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かゆみが続く慢性搔痒

患者さん、その症状は皮膚瘙痒症ですよ!皮膚瘙痒(そうよう)症とは、「発疹(皮膚病変)がないのにもかかわらず、痒みを訴える」疾患です。以下、該当する項目はありませんか?□皮膚が乾燥している□50歳以上□急に痒みが襲ってくる□治療中の病気(腎疾患、肝疾患、血液疾患、感染症…)がある□薬・サプリメントを服用している□妊娠中◆ かゆみが続く“慢性掻痒”とは…・皮膚のかゆみが6週間以上続く・全身の皮膚がかゆい場合、体の一部にかゆみがある場合がある・慢性掻痒により生活の質(QOL)は著しく下がる・最も多い原因は、「乾皮症」「接触性皮膚炎」「アトピー性皮膚炎」、悪性腫瘍を含む全身疾患が慢性痒疹の原因となることもある出典:日本皮膚科学会ガイドラインー皮膚瘙痒症診療ガイドライン、Yosipovitch G, et al. .N Engl J Med. 2013;368:1625-1634.監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第192回 マイナンバーカードはデータヘルス改革のキープレーヤー

社会保障制度改革にマイナンバーカードは必須新型コロナウイルス感染症が落ち着き、いよいよ団塊の世代のすべてが後期高齢者になる2025年がみえてきました。多くの医療機関にとって、今年の診療報酬改定は賃上げを求められるとともに、厚生労働省が打ち出したさまざまな政策により大きく影響を受けることになります。この中で1番注目すべきは、マイナ保険証の利用促進です。日本健康会議が4月25日に開いた、医療DX推進フォーラム「使ってイイナ!マイナ保険証」には武見 敬三厚労大臣、河野 太郎デジタル大臣、斉藤 健経済産業大臣が参加し、マイナ保険証利用促進集中取組月間のキャンペーンのキックオフを行いました。政府だけでなく、保険者団体、医療界、経済界も一丸となって国民にマイナンバーカード(マイナカード)の普及によって医療DXに取り組む宣言を行っています。マイナカードについては、当初からマイナンバーと健康保険証の紐付けミスが発生したことで批判も多く、国民の半数以上が所有しながらも、4割程度しか常時所持していないことが明らかになるなど、政府の取り組みについて実効性を疑問視する声も挙げられている一方、そのメリットは計り知れないことが国民にはまだ理解されていません。〔マイナンバー保険証によるメリット〕オンライン資格確認医療機関で保険証として直接利用でき、受診時の手続きが迅速化できるセキュリティの向上個人情報の保護が強化され、情報の漏洩リスクを低減できるデータ連携の効率化医療・介護情報がデジタル化され、異なる医療機関間での情報共有がスムーズに行えるこれらの実現によって、医療の質を高め効率的な医療介護連携が促進されることは間違いなく、患者さんが急病になって、意識がなくても救急車内で持病や内服などの情報も確認できるなど、救急医療現場でも利便性や信頼が高まっていくと考えられます。持続性可能な社会保障制度を求めた動きを強化わが国は、少子高齢化が急速に進展するため、2050年には高齢化率が36%に達する見込みであり、国民1人ひとりの健康寿命延伸が望まれる一方、医療・介護費の負担増大も見込まれています。毎年のように報道される過去最高を記録し続ける社会保障費の増大に対して、政府も伸び率の抑制を試みてはいるものの、医療アクセスを維持しながらの医療費抑制は困難です。さらに健康保険組合の財政も厳しく、「健保組合の9割が赤字見通し」「全体の赤字幅、過去2番目6,578億円」といったように社会保障制度の根幹である国民皆保険制度の維持にもかかわっています。このため、政府は後発品への置き換えによる薬剤費の抑制などを行ったものの、1人当たりの医療費や介護費が多く必要となる後期高齢者が増加し、そのスピードに追い付けていません。これに対して、厚労省は2017年1月からデータヘルス改革推進本部を設立し、レセプト(医療情報)、健診結果などのデータ分析に基づいて、PDCAサイクルで効果的、効率的に保健事業へ取り組む「データヘルス改革」に着手をしようとしていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって実際に動き出せたのが遅れたというのが真相です。データヘルス改革によって、データに基づく質の高い医療を実現させるとしていますが、患者個人の医療情報が、複数の医療機関にまたがって患者の健康情報や治療歴が保管され、医薬品の副作用やワクチンの接種歴などがアナログで参照できない状態では、効率性もさることながら、医療の質が高まらない上に医療安全でも好ましくない状態となっています。「厚生労働省が進めるデータヘルス改革」の今後のデータヘルス改革の進め方によるとゲノム医療・AI活用の推進自身のデータを日常生活改善などにつなげるPHRの推進医療・介護現場の情報利活用の推進データベースの効果的な利活用の推進とあり、この頃からAIの活用も盛り込みながら、医療・介護情報の利活用推進を行っていくことが明らかになっています。具体的には保健医療・介護分野の公的データベースに連結、解析することで、医薬品の安全性のさらなる向上、治療の質の向上や新たなサービスなどの開発など、保健医療介護分野におけるイノベーションを創出地域包括ケアの実現などに向けた保健医療介護分野の効果的な施策の推進などのメリットが得られるとしています。厚労省医政局は、健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループをこれまでに21回開催し、医療・介護情報の利活用についてAction Planをまとめ、実施に向けた準備を取り組んでいます。この中で、来年の4月から本格化する「電子カルテ情報共有サービス」については電子カルテ情報共有サービスの運用開始までのロードマップ(「電子カルテ情報共有サービスにおける運用について」30ページ目)によれば、令和7年度中に稼働が本格的に始まることになります。さらに、政府は介護保険証のマイナカードとの一体運用を2024年度中にデータ基盤が整った自治体から開始し、2026年度に全国規模で運用を目指すことを決定しており、介護保険の介護認定の申請や通知にも利用されるほか、ケアプランの作成や提出だけでなく、主治医意見書などもマイナ保険証を介する可能性があり、医療だけでなく介護現場にもマイナ保険証がますます活用されることになると予想されます。医療・介護情報の連結に必要なのは、実はマイナカードです。来年度には、電子カルテ情報共有サービスが本格的に稼働するなどさらに進むことになります。紙の保険証が、今年12月から発行停止になることで、国民に広がっていく不安を解消するために、医療機関や行政機関はさらに力を入れていく必要があります。医療DXで進む「効率化」と「医療費適正化」医療費適正化については、あまり広くは知られていませんが、厚労省は令和6年度から6年間の第四期医療費適正化計画(2024~2029年度)を開始しています。政府は第4期の計画策定にあたり、2023年7月20日に「医療費適正化に関する施策についての基本的な方針」を定めています。この中には特定健診などの実施率向上実施率目標につき特定健診を70%、特定保健指導を45%後発医薬品の使用促進後発医薬品の数量シェアを80%以上(2023年度末までに全都道府県で)生活習慣病(糖尿病)などの重症化予防重複・多剤投薬の是正のように従来から取り組んできた項目のほか、新たに抗菌薬の適正使用、リフィル処方箋など今年の診療報酬改定につながるような項目が加わっています。政府は、各都道府県に対して医療費適正化計画の策定を求め、PDCAサイクルで医療費の適正化に取り組むように求めていきます。これまでと異なるのは医療・介護データを連結することで解析を行い、目標に近付けるために、各都道府県がよりデータに基づいて、保険者と連携して、医療機関だけでなく国民に働きかけることが増えると思われます。多くの医療機関は、保険償還の範囲の中であれば自由に検査や治療が行っていますが、今後は医薬品の適正使用、医療資源の効果的・効率的な活用のために地域ごとに高額な医療機器の共有なども進められていくほか、新たな地域医療構想に基づいた病床機能の分化・連携の推進が進んでいくように働きかけも強くなっていくと考えられます。今回の診療報酬改定や介護報酬改定では、医療機関や介護サービス事業者に対して補助金を支給するなどマイナカードの普及への協力を求めており、今後のオンライン資格確認や電子処方箋など将来的にも重要な役割を果たすマイナカードに対して、患者さんへの利用の呼びかけなど積極的な協力が求められます。参考1)健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ(厚労省)2)第四期医療費適正化計画(2024~2029年度)について(同)3)医療費適正化に関する施策についての基本的な方針(同)4)第四期東京都医療費適正化計画(東京都)5)介護保険証もマイナカード一体化検討 24年度にも運用(日経新聞)6)健保組合の9割が赤字見通し 全体の赤字幅、過去最大6578億円に(朝日新聞)

