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妊娠中期のEPA/DHA摂取量が少ないと低出生体重児の割合が高い

 日本人女性では、妊娠中期の食事やサプリメントから摂取するエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)といったn-3系脂肪酸の摂取量が少ないと、低出生体重(low birth weight;LBW)児の割合が高いという研究結果を、山形大学大学院看護学専攻の藤田愛氏、吉村桃果氏らの研究グループが「Nutrients」に11月18日発表した。妊娠中期までのn-3系脂肪酸の摂取不足は、LBWの危険因子の一つだとしている。 これまでの研究から、妊娠中の母親の栄養不足はLBWの危険因子であり、中でも食事中のEPAやDHA不足はLBWリスクの上昇と関連することが報告されている。ただし、これまでの解析では、EPA、DHAの摂取量は食事からのものに限られており、サプリメントによる摂取量は考慮されていなかった。そこで、研究グループは、The Japan Pregnancy Eating and Activity Cohort Study(J-PEACH Study、代表:春名めぐみ氏)の一環として、妊娠中期(妊娠14~27週)におけるEPA/DHAの摂取量とLBWとの関連を検討する前向きコホート研究を実施した。 J-PEACH Studyは、妊娠中の食事摂取や身体活動などのライフスタイルと、妊娠中および産後1年間の健康状態との関連を明らかにすることを目的とした多施設共同の前向きコホート研究だ。今回は、2020年2月から10月までに、J-PEACH Studyに参加した504人の妊婦から収集した妊娠中期(妊娠14~27週)と分娩時のデータを用いて分析した。 研究では、まず、参加者に2種類の質問票に回答してもらった。一つは、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いて58種類の食品や飲料の摂取量を尋ね、EPA/DHAの摂取量を算出した。もう一つは、自記式質問票を用いて、過去1カ月以内のDHAおよび/またはEPAサプリメントの摂取頻度(毎日、週に5~6回、3~4回、1~2回、時々、まったく摂取しない)を尋ねた。さらに、医療記録から、分娩時のアウトカムに関する情報を得た。参加者を、食事とサプリメントからのEPA/DHA総摂取量に基づき、低摂取群(172.3mg未満)、中摂取群(172.3mg以上374.9mg未満)、高摂取群(374.9mg以上)の3つに分けた上で、EPA/DHA摂取量とLBWとの関連を分析した。 分娩時の母親の平均年齢は34.2歳、妊娠中の体重増加は平均9.9kg、妊娠週数は平均38.9週だった。生まれた児は男児が47.0%、平均出生体重は3068.6gで、33人(うち男児8人)はLBW(2500g未満)だった。解析の結果、妊娠中期のEPA/DAH総摂取量が低い群ではLBW児の割合が高かった(P=0.04)。LBW児の割合には、男児、女児ともに有意な傾向は認められなかった。 以上の結果を踏まえ、研究グループは「妊娠中期までにn-3系脂肪酸の摂取量が少ない妊婦では、LBW児の割合が高くなる可能性がある。妊娠後期に十分量のEPAとDHAを胎児に移行するためにも、妊娠中期のうちにこれらを十分に摂取し、蓄積しておくことが重要ではないか」と強調。「そのためには、少なくとも妊娠中期までには食習慣を改善し、EPAやDHAなどの必要な栄養素を自ら摂取できるようにするため、妊婦一人ひとりの生活習慣や考え方に合わせた栄養指導を行うことが必要だ」と述べている。

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糖尿病患者、カルシウムサプリ常用でCVDリスク増

 カルシウムは、骨の組成に重要であり、カルシウム補助食品やサプリメントは骨粗鬆症性骨折予防などに広く用いられている。一方で、カルシウムサプリ摂取が血中カルシウム濃度を急激に上昇させ、心血管系に有害となる可能性がある。とくに心血管疾患(CVD)のリスクが高く、カルシウム代謝が低下していることが多い糖尿病患者における安全性の懸念が提起されている。中国・武漢のTongji Medical CollegeのZixin Qiu氏らによる、糖尿病患者におけるカルシウムサプリ摂取の安全性をみた研究結果がDiabetes Care誌2024年2月号に掲載された。 研究者らはUKバイオバンクに登録された43万4,374人(うち糖尿病患者2万1,676例)を主要解析対象とし、カルシウムサプリの使用と糖尿病の状態との相互作用を検証した。Cox比例ハザード回帰モデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・43万4,374人中2万9,360人(6.8%)がベースライン時に習慣的なカルシウムサプリ使用を報告した。糖尿病患者と非患者でサプリの使用率に有意差はなかった。・追跡期間中央値8.1年および11.2年の間に、それぞれ2万6,374件のCVDイベントおよび2万526件の死亡(うち4,007件がCVD)が記録された。・多変量調整後、糖尿病患者においては、習慣的なカルシウムサプリの使用はCVD発症(HR:1.34、95%CI:1.14~1.57)、CVD死亡(HR:1.67、95%CI:1.19~2.33)、全死亡(HR:1.44、95%CI:1.20~1.72)の高リスクと有意に関連していた。一方、糖尿病のない参加者では有意な関連はみられなかった。・CVDイベントおよび死亡のリスクに関して、習慣的なカルシウムサプリの使用と糖尿病の状態との間には有意な乗法的、相加的な相互作用が認められた。一方、食事または血清カルシウムと糖尿病の状態との間には有意な相互作用はみられなかった。 研究者らは、カルシウムサプリの習慣的使用は、糖尿病患者におけるCVDイベントおよび死亡の高リスクと有意に関連していた。糖尿病患者においては、カルシウムサプリの潜在的な有害作用と考えられる有益性とのバランスをとるためにさらなる研究が必要である、としている。

