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2型DM、tirzepatide vs.インスリン デグルデク漸増投与/Lancet

 2型糖尿病患者で、メトホルミン単独またはSGLT-2阻害薬との併用投与では血糖コントロールが不十分な18歳以上に対し、デュアルGIP/GLP受容体作動薬tirzepatideの週1回投与は、インスリン デグルデク漸増投与に比べ、52週時点のHbA1c値低下や体重減について、優越性が示された。オーストラリア・Vienna Health AssociationのBernhard Ludvik氏らが、1,444例を対象に行った有効性と安全性を評価する第III相無作為化非盲検並行群比較試験「SURPASS-3試験」の結果を報告した。安全性プロファイルは同等だったという。Lancet誌2021年8月14日号掲載の報告。tirzepatideの3用量とインスリン デグルデク漸増投与を比較 試験は13ヵ国、122の医療機関を通じて行われた。適格被験者は、ベースラインHbA1c値7.0~10.5%、BMI値25以上、体重は安定しており、インスリン治療歴なし、スクリーニング時点までにメトホルミン単独投与またはSGLT-2阻害薬との併用投与を3ヵ月以上受けた18歳以上だった。 研究グループは被験者を無作為に4群に分け、tirzepatideの3用量(5mg、10mg、15mg)、または、インスリン デグルデク漸増投与を、週1回いずれも皮下注射投与した。国やHbA1c値、経口血糖降下薬の併用により階層化した。 初回tirzepatide投与量は2.5mgで、設定用量まで4週ごとに2.5mgずつ増量した。初回インスリン デグルデク投与量は10U/日で、自己報告による空腹時血糖値が5.0mmol/L(90mg/dL)未満になるまで毎週漸増し、目標達成に向けた治療(T2T)アルゴリズムに従い52週間治療した。 有効性の主要エンドポイントは、ベースラインから52週までのHbA1c値の平均変化値について、tirzepatide群(10mg、15mg)のインスリン群に対する非劣性だった。主な副次エンドポイントは、tirzepatide群(5mg)の同非劣性と、全tirzepatide群のインスリン群に対するHbA1c値平均変化値と体重平均変化値についての優越性、52週時点でHbA1c値が7%(53mmol/mol)未満の割合だった。tirzepatide群のインスリン群に対する推定治療差、HbA1c値-0.59~-1.04% 無作為化を受けた被験者は1,444例、修正ITT集団は1,437例だった。 ベースラインの平均HbA1c値は8.17%(SD 0.91)で、52週時点におけるHbA1c値平均低下値はtirzepatide 5mg群が1.93%(SE 0.05)、10mg群が2.20%(0.05)、15mg群が2.37%(0.05)、インスリン群が1.34%(0.05)であり、非劣性マージン0.3%を達成した。インスリン群に対するtirzepatide群の推定治療差は、-0.59~-1.04%だった(全tirzepatide群に対するp<0.0001)。52週時点でHbA1c値が7%(53mmol/mol)未満の割合も、tirzepatide群(82~93%)がインスリン群(61%)より高率だった(p<0.0001)。 ベースラインの平均体重は94.3kgで、52週時点で全tirzepatide群が減少(-7.5~-12.9kg)したのに対し、インスリン群では増加(2.3kg)し、インスリン群に対するtirzepatide群の推定治療差は-9.8~-15.2kgだった(全tirzepatide群に対するp<0.0001)。 tirzepatide群の最も多く見られた有害事象は、軽度~中等度の消化器イベントだったが、時間経過と共に減少した。tirzepatide群で、吐き気(12~24%)、下痢(15~17%)、食欲不振(6~12%)、嘔吐(6~10%)の発生率がインスリン群に比べ高率だった(インスリン群はそれぞれ、2%、4%、1%、1%)。低血糖(54mg/dL未満)の発生率は、tirzepatide群(5mg、10mg、15mg)がそれぞれ1%、1%、2%だったのに対し、インスリン群では7%だった。 有害事象による治療中断は、tirzepatide群がインスリン群より多かった。試験期間中の死亡は5例報告されたが、研究者によっていずれも試験治療に関連したものではないと判断された。

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低GI/GL食が糖尿病患者のHbA1c低下をもたらす/BMJ

 主に血糖降下薬やインスリン製剤で中等度にコントロールされている1型および2型糖尿病の成人患者において、低グリセミック指数(GI)/グリセミック負荷(GL)の食事パターンを導入すると、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値のほか空腹時血糖値や血中脂質、体重といった心臓代謝リスク因子に関して、小さいが意義のある改善がもたらされることが、カナダ・トロント大学のLaura Chiavaroli氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2021年8月4日号で報告された。低GI/GL食の無作為化対照比較試験のメタ解析 研究グループは、欧州糖尿病学会(EASD)の食事療法に関する診療ガイドラインの改訂に資するデータを得る目的で、低GI/GL食の効果を検討した無作為化対照比較試験を対象に系統的レビューとメタ解析を行った(EASDなどの助成を受けた)。 2021年5月13日の時点で、医学データベース(Medline、Embase、Cochrane Library)に登録された文献を検索した。対象は、糖尿病における低GI/GL食の効果について検討した3週間以上の無作為化対照比較試験とされた。 主要アウトカムはHbA1c値とされた。2人の研究者が個別にデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。データは、変量効果モデルによって統合された。また、GRADEを用いて、エビデンスの確実性の評価が行われた。HbA1c値の低下はエビデンスの確実性も高い 1型および2型糖尿病患者1,617例が参加した29の試験のデータを含む27の論文が解析に含まれた。参加者は、主に2型糖尿病(90%)の成人患者(93%)で、ほとんどが中高年(年齢中央値56歳、範囲:11~67歳)であり、過体重または肥満(BMI中央値31、範囲:19~36)がみられ、血糖降下薬(69%)やインスリン製剤(14%)、またはこれらの併用(7%)で中等度にコントロールされていた(ベースラインのHbA1c中央値7.7%、範囲:6.2~13.8%)。 低GI/GLの食事パターンは高GI/GLの対照食に比べ、小さいが意義のあるHbA1c値の低下をもたらした(平均差:-0.31%、95%信頼区間[CI]:-0.42~-0.19、p<0.001、異質性のI2=75%、p<0.001)。 また、低GI/GL食は、副次アウトカムのうち空腹時血糖値(p<0.001)、LDLコレステロール(p<0.001)、non-HDLコレステロール(p=0.002)、アポB(p=0.03)、トリグリセライド(p=0.04)、体重(p<0.001)、BMI(p=0.003)、C反応性蛋白(p=0.03)の低下をもたらしたが、血中インスリン、HDLコレステロール、ウエスト周囲長、血圧には有意な差はみられなかった。 HbA1c値の低下に関してはエビデンスの確実性が高かったが、副次アウトカムの多くは確実性が中程度であった。 著者は、「低GI/GLの食事パターンは、1型および2型糖尿病患者が血糖コントロールや心臓代謝リスク因子の目標値を達成するための付加的な治療法としてとくに有用と考えられる。これらの知見は、15年以上前に発行されたEASDの診療ガイドラインの改訂に資するものとなるだろう」としている。

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若年発症2型DM、青年期の各合併症の発症率は?/NEJM

 若年発症の2型糖尿病患者では、細小血管合併症などの合併症のリスクが経時的に着実に増加し、多くの患者が若年成人に達するまでに何らかの合併症を発症していることが、米国・コロラド大学のPetter Bjornstad氏らTODAY試験グループが実施した「TODAY2追跡試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2021年7月29日号に掲載された。米国では、若年者における2型糖尿病の有病率は増加を続けているが、青年から成人への移行期における関連合併症の発生状況はほとんど知られていないという。米国の無作為化試験の観察的追跡研究 研究グループは、2004~11年の期間に米国の15施設で、青少年期に2型糖尿病を発症した患者を対象に、3種類の治療(メトホルミン、メトホルミン+rosiglitazone、メトホルミン+強化生活習慣介入)が、血糖コントロールを喪失するまでの期間に及ぼす効果を評価する目的で、多施設共同無作為化臨床試験(TODAY試験、699例、年齢10~17歳)を行った。 この試験の終了後、2011~20年の期間に同試験の参加者を対象として、2つの観察研究(TODAY2追跡試験)が実施された。2011~14年(TODAY2第1期)には、参加者は血糖コントロールのためにメトホルミン単独またはメトホルミン+インスリンによる治療を受けた(572例)。また、2014~20年(TODAY2第2期)には、通常治療のみが行われ、治療や介入は行われなかった(518例)。2つの期間を通じた平均追跡期間は10.2年だった。本論文では、この追跡研究の結果が報告された。 糖尿病性腎臓病、高血圧、脂質異常症、神経障害の評価が年1回行われ、網膜症の評価が試験期間中に2回実施された。HbA1c値<6%が75%から19%に、≧10%は0%から34%に TODAY2第2期の終了時点(2020年1月)で、解析に含まれた500例の平均年齢(±SD)は26.4±2.8歳であり、糖尿病の診断からの平均経過期間は13.3±1.8年であった。 糖化ヘモグロビン(HbA1c)値の中央値は経時的に上昇し、非糖尿病の範囲(HbA1c値<6%)の参加者の割合は、ベースライン(TODAY試験開始時、2004年)の75%から15年後(TODAY2第2期終了時、2020年)には19%に低下した。また、HbA1c値≧10%の割合は、ベースラインの0%から15年後には34%に増加した。 高血圧の発生率は、ベースラインが19.2%で、15年後の累積発生率は67.5%へと増加した。同様に、脂質異常症の発生率は20.8%から51.6%へ、糖尿病性腎臓病は8.0%から54.8%へ、神経障害は1.0%から32.4%へと上昇した。また、網膜症の有病率は、2010~11年の13.7%(すべてきわめて軽度の非増殖性糖尿病性網膜症)から、7年後の2017~18年には51.0%(このうち8.8%が中等度~重度の網膜の変化、3.5%が黄斑浮腫)に増えた。 細小血管合併症は、ベースラインの9.0%から15年間で80.1%へと増加し、累積発生率が50%に達するまでの期間は9年だった。また、細小血管合併症発生のリスク因子は、少数人種/民族、高血糖、高血圧、脂質異常症などであった。患者の60.1%(407/677例)で1つ以上の合併症が発生し、28.4%(192/677例)で2つ以上の合併症が発生した。 著者は、「これらのデータは、若年発症2型糖尿病では、糖尿病に特異的な合併症の負担が大きく、本症の患者は合併症によって早期に深刻な影響を受けており、公衆衛生上も重大な意味を持つことを示している」と指摘している。本研究は、米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(NIDDK)などの研究助成を受けて行われた。

