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ASCO2025 レポート 消化器がん

レポーター紹介2025年5月30日~6月3日に、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)が米国・シカゴで開催され、後の実臨床を変えうる注目演題が複数報告された。高知大学の佐竹 悠良氏が消化器がん領域における重要演題をピックアップし、結果を解説する。胃がんMATTERHORN試験:周術期FLOTにおけるデュルバルマブ追加の意義(LBA5)切除可能II~IVA期の胃がん・食道胃接合部腺がんを対象に、欧米における標準治療である周術期FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)療法に対する抗PD-L1抗体であるデュルバルマブ追加(D-FLOT療法)の有用性を検証したMATTERHORN試験。D-FLOT療法により病理学的完全奏効の改善がすでにESMO2023で報告され(19%vs.7%、オッズ比:3.08、p<0.00001)、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)における統計学的優越性もプレスリリースされていたが、今回学会にて正式に報告され、同時にNEJM誌でpublishされた。患者は術前・術後に2サイクルずつFLOT療法+プラセボもしくはD-FLOT療法を受け、その後プラセボもしくはデュルバルマブを10サイクル(術後補助化学療法として1年間)受けた。主要評価項目のEFS中央値はD-FLOT群未到達vs.プラセボ群32.8ヵ月であり、統計学的優越性を示した(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.58~0.86、p<0.001)。24ヵ月EFS率はD-FLOT群67%vs.プラセボ群59%であった(観察期間中央値:D-FLOT群31.6ヵ月vs.プラセボ群31.4ヵ月)。副次評価項目である全生存期間(OS)においても改善傾向(HR:0.78、95%CI:0.62~0.97、p=0.025)がみられたが、現時点では統計学的有意差には至っていない(観察期間中央値:D-FLOT群34.6ヵ月vs.プラセボ群34.6ヵ月)。免疫介在性有害事象はGrade3/4をD-FLOT群7%vs.プラセボ群4%に認めた。胃がん周術期治療における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、KEYNOTE-585試験およびATTRACTION-5試験において有意な結果を示すことができなかったが、本試験において主要評価項目であるEFSでの有意な改善を認め、今後の標準治療となることが見込まれる。一方、本邦では周術期FLOT療法の経験は十分とは言えず、大型3/4型胃がんに対する術前FLOT療法およびDOS(ドセタキセル+オキサリプラチン+S-1)療法を検討する第II相試験であるJCOG2204が進行中であり、結果が期待される。DESTINY-Gastric04試験:HER2陽性胃がんの2次治療におけるT-DXdの有効性を確立(LBA4002)HER2陽性(IHC3+またはIHC2+/ISH+)の進行・再発胃がんまたは食道胃接合部腺がんに対し、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、6.4mg/kgを3週ごと)が、現在の標準2次治療であるラムシルマブ+パクリタキセル併用(RAM+PTX)療法と比較してOSを有意に延長することが国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏から報告され、こちらも同時にNEJM誌でpublishされた。本試験は前治療のトラスツズマブ不応後の生検によるHER2陽性例が対象であり、1,088例に腫瘍組織検体スクリーニングが実施され、450例(41%)は組織スクリーニングで脱落し、最終的に494例が1:1に割り付けされた。前治療としてICIの投与歴がある患者は両群ともに15%程度であり、後治療として抗HER2治療を受けた割合はT-DXd群3.2%vs.RAM+PTX療法群25.8%であった。主要評価項目のOS中央値は、T-DXd群14.7ヵ月vs.RAM+PTX療法群11.4ヵ月であり、統計学的優越性を示した(HR:0.70、p=0.0044)。副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)においてもT-DXd群で有意に改善を示した(PFS中央値:6.7ヵ月vs.5.6ヵ月、HR:0.74、p=0.0074、ORR:44.3%vs.9.1%、p=0.0006)。Grade3以上の薬剤関連有害事象の割合も両群で同等であった(T-DXd群50.0%vs.RAM+PTX療法群54.1%)。ただし、間質性肺疾患はT-DXd群で13.9%(Grade3は1例のみ、0.4%)と、重篤例は多くないものの注意が必要である。今後、HER2陽性かつCPS陽性の進行・再発胃がんに対しては、KEYNOTE-811試験の結果から初回治療よりペムブロリズマブ併用が見込まれるが、本試験のサブグループ解析においては前治療ICI投与の有無にかかわらず、一貫してT-DXdによる生存改善傾向を認めており、HER2陽性胃がんにおける2次治療としてT-DXdが今後の標準治療の位置付けとされた。一方、本結果は試験組み入れ時のHER2再確認(再生検)により結果が導かれているが、40%前後は前治療不応時にHER2 lossが生じている可能性が示唆された。大腸がんATOMIC試験:StageIII dMMR大腸がん術後補助療法におけるアテゾリズマブ追加の意義(LBA1)StageIIIのdMMR結腸がんに対する術後補助療法として、mFOLFOX6化学療法にPD-L1阻害薬であるアテゾリズマブを追加することで、無病生存期間(DFS)を有意に延長することが国際第III相試験ATOMIC試験により示された。試験治療群は術後補助化学療法としてmFOLFOX6+アテゾリズマブ併用療法を6ヵ月受けた後にアテゾリズマブ単剤を6ヵ月(計12ヵ月)投与され、対照群はmFOLFOX6療法を6ヵ月投与された。主要評価項目である3年DFS率はアテゾリズマブ併用群86.4%vs.対照群76.6%(HR:0.50、95%CI:0.34~0.72、p<0.0001)であり、統計学的有意差を認めた。Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)は併用群72.3%vs.対照群59.2%とアテゾリズマブ併用群でやや多く、免疫関連有害事象として高血糖や甲状腺機能低下、大腸炎に伴う下痢や皮膚炎を認めたが、重篤なものは少なかった。本試験により、StageIIIのdMMR結腸がんにおいて術後免疫療法導入が長期予後を改善することが明らかとなり、補助療法の新たな標準となる可能性を示した。現在、本邦を含め切除可能なStage IIIまたはT4N0のdMMR/MSI‑High陽性結腸がん患者に対する周術期dostarlimabの有効性を検証する第III相試験であるAZUR-2試験が進行中である。同薬剤はすでに直腸がん領域で良好な有効性が確認されており、新しい治療ストラテジー確立が期待される。BREAKWATER試験:BRAF V600E変異陽性大腸がんに対する1次治療としてのEC+mFOLFOX6併用療法(#3500)進行・未治療のBRAF V600E変異陽性大腸がん患者を対象に、BRAF阻害薬エンコラフェニブ(E)+抗EGFR抗体セツキシマブ(C)に化学療法(mFOLFOX6)を加えた3剤併用療法(EC+mFOLFOX6)の標準治療(FOLFOX/FOLFOXIRI/CAPOX±BEV)に対するORRおよびOS(初回中間解析)における良好な結果は、一足先にASCO-GI 2025で発表されていたが、今回主要評価項目の1つであるPFSの結果が報告され、PFS、ORR、OSにおける改善が明らかとなり、同時にNEJM誌でpublishされた。主要評価項目であるPFS中央値はEC+mFOLFOX6群12.8ヵ月vs.標準治療群7.1ヵ月であり、統計学的優越性を示した(HR:0.53、95%CI:0.407~0.677、p<0.0001)。OS中央値(2回目の中間解析)はEC+mFOLFOX6群30.3ヵ月vs.標準治療群15.1ヵ月(HR:0.49、p<0.0001)だった。もう1つの主要評価項目であるORRの追加報告もあり、EC+mFOLFOX6群65.7%vs.EC群45.6%vs.標準治療群37.4%と良好であった。TRAE(Grade3/4)はEC+mFOLFOX6群76.3%vs.EC群15.7%vs.標準治療群58.5%であり、関節痛(29%)、皮疹(29%)に注意が必要である。本試験により、BRAF V600E変異大腸がんの1次治療として、EC+mFOLFOX6が新たな標準と位置付けられた。また、EC療法はmFOLFOX6療法などの抗がん剤治療が適応とならないフレイル症例に対する治療選択肢となる可能性が示唆された。AGITG DYNAMIC-III試験:術後ctDNA陽性は高リスク再発マーカー(#3503)術後StageIII結腸がん患者を対象に、circulating tumor DNA(ctDNA)の有無による再発リスクを評価した第II/III相試験であるDYNAMIC-III試験において、ctDNA陽性が強力な再発予測因子であることが示された。StageIII結腸がん患者を対象に術後4週時点でctDNAを評価し、ctDNA結果に基づいたマネジメント群(ctDNA-informed群、ctDNA陰性例ではde-escalation、ctDNA陽性はescalation[より強力な術後補助療法]を実施)と標準マネジメント群(主治医選択によるマネジメント、ctDNA結果は盲検)に無作為化して割り付けされた。全体で1,002例が登録され、それぞれctDNA-informed群502例vs.標準マネジメント群500例に割り付けられ、ctDNA陽性は各群129例(27%)vs.130例(27%)であった。ctDNA陽性例のうち、ctDNA-informed escalation群では3ヵ月以上のFOLFOXIRI実施が50%、6ヵ月のオキサリプラチンダブレット(FOLFOX/CAPOX)が44%に実施され、一方の標準マネジメント群では3ヵ月FOLFOX/CAPOXが45%、6ヵ月FOLFOX/CAPOXが41%に術後補助療法として実施された。3年無再発生存期間はctDNA-informed escalation群48%vs.標準マネジメント群52%であり、ctDNA結果に基づいた術後補助化学療法強化による再発抑制改善は認めなかった(HR:1.11、p=0.57)。後解析としてFOLFOXIRIとFOLFOX/CAPOXの無再発生存比較がなされたが、差を認めず(HR:1.09、p=0.662)、ctDNAクリアランス割合も同等であった(60%vs.62%)。術後補助化学療法終了時点におけるctDNAクリアランスの有無(HR:11.1)および術後ctDNA測定時のctDNA量が再発と相関することが示唆された(p<0.001)。既報と同様に、術後ctDNA検査のバイオマーカーとしての有用性および術後ctDNA量と再発リスクとの相関やctDNA陽性例に対する術後補助化学療法によるctDNAクリアランスの重要性が報告された。一方で、 ctDNA陽性例に対してはオキサリプラチン併用レジメンからFOLFOXIRIへの治療強化では不十分である可能性も示唆され、今後さらなる治療開発の必要性が示唆された。本邦における臨床実装が待たれる。NCCTG N0147後方解析:ctDNAによるMRD評価が術後再発リスクを鋭敏に予測(#3504)術後StageIII結腸がんに対する術後補助FOLFOX±セツキシマブを検証した第III相試験であるNCCTG N0147試験におけるctDNAの後解析により、ctDNA評価は再発リスクを高精度に層別化できることが明らかとなった。術後補助療法開始前10週以内に血漿ctDNAをGuardant Reveal/Guardant360で測定(中央値42日)。 ctDNAは20.4%で検出可能であり、より進行例(T/Nステージ)やBRAF変異例、閉塞例や穿孔例などの術後再発高リスク例において検出されることが示唆された。ctDNA陽性例は陰性例に比し、DFS、OSともに大きく劣っていた(DFS-HR:3.74、p<0.0001、OS-HR:3.17、p<0.001)。一般的に術後予後良好とされているdMMR症例においても、ctDNA陽性例はpMMR例と比較してもDFSおよびOSが不良であった(DFS-HR:1.54、p=0.0114、OS-HR:1.77、p=0.0026)。術後病理評価による再発リスクとctDNA検出の有無による層別化ならびにctDNA検出量とDFSの相関性も示唆された。既報と同様に、術後ctDNA MRD評価の有用性が再確認され、早期の再発予測や治療強度決定に活用できる可能性を示した。TRIPLETE試験:初回治療でのmFOLFOXIRI+パニツムマブがOSを有意に延長(#3512)切除不能なRAS/BRAF野生型転移を有する大腸がん(mCRC)初回治療において、mFOLFOX+パニツムマブに対しmFOLFOXIRI+パニツムマブは、主要評価項目のORRおよびPFSは改善を認めないことがすでに報告されていた。一方、本邦で実施されたJACCRO CC-13(DEEPER試験)においては、RAS/BRAF野生型かつ左側原発例においてmFOLFOXIRI+セツキシマブ療法のmFOLFOXIRI+BEVに対する治療成績改善が示唆されていた。今回TRIPLETE試験におけるOSが報告され、mFOLFOXIRI+パニツムマブによる有意な生存期間延長が報告された(観察期間中央値:60.2ヵ月)。OS中央値はmFOLFOXIRI+パニツムマブ群41.1ヵ月vs.mFOLFOX6+パニツムマブ群33.3ヵ月であり、有意に改善を認めた(HR:0.79、95%CI:0.63~0.99、p=0.049)。一方で、アップデートされたORRやPFS、奏効期間(DoR)、早期腫瘍縮小(ETS)およびR0切除割合は群間差を認めなかった。PPS(病勢進行後生存)はmFOLFOXIRI群で有意に延長(HR:0.73、p=0.012)しており、OS延長の主因と考えられた。トリプレット+抗EGFR抗体はDEEPER試験と同様にTRIPLETE試験でも、標準治療に対する良好な生存延長効果が示唆され、RAS/BRAF野生型mCRCの治療戦略においてトリプレット療法を選択肢の1つとして再評価する根拠と考えられる。ただし、PFSやORRに差がなかったことから、有効性の本質はPPSの改善に依存している可能性があり、治療強度と毒性のバランスに配慮した個別化治療が求められる。胆道がんGAIN試験:胆道がんに対する周術期GC療法の有効性が示唆(#4008)切除可能局所進行胆道がんに対して、本邦ではASCOT試験により切除後のS-1補助化学療法が標準治療とされているが、今回ドイツより術前・術後にゲムシタビン+シスプラチン(GC)を用いた周術期治療が、標準治療(手術+術後補助療法)と比較してOSおよびEFS、R0切除率を大きく改善する可能性が報告された。ドイツの21施設による第III相試験であり、登録数不足により68例の登録時点で早期終了となった。NEO群(周術期GC群)は術前GC 3サイクル後に切除がなされ、その後3サイクルの術後補助GC療法がプロトコール治療として規定されており、標準治療群は切除後に術後補助化学療法24週(主治医選択)が規定されていた。早期中止のためNEO群(32例)、標準治療群(30例)での報告。NEO群の術前GC療法平均投与コース数は2.8サイクルだが、術後補助療法の平均投与コース数は1.4サイクルであった。一方の標準治療群における術後補助療法はカペシタビン20%、ゲムシタビン3.3%、GC療法3.3%であった。OS中央値はNEO群(周術期GC群)27.8ヵ月vs.標準治療群14.6ヵ月と周術期GC療法による良好な結果が示唆された(HR:0.463、95%CI:0.222~0.964、p=0.0395)。 EFS(HR:0.351、p=0.0047)や R0切除率(NEO群83.3%vs.標準治療群40.0%)も大きな差を認めた。本試験は登録数の制限から統計的限界があるものの、術前GC療法が切除率や生存期間の向上に寄与しうる可能性を示した点で意義深く、今後の大規模前向き試験の展開が強く期待される。一方で現在、本邦では進行・再発胆道がんに対してGC+S-1(GCS)療法とGC+ICI併用療法の治療効果を検討するKHBO2201-YOTSUBA試験が進行中であり、周術期治療への応用が期待される。膵がんPANOVA-3試験:切除不能局所進行膵がんにおける腫瘍治療電場(TTFields)の有効性と安全性(LBA4005)切除不能局所進行膵腺がん(LA-PAC)に対する新たな治療戦略として、腫瘍治療電場(Tumor Treating Fields:TTFields)の有効性が注目を集めた。PANOVA-3試験は、TTFieldsをGEM+nab-PTX(GnP)に追加することで、標準治療単独(GnP)と比較し全生存期間(OS)を有意に延長することを示した初の第III相試験である。本試験は本邦を含む20ヵ国198施設、571例を対象に1対1に割り付けて実施。主要評価項目であるOS中央値はTTFields群16.2ヵ月vs.GnP群14.2ヵ月であり、優越性を示した(HR:0.82、95%CI:0.68~0.99、p=0.039)。副次評価項目では、無痛生存期間(HR:0.74)、遠隔転移PFS(HR:0.74)、QOLにおいてもTTFields群が有意に良好な結果を示した。安全性に関しては、TTFields群で局所の皮膚関連有害事象が多くみられたが、主にGrade1/2で管理可能であり、有害事象でTTFieldsが中止となったのは8.4%であった。TTFieldsは非侵襲的かつ局所的な電場療法であり、がん細胞の分裂阻害効果や抗腫瘍免疫増強効果が報告されている。膠芽腫や悪性胸膜中皮腫・非小細胞肺がんに続く膵がんへの応用が今回初めて本格的に示され、遠隔転移制御効果も示唆された。今後の膵がん治療における集学的治療の一環として、TTFieldsの位置付けが期待される。

