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ESMO2025 レポート 泌尿器がん

レポーター紹介2025年10月17~21日に、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)がドイツ・ベルリンで開催され、後の実臨床を変えうる注目演題が複数報告された。虎の門病院の竹村 弘司氏が泌尿器がん領域における重要演題をピックアップし、結果を解説する。ここ数年、泌尿器腫瘍領域の薬物治療における重要な研究成果はESMOで報告されることが多く、ESMO2023ではEV-302試験、ESMO2024ではNIAGARA試験の結果が報告されたことが記憶に新しい。いずれも大きな話題となり、本邦においてもこれらの臨床試験の結果が今日の日常臨床を変えた。ESMO2025では、泌尿器領域から4演題がPresidential Symposiumに採択された。いずれも近い将来の日常臨床や治療開発の方向性を変える可能性のある臨床試験である。本レポートでは、これら4演題の内容についての詳細を解説する。(表)ESMO2025 GU領域の注目演題のQuick Check画像を拡大する[目次]1.【膀胱がん】LBA22.【膀胱がん】LBA83.【前立腺がん】LBA64.【尿路上皮がん】LBA7【膀胱がん】LBA2Perioperative (periop) enfortumab vedotin (EV) plus pembrolizumab (pembro) in participants (pts) with muscle-invasive bladder cancer (MIBC) who are cisplatin-ineligible: The phase 3 KEYNOTE-905 study1.背景筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の標準治療はシスプラチンを含む術前化学療法後の根治的膀胱全摘除術(RC)であるが、腎機能障害や併存疾患のためにシスプラチン不適格となる患者が約半数を占める。このような患者群に対しては (周術期化学療法なしの)膀胱全摘術が現在の標準治療であるが、再発率が高く、予後が悪い。本試験(KEYNOTE-905)は、シスプラチン不適格または拒否例のMIBC患者を対象に、EV+ペムブロリズマブ(以下EVP療法)による周術期化学療法の有効性および安全性を検証した第III相無作為化比較試験である。2.試験デザインデザイン多施設共同、第III相、無作為化比較試験対象シスプラチン不適格または拒否したMIBC患者治療:治療EVP群:EVP療法3コース後に膀胱全摘術、術後にEV 6コース、ペムブロリズマブ14コース対照群(標準治療/膀胱全摘術±リンパ節郭清のみ)主要評価項目無イベント生存期間(EFS)副次評価項目全生存期間(OS)、病理学的完全奏効率(pCR)、安全性など3.結果EVP群170例、対照群174例に無作為割り付けされた。観察期間中央値は25.6ヵ月(範囲:11.8~53.7)。EVP群の患者の年齢中央値は74.0歳(範囲:47~87)であり、75歳以上の高齢者は45.9%含まれていた。ECOG PS 0が60%、男性が80.6%であった。シスプラチン不適格例が83.5%、拒否例が16.5%であった。病期別ではT2N0が17.6%、T3/T4が78.2%、N1症例が4.1%であった。両群間で背景に大きな差はなかった。主要評価項目であるEFS中央値はEVP群で未到達、対照群で15.7ヵ月であり、ハザード比(HR)は0.40(95%信頼区間[CI]:0.28~0.57、p<0.0001)と、EVP群で有意なリスク低減が認められた。12ヵ月時点のEFS率は77.8%vs. 55.1%、24ヵ月時点では74.7%vs.39.4%であった。EFS改善効果は事前に設定されたサブグループ解析でも一貫しており、年齢、性別、PS、PD-L1発現、腎機能などにかかわらずEVP群で良好であった。OS中央値は、EVP群で未到達、対照群で41.7ヵ月であり、HR:0.50(95%CI:0.33~0.74、p=0.0002)とEVP群で有意な生存延長を認めた。12ヵ月時点での生存率は86.3%vs.75.7%、24ヵ月時点で79.7%vs.63.1%であった。pCR率は57.1%vs.8.6%(95%CI:39.5~56.5、p<0.000001)であった。本試験において、pCRは手術検体における腫瘍残存なし(pT0N0)と定義されており、手術未施行例は非奏効(non-responder)として解析されている。周術期EVP療法の安全性プロファイルは既報の進行期尿路上皮がん(UC)治療での報告とおおむね一致し、新たな安全性シグナルは認められなかった。また、本併用療法は根治的手術施行率を低下させなかったことも示された。4.結論周術期EVP療法は、シスプラチン不適格または拒否したMIBC患者において、EFS、OS、pCR率を有意に改善した。手術実施率への悪影響はなく、安全性も許容範囲内であった。本試験は、MIBCに対する周術期治療としてEVP療法が新たな標準治療となる可能性を初めて示した第III相試験である。5.筆者コメントEVP療法はすでに転移を有する再発UCの領域でパラダイムシフトを起こしており、予想はしていたが、KEYNOTE-905試験もpositiveな結果であった。文句なくpractice changeであるが、今後検証・確認しないといけないこととして以下が挙げられる。シスプラチン適格の患者を対象に、シスプラチンベースのレジメンと比較してもEVPが優れるかどうか。→EV-304試験の結果が待たれる。術後のEVP療法は全例に必要なのか。→術後EVP、ペムブロリズマブのみ、経過観察のみ、の3群比較ではどうなるか。今後リアルワールドデータの報告なども待たれる。周術期にEVが合計9コース投与されるため、末梢神経障害も懸念される。周術期EVP療法におけるctDNAステータスを絡めた探索的解析の結果が待たれる。【膀胱がん】LBA8IMvigor011: a Phase 3 trial of circulating tumour (ct)DNA-guided adjuvant atezolizumab vs placebo in muscle-invasive bladder cancer1.背景MIBCの術後アテゾリズマブ療法の有効性を検証したランダム化第III相試験であるIMvigor010試験はnegative studyであったが、探索的研究でctDNAが予後予測因子であることに加えてアテゾリズマブの効果予測因子であることが示唆された。そのような背景から、ctDNA-guided selectionされたコホートにおけるアテゾリズマブの有効性を検証したのがIMvigor011試験である。IMvigor011試験は、MIBC患者のうち術後ctDNAが陽性であるコホートのみを対象としたアテゾリズマブ術後療法の有効性を評価したランダム化第III相試験である。2.試験デザインデザイン多施設共同、第III相、無作為化比較試験対象膀胱全摘術後6〜24週以内のMIBC(pT2-T4aN0M0またはpT0-T4aN+M0)。術前化学療法の実施は許容された。介入:介入6週ごとのctDNA評価、12週ごとの画像評価を実施。ctDNA陽性→アテゾリズマブ(1,680mg IV 4週ごと×最大1年)vs.プラセボ(2:1)ctDNA陰性→無治療・経過観察群主要評価項目治験医師評価の無病生存期間(DFS)副次評価項目OS3.結果登録患者756例(ctDNA陽性:379例、ctDNA陰性:377例)。このうち、ctDNA陽性例250例がランダム化(アテゾリズマブ:167例、プラセボ:83例)。患者の年齢中央値は69歳(範囲:42~87)、ほぼ全例がECOG PS 0~1であった。病理学的ステージはpT3/4が約7割、リンパ節転移陽性が約6割であった。初回ctDNA評価で陽性判定されたのは約6割、フォローアップ中のctDNA評価で陽性判定されたのは約4割であった。主要評価項目である治験医師評価のDFS中央値は、アテゾリズマブ群9.9ヵ月、プラセボ群4.8ヵ月であり、HR:0.64(95%CI:0.47~0.87、p=0.0047)と統計学的に有意にアテゾリズマブ群が良好であった。12ヵ月DFS率は44.7%vs.30.0%、24ヵ月DFS率は28.0%vs.12.1%であった。OSは32.8ヵ月vs.21.1ヵ月(HR:0.59、95%CI:0.39~0.90、p=0.0131)であり、24ヵ月時点のOS率は62.8%vs.46.9%と、アテゾリズマブ群で明確な上乗せ効果を示した。なお、1年間のctDNAフォロー期間においてctDNA陰性で経過したコホートでは、24ヵ月時点のDFSは88.4%、OSは97.1%で無イベントで経過していた。4.結論ctDNAガイド下アテゾリズマブ術後療法は、ctDNA陽性のMIBC患者においてDFSおよびOSを有意に改善した。非選択集団で有効性を示せなかったIMvigor010試験と異なり、ctDNAを用いた層別化戦略により免疫療法の効果を享受できるコホートを抽出することができる可能性が示唆された。5.筆者コメントMIBCの術後化学療法において、ctDNAをベースとした免疫チェックポイント阻害薬による治療戦略を構築することに成功した重要な臨床試験である。周術期における免疫チェックポイント阻害薬を含む治療の有効性を検証している他の大規模比較試験においても同様の傾向がみられるか、今後再現性の評価も重要である。一方で、ctDNA陽性の場合、介入群でも多くの患者が再発しており、今後このコホートに対するより強度の高い治療の有効性が検証されるべきであると感じた。【前立腺がん】LBA6Phase 3 trial of 177Lu-PSMA-617 combined with ADT + ARPI in patients with PSMA-positive metastatic hormone-sensitive prostate cancer (PSMAddition)1.背景177Lu-PSMA-617は、VISION試験において転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する生存延長効果を示した。PSMAddition試験は、ホルモン感受性転移を有する前立腺がん(mHSPC)を対象に、177Lu-PSMA-617をアンドロゲン除去療法(ADT)+アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)に併用する有効性と安全性を検証した第III相無作為化試験である。2.試験デザインデザイン国際多施設共同、無作為化、第III相試験対象PSMA PET/CTで陽性のmHSPC男性(ECOG PS 0~2)介入群177Lu-PSMA-617(7.4GBq 6週ごと×最大6コース)+ADT+ARPI対照群ADT+ARPI無増悪確認後のクロスオーバー許可(BIRC評価)主要評価項目画像評価による無増悪生存期間(rPFS)副次評価項目全生存期間(OS)などESMO2025ではrPFSの第2回中間解析、OSの第1回中間解析の結果が発表された。3.結果1,529例がスクリーニングされ、PSMA陽性1,232例のうち1,144例が無作為化割り付け(177Lu-PSMA-617群572例、対照群572例)された。年齢中央値68歳(範囲:36~91歳)、70歳以上が43%、ECOG PS 0~1が97%以上であった。high volumeが68%、de novo症例が52.1%を占めた。使用ARPIはアビラテロン37.6%、アパルタミド32.9%、エンザルタミド22.1%、ダロルタミド6%であった。主要評価項目であるrPFS中央値は両群とも未到達であったが、HR:0.72(95%CI:0.58~0.90、p=0.002)と統計学的有意差をもって併用群で改善がみられた。事前に設定されたサブグループ(年齢、腫瘍量、PSA値、PSなど)によらず、一貫して併用群が優位であった。OSは中間解析時点で未到達(HR:0.84、95%CI:0.63~1.13、p=0.125)ながら、併用群で生存延長傾向を示した。その他の主要な副次評価項目の結果は以下のとおりである。奏効率(ORR) 85.3%vs.80.8%(CR:57.1%vs.42.3%)PSA進行までの期間 HR:0.42(95%CI:0.30~0.59)48週時点でのPSA<0.2ng/mL達成率 87.4%vs.74.9%mCRPCへの進行時間 HR:0.70(95%CI:0.58~0.84)有害事象(AE)は既知の177Lu-PSMA-617関連毒性とおおむね一致しており、主な毒性プロファイルを以下に示す。Grade≧3 AE 50.7%vs.43.0%177Lu-PSMA-617群でみられた主なAE:口渇(45.7%)、疲労(34.8%)、悪心(34.2%)、便秘(17.9%)、食欲低下(14.4%)、嘔吐(13.8%)、下痢(12.2%)、味覚異常(11.9%)。血液毒性:貧血(28%)、好中球減少(14.7%)、血小板減少(11.2%)と軽度の骨髄抑制がみられたが、治療関連死亡はなし。4.結論177Lu-PSMA-617をADT+ARPIに併用することにより、PSMA陽性mHSPCにおけるrPFSを有意に改善し、主要評価項目を達成した。OSは未成熟ながら改善傾向を示しており、副次評価項目(PSA応答、mCRPC進行時間など)も一貫して併用群が優れていた。安全性は既知の範囲内で、新たな毒性シグナルは認められなかった。5.筆者コメントcontrol armがARPI doubletであり、現在の標準治療に一致した治療が行われている。PFS benefitがあることは今回の結果で判明したが、OSの長期フォローアップデータが気になるところである。本邦ではmCRPCに対する177Lu-PSMA-617が保険承認されたが、日常臨床で広く利用可能になるには、まだまだ時間がかかりそうである。【尿路上皮がん】LBA7Disitamab vedotin (DV) plus toripalimab (T) versus chemotherapy (C) in first-line (1L) locally advanced or metastatic urothelial carcinoma (la/mUC) with HER2-expression1.背景これまでに、HER2陽性UCに対して、HER2抗体薬物複合体(ADC)であるdisitamab vedotin(DV)が有効性を示し、さらに抗PD-1抗体toripalimab(T)との併用は前治療歴を問わずORR76%、PFS中央値9.3ヵ月と有望な結果が報告されている。RC48-C016試験は、未治療のHER2発現(IHC 1+以上)局所進行または転移を有するUCを対象に、DV+T併用療法の1次治療における有効性と安全性を化学療法と比較した第III相試験である。2.試験デザインデザイン中国で実施された多施設共同、オープンラベル、無作為化第III相試験対象切除不能局所進行または転移を有するHER2 IHC 1+/2+/3+ UC、ECOG 0~1介入群(DV+T群)DV(2.0mg/kg)+T(3.0mg/kg)併用療法対照群(化学療法群)シスプラチンまたはカルボプラチン+ゲムシタビン主要評価項目BIRC評価によるPFSおよびOS副次評価項目治験医師評価PFS、ORR、奏効期間(DOR)、安全性など3.結果811例がスクリーニングされ、484例が無作為化割り付けされた。年齢中央値66歳、ECOG 0~1が97%以上であった。HER2発現はIHC 1+が22.6%、IHC 2+/3+は77.4%であった。内臓転移あり、上部尿路原発、シスプラチン適格性ありの患者は、いずれも半分程度であった。PFS中央値はBIRC評価でDV+T群13.1ヵ月vs.化学療法群6.5ヵ月であり、HR:0.36(95%CI:0.28~0.46、p<0.0001)と統計学的に有意にDV+T群で良好であった。12ヵ月PFS率は54.5%vs.16.2%であった。すべての事前に設定されたサブグループ(HER2発現、PD-L1、臓器転移、年齢、PS)で一貫した有効性を示した。OSはDV+T群31.5ヵ月vs.化学療法群16.9ヵ月(95%CI:14.6~21.7)であり、HR:0.54(95%CI:0.41~0.73、p<0.0001)と統計学的に有意にDV+T群で良好であった。ランドマークOSは12ヵ月OS率79.5%vs.62.5%、18ヵ月64.6%vs.48.1%であった。ORRは76.1%vs.50.2%(CR:4.5%vs.1.2%)、DoR中央値は14.6ヵ月vs.5.6ヵ月であり、DV+T群で良好な傾向にあった。化学療法群の64.7%が後治療を受け、そのうち40.2%が抗HER2療法、50.2%がPD-1/PD-L1阻害薬を使用していた。DV+T群では27.2%が後治療を受けており、主に殺細胞性抗がん剤による治療であった。安全性についてのプロファイルは以下のとおりである。治療関連有害事象(TRAE):DV+T群98.8%、化学療法群100%Grade≧3 TRAE:55.1%vs.86.9%主なAEトランスアミナーゼ上昇(43~49%)、貧血(42%)、末梢神経障害(18%)、発疹(21%)など免疫関連AE18.9%がGrade≧3、重篤な毒性増加はなし治療中止率12.3%vs.10.4%総じてDV+T併用は化学療法より有害事象が少なく、許容可能な安全性を示した。4.結論RC48-C016試験は、HER2発現mUCにおいて、抗HER2 ADCと抗PD-1抗体の併用が化学療法と比較して有効性を示した初めての第III相試験である。DV+T療法は1次治療HER2陽性進行尿路上皮がんの新たな標準治療候補として位置付けられる。5.筆者コメント本試験はHER2発現1+以上が参加可能となっており、今後プラクティスで使用可能となった場合は適格性を有する患者の割合はそれなりに多いことが想定される。本試験は中国のみで実施されたPhaseIIIであるが、SGNDV-001試験(DV+ペムブロリズマブのPhaseIII)でも同様の有効性が実証されるか、結果が期待される。HER2発現UCの1次治療として今後標準治療に組み込まれることが期待され、EV+ペムブロリズマブ療法との使い分けなど、今後検討が必要となる。直接比較はできないが、DVは比較的毒性がマイルドである可能性があり、プラクティスを大きく変化させる可能性がある。また、DV後のEV(またはEV後のDV)といったADC製剤の逐次的治療のデータなどの蓄積も今後期待される。