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GLP-1受容体作動薬のNew Normalな選択【令和時代の糖尿病診療】第1回

第1回 GLP-1受容体作動薬のNew Normalな選択GLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1 RA)、その登場は10年前にさかのぼる。ちなみに、今年はインスリン発見から100年という、糖尿病分野において記念すべき歴史的な年である(にもかかわらず、コロナの影響で大々的なイベントは開催できていない)。それに比べ、たかだか生誕10年ではあるものの、これまでに数多くのGLP-1 RA製剤が登場し、エビデンスもそろってきており、大きな注目を集めている。ここで知識の整理として、GLP-1の生理作用を見てみよう。図1:GLP-1の多彩な生理作用(間接的作用を含む)画像を拡大する非常に多彩ではあるが、GLP-1 RAは、主に膵臓において血糖依存的にインスリン分泌を促進・グルカゴン分泌を抑制、肝臓においてグルコース産生を抑制、胃においては胃内容物排出の遅延により、血糖コントロールを行うという作用機序である。次に、分類を見てみよう。図2:GLP-1受容体作動薬の分類分類としては、まずヒトGLP-1由来かExendin-4由来かに大別され、各々1日1~2回もしくは週1回の投与方法があり、それに対応する製剤が存在する。さらに、今まではGLP-1 RAといえば注射薬という位置付けだったが、2021年に経口薬も加わったのである。これには大きな衝撃を受けた。重要な3つのポイント:適応患者の選択、合併症の管理、体重減少効果GLP-1 RAを使用するに当たって、重要なポイントが3つあるので、順に説明する。(1)作用機序から考えた適応患者の選択と早期導入この薬剤の作用機序は、「インスリン分泌促進系」の中でも「血糖依存性」に分類1)されるため、膵機能が保たれているインスリン非依存状態であることが必須である。すなわち、この薬剤の醍醐味を感じていただけるのは、罹病歴が比較的短く、内因性インスリン分泌能が保たれている、SU薬を多量に服用していない患者ということになる。一方、血糖依存性といえども万能ではなく、高血糖毒性を伴いインスリンの絶対的適応となるようなケースには不向きであることをご理解いただきたい。こういった場合は、糖毒性解除後に使用するとうまくいくことが多い。ひとつ症例で考えてみよう。63歳男性。脳梗塞で脳神経内科入院となり、救急外来時の随時血糖値283mg/dL、HbA1c 10.6%とコントロール不良の糖尿病を認め、血糖コントロール依頼で当科受診となった。未治療の患者で、体重85.0kg、BMI 31.2で、2度肥満を認めた。入院後に強化インスリン療法を開始、その後リハビリ目的にて転院となっている。リハビリ病院では混合型インスリン2回打ちに変更になり、3ヵ月後、当科に今後の治療につき相談があった。この時は随時血糖値141mg/dL、HbA1c 6.9%まで改善しており、体重79.0kg、BMI 29.0の1度肥満まで改善していた。総インスリン量は、22単位から12単位まで減量となっており、軽度の右不全マヒがあるものの、インスリン自己注射は問題なくできた。そこで主治医は、患者への負担を少しでも軽くしようと考え、インスリン分泌能も保たれていたため、週1回のGLP-1 RAへの切り替えを選択した。その後、3ヵ月間単剤での管理で3.1kgの減量に成功し、HbA1cも5.9%まで改善、患者さんも減量の成功を大変喜び、継続を希望したとのことである。この例は、GLP-1 RAの早期導入が功を奏したと考えられる。実際のところ、JDDM(糖尿病データマネジメント研究会)のデータを見ると、GLP-1 RAの処方は年々増加しているものの、HbA1cの目標到達率はインスリンと大きく変わらず、あまりよくない(私も言える立場ではないが反省の意味も込めて)。もしかしたら導入が遅いため、十分な効力が発揮できていないのかもしれない。(2)合併症抑制を考慮した治療選択治療選択の際、合併症(大血管症、細小血管症)を考慮できているだろうか? 2008年から米国FDA(食品医薬品庁)で、新規の血糖降下薬は心血管合併症を増やさないことの証明が必須になっているが、最近はむしろ血糖コントロール改善とは異なる機序で、糖尿病合併症を抑制する薬剤が注目を集めてきている。実際、GLP-1 RAは2021年ADAのStandards of Medical Care in Diabetes2)にも記載されているように、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)やCKDの合併、または高リスクがある場合は、メトホルミン使用とは無関係に優先的に使用すべき薬剤の1つになっている。わが国において薬剤の使用優先順位までは決められていないが、エビデンスのある薬剤の1つとして位置付けられているため、より処方するベネフィットが大きいと考えられる。図3:2型糖尿病における血糖降下薬:総括的アプローチ(ADA2021)画像を拡大する(3)体重減少、食欲抑制に対する効果GLP-1 RAの生理作用は、糖代謝改善作用以外に、胃内容物排出の遅延作用と中枢における食欲抑制作用があり、それには消化管で産生されたGLP-1が主に迷走神経を介して中枢へ作用する系、および中枢で産生されたGLP-1が作用する系の2つが関与するといわれている3)。いずれにせよ体重減少効果は大きく、米国では抗肥満薬としても上市されている(糖尿病薬の用量とは異なる)。セマグルチドの最近のエビデンスとして、太り過ぎまたは肥満成人に対する集中的行動療法の補助として有意な体重減少をもたらし4)、また従来の薬剤の約2倍の減量効果があり5)、肥満外科手術に匹敵するといわれるほどである。近年、高齢化が進むにつれ高齢者糖尿病患者も増加し、サルコペニアの問題も大きく取り沙汰されている。体重減少効果が筋肉量の減少を誘発していないかの問題も言われる中、経口セマグルチドにおける2型糖尿病患者のエネルギー摂取量、食事の嗜好、食欲、体重の効果についての論文が発表されている6)。表1:Changes from baseline in body weight and body composition as measured by Bodpod※ and waist circumference at week 12(day 3)※Bodpod:体脂肪測定装置(イタリア・COSMED SRL社製)表によると、12週で体重2.7kg、ウエスト2.4cmが減少しており、脂肪量は-2.6kg、除脂肪量-0.1kgと、減量のほとんどを脂肪量の減少が占めた。さらに、摂取エネルギーが減少するのはもちろんのこと、高脂肪食や甘味が有意に減少していたという嗜好の変化が非常にユニークな結果であった。また、GLP-1 RAの効果について、さらに細かい話にはなるが、ショートアクティングとロングアクティングでは、作用時間だけでなく血糖降下作用も異なるといわれている。まずロングアクティングは、主にインスリン分泌促進およびグルカゴン分泌抑制を介して血糖改善効果を発揮し、ショートアクティングに比べて空腹時血糖値やHbA1cの改善効果が大きいとされる。一方、ショートアクティングは主に胃内容物排出遅延作用やグルカゴン分泌抑制を介して血糖改善効果を発揮するとされる。実際、ロングアクティングの血糖改善効果は残存膵β細胞機能に依存するのに対し、ショートアクティングでは血糖改善効果と残存β細胞機能に明確な関連性を認めない。New Normal Selection GLP-1 RAさて、今回のタイトル「GLP-1受容体作動薬のNew Normalな選択」に対して、「何だろう?」と思って読んでくれた方の疑問にお答えしよう。コロナで流行ワードとなった「New Normal」、すなわち新しい生活様式のように、あらゆる行動を時勢に合わせてアップデートして動く中で、薬物治療の新たな選択肢としてGLP-1 RAの登場、そしてこの治療の幅が非常に広がったことで、新しい糖尿病診療が始まったことを意味する。たとえば、今までWeeklyのGLP-1 RA製剤は用量調節ができなかったが、セマグルチドではDaily製剤のように用量調節ができるようになった。実際は初期投与量・維持量・コントロール困難例と分けられているものの、消化器系症状が出やすい人や体重をあまり落としたくない高齢者など、人によっては初期投与量が維持量になるなど、使用範囲が広がる。また、過体重でとにかく減量させたい人やインスリンを減量したい人に高用量を使用するといった方法もあるかと思う。さらには、注射製剤をかたくなに拒否する患者さんには経口薬を選ぶこともでき、こちらも同様に3つの規格が使用できる。注射指導にハードルを感じる非専門医にとっても、経口薬なら処方しやすいのではないかと考えられる。いずれにせよ、まさにNew Normalな世界が広がる。ぜひ、ワクワクしながらこの薬剤を使用してみてはいかがだろうか?1)日本糖尿病学会編著. 糖尿病治療ガイド2020-2021. 文光堂;2020.2)American Diabetes Association. Diabetes Care. 2021;44(Suppl 1):S111-S124.3)上野 浩晶ほか. 日本糖尿病学会誌. 2017;60:570-572.4)Wadden TA, et al. JAMA. 2021;325:1403-1413.5)Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384:989.6)Gibbons C, et al. Diabetes Obs Metab. 2021;23:581-588.

