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PIK3CA変異進行乳がん1次治療、inavolisib追加でPFS改善/NEJM

 PIK3CA変異陽性、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の局所進行または転移を有する乳がん患者の治療において、パルボシクリブ+フルベストラントにプラセボを加えた場合と比較して、パルボシクリブ+フルベストラントにPI3Kα阻害薬inavolisibを追加すると、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長した一方で、一部の毒性作用の発生率が高いことが、英国・Royal Marsden Hospital and Institute of Cancer ResearchのNicholas C. Turner氏らが実施した「INAVO120試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年10月31日号に掲載された。国際的な無作為化プラセボ対照第III相試験 INAVO120試験は、進行乳がんにおけるinavolisib追加の有用性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2020年1月~2023年9月に28ヵ国で患者を登録した(F. Hoffmann-La Rocheの助成を受けた)。 対象は、PIK3CA変異陽性、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の局所進行または転移を有する乳がんの女性(閉経の前/中/後かは問わない)または男性で、術後補助内分泌療法中または終了後12ヵ月以内に再発した患者であった。 被験者を、1次治療としてinavolisib(9mg、1日1回、経口投与)とパルボシクリブ+フルベストラントを併用投与する群(inavolisib群)、またはプラセボとパルボシクリブ+フルベストラントを併用投与する群(プラセボ群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、担当医の評価によるPFS(無作為化から病勢進行または全死因死亡までの期間)であった。全生存率は有意差がない 325例を登録し、inavolisib群に161例、プラセボ群に164例を割り付けた。全体の年齢中央値は54.0歳(範囲:27~79)、319例(98.2%)が女性、195例(60.0%)が閉経後女性であり、167例(51.4%)が3つ以上の臓器に転移を、260例(80.0%)が内臓(肺、肝、脳、胸膜、腹膜)転移を有し、269例(82.8%)が過去に術前または術後補助化学療法を受けていた。追跡期間中央値は、inavolisib群21.3ヵ月、プラセボ群21.5ヵ月だった。 PFS中央値は、プラセボ群が7.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.6~9.3)であったのに対し、inavolisib群は15.0ヵ月(11.3~20.5)と有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.43、95%CI:0.32~0.59、p<0.001)。また、感度分析として盲検下独立中央判定による無増悪生存期間の評価を行ったところ、結果は担当医判定と一致していた(0.50、0.36~0.68、p<0.001)。 一方、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月時の全生存率は、inavolisib群がそれぞれ97.3%、85.9%、73.7%、プラセボ群は89.9%、74.9%、67.5%であり、両群間に有意差を認めなかった。死亡のHR(inavolisib群vs.プラセボ群)は0.64(95%CI:0.43~0.97、p=0.03)であり、事前に規定された有意差の境界値(p<0.0098)を満たさなかった。 客観的奏効率はinavolisib群が58.4%、プラセボ群は25.0%(群間差:33.4%ポイント、95%CI:23.3~43.5)、奏効期間中央値はそれぞれ18.4ヵ月および9.6ヵ月(HR:0.57、95%CI:0.33~0.99)であった。重篤な有害事象inavolisib群24.1%、試験薬投与中止6.8% Grade3/4の有害事象は、inavolisib群が80.2%、プラセボ群は78.4%で発現した。このうちinavolisib群で多かったGrade3/4の有害事象として、高血糖(5.6% vs.0%)、口内炎/粘膜炎症(5.6% vs.0%)、下痢(3.7% vs.0%)を認め、Grade3/4の皮疹は両群とも観察されなかった。 重篤な有害事象はinavolisib群24.1%、プラセボ群10.5%、Grade5(致死性)の有害事象はそれぞれ3.7%および1.2%で発現し、有害事象による試験薬の投与中止は6.8%(inavolisib 6.2%、パルボシクリブ4.9%、フルベストラント3.1%)および0.6%(有害事象によるパルボシクリブ、フルベストラントの投与中止はない)で発現した。 著者は、「本研究では、これらの患者集団において、総投与量を用いたPI3Kα阻害薬(inavolisib)+CDK4/6阻害薬(パルボシクリブ)+内分泌療法(フルベストラント)の併用療法は、PFSを大幅に改善した。一部の有害事象の発現率が高いものの安全性プロファイルは良好であったことから、この治療法は新たな治療選択肢となる可能性がある」としている。

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乳がん薬物療法の最新トピックス/日本癌治療学会

 第62回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で企画されたシンポジウム「明日からの乳癌診療に使える!最新の薬剤の使いどころ」において、がん研究会有明病院の尾崎 由記範氏が、乳がん薬物療法の最新トピックスとして、KEYNOTE-522レジメンの使いどころ、HER2ゼロ/低発現/超低発現の課題、新たなPI3K阻害薬inavolisibを取り上げ、講演した。高リスク早期TN乳がんへのKEYNOTE-522レジメンの使いどころ 切除可能トリプルネガティブ(TN)乳がんの標準治療としては、術前に化学療法を行い術後にカペシタビンやオラパリブを投与する治療があるが、KEYNOTE-522試験の結果から術前・術後にペムブロリズマブを使えるようになった。 KEYNOTE-522試験は、主にStageII/IIIのTN乳がんに対して、カルボプラチン+パクリタキセル → AC/ECの術前・術後にペムブロリズマブを併用し、予後改善を検討した第III相試験である。本試験で、病理学的完全奏効(pCR)割合、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間の改善が認められ、現在、ペムブロリズマブ併用レジメンが標準治療となっている。また、サブグループ解析において、StageやPD-L1の発現、pCR/non-pCRにかかわらず一貫した有効性が示され、StageII/IIIに広く使用できる。一方、免疫チェックポイント阻害薬は免疫関連有害事象(irAE)のリスクがある。術前治療においてGrade3以上のirAEが13%に認められており、5年EFSの9%のベネフィットとのバランスが議論になっているという。 今回、尾崎氏はKEYNOTE-522レジメンの日常診療におけるクリニカルクエスチョン(CQ)のうち4つを取り上げ、自施設(がん研究会有明病院)の方針や考えを紹介した。CQ:T2N0M0 cStageIIAのような比較的リスクの低い症例に対しても使用すべきか?T2N0症例における5年EFSは10%の差があり、TN乳がんは再発すると予後が約2年であることから、使用するようにしている。CQ:ホルモン受容体が弱陽性(ER 1~9%)の症例に使用すべきか?KEYNOTE-522試験にはER 1~9%は含まれていないが、ER 1~9%はTN乳がんとして治療すべきという考えがあり、最近の論文ではThe Lancet Regional Health-Europe誌にもそのように記載されている。ESMO2024でER 1~9%に対するリアルワールドデータが報告され、pCR割合は75%とTN乳がんと同程度だった。がん研究会有明病院ではER 1~9%もTN乳がんと診断して使用している(必ずしも保険が適用されるとは限らないため、各施設での判断が必要)。CQ:アントラサイクリンパートでG-CSF製剤の予防投与をするか?KEYNOTE-522試験での発熱性好中球減少症の発現割合は18%と報告されている。がん研究会有明病院の青山 陽亮氏の発表では22.9%と報告されており(JSMO2024)、多くはアントラサイクリンパートで発現しているため、G-CSF製剤の1次予防投与を推奨している。CQ:術後の最適な治療法は?pCR/non-pCRにかかわらずペムブロリズマブの使用が標準治療になっているが、non-pCRの場合のカペシタビン、生殖細胞系列BRCA病的バリアントを有する場合のオラパリブも世界的に標準治療と位置付けられている。pCRの場合にペムブロリズマブを省略可能かどうかが世界中で議論されており、それを検討するためのOptimICE-pCR試験が2,000例規模で進行中である。また、non-pCRではより有効な治療選択肢が必要とされており、その1つとしてdatopotamab deruxtecan+デュルバルマブが検討されている(TROPION-Breast03試験)。また、周術期ペムブロリズマブ投与後の再発症例は非常に予後不良であることから、再発症例に対してペムブロリズマブ+パクリタキセル±ベバシズマブで比較する医師主導治験(WJOG16522B、PRELUDE試験)を開始予定である(治験調整事務局:尾崎氏)。HER2ゼロ/低発現/超低発現の区別は喫緊の課題 次に尾崎氏は、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の適応に関連するHER2ゼロ/低発現/超低発現について取り上げた。 HR+HER2低発現/超低発現乳がんを対象としたDESTINY-Breast06試験において、T-DXdの有効性が示された。HER2超低発現の定義は、IHC0で10%以下の細胞に不完全な染色がある場合とされており、HER2-乳がんのうち20~25%とされている。この超低発現乳がんでも低発現乳がんと一貫した有効性が報告された。ESMO2024では、各施設でIHC0と判断された乳がんのうち、中央では24%がHER2低発現、40%が超低発現と判定されたとの報告があり、約6割がT-DXdのベネフィットが得られる可能性がある。T-DXdは今年8月、FDAからHER2低発現/超低発現の転移再発乳がん治療を対象として「画期的治療薬」として指定されており、日本でもすでに効能・効果追加の一部変更承認申請がなされていることから、尾崎氏は「HR+HER2ゼロとHER2低発現、超低発現の区別が喫緊の課題」と述べた。新規PI3K阻害薬inavolisibがFDA承認、日本における課題 尾崎氏は最後に、昨年末のサンアントニオ乳がんシンポジウム2023で初めて第III相INAVO120試験の主要評価項目である無増悪生存期間が発表され、そのわずか10ヵ月後の今年10月10日にFDAで承認されたPI3K阻害薬のinavolisibについて紹介した。 INAVO120試験は、術後内分泌療法中に再発もしくは終了後12ヵ月以内に再発し、PIK3CA変異があるHR+HER2-乳がんを対象とした試験で、inavolisib+パルボシクリブ+フルベストラントの3剤併用の有効性が示された。 現在、尾崎氏が考えるHR+HER2-乳がんに対する薬物療法は、アロマターゼ阻害薬+CDK4/6阻害薬を投与後、PIK3CA/AKT/PTEN変異の有無によって2次治療を選択、その後、ホルモン療法耐性、ホルモン感受性なし、visceral crisisの場合は抗体薬物複合体や化学療法、という流れである。inavolisibは再発診断時からPIK3CA変異を検出する必要があるため、尾崎氏は「米国では、再発1次治療としてinavolisib+パルボシクリブ+フルベストラントの併用がすでに承認され標準治療となるため、将来もしinavolisibが日本でも開発され承認されれば、日本でも同様に再発時点で遺伝子検査にてPIK3CA変異を確認する必要がある」と課題を提示した。

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TN乳がんに対する初のADCサシツズマブ ゴビテカン、有効性と注意すべき有害事象/ギリアド

