)を組み込んだ]、ECOG PS≦3、十分な臓器機能を維持、中枢神経系浸潤なし)・治療プロトコル:1)導入化学療法(VCAP/AMP/VECP 療法※2014年9月に一時的にモガムリズマブ併用も可としたがその後不可とした)2)allo-HSCT[血縁ドナー]MAST:ブスルファン12.8mg/kg+シクロホスファミド120mg/kg、GVHD予防(シクロスポリン+short termメトトレキサート[sMTX])RIST:ブスルファン12.8mg/kg+フルダラビン180mg/m2、GVHD予防(シクロスポリン)[非血縁ドナー]MAST:全身放射線照射(12Gy)+シクロホスファミド120mg/kg、GVHD予防(タクロリムス+sMTX)RIST:ブスルファン+フルダラビン+全身放射線照射(2Gy)、GVHD予防(タクロリムス+sMTX)・評価項目:[主要評価項目]全登録患者における3年OS 主な結果は以下のとおり。・2010年9月~2020年6月に、110 例(急性型72例、リンパ腫型27例、予後不良因子を有する慢性型9例、予後不良因子のない慢性型1例、ホジキンリンパ腫1例)が登録された。年齢中央値は55(33~65)歳、男性/女性=54/56例、PS 0/1/2/3=56/49/3/2例であった。・何らかのallo-HSCTを受けた全92例の患者のうち、試験治療としてのallo-HSCT実施は41例(MAST 19例/RIST 22例、血縁12例/非血縁29例[試験移植群])、後治療としてのallo-HSCT実施は51例(MAST11例/RIST40例、血縁11例/非血縁15例/臍帯血25例[非試験移植群])で、後者のうち 35例が初回寛解中、16例が進行/再発後のallo-HSCT 実施であった。・登録された110例の3年OSは44.0%(90%信頼区間[CI]:36.0~51.6)で、目標とする閾値(両側90%CIの下限値25%)を上回り主要評価項目は達成された。・移植実施までの期間中央値は、試験移植群4.7ヵ月、非試験移植群4.3ヵ月で、両群に差を認めなかった。・年齢とPSで調整し、移植実施の有無を時間依存共変量とした多変量解析によるOSハザード比は、試験移植群vs.非試験移植群が0.92(95%CI:0.55~1.51)で試験移植群に延命効果を認めなかったが、upfront移植(試験移植群と非試験移植群のうち初回寛解中の移植実施例)vs.移植非実施群が0.65(0.33~1.31)で、upfront allo-HSCTは延命効果を示した。・ドナーソース別にみたOSハザード比は、非血縁vs.血縁が0.94(95%CI:0.49~1.79)、臍帯血vs.血縁が1.20(0.59~2.46)で、ドナーソース間で生存に有意差を認めなかった。・試験移植群41例のうち、治療関連死は血縁者間移植16.7%、非血縁者間移植20.7%で、一時的に試験中止とする基準を下回った。死亡全70例の死因は、原病34例、試験移植関連9例、非試験移植関連21例、その他の疾患6例であった。 福島氏は、未治療のaggressive ATLに対するallo-HSCT について、本試験で採用した移植法は延命効果が明確でなかったが、初回寛解時にできる限り早期に移植を実施する治療戦略であるupfront allo-HSCTは推奨されると結論付けた。

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切除可能なdMMR大腸がん、ニボルマブ+イピリムマブ術前補助療法が有用/NEJM

 ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の局所進行大腸がん患者において、ニボルマブ+イピリムマブによる術前補助療法の忍容性および安全性は良好であり、高い病理学的奏効を得られたことが、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMyriam Chalabi氏らによる第II相多施設共同単群試験「NICHE-2試験」の結果で示された。dMMR腫瘍は、転移のない大腸がん患者の10~15%に認められ、化学療法の有効性は限られている。小規模なNICHE試験でニボルマブ+イピリムマブによる術前補助療法の有用性が示唆されていたが、さらに多くの症例において有効性と安全性を検討する目的でNICHE-2試験が行われた。NEJM誌2024年6月6日号掲載の報告。計115例を対象に安全性と3年無病生存率を評価 研究グループは、未治療で遠隔転移のない切除可能な局所進行dMMR直腸腺がんで、最初のNICHE試験ではStageI~III、2020年10月のプロトコール改訂後のNICHE-2試験ではcT3以上かつ/またはN+の18歳以上の患者を登録し、1日目にイピリムマブ1mg/kgとニボルマブ3mg/kgを、15日目にニボルマブ3mg/kgを投与した後、試験登録後6週間以内に手術を行うこととした。 主要評価項目は、適時手術(治療関連有害事象による手術の遅延が2週間以内)で定義された安全性および3年無病生存率(DFS)、副次評価項目は病理学的奏効とゲノム解析であった。 本報告では、NICHE試験に登録された32例、およびNICHE-2試験に登録された83例を合わせた115例(登録期間2017年7月4日~2022年7月18日)の解析結果が示されている。手術遅延なしが98%、病理学的著効が95%、病理学的完全奏効が68% 115例の患者背景は、年齢中央値60歳(範囲:20~82)、58%が女性、67%がStageIII、64%がcT4であった。 適時手術が行われた患者は、115例中113例(98%、97.5%信頼区間[CI]:93~100)で、2週間以上の手術遅延に至った治療関連有害事象は2例(2%)のみであった。免疫関連有害事象は全Gradeで73例(63%)、Grade3または4が5例(4%)に発現したが、治療中止に至った有害事象は認められなかった。 有効性解析対象111例のうち、109例(98%、95%CI:94~100)に病理学的奏効が認められた。105例(95%)が病理学的著効(MPR:残存腫瘍が10%以下と定義)、75例(68%)が病理学的完全奏効(pCR:原発巣およびリンパ節のいずれも残存腫瘍なし)であった。 追跡期間中央値26.2ヵ月(範囲:9.1~65.3)時点で、再発は認められなかった。追跡期間が3年を超えた37例は、全例、無病のままである。 なお著者は研究の限界として、大腸がんの放射線学的Stage判定は不正確であることが多く、過剰治療につながる可能性があることなどを挙げている。

