サイト内検索|page:37

検索結果 合計:5099件 表示位置:721 - 740

721.

糖尿病の第6の合併症は歯周病(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師今、歯科にかかっています。それはいいですね。いつまでも食事を楽しむには、お口の健康が大切ですからね。それに…。それに?「歯周病」は神経障害・網膜症・腎症の3大合併症、心疾患や脳卒中などの動脈硬化性疾患に次いで6番目の合併症と言われています。糖尿病の人は歯周病に2倍以上なりやすいというデータもあります。患者 糖尿病の6番目の合併症!医師 そうなんです。糖尿病になると歯周病になりやすくなり、歯周病が原因で歯を失うと硬いものが食べられなくなってバランスの悪い食事になります。それに食感が変わっておいしく食べられないし、表情が変わったり、喋りにくくなる人もいますからね。画 いわみせいじ患者 確かに、野菜とかは食べにくくなりますね。医師 逆に、お口のケアを上手にすると血糖コントロールもよくなるそうです。患者 えっ、そうなんですか。それなら、きっちりと歯の治療をしておかないといけませんね。医師 よろしくお願いしますね。ポイント高血糖だと歯周病が進行し、歯周病になると血糖コントロールが悪くなる負の連鎖があることをわかりやすく説明します。Rをカ行(関連性、危険性、効果、懸念、繰り返し)で覚えておくと便利です。Copyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

722.

臓器不全の重篤患者、ICU治療にSGLT2阻害薬追加は有益か?/JAMA

 急性臓器不全を呈した重篤患者に対し、標準的なICU治療にSGLT-2阻害薬ダパグリフロジンを追加しても臨床アウトカムは改善しなかった。一方で、信頼区間(CI)値の範囲が広く、ダパグリフロジンに関連する有益性または有害性を排除できなかったという。ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのCaio A. M. Tavares氏らDEFENDER Investigatorsが多施設共同無作為化非盲検試験「DEFENDER試験」の結果を報告した。SGLT-2阻害薬は、糖尿病、心不全、慢性腎臓病(CKD)を有する患者のアウトカムを改善するが、臓器不全を呈した重篤患者のアウトカムへの効果は不明であった。JAMA誌2024年8月6日号掲載の報告。ダパグリフロジン10mg+標準ICU治療vs.標準ICU治療のみ DEFENDER試験は、ブラジルの22ヵ所のICUで行われた。2022年11月22日~2023年8月30日に、少なくとも1つ以上の臓器不全(呼吸器、心血管、腎臓)を呈した予定外のICU入室患者を登録し、2023年9月27日まで追跡調査した。 被験者は、ダパグリフロジン10mg+標準ICU治療を受ける群(ダパグリフロジン群)または標準ICU治療のみを受ける群(対照群)に無作為化され、最長14日間またはICU退室のいずれかの初発まで治療を受けた。 主要アウトカムは院内死亡率、腎代替療法の開始、および28日間のICU入室の階層的複合で、解析にはWin Ratio法(win比で評価)を用いた。 副次アウトカムは、主要アウトカムの各項目、臓器サポートを要さない日数、ICU入室期間、入院期間などで、ベイズ回帰モデルを用いて評価した。主要複合アウトカム、ダパグリフロジン群で有意に減少せず 507例が無作為化された(ダパグリフロジン群248例、対照群259例)。平均年齢は63.9歳(SD 15)、女性は46.9%。39.6%は感染症の疑いによるICU入室であった。ICU入室から無作為化までの期間中央値は1日(四分位範囲:0~1)。 最長14日間のダパグリフロジン10mgの使用は、主要複合アウトカムの発生を有意に減少しなかった。無作為化後28日間のダパグリフロジン群のwin比は1.01(95%CI:0.90~1.13、p=0.89)であった。 すべての副次アウトカムにおいて、ダパグリフロジンの有益性の確率が最も高かったのは、腎代替療法の使用に関するものであった。腎代替療法導入の報告は、ダパグリフロジン群27例(10.9%)、対照群39例(15.1%)であった(ダパグリフロジンの有益性の確率0.90)。

723.

1型糖尿病の子どもたちは「糖尿病の苦痛」にさらされている

 1型糖尿病の子どもは、いくつかのメンタルヘルス上の問題を抱えることが多いとする研究結果が報告された。英ケンブリッジ大学およびチェコ共和国国立精神保健研究所のTomas Formanek氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Mental Health」に7月17日掲載された。 報告された研究によると、1型糖尿病の子どもは糖尿病のない子どもに比べて、気分障害を発症する可能性が2倍以上高く、不安症に苦しむ可能性は50%高く、また摂食障害や睡眠障害などの行動上の問題が発生する可能性は4倍以上高いという。ただし、この研究結果は同時に、このようなメンタルヘルス疾患が、1型糖尿病という病態が原因で引き起こされるものではないことも示唆しており、「子どもたちが抱えるこのようなリスクは、むしろ慢性疾患を継続的に管理し続けることに伴う『糖尿病の苦痛』が原因のようだ」と、著者らは述べている。 1型糖尿病は、インスリンを生成している膵臓のβ細胞を免疫系が攻撃することで発症する。β細胞がダメージを受けると、インスリンを生成する能力が失われるため、生存のためにインスリン療法が必要となる。治療は生涯にわたり、日々、絶え間ない自己管理の負担に直面する。また、偏見や差別、自己効力感の低下、将来の合併症の不安、経済的な負担などによるストレスが生じやすく、これらを「糖尿病の苦痛(diabetes distress)」と呼ぶことがある。これまでにもこのような糖尿病の苦痛が、1型糖尿病の子どもたちのメンタルヘルス状態を悪化させたり、自己管理に悪影響を及ぼしたりする可能性が指摘されていた。 Formanek氏らの研究では、チェコ共和国の1型糖尿病の子どもたち4,500人以上の患者登録データが用いられた。データ解析の結果、1型糖尿病の子どもたちに見られるメンタルヘルス関連の問題は、この病気を発症後には常に食事の摂取量を判断したり、血糖値をチェックしたり、インスリンを注射したりしなければならないといった、生活に大きな変化を強いられることに起因するものである可能性が見いだされた。また、社交行事へ参加する機会が減ったり、ほかの子どもたちや教師、さらには家族からも孤立していると感じたりすることも少なくないという実態が明らかになった。 その影響もあって前述のように、1型糖尿病の子どもたちの間で、不安症や摂食障害、睡眠障害などが多く見られた。ただし、統合失調症などの精神疾患を発症するリスクは低く、同年代の子どもたちの約2分の1だった。 論文の上席著者であるケンブリッジ大学のBenjamin Perry氏は、「1型糖尿病患者は『糖尿病の苦痛』を経験しやすいことが知られている。その苦痛には、血糖値に対する極度のフラストレーションや孤立感なども含まれると考えられ、成人でも燃え尽き症候群や絶望感、あるいはコントロールの放棄につながる可能性がある。そのため、1型糖尿病の子どもたちが成人するまでの間に、メンタルヘルス上の問題が顕在化するリスクが高いとしても、不思議なことではない」と述べている。

725.

ドライフルーツは2型糖尿病リスクを上げる?下げる?

 ドライフルーツの摂取が2型糖尿病の発症に及ぼす影響については、議論が分かれている。そこで、中国・西安交通大学のJianbin Guan氏らはメンデルランダム化解析を用いた研究を実施した。その結果、ドライフルーツの摂取は2型糖尿病の発症リスク低下と関連することが示された。本研究結果は、Nutrition & Metabolism誌2024年7月10日号で報告された。 本研究では、ドライフルーツの摂取に関連する遺伝子データは、UKバイオバンクに登録された約50万例のうち、ドライフルーツの摂取に関するデータが得られた42万1,764例から取得した。2型糖尿病に関する遺伝子データは、IEU GWASデータベースに登録された2型糖尿病患者6万1,714例、対照59万3,952例から取得した。主な解析方法として、逆分散加重(IVW)法を用いて、ドライフルーツの摂取と2型糖尿病のリスクとの関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・ドライフルーツの摂取と関連があり、操作変数の条件を満たす一塩基多型(SNP)が36個抽出された。・IVW法を用いた解析において、ドライフルーツの摂取は2型糖尿病リスクを有意に低下させた(ドライフルーツの摂取量が1標準偏差増加するごとのオッズ比[OR]:0.392、95%信頼区間[CI]:0.241~0.636、p=0.0001)。・加重中央値法を用いた解析においても、ドライフルーツの摂取は2型糖尿病リスクを有意に低下させた(OR:0.468、95%CI:0.306~0.717、p=0.0003)。・感度分析において、36個のSNPには異質性がみられたが、水平多面発現(horizontal pleiotropy)によるバイアスは認められず、leave-one-out解析ではいずれのSNPを1個除外しても解析結果に影響を及ぼさなかったため、メンデルランダム化解析の頑健性が確認された。

726.

