サイト内検索|page:8

検索結果 合計:618件 表示位置:141 - 160

141.

急性期脳梗塞へのtirofiban、アスピリンより優れた改善/NEJM

 大・中脳血管の閉塞を伴わない急性期脳梗塞患者の治療において、糖蛋白IIb/IIIa受容体阻害薬tirofibanは低用量アスピリンと比較して、非常に優れたアウトカム(修正Rankin尺度[mRS]スコア0または1)が達成される可能性が高く、安全性には大きな差はないことが、中国・陸軍軍医大学のWenjie Zi氏らが実施した「RESCUE BT2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年6月1日号に掲載された。中国のダブルダミー無作為化試験 RESCUE BT2試験は、中国の117施設で実施された二重盲検ダブルダミー無作為化試験であり、2020年10月~2022年6月の期間に参加者のスクリーニングが行われた(中国国家自然科学基金の助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、大・中脳血管の閉塞を伴わない脳梗塞を有し、米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコアが5点以上で、少なくとも1肢に中等度~重度の脱力がみられ、以下の4つの臨床状態のいずれかに当てはまる患者であった。 (1)血栓溶解療法、血栓回収療法の適応がなく、最終健常確認から24時間以内、(2)発症後24~96時間の時点で脳梗塞症状の進行を認める、(3)血栓溶解療法後早期に、神経症状の増悪がみられる、(4)血栓溶解療法後4~24時間の時点で神経症状の改善がない。 被験者は、tirofiban静脈内投与+プラセボ経口投与を受ける群(tirofiban群)、またはアスピリン(100mg/日)経口投与+プラセボ静脈内投与を受ける群(アスピリン群)に無作為に割り付けられ、2日間の投与が行われた。その後は、全例に90日目までアスピリンが経口投与された。 有効性の主要エンドポイントは、90日時点における非常に優れたアウトカムとされ、mRSスコア(0[症状なし]~6[死亡]点)が0または1であることと定義された。主要エンドポイントの達成割合は予想より低い 1,177例が登録され、tirofiban群に606例(年齢中央値68.0歳、男性62.5%、NIHSSスコア中央値9.0点、脳梗塞発症または症状進行から無作為化までの時間中央値10.9時間)、アスピリン群に571例(68.0歳、65.3%、9.0点、11.2時間)が割り付けられた。ほとんどの患者が、アテローム性動脈硬化性と推定される小梗塞を有していた。 90日時にmRSスコア0または1を達成した患者の割合は、tirofiban群が29.1%(176/604例)と、アスピリン群の22.2%(126/567例)に比べ、有意に優れた(補正後リスク比:1.26、95%信頼区間[CI]:1.04~1.53、p=0.02)。 90日時の総合アウトカム(mRSスコア0/1、NIHSSスコア0/1、Barthel指数95~100点、Glasgowアウトカム尺度5点の統合)(共通オッズ比[OR]:1.38、95%CI:1.07~1.78、p=0.01)は、tirofiban群で良好であったが、90日時のmRSスコア中央値(共通OR:1.23、95%CI:1.00~1.51、p=0.06)には有意差はみられなかった。 死亡は、tirofiban群が3.8%(23/604例)、アスピリン群は2.6%(15/567例)で認められ、両群間に有意な差はなかった(補正後リスク比:1.62、95%CI:0.88~2.95、p=0.12)。症候性頭蓋内出血は、tirofiban群が1%(6/606例)で発現し、アスピリン群では発現しなかった(p=0.03)。 著者は、「非常に優れたアウトカムの達成割合は、両群とも予想より低かった。これは、参加者の多くが大学病院以外の施設で募集されたため、脳梗塞後の院外リハビリテーションを受けなかった可能性があり、機能回復が限定的であったことが原因と推察される」としている。

142.

脳卒中後の回復の鍵は運動

 脳卒中後の回復には、運動が重要である可能性を示すデータが報告された。脳卒中発症後の6カ月間に運動量を増やして継続していた患者は、そうでない患者よりも機能的転帰が良好だったという。ヨーテボリ大学(スウェーデン)のDongni Buvarp氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に5月1日掲載された。同氏は、「脳卒中の重症度にかかわりなく、運動量を増やすことでメリットを得ることができる」と話している。 この研究は、2014年10月~2019年6月に、スウェーデンの35の医療機関が参加して実施された、抗うつ薬の有効性を検証した臨床研究のデータを用いて行われた。研究参加者は脳卒中発症後2~15日に登録された18歳以上の患者1,367人〔年齢中央値72歳(四分位範囲65~79)、男性62%〕。主要評価項目は、運動量の経時的な変化であり、副次的に6カ月後の機能回復の程度(mRSスコア)が評価された。 6カ月の追跡期間中に身体活動量が増加していた群720人(53%)と、減少していた群647人(47%)に二分し、交絡因子を調整後に比較すると、脳卒中の重症度(NIHSSスコア)は、脳卒中後の運動量の増減と有意な関連がなかった。その一方、男性であることと認知機能が正常であることが、運動量が増加することと有意に関連していた。また、脳卒中後の運動量の増加は、6カ月後の機能的転帰が良好なこと(mRSスコアが2点以下)と、有意に関連していた〔調整オッズ比2.54(99%信頼区間1.72~3.75)〕。 Buvarp氏によると、脳卒中後の治療には、少なくとも週に4時間の軽い運動が理想的だという。運動の種類としては、散歩やガーデニング、釣り、卓球、ボーリング、自転車などが良いとのことだ。「身体活動は脳と体の双方の能力を高め、脳卒中後の回復を助ける。さらに、アクティブなライフスタイルは脳卒中患者の可動性を高め、転倒、うつ病、心臓病のリスクを軽減する」と話している。 この報告に関連して、米ロングアイランド・ジューイッシュ・フォレストヒルズ病院のRohan Arora氏は、「運動は脳卒中後の回復に不可欠である。運動中には脳の正常な部分が働いて、脳卒中でダメージを負った部位の代わりを果たそうとする。つまり運動は、脳卒中後の脳を再プログラムするように働く」と解説する。 しかし同氏によると、脳卒中後には運動しようという意欲そのものを失っている患者も存在するとのことだ。そして、「そのような患者に対して活動的になるように促すのも、医師の仕事の一部だ」と話す。そのような働きかけの結果、運動を始めると、「脳内で心地良いという情報を伝える物質が増加し、それによってモチベーションが高まり、回復へとつながっていく」のだという。ただ、Arora氏は、「運動は脳卒中後の患者の回復を促し、脳卒中の再発リスクを下げるための一つの手段に過ぎない。禁煙と標準体重の維持、健康的な食事も重要だ」と付け加えている。

143.

心臓病の家族歴がありながら運動習慣により長期間健康を保った女性

 米国カリフォルニアに住んでいたJana Turnerさんは、自分の人生を常にコントロールしているという感覚を楽しみながら生活していた。結婚せず子供のいない彼女は、仕事のキャリアを最優先事項とし、企業の経営を担う身ともなっていた。 彼女はまた、自分の健康もコントロールしていた。両親と4人の祖父母の全員が心臓病で亡くなっていたため、健康的な食事を取り、身体活動を維持し、痩せ気味の体型を保っていた。ゴルフやサイクリング、ハイキング、ウエートトレーニングも続けていたし、コレステロールを下げる薬も服用していた。 2020年5月、当時65歳だった彼女は、自宅付近を歩いている時に胸の痛みを感じ始めた。彼女は息を鎮めるために15分ほど縁石に座っていた。心臓発作が起きたのではないかと考え主治医の診察を受けたが、心電図上にその兆候は見られないとの結果だった。主治医は消化器系の問題と判断しその薬を処方。しかし症状は数週間持続。そのため次に、消化器科を受診すると、小さな潰瘍が発見された。ただし、ほかにも多くの症状があったため、さらに別の消化器専門医に診てもらったところ、その医師はニトログリセリンを処方した上で、心臓専門医に診てもらった方が良いとアドバイスした。 心臓専門医は、心臓核医学検査を施行。その翌朝、医師から伝えられたのは、「冠動脈の少なくとも1カ所に閉塞がある」という結果だった。さらに詳しい検査が行われ、1本の冠動脈主幹部に99%以上の閉塞があり、別の冠動脈にも閉塞が見つかった。それら2カ所にバイパスを作成するための開心術が必要と判断された。Turnerさんの現在の主治医であるAnne-Marie Feyrer-Melkさんは、「閉塞が99%の場合、猶予はほとんどない。もしプラークが破裂したら、その先はほんの一瞬のことだ」と解説する。Turnerさんはセカンドオピニオンを求めようとしたが、医師は「その時間はない」と彼女に答えた。彼女は涙をこらえきれなくなった。それはコロナパンデミック中に起きたことであり、病院の訪問規制のために誰も相談できる人はなく、彼女は1人で決断しなければならなかった。 手術はうまくいった。6日後に自宅退院し、それからは心臓リハビリテーションに励み、近所の散歩や階段の昇降もした。「私の場合、回復は順調だった」と彼女は語る。Feyrer-Melkさんによると、Turnerさんの若い時からの運動療法の継続が、彼女の迅速な回復に役立ったという。そして、「彼女がもし成人後の45年間、ジムなどで運動をしていなかったとしたら、恐らく数十年前にバイパス術が必要な状態になっていただろう」と解説する。 約1年後、彼女はカリフォルニアからアリゾナに引っ越し、新しい心臓専門医を予約した。そこで受けた検査の結果、バイパスの狭窄を指摘された。バイパス手術では、体の別の部分から採取した血管を使って血行を再建するが、その血管もまた狭くなってしまうことがある。「死にたいと思ったのは、それが初めてのことだった」とTurnerさんは振り返る。しかし医師は楽観的で、それほど深刻な問題ではないと伝えた。結局、再度バイパス手術を行うのではなく、ステントを留置することでこの問題をクリアできた。 完全な健康状態に戻ったTurnerさんは、自分に起こった問題の原因を探した。心臓病の濃厚な家族歴があったにもかかわらず、症状発現から正しい診断を受けるまでに、とても長い時間がかかったことが腹立たしく感じた。彼女は今、自分の経験からほかの人に学んでもらいたいと思っている。「あなたの症状を無視しないでほしい。心臓に何か問題があると感じた時は、心臓専門医に診てもらうことが重要だ。それがあなたの命を救うことになる」と語る。 心臓病を経験したことでTurnerさんは一時期、以前のように人生をコントロールできるという感覚を失っていた。不安に苛まれたり、緊張して動悸を感じたり、感情的になりやすくなった。しかし、仕事量を減らし、広大な風景に囲まれた家を売却して手ごろなコンドミニアムに転居したことで状況が変わった。「現在の私はこの新居に夢中だ。心臓病を経験したことは、今を自由に生きる術を私に与えてくれたと感じている」。[2023年4月20日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.

