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アクティブなワークステーションが仕事のパフォーマンスを改善

 トレッドミルやステッパー、スタンディングデスクを取り入れたアクティブなワークステーション(仕事場)は、仕事のパフォーマンスを低下させることなく従業員の座位時間を減らし、認知能力を向上させる成功戦略である可能性が、新たな研究で示唆された。論文の上席著者である米メイヨー・クリニックの予防循環器医であるFrancisco Lopez-Jimenez氏は、「われわれの研究結果は、長時間のデスクワークで行ってきたオフィスでの仕事に動きを取り入れることは可能であることを示唆している。アクティブなワークステーションは、仕事中に体を動かすだけで従業員の認知能力や健康全般を改善させ得る新たな方法となる可能性がある」と話している。この研究の詳細は、「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に4月4日掲載された。 この研究では、ボランティアの研究参加者44人(平均年齢35±11歳、女性63.6%)を対象に、4日間連続で4つの異なるワークステーションで構成されたオフィス環境で仕事をしてもらい、そのパフォーマンスの評価を行った。試験参加者は、初日は一般的なデスクで座って仕事を行い、その後の3日間は、スタンディングデスクで立ったまま仕事をする、トレッドミルで歩きながら仕事をする、ステッパーを使いながら仕事をする、のいずれかを、1日ずつランダムな順序で行った。仕事のパフォーマンスは、11種類の認知機能評価バッテリーを用いた神経認知機能(推論、短期記憶、集中力)と微細運動能力(タイピングの速度とその精度)の観点から評価を行った。 その結果、座ったままで仕事をした場合と比べて、立ったまま、あるいはトレッドミルやステッパーを使いながら仕事をした場合では、神経認知機能が改善するか変化しないかのいずれかであることが明らかになった。特に、推論を評価する尺度の一つであるDouble Trouble Testのスコアは、2日目から4日目にかけて改善し続けていた。また、立ったまま、あるいはトレッドミルやステッパーを使いながら仕事をした場合には、タイピングのスピードは多少落ちていたが、タイピングの正確さには影響がないことも示された。 Lopez-Jimenez氏は、「心血管の健康という観点から言えば、座りっぱなしで過ごすことは、新たな喫煙ともいえるリスク因子だ。しかし、オフィスワーカーの中には8時間労働の大部分をコンピューターのスクリーンとキーボードの前に座って過ごす人がいる」とメイヨー・クリニックのニュースリリースの中で語っている。 その上でLopez-Jimenez氏は、「これらの知見は、生産性と頭脳的なシャープさを維持しながら仕事を行うための方法が他にもたくさんあることを示唆するものだ。肥満、心血管疾患、糖尿病などの予防と治療のための処方箋に、アクティブなワークステーションの追加を検討する価値は十分にあるだろう」との見方を示している。

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GLP-1受容体作動薬の使用で甲状腺がんリスクは増加する?

 ウゴービやオゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)は、糖尿病治療薬や肥満症治療薬として多くの人に使用されるようになった一方で、長期間の使用が甲状腺がんのリスク増加と関連する可能性が危惧されている。しかし、43万5,000人以上を対象としたスウェーデンの研究で、そのような考えの裏付けとなるエビデンスは見つからなかったことが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のBjorn Pasternak氏らによるこの研究結果は、「The BMJ」に4月10日掲載された。 Pasternak氏らは、デンマーク、ノルウェー、およびスウェーデンの2007年から2021年のヘルスケアおよび行政の登録データを用いて、GLP-1受容体作動薬の使用と甲状腺がんリスクとの関連を検討した。対象者は、リラグルチド(商品名ビクトーザ)やセマグルチド(商品名オゼンピック)などのGLP-1受容体作動薬を使用している14万5,410人と、別の糖尿病治療薬であるDPP4阻害薬を使用している29万1,667人であった。 GLP-1受容体作動薬使用群で平均3.9年、DPP4阻害薬使用群で平均5.4年の追跡期間中に、前者では76人(1万人年当たり1.33件の発症)、後者では184人(1万人年当たり1.46件の発症)が甲状腺がんを発症していた。DPP4阻害薬群と比べたGLP-1受容体作動薬群の甲状腺がん発症のハザード比は0.93(95%信頼区間0.66〜1.31)だった。この結果は、GLP-1受容体作動薬使用群とSGLT2阻害薬と呼ばれる第3の糖尿病治療薬を使用していた群とを比較した場合でも同様だった。一方で、GLP-1受容体作動薬使用群では、甲状腺がんのサブタイプである甲状腺髄様がんの発症リスクがDPP4阻害薬使用群よりも19%高いことが示された。ただし、この結果は統計学的に有意ではなかった。 Pasternak氏は、「多くの人がこれらの医薬品を使用しているので、使用に伴う潜在的なリスクを研究することは重要だ」と強調する。そして、「われわれの研究結果は、広範な患者群を対象としており、GLP-1受容体作動薬が甲状腺がんのリスク増大とは無関係であることを強く裏付けるものだ」とカロリンスカ研究所のニュースリリースの中で述べている。 一方、論文の上席著者である同研究所のPeter Ueda氏は、「GLP-1受容体作動薬が甲状腺に及ぼす影響についての最終的な結論はまだ出ていない」と強調する。その理由について同氏は、「例えば、生まれつき甲状腺髄様がんのリスクが高く、GLP-1受容体作動薬の使用を控えるように勧められているような、一部の集団における甲状腺がんの特定のサブタイプのリスク増加について、明確に否定することができなかったからだ」と説明している。