第205回 ポストコロナ時代、地域医療の存続に向けた病院の新たなアプローチとは?

毎週月曜日に先週にあった行政や学会、地域の医療に関する動きを伝える「まとめる月曜日」。今回は特別編として「すこし未来の地域医療の姿」について井上 雅博氏にご寄稿いただきました。新型コロナが医療・介護にもたらした影響とは今春、6年に1度のタイミングで医療報酬、介護報酬、障害福祉サービスの報酬が同時に改定されました。今回の改定では、医療と介護の連携の必要性を強く求めると同時に、マイナンバーカードの普及により医療情報の利活用を促進し、高血圧、脂質異常症、糖尿病を中心に診療を行っていた医療機関では「療養計画書」の作成などの対応に追われました。改定後、全国の病院関係者からは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大時に救急患者の受け入れや転院、退院支援で苦労したのが、第11波の現在では、患者不足で病床が埋まらず、病床稼働率の低下が囁かれるようになったという声が聞かれます。もちろん、COVID-19のワクチン接種による軽症化や治療薬の開発による早期治療開始による早期退院が可能となったことが大きいとは思います。しかし、それ以外の原因として、感染拡大によって定期的な健康診断やがん検診によって発見された手術適応患者の紹介の減少が目立っていることが挙げられます。さらに、後期高齢者の場合、入院しても手術適応とならない方が増えている可能性があります。私が以前勤務していた広島県福山市の脳神経センター大田記念病院では、最新の統計によれば中央値では過去5年間大きな変動はないものの、高齢者層の増加(とくに90歳以上)が報告されています。じわじわと来る診療報酬改定の影響現在、病院が直面している経営課題は、昨年秋以降、コロナ対策の医療機関への病床確保基金などの制度が廃止され、以前の診療報酬体制に戻ったにも関わらず、患者の受診行動が変化してしまい、COVID-19拡大が落ち着いても元通りにならなかったという点です。このため、病床稼働率低下に加え、今春の改定で厳しくなった重症度、医療・看護必要度の対応で、10月からの病床再編や加算の対応に頭を悩ませている病院が多いと思います。さらに、原油高やエネルギー価格高騰に加え、デフレからインフレへの転換による経営環境の変化、人件費の増加といった影響も大きく、経営環境が激変しています。診療報酬改定では医療・介護職員の処遇改善のために賃上げの財源としてベースアップ評価料の算定が可能になりましたが、目新しい加算項目は少なく、サイバーセキュリティの強化など追加支出が求められているため、医療機関にとっては厳しい状況です。また、医療機関で問題となっているのは人手不足です。介護系サービス事業者は、高齢者の増加に備え設備投資を行い、施設を増やしてきましたが、現場に投入する医療・介護人材が必要となるため、医療機関よりも賃上げを先行して実施しており、同じ職種でも介護サービス事業者の賃金が高い状態になっています。さらに都市部では、コロナ禍にサービスを縮小していたホテル、飲食業などのサービス業界での人材不足が深刻化し、異業種との人材獲得競争も厳しくなっています。医療機関に求められる新たな「医療の形」病床稼働率の低下という現状を乗り切るための唯一の解決方法は、患者のニーズに応えることです。しかし、急性期の医療機関は専門医が多く、スペシャリストとして専門診療は得意である一方、後期高齢者のように2つ以上の慢性疾患が併存し、診療の中心となる疾患の設定が難しい「Multimorbidity(多疾患併存)」の場合、診療科ごとに縦割り構造のため、患者をチームで診ていると言いながら、病院内で診療科間の連携が取れていない、かかりつけ医や介護サービス事業者との連携協力が不十分なため、退院後にも内服薬の治療中断や退院前の指導不足による病状の悪化など、同じ患者が何回も入退院を繰り返す例が少なくありません。今後は、高度な急性期の医療機関は変わる必要がありそうです。とくに、在宅医やかかりつけ医との退院前のカンファレンスの開催や紹介状の内容の充実、情報共有の進化が必要ですが、多忙な急性期病院の医師がこれらを行うのは難しいと感じています。現状の解決手段としては、医師事務補助作業者の活用による書類作成の充実、退院サマリーや紹介状の作成業務のクオリティの向上が考えられます。また、今後は電子カルテにAIを導入し、カルテ内容の要約自動化を進めることや連携医療機関とカルテの開示を進めることが求められます。さらに、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟のある医療機関から退院する場合に、退院後のケアを担当する医療、福祉職へのわかりやすい指導(たとえば体重が〇kg以上増えたら早期に専門医に受診、食事や体重が減ったらインスリンは〇単位減量など)が求められると考えます。政府が模索する「新たな地域医療構想」の時代へ厚生労働省は、社会保障制度改革国民会議報告書に基づき、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年に向けて、地域医療構想を策定するよう各都道府県に働きかけてきました。厚労省は地域医療構想を「中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質・量の変化を見据え、医療機関の機能分化・連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的とするもの」と定義しています。現状、2025年を目指していた「地域医療構想」はほぼ完成形に近付いているように思います。高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床区分は、各医療機関の立ち位置を明確にし、担うべき役割と連携協力機関をはっきりさせることで、独立した医療機関が有機的に医療・介護連携を行い、全国の2次医療圏内で完結できるよう基盤整備を進めてきました。厚労省は、今後の日本が迎える「高齢者が増えない中、むしろ労働人口が減少していく」2040年を見据え、今年3月から「新たな地域医療構想等に関する検討会」を立ち上げました。地域によっては高齢化の進行によって外来患者のピークを過ぎた2次医療圏も増えています。これは国際医療福祉大学の高橋 泰教授らが作成した2次医療圏データベースシステムからも明らかになっています。これまで、医師や看護師といった人材リソースを増やすことで充実させてきた医療のあり方が変わる中、その地域でいかに残っていくのかを考える必要があります。そのために、最近読んでいる本を紹介します。今後の病院、クリニック運営を考える際の一助になりましたら幸いです。『病院が地域をデザインする』発行日2024年6月14日発行クロスメディア・パブリッシング発売インプレス定価1,738円(1,580円+税10%)https://book.cm-marketing.jp/books/9784295409861/著者紹介梶原 崇弘氏(医学博士/医療法人弘仁会 理事長/医療法人弘仁会 板倉病院 院長/日本大学医学部消化器外科 臨床准教授/日本在宅療養支援病院連絡協議会 副会長)千葉県の船橋市にある民間病院である板倉病院(一般病床 91床)の取り組みとして、救急医療、予防医療、在宅医療の提供、施設や在宅との連携を通して「地域包括ケア」の展開や患者に求められる医療機関の在り方など先進的な取り組みが、とても参考になります。ぜひ一度、手に取ってみられることをお勧めします。参考1)新たな地域医療構想等に関する検討会(厚労省)2)社会保障制度改革国民会議報告書(同)3)外来医療計画関連資料(同)4)診療報酬改定2024 「トリプル改定」を6つのポイントでわかりやすく解説!(Edenred)5)2次医療圏データベースシステム(Wellness)5)医療の価格どう変化? 生活習慣病、医師と患者の「計画」で改善促す(朝日新聞)

727.

事例005 生活習慣病管理料の算定の流れ【斬らレセプト シーズン4】

解説令和6(2024)年度診療報酬改定にて、「B001-3 生活習慣病管理料」(以下「管理料」)の算定方法が緩和されました。従来の包括報酬を管理料(I)とし、出来高算定ができる「B001-3-3 管理料(II)」も設定されました。特定疾患対象である「脂質異常症」、「高血圧症」、「糖尿病」が「B000 特定疾患療養管理料」の算定要件から外されたこと、施設基準が設定されたことを理由に、算定方法に対する質問が多く寄せられています。とくに多くの医師から管理料(II)を採用したいと問い合わせがあります。管理料(II)は、従来の特定疾患療養管理料と特定疾患処方管理加算を加えた点数とほぼ変わりません。比較的簡単かつ手厚い診療が可能となる点数です。今回は、規定に則り算定をされるための留意事項をお届けいたします。1)算定前に次の内容の院内掲示が必要です。(1)生活習慣病管理料の算定を行っている医療機関であること(2)28日分以上の長期処方とリフィル処方箋の発行が可能であること2)3つの該当疾患のうち1つを主病としている患者に対して、生活習慣病管理の対象となることを告げて管理開始の了解を口頭で得ます。診療録にその旨を必ず記載します。3)療養計画書(別紙様式9)にて指定された検査を医学的必要性に応じて行い、その結果を参照して、疾患の改善を行うための初回の療養計画書を作成します。4)次回、再診時以降に療養計画の説明を行います。療養計画の説明は、必ず医師が行い患者の申し出事項(たとえば運動するなど)を追記、患者からその場で承諾の署名*をいただいてください。サイン入り療養計画書を診療録に添付して算定開始です。医師の説明以降に看護師や管理栄養士などからの補足説明も推奨されています。糖尿病を主病とする場合は、歯科の受診を勧めることが必須となります。いずれも診療録に簡潔な記録が必要です。*補足説明後署名でも良いのですが、医師の前で署名するほうが効果があるため。5)2回目以降の療養計画は別紙様式9の2を使用して4ヵ月に1度以上の説明が必要です。診療録への添付と記載は必須です。2回目以降には患者サインの必要はありません。6)施設基準が設定されていますが、届出の必要はありません。施設基準を満たしていることは、公的機関から求められたときに診療録を提示して示します。診療録への必要充分な記録が認められない場合は、診療報酬の返還を求められる場合があります。7)管理料は、医療機関内で管理料(I)と管理料(II)の混在ができます。患者の状態に応じた使い分けができます。ただし、管理料(I)から(II)への変更には(I)の算定後6ヵ月以上を経過しないと(II)が算定できないことに留意をお願いします。

728.