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膵がん患者に合併する静脈血栓塞栓症への対応法【見落とさない!がんの心毒性】第28回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別60代・女性既往歴虫垂炎術後服用歴テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(ティーエスワン配合OD錠T20)(2錠分2 朝夕食後)、クエン酸第一鉄Na錠50mg(1錠分1 朝食後)、ランソプラゾールOD錠15(1錠分1 朝食後)喫煙歴なし現病歴X年10月に食欲不振と食後嘔吐を主訴に消化器内科を受診した。腹部骨盤部造影CTで十二指腸水平脚の圧排を伴う膵鈎部がんおよび多発肝転移を認め、上部消化管内視鏡で十二指腸水平脚に腫瘍の直接浸潤に伴う潰瘍性病変を認めた(写真1、2)。画像を拡大する進行膵鈎部がん(T4,N1,M1 StageIVb)と診断し、十二指腸ステントを挿入し、同年11月に化学療法(ゲムシタビン[GEM]単剤)を開始した。その後、食欲は改善し、同年12月に退院した。外来で同化学療法計4クールを施行したが、X+1年3月にはPD判定となり、同月よりTS-1単剤での化学療法に変更となった(Performance Status[PS]3)。同年5月に、突然の呼吸困難を主訴に救急外来を受診し、バイタルは体温36.5℃、脈拍数111/分、血圧93/56mmHg、SpO2 94%(室内気)で、左下腿浮腫を認めた。血液検査でDダイマー46μg/mL、BNP 217pg/mLと上昇し、心エコー図検査で右室拡大によるD-shapeを認めた。造影CTで両側肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)、両下肢深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)と診断し、入院となった(写真3)。画像を拡大する循環器内科と連携し、入院時Hb 8.3mg/dLと貧血を認めたことから、出血リスクを考慮し、未分画ヘパリン10,000単位/日の低用量で抗凝固療法を開始した。入院2日目に明らかな吐下血は認めなかったものの、Hb 6.7mg/dLと貧血の悪化を認めた。【問題】下記のうち、この患者の静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)管理の方針や膵がん患者に合併するVTEに関する文章として正しいものはどれか。a.日本において膵がん患者におけるVTE予防目的に、低分子ヘパリン(LMWH)皮下注や直接経口抗凝固薬(DOAC)の予防投与が保険承認されている。b.本症例におけるVTEの初期治療として、DOAC単剤による抗凝固療法がより適切である。c.本症例では抗凝固療法の開始後、貧血の悪化を認めたが、明らかな出血事象が確認されない限り、抗凝固療法は継続すべきである。d.進行膵がんは診断後、3ヵ月以内のVTE発症が多く、定期的なDダイマー測定がVTEの診断に有用である。まとめ膵がん患者では予防的抗凝固療法による生存期間延長の利益について、一定の見解は得られていない。自施設の日本人の膵がん患者432名を対象とした検討では、膵がん診断後の生存期間は、VTE群と非VTE群で有意差はなかった。膵がん自体の予後が不良で、VTEの発症は予後悪化に寄与しない可能性がある5)。しかし、VTEはひとたび発症すると致命的な病態となり得ることや、他臓器のがんではVTE発症により生存期間が短縮するという研究が多いため、今後、膵がん治療・患者管理の進歩により、VTE発症の生命予後への影響が明確化する可能性ある。1)Khorana AA, et al. Cancer. 2013;119:648-655.2)Schunemann HJ, et al. Lancet Haematol. 2020;7:e746-755.3)Wang Y, et al. Hematology. 2020;25:63-70.4)Maraveyas A, et al. Eur J Cancer. 2012;48:1283-1292.5)Suzuki T, et al. Clin Appl Thromb Hemost. 2021;27:1-6.講師紹介

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黒砂糖、がん発症を抑制か~J-MICC研究

 黒砂糖にはミネラル、ポリフェノール、ポリコサノールが多く含まれているが、黒砂糖が健康に役立つと評価した疫学研究はほとんどない。今回、鹿児島大学の宮本 楓氏らが、長寿者の割合が比較的高く黒砂糖をおやつにしている奄美群島の住民を対象としたコホート研究を実施したところ、黒砂糖摂取ががん全体、胃がん、乳がんの発症リスク低下と関連することが示された。Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition誌2023月12月号に掲載。 本研究は日本多施設共同コホート研究(J-MICC研究)の一環で、黒砂糖摂取と死亡リスクおよびがん発症率の関連を明らかにするために実施された。奄美の一般住民から参加者を募集し、5,004人(男性2,057人、女性2,947人)が参加した。追跡期間中央値13.4年の間に274例が死亡、338例でがんが発症した。糖関連およびその他の変数を調整後、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間を推定した。黒砂糖の摂取頻度により低摂取群(週1回未満)、中摂取群(週1~6回)、高摂取群(1日1回以上)に分け、低摂取群を基準とした中摂取群、高摂取群の各HRとその傾向を評価した。 主な結果は以下のとおり。・交絡因子調整後、男女におけるがん全体と胃がん、女性における乳がんについて、黒砂糖の中摂取群と高摂取群のHRが低く、HRの低下傾向(がん全体:傾向のp=0.001、胃がん:傾向のp=0.017、乳がん:傾向のp=0.035)が認められた。・肺がんは非喫煙者および元喫煙者のみHRの低下傾向がみられた(傾向のp=0.039)。・全死亡、がん死亡、心血管疾患死亡におけるHRの低下は明らかではなかった。

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わさびは高齢者の記憶力を向上させる

 わさびには記憶力を高める効果がある可能性が、健康な少人数のボランティアを対象とした日本の研究で示唆された。論文の筆頭著者である、人間環境大学総合心理学部教授の野内類氏は、「わさびが健康に良いことは、先行の動物実験で明らかになっていた。それでも、今回の研究で示されたわさびの記憶力向上効果の大きさには、本当に驚かされた」と述べている。野内氏と東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太氏を中心とする研究グループによるこの研究結果は、「Nutrients」に10月30日掲載された。 この研究では、健康なボランティア72人(平均年齢65.43歳、女性53人)を対象に二重盲検化ランダム化比較試験を実施し、わさびに含まれている抗酸化・抗炎症化合物であるヘキサラファン(6-MSITC)の摂取が認知機能に与える影響について検討した。対象者は、12週間にわたってヘキサラファン0.8mgを含有するわさび抽出物のサプリメントを摂取する群(ヘキサラファン群)とプラセボを摂取する群(プラセボ群)にランダムに割り付けられた。介入前と介入後に対象者の認知機能(実行能力、エピソード記憶、処理速度、作業記憶、注意力)の評価を行った。 解析の結果、ヘキサラファン群ではプラセボ群と比べて、エピソード記憶と作業記憶の成績が有意に向上していることが明らかになった。これら2つ以外の認知機能については、プラセボ群との間に有意な差は認められなかった。野内氏は、「わさび抽出物のサプリメントを投与された対象者は、高齢者の記憶に関する主な問題である顔と名前の関連付けにおいて、より良好なパフォーマンスを見せた」と具体的な説明を加えている。 では、なぜわさびを摂取すると記憶力が向上するのだろうか。野内氏らは、ヘキサラファンには、記憶を司る脳の海馬領域の炎症を抑制し酸化レベルを低下させる作用があるのではないかと推論している。 野内氏は、脳の健康を保つための方法とされる地中海食、運動療法、音楽療法などは離脱率が高いことから、わさびに注目したと話す。同氏は、わさびを高齢者でも摂取しやすいサプリメントにすることで、毎日の摂取が容易になり、かつ生姜やウコンなど他の抗炎症スパイスよりも効果を見込めると考えたという。 研究グループは、他の年齢層にもわさびを摂取させ、認知症患者の記憶力低下を遅らせることができるかどうかを調べる予定であると述べている。 なお、本研究には、わさび商品を製造する金印株式会社が資金を提供したが、研究グループは、同社が研究自体には関与していないと述べている。