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2型糖尿病患者の消化器症状は不眠症と関連

 糖尿病患者には、上部消化器症状(胸やけ、胃痛、胃もたれなど)や下部消化器症状(便秘、下痢など)がしばしば見られる。日本人の2型糖尿病患者を対象とした研究で、これらの消化器症状が患者の不眠症と強く関連していることが判明した。これは京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の南田慈氏、岡田博史氏、福井道明氏らによる研究結果であり、「Journal of Diabetes Investigation」に3月5日掲載された。 消化器症状は、糖尿病患者におけるQOL低下の一因である。一方、夜間頻尿により睡眠が中断されることや、糖尿病神経障害による痛み、夜間の血糖値の急激な変化、抑うつなどを伴うことで、糖尿病患者には不眠症が生じ得ることも報告されている。しかし、糖尿病患者における消化器症状と不眠症の関係についてはこれまでにほとんど検討されていない。 そこで著者らは、「KAMOGAWA-DMコホート研究」に参加している2型糖尿病患者を2014年1月~2022年1月に登録し、横断研究を行った。消化器症状の評価には、胸やけ、胃痛、胃もたれ、便秘、下痢の5つの症状を評価する「出雲スケール」を用いた(各症状とも3つの質問項目から0~15点で評価され、スコアが高いほど症状が悪い)。また、睡眠は「アテネ不眠症尺度」で評価し、合計スコア6点以上または睡眠薬を使用している場合を不眠症と定義した。 解析対象者は175人(男性100人、女性75人)、年齢中央値は66歳(四分位範囲57~73歳)で、そのうち68人が不眠症に該当した。不眠症の人はそうでない人と比べ、収縮期血圧および拡張期血圧が有意に高かった。 出雲スケールの結果を比較すると、総スコアの中央値(四分位範囲)は、不眠症の人の方がそうでない人よりも有意に高く、それぞれ14点(5.25~20.75点)と5点(2~10点)だった。症状ごとの結果も同様で、胸やけは2点(0~4点)と0点(0~1点)、胃痛は0点(0~4点)と0点(0~0点)、胃もたれは2点(0~4点)と0点(0~2点)、便秘は4点(2~6点)と2点(0~4点)、下痢は3点(1~5点)と1点(0~3点)であり、全て不眠症の人の方が有意に高かった。 次に、不眠症と関連する要因がロジスティック回帰分析により検討された。年齢、性別、BMI、収縮期血圧、HbA1c、糖尿病神経障害、インスリン療法、夜間頻尿の影響を調整した解析の結果、出雲スケール総スコアの1点上昇ごとのオッズ比(95%信頼区間)は1.10(1.06~1.16)であり、不眠症と有意に関連することが明らかとなった。同様に、症状ごとのスコアについても有意な関連が認められ、オッズ比は胸やけ1.32(1.13~1.55)、胃痛1.38(1.16~1.63)、胃もたれ1.33(1.13~1.56)、便秘1.21(1.08~1.36)、下痢1.29(1.12~1.47)だった。 以上の結果から著者らは、「消化器症状は2型糖尿病患者の不眠症と強く関連している」と結論。また、糖尿病患者の睡眠障害は血糖コントロールやQOLに影響を及ぼす可能性があることから、「消化器症状の管理に注意を払う必要がある」と指摘している。

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緑内障は「幸福と感じていない」ことと関連、特に男性で顕著

 国内7県の地域住民を対象とした研究で、自己申告による緑内障の既往歴がある人は、主観的に「幸福と感じていない」割合が高いという結果が示された。この緑内障で幸福と感じていない割合が高い傾向は、特に40~59歳の男性で顕著だったという。これは慶應義塾大学医学部眼科学教室と国立がん研究センターなどとの共同研究による結果であり、「BMJ Open Ophthalmology」に2月19日掲載された。 これまでの研究で、ドライアイや老眼と幸福度の低さとの関連が報告されている。緑内障は、眼圧(目の硬さ)が高い状態が続くことなどにより視神経が障害され、徐々に視野の障害が広がる病気だ。緑内障患者は、テレビの視聴や読書などの楽しみが減少し、転倒リスクが高まるなど、日常生活に悪影響を及ぼし、視覚関連QOLが大きく損なわれる可能性がある。 そこで著者らは、2011~2016年に開始された次世代多目的コホート研究「JPHC-NEXT」のデータを用いて、自己申告による緑内障の既往歴と幸福度との関連を解析した。対象は、国内7県(岩手、秋田、長野、茨城、高知、愛媛、長崎)の計16市町村の地域住民(40〜74歳)のうち、がん、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、心不全、糖尿病、うつ病の既往歴のある人などを除外した、計9万2,397人。質問紙により緑内障の既往歴(医師の診断)を調べた。全体的に幸せな状態かどうかの質問に関する4つの選択肢(幸せでない、どちらとも言えない、幸せ、大変幸せ)のうち、「幸せでない」または「どちらとも言えない」と回答した人を「幸福と感じていない」とした。 その結果、緑内障の既往歴のある人は1,733人(1.9%)であり、男性が635人(1.6%)、女性が1,098人(2.1%)だった。緑内障の既往歴がある人は、緑内障の既往歴がない人と比べて年齢が有意に高かった(平均63.0±8.3対57.5±9.6歳)。 年齢のほか、地域、教育レベル、世帯収入、喫煙、飲酒量、身体活動の差を調整した上で、男性における「幸福と感じていない」のオッズを解析した結果、緑内障の既往歴がある人の方が、緑内障の既往歴がない人よりも有意に高かった(オッズ比1.26、95%信頼区間1.05~1.51)。女性でも、「幸福と感じていない」割合と緑内障の既往歴が関連する傾向にあったが、関連は有意ではなかった(同1.05、0.90~1.23)。 さらに、年齢層を分けて解析すると、「幸福と感じていない」割合と緑内障の既往歴との関連が最も強かったのは40〜59歳の男性であることが明らかとなった(同1.40、1.04~1.88)。一方、60〜74歳の男性(同1.20、0.96~1.51)、40〜59歳の女性(同1.21、0.92~1.59)、60〜74歳の女性(同0.99、0.83~1.20)では、有意な関連は認められなかった。 以上から著者らは、「特に男性において、緑内障の既往歴は幸福と感じていない割合と関連する」と結論。性別や年齢層で差があったことの背景として、社会的に求められる役割や雇用状況、視野の障害による仕事への支障などの可能性を挙げている。また、緑内障は日本の中途失明の原因として最も多い病気だが、「診断と治療を早い段階で行えば、進行速度を遅らせ、機能障害を最小限に抑えることができる」と述べている。

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3人のレンガ職人、あなたはどのタイプ?(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画いわみせいじ左:命令なので仕方なく仕事をする職人 ⇒ 人から言われたダイエットをやらされている人真ん中:お金のためと割り切って頑張る職人 ⇒ 検査値を改善するためにダイエットしている人右:天職だとやりがいを持っている職人 ⇒ 自分の夢の実現のためにダイエットしている人Copyright© 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 痩せなければいけないとは思っているんですが、なかなか…。医師 そうですよね。イソップ寓話の「3人のレンガ職人」の話をご存知ですか?患者 えっと、昔に読んだ記憶はあります。医師(簡単に「3人のレンガ職人」のストーリーを説明する)画 いわみせいじ患者 …あっ、思い出しました!医師 ダイエットも同じで、目的が大切です。誰かから言われて仕方なく減量に取り組んでいるようでは、長続きしません。検査値を改善するためだけに努力している人も同様です。患者 なるほど…。医師 自分の夢の実現のために、ダイエットに取り組むといいですよ!〇〇さんが痩せた後にやりたいことは何ですか?患者 そうですね、私の場合は…(ダイエット成功後のイメージを語り始める)ポイント医師や家族から言われて取り組むダイエットではなく、ダイエットの目的を自分なりに言語化してもらうことが大切です。Copyright© 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