144.

顔面神経麻痺診療ガイドライン 2023年版

ガイドラインに進化した顔面神経麻痺診療のバイブル誕生!『顔面神経麻痺診療の手引2011年版』を、Bell麻痺・Hunt症候群・外傷性顔面神経麻痺を対象に、『ガイドライン』として大改訂。日本顔面神経学会認定の「顔面神経麻痺治療医」、「顔面神経麻痺リハビリテーション指導士」のテキストで、リハビリテーション治療・形成外科的治療・鍼灸治療・その他の治療内容を詳しく解説します。システマティックレビューに基づいたCQも充実。顔面神経麻痺の治療がどこまで確立しているか、どのような点が不足しているのかも明確化される教科書になっています。顔面神経診療に携わるすべての方々に必読の1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    顔面神経麻痺診療ガイドライン 2023年版定価3,300円(税込)判型B5判頁数176頁(図数:37枚)発行2023年5月編集日本顔面神経学会

145.

事例024 外反母趾の治療装具採寸の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、傷病名に対する「J129-3 治療用装具採寸法」(以下「同法」)を行ったところD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。査定理由を把握するために同法の留意事項をみてみました。「既製品の治療用装具を処方した場合には、原則として算定できない。ただし、医学的な必要性から、既製品の治療用装具を処方するに当たって、既製品の治療用装具を加工するために当該採寸を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に医学的な必要性及び加工の内容を記載すること」とあります。この留意事項に従って医学的な必要性が記入されています。記入がない場合は有無なく査定となりますが、今回は医学的な必要性が記入されています。ところがよくみると、必要性のみであって、「及び」で結ばれる後段の加工の内容が記入されていません。したがって、必要十分な医学的な必要性と加工の内容が記入されていないとして査定となったことが推測できます。医師には、必ず後段の記入を頂けるようお願いして査定対策としました。参考までに、加工内容が既製品の単純な長さ調節などの表現のみでは査定対象となるようですのでご注意ください。

146.

第161回 止められない人口減少に相変わらずのんきな病院経営者、医療関係団体。取り返しがつかなくなる前に決断すべきこととは…(前編)

5月の連休、北海道のテレビが放送されている下北半島で考えたことこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。5月の連休、私は山仲間と青森県の八甲田山に行って来ました。豪雪で有名な酸ヶ湯温泉から地獄湯の沢を登って大岳(八甲田山の主峰です)、毛無岱を経て酸ヶ湯に戻る周回コース。幸い好天で残雪の春山を堪能できたのですが、やはりここ八甲田山でも雪は例年より少なく、地元の人は「季節が変わるのが2週間は早い」と話していました。八甲田山を登った後はレンタカーで下北半島巡りをしました。恐山霊場を参拝した後、下風呂温泉の宿に泊まったのですが、その宿のテレビでは北海道の民放が普通に放送されていました。もちろんCMも北海道の企業のものばかりです。下北半島の北エリアはテレビ的には青森ではなく距離が近い函館圏内、ということなのでしょう。ちなみにマグロで有名な下北半島の先端にある大間町と函館市の距離は直線(フェリー)で約46キロ、大間町と青森間は国道を使って約150キロです。となると仕事柄、医療提供体制についても気になるので、源泉かけ流しの温泉に浸かった後、ちょっと調べてみました。下北半島が位置する下北地域には4つの病院があります。基幹病院である一部事務組合下北医療センター・むつ総合病院(454床)以外は、国民健康保険大間病院(48床)、自衛隊大湊病院(30床)、むつリハビリテーション病院(120床)と、中小病院とリハビリ病院しかありません。実質的にむつ総合病院が、この地域の急性期医療を一手に引き受けていることになります。ただし、大間町からむつ市までは陸路で48キロもあり、距離的には函館とほぼ同じです。医療、とくに救急などの急性期医療に迅速に対応するには微妙な距離です。北海道のドクターヘリが自由に使えれば、ある意味”函館医療圏”と言ってもいいくらいでしょう。翌日我々は、人口減に苦しむ僻地の医療の大変さを実感しながら、約2時間半をかけてむつ市経由で青森まで車を走らせました。日本の人口、50年後の2070年には3,900万人減少し8,700万人にということで今回は、ゴールデンウイーク直前の4月26日に厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表した「将来推計人口」と、日本の医療提供体制への影響について書いてみたいと思います。「将来推計人口」は国勢調査を基に5年に1度公表する日本の人口の長期予測です。今回は新型コロナウイルスの影響で2017年4月以来、6年ぶりの公表となりました1)。それによれば、最も実現性の高いとされるケースで、2020年に1億2,615万人だった日本の人口は、50年後の2070年には3,915万人減少し、8,700万人になるとのことです。女性1人が生涯に産む子供の推定人数「合計特殊出生率」は2070年に1.36と推計されました(2020年は1.33)。推計には、日本に住む外国人も含まれ、933万人で人口の約1割になるとしています。人口が1億人を割るのは2056年で、前回推計の2053年より3年遅くなりました。そして2067年には9,000万人を下回るとしています。「生産年齢人口」は人口の52.1%まで減少65歳以上の高齢者の割合である高齢化率は2020年に28.6%だったのが、今後も上昇し2070年には38.7%まで高まるとしています。高齢者数のピークは前回推計では2042年の3,935万人でしたが、今回は1年遅い2043年の3,953万人となりました。15歳から64歳までの「生産年齢人口」は2020年で7,509万人(全人口の59.5%)だったものが、2070年には4,535万人、全人口の52.1%まで減少するとしています。ただし、外国人の流入もあり、前回(4,281万人)よりは働き手を多く確保できる推計となっています。平均寿命は2020年で男性81.58歳、女性87.27歳だったものが、2070年には男性85.89歳、女性91.94歳にまで延びるとしています。人口が減れば医療・介護のマーケットは縮小、今以上の人手不足が起こる以上が、最新の「将来推計人口」の概要です。6年前の推計と比べ、人口1億人割れの時期は3年遅くなったものの、日本の人口減の勢いはまったく弱まらないようです。人口が減るということは、都道府県、市町村の人口が減り、医療・介護のマーケット(つまり患者数)が縮小、同時に、労働集約型産業の側面が大きい医療・介護の分野での人手不足が今以上に深刻になることを意味します。日本の医療の現場では現在、そうした事態に備えた準備を着実に進めていると言えるでしょうか。私は2つの側面からみて、現場の医療者の多くはまだまだ他人事として、のんきに構えているようにしか見えません。遅々として進まない病院の役割分担の明確化や再編成に向けての動き1つ目の側面は医療提供体制における、病院の役割分担の明確化や再編成、病床削減などの取り組みです。将来の地域の医療提供体制(医療機関の役割分担)を形づくる国の仕組みとしては、医療法で定められた「医療計画」と「地域医療構想」があります。医療計画は現在、各都道府県で第8次医療計画(2024〜28年)の策定が進められています。地域医療構想については当面は策定された2025年の目標に向けての取り組みが進められていることになっています(次の地域医療構想は2040年頃を視野に入れつつ策定予定ですが、詳細は未定)。しかし、大規模な再編が本格化しようとした矢先、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こり、地域の病院再編は先延ばしとなってしまいました(「第32回 遅れに遅れた地域の病院再編、コロナに乗じた「先延ばし」はさらなる悲劇に」参照)。コロナ禍で、補助金などにより一時的に地域の公立・公的病院の経営状況が上向いたことや、地域の病院病床の必要性が”再確認”されたこともあり、病院の役割分担の明確化や再編成に向けての動きは活発化していません。実際、財務省もそんな状況にやきもきしています。4月28日に開かれた医療や介護など社会保障分野の改革を検討する政府のワーキンググループにおいて、財務省は地域医療構想について「過去の工程表と比較して進捗がみられない」「目標が後退していると言われかねない」などと指摘しています。山形県米沢市では公立、民間が病院機能を再編するケースももっとも、そんな中でも先を見越し、大胆な再編計画を進める地域もあります。厚生労働省が3月1日に開いた第11回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループでは、山形県米沢市でのユニークな取り組みが紹介されました。米沢市では、米沢市立病院(322床)と民間(一般財団法人 三友堂病院)の三友堂病院(185床)と三友堂リハビリテーションセンター(120床)の再編計画が進行中です。3つの病院の機能分化と連携強化を推し進め、急性期は米沢市立病院が、それ以外の回復期や慢性期などは三友堂病院が担うことにしたのです。また、各病院とも老朽化が進んでいたことから、現在、米沢市立病院がある敷地に三友堂病院(三友堂リハビリテーションセンターを統合)が移転し、通路を挟んでそれぞれが新病院を建設することになりました。開院予定は今年11月です。人口減と高齢化を背景に、公と民の病院が生き残りを賭けたこの計画、病床数は米沢市立病院が59床減の263床、三友堂病院が106床減の199床になる予定です。公立病院と民間病院の組み合わせということで完全な統合はせず、それぞれ経営が独立したまま「地域医療連携推進法人」を設立し、人材交流や物資の共同利用を進める方針です。この連載でも地域医療連携推進法人については度々書いてきましたが、公立・公的と民間というように、経営母体が違う法人同士の連携を進める上では、使い勝手の良い制度と言えるでしょう(「第138回 かかりつけ医制度の将来像 連携法人などのグループを住民が選択、健康管理も含めた包括報酬導入か?」参照)。ちなみに、この米沢市のケースを想定してか、国の認定再編計画に基づいて再編を行う病院同士を併設する場合、施設や構造設備を共用できるのは「再編対象病院が同一の地域医療連携推進法人に参加していること」とする厚生労働省医制局長通知(医政発0331第10号「病院の併設について」)が今年の3月31日に発出されています。相変わらずのんきな日本医師会、日本薬剤師会「自分たちだけは大丈夫」と考え、依然再編には無関心の病院経営者も少なくないようですが、このケースのように高齢化、人口減、患者減、医師・看護師などの医療者確保難が深刻化している地域では、ドラスティックな再編に乗り出す医療機関がこれからも増えることでしょう。しかし一方で、相変わらずのんきなのは日本医師会や日本薬剤師会といった医療関係団体のトップです。人口減が招くであろう人材難に対する危機感が希薄過ぎるのです。(この項続く)参考1)日本の将来推計人口(令和5年推計)/国立社会保障・人口問題研究所