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EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のOS最終解析(FLAURA2)/NEJM

 上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)オシメルチニブの単剤療法と比較して白金製剤とペメトレキセドによる化学療法+オシメルチニブの併用療法は、全生存期間(OS)を有意に延長させ、Grade3以上の可逆的な有害事象のリスク増加と関連していた。米国・ダナファーバーがん研究所のPasi A. Janne氏らFLAURA2 Investigatorsが、「FLAURA2試験」の主な副次エンドポイントの解析において、OSの事前に計画された最終解析の結果を報告した。同試験の主解析では、化学療法併用群において主要エンドポイントである無増悪生存期間(PFS)が有意に優れることが示されていた(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.49~0.79、p<0.001)。NEJM誌オンライン版2025年10月17日号掲載の報告。国際的な無作為化第III相試験 FLAURA2試験は、日本の施設も参加した国際的な非盲検無作為化第III相試験(AstraZenecaの助成を受けた)。2020年1月~2021年12月に患者のスクリーニングが行われ、年齢18歳以上(日本は20歳以上)で、EGFR変異(exon19delまたはL858R)陽性の局所進行・転移のある非扁平上皮NSCLCと診断され、進行病変に対する全身療法を受けていない患者を対象とした。 被験者を、導入療法としてオシメルチニブ(80mg)の1日1回経口投与と、ペメトレキセド(500mg/m2体表面積)+白金製剤(シスプラチン[75 mg/m2体表面積]またはカルボプラチン[AUC 5 mg/mL/分])の3週ごとの静脈内投与を4サイクル受ける群(化学療法併用群)、またはオシメルチニブ(80mg)単剤の1日1回経口投与を受ける群(オシメルチニブ単剤群)のいずれかに無作為に割り付けた。化学療法併用群は、導入療法終了後に維持療法として、オシメルチニブ(80mg)の1日1回経口投与とペメトレキセド(500mg/m2体表面積)の3週ごとの静脈内投与を受けた。 557例(最大の解析対象集団)を登録し、化学療法併用群に279例(年齢中央値61歳[範囲26~83]、女性173例[62%])、オシメルチニブ単剤群に278例(62歳[30~85]、169例[61%])を割り付けた。全生存期間中央値が約10ヵ月延長 データカットオフ時点での投与期間中央値は化学療法併用群が30.5ヵ月、オシメルチニブ単剤群は21.2ヵ月で、全生存の追跡期間中央値はそれぞれ42.6ヵ月および35.7ヵ月であった。この時点で化学療法併用群の144例(52%)、オシメルチニブ単剤群の171例(62%)が死亡した。 OS中央値は、オシメルチニブ単剤群が37.6ヵ月(95%CI:33.2~43.2)であったのに対し、化学療法併用群は47.5ヵ月(41.0~算出不能)と有意に優れた(HR:0.77、95%CI:0.61~0.96、p=0.02)。また、36ヵ月時のOS率は、化学療法併用群が63%、オシメルチニブ単剤群は51%であり、48ヵ月OS率はそれぞれ49%および41%であった。 ベースラインで中枢神経系転移を認めた患者の36ヵ月OS率は、化学療法併用群が57%、オシメルチニブ単剤群は40%であり、同転移のない患者ではそれぞれ67%および58%だった。新たな毒性作用は認めず、Grade3以上が多い 551例(安全性解析集団:化学療法併用群276例、オシメルチニブ単剤群275例)が少なくとも1回の試験薬の投与を受けた。主解析から2年超の時点での安全性の知見は、主解析時の解析結果と一致しており、新たな毒性作用は認めなかった。 Grade3以上の有害事象は、化学療法併用群で193例(70%)、オシメルチニブ単剤群で94例(34%)に、重篤な有害事象はそれぞれ126例(46%)および75例(27%)に発現した。死亡に至った有害事象はそれぞれ22例(8%)および10例(4%)で認め、このうち試験薬との関連の可能性があると判定されたのは5例(2%)および2例(1%)であり、オシメルチニブ単剤群の1例を除き、いずれも主解析のデータカットオフ日の前に死亡していた。オシメルチニブの投与中止に至った有害事象は、それぞれ34例(12%)および20例(7%)で報告された。 著者は、「Grade3以上の有害事象は化学療法併用群で高頻度であったが、このオシメルチニブ単剤群との差は、主に化学療法を含むレジメンで予想される骨髄抑制作用に起因する有害事象によるものであった」「病勢進行のため投与を中止したオシメルチニブ単剤群の患者の多くが最初の後治療として白金製剤ベースの2剤併用化学療法を受けたが、これらの患者のOSは化学療法併用群よりも劣ったことから、発症後の最初の治療は併用療法で開始するのが好ましい可能性が示唆され、本試験の化学療法併用群におけるOSの有益性は、1次治療を有効性の高い併用療法で開始することの重要性を強調するものである」としている。

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HER2陽性尿路上皮がん、disitamab vedotin+toripalimabがPFS・OS改善(RC48-C016)/NEJM

 未治療のHER2陽性局所進行または転移のある尿路上皮がん患者において、HER2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)であるdisitamab vedotinと抗PD-1抗体toripalimabの併用療法は、化学療法と比較して主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に延長することが認められた。中国・Peking University Cancer Hospital and InstituteのXinan Sheng氏らRC48-C016 Trial Investigatorsが、中国の72施設で実施した第III相無作為化非盲検試験「RC48-C016試験」の事前に規定されたPFS解析およびOS中間解析の結果を報告した。HER2を標的とするADCの単剤療法は、化学療法後のHER2陽性尿路上皮がんに対する有効な治療選択肢として確立されている。disitamab vedotinは、単剤療法として、またPD-1を標的とした免疫療法との併用において、有望な抗腫瘍活性と安全性が示されていた。NEJM誌オンライン版2025年10月19日号掲載の報告。PFSとOSを主要評価項目として、化学療法と比較 研究グループは、病理組織学的に確認された切除不能な局所進行または転移のある尿路上皮がんを有し、術前または術後補助療法後12ヵ月以内の病勢進行または再発は認められず、かつ全身化学療法未治療で、中央検査にてHER2陽性(IHCスコア1+、2+または3+)が確認された18歳以上の患者を、disitamab vedotin+toripalimab群と化学療法群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 disitamab vedotin+toripalimab群では、disitamab vedotin 2.0mg/kgとtoripalimab 3 mg/kgをいずれも2週間ごとに投与し、化学療法群では3週間を1サイクルとしてゲムシタビン1,000mg/m2を1日目と8日目に、シスプラチン70mg/m2またはカルボプラチンAUC=4.5を1日目に投与し、病勢進行、許容できない毒性発現または規定サイクル完了(化学療法は6サイクル、disitamab vedotin+toripalimabは上限なし)まで継続した。 主要評価項目は、盲検下独立中央判定によるPFS、およびOS、副次評価項目は奏効率、病勢コントロール率、奏効期間、安全性などであった。disitamab vedotin+toripalimab群のPFSとOSが有意に延長 適格患者484例が無作為化された(disitamab vedotin+toripalimab群243例、化学療法群241例)。 追跡期間中央値18.2ヵ月において、PFS中央値はdisitamab vedotin+toripalimab群13.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.1~16.7)、化学療法群6.5ヵ月(5.7~7.4)であり、disitamab vedotin+toripalimab群で有意に延長した(ハザード比[HR]:0.36、95%CI:0.28~0.46、p<0.001[有意水準0.05])。OS中央値もそれぞれ31.5ヵ月(95%CI:21.7~推定不能)、16.9ヵ月(14.6~21.7)で、disitamab vedotin+toripalimab群で有意に延長した(HR:0.54、95%CI:0.41~0.73、p<0.001[有意水準0.009])。 奏効率は、disitamab vedotin+toripalimab群76.1%(95%CI:70.3~81.3)、化学療法群50.2%(43.7~56.7)であった。 安全性プロファイルはdisitamab vedotin+toripalimab群が化学療法群と比較し良好で、Grade3以上の治療関連有害事象はdisitamab vedotin+toripalimab群で55.1%、化学療法群で86.9%に認められた。 なお、著者は、中国のみで実施された臨床試験であること、両群とも完全奏効が得られた患者の割合は同時期の他の臨床試験で報告されている割合よりも低かったこと、中国ではアベルマブによる維持療法は未承認であるため利用できなかったことなどを研究の限界として挙げている。

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ALK陽性NSCLCへの術後アレクチニブ、4年OS率98.4%(ALINA)/ESMO2025

 ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の完全切除達成患者を対象に、術後アレクチニブの有用性を検討した国際共同第III相試験「ALINA試験」の主解析において、アレクチニブはプラチナ製剤を含む化学療法と比較して、無病生存期間(DFS)を改善したことが報告されている(ハザード比[HR]:0.24、95%信頼区間[CI]:0.13~0.43)1)。ただし、とくに全生存期間(OS)に関するデータは未成熟(主解析時点のイベントは6例)であり、より長期の追跡結果が望まれていた。そこで、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)において、Rafal Dziadziuszko氏(ポーランド・グダニスク大学)が、本試験の約4年追跡時点の結果を報告した。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:未治療の切除可能なStageIB(4cm以上)/II/IIIA(UICC/AJCC第7版)のALK融合遺伝子陽性NSCLC患者で完全切除を達成した患者・試験群(アレクチニブ群):アレクチニブ(1回600mg、1日2回)を2年間もしくは再発まで 130例(日本人15例)・対照群(化学療法群):シスプラチン(不耐の場合はカルボプラチンに変更可能)+ペメトレキセドまたはビノレルビンまたはゲムシタビンを3週ごと4サイクルもしくは再発まで 127例(日本人20例)・評価項目:[主要評価項目]DFS(StageII/IIIA集団→ITT集団の順に階層的に解析)[その他の評価項目]中枢神経系再発または死亡までの期間(CNS-DFS)、OS、安全性など 今回発表された主な結果は以下のとおり。・UICC/AJCC第7版に基づくStageIB/II/IIIAの割合は、アレクチニブ群11%/36%/53%、化学療法群9%/35%/55%で、UICC/AJCC第8版に基づくStageIB/IIA/IIB/IIIA/IIIBの割合は、それぞれ5%/8%/31%/51%/5%、4%/3%/35%/54%/5%であった。・UICC/AJCC第7版に基づくStageII/IIIA集団におけるDFS中央値は、アレクチニブ群未到達、化学療法群41.4ヵ月であった(HR:0.36、95%CI:0.23~0.56)。4年DFS率はそれぞれ74.5%、46.3%であった。・ITT集団におけるDFS中央値は、アレクチニブ群未到達、化学療法群41.4ヵ月であった(HR:0.35、95%CI:0.23~0.54)。4年DFS率はそれぞれ75.5%、47.0%であった。・DFSのサブグループ解析において、いずれのサブグループにおいてもアレクチニブ群が良好な傾向にあった。・ITT集団における4年CNS-DFS率は、アレクチニブ群90.4%、化学療法群76.1%であった(HR:0.37、95%CI:0.19~0.74)。・ITT集団における4年OS率は、アレクチニブ群98.4%、化学療法群92.4%であった(HR:0.40、95%CI:0.12~1.32)。

