サイト内検索|page:3

検索結果 合計:400件 表示位置:41 - 60

41.

HFpEF/HFmrEFに、フィネレノンが有効/NEJM

 左室駆出率が軽度低下の心不全(HFmrEF)または保たれた心不全(HFpEF)患者の治療において、プラセボと比較して非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンは、総心不全増悪イベントと心血管系の原因による死亡の複合アウトカムの発生を有意に抑制し、高カリウム血症のリスクが高いものの低カリウム血症のリスクは低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のScott D. Solomon氏らFINEARTS-HF Committees and Investigatorsが実施した「FINEARTS-HF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号に掲載された。国際的な無作為化イベント主導型試験 FINEARTS-HF試験は、日本を含む37ヵ国654施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照イベント主導型試験であり、2020年9月~2023年1月に参加者のスクリーニングを行った(Bayerの助成を受けた)。 年齢40歳以上、症状を伴う心不全で、左室駆出率が40%以上の患者6,001例を登録した。通常治療に加え、フィネレノン(ベースラインの推算糸球体濾過量に応じて最大用量20mgまたは40mg、1日1回)を投与する群に3,003例(平均[±SD]年齢71.9[±9.6]歳、女性45.1%)、プラセボ群に2,998例(72.0[±9.7]歳、45.9%)を無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、総心不全増悪イベント(心不全による予期せぬ初回または再入院、あるいは緊急受診と定義)と心血管系の原因による死亡の複合とした。総心不全増悪イベント数も有意に少ない ベースラインにおける全体の平均(±SD)左室駆出率は53(±8)%で、69.1%がNYHA心機能分類クラスIIであった。84.9%がβ遮断薬、35.9%がACE阻害薬、35.0%がARB、8.5%がARNI、13.6%がSGLT2阻害薬の投与を受けていた。 追跡期間中央値32ヵ月の時点で、主要アウトカムのイベントは、フィネレノン群で3,003例中624例に1,083件、プラセボ群で2,998例中719例に1,283件発生し、率比は0.84(95%信頼区間[CI]:0.74~0.95)とフィネレノン群で有意に良好であった(p=0.007)。 心不全増悪イベントの総数は、フィネレノン群が842件、プラセボ群は1,024件であり、率比は0.82(95%CI:0.71~0.94)とフィネレノン群で有意に少なかった(p=0.006)。また、心血管系の原因で死亡した患者の割合は、フィネレノン群8.1%、プラセボ群8.7%であった(ハザード比[HR]:0.93、95%CI:0.78~1.11)。0.5%で入院に至った高カリウム血症が発現 重篤な有害事象はフィネレノン群で1,157例(38.7%)、プラセボ群で1,213例(40.5%)に発現した。また、死亡に至った高カリウム血症のエピソードはなく、入院に至った高カリウム血症はフィネレノン群で16例(0.5%)、プラセボ群で6例(0.2%)であった。低カリウム血症は、プラセボ群に比べフィネレノン群で少なかった。 6ヵ月時の平均収縮期血圧は、プラセボ群に比べフィネレノン群で低かったが(群間差:-3.4mmHg、95%CI:-4.2~-2.6)、1ヵ月時の血圧の変化で補正しても、主要アウトカムに関して観察された治療効果は減弱しなかった。 著者は、「フィネレノンは、患者報告による健康状態(カンザスシティ心筋症質問票[KCCQ]総症状スコア)の改善に関して中等度の有益性をもたらしたが、NYHA心機能分類クラスや腎複合アウトカムのリスクを改善しなかった」とし、「ベースラインでSGLT2阻害薬(この患者集団においてガイドラインで強く推奨されている唯一の治療薬)を使用していた患者の主要アウトカムの結果が、使用していなかった患者と同程度であったことは重要である」としている。

42.

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、HFmrEFとHFpEFにおける有効性は?/Lancet

 左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者ではステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)により、左室駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)または左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)患者では非ステロイド型MRAにより、心血管死または心不全による入院のリスクが減少することを、英国・グラスゴー大学のPardeep S. Jhund氏らが4つの大規模臨床試験、「RALES試験」「EMPHASIS-HF試験」「TOPCAT試験」「FINEARTS-HF試験」のメタ解析の結果、報告した。MRAはHFrEF患者の入院および死亡を減少させるが、HFmrEFまたはHFpEF患者におけるベネフィットは不明であった。Lancet誌オンライン版2024年9月1日号掲載の報告。4件の大規模臨床試験、約1万4,000例の個人データをメタ解析 研究グループは、左室駆出率(LVEF)35%以下のHFrEF患者を対象としたRALES試験(スピロノラクトン)およびEMPHASIS-HF試験(エプレレノン)(以下、HFrEF試験)、ならびにHFmrEFまたはHFpEF患者を対象としたTOPCAT試験(LVEF45%以上、スピロノラクトン)およびFINEARTS-HF試験(LVEF40%以上、フィネレノン)(以下、HFmrEF/HFpEF試験)のデータを統合し、計1万3,846例の個別患者レベルのメタ解析を実施した。 主要アウトカムは、心不全による初回入院または心血管死までの期間の複合、副次アウトカムは、心不全による初回入院までの期間、心不全による全入院(初回または再入院)、心不全による全入院と心血管死、心血管死、全死因死亡についてMRAの効果を推定した。血清クレアチニン、推定糸球体濾過率、血清カリウム、収縮期血圧などの安全性も評価した。統計解析では、試験と治療の相互作用を検証し、これらの集団における有効性の異質性を検討した。ステロイド型MRAはHFrEF、非ステロイド型MRAはHFmrEFまたはHFpEFで有効 全体としてプラセボ群に対するMRA群の、心不全による初回入院または心血管死に関するハザード比(HR)は0.77(95%信頼区間[CI]:0.72~0.83)であった。しかし、試験と治療効果との間に統計学的に有意な交互作用が認められ(交互作用のp=0.0012)、MRA群の有効性は、HFmrEF/HFpEF試験(0.87、0.79~0.95)と比較してHFrEF試験(HR:0.66、95%CI:0.59~0.73)で、より大きかった。 試験間の治療効果の異質性は、心不全による全入院(心血管死の有無にかかわらず)、心血管死、および全死因死亡においても同様に認められた。心不全による初回入院に関するMRA群のHRは、HFrEF試験では0.63(95%CI:0.55~0.72)、HFmrEF/HFpEF試験では0.82(0.74~0.91)であった(交互作用のp=0.022)。心不全による全入院についても同様の結果であった。 心血管死についてMRA群の有効性は、HFrEF試験では低かったが(HR:0.72、95%CI:0.63~0.82)、HFmrEF/HFpEF試験では低下はみられなかった(0.92、0.80~1.05)。全死因死亡についても同様で、プラセボ群に対するMRA群のHRは、HFrEF試験が0.73(95%CI:0.65~0.83)に対し、HFmrEF/HFpEF試験は0.94(95%CI:0.85~1.03)であった。 安全性に関しては、すべての試験でプラセボ群と比較してMRA群で中等度(>5.5mmol/L)または重度(>6.0mmol/L)の高カリウム血症のリスクが倍増したが(オッズ比[OR]:2.27、95%CI:2.02~2.56)、重度高カリウム血症の絶対リスク(発現割合)は低く、MRA群で約2.9%、プラセボ群で約1.4%であった。一方、低カリウム血症(<3.5mmol/L)のリスクは、すべての試験でMRA群(7%)がプラセボ群(14%)と比較して半減した(OR:0.51、95%CI:0.45~0.57)。

43.

心筋梗塞既往の糖尿病患者へのキレーション療法、有効性は?/JAMA

 50歳以上の心筋梗塞既往の糖尿病患者において、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)キレーション療法はプラセボと比較し、血中鉛濃度が有意に低下したが、心血管イベントは減少しなかった。米国・マウントサイナイ医療センターのGervasio A. Lamas氏らが、米国とカナダの88施設で実施した「Trial to Assess Chelation Therapy 2:TACT2試験」の結果を報告した。2013年には、心筋梗塞既往患者1,708例を対象とした「TACT試験」で、EDTAキレーション療法により心血管イベントが18%有意に減少したことが報告されていた。JAMA誌オンライン版2024年8月14日号掲載の報告。主要エンドポイントは全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、不安定狭心症による入院の複合 研究グループは、登録の少なくとも6週間前に心筋梗塞の既往がある50歳以上の糖尿病患者を、2×2要因デザイン法を用いて、EDTAキレーション療法群とプラセボ点滴静注群(いずれも週1回3時間の点滴静注を計40回)、または高用量マルチビタミン・ミネラル経口投与群とプラセボ経口投与群(1日2回60ヵ月間経口投与)に無作為に割り付けた。本論文ではキレーション療法群とプラセボ点滴静注群の比較について報告されている。 EDTAキレーション溶液は、推定クレアチニンクリアランスに基づきEDTA-二ナトリウム最大3g、ならびにアスコルビン酸、塩化マグネシウム、プロカイン塩酸塩、未分画ヘパリン、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、パントテン酸、チアミン、ピリドキシンおよび注射用水で構成された。 主要エンドポイントは、全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、不安定狭心症による入院の複合であった。 2016年10月27日~2021年12月31日に、1,000例がキレーション療法群(499例)またはプラセボ群(501例)に無作為に割り付けられた。最終追跡調査日は2023年6月30日であった。追跡期間4年の主要エンドポイント発生、キレーション療法群35.6% vs.プラセボ群35.7% 解析対象は、少なくとも1回試験薬の投与を受けた959例(キレーション療法群483例、プラセボ群476例)で、年齢中央値67歳(四分位範囲:60~72)、女性27%、白人78%、黒人10%、ヒスパニック20%であった。 追跡期間中央値48ヵ月において、主要エンドポイントはキレーション療法群で172例(35.6%)、プラセボ群で170例(35.7%)に発生した(補正後ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.76~1.16、p=0.53)。Kaplan-Meier法による主要エンドポイントの推定5年累積発生率は、キレーション療法群45.8%(95%CI:39.9~51.5)、プラセボ群46.5%(39.7~53.0)であった。 主要エンドポイントの各イベントの発生率も治療群間で差はなかった。心血管死、心筋梗塞または脳卒中のイベントはキレーション療法群で89例(18.4%)、プラセボ群で94例(19.7%)に認められた(補正後HR:0.89、95%CI:0.66~1.19)。全死因死亡は、キレーション療法群で84例(17.4%)、プラセボ群で84例(17.6%)であった(0.96、0.71~1.30)。 血中鉛濃度中央値は、キレーション療法群ではベースラインの9.0μg/Lから、40回が終了した時点で3.5μg/Lに低下し(p<0.001)、プラセボ群ではそれぞれ9.3μg/L、8.7μg/Lであった。 重篤な有害事象は、キレーション療法群で81例(16.8%)、プラセボ群で79例(16.6%)にみられた。

44.

糖類控えめの食生活は生物学的年齢の若さと関連

 添加糖類の摂取は老化を早める可能性があると、新たな研究が警告している。この研究では、食生活が健康的でも、添加糖類の摂取が1g増加するごとに生物学的年齢が上昇する可能性がある一方で、ビタミンやミネラル、抗酸化物質、抗炎症作用のある栄養素が豊富な食事は、生物学的年齢の若さと関連することが示されたという。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)精神医学・行動科学分野教授のElissa Epel氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に7月29日掲載された。 この研究では、National Heart, Lung, and Blood Institute Growth and Health Study (NGHS)への参加女性342人(黒人と白人がそれぞれ171人、平均年齢39.2歳)を対象に、食事パターンとエピジェネティック年齢(細胞や組織、臓器などの生物学的年齢)との関連が検討された。NGHSは研究開始時に9〜10歳だった白人または黒人の女児を登録して1987〜1999年にかけて心代謝の健康とその関連因子を調査した研究で、2015〜2019年に追跡調査が行われていた。 Epel氏らは、対象者の食事摂取記録から栄養と食品の平均摂取量を計算し、全体的な食事の質を評価した。この評価には、既存の代替地中海食(Alternate Mediterranean Diet;aMED)スコア、代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index;AHEI)とともに、研究グループが考案したエピジェネティック栄養指数(ENI)が用いられた。さらに、3日間の食事摂取記録から添加糖類の平均摂取量を、唾液のDNAメチル化プロファイルから第二世代のエピジェネティック時計の指標とされるGrimAge2を算出した。 対象者は、1日平均61.5gの添加糖類を摂取していたが、範囲は2.7gから316.5gと個人差が大きかった。解析の結果、aMEDスコア、AHEI、ENIが高いほどGrimAge2が低くなり、特にaMEDスコアとGrimAge2の関連は強いことが明らかになった。地中海食は、一般的に新鮮な野菜と果物、ナッツ類、豆類、全粒穀物、主な脂肪源としてのオリーブオイルを重点的に摂取する一方で、魚介類、赤肉、加工食品、砂糖を多く使った菓子の摂取を制限する。一方、添加糖類の摂取量が増えるほどGrimAge2も高くなり、添加糖類の摂取量が1g増加するごとにGrimAge2は0.02増加する可能性が示唆された。 Epel氏は、「食事因子の中でも添加糖類を大量に摂取すると代謝の健康が損なわれ、疾患の早期発症につながることが明らかにされている。今回の研究により、添加糖類と疾患発症との関連の背景にはエピジェネティック年齢の加速が関係していることが示された。過剰な添加糖類の摂取は、健康的な長寿を妨げる多くの要因の一つである可能性がある」と話している。 論文の上席著者である、米カリフォルニア大学バークレー校食品・栄養・集団健康学教授のBarbara Laraia氏は、「エピジェネティックな変化は可逆的であるように見えることを考えると、長期にわたって継続的に添加糖類を1日10g控えることは、エピジェネティック時計を2.4カ月戻すことに近いのかもしれない」と言う。同氏はさらに、「重要な栄養素を多く含み、添加糖類の少ない食品に焦点を置く食事法は、長生きを目指して体に良い食生活を心がけようとする人の意欲を高める新たな方法になる可能性がある」と付け加えている。 一方、論文の筆頭著者であるUCSF、Osher Center for Integrative HealthのDorothy Chiu氏は、「われわれが調査した食事内容は、疾病予防と健康増進のための既存の推奨内容と一致しており、特に、抗酸化作用と抗炎症作用のある栄養素の効力が強調されている。ライフスタイル医学の立場から言えば、これらの勧告に従うことで、暦年齢に比べて生物学的年齢が若くなる可能性があるということは、心強いことだ」と述べている。

45.