147.

第146回 テドロス氏、新型コロナ緊急事態宣言終了を発表/WHO

<先週の動き>1.テドロス氏、新型コロナ緊急事態宣言終了を発表/WHO2.第8次医療計画、医師偏在の解消のため医師確保計画を強化へ/厚労省3.健康保険法改正でかかりつけ医機能は強化されるか?/内閣府4.2024年診療報酬・介護報酬改定に向けた議論開始/厚労省5.医師偏在対策、新規開業希望者や金融機関にも外来医師偏在指標の明示へ/厚労省6.介護ロボットで介護サービスの生産性向上と人手不足解消を/厚労省1.テドロス氏、新型コロナ緊急事態宣言終了を発表/WHO世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、5月5日に「新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言を終了する」と発表した。この宣言は、ワクチンの普及により死者数が大幅に減少したことに基づくもので、約3年3ヵ月の期間を経て終了となった。ただし、ワクチン接種などの感染対策を通じたウイルスとの共存が今後の課題とされており、専門家からは、緊急事態宣言の解除により各国の対策が緩む可能性や、新たな変異株の出現による感染者や死者の増加リスクに注意が必要との懸念も示されている。WHOはこれまでに計7回の緊急事態宣言を行っており、今回の終了宣言により世界中で新型コロナウイルスの位置付けは変わる。WHOの集計によれば、新型コロナによる死者数は5月初めの時点で700万人弱とされ、実際、少なく見積もっても2,000万人の死亡推定がなされるなど、今後もウイルスの変異や感染の動向に対する警戒が必要となる。(参考)WHOテドロス氏「悲劇繰り返さぬよう」 コロナ緊急事態宣言終了(毎日新聞)WHO、新型コロナ緊急事態の終了を宣言 テドロス事務局長が表明(朝日新聞)WHOの緊急事態宣言とは コロナ以外も、計7回(同)WHO、新型コロナ緊急事態宣言終了を発表 3年3カ月(日経新聞)2.第8次医療計画、医師偏在の解消のため医師確保計画を強化へ/厚労省厚生労働省は、2024年度から第8次医療計画が開始されことに先立ち「第8次医療計画等に関する検討会」を開催し、2022年12月に意見の取りまとめを行った。これを基に3月31日に「医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」に付随する「医師確保計画策定ガイドライン」と「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」を改定した。医療計画に「医師確保計画」が含まれているのは、医師の偏在により医療計画が進捗しないため、2019年度に医療計画に新たに「医師確保計画」として3次医療圏間および2次医療圏間の偏在是正による医師確保対策などを定め、2020年度から取り組みが行われてきた。しかし、2020年度以降も「医師偏在」が進行しているとして、第8次医療計画では「医師確保計画」をさらに強化し、厚生労働省では2036年までに医師偏在是正の達成を目指している。医師偏在格差の是正の取り組みについて、各都道府県が2次医療圏を、医師多数区域(医師偏在指標に照らし上位3分の1)、中間の区域、医師少数区域(同下位3分の1)に3区分に分類する。そして、上位の医師多数区域と中間区域について、医師偏在の助長を回避するため、目標医師数は、原則として、計画開始時の医師数を設定上限数として、格差是正のため、医師多数区域では、圏域外からの医師確保は行わず、逆に医師少数区域に医師を派遣するように求め、中間の区域では、圏域内に「医師少数スポット(限定的ながら医師が少ない地域)」がある場合は他の2次医療圏からの医師派遣を受ける、医師少数区域医師多数の区域(他の2次医療圏)から医師派遣などを受けるなどで、医師確保計画の効果の測定・評価を行っていく。今回の計画策定では、2024年4月に施行される「医師に対する時間外・休日労働時間の上限規制」を踏まえて、「医師の働き方改革」と「地域医療構想」「医師確保」の取り組みを一体的に推進することになる。(参考)医師確保計画策定ガイドライン~第8次(前期)~(厚労省)医師偏在指標について(同)医師確保計画の見直しに向けた意見のとりまとめ(同)第8次医療計画等に関する意見のとりまとめ(同)2024年度から強力に「医師偏在解消」を推進!地域の「すべての開業医」に夜間・休日対応など要請-厚労省(Gem Med)3.健康保険法改正でかかりつけ医機能は強化されるか?/内閣府子育て支援策を含む「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」は、衆議院で賛成多数で可決され、現在参議院で審議が行われている。この法案は、全世代型社会保障構築会議のこれまでの議論を取りまとめ、昨年12月16日に全世代型社会保障構築会議報告書の形で内閣府に提出された内容を反映しており、岸田総理が異次元の少子化対策を打ち出したこども・子育て支援の拡充のほか、高齢者医療を全世代で公平に支え合うことを目的に高齢者医療制度の見直し、医療保険制度の基盤強化のほか、かかりつけ医機能の4つが含まれている。通常国会への同改正法案の提出後の2月24日に第13回全世代型社会保障構築会議が開催された。元厚生労働省の香取 照幸氏から「全世代型社会保障構築会議報告書の内容と法案との対比~報告書の内容はどこまで法案に反映されているか~」という資料が提出、議論された。この中で、かかりつけ医機能につき、かかりつけ医については「患者による選択」がコンセンサスであることが確認された。また、今回の法案の「かかりつけ医機能の定義」や「かかりつけ医機能報告の対象は慢性疾患を有する高齢者に限定」されていることが問題であり、かかりつけ医機能はネットワークで実装することやそのための医療情報基盤の整備については不明のままであるなど問題点を指摘した香取氏は、「今回の制度改正はあくまで『かかりつけ医機能が発揮される制度整備』の第一歩であるとして、引き続き必要な制度整備・政策遂行に尽力してほしい」と意見を述べた。今後、本法案の国会可決後に、厚生労働省は具体化に向け、各方面から意見を集め、令和7年4月にかりつけ医機能報告制度は創設される予定。(参考)全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について(内閣府)第13回 全世代型社会保障構築会議(同)第13回 全世代型社会保障構築会議 議事録(同)全世代型社会保障構築会議報告書(同)全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(医療法改正部分)について(同)4.2024年診療報酬・介護報酬改定に向けた議論開始/厚労省2年に1度の診療報酬改定と3年に1度の介護報酬改定が同時になる2024年春。同時改定に向けた議論が厚生労働省で始まっている。厚生労働省は、中央社会保険医療協議会と社会保障審議会・介護給付費分科会の主要メンバーを交えた令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会を今年の3月から開始している。3月15日に開催された第1回では、地域包括ケアシステムのさらなる推進のための医療・介護・障害福祉サービスの連携やリハビリテーション、要介護者などの高齢者に対応した急性期入院医療について話し合われた。この中で従来から求められてきた「医療・介護」の連携だけでなく、「医療・介護と障害福祉サービスとの連携」まで踏み込んだ形で議論が行われており、入院前からの情報連携や、医療や介護職とケアマネジャーとの情報提供の強化によりケアの継続性・連続性を担保する仕組みの強化が必要といった意見も出されている。また、4月19日に開催された第2回では、高齢者施設・障害者施設などにおける医療、認知症について話し合われ、急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきといった意見のほか、感染対策向上加算の合同カンファレンスに介護施設の参加を求める意見などが出されている。今後は5月に、「人生の最終段階における医療・介護や訪問看護など」をテーマに第3回が開催される予定。これらの意見を基に来年度の診療報酬改定、介護報酬改定に向けた具体的な政策が盛り込まれていくとみられる。2024年はほかにも医療介護総合確保方針、第8次医療計画、介護保険事業(支援)計画、医療保険制度改革などの医療と介護に関わる関連制度の一体改革にとって大きな節目であることから、今後の医療および介護サービスの提供体制の確保に向けさまざま視点から、大規模な改正が見込まれ、医療・介護現場において対応が求められる。(参考)令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第1回)令和5年3月15日(厚労省)令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)令和5年4月19日(同)感染対策向上加算の要件である合同カンファレンス、介護施設等の参加も求めてはどうか-中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)(Gem Med)急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきで、認知症対応力向上や情報連携推進が必須要素-中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)(同)要介護高齢者の急性期入院医療、介護・リハ体制が充実した地域包括ケア病棟等中心に提供すべきでは-中医協・介護給付費分科会の意見交換(同)5.医師偏在対策、新規開業希望者や金融機関にも外来医師偏在指標の明示へ/厚労省厚生労働省は、3月31日に「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」を公表した。この中で診療所医師数が一定程度充足している地域について、外来医師偏在指標の値が全2次医療圏の中で上位33.3%に該当する2次医療圏を「外来医師多数区域」と設定し、新規開業希望者に対して外来医師の偏在の状況を理解した上で開業について判断を促すため、外来医師多数区域については都道府県のホームページに掲載するなど工夫をするほか、医療機関のマッピングのデータなども参考資料として提供する。また、これらのデータは資金調達を支援する金融機関や開業支援を行っている医薬品卸売販売業者、医療機器販売業者、薬局にもアクセスが可能となるようにする。さらに「外来医師多数区域」での新規開業希望者に対して、地域で不足する外来医療機能を担うことを求めるため、新規開業者の届出様式には、地域で不足する外来医療機能を担っていくことに合意する記載欄を設け、2次医療圏ごとに設けられる協議の場(地域医療構想調整会議などが想定されている)において合意の状況を確認する。また、新規開業希望者が求めに応じない場合には協議の場への出席を求めるとともに、協議結果などを住民などに対して公表することになる。この第8次(前期)外来医療計画に基づく、外来医師の偏在解消の取組みは2024年度から各都道府県で開始される見込み。(参考)外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン~第8次(前期)~(厚労省)外来医師偏在指標(2019年)(同)外来医師偏在の解消に加え、「かかりつけ医機能の明確化、機能を発揮できる方策」の検討も進める-第8次医療計画検討会(1)(Gem Med)6.介護ロボットやICTの導入で介護サービスの生産性向上/厚労省厚生労働省は、4月27日に社会保障審議会・介護給付費分科会を開催し、テクノロジー活用などによる生産性向上の取り組みに係る効果検証について議論を行った。この中で、介護ロボットやICT機器、介護助手の導入により、「介護サービスの質を下げずに介護従事者の負担を軽減できる」という可能性の実証研究が示された。介護ニーズの増加と現役世代人口の減少により、介護従事者の人手不足が深刻化しており、介護サービス事業者からは人員配置基準の緩和を求める意見が上がってきているが、介護施設の規模なども考慮して、人員配置基準の緩和には慎重に検討する必要があるとした。厚生労働省は、今回の検証結果や議論を含めて、来年春の介護報酬改定の参考にするとみられる。(参考)第216回 社会保障審議会介護給付費分科会(厚労省)テクノロジー活用等による生産性向上の取組に係る効果検証について(同)介護施設での見守り機器など活用、効果実証 厚労省(CB news)介護ロボット・助手等導入で「質を下げずに介護従事者の負担軽減」が可能、人員配置基準緩和は慎重に-社保審・介護給付費分科会(2)(Gem Med)