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アクティブなワークステーションが仕事のパフォーマンスを改善

 トレッドミルやステッパー、スタンディングデスクを取り入れたアクティブなワークステーション(仕事場)は、仕事のパフォーマンスを低下させることなく従業員の座位時間を減らし、認知能力を向上させる成功戦略である可能性が、新たな研究で示唆された。論文の上席著者である米メイヨー・クリニックの予防循環器医であるFrancisco Lopez-Jimenez氏は、「われわれの研究結果は、長時間のデスクワークで行ってきたオフィスでの仕事に動きを取り入れることは可能であることを示唆している。アクティブなワークステーションは、仕事中に体を動かすだけで従業員の認知能力や健康全般を改善させ得る新たな方法となる可能性がある」と話している。この研究の詳細は、「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に4月4日掲載された。 この研究では、ボランティアの研究参加者44人(平均年齢35±11歳、女性63.6%)を対象に、4日間連続で4つの異なるワークステーションで構成されたオフィス環境で仕事をしてもらい、そのパフォーマンスの評価を行った。試験参加者は、初日は一般的なデスクで座って仕事を行い、その後の3日間は、スタンディングデスクで立ったまま仕事をする、トレッドミルで歩きながら仕事をする、ステッパーを使いながら仕事をする、のいずれかを、1日ずつランダムな順序で行った。仕事のパフォーマンスは、11種類の認知機能評価バッテリーを用いた神経認知機能(推論、短期記憶、集中力)と微細運動能力(タイピングの速度とその精度)の観点から評価を行った。 その結果、座ったままで仕事をした場合と比べて、立ったまま、あるいはトレッドミルやステッパーを使いながら仕事をした場合では、神経認知機能が改善するか変化しないかのいずれかであることが明らかになった。特に、推論を評価する尺度の一つであるDouble Trouble Testのスコアは、2日目から4日目にかけて改善し続けていた。また、立ったまま、あるいはトレッドミルやステッパーを使いながら仕事をした場合には、タイピングのスピードは多少落ちていたが、タイピングの正確さには影響がないことも示された。 Lopez-Jimenez氏は、「心血管の健康という観点から言えば、座りっぱなしで過ごすことは、新たな喫煙ともいえるリスク因子だ。しかし、オフィスワーカーの中には8時間労働の大部分をコンピューターのスクリーンとキーボードの前に座って過ごす人がいる」とメイヨー・クリニックのニュースリリースの中で語っている。 その上でLopez-Jimenez氏は、「これらの知見は、生産性と頭脳的なシャープさを維持しながら仕事を行うための方法が他にもたくさんあることを示唆するものだ。肥満、心血管疾患、糖尿病などの予防と治療のための処方箋に、アクティブなワークステーションの追加を検討する価値は十分にあるだろう」との見方を示している。

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腹痛を区分する

患者さん、それは…神経痛による腹痛かもしれません!「腹痛」は、①突発痛 ②疝痛(周期的に反復する発作的な痛み) ③持続痛に区分されます。以下、該当するものはありますか?●どんな痛みですか?□数日前からある□3時間以上続く □特定の時間帯に出現する□強い痛みと弱い痛みが繰り返す□痛みが消える時もある□腹痛以外の症状(吐き気、発熱)もある●症状はどの辺りにありますか?□お腹(上のほう)□お腹(下のほう)□お腹以外に胸/背中/腰なども痛い□脇腹□表面(皮膚)□分からない◆その腹痛は…神経の痛みかも!?• 2ヵ月以上続く慢性の腹痛は、腹壁の神経由来の可能性があります• 筋肉や骨、腹壁に原因があると、体をひねった時に痛みがひどくなります• 指一本で痛い場所を示すことができ、皮膚に感覚異常(しびれやピリピリ感)があれば神経痛の可能性があります出典:プライマ・ケア外来診断目利き術50監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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男性でもラプンツェル症候群を起こすことがある【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第256回

男性でもラプンツェル症候群を起こすことがあるillustACより使用「ラプンツェル症候群」という病名をご存じでしょうか。異物論文界隈では至極当たり前のcommon diseaseで、ディズニー映画になったことで有名になった、グリム童話の長い毛髪の女性ラプンツェルが由来となった疾患です。病態は、髪の毛を食べてしまう精神疾患が背景にあり、胃石だけでなく小腸にまで到達して腸閉塞を起こしてしまうというものです。吸収・排泄・摘出ができないため、外科的手術が必要になることが多いです。ただ、基本的に長い毛髪を有している女性にみられる疾患であるため、男性の腹痛ではなかなかこの症候群を疑うことはできません。男性のラプンツェル症候群が2例報告されていたので紹介しましょう。Moolamannil MC, et al.Two cases of Rapunzel syndrome in adult males.J Surg Case Rep. 2023 Oct 17;2023(10):rjad571.24歳の男性が、体重減少、食欲減退、腹部の膨満感を伴う進行性の上腹部痛と嘔吐が4週間続くということで病院を受診しました。腹部CT検査において、胃と小腸に多数の異物がみられ、どうやら髪の毛が詰まっているらしいと判明しました。改めて話を聞くと、どうやらストレスが溜まったときに、自分の髪の毛を習慣的にムシャムシャと食べていたことが明らかになりました。なるほど、短い毛髪でも蓄積されることでラプンツェル症候群に至ることがあるわけですね。この患者さんは、腹腔鏡下で毛髪が除去されました。2例目は28歳の男性です。1週間の激しい嘔吐と脱水の病歴で救急部を受診しました。2年半にわたって体重減少があり、以前にもさまざまな医療機関を受診していました。また、この患者さんはアスペルガー症候群と診断されていました。この男性も腹部CT検査において消化器系に毛髪が詰まっていることが判明しました。やはり、開腹手術で毛髪が除去されました。長い髪の毛のほうがラプンツェル症候群になりやすいのは確かではあるものの、病的に髪の毛を摂取する習慣がある男性の腹部症状を診た場合、鑑別疾患として同疾患を考慮しなければいけませんね。

