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上部尿路がんに対する術後抗がん化学療法の有効性:POUT trial第III相試験(解説:宮嶋哲氏)-1216

 上部尿路がんは予後不良であるものの、術後補助化学療法の有効性は確認されていない。本研究では腎盂尿管がんで腎尿管全摘除術を施行された患者(261例)を対象に、経過観察群とシスプラチン主体の抗がん化学療法投与群(ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチン)の2群にランダム化してその有効性を前向きに比較検討したものである。 2012年から2017年までに登録された261症例のうち、132例が化学療法群、129例が経過観察群に割り付けられ、観察期間中央値は30.3ヵ月であった。術後化学療法はDFS(HR:0.45、p=0.0001)ならびにMFS(HR:0.48、p=0.0007)を有意に改善した。3年無事象生存率(event-free survival)は化学療法群で71%、経過観察群で46%であった。一方、Grade3以上の有害事象は、化学療法群で44%、経過観察群で4%に認めたが、治療関連死は認めなかった。 以上から、腎盂尿管がんに対する腎尿管全摘除術施行後のシスプラチン主体補助化学療法の有効性がようやく示されたといえる。ただし、対象となったコホートにはリンパ節陽性例が20%以上含まれていたことから、リンパ節陰性例だけ抽出した症例に関する結果に疑問が残る。さらには、リンパ節郭清の意義についても検討課題である。 腎盂尿管がんの術後は単腎となり腎機能は術前に比べ半減するため、投与可能なシスプラチンの量も減少する。したがって、術前抗がん化学療法の有効性に関する検討も必要である。さらには、免疫チェックポイント阻害薬の登場により、シスプラチン主体抗がん化学療法の立ち位置も今後は変化していくものと予測される。

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デュルバルマブの小細胞肺がん、FDA承認/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、3月30日、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(一般名:イミフィンジ)が、成人の進展型小細胞肺がんに対する1次治療として標準治療である化学療法(エトポシド+カルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法で、米国において承認されたことを発表した。 今回の米国食品医薬品局による承認は、第III相CASPIAN試験の結果に基づくもの。 CASPIAN試験では2つの主要評価項目を設定し、デュルバルマブと化学療法の併用療法群と化学療法群を比較した。その結果、デュルバルマブと化学療法の併用療法群では、死亡リスクが27%低下し(ハザード比:0.73、95%CI:0.59〜0.91、p=0.0047)、OS中央値は化学療法群の10.3ヵ月に対して13.0ヵ月であった。加えて、デュルバルマブと化学療法の併用療法群において、より高い客観的奏効率が得られたことも示された(化学療法群の58%に対して68%)。なお、デュルバルマブと化学療法の併用療法における安全性および忍容性は、これらの薬剤における既知の安全性プロファイルと一致していた。 また、デュルバルマブと化学療法との併用療法に抗CTLA-4抗体トレメリムマブを追加したもう1つの投与群の解析も完了しているが、こちらの主要評価項目は達成されなかった。詳細なデータは、今後の学会で発表される予定。

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非扁平上皮NSCLC、ペムブロリズマブ+化学療法の1次治療第III相試験アップデート(KEYNOTE-189)/JCO

 転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療における、ペムブロリズマブ+化学療法の第III相KEYNOTE-189試験の結果が更新された。Journal of Clinical Oncology誌2020年3月9日号オンライン版掲載の報告。 同試験の対象は、再発・転移のある無治療のStageIV非扁平上皮NSCLC患者616例。登録患者は、ペムブロリズマブ(3週ごと最大35サイクル)+化学療法(カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセドの3週ごと4サイクル後、ペメトレキセド3週ごと)群410例とプラセボ+化学療法(ペムブロリズマブ併用群と同一用法・用量)群206例に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は23.1ヵ月であった(2018年9月21日時点)。・全生存期間(OS)中央値は、ペムブロリズマブ+化学療法群22.0ヵ月、化学療法群10.7ヵ月で、ハザード比(HR)は0.56(95%CI:0.45〜0.70)であった。・PD-L1発現別のOS HRは、TPS≧50%では0.59、TPS1~49%では0.62、TPS<1%では0.52であった。・無増悪生存期間(PFS)は、ペムブロリズマブ+化学療法群9.0ヵ月、化学療法群4.9ヵ月で、HRは0.48(95%CI:0.40~0.58)であった。・PD-L1発現別のPFS HRは、TPS≧50%では0.36、TPS1~49%では0.51、TPS<1%では0.64であった。・Grade3〜5の有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ+化学療法群では71.9%、化学療法群では66.8%であった。 筆者らは、転移を有する非扁平上皮NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブと化学療法併用の生存ベネフィットはPD-L1発現レベル、肝臓/脳転移の有無にかかわらず確認されたとしている。

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上部尿路上皮がん、術後化学療法で無病生存率改善/Lancet

