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在宅療養COVID-19患者の呼吸困難への対応【非専門医のための緩和ケアTips】第10回

第10回 在宅療養COVID-19患者の呼吸困難への対応まだまだ収束の兆しが見えない、COVID-19のパンデミック。流行の状況によっては開業医も外来や在宅医療で感染患者の診療が求められます。今回は緩和ケア分野の経験を通じてCOVID-19感染症の診療に活用できる知見を共有したいと思います。今日の質問私の診療エリアでもCOVID-19感染患者が増えた際には、在宅療養者の対応が求められそうです。原疾患の改善を待つ期間、呼吸困難に対してどのような介入ができますか? 自宅療養を支えるための緩和手段があれば教えてもらいたいです。感染者の急増を受け、病院以外の現場でCOVID-19診療に関わる方も増えているのではないでしょうか。地域によっては有症状であっても、在宅療養で経過を見る必要も出ています。適切かつ可能な範囲の治療を在宅で行いながら、重症化した際に基幹病院と連携することが重要であることは言うまでもありません。加えて、不安を抱えながら在宅療養をする患者さんを支えるためには呼吸困難といった身体症状を和らげることが大切です。日本緩和医療学会では今回のパンデミックを受け、「COVID-19患者の呼吸困難への対応に関する手引き(在宅版)」を公開しています。この手引きでは、COVID-19患者の呼吸困難に関して、STEP1酸素投与・その他の対応STEP2オピオイド経口投与(内服できる患者)STEP3オピオイド非経口投与(内服できない患者)STEP4苦痛緩和のための鎮静の4つのステップに分けて対応を記載しています。薬物療法の中心となるのは、モルヒネなどの医療用麻薬です。ご存じのように、医療用麻薬の多くは保険適用外使用となりますので、処方の際は患者・家族への説明が必要です。また、在宅療養という環境下で安全に使用できる体制構築が重要なのは言うまでもありません。在宅医療下では常時のモニタリングはできません。そのような環境下で急性期医療に近い医療を提供することは非常に困難ですが、この手引きは現状の多くの在宅医療環境で運用可能な内容となっています。COVID-19患者の呼吸困難への対応に関するエビデンスはまだ確立されていない状況であり、この手引きはその他の疾患領域での対応を踏まえたエキスパート・オピニオンに基づいたものです。実際にどこまでの対応を在宅で取り組む必要があるかは、地域の感染者数や基幹病院の状況にもよるので、地域の実情に合わせてご活用ください。日本緩和医療学会はCOVID-19に関連した情報発信をする特設サイトを開設しています。皆さまの診療に役立つ内容が多く掲載されているので、ぜひ御覧ください。早く日常が戻ってくることを祈りつつ、今回のコラムを終えたいと思います。今回のTips今回のTipsCOVID-19患者の療養を支えるためにも、緩和ケアの症状緩和スキルを活用しよう!

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第72回 新型コロナ患者の自宅療養、開業医の懸念は?

新型コロナ中等症患者の「原則自宅療養」の方針が批判された政府は、「酸素投与が必要な者、重症化リスクがある者」を入院対象にし、入院の可否は最終的に医師が判断、またこの考えは、感染者急増地域の新たな選択肢として自治体が採否を判断するとした。しかし、基本方針自体は正式には撤回されていない。新型コロナウイルス感染者の激増に伴い、全国の自宅療養者は10万人規模に膨れ上がっている。病床も逼迫する中、政府は開業医に対し、入院できない自宅療養者への支援と協力を要請しているが、現場の医師たちはどう受け止めているのだろうか。6割が中等症患者の自宅療養に反対1日当たりの新規感染者が連日2,000人を超える大阪府。府保険医協会は8月10日、会員約4,000件を対象に、自宅療養者への在宅医療支援要請に関するFAXアンケートを実施し、19日現在で252件の回答を得た。自宅療養を基本とする政府の方針に対し、回答者(複数回答あり)の62%が「中等症を自宅療養とするのは反対」でトップ。次いで「自治体と開業医に責任を丸投げしている」(42.1%)、「現状の状態ではやむを得ない」(33.3%)が続いた。自宅療養者への対応に関しては、66.2%が「対応する」と回答。「条件次第」(8.3%)を含めると74.5%が積極的な対応を検討している。一方、「対応できない」は23.4%だった。具体的な対応内容については、▽電話対応のみ(85件)▽かかりつけ患者のみ対応(軽症111件、中等症17件)▽広く受け入れる(軽症17件、中等症8件)―だった。開業医はコロナ対応に関わっていないとの報道があるが、在宅を含む日常診療や発熱・検査、ワクチン接種など多くの業務を抱えつつも、積極的に関わろうとする医療機関は決して少なくないことが明らかになった。休日・夜間を含めた保健所の対応を要望開業医が自宅療養に対応するにあたっての「必要な条件」について、回答者の92%が「急変時の搬送先確保」を挙げた(複数回答あり)。以下、「入院の判断基準の明確化」(59.5%)、「患家へのパルスオキシメーター配布」(56.7%)、「休日・夜間も含めた保健所の対応」(55.5%)、「感染した際の補償」(53.6%)が続いた。「急変時の搬送先確保」は、「懸念されること」のトップ(95%)にもなっている。2番目は「自身とスタッフの感染」(76.2%)、3番目には「休日・夜間も含めた保健所の対応」(59.5%)が挙げられた。また、保健所との連絡については、7月以降の感染者に関わる報告や問い合わせなどに関して38.5%が「つながらない」「返事がない」と回答。一方で、「概ね問題ない」も37.3%あった。陽性患者を診療した場合の公費負担認定に対しては、「認定が遅い」「返事がない」が26.2%あった。一方、「認定は迅速」は20.2%だった。大規模入院施設の開設を求める意見も中等症患者への対応に関しては、「大規模入院施設を国や自治体が主体で開設し、十分な休業補償をした上で医師や看護師が交代で対応するようにすべき」という意見もあった。国や自治体は、自宅療養者の「急変時の搬送先」を確保した上で、開業医に支援や協力を求めるべきではないだろうか。大阪府保険医協会は今回のアンケート結果を受け、医療機関の自宅療養者への支援にあたっての課題を整理し、現場の実情を踏まえた上で、必要な措置などを講じるよう国や大阪府に要望していくという。自宅療養中の妊婦が早産し、受け入れ先が見つからないまま新生児が死亡した千葉県の事案が大きく報じられ、若年層や中年層の死亡事例も毎日のようにニュースになっている。現状のどこに問題があるのかを早急に洗い出し、喫緊の対応が迫られている。

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第72回 今さら「手紙」で協力求める日医・中川会長、“野戦病院”提言も動かない会員たちにお手上げ?

動き出した“野戦病院”だがこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。週末は、大学の山のクラブの先輩が茨城県で営む農園のビニールハウスの修繕(先々週の嵐で倒壊)に、仲間数人で行ってきました。先輩は昨年末に食道がんの手術を受けたばかりで体力的に一人で直せないとSOSを発信、身近な仲間に緊急招集がかかったのです。我々支援隊は万全の感染対策(食事は屋外、宿泊も納屋か持参のテント)をとっての農作業で、まさに“野戦病院”的でしたが、暑さには参りました。あと、奥さんが「ワクチンは怖いので打たない」と話していたことにも…。仲間たちと延々説得を試みて「では、打ちます」となったのですが、若年者でなくてもワクチンを根拠なく忌避する人が身近にいることに改めて驚いた次第です。さて、前回も書いた“野戦病院”ですが、感染拡大が止まらず、自宅療養者も急増する中、どうやら政府も重い腰を上げそうです。西村 康稔経済再生担当大臣は、8月17日に開かれた衆参両院の議院運営委員会で、公明党・佐藤 英道氏の「自宅療養者の不安を解消するため、宿泊療養施設の確保や、いわゆる『野戦病院』の検討も進めるべきではないか」との質問に、「臨時の医療施設として、野戦病院的な、テントやプレハブで早期に作ることは、特例が認められているので、各都道府県と連携して必要なところに必要な支援を進めていきたい」と述べました。翌18日には日本医師会の中川 俊男会長が記者会見で、新型コロナウイルス感染症の中等症患者の入院施設として、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく臨時医療施設の設置を提言しました。中川会長は「民間が所有する大規模イベント会場や体育館など集中的に医療を提供できる場所を確保すべきだ」と話し、経団連と、加盟企業が保有している宿泊研修施設の活用について協議していることも明らかにしました。また同時に、医療従事者を確保するため、地域の医師会や看護協会と連携する考えも示した、とのことです。20日の閣議後の会見で、田村 憲久厚生労働大臣も、「全国的に、必要な自治体では臨時の医療施設の確保を検討してもらわなければならない」と述べました。政府、日医揃ってやっと重い腰を上げた格好ですが、気になることもあります。そうした施設に配置する人員です。会員の医師一人ひとりに協力を求める手紙を送ると日医会長8月18日に日本医師会から配信されたメール(「日医君」だよりNo.661)は、思わず脱力してしまう内容でした。中川会長は8月17日、新型コロナウイルスの爆発的な感染の拡大が全国規模で起きていることを受けて、会員の医師一人ひとりに改めて「協力を求める手紙」を送ることを決めた、というのです。手紙は8月28日から順次郵送を開始するそうです。決めてから10日以上先に発送とはすばらしいスピード感です。ひょっとしたら、手書きなのかもしれません。肝心の手紙の内容も公開されています。現在の日本の状況は緊急事態であり、新型コロナ医療と通常の医療の両立が崩れ始めているとした上で、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込み、同時に、なんとしても医療提供体制を維持しなくてはならないとして、「どうか、新型コロナウイルス感染症患者さんの入院が難しい医療機関におかれましても、今一度、受け入れのご検討をお願いします。診療所におかれましては、どうか、できうる限り、自宅療養、宿泊療養の患者さんの健康観察、電話等による診療や往診を行っていただきますようお願いします」と、病院、診療所の両方にお願いする内容となっています。おいおい今ごろ手紙かよ、医療提供体制の構築に向けて春からきちんと取り組んで来たのではないのかよ……と、思わず口に出して突っ込んでしまいました。そう言えばアベノマスクの時も同じような脱力感を覚えました。8月3日に菅 義偉首相が中川会長と面会、往診や遠隔医療での医師会員の協力を養成した際には確か「特に自宅療養への対応に重点を置いた体制整備を進めている」と答えていたはずでしたが…。医療提供体制の確保に無力の日本医師会臨時医療施設の設置を提言する一方で、そこで働いてもらう医師をはじめとする医療スタッフの確保については、手紙ベースでこれからお願いするのでしょうか。今更ながら、人員含めた地域の医療提供体制の確保において、日本医師会という組織は無力だと再認識できた次第です。彼らは結局、患者や国民は二の次で、診療報酬というパイの確保や補助金を含めた医師へのお金の配分しか考えられないのかもしれません。仮にこれから臨時の医療施設ができても、都道府県医師会、あるいは地区医師会などが動かない限り、「仏作って魂入れず」という事態に陥るでしょう。ワクチン接種遅れ、原因の一つに日医肝いりの「個別接種」日本医師会については、月刊誌『文藝春秋』9月号に、「日本医師会の病巣にメス」と題する興味深い記事が掲載されています。辰濃 哲郎氏と同誌の取材班によるこの記事は、日本でワクチン接種が大幅に遅れた原因の一つが、日本医師会の肝いりで強引に進められた「個別接種」にあることを、詳細な経緯とともにリポートしています。診療所を含めることで、ワクチンの配送や管理、接種登録が煩雑になることや、集団接種への人員が割けないとなど、さまざまな問題点が指摘されていたにもかかわらず敢行された個別接種。同記事は日医が診療所の参画にこだわった理由について、「昨年来、コロナ院内感染を危惧して発熱患者を断る診療所が少なくなかった。(中略)。個別接種は診療所医師がコロナ禍で存在感を発揮するうえで、中川会長の起死回生の策だったと思える」と書いています。結果はどうだったか。手厚い協力金によって接種に参加した医療機関を潤しました。しかし一方で、自治体が進める集団接種の接種人員不足などの問題も引き起こしました。また、ワクチン接種記録の未入力の発生(その結果、在庫量の把握が困難に)や、“かかりつけ”の患者しかワクチン接種を行わない医療機関の存在など、「個別接種」が接種推進の妨げの一因となっていたことは事実でしょう。なお、この記事では、そうした「個別接種」の問題点のほか、日本医師会という組織が昔から抱える根本的な問題(開業医の権益を守るための組織でしかないこと)についても書かれています。興味がある人は、ご一読をお薦めします。医師動員は改正感染症法で対応可能私は、個別接種への取り組みは、地域の医療提供体制見直しを遅らせる一因でもあったと考えています。日医には「会員がワクチン接種に関わることで“やってる感”を出しているうちに、コロナは収まるだろう」という甘い考えがあったのではないでしょうか。“コロナ一本足打法”の菅首相と同じです。そのため、今問題になっている医療提供体制について真剣に議論せず、今ごろになって臨時医療施設を提言しているわけです。それも人員のあてもなく。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身 茂会長は8月22日のNHK「日曜討論」で、新型コロナの全国的な感染拡大に関し、「コロナに関わっていない医療者がいるが、そういう人にもできる限り(対応を)やってもらいたい。国や自治体から強く要請してほしい」と、これまで治療などに当たってこなかった医療従事者に対する働きかけを強める必要があるとの認識を示しました。働きかけという点では、2月に施行された改正感染症法での対応が考えられます。同法では、感染症のまん延による緊急時に医師らに対して厚労相や都道府県知事が必要な協力を求めることができるとした上で、 正当な理由なく要請に応じない場合は「勧告」、勧告にも従わない場合はその旨を公表することができると規定しています(同法第16条の2)。これまでこの規定に基づく病床確保の要請は奈良県、大阪府、静岡県、茨城県、札幌市でありましたが(「第54回 なぜ奈良県で?「県内全75病院に病床確保要請」をうがった見方をしてみれば…」参照)、病院や医師個人に対する勧告や公表に至った事例はまだありません。と、ここまで書いてきて、大きなニュースが入って来ました。厚生労働省と東京都が8月23日、改正感染症法に基づいて都内の全医療機関に新型コロナウイルス患者の受け入れや医療従事者の派遣を連名で要請したのです。これまで要請してきたのは府県や市でした。国が要請に乗り出すのは初めてです。現在、都内で患者を受け入れているのは約400病院で、残り約250病院はコロナに直接関わっていないそうです。他に約1万3,500の診療所があり、要請はこれら全ての医療機関と医師・看護師の養成機関が対象とのことです。重点医療機関や協力病院にはさらなる患者受け入れや病床増、他の病院には宿泊療養施設や臨時医療施設の運営に関わるよう求め、診療所にも在宅医療や、宿泊療養施設・臨時医療施設への人材供給を求めるとしています。要請への回答期限は8月31日です。果たしてどれだけの病院、診療所が動くのかが注目されます。ロックダウン(都市封鎖)のような強制措置や、個人の行動制限の検討も始まるようです。ここは並行して、感染症法以外での、有事に病床を確保したり、医師を動員したりできる法的仕組みについても、ぜひ議論してもらいたいと思います。手紙や薄っぺらな言葉、実効性の薄い罰則では、今の時代人は動きません。