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NSCLCへの周術期ニボルマブ追加、OS中間解析(CheckMate 77T)/ASCO2025

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)におけるニボルマブを用いる周術期サンドイッチ療法(術前:ニボルマブ+化学療法、術後:ニボルマブ)は、国際共同第III相無作為化比較試験「CheckMate 77T試験」において、術前補助療法として化学療法を用いる治療と比べて無イベント生存期間(EFS)を改善したことが報告されている1)。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Mariano Provencio氏(スペイン・Hospital Universitario Puerta de Hierro)が、本試験のEFSのアップデート解析および全生存期間(OS)の第1回中間解析の結果を報告した。試験デザイン:国際共同無作為化二重盲検第III相試験対象:切除可能なStageIIA(>4cm)~IIIB(N2)のNSCLC患者(AJCC第8版)試験群(ニボルマブ群):ニボルマブ(360mg、3週ごと)+プラチナ製剤を含む化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→ニボルマブ(480mg、4週ごと)を最長1年 229例対照群(プラセボ群):プラセボ+プラチナ製剤を含む化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→プラセボを最長1年 232例評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)に基づくEFS[副次評価項目]BICRに基づく病理学的完全奏効(pCR)、OS、安全性など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値41.0ヵ月時点(データベースロック日:2024年12月16日)におけるEFS中央値は、ニボルマブ群46.6ヵ月、プラセボ群16.9ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.61、95%信頼区間[CI]:0.46~0.80)。30ヵ月EFS率は、それぞれ61%、43%であった。・循環腫瘍DNA(ctDNA)クリアランスは、ニボルマブ群66%(50/76例)、プラセボ群38%(24/64例)に認められ、そのうちpCRが達成された患者の割合は、それぞれ50%(25/50例)、12%(3/24例)であった。・治療群にかかわらず、ctDNAクリアランスとpCRの両方を達成した患者集団は、EFSが良好であった。・KRAS、KEAP1、STK11遺伝子のいずれかに変異がみられた集団におけるEFSは、ニボルマブ群28.9ヵ月、プラセボ群10.5ヵ月であった(HR:0.63、95%CI:0.32~1.23)。KRAS、KEAP1、STK11遺伝子のいずれにも変異がみられない集団では、それぞれ未到達、17.0ヵ月であった(同:0.65、0.39~1.10)。以上から、いずれの集団でもニボルマブ群が良好な傾向にあった。・OS中央値は、ニボルマブ群とプラセボ群はいずれも未到達であったが、ニボルマブ群が良好な傾向にあった(HR:0.85、95%CI:0.58~1.25)。30ヵ月OS率は、それぞれ78%、72%であった。・肺がん特異的生存期間中央値もニボルマブ群とプラセボ群はいずれも未到達であったが、ニボルマブ群が良好な傾向にあった(HR:0.60、95%CI:0.40~0.89)。30ヵ月肺がん特異的生存率は、それぞれ87%、75%であった。 本結果について、Provencio氏は「切除可能NSCLCにおいて、ニボルマブを用いる周術期治療は有用な治療選択肢の1つであることが支持された」とまとめた。

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「ICIの投与は早い時間が良い」をRCTで再現/ASCO2025

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与は、午前中などの早い時間が良いという報告が多数存在する。しかし、これらは後ろ向き解析やそれらのメタ解析に基づくものであり、無作為化比較試験により検討された報告はこれまでにない。そこで、Yongchang Zhang氏(中国・中南大学湘雅医学院)らの研究グループは、ICIの投与時間が非小細胞肺がん(NSCLC)患者の予後へ及ぼす影響を検討する無作為化比較試験「PACIFIC15試験」を実施した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において本試験の結果が報告され、早い時間にICIを投与した群は無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が良好であったことが示された。・試験デザイン:海外第III相無作為化比較試験・対象:ICI+化学療法を開始するドライバー遺伝子陰性のStageIIIC~IV NSCLC患者・試験群(早時間帯群):15時以前にICIの投与を開始 105例・対照群(遅時間帯群):15時1分以降にICIの投与を開始 105例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価によるPFS[副次評価項目]OS、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全体として男性の割合が高く、早時間帯群90.5%、遅時間帯群90.5%であった。PD-L1発現状況は、PD-L1 1%未満/1~49%/50%以上/不明が、それぞれ39.0%/29.5%/24.8%/6.7%、44.8%/27.5%/21.0%/6.7%であった。ICIの内訳は、sintilimab/ペムブロリズマブが、それぞれ77.1%/22.9%、78.1%/21.9%であった。・追跡期間中央値23.2ヵ月時点において、主要評価項目のBICR評価によるPFS中央値は、早時間帯群11.3ヵ月、遅時間帯群5.7ヵ月であり、早時間帯群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.42、95%信頼区間[CI]:0.31~0.58、p<0.0001)。PD-L1発現状況によらず、PFSは早時間帯群が良好な傾向にあった。・OS中央値は、早時間帯群未到達、遅時間帯群16.4ヵ月であり、早時間帯群が有意に良好であった(HR:0.45、95%CI:0.30~0.68、p<0.0001)。PD-L1発現状況によらず、OSも早時間帯群が良好な傾向にあった。・ICI投与開始後、早時間帯群はCD8陽性T細胞がベースライン時より増加したが、遅時間帯群は減少した。・活性化T細胞(CD38陽性HLA-DR陽性CD8陽性T細胞)の疲弊T細胞(TIM3陽性PD-1陽性CD8陽性T細胞)に対する比率(活性化/疲弊比)は、ICI投与後に上昇したが、上昇幅は早時間帯群が遅時刻帯群と比べて大きかった。 本結果について、Zhang氏は「早時間帯群と遅時間帯群を比較すると、末梢血中のCD8陽性T細胞の状態に違いが認められた。サーカディアンリズムが免疫療法に及ぼす潜在的影響を考慮すると、免疫療法に関する臨床研究では投与時刻を記録することや投与時間で層別化することが推奨されるだろう」とまとめた。