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治療の選択肢の提示【医療訴訟の争点】第1回

症例肝細胞がん患者に対する治療法(肝切除 or シスプラチンの肝動注化学療法[ Transhepatic Arterial Infusion:TAI])の選択について、“どこまで説明をすべきか”という「説明義務違反」が争われた東京地裁平成26年11月27日判決(診療時は平成18年)を紹介する。争点は多岐にわたるが、治療法の選択肢の説明の点に絞ることとする。<登場人物>患者77歳・女性平成7年以降、肥満症、高血圧症で継続的に被告病院を受診し、血液検査を実施していた。原告患者の子被告大学附属病院、担当医(消化器内科医)事案の概要は以下の通りである。平成18年6月被告病院での血液検査で、γ-GTP高値を指摘された。受診時、左季肋部痛と心窩部圧痛の訴えあり。7月被告病院にて腹部エコー検査と腹部造影CT検査を受け、肝左葉S3に径約14×7cmの巨大腫瘍を認め、肝細胞がんの疑いとなった。8月8日被告病院におけるカンファレンスにて、シスプラチンのTAIが最適と判断され、治療法につき患者と家族に説明がなされた。8月9日消化器内科にてシスプラチンのTAI施行。治療時の腫瘍径は17cmであった。8月15日腹部造影CT検査にて、腫瘍径の増大(20×11cm)がみられた。8月18日消化器内科から消化器外科へ院内紹介され、肝切除術を行う方針となった。9月4日肝切除術施行。11月22日腹部造影CT検査にて、残肝に門脈腫瘍栓を伴う多発再発巣がみられた。以降、他院にて放射線療法や肝動脈化学塞栓術(TACE)を受けるも、平成19年4月27日に死亡した。実際の裁判結果裁判所は、治療の選択肢の説明義務違反につき、シスプラチンのTAIは確立した治療法ではなく、臨床的にも本件のような巨大な肝細胞がんに対する奏効率は低いこと、直ちに肝切除を実施する治療方針も十分に採り得たことなどを指摘した。そして裁判所は、医師らは「治療方針を説明した際、直ちに肝切除するという治療方針も採り得ることを説明すべき義務を負っていた…(中略)シスプラチンのTAIを施行するとその作用によって肝切除を行うまでに4~6週間の間隔を空けなければならないことについても説明すべき義務を負っていた」として、この点を説明していなかったことに対して、説明義務違反(慰謝料200万円)を認めた。なお、“直ちに肝切除をしなかったことが注意義務違反に当たるか”については、裁判所は、「腫瘍径の大きさなどからすれば、平成18年7月31日の時点で肝内転移や門脈侵襲を起こしていた可能性が相当高く…(中略)同日の時点で直ちに肝切除を行うという方針を採っても、その後早期に再発することが予想され、肝切除による予後の改善はほとんど期待し難いものと判断される状況にあった」と指摘し、「早期に肝切除をすること自体にどれほどの意義があったかについては疑問を持たざるを得ない」として注意義務違反はないと判断した。注意ポイント解説本件は、肝切除やシスプラチンのTAIといった複数の治療選択肢があった。当時、一般的に肝切除が行われていた一方で、シスプラチンのTAIは有効性を示すエビデンスが乏しく、診療ガイドラインや学会編集の診療マニュアルでも積極的に推奨されているものではなかった。このような中、直ちに肝切除するという治療法の選択肢が説明されておらず、また、シスプラチンのTAIを施行すると肝切除を行うまでに4~6週間の間隔を空ける必要がある、という医師の提示した治療法に付随する制約の説明もされていなかった。このため、これらの説明がなされていた場合には、患者が肝切除を選択することも合理的と考えられたことから、治療法の選択に関する患者の自己決定権を奪ったと判断された。治療法の有効性や安全性は時代と共に評価が変化しうるが、選択可能な治療法が複数存在する場合(とくに、一般的に行われている治療法と異なる治療法を勧める場合や、ガイドラインなどにおける治療法判断のアルゴリズムの当てはめに疑義が生じうる場合)においては、患者が、医師が最適と判断した治療法とは別の治療法を希望する可能性があることから、別の治療法についても患者に提示し、それぞれの治療法のメリットとデメリットなどを説明することが必要である。医療者の視点医師は最新の治療法に関する知識を常時アップデートする必要があります。また、限られた勤務時間の中で十分な説明を行うことは難儀です。しかし、複数の治療選択肢がある以上、医師は各治療法の特徴を熟知した上で、推奨する治療法以外についても患者に説明をしなければならないことを再認識しましょう。昨今では、医療者でなくても各種ガイドラインに容易にアクセス可能となりました。医師が推奨した治療方針とガイドラインとの間で齟齬がある場合、トラブルに繋がる可能性がある点にも留意しましょう。Take home message複数の治療選択肢が存在する症例では、各治療法のメリットやデメリットを患者に提示する必要がある。キーワード説明義務違反とは…患者の自己決定権の尊重の見地から、医師は、患者に対し、“治療方法などについて患者が自己決定するための情報(患者の状態、考え得る治療の選択肢とそのメリット・デメリット等)を説明する義務”を負う。医師がこの説明義務を怠った場合には、患者の自己決定権を侵害したものとして、これにより生じた損害を賠償する責任を負うこととなる。なお、医師の説明義務違反が問われる多くは上記のような“治療法の選択に関する説明”であるが、このほかにも“療養方法の指導としての説明”や“治療等が終了した場合の説明”の適否が争われることもあるので、この点も注意を要する。

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早期乳がん術前Dato-DXd+デュルバルマブ、33%が化学療法をスキップ可(I-SPY2.2)/ASCO2024

 70遺伝子シグネチャー(MammaPrint)で高リスクのStageII/IIIの早期乳がんの術前療法として、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)+デュルバルマブ併用療法を4サイクル投与した第II相I-SPY2.2試験の結果、33%の患者が化学療法を行わずに手術が可能となったことを、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRebecca A. Shatsky氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。 I-SPY2.2試験は、高リスク早期乳がんの術前療法を評価する多施設共同第II相プラットフォーム連続多段階ランダム割付試験(Sequential Multiple Assignment Randomized Trials:SMART)※で、患者が最大の病理学的完全奏効(pCR)を得るための個別化医療を提供することを目的としている。ブロックAでDato-DXd+デュルバルマブを4サイクル投与し、MRIと生検でpCRが予測された場合は早期に手術を受けることができ、予測されない場合は化学療法や標的療法を行うブロックB/Cに進む。今回は、ブロックAの結果が報告された。※連続多段階ランダム割付試験:連続する多段階のランダム割り付けを通して、一連の動的治療計画を立てるためのデザイン 患者(すべてHER2-)は、免疫反応、DNA修復不全(DRD)、ホルモン受容体の状況に基づいて、(1)HR陽性/免疫陰性/DRD陰性、(2)HR陰性/免疫陰性/DRD陰性、(3)免疫陽性、(4)免疫陰性/DRD陽性、(5)HR+、(6)HR-の6つの腫瘍反応予測サブタイプ(RPS)に分類された。主要評価項目はpCRの達成であった。 主な結果は以下のとおり。・2022年9月~2023年8月に106例がブロックAに登録された。年齢中央値は50.0歳(範囲:25.0~77.0)、HR-が60.4%であった。・ブロックA終了後、33%(35例)が化学療法を受けることなく早期に手術に進むことができた。・Dato-DXd+デュルバルマブ治療後のRPS分類によるpCR率(95%信頼区間)と事前に設定された閾値は下記のとおり。 (1)HR陽性/免疫陰性/DRD陰性(25例):3%(0~7)、閾値15% (2)HR陰性/免疫陰性/DRD陰性(23例):13%(3~23)、閾値15% (3)免疫陽性(47例):65%(47~83)、閾値40% (4)免疫陰性/DRD陽性(11例):24%(4~44)、閾値40% (5)HR+(42例):18%(6~30)、閾値15% (6)HR-(64例):44%(32~56)、閾値40%・(3)の免疫陽性のサブタイプ(HR+もHR-も含む)のみが第III相試験へ進むための「卒業」の閾値に到達した。・安全性プロファイルは既知のものと同様であった。多く発現した有害事象(AE)は、悪心、口内炎、疲労、発疹、便秘、脱毛などで、Grade3以上のAEはまれであった。間質性肺疾患は1例に発現した。

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早期子宮体がんへのホルモン療法、40歳未満では全摘術と長期予後に差がない可能性/ASCO2024

 子宮体がんの罹患者が増加し、女性の出産年齢の高年齢化が進む中で、妊孕性を温存するためにホルモン療法への関心が高まっているが、長期予後に関するデータは限られている。米国のNational Cancer Database(NCDB)登録データを用いて、ホルモン療法と子宮全摘術の長期予後を比較した後ろ向き解析結果を、米国・コロンビア大学の鈴木 幸雄氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。・対象:NCDBに登録された、18~49歳、臨床病期I、Grade1~2で、1次治療としてホルモン療法あるいは子宮全摘術を受けた早期子宮体がん患者(ホルモン療法あるいは子宮全摘術前に放射線療法あるいは化学療法を受けている患者は除外)・評価項目:ホルモン療法の使用傾向(全体集団:1万5,849例)、生存期間(傾向スコアマッチングコホート:2,078例) 主な結果は以下のとおり。・2004~20年に診断され、1次治療としてホルモン療法を受けた1,187例(7.5%)、子宮全摘術を受けた1万4,662例(92.5%)の、計1万5,849例の患者が特定された。・ホルモン療法の使用は、2004年の5.2%から2020年には13.8%に増加した(p<0.0001)多変量モデルでは、年齢の若さ、診断年の新しさ、非白人、腫瘍悪性度の低さ、臨床病期早期がホルモン療法の使用と関連していた(すべてp<0.05)。・診断時の年齢、人種、診断年、臨床病期、腫瘍悪性度などを共変量とした傾向スコアマッチング後の2,078例を対象として、1次治療としてホルモン療法を受けた患者と子宮全摘術を受けた患者の予後が比較された。・2年生存率はホルモン療法群98.6% vs.子宮全摘術群99.4%、5年生存率は96.8% vs.98.5%、10年生存率は92.7% vs.96.8%で子宮全摘術群で有意に高かった(ハザード比[HR]:1.84、95%信頼区間[CI]:1.06~3.21)。・年齢別にみると、40~49歳では2年生存率は96.0% vs.100.0%、5年生存率は90.4% vs.99.4%、10年生存率は79.1% vs.97.1%で子宮全摘術群で有意に高かった(HR:4.94、95%CI:1.89~12.91)。一方で40歳未満では、2年生存率は99.2% vs.99.4%、5年生存率は98.2% vs.98.5%、10年生存率は95.6% vs.96.5%で両群の差はみられなかった。・臨床病期および腫瘍悪性度別に層別化したサブグループ解析の結果、ホルモン療法と子宮全摘術の予後に有意な差はみられなかった。 鈴木氏は、ホルモン療法の適応が不明であることや、がん特異的生存をみているわけではないことなど本研究の限界を挙げたうえで、40歳未満ではホルモン療法と子宮全摘術の10年生存率に差はみられず、一方で40~49歳ではホルモン療法の予後は不良であったとまとめている。

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進行胃・食道胃接合部がんの1次治療、tislelizumab+化学療法vs.プラセボ+化学療法/BMJ