第225回 令和のカネミ油症事件、小林製薬に創業家を斬る覚悟はあるのか?

紅麹サプリでの健康被害が報告された小林製薬が4ヵ月ぶりに開催した記者会見。会見で明らかにされた8月4日時点での健康被害状況は、死亡に関連して詳細調査対象となった事例が107件。その内訳は調査完了21件、調査継続中が32件、詳細調査の同意取得ができないなどで調査困難なケースが54件。そのほかに入院が467件、検査入院を含む通院が1,819件。今回も前回に続き、小林製薬の記者会見での質疑応答から感じたことをお伝えしたい。あの事件を彷彿とさせる健康被害会見の質疑では、調査完了21件について「(サプリ摂取との)関係性があり/なしのどちらとも言えないというレベルのものも含まれる」(同社執行役員/信頼性保証本部本部長・渡邊 純氏)とのことだった。これらがすべて小林製薬の紅麹サプリが原因と仮定した場合、製造過程での過失を原因とした食品健康被害事件としては、1968年に発覚したPCB(ポリ塩化ビフェニル)が混入した米ぬか油による健康被害「カネミ油症事件」(2024年3月末の累計認定患者2,377人)に匹敵する事案となる。会見で同社は健康被害を訴えた消費者に対しては、医師の診断書内容などを総合的に勘案し、相応の因果関係が認められれば、医療費・交通費、慰謝料、休業補償、後遺障害による逸失利益も含めて補償する方針を説明した。摂取により死亡が疑われる事例に関しては別途対応するという。すでに原因究明は厚生労働省と国立医薬品食品衛生研究所に委ねられているため、補償認定をどのように行うかも会見で質問が出たが、「最後の判断は当社でやっていく。社内の薬剤師も含めて会議体を設定し、医師、弁護士など知見に富んだ外部有識者の監修による(判定)基準を策定している。ただ、それでも判断が難しい部分もあり、CROを通じた主治医の詳細調査、その結果に対する(監修)医師の解釈も踏まえ、間違いないかの判断を突き詰めてやっていきたい」(同社執行役員/補償対応本部本部長・佐藤 圭氏)とのことだ。会見は同社側の説明が39分超、そこから会場、オンラインそれぞれからの参加記者との質疑に入った。前回書いたように、開始前に広報・IR部の担当者から「1人2問まで」との情報を得ていたので、私の中で優先順位が高いと考えた2問に絞り込み、質問の挙手を続けた。私が指名されたのは質疑開始から41分過ぎ、最初の質問者から8番目だった。私が用意した質問は、以前、本連載でも触れた同社の事実検証委員会報告書で感じた疑問だった。質疑応答その1:調査の遅さ、所轄官庁への相談の有無【村上】健康被害の公表と製品回収の基準について、社内でいろいろ検討されて特定保健用食品の基準を援用されたようですが、規制の多いヘルスケア業界では、判断が悩ましい場合は所轄官庁に問い合わせるのが一般的だと思います。今回の件で事前の所轄官庁への問い合わせの有無、あった場合はどのような回答を得ていたのか、ない場合はなぜ問い合わせなかったのかを教えていただきたいと思います。【渡辺】監督官庁の方へのご相談はこの時に行っておりません。今思えばですが、われわれの中で自ら考え、こういった方向性で考えられるというか、物事を捉えることができるんじゃないかと少し内向き、自分たちで解決しようとする意識が強すぎたと反省しております。今であれば監督官庁にご相談に行き、前向きにやることが必要であると理解しております。【村上】事実検証委員会の調査報告書を見ると、2月5日に信頼性保証本部で健康被害の原因についてシトリニン説、モナコリンK説、コンタミネーション説の3つを検証する方針を決定していますが、原因特定、3つの仮説の絞り込みのためには症例を報告した医師からのヒアリングが非常に重要だと思われます。しかし、御社では医師に連絡を取ったのは2月5日のかなり後で、わざわざ御社から月末の面談候補日を医師に提示しています。これがなぜだったのかをお伺いしたいんですが。【渡辺】確かにおっしゃる通りで、それぞれの患者様に起こっていることは、その主治医が一番わかっておりますので、速やかにその情報を取ることが必要であったと今は感じております。この時は、その点が十分に速やかにできていなかったことは現在、反省するところでございます。面談候補日をわざわざ月末に設定した件は、準備に一定の時間がかかったためと私は理解していますが、細かな理由は、今、確認が取れておりません。この回答を得ても私が前述の事実検証委員会に関する記事を執筆した時に書いた「過度な悪意はない危機感の欠如」との印象は変わらないどころか、むしろ確信に近いものにすら感じた。質疑応答その2:青カビに対する問題意識について小林製薬が公表した事実検証委員会の調査報告書の中で、多くの人が驚いたであろうと思われるのが、紅麹原料の培養タンクの蓋内側に青カビが付着していたことを確認した同社旧大阪工場の現場担当者が、その事実を品質管理担当者に伝えたところ「青カビはある程度は混じることがある」旨を告げられたという点だ。この点についての直接的な質疑応答は2回あった。【記者】現場が青カビを認識していながら問題視しなかったという証言は、いつ頃のことだったのでしょうか?【山下】大変申し訳ございませんが、本日時点ではいつのことであったかという詳細はまだ判明しておりませんので、お答えできない状況でございます。【記者】青カビの件ですが、健康被害の訴えがあってから事実を公表した3月22日まで製造現場を積極的に調べていれば、もっと早くわかった可能性もあると思いますが。【山下】初期段階の原因究明でシトリニン、モナコリンK、コンタミネーションを疑いましたが、その時点で製造記録や品質管理担当者への確認の結果、過去と大きな変化はなかったという事実だけを受け止め、そこを信じてしまったことが問題だったと考えております。青カビの件の質問がこれだけに留まった背景には会見の時間制限に加え、記者側も呆れを通り越しているのではと思われた。創業家を排除する覚悟があるような、ないようなそして今回、最も質問が多かったのが、今後の経営体制と創業家である小林家との関係だった。今回の記者向け配布資料の中で私が一番驚いたのは「経営体制の抜本的改革」との項目で「同質性の排除」と明記していた点だ。小林製薬が同族企業である以上、同質性の排除とは率直に読めば、創業家中心の雰囲気を打破するということになる。しかし、「排除」という言葉はあまりにも意味、語感ともに強すぎる。このため「同質性の排除」は同族企業特有の社風を排除することと別の意味で使っているのかと思っていたが、そうではなかった。前回、山根氏が会見冒頭で述べた「他者を慮る想像力を見失っていた、弱くしてしまっていた」について「なぜ弱くしてしまっていたのか?」と質疑で問われた際の理由の1つにこの同質性を挙げ次のように語った。「やはり同質性の問題があったと思います。われわれは創業家中心の同族会社で同質性は良い時は一枚岩で強く回りますが、悪い時は負の方向に回ります。これが想像力の弱体化と連動し、今回の事態を招いたのではないかと思います」山根氏自身は1983年入社の生え抜きだが、私の印象では冒頭の謝罪の弁も質疑応答も用意された原稿を読むわけでもなく、本人なりの言葉で話していた印象がある。その中で「同質性の排除」もかなりの覚悟で盛り込んだのだろうと感じたが、同時に創業家に関する質問では、ある意味揺れ動いていると感じられる部分もあった。とりわけ今回代表取締役会長を辞任し、特別顧問に就任した一雅氏について記者から問われた際がそうだ。ちなみに一雅氏の特別顧問報酬が月額200万円であることが明らかになり、世間の批判の的にもなっている。以下、関連質疑応答を紹介する(複数の記者とのやり取りを抜粋)。質疑応答その3:特別顧問の一雅氏、報酬が月額200万円について【記者】先日、経済同友会の新浪 剛史代表幹事が、“これだけ社会に迷惑をかけた会社で前会長が月収200万円の特別顧問に就任し、小林前社長が取締役で残留する甘い体制を是とした理由を説明すべきだ”と公に発言しています。【山根】ご批判は承知しています。新浪さんのコメントを読み、正直自分も恥ずかしかったし、ショックでした。一雅氏が辞任意向を示した際に特別顧問として事業に貢献したいと申し出がありました。新製品開発、マーケティングで当社に貢献されたのは事実で、われわれの気付かない着眼点などもあり、それを与えていただく前提で取締役会は合意しました。【記者】創業家は今もまだ大株主である以上、無視することは困難です。先ほど創業家に忖度しないとの発言がありましたが、そう言い切れる根拠をご説明ください。【山根】大株主の考え方にわれわれが耳を傾けるのは当然ですが、われわれの考え、あるべき姿や方向に基づき主張すべきは主張し、皆さんが納得する良いアイデアが(創業家から)あったら受け入れる。是々非々の姿勢を貫きたいと私は思っています。【記者】一雅氏が特別顧問として関わりたいと申し出たから特別顧問としたとの説明自体が既に忖度しているとの解釈もあると思います。【山根】当然そう思われる方もいるでしょう。一方でわれわれはこれからもメーカーとしてさまざまなアイデア・事業を作っていくわけで、この点で知見があるならば生かすことが会社にとっても意味があることじゃないかと思い、取締役会では決断しました。【記者】再発防止に注力しなければならない中、新製品やマーケティングに対する知見があるから力を貸して欲しいというのは拙速と受け止められかねませんが。【山根】そこはやはり先ほど触れましたが、品質・安全に対する今までの考え方はわれわれがさらに強くしなければならないと思いますので、そのフィルターの上に新しいアイデア・知見をどう構築するかが今後求められます。これはもう新体制で判断するのがわれわれの権利ですから、何でも採用するという判断は一切いたしません。【記者】3月、今回の会見共に小林前会長がいらっしゃらない理由を教えてください。【山根】3月の会見は執行サイドのトップである社長が出るという判断だったと思います。今回、本人はもう辞任済みで同席できなかったのだと思います。【記者】辞任しても特別顧問として残られますし、山根社長がおっしゃった同質性の問題にも深く関わってる方です。何らかの説明責任はあると思いますが。【山根】これも本人にそれをどう決断していただくかも当然あると思います。私は1つの考えとしては説明責任を果たすべきだと思います。【記者】一雅氏の特別顧問の月額報酬が200万円は適切とお考えですか?【山根】捉え方はさまざまあると思います。この額は本人より提示のあったもので、取締役会で議論して、合意しました。先ほど少しも触れましたが、われわれにない視点やアイデアを提供していただく前提でこの金額で合意したものです。何度も申し上げますが、われわれの顧問でありますから助言があったとしても、われわれは是々非々で判断し、すべて言いなりになるわけではありません。同社関係者をして“天皇”とも呼ばれ、山根氏の入社時点で社長の任にあった一雅氏のことについては、どうしても奥歯にものが挟まった言い方になるのだろう。そして会見中、ある関西ローカル局の記者が「この問題について質問のため電話をしても、電話での質問は一切答えられませんと言われ、広報部長さんにも何度も電話しても、1回も折り返しがありません。正しい報道をしたいという私達の考えと相いれない。改善してほしい」との発言まであった。ちなみに私個人は2度電話で問い合わせ、いずれも回答をもらえているので「?」と思ってしまった。答えようのない質問だったのかもしれないが、「1回も折り返しがない」は対応としていかがなものだろう? この時は会見前の控室での出来事が頭に浮かんでしまった。これも強力な創業家によって運営されてきた社風の一端だろうか? 同社の改革とは絶壁を切り崩すかのごとき難易度に思えてしまう。

46.

ビーガン食で若返り?

 完全菜食主義(ビーガン)の食事スタイルが、老化現象を遅延させる可能性のあることが報告された。一卵性双生児を対象とした研究の結果であり、詳細は「BMC Medicine」に7月29日掲載された。双子のきょうだいのうち8週間にわたりビーガン食を摂取した群は、肉や卵、乳製品を含む雑食(普通食)を摂取した群よりも、生物学的な老化現象が抑制される傾向が認められたという。 この研究は、米国の加齢関連検査サービス企業であるTruDiagnostic社のVarun Dwaraka氏らが行った。老化の程度を表す生物学的年齢の推定には、DNAのメチル化やテロメア長などの指標が用いられた。Dwaraka氏は、「ビーガン食を摂取した研究参加者では、“エピジェネティック老化時計”とも呼ばれることのある、生物学的年齢の推測値の低下が観察された。しかし普通食を摂取した研究参加者では、このような現象が観察されなかった」と話している。 研究に参加したのは一卵性双生児の成人21組(平均年齢39.9±13歳、男性23.8%、BMIはビーガン食群が26.3±5、普通食群が26.2±5)。介入期間は8週間で、前半の4週間は調理済みの食事を支給するとともに栄養教育を実施。後半の4週間は、研究参加者が栄養教育に基づき自身の判断で食品を摂取し、その間、予告なしに24時間思い出し法による食事調査を実施して、各条件の食事スタイルが遵守されていることを確認した。 介入終了時点で、ビーガン食群では普通食群よりも細胞レベルの老化が少なく、また、心臓や肝臓、内分泌代謝、炎症などの検査値を基に算出した生物学的年齢の若返りが観察された。ビーガン食群の介入中の摂取エネルギー量は普通食群に比べて1日当たり平均約200kcal少なく、介入期間中の体重減少幅が平均2kg大きかった。この差は主として、介入前半の調理済みの食事を支給している期間に生じていた。 著者らは、「われわれの研究結果は、短期間のビーガン食がエピジェネティックな加齢による変化の抑制と摂取エネルギーの抑制につながることを示唆している」と総括している。ただし、「ビーガン食による加齢変化の抑制が、減量によってもたらされたものであるかどうかは不明」とのことだ。また、ビーガン食には微量栄養素が不足するリスクもあることから、「サプリメントを併用しないビーガン食の長期的な影響の検証が必要」としている。そのほかにも、「普通食をビーガン食に変更して、適切な栄養素摂取を維持した場合のエピジェネティックな変化、および全身的な健康状態に及ぼす長期的影響の検討も重要」と、今後の研究の方向性を述べている。

47.