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アルツハイマー病に対するレカネマブ10mg/kg隔週投与の有効性と安全性~メタ解析

 アルツハイマー病は、60歳以上で多くみられ、認知症の中で最も多く、記憶力や認知機能を著しく損なう疾患である。世界におけるアルツハイマー病の患者数は2050年までに3倍になると予想されており、効果的な介入を開発することは急務とされる。アミロイドβを標的としたモノクローナル抗体であるレカネマブは、アルツハイマー病の進行抑制に期待される薬剤の1つである。ポジティブな臨床試験での結果は、患者に希望を与えており、疾患の理解と介入の可能性を拡大させるために進行中の研究を加速させる。エジプト・アレクサンドリア大学のKarim Abdelazim氏らは、知見のアップデートのために、レカネマブ10mg/kgにおける有効性および安全性に焦点を当て、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neurological Sciences誌オンライン版2024年4月3日号の報告。 この包括的なアプローチは、現在の文献のギャップに対処し、研究格差の精査、今後の調査に導くことを目的とした。厳格な包括/除外基準を適用し、研究の詳細、参加者情報、介入の詳細を評価するため、Cochrane risk of bias toolを用いた。統計分析には、Rソフトウエアを用い、リスク比および平均差を算出した。また、不均一性と出版バイアスも評価した。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析では、アルツハイマー病における認知機能アウトカムに対するレカネマブ(10mg/kg隔週投与)の有意なポジティブな影響が確認された。・研究全体では、ADCOMS、CDR-SB、ADAS-cog14スコアの一貫した低下が認められており、有効性に対する信頼区間は狭く、有意な不均一性が認められない薬剤であることが示唆された。・治療薬との因果関係が否定できない副作用(TEAE)には、有意な差が認められなかったが、レカネマブと関連するアミロイド関連画像異常(ARIA)では、ARIA-E(アミロイド関連画像異常[脳浮腫や脳胞液の貯留])およびARIA-H(微小出血や脳表ヘモジデリン沈着)リスクの上昇がみられることがあり、臨床現場での慎重な安全性モニタリングの必要性が示唆された。 著者らは、「レカネマブの有効性は確認されているものの、レカネマブと関連するベネフィットとリスクとのバランスの取れた評価が求められるため、アルツハイマー病の認知機能改善に対してレカネマブを使用する際に、本報告は重要な洞察を与えるであろう」としている。

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世界中でがんによる死亡者数は増加傾向

 世界的な高齢化が拍車をかけ、がんの患者数は増加の一途をたどり、2050年までに3500万人に達するだろうとの予測が、米国がん協会(ACS)が「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に4月4日発表した「Global Cancer Statistics 2022」の中で示された。この報告書によると、2022年には世界で推定2000万人が新たにがんの診断を受け、970万人ががんにより死亡したという。報告書の共著者である、ACSがんサーベイランス上級主任科学者であるHyuna Sung氏は、「2050年までに予測されるこのがん患者数の増加は、現在の罹患率が変わらないと仮定した場合、人口の高齢化と増加のみに起因するものだ」と説明している。 Sung氏は、「不健康なライフスタイルの選択もまた、新たながん患者の発生に関与し続けるだろう。注目すべきは、不健康な食事、運動不足、多量のアルコール摂取、喫煙などのがんの主要なリスク因子を有する人が世界中で増加していることだ。大規模な介入を施さない限り、将来のがんによる負担を増大させる可能性が高い」とACSのニュースリリースの中で述べている。 2022年において世界中で最も診断数が多かったがんは肺がんの約250万人(全がん症例の12.4%)であり、次いで、女性での乳がん(11.6%)、大腸がん(9.6%)、前立腺がん(7.3%)、胃がん(4.9%)の順だった。肺がんは、がんによる死亡の原因としても最も多く、2022年には180万人(がんによる死亡者の18.7%)が肺がんにより死亡していた。肺がんの次には、大腸がん(9.3%)、肝臓がん(7.8%)、女性での乳がん(6.9%)、胃がん(6.8%)による死亡者が多かった。新規罹患者数と死亡者数が最も多かったがんは、男性では肺がん、女性では乳がんだった。 女性では、2022年には毎日約1,800人が子宮頸がんに罹患し、約1,000人が同がんにより死亡していた。研究グループは、子宮頸がんは予防可能ながんであり、事実上、全ての子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)によって引き起こされているにもかかわらず、世界でのHPVワクチンの接種率はわずか15%だと指摘している。接種率には中央・南アジアでの1%からオーストラリア・ニュージーランドでの86%までの幅がある。同様に、世界での子宮頸がんの検診受診率も36%と低い。子宮頸がんは、サハラ以南のアフリカとラテンアメリカの37カ国の女性のがんによる死因の第1位であり、エスワティニ、ザンビア、マラウイ、ジンバブエ、タンザニアでの罹患率(10万人当たり65〜96人)は米国の罹患率(10万人当たり6人)の10倍から16倍であるという。 さらに報告書では、低所得国においては早期発見・早期治療サービスが不十分なため、がんの罹患者数が少ないにもかかわらず、がんによる死亡率は高いことが指摘されている。例えば、エチオピアでは、乳がんの罹患率は米国と比べて60%も低い(10万人当たり40人対60人)一方で、乳がんによる死亡率は米国の2倍(10万人当たり24人対12人)である。 報告書の上席著者で、ACSのサーベイランスと健康の公平性に関する科学分野でバイスプレジデントを務めるAhmedin Jemal氏は、「世界のがんによる死亡の半分以上は予防可能だ。がん予防は最も費用対効果が高く、持続可能ながん対策である。例えば、禁煙だけで、がんによる死亡者の4人に1人、つまり年間約260万人の死亡を防ぐことができる」と話している。 一方、ACSの最高経営責任者(CEO)であるKaren Knudsen氏は、「世界のがん負担を理解することは、全ての人ががんを予防し、がんが発見され、がん治療を受け、生存する機会を確保するために極めて重要である」と述べている。