 2024年9月24日、全身療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性/HER2陰性(トリプルネガティブ)乳がん(TNBC)の治療薬として、TROP-2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)サシツズマブ ゴビテカン(商品名:トロデルビ)が本邦で承認された。10月29日にギリアド・サイエンシズ主催のメディアセミナーが開催され、岩田 広治氏(名古屋市立大学大学院医学研究科臨床研究戦略部)が「トリプルネガティブ乳がんに新薬の登場」と題した講演を行った。ESMOガイドラインでは転移TNBCの2次治療として位置付け 欧米では同患者に対するサシツズマブ ゴビテカンは約3年前に承認・使用されており、2021年のESMO Clinical Practice Guideline1)ではPD-L1陽性患者に対する免疫療法、gBRCA陽性患者に対するPARP阻害薬、PD-L1およびgBRCA陰性患者に対する化学療法などの次治療として位置付けられている。 乳がん領域で承認されたADCとしてはトラスツズマブ エムタンシン(商品名:カドサイラ)、トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)に続き3剤目となるが標的となる抗体が異なり、TNBCに対しては初めて承認されたADCとなる。岩田氏は、「新しい作用機序の薬剤が使えるようになることは朗報。われわれはこの新しい武器を有効に使っていかなければならない」と話した。ASCENT試験とASCENT-J02試験のポイント 国際第III相ASCENT試験(日本不参加)では、2レジメン以上の化学療法歴のある(術前化学療法後12ヵ月以内に再発した場合は1レジメンで参加可能)転移TNBC患者(529例)を対象として、サシツズマブ ゴビテカンと主治医選択による化学療法の有効性が比較された。PD-L1陽性で免疫チェックポイント阻害薬治療歴のある患者が26~29%、gBRCA陽性でPARP阻害薬治療歴のある患者が7~8%含まれており、再発診断から登録までの中央値は約15ヵ月であった。 最終解析の結果、無増悪生存期間(PFS)中央値はサシツズマブ ゴビテカン群4.8ヵ月vs.化学療法群1.7ヵ月(ハザード比[HR]:0.413、95%信頼区間[CI]:0.33~0.517)、全生存期間(OS)中央値は11.8ヵ月vs.6.9ヵ月(HR:0.514、95%CI:0.422~0.625)となり、サシツズマブ ゴビテカン群における改善が示されている2)。奏効率(ORR)は35% vs.5%であり、岩田氏はこの結果について「2レジメン以上の治療歴のある患者さんに対し、大きな治療効果といえる」と話した。 日本で実施された第II相ASCENT-J02試験においても、サシツズマブ ゴビテカン投与患者(36例)におけるPFS中央値は5.6ヵ月、OS中央値はNR、ORRは25%で、ASCENT試験で報告された有効性との一貫性が示されている。注意を払うべき有害事象と今後の展望 岩田氏は、有害事象の中でとくに注意すべきものとして好中球減少症、下痢や悪心などの消化器症状、脱毛を挙げた。Grade3以上の好中球減少症はASCENT試験で34%、ASCENT-J02試験で58%、下痢はそれぞれ10%、8.3%に認められた。欧米では好中球減少症への対策として60~70%で予防的G-CSF投与が行われているといい、岩田氏は好中球減少症のマネジメントが課題となると指摘した。 現在、転移・再発TNBCの1次治療におけるサシツズマブ ゴビテカンの有効性を評価する臨床試験がすでに進行中であるほか、同様の機序の薬剤の開発も進んでいる。岩田氏は今後はそれらの薬剤との組み合わせや使い分けが重要になってくるとして、講演を締めくくった。

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NSCLCへのニボルマブ+イピリムマブ±化学療法、実臨床の有効性・安全性(LIGHT-NING第4回中間解析)/日本肺癌学会

 国際共同第III相試験CheckMate 9LA試験、CheckMate 227試験の結果に基づき、進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、ニボルマブ+イピリムマブ±化学療法が保険適用となり、実臨床でも使用されている。2試験の有効性の成績は、少数例ではあるものの日本人集団が全体集団よりも良好な傾向にあった一方、Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)の発現割合は、日本人集団が全体集団よりも高い傾向にあったことが報告されている。そこで、ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法(CheckMate 9LAレジメン)、ニボルマブ+イピリムマブ(CheckMate 227レジメン)を使用した患者のリアルワールドデータを収集するLIGHT-NING試験が実施された。本試験の第4回中間解析の結果について、山口 哲平氏(愛知県がんセンター呼吸器内科部)が第65回日本肺癌学会学術集会で発表した。試験デザイン:後ろ向き観察研究対象:未治療の進行・再発NSCLC患者544例(有効性解析対象515例)試験群1:ニボルマブ(360mgを3週ごと)+イピリムマブ(1mg/kgを6週ごと)+化学療法(3週ごと、2サイクル)(CM 9LA群:318例)試験群2:ニボルマブ(240mgを隔週または360mgを3週ごと)+イピリムマブ(1mg/kgを6週ごと)(CM 227群:226例)評価項目:[主要評価項目]治療状況、全生存期間(OS)、Grade3以上の免疫関連有害事象(irAE)、治療中止に至ったTRAEなど[副次評価項目]irAEの発現時期とirAEに対する治療内容および症状改善までの期間、irAEの有効性への影響など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は15.2ヵ月であった。・対象患者の年齢中央値は70歳、女性が18.8%、PS 0~1/2/3以上が89.1%/5.9%/1.3%、扁平上皮がんが27.6%、PD-L1発現状況が1%未満/1~49%/50%以上/不明は46.3%/34.9%/9.4%/9.4%であった。・治療別にみた年齢中央値はCM 9LA群が67歳、CM 227群が73歳、75歳以上の割合はそれぞれ12.3%、42.0%であり、高齢の患者では化学療法を含まないニボルマブ+イピリムマブが多く選択される傾向にあった。また、StageIV(一部切除不能StageIIIを含む)/再発の割合は、CM 9LA群が78.9%/21.1%、CM 227群が69.0%/31.0%であり、CM227群で再発の割合が高く、遠隔転移の割合が低かった。・解析時点において、イピリムマブのみを中止した患者の割合は2.6%、ニボルマブとイピリムマブの両剤を中止した患者の割合は91.9%で、イピリムマブ中止の内訳は病勢進行が43.2%、有害事象が42.8%であった。・OS中央値は、CM 9LA群が21.7ヵ月、CM 227群が18.8ヵ月であり、1年OS率はそれぞれ67.4%、61.8%、2年OS率はそれぞれ47.3%、44.0%であった。いずれの群でもPD-L1の発現状況による明らかな差はみられなかった。・PFS中央値は、CM 9LA群が6.8ヵ月、CM 227群が6.3ヵ月であり、1年PFS率はそれぞれ32.9%、36.1%、2年PFS率はそれぞれ21.0%、23.2%であった。いずれの群でもPD-L1の発現状況による明らかな差はみられなかった。・進行・再発別にみたOSの解析では、CM 9LA群におけるOS中央値はStageIV集団が17.6ヵ月、再発集団が29.2ヵ月であり、再発集団のほうが良好な傾向にあった(ハザード比[HR]:0.50、95%信頼区間[CI]:0.39~0.89)。同様に、CM 227群ではそれぞれ13.9ヵ月、27.8ヵ月であり、再発集団のほうが良好な傾向にあった(同:0.65、0.39~0.96)。・進行・再発別にみたPFSの解析でも、CM 9LA群におけるPFS中央値はStageIV集団が5.6ヵ月、再発集団が11.1ヵ月であり、再発集団のほうが良好な傾向にあった(HR:0.70、95%CI:0.49~0.98)。同様に、CM 227群ではそれぞれ5.3ヵ月、10.0ヵ月であり、再発集団のほうが良好な傾向にあった(同:0.71、0.50~0.99)。・医師判定に基づく奏効率は、40.1%(CM 9LA群:41.9%、CM 227群:37.4%)であった。・Grade3/4のTRAEは43.9%(CM 9LA群:53.5%、CM 227群:30.5%)に発現した。・治療関連死は3.7%(CM 9LA群:4.1%[13例]、CM 227群:3.1%[7例])に認められた。 本結果について、山口氏は「有効性に関して、CM 9LA群とCM 227群は同様の結果であり、いずれの群もPD-L1発現状況によっても治療効果に大きな差はみられなかったが、再発の集団で良好な傾向にあった。安全性に関する新たなシグナルは観察されず、安全性プロファイルはCheckMate 9LA、CheckMate 227試験と同様であった」とまとめた。

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胃がん1次治療のニボルマブ+化学療法、承認後のリアルワールドデータ/日本癌治療学会

 進行再発胃がん1次治療に対するニボルマブ+化学療法は、CheckMate 649試験およびATTRACTION-4試験の結果に基づき、本邦では2021年11月に承認された。本レジメンの実臨床での有用性を検討する観察試験であるG-KNIGHTが行われ、第62回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)では、倉敷中央病院の仁科 慎一氏が本試験の2回目の解析結果を発表した。今回の解析は2023年11月までのデータに基づいて実施された。 主な結果は以下のとおり。・2021年11月~2023年6月に1次治療としてニボルマブ+化学療法を受けた切除不能・HER2陰性胃がん患者を対象に、日本全国23施設から539例が登録され、527例が解析対象となった。・追跡期間中央値は10.3ヵ月(SD 6.7~15.0)、年齢中央値は70.3歳(24~87)、65.5%が男性、90.9%がECOG PS 0または1であった。・ニボルマブと併用された化学療法は、SOX(74.6%)、CapeOX(6.8%)、FOLFOX(20.7%)であった。・PD-L1 CPS検査実施率は85.6%(453/529)であり、陽性のうち<1が19.7%、1~5が31.7%、≧5が47.9%であった。・奏効率(ORR)は65.6%(95%信頼区間[CI]:59.9~70.9)、病勢コントロール率(DCR)は93.0%(95%CI:89.5~95.6)であった。・ORRのサブグループ解析では、MSIステータス(MSI-H:88.9%、MSS:65.4%)、腹膜播種(なし:72.9%、あり:53.2%)などで差が見られた。・PD-L1 CPSはORRと関連していた(≧5:72.5%、1~5:61.7%、<1:55.6%)ものの、無増悪生存期間(PFS)とは関連していなかった。・PFS中央値は6.9ヵ月(95%CI:6.2~7.6)、全生存期間(OS)中央値は16.4ヵ月(95% CI:14.1~18.4)であった。・治療関連有害事象(TRAE)は481例(91.3%)で発生し、Grade3以上は213例(40.4%)、そのうち免疫関連有害事象は136例(25.8%)、Grade3以上は41例(7.8%)で認められた。 仁科氏は「追跡期間中央値10.3ヵ月の527例のデータに基づく2回目の中間解析により、実臨床におけるニボルマブ+化学療法の有効性と安全性に関する最新の見識が得られた。有効性、安全性とも既報と大きな相違点はなかった」とまとめた。

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肝細胞がんにおけるICI療法後の肝移植の転帰は良好

 肝細胞がん患者において、肝移植(LT)前の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の使用は転帰を悪化させないという研究結果が、「Journal of Hepatology」7月10日に掲載された。 中東肝疾患センター(イラン)のMohammad Saeid Rezaee-Zavareh氏らは、ICIの使用がLT後の転帰に及ぼす影響について、個々の患者データを用いたメタ解析で検討した。解析には、適格患者91人のデータが含まれた。 その結果、追跡期間中央値690.0日の間に、同種移植片拒絶反応が24例、肝細胞がん再発が9例、死亡が9例認められた。年齢(10年当たりの調整ハザード比〔aHR〕0.72)およびICIウォッシュアウト期間(1週間当たりのaHR 0.92)において、移植片拒絶反応との関連が認められた。同種移植片拒絶反応の確率が20%以下の患者における、ウォッシュアウト期間の中央値は94日であった。全生存は、同種移植片拒絶反応の有無による違いは認められなかった。肝細胞がんの再発患者は未再発患者よりもICIサイクルの中央値が少なかった(4.0対8.0)。ICI後にミラノ基準を満たした患者の割合は、再発患者の方が未再発患者よりも低かった(16.7%対65.3%)。 上席著者である米シダーズ・サイナイ医療センターのJu Dong Yang氏は、「免疫療法の最終投与から肝移植まで90日間の間隔があれば、臓器拒絶反応のリスクは免疫療法を受けなかった場合と変わらない」と述べている。 なお複数人の著者がバイオ医薬品企業、医療機器企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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肺がん周術期のサンドイッチ療法って何?【DtoD ラヂオ ここが聞きたい!肺がん診療Up to Date】第8回

