サイト内検索

検索結果 合計:50件 表示位置:1 - 20

1.

第304回 総合診療は「ブルーオーシャン」か?~「ほかに選択肢がなかったから」ではなく、キャリア戦略としての総合診療を考える~

先日、高校の同級生で、開業医や病院の経営コンサルタントを長年やっている公認会計士と久しぶりに飲みました。そのとき、彼がポロっと漏らした言葉が妙にリアルでした。「最近さ、勤務医の先生から『新しく開業したいから手伝って』って頼まれても、正直『はい、喜んで!』とは引き受けづらいんだよね。これからの医療情勢を考えると、経営が軌道に乗るまで相当大変だからね」この言葉、今の医療界の空気を実によく表していると思いませんか?過日、「病院の急性期ベッド数、全国で40年に4割減 厚生労働省が必要数を試算」(日経新聞)の報道にもあったように、勤務医にとって高齢者救急の患者数が増えているのに「病床削減」という内容に驚きを持たれた方も多いと思います。そんな中、2025年12月に成立した改正医療法による外来医師過多区域での新規開業の要件追加(いわゆる開業規制の開始)が盛り込まれるなど、開業を巡る状況もだんだん厳しくなっており、若い先生方は頭を悩ませているのではないでしょうか。かといって、一時期勝ち組のように話題になっていた自由診療(美容クリニックなど)への転身もその実態の裏側が徐々に明らかになっており、全員が成功するわけではないという現実が見えてきました。従来型のキャリアパスだけでは、どこも黄色信号が灯りつつあるのが現状です。そんな中、国がいま「イチ押し」しているのが「総合診療」です。かつて総合診療(総診)といえば、「なんでも薄く広く診る先生」「専門が決まらなかった人の行き先」などと、誤解されることもありました。しかし今、時代は大きく変わっています。医師の偏在、高齢者救急患者の増大、在宅医療へのシフト、そして相次ぐ病院再編による専門医の充足…。気が付けば総診は、「これから最も社会的ニーズが高まる基本領域」として、国の医療政策の根幹に据えられ始めています。厚労省が都道府県に6月末に発出した最新の「医師確保計画策定ガイドライン」でも、その本気度が伝わってきます。これまでのように医師不足なら「各診療科の医師数を増やせば解決」というフェーズはとうに終わり、これからは医師不足に対しては経済的インセンティブや勤務環境の改善、リカレント教育を総動員した集中的な対策が始まろうとしています。では、なぜ今、総診が「ブルーオーシャン」になりえるのか。臨床現場目線でひも解いてみましょう。私たちが向き合う「患者像」の地殻変動最大の理由はシンプルです。目の前にやってくる患者さんの姿が変わったからです。これからの地域医療では、「単一疾患をその専門医だけが診ていればOK」という患者さんは減っていきます。代わりに増えるのが、高齢で、複数の持病があり、認知症やフレイルを抱え、社会的・経済的な背景も複雑…という、いわゆる「マルモ(Multiple morbidity:多疾患併存)」の患者さんです。厚労省のデータでも2020年から2040年にかけて、85歳以上の救急搬送は75%増、在宅医療の需要は62%増という凄まじい予測が出ています。その一方で、多くの診療科で予定手術の件数は大幅に減少に転じる見込みです。つまり、医療のニーズそのものが「高度急性期・臓器別」から、「高齢者救急・在宅・慢性期・地域包括ケア」へと、完全に重心を移しつつあります。これは何も「地方」や「へき地医療」に限った話ではありません。大都市でも、救急外来や施設、在宅でこうした複雑な患者さんは溢れています。急性期病院の高齢患者さんを担当する医師は、救急部門、一般急性期病床、地域包括ケア病床、診療所、どこに身を置くとしても、「総合診療的な視点とスキル」がなければ現場が回らない時代が来ています。その証拠に、去年(2025年)の日本内科学会雑誌12月号は「内科医が『かかりつけ医』になるとき-変化する医療と内科医の責任」として総合診療医による特集号で、ネットでも非常に反響がありました。従来の各臓器別の専門診療では、かかりつけ医を求める患者のニーズに合致しくなっていることが明らかになっています。国の政策も「総診推し」へ本腰先日公開の政府行政事業レビューによると2025年度目標であった全都道府県での「大学医学部附属病院に総合診療医センター設置」について、その実績は12にとどまり、計画未達であることが明らかになりました。「なんだ、全然進んでないじゃないか」と思うかもしれません。しかし、裏を返せば、「国がこれから目標達成に向けて強化に動く領域」だということです。有識者からも「インセンティブの強化や待遇改善を幅広く検討せよ」と強い提言が出ています。2018年度に始まった総合診療専門医制度ですが、2025年4月時点での総数は937人。これからの爆発的な高齢者救急や在宅ニーズを考えると、ハッキリ言って圧倒的に専門医が足りていません。だからこそ、今、総診を選ぶ若手医師には、国の制度整備、教育の拠点、地域からの求人、あらゆる行政支援が集中する「先行者利益」があると言えます。医学生・若手医師にとっての「リアルなキャリア戦略」「地域医療に貢献する」という高潔な理念も素敵ですが、もっと現実的な「キャリアの強み」として総診を捉えてみましょう。メリットは大きく3つあります。(1)とにかく「出口(働く場所)」が広い病院であれば「総合内科、救急、地域包括医療・ケア病棟」、開業すれば在宅医療、診療所、へき地、さらには行政や医学教育まで、キャリアの選択肢がとにかく多彩です。ライフステージに合わせたシフトがしやすいのも魅力です。(2)強烈な「政策の追い風」がある厚労省が指定する「重点医師偏在対策支援区域」では、診療所の承継・開業支援だけでなく、「土日の代替医師の確保支援」まで検討されています。「総診で地域に出ると休みが取れない」という常識を、国が予算をつけて変えようとしています。(3)セカンドキャリアとしての親和性ガイドラインでは、中堅・シニアの臓器別専門医が総診的スキルを学ぶための「リカレント教育(学び直し)」も始まっています。「若手だけの道」ではなく、内科、外科、小児科、救急などを極めた先生が、将来的に在宅や老年医療へスイッチするための強力な武器になります。ただし、甘い話ばかりではない(便利屋リスクへの警戒)ここまで良い面を挙げましたが、リアルな課題もあります。大学のセンター設置が進まないのは、指導医不足や「結局、総診って何をしてくれるの?」というキャリアパスの見えにくさがあるからです。現場の理解が追いついていない病院では、残念ながら「人手不足を埋めるための便利屋」として使われてしまうリスクが依然としてあります。だからこそ、若手の先生方に伝えたいのは、「総診は素晴らしいから直感で選べ」ではなく、「だからこそ、教育体制と指導医の質をシビアに見極めて選んでほしい」ということです。救急、内科、小児科、診断推論、さらには病院運営や地域連携まで体系的に学べる「きちんとした支援体制」があるプログラムを選ぶこと。ただの人手不足の穴埋めにしかならない環境とは、ここで大きな差がつきます。医学生・若手医師へのメッセージ総診は、もはや「専門がない医師の行き先」ではありません。これからの日本医療の最大の主戦場である「複雑な患者を丸ごと診て、医療と介護と生活をつなぐ」という、極めて高度な専門性が必要な診療科となります。臓器別専門医として1つの領域をディープに極める道も、当然リスペクトされるべき素晴らしいキャリアです。ただ、これからの医療現場で「引く手あまた」になるのは、専門臓器の知識に加えて、「患者全体を診る力」「地域で支えるシステムを知る力」を掛け合わせられる医師です。最初から総診を志すのも良し、他科を経てから総診のマインドを取り入れるのも良しというキャリアもあるかと思います。「需要は最大、政策の追い風もあり、そして、ライバルはまだ少ない」「総合診療は、これからの時代を生き抜く医師にとって、極めて合理的な『ブルーオーシャン(成長領域)』である」と断言していいと私は思っています。 参考 1) 医師確保計画策定ガイドライン~第8次(後期)~(厚労省) 2) 政府の行政事業レビュー(内閣府) 3) 病院の急性期ベッド数、全国で40年に4割減 厚労省が必要数を試算(日経新聞) 4) 【2026年度開始】医師の開業規制とは? 知っておきたい規制地域や対策(ドクタービジョン)

2.

福島県立医科大学 腫瘍内科学講座【大学医局紹介~がん診療編】

佐治 重衡 氏(主任教授)木村 礼子 氏(講師)名取 穣 氏(助教)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴、医師の育成方針福島県立医科大学腫瘍内科学講座は、各診療科との連携による臓器横断的ながん薬物療法の実践と、最先端の臨床試験・研究の発信が特徴です。乳がん領域では乳腺外科と共に国内有数の治験実施数を誇り、全国規模の研究グループを牽引しています。診療面では、大腸がんや乳がんなど罹患数の多いがんから、肉腫や神経内分泌腫瘍などの希少がん、原発不明・重複がんに至るまで幅広く対応し、地域がん診療の「最後の砦」として機能しています。また、県内の中核病院と人材交流を通じて連携し、最適ながん診療を届ける「均てん化の要」を担うとともに、多施設共同研究を福島からリードする拠点への飛躍を目指しています。育成面では、確かな臨床能力を基盤に自らクリニカルクエスチョンを見つけ、明日の治療を創る人材を育成しており、国内主要施設への留学も可能です。最も重視しているのは、子育てや介護などライフステージの変化への配慮です。働く場所や時間、キャリアのタイミングを最適化できるよう支援しています。働きやすい環境で、地域から世界へ、共にがん診療の未来を拓く熱意ある先生方をお待ちしています。医局でのがん診療のやりがい、魅力当科では、大腸がんや乳がんといった罹患数の多いがんから、肉腫、神経内分泌腫瘍、原発不明がんなどの希少がんまで、幅広いがん診療を経験することができます。日常診療を通じて、多様ながん種に触れながら総合的ながん診療能力を身につけることができます。また、多くの臨床試験に参加しており、開発段階の治療から保険診療へと移行していく過程を実際に経験できる点も魅力です。日々進歩するがん薬物療法を学び続ける必要はありますが、その分、知識や経験のアップデートを実感できるやりがいのある分野です。さらに、患者さんと丁寧に対話し、その方の背景や価値観も踏まえて最適な治療方針を考えていく点も、腫瘍内科の大きな魅力です。医局の雰囲気医局はアットホームな雰囲気で、メダカを飼育しており、日々の癒しになっています。教授は個々の意思を尊重し、医局としての方針に縛られず、それぞれにとって最適なキャリアを一緒に考えてくれます。そのため、自分の関心に応じて専門性を深めながら成長できる環境です。同医局を選んだ理由地元の福島県の市中病院で研修を終えた後に、腫瘍内科を目指し専門医資格を取得したいと思い、同医局に入りました。外科治療や放射線治療の設備と比べて、がんの薬物療法は地域でも導入しやすいと考え、都市部から遠い患者さんにも良いがん薬物療法を提供したいと思ったことが入局した理由です。現在学んでいること新専門医制度のもと用意された研修プログラムを学び、内科専門医とがん薬物療法専門医を希望のとおりに取得することができました。現在は、進歩がとても速いがん薬物療法の分野において、学会や論文の情報を収集し、最新の知見を診療に反映していけるよう学んでいます。今後のキャリアプランさまざまな働き方に柔軟に対応してもらえるため、その都度安心して相談できる雰囲気があります。今後は学ぶのみではなく、自分自身も進歩に貢献できるように、小さくても意義のある研究を行い、ライフステージに応じたやりがいを感じながら地域貢献を続けていければと考えています。福島県立医科大学 腫瘍内科学講座住所〒960-1295 福島県福島市光が丘1番地問い合わせ先onco@fmu.ac.jp医局ホームページ福島県立医科大学 腫瘍内科学講座専門医取得実績のある学会日本専門医機構日本内科学会日本臨床腫瘍学会日本乳癌学会日本遺伝性腫瘍学会研修プログラムの特徴(1)臨床さまざまながん患者に対する薬物療法を身につけることができ、日本ではまだまだ足りないがん薬物療法専門医の取得が可能です。(2)研究がん分子標的治療薬の臨床開発やトランスレーショナルリサーチ、福島県のがん罹患動向についての研究などを行っています。がんに関する基礎研究や臨床研究で学位の取得が可能です。(3)留学国内や海外の留学も相談に応じます。チーム医療に関するワークショップ(英語)の運営にも長年携わっており、臨床面からの海外研修・留学もサポートします。詳細はこちら

3.