第224回 トップダウンで醸成された小林製薬の企業体質、記者控室でも明らかに

紅麹サプリによる健康被害が発覚した3月末以来、一度も記者会見を開催していなかった小林製薬。8月8日、同社の2024年第2四半期決算会見に併せ、この問題に関する会見が開かれた。実に4ヵ月ぶりである。この間、対外的に会見が不必要な状況だったとは到底思えない。6月末には同社の紅麹サプリ関連で死亡の疑いがある消費者が3月末時点の5人から一気に76人にのぼることが明らかになったほか、7月末には今回の件を巡る弁護士による第三者委員会「事実検証委員会」の報告書公表と創業家出身の代表取締役会長・小林 一雅氏の退任、代表取締役社長・小林 章浩氏の取締役補償担当への降格、専務取締役サステナビリティ経営本部長・山根 聡氏の代表取締役社長への昇格というトップ人事もあったからだ。ただ、同社は毎年第2四半期(以下、上半期)決算については、8月上旬に発表と同時に会見を行っており、どんなに遅くともこのタイミングで会見を行うことは必至と考えられた。例年と異なり会見なしで済ませれば、“敵前逃亡”のそしりは免れないからだ。7月の段階で同社の上半期決算発表は8月8日に決定していた。私は7月26日に同社広報・IR部に連絡を入れた。この辺は記者クラブ所属ではない私の弱みでもある。担当者によると会見開催は決まっているものの、日時・場所は未定という。再度私から連絡する旨を伝えてこの時は電話を切った。同時に記者クラブ所属メディアの知人記者には会見のお知らせが届いた場合に連絡をお願いしていたものの、8月5日時点でも知人記者らから情報は入ってこない。意を決して同社に再び連絡したところ、まだ決まっていなかった。上半期決算発表は3日後である。この間、記者会見を開いていない以上、その場でこれまでの紅麹サプリ問題に関して記者から追及されることは目に見えていた。時々、不祥事などを起こした企業の決算会見で「質問はあくまで決算内容(いわば数字)に限らせていただく」と宣言することもあるが、これは筋違いも甚だしい。企業の業績はそのサービスや製品だけでなく、企業そのものの立ち居振る舞いも反映された結果であり、決算会見とは数字も含め社業についてあらゆることを質問できる場であるのが当然である。直前まで日時・場所が決まっていない現実を肯定的に受け止めるならば、同社は紅麹サプリ事件について答える用意がある、それゆえ会見の規模・時間を直前まで慎重に考えて日時設定をするつもりだったと解釈できる。逆に否定的に受け止めるならば、直前になってもまだ迷いがあるとなる。根は真面目、だがちょっとずれている翌6日午前11時過ぎ、知人記者たちから一斉に同社会見の日時・場所について連絡がきた。念のため広報・IR部に連絡、メールアドレスを伝えると直後に案内が届いた。案内文には「本説明会においては、当社の決算発表および紅麹関連製品の事案に関わる説明と質疑を予定しております」と太字・下線付きで明記されていた。私個人の雑感を言うと、この企業は基本的に真面目である。以前の本連載でも触れたが、「悪意なき危機感の欠如」がこの会社の特徴と私は捉えている。真面目であり、何もしていないわけではないのだが、取り組みの的が若干外れている。例えて言うならば、学生時代に周囲に1人はいた「勉強しているのに成績は中の下の同級生」のような感じだ。そしてこの“的の外れ”具合は実は会見当日、会見開始前に発生していた。私は会見に備えて前日に関西入りし、当日は会見開始2時間前に会場に到着した。2時間前に行ったのは、相当数の参加者が来場すると予想していたからである。現に前回3月末の会見時は受付開始1時間前でも会場のビル1階ではメディア各社が行列をなしていた。会場に到着すると、すでに1番乗りしていた大手メディアの記者と広報・IR部の担当者が何やらやり取りしていた。私は2番手である。担当者からは用意している控室で待機して欲しいと案内され、到着順に着席した。他方でテレビクルーは別途整理券を発行して対応すると説明を受けていた。この辺はメディア業界と縁遠い人にはわかりにくいかもしれないが、テレビカメラが入る記者会見では、テレビカメラ設置エリアが設けられ、そこの中で各社がベストポジションを巡って争奪戦を繰り広げる。時にこれで会場が混乱することもあるくらいだ。このためセッティングに時間を要するテレビカメラクルーを最初に、その後に記者が先着順で会場に案内されることが少なくない。小林製薬の広報・IR部の対応はある意味、教科書通りだ。ところが、控室に入ってくる記者・テレビクルーが徐々にあちこちへ雑然と座り始めた。明らかにカオスになりかけていたので、広報・IRの担当者に状況を伝え、正しく並んで座ってもらうよう呼び掛けをお願いした。担当者はすぐに了承し、室内に呼びかけてくれ、直後に控室に案内された記者も順番に壁際の椅子に腰を下ろした。ところが十数分も経つとなし崩しになった。私は再び担当者に状況を伝え、案内を徹底してくれるようお願いした。その担当者の退室直後、私の次に着席していた関西地元メディアの記者が「もう、この会社いつもこんな感じですよ。問い合わせをしても禅問答状態で…」と話しかけてきた。私も苦笑するしかなかった。しかし、間もなくテレビクルーと合流するテレビ記者も到着し始め、整理券保持するクルーと合流して順番を意識することなく座りだした。私が恐れていたのはこれだ。テレビクルーを先に案内するのは、カメラ・音声といったテレビ映像配信のための準備に時間がかかるためで、同じテレビでも記者は別だ。時にはこの手法を無意識に“悪用”して、クルーとともに先に会場入りして自分の席取りをしてしまうテレビ記者もいる。あるいは先にセッティングのために会場入りしたクルーが記者のための席取りをしてしまう。これでは早い時間から入場待ちしているペン記者にとっては不公平となる。実はこうした現象は時々あり、3月末の小林製薬の会見でも起きていた。私は仕方なく座っていた席に荷物を置いて廊下に出て、担当者に上記のような事情を話して善処を依頼した。担当者は了承し、その後控室まで来て受付にテレビクルーが自社の記者の席取りをしないようクルーの入場の際に伝えると説明してくれた。少し安心はしたものの、依然、控室では指示通り順番に座らない状態が横行していたので、この件についても再度お願いをした。この担当者が退室後、件の隣席に座る記者が「本当にもう…」と呟いた。受付開始15分前になっても状況は変わらなかった。仏ではない自分はもはや限界だった。私は廊下に出て担当者を呼び止めて言った。「もう一度、控室内で並び方について説明してください」担当者は「はい、はい」と言うものの、固まったままだ。「ですから、テレビ記者でクルーと一緒に座って記者席に先着順に座っていない方々がいらっしゃるんです」担当者は相変わらず「はい、はい」と固まっている。後から考えれば、やや大人げなかったが、ここで私は声を荒げた。「だから、すぐ入って案内し直してください。こんなことだから、あんな事件起こすんですよ!」ここで担当者はようやく控室内に駆け込んで再度案内を始めた。後述するように、声を荒げたことはこの担当者に謝ったが、私は「あんな事件…」は今も言い過ぎたとは思っていない。同族企業やトップダウンの色彩の強い企業では、末端の社員は上から下ってきた指示の忠実な執行には長けている反面、その場の状況に合わせて現場で意思決定や提案することは不得手なことが多い。これは前述の「悪意のない危機感の欠如」とも共通する。現場で意思決定が難しいものは現場サイドに危機感がなければ半ば放置されてしまう。その結果、不祥事につながった事例はこの件に限らず自分は目にしてきている。他者を慮る想像力が弱かったさて会見開始1時間前に受付が始まり、自分なりのベストポジションである最前列の会見者雛壇目前の席を確保した。この席をベストポジションと考えるのは、司会者が質問のための挙手を無視しにくいからだ。自分の場合、自腹を切って大阪まで飛んで行って、2時間前から受付待ちをしているのに、質疑で指名を受けられなかったら半ば意味がなかったと同じなのである。そしてこのポジション確保後、廊下にいた件の担当者のところにいって名刺を差し出して挨拶し、先ほど声を荒げたことを詫びるとともに前述の背景事情も説明した。さらにこの間の案内に尽力していた別の担当者にも同様に挨拶し、会見の流れを事前確認した。それによると、記者1人につき質問は2問まで、予定時間の2時間から十数分は延長できるかもしれないこと、さらに指名されるかどうかは別にして質問後に再度の挙手は構わないとのことだった。自席に戻ると、会見の資料が配布された。その内容は紅麹事業からの撤退に関するもの、特別損失計上に関するもの、剰余金配当(中間配当)のお知らせ、サプリ摂取者の保障関連、上半期決算の補足資料の5点。これらの中身まで一通り目を通し終わった直後、ちょうど会見開始となった。出席者は新社長の山根氏、前社長の小林氏、佐藤 圭氏(執行役員・保障対応本部 本部長)、中川 由美氏(執行役員・CFOユニット ユニット長)、3月末の会見でも登壇した山下 健司氏(執行役員・製造本部 本部長)、梶田 恵介氏(ヘルスケア事業部食品カテゴリー カテゴリー長)に加え、渡邊 純氏(執行役員・信頼性保証本部 本部長)はオンライン参加した。冒頭、山根社長が口を開き、被害者や関係者への謝罪の言葉を述べた後、次のように語った(一部抜粋)。「最初の症例を受けたのが1月。それから2ヵ月、なぜ公表できなかったのか。今から思えば、経営陣以下、原因究明に傾注してしまい、目の前で起こっている事態が、誰にどういう結果をもたらすのか、その想像力を働かすことが弱かった。それが真の原因ではないかというふうに思います。健康に貢献することを存在意義としている小林製薬において、他者を慮る想像力、これが事業の出発点であります。これを見失っていた、弱くしてしまっていた。この現実に直面した今、当社の歴史においても最大の難局にあるというふうに私は思います。(中略)当社がこれから経営を続けていく上での考え方、これは根本から入れ替えなければならないと思います。1人1人が1つ1つの仕事を我が事として、他者を慮る想像力を発揮する。その当たり前を1人1人の心に根付かせなければならない、こういうふうに思います」こうして2時間16分に及ぶ会見が始まった。

48.

