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運動器疾患における疼痛に関する患者調査 ~痛みのために患者が困っていることとその解決法~

宗圓 聰 ( そうえん さとし ) 氏近畿大学医学部奈良病院  整形外科・リウマチ科 教授2013年9月24日(火)、ヤンセンファーマ株式会社主催の疼痛メディアセミナーが開催され、宗圓 聰氏は本年発表された、運動器疾患患者(椎間板ヘルニア、関節リウマチ、変形性膝関節症、骨粗鬆症、脊柱管狭窄症)の疼痛に関する治療実態や治療の満足度に関する調査1)(調査概要:文末参照)について報告した。痛みのために現在困っていること通院治療中の患者でも、痛みのために日常生活で支障を感じている患者は多く、とくに椎間板ヘルニア、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症では70%以上の人が痛みのために日常生活に何らかの支障(階段を上るのに苦労するなど)を感じていた。治療による痛みの改善度合い・効果への満足度どの疾患でも治療により痛みは改善されているが、中程度の痛みが残っていた。痛みの治療効果に対する満足度は疾患により異なり、関節リウマチが最も高く(75%)、脊柱管狭窄症患者の満足度が最も低かった(55%)。関節リウマチでは、近年の治療薬の進歩とともに治療効果への満足度が向上していることがうかがえる。病院以外での治療実施割合治療効果に満足していない患者は、病院・クリニックでの治療以外にコルセット・サポーターなどの装具やサプリメントを中心に、何らかの治療をしている割合が高く、これらによる除痛効果を期待していることが示唆された。経口鎮痛薬:服用している薬剤、服用割合、服用期間経口鎮痛薬を服用している割合は、椎間板ヘルニアで約70%、関節リウマチ、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症で50%強、骨粗鬆症で30%弱であった。服用している経口鎮痛薬は、NSAIDsが約90%を占め、経口薬服用患者のうち70%以上はすでに1年以上にわたって経口薬を服用していた。これらの調査結果から、宗圓氏は特筆すべき点として、経口鎮痛薬として約90%がNSAIDsを服用し、その多くの患者が1年以上続けている状況を指摘。「NSAIDsには副作用としてさまざまな臓器障害があり、とくに高齢者では1年以上続けると腎障害が強く懸念される。3ヵ月継続して効果が思わしくない場合は、オピオイドなど別の薬剤を検討すべきだ」と述べ、NSAIDsの長期使用は慎重に行うべきであると訴えた。*「運動器疾患における疼痛に関する患者実態調査」調査概要・目的:5大疾患の患者の治療実態や治療の満足度の把握・対象:5大疾患の診断を受け通院治療中の40歳以上の患者[椎間板ヘルニア165例、関節リウマチ179例、変形性膝関節症195例、骨粗鬆症186例、脊柱管狭窄症172例(併発している場合は主疾患を優先)]・方法:楽天リサーチ患者パネルを用いたWeb調査・調査地域:全国・期間:2012年11月27日~12月3日・実施:ヤンセンファーマ株式会社(ケアネット 萩原 充)出典1)宗圓 聰. Progress in Medicine. 2013; 33: 1215-1220.※ 所属・施設等は、制作当時のものです。

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シスチン尿症〔cystinuria〕

1 疾患概要■ 定義シスチン尿症は、腎近位尿細管と小腸上皮における二塩基性アミノ酸のシスチン、リジン、オルニチン、アルギニンの先天性吸収障害で、常染色体劣性の遺伝性疾患である。■ 疫学発生頻度は、日本では1.6万人に1人1)、欧米諸国では0.1~1.7万人に1人であり、人種差がある。シスチン尿症は、全尿路結石の1~2%を占めるシスチン結石の原因疾患である。■ 病因前述の吸収障害のため、尿中に多量のシスチン、リジン、オルニチン、アルギニンが排泄され、尿中の濃度が上昇する。このなかでもとくに溶解度の低いシスチンが、結晶化し、結石を形成する。■ 症状シスチン尿症の臨床症状は尿路結石のみであり、症状は結石が形成されてから出現するため、結石に伴う肉眼的血尿や腰背部痛などが挙げられる。また、結石に伴う尿路感染症や腎不全を認めることもある。最初に結石が診断されるまでの平均年齢は12.2歳と比較的若年者である2)ことから、若年者の尿路結石を診察した場合は、シスチン結石を念頭に置く必要がある。■ 分類1966年以降、Rosenbergによってアミノ酸の排泄量や取り込み率で分類したタイプI~IIIが広く用いられている3)。I型は小腸上皮からのシスチン、リジン、オルニチン、アルギニンの吸収が完全に阻害されており、II型は小腸上皮でのシスチンの吸収はわずかに認められるが、リジン、アルギニンの吸収は認められない。III型は小腸上皮でのアミノ酸吸収がわずかに低下しており、アミノ酸負荷により血中シスチン濃度が上昇する。その後1999年にスペインのバルセロナ大学を中心にICC(International Cystinuria Consortium)が設立され、表に示すような遺伝子分類が提唱されている4)。画像を拡大する1)A型:第2染色体上にあるrBAT遺伝子の両アレルの変異(rBAT:2q 16.3のSLC3A1 geneで約78kDaの1回膜貫通型の蛋白質)2)B型:第19染色体上にあるBAT1遺伝子の両アレルの変異(BAT1:19q 13.1のSLC7A9 geneで約40kDaの12回膜貫通部位を持つ蛋白質)3)AB型:rBAT遺伝子とBAT1遺伝子の変異■ 予後シスチン尿症の発見が遅れたり、再発性難治性の経過をとった場合は腎不全を来すことがあり、約17%に腎機能障害を認めたという報告もある5)。そのため、シスチン結石の再発予防や薬物療法が重要な予後決定因子と考えられる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)シスチン尿症は、家族歴や既往歴を聴取し、尿pH測定で継続する酸性尿の存在や尿沈渣での正六角形(ベンゼン環)のシスチン結晶の存在、尿シスチン定性反応をみることが診断の第一歩となる。正常人の尿中シスチン排泄量は30mg/日程度であるが、同型遺伝子接合体では400~500mg/日となる。また、24時間尿中アミノ酸定量でシスチン以外のアミノ酸(リジン、オルニチン、アルギニン)の異常排泄の有無を確認して病型分類を行うが、その間冷所保存し、遮光が必要など注意を要する。画像診断では、X線で透過性がある結石として知られているが、淡い陰影として描出されることもある。CTはほぼ100%検出可能(図1)であり、CT値が700HU前後であればシスチン結石と考えられる。最終的には、排石された結石を成分分析に提出し、確定診断する必要がある(図2)。画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)外科的治療、飲水指導、食事指導に加え、薬物治療も積極的に行う6)。■ 保存的治療シスチン結石は丸みを帯びていることからサイズの大きな結石も自然排石する傾向があるため、薬物療法と鎮痛薬や鎮痙薬の使用と飲水指導を先行する。薬物療法は尿のアルカリ化を目的とした尿アルカリ化薬であるクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物(商品名:ウラリット)を使用する。ただし、過度のアルカリ化はリン酸カルシウム結石形成の危険因子となるため尿pHを7.0~7.5に調整することが望ましい。また、チオプロニン(同:チオラ)やペニシラミン(同:メタルカプターゼ)、カプトプリル(同:カプトリルほか)なども使用される。これらは尿中でシスチンと易溶性の複合体を形成し、シスチンの結晶化を抑制する。小児の場合は、副作用や内服のコンプライアンスが低いため、後述の飲水指導を中心とし、薬物投与を行わないことも少なくない。■ 外科的治療大きい結石やサンゴ状結石の場合は、外科的治療として体外衝撃波結石砕石術(extracorporeal shock wave lithotripsy:ESWL)や経尿道的尿管砕石術(transurethral ureterolithotripsy:TUL)も適応となりうる。ESWLの場合、シスチン結石は一般に硬く、複数回行っても砕石できない場合があるが、大まかに砕石できれば、薬物療法によって溶解が可能となる7)。■ 再発予防飲水は1日尿量が、2,500mL以上を維持できるように指導する。十分な飲水により尿量を増やし、尿中のシスチン濃度を飽和溶解度の250mg/L未満にすることが重要である。水分補給源としての清涼飲料水、甘味飲料水の摂取は避ける。食事は尿の酸性化を助長する食べ物(砂糖や動物性蛋白質)の制限は有効である。動物性蛋白質は、尿中クエン酸排泄を減少させるため、1.0g/kg/日、動物性/植物性蛋白質の比率を1にすることが理想である。4 今後の展望現在、シスチン尿症の責任遺伝子がrBAT/SLC3A1、BAT1/SLC7A9と判明し、さらなる解析が行われている。シスチン尿症の診断は、尿中のアミノ酸量の測定や排石された結石の成分分析にて行われ、治療は現段階では、結石ができてからの外科的治療や薬物療法のみである。今後は、遺伝子レベルでの早期発見や遺伝子治療による早期治療が期待される。5 主たる診療科泌尿器科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報The International Cystinuria Foundation(ICF)(英文サイト)(医療従事者向けの情報)1)Ito H, et al. J Urol. 1983; 129: 1012-1014.2)Akakura K, et al. Urol Int. 1998; 61: 86-89.3)Rosenberg LE, et al. J Clin Invest. 1966; 45: 365-371.4)Palacin M, et al. Physiology(Bethesda). 2005; 20: 112-124.5)Dello Strologo L, et al. J Am Soc Nephrol. 2002; 13: 2547-2553.6)日本泌尿器科学会、日本Endourology・ESWL学会、日本尿路結石症学会編.尿路結石症診療ガイドライン. 金原出版; 2002.7)長島政純ほか. 泌尿器科紀要. 2007; 53: 809-812.日本尿路結石症学会編. 尿路結石症のすべて. 医学書院; 2008.日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本尿路結石症学会編. 尿路結石症診療ガイドライン第2版. 金原出版; 2013.