第287回 医師国試合格率91.6%と低下、新卒合格者も9千人割れ/厚労省

<先週の動き> 1.医師国試合格率91.6%と低下、新卒合格者も9千人割れ/厚労省 2.はしか患者100人超、若年層中心に増加、感染拡大に警戒/厚労省 3.移植医療を集約化と体制強化、報酬を4倍加算、逼迫した現場を支援/厚労省 4.「新たな地域医療構想」機能選択で病院の再編・集約本格化/厚労省 5.2027年度専攻医シーリング決定、偏在是正へ都道府県連携強化/厚労省 6.薬剤アレルギー既往見落としで死亡事故が発生、市民病院を提訴/愛知県 1.医師国試合格率91.6%と低下、新卒合格者も9千人割れ/厚労省厚生労働省は2026年3月16日、第120回医師国家試験の合格者を発表した。受験者9,980人のうち合格者は9,139人で、合格率は91.6%と前回から0.7ポイント低下した。合格者数は前年より347人減少し、とりわけ新卒合格者は8,716人(合格率94.7%)と313人減少となり、3年ぶりに9,000人を下回った。医師供給動向に変化が生じている可能性が示唆される。試験は2026年2月に実施され、合格基準は必修問題で200点満点中160点以上、一般・臨床問題で300点満点中224点以上、禁忌肢3問以下とされた。近年と同様の基準であるが、合格率の微減と新卒者数の減少が今回の特徴となっている。大学別では、自治医科大学が新卒・既卒ともに合格率100%を達成したほか、北海道大学、京都大学も新卒で100%を記録した。平均合格率は国立93.0%、公立93.5%、私立92.5%と大きな差はないものの、既卒者を含むその他区分では54.8%と低水準にとどまった。男女別では女性92.4%、男性91.1%と女性が上回った。合格者数はコロナ禍以降、回復傾向にあったが、今回の減少は医学生数の変動や受験動向の影響が考えられる。医師偏在や地域医療構想の議論が進む中、今後の医師供給の量と質のバランスが一層重要となる。とくに新卒者数の減少は初期研修医確保にも影響を与える可能性があり、今後もこの傾向が続けば、各医療機関や自治体にとっても注視すべき事態となる。 参考 1)第120回医師国家試験の合格発表について(厚労省) 2)第120回医師国家試験の学校別合格者状況(同) 3)第120回医師国家試験合格者の状況(大学別合格者数)-9,139人が合格、合格率は91.6%(医事新報) 4)医師国家試験、合格率91.6%-新卒合格者は3年ぶりに9千人下回る(CB news) 5)2026年医師国家試験大学別合格率…合格率100%は自治医科大学(リセマム) 2.はしか患者100人超、若年層中心に増加、感染拡大に警戒/厚労省国内の麻疹(はしか)報告数が増加し、厚生労働省は注意喚起を強めている。2026年第9週までの累計報告数は87例、第10週時点では100例に達し、新型コロナ禍以降で最多となった。前年同期の22例を大きく上回る水準で、感染拡大の兆しがみられる。近年、わが国では土着株による感染は確認されておらず、2015年には世界保健機関(WHO)から排除状態と認定されている。現在の流行は、海外から持ち込まれたウイルスを起点に、国内で2次感染が広がる構図となっている。事例として、愛知県の高校での集団感染をはじめ、各地で散発的な発生が報告されており、都市部を中心に感染が拡大している。患者の約7割は10~30代で、ワクチン接種歴の不十分な層の影響が示唆されている。麻疹は空気感染を起こす極めて感染力の高い疾患であり、同一空間にいるだけで感染する可能性がある。発熱、咳、鼻水に続き発疹を呈し、重症例では脳炎を合併するリスクもある。その一方で、予防の柱であるMRワクチンの接種率は低下傾向にある。2024年度の接種率は1期92.7%、2期91.0%と、目標の95%を下回った。コロナ禍以降の接種控えが影響しているとみられ、集団免疫の維持に懸念が生じている。厚労省は、渡航前の接種歴確認や帰国後の健康観察を呼びかけるとともに、疑わしい症状がある場合は事前連絡のうえ医療機関を受診するよう求めている。感染再拡大を防ぐには、早期診断とワクチン接種率の回復が急務である。 参考 1)麻疹報告数、コロナ禍以降最多 厚労省が注意喚起(MEDIFAX) 2)はしか患者数、2026年累計100人に 25年同期22人を上回る(日経新聞) 3)感染症発生動向調査週報 2026年第9週第9号(国立健康危機管理研究機構) 3.移植医療を集約化と体制強化、報酬を4倍加算、逼迫した現場を支援/厚労省厚生労働省は、脳死下臓器提供の増加を背景に、移植医療の集約化と体制強化に舵を切った。今回の診療報酬改定で、多くの移植手術を担う施設を「拠点病院」として位置付け、人的・設備面の支援を検討する方針を打ち出している。臓器提供数は近年増加し、2025年には150例を超えたが、心臓や肺、肝臓など複数臓器の同時対応が求められるため、実施可能な施設は一部大学病院に限られている。その一方で、突発的な手術対応により手術室や看護師の確保が困難となり、受け入れ断念例も生じている。こうした現場の逼迫は深刻で、東京大学病院では移植件数が年間100例を超える中、ICUベッドに余裕があっても人員不足で受け入れられない状況や、病院経営への負担が指摘されている。実際、移植医療は従来、手術準備や人員確保のコストが大きく、病院側の持ち出しが問題となっていた。このため2026年度診療報酬改定では、臓器移植実施体制確保加算が新設され、手術料の実質4倍相当の評価が行われる。大学病院の試算では、従来は肺移植1例当たり約400万円の赤字だったが、新加算によりほぼ解消可能とされる。また、ドナーコーディネーターの業務も評価対象とし、院内での同意取得体制強化を促す。背景には、体制不足により移植を受けられなかった患者が2024年に延べ662人に上った現状がある。国立大学病院全体でも今回の改定により年間443億円の増収が見込まれ、赤字解消に寄与すると評価されている。しかし、紹介・逆紹介要件の厳格化による減収も予測され、経営改善には引き続き対応が求められる。移植医療は高度化・集約化が不可避な領域であり、今後は拠点化と財政支援を軸に、持続可能な提供体制の構築が問われる局面に入ったと言える。 参考 1)臓器移植支援へ一部病院を拠点化 厚労省、東大病院「経営苦しく」(朝日新聞) 2)脳死者の臓器移植に診療報酬加算へ…ドナーコーディネーターの働きも評価、報酬を手厚く(読売新聞) 3)国立大学病院長会議 26年度診療報酬改定年間443億円増収で赤字解消へ 外科医療確保や臓器移植加算を評価(ミクスオンライン) 4.「新たな地域医療構想」機能選択で病院の再編・集約本格化/厚労省厚生労働省は、2040年を見据えた「新たな地域医療構想」のとりまとめ案を示し、2028年度末までに各医療機関の「主たる機能」を明確化する方針を打ち出した。従来の病床機能報告に加え、新たに医療機関機能報告を導入し、各病院が担う役割を整理することで、再編・集約化と病床削減を一層進める構えである。新構想では、「医療機関の機能を急性期拠点」「高齢者救急・地域急性期」「在宅医療等連携」「専門等機能」の4区分に整理し、各施設が2040年に向けて担う機能を選択・報告する。複数機能の併存は認めつつも、急性期拠点については手術件数や救急対応などの実績要件を設け、実質的に高度急性期病院の集約を図る。人口20~30万人に1施設程度とする考え方が示され、全国では400~600施設に集約される見通しである。また、人口減少地域では構想区域の広域化を求め、より広い圏域で医療資源を維持する方向性も示された。その一方で、急性期以外の救急医療や夜間手術機能についても集約が検討されており、地域によってはアクセス低下への懸念が指摘されている。病床数の算定では、在宅医療の強化や早期リハビリによる在院日数短縮、医療DXによる効率化を前提に必要病床数を低く見積もる仕組みが採用される。急性期病床の稼働率も78%から84%へ引き上げられ、将来的な病床削減圧力が強まる見通しである。さらに、リハビリテーションでは、入院から在宅までの連続的な提供体制を支える「地域インフラ」として位置付けられ、栄養管理や口腔ケアとの一体的な取り組みも明記された。2026年10月からの機能報告を経て、各都道府県が調整を行い、医療機関ごとの役割分担が具体化する。医療提供体制の再構築が本格化する中、地域医療への影響が注視される。 参考 1)新たな地域医療構想に関するとりまとめ(厚労省) 2)新たな地域医療構想とりまとめ案 28年度末までに病院の「主な機能」を決定(保団連) 3)「新たな地域医療構想」とりまとめを了承、リハビリテーションは「地域のインフラ」へ(PT-OT-ST.NET) 5.2027年度専攻医シーリング決定、偏在是正へ都道府県連携強化/厚労省厚生労働省は、2026年3月18日に開催した「医道審議会医師専門研修部会」で、2027年度に専門研修を開始する専攻医の採用上限、いわゆるシーリング数案を了承した。新たに加算対象となった都道府県診療科から提出された指導医派遣実績を踏まえ、日本専門医機構が算定したもので、委員から大きな異論は出なかった。今後、6月下旬以降に都道府県へプログラム情報を提供し、各都道府県知事の意見や厚生労働大臣の要請を反映した修正を経て、11月の募集開始を予定している。今回のシーリングでは、最新の必要医師数と足下の医師数を用いて対象都道府県を設定し、特別地域連携プログラムと都道府県限定の連携プログラムを統合した点に特徴がある。特別地域連携プログラムの受け入れ可能数は全領域で採用上限を上回り、地域偏在是正に向けた受け皿整備は一定程度進んだ。その一方で、通常プログラム加算は実績に応じて付与されるが、加算上限を下回る領域もあり、制度運用はなお調整段階にある。あわせて部会では、2040年を見据えた医療需要の変化に対応する専門医養成も論点となった。85歳以上人口の増加、高齢者救急の拡大、生産年齢人口の減少を踏まえ、各基本領域学会に対し、将来重要となる疾患や患者像、専門医制度上の課題を尋ねるアンケート調査を実施する方針が示された。専攻医以降のキャリアチェンジやリカレント教育の必要性も指摘された。さらに、医師偏在対策では都道府県、大学医学部、大学病院の連携強化が不可欠とされた。地域枠、広域連携型臨床研修、専門研修連携プログラム、総合診療医育成などを医師確保計画に明確に位置付け、地域定着を後押しする方向で議論が進む。専攻医シーリングは、単なる採用枠調整にとどまらず、地域医療を支える医師養成全体を再設計する局面に入った。 参考 1)令和7年度第5回医道審議会医師分科会 医師専門研修部会(厚労省) 2)2027年度の専攻医シーリング数が決定、募集開始に向けた調整進む(日経メディカル) 3)医師偏在是正策の強化に向け「都道府県・大学医学部・大学病院の連携」をこれまで以上に強化せよ-医師偏在対策検討会(Gem Med) 6.薬剤アレルギー既往見落としで死亡事故が発生、市民病院を提訴/愛知県愛知県の西尾市民病院で診療を受けた70代女性が、薬剤アレルギー既往のある薬を処方・服用後に死亡したとして、遺族が市と調剤薬局を相手取り約2,541万円の損害賠償を求め提訴した。訴状によれば、女性は2025年2月に受診し、処方箋を受け取り、院外薬局で調剤された薬剤を服用後、約41日後に死亡した。遺族側では、医療機関はアレルギー既往歴を把握可能であったにもかかわらず看過したと主張している。その一方で、市側はアレルギー薬剤の処方自体は認めつつも、死亡との因果関係には争いがあるとしている。この事件は単なる確認漏れが原因ではなく、電子カルテおよびオーダリングシステムにおけるアレルギー情報の管理・共有体制が問題の根幹にある。日本医療機能評価機構は、医療安全情報の分析レポートで、アレルギー情報が「登録されているが参照されない」「画面上で視認性が低い」「更新が不十分」といった要因により、処方時に活用されない事例が発生していることを繰り返し指摘している。また、院内で把握されていた情報が院外薬局に十分伝達されないケースや、薬局側での最終確認が機能しなかった事例も報告されている。院外処方が一般化してから、医療機関と薬局の間の情報連携不足は構造的リスクとなっており、患者申告に依存した運用には限界がある。電子カルテ上のアレルギー情報については、入力の標準化、警告アラートの強化、処方時の確認が不可欠である。このためマイナ保険証の活用のほか、2重3重のチェック体制をどのように実効性ある形で運用するかが問われている。今回の訴訟は、医療安全について「情報があること」と「実際に使われること」の乖離を改めて浮き彫りにした。現場での確認フローの見直しなど再発防止策が求められる。 参考 1)「薬のアレルギーで死亡」70代女性遺族、愛知県西尾市などを提訴(中日新聞) 2)電子カルテ・オーダリングシステムを用いた薬剤アレルギーの情報共有に関連した事例(日本医療機能評価機構) 3)電子カルテ・オーダリングシステムを用いた薬剤アレルギーの情報共有に関連した事例(日本医療機能評価機構)

4.

第267回 “VUCA”の時代、医局とどう向き合うか? キャリアの途中で迷う若手医師たちへ

若手医師のキャリア観の変化先日、リクルートメディカルキャリアによる「医師のキャリア観に関する実態調査」が公表されました。これによると、医師免許取得当初の理想像は「専門医として技術を高めたい」(48.0%)が最多、キャリアで重視しているのは全体では「収入の高さ」(29.6%)が最多でした。その一方で、20~40代では「家庭やプライベートとの両立」も高い割合を占め、生活と仕事の両立志向が強いことが明らかになっています。また、30代では結婚や育児といったライフステージの変化を契機にキャリアを見直す割合が突出しており、若手世代では早い段階からキャリアに対する迷いが生じていることも示されています。大学医局離れと新しいキャリア志向こうした背景の中、キャリア形成に伴い転勤や大学院進学、専門医資格の取得といったイベントを経て一人前になる過程で、プライベートにも大きな変化が訪れます。以前であれば、初期臨床研修の間に、先輩の勧めなどで大学医局へ入局、その後は医局の指示するタイミングで大学院への進学や学位審査、併せて専門医の取得といった流れも自然でした。しかし、近年は、最初から大学医局に入らないという選択をする医師が増えています。令和7年度の医師研修制度マッチング結果によると、2000年代に7割が大学病院で研修していたのに対し、現在では約65%が市中病院での研修を希望するようになりました。大学病院での研修を希望する医学生の割合は、低下の一途をたどり、そのためか「医局人事」に縛られないキャリアを求める傾向が強まっています。実際に筆者の身近にも大学医局未入局のまま後期臨床研修を修了して、学会に所属しながら一般病院で働いている医師がいますが、大学医局には現在も所属していません。専門医制度と自由診療への流れ新臨床研修制度の導入から21年、若手医師の中には市中病院から大学医局に入局しても、転勤先について交渉する機会がないまま希望しない病院への異動をきっかけに退局するなど、大学医局人事によってコントロールされるのを望まない医師が増えたのは当然だと思います。さらにコロナ禍の後に繰り返し報道される医療機関の経営悪化や、専門医機構による専門医研修義務化などが加わり、専門医制度に疑問に感じる医師も少なくありません。とくに最近は初期臨床研修後に専門医を取得せず、美容系に代表される自由診療に参入する医師が年間200人以上とされ、「直美」現象として知られるようになりました。形成外科や皮膚科の専門医としてのトレーニングを積む前に美容医療業界に進むケースも多く、美容医療に従事する医師たちがSNSで繰り返し情報発信をするのも「バラ色のキャリア」として映っているのかもしれません。美容医療ブームの裏側:自由診療のリスクしかし、実際の自由診療は競争が激しく、歩合制による給与体系であるなどプレッシャーも強い世界です。SNSで集客し、医師以外のスタッフが「カウンセリング」と称して施術内容を決定するなど、不適切な事例も報告されています。こうした問題を受け、厚生労働省は「美容医療の適切な実施に関する検討会」を設け取りまとめ案をもとに、先日「美容医療に関する取扱いについて」を各都道府県などに通知しました。内容については本稿の「第252回 「『直美』現象はいつまで続くか? 美容医療の現状と医師キャリアの未来」にも書いたように、通知ではカルテ記載や医療安全管理体制の整備、患者保護の徹底など、当然のことが明記されています。こうした医師として当たり前のことを学ばないうちに自由診療の世界に飛び込むと、医療事故や訴訟などでキャリアを失うリスクもあります。VUCA時代に生きる若手医師へさて、表題に挙げた“VUCA”とは、「Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った言葉で、将来予測が困難な時代を意味します。筆者が初期研修を受けた平成一桁の時代は、まだインターネットが発展途上であり、情報は紙媒体が中心でのんびりしたものでした。今はSNSの発達で医師向けの情報が洪水のように溢れ、若手医師もその影響を大きく受けています。医師としての労働環境は他職種と大きく異なり、大学医局に所属すれば研究とアルバイト生活の両立で経済的にも厳しい。そんな現実に直面して、キャリアに迷うのは当然のことかもしれません。大学医局という「居場所」の再評価筆者自身、大学院を卒業して循環器専門医として急性期病院に戻った後、せっかく大学院で学んだ経験をもとに新薬開発に関与したいと考え、いったん臨床を離れて大手製薬企業で約10年間、臨床開発の仕事に携わりました。その間も専門医資格の更新を続け、大学医局との交流が途絶えなかったのは、当時の医局長が筆者の考えを理解して、「退局」ではなく「医局人事から離れる」形にしてくれたおかげです。結果として、再び臨床に戻るときにも医局長や教授に連絡をとり、再就職もスムーズでした。もちろん大学医局については「閉鎖的」とか「古い」システムであり問題もまったくないわけではないのですが、相談できる上司や同僚の存在は大きな支えになります。今は女性医師も増え、以前よりも風通しが良くなり、相談できる環境も整いつつあります。キャリア形成に必要な「相談先」-失敗事例から学ぶ診療科によっては医局員の一斉退局などをきっかけに医局崩壊が話題になることもありますが、医師が自由診療に転じても、そこでの関係はライバル同士です。保険診療のように互いに支え合う関係は築きにくいのが現実です。今からちょうど20年前に筆者も将来に迷いを抱き、大学医局人事から離れて製薬企業に勤務し合計10年にわたりましたが、他業界での経験を経て、再び病院で勤務医として働く今、日々患者さんと向き合えることに喜びを感じています。振り返れば、当時の筆者のわがままを受け止め、相談に乗ってくれた上司や大学医局の先輩方に心から感謝しています。今迷いの中にいる医師の皆さまに問いますが、臨床研修を終えて社会に飛び出す前に、上司や先輩、研修同期に相談してみましたか? SNSで見かけた「高待遇」など美味しい話に飛びついていませんか?よく言われているように「うまい話には裏がある」のです。ここに事例を紹介します。ある若手医師が後期臨床研修の途中で、病院も大学医局も辞めて、在宅医療を行うために退職したいと申し出ました。次の転勤先の人事も決まりかける時期の出来事で、上司や医局長も含め大騒ぎになりました。それでも決心が固かったのか大学医局を退局、後期研修の病院も退職しました。その医師は5年目にして次の月からある自由診療のクリニックで院長になっていました。大手チェーンのクリニックなので順調にいくのかと思っていましたが、集客がうまくいかなかったのか、院長就任後わずか1年でそのクリニックは閉院となってしまいました。東京や大阪にも分院があるクリニックでしたが、その医師は結局、保険診療に戻りました。専門医ではないので、今も肩書きを何も持たない状態で当初と別の診療科で勤務医をされています。今後、地方の高齢者人口の増加とさらなる少子化により急性期病院を中心に病院同士の再編も進み、確実に医療を取り巻く環境は変化します。医師として長く続けるためのキャリアについては、外部のキャリアカウンセラーという名の転職サービスに相談する前に、まず先輩医師や指導医、大学医局に相談することをおすすめします。

5.

第255回 「専門医シーリング」、医師の偏在解消に効いてる?-偏在是正と医師のキャリアを読み解く

お盆休みに入り、のんびり過ごされている会員の先生も多いかと思いますが、今回は医師の偏在を左右するお話についてお届けします。さて、「専門医シーリング」って聞くと当事者の専攻医や研修医以外には関係がない印象がありますが、実は医師の働き方や進路に直結する重要な制度です。最近の審議会資料をもとに、医師偏在やキャリア形成の今後を一緒にのぞいてみましょう。同じ診療科にどれだけ残る? 男女差が見える「生残率」最初は、7月24日に開かれた医道審議会医師分科会医師専門研修部会で示された「診療科別生残率」や「病院・診療所勤務医師の平均勤務時間」です。これらは厚生労働科学特別研究「専門研修の募集定員設定のための都道府県別・診療科別の医療ニーズの算出に係る研究」の結果から引用されており、各診療科の医師の労働時間、専門医としてどれくらい同じ診療科を続けられるかという興味深いものでした。ここで述べられている診療科別生残率とは、医籍登録から3年後をスタートにして、「この診療科に何年残っているか」を年ごとに追ったもので、医師のキャリア選択と定着の実態を示唆する重要な指標となります。男女別に比較すると、生残率には顕著な差が見られており、とくに女性医師の離脱率の高さが一部の診療科では顕著であることが読み取れます(図1、2)。図1 診療科別生残率(男性)画像を拡大する図2 診療科別生残率(女性)画像を拡大するまず、外科系診療科(外科、整形外科、脳神経外科など)では、男性の生残率が比較的高いのに対し、女性はキャリア早期から離脱する傾向があり、登録後5〜10年で大きく低下する傾向があります。これには、当該診療科の医師の長時間労働や当直の頻度、技術習得のハードルの高さなどが背景にあると考えられます。加えて、外科系は男性医師が多いことから、女性にとって目標となるようなロールモデルが乏しく、育児や家庭を抱えながらキャリアを継続する意欲が阻害される環境要因も影響していると考えられます。その一方で、皮膚科や眼科、小児科などでは男女の生残率に大きな差が少なく、むしろ女性の方が高くなる診療科もあります。これらの診療科は、比較的勤務時間が安定しており、子育てや家庭生活との両立が可能とされるため、女性医師にとって継続しやすい職場環境が整っている可能性があります。近年では女性医師の数自体が増加しており、女性向きの診療科を選択をする傾向をさらに強めていると考えられます。興味深いのは、内科も例外ではなく、男女差が見られる点です。女性は一定期間までは生残率が高いものの、10年以降に大きく減少します。これは、内科領域でも勤務時間や責任の重さが影響していることに加え、専門医取得後に勤務形態の見直しや転科、開業を選択するケースがあるためと考えられます。このような傾向を踏まえると、専門医シーリング制度を運用する際には、単に医師数の需給だけでなく、性別による定着率の違いを考慮することが不可欠であると思われます。とくに女性医師のキャリア継続支援(時短勤務や復職支援、当直負担軽減など)は、診療科ごとの医師数の安定供給を図る上で欠かせない政策的課題といえるでしょう。医学部定員と専門医シーリングの今後次は8月6日に開催された「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」の『医師の確保・偏在対策における医学部臨時定員の方針等について』です。35歳未満医師数の割合と医師偏在指標(図3)を見ると、都道府県別の医療施設従事医師数に占める35歳未満医師数の割合では、栃木、千葉、東京、岡山、和歌山が高く、医師多数県であっても熊本、徳島は15%未満と低くなっています。図3 35歳未満医師数の割合と医師偏在指標画像を拡大するこのような医師偏在の対策の一環として導入された医学部の臨時定員制度は、今後も地域偏在の是正と専門医制度の地域定着強化のため、運用の見直しと恒久定員内での地域枠強化が図られる見通しです。とくに女性医師の働き方と都市部への若手集中という2つの課題は、制度設計において避けて通れない論点となっています。女性医師への配慮として、将来の出産・育児などによる勤務形態の変化や離職を前提としたキャリア設計が重要です。検討会では、恒久定員内への地域枠導入の加速が示されていますが、女性医師の地域定着率を高めるためには、地元出身女性を対象とした地域枠や、地域に戻りやすい仕組み作りがカギとなりそうです。たとえば柔軟な研修や、地元での復職を後押しする制度などがあると、安心して戻れるはずです。一方、若手医師の都市集中は依然として解消が難しい問題であり、現行の専門医シーリング制度では東京や大阪などの「医師多数県」において募集定員を制限する方針が維持される見通しです。今後のシーリング枠の改定で、足下の医師数に加えて「35歳未満医師割合」や「75歳以上医師割合」といった年齢構成指標を取り入れる方針が示されており、若手の集中度が高い都道府県では、より厳格な定数制限が導入される可能性があります。また、資料からは、医師多数県から医師少数県への「恒久定員の移し替え」や「地元大学を持たない県への大学間地域枠の設置」が打ち出されており、都市部に集まりやすい若手医師の進路誘導が進められる見込みです。さらに、都道府県知事が大学に地域枠設置を要請できる法制度がすでに整備されており、今後はより強制力を伴う運用が想定されます。総じて、今後のシーリング制度と医学部定員政策は、(1)女性医師のキャリア継続支援と、(2)若手医師の地域定着強化を両輪として再構築されていくことになります。今後、女性医師の働き方の多様化や、若手医師の都市集中といった課題に向き合う制度設計が求められます。とくに、専門医制度や人事交流を通じて、「地域で育て、地域で活躍できる」そんなキャリアの選択肢がもっと広がれば、働き方も未来も変わってくるかもしれません。 参考 1) 2025年度プログラム募集シーリング数(日本専門医機構) 2) 令和9(2027)年度のシーリングについて[医道審議会医師分科会医師専門研修部会](厚労省) 3) 厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)令和6年度 総括研究報告書 専門研修の募集定員設定のための都道府県別・診療科別の医療ニーズの算出に係る研究(同) 4) 医師の確保・偏在対策における医学部臨時定員の方針等について(同)

6.

