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第115回 感染症法改正、病床確保拒否する病院に罰則を/内閣府

<先週の動き>1.感染症法改正、病床確保拒否する病院に罰則を/内閣府2.オミクロン株対応の新ワクチン、今月中に接種開始へ/厚労省3.病院のかかりつけ医機能は中小病院が中心に/日本病院会4.日本ようやく「結核低まん延国」に/厚労省5.世界初の高血圧の治療アプリが保険適用に/厚労省6.介護保険の給付が10兆円越え、高齢化で過去最高に/厚労省1.感染症法改正、病床確保拒否する病院に罰則を/内閣府岸田内閣は、9月2日に新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた、次の感染症危機に備えるための具体策をまとめた。この中で、感染症法の改正を行い、感染症発生・まん延時に備えて、都道府県に対してあらかじめ、各医療機関と具体的な役割・対応について協定を締結しておくことを求める。さらに、公立・公的医療機関などや特定機能病院・地域医療支援病院に対しては、感染症発生時に担うべき医療の提供を義務付け、応じない場合は罰則を盛り込む方針を明らかにした。また、次の感染症危機に対して、政府の司令塔機能の強化するため、司令塔機能を担う組織として「内閣感染症危機管理統括庁(仮称)」を設置を盛り込んだ法案をこの秋の臨時国会に改正案を提出し、次年度の設立を目指す。(参考)第97回 新型コロナウイルス感染症対策本部(首相官邸)政府が新たな感染症対策 医療機関に罰則、23年度中に司令塔組織(毎日新聞)政府、病床確保拒否に罰則 5年度に司令塔組織創設(産経新聞)大病院の病床確保へ法改正 実効性に課題(日経新聞)2.オミクロン株対応の新ワクチン、今月中に接種開始へ/厚労省厚生労働省は9月2日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の議論で、オミクロン株対応ワクチン接種については、接種時期や接種対象者についての方針を取りまとめた。政府はすでにオミクロン株対応ワクチンの輸入を一部前倒しして開始しており、薬事承認を経て、9月中旬開催予定の分科会において、オミクロン株対応ワクチンの接種を特例臨時接種として諮問し、オミクロン株対応ワクチン接種を開始するとしている。各自治体に対しては、接種の準備を行い、開始時期は令和4年10月半ばを目途としているが、準備ができ次第開始する。また、現在、高齢者、重症化リスクの高い人や医療従事者など4回目接種の対象者に対して行なっている従来のワクチン接種について、2価のオミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)へ切り替えも早期に行うこととした。(参考)第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(厚労省)オミクロン株に対応した新型コロナワクチンの接種体制確保について(その3)(事務連絡)新ワクチン、今月半ばにも オミクロン対応、高齢者などから(東京新聞)オミクロン株対応ワクチン、今月半ばに配送開始…高齢者ら優先で接種(読売新聞)改良ワクチン3,000万回分 オミクロン型対応 19日ごろから配送(日経新聞)3.病院のかかりつけ医機能は中小病院が中心に/日本病院会日本病院会の相澤孝夫会長は、8月29日の記者会見で「かかりつけ医機能」について、「医師個人の機能ではなく、医療機関としての機能であるとして、かかりつけ医機能を推進する病院として『地域を支えていく中小規模病院』の機能を充実・強化が必要である」と見解を述べた。具体的な機能としたのは、地域の医療機関などとの連携や在宅医療支援、介護などとの連携について示した。日本病院会では、病院のかかりつけ医機能の在り方にさらに議論を進め、厚生労働省の「第8次医療計画等に関する検討会」に見解を示す見込み。(参考)病院のかかりつけ医機能、「中小規模病院」を中心に 日病が方向性(MEDIFAX)「かかりつけ医機能」、急病対応や総合診療などが最重要要素で、中小病院で充実していくべき-日病・相澤会長(Gem Med)4.日本ようやく「結核低まん延国」に/厚労省厚生労働省は、8月30日に2021年の結核登録者情報調査年報集計結果を公表した。これによると、わが国の2021年の結核罹患率(人口10万対)について、前年と比較して0.9減少し、人口10万人あたりの活動性結核患者の発生数が10人未満の結核の低まん延国となったことが明らかとなった。わが国は過去に結核が蔓延した影響があり、結核患者の高齢化はますます進行し、新登録結核患者のうち70歳以上が占める割合は63.5%と高く、引き続き対策が求められる。(参考)2021年 結核登録者情報調査年報集計結果について(厚労省)2021(令和3)年結核年報速報(疫学情報センター)日本、結核「低まん延国」に…人口10万人あたりの患者数が初めて10人を下回る(読売新聞)国内結核患者 過去最少「結核低まん延国」に コロナ対策影響か(NHK)5.世界初の高血圧の治療アプリが保険適用に/厚労省CureApp社は、禁煙補助に続いて、世界初の高血圧治療補助アプリ「CureAppHT」を9月1日に「成人の本態性高血圧症の治療補助」で保険適用されたことを受け、即日発売した。高血圧患者の行動変容を促し、生活習慣の改善による降圧効果を図るとする医療機器として認められた。6ヵ月を限度に毎月830点(初月のみ計970点)を算定するためには200床未満の医療機関では、地域包括診療料、地域包括診療加算、高血圧症を主病とする生活習慣病管理料のいずれかの算定実績が要件とされている。一方、200床以上の医療機関では、日本高血圧学会の定める「高血圧認定研修施設」であり、かつ22年度診療報酬改定で新設された「紹介受診重点医療機関」であることが要件とされた。(参考)CureAppが高血圧の治療用アプリを承認申請、薬なしで12週後の降圧効果を確認(日経クロステック)CureApp 高血圧治療補助アプリが保険適用、即日発売 生活習慣修正をトータルサポート(ミクスオンライン)中医協総会 CureAppの高血圧治療補助アプリは「新規技術料」で評価 使用実態のフォローアップを(同)6.介護保険の給付が10兆円越え、高齢化で過去最高に/厚労省厚生労働省は、令和2年度の介護保険事業状況報告の年報を8月31日に公表した。これによると、令和2年度の保険給付関係の累計の総数は、件数1億6,303万件、費用総額10兆7,247億円と過去最高となったことが明らかになった。給付費の内訳は、居宅介護(介護予防)サービス4兆7,872億円、地域密着型介護(介護予防)サービス1兆6,459億円、施設介護サービス3兆1,629億円となっており、要介護・要支援認定者数は、令和2年度末現在で682万人と前年度より13万人増加している。介護保険の給付費は過去20年間で3倍以上の増加となっており、今後はさらに団塊の世代が75歳以上となることで、介護費の増加は加速するとみられる。(参考)令和2年度 介護保険事業状況報告(厚労省)介護給付、初めて10兆円超え 20年度、高齢化で過去最高(共同通信)介護給付費、初の10兆円超え 20年度 20年間で3倍超、厚労省(CB news)要介護・要支援認定は過去最多の682万人 厚労省が20年度の年報公表、前年度比13万人増(同)

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第114回 感染者の全数把握見直し、全国一律で/首相官邸

<先週の動き>1.感染者の全数把握見直し、全国一律で/首相官邸2.高齢化で膨らみ続ける社会保障費、概算要求1.9%増/厚労省3.次の医療計画に病院薬剤師、看護師の確保と育成を求める/厚労省4.地域医療を担う医師を、文部科学省と厚生労働省に知事らが提言5.資格ない臨床工学技士が10針縫合、医師や技士に処分/千葉県6.治験促進センター廃止へ/日本医師会1.感染者の全数把握見直し、全国一律で/首相官邸8月27日、岸田文雄総理はオンライン記者会見で、新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しについて、今後は、全国一律の措置に移行し、報告対象外となる自宅療養者への支援体制などを整えた上で、移行時期を決定すると示した。現時点で、各自治体の判断で、報告対象を限定することについては、柔軟に対応することは可能とした。また、新型コロナ対策で実施している水際対策についても緩和を8月24日の記者会見で、ワクチンを3回の接種を条件に、日本に入国・帰国時に求めてきた海外での帰国前の検査については9月7日から免除すると発表した。(参考)岸田首相 新型コロナ 感染者の全数把握見直し 今後全国一律で(NHK)岸田首相、コロナ全数把握の見直しは「全国一律導入が基本」…ウィズコロナに向けた「新たな段階」(読売新聞)入国前の現地検査免除、9月7日から 全数把握は見直し 岸田首相が表明(日経新聞)2.高齢化で膨らみ続ける社会保障費、概算要求1.9%増/厚労省厚生労働省は、来年度の予算案の概算要求で、今年度予算に比べ6,300億円増の33兆2,644億円を財務省に要求した。高齢化の進展により社会保障費が31兆2,694億円と増加したため。今後も団塊の世代が後期高齢者となっていくため、医療費を含め社会保障費の抑制策について国としては取り組みを強化するとみられる。(参考)社会保障費増続く 厚労省の概算要求33.2兆円、実質過去最大(朝日新聞)厚労省概算要求1.9%増の33.2兆円 高齢化で増加続く(日経新聞)2023年度概算要求、社会保障費に約31.3兆円 自然増5,376億円、厚労省(CB news)3.次の医療計画に病院薬剤師、看護師の確保を求める/厚労省厚生労働省は8月25日に「第8次医療計画等に関する検討会」を開催し、不足しているとされる病院薬剤師や訪問看護師の確保に関する記載を都道府県に求めることとした。これまでの医療計画では薬剤師については資質向上を求めていたが、今後は調剤だけでなく、病棟薬剤業務やチーム医療、在宅医療への参加など、役割の充実が求められている。また、看護職員については、都心部では2025年に看護職員不足が見込まれる一方で、一部の都道府県においては、供給数より2025年の看護職員需要数が少ないなど、地域の実情を踏まえつつ、都道府県ナースセンターによる復職支援や、医療機関の勤務環境改善による離職防止などの取組を推進していくことを求めている。(参考)医師以外の医療従事者の確保について病院薬剤師や訪問看護師、特定行為研修修了看護師、医療計画に「ニーズ踏まえた確保策」規定へ-第8次医療計画検討会(Gem Med)薬剤師の確保策を医療計画に記載へ、厚労省方針 計画の作成指針に反映(CB news)4.地域医療を担う医師を、文部科学省と厚生労働省に知事らが提言「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」は、2022年8月21日、厚生労働省や文部科学省に対して、諸問題を解消するための提言書を提出した。提言は、大学医学部の定員上限の緩和や、すべての病院の管理者の要件に医師少数区域での勤務経験の義務付けを求める内容となっている。同会は2020年、医師の都市部偏在により地域で医師不足が課題となっている、人口当たりの医師数が少ない、青森、岩手、福島、新潟、長野、静岡の県知事らが発起し、現在12県が参加し、定期的にシンポジウムなどを開催している。(参考)地方病院の医師不足解消へ 12県の知事 厚労省と文科省に提言(NHK)令和4年度「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」提言決議地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会5.資格ない臨床工学技士が10針縫合、医師と技士が処分に/千葉県千葉市立海浜病院で、ペースメーカの交換術で、医師資格のない臨床工学技士に縫合をさせていた問題で、病院側による再調査の結果、技師の縫合は10針以上であり、技師が虚偽証言をしていたことが明らかとなった。病院側は臨床工学技士と執刀医にそれぞれ10分の1(1ヵ月)の減給、院長を訓告の懲戒処分とした。(参考)無資格縫合は、1針ではなく10針も 千葉市立病院の不正手術問題(朝日新聞)千葉 無資格の技士が胸の縫合手術 調査にも虚偽説明で減給処分(NHK)6.治験促進センター廃止へ/日本医師会日本医師会は、治験や臨床研究の基盤整備の推進を目的に、平成15年に設立した治験促進センターを、日本医師会理事会において廃止することを決定した。これまでは、活動の基盤整備などに厚生労働科学研究費を用いていたが、平成27年度から日本医療研究開発機構(AMED)委託研究費に変わり、厚生労働省・AMEDと連携してきた。今後については、臨床試験のための eTrainingCenterや臨床試験登録システム(CTR)は2023年1月31日に廃止など行い、令和5年度以降、治験に関する業務は、医療技術課の所管となる見込み。(参考)治験センター廃止に伴う業務整理について(日本医師会)治験促進センター廃止に伴う業務整理について(治験促進センター)

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介護施設での看取りにどう対応するか【非専門医のための緩和ケアTips】第31回

第31回 介護施設での看取りにどう対応するか在宅医療に関わる方であれば、介護施設における訪問診療を担当される方も多いと思います。そうすると、たびたび直面するのが「施設での看取り」です。長く過ごした施設で最期まで過ごさせてあげたい…。そんな家族やスタッフの気持ちの反面、在宅での看取りとは別の難しさもあります。今日の質問訪問診療で担当している施設の患者さんが、そろそろお看取りが近そうです。施設のスタッフはお看取りの経験がありませんが、長く過ごされていた患者さんであり、「最期まで施設で過ごさせてあげたい」という気持ちが強いようです。こうしたケースで注意するべき点は何でしょうか?私も施設への訪問診療をしています。長く過ごした施設で、スタッフの方の暖かなケアを受けながら最期まで過ごされ、良いお看取りになったと感じる患者さんもいらっしゃいました。その一方で、さまざまな理由で、看取りに対応するのが難しい施設もあります。「最後は入院してもらわないと…。こちらでは対応できません」といったやりとりもしばしば経験します。施設と一言で言っても、その種類や抱える事情はさまざまです。その中でわれわれ医療者ができることは何でしょうか?それは、「施設スタッフもケアの対象」と捉え、対話することです。看護師が在籍する施設でも、休日夜間は介護スタッフを中心に対応している施設が大半です。介護スタッフは介護のスペシャリストです。寝たきりの患者さんが褥瘡もなく、肌も綺麗にしているのは彼らの提供する介護やケアの賜物です。しかし、看取りが近い方について介護スタッフの方と話すと、多かれ少なかれ不安を感じています。「今後どうなるかわからない」「心配する家族から何か聞かれたらどうしよう」など、医療のプロでない彼ら彼女らが不安になるのは当然でしょう。緩和ケアにおいては、「ケアを提供する方もケアの対象」です。皆さんが施設での看取りに関わることがあったら、ぜひ施設スタッフの方への声掛けをお願いします。そして、取り組んでいるケアについて言語化し、ねぎらいましょう。私がよくする声掛けとしては、「お肌がすごく綺麗でびっくりしました。いつもケアしてくださってるんですよね?」といった、具体的なケアで気付いたことや、「ご本人はすごく穏やかな表情ですね。皆さんを信頼されてるんでしょうね。今、ご心配なことはないですか?」といったものがあります。施設での看取りについては、ぜひ施設スタッフもケアの対象として、関わってみてください。今回のTips今回のTips施設での看取りは、施設スタッフもケアの対象として声掛けや対話をする。

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第108回 大規模通信障害を受け、医療機関に代替手段確保を呼び掛け/厚労省