 局所進行上部尿路上皮がん(UTUC)患者の治療において、腎尿管全摘除術後のゲムシタビン+プラチナ製剤併用による術後補助化学療法は、これを行わない場合に比べ無病生存(DFS)率を改善することが、英国・ランカシャー州教育病院国民保健サービス(NHS)ファンデーショントラストのAlison Birtle氏らの検討「POUT試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年3月5日号に掲載された。UTUCはまれな疾患で、膀胱上皮がんに比べて各病期の予後が不良とされる。UTUC患者の治療では、根治的腎尿管全摘除術後の術後化学療法の有益性に関して、国際的な合意は得られていないという。術後化学療法の有用性を評価する無作為化試験 本研究は、英国の71施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2012年6月~2017年11月の期間に患者登録が行われた(Cancer Research UKの助成による)。 対象は、年齢16歳以上、糸球体濾過量(GFR)≧30mL/分で、UTUCの根治的腎尿管全摘除術(画像上または肉眼的に異常と判定されたすべてのリンパ節の郭清を含む)を受け、術後のStageが筋層非浸潤性(pT2~pT4、N any)またはリンパ節転移陽性(pT any、N1~3)で、非転移性(M0)の病変を有し、組織学的に移行上皮がんが主の患者であった。 被験者は、サーベイランスを受ける群、または術後90日以内に、21日を1サイクルとする化学療法を4サイクル受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。化学療法は、シスプラチン(CDDP、70mg/m2)またはカルボプラチン(CBDCA、AUC 4.5または5)が第1日に、ゲムシタビン(GEM、1,000mg/m2)が第1日と第8日に静脈内投与された。 主要評価項目は、intention-to-treat(ITT)集団におけるDFS(割り付け時から初回の再発、転移、死亡までの期間)の割合とした。 本試験は、261例を登録した時点で、事前に規定された中間解析において有効性に関する早期終了の基準を満たしたため、患者登録が中止された。再発/死亡リスクが55%低減 71の参加施設中57施設から261例が登録された。化学療法群に132例、サーベイランス群には129例が割り付けられ、割り付け後にデータの使用への同意を撤回した化学療法群の1例を除く260例(ITT集団)が解析に含まれた。 ベースラインの全体の年齢中央値は68.5歳(IQR 62.0~74.1)、女性が32%含まれた。94%がpT2~pT3、91%がN0で、64%がGFR≧50mL/分であった。腫瘍部位は腎盂が35%、尿管が34%、両方が30%で、術式は開放手術が15%、腹腔鏡手術が82%、ロボット手術が2%であり、顕微鏡的切除断端陽性率は12%だった。フォローアップ期間中央値は30.3ヵ月(IQR:18.0~47.5)。 実際に化学療法を受けたのは126例で、割り付け後にGFRが低下したため76例中16例(21%)がCDDPからCBDCAに、割り付けから治療開始前にGFRが上昇したため50例中1例(2%)がCBDCAからCDDPに切り替えた。 DFS関連イベントの発生率は、化学療法群が27%(35/131例)と、サーベイランス群の47%(60/129例)と比較して有意に低く、相対リスクが55%改善された(ハザード比[HR]:0.45、95%信頼区間[CI]:0.30~0.68、log-rank検定のp=0.0001)。 3年DFS率は、化学療法群が71%(95%CI:61~78)、サーベイランス群は46%(36~56)であり、両群間の推定絶対差は25%(11~38)であった。DFS期間中央値は、化学療法群は未到達、サーベイランス群は29.8ヵ月だった。また、転移または死亡のリスクは、化学療法群で52%低下した(HR:0.48、95%CI:0.31~0.74、log-rank検定のp=0.0007)。 Grade3以上の急性治療関連有害事象は、化学療法群が44%(55/126例、GEM+CDDP 44%[31/71例]、GEM+CBDCA 44%[24/55例])、サーベイランス群は4%(5/129例)で認められた(p<0.0001)。化学療法群では、Grade3以上の好中球数の減少(36%)、血小板数の減少(10%)、悪心(6%)、発熱性好中球減少(6%)、嘔吐(6%)がサーベイランス群よりも多く、重篤な有害事象は32%にみられた。治療関連死の報告はなかった。 QOL(EORTC QLQ-C30、EQ-5D-5L)は、化学療法期間中とその直後(3ヵ月時、p=0.0028)は化学療法群で不良であったが、6ヵ月後にはこの差は解消した。 著者は、「プラチナ製剤ベースの化学療法は、UTUC患者の腎尿管全摘除術後の標準的な補助化学療法と考えられる」としている。

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NSCLCの術後補助化学療法、適正レジメンは?(TORG 0503)/Lung Cancer

 日本発の、非小細胞肺がん(NSCLC)術後補助化学療法の適正レジメンが示された。完全切除されたStage IB、IIおよびIIIAのNSCLCでは、術後補助化学療法が標準治療であるが、これまで最適な化学療法レジメンは決定されていない。日本医科大学呼吸器内科の久保田馨氏らは、これらの患者において望ましいプラチナベースの第3世代レジメンを選択する「TORG0503試験」を実施した。その結果、ドセタキセル+シスプラチン併用療法とパクリタキセル+カルボプラチン併用療法が、術後補助化学療法として安全に施行できることが示された。結果を踏まえて著者は、「次の臨床試験では、対照としてドセタキセル+シスプラチン併用療法を選択する」と述べている。Lung Cancer誌オンライン版2019年3月号の掲載報告。 研究グループは、完全切除されたStage IB、IIA、IIB、IIIAのNSCLC患者を、ドセタキセル(60mg/m2)+シスプラチン(80mg/m2)併用療法を3サイクル行う群(A群)と、パクリタキセル(200mg/m2)+カルボプラチン(AUC 6)併用療法を3サイクル行う群(B群)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は2年無再発生存割合、主な副次評価項目は全生存期間(OS)、有害事象(忍容性、毒性)などとした。 主な結果は以下のとおり。・111例(A群58例、B群53例)が無作為に割り付けられた。両群の患者背景は類似していた。・3サイクルの化学療法を完遂した患者の割合は、A群で93%(54/58例)、B群で92%(49/53例)であった。・両群で治療に関連した死亡は認められなかった。・2年無再発生存割合は、A群で74.5%(95%信頼区間[CI]:68.6~80.4)、B群で72.0%(95%CI:65.7~78.3)であった。・また、5年無再発生存割合はA群で61.6%、B群で46.0%であった。・2および5年OSは、A群で89.7%および73.9%、B群で86.9%および67.5%であった。

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化学療法誘発性悪心・嘔吐にオランザピン5mgは有効か(J-FORCE)/Lancet Oncol

 オランザピンは、化学療法誘発性悪心・嘔吐にアプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾンの3剤からなる標準制吐療法への追加が推奨されるが、その用量は10mgである。オランザピン5mgは、複数の第II相試験で10mgと同等の活性と良好な安全性プロファイルが示されている。国立がん研究センター中央病院の橋本 浩伸氏らは、シスプラチンベース化学療法による悪心・嘔吐の予防における、オランザピン5mg追加の有効性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相J-FORCE試験を実施した。Lancet Oncology誌オンライン版2019年12月11日号掲載の報告。 J-FORCE試験は国内26施設で行われた。対象は、シスプラチン(50mg/m2以上)の初回治療を受ける、造血器悪性腫瘍を除く悪性腫瘍患者。年齢は20~75歳。ECOG PSは0〜2。対象患者は、アプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾンに加え、オランザピン5mg/日またはプラセボを投与する群に1対1に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、完全奏効(遅延期[24~120時間]において嘔吐がなく、レスキュー薬を使用しない)患者の割合とした。 主な結果は以下のとおり。・2017年2月9日~2018年7月13日に、710例の患者が登録された。・356例がオランザピン5mg群に、354例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。・完全奏効患者の割合は、オランザピン5mg群79%(354例中280例)、プラセボ群66%(351例中231例)と、オランザピン5mg群で有意に多かった(p<0.0001)。・オランザピン群で、治療に関連したGrade3の便秘、Grade3の傾眠がそれぞれ1例に発現した。 筆者らは、「標準制吐療法であるアプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾンへのオランザピン5mgの追加は、シスプラチンベース化学療法患者の新たな標準制吐療法となりうる」と述べている。