148.

5月2日 カルシウムの日【今日は何の日?】

【5月2日 カルシウムの日】〔由来〕丈夫な骨を作るために欠かせない「カルシウム」を摂ることの大切さを多くの人に知ってもらうことを目的に、骨(コ[5]ツ[2])の語呂合わせからワダカルシウム製薬が制定。関連コンテンツ高齢糖尿病患者の骨折リスク、骨粗鬆症にどう対応する?【高齢者糖尿病診療のコツ】カルシウム製剤について【患者説明用スライド】カルシウムを含む食材は何【患者説明用スライド】カルシウムってなあに?【患者説明用スライド】

149.

間質性肺疾患の緩和ケア、日本の呼吸器専門医の現状を調査

 間質性肺疾患(ILD)は症状が重く、予後不良の進行性の経過を示すことがある。そのため、ILD患者のQOLを維持するためには、最適な緩和ケアが必要であるが、ILDの緩和ケアに関する全国調査はほとんど行われていない。そこで、びまん性肺疾患に関する調査研究班は、日本呼吸器学会が認定する呼吸器専門医を対象とした調査を実施した。その結果、呼吸器専門医はILD患者に対する緩和ケアの提供に困難を感じていることが明らかになった。本研究結果は、浜松医科大学の藤澤 朋幸氏らによってRespirology誌オンライン版2023年3月22日号で報告された。 日本呼吸器学会が認定する呼吸器専門医のうち、約半数に当たる3,423人を無作為に抽出し、ILDの緩和ケアの現状に関するアンケートを郵送した。アンケートは、「緩和ケアの現状や実施状況(5項目、27問)」「終末期のコミュニケーションの最適なタイミングと実際のタイミング(2問)」「緩和ケアに関するILDと肺がんの比較(6問)」「ILDの緩和ケアにおける障壁(31問)」で構成された。解析はアンケートに回答した医師のうち、過去1年以内にILD患者を診療した医師を対象とした。 主な結果は以下のとおり。・1,332人(回答率38.9%)がアンケートに回答し、そのうち、1,023人が過去1年以内にILD患者を診療していた。・大多数の医師が「ILD患者はしばしば、あるいは常に呼吸困難や咳の症状を訴える」と回答したものの、「緩和ケアチームへ紹介したことがある」と回答した医師は25%にとどまった。・緩和ケアチームへ紹介したことのない医師のうち、48%は「緩和ケアチームを利用できる環境にあるが、紹介したことはない」と回答し、33%は「緩和ケアチームを利用できる環境がなかった」と回答した。・終末期のコミュニケーションについて、実際のタイミングは最適と考えるタイミングよりも遅れる傾向にあった。・ILDの緩和ケアは、症状の緩和や意思決定において肺がんと比較して困難であった。・ILD患者は肺がん患者と比較して、呼吸困難に対してオピオイドが処方される頻度が少なかった。・ILDの緩和ケアに特有の障壁として、「予後を予測できない」「呼吸困難に対する治療法が確立されていない」「心理的・社会的支援が不足している」「患者やその家族がILDの予後の悪さを受け入れるのが難しい」といった意見が挙げられた。

150.

4月20日 腰痛ゼロの日【今日は何の日?】

【4月20日 腰痛ゼロの日】〔由来〕「腰(4)痛(2)ゼロ(0)」と読む語呂合わせから「420の会」代表の本坊 隆博氏が制定。腰痛で悩んでいる人をゼロにしたいとの思いが込められており、腰痛に対する対処法、予防法が指導されている。関連コンテンツ外来でできる肩こり・腰痛対策【Dr.デルぽんの診察室観察日記】腰部の痛み【エキスパートが教える痛み診療のコツ】腰痛診療ガイドライン2019発刊、7年ぶりの改訂でのポイントは?慢性腰痛の介入、段階的感覚運動リハビリvs.シャム/JAMA急性腰痛に筋弛緩薬は有効か/BMJ

151.