<先週の動き>1.大規模通信障害を受け、医療機関に代替手段確保を呼び掛け/厚労省2.コロナワクチン支援事業、期限を9月まで延長/厚労省3.テクノロジーの活用で、介護の生産性の向上あるか検証へ/厚労省4.診療報酬改定に加え、インフレが病院経営に直撃か/福祉医療機構5.電子処方箋発行にHPKIカードが必須、医薬関係者は早期取得を/厚労省1.大規模通信障害を受け、医療機関に代替手段確保を呼び掛け/厚労省2日に発生したKDDIの大規模な通信障害が長期化し、復旧まで3日ほどかかったことから、厚生労働省医政局は4日、全国の自治体ならびに医療機関に向けて、通信障害が発生した場合でも、診療などに影響が生じることがないよう平時から体制を整備していく必要性を呼び掛けた。医療施設における休日夜間の診療体制を維持するため、職員との連絡手段を確保すること患者からの電話を受信できるよう複数の通信手段を確保し、受信可能な電話番号をホームページに掲載するなどの体制を整備すること在宅医療や訪問看護などを実施している医療施設等において、当該医療施設等が利用している連絡手段が使用できない場合は、固定電話等の代替的な連絡先を患者等に伝えること特にリスクの高い在宅患者等について、患者等との連絡がとれない場合には、別の連絡手段を確保することや、頻回な訪問等による安否確認を行うこと以上を参考に、通信障害が発生した場合であっても診療を継続できるよう周知を求めている。(参考)通信障害時にも診療継続が可能となるよう、在宅患者への「代替的な連絡先」提示などの体制を確保せよ―厚労省(Gem Med)通信障害発生時における通信手段の確保について(厚労省)2.コロナワクチン支援事業、期限を9月まで延長/厚労省厚労省は6日、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業の期限を7月末までから9月末まで延長することを各都道府県に通知した。延長されたのは、「時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業」「新型コロナウイルスワクチン接種体制支援事業」。病院への支援として、1日50回以上ワクチン接種を行った場合、1日当たり10万円が交付される。また、1日50回以上の接種を週1日以上達成する週が4週間以上ある場合、追加で医師1人1時間当たり7,550円などが交付される(集団接種会場への医療従事者派遣と同額)。診療所への支援としては、期間中に週100回以上の接種を4週間以上行った場合、達成した週における接種1回当たり2,000円を、同様に150回以上を4週間以上行った場合は1回当たり3,000円を交付する。この要件を満たさずとも、1日50回以上の接種を行った場合には、1日当たり定額で10万円が交付される。(参考)コロナワクチン接種推進に向けた補助(緊急包括支援事業)、期限を「9月」まで延長—厚労省(Gem Med)医療機関のワクチン接種、財政支援の期間延長 9月末まで、10月以降は今後判断(CB news)令和4年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の実施に当たっての取扱いについて(厚労省)3.テクノロジーの活用で、介護の生産性の向上あるか検証へ/厚労省厚労省は、持ち回り開催の社会保障審議会介護給付費分科会において、テクノロジーの活用により介護サービスの質の向上および業務効率化を推進していく観点から、実証研究の結果なども踏まえ、見直しを行うことを明らかにした。具体的には、見守り機器等を活用した夜間見守り、介護ロボットの活用などを実際に実証事業から得られたデータの分析を行い、次期介護報酬改定の検討に向けた、エビデンスの収集を行う。これらのテクノロジーの導入によって、ケアの質が適切に確保されているかどうか、介護職員の働き方や職場環境がどう改善したかなどについて10月以降に事後検討を行う。(参考)テクノロジー活用等による生産性向上の取組に係る効果検証について(厚労省)見守り機器活用など4つのテーマで効果実証へ 次期介護報酬改定の検討材料に、厚労省(CB news)4.診療報酬改定に加え、インフレが病院経営に直撃か/福祉医療機構福祉医療機構が2022年6月に行った病院経営動向調査の結果によると、一般病院における医業収益のDI(増加病院と減少病院の割合の差:%ポイント)は、前回調査から15%ポイント低下した。一方、医業費用のDIは前回調査から15%ポイント上昇、人件費増減のDIは前回調査から10%ポイント上昇しているなど、医療機関が診療報酬改定の影響だけでなく、物価高の影響を受けていることが明らかとなった。医療機関にとっては、電気代、水道代に加え、病院食の材料費の値上げが続いており、経営に対する影響が強まっていると考えられる。(参考)病院経営動向調査の概要(福祉医療機構)一般病院の医業収益、診療報酬改定で減収病院が多数に 福祉医療機構調査、改定直前の見込み下回るも費用増(CB news)コスト圧縮限界、病院給食明らかに赤字 物価高騰が委託先も直撃(同)5.電子処方箋発行にHPKIカードが必須、医薬関係者は早期取得を/厚労省厚労省は、ホームページに電子処方箋の概要案内を掲載した。電子処方箋の導入は2023年1月からで、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の参照、それらを活用した重複投薬チェックなどができるようになる。患者はマイナンバーカードがなくとも、従来の健康保険証を利用して電子処方箋の発行を受けられるが、医療機関が発行するためには、医療機関において顔認証付きカードリーダーの準備が必要(オンライン資格確認の仕組みを活用するため)であり、日本医師会 電子認証センターでHPKIカードの発行手続きが必要となる。このため厚労省は、HPKIカードの早期取得を医師や薬剤師に働きかけると共に、医療機関側にオンライン資格確認のために顔認証付きカードリーダーの補助金を活用して整備を求めていく。なお、HPKIカードの申請には、申請書と住民票、身分証のコピー(運転免許証、マイナンバーカード)、医師・薬剤師免許のコピー、顔写真が必要だ。(参考)電子処方箋 概要案内【病院・診療所】(厚労省)オンライン資格確認導入に向けた準備作業の手引き(同)医師資格証(HPKIカード)新規お申込み(日本医師会 電子認証センター)電子処方箋導入補助金、1施設当たり7.7万-162.2万円 厚労省、HPKIの早期取得・オンライン資格確認導入促す(CB news)

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調剤の外部委託に反対しているのは薬剤師会だけ?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第92回

前回のコラムで、日本薬剤師会から出された2022年版の政策提言を紹介しました。その提言の1つに調剤の外部委託に関する項目があり、日本薬剤師会は「その行為の一部をほかの薬局などに委受託することは薬物治療全体の責任が果たせないので、絶対に認められない」と明確な反対を表しています。調剤の外部委託については、今年の2月から7回にわたって「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(以下WG)で議論され、7月にこの親検討会である「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」で結論が報告される予定です。現時点のWGの「とりまとめ(案)」では、「対物業務の効率化を図り、対人業務に注力できるよう調剤業務の一部外部委託を検討する」とあります。おそらく7月に報告される結論においてもそのように記載されるのだろうと思います。日本薬剤師会とはまったく逆の意見が出されることになりそうです。ここで、その外部委託について、現在の論点を整理したいと思います。まずは規制に関する問題です。現時点では調剤の外部委託は法律で認められておらず、1つの薬局の中で調剤、監査、服薬指導を行う必要があります。薬局の運用を変えることで外部委託ができるという状況ではなく、規制緩和などの対応が必要になります。調剤の何を委託するのか、そしてその委託先は誰なのかという点についても議論されています。WGにおいては、一包化に限るべきというとりまとめ案になっていますが、議論の中では高齢者施設の入所者をはじめとする在宅医療に関する調剤を含めるべきという意見も出ています。委託先の距離制限の議論もあり、当面の間は同一の3次医療圏内とすることを示しています。個人的には、これだけ物流が盛んになっている現代において距離制限って必要? と疑問に思います。そのほか、安全性の確保も当然論点の1つです。患者さんの医療安全が確保されるよう、手順書の整備や教育訓練の実施、情報連携体制の構築、記録の保存などが挙げられています。私は薬局以外の仕事で医薬品のOEM(委受託による製造)に関する業務の経験がありますが、その際は委託先がきちんと業務を行っているかについて、契約はもちろん、先方の手順書の確認や実地調査、書面調査などを定期的に行うことで委託業務の信頼性を確保していました。これらはかなりの手間と慣れの時間を要しますが、必要な基準ですので最重要課題として議論してほしいと思います。次の規制緩和は処方箋40枚ルール?この調剤の外部委託の議論には、必ず付いて回る問題があります。それが「処方箋40枚あたり1人以上の薬剤師配置基準」の見直しです。これは2022年の経団連からの要望にも明記されており、機械化や効率化、対人業務へのシフトにより薬局の業務が大きく変化するため、調剤の外部委託とともにこの40枚ルールを撤廃も含めて柔軟な基準に見直してはどうか、とあります。ただし、この2つを同時に議論するとややこしくなるため、とりあえず40枚ルールは横に置いておいて、外部委託の問題を優先しているのではないでしょうか。それぞれに感情論もあるので、別で議論するほうが賢明だと私も思います。調剤の外部委託の議論を追っていくと、もしかして完全に反対という姿勢を取っているのは日本薬剤師会だけなのでは? と思えてきました。既得権益を守るというのが職能団体の原則なのかもしれませんが、こんなにも世論が薬剤師を次のステージへ向かわせるために背中を押してくれているときに本当にそれでいいのか? という違和感を覚えずにはいられません。

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第116回 地域医療のパイオニアが院長だったクリニックでモルヒネ過剰投与、経緯や原因明らかにせず

DX以前の日本の光景に口があんぐりこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。暑いですね。節電要請に加え、KDDIの通信障害もあって、この土日は各方面、いろいろな意味でバタバタしていたようです。猛暑で熱中症患者が急増する中、コロナ患者も再び漸増傾向です。通信障害によってauの携帯電話が使用できないことで、救急医療や在宅医療などの現場にも少なからぬ影響が出たようです。自治体の中には消防車が「緊急時は自宅の固定電話や公衆電話、au以外の携帯電話から通報してください」と拡声器で呼びかけて回っていたところもありました。電力不足といい、電話がつながらない状態といい、DX以前の日本の光景に口があんぐりと開いてしまった週末でした。さて、今回は東京・国分寺市で起きたモルヒネ過剰投与事件を取り上げます。昔からよくある古典的な医療過誤ですが、古典的だけにいろいろ考えさせられることが多い事件です。40代女性医師と60代女性薬剤師を業務上過失致死疑いで書類送検必要量の100倍のモルヒネを高齢患者に処方して死亡させたなどとして、警視庁が東京都国分寺市の医療法人実幸会・武蔵国分寺公園クリニックの40代女性医師と、近隣の調剤薬局の60代女性薬剤師の2人を業務上過失致死の疑いで東京地検立川支部に書類送検していたことわかり、6月29日、各紙が一斉に報じました。送検は23日付で、2人は容疑を認めているとのことです。各紙報道等によると、昨年2月1日、都内の男性(93)が息苦しさを訴えてクリニックを受診。処方されたモルヒネ含有の内服薬を服用したところ、1週間後の2月8日にモルヒネ中毒で死亡したとのことです。警視庁の調べで、医師が電子カルテの入力を誤って必要量の100倍のモルヒネを処方した疑いが判明。一方、処方箋を受け取った薬剤師は処方内容をよく確認せずに薬を調剤した疑いがあるとのことです。医薬分業のセーフティーネット機能せず報道を読む限り、よくある処方箋に関する医療過誤です。ただ、医薬分業においては、重大な医療事故に至る前に、セーフティーネットが何重にも張り巡らされているはずです。今回はそれらがまったく機能していなかったようで、その意味でもとても深刻な事件と言えるでしょう。処方箋の記入ミスや電子カルテの入力間違いは誰にでも起こり得ます。仮に電子カルテに100倍のモルヒネという異常値が入力された場合、アラートが出るようなシステムではなかったのでしょうか?一方、処方箋を受け取った薬局の薬剤師は処方箋の監査を行っていなかったのでしょうか。医薬分業が進められてきた最大の理由は、薬局の薬剤師による処方監査や疑義照会によって、薬物投与に関する医療過誤を防ぐためであったはずです。今どき「100倍量のモルヒネ」に気づかない薬剤師が普通に地域で働いていること自体が驚きです。この事件が報道される直前の6月26日、日本薬剤師会は役員改選を行い、山本 信夫会長の5選が決まっています。日本医師会会長が1期で代わったことを考えると相当な長期政権と言えます。山本会長は5期目の課題として「国民に薬局・薬剤師の存在を見えるようにすること」語ったそうですが、昔から同じようなことを言ってきている印象です。そんな抽象的なことよりも、最低限、処方監査や疑義照会がきちんとできる薬剤師を地域にきちんと配してほしいものです。ちなみに、日本医療機能評価機構が今年4月13日に公表した、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例」1)でも、処方医が小児患者に10倍量のリスパダールを過量投与する処方箋を出し、薬局薬剤師が気づかなかった事例が紹介されています。今回のモルヒネ過剰投与の件も含め、薬剤師の処方監査忘れは、全国各地で起こっているであろうことが、こうした事例からも伺い知ることができます。僻地医療、地域医療で著名な前院長モルヒネ過剰投与事件に関して、もう1点驚いたことがあります。事件を起こした武蔵国分寺公園クリニックが、僻地医療、地域医療で有名な名郷 直樹氏が院長を務めていたクリニックだということです。名郷氏は、自治医大卒。作手村国保診療所所長、自治医大地域医療学助手、社団法人地域医療振興協会・地域医療研究所地域医療研修センター長などを経て、2011年に武蔵国分寺公園クリニックの院長となり、昨年末まで院長を務めていました。この間、地域医療、家庭医療、EBMのパイオニアとして多くの大学医学部、大学薬学部で非常勤講師などを務め、後進の指導にあたってきました。著書も多数あります。武蔵国分寺公園クリニック自体も、日本プライマリ・ケア連合学会認定のプログラムに従って、家庭医療専門医(家庭医)を目指す医師を対象とする研修プログラムを運営。また、東京都立多摩総合医療センターの協力型臨床研修施設として、初期臨床研修医の受け入れも行っています。事故の原因や詳細は不明なままそんな地域医療のお手本と言えるようなクリニックですが、この事件に関してはマスコミの取材に一切応えていません。ホームページには6月29日付で「報道の件について」として、「本件はご遺族とはすでに示談が成立しています。事故の詳細については 一般社団法人日本医療安全調査機構に詳細な報告書を提出しています。また、警察には当院より届出を行い、できる限りの情報を開示し、捜査に協力してきました。当院としては医師・薬剤師個人に責任があるとは考えておらず、すべての責任は当院自体にあると考えています。(中略)。事故後には医療安全管理委員会を定期開催し、事故の再発防止に努めており、今後二度とこのような事故を起こすことのないよう努めてまいります」という文章が掲載されたのみです。7月2日にも追加で「報道に関するお知らせ」が掲載されましたが、「二度とこのような事故を起こすことのないよう、今後も対策徹底に努めてまいります。(中略)。今回の報道にある調剤薬局は、国分寺市内を含む近隣の調剤薬局ではない事をお知らせ致します」と事故の詳細には触れていません。事故の経緯や原因といったエビデンスを明らかにすべきでは名郷氏は現在、管理者(院長)ではなく名誉院長ですが、昨年、院長時代に勤務していた医師が起こした医療過誤です。「示談は成立している」「日本医療安全調査機構に報告書を提出した」「警察には情報を開示し、捜査に協力している」だけではなく、なぜ事故が起こったのか、薬局との連携はどうなっていたのか、その後、同様の事故が起きないようにどんな対策を取っているのかを、概要だけでも世間に報告すべきではないでしょうか。地域住民も本当にこのクリニックにかかり続けてよいのか、判断に困ると思います。こうした医療事故が起こると、日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)に報告済みであることをもって、十分な対応をしていると考える医療機関(とくに民間医療機関)は多いですが、税金(診療報酬)が投入された地域の社会インフラであることを考えると、医療事故がなぜ起きたか、防止対策をどうとっているかについて、住民への情報開示は不可欠だと思います。日本の地域医療、家庭医療を牽引し、EBMの定着にも尽力してきた人だけに、院長時代に自院で起こした事故の経緯や原因といった“エビデンス”を明らかにしないのはとても残念に感じます。参考1)薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業「共有すべき事例」/日本医療機能評価機構

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第107回 医師が臨床工学技士に縫合を指示、医師法違反に当たるか?