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HR 0.40、シスプラチン不適格MIBCへの周術期EV+ペムブロリズマブ追加でEFS改善(KEYNOTE-905)/ESMO2025

 シスプラチン不適格または投与を拒否した筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者において、術前・術後のエンホルツマブ ベドチン(EV)+ペムブロリズマブの追加は、根治的膀胱全摘除術(RC)+骨盤リンパ節郭清術(PLND)のみと比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に改善した。ベルギー・アントワープ大学のChristof Vulstake氏が、第III相KEYNOTE-905試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で報告した。・対象:シスプラチン不適格(Galsky criteriaによる)または投与を拒否したMIBC患者(T2~T4aN0M0またはT1~T4aN1M0、ECOG PS 0~2)・試験群(EV+Pem群):EV(1.25mg/kg、3週ごと1・8日目)×3サイクル+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)×3サイクル→RC+PLND→EV×6サイクル+ペムブロリズマブ×14サイクル 170例・対照群:RC+PLNDのみ 174例※同試験は当初、術前ペムブロリズマブ→RC+PLND→術後ペムブロリズマブ投与群(ペムブロリズマブ群)と対照群との2アームで開始されたが、2020年にEV+Pem群が追加された。2022年にはペムブロリズマブ群への無作為化を中止、EV+Pem群と対照群に1:1の割合で無作為に割り付けられ、対照群では術後ニボルマブ投与が可能となった。今回は、EV+Pem群と対照群の結果が報告されている。・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるEFS[重要な副次評価項目]OS、中央判定による病理学的完全奏効(pCR)・層別化因子:シスプラチン適格性(不適格vs.適格だが投与拒否)、臨床病期(T2N0 vs. T3/T4aN0 vs.T1~T4aN1)など[探索的評価項目]pCRステータスごとのEFS・観察期間中央値25.6ヵ月(データカットオフ:2025年6月6日) 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はEV+Pem群74.0歳vs.対照群72.5歳、シスプラチン不適格が83.5%vs.79.9%、T3/T4aN0が78.2%vs.75.9%、ECOG PS 2の患者が12.4%vs.14.9%含まれた。・BICRによるEFS中央値は、EV+Pem群NR(95%信頼区間[CI]:37.3~NR)vs.対照群15.7ヵ月(95%CI:10.3~20.5)で、EV+Pem群で統計学的有意に改善した(ハザード比[HR]:0.40、95%CI:0.28~0.57、片側p<0.0001)。なお、対照群の16.7%が術後ニボルマブ投与を受けていた。・OS中央値は、EV+Pem群NR(95%CI:NR~NR)vs.対照群41.7ヵ月(95%CI:31.8~NR)で、EV+Pem群で統計学的有意に改善した(HR:0.50、95%CI:0.33~0.74、片側p<0.0002)。12ヵ月OS率は86.3%vs.75.7%、24ヵ月OS率は79.7%vs.63.1%。EV+Pem群の4.7%、対照群の26.4%が次治療を受けていた。・EV+Pem群におけるEFSおよびOSベネフィットはすべてのサブグループで一貫していた。・pCR率はEV+Pem群57.1%(95%CI:49.3~64.6)vs.対照群8.6%(95%CI:4.9~13.8)、推定差48.3%(95%CI:39.5~56.5、片側p<0.000001)となり、EV+Pem群で統計学的有意に改善した。・pCRが得られた症例におけるEFSはEV+Pem群NR vs.対照群41.2ヵ月(HR:0.43、95%CI:0.16~1.06)、non-pCR症例では26.1ヵ月vs.14.2ヵ月(HR:0.76、95%CI:0.51~1.14)であった。・投与サイクル中央値は術前EV+ペムブロリズマブが3.0サイクル、術後EVが6.0サイクル、術後ペムブロリズマブが12.0サイクルであった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)はEV+Pem群71.3%vs.対照群45.9%で発現した。EV+Pem群でみられた主なGrade3以上のTEAEは尿路感染、貧血などで、これまでに報告されている安全性プロファイルと一致し、新たな安全性上の懸念は報告されていない。・有害事象による手術遅延はEV+Pem群4.0%vs.対照群0.6%で発生した。 Vulstake氏は、本試験はシスプラチン不適格のMIBC患者において手術療法と比較し周術期療法の有効性を示した初の第III相試験であるとし、高いアンメットニーズを抱えた同患者集団における新たな標準治療となる可能性を示したとまとめている。

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進行尿路上皮がん、アベルマブ維持療法前の化学療法3サイクルvs.6サイクル(DISCUS)/ESMO2025

 局所進行または転移を有する尿路上皮がんにおける、アベルマブ維持療法前のプラチナ化学療法の治療サイクル数について、3サイクルは6サイクルと比較してQOLが有意に良好であり、中間解析時点における全生存期間(OS)はともに18.9ヵ月であった。スペイン・Anderson Cancer Center MadridのEnrique Grande氏が、医師主導の第II相国際共同試験であるDISCUS試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で報告した。なお、本結果はAnnals of Oncology誌オンライン版2025年10月17日号に同時掲載された。・対象:進行がんに対する全身療法歴のない局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者(ECOG PS 0~2)・3サイクル群:ゲムシタビン(21日ごと1・8日目に1,000mg/m2)+シスプラチン(同1日目に70mg/m2)またはカルボプラチン(同1日目にAUC4.5または5)×3サイクル後にアベルマブ維持療法を最大2年 133例・6サイクル群:ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチン×6サイクル後にアベルマブ維持療法を最大2年 134例・評価項目:[主要評価項目]ベースラインから6サイクル完了時点までのGHS/QoLスコアの変化、OS[副次評価項目]GHS/QoLスコア悪化までの時間、無増悪生存期間(PFS)、奏効割合(ORR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性は、年齢中央値が両群で71歳、男性が3サイクル群75%vs.6サイクル群70%、肝転移ありが両群で19%、ゲムシタビン+シスプラチン療法が42%vs.40%と両群でバランスがとれていた。・治療を完遂した患者の割合は、3サイクル群78%vs.6サイクル群40%であった。アベルマブ維持療法を受けた患者の割合は、74%vs.56%であった。・ベースラインから6サイクル完了時点までの平均GHS/QoLスコア変化は、3サイクル群0.0(95%信頼区間[CI]:-5.9~5.2)vs.6サイクル群-8.5(95%CI:-14.1~-2.9)であり、3サイクル群で統計学的に有意に良好であった(群間差:+8.5ポイント、95%CI:0.7~16.3、p=0.016)。・GHS/QoLスコアはすべてのスクリーニング時点で3サイクル群で良好な傾向がみられたが、GHS/QoLスコア悪化までの時間は、3サイクル群4.8ヵ月vs.6サイクル群3.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.46~1.43)となり、統計学的有意差は認められなかった。・中間解析時点におけるOS中央値は、3サイクル群18.92ヵ月vs.6サイクル群18.86ヵ月であった(HR:1.15、95%CI:0.72~1.86、p=0.56)。・PFS中央値は、3サイクル群8.0ヵ月vs.6サイクル群9.0ヵ月であった(HR:1.053、95%CI:0.725~1.527、p=0.788)。・ORRは、3サイクル群24%vs.6サイクル群27%であった。・Grade3~4の治療関連有害事象は、3サイクル群3%vs.6サイクル群11%に発現した。 Grande氏はOSについて、3サイクル投与群では6サイクル投与群と比較して優越性は示されず、非劣性を示すには検出力不足であったとし、より多くの患者がアベルマブ維持療法に進んでいることから、長期的な有効性につながる可能性があるとした。OS解析は進行中となっている。

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デュルバルマブの非小細胞肺がんおよび膀胱がん周術期療法、国内承認/AZ

 アストラゼネカは、2025年9月19日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について、「非小細胞肺癌における術前・術後補助療法」および「膀胱癌における術前・術後補助療法」を効能又は効果として厚生労働省より承認を取得したと発表。非小細胞肺がんの承認 非小細胞肺がん(NSCLC)の承認は第III相AEGEAN試験の結果に基づくもの。AEGEAN試験は、切除可能なStage IIAからIIIB(AJCC第8版)NSCLCに対する周術期治療としてのデュルバルマブをPD-L1発現の有無を問わずに評価する第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験。中間解析において、デュルバルマブベースの周術期レジメン群は術前補助化学療法単独群と比較して、再発・進行または死亡イベント発現リスクを32%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果が認められた(無イベント生存期間[EFS] ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.53~0.88、p=0.003902)。 日本ではNSCLCのうち20%〜25%は根治目的の手術が可能という報告もある。しかし、これら患者の多くは再発し、診断後 5 年生存率は、Stage IIで56〜65%、IIIで24〜41%とされ、新たな治療選択肢が求められてきた。膀胱がんの承認 膀胱がんの承認は第III相NIAGARA試験の結果に基づくもの。NIAGARA試験は筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)に対する周術期治療薬としてのデュルバルマブを評価する第III相国際多施設共同無作為化非盲検試験。中間解析において、デュルバルマブベースの周術期レジメン群は術前補助化学療法単独群に対して、病勢進行、再発、手術未施行、または死亡のリスクを32%統計学的に有意に低下させた(EFS HR:0.68、95%CI:0.558~0.817、p<0.0001)。 2020年に日本で膀胱がんと診断された患者は2万3,185例で、9,168例が死亡している。MIBCは新たに診断された膀胱がんの25~30%を占める。MIBCでは根治手術が行われているにもかかわらず、現在の標準治療である術前補助化学療法を受けた患者のうち約50%が術後に再発を経験している。非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法の用法及び用量 術前補助療法では、他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを4週間間隔で12回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。膀胱がんにおける術前・術後補助療法の用法及び用量 術前補助療法では、ゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを4週間間隔で8回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

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EGFR陽性NSCLCへの術前オシメルチニブ、ctDNAによるMRD解析(NeoADAURA)/WCLC2025

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)における治療選択肢として術前補助療法があるが、EGFR遺伝子変異陽性例では病理学的奏効(MPR)がみられる割合が低い。そこで、術前補助療法としてのオシメルチニブ±化学療法の有用性を検討する国際共同第III相試験「NeoADAURA試験」が実施されており、オシメルチニブ+化学療法、オシメルチニブ単剤は化学療法と比べてMPRを改善したことが、2025年6月に報告された1)。新たに、事前に規定された探索的解析として循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた分子的残存病変(Molecular Residual Disease:MRD)の解析が実施され、世界肺がん学会(WCLC2025)において、米国・カリフォルニア大学のCollin M. Blakely氏が解析結果を報告した。超高感度ctDNA検出アッセイ(NeXT Personal)は、従来のEGFR遺伝子変異検査に基づくMRD解析よりも感度が高く、オシメルチニブ±化学療法はMRDクリアランス(ctDNAがベースラインから10倍以上低下または非検出と定義)やMRD陰性を達成する患者の割合を改善した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:EGFR遺伝子変異(exon19欠失変異またはL858R変異)陽性の切除可能なStageII~IIIB(AJCC第8版)のNSCLC患者・試験群1(オシメルチニブ+化学療法群):オシメルチニブ(80mg、1日1回、9週以上)+カルボプラチン(AUC5、3週ごと3サイクル)またはシスプラチン(75mg/m2、3週ごと3サイクル)+ペメトレキセド(500mg/m2、3週ごと3サイクル)→手術→医師選択治療 121例・試験群2(オシメルチニブ単剤群):オシメルチニブ(同上)→手術→医師選択治療 117例・対照群(化学療法群):カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセド(いずれの薬剤も同上)→手術→医師選択治療 120例・評価項目:[主要評価項目]MPR[副次評価項目]無イベント生存期間(EFS)など[探索的評価項目]ベースライン時のMRDとEFSの関係、術前のMRDとMPRの関係、術前のMRDクリアランスとMPRの関係など 今回は、MRD解析が行われた集団(189例)の結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の血漿サンプルでMRD陽性の割合は、cobas EGFR Mutation Test v2が30%であったのに対し、NeXT Personalが71%であった(以降はNeXT Personalに基づくデータを示す)。・ベースライン時にMRD陽性の集団は、StageIIIの割合が多く、腫瘍径が大きく、リンパ節転移が多かった。・対照群も含めた全群の併合解析において、ベースライン時のMRDの有無別にEFSをみると、MRD陰性の集団はMRD陽性の集団と比べてEFSが良好であった(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.07~0.80)。・ベースライン時にMRD陽性であり、術前のMRD解析でMRDクリアランスを達成した患者の割合は、オシメルチニブ+化学療法群83%、オシメルチニブ単剤群84%、化学療法群58%であった。・MRDクリアランスの有無別にみたMPRは、クリアランス達成の集団が24%、クリアランス未達成の集団が6%であり、クリアランス達成の集団が良好であった(p=0.0378)。・術前のMRD解析でMRD陰性の割合は、オシメルチニブ+化学療法群77%、オシメルチニブ単剤群77%、化学療法群53%であった。・MRDの有無別にみたMPRは、MRD陰性の集団が20%、MRD陽性の集団が9%であった(p=0.0546)。 本試験結果について、Blakely氏は「MPRを補完する指標としてMRDが有用である可能性を示すとともに、EGFR遺伝子変異陽性の切除可能NSCLC患者に対して、オシメルチニブを含むレジメンで術前療法を行うことを支持するものであった」とまとめた。