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洗脳事件の謎解き【Dr. 中島の 新・徒然草】(527)

五百二十七の段 洗脳事件の謎解き今年はいつもより暑いですね。そろそろ熱中症の患者さんが運ばれてくる時期になりました。何と言っても、自分自身が熱中症にならないよう気を付けなくてはなりません。さて、先日は私が卒業した兵庫県立神戸高等学校の同窓会がありました。われわれの学年は29回生なので、大抵が4月29日の昭和の日にあります。6年前の前回が「まさかの還暦同窓会」というタイトルでしたが、今回は「前期高齢者突入記念同窓会」と名付けられていました。久しぶりに集まった200人だか300人だか。高校時代と変わらぬ顔の人もいれば、言われてもわからないほど変化している人もいます。前期高齢者が揃ったら盛り上がるのは病気談義。心筋梗塞、脳梗塞、労作性狭心症、直腸がん、転移性脳腫瘍と病気のオンパレードです。もはや高血圧や糖尿病などはデフォ扱い。皆にコメントを求められる立場なので、適当に答えておきました。逆に私に対して医学的アドバイスをしてくる人もいましたが、上手に相槌を打つことができたのは日頃の外来修業のおかげかもしれません。さて、面白かったのは小学校、中学校、高等学校と12年間同じ学校に通いながら、初対面としか思えない人がいたことです。普通はどこかに接点がありそうなのですが。本当に知らない顔だったので、仮に彼女の名前を白内 佳織(しらない・かおり)さんとでもしておきましょう。果たして1回もクラスが一緒にならなかったのでしょうか?中島「じゃあちょっと確認してみよう。小学校1年生の時の担任は春山先生」白内「私は夏川先生だから別のクラスね」中島「2年生の時は秋原先生という女の先生だったけど、途中から産休になってピンチヒッターで来たのが誰だったかな」白内「冬谷先生よ。だったら一緒の担任じゃない!」なんと彼女とは私と同じクラスだったことがあるみたいです。それでも思い出せません。中島「3年生は東山先生だけど」白内「私も東山先生よ!」中島「あれえ、同じクラスだったかな?」この調子で12年間を振り返ると、なんと小学校で3回、中学校で1回、同じクラスになっていたことがわかりました。それでも何も思い出さないのです。で、ここからが本番!中島「じゃあ、小学校3年生の時のあの洗脳事件を覚えているか?」白内「もちろんよ、放課後にクラス全員が学級委員長に言われて、教室に残されたやつでしょ!」中島「あれは衝撃やったなあ」白内「人にしゃべってはいけないと思ったから、今まで黙っていたけど……」中島「僕もや。人に言っても信じてもらえなさそうやし」事件といっても、誰かが死んだとか誘拐されたとかいうようなシリアスな話ではありません。席に立たされて学級委員長に言われるがままクラスメートを罵倒したり、それができなくて泣き出したり……今になってみれば「あれは何だったんだ?」としか思えないのですが、当時の小学校3年生にとっては十分に大事件でした。ようやくあの事件を語り合うことのできる相手に出会うことができたわけです。実際に事件の内容を話してみると、彼女と私の記憶はピタリと一致しました。中島「やっぱり同じ時に同じ教室にいたのか。ようやく確信できたぞ!」白内「私は習い事があったから、委員長を突き飛ばして先に帰ったのよ。あの後、どうなったの?」中島「僕はなかなか洗脳が解けなくて、ずっといたけどな」ここに至ってようやく親しみを感じた次第です。もちろん同窓会のことなので、他にも大勢の人と世間話をしました。でも、高校時代の記憶がいろいろとよみがえってきたのは翌日になってから。「あの時あんなことがあったけど覚えているか?」みたいな話をもっとできたら良かったのですが。次の同窓会は、おそらく古希になってから。できれば元気に出席したいものです。ということで最後に1句昭和の日 答え合わせの 同窓会

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5月2日 カルシウムの日【今日は何の日?】

【5月2日 カルシウムの日】〔由来〕丈夫な骨を作るために欠かせない「カルシウム」を摂ることの大切さを多くの人に知ってもらうことを目的に、骨(コ[5]ツ[2])の語呂合わせからワダカルシウム製薬が制定。関連コンテンツ第23回 高齢糖尿病患者の骨折リスク、骨粗鬆症にどう対応する?【高齢者糖尿病診療のコツ】緩和ケアでもよく経験する高カルシウム血症【非専門医のための緩和ケアTips】カルシウムってなあに?【患者説明用スライド】カルシウムを含む食材は何【患者説明用スライド】糖尿病患者、カルシウムサプリ常用でCVDリスク増

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小児~成人期のnon-HDL-C高値、中年期の心血管イベントと関連/JAMA

 小児期から成人期まで、持続的な非HDLコレステロール(non-HDL-C)高値の脂質異常症を有する人は心血管イベントのリスクが高かったが、成人期までにnon-HDL-C値が改善した人は脂質異常症ではなかった人と心血管リスクは同程度であることが、オーストラリア・メルボルン大学のFeitong Wu氏らによる、International Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究で示された。non-HDL-C上昇は小児によくみられ、成人期の心血管リスクを増大することが知られる。しかし、小児期のnon-HDL-C上昇が成人期までに改善することが臨床的な心血管リスクの低下と関連するかどうかは不明であった。著者は今回の結果から、「小児期のnon-HDL-C上昇を予防・軽減するための介入が、早発性心血管疾患の予防に役立つ可能性が示唆された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年4月12日号掲載の報告。登録時3~19歳の約5千例、小児期と成人期のnon-HDL-C高値と40歳以降の心血管イベントの関連を解析 研究グループは、1970~96年にi3Cコンソーシアムの7件の前向きコホート(米国5件、フィンランド1件、オーストラリア1件)に登録された3~19歳の参加者4万2,324例のうち、小児期(3~19歳)および成人期(20~40歳)のnon-HDL-C値のデータがあり、所在または死因が確認でき、追跡終了時40歳以上であった5,121例を主解析の対象とした。除外基準にのっとり、オーストラリアのコホートは主解析から除外された。最終追跡調査は2019年に実施された。 主要アウトカムは、40歳以降の致死的および非致死的心血管イベント(2015~19年に調査)で、小児期および成人期のnon-HDL-C値の年齢・性特異的zスコア、および臨床ガイドライン推奨の脂質異常症カットオフ値によるカテゴリー別に関連を評価した。 解析対象5,121例は、non-HDL-C値測定のための初回受診時(ベースライン)の年齢中央値が10.7歳、女性60%、黒人15%であった。小児期のnon-HDL-C値zスコア1単位増加当たり心血管リスク1.4倍 40歳以降の平均追跡期間8.9年において、5,121例中147例に心血管イベントが発生した。小児期および成人期のnon-HDL-C値はいずれも心血管イベントのリスク上昇と関連しており、ハザード比(HR)はnon-HDL-C値zスコア1単位増加当たりそれぞれ1.42(95%信頼区間[CI]:1.18~1.70)、1.50(1.26~1.78)であった。 小児期non-HDL-C値の影響は、成人期non-HDL-C値で調整すると減弱したが(HR:1.12、95%CI:0.89~1.41)、成人期non-HDL-C値の影響は小児期non-HDL-C値で調整しても大きなままであった(HR:1.41、95%CI:1.14~1.74)。しかし、小児期から成人期のzスコアの変化で調整した場合、小児期non-HDL-C値の影響は大きなままであり(HR:1.58、95%CI:1.30~1.92)、zスコアの変化(増加)は独立した予測因子であった(HR:1.41、95%CI:1.14~1.74)。 小児期non-HDL-C値と小児期から成人期にかけての変化の両方がアウトカムと独立して関連していたことから、予防の観点からは小児期non-HDL-C値と成人期にかけての変化の両方が有益であることが示唆された。 小児期および成人期に持続的に正常なnon-HDL-C値(ガイドラインで推奨される範囲内)であった人と比較し、小児期から成人期にかけてnon-HDL-C高値の脂質異常症を発症した人は心血管リスクが有意に高く(HR:2.17、95%CI:1.00~4.69)、小児期から成人期まで持続的にnon-HDL-C高値の脂質異常症であった人はそのリスクがさらに倍増した(HR:5.17、95%CI:2.80~9.56)。小児期にnon-HDL-C高値の脂質異常症であったが成人期にはガイドラインで推奨される範囲内であった人では、有意なリスク上昇は認められなかった(HR:1.13、95%CI:0.50~2.56)。