第221回 「青カビは取ればいい」が招いた人災ー紅麹サプリ事件

3月以来、紅麹問題で揺れた小林製薬。同社は7月23日に一連の事案に関して外部の弁護士3人に依頼した事実検証委員会の調査報告書を公表するとともに、引責の形で代表取締役会長の小林 一雅氏と代表取締役社長の小林 章浩氏が代表取締役を辞任することを発表した。新たな代表取締役社長には専務取締役の山根 聡氏が昇格する。報道では創業家以外から初の社長という文字が目立つが、章浩氏は代表権こそないものの取締役補償担当として役員には残留し、一雅氏については役員から外れるものの特別顧問という形となる。私自身はこれまでの企業取材の経験から、必ずしも同族経営をネガティブなものとは見ていないが、それでもなお今回の人事には「いかにも同族経営らしい決着」と思ってしまう。一方で公表された調査報告書を読んだ率直な感想は「過度な悪意はない危機感の欠如」の一言に尽きる。紅麹は機能性表示食品?それとも特定保健用食品?まず、今回の件で同社が行政への報告までに約2ヵ月を要した理由について、「因果関係が明確な場合に限ると解釈していた」と報道されている。この点については、とりわけ医療従事者の多くは疑問を感じただろうと思う。生鮮食品による食中毒ならいざ知らず、何らかの物質や食品の摂取を通じて起こる有害事象の因果関係の特定には一定の時間を要することが少なくないからである。それゆえに医薬品には「有害事象」と「副作用・副反応」の2つの用語がある。さて、厚生労働大臣の武見 敬三氏までが「自分勝手な解釈で極めて遺憾」と評したこの解釈はなぜ生まれたのか? それが今回公表された調査報告書に記載されている。まず、機能性表示食品では、消費者庁の届出等ガイドライン1)において「届出者は、評価の結果、届出食品による健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合は、消費者庁食品表示企画課へ速やかに報告する」と定めている。小林製薬側はこの規定を「健康被害の発生」と「健康被害の拡大のおそれ」の両方が満たされた場合に報告が必要になると解釈。ただし、どのような場合が「健康被害の発生」に該当するかが明確ではないと考えていたという。その結果、同社安全管理部が「特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領」2)で健康被害が生じ、行政報告が必要な場合として「当該食品に起因する危害のうち、死亡、重大な疾病等が発生するおそれがあることを示す知見を入手した場合」と規定されていることを援用し、さらに同規定の「起因する」の文言を「因果関係が明確である」と解釈。最終的に「因果関係が明確な場合に行政に報告する」との解釈を採用したという。何とも言い訳じみた…と思う人もいるかもしれないが、行政文書のわかりにくさを考えれば、このようなさまざまな文書の援用自体はありえなくはない。ただ、ここでは根本的な“ミス”が含まれている。そもそも援用した規定は特定保健用食品、いわゆるトクホのものであり、これにはヒトでの臨床試験が必要である。もっともその臨床試験の多くは数十例程度で行われ、臨床研究法の対象にもならず、この規模で起こり得る健康被害すべてが検出できるとは思わないが、臨床試験をやってもやらなくともよい機能性表示食品と比べればハードルは高く、審査も厳格である。報告書で気になったことこれ以外に報告書を読んでいて気になったことは、個人的に2点ある。1点目は医師から紅麹製品による健康被害が疑われる事例の報告を受けての初動である。1月15日に医師から紅麹製品を摂取していた患者が急性腎不全で入院し、透析治療中である旨の連絡を受けたのが第1例目。半月後の2月1日には別の病院の医師から同時に3例の報告を受けている。この間の半月については1例目を孤発症例と考えれば、無理もないかもしれない。しかし、同時3例の報告後、同社がこれら医師に面談連絡を取ったのは、第1例目の医師が2月8日、2番目の同時3例報告の医師には2月15日。結局面談が実現したのは、前者が2月29日、後者が2月22日だ。ちなみに両医師との面談日程候補期間は小林製薬側から月末を提示している。そして、これら医師に面談要請の連絡をするまでの間、同社では(1)シトリニン原因説、(2)モナコリンK原因説、(3)コンタミネーション原因説、の 3つの仮説が立てられ、分析を行う方針を決定していた。もちろん早急に原因を究明すべく仮説を立てたことには異論はないが、この仮説の絞り込みなども考えれば、より1日でも早く面談を実現すべきではなかったか? 繰り返しになるが、面談候補日を提示したのは小林製薬側である。青カビ発生は当たり前?そして最後に、これが報告書を読んで一番驚いたことだったが、検証委員会のヒアリングに対する大阪工場の現場担当者の証言だ。それによると、問題となった紅麹製品に用いられた原料ロットの製造時、乾燥工程で乾燥機が壊れて原料ロットの紅麹菌が一定時間乾燥されないまま放置されていたそう。加えて、紅麹培養タンクの蓋の内側に青カビが付着していたことを確認し、品質管理担当者に伝えたところ「青カビはある程度は混じることがある」旨を告げられたというのだ。ちなみに報告書ではこの証言について「本件問題の原因であるか否かは不明であるものの」と慎重な言い回しで記述している。この証言を読んで思い出したのが、個人的な話で恐縮だが、産婦人科医でもあった私の亡き父方の祖父とのエピソードだ。幼少期、正月に祖父宅を訪ねると、祖父はたいそう喜び、傍らの缶から切り餅を取り出し、祖母に私と祖父のために焼くように指示した。この時、5mmほどの青かびが3つほどついているのが目に入った。私が「おじいちゃん、それ…」と指さすと、祖父は座椅子のひじ掛けの下の物入れから小刀を取り出し、目の前でそれを削り取って、そのまま祖母に渡したのだ。明治生まれの極めてパターナリスティック(父権主義)な祖父に歯向かうことができず、結局、私はその餅を食べることになった。こうしたことは個人の範疇ならば、自己責任で済む。死者にムチ打つようで悪いが、この品質管理担当者は亡き祖父と同程度の認識で不特定多数の人が口にする紅麹製品を製造していたのか、とやや呆れてしまった。この問題はまだ原因究明中ではあるが、いずれにせよこの調査報告書は悪意のない危機意識が積み重なると、人の命までも奪いかねないという重大な教訓を伝えてくれていると言える。参考1)消費者庁:機能性表示食品の届出等に関するガイドライン2)消費者庁:特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領

49.

2型糖尿病薬で高K血症リスクが低いのは?/BMJ

 2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症のリスクが低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のEdouard L. Fu氏らによる同国内の3つの医療保険請求データベースを用いた解析結果で示された。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬およびDPP-4阻害薬は、2型糖尿病の治療においてますます用いられるようになっているが、日常臨床における高カリウム血症の予防に関して、これらの薬剤の相対的な有効性は不明であった。著者は、「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の各クラスにおける個々の薬剤で結果は一貫していることから、クラス効果が示唆される。このことは2型糖尿病患者、とくに高カリウム血症のリスクがある患者へのこれらの薬剤の使用を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2024年6月26日号掲載の報告。傾向スコアマッチングでSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬の高K血症の発症を比較 研究グループは、2013年4月~2022年4月の3つの米国医療保険請求データベース(メディケア、Optum’s deidentified Clinformatics Data Mart、MarketScan)を用い、1対1の傾向スコアマッチングにより、新たに治療を開始したSGLT2阻害薬vs.DPP-4阻害薬(コホート1:77万8,908例)、GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬(コホート2:72万9,820例)、SGLT2阻害薬vs.GLP-1受容体作動薬(コホート3:87万3,460例)の3つのコホートを同定し解析した。 解析対象は、2型糖尿病と診断され、過去365日間に比較対象である2種類の薬剤のいずれかを使用しておらず、年齢18歳以上(メディケアの場合は65歳以上)、コホート登録前に12ヵ月以上継続して保険に加入していた患者であった。 主要アウトカムは、入院または外来における高カリウム血症の診断、副次アウトカムは、外来での追跡中における高カリウム血症(血清カリウム値5.5mmol/L以上)の発症、および入院または救急外来における高カリウム血症の診断とした。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬よりリスクが低い SGLT2阻害薬による治療開始は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低く(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.73~0.78)、GLP-1受容体作動薬との比較でも発症率がわずかに低下した(HR:0.92、95%CI:0.89~0.95)。GLP-1受容体作動薬の使用は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低かった(HR:0.79、95%CI:0.77~0.82)。 3年間の絶対リスクは、SGLT2阻害薬(4.6%)がDPP-4阻害薬(7.0%)より2.4%(95%CI:2.1~2.7)低く、GLP-1受容体作動薬(5.7%)がDPP-4阻害薬(7.5%)より1.8%(95%CI:1.4~2.1)低く、SGLT2阻害薬(4.7%)がGLP-1受容体作動薬(6.0%)より1.2%(95%CI:0.9~1.5)低かった。 これらの結果は、副次アウトカム、および年齢、性別、人種、併存疾患、他の薬剤の使用、HbA1c値によって定義されたサブグループ間で一貫していた。SGLT2阻害薬ならびにGLP-1受容体作動薬のDPP-4阻害薬に対する絶対スケールでの有益性(率差)は、心不全、慢性腎臓病、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を使用している患者で最も大きかった。 DPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症の発症率が低いことは、SGLT2阻害薬(カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)およびGLP-1受容体作動薬(デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、セマグルチド)の個々の薬剤で一貫して観察された。

50.

第200回 相次ぐ往診サービスの終了、診療報酬改定の影響で経営困難に

<先週の動き>1.相次ぐ往診サービスの終了、診療報酬改定の影響で経営困難に2.美容医療トラブル急増、消費者保護のために規制強化へ/厚労省3.新たに3大学が心臓移植に参入、移植医療の逼迫改善を目指す4.紅麹サプリ問題、新たに76人の死亡例が判明/厚労省5.森光 敬子氏を医政局長に起用、初の女性医政局長が誕生/厚労省6.出産費用の保険適用へ議論開始、妊婦の負担軽減を目指す/厚労省1.相次ぐ往診サービスの終了、診療報酬改定の影響で経営困難に夜間や休日の往診サービスを提供する医療スタートアップが、2024年度の診療報酬改定により相次いで事業の縮小やサービスの提供を終了している。今春の診療報酬改定により往診報酬が大幅に減額されたことが、主な原因とされている。「キッズドクター」を運営するノーススターは、5月までに往診サービスを終了し、オンライン診療や健康相談に特化する方針を示した。また、「コールドクター」も3月末で往診サービスから撤退し、オンライン診療と医療相談にシフトしている。さらに、「家来るドクター」は、往診エリアの縮小と料金の引き上げを行い、最大手の「ファストドクター」も自己負担額を引き上げることを決定した。これらの事業者は、新型コロナウイルス感染症の影響下で自宅療養者の急増に対応し、往診サービスを拡大してきた。しかし、今回の診療報酬改定では「普段訪問診療を受けていない患者への夜間・休日の往診」が厳しく見直され、報酬が大幅に減額された。最も報酬が高い「深夜往診加算」は従来の2万3,000円から4,850円に減額されるケースもある。これら改定の結果、往診サービスの提供が経済的に困難となり、多くの事業者が撤退を余儀なくされている。ファストドクターの菊池 亮社長は「改定により往診サービスが縮小すると救急医療の負担増加につながる可能性がある」と懸念を示している。一方、往診サービスを頼りにしてきた自治体では、診療報酬改定の影響で公共サービスとしての往診の見直しが迫られている。とくに、高齢化が進み医療機関が少ない地域では、往診サービスの縮小が医療体制に深刻な影響を与える可能性がある。東京都医師会理事の西田 伸一医師は「今回の改定は不要な往診を減らすことが目的だが、在宅医療の充実には夜間・休日の往診サービスに特化した事業者も必要」と述べ、医療財源の最適化と救急医療のバランスが課題であると指摘している。参考1)夜間休日往診サービス、撤退・縮小相次ぐ 診療報酬減で(日経新聞)2)“往診サービス”続々終了、利用者負担増 理由は「診療報酬改定」?(withnews)2.美容医療トラブル急増、消費者保護のために規制強化へ/厚労省厚生労働省は、美容医療に関するトラブルが急増していることを受け、6月27日に「美容医療の適切な実施に関する検討会」の初会合を開催した。検討会では、やけどや皮膚障害などの健康被害に関する相談が、2018~2023年度にかけて倍増し、2023年度には796件に達したことが報告された。相談件数は、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に減少したものの美容医療の施術回数も急増しており、2022年度には373万件を超え、とくに非外科的手技が大幅に増加していた。一方で、美容医療に従事する医師の数も増加し、おもに若い世代の医師が多くを占めていた。消費者庁によれば、美容医療サービスに関する相談件数は2019年度の2,036件から2023年度には6,264件に増加がみられており、具体的なトラブルの例として、脱毛後にシミが残ったり、リフトアップ後に神経麻痺が生じたりするケースについて報告があった。また、料金トラブルも多く、たとえば発毛治療の費用が予想以上に高額になることがある。美容医療の多くは自由診療であり、料金や診療内容の妥当性を審査する制度がないことが問題視されている。これに対し、厚労省では、ガイドラインの策定やルール作りの必要性を議論しており、年内を目途に取りまとめを行う予定。さらに、医師資格を持たない者が施術を行うケースや、医師不在のクリニックでのトラブルも指摘され、これらの問題に対する対策が求められている。消費者が被害を避けるために、消費者庁などは美容医療を受ける前に確認すべきチェックリストを作成し、リスクや副作用を十分に理解した上で医療機関を選ぶことを推奨している。厚労省の検討会では、医療行為に関する法的な線引きや、モラルに欠ける医師に対する取り締まりの強化を議論し、美容医療に関する安全性の向上を目指し、年内にも報告書をまとめる方針となっている。参考1)第1回美容医療の適切な実施に関する検討会(厚労省)2)美容医療「危害」の相談倍増、5年間で やけどや皮膚障害など(CB news)3)“美容医療で健康被害” 対策話し合う検討会 議論開始 厚労省(NHK)4)美容医療巡る健康被害、国が対策議論 医師不在の事例も(日経新聞)3.新たに3大学が心臓移植に参入、移植医療の逼迫改善を目指す6月27日、東京医科歯科大学、岡山大学、愛媛大学が新たに心臓移植を実施する方針を発表した。日本心臓移植学会の調査では、2023年に心臓移植を断念せざるを得なかった例が16件あり、移植施設の人員や病床不足が原因となっていた。3大学の参入により、全国の心臓移植施設は14ヵ所に増え、医療体制の逼迫解消が期待される。東京医科歯科大学は、東京大学と近距離にあり、東京大学での移植断念例が多い現状を踏まえ、東大との連携を視野に入れている。今年10月には東京工業大学と統合し、新大学「東京科学大学」として心臓移植を実施することで、実力のアピールを図る狙いもある。岡山大学は現在、肺、肝臓、腎臓の移植を行っており、心臓移植施設となれば中国地方で唯一の存在となる。愛媛大学は、四国初の心臓移植施設として登録され、現在は実施に向けた準備を進めている。心臓移植を行うには、日本循環器学会などの協議会の推薦を受け、日本医学会の委員会で選定される必要がある。さらに、臓器あっせん機関「日本臓器移植ネットワーク(JOT)」に登録されることが必要条件。東京医科歯科大学と岡山大学は、来年度にも申請を予定し、愛媛大学はすでに登録を完了している。心臓移植に詳しい福嶌 教偉氏(千里金蘭大学長)は、「移植施設が増え、待機患者の偏りが緩和されれば、臓器の受け入れを断念する問題を解決する一助となる」と期待を寄せる。医療機関の多くは収益性が低いため、心臓移植に新たに参入する動きが鈍かったが、今回の3大学の参入は移植を待つ患者にとっては朗報となる。厚生労働省も移植医療体制の強化に向け、待機患者が複数の施設に登録できる仕組みを進める方針を示している。これにより、東大で受け入れが難しい場合、連携する東京医科歯科大学で手術を受けるなどの選択肢が増えることが期待されている。参考1)心臓移植断念の防止へ一歩、3大学が参入へ…収益性低く国公立に偏り(読売新聞)2)心移植に東京医科歯科・岡山・愛媛の3大学参入へ…医療のひっ迫改善に期待(同)3)四国初 愛媛大附属病院が心臓移植施設に認定(NHK)4.紅麹サプリ問題、新たに76人の死亡例が判明/厚労省小林製薬が販売する「紅麹」サプリメントを巡る健康被害問題で、摂取との関連性が疑われる死者数が新たに76人に上ることが判明した。同社は3月に5人と公表して以来、厚生労働省への報告を怠っており、今回の発覚は厚労省からの問い合わせが契機となった。厚労省は、6月13日に小林製薬に問い合わせた際、「新たな死亡事例はない」との回答を受けたが、翌14日に「調査中の事例がある」と一転して報告があった。最終的に27日に170人の死者についての相談が寄せられていることが明らかになり、28日のうち76人について調査中と報告された。これに対し、武見 敬三厚労相は記者会見で「小林製薬だけに任せておけない」と不信感を示し、今後は厚労省が詳細な指示を出す方針を明らかにした。小林製薬は、これまでは腎疾患と診断されたケースのみを報告対象としていたと説明したが、厚労省は3月の時点で因果関係が不明でも早急に報告するようにと指示していた。消費者庁はこれを受けて、機能性表示食品制度の見直しを進め、9月1日から健康被害情報の報告を義務化する方針を示している。今回の問題をきっかけに、政府は機能性表示食品の製造・販売事業者に対し、医師の診断がある健康被害情報を因果関係にかかわらず速やかに報告することを義務付ける再発防止策を決定した。また、食品表示基準も改正され、2026年9月からはパッケージ表示に「国による評価を受けていない」「医薬品ではない」などの記載が義務化される予定。小林製薬の対応について、消費者問題のある専門家は「消費者を軽んじている」と指摘し、情報開示と透明性の確保が欠かせないと批判している。また、台湾では30人が同社に対して集団訴訟を起こす予定であり、同社への批判は国際的にも広がっている。参考1)小林製薬またも後手 「紅麹」死亡疑い76人、国に報告せず(日経新聞)2)厚労省の問い合わせで発覚=小林製薬側から報告なし-紅麹問題(時事通信)3)「小林製薬だけに任せられない」 3月にも問題視された報告漏れ(毎日新聞)4)「紅麹」死者調査の報告3月以降なし、武見厚労相「もう任せておけない」…小林製薬「確認を重視」と釈明(読売新聞)5.森光 敬子氏を医政局長に起用、初の女性医政局長が誕生/厚労省2024年6月28日に厚生労働省は、新たな事務次官に伊原 和人保険局長を起用する人事を発表した。発令は7月5日付で、現次官の大島 一博氏は退官する。伊原氏は、東京大学法学部卒業後、1987年に旧厚生省に入省し、厚労省政策企画官、大臣官房総務課企画官、健康局総務課長、医政局長などを歴任し、2022年より現職。今回の人事では、医政局長に森光 敬子危機管理・医務技術総括審議官が就任することも発表された。森光氏は、佐賀医科大学医学部を卒業後、1992年に旧厚生省に入省。医薬安全局監視指導課医療監視専門官や厚労省保険局医療課長などを歴任し、2023年9月から現職を務めていた。森光氏の就任により、医政局長に女性が初めて就任することになる。さらに、保険局長には鹿沼 均政策統括官(総合政策担当)が起用される。鹿沼氏は、東京大学経済学部卒業後、1990年に旧厚生省に入省し、保険局総務課長や大臣官房審議官(医療保険担当)、首相秘書官などを歴任してきた。今回の人事発表について、武見 敬三厚労相は「適材適所の人事」と評価しつつ、女性幹部のさらなる登用に努める考えを示した。参考1)厚労事務次官に伊原和人氏起用へ 医政局長など歴任(CB news)2)医政局長に森光敬子氏を起用へ、女性初 保険局長は鹿沼均氏 厚労省人事(同)3)厚労次官に伊原氏(日経新聞)6.出産費用の保険適用へ議論開始、妊婦の負担軽減を目指す/厚労省厚生労働省は、2026年度からの出産費用の保険適用について話し合う有識者検討会の初会合を6月26日に開催した。現在、出産費用は帝王切開などを除き保険適用外であり、国が「出産育児一時金」として原則50万円を支給している。検討会では、保険適用の範囲や全国一律の公定価格の在り方などを議論し、来春を目途に妊産婦の経済的負担軽減策の方向性をまとめる予定。この検討は少子化対策の一環として進められており、2022年度時点の出産費用の全国平均額は約48万2,000円で、都道府県別では最も低い熊本県が約36万円、最も高い東京都が約60万円となり、地域間格差が顕著となっている。保険適用により、出産費用の地域差を縮小し、経済的負担を軽減することが期待される。会合では、保険適用による医療機関の経営悪化を懸念する声が上がったほか、産婦人科医の一部からは、保険適用によって減収となり、分娩を取り扱う医療機関が減少する可能性が指摘された。これを受け、厚労省は出産を担う病院やクリニックの経営実態を調査し、適切な診療報酬の設定を検討する方針を確認した。現在、正常分娩で出産育児一時金が支給されているが、一時金の増額に伴い、医療機関の出産費用も上昇しているため、十分な負担軽減につながっていないとの指摘がある。2022年度の正常分娩の平均費用は54万円で、10年間で12%上昇した。検討会では、出産費用の保険適用によって「天井知らず」の出産費用に歯止めをかけることが狙いだが、産科医側は自由な料金設定ができなくなることによる経営悪化を懸念している。出産は昼夜関係なく発生するため、夜間の受け入れ体制も整える必要があり、医師の働き方改革も考慮しなければならない。今後の議論のポイントは大きく4つある。1つ目は保険適用時の診療報酬設定であり、高めの報酬を求める声があるが、費用抑制の目的から逸脱しないようにする必要がある。2つ目は保険適用の範囲であり、無痛分娩や助産所での出産の扱いを議論する必要がある。3つ目は妊婦側の費用負担であり、自己負担が発生しない仕組みを求める声がある。最後に、給付を増やす場合の財源に関する議論も重要である。厚労省では、2025年春を目途に検討会としての意見をまとめ、2026年度から自己負担を求めない方向にする予定。参考1)第1回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」資料(厚労省)2)出産費用、保険適用で初会合 妊婦の自己負担焦点に(日経新聞)3)出産費用への医療保険適用巡り初会合 厚労省、26年度から自己負担求めない方向で検討(産経新聞)4)自己負担分は?閉院可能性など影響指摘も 出産の保険適用で検討会(朝日新聞)5)分娩医療機関が24年間でほぼ半減 産婦人科医は増加、厚労省集計(CB news)