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8月開始の認定薬局制度 都で事前申請した薬局は計136軒【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第74回

2021年8月1日より、改正医薬品医療機器等法の認定薬局制度が始まりました。皆さんの薬局ではこの制度について話し合いましたか? 制度開始に先立って、6月や7月から事前申請をしていた薬局もあったようです。東京都福祉保健局薬務課は7月28日の定例会見で、8月から始まる改正医薬品医療機器法の認定薬局制度について、「事前申請」の受け付けが地域連携薬局で132軒、専門医療機関連携薬局で4軒に上ったことを明らかにした。早乙女芳明課長は「正直3ケタは行かないと寂しいと思っていたので、ちょうどいい数字」などと説明。ただ、まだ「様子見」の企業もあることから、「年末にかけてバラバラときてくれたらいい」と述べ、今後の認定薬局数の伸長に期待を寄せた。(2021年7月29日付 RISFAX)東京都の薬局数は約6,000軒で、地域連携薬局に事前申請したのはそのうちの132軒ですから、約2%の薬局が申請したということになります。この報道を見ると、想定どおりの申請があったという感じで担当者もホッとしているようですね。認定を受けた薬局は、薬局機能情報を提供する都のシステム「t-薬局いんふぉ」で検索することができます。要件の概要は本年1月に発表されていましたが、事前申請ができた薬局はその時点で要件を満たしていたか、あと一歩だった薬局なのでしょう。私自身は、制度開始の8月になったら考えるくらいでいいかなと思っていましたが、実際にすでに認定された薬局があると知ると少し焦る気持ちが出てきます。立地から機能で薬局を選ぶ流れができるか?新制度の薬局である「地域連携薬局」は、入退院時に医療機関と情報共有したり、在宅医療で地域の薬局と連携したりしながら地域で一元的・継続的に対応する薬局、「専門医療機関連携薬局」はがんなどの専門的な薬学管理で他医療提供施設と連携して対応する薬局です。それぞれの機能に関する基準を満たしたうえで、都道府県知事の認定を受ける必要があります。患者さんの状況や病態に合わせて患者さん自らが薬局を選択するという点がフォーカスされていますが、立地で選ばれることが多かった薬局業界で、専門的に対応している薬局や地域と連携して頑張っている薬局を押し出していきたいという意図を感じます。当初は「申請要件が難しくて無理…」と思っていましたが、改めて要件を見ると、以前よりも難しいと感じない気がします。無菌調剤の連携や在宅対応など、地域の連携が日常業務としてなじんできているのかもしれません。要件が難しいと思ってあきらめモードになっていた方も、ぜひ改めて確認してみてください。足りないところをピックアップして重点的に取り組み、1年後に申請というスケジュールを立ててもいいのではないでしょうか。ただし、絶対に忘れてはいけないことがあります。本制度の目的は、薬局の特色を明らかにすることで患者さん自らが薬局を選び、より良いサービスを受けられるようにすることであり、薬局の自己満足や今後の診療報酬対策で終わってはいけないという点です。患者さん自身が認定薬局制度を理解して、メリットをはっきりと感じてほしいです。今後調査されると思いますが、具体的な成果や認定薬局を選んだ患者さんのエピソードやレビューを集め、本制度の価値の裏付けになることを願います。

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第71回 「もはや災害時」なら、「現実解」は“野戦病院”、医師総動員、医療職の業務範囲拡大か

福井県は既に“野戦病院”整備こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末も大雨でどこにも行かず家に籠もっていました。甲子園の高校野球も延期に次ぐ延期だったので、NHK BSの「ワースポ× MLB」でMLBの現況をチェックしようと思い、何の気なしに観ていたら、興味深いニュースをやっていました。MLBが12日(日本時間13日)、名作映画「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年公開)の舞台となったアイオワ州ダイアーズビルで初の公式戦を開催し、ホワイトソックスとヤンキースが1919年頃の雰囲気たっぷりの中、当時の復刻ユニホームで戦った、というニュースです。「ワースポ× MLB」では、トウモロコシ畑から出てくるホワイトソックスとヤンキースの選手らの姿を映し出していましたが、まさにあの映画そのものでした。ケビン・コスナーが主演したこの映画のロケ地、私も約30年前に訪れたことがあります。米国出張の時、留学でアイオワ・シティに住んでいた友人宅に寄り、そこから車で約2時間かけてダイアーズビルまで見学に出かけたのです。映画公開から数年後で、観光客はまばらでした。映画で使われたセットの前の球場(今回の試合のためにMLBが500万ドルかけて新設した球場とは別)で、訪れた人がソフトボールに興じていたのが印象的でした。それにしても、今回の試合で8本も出たホームラン。ボールがフェンスを超え、トウモロシ畑に吸い込まれて行く画像はMLBの試合には見えず、笑えました。さて、今週は先週(第70回 真夏のホラー、コロナ患者「重症者以外自宅療養」方針めぐるドタバタで考えた“野戦病院”の必要性)書いた“野戦病院”について補足し、その必要性について改めて考えてみたいと思います。知人から、「“野戦病院”をもうつくった県があるよ」という連絡があったからです。それは、福井県です。福井市内の体育館に100床開設福井県は8月2日、新型コロナウイルス患者を受け入れる新たな病床として最大100床を確保、患者の増加状況に応じて福井市内の体育館1ヵ所に開設し、主に軽症者を受け入れると発表しました。体育館にはベッド、空調、仕切りなどの設備を整えるとのことです。福井県内の病床数はこれで404床となり、宿泊療養施設の146床と合わせると県内に計550床が確保されたことになります。中日新聞等の報道によれば、福井県では今後さらに感染が拡大することに備え、6月補正予算に関連費用を盛り込んでいた、とのことです。常時設置するわけではなく、必要に応じて必要な病床数を開設、近隣の医療機関の医師らが治療に当たるとしています。なお、稼働病床数が増えた場合は、県医師会や看護協会に協力を要請する予定だそうです。「自宅療養では容体が急変しても直ちに対応できない」と福井県担当者東京都や大阪府と人口や医療機関数では比べものになりませんが、少なくとも福井県が軽症者向けとはいえ、“野戦病院”的施設を準備したことは、先進的で評価できることでしょう。福井県ではこれまで、無症状者も含めて全陽性者を病院や宿泊施設で受け入れてきました。8月7日付の日刊ゲンダイDIGITALによれば、同県が「自宅療養させず」を貫いている理由について、県地域医療課の担当者は「自宅療養では容体が急変しても直ちに対応できない。感染判明後、すぐに医師の診療を受ける体制も必要なため、臨時施設を稼働させた。陽性者を速やかに隔離すれば、感染拡大の防止にもつながる」と語ったとのことです。前回も書いたように、中等症、軽症と診断され、自宅で療養するのはとても不安なものです。自宅療養者が増え過ぎ、保健所や自治体のフォローアップ機関が対応できないなら、症状や重症度を的確に判断できる医療スタッフの下で集団療養してもらうべきです。仮に宿泊療養施設の確保や、そこでの医療提供が難しいとするなら、ここは割り切って各地の体育館などに即席の“野戦病院”的施設をつくり、必要な医療機器も配置し、そこに地域の開業医をはじめとする医療スタッフたちを持ち回りで常駐させ、中等症、軽症患者を効率よく診察し、必要に応じて重症病床のある病院に送る仕組みをつくるのです。日本医師会を激しく批判していた長島 一茂氏(「第58回 コロナ禍、日医会長政治資金パーティ出席で再び開かれる?“家庭医構想”というパンドラの匣(前編)」参照)も、8月13日のテレビ朝日の「モーニングショー」で、「(東京都は)入院待機患者と自宅療養者合わせて3万人。東京ドームなど、大規模に患者を集めるところをつくらなくてはいけないのではないか」とコメントしていました。また、東京都医師会の尾崎 治夫会長も8月16日の同番組に出演、東京都の自宅療養患者の状況を説明したうえで、「早急に野戦病院をつくるべきだ」と強調していました。「酸素ステーション」も抗体カクテルもリップサービス止まりか?翻って、1日の新規感染者数2万人超えの状況でも、国の対応は相変わらずの後手後手、その場しのぎの感が拭えません。菅 義偉首相は8月13日の記者会見で、自宅療養者らが酸素吸入を必要とした場合に備える「酸素ステーション」を設置する方針を示し、加えて軽症・中等症向けの抗体カクテル療法を集中的に使用できる拠点の整備についても言及しました。抗体カクテル療法については、対象拡大(入院患者限定から宿泊療養施設入所者などにも)の通知が13日、各都道府県に出されています。ですが、国が打ち出すこうした新機軸は、当面の自分たちの無策をごまかすためのリップサービスにしか聞こえません。そもそも「酸素ステーション」をどれだけ配置しても、中等症、重症患者の根本治療にはなりません。さらに、そのステーションに誰が患者を連れていくのでしょうか。抗体カクテル療法(「第27回 トランプ大統領に抗体カクテル投与 その意味と懸念」参照)については、医師の24時間配置に加え、日本での供給量にも不安があります。一部の報道で年内20万回分調達(当面は7万回分)と言われていますので、今の新規患者数では単純計算で約10日分しかないことになります。また、 1回(2種類の抗体医薬)で約20万円(米国での医療費)とも言われるこの薬剤を、軽症者(あるいは未発症者)のどの範囲まで投与を認めるのか、という点も問題です。期待を抱かせて、結局は必要な患者すべてには行き渡らない可能性が大です。ちなみに、米国では先週、抗体カクテルが濃厚接触者等、コロナウイルスに曝露した一部の未発症の人にも使用できるようになりました。米国食品医薬品局(FDA)が8月10日、抗体カクテル(REGEN-COV)の緊急使用許可を改訂し、成人および小児におけるCOVID-19の曝露後予防(予防)としての緊急使用を承認したからです。入院や死亡など、重度に進行するリスクが高い人(12歳以上で体重40 kg以上)が対象とのことです。“野戦病院”的施設の開設、医師総動員、医療職の業務範囲拡大をセットで実行すれば新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」は8月11日、首都圏などの医療提供体制について「もはや災害時に近い」との見解をまとめました。東京都の小池 百合子知事も8月13日の記者会見で、自宅療養者2万人超の状況など踏まえ、「今、最大級、災害級の危機を迎えている」と強い危機感を表明しています。テレビでは、首都圏の中等症以上の患者が在宅療養を余儀なくされ、入院先探しに難渋している姿が、連日のように報道されています。それらの報道では、在宅医療で対応することの非効率性も指摘されています。菅首相が先週強調した「パルスオキシメーター配布」もまったく進んでいないようです。そう考えると、“野戦病院”的施設の開設は一つの「現実解」でしょう。同時にこれまでコロナ対応に十分に関わってこなかった医師たちを半ば強制的に総動員、“野戦病院”で働いてもらえば、今以上の「安全・安心」を自宅療養者に提供できるでしょう。医学部教育、医師の養成には多額の税金も投入されているわけですから、この際、動員には我慢して応じてもらいましょう。「強制的に動員」する仕組みの構築がすぐには難しいとしたら、医師以外の医療職(看護師、薬剤師、救急救命士…)に医師の業務の一定部分を任せる、という手も考えられます。今回の医療法改正で、医師の働き方改革の観点から、多くの医療職で業務範囲拡大が行われましたが(「第66回 医療法等改正、10月からの業務範囲拡大で救急救命士の争奪戦勃発か」参照)、その拡大範囲以上に、緊急措置として医師の業務を他職種に任せてしまうのです。例えば、宿泊療養施設の医療責任者は看護師にするとか、“野戦病院”での一定部分の医療行為は医師の指示なしでも看護師が行えるようにするなどが考えられます。動員についても、老健施設の管理者は看護師で代行させ、そこの医師を“野戦病院”に振り向ける、といった方法も考えられるでしょう。例によって、日本医師会は自分たちの領分を侵害されることを嫌がるでしょう。しかし、そこは政府がきちんと説得しないと。なにせ今は「災害時」であり有事なのですから。映画「フィールド・オブ・ドリームス」では、ケビン・コスナー演じる主人公が、だだっ広いトウモロコシ畑を整地し、野球場を一からつくるのですが、“野戦病院”は何も空き地に一からつくる必要はありません。ただ、体育館や室内アリーナなどを活用し、医療人材を集めればいいだけのことです。要はこの国の政治家、行政、医療人に、想像力と胆力があるかどうかの問題だと思います。

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第70回 真夏のホラー、コロナ患者「重症者以外自宅療養」方針めぐるドタバタで考えた“野戦病院”の必要性