スタチンの使用はパーキンソン病リスクの低下と関連

 日本人高齢者を対象とした大規模研究により、スタチンの使用はパーキンソン病リスクの低下と有意に関連することが明らかとなった。LIFE Study(研究代表者:九州大学大学院医学研究院の福田治久氏)のデータを用いて、大阪大学大学院医学系研究科環境医学教室の北村哲久氏、戈三玉氏らが行った研究の結果であり、「Brain Communications」に6月4日掲載された。 パーキンソン病は年齢とともに罹患率が上昇し、遺伝的要因や環境要因などとの関連が指摘されている。また、脂質異常症治療薬であるスタチンとパーキンソン病との関連を示唆する研究もいくつか報告されているものの、それらの結果は一貫していない。血液脳関門を通過しやすい脂溶性スタチンと、水溶性スタチンの違いについても、十分には調査されていない。 そこで著者らは、LIFE Studyの2014年~2020年の健康関連データを用いて、コホート内症例対照研究を行った。65歳以上の高齢者で、追跡中にパーキンソン病を発症した人を症例、症例1人に対してコホート参加時の年齢、性別、市町村、参加年をマッチさせた対照5人を選択し、解析対象は症例9,397人と対照4万6,789人とした(女性53.6%)。スタチンは脂溶性(アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン)と水溶性(プラバスタチン、ロスバスタチン)に分類し、コホート参加時からの累積投与量の指標として、標準化1日投与量の合計(total standardized daily dose;TSDD)を算出した。 条件付きロジスティック回帰を用い、先行研究に基づいて併存疾患の有無を調整して解析した結果、スタチン使用は非使用と比較して、パーキンソン病リスクの低下(オッズ比0.61、95%信頼区間0.56~0.66)と有意に関連していることが明らかとなった。この関連は性別にかかわらず、男性(同0.62、0.54~0.70)と女性(同0.60、0.54~0.68)ともに認められた(交互作用P=0.71)。また、年齢層ごとに検討した場合も、65~74歳(同0.57、0.49~0.66)、75~84歳(同0.60、0.53~0.68)、85歳以上(同0.73、0.59~0.92)のいずれも同様の関連が認められた(交互作用P=0.17)。 全体として、スタチンの累積投与量が多いほどパーキンソン病リスクが低いことも明らかとなった。具体的には、TSDD 0(投与なし)の人と比較して、TSDD 1~30ではリスク上昇(同1.30、1.12~1.52)と関連していた一方で、TSDD 31~90(同0.77、0.64~0.92)、TSDD 91~180(同0.62、0.52~0.75)、TSDD 181以上(同0.30、0.25~0.35)ではリスク低下と関連していた。また、脂溶性スタチン(同0.62、0.54~0.71)と水溶性スタチン(同0.62、0.55~0.70)のどちらも、パーキンソン病リスク低下と関連していることが示された。 以上から著者らは、「日本人高齢者において、スタチン使用とパーキンソン病リスク低下との間に有意な関連が認められた。スタチンの累積投与量が多いほど、パーキンソン病の発症に対して予防効果を示した」と述べている。スタチンによる予防効果のメカニズムについては、脳動脈硬化の低下やドーパミン作動性神経細胞の生存などによる可能性が考えられるとして、この予防効果をより正確に評価するため、さらなる研究の必要性を指摘している。

729.

COPD・喘息の早期診断の意義(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 COPD(chronic obstructive pulmonary disease:慢性閉塞性肺疾患)は2021年の統計で1万6,384例の死亡者数と報告されており、「健康日本21(第三次)」でもCOPDの死亡率減少が目標として掲げられている。気管支喘息も、年々死亡者数は減少しているとはいえ、同じく2021年の統計で1,038例の死亡者数とされており、ガイドラインでも「喘息死を回避する」ことが目標とされている。いずれも疾患による死亡を減少させるために、病院に通院していない、適切に診断されていないような症例をあぶり出していくことが重要と考えられている。しかしながら、疾患啓発や適正な診断は容易ではない。現在、COPD前段階ということで、「Pre COPD」や「PRISm」といった概念が提唱されている。閉塞性換気障害は認めないが画像上での肺気腫や呼吸器症状を認めるような「Pre COPD」や、同じく1秒率が閉塞性換気障害の定義を満たさないが、%1秒量が80%未満となるような「PRISm」であるが、それらの早期発見や診断、そして治療介入などが死亡率の減少に寄与しているかどうかについては明らかになっていない。 今回NEJM誌から取り上げるカナダ・オタワ大学からの「UCAP Investigators」が行った報告では、症例発見法を用いたCOPD・気管支喘息の診断と治療により、呼吸器疾患に対する医療の利用が低減することが示された。約3万8,000例の中から、595例の未診断のCOPD・喘息が発見され、介入群と通常治療群に分けられ、呼吸器疾患による医療利用の発生率が評価されている。ガイドラインによる治療を順守するような呼吸器専門医の介入により、被検者の医療利用は有意に低下することが報告された。早期診断・治療を受けることにより、SGRQスコアとCATスコアや1秒量が改善することが示され、症例の健康維持に寄与することが期待されている。また、早期診断することにより、自らの病状の理解や自己管理の重要性を認識することも重要と考えられる。 一見、病気はすべて早期発見・早期治療が良いように思われるが、いくつかの問題点も考えられる。1つは軽症や無症状の症例が診断されることにより、生命予後に寄与しない治療が施される可能性がある。診断された患者は不安や精神的・心理的なストレスを抱えることも懸念される。2つ目に、限りある医療資源を消費してしまうことが推測される。呼吸器専門医や呼吸器疾患に携わる医療者は本邦でも潤沢にいるわけではなく、呼吸器専門医が不在の医療機関も少なくない。より重症や難治例のために専門医の意義があるわけで、軽症例や無症状の症例に対してどこまで介入できるか、忙しい日本の臨床の現場では現実的ではない部分が大きい。3つ目には薬物療法の早期開始により、副作用リスクがメリットを上回る可能性も不安視される。とくに吸入ステロイドによる局所の感染症や糖尿病や骨粗鬆症のリスクは、長期使用となると見逃すことはできないのだろう。 いずれにしても症例発見法は簡便であり多くの医療機関で導入可能と筆者は訴えているが、COPD・喘息の早期診断・早期介入が医療利用の低減のみならず、長期予後や死亡率の減少などにつながるかどうか、より長期的な検討が必要なのだろう。

730.