群馬大学医学部 腫瘍内科【大学医局紹介~がん診療編】

高張 大亮 氏(教授)櫻井 麗子 氏(助教)山田 真紀子 氏(助教)大崎 洋平 氏(助教)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴群馬大学腫瘍内科では、外来化学療法センター、緩和ケアセンター、がんゲノム外来を一体的に運用し、がんとともに生きる患者さんを包括的に支える体制を整えています。治療に伴う身体的・精神的な負担にも丁寧に対応し、患者さん一人ひとりに最適ながん医療を提供しています。また、日常診療に加えて、企業治験や臨床試験、ゲノム医療にも積極的に取り組み、最先端のがん治療を実践できる環境を備えていることが、私たちの大きな強みです。地域のがん診療における医局の役割当科は群馬県内のがん薬物療法の中核として、院内の各診療科や地域の医療機関と緊密に連携し、がん医療の質の向上に取り組んでいます。さらに、がんゲノム医療連携病院として、がん研有明病院をはじめとする中核拠点病院と協力しながら、北関東全体の高度ながん医療を支える役割も担っています。地域におけるアクセス格差や情報格差の解消にも力を注ぎ、患者さんが適切な医療につながるための支援体制を整えています。医師の育成方針診療・研究・教育のすべてにバランスよく関わることができる環境の中で、腫瘍内科医としての専門性だけでなく、人間性をも高めていける医師の育成を目指しています。技術や知識に加え、患者さんに寄り添う姿勢を大切にすることを重視しています。内科専門医やがん薬物療法専門医の取得はもちろん、大学院進学、基礎研究、がん専門病院への国内外の留学、企業での薬剤開発、医系技官としての医療行政への参画など、多彩なキャリアパスを提案できる点も当科の魅力です。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力臨床試験・治験を行うことにより今後の標準治療を確立するための一助を担うこと、日常診療では他科と連携して最新の治療を行っていくこと、がんゲノム医療連携病院として県内の患者さんへのゲノム治療へ貢献すること、緩和ケアにて疼痛コントロールや気持ちのサポートをすることといった、個々の患者さんにとって最善最適ながん診療を提供していけることが当医局のやりがい・魅力であり、かつ私たちの最大の使命と考えております。医局の雰囲気、魅力それぞれの得意とする専門性から活発な意見交換がされ、また他の診療科や多職種との関わり合いからも、臓器横断的に集学的に、がん診療について多くのことが学べる環境です。医学生/初期研修医へのメッセージ腫瘍内科学の分野は、免疫チェックポイント阻害薬・遺伝子異常に基づいたがん分子標的治療・がんゲノム医療の開発とその臨床導入など大きく進歩してきており、今後もさらに発展していく分野です。その担い手になる皆さんをお待ちしています。まずは見学から! お待ちしています。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力腫瘍内科に設置されている緩和ケアセンターで、緩和ケアの担当医をしております。院内のさまざまな診療科から痛みや嘔気などの体のつらさや気持ちのつらさに対してコンサルテーションをいただきます。「まさか自分ががんになるなんて」とがん診断時の心理的つらさを抱えた状態から、がん治療がスムーズに進んでいくための心と体を整えるサポートを緩和ケア認定看護師さんたちと提供しています。現在、がん治療にはさまざまな選択肢があり、またがん薬物療法にも本当にたくさんの治療薬があり、患者さんに適した治療を提供するには高い専門性が必要となります。そのための腫瘍内科において、治療の副作用を和らげる対応や治療を頑張っていこうとする患者さんのお気持ちを支えるサポートに非常にやりがいを感じています。がん治療を総合的に提供できる当医局は非常に魅力的なところです。医学生/初期研修医へのメッセージ私は現在子供3人を育てつつ、仕事と育児の両立、研究活動やキャリアアップを目指しながら日々取り組んでいます。やりがいを感じ、自己実現していくための選択肢の1つとして当医局にまずは見学に来ませんか? お待ちしております。医学生/初期研修医へのメッセージ私は血液内科を専門として医師の道をスタートして、がん薬物療法専門医を取得、現在に至ります。昨今のがん薬物療法の進歩は目覚ましく、より複雑化・高度化しています。がんゲノム医療も現場に導入され、特定のがん種だけではないがん薬物療法の専門家への需要は今後益々高まっていくと考えます。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力当院では、各診療科とのキャンサーボードに腫瘍内科医師が参加し、複雑な合併症を持つ症例や、新薬の登場時などは腫瘍内科が薬物療法を担当するといった協力体制が整っています。そのため、多様ながん種の多様なレジメンを経験することができます。薬物療法をメインに行っていますが、受け持った患者さんが手術をすることもあれば、放射線療法が適応となる場合もあります、患者さんを通じて、臓器横断的・集学的ながん診療を学ぶことができるのは、当科の特徴です。医局の雰囲気、魅力2024年に設立された新しい診療科です。僕自身も子育てをしながらの毎日を過ごしていますが、子育てに限らず、ライフイベントをサポートしながらのキャリア形成にはとても理解の深い医局だと思っています。ぜひ、一度見学にお越しください!群馬大学大学院医学系研究科 腫瘍内科住所〒371-8511 群馬県前橋市昭和町三丁目39番15号問い合わせ先医会長 大崎洋平(yosaki@gunma-u.ac.jp)医局ホームページ群馬大学大学院医学系研究科 腫瘍内科専門医取得実績のある学会日本内科学会(総合内科専門医)日本臨床腫瘍学会(がん薬物療法専門医)日本がん治療認定医機構(がん治療認定医)臨床遺伝専門医制度委員会(臨床遺伝専門医)研修プログラムの特徴(1)地域に根差した一貫した医療の実践県内の医学科を有する大学は群馬大学のみであり、大学での教育・診療が、地域の医療にダイレクトに結びついているのは群馬県の特徴の1つです。県下から集まる一人ひとりの患者さんの診断から治療、治験や臨床試験に至るまでを一貫して経験することができます。(2)学位取得、研究のサポート本学にはさまざまな学位取得に向けたプランがあり、在学中、初期研修、後期研修と並行した学位取得が目指せます。研究資金の獲得、臨床試験の立案から運営、研究発表まで、当科スタッフがサポートします。現在は、在学中の学生とアピアランスケアに関連した臨床研究、がん患者さんのQOLを上げる商品開発を企業と共同で行っています。(3)多様なキャリア形成、ライフイベントのサポート当科で腫瘍内科医としてのキャリアをスタートした後、現場で働く医師としてのキャリアアップだけでなく、国内国外企業における創薬への挑戦、医系技官として医療行政へと携わる道などさまざまな進路を選択、提示が可能です。またライフイベントに合わせた働き方の調整にも柔軟に対応いたします。

7.

第253回 消化器外科医は 4割減見通し、地域別がん医療再編が急務/厚労省

<先週の動き> 1.消化器外科医は4割減見通し、地域別がん医療再編が急務/厚労省 2.AI+医師1人読影が標準に? 自治体がん検診の体制再設計へ/政府 3.日本人の女性の平均寿命87.13歳で40年連続世界一、男性は6位/厚労省 4.専攻医は過去最多だが、地域偏在は解消せず、シーリング制度見直しへ/厚労省 5.来年度改定に向け、診療報酬“物価連動”の仕組み求める声強まる/全自病ほか 6.マイナ保険証、医療DX推進体制整備加算10月から新基準に/中医協 1.消化器外科医は4割減見通し、地域別がん医療再編が急務/厚労省厚生労働省は、がん診療提供体制のあり方に関する検討会で、2040年に向けたがん医療提供体制の提言を取りまとめ、都道府県に対し「手術・放射線・薬物療法ごと」、「技術の難易度ごと」、「地域特性ごと」に集約化と均てん化の検討を求める方針を示した。2040年には、がん患者数が3%増加して105.5万人に達する一方で、消化器外科医は39%減少すると推計され、手術療法の継続が困難になる恐れがある。とくに手術療法は、患者数が5%減少する中で医師数も大幅に減少し、症例の集約による技術維持が必要とされている。その一方で、放射線療法は需要が24%増と見込まれるが、高額な装置の効率的配置が課題となり、需要が少ない地域では装置維持が難しくなる可能性がある。薬物療法は15%増が見込まれ、拠点病院以外でも提供できるよう均てん化が望まれる。さらに、希少がんや小児がん、粒子線治療、高度薬物療法などは都道府県単位での集約化が求められ、がん検診や内分泌療法、緩和ケアは地域医療機関での提供を推進すべきとされた。また、がんゲノム医療の体制整備も進行中で、エキスパートパネル運用の柔軟化やデータベース(C-CAT)の改善が報告された。都道府県と協議会は、地域の実情を踏まえた具体的な体制構築と、住民への丁寧な説明を行い、医療資源の最適化と質の高いがん医療の維持を図る必要がある。厚労省は、今後、各都道府県に正式通知を行い、地域の検討を促進する予定。 参考 1) 第19回がん診療提供体制のあり方に関する検討会[資料](厚労省) 2) がん診療提供体制のあり方に関する検討会 とりまとめ案(同) 3) がん医療体制、集約化を提言 手術や放射線療法、外科医不足で-検討会まとめ・厚労省(時事通信) 4) 学会の消化器外科医40年に4割減、「集約化を」がん手術で 厚労省検討会が取りまとめ(CB news) 5) がん医療の集約化、「地域ごと」「手術・放射線・薬物の療法ごと」「技術の難易度ごと」に各都道府県で検討せよ-がん診療提供体制検討会(Gem Med) 2.AI+医師1人読影が標準に?自治体がん検診の体制再設計へ/政府政府は、医師不足や読影精度のばらつきへの対応策として、自治体が実施するがん検診におけるAI活用を正式に検討し、2025年度内にも指針を改定する方針を明らかにした。現行の指針では肺がんや乳がん、胃がん検診に原則2人以上の医師による読影が求められているが、今後はAIと医師1人による組み合わせで対応可能とする案が有力視されている。これにより、とくにX線診断医不足の深刻な地方での対応力向上と検診精度の両立が期待される。さらに政府は、がん検診データ、健診情報、医療レセプトなどを統合した包括的データプラットフォームを構築し、AIを用いたリスク層別化や個別介入を推進する。江戸川区や神戸市など先進自治体では、AIによるがんリスク予測と個別化勧奨によって未受診層の受診率や早期発見数を大幅に改善した実績が報告されている。また、2025年6月には、胃内視鏡AI支援の有効性を評価する大規模疫学研究も開始され、北海道・東北の6医療機関で実施。AIを用いた1次読影による負担軽減と発見率向上の可能性が検証されている。加えて厚生労働省は、企業などで実施される職域がん検診の情報を市町村が把握可能とする仕組み整備も進めており、検診データの統合的管理体制を強化する構え。今後は、エビデンスに基づく新規検診項目の全国展開も、モデル事業を経て段階的に行われる見通しである。国はこうした技術・制度両面の改革により、がん検診の質と効率を飛躍的に高め、住民主体のがん対策を再構築しようとしている。 参考 1) 自治体がん検診にAI 政府、指針改定へ(日経新聞) 2) がん検診(行政情報ポータル) 3) 胃カメラがん検診、AI活用で医師の負担軽減なるか 疫学研究開始へ(朝日新聞) 3.日本人の女性の平均寿命87.13歳で40年連続世界一、男性は6位/厚労省厚生労働省が2025年7月に公表した2024年の簡易生命表によると、日本人の平均寿命は女性が87.13歳、男性が81.09歳となり、前年からほぼ横ばいだった。女性は0.01歳減、男性は変化なしで、女性は40年連続で世界1位を維持。男性は前年の5位から6位に後退した。国別では、男性の平均寿命トップはスウェーデン(82.29歳)、次いでスイス、ノルウェー。女性は日本に次いで韓国(86.4歳)、スペイン(86.34歳)が続いた。死因別にみると、2023~24年にかけて心疾患や新型コロナ感染症による死亡は減少した一方、老衰や肺炎による死亡が増加。これにより、平均寿命は全体として伸び悩んだと考えられる。新型コロナによる死亡者数は男女とも2年連続で減少し、2024年の死亡者数は約3万5,865人と推定された(前年比約2,200人減)。また、2024年に生まれた人が将来、がん・心疾患・脳血管疾患で死亡する確率は女性40.29%、男性45.41%でいずれも前年より低下。老衰による死亡は女性で20.75%、男性で8.39%、肺炎による死亡はそれぞれ4.35%、5.89%だった。コロナ禍による影響で2021~22年は平均寿命が縮小傾向となったが、2023年に回復傾向をみせ、2024年は横ばいで推移。厚労省は、長期的には医療水準や健康意識の向上により、平均寿命の延伸は続くとの見方を示している。 参考 1) 令和6年簡易生命表の概況(厚労省) 2) 日本人平均寿命、24年は横ばい 女性は世界1位を維持(日経新聞) 3) 日本人の平均寿命 女性は87.13歳で40年連続1位 男性81.09歳(NHK) 4) 日本人の平均寿命、前年とほぼ同じ 女性は世界首位の87.13歳(朝日新聞) 4.専攻医は過去最多だが、地域偏在は解消せず、シーリング制度見直しへ/厚労省厚生労働省は、7月24日に第2回医道審議会医師分科会 医師専門研修部会を開き、2025年度の専攻医採用と2026年度の専攻医募集について議論した。この中で、2025年度の専攻医採用数は過去最多の9,762人に達したが、日本専門医機構は、地域・診療科偏在の是正という観点では「シーリング制度と特別地域連携プログラムの効果は限定的」と総括した。大都市圏の抑制は一定成果を見せた一方で、増加分は周辺県に集中し、真の医師少数地域への効果は薄かった。特別地域連携プログラムも採用は41人と低迷している。これを受け、2026年度からの専攻医採用枠(シーリング)は見直される。新たな算定式では、各診療科の全国採用実績と都道府県人口を基に基本枠を算出、小児科は15歳未満人口で補正する。さらに、医師少数地域への指導医派遣実績に応じて、基本枠の最大15%まで加算可能となる。この加算は人年ベースで計算され、派遣の量と質が問われる。ただし、実績に基づく加算と制度上限との乖離が大きく、都道府県別に1~3枠の追加調整が議論されている。一方、日本専門医機構は、医師のキャリアには「若年期に専門性を追求し、高齢期には総合的な診療に従事する」という2面性があるとし、この移行に対応するリカレント教育の必要性を提唱。総合診療や一般内科、救急領域などで“Generalist”として機能する医師と、臓器別・疾患別に特化した“Specialist”との役割と必要数を区分し、中長期的な人材構造の再設計を進めている。今後は「集約化すべき領域」と「均てん化すべき領域」の見極め、ならびにライフステージに応じた教育設計が焦点となる。9月には必要医師数ワーキンググループの中間報告も予定されており、専門医制度の将来像が問われる転換点を迎えている。同機構では、若手時代に専門性を深め、後年には総合的診療へ移行する医師のライフサイクルを見据え、リカレント教育やリスキリングを含む教育体制の整備も進行中である。機構は“Generalist(総合診療医など)”と“Specialist(臓器別専門医)”の必要数を区別して算出する研究も開始し、9月のシンポジウムで中間報告する予定。 参考 1) 令和7年度第2回医道審議会医師分科会 医師専門研修部会(厚労省) 2) 令和7年度の専攻医採用と令和8年度の専攻医募集について(日本専門医機構) 3) 2025年専攻医は過去最多も、シーリングの効果は「不十分」(日経メディカル) 4) 医師の「若手時代は専門性を追求し、高齢になると総合的な診療を行う」との特性踏まえたリカレント教育など研究-日本専門医機構・渡辺理事長(Gem Med) 5.来年度改定に向け、診療報酬“物価連動”の仕組み求める声強まる/全自病ほか2026年度診療報酬改定に向け、医療現場から「病院をなおし、支える」視点での抜本的見直しを求める声が相次いでいる。7月23日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)では、日本医師会の江澤 和彦委員が、急激な物価・人件費上昇と過小な診療報酬設定により病院経営が破綻寸前にある現状を訴え、「今の制度では入院患者を抱えたまま倒れる病院も出かねない」と警鐘を鳴らした。とくに包括期(地域包括ケア病棟等)を担う入院医療については、必要なコストを踏まえた入院料の適正化を早急に進める必要があるとの意見が強調された。人員確保が困難な中、医療の質を維持するには、成果(アウトカム)評価の導入や人員基準の柔軟化も不可欠とされている。この背景には、全国自治体病院協議会(全自病)の緊急調査による「85%が経常赤字」「95%が医業赤字」という異常事態がある。補助金が減った2024年度決算では、コロナ前を大きく上回る赤字比率となり、診療報酬の6~10%引き上げが必要とする見解も示された。また、全国知事会も医療機関の経営安定化を重視し、「物価・賃上げを適時に反映できる診療報酬制度の確立」や期中改定を含む財政支援の恒常化を政府に要望。公立病院支援を強化すべきとの意見も相次いだ。一方で、「骨太方針2025」では「病床削減」や「OTC類似薬の保険給付見直し」といった効率化策も盛り込まれており、現場では「拙速な施行は混乱を招く」として丁寧な議論と制度設計を求める声が強まっている。医療の持続性確保のため、制度の根幹からの見直しが焦点となっている。 参考 1) 医療経営「なおし支える報酬改定を」診療側(CB news) 2) 24年度赤字の自治体病院が85% 暫定値 全自病会長「記憶にないくらい高い数字」(同) 3) 2024年度の自治体病院決算は85%が経常赤字、95%が医業赤字の異常事態、診療報酬の大幅引き上げが必要-全自病・望月会長(Gem Med) 4) 2040年を見据えた医療・介護提供体制の構築に向けた提言(全国知事会) 5) 地域医療の医師の確保目指す「知事の会」が提言取りまとめ 『医師不足に関する』ものと『医療機関の経営安定に向けた』ものの2つ(青森テレビ) 6.マイナ保険証、医療DX推進体制整備加算10月から新基準に/中医協厚生労働省は、7月23日に開いた中央社会保険医療協議会(中医協)で、2024年度に新設された「医療DX推進体制整備加算」について、マイナ保険証利用率の実績要件を段階的に引き上げる見直しを提示し、了承された。2025年10月~2026年2月までは、利用率要件を加算区分に応じて現行より15~20ポイント引き上げ、さらに2026年3~5月までは最大70%まで引き上げる。加算1・4は45→60→70%、加算2・5は30→40→50%、加算3・6は15→25→30%と段階的に強化される。一方で、小児患者の多い医療機関については、小児科特例として要件を3ポイント緩和する措置を継続。6歳未満の外来患者が全体の3割以上を占める医療機関では、たとえば加算3・6の要件が22→27%とされる。子供のマイナ保険証利用率が成人より依然として低いための配慮とされる。また、医療DXの柱である「電子カルテ情報共有サービス」への参加要件については、関連法案の未成立と現場の整備状況を踏まえ、2026年5月末まで経過措置の延長が決定された。これにより、参加体制が未整備でも一時的に加算算定が可能とみなされる。委員からは、診療報酬でDXを推進する方針自体は評価されつつも、「利用率は医療機関の努力だけでは改善できない」、「国による周知や環境整備が不可欠」との指摘が相次いだ。とくに、2025年下期には保険証の有効期限切れによる混乱や、スマートフォンによるマイナ保険証の利用開始も控えており、国民・医療現場双方の負担軽減に向けた準備が急務となっている。今後、2026年度の診療報酬改定に向けては、マイナ保険証・電子処方箋・電子カルテ連携の進捗を踏まえた評価方法の再検討が重要課題となる見通しである。 参考 1) 医療DX 推進体制整備加算等の要件の見直しについて(厚労省) 2) DX加算実績要件見直し-マイナ保険証利用率上げ(薬事日報) 3) 医療DX推進体制整備加算、マイナ保険証利用率基準を2段階で引き上げ、電子カルテ情報共有サービス要件の経過措置延長-中医協総会(Gem Med)

8.