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新薬GIP/GLP-1受容体ダブルアゴニストは糖尿病診療に新たなインパクトを与えるか?(解説:栗山哲氏)

本論文は何が新しいか? 本論文は、2型糖尿病治療薬として開発された新規薬剤GIP/GLP-1のダブルアゴニストtirzepatideを臨床評価したものである。 同剤は、グルコース依存性インスリン刺激性ポリペプチド(GIP)に類似した39個のアミノ酸残基に長鎖脂肪酸を結合させた週1回注射製剤である。本剤の特徴は、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)とGIPの両受容体を刺激するダブルアゴニスト製剤として開発されたことである(GIP受容体の単独作動薬はない)。 GLP-1受容体作動薬のエビデンスは、多くの臨床研究でその有用性が肯定されている。すなわち、LEADER、SUSTAIN-6、REWINDなどでは心血管イベント(MACE)の改善効果が、さらにLEADER、SUSTAIN-6、AWARD-7などで2型糖尿病腎症の腎エンドポイントにも改善効果が報告されている。 本論文(SURPASS-1試験)は、tirzepatideのHbA1cや体重への効果をプラセボ群と比較した臨床研究である。その改善結果は、既存の糖尿病治療薬に比較しても驚くほど顕著であり、今後の糖尿病治療に一石を投じるものと考えられる。本論文の主たる結果 SURPASS-1試験においては、試験参加者の54%は未治療、糖尿病の平均罹病期間は4.7年、ベースラインの平均HbA1c 7.9%、平均体重85.9kg、BMI 31.9kg/m2であった。主要評価項目と重要な副次評価項目に、ベースラインから40週投与後のHbA1c低下および体重減少を指標とした。tirzepatideの最高用量群(15mg)において、プラセボに対してHbA1cは2.07%低下、体重は9.5kg(11.0%)減少した。この投与群の半数以上(51.7%)は、非糖尿病レベルであるHbA1c 5.7%未満に改善した。全体的な安全性は、既知のGLP-1受容体作動薬と同等で、消化器系の副作用が最も多い有害事象であった。 以上の結果から、tirzepatideが従来の糖尿病治療薬と比較しても顕著なHbA1cと体重の低下効果を有する可能性が示唆された。特徴は、本剤によるHbA1c低下や体重の減少は、従来の糖尿病治療薬に比べても著明な薬効であるも、しかるに胃腸障害の副作用が増加しないことであろう。また、重症低血糖がほとんどないことも特筆に値する。HbA1c 5.7%未満を達成でき、低血糖が少ない薬効を証明できた成績は、糖尿病内科医にとってもインパクトの高い論文と思われる。推定されるtirzepatideの作用機序 脂肪細胞にあるGIP受容体にGIPが結合すると脂肪蓄積に働くため、GIPは体重を増加させる作用がある。一方、視床下部にもGIP受容体があり、こちらにGIPが結合すると食事量を減らし体重減少効果が認められる。そのため、全体的には、GIP自体はそれほど体重を増やさないのではないかと考えられる。一方、GLP-1受容体刺激とGIP受容体刺激が相加されると、なぜGLP-1受容体作動効果が相乗的に高まるか、という疑問に関しては不明であり、今後の研究課題と思う。本論文の日本での意義付け 本研究を今後の糖尿病治療に外挿すると、BMIが30超の高度の肥満を伴う2型糖尿病患者が最も良い適応症になると思われる。今後、日本人にも多いと思われるBMI 25~27あたりでの層別解析が注目される。また、この効果が実際にMACE抑制に結び付くか否かはそれにも増してさらに興味深い。現在進行中のSURPASS-CVOT(NCT04255433)においては、デュラグルチドとの比較が計画され2024年末ごろには効果が確認される。 ただ、危惧される点もいくつかある。試験を完了できなかった対象患者が15%と多いこと、体重減少が大き過ぎること、などである。とくに、本邦のように高齢者2型糖尿病患者が多い条件下では、体重が下がり過ぎることがデメリットになる可能性がある。このことから、本邦での薬剤選択上は第1・第2選択薬のように早期ステージでの使用は少なかろうと思う。治療継続率が対照薬よりも良くなかったことからも、あくまでも現在のGLP-1受容体作動薬などの糖尿病注射剤と近似した位置付けになるのではないかと推察する。一方、インスリン/GLP-1受容体作動薬の配合剤がtirzepatideに置き換わっていく可能性もありえよう。本論文から何を学ぶ? 今後のインクレチン薬の展望は? GIP/GLP-1受容体ダブルアゴニストtirzepatideは優れた糖代謝改善作用を有することが示された。SURPASS-1に追従して、ほぼ同時にSURPASS-2の結果が報告され、ここではtirzepatide群をセマグルチド群と比較して検討し、SURPASS-1の結果と同様に前者で優れたHbA1c低下効果ならびに体重減少効果が確認されている(Frias JP, et al. N Engl J Med. 2021 Jun 25. [Epub ahead of print])。今後、SURPASS-3やSURPASS-5などで本剤の評価が次々と報告されていく予定があり、すべての試験で結果が一貫していると聞く。これらの集積は、現行の糖尿病ガイドラインを変える可能性もあろう。 また、インクレチン関連薬の配合剤の創薬の新たな話題として、GLP-1受容体作動薬にグルカゴンを付帯したデュアル製剤(cotadutide)が2型糖尿病腎症やNASHの治療薬として開発されている(Nahra R, et al. Diabetes Care. 2021 May 20. [Epub ahead of print])。グルカゴンは糖代謝の絶対悪ではなく、エネルギー産生作用を有しておりエネルギー消費を上げる方向に作用し、蠕動運動の低下や中枢神経を介して食欲を抑制する作用もあるようだ。これらの作用をGLP-1と組み合わせて効果を増強しようというのが、GLP-1/グルカゴン受容体作動薬である。実際に、GLP-1/グルカゴン受容体作動薬に関してグルコース吸収の遅延とインスリン感受性の改善がみられている。作用機序の面から、まだまだ検討の余地は残されるものの、興味深いダブル製薬の1つと思われる。

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「ベイスン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第61回

第61回 「ベイスン」の名称の由来は?販売名ベイスン®錠0.2ベイスン®錠0.3ベイスン®OD錠0.2ベイスン®OD錠0.3一般名(和名[命名法])ボグリボース(JAN)効能又は効果<ベイスン錠 0.2、0.3><ベイスンOD錠 0.2、0.3>○糖尿病の食後過血糖の改善(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は 食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る) <ベイスン錠 0.2><ベイスンOD錠 0.2>○耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(錠0.2、OD錠0.2のみ)(ただし、食事療法・運動療法を十分に行っても改善されない場合に限る)用法及び用量○糖尿病の食後過血糖の改善の場合通常、成人にはボグリボースとして1回0.2mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を0.3mgまで増量することができる。○耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制の場合(錠0.2、OD錠0.2のみ)通常、成人にはボグリボースとして1回0.2mgを1日3回毎食直前に経口投与する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由1.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]2.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]3.本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年7月21日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2021年5月改訂(第11版)医薬品インタビューフォーム「ベイスン®錠0.2・0.3/ベイスン®OD錠0.2・0.3」2)武田テバ:DI-net

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基礎インスリンで治療中の2型糖尿病患者の血糖コントロールに対するCGMの効果(解説:小川大輔氏)