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olezarsen月1回投与、トリグリセライドを50%減/NEJM

 olezarsenは、開発中のアポリポ蛋白C-III(APOC3)mRNAを標的とするN-アセチルガラクトサミン結合型アンチセンス・オリゴヌクレオチド。米国・ハーバード大学医学大学院のBrian A. Bergmark氏らBridge-TIMI 73a Investigatorsは、「Bridge-TIMI 73a試験」において、主に中等度の高トリグリセライド(TG)血症を有し心血管リスクが高い患者集団では、本薬の月1回投与によりプラセボと比較して、TG値を有意に低下させ、安全性に関する重大な懸念は生じないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年4月7日号に掲載された。北米24施設の第IIb相無作為化プラセボ対照比較試験 Bridge-TIMI 73a試験は米国とカナダの24施設で実施した第IIb相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2022年6~9月に患者を募集した(Ionis Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 年齢18歳以上、中等度の高TG血症(TG値150~499mg/dL)で心血管リスクが高い患者、および重度の高TG血症(同500mg/dL以上)の患者を、olezarsen50mgまたは同80mgを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付け、次いでそれぞれの用量のコホート内でolezarsenまたはプラセボを1ヵ月に1回皮下投与する群に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、ベースラインから6ヵ月後までのTG値の変化率とし、2つの用量のolezarsen群とプラセボ群の差を算出した。副次アウトカムは、APOC3、アポリポ蛋白B(APOB)、non-HDLコレステロール、LDLコレステロールの値の変化などであった。APOB、non-HDL-Cも改善、LDL-Cには有意な変化なし 154例を登録し、olezarsen 50mg群に58例、同80mg群に57例、プラセボ群に39例を割り付けた。全体のベースラインの年齢中央値は62歳(四分位範囲[IQR]:55~70)、女性が42%で、中等度の高TG血症患者が90%を占めた。TG中央値は241.5 mg/dL(IQR:192~324)だった。 TG値は、ベースラインから6ヵ月後までにプラセボ群で7.8%低下したのに対し、olezarsen 50mg群では57.1%、同80mg群では60.9%低下した。TG値の低下率のプラセボ群との絶対差は、olezarsen 50mg群が-49.3ポイント、同80mg群は-53.1ポイントと、いずれも有意差を認めた(双方ともp<0.001)。 また、ベースラインから6ヵ月後までに、プラセボ群と比較して、2つのolezarsen群ともAPOC3(50mg群:-64.2ポイント[p<0.001]、80mg群:-73.2ポイント[p<0.001])、APOB(-18.2[p<0.001]、-18.5[p<0.001])、non-HDLコレステロール(-25.4[p<0.001]、-23.1[p<0.001])の値が有意に低下したが、LDLコレステロール値(-9.9[p=0.24]、-7.7[p=0.36])には有意な変化はみられなかった。TG値正常化の割合も良好 ベースライン時に中等度の高TG血症で、6ヵ月後のTG値を測定できた128例の解析では、TGが正常値(150mg/dL未満)であった患者は、プラセボ群の34例中4例(12%)に対し、olezarsen 50mg群は49例中42例(86%)、同80mg群は45例中42例(93%)と、いずれの用量も有意に良好であった(双方ともp<0.001)。 有害事象(プラセボ群74%、olezarsen 50mg群72%、同80mg群67%)および重篤な有害事象(5%、7%、12%)のリスクは3つの群で同程度であった。また、肝臓(5%、12%、9%)、腎臓(13%、3%、2%)、血小板減少(3%、0%、4%)に関する臨床的に重要な異常はまれで、3群でリスクに差はなかった。 著者は、「olezarsenは、現在利用可能な治療薬よりも高い水準までTG値を有意に低下させ、他剤とは異なり、アテローム性動脈硬化発生のリスクのマーカーであるAPOBおよびnon-HDLコレステロール値の有意な低下をももたらした」とまとめ、「6ヵ月の時点では、2つの用量でTG値に対する効果は同等であったが、12ヵ月時には80mg群でより大きな減少を示した。さらなる試験により、とくに重度の高TG血症患者において、高用量がTG値の低下およびその他の脂質値にどの程度の付加的な効果をもたらすかが明らかになるだろう」としている。

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左室駆出率が保たれた急性心筋梗塞、β遮断薬の長期投与は有効か/NEJM