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EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法がOS改善(FLAURA2)/WCLC2025

 EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、オシメルチニブ+化学療法とオシメルチニブ単剤を比較する国際共同第III相無作為化比較試験「FLAURA2試験」が実施されている。世界肺がん学会(WCLC2025)において、本試験の全生存期間(OS)の最終解析結果がDavid Planchard氏(フランス・Institut Gustave Roussy/パリ・サクレー大学)によって報告され、併用群でOSの有意な改善が認められた。すでに主解析の結果、併用群で無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことが報告されており(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.49~0.79)1)、OSも第2回中間解析の結果から併用群が良好な傾向が示されていた。試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験対象:EGFR遺伝子変異陽性(exon19欠失/L858R)でStageIIIB、IIIC、IVの未治療の非扁平上皮NSCLC成人患者557例試験群:オシメルチニブ(80mg/日)+化学療法(ペメトレキセド[500mg/m2]+シスプラチン[75mg/m2]またはカルボプラチン[AUC 5]を3週ごと4サイクル)→オシメルチニブ(80mg/日)+ペメトレキセド(500mg/m2)を3週ごと(併用群、279例)対照群:オシメルチニブ(80mg/日)(単独群、278例)評価項目:[主要評価項目]RECIST 1.1を用いた治験担当医師評価に基づくPFS[副次評価項目]OSなど 主な結果は以下のとおり。・本試験の対象患者は、ベースライン時に約4割が脳転移を有していた(併用群42%、単独群40%)。EGFR遺伝子変異の内訳は、exon19欠失変異/L858R変異が、併用群61%/38%、単独群60%/38%であった。・データカットオフ時点(2025年6月12日)のOS中央値は、併用群47.5ヵ月、単独群37.6ヵ月であり、併用群が有意に改善した(HR:0.77、95%CI:0.61〜0.96、p=0.02)。・2年、3年、4年時のOS率は、併用群がそれぞれ80%、63%、49%であり、単独群がそれぞれ72%、51%、41%であった。・OSに関するサブグループ解析では、ほとんどのサブグループで併用群が良好な傾向にあったが、中国人を除くアジア人のサブグループのHRは1.00(95%CI:0.71~1.40)であった。・治療期間中央値は、併用群がプラチナ製剤2.8ヵ月、ペメトレキセド8.3ヵ月、オシメルチニブ30.5ヵ月であった。単独群のオシメルチニブによる治療期間中央値は21.2ヵ月であった。・進行後に後治療を受けた割合は、併用群69%、単独群77%であった。後治療を受けた患者のうち、化学療法を用いた割合は、併用群74%、単独群75%であった。・Grade3以上の有害事象は併用群70%、単独群34%に発現したが、主解析時から2年超の追跡期間を経ても、安全性に関する新たなシグナルはみられなかった。・オシメルチニブの中止に至った有害事象は、併用群12%、単独群7%に発現した。 本試験結果について、Planchard氏は「オシメルチニブ+化学療法はOSを有意に改善したことから、EGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLCに対する1次治療の標準治療であることが確認された」とまとめた。

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上咽頭がん、シスプラチンを用いないtoripalimab併用療法は実現可能か/JAMA

 局所進行上咽頭がん患者において、放射線治療時にシスプラチンを用いないtoripalimab併用療法(toripalimab+導入化学療法および放射線治療)は、治療成功生存期間(failure-free survival:FFS)に関する非劣性が示され、毒性の低い、実現可能な治療法であることが、中国・Guangdong Provincial Clinical Research Center for CancerのCheng Xu氏らDIAMOND Study Groupが行った第III相無作為化試験「DIAMOND試験」の結果で示された。先行研究により、上咽頭がん治療においてPD-1阻害薬のtoripalimabを用いることで、放射線治療時に毒性の高いシスプラチンの併用を省略でき、生存に影響を及ぼさない可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2025年8月21日号掲載の報告。放射線療法におけるシスプラチン省略の有効性と安全性を評価 研究グループは局所進行上咽頭がん患者において、同時放射線療法でシスプラチンを用いないtoripalimab併用療法の有効性と安全性を評価する第III相の多施設共同非盲検無作為化試験を行った。試験は中国の13病院で、2021年8月~2022年7月に、T4N1M0またはT1-4N2-3M0の患者を登録して行われた。最終追跡日は2025年3月21日。 被験者を無作為に標準治療群またはシスプラチン省略群に割り付けた。標準治療群は、toripalimabとゲムシタビン+シスプラチンの導入化学療法およびシスプラチン併用放射線療法(シスプラチンは100mg/m2を3週ごと2サイクル投与)を受けた。シスプラチン省略群は、同時シスプラチンのない同様のレジメンを受けた。toripalimab(240mg、3週ごと)は、導入療法期に3サイクル、放射線療法期に3サイクル、維持療法期に11サイクルが投与された。 主要評価項目は2つで、FFS(非劣性マージン8%)、全Gradeの嘔吐の発生率(優越性の評価)であった。副次評価項目は、全生存期間、局所無再発生存期間、無遠隔転移生存期間、安全性、奏効率、QOL、忍容性などであった。3年FFS、シスプラチン省略群88.3%、標準治療群87.6% 試験には532例が登録された(ITT集団)。per protocol集団は400例(75.2%)。ITT集団は年齢中央値47歳(四分位範囲:39~54)、女性が25.2%であった。 追跡期間中央値37.0ヵ月(範囲:4.0~50.0)時点において、3年FFS率はシスプラチン省略群88.3%、標準治療群87.6%で群間差は0.7%であった(95%信頼区間[CI]の片側下限値:-3.9%、非劣性のp=0.002、層別化ハザード比:0.92[95%CI:0.66~1.79]、log-rank検定のp=0.73)。 安全性解析では、全Gradeの嘔吐の発生率は、シスプラチン省略群が標準治療群と比べて有意に低率であった(26.2%[68/260例]vs.59.8%[156/261例]、群間差:-33.6%[片側95%CI:-∞~-26.9%]、p<0.001)。 患者報告に基づくQOL(参加率87.5%)、忍容性(参加率94.7%)は、シスプラチン省略群において、主に胃腸、機能、全体的な健康状態で良好であった。

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免疫不全状態の皮膚扁平上皮がん患者、β-HPVが発がんに直接関与か/NEJM

 米国国立衛生研究所(NIH)・国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のPeiying Ye氏らの研究チームは、ZAP70遺伝子に病的な変異を認め、β-ヒトパピローマウイルス(β-HPV)のゲノム組み込みを伴い、再発を繰り返す切除不能な浸潤性皮膚扁平上皮がん(SCC)を含む、良性および悪性のHPV関連疾患を呈する34歳の女性患者について報告した。本研究はNIHの助成を受けて行われ、NEJM誌2025年7月31日号に掲載された。ZAP70変異による免疫不全と、β-HPV19のゲノム組み込みを伴う 皮膚SCCは、皮膚がんの中で最も一般的なもので、主に紫外線による体細胞DNA変異が原因で、がん遺伝子の活性化と腫瘍抑制遺伝子の機能不全が引き起こされて発生する。β-HPVはこれまで、皮膚SCCの維持に不可欠ではなく、初期段階における単なる促進因子として間接的な役割を果たすと考えられてきた。 本症例(34歳、女性)は、クリプトコッカス髄膜炎と神経眼科的病変の既往歴があり、皮膚および粘膜のHPV関連疾患が進行性に悪化し、口腔コンジローマ、びまん性の疣状病変を認め、日光曝露皮膚表面の、生検で確認された43ヵ所の病変または部位に、多発性再発性皮膚SCCを呈していた。 また、T細胞受容体(TCR)のシグナル伝達に必須のアダプター分子であるZAP70に、生殖細胞系列の病原性の遺伝子変異がみられ、これに起因するTCRシグナル伝達の欠損による免疫不全状態を確認した。さらに、この浸潤性で切除不能な高リスクの皮膚SCCは、β-HPV19のゲノム組み込みを伴っていた。基盤にあるTCRシグナル伝達欠損のため根治的治療に抵抗性を示したため、遠隔転移がないことを確認したうえで、統合的な管理計画を立案した。HLA半合致造血幹細胞移植でTCRシグナル伝達の完全性が回復 治療は、セツキシマブ+5-フルオロウラシル+シスプラチン併用療法に続き、皮膚SCCの予防としてカペシタビン+ニコチンアミドを投与し、根本的な免疫不全の治療としてHLA半合致造血幹細胞移植(HCT)を行った。この治療過程において臨床的な合併症は発生しなかった。 HCTによりTCRシグナル伝達の完全性が回復し、すべてのHPV関連皮膚疾患が安定的に解消した。この良好な状態は、最新のフォローアップの時点(HCT後35ヵ月)まで維持されていた。 これらの知見により、T細胞の適応免疫応答が不完全な免疫不全状態においては、β-HPVは単なる補助的な因子ではなく、皮膚の発がんに直接関与していることが示唆された。 著者は、「本研究は、腫瘍の維持におけるβ-HPVの関与を直接的に証明した。HCTによるTCRの機能回復が進行性SCCの根治をもたらした例はきわめてまれである」「今後、β-HPV関連SCC患者に対する免疫療法の検討と共に、TCRシグナル解析によるSCCの進行リスクの評価や、HPV特異的T細胞応答を標的とした治療戦略の開発が進むと考えられる」としている。

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局所進行頭頸部がん、周術期ペムブロリズマブ上乗せが有効(KEYNOTE-689)/NEJM

 未治療の局所進行頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)に対し、標準治療へのペムブロリズマブ術前および術後補助療法の追加は、標準治療のみと比較し無イベント生存期間(EFS)を有意に改善した。ペムブロリズマブの術前補助療法は、手術施行に影響を与えず、新たな安全性に関する懸念は認められなかった。米国・ハーバード大学医学大学院のRavindra Uppaluri氏らKEYNOTE-689 Investigatorsが、日本を含むアジア、北米、欧州などの192施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験「KEYNOTE-689試験」の結果を報告した。局所進行HNSCC患者に対する手術と術後補助療法の標準治療に対し、周術期のペムブロリズマブ追加の有用性は不明であった。NEJM誌オンライン版2025年6月18日号掲載の報告。ペムブロリズマブの術前・術後補助療法追加の有効性および安全性を標準治療と比較 研究グループは、新たに診断された転移のない切除可能なIII期またはIV期の局所進行HNSCC(咽頭、下咽頭、口腔内)で、ECOG PSが0~1の18歳以上の患者を、標準治療+ペムブロリズマブ術前療法(2サイクル)+ペムブロリズマブ術後療法(15サイクル)(いずれも3週間ごとに200mg投与)群(ペムブロリズマブ群)と、標準治療群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。標準治療は、手術+術後補助放射線療法±シスプラチンとした。 主要評価項目は、PD-L1陽性でCPS≧10集団、PD-L1陽性でCPS≧1集団、および全患者集団における、RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定によるEFSであった。ペムブロリズマブ追加でEFSが有意に改善 2018年12月~2023年10月に計1,044例がスクリーニングを受け、714例が無作為化された(ペムブロリズマブ群363例[CPS≧10集団234例、CPS≧1集団347例]、対照群351例[CPS≧10集団231例、CPS≧1集団335例])。ペムブロリズマブ群では321例(88.4%)、対照群では308例(87.7%)が手術を完了した。 初回中間解析時点(追跡期間中央値38.3ヵ月)で、CPS≧10集団におけるEFS中央値はペムブロリズマブ群59.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:41.1~未到達)、対照群26.9ヵ月(18.3~51.5)、進行・再発・死亡のハザード比(HR)は0.66(95%CI:0.49~0.88、両側p=0.004)、3年EFS率はペムブロリズマブ群59.8%(95%CI:52.3~66.5)、対照群45.9%(38.0~53.4)であった。 CPS≧1集団でも同様に、EFS中央値はペムブロリズマブ群59.7ヵ月(95%CI:37.9~未到達)、対照群29.6ヵ月(19.5~41.9)、HRは0.70(95%CI:0.55~0.89、両側p=0.003)、3年EFS率はそれぞれ58.2%、44.9%であった。全集団ではそれぞれ51.8ヵ月(95%CI:37.5~未到達)、30.4ヵ月(21.8~50.1)、HRは0.73(95%CI:0.58~0.92、両側p=0.008)、3年EFS率は57.6%、46.4%であった。 Grade3以上の治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群で44.6%(161/361例)、対照群で42.9%(135/315例)に発現し、死亡はそれぞれ4例(1.1%)と1例(0.3%)であった。Grade3以上の免疫関連有害事象はペムブロリズマブ群で10.0%に認められた。