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肺がんuncommon EGFR変異に対するアファチニブの有効性/JTO

 uncommon EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアファチニブの有効性を検討した知見が示された。uncommon EGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者におけるEGFR-TKIの有効性に関する臨床データは限られている。国立台湾大学病院のJames Chih-Hsin Yang氏らは、さまざまな臨床試験のプール解析から、アファチニブは、主要なuncommon EGFR遺伝子変異および複合変異を有するNSCLCに対して有効性を示すことを明らかにした。Journal of Thoracic Oncology誌オンライン版2020年1月10日号掲載の報告。 研究グループは、無作為化臨床試験、拡大治験(人道的使用および拡張アクセスプログラム)、第IIIb相試験、非介入試験および症例集積研究においてアファチニブによる治療を受けたuncommon EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者計693例のプール解析を行った。 対象患者は、EGFR遺伝子変異により次のように分類された。(1)T790M、(2)exon 20挿入、(3)主要uncommon遺伝子変異(T790Mおよびexon 20挿入を除くG719X、L861Q、S768I、その他)、(4)複合変異、(5)その他のuncommon遺伝子変異である。 主要評価項目は、全奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、治療成功期間(TTF)であった。 主な結果は以下のとおり。・解析対象のEGFR-TKI未治療患者は315例であった。・主要uncommon遺伝子変異群では、TTF中央値は10.8ヵ月、ORRは60.0%、DoR中央値は17.1ヵ月であった。・複合変異群では、TTF 14.7ヵ月、ORR 77.1%、DoR 16.6ヵ月であった。・その他のuncommon遺伝子変異群では、TTF 4.5ヵ月、ORR 65.2%、DoR 9.0ヵ月であった。・exon 20挿入群では、TTF 4.2ヵ月、ORR 24.3%、DoR 11.9ヵ月であった。

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進展型小細胞肺がんに対するペムブロリズマブ+化学療法の成績(KEYNOTE-604)/Merck

 Merck社は、2020年1月6日、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)1次治療におけるペムブロリズマブと化学療法併用の第III相KEYNOTE-604試験において、主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。 同研究では、ペムブロリズマブと化学療法(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)併用は、化学療法単独(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン)と比較して統計的に有意なPFSの改善がもたらした(HR:0.75、95%CI:0.61~0.91)。全生存(OS)についてはペムブロリズマブ併用患者で改善が認められたが、事前に指定された統計学的基準を満たさなかった(HR:0.80 、95%CI:0.64~0.98)。同試験におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは、以前に報告されものと同様であった。試験結果は今後の医学会議で発表され、規制当局と議論するとしている。 KEYNOTE-604試験では、453例が登録され、ペムブロリズマブ+化学療法またはプラセボ+化学療法に無作為に割り付けられた。複合主要評価項目はOSとPFS、副次評価項目は、客観的奏効率、奏効期間、安全性と生活の質(QoL)など。

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男性胚細胞腫瘍の心血管疾患リスクは?/JCO

 男性の胚細胞腫瘍は、まれだが20~30代に比較的多く発生するという特徴がある。その男性胚細胞腫瘍(精巣腫瘍)について、ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン(BEP)併用療法が、治療開始後1年未満の心血管疾患(CVD)リスクを顕著に増加させ、10年後にもわずかだがリスク増加と関連することが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJakob Lauritsen氏らによる検討で明らかにされた。また、放射線療法が糖尿病のリスク増加と関連していることも示されたという。なお、経過観察の患者では、CVDリスクは正常集団と同程度であった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年12月10日号掲載の報告。 研究グループは、デンマークの精巣腫瘍データベースを用いて、腫瘍治療後のCVDリスクを分析した。臨床データを収集するとともに、患者1例につきデンマークの正常集団から生年月日をマッチさせたリスク集団サンプリング(risk-set sampling)で対照10例を抽出し、治療とアウトカムとの関連性を、がん治療を時変共変量(time-varying covariate)として組み込んだCoxモデルでアウトカムごとに分析した。 心血管リスク因子、CVDおよび関連する死亡は、デンマークのレジストリで特定した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、胚細胞腫瘍の男性患者5,185例、対照男性5万1,850例で、追跡期間中央値は15.8年であった。・BEP併用療法(1,819例)は、高血圧症と高コレステロール血症のリスク増加と関連していた。・BEP併用療法開始後1年未満のCVDのハザード比(HR)は、心筋梗塞が6.3(95%信頼区間[CI]:2.9~13.9)、脳血管障害が6.0(2.6~14.1)、静脈血栓塞栓症が24.7(14.0~43.6)であった。・BEP併用療法開始後1年以降は、CVDリスクは正常レベルに低下したが、10年後の時点でも心筋梗塞(HR:1.4、95%CI:1.0~2.0)および心血管死(1.6、1.0~2.5)のリスク増加が認められた。・放射線療法(780例)は、長期追跡で糖尿病のリスクを増加させた(HR:1.4、95%CI:1.0~2.0)が、ほかのリスクは増加しなかった。・経過観察の患者(3,332例)では、心血管リスク因子、CVDおよび心血管死のデータは正常集団と同程度であった。

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非扁平上皮NSCLC、KEYNOTE-189日本人延長試験の結果/日本肺癌学会

 未治療の非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)に対してペムブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ(シスプラチンまたはカルボプラチン)療法とペメトレキセド+プラチナ療法と比較したKEYNOTE-189試験の日本人延長試験の結果が、第60回日本肺癌学会学術集会で発表された。当試験の全集団ではペムブロリズマブ上乗せ群が全生存期間(OS)を有意に改善した(HR:0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.001)が、今回の日本人試験の評価項目は安全性、忍容性である。 主な結果は以下のとおり。・日本人患者は、全試験からの10例、日本人試験からの30例の計40例。ペムブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ(Pembro/Pem/Plat)群25例、ペメトレキセド+プラチナ(Pem/Plat)群15例に無作為に割り付けられた。・ベースラインの患者背景では脳転移がPem/Plat群に多くみられた(Pem/Plat群33%に対しPembro/Pem/Plat群16%)。・Grade3~4の治療下発現有害事象(TEAE)はPembro/Pem/Plat群の72.0%、Pem/Plat群の60.0%で発現した。これは全集団と同等の結果であった(Pembro/Pem/Plat群71.9%、Pem/Plat群66.8%)。・日本人試験におけるOS中央値は、Pembro/Pem/Plat群では未到達、Pem/Plat群では25.9ヵ月であった(HR:0.29)。・日本人試験における無増悪生存期間中央値は、Pembro/Pem/Plat群では16.5ヵ月、Pem/Plat群では7.1ヵ月であった(HR:0.62)。 発表者である四国がんセンターの野上 尚之氏は、当試験の評価はあくまで安全性であり、効果については参考として考えるべきとの見解を示した。