 進行胃・食道胃接合部がんの1次治療として、抗PD-1抗体tislelizumab+化学療法化学療法単独との比較において全生存期間(OS)の改善に優れることが示された。中国医学科学院のMiao-Zhen Qiu氏らRATIONALE-305 Investigatorsによる第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「RATIONALE-305試験」の結果で、PD-L1 TAP(tumor area positivity)スコア5%以上の患者集団および無作為化された全患者集団のいずれにおいても、OSの有意な延長が認められた。進行胃・食道胃接合部がんの1次治療として、プラチナ製剤+5-FUの併用化学療法単独では生存転帰が不良であり、抗PD-1抗体の上乗せを検討した先行研究では、一貫したOSベネフィットは示されていない。そのため、抗PD-1療法のOSベネフィットおよびPD-L1発現状況によるOSベネフィットの違いについては、なお議論の的となっていた。BMJ誌2024年5月28日号掲載の報告。PD-L1 TAPスコア5%以上の患者集団、無作為化全患者集団のOSを評価 RATIONALE-305試験は、2018年12月13日~2023年2月28日に、アジア、欧州、北米の146医療センターで行われた。 被験者は、全身療法未治療のHER2陰性、切除不能な局所進行または転移のある胃・食道胃接合部がんの18歳以上の患者で、PD-L1の発現状況は問わなかった。 研究グループは被験者を1対1の割合で、tislelizumab 200mg(3週ごと静脈内投与)+化学療法(治験担当医師の選択でオキサリプラチン+カペシタビン、またはシスプラチン+5-FU)を受ける群またはプラセボ+化学療法を受ける群に割り付けた。層別化因子は、試験地、PD-L1発現状況、腹膜転移の有無、および治験担当医師の化学療法選択とした。治療は、病勢進行または許容不能な毒性の発現まで続けられた。 主要評価項目はOSで、PD-L1 TAPスコア5%以上の患者集団および無作為化全患者集団の両方で評価が行われた。安全性は、試験治療を少なくとも1回受けた患者集団で評価した。いずれの患者集団でもOSが有意に延長 2018年12月13日~2021年2月9日に1,657例がスクリーニングを受け、うち660例が不適格(適格基準を満たしていない、同意を撤回、有害事象またはその他の理由)とされ、997例がtislelizumab+化学療法群(501例)またはプラセボ+化学療法群(496例)に無作為化された。 tislelizumab+化学療法群は化学療法群と比べて、PD-L1 TAPスコア5%以上の患者集団(中央値17.2ヵ月vs.12.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.74[95%信頼区間[CI]:0.59~0.94]、p=0.006[中間解析時点の評価による])、無作為化全患者集団(15.0ヵ月vs.12.9ヵ月、0.80[0.70~0.92]、p=0.001[最終解析時点の評価による])の両者で、OSの統計学的に有意な延長が示された。 Grade3以上の治療関連有害事象は、tislelizumab+化学療法群では54%(268/498例)に、化学療法群では50%(246/494例)に認められた。

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切除可能な局所進行非小細胞肺がんに対するニボルマブの周術期治療の効果/NEJM (解説:中島淳氏)

 外科手術は遠隔転移のない非小細胞肺がんを根治するために、最も有効な手段である。しかし、病期が進むほど術後再発率は高く、現在の国内外の肺がん診療ガイドラインでは臨床病期IIIA期に手術適応の境界線が引かれている。 手術後の成績を改善させるために補助療法が考案されてきたが、今世紀に入り術後platinum-doubletを用いた補助化学療法、そして術前補助化学療法の有効性がそれぞれメタアナリシスによって確かめられたが、いずれも比較的軽微な予後改善にとどまっていた。近年になり分子標的阻害薬や抗PD-1、抗PD-L1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が、手術不適応進行非小細胞肺がんに対する従来の化学療法を上回る有効性が示されてから、これを手術補助療法に用いる臨床研究が盛んに行われるようになった。ICIによる術後補助療法、術前補助療法の有効性はすでに多くの臨床研究で明らかにされてきたが、この論文に示された研究では、術前と術後にニボルマブを用いた「周術期」補助療法が検討された。手術を挟んだ前後に行う治療は歴史的には「サンドイッチ療法」とも称され、他部位の固形がん治療で試みられてきた。 本研究(CheckMate-77T試験)は欧米・中国・日本などの多施設共同試験である。臨床病期II-IIIB期(UICC-AJCC第8版病期分類)、切除可能な非小細胞肺がん患者461例を対象とした前向き無作為化二重盲検試験であり、プライマリエンドポイントはevent-free survival(EFS)である。試験群にはニボルマブとplatinum doublet化学療法を術前に4サイクル(3週ごと)投与、術後はニボルマブを4週ごとに、最長1年間投与した。対照群にはplatinum doublet化学療法を術前に4サイクル(3週ごと)投与、術後はプラセボを4週ごとに最長1年間投与した。 中央値25.4ヵ月の追跡調査では、EFSは試験群70.2%、対照群50.0%であり、42%のリスク低減が観察された。4サイクルの術前治療が完遂できた割合はニボルマブ群85%、対照群89%、手術施行は78%、77%、術後補助療法は62%、65%に行われ、ニボルマブ投与の忍容性が確かめられた。 術前補助療法の意義は、腫瘍量を減らして完全切除率向上が期待されること、術後療法よりも忍容性が高いこと、および切除検体による補助療法の効果判定が行えることである。ICIの高い抗腫瘍効果が期待されるが、本研究では切除症例においてニボルマブ群のpathological complete response(pCR)率は25.3%であり、対照群の4.7%と比べて有意に高値であった。本研究では、2群ともにpCRが得られた症例では得られなかった症例と比べてEFSのハザード比(HR)が0.40、0.21であった。ICIは腫瘍のPD-L1発現量が高いほど効果が高いが、サブ解析ではがん組織におけるPD-L1発現が50%以上の症例ではEFSのHRが0.26と非常に低かったが、50%未満ではHRにおいて対照群と有意差はみられなかった。 術前補助療法の負の側面としては、補助療法に伴う合併症あるいは侵襲のために一般状態が低下して耐術不能となる、あるいは術前治療が無効で手術の機会を逸する危険性がある。本研究では、術前治療後の治療継続率に関しては2群間の有意差は認められず、その点では許容される治療であると判断された。 ニボルマブの術前・術後補助療法が、進行非小細胞肺がんの外科治療成績を向上させることは、本研究で明らかにされた。同様の研究はペムブロリズマブ(抗PD-1抗体:KEYNOTE-671試験)、デュルバルマブ(抗PD-L1抗体:AEGEAN試験)などでも行われており、いずれもICIの上乗せ効果が報告されている。 本研究では従来の報告と同様に、がん組織のPD-L1発現度が高い場合には有用性が高いが、逆も真であり、実臨床に応用するためには治療開始前にPD-L1発現度を検査する必要がある。術後ニボルマブ投与の必要性についてはどうだろうか。先行研究のCheckMate-816は、ニボルマブの術前投与の有効性に関する臨床研究であり、対照群は術前にplatinum-doubletと投与、試験群にはこれにニボルマブを加えて投与するという類似した研究である。対象にはcIB期が含まれ多少異なるが、ニボルマブ群のpCRは24.0%とほぼ同等であり、EFSは31.6ヵ月(対照群20.8ヵ月)であった。あくまで参考ではあるが、大きな違いはないように思われる。とくにpCRを達成した症例の術後ニボルマブ継続投与の意義については、医療経済の観点からも重要である。今後、術後投与群・非投与群を比較した試験が必要になるかもしれない。

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プラチナ+ICI既治療NSCLCへのSG、第III相試験結果(EVOKE-01)/ASCO2024