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プロテインサプリの生殖機能への影響、ほとんどの男性は認識せず

 体づくりのためにプロテインサプリメント(以下、プロテインサプリ)を摂取している男性の多くは、このサプリが生殖機能に悪影響を及ぼす可能性について認識していないことが、英バーミンガム大学のMeurig Gallagher氏らの調査から明らかになった。こうしたサプリには、生殖機能に影響を及ぼす可能性がある女性ホルモンのエストロゲンが高用量含まれている。しかし調査からは、ジムに通う男性の約5人に4人(79%)がフィットネス計画の一つとしてホエイプロテインや大豆プロテインなどのサプリを摂取しており、また、プロテインサプリの摂取が生殖機能に与える影響について考えたことがある男性はわずか14%にとどまることが示された。詳細は、「Reproductive BioMedicine」に10月18日掲載された。 Gallagher氏は、「女性ホルモンの過剰摂取は、男性の精子の量や質に問題を生じさせる可能性がある」と指摘。また、市販されている多くのプロテインサプリには、アナボリックステロイドが含まれているため、プロテインサプリを使用している男性は、意図せず自分にステロイドを投与している可能性があることも付け加えている。アナボリックステロイドは、精子の数の減少や精巣の縮小、勃起障害をはじめとするさまざまな問題を引き起こし得るという。 Gallagher氏らは今回、153人の男女(男性71人、女性82人、145人が18〜25歳)から得られたオンライン調査の回答を用いて、ジム通いに関わる因子と男性の生殖機能との関連を検討した。これらの男女のうち、男性の79%(56人)、女性の56%(46人)がプロテインサプリを使用したことがあるか、現在使用していると回答していた。また、プロテインサプリ使用者が挙げたサプリの使用目的として最も多かったのは筋肉増強(男性95%、女性65%)であり、次に多かったのは栄養補給(男性41%、女性37%)であった。 質問項目の中の「自分の生殖機能について考えたことがある」に対して「とても当てはまる/当てはまる」と答えた男性は52%に上った。しかし、「ジム通いやプロテインサプリの摂取が男性の生殖機能に及ぼす影響について考えたことがある」に対して「とても当てはまる/当てはまる」と回答したのはわずか14%にとどまっていた。また、「現時点では、ジム通いやプロテインサプリの使用により得られるメリットは生殖機能への影響よりも重要だ」に対して「とても当てはまる/当てはまる」と回答した男性の割合は28%、「全く当てはまらない/当てはまらない」と回答した男性の割合は38%だった。さらに、75%の男性は、アナボリックステロイドの使用が生殖機能に影響を及ぼすことを認識していたが、プロテインサプリの摂取が有害となり得ることを知っていた人はわずか11%であった。 論文の共著者である、バーミンガム大学生殖生物科学教授のJackson Brown氏は、「男性は、きっかけがあれば自分の生殖機能に関心を持つが、自発的にそのことを考えたりはしないことが分かった。この背景には、社会全体が依然として生殖機能を『女性の問題』と捉え、男性の生殖機能は生涯にわたって変化しないと誤解していることが関係していると考えられる」と同大学のニュースリリースで述べている。Gallagher氏も、「世界保健機関(WHO)によると、世界で6人に1人が不妊症の問題を抱えており、この問題に対する懸念は高まりつつある。しかし、こうした不妊症の症例の半数は男性に要因があるという事実は十分に認識されていない」と指摘する。 ただしBrown氏は、「今回の研究結果は、体づくりに励んでいる人がジム通いをやめるべきであることを意味するものではない」と強調している。同氏は、「この研究結果を、健康的になること、あるいは運動することを否定する理由の一つと捉えるべきではない。重要なのは、プロテインであれビタミン剤であれ、自分が摂取しているサプリについて自ら学ぶようにすべきだということだ」と話している。

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下痢症状とは

患者さん、その症状は下痢 ですよ!下痢とは「水分を多く含む液状またはそれに近い糞便を排泄する状態。排便回数あるいは排便量の増加を伴う場合が多い」症状のこと。持続期間が2週間以内は急性下痢、4週間以上は慢性下痢と区別される。以下、該当する項目はありませんか?□排便回数がいつもより多い□便の量がいつもより多い□しぶり腹(便意切迫)がある□便の色がいつもと違う□最近飲み始めた薬・サプリメントがある □アルコールを飲んだ後だ□人工甘味料(キシリトール…)を含む食品をたくさん食べた◆単なる下痢ではないのは…・就寝中に起こる下痢:重大な疾患が原因のことが多い・大腸がん:下痢になることがある・下痢に加え、以下の症状/病歴を伴う場合は受診が必要です発熱(38.5℃超)、血便、口渇、ひどい腹痛、免疫力が低下、高齢者(70歳超)、衛生状態が悪い外国から帰国出典:日本臨床検査医学会(下痢)、外来を愉しむ攻める問診、MSDマニュアルプロフェッショナル版監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その2【「実践的」臨床研究入門】第39回