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軽症の免疫チェックポイント阻害薬関連肺臓炎へのステロイド、3週vs.6週(PROTECT)/ASCO2025

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が広く使用されるようになり、免疫関連有害事象(irAE)マネジメントの重要性が高まっている。irAEのなかで比較的多いものの1つに、薬剤性肺障害(免疫関連肺臓炎)がある。免疫関連肺臓炎の治療としては、一般的にステロイドが用いられるが、適切な治療期間は明らかになっていない。そこで、免疫関連肺臓炎に対するステロイド治療の期間を検討する無作為化比較試験「PROTECT試験」が本邦で実施された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、藤本 大智氏(兵庫医科大学)が本試験の結果を報告した。本試験において、ステロイド治療期間を3週間とする治療レジメンは、6週間の治療レジメンに対する非劣性が示されなかった。 軽症の免疫関連肺臓炎に対する治療について、各種ガイドラインに記載されているステロイド治療期間は無作為化比較試験によって評価されたものではなく、専門家の意見により4~6週間と設定されている。また、軽症の免疫関連肺臓炎は死亡率が低く、長期のステロイド治療はICIの効果を損なう可能性が考えられ、有害事象を増加させる懸念がある。そこで、PROTECT試験では、ステロイド治療期間を3週間に短縮することが可能であるか検討した。・試験デザイン:国内無作為化比較試験・対象:ICIを投与中または投与後に、Grade1/2の免疫関連肺臓炎(CTCAE第5版)が認められた患者・試験群(3週群):プレドニゾロンを3週間かけて漸減・中止 51例・対照群(6週群):プレドニゾロンを6週間かけて漸減・中止 55例(1例は解析から除外)・評価項目:[主要評価項目]治療成功割合(ステロイド治療開始から8週後までSpO2≧90%[room air]、かつステロイドの増量・延長が必要な免疫関連肺臓炎の悪化・再燃なし)[副次評価項目]ステロイド中止までの期間、全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全体として男性の割合が高く、3週群76%、6週群85%であった。喫煙歴のある患者も多く、過去喫煙または現喫煙の割合は、それぞれ88%、83%であった。PS0/1/2の割合は、それぞれ27%/65%/8%、20%/72%/7%であった。肺がんの割合は、それぞれ59%、56%であった。・主要評価項目の治療成功割合は、3週群66.7%、6週群85.2%であり、3週群の6週群に対する非劣性は検証されなかった(群間差:-18.5%、80%信頼区間[CI]:-29.0~-7.9、非劣性のp=0.629[非劣性マージン:-16%])。・試験全体期間中における肺臓炎の再燃または悪化割合は、3週群41.1%、6週群24.1%であり、3週群が多かった(p=0.046)。・ステロイド治療中止までの期間中央値は、3週群25日(95%CI:21~30)、6週群41日(同:41~42)であり、有意差はみられなかった(ハザード比[HR]:0.98、95%CI:0.63~1.52)。3週群では肺臓炎の再燃や悪化により、ステロイドの再開や増量に至った患者が多く、両群の生存曲線は交差した。・OS中央値は両群共に未到達で、有意差はみられなかった(HR:1.03、95%CI:0.46~2.29)。・Grade3以上の有害事象の発現割合は、3週群12%、6週群24%であり、3週群のほうが少ない傾向にあった。ステロイドの中止や減量に至った有害事象、死亡に至った有害事象はいずれの群にも認められなかった。高血糖(35%vs.50%)、皮膚障害(2%vs.13%)は6週群に多い傾向にあった。・間質性肺疾患に関する簡易健康状態質問票「K-BILD(King’s Brief Intestinal Lung Disease)質問票」に基づくQOLは、3週群と比べて6週群のほうが良好な傾向にあった。 本結果について、藤本氏は「ガイドラインに採用されている6週間のステロイド治療レジメンは、エビデンスに基づく免疫関連肺臓炎に対する標準治療であることを支持するものである」とまとめた。

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昭和医科大学 腫瘍内科【大学医局紹介~がん診療編】

堀池 篤 氏(教授)大熊 遼太朗 氏(講師)村 英美子 氏(助教)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴昭和医科大学腫瘍内科は、肺がんや消化器がんはもちろん、軟部肉腫や原発不明がんといった希少がんも含め、あらゆる固形がんの治療を担う国内有数の腫瘍内科講座です。最新の薬物療法に加え、患者さんに寄り添う緩和ケア・支持療法にも力を注いでいます。腸内細菌やバイオマーカーを用いた独自の臨床研究や、医師主導治験を企画・実施するなど、学際的な活動も精力的に行っています。生成AIの活用により、診療・研究の質と効率の向上を図るとともに、週休3日制や夏季2週間の休暇など、働きやすさにも配慮した環境を整備しています。日々の診療から教育・研究へとつなげる体制を構築し、がん医療のさらなる発展に貢献しています。医師の育成方針私たちは、「がんを診る」総合診療医、そして臨床に根ざした研究者の育成を目指しています。入局1年目から主治医として診療に携わり、患者さんと向き合う中で実践力を養っていただきます。カンファレンスやCancer Boardにも主体的に参加し、若手のうちから診療の中心を担える環境が整っています。がん薬物療法専門医や総合内科専門医の取得に加え、大学院進学や海外留学など、それぞれの希望に応じた幅広いキャリア形成にも対応しています。多様な価値観や働き方を尊重し、ライフワークバランスにも配慮した体制のもと、安心してキャリアを築ける環境を整えています。がん医療に誠実に、前向きに取り組みたい方を、私たちは心より歓迎します。力を入れている治療/研究テーマ昭和医科大学腫瘍内科では、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に関する研究を中心に、がん免疫のメカニズム解明や、治療効果を予測するバイオマーカーの探索、さらに新規免疫療法の開発に取り組んでいます。2022~24年にかけてフランスに留学し、子宮頸がんや悪性黒色腫を対象としたトランスレーショナル研究を遂行した経験も活かし、国内外で通用する研究の実施を目指しています。大学院進学や海外留学など、個々のキャリアに応じた柔軟な研究支援体制が整っています。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力腫瘍内科は、臓器横断的に固形がん全般の薬物療法を担う、がん診療の中核的存在です。周術期から進行・再発症例まで幅広く関わり、生命予後を延ばすだけでなく、患者さんが元気に過ごす時間や大切な人と過ごす時間を支えることを重視しています。昭和医科大学は4つの大学病院を有し、多くのがん腫・希少がんに触れられる豊富な症例経験に加え、がん診療に関する情報を統括することにより、臨床データを活用した研究活動にも積極的に関わることができる環境が整っています。診療と研究の両方をバランス良く学べる環境で、腫瘍内科医としての専門性を着実に高めることが可能です。医学生/初期研修医へのメッセージ腫瘍内科では、専門的な知識とともに人間性も求められる場面が多く、緩和ケアから看取りまで患者さんと深く向き合えるのが特徴です。医局内は風通しがよく、若手の意見を歓迎する文化が根付いており、丁寧な指導と柔軟なキャリア支援が受けられる点も魅力です。腫瘍内科医を目指す先生方と出会える日を楽しみにしています。これまでの経歴都内の高校を卒業後、山形大学に進学し、3年生の実習で腫瘍内科の存在を知りました。もともとがん診療や総合内科に興味があった私にとって、臓器の垣根を越えてStageIVの患者さんたちに真剣に向き合う先生方の姿は非常に印象的でした。腫瘍内科のある病院で初期研修をしようと思い、卒後は地元の昭和医科大学病院に就職しました。同医局を選んだ理由カンファレンスで若手の先生方が活躍しているのを見て、風通しの良い医局だと思いました。出身大学もさまざまで、これまでの経歴も人それぞれで多様性があるため、いろいろなロールモデルがあって魅力的に感じました。また、それほど大所帯ではないので指導医や症例を独り占めできる環境です。学びやすい環境は人それぞれですが、私にはそういった環境が合っていると思い入局を決めました。実際、2年間の研修で患者さんの治療方針の決定、副作用のマネジメント、病状説明や終末期のケアなど、非常に多くの経験を積むことができました。現在学んでいること現在は内科専門研修の一環として、連携施設での研修を行っています。通常は医局の指定した連携施設に行くことがほとんどですが、昭和医科大学病院腫瘍内科では自分の学びたい施設・診療科を自由に選ぶことができます。私はこの機会に以前から興味のあった緩和ケアと総合診療を学びたいと思い、茨城の市中病院で研修をしています。こういった自由が利くところもこの医局の良いところです。ご興味のある方はぜひ見学にいらしてください!昭和医科大学 腫瘍内科住所〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8問い合わせ先reikosawa@cnt.showa-u.ac.jp医局ホームページ昭和医科大学病院 腫瘍内科腫瘍内科プライベートサイト専門医取得実績のある学会日本内科学会(内科専門医)日本臨床腫瘍学会(がん薬物療法専門医)研修プログラムの特徴(1)臓器横断的ながん診療と専門医資格の取得あらゆる固形がんに対する薬物療法を主軸とし、幅広いがん診療のスキルが習得できますがん薬物療法専門医の取得に必要な症例を、当院だけで網羅的に経験可能経験豊富な専門医・指導医による丁寧なサポートのもと、専門医取得を着実に目指せます(2)活発なトランスレーショナルリサーチと学位取得企業治験に加え、大学主導の医師主導治験にも積極的に取り組んでいます昭和医科大学臨床薬理研究所と連携し、臨床と基礎をつなぐ研究活動が可能な環境です大学院進学による学位取得のためのサポート体制も充実しています(3)出身や経歴を問わないオープンな職場環境昭和医科大学の中でも最も新しい科の1つであり、学閥のない自由な雰囲気です初期研修後はもちろん、他科で専門医取得後の入局実績も豊富で、多様なキャリアに柔軟に対応しています

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食道がんへの術後ニボルマブ、長期追跡でもベネフィット示す(CheckMate 577)/ASCO2025