第8回:肺がん周術期のサンドイッチ療法って何?パーソナリティ日本鋼管病院 田中 希宇人 氏ゲスト神奈川県立がんセンター 加藤 晃史 氏※番組冒頭に1分ほどDoctors'PicksのCMが流れます関連サイト専門医が厳選した、肺がん論文・ニュース「Doctors'Picks」(医師限定サイト)講師紹介

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再発・転移子宮頸がん、化学療法+cadonilimabがPFS・OS改善/Lancet

 持続性、再発または転移を有する子宮頸がんの1次治療において、標準治療の化学療法単独と比較して、化学療法にPD-1とCTLA-4のシグナル伝達経路を同時に遮断する二重特異性抗体cadonilimabを追加すると、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に改善し、安全性プロファイルは管理可能であることが、中国・復旦大学上海がんセンターのXiaohua Wu氏らが実施した「COMPASSION-16試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年10月26日号で報告された。中国の無作為化プラセボ対照第III相試験 COMPASSION-16試験は、標準治療の化学療法へのcadonilimab追加の有用性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2021年9月~2022年6月に中国の59施設で患者を登録した(Akeso Biopharmaの助成を受けた)。 年齢18~75歳、持続性、再発または転移(StageIVB)を有する子宮頸がんと診断され、根治的手術または同時化学放射線療法の適応がなく、病変に対する全身療法による前治療歴がなく、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance status(ECOG PS)が0または1の患者を対象とした。 被験者を、cadonilimab(10mg/kg)またはプラセボを静脈内投与する群に1対1の割合で無作為化に割り付けた。全例に、ベバシズマブ(15mg/kg)の投与または非投与下に、化学療法(シスプラチン[50mg/m2]またはカルボプラチン[AUC 4~5]+パクリタキセル[175mg/m2])を3週ごとに6サイクル施行し、引き続き3週ごとに最長2年間の維持療法を行った。 主要評価項目は2つで、最大の解析対象集団(FAS)におけるPFS(盲検下独立中央判定による)とOSとした。2年全生存率は、cadonilimab群62.2% vs.プラセボ群48.4% 445例の女性を登録し、222例をcadonilimab群に、223例をプラセボ群に割り付けた。ベースラインの全体の年齢中央値は56歳(四分位範囲:50~62)で、287例(64%)はECOG PSが1、370例(83%)は扁平上皮がん、215例(48%)は同時化学放射線療法による前治療歴あり、323例(73%)は転移性病変を有していた。ベバシズマブは、265例(60%)が使用していた。 追跡期間中央値17.9ヵ月の時点におけるPFS中央値は、プラセボ群が8.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:7.7~9.6)であったのに対し、cadonilimab群は12.7ヵ月(11.6~16.1)と有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.62、95%CI:0.49~0.80、p<0.0001)。 追跡期間中央値25.6ヵ月時のOS中央値は、プラセボ群の22.8ヵ月(95%CI:17.6~29.0)に比べ、cadonilimab群は未到達(27.0~評価不能)であり有意に優れた(死亡のHR:0.64、95%CI:0.48~0.86、p=0.0011)。24ヵ月全生存率は、cadonilimab群62.2%(95%CI:55.2~68.5)、プラセボ群48.4%(41.1~55.4)だった。10%でGrade3以上の免疫関連有害事象 盲検下独立中央判定による客観的奏効(完全奏効+部分奏効)の割合はcadonilimab群で高く(83% vs.69%)、完全奏効の割合もcadonilimab群で高率(36% vs.23%)だったが、病勢コントロール率は両群で同程度であった(94% vs.92%)。また、奏効期間中央値はcadonilimab群で長く(13.2ヵ月 vs.8.2ヵ月)、奏効までの期間中央値は両群で同じ(1.5ヵ月 vs.1.5ヵ月)だった。 Grade3以上の試験治療下での有害事象は、cadonilimab群で85%、プラセボ群で80%に発現し、両群とも好中球数の減少(cadonilimab群41%、プラセボ群46%)、白血球数の減少(28%、36%)、貧血(17%、26%)の頻度が高かった。試験薬の投与中止に至った有害事象は、cadonilimab群28%、プラセボ群11%に、死亡に至った有害事象はそれぞれ5%(12例)および3%(7例)に発現し、このうち治療関連死は4%(9例)および3%(6例)だった。 Grade3以上の治療関連有害事象は、cadonilimab群で82%、プラセボ群で79%に、Grade3以上の免疫関連有害事象はそれぞれ10%(22例)および<1%(2例)に発現した。 著者は、「これらの知見は、プラチナ製剤ベースの化学療法±ベバシズマブにcadonilimabを追加することで、PD-L1の陽性/陰性を問わず、またベバシズマブの投与が可能か否かにかかわらず、生存ベネフィットがもたらされる可能性を示唆する」「これまでの臨床試験は、参加者のほとんどが白人であるか、高所得地域で実施されたものであったが、本試験の結果はアジア人および中所得国におけるエビデンスを付加するものである」としている。

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ホジキンリンパ腫、ニボルマブ+AVD療法がPFS延長/NEJM

 III期またはIV期の進行古典的ホジキンリンパ腫を有する思春期および成人患者において、ニボルマブとドキソルビシン、ビンブラスチン、ダカルバジンの併用投与(N+AVD)は、ブレンツキシマブ ベドチンとドキソルビシン、ビンブラスチン、ダカルバジンの併用投与(BV+AVD)と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長し、良好な副作用プロファイルを示したことが、米国・シティ・オブ・ホープ総合がんセンターのAlex F. Herrera氏らによる検討で示された。進行古典的ホジキンリンパ腫の治療にブレンツキシマブ ベドチンを組み入れることで、成人および小児患者の転帰は改善することが知られている。しかしながら、ブレンツキシマブ ベドチンは、成人の治療において毒性を増加させ、投与を受けた小児患者の半数以上に地固め放射線療法が行われており、再発が依然として課題となっている。ホジキンリンパ腫では、未治療患者を含めた予備的試験などでPD-1の阻害が有効であることが示されており、研究グループはN+AVDの有効性と安全性を評価する試験を行った。NEJM誌2024年10月17日号掲載の報告。III期/IV期の12歳以上患者を対象、N+AVD vs.BV+AVDを評価 研究グループは、米国およびカナダの256施設でIII期またはIV期のホジキンリンパ腫と新規に診断された12歳以上の患者を対象に、第III相多施設共同非盲検無作為化試験を行った。 被験者は、N+AVD群またはBV+AVD群に1対1の割合で無作為化され、追跡評価を受けた。残存する代謝活性病変に放射線療法を受けることが可能であることが事前に規定された。 主要評価項目はPFSで、無作為化から初回の病勢進行または全死因死亡までの期間とした。N+AVD群でPFSが有意に改善 2019年7月19日~2022年10月5日に計994例が無作為化を受け(N+AVD群496例、BV+AVD群498例)、970例が修正ITT集団に組み入れられた(N+AVD群487例、BV+AVD群483例)。 計画されていた第2回中間解析の時点(追跡期間中央値12.1ヵ月)で、N+AVD群はBV+AVD群と比較してPFSの有意な改善が示され(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.48、99%信頼区間[CI]:0.27~0.87、両側p=0.001)、有効性の閾値達成が認められた。 追跡期間が短かったために、追跡期間を延長して繰り返し解析を実施。追跡期間中央値2.1年(範囲:0~4.2)では、2年PFS率はN+AVD群で92%(95%CI:89~94)、BV+AVD群で83%(79~86)であった(病勢進行または死亡のHR:0.45、95%CI:0.30~0.65)。 全体で7例が放射線療法を受けた。ニボルマブ投与による免疫関連の有害事象はまれであった。ブレンツキシマブ ベドチンは、より多くの治療中止と関連していた。

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ICI既治療の進行腎細胞がん、tivozanib単独vs.ニボルマブ併用(TiNivo-2)/Lancet

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の治療歴を有する進行腎細胞がん患者の2次または3次治療において、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3選択的な経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるtivozanibにニボルマブを併用しても、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の改善は示されなかった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のToni K. Choueiri氏らが、オーストラリア、欧州、北米、南米の16ヵ国190施設で実施した無作為化非盲検第III相試験「TiNivo-2試験」の結果を報告した。ICIおよびVEGFR-TKIは進行腎細胞がんに対する1次治療の基本となっているが、進行後の最適な治療順序は不明であった。著者は、「今回の結果は、進行腎細胞がん患者では、ICIの再投与を控えるべきであることを裏付けるものであった。さらには、ICI投与後はtivozanib単独療法が有効であることを示唆するものである」とまとめている。Lancet誌2024年10月5日掲載の報告。tivozanib+ニボルマブvs.tivozanib単独で、PFSを評価 TiNivo-2試験の対象は、ICIを含む1~2ラインの治療歴があり、治療中または治療後に増悪した18歳以上、ECOG PSが0または1の進行腎細胞がん患者である。研究グループは適格患者を、1サイクルを28日として、tivozanib 0.89mgを1日1回21日間経口投与+ニボルマブ480mgを1日目に静脈内投与する群(tivozanib+ニボルマブ群)、またはtivozanib 1.34mgを1日1回21日間経口投与する群(tivozanib単独群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 層別因子は、直近の治療(ICI、非ICI)およびIMDCリスク分類(低、中、高)であった。 主要評価項目はPFSで、無作為化後、独立画像判定によるRECIST 1.1に基づく客観的な病勢進行または全死亡のいずれか早い記録までの期間と定義した。重要な副次評価項目は全生存期間(OS)、その他の副次評価項目は治験責任医師評価によるPFSなどで、有効性の評価はITT解析にて行われた。安全性は、治験薬を1回以上投与された患者を対象に評価した。追跡期間中央値12.0ヵ月時点の評価で、PFSの改善認められず 2021年11月4日~2023年6月16日に、343例が無作為に割り付けられた(tivozanib+ニボルマブ群171例、tivozanib単独群172例)。追跡期間中央値は12.0ヵ月であった。  独立画像判定によるPFS中央値は、tivozanib+ニボルマブ群5.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.0~7.4)、tivozanib単独群7.4ヵ月(5.6~9.2)、ハザード比は1.10(95%CI:0.84~1.43、p=0.49)であった。 事前に規定された直近の治療別のサブグループ解析におけるPFS中央値は、直近の治療がICIの患者集団(244例)でtivozanib+ニボルマブ群7.4ヵ月(95%CI:5.6~9.6)、tivozanib単独群9.2ヵ月(7.4~10.0)であり、非ICIの患者集団(99例)ではそれぞれ3.7ヵ月(2.7~5.4)、3.7ヵ月(1.9~7.2)であり、いずれも両群間に差は認められなかった。 OSは、データが未成熟であったが、データカットオフ時点の中央値はtivozanib+ニボルマブ群17.7ヵ月(95%CI:15.1~NR)、tivozanib単独群22.1ヵ月(15.2~NR)であった。 安全性解析対象集団(339例)において、重篤な有害事象はtivozanib+ニボルマブ群で168例中54例(32%)、tivozanib単独群で171例中64例(37%)に認められた。死亡に至った有害事象はそれぞれ7例および5例が報告され、うちtivozanib単独群の1例は治療に関連すると判断された。