<先週の動き>1.医師が臨床工学技士に縫合を指示、医師法違反に当たるか?2.新型コロナウイルスの新規感染者数、再び増加傾向に/厚労省3.コロナの影響で国保と後期高齢者医療広域連合は大幅黒字/厚労省4.100倍のモルヒネ処方、業務上過失致死の疑いで医師と薬剤師を書類送検5.在宅医銃殺事件のふじみ野市、「殺意や危険を感じた」スタッフが複数6.部下を眠らせ自宅に連れ込んだ美容CL院長、強制わいせつ容疑で逮捕1.医師が臨床工学技士に縫合を指示、医師法違反に当たるか?千葉市立海浜病院で昨年7月、医師の指示により医師免許を持たない臨床工学技士に皮膚縫合の一部を行わせたことが明らかとなった。同院によれば、問題が起きたのは心臓ペースメーカーの部品交換手術で、当技士はペースメーカーの動作確認のため手術に参加。執刀医は「自分の指導下であれば問題ないと思った」と話している。2022年1月、市に匿名の情報提供があったことから発覚。同院は速やかに事実確認を行い、外部の有識者を交えて医療事故検討委員会での検討を行い、当事者である技士と縫合を指示した執刀医の2人に訓告処分を行った。病院全体で改善と再発防止に向けた取り組みを進めている。医師法は医師資格を持たない者の医療行為を禁じているが、市は「違法行為には当たらない」との認識を示している。なお、患者への身体的な影響はなく、同院は3月に患者本人への説明・謝罪を行っている。(参考)医師免許ない臨床工学技士、手術で皮膚縫合(読売新聞)医師資格ないのに手術の縫合 千葉市立病院で、健康面被害なし(中日新聞)医師以外の医療従事者による業務範囲を超えた医療行為について(市立海浜病院)2.新型コロナウイルスの新規感染者数、再び増加傾向に/厚労省厚生労働省は、6月30日に第89回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードを開催した。新規感染者数の今週先週比は1.17と「全国的に上昇傾向に転じた」とされ、今後の短期的な予測では、大都市を中心に感染者数のさらなる増加が見込まれる。年代別で見ても、おおむねすべての年代で微増となっており、療養者数および重症者数は緩やかな増加に転じている。なお、病床使用率は総じて低水準にあり、死亡者数は減少傾向にある。今後、これまでのワクチン接種などによる免疫効果が徐々に下がっていくことや、7月以降は夏休みなどで人との接触機会が増えること、オミクロン株の「BA.5」が国内でも主流になる可能性があることなどから、医療体制への影響も含め注視する必要がある。60歳以上に対する4回目ワクチン接種の加速のほか、基本的な感染対策を徹底することなどが呼びかけられた。(参考)新規感染者数「全国的に上昇傾向に転じた」コロナアドバイザリーボード分析・評価(CB news)新型コロナ“全国で増加 BA.5で感染拡大の懸念も”専門家会合(NHK)第89回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード3.コロナの影響で国保と後期高齢者医療広域連合は大幅黒字/厚労省厚労省は2020年度の国民健康保険の財政状況を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大以降、医療機関に支払われる保険給付費が減少したため、支出は前年度比3.5%減少して保険料収入を下回った。これにより単年度の実質収支は+2,054億円と過去最大の黒字となった。同時に2020年度の後期高齢者医療制度の財政状況についても公表し、収支は前年度より4,600億円あまり増加し、8,219億円の黒字となっている。(参考)市町村国保でも2020年度はコロナ感染症の影響で大幅黒字、積立金は1兆3257億円に増加―厚労省(Gem Med)後期高齢者医療広域連合、8,200億円超の黒字 20年度 受診控えで保険給付費大幅減、厚労省(CB news)4.100倍のモルヒネ処方、業務上過失致死の疑いで医師と薬剤師を書類送検必要とされる量の100倍のモルヒネを誤って処方し、高齢患者をモルヒネ中毒死させたとして、警視庁は、武蔵国分寺公園クリニックの女性医師と調剤にあたった薬剤師を業務上過失致死容疑にて書類送検した。患者は93歳の男性で、昨年2月に呼吸困難のためクリニックの在宅診療を受け、この医師からモルヒネの内服薬を処方された。薬剤師から渡された薬を服用したところ、約1週間後にモルヒネ中毒により死亡した。クリニックによれば、遺族とはすでに示談が成立しており、また事故の詳細については 一般社団法人 日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)に詳細な報告書を提出している。(参考)93歳に必要量100倍のモルヒネ処方 容疑の医師と薬剤師書類送検(朝日新聞)モルヒネ中毒で男性死亡 業務上過失致死の疑い 医師ら書類送検(NHK)報道の件について(武蔵国分寺公園クリニック)5.在宅医銃殺事件のふじみ野市、「殺意や危険を感じた」スタッフが複数埼玉県ふじみ野市で、今年1月に患者家族が在宅医療を担当していた医師を射殺した事件で、さいたま地検は1日、容疑者を殺人や殺人未遂などの罪で起訴した。この事件を受け、地元の東入間医師会が在宅医療や訪問介護を行っている事業所を対象に調査した結果、介護従事者への殺意をほのめかす家族に遭遇したり、包丁を向けられるなど危険を感じたことがあるという回答が複数寄せられていたことが判明した。在宅医療や介護の安全を確実に守るため、行政命令の規定や罰則が必要とする意見も上がっている。(参考)在宅医療や介護で「危険感じた」医師ら殺傷事件受け調査 埼玉(NHK)医師殺害の罪、男起訴 埼玉の立てこもりで地検(日経新聞)6.部下を眠らせ自宅に連れ込んだ美容CL院長、強制わいせつ容疑で逮捕美容整形クリニックの女性職員が、上司に当たる医師に睡眠薬を飲まされて自宅でわいせつ行為を受けたとして、警視庁捜査1課は準強制性交等とわいせつ目的略取の疑いで「ミッドクリニック」の院長を逮捕した。女性職員が院長と会食した後、院長の自宅に連れこまれ、わいせつ行為を受けたと警視庁に相談して被害が発覚した。被害者の体内からは睡眠薬の成分が検出されている。竹沢容疑者の周辺からは警察に同様の被害相談があり、同課が調べている。(参考)部下に睡眠薬飲ませわいせつ 容疑で美容外科医逮捕(産経新聞)部下に睡眠薬でわいせつ行為か 美容整形クリニック院長を逮捕(NHK)

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高齢患者の「薬が飲めなくなった」という状況に使えるのは?【非専門医のための緩和ケアTips】第30回

第30回 高齢患者の「薬が飲めなくなった」という状況に使えるのは?緩和ケアを実践していると、よく遭遇するのが「薬が飲めなくなった」という状況です。こんなとき、皆さんはどうしていますか? 症状緩和に必要な薬剤の投与を継続するための強い味方、皮下投与に関するお話です。今日の質問終末期、多くの患者さんは内服が難しくなります。がん疼痛などでオピオイドを使用していると、静脈投与に切り替えようと思っても末梢ルートが取れないことも多いです。貼付剤もあるのは知っていますが、レスキューが必要な場合、どのように対応すればよいのでしょうか?今回いただいた質問のような状況は、非常に多く経験します。終末期であれば内服ができなくなるのは当然のことです。また、がん患者や高齢者では、抗がん剤の影響や皮膚の脆弱性によって末梢ルートの確保が難しいこともよくあります。何度もルート確保に失敗すると、苦痛緩和のために行う処置が苦痛の原因になってしまう……。避けたい事態です。では、そんな時にどのようにすればよいのでしょうか? 緩和ケア領域では、しばしば皮下投与が行われます。今回の状況であれば、モルヒネやオキシコドンの注射薬がありますので、それらの持続皮下投与が使えます。皮下投与は静脈ルートの確保が必要ないので、手技的には非常に簡便です。認知症高齢者やせん妄患者が自己抜去してしまった際も、出血が少ないので安全です。また、投与可能な薬剤もオピオイドだけでなく、ハロペリドールや腸閉塞に対して使用するオクトレオチド、セフトリアキソンといった一部の抗菌薬も皮下投与が可能です。皮下投与には注意が必要な面もあります。一つは、静脈投与に比べて効果発現までに時間がかかる、という点です。非常に強い症状に対して急速な鎮静が必要、といった場合には向きません。また、皮下投与が可能な薬剤の多くは適応外使用となります。「経験上、安全かつ有効な投与が可能と見なされる」という位置づけで、この点は理解しておく必要があります。このあたりは皮下投与に限らず、緩和ケア領域で使用する薬剤では常に出てくる懸念です。オピオイドを皮下投与で行う場合は、少量ずつ持続投与します。そのために皮下投与用のデバイスが必要となり、多くの施設の緩和ケア病棟で利用されています。在宅医療の場合には、持続皮下投与のためのシリンジポンプが必要です。皮下投与が使えると、緩和ケアの対応の幅がぐっと広がります。デバイスが必要にはなりますが、ぜひ活用してください。今回のTips今回のTips内服が難しくなった患者さんには、皮下投与が有効です。

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第112回 規制改革推進会議答申で気になったこと(前編)タスクシフトへの踏み込みが甘かった背景

「新型コロナは医療関連制度の不全を露呈させた」と答申こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先週の過酷な皇海山登山の身体へのダメージがことのほか大きかったため、今週末は街で、映画を2本観て過ごしました。話題の2作、「シン・ウルトラマン」と「トップガン マーヴェリック」です。「シン・ウルトラマン」は庵野 秀明氏が企画・脚本・総監修ということで期待して観たのですが、今一つでした。「ウルトラマンの内面にまで迫った」と高く評価する映画評もありますが、個人的には少々理屈っぽく、かつ怪獣(禍威獣)も宇宙由来のものが主体で、これではウルトラマンではなくウルトラセブンではないか、と落胆した次第です。一方の「トップガン マーヴェリック」は、前作から36年ぶりの新作ですが、トム・クルーズの立ち位置(前回はやんちゃな戦闘機乗り、今回はやんちゃな若者を導く教官)や、前回エピソードの活かし方、圧倒的な空中戦のシーンなど、素晴らしい出来でした。時節柄、戦争や“敵国”の描き方への批判もあるようです。しかし、娯楽作としては群を抜いた映画だと感じました。映画評論家(で時代劇研究家)の春日 太一氏は、5月27日付の日本経済新聞夕刊の「シネマ万華鏡」で、「『トップガン』のファンなら誰もがそう夢想する何もかもを、本作は最高レベルで提示してくれる」と激賞しています。まったく同感です。個人的には、冒頭場面で主人公マーヴェリックが、36年前も乗っていたカワサキのオートバイ、GPZ900Rに今も乗っていることに、映画の作り手のこだわりを感じました。この映画はできるだけスクリーンが大きいIMAXシアターで観ることをお勧めします。さて、今回は政府の規制改革推進会議(議長:夏野 剛・近畿大学特別招聘教授/情報学研究所長)が5月27日に取りまとめた答申、「規制改革推進に関する答申~コロナ後に向けた成長の「起動」~」1)について書いてみたいと思います。同答申は、医療改革のためだけのものではありませんが、「新型コロナは医療デジタル化の遅れをはじめ医療関連制度の不全を露呈させた」と指摘、医療や介護に関する規制改革の項目が大きな柱となっています。医療DXの基盤整備に重点「医療・介護・感染症対策」については、表のような内容です。画像を拡大する表:規制改革推進会議答申に盛り込まれた「医療・介護・感染症対策」に関する項目「医療DXの基盤整備(在宅での医療や健康管理の充実)」のため、オンライン診療については、1)デジタルが不得意な高齢者らがデイサービス施設や公民館など、自宅以外でも受診できるようにする、2)患者の本人確認手続きを簡略化する…、ことなどを求めています。また、コロナ対応で特例的に認めている薬局での抗原検査キット販売の本格解禁も求めています。事前のオンライン注文を条件に、販売資格を持つ人がいないコンビニなどでも一般用医薬品を受け取れる制度の検討も要請しました。いずれも、コロナ禍で問題となった自宅での検査・療養態勢の充実のためです。政府は近く、この答申を反映した規制改革実施計画を閣議決定、同計画が今後の規制改革の指針となります。ワーキング・グループ委員は在宅医療寄り規制改革推進会議は、企業や医療現場などの生産性向上に向け、首相の諮問に応じて規制の緩和を議論する場です。内閣府に設置されており、行政改革推進会議などと併せてデジタル臨時行政調査会が統括しています。テーマごとにワーキング・グループを設けて関係省庁や有識者が参加して改革案をつくります。現在は「人への投資」「医療・介護・感染症対策」「デジタル基盤」など、5つの部会があります。医療・介護・感染症対策ワーキング・グループには5人の専門委員がおり、印南 一路・慶應義塾大学総合政策学部教授、大石 佳能子・株式会社メディヴァ代表取締役社長、佐々木 淳・医療法人社団悠翔会理事長・診療部長らが構成メンバーです。臨床の現場で働いているのは在宅医である佐々木氏のみです。大石氏は在宅医療も展開する用賀アーバンクリニックなどを運営する医療法人プラタナスの経営に関わるコンサルタント会社、メディヴァの社長ですが医師ではありません。ということで、専門委員は在宅医療の関係者に少々偏っている印象を受けます。タスクシェアは在宅現場の薬剤師の業務拡大のみそれはさておき、今回の答申で気になった点が2つあります。一つは、「医療人材不足を踏まえたタスクシフト/タスクシェアの推進」の項目です。タスクシフト/タスクシェアは、医師をはじめとする医療現場の働き方改革を進めていく中でとても重要な施策と考えられています。今回の規制改革推進会議の答申でも、人手不足が見込まれる介護施設で人員配置の基準緩和や、薬剤師などが看護の仕事の一部を担う「タスクシフト/タスクシェア」を求めてはいます。しかし、実際の医療現場の改革については、「在宅医療を受ける患者宅において必要となる点滴薬剤の充填・交換や患者の褥瘡への薬剤塗布といった行為を、薬剤師が実施すること」の検討を厚生労働省に求めたくらいで、特段踏み込んだ内容とはなっていません。「聖域になっていた医師の業務独占にもメスを入れるべきだ」と日経新聞医療関係職種のタスクシフト/タスクシェアについては、「第66回 医療法等改正、10月からの業務範囲拡大で救急救命士の争奪戦勃発か」でも詳しく書きました。2021年5月に成立した医療法等改正法によって、医師の負担軽減を目的に、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士の4職種の資格法が改正され、それぞれの職種の業務範囲が同年10月から拡大されました。昨年の規制改革推進会議の答申では、これらのタスクシフトの動きについて「規制改革実施計画通りの進捗を確認した。今後も引き続きフォローアップを行っていく」としていました。今回の答申についても、その先の大改革の提案を期待した向きもあったようですが、物足りない内容に終わっています。日本経済新聞の6月1日付の社説は「医療人材生かす幅広いタスクシェアを」というタイトルで、「医療従事者のタスクシェアはこれに限らず広く実現していくべきだ。例えば米国やカナダで、ワクチンを打つのは薬局の薬剤師の仕事だ。日本でも再教育を受けた薬剤師が打ち手になれば、感染症危機への対応力が高まる」、「聖域になっていた医師の業務独占にもメスを入れるべきだ。日本の看護師は医師の指示がないと湿布を貼ることすらできない。(中略)能力のある看護師は自らの裁量で一定の医行為を行えるよう法改正すべきだ」と、今回の答申の不十分さを厳しく指摘しています。診療看護師が医師の指示なしで診療行為ができるようになれば答申でタスクシフト/タスクシェアの項目が在宅における薬剤師の業務範囲拡大だけに留まったのは、夏の参議院選挙を前に日本医師会を刺激したくなかったから、との見方もあるようです。また、内容が在宅医療関係だけに絞られたのは、先述したようにワーキング・グループのメンバーに在宅医療の関係者が多かったことも関係しているかもしれません。私自身は、日医が“内紛”や会長選でバタバタしている今こそ、大胆なタスクシフト/タスクシェアの内容を盛り込むべきではなかったかと考えます。特に重要なのは、看護師業務の大胆な拡大でしょう。2017年4月に厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が報告書を取りまとめました。同報告書は医師と他の医療職間で行う「タスク・シフティング(業務の移管)、タスク・シェアリング(業務の共同化)」を提言、新たな診療看護師(NP)の養成や、薬剤師による調剤業務の効率化、フィジシャン・アシスタント(PA)の創設などを盛り込みました。しかし、日本における診療看護師の制度自体はそれから大きくは変わっていません。今でも、2015年に創設された「特定行為に係る看護師の研修制度」に基づき、あらかじめ作成した手順書に沿って、特定行為をはじめとする診療行為しか行うことはできません。医師の働き方改革が叫ばれる中、多忙な医師の業務を軽減するには、診療看護師に相当の業務をシフトし、米国などにならって医師の指示がなくても一部の診療行為や医薬品の処方までできるようにすることだと思いますが、皆さんどう思われますか。併せて、老健施設の施設長も看護師が担えるようにすれば、介護の現場も大きく変わると思うのですが……。今回の答申で気になったもう一つは、薬(処方薬の市販化、SaMD)に関してです。それについては次回で。(この項続く)参考1)規制改革推進に関する答申 ~コロナ後に向けた成長の「起動」~/規制改革推進会議