 日本も参加するCheckMate 577試験は、術前化学放射線療法(CRT)+手術後に残存病理学的病変を有する食道がん/胃食道接合部がん(EC/GEJC)患者における、術後ニボルマブ投与の有用性をみた試験である。すでにプラセボと比較して無病生存期間(DFS)を有意に延長したことが報告されている(22.4ヵ月対11.0ヵ月、ハザード比[HR]:0.69)1)。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、ベイラー大学医療センター(米国・ダラス)のRonan J. Kelly氏が、本試験の副次評価項目である全生存期間(OS)の最終解析結果およびDFSの長期追跡結果を報告した。・試験:多施設共同無作為化二重盲検第III相試験・対象:CRT後にR0切除、病理学的完全奏効とならなかったStageII/IIIのEC/GEJC患者・試験群(ニボルマブ群):ニボルマブ240mg(2週ごと16週間)→ニボルマブ480mg(4週ごと最長1年)532例・対照群(プラセボ群):プラセボ(2週ごと16週間、その後4週ごと最長1年)262例・評価項目:[主要評価項目]DFS[副次評価項目]OS、無遠隔転移生存期間(DMFS)、安全性など・データカットオフ:2024年11月7日 主な結果は以下のとおり。・794例がランダム化され、ニボルマブ群とプラセボ群に2対1で割り付けられた。・追跡期間中央値78.3ヵ月におけるDFS中央値は、ニボルマブ群21.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.6~29.7)に対しプラセボ群10.8ヵ月(95%CI:8.3~14.3)であり、有意差のある改善を長期にわたって維持していた(HR:0.76)。・OS中央値はニボルマブ群51.7ヵ月(95%CI:41.0~61.6)に対しプラセボ群35.3ヵ月(95%CI:30.7~48.8)であり、ニボルマブ群で良好な傾向だったものの、統計学的有意差はなかった(HR:0.85、p=0.1064)。サブグループ解析ではPD-L1 CPSが1以上の群のHRは0.79だった一方、1未満の群ではニボルマブの優越性は示されなかった。・ニボルマブ群とプラセボ群の3年OS率は57%対50%、5年OS率は46%対41%だった。・DMFS中央値はニボルマブ群27.3ヵ月、プラセボ群14.6ヵ月だった(HR:0.75)。・有害事象は既報どおりであり、新たな安全性シグナルは確認されなかった。 Kelly氏は「術後ニボルマブは、プラセボと比較して持続的な長期DFSのベネフィットとOSの改善を示した。安全性も長期にわたって耐容されるものだった。これらの結果は、この患者集団における術後ニボルマブの使用をさらに支持するものだ」とした。 現地で聴講した相澤病院・がん集学治療センターの中村 将人氏は「すでにDFSの結果が発表されており、日本食道学会ガイドライン委員会からコメントも出されている2)。今回の発表でも、有意差はないものの著明なOSの延長がみられた。一方、本邦ではJCOG1109試験の結果から術前化学療法が標準治療とされており、術前CRT後のエビデンスである本試験をどのように外挿するかは議論のあるところだ。JCOG2206試験(術前化学療法後に根治手術が行われ、病理学的完全奏効とならなかった食道扁平上皮がんにおける術後無治療/ニボルマブ療法/S-1療法を比較する第III相試験)の結果に注目したい」とコメントした。

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NSCLCの術前ニボルマブ追加、最終解析でOS延長(CheckMate-816)/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者における術前補助療法について、3サイクルのニボルマブ+化学療法併用療法は、化学療法単独と比較し全生存期間(OS)を有意に延長したことが、アイルランド・Trinity College DublinのPatrick M. Forde氏らによる第III相無作為化非盲検試験「CheckMate 816試験」のOSに関する最終解析結果で報告された。CheckMate 816試験では、ニボルマブ+化学療法併用療法により、病理学的完全奏効(pCR)と無イベント生存期間(EFS)を有意に改善したことが示されており、OSの最終解析が待たれていた。NEJM誌オンライン版2025年6月2日号掲載の報告。重要な副次評価項目であるOSの最終解析 CheckMate 816試験では、IB期からIIIA期の切除可能なNSCLC患者(ECOG PS 0~1、EGFR遺伝子変異陰性/ALK転座なし、がんに対する全身療法歴なし)を、ニボルマブ+プラチナ製剤を含む化学療法併用群またはプラチナ製剤を含む化学療法単独群に無作為に割り付け、それぞれ3週(1サイクル)ごとに3サイクル投与した後、術前補助療法終了後6週間以内に手術を行った。 主要評価項目はEFSおよびpCR、重要な副次評価項目がOSであった。 2017年3月~2019年11月に、計358例がニボルマブ+化学療法併用群(179例)または化学療法単独群(179例)に割り付けられた。5年OS率、ニボルマブ+化学療法併用群65.4%vs.化学療法単独群55.0% OS最終解析のデータカットオフ時点において、追跡期間中央値は68.4ヵ月(範囲:59.9~85.2)で、150例が死亡した(information fraction:81%、ニボルマブ+化学療法併用群66例、化学療法単独群84例)。 5年OS率はニボルマブ+化学療法併用群65.4%(95%信頼区間[CI]:57.8~71.9)、化学療法単独群55.0%(47.3~62.0)、OSの中央値はそれぞれ未到達と73.7ヵ月であり、化学療法単独群と比較しニボルマブ+化学療法併用群でOSが有意に延長した(ハザード比:0.72、95%CI:0.523~0.998、p=0.048)。 探索的解析の結果、ニボルマブ+化学療法併用群における5年OS率は、pCRが得られた患者(43例)で95.3%(95%CI:82.7~98.8)、得られなかった患者(136例)で55.7%(46.9~63.7)、ベースラインで循環腫瘍DNA(ctDNA)が陽性で術前にctDNAが消失した患者(24例)では75.0%(95%CI:52.6~87.9)、消失しなかった患者(19例)では52.6%(28.7~71.9)であった。 安全性に関する新たな懸念は認められなかった。

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高リスク頭頸部がん、CRT+ニボルマブの術後補助療法が20年振りの新たな標準治療に(NIVOPOSTOP)/ASCO2025

 高リスクの局所進行(LA)頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)に対する術後の標準治療は、長らく補助療法としての化学放射線療法(CRT)であった。しかし、これらの治療にもかかわらず40%以上の患者で再発が認められ、より効果的な治療法が必要とされている。NIVOPOSTOP試験は、術後CRTにニボルマブを追加した群とCRT単独群を比較した試験である。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションにおいて、Le Centre hospitalier universitaire vaudois(スイス)のJean Bourhis氏が本試験の結果を発表した。・試験:多施設共同無作為化第III相試験・対象:75歳未満、切除後の再発高リスク(術後のリンパ節被膜外浸潤、多発リンパ節転移、多発神経周囲浸潤および/または腫瘍断端陽性)のLA-SCCHN患者・試験群(NIVO群):ニボルマブ240mg→CRT(66Gy 放射線治療+シスプラチン100mg/m2)+ニボルマブ360mg(3週ごと3サイクル)→ニボルマブ480mg(4週ごと6サイクル)332例・対照群(標準治療群):CRT(3週ごと3サイクル)334例・評価項目:[主要評価項目]無病生存期間(DFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、QOL、安全性・データカットオフ:2024年4月30日 主な結果は以下のとおり。・計680例がランダム化され、対象となった666例がNIVO群332例、標準治療群334例に1対1で割り付けられた。追跡期間中央値は30.3ヵ月だった。・3年DFS率は、NIVO群で63.1%(95%信頼区間[CI]:57~68.7)、標準治療群で52.5%(95%CI:46.2~58.4%)だった。・PD-L1陽性患者全体において、NIVO群は標準治療群に比べてDFSが有意に改善されたものの、CPSはDFSと強い相関は示さなかった。・OSは未到達だったものの、NIVO群で改善傾向が認められた。・CRTの遵守率は両群で類似していた。Grade3の有害事象はNIVO群の63.1%、標準治療群の62.4%、Grade4は9.3%と5.2%に発現した。多かった有害事象は両群で類似しており、口内炎、放射線皮膚障害、嚥下障害などであった。 Bourhis氏は「術後CRTにニボルマブを追加した治療は、統計的および臨床的に有意なDFSの改善をもたらした。これは、切除後の再発高リスクLA-SCCHN患者に対し、過去20年間ではじめての新たな標準治療となる可能性があるものだ」とした。

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進行腎細胞がん1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ、9年長期追跡結果(CheckMate 214)/ASCO2025

 CheckMate 214試験において、進行淡明細胞型腎細胞がん患者の1次治療として、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法はスニチニブ単剤療法と比較して有意な生存ベネフィットを示したことが報告されている。今回、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏が追跡期間中央値9.3年の最終解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表。ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は全試験対象集団において生存の改善および持続的な奏効を示し、新たな安全性シグナルは確認されなかった。・対象:未治療の進行淡明細胞型腎細胞がん患者(≧18歳、KPS≧70%、RECIST v1.1に基づく測定可能病変あり)・試験群:ニボルマブ(3mg/kg)+イピリムマブ(1mg/kg)3週ごと4回→ニボルマブ2週ごと 550例(うちIMDC分類中/高リスク425例)・対照群:スニチニブ(50mg)1日1回4週→2週休薬 546例(うちIMDC分類中/高リスク422例)・評価項目:[主要評価項目]IMDC分類での中/高リスクの患者における全生存期間(OS)、独立画像判定委員会(IRRC)判定による無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)[副次評価項目]ITT集団におけるOS、IRRC判定によるPFS、ORR、安全性 主な結果は以下のとおり。IMDC分類中/高リスクの患者における主要結果・OS中央値:試験群46.7ヵ月vs.対照群26.0ヵ月(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.59~0.81)・PFS中央値:12.4ヵ月vs.8.5ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.61~0.87)・ORR:42.4%vs.27.5%・奏効期間(DOR)中央値:82.8ヵ月vs.19.8ヵ月(HR:0.48、95%CI:0.33~0.69)ITT集団における主要結果・OS中央値:52.7ヵ月vs.37.8ヵ月(HR:0.71、95%CI:0.62~0.82)・PFS中央値:12.4ヵ月vs.12.3ヵ月(HR:0.88、95%CI:0.76~1.04)・ORR:39.5%vs.33.0%・DOR中央値:76.2ヵ月vs.25.1ヵ月(HR:0.53、95%CI:0.38~0.73)治療期間、後治療、安全性・治療期間中央値は7.9ヵ月vs.7.8ヵ月、治療関連有害事象(TRAE)による試験治療中止が24%vs.13%であった。・試験治療後に全身治療を受けた患者の割合は58%vs.70%で、試験群ではスニチニブが25%と最も多く、対照群ではいずれかのPD-1阻害薬が46%と最も多かった。・全GradeのTRAEの発現率は94%vs.98%と同等であったが、Grade3以上のTRAEの発現率は試験群で少なかった(49%vs.64%)。・試験群において発現した全Gradeの免疫介在性有害事象(imAE)のうち、発現率が高かったのは下痢(44%)、皮疹(29%)、甲状腺機能低下症(20%)などであった。試験群の患者のうち31%がimAEのマネージメントを目的として、コルチコステロイドの投与を受けていた。またimAEの多くが12ヵ月以内に発現していた。 Motzer氏は今回の結果について、進行淡明細胞型腎細胞がん患者の1次治療としてニボルマブ+イピリムマブ併用療法が標準治療であることを支持するものとまとめている。また、ニボルマブの皮下注製剤が静注製剤と同等の臨床効果を示したと報告されていることに触れ、本療法の維持療法における代替となる可能性があるとした。

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既治療CLDN18.2陽性胃がん、CAR-T療法satri-celがPFS改善(CT041-ST-01)/Lancet

