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新型コロナウイルス感染症に関するコメンテーターとして、毎日のようにテレビで見る医療者達。お茶の間ではすでに顔なじみの人物もいるだろう。新型コロナの治療薬やワクチンが話題になる中、その発言は製薬企業の利害得失にも影響を及ぼすはず。両者の関係は実際どうなのだろうか。病院勤務医や東北大学の医学生らが、製薬企業から医療者が受け取った謝金、いわゆる「製薬マネー」を調査したところ、出演番組数ベスト10の新型コロナ関連専門家で、新型コロナ関連の治療薬・ワクチンを開発・販売している製薬企業から受け取っていた謝礼金の合計金額は約2,450万円に上ることがわかった。調査チームはこのほど、日本製薬工業協会(製薬協)に加盟する製薬会社73社による公開データを集計・解析した。2020年上半期にテレビ出演回数上位10位であった専門家11人中(同率10位2人)7人に対し、2017年度に製薬企業から支払われた謝礼金は総額3,557万円であった。新型コロナ関連の治療薬・ワクチンを開発・販売している製薬企業から、これらの専門家に支払われた製薬マネーは、1社当たり平均で223万円。一方、開発・販売していない製薬企業から支払われた製薬マネーは、1社当たり平均139万円だった。11人の専門家のうち、54.5%(11人中6人)が医師として診療を行っており、91%は男性で、新型コロナウイルスに関して学術論文を発表していたのは、わずか1人であった。調査チームは、今回の結果について「テレビ出演の多い専門家の発言が、治療薬やワクチンなどに関してエビデンスに基づく発言であるか、また新型コロナ感染症に立ち向かう現場の声を反映しているかについて疑問が残った」と述べている。現場の医療人が感染の危機と差別にさらされながら、日々新型コロナと戦っているだけに、彼らにはいま一度、医療人として疑念をもたれない身の処し方を求めたい。参考1)Murayama A, et al. Clin Microbiol Infect. 2020 Dec 11. [Epub ahead of print]