「重症患者や重症化リスクの特に高い方以外の方は自宅で」と菅首相こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この連休は、諸々危ない東京を離れ、こっそりテントを担いで山に籠ろうと考えていたのですが、台風の接近で渋々断念。秋山に備え、山道具のメンテナンスで時間を潰しました。結構へたった道具も見つかり、それはそれで有意義な時間でした。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、7月30日には緊急事態宣言の対象府県が追加され、8月8日からはまん延防止等重点措置の適用地域に福島、茨城、栃木、群馬、静岡、愛知、滋賀、熊本の8県が追加されました。これによって、重点措置の適用地域は13道府県となりました。そんな中、8月2日に政府が打ち出した「新型コロナウイルスの感染者は重症患者などを除き自宅療養を基本とする」とした方針が、医療界だけでなく、政治の世界でも大混乱を引き起こしました。菅 義偉首相はこの日の記者会見で「重症患者や重症化リスクの特に高い方には、確実に入院していただけるよう、必要な病床を確保します。それ以外の方は自宅での療養を基本とし、症状が悪くなればすぐに入院できる体制を整備します。(自宅療養者には)地域の診療所が、往診やオンライン診療などによって、丁寧に状況を把握できるようにします」と語ったわけですが、国民の多くには“患者切り捨て”と聞こえてしまったのです。私自身もニュースで菅首相の発言を聞いていました。重大なことを国民に伝えようとしているのに目は死んだ鯉のようで、事態の深刻さは伝わってきません。どうやら、菅首相は自分が話している言葉の意味を理解していないことが多いようです。8月6日の広島の平和記念式典での挨拶でも、肝心の部分を読み飛ばし、意味不明のことを話していましたし…。「究極の棄民政策だ」と舛添氏それにしても、中等症(肺炎症状が相当深刻な人もいます)を入院させないなんて…。これはもはや真夏のホラー映画です。野党は「患者を放棄する無責任な対応だ」と猛反対、自民党の新型コロナウイルス感染症対策本部とワクチン対策プロジェクトチーム内からも「事前に知らされていなかった」と不満が吹き出し、撤回を求める動きも起こりました。前東京都知事で厚生労働大臣も務めたことがある舛添 要一氏はツイッターで「究極の棄民政策だ」と強く批判しました。混乱が起こった理由の一つは、この方針が全国一律で行われるとみられたことです。2日の菅首相の記者会見を聞き直しても、「全国一律の方針」に聞こえました。その後、あまりの大反対の声に政府は方針を転換、4日の記者会見で菅首相は「東京や首都圏など爆発的な感染拡大が生じている地域であり、全国一律ではない」と強調するに至りました。「重症者以外自宅療養」のトーン弱まる「地域の診療所に往診やオンライン診療でなどで状況把握を行ってもらう」という方針に対しても、医療現場からは「急変した時に、確実に入院させられるか保証がない」「往診はそもそも手間と時間がかかり、対応人数にも限りがある」など、批判が相次ぎました。「重症者以外切り捨てようとしている」という批判に政府も流石に焦ったのか、菅首相は8月3日に行われた医療関係団体との意見交換で、病床確保や自宅・宿泊療養の強化への協力を要請した際、中等症患者については入院対応の方針を示しました。MEDIFAX等の報道によれば菅首相は、「酸素投与が必要な人、糖尿病などの疾患がある人は確実に入院していただき、それ以外の人で症状が悪くなった場合には、必ずすぐに入院できる体制を整備していく」と語ったとのことです。同日には厚生労働省から「現下の感染拡大を踏まえた患者療養の考え方について(要請)」と題する事務連絡が出され、 その中で「入院治療は、重症患者や、中等症以下の患者の中で特に重症化リスクの高い人に重点化することも可能である」との解釈が示されました。事務連絡も2日後に内容修正、「中等症は原則入院」にさらにこの事務連絡、2日後の8月5日、「中等症も原則入院対象とする」という内容に追加資料で修正するに至りました。上記の事務連絡の3枚目に1枚追加されているパワーポイントの資料がそれです。与党が問題視した対象地域について、当初は「患者が急増している地域」となっていましたが、「東京都をはじめ感染者が急増している地域」と地域名が追加され、全国一律の対応ではないことが強調されました。患者対応の方法についても、「感染者急増地域において可能とする新たな選択肢」という名称になり、「緊急的な対応として自治体の判断で対応を可能とする」となりました。そして肝心の入院については、当初「重症患者や特に重症化リスクの高い者に重点化」としていたものが、修正資料では「入院は重症患者、中等症患者で酸素投与が必要な者、投与が必要でなくても重症化リスクがある者に重点化(最終的には医師の判断)」となり、「医師の判断」も明記されました。つまり、「中等症は原則入院」ということになったのです。ただし、「入院させる必要がある患者以外は自宅療養を基本」の方針は変わっていません。3日の事務連絡そのものは撤回せず、追加資料において事実上の軌道修正を行った格好ですが、政府と厚労省の混乱ぶりがうかがえます。厚労省は「精査不足」で、政府は「調整役不足」与党である自民党、公明党にも知らされず、政府対策分科会の尾身 茂会長にも事前相談がなかったとされるこの方針決定。政府が2日の関係閣僚会議で打ち出した、とのことですが、どういった議論を経て決定し、公表に至ったのかは不透明なままです。報道等によれば、尾身会長に相談しなかったことに関して田村 憲久厚生労働大臣は、「病床のオペレーションの問題なので政府で決めた」と語ったとのことです。厚労省も入って検討したということですが、厚労省の幹部が本当に、中等症含む自宅療養者を往診とオンライン診療でカバーするというような、稚拙かつ現実味のない対応策を提案したのでしょうか。8月6日付の朝日新聞は、「厚労省幹部によると、入院制限は今週後半に公表する予定で東京都と調整していたが、都内の感染拡大を受けて前倒しで発表。資料を精査しきれず、根回しも十分行わない見切り発車だった」と報道しています。また、同日付の日本経済新聞は、政府と与党の連絡不足を指摘、「首相は官房長官を務めていた時期、自民党本部などにしばしば足を運んだ。菅政権ではこのような調整役不足が指摘される」と書いています。厚労省は「精査不足」で、政府は「調整役不足」って、一体この政権、大丈夫なのでしょうか。入院制限、重症者以外自宅療養を打ち出したのは誰かそれにしても気になるのは厚労省の「精査不足」です。在宅医療は医師が患者宅に出向く必要があるため効率が悪く、X線やCTを用いての肺炎の診断もできません。患者数が多い場合は在宅には限界があることや、そもそも地域で在宅医療(や往診)を積極展開している医療機関の数は決して多くはないことを、厚労省の幹部も認識しているはずです。そう考えると、入院制限、重症者以外自宅療養を打ち出したのは、厚労官僚ではなく、菅首相取り巻きの内閣府の官僚ではないか、という推測も成り立ちます。厚労省幹部が在宅での対応の限界を菅首相に進言したにもかかわらず一蹴され、引き下がってしまったのだとしたら、それもまたホラーです。各地の体育館などに“野戦病院”的施設をつくったら?そんな混乱の中、8月5日の尾身会長の厚生労働委委員会での発言は、とても建設的で意味があると感じました。尾身氏は「入院か在宅か、という議論になりつつあるが、今の感染状況の中で国民のニーズに応えるためには一本足打法は駄目だ。一つ目は医療を病院だけでなく、地域全体でさらに強化する。二つ目は、宿泊療養施設の強化。最後に、自宅療養で軽症の人も重症化するリスクがあるから、すぐに医療に結びつけるようなシステム。この3点を総合的にやることが必要だ」と語ったとのことです。「尾身氏は感染症の専門家であり、医療提供体制の専門家ではない」という批判もあるようですが、関係閣僚会議で出された方針よりも、はるかに理にかなっています。中等症、軽症と診断され、自宅で療養するというのはとても不安なものです。自宅療養者が増え過ぎ、保健所や自治体のフォローアップ機関が対応できないなら、症状や重症度を的確に判断できる医療スタッフの下で集団療養してもらうほうが、「安全・安心」ではないでしょうか。仮に宿泊療養施設の確保や、そこでの医療提供が難しいとするなら、ここは割り切って各地の体育館などに即席の“野戦病院”的な療養施設をつくり、必要な医療機器も配置し、そこに地域の開業医をはじめとする医療スタッフたちを持ち回りで常駐させたらどうでしょう。今が有事とするならば、療養環境は後回しにして、より多くの中等症、軽症患者を効率よく診察し、必要に応じて重症病床のある病院に送る(在宅死を招かない)仕組みの構築は待ったなしだと思います。災害時の福祉避難所のイメージ尾身氏の発言を聞いてふと頭に浮かんだのは、東日本大震災の時に取材した、石巻市の福祉避難所「遊学館」です。「遊学館」は、元々はスポーツアリーナ・コンサートホール・室内プール多目的会議室等を有する複合施設だったのですが、震災直後は、介護度が高い高齢者や医療が必要な人が、広い体育館の中で寝かされ、必要な医療・介護サービスを受けていました。当然ながら他の避難所よりも医療・介護スタッフが多く、自宅で療養するよりも「安全・安心」の医療・介護が提供されていました。そもそも、今年1月以降、医療提供体制の不備が批判され始めた時に、最悪の状況に対応するための仕組みを各地で準備しておくべきだったのです。仮にデルタ株の感染拡大が収まったとしても、脅威となる新たな変異株が出現する可能性もあります。ぜひとも、国や医療関係団体は、体育館等を活用した“野戦病院”的療養施設の開設と地域の開業医動員についての検討を進めてほしいと思います。

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第66回 医療法等改正、10月からの業務範囲拡大で救急救命士の争奪戦勃発か

今年の医療法等改正をおさらいこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。予想通り、7月12日から東京都は4回目の緊急事態宣言に突入しました。沖縄県に出されていた同宣言も延長となりました。オリンピック開催を至上命令として、マッチポンプのようにコロコロと変わる政府の施策に、国民の多くはさすがに辟易としてきているようです。7月13日に読売新聞社が公表した同社世論調査によれば、菅内閣の支持率は37%、昨年9月の内閣発足以降最低だった前回(6月4~6日調査)から横ばいです。一方、不支持率は53%(前回50%)に上がり、内閣発足後で最高となったそうです。中でも東京の菅内閣の支持率は28%で、全国平均の37%と比べて9ポイント低かったそうです。進まないワクチン接種や、酒提供に関して金融機関からの働き掛け方針の撤回など、政府の右往左往ぶりは既に末期症状かもしれません。さて、こんな時は野球観戦です。昨日(7月13日)は、MLBオールスターゲームのホームランダービーを朝から観戦していました。初出場のロサンゼルス・エンゼルスの大谷 翔平選手は、残念ながら1回戦でワシントン・ナショナルズのフアン・ソト選手に敗れてしまいました。それにしても、対戦後、ハアハア息をする大谷選手を見て、ホームランダービーの過酷さがわかりました。他の出場選手よりも息が荒かったのは、デンバーの球場が標高1,600mと高地にあり高度順応ができなかったからか、他の選手の心肺機能の方が高かったからかわかりませんが、あの対戦を2回連続(2019年と今年)制したニューヨーク・メッツのピート・アロンソ選手は本当にすごいです。さて、新型コロナ感染症による緊急事態宣言とオリンピック開催を巡る騒動の陰で、これからの医療現場に大きな影響を及ぼす法律改正が行われていました。今回は”事件”から少々離れて、それについて簡単におさらいしておきたいと思います。医療現場に大きな影響を及ぼす法律改正とは、ずばり医療法等の改正です。法律案の名称は「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案」。医師の労働時間の短縮や新興感染症の感染拡大時における医療提供体制の確保など、医療現場が直面するさまざまな課題を解決するためにつくられた法律案です。関連する法律も医療法をはじめ、医師法や歯科医師法、診療放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、臨床工学技士法、救急救命士法と幅広く、それぞれの法律の改正を一括するかたちで、「……医療法等の一部を改正する法律案」として審議されてきました。2024年度からの時間外労働規制に向けた「医師の働き方改革」この医療法等改正法は5月21日の参議院本会議で可決・成立しました。柱は大きくは3つです。1)医師の働き方改革勤務医の時間外労働規制が2024年度から適用されることを受け、「長時間労働の医師の労働時間短縮および健康確保のための措置の整備」が講じられます。具体的には、勤務医が長時間労働となる医療機関での「医師労働時間短縮計画」の作成が義務付けられます。また、地域医療の確保や研修を集中的に実施する観点からやむを得ず、規定よりも多い上限時間を適用する医療機関を都道府県知事が指定する制度がつくられます。指定された医療機関では連続勤務時間の制限といった健康確保措置が求められます。2)各医療関係職種の専門性の活用次に「各医療関係職種の専門性の活用」です。 これも「医師の働き方改革」に関連したもので、医師の負担軽減を目的に、4つの医療関係職種の業務範囲を拡大し、タスクシフト・シェアを推進することになりました。診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士の4職種の資格法が改正されています。いずれも施行は今年10月1日からで、医師が働く現場にすぐに影響が出るのは、このタスクシフト・シェアでしょう。これについては、あとからもう少し詳しく解説します。なお、「専門性の活用」については医師の養成課程の見直しも行われています。2025年4月から共用試験合格が医師国家試験の受験資格要件となります。また、同試験に合格した医学生は医師法第17条(医師でなければ、医業をなしてはならない)の規定にかかわらず、大学が行う臨床実習において、医師の指導監督のもとで医業(つまり診療)を行えるようになります。この措置は2023年4月からの施行です。医療計画に新興・再興感染症医療提供体制に関する事項追加そして法改正のもう一つの柱が、3)地域の実情に応じた医療提供体制の確保です。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で露呈した医療提供体制のさまざまな課題に対応するため、2024年度からの第8次医療計画に「新興感染症等の感染拡大時における医療」の確保に関する事項が追加されます。具体的には、現行は「5疾病・5事業および在宅医療」の医療計画の記載事項が、「5疾病・6事業および在宅医療」に改められます。これまで、医療計画の中に、新興・再興感染症の感染拡大への対応が記載されていなかったのは国・厚生労働省の怠慢としか言いようがありませんが、とにかくそれに関する事項が追加されたことは評価したいと思います。また、2022年度からは、高度な医療機器など医療資源を重点的に活用する外来等について報告を求める「外来機能報告制度」が創設されます。これまで入院医療については「病床機能報告制度」があったのですが、それが外来にも拡大されるわけです。入院医療に加え外来医療も医療機能の分化と連携を進めるのが狙いとされています。外来機能報告制度の施行は2022年4月で、報告を基に、地域医療構想と同様不足する外来医療機能の確保といった問題を「地域の協議の場」などで話し合い、調整することになります。放射線技師、検査技師、臨床工学技士、救急救命士の業務拡大の中身さて、前述のように、こうしたさまざまな改革の中で、すぐに現場に影響を及ぼしそうなのが、医療関係職種の業務範囲拡大によるタスクシフト・シェアでしょう。何せこれまで医師にしかできなかった業務を他職種に任せることができるのですから。診療放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、臨床工学技士法、救急救命士法の改正により、各職種に新たに認められる業務は以下です(政省令改正で済むものを除く)。診療放射線技師造影剤を使用した検査・RI検査(放射性医薬品を用いる検査)のための静脈路確保RI検査医薬品を注入するための装置接続と操作RI検査医薬品投与終了後の抜針・止血医師・歯科医師が診察した患者に対する、その医師等の指示に基づく、医療機関以外の場所に出張して行う超音波検査臨床検査技師採血に伴う静脈路確保と、電解質輸液(ヘパリン加生理食塩水を含む)への接続静脈路を確保し、成分採血のための装置接続と操作、終了後の抜針・止血超音波検査に関連する行為としての静脈路確保、造影剤接続・注入、造影剤投与終了後の抜針・止血臨床工学技士手術室等で生命維持管理装置を使用して行う治療における▼静脈路確保と装置や輸液ポンプ・シリンジポンプとの接続▼輸液ポンプ・シリンジポンプを用いた薬剤(手術室等で使用する薬剤に限る)投与▼当該装置や輸液ポンプ・シリンジポンプに接続された静脈路の抜針・止血心・血管カテーテル治療における生命維持管理装置を使用して行う治療に関連する業務として、身体に電気的負荷を与えるための当該負荷装置操作手術室での鏡視下手術における体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラの保持、術野視野を確保するための内視鏡用ビデオカメラ操作救急救命士現行法における「医療機関に搬送されるまでの間(病院前)に重度傷病者に対して実施可能な救急救命処置」について、救急外来(救急診療を要する傷病者が来院してから入院に移行するまで〈入院しない場合は帰宅するまで〉に必要な診察・検査・処置等を提供される場)においても実施可能に救急救命士の業務範囲拡大は医療関係団体からの強い要望で実現最後の救急救命士の業務範囲拡大は、日本医師会、日本救急医学会、四病院団体協議会から要望が出され、厚労省の「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」で議論がされてきました。一部には救急救命士が一定の医行為を実施することに強く反対する意見もあったそうですが、最終的には医師の負担軽減に必要、として了承されました。法改正が施行される今年10月1日からは、重度傷病者が搬送先医療機関に入院するまでの間、または入院を要さない場合はその医療機関に滞在している間、医療機関に勤務する救急救命士は特定行為を含む救急救命処置ができることになります。実際の運用面の議論も開始救急救命士法の改正を受け、厚労省は6月4日「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催し、救急救命士が救急外来において処置を実施する際の運用面の議論が行われています。この中では、救急救命士の質を担保するために医療機関に設置する委員会の詳細や、 救急救命士への院内研修項目なども提案されました。つまり、病院が救急救命士を救命救急業務に就かせるには相応の組織を設けたうえで、研修等の実施が必須になるようです。運用スタートまで3ヵ月を切っており、秋口までには詳細が決まると思いますが、他の職種のタスクシフト・シェアと比べても患者の生死に直結する業務だけに、拙速な議論だけは避けてもらいたいものです。救急救命士の効果的な活用は、急性期病院の命運を握る救急救命士が救急外来で働くことは、医師の仕事量の軽減だけでなく、病院経営にとっても大きなプラスになると考えられます。人件費の高い医師でなく、救急救命士を多数雇うことで、コストを抑えつつ救急外来を回すことができるからです。しかも、救急部門の充実は、病院が急性期病院として生き残るための経営の要でもあります。救急救命士の効果的な活用は、今後の急性期病院の命運を握ると言えるでしょう。実際、今回の法改正が行われる前から、救急救命士を雇用する病院は増加傾向のようで、病院勤務を志望する救急救命士も増えていると聞きます。来年にかけ、救急救命士の争奪戦が本格化しそうな気配です。