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第108回 「かかりつけ医」の制度化めぐり、日本医師会と財務省の攻防本格化

日医がかかりつけ医についての“新しい”考え方公表こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。連休後半は、大学の山のクラブの先輩が居住する長野県・原村に行って来ました。毎年、冬の八ヶ岳登山の時に、ベースキャンプとして宿泊させてもらう私の“別荘”です。先輩は1ヵ月ほど前から喉の痛みと違和感が続き、諏訪の病院で上部消化管の内視鏡検査を受けることになり、私が一緒に住んでいる犬と留守番をすることになったのです。検査の結果、食道に潰瘍状の病変が見つかりました。病理組織検査の結果待ちとなったのですが、少々嫌な予感がします。茨城に住む別の先輩も一昨年、III期の食道がんが見つかり、化学療法と組み合わせた大層な外科手術を受けています。身近な山仲間に食道がんが頻発しているのは、年齢と言ってしまえばそれまでですが、長年の飲酒や喫煙というリスクファクターの他に、ひょっとしたら長年の登山もがんのリスクになるということなのでしょうか……。ちょっとやれやれな週末でした。さて今回は、日本医師会が公表した、日医のかかりつけ医についての“新しい”考え方、『国民の信頼に応えるかかりつけ医として』について書いてみたいと思います。日医の中川 俊男会長は4月27日の定例記者会見で、診療所開業医を取り巻く社会の変化を踏まえ、かかりつけ医のあり方について改めて『国民の信頼に応えるかかりつけ医として』1)を取りまとめたと話し、その内容について解説しました。『国民の信頼に応えるかかりつけ医として』は「かかりつけ医」を、「患者さんが医師を表現する言葉」とした上で、「『かかりつけ医』は患者さんの自由な意思によって選択されます。どの医師が『かかりつけ医』かは、患者さんによってさまざまです。患者さんにもっともふさわしい医師が誰かを、数値化して測定することはできません。(中略)患者さんに信頼された医師が、『かかりつけ医』になるのです。患者さんと『かかりつけ医』の信頼関係にもとづいて、全国でさまざまな形のかかりつけ医機能が発揮されています。わたしたち医師は、かかりつけ医機能をさらに深化させるとともに、より温かみのあるものにしていきます」としています。「新しい医療技術の研鑽を積み、最善の治療を選択」そして、「かかりつけ医」の「努め」として、患者からいつでも何でも相談してもらえるよう、しっかりコミュニケーションを取って診察することや、その結果を分かりやすく伝えて治療目標を患者と共有すること、必要なときに適切なタイミングで適切な専門の医師や医療機関につなぐこと、だと定義。「かかりつけ医を中心に地域の医師がチーム一丸となって患者さんを支え」「日々、新しい医療技術の研鑽を積み、患者さんおよびご家族とともに最善の治療を選択」する、としています。また、地域社会での「かかりつけ医機能」については、健康相談や予防接種、健診などの社会的な活動や、警察医といった行政活動。災害時の地域の医療支援活動。地域の医師と連携して24時間365日、相談・受診に応じる体制を取るとともに、在宅当番医や休日・夜間の急患センター業務を担うこと、を挙げています。中川会長は、本文書を4月22日に岸田 文雄内閣総理大臣と面談した際に手渡し説明、都道府県医師会、郡市区医師会、会員には手紙2)を添えて送付したとのことです。財務省が“先制攻撃”、制度化提言新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって浮き彫りになった診療所開業医の役割や機能。中でも「かかりつけ医」の機能や制度化を巡っては、本連載でもこの1年間に「第59回 コロナ禍、日医会長政治資金パーティ出席で再び開かれる? “家庭医構想”というパンドラの匣」「第68回 「骨太」で気になった2つのこと かかりつけ医制度化拒む日医は開業医の質に自信がない?」「第97回 2022年診療報酬改定の内容決まる かかりつけ医、報酬は従来路線踏襲も制度化に向けた議論本格化へ」と、何度か取り上げてきました。2022年の診療報酬改定の議論の過程では、財務省や経済財政諮問会議が「かかりつけ医」の制度化を迫りましたが、具体的な議論にまでは進まず、改定後に持ち越されました。そして改定直後の4月13日、財務省は“先制攻撃”として、財政制度等審議会の分科会3)で「かかりつけ医」を認定する制度をつくることを提言しました。これは、政府が6月ごろにまとめる「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)への反映を目指してのものと言えます。コロナ禍の反省踏まえ認定制度と登録制を段階踏んで検討せよ財政制度等審議会の分科会は、「かかりつけ医機能の強化の取組が実体面で実効性を上げていたとは言えない状況下で、新型コロナの感染拡大を迎えた」「発熱等の症状が生じた患者は、まずはかかりつけ医等の地域での身近な医療機関に電話相談し、相談する医療機関に迷う場合には『受診・相談センター』に電話相談して、発熱外来の案内を受けて受診する仕組みが目指された。しかし、かかりつけ医等がいないこと、『受診・相談センター』に連絡がつながりにくいこと、加えて発熱外来を実施する医療機関名の公表を促すことにしていたにもかかわらず、実際には地域の医師会の合意等を得られない等で公表が進まなかったこと等から、発熱患者等が円滑に診療を受けられない状況が生じた」と、コロナ禍で浮き彫りになった外来医療体制の問題点を指摘しています。その上で、今後について「制度的対応が不可欠であり、具体的には、1)地域の医師、医療機関等と協力している、2)休日や夜間も患者に対応できる体制を構築している、3)在宅医療を推進しているといった、かかりつけ医機能の要件を法制上明確化したうえで、これらの機能を備えた医療機関をかかりつけ医として認定するなどの制度を設けること、こうしたかかりつけ医に対して利用希望の者による事前登録・医療情報登録を促す仕組みを導入していくことを、段階を踏んで検討していくべきである」と、制度化と登録制の創設を提言しています。英国のGP(General Practitioner)制度を多分に意識した仕組みと言えます。2013年の合同提言の定義との違いは?今回の日医の「かかりつけ医」に対する“新しい”考え方の公表は、こうした制度化の動きを牽制したものと言えます。中川会長はこの日の記者会見で、財務省が創設を提言している「かかりつけ医」の制度化について、「医療費抑制のために国民の受診の門戸を狭めるようなことであれば認められない」と述べたとのことです。日医が関与した「かかりつけ医」の定義としては、2013年8月に日本医師会と四病院団体協議会が合同提言した『医療提供体制のあり方』が使われてきました。その中では「かかりつけ医」を「なんでも相談できるうえ、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義しています。機能面としては今回の考え方と概ね同じと言えますが、中川会長は、「合同提言は、病床機能をどうするかが大きなテーマだったが、今回はかかりつけ医に焦点を当てたもの」として、1)かかりつけ医は患者が医師を表現する言葉である、2)患者ごとにかかりつけ医が異なり、患者にふさわしい医師が誰かを、数値化して測定することはできない、3)患者が信頼できる医師が、かかりつけ医であることを明示、の3点が合同提言との違いであると説明したとのことです。注目される「骨太の方針2022」「患者側の表現」「測定することはできない」「患者が決める」とは、制度化への反対を前提とした論理構成と言えるでしょう。とは言うものの、「みんなでこれからも頑張ります」という精神論的色彩が強く、コロナ禍で明らかとなった診療所開業医の機能不全を解消する具体的な仕組みは提案されていません。財務省の提言に対抗するものとしては弱過ぎる印象です。そもそも「かかりつけ医」を持つ患者は5割ほどに過ぎないと言われています。今はあれこれ用意されている「かかりつけ医」関連の診療報酬も、「患者が決める(選ぶ)」医師だけにしか支払われない仕組みになったら医師側は逆に困ると思うのですが、どうでしょう。本連載でも何度も書いてきたように、今や財務省の意向は岸田首相の考えだとも言えます。岸田首相は4月13日の経済財政諮問会議で、「コロナ禍での経験や受診行動の変容を踏まえ、かかりつけ機能が発揮される制度整備や新たに導入したリフィル処方の使用促進など、医療・介護サービス改革の継続・強化に取り組む」と述べています。翌15日の衆院厚生労働委員会では、「かかりつけ医」のあり方について「機能を明確化しつつ、患者と医療者、双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策を検討する」との考えを示しています。経済財政諮問会議が6月にまとめる予定の「骨太の方針2022」に記載される「かかりつけ医」の内容によっては、制度化の議論が一気に進む可能性があります。そうなれば、コロナ禍を経験しても何も変えようとしなかった日本医師会は、本当に正念場を迎えることになるでしょう。参考1)国民の信頼に応えるかかりつけ医として/日本医師会2)日本医師会「国民の信頼に応えるかかりつけ医として」について3)財政制度等審議会 財政制度分科会 議事要旨等/財務省