何はさておき記述統計 その7【「実践的」臨床研究入門】第46回

変数の型とデータ記述方法の使い分け前回は交絡因子について解説し、われわれのResearch Question(RQ)の交絡因子として下記の要因を挙げました(連載第45回参照)。年齢、性別、糖尿病の有無、血圧、eGFR、蛋白尿定量、血清アルブミン値、ヘモグロビン値今回からは、仮想データ・セットからこれらの交絡因子のデータを「低たんぱく食厳格遵守群」と「低たんぱく食非厳格遵守群」に分けて記述し、表を作成していきます。これは論文の表1として示されることの多い、いわゆる「患者背景表」となります。実際に表を作成してみる前に、まずは変数の型とデータ記述方法の使い分け、について説明します。変数の型は連続変数とカテゴリ変数に大別されます。連続変数は量を表す変数です。前述した交絡因子では年齢や血圧などの測定値、eGFR、蛋白尿定量、ヘモグロビン値や血清アルブミン値という臨床検査値、が連続変数です。カテゴリ変数は性質を表す変数で、名義変数、順序変数が該当します。今回挙げた交絡因子のうち性別と糖尿病の有無、が順序のない2値(1 or 0)の名義変数となります。ここからは、無料の統計解析ソフトであるEZR(Eazy R)の操作手順を含めて解説します(連載第43回参照)。表1の作成に必要な仮想データ・セットを以下の手順でEZRに取り込んでみましょう。仮想データ・セットをダウンロードする※ダウンロードできない場合は、右クリックして「名前をつけてリンク先を保存」を選択してください。「ファイル」→「データのインポート」→「Excelのデータをインポート」取り込んだ仮想データ・セットの内訳を下記に示します。A列:id 患者IDB列:treat 比較群分け(カテゴリ変数 1;低たんぱく食厳格遵守群、0;低たんぱく食非厳格遵守群)C列:age 年齢(連続変数)D列:sex 性別(カテゴリ変数 1;男性、0;女性)E列:dm 糖尿病の有無(カテゴリ変数 1;糖尿病あり、0;糖尿病なし)F列:sbp 収縮期血圧(連続変数)G列:eGFR (連続変数)H列:UP 蛋白尿定量 (連続変数)I列:albumin 血清アルブミン値(連続変数)J列:hemoglobin ヘモグロビン値(連続変数)それでは、連続変数のデータ記述方法について説明します。連続変数データの代表値としては平均値(Mean)や中央値(Median)が使われます。また、連続変数データのばらつきを示す値としては標準偏差(Standard deviation:SD)や範囲(Range)、もしくは四分位範囲(Inter-quartile range:IQR)を用いる場合があります。それぞれの使い分けについては、実際にEZRを操作しながら説明します。連続変数を記述する際、まずはヒストグラム(度数分布図)を確認してみましょう。EZRでは下記の手順でヒストグラムを描くことができます。「グラフと表」→「ヒストグラム」を選択すると、ポップアップウィンドウが開きますので、まずは下記のとおりに変数や設定を選択してみてください。年齢のヒストグラムが比較群分けごとに示されています。想定のとおり、低たんぱく食厳格遵守群(treat=1)は、低たんぱく食非厳格遵守群(treat=0)より年齢の分布が若干若いようです(連載第45回参照)。このヒストグラムのように、その連続変数データの分布が一峰性(ひとやま)でおおむね左右対称で正規分布に近似している場合は、その代表値を平均値(Mean)で、そのばらつきを標準偏差(SD)で記述することができます。しかし、臨床研究における連続変数のデータは正規分布に近似するものばかりではありません。たとえば、下記のように「ヒストグラム」のポップアップウィンドウで蛋白尿定量であるUPを選択し、「OK」ボタンをクリックしてみてください。ネフローゼ症候群の患者は対象から除外されていることもあり(連載第40回参照)、多くのデータがUP2g/日以下に偏り、右に裾を引いたようなヒストグラムになっています。このような形状のデータ分布の場合、代表値としては中央値(Median)、データのばらつきを示す値としては四分位範囲(IQR)、もしくは最小値から最大値という範囲(Range)で示すことが望まれます。なお、カテゴリ変数データの記述方法は簡単です。カテゴリ変数はカテゴリ別の頻度か割合で報告しますが、データ数の大きさによって、下記に示したような使い分けが慣例的に推奨されています。データ数が100以上:小数点以下1桁までの割合(%)データ数が100未満20以上:整数の割合(%)データ数が20未満:割合は使用せず、頻度の実数

731.

運動不足気味の糖尿病患者さんへの運動指導(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者最近、血糖値が上がってきて…。確かに、空腹時の血糖値はいいのですが、平均血糖値のHbA1cが高いので食後に血糖値が上がっているかもしれませんね。なるほど。どうやったら、血糖値が下がりますか?そうですね。確か〇〇さんの仕事はデスクワークが中心でしたね。そうです。デスクワークが中心で運動不足気味です…。なるほど。家での過ごし方はいかがですか?家でもスマホをみながら、ゴロゴロしていることが多いです。なるほど。座る時間が長くなると、血糖値が上がりやすくなると言われていますからね。やっぱり、座り過ぎがよくないんですね。そうですね。30分に1回、立ち上がって軽い運動ができるといいですね。わかりました。30分に1回ですね。頑張って立ち上がってみます。画 いわみせいじポイント食後に30分おきに軽い運動を行うことで、食後高血糖が改善することを説明します。Copyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

732.

中年期~高齢期の血漿バイオマーカー、認知症発症との関連を解析/JAMA

 米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のYifei Lu氏らは、中年期から高齢期にかけての血漿バイオマーカーの変化とすべての認知症との関連を、米国で行われた前向きコホート試験「Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)試験」の参加者データを用いて後ろ向き解析にて調べた。アルツハイマー病(AD)の神経病理、神経損傷、アストログリオーシスを示す血漿バイオマーカー値は加齢とともに上昇し、既知の認知症リスク因子と関連していた。また、AD特異的バイオマーカーと認知症の関連は中年期に始まり、高齢期のAD、神経損傷、アストログリオーシスの血漿バイオマーカー測定値は、すべてが認知症と関連していた。血漿バイオマーカーは、AD病理と神経変性に関する費用対効果の高い非侵襲的なスクリーニングになると大きな期待が寄せられているが、発症前に関しては十分に解明されておらず、多様な集団や生涯にわたる追加の調査が必要とされていた。JAMA誌オンライン版2024年7月28日号掲載の報告。Aβ42/Aβ40比、p-tau181、GFAPを評価 研究グループは、ARIC試験の参加者1,525例について、参加者全員および地域で暮らすサブグループにおける、血漿バイオマーカーの経時的変化および、それらとすべての認知症との関連を後ろ向き解析にて評価した。 血漿バイオマーカーは、中年期(1993~95年、平均年齢58.3歳)と高齢期(2011~13年、平均年齢76.0歳、フォローアップ:2016~19年、平均年齢80.7歳)に採取された保存検体を用いて測定。中年期のリスク因子(高血圧、糖尿病、脂質、冠動脈性心疾患[CHD]、喫煙、身体活動)を評価し、それらと血漿バイオマーカーの経時的変化との関連を評価した。また、バイオマーカーとすべての認知症発症との関連を、2011~13年に認知症を発症しておらず1993~95年および2011~13年にバイオマーカー測定を受けたサブグループ(1,339例)で評価した。 血漿バイオマーカーは、アミロイドβ(Aβ)42/Aβ40比、phosphorylated tau at threonine 181(p-tau181)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)を、Quanterix Simoaプラットフォームを用いて測定した。 すべての認知症の発症は、2012年1月1日~2019年12月31日の期間に、神経心理学的評価、半年ごとの参加者または情報提供者との接触および医療記録サーベイランスによって確認した。中年期のAD特異的バイオマーカー、高齢期認知症と長期に関連 参加者1,525例(平均年齢58.3歳[SD 5.1])のうち、914例(59.9%)が女性、394例(25.8%)が黒人であった。総計252例(16.5%)が認知症を発症した。 中年期から高齢期にかけて、Aβ42/Aβ40比の減少、p-tau181、NfLおよびGFAPの上昇が観察された。これらバイオマーカーの変化は、アポリポタンパク質Eε4(APOEε4)アレルを持つ参加者でより急速だった。 また、中年期から高齢期のバイオマーカーの変化率は、中年期に高血圧を有する参加者のほうが有さない参加者と比べてより大きかった(NfLの変化率の群間差:0.15 SD/10年など)。中年期に糖尿病を有する参加者は有さない参加者と比べて、NfL(変化率の群間差:0.11 SD/10年)、GFAP(同0.15 SD/10年)の変化が急速だった。 中年期ではAD特異的バイオマーカーのみが、高齢期認知症と長期にわたって関連していた(Aβ42/Aβ40比の1 SD低下当たりのハザード比[HR]:1.11[95%信頼区間[CI]:1.02~1.21]、p-tau181の1 SD上昇当たりのHR:1.15[95%CI:1.06~1.25])。 高齢期のすべての血漿バイオマーカーは、高齢期認知症と統計学的有意に関連しており、NfLとの関連が最も大きかった(HR:1.92、95%CI:1.72~2.14)。

733.