 プラチナ製剤を含む化学療法および免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療で病勢進行に至った非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療は、いまだにドセタキセルとなっており、治療成績は十分ではない。そのため、新たな治療法の開発が望まれている。そこで、既治療のNSCLC患者を対象として、Trop-2を標的とする抗体薬物複合体sacituzumab govitecan-hziy(SG)の有用性を検討する国際共同第III相比較試験「EVOKE-01試験」が実施された。スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis G. Paz-Ares氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)において、本試験の結果を報告した。なお、本発表の詳細はJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年5月31日号に同時掲載された1)。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:プラチナ製剤を含む化学療法およびICIによる前治療歴を有するNSCLC患者603例・試験群(SG群):SG(21日間を1サイクルとして、各サイクルの1、8日目に10mg/kg) 299例・対照群(ドセタキセル群):ドセタキセル(75mg/m2、3週ごと) 304例・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]治験担当医師評価に基づく無増悪生存期間(PFS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・ICIによる前治療への奏効率は、SG群35.5%、ドセタキセル群37.2%であり、actionableな遺伝子変異がある患者の割合は、それぞれ6.4%、8.2%であった。・データカットオフ時点(2023年11月29日)における追跡期間中央値は12.7ヵ月であった。・6ヵ月以上治療を継続した患者の割合は、SG群33.4%、ドセタキセル群17.4%であった。・主要評価項目のOSの中央値は、SG群11.1ヵ月、ドセタキセル群9.8ヵ月であり、SG群が良好な傾向にはあったが、統計学的有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.68~1.04、片側p=0.0534[片側有意水準α=0.0223])。1年OS率はそれぞれ46.6%、36.7%であった。・事前に規定されたOSのサブグループ解析において、組織型による差はみられなかったが、ICIによる前治療に奏効しなかったサブグループ(HR:0.75、95%CI:0.58~0.97)、actionableな遺伝子変異があるサブグループ(同:0.52、0.22~1.23)で、SG群が良好な傾向にあった。・ICIによる前治療に奏効しなかったサブグループにおけるOSは、組織型にかかわらずSG群が良好な傾向にあった。・PFS中央値は、SG群4.1ヵ月、ドセタキセル群3.9ヵ月であった(HR:0.92、95%CI:0.77~1.11)。・Grade3以上の有害事象は、SG群66.6%、ドセタキセル群75.7%に発現した。治療中止に至った有害事象は、それぞれ9.8%、16.7%に発現した。 Paz-Ares氏は「主要評価項目のOSについて、統計学的有意差は認められなかった。しかし、SG群はOSの数値的な改善を示し、ICIによる前治療に奏効しなかったサブグループでは、ドセタキセル群と比べてOSが3.5ヵ月改善した。SGは良好な安全性プロファイルを示し、忍容性はドセタキセルよりも高かった。以上から、SGは既治療の転移を有するNSCLC患者における有望な治療選択肢の1つであると言える」とまとめた。なおSGについては、ペムブロリズマブとの併用下における有用性を検討する第II相試験「EVOKE-02試験」、PD-L1高発現例の1次治療における有用性を検討する第III相試験「EVOKE-03試験」が進行中である。

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NSCLCにおけるamivantamabの皮下投与、静脈内投与との違いは?(PALOMA-3)/ASCO2024

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するamivantamabの皮下投与と静脈内投与を比較するPALOMA-3試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で、カナダ・Princess Margaret Cancer CentreのNatasha B. Leighl氏より発表された。 amivantamabは静脈内投与製剤として米国で開発されているが、投与時間の短縮などを目的として皮下投与における有用性が検討されている。本試験では、lazertinib併用下で、amivantamabの静脈内投与に対する皮下投与の薬物動態の非劣性などが確認された。・対象:EGFR変異陽性(ex19delまたはL858R)で、オシメルチニブとプラチナベースの化学療法後に進行したNSCLC患者・試験群(SC群、n=206):amivantamab皮下投与(体重に応じ1,600mgまたは2,240mg、最初の4週間は週1回、それ以降は隔週)+lazertinib経口投与(240mg、1日1回)・対照群(IV群、n=212):amivantamab静脈内投与(体重に応じ1,050mgまたは1,400mg、最初の4週間は週1回、それ以降は隔週)+lazertinib経口投与(240mg、1日1回)・評価項目:[主要評価項目]2サイクル目1日目もしくは4サイクル目1日目のトラフ濃度(Ctrough)、2サイクル目の血中濃度曲線下面積(AUCD1-D15)[副次評価項目]奏効率 (ORR) 、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間 (PFS) 、患者満足度、安全性[探索的評価項目]全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・薬物動態の評価項目(Ctrough、AUCD1-D15)は非劣性基準を満たした。・ORRはSC群30%(95%信頼区間[CI]:24〜37)、IV群33%(95%CI:26〜39)で、非劣性基準を満たした(相対リスク:0.92、95%CI:0.70〜1.23、非劣性のp=0.001)。・DOR中央値はSC群11.2ヵ月、IV群8.3ヵ月であった。・PFS中央値はSC群6.1ヵ月、IV群4.3ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.84、95%CI:0.64〜1.10、p=0.20)。・OSはSC群で長く(HR:0.62、95%CI:0.42〜0.92、名目上のp=0.02)、1年OS率はSC群65%、IV群51%であった。・インフュージョンリアクションの発現率はSC群で13%(Grade3以上0.5%)、IV群で66%(Grade3以上4%)と、SC群における発現率はIV群の約5分の1であった。・静脈血栓塞栓症(VTE)の発現率はSC群で9%、IV群で14%であった。・投与時間はSC群で中央値5分未満、IV群で2~5時間であった。 Natasha氏は本試験の結果を「amivantamabの静脈内投与と比較した場合の皮下投与の非劣性が示され、インフュージョンリアクションとVTEの発現率の低下が認められた」とまとめ、皮下投与への期待を述べた。

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sacituzumab tirumotecan、複数の治療歴のあるTN乳がんのPFSとOSを改善(OptiTROP-Breast01)/ASCO2024

 複数の治療歴がある進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、抗TROP2抗体薬物複合体sacituzumab tirumotecan(sac-TMT)が、医師選択による化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善した。無作為化第III相OptiTROP-Breast01試験の中間解析結果について、中国・Cancer Hospital Chinese Academy of Medical SciencesのBinghe Xu氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。・対象:転移に対する治療を含む2ライン以上の化学療法歴(タキサン含む)のある局所再発/転移を有するTNBC・試験群(sac-TMT群):sac-TMT(5mg/kg静注)2週ごと 130例・対照群(化学療法群):医師選択の化学療法(エリブリン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン)133例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[副次評価項目]OS、治験責任医師評価によるPFS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・年齢中央値は両群とも51歳、内臓転移ありはsac-TMT群88.5%/化学療法群85.0%、PD-1/PD-L1阻害薬による治療歴ありはsac-TMT群24.6%/化学療法群27.1%、前治療のライン数(中央値)はsac-TMT群3.0/化学療法群2.0であった。・BICRによるPFSは、追跡期間中央値5.1ヵ月(データカットオフ:2023年6月21日)での中間解析において、sac-TMT群で有意な改善がみられ、進行/死亡のリスクは69%低下した(ハザード比[HR]:0.31、95%信頼区間[CI]:0.22~0.45、p<0.00001)。中央値は、sac-TMT群で5.7ヵ月(95%CI:4.3~7.2)、化学療法群で2.3ヵ月(同:1.6~2.7)であった。また、すべてのサブグループにおいてsac-TMT群で改善していた。・TROP2高発現(Hスコア>200)患者において、BICRによるPFS中央値はsac-TMT群で8.3ヵ月、化学療法群で2.3ヵ月であった(HR:0.29、95%CI:0.19~0.46)。・OSは、追跡期間中央値10.4ヵ月(データカットオフ:2023年11月30日)での最初の中間解析において、sac-TMT群で有意な改善がみられ、死亡リスクが47%低下した(HR:0.53、95%CI:0.36~0.78、p=0.0005)。中央値はsac-TMT群は未到達(95%CI:11.2~NE)、化学療法群は9.4ヵ月(同:8.5~11.7)であった。・BICRによるORRは、sac-TMT群45.4%、化学療法群12.0%であった。・sac-TMTは管理可能な安全性プロファイルを示し、治療関連有害事象(TRAE)による投与中止例は1.5%だった。主なGrade3以上のTRAEは両群ともに血液毒性で、Sac-TMT群において、好中球数減少は32%(化学療法群47%)、貧血は28%(同6%)、白血球数減少は25%(同36%)に発現した。 Xu氏は、「本試験は、既治療のTNBCにおいてsac-TMTが有効な治療選択肢であることを示している」とした。現在、PD-L1陰性TNBCの1次治療におけるsac-TMT単剤での第III相試験、早期TNBCの術後補助療法におけるsac-TMT+ペムブロリズマブの第III相試験が進行中である。

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KRAS G12C変異大腸がんへのソトラシブ+パニツムマブ、OS最終解析(CodeBreaK 300)/ASCO2024