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進行メラノーマに対するオプジーボとヤーボイの併用療法が生存期間を延長

 ニボルマブ(商品名オプジーボ)とイピリムマブ(商品名ヤーボイ)の2種類の免疫チェックポイント阻害薬の併用療法により、進行メラノーマ患者の生存期間を大幅に延長できる可能性のあることが、10年にわたる追跡調査により明らかになった。米ワイル・コーネル・メディスンのJedd Wolchok氏らによるこの研究の詳細は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に9月15日掲載された。Wolchok氏は、「これは、慣例を変える試験だった。対象患者の平均生存期間は現在6年を超えている。追跡3年時点でがんの進行が認められなかった患者は、10年後も再発や他の病気を発症することなく生存している可能性が高い」と話している。 がん細胞は、免疫チェックポイントという正常な免疫システムを利用して免疫細胞の攻撃を回避することが知られている。ニボルマブとイピリムマブはともに、T細胞にブレーキをかけるシグナルを阻害することでT細胞を活性化し、がん細胞を攻撃させる。 今回報告された研究は、ランダム化二重盲検第III相試験(CheckMate 067)の10年間の追跡調査の結果である。この試験では、世界21カ国のセンターで治療を受けた進行メラノーマ患者945人が、ニボルマブとイピリムマブによる併用療法を受ける群(併用療法群、314人)、ニボルマブ単剤療法を受ける群(ニボルマブ群、316人)、イピリムマブ単剤療法を受ける群(イピリムマブ群、315人)にランダムに割り付けられていた。治療は、病態進行や許容できない毒性が認められるか、患者が治療に対する同意を撤回するまで続けられた。 最低10年に及ぶ追跡期間における全生存期間中央値は、併用療法群で71.9カ月、ニボルマブ群で36.9カ月、イピリムマブ群で19.9カ月であった。併用療法群の死亡リスクはイピリムマブ群に比べて47%、ニボルマブ群の死亡リスクはイピリムマブ群に比べて37%低かった。メラノーマ特異的生存期間の中央値は、併用療法群では120カ月を超え(中央値には未到達)、ニボルマブ群で49.4カ月、イピリムマブ群で21.9カ月であった。さらに、3年間生存し、病態進行が認められなかった患者での10年間のメラノーマ特異的生存率は、併用療法群で96%、ニボルマブ群で97%、イピリムマブ群で88%であった。研究グループは、これらの治療では薬剤を長期にわたって服用する必要があることを安全性の懸念事項としていたが、追跡期間中に長期毒性は認められなかったという。 本研究には関与していない、米フォックス・チェイスがんセンター外科部長のJeffrey Farma氏は、「この追跡調査は、進行メラノーマ患者に対する免疫療法でわれわれが成し遂げた進歩と、状況がいかに劇的に変化したかを改めて浮き彫りにするものだ。本研究結果は、10年後も生存率が向上し続けていることを裏付けている」と述べている。 論文の共著者である米ダナ・ファーバーがんセンターのメラノーマセンターおよび免疫腫瘍学センター所長であるF. Stephen Hodi氏は、「この試験は現時点では、免疫療法の長期的な効果と免疫療法の併用で治療効果が改善する可能性を患者に説明する上で重要な要素となっている」と話す。同氏はさらに、「10年間の追跡調査を経て、われわれは、進行メラノーマを管理可能な慢性疾患に変え得る治療法が存在することを、患者に自信を持って伝え、将来に対する自信を持たせることができるようになった」と喜びを表している。

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ESMO2024レポート 肺がん

レポーター紹介2024年9月13日から17日にかけて、ESMO2024がスペインのバルセロナで開催された。肺がん領域でも多くの注目される内容が発表されたが、その中でもとくに現在や近未来の日常臨床に影響を与えそうなものについていくつか紹介したい。すでに報告されているpositive試験のアップデート内容がある一方で、期待された第III相試験のnegativeデータも複数報告されていたことも印象的であった。LBA48:CCTG BR.31試験試験概要BR.31試験は、完全切除された非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する補助療法としてのデュルバルマブの有効性と安全性を評価する第III相二重盲検プラセボ対照試験である。試験デザイン患者は完全切除後に原則プラチナベースの化学療法を受けた後、2:1の割合でデュルバルマブ(20mg/kgを4週ごとに1年間)またはプラセボの投与を受けた。PD-L1発現が25%以上の患者で、EGFRおよびALKの遺伝子変異を持たない患者での無病生存期間(DFS)が主要評価項目であり、副次評価項目として全生存期間(OS)、生活の質(QOL)、および安全性が評価された。結果PD-L1発現が25%以上の患者群では、デュルバルマブを投与された群とプラセボ群でDFSに有意な差は認められなかった。DFS中央値はデュルバルマブ群で69.9ヵ月、プラセボ群で60.2ヵ月であり、ハザード比は0.935(p=0.642)であった。また、安全性プロファイルは従来の知見と一致しており、重大な有害事象(Grade3/4)の発生率は23.5%であった。結論完全切除後のNSCLC患者に対して、デュルバルマブはDFSの延長に寄与しないことが示された。治療関連有害事象(TRAE)は発生したものの、全体的な安全性は許容範囲内とされた。コメント本試験は、本邦も西日本がん研究機構(WJOG)を介して参加したグローバル試験であり、その結果も注目されたが、結果はnegativeであり残念であった。NSCLCの術後補助療法では、これまでにアテゾリズマブやペムブロリズマブの良好な結果が示されていたが、それらとの結果の違いの原因については明らかではない。デュルバルマブについては後述の術前・術後にデュルバルマブを使用するAEGEAN試験は良好な結果であったため、やはり免疫療法は術後投与よりも術前投与のほうが有利であることが示唆された。LBA49:AEGEAN試験研究概要AEGEAN試験において、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)のクリアランスが術前治療中の病理学的効果および無イベント生存期間(EFS)に与える影響を評価することを目的とした。研究デザインこの研究では、手術可能なNSCLC患者(IIA~IIIB期)が対象となり、デュルバルマブ1,500mgとプラチナベースの化学療法を4サイクル行い、その後、12サイクルのデュルバルマブまたはプラセボを投与した。試験の探索的エンドポイントとして、ctDNAクリアランスと病理学的完全奏効(pCR)、EFSとの関連が評価された。結果ctDNAクリアランスが得られた患者では、pCR率が大幅に改善した。とくに、術前治療4サイクル後にctDNAがクリアされた患者では、EFSが有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.23、p<0.05)。また、ctDNAクリアランスが得られた患者の5年EFS率は73.4%に達し、予後良好な患者群であることが示された。結論手術可能なNSCLC患者において、術前のctDNAクリアランスはpCRおよびEFSの改善と強く関連しており、治療効果の早期予測指標として有望である。コメントAEGEANレジメンは本邦ではまだ承認されていないが、今後承認が期待されている。ctDNAクリアランスを含めた術前治療後の評価により高率にpCRを予測できるようになれば、術前療法のみで治癒し、手術を必要としない患者も将来的には予測できるようになるかもしれない。また、リキッドバイオプシーにより術後療法の必要性も判断できるようになることを期待したい。1208MO:NEJ034試験試験概要この第III相試験は、特発性肺線維症(IPF)を伴う肺がん患者に対する周術期ピルフェニドン療法の有効性と安全性を評価することを目的とした。ピルフェニドンは抗線維化および抗炎症作用を持つ薬剤であり、術後の急性増悪を予防できるかどうかが検証された。試験デザイン患者は、周術期にピルフェニドンを4週間投与された群と投与されなかった群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、術後30日以内に発生した急性増悪の割合であった。結果ピルフェニドン群で急性増悪の発生率は6.1%、対照群では10.3%と報告されたが、この差は統計学的に有意ではなかった(p=0.339)。ピルフェニドンの投与が急性増悪の予防に明確な効果を示すことはできなかった。結論日本人患者を対象としたこの試験では、ピルフェニドンが術後の急性増悪を防ぐ効果は示されなかった。コメント本邦における肺がん手術では手術関連死はほとんどなく、世界的にもきわめて良好であるが、間質性肺炎合併肺がん患者においては術後急性増悪が発生するとその致死率は約50%とされているため、本試験の結果は注目されていた。結果はnegativeであり残念であった。間質性肺炎合併肺がん患者に対する、より安全な治療法の開発が期待される。1243MO:JCOG1914試験試験概要この第III相試験は、切除不能な局所進行NSCLCを有する高齢者(75歳以上)に対する週1回のカルボプラチン(CBDCA)+nab-パクリタキセル(nab-PTX)療法と毎日の低用量CBDCA療法を比較したものである。試験デザイン患者はCBDCA+nab-PTXまたは低用量CBDCAを放射線療法と併用して投与された。化学放射線療法(CRT)後はデュルバルマブによる維持療法が推奨された。主要評価項目はOSであり、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、奏効率、患者報告アウトカム(PROs)、および安全性が評価された。結果PFSの結果では、1年PFS率はCBDCA+nab-PTX群で55.5%、低用量CBDCA群で59.0%と報告され、OSに関してもCBDCA+nab-PTX群で79.6%、低用量CBDCA群で87.3%であり、ともに有意差は確認されなかった。TRAE(Grade3/4)は両群ともに比較的多く報告され、CBDCA+nab-PTX群での治療関連死も観察された。結論高齢の日本人患者において、CBDCA+nab-PTX療法は、低用量CBDCA療法に対して優位性を示さなかった。コメント本試験は中間解析の結果、将来的にもCBDCA+nab-PTX群のOSでの優越性が示される可能性はきわめて低いと判断され、無効中止となった。本邦においては、高齢者に対するcCRTにおいて標準的な化学療法レジメンは引き続き低用量CBDCAということになる。LBA54:MARIPOSA-2試験試験概要この第III相試験は、EGFR遺伝子変異を有する進行NSCLC患者において、オシメルチニブ治療後のアミバンタマブ+化学療法併用に与える影響を評価することを目的としており、今回はアップデートされたOSが発表された。試験デザイン患者は、アミバンタマブ+化学療法、または化学療法単独の群に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFS、副次評価項目としてOS、治療後の症状進行までの時間(TTSP)、治療中断までの時間(TTD)、および安全性が評価された。結果2回目の中間解析では、アミバンタマブ+化学療法併用群は化学療法単独群と比較してOSの延長傾向が示された(HR:0.73)。また、TTSPやTTDの観点からもアミバンタマブ併用群のほうが優れており、副作用プロファイルは既存のデータと一致していた。結論オシメルチニブ治療後の進行EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者に対して、アミバンタマブ+化学療法は全体的な生存率を改善し、今後の標準治療の1つとなる可能性がある。コメントMARIPOSA-2試験におけるアミバンタマブ+化学療法併用群と化学療法単独群の比較について報告された。2回目の中間解析でOSの延長傾向が報告された。オシメルチニブ治療後増悪時の治療選択は課題であり、本レジメンの本邦での承認が期待される。LBA55:MARIPOSA試験(抵抗性メカニズムの解析)研究概要この試験は、進行NSCLC患者に対する1次治療としてのアミバンタマブ+lazertinibの併用療法と、オシメルチニブ単独療法における獲得抵抗性メカニズムを比較することを目的としている。試験デザインEGFR変異陽性の局所進行または転移のあるNSCLC患者を対象に、アミバンタマブ+lazertinib群(429例)とオシメルチニブ群(429例)で比較した。主要評価項目はPFSであり、副次評価項目としてOS、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、および安全性が評価された。結果ctDNAを用いたGuardant360 CDx がん遺伝子パネルにより、アミバンタマブ+lazertinib群とオシメルチニブ群では抵抗性メカニズムの違いが明らかになった。とくに、MET増幅がオシメルチニブ群では9.3%の患者に認められたのに対し、アミバンタマブ+lazertinib群では1.8%と低かったことが確認された。さらに、EGFRの二次性耐性変異発生率も、アミバンタマブ+lazertinib群のほうが低かったことが報告された。結論EGFR変異を有する進行NSCLC患者において、アミバンタマブ+lazertinibはオシメルチニブと比較して、EGFRおよびMETに関連した耐性メカニズムの発生率を有意に低下させた。コメントアミバンタマブの作用機序として期待通りの結果である。とくに、治療前と治療終了時のctDNAの比較により獲得耐性メカニズムを研究した点は興味深い。アミバンタマブ+lazertinib療法も本邦での承認が期待されている。LLBA81:ADRIATIC試験研究概要ADRIATIC試験は、限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)患者を対象に、デュルバルマブ療法の有効性を評価したものである。とくに、cCRTの使用レジメンおよび予防的頭蓋照射(PCI)の影響に焦点を当てた。試験デザイン限局型SCLC患者において、cCRT後にデュルバルマブを投与した群と標準治療を比較した。PCIの使用も含めて、治療後のOSおよびPFSに与える影響が検討された。結果デュルバルマブ併用療法は、cCRT後の生存率を改善することが示されたが、PCIの有無やcCRTの内容にかかわらず、その効果は持続した。TRAE(Grade3/4)は両群で同様に発生し、安全性において大きな差は認められなかった。結論限局型SCLC患者に対するデュルバルマブ併用療法は、標準治療に比べて統計学的に有意な生存利益をもたらした。とくに、PCIの使用にかかわらず良好な結果が示されており、今後の標準治療として採用される可能性がある。コメント現在、限局型SCLCに対して免疫チェックポイント阻害薬は本邦では承認されていないが、ADRIATIC試験の結果により本邦での承認も期待される。今回の内容は限局型SCLCに対する本レジメンの標準的な使用をサポートすることになると考えられる。