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エキスパートQ&A

プライマリ・ケア医はどの範囲まで、がん患者さんを診るべきなのでしょうか?プライマリ・ケア医の定義がなかなか難しいところですが、地域の開業医の先生方であれ病院勤務の一般内科の先生方であれ、がん患者さんを診るべきだと思います。サブスペシャリティががんとは無関係の領域(循環器、神経、内分泌、腎臓、膠原病、感染症など)であったとしても同じことです。理由は単純です。患者さんは多いのに診る医者が少ないからです。がんは日本人の2人に1人が罹患し、3人に1人が亡くなるという非常にコモンな病気です。がん患者の診療において、専門医数(全国でがん薬物療法専門医<1000人、緩和医療専門医<100人)が少ないなどインフラの問題もありますが、一番大きい問題は患者さん側と医師側が日本のがん医療や一般診療に対してそれぞれが持つ固定観念だと思います。患者さん側は「大きな病院で専門医の先生にずっと診てもらわないと心配だ」、医師側は「がん診療は高度に専門化していて難しい。患者や家族の対応にもストレスを感じることが多い。治らずに亡くなっていく患者を診るのもつらいし、しんどい」といった気持ちがお互いにあるのではないでしょうか。これを少しずつでも変えていかないことには、がん対策基本法の理念である「すべてのがん患者さんに等しく適切な医療を提供する」を実現することは困難だと思います。がん診療はやりがいがあります。患者さんにとって一度は死を意識せざるを得ない疾患ですから、その患者さんや家族との対応の中で自分なりのさまざまな思索を巡らすことになります。また、自分や家族も将来罹患する可能性が高い疾患を目の前の患者さんを通じて経験し、人間の永遠のテーマである「生と死」について深く考えることができるのです。プライマリ・ケア医にできる身体的なケアにはどのようなものがあるでしょうか?がん患者さんの何を診るかについては議論のあるところですが、患者さんのQOL維持・向上のため少なくとも支持療法(緩和医療)についてはカバーすべきと考えています。支持療法の範囲は広く、緊急事態(オンコロジック・エマージェンシー)への対応、疼痛を含む症状コントロール、がん治療による有害事象対策、栄養療法、リハビリ、無再発患者の定期的フォロー(再発の有無、二次がんのチェック、骨粗鬆症、不妊、一般内科的マネジメント)などプライマリ・ケア医であればある程度対応可能な分野と考えています。抗がん薬治療はご自身のサブスペシャリティと、置かれている環境(開業医か病院勤務医か、地方か都市部か)で異なると思いますが、開業医の先生方が抗がん薬治療を扱うのは現状ではなかなか難しいかもしれません。基幹病院への紹介の仕方や、うまく機能しているシステムがあれば教えていただけますか?具体的に機能しているシステムはわかりませんが、病病連携や病診連携において大切なのはやはり「顔の見える関係」です。紙だけのやり取りでは関係が希薄になりがちですので、研究会等で基幹病院の先生と会って良い関係を築くことが重要ですし、いろいろな情報や知識も得られると思います。また紹介患者さんが基幹病院に入院したら、その病院に会いに行くことも重要だと思います。患者さんが喜ぶのはもちろん、基幹病院の医療スタッフも信頼を寄せますので、患者さんを逆紹介していただきやすくなると思います。可能であれば、基幹病院、地域の開業医、訪問看護ステーション、ケアマネージャーなどで症例を通じた多職種カンファレンスを開くのもよいと思います。日常診療でがんを早期発見するためには、どこに気を付ければよいですか?有症状か無症状かで考え方が異なります。有症状の場合、そのがんはすでに早期がんである確率は低いので、ご質問そのものに対する回答にはなっていませんが、個人的には以下のような症状があった場合には、がんを疑うことにしています。すなわち、体重減少、リンパ節腫脹、原因不明で夜間に増悪する腰痛・背部痛、不明熱、嚥下困難、下血・血便・タール便、黄疸、血痰、血尿などです。また過去のがんの既往があれば、より検査閾値を下げて精密検査を進めることになると思います。無症状のがんを診断するためには、基本的にはがん検診を定期的に受けていただくことだと思います。私はがん以外で診ている患者さんに「がんについては検診を受けてください。残念ながら、あなたががんになっていないかどうかについてまでは診られていないのです」と説明しています。高血圧や糖尿病で診ている患者さんでも、患者さん側からすればがんも含めて診てもらっていると思っている方がいらっしゃいます。しかし、がんでない患者さん全員にがんが無いかどうかを診ていくのは大変だと思います。ただ、がん検診については注意すべき点があります。がん検診は早期発見のみを目的にしているのではなく、早期発見を通じてがんによる死亡を減らすことを目標としていますし、その点についてある程度コンセンサスがあるがん種についてがん検診が行われているのです。したがって、がん検診の内容に満足できない患者さんには、賛否両論あるにせよ、人間ドックを受けていただく以外にないと考えています。また、がんをスクリーニングする方法としての腫瘍マーカー測定は勧められません。スクリーニングには高い感度が求められますが、腫瘍マーカーで感度の高い検査はないからです(PSAは前立腺がんのスクリーニングには適していますが、早期診断することで死亡割合を低下させるかどうかが専門家の間で見解が異なるため現時点でがん検診に用いられてはいません)。症状もないのに患者さんの希望のみで、安易に腫瘍マーカーを測定し少しでも異常があった場合には、患者側も医師側も必要以上にがんを心配することになってしまいます。健診受診を促していますが、嫌がる人が多いです。どうすべきでしょうか?どうして嫌がるのかその理由によると思います。がんが見つかるのが怖いのか、それともがんになっても構わないし、早期発見が重要と考えていないなど、いろいろ理由があると思います。まずは患者さんの考え方を十分に把握することから始めてみてはいかがでしょう。CKDにおける抗がん治療の注意点を教えてください。腎障害の程度や、抗がん薬が腎排泄か肝代謝・肝排泄かなどによって、投与量は変わってきますので一般化できません。また、透析患者さんの場合はまた別の因子(透析性、分布容積、蛋白結合率、投与するタイミングなど)を考慮する必要が出てきます。詳しくは各抗がん薬の添付文書をご覧ください。高齢患者さんの治療に関する注意点を教えてください。一般的に抗がん治療の治療目標は二つあります。すなわち、生存期間の延長とQOLの改善・維持です。高齢患者さんの場合、抗がん治療により得られるメリットは非高齢患者さんのそれに比して小さくなります。つまり、生存期間の延長も小さくなるでしょうし、QOLも低下する可能性が十分あります。大切なことは、何を治療目標にして個々の患者さんを治療しているのかについて主治医と患者さん・家族が十分話し合い、認識を共有しておくことだと思います。個々の抗がん治療(手術、抗がん薬、放射線)の注意点については紙面の関係でここでは割愛します。食欲不振に対する対処法を教えてください。食欲不振の原因によります。原疾患によるものか、抗がん薬治療によるものか、あるいはうつ病などの内因性精神疾患によるものか、など多岐にわたります。認知症患者におけるがん治療について教えてください。がん治療に関して、その患者さんに自己意思決定能力があるかどうかが最大の問題になります。認知症のために本人に意思決定ができない場合は、家族や友人などに代理意思決定をしていただく必要があります。その際に大切なのは、代理者の意向ではなく、患者さん本人の意思を代弁する(または推定する)ことです。あくまでも患者さんが主体です。また、認知症患者の抗がん治療自体も難しいものになります。認知症の患者さんは脳の脆弱性のため、せん妄を起こしやすく、脳以外の身体の脆弱性も伴っていることが多いことから、その他の合併症(肺炎など)も起こしやすいのです。前立腺がんにおける高濃度ビタミンCの有用性について教えてくださいマルチビタミン(ビタミンCを含む)とミネラル補充療法の前立腺がん発症や進行予防との関連についてはメタ解析により現時点では否定されています(Stratton J,et al. Family Practice. 2011; 28:243–252)。上部消化管検診においてペプシノゲンがBaや内視鏡に代行できるという考え方はもう一般的になっているのでしょうか?日本のガイドラインでは現時点においても胃透視を推奨しており、ペプシノゲンはピロリ抗体や胃内視鏡と共に胃透視に比べてエビデンスレベルは下位に位置づけられています(Hamashima C, et al. Jpn J Clin Oncol 2008;38(4)259–267)。したがって、一般的にペプシノゲン測定はほかの検査の代用にはならないと考えられます。ただ、ABC検診と言って、血液検査でH. pylori感染とペプシノゲン値を調べ、胃がんのリスク評価を行う検診があり、リスクに応じて胃内視鏡検査による胃がんのスクリーニングを推奨する動きもあります。