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デュルバルマブの進展型小細胞肺がん、FDAの優先審査指定に/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2019年11月29日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)が治療歴のない進展型小細胞肺がん(SCLC)患者に対する治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から生物製剤承認一部変更申請(sBLA)に対する優先審査指定を受けたことを発表。 このsBLAは、The Lancet誌に掲載された第III相CASPIAN試験の良好な結果に基づいて行われた。CASPIAN試験は、進展型SCLC患者の1次治療を対象とした、無作為化非盲検国際多施設共同第III相試験。同試験では、デュルバルマブと化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)の併用と化学療法単独、および、デュルバルマブ、トレメリムマブ、化学療法の併用と化学療法単独を比較したもの。全生存期間(OS)を主要評価項目とし、米国、欧州、南米、アジア、中東の 23カ国200以上の施設で実施されている。 同試験において、化学療法単独群のOS中央値は10.3ヵ月であったのに対し、デュルバルマブと化学療法併用群はOS中央値13.0ヵ月を示し、統計学的に有意で臨床的に意義のあるOSの延長を示した(ハザード比:0.73)。治療開始後18ヵ月時点で生存している患者の割合は、デュルバルマブ・化学療法併用群では33.9%、化学療法単独群では24.7%と推計され、併用療法によるOS延長のベネフィットが示された。 デュルバルマブの小細胞肺がん治療薬としての適応は本邦では未承認である。

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肺がん治療を変えたものは?医師が選ぶベスト10を発表

 2019年12月6日~8日まで日本肺癌学会学術集会が行われた。60回目という節目を迎えた今回は、特別企画として「肺がん医療のこれまでの60年を振り返り、これからの60年を考える」と題したシンポジウムが行われた。ここでの目玉は、学会員にアンケート形式で聞いた「肺がん治療史ベスト10」。肺がん治療において画期的だったと思われる出来事をランキング形式で挙げるというこの企画、当日発表されたベスト10は以下の通りだった。 1位 遺伝子変異の発見・分子標的薬の登場 2位 免疫療法の発見・承認 3位 低侵襲性手術の導入 4位 CTの開発・導入 5位 ゲノム医療・NGS/プレシジョンメディシン 6位 放射線治療の進歩 7位 気管支鏡検査 8位 シスプラチン(プラチナ製剤)の登場 9位 支持療法の進歩 10位 肺縮小手術の確立 1位の「分子標的薬の登場」は90年代後半、2位の「免疫療法の発見・承認」にいたっては2010年代に入ってからのトピックスであり、肺がん治療のここ数十年での急激な進展を学会員も実感していることが浮き彫りとなった。会場では、会長の光冨 徹哉氏(近畿大学)をはじめ、年代の異なる医師3人と患者連絡会の代表が、それぞれの立場からランキング結果への感想や治療法への思いを述べた。 「肺癌学会に望むこと」を聞いたアンケート結果も発表され、「認定医や専門医制度の発足」「より一層の国際化」「学会に行かなくても教育的講演を聞けるようにしてほしい」などの声が寄せられていた。

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扁平上皮肺がんの抗EGFR抗体ネシツムマブ発売/日本化薬

 日本化薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:涌元厚宏、以下「日本化薬」)は、2019年11月22日、抗悪性腫瘍剤ヒト型抗EGFRモノクローナル抗体ネシツムマブ(商品名:ポートラーザ)を発売した。ネシツムマブは、進行・再発扁平上皮非小細胞肺がんの治療薬としてイーライリリー・アンド・カンパニーが2015年より欧米にて販売しているヒト型抗EGFRモノクローナル抗体である。2019年8月1日付で日本化薬が日本イーライリリー社より製造販売権を承継し、発売準備を行っていた。・製品名:ポートラーザ点滴静注液 800mg・一般名:ネシツムマブ(遺伝子組換え)・効能・効果:切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌・用法・用量:ゲムシタビン及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはネシツムマブ(遺伝子組み換え)として1回800mgをおよそ60分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

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小細胞肺がん、PARP阻害薬veliparibの追加でPFS改善/JCO

 小細胞肺がん(SCLC)に対して、化学療法へのPARP阻害薬veliparib追加の有効性が確認された。veliparibは、非臨床試験で標準化学療法の効果を増強することが示されており、米国・エモリー大学のTaofeek K. Owonikoko氏らは、未治療の進展型SCLC(ES-SCLC)患者を対象に第II相無作為化臨床試験を行った。その結果、シスプラチン+エトポシド(CE)へのveliparib追加併用療法により、無増悪生存(PFS)期間が有意に延長したことが示されたという。Journal of Clinical Oncology誌2019年1月20日号掲載の報告。 研究グループは、未治療ES-SCLC患者をveliparib(CE+V)群(1~7日目に100mgを1日2回経口投与)またはプラセボ(CE+P)群に、性別および血清乳酸脱水素酵素(LDH)値で層別化して無作為に割り付け、いずれもCE療法4サイクルと併用投与した。 主要評価項目はPFS。全体の片側(0.10値)log-rank検定を用い、試験の検出力は88%で、PFSのハザード比(HR)37.5%減少と設定した。 主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たしプロトコールの治療を受けた患者は、計128例であった。・患者背景は、年齢中央値66歳、52%が男性、ECOG PSは0が29%、1が71%であった。・PFS中央値は、CE+V群6.1ヵ月、CE+P群5.5ヵ月であり、CE+V群が優れていた(層別化前HR:0.75[片側p=0.06]、層別化後HR:0.63[片側p=0.01])。・全生存(OS)期間中央値は、CE+V群10.3ヵ月、CE+P群8.9ヵ月であった(層別化後HR:0.83、80%信頼区間[CI]:0.64~1.07、片側p=0.17)。・全奏効率(ORR)は、CE+V群71.9%、CE+P群65.6%であった(両側p=0.57)。・層別解析の結果、LDH高値の男性患者ではCE+V群でPFSの有意な延長(PFSのHR:0.34、80%CI:0.22~0.51)が認められたが、他の患者集団では治療群間で有意差はなかった(PFSのHR:0.81、80%CI:0.60~1.09)。・Grade3以上の血液学的毒性の発現頻度はCE+V群がCE+P群よりも高かった(CD4リンパ球減少症:8% vs.0%[p=0.06]、好中球減少症:49% vs.32%[p=0.08])。

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WCLC(World Conference on Lung Cancer)2019 レポート