第252回 「直美」現象はいつまで続くか? 美容医療の現状と医師キャリアの未来

CareNet.comでの連載250回超えを記念し、今回はいつもの最新ニュースではなく、「直美」という現象を通して医師のキャリア、そして、わが国の医療が直面する未来について深く考察します。「直美」とは何か、その背景にある医師のキャリア選択昨今、医療界で頻繁に話題に上る「直美」(ちょくび)とは、初期臨床研修を終えたばかりの若手医師が、専門医資格を取得せずに、直接「美容医療」へ進むことを指します。この動きに対しては、批判的な論調が多いのも事実です。「直美」現象は、若手医師のキャリア選択やわが国の医療制度の構造的な課題を映し出す鏡のようなものであり、一概に否定することはできません。この現象の背景には、わが国の勤務医の劣悪な労働環境がまず挙げられます。医師の働き方改革が進んだとはいえ、まだまだ大学病院をはじめ高度な急性期病院では学会や論文作成を含めた残業時間が多いことがあります。さらに医療費抑制策のもと、人件費増加や物価高騰が医療機関の経営を圧迫し、赤字に陥る医療機関が増加しており、暗雲が立ち込めています。このような状況下で、自由診療である美容医療に新たな可能性を見出し、挑戦する医師が増えるのは自然な流れとも言えます。朝日新聞の連載「きれいになりたくて 美容医療はいま」で取り上げられた、「20代の『直美』医師の『長時間労働は嫌』」という本音は、働き方改革が遅れる保険診療の現場、とくに大学病院などを含む若手医師の劣悪な労働環境の裏返しであると理解できます。燃え尽きて現場を離れていく若手医師がいる現状は、決して見過ごすことはできません。「楽に稼げる」の誤解と美容医療の現実「楽に稼げる」という情報を鵜呑みにして美容医療への進路を選択することは、大きなリスクを伴います。日経メディカルの記事「今は楽して稼げる「直美」、将来的には“埋没マシーン”止まりか」が指摘するように、美容医療分野の将来性は決して安泰ではありません。美容医療の専門医からも警鐘が鳴らされており、集患には高いスキルと今日のマーケティングにおいて必須とも言えるSNS戦略が不可欠です。実際のところ、「直美」と呼ばれる未経験の医師に対して年収2,000万円以上を提示する求人があるなど、通常の専門診療と比較し、参入障壁が一見すると低いように見えます。しかし、手術の手技習得には当然トレーニング期間が必要であるにもかかわらず、就職して短期間で「院長」を名乗るケースや、専門医制度があるとはいえ個々の医療機関での教育研修体制が十分に整っているとは言えない現状があります。筆者の知人の医師が、大手美容クリニックチェーンの院長になったものの、数年で保険診療に戻ってきた事例があり、その背景には、美容クリニックでは医師ごとの指名件数や売り上げ金額の競争にさらされており、シニア世代になると指名が得られにくく年俸が低下するという現実を如実に物語っています。美容医療へ進もうという医師に、そうした現実的なリスクが十分に情報提供されているとは言えません。将来性の厳しさは、先述の日経メディカルの記事で当の美容医療の専門医も警鐘を鳴らしており、こういったリスクを把握した上での進路決定が望ましいと考えます。先述の朝日新聞の連載「きれいになりたくて 美容医療はいま」の第3回目で「直美」の道に進み年収数千万円 20代医師の本音「長時間労働は嫌」という記事が掲載されていましたが、劣悪な労働環境や選択肢の乏しさに起因しており、単なる自己責任では片付けられず、彼らの主張も理解できます。美容医療を取り巻く外部環境の変化と規制強化の動き近年、美容医療を取り巻く外部環境は大きく変化しています。消費者庁への美容医療に関するトラブル報告件数が増加していることを受け、厚生労働省も強い懸念を示しています。昨年開催された「美容医療の適切な実施に関する検討会」では、その報告書が11月に公表され、美容医療を提供する医療機関における安全管理、合併症への対応、アフターケアの重要性が強調されました。打ち出された対応策には、従来から進められてきた「医療広告規制」の取り締まり強化に加え、美容医療を行う医療機関などの報告・公表の仕組みの導入、カルテ記載の徹底などが盛り込まれています。とくに、「医師養成には国費が投資されており、国民の医療を守ることが前提となっていることを踏まえれば、一定期間、保険診療に従事させることなど、何らかの規制、対策は必要」といった議論が議事録に残されていることは、厚労省がこの現状を放置しないという強い意思の表れと見て取れます。これまで文字通り「自由診療」として厚労省の指導や監視を受けにくい状況にあった美容医療ですが、合併症への対応不足、保健所の指導根拠となる診療録の記載不備、悪質な医療広告などが問題視されてきました。これに対応するため、広告ガイドラインの整備が進むほか、美容医療を行う医療機関などの報告・公表の仕組みが導入されることになります。さらに、保健所などによる立ち入り検査や指導のプロセス・法的根拠の明確化、標準的な治療内容、記録の記載方法、有害事象発生時の対応方針、適切な研修のあり方、契約締結時のルールなどを盛り込んだガイドラインの策定など、これまで規制の対象でなかった領域についても監督を強化する方針が打ち出されており、関連学会などもこれに従っていくものと予想されます。当局による規制強化は、患者の死亡事故などをきっかけにしていますが、消費者保護の観点からも必然的に求められるものであり、美容医療に限ったことではありません。激化する業界内競争と大学病院の参入美容医療業界内での競争も激化の一途を辿っています(「美容医療」市場は3年間で1.5倍に拡大 “経営力”と“施術力”で差別化が鮮明に[東京商工リサーチ])。新規参入する民間医療機関が増え、昨年名古屋で開催された日本美容皮膚科学会には3,800人もの参加者が集まり、従来の美容医療従事者だけでなく、保険診療機関からの参加も多く見られました。現状、赤字対策として美容医療に新規参入する民間病院が増えている一方で、慶應義塾大学、藤田医科大学、神戸大学など、実際に美容医療を提供し始める大学病院も増えています。大学病院のように専門医が揃い、医療安全体制が整った医療機関で提供される医療と、それ以外の医療機関で提供される医療技術の間には、自ずと格差が生じるでしょう。高度な医療技術や医療安全を求める患者は大学病院を選ぶようになると考えられます。一方で、新規参入組はレーザー治療など新しい装置の導入を進めるなど、競争はさらに激化することが見込まれます。美容クリニックをめぐる環境変化によって利益率も低下しているほか、最近では美容クリニックが倒産するケースも出てきており、厳しい環境に晒されています。また、新規に就職する医師に対して、実際にボトックスや点滴程度の医療しか教えない大手美容医療グループがあるのも事実です。これらの現状を踏まえると、医師にとって美容医療が将来有望な「ブルーオーシャン」というのは幻想に過ぎず、実際にはすでに過当競争の「レッドオーシャン」化していると認識すべきです。研修医を指導する先輩医師は、若手医師が美容医療へ進路を決めたとしても、臨床研修での体験はとても大切であり、手を抜かないように指導すべきです。美容医療であっても医師は「ヒポクラテスの誓い」にある「患者の利益を最優先に考える」「倫理を守り、医術を行う」といった基本姿勢が求められます。もしも美容医療に進んで挫折されても、再び保険診療に戻ってくる医師も少なからず見受けられるのを踏まえると、臨床研修の経験は捨て去るようなものではないと考えます。実際に筆者の周囲では、大手美容医療グループに転職されたものの、今は整形外科医や産婦人科医として専門医を持っていた診療科で保険診療されている方が複数います。そういった意味では、若手医師が相談に来た場合は、キャリアパスの選択肢として美容医療を含めた支援を行う必要があり、決して急がず皮膚科や麻酔科など専門医資格の取得をしてからの転職を勧めるのが良いと考えます。今後の課題と対応策美容医療を巡る主な課題と、それに対する対応策は以下の通りです。【主な課題】美容医療を提供する医療機関における院内の安全管理の実施状況・体制などを保健所などが把握できていない。患者側も医療機関の状況・体制を知る手段がなく、医療機関における相談窓口を知らない。関係法令&ルール(オンライン診療に係るものを含む)が浸透していない。合併症などへの対応が困難な医師が施術を担当している。安全な医療提供体制や適切な診療プロセスが全般的・統一的に示されていない。アフターケア・緊急対応が行われない医療機関がある。保健所などの指導根拠となる診療録などの記載が不十分な場合がある。悪質な医療広告が放置されている。【打ち出された対応策】美容医療を行う医療機関などの報告・公表の仕組みの導入:安全管理措置の実施状況、専門医資格の有無、相談窓口の設置状況などについて都道府県などに対する報告を求め、国民に必要な情報を公表。関係法令&ルールに関する通知の発出:保健所などによる立ち入り検査や指導のプロセス・法的根拠の明確化。医療機関による診療録などへの記載の徹底。オンライン診療指針が遵守されるための法的整理。関係学会によるガイドライン策定:遵守すべきルール、標準的な治療内容、記録の記載方法、有害事象発生時の対応方針、適切な研修のあり方、契約締結時のルールなどを盛り込んだガイドラインを策定。医療広告規制の取り締まりの強化。行政などによる周知・広報を通した国民の理解の促進。これらの課題と対応策は、美容医療の健全な発展と患者の安全確保のために不可欠です。医師は、自らの専門性と倫理観に基づき、これらの変化に対応していくことが求められています。 参考 1) 今は楽して稼げる「直美」、将来的には“埋没マシーン”止まりか 集患には高いスキルとSNS戦略が必須、まずは形成外科専門医の取得を(日経メディカル) 2) 「直美」の道進み年収数千万円 20代医師の本音「長時間労働は嫌」(朝日新聞) 3) 美容医療の適切な実施に関する検討会 第3回(厚労省) 4) 第187回社会保障審議会医療保険部会 議事録(同) 5) 「美容医療」市場は3年間で1.5倍に拡大 “経営力”と“施術力”で差別化が鮮明に(東京商工リサーチ)

9.

25年度専攻医、増えた診療科・減った診療科/専門医機構

 日本専門医機構(理事長:渡辺 毅氏)は、3月24日に2025年度の専攻医採用数を発表した。「専攻医」とは、同機構が定める「専門医制度」の下、各診療科の「専門研修プログラム」を受けている医師の総称であり、臨床研修(初期研修)を修めた後、「専門医」を取得するまでの医師のことである。以前は「後期研修医」と呼ばれていたが、2018年から名称が改められた。 2025年度に採用された専攻医は9,762人で24年度に比べ308人増員した。とくに外科、耳鼻咽喉科などが大幅な伸びを示した一方で、精神科、産婦人科、放射線科などは減少した。 都道府県別では、東京都(1,812人)、大阪府(724人)、神奈川県(684人)、愛知県(621人)、兵庫県(526人)の順で多かった。その一方で、山形県(39人)、佐賀県(42人)、福井県(44人)、鳥取県(45人)、秋田県(49人)の順で少なかった。 各診療科の採用数は以下のとおり。※( )は2024年度の採用数。・内科:3,027人(2,850人)・小児科:537人(532人)・皮膚科:308人(297人)・精神科:540人(570人)・外科:863人(807人)・整形外科:755人(739人)・産婦人科:469人(482人)・眼科:347人(331人)・耳鼻咽喉科:278人(206人)・泌尿器科:332人(343人)・脳神経外科:237人(219人)・放射線科:326人(343人)・麻酔科:497人(486人)・病理:109人(90人)・臨床検査:25人(18人)・救急科:449人(472人)・形成外科:226人(226人)・リハビリテーション科:137人(153人)・総合診療:300人(290人) 合計:9,762人(9,454人)

10.

第242回 今話題の“直美“、美容外科学会や消費者が見限るのは時間の問題か

実は最近、複数のメディア関係の友人・知人から、同じことを聞かれた。それは「直美(ちょくび)ってやっぱり問題なんですか?」というもの。すでにご存じの方も多いと思うが、直美は医師の初期研修2年間を終了後、そのまま自由診療の美容医療に進む医師のことである。こうしたことを聞かれることが増えたのは、おそらく今年6月に厚生労働省が「美容医療の適切な実施に関する検討会」をスタートさせ、先ごろ報告書がまとまったからだろう。検討会が設置された背景には、自由診療で行われる美容医療の需要が近年増加するとともに不適切な行為によるトラブルの相談件数も増加しているからだと言われる。国内の美容医療に関わる医師数日本美容外科学会による全国美容医療実態調査1)によると、回答医療機関で行われた非外科的手技も含む美容医療の施術回数は2019年が123万回に対し、2022年は372万2,000回。回答医療機関数に違いはあるものの、単純比較では3年間で3倍強まで増加している。このうちの外科的手技は2019年が19万回、2022年が85万8,000回。こちらは4倍以上の増加だ。そもそも美容医療で外科的と非外科的な手技の違いは馴染みのない人にはわかりにくいかもしれないが、非外科的手技に含まれるものの代表格は、脱毛、ボツリヌス菌毒素注入(通称:ボトックス注射)、セルライト治療などである。この3つは非外科的と分類されてはいるが、実際のところ、非侵襲的手技とは言い難い。2022年調査の施術回数のうち、この3つの施術回数合計は152万2,000回。これに外科的手技の回数を併せれば、全国で行われている美容医療施術の実に半数以上が侵襲を伴う手技と言える。一方、美容医療に従事する医師数について、前述の検討会資料では診療科として「美容外科」「形成外科」「皮膚科」に従事する診療所の医師数の推移を医師・歯科医師・薬剤師統計に基づき示しているが、その中でも一番典型と言える美容外科の医師数は2008年を1とすると、2022年は3.2とこちらもかなり増加している。そして同統計による医師の年齢階級別割合は、診療所勤務医師全体は30代までの医師の割合が10%未満にもかかわらず、美容外科診療所に限定すると50%超、20代だけでも10%以上を占めているのだ。しかも、10年前の2012年の同データでは美容外科診療所勤務医師に占める30代までの割合は30%台。これらから直美が多いことがうかがえる。美容医療に関する相談件数もうなぎのぼり、その問題点そして国民生活センターと全国の消費生活センターなどをオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベース「全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)」に2024年3月31日までに登録された美容医療に関する相談件数は、2018年が1,741件、医療サービス全体の相談件数に占める割合が29.8%だったが、2022年にはそれぞれ5,507件、57.8%にまで急増している。美容医療に従事する医師からは批判もあると思うが、これらのデータを総合すれば、美容医療のニーズと施術増加の中で直美も増加し、その中で相談件数、いわばクレームも増加していると一般的には受け止められる。ただ、もちろんこれは非常に雑駁な捉え方で、相談件数増加の背景には、近年の消費者の権利意識の向上なども影響しているだろうし、相談のすべてが美容医療の提供側に問題があるとも言い切れないだろう。そのうえでも私見ながら直美の増加は大きな問題を内包していると、私は問い合わせを受けたメディア関係者には伝えている。その問題とは主に手技とコミュニケーション能力の2点である。経験値が物を言う手技とコミュ力まず、前述のように美容医療では、外科を除く他の診療科と比べ、成否が習熟度に依存する侵襲を伴う施術が多い。一般論で言えば、美容医療の中でも直美とそうでない医師では、施術の完成度の高さ、看過できないミスの頻度は異なるだろう。そして、頭でわかっていても納得しがたいことではあるが、医療も人が行う以上、常にミスが生じる可能性はある。しかも、美容医療は世間が思っている以上に施術のミスが不可逆的な結果、最悪は死を招くことがあるのは一部で報じられている通りだ。問題はミスが生じた時のリカバリー力である。これは才能で解決できるようなものではなく、習熟度、いわば場数が物を言う。このことはなにも美容医療に限ったことではないことは多くの人がご存じだろう。この点でとりわけ直美は問題を起こしがちになるだろう。ちなみに日本美容外科学会が規定する専門医制度では、専門医として認定する前提として▽申請時点で連続して3年以上の正会員▽形成外科専門医を有している▽申請時に4年間の形成外科専門医研修終了時から3年を経過している、とかなり厳格な定めがある。言ってしまえば、美容医療の本流医師は直美なぞ求めていないと言ってよい。もう1つのコミュニケーションだが、とくに美容医療では通常の医療よりもきめ細かなコミュニケーションが必要と考えられる。なぜならば、通常の医療と美容医療では最終目標が異なるからだ。通常の医療の最終目標は、「医学的な救命・治癒・寛解」である。多くの場合、これらには一定程度明確な指標がある。これに対して美容医療は「施術を受ける人の満足」が最終目標である。そして美容医療に限らずどのような医療にも限界はある。だが、おおむね消費者の医療に対する期待は高い。医師は常に消費者・患者の期待値を医療の現実・限界にまで引き落とすコミュニケーションが求められる。その中にあって美容医療は、ヒトの飽くなき欲望の1つである「美の追求」の実現が前提のため、施術を受ける側の期待値と医療の現実との乖離は、通常の医療に比べ、かなり大きいはずである。この期待値コントロールのコミュニケーションを間違えば、医学的には成功の範疇に入る施術でも患者からは失敗と評され、トラブルになってしまう。だからこそ熟練度の高いコミュニケーション能力が求められる。手技と比べれば、才能が解決する余地はあるかもしれないが、やはりこれとて場数である。私が前述のメディア関係者の友人・知人に伝えた内容はざっとこのような感じである。さて前述の厚生労働省の検討会だが、11月28日には報告書を公表している。この中では直美についても議論にのぼったようだが、報告書では「本検討会においては、医師の偏在是正の観点から臨床研修修了直後であるなど若手の医師が美容医療の領域に流れていること等の諸課題について指摘されたところ、かかる問題については、本検討会の議論の対象ではないものの、引き続き、厚生労働省において別途必要な検討をしていく必要がある」と記述されている。これを受けて厚生労働省はどう動くのか? せっかく“鉄が熱くなった”のだから、引き続き議論を進めてほしいと思うのだが。参考1)厚生労働省:資料1 美容医療に関する現状について

11.