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ASCO2025 レポート 肺がん

レポーター紹介ASCO Lung、Lung ASCOと呼ばれるほど、肺がんに関しては当たり年であった2024年のASCOとは異なり、2025年のASCOは肺がんのPlenary演題もないなど、やや小ぶりな前評判であった。ただ、実際に演題が発表されてみると、DeLLphi-304試験では小細胞肺がん(SCLC)の二次治療において初めて全生存期間(OS)を延長したタルラタマブの成績が報告され、肺がんのコミュニティとしてはPlenaryセッションでもよかったのではとの声も聞こえてきた。さらに日本では未承認であるが、進展型SCLC(ES-SCLC)の維持療法として、lurbinectedinが、無増悪生存期間(PFS)、OSともに延長を示したIMforte試験にも注目が集まった。IMforte試験の演者はスペインのLuis Paz-Ares先生で、くしくもPARAMOUNT試験において非小細胞肺がん(NSCLC)におけるペメトレキセドの維持療法をASCOで発表したのもPaz-Ares先生であり、印象的であった。これらの日常診療を変えうる発表に加え、将来につながる発表が、周術期領域、抗体医薬品の開発に関連して複数発表されている。周術期領域においては、EGFR遺伝子変異陽性肺がんに対してNeoADAURA試験の結果が、ALK遺伝子転座陽性肺がんに対してALNEO試験の結果が報告された。抗体医薬品の開発は引き続き盛んであり、抗体薬物複合体(ADC)、T-cell Engager(TCE)、さらにはCAR-T療法など、今後に期待が持たれる発表が、とくに中国から続いた。そんななか、新薬を使うのでも、手術をするのでもなく、免疫チェックポイント阻害薬の投与タイミングにより、治療効果に大きな違いをもたらした臨床試験の結果が中国から発表された。免疫チェックポイント阻害薬の奥の深さを感じるとともに、このようなタイムリーな研究成果が中国から報告されることに、新規薬剤の開発だけでなく、臨床試験の実施体制としても中国の成熟が感じられた。[目次]DeLLphi-304試験IMforte試験NeoADAURA試験ALNEO試験CheckMate 816試験HERTHENA-Lung02試験抗体医薬品の展開Time-of-Day試験最後にDeLLphi-304試験再発SCLCに対する治療選択肢の1つとして期待されているDLL3とCD3を標的としたTCEであるタルラタマブの有効性と安全性を評価した第III相試験がDeLLphi-304試験である。本試験は、プラチナ製剤ベースの初回化学療法を終了後、病勢進行を経験した再発SCLC患者を対象に、タルラタマブ(0.3mgで開始後、10mgを2週ごと投与)と化学療法(トポテカン、lurbinectedin、アムルビシン)を比較する国際共同多施設無作為化比較試験で、全体で509例が登録された。主要評価項目はOS、副次評価項目にはPFSや奏効割合(ORR)、安全性が設定された。主要評価項目であるOSにおいて、タルラタマブ群は化学療法群と比較して有意な生存期間延長を示し、OSの中央値はタルラタマブ群で13.6ヵ月、化学療法群で8.3ヵ月であり、ハザード比は0.60(95%CI:0.47~0.77)、p<0.001と統計学的に有意であった。PFSについても良好な傾向が認められ、中央値は4.2ヵ月と3.7ヵ月、ハザード比は0.71(95%CI:0.59~0.86)であった。ORRについても40%と17%とタルラタマブ群で良好であった。安全性の観点では、タルラタマブ群に特徴的なサイトカイン放出症候群(CRS)は56%にみられたが、大半はGrade1~2で管理可能であり、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)などの神経学的有害事象も既知のプロファイルと一致した。治療関連死亡はなかった。今回のDeLLphi-304試験の成功により、20年以上にわたって進展のなかった再発SCLC治療において、新たな標準治療の登場が視野に入った意義深い試験結果である。DLL3はSCLCに特異的かつ高発現する治療標的として注目されており、新たなモダリティとしてTCEが治療の基軸になる状況が現実となった。今後、初回治療や限局型への展開、あるいは他がん腫への応用など、免疫系を活用した治療開発の広がりが期待される。IMforte試験ES-SCLCでは一次治療後の病勢進行率が高く課題とされてきた。lurbinectedinはアルキル化作用を持つ転写阻害剤であり、プラチナ製剤ベース化学療法後に病勢進行したSCLC患者において抗腫瘍活性が示されてきた。IMforte試験は、ES-SCLC患者において一次導入化学療法(アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド)後に病勢進行しなかった患者を対象として、アテゾリズマブによる維持療法にlurbinectedinを上乗せすることの意義を検証する国際共同多施設無作為化非盲検第III相試験である。患者はlurbinectedin(3.2mg/m2)とアテゾリズマブ(1,200mg)を3週ごとに併用投与する試験治療群、またはアテゾリズマブ(1,200mg)を3週ごとに単独投与する標準治療群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。主要評価項目はIRF-PFS(独立画像判定によるPFS)およびOSとされた。試験治療群には242例、標準治療群には241例が登録された。試験治療群はIRF-PFSにおいて標準治療群に対して、PFS中央値5.4ヵ月と2.1ヵ月、ハザード比0.54(95%CI:0.43~0.67)、pNeoADAURA試験EGFR遺伝子変異陽性の切除可能なNSCLCに対する術前治療として、オシメルチニブ単剤または化学療法併用の有効性と安全性を検証する第III相試験がNeoADAURA試験である。本試験は、StageII~IIIB(N2)に相当する切除可能EGFR遺伝子変異陽性(Exon19delまたはL858R)NSCLCを対象に、術前オシメルチニブ単剤群、オシメルチニブ+化学療法併用群、化学療法単独群を比較する国際共同無作為化試験で、全体で358例が登録された。主要評価項目はmajor pathologic response(MPR)であり、副次評価項目には無イベント生存期間(event-free survival;EFS)、病理学的完全奏効割合(pCR)、ORR、手術実施率、R0切除率、安全性などが含まれた。MPRにおいては、化学療法群で2%であったのに対して、オシメルチニブ単剤、併用群では25%、26%であり、オシメルチニブ併用による統計学的な優越性が確認された。pCRにおいては、化学療法群が2%であったのに対して、併用群で4%、オシメルチニブ単剤群で9%という結果であった。R0切除率はいずれの群でも90%以上と高率であり、手術遅延や手術不能例も少なく、安全に根治切除に導ける治療であることが示唆された。まだイベント数が少ない状態ではあるがEFSについても報告され、化学療法群に対して、ハザード比は併用療法群で0.50、オシメルチニブ単剤群で0.73であった。術後治療としては全例にオシメルチニブによる補助療法が予定されており、長期予後の追跡が期待される。ADAURA試験で術後オシメルチニブの有効性が示されて以来、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの治療パラダイムは大きく変化したが、本試験は術前段階からEGFR-TKIを導入することの意義を検討している。免疫チェックポイント阻害薬において病理学的奏効割合は高めだが画像上の奏効は50%程度にとどまっているという課題を有しており、画像上の高い奏効割合が期待できるEGFR-TKIの立ち位置については、今後さまざまな議論が展開されることになる。ALNEO試験ALNEO試験では、アレクチニブ600mgを1日2回術前に投与し、手術後も術後療法として継続することの有効性と安全性を検討する第II相試験である。主要評価項目はBICRによるMPRとされた。本試験にはイタリアの20施設が参加し、2021年5月から2024年7月にかけて患者が登録された。33例が登録され、全例が術前治療を完了し、28例が手術を受け、26例が術後療法を開始した。手術を受けなかった5例のうち、2例は患者の拒否、2例は臨床的判断、1例は臨床的進行のためであった。術後療法を受けなかった2例は、いずれもR0切除が得られなかったことがその理由であった。主要評価項目であるBICRによるMPRは42%(95%CI:28~58)であり、信頼区間の下限が事前に設定された閾値の20%を超えたことから、統計学的にも有意な結果であった。pCRは12%であった。副次評価項目として、ORRは67%であった。特筆すべきは、同時に報告されたNeoADAURA試験やこれまでのオシメルチニブによる術前治療において、pCRが0~10%未満にとどまっているのに対して、アレクチニブにおいては若干高めのMPRやpCRが報告されており、同じドライバー陽性肺がんにおいても標的や薬剤によって病理学的奏効に違いがあることが示唆されている点にある。今後、術前治療にドライバー遺伝子変異に伴うTKIを中心とした治療が導入されていくことが期待されているが、他の標的、他の薬剤による病理学的効果を含む効果についても注目したい。CheckMate 816試験すでに実臨床に導入されているCheckMate 816試験は、切除可能なStageIB(腫瘍径4cm以上)~IIIAのNSCLC患者(TNM分類第7版による)を対象とした第III相試験で、既知のEGFR遺伝子変異またはALK転座がない患者が登録された。患者はニボルマブ360mgと化学療法を3週間ごとに3サイクル併用するニボルマブ群、または化学療法単独を3週間ごとに3サイクル行う化学療法群に1:1の割合で割り付けられた。主要評価項目は、独立中央病理審査(BIPR)によるpCRおよびEFSで、OSは有意水準αも割り付けられた主要な副次評価項目として設定され、今回、最低5年間の追跡期間で最終解析が行われた。ニボルマブ群は化学療法群に対して、ハザード比0.72(95%CI:0.523~0.998)、p=0.0479と統計学的に有意なOSの改善を示し、5年OS割合も65%と55%であり、10%の上乗せを示した。ニボルマブと化学療法の併用は、肺がん特異的生存期間においても化学療法単独と比較して継続的な効果を示した。安全性プロファイルはこれまでの報告と一貫していた。CheckMate 816試験は、切除可能な固形がんにおいて、術前化学免疫療法のみ(3サイクル)が統計学的に有意なOSのベネフィットを示すことを検証した唯一の第III相試験であり、術前+術後化学免疫療法によるKEYNOTE-671試験に続いて、周術期免疫チェックポイント阻害薬においてOSの延長を示した重要な試験となった。術前のみ、術前+術後いずれの免疫チェックポイント阻害薬による補助療法においてもOSの延長が示された状況は肺がんにおいてのみであり、術前+術後の治療方法しか存在しない他のがん腫との明らかな違いが生じている。今後その違いに基づき、さらなる議論が展開されることは間違いないと考えられる。HERTHENA-Lung02試験HERTHENA-Lung02試験は、第3世代EGFR-TKI後に病勢進行した局所進行または転移を有するEGFR変異陽性NSCLC患者を対象とした国際共同多施設無作為化非盲検第III相試験である。患者は、HER3-DXd(5.6mg/kg、3週ごと)群または標準治療(シスプラチンまたはカルボプラチンを3週ごとに4サイクル投与後、ペメトレキセド維持療法実施)群に1:1の割合で割り付けられた。主要評価項目は、BICRによるPFSとされ、主要な副次評価項目はOS、それ以外の副次評価項目として安全性、頭蓋内PFS、HER3タンパク発現と有効性の関連性評価とされた。本試験には586例の患者が登録され、HER3-DXd群に293例、標準治療群に293例が割り付けられた。HER3-DXd群のPFS中央値は5.8ヵ月であったのに対し、標準治療群は5.4ヵ月であり、ハザード比は0.77(95%CI:0.63~0.94)、p=0.011で、統計学的に有意な結果であった。ただ、中央値での差異は0.4ヵ月にとどまっていた。さらに、今回OSの解析結果として、OSの中央値がHER3-DXd群、標準治療群それぞれで16.0ヵ月、15.9ヵ月、ハザード比0.98(95%CI:0.79~1.22)であり、OSについてはNegative trialであることが明らかになった。ポジティブな結果が多かった今年のASCOにおいて、期待されていたADCについてNegativeな結果が報告されたことのインパクトは大きかった。DXd(デルクステカン)ベースのADCとしては、昨年TROP2-ADCであるDato-DXdが、同様の肺がん二次治療において、全体集団でのOSでNegativeであったことが報告されている。Dato-DXdについてはTROP2の発現についてAIも用いたタンパク発現の評価方法TROP2 QCS-NMR(Normalized Membrane Ratio of TROP2 by Quantitative Continuous Scoring)が効果予測になりうることが報告されている。そのため、HER3-DXdにおいても、HER3の発現について今後同様の試みがされることに期待したい。抗体医薬品の展開BL-B01D1(iza-bren)は、EGFRとHER3の二重特異性ADCであり、新規のトポイソメラーゼI阻害薬(Ed-04)をペイロードとしている。EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対しては、63.2%のORRを示したことがすでに報告されている。今回は、上記以外のドライバー遺伝子変異を持つNSCLC患者83例が登録され、EGFR exon20挿入変異・Uncommon mutation(14例)、HER2変異(19例)、ALK/ROS1/RET融合(24例)、KRAS/BRAF/MET変異(26例)を有する患者が登録された。全患者のORRは46.2%、PFS中央値は7.0ヵ月であった。ORRはそれぞれ、EGFR exon20挿入変異・Uncommon mutation 69.2%、HER2変異52.9%、KRAS/BRAF/MET変異40%、KRAS G12C変異44.4%、ALK/ROS1/RET融合34.8%であった。ABBV-400(Telisotuzumab Adizutecan、Temab-A)はc-Met標的抗体(Telisotuzumab)とトポイソメラーゼIペイロードを組み合わせたものである。今回、プラチナベース化学療法およびTKIによる治療を受けた進行固形がん患者を対象とし、3ライン以上の治療歴のあるEGFR変異非扁平上皮NSCLCコホートのデータが報告された。その結果、ORRは63%であり、耐性変異の有無にかかわらず幅広い効果が確認された。ABBV-706は、高悪性度神経内分泌腫瘍(NENs)に発現しているSEZ6(Seizure-Related Homolog Protein 6)を標的としたTop1阻害薬をペイロードとしたADCである。NEN全体を対象としたコホートでは、ORRが36.9%、PFS中央値が7.62ヵ月であり、LCNECに限定した解析結果では、ORRが33.3%、PFS中央値が5.78ヵ月であることが報告された。低酸素応答性CEA CAR-T細胞療法の再発NSCLCに対する第I相試験についても報告された。ORRは47%、DCRは87%であり、一定の効果が示されたが、奏効期間(DoR)中央値は2ヵ月であり、この点についてはまだまだ改善の余地があることが示された。PRを達成した患者では、ベースライン血清CEAレベルが有意に高いなどのサブグループ解析も報告された。Time-of-Day試験Time-of-Day(ToD)試験は、進行NSCLC患者における化学免疫療法を、早めの時間(15:00より前)と遅い時間(15:00以降)で投与した場合の比較を行った無作為化第III相試験である。概日リズムは睡眠、疾患、治療に影響を与えることが知られており、前臨床試験では概日リズムと免疫細胞機能・分布の関連性、および免疫療法の有効性への影響が示唆されていた。また、20報以上の後ろ向き研究のメタ解析では、免疫チェックポイント阻害薬の投与が「遅い時間」よりも「早い時間」に行われた場合に効果の改善が示されている。StageIIIC~IV期のNSCLC患者210例が、標準化学療法と免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブまたはsintilimab)の初回4サイクルについて、早めの時間(15:00より前)または遅い時間(15:00以降開始)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はBICRによるPFS、副次評価項目はOS、BICRによるORR、全血リンパ球サブセット解析であった。早い時間に投与した場合のPFS中央値は11.3ヵ月であったのに対し、遅い時間では5.7ヵ月であり、ハザード比は0.42(95%CI:0.31~0.58)、p<0.0001で、統計学的に有意に早い時間に投与することの優越性が示された。OSにおいても、中央値がNot reachedと16.4ヵ月、ハザード比は0.45(95%CI:0.30~0.68)、p<0.0001であり、明らかに早い時間の投与で延長することが示された。有害事象発現割合については、若干の違いは認めるものの大きな違いは認められなかった。循環T細胞の解析では、早い時間群でCD8+T細胞とCD4+T細胞の有意な増加が示された一方で、遅い時間群では減少傾向がみられ、今回の試験結果を裏打ちする情報として示された。高額の薬剤を用いて新たな治療方法が模索されるなかで、投与時間の調整のみで大きなPFS、OSの違いをもたらした結果が、中国で実施された臨床試験から得られたことを会場の参加者は驚きをもって受け止めた。今後おそらくいくつかの追試が実施されるとともに、最適な投与時間のカットオフ(15時が最適か)についても検討が進められる見込みである。最後に今年のASCOは、肺がんによるPlenary演題はなかったものの、Plenaryであってもおかしくないインパクトを有する演題は複数発表された。注目すべきは、抗体医薬品を中心とした新たな薬剤の発表が続いたことだけでなく、周術期や免疫チェックポイント阻害薬の投与タイミングなど、肺がんの治療開発が実に幅広い領域で展開していることである。引き続き目が離せない状態が続くと考えられる。