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医師の命狙う凶悪事件に何を思う【在宅医インタビュー】

 医師の命を狙った、卑劣な事件が相次いでいる。記憶に新しいところでは、今年1月27日、埼玉県ふじみ野市で、男(66)が死亡した母親の訪問診療を担当していた在宅クリニック関係者を自宅に呼び出し、散弾銃を発砲。担当医(44)を殺害したほか、同行していた理学療法士(41)に大けがを負わせた。男は自宅内に立てこもった末、殺人および殺人未遂容疑などで逮捕、送検された。さいたま地検は3月3日より鑑定留置を行い、男の刑事責任能力の有無などを調べている。 昨年12月には、大阪・北新地で、雑居ビル4階の心療内科・精神科の医療機関に、男(61)がガソリンを撒いて放火。中にいた医師やスタッフ、患者合わせて26人が殺害された。いずれの容疑者も、相識の医師らを巻き込み自殺を企図したとみられる背景が共通しており、「拡大自殺」などとも言われているが、後者は事件後に死亡しており、全容の解明は不可能になってしまった。 命を救ってくれる、あるいは治療により社会活動に適応できる状態にしてくれるはずの医師が、期待に応えてくれなかったことへの報いか、あるいは処罰感情か―。 こうした事件の報に触れるたびに、医師がみずからの身の安全を守ることと、応召義務を果たすことの難しさを感じる。また、何か事が起こるたびに安全マニュアルや設備点検の徹底が叫ばれるが、それは本質的な解決につながるのだろうかと疑問を感じていた。 社会を動揺させる事件が起きても、現場の在宅医は今日も担当する患者宅を訪問し、心療内科では疾患を抱える患者の診療に忙しい。しかし、その胸中では何を思っているのか。今回、匿名を条件に1人の在宅医に話を聞くことができた。前述のふじみ野市の事件で亡くなった鈴木医師と同年代。答えづらい内容の質問に対しても、慎重に言葉を選びながら真摯に応じていただいた。<今回取材した医師プロフィール>40歳(男性)の訪問診療医。麻酔科医として4年間の病院勤務の後、在宅診療所を設立。東京西部エリアにて、主に末期がん患者の終末期ケアや神経難病患者の訪問診療を行っている。◇◇◇ ふじみ野の事件で亡くなった鈴木 純一先生と直接の面識はなく、人となりも想像するしかできませんが、志をもって在宅医療に携わり、患者さんを大事に考えていらっしゃったということを報道などで見聞きし、そういう実直な人柄の先生がこのような事件で命を落とされたことは、同じ在宅医療に携わる同士として、ただただ悲しく、同時に憤りも感じました。 事件に対する一般の方たちの意見として、医師が亡くなった患者の弔問に行ったことについて疑問視するような声もありましたが、ケースバイケースだと思います。 当院では行っていませんが、規模の大きな診療所では、遺族会をつくり、家族を看取った後の精神的なケア(グリーフケア)をやっているところもあります。診療時はもちろん患者さんのケアが最優先ですが、在宅医療は同時に家族もケアしていくことになるので、そうしたつながりで、亡くなった後に線香を上げに行くということとイコールではないですが、弔問のようなことを絶対にしないということはないと思います。――患者が亡くなった時点で関係が断たれるということではなく、グリーフケアなどで引き続き関係性が継続することはあるということ? その通りです。当院では、亡くなった後ご家族と継続的に連絡を取ることはありませんが、夫婦のどちらかをお看取りしたことのご縁で、何年か後にその連れ合いの方から看てほしいと依頼されるケースもありますし、親族や知り合いの診療を依頼されることもあり、必ずしも完全に関係が切れるというわけではない。それは、在宅じゃなくても地域の診療所ではよくあることではないでしょうか。こういう事件があると、亡くなった患者家族と関わらないほうがいいという世論や、学会や関連団体の指針が出ることがあるかもしれませんが、本来、人と人との関係性なので、やみくもに規制すればいいわけではないと思います。 ただ、クレームを収めることを目的に弔問に行くのは危ないことだということは、改めて認識しました。あくまで報道を見聞きする範囲ですが、今回のケースに限って言えば、生前から関係性が良好で、とくに思い入れの強い患者さんだからというよりは、当初からトラブルを解決する目的の訪問だったように見受けられます。相手もそのつもりで待ち構えていて、結果的に重大な事件に発展してしまいました。 どうすれば防ぎ得たのか。私も100点の答えは持ち合わせていません。患者さんや、家族との関係性次第というところでしょうか。あとは対面する目的。今回のように、不満を持った遺族に呼び出されたような経緯であるならば、なおさら慎重な対応が必要なのだろうとは思います。――自身の診療経験で、実際に危害を加えられたり、危険を感じたりしたことはある? 自身で言うと、後になって納得がいかないというクレームを受けた経験はありますが、直接的な危害の経験はありません。見聞きする範囲ですが、医師に直接という人は少ないものの、看護師などに暴力を振るったとか、そういうケースはよく聞きますね。ただ、精神的に警戒した、ちょっと怖いなと思ったことはありました。明らかに精神的・医学的に異常を感じる方で、言っていること、考えることが噛み合わないケースです。だからといって具体的に何か危害を加えられたわけではないですが、やはりそういう場合はこちらも警戒するというか、物理的に背中を向けないで対面を心掛けるなど、そういうことは気を付けました。 私の場合、往診はまったくの1人。これは診療所によって大きく異なるところで、中には診療所付のドライバーや看護師がいて、常に複数人での往診ができるところもあります。訪問診療は、特別な事情がないかぎり診療所から半径16キロ以内と法的に決まっていますが、32キロ圏内というのはかなり広いです。1人ひとりに時間が掛かることもあり、私の場合は1日に平均8~10件を車で往診しています。麻酔科が専門というのもあり、末期のがん患者さんを多く診ています。それ以外には、ALSなどの神経難病、老衰、脳梗塞後の方なども。そういった事情もあり、入った時点で1年以内に亡くなる患者さんが多く、何年も診療が継続する方は少数です。診療所としては、年間で70人くらいの方をお看取りしていて、感覚としては、3ヵ月から半年というケースが多いように思います。――在宅を選ぶ方、選ばざるを得ない方とは? 人生の最期が視野に入ってきたとき、病院か家かと聞かれたら家を選ぶ人は多いです。ある程度家族がいて受け入れられる場合は、とくに家を望まれます。がん治療で急性期病院に通った後に家かホスピスかという選択になり、ホスピスを選びたいが相当な費用が掛かる。そういう経済的な理由もあって、家で最期を迎える人もいます。――整った条件で在宅を選ぶか、消去法として家を選ばざるを得ないという二極化している? それはあるかもしれないですね。でも、独居の患者さんを家で看取るというケースも多いですよ。看護師やヘルパーに毎日入ってもらって、それでも誰もいない時間帯に亡くなっているケースはもちろんありますが、孤独死で何日も発見されないというような最悪の状態にならずとも、家で最期を迎える方も多くいます。消去法的な選択肢であっても、家にいたいという方にとっては価値ある、有意義なことなのかなと。これは在宅医をやってみるまではわからなかったことです。――訪問診療では、患者さんや家族とどのようなコミュニケーションを? やはり、在宅のほうが家族も含めた密なコミュニケーションになってくると思います。ただ、これもやってみてわかったことですが、在宅医療というのは、完全に治るとか治すということより、家でいかにして苦痛を少なくして楽しく過ごせるかというところを手伝う側面が強いと思います。したがって、病を治すことよりも心身の状態のケアが在宅にはより強く求められる。それは病院でも診療所でも大切なことには変わりないのですが、患者のみならず、家族も含めて行うことが大事です。そうなると、医学的に妥当なこと、正しいこと以上に、最期を見据えた患者の思いに寄り添うことが大事になってくる。あくまで極端な例ですが、末期がんで余命も長くない患者さんが、酒やタバコを楽しみたいという思いがあれば、病院だと止められるのは当然だが、家ならばそれで1日、2日寿命が仮に短くなったとしても、好きな酒を飲み、タバコも吸っても構わないと考えます。もちろん、患者さんの望みを何でもやみくも聞くというわけではないし、そうした望みを患者さんが持っていることを家族に丁寧に説明することも大事です。私は在宅医歴10年くらいですが、やっていく中で1つひとつ気付いて軌道修正を加えて行った感じで、当初はちょっと慣れないところもありました。在宅の中でも、厳格な先生はもちろんいらっしゃいます。そこは、患者さんとの関係なども含めた総合的な判断、ケースバイケースです。私自身は、患者さんが家で過ごす時間をいかに楽しく有意義にできるかというところが、1日でも1分でも長く命を生かすことより大事だと思うので、ある程度楽しく過ごせるように緩めるところは緩めるという考え方ですね。――在宅であっても医療は医療として、患者や家族からの期待感があると思う。それに対する責任は重くない? たしかに重い部分もありますが、家族と頻回に顔を合わせているからこそ、患者さんが弱っていくことを徐々に受け入れていってもらい、最期の看取りの瞬間に着地することができる。もちろん、頻回に顔を合わせているからこそのしんどさはあるけれど、逆にあまり会わずにコミュニケーションも少ない中で残念な結果になった場合のしんどさもあるので、どちらがいいとも言えないですね。――看取りを多く経験して、先生自身が患者さんの死に対する「慣れ」を自覚することは? 正直なところ、それはあると思います。とくに在宅を始めた最初のころの看取りの気持ちを考えると、今は自分の中でも冷静で、気持ちがそれほど乱れることもないし、看取りをすることに慣れてきているという自覚はあります。ただ、ご遺族にとっては唯一の関係性の肉親であったり家族であったりする人との別れです。そういう中で掛けるべき言葉は慎重に選ぶように心掛けています。それもやはり患者さん1人ひとり、それぞれの家族との関係性によります。基本的には、家族の方が看取りをやり切ったと思える気持ちになるよう前向きな言葉掛けを意識しています。――自宅を訪問すると、その家が抱えている問題なども見えてくるのでは? なかなかうまく社会的な関わりを持てないご家族や患者さんはたしかにいらっしゃいます。在宅はチーム医療の側面が大きく、ケアマネや訪問看護師も関わってくるので、実務的な部分では訪問看護師のほうが、訪問頻度が高いです。普段の話し相手という部分ではケアマネの役割もとても大きい。皆でみて、精神的なケア、悩みを一緒に解決することは多いです。ただ、そこからはみ出してしまう人もいて、相手側からもう関わらないでほしい、来ないでほしいと拒絶されるケースはある。そういう形で、訪問が続かなくなるケースも少なくありません。 いずれにしても、お宅に入ってみて初めてわかることですが、社会的関わりのみならず、家庭内の人間関係も成り立っていない、破綻しているご家庭も少なからずある。そういった場合は、ケアマネなどと連携しながらあらゆるアプローチは試みてはみるものの、結局は受け入れられずにみずから関係を断って、支援の枠から飛び出してしまう方は少なくないというのが実感です。 家族関係のケアはとくに難しいです。医療者として訪問して、どこまで踏み込んでいいのか迷うし、入って来るなと拒絶されることで、医療的にもケアできなくなってしまうのは本末転倒なので。――今回の事件を巡り、メディアではさまざまな課題が提起された。危機管理対策や、そのための人員確保やマニュアル整備、また、そもそも在宅医療に携わる人員不足に言及する内容も。在宅医として、この事件に対するメディアや世間の捉え方に対し思うことは? 何より、鈴木先生を悼み、故人の尊厳がきちんと守られていたのは妥当だと思いました。先生の人柄がよく、ただそれが故に理不尽にも凶弾に倒れてしまったという内容がほとんどでした。ゴシップ的な記事だと、襲撃された側にも問題があったのではないかというような、無関係なことまで根掘り葉掘り書かれるようなものもあったりしますから。ただ、在宅医が足りないというような視点は…半分は正しく、半分は当たっていないかもしれない。それを言えば、場所にもよるし、産婦人科医が足りないとか、離島には医師そのものが足りないという事情もあるので、在宅医だけがことさら不足しているという論調はどうなのかな、とは思います。たしかに十分ではないですが、この事件に絡めて論じる問題ではないかな。 安全対策が手薄だったから起きたという報道もありました。これも、在宅医療に携わるすべての人が、より手厚く安全が守られるようになればいいなと思う反面、例えば、警備スタッフのような人が同行したとしても、いきなり攻撃されたのでは避けられないケースもあります。 病院、診療所、在宅、いずれも同じようなリスクは常にあると思います。ただし、相手のホームに入っていく以上、その分のリスクの高さはたしかにあるのでしょう。ならば、訪問をやめれば安心かというと、そういうものでもない。それはもう臨床をやっている以上は逃れられないことです。私としては、あるかもしれない危険にどう備えるかというところを考えるしかないかなと思います。 たとえば警察官同行のような強い実効力があるルール整備をしたら解決なのか―。ちょっと極端かもしれませんが、一時期ストーカー規制が叫ばれ、さまざまな法整備も進められてきましたが、現実を見ると、それでも結局命を失うケースが後を絶ちません。医療におけるルール、法整備もそれと似ている部分があると思っていて、完全に犯行を実行しようと相手が決意をしたら、なかなかその危害を未然に防ぐことは難しいというのが現実だと考えます。患者とは一切接触しないオンライン診療のみに振り切るとか、患者との対面頻度を極端に減らして、大勢の目がある中でしか診療しないとか、そこまでやれば防げることもあるかもしれませんが、現実的ではない。在宅をやっている以上、調子が悪いと連絡を受ければすぐに往診するし、物理的なルール、マニュアル整備では難しく、いかに人間関係を構築するかということや、こういう人は高リスクと、より注意をして対応することで、少しでも可能性のパーセンテージを減らすことに尽きると思うのです。 ちょっと飛躍的かもしれませんが、議論を突き詰めていくと、この国における死生観というところと関連があるのではないかと私は考えます。ある程度年老いて衰えてくると、死は避けられない、仕方のないことなのだということを、もっと社会や政治が考えることが大事なのではないかと思うのです。医療が進展し、健康寿命が延びることは喜ばしいけれども、医療費の問題もさらに加速するでしょう。豊かな人はどんどん医療を受け、貧しい人は諦めざるを得ないという格差も、より拡がるかもしれない。死が理不尽なものと考えれば、「拡大自殺」という形で他者を巻き込んだ攻撃にもなってしまう。しかし、どんな人であっても避けることはできず、等しく訪れる「死」というものに対し、どう向き合うのかということは、社会全体でもっと真剣に考えてもいいのではないかと思います。そして、生きた長さよりも、心の充足、どういう人生を生きたかというところを重視することを、医師も考えながら医療をしたほうがいいのではないかと―。在宅医療に従事する中で、私はそう強く思うようになりました。

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第93回 新型コロナウイルスワクチン4回目接種も検討開始/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナウイルスワクチン4回目接種も検討開始/厚労省2.新規感染者数と病床使用率、まん防の解除条件見直しへ/内閣府3.手術後の3年生存率、がん拠点病院vs.それ以外の病院/大阪府4.がん拠点病院、敷地内における自由診療の免疫療法に批判5.全世代型社会保障構築会議で少子化対策の検討開始/内閣府1.新型コロナウイルスワクチン4回目接種も検討開始/厚労省後藤 茂之厚生労働相は11日の記者会見において、新型コロナウイルスワクチン接種の4回目の実施を検討していると明らかにした。海外ではすでにイスラエルやチリが4回目接種を開始しており、全国知事会からも、4回目について政府の考え方を早期に示し、ワクチンの確保を求める提言を出している。後藤厚労大臣は、「今の段階ではともかく、3回目のワクチン接種を希望する方が、1日でも早く接種が受けられるように全力で取り組んでいきたい」と強調した。(参考)新規感染者は減少傾向続く 政府は3回目接種を急ぎ、4回目も検討(東京新聞)ワクチン4回目接種 “科学的知見や諸外国の対応を注視”厚労相(NHK)抗体量は半年で減少、秋頃に4回目の接種必要…モデルナ日本法人社長(読売新聞)2.新規感染者数と病床使用率、まん防の解除条件見直しへ/内閣府内閣は11日に新型コロナウイルス感染症対策分科会を開催し、21日が期限の「まん延防止等重点措置」の解除の条件について、新たな行動制限緩和の検討を行った。これまでは、新規の感染者数が前週と比べて減少傾向にあることと、病床使用率が50%を下回ることの2つの基準を重視してきたが、これらを転換し、新規感染者数か病床使用率のいずれかが低下すれば解除可能とする方針を確認した。また、大規模イベントの人数制限についても緩和する方向で、今週正式に決定する見込み。(参考)“まん延防止”解除 条件緩和の新たな考え方を提示 政府分科会(NHK)まん延防止、病床5割超でも解除可=イベント制限緩和へ―政府(時事通信)3.手術後の3年生存率、がん拠点病院vs.それ以外の病院/大阪府大阪国際がんセンターのグループによる分析によって、大阪府や国が指定するがん拠点病院で手術を受けた患者とそれ以外の病院で手術を受けた患者の生存率に差があることが判明した。がん拠点病院とそれ以外の病院での治療成績について、2012年までの3年間に大阪府内でがん患者として手術を受けた15歳以上の患者8万6,000人余りの3年生存率を比較したところ、すべてのがんにおいて、国の拠点病院では86.6%、大阪府の拠点病院では84.2%、拠点病院以外の病院では78.8%と差があった。国は全国の医療圏ごとにがん診療の均てん化を進めてきたが、これらの結果から、従来のやり方での格差解消は難しいと考えられ、アクセスの良い都市部ではさらに拠点化・重点化によって地域格差の解消が求められる。(参考)がん手術後の生存率 大阪府内の拠点病院と拠点以外の病院で差(NHK)がん手術後の生存率で明暗 拠点病院を選ぶならセンターより大学が無難【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】(日刊ゲンダイ)4.がん拠点病院、敷地内における自由診療の免疫療法に批判厚労省は3月にがん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会を開催した。拠点病院の指定をめぐって今回、金沢大学附属病院と同一敷地内の「医療法人社団金沢先進医学センター」が免疫療法を行っており、さらには金沢大病院に勤務する医師が兼業しているのが問題視された。保険適応外の免疫療法を提供する場合は、原則として臨床研究、先進医療の枠組みで行うことが求められているが、今回発覚した問題は営利目的で自由診療の免疫療法を実施していたとみられる。過去の事例として、埼玉県の民間病院は、ほかの要件はすべて満たしているにもかかわらず、効果が不確かかつ患者に莫大な負担が生じる「免疫細胞療法」を早期がん患者に提供していた問題があり、拠点病院の指定が見送られていた。(参考)金沢大病院の敷地内施設で行われる免疫療法に強い懸念―がん拠点病院指定検討会(Gem Med)同一医療圏で複数のがん拠点病院を指定する場合、明確な「相乗効果」が必要―がん拠点病院指定検討会(同)5.全世代型社会保障構築会議で少子化対策の検討開始/内閣府9日に第2回全世代型社会保障構築会議が開催され、今後さらに進む高齢化や人口減を踏まえて、医療・介護分野では、人材の確保と育成が課題であり、デジタル技術の活用、高齢人材の活用が話題となった。出席した委員からは、わが国には今後20年間の社会の担い手を確保する「少子化対応戦略」と、20年後以降の少子化に歯止めをかけるための「少子化克服戦略」の同時実施が求められていると指摘があり、地域医療構想の再構築による医療介護提供体制の見直しを進める。具体的には、医療に求められる機能が「治す医療」から「治し支える医療」へと変化していることを踏まえ、在宅医療の機能強化、病院の機能分化を求める意見が出された。(参考)全世代型社会保障構築へ議論開始、人への投資 社会保障制度改革は骨太方針と改革工程表で(CB news)全世代型社会保障、「人への投資」優先 子育て支援拡充など議論(日経新聞)

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第97回 2022年診療報酬改定の内容決まる(後編)かかりつけ医、報酬は従来路線踏襲も制度化に向けた議論本格化へ