 既治療のCLDN18.2陽性進行胃または食道胃接合部がん患者において、医師が選択した治療と比較してsatricabtagene autoleucel(satri-cel、自家CLDN18.2特異的キメラ抗原受容体[CAR]T細胞療法)による治療は、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)について有意差はないものの臨床的に意義のある改善をもたらし、安全性プロファイルは管理可能であることが、中国・Peking University Cancer HospitalのChangsong Qi氏らが実施した「CT041-ST-01試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2025年6月7日号に掲載された。中国の無作為化実薬対照比較第II相試験 CT041-ST-01試験は、既治療のCLDN18.2陽性進行胃・食道胃接合部がんにおけるsatri-cel治療の有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化実薬対照比較第II相試験であり、2022年3月~2024年7月に中国の24施設で参加者のスクリーニングを行った(CARsgen Therapeuticsの助成を受けた)。 年齢18~75歳、CLDN18.2陽性の進行胃・食道胃接合部がんで、2ライン以上の前治療に不応であった患者を対象とした。被験者を、satri-cel(細胞量250×106、最大3回まで)を投与する群、または医師が選択した治療(TPC)を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けた。TPCは、標準治療薬(ニボルマブ、パクリタキセル、ドセタキセル、イリノテカン、rivoceranib[apatinib])から1つを選ぶこととした。 主要評価項目は、ITT集団におけるPFSとし、盲検下独立中央判定とした。奏効率、病勢コントロール率も良好 156例(年齢中央値52.0歳[四分位範囲:44.5~59.0]、女性69例[44%]、胃腺がん136例[87%]、食道胃接合部腺がん20例[13%])を登録し、satri-cel群に104例、TPC群に52例を割り付けた。それぞれ88例(85%)および48例(92%)が実際に試験薬の投与を受けた。satri-cel群では、28例(27%)が3ライン以上の前治療を受けており、72例(69%)が腹膜転移を有していた。TPC群では、それぞれ10例(19%)および31例(60%)であった。 PFSの追跡期間中央値は、satri-cel群9.07ヵ月、TPC群3.45ヵ月だった。ITT集団におけるPFS中央値は、TPC群が1.77ヵ月(95%信頼区間[CI]:1.61~2.04)であったのに対し、satri-cel群は3.25ヵ月(2.86~4.53)と有意に延長した(ハザード比[HR]:0.37[95%CI:0.24~0.56]、片側log-rank検定のp<0.0001)。 OS中央値は、satri-cel群が7.92ヵ月(95%CI:5.78~10.02)、TPC群は5.49ヵ月(3.94~6.93)であり(HR:0.69[95%CI:0.46~1.05]、片側log-rank検定のp=0.0416)、有意差はないもののsatri-cel群で臨床的に意義のある良好な傾向を認めた。 奏効率(完全奏効+部分奏効)はsatri-cel群22%、TPC群4%(部分奏効2例のみ)、病勢コントロール率(完全奏効+部分奏効+安定)はそれぞれ63%および25%であった。奏効期間中央値はsatri-cel群が5.52ヵ月で、TPC群の部分奏効の2例ではそれぞれ4.47ヵ月および5.42ヵ月だった。奏効までの期間中央値はsatri-cel群が1.94ヵ月、TPC群の部分奏効例はそれぞれ1.77ヵ月および2.96ヵ月であった。固形がんでの世界初の無作為化対照比較試験 安全性解析は、試験薬の投与を少なくとも1回受けたすべての患者で行った。試験治療下でのGrade3以上の有害事象は、satri-cel群で88例中87例(99%)、TPC群で48例中30例(63%)に発現した。試験治療下での有害事象による死亡は、それぞれ1例(播種性血管内凝固症候群による)および1例(血液凝固障害による)にみられた。 satri-cel群で最も頻度の高いGrade3以上の治療関連有害事象は、リンパ球数の減少(86/88例[98%])、白血球数の減少(68例[77%])、好中球数の減少(58例[66%])であった。サイトカイン放出症候群は、satri-cel群の84例(95%)で発現した。 著者は、「本試験は、固形がんにおけるCAR T細胞療法の世界初の無作為化対照比較試験と考えられる」「これらの結果は、satri-celが進行胃・食道胃接合部がんの既治療患者における標準治療となる可能性を示唆しており、より早期の治療ラインでのさらなる検討を支持するものである」としている。

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胃がん周術期、FLOTにデュルバルマブ上乗せでEFS改善(MATTERHORN)/ASCO2025

 欧米において、化学療法FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)は切除可能な胃がんにおける術前術後の標準治療だが、再発率は依然として高い水準にある。胃がんにおける免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、切除不能例において化学療法との併用で承認されているが、術前術後療法では承認されていない。 MATTERHORN試験は切除可能な胃がん患者を対象に、術前術後療法としてFLOTにICIであるデュルバルマブ上乗せの有用性をみた試験である。すでに病理学的完全奏効(pCR)率を有意に改善したことが報告されているが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)プレナリーセッションにおいてYelena Y. Janjigian氏(米国・メモリアルスローンケタリングがんセンター)が、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)を含む第2回中間解析の結果を報告した。この結果はNEJM誌オンライン版2025年6月1日号に同時掲載された。・試験デザイン:国際共同二重盲検ランダム化第III相試験・対象:切除可能なStageII~IVA期局所進行胃がん/食道胃接合部腺がん 948例・試験群:術前術後にFLOT+デュルバルマブ1,500mgを4週ごと2サイクル、術後にデュルバルマブ1,500mg 4週ごと10サイクル(デュルバルマブ群)474例・対照群:術前術後にFLOT+プラセボを4週ごと2サイクル、術後にプラセボを10サイクル(プラセボ群)474例・評価項目:[主要評価項目]EFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、pCR、安全性など・データカットオフ:2024年12月20日 主な結果は以下のとおり。・計948例がデュルバルマブ群474例、プラセボ群474例にランダム化された。追跡期間中央値は31.5ヵ月だった。・デュルバルマブ群はプラセボ群と比較して、EFSで統計学的に有意な改善を示した(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.58~0.86、p<0.001)。EFS中央値はデュルバルマブ群では未到達(95%CI:40.7~未到達)、プラセボ群で32.8ヵ月(95%CI:27.9~未到達)だった。2年EFS率は、デュルバルマブ群でプラセボ群よりも高かった(67%対59%)。・OS中央値は、デュルバルマブ群で未到達、プラセボ群で47.2ヵ月(HR:0.78、95%CI:0.62~0.97、p=0.025)であった。・pCR率はデュルバルマブ群で19%、プラセボ群で7%だった。・Grade3/4の有害事象の発生率は両群で類似していた。デュルバルマブ群はプラセボ群と比較して手術や補助療法の開始を遅らせなかった。 Janjigian氏は「デュルバルマブ+FLOTは、プラセボ+FLOTと比較してEFSで統計学的に有意な改善を示し、OSの有望な傾向を示した。これらの結果は、デュルバルマブを切除可能な胃がん周術期の新たな標準治療として支持するものだ」とした。 現地で聴講した相澤病院・がん集学治療センターの中村 将人氏は「EFS、OSが改善したポジティブな結果だった。一方で、日本におけるStageII/III胃がんの術後化学療法はS-1が中心でFLOTレジメンは使われていない。また、サブグループ解析ではアジア人においては両群に有意差がなかった。こうした点から、この治療戦略を日本の臨床に取り入れるべきかどうかは意見の分かれるところであり、さらなるデータが必要となりそうだ。今年のASCOの消化器がん演題の中で、最も議論を呼ぶ結果ではないか」とコメントした。

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TTフィールド併用療法、局所進行膵腺がんでOS延長(PANOVA-3)/ASCO2025

 切除不能局所進行膵腺がん(LA-PAC)患者において、腫瘍電場治療(TTフィールド)と化学療法の併用が全生存期間(OS)の改善を示した。 LA-PAC患者を対象にTTフィールドとゲムシタビン+nabパクリタキセル(GnP)の有用性を評価する第III相PANOVA-3試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、米国・Virginia Mason Medical CenterのVincent Picozzi氏から発表された。TTフィールド併用療法のOSベネフィットをPANOVA-3試験が初実証 LA-PACは5年生存率8%と予後不良であり、現在の治療法ではアンメットニーズが高い。LA-PACの30〜35%は局所進行だが根治切除対象は10〜15%にとどまり、残りの患者は治癒不能で消耗性の痛みを訴える。TTフィールドはさまざまな機序で腫瘍細胞の分裂を阻害する電場療法。化学療法、放射線、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、PARP阻害薬などとの併用により、一部の固形がんで抗腫瘍効果を高めることが認められていた。米国と欧州では膠芽腫、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺がんに承認されている(日本では膠芽腫のみ)。膵腺がんでは、進行ステージにおいてGnPレジメンとの併用で、有効性と忍容性が示されている。試験デザイン:無作為化非盲検第III相試験対象:局所進行膵腺がん試験群:TTフィールド+GnPレジメン(TTフィールド+GnP群)285例対照群:GnPレジメン(GnP群)286例評価項目[主要評価項目]OS[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、無痛生存期間、奏効率(ORR)、安全性など TTフィールドとGnPの有用性を評価する第III相PANOVA-3試験の主な結果は以下のとおり。・OS中央値は、TTフィールド+GnP群16.2ヵ月、GnP群で14.2ヵ月と、TTフィールド+GnP群で有意に延長した(ハザード比[HR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.68~0.99、p=0.039)。・PFS中央値はTTフィールド+GnP群10.6ヵ月、GnP群9.3ヵ月であった(HR:0.85、95%CI:0.68〜1.05、p=0.137)。・無痛生存期間中央値はTTフィールド+GnP群15.2ヵ月、GnP群9.1ヵ月であった(HR:0.74、95%CI:0.56〜0.97、p=0.027)。・有害事象(AE)はTTフィールド+GnP群の97.8%、GnP群の89.9%に発現し、重篤なAE発現は、TTフィールド+GnP群53.6%、GnP群47.6%であった。・TTフィールド+GnP群の機器関連AEは81.0%に発現した。主なものは皮膚障害であるが、ほとんどがGrade1/2であった(Grade3は7.7%)。TTフィールドに起因する死亡例はなかった。 PANOVA-3試験は、切除不能LA-PACにおけるTTフィールドとGnPの併用療法が、OSおよび無痛生存期間において有意なベネフィットを示すことを初めて実証した。同レジメンが新たな標準治療となる可能性を示す結果となった。 この試験結果はJournal of Clinical Oncology誌2025年5月31日号に掲載された。

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薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025改訂のポイント/日本呼吸器学会