 糖尿病の診療において、血糖コントロール状況を把握する検査として血糖値とヘモグロビンA1cが通常用いられる。血糖値は採血時点の、ヘモグロビンA1cは過去1~2ヵ月間の血糖の状況を表す検査であり、外来診療ではこの2つの検査を同時に測定することが多い。さらにインスリンあるいはGLP-1受容体作動薬などの注射製剤を使用している患者は、日常生活において血糖を把握するために自己血糖測定を行うことが一般的である。 通常の自己血糖測定によるモニタリング(BGM)は測定のたびに指先を穿刺する必要があり、また連続した血糖の変動を捉えることができないという欠点がある。一方、近年使用されている持続血糖モニタリング(CGM)は一度装着すると血糖の変動を連続して把握することができるというメリットがある。CGMは毎食後や睡眠中の血糖コントロール状況がわかるため、糖尿病専門外来では糖尿病治療薬の変更や選択に活用されている。 2018年7月から2019年10月までに米国のプライマリケア施設で基礎インスリンを使用している2型糖尿病患者に対し、CGMの有効性の評価を目的とする無作為化臨床試験の結果がJAMA誌に報告された1)。対象は1日1回あるいは2回の基礎インスリンを用いて治療中の2型糖尿病患者であり、CGMまたはBGMでのモニタリングを行う群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。インスリン以外の糖尿病治療薬の有無は問わないが、食前のインスリンは使用していないことが条件である。主要評価項目は8ヵ月後の平均HbA1c値、副次評価項目は血糖値が目標範囲内(70~180mg/dL)の時間の割合、血糖値が250mg/dL以上の時間の割合、8ヵ月後の平均血糖値である。 30歳以上の2型糖尿病患者175例が登録され、CGM群に116例、BGM群に59例が割り付けられた。平均HbA1c値は、CGM群がベースラインの9.1%から8ヵ月後には8.0%へ、BGM群は9.0%から8.4%へと低下し、CGM群で有意な改善効果が認められた。またCGM群はBGM群に比べ、血糖値が目標範囲内(70~180mg/dL)の時間の割合(59% vs.43%)、血糖値>250mg/dLの時間の割合(11% vs.27%)、ベースライン値で補正された8ヵ月後の血糖値(179mg/dL vs.206mg/dL)が、いずれも有意に良好であった。有害事象としては重症低血糖がCGM群で1例(1%)、BGM群で1例(2%)報告された。 基礎インスリン療法を行っているが血糖コントロールが不良(HbA1c値7.8~11.5%)の2型糖尿病患者に対し、従来のBGMをCGMに替えると8ヵ月後のヘモグロビンA1cがより低下したという結果である。これまでに1型糖尿病を対象とした試験でCGMを用いることにより血糖コントロールが改善するということは複数報告されており、強化インスリン療法を行っている2型糖尿病を対象とした試験2)でも同様の結果が報告されている。今回初めて基礎インスリン療法を行っている2型糖尿病を対象とした試験でCGMの有効性が示された。ただ、1日1~3回血糖値を測定するBGM群に対し、血糖の情報量が圧倒的に多いCGM群でもっと差があるかと思ったが、予想外にその差は0.4%とわずかであった。またHbA1c値8.5%以上のとくに血糖コントロール不良の患者では両群で有意差がなかった。これは本試験が糖尿病専門医のいる医療機関ではなくプライマリケア施設で実施されており、専門医が直接インスリン投与量の管理を行っていないことが関係していると考えられる。せっかくCGMを用いても、得られた血糖日内変動のデータを解釈しインスリン投与量の調節に活かせなければ意味がない。ただCGMを装着すればよいというわけではない、というメッセージをこの研究は与えている。

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tirzepatide、強力な血糖コントロール改善と減量効果/Lancet

 tirzepatideは、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体のデュアルアゴニストである。米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らは、「SURPASS-1試験」において、本薬はプラセボと比較して低血糖リスクを増加させずに血糖コントロールと体重の顕著な改善効果をもたらし、安全性プロファイルもGLP-1受容体作動薬と類似することを示した。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年6月25日号で報告された。3用量を評価する第III相無作為化プラセボ対照試験 本研究は、4ヵ国(インド、日本、メキシコ、米国)の52施設で行われた第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験であり、2019年6月~2020年10月の期間に参加者の登録が行われた(Eli Lilly and Companyの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、食事療法と運動療法だけではコントロール不良な2型糖尿病で、注射薬による治療を受けておらず、スクリーニング時に糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が≧7.0%(53mmol/mol)~≦9.5%(80mmol/mol)で、BMI≧23、過去3ヵ月間の体重が安定している患者であった。 被験者は、tirzepatide 5mg、同10mg、同15mgまたはプラセボを週1回皮下投与する群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。投与期間は40週だった。 主要エンドポイントは、ベースラインから40週までのHbA1c値の平均変化量とした。 478例(平均年齢54.1歳、女性48%、平均罹患期間4.7年、平均HbA1c値7.9%[63mmol/mol]、平均BMI 31.9)が登録され、tirzepatide 5mg群に121例、同10mg群に121例、同15mg群に121例、プラセボ群には115例が割り付けられた。66例(14%)が試験薬の投与を中止し、50例(10%)は試験を中止した。HbA1c値:1.87~2.07%低下、15%以上の体重減少:13~27% 40週の時点で、tirzepatideのすべての用量群はプラセボ群に比べ、HbA1c値、空腹時血糖値、体重のベースラインからの変化量と、HbA1c目標値<7.0%(<53mmol/mol)およびHbA1c目標値<5.7%(<39mmol/mol)の達成割合が優れた。 平均HbA1c値は、5mg群ではベースラインから1.87%(20mmol/mol)低下し、10mg群で1.89%(21mmol/mol)、15mg群で2.07%(23mmol/mol)低下したのに対し、プラセボ群は0.04%(0.4mmol/mol)増加しており、プラセボ群との治療間の平均差の推定値は、5mg群が-1.91%(-21mmol/mol)、10mg群が-1.93%(-21mmol/mol)、15mg群は-2.11%(-23mmol/mol)であった(いずれもp<0.0001)。 空腹時血糖値は、5mg群ではベースラインから43.6mg/dL低下し、10mg群で45.9mg/dL、15mg群で49.3mg/dL低下したが、プラセボ群は12.9mg/dL上昇しており、プラセボ群との治療間の平均差の推定値は、5mg群が-56.5mg/dL(-3mmol/L)、10mg群が-58.8mg/dL(-3mmol/L)、15mg群は-62.1mg/dL(-3mmol/L)であった(いずれもp<0.0001)。 HbA1c目標値<7.0%(<53mmol/mol)の達成割合は、3用量のtirzepatide群が87~92%、プラセボ群は19%であり(プラセボ群との比較で、すべての用量がp<0.0001)、HbA1c目標値≦6.5%(≦48mmol/mol)の達成割合は、それぞれ81~86%および10%であった(すべての用量でp<0.0001)。また、HbA1c目標値<5.7%(<39mmol/mol)の達成割合は、3用量のtirzepatide群が31~52%、プラセボ群は1%だった(すべての用量でp<0.0001)。 tirzepatide群では、体重がベースラインから用量依存性に7.0~9.5kg減少したのに対し、プラセボ群では0.7kg減少した(すべての用量でp<0.0001)。15%以上の体重減少は、tirzepatide群では13~27%で達成されたが、プラセボ群は0%だった。 tirzepatide群で頻度の高い有害事象として、軽度~中等度の一過性の消化器イベント(悪心[tirzepatide群12~18% vs.プラセボ群6%]、下痢[12~14% vs.8%]、嘔吐[2~6% vs.2%])が認められた。臨床的に重大な低血糖(<54mg/dL[<3mmol/L])および重症低血糖は、tirzepatide群では報告されなかった。プラセボ群で1例が心筋梗塞で死亡した。 著者は、「本薬は、ほぼ正常値範囲に達する強力な血糖降下作用と、これまでに報告がないほど確固とした減量効果を示した」とまとめ、「2型糖尿病の単剤療法の選択肢となる可能性がある」と指摘している。

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タンパク質の効果的な摂取方法とは?

 昨年、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」において、65歳以上のタンパク質目標摂取量が総エネルギー量の15~20%に改定された(以前は、18歳以上の全年代で13~20%)。 これを受け、6月28日に一般社団法人Jミルク主催のメディアミルクセミナーが開催され、藤田 聡氏(立命館大学 スポーツ健康科学部 教授)が「タンパク質の“質“と効果的な摂取法」をテーマに講演を行った。タンパク質、足りていますか? 加齢と共にアミノ酸から合成される筋肉量が減少する。十分な運動を行った場合でも加齢に伴う筋肉量の低下を防ぐことは難しい。筋肉量の低下は、内臓脂肪の増加やインスリン抵抗性に関与し糖尿病のリスクとなることが報告されている。また、筋肉量の低下は心疾患や死亡のリスクを高めるとの報告もある。 筋肉量を増加させるには、各食事でバランスよくタンパク質を摂取する必要があるが、30代以上の過半数で朝食のタンパク質摂取量が不足しているという研究データが示された。1食でもタンパク質の摂取量が不足すると、筋肉量が低下しやすくなるため、とくに朝食では積極的にタンパク質を摂取する必要がある。 しかし、高齢者では、食が細くなりタンパク質の十分な摂取が難しいこともあるため、より効率的に筋肉を合成できるタンパク質を摂取することが重要だと強調された。効率的な筋肉合成のカギを握る「ロイシン」 総合アミノ酸40gと必須アミノ酸18gでは、筋肉の合成を刺激する力が同程度であったことが示されている。さらに別の研究では、必須アミノ酸であるロイシンの含有率を上げることで、筋肉の合成速度が上昇したと報告された。これらの研究データを踏まえ、筋肉の合成には必須アミノ酸がとくに重要だが、ロイシン含有率の高い食品を積極的に摂取することで、筋肉をより効率よく合成できる可能性があると強調された。ロイシンの含有率が高い食品には、乳製品などがある。 そして、ロイシンの利用効率を高めるためには運動が重要であり、とくに筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動が有効だとされている。レジスタンス運動2時間後には筋肉の合成速度が2倍になるため、運動2時間後を目安にロイシンを摂取することが望ましいと述べられた。筋肉量の低下は身近な課題 筋肉量の低下が懸念されているのは、高齢者だけではない。日本では若い女性の「やせ」(BMI 18.5未満)が問題となっていることや、昨今、コロナ禍でテレワークや外出自粛が進んだことで、すべての世代で筋肉量の低下が懸念されている。 個々に合わせた運動と、積極的なロイシン摂取を心掛け、筋肉量を増加させることが重要であると、藤田氏は講演を締めくくった。