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黒酢に皮膚がん細胞増殖の抑制効果あり

 鹿児島大学医学部皮膚科学教室の馬場 直子氏、同教授・金蔵 拓郎氏らは、鹿児島県の黒酢メーカーが新たな製造法で商品化した黒酢「泉」について検討した結果、扁平上皮がん(SCC)細胞に対する抗腫瘍効果が認められたことを報告した。黒酢は玄米を原料とする日本の伝統的な食材で、体に良いとされるアミノ酸やミネラルなどが豊富に含まれている。「泉」はそれらの含有成分が、新たな製造法によりさらに多量に含まれているという。Nutrition and Cancer誌オンライン版2013年8月5日号の掲載報告。 研究グループは、黒酢には抗酸化作用があることが知られていることから、「泉」のSCC細胞株HSC-5に対する抗腫瘍効果を調べることを目的とした。検討は、一般的な醸造酢との比較にて行われ、酸度を一般的な4.2%に調整してHSC-5細胞の治療を行った。 主な結果は以下のとおり。・MTT試験、トリパンブルー色素排除試験の結果、「泉」は一般的醸造酢と比べて、HSC-5細胞の増殖を有意に阻害した。・ヨウ化プロピジウム(PI)フローサイトメトリー解析、アネキシンV/PI染色法により、「泉」または一般的醸造酢で治療した細胞あるいは未治療だった細胞間で、アポトーシスを起こした細胞数に違いはないことが明らかになった。・このことから、プログラムされた細胞死や壊死といった新たなネクローシスの形が考えられた。それはキーシグナル分子のRIPK3により伝達され、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)の細胞放出に帰結するものと考えられた。・「泉」でHCS-5細胞を治療した場合、RIPK3とDAMPsの一つであるHMGB1の細胞レベルは、培地に放出された量が明らかに増大した。・これらの所見から、「泉」は、プログラムされた細胞死(壊死)を介してヒトのSCC細胞の増殖を阻害することが示唆された。

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ビタミンDが健康に及ぼす影響(まとめ)

 近年、ビタミンDが健康、疾病に及ぼす影響を検証した臨床研究結果がケアネット・ドットコムでも散見されるようになってきた。そこで今回、編集部ではビタミンDに関する記事をまとめてみることにした。後半のいくつかはケアネット・ドットコムで初めて紹介するものも含まれている。“ビタミンD不足の高齢者は日常の活動に支障” 【高齢者】 ビタミンDの不足する高齢者は、着替えや階段を上るなどの日常的な身体活動に困難を来す可能性のあることが、新たな研究で示された。高齢集団では、ビタミンD値最低群の70%に少なくとも1つの身体的制限がみられたのに対し、ビタミンD値が中等度または高い群の多くでは身体的制限がみられなかったと報告されている。さらに、ビタミンD欠乏のみられる人には、時間の経過とともに新たな身体的制限が発生する可能性が高いことが判明した。(Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌2013年7月17日オンライン版の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/general/hdn/35685“アルツハイマー病にビタミンD不足が関連” 【認知症】 ビタミンDの摂取が認知機能や認知症発症に与える影響をメタアナリシスにより検討した結果より、アルツハイマー病群ではコントロール群と比較し、ビタミンD濃度が低かったことが報告されている(Neurology誌2012年9月25日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/risk/carenet/31480“うつ病治療にビタミンD投与は有用” 【うつ】 ビタミンD欠乏症を認めるうつ病患者におけるビタミンD投与の有用性を検討した結果より、ビタミンD投与がうつ状態を改善すると報告されている(Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年6月号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/head/carenet/34687“ビタミンDの摂取がパーキンソン病の症状を安定化させる” 【パーキンソン病】 東京慈恵会医科大学の鈴木正彦氏らは、ビタミンD受容体遺伝子多型のうちFokI T/T型またはFokI C/T型を持つ患者が、ビタミンD3を摂取することで、高カルシウム血症を引き起こすことなく、短期的にパーキンソン病の症状を安定化させる可能性を示唆している(The American Journal of Clinical Nutrition誌2013年5月号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/head/carenet/34819“高用量ビタミンD摂取、65歳以上の骨折リスクを低減” 【骨折予防】 11の二重盲検無作為化比較試験の被験者を対象に行ったメタ解析の結果、65歳以上高齢者の高用量ビタミンD摂取(毎日≧800 IU)は、大腿骨頸部骨折およびあらゆる非椎体骨折の予防に多少ではあるが有望であることが示されている(NEJM誌2012年7月5日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/29116“ビタミンD+カルシウム、高齢者の骨折予防に効果” 【骨折予防】 高齢者の骨折予防におけるビタミンD単剤の用量は10~20μg/日では不十分であるが、カルシウムと併用すると大腿骨頸部骨折および全骨折が有意に抑制されることが、報告されている(BMJ誌2010年1月16日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/11991“女性高齢者への年1回、高用量ビタミンD投与、転倒リスクを増大“ 【転倒】 70歳以上の女性高齢者2,200人超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、高用量ビタミンDを年1回投与することで、転倒リスクが増大してしまうことが示唆された。また投与後3ヵ月間の転倒リスクは、約30%も増加したという(JAMA誌2010年5月12日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/14363“ビタミンDサプリ摂取で膝OA改善せず“ 【膝OA】 症候性変形性膝関節症(膝OA)患者に対して2年間にわたり、十分量のビタミンD3サプリメントとプラセボとを投与し比較検討した無作為化試験の結果より、サプリメント群はプラセボ群と比較して、膝の痛みの程度や軟骨減少について、低下はみられなかったことが報告されている(JAMA誌2013年1月9日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33205“母親の血中ビタミンD値、子どもの骨塩量とは無関係” 【妊婦】 妊娠中の母体における血中ビタミンD値と、その子どもの9~10歳時の骨塩量との関連について、約4,000組の母子について行った前向き調査「エイボン縦断試験」の結果より、有意な関連は認められなかったことが報告されている(Lancet誌2013年6月22日号[オンライン版2013年3月19日号]の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34604“ビタミンDサプリ摂取はビタミンD欠乏小児の骨密度を改善する” 【小児骨密度改善】 ビタミンDサプリメントは、ビタミンDが正常レベルの小児、青少年の骨密度にベネフィットをもたらさないが、欠乏している場合は一定の改善効果が得られることが、メタ解析で明らかとなったと報告されている(BMJ誌2011年1月29日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/19686“肺結核症に高用量ビタミンD補助薬は有効” 【肺結核】 肺結核症の集中治療期に標準的な抗生物質治療を受けている患者に、高用量のビタミンD補助薬を投与すると、ビタミンD受容体TaqI tt遺伝子型の患者で喀痰培養陰転時間の短縮効果を認めることが明らかとなった(Lancet誌2011年1月15日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/19346“ビタミンD服用、上気道感染症の発症・重症度を抑制しない“ 【上気道感染症】 健常者が半年間、月1回10万IUのビタミンDを服用し続けても、上気道感染症の発症および重症度を抑制しなかったことが、無作為化比較試験の結果より示されている(JAMA誌2012年10月3日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/31659“ビタミンD投与、左室心筋重量係数に変化なし-左室肥大を伴うCKD患者を対象としたRCTより-” 【心肥大抑制】 左室肥大を伴う慢性腎臓病(CKD)約230人に対する無作為化試験において、48週間にわたる活性型ビタミンD化合物paricalcitolを投与した結果、左室心筋重量係数に変化は認められなかったことが示されている(JAMA誌2012年2月15日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/27016“血清ビタミンD値と小児アトピーの重症度、統計学的に有意な関連は認められない” 【アトピー性皮膚炎】 血清25ヒドロキシビタミンD値と小児アトピー性皮膚炎の重症度との関連について、統計学的に有意な関連はみられないことが報告されている。両者の関連については、逆相関の関連性が示唆されていた(Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年7月号[オンライン版2013年2月14日号]の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33851“ビタミンDサプリ摂取で血圧が低下” 【降圧効果】 アフリカ系米国人を対象とした大規模ランダム化比較試験を行った結果、ビタミンDサプリメントを摂取した群ではプラセボ群と比べ血圧が有意に低下したことが発表されている。この前向き試験では、対象者に3ヵ月間毎日ビタミンDサプリメントを摂取させたところ、収縮期血圧がサプリメントの摂取用量に応じて0.7~4.0mmHg低下した(Hypertension誌2013年4 月号の掲載報告)。“ビタミンDサプリ摂取で、コレステロール値は改善しない” 【コレステロール低下】 ビタミンD値の低い人がサプリメントを用いてビタミンDを増加させても血中コレステロール値は改善しないことが示唆された。研究者らはビタミンD欠乏例に、5万国際単位のビタミンD3を8週間投与した。その結果、ビタミンD投与群ではプラセボ群と比べてコレステロールの改善はみられず、副甲状腺ホルモン値が低下し、カルシウム値が上昇した。(Arteriosclerosis, thrombosis, and vascular biology 誌2012年10月号の掲載報告 )。“ビタミンD低値は2型糖尿病の発症リスクを高める“ 【糖尿病】 ビタミンD欠乏と不足状態は2型糖尿病の発症リスクを高める独立した危険因子である可能性が報告されている。研究者らは、2型糖尿病の危険因子を1つ以上有するが糖尿病を発症していない成人1,080人を平均32.3ヵ月間追跡。その結果、血清25ヒドロキシビタミンD低値はBMI、インスリン抵抗性、インスリン分泌指数とは独立して2型糖尿病発症リスクと関係していた(The American journal of clinical nutrition誌2013年3月号の掲載報告)。“血中ビタミンD濃度の低い人では虚血性心疾患の発症リスクが増大” 【心疾患】 デンマーク人1万例以上の血中ビタミンD濃度と心疾患および死亡との関係を検討した結果、血中ビタミンD濃度の低い人では虚血性心疾患と心筋梗塞のリスクが著しく高いことが明らかにされている。 研究者らはCopenhagen City Heart Studyに参加した1万170例のうち、血中ビタミンD濃度が5パーセンタイル未満の者と50パーセンタイル以上の者を比較した。その結果、血中ビタミンD濃度が高い者と比べ、低い者では虚血性心疾患の発症リスクが40%、心筋梗塞の発症リスクが64%高かったことを発表している(Arteriosclerosis, thrombosis, and vascular biology誌2012年11月号の掲載報告)。“ビタミンD摂取不足が脳梗塞の発症リスクを高める” 【脳梗塞】 食事によるビタミンDの摂取不足は脳卒中、とくに脳梗塞の発症と関係することがホノルル心臓プログラムより発表されている。登録時の食事によるビタミンD摂取と追跡中の脳卒中発症との関係を検討した結果、ビタミンD摂取最高四分位群と比較した最低四分位群のハザード比は脳卒中全体が1.22(p=0.038)、脳梗塞が1.27(p=0.044)と有意に高かった(Stroke誌2012年8月号の掲載報告)。Kojima G, et al. Stroke. 2012; 43: 2163-2167.