51.

抗肥満薬使用時に推奨される食事療法

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)を中心とする抗肥満薬を使用する際の栄養上の推奨事項をまとめた論文が、「Obesity」に6月10日掲載された。米イーライリリー社のLisa Neff氏らの研究の結果であり、同氏は「本報告は、抗肥満薬による治療を行う臨床医に対して、最適な栄養と介入効果を患者にもたらすための知識とツールを提供することを目指した」と語っている。なお、イーライリリー社は米国において、GLP-1RAであるチルゼパチドを抗肥満薬「zepbound」として販売しており、国内でも承認申請中。 近年、体重が15%以上も減ることもあるGLP-1RAが肥満治療に用いられるようになり、さらに新たな作用機序による抗肥満薬の開発も進められている。これらの薬剤により食事摂取量が減少すると、栄養バランスが崩れて微量栄養素が不足するなどのリスクも生じる。現状において、抗肥満薬治療を受けている患者の最適な食事スタイルに関するエビデンスは少ない。しかし、減量・代謝改善手術後の患者や超低カロリー食による減量中の患者の食事療法に関しては、一定のエビデンスが蓄積されてきている。Neff氏らは、文献検索によりそれらの報告をレビューすることで、抗肥満薬使用中の食事療法に関する推奨事項を総括した。 主な推奨事項は以下のとおり。・エネルギー量:個別に設定する必要があるが、通常は女性1,200~1,500kcal/日、男性1,500~1,800kcal/日。・タンパク質:通常は体重1kg当たり1.5g以下だが、1日に60~75g以上は確保するために、人によっては1.5g/kgを超える量が必要なこともある。推奨される食品は、豆類、魚介類、赤肉、鶏肉、低脂肪乳製品、卵など。・炭水化物:総摂取エネルギー量の45~65%で、添加糖は10%未満とする。全粒穀物、果物、野菜、乳製品などが推奨される。・脂質:総摂取エネルギー量の20~35%で、飽和脂肪酸は10%未満とする。ナッツ、種子、アボカド、植物油、脂肪分の多い魚などが推奨される。抗肥満薬使用に伴う消化器症状を来しやすくなることがあるため、揚げ物や高脂肪食品を避ける。・食物繊維:女性は21~25g/日、男性は30~38g/日。果物、野菜、全粒穀物などが推奨される。食事のみではこの推奨量を満たすことができない場合は、サプリメントの利用を検討。・水分:2~3L/日を摂取。水、低カロリー飲料、低脂肪乳製品などが推奨され、カフェイン入り飲料は控えるか摂取しない。 このほかに、微量栄養素の不足が生じないように、マルチビタミンやカルシウム、ビタミンDなどのサプリメントを適宜摂取することを推奨している。また臨床医に対する推奨として、抗肥満薬使用中の患者では栄養状態のモニタリングの必要があると記している。 本研究には関与していない米エモリー大学のJessica Alvarez氏は、「減量効果のみに焦点を当てた肥満治療は不完全だ。本論文は、抗肥満薬による治療に際して徹底した栄養評価を行う必要性を述べた重要なガイドと言える。抗肥満薬の使用中には、適切な栄養を確保して栄養失調を避け、筋肉量の減少を防ぐため、何をどれだけ食べるべきかといった詳細な患者指導が求められる」と語っている。

52.

CKD-MBD治療の新たな方向性が議論/日本透析医学会

 日本透析医学会による『慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン』の改訂に向けたポイントについて、2024年6月9日、同学会学術集会・総会のシンポジウム「CKD-MBDガイドライン 新時代」にて発表があった。 講演冒頭に濱野 高行氏(名古屋市立大学病院 腎臓内科・人工透析部)が改訂方針について、「CKD-MBDの個別化医療を目指して、さまざまなデータを解析して検討を積み重ねてきた。新しいガイドラインでは、患者の背景に合わせた診療の実現へつなげるためのユーザーフレンドリーな内容になるよう努めていきたい」とコメント。続いて、6人の医師が今後の改訂のポイントに関して解説した。保存期CKD-MBDにおけるプラクティスポイントとは 保存期CKD-MBDについて、藤崎 毅一郎氏(飯塚病院 腎臓内科)から低カルシウム血症・高リン血症のプラクティスポイントに関する提案があった。低カルシウム血症では、「まずは補正カルシウム値を確認。その後、低カルシウム血症を誘発する薬剤の確認やintact PTH(iPTH)、リン、マグネシウムを測定し、二次性副甲状腺機能亢進症の確認を行ったうえで、カルシウム製剤または活性型ビタミンD製剤の投与を検討すること」とし、高リン血症に関しても補正カルシウム値の確認を行ったうえで、「低い場合にはカルシウム含有リン吸着薬、正常であれば鉄欠乏の有無を考慮したうえで鉄含有、非含有リン吸着薬の投与を検討すること」とコメントした。最後にガイドラインの改訂に向けて、「実臨床に則したプラクティスポイントの作成を目指して検討を続けていく」と述べた。血清カルシウム、リンの管理目標値の上限は、より厳格な管理へ 血液透析患者における血清カルシウム、リンの管理目標値について、後藤 俊介氏(神戸大学医学部附属病院 腎臓内科 腎・血液浄化センター)から提案があった。理事会へ提出された素案によると、血清カルシウムの下限は8.4mg/dL以上のまま、上限に関しては9.5mg/dL未満、血清リンに関しても下限は3.5mg/dL以上のまま、上限は5.5mg/dL未満が管理目標値として検討されている。同氏は、血清カルシウム、リンの管理について、「カルシミメティクスや骨粗鬆症治療薬によってカルシウムが下がりやすい環境にもあるため、低カルシウム血症には注意すること。血清リンに関しては年齢や栄養状態をよく考慮して検討すること。原疾患が糖尿病、動脈硬化性疾患の既往がある場合には目標値の上限を下げて管理することも検討する必要がある」とコメント。また、「CKD-MBDにそれほど関心がない先生方にとっても、フローチャートなどを使って診療の手助けになるものを示していくことが大切である」と述べた。患者の背景に応じたリン低下薬の選択を 前回のガイドライン以降、多くのリン低下薬が登場し、患者に合わせた薬剤選択の重要性が注目されている。山田 俊輔氏(九州大学病院 腎・高血圧・脳血管内科)からは、患者特性に基づくリン低下薬の選択について提案があった。リン低下薬を選択する際の切り口として、「リン低下だけでなく薬剤による多面的な効果、便秘などの消化器症状、PPIやH2ブロッカーなど胃酸分泌抑制薬による影響、服薬錠数や医療経済など、リン低下薬の特性だけでなく患者背景に合わせて使い分けることが大切である」と改訂に向けたポイントを述べた。プラクティスポイントとして、リン低下薬選択に関するアプローチの仕方を示した「一覧表」の紹介もあった。同氏は一覧表に関して、「基本的には患者と相談してリン低下薬を選択していくことになるが、どうやって患者に合わせて使い分けていくべきか、視覚的にわかりやすいツールがあれば判断しやすいのではないか」とコメントした。PTHの管理・治療の個別化へ向けて 血液透析患者における副甲状腺機能の評価と管理について、駒場 大峰氏(東海大学医学部 腎内分泌代謝内科学)からPTHの管理を中心に提案があった。同氏は、「PTH管理においても治療の個別化が必要である」とし、管理目標値としてiPTH 240pg/mL以下の範囲で症例ごとに個別化すること、とコメントした。具体的には、骨折リスクの高い症例(高齢・女性・低BMI・骨代謝マーカー上昇)では管理目標値を低く設定する、カルシミメティクスを使用する場合にはiPTHの下限値を設けない、活性型ビタミンD製剤を単独で使用する場合は高カルシウム血症を避けるため下限値を60pg/mLとすることなどであった。内科的治療に関しては、PTHが管理目標値より高い場合には、血清カルシウム値や患者背景に基づいて活性型ビタミンD製剤、カルシミメティクスによって管理を検討すること、血清カルシウム値が管理目標値内にあって腫大腺や65歳以上、心血管石灰化、心不全リスク、骨折リスク、高リン血症を有するなど、1つでも該当する場合にはカルシミメティクスの使用や併用をより積極的に考慮することなどを挙げた。また、内科的治療に抵抗する重度の二次性副甲状腺機能亢進症の場合には副甲状腺摘出術の適応となるが、こちらも症例ごとに検討していく必要があると述べた。透析患者における骨折リスクの評価・管理のポイントとは CKD-MBDにおける骨折リスクへの介入について、谷口 正智氏(福岡腎臓内科クリニック)からプラクティスポイントに関する解説があった。評価・管理のポイントとして、「脆弱性骨折の有無や骨密度検査および血清ALP値による骨代謝の評価を行い、骨折リスクが高い場合には、運動、転倒防止、栄養状態の改善、禁煙指導を実施したうえで、カルシミメティクスの投与を優先してPTHを低く管理することが重要である」とコメント。同氏は、それでも骨密度の改善が得られない、または骨代謝マーカーの亢進が認められる場合には、骨粗鬆症治療薬の投与を検討するよう提案した。また、透析・保存期CKD患者に対する骨粗鬆症治療薬の選択に関しては、使用制限や投与における注意点が薬剤別にまとめられた表を作成し、CKD患者においてリスクの高い骨粗鬆症治療薬もあるため、ヒートマップを活用する形で警鐘を鳴らしていくことなども必要であると述べた。腹膜透析におけるCKD-MBDの管理目標値とは 腹膜透析患者におけるMBDについて、長谷川 毅氏(昭和大学 統括研究推進センター研究推進部門/医学部内科学講座腎臓内科学部門)からガイドライン改訂に向けたポイントに関する解説があった。同氏は「リン低下薬に関しては十分なシステマティック・レビュー、メタ解析による報告がないため、血液透析患者での推奨に準拠すること。CKD-MBDの管理目標値に関しては、生命予後の観点から、リン、カルシウムを目標値内でも低めの値、残腎機能保護、血液透析への移行防止のために、リン、PTHを目標値内でも低めの値を目標とすること」と提案。また、プラクティスポイントとして、残腎機能のある症例でカルシミメティクスを使用することでリンの管理が難しくなる可能性があること、腹膜透析液のカルシウム濃度は血清カルシウム値、PTH値をみて選択することを挙げた。