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3人のレンガ職人、あなたはどのタイプ?(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画いわみせいじ左:命令なので仕方なく仕事をする職人 ⇒ 人から言われたダイエットをやらされている人真ん中:お金のためと割り切って頑張る職人 ⇒ 検査値を改善するためにダイエットしている人右:天職だとやりがいを持っている職人 ⇒ 自分の夢の実現のためにダイエットしている人Copyright© 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 痩せなければいけないとは思っているんですが、なかなか…。医師 そうですよね。イソップ寓話の「3人のレンガ職人」の話をご存知ですか?患者 えっと、昔に読んだ記憶はあります。医師(簡単に「3人のレンガ職人」のストーリーを説明する)画 いわみせいじ患者 …あっ、思い出しました!医師 ダイエットも同じで、目的が大切です。誰かから言われて仕方なく減量に取り組んでいるようでは、長続きしません。検査値を改善するためだけに努力している人も同様です。患者 なるほど…。医師 自分の夢の実現のために、ダイエットに取り組むといいですよ!〇〇さんが痩せた後にやりたいことは何ですか?患者 そうですね、私の場合は…(ダイエット成功後のイメージを語り始める)ポイント医師や家族から言われて取り組むダイエットではなく、ダイエットの目的を自分なりに言語化してもらうことが大切です。Copyright© 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第95回 鳥インフルエンザがヒトに猛威を振るい始めた?

アメリカで牛の感染例が多発鳥インフルエンザは「基本的に哺乳類への感染は起こりにくい」が定説ですが、それを覆すような報告が増えています。とくに哺乳類への感染例が増えてきており、このままだとヒトに感染が広がるのでは…とこの数年懸念され続けています。感染症法で2類感染症になっている鳥インフルエンザはH5N1(高病原性)およびH7N9(低病原性)の2つで、これ以外は4類感染症となっています。現在問題になっているのは、もっぱらH5N1のほうです。米国の農場で、3月下旬に牛での鳥インフルエンザ発生が発表されて以来、コロラド州、アイダホ州、カンザス州、ミシガン州、ニューメキシコ州、ノースカロライナ州、サウスダコタ州、オハイオ州、テキサス州の9州・33酪農場で鳥インフルエンザが検出されており、H5N1の影が静かに広がりつつあります。罹患した牛は、明らかに見た目の悪い乳を出すため、ウイルス性乳腺炎になっていたことが推察されます。問題は、罹患牛に濃厚接触した後に症状が発現して検査が陽性になったヒトが1人発生したことです。現在も、感染のリスクがある監視例が複数例いるとのことです。もし労働者たちの複数が鳥インフルエンザになると、ちょっと怖いですね。米国疾病予防管理センター(CDC)ではもっぱら米国の農場のニュースが話題ですが、世界的にヒトへの感染例が多いのはカンボジアです。直近4ヵ月におけるヒトへのH5N1例のうち、米国とベトナムが1例ずつなのに対して、カンボジアではすでに5例という状況です1)。ヒト感染例への治療法はある?H5N1インフルエンザは、感染した鳥の羽やフンを吸入することで、発症する可能性があります。感染予防のためには、新型コロナが発見された当初のように、フルPPEの中でもガッチリめにガードする必要があります(図)。私たち医療従事者は今のところH5N1と対峙する可能性はまだ低いですが、2類感染症であることは頭の片隅に入れておくほうがよさそうです。画像を拡大する図. H5N1の感染予防(CDCサイト2)より引用)2024年3月までのデータによると、全世界でH5N1のヒト感染例887例のうち462例(52.1%)が死亡しています3)。中国の研究では、入院例における致死率はH7N9で36%(95%信頼区間[CI]:26~45)、H5N1で70%(95%CI:56~83)とされています4)。毒性が高い理由として、鳥インフルエンザが季節性インフルエンザと比較して、ウイルス量が多く、治癒までの経過が長いからではないかと考えられています。もちろん、軽症例は同定されていないと思われますので、実際の致死率はこれよりも低いと予想されます。ヒトに感染した場合、オセルタミビル(商品名:タミフル)などのノイラミニダーゼ阻害薬に加えて、バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の感受性にも問題はないとされています。現在、曝露後予防としてオセルタミビルがもっぱら使用されている状況です。200を超える検体のうち1つで感受性が低下する変異が認められたとされていますが、現時点では大勢に影響はなさそうです。参考文献・参考サイト1)CDC. Avian Influenza A(H5N1) U.S. Situation Update and CDC Activities2)CDC. Updated Interim Recommendations for Worker Protection and Use of Personal Protective Equipment (PPE) to Reduce Exposure to Novel Influenza A Viruses Associated with Disease in Humans3)厚生労働省. 鳥インフルエンザA(H5N1)について4)Cowling BJ, et al. Comparative epidemiology of human infections with avian influenza A H7N9 and H5N1 viruses in China: a population-based study of laboratory-confirmed cases. Lancet. 2013 Jul 13;382(9887):129-37.

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医師の共感スキルが高いほど患者の腰痛が改善

 医師の共感と慢性腰痛患者の長期的アウトカムとの関連を調査したコホート研究の結果、患者評価による医師の共感度が高いほど12ヵ月にわたる患者の痛み、機能、健康関連QOL(HRQOL)が良好であったことを、米国・University of North Texas Health Science CenterのJohn C. Licciardone氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2024年4月11日号掲載の報告。 対象は、2016年4月1日~2023年7月25日にThe Pain Registry for Epidemiological, Clinical, and Interventional Studies and Innovation(PRECISION)に登録された21~79歳の慢性腰痛(3ヵ月以上継続)患者で、12ヵ月間追跡された。医師の共感度は、CARE Measure(患者の視点で医師の共感度を評価するツール)を用いて評価された。10項目を1(poor)~5(excellent)点で評価し、合計スコアが30点以上の場合は「非常に共感的」、29点以下の場合は「わずかに共感的」な医師に分類された。主要アウトカムは、患者報告による痛み、機能、HRQOLで、データは登録時および3ヵ月ごとの診察で収集した。時間的傾向を測定し、ベースラインおよび長期的な共変量を調整するための多変量モデルを含む一般化推定方程式を用いて解析された。 主な結果は以下のとおり。●解析には、1,470例が組み込まれた。平均年齢は53.1(SD 13.2)歳、女性は1,093例(74.4%)であった。医師を「非常に共感的」と評価した患者群と「わずかに共感的」と評価した患者群のベースライン特性はおおむね同等であった。●医師の共感度が高いほど、患者の12ヵ月後のアウトカムが良好であった。 ・痛みの強さ β=-0.014、95%信頼区間[CI]:-0.022~-0.006、p<0.001 ・腰痛関連障害 β=-0.062、95%CI:-0.085~-0.040、p<0.001 ・HRQOL障害(例:痛みによる生活障害) β=-0.080、95%CI:-0.111~-0.049、p<0.001)●わずかに共感的と評価した群と比較して、非常に共感的と評価した群の患者では、痛みの強さや腰痛関連障害、HRQOL障害の平均スコアが有意に低かった。●医師の共感は、非薬物療法やオピオイド療法、腰椎手術よりも良好なアウトカムと関連していた。