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大豆プロテインの連日服用、前立腺がんの再発リスクを減少しない/JAMA

 前立腺がんの治療として根治的前立腺摘除を受け、再発リスクの高い人が、大豆蛋白質を主成分とするサプリメント(大豆プロテイン)を毎日服用しても、2年までの生化学的再発リスクを低下する効果はなかったことが示された。米国・イリノイ大学シカゴ校のMaarten C. Bosland氏らが、約180例について行った、プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、JAMA誌2013年7月10日号で発表した。これまでの観察研究から、大豆の摂取が、前立腺がんの発症または再発リスクを減らすことは示唆されていた。しかし、実際に前立腺がんをエンドポイントとした無作為化試験において、同効果は実証されていなかったという。術後4ヵ月から2年間、大豆プロテイン飲料を毎日摂取 研究グループは、1997年7月~2010年5月にかけて、全米7ヵ所の医療機関を通じ、前立腺がんによる根治的前立腺摘除を受け、再発リスクが高い177例の男性について、試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方には大豆蛋白質の粉末20gを飲料に混ぜたサプリメントを投与し(87例)、もう一方の群はプラセボとしてカゼインカルシウムのサプリメント飲料を投与した(90例)。服用は術後4ヵ月以内に始め、2年後まで続けられた。 主要評価項目は、術後2年以内のPSA値0.07ng/mL以上で規定した前立腺がんの生化学的再発率と、再発までの期間だった。効果がみられず試験は中断、前立腺がん再発率は全体の28% 本試験は、治療効果が上がらないために、途中で中止となった。 介入群81例、プラセボ群78例の結果を集計したところ、試験開始2年以内に前立腺がんの生化学的再発が認められたのは、全体の28.3%だった。 そのうち介入群は22例(27.2%)、プラセボ群は23例(29.5%)だった。再発に関するハザード比は、0.96(95%信頼区間:0.53~1.72、ログランク検定のp=0.89)と、両群間で有意差は示されなかった。 服用のアドヒアランスは90%超で、明らかな有害作用は認められなかった。

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募集した質問にエキスパートが答える!骨粗鬆症診療 Q&A (Part.1)

今回、骨粗鬆診療に関連する3つの質問に回答します。「治療薬の使い分け」「薬剤投与は何歳まで?」「ビスホスの休薬期間」。日頃の悩みがこれで解決。治療薬の使い分け法について教えてください。骨粗鬆症治療薬は1)サプリメント的薬剤(活性型ビタミンD3、ビタミンK2など)、2)骨吸収抑制剤(ビスホスホネート製剤、SERM、抗RANKL抗体)、3)骨形成促進剤(テリパラチド)に分類されます。重症な骨粗鬆症にはテリパラチドが使用されますが、その使用期間は約2年という制限があります。骨吸収抑制剤の中でビスホスホネート製剤は大腿骨近位部骨折を抑制するエビデンスがあり、脆弱性骨折の既往があるなど比較的進行した骨粗鬆症患者に使用します。ただし、近年、長期投与患者に顎骨壊死や非定型骨折が発生した事例が報告されているので、長期投与する場合は慎重に使用しなければなりません。SERMは脆弱性骨折の既往のない比較的初期の骨粗鬆症に使いやすい薬剤です。活性型ビタミンD3、ビタミンK2も比較的初期の骨粗鬆症に使用する薬剤となります。また、ビスホスホネート製剤は食道通過遅延障害、SERMは静脈血栓症、ビタミンK2はワルファリン投与中の患者には投与が禁忌であることも忘れずに確認しましょう。薬剤の投与を続けるべき患者さんの年齢について、教えてください。また、80歳以上でも効果はあるのでしょうか?骨粗鬆症で最も重篤な骨折で70歳代後半から多くなる大腿骨近位部骨折患者にも薬物治療をすることで2次骨折(反対側の骨折)を予防できる、生命予後が改善されるという報告があります。骨粗鬆症は高齢になるほど重症化して骨折しやすくなる疾患です。患者さんがお薬を受け入れるならばぜひ、年齢制限なく薬剤の投与を続けていただきたいと思います。最近では、1ヵ月に一度の内服でよいお薬や1ヵ月に一度の点滴剤なども使用できるので、内服が困難な方にも対処できます。ビスホスホネート製剤の休薬期間について教えてください。近年、ビスホスホネート製剤の長期投与で顎骨壊死や非定型骨折が発生した事例が報告され、長期投与に対して否定的なコメントを目にすることがありますが、現時点で長期投与の是非を確定できるエビデンスがないのが現状です。現時点でアレンドロネートの10年継続投与データが最も長期のものですが、それによると5年間で休薬した場合、多くの症例で骨折危険率は上がらなかったが、重症な骨粗鬆症患者では骨折が増加したと報告されています。ビスホスホネート製剤を5年以上継続している患者さんの休薬を考える場合には、顎骨壊死や非定型骨折を危惧するばかりでなく、休薬により骨折が発生するかもしれないという危険性も考え、個々の患者さんの脆弱性骨折の発生状況や骨密度、骨代謝マーカーなどの情報をもとに慎重に判断すべきでしょう。

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韓国人女性の髪と頭皮の変化の特性、日本やその他の国とは一部で異なる可能性

 韓国・Advanced Hair Research LaboratoryのS.N. Kim氏らは、韓国人女性の髪と頭皮の加齢に伴う変化の特性について調べた。その結果、40代以降に多様に変化する特性が示され、他国の女性の髪の変化とは一部異なる可能性が示されたことを報告した。これまでに、白人女性および日本人女性において、年齢が髪の性質に与える影響については報告があったが、韓国人女性について調べた報告はなかった。British Journal of Dermatology誌2013年6月号の掲載報告。 本研究は、韓国人女性の髪の年齢特性について、身体的およびバイオロジカルな因子の影響を十分な被験者数で調べることを目的とした。 合計150人のソウル在住の健康な韓国人女性が参加した。被験者の年齢は23~69歳で、5つの年齢階層群に分類して分析した。 評価は、頭皮と毛幹のさまざまな年齢関連の特色を調べるため、髪密度、髪の毛の直径、張りの強さ、つや、白髪の比率を測定した。 毛幹については高速液体クロマトグラフィーを用いて、ミネラル、アミノ酸、ステロイドホルモンの含有成分の測定も行った。 主な結果は以下のとおり。・脱毛症の指標(髪密度、髪直径、張力)および髪のつやは、年齢とともに有意に減少した。これら減少の開始は40代であった。・白髪は年齢とともに有意に増大した。白髪の比率が増加するのは60代からであった。・カルシウムとマグネシウムの値は、参考値を大きく上回っていたが、年齢依存的に減少していくことが認められた。一方でカリウムとリンの値は、年齢とともに増大していた。・毛幹のアミノ酸の年齢に関係する変化は、明白ではなかった。・ステロイドとその代謝物(コレステロール、デスモステロール、ラノステロール、プレグネノロン)の含有量は、年齢とともに有意に増大していた。しかし、性別(男性、女性)ホルモンと年齢との関連性はみられなかった。