忽那氏が振り返る新型コロナ、今後の対策は?/感染症学会・化学療法学会

 2024年8月2日の政府の発表によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の定点当たりの報告数は14.6人で、昨夏ピーク時(第9波)の20.5人に迫る勢いで12週連続増加し、とくに10歳未満の感染者数が最も多く、1医療機関当たり2.16人だった。週当たりの新規入院患者数は4,579人で、すでに第9波および第10波のピークを超えている1)。 大阪大学医学部感染制御学の忽那 賢志氏は、これまでのコロナ禍を振り返り、パンデミック時に対応できる医師が不足しているという課題や、患者数増加に伴う医師や看護師のバーンアウトのリスク増加など、今後のパンデミックへの対策について、6月27~29日に開催の第98回日本感染症学会学術講演会 第72回日本化学療法学会総会 合同学会にて発表した。日本ではオミクロン株以前の感染を抑制 忽那氏は、コロナ禍以前の新興感染症の対策について振り返った。コロナ禍以前から政府が想定していた新型インフルエンザ対策は、「不要不急の外出の自粛要請、施設の使用制限等の要請、各事業者における業務縮小等による接触機会の抑制等の感染対策、ワクチンや抗インフルエンザウイルス薬等を含めた医療対応を組み合わせて総合的に行う」というもので、コロナ禍でも基本的に同じ考え方の対策が講じられた。 欧米では、オミクロン株が出現した2021~22年に流行のピークを迎え、その後減少している。オミクロン株拡大前もしくはワクチン接種開始前に多くの死者が出た。一方、日本での流行の特徴として、第1波から第8波まで波を経るごとに感染者数と死亡者数が拡大し、とくにオミクロン株が拡大してからの感染者が増加していることが挙げられる。忽那氏は「オミクロン株拡大までは感染者数を少なく抑えることができ、それまでに初回ワクチン接種を進めることができた。結果として、オミクロン株拡大後は、感染者数は増えたものの、他国と比較して死亡者数を少なくすることができた」と分析した。新型コロナの社会的影響 しかし、他国よりも感染対策の緩和が遅れたことで、新型コロナによる社会的な影響も及んでいる可能性があることについて、忽那氏はいくつかの研究を挙げながら解説した。東京大学の千葉 安佐子氏らの日本における婚姻数の推移に関する研究では、2010~22年において、もともと右肩下がりだった婚姻数が、感染対策で他人との接触が制限されたことにより、2020年の婚姻数が急激に減少したことが示されている2)。また、超過自殺の調査では、新型コロナの影響で社会的に孤立する人の増加や経済的理由のために、想定されていた自殺者数よりも増加していることが示された3)。忽那氏は、「日本は医療の面では新型コロナによる直接的な被害者を抑制することができたが、このようなほかの面では課題が残っているのではないか。医療従事者としては、感染者と死亡者を減らすことが第一に重要だが、より広い視点から今回のパンデミックを振り返り、次に備えて検証していくべきだろう」と述べた。パンデミック時、感染症を診療する医師をどう確保するか コロナ禍では、医療逼迫や医療崩壊という言葉がたびたび繰り返された。政府が2023年に発表した第8次医療計画において、次に新興感染症が起こった時の各都道府県の対応について、医療機関との間に病床確保の協定を結ぶことなどが記載されている。ただし、医療従事者数の確保については欠落していると忽那氏は指摘した。OECDの加盟国における人口1,000人当たりの医師数の割合のデータによると、日本は38ヵ国中33位(2.5人)であり医師の数が少ない4)。また、1994~2020年の医療施設従事医師数の推移データでは、医師全体の数は1.47倍に増えているものの、各診療科別では、内科医は0.99倍でほぼ横ばいであり、新興感染症を実際に診療する内科、呼吸器科、集中治療、救急科といった診療科の医師は増えていない5)。 感染症専門医は2023年12月時点で1,764人であり、次の新興感染症を感染症専門医だけでカバーすることは難しい。また、岡山大学の調査によると、コロナパンデミックを経て、6.1%の医学生が「過去に感染症専門医に興味を持ったことがあるが、調査時点では興味がない」と回答し、3.7%の医学生が「コロナ禍を経て感染症専門医になりたいと思うようになった」、11.0%の医学生が「むしろ感染症専門医にはなりたくない」と回答したという結果となった6)。医療従事者のバーンアウト対策 日本の医師と看護師の燃え尽きに関する調査では、患者数が増えると医師と看護師の燃え尽きも増加することが示されている7)。米国のMedscapeによる2023年の調査では、診療科別で多い順に、救急科、内科、小児科、産婦人科、感染症内科となっており、コロナを診療する科においてとくに燃え尽きる医師の割合が高かった8)。そのため、パンデミック時の医師の燃え尽き症候群に対して、医療機関で対策を行うことも重要だ。忽那氏は、所属の医療機関において、コロナの前線にいる医師に対して精神科医がメンタルケアを定期的に実施していたことが効果的であったことを、自身の経験として挙げた。また、業務負荷がかかり過ぎるとバーンアウトを起こしやすくなるため、診療科の枠を越えて、シフトの調整や業務分散をして個人の負担を減らすなど、スタッフを守る取り組みが大事だという。 忽那氏は最後に、「感染症専門医だけで次のパンデミックをカバーすることはできないので、医師全体の感染症に対する知識の底上げのための啓発や、感染対策のプラクティスを臨床現場で蓄積していくことが必要だ。今後の新型コロナのシナリオとして、基本的には過去の感染者やワクチン接種者が増えているため、感染者や重症者は減っていくだろう。波は徐々に小さくなっていくことが予想される。一方、より重症度が高く、感染力の強い変異株が出現し、感染者が急激に増える場合も考えられる。課題を整理しつつ、次のパンデミックに備えていくことが重要だ」とまとめた。■参考1)内閣感染症危機管理統括庁:新型コロナウイルス感染症 感染動向などについて(2024年8月2日)2)千葉 安佐子ほか. コロナ禍における婚姻と出生. 東京大学BALANCING INFECTION PREVENTION AND ECONOMIC. 2022年12月2日.3)Batista Qほか. コロナ禍における超過自殺. 東京大学BALANCING INFECTION PREVENTION AND ECONOMIC. 2022年9月7日4)清水 麻生. 医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2021およびOECDレポートより-. 日本医師会総合政策研究機構. 2022年3月24日5)不破雷蔵. 増える糖尿病内科や精神科、減る外科や小児科…日本の医師数の変化をさぐる(2022年公開版)6)Hagiya H, et al. PLoS One. 2022;17:e0267587.7)Morioka S, et al. Front Psychiatry. 2022;13:781796.8)Medscape: 'I Cry but No One Cares': Physician Burnout & Depression Report 2023

734.

一部の糖尿病用薬の処方が認知症リスクの低さと関連

 メトホルミンやSGLT2阻害薬(SGLT2i)と呼ばれる糖尿病用薬の処方が、認知症やアルツハイマー病(AD)のリスクの低さと関連していることが報告された。慶煕大学(韓国)のYeo Jin Choi氏らの研究によるもので、詳細は「American Journal of Preventive Medicine」に5月3日掲載された。 2型糖尿病は多くの国で重大な健康問題となっており、世界中で約5億3000万人が罹患していて、その罹患によって認知機能障害や認知症のリスクが50%以上上昇する可能性が示されている。認知症もまた、高齢化に伴い世界的な健康問題となっており、患者数はすでに4000万人以上に上るとされている。 2型糖尿病がADのリスクを押し上げるメカニズムについて、インスリン抵抗性に伴う慢性炎症、酸化ストレス、血管障害の関与などが考えられており、一部の糖尿病用薬はインスリン抵抗性改善作用などを介してADリスクを低下させる可能性がある。ただし、糖尿病用薬のタイプによって認知症やADのリスクが異なるのかという点は、十分明らかにはなっていない。Choi氏らは、比較されている薬剤の組み合わせが異なる過去の複数の研究データを統合して、多くの薬剤の影響を比較可能とするベイジアンネットワークメタ解析により、この点を検討した。 文献データベースであるCENTRAL、MEDLINE(PubMed)、Scopus、Embaseのスタートから2024年3月までに収載された論文を対象とする検索により、16件の研究報告を抽出。それらの研究参加者数は合計156万5,245人で、7種類の治療レジメン(メトホルミン、SU薬、α-グルコシダーゼ阻害薬〔α-GI〕、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、SGLT2i、非薬物治療)が含まれていた。16件中7件は米国、3件はカナダで行われ、そのほかは英国、台湾、中国、香港、韓国などで行われていた。 第一選択薬として用いられていた薬剤のうち最も多くの研究で比較されていたのはSU薬とメトホルミンであり、後者は前者に比べて認知症リスクが有意に低かった(リスク比〔RR〕0.53〔95%信頼区間0.44~0.64〕)。第二選択薬として用いられていた薬剤について、SU薬を基準として比較すると、SGLT2iのみ有意なリスク低下が認められた(RR0.39〔同0.16~0.88〕)。 第一・第二選択薬を区別せずにSU薬を基準として解析すると、メトホルミン(RR0.53〔0.44~0.63〕)とSGLT2i(RR0.41〔0.25~0.66〕)、および非薬物治療(RR0.73〔0.56~0.97〕)でリスクが低く、α-GIはリスクが高かった(RR2.4〔1.2~5〕)。ADリスクについても対SU薬で、メトホルミンとSGLT2iのみ、リスク低下が示された。なお、年齢を75歳未満/以上に二分した層別解析では、SGLT2iによる認知症リスク低下は75歳以上でのみ有意だった。 著者らは、「メトホルミンとSGLT2iが用いられている糖尿病患者は、他の糖尿病用薬が用いられている場合に比較し認知症リスクが低いことが示された。ただし、患者固有の要因がこの関係に影響を及ぼしている可能性がある。例えばメトホルミンは一般的に、合併症が少ない非高齢期に処方が開始される傾向がある。これらの理由により、本研究の結果の解釈は慎重に行われる必要があり、また将来の大規模な臨床試験が必要とされる」と述べている。

735.