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切除可能NSCLC、周術期ペムブロリズマブの追加が有効(KEYNOTE-671)/Lancet

 未治療の切除可能な早期非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、術前化学療法単独と比較し、術前ペムブロリズマブ+化学療法と術後ペムブロリズマブ療法を行う周術期アプローチは、3年全生存率が有意に優れ、無イベント生存期間が延長し、安全性プロファイルも良好であることが、カナダ・マギル大学ヘルスセンターのJonathan D. Spicer氏らが実施した「KEYNOTE-671試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年9月28日号で報告された。国際的な無作為化プラセボ対照第III相試験 KEYNOTE-671試験は、日本を含む世界189施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2018年5月~2021年12月に参加者の無作為化を行った(Merck Sharp & Dohmeの助成を受けた)。 年齢18歳以上、未治療の切除可能なStageII、IIIA、IIIB(N2)のNSCLCで、全身状態はECOG PSが0または1の患者を対象とした。 術前にペムブロリズマブ(200mg、3週ごとに静脈内投与)+シスプラチンベースの化学療法を4サイクル行った後に手術を施行し、術後ペムブロリズマブ(200mg、3週ごとに静脈内投与)療法を13サイクル行う群(ペムブロリズマブ群)、または術前にプラセボ(3週ごとに静脈内投与)+シスプラチンベースの化学療法を4サイクル行った後に手術を施行し、術後にプラセボ(3週ごとに静脈内投与)を13サイクル投与する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は2つで、ITT集団における全生存期間(無作為化から全死因による死亡までの期間)および無イベント生存期間(無作為化から、予定された手術を不可能にする局所進行、手術時の切除不能腫瘍の存在、RECIST version 1.1に基づく担当医評価の病勢進行または再発、全死因死亡、いずれかが最初に発生するまでの期間)とした。全生存期間中央値は未到達 797例を登録し、ペムブロリズマブ群に397例(年齢中央値63歳、女性118例[30%]、東アジア人123例[31%])、プラセボ群に400例(64歳、116例[29%]、121例[30%])を割り付けた。2回目の中間解析時の追跡期間中央値は36.6ヵ月だった。 Kaplan-Meier法による36ヵ月全生存率は、プラセボ群が64%であったのに対し、ペムブロリズマブ群は71%と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.56~0.93、p=0.0052[片側])。全生存期間中央値は、ペムブロリズマブ群では未到達であり、プラセボ群では52.4ヵ月であった。 また、無イベント生存期間中央値は、プラセボ群の18.3ヵ月に比べ、ペムブロリズマブ群では47.2ヵ月と延長した(HR:0.59、95%CI:0.48~0.72)。新たな安全性シグナルの出現はない as-treated集団の解析では、治療関連有害事象はペムブロリズマブ群で97%(383/396例)、プラセボ群で95%(381/399例)に認めた。Grade3以上の治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群で45%(179例)、プラセボ群で38%(151例)に、重篤な治療関連有害事象はそれぞれ18%(73例)および15%(58例)に発現した。 ペムブロリズマブ群では、死亡に至った治療関連有害事象が1%(4例)(心房細動、免疫介在性肺疾患、肺炎、心臓突然死、各1例)、すべての治療の中止に至った治療関連有害事象が14%(54例)で発生した。免疫介在性有害事象およびインフュージョンリアクションは、ペムブロリズマブ群で26%(103例)にみられた。 著者は、「周術期ペムブロリズマブの効果に関する有益性は、健康関連QOLの長期的な低下を伴わず、新たな安全性シグナルは出現しなかったことである」とし、「これらの知見は、切除可能なStageII~IIIB(N2)NSCLCに対する術前化学療法への周術期ペムブロリズマブの追加は、標準治療の選択肢となる可能性があることを支持するものである」と述べている。

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肺がん診療のリアル

肺がん診療の現在(リアル)がわかる! 肺がん診療が面白くなる!!呼吸器専門医・がん治療認定医である経験豊富な著者が実際に肺がん患者さんに対して行っている診療を1冊の書籍にまとめました。本書は著者が発信している肺がん患者さん向けのYouTube『呼吸器ドクターNの肺がんチャンネル』とも連動しており、QRコードで関連動画に簡単にアクセスできます。本書とあわせて動画をご視聴いただくと、肺がん診療についてさらに理解を深めていただくことができるはずです。本書を通じて肺がん診療のリアルを感じてください。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する肺がん診療のリアル定価4,950円(税込)判型A5判頁数250頁発行2024年10月著者野口 哲男(市立長浜病院呼吸器内科/呼吸器ドクターN)ご購入はこちらご購入はこちら