 左室駆出率(LVEF)が保たれている(≧50%)急性心筋梗塞患者では、長期のβ遮断薬投与は投与しなかった場合と比較して、全死因死亡と新たな心筋梗塞の発生の複合主要エンドポイントを改善せず、安全性のエンドポイントには差がないことが、スウェーデン・ルンド大学のTroels Yndigegn氏らが実施した「REDUCE-AMI試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年4月7日号で報告された。3ヵ国の無作為化試験 REDUCE-AMI試験は、3ヵ国(スウェーデン、エストニア、ニュージーランド)の45施設で実施したレジストリーベースの前向き非盲検無作為化並行群間比較試験であり、2017年9月~2023年5月に患者を登録した(Swedish Research Councilなどの助成を受けた)。 冠動脈造影と心エコー図検査を受けたLVEF 50%以上の急性心筋梗塞の成人患者5,020例(スウェーデン人95.4%)を登録し、β遮断薬(メトプロロールまたはビソプロロール)の長期経口投与を受ける群に2,508例、β遮断薬の投与を受けない群に2,512例を割り付けた。 主要エンドポイントは、全死因死亡と新規の心筋梗塞の複合とした。全死因死亡、心筋梗塞の個別の発生にも差がない 全体のベースラインの年齢中央値は65歳、女性が22.5%で、ST上昇型心筋梗塞が35.2%であった。リスク因子としては、46.2%で高血圧、14.0%で糖尿病、7.1%で心筋梗塞の既往歴、0.7%で心不全の既往歴を認めた。入院時に11.6%がβ遮断薬の投与を受けていた。 追跡期間中央値3.5年(四分位範囲[IQR]:2.2~4.7)の時点で、主要エンドポイントは投与群の2,508例中199例(7.9%、年間イベント発生率2.4%)、非投与群の2,512例中208例(8.3%、2.5%)で発生し、両群間に有意な差はなかった(ハザード比[HR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.79~1.16、p=0.64)。 また、投与群では副次エンドポイントの改善も得られなかった(全死因死亡[投与群3.9%、非投与群4.1%]、心血管死[1.5%、1.3%]、心筋梗塞[4.5%、4.7%]、心房細動による入院[1.1%、1.4%]、心不全による入院[0.8%、0.9%])。喘息/COPDによる入院、脳卒中による入院も同程度 安全性のエンドポイント(徐脈性不整脈による入院、第2度または第3度房室ブロック、低血圧、失神、ペースメーカー植込み)は、投与群で3.4%、非投与群で3.2%に発生した。また、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)による入院はそれぞれ0.6%、0.6%、脳卒中による入院は1.4%、1.8%にみられた。 著者は、「これらの知見は、いくつかの大規模な観察研究やそれらの研究のメタ解析の結果とも一致する」と述べ、「本試験で使用したβ遮断薬は先行研究に比べ低用量であったが、現在のβ遮断薬治療の実情を反映するものである」とまとめている。

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不安定プラーク、至適薬物療法+予防的PCI追加で予後改善/Lancet

 冠動脈に血流を阻害しない不安定プラークを有する患者において、予防的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の追加は至適薬物療法のみと比較し、高リスクの不安定プラークに起因する主要有害心血管イベントが減少したことを、韓国・蔚山大学のSeung-Jung Park氏らが、韓国、日本、台湾およびニュージーランドの計15施設で実施した医師主導の無作為化非盲検比較試験「PREVENT試験」の結果を報告した。著者は、「PREVENT試験は不安定プラークに対する局所治療の効果を示した最初の大規模臨床試験であり、今回の知見はPCIの適応を、血流を阻害しない高リスクの不安定プラークに拡大することを支持するものである」とまとめている。急性冠症候群や心臓死は不安定プラークの破裂および血栓症によって引き起こされることが多く、その多くは冠血流を阻害しない。不安定プラークに対するPCIによる予防的治療の安全性と心臓有害事象の減少に対する有効性は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年4月8日号掲載の報告。狭窄率>50%、FFR>0.80の不安定プラークを有する患者が対象 研究グループは、心臓カテーテル検査を受けた18歳以上の安定冠動脈疾患または急性冠症候群の患者のうち、造影上の狭窄率>50%、冠血流予備量比(FFR)>0.80の病変を有し不安定プラークが確認された患者を対象とした。Webシステム(置換ブロック法、ブロックサイズ4または6)により糖尿病の有無および非標的血管への同時PCIの有無で層別化し、PCI+至適薬物療法群(PCI併用群)または至適薬物療法単独群(薬物療法群)に1対1の割合で無作為に割り付け、最後の登録患者が無作為化後2年に達するまで毎年追跡調査を行った。 不安定プラークは、(1)最小内腔面積<4.0mm2、(2)プラーク負荷>70%(血管内超音波検査)、(3)脂質に富むプラーク(近赤外分光法、4mm以内の最大脂質コア負荷指数が>315)、(4)TCFA(thin-cap fibroatheroma)(高周波血管内超音波検査または光干渉断層法)の4つの特徴のうち2つ以上を満たすプラークと定義された。 主要アウトカムは、2年間の心臓死・標的血管の心筋梗塞・虚血による標的血管血行再建術・不安定狭心症または進行性狭心症による入院の複合とした。ITT集団で評価し、初発までの期間はKaplan-Meier法で算出し、log-rank検定で比較した。PCI併用群で薬物療法群より2年複合イベントが有意に減少 2015年9月23日~2021年9月29日に、5,627例がスクリーニングされ、適格基準を満たした1,606例がPCI併用群(803例)または薬物療法群(803例)に無作為化された。1,177例(73%)が男性、429例(27%)が女性で、1,556例(97%)が2年間の追跡を完了した(PCI併用群780例、薬物療法群776例)。 主要アウトカムの2年複合イベントは、PCI併用群で3例(0.4%)、薬物療法群で27例(3.4%)に発生し、絶対群間差は-3.0%(95%信頼区間[CI]:-4.4~-1.8、p=0.0003)であった。予防的PCIの効果は、主要アウトカムの各要素において一貫していた。 重篤な臨床的有害事象は、PCI併用群と薬物療法群で差はなかった。2年以内の死亡は4例(0.5%)vs.10例(1.3%)であり(絶対群間差:-0.8%、95%CI:-1.7~0.2)、心筋梗塞は9例(1.1%)vs.13例(1.7%)であった(-0.5%、95%CI:-1.7~0.6)。