ニルマトレルビル・リトナビルには曝露後予防効果がない(解説:栗原宏氏)

Strong point・実臨床に即した患者層を対象とし、十分なサンプル数を有する二重盲検試験 2024年現在も定期的にCOVID-19の感染拡大が繰り返されている。家庭内や職場等で感染者が出た場合、無症状者に対する有効な予防策が問題となる。重症化リスクを持つ患者の家庭、医療機関や療養施設では大きな関心があると思われる。とくに医療機関や療養施設での患者やスタッフのクラスターの発生は、当該施設だけでなく地域全体にも大きな負担となりうる。 現在、ニルマトレルビル・リトナビル(商品名:パキロビッド)5日分の費用は、3割負担でも約3万円とかなり高額である。十分な予防効果があれば高額費用を踏まえてでも使用する意義はある可能性があり、曝露後予防投与の効果に対する本研究は大きな意義があると思われる。 本研究は2021年9月~2022年4月のオミクロンおよびデルタ株が優勢だった時期に実施された。プラセボ群(898例)、5日間投与群(921例)、10日間投与群(917例)での比較が行われている。重症化リスクとしてBMI≧25、喫煙、高血圧、年齢61歳以上、糖尿病、慢性肺疾患が含まれ、重症化リスクのある患者の割合は全体の7割強だった。 関心が高い主な調査結果は以下のとおり。(1)14日目までに症候性感染が確認された割合は、5日間投与群2.6%、10日間投与群2.4%、プラセボ群3.9%で有意差なし(2)重症化リスク群での感染率は、5日間投与群2.0%、10日間投与群1.9%、プラセボ群3.5%で有意差なし(3)無症候性の感染率は、5日間投与群2.0%、10日間投与群1.9%、プラセボ群3.1%で有意差なし(4)デルタ株、オミクロン株間での効果の差なし 本研究の結果からは、ニルマトレルビル・リトナビル投与期間の長さ、重症化リスクの有無、無症候性感染の減少、ウイルス株の種類いずれの面からも予防効果がないことが示された。 著者はニルマトレルビル・リトナビルの独特の味による盲検化への影響、家庭内の他の家族の影響などを本研究の限界として挙げているが、これを踏まえても結果に大きな変化があるとは考えにくく、この結果からはニルマトレルビル・リトナビルが曝露後予防の選択肢に挙がることはないと思われる。

736.

第226回 古くはヒトの糞中から見つかった細菌が創傷治癒を促進

古くはヒトの糞中から見つかった細菌が創傷治癒を促進切開部や傷の除菌が大事なことは言うまでもないことですが、本をただせばビールやヒトの糞から見つかった1)細菌が糖尿病患者の治療困難な傷の治癒を助けうることが示唆されました。傷に有害な細菌を検討した数多くの報告とは真反対に、ペンシルベニア大学医学部のElizabeth Grice氏らのチームは慢性創傷の多くに認められる細菌Alcaligenes faecalis(A. faecalis)が糖尿病関連創傷の治癒促進効果を担うことを発見しました2)。その結果によるとA. faecalisは糖尿病患者に多い酵素・細胞外基質分解酵素(MMP)を阻止し、傷口が閉じるのに不可欠な細胞移動を促します。創傷治癒を後押しするA. faecalisの仕組みを把握することで糖尿病と関連する創傷の新たな治療法を生み出せそうです。そもそも治らないか治りが非常に遅い褥瘡、潰瘍、裂傷を含む慢性創傷は糖尿病につきもので、痛い感染症をしばしば引き起こし、悪くすると四肢の切断や死に至ることもあります。手術で壊死組織を除去するか包帯をするくらいがせいぜいで治療法は限られます。糖尿病性足潰瘍(DFU)患者46例からの195の検体のゲノム配列を解析した先立つ研究3)で、A. faecalisは最も多く認められた細菌の1つでした。褥瘡、静脈性下肢潰瘍、鎌状赤血球症下肢潰瘍を調べた他の試験でもAlcaligenes属が一貫してしばしば検出されています。DFUの経過とA. faecalisの関連はあいにく認められませんでした。しかしGrice氏らはA. faecalisの検出や量の多さに興味が湧き、傷の治りが悪い糖尿病マウスを使ってA. faecalisの効果を調べてみました。その取り組みは功を奏します。マウスの背にあえて発生させた傷にA. faecalisを与えたところ、A. faecalis非投与群に比べて治癒が早まり、感染の合併は認められませんでした。さらに調べたところ、A. faecalisは創傷治癒にあたる細胞であるケラチノサイトの増殖と創傷部への移動を促すとわかりました。また、糖尿病患者の皮膚検体をA. faecalisとともに培養したところ、ケラチノサイトが有意に多く増えました。糖尿病患者はMMPが過剰で、MMPが過剰な環境は傷の治りに支障を来すことが先立つ研究で示されています。A. faecalisが投与された糖尿病マウスの遺伝子発現を調べたところ、ケラチノサイトで作られることが知られるMMP-10を含むMMP遺伝子幾つかの発現が減っていました。病原性細菌の黄色ブドウ球菌は逆にMMP-10を含むMMPの幾つかを増やし、黄色ブドウ球菌とA. faecalis投与のMMP-10の発現は最も差がつきました。その他の検討結果も加味するに、A. faecalisはどうやらMMP-10過剰発現を抑制することで糖尿病創傷の治りを促すようです。研究をGrice氏とともに率いたEllen White氏は今回の成果を次のように説明しています。「MMPは細胞同士の結びつきを解いて細胞が動けるようにする。糖尿病患者のMMPは過剰だが、A. faecalisは創傷でのMMP発現を整えて傷口が塞がるのを早めることを今回の研究は示した。」4)上述のとおりヒトの創傷治癒の経過へのA. faecalisの作用を示唆する研究成果はありません。なぜかといえば、それら先立つ試験の検出力がそもそも不十分だったためかもしれませんし、A. faecalisの効果を妨げる要因のせいかもしれません。そのような要因として、たとえば創傷の微生物のどれかが直接的に阻害するか栄養を横取りするかしてA. faecalisの増殖や効果を妨げているかもしれません。今後の課題として、皮膚細胞やその他の細菌とA. faecalisのやり取りや相互作用の仕組みを解明したいとWhite氏は言っています4)。参考1)Weinstein L, et al. N Engl J Med. 1951;244:662-665.2)White EK, et al. Sci Adv. 2024;10:eadj2020. 3)Kalan LR, et al. Cell Host Microbe. 2019;25:641-655.4)Penn researchers reveal how a bacterium supports healing of chronic diabetic wounds / Eurekalert

737.

内分泌・代謝・糖尿病内科「SGLT-2阻害薬の使い方」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第5回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための内科ベーシック5内分泌・代謝・糖尿病内科より、 前野哲博先生と岩岡秀明先生の「SGLT-2阻害薬の使い方」を鑑賞します。ジェネラリストとスペシャリストの対談って貴重でとてもわかりやすいんです!CareNeTVの大人気シリーズ!

738.