レポーター紹介世界肺がん学会WCLC(World Conference on Lung Cancer)2019はスペインのバルセロナで、2019年9月7~10日の期間に行われた。今年は9月末に欧州臨床腫瘍学会が同じスペインのバルセロナで行われることもあり、例年のWCLCと比べるとトピックスが少ない印象ではあったが、公式発表では100ヵ国以上から7,000例以上がWCLCに参加し、多くの演題(2,853演題)が報告された。学会初日の印象では参加人数が例年よりも少なそうで寂しい印象を受けたが、Presidential Symposiumの発表時には、会場はほぼ満席であり活気に満ちたものであった。このレポートでは、私的に選んだ今学会でのトピックスをいくつか紹介する。外科手術のトピックVIOLET試験の効果と安全性に関する探索的検討clinical stage cT1~3、N0~1、M0の肺がん、もしくは肺がんが強く疑われる患者を対象に、開胸手術とVATSを比較する第III相試験における早期の効果と安全性の結果が報告された。入院中の死亡率は、VATS群で1.4%(VATS治療から開胸手術の移行率5.7%)であった。また、完全切除率については、VATS群で98.8%、開胸切除で97.4%であり、有意差を認めなかった(p=0.839)。術後の疼痛についてmedian(visual analogue)pain scoreで評価が行われており、術後1日では術後疼痛についてmedian scoreに差を認めなかったが、術後2日では術後疼痛の強さがVATS群で有意に改善され、入院期間についてもVATS群が4日、開胸手術群が5日と有意に短くなる(p=0.008)ことが報告された。また、入院中の術後合併症がVATS群で32.8%、開胸手術群で44.3%と有意に低下する(p=0.008)という結果であった。今回の報告では、VATSと開胸手術において、侵襲の少ないVATSが開胸手術と比較しても根治率が変わらないことが報告され、合併症や入院期間、術後疼痛が良好であることが報告され、日常臨床で広く浸透しているVATSが短期的な指標では有用であることが検証された試験である。今後の長期予後データなどの報告が待たれる。(Lim E, et al. PL 02-06)分子標的療法におけるトピックスLIBRETTO-001 study進行非小細胞肺がんのRET-fusion遺伝子変異に対する分子標的療法で、保険償還承認が得られた治療はまだ存在しない。LIBRETTO-001試験で使用されたLOXO-292はRETを選択的に強く阻害する分子標的薬であり、脳への移行性も高く、RET-fusion遺伝子変異に対する治療薬として期待されている。今学会ではLIBRETTO-001試験における、LOXO-292療法の効果と安全性についての第I/II相試験の結果が報告された。253例のRET-fusion陽性の非小細胞肺がんの患者が参加し、うちprimary analysis set (PAS) に139例が登録された。105例が初回にプラチナ製剤併用化学療法を受け、58例がPD-1/PD-L1阻害薬療法を受けていた。奏効率(ORR)は68%(95%CI:58~76%、n=71/105)であり、RET fusionのパートナーにかかわらず治療効果を認めた。また治療奏効期間は20.3ヵ月(95%CI:13.8~24.0ヵ月)であり、脳転移のある患者における脳転移のORRは91%(n=10/11:2 confirmed CRs、8 confirmed PRs)であった。さらに未治療のRET-fusion陽性の患者ではORR85%(95%CI:69~95%、n=29/34)であった。毒性(AEs)は、ほとんどがGrade1/2と軽微であり、頻度では口腔内乾燥、下痢、高血圧、AST/ALTの上昇が多かった。今回のLOXO-292のデータは非常に良好であり、RET-fusion陽性肺がんの標準療法になりうると考えられ早期での臨床導入が期待される。(Drilon A, et al. PL 02-08)免疫チェックポイント阻害薬のトピックスCASPIAN study進展型小細胞肺がんに対し、初回治療でのプラチナ(シスプラチンもしくはカルボプラチン)+エトポシド(EP)療法の標準療法と、デュルバルマブもしくはデュルバルマブ+tremelimumabの上乗せ治療を比較するオープンラベル下での第III相試験である。この試験はプレスリリースにおいて、デュルバルマブ上乗せ群が標準療法群に対してOSを有意に改善したと発表しており、今学会の最注目演題であった。今学会ではCASPIAN試験における、標準療法群とデュルバルマブ併用療法群の結果が報告された。PS 0~1の未治療進展型小細胞肺がんの患者を対象に、デュルバルマブ1,500mg+EP療法を3週ごと、デュルバルマブ1,500mg+tremelimumab 75mg+EP療法を3週ごと、もしくはEP療法を3週ごと4コースの治療を行った。免疫療法群では、4コース終了後のデュルバルマブ維持療法が認められており、EP療法では6コースまで投与をすることが認められていた。また、主治医判断での予防的全能照射(prophylactic cranial irradiation [PCI])も認められていた。EP+デュルバルマブ療法群に268例、EP療法群に269例が割り付けられ、56.8%の患者が6コースのEP療法を受けていた。全生存期間においてEP+デュルバルマブ群がEP療法群と比較して、HR0.73、95%CIは0.591~0.909、p=0.0047と生存期間を有意に延長し、生存期間中央値(mOS)はEP+デュルバルマブ療法群で13ヵ月、EP療法群で10.3ヵ月であった。また18ヵ月の時点で、EP+デュルバルマブ療法群では33.9%の患者が生存しており、EP療法群では24.7%の患者が生存していた。無増悪生存期間(PFS)や奏効率(ORR)においてもEP+デュルバルマブ療法群がEP療法群よりも優れた結果であった。EP+デュルバルマブ療法群とEP療法群でそれぞれ、mPFSが5.1ヵ月と5.4ヵ月、PFSはHR0.78、95%CIは0.645~0.936、12ヵ月PFS rateが17.5%と4.7%、ORR(RECIST v1.1:unconfirmed)が79.5%と70.3%(odds ratio:1.64、95%CI:1.106~2.443)であった。