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ASCO2025 レポート 消化器がん

レポーター紹介2025年5月30日~6月3日に、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)が米国・シカゴで開催され、後の実臨床を変えうる注目演題が複数報告された。高知大学の佐竹 悠良氏が消化器がん領域における重要演題をピックアップし、結果を解説する。胃がんMATTERHORN試験:周術期FLOTにおけるデュルバルマブ追加の意義(LBA5)切除可能II~IVA期の胃がん・食道胃接合部腺がんを対象に、欧米における標準治療である周術期FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)療法に対する抗PD-L1抗体であるデュルバルマブ追加(D-FLOT療法)の有用性を検証したMATTERHORN試験。D-FLOT療法により病理学的完全奏効の改善がすでにESMO2023で報告され(19%vs.7%、オッズ比:3.08、p<0.00001)、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)における統計学的優越性もプレスリリースされていたが、今回学会にて正式に報告され、同時にNEJM誌でpublishされた。患者は術前・術後に2サイクルずつFLOT療法+プラセボもしくはD-FLOT療法を受け、その後プラセボもしくはデュルバルマブを10サイクル(術後補助化学療法として1年間)受けた。主要評価項目のEFS中央値はD-FLOT群未到達vs.プラセボ群32.8ヵ月であり、統計学的優越性を示した(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.58~0.86、p<0.001)。24ヵ月EFS率はD-FLOT群67%vs.プラセボ群59%であった(観察期間中央値:D-FLOT群31.6ヵ月vs.プラセボ群31.4ヵ月)。副次評価項目である全生存期間(OS)においても改善傾向(HR:0.78、95%CI:0.62~0.97、p=0.025)がみられたが、現時点では統計学的有意差には至っていない(観察期間中央値:D-FLOT群34.6ヵ月vs.プラセボ群34.6ヵ月)。免疫介在性有害事象はGrade3/4をD-FLOT群7%vs.プラセボ群4%に認めた。胃がん周術期治療における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、KEYNOTE-585試験およびATTRACTION-5試験において有意な結果を示すことができなかったが、本試験において主要評価項目であるEFSでの有意な改善を認め、今後の標準治療となることが見込まれる。一方、本邦では周術期FLOT療法の経験は十分とは言えず、大型3/4型胃がんに対する術前FLOT療法およびDOS(ドセタキセル+オキサリプラチン+S-1)療法を検討する第II相試験であるJCOG2204が進行中であり、結果が期待される。DESTINY-Gastric04試験:HER2陽性胃がんの2次治療におけるT-DXdの有効性を確立(LBA4002)HER2陽性(IHC3+またはIHC2+/ISH+)の進行・再発胃がんまたは食道胃接合部腺がんに対し、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、6.4mg/kgを3週ごと)が、現在の標準2次治療であるラムシルマブ+パクリタキセル併用(RAM+PTX)療法と比較してOSを有意に延長することが国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏から報告され、こちらも同時にNEJM誌でpublishされた。本試験は前治療のトラスツズマブ不応後の生検によるHER2陽性例が対象であり、1,088例に腫瘍組織検体スクリーニングが実施され、450例(41%)は組織スクリーニングで脱落し、最終的に494例が1:1に割り付けされた。前治療としてICIの投与歴がある患者は両群ともに15%程度であり、後治療として抗HER2治療を受けた割合はT-DXd群3.2%vs.RAM+PTX療法群25.8%であった。主要評価項目のOS中央値は、T-DXd群14.7ヵ月vs.RAM+PTX療法群11.4ヵ月であり、統計学的優越性を示した(HR:0.70、p=0.0044)。副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)においてもT-DXd群で有意に改善を示した(PFS中央値:6.7ヵ月vs.5.6ヵ月、HR:0.74、p=0.0074、ORR:44.3%vs.9.1%、p=0.0006)。Grade3以上の薬剤関連有害事象の割合も両群で同等であった(T-DXd群50.0%vs.RAM+PTX療法群54.1%)。ただし、間質性肺疾患はT-DXd群で13.9%(Grade3は1例のみ、0.4%)と、重篤例は多くないものの注意が必要である。今後、HER2陽性かつCPS陽性の進行・再発胃がんに対しては、KEYNOTE-811試験の結果から初回治療よりペムブロリズマブ併用が見込まれるが、本試験のサブグループ解析においては前治療ICI投与の有無にかかわらず、一貫してT-DXdによる生存改善傾向を認めており、HER2陽性胃がんにおける2次治療としてT-DXdが今後の標準治療の位置付けとされた。一方、本結果は試験組み入れ時のHER2再確認(再生検)により結果が導かれているが、40%前後は前治療不応時にHER2 lossが生じている可能性が示唆された。大腸がんATOMIC試験:StageIII dMMR大腸がん術後補助療法におけるアテゾリズマブ追加の意義(LBA1)StageIIIのdMMR結腸がんに対する術後補助療法として、mFOLFOX6化学療法にPD-L1阻害薬であるアテゾリズマブを追加することで、無病生存期間(DFS)を有意に延長することが国際第III相試験ATOMIC試験により示された。試験治療群は術後補助化学療法としてmFOLFOX6+アテゾリズマブ併用療法を6ヵ月受けた後にアテゾリズマブ単剤を6ヵ月(計12ヵ月)投与され、対照群はmFOLFOX6療法を6ヵ月投与された。主要評価項目である3年DFS率はアテゾリズマブ併用群86.4%vs.対照群76.6%(HR:0.50、95%CI:0.34~0.72、p<0.0001)であり、統計学的有意差を認めた。Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)は併用群72.3%vs.対照群59.2%とアテゾリズマブ併用群でやや多く、免疫関連有害事象として高血糖や甲状腺機能低下、大腸炎に伴う下痢や皮膚炎を認めたが、重篤なものは少なかった。本試験により、StageIIIのdMMR結腸がんにおいて術後免疫療法導入が長期予後を改善することが明らかとなり、補助療法の新たな標準となる可能性を示した。現在、本邦を含め切除可能なStage IIIまたはT4N0のdMMR/MSI‑High陽性結腸がん患者に対する周術期dostarlimabの有効性を検証する第III相試験であるAZUR-2試験が進行中である。同薬剤はすでに直腸がん領域で良好な有効性が確認されており、新しい治療ストラテジー確立が期待される。BREAKWATER試験:BRAF V600E変異陽性大腸がんに対する1次治療としてのEC+mFOLFOX6併用療法(#3500)進行・未治療のBRAF V600E変異陽性大腸がん患者を対象に、BRAF阻害薬エンコラフェニブ(E)+抗EGFR抗体セツキシマブ(C)に化学療法(mFOLFOX6)を加えた3剤併用療法(EC+mFOLFOX6)の標準治療(FOLFOX/FOLFOXIRI/CAPOX±BEV)に対するORRおよびOS(初回中間解析)における良好な結果は、一足先にASCO-GI 2025で発表されていたが、今回主要評価項目の1つであるPFSの結果が報告され、PFS、ORR、OSにおける改善が明らかとなり、同時にNEJM誌でpublishされた。主要評価項目であるPFS中央値はEC+mFOLFOX6群12.8ヵ月vs.標準治療群7.1ヵ月であり、統計学的優越性を示した(HR:0.53、95%CI:0.407~0.677、p<0.0001)。OS中央値(2回目の中間解析)はEC+mFOLFOX6群30.3ヵ月vs.標準治療群15.1ヵ月(HR:0.49、p<0.0001)だった。もう1つの主要評価項目であるORRの追加報告もあり、EC+mFOLFOX6群65.7%vs.EC群45.6%vs.標準治療群37.4%と良好であった。TRAE(Grade3/4)はEC+mFOLFOX6群76.3%vs.EC群15.7%vs.標準治療群58.5%であり、関節痛(29%)、皮疹(29%)に注意が必要である。本試験により、BRAF V600E変異大腸がんの1次治療として、EC+mFOLFOX6が新たな標準と位置付けられた。また、EC療法はmFOLFOX6療法などの抗がん剤治療が適応とならないフレイル症例に対する治療選択肢となる可能性が示唆された。AGITG DYNAMIC-III試験:術後ctDNA陽性は高リスク再発マーカー(#3503)術後StageIII結腸がん患者を対象に、circulating tumor DNA(ctDNA)の有無による再発リスクを評価した第II/III相試験であるDYNAMIC-III試験において、ctDNA陽性が強力な再発予測因子であることが示された。StageIII結腸がん患者を対象に術後4週時点でctDNAを評価し、ctDNA結果に基づいたマネジメント群(ctDNA-informed群、ctDNA陰性例ではde-escalation、ctDNA陽性はescalation[より強力な術後補助療法]を実施)と標準マネジメント群(主治医選択によるマネジメント、ctDNA結果は盲検)に無作為化して割り付けされた。全体で1,002例が登録され、それぞれctDNA-informed群502例vs.標準マネジメント群500例に割り付けられ、ctDNA陽性は各群129例(27%)vs.130例(27%)であった。ctDNA陽性例のうち、ctDNA-informed escalation群では3ヵ月以上のFOLFOXIRI実施が50%、6ヵ月のオキサリプラチンダブレット(FOLFOX/CAPOX)が44%に実施され、一方の標準マネジメント群では3ヵ月FOLFOX/CAPOXが45%、6ヵ月FOLFOX/CAPOXが41%に術後補助療法として実施された。3年無再発生存期間はctDNA-informed escalation群48%vs.標準マネジメント群52%であり、ctDNA結果に基づいた術後補助化学療法強化による再発抑制改善は認めなかった(HR:1.11、p=0.57)。後解析としてFOLFOXIRIとFOLFOX/CAPOXの無再発生存比較がなされたが、差を認めず(HR:1.09、p=0.662)、ctDNAクリアランス割合も同等であった(60%vs.62%)。術後補助化学療法終了時点におけるctDNAクリアランスの有無(HR:11.1)および術後ctDNA測定時のctDNA量が再発と相関することが示唆された(p<0.001)。既報と同様に、術後ctDNA検査のバイオマーカーとしての有用性および術後ctDNA量と再発リスクとの相関やctDNA陽性例に対する術後補助化学療法によるctDNAクリアランスの重要性が報告された。一方で、 ctDNA陽性例に対してはオキサリプラチン併用レジメンからFOLFOXIRIへの治療強化では不十分である可能性も示唆され、今後さらなる治療開発の必要性が示唆された。本邦における臨床実装が待たれる。NCCTG N0147後方解析:ctDNAによるMRD評価が術後再発リスクを鋭敏に予測(#3504)術後StageIII結腸がんに対する術後補助FOLFOX±セツキシマブを検証した第III相試験であるNCCTG N0147試験におけるctDNAの後解析により、ctDNA評価は再発リスクを高精度に層別化できることが明らかとなった。術後補助療法開始前10週以内に血漿ctDNAをGuardant Reveal/Guardant360で測定(中央値42日)。 ctDNAは20.4%で検出可能であり、より進行例(T/Nステージ)やBRAF変異例、閉塞例や穿孔例などの術後再発高リスク例において検出されることが示唆された。ctDNA陽性例は陰性例に比し、DFS、OSともに大きく劣っていた(DFS-HR:3.74、p<0.0001、OS-HR:3.17、p<0.001)。一般的に術後予後良好とされているdMMR症例においても、ctDNA陽性例はpMMR例と比較してもDFSおよびOSが不良であった(DFS-HR:1.54、p=0.0114、OS-HR:1.77、p=0.0026)。術後病理評価による再発リスクとctDNA検出の有無による層別化ならびにctDNA検出量とDFSの相関性も示唆された。既報と同様に、術後ctDNA MRD評価の有用性が再確認され、早期の再発予測や治療強度決定に活用できる可能性を示した。TRIPLETE試験:初回治療でのmFOLFOXIRI+パニツムマブがOSを有意に延長(#3512)切除不能なRAS/BRAF野生型転移を有する大腸がん(mCRC)初回治療において、mFOLFOX+パニツムマブに対しmFOLFOXIRI+パニツムマブは、主要評価項目のORRおよびPFSは改善を認めないことがすでに報告されていた。一方、本邦で実施されたJACCRO CC-13(DEEPER試験)においては、RAS/BRAF野生型かつ左側原発例においてmFOLFOXIRI+セツキシマブ療法のmFOLFOXIRI+BEVに対する治療成績改善が示唆されていた。今回TRIPLETE試験におけるOSが報告され、mFOLFOXIRI+パニツムマブによる有意な生存期間延長が報告された(観察期間中央値:60.2ヵ月)。OS中央値はmFOLFOXIRI+パニツムマブ群41.1ヵ月vs.mFOLFOX6+パニツムマブ群33.3ヵ月であり、有意に改善を認めた(HR:0.79、95%CI:0.63~0.99、p=0.049)。一方で、アップデートされたORRやPFS、奏効期間(DoR)、早期腫瘍縮小(ETS)およびR0切除割合は群間差を認めなかった。PPS(病勢進行後生存)はmFOLFOXIRI群で有意に延長(HR:0.73、p=0.012)しており、OS延長の主因と考えられた。トリプレット+抗EGFR抗体はDEEPER試験と同様にTRIPLETE試験でも、標準治療に対する良好な生存延長効果が示唆され、RAS/BRAF野生型mCRCの治療戦略においてトリプレット療法を選択肢の1つとして再評価する根拠と考えられる。ただし、PFSやORRに差がなかったことから、有効性の本質はPPSの改善に依存している可能性があり、治療強度と毒性のバランスに配慮した個別化治療が求められる。胆道がんGAIN試験:胆道がんに対する周術期GC療法の有効性が示唆(#4008)切除可能局所進行胆道がんに対して、本邦ではASCOT試験により切除後のS-1補助化学療法が標準治療とされているが、今回ドイツより術前・術後にゲムシタビン+シスプラチン(GC)を用いた周術期治療が、標準治療(手術+術後補助療法)と比較してOSおよびEFS、R0切除率を大きく改善する可能性が報告された。ドイツの21施設による第III相試験であり、登録数不足により68例の登録時点で早期終了となった。NEO群(周術期GC群)は術前GC 3サイクル後に切除がなされ、その後3サイクルの術後補助GC療法がプロトコール治療として規定されており、標準治療群は切除後に術後補助化学療法24週(主治医選択)が規定されていた。早期中止のためNEO群(32例)、標準治療群(30例)での報告。NEO群の術前GC療法平均投与コース数は2.8サイクルだが、術後補助療法の平均投与コース数は1.4サイクルであった。一方の標準治療群における術後補助療法はカペシタビン20%、ゲムシタビン3.3%、GC療法3.3%であった。OS中央値はNEO群(周術期GC群)27.8ヵ月vs.標準治療群14.6ヵ月と周術期GC療法による良好な結果が示唆された(HR:0.463、95%CI:0.222~0.964、p=0.0395)。 EFS(HR:0.351、p=0.0047)や R0切除率(NEO群83.3%vs.標準治療群40.0%)も大きな差を認めた。本試験は登録数の制限から統計的限界があるものの、術前GC療法が切除率や生存期間の向上に寄与しうる可能性を示した点で意義深く、今後の大規模前向き試験の展開が強く期待される。一方で現在、本邦では進行・再発胆道がんに対してGC+S-1(GCS)療法とGC+ICI併用療法の治療効果を検討するKHBO2201-YOTSUBA試験が進行中であり、周術期治療への応用が期待される。膵がんPANOVA-3試験:切除不能局所進行膵がんにおける腫瘍治療電場(TTFields)の有効性と安全性(LBA4005)切除不能局所進行膵腺がん(LA-PAC)に対する新たな治療戦略として、腫瘍治療電場(Tumor Treating Fields:TTFields)の有効性が注目を集めた。PANOVA-3試験は、TTFieldsをGEM+nab-PTX(GnP)に追加することで、標準治療単独(GnP)と比較し全生存期間(OS)を有意に延長することを示した初の第III相試験である。本試験は本邦を含む20ヵ国198施設、571例を対象に1対1に割り付けて実施。主要評価項目であるOS中央値はTTFields群16.2ヵ月vs.GnP群14.2ヵ月であり、優越性を示した(HR:0.82、95%CI:0.68~0.99、p=0.039)。副次評価項目では、無痛生存期間(HR:0.74)、遠隔転移PFS(HR:0.74)、QOLにおいてもTTFields群が有意に良好な結果を示した。安全性に関しては、TTFields群で局所の皮膚関連有害事象が多くみられたが、主にGrade1/2で管理可能であり、有害事象でTTFieldsが中止となったのは8.4%であった。TTFieldsは非侵襲的かつ局所的な電場療法であり、がん細胞の分裂阻害効果や抗腫瘍免疫増強効果が報告されている。膠芽腫や悪性胸膜中皮腫・非小細胞肺がんに続く膵がんへの応用が今回初めて本格的に示され、遠隔転移制御効果も示唆された。今後の膵がん治療における集学的治療の一環として、TTFieldsの位置付けが期待される。