第221回 医師偏在対策は2026年度から実施、重点区域設定と支援強化/厚労省

<先週の動き>1.医師偏在対策は2026年度から実施、重点区域設定と支援強化/厚労省2.専門医研修制度見直し、指導医派遣にかかわる議論は継続へ/厚労省3.電子カルテ情報共有サービスは2025年度本格稼働へ/厚労省4.不透明な資金問題で抜本改革に、改善計画を公表/女子医大5.医療脱毛クリニック大手が破産、広告費増加や顧客減少で経営悪化1.医師偏在対策は2026年度から実施、重点区域設定と支援強化/厚労省厚生労働省は12月10日、新たな地域医療構想等に関する検討会を開き、医師の地域偏在解消に向けて、医師偏在対策の取りまとめ案が示され、大筋で了承された。この案では、医師不足が深刻な地域を「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」に指定し、集中的な対策を講じることが盛り込まれている。具体的には、重点区域指定を行い、各都道府県で医師偏在指標が最も低い二次医療圏などを候補とし、地域の実情に応じて指定する。この重点区域を対象に、支援対象医療機関や必要医師数、医師偏在是正に向けた取り組みなどを盛り込んだプランを策定する。また、重点区域で開業する診療所への支援や、区域内の医療機関で働く医師への手当増額などを検討する。このほか、医師少数区域での勤務経験を管理者要件とする医療機関を拡大したり、外来医師多数区域での開業規制の強化など、地域の医療機関が連携して医師不足を解消する仕組みを構築する。また、経済的インセンティブの財源として、保険料を充当する案も議論されたが、意見が分かれたため、取りまとめでは両論併記となった。そのほか、開業規制などの施策については、施行後5年を目処に効果を検証し、必要があればさらなる対策を検討する方針。厚労省は、これらの総合的な対策パッケージを、関係審議会での議論などを経て、年内に策定し、2026年度から実施する予定。参考1)第15回 新たな地域医療構想等に関する検討会(厚労省)2)医師偏在対策を大筋で了承、「医師少数区域等で勤務する」医師の手当て増額を行う経費の一部を保険者にも拠出求める-新地域医療構想検討会(Gem Med)3)医師偏在対策の取りまとめ案が大筋了承、開業規制などは施行後5年めどに検証(日経メディカル)2.専門医研修制度見直し、指導医派遣にかかわる議論は継続へ/厚労省厚生労働省は12月13日、医道審議会医師分科会の医師専門研修部会を開き、専門研修プログラムの定員数に上限を設ける専攻医のシーリングについて、大学病院などから医師少数区域に指導医を派遣した実績に応じて、通常プログラムの定員数を増やす見直し案を提案した。専門研修制度は、医師が専門医資格を取得するための研修制度で、2018年度から始まった新たな専門医制度では、医師の質向上と地域医療の充実を目的として、研修プログラムの質の向上や地域医療への配慮などが求められている。厚労省は、専門研修プログラムの質向上と地域医療の充実を図るため、シーリング制度の見直しを検討している。今回の見直し案では、大学病院などが医師少数区域に指導医を派遣した場合、その実績に応じて通常プログラムの定員数を増やすというインセンティブを設けることが提案された。しかし、この提案に対して、委員からは大学病院の負担増加を懸念する声が上がった。また、大学病院では、すでに地域医療への医師派遣などを行っており、指導医派遣の義務化はさらなる負担となる可能性があると指摘している。厚労省は、次回の会合でシーリング制度見直し案に基づくシミュレーション結果を示し、指導医の派遣を含めた見直しについて改めて議論する予定。参考1)令和6年度第3回医道審議会医師分科会 医師専門研修部会(厚労省)2)医師少数区域への「指導医の派遣」に慎重論 シーリング制度の見直し 厚労省(CB news)3.電子カルテ情報共有サービスは2025年度本格稼働へ/厚労省厚生労働省は12月12日、2025年度に本格稼働する電子カルテ情報共有サービスの費用負担について、国、医療機関、保険者のそれぞれが一定程度負担する案を社会保障審議会の医療保険部会に示し、了承された。このサービスは、医療機関間で患者の電子カルテ情報を共有することで、安全で質の高い医療を効率的に提供することを目指すもの。費用負担については、サービスの受益者である患者、医療機関、保険者、そして国がそれぞれ応分の負担を負うべきとの考えに基づいている。具体的には、国がシステム開発・改修費用や、医療機関の電子カルテシステム改修への財政補助など、サービス立ち上げに必要な費用を負担する。医療機関側は電子カルテシステムの改修や運用保守費用、3文書(診療情報提供書/退院時サマリー/健診結果報告書)6情報(傷病名/アレルギー/感染症/薬剤禁忌/検査/処方)の登録費用などを負担し、保険者が、システム運用費用を負担する。保険者の負担開始時期は、標準型電子カルテの導入率が5割程度に達し、国民がサービスのメリットを実感できる段階とされている。費用負担の目安は、年間約18億円、医療保険加入者1人当たり月額約1.25円と試算されている。委員からは、医療機関の電子カルテ導入支援や、費用負担の詳細な説明を求める声が上がっていた。厚労省では、サービスの速やかな普及に向けて、あらゆる方策を講じていくとしている。参考1)医療DXの推進等について(厚労省)2)国の電子カルテ共有システム、運用費は社会保険料で負担(日経新聞)3)電カル情報共有、医療機関はシステム改修費など負担 保険者では運用費(CB news)4)電子カルテ情報共有サービスの運用費用、標準型電子カルテが5割程度普及した段階で保険者等に負担求める-社保審・医療保険部会(Gem Med)4.不透明な資金問題で抜本改革に、改善計画を公表/女子医大12月13日、同窓会組織を巡る不透明な資金問題で元理事長が解任された東京女子医科大学(理事長:清水 治氏)は、大学運営の改善計画を公表した。第三者委員会の報告書で指摘された、元理事長による「1強体制」によるガバナンス不全を重く受け止め、コンプライアンス意識の徹底、執行部への監督体制の構築など、抜本的な改革に取り組む姿勢を強調した。具体的な改革内容としては、不透明な資金の流れに関与したとされる同窓会組織「至誠会」の審査に基づく卒業生子女向けの推薦入試制度を2026年度入試から廃止すること、寄付金が考慮されていたとされる学内人事制度の見直しなどが盛り込まれた。また、資金問題の温床となったとされる「経営統括部」を廃止し、支出の妥当性を審査する委員会を新設するなど、チェック機能の強化を図るほか、内部通報制度の見直しや利益相反行為の禁止など、コンプライアンス体制の強化も進める。6日に理事長に就任した清水氏は、「不祥事により信頼が大きく傷ついた。全身全霊で抜本改革に取り組む」と語り、再発防止に全力を尽くす決意を示した。東京女子医大では、同窓会組織「至誠会」を巡り、不透明な資金の動きが発覚し、警視庁が3月に特別背任容疑で家宅捜索していた。今回の改善計画は、こうした問題を受けた組織改革の一環であり、大学側の信頼回復に向けた取り組みが注目されている。参考1)東京女子医科大学第三者委員会の調査報告書に対する本法人の今後の対応及び方針について(東京女子医大)2)東京女子医大、理事長「1強体制」だったガバナンス見直しへ 改善計画を公表「全身全霊で取り組む」(東京新聞)3)東京女子医科大、推薦入試に合わせ受験生から受け取っていた寄付金返金へ…文科省に改善計画提出(読売新聞)4)東京女子医大、推薦入試の「不正」認める 「同窓会枠」で寄付金(朝日新聞)5.医療脱毛クリニック大手が破産、広告費増加や顧客減少で経営悪化医療脱毛大手の「アリシアクリニック」を運営する医療法人社団「美実会」と一般社団法人「八桜会」が12月10日、破産手続き開始の決定を受けた。負債総額は約124億円で、債権者数は約9万2,000人に上り、過去最大規模の消費者被害となる可能性がある。同クリニックは、全国に43のクリニックを展開し、自由診療の医療脱毛などを提供していたが、12月10日までに全クリニックで営業を停止した。破産の原因は、競争激化による広告費の増加や、新型コロナウイルスの影響による顧客の減少などによる経営悪化とされている。利用者からは、未施術分の返金が難しいとの説明に怒りや落胆の声が上がっていた。今回の破産は、脱毛業界の競争激化と、前払い金ビジネスのリスクを浮き彫りにした。脱毛業界では、近年、新規参入が相次ぎ、競争が激化している。高額な施術費用を前払いさせるビジネスモデルが一般的だが、経営破綻時には返金が困難になるケースが多い。消費者問題の専門家は、消費者に対しては、契約前にクリニックの経営状況をよく確認すること、前払いにはリスクが伴うことを理解しておくことなどをアドバイスしている。また、業界団体に対しては、消費者保護のための枠組み作り、たとえば保証基金の設立などを検討する必要があると指摘している。参考1)医療脱毛「アリシアクリニック」運営法人の破産手続き開始(NHK)2)脱毛サロンの倒産、年間最多 14件、「通い放題」曲がり角(中日新聞)3)医療脱毛大手「アリシアクリニック」経営会社が破産を申請(東京商工リサーチ)

12.

第201回 医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省

<先週の動き>1.医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省2.コロナ後遺症、半年後も8.5%に深刻な影響/厚労省3.かかりつけ医機能、新たな報告制度で地域医療連携を強化へ/厚労省4.特定機能病院の要件、医師派遣機能も考慮して見直しへ/厚労省5.協会けんぽ、2023年度の黒字は4,662億円、高齢化で財政不安も/協会けんぽ6.旧優生保護法の違憲判決で国に賠償命令/最高裁1.医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省厚生労働省は7月3日、第5回「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」を開き、2025年度の医学部定員について、医師が多い地域から医師が少ない地域に「臨時定員地域枠」を移行する方針を示した。医師多数県では2024年度の191枠が154枠に減少し、16都府県で計30枠減少する見込み。この調整により、医師少数県での地域医療の充実が期待されている。さらに、厚労省は「医師多数区域での開業要件」の検討も示唆し、医師偏在対策を総合的に進める方針で、無床診療所の開業制限や医師多数区域での保険医定員制などが議論の対象となるとみられている。地域枠の活用については、日本私立医科大学協会の小笠原 邦昭氏が、異なる診療科間での地域枠の交換を提案したほか、広域連携型プログラムの導入も評価されたが、調整のための時間が必要だという意見も出された。総合診療専門医の育成については、リカレント教育の重要性が指摘され、経済的インセンティブの必要性も強調された。さらに、サブスペシャリティ専門医の取得を容易にするための制度設計が求められている。新専門医制度について、日本専門医機構はシーリング制度の効果を検証中であり、制度改革の必要性を認識している。とくに、地域や診療科による偏在の是正に向けた取り組みが進められている。今後、厚労省は、各論点に関する議論を深め、年末までに「医師偏在対策の総合的なパッケージ」を策定する予定。これにより、地域間の医師の偏在が是正され、地域医療が向上することを期待しているが、偏在の是正が進むよう引き続き検討を重ねていくとみられる。参考1)第5回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会(厚労省)2)医学部臨時定員、医師多数県で25年度は30枠減へ 厚労省検討会(CB news)3)医学部地域枠を削減へ 厚労省、医師過剰の16都府県で(日経新聞)2.コロナ後遺症、半年後も8.5%に深刻な影響/厚労省厚生労働省の研究班は、7月1日に新型コロナウイルス(COVID-19)感染後の後遺症患者のうち、8.5%が感染から約半年後も日常生活に深刻な影響を受けていることを発表した。この調査は、2022年7~8月にオミクロン株流行期に感染した20~60代の8,392人を対象に行われた。アンケート結果では、感染者の11.8%にあたる992人が後遺症として長引く症状を報告。その中でも84人が「日常生活に重大な支障を感じている」と回答した。主な症状としては、味覚障害、筋力低下、嗅覚障害、脱毛、集中力低下、そして「ブレインフォグ」と呼ばれる頭に霧がかかったような感覚などが含まれる。とくに女性や基礎疾患のある人、感染時の症状が重かった人で後遺症の割合が高かった一方、ワクチン接種を受けた人ではその割合が低かった。この結果は、COVID-19の後遺症が長期間にわたり日常生活に大きな影響を及ぼす可能性を示しており、全国での他の医療機関でも同様の後遺症報告があり、医療体制や患者支援の改善が急務とされる。また、研究班が、一般住民を対象に感染者と非感染者を比較し、後遺症の頻度や関連要因を調査した結果、感染者の罹患後症状の頻度が非感染者に比べて約2倍高いことが確認された。今後、後遺症のリスク要因や長期的な影響についての詳細な研究が求められるために、厚労省では引き続き、COVID-19の後遺症に対する対応策を進める予定。参考1)コロナ後遺症8.5%「半年後も」日常生活に深刻な影響 厚労省研究班(日経新聞)2)コロナ後遺症患者、半年後も日常生活に深刻な影響8.5% 厚労省(毎日新聞)3)オミクロン株(BA.5系統)流行期のCOVID-19感染後の罹患後症状の頻度とリスク要因の検討(NCGM)3.かかりつけ医機能、新たな報告制度で地域医療連携を強化へ/厚労省2024年7月5日、厚生労働省が病院や診療所による「かかりつけ医機能」の発揮を促進するために「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を開催し、これまでの議論をまとめた整理案を提示した。かかりつけ医機能については、2025年4月に施行される新たな報告制度を中心に据え、地域ごとに病院や診療所の役割を協議し、地域の医療機能の底上げを図ることを目的としている。整理案によれば、病院や診療所は「日常的な診療を総合的・継続的に行う機能」(1号機能)と、時間外診療や在宅医療、介護連携などの「2号機能」について、毎年1~3月に都道府県へ報告する。都道府県はこれらの報告を公表し、地域の「協議の場」で共有する。この「協議の場」には、都道府県や医療関係者だけでなく、市町村、介護関係者、住民・患者も参加し、地域の医療課題について協議するものとしている。厚労省は、1号機能として「専門を中心に総合的・継続的に実施」や「幅広い領域のプライマリケアを実施」などのモデルをガイドラインで示す予定。また、地域の医療連携を強化するため、複数医師による診療所の配置や、複数診療所によるグループ診療の推進も提案している。厚労省は、来年4月の報告制度発足に向け、自治体向けにガイドライン(GL)を作成する方針で、今月中に取りまとめを目指すとしている。参考1)第7回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会[資料](厚労省)2)かかりつけ医機能報告制度の詳細が概ね固まる、17診療領域・40疾患等への対応状況報告を全医療機関に求める-かかりつけ医機能分科会(Gem Med)3)かかりつけ医機能、対応可能な一次診療について「診療領域」で報告へ(日経ヘルスケア)4)「かかりつけ医機能」データ活用して役割協議 厚労省が「議論の整理案」示す(CB news)4.特定機能病院の要件、医師派遣機能も考慮して見直しへ/厚労省厚生労働省は、7月3日に特定機能病院の承認要件の見直しを議論する検討会を5年ぶりに開催した。特定機能病院とは、高度な医療の提供、高度医療技術の開発、および研修を行う能力を備えた病院とされ、現在、全国には特定機能病院が88施設あるが、うち79施設は大学病院。今回の検討会は、社会保障審議会の医療分科会が3月に提出した意見書を受け、特定機能病院の要件を現代の医療ニーズに合致させるための見直しを目指す。この日の会合では、以下の論点が示された。(1)高度な医療の提供の方向性、(2)医療技術の開発・評価の方向性、(3)医療に関する研修の在り方、(4)医師派遣機能の承認要件への組み込みなど。とくに大学病院からの医師派遣機能を承認要件に加えるべきだとの意見が出されたほか、論文発表の質の確保、特定機能病院の機能や役割を明確化する必要性も議論された。特定機能病院の承認要件は、病床数や診療科数、紹介率、逆紹介率、論文発表数など多岐にわたっており、これらの要件を満たすことで、高度な医療提供能力が証明される仕組みとなっている。一方、現行の承認要件は時代に合わない部分もあり、特定機能病院と一般病院との違いが曖昧になってきているという指摘もされている。検討会では、特定機能病院の機能をさらに細かく分類し、承認要件を見直す方向で議論が進められる見込み。たとえば、「特定領域型」の特定機能病院の承認要件を明確化し、地域医療への貢献や医師派遣機能も承認要件に加えることが検討されているほか、承認要件には医療の質や研究の質も考慮されるべきだとの意見も出されている。今後、厚労省は各論点に関する議論を深め、年内に取りまとめを行う予定で、これをもとに特定機能病院の承認要件が見直される。参考1)第20回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会(厚労省)2)特定機能病院の要件見直し、年内をめどに取りまとめ 厚労省検討会 医師派遣機能の要件化求める声も(CB news)3)特定機能病院に求められる機能を改めて整理、類型の精緻化・承認要件見直しなどの必要性を検討-特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(Gem Med)5.協会けんぽ、2023年度の黒字は4,662億円、高齢化で財政不安も/協会けんぽ中小企業の従業員やその家族が加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)は、2023(令和5)年度の決算見込み(医療分)について公表した。それによると、2023年度の決算では、4,662億円の黒字を見込んでいる。黒字は14年連続で、賃上げによる保険料収入の増加が主な要因とみられる。協会けんぽの収入は前年度比2.7%増の11兆6,104億円で、賃金の伸びに伴い保険料収入が増えたことが背景にあり、とくに月額賃金が平均30.4万円と過去最高を記録したことが収入増に寄与した。一方、支出は11兆1,442億円で、前年度比2.5%増となった。支出の増加要因として、新型コロナウイルス禍後の社会活動再開に伴うインフルエンザなどの呼吸器系疾患の患者増加や75歳以上の後期高齢者医療制度への拠出金の増加が挙げられている。また、医療給付費は6兆4,542億円に達し、前年度に続いて過去最高を更新した。しかし、全国健康保険協会は、今回の決算の発表と同時に、今後の財政状況について楽観視できないとしている。その理由として、今後、加入者の高齢化や医療の高度化に伴い、団塊の世代が後期高齢者になる時期に支援金の急増が見込まれているためであり、財政の健全化と持続可能な運営が求められていく。参考1)2023(令和5)年度協会けんぽの決算見込みについて(協会けんぽ)2)「協会けんぽ」賃上げによる保険料増などで4,600億円余の黒字(NHK)3)協会けんぽ黒字、23年度4,662億円 賃上げで保険料増(日経新聞)6.旧優生保護法の違憲判決で国に賠償命令/最高裁旧優生保護法に基づく強制不妊手術を受けた被害者が国に損害賠償を求めた裁判で、最高裁判所大法廷は7月3日に「旧優生保護法が憲法違反である」と判断し、国に賠償を命じる判決を下した。旧優生保護法は、1948~1996年まで施行され、障害者を対象に強制的な不妊手術を認めていた。これにより約2万5,000人が手術を受けたとされる。最高裁は、旧優生保護法が「不良な子孫の淘汰」を目的にしており、障害者を差別的に扱い、生殖能力を奪うことは憲法13条および14条に違反するとした。また、不妊手術が当時の社会状況を考慮しても正当化できないとし、本人の同意があった場合も含めて手術の強制性を指摘した。さらに、国会議員の立法行為自体が違法であるとも断じた。国は20年以上前の不法行為について賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に訴えを退けるよう主張したが、最高裁はこの主張を認めず、被害者の権利行使が困難であったことや旧法廃止後も補償を行わなかった国の姿勢を問題視し、除斥期間の適用を否定した。今回の判決で、国には被害者1人当たり1,100~1,650万円(その配偶者には220万円)の賠償責任が確定した。この判決は、全国の被害者救済に道を開くものであり、旧優生保護法の被害者の全面救済が期待される。政府は判決を重く受け止め、早期の対応を行う必要に迫られている。参考1)旧優生保護法は「違憲」 国に賠償命じる 最高裁、除斥期間適用せず(朝日新聞)2)旧優生保護法は憲法違反 国に賠償命じる判決 最高裁(NHK)3)旧優生保護法「違憲」、強制不妊で国に賠償命令…最高裁が「除斥期間」不適用で統一判断(読売新聞)