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膵体積とOGTTで1型糖尿病への進行を予測可能

 糖尿病関連自己抗体陽性の状態から1型糖尿病への進行を、MRIで評価した膵体積と経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)による糖代謝関連指標とによって予測できることが分かった。米テキサス大学オースティン校のJohn Virostko氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に12月27日掲載された。  これまでの研究で、1型糖尿病患者は膵体積が小さいことが明らかになっている。しかし、1型糖尿病発症前段階において、膵体積が小さいことが病態進行の予測因子であるか否かは不明。これを背景としてVirostko氏らは、1型糖尿病進行予防に関する国際共同研究(TrialNet)参加者を対象とする検討を行った。この国際共同研究には、1型糖尿病患者の血縁者で、糖尿病関連自己抗体を有するハイリスク者が参加している。進行ステージは、自己抗体が出現した状態の「ステージ1」、血糖異常が生じ始めた状態の「ステージ2」、および臨床的に1型糖尿病と診断される「ステージ3」という3段階に分類される。 今の検討の解析対象は、複数の自己抗体が陽性の65人。ステージ3への進行予測因子として、MRIで計測した膵体積を体重で除した値(pancreas volume index;PVI)、および、OGTTによる血糖値とC-ペプチドから算出するIndex60とDPTRS(diabetes prevention trial-type 1 risk score)という指標を設定。それら単独、または組み合わせた場合の予測能を評価した。 65人中11人が観察期間中にステージ3へ進行した。進行群と非進行群を比較すると、性別の分布、人種、BMI、MRI施行回数に有意差はなく、観察期間中央値は前者が18カ月、後者が7カ月で群間差は非有意であり(P=0.14)、平均年齢も同順に15.0±8.42歳、21.2±11.9歳で有意水準未満だった(P=0.054)。保有する自己抗体数は、前者が4.27±0.9、後者が2.72±1.5で前者の方が有意に多かった(P<0.001)。 一方、PVI、Index60、DPTRSという3種類の進行予測因子は全て、ベースライン時点において有意な群間差が認められた。このうちPVIに関しては、ベースライン時点で0.88mL/kgをカットオフ値として二分した場合に、ステージ3への進行に有意なリスク差が観察された(P=0.013)。なお、PVIはIndex60(R2=0.005、P=0.63)やDPTRS(R2=0.01、P=0.48)とは有意な関連がなかった。それに対してOGTTに基づき算出されるIndex60とDPTRSは、正相関していた(R2=0.60、P<0.0001)。 ステージ3への進行の予測能(AUC)は、PVIが0.76、Index60は0.79、DPTRSも0.79であり、PVIとDPTRSを組み合わせると0.91まで上昇した。これらの結果から、PVIとOGTTに基づく糖代謝関連指標は、ステージ3への進行のリスク評価に関して、それぞれ異なる要素を反映していると見られ、よってそれらを組み合わせることでより優れた予測能が得られると考えられた。著者らは、「膵臓の画像所見は、1型糖尿病の予防を目的とした臨床試験において評価すべき、新たな指標となり得るのではないか」と述べている。

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加糖飲料とフルーツジュースは男子の2型糖尿病リスクを高める

 幼少期から10代前半にかけて、加糖飲料や果汁100%ジュースを多く摂取していた男子は、思春期後期に成長した時点でインスリン抵抗性が亢進し、2型糖尿病の発症リスクが高い状態にあることを示すデータが報告された。米ハーバード大学医学大学院のSoren Harnois-Leblanc氏らの研究によるもので、米国心臓協会(AHA)の生活習慣科学セッション(EPI-Lifestyle 2024、3月18~21日、シカゴ)で発表された。 この研究は、1999年から米国マサチューセッツ州東部で実施されている、母親とその子どもを対象とする長期コホート研究(Project Viva)のデータを用いて行われた。Project Vivaの研究期間中に出産した妊婦は2,128人で、子どもが幼児期(年齢中央値3.1歳)、小児期(同7.6歳)、および思春期前期(同12.9歳)という三つの時点で、母親に対して食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いた子どもの食習慣の調査を実施。この調査に回答し、かつ糖尿病の家族歴のない子どもは972人で、そのうち思春期後期(年齢中央値17.4歳)に血液検査を受けていた455人(女子240人)を解析対象とした。 FFQから、加糖飲料、果汁100%ジュース、および、果物(ジュースではなく果実そのもの)の摂取量が把握され、それぞれ3回の調査の平均値を算出。それらの値と思春期後期の空腹時血糖値、HbA1c、インスリン抵抗性(HOMA-IR)との関連が検討された。この関連の解析に際しては、子どもの年齢、BMI(Zスコア)、生活習慣、食事の質、母親のBMI、社会経済的地位などの影響を調整した。 解析の結果、男子の場合、幼少期から思春期前期に加糖飲料を毎日約8オンス(約237mL)摂取していた場合に、思春期後期のインスリン抵抗性が34%高いことが分かった。インスリン抵抗性は、筋肉や肝臓などの細胞が、血液からブドウ糖を取り込みにくくなっていることを意味し、インスリン抵抗性の高い状態は2型糖尿病の発症リスクが高い。実際、この研究では、幼少期から思春期前期にかけて加糖飲料を毎日約8オンス摂取していた男子は、思春期後期の空腹時血糖値が5.6mg/dL高値であり、HbA1cは0.12%高かった。一方、女子では顕著なリスク上昇が見られなかった。 幼少期から思春期前期にかけて果汁100%ジュースを1日に1回摂取することは、男子では思春期後期のHbA1cが0.07%高いことと関連があったが、女子では0.02%というわずかな上昇にとどまっていた。なお、果物の摂取量に関しては、男子・女子ともに、2型糖尿病リスクに明らかな影響を及ぼしていないことが示された。 本研究には関与していない、米国心臓協会(AHA)の栄養委員会のメンバーであるPenny Kris-Etherton氏は、「2型糖尿病の発症リスクを示す複数の指標が、これほど若い時期から上昇していることは驚くべきことだ。これまでにも、加糖飲料の摂取を制限して、代わりに多くの栄養素を豊富に含んでいる果物を丸ごと摂取することが推奨されてきているが、報告された研究結果はその推奨の内容を支持するものである」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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1日30分座位時間を減らすと高齢者の血圧が低下