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周囲をエンパワーメントできる医師になろう!【非専門医のための緩和ケアTips】第6回

第6回 周囲をエンパワーメントできる医師になろう!前回は緩和ケアを実践するうえで、看護師と協働することの重要性についてお話ししました。今回は、その続きともいえるご質問とその回答です。今日の質問緩和ケアへの取り組みに、看護師にもっと主体的に参加してもらいたいのですが、「自信がありません」と積極的ではありません。他の業務で忙しいのもあるようです。訪問診療も行っているので、重要な部分だと思っているのですが…。前回お話ししたように、緩和ケアの実践で中心的な役割を担う看護師。そのスキルを遺憾なく発揮してもらいたいものですが、今回の質問のように難しいと感じる方も多いようです。今回はその「難しさ」の背景にあるものと、乗り越えるための工夫を考えてみましょう。1)緩和ケアにおける看護の重要性を認識していない→共通認識をつくる緩和ケア部門のある基幹病院などでも、結構いらっしゃるんです。「緩和ケアを必要とする患者さんに、どのように関わればよいかわかりません」と言う看護師さん。いや、ダイレクトケアとしての看護をしっかり提供している時点で、緩和ケアを構成するいくつかのことは実践できていると思うんですけどね。こうした場合、医師は、医学的知識と看護ケア知識の両方を持つ看護師の職種としての強みや、ダイレクトケアを提供するうえで物理的・心理的に最も患者の近くに存在している意義を繰り返し伝え、共通認識を築くことから始めましょう。時間はかかるでしょうが、この基盤がないことには始まりません。2)「看護師として」緩和ケアの取り組みに悩んでいる→学びの機会をつくるこうした意見も看護師さんからよく聞くものです。職能を意識し過ぎて悩んでしまう、というケースですね。繰り返しになりますが、できている部分はきちんとあるはずなので、まずはそこを評価したいところです。こうした意見を出す人は緩和ケアへの関心や課題意識があるケースが多いので、学ぶ機会を持ってもらうとよいでしょう。同じエリアのがん拠点病院や基幹病院に、緩和ケアの認定看護師はいないでしょうか? 地域の医療提供者に教育を提供することも認定看護師の重要な役割なので、院内勉強会に講師として招くなど学びをシェアし、連絡を取り合える関係をつくれるとよいでしょう。医師はエンパワーメントを意識する最後に、ここが最も重要かもしれません。医師は、看護師と一緒に緩和ケアを実践するうえで、よい緩和ケアを提供した看護師をエンパワーメントしましょう! エンパワーメントとは「その人が持っている力を引き出す」といった意味合いで、対人支援などの分野でしばしば出てくる用語です。たとえば、患者さんのナラティブなエピソードを聞き出しカルテに記載してくれた看護師に、「上手に聞いてくれたね。おかげで助かったよ!」と明確に感謝を伝える、というのもエンパワーメントの良い例です。問診票に聞きたいことを組み込んで看護師に問診の重要な役割を任せる、ということもエンパワーメントでしょう。「仕事なんだからやって当たり前」という意識や態度の医師も多いのですが、一緒に働く人を勇気づけ、存分に力を発揮してもらうことも仕事の一部だと認識しましょう。そうしたほうが結局は自分の仕事もラクになり、患者さんによい緩和ケアを提供することができるのです。医師がエンパワーメントする力って結構強いので、意識して取り組んでみましょう。勤務医の方であれば、外来診療中に担当患者さんのケアをするのは看護師ですし、開業医でも在宅医療をしている方であれば、直接患者さんと接点を持てないときにケアを提供してくれる看護師の存在は心強いものです。限られた時間にどう学びを組み込むか、看護師の学びへのモチベーションをどう引き出し維持するか、など難しさはあるでしょうが、まずは毎日の診療で仲間をエンパワーメントする一言を掛けることから始めてはいかがでしょうか。今回のTips今回のTips緩和ケアの中心的存在、看護師をエンパワーメントすることから始めよう!

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「緩和ケアは学んでなくて…」という医師にお勧めのコツ【非専門医のための緩和ケアTips】第5回

第5回 「緩和ケアは学んでなくて…」という医師にお勧めのコツ今回も元気に緩和ケアの実践について考えていきましょう。時間が限られた中で緩和ケアを実践するために、最重要となるコツの1つである「看護師との連携」についてお話しします。今日の質問診療所で働く医師です。看取りが近い状況の患者さんとの対話に苦手意識があります。私の世代は、緩和ケアについてきちんと学んだ経験もありません…。どう取り組めばよいでしょうか?今回のご質問、ベテランの先生からよく頂く内容です。まだまだ緩和ケア領域の教育は十分ではないとはいえ、医師国家試験・看護師国家試験の中で緩和ケアや在宅医療の問題が出題される時代になりました。そうした経験がまったくない上の世代の方が、緩和ケア全般に苦手意識を抱いたり「このやり方で大丈夫なの?」と不安になったりするのは、ある意味、当たり前のことでしょう。ですが、このような質問をする先生方の多くは、長い臨床経験に裏付けされた患者さんとの関係性の構築や、コミュニケーションスタイルを確立されている方が多いように感じます。そうした土壌があれば、緩和ケアの実践は難しいことではありません。前置きしたうえで、読者の皆さんに質問です。「緩和ケアを実践するうえで、最もオールラウンダーな医療職は誰だと思いますか?」緊急性や重症度の高い場面に遭遇する急性期医療では、医師の判断とトップダウン的な指示系統が重要なことも多いでしょう。一方で、緩和ケアで大切なのは、患者さん、家族ごとの個別性の高いナラティブな対話や全人的ケアです。こうした場面において、診断と投薬といった医師の役割が万能なわけではありません。ご想像のとおり、こうした分野に職種としての強みがマッチするのは看護師です。看護師は、さまざまな医療職の中で、医学知識とケアや対人援助的なスキルが役割の基盤になっています。あらためて見ると、患者さんの生活状況についてやけに詳しく、医師以上に信頼されている看護師…、きっと皆さんの周りにもいることでしょう。前回お話しした、ナラティブなエピソードを引き出す役割ですが、看護師の方によっては無意識にしていることも。医師が緩和ケアに苦手意識があっても、こうした看護師とうまく協働することができれば、素晴らしい緩和ケアを提供できる可能性がグッと高まります。では、看護師と協働して提供する緩和ケアについて、具体例を挙げてみましょう。今後、療養などの話し合いが必要になる患者さんを提案してもらう外来の待ち時間の間に声掛けし、「病気以外の生活の気掛かり」についても相談できることを周知してもらう緩和ケアニーズのスクリーニングツール(「生活のしやすさに関する質問票」緩和ケア普及のための地域プロジェクト:OPTIM study[厚生労働科学研究 がん対策のための戦略研究])を運用してもらう悪い情報を伝える面談に同席してもらい、面談後にしばらく対話してもらういかがでしょう? 看護師の強みを生かした、チーム医療としての緩和ケアのイメージが湧いたでしょうか? 次回は看護師と協働した緩和ケアを提供するうえでの障壁や、それを乗り越える工夫について、考えてみたいと思います。今回のTips今回のTips緩和ケア提供の主役は看護師、上手に連携することが緩和ケアの質を高めるカギ!

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第59回 コロナ禍、日医会長政治資金パーティ出席で再び開かれる? “家庭医構想”というパンドラの匣(後編)