 前治療歴のあるKRAS G12C変異を有する転移大腸がん患者に対するソトラシブ+パニツムマブの有用性を検証するCodeBreaK 300試験。昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)では、本レジメンが医師選択化学療法群と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことが報告されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのMarwan Fakih氏が、全生存期間(OS)データを含む本試験の最終解析結果を発表した。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:化学療法抵抗性KRAS G12C変異を有する転移大腸がん患者、PS 0~2・試験群1:ソトラシブ960mgを1日1回+パニツムマブ6mg/kg(ソトラシブ960mg群)53例・試験群2:ソトラシブ240mgを1日1回+パニツムマブ6mg/kg(ソトラシブ240mg群)53例・対照群:治験責任医師が選択したTAS-102またはレゴラフェニブ(選択治療群)54例・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]OS、奏効率(ORR) 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値13.6ヵ月時点で82例が死亡した(ソトラシブ960mg群24例、ソトラシブ240mg群28例、選択治療群30例)。・OS中央値はソトラシブ960mg群で推定不能(95%信頼区間[CI]:8.6~推定不能)、ソトラシブ240mg群で11.9ヵ月(7.5~推定不能)、選択治療群で10.3ヵ月(7.0~推定不能)だった。・ソトラシブ960mg群の選択治療群に対するハザード比(HR)は0.70(95%CI:0.41~1.18)、ソトラシブ240mg群の選択治療群に対するHRは0.83(0.49~1.39)であった。・アップデートされたORRは、ソトラシブ960mg群30.2%、ソトラシブ240mg群7.5%、選択治療群1.9%だった。・奏効期間(DOR)中央値は、ソトラシブ960mg群10.1ヵ月、ほか2群は未達だった。 Fakih氏は「本試験においてOSは有意差を検出できなかったものの、ソトラシブ960mg群はOSが改善する傾向が示された。PFSおよびORRとともに、これらの結果は化学療法抵抗性KRAS G12C変異転移大腸がんに対するソトラシブ960mg+パニツムマブの使用を支持するものである」とした。

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HR+/HER2-転移乳がん、SG+ペムブロリズマブvs.SG(SACI-IO HR+)/ASCO2024

 既治療の切除不能な局所進行または転移を有するHR+/HER2-乳がんに対して、sacituzumab govitecan(SG)+ペムブロリズマブを、SG単独と比較した無作為化非盲検第II相SACI-IO HR+試験で、ペムブロリズマブ併用による無増悪生存期間(PFS)の有意な改善は認められなかった。米国・ダナファーバーがん研究所のAna Christina Garrido-Castro氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。 SGはトポイソメラーゼI阻害薬(SN-38)をペイロードとする抗TROP2抗体薬物複合体(ADC)で、その作用機序から抗PD-1抗体との相乗効果が期待されている。・対象:切除不能な局所進行または転移を有するHR+/HER2-乳がんで、転移後に1ライン以上の内分泌療法歴があるか、術後補助内分泌療法中もしくは12ヵ月以内に進行した患者(活動性脳転移のある患者、トポイソメラーゼI阻害薬ADC、イリノテカン、抗PD-1/L1抗体による治療歴のある患者は除外)・試験群(併用群):SG(1、8日目に10mg/kg静注)+ペムブロリズマブ(1日目に200mg静注)、21日ごと・対照群(SG群): SG単独・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]PD-L1陽性患者のPFS、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、奏効までの期間(TTOR)、臨床的有用率(CBR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・治療開始した104例(併用群52例、SG群52例)が解析に組み入れられた。・年齢中央値は57.0歳(範囲:27.0~81.0歳)、40例(38.5%)がPD-L1陽性(CPS≧1)、56例(69.1%)が術前/術後化学療法歴があり、51例(49.0%)が転移乳がんに対する1ラインの化学療法歴があった。・追跡期間中央値12.5ヵ月(データカットオフ:2024年3月9日)におけるPFS中央値は併用群が8.12ヵ月で、SG群の6.22ヵ月より数字上は延長したが、統計学的に有意ではなかった(ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.51~1.28、p=0.37)。・OSデータはimmatureであるが、OS中央値は併用群18.52ヵ月、SG群17.96ヵ月で有意な差は認められなかった(HR:0.65、95%CI:0.33~1.28、p=0.21)。・PD-L1陽性(CPS≧1)患者において、PFS中央値は併用群がSG群より4.4ヵ月長く(HR:0.62、95%CI:0.29~1.36、p=0.23)、OS中央値は6ヵ月長く(HR:0.61、95%CI:0.18~2.04、p=0.42)、どちらも有意ではないが併用群で改善傾向が認められた。・ORRは、併用群21.2%、SG群17.3%で有意な差はなかった(p=0.80)。また、CBR(p=0.84)、DOR(p=0.31)、TTOR(p=0.68)も有意な差は認められなかった。・主なGrade3以上のTEAE(治療中に発現した有害事象)は、併用群では好中球減少症(54%)、白血球減少症(23%)、リンパ球減少症(12%)、発熱性好中球減少症(6%)、貧血(6%)、下痢(6%)で、単独群では好中球減少症(44%)、貧血(10%)、悪心(10%)、下痢(8%)、白血球減少症(8%)、疲労(6%)、高血圧(6%)であった。 Garrido-Castro氏は、「これらの結果は、転移を有するPD-L1陽性HR+/HER2-乳がん患者におけるSG+ペムブロリズマブのさらなる検討を支持している。ADCと免疫チェックポイント阻害薬併用によりベネフィットが得られる予測因子を調査するために、追加の研究が必要である」と述べた。

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転移乳がんへのT-DXd、HER2-ultralowでもPFS延長(DESTINY-Breast06)/ASCO2024

 従来のHR陽性(+)かつHER2陰性の転移を有する乳がんのうち、約60~65%がHER2-low(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)、約20~25%がHER2-ultralow(膜染色を認めるIHC 0[IHC >0<1+])とされているため、約85%がトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が有用である可能性がある。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)において、HR+かつHER2-lowおよびHER2-ultralowで化学療法未治療の転移・再発乳がん患者を対象とした第III相DESTINY-Breast06試験の結果、T-DXdは化学療法群と比較して、有意に無増悪生存期間(PFS)を延長したことを、イタリア・ミラノ大学のGiuseppe Curigliano氏が発表した。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:転移に対する治療として1ライン以上の内分泌療法※を受け、化学療法は未治療の、HR+かつHER2-low(HER2-ultralowも含む)の転移・再発乳がん患者866例・試験群(T-DXd群):T-DXd(3週間間隔で5.4mg/kg)を投与 436例・対照群(TPC群):治験医師選択の化学療法(カペシタビンまたはパクリタキセル、nab-パクリタキセル)を投与 430例・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央判定(BICR)によるHER2-low集団のPFS[主要副次評価項目]BICRによるITT集団(HER2-lowおよびHER2-ultralow)のPFS、HER2-low集団およびITT集団の全生存期間(OS)・層別化因子:CDK4/6阻害薬の使用有無、HER2発現状況、転移がないときのタキサン使用有無・データカットオフ:2024年3月18日※内分泌療法:(1)2ライン以上の内分泌療法±分子標的薬、(2)初回の内分泌療法+CDK4/6阻害薬で6ヵ月以内に病勢進行、(3)術後の内分泌療法開始から24ヵ月以内に再発 のいずれか。 主な結果は以下のとおり。・866例がT-DXd群とTPC群に1対1に無作為に割り付けられた。年齢中央値はそれぞれ58.0歳(範囲:28~87)/57.0歳(32~83)、IHC 1+が54.8%/54.4%、IHC 2+/ISH-が26.8%/27.4%、内分泌療法抵抗性が29.4%/32.6%、診断時のde novoが30.5%/30.7%、骨転移のみありが3.0%/3.0%、内臓転移ありが86.2%/84.7%、肝転移ありが67.9%/65.8%であった。・TPC群では、カペシタビンが59.8%、nab-パクリタキセルが24.4%、パクリタキセルが15.8%に投与された。ITT集団(HER2-lowおよびHER2-ultralow):866例・ITT集団におけるPFS中央値は、T-DXd群13.2ヵ月、TPC群8.1ヵ月であり、T-DXd群で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.53~0.75、p<0.0001)。・12ヵ月OS率は、T-DXd群87.0%、TPC群81.1%であった。・全奏効率(ORR)は、T-DXd群57.3%(CRが3.0%)、TPC群31.2%(0%)であった。臨床的有用率(CBR)はそれぞれ76.6%、51.9%であった。HER2-low集団:713例・主要評価項目であるHER2-low集団におけるPFS中央値は、T-DXd群13.2ヵ月、TPC群8.1ヵ月であり、T-DXd群で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を認めた(HR:0.62、95%CI:0.51~0.74、p<0.0001)。・12ヵ月OS率は、T-DXd群87.6%、TPC群81.7%であった。・ORRは、T-DXd群56.5%(CRが2.5%)、TPC群32.2%(0%)であった。CBRはそれぞれ76.6%、53.7%であった。・HER2-low集団のすべてのサブグループ解析においてT-DXd群が良好な結果であった。HER2-ultralow集団:152例・HER2-ultralow集団におけるPFS中央値は、T-DXd群13.2ヵ月、TPC群8.3ヵ月であった(HR:0.78、95%CI:0.50~1.21)。・12ヵ月OS率は、T-DXd群84.0%、TPC群78.7%であった。・ORRは、T-DXd群61.8%(CRが5.3%)、TPC群26.3%(0%)であった。CBRはそれぞれ76.3%、43.4%であった。安全性・新たな安全性シグナルは確認されなかった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)は、T-DXd群40.6%、TPC群31.4%に発現した。T-DXd群で多かったGrade3以上のTEAEは、好中球減少症(20.7%)、白血球減少症(6.9%)、貧血(5.8%)などであった。・T-DXd群における薬剤関連間質性肺疾患の発現は11.3%で、Grade1が1.6%、Grade2が8.3%、Grade3が0.7%、Grade4が0%、Grade5(死亡)が0.7%であった。 これらの結果より、Curigliano氏は「本試験によって、T-DXdは、1種類以上の内分泌療法を受けたHR+かつHER2-lowおよびHER2-ultralowの転移・再発乳がん患者の新たな治療選択肢となった」とまとめた。