日本人統合失調症患者の職業機能に認知機能はどう関連しているか

 統合失調症患者の職業機能に対し、認知機能が影響を及ぼしていることが示唆されている。帝京大学の渡邊 由香子氏らは、日本人統合失調症患者の職業機能に対する認知機能の影響を評価するため、統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)を用いた研究を行った。その結果、統合失調症患者の職業機能は、全体的な認知機能と関連しており、とくにBACSのシンボルコーディングスコアが、作業能力と関連していることが示唆された。Neuropsychopharmacology Reports誌2023年3月号の報告。 対象は、統合失調症または統合失調感情障害の外来患者198例(女性:66例、平均年齢:34.5±6.8歳)。職業機能の評価には、精神障害者社会生活評価尺度の労働サブスケール(LASMI-w)を用いた。独立変数をBACS、従属変数をLASMI-wとし、重回帰分析を行った。LASMI-wスコアに応じて3群(11未満、11~20、21以上)に分類し、多重ロジスティック回帰を行った。 主な結果は以下のとおり。・重回帰分析では、LASMI-wスコアは、BACS複合スコアとの負の相関が確認された(β=-0.20、p<0.01)。・BACSのサブ項目の中で、シンボルコーディングスコアのみで有意な負の相関が認められた(β=-0.19、p<0.05)。・多重ロジスティック回帰では、BACS複合スコアとシンボルコーディングスコアが高いほど、職業機能障害の程度が小さいことが示唆された。 ●BACS複合スコア(β=2.39[職業機能障害レベル 軽度 vs.中等度]、p<0.05) ●BACSシンボルコーディングスコア(β=2.44[職業機能障害レベル 軽度 vs.重度]、p<0.05)・これらの結果は、就労支援を目的とした認知リハビリテーションの評価やトレーニングに役立つ可能性がある。

152.

第5回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会の開催について【ご案内】

 一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会は、5月13~14日に『第5回 AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会』を開催する。今回は、「Co-Creation ―対話からはじめる共創―」とし、長期的健康管理や身体活動性の維持、新規就労など社会とのつながりにおける課題、AYA世代と家族、終末期医療などAYA世代のがん医療を取り巻く多様な課題について取り上げる。大会長の渡邊 知映氏(昭和大学 保健医療学部)は、「この学術集会を通して、当事者と家族・医療者・支援者それぞれが向き合いながら、ときには立場を超えた対話をすることに挑戦したい」としている。 本研究会は、思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult,:AYA)のがん領域の学術活動、教育活動、社会啓発および人材育成などを行うことにより、わが国の思春期・若年成人がん領域における医療と支援の向上に寄与することを目的としている。 開催概要は以下の通り。【日時】現地開催:2023年5月13日(土)~14日(日)オンデマンド配信:5月下旬~6月末 予定※一部プログラムをオンデマンド配信【会場】昭和大学上條記念館〒142-0064 東京都品川区旗の台1丁目1番地20アクセスはこちら【会長】渡邊 知映氏(昭和大学 保健医療学部)【テーマ】Co-Creation ―対話からはじめる共創―【参加登録】下記URLから参加登録が可能https://eat-sendai.heteml.net/jcs/ayaken-cong5/regist/index.html【プログラム(抜粋)】会期前日5月12日(金) 19:00~20:30 ライブ配信(後日オンデマンド配信あり)市民公開講座 「AYA研ラジオ」AYA世代でがんを経験した患者さんから、そのエピソードを大会長と副大会長をMCに進行する予定。オンラインでどこからでもつながることができる。また、スペシャルなゲストも招く企画も進行中のため、乞うご期待!<5月13日(土)>シンポジウム1 「AYAがん患者における運動器障害マネジメント~がんであっても動きたい!」塚本 泰史氏(大宮アルディージャクラブアンバサダー 事業本部 社会連携担当)五木田 茶舞氏(埼玉県立がんセンター整形外科/希少がん・サルコーマセンター)岡山 太郎氏(静岡県立静岡がんセンター リハビリテーション科)パネルディスカッション1 「AYA世代がん患者と家族 親との関わりに着目して」前田 美穗氏(日本医科大学)山本 康太氏(東京ベイ・浦安市川医療センター 事務部総務課)枷場 美穂氏(静岡県立静岡がんセンター 緩和医療科)国際連携委員会企画米国におけるAYAがん支援プログラムの活動体制、支援内容、活動評価についてProf. Bradley J. Zebrack氏(University of Michigan School of Social Work)<5月14日(日)>シンポジウム2 「青年期および若年成人(AYA)がんサバイバーの長期的健康管理」三善 陽子氏(大阪樟蔭女子大学 健康栄養学部健康栄養学科 臨床栄養発育学研究室)志賀 太郎氏(がん研究会有明病院 腫瘍循環器・循環器内科)理事長企画おばさん(おじさん)どもに思春期なんてわかるもんか~コロナ世代のコミュニケーションと未来~大野 久氏(立教大学名誉教授)【主催】一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会【お問い合わせ】運営事務局 第5回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会E-mail: ayaken-cong.5@convention.co.jp

153.

第142回 サル痘の国内感染が拡大傾向、注意喚起/厚労省

<先週の動き>1.サル痘の国内感染が拡大傾向、注意喚起/厚労省2.セキュリティ対策求め、オンライン診療のガイドラインを改定/厚労省3.医療DXで診療報酬改定の医療機関の負担を軽減を/厚労省4.飲む中絶薬、病院での待機を条件に月内に承認か/厚労省5.再生医療の産業育成、重点化で後押し/経産省6.民間病院グループが民事再生法申請、負債総額132億円/千葉県1.サル痘の国内感染が拡大傾向、注意喚起/厚労省厚生労働省は、去年、欧米を中心に流行した「サル痘」(感染症法上の4類感染症)の感染が、今年に入って国内でも感染者が増加しているため、「発疹など感染が疑われる症状がある人は医療機関に相談してほしい」と呼びかけている。厚生労働省によると、国内では2022年7月に1例目の患者が確認され、その後散発的に発生が報告されていたが、2023年4月4日時点で95例の患者報告が集積している。なお、厚生労働省は、WHOの新たな病名「エムポックス」の推奨を受けて、今後病名を変更するため政令改正の手続きを行っている。(参考)サル痘について(厚労省)サル痘の感染増加、今年87人感染 厚労省「疑う症状は相談を」(朝日新聞)「サル痘」感染 国内でことしに入り増加 “医療機関へ相談を”(NHK)サル痘感染者、100人に迫る 厚労省「疑い症状相談を」(共同通信)2.セキュリティ対策求め、オンライン診療のガイドラインを改定/厚労省厚生労働省は、このほど医療機関を標的とするサイバー攻撃の増加を受けて、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を改訂した。この中で、厚労省は、医療機関側に対して、使用するオンライン診療システムが患者の医療情報が漏洩や改ざんがされないように情報セキュリティ対策を確認するように要請している。また、オンライン診療を計画するときは、患者に対してセキュリティリスクを説明し、同意を得なければならないなど記載が追加されている。(参考)オンライン診療の適切な実施に関する指針(厚労省)「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A(同)オンライン診療、セキュリティーの責任分界点確認を 厚労省が指針改訂(CB news)オンライン診療指針を改訂!「得られる情報が少ない」点を強調するとともに、過重なセキュリティ対策規定を見直し!-厚労省(Gem Med)オンライン診療の適切な実施に関する指針、2023年3月改訂版とQ&A更新(医療経営研究所)3.医療DXで診療報酬改定の医療機関の負担を軽減を/厚労省厚生労働省は、「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームを4月6日に持ち回り開催し、診療報酬改定DX対応方針案を公表した。令和6年度から医療DX工程表に基づいて、デジタル技術を最大限に活用し、共通算定モジュールの開発や共通算定マスタ・コードの整備と電子点数表の改善、標準様式のアプリ化とデータ連携などを行う。また、診療報酬改定の施行時期を後ろ倒しするなどで、中小病院や診療所などで負担となっている電子カルテなどのシステム改修コストを低減することを目的に、段階的に実装を目指す。(参考)第3回「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム(厚労省)診療報酬改定DX対応方針(案)(同)診療報酬施行後ろ倒しへ、夏までに時期決定 厚労省が対応方針(CB news)4.飲む中絶薬、病院での待機を条件に月内に承認か/厚労省先月、厚生労働省が審議する予定の妊娠初期の中絶に使用される経口妊娠中絶薬の「メフィーゴパック」(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール)[ラインファーマーズ]について、3月24日にパブリック・コメントが殺到したため、審議が見送りとなっていた。そして、今般、承認条件に新たに中絶が確認できるまで病院での待機を必須とする方向で検討していることが明らかとなった。厚生労働省は、インターネットや個人輸入により入手をしないよう、注意喚起を行っており、4月下旬に開催する薬事分科会で、製造販売の承認可否を審議する見通し。(参考)飲む中絶薬、病院待機を必須に 厚労省、月内にも承認審議(共同通信)ミフェプレックス(MIFEPREX)(わが国で未承認の経口妊娠中絶薬)に関する注意喚起について(厚労省)5.再生医療の産業育成、重点化で後押し/経産省経済産業省は、細胞・遺伝子治療分野が2030年まで年率30%の成長が見込まれるとして、再生医療を開発している研究機関や医療機関について、重要性が高い研究を行う拠点を重点的に補助金で支援する方針で、今年の春に公募を行い数ヵ所を決定する予定。一方、再生医療の安全性について懸念が高まっているため、日本再生医療学会は、再生医療認定医や上級臨床培養士、臨床培養士などの認定資格を持つ人が、医療機関内に一定数いることを要件とする医療機関の認定制度を発足させる方針であることが明らかになった。(参考)再生医療の治療・研究拠点に「お墨付き」、経産省が重点支援へ…3~5か所想定(読売新聞)再生医療「どの病院なら安全?」学会が認定へ 年内にも新たな制度(朝日新聞)2040年には市場が20倍? 注目の再生医療・細胞治療に匹敵する、世界初の発見(財経新聞)6.民間病院グループが民事再生法申請、負債総額132億円/千葉県千葉県で八千代病院や成田リハビリテーション病院を運営する医療法人社団心和会(四街道市)が、4月4日に東京地裁に民事再生法の適用を申請した。健診サービスのほか訪問介護ステーションの開設や積極的な多角経営を展開していたところ、新型コロナウイルスのクラスター発生などが影響したほか、前理事長の不動産トラブルなどで資金繰りが悪化し、経営状況では2021年から赤字となっていた。医療法人側は、診療体制を維持しながら、新たなスポンサーを探して事業譲渡を行う方針。(参考)「八千代病院」の医療法人が民事再生法申請 負債総額132億円 四街道・心和会 コロナ、不動産トラブルで資金繰り悪化(千葉日報)千葉県内で八千代病院など複数の病院を経営する(医)社団心和会が民事再生を申請(東京商工リサーチ)

155.