家庭医、かかりつけ医の制度化の議論活発化こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。飲み屋がやっていないので、東京の夜は寂しいものです。先日、ある居酒屋(酒類を提供していないにもかかわらず営業中)に入って、「ホッピー、“外”だけ下さい」と頼んだところ、「アルコールが入っているので出せません」と言われました。アルコール?と思い調べたら、0.8%入っているようです。0.8%でどう酔っ払えるのかはわかりませんが、飲食店において1人や少人数の場合の酒類提供の禁止というのは、感染防止の観点からはほとんど意味がないと思うのですが、どうでしょう。さて、今回は、前回の続きで、家庭医・かかりつけ医の制度化を進めようという、いくつかの動きについて書いてみたいと思います。一つは、財務省の「かかりつけ医機能」の制度化の提案です。財務省主計局は4月15日、社会保障制度の見直しについて議論する財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=榊原 定征・前経団連会長)において、医療や介護、年金など社会保障制度の改革についての考え方を示しました(参考:第56回 コロナで“焼け太り”病院続出? 厚労省通知、財務省資料から見えてくるもの)。この中で財務省は、診療所における「かかりつけ医機能」の制度化を提言。紹介状なしで大病院外来を受診した患者から定額負担を徴収する仕組みと共に推進し、外来医療の機能分化と連携につなげることを求めました。「『かかりつけ医』機能を法制上明確化せよ」と財務省大病院外来における受診時定額負担の義務化対象については、紹介外来を基本とする一般病床200床以上の病院に拡大する方針がすでに決まっており、2022年度診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会(中医協)での議論で、詳細が固められる予定です。財務省はこの取り組みの一層の推進を促すとともに、「複数の慢性疾患を抱える患者が増加する超高齢化社会において、患者がその状態に合った医療を受けるためにも、有事を含め国民が必要な時に必要な医療にアクセスできるようにするためにも、緩やかなゲートキーパー機能を備えた『かかりつけ医』の推進は不可欠である」と提言しました。そして、すでに日本医師会と四病院団体協議会において「かかりつけ医」の定義が明らかにされていることを踏まえ、「診療所における『かかりつけ医』機能を法制上明確化(制度化)するとともに、機能分化を進めるためのメリハリをつけた方策を推進すべきである」としています。とはいえ、日本医師会の「かかりつけ医」の定義については、以前に本連載(第29回 オンライン診療恒久化の流れに「かかりつけ医」しか打ち出せない日医の限界を参照)でも書いたように、その概念は曖昧で確固たる資格ではありません。地域で診療する医師の一つの理想像に過ぎない今の「かかりつけ医」を、このコロナ禍を機にきちんと制度化しろ、と財務省は言っているわけです。経済財政諮問会議では民間議員が制度化に言及この提言の後、4月26日に開かれた内閣府の経済財政諮問会議でも「かかりつけ医の制度化」が俎上に上がりました。民間議員が「社会保障改革~新型感染症を踏まえた当面の重点課題」と題する資料を提出、新型コロナの緊急時対応では、「民間病院を含めて緊急時に必要な医療資源を動員できる制度的仕組みの構築」を求める一方、平時の構造改革として、診療報酬のインセンティブの強化等で医療機関の機能分化や統合を推進するほか、「かかりつけ医機能を制度化」し、コロナ対応やオンライン診療などを包括的に提供できる体制の整備を求めたのです。とくにかかりつけ医については、「感染症への対応、予防・健康づくり、オンライン診療、受診行動の適正化、介護施設との連携や在宅医療など地域の医療を多面的に支える役割を果たすべき」と、その具体的な機能も明示しました。「制度化」の議論と正対しない日本医師会こうした相次ぐ動きに対し、日本医師会は4月27日に「経済財政諮問会議等の議論について」という文書で、次のような見解を公表しています。かかりつけ医機能についてかかりつけ医が行う感染症への対応、予防・健康づくり、受診行動の適正化、高齢者への医療など、地域の医療を多面的に支える役割をしっかりと評価すべきです。フリーアクセスは国民皆保険を支える大きな柱であり、コロナ禍において、経済財政諮問会議や財政審が求めているように、かかりつけ医機能を制度化すれば、フリーアクセスを阻害し、以前後期高齢者医療制度導入のときに見られたように国民の理解を得られず、大混乱を招くおそれがあります。2008年に施行された後期高齢者医療制度における後期高齢者診療料は、慢性疾患を持つ複数の病気にかかっている高齢者の主治医を限定してフリーアクセスを奪いかねず、また、医学管理等、検査、画像診断、処置を包括して医療費抑制につながりかねないことなど、患者にとって必要な医療が制限されるとして批判を浴びました。(「日医君」だよりNo.588より)財務省や経済財政諮問会議の民間議員の提言、提案にまったく正対していないこの見解には正直驚きました。「かかりつけ医」が制度化されておらず、その存在の役割が曖昧なことには触れず、すでに機能しているものとして論を展開しているのは無理があります。また、フリーアクセスの阻害が「国民の理解を得られず、大混乱を招く」と主張しているのも説得力がありません。「コロナ禍における大混乱」の一因が、「フリーアクセス」がうまく機能せず、PCR検査、コロナ疑い患者の初期診療、回復患者への対応といった、本来診療所レベルでも対応すべきことができていなかったことにある、という認識が欠けています。また、ここで後期高齢者医療制度の議論の時のドタバタを持ち出すのも、不適当と言えるでしょう。この時の混乱と、高齢者を含む国民が医療機関にかかることができず、死亡するケースが続出している現状とは、混乱の度合いが比べものになりません。現場会員の「かかりつけ」の認識は単に受診頻度5月16日のNHKニュースは「定義あいまい“かかりつけ” ワクチン接種予約で困惑」というタイトルで、こんな話も伝えています。兵庫県内で、65歳以上の高齢者の新型コロナウイルスのワクチンの接種の予約受付が「かかりつけ」の医療機関で始まったが、「かかりつけ」の定義があいまいなため、医療機関に予約を受け付けてもらえないケースが出ている、というのです。ある高齢者が予約しようとしたところ、最後の受診日から一定期間経過していることなどで医療機関側が「かかりつけ」には当たらないと判断、予約を受け付けないケースがあったというのです。日本医師会・四病院団体協議会による「かかりつけ医」の定義は、「なんでも相談できるうえ、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」ですが、現場の診療所の認識は単純に受診の頻度や回数、最後に受診してからの期間だったのです。笑っちゃいますね。コロナ禍だからこそ「かかりつけ医」を見直せと日本総研さて、そんな中、シンクタンクである日本総合研究所(日本総研)もこれからの「かかりつけ医」の役割について斬新な提言をしています。日本総研は5月11日、Webシンポジウム「ポストコロナに望まれる日本のあるべき医療の姿~長期的な展開で、今後も医療制度を維持するために~」を開催、約2年間に渡って検討を重ねてきたという「持続可能で質の高い医療提供体制構築に関する提言」を発表しました。提言は、「新型コロナウイルス感染症による公衆衛生危機によって、わが国の医療提供体制はさらに多くの課題を突き付けられることになった。医療従事者の偏在や不足をはじめ、平常時・非常時それぞれにおける病床機能の不備、在宅での患者支援体制の未整備、ワクチン接種やデジタル化の遅れなど、それらをどのように進化させていくべきか、多くの国民が課題認識をかつてないほど深めている」と問題点を指摘した上で、「現在行われている医療制度改革は、医療提供者側を中心とした議論が行われており、医療の受け手である国民にも理解しやすい形で、医療のあるべき姿が議論されその実現に向けた対策が取られているとは言い難い」として、次の3つの提言をしました。提言1:コロナ禍だからこそ見直すべき「かかりつけ医」の役割提言2:デジタル化が可能にする質の高い医療の選択を加速化提言3:国民皆保険を将来世代に引き継ぐためにコロナ禍の今こそ考えるべき医療財政多職種連携で診るプライマリ・ケアチームを提言この中の、「提言1:コロナ禍だからこそ見直すべき『かかりつけ医』の役割」では、「国民の一生涯の健康を地域多職種連携で診るプライマリ・ケアチーム体制整備」が必要として、チームで「かかりつけ」の仕組みをつくれ、と主張しています。提言では、「臓器ごとの専門医だけでなく、全人的・包括的に複数科/疾病の患者も診られ、患者の地域や家族の状況も踏まえて診察できる医師(プライマリ・ケア医)が必要」としつつも、「そのために、国民一人ひとりが、自らが選んだ一生涯のかかりつけの多職種医療従事者チームに診てもらえる『国民の一生涯を見る日本版プライマリ・ケア』の仕組みを整備すべきである」としています。かかりつけ医だけでなく、看護師や薬剤師、OT・PT、介護福祉士、ケアマネジャーなど地域の多職種医療従事者チームでプライマリ・ケアを提供する、という視点は斬新です。医師に手に負えない(あるいは医師が怠ける)部分は、医師以外にタスクシフトをし、チームで「かかりつけ」として機能していけ、というわけです。国民の目線が日本医師会に向いている今こそ議論をコロナ禍での反省に立って出てきた「かかりつけ医」に対するさまざまな提言を、家庭構想を葬ったころと同じようなロジックで無視していいわけがありません。こうした提言や議論に正対せず、ひたすら「フリーアクセス」「自由開業」「出来高払い」という金科玉条を自分たちのためだけに唱え続けるとしたら、ここはもう、日本医師会を外して、「かかりつけ医」の議論を進めていく選択肢もあるでしょう。ただ、そんな勇気は、自民党にも厚労省にもおそらくないでしょうが…。しかし、この1年余り、コロナ禍での医療提供体制のお粗末ぶりを経験してきた国民の多くは、日本医師会やそのトップである中川 俊男会長の言動に大きな不信感を抱くに至っています。家庭医、かかりつけ医の制度化の議論は、国民の目線が日本医師会に向いているコロナ禍の中の今こそ進めるべきだし、進むと思いますが、皆さんどうでしょう。

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第55回 モデルナ、AZの新型コロナワクチン承認、その位置付けは?

<先週の動き>1.モデルナ、AZの新型コロナワクチン承認、その位置付けは?2.コロナ重症患者の急増で麻酔薬プロポフォールが供給不安定に3.改正医療法の成立で、救急医の「勤務間インターバル」など義務化4.骨太の方針へ声明「すべての病院に適切な支援を」/日本病院団体協議会5.地域医療構想で病院再編の支援を強化、外来機能報告制度の創設1.モデルナ、AZの新型コロナワクチン承認、その位置付けは?厚生労働省は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会を21日に開催し、モデルナ製とアストラゼネカ製の新型コロナワクチンについて、製造販売を承認した。接種対象範囲や公的接種とするかどうかなどを検討した結果、モデルナ製ワクチンは公的接種の対象とされる一方で、AZ製ワクチンは海外で接種後にわずかながら血栓症が発症する事例が報告されていることから、現時点では公的接種の対象外となった。今回、審査を簡略化する「特例承認制度」を活用して行われたが、国内治験のため製造承認が遅れ、アメリカに比べると3ヵ月ほど発売までの時間を要した。政府は国産ワクチンの研究開発を後押しする基金を創設し、開発能力の向上を目指すことを明らかにしている。(参考)厚労省 モデルナとアストラゼネカの新型コロナワクチンを特例承認 モデルナ製のみ公的接種の対象(ミクスonline)国産ワクチン開発へ、大学や製薬会社に資金…政府が基金創設の方針(読売新聞)第21回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料(厚労省)2.コロナ重症患者の急増で麻酔薬プロポフォールが供給不安定に人工呼吸器を必要とする新型コロナ重症患者の増加に伴い、手術患者の鎮静に用いる「プロポフォール」の需要が高まったため、国内の製薬メーカーは今月から出荷調整を行なっている。これに対して厚労省は、14日に事務連絡を発出し、プロポフォール製剤およびその代替薬について、「返品が生じないよう必要量に見合う量のみの購入」「臨床上問題なければ麻酔の維持においては揮発性吸入麻酔薬の使用を考慮」など適正使用を呼び掛けている。(参考)コロナ重症治療の麻酔薬がピンチ 患者急増の影響で (朝日新聞)資料 プロポフォール製剤が安定供給されるまでの対応について(周知依頼)(厚労省)3.改正医療法の成立で、救急医の「勤務間インターバル」など義務化21日に開催された参議院本会議で、医師の働き方改革案が盛り込まれた改正医療法が可決・成立した。これにより、救急医療などを担う医師に一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル」や、医師による面接指導による健康確保措置、医師労働時間短縮計画の作成が病院に義務づけられることになった。2024年4月から、医師の時間外労働の上限は原則「年960時間以内」となるが、3次救急医療機関、2次救急医療機関のうち年間救急車受入台数1,000台以上または年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上かつ、医療計画で5疾病5事業確保のために必要と位置付けられた医療機関や在宅医療においては、「年1,860時間」の範囲で規制される。なお、新型コロナウイルスの感染拡大で医療提供体制がひっ迫したことも踏まえて、都道府県が策定する医療計画に、新たに感染症対策を追加し、5疾病6事業として改められる見込み。(参考)勤務医らの働き方改革推進 改正医療法 参院本会議で可決・成立(NHK)改正医療法が成立、医師の健康確保を義務化 病院再編支援なども(CBnewsマネジメント)資料 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等改正の趣旨の一部を改正する法律案の概要(厚労省)4.骨太の方針へ声明「すべての病院に適切な支援を」/日本病院団体協議会21日、財務省の財政制度等審議会は、社会保障費の伸びを2022年度から3年間、高齢化に伴う患者の分までに抑えるよう求める意見書(建議)を取りまとめており、さらに議論を経て7月に新たな骨太の方針としてまとめられる。中には、診療所の「かかりつけ医」機能の制度化、処方箋を繰り返し利用する「リフィル制度」の導入なども盛り込まれている。これに対し、国立大学附属病院長会議、独立行政法人 国立病院機構、全国公私病院連盟、全国自治体病院協議会、全日本病院協会など15団体から構成される「日本病院団体協議会」は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、過去の実績に基づく診療報酬の補填のみでは十分ではなく、すべての病院を支援する対策を求めた。(参考)新型コロナ支援は診療報酬概算払いに、財政審 社保費の伸び引き続き「高齢化分」に(CBnewsマネジメント)民間病院にもっと支援を…コロナ患者受け入れで収入減 減収補填など使途拡大訴え(東京新聞)資料 社会保障改革~新型感染症を踏まえた当面の重点課題~(経済財政諮問会議)資料 経済財政諮問会議等の議論にかかる声明(日本病院団体協議会)5.地域医療構想で病院再編の支援を強化、外来機能報告制度の創設21日に参議院本会議で可決・成立した改正医療法では、地方で進む人口減少や高齢化に備え、必要な病床の数や機能を見直す「地域医療構想」の実現を後押しするため、医療機関の取り組み支援を地域医療介護総合確保基金に位置付けて、国が全額負担する税制優遇措置などを講じることが明らかになった。また、外来医療の機能の明確化・連携を強化するために、一般病床や療養病床を有する医療機関に対し、医療資源を重点的に活用する外来などについて報告を求める「外来機能報告制度」の創設などを行うことになっている。(参考)病院再編の支援恒久化 改正案、国会成立へ(中日新聞)外来機能報告の義務化、遅くとも22年度初めから(CBnewsマネジメント)

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第53回 時間外・休日ワクチン接種の医師派遣に支援金/厚労省