C(比較対照)をおかなければ因果関係(影響や効果など)はわからないまずは、よくある? CMのお話です。 ◯◯サプリメントを飲み続けてやせた人の経験談をもとに、◯◯サプリメントを飲んだ! やせた! ◯◯サプリメントはダイエットに効いた!? 「※個人の感想です」誰もが「眉唾」な話、と思うのではないでしょうか。なぜなら、ダイエットに成功したのは、サプリメント(だけ)ではなく、食事制限や運動などによる効果の結果かもしれないからです。このような3段論法まがいの誤った論理展開を、(雨乞い)3「た」論法、と呼びます。これは、東京医科歯科大学名誉教授(臨床薬理学・生物統計学)であられた故佐久間 昭先生が著書で述べられた、以下の文章に由来するようです。雨乞いの太鼓を叩いた、雨が降った、故に雨乞いの太鼓が雨を降らせた?雨乞いの太鼓は雨が降るまで続けられるでしょうし、降り止まない雨はありませんよね。したがって、雨乞いの太鼓と降雨に因果関係があると言うのは問題がある、とすることには異論はないでしょう。臨床現場における薬剤などの治療効果判定でも同じです。なんらかの疾患(症状)に、ある薬剤を投与し、効果? がみられたケースだけを取り上げて、単純に「使った、治った、効いた」とするのも、また3「た」論法です。C(比較対照)をおかなければ、E(曝露要因)もしくはI(介入)とO(アウトカム)との関連や因果関係(影響や効果)は検証できないのです。それでは、理想的なCとはどのようなものでしょうか。理想的なC、比較対照群とは、臨床研究でOとの関連や因果関係(影響や効果)を検証したいEもしくはI以外の「背景要因」がまったく同じ集団、となります。「背景要因」は測定可能なものと測定できないものに分けられます。測定可能な背景要因には、臨床研究論文のTabel 1.でよく記述されている以下のような要因が挙げられます。年齢、性別、併存疾患、BMI、各種検査所見、等々一方、背景要因には、日常臨床では測定不可能なものも多々あります。たとえば、以下のような要因です。遺伝的背景、生活習慣、社会経済因子、等々理想的なC、比較対照群を設定するためには「ドラえもん」のひみつ道具のひとつである「コピーロボット」が必要だよね、と筆者はよく説明しています。「コピーロボット」はその鼻を押すことで、押した人間(動物)とそっくりなコピーとなるロボットです。「ドラえもん」どんぴしゃり世代の筆者にとっては、わかり易い説明だと思っているのですが、最近の若い方にはピンとこないかもしれません…。今のところ「コピーロボット」が存在しないこの世の中では、同じ個人が「同時にあるE」もしくは「Iがあった場合となかった場合」を比較することはできません(反事実モデル)。ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)では、ランダム(無作為)割付により、IとCの間の背景要因が測定可能なものだけでなく測定不可能なものも均衡化することが期待され、反事実モデルを推定しているのです(連載第6回参照)。われわれが計画しているのは観察研究のひとつである(後ろ向き)コホート研究です(連載第37回参照)。観察研究でも、皆さんが大好きな多変量解析やマッチングなどの手法を用いてRCTと同様に、反事実モデルの推定を試みています。言い換えると、多変量解析モデルなどの統計学的手法を用いて、いわゆる「交絡因子」を制御し、EとOとの関連や因果関係を検証しているのです。次回からは、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、具体的な統計解析手法についても解説していきます。

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毎日のナッツ摂取は男性の生殖能力を上げる効果があるのか

 ナッツ類には、オメガ3系多価不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールが豊富に含まれているため、定期的な摂取は健康に良いとされている。では、ナッツは生殖機能の改善にも貢献するのであろうか。オーストラリア・モナシュ大学栄養・栄養摂取・食物学科のBarbara R. Cardoso氏らの研究グループは、ナッツ類の摂取と生殖能力の系統的レビューおよびメタ解析を行った。その結果、栄養学的にナッツの摂取が生殖能力を高めることが示唆された。Advances in Nutrition誌オンライン版2023年11月17日号に掲載。毎日60gのナッツ摂取で男性の精子の運動率が増加 本研究は、Ovid MEDLINE、Embase、CINAHL、Scopusを2023年6月30日まで検索。対象とした論文は、生殖可能年齢(18~49歳)の男女を対象とした介入研究または観察研究で、食事からのナッツ摂取(最低3ヵ月)が妊孕性に関連する転帰に及ぼす影響・関連を評価したもの。 ナッツ類の摂取と生殖能力の系統的レビューおよびメタ解析を行った主な結果は以下のとおり。・健康な男性における精子の総運動率、活力、形態、濃度に対するナッツ摂取のプール効果推定値を算出するために、ランダム効果メタ解析を実施した。・875例(男性646例、女性229例)が参加した4件の研究がこのレビューに含まれた。・健康な男性223例が参加した2件のランダム化比較試験のメタ解析では、60g/日以上のナッツの摂取は対照群と比較して精子の運動率、活力、形態を増加させるが、精子濃度には影響を及ぼさないことが示された。・非ランダム化研究では、食事からのナッツ摂取と男性における従来の精子パラメーター、あるいは生殖補助医療を受けている男女における胚着床、臨床妊娠、生児出生との関連は報告されていない。 本研究では、健康な男性において、欧米式の食事の一部として毎日少なくとも60gのナッツを摂取することが、男性の受胎可能性の予測因子である精子パラメーターを改善することを示していた。ナッツ摂取は、その栄養学的内容から生殖を成功に導く可能性があることが示唆された。

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がん患者の死亡リスクを低減させるビタミンD濃度は?

 ビタミンDサプリメント(2,000IU/日)の連日服用により、がん種に関係なくがん死亡率が減少したことが報告されている1)。今回、中国・北京大学のYu Bai氏らががん患者におけるビタミンD濃度と全死因死亡およびがん特異的死亡との関連を調査した結果、一定値以上のビタミンD濃度まで高くなるとそれらのリスクが大幅に減少することが明らかになった。Nutrition and Cancer誌オンライン版2023年11月18日号掲載の報告。 研究グループは、2007~18年の米国疾病予防管理センター(CDC)の国民健康栄養調査から入手した成人のがん患者2,463例のデータを解析し、2019年12月31日までの国民死亡記録と関連付けた。人口統計学的特徴、生活様式、食事因子、血清25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)値の検査期間、がん種について多変量調整を行った。参考:わが国におけるビタミンD不足・欠乏の判定指針:血清25(OH)D値≧75nmol/L(≧30ng/mL)が充足、50~<75nmol/L(20~<30ng/mL)が不足、<50nmo/L(<20ng/mL)が欠乏。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値70ヵ月で567例が死亡し、そのうち194例はがんによる死亡であった。・血清25(OH)D値が75nmol/Lまで高くなると、全死因死亡およびがん特異的死亡のリスクが有意に低減した。・血清25(OH)D値の四分位を比較したところ、第4四分位群と比べて第3四分位群(79.3~99.2nmol/L)の全死因死亡率の調整後ハザード比は0.59(95%信頼区間:0.42~0.84、傾向のp<0.001)、がん特異的死亡率は0.48(0.29~0.79、傾向のp=0.037)であった。 これらの結果より、研究グループは「血清25(OH)D値75nmol/Lは、がん患者の死亡率を減少させるための介入目標であると考えられる。血清25(OH)D値を範囲内に維持することは、全死因死亡およびがん特異的死亡の減少に有益である」とまとめた。

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11月23日 AGAスキンクリニック ふさふさの日【今日は何の日?】

【11月23日 ふさふさの日】〔由来〕毛が元気に立っているイメージの「11」と、多くの髪の毛を連想させる「フサフサ(23)」と読む語呂合わせでAGAスキンクリニックが制定。薄毛は治療できる時代になったということを多くの人に知ってもらうことが目的。関連コンテンツ12歳から使用可能な経口の円形脱毛症治療薬「リットフーロカプセル50mg」【下平博士のDIノート】「AGA(男性型脱毛症)」【診療よろず相談TV】円形脱毛症の母親の出生児が抱えるリスクとは?中等症~重症円形脱毛症、ritlecitinibで改善/Lancet脱毛治療での栄養サプリ使用は、安全・有効か?