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ESMO2024レポート 消化器がん

レポーター紹介本年、スペインのバルセロナで欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)が、現地時間9月13~17日にハイブリッド開催で行われた。注目の演題が多数報告されていたが、今回は消化器がん(消化管がん)の注目演題について、実臨床に影響してきそうなものを含め、いくつか取り上げていきたい。胃がんと食道胃接合部がん、術前化学放射線療法は有用性を示せず(TOPGEAR試験)LBA58 - A randomized phase III trial of perioperative chemotherapy (periop CT) with or without preoperative chemoradiotherapy (preop CRT) for resectable gastric cancer (AGITG TOPGEAR): Final results from an intergroup trial of AGITG, TROG, EORTC and CCTG.TOPGEAR試験は、切除可能胃がんもしくは食道胃接合部がんに対して、周術期化学療法群(3サイクルのECF療法もしくは4サイクルのFLOT療法を術前・術後に行う)と術前化学療法群(2サイクルのECF療法もしくは3サイクルのFLOT療法を行った後、5-FU静注+45Gy/25照射の術前化学放射線療法を施行し、術後化学療法は術前と同じものを行う)を比較した第III相試験である。術前化学放射線療法の優越性を検証する試験であり、主要評価項目は全生存期間(OS)で、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、病理学的完全奏効率(pCR rate)、毒性と手術合併症およびQOLであった。2009年9月~2021年5月に15ヵ国70施設から574例が登録され、周術期化学療法群に288例、術前化学放射線療法群に286例が登録された。患者背景はT3/4が88%、リンパ節転移ありもしくは不明が61~62%およびECF使用例が67%、FLOT使用例が33%であった。pCR率は16.8% vs.8.0%と術前化学放射線療法群で有意に高かったが(p<0.0001)、R0切除率は92.4% vs.87.7%で有意差を認めなかった(p=0.09)。術後化学療法を受けられた症例は全ランダム化群で比較すると、56% vs.66%と術前化学放射線療法群で有意に低かった(p=0.01)。術前化学放射線療法群と周術期化学療法群で比較すると、OSは46.4ヵ月vs.49.4ヵ月(ハザード比[HR]:1.05、p=0.70)で術前化学放射線療法の優越性は示せず、5年OS率も44.4% vs.45.7%であった。PFSも31.4ヵ月vs.31.8ヵ月(HR:0.98、p=0.86)で優越性は示せなかった。サブグループ解析においても、とくに術前化学放射線療法の有効なグループははっきりしなかった。以上の結果より、切除可能な胃がんもしくは食道胃接合部がんに対して術前化学放射線療法の有効性は証明できなかった。今後は、化学療法+免疫チェックポイント阻害薬の周術期試験の結果が待たれるところである。HER2陽性胃がんに対する化学療法+トラスツズマブ+ペムブロリズマブ、OSを延長(KEYNOTE-811試験)1400O - Final overall survival for the phase III, KEYNOTE-811 study of pembrolizumab plus trastuzumab and chemotherapy for HER2+ advanced, unresectable or metastatic G/GEJ adenocarcinoma.KEYNOTE-811試験はHER2陽性胃がんに対する1次治療として化学療法+トラスツズマブにペムブロリズマブの上乗せ効果を検証するプラセボ使用ランダム化第III相試験で、奏効率などのデータはすでに報告されていた。今回はOSの最終解析結果が報告された。698例がランダム化され、350例がペムブロリズマブ群に、348例がプラセボ群に登録された。OSはペムブロリズマブ群vs.プラセボ群で20.0ヵ月vs.16.8ヵ月と、有意に延長した(HR:0.80、p=0.0040)。PFSも10.0ヵ月vs.8.1ヵ月(HR:0.73)、奏効率も72.6% vs.60.1%と、ペムブロリズマブ群で良好であった。サブグループ解析では、PD-L1発現がCPS1以上の場合にはOSが20.1 vs.15.7ヵ月(HR:0.79)、PFSが10.9 vs.7.3ヵ月(HR:0.72)かつ奏効率が73.2% vs.58.4%とより良好な結果であったのに対し、CPS1未満ではOSが18.2ヵ月vs.20.4ヵ月(HR:1.10)かつPFSが9.5ヵ月vs.9.5ヵ月(HR:0.99)と、ペムブロリズマブの効果が弱まる傾向があった。CPS1未満は本試験では15%に認められており、現在欧米ではHER2陽性かつPD-L1がCPS1以上の症例に対してペムブロリズマブの使用が推奨されているが、本邦でどのような条件で保険承認されるのかが注目される。肛門管がんに新たな治療選択肢の可能性が現れる(POD1UM-303試験)LBA2 - POD1UM-303/InterAACT 2: Phase III study of retifanlimab with carboplatin-paclitaxel (c-p) in patients (Pts) with inoperable locally recurrent or metastatic squamous cell carcinoma of the anal canal (SCAC) not previously treated with systemic chemotherapy (Chemo).肛門管の扁平上皮がんに対しては、局所進行例でマイトマイシン+5-FU+放射線療法が行われることが多かったが、切除不能局所再発例や転移を有する症例に対する標準治療は長らく確立されていなかった。今回、カルボプラチン+パクリタキセルを標準治療とし、抗PD-1抗体薬であるretifanlimabの上乗せ効果を検証する二重盲検プラセボランダム化第III相試験が行われ、その結果が報告された。主要評価項目はPFS、副次評価項目がOSであった。2024年4月までに308例が登録され、retifanlimab群に154例とプラセボ群に154例が登録された。年齢中央値は62歳で女性が72%、HIV感染陽性が4%、36%が肝転移を有していた。主要評価項目であるPFSは9.30ヵ月vs.7.39ヵ月とretifanlimab群で有意に延長を認めた(HR:0.63、p=0.0006)。OSは29.2ヵ月vs.23.0ヵ月、奏効率は55.8% vs.44.2%であった。本試験はPFSの観察期間中央値が約7ヵ月かつOSの観察期間中央値が約14ヵ月程度とまだ短い試験であるが、希少がんである肛門管がんの全身化学療法の標準治療はエビデンスに乏しいのが現状であった。本試験のディスカッサントも触れていたが、カルボプラチン+パクリタキセル+プラセボ群の治療成績は、従来の5-FU+シスプラチンと比較して良好であった。患者や医療者にとって、カルボプラチン+パクリタキセルおよびカルボプラチン+パクリタキセル+retifanlimabは有望な治療になりうると考えられ、本邦でも使用可能になることが待たれる状況である。局所進行直腸がんに対する臓器温存治療の可能性(NO-CUT試験)509O - Total neoadjuvant treatment (TNT) with non-operative management (NOM) for proficient mismatch repair locally advanced rectal cancer (pMMR LARC): First results of NO-CUT trial.現在、局所進行直腸がんに対する化学療法と放射線療法を用いたTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)は、非常に重要な戦略として世界中で研究が進んでいる。TNTを行った後に臨床的完全奏効(cCR)となった症例では、切除を避けて手術なしの経過観察であるNon Operative Monitoring(NOM)に持ち込める可能性も示唆されている。今回、pMMR局所進行直腸がんに対してTNTを行いcCRとなった症例に対して無遠隔再発生存期間(DRFS)を損なわないかを検証し、かつ腫瘍および血液のマルチオミクス解析を行う単群第II相試験であるNO-CUT試験の初回報告が行われた。4つのがんセンターからcT3-4N0/cTxN1-2の下部/中部pMMR局所進行直腸がん症例を対象に、4サイクルのCAPOX療法に続いて5週間にわたる化学放射線療法(カペシタビン+IMRT)を行うTNTが実施された。主要評価項目は30ヵ月の無遠隔再発生存率で、副次評価項目はpCR率、NOM群における臓器温存率であった。TNT終了後、cCRパラメータに基づくプロトコルアルゴリズム(Siena S, et al. ASCO 2023.)に従って、患者は手術群またはNOM群に割り付けられた。2018~24年に、180例がTNTを受け、164例(91%)がプロトコルどおりに治療を完了し、46例(25.5%)がpCRを達成し、NOMに割り当てられた。治療効果がincomplete response(IR)であった群(134例)では手術が行われた。30ヵ月無遠隔再発生存率はNOM群で96.9%と主要評価項目を達成した。IR群も含めた全体集団での30ヵ月無遠隔再発生存率は77%であった。NOM群の臓器温存率は85%で、局所再発は46例中7例発生し、全症例で救済手術が行われた。局所再発はすべて治療後4~18ヵ月で発生した。2024年4月1日時点で、12例の死亡(6.6%)が報告された(有害事象1例、腫瘍関連9例、その他2例)。マルチオミクス相関解析が進行中で、TNT後のctDNAはcCR例では8%で陽性であったがそれ以外では31%で陽性であり、陽性例では有意に遠隔転移再発が多く認められた。またTNTでpCRに至らなかった症例の手術後のctDNA陽性例で有意に遠隔転移再発が多いことも報告された。治療前の検体解析ではRNAシーケンスに基づく白血球スコアはcCRと関連し、Paneth細胞様表現型(CRIS-E)は遠隔転移再発と関連した。本結果より、TNTによるcCRを得られた症例では臓器温存の可能性が示唆された。本試験はまだ初回報告であること、本邦でも局所進行直腸がんに対する複数のTNTの試験が進行していることから、これらの結果が明らかになり、本邦で適切に患者に届けられる時代が来ることが待ち望まれる。MSI-H(dMMR)結腸がんの術前イピリムマブ+ニボルマブ(NICHE-2試験)LBA24 - Neoadjuvant immunotherapy in locally advanced MMR-deficient colon cancer: 3-year disease-free survival from NICHE-2.MSI-High(dMMR)の直腸がんについては、術前治療が非常に奏効することが複数報告されている。結腸がんについては転移のあるdMMR結腸がんにおいて免疫チェックポイント阻害薬の有用性が報告されており、本邦でも現在切除不能dMMR結腸がんの1次治療の標準治療はペムブロリズマブであり、今後イピリムマブ+ニボルマブの登場が待たれている状況である。NICHE-2試験は局所進行dMMR結腸がんに対する術前治療としてのイピリムマブ+ニボルマブ療法の有効性を探索する単群第II相試験であり、1コース目にイピリムマブ+ニボルマブを行い、2コース目にニボルマブ単剤療法を行った後、手術を行う試験デザインである。主要評価項目は安全性と3年無病生存(DFS)率、副次評価項目はpCR率、translational research・ctDNAの変動であった。すでに高い病理学的奏効率と安全性が報告されていたが、今回3年DFS率とctDNAのデータが報告された。115例が登録され、女性が58%、T4が65%でT4bが29%、リンパ節転移ありが67%かつ33%がLynch症候群といった対象であった。既報のとおりpCR率は68%であり、3年DFS率は100%であった。ctDNAは治療前の段階では92%で陽性であったが、1コース後に45%が陰性となり、2コース後には83%が陰性となった。術前の段階でctDNA陽性であった16例のうち、術後のリンパ節転移が陽性であったのは14例中8例であった。また、術後のctDNAを用いたminimal residual diseaseの探索では、全例がctDNA陰性であった。本試験より局所進行dMMR結腸がんにおいて、イピリムマブ+ニボルマブは非常に魅力的な結果であった。本試験は2コースで術前治療が終わり、手術まで6週と定義されており、短期間で有効性が示されていることも魅力である。ESMO2024では同様の局所進行dMMR結腸がんに対してペムブロリズマブの有効性を探索したIMHOTEP試験や、ニボルマブ+relatlimab(抗LAG-3抗体)の併用療法の有効性を探索したNICHE-3試験も報告があった。局所進行MSI-H結腸がんの術前治療としての免疫チェックポイント阻害薬の有効性はおそらく確実であるが、どの対象にどの薬剤をどの期間使用するのがよいのかは、今後の研究が待たれる状況である。

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pMMR/MSS大腸がん、免疫検査陽性例はペムブロリズマブ上乗せが奏効(POCHI)/ESMO2024

 pMMR(ミスマッチ修復機能正常)およびMSS(マイクロサテライト安定性)の転移大腸がん(mCRC)は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果が低いとされ、現在の1次治療は化学療法と分子標的薬となっている。一方、pMMR/MSS 大腸がんの約15%は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)高値であり、ICIの感受性がある可能性がある。さらにオキサリプラチンなどの化学療法によって誘導される免疫原性細胞死や、ベバシズマブなどの血管新生阻害薬による免疫調整によってICIの有効性が高まる可能性もある。 こうした背景から、免疫検査で陽性だった切除不能pMMR/MSS mCRC患者を対象に、1次治療としてのCAPOX+ベバシズマブにペムブロリズマブを上乗せするレジメンの有効性を評価するPOCHI試験が計画された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)でフランス・ポワティエ大学病院のDavid Tougeron氏が本試験の暫定の解析結果を発表した。・試験デザイン:多施設単群第II相試験・対象:切除不能、未治療のpMMR/MSS mCRC、2つの免疫検査(ImmunoscoreとTuLiS)で少なくとも1つが高値で陽性。PS 0~1・試験群:CAPOX+ベバシズマブ(7.5mg/kg)+ペムブロリズマブ(200mg/kg)、3週ごと・評価項目:[主要評価項目]10ヵ月時点での無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]全生存期間(OS)、病勢コントロール率(DCR)、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2021年4月~2024年8月、41施設で196例がスクリーニングされ、36例(18%)が少なくとも1つの免疫スコアが陽性となり、登録された(TuLiSが28例、Immunoscoreが8例[うち両検査陽性が6例])。解析対象となったのは30例だった。・年齢中央値67歳、男性が63%、ECOG PS 0が87%、患者背景は右側原発腫瘍が40%、RAS変異が63%、肺転移が33%、肝転移が50%などであった。・治療期間中央値は9.5ヵ月、追跡期間中央値は21ヵ月、13例が治療中であった。・PFS、OSのデータは共に未成熟だが、速報値として12ヵ月時点のPFS率は51.5%であり、主要評価項目(10ヵ月時点のPFS率70%以上と設定)は満たされなかった。一方、DCRは100%、ORRは74%(22例)で、うち完全奏効が17%(5例)だった。DoRの中央値は10ヵ月であった。・21例(70%)の患者に少なくとも1つのGrade3~4の治療関連有害事象を認めた。毒性による死亡は認められなかった。治療関連有害事象で薬剤投与が中止された患者は3例(10%)で、うち2例はペムブロリズマブ関連の毒性(溶血性貧血と疲労/食欲不振)だった。・TuLiSスコアとOSのあいだに相関性は認められなかった。 Tougeron氏は「POCHI試験の暫定的な結果は、免疫応答高値のpMMR/MSS mCRC患者に対し、標準レジメンであるCAPOX+ベバシズマブと併用したペムブロリズマブの良好な安全性プロファイルと高い有効性を示している。17%の完全奏効と100%のDCRという印象的な結果は、今後ランダム化第III相試験でさらに評価する価値がある」としている。