<先週の動き>1.時間外・休日ワクチン接種の医師派遣に支援金/厚労省2.コロナ即日受け入れ、外来・入院加算の併算定が可能に3.コロナ労災6,041件、医療・福祉関係が75%を占める4.大規模接種センター開設も、医療者の未接種が先決問題か5.大学病院の経営状況、コロナ再拡大で回復の見込みなし6.受診控え、10ヵ月で1診療所当たり500万円以上の減収1.時間外・休日ワクチン接種の医師派遣に支援金/厚労省厚労省は、7月末までに希望する高齢者全員に接種を完了できるよう、ワクチン接種を行う医師・看護師等を確保するため、時間外・休日の接種について、被接種者1人当たりのワクチン接種対策費負担金2,070円に、診療報酬上の時間外等加算相当分の上乗せを行うと発表した。また、医師が不足すると都道府県が判断した地域に対しては、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の「時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業」により、接種会場に時間外・休日の医師・看護師等を派遣した医療機関に対しても、財政支援が実施される。(参考)ワクチン接種要員派遣、医療機関に財政支援 医師1人1時間ごと最大7,550円、時間外・休日(CBnewsマネジメント)新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)における「時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業」について(事務連絡 令和3年4月30日)2.コロナ即日受け入れ、外来・入院加算の併算定が可能に厚労省は7日、新型コロナ患者の受け入れをスムーズに行う目的で、初診・再診の後、その患者がただちに入院した場合、「医科外来等感染症対策実施加算」と「入院感染症対策実施加算」の同時算定で1日あたり10点が加算できるとの事務連絡を発出した。ただし、算定に当たっては、院内感染予防策を実施した上で、患者あるいは家族等に対して、十分な対応を行っている旨を説明することが求められている。この加算は、2021年4月から9月診療分までであり、2月26日に発出された通知に対するQ&Aの形で発出されている。(参考)初・再診後の入院も10点加算 感染予防策が前提、新型コロナ臨時措置(CBnewsマネジメント)初・再診から直ちに入院した場合、【医科外来等感染症対策実施加算】と【入院感染症対策実施加算】を併算定可―厚労省(Gemmed)新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その44)(事務連絡 令和3年5月7日)3.コロナ労災6,041件、医療・福祉関係が75%を占める昨年、新型コロナウイルス感染症が原因の労働災害の発生件数は、全業種で合計6,041件、うち医療保健業(病院など)の発生が2,961件、社会福祉施設での発生が1,600件に上ることが明らかとなった。これは、2020年1月1日~12月31日までに新型コロナウイルス感染による労災(休業4日以上の休業や死亡)について、厚労省が報告したもの。これより、医療機関や福祉施設における感染防御がより重要だと言える。(参考)コロナ労災、昨年1年間で6,041人…医療・福祉関係者らが計75%(読売新聞)資料 令和2年労働災害発生状況の分析等(厚労省)4.大規模接種センター開設も、医療者の未接種が先決問題か菅 義偉首相は、新型コロナワクチン接種について、1日100万回を目標とする方針を7日に明らかにした。24日に東京と大阪で大規模接種センターを開設し、6月末には高齢者の5割、7月末には全員の接種完了を目指す。なお、厚労省の4月時点の調査では、集団接種を行う2割の自治体で医師や看護師の不足が課題とされており、地方自治体の中には、高齢者ワクチンの配送が急増しても、接種を行う医療従事者の確保が十分でない現状。また、医師・看護師で2回目の接種を終えている者はまだ2割前後であり、ワクチン接種を受ける前にワクチン接種に従事することになるなど、医療従事者側にも混乱が見られる。今後、これらの課題を対応しつつ、7月末までの接種完了に向けた取り組みが強化されるだろう。(参考)新型コロナ 接種従事、医師にリスク 8割ワクチン未完了(毎日新聞)新型コロナワクチンの高齢者向け接種の前倒しについて(事務連絡 令和3年4月30日)5.大学病院の経営状況、コロナ再拡大で回復の見込みなし全国医学部長病院長会議は、新型コロナウイルス感染症に関する昨年度の大学病院の経営状況について発表した。アンケート結果によると、第3波のコロナ患者増加の中で、収支状況についても落ち込みが見られ、初診外来患者数は前年度に比べて19%減少、入院延べ患者数、新入院患者数は前年度に比べて9.9%減少、2021年1月末時点の2020年度の医業収益率は8.4%(2,196億円)減収となり、依然として厳しい経営状況にある。大学病院が通常の重症患者の医療も維持しながらコロナへの対応を果たしていくために、医療連携体制の構築や一層の財政支援を要望している。(参考)資料 新型コロナウイルス感染症に関する大学病院の経営状況調査(1月度)(全国医学部長病院長会議)コロナ入院1人につき診療報酬500万円減 京大推計(朝日新聞)6.受診控え、10ヵ月で1診療所当たり500万円以上の減収日本医師会は、新型コロナウイルス感染症による2021年1月までの診療所経営への影響に関する調査結果を公表した。これによると、「入院外(外来と在宅医療)総件数の対前年同月比」で、総件数は2020年5月を底として6月以降改善傾向だったが、11月に再び大きく落ち込み、2021年1月の対前年同月比は、小児科38.5%減、耳鼻咽喉科25.1%減と受診控えが再び見られたことが明らかとなった。また、2020年4月~2021年1月の10か月で、1施設当たり医業収入の増減額の累計は、有床診療所で573万8,000円減、無床診療所で1,091万7,000円減であった。(参考)新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響-2020年11月~2021年1月分-(日本医師会)

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第54回 最悪のタイミングで導入された「レセプト記載要領コード化」、どこが問題?

2020年度の診療報酬改定により、電子レセプト請求に「レセプト記載要領の電算コード」が1,700項目追加された。同年10月診療分から本格適用されたが、コロナ禍で医療人材が不足し、業務の効率化が求められる中、医療機関からはかえって事務作業量が増え、現場が混乱しているという声が上がっている。9割以上の医療機関で業務量が「増えた」大阪府では新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を記録する中、大阪府保険医協会はこのほど、「電子レセ請求におけるレセ記載要領コード化」に関するアンケートを、府内約500病院を対象に実施し、100病院から回答を得た(3月15日現在)。それによると、9割以上の病院で業務量が「増えた」ことが明らかになった。アンケートでは、レセプト記載コード化の実施による請求事務部門の業務時間の増減について尋ねたところ、100病院中54病院が「増えた」、37病院が「多少増えた」と回答。「減った」と回答した病院は0件だった。とくに在宅医療では「重複した年月日を別コードで何度も入力しなければならない」「月の請求書であるレセプトになぜ元号から入力しないといけないのか」、検査でも「病名で部位がわかるのに、なぜ超音波の部位をコード入力するのか」など批判の声が上がっているという。また、診療報酬請求だけではなく、電子カルテと連携している場合にはカルテ記載の際にもコード入力を求められ、「診療が止まってしまう」との意見も寄せられている。合理化・簡素化を目的として実施されたレセプト記載コード化が、医療機関の負担軽減とは真逆の内容であることが浮き彫りになった。新たに入力しなければならない項目などが増加電子カルテの導入状況などについて尋ねた項目の回答を見ると、導入状況は半数程度であり、病院ということで一括りにはできず、請求事務と医療現場を繋ぐシステムの状況は病院ごとにかなり異なることが伺えた。とくに苦労している点などについて記述してもらったところ、回答した病院の8割以上(81件)から具体例が挙げられた。主に問題点は以下の3点だった。(1)救急医療管理加算における記載事項、リハビリテーションにおける起算日の内訳の入力に代表されるように、請求事務部門で完結できない確認作業が伴うため、時間がかかった。また、恒常的に対応するため、現場のメディカルスタッフに当該数値や情報の入力・報告を求めるなど、医療現場との業務調整まで行う必要があったことなどが指摘されている。(2)レセプト記載コード化だけでなく、新たに入力しなければならない事項が増えているのも問題であるとする指摘も多数見られた。(3)レセプトコンピュータや電子カルテの対応状況やメディカルスタッフの保険請求への理解など病院の実情により、負担感の違いが伺えるが、院内の体制が手薄な中小規模の病院ほど、レセプトをまとめる医事課などの請求事務部門の負担が大きいと推察される。実態は医療側ではなく「審査側の効率化」このように、医療情報のデータ化に伴う作業は多大な負担を伴っている。この負担の大きさに見合う意義があるのか、その成果が医療機関側にどのようにもたらせられるか、大阪府保険医協会は疑問を呈している。その成果が「審査側の効率化」というのでは、コロナ禍の中でこの作業に従事している医事課職員をはじめ医療機関職員が報われない。言うまでもなく、請求事務の目的は、医療機関で行われた医療行為(療養の給付)を診療報酬点数表に則って保険請求を行い、対価を得ること。その対価が医療従事者の給与や医療機器の整備等に充てられ、国民医療の継続的な提供や医療の質を担保している。審査側にとっての「効率化」を行うのであれば、厚労省や審査・支払機関、保険者が汗をかいて行うべきでは、との意見も寄せられている。大阪府保険医協会には診療所からも意見が寄せられ、3月下旬現在、レセプト記載コード化の凍結を求める院長署名が約1,700件集まっているという。同協会は3月25日、中央社会保険医療協議会(中医協)委員に要望書を送付した。厚労省の説明は現場の実態と乖離レセプト記載コード化について、厚労省は「事務作業量の軽減に資する」と説明しているが、現場の実態とはあまりに乖離している。また、混乱の要因を「新型コロナ感染拡大による周知不足」とも説明しているが、その内容自体に大きな問題があり、周知徹底を行ったところで医療機関の納得を得られるものではないと思われる。医療機関は、新型コロナ感染対策により大きな緊張を強いられた状況で診療を行っている。レセプト記載コード化は、導入のタイミングの悪さも一因ではあるが、医療機関にとっては余計な負担増にほかならない。医療のIT化は大きな流れとはいえ、2022年度の診療報酬改定を議論する中医協には、医療現場にこれ以上の負担をかけない議論が望まれる。

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第49回 新型コロナと東日本大震災(後編) あの時の医療支援は、被災地の医療をどう変えたか?

東北沿岸部の医療を進化させた在宅医療の支援こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。3月11日を境に、東日本大震災の関連報道も一気に下火となりました。NHKは、先々週はドラマが主軸でしたが、11日を迎えた先週はドキュメンタリー中心で、考えさせられる番組も多かった印象です。中でも、3月11日の夜に放送された「定点映像 10年の記録〜100か所のカメラが映した“復興”〜」は、被災3県100カ所で定期的に撮影してきた映像を基につくられたドキュメンタリーで、被災地によって復興の歩みに大きな違いがあり、そこに住む人々の思いや生活も多様であることを、改めて我々に気づかせてくれる内容でした。番組の最後で被災地を取材してきたNHKの記者が、「被災地では一般の方々は復興という言葉をほぼ使わない。使っているのは行政であり、政治家であり、われわれマスコミ」と語り、「行政の復興は、基本は住まい。被災された方は住まいも大事だが、そこがゴールとは思っていない。復興という言葉をめぐる行政と一般の方々のズレが広がっている」と指摘していたのが印象的でした。さて、今回も引き続き、東日本大震災が医療に及ぼした影響について考えてみたいと思います。東日本大震災では、前回(第48回 新型コロナと東日本大震災(前編) あの時の経験は今、医療現場でどう役に立っているか?)書いたDMAT以外にも、さまざまな医療支援チームが被災地に入りました。日本医師会のJMAT、日本プライマリ・ケア連合学会のPCATなどは、急性期医療だけではなく、亜急性期や慢性期の患者にも臨機応変に対応しました。そんな中、被災地のそれまでの医療提供体制を一気に進化させた支援もありました。それは、東北沿岸部のいくつかの町で展開された「在宅医療」です。日本の10年後だった東北沿岸部東日本大震災は、高齢化が進んだ東北沿岸部を襲ったことにより、病院や介護施設など入院・入所“施設”主体であった日本の医療提供体制の問題点を浮き彫りにしました。今から10年前の2011年、日本人口はちょうど減少傾向に入ったばかりでした(日本の人口のピークは2008年の1億2,800万人)。当時、日本全体の高齢化率は23%(現在は約29%)。それに対し、東北沿岸部の市町村の多くは30%前後に達していました。つまり、震災当時の東北沿岸部は日本の10年後の姿だった、とも言えるわけです。震災直後は津波で道路が寸断され、自動車も流されて、病院に通えない患者が続出しました。また、停電が続いたことで電動ベッドが動かず、自宅や施設で褥瘡が悪化する患者が続出しました。その時、自宅や施設において渇望されたのは、病院での医療でなく、在宅医療でした。しかし、当時、東北沿岸部の多くの市町村において、在宅医療はまだ十分に普及・定着していませんでした。医療支援チームと一体になって在宅専門部隊を組織一例として、宮城県の沿岸部最北に位置する気仙沼市では、震災前までは基幹病院である気仙沼市立病院が市民の医療の最後の砦として、急性期から慢性期まで対応しており、同病院で死を迎える人も多かったと言われています。震災前から同病院でも急性期医療への特化が模索されてはいましたが、地域で在宅医療が定着しておらず、回復期の機能を持った病床も未整備で、急性期後の患者の退院先探しには難渋していました。そんな状況の中、東日本大震災が起こり、在宅医療のニーズが急速に高まったわけです。その危機をどう乗り越えたのか……。気仙沼では全国から集った医療支援チームと地元の開業医、市立病院の医師らが一体となって、急遽、「気仙沼巡回療養支援隊」が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応したのです。同支援隊の活動は約6ヵ月続き、地元の開業医に在宅患者を引き継ぐ形で終了しましたが、在宅医療や口腔ケア・摂食嚥下のサポートは着実に普及・定着していきました。10年経った今、気仙沼周辺は、在宅医療だけではなく、多職種連携でも先進地域となっています。それは、大震災で気仙沼巡回療養支援隊の活動をベースに、地元の医療機関や介護事業所のスタッフたちが、研修や交流などを継続し、連携を深めてきた結果だと言えます。2017年に新築移転した気仙沼市立病院も、病床を震災時の451床から340床(一般336床〈うち回復期リハビリ病床48床〉、感染症4床)まで一気にスリム化し、地域の医療機関との連携にも力を入れはじめている、とのことです。なお、気仙沼のように、地元のリソースで在宅医療を定着させた地域がある一方で、宮城県の石巻市や登米市などでは関東を本拠とする医療法人が在宅専門診療所を開設し、やはり在宅医療や医療連携の定着・普及に寄与しています。在宅医療のニーズ拡大はコロナ禍と似ている震災によって“弱者”である高齢者が自宅に留まらざるを得なくなって、在宅医療・介護のニーズが拡大した状況は、現在のコロナ禍と似ています。今、感染防止の観点から医療機関の受診を控える高齢者が増えています。また、がん手術後の患者や末期患者なども、病院ではなく自宅療養を選択する人が増加しています。コロナ患者についても、重症病床から回復期病床、在宅への流れがきちんと定まっていなかったことが、病床逼迫の一因であったことは確かです。今後の第4波の襲来に備え、通常診療の在宅医療での対応拡大や、コロナ回復患者の在宅医療での対応なども考えておく必要があるでしょう。そうした仕組みづくりには、ひょっとすると、気仙沼巡回療養支援隊をはじめとした被災地での在宅医療の展開事例が参考になるかもしれません。

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地域連携薬局・専門医療機関連携薬局がいよいよ新設 気になる施設基準は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第62回