毒性(AEs)ではEP+デュルバルマブ療法群とEP療法群でGrade3/4 AEsが61.5%と62.4%、AEsによる治療中断率は各9.4%と差を認めなかった。この試験では、先行するIMpower133試験(カルボプラチン+エトポシド療法にアテゾリズマブの上乗せの有効性が証明された)と同様にPD-L1阻害薬の標準療法への上乗せが証明された。この試験では、EP+デュルバルマブ+tremelimumab療法群の結果、すなわちPD-L1阻害薬+CTLA-4阻害薬の標準療法への上乗せ効果は公表されておらず、いまだ不明のままである。(Luis Paz-Ares, et al. PL 02-11)CheckMate 817試験(Cohort A1)PS 2や肝障害やHIV感染症を持つPS 0~1(all other special population:AOSP)のIV期非小細胞肺がんの初回治療として、ニボルマブ(PD-1阻害薬)+イピリムマブ(CTLA-4阻害薬)併用療法の効果と安全性を確認する第IIIb/IV相試験の結果が報告された。この試験での治療方法はニボルマブ240mg(2週ごと)、イピリムマブ1mg/kg(6週ごと)の固定容量での治療である。この試験ではPS 2の患者139例とAOSPの患者59例が試験に登録された。安全性についてはPS 2の患者でも、AOSPの患者でも、通常のPS 0~1の患者と比較して、治療関連有害事象や治療関連有害事象による治療中断、治療関連死に差がないことが示された。奏効率は、PS 2で20%、AOSPで37%であり、PS 0~1で35%であったが、PFSはPS 2やAOSPの患者で、PS 0~1の患者より有意に短かった。免疫チェックポイント阻害薬の併用において、PS不良の患者でも安全性はPS良好な患者と同様であり、初回治療の選択肢となりうることが示されたと考えてよいだろう。(Valette CA, et al. OA 04-02)その他の免疫チェックポイント阻害薬のトピック今回の学会では、以前に発表された第III相試験の長期予後データについていくつかの報告があった。PD-L1 50%陽性、EGFRやALK変異陰性の患者で行われた第III相試験であるKEYNOTE-024試験の3年目解析データが報告された。生存期間中央値(mOS)はペムブロリズマブ群26.3ヵ月(18.3~40.4)、殺細胞性抗がん剤治療群14.2ヵ月(9.8~18.3)で、OSはHR0.65、95%CIは0.50~0.86、p=0.001であり、長期間の観察期間でも有意にOSを延長していることが報告された。また、この発表では抗がん剤治療群からのペムブロリズマブのクロスオーバーしたペムブロリズマブの治療成績が報告されており、奏効率(ORR)は20.7%であり、治療奏効期間の中央値は20.9ヵ月と報告された。(Reck M, et al. OA 14-01)また、扁平上皮がんに対するプラチナ+タキサン療法へのアテゾリズマブの上乗せを検討しているIMpower131試験の最終解析結果も報告された。この試験は、ASCO2018においてOSの有意な延長が示されておらず、PD-L1 1~49%群でのOSがプラチナ製剤併用療法群と比較してクロスすることが報告されていた。今回の最終解析において、カルボプラチン+nabパクリタキセル+アテゾリズマブ群とカルボプラチン+nabパクリタキセル群の生存期間中央値(mOS)は14.2ヵ月vs.13.5ヵ月で、OSはHR0.88、95%CIは0.73~1.05、p=0.158で、OSの延長効果は示されなかった。ただし、PD-L1TPS 50%以上の高発現群においては、mOSは23.4ヵ月vs.10.2ヵ月、OSはHR0.48、95%CIが0.29~0.81とサブグループ解析ではあるが有意に延長していることが報告された。同じ扁平上皮がんを対象としたプラチナ+タキサン療法へのペムブロリズマブの上乗せを検討したKEYNOTE-407試験では、ペムブロリズマブの上乗せの生存延長効果が示されているだけに、PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬で扁平上皮がんに効果に違いが出るのか興味深いところではある。(Cappuzzo F, et al. OA 14-02)小細胞肺がんのトピックスSensitive Relapse小細胞肺がんを対象にカルボプラチン+エトポシドとトポテカンを比較した第III相試験トポテカンはヨーロッパでは小細胞肺がんの2次療法で承認されている数少ない抗がん剤であり、ヨーロッパだけでなく本邦含めグローバルで標準療法として広く用いられている。この試験では、初回治療から90日以上たってから再燃してきた小細胞肺がんをsensitive relapse小細胞肺がんとして定義しており、この対象を満たし初回治療でプラチナ+エトポシド療法が施行されている患者に対して、カルボプラチン+エトポシドとトポテカンの比較試験が行われた。この試験での意義は初回治療のre-challengeと標準療法であるトポテカンのどちらが良いかを比較している点で、今までのクリニカル・クエスチョンを確認する試験である。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)については、中央値がre-challenge群で4.7ヵ月(95%CI:3.9~5.5)、トポテカン群で2.7ヵ月(95%CI:2.3~3.2)、PFSがHR0.6、95%CIは0.4~0.8、p<0.002であり、re-challenge群が有意にPFSを延長していた。またre-challenge群とトポテカン群の比較において、他の主な評価項目では、奏効率が49% vs.25%(p<0.002)とre-challenge群で有意に奏効率が高かったが、全生存期間ではmOSが7.5ヵ月(95%CI:5.4~8.7)vs.7.4ヵ月(95%CI:6.0~9.3)であり、両群で有意な差を認めなかった。毒性では、トポテカン群はGrade3/4の好中球減少が35.8% vs.19.7%(p<0.001)と有意に高かったが、発熱性好中球減少症が13.6% vs.6.2% (p=0.19)で両群に有意な差を認めず、その他の毒性も両群で差を認めなかった。この試験の結果からは、日常臨床で行われることが多いsensitive relapse小細胞肺がんにおけるre-challenge療法を、標準療法の一つとして考えてもよいのかもしれない。(Monnet I, et al. OA 15-02)