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ESMO2024レポート 泌尿器科腫瘍

レポーター紹介欧州臨床腫瘍学会(European Society of Medical Oncology:ESMO)は臨床腫瘍学の国際学会では米国臨床腫瘍学会(ASCO)と並ぶ最大規模のイベントで、2024年はスペインのバルセロナにおいて9月13~17日の5日間の日程で開催された。ASCOが毎年シカゴで行われるのに対し、ESMOは欧州の各国で開催されるのが参加者のモチベーションにつながっているのか、年々演題の質が上がってきている印象である。2~4日目に最優秀演題の発表としてPresidential Symposiumが設けられ、12演題中泌尿器からは2演題(尿路上皮がんと前立腺がん)が選出された。口演発表は、Proffered PapersとMini Oralsの発表形式があり、日本からHigh grade pT1筋層非浸潤膀胱がんに対するBCG膀胱内注入療法のランダム化比較第III相試験であるJCOG1019試験も報告された。円安の影響(9月13日時点の1ユーロ=160.88円)で渡航費がかさむ今日この頃、ESMOはオンライン参加で節約をしたが、今年もPractice Changingな話題が豊富だっただけに、「現地参加したかった!」のが本音である。Presidential Symposium#LBA1 Ra223とエンザルタミドの併用療法は骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がんのrPFSとOSを延長(PEACE-III試験)A randomized multicenter open label phase III trial comparing enzalutamide vs a combination of Radium-223 (Ra223) and enzalutamide in asymptomatic or mildly symptomatic patients with bone metastatic castration-resistant prostate cancer (mCRPC): First results of EORTC-GUCG 1333/PEACE-3塩化ラジウム223(Ra223)はカルシウム類似物質として骨転移巣を標的とし、崩壊時にα線を放出する放射線内用療法の治療薬で、ALSYMPCA試験において生存期間の延長が示され、日本でも2016年より臨床導入されている。近年は、新規ホルモン薬であるエンザルタミド(ENZ)やアビラテロンなどが転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)治療の主流となり、また非転移去勢抵抗性前立腺がん(m0CRPC)治療においては、アパルタミドやダロルタミドも標準治療となったことから、その使用状況は変化している。PEACE-3試験は、骨転移のあるmCRPC、無症状か軽症状、Performance Status(PS)0~1で臓器転移のない症例を対象とし、Ra223(55kBq/kgの静注、4週ごと、6サイクル)とENZ(160mg経口、連日)の併用と、ENZ単独を比較したランダム化比較第III相試験で、主要評価項目は画像上の無増悪生存(rPFS)であった。骨修飾薬は必須(119例集積後より)としていた。rPFSは片側α=0.025、β=0.10とし、ハザード比[HR]=0.68を検出するのに283イベントを必要とした。主要な副次評価項目として全生存(OS)を設定し、片側α=0.0034(中間解析)、0.0248(最終解析)でHR=0.75を検出するのに299イベントを必要とした。Ra223+ENZ群222例、ENZ群224例が登録され、ドセタキセル既治療は両群約30%、アビラテロン既治療は2~3%、骨以外の病変を有する症例は33~35%であり、バランスがとれていた。観察期間中央値42.2ヵ月時点のrPFS中央値はRa223+ENZ群で19.4ヵ月、ENZ群で16.4ヵ月(HR:0.69、95%信頼区間[CI]:0.54~0.87、p=0.0009)であり、併用群で有意な延長を認めた。OSは80%のイベント数での中間解析であったが、中央値はRa223+ENZ群で42.3ヵ月、ENZ群で35.0ヵ月(HR:0.69、95%CI:0.52~0.90、p=0.0031)であり、有意な延長を認めた。安全性では、治療関連の重篤な有害事象はRa223+ENZ群で28%、ENZ群で19%とわずかな増加を認めた。とくに注目されていた骨折は5.1%と1.3%、貧血は4.6%と2.2%、好中球減少は4.6%と0%の結果であった。演者のGillessen氏は、この結果によってmCRPCの1次治療の選択肢としてRa223+ENZが新たなオプションとなった、と締めくくった。日本のRa223の適応症は「骨転移のある去勢抵抗性前立腺がん」であり、本試験の対象患者となっている。CRPCでの新規ホルモン薬は標準治療であり、骨折リスクの増加を考慮してRa223との併用は回避すべき、と考えられてきたが、本試験のように骨修飾薬の併用を徹底すれば、ENZとの併用に関しては比較的安全で有効性も期待できることが読み取れる。日本の臨床現場にとっても日常診療を変える重要な報告であった。Presidential Symposium#LBA5 筋層浸潤膀胱がんに対する術前デュルバルマブ+化学療法と根治的膀胱全摘術および術後デュルバルマブはEFS、OSを延長(NIAGARA試験)A randomized phase III trial of neoadjuvant durvalumab plus chemotherapy followed by radical cystectomy and adjuvant durvalumab in muscle-invasive bladder cancer (NIAGARA)筋層浸潤膀胱がんの標準治療は、根治的膀胱全摘術と周術期のプラチナ併用化学療法+/-術後免疫チェックポイント阻害薬であるが、術前から免疫チェックポイント阻害薬を加えることの意義は検証されていなかった。NIAGARA試験は、シスプラチン適格となる筋層浸潤膀胱がん(cT2-T4aN0/1M0)を対象として行われた国際共同ランダム化比較第III相試験で、根治的膀胱全摘術前にゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法4サイクルとGC+デュルバルマブ4サイクルにランダム化し、試験治療群では術後デュルバルマブを8サイクル行う治療が設定された。2つの主要評価項目として無イベント生存(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)、主要な副次評価項目にOSが設定された。統計計画として、両側α=0.05が、pCRに0.001、EFSに0.049として割り振られ、いずれかが達成されればPositiveと判断するとされた。EFSが有意の場合、αはリサイクルされOSの検証にあてられる。GC+デュルバルマブ群は533例、GC群は530例の登録となり、手術はそれぞれ470例、446例で実施された。デュルバルマブの術後療法が開始された383例のうち、終了したのは288例であった。患者背景は、両群にアジア人を30%弱含み、腎機能良好(クレアチニンクリアランス60mL/min以上)はいずれも81%、リンパ節転移陽性例は5~6%であり、両群均等であった。追跡期間中央値42.3ヵ月時点のEFS中央値は、GC+デュルバルマブ群で「到達せず」、GC群で46.1ヵ月(HR:0.68、95%CI:0.56~0.82、p<0.0001)であった。pCR割合は33.8%と25.8%(オッズ比:1.49、95%CI:1.14~1.96、p=0.0038)で統計学的にNegativeと2022年に報告されていたが、再解析により37.3%と27.5%(オッズ:1.60、95%CI:1.23~2.06、p=0.0005)と、有意差ありと判断される数値であった。OS中央値は両群ともに「到達せず」であり、2年OSではGC+デュルバルマブ群で82.2%、GC群で75.2%、HR:0.75(95%CI:0.59~0.93、p=0.0106)であった。有害事象は、重篤なもので69%と68%と両群に差を認めず、膀胱全摘なしに関連したものは両群ともに1%、手術延期に関連したものは2%と1%であり、術前化学療法(NAC)の増強による悪影響は少ないという結果であった。シスプラチン適格の筋層浸潤膀胱がんにおいては、周術期のGC療法に加えてデュルバルマブを用いることが新たな標準治療と考えられる、とPowles氏は報告した。この報告のディスカッサントはワシントン大学のPetros Grivas氏であり、免疫チェックポイント阻害薬の位置付けの解釈の難しさを指摘した。現在の標準治療である術後ニボルマブ療法の対象は、NAC後はpT2以上の残存腫瘍がある症例である。NIAGARA試験では、pCRとなった3分の1の症例にもデュルバルマブの術後療法が行われているため、バイオマーカーによる追加検討を求めた。とはいえ、NIAGARA試験は日本も参加して行われた第III相試験であり、近い将来薬剤承認が認められれば、日常診療が刷新されるだろう。Proffered Paper session#LBA73 免疫療法を含む1~2ライン既治療の転移のある腎細胞がんに対するニボルマブ+tivozanib併用療法はPFS、OS延長を示せず (TiNivo-2試験)Tivozanib-nivolumab vs tivozanib monotherapy in patients with renal cell carcinoma (RCC) following 1 or 2 prior therapies including an immune checkpoint inhibitor (ICI): Results of the phase III TiNivo-2 studytivozanib(Tiv)は経口血管新生阻害薬であり、ニボルマブ(Niv)との併用は第I/II相試験で有効性と安全性が確認されている。TiNivo-2試験は、免疫チェックポイント阻害薬既治療で、転移のある腎細胞がんを対象にTiv+Niv併用療法とTiv単剤とを比較したランダム化比較第III相試験である。併用療法では、Tivは0.89mgを3週間内服1週間休薬としNiv 480mg静注と併用し、単独療法ではTiv 1.34mgを3週間内服1週間休薬で投与するデザインであり、主要評価項目は中央判定のPFSであった。Tiv+Niv群は171例、Tiv群には172例が登録され、患者背景は年齢中央値63~64歳、アジア人は含まれず、IMDCリスク分類はFavorable/Intermediate/Poorが18/66~67/16%、既治療ライン数は1/2Lが61~65/35~39%でありバランスがとれていた。PFS中央値はTiv+Niv群で5.7ヵ月、Tiv群で7.4ヵ月、HR:1.10(95%CI:0.84~1.43)、p=0.49であり、有意差を認めなかった。OS中央値は17.7ヵ月と22.1ヵ月、HR:1.00(95%CI:0.68~1.46)、p=0.9868であった。Tiv+Niv群とTiv群の有害事象(All grade)は、倦怠感で29%と40%、下痢で30%と36%、嘔気で16%と28%、甲状腺機能低下症で9%と15%であり、血管新生阻害薬の用量による有害事象がTiv群に多く発現していた。Tiv+Niv群に多かったのは、貧血(17%と9%)と掻痒症(16%と6%)であった。Choueiri氏は、TiNivo-2試験はアテゾリズマブ+カボザンチニブとカボザンチニブを比較したCONTACT-03試験と同様にNegativeな結果であったことから、2次治療がPD-1抗体であっても免疫チェックポイント阻害薬の継続使用は勧められない、と締めくくった。本試験の対象症例の詳細を確認すると、「1~2ライン以内に免疫チェックポイント阻害薬使用歴があり、前治療から6ヵ月以内の症例」が適格となっていた。日常診療では、再発リスクの高い限局性腎がん術後はペムブロリズマブで1年間術後治療を行うのが標準となっている。再発後の治療選択肢として、「免疫チェックポイント阻害薬を用いるべきかどうか」は重要な臨床疑問であったが、本試験とCONTACT-03試験の結果から、重要なのは免疫チェックポイント阻害薬ではなく血管新生阻害薬の単剤を十分量で用いることである、と結論付けてもよさそうである。Mini Oral Session#LBA68 転移性去勢感受性前立腺がんに対するダロルタミド+ADTはrPFSを延長 (ARANOTE試験)Efficacy and safety of darolutamide plus androgen-deprivation therapy (ADT) in patients with metastatic hormone-sensitive prostate cancer (mHSPC) from the phase III ARANOTE trial転移のある去勢感受性前立腺がん(mHSPC)の1次治療は、ARASENS試験においてドセタキセル(DTX)+アンドロゲン除去療法(ADT)と比較し、ダロルタミド(Daro)+DTX+ADTがOS延長を示したことから、日本でも承認され日常診療で使用されている。ESMO2024で発表されたARANOTE試験は、同じmHSPCを対象として行われた国際共同ランダム化比較第III相試験で、プラセボ+ADTとDaro+ADTを比較するデザインとなっている。主要評価項目は中央判定のrPFSであった。Daro+ADT群とプラセボ+ADT群に2:1にランダム化され、それぞれ446例と223例が登録され、アジア人(日本は含まれず、中国とインドが主体)は両群に約30%含まれていた。腫瘍量はHigh-volumeが約70%、de-novo転移の症例が71~75%であり、バランスのとれた患者背景であった。rPFS中央値は、Daro+ADT群で「到達せず」、プラセボ+ADT群で25.0ヵ月(HR:0.54、95%CI:0.41~0.71、p<0.0001)であった。サブグループ解析では、High-volume/Low-volumeでのHRはそれぞれ0.60(95%CI:0.44~0.80)/0.30(95%CI:0.15~0.60)であり、点推定値はLow volumeで小さい結果となった。有害事象は、明らかに併用療法で増強するものは認められなかった。これらの結果から、Saad氏は、DTXを使用しないDaro+ADTもmHSPCの標準治療の1つであると結論付けた。ARANOTE試験は日本が含まれなかった試験ではあるが、日本のダロルタミドの保険適用も変更されることを期待したい。とはいえ、High-volume症例にはDaro+DTX+ADTとすべきかDaro+ADTでよいのか、回答可能な臨床試験は行われておらず、日常診療には解決しない疑問が残っている。