2021年1月22日に、「医薬品医療機器等法(薬機法)の法律施行規則の一部を改正する省令」が公布されました。今回の改正の大きな変更点は、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」という認定制度の新設です。以前よりこの制度を設けることは議論されていましたのでご存じの方も多いと思いますが、いよいよ施設基準が示されました。この2つの認定制度は、薬局が乱立して患者さんのかかりつけ化や医療の利用効率化がなかなか進まないなか、薬局の機能や特色をわかりやすく認定することで、患者さん自身が自分に適した薬局を選択できるようにすることが目的です。今回の法改正に当たり、昨年10月から11月までにパブリックコメントを募集し、その結果およびそれぞれの具体的な基準に対する考え方も示したうえで、2つの認定制度の基準が示されました。【地域連携薬局】1.患者さんが座って服薬指導を受けることができるプライバシーに配慮したパーテーションなどで区切られた相談窓口などの設置2.地域包括ケアシステムの構築に資する会議への継続的な参加3.他の医療機関に勤務する医療従事者への報告・連絡実績(過去1年間で月平均30回以上)4.開局時間外の相談応需体制、休日・夜間の調剤応需体制、麻薬の調剤応需体制などの整備5.継続して1年以上勤務している常勤薬剤師の半数以上の配置6.地域包括ケアシステムに関する研修を終了した常勤薬剤師の半数以上の配置7.実務に従事する薬剤師への計画的な地域包括ケアシステムに関する研修の実施8.他の医療機関に対する医薬品の適正使用に関する情報提供の実績9.在宅医療に関する取り組みの月平均2回以上の実績【専門医療機関連携薬局】1.継続して1年以上勤務している常勤薬剤師の半数以上の配置2.がんの専門性の認定(厚労省が掲げる基準に適合した団体に限る)を受けた常勤の薬剤師の配置3.がんの専門医療機関などとの連携体制(一定の実績)4.がんの専門医療機関との間で開催される会議への継続的な参加5.勤務している全薬剤師が、少なくとも1年ごとにがんの専門的な薬学的知見に基づく調剤・指導に関する研修を受講6.がんの専門的な薬学的知見に基づく調剤・指導に関する継続的な研修の実施7.過去1年間において、がんの医薬品の適正使用に関する情報提供の実績地域連携薬局については、入退院時の医療機関などと情報連携したり、在宅医療などで地域の薬局と連携しながら一元的・継続的に対応したりできる薬局というイメージです。専門医療機関連携薬局については、薬剤師の薬学的知見における「専門性」が充実している薬局が認定されるということになりそうです。この法改正は、2021年8月1日に施行することが決まっています。2021年4月には報酬改定は予定されていませんが、1年後の2022年4月の報酬改定ではこの法改正が影響する予感がします。機能別薬局はどれほど浸透するのか今後Q&Aや通知などで詳細が補完されてくると思われますが、この新設される2つの認定制度について、私が懸念することが2点あります。1点目は、薬局の機能別の明示化というと、「健康サポート薬局」が思い出されます。しかし、一体どのくらいの方に認知され、活用されているのでしょうか。かかりつけ薬剤師・薬局だって、努力の甲斐あってやっと患者さんに話が通じるようになったのに…と思うのは、私だけではないはずです。この漢字がずらっと並んだ薬局の機能別名称ですが、薬局や薬剤師だけで盛り上がるのではなく、一般の方や医師などの医療者にきちんと認知してもらい、しっかり使ってもらう仕組みが必要なのではないかと思います。2点目は、「認定制度」と聞くと、条件反射のように「取得しなきゃ!」と反応する薬剤師が多いことです。その前向きな反応は私個人としては悪いことではないと思うのですが、要件や今後設定されるであろう点数だけでなく、「何のための地域連携薬局なのか?」「何のための専門医療機関連携薬局なのか?」という点をしっかり考えて、自分の目指す薬局や薬剤師像、患者さんとの接し方を見つめ直してから取得してほしいなと思います。これらの認定を受けるためには過去の実績が必要ということもあり、かなりの覚悟や努力が必要だと思います。自分たちの運営する薬局が、どのようなサービスを展開するのか、どのような薬局を目指していくのかスタッフ間で話し合ってはいかがでしょうか。参考1)「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布について」薬生発0122第6号令和3年1月22日厚生労働省医薬・生活衛生局長

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第40回 日本医師会が示す緊急事態宣言の解除条件

<先週の動き>1.日本医師会が示す緊急事態宣言の解除条件2.ワクチン接種体制の確立に追われる医療機関と地方自治体3.第3次補正予算、病床確保などで医療機関を支援4.地域医療構想、重点支援区域に山形県・置賜と岐阜県・東濃を追加5.積極的なコロナ患者受け入れで黒字化に成功した徳洲会病院G1.日本医師会が示す緊急事態宣言の解除条件日医・中川 俊男会長は、2月7日に予定されている緊急事態宣言の解除について、現状では厳しいとの見方を定例記者会見で述べた。今回の措置によって、一定の感染拡大防止効果が表れているようにもみえるが、「決して気を抜ける状況ではない」という。中川会長は、緊急事態宣言の解除について、都道府県の医療提供体制などの状況の判断に用いる6つの指標を示した。1)病床のひっ迫具合2)療養者数3)PCR検査陽性率4)感染者の新規報告数5)直近1週間と前の週の感染者数の比較6)感染経路不明割合上記のすべてがステージ2相当となるか、ステージ3ではあるものの、この状況が続けばステージ2になるのが確実となった時点で検討を開始すべきであると主張した。(参考)新型コロナウイルス感染症に関する最近の動向について(日本医師会)2.ワクチン接種体制の確立に追われる医療機関と地方自治体各都道府県の医療機関と地方自治体は、この2月から開始される新型コロナワクチン接種開始に向けて体制作りに動いているが、情報不足と医師不足に直面している。厚労省はワクチンについての情報ページに資料を掲載するなど、情報提供を行っているが、集団接種の会場手配や医師・看護師など人手のほか、ワクチンの供給についてさまざまな問題がある。地域の医師会や看護協会と連携しながら、対応が急がれる。(参考)新型コロナワクチンについて(厚労省)自治体9割、医師確保できず 7割が情報提供不十分 新型コロナワクチン、全国調査(毎日新聞)3.第3次補正予算、病床確保などで医療機関を支援1月28日の参議院本会議にて、コロナなど追加対策19兆円を含む、20年度3次補正予算が成立した。厚労省の予算は、新型コロナウイルス感染の拡大防止策を含む、追加額4兆7,330億円。さらなる感染拡大防止対策の支援、検査体制の充実、ワクチン接種体制や情報収集・分析体制の整備などが含まれた。ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現のためには、雇用就業機会の確保や、子供を産み育てやすい環境作りのほか、介護・福祉分野におけるデジタル化の推進など、デジタル改革の実現を狙う内容となっている。(参考)令和2年度厚生労働省第三次補正予算案の概要(厚労省)医療機関への支援などで1兆6千億円余り増額 20年度第3次補正予算(CBnewsマネジメント)4.地域医療構想、重点支援区域に山形県・置賜と岐阜県・東濃を追加厚労省も2025年までの地域医療構想の実現に向けて、国が集中的な支援を行う重点支援区域として、昨年1月から重点支援区域を2回に分けて指定していた。今年に入ってさらに山形県・置賜と岐阜県・東濃の2区域を追加した。各都道府県は、域医療構想調整会議において、重点支援区域申請を行う旨合意を得た上で、「重点支援区域」に申請することになっており、地域医療介護総合確保基金の優先配分や新たな病床ダウンサイジング支援を一層手厚く実施することとなっている。今後も重点支援区域申請は随時募集されることで、地域医療構想の実現に向け、促進されることになる。(参考)公立と民間の3病院を再編、国の支援対象に 山形・米沢(日経新聞)重点支援、山形県・置賜と岐阜県・東濃の2区域追加 地域医療構想の実現へ、厚労省(CBnewsマネジメント)当面の地域医療構想の推進に向けた取組について(厚労省)重点支援区域の状況について(第25回 地域医療構想に関するWG)5.積極的なコロナ患者受け入れで黒字化に成功した徳洲会病院G2020年度の病院業界は、コロナウイルス感染拡大により、多くの医療機関が経営悪化に陥った。一方、大手民間病院グループである徳洲会病院グループでは、当初は受診抑制や救急車の搬送件数減少に見舞われたものの、その後、湘南鎌倉病院や千葉西総合病院、羽生総合病院などにコロナ専門病棟を開設することで、重症患者と棲み分けしつつ、急性期医療を継続することで、黒字経営を維持している。感染拡大により、国は「5疾病・5事業および在宅医療」に2024年度からの第8次医療計画には新たに「感染症」を加えることとしており、地域医療構想の実現には感染症対策は重要課題となると考えられる。(参考)鎌倉の臨時医療施設、最後の1棟患者受け入れ開始 県(神奈川新聞)大手の民間病院がコロナ患者を積極的に受け入れる理由(東洋経済オンライン)

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新型コロナ、再入院しやすい患者の特徴は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初発感染で入退院した患者のうち、9%が退院後2ヵ月以内に同じ病院に再入院していたことが明らかになった。また、複数の病院で患者の1.6%が再入院していた。再入院の危険因子には、65歳以上、特定の慢性疾患の既往、COVID-19による初回入院以前の3ヵ月以内の入院、高度看護施設(SNF:skilled nursing facility)への退院または在宅医療への切り替えが含まれていた。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)11月13日号での報告。 CDC研究班は、Premier Healthcare Database の電子健康記録と管理データを使用し、退院、再入院のパターン、およびCOVID-19による初回入退院後の再入院に関連する人口統計学的および臨床的特徴を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2020年3~7月の期間にCOVID-19で初回入院した12万6,137例のうち、15%が初回入院中に死亡した。・生存患者10万6,543例(85%)のうち、9,504例(9%)は、2020年8月までの退院から2ヵ月以内に同じ病院に再入院していた。・初回入院後に退院した患者の1.6%で、複数回の再入院が発生した。・再入院は、自宅退院した患者(7%)よりも、SNFへ退院した患者(15%)、または在宅医療を要する患者(12%)でより頻繁に発生した。・65歳以上、特定の慢性疾患の既往、初回入院以前の3ヵ月以内の入院、および初回入院からの退院がSNFまたは在宅診療を要する退院であった場合、再入院の確率は年齢とともに増加した。 研究者らは、再入院の頻度とその危険因子を理解することで、臨床診療、退院の決定、およびCOVID-19患者の急性およびフォローアップケアに必要なリソースを確保するためのヘルスケア計画など、公衆衛生における優先順位を知ることができるとしている。

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COVID-19流行下における緩和ケア、各施設の苦闘と工夫

 日本がんサポーティブケア学会、日本サイコオンコロジー学会、日本緩和医療学会は8月9~10日にオンライン形式で合同学術集会を予定している。これに先立って、7月上旬に特別企画として「COVID19と緩和ケア・支持療法・心のケア」と題するオンラインセミナーが行われた。3学会から立場の異なるメンバーが集まり、COVID-19が緩和ケアに与える影響とその対処法について、それぞれの経験を語り合った。COVID-19が緩和ケアにどのような影響を与えたかアンケートを分析【司会】・里見 絵理子氏(国立がん研究センター中央病院 緩和医療科科長)・林 ゑり子氏(藤沢湘南台病院 がん看護専門看護師)【登壇者】・廣橋 猛氏(永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長)・柏木 秀行氏(飯塚病院 連携医療・緩和ケア科部長)・秋月 伸哉氏(がん・感染症センター駒込病院 精神腫瘍科科長)・渡邊 清高氏(帝京大学医学部内科学 腫瘍内科准教授) 冒頭に、日本緩和医療学会COVID-19関連特別ワーキンググループらが5月上旬に行った「新型コロナウイルス感染症に対する対応に関するアンケート」の結果1)が共有された。これはCOVID-19が、全国の専門緩和ケアサービスにどのような影響を与えたかを調べる目的で実施されたもので、654件の回答のうち重複を除く598件を分析対象とした。 専門的緩和ケアの提供形態別に「A:ホスピス・緩和ケア病棟(PCU)のみ/109施設」「B:緩和ケアチーム(PCT)のみ/303施設」「C:PCUとPCTの両方/186施設」に分類したうえで、「A+C:緩和ケア病棟群/295施設」「B+C:緩和ケアチーム群/489施設」に分けて分析が行われた。これは全国の緩和ケア病棟の約70%、緩和ケアチームの約50%を占めるという。 緩和ケア病棟群では、「新型コロナウイルス感染症の流行後、緩和ケア病棟の患者受け入れ方針に変化があった」と回答した施設が55%(161施設)あり、うち22施設では緩和ケア病棟がCOVID-19患者用の専門病棟に変更されていた。 続いて、「新型コロナウイルス感染症の流行後、緩和ケア病棟での面会制限はあるか」という質問に対して、緩和ケア病棟群の98%にあたる289施設が「ある」と回答。ここでは、予測される患者の予後によって段階的な対応をする施設が多く、末期近いことが予測される患者には面会制限を緩めるケースが多かった。 面会制限を行っているあいだ、面会以外でのコミュニケーション支援をはかる医療機関もあり、「テレビ電話などでのコミュニケーション支援」が55%と最も多く、「Wi-Fi使用可」が15%、「院内にPC・タブレットを用意」が6%と続いた(複数回答可)。ただ、「とくに何もしていない」という回答が87%と大きな割合を占めており、支援にあたって設備や人員確保の難しさも見える結果となっている。COVID-19感染対策下の面会のため緩和ケア病棟にタブレット 続けて、アンケートの結果も踏まえつつ、登壇者が自施設でのこれまでの対策と現況について情報をシェアした。―COVID-19に対する自施設の対応は? 渡邊氏「流行が懸念される早めの時期から、院内・診療科・部門ごとに感染対策を立て、実行した。通常診療に対しても感染予防策を取り、がん患者さんに対しては個別にリスクの評価を行った上で、治療継続、手術予定の延期、経口の抗がん剤やホルモン薬の使用等の検討を行っている。感染流行の長期化を踏まえ、息の長い対策にしていくことが肝要だ」 秋月氏「患者と同時にスタッフのケアが必要だと考えた。COVID-19感染症病棟のスタッフが孤立しないようリエゾンチームとして感染症病棟を巡回するだけでなく、緩和ケアチームなどを含む院内組織を立ち上げ、院内向けの情報発信にも力を入れた」 廣橋氏「3月に院内でのCOVID-19感染が発生し、これまでに200名以上の感染者を出してしまった。緩和ケア病棟も閉鎖を余儀なくされていたが、5月下旬から診療を再開した。緩和ケアのカギとなる多職種チームの活動も制限せざるを得ず忸怩たる思いだが、現状では感染防止を最優先せざるを得ない状況が続いている」―緩和ケアで重要となる、在宅医療など他施設との連携はどうしていたか? 柏木氏「これまで、電話とFAXと対面で行っていた医療連携だが、対面が使えなくなり、手間がかかるようになったことは事実だ」 廣橋氏「確かに大変にはなったが、以前から『顔の見える連携』をしてきたことが生きている。緩和ケア病棟の事前面談をオンラインで行う試みも開始した」 林氏「対面の機会が限られ、退院前のカンファレンスや家族への介護指導ができないことは痛い。その患者様の安楽な移動方法や介助方法、人工肛門やいろいろな装具を直接見て頂く機会が少ないため、電話で時間をかけてイメージできるまで説明したり、訪問看護に助けて頂いたりするなど、できることを工夫しながら行っている」―患者・スタッフの心のケアをどう行っていたか? 秋月氏「強い呼吸困難を経験した感染患者は、症状が収まってからも強い恐怖感を訴えるケースがある。また、家族や同僚を感染させてしまった、という自責の念に捉われる方もいた。また、異なる視点として、高齢者施設内のクラスターにおいては認知症患者がいる。そうした方はゾーニングを理解できず歩き回ったり、家族と会えずにパニックになったりなど、異なるケアが必要となった」 柏木氏「軽症でホテルに隔離されている患者に対応したが、特殊な環境下で不安を抱える方が多かった。入院されていればすぐに対応できるのだが、やりとりは電話に限られており、診療には限界があった」 秋月氏「スタッフに関しては、感染患者に直接対応しているか、そうでないかで置かれた状況が大きく異なる。直接対応するスタッフは自分や家族への感染リスクに不安を持っており、急ごしらえの対応チームでコミュニケーションミスも起きやすい。直接対応していないスタッフは、対応チームに人員を割かれており、情報のシェアがないと不満がたまりやすい。ストレスチェックやアンケートだけでは現場の実態が把握できないため、『対応策をヒアリングする』と言って個別面接を行った。『声を上げれば、何らかのフィードバックがある』とスタッフに感じてもらえる仕組みづくりが大切だ」―家族へのケア、面会制限はどのように行ったか? 廣橋氏「COVID-19感染対策下におけるご家族との関わりにおいては、日本緩和医療学会の普及啓発ワーキンググループで作成した『感染症対策下における入院患者さんのご家族向けリーフレット』を役立ててもらいたい。面会制限中は、家族に写真やメッセージを持ってきてもらったり、スマートフォンやタブレットのビデオ通話を使った面会を支援したりなど、少しでもコミュニケーションがとれるように工夫している。私を中心に行ったクラウドファンディングでは多くの支援が集まり、今後は希望する緩和ケア病棟にタブレット配置などの環境整備をしていくことができそうだ」 各施設でスタッフ間や患者と家族のコミュニケーション支援においてIT機器やオンラインを使った各種の試みが行われていることが共有され、「今後に活かしていきたい」という声が上がっていた。本セミナーの動画は、合同学術集会の開催時に、参加者に対して公開される予定となっている。