53.

食事前の10秒をください!?(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者この間、ネットを見ていたら「食事前の10秒だけください」と書かれている写真があって。医師 それで?(患者の話に興味を示す)患者 最後まで読んだら健康食品の広告で、食事前に飲むのに10秒もかからないって話みたいで。画 いわみせいじ痩せた人もいるって書いてあるし、今だけお得だからつい購入したのですが、全然、効果はなかったです…。医師 そうでしたか。せっかく食事前の10秒を使うなら、お金もかからずにもっと良い方法がありますよ!患者 それはどんな方法ですか?医師 食事前に、これから食べる食事を記録することです。食べた後ではなくてね。患者 なるほど。それなら、食べ過ぎないかもしれませんね。(納得した顔)ポイント食事前に食べる予定の食事を記録する習慣を作ることがダイエットにつながることを上手に説明します。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

54.

PPIとH2ブロッカーで頭痛リスク上昇か

 胸焼けを抑えるための薬を服用している人は、服用していない人に比べて片頭痛やその他の重度の頭痛のリスクが高い可能性のあることが、新たな研究で示唆された。このようなリスク上昇は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)、制酸薬など、検討した全ての種類の胃酸分泌抑制薬で認められたという。米メリーランド大学栄養学・食品科学部門のMargaret Slavin氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に4月24日掲載された。 Slavin氏は、「胃酸分泌抑制薬は幅広い用途で使用されている。この薬剤と片頭痛や重度の頭痛との潜在的な関連を考慮すると、今回の研究結果はさらなる調査実施の必要性を示したものだと言えるだろう」と述べる。同氏はさらに、「胃酸分泌抑制薬に関しては、しばしば過剰処方が指摘されている。また、PPIの長期使用により認知症リスクなど他のリスクが上昇する可能性を示唆する新たな研究結果も報告されている」と付け加えている。 胃酸が食道まで逆流する胃酸逆流は、食後や横になっているときに起こり、胸焼けや胃潰瘍を引き起こす。頻回な胃酸逆流は胃食道逆流症(GERD)の原因となり、それが食道がんにつながることもある。今回、Slavin氏らは、胃酸分泌抑制薬(PPI、H2ブロッカー、制酸薬)を使用している成人患者1万1,818人を対象に、胃酸分泌抑制薬の使用と片頭痛や重度の頭痛との関連を検討した。 胃酸分泌抑制薬使用者と非使用者での片頭痛や重度の頭痛の有病率は、PPIでそれぞれ25%と19%、H2ブロッカーで25%と20%、制酸薬で22%と20%であった。年齢や性別など頭痛に影響を及ぼす因子を調整して解析した結果、胃酸分泌抑制薬の使用者は非使用者に比べて、偏頭痛や重度の頭痛の発症リスクが有意に高いことが明らかになった。リスクは、PPI使用者で70%、H2ブロッカー使用者で40%、制酸薬使用者で30%の増加であった。 このような結果が示されたものの、Slavin氏は、この研究で対象としたのは処方薬のみであり、処方薬よりも薬効が低い傾向にある市販薬は対象としていない点を強調。その上で、「医師に相談することなく使用中の胃酸分泌抑制薬の服用を中止すべきではない」と主張している。同氏は、「胃酸の逆流とそれに付随する症状を抑えるために胃酸分泌抑制薬を必要とする人は数多く存在する。胃酸分泌抑制薬やサプリメントを使用していて、片頭痛や重度の頭痛に悩まされている人は、薬の服用を続けるべきかどうかを医師と相談する必要がある」と「Neurology」誌のニュースリリースの中で述べている。

55.

第195回 「かかりつけ医機能報告制度」が来年4月から施行へ、特定機能病院は対象外/厚労省

<先週の動き>1.「かかりつけ医機能報告制度」が来年4月から施行へ、特定機能病院は対象外/厚労省2.診療報酬改定で医療現場の賃上げを促進、医師会も協力/厚労省3.医師の偏在解消へ、都道府県に医療機関ごとの医師数把握を検討/厚労省4.臓器移植手術断念の理由はICU満床が最多-緊急調査結果/日本移植学会5.紅麹サプリ問題を受けて機能性表示食品の規制強化へ/消費者庁6.対面診察なしで処方箋の交付が常態化、医師法違反が発覚/登米市1.「かかりつけ医機能報告制度」が来年4月から施行へ、特定機能病院は対象外/厚労省厚生労働省は、5月24日に「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を開催し、来年4月から施行される「かかりつけ医機能報告制度」の枠組みについて議論を行なった。この中で、厚労省側から新制度の具体案が示され、厚労省に対する報告は医療機能情報提供制度と併せて毎年1~3月に行うこととし、特定機能病院と歯科の医療機関は対象外とした。新制度の目的は、時間外診療などの「かかりつけ医機能」を地域ごとに強化し、地域の患者が適切な医療機関を選択できるようにするためであり、病院や診療所は「日常的な診療を総合的・継続的に行う機能」(1号機能)を都道府県に報告し、診療時間外の診療や入退院時の支援、在宅医療の提供、介護との連携などの機能(2号機能)も報告する必要がある。また、報告制度の対象外の医療機関についても検討が進められている。「1号機能」報告に関しては、かかりつけ医機能に関する研修修了者や総合診療専門医の有無、特定の診療領域ごとの1次診療対応能力などについて議論された。これらの報告データは地域ごとの「協議の場」で共有され、地域の医療機能の底上げや病院・診療所の役割分担が議論される。厚労省は、時間外診療や在宅医療、介護との連携については市町村単位で、入退院時の支援については2次医療圏単位で協議を行い、都道府県単位で全体を統合・調整する協議の場を提案している。各医療機関から報告された「かかりつけ医機能」のうち、地域の患者が受診先を選択するのに役立つ情報は医療機能情報提供制度(ナビイ)に盛り込まれる予定。厚労省は、次回以降の分科会でさらに具体案を示し、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法の改正に基づく省令・告示の改正、かかりつけ医機能報告システム構築に向けた準備を行い、かかりつけ医機能が発揮される社会の実現に向けた取り組みを強化する。参考1)第5回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会(厚労省)2)「かかりつけ医機能」、毎年1-3月に報告 特定機能病院は対象外、厚労省が具体案(CB news)3)医療情報ネット(ナビイ)2.診療報酬改定で医療現場の賃上げを促進、医師会も協力/厚労省厚生労働省は、今回の診療報酬改定で初診料や再診料、入院基本料を引き上げる増収分について、医療従事者の賃上げの原資となることを推進する。武見 敬三厚生労働大臣は、6月から施行される診療報酬改定について、医療関係団体の代表者との意見交換会を開催し、増収分が確実に人件費に充てられるよう要請した。今回の改定では、初診料が30円増の2,910円、再診料が20円増の750円となり、賃上げする医療機関ではさらに加算される。入院基本料も1日当たり50~1,040円上がる。患者の自己負担額は、かかった医療費の1~3割増加することになる。賃上げを実現するために新設された「ベースアップ評価料」では、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書の作成・提出が算定要件となっているが、日本医師会の松本 吉郎会長は、「この計画書の作成が『最大のネック』」として現場での困難を指摘した。武見大臣は「医療機関での賃上げは非常に重要」と述べ、医療関係団体に協力を求めた。厚労省では賃上げの取り組みを支援するため、YouTubeなどで解説動画を通じて理解促進を図っているが、職種ごとの計画書作成や専任スタッフの確保が難しい診療所にとっては依然として課題が多い。松本会長は「日本医師会として賃上げが実現できるよう取り組む」と述べた。厚労省は、看護師や医療技師、若手勤務医など幅広い職種での賃上げを目指し、政府としても財政的支援を検討している。賃上げを通じて医療現場の人手不足を緩和し、デフレからの脱却を図る狙いがある。参考1)ベースアップ評価料等について(厚労省)2)“診療報酬が引き上げ 増収分は確実に人件費に” 武見厚労相(NHK)3)「医療機関で賃上げを」 武見厚労相、医師会長と会談(日経新聞)4)6月から初・再診時に負担増 医療従事者の賃上げで-診療報酬改定(時事通信)3.医師の偏在解消へ、都道府県に医療機関ごとの医師数把握を検討/厚労省厚生労働省と財政制度等審議会が、医師の地域偏在を是正するため、新たな施策を提案していることが明らかになった。財務省の諮問機関である財政制度等審議会は、5月21日に、春の建議「我が国の財務運営の進むべき方向」を公表した。この中で大都市への診療所の集中を是正するため、診療所過剰地域における診療報酬単価の引き下げや、医師過剰地域での新規開業規制を提言した。厚労省の将来推計では、2030年頃に医師数が供給過剰になると見込まれ、医師の診療所・病院間および地域間の偏在解消が急務となっている。厚労省は、医療機関ごとに必要な医師数を都道府県に把握させる方針を検討しており、これを「医師確保計画」に記載することを義務付ける。また、都道府県知事に開業条件を提示できる権限を強める方向で調整を進めている。この計画は、2次医療圏ごとに確保すべき医師数の目標を設定し、3年ごとに見直すことで、医師の適正な配置を図ることを目的としている。地域間の医師偏在是正策として、診療所過剰地域では診療報酬の単価を引き下げ、不足地域では高く設定することが提案されている。これにより、過剰地域から不足地域への医療資源の移行を促進する狙いがある。また、ドイツ、フランスのように診療科別・地域別の定員制を導入し、新規開業規制を検討することも求められている。さらに、厚労省は、大学病院などからの医師派遣に依存する医療機関の実態を把握し、派遣が必要な医師数も計画に記載することを検討している。国は、必要に応じて医師確保に必要な費用を財政的に支援することも考えている。医師数は2022年までの過去10年で4万人増え、34万人を超えたが、都市部での増加が顕著で、地域間格差が依然として大きい。厚労省は、医師少数区域での勤務経験がある医師を管理者とする病院を拡大し、医師の循環を図ることも検討している。武見 敬三厚生労働大臣は、医師の偏在を規制によって管理する必要性を強調し、地域ごとに医師数を割り当てる手法に言及していたが、現時点では地域ごとの割り当てには踏み込んでいない。これらの施策を通じて、医師の偏在を解消し、地域医療の充実を図ることが期待されている。参考1)診療所過剰地域の診療報酬単価引き下げなどを提言-財政審・春の建議(医事新報)2)診療所の報酬適正化を提言、財政審 偏在解消策として(CB news)3)我が国の財政運営の進むべき方向(財政制度等審議会/財務省)4)医療機関ごとの必要な医師数、都道府県に把握義務化 厚労省検討(朝日新聞)5)必要医師数、医療機関ごとに都道府県で把握 厚労省検討(日経新聞)4.臓器移植手術断念の理由はICU満床が最多-緊急調査結果/日本移植学会2023年に脳死者から提供された臓器の移植手術を断念したケースが、東京大学、京都大学、東北大学の3大学で計62件に上ることが日本移植学会の緊急調査で明らかになった。断念理由の最も多い回答は「ICUが満床」であり、全体の3割を占めた。そのほかの理由としては「手術室の態勢が整わない」、「同日に2件の移植手術を実施した翌日は移植しない院内ルール」などが挙げられ、施設や人員の脆弱性が浮き彫りとなった。断念件数は東大36件、京大19件、東北大7件で、臓器別では肺36件、肝臓16件、心臓10件であった。ドナーの臓器は日本臓器移植ネットワークが斡旋し、待機患者リストに基づき移植施設に受け入れを要請する。62件のうち54件はほかの施設で移植が行われたが、8件は受け入れが拒否され臓器が移植に使われなかった。とくに京大では受け入れを断念した患者が死亡した事例もあった。断念の背景には、脳死下の臓器提供の増加により、待機患者の多い3大学に受け入れ要請が集中している現状がある。2023年は過去最多の132人が脳死ドナーとなり、計352件の移植手術が行われた。東大88件、京大36件、東北大34件が主要な移植実施施設だった。参考1)臓器提供数/移植数(日本臓器移植ネットワーク)2)臓器移植断念、3大学で昨年62件…緊急調査への回答「ICU満床だった」が3割(読売新聞)5.紅麹サプリ問題を受けて機能性表示食品の規制強化へ/消費者庁小林製薬(大阪)の紅麹成分を含むサプリメントを摂取した人々が腎臓病などを発症した問題を受け、消費者庁は5月23日「機能性表示食品を巡る検討会」を開き、機能性表示食品の制度見直しを提言した。この提言には、健康被害の報告を迅速に行うためのルールの明確化や製造・品質管理に関する基準を設けることが含まれている。とくにサプリメント形状の製品に対しては、適正製造規範(GMP)の義務化が提案された。これに伴い、政府と与党はGMPの認証を取得した工場での製造を義務付ける方針を発表。現在は医薬品に対して義務化されているGMPが、今後はサプリメントにも適用されることになる。さらに、健康被害が発生した場合の報告義務化も検討されており、消費者庁は月内にこれらの再発防止策を公表する予定。一方、小林製薬の紅麹サプリメント問題について、厚生労働省と大阪市が合同で行った調査により、約2,000人が健康被害を訴えたことが明らかになった。この調査では、発症した人の約7割が2023年11月~2024年3月の間に発症しており、とくに中高年の女性に多くの被害が出ていることが示された。消費者庁は、この調査結果をもとに、健康被害の原因物質についてさらに分析を進める予定。消費者庁の検討会では、GMPに関連してサプリメント製造工場での原材料の受け入れ検査の厳格化や、製品の均質性と設計通りの製造が求められることが提言された。これにより、健康被害の再発防止と消費者の安全確保が図られることが期待されている。参考1)第6回 機能性表示食品を巡る検討会(消費者庁)2)紅麹コレステヘルプ等に関する事例数(小林製薬)3)健康被害事例の疫学調査結果(大阪市)4)機能性食品、報告・管理を実質義務化 消費者庁見直しへ(日経新聞)5)機能性表示食品のサプリにGMPを義務づけへ 紅麹問題受け(毎日新聞)6)サプリメントで病気発症 機能性表示食品 制度見直しの報告書案(NHK)6.対面診察なしで処方箋の交付が常態化、医師法違反が発覚/登米市宮城県登米市立米谷病院の発熱外来において、医師が対面診察を行わずに診断や処方箋交付を行っていたことが明らかになった。新型コロナウイルス感染症の特例期間を除き、医師法では医師による診察が義務付けられているが、同病院では患者が車で訪れた際、看護師が窓越しに受付けを行い、検査技師が新型コロナとインフルエンザの検査を実施。その結果、軽症と判断された場合で、患者が医師の診察を希望しない場合は対面診察をせずに薬が処方されていた。病院側は、感染者が多い時期に患者を長時間待たせることを避けるための措置だったと説明しているが、医師法に違反するとの指摘を受け、今月17日からすべての患者に対面診察を実施するように切り替えた。登米市は、「医療報酬の返却など、監督官庁に求められた処分に真摯に向き合います」とコメントしている。参考1)発熱外来で対面診察せずに医療行為 登米市立米谷病院(仙台放送)【動画】2)発熱外来、対面診察せず処方箋交付 宮城・登米市立米谷病院で常態化 専門家「医師法に違反」(河北新報)