 がん薬物療法の領域は、数多くの分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、抗体薬物複合体(ADC)が登場し、目覚ましい進歩を遂げている。しかし、これらのなかには薬剤性肺障害を惹起することが知られる薬剤もあり、薬剤性肺障害が注目を集めている。そのような背景から、2025年4月に『薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025』が発刊された。本手引きは、2018年以来の改訂となる。『薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025』改訂のポイントについて、花岡 正幸氏(信州大学病院長/信州大学学術研究院医学系医学部内科学第一教室 教授)が第65回日本呼吸器学会学術講演会で解説した。いま薬剤性肺障害が注目される理由 花岡氏は、「いまほど薬剤性肺障害が注目を集めているときはない」と述べ、注目される理由として以下の5点を挙げた。(1)症例数の増加ICIなどの新規薬剤の登場に伴って薬剤性肺障害の報告が増加している。(2)人種差国際比較により、日本人で薬剤性肺障害の発症率が高い薬剤が存在する。(3)予後不良な病理組織パターン重症化するびまん性肺胞傷害(DAD)を呈する場合がある。(4)多様な病型非常に多くの臨床病型が存在し、肺胞・間質領域病変だけでなく気道病変、血管病変、胸膜病変も存在する。(5)新たな病態ICIによる免疫関連有害事象(irAE)など、新規薬剤の登場に伴う新たな病態が出現している。薬剤性肺障害の診断・治療の手引きの改訂ポイント8点 『薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025』では、改訂のポイントとして8点が挙げられている(p.viii)。これらについて、花岡氏が解説した。(1)診断・検査の詳説 今回の『薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025』改訂において「図II-1 薬剤性肺障害の診断手順」が追加された(p.13)。薬剤性肺障害の疑いがあった場合には、(1)しっかりと問診を行って、原因となる薬剤の使用歴を調査し、(2)諸検査を行って他の原因疾患(呼吸器感染症、心不全、原病の悪化など)を否定し、(3)原因となる薬剤での既報を調べ、(4)原因となる薬剤の中止で改善するかを確認し、(5)再投与試験によって再発するか確認するといった流れで診断を実施することが記載されている。 肺障害の発症予測や重症化予測に応用可能なバイオマーカーの確立は喫緊の課題であり、さまざまな検討が行われている。そのなかから国内で報告されている3つのバイオマーカー候補分子(stratifin、lysophosphatidylcholine[LPC]、HMGB1)について、概説している。(2)最新の画像所見の紹介 薬剤性肺障害の画像所見が「表II-3 薬剤性肺障害の一般的なCT所見」にまとめられた(p.21)。薬剤性肺障害の代表的な画像パターンは、以下の5つに分類される。・DADパターン・OP(器質化肺炎)パターン・HP(過敏性肺炎)パターン・NSIP(非特異性間質性肺炎)パターン・AEP(急性好酸球性肺炎)パターン なお、今回の薬剤性肺障害の診断・治療の手引きの改訂において、特定の薬剤の肺障害としてALK阻害薬、ADCに関する画像所見が追加された。(3)薬物療法の例の追加 薬物療法のフローについて「図III-2 薬剤性肺障害の薬物療法の例」が追加された(p.50)。重症度別にフローを分けており、すべての症例でまず被疑薬を中止するが、無症状・軽症の場合は中止により改善がみられれば経過観察とする。被疑薬の中止による改善がみられない場合や中等症の場合は、経口プレドニゾロン(0.5~1.0mg/kg/日)を投与する。これで改善がみられる場合はプレドニゾロンを漸減し、2~3ヵ月以内に中止する。経口プレドニゾロンで改善がみられない場合や重症・DADパターンでは、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1,000mg/日×3日)を行い、経口プレドニゾロンに切り替える。改善がみられる場合は漸減し、改善がみられない場合はステロイドパルスを繰り返すか、免疫抑制薬の追加を行う(ただし、免疫抑制薬に薬剤性肺障害に対する保険適用はないことに注意)。(4)予後不良因子の追加 薬剤性肺障害の予後を規定する要因として報告されているものを以下のとおり列挙し、解説している。・背景因子(高齢、喫煙歴、喫煙指数高値、既存の間質性肺炎、喘息の既往[ICIの場合]など)・発症様式(低酸症血症、PS2~4など)・胸部画像所見(DADパターンなど)・血清マーカー(KL-6、SP-D、stratifinなど)・気管支肺胞洗浄液(BALF)所見(剥離性の反応性II型肺上皮細胞)・ICIによる肺障害と抗腫瘍効果 ICIについては、irAEがみられた集団で抗腫瘍効果が高いこと、ニボルマブによる肺障害が生じた症例のうち、腫瘍周囲の浸潤影を呈した症例は抗腫瘍効果が高かったという報告があることなどが記されている。(5)患者指導の項目の追加 薬剤の投与中に新たな症状が出現した場合は速やかに医療機関や主治医に報告するよう指導すること、とくに抗悪性腫瘍薬や関節リウマチ治療薬を使用する場合には、既存の間質性肺疾患の合併の有無を十分に検討することなどが『薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025』には記載された。また、抗悪性腫瘍薬の多くは医薬品副作用被害救済制度の対象外である点も周知すべきことが示された。(6)抗悪性腫瘍薬による肺障害を詳説 とくに薬剤性肺障害の頻度が高いチロシンキナーゼ阻害薬、ICI、抗体製剤(とくにADC)について詳説している。(7)irAEについて解説 ICIによって生じた間質性肺炎では、BALF中のリンパ球の増加や制御性Tリンパ球の減少、抗炎症性単球の減少、炎症性サイトカインを産生するリンパ球・単球の増加など、正常分画とは異なる所見がみられることが報告されている。このようにirAEに特異的な所見がみられる場合もあることから、irAEの発症機序について解説している。(8)医療連携の章の追加 『薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025』について、花岡氏は「非専門の先生や診療所の先生にも使いやすい手引きとなることを目指して作成した」と述べる。そこで今回の改訂で「第VI章 医療連携」を新設し、非呼吸器専門医が薬剤性肺障害を疑った際に実施すべき検査について、「図VI-1 薬剤性肺障害を疑うときの検査」にまとめている(p.123)。 また、専門医への紹介タイミングや、かかりつけ医・非呼吸器専門医と呼吸器専門医のそれぞれの役割について「図VI-2 かかりつけ医と専門医の診療連携」で簡潔に示している(p.124)。すべての薬剤が肺障害を引き起こす可能性 花岡氏は、薬剤性肺障害の定義(薬剤を投与中に起きた呼吸器系の障害のなかで、薬剤と関連があるもの)を紹介し、そのなかで「薬剤性肺障害の『薬剤』には、医師が処方したものだけでなく、一般用医薬品、生薬、健康食品、サプリメント、非合法薬などすべてが含まれることが、きわめて重要である」と述べた。それを踏まえて、薬剤性肺障害の診療の要点として「多種多様な薬剤を扱う臨床医にとって、薬剤性肺障害は必ず鑑別しなければならない。すべての薬剤は肺障害を引き起こす可能性があることを念頭において、まず疑うことが重要であると考えている」とまとめた。

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切除不能肝細胞がん1次治療でのニボルマブ+イピリムマブ、OSを有意に改善/Lancet

 前治療歴のない切除不能肝細胞がん(HCC)患者において、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法はレンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法と比較して、有意な生存ベネフィットを示し、安全性プロファイルは管理可能なものであったことを、香港大学のThomas Yau氏らCheckMate 9DW investigatorsが非盲検無作為化第III相試験「CheckMate 9DW試験」の結果で報告した。切除不能HCC患者の予後は不良であり、長期的ベネフィットをもたらす治療が待望されている。本報告は、CheckMate 9DW試験の事前規定の中間解析の結果であり、著者は、「結果は、前治療歴のない切除不能HCC患者に対する1次治療として、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法を支持するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年5月8日号掲載の報告。25ヵ国163施設で試験、主要評価項目はOS 切除不能HCC患者に対する全身性1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有効性および安全性を、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法と比較検討したCheckMate 9DW試験は、アジア、オーストラリア、欧州、北米および南米の25ヵ国163施設で行われた。 被験者は、全身療法歴のない切除不能HCCで、RECIST v1.1に基づく測定可能な未治療病変が1つ以上あり、Child-Pugh分類A(5または6点)、ECOG performance status 0または1の18歳以上の患者を適格とした。 被験者は、ニボルマブ(1mg/kg)+イピリムマブ(3mg/kg)を3週ごと最大4回静脈内投与後、ニボルマブ480mgを4週ごと最長2年投与する群(ニボルマブ+イピリムマブ併用群)、治験担当医の選択でレンバチニブ(8mg/日[体重<60kgの場合]または12mg/日[≧60kgの場合])を経口投与またはソラフェニブ(400mgを1日2回)を経口投与する群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 無作為化は、双方向応答テクノロジーシステムを用いて行われ、病因(HBV vs.HCV vs.非感染)、大血管浸潤または肝外転移もしくは両者の有無、ベースラインのアルファフェトプロテイン(AFP)値により層別化された。 主要評価項目は全生存期間(OS)とし、無作為化された全患者で評価した。安全性は、無作為化された全患者のうち治療を1回以上受けた患者で探索的に評価した。追跡期間中央値35.2ヵ月、ニボルマブ+イピリムマブ併用群のOS有意に改善 2020年1月6日~2021年11月8日に、668例が無作為化された(ニボルマブ+イピリムマブ併用群335例、対照群333例)。 Kaplan-Meier法を用いてプロットした両群の生存曲線(Kaplan-Meier曲線)において、無作為化後6ヵ月間の死亡例はニボルマブ+イピリムマブ併用群で多かった(死亡リスクのハザード比[HR]:1.65[95%信頼区間[CI]:1.12~2.43])が、早期に交差しその後は両群のKaplan-Meier曲線は乖離した状態が維持され、ニボルマブ+イピリムマブ併用群での生存が良好であることが観察された(死亡リスクのHR:0.61[0.48~0.77])。 追跡期間中央値35.2ヵ月(四分位範囲:31.1~39.9)時点において、OSはニボルマブ+イピリムマブ併用群(中央値23.7ヵ月[95%CI:18.8~29.4])が対照群(20.6ヵ月[17.5~22.5])と比較して有意に改善したことが認められた(HR:0.79[95%CI:0.65~0.96]、両側層別化log-rank検定のp=0.018)。24ヵ月OS率は、ニボルマブ+イピリムマブ併用群49%(95%CI:44~55)、対照群39%(34~45)であり、36ヵ月OS率は、それぞれ38%(32~43)、24%(19~30)であった。 全体でGrade3~4の治療関連有害事象は、ニボルマブ+イピリムマブ併用群137/332例(41%)、対照群138/325例(42%)で認められた。治療関連死はニボルマブ+イピリムマブ併用群で12例、対照群で3例が報告された。

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アシミニブが初発CMLに効能追加/ノバルティス

 ノバルティス ファーマは2025年5月19日、アシミニブ(商品名:セムブリックス)が初発の慢性骨髄性白血病(CML)に対する効能追加の承認を取得したことを発表した。 本剤は、2022年3月28日に「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」に対して承認されている。なお、今回の効能追加に伴い、40mg1日2回投与から、80mg1日1回投与に変更することが承認された。 この承認は、国際共同第III相試験(J12301/ASC4FIRST試験)のデータに基づくもの。本試験は、初発のCML成人患者を対象に医師選択の第1世代または第2世代TKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ)と直接比較した多施設共同非盲検無作為化試験であり、医師選択TKIに対するアシミニブの優越性が検証された。 今回の承認で改訂された「効能又は効果」「用法及び用量」は以下のとおり。■効能又は効果改訂前:前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病改訂後:慢性骨髄性白血病■用法及び用量:改訂前:通常、成人にはアシミニブとして1回40mgを1日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。改訂後:通常、成人にはアシミニブとして1回80mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

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術前PD-1阻害薬療法、広範なdMMR固形腫瘍で手術を回避/NEJM

 ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の局所進行直腸腫瘍では、免疫チェックポイント阻害薬を用いた術前補助療法により高率に手術の必要性がなくなったとの報告があり、これを腫瘍部位を問わずにあらゆる早期dMMR固形腫瘍に適用可能ではないかとの仮説が提唱されている。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのAndrea Cercek氏らは、根治手術が可能な早期dMMR固形腫瘍患者において、PD-1阻害薬dostarlimabを用いた術前補助療法が、高い割合で当該臓器の温存をもたらすことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年4月27日号に掲載された。米国の2つのコホートの第II相試験 研究グループは、早期dMMR固形腫瘍の非手術的管理の根拠を検証する目的で、治癒切除可能な広範な部位の早期MMR固形腫瘍におけるdostarlimabによる術前補助療法の有効性と安全性を評価する第II相試験を行った(Swim Across Americaなどの助成を受けた)。 米国の3施設でスクリーニングを受け、新たに診断されたI、II、III期の固形腫瘍で、治癒を目的とする手術が可能であり、免疫組織化学染色でMLH1、MSH2、MSH6、PMS2の発現がないdMMRの患者を対象とした。 これらの患者に対し、術前補助療法としてdostarlimab(500mg)を3週ごとに6ヵ月間(9サイクル)静脈内投与し、2つのコホート(コホート1:dMMR局所進行直腸がん、コホート2:直腸以外のdMMR固形腫瘍)で評価を行った。臨床的完全奏効が得られた患者は非手術的管理による治療の継続を選択することができ、残存病変を有する患者は切除術を受けることとした。 コホート1の主要エンドポイントとして、手術を受けなかった患者または手術を受け病理学的完全奏効を達成した患者におけるdostarlimab療法(±化学放射線療法)終了から12ヵ月の時点での持続的な臨床的完全奏効を評価し、コホート2では探索的解析を行った。解析には、2019年12月~2025年4月に得たデータを使用した。治療終了患者の臨床的完全奏効は82%、80%で手術回避 117例を解析の対象とした。コホート1が50例(年齢中央値51.0歳[範囲:26~78]、女性56%)、同2が67例(67.0歳[28~87]、43%)であった。103例が治療を終了した(コホート1:49例、コホート2:54例)。コホート2の主な腫瘍の部位は、結腸(33例)、胃(15例)、尿路上皮(7例)、食道(3例)、胃食道接合部(3例)などであった。 コホート1では、治療を終了した49例のすべてが臨床的完全奏効を達成し、全例が非手術的管理による治療継続を選択した。12ヵ月の時点で、37例が持続的な臨床的完全奏効を維持しており、有効性の基準を満たした。 コホート2では、治療を終了した54例中35例(65%)が臨床的完全奏効を得て、このうち33例(61%)が非手術的管理による治療継続を選択した。残りの2例(胃がん1例、尿路上皮がん1例)は手術を選択し、いずれも切除検体にがんの証拠は認めなかった。 両コホートを合わせた治療終了患者103例では、84例(82%[95%信頼区間[CI]:72~88])で臨床的完全奏効が得られ、このうち82例(80%[70~87])が手術を受けなかった。また、原発腫瘍が治療中または治療後に進行したり、切除不能となった患者はなく、死亡例の報告もなかった。 全117例における2年時の無再発生存率は92%(95%CI:86~99)で、再発までの期間中央値は20.0ヵ月(範囲:0~60.8)であった。コホート1の50例では、それぞれ96%および30.2ヵ月、同2の67例では、85%および14.9ヵ月だった。全体で再発は5例のみで、1例は原発腫瘍(直腸)の再増殖であったが、残りの4例はリンパ節に限局した再発であった。有害事象発現率は65%、可逆性のGrade1、2が60% dostarlimabの投与を少なくとも1回受けた患者の65%に有害事象が発現した。60%は可逆性のGrade1または2の有害事象であった。最も頻度の高いGrade1または2の有害事象は、疲労感(全体の23%)、皮疹または皮膚炎(同21%)、そう痒(同19%)であった。Grade3の有害事象として、糖尿病、肺感染症、甲状腺機能低下症、脳炎、好中球減少症を各1例に認めた。Grade4の発熱性好中球減少症が1例にみられた。 著者は、「免疫チェックポイント阻害薬の効果は、腫瘍の原発部位よりもdMMRの表現型に主に依存していると思われた」「今後の大きな課題は、腫瘍反応を監視する最良の方法を確立することである」「本研究は、早期dMMR固形腫瘍の従来の治療パラダイムに変更をもたらし、多くの患者において手術や他の治療の必要性をなくすための基礎を提示するものである」としている。

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免疫チェックポイント阻害薬の治療効果、年齢による差は認められず

 人の免疫システムが加齢に伴い衰えていくことはよく知られている。しかし、そのような免疫機能の低下が、がんに対する免疫療法の効果を妨げることはないようだ。がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬による治療は年齢に関わりなく有効であることが、新たな研究で明らかにされた。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部腫瘍学分野のDaniel Zabransky氏らによるこの研究結果は、「Nature Communications」に4月21日掲載された。Zabransky氏は、「高齢患者に対する免疫療法の効果は、若年患者と同等か、場合によってはそれ以上だ」と述べている。 がん細胞は、免疫チェックポイントと呼ばれる正常な免疫システムを利用して免疫細胞の攻撃を回避することが知られている。免疫チェックポイント阻害薬は、この免疫システムのブレーキを解除し、免疫細胞ががん細胞をより効果的に攻撃できるようにする薬剤である。研究グループによると、がんと診断される患者の大半は65歳以上だという。がん治療における全体的な治療成績は高齢患者の方が悪い傾向にあり、免疫システムの老化が原因の一部と考えられている。しかし、免疫療法がこのような老化の影響の克服に役立つのかは明確になっていない。 本研究では、免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた104人のがん患者(男性67.3%)を対象に、治療後の免疫反応を比較した。対象者のうち54人が65歳以上だった。免疫反応は、試験開始時と治療から1〜5カ月後に採取した末梢血サンプルを用いて評価した。追跡期間中央値は8.8カ月だった。 その結果、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)において年齢による有意な差は認められなかった。奏効率は、高齢患者で35.4%、若年患者で23.1%であり、この差も統計学的に有意ではなかった。 一方で、免疫反応については高齢患者と若年患者の間に違いが見られた。例えば、高齢患者では、ナイーブT細胞(特定の抗原に曝露したことのないT細胞)が少なく、免疫チェックポイント阻害薬による増強がなければ、がんなどの新たな脅威に対応する準備ができていない可能性が示唆された。研究グループは、「このような違いは、免疫療法薬が高齢患者にとって特に有益なものになる可能性があることを示唆している」と述べている。 研究グループは次の研究で、腫瘍内部で見つかった免疫細胞の違いに注目し、年齢層間で比較して免疫療法に対する反応を調べる予定だとしている。Zabransky氏は、「現行の治療では、免疫システムによるがん細胞の認識能力に年齢差がある点をあまり考慮せずに、免疫チェックポイント阻害薬をどの患者にも同じように投与している。われわれは、加齢に伴う免疫システムの変化に対する理解を深めることで、新たな治療戦略を特定し、患者ごとに異なる重要な因子に基づく個別化治療を進めていきたいと考えている」との展望を示している。

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グローバルなリアルワールドエビデンスに期待(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 本研究は、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者のうち、PD-L1陽性(TPS≧1%)でEGFR変異やALK転座がない症例を対象に、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブと、新規の二重特異性抗体ivonescimab(PD-1+VEGFに対する抗体)の有効性と安全性を比較した多施設ランダム化第III相試験「HARMONi-2試験」の報告である。中間解析時点での主要評価項目は無増悪生存期間PFSで、ivonescimab群で有意に延長が認められた(中央値11.1ヵ月vs.5.8ヵ月、HR:0.51、p<0.0001)。このPFSの改善効果はPD-L1 TPS 1~49%、TPS≧50%、扁平上皮がん、非扁平上皮がんを含む主要なサブグループで一貫していた。また奏効率ORRはivonescimab群で50%、ペムブロリズマブ群で39%、病勢コントロール率DCRはそれぞれ90%と71%であった。重篤な免疫関連有害事象(irAE)は両群で同程度であり、高血圧や蛋白尿などのVEGFに関連する有害事象はivonescimab群でやや多いものの管理可能な範囲であった。とくにベバシズマブが従来禁忌とされてきた扁平上皮がんでも、出血性合併症の増加は認められなかった。 本研究の最大のメリットは、「免疫治療の単剤療法」においてペムブロリズマブを上回る有効性を示した点である。とくに、PD-L1 TPS 1~49%の集団で有効性を示した初の免疫単剤であること、扁平上皮がんにも使用可能な抗VEGF併用薬であること、速い奏効と高い病勢コントロール率の3点は肺がん診療において重要かつ実践的であると考えられる。 PD-L1陽性肺がんに対するペムブロリズマブの初回治療の効果を検証した「KEYNOTE-042試験」ではTPS 1~49%の患者でPFS延長は示されなかったが、本試験では同群に対してHR 0.54と有意なPFS延長を示した。これにより、これまで「PD-L1低発現群で免疫治療の単剤治療は避けるべき」とされてきた症例に対する新たな選択肢の可能性を示した。また従来血管新生阻害薬であるベバシズマブは出血リスクから扁平上皮がんでは禁忌とされていたが、ivonescimabは同様の抗VEGF作用を有しながら出血性合併症は問題とならなかった。扁平上皮がんの1stラインにおける免疫薬単剤治療の選択肢が広がる点は、臨床的に非常に有用と考えられる。そして本研究におけるivonescimab群の奏効までの期間中央値は1.5ヵ月であり、治療早期に効果を期待したい症例に有利に働く。 本研究の有用性は十分に示されていると考えられるが、日本の実臨床で活かすためにはまだまだ問題点がある。まずすべての症例が中国人であり、外的妥当性に課題がある。薬物代謝や腫瘍の特性、人種差を考慮すると、日本人を含むグローバルな症例に対して本研究と外挿するには慎重な姿勢が求められる。また現時点で評価期間が短く、OSは未成熟な点である。他の臨床試験でも同様であるがPFS延長=延命とは限らず、今回の中間解析ではPFSの延長がそのまま予後改善につながるかどうかは現時点では不明である。比較対象がペムブロリズマブ単剤であることも問題である。昨今の進行非小細胞肺がんの標準治療は、プラチナ製剤を含む化学療法と免疫治療を組み合わせる複合免疫療法がスタンダードである。グローバルな標準治療と乖離しており、本試験の比較対象がペムブロリズマブ単剤であることは、比較の「厳しさ」に欠ける可能性がある。 ivonescimab群では目立った免疫関連有害事象こそ認められないものの、Grade3以上の高血圧や蛋白尿といった抗VEGFに由来する有害事象は一定数認められた。実臨床では、とくに腎障害リスクのある症例や高齢者では慎重な管理が必要と考えられる。 さまざまな問題点が指摘される本研究であるが、扁平上皮肺がんやPD-L1低発現群など治療選択肢が限られる症例に対しては期待できる結果が報告された。今後のグローバルなリアルワールドエビデンスに期待が持てる新規薬剤となるのであろう。

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間質性肺炎合併肺がん、薬物療法のポイント~ステートメント改訂/日本呼吸器学会