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転移大腸がん1次治療のニボルマブ+イピリムマブ、PFS2も良好(CheckMate 8HW)/ASCO2024

 肺がん、胃がんなど幅広い固形がんで有用性が報告されているニボルマブ+イピリムマブのレジメン。本レジメンの転移大腸がん1次治療における有用性を検証するCheckMate 8HW試験では、2024年1月に行われたASCO-GIにおいて、ニボ+イピが化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことがすでに報告されている。5月31日~6月4日に行われた米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・南カリフォルニア大学のHeinz-Josef Lenz氏が本試験のPFSの追加解析結果を報告した。・試験デザイン:多施設共同ランダム化非盲検第III相試験・対象:高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)切除不能または転移大腸がん(mCRC)、ECOG 0~1・試験群(ニボ+イピ群):ニボルマブ(240mg)+イピリムマブ(1mg/kg)を3週ごとに4サイクル後、ニボルマブ(480mg)を4週ごと投与 202例・対照群(化学療法群):医師選択による化学療法±標的療法 101例病勢進行または許容できない毒性が認められるまで(全群)、または最長2年間(ニボ+イピ群)継続。化学療法中に進行した患者はニボ+イピへのクロスオーバーを許可(試験にはニボ単剤群も設定されているが、今回の解析には含まれない)。・評価項目:[主要評価項目]PFS:1次治療におけるニボ+イピ群vs.化学療法群(今回の発表)、全期間におけるニボ+イピ群vs.ニボ単剤群[副次評価項目]安全性、PFS2(無作為化から後続全身療法後の病勢進行、2番目の後続全身療法の開始、あるいは死亡までの期間:今回の発表)、全生存期間(OS)など 主な結果は以下のとおり。・ニボ+イピ群(202例)または化学療法群(101例)に無作為に割り付けられた303例のうち、ニボ+イピ群171例、化学療法群84例がMSI-H/dMMRと確認された。・追跡期間中央値31.5ヵ月(SD 6.1~48.4)時点のPFS中央値は、ニボ+イピ群が未到達(95%信頼区間[CI]:38.4~未到達)、化学療法群が5.9ヵ月(95%CI:4.4~7.8)、ハザード比(HR)は0.21(97.91%CI:0.13~0.35、p<0.0001)で、ニボ+イピ群が有意に延長した。設定されたすべてのサブグループでも同様の結果だった。・ニボ+イピ群20例(12%)、化学療法群57例(68%)が後続全身療法に移行した。化学療法群は56例(67%)が免疫療法を受け、うち39例(46%)は試験中にニボ+イピにクロスオーバーし、17例(20%)は試験外の免疫療法を受けた。・後続全身療法を含めたPFS2中央値はニボ+イピ群で未到達、化学療法群で29.9ヵ月、HRは0.27(95%CI:0.17~0.44)とクロスオーバー後もニボ+イピ群が優位であり、1次治療でニボ+イピを実施する有用性が示された。1年PFS2率はニボ+イピ群89%、化学療法群65%、2年PFS2率はニボ+イピ群83%、化学療法群52%だった。・Grade3/4の治療関連有害事象はニボ+イピ群で46例(23%)、化学療法群で42例(48%)発生し、ニボ+イピ群で2例の治療関連死亡があったが、新たな安全性シグナルは確認されなかった。 Lenz氏は「化学療法と比較した1次治療のニボ+イピの臨床的利点は、その後の治療後も維持され、新たな安全性の懸念は確認されなかった。これらの結果により、MSI-H/dMMR大腸がん患者に対する1次治療としてニボ+イピがさらに支持される」とした。ニボ+イピ群とニボ単剤群との比較データは今後発表される。

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食道腺がん、周術期化学療法が術前化学放射線療法を上回る(ESOPEC)/ASCO2024

 切除可能な局所進行食道腺がんに対する世界的な標準治療は、術前化学放射線療法(CROSS療法)+手術とされてきた。一方、切除可能な胃がんに対しては、周術期化学療法(FLOT療法)+手術といった新たな治療戦略の開発が進められている。これらの両治療戦略を直接比較した第III相ESOPEC試験の結果、FLOT療法がより優れた治療成績を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)のPlenary Sessionにおいて、ドイツ・ビーレフェルト大学のJens Hoeppner氏が本試験の詳細を報告した。・試験デザイン:多施設共同前向きランダム化比較試験・対象:cT1N+またはcT2-4a、cN0/+、cM0の切除可能食道線がん患者・試験群(FLOT群):術前化学療法(5-FU/ロイコボリン/オキサリプラチン/ドセタキセル、8週ごと4サイクル)+手術+術後化学療法 221例・対照群(CROSS群):術前化学放射線療法(41.4Gy、カルボプラチン/パクリタキセル、5週ごと5サイクル)+手術 217例・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、術後病理学的病期、術後合併症など 主な結果は以下のとおり。・2016年2月~2020年4月、ドイツの25施設から438例が2群にランダムに割り当てられた(FLOT群221例、CROSS群217例)。ベースライン時の特性は男性89.3%、年齢中央値63歳(SD 30~86)、cT3/4 80.5%、cN+79.7%だった。・術前補助療法は403例(FLOT群207例、CROSS群196例)、手術は371例(FLOT群191例、CROSS群180例)で行われた。うち351例(FLOT群180例、CROSS群171例)でR0切除が達成された。・術後90日死亡率は4.3%(FLOT群3.2%、CROSS群5.6%)であった。追跡期間中央値55ヵ月時点で218例が死亡した(FLOT群97例、CROSS群121例)。・OS中央値は、FLOT群66ヵ月(95%信頼区間[CI]:36~推定不能)、CROSS群37ヵ月(95%CI:28~43)であった。・3年OS率は、FLOT群57.4%(95%CI:50.1~64.0)、CROSS群50.7%(95%CI:43.5~57.5)であった(HR:0.70、95%CI:0.53~0.92、p=0.012)。・腫瘍縮小グレードが判明している359例のうち、FLOT群35例(18.3%)、CROSS群24例(13.3%)で病理学的完全奏効(pCR)が達成された。 Hoeppner氏は「FLOT療法+手術はCROSS療法+手術と比較して、OSを改善した。今後はFLOT療法を優先して選択すべきだろう」とした。日本では現在の標準治療が欧米とは異なるため、即時の治療戦略変更につながることはなさそうだが、食道がんにおいて術前化学療法の有用性が検証されたことは、今後の上部消化管腫瘍領域における治療戦略の検討に影響を与えそうだ。

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医療用麻薬って、一生飲み続けるのですか?【非専門医のための緩和ケアTips】第77回

第77回 医療用麻薬って、一生飲み続けるのですか?患者さんから、そして医療者向けのレクチャーにもしばしば聞かれる質問の1つに、「医療用麻薬って一生飲むのですか?」というものがあります。そんな時、どう答えるのがよいでしょう? 一緒に考えてみたいと思います。今回の質問先日、がん疼痛が強くなってきた患者さんにオピオイドを処方しようとした際のこと。不安にならないよう丁寧に説明して、必要性は理解してもらいました。その際、「この薬って一生飲み続けるのでしょうか?」と尋ねられました。比較的全身状態の保たれた患者さんでしたが、病状は進行すると考え、「そうです」とは答えたのですが、これでよかったのでしょうか?終末期に近い病状の患者さんを診ている場合、オピオイドの減量や中止を経験することは、あまりないかもしれません。この中であり得るパターンとしては、「内服で継続していたオピオイドが身体状況の悪化で飲めなくなり、痛みも訴えていないことや投与量自体があまり多くないことから、そのまま中止」というものがあります。このような場合、多くは1週間程度で亡くなる経過をたどります。こうした場合以外は、それなりの投与量のオピオイドを急に中止してしまうと、退薬症状が生じる懸念があります。そのため、「内服できない」といった状況が生じれば、皮下投与や静脈投与に投与経路を変更して投与を継続することが一般的です。では、「がん疼痛自体が軽減したので、オピオイドを減量・中止する」という機会はあるのでしょうか? 悪性疾患の特性上、病状の進行に伴い症状も強くなる場合が大半ですが、少ないながらもオピオイドが不要になるケースは存在します。具体的な例としては、「がん疼痛が強く、大量のオピオイドが必要だったが、オピオイド“以外”の介入によって、症状が改善した」というケースです。たとえば、「放射線治療や化学療法が奏効し、痛みの主要因であった病変が縮小・消失した」場合には、オピオイドの中止の可能性が出てきます。この場合、オピオイドは「鎮痛薬以外の治療を行うために一時的に使用した」という役割になります。さらに、痛みは改善しているのにそのままの量を処方し続ければ、過量投与になる恐れがあります。「放射線治療をしていたら、傾眠傾向になってきた…」といった時には、オピオイドが過量になってないかを検討しましょう。さて、最初の質問に対して、私はどのように答えているでしょうか?私自身は上記のような医学的な説明をする前に、「どういった気掛かりからの質問なのか」を確認しています。こうした質問が出る場合、相手には何らかの懸念があることが一般的です。たとえば、「長期間使用すると依存症になってしまうのではないか?」「医療費がずっとかかるのではないか?」といったことです。相手の気掛かりを確認したうえで、「病状や症状によっては、オピオイドの減量や中止に至るケースもあります」と説明することもあります。ただ、こうした場合でも「あまり多くはないですが…」といった枕詞を置くなど、過度に期待させないよう配慮します。そのうえで、「できるだけ症状が和らぐように、ベストだと思われる調整を提案します」とお伝えします。今回のTips今回のTipsオピオイドの減量・中止が必要となるケースを知り、患者さんの気掛かりに対応しよう。