かかりつけ医関連の診療報酬に若干のテコ入れこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。NFLのスーパーボウル(ロサンゼルス・ラムズが第4クオーター残り6分から逆転のタッチダウンを決め、シンシナティ・ベンガルズを23対20で破って優勝)も北京オリンピック(女子スピードスケートだけ観戦していました)も終わっていよいよ球春到来、MLBと日本のプロ野球の開幕を待つばかりとなりました。が、心配なこともあります。米国のMLBの労使交渉が泥沼化し、まだ終わっていないのです。選手の年俸総額や最低保証額で溝が埋まっていないようです。労使間の新協定が締結できないため、広島からポスティング制度でメジャー移籍を目指す鈴木 誠也選手も、シアトル・マリナーズをフリーエージェントとなった菊池 雄星投手も入団交渉が進まず、所属チームが決まっていません。キャンプインも延期状態で、3月末の開幕に黄信号が灯っています。ロサンゼルス・エンジェルスの大谷 翔平選手の調整が今年もうまく進んでいるといいのですが…。さて、前回に引き続き、2月9日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で答申が行われた2022年度診療報酬改定の内容のうち、このコラムでも触れてきた政策的な意味合いが大きい項目について、その内容を見てみたいと思います。今回は、若干のテコ入れが行われた「かかりつけ医関連の診療報酬」と、財務省が強く求めたものの実現が見送られた「かかりつけ医制度化」について考えてみます。財務省が提案する「かかりつけ医の制度化」このコラムでは、「第85回 診療報酬改定シリーズ本格化、「躊躇なくマイナス改定すべき」と財務省、「躊躇なくプラス改定だ」と日医・中川会長」で、財務省が強く導入を求めてきた「かかりつけ医の制度化」について書きました。今回の診療報酬の改定議論が本格化する直前の2021年11月8日、財務省主計局は、財政制度等審議会・財政制度分科会において2014年度診療報酬改定での地域包括診療料、地域包括診療加算の創設以降、かかりつけ医については診療報酬上の評価が先行して実体が伴っておらず、「算定要件が相次いで緩和され、かかりつけ医機能の強化という政策目的と診療報酬上の評価がますますかけ離れることになった」と現行制度の問題点を指摘しました。加えてコロナ禍の中、「我が国医療保険制度の金看板とされてきたフリーアクセスは、肝心な時に十分に機能しなかった可能性が高い」と“有事”での診療所の診療機能を強く批判しました。その上で、「受診回数や医療行為の数で評価されがちであった『量重視』のフリーアクセスを、『必要な時に必要な医療にアクセスできる』という『質重視』のものに切り替えていく必要がある」として、「かかりつけ医機能の要件を法制上明確化したうえで、これらの機能を担う医療機関を『かかりつけ医』として認定するなどの制度を設けること、こうした『かかりつけ医』に対して利用希望の者による事前登録・医療情報登録を促す仕組みを導入していくことを段階を踏んで検討していくべきである」と提言しました。第85回で私も、「もし、首相がかかりつけ医の制度化含め、医療提供体制の改革を真剣に行おうとするならば、ある程度プラスの改定率にして中川会長の面目を保ちつつ、かかりつけ医の制度化を一部飲ませる、というシナリオが一つの落とし所として考えられます」と書いたのですが、今回はかかりつけ医の制度化の議論は行われず、その予想は外れました。もっとも、財務省(と岸田政権)はもう一つの懸案事項でもあったリフィル処方導入を日本医師会にしっかり飲ませることができました。長年日本医師会が反対してきた政策がすんなり実現したという事実は、政府・財務省・厚労省・日医の関係性が微妙に変化していることを感じさせます。リフィル処方導入はひょっとしたら「かかりつけ医の制度化」という大きな改革に向けての楔となるかもしれません。機能強化加算の算定要件にかかりつけ医機能を明記というわけで、今回の診療改定では、かかりつけ医関連の診療報酬は、財務省が批判していた地域包括診療料、地域包括診療加算や機能強化加算など、従来路線の見直しに留まりました。ただ、「かかりつけ医関連の報酬が機能を評価したものであることが患者等に認識されていない」といった批判もあり、いくつかの要件や基準は厳格化されることになりました。まず、機能強化加算ですが、地域におけるかかりつけ医機能をより明確化するため、算定要件と施設基準が見直されます。算定要件では、かかりつけ医機能に関する対応として以下の5項目が明記されました。1)患者が受診する他の医療機関および処方薬を把握し、必要な管理を行い診療録に記載する2)専門医または専門医療機関への紹介を行う3)健康診断の結果等の健康管理に係る相談に応じる4)保健・福祉サービスに係る相談に応じる5)診療時間外を含む緊急時の対応方法等に係る情報提供を行うそして、施設基準では上記の対応について院内や医院のウェブサイト等に掲示することが要件に加わります。また、現行では地域包括診療料・地域包括診療加算や在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院に限る)等の届け出があれば算定できましたが、今改定では訪問診療や往診を行った患者数等の実績要件が盛り込まれます。在宅医療のニーズが今後さらに増えることを想定し、外来中心の医療機関であっても訪問診療等に関わってもらおう、という狙いからです。そもそも、かかりつけ医機能を評価する報酬と言いながら、地域包括診療料、地域包括診療加算等の届け出を行っていれば、自動的に初診患者に加算できること自体に無理がありました。今改定での機能強化加算への5項目の算定要件新設や、訪問診療や往診等の実績要件の導入は、かかりつけ医というものの機能が患者にもある程度見えるようになるという意味で、理に適ったことだと言えるでしょう。なお、地域包括診療料・地域包括診療加算については、慢性疾患を抱える患者に対するかかりつけ医機能の評価を推進する観点から、対象疾患に慢性心不全、慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていない者に限る)が追加されます。外来機能報告制度にあわせ定額負担を徴収する病院の対象を拡大今改定では、外来の診療報酬として、2022年4月からスタートする「外来機能報告制度」にあわせた地域における外来機能の分化と連携を促す見直しも行われました。具体的には、紹介状なしで受診した患者から定額負担を徴収する責務のある医療機関の対象範囲を、従来の「特定機能病院」と「一般病床200床以上の地域医療支援病院」に加えて、「外来機能報告制度における紹介受診重点医療機関のうち一般病床200床以上の病院」にも広げるとともに、該当医療機関の入院機能を評価する紹介受診重点医療機関入院診療加算(800点、入院初日)が新設されます。なお、紹介状なしで受診した患者から追加徴収する定額負担は初診7,000円、再診3,000円とし、現行から初診2,000円、再診500円引き上げられます。外来医療の実施状況を都道府県へ報告する外来機能報告制度外来機能報告制度とは、外来医療の実施状況を都道府県へ報告するよう病院などに義務づける制度です。従来からある病床機能報告制度の外来版という位置づけで、2021年5月の医療法改正で創設され、この4月からスタートします。同制度では、各病院に「医療資源を重点的に活用する外来」をどの程度実施しているかの報告を求めます。集めるデータは抗がん剤を使う外来の化学療法、日帰り手術、CTやMRI撮影の実施件数など。紹介・逆紹介率、外来における人材の配置状況、高額な医療機器・設備の保有状況などに関する報告も含まれます。これらのデータを基に、都道府県は「地域における協議の場」を通じて、各地域で高度な外来を担う基幹病院を明確化します。初診と再診の「医療資源を重点的に活用する外来」が占める割合が初診40%以上、再診25%以上という基準を満たす場合、その病院の意向を踏まえた上で「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関:紹介受診重点医療機関」と見なされることになります。今改定では、この紹介受診重点医療機関のうち一般病床200床以上の病院も、定額負担を徴収する責務のある医療機関に加わったわけです。「首相≒財務省」vs.「厚労省≒日本医師会」の対立構造深まるか、追い込まれる日医はどうする外来機能報告制度は、外来医療においても入院同様に機能分化を進め、「かかりつけ医をまず受診し、そこから高機能の病院外来を紹介してもらう」という患者の流れを作るために創設されました。2022年度から外来機能報告制度がスタートすることで病院の外来機能の分化はある程度進みそうですが、その前の段階の「かかりつけ医」の制度化は今回の改定では手つかずで、議論もペンディングとなってしまいました。もっとも、財務省も手をこまぬいているわけではないようです。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会は2月16日、2021年12月にまとめた提言の22年度予算案への反映状況を確認、議論を交わしました。この中で、「かかりつけ医」の制度化について、引き続き推進を求める意見が出たとのことです。財政審は2021年11月の財政制度等審議会・財政制度分科会での提言に続き、12月3日にまとめた「令和4年度予算の編成等に関する建議」の中でも「かかりつけ医」の制度化を挙げていました。今改定では制度化は見送られたものの、政府の経済財政諮問会議が12月23日に取りまとめた新経済・財政再生計画(財政健全化計画)の「改革工程表2021」には、「かかりつけ医機能」を明確化し、それを有効に発揮するための具体策を2022〜2023年度に検討する、という方針が示されています。機能強化加算の算定要件として明示された5項目をベースとして、「かかりつけ医」の制度化に向けての議論がいよいよ本格化することになりそうです。「第80回 「首相≒財務省」vs.「厚労省≒日本医師会」の対立構造下で進む岸田政権の医療政策」でも書いた対立構造は、今後一層溝が深まっていくかもしれません。日医がそうした事態を避けるためには、自民党の安倍 晋三元首相や麻生 太郎自民党副総裁ら有力議員から自民党の政策に非協力的と見られている中川 俊男会長が次期会長選には出ず退陣、自民党とのパイプ作りに長けた人材を投入する、という手も考えられますが、さてどうなることか。参院選前、6月末に行われる予定の日医会長選の動きも気になります。

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ペイシェントハラスメントが5年で20%も増!?どんな対策してる?

 身勝手な患者による極悪非道な事件が昨年12月から2件も立て続けに発生したことを受け、CareNet.comでは各施設での患者からの迷惑行為(ペイシェントハラスメント1))対応策についてアンケート調査を実施した。本サイトでは2017年にも同様のアンケートを実施しており、両者の結果を照らし合わせると、なんとこの5年間でペイシェントハラスメントを受けた医師が20%も増加していることがわかった。また、2017年時点でペイシェントハラスメント対応マニュアルやガイドラインを設けている施設は30%超だったが、現在はどうなのだろうか。ペイシェントハラスメントを7割が経験、患者本人やその家族から Q1『ペイシェントハラスメントを受けたことがありますか?』との問いには、勤務医、開業医ともに7割もの人が「はい」と回答。年代別に見ると、40代の中堅医師が最も多く(81%)、次いで30代が72%も経験していた。一方、50代以降になると63~68%とペイシェントハラスメント経験はやや低下傾向だった。 続いて、Q2『誰にハラスメントされましたか?』については、患者本人からが3割、本人以外(家族、知人・友人、会社同僚など)からも3割が受けていた。患者本人からのハラスメントを受けたのは20代(59%)が突出して多かった。 さらにアンケートによると、2件の事件によって4割超の医師が影響を受け、その多くがペイシェントハラスメントの対策やマニュアルの再確認を行ったと回答している。 主なペイシェントハラスメント対応策は以下のとおり。<<ペイシェントハラスメント対応策>>・診察室には患者の目の前に警察の電話番号を掲示してしておく(60代、皮膚科)・ボイスレコーダー(60代、小児科)・紹介状に”大変神経質な方です”と書く(40代、皮膚科)・患者さんとは違う逃げ道[避難通路]を作る(60代、精神科/心療内科)・法人関連にて、各医療機関の診察券を共通化し、非常識な患者さんを当法人は何処でも受診拒否出来るようにしている(50代、内科)・タクティカルペン[護身具としての機能を持つペン]を常備(60代、その他)ペイシェントハラスメントから医療者を守るマニュアル ペイシェントハラスメントをする患者を、モンスターペイシェント(MP)と呼ぶこともある。これについて、医療従事者のためのモンスターペイシェント対策ハンドブック(執筆:滝川 稚也医師、編者:JA徳島厚生連 阿南共栄病院 教育委員会)2)では『病院の一般的なルールに沿って診療行為ができない患者』と定義付けている。なお、本書ではMPを3グループに分類している。1)職業的なMP 交渉を有利に進めるための手段のひとつとして、暴力を一つのリソースとして確信犯的に日常的に使うヒト ※暴力的行為による利益獲得が目的2)メンタルヘルス的な問題を抱えた患者 疾患のため社会的な適応能力が低下し、表現方法のひとつとして、暴力的な行動をとってしまうヒト ※障害・疾患や薬物・飲酒に起因3)ごく普通の患者 ごく普通の患者が、些細な意思疎通の手違いのため、本来はそういうヒトではないのに暴力という手段を使ってしまうヒト さらにこの書籍によると、このような患者対応を「個人の力量に任せるのではなく、組織全体で解決することが重要」ということにも触れていた。ところが、実際のアンケート結果を見ると、Q5『ハラスメントを受けた際、どのように対応しましたか?』(勤務医のみ、Q1で「はい」と回答した350人)では、53%は「上長らに相談」しているが、35%は「独断で対応した」と回答していた。年齢別にみると、50代が最も多く、責任者や部長という立場が影響しているのかもしれない。また、上記回答者の半数以上が外来診察室でペイシェントハラスメントを受けているという結果からも、上級医であったとしても、問題を抱え込まずに周囲のスタッフと連携して対応する必要があるかもしれない。 一方で、開業医の“モンスターペイシェント”対策状況を見ると、患者からのハラスメントを受けている医師が7割もいたにもかかわらず、ペイシェントハラスメント対策のためのマニュアルを用意していたのは、なんと1割強に留まった。また、開業医の4割はペイシェントハラスメントに遭遇した際にすぐに相談できる相手がいないことも明らかになった。 なお、今回の事件を受け、日本在宅医療連合学会では、今年7月に開催される大会において大会長の谷水 正人氏(四国がんセンター院長)の提案により、シンポジウム「在宅医療・ケア関係者の安全確保、訪問員を守る対策」が開催される予定だ。 現時点では、医療者をペイシェントハラスメントから守るマニュアルは各施設で制作するしか手立てがなく、開業医にとってはややお手上げ状態だが、今後、各学会で医療者を守るための方策が進められるかもしれない。患者に寄り添いひたむきな姿勢が評判だった2名の医師への哀悼の意を表するとともに、同様の事件を繰り返さないためにも本アンケートが少しでも現場の医師・医療者のお役に立てることを願って止まない。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中『患者の迷惑行為、勤務医/開業医の対応法は?』<アンケート概要>●タイトル:“モンスターペイシェント”からの迷惑行為、どんな対策してますか?●内容:医療者が巻き込まれる事件が相次いでいることを受け、病院・クリニックが取り組んでいる患者の迷惑行為対策、診療に対する心境の変化などを調査●実施期間:2022年2月1日(火)~2日(水)●調査方法:インターネット●対象:会員医師 1,000人(開業医:500人、勤務医:500人)

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第94回 医師人質の立てこもり事件で浮き彫り、在宅医療巡る喫緊の課題は?