56.

国内初の1日1回投与の低亜鉛血症治療薬「ジンタス錠25mg/50mg」【最新!DI情報】第15回

国内初の1日1回投与の低亜鉛血症治療薬「ジンタス錠25mg/50mg」今回は、低亜鉛血症治療薬「ヒスチジン亜鉛水和物(商品名:ジンタス錠25mg/50mg、製造販売元:ノーベルファーマ)」を紹介します。本剤は、1日1回の服用で亜鉛補充ができ、亜鉛欠乏による味覚障害、皮膚炎、脱毛、貧血などのさまざまな症状を改善することが期待されています。<効能・効果>低亜鉛血症の適応で、2024年3月26日に製造販売承認を取得しました。本剤は、食事などによる亜鉛摂取で十分な効果が期待できない患者に使用します。<用法・用量>通常、成人および体重30kg以上の小児では、亜鉛として1回50~100mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与します。なお、血清亜鉛濃度や患者の状態により、1日1回150mgを超えない範囲で適宜増減します。<安全性>亜鉛投与による重大な副作用に銅欠乏症(頻度不明)があり、銅欠乏まで進展した場合は貧血、白血球減少などを引き起こす恐れがあります。その他の副作用(1%以上)として、消化器症状(下痢、悪心、腹部不快感)、血清膵酵素(リパーゼ、アミラーゼ)上昇、貧血、浮動性めまいなどがあります。本剤投与中は、定期的(数ヵ月に1回程度)に血清亜鉛、銅、鉄を測定します。<患者さんへの指導例>1.亜鉛不足を改善するには、亜鉛を多く含む食事を積極的に摂取する食事療法が行われますが、不十分な場合には薬で補充します。2.必ず食後に服用してください。3.亜鉛を含むサプリメントや健康食品は摂取しないでください。4.亜鉛により銅の吸収が妨げられ、立ちくらみや歩きにくいなどの副作用が起こることがあります。気になる症状が現れたら、医師または薬剤師に相談してください。<ここがポイント!>亜鉛は300種類以上の酵素の活性化に必要な成分で、主な酵素にはDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、炭酸脱水酵素、アルカリホスファターゼ、アルコール脱水素酵素、スーパーオキシドジスムターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼなどがあります。亜鉛は細胞分裂や核酸代謝などに関わっており、欠乏するとタンパク合成全般が低下し、皮膚炎、脱毛、貧血、味覚障害、発育障害、性腺機能不全、食欲低下、下痢、骨粗鬆症、創傷治癒遅延、易感染性などさまざまな症状を引き起こします。低亜鉛血症では亜鉛含有量の多い食品を積極的に摂取するよう推奨しますが、血清亜鉛値が低い場合、食事からの亜鉛摂取では不十分で亜鉛補充療法が必要です。補充療法には、酢酸亜鉛(商品名:ノベルジン)が使用されますが、亜鉛イオンによる悪心・嘔吐などの消化器系副作用が問題となっています。副作用により酢酸亜鉛製剤が使用できない場合は、ポラプレジンク(同:プロマックD錠)も使用されますが、亜鉛含有量が少ない上に適応外です。本剤は、ヒスチジン亜鉛水和物の錠剤であり、亜鉛イオンと錯体化することで亜鉛の吸収を向上させています。ヒスチジン亜鉛水和物は比較的安定な錯体構造であるため、消化管で解離する亜鉛イオンは無機亜鉛塩よりも少なく、酢酸亜鉛製剤に比べて悪心・嘔吐などの消化器系副作用が軽減されています。また、酢酸亜鉛製剤は通常、成人で1日2回の投与回数ですが、本剤は1日1回投与であり、服薬アドヒアランスの改善が期待できます。低亜鉛血症患者を対象とした国内第III相臨床試験(実薬対照非盲検試験)において、投与開始24週間後までに目標血清亜鉛濃度を8週間維持できた患者の割合は、本剤群で86.4%、酢酸亜鉛群で80.4%でした。両群の割合の差は6.0%(95%信頼区間:-4.2~16.3)で非劣性マージンの-15%を上回っているので、酢酸亜鉛群に対する本剤群の非劣性が示されました。なお、酢酸亜鉛製剤と異なり、現在の適応症は低亜鉛血症のみで、「ウィルソン病(肝レンズ核変性症)」の適応は有していません。

57.