HFpEF診療はどうすれば…?(後編)【心不全診療Up to Date】第7回

第7回 HFpEF診療はどうすれば…?(後編)Key Points簡便なHFpEF診断スコアで、まずはHFpEFの可能性を評価しよう!HFpEF治療、今できることを整理整頓、明日から実践!HFpEF治療の未来は、明るい?はじめに近年、HFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)は病態生理の理解、診断アプローチ、効果的な新しい治療法の進歩があるにもかかわらず、日常診療においてまだ十分に認識されていない。そのような現状であることから、前回はまず最新の定義、病態生理についてレビューした。そして、今回は、その後編として、HFpEFの診断、そして治療に関して、最新情報を含めながら皆さまと共有したい。 HFpEFの診断スコアってご存じですか?呼吸苦や倦怠感などの心不全徴候を認め、EF≥50%でうっ血を示唆する客観的証拠を認めた場合、HFpEFと診断される1)。そのため、エコーでの拡張障害の評価はHFpEFを診断する上では必要がなく、またNa利尿ペプチド(NP)値が正常であっても、HFpEFを除外することはできないと前回説明した。では、具体的にどのようにして診断を進めていくとよいか、図1を基に考えていこう。(図1)HFpEFが疑われる患者を評価するためのアプローチ方法画像を拡大するまず、原因不明の労作時息切れを主訴に来院された患者に対して、病歴、身体所見、心エコー検査、臨床検査などからHFpEFである可能性を検討するわけであるが、その際に大変参考になるのが、診断のためのスコアリングシステムである。たとえば、米国で開発されたH2FPEFスコアでは、スコア5点以上であれば、HFpEFが強く疑われ(>80% probability)、1点以下であれば、ほぼ除外できる2)。ただし、NP値上昇や心不全徴候を認めるにも関わらず、H2FPEFスコアが低い場合は、アミロイドーシスやサルコイドーシスのような浸潤性心筋症など非典型的なHFpEFの原因疾患を疑う姿勢が重要である点も強調しておきたい(図2)。(図2)HFpEFを発症し得る治療可能な疾患画像を拡大するこれらのスコア算出の結果、HFpEFの可能性が中程度の患者に対しては、運動負荷検査が推奨される。運動負荷検査には、心エコー検査と右心カテーテル検査があるが、診断のゴールドスタンダードは、右心カテーテル検査による安静時および運動時の血行動態評価であり、安静時PAWP≥15mmHgもしくは労作時PAWP≥25mmHg(spine)、もしくは労作時PAWP/心拍出量slope>2mmHg/L/min(upright)を満たせば、HFpEFと診断できる3)。ただ、侵襲的な運動負荷検査は、どの施設でも気軽にできるものではなく、受動的下肢挙上や容量負荷といった代替的な検査法の有用性に関する報告もある4-6)。とくに心エコー検査にて下肢挙上後の左房リザーバーストレインの低下は、運動耐容能の低下とも関連していたという報告もあり、非侵襲的であることから一度は施行すべき検査手法と考えられる7)。なお、脈拍応答不全の診断については、Heart rate reserve([最大心拍数-安静時心拍数]/[220-年齢-安静時心拍数])を算出し、0.8未満(β遮断薬内服時は0.62未満)であれば、脈拍応答不全あり、と一般的に定義される8)。なお、私自身も現在、HFpEF早期診断のためのウェアラブルデバイス開発に取り組んでいるが、今後はより非侵襲的に診断できるようになることが切望される。そして、HFpEFであると診断した後、まず考えるべきことは『原因は何だろうか?』ということである。なぜなら、その鑑別疾患の中には治療法が存在するものもあるからである(図2)。アミロイドーシスを疑うような手根管症候群や脊柱管狭窄症を示唆する身体所見はないか、頚静脈もしっかり観察してKussmaul徴候はないか、心エコーにて中隔変動(septal bounce)や肝静脈血流速度の呼気時の拡張期逆流波はないか、スペックルトラッキングエコーによる左室長軸方向ストレイン(GLS, global longitudinal strain)のbullseye mapに特徴的なパターンがないか…など、ぜひご確認いただきたい9)。HFpEF治療の今、そして今後は?かかりつけ医の先生方にもご承知いただきたいHFpEF治療の流れを図でまとめたので、これを基にHFpEF治療の今を説明する(図3)。(図3)HFpEF治療 2023画像を拡大するHFpEFの診断が確定し、図2に記載してあるような疾患を除外した上で、まず考慮すべき処方は、SGLT2阻害薬である。なぜなら、EMPEROR-Preserved試験およびDELIVER試験において、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンおよびダパグリフロジンが、EF>40%の心不全患者において、主要エンドポイントである心不全入院または心血管死が20%減少することが示されたからである(ただし、eGFR<20mL/min/1.73m2、1型糖尿病、糖尿病性ケトアシドーシスの既往がある場合は避ける。そのほかSGLT2阻害薬使用時の注意事項は、「第3回 SGLT2阻害薬」を参照)10, 11)。そして、それと同時に身体所見、臨床検査、画像検査などマルチモダリティを活用して体液貯留の有無を評価し、体液貯留があれば、ループ利尿薬や利水剤(五苓散、牛車腎気丸、木防已湯など)を使用し12)、TOPCAT試験の結果から心不全入院抑制効果が期待され、薬価が安いMR拮抗薬の投与をできれば考慮いただきたい13)。とくにカリウム製剤が投与されている患者では、それをMR拮抗薬へ変更すべきであろう。そして、忘れてはならないのが、併存疾患に対するマネージメントである。高血圧があれば、130/80mmHg未満を達成するように降圧薬(ARB、ARNiなど)を投与し、鉄欠乏性貧血(transferrin saturation<20%など)があれば、骨格筋など末梢の機能障害へのメリットを期待して鉄剤(カルボキシマルトース第二鉄[商品名:フェインジェクト])の静注投与を検討する。そのほか、肥満、心房細動、糖尿病、冠動脈疾患、慢性腎臓病、COPD、睡眠時無呼吸症候群などに対してもガイドライン推奨の治療をしっかり行うことが重要である。(表1)画像を拡大するそれでも心不全症状が残存し、EFが55~60%未満とやや低下しており、収縮期血圧が110~120mmHg以上ある患者に対しては、ARNiの追加投与を検討する(詳細は第4回 「ARNi」を参照)。なお、HFrEFにおいて必要不可欠なβ遮断薬については、虚血性心疾患や心房細動がなければ、HFpEFに対しては原則投与しないほうが良い。なぜなら、HFpEFでは運動時に脈拍を早くできない脈拍応答不全の合併が多く、投与されていたβ遮断薬を中止することで、peak VO2が短期で大幅に改善したという報告もあるからである14)。なお、脈拍応答不全に対して右房ペーシングにより運動時の心拍数を上げることで運動耐容能が改善するかを検証した試験の結果が最近公表されたが、結果はネガティブで、現時点では脈拍応答不全に対して、心拍数を落とす薬剤を中止する以外に明らかな治療法はなく、今後さらに議論されるべき課題である15)。これらの治療以外にも、mRNA医薬、炎症をターゲットとした薬剤、代謝調整薬(ATP産生調整など)といった、さまざまなHFpEF治療薬の開発が現在進められている16)。また、近年HFpEFは、肥満や座りがちな生活と密接に結びついた運動不耐性の原因としても着目されており、心不全患者教育、心臓リハビリテーションもエビデンスのあるきわめて重要な治療介入であることも忘れてはならない17, 18)。最近は大変ありがたいことに心不全手帳(第3版)が心不全学会サイトでも公開されており、ぜひ活用いただきたい(http://www.asas.or.jp/jhfs/topics/shinhuzentecho.html)。非薬物治療に関しても、今まで欧米を中心に多くの研究が実施されてきた。例えば、症候性心不全患者に対する肺動脈圧モニタリングデバイスガイド下の治療効果を検証したCHAMPION試験のサブ解析において、肺動脈モニタリングデバイス(商品名:CardioMEMS HF System)を使用することで、HFpEF患者において標準治療よりも心不全入院が50%減少し、心不全管理における有用性が報告されている(本邦では未承認)19)。また、HFpEF(EF≥40%)に対する心房シャントデバイス(商品名:Corvia)治療の効果を検証したREDUCE LAP-HF II試験の結果もすでに公表されている20)。心血管死、脳卒中、心不全イベント、QOLを含めた主要評価項目において、心房シャントデバイスの有効性を示すことができなかったが、本試験では全患者に対して運動負荷右心カテーテル検査を実施しており、ポストホック解析において、運動時肺血管抵抗(PVR, pulmonary vascular resistance)が上昇しなかった群(PVR≤1.74 Wood units)では臨床的便益が得られる可能性が見いだされ21)、この群にターゲットを絞ったレスポンダー試験が現在進行中である。また、血液分布異常を改善させるための右大内臓神経アブレーション(GSN ablation)の有効性を検証するREBALANCE-HF試験も現在進行中であるが、非盲検ロールイン段階における予備的解析では、運動時の左室充満圧とQOL改善効果が認められたことが報告されており22)、今後本解析(sham-controlled, blinded trial)の結果が期待される。そのほかにも多くのHFpEF患者を対象とした臨床試験、橋渡し研究が進行中であり(表2)、これらの結果も大変期待される。(表2)HFpEFについて進行中の臨床試験 画像を拡大する以上HFpEF治療についてまとめてきたが、現時点ではHFpEFの予後を改善する治療法はまだ確立しておらず、さらに一歩進んだ治療法の確立が喫緊の課題である。つまり、HFpEFのさらなる病態生理の解明、非侵襲的に診断するための技術開発、個別化治療に結びつくフェノタイピング戦略を活用した新たな次世代の革新的研究が必要であり、その実現に向けて、前回紹介した米国HeartShare研究など、現在世界各国の研究者が本気で取り組んでいるところである。ただ、それまでにわれわれにできることも、図3の通り、しっかりある。ぜひ、目の前の患者さんに今できることを実践していただき、またかかりつけ医の先生方からも循環器専門施設の先生方へフィードバックいただきながら、医療従事者皆が一眼となってより良いHFpEF治療をわが国でも更新し続けていければと強く思う。1)Borlaug BA, et al. Nat Rev Cardiol 2020;17:559-573.2)Reddy YNV, et al. Circulation. 2018;138:861-870.3)Eisman AS, et al. Circ Heart Fail. 2018;11:e004750.4)D'Alto M, et al. Chest. 2021;159:791-797.5)Obokata M, et al. JACC Cardiovasc Imaging. 2013;6:749-758.6)van de Bovenkamp AA, et al. Circ Heart Fail. 2022;15:e008935.7)Patel RB, et al. J Am Coll Cardiol. 2021;78:245-257.8)Azarbal B, et al. J Am Coll Cardiol 2004;44:423-430.9)Marwick TH, et al. JAMA Cardiol. 2019;4:287-294.10)Anker SD, et al. N Engl J Med. 2021;385:1451-1461.11)Solomon SD, et al. N Engl J Med. 2022;387:1089-1098.12)Yaku H, et al. J Cardiol. 2022;80:306-312.13)Pitt B, et al. N Engl J Med. 2014;370:1383-1392.14)Palau P, et al. J Am Coll Cardiol. 2021;78:2042-2056. 15)Reddy YNV, et al. JAMA;2023:329:801-809.16)Pugliese NR, et al. Cardiovasc Res. 2022;118:3536-3555.17)Kamiya K, et al. Circ Heart Fail. 2020;13:e006798.18)Bozkurt B, et al. J Am Coll Cardiol. 2021;77:1454-1469.19)Adamson PB, et al. Circ Heart Fail. 2014;7:935-944.20)Shah SJ, et al. Lancet. 2022;399:1130-1140. 21)Borlaug BA, et al. Circulation. 2022;145:1592-1604.22)Fudim M, et al. Eur J Heart Fail. 2022;24:1410-1414.