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局所進行NSCLCのCRT、10年でどこまでcure?(WJTOG0105)/ESMO2019

 WJTOG0105は、切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)における、胸部放射線治療(TRT)の併用化学療法として、第3世代レジメン(イリノテカン+カルボプラチン、パクリタキセル+カルボプラチン)と第2世代レジメン(マイトマイシンC+ビンデシン+シスプラチン)を比較した第III相試験である。この試験の結果、第3世代レジメンによる化学放射線療法(CRT)は切除不能Stage III NSCLCの標準治療の1つとして確立された。しかし、CRTによる累積毒性と長期生存はまだ明らかになっていない。国立がん研究センター東病院の善家 義孝氏は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、わが国のStage III NSCLCにおけるCRTの生存と毒性の10年間追跡調査の結果を報告した。・対象:切除不能Stage IIIA/B NSCLC(70歳未満、PS 0~1)・対照群[A群]シスプラチン+ビンデシン+MMC(4週ごと2サイクル)+TRT(60Gy)→シスプラチン+ビンデシン+MMC(4週ごと2サイクル)・試験群[B群]イリノテカン+カルボプラチン(毎週6週間)+TRT(60Gy)→カルボプラチン+イリノテカン(3週ごと2サイクル)[C群]パクリタキセル+カルボプラチン(毎週6週間)+TRT(60Gy)→パクリタキセル+カルボプラチン(3週ごと2サイクル)。・評価項目:5年および10年の全生存(OS)率、晩期毒性(CRT開始後90日以降に発生) 主な結果は以下のとおり。・2001年9月~2005年9月に440例が登録され、A群(n=146)、B群(n=147)、C群(n=147)に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は140ヵ月であった。・OSはA群20.5ヵ月に対しB群19.8ヵ月(ハザード比[HR]:1.18、95%信頼区間[CI]:0.82~1.51)、C群22.0ヵ月(HR:1.01、95%CI:0.79~1.30)であった。・5年OS率はA群20.8%、B群16.0%、C群18.3%、10年OS率はそれぞれ13.6%、7.5%、15.2%であった。・5年無増悪生存(PFS)率はA群10.2%、B群10.8%、C群12.3%、10年PFS率はそれぞれ8.5%、5.9%、11.1%であった。・Grade3/4の晩期毒性はA群3.4%(心臓0.7%、肺2.7%)、B群で3.4%(肺のみ)、C群4.1%(肺のみ)、Grade5は、C群で0.7%(肺のみ)であった。 C群のカルボプラチン+パクリタキセルは、A群と同程度の効果と毒性プロファイルを有していることが示された。10年OS率15%、PFS率11%という結果から、免疫療法を含めた新たな治療戦略が必要だとしている。 発表者の善家義貴氏との1問1答はこちら。この試験を行った背景について教えてください。 Stage IIIのCRTは従来5年生存をcureの指標としていましたが、がん患者さんの生存が延長した現在、cureは10年生存でみるべきだといえます。しかし、CRTを10年間観察した大規模研究はありませんでした。そこで、今回初めて、CRTが10年という長期のcureを実現しているのかを追跡評価しました。この結果をどう評価されますか。 今までCRT後の生存率は5年で20%と言われていましたが、その後はどのようになるのか明らかになっていませんでした。今回の試験で、10年で15%というデータが出たことは重要だと思います。 また現在、実臨床で使われているCRTの化学療法は、ほとんどがC群のカルボプラチン+パクリタキセルだと思います。当試験の結果からも、このレジメンが効果、安全性ともにスタンダードであると言えると思います。この試験で苦労されたことは? 10年間、患者さんの生存調査をすることは大変な作業でした。しかし、この難しい作業を研究者の先生方は快く協力していただけました。その背景には、この研究の結果をぜひ知りたいという強い興味が、肺がん診療医にあったのではないかと思います。 CRTはcureを目指す治療です。10年生存15%は満足な数字だとは言えません。今後は免疫療法などで、どこまで引き上げられるかが課題です。

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小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+化学療法の成績(CASPIAN)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)においてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と化学療法の併用を評価する第III相CASPIAN試験の結果が、世界肺がん学会(WCLC2019)で発表され、化学療法へのデュルバルマブの追加により、全生存期間(OS)の有意な改善が示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、最新の解析結果が、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏により報告された。・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)・試験群: デュルバルマブ+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群) デュルバルマブ+tremelimumab+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)・対照群:  エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(EP群)・評価項目: [主要評価項目]OS [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、安全性、忍容性 ESMO2019での発表は、D+EP群とEP群における、臨床関連分析(Clinically relevant analysis)の結果である。 主な結果は以下のとおり。・2019年3月11日の時点で、D+EP群265例とEP群266例が各治療を受けた。・OS中央値はD+EP群13.0ヵ月、EP群10.3ヵ月で、D+EP群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.591~0.090、p=0.0047)・PFS中央値はD+EP群5.1ヵ月、EP群5.4ヵ月であった(HR:0.78、95%CI:0.645~0.936)・PD-L1評価可能な症例277例(D+EP群151例、EP群126例)のうちPD-L1発現が1%未満の症例は、TCで94.9%、ICで77.6%と、PD-L1発現症例は少なかった。・PD-L1発現とOSの関係は示されなかった(TCのp=0.54、ICのp=0.23)。・患者報告アウトカム(PRO)による症状悪化までの期間(TTD)は、すべての項目においてD + EP群が長かった。 ES-SCLCの1次治療におけるデュルバルマブのエトポシド+シスプラチン/カルボプラチンへの追加は、有意にOSを改善する一方、QOLを維持し、症状悪化までの時間を延長した。

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アテゾリズマブ+化学療法の1次治療、進行尿路上皮がんのPFS改善(IMvigor130試験)/ESMO2019

 未治療の進行尿路上皮がん患者に対する、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブとプラチナベース化学療法併用の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、スペイン・MD Anderson Cancer Center MadridのEnrique Grande氏から発表された。 本試験は日本も参加した国際共同の部分盲検の第III相比較試験である。・対象:シスプラチン投与適応または不適応の局所進行もしくは転移を有する尿路上皮がん患者1,213例・試験群:1次療法として、アテゾリズマブ+化学療法群(ATEZ併用群:451例)、およびアテゾリズマブ単剤投与群(ATEZ単独群:362例)・対照群:プラセボ+化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン/カルボプラチン)群(CT群:400例)・評価項目:[主要評価項目]ATEZ併用群とCT群における、主治医判定による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率、奏効期間(DOR)、PD-L1陽性集団におけるPFSとOS、安全性 事前に計画された統計学的な設定として、初めにATEZ併用群とCT群間のPFSを検討し、そこで有意差が検出されれば、OSの検定を実施するといった階段的な統計手法が用いられている。さらに、OSで有意差が示された場合、ATEZ単独群とCT群のOSを比較する設定となっている。 主な結果は以下のとおり。・観察期間中央値は11.8ヵ月であった。・登録全症例(ITT集団)におけるPFS中央値はATEZ併用群で8.2ヵ月、CT群で6.3ヵ月、ハザード比(HR)0.82(95%信頼区間[CI]:0.70~0.96)、p=0.007と統計学的な有意差が認められた。・ITT集団におけるOS中央値はATEZ併用群で16.0ヵ月、CT群は13.4ヵ月、HR 0.83(95%CI:0.69~1.00)、p=0.027であり、本中間解析の時点では事前に設定した水準を超えず、統計学的な有意差は認められなかった。 探索的な解析として、ATEZ単独群とCT群の比較も実施された。・ITT集団におけるOS中央値は、それぞれ15.7ヵ月、13.1ヵ月で、HR 1.02(95%CI:0.83~1.24)だった。・PD-L1陽性(IC2/3)の患者層では、ATEZ単剤群とCT群のOS中央値はそれぞれ未到達と17.8ヵ月、HR 0.68(95%CI:0.43~1.08)であった。PD-L1陽性/陰性(IC0/1)の患者層では、それぞれ13.5ヵ月と12.9カ月、HR 1.07(95%CI:0.86~1.33)だった。・各群の奏効率はATEZ併用群47%、CT群44%、ATEZ単独群23%で、そのうち完全奏効の割合はそれぞれ13%、7%、6%だった。・各群のDOR中央値はATEZ併用群8.5ヵ月、CT群7.6ヵ月、ATEZ単独群は未到達であった。・有害事象による治療中止はATEZ併用群34%、CT群34%、ATEZ単独群6%、であり、ATEZ併用群の忍容性が認められた、また、ATEZ併用群の安全性プロファイルは、これまでのそれぞれの治療薬のプロファイルと同様であり、新たな予見はみられなかった。