第194回 マイナ保険証を救急搬送に活用開始、全国展開を目指す実証事業/総務省

<先週の動き>1.マイナ保険証を救急搬送に活用開始、全国展開を目指す実証事業/総務省2.高齢者施設の服薬は昼1回に統一で安全性向上を/老年薬学会3.医療機関のサイバーセキュリティ対策チェックリストを改訂/厚労省4.地域医療を支えるため、医学生への修学資金貸与制度の充実を提案/文科省5.紅麹サプリの健康被害受け、機能性表示食品の安全性の強化を/自民党6.介護保険料の地域差拡大、大阪市の介護保険料は全国最高の9,249円に/厚労省1.マイナ保険証を救急搬送に活用開始、全国展開を目指す実証事業/総務省2024年4月、マイナンバーカードを利用した保険証(マイナ保険証)の利用率が過去最高の6.56%に達したが、利用率の低さが依然として課題となっている。5月17日、総務省消防庁はマイナ保険証を活用した救急搬送の実証事業を開始すると発表した。神奈川、兵庫、宮崎の3消防本部で実施され、救急隊員が現場でマイナ保険証を読み取り、患者の情報を迅速に把握し、医療機関へ搬送する。実証結果を踏まえ、2025年度中に全国展開を目指す。厚生労働省は、データと住民基本台帳情報の突合による「紐付け誤り防止」や動画広報、利用率の高い自治体・医療関係団体の表彰などを実施しているほか、さらに医療機関での利用促進に向けた具体策も進められている。マイナ保険証の利用率は病院で13.73%、医科クリニックで5.87%、歯科クリニックで10.91%、調剤薬局で5.71%とされ、さらなるPRと支援が求められている状況。5月15日に開かれた社会保障審議会・医療保険部会では、若年者世代へのPR強化や医療機関での声掛けの強化が提案され、専用レーンの設置や国家公務員の率先利用も呼びかけられている。その一方で、マイナ保険証に対する不信感も問題となっている。過去に他人の情報が紐付けられたり、保険診療の窓口負担の割合が誤って表示されたりするトラブルが相次ぎ、2024年4月までに新たに529件の紐付けミスが確認された。政府の点検作業で発覚した同様のミスは合計で9,000件を超えている。政府は、従来の健康保険証の新規発行を2024年12月2日から停止し、マイナ保険証の利用を基本とする方針を強化している。医療機関での利用促進策とともに、妊産婦支援の強化を目指す会議も設立され、正常分娩への保険適用が検討されている。これにより、マイナ保険証の普及と共に、医療サービスの質の向上が期待される。参考1)マイナ救急実証事業の開始(総務省消防庁)2)マイナ保険証の利用促進等について(厚労省)3)「マイナンバーカードによる医療機関受診」促進策を更に進めよ、正常分娩の保険適用も見据えた検討会設置-社保審・医療保険部会(1)(Gem Med )4)マイナ保険証、救急搬送に活用 23日から実証第1弾 総務省消防庁(時事通信)5)マイナンバーシステム、機能利用進まず 改善求められるデジタル庁(朝日新聞)2.高齢者施設の服薬は昼1回に統一で安全性向上を/老年薬学会5月17日に日本老年薬学会は、高齢者施設における服薬回数の簡素化を推奨する提言を発表した。この提言では、施設の入居者が多くの薬を服用している現状に対し、服薬回数を減らし、なるべく昼1回にまとめることを求めている。目的は、誤薬リスクを減らし、本人や職員の負担を軽減することである。高齢者施設では、認知機能や運動機能が低下した入居者が多く、複数薬を管理することが困難とされている。これに対し、職員数が多い昼間の時間帯に服薬を集約することで、誤薬のリスクを低減し、職員の負担が軽減できるとされる。具体的には、服薬のタイミングを昼に変更できる薬や効き目が長く続く薬に切り替えることが提案されている。提言の作成に関わった薬剤師の丸岡 弘治氏は、「服薬回数を減らすことは医療安全上のメリットにもつながる」と述べている。学会代表理事である秋下 雅弘氏も、「この取り組みはすべての高齢者に必要であり、今後は医療機関や在宅介護にも呼びかけたい」と語る。ただし、すべての薬が昼の服薬に適しているわけではなく、安全性や効果に影響がないかを慎重に確認する必要がある。提言では、医師や薬剤師が協議し、適切な薬を特定することが求められている。また、本人や家族への理解を得ること、療養場所が変わった際の見直しも重要となる。高齢者施設の服薬管理は、職員の勤務シフトに合わせて朝、昼、夕、眠前に行われているが、この提言に基づき、昼1回の服薬に簡素化することで、誤薬リスクの低下と負担軽減が期待されている。なお、提言は、老年薬学会のウェブサイトで公開されている。超高齢社会を迎えるわが国では、多数の併存疾患を抱える高齢者が増加しており、施設のマンパワー不足やポリファーマシーの問題が深刻となっている。服薬簡素化はこれらの課題に対応するための1つの解決策となり得る。今後も、医療・介護・福祉の専門職が協力し、提言の実施を進めることが求められている。参考1)高齢者施設の服薬簡素化提言(老年薬学会)2)高齢者施設での服薬は「昼1回」に 負担軽減へ老年薬学会が提言(毎日新聞)3)高齢者施設での服薬は昼1回に…飲み間違いや飲み忘れ防止、職員の負担減へ老年薬学会提言(読売新聞)3.医療機関のサイバーセキュリティ対策チェックリストを改訂/厚労省厚生労働省は「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」を2024年度版に改訂した。これにより、サーバへのセキュリティパッチ適用など、2023年度版では参考項目としていた事項が正式なチェック項目として追加された。このチェックリストは、厚労省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に基づき、優先的に取り組むべきセキュリティ対策をまとめたもの。2024年度版では、サーバへのセキュリティパッチ適用、端末PCでのアクセス利用権限の設定、インシデント発生時のバックアップと復旧手順の確認などが正式なチェック項目となった。また、サイバー攻撃を想定した事業継続計画(BCP)の策定については、今後、参考資料となる手引きを作成する予定。そのほか、このチェックリストには、医療法第25条第1項に基づく立ち入り検査時に使用されることが明記された。これにより、厚労省への問い合わせが多かった使用用途についての明確化が図られた。また、各チェック項目の末尾には、具体的なチェック内容を解説するマニュアルの章番号が追記されている。今回の改訂により、医療機関はセキュリティ対策の強化を図り、サイバー攻撃からの防御を一層強化することが求められる。厚労省は引き続き、医療機関のセキュリティ対策を支援し、患者情報の保護を進めていく方針。参考1)令和6年度版「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」及び「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストマニュアル~医療機関・事業者向け~」について(厚労省)2)サイバーセキュリティ対策チェックリスト改訂、厚労省 サーバへのセキュリティパッチ適用を正式な項目に(CB news)4.地域医療を支えるため、医学生への修学資金貸与制度の充実を提案/文科省文部科学省は、5月17日に「医学教育の在り方に関する検討会」を開催し、診療参加型臨床実習の推進と充実を強調する第2次中間取りまとめ案を提示した。この中で、医師の偏在解消を図るための教育上の方策として、地域枠の医学学生に対する修学資金貸与制度の充実が、最も有効であるとする意見が出された。診療参加型臨床実習は、医学生が医師の指導監督の下で実際の医療行為を行うことで、診断・治療に関する思考力や対応力を養うもの。2021年の医師法改正により、一定基準を満たした学生が実習中に医療行為を行うことが可能となり、大学では実習の連続した配属期間を確保する取り組みが進められている。また、医師の地域偏在を解消するため、地域枠の活用が推進されている。特定診療科の範囲を選択する「診療科選定地域枠」や大学特別枠などが導入され、修学資金貸与制度を活用して地域医療への貢献を促すことが有効とされている。奈良県立医科大学の今村 知明教授は、「修学資金貸与制度の充実を求め、地域のニーズに応じた柔軟な運用が必要だ」と指摘するとともに、大学病院の役割として、教育・研究・診療の三役を担うことが強調され、国による後押しが求められている。とくに、大学病院で働く医師の待遇改善やキャリアインセンティブの提供が必要とされ、「大学病院がその役割を果たすためには、文科省や厚労省、自治体の連携が必要だ」と述べる。さらに医学研究の充実も重要な課題とされ、研究医枠の増員や研究環境の整備が求められた。若手研究者のキャリアパスを明確にし、研究を続けるモチベーションを高めるための支援が必要であると指摘されている。文科省は、今回の取りまとめを踏まえて、今後の医学教育に関する施策を進める方針。とくに、医師の地域偏在解消と医学研究の充実を図るため、大学や地域との連携を強化し、持続可能な医療提供体制の確立を目指す。参考1)第10回 今後の医学教育の在り方に関する検討会(文科省)2)第二次中間取りまとめ(案)(同)5.紅麹サプリの健康被害受け、機能性表示食品の安全性の強化を/自民党小林製薬(大阪)の「紅麹」サプリメントによる健康被害を受け、自民党は5月16日に政調、消費者問題調査会・厚生労働部会合同会議を開き、機能性表示食品の安全性を強化する提言案をまとめた。提言案では、健康被害情報の報告ルールの明確化や定期点検の義務化を求めており、安全性強化で消費者保護につなげたいとしている。自民党の消費者問題調査会と厚生労働部会の合同会議で示された提言案には、以下の内容が含まれている。健康被害情報の報告ルールの明確化:行政への報告対象や報告期限を明確にし、企業が報告義務を順守するよう求める。定期点検の義務化:事業者が食品の届け出内容を定期的に点検・自己評価し、その結果を消費者庁に報告しなければ販売できなくすることを提案。GMP認証の義務化:サプリメントの製造において、品質・衛生管理に関する指針「GMP(適正製造規範)」の認証取得を義務付ける。さらに消費者庁の専門家検討会でも、以下の点が議論されている。報告義務の強化:企業が報告の是非を判断せず、症状の重篤度に関わらず健康被害を報告することを義務付ける方向で検討されている。また、情報公開基準を明確にすることで企業の風評被害の懸念を軽減する方策も議論されている。サプリメントの特化規制:成分が濃縮されたサプリメントの安全性を食品と同じ基準で評価できないため、サプリメントに特化した規制を求める声が上がっている。自民党は、この提言案を来週にも政府に提出する予定。これにより、機能性表示食品の安全性が強化され、消費者の健康被害を防ぐ取り組みが進むことが期待される。参考1)届け出後の定期点検義務化 機能性表示食品で自民原案(東京新聞)2)自民 紅麹問題再発防止へ ルール明確化など求め提言案まとめる(NHK)3)機能性表示食品の健康被害情報報告ルールの明確化も議論 消費者庁の検討会の見直しポイント(産経新聞)6.介護保険料の地域差拡大、大阪市の介護保険料は全国最高の9,249円に/厚労省厚生労働省は、各地の自治体など全国1,573の保険者を調査。介護保険の第1号保険料の全国の市町村の動向を取りまとめ、公表した。2024~26年度にかけて65歳以上の高齢者が支払う介護保険料の全国平均は月額6,225円で、最も高いのは大阪市の9,249円、最も低いのは東京都小笠原村の3,374円だった。地域差の原因は、高齢者の割合や介護事業者の参入状況、自治体の財政状況が影響している。大阪市は単身高齢者が多く、保険料が高額な一方、小笠原村は高齢化率が低く、保険料が抑えられている。各自治体は保険料の引き上げを抑えるための対策を講じており、一例として千葉県栄町は、介護予防活動を推進し、保険料を低く抑えている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2039年には65歳以上の高齢者が3,900万人を超え、介護サービスの需要が高まり、保険料の上昇が予想されている。厚労省は、所得別の負担見直しやケアプランの有料化を検討している。淑徳大学の結城 康博教授は、「抜本的な制度改革がなければ地域間の格差が広がる」と指摘し、介護保険料は2000年の制度開始時の月2,911円から2040年には9,000円程度に達すると見込まれている。介護保険料の地域差は、今後も続くと予想され、国や各自治体は対応策を講じる必要がある。参考1)全国 介護保険料マップ(NHK)2)介護保険料、月6225円 24~26年度全国平均 65歳以上、3.5%増(日経新聞)3)上昇傾向の介護保険料 目立つ地域差 サービス利用減で引き下げも(朝日新聞)4)介護保険料“格差”今後も拡大か 若い世代にも影響(FNN)【動画】5)第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について(厚労省)

58.

認知症を予防する食品は?栄養、3つの小話【外来で役立つ!認知症Topics】第17回

「フレンチパラドックス」が赤ワインブームに火をつけた知人とレストラン等で食事をするとき、「ではワインでいこう」となることがある。銘柄などに詳しくない人の集まりなら、「赤か白か」程度の選択になる。このような場合、十中八九が赤で決まる。この20年近くはそうなったと思う。それ以前、筆者が20代から40歳頃にかけてはまったく逆だった。渋くて重い赤ワイン好きなどはまず例外的、ほぼ皆が甘く軽やかな味の白を選ぶのが常だった。それが1995年以降に逆転して今に続く赤ワインブームが定着する。その原因がフレンチパラドックスである。パラドックス、矛盾とは? 赤ワインで有名なフランスのボルドー地方などでは、動物性脂肪の摂取が多いのに冠状動脈疾患の発症率が少ないことを指す。加えて認知症の発症も少ないことが一流医学雑誌で報告された。そこに赤ワインが関係する可能性が指摘された。さらに白ワインに比べて赤ワインに多く含まれる抗酸化物質ポリフェノールに鍵があると考えられた。日本のマスコミでは、「みのもんた」による赤ワイン健康法のTV番組などもあって、わが国の赤ワイン人気は一気に爆発した。「まごたちわやさしい」バランスの良い地中海食さて外来で、「認知症にならない、脳に良い食品は何か?」と尋ねられることは多い。そこで筆者は、数年に1度は、認知症、予防、栄養などのキーワードでレビューを探して、読んでいる。最近の結論としては次のようになる。「TVのコマーシャルでやっているようなサプリではありません。食品の個々の栄養素とか成分でもないそうです。食材と栄養の組み合わせ、ここから相乗的に効果が生まれるようです」。つまり「まごたちわやさしい※」のようにまんべんなくバランス食を、ということだ。※「まごたちわやさしい」とは、バランスの良い食事の考え方で、取り入れたい食材の頭文字からできた言葉(ま:豆類、ご:ごま・ナッツ類、た:卵、ち:チーズ・乳製品、わ:わかめ・海藻類、や:野菜、さ:魚、し:しいたけ・キノコ類、い:いも)。そのような食事の代表は地中海食だろう。これについては、少なくとも疫学的に循環器疾患そして認知症の予防効果がある。つまり認知症ではない人における知的低下率を減少させ1)、アルツハイマー病の発症率を低下させるとレビューがなされている2)。このように疫学的に確立した食事パターンは地中海食しかない。この地中海食を患者さんに説明する際は、「動物性脂肪中心のいわば欧米食とは違う。欧米食に、魚や野菜という伝統的な和食風をアレンジ」とその特徴をまとめる。また地中海食の特徴とされる食品のうち、日本人には馴染みが薄い食品として以下を紹介している。精白されていない全粒穀物、豆類、ナッツ、そしてオリーブオイル、これらを摂取するのも良いかもしれないと説明する。なお最近では、地中海食は伝統的に孤食ではないことに注目するものもある。脳に不可欠なオメガ3不飽和脂肪酸を摂れる食品は?さて地中海食も和食も、1つのポイントが必須脂肪酸のオメガ3不飽和脂肪酸にあると思う3)。ヒト脳の60%は脂肪でできている。それだけに脂肪酸は脳の統制と機能を決定する最重要物質と考えられている。とくに必須脂肪酸は、健康維持のために必要であるにもかかわらず、体内では作れないため食事から摂取する必要があるものをいう。必須脂肪酸としては、オメガ6不飽和脂肪酸のリノール酸、オメガ3不飽和脂肪酸のα-リノレン酸が代表である。これらは脳の神経細胞膜の重要成分であるだけでなく、神経伝達物質を合成したり細胞膜の流動性を維持したりすることに関与している。さらに免疫機能の構成分子にも関与する。ヒト脳の成長は5、6歳頃には終了するが、必須脂肪酸のうちオメガ3不飽和脂肪酸は、その後も脳の発達に重要である。とくに食事から摂るDHA(ドコサヘキサエン酸)は網膜と大脳皮質には必要で、これがあって視力と脳の発達が可能になると考えられている。なおアルツハイマー病者では、脳の海馬、大脳皮質、小脳において必須脂肪酸が不足すると症状がさらに悪くなるという報告もある。こうした必須脂肪酸を食事から上手に摂取するなら、DHAやEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富なサンマ、サバ、マグロなど青魚が良いことが知られている。ところがオメガ3不飽和脂肪酸を含む植物油はあまりない。その例外は、シソ油、エゴマ油である。なおエゴマ油は、シソ科の植物“エゴマ”の種子を搾った油、シソ油は、シソの実を搾った油である。図. 脂肪酸の分類画像を拡大する赤ワインの認知症予防効果、現在の評価は?終わりに、赤ワインが認知症予防になるという説への現在の評価は、あまり信憑性がないとしている。酒を称賛する言葉に「酒は百薬の長」があるように、飲み方次第では赤ワインもそうだろう。そこで「赤ワインの適切な飲酒量は?」との質問には、なにかの医学雑誌で読んだTwo glasses of wine(約230mL≒日本酒1合のアルコール)とお答えしている。参考1)Sofi F, et al. Am J Clin Nutr. 2010;92:1189-1196.2)Singh B, et al. J Alzheimers Dis. 2014;39:271-282.3)Dighriri IM, et al. Cureus. 2022;14:e30091.

59.

かゆみが続く慢性搔痒

患者さん、その症状は皮膚瘙痒症ですよ!皮膚瘙痒(そうよう)症とは、「発疹(皮膚病変)がないのにもかかわらず、痒みを訴える」疾患です。以下、該当する項目はありませんか?□皮膚が乾燥している□50歳以上□急に痒みが襲ってくる□治療中の病気(腎疾患、肝疾患、血液疾患、感染症…)がある□薬・サプリメントを服用している□妊娠中◆ かゆみが続く“慢性掻痒”とは…・皮膚のかゆみが6週間以上続く・全身の皮膚がかゆい場合、体の一部にかゆみがある場合がある・慢性掻痒により生活の質(QOL)は著しく下がる・最も多い原因は、「乾皮症」「接触性皮膚炎」「アトピー性皮膚炎」、悪性腫瘍を含む全身疾患が慢性痒疹の原因となることもある出典:日本皮膚科学会ガイドラインー皮膚瘙痒症診療ガイドライン、Yosipovitch G, et al. .N Engl J Med. 2013;368:1625-1634.監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

60.

5月2日 カルシウムの日【今日は何の日?】

【5月2日 カルシウムの日】〔由来〕丈夫な骨を作るために欠かせない「カルシウム」を摂ることの大切さを多くの人に知ってもらうことを目的に、骨(コ[5]ツ[2])の語呂合わせからワダカルシウム製薬が制定。関連コンテンツ第23回 高齢糖尿病患者の骨折リスク、骨粗鬆症にどう対応する?【高齢者糖尿病診療のコツ】緩和ケアでもよく経験する高カルシウム血症【非専門医のための緩和ケアTips】カルシウムってなあに?【患者説明用スライド】カルシウムを含む食材は何【患者説明用スライド】糖尿病患者、カルシウムサプリ常用でCVDリスク増

検索結果 合計:400件 表示位置:41 - 60