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境界性パーソナリティ障害と統合失調症の幻聴の違い~システマティックレビュー

 幻聴を伴う境界性パーソナリティ障害(BPD)は、統合失調症などの原発性精神疾患と誤診されることがある。正確な診断ができないことは、効果的な心理療法を実行するうえで課題となる可能性がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのShih-Ting Tseng氏らは、統合失調症と比較したBPDにおける幻聴の現象学的特徴を特定し、BPD患者の幻聴をターゲットとした心理社会的介入を明らかにするため、システマティックレビューを実施した。Clinical Psychology & Psychotherapy誌2024年1・2月号の報告。 BPDと統合失調症における幻聴の現象学的類似点および相違点に関するエビデンスをシステマティックにレビューした。また、BPDにおける幻聴に対する心理学的介入の特定も行った。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューには、18件の研究を含めた。・BPD患者は、統合失調症と比較し、より持続的かつ反復的な幻聴が認められ、音声関連の障害や全能性評価が有意に増加し、幻聴の発症年齢がより若年であることが示唆された。・BPD患者は、抑うつや不安症状がより重度であり、小児期トラウマの発現が多く、否定的な自己スキーマが多かった。・認知行動療法の対処方略増強法(CBT-CSE)は、BPDにおける幻聴の軽減に有用である可能性があるが、その有効性を判断するにはさらなる研究が求められる。 著者らは、「幻聴を伴うBPD患者を正確に診断するためには、DSM-V基準を拡大する必要性があると考えられる。これにより、診断の実践強化やタイムリーな治療アクセスが容易となる可能性がある。また、BPDにおける幻聴をターゲットとした心理的介入の開発が求められる」としている。

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小児~成人期のnon-HDL-C高値、中年期の心血管イベントと関連/JAMA

 小児期から成人期まで、持続的な非HDLコレステロール(non-HDL-C)高値の脂質異常症を有する人は心血管イベントのリスクが高かったが、成人期までにnon-HDL-C値が改善した人は脂質異常症ではなかった人と心血管リスクは同程度であることが、オーストラリア・メルボルン大学のFeitong Wu氏らによる、International Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究で示された。non-HDL-C上昇は小児によくみられ、成人期の心血管リスクを増大することが知られる。しかし、小児期のnon-HDL-C上昇が成人期までに改善することが臨床的な心血管リスクの低下と関連するかどうかは不明であった。著者は今回の結果から、「小児期のnon-HDL-C上昇を予防・軽減するための介入が、早発性心血管疾患の予防に役立つ可能性が示唆された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年4月12日号掲載の報告。登録時3~19歳の約5千例、小児期と成人期のnon-HDL-C高値と40歳以降の心血管イベントの関連を解析 研究グループは、1970~96年にi3Cコンソーシアムの7件の前向きコホート(米国5件、フィンランド1件、オーストラリア1件)に登録された3~19歳の参加者4万2,324例のうち、小児期(3~19歳)および成人期(20~40歳)のnon-HDL-C値のデータがあり、所在または死因が確認でき、追跡終了時40歳以上であった5,121例を主解析の対象とした。除外基準にのっとり、オーストラリアのコホートは主解析から除外された。最終追跡調査は2019年に実施された。 主要アウトカムは、40歳以降の致死的および非致死的心血管イベント(2015~19年に調査)で、小児期および成人期のnon-HDL-C値の年齢・性特異的zスコア、および臨床ガイドライン推奨の脂質異常症カットオフ値によるカテゴリー別に関連を評価した。 解析対象5,121例は、non-HDL-C値測定のための初回受診時(ベースライン)の年齢中央値が10.7歳、女性60%、黒人15%であった。小児期のnon-HDL-C値zスコア1単位増加当たり心血管リスク1.4倍 40歳以降の平均追跡期間8.9年において、5,121例中147例に心血管イベントが発生した。小児期および成人期のnon-HDL-C値はいずれも心血管イベントのリスク上昇と関連しており、ハザード比(HR)はnon-HDL-C値zスコア1単位増加当たりそれぞれ1.42(95%信頼区間[CI]:1.18~1.70)、1.50(1.26~1.78)であった。 小児期non-HDL-C値の影響は、成人期non-HDL-C値で調整すると減弱したが(HR:1.12、95%CI:0.89~1.41)、成人期non-HDL-C値の影響は小児期non-HDL-C値で調整しても大きなままであった(HR:1.41、95%CI:1.14~1.74)。しかし、小児期から成人期のzスコアの変化で調整した場合、小児期non-HDL-C値の影響は大きなままであり(HR:1.58、95%CI:1.30~1.92)、zスコアの変化(増加)は独立した予測因子であった(HR:1.41、95%CI:1.14~1.74)。 小児期non-HDL-C値と小児期から成人期にかけての変化の両方がアウトカムと独立して関連していたことから、予防の観点からは小児期non-HDL-C値と成人期にかけての変化の両方が有益であることが示唆された。 小児期および成人期に持続的に正常なnon-HDL-C値(ガイドラインで推奨される範囲内)であった人と比較し、小児期から成人期にかけてnon-HDL-C高値の脂質異常症を発症した人は心血管リスクが有意に高く(HR:2.17、95%CI:1.00~4.69)、小児期から成人期まで持続的にnon-HDL-C高値の脂質異常症であった人はそのリスクがさらに倍増した(HR:5.17、95%CI:2.80~9.56)。小児期にnon-HDL-C高値の脂質異常症であったが成人期にはガイドラインで推奨される範囲内であった人では、有意なリスク上昇は認められなかった(HR:1.13、95%CI:0.50~2.56)。

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認知症患者の抗精神病薬使用、複数の有害アウトカムと関連/BMJ