 高齢者に対し、座って過ごす時間を減らすためのシンプルな介入を6カ月間実施したところ、1日当たりの座位時間を30分以上減らすことに成功し、収縮期血圧も低下したとする研究結果が報告された。米カイザーパーマネンテ・ワシントン・ヘルスリサーチ研究所のDori Rosenberg氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に3月27日掲載された。 今回の研究の背景情報によると、高齢者は通常、起きている時間の65〜80%を座位で過ごしている。このような座位中心の生活は、心疾患や糖尿病を招きかねない。 Rosenberg氏らは今回、60〜89歳でBMIが30〜50の成人283人(試験開始時の平均年齢68.8歳、女性65.7%)を対象にランダム化比較試験を実施し、座位時間を減らし、血圧を改善することを目的にした介入の効果を検討した。対象者は、6カ月にわたってI-STANDと呼ばれる介入を受ける群(140人、介入群)と、そうした介入を受けない対照群(143人)にランダムに割り付けられた。I-STANDは座位行動を減らすために励ましや個別の目標設定を提供するもので、介入群に割り当てられた人は、健康的な生活に関する10回のコーチングセッションを受けたほか、ワークブックやスタンディングデスク、活動量計を提供された。また、試験開始時とその3カ月後には活動量計のデータに関するフィードバックも受けた。一方、対照群も健康的な生活に関するコーチングセッションを10回受けたが、その内容に立位や活動量を増やすことは含まれていなかった。 試験開始時には、147人(51.9%)が高血圧の診断を受けており、97人(69.3%)が1種類以上の降圧薬を服用していた。介入群での1日当たりの座位時間は、試験開始から3カ月後には平均31.44分、6カ月後には31.85分減少していた。また、介入群では6カ月後に収縮期血圧も平均3.48mmHg低下していた。 Rosenberg氏は、「これらの結果は非常に期待の持てるものだ。なぜなら、特に慢性的な痛みや身体能力の低下など、さまざまな制限を抱えて生活している可能性が高い高齢者にとって、座位時間を減らすことは身体活動を増やすよりも容易な変化だからだ」と話している。 研究グループは、今回の研究で得た知見をさらに進展させる可能性のあるいくつかのフォローアップ研究を検討しており、特に、この介入法を簡略化しても同様の効果が見込めるのかどうかに高い関心を抱いている。Rosenberg氏は、「どの要素が最も影響力があるのかは不明だ。座位時間を減らすために、スタンディングデスクや活動量計、10回のコーチングセッションの全てが必要なのか。それとも、そうした要素が一つか二つあれば間に合うのか。こうしたことを明らかにすることは、リソースの限られた医療現場でこの介入法を効果的に導入するための方法を検討する際に役立つだろう」と話している。研究グループはさらに、こうした介入が高齢者の転倒リスクや脳の健康に与える影響について調査することにも関心を示している。

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認知症の修正可能な3大リスク因子

 認知症のリスク因子の中で修正可能なものとしては、糖尿病、大気汚染、飲酒という三つの因子の影響が特に大きいとする研究結果が報告された。英オックスフォード大学のGwenaelle Douaud氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Communications」に3月27日掲載された。 Douaud氏らは脳画像データを用いて行った以前の研究で、アルツハイマー病やパーキンソン病、および加齢変化などに対して特に脆弱な神経ネットワークを特定している。このネットワークは、脳のほかの部分よりも遅れて思春期に発達し始め、高齢期になると変性が加速するという。今回の研究では、この脆弱な神経ネットワークの変性に関与している因子の特定を試みた。 研究には、英国で行われている一般住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」の参加者のうち、脳画像データやさまざまなライフスタイル関連データがそろっている3万9,676人(平均年齢64±7歳)のデータを利用。認知症リスクに影響を及ぼし得る161の因子と、脆弱な神経ネットワークの変性との関連を検討した。161の因子のうち、遺伝的因子などの修正不能のもの以外は、食事、飲酒、喫煙、身体活動、睡眠、教育、社交性、大気汚染、体重、血圧、糖尿病、コレステロール、聴覚、炎症、抑うつという15種類に分類した。 年齢と性別の影響を調整後の解析により、脆弱な神経ネットワークの変性への影響が強い修正可能な因子として、医師により診断されている糖尿病(r=-0.054、P=1.13E-24)、2005年時点の居住環境の二酸化窒素濃度(r=-0.049、P=5.39E-20)、アルコール摂取頻度(r=-0.045、P=3.81E-17)という三つの因子が特定された。また、遺伝的背景は多かれ少なかれ、脆弱な神経ネットワークの変性に影響を与えていることも分かった。 Douaud氏は、「われわれは既に特定の脳領域が加齢変化の初期に変性することをつかんでいたが、今回の研究により、その領域は糖尿病と交通関連の大気汚染、および飲酒に対しても脆弱であることが示された。また、その領域の変性は心血管死、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病のリスクにも関連があるようだ」と述べている。 論文共著者の1人である米テキサス大学リオグランデバレー校のAnderson Winkler氏は、「今回の研究は、脳の『弱点』とも言える脆弱な神経ネットワークに生じる変性のリスク因子について、その寄与の程度を定量的かつ網羅的に評価し得たことに意義がある」としている。

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1型糖尿病患者の血糖変動の認知機能への影響

 血糖値の変動が1型糖尿病患者の認知機能に影響を与える可能性のあることは古くから知られていたが、新たな研究によって、血糖値の変動パターンや患者の状態によって、認知機能への影響が異なることが明らかになった。血糖値が正常よりもわずかに高い時には、認知機能が高くなる傾向も見つかった。米マクリーン病院のLaura Germine氏らの研究によるもので、詳細は「npj Digital Medicine」に3月18日掲載された。 論文の上席著者であるGermine氏は、「われわれの研究結果は、血糖値が脳に与える影響が人によって大きく異なる可能性があることを示している。また脳の情報処理速度を最適化するには、日常生活において血糖値の変動を最小限に抑えることが重要であることが分かった。これは特に、高齢者、または糖尿病関連の何らかの問題がある人により強く当てはまる」と話している。 研究グループによると、血糖値の極端な低下や急速な上昇が、1型糖尿病患者の認知機能を損なう可能性があることは、以前から知られていたという。しかし、それがどの程度の頻度で起きるのか、あるいは人によって影響が異なるのかは不明だった。これらの不明点を明らかにするためにGermine氏らは、連続血糖測定システムを用いて200人の1型糖尿病患者(平均年齢45.7±15.6歳、HbA1c7.5±1.3%)の血糖値を15日間にわたって5分ごとに測定。その間、スマートフォンベースの認知機能テストを1日3回行った。 解析結果は予想通り、血糖値が非常に低いか非常に高い場合に、認知機能が低下することが確認された。ただし、機能の低下が観察されたのは情報処理速度のみであって、注意力に関しては関連が認められなかった。研究グループでは、情報処理速度は血糖値の瞬間的な変動に反応するのに対し、注意力はより長時間の変動が影響を及ぼすのではないかと考察している。 研究グループはまた、高齢者および、細小血管合併症を有するまたは倦怠感が強いなどの健康上の問題を抱えている1型糖尿病患者は、ほかの患者に比べて血糖変動による認知機能への影響という点で、脆弱である可能性も見いだした。論文の筆頭著者である同院のZoë Hawks氏は、「われわれの研究は、糖尿病が脳にどのような影響を与えるかを理解しようとする際に、1型糖尿病患者という集団としてだけでなく、個々の患者の違いを考慮することも重要であることを示している」と話している。 研究では驚くべき発見もあり、1型糖尿病患者では、血糖値が正常範囲よりわずかに高いときに、認知機能が最高になる傾向が認められた。「糖尿病患者は、健康と考えられる血糖値よりも高い血糖値の時に、気分が良いと報告することがあるため、これは重要な発見だった」と、論文の共著者の1人で米ワシントン州立大学のNaomi Chaytor氏は語っている。同氏は、「この現象は、脳が少し高い血糖値に慣れてしまった結果である可能性がある。よって、研究の次のステップでは、血糖値が高い時間帯を減少させ得る血糖管理を続けた後に、認知機能がピークとなる値が正常範囲にシフトするか否かを確認することだ」と付け加えている。