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飲酒による大腸がんリスクへの影響、葉酸強化政策により減弱~米国の前向きコホート研究

 米国の医療従事者における前向きコホート研究で、葉酸強化政策前後の大腸がんリスクにおける飲酒の影響を評価したところ、多量飲酒による大腸がんリスクへの影響が葉酸摂取により減弱する可能性が示された。米国メリーランド大学のHongmei Nan氏らによる報告。Annals of epidemiology誌オンライン版2013年5月29日号に掲載された。  米国ではFDA(米国食品医薬品局)により、1998 年から現在まで葉酸強化食として穀物製品に対して葉酸を添加(強化)することが義務付けられている。著者らは、飲酒と大腸がんの関連について、女性は看護師健康調査(NHS)、男性は医療従事者フォローアップ研究(HPFS)における前向きコホート研究で、葉酸強化政策前後の期間(1998年以前vs.1998年以降)で評価した。 主な結果は以下のとおり。・飲酒は大腸がんのリスク増加に関連していた。・マルチビタミンや葉酸サプリメント(両方またはどちらか)を使用していない人において、飲酒者(30g/日以上)の非飲酒者に対する合併多変量相対リスクは1.36(95%信頼区間[CI]:1.09~1.70、傾向のp=0.02)であった。・飲酒者(30g/日以上)の非飲酒者に対する合併多変量相対リスクは、葉酸強化以前(NHS1980/ HPFS1986~1998年)が1.31(95%CI:1.00~1.71、傾向のp=0.10)、強化以降(1998~2008年)が1.07(95%CI:0.69~1.65、傾向のp=0.67)と、強化以前のほうが強化以降に比べ飲酒の影響が若干大きかった。

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加齢黄斑変性に対するルテイン+ゼアキサンチン、オメガ3脂肪酸の効果は?/JAMA

 米国NIHのEmily Y. ChewらAge-Related Eye Disease Study(AREDS)2の研究グループは、経口サプリメント(抗酸化ビタミンCとE、βカロチンと亜鉛を含む:AREDS製剤)に加えて、ルテイン+ゼアキサンチン(カロチノイド)、ω-3長鎖不飽和脂肪酸(ドコサヘキサエン酸[DHA]+エイコサペンタエン酸[EPA])、あるいは両方を加えることで、加齢黄斑変性(AMD)の発症リスクがさらに低下するのか無作為化試験を行った。先行研究において、AREDS製剤の連日服用により、5年で25%、AMD発症リスクを抑制したことが示されていた。一方、観察研究のデータで、ルテイン+ゼアキサンチン、DHA+EPA、またはその両方を増強した食事の摂取と、AMD発症リスク低下との関連が示されており、これらをAREDS製剤に加えることの効果が検討された。JAMA誌2013年5月15日号(オンライン版2013年5月5日号)掲載の報告より。50~85歳の4,203例を対象に無作為化試験 研究グループは、(1)AREDS製剤単独と比べて、ルテイン+ゼアキサンチン、DHA+EPAをそれぞれ、または両方を加えることで、AMDの発症リスクがさらに低下するのか、さらに(2)AREDS製剤からβカロチンを除いた場合あるいは亜鉛量を低下した場合、またはその両方を行った場合の効果を調べること、を目的とし、第3相の2×2多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。 2006~2012年にかけて、50~85歳の、両眼に大型のドルーゼンがみられる、あるいは単眼に大型のドルーゼンがみられ他眼に進行期のAMDがみられる、進行期のAMDとなるリスクを有した4,203例を登録した。 被験者は、ルテイン(10mg)+ゼアキサンチン(2mg)、DHA(350mg)+EPA(650mg)、ルテイン+ゼアキサンチンとDHA+EPA、またはプラセボを投与されるよう無作為化された。さらに全員にAREDS製剤を受けたかについて質問し、βカロチン除去と低亜鉛のいずれかまたは両方を含めたAREDS製剤の4つの選択肢を含めた2回目の無作為化を行った。 主要評価項目は、単眼ごとのAMDの進行とした。各成分とも進行期のAMDへの進展を抑制せず 追跡期間中央値5年の間に、進行期AMDへの進展(AMD発症)は1,940眼(1,608例)で認められた。5年間でAMD発症が認められた割合(Kaplan-Meier分析による)は、プラセボ群31%(493眼・406例)、ルテイン+ゼアキサンチン群29%(468眼・399例)、DHA+EPA群31%(507眼・416例)、ルテイン+ゼアキサンチン+DHA+EPA群30%(472眼・387例)だった。 主要解析でのプラセボとの比較において、AMD発症が統計学的に有意に減少したことは実証されなかった(ルテイン+ゼアキサンチンのハザード比[HR]:0.90、p=0.12/DHA+EPAのHR:0.97、p=0.70、ルテイン+ゼアキサンチン+DHA+EPAのHR:0.89、p=0.10)。 AMD発症について、βカロチン除去または低亜鉛の効果も明らかにならなかった。 しかし、主に元喫煙者における肺がんの頻度が、βカロチン摂取群がβカロチン非摂取と比べて多かった[23(2.0%)対11(0.9%)、名目上のp=0.04]ことが示されたことが注目された。 これらの結果から研究グループは、「主要な解析において、AREDS製剤に対して、ルテイン+ゼアキサンチン、DHA+EPAまたはその両方の追加摂取が、進行期のAMD発症リスクをさらに抑制することはなかった」と結論。そのうえで、「元喫煙者は肺がんの潜在的発病率が高いことから、カロチンのリスクを考慮すると、代替としてルテイン+ゼアキサンチンをAREDS製剤に含めるべきか、さらに研究する必要がある」とまとめている。

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抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差

 北里大学薬学部の橘 洋介氏らは、抗てんかん薬の臨床試験でみられるプラセボ効果に関与する因子について検討を行った。その結果、東アジアと欧米諸国ではプラセボ効果に差がみられること、長い罹病期間と複雑部分発作の存在がプラセボ効果の減弱に関連していることを報告した。結果を踏まえて著者は、「プラセボ効果の地域差の理由は明らかでないが、将来的に部分てんかんに対する抗てんかん薬の臨床試験をデザインするにあたり、プラセボ効果に関与する患者特性を慎重に考慮する必要がある」と指摘している。Clinical Drug Investigation誌2013年5月号の掲載報告。 抗てんかん薬の臨床試験においてプラセボ効果が認められることが知られており、これに関する検討が行われている。最近のメタアナリシスでは、東アジアの試験で予想外の高いプラセボ効果が示された。多国間試験が広く実施されるようになってきている中、将来の臨床試験のために地域や国によるプラセボ効果の相違を理解しておくことは重要である。本メタ解析では、難治性部分てんかん成人患者に対する併用療法の臨床試験において、プラセボ効果に関与する因子を東アジア人と欧米人で比較検討することを目的に実施した。東アジアと欧米諸国で実施され、公表されている臨床試験論文を基にデータベースを作成し、プラセボ効果の程度と潜在的影響因子との関連について、ロジスティック回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・5種類の抗てんかん薬(ガバペンチン、トピラマート、レベチラセタム、プレガバリン[本疾患には国内未承認]、ゾニサミド)に関連する33件の臨床試験よりデータベースを作成した。・プラセボ効果は、罹病期間、ベースライン時の複雑部分発作を有する患者の割合、2種類の抗てんかん薬が投与されている患者の割合、ベースライン時の発作頻度といった患者特性、および臨床試験の報告年と関連していた。・長い罹病期間とベースライン時の複雑部分発作は、プラセボ効果の減弱に関連していた。・ロジスティック回帰分析により、東アジアで実施された試験のプラセボ効果のほうが、欧米諸国で実施された試験と比較して統計学的に高かった。関連医療ニュース ・疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も ・抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害 ・てんかんと寄生虫感染との関連説を確認

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カリウム摂取は血圧を下げ、脳卒中を減らす。(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(95)より-

米国、日本などではカリウム摂取量が減少傾向にあることが指摘されている。一方、カリウムを摂取するとナトリウム排泄が促進され、血圧を下げる作用があることは、実験レベルではよく知られており、またそのことを証明した臨床研究も少なくない。本メタ解析では1,606人の参加者を含む22のランダム化比較試験と、約12万人を含む11のコホート研究のメタ解析である。解析対象が多いことで、成人と子ども、高血圧の有無など、さまざまなサブ解析も可能にしている。 結果として、食品であれ、サプリメントであれ、カリウム摂取は血圧を有意に下げるとともに、脳卒中を有意に抑制する効果が示されている。 血圧の下降度は、成人では収縮期血圧で平均3.49mmHgの有意な降圧をもたらし、子どもにおいても、有意ではないが減少傾向を示している。とくにカリウム摂取効果は高血圧患者で明らかであった。カリウム摂取量も1日90~120mmolでは収縮期血圧の下降度は平均7.16mmHgにも及んだという。カリウム摂取量と脳卒中発症との間には逆相関もみられ、改めてその重要性を示した点で本メタ解析の意義は大きい。 ただし、腎機能障害や心不全のある症例は除外されている点は注意を要する。