 50歳以上の認知症患者において、抗精神病薬の使用は非使用と比較し脳卒中、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞、心不全、骨折、肺炎および急性腎障害のリスク増加と関連していることが、英国・マンチェスター大学のPearl L. H. Mok氏らによるマッチドコホート研究で示された。有害アウトカムの範囲は、これまで規制当局が注意喚起を行っていたものより広く、リスクが最も高かったのは治療開始直後であったという。BMJ誌2024年4月17日号掲載の報告。50歳以上の認知症患者約17万4千例のデータを解析 検討には、英国のプライマリケア研究データベースのClinical Practice Research Datalink(CPRD)AurumおよびGOLDのデータが用いられた。これらのデータベースは、入院、死亡、社会的格差など他のデータと連携している。 1998年1月1日~2018年5月31日に、初回認知症診断日から1年以上CPRDに登録されている50歳以上の成人を対象とし(最初の認知症の診断コードが記録される以前に抗コリンエステラーゼ薬が処方されている患者、診断以前の1年間に抗精神病薬を処方されている患者は除外)、初回認知症診断日以降に抗精神病薬を使用した患者と、初回認知症診断日が同じ(または診断日から56日後まで)で抗精神病薬を使用していない患者(最大15例)を、incidence density samplingを用いてマッチさせた。 主要アウトカムは、脳卒中、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞、心不全、心室性不整脈、骨折、肺炎、急性腎障害とした。抗精神病薬使用期間で層別化し、抗精神病薬使用群と非使用群の累積発生率を用いて絶対リスクを算出。また、観察不能な交絡の可能性を検出するため、関連性のないアウトカム(陰性対照)として虫垂炎と胆嚢炎についても検討した。 計17万3,910例(女性63.0%)の認知症成人が適格条件を満たし、試験に組み入れられた。認知症診断時の年齢は平均82.1歳(SD 7.9)、中央値83歳であった。このうち、研究期間中に抗精神病薬を処方された患者は3万5,339例(女性62.5%)であった。肺炎、急性腎障害、静脈血栓塞栓症、脳卒中、骨折、心筋梗塞、心不全の順にリスクが高い 抗精神病薬使用群は非使用群と比較して、心室性不整脈を除くすべてのアウトカムのリスク増加と関連していた。現在の抗精神病薬使用(過去90日間の処方)に関する有害アウトカムのハザード比(逆確率治療重み付け[IPTW]で調整)は、肺炎2.19(95%信頼区間[CI]:2.10~2.28)、急性腎障害1.72(1.61~1.84)、静脈血栓塞栓症1.62(1.46~1.80)、脳卒中1.61(1.52~1.71)、骨折1.43(1.35~1.52)、心筋梗塞1.28(1.15~1.42)、心不全1.27(1.18~1.37)であった。陰性対照(虫垂炎と胆嚢炎)については、リスク増加は観察されなかった。 心室性不整脈と陰性対照を除くすべてのアウトカムの累積発生率は、抗精神病薬使用群において非使用群より高く、とくに肺炎の絶対リスクおよび群間リスク差が大きかった。抗精神病薬投与開始後90日間における肺炎の累積発生率は、抗精神病薬使用群で4.48%(95%CI:4.26~4.71)に対し、非使用群では1.49%(1.45~1.53)であり、群間リスク差は2.99%(2.77~3.22)であった。

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子宮頸がん、どの年齢層で多い?

子宮頸がん、どの年齢層で多い?⚫ 日本では20〜40代の女性を中心に毎年約1万人が新たに子宮頸がんと診断され、年間約3,000人が亡くなっています⚫ 主に性交渉によるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が原因となります⚫ 多くの女性が人生で一度はHPVウイルスに感染する可能性があると言われており、感染したからといって必ずがんになるわけではありませんが、誰でもなる可能性のあるがんです3025罹患率(人口10万対)20151050出典:国立がん研究センター「知ってくださいヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸がんのこと」国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)2019年データCopyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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roflumilast外用薬、慢性尋常性乾癬の長期治療の有用性を確認

 慢性尋常性乾癬患者へのroflumilastクリーム0.3%(1日1回塗布)の長期投与を評価した試験において、忍容性は良好であり、64週までの有効性が確認された。米国・Henry Ford Medical CenterのLinda Stein Gold氏らが、海外第II相多施設共同非盲検シングルアーム長期投与試験の結果を報告した。PDE4阻害薬は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎など炎症性疾患に対する治療効果が示されており、roflumilastはPDE4の強力かつ選択的な阻害薬である。roflumilastクリーム0.3%は、すでに米国食品医薬品局(FDA)より尋常性乾癬に対する承認を受けており、長期投与の評価が行われていた。結果を踏まえて著者は、「顔や間擦部などでも忍容性は良好であり、長期治療に適した外用薬であることが示唆された」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2024年3月29日号掲載の報告。 試験は米国とカナダの30施設で行われ、2つの登録コホート(12週間の早期試験を完了した患者または新規に登録された未治療患者)で構成された。主な適格基準は、18歳以上、乾癬の臨床的診断を受けてから6ヵ月以上、顔・四肢・体幹・間擦部に皮疹がある、皮疹がBody Surface Area(BSA)の2~20%(新規登録患者は2~25%)などであった。 roflumilastクリーム0.3%は、すべての皮疹に塗布することとし、試験中に発現した新たな皮疹にも頭皮を除くすべてに塗布した。 安全性のエンドポイントは、治験薬投与下で発現した有害事象、重篤な有害事象などであった。有効性のエンドポイントは、Investigator Global Assessment(IGA)0(消失)または1(ほぼ消失)を達成した患者の割合、IGA 0/1かつベースラインから2ポイント以上改善した患者の割合、間擦部のIGA(I-IGA)0/1かつベースラインから2ポイント以上改善した患者の割合、およびPsoriasis Area Severity Index(PASI)75(ベースラインから75%改善)を達成した患者の割合などであった。 主な結果は以下のとおり。・332例の患者が登録され、244例(73.5%)が試験を完了した。・13例(3.9%)が有害事象により中止し、3例(0.9%)は無効中止となった。・治療関連有害事象は12例(3.6%)に発現したが、重篤な有害事象は報告されなかった。・被験者の97%以上は塗布部位反応として刺激感が認められなかった。・タキフィラキシーは観察されず、52週時においてIGA 0/1を達成した患者の割合は44.8%であった。IGA 0/1かつベースラインから2ポイント以上改善した患者の割合は36.4%であった。・新規に登録された未治療患者のうち、ベースライン時に間擦部の皮疹が認められた集団において、I-IGA 0/1かつベースラインから2ポイント以上改善した患者の割合は66.7%であった。・52週時においてPASI 75を達成した患者の割合は37.6%であった。