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ざ瘡に期待できる栄養補助食品は?

 ざ瘡(にきび)治療の補助としてビタミン剤やそのほかの栄養補助食品に関心を示す患者は多い。しかし、それらの有効性や安全性は明らかではなく、推奨する十分な根拠は乏しい。そこで、米国・Brigham and Women's HospitalのAli Shields氏らの研究グループは、ざ瘡治療における栄養補助食品のエビデンスを評価することを目的にシステマティックレビューを行った。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年10月25日号の報告。 研究グループは、PubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceの各データベースを開設から2023年1月30日まで検索した。ざ瘡患者を対象に栄養補助食品(ビタミンやミネラル、植物抽出物、プレバイオティクス、プロバイオティクスなど)の摂取を評価した無作為化比較試験を解析し、臨床医が報告したアウトカム(全体評価や病変数など)、患者が報告したアウトカム(QOLなど)、有害事象を抽出した。バイアスリスクはCochrane risk of bias toolを用いて、研究の質をGood、Fair、Poorに分類した。 主な結果は以下のとおり。・42件の研究(3,346例)が組み入れ基準を満たした。・GoodまたはFairの分類の研究で栄養補助食品の有用性が示唆されたのは、ビタミンB5およびD、緑茶、プロバイオティクス、オメガ3脂肪酸であった。・これらの有用性評価に最も関連していたのは、病変数の減少または臨床医による全体評価スコアであった。・栄養補助食品の摂取による有害事象の発現はまれであったが、亜鉛摂取による消化管障害が報告された。 これらの結果より、研究グループは「このシステマティックレビューは、ざ瘡治療における栄養補助食品の可能性を示している。医師は、患者に栄養補助食品のエビデンスを提示する準備をしておくべきである」としたうえで、「多くの研究は小規模であり、今後の研究ではより大規模な無作為化比較試験に焦点を当てるべきである」とまとめた。

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点滴用複合ビタミン剤でアナフィラキシー【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第243回

点滴用複合ビタミン剤でアナフィラキシーphoto-ACより使用長らく医師をしていると、いろいろな製剤によるアナフィラキシーを見聞きしたことがあるかと思います。私は大阪府に住んでいるので、お好み焼き粉の中のダニによるアナフィラキシーの話をよく耳にします。さて、わりと安全と思われるものであっても、アナフィラキシーは必ず報告されています。今回は、点滴用複合ビタミン剤です。熊谷 淳, 他.点滴用複合ビタミン剤中のビタミンB1誘導体によるアナフィラキシーの1例.アレルギー. 2023;72(5): 479-484.下部消化管感染症に対して、抗菌薬の点滴に加えて点滴用複合ビタミン剤を投与したところ、アナフィラキシーを発症したというものです。抗菌薬のアレルギーであればわかるのですが、点滴用複合ビタミン剤1%皮内テストが陽性となり、成分別検査ではビタミンB1誘導体のリン酸チアミンジスルフィドのプリックテストが陽性となりました。これによって、点滴用複合ビタミン剤中のリン酸チアミンジスルフィドによるアナフィラキシーということが診断されました。この症例ではフルスルチアミン塩酸塩で陽性を示し、交差反応の可能性が想定されました。いやー、これ結構怖いですよね。まさかビタミンが原因なんて、現場で予想できないかもしれません。ビタミンB1誘導体は、ビタミンB1の構造の一部分を変化させた化合物です。より吸収されやすく、組織移行性が高いとされています。極めてまれではありますが、どのような製剤でもアナフィラキシーの可能性を考えておく必要がありますね。あともうひとつ重要なポイントとして、ビタミンB1欠乏症の状況で急速に大量のビタミンB1を静注すると、クエン酸回路を経由してATPが産生されるカスケードが進みます。このATPによって喉頭に喘鳴を来し、あたかもアナフィラキシーに見えることがあります1)。これを「ビタミンB1ショック」といいます。1)川崎 武, 他. ビタミンB1ショックの1例. 日本内科学会雑誌. 1962;51(3):54-60.

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医師の英語学習、どのくらいお金と時間をかけている?/1,000人アンケート