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新規GIP/GLP-1受容体作動薬、セマグルチドに対し優越性を示す/NEJM

 2型糖尿病患者において、tirzepatideはセマグルチドに対しベースラインから40週までのHbA1c低下が有意に優れていることが認められた。米国・National Research InstituteのJuan P. Frias氏らが、第III相無作為化非盲検試験「SURPASS-2試験」の結果を報告した。tirzepatideは、新規2型糖尿病治療薬として開発中のデュアル・グルコース依存性インスリン刺激性ポリペプチド(GIP)/グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬で、第III相国際臨床開発プログラムであるSURPASSプログラムにおいて、有効性と安全性が検討されている。そのうちSURPASS-2試験では、選択的GLP-1受容体作動薬セマグルチドの承認されている最高用量との比較が行われた。NEJM誌オンライン版2021年6月25日号掲載の報告。メトホルミンで血糖コントロール不良、tirzepatide(3用量)vs.セマグルチド SURPASS-2試験の対象者は、メトホルミン1日1,500mg以上による単独療法で血糖コントロール不十分(HbA1c:7.0~10.5%)の、18歳以上、BMIが25以上の2型糖尿病患者1,879例。tirzepatideの5mg群、10mg群、15mg群、またはセマグルチド(1mg)群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。ベースラインの平均HbA1cは8.28%、平均年齢は56.6歳、平均体重は93.7kgであった。 主要評価項目は、ベースラインから40週までのHbA1c変化量であった。主な副次評価項目は、ベースラインから40週までの体重変化、ならびにHbA1c 7.0%未満および5.7%未満を達成した患者の割合とした。tirzepatide全投与群でセマグルチドよりHbA1cおよび体重低下が有意に低下 HbA1cのベースラインから40週までの推定平均変化量は、tirzepatideの5mg群-2.01ポイント、10mg群-2.24ポイント、15mg群-2.30ポイントで、セマグルチド群は-1.86ポイントであった。5mg群、10mg群、15mg群とセマグルチド群との推定群間差は、それぞれ-0.15ポイント(95%信頼区間[CI]:-0.28~-0.03、p=0.02)、-0.39ポイント(-0.51~-0.26、p<0.001)、-0.45ポイント(-0.57~-0.32、p<0.001)であった。tirzepatideの全用量群で、セマグルチド群に対する優越性が示された。 体重のベースラインから40週までの推定平均変化量は、5mg群-7.6kg、10mg群-9.3kg、15mg群-11.2kgおよびセマグルチド群-5.7kgであり、tirzepatide群の用量依存的な体重減少が認められ、tirzepatideの全用量群で、セマグルチド群より有意に減少した(最小二乗平均推定群間差はそれぞれ-1.9kg、-3.6kg、-5.5kg、すべてのp<0.001)。 主な有害事象(いずれかの投与群で発現率5%以上)は胃腸障害で、悪心がtirzepatide群17~22%、セマグルチド群18%、下痢が13~16%、12%、嘔吐が6~10%、8%であった。重症度はいずれも軽度から中等度であった。低血糖症(血糖値<54mg/dL)の発現率は、tirzepatideの5mg群0.6%、10mg群0.2%、15mg群1.7%、セマグルチド群0.4%であった。重篤な有害事象は、tirzepatide群で5~7%、セマグルチド群で3%であった。

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週1回投与のヒト成長ホルモン製剤「ソグルーヤ皮下注5mg/10mg」【下平博士のDIノート】第77回

週1回投与のヒト成長ホルモン製剤「ソグルーヤ皮下注5mg/10mg」今回は、長時間作用型ヒト成長ホルモンアナログ製剤「ソマプシタン(遺伝子組換え)(商品名:ソグルーヤ皮下注5mg/10mg、製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ)」を紹介します。本剤は、重症の成人成長ホルモン分泌不全症患者に週1回投与することで、体脂肪量の減少と筋肉・骨組織の成長を促し、体組成のバランスを改善します。<効能・効果>本剤は、成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の適応で、2021年1月22日に承認されました。診断および重症の基準は、最新の「成人成長ホルモン分泌不全症の診断と治療の手引き」の病型分類を参照することとされています。<用法・用量>通常、ソマプシタン(遺伝子組換え)として1.5mgを開始用量とし、週1回、同一曜日に皮下注射します。開始用量は年齢、性別、合併症などに応じて適宜増減します。60歳超の患者では1.0mg、経口エストロゲン服用中の女性患者では2.0mgが目安となっています。その後の投与量は、患者の臨床症状および血清インスリン様成長因子-I(IGF-I)濃度などの検査所見に応じて、最高用量8.0mgを超えない範囲で調整します。なお、投与量の調整は投与開始後2~4週間に1回を目安に行い、増量する場合は1回当たり0.5~1.5mgを目安とします。副作用の発現や血清IGF-I濃度が基準範囲上限を超えた場合は、投与量の減量や一時的な投与中止など適切な処置を行います。<安全性>第III相試験の併合結果333例中85例(25.5%)で副作用が確認され、主な副作用として、頭痛11例(3.3%)、関節痛、疲労各9例(2.7%)、末梢性浮腫7例(2.1%)、浮動性めまい、感覚鈍麻、体重増加、血中クレアチンホスホキナーゼ増加各4例(1.2%)などが報告されています。重大な副作用として、甲状腺機能亢進症および糖尿病(いずれも頻度不明)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.週1回投与する持続性の成長ホルモン製剤です。肝臓に働き掛け、体脂肪量を減少させ、筋肉や骨組織の成長を促し、体組成のバランスを改善します。2.大腿部、腹部などに皮下注射してください。注射箇所は毎回変更し、同一部位に短期間に繰り返し注射しないでください。3.浮腫、関節痛、視覚異常、頭痛、悪心または嘔吐、頻尿などの症状が見られたらご連絡ください。4.投与を忘れた場合は、あらかじめ定められた投与日から3日以内であれば、気付いた時点でただちに投与し、その後は元の曜日に投与してください。投与日から3日を超えていた場合は1回分スキップして、次の投与日に投与します。なお、曜日を変更する必要がある場合は、前回の投与から少なくとも4日間以上の間隔を空けてください。5.使用開始前後にかかわらず冷蔵庫で保管し、開封したものは6週間以内に使用してください。冷蔵庫がない環境での保管は、遮光・室温(30℃以下)で通算3日間(72時間)までとしてください。<Shimo's eyes>成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)とは、成人において成長ホルモン(GH)の分泌が損なわれることで、易疲労感やスタミナ低下、体脂肪の増加、筋肉・骨塩量の低下、血中脂質高値などさまざまな自覚症状や代謝異常を来す慢性疾患です。通常、GH補充療法が行われますが、GH分泌不全は生涯続くことが多いため、長期または生涯にわたる治療が必要です。従来のソマトロピン製剤(商品名:ノルディトロピン注、ジェノトロピン注、ヒューマトロープ注、グロウジェクト注、ソマトロピンBS注)は、主に1日1回の皮下投与製剤であることから、毎日の治療に負担を感じる患者も少なくないことが課題となっています。本剤は週1回投与の長時間作用型ヒト成長ホルモン誘導体であり、内分泌専門医の管理指導の下、自己注射が可能な製剤です。1.5mLカートリッジに入った溶解操作が不要なリキッドタイプで、複数回投与可能な使い捨てプレフィルドペン型注入器に装填されています。1回の投与量は、5mg剤が0.025~2mgまで0.025mg刻み、10mg剤が0.05~4mgまで0.05mg刻みで設定可能です。ソマプシタンの構造としては、101位のロイシン残基をシステイン残基に置換したアミノ酸骨格に、アルブミン側鎖が接合しており、内因性アルブミンとの可逆的な非共有結合により、本剤の消失が遅延することで作用持続時間が延長されます。注意すべきポイントとして、GHはインスリン感受性と耐糖能を低下させるため、血糖値とHbA1cなどのモニタリングが必要な点が挙げられます。また、甲状腺機能の低下や良性頭蓋内圧の亢進、血清コルチゾール値の低下、中枢性副腎皮質機能低下症が顕在化する可能性があるので注意が必要です。GHの体液貯留作用により、本剤による治療開始時に手足の浮腫、手根管症候群、関節痛、筋肉痛などが見られる場合がありますが、治療継続中に消失することも多いため、軽度であれば経過観察となることもあります。自己注射は、基本的にはインスリン注射と同様の手順で行います。使用済みの注射器・針の廃棄方法は、かかりつけ医や主治医、薬剤師に相談するよう伝えましょう。参考1)PMDA 添付文書 ソグルーヤ皮下注5mg/ソグルーヤ皮下注10mg