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セマグルチド、肥満関連の心不全・2型糖尿病に有効/NEJM

 肥満に関連した左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)と2型糖尿病を有する患者に対し、セマグルチドの週1回投与はプラセボ投与と比較し、1年時点で心不全関連の症状と身体的制限の軽減、および体重減少が大きかった。米国・Saint Luke's Mid America Heart InstituteのMikhail N. Kosiborod氏らSTEP-HFpEF DM Trial Committees and Investigatorsが、616例を対象とした無作為化試験の結果を報告した。肥満症と2型糖尿病は、HFpEF患者では一般的にみられ、症状の負荷が大きいことが特徴であるが、2型糖尿病を有する肥満に関連したHFpEFを標的とする治療法は、これまで承認されていない。NEJM誌2024年4月18日号掲載の報告。KCCQ-CSSと体重の変化を比較 研究グループは、BMI値が30以上で2型糖尿病を有するHFpEF患者を無作為に1対1の割合で2群に分け、セマグルチド(2.4mg)を週1回、またはプラセボをそれぞれ52週間投与した。 主要エンドポイントは、カンザスシティ心筋症質問票の臨床サマリースコア(KCCQ-CSS:0~100で数値が高いほど症状と身体的制限が少ない)のベースラインからの変化量、体重のベースラインからの変化率だった。 検証的副次エンドポイントは、6分間歩行距離の変化量と、階層的複合エンドポイント(死亡、心不全イベント、KCCQ-CSSの変化量の差、6分間歩行距離の変化量の差など)、およびC反応性蛋白(CRP)値の変化だった。KCCQ-CSS変化量平均値、セマグルチド群は13.7点、プラセボ群6.4点 2021年6月15日~2022年8月19日に計616例が無作為化された(セマグルチド群310例、プラセボ群306例)。52週時点で投与を受けていた(各群260例)被験者において、セマグルチドの計画用量2.4mgで投与を受けていた被験者は209例(80.4%)、プラセボの同用量投与被験者は248例(95.4%)であった。被験者の年齢中央値は69歳、女性が44.3%、BMI中央値は36.9、KCCQ-CSS中央値は59.4点、6分間歩行距離中央値は280mだった。 KCCQ-CSS変化量の平均値は、セマグルチド群13.7点、プラセボ群が6.4点だった(推定群間差:7.3点、95%信頼区間[CI]:4.1~10.4、p<0.001)。体重の変化率の平均値は、それぞれ-9.8%、-3.4%だった(推定群間差:-6.4%ポイント、95%CI:-7.6~-5.2、p<0.001)。 検証的副次エンドポイントの結果も、セマグルチド群がプラセボ群より良好だった。6分間歩行距離の変化量は、群間差の推定値14.3m(95%CI:3.7~24.9、p=0.008)、階層的複合エンドポイントのwin ratioは1.58(95%CI:1.29~1.94、p<0.001)、CRP値の変化に対する治療間比の推定値は0.67(95%CI:0.55~0.80、p<0.001)だった。 重篤な有害事象はセマグルチド群55例(17.7%)、プラセボ群88例(28.8%)で報告された。

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ACSへのPCI後1~12ヵ月でのチカグレロル単独vs.アスピリン併用/Lancet

 最新の薬剤溶出性ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)で1ヵ月間イベントフリーを維持した急性冠症候群(ACS)患者において、PCI後1~12ヵ月のチカグレロル単独投与は、チカグレロル+アスピリン投与に比べ、臨床的に重要な出血リスクを減少し、主要有害心脳血管イベント(MACCE)リスクが同等であることが示された。中国・南京医科大学のZhen Ge氏らが、3,400例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果を報告した。著者は、「先行研究の結果と照らし合わせ、この集団のほとんどの患者は1ヵ月間のDAPT後に、アスピリンの中止およびチカグレロル単独の維持療法による優れた臨床アウトカムを得られることが示された」とまとめている。Lancet誌2024年4月7日号掲載の報告。BARCタイプ2、3、5とMACCEのリスクを比較 本試験は、中国、イタリア、パキスタン、英国の医療センター58施設で行われた。血管内超音波ガイド下PCIに関するIVUS-ACS試験を完了し、DAPTによる1ヵ月の治療期間に重大な虚血性または出血性イベントがなかった18歳以上のACS患者を、経口チカグレロル(90mg、1日2回)+経口アスピリン(100mg、1日1回)を投与する群、または経口チカグレロル(90mg、1日2回)+適合プラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。PCI後1ヵ月時点から投与を開始し12ヵ月時点で終了した(計11ヵ月間投与)。無作為化はWebベースシステムを用いて行い、ACSタイプ、糖尿病の有無、IVUS-ACS試験での無作為化、試験地域で層別化した。 優越性の主要エンドポイントは、臨床的に重要な出血(BARC出血基準タイプ2、3、5)だった。非劣性の主要エンドポイントは、MACCE(心臓死、心筋梗塞、虚血性脳卒中、ステント血栓症[definite]、臨床的要因による標的血管の再血行再建術の複合)だった。PCI後1~12ヵ月のチカグレロル+アスピリン群のイベント発生率の予測値は6.2%で、非劣性マージン絶対値は2.5ポイントとした。 2つのエンドポイントは連続的に検証した。すなわち、優越性の主要エンドポイントの達成が示されてから、MACCEアウトカムの仮説検証を行うこととした。すべての主要な解析はITT集団で評価した。臨床的に重要な出血イベントリスク、チカグレロル単独群で0.45倍に 2019年9月21日~2022年10月27日に、IVUS-ACS試験の被験者3,505例のうち、3,400例(97.0%)が無作為化され(アスピリン併用群1,700例、チカグレロル単独群1,700例)、3,399例(>99.9%)が12ヵ月の追跡期間を完了した。 PCI後1~12ヵ月で臨床的に重要な出血イベントが発生した患者は、チカグレロル単独群35例(2.1%)、アスピリン併用群78例(4.6%)だった(ハザード比[HR]:0.45、95%信頼区間[CI]:0.30~0.66、p<0.0001)。 MACCEは、チカグレロル単独群61例(3.6%)、アスピリン併用群63例(3.7%)で発生した(絶対群間差:-0.1%[95CI:-1.4~1.2]、HR:0.98[95%CI:0.69~1.39]、非劣性のp<0.0001、優越性のp=0.89)。

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