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HER2+進行乳がん1次療法、エリブリン+HP vs.タキサン+HP(JBCRG-M06/EMERALD)/ASCO2024

 日本で実施された第III相JBCRG-M06/EMERALD試験の結果、HER2陽性(+)の局所進行または転移を有する乳がんの1次療法として、トラスツズマブ+ペルツズマブ+エリブリン併用療法は、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサン併用療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)が非劣性であったことを、神奈川県立がんセンターの山下 年成氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。 現在、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンは、HER2+の再発・転移乳がんに対する標準的な1次療法である。しかし、タキサン系抗がん剤による浮腫や脱毛、末梢神経障害などは患者QOLを低下させうるため、同等の有効性を有し、かつ副作用リスクが低い治療法の開発が求められていた。そこで山下氏らは、非タキサン系の微小管阻害薬エリブリンをトラスツズマブ+ペルツズマブと併用した場合の、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンに対する非劣性を評価するために本研究を実施した。・試験デザイン:多施設共同ランダム化非盲検非劣性第III相試験・対象:進行・転移に対する化学療法(T-DM1を除く)未治療のHER2+乳がん患者446例・試験群(エリブリン群):21日サイクルで、エリブリン1.4mg/m2(1・8日目)とペルツズマブ+トラスツズマブ(1日目)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続・対照群(タキサン群):21日サイクルで、ドセタキセル75mg/m2(1日目)またはパクリタキセル80mg/m2(1・8・15日目)とペルツズマブ+トラスツズマブ(1日目)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間、全生存期間(OS)、患者報告の健康関連QOL、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2017年8月~2020年4月に、エリブリン群224例、タキサン群222例に無作為に割り付けられ、2022年4月まで追跡された。追跡期間中央値は35.7ヵ月(範囲:0.3~66.5)であった(データカットオフ:2023年6月30日)。・ベースライン時の年齢中央値はエリブリン群56.0歳(範囲:27~70)/タキサン群57.0歳(32~70)、閉経後が67.9%/76.6%、ER+が57.1%/58.1%、de novo StageIVが58.0%/59.9%、周術期のタキサン治療歴ありが31.7%/30.2%、内臓転移ありが65.2%/65.8%であった。・主要評価項目であるPFS中央値は、エリブリン群14.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.7~16.2)、タキサン群12.9ヵ月(95%CI:10.8~15.6)であった。ハザード比(HR)は0.96(95%CI:0.76〜1.19、p=0.6817)であり、95%CIの上限値が非劣性マージン(1.33)を下回ったため、エリブリン群の非劣性が示された。・ORRは、エリブリン群76.8%(CRが11.6%)、タキサン群75.2%(13.5%)であった。・OS中央値は、エリブリン群は未達、タキサン群は65.3ヵ月であった(HR:1.09、95%CI:0.76~1.58、p=0.7258)。・試験治療下における有害事象は、エリブリン群93.3%(うちGrade3以上が58.9%)、タキサン群96.3%(59.2%)に発現した。好中球減少症(エリブリン群61.6%、タキサン群30.7%)と末梢神経障害(61.2%、52.8%)はエリブリン群で多く、下痢(36.6%、54.1%)と浮腫(8.5%、42.2%)はタキサン群で多かった。・末梢神経障害がエリブリン群で多かったのは、エリブリン群のほうが投与期間が長かったことに起因していると推測された(投与期間中央値:エリブリン28.1ヵ月、ドセタキセル18.1ヵ月、パクリタキセル20ヵ月)。 これらの結果より、山下氏は「本研究は、HER2+の局所進行・転移乳がんの1次療法として、トラスツズマブ+ペルツズマブと併用した場合の、エリブリンのタキサンに対する非劣性を示した初めての研究である。トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンと同等の効果を有する代替治療として、トラスツズマブ+ペルツズマブ+エリブリンは第1選択となる可能性がある」とまとめた。

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転移乳がんへのDato-DXd、とくに注目すべきTRAEの発現率は?(TROPION-Breast01)/ESMO BREAST 2024

 化学療法の前治療歴のある手術不能または転移を有するHR陽性(+)/HER2陰性(-)の乳がん患者を対象として、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)と医師選択化学療法の有効性と安全性を比較した第III相TROPION-Breast01試験の安全性解析の結果、Dato-DXd群ではGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)の発現は半数以下で、投与中断/減量に至る割合が少なく、とくに注目すべきTRAE(AESI)として規定されていた口内炎/口腔粘膜炎、眼表面障害、薬剤関連間質性肺疾患(ILD)はいずれも低Gradeであったことを、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのKomal Jhaveri氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。 これまでの本試験の解析において、Dato-DXd(6mg/kgを3週ごと:365例)は、医師選択化学療法(エリブリン、ビノレルビン、カペシタビン、ゲムシタビン:367例)よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長し、かつ忍容性も高かったことが報告されている。今回の発表では、副次評価項目である安全性に関する結果が詳細に報告された。なお、毒性管理ガイドラインでは、洗口液の使用(入手可能であればステロイド洗口液の使用が強く推奨)や口腔内の冷却、目薬の使用やコンタクトレンズの使用中止が推奨されていた。 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2023年7月17日)時点で、治療期間中央値は、Dato-DXd群6.7ヵ月、化学療法群4.1ヵ月であった。・全GradeのTRAEの発現率は、Dato-DXd群の93.6%に対して化学療法群は86.3%でDato-DXd群が高かったが、Grade3以上のTRAEはDato-DXd群20.8%、化学療法群44.7%でDato-DXd群が半数以下であった。減量/中断に至ったTRAEの割合もDato-DXd群のほうが低かった。・AESIに規定されていた口内炎/口腔粘膜炎は、Dato-DXd群の55.6%に発現し、Grade1が25.3%、Grade2が23.3%、Grade3が6.9%であった。減量に至ったのは13.3%、中断に至ったのは1.4%、中止に至ったのは0.3%であった。発現までの期間の中央値は22日、消失までの期間の中央値は36.5日であった。・眼表面障害は、Dato-DXd群の40.0%に発現し、Grade1が31.9%、Grade2が7.2%、Grade3が0.8%であった。減量および/または中断に至ったのは3.3%、中止に至ったのは0.3%であった。発現までの期間の中央値は65日、消失までの期間の中央値は67日であった。眼表面障害は主に3サイクルごとの眼科検診によって評価され、50%以上がドライアイであった。・薬剤関連ILDは、Dato-DXd群の3.3%に発現し、Grade1が1.4%、Grade2が1.1%、Grade3以上が0.8%であった。減量に至ったのは0.3%、中断に至ったのは0.8%、中止に至ったのは1.4%であった。発現までの期間の中央値は84.5日、消失までの期間の中央値は28日であった。・臨床的関心の高いTRAEに規定されていた好中球減少症はDato-DXd群10.8%(Grade3以上1.1%)および化学療法群42.5%(30.8%)、貧血は11.1%(1.1%)および19.7%(2.0%)、白血球減少症は7.2%(0.6%)および17.1%(6.8%)に発現した。・その他のTRAEとして、悪心はDato-DXd群51.1%(Grade3以上1.4%)および化学療法群23.6%(0.6%)、下痢は7.5%(0%)および12.3%(1.1%)、脱毛症は36.4%(Grade1が21.4%、Grade2が15.0%)および20.5%(Grade1、2ともに10.3%)、末梢神経障害は3.6%(Grade3が0.3%)および13.7%(0.6%)に発現した。 Jhaveri氏は「これらの結果は、化学療法の前治療歴のある手術不能または転移を有するHR+/HER2-の乳がん患者に対して、Dato-DXdが新たな治療選択肢となる可能性をさらに裏付けるものである」とまとめた。