埼玉県ふじみ野市で起きた、立てこもりおよび人質医師の殺害事件では、容疑者の男(66歳)が、自宅介護の母親に対する診療方針を巡り、一方的に不満を募らせていたと見られている。在宅医療の現場では、患者や家族からの暴力事件が相次いでおり、訪問介護師を対象に行った調査では暴力を経験したという人は約半数に上っている。事業所や職員の間では「被害に遭っても我慢が当たり前の雰囲気がある」というが、現場で暴力やセクハラがはびこる以上、医療従事者の安全確保はもとより、離職防止のためにも具体策が求められる。診療方針に一方的に不満を募らせたとみられる容疑者亡くなった医師の鈴木 純一氏(44歳)は、地域で訪問看護を必要とする人の約8割を受け持ち、地域医療に大きく貢献していたという。捜査関係者によると、殺人容疑で送検された男は事件当日の1月27日夜、鈴木氏などを自宅に呼び、死後1日以上経過した母親に心臓マッサージを求めたところ、鈴木氏に蘇生できないことを説明され、胸に散弾銃を発砲。鈴木氏は心臓破裂で、即死状態だったと見られている。報道によると、男は同居していた母親の診療を巡ってほかの医療機関から断られた後、鈴木医師を頼って数年前から訪問診療を受けていた。しかし、納得がいかないと罵声を浴びせたり、地元医師会に苦情を言っていたりしていたという。警察では、男が診療方針を巡り一方的に不満を募らせていたと見ている。訪問看護師の半数が暴力やセクハラを受けている現状在宅医療の現場では、患者や家族からの暴力行為が相次いでいる。全国訪問看護事業協会が、訪問看護師を対象に2018年に行った調査によると(有効回答者数3,245人)、半数近くの45.1%が利用者や家族から身体的暴力を受けたと回答。精神的暴力(52.7%)やセクシャルハラスメント(48.4%)を受けた人も約半数に上った。兵庫県看護協会が行った2015年の調査では、暴力行為の具体例として以下のようなケースが報告されている。身体的暴力:「ジュースをコップごと投げつける」「首を絞める」「包丁を向ける」など。精神的暴力:「奇声、大声を発する」「威圧的な態度で文句を言い続ける」「理不尽なサービスを要求する」など。セクシャルハラスメント:「腕を引っ張り、抱きしめる」「入浴介助中、あからさまに性的な話をする」「下半身を丸出しにし、陰部に塗り薬を要求する」など。その他(悪質クレーム、ストーカー行為):「インターネットにいわれのない誹謗中傷の事業所評価を掲載する」「家族が理不尽な苦情を事業所に申し立て、対応に時間がかかり、業務に支障が出る」「特定の職員に個人的な相談を毎日2時間以上してくる」など。対策は必要と考えるが具体策がわからない事業者在宅医療現場での暴力行為などに詳しい専門家は、「訪問の場合は、すぐに応援を呼ぶ態勢を取ることができない。自身が現場から逃げることができなければ、被害を受ける確率が上がる」と話す。しかし、訪問看護を行う事業者側へのアンケートでは、97%が「対策を取る必要がある」と回答する一方、事業所の管理者の約6割が「具体的な対策がわからない」と答えている。同会では、調査報告書で対策をフローチャートなどにまとめているので参考になる。ポイントは以下の通りだ。【事前対策】事業者は暴力やセクハラを許さないという意思表明を行い、職員や利用者に発生時の対応を周知徹底する。暴力やセクハラを防ぐための研修やシミュレーションを行う。訪問先や周囲に関する情報収集を行う。【訪問時】リスクが高い場合は複数で訪問する。利用者は部屋の奥に、訪問者はドアに近くに座る。利用者が興奮していたり不穏な状況であったりした時は距離を保つ。【暴力やセクハラの発生時】必要時には避難する。医療的処置を要する傷害が生じた場合、救急車を手配する。管理者に連絡。管理者は利用者宅の状況を確認。必要時には警察に連絡する。職務中の暴力被害は労災に該当するため、管理者は必要書類などを把握しておく。訪問者は当日または後日、事実を記録へ記載。【発生後】管理者は被害者の状況に応じた受診継続や休養取得を支援する。専門家によるカウンセリングを受けられるように業務を調整する。法的措置をとる場合の支援を行う。人手不足を解消するには安全性の確保が先ではないか前述の専門家は「アメリカでは2人訪問の場合、2人目に警備員や警察が同行する」と話す。兵庫県では、国に先駆けて2017年から、2人以上の職員を訪問させる場合、2人目の一部費用を補助する制度を設けたが、利用件数は少ないという。事業所からは「人手が不足している状況下、2人一緒に派遣するのは難しい」との声が上がる。高齢化は一段と加速し、医療へのアクセスが難しい人はますます増える。そうした患者の「最後の砦」が訪問診療だが、安全が十分確保されなければ、高まる在宅医のニーズに反し、先細りの未来図しか描けない。

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第87回 弔問した訪問診療医を患者家族が銃殺、在宅医療現場に波紋

<先週の動き>1.弔問した訪問診療医を患者家族が銃殺、在宅医療現場に波紋2.抗原検査キット、優先度の通知で一般販売見合わせの可能性3.オンライン診療報酬は対面と特例対応の中間に、制限は撤廃か4.オンライン資格確認で患者情報を取得した場合の加算が新設5.今年度の診療報酬改定、看護必要度の心電図モニター管理を削除1.弔問した訪問診療医を患者家族が銃殺、在宅医療現場に波紋1月27日夜、埼玉県ふじみ野市で在宅診療を行っていた医師・鈴木 純一氏(44)が、その前日に死亡確認した女性患者(92)の息子・渡辺 宏容疑者(66)に銃殺される事件が発生した。司法解剖の結果、鈴木氏の死因は胸に銃弾1発を受けたことによる心臓破裂だった。散弾銃の弾は体内を貫通しており、至近距離から撃たれ即死だったとみられている。県警の調べによると、容疑者から「焼香に来てほしい」との連絡を受け、事件当日21時頃に患者宅を訪問した医療関係者7人に対し、容疑者は心臓マッサージなどの蘇生措置を求めたという。鈴木氏が丁寧に説明して対応を断わったところ、容疑者は散弾銃を2丁持ち出し、少なくとも3回発砲。容疑者は鈴木氏を撃った後、続けて理学療法士の男性(41)を撃ち、同行していた医療相談員の男性に催涙スプレーをかけ、別の医療相談員にも発砲したと供述しており、理学療法士は上半身に重傷を負った。亡くなった鈴木氏は、10年ほど前から地域医療の担い手として懸命に働き、患者や同僚からの信頼も厚かった。東入間医師会によると、同氏は2市1町における在宅医療の8割に当たる約300人の患者と関わっていたという。昨年9月、デルタ株の感染拡大により入院できず自宅療養するコロナ患者の自宅を訪問診療する鈴木氏をNHKが取材していたこともあり、死を悼む声が広がっている。(参考)容疑者、前日死亡の母の蘇生依頼 断られ発砲か 埼玉立てこもり(毎日新聞)母親の蘇生断られた後に発砲か 立てこもり容疑者、名指し呼び出しも(朝日新聞)死亡医師は即死、至近距離から胸に銃弾 計画的な犯行か…ふじみ野の立てこもり、医師ら指定し呼び出す(埼玉新聞)立てこもり事件で犠牲の医師鈴木純一さん、地域医療の担い手として信頼厚く(日刊スポーツ)立てこもり事件 亡くなった医師 コロナ患者など在宅医療支える(NHK)2.抗原検査キット、優先度の通知で一般販売見合わせの可能性厚労省は27日、オミクロン株の急拡大により、抗原定性検査キットの需要が急速に伸びていることを受け、流通側・発注側の双方に事務連絡を通知した。流通側には行政検査を行う医療機関や地方自治体からの発注、地方自治体からの委託を受けて抗原定性検査キットを配布する薬局からの発注を優先するよう定め、大量発注によって安定供給に支障を来す恐れがある場合には、複数回に分割して納品することなどを示した。また、発注側には上記優先度などを踏まえ、実需を超えた発注は控えるよう要請している。この方針を受け、薬局など抗原検査キットの一般販売を行ってきた店舗では、一時販売見合わせなどを検討している。(参考)新型コロナ抗原検査キット供給の優先付けを事務連絡 厚労省、実需を超えた発注控えて(CBnewsマネジメント)抗原検査キット 医療機関など優先供給で薬局の販売に影響も(NHK)新型コロナウイルス感染症オミクロン株の発生等に伴う抗原定性検査キットの適正な流通に向けた供給の優先付けについて(事務連絡 令和4年1月27日)新型コロナウイルス感染症オミクロン株の発生等に伴う抗原定性検査キットの発注等について(同)3.オンライン診療報酬は対面と特例対応の中間に、制限は撤廃か厚労省は26日に中医協総会を開催し、オンライン診療の診療報酬について、対面診療の点数(初診料:288点)とコロナ特例対応における点数(同214点)の中間にすることを公益裁定で決めた。現行のオンライン診療料を廃止し、2022年度診療報酬改定で新たに、初・再診料を新設する。新型コロナウイルス対応として初診からのオンライン診療が特別に許可されているが、診療報酬が対面より低いこともあり、これまでのところ実施している医療機関は約6%にとどまるなど、普及していない。なお、現行のオンライン診療料の算定要件であった医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限は撤廃される見込み。(参考)オンライン診療 診療報酬上の評価は「対面診療と特例対応の中間程度に」 公益裁定で(ミクスオンライン)オンライン初診料、初診料(288点)とコロナ特例(214点)の中間に、オンライン資格確認を加算で後押し―中医協総会(6)(Gem Med)コロナ禍のオンライン診療はわずか6%… 「直接診たことない」と断られるケースも(東京新聞)4.オンライン資格確認で患者情報を取得した場合の加算が新設28日に行われた中医協総会において、オンライン資格確認を用いて患者情報を取得して診療した場合は、「電子的保健医療情報活用加算」の算定が可能となることが承認された。厚労省によると、2021年10月からオンライン資格確認の本格運用を開始したものの、運用を開始した医療機関や薬局などは11%にとどまっており、導入を加速させるのが狙い。医療機関・薬局と患者の間で、薬の処方情報や特定検診情報などの情報共有が進み、医療の質向上が期待されている。(参考)22年度診療報酬改定 オンライン資格確認で「電子的保健医療情報活用加算」新設 導入促す(ミクスオンライン)オンライン資格確認等システム、まず「カードリーダー申し込み施設の準備完了」を最優先支援―社保審・医療保険部会(Gem Med)オンライン資格確認 三師会による「オンライン資格確認推進協議会」設置へ(ドラビズon-line)5.今年度の診療報酬改定、看護必要度の心電図モニター管理を削除26日の中医協総会で、急性期病棟の「重症度、医療・看護必要度」について見直しが行われ、「心電図モニターの管理」を削除することを公益裁定で決定した。これまで、急性期一般入院病床において、心電図モニターを装着している患者は重症度が高いとされてきたが、厚労省は入院患者の状態に応じた適切な評価を行う観点から、重症度、医療・看護必要度の評価項目や該当患者割合の基準について見直しを行ってきた。診療側はこの見直し案について反対していたが、公益側委員の裁定により、モニター管理は削除することが決定した。このほか、A項目の「点滴ライン同時3本以上」であったのを「注射薬剤3種類以上の管理」に変更し、「輸血・血液製剤」を投与している患者について点数を1点から2点に変更することになった。今後、重症患者に対して高度な医療を提供する医療機関については「急性期充実体制加算」を新設して、高度医療機関に対して評価を行い、急性期一般入院料1から2・3等へ機能分化を促されることで、急性期病院の再編などが進む可能性がある。(参考)一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価項目及び該当患者割合の基準について(中央社会保険医療協議会 総会)2022年度診療報酬改定 看護必要度は「心電図モニターの管理」削除へ 機能分化を促進(ミクスオンライン)心電図モニター管理削除など看護必要度の厳格化、コロナ禍でやるべきことだろうか?―日病・相澤会長(Gem Med)

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腎不全患者の在宅中心静脈栄養の輸液設計を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第43回

 今回は、腎機能低下時の中心静脈栄養(以下、TPN)の設計についてです。腎機能低下時はタンパク質の利用制限があるため負荷量の制限が必要です。そのため、タンパク質の利用効率の指標であるNPC/N比(非タンパクカロリー/窒素比)を考慮して輸液設計を提案しました。患者情報80歳、男性(在宅)基礎疾患びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、前立腺がん(多発骨転移・リンパ節転移)、慢性心不全、心房細動、陳旧性脳梗塞、慢性腎不全、腹部大動脈瘤術後介護度要介護4服薬管理妻(点滴交換も妻が実施)介護状況毎週月曜日ルート交換、訪問看護処方内容 ※内服薬は誤嚥リスクのため中止1.エルネオパNF2号輸液 1,000mL 24時間投与2.フロセミド注20mg 1A 静脈注射本症例のポイントこの患者さんは、在宅医療で介入した当初よりBUN:49.8mg/dL、血清クレアチニン値:2.66mg/dLと高度の腎機能低下がありました。心不全もあるため水分量が多く、浮腫を繰り返して治療に難渋している状態でした。ある日、医師より電話連絡があり、「Alb値(1.9g/dL)、総タンパク(5.4g/dL)が低いので、がん末期で悪液質があることは承知のうえだが、栄養改善のために今の輸液内容にアミノ酸輸液を追加したいと考えているがどうか」と相談がありました。そこでポイントを整理することにしました。<NPC/N比(非タンパクカロリー/窒素比)>アミノ酸は十分な糖質や脂質を摂取できている状態ではタンパク合成に利用されるが、糖質や脂質が不足している状態ではエネルギーとして消費され、タンパク合成に利用されない。アミノ酸が効率よくタンパク質の合成に利用されるかどうかをみる指標としてNPC/N比が用いられる。NPC/N比=(総エネルギー量)-(タンパク質エネルギー量)/(タンパク質重量)÷6.25現行のエルネオパNF2号輸液1,000mLのNPC/N比は149で、腎不全時の推奨NPC/N比は300~500です。患者は腎不全があることからアミノ酸合成能力は低下しており、タンパク質の異化(分解)が亢進している状態と考えられます。タンパク質負荷が増加してアミノ酸利用能を超えると、BUN上昇から尿毒症や高NH3血症などが惹起される可能性が高くなります。輸液内容全体を見直して、アミノ酸利用効率の高い輸液設計が必要と考えました。処方提案と経過医師への折り返し電話の前に、トレーシングレポートで下記の輸液設計プランを送付しました。現在のエルネオパNF2号は電解質+糖質+アミノ酸+ビタミン剤+微量元素を含有した製剤であり、ここにアミノ酸輸液を上乗せするとさらにNPC/N比が低下します。そのため、電解質+糖質の製剤であるハイカリックRF輸液への変更を提案しました。ハイカリックRFの「RF」はRenal Failure(腎不全)の略で、腎不全患者用に調整された製剤です。また、本剤のみでは不足する成分もあるため、総合ビタミン剤や微量元素も追加し、アミノ酸輸液も腎不全用の低タンパク質製剤で個々に調整することが適当と考えました。提案内容1.ハイカリックRF輸液 500mL2.10%塩化ナトリウム注射液キット 20mL3.塩化カリウム注射液キット 20mEq4.高カロリー輸液用総合ビタミン剤キット 1キット5.腎不全用アミノ酸製剤(1-2)注射液200mL 2袋Total:1,094.4kcal、NPC/N比:312.5、水分量:900mL医師より上記の設計プランが承認され、投与内容を変更するよう指示がありました。変更対応後10日目に高Na血症(155mEq/L)が発現したことで10%塩化ナトリウム注射液キットが中止になりましたが、それ以外の輸液内容は継続となりました。その後、栄養評価に関する検査値の改善は認められませんでしたが、電解質も含めて悪化なく経過し、看取りまで点滴内容は継続となりました。日本静脈経腸栄養学会・大塚製薬工場. やさしく学ぶための輸液・栄養の第一歩 第4版.