156.

079)1年走ってわかった、ランニングのメリット3つ【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第79回 1年走ってわかった、ランニングのメリット3つゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆趣味としてランニングをはじめて約1年。はじめのころは400m走っただけで息切れし、2km走れるようになるまで1~2ヵ月ほどかかりましたが、そんな私が今年、「東京マラソン」を完走するに至りました。今回が初めてのフルマラソン。給水・給食を多めにとり、ひんぱんにストレッチをして、ゆっくりですが最後まで歩かず5時間半ちょっとでゴール。故障なく最後までペースを維持し、楽しみながら走りきることができました。改めてランニングの良いところについて、思うところを書いてみたいと思います。(1)心身ともに健康になる生まれてこのかた、これといった運動経験のない私にとって、走ることは、初めてのスポーツ系の趣味といえます(笑)体を動かすことで寝つきが良くなり、体力がつき、ご飯も食べたいだけ食べながら体重・体形をキープできる。また、走ることで小さなモヤモヤや不安が解消され、メンタル面でのデトックス効果もかなり大きいと感じています。よい走りができるとそれが自信にもつながり、心穏やかに日々を送れるようになりました。なお、健康診断のいくつかの項目(コレステロールなど)も、すっかり改善されました。(2)目標をもって成長できるこれはどのスポーツにも言えることでしょうか?走ることでいえば、何キロ走れるようになったか? 1キロを何分のペースで走れるようになったか? 何キロの大会を何時間何分のタイムで走れたか? など。今の自分の走りが、目に見えて数字として結果に残るので、そのぶん成長を実感しやすく、目標・やりがいをもって努力することにつながります。目標達成できたときの喜びはひとしおです。(3)ともに楽しむ仲間ができるランニングは一人でも楽しめるスポーツですが、ともにはげむ仲間がいると、より楽しみが倍増します。「マラニック」といって、景色やグルメを楽しみながらランニング(+ピクニック)したり、練習会で、会話をしながら走ったり。一人で走るときよりも、仲間と走るときのほうが、距離も時間も短く感じます。また、そうした会を通して、年齢や性別をこえ、仕事とは別の人間関係を築けるというのもまた、ランニングの1つの魅力だと思っています。以上、まだはじめて1年の若輩者ではありますが、ランニングで得られるメリットについて書いてみました。なお、デメリットとしては、無理をして故障することがあるランニングしない家族から白い目で見られることがあるウェアやシューズなどのグッズに意外とお金がかかるといったあたりでしょうか。しかしながら、これらを考慮してもなお、惹きつけられてやまない魅力が、ランニングにはあるように思います!私も走りはじめる前は、「走る人」は別世界の人間だと思っていました。仲間に聞くと、だいたい同じような答えが返ってきます(笑)いきなり走りはじめると、(私もそうでしたが)膝などを故障してしまうことがあるので、まずはウォーキングで脚づくりをしてみてはいかがでしょうか?これからの季節、気持ち良い新緑のなか、体を動かしてみませんか?それでは、また次の連載で。

157.