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EGFR陽性NSCLC、術前オシメルチニブの有用性は?(NeoADAURA)/ASCO2025

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)において、術前補助療法が治療選択肢となっているが、EGFR遺伝子変異陽性例では病理学的奏効(MPR)がみられる割合が低いと報告されている。そこで、術前補助療法としてのオシメルチニブ±化学療法の有用性を検討する国際共同第III相試験「NeoADAURA試験」が実施されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Jamie E. Chaft氏(米国・メモリアルスローンケタリングがんセンター)が、本試験のMPRの最終解析結果と無イベント生存期間(EFS)の中間解析結果を報告した。本試験において、オシメルチニブ+化学療法、オシメルチニブ単剤は化学療法と比べてMPRを改善したことが示された。本結果はJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年6月2日号に同時掲載された1)。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:EGFR遺伝子変異(exon19欠失変異またはL858R変異)陽性の切除可能なStageII~IIIB(AJCC第8版)のNSCLC患者・試験群1(オシメルチニブ+化学療法群):オシメルチニブ(80mg、1日1回、9週以上)+カルボプラチン(AUC5、3週ごと3サイクル)またはシスプラチン(75mg/m2、3週ごと3サイクル)+ペメトレキセド(500mg/m2、3週ごと3サイクル)→手術→医師選択治療 121例・試験群2(オシメルチニブ単剤群):オシメルチニブ(同上)→手術→医師選択治療 117例・対照群(化学療法群):カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセド(いずれの薬剤も同上)→手術→医師選択治療 120例・評価項目:[主要評価項目]MPR[副次評価項目]EFS、病理学的完全奏効(pCR)、N因子のダウンステージング、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全体として女性の割合が高く、オシメルチニブ+化学療法群60%、オシメルチニブ単剤群65%、化学療法群75%であった。EGFR遺伝子変異の内訳は、exon19欠失変異/L858R変異が、それぞれ50%/50%、/51%/49%、51%/49%であった。StageII/IIIの割合は、それぞれ49%/51%、50%/50%、51%/49%であり、N因子がN2の割合は、それぞれ39%、35%、34%であった。・手術施行割合は、オシメルチニブ+化学療法群92%、オシメルチニブ単剤群97%、化学療法群93%であり、R0切除は、それぞれ91%、95%、93%であった。いずれの群でも完全切除に至った患者の91%が、術後補助療法でオシメルチニブの投与を受けた。・主要評価項目のMPR割合は、オシメルチニブ+化学療法群26%、オシメルチニブ単剤群25%、化学療法群2%であり、化学療法群と比較してオシメルチニブ+化学療法群(オッズ比:19.8、95%信頼区間[CI]:4.6~85.3、p<0.0001)、オシメルチニブ単剤群(同:19.3、1.7~217.4、p<0.0001)が有意に良好であった。いずれのサブグループにおいても、オシメルチニブ使用群が良好な傾向にあった。・pCR割合は、オシメルチニブ+化学療法群4%、オシメルチニブ単剤群9%、化学療法群0%であった。・ベースライン時にN2であった患者集団において、ダウンステージングが認められた割合は、オシメルチニブ+化学療法群53%、オシメルチニブ単剤群53%、化学療法群21%であった。・12ヵ月EFS率は、オシメルチニブ+化学療法群93%、オシメルチニブ単剤群95%、化学療法群83%であり、化学療法群と比較してオシメルチニブ+化学療法群(ハザード比[HR]:0.50、99.8%CI:0.17~1.41、p=0.0382)、オシメルチニブ単剤群(HR:0.73、95%CI:0.40~1.35)が良好な傾向にあった。しかし、中間解析時の有意水準は0.002であり、統計学的に有意な差ではなかった。本解析時点の成熟度は15%であり、今後も解析が継続される。・術前補助療法において、Grade3以上の有害事象の発現割合は、オシメルチニブ+化学療法群36%、オシメルチニブ単剤群13%、化学療法群33%であった。治療中止に至った有害事象は、それぞれ9%、3%、5%に発現した。 本結果について、Chaft氏は「EGFR遺伝子変異陽性の切除可能なStageII~IIIBのNSCLC患者の治療戦略に、オシメルチニブ±化学療法を組み込むことを検討すべきであることが示された」とまとめた。

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子宮頸がん治療の新たな選択肢:チソツマブ ベドチンの臨床的意義/ジェンマブ

 進行・再発子宮頸がん2次治療の新たな選択肢として、ファースト・イン・クラスの抗体薬物複合体(ADC)チソツマブ ベドチン(商品名:テブダック)が注目される。 2025年6月、ジェンマブのプレスセミナーにて、国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科の米盛 勧氏が進行・再発子宮頸がんのアンメットニーズと治療戦略について講演した。進行期の子宮頸がんは予後不良 日本において新規に診断される子宮頸がん患者は年間約1万例、近年でも罹患数は微増している。子宮頸がんは早期では比較的予後良好である。5年生存率はI期で9割超、II期でも7割を超える。その一方、進行期では予後不良でStageIIIの5年生存率は5割強、遠隔転移のあるStgeIVBでは3割を切る。選択肢が少ない転移症例の治療 薬物療法が適応となる遠隔転移症例の1次治療には以前からプラチナ(シスプラチンまたはカルボプラチン)+パクリタキセルが用いられる。2014年にベバシズマブの上乗せによる生存成績の改善が認められ、2021年にはPD-1阻害薬ペムブロリズマブが選択肢に加わった。 一方、2次治療はキードラッグとしてイリノテカンが以前から用いられていた。当時の2次治療以降の奏効割合(ORR)は1〜2割、無増悪生存期間(PFS)中央値は2〜3ヵ月(イリノテカンは4.5ヵ月)、全生存期間(OS)中央値は6〜8ヵ月程度だった。その後、2022年に新たなPD-1阻害薬セミプリマブが登場し、12.0ヵ月のOSを示す。とはいえ、2次治療以降はまだ選択肢は少ない。 早期の診断が増えているものの、子宮頸がんはいまだに進行期での初診が多い。予後の悪さと、治療選択肢の少なさは、進行期子宮頸がん治療の大きな課題と言えるだろう。新たな治療選択肢チソツマブ ベドチンの登場 そのような中、本年(2025年)に2次治療の新たな選択肢としてチソツマブ ベドチンが登場した。チソツマブ ベドチンは抗組織因子(TF)を標的とするモノクローナル抗体チソツマブと抗がん剤MMAE(モノメチルアウリスタンE)のADCである。がん細胞表面に発現したTFに結合してMMAEを放出することで抗腫瘍効果を発揮する。 チソツマブ ベドチンの有用性は国際共同第III相innovaTV 301試験で検証されている。同試験では、再発または遠隔転移を有する子宮頸がん患者を対象にチソツマブ ベドチンと化学療法を比較している。その結果、チソツマブ ベドチンのOS中央値は11.5ヵ月と、9.5ヵ月の化学療法群に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.54〜0.89、p=0.0038)。PFS中央値も4.2ヵ月と、化学療法群の2.9ヵ月に比べ有意に延長した(HR:0.67、95%CI:0.54〜0.82、p<0.0001)。ORRについても17.8%と、化学療法群の5.2%に比べ有意な腫瘍縮小を示した(p<0.0001)。注意すべき副作用とその管理 チソツマブ ベドチンはその薬理作用から、従来の薬剤とは異なる副作用プロファイルを示す。「特に注意すべき有害事象」として挙げられるのは眼障害(全Gradeで52.8%)、末梢神経障害(全Gradeで38.4%)、出血(42.0%)である。 眼障害の主なものは結膜炎、角膜炎、ドライアイなど。同剤の眼障害については、投与開始前の眼科医による診察の実施および眼科医との連携の下で使用するよう日本眼科学会も注意喚起している。 従来と異なる新たな作用機序の薬剤を選択できることは、治療戦略を組む中でとても重要なポイントだと米盛氏は述べる。チソツマブ ベドチンという新しい治療選択肢を有効に活用するには、施設内および施設を超えた連携が課題となるであろう。