13.

第208回 「地域ごとの医師の数の割り当てを、本気で考えなければならない時代に入ってきた」と武見厚労大臣、地域偏在、診療科偏在の解消に向け抜本策の検討スタート

医師の偏在対策はこれからの医療政策の大きな課題にこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。日本のプロ野球では、中日ドラゴンズの好調が続いています。4月15日時点の勝率は8勝4敗2分の6割6分7厘でセ・リーグ1位。2年連続最下位のチームとは思えない快進撃ぶりです。昨年、“令和の米騒動”で話題となった立浪ドラゴンズについては、この連載の第206回で「今年もAクラス入りは厳しいのではと感じた次第です」と書いたばかりで少々戸惑っています。やはり、中田 翔選手の加入(打点増)がプラスに働いているのかもしれません。本来の“ドラゴンズらしさ”が出てくるまで、もう少し様子を見てみたいと思います。さて今回は、先週の日曜日(4月7日)の朝、NHK総合で放送された「日曜討論」での武見 敬三厚生労働大臣の「地域ごとに医師数割当」発言について書いてみたいと思います。2024年の診療報酬改定・介護報酬改定の同時改定も終わり、医療の世界では中長期的な制度改革の議論が始まっています。医師の地域偏在や、診療科での偏在はこれまで幾度も議論が行われてきましたが、決定的な解決策は出ていません。次の“地域医療構想”の議論も始まった中、医師の偏在対策は、これからの医療政策の大きな課題になってくるかもしれません。「医師の偏在を規制によってきちんと管理していくことを我が国もやらなければならない段階に入ってきた」と武見厚労相4月7日放送の「日曜討論」は「医療」がテーマでした。武見厚労相のほか、横倉 義武日本医師会名誉会長ら専門家が議論しました。この中で武見厚労相は、医師の偏在対策について「今まで、入学試験に地域枠を設けるなど色んな試行錯誤をしてきたがまだまだ偏在を解消できない。ここまで来ると、地域において医師の数の割り当てを、本気で考えなければならない時代となった。したがって、医師の偏在を規制によってきちんと管理していくことを我が国もやらなければならない段階に入ってきた」と述べ、地域偏在や診療科偏在の是正を、これまでとは違ったやりかたで検討していくべきだという考えを示しました。「地域において医師の数の割り当てを、本気で考えなければならない時代となった」「医師の偏在を規制によってきちんと管理していくことをやらなければならない」といった発言は、厚労相としては相当踏み込んだ発言と言えます。実際、この発言はNHKの番組内でのものにもかかわらず、4月7日付の朝日新聞デジタルや、4月8日付の日本経済新聞でも報道されました。日本経済新聞の記事のタイトルは、「医師の偏在『規制で管理』」というもので、国が医師数を「規制する」に力点が置かれていました。その後、武見厚労相の発言はさらに勢いを増します。4月15日付の朝日新聞の報道によれば、武見厚労相は、この日開かれた衆院決算行政監視委員会で「単に医師の増員によって医師不足が解消できるかといったら、そうではなかった。規制を含めて、前例にとらわれない方法で問題を解決する政治的リーダーシップが必要」と述べ、医師偏在問題を解消するため規制の導入も視野に入れ、年末までに具体策をまとめる方針を示し、厚労省内に検討チームの設置を指示したとのことです。ちなみに、朝日新聞デジタルは4月15日付で、「『医師偏在を規制で管理』 役人も仰天の武見厚労相発言 本気度は?」というタイトルの記事を配信、「武見氏の発言は省内に波紋を広げた。厚労省幹部は『憲法違反になる。大臣の頭の中はさっぱりわからない』と話す。別の幹部も『医師会からどれだけ反対されると思っているのか。国が強制的に割り当てるなんて無理だ』と驚く」と厚労省内の戸惑いを報じています。朝日新聞報道によれば、武見厚労相は、政府が毎年6月にとりまとめる「骨太の方針」に大きな方向性を盛り込み、年末までに具体的な方向性を提示する考えとのことです。「三位一体改革」の一つ、「実効性のある医師偏在対策の着実な推進」医師の偏在対策については、国も手をこまねいてきたわけではありませんが、実際のところ、実効性に乏しいものばかりでした。コロナ禍の前まで、厚労省は2040年を展望した医療提供体制の改革として、盛んに「三位一体改革」という言葉を使っていました。当時は、2025年を目標年とした地域医療構想の実現に取り組みはじめたところで、政府は少子高齢化の進展、人口減に伴う医療人材の不足などにも対応するため、「地域医療構想の実現」、「医師・医療従事者の働き方改革の推進」、「実効性のある医師偏在対策の着実な推進」の3つを同時に進めることが重要だと考えていました。この方針は基本的に今でも踏襲されています。「医師の働き方改革」は本年度からいよいよスタート、「地域医療構想」も来年に目標年を迎えます。この2つの施策は一応進展を見せている一方で、「医師の偏在対策」だけは、その効果はほとんど出ていないのが現状です。そうした中で期待されているのが、2024年度から各都道府県で始まった「第8次医療計画」です。この中には「医師確保計画」が含まれており、これは2次医療圏を医師多数区域(医師偏在指標に照らして上位3分の1)、中間の区域、医師少数区域(同下位3分の1)に3区分し、地域の区分に応じた「医師確保計画」を作成する、というものです。地域枠の確保や、2次医療圏・3次医療圏間の医師の融通などが計画されている模様です。とは言うものの、全国レベルでの医師偏在が解決されない状況では、都道府県がどれだけ計画を立てても、その地域の医師数が足りていなければ計画の実現は困難です。武見厚労相の発言は、医療計画での医師確保計画の実現を後押しするため、国による規制の導入の必要性を訴えたものだと言えるでしょう。地域偏在と併せて深刻な診療科の偏在医師の地域偏在と併せて深刻なのは、武見厚労相も言及していた「診療科の偏在」です。3月19日、厚生労働省は「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ、公表しました。それによると、全国の医師数は34万3,275人で、前回調査(2020年)に比べ1.1%増加。人口10万対医師数は274.7人で、前回に比べ5.5人増加しました1)。この調査では「従事する主たる診療科」も調べています。それによれば、前回調査時(2020年)と比較して医師数が増えた診療科は、美容外科(対前回比132.4%)、アレルギー科(110.7%)、産科(108.3%)、形成外科(106.8%)など。一方で医師数の減少が大きかったのは気管食道外科(95.4%)、小児外科(95.7%)、外科(96.7%)、心療内科(97.5%)、耳鼻咽喉科(97.7%)などでした。最近話題となっている、高収入で業務も比較的ラクな美容外科への転身が増えているのは、日本の医療提供体制にとって由々しき事態だと言えるでしょう。危機感を募らす医学会、「2023年度の調査で美容領域で医学部2つ分に相当するような多数の新規の医師採用があった」と指摘こうした現状に対し、日本の医学会も危機感を募らせています。2023年12月21日、142の学会で構成する日本医学会連合(門脇 孝会長)は、武見厚労相ら4大臣に「専門医等人材育成に関わる要望書」を手渡しました。要望書は、専門医の取得・維持と学位取得や研究が両立できる専門医制度と、専門医制度の充実と地域偏在・診療科偏在の課題解決について検討する必要性を指摘、その議論に医学会連合の参画を求める内容です。この中で、診療科偏在については、専門医制度におけるシーリング制度や、将来出てくるであろう類似の規制の問題点として、「職業選択の自由を奪うこと」「医学部卒業生や臨床研修医が十分な臨床的修練を経ずに保険診療以外の領域への大量流出に繋がる危険をはらむこと」「医師たちのモチベーションを下げること」などを指摘しつつも、各診療科の適正数の算定等の議論に各学会が積極的に関与していくという姿勢を見せています。なお、この要望書では、「確定的な数値ではありませんが、2023年度の関係諸機関の調査で、美容領域で医学部2つ分に相当するような多数の新規の医師採用がありました」と、自由診療、とくに医師たちの美容外科への“転向”を憂慮する一文もありました。憲法第22条の「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」という条文が最大のハードルか15年ほど前、当時の舛添 要一厚労相にインタビューしたことがあるのですが、診療科偏在の問題を問うた時、「憲法で職業選択の自由が保障されているからなあ。そこはとても難しい」と答えていたのが印象的でした。おそらく憲法第22条の「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」という条文が、医師数に関する規制を導入するにあたっての最大のハードルになっているのでしょう。というわけで、国、医学会、日本医師会などが議論して、医師の地域偏在や診療科偏在の解消に効果的な“規制”のルールをどこまで導入できるかはまだまだ未知数です。個人的には、医師養成には多額の税金が投入されていること、診療報酬にも税金が入っていること、そして、素人考えですが憲法第22条にある「公共の福祉」は地域の医療提供体制も包含した概念と解釈できそうなことを考えると、医師の診療科選択や配置についても、国の権限である程度のコントロールを行っても問題ないと思うのですが、皆さんいかがでしょう。まさか、韓国のように、医学生や医師のストライキが起きたりはしないと思いますが、もし医師偏在や診療科偏在を是正する何らかの“規制”が実現するとしたら、武見厚労相は、父上・武見 太郎元日本医師会長と同様、日本の医療の歴史に名を刻むことになるでしょう。参考1)医師数統計公表、増えた診療科・減った診療科-厚労省調査

14.

医師の働き方改革に必須なのは財源の確保、米国の医療保険制度から考える(3)――人員確保には、人気の科に偏らないマッチングの仕組みも必要【臨床留学通信 from NY】第59回

第59回:医師の働き方改革に必須なのは財源の確保、米国の医療保険制度から考える(3)前々回、前回に引き続き、医師の働き方改革と財源確保について、米国の医療保険制度から考える第3回です。医師の働き方改革は重要です。長過ぎる労働時間は、現在の若手の負担になっているのは事実です。昔はそうだった、という時代ではありません。しかしながら結局は財源が変わらず、患者さんに対する診察時間などが変わらなければ、解決しようがなく名ばかりと言えるでしょう。当直があたかも働いていないかのように虚偽の申告をせざるを得ないという、本末転倒になりかねません。米国では保険制度側がカルテをチェックする財源に関しては、以前に比べて高齢者が増え、若手が減っている高齢化社会のため、高齢者の負担を変えるのはやむを得ないでしょう。また、前回述べたように、安定している患者さんの不必要な診察を減らすべきです。場合によっては、国民皆保険であるため国側がカルテを閲覧できるようにしてもいいのではないでしょうか。米国では、保険会社(政府の公的保険も含む)がカルテを照会してクレームを入れることもよくあるので、それを参考にしてもよいでしょう。また、日本の高額療養費の負担保証ですが、緊急疾患であり、救命に直結するものであればすべてカバーするのがいいと思います。しかしながら、ここでは個々に対しては言及しづらいのですが、高額な医療で緊急ではないものに関しては、やはり公的保険にある程度制限を設け、すべて高額医療費としてカバーするのではなく米国のようなプライベート保険がもっと普及してもいいかもしれません。公的保険のみでカバーするのは限界です。財源をしっかり確保し、とくに緊急疾患に対する医療費を上げて、そこに人的資源が割けるようにすべきです。財源確保は人員確保につながる私が循環器内科だからというわけではないのですが、緊急疾患、夜間が多い科の成り手を確保することは、国として命題です。病院で働く時間が長過ぎて、バイトもできず、給料は減るだけでは、成り手も減る一方です。やはり、ある程度同じ病院の中でも働く時間や夜間などの緊急が多い人にはより給料を多く払う仕組みや、オンコールも医師を縛り付けているので、相応の対価も必要です。最終的には病院の集約化も必須となってくるかと思いますが、そこは簡単ではないでしょう。名ばかりの専門医制度ではなく、米国のように、人気の科では専門医資格がないと仕事ができないようにし、かつその科への受け入れ人数を制限し、医療が各地域に分配されるようにしないと、医師数が多くてもうまく回りません。米国では、日本のように研修一般をマッチングにするのではなく、専門的な内科や外科レジデント、循環器フェロー、心臓外科フェローになれる人数が決まっていて、かつ病院当たりのフェローの数などに制限を設けて、マッチングの仕組みで採用しています。それらを経ないと専門医を取得できず、基本的に専門医資格がないとその科で働けません。米国で人気の形成外科、皮膚科、眼科、整形外科は、稼ぎも良いのですが、競争が激しくUSMLEの点数も高得点が求められます。より良い大学を卒業する必要があり、全員が全員希望の専門医にはなれません。働き方改革は、単に時間を制限するだけではなく、財源の確保、人員の再分配が必要だと思います。

15.