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リアルタイムCGM導入によるDM患者の入院率は?/JAMA

 インスリン療法を受けている糖尿病患者で、医師によりリアルタイム持続血糖モニタリング(CGM)が導入された患者は、CGMを開始しなかった患者と比較し、HbA1cの有意な低下と低血糖による救急外来受診/入院率の減少を認めたが、高血糖または理由を問わない救急外来受診/入院に有意差はなかった。米国・カイザーパーマネンテのAndrew J. Karter氏らが、探索的後ろ向きコホート研究の結果を報告した。CGMは1型糖尿病患者に推奨されているが、インスリン療法を受けている2型糖尿病患者におけるCGMの観察的エビデンスは不足していた。なお、今回の結果について著者は、「観察研究の結果のため、選択バイアスの影響を受けている可能性がある」との指摘もしている。JAMA誌2021年6月8日号掲載の報告。リアルタイムCGMを開始した患者と開始しなかった患者を後ろ向きに比較 研究グループは、Northern California integrated health care delivery system(2014~19年)に登録されている、CGM使用歴のない血糖自己測定を行っているインスリン療法中の糖尿病患者4万1,753例(1型5,673例、2型3万6,080例)を対象に、リアルタイムCGMの導入による臨床アウトカムを、差分の差分法を用いて解析した。 評価項目は、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、低血糖(救急外来または病院利用)、高血糖(救急外来または病院利用)、HbA1c 7%未満、8%未満、9%以上、理由を問わない1回以上の救急外来受診、理由を問わない1回以上の入院、外来受診および電話受診回数の10項目とし、ベースラインの前後12ヵ月間で評価した。 リアルタイムCGMを開始した患者(CGM群)は3,806例(平均[±SD]年齢42.4±19.9歳、女性51%、1型91%、2型9%)、開始しなかった患者(対照群)は3万7,947例(63.4±13.4歳、女性49%、1型6%、2型94%)であった。リアルタイムCGMの導入で血糖コントロール、救急外来受診または入院を要した低血糖の発現が有意に改善 CGM群は、ベースライン前の平均HbA1cが対照群と比較して低値であったが、ベースライン前の低血糖および高血糖の発現率が高かった。 平均HbA1cは、CGM群で8.17%から7.76%まで低下し、対照群では8.28%から8.19%まで低下した(補正後の差分の差分推定値:-0.40%、95%信頼区間[CI]:-0.48~-0.32、p<0.001)。低血糖の発現率は、CGM群で5.1%から3.0%へ低下、対照群では1.9%から2.3%へ増加した(-2.7%、-4.4~-1.1、p=0.001)。 HbA1c 7%未満(補正後の差分の差分推定値:9.6%、95%CI:7.1~12.2、p<0.001)、HbA1c 8%未満(13.1%、10.2~16.1、p<0.001)、HbA1c 9%以上(-7.1%、-9.5~-4.6、p<0.001)の患者の割合、外来受診回数(-0.4、-0.6~-0.2、p<0.001)、電話受診回数(1.1、0.8~1.4、p<0.001)についても、補正後の純変化量に統計学的な有意差が確認された。 一方、高血糖、理由を問わない救急外来受診、理由を問わない入院の発生率については、いずれも統計学的に有意な変化は認められなかった。

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2型糖尿病に新クラスの治療薬イメグリミン承認/大日本住友製薬

 大日本住友製薬は、2型糖尿病治療薬イメグリミン(商品名:ツイミーグ錠 500mg)について、6月23日付けで、2型糖尿病を適応症として、日本における製造販売承認を取得したと発表。同剤の承認は日本が世界で初めてとなる。 日本において、同社はPoxel社と共同で1,100例を超える2型糖尿病患者を対象とした3本の第III相試験(TIMES1、TIMES2、TIMES3)を実施し、それらの良好な試験結果等を基に、2020年7月30日、日本における製造販売承認申請を行った。 同剤は、既存の経口血糖降下薬とは異なる構造と、2つの血糖降下作用をもつ新クラスの経口血糖降下薬である。ミトコンドリアへの作用を介して、グルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用と、肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する膵外作用(糖新生抑制・糖取込み能改善)により血糖降下作用を示すと考えられている。 これまでの第II、III相試験で得られた良好な有効性および安全性に関するデータに基づき、2型糖尿病治療における単剤および併用による血糖降下療法において、幅広く使用される治療薬となる可能性がある。ツイミーグ錠500mgの概要・販売名:ツイミーグ錠500mg・一般名:イメグリミン塩酸塩・規格・含量:1錠中イメグリミン塩酸塩 500mg・効能・効果:2型糖尿病・用法・用量:通常、成人にはイメグリミン塩酸塩として1回1,000mgを1日2回朝、夕に経口投与する

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運動するなら、朝と夕方どちらが効果的?

 太り過ぎの男性が運動療法を行う場合、朝よりも夕方に行ったほうが代謝機能の回復効果が高いことが、ノルウェー科学技術大学のTrine Moholdt氏らによる研究の結果、わかった。Diabetologia誌オンライン版2021年5月19日号に掲載された。 研究者らは、高脂肪食の摂取が血糖コントロール、全身の健康マーカー、血清メタボロミスクに及ぼす影響が、運動トレーニングを行う時間帯(朝と夜)によって変化するかどうかを検討した。 オーストラリア・メルボルンの大学で実施されたこの3群並行群間無作為化試験では、過体重・肥満の男性が11日間連続で高脂肪食(エネルギーの65%を脂肪から摂取)を摂取した。参加者は、ソーシャルメディアやコミュニティ広告を通じて募集した。参加資格は、男性、30~45歳、BMI27.0~35.0kg/m2、座りがちな生活とされた。心血管疾患(CVD)または2型糖尿病患者、処方薬服用者、シフト型勤務者は除外された。 参加者は高脂肪食を5日摂取した後、朝(6:30)運動する群、夕方(18:30)運動する群、運動なし群のいずれかに割り当てられ、その後5日間活動した。血清代謝物、循環脂質、心肺機能、血圧、および血糖値の変化をグループ間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・25例(朝群:9、夕方群:8、運動なし群:8)が割り付けられ、24例が解析対象となった(各群8例ずつ)。・24時間後のグルコース値はいずれの群でも有意な変化は見られなかったが、夕方群は運動なし群と比較して夜間の血糖値が低かった(4.9±0.4 vs 5.3±0.3mmol/l、p=0.04)。・最大酸素摂取量は、運動なし群と比較して、朝群(推定効果1.3ml/kg/分、95%CI:0.5~2.0、p=0.003)と夕方群(推定効果1.4ml/kg/分、95%CI:0.6~2.2、p=0.001)の両方で改善した。・空腹時血糖値、インスリン、コレステロール、トリアシルグリセロール、LDL-コレステロール値は夕方群のみで低下した。意図しない効果や副作用はなかった。 著者らは、5日間の高脂肪食摂取により、脂質とアミノ酸の代謝に関連する血清代謝物に大きな変化が生じた。運動トレーニングが代謝物に与える変化は高脂肪食の影響よりも小さく、夕方に行った場合のみ高脂肪食による代謝物の変化の一部を回復させた、とまとめている。

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コントロール不良2型DM、CGMでHbA1c改善/JAMA

 食前インスリン療法は行わず、基礎インスリン療法でコントロール不良な2型糖尿病の成人患者の血糖測定法として、持続血糖モニタリング(CGM)は通常の血糖測定器(BGM)によるモニタリングと比較して、8ヵ月後の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が統計学的に有意に低下することが、米国・International Diabetes Center, Park Nicollet Internal MedicineのThomas Martens氏らが実施した「MOBILE試験」で示された。JAMA誌2021年6月8日号掲載の報告。米国のプライマリケア施設の無作為化臨床試験 本研究は、プライマリケア施設で基礎インスリン療法を受けている2型糖尿病成人患者におけるCGMの有効性の評価を目的とする無作為化臨床試験であり、米国の15施設が参加し、2018年7月~2019年10月の期間に患者登録が行われた(米国・Dexcomの助成による)。 対象は、年齢30歳以上、2型糖尿病でプライマリケア医の治療を受け、持効型または中間型基礎インスリンを1日1~2回投与され、食前インスリン療法は行っていない患者であり、非インスリン血糖降下薬の投与の有無は問われなかった。 被験者は、CGM(Dexcom G6 CGMシステム)またはBGMでのモニタリングを行う群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。CGM群は、間質液中のグルコース濃度を5分ごとに測定し、必要に応じてBGMでのモニタリングが行われた。BGM群は、空腹時および食後に、1日1~3回、血糖値が測定された。 主要アウトカムは、8ヵ月後の平均HbA1c値とした。目標範囲内時間の割合が高く、血糖値>250mg/dLの時間の割合は低い 175例(平均[SD]年齢57[9]歳、女性88例[50%]、平均HbA1c値9.1%[0.9])が登録され、CGM群に116例、BGM群に59例が割り付けられた。このうち165例(94%)が試験を完了した。 平均HbA1c値は、CGM群がベースラインの9.1%から8ヵ月後には8.0%へ、BGM群は9.0%から8.4%へと低下し、CGM群で有意な改善効果が認められた(補正後群間差:-0.4%、95%信頼区間[CI]:-0.8~-0.1、p=0.02)。 CGM群はBGM群に比べ、血糖値が目標範囲内(70~180mg/dL)の時間の割合(59% vs.43%、補正後群間差:15%、95%CI:8~23、p<0.001)、血糖値>250mg/dLの時間の割合(11% vs.27%、-16%、-21~-11、p<0.001)、ベースライン値で補正された8ヵ月後の血糖値(179mg/dL vs.206mg/dL、-26mg/dL、-41~-12、p<0.001)が、いずれも有意に良好であった(割合と血糖値は平均値)。 重篤な低血糖は、CGM群で1例(1%)、BGM群で1例(2%)に発現した。糖尿病性ケトアシドーシスは、CGM群で1例(1%)にみられた。 著者は、「本試験はプライマリケア施設で患者の募集が行われ、内分泌専門医は関与していないが、糖尿病専門医がプライマリケア医に助言を行っており、これは現在の標準的な診療形態ではないため、得られた知見の一般化可能性には限界がある」としている。