第138回 新型コロナ5類移行後、医療費は原則自己負担/政府

<先週の動き>1.新型コロナ5類移行後、医療費は原則自己負担/政府2.新型コロナ病床確保の補助金半減、9月末まで継続/厚労省3.コロナワクチン接種後死亡症例、「因果関係は否定できない」と認定/厚労省4.第8次医療計画へ新興感染症対策を追加、大筋で合意/厚労省5.アレルギー情報、薬剤禁忌などカルテ情報の共有へ/厚労省6.介護保険料の負担金額、4月以降 過去最高に/厚労省1.新型コロナ5類移行後、医療費は原則自己負担/政府政府は3月10日に新型コロナウイルス感染症対策本部を持ち回りで開催し、5月8日新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを5類に変更するのに合わせ、医療提供体制および公費支援の見直しを行うと発表した。従来行ってきた行政による入院措置や限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による通常の対応に移行するのに合わせ、医療費については原則自己負担を求め、高額な医薬品代は公費支援を9月末まで継続する。外来診療については、新型コロナ罹患や疑いのみを理由とする診療拒否は「正当な事由」に該当しないとし、現在、新型コロナ患者を診療している約4.2万の医療機関を、季節性インフルエンザを対応している最大6.4万の医療機関まで拡充するとした。(参考)新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について(厚労省)加藤大臣会見概要[新型コロナウイルス感染症対策本部後](同)コロナ5類移行後、原則自己負担 病院名公表は継続、政府決定(共同通信)政府 コロナ5類移行後 最大6万4000の医療機関で受け入れ目指す(NHK)コロナ5類移行 医療費負担が増える? 受診できる医療機関はQ&A(同)2.新型コロナ病床確保の補助金半減、9月末まで継続/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類引き下げに伴い、医療提供体制を正常化するため、コロナ患者の受け入れ医療機関に対して払ってきた「病床確保料」を半減させる方針を、3月10日に加藤厚生労働大臣の記者会見で明らかにした。また、受け入れ病院はこれまで約3,000の医療機関だったが、5月以降は約8,200の全病院での対応を目指す。このため急性期病棟以外での要介護者の受入れを評価するなど受入れを推進する。(参考)コロナ病床確保料半減へ 5類移行で厚労省、9月末まで(日経新聞)コロナ病床の補助金半減 通常医療と両立目指す(東京新聞)診療報酬のコロナ特例、5月8日に見直し 24年度からウィズコロナの報酬体系へ(CB news)3.コロナワクチン接種後死亡症例、「因果関係は否定できない」と認定/厚労省厚生労働省は、3月10日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催した。この中で、昨年11月初旬に、ファイザー社のオミクロン株対応ワクチンの接種を受け、同日中に死亡した症例についても検討が行われた。症例は接種5分後に体調悪化を発言し、15分後に呼吸停止、心肺蘇生を行ったが、アドレナリン注射は静脈ルートからの注射を指示されるも静脈ルートがなく、医療機関へ搬送したが、接種開始後1時間40分余りで死亡した。委員会は発生した患者とワクチンの因果関係については「ワクチン接種と死亡との直接的因果関係は否定できない」とした。(参考)第92回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第27回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会資料(厚労省)コロナワクチン接種後42歳女性死亡「因果関係否定できない」 初認定(産経新聞)コロナワクチン接種後の死亡で初の認定「因果関係否定できず」(NHK)コロナワクチン接種後に死亡、因果関係「否定できず」 初めて評価(朝日新聞)42歳女性の接種後死亡「因果関係否定できず」…コロナワクチンで初の判定(読売新聞)4.第8次医療計画へ新興感染症対策を追加、大筋で合意/厚労省厚生労働省は、3月9日に「第23回第8次医療計画に関する検討会」を開催し、2024年度から始まる第8次医療計画に新たに「新興感染症発生・まん延時の医療」について盛り込む方向性を大筋で合意した。これまで医療計画には、5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)、5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)」を二次医療圏ごとに定めてきたが、次なる新興感染症の発生・蔓延に備えて、医療計画の中に「新興感染症対策」を位置付けて整備を進める。この中で、新興感染症の発生時には、まず特定感染症指定医療機関・第1種感染症指定医療機関・第2種感染症指定医療機関(345病院)が中心となって対応し、流行の場合は特別協定を締結した医療機関が対応する。さらにその後、公立・公的病院や地域医療支援病院、特定機能病院に対応を拡大し、最終的には「入院医療を担当する」などの協定を結んだ医療機関など全体で対応することとし、平時から医療機関と自治体で締結することを求めた。厚生労働省は、今年5月には指針・関連通知を示したいとしている。(参考)第23回第8次医療計画等に関する検討会(厚労省)意見のとりまとめ(新興感染症発生・まん延時における医療)(同)医療計画での新興感染症対策、取りまとめ大筋了承 厚労省検討会、5月ごろに計画作成指針(CB news)新興感染症への医療計画での対応方針固まる!感染症の流行度合に応じ「段階的」な対応体制を平時から固めておく!?第8次医療計画検討会(Gem Med)5.アレルギー情報、薬剤禁忌などカルテ情報の共有へ/厚労省厚生労働省は、3月9日「第7回 健康・医療・介護情報利活用検討会医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」を開催し、新たに立ち上げる電子カルテ情報交換サービス(仮称)において、診療情報提供書や退院時サマリーを電子的に紹介先病院と共有・送付する仕組みや、患者のアレルギー情報、薬剤禁忌、検査値などの電子カルテ情報を患者自身や全国の医療機関で確認できる仕組みを可能とする方向性について討議し、大枠で合意した。ただ、電子カルテはベンダーごとに規格が異なり、早期に体制を整えるために、国が標準規格を策定する必要があるなどさらに検討が必要だが、厚生労働省は2023年度から社会保険診療報酬支払基金でシステム構築を進めたいとしている。(参考)第7回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ資料(厚労省)医療のデジタル化、現状は? マイナ保険証の活用が鍵(日経新聞)医療機関・患者自身で「電子カルテ情報」を共有する仕組みの大枠決定、2023年度からシステム構築開始-医療情報ネットワーク基盤WG(1)(Gem Med)6.介護保険料の負担金額、4月以降 過去最高に/厚労省厚生労働省は、現役世代が支払う介護保険料(第2号保険料)が今年の4月以降で、現在より100円余り増加し、平均6,200円余りと過去最高となると推計を発表した。介護保険制度は2000年に発足し、40歳以上で介護認定を受けた被保険者の介護サービス利用の場合、9割まで給付する内容となっている。令和4年度の介護給付費は予算ベースで12.3兆円となっており、財源の半分は加入者からの保険料が50%、残りは公費(国25%、都道府県12.5%、市町村12.5%)からとなっている。発足当初、第2号保険料は2,075円だったが、今回の厚生労働省の推計によれば、平均で1月あたり6,216円と発足時の3倍となり現役世代の負担が増加している。同省では、団塊の世代が後期高齢者になるのを前に、高齢者の負担能力に応じた負担の見直しや、高齢者が支払う介護保険料の見直しを検討し、今年の夏までに結論を出すことにしている。(参考)令和5年度 介護納付金の算定について(厚労省)現役世代が支払う介護保険料 4月以降 過去最高に 厚労省推計(NHK)2023年4月から「介護保険料」改定で6,216円に。40歳~65歳未満「現役世代」の負担は重く(LIMO)

158.

介護施設入所のリスク因子は?

 高齢者の要支援・要介護度に応じた老人ホーム入所のリスク因子が信州大学医学部保健学科 佐賀里 昭氏らの研究で明らかとなった。PLoS One誌2023年1月27日号の報告。  高齢者の介護施設入所リスクを基本動作と日常生活動作(ADL)の観点から明らかにすることを目的とし、レトロスペクティブ研究が行われた。 A市における2016~18年の介護保険認定調査の要介護認定者のうちデータにアクセス可能であった1万6,865例の性別、年齢、世帯構成、要介護度などのデータを取得し、グループタイプを従属変数、基本動作得点とADL得点を独立変数として、多変量二項ロジスティック回帰分析を行った。要介護度に応じた因子分析では、参加者を要支援度1、2、要介護度1、2、要介護度3、4、5に分類し、在宅から介護施設への入所に関連する因子の検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・要支援度1、2では、基本動作としては片足立ちと移乗、ADLとしては排尿と洗顔の制限/支援の必要性が介護施設入所と関連していた。・要介護度1、2では、基本動作として起き上がり・移動、ADLとして入浴・排尿・洗顔・整髪の制限/支援の必要性が介護施設入所と関連していた。・要介護度3、4、5では、基本動作として座位と移動、ADLとして自食と排便の制限/支援の必要性が介護施設入所と関連していた。 作業療法士は、高齢者のADLや基本動作の低下に着目し、患者や家族、他の医療従事者に必要な情報を伝え、適切かつ迅速なケアを提供する必要がある。

159.

事例017 ジクトルテープの処方で査定【斬らレセプト シーズン3】

解説 事例では、難治性腰痛症の患者にジクロフェナクナトリウム(商品名:ジクトルテープ[以下「同剤」])を1日3枚28日分計84枚処方したところ、湿布薬と同じ1処方63枚までに査定となりました。査定はD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)でした。同剤添付文書の効能または効果には「腰痛症」があります。事例の対象疾病に誤りはありません。用法・用量も範囲内に収まっています。同剤は、「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤(薬効分類264)」に分類される湿布薬の形状ですが、「解熱鎮痛消炎剤(薬効分類114)」で薬価収載されています。第5部投薬通則5の枚数制限の対象ではないと考えていました。しかしながら、同剤は、薬価収載当時における効能または効果である「各種がんにおける疼痛」に加えて「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群および腱鞘炎における鎮痛・消炎」が追加されています。同時期に類似テープ剤が湿布薬として薬価収載されています。関連して同剤も湿布薬として扱うと判断されたものとも考えられます。関連する通知を検索しましたが見つけられませんでした。突然に審査基準が変更されることはよくあります。今回の事例では、はっきりとした通知が出るまで、湿布薬の制限枚数を上限として処方をお願いすることにしました。なお、同剤は局所用ではなく全身用であるために貼付部位が限られています。誤用されないように留意が必要です。

160.

2月10日 フットケアの日【今日は何の日?】

【2月10日 フットケアの日】〔由来〕糖尿病や末梢動脈疾患による足病変の患者が増加していることから、足病変の予防・早期発見・早期治療の啓発を目的に、「フ(2)ット(10)=足」と読む日付の語呂合わせから日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、日本メドトロニックが共同で制定した。関連コンテンツフットケアを怠ると? 足裏に潜む魔物【Dr.デルぽんの診察室観察日記】糖尿病の方はフットケアが大切です。しびれがある場合は特に注意!【使える!服薬指導箋】皮膚潰瘍と角質のケアに乾燥対策!【患者指導スライド】末梢動脈疾患(PAD)ガイドライン、7年ぶりの改訂/日本循環器学会末梢動脈疾患の在宅での歩行運動導入、歩行距離を改善/JAMA

検索結果 合計:618件 表示位置:141 - 160