昭和医科大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門【大学医局紹介~がん診療編】

林 直輝 氏(教授/診療科長)垂野 香苗 氏(准教授/診療科長補佐)成井 理加 氏(専攻医)講座の基本情報医局独自の取り組み、医師の育成方針当院のブレストセンターは、診察室、マンモグラフィ撮影室、超音波室、処置室、患者の集うリボンズハウスなどを1つのエリアに備え、患者中心の理想的な環境を提供しています。また、附属病院も含めて年間1,000件以上の手術を行う国内最大規模の、多くの若い力で活気に溢れた医局です。乳がん診療の発展と社会貢献のために、“乳がん診療の発展と社会に貢献できる視野の広い医師になる”、“良い臨床医になるためにScienceを理解する”を2つの柱として、臨床、研究、教育を進めています。臨床面での強み臨床面での当院の大きな強みは、国内でも早くから取り組んでいる遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)、MRIガイド下生検などです。さらに、乳がん診療における多方面からのde-escalationに取り組んでおり、手術の縮小を目指す臨床試験だけでなく、画期的な治療法である短期加速乳房照射「SAVI」を導入しています。これは通常約5週間かかる乳房部分切除後の照射を2~5日のみで完結するもので、time toxicityの新たな解決法になります。新しい技術を活用しながら、乳がん診療の進歩に貢献し、患者に最適な治療を提供するチームを目指します。医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力昭和医科大学乳腺外科の英語表記は、”Breast Surgical Oncology”です。乳がんに関わる周術期の治療のみではなく、診断から手術、再発転移までの治療を幅広く行う診療科です。また、HBOCなどの多診療科での連携した診療や昭和医科大学内のさまざまな研究所と連携した新薬の治験や臨床研究も多数行っております。また、ほかの診療科との連携も大学病院でありながらしやすい環境にあるのも魅力です。大学というバックグラウンドもあり、臨床と研究にバランスよく関われるのが当院の魅力であると思います。一般病院では難しい研究の支援も大学として、昭和医科大学統括研究推進センター(Showa Medical University Research Administration Center:SURAC)を中心に力を入れており、さまざまな支援を受けることができます。医局の雰囲気、魅力昭和医科大学の乳腺外科は、外科学講座を構成する一部門として、2010年に創設されたまだまだ歴史の浅い医局です。しかし、附属4病院(旗の台、豊洲、藤が丘、横浜市北部)、NTT東日本関東病院の乳腺外科を統括し、合わせて1,000件以上の乳がん手術を行っています。本部は、旗の台にある昭和医科大学附属病院で、日本で有数のブレストセンターがあります。昭和大学出身者が比較的多いですが、出身大学、初期研修病院などはさまざまです。また、途中入局の医師も多く在籍しており、異なるバックグラウンドの医師が在籍しております。女性医師も多く在籍しており、産休、育休の取得や時短勤務にも対応しております。また、毎朝のカンファレンスなどでの情報共有や、コミュニケーションの時間を重視しています。医学生/初期研修医へのメッセージ乳がん領域の診療は、画像診断、手術、薬物療法とさまざまな領域の発展が日進月歩です。将来的に何をどのように専門にしていくかは、医学生・初期研修医の段階で決めるのは難しいと思いますし、実際経験してみて自分の適性というものがわかることも多々あります。乳腺外科の分野でまず、幅広くいろいろなことを学び、自分の適性やビジョンを定めていくことをおすすめします。当科では、その点幅広い経験ができ、乳腺・乳がん診療に将来的に関わっていくうえで多岐にわたる経験を通じて、その後の進路を選択することができると思います。興味のある先生はぜひ一度見学にいらしてください。いつでも大歓迎です。毎朝行われるカンファレンスこれまでの経歴・同医局を選んだ理由2017年地方大学卒業後、初期研修は都内の他大学病院で1年目を大学、2年目を市中病院で研修を行いました。研修医のときに回った乳腺外科に興味を持ち、働きやすさとやりがいの両方から、乳腺外科への入局を考えるようになりました。同医局を選んだ理由としては大きく3つあります。1つ目は手術件数の多さです。私が入局を考えていた頃は新専門医制度が開始した直後であり、その制度もまだ不明な点も多く、大学病院など大きな病院での外科専門医取得を考えました。その中でも乳がん手術件数の多い当医局を入局先の候補として考え、実際に見学して入局を決定しました。2つ目は働きやすさです。見学した際に、他大学から入局されている先輩がいるかどうか、先輩方の雰囲気などを確認しました。当医局は、他大学や他研修先から入局する人も多く、上級医の先生方もほかの病院で勤務していた方が多いです。そのため外部からの入局者を歓迎している雰囲気があります。3つ目は早くから乳腺外科としての経験を多く積むことができることです。これに関しては、メリットデメリットどちらもあるかと思いますが、自分のやりたいことが決まっている方には、早くから乳腺外科の外来や手術などを経験できる点が良いと思います。現在学んでいること・今後のキャリアプラン現在私は医師7年目で、今年乳腺専門医を取得しました。3〜5年目は、外科プログラムに則り経験を積み、5年目頃からは乳腺外科を中心に診療を行っています。入局以降、上級医の先生にご指導いただき、毎年の学会発表や乳腺専門医の取得に必要な論文などを書かせていただきました。当医局では多くの症例と乳がん診療の経験豊富な先生方の指導のもと、専門医取得を行うことができます。専門医取得後のキャリアはさまざまです。自分のやりたいことがあれば、それを相談できる環境にあると思います。乳腺外科を考えられている方、ほかの科と乳腺外科とで迷われている方はぜひ一度見学にいらしてください。日本乳癌学会学術総会で昭和医科大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門住所〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8問い合わせ先breast.ikyoku@gmail.com医局ホームページ昭和医科大学病院乳腺外科昭和医科大学病院ブレストセンター専門医取得実績のある学会日本外科学会日本乳癌学会遺伝性腫瘍学会臨床腫瘍学会 など研修プログラムの特徴(1)乳がんの診断から手術、薬物療法と乳がんに関わる一連の治療をトータルで学ぶことができます。(2)放射線科、形成外科、産婦人科、遺伝診療部など多診療科に関わるチーム医療を学ぶことができます。(3)外科専門医、乳腺専門医の要件に十分な症例経験を積むことができます。

16.

【緊急寄稿】働き方改革、スタート目前!米国医師の働き方を変えた「10の仕組み」~第1回・勤務体制編~

2024年4月から、いよいよ日本では「医師の働き方改革」の新制度が施行されます。私は日本で初期研修医、そして新専門医制度下での内科専攻医を経験した後、2021年に渡米し、現在は米国で内科レジデントとして働いています。米国の内科レジデンシーは全部で3年間あり、内科に特化した研修を行います。日本で内科の専攻医を経験した後に米国での内科レジデンシーを経験したことから、日本と米国の内科研修の違いを肌で感じました。その中で最も衝撃を受けたのは「米国の働き方改革とデジタル化は、日本よりもはるかに進んでいる」という点です。この寄稿では、日米の内科研修を両方経験した立場から、どのようなツールやシステムが米国の働き方改革に貢献しているか、1)勤務体制編、2)スマホアプリ編、3)電子カルテ編の3つに分けて、10の仕組みを紹介、解説します。この寄稿が日本での働き方改革を議論するうえで、少しでも参考になればと思います。第1回の今回は、米国医師の働き方を改革した勤務体制の仕組みづくりについて、4つの具体例を挙げて説明します。仕組み1:チーム制・シフト制米国の多くの病院では、入院患者の管理は専門科医ではなく、ホスピタリスト(病院総合診療医)が担当します。専門科医はコンサルタントとして関与する形です。ホスピタリストの指導の下、3~4人の内科レジデントが患者をケアするチームをつくり、看護師同様にシフト制で勤務します。私の勤める病院では、2~3年目の先輩レジデントが1年目の新人レジデントに指導をしながら、チーム全体で約16~20人の患者を受け持ちます。シフトは早番と遅番に分かれ、早番は朝7時~夕方5時、遅番は朝7時~夜8時の勤務です。シフトの終わりには、自分が担当した患者の情報を次の担当者に引き継ぎ、ToDoリストや急変時の対応プランを確認します。シフト終了後は看護師から連絡が入ることはなく、帰宅してリラックスする時間が確保されます。チーム制・シフト制を採用することで仕事とプライベートのオンオフがはっきりします。図1仕組み2:夜勤とsick callレジデントのローテーションの中には、夜勤のみを行う期間があります。夜勤レジデントは、毎晩の当直(夜8時~翌朝7時)を6日間勤務+1日休みのサイクルで2週間勤務するスケジュールで働き、入院患者の管理や救急外来からの新規入院患者の対応を行います。この夜勤システムにより、夜勤レジデントは昼間に休息を取り、夜間に働くという生活リズムを維持できます。これにより、日勤レジデントは当直の必要がなくなり、体内時計の乱れを避けることが可能になります。また、「sick call」と呼ばれる病欠者のカバーをするシフトが存在します。ほかのレジデントが病気やその他の理由で勤務できないときに、そのシフトをカバーする担当のレジデントのことで、呼び出しがなければ自宅待機します。このように、誰かが休んでも業務が特定の人に集中することを防ぎ、全体の負担を軽減するシステムが構築されています。仕組み3:勤務上限時間の設定神戸市の病院で勤務していた若手医師が長時間労働下で自殺し、労災と認定された事件は記憶に新しいですが1)、米国ではACGME(Accreditation Council for Graduate Medical Education、米国卒後医学教育認定評議会)という団体が研修プログラムのレジデントやフェローの労働時間を規制しており、このルールにより若手医師は過剰労働や業務過多から守られています。具体的には、週に80時間までの勤務7日間に1日の割合で休日を設ける連続勤務は24時間まで24時間勤務の後は次の勤務まで14時間空けるといったルールが定められています。このルールをレジデント全員が常に守る必要があるため、綿密なスケジュール調整が必要になります。日本では働き方改革に当たり、教育や研究が「自己研鑽」の扱いになるかどうかが議論され、厚生労働省が「教育・研究に直接関連性のある研鑽は労働時間に該当する」と明示したことが話題になりました2)。米国では教育的なレクチャーは、昼食時や週に半日ある「Academic Half Day」と呼ばれる臨床業務が免除される時間に行われるケースが多く、平日の勤務時間内に組み込まれています。研究に関しては、自由に選択できるローテーションで「研究」を選択することで、臨床業務が免除され学会発表の準備や論文執筆の時間に充てることができます。十分な人員がいるからこそ実現可能なのかもしれませんが、このように自己研鑽が労働時間外にならないよう配慮されています。なお、日本の内科専門医制度では「J-OSLER」と呼ばれる症例登録制度があり、内科専門医を取得するためには160症例の症例登録と29症例の病歴要約の提出が求められています。私自身、休日や時間外を含めて多くの時間を費やすこととなり苦労しました。一方で、米国の内科レジデンシーでは症例登録や病歴要約の提出は一切必要ないものの、一緒に働いた指導医やプログラムの評価を頻繁に提出することが求められます。上記のACGMEが各プログラムや指導医の質を評価することで教育の質を担保する、というシステムです。レジデントの負担を考慮した、合理的かつ効率的な制度だと感じます。仕組み4:ACGMEによる監視システム研修プログラムが勤務時間の規則を順守しているのか、確認するシステムがあります。レジデントはオンラインで勤務時間を報告することが義務付けられており、さらにACGMEによる査察が定期的に行われます。査察はレジデントとの抜き打ちの面接や匿名のアンケートによって行われ、定められた勤務スケジュールとレジデントが報告する勤務時間に乖離がないかを確認します。ACGMEは研修プログラムの評価および認定機関でもあるので、規則に違反したことが明らかになった場合には、さまざまな罰則を科すことができ、最悪の場合には研修施設としての認定の取り消しに至ることもあります。このような監視システムがあることで、ルールの形骸化を防いでいるのです。1)“26歳医師が自殺で遺族会見 ‘極度の長時間労働’で労災認定”. NHK NEWS WEB. 2023-08-18.,(参照2024-03-04).2)“医師等の宿日直許可基準及び医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての運用に当たっての留意事項について”. 厚生労働省. 2024-01-15.,(参照2024-03-04).

17.

第183回 新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する医療費の公費支援を2024年3月末で終了し、4月から通常の医療体制に完全移行する方針を発表した。これまで、COVID-19の治療薬や入院医療費に関しては、患者や医療機関への一部公費支援が継続されていたが、4月からは他の病気と同様に保険診療の負担割合に応じた自己負担が求められるようになる。COVID-19への公費支援は、治療薬の全額公費負担が2021年10月より始まり、昨年10月には縮小された。また、患者は年齢や収入に応じ、3,000~9,000円の自己負担をしていた。4月からは、たとえば重症化予防薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)を使用する場合、1日2回5日分の処方で約9万円のうち、3割負担であれば約28,000円を自己負担することになる。また、月最大1万円の入院医療費の公費支援や、コロナ患者用病床を確保した医療機関への病床確保料の支払いも終了する。COVID-19の感染状況は改善傾向にあり、定点医療機関当たりの感染者数が12週ぶりに減少している。これらの背景から、政府は公費支援の全面撤廃と通常の診療体制への移行が可能と判断した。さらに、次の感染症危機に備え、公的医療機関などに入院受け入れなどを義務付ける改正感染症法が4月から施行される。参考1)新型コロナの公費負担、4月から全面撤廃へ…治療薬に自己負担・入院支援も打ち切り(読売新聞)2)新型コロナ公費支援 3月末で終了 4月からは通常の医療体制へ(NHK)3)新型コロナ公費支援、3月末で完全廃止 厚生労働省(日経新聞)2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省厚生労働省は、飲酒による健康リスクを明らかにするため、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表した。初めて作成されたこの指針では、純アルコール量に着目し、疾患別に発症リスクを例示している。大腸がんのリスクは1日20g以上の純アルコール摂取で高まり、高血圧に関しては少量の飲酒でもリスクが上昇すると指摘されている。純アルコール量20gは、ビール中瓶1本、日本酒1合、またはウイスキーのダブル1杯に相当。ガイドラインによると、脳梗塞の発症リスクは、男性で1日40g、女性で11gの純アルコール摂取量で高まる。女性は14gで乳がん、男性は20gで前立腺がんのリスクが増加する。さらに、男性は少量の飲酒でも胃がんや食道がんを発症しやすいと報告されている。とくに女性や高齢者は、体内の水分量が少なくアルコールの影響を受けやすいため、注意が必要。また、女性は少量や短期間の飲酒でもアルコール性肝硬変になるリスクがあり、高齢者では認知症や転倒のリスクが一定量を超えると高まる。ガイドラインでは、不安や不眠を解消するための飲酒を避け、他人への飲酒を強要しないこと、飲酒前や飲酒中の食事の摂取、水分補給、週に数日の断酒日の設定など、健康への配慮としての留意点も挙げている。厚労省の担当者は、「体への影響は個人差があり、ガイドラインを参考に、自分に合った飲酒量を決めることが重要だ」と強調している。参考1)健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(厚労省)2)ビールロング缶1日1本で大腸がんの危険、女性は男性より少量・短期間でアルコール性肝硬変も(読売新聞)3)飲酒少量でも高血圧リスク 健康に配慮、留意点も 厚労省が初の指針(東京新聞)3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大愛知医科大学(愛知県長久手市)は、大学入学共通テストを使用した医学部入学試験の過程で、PC操作ミスにより本来2次試験の受験資格を有していた80人の受験生を誤って不合格としていたことを発表した。この問題は、SNS上で受験生間の投稿を通じて疑問が提起され、その後の大学による確認作業で明らかになった。受験生は、自己採点結果から「自分より点数が低い友人が合格している」といった内容をSNSに投稿していた。操作ミスは、大学入試センターから提供された成績データを学内システムに転記する際に発生したもので、一部受験生の点数が実際よりも低く記録されてしまったことが原因。発覚後、同大学は該当する80人の受験生に対し、予定されていた2次試験への参加資格があることを通知し、さらに受験できない者のために別の日程も設定した。この事態を重くみた大学は、「受験生に混乱を招いたことを深くお詫びする」との声明を発表し、今後のチェック体制の見直しを約束し、2度と同様のミスが発生しないようにするとしている。参考1)令和6年度医学部大学入学共通テスト利用選抜(前期)における 第2次試験受験資格者の判定ミスについて(愛知医大)2)愛知医科大学 医学部入試で80人を誤って不合格に PC操作ミスで(NHK)3)愛知医科大、PC操作ミスで80人誤って不合格…SNSで結果疑う投稿相次ぎ大学が確認し判明(読売新聞)4)「自己採点で自分より低い友人が合格」愛知医科大、判定ミスで80人不合格に(中日新聞)4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構日本専門医機構は、2024年2月19日の定例記者会見で、2024年度に研修を開始する専攻医の採用予定数が9,496人と発表し、過去最多であることを明らかにした。2023年度の9,325人から増加し、とくに整形外科で93人、救急科で66人の増加がみられる一方、皮膚科では51人、外科では25人の減少が確認された。同機構理事長の渡辺 毅氏は、外科専攻医の減少は問題であると指摘している。専攻医数の増加は、東北医科薬科大学や国際医療福祉大学の医学部新設とその卒業生の専攻医登録が影響しているとされ、とくに医師不足が指摘されている外科は微減傾向にあるものの、救急科では増加が予想されている。また、専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センター(神戸市)でのサイトビジット(現地調査)を実施する予定であり、専攻医の心身の健康維持や時間外勤務の上限明示などの環境整備が適切に行われているかを目的に調査が行われる。渡辺氏は、「得られた知見を将来の専攻医研修プログラムや専門医制度の整備指針の改善に生かしたい」と述べている。専攻医遺族が甲南医療センター側を提訴しているため、訴訟に影響が出ないような日程での実施を目指している。参考1)2024年度専攻医、整形外科や救急科で増加(日経メディカル)2)来年度の専攻医、昨年度比150人増の9,500人(Medical Tribune)5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県小牧市民病院(愛知県)が、医師や薬剤師を含む約277人の職員に対して、夜勤や土日祝日の当直業務で適切に支払われていなかった時間外勤務手当の差額約8億円を支給することを発表した。これは、病院の医師の働き方改革を機に勤務や手当の見直しが行われた際に、複数の医師からの指摘を受けて発覚、本来、労働実態に応じて支給されるべき時間外手当が、一律の定額で支給されていたことが問題となったもの。病院側は、2023年4月からこの問題を調査し、約4年分の差額を医師、薬剤師、放射線技師などの職員に支払うことを決定した。また、3月以降は時間外勤務手当を適切に支給する制度に改めることも発表した。これまでの誤った運用は「慣例に従っていた」との理由から起こったとしている。さらに、病院は夜間や休日の手当の見直しも発表し、2020年4月~2024年2月までの間に当直業務に従事した職員に対して、法律で定められた賃金よりも過小だった手当の差額を支給する。病院側はこれまで、労働基準法に基づいた時間外勤務手当の支給が必要な場合、特例措置として「宿日直許可」を労働基準監督署に申請する必要があることを知らなかったと述べている。この措置により、病院は正規の時間外勤務手当とこれまで支給してきた手当との差額を職員に支給し、法律に準拠した形での勤務条件の改善を目指す。差額の支払いについては、市議会定例会に補正予算案を提出し、支払いは5月下旬に行われる予定。参考1)時間外手当、差額8億円支払いへ 医師ら277人に 愛知の市民病院(朝日新聞)2)小牧市民病院、夜間・休日手当見直しへ 20年以降の差額も支給(中日新聞)6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター夜間や休日に医師の往診をWebやアプリから依頼できるサービス「みてねコールドクター」が、診療報酬の改定により条件が厳格化されるため、3月31日をもって終了することが発表された。このサービスは、子供の医療助成制度適用で都内では自己負担0円(交通費別)で利用が可能で、約400人の医師が登録・在籍し、夜間・休日の急病時に最短30分で自宅に医師を派遣し、その場で薬を渡すことができた。2022年にはミクシィとの資本業務提携を経て、サービス名に「みてね」のブランドを冠し、とくに子育て世代から高い評価を得ていた。今回の診療報酬改定では、医療従事者の賃上げなどに充てるための基本報酬の引き上げが注目されていたが、往診サービスについては「普段から訪問診療を受けていない患者」への緊急往診や夜間往診の診療報酬が低下し、この変化に伴い「みてねコールドクター」はサービスの終了を決定した。同社は、今後の市場の変化を見据えての決定であると説明しており、オンライン診療や医療相談サービスは継続する。診療報酬の改定では、救急搬送の不必要な減少や医療現場の負担軽減を期待していたが、実際には小児科領域の往診が主であり、コロナ禍での特殊な状況下では多くの人にとって救いとなった。しかし、保険診療の方向性としては、緊急時のみに駆けつける医師ではなく、日常を支えるかかりつけ医の強化が求められている。参考1)往診のサービス提供終了のお知らせ(コールドクター)2)往診アプリ「みてねコールドクター」往診終了 診療報酬改定で(ITmedia NEWS)3)「みてねコールドクター」の往診サービスが終了に(Impress)4)人気の“往診サービス”が突然の終了、理由は「診療報酬改定」なぜ?(Withnews)

18.