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Ph陽性ALLの1次治療、減弱化学療法下のポナチニブvs.イマチニブ/JAMA

 新たに診断されたフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph陽性ALL)成人患者において、ポナチニブはイマチニブと比較し、強度減弱化学療法併用下で導入療法終了時の微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)率が有意に高く、優越性が認められた。安全性プロファイルはイマチニブと同等であった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのElias Jabbour氏らが、77施設で実施された第III相国際共同無作為化非盲検比較試験「PhALLCON試験」の結果を報告した。Ph陽性ALLの1次治療では、第1世代または第2世代のBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性獲得による病勢進行が一般的であるが、ポナチニブはBCR-ABL1およびT315Iを含むすべての単一変異体を阻害する第3世代のチロシンキナーゼ阻害薬である。JAMA誌オンライン版2024年5月9日号掲載の報告。未治療Ph陽性ALL患者、ポナチニブ群またはイマチニブ群に2対1に無作為化 研究グループは、新たにPh陽性ALLと診断されたECOG PSが2以下の成人患者をポナチニブ(1日1回30mg)群またはイマチニブ(1日1回600mg)群に2対1の割合で無作為に割り付け、強度減弱化学療法と併用投与し、20サイクル終了後は各単剤投与を、有効性の減弱、許容不能な毒性発現または造血幹細胞移植(HSCT)の開始まで行った。 ポナチニブ群では、導入療法終了時以後、MRD陰性CRが得られた時点で15mgに減量し、MRD陰性が消失した場合は30mgに漸増した。なお、3サイクル終了時にMRD陰性CRが得られなかった患者は、試験治療を中止した。 主要評価項目は、寛解導入(3サイクル)終了時のMRD陰性CRで、BCR-ABL1≦0.01%(MR4)かつ4週以上の血液学的CRと定義した。 重要な副次評価項目は、無イベント生存期間(EFS)で、死亡、寛解導入療法終了時点までにCR未達、CRからの再発と定義された。MRD陰性CR率は34.4% vs.16.7% 2019年1月~2022年5月に、245例(年齢中央値54歳、女性133例[54.3%])が無作為化され、このうち中央検査にてp190/p210が確認された232例(ポナチニブ群154例、イマチニブ群78例)が主要評価項目の解析対象集団に含まれた。 追跡期間中央値20.1ヵ月(データカットオフ2022年8月12日)において、MRD陰性CR率はポナチニブ群34.4%(53/154例)、イマチニブ群16.7%(13/78例)であり、ポナチニブ群が有意に約2倍高かった(相対リスク:2.06[95%信頼区間[CI]:1.19~3.56]、リスク差:0.18[95%CI:0.06~0.29]、p=0.002)。 EFSについては、事前に規定されたイベント数に達しておらず、EFS中央値はポナチニブ群未到達、イマチニブ群29.0ヵ月であった。 有害事象の発現率はポナチニブ群とイマチニブ群で同程度であり、Grade3または4の試験治療下における有害事象(TEAE)はそれぞれ85.3%、87.7%、治療関連有害事象(TRAE)は65.6%および59.3%であった。閉塞性動脈イベントの発現率は低く、ポナチニブ群2.5%、イマチニブ群1.2%であった。

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ゾルベツキシマブ併用化学療法への適切な制吐薬の対応/日本癌治療学会

 5月22日に薬価収載された「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を適応症とする抗Claudin18.2抗体薬ゾルベツキシマブ(商品名:ビロイ)。本薬はCLDN18.2陽性(免疫染色にて75%以上のがん細胞において発現が2+以上)の治癒切除不能な進行・再発の胃がんの治療成績の向上が期待される。その一方で、臨床試験の段階で催吐性が高いことも報告されていた。 この背景を踏まえ、今回、制吐薬適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループの青儀 健二郎氏(同 委員長)らは、ゾルベツキシマブの導入に際し、日常診療において適切な制吐療法を遅滞なく行うことができるよう、『HER2陰性CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対するゾルベツキシマブ併用一次化学療法における制吐療法』に関する速報1)を日本癌治療学会のホームページに公開した。 この速報では、臨床試験結果の概要、ゾルベツキシマブ併用化学療法の催吐リスク、悪心・嘔吐の発現時期などについて詳細に触れられているが、本稿では制吐薬適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループからの提言に焦点を当ててお伝えする。制吐薬の投与タイミング、適切な治療薬は? 適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループは、ゾルベツキシマブが日常診療に導入されるに際して、患者のQOLの維持や治療継続のために、以下の点に注意して適切な制吐療法を行うよう提言している。―――――――――――――――――――・ゾルベツキシマブの催吐性は標的に対するon-targetの有害事象である。・ゾルベツキシマブを併用する化学療法(フッ化ピリミジン系抗がん剤+オキサリプラチン)レジメンの催吐性については、高度催吐性リスクに分類するのが妥当であると考えられる。・悪心・嘔吐は、ゾルベツキシマブ投与開始1時間以内に発現することが多いため、一次予防・早期対応が必要である。とくに初回はゾルベツキシマブの投与量が多いため注意が必要である。2回目以降の悪心・嘔吐の発現頻度は低下するが、初回だけでなく点滴速度を含めた適切な制吐療法を継続して行うことが重要である。・併用されるフッ化ピリミジン系抗がん剤+オキサリプラチンは中等度催吐性リスクであることから、一次予防を目的とした制吐療法として5-HT3受容体拮抗薬+NK1受容体拮抗薬+ステロイドの3剤併用は必須である。治験では「3剤併用療法+others」において最も良好な傾向が認められたが、「others」として何を用いるかについては一定しておらず、抗ヒスタミン薬やオランザピンなどが使われていた。・ただし、これまでの制吐療法の臨床試験では抗ヒスタミン薬の制吐作用は明らかではなく、治験に参加した医師の考察ではあるが、抗ヒスタミン薬による眠気が制吐効果をもたらした可能性もある。・ゾルベツキシマブによる悪心・嘔吐は投与後早期から発現することが多いため、通常行われている化学療法当日の夕方もしくは眠前のオランザピン投与では、ゾルベツキシマブによる急性期の悪心・嘔吐への対応策とならないことに注意が必要であり、オランザピンの前日眠前や当日朝の投与の追加も考えられる。また、ドパミンD2受容体拮抗薬もレスキュー薬も適宜使用する。・悪心・嘔吐発現時の対処法として制吐薬はどの組み合わせでも約半数で悪心・嘔吐がみられたため、制吐薬以外の対応方法も求められる。ゾルベツキシマブの投与速度と催吐性の関連性があり、点滴速度によって催吐性が異なる(中断や速度低下により軽減する)ことが経験されているため、点滴速度の調整を適切に行う必要がある。初回投与時には点滴速度を遅くして開始し、悪心・嘔吐に注意しながら徐々に速度を上げて、悪心・嘔吐発現時には中断、速度を下げるなど柔軟に対応し、個々の患者での適正な投与速度を見つけることが重要である。このように速度調節を行うために長時間の点滴時間を要する可能性を考慮して、とくに初回投与時には入院での治療を提案してもよいと思われる。・遅発期の悪心・嘔吐については結果が公表されていないが、治験に参加した医師によると、遅発期にも悪心・嘔吐がみられたため、高度催吐性リスクに対する制吐療法として推奨されている遅発期での制吐目的のためのオランザピン併用が望ましい。・治験において、ゾルベツキシマブ/プラセボの減量は認められていなかったため、悪心・嘔吐対策としてのゾルベツキシマブの減量は慎重に検討すべきである。・ゾルベツキシマブを含む化学療法の治療選択に際して、患者に十分な情報を提供し、担当医に加え、看護師、薬剤師などが多角的に継続的に関わり、自宅での悪心・嘔吐への対応などについて理解を得られるよう、安心して治療を受けられるようにすることが求められる。・ゾルベツキシマブを含む化学療法についての情報は治験など限定されているので、日常診療に導入される際には、効果や有害事象に関する患者のアウトカムについての情報を収集し、適切に対応することが求められる。――――――――――――――――――― なお、制吐薬適正使用ガイドラインは2023年に第3版へと改訂されたが、ゾルベツキシマブの制吐療法について、将来的に診療ガイドラインへの反映を予定しているという。 このほか、ゾルベツキシマブの臨床的な有用性や意義については、日本胃癌学会の速報2)を参照されたい。

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