メタボリックシンドロームとうつ病〜日本リアルワールドデータ横断的研究

 メタボリックシンドローム(MetS)とうつ病は、どちらも優先度の高い健康問題であり、とくに労働年齢層において問題となる。これまで、MetSとうつ病との関連についての研究は、数多く行われているが、そのすべてが一貫しているわけではない。帝京大学の杉本 九実氏らは、広範なリアルワールドデータを分析することにより、MetSとうつ病の関連性を判断するため、本研究を実施した。Environmental Health and Preventive Medicine誌2024年号の報告。 東京都を除くすべての都道府県の地方自治体職員の2019年度の保険請求および健康診断のデータを用いた。うつ病診断および抗うつ薬の処方月数に応じて、参加者を次の4群に分類した。確実にうつ病ではない(CN群)、うつ病でない可能性が高い(PN群)、うつ病の可能性あり(PD群)、うつ病である(CD群)。MetSおよびその構成要素である内臓肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病と各うつ病カテゴリとの関連性を分析するため、ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・参加対象者は13万59例(CN群:85.2%、PN群:6.9%、PD群:3.9%、CD群:4.1%)。・男性の場合、CN群を基準としたMetSの調整オッズ比(aOR)は、PN群0.94(95%信頼区間[CI]:0.86〜1.02)、PD群1.31(1.19〜1.43)、CD群1.63(1.50〜1.76)であった。・女性のaORは、PN群1.10(95%CI:0.91〜1.32)、PD群1.54(1.24〜1.91)、CD群2.24(1.81〜2.78)であった。・MetSの構成要素のうち内臓肥満、脂質異常症、糖尿病は、うつ病カテゴリと有意な関連が認められた。 著者らは「これまでの報告と同様に、MetSとうつ病との有意な関連が認められた。本調査結果は、MetSとうつ病の関連性についての確固たるエビデンスを提供するとともに、リアルワールドデータ分析が、具体的なエビデンスの提供に有用である可能性を示唆している」としている。

739.

米国成人の12%が慢性不眠症の診断を受けている

 入眠や睡眠維持に苦労している米国人は何百万人にも上るようだ。米国睡眠医学会(AASM)が米国の成人2,006人を対象に、2024年5月16日から24日にかけて実施した慢性不眠症に関するオンライン調査の結果が6月14日に報告された。この調査から、慢性不眠症の診断を受けた米国成人は12%に上ることが明らかになった。 慢性不眠症の診断を受けた成人の割合を性別ごとに見ると、男性の方が女性よりもわずかに高かった(13%対11%)。また、同割合を年齢層別に見て高い順に並べると、25〜34歳(16%)、35〜44歳(15%)、18〜24歳(14%)、45〜54歳および55〜64歳(いずれも12%)、65歳以上(5%)であった。世代別では、ミレニアル世代(27〜42歳)が15%で最も高く、地域別では、米国西部が最も高く(14%)、中西部が最も低かった(10%)。 慢性不眠症に関連する症状には、日中の倦怠感や眠気、睡眠への不満、集中力の低下、抑うつ、不安、イライラ感、意欲や気力の低下などがある。また、慢性不眠症は、身体的、精神的、感情的な健康を悪化させ、全体的なウェルネスや日常機能に悪影響をもたらす。このほか、うつ病や不安、物質使用、自動車事故、アルツハイマー病、2型糖尿病などのリスクが高まる可能性も指摘されている。 AASM会長のEric Olson氏は、「慢性不眠症は、夜間の睡眠だけでなく日中の気分や機能にも悪影響を及ぼす。ただ幸いなことに、慢性不眠症に対しては効果的な治療法があり、健康と生活の質(QOL)の両方を大幅に改善することができる」と述べている。 慢性不眠症に対する最も効果的な治療法は認知行動療法である。これは、例えば、「一貫性のある睡眠スケジュールを立てる」「眠れないときはベッドから出る」などの行動戦略と、「眠れないことに対する恐怖をより有益な期待に置き換える」などの思考戦略を組み合わせた治療法である。慢性不眠症に対する認知行動療法は6~8回のセッションで行われるのが一般的であるが、もっと早く改善する患者もいるという。 米行動睡眠医学協会(SBSM)会長のMichael Nadorff氏は、「認知行動療法では、慢性不眠症の患者が抱えている根本的な問題を特定し、健康的な睡眠を促進する長期的な解決策を提供するための、高度に個別化されたプランを提供する」と説明している。

740.