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第85回 診療報酬改定シリーズ本格化、「躊躇なくマイナス改定すべき」と財務省、「躊躇なくプラス改定だ」と日医・中川会長(後編)

財務省が放った「もう一つのジャブ」こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、八ヶ岳山麓の大学の先輩の別荘を訪ね、晩秋の山を楽しむ予定でした。しかし、とある事故で左手小指の第二関節を脱臼、結果として剥離骨折もしてしまったため泣く泣く八ヶ岳を諦め、『Sports Graphic Number』の最新号(MLBアメリカンリーグのMVPに選ばれた大谷 翔平選手の特集号です)を読みながら、静かに日本シリーズを観戦していました。左手小指は、第二関節から外側にぐにゃりとほぼ直角に曲がったのをとりあえず自分で元に戻し、昨年四十肩を患った時に通っていた近所の整形外科の医院を訪ねました。ある意味、私のかかりつけ医なのですが、相変わらず説明はわずかで、X線を確認した後、「とりあえず固定して様子をみます。完治まで8週間!」の一言で終わり。もう少し丁寧な説明はないのかと、包帯ぐるぐる巻の左手を見ながら思いました。さて、前回は、財務省主計局が11月8日の財政制度等審議会・財政制度分科会で医療関係者に向けて放った「躊躇なく『マイナス改定』をすべき」という、強烈なジャブについて書きました。実はこの日、財務省主計局は、財政制度分科会でもう一つのジャブを放っていました。日本医師会が最も嫌がる「かかりつけ医の制度化の必要性」について再度言及したのです。コロナ禍、「フリーアクセスは、肝心な時に十分に機能しなかった」財務省はかかりつけ医に関して、2014年度診療報酬改定での地域包括診療料・地域包括診療加算の創設以降、診療報酬上の評価が先行して実体が伴っておらず、「算定要件が相次いで緩和され、かかりつけ医機能の強化という政策目的と診療報酬上の評価がますますかけ離れることになった」と現行の問題点を指摘しました。さらにコロナ禍の中、「外来医療・在宅医療へのアクセスの機会は限られていたことが指摘されており、世界有数の外来受診回数の多さをもって我が国医療保険制度の金看板とされてきたフリーアクセスは、肝心な時に十分に機能しなかった可能性が高い」と強く批判、「受診回数や医療行為の数で評価されがちであった『量重視』のフリーアクセスを、『必要な時に必要な医療に アクセスできる』という『質重視』のものに切り替えていく必要がある」と断言しました。診療報酬は「制度化されたかかりつけ医」に対して支払うべきさらに、かかりつけ医については「制度的対応が不可欠であり、これを欠いたままの診療報酬上の評価は実効性を伴わない」とした上で、具体的な方策として、「かかりつけ医機能の要件を法制上明確化したうえで、これらの機能を担う医療機関を『かかりつけ医』として認定するなどの制度を設けること、こうした『かかりつけ医』に対して利用希望の者による事前登録・医療情報登録を促す仕組みを導入していくことを段階を踏んで検討していくべきである」と提言しています。また、現在検討中の外来機能報告の制度がかかりつけ医の「機能を担う医療機関を明確化する制度となるよう制度の拡充を図ること」としました。かかりつけ医への診療報酬上の評価については、「制度化されたかかりつけ医」に対して行うべきとし、「受診回数や医療行為の回数による出来高払いより包括払いがなじむ」と提案、現状の同診療料・診療加算の機能評価加算について 「ゼロベースでの見直しは必須。 その他の診療報酬上の評価も、 算定要件等の安易な緩和は厳に慎むべき」と釘を刺しました。報道等によれば、分科会の委員からは 「かかりつけ医を制度化すべき」「評価できる要件を定め包括払いへ転換をすることが重要」などの意見が出たとのことです。「フリーアクセスを担保するためにも制度化は認められない」と日医「現行のかかりつけ医の仕組みではダメだ」「コロナでも機能しなかった」とここまで批判されているにも関わらず、日本医師会は相変わらず「かかりつけ医」制度化に反対の姿勢を崩していません。なぜ、そこまで頑なに反対を続けるのか。その歴史的背景については、「第58回 コロナ禍、日医会長政治資金パーティ出席で再び開かれる?“家庭医構想”というパンドラの匣(前編)」でも書いた1980年代の家庭医構想にあります。この時は、英国のNHSの家庭医(GP)制度がモデルとして紹介されました。GPは患者登録制で報酬体系も人頭払い主体であったため、「フリーアクセス」「自由開業」「出来高払い」を金科玉条のごとく堅持することで存在意義を保ってきた日本医師会の逆鱗に触れ、家庭医構想は消滅しました。日本医師会の制度化への警戒感は相当なものです。日本医師会会長の中川 俊男氏は11月17日の記者会見で、財政制度等審議会・財政制度分科会における財務省主計局の主張について、「医療の現場感覚と大きくずれている点もあり、容認できない指摘が多々ある。所管である財政の問題を越えて、細かく医療分野の各論に踏み込んでくるのは省としての守備範囲を超えており、 また現場の感覚と大きくずれている点もある」と語ったとのことです。その上で、とくに「医療法人の事業報告書の電子開示」「かかりつけ医機能」「リフィル処方、多剤・重複投薬、医薬品の保険給付などの調剤関連」「薬価改定における調整幅」の4項目を挙げ、「全て反論していたら朝までかかっても反論しきれない」と厳しく批判したとのことです。この中の「かかりつけ機能」については、担当の松本 吉郎常任理事が「かかりつけ医は、患者が自ら選ぶのが基本。原則としてフリーアクセスを担保する、あるいはそれを制限しないことは、患者目線からも非常に大事」と、改めてかかりつけ医の制度化に対し反対を主張したそうです。この問題、相変わらず財務省とは議論がまったく噛み合っておらず、平行線のままです。本体プラスの改定率にして、かかりつけ医制度化を一部飲ませる手も次期診療報酬に向けた議論は厚生労働省の中央社会保険医療協議会で進んでおり、「外来機能の分化・強化、連携を進めるためには、かかりつけ医の明確化が必要だ」との意見が、とくに支払側委員からは出ています。「明確化」が「制度化」にまで踏み込んで議論されるかどうかは不明ですが、かかりつけ医をどう再定義するかは、今回の改定の大きなポイントの一つであることは確かです。一方、財源を決める改定率については、政治マターとして、医療機関の経営状況や世の中の情勢等をにらみつつ、政府がその数字を決定することになります。日本医師会などの医療関係団体は、先の衆院総選挙で与党が安定多数の議席確保に寄与しており、その結果も踏まえ、前回書いたように本体プラス改定を強く要求しているわけです。岸田 文雄首相が、診療報酬(本体)の改定率をどの水準で収めるかは、年末に向けての医療関係者の最大の関心事と言えるでしょう。「第80回 『首相≒財務省』vs.『厚労省≒日本医師会』の対立構造下で進む岸田政権の医療政策」でも書いたように、岸田首相は「医療政策を財務省主導で進めたい」と考えている節があります。そうした思いと、衆院選での医療関係団体の功績をどう天秤にかけるか。首相はなかなか難しい判断を迫られそうです。日本医師会会長の最大の仕事は「プラス改定を勝ち取ること」に他なりません。そのため、医療の質を1%上げることより、医師の収入を1%上げることが優先されることもあります。もし、首相がかかりつけ医の制度化含め、医療提供体制の改革を真剣に行おうとするならば、ある程度プラスの改定率にして中川会長の面目を保ちつつ、かかりつけ医の制度化を一部飲ませる、というシナリオが一つの落とし所として考えられます。果たして議論はどう進んでいくのでしょうか。こちらも日本シリーズ同様、熱い戦いとなることは間違いありません。

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第84回 次期診療報酬改定は「躊躇なくマイナス」、コロナ禍で疲弊した現場からは猛反発

財務省は11月8日の財政制度等審議会・財政制度分科会で、2022年度診療報酬改定について「医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし」として、財務省が求める提供体制再編に沿わなければ診療報酬の引き上げに応じない姿勢を見せた。これに対し、全国保険医団体連合会(保団連)は11月11日、「低医療費政策とコロナ禍で疲弊した医療提供体制全体を立て直すためにも、診療報酬の抜本的引上げが必要だ」と反論した。10回中8回のマイナス改定とコロナ禍で経営悪化また、財務省が「診療報酬本体部分(技術料)はプラス改定が続いてきた」「躊躇なくマイナス改定すべき」と主張していることに対して、保団連は「薬価引き下げ分を技術料に振り替える慣行が崩れている下で、診療報酬全体は大幅なマイナスになっている」と反論。2000年の改定を基準にすると、2020年改定までに8回のマイナス改定が行われ、診療報酬が10%以上引き下げられている苦境を示した。こうした低医療費政策の下、医療機関はぎりぎりの経営を迫られていたところに、新型コロナウイルス感染症が拡大。患者は減る一方、感染防止対策費用などが増加。その結果、2020年度の国民医療費は対前年度比で1.4兆円減となり、多くの医療機関が診療報酬の減収で疲弊している。基本診療料の10%以上の引き上げなどを要望保団連は、2022年度の診療報酬改定では、国民に安全・安心で必要な医療を提供するため、これまでの低医療費政策とコロナで疲弊したすべての医療機関・医療従事者を立て直し、新興感染症に強い医療体制を確立する必要があるとした。同時に、国民や患者の負担も限界にきており、受診抑制を招かないよう患者負担を軽減すべきと主張。2022年度診療報酬改定に向けて、以下の要望を公表した。国民に必要な医療を安定して提供するため、基本診療料(初・再診料、入院基本料など)と算定頻度の高い診療行為を中心に、診療報酬を10%以上引き上げる。新型コロナ感染症への対応に係る診療報酬である医科・歯科・入院の感染症対策実施加算(2021年9月末で廃止)、乳幼児感染予防策加算(2021年10月より評価半減)についての評価を引き上げ、基本診療料に包括して恒久化することを含め、改定に盛り込む。患者窓口負担を軽減する。初診からのオンライン診療解禁は止めること。処方薬剤や処方日数制限などのルールが守られておらず、現時点では対面診療に変わり得るものとは到底言えない。「単一建物診療患者」の概念を廃止し、在医(施設)総管(在宅時医学総合管理料および施設入居時医学総合管理料)の評価を高い点数で一本化すること。在宅医療を担う医療機関が増えない原因の一端に、医療機関が「同じ建物に管理料を算定する患者が多い」という理由で低い診療報酬を算定せざるを得ないという不合理な報酬体系がある。改定周知期間わずか2ヵ月、関連書類3,000枚超の改善をまた、診療報酬の個別改定項目の発出(1月下旬)から新点数の運用(4月1日)まで2ヵ月間しか周知期間がないことも問題視した。この間、A4で3,000枚以上にもなる膨大かつ複雑な点数表や告示・通知、疑義解釈などを把握しなければならないため、医療機関の大きな負担となっている。そのため、6ヵ月以上の周知期間を設けることを求めた。財務省や厚生労働省は、医療費の数合わせや医療機関をコントロールするための“テコ”に診療報酬改定を使うのではなく、現場の実情を踏まえた改定を心掛けてほしい。新型コロナで疲弊しきった医療界に、これ以上鞭打つようなやり方はあまりに酷である。

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医療クラウドファンディング、コロナ対応スタッフの苦境を救え

 新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから、クラウドファンディングを利用して医療材料などの資金調達を行う医療施設や大学が増加している。先月3日にREADYFOR主催の記者会見を行った医療法人社団 悠翔会もその1つだが、なぜこのような支援方法を選択したのだろうか。同施設は首都圏や沖縄に拠点を設け在宅診療にあたっている。新型コロナ患者対応においては、かかりつけ医を持たず、なおかつ自宅療養を余儀なくされる患者を保健所紹介のもとで積極的に対応しているが、その責任者である佐々木 淳氏(悠翔会理事長・診療部長)が語る、在宅におけるコロナ対応の現状や自施設スタッフのリスク管理とはー。新型コロナ×在宅医療、突きつけられる現実 在宅専門である同施設が在宅コロナ患者への往診を始めたのは東京都医師会と連携した2021年8月11日のこと。当初は通常の在宅チームのみで各地域の保健所からの依頼により対応していたが、徐々にその業務は逼迫、より多くの対応要請に迅速かつ確実に対応したいと考え8月24日より『コロナ専門往診チーム』が結成され、東京23区におけるコロナ患者の最終セーフティネットの役割を担い稼働した。 同施設の場合、通常診療は医師・看護師・ドライバーが3人1組で約10~13件/日(施設診療の場合は半日で30人ほどの診察が可能)の訪問診療を行っているが、コロナ診療の場合は、「同じ体制でも1日に多くて6件程度と、通常診療の半分しか対応することができない。この診療を支えるためのフォローアップチーム(毎日70~100人の患者に対し、1~3回/日の電話にて状況確認などを行う)や酸素濃縮器の集配チームなどを含め、約20名ものコメディカルを要する非常に負担の大きな仕事」と述べ、「にも関わらず、実際の診療報酬で評価されるのは“往診する医師の業務だけ”なので、施設経営は逼迫する一方だ」と話した。スタッフのリスク管理 また、コロナ診療と通常業務において大きく異なる点はやはり感染対策だが、悠翔会では以下の対策をスタッフのリスク管理として設けている。1)毎日の体調確認を確実に行う2)特定のスタッフを連続勤務させない3)余裕をもって診療ができるよう、十分な診療スタッフ数を確保する4)診療スタッフがコロナ診療に専念できるよう、診療外業務をバックアップチームが担う体制を作る5)感染防御具を毎度、きちんと使い捨てができるよう、潤沢に確保する6)感染防御が確実にできるスタッフだけでチームを組成する これは、往診を目的ではなく手段と捉えて患者に確かな安全・安心を提供し、助けを求めるすべての人に確実に医療が届けられるようにという『患者のニーズが最優先』の観点があっての対策なのだろう。通常業務にコロナ対応、賞与に報償を反映 上記のような対策が必要であればおのずと人員確保による人件費もかさむ。病院施設においては、コロナ禍による受診控えが影響しスタッフへの報酬を減額せざるを得ないところもあったが、本施設での影響を尋ねると、「日常診療における感染防御、クラスターへの対応(大規模PCR検査の実施など)、ワクチン接種、新型コロナ患者への往診対応など、通常の診療業務に多数の業務がアドオンされており、年末の賞与にてそれらへの報償を反映させる予定」と佐々木氏はコメント。このようなスタッフへの感謝の気持ちを添える対応をするためにも、クラウドファンディングの活用が欠かせなかったと言える。クラウドファンディング、地域限定から全国への呼びかけに 本施設のクラウドファンディングは開始1週間で早くも目標金額の1,200万円を達成。この支援費用は在宅中等症患者の命を繋ぐために必要な人件費として充てられるという。達成後も次の目標に向けて募集を行い、10月13日現在、支援者2,296人から約3,360万円の支援が集まっている。これに対し、佐々木氏は「目下のコロナ専門往診チーム体制、フォローアップ体制の更なる強化に加え、新たに計画されている新型コロナ療養施設での活動資金等に充当する」とコメントしている。 この取材時点では在宅診療での使用が認められていなかった抗体カクテル療法についても、9月17日に大阪府で解禁になったのを筆頭に東京都でも9月24日から始まった。もし、今後、第6波が到来して中等症II以上の自宅療養者が増えた場合、在宅診療の業務逼迫も今以上のものになることは想像に難くない。クラウドファンディング活用という先手の行動がきっと雨過天晴になるだろう。 クラウドファンディング(crowdfunding)とは、『群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募るしくみ』1)のこと。今回のように寄付金を募るタイプのものは寄付型クラウドファンディングとも呼ばれている。そのほか、物を購入して作り手を応援する購入型、ふるさと納税を寄付金に充てるタイプなどがある。 これまでも地域住民、患者やその家族がお世話になっている病院に「寄付」するという行為は存在していたが、それが地域住民版だとしたら、クラウドファンディングは共感を得た全国各地の人から募るという意味で寄付の全国版とも言える。 本プロジェクト「緊急:新型コロナが“災害医療”となった今、第五波を乗り切るご支援を」は10月29日(金)午後11:00まで、支援を募集している。<医療法人社団 悠翔会>・2006年創設・首都圏:17拠点、沖縄:1拠点・医師数:96名(常勤:40名)・在宅患者数:6,400名

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