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olezarsen月1回投与、トリグリセライドを50%減/NEJM

 olezarsenは、開発中のアポリポ蛋白C-III(APOC3)mRNAを標的とするN-アセチルガラクトサミン結合型アンチセンス・オリゴヌクレオチド。米国・ハーバード大学医学大学院のBrian A. Bergmark氏らBridge-TIMI 73a Investigatorsは、「Bridge-TIMI 73a試験」において、主に中等度の高トリグリセライド(TG)血症を有し心血管リスクが高い患者集団では、本薬の月1回投与によりプラセボと比較して、TG値を有意に低下させ、安全性に関する重大な懸念は生じないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年4月7日号に掲載された。北米24施設の第IIb相無作為化プラセボ対照比較試験 Bridge-TIMI 73a試験は米国とカナダの24施設で実施した第IIb相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2022年6~9月に患者を募集した(Ionis Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 年齢18歳以上、中等度の高TG血症(TG値150~499mg/dL)で心血管リスクが高い患者、および重度の高TG血症(同500mg/dL以上)の患者を、olezarsen50mgまたは同80mgを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付け、次いでそれぞれの用量のコホート内でolezarsenまたはプラセボを1ヵ月に1回皮下投与する群に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、ベースラインから6ヵ月後までのTG値の変化率とし、2つの用量のolezarsen群とプラセボ群の差を算出した。副次アウトカムは、APOC3、アポリポ蛋白B(APOB)、non-HDLコレステロール、LDLコレステロールの値の変化などであった。APOB、non-HDL-Cも改善、LDL-Cには有意な変化なし 154例を登録し、olezarsen 50mg群に58例、同80mg群に57例、プラセボ群に39例を割り付けた。全体のベースラインの年齢中央値は62歳(四分位範囲[IQR]:55~70)、女性が42%で、中等度の高TG血症患者が90%を占めた。TG中央値は241.5 mg/dL(IQR:192~324)だった。 TG値は、ベースラインから6ヵ月後までにプラセボ群で7.8%低下したのに対し、olezarsen 50mg群では57.1%、同80mg群では60.9%低下した。TG値の低下率のプラセボ群との絶対差は、olezarsen 50mg群が-49.3ポイント、同80mg群は-53.1ポイントと、いずれも有意差を認めた(双方ともp<0.001)。 また、ベースラインから6ヵ月後までに、プラセボ群と比較して、2つのolezarsen群ともAPOC3(50mg群:-64.2ポイント[p<0.001]、80mg群:-73.2ポイント[p<0.001])、APOB(-18.2[p<0.001]、-18.5[p<0.001])、non-HDLコレステロール(-25.4[p<0.001]、-23.1[p<0.001])の値が有意に低下したが、LDLコレステロール値(-9.9[p=0.24]、-7.7[p=0.36])には有意な変化はみられなかった。TG値正常化の割合も良好 ベースライン時に中等度の高TG血症で、6ヵ月後のTG値を測定できた128例の解析では、TGが正常値(150mg/dL未満)であった患者は、プラセボ群の34例中4例(12%)に対し、olezarsen 50mg群は49例中42例(86%)、同80mg群は45例中42例(93%)と、いずれの用量も有意に良好であった(双方ともp<0.001)。 有害事象(プラセボ群74%、olezarsen 50mg群72%、同80mg群67%)および重篤な有害事象(5%、7%、12%)のリスクは3つの群で同程度であった。また、肝臓(5%、12%、9%)、腎臓(13%、3%、2%)、血小板減少(3%、0%、4%)に関する臨床的に重要な異常はまれで、3群でリスクに差はなかった。 著者は、「olezarsenは、現在利用可能な治療薬よりも高い水準までTG値を有意に低下させ、他剤とは異なり、アテローム性動脈硬化発生のリスクのマーカーであるAPOBおよびnon-HDLコレステロール値の有意な低下をももたらした」とまとめ、「6ヵ月の時点では、2つの用量でTG値に対する効果は同等であったが、12ヵ月時には80mg群でより大きな減少を示した。さらなる試験により、とくに重度の高TG血症患者において、高用量がTG値の低下およびその他の脂質値にどの程度の付加的な効果をもたらすかが明らかになるだろう」としている。

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レム睡眠行動障害の男女差が明らかに

 レム睡眠行動障害の臨床的特徴を性別に着目して検討した結果、男性と比べて女性では、睡眠の質が悪く、抑うつ傾向が強いことが明らかとなった。愛知医科大学病院睡眠科の眞野まみこ氏らによる研究結果であり、「Journal of Clinical Medicine」に2月5日掲載された。 レム睡眠中には筋肉の活動が低下しているため、夢を見て、夢の中で行動しても手足や体は動かない。しかし、レム睡眠行動障害では筋肉の活動が抑制されず、夢の中でとっている行動がそのまま現実の行動として現れる。寝ながら殴りかかったり、暴れたりするなどの異常行動を伴い、本人や周囲の人が怪我をする危険もある。 また、レム睡眠行動障害はパーキンソン病やレビー小体型認知症などのリスク因子とされている。発症年齢の中央値は49歳と報告され、加齢とともに増加する。しかし、その特徴の男女差についてはまだ十分に研究されていない。 そこで著者らは、2013年5月~2022年3月に愛知医科大学病院睡眠科を受診し、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を用いてレム睡眠行動障害と診断された患者の臨床的特徴を後方視的に評価した。40歳未満の患者やパーキンソン病の患者などを除外し、研究対象は204人(男性133人、女性71人)となった。睡眠や抑うつなどに関する質問紙調査も行った。 その結果、男性は女性と比べて、年齢が有意に低く(平均67.9±8.0対70.5±8.2歳)、BMIが有意に高い(平均23.5±2.7対22.5±3.3)などの特徴が見られた。主観的評価では、男性と比べて女性の方が、睡眠の質が有意に悪く(ピッツバーグ睡眠質問票の平均得点:5.9±3.8対7.2±3.6)、抑うつ症状が有意に高かった(うつ病自己評価尺度の平均得点:38.0±8.7対41.7±8.5)。一方、男性の方が女性よりも、レム睡眠行動障害の症状は有意に高かった(スクリーニング問診票の平均得点:8.6±2.9対7.7±3.1)。 PSGによる客観的評価では、中途覚醒時間に男性と女性で有意な差は見られなかった(97.3±57.3対89.0±57.0分)。総睡眠時間に占めるノンレム睡眠のステージ1(N1)の割合(48.8±17.7対36.5±18.2%)およびステージ2(N2)の割合(32.1±16.4対45.4±17.4%)には有意差が認められた。最も深い睡眠段階であるステージ3(N3)の割合は、有意差はなかったものの、女性の方が高かった(0.4±1.4対1.0±2.9%)。レム睡眠時間の割合に有意差はなかった(18.7±7.7対17.1±6.6%)。無呼吸低呼吸指数(AHI:15.1±7.6対7.2±7.9回/時)および覚醒反応指数(ArI:29.5±16.3対22.3±11.8回/時)は、男性の方が有意に高かった。 さらに、ロジスティック回帰分析により、性別と睡眠の質および抑うつとの関連が検討された。年齢、BMI、AHI、ArIの差を調整した解析の結果、女性は睡眠の質の悪化(男性と比較したオッズ比2.03、95%信頼区間1.082~3.796)および抑うつ(同2.34、1.251~4.371)と有意に関連していることが明らかとなった。 研究の結論として著者らは、レム睡眠行動障害の女性は男性と比べて、PSGでN2とN3の割合が高かった一方で、主観的な睡眠の質は悪く、さらに抑うつ傾向が強いことも確認されたとしている。また、「これまで、レム睡眠行動障害が睡眠の質や抑うつに及ぼす影響についてはあまり注目されてこなかった。特に、女性患者の睡眠の質と抑うつに留意することは重要である」と述べている。