 英語で学会発表を行ったり、外国人患者を診療したりするために、英語は医師にとって欠かせないスキルとなっている。英語を学ぶ主な目的や学習方法といった医師の英語学習状況を把握するため、会員医師1,021人を対象に『医師の英語学習に関するアンケート』を9月21日に実施した。年代別の傾向をみるため、20~60代以上の各年代を約200人ずつ調査した。その結果、英語学習に最も費用と時間をかけているのは30代であることなどが明らかとなった。海外学会への参加頻度から、おすすめの英語系YouTubeチャンネルや語学学習アプリなど、学習に役立つツールまで、英語学習に関するさまざまな意見が寄せられた。全体の18%が海外学会に参加 「Q1. 2022~23年、どれくらい海外学会に参加しましたか?(参加形式は発表・聴講を問わない、オンラインでの参加も含む)」という設問では、年代別に海外学会への参加の実態を聞いた。全体で18%が1回以上参加していた。 年代別で1回以上の参加率が高い順に、30代(24%)、40代(23%)、20代(17%)、50代(14%)、60代以上(12%)であった。一方、20~50代では、期間中1回の参加の割合が最も多くを占めていたが、60代以上は、3回以上参加した割合が最も多かった(7%)。診療科別の海外学会参加率(1回以上)では、参加率が高い順に、皮膚科(39%)、血液内科(36%)、放射線科(30%)、腎臓内科(29%)、リハビリテーション科(27%)であった。学ぶ目的、年代が低いほど「研究」、高いほど「臨床」を重視 「Q2. 医療業務やキャリアアップに関わるもので、英語を学ぶ目的は?(当てはまるものを3つ選択)」の設問では9つの選択肢を設け、多い順に「医学論文を投稿するため」(39%)、僅差で「外国人患者を診療するため」(39%)、続いて「英語の学会発表を聴くため」(31%)、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」(26%)、「英語で学会発表を行うため」(26%)であった。 学ぶ目的については、年代別で傾向が分かれた。目的別で最も多い年代は、「医学論文を投稿するため」は20代、「英語で学会発表を行うため」は30代、「外国人患者を診療するため」は60代、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」は50代となり、年代が低いほど研究に関わる目的の割合が高く、年齢が高いほど臨床に関わる目的が高くなった。最も時間とコストをかけているのは30代 「Q3. 現在行っている英語学習法は?(当てはまるものすべて選択)」では、選択肢を12個設け、多い順に「英語論文を読む」(47%)、「YouTube、Podcast」(21%)、「勤務先の抄読会」(14%)、「市販のテキストやラジオ」(13%)、「英語のドラマや映画、小説」(12%)、「英語学習アプリ」(10%)となった。30代と40代では、「YouTube、Podcast」、「英語学習アプリ」の割合が多く、60代以上では、「市販のテキストやラジオ」、「英語の映画やドラマ、小説」が多かった。 「Q4. 英語学習に月間かける費用は?」の設問では、費用をかけていない人の割合が71%と大半を占め、次いで「1円以上、5,000円未満」が20%であった。「Q5. 英語を学習する頻度は?」の設問では、学習する習慣のある人が60%であった。学習の頻度は、多い順に「週に1日」(26%)、「週に2、3日」(15%)、「毎日」(10%)、「週に4~6日」(9%)であった。30代が英語学習に費用をかけている割合が最も多く(33%)、学習する習慣のある人も最も多かった(67%)。おすすめの英語学習法 Q6では、自由回答として、おすすめの英語学習法やサービス名、そのほか英語学習に関する意見を聞いた。回答者から寄せられた意見、おすすめの学習法、英語系YouTubeチャンネル、語学学習アプリなどは以下のとおり。【YouTube】・あいうえおフォニックスは発音や英語表現を簡単にテンポよく解説してくれる。(総合診療科・30代)・英語学習系YouTuberのタロサック。(総合診療科・30代)・もりてつという塾講師のYouTubeが参考になる。(総合診療科・40代)・フレンズ英会話はおすすめです。(腫瘍科・50代)・Kevin's Englishは楽しいです。(産婦人科・60代)【アプリ・オンラインツール】・ChatGPTは活用している。(小児科・40代)・スピーク、ELSA、mikanというアプリがおすすめ。(放射線科・20代)・スタディサプリ。(消化器内科・30代)・NHKの語学講座アプリ。無料で複数回復習ができる。(小児科・40代)・Duolingo。(皮膚科・40代)・HiNative(ネイティブにチャットで質問できるアプリ)。(呼吸器内科・40代)・DMM英会話で毎日外国の人と話し、振り返りをしている。あとはアプリで単語を覚えたり、発音の練習などしている。(循環器内科・30代)【ニュース】・ワシントンポストやニューヨークタイムズの動画ニュースを聞く。(小児科・40代)・CNN English Express。(消化器外科・50代)・BBCのPodcast。(腎臓内科・30代)【論文・学会】・ひたすら論文を書いています。(総合診療科・30代)・英文抄録を読む。(内科・60代)・好きなジャンルの講演を聴く。(血液内科・40代)・NEJMやJAMAのPodcast。(循環器内科・60代)【その他、独自の工夫】・IELTSを受けている。(臨床研修医・20代)・駅で電車を待っている間や、外を歩いているときに英語で独り言を呟いてみる。(消化器内科・40代)・歌詞を覚えて歌う。(消化器外科・50代)・子供用アニメは英語がそれほど難しくなくとっつきやすい。(泌尿器科・50代)・医療系の英語ドラマで、英語の字幕を見ながら英語で聞いて、言葉を復唱する。海外留学の経験からも、これが一番の勉強法だと思います。(内科・50代)【英語が使えてよかったこと】・突然海外からの患者が来た時に、対応できるので信頼度が上がる。(小児科・20代)・英語論文を書く時間がかからない。(整形外科・30代)・外資系の産業医活動ができた。海外出張に参加できた。(精神科・50代)・日々の絶え間ない学習が有効とわかったのが良かった。(その他・60代)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師の英語学習、おすすめの学習ツールは?/医師1,000人アンケート

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高血圧に対するアルドステロン合成酵素阻害薬Lorundrostatの効果(解説:石川讓治氏)

 アルドステロンが高血圧性臓器障害に影響を与えていると考えられており、いくつかのミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が、現在、臨床で使用可能である。lorundrostatはアルドステロン合成阻害をする降圧薬として開発されている。本研究において、2剤以上の降圧薬を用いても目標血圧レベルに達していない高血圧患者に対して、アルドステロン合成阻害薬lorundrostatを投与し、その投与量、投与回数による降圧度および安全性を比較している。研究1では血漿レニン活性が低い患者、研究2では高い患者を選択して投与し、いずれの投与方法においてもlorundrostatはプラセボと比較して有意に血圧を低下させ、高カリウム血症は6例に認められたのみであった。 ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は治療抵抗性高血圧に使用されることが多く、治療抵抗性高血圧は、サイアザイド系利尿薬を含む3剤以上の降圧薬でも目標血圧に達しない高血圧と定義されている。本研究の対象には、3剤以上の降圧薬の内服者も含まれているが、サイアザイド系利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)もしくはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の内服者の割合に各群間でばらつきが認められた。今後は、lorundrostatにおける(1)治療抵抗性高血圧に対する効果、(2)ACEIやARBに対する相加効果、(3)サイアザイド系利尿薬との降圧効果の比較、(4)ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬との比較など、今後、われわれが実臨床で使用していくためのデータの積み重ねが必要であると思われた。

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睡眠の質を高めるため、多くの医師がしていることは?/1,000人アンケート