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非小細胞肺がん、術後アテゾリズマブの5年成績(IMpower010)/JCO

 切除後の非小細胞肺がん(NSCLC)患者における化学療法+アテゾリズマブ術後補助療法の5年追跡結果が発表され、ベストサポーティブケア(BSC)に対する無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)の改善が示された。DFSは最終解析、OSは2回目の中間解析の結果で、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年5月30日号での報告。・対象:StageIB~IIIA(AJCC7)で手術後にシスプラチンベースの補助化学療法(最大4サイクル)を受けたNSCLC・試験群:アテゾリズマブ1,200mgを3週ごと16サイクルまたは1年 (507例)・対照群:BSC(498例)・評価項目[主要評価項目]治験医師評価による階層的DFS:(1)PD-L1≧1% StageII~IIIA集団、(2)StageII~IIIA全集団、(3)ITT(StageIB~IIIA全無作為化)集団[副次評価項目]ITT集団のOS、PD-L1≧50% StageII~IIIA集団のDFS、全集団の3年・5年DFS 主な結果は以下のとおり。[DFS]・ITT集団のDFS中央値はアテゾリズマブ群65.6ヵ月、BSC群47.8ヵ月と、有意差は認められなかったもののアテゾリズマブ群で良好な傾向であった(ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.71~1.01、p=0.07)。・StageII~IIIA全集団のDFS中央値はアテゾリズマブ群57.4ヵ月、BSC群40.8ヵ月であった(HR:0.83、95%CI:0.69~1.00)。・StageII~IIIAでPD-L1≧1%集団のDFS中央値はアテゾリズマブ群68.5ヵ月、BSC群37.3ヵ月とアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.70、95%CI:0.55~0.91)。・StageII~IIIAでPD-L1≧50%集団のDFS中央値はアテゾリズマブ群未到達、BSC群42.9ヵ月とアテゾリズマブ群で良好であった(非層別HR:0.48、95%CI:0.32~0.72)。[OS]・ITT集団でのDFSが有意な差に至らなかったため、OS検証は公式とはならなかった。・ITT集団のOS中央値はアテゾリズマブ群、BSC群とも未到達でHRは0.97(95%CI:0.78~1.22)、StageII~IIIA全集団のOS中央値はアテゾリズマブ群、BSC群とも未到達でHRは0.94(95%CI:0.75~1.19)、StageII~IIIAでPD-L1≧1%集団のOS中央値はアテゾリズマブ群未到達、BSC群87.1ヵ月でHRは0.77(95%CI:0.56~1.06)、StageII~IIIAでPD-L1≧50%集団のOS中央値はアテゾリズマブ群未到達、BSC群87.1ヵ月で非層別HRは0.47(95%CI:0.28~0.77)であった。・5年以上の長期追跡調査においても新たな安全性シグナルは報告されなかった。 これらの結果から、アテゾリズマブを加えた術後補助療法は化学療法のみに比べ、PD-L1陽性のStageII~IIIAの切除後NSCLCに持続的な臨床的ベネフィットをもたらすことが示された。

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高リスク頭頸部がん、CRT+ニボルマブの術後補助療法が20年振りの新たな標準治療に(NIVOPOSTOP)/ASCO2025

 高リスクの局所進行(LA)頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)に対する術後の標準治療は、長らく補助療法としての化学放射線療法(CRT)であった。しかし、これらの治療にもかかわらず40%以上の患者で再発が認められ、より効果的な治療法が必要とされている。NIVOPOSTOP試験は、術後CRTにニボルマブを追加した群とCRT単独群を比較した試験である。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションにおいて、Le Centre hospitalier universitaire vaudois(スイス)のJean Bourhis氏が本試験の結果を発表した。・試験:多施設共同無作為化第III相試験・対象:75歳未満、切除後の再発高リスク(術後のリンパ節被膜外浸潤、多発リンパ節転移、多発神経周囲浸潤および/または腫瘍断端陽性)のLA-SCCHN患者・試験群(NIVO群):ニボルマブ240mg→CRT(66Gy 放射線治療+シスプラチン100mg/m2)+ニボルマブ360mg(3週ごと3サイクル)→ニボルマブ480mg(4週ごと6サイクル)332例・対照群(標準治療群):CRT(3週ごと3サイクル)334例・評価項目:[主要評価項目]無病生存期間(DFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、QOL、安全性・データカットオフ:2024年4月30日 主な結果は以下のとおり。・計680例がランダム化され、対象となった666例がNIVO群332例、標準治療群334例に1対1で割り付けられた。追跡期間中央値は30.3ヵ月だった。・3年DFS率は、NIVO群で63.1%(95%信頼区間[CI]:57~68.7)、標準治療群で52.5%(95%CI:46.2~58.4%)だった。・PD-L1陽性患者全体において、NIVO群は標準治療群に比べてDFSが有意に改善されたものの、CPSはDFSと強い相関は示さなかった。・OSは未到達だったものの、NIVO群で改善傾向が認められた。・CRTの遵守率は両群で類似していた。Grade3の有害事象はNIVO群の63.1%、標準治療群の62.4%、Grade4は9.3%と5.2%に発現した。多かった有害事象は両群で類似しており、口内炎、放射線皮膚障害、嚥下障害などであった。 Bourhis氏は「術後CRTにニボルマブを追加した治療は、統計的および臨床的に有意なDFSの改善をもたらした。これは、切除後の再発高リスクLA-SCCHN患者に対し、過去20年間ではじめての新たな標準治療となる可能性があるものだ」とした。

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進行尿路上皮がん1次治療、EV+ペムブロリズマブによるCR・PR症例の探索的解析結果(EV-302/KEYNOTE-A39)/ASCO2025

 局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者の1次治療において、エンホルツマブ ベドチン(EV)+ペムブロリズマブ併用療法と化学療法の有効性を比較したEV-302/KEYNOTE-A39試験の探索的解析の結果、EV+ペムブロリズマブ群で完全奏功(CR)を達成した患者の割合は化学療法群の約2倍であり、レスポンダー(CR+部分奏功[PR]症例)では適切な用量調整のもとで長期間治療を継続していることが明らかとなった。米国・Cleveland Clinic Taussig Cancer InstituteのShilpa Gupta氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。 EV-302/KEYNOTE-A39試験では、EV+ペムブロリズマブ併用療法が化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に延長したことが報告されている。・対象:未治療の局所進行/転移を有する尿路上皮がん患者(GFR≧30mL/分、ECOG PS≦2)・試験群:EV(1.25mg/kg、3週ごと1・8日目に静脈内投与)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと1日目に静脈内投与) 437例・対照群:ゲムシタビン+シスプラチンシスプラチン不適格例ではゲムシタビン+カルボプラチン) 441例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS、OS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など・層別因子:シスプラチン適格性、PD-L1発現状況、肝転移の有無 主な結果は以下のとおり。・本探索的解析のデータカットオフは2024年8月8日、追跡期間中央値は29.1ヵ月であった。・confirmed ORRは試験群67.5%(295例)vs.対照群44.2%(195例)、confirmed CRは30.4%(133例)vs.14.5%(64例)であった。・試験群のCR+PR症例のベースライン特性はITT集団とおおむね一致しており、年齢中央値が69(37~87)歳、ECOG PS1/2が43.7%/2.0%、肝転移ありが20%、シスプラチン不適格が41.7%であった。・CR+PR症例におけるDOR中央値は、試験群23.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:17.8~NE)vs.対照群7.0ヵ月(95%CI:6.2~9.0)であった。・CR+PR症例におけるDOR中央値をシスプラチン適格性ごとにみると、シスプラチン適格患者では試験群24.4ヵ月(95%CI:17.8~NE)vs.対照群8.3ヵ月(95%CI:5.9~10.8)、シスプラチン不適格患者では21.9ヵ月(95%CI:15.7~NE)vs.6.6ヵ月(95%CI:5.5~9.3)であった。・CR+PR症例におけるOS中央値は、試験群39.3ヵ月(95%CI:36.5~NE)vs.対照群32.1ヵ月(95%CI:26.8~NE)で(層別ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.44~0.79)、24ヵ月時点での試験群のCR+PR症例の生存率は76.3%であった。・試験群における治療サイクル中央値は、EVが全体集団:9(1~54)サイクル/CR+PR症例:12(1~54)サイクル/CR症例:13(1~50)サイクル、ペムブロリズマブが全体集団:11(1~35)サイクル/CR+PR症例:17(1~35)サイクル/CR症例:27(1~35)サイクルであった。・試験群におけるGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)発生率は、全体集団:57.3%、CR+PR症例:61.4%、CR症例:61.7%であった。・EVの安全性プロファイルは、全体集団とCR+PR症例でおおむね一致しており、Grade3以上のTRAEとして多くみられたのは、皮疹(全体集団:15.2%、CR+PR症例:17.3%)、高血糖(6.4%、7.5%)、末梢性感覚ニューロパチー(4.8%、6.4%)などであった。・ペムブロリズマブの安全性プロファイルは、全体集団とCR+PR症例でおおむね一致しており、Grade3以上のTRAEとして多くみられたのは、重度の皮膚障害(全体集団:12.3%、CR+PR症例:12.9%)、肺臓炎(3.9%、4.1%)、肝炎(2.0%、2.4%)などであった。・用量調整は全体集団と比較してCR+PR症例でより多く実施されており、CR+PR症例では休薬がEV:69.2%/ペムブロリズマブ:62.4%、EVの減量が53.9%で行われていた。 Gupta氏は「今回のデータは、局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者の1次治療として、シスプラチン適格性を含むベースライン特性によらずEV+ペムブロリズマブ併用療法が標準治療であることを支持するものである」とまとめている。

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HER3-DXdの第III相試験、EGFR-TKI既治療NSCLCのOS改善せず(HERTHENA-Lung02)/ASCO2025

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)による治療歴を有するEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、patritumab deruxtecan(HER3-DXd)は、無増悪生存期間(PFS)を改善したものの、全生存期間(OS)を改善することはできなかった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Tony S. K. Mok氏(中国・香港中文大学)が、国際共同第III相試験「HERTHENA-Lung02試験」の結果を報告した。すでに主要評価項目のPFSが改善したことが報告されており、OSの結果が期待されていた。HER3-DXd群と化学療法群間でOS中央値の有意差は認められなかった・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:第3世代EGFR-TKIによる治療歴を有するEGFR遺伝子変異(exon19欠失変異またはL858R変異)陽性の進行NSCLC患者・試験群(HER3-DXd群):HER3-DXd(5.6mg/kg、3週ごと) 293例・対照群(化学療法群):プラチナ製剤を含む化学療法(シスプラチン[75mg/m2、3週ごと4サイクル]またはカルボプラチン[AUC5、3週ごと4サイクル]+ペメトレキセド[500mg/m2、3週ごと])※ 293例・評価項目:[主要評価項目]RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[主要な副次評価項目]OS[副次評価項目]頭蓋内PFS、安全性、HER3発現状況と有効性の関係など※:クロスオーバーは許容されなかった。 HERTHENA-Lung02試験の主な結果は以下のとおり。・患者背景は両群でバランスがとれており、脳転移を有する割合はHER3-DXd群43.3%、化学療法群45.1%であった。また、第3世代EGFR-TKIを1次治療で使用した割合は、それぞれ77.1%、77.5%であった。第3世代EGFR-TKIの内訳は、オシメルチニブがそれぞれ90.8%、89.8%を占めた。・主要評価項目のBICRによるPFS中央値は、HER3-DXd群5.8ヵ月、化学療法群5.4ヵ月であり、HER3-DXd群が有意に改善した(ハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.63~0.94、p=0.011)。9ヵ月PFS率は、それぞれ29%、19%であった。・PFSのサブグループ解析では、おおよそ一貫した傾向がみられたが、EGFR遺伝子変異の種類によって治療効果が異なる傾向もみられた。HER3-DXd群の化学療法群に対するHRは、exon19欠失変異を有する集団では0.69であったのに対し、L858R変異を有する集団では0.94であった。・主要な副次評価項目のOS中央値は、HER3-DXd群16.0ヵ月、化学療法群15.9ヵ月であり、両群間に有意差は認められなかった(HR:0.98、95%CI:0.79~1.22)。・奏効率は、HER3-DXd群35.2%、化学療法群25.3%であった。・BICRによる頭蓋内PFS中央値は、HER3-DXd群5.4ヵ月、化学療法群4.2ヵ月であった(HR:0.75、95%CI:0.53~1.06)。・Grade3以上の治療関連有害事象は、HER3-DXd群57.9%、化学療法群46.1%に発現した。治療中断に至った有害事象は、それぞれ11.4%、9.6%に発現し、減量に至った有害事象は、それぞれ32.4%、21.1%に発現した。・独立判定委員会により判定された治療に関連した間質性肺疾患は、HER3-DXd群の4.8%(14例)に発現した(化学療法群は0例)。 本試験のOSの結果に基づき、第一三共は米国におけるHER3-DXdのEGFR遺伝子変異陽性NSCLCに関する承認申請を取り下げたことを発表している。なお、Mok氏は「HER3発現状況などのバイオマーカーと有効性の関係に関する解析は引き続き実施する」と述べた。

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