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北欧の夏の日光浴40分/週、高用量ビタミンD3サプリ1ヵ月間摂取と同程度の効果

 夏季の太陽光紫外線およびビタミンDサプリメントは、いずれも北欧の住民にとって重要なビタミンDの補給源であるが、それらの相対的な効果についてはほとんど明らかとなっていなかった。ノルウェー・オスロ大学病院のZ. Lagunova氏らは、無作為化クロスオーバー臨床試験を行い、同地の夏季の太陽光を全身に累積で週に40分間浴びることと、高用量ビタミンD3サプリメントを1ヵ月間摂取することが、同程度の血清25ヒドロキシビタミン(OH)D濃度の達成・維持をもたらすことを報告した。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年4月1日号の掲載報告。 本研究は、経口高用量ビタミンD3サプリメント摂取(2,000 IU/日×30日)と、シミュレーションによる夏季の太陽光紫外線(UV)曝露(週1回のサンベッド・セッションを10回行い総計23.8 SED曝露)の、ビタミンD状態の改善効果について比較することを主な目的とした。 健康なボランティア被験者を無作為に、ビタミンDサプリメントを摂取した後に全身への10回サンベッド・セッションを受ける群(グループ1)、または全身への10回サンベッド・セッションを受けた後にビタミンDサプリメントを摂取する群(グループ2)に割り付け検討した。 主な結果は以下のとおり。・経口高用量ビタミンD3サプリメント摂取により、血清25(OH)D濃度は平均25.3nmol/L(SE ±5.4 nmol/L)上昇した。・シミュレーション夏季UV曝露後も、同程度の上昇が認められた(19.8nmol/L、SE ±5.4 nmol/L)。・試験終了時の、血清25(OH)D濃度は両群で同程度であった。・血清25(OH)D濃度を75nmol/L超達成・維持(症例の55%)するには、2週にわたる全身へのサンベッド・セッションによる総計4.8 SEDの曝露が必要であり、これは経口高用量ビタミンD3サプリメント2,000 IU/日×30日と等しかった。・この値は、オスロの緯度において夏季の正午、累積で週に全身に3.4 SEDの太陽光を浴びること(~40分)と一致することが、著者らの試算により示された。

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てんかんと寄生虫感染との関連説を確認

 システマティックレビューとメタ解析の結果、線虫オンコセルカ(回旋糸状虫)の寄生虫感染によるオンコセルカ症と、てんかんとの関連説を支持する知見が得られたことを、ウガンダ・Basic Health Services Kabarole & Bundibugyo DistrictsのChristoph Kaiser氏らが発表した。未治療者における小結節の触診とミクロフィラリア数で定義する感染の強度が、てんかんの病因に関与していることが確認されたという。PLoS neglected tropical diseases誌3月号(オンライン版3月28日号)の掲載報告。 研究グループは、オンコセルカ症とてんかんとの関連について入手可能なすべてのケースコントロール試験を対象にシステマティックレビューとメタ解析を行うことを目的とした。感染に関して年齢および居住地域の感染レベルが重要な規定因子となることを踏まえて、追加解析を行い、これら交絡因子の調整を満たした試験に限定した。文献の検索は2012年5月までにアップされたものについて、African Neurology Database、Institute of Neuroepidemiology and Tropical Neurology、Limogesの医学データベース、および参考文献リスト、商用検索エンジンにて行った。てんかんを有する患者(PWE)と有さない患者(PWOE)におけるオンコセルカ症の感染状態を調べており、ランダムエフェクトモデルを用いたプールオッズ比(ORp)、標準化平均差(SMD)が算出可能なデータを提示している試験報告を適格とした。 主な結果は以下のとおり。・解析には、オンコセルカ症の診断について定量的皮膚生検データを提示していた11試験を特定し組み込んだ。・総サンプル(PWE患者876例、PWOE患者4,712例)の複合解析の結果、ORpは2.49(95%CI:1.61~3.86、p<0.001)であった。・年齢、居住者、性について調整していた試験に限定した解析(PWE患者367例、PWOE患者624例)においては、ORpは1.29(95%CI:0.93~1.79、p=0.139)であった。・オンコセルカ症の診断で小結節を評価していたのは4試験で(PWE患者225例、PWOE患者189例)、ORpは1.74(95%CI:0.94~3.20、p<0.076)であった。限定解析に組み込まれたのは2試験で(PWE患者106例、PWOE患者106例)、ORpは2.81(95%CI:1.57~5.00、p<0.001)であった。・ミクロフィラリア未治療の患者についてミクロフィラリア数を調べていたのは1試験であり、PWOE患者よりもPWE患者のほうが有意に数量が高値であった。関連医療ニュース ・てんかん患者、脳内ネットワークの一端が明らかに ・抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害 ・検証!抗てんかん薬の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響

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抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害

 難治性てんかんで抗てんかん薬を長期服用する患者における、骨粗鬆症など骨ミネラル障害の有病率が報告された。オランダ・マーストリヒト大学医療センターのK. Beerhorst氏らが同患者を対象に行った断面調査の結果、80%が低骨塩量(BMD)症状を有していたという。またそのうち半数超が50歳未満であった。著者は「本研究は、慢性てんかん患者における骨ミネラル障害の問題が大きいことを実証している」と結論している。Acta Neurologica Scandinavica誌オンライン版2013年3月6日号の掲載報告。 抗てんかん薬の長期服用と、低BMD、骨折、骨代謝異常との関連は知られているが、研究グループは、同薬を服用する難治性てんかん患者における骨ミネラル障害の有病率を明らかにすることを目的に断面調査を行った。被験者は、重度てんかん医療センターの1病棟から集めた成人患者205例であった。骨ミネラル障害は、脊椎と大腿骨部の二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)スキャンによるスクリーニング(骨塩量と脊椎骨折の評価など)とラボ検査により解析した。被験者の人口統計学的情報やてんかん症状および医療情報などを記録し、DXA-Tスコアに基づき、骨ミネラル障害(骨減少症、骨粗鬆症)の割合を算出した。DXA-Tスコアと、てんかん尺度との相関性についても調べた。 主な結果は以下のとおり。・被験者205例のうち10例が途中脱落し、195例について解析した。・被験者のうち80%(156/195例)に低BMDが認められた。骨減少症を有していたのは48.2%、骨粗鬆症は31.8%に認められた。・低BMD患者のうち、51.9%(81/195例)は18~50歳であった。・大腿骨頚部のTスコアは、てんかん発作の総期間、薬物負荷の累積、骨折の病歴と有意な関連性がみられた。・線形回帰分析の結果、薬物負荷の累積だけが大腿骨頸部Tスコアの低値を有意に予測した(p=0.001)。関連医療ニュース ・てんかん患者の50%以上が不眠症を合併! ・統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当? ・「頻発する腰痛」と「頭痛」の関係