 2024年4月から医師の働き方改革の新制度がスタートするが、長時間労働に端を発する医師の過労問題は改善されていないのが現状である。そのような中、睡眠は健康管理の重要カテゴリーとして医学界を筆頭にさまざまな業界で注目されているが、長時間労働者の象徴とも言える医師は果たして睡眠時間を確保できているのだろうか―。そこで、ケアネットでは多忙を極める医師の睡眠時間の実態を調査するために「睡眠状況、睡眠への意識について」のアンケートを実施。回答結果を診療科別、年代別、病床数別に抽出した。平均睡眠時間/睡眠の質に満足、全体の48% 今回は平均睡眠時間(当直時を除く)や睡眠に対する満足度、気になっていることについてそれぞれ質問した。平均睡眠時間や睡眠の質に満足していると回答した割合が半数以上であった診療科は全9科(血液内科、皮膚科、泌尿器科、精神科/心療内科、神経内科、腎臓内科、総合診療科、耳鼻咽喉科、内科)であった。一方、満足している回答者が少なかったのは、眼科(25%)、産婦人科(30%)、放射線科(31%)と続き、臨床研修医(37%)も満足できていない実態が明らかになった。また、年代別の満足度を見ると70代以上(59%)、40代(50%)、60代(49%)と続いた。1日の平均睡眠時間、6時間が最多 経済協力開発機構(OECD)が33ヵ国を対象に行った「1日の睡眠時間(睡眠に充てる時間)」に関する調査によると、日本人の睡眠時間は7時間22分と33ヵ国平均(8時間28分)と比較しても1時間以上短い。さらに「スタンフォード式 最高の睡眠」の著者である株式会社プレインスリープ創業者/最高研究顧問の西野 精治氏らが調査した日本人の平均睡眠時間は6時間43分と報告されている。これらを参考に、ここでは「睡眠時間5時間以下を睡眠時間が短い」と定義すると、本アンケート全体では4人に1人が睡眠不足であり、血液内科、総合診療科、麻酔科、小児科などが該当した。ただし、血液内科においては睡眠時間が短くても現状に満足していると回答している人が多く、睡眠時間が長い=満足、につながるわけではないことも言えるのではないだろうか。ちなみに、こちらも年代で見てみると、睡眠への満足度が高かった70代の3割超は5時間睡眠であった。医師が睡眠時に気になっていること 続いて「医師自身が睡眠時において気にしていること」を尋ねたところ、回答者の2/3が睡眠中の悩みを抱えており、最も多かったのは中途覚醒で、50代以上の回答が多かった。そのほか、いびき、入眠障害も年齢層問わず悩みの種として挙げられた。睡眠の質向上のため、マットレスや枕にこだわる 今回のアンケートでは医師が睡眠のためにこだわっている物事、活用している物も聞いてみた。その結果、枕と回答した人が最も多く(397人)、オススメ商品として「テンピュール」「じぶんまくら」を多数が挙げていた。次にマットレス/布団(317人)と回答した人が多く、「エアウィーヴ」「コアラマットレス」「シモンズ」などが選ばれていた。また、睡眠のために、「ヤクルト1000」などの乳酸菌飲料やサプリメントの摂取、就寝時間や食事時間など時間管理を挙げる人も多かった。 なお、厚生労働省は今年3月、睡眠について気になっているけれど対処法がわからずに悩んでいる人、肥満、高血圧、糖尿病などの疾患がある人を含む幅広い人を対象に作成された『良い目覚めは良い眠りから知っているようで知らない睡眠のこと』というパンフレットとともにその解説書を公開しており、患者への生活指導のみならず医師にも役立つツールなので、ぜひ参考にされたい。 このほか、医師の睡眠実態の詳細ほか、以下のアンケ―ト結果では医師が個人の見解でオススメする寝具、意識して取り入れている物の一覧も公開している。『医師の平均睡眠時間、睡眠への満足度は?』<アンケート概要>目的:睡眠が健康管理の重要なカテゴリーとして注目されていることから、多忙な医師の睡眠状況、睡眠に対する意識を調査した。対象:ケアネット会員医師 1,000人調査日:2023年8月24日方法:インターネット

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飲酒時のウコンの効果は?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第240回

飲酒時のウコンの効果は? Unsplashより使用コロナ禍も落ち着き、飲み会が増えてきたかもしれません。学会でも懇親会が催されることが増えました。さて、久しぶりにアルコールを飲むと「大丈夫だろうか」と健康が気になるところです。医学的にエビデンスがあるのかないのかよくわからないけど、ウコンを飲んでいるという人もいるかもしれません。Zhao HL, et al.Negative effects of curcumin on liver injury induced by alcohol.Phytother Res. 2012 Dec;26(12):1857-1863.この研究は、クルクミンがアルコールを摂取したマウスの肝臓にどのような影響を与えるか調べたものです。クルクミンは、ウコンに含まれるポリフェノールの一種で、これが肝臓によいとされています。マウスに対してクルクミンとエタノール(アルコール)を注射し、肝臓の組織を顕微鏡で観察したところ、クルクミンがエタノールによる肝障害を保護するどころか、むしろ悪化させている可能性が指摘されました。あれ? 真逆の結果です。ウコンはCMで放送されるくらいですから、その効果を支持する報告はもちろんたくさんあります。飲酒前のウコンの有効性を検証した研究では、クルクミンを摂取した場合にアセトアルデヒド濃度の上昇が抑制され、もともとγ-GTPが高い人に対しても肝臓の逸脱酵素の数値を改善させる効果があると報告されています1)。相反する結果もありますから、もしかすると、ヒトを1,000人ずつくらい集めてウコンの効果を比較しても、統計学的な差を生むほどの効果はないのかもしれません。何かしらのサプリメントでアルコール性肝障害を予防するくらいなら、飲み会の席で、目の前にある1杯のアルコールを減らしたほうが効果的かもしれません。まあ、それを言ってしまうとこの話はおしまいなのですが。世の中に「効果がある」と謳われている健康食品の多くは、大規模な臨床試験を行われていないことが問題で、日常的に密接に関わるものなので、もう少し検討してほしいなあと思っています。マウスに対する10の効果がヒトに対しても10であると捉えられていて、1つ1つの事象が飛躍の積み重ねになっている健康食品もあります。1)Shimatsu A, et al. Clinical application of “Curcumin”, a multi-functional substance. Anti-Aging Med. 2012;9:75-83.