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旅先でも注意したいトコジラミ

トコジラミってどんな虫■トコジラミとは(右画像参照)・大きさ:成虫で5~8mm・体型・色:丸く、扁平でとても薄く褐色・生態:夜、部屋の隙間などから出て活動人や動物の血液だけがエサ吸血しなくても長期間(3~4ヵ月)生存可能家に持ち込まれると、比較的短期間で増殖、拡大する(WikipediaよりJiri Humpolicek氏提供)・生息場所:寝室、布団、ベッドの周りなどの狭い場所に潜伏し、暗く、温かい場所を好む生息場所には「血糞」という黒いしみがみられる■トコジラミによる症状夜間吸血されることが多く、人の手、足、首など露出している部分を吸血。刺されると非常に強い痒みが生じる(人によっては無症状のケースもある)。刺された場所に紅斑などが生じる。そのほか、強い痒みにより、寝不足などで精神的に被害を受けることもある。市販薬の痒み止めでは効果がないことが多く、皮膚科などの医療機関を受診する。家でトコジラミをみつけた場合、早急に駆除が必要であり、専門業者に駆除を依頼。東京都福祉保健局健康安全部環境保健衛生課より引用(2024年4月17日閲覧)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/eisei/yomimono/nezukon/tokojirami_leaf.files/hp_R4tokojirami.pdfCopyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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英語で「急ぎの用件」は?【1分★医療英語】第128回

第128回 英語で「急ぎの用件」は?《例文1》This medication is time sensitive and must be taken every four hours without delay.(このお薬は時間どおりに、4時間ごとに遅れずに服用してください)《例文2》Your next appointment is time sensitive due to the prep required, so please arrive 15 minutes early.(次の予約は準備が必要になるため、時間厳守で15分前には来てください)《解説》「急ぎ」であることを伝える際、さまざまな言い方があります。カジュアルな言い回しでは、“This is urgent. Can you handle this ASAP?”(ASAP:as soon as possibleの略で発音は「エイサップ」)や、“Can you make it a high priority?”(優先させてもらえますか?)などと表現することもできます。“sensitive”は、「敏感な」という形容詞で、“sensitive skin”(敏感肌)、“hypersensitivity”(過敏症)といった病名のほか、片頭痛(migraine)の症状として“sensitive to light, sound and odor”(光、音、においに対する過敏反応)と表現するなど、医療現場でもさまざまな使われ方があります。“time”(時間)と組み合わせた“time sensitive”で、「時間に敏感な=時間厳守、急ぐ必要がある」という意味になります。相手を急かすときや、時間どおりにやる必要があり念を押したいときに、“This is time sensitive!”と言うことで、“urgent”(緊急)のニュアンスが伝わりやすくなります。「今すぐ」という意味だけでなく、「時間に限定的(時間どおりに)」と伝えるときも、例文のように使うことができます。ちなみに、詐欺メール(scam email)のタイトルにも、“TIME SENSITIVE”や“IMMEDIATE ACTION REQUIRED”と急かす言葉を入れ、「今すぐこのリンクをクリックしてください」と仕掛けてくる場合も多いので、だまされないよう気を付けてください。講師紹介

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第212回 三つ子の騒音百まで

三つ子の騒音百までヒトも動物もまったく静かに過ごせることなどなく、自然やヒトの営みで生じるありとあらゆる音と共にあります。催し物の喧騒、工事、交通騒音などでますます騒々しくなる世界の音環境は心配の種の1つです。どうやら騒音の害は生まれる前から始まるらしく、オーストラリアのチームが同国の固有の鳥であるキンカチョウ(zebra finch)を使って調べたところ、孵化前(すなわち卵のとき)と孵化後を交通騒音と共に過ごすこととその後の生涯に及ぶ健康の害との関連が示されました1-3)。キンカチョウは孵化してから巣立つまでしばらく親の世話を必要とする晩成鳥の一種で、交通騒音がほとんどないオーストラリアの砂漠地帯に生息します4)。同国のディーキン大学の生態学者Mylene Mariette氏とそのチームは許可を得て構内の鳥小屋で飼うキンカチョウの卵を夜間のみ拝借して、キンカチョウの鳴き声(以下、鳴き声)か交通騒音または静寂(silence)の中で過ごさせ、朝には親鳥がいる巣に戻しました。交通騒音か鳴き声で夜間を過ごした卵の雛は、羽化後4~13日目に卵のときと同様に夜間のみ拝借してそれら2つの音環境のいずれかの中で過ごさせ、朝に親のもとに戻しました。騒音の影響は早くも孵化前に生じるらしく、夜間を騒音と共に過ごした卵の孵化率は鳴き声と共に過ごした卵を下回りました。夜間を静寂の中で過ごした卵の孵化率はそれらの中間に位置していました。騒音は生まれた雛の経過にも影響し、発達の遅れと関連しました。卵のときと孵化後のどちらも交通騒音と共に過ごしたキンカチョウの孵化後12日時点での体重は、卵のときと孵化後のどちらも鳴き声と共に過ごしたキンカチョウを有意に下回りました。また、成鳥になってからの生殖への影響もあり、交通騒音と共に過ごしたキンカチョウは産み育てた仔の数が鳴き声と共に過ごしたキンカチョウの4割ほどでしかありませんでした。体内の生理的変化も観察され、卵や雛のときの交通騒音は染色体末端部のテロメア短縮と関連しました。テロメア短縮は細胞損傷を反映します。今回の研究で示唆されたような騒音の健康への害はヒトにも当てはまるかもしれません。騒々しい保育器や新生児棟での騒音が赤ちゃんに害を及ぼしている恐れがあります。妊婦やその赤ちゃんが病院で音に煩わされず過ごせるようにとくに配慮するに越したことはないようです4)。また、妊婦や赤ちゃんに限らず世間一般に蔓延する騒音をどこまでどう減らすかを見出すことにも今回の研究成果はやがて役立つでしょう2)。参考1)Meillere A, et al. Science. 2024;384:475-480.2)Traffic noise causes lifelong harm to baby birds / Science3)Noise pollution can harm birds even before they hatch / ScienceNews4)Slabbekoorn H. Science. 2024;384:380-382.

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