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アテゾリズマブ単剤、PD-L1高発現NSCLCで生存改善(IMpower110)/ESMO2019

 PD-L1発現非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療において、アテゾリズマブ単剤と化学療法を比較する第III相試験IMpower110の中間解析の結果が、スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、米国:Sarah Connon Research IncstituteのDavid R Spigel氏が発表した。IMpower110の中間解析でアテゾリズマブ単剤療法は有効な選択肢 ・対象:PD-L1陽性のStage IVNSCLC(扁平上皮および非扁平上皮)・試験群:アテゾリズマブ 3週ごと→アテゾリズマブ 3週ごと・対照群: [非扁平上皮がん]シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド 4または6週ごと→ペメトレキセド [扁平上皮がん]シスプラチン/カルボプラチン+ゲムシタビン4または6週ごと→BSC 各群のレジメンに従いPDとなるまで薬剤を投与した。・評価項目: [主要評価項目]EGFRまたはALK遺伝子野生型集団(WT)のOS [副次評価項目]治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR) IMpower110の中間解析の主な結果は以下のとおり。・572例が登録され、アテゾリズマブ群と化学療法群に1:1に無作為に割り付けされた。・PD-L1高発現(TC3またはIC3[TC 50%以上またはIC 10%以上])WT集団におけるOSは、アテゾリズマブ群20.2ヵ月、化学療法群13.1ヵ月で、アテゾリズマブ群で有意に延長した(HR:0.59、95%CI:0.40~0.89、p=0.0106)。・PD-L1中等~高度発現(TC2/3またはIC2/3[TCまたはIC 5%以上])WT集団におけるOSは、アテゾリズマブ群18.2ヵ月、化学療法群14.9月(HR:0.72、95%CI:0.52~0.99、p=0.0416)であったが、事前に決定したα水準を超えなかった。・全PD-L1発現(TC1/2/3またはIC1/2/3[TCまたはIC 1%以上])WT集団におけるOSは、アテゾリズマブ群17.5ヵ月、化学療法群14.1ヵ月であった(HR:0.83、95%CI:0.65~1.07、p=0.148)(TC2/3またはIC2/3集団において事前に設定した水準を超えなかったため、正式に検討されていない)。・PD-L1高発現WT集団におけるPFSは、アテゾリズマブ群8.1ヵ月、化学療法群5.0ヵ月で、アテゾリズマブ群で有意に延長した(HR:0.63、95%CI:0.45~0.88、p=0.007)。・PD-L1高発現WT集団のORRはアテゾリズマブ群38.3%、化学療法群28.6%、DORはアテゾリズマブ群未達、化学療法群6.7ヵ月であった。・全有害事象(AE)はアテゾリズマブ群90.2%、化学療法群94.7%、Grade3~4のAEはアテゾリズマブ群31.8%、化学療法群53.6%で新たに報告されたものはなかった。 発表者のSpigel氏は、アテゾリズマブ単剤療法はPD-L1高発現1次治療の有効な選択肢である可能性を示したと結論付けた。

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FGFR阻害薬pemigatinibが胆管がんで高い奏効率(FIGHT-202)/ESMO2019

 独・ハノーヴァー医科大学のVogel.A氏は、既治療で線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体2(FGFR2)融合/再構成遺伝子を有する進行胆管がんに対する分子標的治療薬pemigatinib投与は有用との第II相試験結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。pemigatinibはインサイト社が開発中のFGFR1、FGFR2、FGFR3の選択的チロシンキナーゼ阻害薬。FGFR2融合遺伝子は、胆管がんの10~16%に発現するとされる。 対象は、1次治療終了後に進行し、FGF/FGFR遺伝子検査を実施済みで肝機能・腎機能が適切に保たれているPS 2以下の局所進行・転移のある胆管がん患者。試験デザインは非盲検単群試験で、pemigatinib投与量は13.5mgの2週間連日投与後に1週間の休薬のサイクル。以下の3群で比較した。・試験群: コホートA:FGFR2遺伝子融合/再編成陽性(107例) コホートB:FGF/FGFR遺伝子融合/再編成以外のFGF/FGFR変異陽性 (20例)  コホートC:FGF/FGFR変異陰性(18例)・評価項目: [主要評価項目]コホートAでの奏効率(ORR) [副次評価項目]コホートA+B、コホートB、コホートCのORR。各コホートでの奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、有害事象(AE) 主な結果は以下の通り。・コホートAのORRは35.5%(95%信頼区間[CI]:26.50~45.35)であった。・コホートB、CのORRはともに0%であった。・コホートAのDOR中央値は7.5ヵ月(95%CI:5.7~14.5)であった。・DCRはコホートAが82%(95%CI:74~89)、コホートBが40%(95%CI:19~64)、コホートCが22%(95%CI:6~48)であった。・PFS中央値はコホートAが6.9ヵ月(95%CI:6.2~9.6)、コホートBが2.1ヵ月(95%CI:1.2~4.9)、コホートCが1.7ヵ月(95%CI:1.3~1.8)であった。・OS中央値はコホートAが21.1ヵ月(95%CI:14.8~未到達)、コホートBが6.7ヵ月(95%CI:2.1~10.6)、コホートCが4.0ヵ月(95%CI:2.3~6.5)であった。・もっとも発生頻度の多い有害事象は高リン酸血症(60%)だが、すべてGrade2以内で対処可能であった。Grade3以上の発現頻度がもっとも多かったのは低リン酸血症。ただし、臨床上はそれほど大きな問題ではない。4%の患者で網膜剥離が発生したもののほとんどがGrade2以内で後遺症はなかった。 この結果を受けてVogel氏は「pemigatinibはFGFR2遺伝子融合/再編成陽性の胆管がんで潜在的な治療ベネフィットを有する薬剤である」と評した。 現在、pemigatinibはFGFR2遺伝子融合/再編成陽性の胆管がんに対する1次治療としてゲムシタビン+シスプラチン併用療法と比較する第III相試験が進行中である。

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