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第174回 アルツハイマー病治療に役立ちうる変異タウ除去タンパク質TRIM11を同定

アルツハイマー病治療に役立ちうる変異タウ除去タンパク質TRIM11を同定微小管結合タンパク質タウを含有する細胞内の繊維状の塊を特徴とするアルツハイマー病やそのほか20を超える認知症や運動疾患はひっくるめてタウ病と呼ばれます。ゆらゆら浮かぶ独り身の単量体タウが繊維状の塊を形成する仕組みはこれまで謎でした。その謎を解き明かすべく、「TRIM」というタンパク質ひとそろいとタウ病のつながりが調べられました。TRIMは多すぎたり傷んだりして邪魔なタンパク質の除去、タンパク質の折り畳みの逸脱や凝集の予防、すでに凝集してしまったタンパク質の解散にどうやら携わることが知られています。70を超えるヒトのTRIMの解析のかいがあり、病気と関連するタウ変異体の凝集を阻止する3種類のTRIMが突き止められました1)。それら3種類の1つであるTRIM11の変異タウ除去作用はとりわけ強力でした。死後脳組織を調べた結果、アルツハイマー病患者23例のTRIM11はそうでない対照群14例に比べてだいぶ減っていました。ほかの2つのTRIM(TRIM10とTRIM55)はアルツハイマー病患者群と対照群の死後脳で大差ありませんでした。そうであるならTRIM11を増やすことでアルツハイマー病やそのほかのタウ病を治療できるかもしれません。どうやらその可能性はあるようで、タウ病を模したマウスにTRIM1遺伝子を導入して脳でのその発現を増やしたところタウ病変や神経炎症が抑制され、認知機能や身のこなしが改善しました。TRIM11の特徴からしてその発現を経口摂取可能な低分子薬で底上げすることは可能なようです。TRIM11が乏しくなることはタウ病に一枚かんでいるようであり、低分子薬などでのTRIM11発現回復は効果的な治療手段となりうると著者は言っています2)。筋肉増強サプリメントでアルツハイマー病治療TRIM11の発現を増やす経口薬の実現はまだまだ時間がかかりそうですが、筋肉美を追求するボディビルダーが筋肉増強のために常用することで知られる経口サプリメントにアルツハイマー病治療効果があるかもしれません。β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)は運動で筋肉量を増やしたり筋力を高めるのを助けたり運動能力を改善するためにボディビルダーや運動選手(アスリート)が常用するサプリメントとして知られています。HMBはおよそ無害で、たとえ長期間服用しても副作用もありません。Cellの姉妹誌Cell Reportsに今月中頃に発表された細胞やマウスでの研究の結果、HMBは脂肪酸代謝に寄与する核内受容体PPARαを活性化することで脳の海馬の機能を向上するとわかりました3)。また、HMBは脳のアミロイド病変を減らし、アルツハイマー病マウスの記憶や学習を改善しました。PPARαを欠如している海馬神経やマウスではHMBの有益効果は認められず、HMBはPPARαを介した仕組みで神経保護作用をもたらすようです。HMB補給をボディビルダーやアスリートだけのものとするのはもったいない話かもしれません。HMBはアルツハイマー病患者の記憶を守り、病気の進行を食い止める最も安全で手軽な手段となりうると研究者は言っています4)。参考1)Zhang ZY, et al. Science. 2023;381:eadd6696.2)Tau-regulating protein identified as a promising target for developing Alzheimer’s disease treatment / Eurekalert3)Paidi RK, et al. Cell Rep. 2023;42:112717.4)Bodybuilding supplement may help stave off Alzheimer’s / Eurekalert

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紫外線量と双極性障害リスクとの関係

 太陽光には、皮膚でのビタミンD生成を促す紫外線B(UVB)が含まれている。ビタミンDは、発育中から成人の脳機能にさまざまな影響を及ぼしている。しかし、多くの人々は、冬期にビタミンD生成を行ううえで十分なUVBを受けられない地域(北緯または南緯約40度以上)で生活を行っている。ドイツ・ドレスデン工科大学のMichael Bauer氏らは、世界の大規模サンプルを用いて、双極性障害の発症年齢とビタミンD生成に十分なUVBの閾値との関連性を調査した。その結果、UVBおよびビタミンDは、双極性障害発症に重大な影響を及ぼす可能性が示唆された。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年6月22日号の報告。 北半球または南半球の41ヵ国75の収集サイトより、双極I型障害患者6,972例のデータを収集した。ビタミンD生成に十分なUVBの閾値と発症年齢との関係を評価した(閾値を1ヵ月以上下回る場合、気分障害の家族歴、出生コホートを含む)。すべての係数は、p≦0.001で推定した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、70ヵ国582の地域で双極性障害を発症していた(平均発症年齢:25.6歳)。・ビタミンD生成に十分なUVBの閾値を1ヵ月以上下回っていた患者の割合は、34.0%であった。・UVBの閾値を1ヵ月以上下回っている地域の双極性障害患者は、発症年齢が1.66歳若かった。・本研究の限界として、患者のビタミンDレベル 、ライフスタイル、サプリメント使用に関するデータが欠如していた点が挙げられる。・双極性障害におけるUVBとビタミンDの影響については、さらなる研究が求められる。

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オメガ3脂肪酸で心房細動リスクは増加する?しない?/JACC

 オメガ3脂肪酸の摂取が心房細動発症リスクを高めることを示唆する研究報告があるが、依然として議論の余地がある。今回、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのFrank Qian氏らが、世界的コンソーシアムにおける17の前向きコホート研究のデータを用いて、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の血中あるいは脂肪組織レベルと心房細動発症との関連を解析した結果、オメガ3脂肪酸の生体内レベルは心房細動発症リスクの増加に関連していなかった。本結果から、食事による習慣的なオメガ3脂肪酸の摂取は、心房細動発症リスクに関しては安全であることが示唆された。Journal of the American College of Cardiology誌2023年7月25日号に掲載。オメガ3脂肪酸と心房細動に関するベースラインデータを有する研究を解析 本研究では、血中または脂肪組織のオメガ3脂肪酸レベルと心房細動に関するベースラインデータを有する、世界的コンソーシアムの17の前向きコホート研究の参加者レベルのデータを用いた。各研究について、曝露、アウトカム、共変量、サブグループの定義を統一し、事前に規定された解析計画を用いてde novo解析を行った。 オメガ3脂肪酸レベルと心房細動リスクの関連を解析した主な結果は以下のとおり。・17コホートには北米、欧州、アジア、アフリカの 21ヵ国の5万4,799人が参加し、追跡期間中央値13.3年で7,720例の心房細動の発症が確認された。・多変量解析では、EPA値は心房細動の発症とは関連せず、五分位範囲でのハザード比(HR)は1.00(95%信頼区間[CI]:0.95~1.05)であった。・DPA、DHA、EPA+DHAのレベルが高い場合のHRは、それぞれ0.89(95%CI:0.83~0.95)、0.90(同:0.85~0.96)、0.93(同:0.87~0.99)で、心房細動リスクの低下と有意に関連していた。 今回の結果から、著者らは「心血管疾患患者や心血管疾患リスクが高い人々におけるサプリメントによる高用量のオメガ3脂肪酸摂取が、食事による習慣的な低用量のオメガ3脂肪酸摂取に必ずしも一般化できるわけではないことを示唆している」と結論している。

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