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1型DM成人患者、リアルタイムCGMで血糖コントロール改善/Lancet

 1型糖尿病成人患者の血糖測定法を、必要に応じて測定する間欠スキャン式持続血糖モニタリング(isCGM)から、リアルタイムで測定し血糖値の高低を予測して警告を発する機能の選択肢を有する持続血糖モニタリング(rtCGM)に変更すると、isCGMの使用を継続した場合と比較して、6ヵ月後のセンサーグルコース値が70~180mg/dLの範囲内にある時間の割合が高くなり、全体として血糖コントロールが改善されることが、ベルギー・KU Leuven病院のMargaretha M. Visser氏らが実施した「ALERTT1試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年6月2日号掲載の報告。ベルギーの6病院の無作為化対照比較試験 本研究は、ベルギーの6つの病院が参加した無作為化対照比較試験であり、2019年1月29日~7月30日の期間に参加者の募集が行われた(米国・Dexcomの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、1型糖尿病の診断から6ヵ月以上が経過し、頻回注射またはインスリンポンプによる治療を受けており、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値≦10%で、少なくとも6ヵ月間isCGMを使用している患者であった。 被験者は、isCGMからrtCGM(Dexcom G6)に変更する群(介入群)またはisCGMを継続する群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。参加者、担当医、試験チームは割り付け情報をマスクされなかった。 主要エンドポイントは、intention-to-treat集団における6ヵ月後の血糖値が目標範囲内(センサーグルコース値3.9~10.0mmol/L[70~180mg/dL])にある時間(time in range:TIR)の平均群間差とした。HbA1c値、低血糖、低血糖恐怖スコアもrtCGM群で良好 254例が登録され、rtCGM群に127例(平均年齢42.8[SD 13.8]歳、男性64%)、isCGM群に127例(43.0[14.5]歳、60%)が割り付けられ、それぞれ124例および122例が試験を完了した。ベースラインの平均HbA1c値は両群とも7.4(0.9)%だった。 6ヵ月の時点におけるTIRの割合は、rtCGM群が59.6%と、isCGM群の51.9%に比べ有意に高かった(平均群間差:6.85ポイント、95%信頼区間[CI]:4.36~9.34、p<0.0001)。 また、rtCGM群はisCGM群に比べ、6ヵ月時のHbA1c値(rtCGM群7.1% vs.isCGM群7.4%、p<0.0001)、臨床的に意義のある低血糖(センサーグルコース値<54mg/dL)の時間の割合(0.47% vs.0.84%、p=0.0070)、低血糖恐怖調査(Hypoglycaemia Fear Survey version II worry subscale)のスコア(15.4点vs.18.0点、p=0.0071)がいずれも良好であった。 重症低血糖は、rtCGM群で少なかった(3例vs.13例、p=0.0082)。センサー挿入部位からの出血の報告はrtCGM群(12例に14件、このうち5件でセンサーの交換を要した)でのみ認められた。皮膚反応はisCGM群で頻度が高かった。 著者は、「rtCGM群はisCGM群よりも、血糖コントロールと患者報告アウトカムが良好であり、臨床医は患者の健康状態や生活の質を改善するために、rtCGMを考慮すべきと考えられる」としている。

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2型DMの心血管リスク、スクリーニング普及で変化/Lancet

 糖尿病スクリーニングが広く普及する前に開発された心血管リスク予測式は、スクリーニングで検出された多くの患者の心血管リスクを過大評価することを、ニュージーランド・オークランド大学のRomana Pylypchuk氏らが明らかにした。スクリーニングで発見された最近の糖尿病患者の多くは、腎機能が正常で、血糖降下薬を投与されておらず、心血管リスクは低いことも示された。スクリーニング普及前は、ほとんどの糖尿病患者は糖尿病と診断された時に症候性であり、心血管リスクが高く心血管イベント予防薬を処方すべきと考えられていたが、ニュージーランドで世界初となる全国的な糖尿病スクリーニングが導入されて以降、その受検率は2012年の50%から2016年には90%に増加し、検出される糖尿病患者の多くは無症状で発症早期例が占めるようになったという。著者は、「肥満の増加、スクリーニング検査の簡素化、心血管イベントを予防する新世代の血糖降下薬の導入などにより、糖尿病スクリーニングが増加することは間違いないが、今回の結果は、ほとんどの心血管リスク評価式は現代の糖尿病患者集団において検証し更新する必要があることを強く示唆している」と述べている。Lancet誌オンライン版2021年6月2日号掲載の報告。プライマリケア40万人のコホートで新たな心血管リスクの予測式を作成・検証 研究グループは2004年10月27日~2016年12月30日に、プライマリケアにおいて意思決定支援ソフトウエアのPREDICTを用いて、心血管リスクの評価を受けた約40万人の参加者から、2型糖尿病で、心血管疾患、心不全または腎機能障害を有しない30~74歳のニュージーランド人を特定し、PREDICT-1°糖尿病サブコホートとした。 Cox回帰モデルにより、事前に規定した18の予測因子(糖尿病関連および腎機能測定値など)を用い、男女別の心血管疾患5年リスク予測式を開発作成し、その性能を、2000~06年に開発されたNew Zealand Diabetes Cohort Study(NZDCS)の心血管リスク予測式と比較した。糖尿病スクリーニング普及後の糖尿病患者の心血管リスクは低い PREDICT-1°糖尿病サブコホートは4万6,652例で、このうち4,114例で追跡期間中(中央値:5.2年、IQR:3.3~7.4)に初発心血管イベントを認めた。 ベースラインで経口血糖降下薬またはインスリンを使用していなかったのは、1万4,829例(31.8%)であった。新しい推定式による5年心血管リスク中央値は、女性で4.0%(IQR:2.3~6.8)、男性で7.1%(4.5~11.2)であった。一方、従来のNZDCS予測式での心血管リスクは、女性でリスク中央値14.2%(IQR:9.7~20.0)と3倍、男性で同17.1%(4.5~20.0)と2倍、それぞれ過大評価された。 PREDICT-1°糖尿病サブコホート予測式のモデルおよび識別能は、NZDCS式より有意に良好であった。たとえば女性において、R2値は32%(95%信頼区間[CI]:29~34)vs.24%(21~26)、Harrell's C値は0.73(95%CI:0.72~0.74)vs.0.69(0.67~0.70)、Royston's D値は1.410(95%CI:1.330~1.490)vs.1.147(1.107~1.187)であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「ますます多様化する患者集団において、糖尿病関連および腎機能予測因子を用いた現代の糖尿病集団から作成した心血管リスクの予測式で、低リスク患者と高リスク患者を区別することが必要であり、適切な非薬物療法を知らしめ、高価な新薬の費用対効果を高めることが求められるだろう」と述べている。

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非糖尿病肥満症に対するGLP-1受容体作動薬と運動の併用によるリバウンド抑制効果(解説:小川大輔氏)-1398