ようやくドイツで災害医療向けのガイドラインが完成【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第33回

2024年、日本は大変なスタートとなってしまいました。連日、能登半島地震の被害状況がメディアで報道され、痛ましい映像が流されている状況です。毎年50億円くらいの予算を投じて作成されている地震ハザードマップでは、能登半島はむしろ「安全」な地域になっていました。と、言いますか新潟県中越地震(2004年)、熊本地震(2016年)のときもハザードマップでは、危険が低い地域になっていたと思います。うーん、どうやら地震の予測はまだまだ難しそうです。日本に住んでいる限りは、本当に明日はわが身と思っておかなければいけないことを痛感しています。災害の多い日本は、災害派遣医療チーム(DMAT:Disaster Medical Assistance Team)をはじめてとして、災害医療のレベルが本当に高いですよね。大きな災害のたびに、何かしらの課題が指摘されて、次にはちゃんと修正されています。避けることができない災害なら、被害を最小限にするための努力を諦めない、そういった強い意志を感じます。自然災害が少ないドイツもやっと救急医療の整備を始めたドイツはほとんど地震がありません。近年は気候変動による河川の氾濫など、自然災害は増加傾向にありますが、わが国と比べると自然災害の頻度は低くなっています。実はドイツには救急に関して専門医制度が確立しておらず、大きな病院でも救急部門がありません。救急に関して遅れている国と言えます。救急認定医みたいな制度がありますが、医師会が実施している講習会を受けて、ちょっと実習するだけで取れるみたいです。以前、実習をさせてもらっていた開業医の先生が取っていましたが、「結局、救急のことはよく知らない」と言っているレベルでした。そんなドイツですが、最近、麻酔科学会と集中治療学会が中心となって、28個の学会が共同して災害医療のガイドラインの作成が行われました。ドイツの「災害医療のプレホスピタルガイドライン」です。画像を拡大する右上に作成日が書かれていますが、「2023年4月」と本当に最近作成されています。これまでなかったことにも驚きです。どちらかと言えば内容は自然災害よりもバイオテロなどへ意識を向けている印象となっています。自然災害が少ない代わりに、戦争や大規模テロのリスクが高いとされるヨーロッパ。一口に「災害医療」と言っても、国によってニーズがまちまちであることを感じます。

19.

第172回 地域枠離脱者には専門医資格を取らせないように!「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」が今年も提言

「不同意離脱者については、 専門医資格の認定・更新を行わないよう働きかけるべき」こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。トレードの話題で持ちきりだったMLBの大谷 翔平選手ですが、オーナーの強い意向もあり、ロサンゼルス・エンジェルスはプレーオフ進出を目指して戦う方針が決定、今シーズンはエンジェルスを離れないことが決まりした。まずはひと安心です。しかし、その後、トロント・ブルージェイズ戦で2連敗と、なかなか厳しい状況ではあります。トレードは、チーム側(オーナー、GM)が選手の行き先の決定権を握っています。これに対し、FA(フリーエージェント)となれば選手がチームを選べるようになります。今回の決定で、大谷選手については、シーズンオフ、FA権取得後に争奪戦が本格化することになります。「大谷とポストシーズンへ」という方針を明確に打ち出したエンジェルスは、その争奪戦においても、少しだけアドバンテージを取れたかもしれません。そもそもFAは、経営者側が選手を縛ってきた状況を改善すべく、1970年代半ばにできた制度だそうです。ただ、FA権取得までに選手は6年のメジャー在籍が必要なため、取得時にはすでに最盛期を過ぎてしまっているケースも少なくないなど、課題もあるようです。さて、今回は「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」が7月26日に取りまとめ公表した、医師不足や地域間偏在の解消に向けた国への提言について書いてみたいと思います。同提言では、地域枠都道府県が不同意と認定した不同意離脱者については、専門医資格の認定・更新を行わないよう、国が日本専門医機構に働きかけるべきだとしました。地域枠で医学部に入学したにもかかわらず、入学後、あるいは卒業後に地域枠を外れる医師への対応を巡って、議論が本格化しそうな気配です。医師少数県12県でつくる「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」医師少数県12県(青森、岩手、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、長野、静岡、宮崎)でつくる「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」(会長・達増 拓也岩手県知事)は26日、山梨県の八ヶ岳山麓で会合を開き、医師不足や地域間偏在の解消に向け、国への提言をまとめ、厚生労働省と文部科学省に提出しました1)。同会は2020年に設立された組織で、毎年同趣旨の提言を行っています。今年の提言では、地域医療の現状について「我が国の地域医療の現場では医師の絶対数の不足や地域間・診療科間の偏在等が極めて顕著となり、いわば『地域医療崩壊』の危機的状況にある」、「『医師の働き方改革』が、医師不足地域において医師の確保が図られないまま推進された場合、医療機関においては診療体制の縮小を余儀なくされ、救急医療や周産期医療の提供が困難になるなど、地域医療提供体制に多大な影響が生じることが懸念される」として、「医学部の大幅定員増や医学部新設」「医師の地域偏在解消に向けた臨床研修制度の見直し」「医師の地域偏在解消に向けた実効性を伴う専門研修の仕組みの創設」などを求めました。注目されたのは、「実効性を伴う専門研修の仕組みの創設」の中で、「専門医制度における地域枠離脱防止策」について改めて言及している点です。特に医学部地域枠の不同意離脱者に関する提言は3年連続となります。今年は具体的には、日本専門医機構において、地域枠都道府県との不同意離脱者に対し、専門医資格の認定及び更新を行わないよう、改めて国から働きかけること。地域枠からの離脱について、不同意と認定することで都道府県が法的な責任を負うことのないよう、同意/不同意の基準を明確に示すなど、国の積極的な関与により、実効性のある仕組みを整備すること。という内容でした。つまり、地域枠離脱者で、奨学金等を出している都道府県が離脱を不同意と認定した場合は、専門医資格の認定及び更新を行わないようにしろ、ということです。「法的な責任」とは、専門医の資格が取れなかったことなどを理由に医師側から訴えられたとしても、都道府県は罪とならないような仕組みにしてくれ、ということです。日本専門医機構のペナルティはペンディング中地域枠からの離脱について、専門医を取らせないようにするという日本専門医機構のペナルティは2021年度にスタートし、制度として定着していくかに見えました。しかし、「法的拘束力がない」といった指摘がなされ、現在、そのペナルティは科されていないようです。7月27日付のMEDIFAXは、「地域枠医師について、(専門医)機構は2022年秋まで、ホームページで以下のように記載していた。『都道府県と同意されないまま、当該医師が地域枠として課せられた従事要件を履行せず専門研修を修了した場合、原則、機構は当該医師を専門医として不認定とする』。しかし、『県が同意しなければ専門医認定が取得できないのか』といった疑問の声が上がり、機構はいったん記載を取りやめた。機構は現在、地域枠医師の専門医認定について、『統一的見解』をまとめる方向で検討している」と書いています。地域枠の当該県で働くという誓約書に法的な拘束力はあるか?地域枠の医師は、医師免許を得た後、概ね9年間、当該都道府県内の地域で医師として働くことになっています。奨学金を借りることもセットになっており、9年働いたら返済が免除される、というのが一般的な条件です(自治体ではなく、大学が実施している地域枠もあります)。地域枠から途中で離脱する場合、この奨学金を利子付きで返済することになるのは契約違反なので当然と言えますが、今、とくに問題とされているのは「9年間、地域枠の当該県で働く」という誓約書の法的な拘束力です。医療問題に詳しい弁護士の井上 清成氏は、2022年12月7日発信の医療ガバナンス学会発行のメールマガジン「Vol.22248 地域枠からの『不同意」離脱の運用を改善すべき」の中でこの問題を取り上げ、「入学後の誓約書(又は同意書)が無ければもちろんのこと、そのような誓約書等があったとしても、将来の就労義務の法的拘束力は、甚だ疑問だということになろう。つまり、学生や研修医に法的義務を課すことには疑問符がついているので、よく『道義的責任がある』と言われるようである。ここで注意しておきたいことは、往々にして『道義的責任がある』と言われていることは、『法的責任がない』と言うことと同義だ」と書き、日本専門医機構のペナルティについて、「単に『道義的責任』があると言うだけで『専門医の認定』という権利を剥奪するのは、医師の人権ないし権利への侵害と言いうるように考えられる」と書いています。離脱者は現在、年間数人というレベルもアカハラ、パワハラの存在も厚生労働省の調べによれば、地域枠の離脱者には、2012年頃までは、地域枠学生全体の10%以上で推移、2010年度は95人(全体の12%)にも上っていました。その後は低下に転じ、現在は年間数人というレベルのようです。離脱者の数が少なくなってきた一方で、離脱表明者に対する大学等からのアカハラ、パワハラの存在なども報道されており、「不当な人身拘束から医師を守れ」というような、地域枠離脱希望者の人権擁護の立場からの論調も見受けられます。しかし、一方で、「地域医療に従事してもらいたい」と税金を使って地域枠をつくったのに、辞められてしまう都道府県側もたまったものではありません。「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」が毎年この問題を取り上げる気持ちも理解できます。一般入試より入りやすいというメリットを享受し医学部に入りながら、合格したら「地域枠辞めたいです」では、「道義的責任」を持ち出したくもなります。これまでとは違った角度から地域枠制度の見直しを不同意離脱者に対するさまざまなペナルティ(専門医を取らせないことに加え、医師臨床研修費補助金の減額等)は確かに再考の余地があるとは思います。しかし、一方で、もう少し離脱希望者を減らす工夫をできないものでしょうか。MLB選手のFAまでメジャー6年という年数ですら長いと言われています。大学や初期研修における総合診療やプライマリ・ケアの教育を強化することで即戦力を早く育て、同時に勤務年限を9年よりも短くする、あるいは生涯積算で9年(若い時5年、残りは65歳までに積算2〜3年とか)にするなど、これまでとは違った角度、視点から、地域枠の仕組みを見直してみることも必要だと思います。参考1)医師不足や地域間偏在の根本的な解消に向けた実効性のある施策の実施を求める提言/地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会

20.

第153回 ふたたび医療崩壊の危機 新型コロナ感染拡大による病床不足深刻化/沖縄県

<先週の動き>1.ふたたび医療崩壊の危機 新型コロナ感染拡大による病床不足深刻化/沖縄県2.2024年度の診療報酬改定に向けて「かかりつけ医機能」を議論/厚労省3.認知症基本法に基づく対策の強化と推進を本格化へ/厚労省4.コロナ禍で高齢者の医療情報収集が急増、ネット利用率50%に/内閣府5.来年度の専攻医シーリングを了承-地域医療の偏在是正へ検討を進める/厚労省6.眼科医、白内障手術で賄賂受け取りの疑い 医療機器会社が関与/奈良県1.ふたたび医療崩壊の危機 新型コロナ感染拡大による病床不足深刻化/沖縄県沖縄県では新型コロナウイルスの感染拡大により入院患者が増加し、病床不足が深刻化している。すでに救急を一部制限している医療機関が7ヵ所の他、一般医療の制限もかけている医療機関が3ヵ所になっており、医療従事者は、「今後、必要な医療を受けられなくなる可能性がある」と警告している。沖縄県立中部病院では、人手不足と病床の不足から救急外来を制限しており、他の病院と連携して対応しているが、すでに限界に近い状況であり、さらなる感染拡大で他の病気に対応できなくなる恐れがある。石垣島の沖縄県立八重山病院では、コロナ専用病床が満床となり、感染者が急増していることから医療破綻の危機に直面している。住民に対しては感染防止対策の徹底を呼びかけている。沖縄県全体でも新型コロナの患者数が前週比で1.5倍に増え、患者の搬送先を探すのに時間がかかるケースも出ている。医療提供体制のひっ迫が進んでおり、救急診療や一般診療の制限も行われている。県内の医療機関では医療従事者の感染や勤務困難者も増加しており、深刻な状況が続いている。県は軽症の場合は救急受診を控えるよう呼びかけている。参考1)沖縄がコロナ拡大で救急制限 入院500人超え、搬送が困難な事例も増加「ぎりぎりの総力戦」(琉球新報)2.2024年度の診療報酬改定に向けて「かかりつけ医機能」を議論/厚労省厚生労働省は、6月21日に中央社会保険医療協議会の総会を開催した。この中で2024年度の診療報酬改定に向けて、外来医療の評価について議論を始めた。地域医療の提供体制を整備するために、診療所などの「かかりつけ医機能」を強化し、医療機関の役割分担と連携を後押しすることが目標。議論の中では「かかりつけ医機能」に加えて、生活習慣病対策やオンライン診療についても検討される。また、2025年4月からは診療所や病院が「かかりつけ医機能」の整備状況を報告する新制度が開始される。今後、同省内で制度の具体的な評価内容が検討され、診療報酬における評価も議論、来年春の診療報酬改定で具体化される見通し。参考1)中央社会保険医療協議会 総会(厚労省)2)「かかりつけ医機能」推進の議論始まる 介護との連携強化などがテーマに(CB news)3)かかりつけ医機能は「地域の医療機関が連携して果たす」べきもの、診療報酬による評価でもこの点を踏まえよ-中医協総会(1)(Gem Med)3.認知症基本法に基づく対策の強化と推進を本格化へ/厚労省6月14日に参議院本会議で厚生労働省提出の「認知症基本法」が全会一致で可決・成立した。同省では、この法律に基づいて、認知症患者への対策の強化と推進を目指し、基本計画の策定に向けた検討を本格化させることが明らかになった。同法は、認知症の人が暮らしやすい環境を整えるため、国や自治体の取り組みを定めており、法律では、認知症の人が尊厳を保持し、希望を持って暮らせるよう、認知症施策推進本部の設置や交通手段の確保、地域での見守り体制整備などを求め、課題の整理と政策について検討を年末までに行う予定。今後、増えていく認知症について、国民の理解促進や若年性アルツハイマー患者の就労機会の確保、脳科学の研究などが論点となる見通し。同省の研究班による推計では、認知症は増加傾向であり、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になる見込み。参考1)認知症基本法案(衆議院)2)政府 認知症対策の検討本格化へ 若い患者が働ける機会確保など(NHK)3)参院本会議 認知症基本法が成立 国や自治体の取り組み定める(同)4.コロナ禍で高齢者の医療情報収集が急増、ネット利用率50%に/内閣府内閣府は6月20日に、令和5年版「高齢社会白書」閣議決定を行い、高齢者のインターネット利用に関するデータを発表した。この中で、新型コロナウイルスの感染拡大により、高齢者の間でネット利用が急速に広まったことが明らかになった。政府が実施した調査によれば、65歳以上の高齢者のうち、医療や健康に関する情報をインターネットで調べる人の割合が2022年には50.2%に達し、5年前の調査結果の20.0%から大幅に増加していた。高齢者がネットで調べる内容は、病気に関する情報が最も多く、39.0%を占めていた。具体的には、病名や症状、処置方法についての情報収集が主な目的。その他、医療機関や薬の効果や副作用、自分でできる運動やマッサージの方法などについてもネットで調べる割合が増えていることが明らかとなった。政府は、新型コロナウイルスの感染拡大により人との直接的な接触が制約されたため、高齢者にとってインターネットが重要な情報収集手段となったと分析している。政府は、この結果を踏まえて高齢者の情報アクセスの向上策やインターネット利用の支援策を検討していく方針。参考1)令和5年版高齢社会白書[全体版/PDF版](内閣府)2)ネット使う高齢者、コロナ前の20%から50%に急増…医療機関や病気の症状調べる(読売新聞)3)ネットで医療情報調べる高齢者、コロナ禍前の2.5倍に 23年版の高齢社会白書(CB news)5.来年度の専攻医シーリングを了承-地域医療の偏在是正へ検討を進める/厚労省厚生労働省は、6月22日に医道審議会医師分科会の医師専門研修部会を開催し、24年度の専攻医採用のシーリング(最大採用数)について、日本専門医機構の提案を了承した。既存のプログラムについては、23年度と同じシーリング数とすることが決まり、厚労省や都道府県知事の意見も検討する。今後、審査を経て、12月から専攻医の募集が開始される予定。専攻医の採用については、地域の医師や診療科の偏在を是正するために、都道府県や診療科ごとにシーリングが設けられており、2023年度の専攻医採用では、東京や京都、大阪、福岡などが対象となっていた。部会では、地域医療を守るためにシーリングを維持する必要があるとの指摘があり、医師の偏在が解消されるよう、さまざまな角度から検証するよう求める意見も出された。また、シーリング開始後全国で人口当たりの専攻医数は増加傾向にあり、診療科別では「総合診療科」「救急科」の医師は増加しているが、「外科」「内科」では苦戦していることが明らかになった。参考1)2024年度からの新専門医制度研修を受ける専攻医、募集遅らせるわけにいかず「現行シーリングを維持」したい-専門医機構(Gem Med)2)令和5年度第1回医道審議会医師分科会 医師専門研修部会(厚労省)4)日本専門医機構 2024年度プログラム募集シーリング数[案](同)6.眼科医、白内障手術で賄賂受け取りの疑い 医療機器会社が関与/奈良県奈良県の公立病院の眼科医が、白内障の手術で使用する眼内レンズを優先的に使う見返りに現金80万円を受け取った疑いで書類送検された。大阪府警によると、この医師が2019年から2021年にかけて3回にわたり、医師名義の口座に現金を振り込ませたため、収賄疑いで書類送検した。さらに大阪府警はこの医師の他に、医療機器会社「スター・ジャパン」の役員ら5人も書類送検した。府警は、医師と会社との間での契約期間中に使用されるレンズの割合が異常に高かったため、現金はレンズの売り上げ確保のための賄賂だったと判断した。 この問題は、全国の総合病院などの眼科医が同社に対し手術動画を提供し、現金を受け取っていた問題から発展している。医療機器業公正取引協議会は、同社に厳重警告を行っており、大和高田市立病院は事実関係を確認し、市との対応を協議する意向。スター・ジャパンは捜査に全面的に協力し、再発防止のためのコンプライアンス強化策を実施するとコメントしている。参考1)報道の件に関して (スター・ジャパン合同会社)2)手術動画の提供医を書類送検 医療機器会社役員ら5人も(東京新聞)3)大和高田市立病院の眼科医 医療機器使用で収賄疑い 書類送検(NHK)

検索結果 合計:50件 表示位置:1 - 20