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高リスク局所進行子宮頸がん、ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法がOS改善/Lancet

 新規に診断された高リスクの局所進行子宮頸がん患者において、ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法(CCRT)は、CCRT単独と比較して全生存期間(OS)を有意に延長したことが、「ENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18試験」で明らかとなった。イタリア・Fondazione Policlinico Universitario A Gemelli IRCCS and Catholic University of Sacred HeartのDomenica Lorusso氏らENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18 investigatorsが、第2回中間解析の結果を報告した。本試験の第1回中間解析では、ペムブロリズマブ+CCRTにより、無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示されていた。著者は、先の中間解析の結果も踏まえ、「本研究の結果は、この患者集団に対する新しい標準治療として免疫化学放射線療法を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年9月14日号掲載の報告。第2回中間解析は、OSを評価 本試験は、日本を含むアジア、オーストラリア、欧州、北米、南米の計30ヵ国176施設で実施されている無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験で、現在も進行中である。 研究グループは、18歳以上で新規に診断された高リスク(リンパ節転移陽性でFIGO 2014 StageIB2~IIB、またはリンパ節転移を問わずStageIII~IVA)の局所進行子宮頸がんで、前治療歴がなくECOG PSが0~1の患者を、ペムブロリズマブ+CCRT群(ペムブロリズマブ群)と、プラセボ+CCRT群(プラセボ群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 ペムブロリズマブは、1回200mgを3週間間隔で5サイクル投与した後、400mgを6週間間隔で15サイクル投与。CCRTは、シスプラチン(40mg/m2)を週1回5週(または6週)投与に加え、外照射と小線源療法を行った。ペムブロリズマブ、プラセボ、シスプラチンは静脈内投与した。 患者は無作為化時に、計画された外照射の種類(強度変調放射線治療[IMRT]/回転型強度変調放射線治療[VMAT]vs.非IMRT/非VMAT)、スクリーニング時の子宮頸がんの病期(リンパ節転移陽性のFIGO 2014 StageIB2~IIB vs.III~IVA)、計画された全放射線治療(外照射+小線源)の線量(70Gy未満vs.70Gy以上[2Gy換算等価線量])により層別化された。 主要評価項目は、治験責任医師の判定によるRECIST 1.1に基づくPFS、または病勢進行が疑われる場合の病理組織学的検査によるPFS、およびOSで、副次評価項目は安全性などであった。3年OS率は82.6% vs.74.8%で、ペムブロリズマブ併用の優越性を確認 2020年6月9日~2022年12月15日に、計1,060例がペムブロリズマブ群(529例)およびプラセボ群(531例)に割り付けられた。 プロトコールで規定された2回目の中間解析(データカットオフ日:2024年1月8日)の結果、追跡期間中央値29.9ヵ月(四分位範囲:23.3~34.3)において、死亡はペムブロリズマブ群で75例、プラセボ群で109例に認められた。OS中央値は両群とも未到達であり、36ヵ月OS率はペムブロリズマブ群で82.6%(95%信頼区間[CI]:78.4~86.1)、プラセボ群で74.8%(70.1~78.8)であった。死亡のハザード比は0.67(95%CI:0.50~0.90、片側のp=0.0040[有意水準:片側0.01026])であった。 ペムブロリズマブ群では528例中413例(78%)、プラセボ群では530例中371例(70%)にGrade3以上の有害事象が認められた。主なGrade3以上の有害事象は、貧血、白血球数減少、好中球数減少であった。免疫介在性有害事象は、ペムブロリズマブ群で528例中206例(39%)、プラセボ群で530例中90例(17%)に発現した。

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筋層浸潤性尿路上皮がん、術後ペムブロリズマブでDFS改善/NEJM

 膀胱全摘除術後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんの治療において、経過観察と比較してPD-1阻害薬ペムブロリズマブによる補助療法は、無病生存期間(DFS)を有意に延長し、有害事象プロファイルは既報と一致し安全性に関する新たな懸念は認めないことが、米国国立がん研究所のAndrea B. Apolo氏らが実施した「AMBASSADOR試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月15日号に掲載された。米国の無作為化第III相試験 AMBASSADOR試験は、米国の246施設で実施した医師主導型の非盲検無作為化第III相試験であり、患者の登録を2017年9月に開始し、高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者への術後ニボルマブ療法が米国食品医薬品局の承認を得た2021年8月に早期中止した(米国国立がん研究所などの助成を受けた)。 高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんと診断され膀胱全摘除術を受けた患者702例(予定登録者数[734例]の96%)を登録し、術後補助療法としてペムブロリズマブ(200mg、3週ごと、静脈内投与)を1年間投与する群に354例(年齢中央値69歳、女性23.4%)、経過観察群に348例(68歳、27.3%)を無作為に割り付けた。 主要複合評価項目は、ITT集団におけるDFS(無作為化の日から病勢進行または全死因死亡の日までの期間)と全生存(無作為化の日から全死因死亡の日までの期間)とし、いずれかが経過観察群に比べ、ペムブロリズマブ群で有意に延長した場合に試験は成功と判定した。3年生存率には差がない DFSの追跡期間中央値は44.8ヵ月(ペムブロリズマブ群45.7ヵ月、経過観察群40.5ヵ月)であった。ITT集団におけるDFS中央値は、経過観察群が14.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.0~20.2)であったのに対し、ペムブロリズマブ群は29.6ヵ月(20.0~40.7)と有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.73、95%CI:0.59~0.90、両側のp=0.003)。 主な副次評価項目であるPD-L1陰性腫瘍を有する患者のDFS中央値は、ペムブロリズマブ群が17.3ヵ月、経過観察群は9.0ヵ月であり(HR:0.71、95%CI:0.53~0.95)、PD-L1陽性腫瘍を有する患者のDFS中央値はそれぞれ36.9ヵ月および21.0ヵ月であった(0.81、0.61~1.08)。 また、追跡期間中央値が両群とも36.9ヵ月の時点での2回目の中間解析では、ペムブロリズマブ群で131例、経過観察群で126例が死亡し、ITT集団における3年生存率はそれぞれ60.8%および61.9%だった(死亡のHR:0.98、95%CI:0.76~1.26)。治療関連有害事象は26.4%に 治療との関連性を問わないGrade3以上の有害事象は、ペムブロリズマブ群で50.6%、経過観察群で31.6%に発現した。 ペムブロリズマブ群では、87例(26.4%)に治療関連の有害事象を認め、頻度が高かった全グレードの有害事象は疲労(47.3%)、そう痒(22.4%)、下痢(20.6%)、甲状腺機能低下症(20.0%)であった。Grade5(死亡)の有害事象は5例(呼吸不全1例、多臓器不全1例、敗血症1例、原因不明2例)が報告された。 経過観察群では、報告された最も頻度が高かった全グレードの有害事象は、疲労(56.1%)、腹痛(33.1%)、末梢感覚神経障害(25.0%)、関節痛(24.7%)であった。Grade5の有害事象は15例だった。 著者は、「PD-L1の状態は予後予測因子であったが、無病生存に関する有益性を予測するものではなかったため、PD-L1をペムブロリズマブによる術後補助療法の患者選択に用いるべきではない」と述べている。なお、「死亡は、全生存の最終解析に必要な数の80%しか発生しておらず、2回目の中間解析で有効性の境界値を超えていないため、全生存期間データの最終解析は行っていない」という。

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高齢NSCLCへのICI、化学療法の併用を検討すべき集団は?(NEJ057)/ESMO2024

 75歳以上の進行・再発NSCLC患者を対象とした後ろ向きコホート研究(NEJ057)において、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法はICI単剤と比較して、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を改善せず、Grade3以上の免疫関連有害事象の発現を増加させたことが報告されている1)。本研究の詳細な解析が実施され、PD-L1低発現(TPS 1~49%)かつ肺免疫予後指標(LIPI:Lung Immune Prognostic Index)が中間/不良の集団では、ICI+化学療法がICI単剤と比較してPFSとOSを改善したことが報告された。本庄 統氏(札幌南三条病院 呼吸器内科)が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)において本研究結果を発表した。・試験デザイン:多施設(58施設)後ろ向きコホート研究・対象:未治療の75歳以上の進行・再発NSCLC患者のうち、ICI+化学療法、ICI単剤、プラチナダブレット、単剤化学療法のいずれかで治療を開始した1,245例(初回治療に分子標的薬を使用した患者とEGFR遺伝子変異ALK融合遺伝子を有する患者は除外)・評価項目:OS、PFS、安全性など 今回は、ICI+化学療法またはICI単剤で治療を開始したPD-L1陽性(TPS≧1%)のNSCLC患者をPD-L1高発現(TPS≧50%)、PD-L1低発現(TPS 1~49%)に分けて解析した。また、対象患者をLIPI良好(好中球/リンパ球比[NLR]≦3かつLDHが基準値上限以下)、中間(NLR>3またはLDHが基準値上限超)、不良(NLR>3かつLDHが基準値上限超)に分類した。 今回報告された主な結果は以下のとおり。・解析対象患者(600例)の内訳は、PD-L1高発現61%(364例)、PD-L1低発現39%(236例)であり、LIPI良好40%(238例)、LIPI中間/不良60%(362例)であった。・PD-L1低発現かつLIPI中間/不良の集団において、OS中央値はICI+化学療法群18.3ヵ月、ICI単剤群8.6ヵ月であり、ICI+化学療法群がOSを改善した(ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.36~0.86)。・PD-L1低発現かつLIPI中間/不良の集団において、PFS中央値はICI+化学療法群7.8ヵ月、ICI単剤群3.3ヵ月であり、ICI+化学療法群がPFSも改善した(HR:0.56、95%CI:0.39~0.81)。・PD-L1低発現かつLIPI良好の集団では、ICI+化学療法群のOS(HR:1.66、95%CI:0.82~3.36)、PFS(同:1.18、0.71~1.95)の改善は認められなかった。・PD-L1高発現の集団では、LIPIによるICI+化学療法群とICI単剤群のPFS、OSの違いはみられなかった。 本研究結果について、本庄氏らの研究グループは「高齢のNSCLC患者へのICI治療において、化学療法の併用のベネフィットが得られる患者の特定にLIPIが有用である可能性が示唆された」とまとめた。

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