 肥満によるさまざまな健康障害に内臓脂肪蓄積が関与していることが知られている。また内臓脂肪蓄積があれば糖尿病や脂質異常症などの疾患を発症することが予測されるため、減量治療が推奨されている。そして治療の基本は食事療法、運動療法、行動療法などの生活習慣改善療法である。ただBMI≧35kg/m2の高度肥満症では、生活習慣改善療法で一時的に体重の減少が得られても、リバウンドを繰り返し、長期的にみると減量治療が成功しないことも多いとされている。 今回減量治療後の体重維持に、GLP-1受容体作動薬リラグルチド3mgと運動療法の併用が運動療法単独より有効であることがNEJM誌に報告された1)。この試験は非糖尿病の肥満成人(平均BMI 37.0kg/m2)を対象に、まず8週間の低カロリー食による減量を行い、その後体重がベースラインから5%以上低下した195例を4群(リラグルチド群、運動群、併用群、プラセボ群)に割り付け1年間治療が行われた。その結果、主要エンドポイントである無作為化の時点から治療終了までの体重変化は、併用群で-9.5kgと最も大きく、次いでリラグルチド群-6.8kg、運動群-4.1kgであった。また、副次エンドポイントである体脂肪率の変化は、併用群で3.9%と最も低下し、次いで運動群2.2%、リラグルチド群2.0%であった。 本試験で減量治療後のリバウンド抑制や体脂肪率低下に対し、リラグルチドと運動療法の併用が運動療法単独より有効であることが示された。また、糖化ヘモグロビン値やインスリン感受性、心肺持久力の改善が認められたのは併用群のみであったことは、従来の肥満治療に薬物療法としてGLP-1受容体作動薬を加えることの有用性を示唆していると考えられる。ただし安全性については、リラグルチド群において心拍数上昇と胆石症が併用群より多く認められており注意が必要である。また本試験はデンマークで実施された試験であり、日本人を対象にしていない点についても留意したい。 日本では現在のところ、GLP-1受容体作動薬の保険適用は2型糖尿病に限られており、非糖尿病肥満症に対しては適応外となっている。また自由診療での処方について、日本糖尿病学会は2020年7月9日に『GLP-1受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解』を発表している2)。一部引用すると、「我が国において2020年7月時点で、一部のGLP-1受容体作動薬については、健康障害リスクの高い肥満症患者に対する臨床試験が実施されていますが、その結果はまだ出ていません。したがって、2型糖尿病治療以外を適応症として承認されたGLP-1受容体作動薬は存在せず、美容・痩身・ダイエット等を目的とする適応外使用に関して、2型糖尿病を有さない日本人における安全性と有効性は確認されていません」と記されている。以前に本連載第1365回のセマグルチドの臨床試験(STEP 3)のコメントでも述べたが、リラグルチドについてもセマグルチドと同様に、日本人の非糖尿病肥満症を対象とした臨床試験で安全性や有効性が確認されれば、肥満症の治療の選択肢となる可能性があると考えられる。

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糖尿病の発症年齢が低いほど認知症のリスクが高い(解説:吉岡成人氏)-1396

 ホワイトホール・スタディ(Whitehall study)はフラミンガム・スタディの「英国版」ともいわれるもので、英国の国家公務員を対象とした大規模な前向きコホート研究である。1967年に開始された「第I期」、1985年に開始された「第II期」がある。糖尿病に関連した論文では、糖尿病は発症の3~6年前から、空腹時血糖値、75g経口糖負荷試験の2時間値、HOMAα、HOMAβが急激な変動を示す(Tabak AG, et al. Lancet. 2009;373:2215-2221.)という臨床的にインパクトが大きい研究報告がある。また、50歳時における心血管の健康スコア7項目(喫煙、食事、運動、BMI、空腹時血糖値、コレステロール値、血圧)が認知症のリスクと関連していることも2019年に報告されている(Sabia S, et al. BMJ. 2019;366:l4414.)。 日本における久山町研究でも2型糖尿病と認知症の関連が報告されているが、ホワイトホールIIにおいての2型糖尿病の発症年齢と認知症のリスクとの関連が示されたことが、JAMA誌2021年4月27日号に掲載された。 10,095人(1985~88年の登録時に35~55歳、男性67.3%)を2019年3月末まで追跡。追跡期間31.7年(中央値)の間に、1,710人が2型糖尿病を発症し、639人が認知症と診断された。非糖尿病者の70歳における認知症の発症率は1,000人年当たり8.9なのに対し、2型糖尿病を5年以内に発症した場合は10.0、6~10年前では13.0、10年以上前で18.3であった。多変量解析では、70歳で糖尿病ではない場合に比較して、2型糖尿病の罹病期間が10年以上の際の認知症を発症するハザード比(HR)は2.12(95%信頼区間[CI]:1.50~3.00)であり、6~10年ではHR 1.49(95%CI:0.95~2.32)、5年以内であればHR 1.11(95%CI:0.70~1.76)であり、2型糖尿病の発症時期が早いものほど認知症のリスクが高い傾向にあったという。認知症の発症リスクに関連する臨床検査値、社会人口学的因子、健康関連行動を調整した解析でも、2型糖尿病の発症年齢が5歳低下するごとに、70歳時点での認知症の発症のHRは1.24(95%CI:1.06~1.46)であり、糖尿病の発症年齢が低いほど認知症のリスクが高いことが報告された。 2型糖尿病患者における認知機能の低下には多くの要因が関与している。中枢神経系に広く分布しているインスリン受容体におけるインスリン抵抗性のためのシグナリングの異常、グルコースの代謝障害、細小血管障害による脳血流の障害、炎症や免疫反応の惹起、酸化ストレスなどの影響、さらには治療による低血糖なども認知機能に影響を及ぼす。糖尿病の罹病期間と認知機能が関連することは「当たり前」かもしれない。しかし、「当たり前」と思われることであっても、私たちに客観的な「事実」としてデータを明示するコホート研究には、それなりの迫力と説得力を感じざるを得ない。

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緩和ケアの基盤となるのはナラティブなやりとり、日常診療の範囲内で取り組めます!【非専門医のための緩和ケアTips】第3回

第3回 緩和ケアの基盤となるのはナラティブなやりとり、日常診療の範囲内で取り組めます!前回までに、緩和ケアを実践する際に、患者さんと医学情報だけでなく、物語的(ナラティブ)なやりとりをすることも大切、ということをお話ししました。一方で、実際に取り組もうとすると、なかなか難しく感じる方も多いと思います。では、どうやって毎日の診療に緩和ケアを“実装する”とよいのでしょうか? 頂いた質問から見てみましょう。今日の質問緩和ケアが大切なのはわかるんですが、とにかく時間がありません…。患者さんの話を30分近く聞いたりする時間をとるのは無理です。うちは診療所なので、緩和ケアだけに取り組むスタッフを配置するわけにもいきません…。「時間がないから、緩和ケアができない」問題ですね。この方がおっしゃるように、緩和ケアを実践する中では、ベッドサイドで30分以上お話を伺ったり、ご家族を交えて今後の療養について話し合ったりすることがあります。これぞ「The 緩和ケア」って感じですよね。皆さんが目にする、ドラマなどでの緩和ケアのシーンの多くも、こういった“ガッツリとした”緩和ケアではないでしょうか?確かに、こうした「ガチ緩和ケア」もありますが、私たち専門家も、患者さん全員にいつでもこうしたケアを行っているわけではありません。重要なのは「必要な人」に「必要なタイミング」で「必要なスタイル」の緩和ケアを提供することです。だって、外来で「いつもの薬、もらいに来ました〜」みたいなテンションの患者さんに「今から1時間、あなたの話を聞かせてください!」なんて言ったところで、びっくりされちゃいますよね。では、どうすればいいのでしょうか?それは、「患者さんがナラティブ(物語的)な話をしたいときに、短時間でよいので遮らずに聞き、医療者側もその話に関心があることを伝える」というものです。先日、私の内科の外来で、患者さんに新型コロナの生活への影響について聞いたところ、「以前はよく旅行に行っていたけど、すっかり行けなくなってしまって…」という話になりました。その方は脳血管障害後の片麻痺があり、旅行に出るのはそれなりに大変なはずです。そこに話を向けると「家族がサポートしてくれるので」「これまで行ったところでよかったのは阿蘇ですね。あの景色は今でも思い出します」など、旅行の思い出や家族への感謝の言葉が出てきました。その方にとって旅行というイベントがいかに大切なものか、障害を抱えながらもご家族に支えられてきたことを振り返り、共有してもらった時間でした。このやりとりによってすぐに医学的な介入が変化するわけではありません。ただ、「どういったことを大切にしてきた方か」「何に価値を感じる方か」といった情報を知り、そのやりとりを積み重ねていくことが、その後、人生における大切で難しい決断を本人・家族と医療者が一緒にしていく基盤となるのです。今回の旅行のお話、聞いていたのは3分程度でしょうか。そんなに長い時間ではありません。他の医学的な治療説明のほうが、時間がかかりませんか? たとえば、インスリン導入の注意点を説明する場合、私は3分では到底終わりません。もしかしたら、患者さんにとっては詳し過ぎる医学的な説明を少し少なめにして、その分で話を聞く、というやり方もよいかもしれません。もちろん、私も外来の患者さん全員とこうした話をしているのではなく、治療以外のことに話題が及ぶのは1日の外来で1、2人程度です。患者さんも毎回、雑談を期待しているわけではないでしょう。あくまでも両者にとって無理のない範囲で、「時々は医学的なこと以外の話をしてみよう」と思って取り組むくらいで十分だと思います。「急がないけれど大切なこと」を「タイミングが合ったときに聞く」というスタンスが、外来など継続性のある医療の中での緩和ケアの実践になるのです。というわけで、物語的(ナラティブ)なやりとりは、時間がかかるものもあれば、もっと手軽に日常診療の範囲内で取り組めるものもある、ということをご理解いただければと思います。今回のTips今回のTips緩和ケアの基盤となるナラティブなやりとり、日常診療の範囲内で取り組める!

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