 2017年10月に初版が発行された『間質性肺炎合併肺癌に関するステートメント』について、2025年4月に改訂第2版が発行された。肺がんの薬物療法は、数多くの分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、抗体薬物複合体(ADC)が登場するなど、目覚ましい進歩を遂げている。そのなかで、間質性肺炎(IP)を合併する肺がんの治療では、IPの急性増悪が問題となる。そこで、近年はIP合併肺がんに関する研究も実施され、エビデンスが蓄積されつつある。これらのエビデンスを含めて、本ステートメントの薬物療法のポイントについて、池田 慧氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター)が第65回日本呼吸器学会学術講演会で解説した。NSCLCへの細胞傷害性抗がん薬 細胞傷害性抗がん薬によるIP合併非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療の中心は、カルボプラチンに(nab-)パクリタキセルまたはS-1を併用するレジメンである。これは、本邦で実施された複数の前向き研究や後ろ向き研究の多数例の報告に基づき、比較的安全に投与可能と判断されることによるものである。一方で2次治療以降の検討は少なく、標準治療は確立していない。これについて、池田氏は「後ろ向きの報告から、S-1が比較的安全に投与可能と判断され、用いられているのではないか」と述べた。 IP合併肺がん患者への細胞傷害性抗がん薬の使用について、『特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)』では投与を提案しているが(推奨の強さ:2、エビデンスの強さ:C[低])、「一部の患者には合理的な選択肢でない可能性がある」ことも記載されている。そのため、池田氏は急性増悪のリスク評価が重要であると述べる。リスク評価については、後ろ向き研究においてHRCTでの線維化範囲の広さ、UIP(通常型間質性肺炎)パターン、%FVC(努力肺活量の予測値に対する実測値の割合)低値、%DLco≦50%などが急性増悪のリスク因子として挙げられている。また、ILD-NSCLC-GAPスコア/modified GAPスコア、Glasgow Prognostic Scaleが急性増悪のリスク評価に有用である可能性も報告されている。ただし、確立されたリスク評価方法は存在せず、本ステートメントでは「治療前に急性増悪発症リスクを評価する方法は複数提案されているが確立していない」としている。SCLCへの細胞傷害性抗がん薬 IP合併小細胞肺がん(SCLC)について、本ステートメントの作成にあたり検索に含まれた介入研究は、国内の17例を対象としたカルボプラチン+エトポシドのパイロット試験のみである。本試験では、急性増悪の発現割合は5.9%と比較的低かったことが報告されている。また「びまん性肺疾患に関する調査研究」班(びまん班)の調査では、急性増悪の発現割合がカルボプラチン+エトポシドで3.7%、シスプラチン+エトポシドで11.0%であったことも報告されている。以上から、本ステートメントでは「プラチナ製剤とエトポシド併用療法がIP合併症例においても標準的治療とするコンセンサスが得られている」としている。分子標的薬 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)のゲフィチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブは、既存肺のIPが肺臓炎発現のリスク因子となることが報告されている。これらのことから、『特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)』では、IP合併肺がんに対して分子標的薬を投与しないことを推奨または提案するとされている。ただし、池田氏は「実際のところ、EGFR-TKI以外の分子標的薬については、既存肺のIPと肺臓炎リスクの関連は十分に検討されていない」と指摘する。近年では、KRAS、BRAF、METなどを標的とする分子標的薬が登場しており、これらの分子の遺伝子異常を有する患者には喫煙者が多いことから、肺気腫や間質性肺炎の合併が多い可能性も考えられる。そこで、びまん班が「間質性肺炎合併非小細胞肺癌におけるドライバー遺伝子変異/転座検索の実態と分子標的治療薬の安全性・有効性に関する多施設共同後方視的研究」を実施しており、すでに1,250例を超える症例が集積されているとのことである。池田氏は「かなり興味深い結果になっていることが期待され、近いうちに学会でデータを示し、IP合併肺がん患者でもドライバー遺伝子変異を調べることの意義を共有したい」と述べた。抗線維化薬 特発性肺線維症(IPF)合併NSCLC患者を対象に、カルボプラチン+nab-パクリタキセルへのニンテダニブの上乗せ効果を検討した国内第III相無作為化比較試験「J SONIC試験」では、主要評価項目であるIPF無増悪生存期間(PFS)の優越性は示せなかったものの、非扁平上皮がんに限定するとPFSとOSの延長傾向がみられた。また、IPF合併SCLC患者を対象とした国内第II相試験「NEXT SHIP試験」では、カルボプラチン+エトポシドにニンテダニブを上乗せすることで、間質性肺炎の急性増悪の発現割合を3.0%に抑制したことが報告されている。以上から、ニンテダニブはIP合併の非扁平上皮NSCLC、SCLCにおいて抗線維化作用と抗腫瘍作用の双方を期待でき、1次治療の選択肢の1つになる可能性がある。ADC、モノクローナル抗体 HER2を標的とするADCのトラスツズマブ デルクステカンは肺臓炎の発現が多く、胃がんの市販後調査では既存肺のIPが肺臓炎リスク因子となることが報告されている。そのため、本ステートメントではIP合併肺がんでの使用に際して注意が必要であることが記載されている。ICI ICIは、予後不良なIP合併進行肺がん患者に長期生存をもたらしうる現状で唯一の治療選択肢である。しかし、複数の観察研究において、既存肺に間質性肺疾患を有する場合は免疫関連有害事象(irAE)としての肺臓炎の発現割合が高いことが報告されている。そのため、IP合併肺がん患者へICIを投与する場合は肺臓炎リスクの低い患者の絞り込みが重要となる。 そこで、本邦では複数の介入研究が実施されている。HAVクライテリア(蜂巣肺なし、自己抗体なし、%VC[肺活量の予測値に対する実測値の割合]≧80%)を満たす軽症のIPを合併した肺がん患者に対してICIを投与することで、肺臓炎の発現が抑制されることが示唆されている。一方、HAVクライテリアより緩い基準(蜂巣肺を許容、%FVC≧70%など)で実施した試験では、Grade3以上の肺臓炎が23.5%に認められている。これらの結果を受け、本ステートメントでは「既存肺に蜂巣肺を有すると判断された症例に関しては、とくに肺臓炎のリスクが高いものとして慎重な姿勢で臨むべきである」ことが記載されている。また、これらの結果について、池田氏は「軽症のIPであれば比較的安全な可能性があるが、蜂巣肺を有している場合は、現状の介入研究のデータをみると肺臓炎リスクが高い可能性が示唆されている。ただし、有効性に関する良好なデータも示されており、細胞傷害性抗がん薬では長期生存が見込めない予後不良な集団であることも考慮すると、現状ではICIはIP合併肺がんに対して長期生存をもたらしうる唯一の選択肢であるため、リスクベネフィットを患者に共有し、一緒に考えながら治療を選択していく必要がある」と述べた。

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「胃癌治療ガイドライン」改訂のポイント~薬物療法編~/日本胃癌学会

 2025年3月、「胃癌治療ガイドライン」(日本胃癌学会編)が改訂された。2021年から4年ぶりの改訂で、第7版となる。3月12~14日に行われた第97回日本胃癌学会では、「胃癌治療ガイドライン第7版 改訂のポイント」と題したシンポジウムが開催され、外科治療、内視鏡治療、薬物療法の3つのパートに分け、改訂ポイントが解説された。改訂点の多かった外科療法と薬物療法の主な改訂ポイントを2回に分けて紹介する。本稿では薬物療法に関する主な改訂点を取り上げる。「外科治療編」はこちら【薬物療法の改訂ポイント】原 浩樹氏(埼玉県立がんセンター 消化器内科) 内科系(薬物療法)については非常に多くの改訂があった。多くはガイドラインを一読すれば理解いただけると思うが、多くの方が関心を持っているであろうMSI、CPS、CLDN18、HER2といったバイオマーカーとそれに基づく治療選択と、今後避けて通れない高齢者診療に関する新たな推奨に絞って、改訂ポイントを紹介する。CQ12 切除不能進行・再発胃癌に対する一次化学療法CQ12 HER2陰性の切除不能進行・再発胃癌の一次治療において免疫チェックポイント阻害剤は推奨されるか?・HER2 陰性の切除不能な進行・再発胃癌/食道胃接合部癌において、一次治療として、化学療法+免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブまたはペムブロリズマブ)併用療法を行うことを強く推奨する。バイオマーカー(PD-L1[CPS]、MSI/MMR、CLDN18)や患者の全身状態を考慮する。(合意率100%、エビデンスの強さA)CQ13 切除不能進行・再発胃癌におけるバイオマーカーCQ13-1 バイオマーカーに基づいて一次治療を選択することは推奨されるか?・切除不能進行・再発胃癌患者に対し、バイオマーカーに基づいて一次治療を選択することを強く推奨する。(合意率100%、エビデンスの強さA) HER2陰性切除不能進行・再発胃癌の一次治療として、「推奨される化学療法レジメン」として新たに承認された抗CLDN18.2抗体のゾルベツキシマブ、チェックポイント阻害薬(ICI)のニボルマブ・ペムブロリズマブ、それぞれの化学療法との併用レジメンが追加された。「条件付きで推奨される化学療法レジメン」としてはSOX+ペムブロリズマブが追加となった。各レジメンの推奨根拠となった試験を紹介する。・ニボルマブ+化学療法/CheckMate 649PD-L1 CPS≧5の患者群における全生存期間(OS)中央値は、ニボルマブ+化学療法群で14.4ヵ月、化学療法単独群で11.1ヵ月であり、ハザード比(HR)は0.71であった。CPS≧1集団、全体集団でも改善傾向は見られたものの効果は低減する傾向だった。一方、MSI-H症例では強いOS延長効果が確認され、HRは0.34だった。ただし、MSI-Hは全体の3~4%という希少な集団である一方で、CPS<5の集団にもMSI-H症例が隠れていることに留意が必要だ。・ペムブロリズマブ+化学療法/KEYNOTE-859CPS≧1、CPS≧10、全体集団いずれにおいてもOSの有意な改善が示された。CheckMate 649試験と同様に、CPS値が高いほどHRが改善する傾向が見られた。CPS高値例にICIの効果が高いことは明らかだが、カットオフ値をどこに定めるべきかについては、引き続き議論が必要だろう。・ゾルベツキシマブ+化学療法/SPOTLIGHT・GLOW 両試験とも、ゾルベツキシマブ+化学療法群(mFOLFOX6またはCAPOX)は、主要評価項目である無増悪生存期間および重要な副次評価項目であるOSに対し統計的に有意な延長を示した。 昨年、日本胃癌学会から「切除不能進行・再発胃癌バイオマーカー検査の手引き」1)が発表された。この手引きでは一次薬物療法開始前に4つのバイオマーカー(HER2、PD-L1、MSI、CLDN18)をすべて測定することを強く推奨している。ただし、施設の状況や患者の状態によっては、すべての検査が実施できない場合もあるだろう。そうした場合は、一次療法開始に不可欠なバイオマーカーであるHER2とCLDN18検査を優先して実施することが推奨される。 HER2陰性の推奨レジメンは、CLDN18陽性の場合は6つ、陰性の場合は4つあり、この使い分けが論点となっている。ガイドライン作成委員会の中で一番議論となったのがHER2陰性+CLDN18陽性のケースだ。CPS<1では抗PD-1抗体による生存延長効果がほとんどないことを考慮すると、 ・CPS<1:ゾルベツキシマブを優先 ・CPS≧1:ゾルベツキシマブおよびICI2剤のいずれも選択肢と考えられる。ここからは私見になるが、CPS≧10はICI優先、1≦CPS<10はゾルベツキシマブがやや優先かと考えている。実臨床においてはバイオマーカーのみならず、年齢、PS、全身状態、患者希望などを総合的に考慮したうえで、治療方針を決定することになる。CQ10 高齢者CQ10-2 全身化学療法の適応を決める際に、年齢を考慮することは推奨されるか?・高齢の切除不能進行・再発胃癌症例では、患者の全身状態や意欲を慎重に評価したうえで、患者本人が状態良好(fit)かつ意思決定能力を有し治療意欲があれば、化学療法を計画するときに年齢を考慮することを弱く推奨する。(合意率100%、エビデンスの強さB) 日本の胃がん患者の85%が65歳以上という現状があるが、主要な臨床試験における65歳以上の参加者は3分の1程度である。一方、「一般的な若年者と同じ標準治療を受けることは難しいが、何らかの治療は受けられる」という「vulnerable」という多数派層が存在し、この層に向けた治療戦略が必要だ。この層を対象に減量投与の非劣性を報告する試験や、高齢者の状態を評価する「G8」スコア別に薬剤の有用性を評価する試験など、エビデンスも集積しつつある。高齢者の化学療法においては減量や薬剤選択による投与継続をはじめ、適切な個別化戦略が一層重要となる。

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