第204回 医師免許証の手続き、マイナポータルでオンライン化へ/デジタル庁

<先週の動き>1.医師免許証の手続き、マイナポータルでオンライン化へ/デジタル庁2.正常分娩の保険適用に反対意見相次ぐ、産婦人科医会が懸念/厚労省3.外国人患者受け入れ病院で未収金増加、平均50万円に/厚労省4.労基署の勧告受けた市立病院、10億円の未払い残業代支払い困難/宮城県5.神戸徳洲会病院、医療過誤で3件目の認定/兵庫県6.資金不正問題、第三者委員会は理事長の責任を指摘/東京女子医大1.医師免許証の手続き、マイナポータルでオンライン化へ/デジタル庁デジタル庁は、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の4つの国家資格の事務手続きを2024年8月6日からオンライン化すると発表した。これにより、名前変更手続きやデジタル資格証の取得がオンラインで完結できるようになる。紙の書類や対面での手続きが不要となり、住民票や戸籍謄本の写しの添付も省略でき、登録免許税や手数料のオンライン決済も可能となる。さらに、11月には医師や看護師など27の資格についても事務手続きをオンライン化する予定。2025年3月までには准看護師や栄養士など11の資格も加わり、最終的には計84資格のオンライン化を目指す。国家資格のオンライン化に伴い、デジタル庁は資格管理者が共同利用できる「国家資格等情報連携・活用システム」を開発した。このシステムは住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)や戸籍情報と連携し、マイナポータルのデータとも紐付けられる。これにより、資格保有者はマイナポータルから各種の申請が可能となり、迅速かつ正確に事務手続きを進められるだけでなく、事務処理に伴う負担やコストの削減も見込まれる。資格管理者側にも大きなメリットがあるとされている。河野 太郎デジタル担当相は記者会見で「オンライン化により、資格保有者と資格管理者の双方にメリットを出していきたい」と述べ、積極的なオンライン利用を促した。また、デジタル資格者証も発行される。これはPDF形式でダウンロードができ、電子署名も付与されるため、改ざん検知が可能となる。固有の二次元コードも付与され、スマートフォンなどを使って資格者証の検証も行えるほか、資格者証は、印刷して利用したり、スマートフォンの画面に提示して利用したりすることが想定される。国家資格のオンライン化のスケジュールとしては、まず、8月6日から介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の4資格が対応開始となり、11月頃には医師、歯科医師、看護師など27の資格がオンライン化される予定。そして、2025年3月頃には准看護師、栄養士など11の資格が追加され、2025年度以降にはさらに多くの資格が順次対応される。参考1)2024年8月6日から4つの国家資格についてオンライン・デジタル化を開始します(デジタル庁)2)国家資格のオンライン申請が8月6日から順次スタート 介護福祉士など4資格から 全84資格で対応予定(ITmedia)3)国家資格の手続きオンライン化へ、介護福祉士など 6日から、マイナポータルで申請可能に(CB news)2.正常分娩の保険適用に反対意見相次ぐ、産婦人科医会が懸念/厚労省厚生労働省とこども家庭庁は、「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」を8月1日に開催し、関係学会や団体へのヒアリングを実施した。今回のヒアリングでは、正常分娩(出産)に公的医療保険を適用する案について、日本産婦人科医会や日本産科婦人科学会などから慎重な意見が相次いだ。日本産婦人科医会の前田 津紀夫副会長は、正常分娩に公的保険が適用されると出産育児一時金の支給額50万円(2024年8月現在)を維持するのが難しく、結果的に出産に伴う経済的負担が大きく変わらないと指摘。また、診療報酬のみでは出産費用をカバーできず、医療機関が減収となるため、産科医療機関の減少やアクセスの悪化、サービスや医療安全に必要なコストの削減が進む恐れがあるとした。前田氏は、分娩のプロセスが多様であり、保険適用に向かないと述べ、「少子化対策」の名の下に拙速な制度変更を行うことに反対の立場を示した。これに対し、健康保険組合連合会の佐野 雅宏会長代理は、「課題が多いことは理解しているが、賛成や反対を前提とせずに議論を進めるべき」との意見を述べた。日本産科婦人科学会の亀井 良政常務理事は、正常分娩に保険が適用されることで医療機関が産科から撤退すれば、周産期医療センターに低リスクの出産まで集中し、病床確保や医師増員が困難になることで、周産期医療の安全が崩壊しかねないと懸念を表明。亀井氏は、「緩やかな集約化は受け入れられるが、急速な減少や医療崩壊を招くような保険適用には反対」と述べた。さらに、亀井氏は「出産費用の保険適用は出産数のV字回復につながる特効薬ではなく、むしろ産科医療施設を廃業に追いやる毒薬になる可能性がある」と強い危機感を示した。日本看護協会の井本 寛子常任理事も、出産前後の女性や新生児に迅速に対応できるケア提供体制の強化が必要だと訴えた。このように、正常分娩への保険適用については慎重な意見が多く、拙速な制度変更には反対の声が強まっている。参考1)第2回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」資料(こども庁・厚労省)2)正常分娩への保険適用、拙速な制度変更に反対表明 検討会のヒアリングで日本産婦人科医会(CB news)3)出産費用の保険適用、2026年度導入視野 産科医療に大きな影響も(朝日新聞)4)「政府案 出産費用(正常分娩)の保険適用の導入」に関するアンケート 報告(スペシャリスト・ドクターズ)3.外国人患者受け入れ病院で未収金増加、平均50万円に/厚労省厚生労働省は、2023年9月に外国人患者を受け入れた病院のうち、未収金が発生した病院は516病院で、1病院当たりの未収金総額が平均49.6万円と前年度の2倍以上に増加したことを明らかにした。同省の担当者は「1件当たりの未収金額が高いケースが増えている。突発的な増加の可能性もある」と話している。調査では、外国人患者を受け入れた2,813病院のうち、18.3%が未収金を経験していた。1病院当たりの未収金発生件数は平均3.9件で、1件当たりの未収金額は12万8,497円、中央値は1万1,150円だった。未収金額が最も多かったのは「1万円以下」で954件、「1万~5万円」が522件と続いた。外国人患者の受け入れ実績がある病院のうち、最も多いのは「10人以下」の1,273病院で、「11~50人」が879病院、「51~100人」が247病院だった。さらに、都道府県が選出した「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」608病院中524病院(86.2%)でも受け入れ実績が確認された。外国人患者の診療費については、ほとんどの病院が通常の1点10円で費用請求を行っているが、一部の病院では通訳費用を含む追加コストを考慮し、1点を15円、20円としている場合もある。しかし、多くの病院では請求可能な通訳費用を請求していないのが現状。調査結果を受け、厚労省は外国人患者受け入れのための医療機関向けマニュアルを策定し、未収金発生防止策として、外国人患者が海外旅行保険に加入しているかどうかを事前に確認し、医療費の概算説明を丁寧に行うようアドバイスしている。また、外国人患者受け入れ体制の整備に向けた取り組みを進めている。この未収金問題は、病院経営に大きな影響を与えており、厚労省は引き続き対策を講じ、外国人患者が安心して医療を受けられる体制を目指す。参考1)令和5年度「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」の結果(厚労省)2)外国人患者の受け入れ、未収金総額は平均50万円 前年度の2倍超に増加 厚労省(CB news)3)依然「外国人患者を受け入れる医療機関の2割弱」で未収金発生、ごく一部だが「月間500万円超」の高額未収となるケースも-厚労省(Gem Med)4.労基署の勧告受けた市立病院、10億円の未払い残業代支払い困難/宮城県宮城県大崎市の大崎市民病院が、医師や看護師ら約1,100人に対し、時間外勤務手当を適正に支給していなかった問題で、古川労働基準監督署から是正勧告を受けた。未払い額は約10.5億円に上るが、病院は約2.3億円しか支払わず、残りの約8億円は経営状況から支払えないとしている。昨年2月に是正勧告を受けた際、病院は基礎賃金に必要な手当を足さずに計算していたため、未払いが発生したことが判明。さらに、時間外労働時間の過少申告も発覚した。労基署は2020年3月にさかのぼって不足額を追加支給するよう求めたが、病院は赤字が続く見込みであり、勧告通りの対応は困難だと判断した。結果として、実際に支給されたのは約10.5億円のうち約2.3億円に止まり、病院は「労基署に相談しながらできる範囲で対応した。10億円は額が大きすぎる。すべて支払うことはできない」と説明した。参考1)市立病院が残業代10億円未払い 労基署が勧告も2億円しか支払わず(朝日新聞)2)令和6年度大崎市病院事業会計予算書(大崎市民病院)5.神戸徳洲会病院、医療過誤で3件目の認定/兵庫県神戸市垂水区の神戸徳洲会病院で発生した患者死亡事故について、同病院が今年1月に心肺停止状態で搬送された90代男性の死亡を医療過誤と認定した。これは同病院で3件目の医療過誤認定となる。今年1月、心肺停止状態で救急搬送された90代男性患者に対して、血圧を上昇させる薬剤の追加投与が遅れたため、患者が死亡した。この事例について病院は「死期を早めた可能性がある」として医療過誤を認定し、遺族に謝罪するとともに、この事例をホームページで公表し、神戸市も報道からの取材に対し認定を認めた。また、遺族への賠償も検討しているという。神戸徳洲会病院では、2023年1~7月にかけて、複数の患者がカテーテル治療後に死亡するなど15件の医療事故が発覚しており、そのうち4件は国の医療事故調査制度に基づく調査対象となっている。これまでに認定された医療過誤は、糖尿病患者へのインスリン投与ミスによる70代男性の死亡、カテーテル治療中に血管を破った90代女性の死亡の2件だった。今回の事例は、国の制度の対象外として病院が個別に検証を行った11件のうちの1件に含まれる。残りの10件については、病院側は過誤の有無に言及せず、遺族への説明を進めている。尾野 亘院長は「患者安全を十分に重視して病院運営を行ってこなかった結果で、深く反省している」とコメントを発表し、改善を誓った。神戸市は、神戸徳洲会病院が適切な治療を提供できなかった問題を受けて、今年2月に医療法に基づく改善命令を出している。また、福田 貢副理事長が6月に行われた有識者会議後に「根本的な原因はない」と発言したが、これは4月に提出された改善計画と矛盾するとして市が抗議。病院側は発言を撤回し、謝罪した。病院側は改善計画書の内容を修正し、根本的な原因として、医師数の不足や組織ガバナンスの機能不全など7項目を追加し、神戸市に再提出した。市は修正版を受理し、今後の対応を見守るとしている。参考1)神戸徳洲会病院が医療ミス3件目認定、90代男性死亡巡り(産経新聞)2)神戸徳洲会、医療過誤3件目を新たに認定…血圧薬補充遅れ直後に死亡(読売新聞)3)血圧上昇させる薬剤投与遅れ死亡 神戸徳洲会病院が新たに医療過誤1件謝罪、賠償を検討(神戸新聞)4)不適切治療で患者死亡の神戸徳洲会病院 法人幹部が報道陣に「根本原因ない」発言、神戸市が抗議(同)6.資金不正問題、第三者委員会は理事長の責任を指摘/東京女子医大東京女子医科大学(東京都新宿区)やその同窓会組織「至誠会」を巡る不透明な資金の流れについて、同大学が設置した第三者委員会(委員長=山上 秀明弁護士)が調査報告書をまとめた。この報告書は、推薦入試での寄付金の考慮や理事長の岩本 絹子氏(77)の「一強体制」による経営の問題を指摘する内容となっている。報告書によると、同大学の推薦入試では、至誠会が持つ推薦枠で生徒を選ぶ際に寄付額が加点要素となっていた。受験生側から至誠会と大学法人への寄付は、面接の直前2ヵ月の期間に集中しており、2019~2022年度の間に受験生側から寄付された総額は3,520万円に達していた。また、寄付金の実績がない受験生が、寄付金を行った受験生に順位で抜かれて推薦を受けられなかった事例や面接の前に寄付を行った事例もあった。さらに、同大学の至誠会から大学に出向していた職員への給与についても、二重払いの疑いが指摘された。この業務委託は、法人の利益を犠牲にし、岩本氏に近い2人の利益を図る行為とされている。また、理事会運営会議の承認を得ずに行われた手続き違反も認定された。第三者委員会は、岩本理事長が異なる意見を持つ職員を排除し、ガバナンス機能を封殺したとし、岩本氏の重大な経営判断の誤りについても言及した。具体的には、小児集中治療室(PICU)の運用停止や小児集中治療医の大量退職を招いたことが挙げられている。また、岩本氏の知人が代表を務める会社とのコンサルティング契約で、不透明な支出があったことも判明している。これらの問題に対して、東京女子医科大学は「組織の改善・改革に全身全霊で取り組む」とのコメントを発表した。また、新たに第三者委員会答申検討委員会を立ち上げ、再発防止策と管理運営体制の再構築を図る計画を示した。文部科学省も、この問題を受けて早急に大学側に説明を求める予定。さらに、国の私立大学への補助金の配分についても見直しが検討される可能性がある。参考1)東京女子医大 同窓会組織めぐる問題 第三者委“抜本的改革を”(NHK)2)東京女子医大、理事長に資金還流か…第三者委員会報告書「金銭に強い執着」(読売新聞 )3)東京女子医大の第三者委、理事長の責任を指摘 報告書を公表(朝日新聞)4)第三者委員会による調査報告書の公表について(東京女子医大)5)第三者委員会の調査報告書を受けての本学の決意と「(仮称)第三者委員会答申検討委員会」の設置について(同)

検索結果 合計:5099件 表示位置:721 - 740