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第15回 コロナ禍での面談で自己啓発本に溺れるMRの多さが浮き彫りに?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる受診患者減少が医療機関の経営を直撃していることは繰り返し伝えられている。従来、医療は景気の波や社会情勢などに左右されにくい安定職種と考えられてきたものの、今回は院内・院外での感染回避のため、社会全体で外出自粛のような非常に原始的な戦略がとられた結果、慢性疾患患者を中心とする受診抑制という予想もしなかった事態にさらされた。同時に、この事態は医療機関周辺の患者以外のステークホルダーにも影響を及ぼしている。代表例が製薬企業、とりわけ医療機関を訪問し、医師に直接自社製品の情報提供を行う医薬情報担当者(MR)だ。彼らが感染源となって医療機関で感染者が発生した場合、業界全体の信用低下となってしまうこともあり、2~4月にかけて各社とも訪問を自粛するようになった。この訪問自粛を契機に各社とも盛んに行っているのがMicrosoft Teams、Zoom、Cisco WebexなどのWeb会議システムを通じた医師とのリモート面談である。企業によっては、チャットボットを利用したリモート面談予約機能を備えたり、AIを利用した音声での情報提供などを行ったりしている。医師にとっては自分が聞きたい時間に聞きたいことが聞ける、MRにとっては移動の手間暇がないメリットが挙げられる。もっとも、新型コロナパンデミック以降、知り合いの医師やMRに接触するたびにリモート面談の“使い心地”を尋ねているのだが、双方ともになかなかの“鬼門”だという。結局、こうしたシステムを利用して話すことは日時を設定したアポイントメント面談と同じで、互いに身構えて向き合わなければならない。全体の傾向を代表していそうな個別感想を紹介すると次のようになる。「結局、病院内でMRさんが出待ちして声をかけられるのは自分たちもある種、気が楽だったんですよ。とくに聞くべき情報がない時は歩きながら形式的な会話をして『ごめん、今日は忙しいんで』とほどほどに切り上げればいいし、ちょうど聞きたいことがあったら『ねえねえ…』と聞けばいいし。Webシステムを使って1週間先の日時のアポイントメントを入れたいと提案されると、『なんか聞きたいことあったっけ? まあ、今は思い当たらないし、別にいいや』となっちゃうんですよね」(30代:循環器内科医)「難なくリモート面談ができる医師というのは、ほとんどが普段から対面でそこそこ以上に話せる関係ができている医師です。結局、人間関係ができているので、その時々に応じてコンタクト手段を変えることができるということ。だから、今春に転勤で担当医療機関が変わった他社のMRなんかを見ていると苦労してますよね」(30代:外資系製薬企業MR)昨今では厚生労働省がMRによる不適正な情報提供を是正するため「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」を策定し、一部ではMR不要論もささやかれている。では、本当にMRは不要なのだろうか? このコロナ禍の最中に私が接触した医師たち(ざっと30人程度)に尋ねた結果を総合すると、「いなくてもめちゃくちゃ困ることはないが、いたほうがいい」という何とも曖昧な結果となった。ある基幹病院勤務の産婦人科医が絶妙な言い方をしてくれた。「簡単に言うと、風呂の蓋なんですよね。『要る(風呂に入る)時に要らなくて、要らない(風呂を出る)時に要る』みたいな。何か聞きたいことがある時ほど院内にいなくて、忙しくて話をしている時間もない時に限って『先生、先生』って追いかけてくるみたいな。でも聞きたいことがあると言ってもその内容は千差万別で、わざわざMR本人にメールや電話をしたり、製薬企業のDI部門に電話して聞きたいことも多かったり。だから結局、アポを取ってもらってまで訪問してもらうほどではないんです。なんかうまくかみ合わず難しいんですよね」では、MRから聞けるならばぜひ聞きたい情報は何かと尋ねると、意外にも共通していたのは“ほかの医師がどのような処方を行っているか”。「医学部の同級生や研修医時代の同期などに聞いても同じような悩みを抱え、彼らから答えは得られない。しかも、いわゆるKOL医師が講演会などで語る処方の考え方は建前であることも多く、必ずしも参考にはならない」(40代精神科医)からだという。要は、医師は必ずしも自分の処方に自信満々というわけではないということだ。もっともこうしたほかの医師の処方に関する情報をどの程度提供できるかは、製薬業界の自主基準(プロモーションコード)や各社のコンプライアンスに照らすと微妙な側面もある。ただ、いずれにせよ医師側は「今までのような訪問頻度は必要ない」という点でほぼ一致する。そして直接面談の一部がリモート面談に置き換わるだけでなく、医療機関によっては今回の訪問自粛を契機にMR訪問の意義を再検討し、今まで以上に訪問規制をする動きも容易に想像できる。最終的にはMRと医師のコンタクト総量そのものが減少することは必至だろう。もっともMRから聞きたい情報とて、どんなMRからでもいいというわけではない。大学病院の消化器内科で長らく勤務し、現在は開業する50代の医師は次のようにもらした。「基本的にMRの皆さんは一様に賢くて真面目なんですよね。でも、それだけなんですよ。話を聞くと、いろいろとセミナーに行って勉強している人も少なくないのに深みを感じない。非常に酷な言い方をすれば、頭は良いはずなのに教養は高くない。たとえば、私たち医師は多様な患者さんに接して単純にエビデンスで割り切れないことを数多く経験している。在宅医療をやっている開業医は亡くなる患者の看取りもするので生や死のことも考える。そんなことはMRの皆さんは百も承知なはずなのに、なぜか話していて、彼らに共感することも、彼らに共感されたと感じることもないんです。うるさいこと言っていると思われるかもしれないけど、どうせ直接面談するならそうした感性が共有できるMRさんと面談したいですよね」知り合いの製薬企業関係者には不快に思われてしまうかもしれないが、実は私はこの言葉に大きくうなずいてしまった。しかもこのコロナ禍の最中にそれを顕著に感じた瞬間があった。外出自粛で在宅勤務の人が増え、Web上ではこの退屈な雰囲気の中で楽しみながら人とつながるという動きが顕在化した。それがZoomなどを利用したオンライン飲み会であり、SNS上であるテーマについて人をつないで投稿する“バトン”である。このバトンの一つに自分が感銘を受けた本の表紙を1週間にわたって紹介する「ブックカバーチャレンジ」というものがあった。私自身も私の周囲もFacebookでブックカバーチャレンジの投稿をしていたが、私がFacebookでつながっている製薬企業関係者(私のつながっている友達の2割弱)の取り上げる本にはある種の共通した特徴があった。それは老いも若きも紹介する本は、事実上、ビジネスハウツーや自己啓発系に著しく偏るのである。少なくとも私のFacebook上では他の業界の人と比べ、あまりにも顕著過ぎた。これをn=1の事例と言ってしまえばそれまでだが、実は似たような経験は過去にもある。私は製薬産業や医療業界に関わるある研究会の裏方を務めているが、そこで開催する講演会では、まさにハウツー的なテーマではすぐ満席になるが、倫理などやや概念的なテーマになるとあっという間に閑古鳥が鳴く。さらに言えば、私の見立てでは製薬業界の人はかなりの比率でMBA(経営学修士)の取得を目指す人が目立つ。要は“人に勝つため”のテクニックに異常なまでに興味を示す。あまりに“現金”過ぎて思わず笑ってしまうほどだ。だが、医療はいま大きな変革期にある。これまではどちらかというとエビデンスという名の正義に押しやられていた患者個人の価値観が台頭し、国内の医療制度では「地域包括ケア」という概念が登場している。端的に言えば、医療の中に多様化の波が押し寄せ、“解”は一つではなくなっている。しかし、製薬企業関係者はその波に逆行するかのように、やたらと唯一絶対の“解”を求めているかのようだ。しかも、その求める“解”とは患者や医療をより高めるものというよりは、あまりにも自分を高みに置くことにより過ぎているように映る。そんなこんなでふと思い出した言葉がある。それはイギリスの経済学者アルフレッド・マーシャルがケンブリッジ大学教授となった際に唱えた「Cool head but warm heart(冷静な頭脳と温かい心)」。経済学とはお金の動きも含め、世の経済現象を探求する学問。ロンドンの貧民街を目にしたマーシャルは、冷静に経済を分析することで苦難にあえぐ人々を助けるのが経済学者の矜持だと指摘したのである。ちなみに経済学の世界では有名なケインズ経済学で有名な経済学者ジョン・メイナード・ケインズはこのマーシャルの直弟子である。この“warm heart”は共感と読み解くことができる。泥臭いと言われるかもしれないが、私はAI時代、直接面談減少時代に生き残れるMRに必要な資質の一つはこの“warm heart”なのではないかとの意を強くしている。

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日本動脈硬化学会総会・学術集会のWeb開催について【ご案内】

 一般社団法人日本動脈硬化学会は、2020年7月17日(金)、18日(土)に名古屋での開催を予定していた『第52回日本動脈硬化学会総会・学術集会』をWeb開催へ変更した。また、開催日も変更し、7月17日(金)~31日(金)の期間に実施される。参加登録者は会期中に全セッションを随時視聴できる。また、同じくWeb配信が予定されている市民公開講座については、誰でも無料で視聴可能である。 本学術集会では、医師向けの最新知見の発信のみならず、大学院生向けの最新研究TECH-Seminar、メディカルスタッフを対象とした症例検討などの企画が予定されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2020年7月17日(金)~31日(金)【参加条件】・登録方法:開催期間中、オンライン参加登録が可能・参加費:ホームページ参照※市民公開講座は無料【テーマ】「人は血管とともに老いる」からの脱却~動脈硬化予防から健康長寿へ~【会長講演】「動脈硬化病変形成におけるタンパク分解酵素の役割について」葛谷 雅文氏(名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学講座)【特別講演1】「自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞(ADRC)移植による血管再生療法」室原 豊明氏(名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学)【特別講演2】「HDL粒子不均一性の基礎と臨床」横山 信治氏(中部大学 応用生物学部)【合同シンポジウム1】「心血管疾患のリスク病態としてのNAFLD/NASH」中島 淳氏(横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学教室) ほか【合同シンポジウム2】「日本血管生物医学会合同シンポジウム」清水 優樹氏(名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学) ほか【市民公開講座】「長寿の達人を目指す~血管を若返らす~」楽木 宏実氏(大阪大学大学院医学系研究科 老年・総合内科学) ほか「新型コロナウイルスに立ち向かう ~動脈硬化学会からのメッセージ~」米満 吉和氏(九州大学大学院薬学研究院) ほか【お問い合わせ・運営事務局】株式会社コングレ中部支社内〒460-0004 名古屋市中区新栄町2-13 栄第一生命ビルディングTEL:052-950-3369 FAX:052-950-3370E-mail:jas52@congre.co.jp詳細はこちら

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