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ポンペ病〔Pompe Disease〕

1 疾患概要■ 定義ポンペ病(OMIM232300)は糖原病II型(GSD-II)であり、1932年ポンペにより報告された。ポンペ病はライソゾームに局在する酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の酵素欠損によりライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積する。■ 疫学遺伝形式として、常染色体劣性遺伝形式をとり、頻度は約4万人に1人といわれている。■ 病因ポンペ病では酸性α-グルコシダーゼの酵素欠損により、ほぼすべての臓器にグリコーゲンが蓄積する。肝臓、筋肉、心臓、消化器系の平滑筋、膀胱、腎臓、脾臓、血管、シュワン細胞などの細胞、組織に蓄積する。内耳の絨毛にも蓄積するために難聴も呈する。肥大型心筋症は、乳児型のポンペ病では特徴的な症状である。骨格筋の組織変化は、筋の種類、部位によりさまざまで、グリコーゲンの蓄積の程度、障害度は異なる。病初期は小さい空胞が認められ、徐々にリポフスチン、ミトコンドリア膜などが大量に蓄積し、オートファゴゾームが形成される。とくにfast-twitch type 2線維に多くみられる。組織の線維化に伴い、年齢と共に二次的な組織変化を認め、酵素治療しても不可逆的変化を来す。オートファゴゾーム内にグリコーゲンが大量に蓄積している。■ 症状ポンペ病の発症は、患者により異なり、0~60代までいずれの年齢にも発症する。臨床的には(1)乳児型、(2)遅発型(小児型、成人型)に分類される(表1)。画像を拡大する1)乳児型通常、患児は生後1.6~2ヵ月で哺乳力の低下、発育障害、呼吸障害、筋力低下などの症状を呈し、発症する。平均診断年齢は生後4~5ヵ月である(図1)。心肥大が病初期より著明であり(図2)、心エコー上心筋の肥大、心電図ではhigh voltage、short P-R intervalなどを呈する。年齢とともに運動発達の遅れが著明となり、頸定も難しく、寝返り、座位もできない。腱反射の低下、舌が大きく、肝臓も中等度に腫大している。酵素補充療法を施行しないと、通常は平均6~8.7ヵ月で死亡する。1歳を超えて生存する患者は少ない。画像を拡大する画像を拡大する2)遅発型患者の発症年齢は残存酵素活性により異なる。生後1歳頃から62歳まで報告されている。筋力低下、歩行障害、朝の頭痛、特徴的な上ずった言葉、顔面筋の萎縮、呼吸障害、ガワーズ徴候などが比較的初期症状である(図3)。主に骨格筋、呼吸筋、舌筋、横隔膜筋、四肢の筋がさまざまな程度で障害を受ける。心筋を障害するタイプは、小児型といわれる非定形型のタイプで障害する。患者は徐々に呼吸障害、構音障害、歩行障害が強くなり、人工呼吸器の装着、車いす状態となり、最後は呼吸障害、気胸、肺炎などを合併して死亡する。通常、発症年齢は27~36歳、診断年齢は34~41歳、人工呼吸器使用年齢は37~47歳、車いす使用年齢は平均41歳である。画像を拡大する■ 分類臨床的には、前述のように乳児型と遅発型(小児型、成人型)に分類される(表1)。■ 予後とくに乳児型では心筋、ならびに骨格筋など全身の組織に蓄積することにより、心肥大、筋力低下を来し、通常心不全を呈し2歳までには死亡する。遅発型では筋力低下に伴う歩行障害から呼吸筋麻痺を来し、人工呼吸器をつける状態で肺炎、気胸などを合併し、死亡する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断としては、1)臨床的診断、2)病理学的診断、3)生化学的診断(酵素活性、バイオマーカーなど)、4)遺伝子診断などがある。1)臨床的診断(表2)特徴的な臨床症状のほか、乳児型では心電図、心エコー、血清CPKの高値を認める。遅発型でも筋力低下、血清CPK、アルドラーゼの高値を認める。心電図ではPR間隔の短縮、QRSの高電位などがみられる。筋CT、MRIは筋の萎縮、変性を評価するのに重要である。小児型、成人型では椎骨脳底動脈領域に動脈瘤を形成しやすい。画像を拡大する2)病理学的診断ポンペ病の病理学的診断は生検筋でのライソゾーム内でのグリコーゲンの蓄積に伴う空胞化で特徴づけられる。成人型ではあまり組織変化が顕著でない症例もある。乳児型では筋線維が大小不同、筋線維の崩壊、オートファジーの形成、ライソゾーム内に著明なグリコーゲンの蓄積、PAS陽性物質の蓄積が認められる。成人型でも軽度であるが、PAS陽性、酸性ホスファターゼ染色陽性である。電顕所見ではライソゾームが巨大化し、ミエリン様封入体の蓄積もみられる。筋原線維の断裂なども著明である。3)生化学的検査(1)酵素活性の測定酸性α-グルコシダーゼの活性は、人工基質である蛍光基質4- methylumbelliferone誘導体を用いて、患者乾燥濾紙血、あるいはリンパ球、皮膚線維芽細胞で測定して著明に低下する。確定診断として、リンパ球、皮膚線維芽細胞で測定する。患者の診断は比較的、酵素診断で可能であるが、正常者の中にはpseudodeficiencyもおり、正常値の20~40%の酵素活性を示す。日本人の頻度は多く、約50人に1人といわれ、遺伝子診断により患者と鑑別する。保因者は約50%の活性であり、pseudodeficiencyとの鑑別も重要である。出生前診断も可能である。(2)尿中のバイオマーカーの測定ポンペ病患者の尿では、オリゴサッカライドが排泄され、4糖を液体クロマトグラフィー、あるいはタンデムマスで測定する。4)遺伝子診断酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝子は染色体の17q25.2-q25.3に局在する。GAA遺伝子は28kbでエクソンは20存在する。現在まで200以上の遺伝子変異が報告されている。最も多い変異は、乳児型あるいは成人型の一部でみられるc-32-13T>Gの遺伝子変異であり、欧米患者では約75%を占める。C1935C>Aは台湾に多く、cdel.525,delexon18変異はオランダなどのヨーローッパ諸国に多い。日本人ではc.1585_1589TC>GT、c1798C>Tが多くみられる変異として報告されている。pseudodeficiencyの遺伝子型としてはc1726G>A(p.G576S)、c2065 G>A (pE689K)が知られている。酵素活性は正常の20~40%程度を示す。頻度としては両者とも正常人の3~4%の頻度で見い出されている。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)最近、遺伝子工学により作成されたヒト型酵素アルグルコシダーゼα(商品名:マイオザイム)の酵素補充療法について、早期の治療による臨床症状の改善が報告されている。また、早期診断・治療のために新生児マス・スクリーニングの有用性が報告されている。ポンペ病の治療は、大きく分類して下記のような治療が挙げられる。1)対症療法●乳児型(1)心不全に対しての治療心筋の肥大、横隔膜の挙上などは呼吸障害の要因にもなる。心不全に対する強心薬、利尿薬などの投与、脱水に対する補液が必要。胸部X線、心エコーで病状をフォローする。(2)呼吸管理肺炎、細菌感染など起こしやすい。抗菌薬(マクロライド系)の投与、去痰薬の投与、排痰補助装置などのほか、必要に応じて酸素投与を行う。末期では人工呼吸器の装着をする。(3)嚥下障害に対する管理チューブ栄養などを行う。(4)リハビリテーション酵素補充療法とともに歩行訓練、四肢の運動などを補助する。(5)栄養管理嚥下できない患児に対しては、チューブ栄養、高蛋白食を基本として、高ビタミン、ミネラルを与える。●遅発型(1)呼吸管理初期のうちはタッピング、CPAP、人工呼吸管理など病状に応じて行う。呼吸状態を評価し、感染の予防、抗菌薬の投与、去痰薬の投与、CPAP、人工呼吸管理が必要。(2)嚥下障害の管理嚥下性肺炎の防止。(3)歩行障害に対しての管理歩行のためのリハビリ、装具の着装。(4)栄養管理高蛋白食、高ビタミン食、嚥下困難なときは刻み食、流動食。(5)感染症に対する管理感染症の管理、抗菌薬の投与。2)酵素補充療法酸性α-グルコシダーゼは、マンノース-6-リン酸あるいはIGF-IIレセプターを介して細胞内に効率良く取り込まれ、とくに肝臓、脾臓などの網内細胞に取り込まれる。しかし、心筋、あるいは骨格筋への取り込みは少ない。ポンペ病では、20mg/kgの高単位の酵素を投与することにより筋肉内に強制的に取り込みをさせている。早期治療した患者では著しい臨床症状の改善が認められている。Kishnaniは、乳児型ポンペ病(18例)において、52週の治療研究で95%の死亡率低下と侵襲的呼吸器装着を有意に低下させることができたと報告している。また、新生児マス・スクリーニングで発見され、生後1ヵ月以内に治療した患者では著明な成果が得られており、生存期間は、ほぼ正常な臨床経過を得ている。一方、遅発型の臨床試験では20mg/kg、2週間に1回の酵素補充療法により、6分間歩行ならびに呼吸機能の悪化を防ぐことができたと報告されている。ポンペ病の場合は、酵素に対する抗体産生により酵素治療に反応するgood responderあるいはpoor responderの症例が存在する。4 今後の展望1)シャペロン治療ファブリー病と同様にポンペ病患者の皮膚線維芽細胞レベルではN-butyldeoxynojirimycin(NB-DNJ)の添加により、一部の遺伝子変異のある患者で酸性α-グルコシダーゼ活性が50%以上、上昇する。しかし、いまだ臨床試験のレベルまでは達成していない。2)遺伝子治療レンチウイルスあるいはAAVベクターを用いてのin vivoポンペ病マウスでの遺伝子治療の成功例が報告されている。また、骨髄幹細胞へのex vivoでの遺伝子治療について、Lentiウイルスベクターを用いたポンペ病マウスへの治療に関しても報告されている。3)新生児スクリーニング乳児型のポンペ病では、とくに早期診断が治療と結びつき、重要と考えられる。台湾のChienらは20万6,088名の新生児を乾燥濾紙血を用いてマス・スクリーニングを行い、5名の患者を見出し、かつ生後1ヵ月以内に酵素補充療法を施行した結果、心拡大、筋に組織変化の改善を認め、いずれの症例も正常な発達ならびに呼吸障害を認めず、新生児スクリーニングの著明な成果を報告している。わが国でもパイロット的に新生児スクリーニングの開発が行われている。乳児型の早期診断、治療の重要性を示した貴重な成果と考えられる。5 主たる診療科小児科、神経内科、リハビリテーション科など※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報日本ポンペ病研究会(医療従事者向け情報と一般利用者向けのまとまった情報)難病情報センター(医療従事者向け情報と一般利用者向けのまとまった情報)患者会情報全国ポンペ病患者と家族の会1)Hirschhorn R, et al. Glycogen Storage Disease Type II: Acid-Alpha Glucosidase (Acid Maltase) Deficiency. In: Scriver CR et al, editors. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease. 8th ed. NY: McGraw-Hill; 2001. p.3389-3420.2)Engel AG, et al. Neurology. 1973; 23: 95-106.3)Kishnani PS, et al. J Pediatr. 2006; 148: 671-676.4)衞藤義勝. ポンペ病(糖原病II型):診断と治療社.2009

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(64)〕 女性のカルシウムサプリメント・カルシウム錠の投与は諸刃の剣(投与は慎重に!)

カルシウムはヒトを含む生物の体内に存在する最も豊富なミネラルの一つであり、かつ最も重要な体内の高精度な情報伝達のメッセンジャーとしても利用されている。血清カルシウムのレベルは厳格に調節されており、カルシウム摂取量が不足している場合は、腸管からより効果的に吸収され、腎臓でのカルシウムの保持力の亢進により、この不足が補われる。不足が続けば骨格プールからカルシウムがさらに動員され、骨が脆弱となり、骨折が起こりやすくなる。このため、とくに高齢者や閉経後の女性では、骨折予防のためカルシウム摂取と活性ビタミンD服用が伝統的に勧められてきた1)。ところが、カルシウム摂取不足、カルシウムサプリメントの使用を含むカルシウムの過剰摂取について、総死亡、心血管死亡、虚血性心疾患死亡を増加させる可能性や2), 3)、一部のがんの発生を抑制する可能性4), 5)まで指摘されるに至り、議論は複雑さを増している。 2013年度BMJ誌に掲載されたスエーデン・ウプサラ大学のKarl Michaelsson氏の女性を対象とした前向きコホート試験は、この異論の多い問題に一石を投じている。食事由来のカルシウム摂取に関しては、多変量解析モデルにおいてカルシウム摂取600mg未満の低摂取群では総死亡、心血管疾患死亡、虚血性心疾患死亡、脳卒中死亡のすべてでハザード比が増加し、死亡リスクの有意な増加を示した。一方、食事由来カルシウム摂取が1,400mg/日以上の高摂取群では総死亡、心血管疾患死亡、虚血性心疾患死亡でハザード比が増加し、死亡リスクの有意な増加を示したが、脳卒中死亡に関しては有意差を認めなかった。食事由来カルシウム摂取600mg/日未満群では年齢調整、調整ハザード比はそれぞれ総死亡に関して1.53、1.43と有意に高かったが、カルシウム錠併用群ではそれぞれ0.59、0.49で有意差を認めなかった。カルシウム含有サプリメント群ではそれぞれ1.45、1.17で有意差を認めなかった。また、食事由来カルシウム摂取1,400mg/日以上群では年齢調整、調整ハザード比はそれぞれ総死亡に関して1.30、1.17で年齢調整ハザード比のみ有意に高かった。カルシウム錠併用群ではそれぞれ2.65、 2.57といずれもハザード比は大きくなり、有意に高かった。カルシウム含有サプリメント使用群ではそれぞれ1.85、1.51で調整ハザード比のみ有意に高かった。 以上からカルシウム低摂取、カルシウム高摂取が総死亡、心血管死亡、虚血性心疾患死亡を、カルシウム低摂取が脳卒中死亡を含んだ死亡リスクを高めることは疑う予知がないと考える。しかし、低カルシウム摂取群にカルシウム錠を追加投与した場合に総死亡のハザード比が低下し、有意差が消失したことから、カルシウム錠の有用性が脳卒中予防を含め期待できるかもしれない。逆にカルシウム高摂取群でのカルシウム錠の追加投与はハザード比を大きくし、死亡リスクを増大させる。少なくともカルシウム摂取は600mg~1,400mgの範囲を守り、摂取過剰、不足に注意を払うことが重要になる。カルシウム低摂取ケースは例外としてカルシウム錠の投与を行うことが好ましいが、それ以外のケースでは安易なカルシウムサプリメント・カルシウム錠の投与を慎むことが治療の上で考慮すべきポイントと考える。しかしながら、周辺構造モデルによる感度分析の結果によれば600mg未満のカルシウム低摂取群においての死亡リスク上昇は時間依存性交絡因子によるバイアスの影響による可能性が疑われた。 しかし、この論文で疑問のすべてが解決したわけでない。今後さらなる研究が病態解明のため必要である。

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膝OA患者へのビタミンD3 vs.プラセボ、2年間投与の効果は?/JAMA

 米国・タフツメディカルセンターのTimothy McAlindon氏らは、症候性変形性膝関節症(膝OA)患者に対して2年間にわたり、十分量のビタミンD3サプリメントとプラセボとを投与し比較検討した無作為化試験の結果、サプリメント群はプラセボ群と比較して、膝の痛みの程度や軟骨減少について、低下はみられなかったことを報告した。膝OAには効果的な内科的治療法はないが、一部の試験でビタミンDが、軟骨や関節周辺骨の障害の、進行を防ぐ可能性があることが示唆されていた。JAMA誌2013年1月9日号掲載より。症候性膝OA患者146例を対象に無作為化プラセボ対照二重盲検試験 2年間にわたった無作為化プラセボ対照二重盲検試験は、症候性膝OA患者146例を対象に行われた。被験者は、タフツメディカルセンターで2006年3月~2009年1月の間に試験登録され、プラセボを投与される群か、血清レベルが36ng/mL超となるようビタミンD3サプリメント(2,000 IU/d)の漸増投与を受ける群(投与群)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、WOMAC疼痛スコア(0~20、0:疼痛なし、20:疼痛最大)で評価した膝の疼痛度、およびMRI測定による軟骨減少とした。副次エンドポイントには、身体的機能、膝機能(WOMAC機能スケール0~68で評価、0:障害なし、68:障害最大)、軟骨の厚さ、骨髄病変、X線でみた関節裂隙幅などが含まれた。膝の痛み、軟骨減少への投与群の有意な効果はみられず 被験者146例は、平均年齢62.4歳(SD 8.5)、61%(57例)が女性、79%(115例)が白人だった。ベースラインにおいて、膝の疼痛度は、投与群(平均6.9、95%CI:6.0~7.7)のほうが、プラセボ群(同:5.8、5.0~6.6)よりもわずかだが高かった(p=0.08)。また、膝機能は、投与群(同:22.7、19.8~25.6)のほうが、プラセボ群(同:18.5、15.8~21.2)よりも有意に低かった(p=0.04)。 被験者のうち、試験を完了したのは85%だった。 血清25ヒドロキシビタミンD値の上昇は有意差がみられ、投与群は平均16.1ng/mL[95%信頼区間(CI):13.7~18.6]に対し、プラセボ群は平均2.1 ng/mL(同:0.5~3.7)だった(p<0.001)。 しかし、膝の疼痛度は両群ともに低下し、投与群は-2.31(95%CI:-3.24~-1.38)、プラセボ群は-1.46(同:-2.33~-0.60)だったが、追跡期間中いずれの時点でも両群間の有意差は認められなかった。 軟骨量の割合は、両群ともに同程度減少し、投与群は平均-4.30(95%CI:-5.48~-3.12)、プラセボ群は平均-4.25(同:-6.12~-2.39)だった(p=0.96)。 副次エンドポイントについてはいずれも両群間の有意差は認められなかった。

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小児アトピー性皮膚炎予防にLGG菌やGLA含有サプリメントが有効

 Negar Foolad氏らは、栄養サプリメントによる小児のアトピー性皮膚炎への効果について、システマティックレビューの結果、特定の乳酸菌や脂肪酸を含む栄養サプリメントに、発症予防や重症度軽減のベネフィットがあることを報告した。解析結果を踏まえて著者は、「さらなる研究で、アトピー性皮膚炎への栄養サプリメントの基礎的な作用について、そのメカニズムを明らかにすることが求められる」と述べている。Archives of Dermatology誌オンライン版2012年12月17日号の掲載報告。 本研究の目的は、プロバイオティクスやプレバイオティクス、フォーミュラ(人工乳)や脂肪酸などを含有した栄養サプリメントが、3歳未満児におけるアトピー性皮膚炎発症を阻止または重症度を軽減するかどうかを、システマティックレビューにて明らかにすることであった。 MEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、LILACS(Latin American and Caribbean Health Science Literature)にて、1946年1月1日~2012年8月27日の間の発表論文を検索し、さらに手動での検索も行った。 適格とした試験は、3歳未満児におけるアトピー性皮膚炎の栄養サプリメントの予防や改善の効果について検討した無作為化試験とコホート研究とした。 主な結果は以下のとおり。・検索にて論文92本が選ばれ、適格基準に達した21本を解析に組み込んだ。・21の研究におけるサプリメント摂取者は合計6,859人(乳児または妊娠中か授乳中の母親)であった。対照群は、乳児または母親合計4,134人であった。・解析の結果、栄養サプリメントは、アトピー性皮膚炎の発症を阻止すること(11/17研究)、重症度の軽減(5/6研究)に有効な手段であることが示された。・エビデンスが最も良好であったのは、母親と乳児にプロバイオティクス含有サプリメントを与えた場合であった。・とくに、LGG菌(Lactobacillus rhamnosus GG、ラクトバチルス・ラムノーサス GG)は、アトピー性皮膚炎発症の長期予防に有効であった。・GLA(γ-Linolenic acid、ガンマ・リノレン酸)は、アトピー性皮膚炎の重症度を軽減した。・プレバイオティクスとクロスグリのシードオイル(GLAとω-3を含有)のサプリメントは、アトピー性皮膚炎発症の抑制に有効であった。・一方、アミノ酸ベースのフォーミュラ含有サプリメントについては、異なる研究グループから相反する所見が報告されていた。

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